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特表2023-541555繊維機械を操作するための操作装置および繊維機械を操作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】繊維機械を操作するための操作装置および繊維機械を操作するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230926BHJP
   D01H 13/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H04Q9/00 331A
D01H13/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513720
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2021073831
(87)【国際公開番号】W WO2022043540
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20193620.0
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.イーサネット
(71)【出願人】
【識別番号】590005597
【氏名又は名称】マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH-8406 Winterthur,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マックス シュミット
(72)【発明者】
【氏名】コーネリウス ニーマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ヴェットシュタイン
【テーマコード(参考)】
4L056
5K048
【Fターム(参考)】
4L056EB27
4L056FB18
5K048AA04
5K048BA25
5K048DC01
5K048FB05
5K048FB08
5K048FB09
5K048FB10
5K048FB15
5K048HA21
(57)【要約】
繊維機械(T1,T2,T3)を操作するための操作装置(91)を開示する。操作装置(91)は、ベースモードとエキスパートモードとの間で操作装置(91)を切り替えるための切り替え機能を有している。ベースモードは、ユーザによる繊維機械(T1)のベース操作のためのベース操作スクリーン(10)を提供する。エキスパートモードは、ユーザによる繊維機械(T1)のエキスパート操作のためのエキスパート操作スクリーン(70)を提供する。操作装置(91)は、ユーザの認可のための認可機能を有しており、切り替え機能は、エキスパートモードへの切り替えに対して、ユーザの認可を前提条件とするように構成されている。操作装置(91)は、ユーザによる、離れている繊維機械(T2,T3)の操作のためにリモート送信機能(91S)を有している。リモート送信機能(91S)は、ユーザによる、離れている繊維機械(T2,T3)の操作のために、離れている繊維機械(T2,T3)への通信接続を確立するように構成されている。操作装置(91)は、離れているユーザによる、繊維機械(T1)の操作のためにリモート受信機能(91E)を有している。リモート受信機能(91E)は、離れているユーザによる、繊維機械(T1)の操作のために、離れている操作装置(92,9Z,9M)からの通信接続を受け取るように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維機械(T1,T2,T3)を操作するための操作装置(91)であって、
前記操作装置(91)は、ベースモードとエキスパートモードとの間で前記操作装置(91)を切り替えるための切り替え機能を有しており、前記ベースモードは、ユーザによる繊維機械(T1)のベース操作のためのベース操作スクリーン(10)を提供し、前記エキスパートモードは、前記ユーザによる前記繊維機械(T1)のエキスパート操作のためのエキスパート操作スクリーン(70)を提供し、
前記操作装置(91)は、前記ユーザの認可のための認可機能を有しており、前記切り替え機能は、前記エキスパートモードへの前記切り替えに対して、前記ユーザの前記認可を前提条件とするように構成されており、
前記操作装置(91)は、前記ユーザによる、離れている繊維機械(T2,T3)の操作のためにリモート送信機能(91S)を有しており、前記リモート送信機能(91S)は、前記ユーザによる、前記離れている繊維機械(T2,T3)の操作のために、前記離れている繊維機械(T2,T3)への通信接続を確立するように構成されており、
前記操作装置(91)は、離れているユーザによる、前記繊維機械(T1)の操作のためにリモート受信機能(91E)を有しており、前記リモート受信機能(91E)は、前記離れているユーザによる、前記繊維機械(T1)の操作のために、離れている操作装置(92,9Z,9M)からの通信接続を受け取るように構成されている、
操作装置(91)。
【請求項2】
前記リモート送信機能(91S)は、前記離れている繊維機械(T2,T3)への前記通信接続を、前記離れている繊維機械(T2,T3)の操作装置(92)を介してまたは制御装置(S2,S3)を介して確立するように構成されている、請求項1記載の操作装置(91)。
【請求項3】
前記リモート送信機能(91S)は、前記通信接続の前記確立に対して、前記ユーザの前記認可を前提条件とするように構成されている、請求項1または2記載の操作装置(91)。
【請求項4】
前記リモート送信機能(91S)は、前記通信接続の前記確立に対して、前記エキスパートモードを前提条件とするように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項5】
前記リモート送信機能(91S)は、前記通信接続の前記確立に対して、権限チェックを実行するように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項6】
前記リモート送信機能(91S)は、複数の離れている繊維機械(T2,T3)を操作するために、複数の通信接続を確立するように構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項7】
前記リモート受信機能(91E)は、前記通信接続の前記受け取りに対して、前記ベースモードを前提条件とする、または保証するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項8】
前記リモート受信機能(91E)は、前記通信接続の前記受け取り時に、前記ユーザの認可をリセットするように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項9】
前記リモート受信機能(91E)は、前記通信接続の前記受け取り時に、前記ユーザの認可のリセットに対する、時間的に制限されたユーザコンファームを待ち、その後に前記ユーザの前記認可をリセットするように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項10】
前記繊維機械(T1)の前記操作は、前記ユーザまたは前記離れているユーザに対応付けられている権限段階に関連している、請求項1から9までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項11】
前記操作装置(91)の1つまたは複数の機能は、紡績場中心部(Z)に格納されている情報に関連しており、特に前記認可機能、前記リモート送信機能、前記リモート受信機能のうちの1つまたは複数の機能は、特に、前記ユーザまたは前記離れているユーザの、前記紡績場中心部(Z)に格納されている権限段階に関連している、請求項1から10までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項12】
前記操作装置が前記ベースモードに切り替えられているかまたは前記エキスパートモードに切り替えられているかを表示するように、かつ/または離れている操作装置(92,9Z,9M)からの通信接続が生じているかを表示するように構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項13】
前記繊維機械(T1)および/または前記離れている繊維機械(T2,T3)の操作のために、前記繊維機械(T1,T2,T3)のパラメータの設定が提供されているように構成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項14】
前記操作装置(91)は、前記繊維機械(T1,T2,T3)の操作のために、前記繊維機械(T1)および/または前記離れている繊維機械(T2,T3)に関する情報の表示が提供されているように構成されており、
前記情報は、特に、前記情報が前記繊維機械(T1)に関連しているかまたは前記離れている繊維機械(T2,T3)に関連しているかに関連して、特に、さらに、前記操作装置(91)が前記ベースモードに切り替えられているかまたは前記エキスパートモードに切り替えられているかに関連して、特にアラームおよび/または警告メッセージを含んでいる、請求項1から13までのいずれか1項記載の操作装置(91)。
【請求項15】
繊維機械(T1,T2,T3)を操作するための方法であって、
操作装置(91)を繊維機械(T1)に対応付け、
前記操作装置(91)において、ベースモードとエキスパートモードとの間で前記操作装置(91)を切り替えるための切り替え機能をアクティブ化し、前記ベースモードは、ユーザによる前記繊維機械(T1)のベース操作のためにベース操作スクリーン(10)を提供し、前記エキスパートモードは、前記ユーザによる前記繊維機械(T1)のエキスパート操作のためにエキスパート操作スクリーン(70)を提供し、
前記操作装置(91)において、前記ユーザの認可のための認可機能をアクティブ化し、前記切り替え機能を、前記エキスパートモードへの前記切り替えに対して、前記ユーザの前記認可を前提条件とするように構成し、
前記操作装置(91)において、前記ユーザによる、離れている繊維機械(T2,T3)の操作のためにリモート送信機能(91S)をアクティブ化し、前記リモート送信機能(91S)を、前記操作装置(91)の前記ユーザによる、前記離れている繊維機械(T2,T3)の操作のために、前記離れている繊維機械(T2,T3)への通信接続を確立するように構成し、
前記操作装置(91)において、離れているユーザによる、前記繊維機械(T1)の操作のためにリモート受信機能(91E)をアクティブ化し、前記リモート受信機能(91E)を、前記離れているユーザによる、前記繊維機械(T1)の操作のために、離れている操作装置(92,9Z,9M)からの通信接続を受け取るように構成する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項に記載の、繊維機械を操作するための操作装置および繊維機械を操作するための方法に関する。
【0002】
背景技術
繊維機械のための操作機器は、たとえば欧州特許出願公開第1186977号明細書から公知である。ここでは、情報スクリーンおよび入力スクリーンを表示できるようにするために、機械の監視、制御および操作のために画面が利用される。情報スクリーンおよび操作スクリーンの選択はメイン操作スクリーンを通じて実行され、このメイン操作スクリーンは、情報スクリーンおよび入力スクリーンを選択するための多数のキー領域を有している。その限りでは、格納されている各スクリーンは、直接的に、キー入力命令を介して呼び出される。
【0003】
欧州特許出願公開第2869149号明細書には、様々な領域に種々異なる情報が表示される、繊維機械の操作機器が開示されており、ここでは画面およびレベルに対してアクセス権限が割り当てられる。
【0004】
国際公開第2012127409号には、経編機およびこの機械の制御を目的としたアクセスのための方法が開示されている。ここでは、予め定められた数の機能に関するコントロールを引き継ぐために、遠隔アクセスが想定されている。そこから遠隔制御が行われるユニットとして、ネットワークを介して機械と接続されているコンピュータまたは携帯電話が想定されている。この機械は、ディスプレイとウェブサーバとを備えており、したがって、IPプロトコルを用いて、離れているコンピュータから、この機械にアクセスすることができる。
【0005】
独国特許出願公開第102006007992号明細書には、ネットワーク化された複数の繊維機械を備えた繊維機械設備が開示されており、ここでは、繊維機械を、現地の操作機構および/または離れている操作機構において操作することができる。
【0006】
欧州特許出願公開第2573236号明細書には、複数の繊維機械を含んでいる繊維機械システムが開示されており、ここでは各繊維機械は、少なくとも1つの繊維処理ユニットと、管理装置とを含んでおり、管理装置は、動作データセットを、繊維処理ユニットを介して収集し、管理する。管理装置は、動作データセットを表示する表示区間と、動作データセットを別の繊維機械の管理装置に送り、動作データセットをこの管理装置から受け取る通信区間とを含んでいる。表示区間は、画面内に、複数の繊維機械の繊維処理ユニットに関する動作データセットを表示することができる。
【0007】
さらに欧州特許出願公開第2108723号明細書には、複数の自動巻成機を備えた繊維機械システムが開示されている。各自動巻成装置は、多数の糸巻成ユニット、フレーム制御装置およびZigBee端子を含んでいる。フレーム制御装置は、糸巻成ユニットに関する情報を管理し、糸巻成ユニットを制御する。ZigBee端子は、別の自動巻成機に設けられているZigBee端子と直接的に無線通信を行うことができる。フレーム制御装置は、ZigBee端子による無線通信によって、巻成情報を、他の繊維機械に設けられているフレーム制御装置に送り、かつ他の繊維機械に設けられているフレーム制御装置から受け取る。
【0008】
たとえば、ベルギー国特許発明第10034743号明細書は、繊維機械のグループのための携帯型の操作ユニットを備える装置を示している。これは、携帯型の操作ユニットを備えるWe9機械を動作させる装置を開示しており、この操作ユニットは、信号を伝送するように、グループの様々な機械と交互に接続され得る。操作ユニットにおけるキーの打ち込みを介して、We9機械の重要な動作シーケンスがトリガされる。We9機械と携帯型の操作ユニットとの間の接続は、差込み接続部を介してまたは無線で行われる。無線の変形形態では、オペレータによってコードが入力され、このコードは、操作ユニットが、グループのどの機械と無線信号によって、信号を伝送するように接続されるべきかを決定する。さらに、ベルギー国特許発明第10034743号明細書による装置は、We9機械のうちの1つとの接続の際に、携帯型の操作ユニットを識別する電子的な識別手段を含んでいる。
【0009】
欧州特許出願公開第3170778号明細書には、繊維機械管理システムが開示されており、繊維機械管理システムは、多数の繊維機械を含んでおり、これらの多数の繊維機械のうちの各々には多数の繊維処理ユニットが含まれてり、ここで制御装置は、これらの繊維処理ユニットを制御するように構成されており、繊維機械管理システムは、これらの繊維処理ユニットの全てまたはいくつかに共同で提供されている、1つまたは複数の共同で利用される機器を含んでおり、繊維機械管理システムは、これらの繊維機械を管理するように構成されている管理装置を含んでいる。この管理装置は、情報を表示するように構成されている表示ユニットを含んでいる端末機器と双方向通信するように構成されている通信ユニットと、繊維処理ユニットの1つまたは複数および/または1つまたは複数の共同で利用される装置を管理するために、多数の機能を有する端末機器を提供する機能提供ユニットとを含んでいる。管理装置または端末機器は表示制御部を含んでおり、この表示制御部は、表示ユニットに、機能提供ユニットによって提供される各機能に対応する画面を表示させるように構成されている。
【0010】
欧州特許出願公開第3165976号明細書には、少なくとも2つの紡績場準備機械と接続されている表示・操作装置の動作方法が開示されており、これは、装置の表示区間上に、非強調状態において機械表示区間を表示するステップを有しており、これらの機械表示区間の各々は、表示・操作装置と接続されている紡績場準備機械を表す。さらに、機械表示区間を、装置の操作区間を用いて選択することが可能である。上述した方法の各々は、複数の権限レベルを有していてよい。ここでこの方法は、ユーザが、装置を用いて権限レベルを設定できるようにするステップを有している。第1または第2のアクション選択表示区間を表示するステップの前に、この方法は、さらに、設定された権限レベルに基づいて、実行可能な第1のアクションおよび/または第2のアクションを選択するステップを有している。最後に、自身に対応付けられている、設定された権限レベルの第1のアクションもしくは第2のアクションを実行することができないアクション表示区間の表示を非アクティブ化または抑制するステップがさらに存在している。これによって、現在設定されている権限レベルに基づいて、実行可能なアクションだけを、選択可能なアクションとして現在のユーザに表示することができる。これによって、操作エラーを最小限に抑えることができ、熟練していない人物による操作を阻止することができ、このことは動作の安全性を高める。上述した権限段階は、3つより多くてもよい。さらに、これらの権限段階には役割も含まれていてよい。たとえば1つの役割は、接続されている紡績場準備機械の一部に対してしか、権限を有していなくてもよい。2つの延伸フレームを互いに独立して動作させることが想定されていてよいことが、以降の例によって明確にされるはずである。
【0011】
独国特許出願公開第102009018187号明細書には、繊維機械および設備における操作・表示ユニットの動作装置が記載されている。一義的なユーザ識別を可能にし、非接触的かつ自動的に機能させるために、この機械および設備の領域には、情報担体のデータを検出することができる、または人物を直接的に識別することができる読み取り機器が設けられている。このようにして得られた情報は、操作・表示機構のために電気信号を出力する評価機構に入力可能である。
【0012】
欧州特許出願公開第2136274号明細書は、オペレータの腕に付けられて、自動製造分野において繊維産業において使用されるように構成されている電子機器を示している。この機器は、再充電可能なバッテリ、タッチスクリーンを含んでおり、機械自動化機構および機械制御機構ならびに生産動作を制御する中央コンピュータおよび分散コンピュータとの無線通信のために構成されている。
【0013】
独国特許出願公開第102009018187号明細書による操作・表示機構、もしくは繊維機械のための欧州特許出願公開第2136274号明細書による電子機器は、ベースモードおよびエキスパートモードを可能にするものではなく、ここで、エキスパートモードのために認可が必要であるが、ベースモードのためには認可は不要である。これらの装置は、離れている繊維機械の操作も、離れているユーザによる繊維機械の操作も可能にしない。
【0014】
発明の開示
本発明の課題は、従来技術の少なくともある種の欠点を克服する、繊維機械のための操作装置および繊維機械を操作するための方法を提供することである。本発明の課題は、特に、繊維機械を操作するための柔軟性を改善する、繊維機械のための操作装置および繊維機械を操作するための方法を提供することである。
【0015】
上述の課題は、独立請求項に記載の特徴を有する、繊維機械のための操作装置および繊維機械を操作するための方法によって解決される。好適な実施の形態は、従属請求項に記載されている。
【0016】
繊維機械を操作するための操作装置は、ベースモードとエキスパートモードとの間で操作装置を切り替えるために切り替え機能を有しており、ここでベースモードは、ユーザによる繊維機械のベース操作のためのベース操作スクリーンを提供し、エキスパートモードは、ユーザによる繊維機械のエキスパート操作のためのエキスパート操作スクリーンを提供する。操作装置は、ユーザの認可のための認可機能を有しており、切り替え機能は、エキスパートモードへの切り替えに対して、ユーザの認可を前提条件とするように構成されている。操作装置は、ユーザによる、離れている繊維機械の操作のためにリモート送信機能を有しており、このリモート送信機能は、ユーザによる、離れている繊維機械の操作のために、離れている繊維機械への通信接続を確立するように構成されている。操作装置は、離れているユーザによる、繊維機械の操作のためにリモート受信機能を有しており、このリモート受信機能は、離れているユーザによる、繊維機械の操作のために、離れている操作装置からの通信接続を受け取るように構成されている。操作装置は、それが操作装置に対応付けられている繊維機械であっても、離れている繊維機械であっても、繊維機械の柔軟な操作を可能にする。操作は、紡績場中心部を起点としても、携帯型の操作機器を起点としても提供される。ベースモードとエキスパートモードとの間の切り替え手段によって、操作装置は、ユーザのタスクに適合可能であり、これらのタスクは、たとえばシフトリーダと単なるオペレータとの間で異なっていてよい。ベースモードは認可なしで利用可能である。離れている繊維機械の操作も、離れているユーザによる繊維機械の操作も可能になる。ベースモードはたとえば、繊維機械の緊急機能または警告機能を含むことができ、これに対してエキスパートモードは、機械パラメータの適合のための機能を含むことができる。多数の繊維機械を備えた紡績場には、多数のこのような操作装置が備えられていてよく、これらの操作装置の各々によって、紡績場の繊維機械のベース操作またはエキスパート操作が可能になる。
【0017】
一実施形態では、リモート送信機能は、離れている繊維機械への通信接続を、離れている繊維機械の操作装置を介してまたは制御装置を介して確立するように構成されている。既存のインフラストラクチャを、離れている繊維機械への通信接続を確立するために利用することができる。
【0018】
一実施形態では、リモート送信機能は、通信接続の確立に対して、ユーザの認可を前提条件とするように構成されている。離れている機械の操作は、安全規定に適合されている。
【0019】
一実施形態では、リモート送信機能は、通信接続の確立に対して、エキスパートモードを前提条件とするように構成されている。離れている機械の操作は、ユーザのタスクに適合されている。
【0020】
一実施形態では、リモート送信機能は、通信接続の確立に対して、特に、離れている操作装置または離れている制御装置に関連して、権限チェックを実行するように構成されている。これは、離れている操作装置/制御装置が占有されていないかまたは占有されているかに関連していてよい。これは、それがどのようなユーザおよび/または機械タイプであるかに関連していてよく、ここで特定のユーザは、特定の機械に対して、限定的にしか操作を行うことができない、または全く操作を行うことができない。
【0021】
一実施形態では、リモート送信機能は、複数の離れている繊維機械を操作するために、特に、対応する、離れている操作装置を介して、または対応する、離れている制御装置を介して、複数の通信接続を確立するように構成されている。たとえば、同じタイプの機械を同時に操作することができる。
【0022】
一実施形態では、リモート受信機能は、通信接続の受け取りに対して、ベースモードを前提条件とする、または保証するように構成されている。たとえば、操作装置がエキスパートモードに切り替えられている場合には、操作装置による、通信接続の受け取りが禁止されていてよい。たとえば、通信接続の受け取りを可能にするために、操作装置をベースモードに切り替えることができる。
【0023】
一実施形態では、リモート受信機能は、通信接続の受け取り時に、ユーザの認可をリセットするように構成されている。たとえば、上位のシフトリーダは、単なるオペレータから認可を取り上げることができる。
【0024】
一実施形態では、リモート受信機能は、通信接続の受け取り時に、ユーザの認可のリセットに対する、時間的に制限されたユーザコンファームを待ち、その後にユーザの認可をリセットするように構成されている。たとえば、ユーザが認可をリセットするのを忘れて、操作装置から離れた場合、このユーザによって認可が引き継がれ得る。
【0025】
一実施形態では、繊維機械の操作は、ユーザまたは離れているユーザに対応付けられている権限段階に関連している。繊維機械を操作するための手段は、たとえば、シフトリーダのタスクおよび単なるオペレータのタスクに適合させられていてよい。
【0026】
一実施形態では、操作装置の1つまたは複数の機能は、紡績場中心部に格納されている情報に関連しており、特に、認可機能、リモート送信機能、リモート受信機能のうちの1つまたは複数の機能は、特に、ユーザまたは離れているユーザの、紡績場中心部に格納されている権限段階に関連している。紡績場中心部は、ユーザに権限段階を対応付けるユーザデータベースを含んでいてよい。
【0027】
一実施形態では、操作装置は、操作装置がベースモードに切り替えられているかまたはエキスパートモードに切り替えられているかを表示するように、かつ/または離れている操作装置からの通信接続が生じているかを表示するように構成されている。操作装置のユーザには、操作装置の動作状態に関する情報が伝えられている。
【0028】
一実施形態では、操作装置は、繊維機械および/または離れている繊維機械の操作のために、繊維機械のパラメータの設定が提供されているように構成されている。
【0029】
一実施形態では、操作装置は、繊維機械の操作のために、繊維機械および/または離れている繊維機械に関する情報の表示が提供されているように構成されており、ここでこの情報は、特に、この情報が繊維機械に関連しているかまたは離れている繊維機械に関連しているかに関連して、特に、さらに、操作装置がベースモードに切り替えられているかまたはエキスパートモードに切り替えられているかに関連して、特にアラームおよび/または警告メッセージを含んでいる。
【0030】
繊維機械を操作するための方法では、操作装置を繊維機械に対応付ける。操作装置において、ベースモードとエキスパートモードとの間で操作装置を切り替えるための切り替え機能をアクティブ化し、ここで、ベースモードは、ユーザによる繊維機械のベース操作のためにベース操作スクリーンを提供し、エキスパートモードは、ユーザによる繊維機械のエキスパート操作のためにエキスパート操作スクリーンを提供する。操作装置において、ユーザの認可のための認可機能をアクティブ化し、切り替え機能を、エキスパートモードへの切り替えに対して、ユーザの認可を前提条件とするように構成する。操作装置において、ユーザによる、離れている繊維機械の操作のためにリモート送信機能をアクティブ化し、このリモート送信機能を、操作装置のユーザによる、離れている繊維機械の操作のために、離れている繊維機械への通信接続を確立するように構成する。操作装置において、離れているユーザによる、繊維機械の操作のためにリモート受信機能をアクティブ化し、このリモート受信機能を、離れているユーザによる、繊維機械の操作のために、離れている操作装置からの通信接続を受け取るように構成する。
【0031】
一実施形態では、リモート送信機能を、離れている繊維機械への通信接続を、離れている繊維機械の操作装置を介してまたは制御装置を介して確立するように構成する。
【0032】
本発明のさらなる利点を、以降の実施例において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】操作装置を備えたリング紡績機を概略的に示す図である。
図2】繊維機械をベースモードにおいて操作するための操作装置のベース操作スクリーンを示す図である。
図3】警告メッセージを伴うベース操作スクリーンを示す図である。
図4】アラームメッセージを伴うベース操作スクリーンを示す図である。
図5】ベース操作スクリーンからエキスパート操作スクリーンへの切り替え過程を示す図である。
図6】繊維機械をエキスパートモードにおいて操作するための操作装置のエキスパート操作スクリーンを示す図である。
図7】ユーザの認可のためのダイアログボックスを示す図である。
図8】様々なメッセージのリストを示す図である。
図9】通信ネットワークに接続されている複数の繊維機械と操作装置とを備えた紡績場を示す図である。
図10】繊維機械の制御装置を操作するための2つの操作装置を備えたアセンブリであって、第2の繊維機械の操作のために、第1の操作装置が、第2の繊維機械の制御装置と接続されている、アセンブリを示す図である。
【0034】
同じ特徴には、種々異なる図面において、同じまたは類似の参照符号が付けられている。
【0035】
発明を実施するための方法
図1は、相並んで配置されている多数の巻返し部2を有するリング紡績機1を概略的に示している。巻返し部2は、リング紡績機1の長手方向xにおいて頭部3と足部3との間に配置されている。リング紡績機1の頭部3および/または足部3は、リング紡績機1の動作に必要な軸受、駆動部、制御部等を含むことができる。図1に示されている2つの巻返し部2において概略的に図示されているように、巻返し部2は、ドラフト装置5の上方に配置されている粗糸ボビン4を含むことができる。粗糸ボビン4には粗糸6が巻き取られている。粗糸6は、粗糸ボビン4から、粗糸6がドラフトされるドラフト装置5を介して走行し、糸ガイドを介して糸生成要素に案内される。回転するリングが、完成した糸をコップ7に巻き取る。コップ7は、スピンドル8に載置されている。
【0036】
図1に概略的に示されているように、リング紡績機1には、リング紡績機1を操作するための本発明に係る操作装置9が対応付けられている。操作装置9は、リング紡績機1の足部3に取り付けられている。別の実施形態では、操作装置9は、リング紡績機1の頭部3に配置されていてよい。別の実施形態では、操作装置9は、リング紡績機1の近傍に設置されたコンソールに配置されていてよい。別の実施形態では、操作装置9は、携帯型の装置として、たとえばタブレットコンピュータ、移動無線機器等として形成されていてよい。別の実施形態では、操作装置9は、別の様式でリング紡績機1に対応付けられていてよい。
【0037】
図1のリング紡績機1は、繊維機械T1,T2,T3の例として挙げられている。別の実施形態では、操作装置9は、たとえばベールオープナ、延伸フレーム、梳綿機、コーミング機械、最終紡績機、たとえばローター紡績機、空気紡績機等、フライヤ、ワインダ等のような、任意の繊維機械T1,T2,T3を操作するように構成されていてよい。
【0038】
操作装置9は、ユーザにリング紡績機1もしくは繊維機械T1,T2,T3の操作を可能にするためのユーザインタフェースを含んでいる。ユーザインタフェースは、表示装置および入力装置を含んでおり、これらは、たとえばタッチスクリーン、モニタ、キーボード/マウス等として構成されていてよい。操作装置9は、ソフトウェアおよびハードウェア、特に格納されているソフトウェア命令を含んでおり、これらのソフトウェア命令は、必要な機能を提供するために1つ以上のプロセッサ上で実行可能である。一実施形態では、操作装置9は、情報を表示し、リング紡績機1もしくは繊維機械T1,T2,T3の操作をユーザに可能にするためのWebブラウザを含んでいる。
【0039】
操作装置9は、操作装置9のユーザインタフェースを、ベースモードとエキスパートモードとの間で切り替えるために、切り替え機能を有している。ベースモードは、ユーザによるリング紡績機1もしくは繊維機械T1,T2,T3のベース操作を提供する。エキスパートモードは、ユーザによるリング紡績機1もしくは繊維機械T1,T2,T3のエキスパート操作を提供する。
【0040】
図2には、リング紡績機1を操作するための操作要素を備えた操作装置9のユーザインタフェースのベース操作スクリーン10が概略的に示されている。別の実施形態では、ベース操作スクリーン10は、該当する繊維機械T1,T2,T3の操作に対して相応に適合されている。
【0041】
ベース操作スクリーン10は、単なる、さほど熟練していない作業者に、リング紡績機1との日常的な相互作用に必要とされる基本的な情報および機能を示している。したがって、ベース操作スクリーン10は、極めて制限された量の情報手段および相互作用手段を含んでおり、操作装置9がベースモードに切り替えられているときに、リング紡績機1のベース操作をユーザに提供するために表示される。
【0042】
詳細には、ベース操作スクリーン10は、ヘッダ11と、通知領域20と、機械の動作データを表示するための動作データ領域30と、機械可視化領域40とを含んでいる。
【0043】
ヘッダ11は、機械タイプ、機械番号および現在時刻に関する表示12と、リング紡績機1の動作状態を変更するための動作状態ボタン13(これはベースモードにおいては書き込みが防止されていてよい)と、ヘルプページまたは操作マニュアルを呼び出すまたはスクリーンショットを作成するためのヘルプボタン14と、操作装置9のユーザインタフェースの言語を設定するための言語選択ボタン15と、ユーザの認可のためかつ現在のユーザに関する情報の問い合わせのために操作装置9の認可機能にアクセスするための認可ボタン16と、ベースモードからエキスパートモードへの操作装置9の切り替えのために操作装置9の切り替え機能にアクセスするための切り替えボタン17とを含んでいる。
【0044】
通知領域20は、アラームメッセージ、警告メッセージおよび情報の表示のうちの1つまたは複数のメッセージを含むことができる。これらのメッセージの例を、以降の図において説明する。
【0045】
動作データ領域30は、リング紡績機1の動作データの表示を含んでいる。機械の動作データは生産の指標を含んでいてよく、これはたとえば、機械効率31に関する現在の生産の状態である「Machine Efficiency(機械効率)」、場合によってはシフトに関連する時間あたりの生産もしくは生産性32である「Production per h(時間あたりの生産)」、品質状態33である「Quality CV(品質CV)」、介入間の平均持続時間34である「MTBA」(Mean Time Between Assists)等を含んでいてよい。動作データの分類、すなわち値が良い、値が中程度である、値が良くないは、たとえば、色およびスマイリー等のような様々な記号によって視覚的に支援されてよい。動作データ31,32,33,34は、ユーザによって選択可能な要素として構成されていてよく、これによって、詳細な情報、たとえば該当する動作データの推移を、最後の数分、最後の数時間または最後の数日に関連して表示することができる。
【0046】
機械可視化領域40は、材料および進行中のプロセスに関する視覚的な状態情報を含む、リング紡績機1の簡略化された表示41と、現在の製法の情報、特に名称を含む製法表示42と、作業員によって頻繁に実行されなければならない作業(たとえば材料の取り回し、機能へのクイックアクセス、簡単な問題解決、機械の簡単な清掃、機械の頻繁に繰り返される操作作業(たとえば、ケンスの排出、材料の装着等)、生産タスクの設定、開始および停止等)のための複数のクイックアクセスボタン43,44,45と、どのシフトがアクティブであるかを表示することを可能にするシフト交換ボタン46と、通知の場合に、機械の簡略化された表示41の上に直接的に表示される通知記号とを含んでいる。
【0047】
上述したように、操作装置9がベースモードに切り替えられると、図2のベース操作スクリーン10が表示される。操作装置9は、操作装置9またはリング紡績機1の再スタートの後に、またはユーザインタフェースとユーザとの相互作用を伴わない特定の時間の後に、ベースモードに切り替えられるように構成されていてよい。
【0048】
図3には、通知領域20における警告メッセージ「Empty can is missing」(空のケンスの欠如)を含んでいるベース操作スクリーン10が、概略的に示されている。より明確に可視化するために、三角の中に配置された感嘆符を有する記号がその前に置かれている。色を付けることができるメッセージには番号「No.1857」(番号1857)が含まれており、さらに、このメッセージが表示されたタイミング「2 minutes ago」(2分前)が表示される。同時に、機械の簡略化された表示41の上には、警告表示50が表示されている(たとえば色が付けられた三角)。この警告表示50は、警告メッセージに関連している機械の箇所を示す。
【0049】
図4には、通知領域20におけるアラームメッセージ56、「Table Funnel Error」(卓上漏斗の欠陥)を含んでいるベース操作スクリーン10が、概略的に示されている。より明確に可視化するために、円の中に配置された十字を有している記号がその前に置かれている。アラームメッセージ56には番号「No.1745」(番号1745)が含まれており、さらに、このメッセージが表示されたタイミング「3 minutes ago」(3分前)が表示される。ヘッダ11では、サービスエンジニアの通知および投入のためのサービスボタン58がアクティブ化されている。通知領域20では、(複数の通知が存在する場合には)全ての通知の簡略化された表示のためのボタン59がアクティブ化されている。同時に、機械の表示41は、アラームメッセージに関連している機械の箇所を示す表示57(たとえば色が付けられた、十字付きの円)を含んでいる。
【0050】
図5は、ベースモードからエキスパートモードへの操作装置9の切り替えのために切り替え機能にアクセスするための切り替えボタン17の操作を概略的に示している。切り替えボタン17を操作した後、エキスパートモードにおいて、エキスパート操作スクリーン70が表示される。
【0051】
表示されたベース操作スクリーン10を伴うベースモード(「簡単モード」)から、表示されたエキスパート操作スクリーン70を伴うエキスパートモード(「拡張モード」)への切り替えは、自動的な通知もしくは認可を伴わずに行われてよい。全てのユーザは、いつでもモード間の切り替えを行うことができる。しかし必要な権限を有しているユーザだけが、機械設定の変更を行うことができる。操作装置9は、ユーザが変更を行うことを望んでいる場合、場合によっては自動的に、ユーザの認可を要請する(図7を参照)。ユーザがエキスパート操作スクリーン70から離れ、再びベース操作スクリーン10もしくはベースモードに戻るときには、ユーザの認可が自動的にリセットされる、もしくはユーザは自動的にログアウトする。一実施形態では、操作装置9は(設定可能な)特定の時間後に、同様に自動的にベース操作スクリーン10もしくはベースモードに戻る。ベース操作スクリーン10およびエキスパート操作スクリーン70ならびに全体の視覚化は、有利にはWeb技術(たとえばHTML5)に基づいていてよい。
【0052】
図6には、エキスパートモードにおいて、ユーザによる繊維機械T1の操作を提供するエキスパート操作スクリーン70が概略的に示されており、ここではベースモードにおけるベース操作スクリーン10を使用した場合よりも詳細な設定もしくは情報が提示されるもしくは呼び出されることが可能である。エキスパート操作スクリーン70は、たとえば生産の専門家、品質責任者、サービス技術者等の「エキスパート」のためのものであり、全ての機械機能へのアクセスを提供し、「拡張モード」とも称され得る。エキスパート操作スクリーン70は、たとえば、生産設定の変更、微調整、機械の最適化、品質管理、複雑な問題解決、トラブルシューティング、シフトの組織化、サポートおよびソフトウェアアップデート等を含む「エキスパート」のタスクに適合されている。
【0053】
エキスパート操作スクリーン70は、ヘッダ80、ナビゲーションストリップ90およびメニューリスト100を含んでいる。ヘッダ80は、エキスパート操作スクリーン70上で常に見ることができる。ここでは、各画面上で必要な情報および機能のみが含まれている。機械選択81は、機械タイプ、機械番号および現在時刻に関する表示を含んでいる。モード82は、機械の動作状態およびモードを示す。ここでは、モード82、たとえば「Manual(手動)」、「Automatic(自動)」、「Service(サービス)」等を変更することができる。ボタンの操作によってドロップダウンメニューが出現し、これによって設定を変更することができる。通知ボタン83は、極めて重要な通知を表示し、通知のリスト(図8を参照)への直接的なアクセスを可能にする。これらの通知は、種々異なる色を有していてよい。製法ボタン84は現在の製法を表示している。このボタンの操作によってドロップダウンメニューが出現し、これによって以降の設定、すなわち、製法の変更の保存、製法の復元、新しい製法としての現在の機械設定の保存、新たな製法の作成、製法リストの呼び出し等を変更することができる。ヘルプボタン85は、ベース操作スクリーン10のヘルプボタン14と同一であってよい。メイン画面上に位置するヘルプページ、操作マニュアル、ページからのスクリーンショットを作成するための機能等を呼び出すことができる。言語選択ボタン86によって、ユーザインタフェースの言語の設定が可能になる。認可ボタン87は、ユーザの認可を可能にする。これは、たとえばログインおよびログアウト等であり、これによってユーザを変更することができ、現在のユーザに関する情報の問い合わせが可能になる。切り替えボタン88は、エキスパートモードからベースモードへの切り替えのために操作装置9の切り替え機能の操作を可能にする。
【0054】
エキスパート操作スクリーン70のナビゲーションストリップ90は、常に、アプリケーションにおけるユーザの正確な現在地を表示する。ここには常に、少なくとも、メイン区間の概観ページ、たとえば「設定」が含まれる。ユーザがセクション内でナビゲーションを行うと、ただちに、次のナビゲーションレベルが表示され、上位のレベルが「アクティブ」になり、ユーザは、クリックによって上位のレベルへ戻ることができる。左側では、メニューリスト100が直接的に呼び出し可能であり、右側には、進む方向へのナビゲーションおよび戻る方向へのナビゲーションのためのボタンがある。
【0055】
メニューリスト100は、以降の特徴を有し得る標準化されたアプリケーションへのアクセスを提供する。設定ボタン1、「settings(設定)」は、機械モジュールまたはプロセス/タスク(たとえば「ケンス」、「ドラフト装置」、「紡績機械」、「コーミング機械」等)に従って構造化された、全ての機械設定へのアクセスを可能にする。拡張された設定が、ユーザ通知レベルに関連して、挿入されても、省かれてもよい。品質ボタン2、「Quality(品質)」は、品質に関連する情報および設定(たとえば目標、許容誤差段階)へのアクセスを可能にする。データ分析ボタン3は、進行中の生産ならびに傾向の情報および分析へのアクセスを可能にし、これらは、テーマ(たとえば、「効率」、「エネルギ」)に従って構造化されており、報告の手段を伴う。通知ボタン4、「Notifications(通知)」は、アクティブな通知のリストへのアクセスおよび通知の推移および分析に対するリンクへのアクセスを可能にする。製法ボタン5、「Recipes(製法)」は、管理手段(たとえば複製処理、削除等)を伴う、保存されている全ての製法のリストにアクセスすることを可能にする。保守ボタン6、「Maintenance(保守)」は、たとえば、I/Oテスト、センサ、手動機能等の動作開始機能/エラー除去機能へのアクセスを可能にする。サービスボタン7、「Service(サービス)」は、保守設定、未処理のタスク、履歴等へのアクセスを可能にする。一般設定用のボタン8、「General Settings(一般設定)」は、生産に関連する設定および生産と直接的に関連しない設定を可能にする。これらは、機械間で移行可能であってよく、ネットワーク設定、ユーザ管理、設定のシフト、設定の表示、単位および措置、時刻および日付;言語およびキーボード、ソフトウェアおよびライセンス付与、簡単なモード設定、ランプ構成(この機器が使用可能な場合)、警笛構成(このシステムが使用可能な場合)等を含んでいてよい。ユーザマニュアル用のボタン12、「User Manual(ユーザマニュアル)」は、検索手段を伴う、完全なユーザマニュアルへのアクセスを可能にする。情報およびログ用のボタン9「Infos&Logs(情報およびログ)」は、機械に関する一般的な情報(たとえば動作時間)および機器に記録される全てのイベントの詳細な、フィルタリング可能なリストへのアクセスを可能にする。バックアップボタン10、「Backup(バックアップ)」は、様々なバックアップ手段へのアクセスを提供する。データ伝送ボタン11、「Data Transfer(データ伝送)」は、伝送されるべき、可能なデータセットのリストを伴う、機器への/機器からのデータ伝送手段を提供する(注:データを一義的に識別するために、一般的な機械情報(たとえば機械番号)は常に伝送に含まれていなければならない)。
【0056】
図7は、ユーザの認可もしくはユーザのログインのためのダイアログスクリーン105を示し、ここでは、ユーザの名前およびパスワードが問い合わせられる。ユーザが変更を行うことを望んでいる場合に、機器は、ユーザのログインを自動的にユーザに要請する。ユーザが、RFIDタグを用いて機械にログインすることも可能である。ユーザの認可は、権限段階の対応付けを含んでいてよく、シフトリーダには、機械の一般的なオペレータよりも高い権限段階が対応付けられていてよい。
【0057】
ユーザが認可された後、認可ボタン87の操作によってユーザの認可を再び取り消すことができる、もしくはユーザがログアウトすることができる。ユーザがエキスパート操作スクリーン70を離れ、再びベース操作スクリーン10に戻る場合、ユーザは自動的にログアウトしてよい。(設定可能な)特定の時間の経過後に、機器は同様に、自動的にベース操作スクリーン10もしくはベースモードに戻ってよい。操作装置は、機械の再始動後または電流供給の中断後にベースモードに切り替えられるように構成されていてよい。
【0058】
図8は、可能な通知のリスト140を示しており、これはシステムによってトリガされた、ユーザへのメッセージを含んでおり、かつユーザ相互作用もしくはユーザの情報が必要とされる場合に出現する。3種類の通知がある。アラームは、場合によっては機械の停止を必要とする、または機械の停止を引き起こす重大な問題の際にトリガされる。警告は、アクションがトリガされない場合にアラームを引き起こし得る問題の際にトリガされる。情報は、今後の介入の必要性に関してユーザに情報を伝えることができる、クリチカルでない通知に関連している。
【0059】
通知の取り扱いは、ベース操作スクリーン10においても、エキスパート操作スクリーン70においても同様に機能し、詳細レベルだけが変化する。通知を、4つの要素を介して取り扱うことができる。第1の要素は、コンテキスト内の通知記号に関連する(たとえば機械モデルにおける警告記号、図2を参照)。この記号をクリックすると、通知の詳細がオーバーレイとして開く。第2の要素は、最後の通知または極めて重要な通知を伴う、ヘッダ80における通知ボタン83に関連している。この領域をクリックすると、通知のリスト140が開く。第3の要素は、ユーザの介入を必要とする、未処理の全ての通知を含む通知のリスト140に関連している(すなわちアラーム、警告、保守)。これらの通知のうちの1つをクリックすると、通知の詳細がオーバーレイとして開く。第4の要素は、オーバーレイとしての通知の詳細の表示に関連しており、これは通知に対する詳細な情報(たとえば、このような通知の種類に対するユーザマニュアルからのHTMLの抜粋)および解決手段ならびに完全なユーザマニュアルへの直接的なアクセスを伴う。
【0060】
ベース操作スクリーン10および/またはエキスパート操作スクリーン70の要素は、ユーザの認可もしくは権限段階に関連していてよい。
【0061】
図9は、通信ネットワークNと、通信ネットワークNに接続されている機器/機械とを含んでいる紡績場Sを概略的に示す。図9に示された例では、機器/機械は、全部で3つの繊維機械T1,T2,T3に関連している。さらに図9には、紡績場中心部Zと、無線通信ネットワークdNのためのアクセスポイントAPとが概略的に示されている。紡績場Sは、他の構成、たとえば、より多いまたはより少ない繊維機械、より多い通信ネットワーク、より多いアクセスポイントおよび無線通信ネットワーク等を有していてよい。繊維機械は、たとえばベールオープナ、延伸フレーム、梳綿機、コーミング機械等のような、紡績場準備機械の形態で構成されていてよい。繊維機械は、たとえばリング紡績機、ローター紡績機、空気紡績機、フライヤ、ワインダ等のような、最終紡績機の形態で構成されていてよい。図9に示されているように、繊維機械T1,T2,T3は、対応する機能ユニットF1,F2,F3と、繊維機械T1,T2,T3を制御するための制御装置S1,S2,S3とを有している。これらの機能ユニットは、たとえば、リング紡績機1の図1に示された機能ユニット2に関連していてよい、もしくは繊維機械の該当する実施形態の機能ユニットに関連していてよい。制御装置S1,S2,S3は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC: Programmable Logic Controller)の形態で構成されていてよい。制御装置S1,S2,S3はデータベースを含んでいてよい、かつ/または繊維機械T1,T2,T3のデータベース、紡績場中心部Zのデータベース等へアクセスするように構成されていてよい。
【0062】
第1の操作装置91が第1の繊維機械T1に配置されており、通信ネットワークNと接続されている。第1の操作装置91は、たとえば第1の繊維機械T1に取り付けられており、たとえば第1の繊維機械T1に取り付けられているタッチスクリーンを含んでいる。第1の操作装置91は、たとえば通信バスを介して、第1の繊維機械T1の制御装置S1と接続されている。
【0063】
第2の操作装置92が第2の繊維機械T2に配置されており、通信ネットワークNと接続されている。第2の操作装置92は、たとえば第2の繊維機械T2に対して目視距離で設置されている操作盤に取り付けられている。第2の操作装置92は、たとえば通信ケーブルを介して、第2の繊維機械T2の制御装置S2と接続されている。一実施形態では、制御装置S2は操作装置92に組み込まれていてよい。
【0064】
一実施形態では、制御装置S1,S2および操作装置91,92はそれぞれ単一のユニットに配置されていてよく、たとえば操作装置91,92はそれぞれ該当する制御装置S1,S2を含んでいてよい。
【0065】
第3の繊維機械T3は、通信ネットワークNと接続されている制御装置S3を有している。第1および第2の繊維機械T1,T2とは異なり、第3の繊維機械T3には操作装置が対応付けされていない。
【0066】
操作装置91,92の他に、繊維機械T1,T2,T3は、さらなる操作機器、たとえば繊維機械をスイッチオフするための緊急スイッチ、照明をスイッチオンするための照明スイッチ等を含んでいてよい。
【0067】
紡績場中心部Zは、紡績場Sの制御、監視等のために、プロセッサ、ソフトウェア、データベース等を備えたコンピュータシステムを含んでおり、このコンピュータシステムは、たとえば、構造的に分離された空間内に配置されていてよい。紡績場中心部Zのソフトウェアはアプリケーションを含んでおり、これらのアプリケーションは、たとえば、繊維機械、補助紡績装置、たとえば空気圧システム、搬送システム、空調システム、センサ、安全システムおよび監視システム等の情報および/またはデータを検出することができ、分析することができ、視覚化することができ、予測的分析および/または規範的分析を提供することができ、適応制御機能をトリガすることができる。紡績場中心部Zは、設定、たとえば指定された値または所望の値を繊維機械T1,T2,T3に伝送することができる。紡績場中心部Zは、紡績場中心部Zの機能を設定するために操作装置9Zを含んでいる。操作装置9Zは、たとえばタッチスクリーン、キーボード/マウスを備えたモニタ等を含んでいる。
【0068】
図9に示されているように、アクセスポイントAPは、通信ネットワークNと接続されている。アクセスポイントAPは、携帯型の操作機器9Mとの通信接続を確立するために無線通信ネットワークdNを提供する。携帯型の操作機器9Mは、たとえば、タブレットコンピュータ、携帯電話等として構成されていてよい。
【0069】
通信ネットワークNは、イーサネット等の形態で構成されていてよい。無線通信ネットワークdNは、WiFiネットワーク等の形態で構成されていてよい。通信ネットワークNおよび/または無線通信ネットワークdNを介した通信を、IP通信(IP: Internet Protocol)等の形態で行うことができる。
【0070】
操作装置91,92、紡績場中心部Zの操作装置9Z、携帯型の操作機器9M、制御装置S1,S2,S3は、通信ネットワークN、および場合によっては無線通信ネットワークdNを介して、相互に通信することができる。場合によっては、制御装置S1,S2への通信と、制御装置S1,S2からの通信とは、操作装置91,92を介して間接的にのみ可能である。
【0071】
第1および第2の繊維機械T1,T2の操作装置91,92は、リング紡績機1の操作装置9の上述した特徴を有している。さらに、中心部の操作装置9Zおよび/または携帯型の操作装置9Mもこれらの特徴を有することができる。該当する操作装置、たとえば第1の繊維機械T1の操作装置91は、ベースモードとエキスパートモードとの間で操作装置91を切り替えるための切り替え機能を有している。ベースモードは、繊維機械T1のベース操作を提供し、エキスパートモードは、繊維機械T1のエキスパート操作を提供する。たとえば、操作装置91は、上述したベース操作スクリーン10を提供し、エキスパートモードにおいては、同じく上述したエキスパート操作スクリーン70を提供する。操作装置91は、ユーザの認可のための認可機能を有している。切り替え機能は、エキスパートモードへの切り替えに対して、認可されているユーザを前提条件とするように構成されている。たとえば、この認可は、上述したダイアログスクリーン105を介して行われ、このダイアログスクリーン105は、ユーザのログインを可能にする。たとえば、ユーザの認可後に、ユーザに対応付けられているユーザプロファイルがアクティブ化されてよく、ここで、エキスパートモードは、ユーザプロファイルに関連するように構成されていてよく、これによって、自身のタスクに従ってユーザがアクセスしなければならない、機械を操作するための機能をユーザに提供することができる。操作装置91は、リモート送信機能を有しており、このリモート送信機能は、離れている繊維機械T2の離れている操作装置92への通信接続の確立、または離れている繊維機械T2,T3の制御のための、離れている繊維機械T2,T3の離れている制御装置S2,S3への通信接続の確立のためのものである。操作装置91は、繊維機械T1の制御のための、離れている操作装置92,9Z,9Mからの通信接続の受け取りのためにリモート受信機能を有している。通信接続は、たとえば通信ネットワークNを介して確立されてよい。
【0072】
したがって、ユーザに、第1の繊維機械T1の操作装置91において、ベースモードにおいて第2の繊維機械T2を操作するために、第2の繊維機械T2の操作装置92のベース操作スクリーンが提供されていてよい。さらに、離れているユーザに、第2の繊維機械T2の操作装置92において、ベースモードにおいて第1の繊維機械T1を操作するために、第1の繊維機械T1の操作装置91のベース操作スクリーンが提供されていてよい。
【0073】
したがって、認可されているユーザに、第1の繊維機械T1の操作装置91において、エキスパートモードにおいて第2の繊維機械T2を操作するために、第2の繊維機械T2の操作装置92のエキスパート操作スクリーンが提供されていてよい。さらに、離れている、認可されているユーザに、第2の繊維機械T2の操作装置92において、エキスパートモードにおいて第1の繊維機械T1を操作するために、第1の繊維機械T1の操作装置91のエキスパート操作スクリーンが提供されていてよい。
【0074】
同様に、離れているユーザもしくは離れている、認可されているユーザに、ベースモードもしくはエキスパートモードにおいて第1の繊維機械T1を操作するために、紡績場中心部Zの操作装置9Zまたは携帯型の操作装置9Mにおいて、ベース操作スクリーンもしくはエキスパート操作スクリーンが提供されていることが想定されていてよい。
【0075】
図10には、繊維機械の制御装置S1,S2を操作するための2つの操作装置91,92を備えたアセンブリが概略的に示されており、ここでは、第2の繊維機械を操作するために、第1の操作装置91が第2の繊維機械の制御装置S2と接続されている。操作装置91,92は、それぞれ1つのリモート送信機能91S,92Sと、それぞれ1つのリモート受信機能91E,92Eとを含んでいる。第1の操作装置91のリモート送信機能91Sは、第2の繊維機械の操作装置92に対して通信接続を確立しており、これは第2の操作装置92のリモート受信機能92Eから通信接続を受け取る。操作装置91,92は、操作要素91B1,91B2,91B3,92B1,92B2,92B3を備えた操作スクリーン、特に上述したベース操作スクリーン10および上述したエキスパート操作スクリーン70を表示するためのディスプレイ91A,92Aを含んでいる。操作装置91による第1の繊維機械の制御装置S1の操作は、停止されている。このことは、図10に破線によって概略的に示されている。第2の繊維機械の操作装置92のディスプレイ92Aは、停止されている。このことは、図10に破線によって概略的に示されている。第2の繊維機械の制御装置S2の操作は、ディスプレイ91A上に表示された操作要素91B1,91B2,91B3の、たとえばタッチスクリーンまたはマウスによる選択、および操作装置91のリモート送信機能91S、操作装置92のリモート受信機能92Eを介した、第2の繊維機械の制御装置S2への対応する情報/データの伝送を介して行われる。
【0076】
一実施形態では、それぞれ1人のユーザのみが繊維機械T1,T2の操作に対して認可され得ることが想定されていてよい。それでも、他のユーザに、書き込み防止モード(読み取り専用)が提供されていてよい。書き込み防止モードは、該当する操作装置において、コード化に基づいて、たとえば色が付けられたフレームを介して、かつ/またはボタンのマーキングによって表示されていてよい。
【0077】
一実施形態では、認可されているユーザの認可をユーザが引き継ぐことができるようにハンドシェイク方法が想定されていてよい。たとえば、認可されているユーザに、別のユーザがこの認可を引き継ぐことを望んでいるという、対応する通知を表示することができる。認可されているユーザは、彼が、この別のユーザの認可をコンファームし、自身の固有の認可を放棄するか、または彼が、この別のユーザの認可を拒否して、自身の固有の認可を維持することによって、これに反応することができる。たとえば認可されているユーザが、もはや操作装置のそばに存在してない場合に、所定の時間間隔の後に、認可されているユーザの反応がなくても、あるユーザが、この認可を引き継ぐことができることが想定されていてよい。ハンドシェイク方法は、該当するユーザの権限段階に関連していてよく、その際、権限段階が比較的高いユーザに対して、権限段階が比較的低いユーザが、ハンドシェイク方法をトリガすることができないようにされていてよい。ハンドシェイク方法をトリガすることができるユーザに、認可を引き継ぐユーザが表示されてよく、このユーザは、ハンドシェイク方法を場合によっては中止することができる。ユーザは、場合によっては特定の期間または特定数の問い合わせに対して、認可の引き継ぎを拒否することができ、この場合にはその後、この認可の引き継ぎの拒否が不可能になる。
【0078】
一実施形態では、該当する繊維機械T1,T2の操作装置91,92に、他の操作装置91,92,9Z,9Mよりも高い優先順位が対応付けされていることが想定されていてよく、この場合には、該当する操作装置91,92のユーザは、別の操作装置91,92,9Z,9Mから由来する、離れているユーザの認可を、上述のハンドシェイク方法を使用しなくても引き継ぐことができる。現地のユーザに、離れているユーザが認可されていることが示され、離れているユーザの認可解除のために、現地のユーザにコンファームが要求されることが想定されていてよい。
【0079】
一実施形態では、離れているユーザによる操作が制限または禁止されていることが想定されていてよい。これは、設定可能な様式で実行可能であり、どの操作装置91,92,9Z,9Mが関与しているか、現地のユーザまたは離れているユーザがベースモードを選択したかまたはエキスパートモードを選択したか等に関連していてよい。たとえばUNIcontrolのような、ブロールーム制御部は操作装置の現地のユーザによってのみ操作可能であり、これに対し、離れているユーザに対しては禁止されていることが想定されていてよい。たとえば、アラームは現地のユーザによってのみコンファームされ得るのに対して、離れているユーザにはアラームの表示は許されているが、コンファームは禁止されていることが想定されていてよい。たとえば、アラームは中心部の操作装置9Zにおいてのみコンファーム可能であり、第1または第2の繊維機械T1,T2の操作装置91,92においてはコンファーム可能でないことが想定されていてよい。たとえば、紡績場中心部Zの操作装置9Zから第1または第2の繊維機械T1,T2の操作装置91,92への、または繊維機械T1,T2,T3の制御装置S1,S2,S3への所定の設定/ファイルの伝送が、ユーザの認可に関連していないことが想定されていてよく、この場合には、該当する設定/ファイルのアクティブ化は、認可されているユーザを前提条件とする。このような設定/ファイルは、ユーザ設定、シフト設定、製法設定等に関連していてよい。
【0080】
一実施形態では、操作装置91,92,9Z,9Mのリモート送信機能および/またはリモート受信機能が非アクティブ化可能であることが想定されていてよい。たとえば、第1の繊維機械T1での保守作業のケースでは、第1の繊維機械T1の操作装置91のリモート受信機能が非アクティブ化されてよく、これによって、離れているユーザによる保守作業の妨害を阻止することができる。たとえば、リモート送信機能および/またはリモート受信機能の非アクティブ化は、関与している操作機器に関連していてよい。したがって、たとえば、第1の繊維機械T1の操作装置91のリモート受信機能は、第2の繊維機械T2の操作装置92に対して非アクティブ化されていてよく、これに対して、第1の繊維機械T1の操作装置91のリモート受信機能は、紡績場中心部Zの操作装置9Zに対しては、引き続きアクティブ化されている。
【0081】
一実施形態では、離れているユーザ、たとえばシフトリーダに、現地のユーザと比べて、上位の権限段階が対応付けされていることが想定されていてよく、この場合には、離れているユーザは、現地のユーザ、たとえばさほど熟練していないオペレータを、読み出し専用モードまたはベースモードに移行させることができ、さらに、エキスパートモードにおける操作をアクティブ化することができ、ここでは、双方向の警告メッセージが想定されていてよい。
【0082】
一実施形態では、現地のユーザが、認可後に、他のユーザの全ての他の権限をリセットすることができることが想定されていてよく、これによって、たとえば緊急に、機械において、識別される措置を行うことができる、または離れているユーザによって識別できない妨害/エラー設定を除去することができる。
【0083】
一実施形態では、紡績場中心部に極めて高い優先度が対応付けられていてよく、繊維機械の操作を完全に引き継ぐために、操作装置の現地のユーザまたは離れているユーザの権限がリセットされ得ることが想定されていてよい。
【0084】
一実施形態では、ユーザが、認可後に、該当する機械の拡張された情報/設定へのアクセスを許可されることが想定されていてよく、この場合、情報/設定の変更が制限されていてよい、または完全に解放されていてよい。
【0085】
一実施形態では、操作装置が、たとえばユーザによる操作が行われなかった時間間隔の経過後に、スタンバイモードをとり得ることが想定されていてよく、ここでは、機械の情報/設定が表示されない、または制限された情報/設定が表示される。ユーザの認可後、機械の情報/設定へのアクセスは、ユーザの権限段階に関連していてよく、特に、ユーザがベースモードを選択するかまたはエキスパートモードを選択するかにも関連していてよく、ここでは、情報/設定の変更を行うために、エキスパートモードにおいて、拡張されたアクセスが許可されていてよい。
【0086】
一実施形態では、繊維機械の操作はソフトウェアアプリケーション、たとえばESSENTIALによって引き継がれることが想定されていてよく、この場合には、現地のユーザまたは離れているユーザに、場合によっては警告が出される、またはソフトウェアアプリケーションによる操作を阻止または制限する手段が提示される。
【符号の説明】
【0087】
1 リング紡績機
x リング紡績機の長手方向
2 巻返し部
リング紡績機1の頭部
リング紡績機1の足部
4 粗糸ボビン
5 ドラフト装置
6 粗糸
7 コップ
8 スピンドル
9 操作装置
10 ベース操作スクリーン
11 ヘッダ
12 機械選択
13 動作状態ボタン
14 ヘルプボタン
15 言語選択ボタン
16 認可ボタン
17 ベースモードからエキスパートモードへの切り替えのための切り替えボタン
20 通知領域
30 動作データ領域
31 機械効率の表示
32 シフトの表示
33 品質状態の表示
34 介入間の平均持続時間の表示
40 機械可視化領域
41 機械の表示
42 製法表示
43,44,45 クイックアクセスボタン
50 警告表示
56 アラームメッセージ
57 アラームメッセージに関連している箇所を示す表示
58 サービスボタン
59 通知の簡略化された表示のためのボタン
70 エキスパート操作スクリーン
80 ヘッダ
81 機械選択
82 機械のモード
83 通知ボタン
84 製法ボタン
85 ヘルプボタン
86 言語選択ボタン
87 認可ボタン
88 エキスパートモードからベースモードへの切り替えのための切り替えボタン
90 ナビゲーションストリップ
100 メニューリスト
105 ユーザの認可のためのダイアログスクリーン
140 通知のリスト
T1,T2,T3 繊維機械
Z 紡績場中心部
N 通信ネットワーク
dN 無線通信ネットワーク
AP アクセスポイント
91,92 繊維機械の操作装置
S1,S2,S3 繊維機械の制御装置
9Z 紡績場中心部の操作装置
9M 携帯型の操作装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】