(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】パネルアセンブリの製造用載置台
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20230926BHJP
E04F 21/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
E04G21/16
E04F21/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516526
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2021025339
(87)【国際公開番号】W WO2022053179
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523089184
【氏名又は名称】レコ ラブス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルディア,フランソワ-ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリ,マテオ
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァリェイラス,カタリナ
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA04
2E174BA01
2E174CA36
2E174EA02
(57)【要約】
本発明は、複数の重ね合わせ層(50、51、52...)を含むパネルアセンブリ(5)の製造用載置台(1)に関し、載置台(1)は、少なくとも部分的に垂直に配向されている保持構造(3)と、保持構造の前面(3A)に固定された一組のサクションカップ(30)と、サクションカップ(30)間に配置された一組の固定スペーサ(31)と、サクションカップ(30)から空気を流通させる流路と、流路(32)を介して真空を生成するように構成された空気排出口と、を備え、パネルアセンブリの第1の層(50)が保持構造の前面(3A)に対して少なくとも部分的に垂直に、サクションカップ(30)によって固定される一方で、後続層(51、...)が互いにしっかりと取り付けられ、かつパネルアセンブリ(5)全体の重量が載置台(1)によって保持され得るように配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルアセンブリ(5)の製造用載置台(1)であって、該パネルアセンブリ(5)は、互いに固定された複数の重ね合わせ層(50、51、52...)を含み、前記載置台(1)は、前記パネルアセンブリ(5)を前記パネルアセンブリの背面(5B)から組み立てることができるように、前記パネルアセンブリの前面(5A)に配置されており、
前記載置台(1)が、
少なくとも部分的に垂直に配向されており、前面(3A)および背面(3B)を有する保持構造(3)と、
該保持構造の前記前面(3A)に固定された一組のサクションカップ(30)と、
前記保持構造の前記前面(3A)に固定されており、該サクションカップ(30)間に配置された一組の固定スペーサ(31)と、
前記保持構造の前記背面(3B)に配置されており、前記サクションカップ(30)から真空を生成する手段(32、33)と、を備えることを特徴とし、
さらに前記載置台(1)が、
前記パネルアセンブリの前記第1の層(50)が前記保持構造の前記前面(3A)に対して少なくとも部分的に垂直に、前記サクションカップ(30)によって固定され得る一方で、前記後続層(51、52...)が互いにしっかりと取り付けられ得、かつ
前記パネルアセンブリ(5)全体の重量が前記載置台(1)によって保持され得るように配置されていることを特徴とする、
パネルアセンブリ(5)の製造用載置台(1)。
【請求項2】
前記スペーサ(31)が、前記保持構造の前記前面(3A)に沿って均一に分散配置されている、請求項1に記載の載置台。
【請求項3】
前記保持構造(3)が、一組の真空モジュール(3.1、3.2...、3.N...)へと分割されている、請求項1または2に記載の載置台。
【請求項4】
各前記真空モジュール(3.1、3.2...、3.N...)の真空容量が、その他の前記真空モジュールの前記真空容量とは別個に適合され得る、請求項3に記載の載置台。
【請求項5】
前記サクションカップが、各前記真空モジュール(3.1、3.2...、3.N...)内で行および列からなるマトリックス状に配置されている、請求項3または4に記載の載置台。
【請求項6】
前記パネルアセンブリの前記第1の層(50)が、一連の木質要素(501、502、503...)および断熱要素(601、602、603...)を含み、前記サクションカップの大きさ(L)および2つの隣接する前記サクションカップ間の間隔(D)が、前記木質要素(501、502、503...)および前記断熱要素(601、602、603...)が前記サクションカップ(30)の少なくとも一部によって保持され得るように決定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項7】
前記スペーサ(31)が、前記保持構造(3)に取り付けられた鋼製本体(312)によって支持される、硬化した頑丈なゴム(311)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項8】
真空を生成するために空気を連続的に取り込む一方で、前記パネルアセンブリ(5)の製造中に捕集された可能性のある、発生し得るいかなるダスト粒子も排出するように構成された、セルフクリーニング機構をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項9】
3つの空気状態、すなわち、第1の空気状態である「オフ」と、第2の空気状態である「真空」と、第3の空気状態である「排出」との間で切り替わるように操作され、前記パネルアセンブリの異なる製造段階を管理するようにプログラムされた、電気制御バルブをさらに備える、請求項8に記載の載置台。
【請求項10】
前記保持構造(3)が取り付けられるフレームワーク(2)と、前記パネルアセンブリ(5)を固定して、前記サクションカップ(30)で起こり得るいかなる故障も防止するために、前記フレームワークの上面(2C)に配置されたフェイルセーフ機構(8)とをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項11】
前記フェイルセーフ機構(8)がレール(9)上に位置し、前記パネルアセンブリの重心の上方に配置されるように前記レールに沿って転動するよう構成されている、請求項10に記載の載置台。
【請求項12】
前記保持構造(3)が垂直に配向されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の載置台(1)と、前記パネルアセンブリ(5)の各前記層(50、51、52...)を組み立てるように構成された一組のロボットとを備える、パネルアセンブリを製造するためのシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムによってパネルアセンブリを製造する方法であって、
前記サクションカップ(30)を介して一定の真空を生成するステップと、
前記サクションカップ(30)上に前記第1の層(50)を配置するステップと、
前記先行層上に各前記後続層(51、52、...)を配置するステップと、
前記隣接層を互いに固定するステップと、を含む、
方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法に従って製造される、パネルアセンブリ(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に建築システムの製造に使用する木製のパネルアセンブリの製造に関する。具体的には、本発明は、とりわけ一連の木質要素および断熱要素を含む一連の重ね合わせ層でパネルアセンブリが製造される場合に、大型で重量のあるパネルアセンブリの製造を可能にすることを意図している。そのような要素は通常、「スラット」の形状を有する。そのようなパネルは、「クロスラミネート木材」または「CLT」として当分野で知られている。
【背景技術】
【0002】
大型で重量のあるパネルアセンブリの製造に関しては、パネルのハンドリングに関して困難が生じ、これにより通常、一方ではセキュリティ要件や物流および輸送面での制約を遵守しながら、他方では十分な精度でパネルを操作するといった、両者間のバランスを求めることになる。
【0003】
パネルアセンブリの製造に際し、最も知られている従来の技術は、水平台を使用することと、ロボットを用いて、パネルの連続層と連続要素とを互いに重ね合わせることとからなり、したがって、重力を利用して層と要素とを互いに安定させて、自然に固定する。この技術は、Kukaなどの企業によって使用されている(Youtubeプラットフォーム上の動画「Flower power timber Robots:How Robots can revolutionize architecture and timber industry」(アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=bVVNQ5-3tjw)を参照されたい)。しかしながら、そのような装置は、すべての用途、とりわけ木質要素を両面で操作する必要がある(例えば、当該要素をステープルで固定するために)用途には適していない。そのような装置のロボットはまた、同じ大きさや構成を有する小型部品を操作するものと思われる。
【0004】
そのような両面での操作を可能にするために、製造工程中にパネルを反転させることが知られており、そうすることで、作業者は事前に覆われている他方の面にアクセスすることができる。この解決策は、いずれの場合もそうであるように、パネルの組立てが完了すると、完成品を保管し、トラックによって適切に輸送するために、その完成品を垂直に傾ける必要があるので、順当な方法と思われる。この反転技術は、Modular Building Automation社(Youtubeプラットフォーム上の動画「Timber Frame Butterfly Table」(アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=a8BMq1CeMi0)を参照されたい)などの企業によって使用されている。しかしながら、反転手段は載置台をさらに一層複雑なものにし、複数の反転工程を伴うために製造工程のペースを著しく遅らせ、その上落下というさらに大きなリスクを発生させることになる。
【0005】
したがって、これらの既知の技術はいくつかの欠点を有する。第一に、ロボットは水平方向に動作するので、大型機械を収容するためにフロアに巨大なスペースを必要とする。第二に、ロボットの動きは緩慢であり、故障しやすいため、組立ての速度と精度との間のバランスを見つける必要がある。このことは、組立工程が製造サイクルの最大のボトルネックであることが認識されているだけに、より一層重要である。その一方で、パネルアセンブリの構造によっては、高い組立精度が必要となる場合がある。組立て後または現場でパネルの一部がトリミングされる多くのCLTパネルでは、比較的低い精度(数ミリメートルの範囲)であっても十分であり得る。しかしながら、一部のCLTパネルでは、とりわけ要素の表面を積層している場合、これらの要素は高い精度で互いに相対的に位置決めされる必要がある。
【0006】
別の技術では、機械的保持手段を使用している。特許文献1は、実際に、ベースフレーム上に複数の列に配置された一組のサクションカップを利用する、別の既知の技術を開示している。しかしながら、ベースフレームは水平に取り付けられており、パネルアセンブリを支持することは意図されていないため、大型で重量のあるパネルアセンブリを支持することはなおさら意図されておらず、安全上の問題を招くことになる。
【0007】
アセンブリが大型になり、かつ重くなると、サクションカップは多くの場合、適切な解決策とは見なされない。そのような手段が、例えば缶入り飲料の曲げなど、その他の用途においてむしろ使用される理由が、ここにある。特許文献2は、実際に、複数のサクションカップアセンブリを含む、缶入り飲料用のマルチサクション式トレイパッキン機構を開示しており、その各々は、伸縮機構によって制御され、その結果、それらを互いから独立して移動させることができるため、複数のケースを同時に製造することができる。
【0008】
総じて、木質要素の数、およびそれらの寸法、位置、配向、またはパターンにかかわらず、小型のものから大型のものまで、パネルアセンブリの任意の大きさおよび重量に適合する汎用の載置台が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第3628428号明細書
【特許文献2】中国特許第105035402号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、(i)層および要素の迅速かつ容易な組立てを可能にし、(ii)重量のある大型のパネルアセンブリであっても(それらの部品間寸法差が大きい場合であっても)安全に保持することができ、(iii)層および要素の組立て中に高い精度および信頼性を確保するという点で汎用的である、パネルアセンブリの製造用載置台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、パネルアセンブリの製造用載置台に関し、パネルアセンブリは、互いに固定された複数の重ね合わせ層を含み、載置台は、パネルアセンブリをパネルアセンブリの前面から組み立てることができるように、パネルアセンブリの背面に配置されている。本発明によれば、載置台は、少なくとも部分的に垂直に配向されており、前面および背面を有する保持構造と、保持構造の前面に固定された一組のサクションカップと、保持構造の前面に固定されており、サクションカップ間に配置された一組の固定スペーサと、保持構造の背面に配置されており、サクションカップから真空を生成する手段とを備える。さらに本発明によれば、載置台は、パネルアセンブリの第1の層が保持構造の前面に対して少なくとも部分的に垂直に、サクションカップによって固定される一方で、後続層が互いにしっかりと取り付けられ、かつパネルアセンブリ全体の重量が載置台によって保持され得るように配置されている。
【発明の効果】
【0012】
保持構造が少なくとも部分的に垂直に配向されるので、本発明は複数の利点を有する。第一に、載置台はフロアスペースを節約する。第二に、パネルアセンブリの背面からのアクセスを必要とする作業を最小限に抑えることが可能であるため、ロボットは片側からのみ組立てを進めることができる。第三に、完成品としてのパネルアセンブリは、少なくとも部分的に垂直に配向されており、これによって保管および輸送が容易になる。したがって、本発明は、パネルアセンブリの製造中または保管中のいずれかにおいて発生する、パネルアセンブリのいかなる反転も回避するものである。さらに、システムの製作時間や複雑性も低減される。
【0013】
さらに、サクションカップおよびスペーサの特定の配置により、パネルアセンブリが大型で重量がある場合であっても、パネルの組立て中に、載置台がパネルアセンブリを確実に固定して保持できるようになる。スペーサは、サクションカップの各々の間の間隔を維持し、軸方向の抵抗維持力を付与し、また横方向の摩擦力を付加することで、重力方向に沿ったサクションカップの弾性撓みを抑え、最終的に望ましくない位置ずれを最小限に抑える。すなわち、スペーサはサクションカップの応力の一部を緩和する。したがって、この特定の配置は、組立対象のパネルに適合され、そのような重量のある要素を支持するように設計されていなかった既知の真空技術とは対照的に、保持手段としての真空の完全な効果を享受する。これにより、パネルが落下する危険性が大幅に低減され、安全性が向上する。
【0014】
本発明の別の大きな利点は、パネルを固定する能力を有することで、より高い精度でパネルを組み立てることができることにある。これは、積層された木質要素をいくつかの層が含み、このために要素のより正確な相対的位置決めを必要とする場合であっても、パネルアセンブリを製造できることを意味する。したがって、載置台は、小型で軽量のパネルだけでなく、大型で重量のあるパネル(この場合が最悪のシナリオである)を製造する際にも、また、既知の「CLT」パネルのような多層およびクロスラミネートされた要素を有するパネルを製造する際にも使用できるので、より汎用的で多目的に使用することができる。
【0015】
本発明の有利な一実施形態では、スペーサは、保持構造の前面に沿って均一に分散配置されている。
【0016】
好ましくは、保持構造は、一組の真空モジュールへと分割されている。この場合、各真空モジュールの真空容量)は、その他の真空モジュールの真空容量とは別個に適合され得る。保持構造の各領域間の変動を最小限に抑えることができ、また幾何学的要件および制約に適合させることができる。各真空モジュールでは、サクションカップはまた、パネルの第1の層のすべての要素を固定するために、載置台の適切な粒度を提供する行および列からなるマトリックス状に配置されてもよい。
【0017】
好ましい一実施形態では、パネルアセンブリの第1の層は、一連の木質要素および断熱要素を含み、サクションカップの大きさおよび2つの隣接するサクションカップ間の間隔は、木質要素および断熱要素がサクションカップの少なくとも一部によって保持され得るように決定される。サクションカップのこのパターンは木質要素の幅によって駆動され、これにより、保持構造上の木質要素の位置にかかわらず、サクションカップの木質要素との完全な接触面を有することができる。したがって、載置台は、任意のタイプのパネルアセンブリに適合され得る。
【0018】
好ましい一実施形態では、スペーサは、保持構造に取り付けられた鋼製本体によって支持される、硬化した頑丈なゴムを含む。
【0019】
好ましい一実施形態では、層のうちの少なくとも一部(好ましくは、それらのすべて)は、一連の要素および断熱要素を含む。
【0020】
好ましくは、載置台は、真空を生成するために空気を連続的に取り込む一方で、パネルアセンブリの製造中に捕集された可能性のある、発生し得るいかなるダスト粒子も排出するように構成された、セルフクリーニング機構をさらに備える。このセルフクリーニング機構の働きにより、進行中の動作(すなわち、木質要素を互いに嵌め合わせる工程)から生じるダスト粒子は、組立工程の前に排出され、次いで捕集され得る。したがって、製造中にダスト粒子の存在を回避することができる。
【0021】
この場合、載置台は、3つの空気状態、すなわち、第1の空気状態である「オフ」と、第2の空気状態である「真空」と、第3の空気状態である「排出」との間で切り替わるように操作され、パネルアセンブリの製造を管理するようにプログラムされた、電気制御バルブをさらに備えてもよい。
【0022】
好ましくは、載置台は、保持構造が取り付けられるフレームワークと、パネルアセンブリを固定して、パネルアセンブリで起こり得るいかなる故障も防止するために、フレームワークの上面に配置されたフェイルセーフ機構とをさらに備える。
【0023】
この場合、フェイルセーフ機構は、好ましくはレール上に位置し、パネルアセンブリの重心の上方に配置されるようにレールに沿って転動するよう構成されている。
【0024】
好ましくは、保持構造は垂直に配向されている。このように配向させることで、パネルアセンブリ上のフットプリントを低減するためにより有利となり、製造中にパネルを反転させる必要がないのでより安全となる。
【0025】
本発明はまた、本発明による載置台と、パネルアセンブリの各層を組み立てるように構成された一組のロボットとを備える、パネルアセンブリを製造するためのシステムに関する。
【0026】
本発明は、本発明によるシステムによってパネルアセンブリを製造する方法にさらに関し、本方法は、
サクションカップを介して一定の真空を生成するステップと、
サクションカップ上に第1の層を配置するステップと、
先行層上に各後続層を配置するステップと、
隣接層をねじ止め手段で互いに固定するステップと、を含む。
【0027】
本発明は、本発明の方法に従って製造されるパネルアセンブリにさらに関する。
【0028】
本発明の目的はまた、複数の重ね合わせ層からなるパネルアセンブリの製造用載置台を提供することであり、載置台は、
前面および背面を有する保持構造と、
保持構造の前面に固定された複数のサクションカップと、
保持構造の前面に固定され、複数のサクションカップの間に配置された複数の固定スペーサと、
複数のサクションカップから保持構造の背面側に空気を流通させるように構成された流路と、
流路を介して真空を生成するように構成された空気排出口と、を備え、
載置台は、サクションカップによってパネルアセンブリの第1の層を保持構造の前面に固定するように構成されており、また、載置台は、複数の重ね合わせ層を含むパネルアセンブリの重量を支持するように構成されている。
【0029】
異なる実施形態によれば、
スペーサは、保持構造の前面に沿って均一に分散配置されており、
保持構造は、複数の真空モジュールへと分割されており、
各真空モジュールの真空容量は、その他の真空モジュールの真空容量とは別個に構成可能であり、
複数のサクションカップは、各真空モジュール内で行および列からなるマトリックス状に配置されており、
パネルアセンブリは、複数の木質要素および複数の断熱要素を含み、サクションカップの大きさおよび隣接するサクションカップ間の間隔は、木質要素の少なくとも一部および断熱要素の少なくとも一部がサクションカップの少なくとも一部によって保持されるように構成されており、
スペーサは、保持構造に取り付けられた鋼製本体によって支持される硬化した頑丈なゴムを含み、
載置台は、真空を生成するために空気を連続的に取り込む一方で、パネルアセンブリの製造中に集積したいかなるダスト粒子も排出するように構成された、セルフクリーニング機構をさらに備え、
セルフクリーニング機構は、パネルアセンブリの異なる製造段階を管理するようにプログラムされており、3つの空気状態、すなわちオフ状態と、真空状態と、排出状態との間で切り替わるように動作できる電気制御バルブを含み、
載置台は、保持構造が取り付けられるフレームワークと、フレームワークの上面に配置されたフェイルセーフ機構であって、フェイルセーフ機構は、パネルアセンブリを載置台にさらに固定するように構成されている、フェイルセーフ機構とをさらに備え、
フェイルセーフ機構はレール上に位置しており、パネルアセンブリの重心の上方に配置されるようにレールに沿って転動するよう構成されており、
保持構造は、パネルアセンブリに対応する平面が接地平面に対して垂直になるように、パネルアセンブリを垂直配向に固定するように構成されている。
【0030】
本発明の目的はまた、パネルアセンブリを製造するためのシステムを提供することであり、本システムは、
前面および背面を有する保持構造と、
保持構造の前面に固定された複数のサクションカップと、
保持構造の前面に固定され、複数のサクションカップの間に配置された複数の固定スペーサと、
複数のサクションカップから保持構造の背面側に空気を流通させるように構成された流路と、
流路を介して真空を生成するように構成された空気排出口であって、
載置台は、サクションカップによってパネルアセンブリの第1の層を保持構造の前面に固定するように構成されており、また、載置台は、複数の重ね合わせ層を含むパネルアセンブリの重量を支持するように構成されている、保持構造と、サクションカップと、固定スペーサと、流路と、空気排出口と、
パネルアセンブリの第1の層が保持構造の前面に固定されたときに、パネルアセンブリの各後続層を組み立てるように構成された複数のロボットと、を備える。
【0031】
本発明の別の目的は、パネルアセンブリを製造する方法を提供することであり、本方法は、
真空ポンプによって、載置台上の保持構造の前面に固定された複数のサクションカップを介して一定の真空を生成し、それによってパネルアセンブリの第1の層を保持構造の前面に固定するステップであって、保持構造上の流路が、複数のサクションカップから保持構造の背面側に、および真空ポンプに結合された空気排出口に空気を流通させるように構成されている、ステップと、
サクションカップ上にパネルアセンブリの第1の層の複数の木質要素および複数の断熱要素を配置するステップと、
パネルアセンブリの第1の層が保持構造の前面に固定されたときに、複数のロボットによって、パネルアセンブリの各後続層を組み立てるステップと、
パネルアセンブリの各後続層の複数の木質要素および複数の断熱要素を、パネルアセンブリの先行層上に配置するステップと、
パネルアセンブリの隣接層を互いに結合するステップと、を含む。
【0032】
本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照することによって、例示目的で提供される本発明の実施形態の以下の説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態による載置台の前面側の斜視図である。
【
図4A】既知のパネルアセンブリ(木質要素のみ、すなわち断熱要素なし)の斜視図である。
【
図4B】既知のパネルアセンブリ(木質要素と断熱要素との両方を有する)の斜視図である。
【
図6】一組の木質要素が保持構造に固定された状態の、保持構造の前面側の部分正面図である。
【
図11】パネルアセンブリが保持構造に固定された状態の、保持構造の背面側の部分斜視図である。
【
図12】保持構造およびパネルアセンブリの部分側面図である。
【
図13】大型のパネルアセンブリを収容するように構成された、保持構造の前面側の斜視図である。
【
図15】小型のパネルアセンブリを収容するように構成された、保持構造の前面側の斜視図である。
【
図17】中間パネルアセンブリを収容するように構成された、保持構造の前面側の斜視図である。
【
図19】フェイルセーフ機構の前面側の斜視図である。
【
図20】フェイルセーフ機構の背面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで
図1および
図2を参照すると、載置台1は、垂直保持構造3を維持するように設計された金属フレームワーク2を備える。本実施例では構造3が垂直に配向されているが、水平に配向されていない限り、構造3は異なって配向され得る。実際、本発明は、保持構造3が可能な限り垂直配向に近似している場合、フロアスペースを節約し、パネルアセンブリのフットプリントを低減するので、より有利である。保持構造3は、「前面」3A(ここで、パネルアセンブリが構造3に取り付けられる)と、「背面」3B(ここで、構造3がフレームワーク2に取り付けられる)とを有する。
【0035】
載置台1は、
図4Aおよび
図4Bのパネルアセンブル5などの、パネルアセンブリのハンドリングや製造を目的としている。「クロスラミネート木材」または「CLT」としても知られているこのパネルアセンブリは、一連の層50、51、52、53...からなる。
図4Aには8つの層がある。これらの層は「重ね合わされ」ており、これは、これらの層が互い違いに配置されていることを意味する(パネルが必ずしも水平に配向されていると解釈されることなく)。詳細には、各層は一連の木質要素(または「スラット」)で作製されている。第1の層50は、木質要素501、502、503、504、505、506および507を含む。第2の層51は、木質要素511、512、513、514および515を含み、これらは木質要素501、502、503、504、505、506および507に直交している(ただし、その他の配置、例えばパネルアセンブリの目的および性能に応じて、1つの層から次の層までの要素の非直交配置にすることができる)。これらの要素は、参照番号500で
図13にも示されている。その他の層や木質要素についても同様である。したがって、これらの層は、所与の層の木質要素が隣接する層の木質要素と直交しているという点で、「交差」している。これらの木質要素は、構造的機能を果たしている。
【0036】
図4Bに示すように、木質要素の少なくとも一部の間(またはそれらのすべての間)に、断熱要素601、602、603、604、605および606を挿入することができる。これらの要素は、参照番号600で
図13にも示されている。このような断熱要素は、音響的かつ/または熱的観点からパネルを断熱する役割を果たしている。
【0037】
パネルアセンブリ5は「積層」され得、すなわち、隣接する2つの木質要素がそれらの接触界面の位置で互いに相対的に摺動するのを回避する手段を提供するために、木質要素501、502...のうちの少なくとも一部の表面を積層することができる。そのような積層の一例としては、特定の木質要素の表面、具体的には要素の前面および隣接要素の背面に溝を設けることが挙げられ、その結果、それぞれの溝が互いに相互作用することで、いかなる摺動も防止される。木質要素を互いに固定し、なおかつ連続層を互いに固定するために、いずれの場合にも使用されるねじ止め手段に加えて、その他の手段、例えば木質要素を互いに接着することも、そのような摺動を回避するために用いることができる。要素を積層するとき、例えば、隣接要素のスロット内に1つの要素の溝を挿入するために、これらの要素が高精度で組み立てられる必要があることが理解される。
【0038】
パネル5は、
図3のパネルのように、家屋または建物などの建築システム4を組み立てるために使用され得る。したがって、システム4は、要求される特性、とりわけ建築システムのすべての構造要件に応じて、同一であり得るか、または異なり得る一連のパネル5から構成されている。そのようなシステムの隣接する一組のパネル5への分割は、現場に輸送されるパネルの大きさ、およびシステムの統一性を含む基本原理に従って行われる。
【0039】
パネルアセンブリ5は、前面5A(第1の層50が配置される場所)、および背面5B(パネルの最後の層が配置される場所)を有する。前面5Aが保持構造3に固定される一方で、パネルアセンブリ5は、その背面5Bより、第1の層から最後の層まで一層ごとに組み立てられる。
【0040】
保持構造を再度参照すると、保持構造3Aの前面が
図5により詳細に示されている。一組のサクションカップ30が前面3Aに固定されており、前面3Aに沿って均一に配置されている。当技術分野で周知のこれらのサクションカップは、保持構造上に様々な方法で配置されてもよい。これらのサクションカップは、前面3A上のより多くの空間を覆うために、かつ自身の密度を高めるために、生および列からなるマトリックスとして、すなわち、
図5に示すような互いに傾斜した一連の線状に配置されてもよい。一方で、当業者であれば、企図される用途に応じてその他の構成を見出すことができる。
【0041】
いずれの幅および長さの木質要素にも十分な粒度を提供するために、計3500個のサクションカップが保持構造に沿って均一に分散配置されている。典型的な木質要素の幅は、約120ミリメートルである。
【0042】
サクションカップ30のいかなる配置が選択されたとしても、サクションカップの密度を木質要素の大きさに適合させるために、サクションカップ30が互いに十分に近接していることが重要である。
図6に示すように、木質要素501(オーバープリントされている)は幅L
500を有する。当該サクションは、この幅よりも小さい大きさまたは直径Lと、好ましくはこの幅よりも著しく小さい、隣接する2つのサクションカップ間の間隔Dとを有するべきであり、それにより、パネルアセンブリの木質要素、具体的には木質要素501などの第1の層50の木質要素が、前面3Aに直接固定されることになる木質要素であることから、いくつかのサクションカップ30を覆う。このようにすることで、載置台1は、可能な限り多くのサクションカップを用いて木質要素を確実に保持している。
【0043】
ここでサクションカップが、真空を適切に生成することができ、なおかつ木質要素が実際に真空によって固定されるように、木質要素によって完全に覆われる必要があるが、サクションカップが部分的に覆われる場合は、シールリップがないために真空を生成できないことに留意されたい。また、断熱要素が、その多孔性が高いことが真空処理に適していないため、パネルアセンブリの固定に寄与していないことにも留意されたい。したがって、
図4のパネルの場合、全体として大型で重量のあるパネルアセンブリとなり得る場合であっても、(第1の層の木質要素の数および幅のために)パネルアセンブリを維持するためにサクションカップのごく一部のみが「使用」されることに留意されたい。
【0044】
サクションカップのこのような配置および密度により、いかなる状況下であっても、適切な最小吸引力が木質要素に確実に加えられるようになる。
図6の例では、互いに傾斜したいくつかの系列としてサクションカップを配置することにより、小幅の木質要素であっても、当該木質要素を固定するのに十分なサクションカップの密度を確保している。
図6の構成では、サクションカップのうちの少なくとも1列全体が、木質要素の位置にかかわらず、常に木質要素と完全に接触している。
【0045】
図5に示すように、一組の固定スペーサ31が保持構造3Aの前面に固定されている。これらのスペーサ31は、一部のサクションカップ30の間に配置されている。これらのスペーサ31は、
図11および
図12にも示されている。スペーサ31の役割は、保持構造のサクションカップ30間の間隔を維持することである。実際、スペーサ31は、サクションカップ30上のパネルアセンブリの重量に抵抗し、したがって重力方向に沿ったサクションカップの弾性撓みを抑えるのに十分な剛性を有する。その結果として、スペーサ31は、パネルアセンブリ5の重量によるサクションカップ30のいかなる位置ずれも回避する。したがって、スペーサ31は、通常サクションカップ30上に生じる応力の一部を緩和する。
【0046】
一実施例として、スペーサ31は、保持構造に取り付けられた鋼製本体によって支持される、硬化した頑丈なゴムを含んでもよい。スペーサの一例が、
図21および
図22に関連して示されている。スペーサ31は、パネルアセンブリの方向に、硬化した頑丈なゴム311を含む。本実施例ではゴム311は円形形状であるが、その他の適切な形状が使用されてもよい。ゴム311は、鋼製本体312によって支持されている。本体312は、ゴム311の形状と同一の円形形状を有する鋼S235JR製であってもよい。さらに、本体312は、保持構造の前面3Aに螺入されるねじ313によって、保持構造3に取り付けられる。
【0047】
計約700個のスペーサを計約3500個のサクションカップに対して設けると、パネルアセンブリの強力な保持を得ることができる。サクションカップと同様に、スペーサが保持構造3に沿って、均一に分散配置されることが好ましい。このようなスペーサを使用することにより、木質要素の位置決めおよび組立てに関して必要とされる精度レベルを保証することができる。
【0048】
サクションカップ30およびスペーサ31の配置は、いくつかの要件を満たすように決定される。例えば、当該配置は、小さな木質要素さえも保持構造3に固定する必要があるため、高密度のサクションカップ30を必要とする。また、重量のあるパネルアセンブリに起因して発生する、サクションカップ30のいかなる位置ずれも回避すべきであるため、一定の密度のスペーサも同様に必要とする。
【0049】
図7および
図8を再度参照すると、保持構造3Aの前面を、一組の真空モジュール3.1、3.2...、3.N...へと分割することができる。本実施例では、計72個の真空モジュールが設けられている(保持構造の高さに沿って6個の真空モジュールと、保持構造の長さに沿って12個の真空モジュールとが設けられる)。真空モジュールごとに、一組のサクションカップ30およびスペーサ31が設けられている。サクションカップおよびスペーサの配置は、
図8に示すように、真空モジュールごとに同じであり得、または企図される用途に応じて異なり得る。これらのモジュールはそれぞれ異なっている可能性があるか、または分類されている可能性があり、例えば72個の真空モジュールは、パネルアセンブリの幾何学的要件および制約に適合するように、9つの異なるカテゴリに分類されてもよい。一組の真空モジュール内に保持構造を配置することのその他の利点は、(故障した場合には故障した真空モジュールのみを修理または交換することができるため)有用性がより高くなることと、(把持する部分がより軽量でより小型になっているため)組立てがより容易になることにある。
【0050】
図9および
図10に示すように、保持構造3Bの背面は、流路および空気排出口からなるネット構造を有する同じ一組の真空モジュールへと分割されている。詳細には、この真空モジュールのサクションカップ30から保持構造3Bの背面側に空気を流通させるために、真空モジュールごとに流路32が設けられている。流路32によって真空を生成するために、空気排出口33も設けられている。こうした配置にすることにより、真空モジュール3.1、3.2...、3.N...の各々は、この真空モジュールの流路32および空気排出口33によって別々に動作することができ、その結果、各モジュールの機能を、組立対象のパネルの大きさおよび位置に応じて適合させることができる。例えば、パネルアセンブリ5が保持構造3の半分のみを覆う場合、真空モジュールの半分のみで真空を生成する必要があり、また残りの半分を非作動のままにする必要がある。
【0051】
図10では、真空モジュールの背面に一連の流路32および空気排出口33を視認することができる。これらの流路32はすべて、空気を吸引することによって真空を生成することを目的とした真空ポンプに接続されており、この真空ポンプは(明確にするために)本図面では視認できないが、この真空ポンプを、必要な特性および性能に応じて市販の真空ポンプとすることができる。真空ポンプは、マニホールドコネクタ、すなわち単一の入力ラインおよび複数の出力ラインを有するコネクタを介して、流路32に接続されている。
【0052】
載置台1は、大きさの異なるパネルアセンブリの製造に使用することができる。例えば、
図13および
図14に示すように、保持構造3全体を覆うパネルアセンブリ5を製造することができる。この場合、保持構造3全体が必要になる。パネルアセンブリは8つの層からなり、各層は一連の木質要素500(ここで「500」は、木質要素501、502、503...のうちのいずれかを指しているが、明確に定まったものではない)および断熱要素600を含む。当該状況は、パネルアセンブリが大型で重量がある可能性があるため、「最悪のシナリオ」と考えられてもよい。典型的には、このようなパネルアセンブリは、幅6メートル、高さ3メートル、および厚さ8層に及ぶ可能性がある。これは、約1500キログラム(木質要素と、断熱要素と、ねじとを含む)の総重量に至る可能性がある。
【0053】
載置台1は、
図15および
図16のパネル6などの非常に小型のパネルアセンブリにも使用することができる。この場合、使用できる唯一の真空モジュールは、保持構造3の右上隅に位置する真空モジュールである。最終的に、載置台1は、
図17および
図18のパネル7などのその他のタイプのパネルアセンブリにも使用することができる。この場合、パネルは、保持構造3のほぼ半分に及ぶため大型になるが、そのスパンの全体で保持構造を覆わないため、むしろ軽量になっている。そのようなパネルは、建築システムに扉または窓を設けるために使用することができる。関連する真空モジュール(すなわち、組立対象のパネルによって少なくとも部分的に覆われるモジュール)のみを使用することができる。これらの状況の各々において、パネルアセンブリ5全体の重量は、載置台1によって保持され得る。
【0054】
とりわけ重量のあるパネルが組み立てられる場合に、パネルアセンブリのいかなる危険な落下も防止するために、フレームワークの上面2C上にフェイルセーフ機構8を設けることができる。そのような機構は、
図19および
図20で視認することができる。このフェイルセーフ機構8は、パネルアセンブリ5に固定されている。このフェイルセーフ機構8はレール9上に位置し、パネルアセンブリ5の重心の上方に配置されるようにレールに沿って転動するよう構成されている。そうすることによって、フェイルセーフ機構8は、組立て中のサクションカップのいかなる故障(例えば、真空ポンプがそれ以上サクションカップを介して真空を生成しないなどの)も防止するように設計されているので、パネルアセンブリの落下の(既に低減されている)リスクを制限することができる。
【0055】
あるいは、フェイルセーフ機構8は、建物内で既に利用可能であれば、天井クレーンであってもよい。ただし、クレーンが利用できない場合には、フェイルセーフ機構8はレールを備えた独立した自立機構であってもよい。
【0056】
システムが最悪のシナリオに直面した場合、重量のあるパネルはサクションカップによって固定されず、フェイルセーフ機構8の働きにより、重量のあるパネルアセンブリが落下せずに維持される。実験は、パネルアセンブリの要素がある時点で、とりわけ正の空気圧でカップ内が充填されているとき(真空が失われているため)に、サクションカップによる「把持」がそれ以上行われなくなる可能性があるため、パネル全体が下方に摺動し得ることを実際に示している。
【0057】
好ましくは、このフェイルセーフ機構8との確実な接続は、組立てサイクル中の初期に、すなわちパネルアセンブリの第2の層を組み立てるときに、これがパネルアセンブリが連結されて閉じられる(第1の層は依然として一組の個々の要素である)最も早い時点であることから行われる。実際、第1の層のみが組み立てられる場合、パネルアセンブリの総重量はその段階でも依然として軽いため、故障が起こることがあっても許容可能である。
【0058】
本発明の載置台1は、パネルアセンブリ5の製造を目的としたより大域的なシステムにおける保持手段として使用され得る。このようなシステムは、載置台1に加えて、保持構造3Aの前面側からパネルアセンブリ5の各層を組み立てるように構成された一組のロボットを備える。
【0059】
パネルアセンブリは、以下のステップ、すなわち保持構造3Aの前面に固定されたパネルアセンブリの前面(第1の層50)から始まり、次いでパネルアセンブリの背面を処理し、第2の層から最後の層へと続くステップに従って、層ごとに製造され得る。
【0060】
詳細には、サクションカップ30、流路32、および空気排出口33を介して真空が生成される。この真空は、パネルアセンブリを保持構造3上に固定する必要がある限り、真空ポンプによって常に生成される。保持構造3が一式の真空モジュール3.1、3.2...、3.N...へと分割される場合、真空は常に関連する真空モジュール内でのみ生成される。この第1の層の木質要素が、当該木質要素と接触するサクションカップ30の位置で生成される真空によって固定され得るため、本第1のステップの後、第1の層を保持構造3Aの前面に固定することができる。第1の層のすべての木質要素および断熱要素がサクションカップ30上に配置されるまで、第1の層の各木質要素、およびその各断熱要素にも同様に適用される。
【0061】
次いで、その他の層51、52、53...にも同様のステップが適用される。所与の層の組立てを行うためのステップは、「組立てサイクル」を形成していると考えられ得る。詳細には、ロボットは第2の層の要素を把持し、手に持ち、次いで第1の層の適切な位置にこれを位置決めすることができる。その後、各要素を第1の層に固定することができる。これらの要素が木質要素である場合は、接触する要素を介して嵌め込まれたねじによって、第1の層の木質要素に固定されてもよい。これらの要素が断熱要素である場合は、正確に配置されるだけでよく、その場合、これらの要素は互いに近接する木質要素内に単に「閉じ込められる」。同じサイクルが後続層ごとに繰り返され、それにより、最後の層が固定され、その結果パネルが組み立てられるまで要素が先行層に固定される。
【0062】
当該製造工程中、第1の層50は、パネルアセンブリ5全体が保持構造3に対して少なくとも部分的に垂直に維持される層であった。サクションカップ30およびスペーサ31は、パネルアセンブリ5全体が第1の層50の高さに確実に維持されるようにするよう適合されていた。したがって、ロボットはパネルアセンブリの背面側で動作することができる。
【0063】
最後に、パネルアセンブリ5が完成した後、保管および輸送のためにパネルアセンブリ5を離脱させることができる。この離脱は、保持構造3内の真空を抑えることによって簡単に行うことができる。パネルは、ほぼ垂直な配向、または好ましくは垂直な配向で組み立てられているので、反転させる必要はない。
【0064】
パネルアセンブリの組立てサイクル中に捕集された可能性のある、発生し得るいかなるダスト粒子も排出するように構成されたセルフクリーニング機構(図示せず)を載置台1に設けることにより、当該工程が改善され得る。この機構は、真空を生成するために空気を連続的に取り込むように構成されているため、空気およびダスト粒子を排出することができる。詳細には、この機構は、組立工程にわたって使用することができる、3つの空気状態の間で切り替わるように操作される電気制御バルブを含む。第1の状態は「オフ」であり、空気が循環していないことを意味する。第2の状態は「真空」であり、パネルを固定するために真空が生成されていることを意味する。第3の状態は「排出」であり、パネルアセンブリ5の固定に使用することができないすべてのサクションカップを使用して、ダスト粒子が排出され得ることを意味する。これら3つの状態間の切替えは、パネルアセンブリを固定し、パネルアセンブリ内にダスト粒子が貯留することを回避するために、各組立てサイクルにわたって真空モジュールレベルで行うことができる。
【国際調査報告】