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特表2023-541561放射線によって可視化する深さ表示を有するドリル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】放射線によって可視化する深さ表示を有するドリル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20230926BHJP
   A61B 17/17 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61B17/16
A61B17/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513941
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 US2021047753
(87)【国際公開番号】W WO2022051167
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/074,099
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505026479
【氏名又は名称】アキュームド・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5885 NE Cornelius Pass Road,Hillsboro,Oregon 97124 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】ソマーズ,マーク ビー.
(72)【発明者】
【氏名】マストロイアニ,スコット エフ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL07
4C160LL12
4C160LL39
(57)【要約】
直接測定によってドリル部品の骨への挿入深さを決定できるようにする、ドリル部品が提供される。直接測定は、骨の外部にあるカニューレを使用して挿入深さを間接的に決定する通常の挿入深さ測定方法と比較して、より安定した正確な挿入深さ測定を提供するのに役立つ。決定した挿入深さは、処置のために外科医が選択すべきインプラントの大きさまたは長さに対応する。ドリル部品は、放射線画像または透視画像上で可視化する複数の表示またはマーキングを含む挿入端を有する、シャフトを備える。骨の中を前進するドリル部品の、取り込まれた1つ以上の放射線画像または透視画像から、外科医は、1つ以上の放射線画像または透視画像上でドリル部品の表示またはマーキングの数を数えて、ドリル部品の骨への挿入深さを決定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル部品の挿入深さを決定する方法であって、
切削チップと、放射線または透視によって可視化する複数の表示とを含む先端を伴うシャフトを有する、ドリル部品を選択するステップと、
前記ドリル部品が骨の中を前進するように、選択した前記ドリル部品を使用して、前記骨に穴を開けるステップと、
前記ドリル部品が前記骨の中を前進し続けている間に、放射線画像または透視画像を使用して、前記放射線または透視によって可視化する複数の表示に基づいて、前記ドリル部品の挿入深さを決定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ドリル部品の前記挿入深さを決定するステップが、前記骨に対応する、皮質近傍で整列する前記シャフト上の位置を特定するステップと、前記切削チップと前記シャフト上の前記位置との間にある、放射線または透視によって可視化する表示の数を数えるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドリル部品の前記挿入深さを決定する前に、所望の深さまで前記骨に前記穴が開けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記骨に前記穴が開けられている間に連続的に生成される透視画像を見るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
所望の挿入深さである挿入深さが決定すると、前記穴を開けるために前記骨の中に前記ドリル部品を前進させるステップが終了する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記放射線または透視によって可視化する複数の表示のそれぞれが、長さ測定値に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放射線または透視によって可視化する複数の表示のそれぞれが、インプラントの大きさに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ドリル部品の前記決定した挿入深さに基づいて、インプラントの大きさを選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記放射線または透視によって可視化する複数の表示のそれぞれが、前記ドリル部品内の溝である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記各溝の1つ以上が、前記ドリル部品の全周の周りに延びている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ドリル部品が、第1の密度を有する第1の材料で構成され、前記放射線または透視によって可視化する複数の表示がそれぞれ、前記第1の密度より大きい第2の密度を有する第2の材料で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の材料が、放射線不透過性のインクである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線または透視によって可視化する複数の表示が、互いに均等に離間されている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
切削チップと、互いに離間された、放射線または透視によって可視化する複数の表示とを含む挿入端を有するシャフトを備えるドリル部品であって、
前記放射線または透視によって可視化する複数の表示のそれぞれが少なくとも、(1)前記シャフト内の溝、および(2)前記シャフトが構成される第2の材料より高密度の第1の材料、のうちの1つである、ドリル部品。
【請求項15】
前記放射線または透視によって可視化する複数の表示のそれぞれが、前記シャフトの周りに連続的に延びている、請求項14に記載のドリル部品。
【請求項16】
前記放射線または透視によって可視化する複数の表示の1つ以上が、前記シャフトの周囲のすべての部分より短く延びている、請求項14に記載のドリル部品。
【請求項17】
放射線または透視によって可視化する隣接する表示が、溝であったり、前記シャフトが構成される第2の材料より高密度の第1の材料であったりする、請求項14に記載のドリル部品。
【請求項18】
前記放射線または透視によって可視化する複数の表示が、互いに均等に離間されている、請求項14に記載のドリル部品。
【請求項19】
前記シャフトが、前記挿入端と対向する後端を有し、前記後端は、ねじり生成装置に取り外し可能に結合されるように構成される、請求項14に記載のドリル部品。
【請求項20】
前記シャフトが、前記挿入端と対向する後端を有し、前記後端はねじり生成装置に接続される、請求項14に記載のドリル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2020年9月3日に出願された米国仮出願第63/074,099号の優先権および利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般に、医療器具に関する。より具体的には、本出願は、ドリル部品の骨への挿入深さを決定するのに使用され得る、放射線または透視によって可視化する表示を含むドリル部品を提供する。
【背景技術】
【0003】
様々な外科処置が、骨穴を開けて、移植可能な器具(例えば、ねじ、ブッシング)を骨穴に挿入することに関与している。処置用のインプラント可能な器具の適切な長さを決定することは、ドリルの骨への挿入深さを決定することに関与する。一般に測定は、カニューレに対するドリルのレーザマーキング、またはガイドワイヤのレーザマーキングによって行われる。このような測定技術は両方とも骨の外部で行われ、カニューレが常に骨と同一平面にあるとは限らず、むしろある角度を有しているために、測定が不正確になる場合がある。したがって測定の基準点が、骨およびカニューレの最も突出した接触領域にずれて、これが必ずしもインプラントの正確な深さになるとは限らない場合がある。カニューレが骨の表面に接触せずに軟組織上に載置されていると、さらに誤差が生じる場合がある。カニューレが軟組織上に載置されていると、長さの測定値の増加につながる場合があり、長すぎるインプラントを選択することになる可能性がある。
【0004】
したがって、上述した欠点を解決する、挿入深さを決定するドリル部品および測定方法が望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、ドリル部品の骨への挿入深さを決定するのに使用され得る、放射線または透視によって可視化する表示を含むドリル部品を提供する。決定した挿入深さは、通常の測定技術と比較して、より安定した精度でインプラントの大きさを決定するのに使用され得る。
【0006】
本明細書に記載の技術的特徴に照らして、限定はしないが、別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第1の態様では、ドリル部品の挿入深さを決定する方法は、切削チップと、放射線または透視によって可視化する複数の表示とを含む先端を伴ったシャフトを有する、ドリル部品を選択するステップを含む。ドリル部品が骨の中を前進するように、選択したドリル部品を使用して骨に穴が開けられてもよい。ドリル部品の挿入深さは、ドリル部品が骨の中を前進し続けている間に、放射線画像または透視画像を使用して、放射線または透視によって可視化する複数の表示に基づいて決定される。
【0007】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第2の態様では、ドリル部品の挿入深さを決定するステップは、骨に対応する、皮質近傍で整列するシャフト上の位置を特定するステップと、切削チップとシャフト上の位置との間にある、放射線または透視によって可視化する表示の数を数えるステップとを含む。
【0008】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様または第2の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第3の態様では、ドリル部品の挿入深さを決定する前に、所望の深さまで骨に穴が開けられる。
【0009】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第3の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第4の態様では、本方法は、骨に穴を開けている間に連続的に生成される、透視画像を見るステップをさらに含む。
【0010】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第4の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第5の態様では、穴を開けるためにドリル部品を骨の中で前進させるステップは、所望の挿入深さである挿入深さが決定すると終了する。
【0011】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第5の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第6の態様では、放射線または透視によって可視化する複数の表示はそれぞれ、長さ測定値に対応する。
【0012】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第5の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第7の態様では、放射線または透視によって可視化する複数の表示はそれぞれ、インプラントの大きさに対応する。
【0013】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第7の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第8の態様では、本方法は、決定したドリル部品の挿入深さに基づいて、インプラントの大きさを選択するステップをさらに含む。
【0014】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第8の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第9の態様では、放射線または透視によって可視化する複数の表示はそれぞれ、ドリル部品の溝である。
【0015】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第9の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第10の態様では、各溝の1つ以上が、ドリル部品の全周の周りに延びる。
【0016】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第10の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第11の態様では、ドリル部品は、第1の密度を有する第1の材料で構成され、放射線または透視によって可視化する複数の表示はそれぞれ、第1の密度より大きい第2の密度を有する第2の材料で構成される。
【0017】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第11の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第12の態様では、第2の材料は放射線不透過性のインクである。
【0018】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第12の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第13の態様では、放射線または透視によって可視化する複数の表示は、互いに均等に離間される。
【0019】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第14の態様では、ドリル部品は、切削チップと、互いに離間された、放射線または透視によって可視化する複数の表示とを含む挿入端を有する、シャフトを備える。放射線または透視によって可視化する複数の表示はそれぞれ、(1)シャフトの溝、および(2)シャフトを構成する第2の材料より高密度の第1の材料、のうちの少なくとも1つである。
【0020】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第14の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第15の態様では、放射線または透視によって可視化する複数の表示はそれぞれ、シャフトの全周の周りに連続的に延びる。
【0021】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第9の態様、および第11の態様から第14の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第16の態様では、放射線または透視によって可視化する複数の表示の1つ以上が、シャフトの全周のすべての部分より短く延びている。
【0022】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第8の態様、および第12の態様から第16の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第17の態様では、隣接する放射線または透視によって可視化する表示は、溝であったり、シャフトが構成される第2の材料より高密度の第1の材料であったりする。
【0023】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第17の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第18の態様では、放射線または透視によって可視化する複数の表示は、互いに均等に離間される。
【0024】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第18の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第19の態様では、シャフトは挿入端と対向する後端を有し、後端は、ねじり生成装置と取り外し可能に結合するように構成される。
【0025】
別段の指定がない限り任意の他の態様(例えば、第1の態様から第18の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第20の態様では、シャフトは挿入端と対向する後端を有し、後端はねじり生成装置に接続される。
【0026】
開示された方法および装置の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図に記載され、それらから明らかになるであろう。本明細書に記載の特徴および利点は、すべてを含むものではなく、特に、多くの追加の特徴および利点が、図および説明を考慮すると当業者には明らかであろう。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】本開示の一態様による、ドリル部品の長軸に沿って互いに対して回転される、ドリル部品の斜視図を示す。
図1B】本開示の一態様による、ドリル部品の長軸に沿って互いに対して回転される、ドリル部品の別の斜視図を示す。
図1C】本開示の一態様による、ドリル部品の長軸に沿って互いに対して回転される、ドリル部品のさらに別の斜視図を示す。
【0028】
図2】本開示の一態様による、溝を有するドリル部品の挿入端の斜視図を示す。
【0029】
図3】本開示の一態様による、ドリル部品のシャフトの全周の周りに連続的に延びるマーキングを有する、ドリル部品の挿入端の斜視図を示す。
【0030】
図4】本開示の一態様による、ドリル部品のシャフトの全周の周りの一部に連続的に延びるマーキングを有する、ドリル部品の挿入端の斜視図を示す。
【0031】
図5】本開示の一態様による、ドリル部品の挿入深さを決定するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
通常の挿入深さ測定方法よりも安定した精度でドリル部品の骨への挿入深さを決定できるようにする、ドリル部品が提供される。決定した挿入深さは、処置のために外科医が選択すべきインプラントの大きさまたは長さに対応する。ドリル部品は、シャフトを備える。シャフトの一端は、骨穴を生成するために骨の中に打ち込むための、切削チップを含む挿入端である。場合によっては、シャフトの反対側にある後端は、ドライバ(例えば、ドリル)その他のねじり生成装置に取り外し可能に結合されるように構成される。他の例では、シャフトの反対側にある後端は、ドライバその他のねじり生成装置に接続されてもよい。シャフトの挿入端は、放射線または透視によって可視化する、複数の表示またはマーキングをさらに含む。複数の表示またはマーキングはX線を吸収しないので、放射線画像および透視画像では可視化する。
【0033】
外科医はドリル部品を使用して骨穴を開けることができ、その結果、その挿入端が骨の中を前進する。骨穴を開けることに続いて、またはこれと同時に、外科医は、開けられた穴を有する骨を含む、1つ以上の患者の放射線画像または透視画像を取り込んでもよい。ドリル部品が骨の中を前進し続けている間に、(1つまたは複数の)画像が取り込まれる。表示またはマーキングが画像に現れるので、外科医は、取り込んだ1つ以上の放射線画像または透視画像からドリル部品上の表示またはマーキングの数を数えて、ドリル部品の骨への挿入深さを決定することができる。例えば、外科医は、表示またはマーキングに対して骨の皮質近傍が整列する場所を特定して、皮質近傍とドリル部品の挿入端との間に表示またはマーキングがいくつあるか数えてもよい。外科医は、決定した挿入深さに基づいて、処置用のインプラントの大きさを選択し得る。
【0034】
提供されるドリル部品および方法は、したがって、常に骨と同一平面上にあるとは限らず、あるいは軟組織の上に載置される場合がある、骨の外部のカニューレに依存する通常の間接的な測定方法と比較して、ドリル部品の骨への挿入深さを直接測定することを可能にする。したがって、提供されるドリル部品および方法は、より安定した正確な挿入深さ測定を可能にする。ドリル部品の挿入深さをより安定的に正確に測定することは、通常の方法と比較して、処置のために正しいまたは適切なインプラントの大きさを外科医がより安定的に決定するのに役立ち、プラウドインプラント(proud implant)などの手術合併症を低減させるのに役立つ可能性がある。プラウドインプラントとは、インプラントのいずれかの端部が骨から過剰に突き出たインプラントのことであり、腱が擦れるなど軟組織の炎症につながる可能性があり、最終的には腱が損傷して、損傷した腱を修復するために再手術が必要になる場合がある。
【0035】
図1Aから図1Cは、ドリル部品100の長軸に沿って互いに対して回転される、ドリル部品100の斜視図を示す。図1B図1Aに対して90度回転されており、図1C図1Bに対して90度回転されている。ドリル部品100は、シャフト102を備える。シャフト102は、挿入端104と、後端106とを有する。いくつかの態様では、後端106は、ドリル部品100がドライバその他のねじり生成装置に取り外し可能に結合されるように構成されてもよい。例えば、図1Aから図1Cでは、後端106はAOドライバ機能として構成され、AOドライバ機能に典型的な凹面108と、溝110とを有している。他の態様では、後端106は、ドリル部品100が取り外し可能でないように、ドライバその他のねじり生成装置に接続されてもよい。挿入端104は、骨穴を生成するために、骨の中に挿入するように構成される。挿入端104は、放射線または透視によって可視化する複数の表示またはマーキングをさらに含む。
【0036】
ドリル部品100のシャフト102は、適切な医療用の材料で構成され得る。例えば、シャフト102は、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン、チタン合金、炭素繊維強化プラスチック、PEEK、ポリエーテルイミド(Ultem(登録商標))、またはポリオキシメチレン(Delrin(登録商標))で構成されてもよい。
【0037】
図2は、ドリル部品100の例示的な挿入端104の斜視図を示す。挿入端104は、切削チップ202を備える。切削チップ202は、ドリル部品100がドライバその他のねじり生成装置によって駆動されたときに、ドリル部品100を骨に挿入できるように、任意の適切な構造を有してよい。挿入端104は、複数の表示またはマーキング200をさらに含む。この例では、複数の表示またはマーキング200は、ドリル部品100のシャフト102における溝204~214である。場合によっては、溝204~214はそれぞれ、シャフト102の全周の周りに延びていてもよい。他の例では、溝204~214の1つ以上が、シャフト102の全周より小さい部分を覆っていてもよい。
【0038】
シャフト102がX線を吸収する一方で、溝204~214のそれぞれは、材料が欠けているためにX線を吸収しない。患者の体内に挿入された例示的な挿入端104の放射線画像または透視画像上では、溝204~214のそれぞれで材料が欠けていることによってシャフト102と区別され、その結果、外科医は放射線画像または透視画像上で、溝204~214のそれぞれの輪郭をたどることができる。このようにして、溝204~214は、放射線または透視によって可視化する。他の例では、複数の表示またはマーキング200は、溝204~214以外の適切な材料の欠如であってもよい。例えば、複数の表示またはマーキング200は、ドリル部品100の長軸に対して垂直にシャフト102を通って延びる、交差穴であってもよい。例えば、それぞれの溝204~214は、代わりに複数の交差穴であってもよい(例えば、各交差穴は、シャフト102の中心にあるキャビティに収束する)。
【0039】
代替的な例では、複数の表示またはマーキング200は、代わりにシャフト102とは異なる密度を有する材料で提供されてもよい。図3は、ドリル部品100の例示的な挿入端300の斜視図を示し、ここでは複数の表示またはマーキング200は、マーキング302~312である。マーキング302~312は、シャフト102上にプリントされてもよい。マーキング302~312は、シャフト102が構成されている材料より高密度の材料で構成される。例えば、本開示の特定の態様では、マーキング302~312は、シャフト102の材料に基づいて、放射線不透過性のインク(例えば、バリウム、銀などを含むインク)その他適切な医療用の材料で構成されてもよい。マーキング302~312の高密度材料は、シャフト102の低密度材料より多くのX線を吸収する。したがってマーキング302~312は、患者の体内に挿入された例示的な挿入端300の放射線画像または透視画像上でシャフト102と区別され、その結果、外科医は、放射線画像または透視画像上で、マーキング302~312のそれぞれの輪郭をたどることができる。このようにして、マーキング302~312は、放射線または透視によって可視化する。
【0040】
溝204~214のように、マーキング302~312は、シャフト102の全周の周りに連続的に延びてもよく、あるいは全周より短い部分に延びてもよい。図4は、シャフト102の全周より短い部分に延びる、例示的なマーキング402~412を有する、挿入端400の斜視図を示す。挿入端400のマーキング402~412は、点または破線のマーキングである。マーキング402~412はそれぞれ、シャフト102に沿って個別のマーキングの輪郭を示すように、任意の適切な形状または形態になっていてもよいことを理解されたい。
【0041】
本開示のいくつかの態様では、ドリル部品100は、例示的な挿入端104、300、および400のいずれかの特徴を組み合わせた、複数の表示またはマーキング200を含む挿入端を有してもよい。例えば、ドリル部品100は、溝204~214を含み、かつ溝204~214のそれぞれにおいて、シャフト102の内径にマーキング302~312をさらに含む、挿入端104を有してもよい。別の例では、複数の表示またはマーキング200は、溝であったりマーキングであったりしてもよい。例えば、挿入端104に関して言えば、挿入端104の溝206、210、および214が、その代わりにマーキング304、308、および312であってもよい。別の例では、挿入端300に関して言えば、挿入端300のマーキング302、306、および310が、その代わりに挿入端400のマーキング302、306、および310であってもよい。
【0042】
複数の表示またはマーキング200は、任意の適切な数(例えば、4つ、5つ、6つ、7つ)の、個別の表示またはマーキングを含むことができる。例えば、例示的な挿入端104、300、および400は、6つの個別の表示またはマーキングを含む。複数の表示またはマーキング200はそれぞれ、互いに均等に離間されてもよい。いくつかの態様では、複数の表示またはマーキング200の少なくともいくつかは、互いに不均等に離間されてもよい。
【0043】
図5は、ドリル部品の挿入深さを決定するための例示的な方法500のフローチャートを示す。例示的な方法500は、図5に示されるフローチャートを参照して説明されるが、方法500に関連する動作を実施する多くの他の方法が使用されてもよいことが理解されよう。例えば、ブロックのいくつかの順序が変更されてもよく、特定のブロックが他のブロックと組み合わされてもよく、記載されたブロックのいくつかは任意選択である。
【0044】
例示的な方法500において、切削チップと、放射線または透視によって可視化する複数の表示とを含む先端を有する、ドリル部品が選択されてもよい(ブロック502)。例えば、上述したドリル部品100が選択されてもよい。ドリル部品が骨の中を前進するように、選択したドリル部品を使用して骨に穴が開けられてもよい(ブロック504)。いくつかの態様では、骨に穴が開けられている間に骨の透視画像を連続的に取り込めるので、外科医は、骨の中を前進するドリル部品100のリアルタイムの動画像を見ることができる。他の態様では、骨の(1つまたは複数の)透視画像または放射線画像を周期的に取り込めるので、外科医は、骨の中のドリル部品100の位置を確認することができる。
【0045】
ドリル部品が骨の中を前進し続けている間に、放射線画像または透視画像を使用して、放射線または透視によって可視化する複数の表示に基づいて、ドリル部品の挿入深さが決定される(ブロック506)。場合によっては、所望の深さに穴が開けられてから、ドリル部品100の挿入深さが決定されてもよい。他の例では、放射線画像または透視画像を使用して、ドリル部品100が特定の目標(例えば、皮質遠位に接触すること)に到達したこと、あるいはそうでない場合はドリル部品100が所望の挿入深さにあることが決定されるまで、穴が開けられてもよい。
【0046】
上述したように、ドリル部品100の複数の表示またはマーキング200は、放射線画像または透視画像上に現れる。したがって外科医は、複数の表示またはマーキング200の個々の表示またはマーキングの数を数えることによって、ドリル部品100の挿入深さを決定することができる。例えば、外科医は、放射線画像または透視画像上で、表示またはマーキングに対して骨の皮質近傍が整列する場所を特定してもよく、かつ皮質近傍とドリル部品100の挿入端との間に表示またはマーキングがいくつあるか数えてもよい。複数のマーキング200はそれぞれ所定の距離(例えば、2mm)で離間されてもよく、したがって表示またはマーキングの数を数えることにより、外科医は深さ測定値を決定することが可能になる。場合によっては、2つの表示またはマーキング同士の間で骨の皮質近傍が整列する場合があり、外科医は2つの表示またはマーキング同士の間の値を推定してもよい。
【0047】
インプラント(例えば、ねじ、ブッシング)の大きさは、決定したドリル部品100の挿入深さに基づいて、処置用に選択されてもよい。いくつかの態様では、複数の表示またはマーキング200はそれぞれ、ドリル部品100の特定の挿入深さ(例えば、6mm、8mm、10mm)に対応する。このような態様では、インプラントの大きさは、決定された特定の挿入深さを使用して選択されてもよい。他の態様では、複数の表示またはマーキング200はそれぞれ、特定のインプラントの大きさに対応する。このような他の態様では、ドリル部品100の挿入深さを決定することにより、選択されるインプラントの大きさも決定する。
【0048】
したがって、例示的な方法500は、放射線画像または透視画像を使用して、骨の内部でドリル部品100による直接測定を行うことによって、ドリル部品100の挿入深さ、および処置用のインプラントの大きさを外科医が決定することを可能にする。方法500の直接測定は、骨の外部にあるカニューレを使用する通常の間接測定法と比較して、正確な深さ測定の安定性を高めるのに役立つ。
【0049】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈からそうでないことが明らかでない限り、単語の単数形は複数形を含む。したがって、「a」、「an」、および「the」という語句は、通常はそれぞれの語の複数形を包含する。例えば、「表示」または「マーキング」という語句は、複数のこのような「表示」または「マーキング」を含む。「Xおよび/またはY」という文脈で使用される「および/または」という語は、「X」、または「Y」、または「XおよびY」と解釈されるべきである。
【0050】
さらに詳述することなく、当業者は、特許請求される発明を最大限に利用するために前述の説明を使用することができると考えられる。本明細書に開示された例および態様は、単なる例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。説明した基本原理から逸脱することなく、上述の例の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。換言すれば、上記の説明で具体的に開示された例の様々な修正および改善は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、記載された様々な例の特徴の任意の適切な組み合わせが企図される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本開示のいくつかの態様では、ドリル部品100は、例示的な挿入端104、300、および400のいずれかの特徴を組み合わせた、複数の表示またはマーキング200を含む挿入端を有してもよい。例えば、ドリル部品100は、溝204~214を含み、かつ溝204~214のそれぞれにおいて、シャフト102の内径にマーキング302~312をさらに含む、挿入端104を有してもよい。別の例では、複数の表示またはマーキング200は、溝であったりマーキングであったりしてもよい。例えば、挿入端104に関して言えば、挿入端104の溝206、210、および214が、その代わりにマーキング304、308、および312であってもよい。別の例では、挿入端300に関して言えば、挿入端300のマーキング302、306、および310が、その代わりに挿入端400のマーキング402、406、および410であってもよい。
【国際調査報告】