(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】PECVDのためのワークホルダ、システム及び動作方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/458 20060101AFI20230926BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20230926BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20230926BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230926BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230926BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
C23C16/458
H05B3/20 309
C23C16/505
H01L21/205
H01L21/31 C
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516663
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 DE2021100758
(87)【国際公開番号】W WO2022057977
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】102020124022.8
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519090826
【氏名又は名称】セントロサーム インターナショナル アーゲー
【氏名又は名称原語表記】centrotherm international AG
【住所又は居所原語表記】Wuerttemberger Str.31, 89143 Blaubeuren, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】フックス・イェンス=ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】トレーラー・ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】ライツェ・ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ライヒトル・ローランド
【テーマコード(参考)】
3K034
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA03
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3K034HA08
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5F045AA08
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5F131EC17
(57)【要約】
本発明は、プラズマ強化化学気相堆積システム(50)のためのワークホルダ(1)、この種のシステム(50)、及びこの種のシステム(50)の動作方法(100)に関する。ワークホルダ(1)は、ワークホルダ(1)を囲むプロセスガスからプラズマを生成するように設計される。本発明によると、ワークホルダ(1)は、ワークホルダ(1)の周囲を、気相堆積を想定したプロセス温度まで加熱するようにも設計される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ強化化学気相堆積のシステム(50)のためのワークホルダ(1)であって、該ワークホルダ(1)は該ワークホルダ(1)を囲むプロセスガスからプラズマを発生させるように構成され、
前記ワークホルダ(1)の周囲を気相堆積用のプロセス温度まで加熱するように構成されたワークホルダ(1)。
【請求項2】
加熱電流を通電するように構成された請求項1に記載のワークホルダ(1)。
【請求項3】
交流電流を複数の回路(12)に通電するように構成された請求項1又は2に記載のワークホルダ(1)。
【請求項4】
平行に配置され、電気加熱抵抗として使用される複数の電極(2a、2b)を備える請求項1から3のいずれか一項に記載のワークホルダ(1)。
【請求項5】
前記複数の電極(2a、2b)の少なくとも一部が、電気的に直列接続された、請求項4に記載のワークホルダ(1)。
【請求項6】
前記複数の電極(2a、2b)のうちの隣接するもの同士が、相互に電気的に絶縁された、請求項4又は5に記載のワークホルダ(1)。
【請求項7】
前記ワークホルダ(1)の第1の端部(1a)に配置された第1の配電器アセンブリ(3a)及び前記ワークホルダ(1)の前記第1の端部(1a)の反対側の第2の端部(1b)に配置された第2の配電器アセンブリ(3b)であって、低周波AC電圧及び高周波AC電圧を配電して前記ワークホルダ(1)の周囲を加熱し又はプラズマを発生させるように構成された第1の配電器アセンブリ(3a)及び第2の配電器アセンブリ(3b)を備える請求項1から6のいずれか一項に記載のワークホルダ(1)。
【請求項8】
前記2つの配電器アセンブリ(3a、3b)の少なくとも一方が、平行に配置された複数の電極(2a、2b)の少なくとも一部を相互に導電的に接続する、請求項7に記載のワークホルダ(1)。
【請求項9】
前記ワークホルダ(1)に電気的に接触するための少なくとも4個の空間的に分離した接点(4)を有する電源接続部を備える請求項1から8のいずれか一項に記載のワークホルダ(1)。
【請求項10】
前記接点(4)は、コンタクトピンを受容するための円錐状のボアホール(11)を有する、請求項9に記載のワークホルダ(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のワークホルダ(1)と、該ワークホルダを受容するための、少なくとも1つのプロセスガスが充填可能なプロセスチャンバと、を有するプラズマ強化化学気相堆積のシステム(50)。
【請求項12】
最初に前記ワークホルダ(1)を加熱ユニットとして動作させて前記ワークホルダ(1)の周囲を気相堆積用のプロセス温度まで加熱し、その後にプラズマユニットとして前記ワークホルダ(1)を囲むプロセスガスからプラズマを発生させるように構成された切換装置(51)を備える請求項11に記載のシステム(50)。
【請求項13】
前記ワークホルダ(1)をプラズマユニットとして動作させるために高周波AC電圧を供給するためのプラズマ電圧源(53)と、
前記ワークホルダ(1)を加熱ユニットとして動作させるために低周波AC電圧を供給するための少なくとも1つの加熱電圧源(54)と、
を備え、
前記切換装置(51)は、前記ワークホルダ(1)の周囲を前記プロセス温度まで加熱した後、前記少なくとも1つの加熱電圧源(54)を前記ワークホルダ(1)から切り離すとともに前記プラズマ電圧源(53)を前記ワークホルダ(1)に接続するように構成された、請求項12に記載のシステム(50)。
【請求項14】
前記切換装置(51)は、前記ワークホルダ(1)を、
プラズマユニットとしての動作時には単一の回路に、及び
加熱ユニットとしての動作時には少なくとも2つの並列回路(12)に、
統合するように構成された、請求項11又は12に記載のシステム(50)。
【請求項15】
プラズマ強化化学気相堆積のシステム(50)の動作方法(100)であって、
ワークホルダ(1)が、最初に加熱ユニットとして前記ワークホルダ(1)の周囲を気相堆積用のプロセス温度まで加熱し(S1)、その後にプラズマユニットとして前記ワークホルダ(1)を囲むプロセスガスからプラズマを発生させる(S3)ように動作する、動作方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ強化化学気相堆積のシステムのためのワークホルダ、プラズマ強化化学気相堆積のシステム、及びプラズマ強化化学気相堆積のシステムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板をコーティングする化学気相堆積(CVD)の方法が知られている。堆積される物質を含有する少なくとも1つのガスが供給される。その物質は、例えば、温度によって推進可能な化学反応を実行することによって基板上に堆積される。化学気相堆積を用いて、例えば、微細電子部品又は光ファイバが製造可能となる。
【0003】
堆積速度は、ガスからプラズマを励起させることによってさらに上昇し得る。さらに、堆積反応は、このように、より低温においても既に効果的に推進可能とされている。この化学気相堆積の変形を、通常はプラズマ強化化学気相堆積(plasma-enhanced chemical vapor deposition;PECVD)という。
【0004】
必要なプロセス温度に到達するために、基板、例えば、半導体ウエハを保持するためのワークホルダが、通常は、加熱可能な壁を有する反応チャンバに挿入される。この反応チャンバを、ホットウォール反応器ともいうことがある。加熱は、通常は、プロセスチャンバ壁上又は壁内に設置された抵抗加熱要素によって行われる。記載されるタイプのワークホルダは、多くの場合、ボートといわれる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、プラズマ強化化学気相堆積をさらに向上させ、特にその効率を高めることである。
【0006】
この課題は、独立請求項に係るプラズマ強化化学気相堆積のシステムのためのワークホルダ、そのワークホルダを有するプラズマ強化化学気相堆積のシステム、及びプラズマ強化化学気相堆積のシステムの動作方法によって達成される。
【0007】
有利な改良は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0008】
プラズマ強化化学気相堆積のシステムのための本発明の第1の態様に係るワークホルダは、ワークホルダを囲むプロセスガスからプラズマを発生させるように構成される。本発明によると、ワークホルダはまた、ワークホルダの周囲を気相堆積用のプロセス温度まで加熱するように構成される。
【0009】
本発明の一態様は、好ましくは排他的に、ワークホルダによって気相から少なくとも1つの物質を堆積させるために所与のプロセス温度を設定するアプローチに基づく。ワークホルダは、ここではワークホルダの周囲、例えば、ワークホルダを囲むプロセスガス及び/又はワークホルダに保持されたワークをプロセス温度まで加熱するように適宜構成される。ワークホルダは、特に、複数の加熱抵抗の形態の加熱要素を有し、したがって加熱ユニットとして動作するように構成され得る。したがって、例えば、例えば加熱要素又は加熱カートリッジの形態の、PECVD設備のプロセスチャンバに対してプロセスチャンバの領域に配置された別個の加熱システムは、省略され得る。したがって、PECVD設備は、より簡素に設計され、例えば、よりコスト効率良く製造され得る。
【0010】
さらに、設置空間が節約可能となり、結果として、PECVD設備は、プロセスチャンバ内の加熱ユニットとしてのワークホルダの動作のために、より小さく設計可能となる。結果として、加熱される体積及び加熱される質量が減少し得る。これにより、同じ加熱電力でプロセス温度に達するまでに要する時間を短縮することができる。したがって、対応するPECVD設備のスループットも、同様に増加し得る。
【0011】
ワークホルダは、好ましくは、ここではその周囲を加熱することに加えて、ワークホルダを囲むプロセスガスからプラズマを発生させるようにも構成される。本発明の意味の範囲内でプロセスガスの概念は、種々のプロセスガスの混合物としても理解されるべきである。記載される目的のため、ワークホルダは、例えば、高周波AC電圧が印加され得る平行に配置された複数の電極の形態の電極アセンブリを有し得る。プラズマ発生のために、電極の極性は、1kHz以上の周波数で、例えば約40kHzで反転され得る。ワークホルダは、特に好ましくは、電極アセンブリを用いて、すなわち、複数の電極を用いてその周囲を加熱するように構成される。
【0012】
したがって、ワークホルダは、有利には、1つの構成要素のみを用いて、すなわち、例えば、電極アセンブリを用いてプラズマを発生させるとともにその周囲を加熱するように構成可能である。これにより、ワークホルダの構成要素又はアセンブリの特に効率的な使用が可能となる。
【0013】
例えば、ワークホルダは、好ましくはワークホルダへの高周波AC電圧の印加に応じて、第1の動作モードでは、プロセスガスからプラズマを発生させるように構成され得る。高周波AC電圧は、特に、この目的のために複数の電極に印加され得る。さらに、ワークホルダは、好ましくはワークホルダへの低周波AC電圧の印加に応じて、第2の動作モードでは、その周囲をプロセス温度まで加熱するように構成され得る。この場合、複数の電極の極性は、1kHz未満、例えば、50Hzで反転され得る。
【0014】
本発明の好適な実施形態及びその改良が以下に記載され、これが明示的に除外されない限り、相互にかつ以下に記載される本発明の態様で各々所望の通りに組み合わされ得る。
【0015】
好適な一実施形態では、ワークホルダ、特に電極アセンブリは、加熱電流を通電するように構成される。加熱電流は、この場合、好ましくは、1kHz未満の周波数、例えば50Hzの交流電流である。好適な態様では、加熱電流は、90A以上、例えば120Aの有効アンペア数を有する。ワークホルダは、この目的のために少なくとも1つの加熱回路を適宜備える。加熱回路は、例えば、電極アセンブリの少なくとも一部を備えていてもよく、すなわち、電極アセンブリの少なくとも一部により少なくとも部分的に構成され得る。特に、少なくとも1つの加熱回路は、電極アセンブリの電極からの電極群を含み得る。したがって、ワークホルダの周囲の加熱が、正確に制御可能となる。
【0016】
例えば、ワークホルダの電極アセンブリは、ワークホルダへの145V(有効電圧)の低周波AC電圧の印加に応じて、交流電流が電極アセンブリを加熱電流として流れるように、設計され得る。特に、電極アセンブリの複数の電極は、低周波AC電圧を印加することによって、同時にプラズマが点火されずに電極の加熱が行われるように、相互接続され得る。したがって、電極アセンブリは、プラズマ発生のための従来の態様で使用されるだけでなく、プロセス温度に達するために使用され得る。したがって、電極アセンブリは、特に効率的に使用され、ワークホルダは特に少ない構成要素で、結果としてコスト効率良く実装され得る。
【0017】
これに対して、従来のワークホルダは、加熱電流を通電するのには適さない。電極アセンブリを流れる低周波交流電流は、例えば、電極が単にリアクタンスとして作用し得るので、電極の加熱をもたらすことはない。
【0018】
さらに好適な実施形態では、ワークホルダは、交流電流を複数の回路に、特に並列に通電するように構成される。言い換えると、ワークホルダは、複数の、すなわち、少なくとも2つの回路を有する。回路は、適宜相互に分離されている。回路の各々は、ここでは独立して作動可能な加熱回路を構成し得る。したがって、これらの回路を加熱回路ということもできる。回路は、好ましくは、電極アセンブリの少なくとも一部によって、好ましくは異なる電極群によって少なくとも部分的に構成される。回路は、ワークホルダを電源に、例えば、PECVD設備のコンタクトピンの形態の対応のプラグ構成に接続するために接続可能なものとして適宜設計される。複数の回路への交流電流の導通に起因して、プロセス温度に達するのに必要な電圧又は電流は小さく維持され得る。動作安全性のレベルを高めることに加えて、ワークホルダの運用寿命も結果として延長され得る。同時に、ワークホルダの周囲の均質な加熱が結果として達成可能となる。
【0019】
さらに好適な実施形態では、ワークホルダは、電気加熱抵抗として使用される平行に配置された複数の電極を有する。言い換えると、電極アセンブリの電極は、加熱要素として指定された加熱抵抗も構成し得る。電極は、ここでは加熱電圧源に接続されるように適宜設計され、電極に所与の低周波交流電流を配電するように構成され得る。したがって、電極は、例えばワークホルダの種々の動作モードにおいて、プラズマを発生させること及びワークを加熱することの双方に使用可能である。
【0020】
電極は、好ましくは、プレート形状に形成される。したがって、特に、均一な及び/又は大面積の熱生成が達成され得る。
【0021】
さらに好適な実施形態では、複数の電極の少なくとも一部は、電気的に直列接続される。したがって、効果的な熱生成に必要な電気的(全体的)抵抗が、より容易に達成可能となる。
【0022】
電極は、群として直列接続され得る。言い換えると、複数の電極群が設けられてもよく、1つの群の全ての電極は直列接続される。好ましくは、群の各々は、相互に分離したワークホルダの複数の加熱回路の少なくとも1つを構成する。したがって、電極は、例えば、異なる群の電極間に高周波AC電圧を印加することによって、少なくとも部分的な直列接続にもかかわらず、プラズマを発生させるのに使用可能となる。
【0023】
1つの群の電極は、好ましくは、相互に空間的に分離して配置される。1つの群の電極は、特に好ましくは、他の群の電極によって相互に分離される。言い換えると、一方の群の1つの電極は、好ましくは他方の群の電極に隣接して配置され、それは、特に好ましくは、他方の群の電極に排他的に隣接して配置される。
【0024】
さらに好適な実施形態では、複数の電極のうちの隣接するもの同士は、相互に電気的に絶縁されている。言い換えると、複数の電極のうちの隣接するもの同士の間に電気的接続は存在しない。したがって、隣接する電極は、異なる電位に設定され得る。特に、高周波AC電圧が、プラズマが生成されるように、隣接する電極に印加され得る。
【0025】
さらに好適な実施形態では、ワークホルダは、ワークホルダの第1の端部に配置された第1の配電器アセンブリと、ワークホルダの第1の端部とは逆の第2の端部に配置された第2の配電器アセンブリとを有する。配電器アセンブリは、好ましくは、ワークホルダを加熱するため又はプラズマを発生させるための低周波AC電圧及び高周波AC電圧を配電するように構成される。AC電圧の配電は、好ましくは、この場合、複数の並列加熱回路に対する、ワークホルダに供給されるAC電圧の導電である。この目的のため、配電器アセンブリは、例えば、電極の対応する相互接続部を備え得る。ワークホルダは、例えば、配電器アセンブリによって標準化された電源に容易に接続され得る。特に、そのような配電器アセンブリを有するワークホルダは、必要であれば従来的に、すなわち、ワークホルダによるワークの加熱なしに用いられてもよい。
【0026】
さらに好適な実施形態では、2つの配電器アセンブリの少なくとも一方は、平行に配置された複数の電極の少なくとも一部を導電的に接続する。特に、2つの配電器アセンブリの少なくとも一方は、少なくとも1つの直列回路の形態で電極の少なくとも一部を接続し得る。これは、電流源及び/又は電圧源へのワークホルダの接続を容易化する。
【0027】
さらに好適な実施形態では、ワークホルダは、電源接続部を有する。電源接続部は、好ましくは、ワークホルダに電気的に接触するための少なくとも4個の接点を備える。接点は、好ましくは、相互に空間的に分離され、例えば、ワークホルダの幅及び/又は高さにわたって分散される。接点は、ここではAC電圧源のポールに対で接続可能なものとして各々設計される。したがって、ワークホルダの少なくとも2つの加熱回路は、相互に独立して確実かつ安全に給電可能である。
【0028】
電源接続部は、好ましくは、ワークホルダの第1の端部に配置される。電源接続部は、適宜、第1の配電器アセンブリの一部とされる。特に、電源接続部は、第1の配電器アセンブリによって構成され得る。ワークホルダの第1の端部における電源接続部の配置によって、ワークホルダは、例えば、PECVD設備のプロセスチャンバへのワークホルダの挿入に応じて、特に容易に1以上の回路に組込み可能となる。
【0029】
さらに好適な実施形態では、接点は、コンタクトピンを受容するための円錐状のボアホールを有する。電流ランスともいうコンタクトピンは、例えば、PECVD設備の一部であってもよく、ワークホルダをPECVD設備に電気的に接続するために設けられ得る。ピンは、ここでは円錐形状によってボアホール内に容易にスライドすることができ、結果としてそれぞれ所与の位置に案内可能となる。これは、特に、PECVD設備のプロセスチャンバ内への挿入に対してワークホルダが幾らかの遊びを有し、ピンとの関係でワークホルダの正確なアライメントが常に確保可能でない場合に有利である。
【0030】
プラズマ強化化学気相堆積のための本発明の第2の態様に係るシステムは、本発明の第1の態様に係るワークホルダを有する。システムは、好ましくは、プロセスガスが充填可能であり、それによってワークホルダが受容可能なプロセスチャンバをさらに備える。またさらに、システムは、好ましくは、ワークホルダの電流又は電圧供給のための少なくとも1つの電流源及び/又は電圧源を備える。システムは、特に好ましくは、ここではワークホルダを用いてプロセスチャンバを加熱するように構成される。この目的のため、システムは、加熱ユニットとしてプロセスチャンバに受容されるワークホルダを動作させるように構成され得る。このシステムは、特に、別個の加熱システムが設けられなくてもよいので、特にコンパクトにかつエネルギー効率良く設計され得る。
【0031】
好適な一実施形態では、システムは切換装置を有し、切換装置はワークホルダを、まず、ワークホルダによって保持される少なくとも1つのワークを気相堆積用のプロセス温度まで加熱するように加熱ユニットとして動作させ、その後にワークホルダを囲むプロセスガスからプラズマを発生させるようにプラズマユニットとして動作させるように構成される。切換装置は、各々が少なくとも1つのスイッチで構成される2つのスイッチアセンブリを適宜備える。プラズマユニットとしてのワークホルダの動作では、2つのスイッチアセンブリのうちの第1のスイッチアセンブリの少なくとも1つのスイッチが好ましくは閉成され、2つのスイッチアセンブリのうちの第2のスイッチアセンブリの少なくとも1つのスイッチが開放される。これにより、加熱ユニットとしてのワークホルダの動作では、第1のスイッチアセンブリの少なくとも1つのスイッチが好ましくは開放され、第2のスイッチアセンブリの少なくとも1つのスイッチが閉成される。
【0032】
さらに好適な実施形態では、システムは(i)ワークホルダをプラズマユニットとして動作させるために高周波AC電圧を供給するためのプラズマ電圧源、及び(ii)ワークホルダを加熱ユニットとして動作させるために低周波AC電圧を供給するための少なくとも1つの加熱電圧源を有する。切換装置は、好ましくはここでは、ワークをプロセス温度まで加熱した後に、ワークホルダから加熱電圧源を切り離すとともにプラズマ電圧源をワークホルダに接続するように構成される。
【0033】
切換装置は、好ましくは、この目的のために制御ユニットを有する。制御ユニットは、例えば、2つのスイッチアセンブリ、特にスイッチアセンブリのスイッチを開閉するように構成され得る。制御ユニットは、特に、切換信号の存在に応じて、スイッチアセンブリの適切な作動によって、加熱電圧源をワークホルダから切り離すとともにプラズマ電圧源をワークホルダに接続するように構成され得る。切換信号は、例えば、ユーザによって生成されてユーザインターフェースを介して供給された切換信号であり得る。代替的又は追加的に、切換信号は、例えば、ワークホルダ又はその周辺の温度がプロセス温度に達し又はそれを超えた場合に、制御ユニットによって生成されてもよい。この目的のため、制御ユニットは、ワークホルダ温度又は周囲温度を特定し又は少なくとも推定するように構成された温度センサに接続され得る。
【0034】
さらに好適な実施形態では、切換装置は、ワークホルダを(i)プラズマユニットとしての動作時にプラズマ回路に、及び(ii)加熱ユニットとしての動作時に少なくとも1つの加熱回路に統合するように構成される。この目的のため、スイッチアセンブリは、好ましくは、プラズマ電圧源の第1のポールを、加熱ユニットとしてのワークホルダの動作時に少なくとも1つの加熱回路の一部である電極に接続するように構成される。スイッチアセンブリは、好ましくはさらに、プラズマ電圧源の第2のポールを、第1の加熱回路の一部ではなく第2の別個の加熱回路の好ましくは一部である電極に接続するように構成される。したがって、電極は、2つの異なる電位とされ得る。
【0035】
プラズマ強化化学気相堆積のシステムのための本発明の第3の態様に係る動作方法では、ワークホルダは、最初に、ワークホルダによって保持される少なくとも1つのワークを気相堆積用のプロセス温度まで加熱する加熱ユニットとして動作し、その後、ワークホルダを囲むプロセスガスからプラズマを発生させるプラズマユニットとして動作する。特に、本発明の第2の態様に係るシステムは、この動作方法を用いて有利に動作し得る。
【0036】
加熱ユニットとしての動作時に、1kHz未満の、例えば145V(有効電圧)の低周波AC電圧が、好ましくはワークホルダに印加され、それにより、90A以上の、特に約120Aの有効アンペア数の交流電流が流れる。プラズマユニットとしての動作時に、1kHz以上、特に約40kHzの、例えば800V~1000V(有効電圧)の高周波AC電圧が、好ましくはワークホルダに印加され、それにより、90A未満の、特に約75Aの有効アンペア数の交流電流が流れる。
【0037】
以下に、図面に基づいて本発明をより詳細に説明する。適切な場合、ここでは、同一に作用する要素には同一の符号が与えられる。本発明は、図面に示す例示実施形態に、機能的特徴に関しても、限定されない。上記の説明及び図面の以下の説明は、複合的に組み合わせられる従属請求項に再現されることがある多数の特徴を含む。これらの特徴並びに上記及び図面の以下の説明に開示した他の全ての特徴は、当業者によって個々にも検討され、かつ合理的な更なる組合せを構成するように組み合せられるものである。特に、上記全ての特徴の各々は、個々に、並びに本発明の第1の態様に係るワークホルダ、本発明の第2の態様に係るシステム、及び本発明の第3の態様に係る動作方法との任意の適切な組合せにおいて組合せ可能である。
【0038】
図面では、それらは少なくとも部分的に模式的である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、プラズマ強化化学気相堆積のシステムのためのワークホルダの例を示す。
【
図3】
図3は、ワークホルダの2つの回路の例を示す。
【
図4】
図4は、プラズマ強化化学気相堆積のシステムの例を示す。
【
図5】
図5は、プラズマ強化化学気相堆積のシステムの動作方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)のシステムのためのワークホルダ1の例を示し、それはワークホルダを囲むプロセスガスからプラズマを発生させ、ワークホルダ1の周囲を気相堆積用のプロセス温度まで加熱するように構成される。
【0041】
ワークホルダ1は、好ましくは電極アセンブリ2を有し、それを用いてプラズマが発生可能となり、ワークホルダ1の周囲が加熱可能となる。したがって、ワークホルダ1の1つの構成要素が2つの機能を担うので、対応する構成要素又はアセンブリがPECVD設備において省略可能となり、したがって設備がコンパクトにかつコスト効率良く実施可能となる。
【0042】
電極アセンブリ2は、好ましくは複数の電極2a、2bを備え、明瞭化の理由のために、この2つのみに符号が付されている。電極2a、2bは、図示する例では、相互に平行にかつ長手方向Lに沿って配置される。ワークホルダ1が加熱ユニットとして動作してワークホルダ1の周囲をプロセス温度まで加熱する第1の動作モードでは、電極2a、2bは、電気加熱抵抗として使用され得る。ワークホルダ1がプラズマユニットとして動作してプロセスガスからプラズマを発生させる第2の動作モードでは、電極2a、2bは、電界、特に高周波AC電界を生成するのに使用され得る。
【0043】
ワークホルダ1の電極アセンブリ2は、好ましくは、第1の配電器アセンブリ3aを介して電流源及び/又は電圧源に接続されるように構成される。第1の配電器アセンブリ3aは、例えば、ワークホルダ1に電気的に接触するための少なくとも4個、本例では6個の接点4を適宜有する電源接続部を備え得る。接点4は、例えば、PECVD設備のプロセスチャンバへのワークホルダ1の挿入に応じて、プロセスチャンバの後部壁に配置された電流ランスとも呼ばれるコンタクトピンに当接され得る。明瞭化の理由のため、接点4の1つのみに符号が付されている。
【0044】
電極アセンブリ2において接点4を介して供給される電流又は電圧の、電極2a、2bへの配電は、第2の配電器アセンブリ3bを用いて適宜実施される。この目的のため、第1の配電器アセンブリ3aはワークホルダ1の第1の端部1aに配置され、第2の配電器アセンブリ3bはワークホルダ1の第2の端部1bに配置され得る。第2の端部1bは、長手方向Lにおいて第1の端部1aの反対側にある。そして、これは、配電器アセンブリ3a、3bにも同様に当てはまる。このような配電器アセンブリ3a、3bの配置は、より詳細に
図3に関連して説明するように、隣接する電極が相互に電気的に絶縁されるとともに同時に電極2a、2bの少なくとも一部、特に電極2a、2bの少なくとも2つの群が直列接続されるように、電極アセンブリ2の相互接続を可能とする。
【0045】
特に、電極2a、2bは、ワークホルダ1の全ての電極2a、2bが低周波交流電流を通電するための1以上の加熱回路に統合可能となるように、配電器アセンブリ3a、3bによって電気的に相互接続され得る。同時に、電極2a、2bはまた、ワークホルダ1の全ての電極2a、2bが高周波交流電流を通電するためのプラズマ回路に統合可能となるように、配電器アセンブリ3a、3bによって電気的に相互接続され得る。
【0046】
PECVD設備のプロセスチャンバ内へのワークホルダ1の挿入のために、ワークホルダ1は、好ましくは、例えば、プロセスチャンバ内の対応するローラ上を走行可能な、長手方向Lに整列された2本の走行レール5を有する。本例では、走行レール5は、重量を節減するように管として形成される。電極アセンブリ2は、ここでは走行レール5の足部6によって支持され、電極2a、2bから電気的に絶縁され、走行レール5上に固定される。本例では、足部6は走行レール5に対して締め付けによって固定され、それは走行レール5の交換を容易化し得る。
【0047】
図2は、
図1によるワークホルダ1の第1の端部1aを示す。第1の配電器アセンブリ3aによる電極アセンブリ2の電極2a、2bの相互接続は、ここで認識可能となる。
【0048】
第1の配電器アセンブリ3aは、図示する例では、
図1に示す長手方向に横断して、すなわち好ましくはワークホルダ1の、特に電極アセンブリ2の幅全体にわたって、2つの段8a、8bに延在する複数の導電性の導電要素7を有する。明瞭化の理由のため、導電要素7の幾つかのみに符号が付されている。
【0049】
図示する例では、上段8aからの第1群の導電要素7の電極2aが接触され、一方で下段8bからの第2群の導電要素7の電極2bが接触される。第1群の電極2a及び第2群の電極2bは、ここでは長手方向に横断して交互に配置される(
図1参照)。すなわち、第1群の1つの電極2aは常に第2群の電極2bに隣接して配置され、その逆も同様である。言い換えると、第1群の電極2aは、端の電極を除いて、常に第2群の2つの電極2bの間に配置され、その逆も同様である。したがって、各種回路がワークホルダ内に構成されることになり、電極2a、2bは、回路の給電又は印加電圧に応じて、プラズマを発生させるため及びワークホルダを加熱するための双方のために使用可能となる。
【0050】
電気的絶縁要素9が、回路の短絡を回避するように一部の導電要素7の間に配置される。明瞭化の理由のため、絶縁要素9の幾つかのみに符号が付されている。
【0051】
導電要素7は、例えば、グラファイトブロックとして形成され得る。絶縁要素9は、例えば、セラミックプレートとして形成され得る。導電要素7及び絶縁要素9の各々は、第1の配電器アセンブリ3aを固定するために、好ましくは絶縁材料から製造された少なくとも1つの固定手段10によって貫通される通路の形態の少なくとも1つの固定用ボアホール(不図示)を適宜有する。固定手段10は、例えば、ネジ又はネジ状ロッドとして設計され、
図2に例示するように、1以上のナットを用いて固定可能となる。
【0052】
好ましくはワークホルダ1の第1の端部1aに配置された、電源接続部の接点4も、
図2に視認可能とされている。接点4は、特に、第1の配電器アセンブリ3aの導電要素7に設けられてもよい。接点4は、好ましくは、例えば、プロセスチャンバ内のコンタクトピンが係合可能な円錐状のボアホール11を有する。特に、接点4は、第1の配電器アセンブリ3aの導電要素7における円錐状のボアホール11として形成され得る。明瞭化の理由のため、ここでは全ての接点4及びボアホール11に符号が付されているわけではない。
【0053】
図2においては視認可能ではない、ワークホルダの第2の端部における第2の配電器アセンブリは、好ましくは、第1の配電器アセンブリ3aに対応して構成される。第2の配電器アセンブリも、導電要素7及び絶縁要素9を適宜有し、それらは平行に延在する列に配置される。導電要素7及び絶縁要素9は、ここでは特に、以下に
図3に記載される回路を構成するように配置され得る。
【0054】
図3は、ワークホルダの2つの回路12の例を示す。ワークホルダは、複数の電極2a、2bを有する電極アセンブリ2、並びにワークホルダの第1の端部1a及び第1の端部と反対側の第2の端部1b(
図1参照)に配置された2つの配電器アセンブリ3a、3bを有する。両回路12は、この場合、少なくともワークホルダの第1群の電極2a及び配電器アセンブリ3a、3bから構成される。第1群の電極2aは、ここでは第1及び第2の配電器アセンブリ3a、3bの導電要素7を介して電気的に直列接続される。
【0055】
回路12の各々は、第1の配電器アセンブリ3aの電源接続部のある接点4から電源接続部の他の接点4に延在する。ここに示す例では、回路12の各々は外側接点4から中央接点4まで延在し、両回路12はここでは中央接点4を共有する。ワークホルダは、接点4を介して少なくとも1つの電流源及び/又は電圧源に接続可能である。
【0056】
第1群の電極2aは、好ましくは、第1の配電器アセンブリ3aの導電要素7及び第2の配電器アセンブリ3bの導電要素7によって各々接触される。第1群の電極2aに接する第1及び第2の配電器アセンブリ3a、3bの導電要素7は、ここでは2列の上段8aに配置される(
図2参照)。したがって、接点4に供給される電流は、ワークホルダを、特に電極アセンブリ2を蛇行して流れる。言い換えると、供給される電流は、ワークホルダの第1の端部1aと第2の端部1bの間で回路12の各々において往復して流れる。
【0057】
第2群の電極2bは、好ましくは、第1及び第2の配電器アセンブリ3a、3bの導電要素(不図示)を介して第1群の電極2aに同様に、すなわち電気的に直列に相互接続される。第2群の電極2bに接する導電要素はここでは下段に配置され得るので(
図2参照)、第1群及び第2群は、相互に独立して電気的に接触され得る。第2群の電極2bは、好ましくは、2つの配電器アセンブリ3a、3bとともに2つの更なる回路(不図示)を構成する。加熱電圧源、例えば低周波AC電圧を供給するためのAC電圧源の接続に応じて、合計4個の回路における電極2a、2bが、加熱抵抗として使用され得る。したがって、回路12も加熱回路ということができる。
【0058】
図3に示すように、第1群の電極2a及び第2群の2bは、図示される上面図において、相互に隣接して交互に配置される。第1群の電極2a及び第2群の電極2bが高周波で異なる電位とされると、高周波電界及び結果としてワークホルダを囲むプロセスガスが、電極2a、2b間に発生可能となる。この目的のため、例えば、高周波AC電圧が、上段9aからの第1の配電器アセンブリ3aの導電要素7に設けられた接点4と、下段からの第1の配電器アセンブリの導電要素に設けられた接点との間に印加され得る。複数の(加熱)回路12は、この接触によってプラズマ回路の一部となり得る。
【0059】
図4は、プラズマ強化化学気相堆積のシステム50の例を示す。システム50は、複数のスイッチアセンブリ52a、52b、高周波AC電圧を供給するためのプラズマ電圧源53及び低周波AC電圧を供給するための少なくとも1つの加熱電圧源54を有する切換装置51と、ワークホルダ1とを有する。ワークホルダ1は、好ましくは、ワークホルダ1を囲むプロセスガスからプラズマを発生させるように及びワークホルダ1の周囲を気相堆積用のプロセス温度まで加熱するように構成される。システム50はまた、この目的のため、ワークホルダ1を受容するためのプロセスチャンバ、プロセスガスをプロセスチャンバ内に導入するためのガス供給システム、及びプロセスチャンバ内に真空を生成するためのガス排気システムを適宜有する。これらの上記構成要素は、明瞭化の理由のため、
図4には図示されていない。
【0060】
システム50は、好ましくは、ワークホルダ1がプロセスチャンバ内に受容されると、電気的接続がプラズマ電圧源53又は少なくとも1つの加熱電圧源54とワークホルダ1との間に、好ましくは切換装置51を介して確立されるように設計される。ワークホルダ1は、この目的のため、例えば、プロセスチャンバ内に配置されたコンタクトピンによって接触可能な複数の接点4を有する電源接続部を有し得る。明瞭化の理由のため、接点4の1つのみに符号が付されている。
【0061】
切換装置51は、好ましくは、例えば第1のスイッチアセンブリ52aを閉成することによって、少なくとも1つの電流源54をプロセスチャンバに受容されるワークホルダ1に最初に電気的に接続するように構成される。切換装置51は、特に、この電気的接続を確立することによって、ワークホルダ1を、低周波交流電流を通電するための少なくとも1つの加熱回路に統合するように構成され得る。
【0062】
切換装置51は、例えば、第1のスイッチアセンブリ52aの閉成に応じて(i)低周波交流電流が、プロセスチャンバに受容されたワークホルダ1の電極アセンブリの第1群の電極2aを通じて少なくとも1つの加熱電圧源54の2つのポール54a、54b間に流れ、(ii)低周波交流電流が、電極アセンブリの第2群の電極2bを通じて少なくとも1つの加熱電圧源54の2つの更なるポール54c、54d間に流れるように、設計され得る。
図4からよく分かるように、1つの群の電極2a、2bの各々は、電気的に直列接続される。この場合、4個の加熱回路が、例に示す相互接続を用いて、2つのポール54a及び54cが設けられることによって実装される。
【0063】
第1のスイッチアセンブリ52aが閉成された場合に電極2a、2bが加熱抵抗として作用し得るので、したがってワークホルダ1は加熱ユニットとして第1の動作モードで動作可能となる。
【0064】
切換装置51は、好ましくはさらに、例えば第1のスイッチアセンブリ52aを開放するとともに第2のスイッチアセンブリ52bを閉成することによって、プロセスチャンバに受容されたワークホルダ1から加熱電流電圧源54を切り離し、代わりにワークホルダ1にプラズマ電圧源53を電気的に接続するように構成される。切換装置51は、特に、この電気的接続を確立することによってワークホルダ1を、高周波交流電流を通電するためのプラズマ回路に統合するように構成され得る。
【0065】
切換装置51は、例えば、第2のスイッチアセンブリ52bの閉成に応じて、高周波AC電圧が第1群の電極2aと第2群の電極2bとの間に印加されるように設計され得る。この目的のため、切換装置51は、特に、第2のスイッチアセンブリ52bの閉成に応じて、プラズマ電圧源53の第1のポール53aが第1群の電極2aに接続可能となり、第2のポール53bが第2群の電極2bに接続可能となるように設計され得る。
【0066】
第1群の電極2a及び第2群の電極2bは、
図4に示すように交互に配置され、したがって、第2のスイッチアセンブリ52bが閉成されるとプラズマを発生させるように高周波電界を生成可能となるため、したがってワークホルダ1が第2の動作モードでプラズマユニットとして動作可能となる。
【0067】
図5は、プラズマ強化化学気相堆積のシステムの動作方法100の例を示す。
【0068】
方法ステップS1において、システムのワークホルダは、最初に、ワークホルダの周囲を気相堆積用のプロセス温度まで加熱する加熱ユニットとして加熱される。この目的のため、例えば、切換装置の第1のスイッチアセンブリは、低周波AC電圧を供給するための少なくとも1つの加熱電圧源をワークホルダに電気的に接続するために閉成され得る。したがって、特に、ワークホルダが少なくとも1つの加熱回路に統合可能となるので、低周波交流電流が、ワークホルダの電極アセンブリの、各回路に直列接続された複数の電極に加熱電流として流れる。
【0069】
更なる方法ステップS2において、ワークホルダ又はその周囲の温度が所定のプロセス温度に達し又はそれを超えたか否かを確認され得る。この目的のため、温度センサによって生成される温度信号が、切換装置の制御ユニットによって適宜処理される。確認の結果に応じて、例えば、プロセス温度に達し又はそれを超えた場合、更なる方法ステップS3において、ワークホルダは、好ましくは、ワークホルダを囲むプロセスガスからプラズマを発生させるためにプラズマユニットとして動作する。プロセス温度に(未だ)到達せず又はそれを超えない場合、ワークホルダは、方法ステップS1において加熱ユニットとしてさらに使用され得る。
【0070】
方法ステップS3において、例えば、少なくとも1つの加熱電圧源をワークホルダから切り離し、代わりにプラズマ電圧源をワークホルダに電気的に接続して高周波AC電圧を供給するために、切換装置の第1のスイッチアセンブリが開放されるとともに第2のスイッチアセンブリが閉成され得る。したがって、特に、ワークホルダがプラズマ回路に統合可能となるので、プラズマを発生させるための高周波AC電圧が2つの電極群の間に印加される。
【符号の説明】
【0071】
1 ワークホルダ
1a、2b 端部
2 電極アセンブリ
2a、2b 電極
3a、3b 配電器アセンブリ
4 接点
5 走行レール
6 足部
7 導電要素
8a、8b 段
9 絶縁要素
10 固定手段
11 ボアホール
12 回路
50 システム
51 切換装置
52a、52b スイッチアセンブリ
53 プラズマ電圧源
53a、b ポール
54 加熱電圧源
54a~d ポール
100 動作方法
S1~S3 方法ステップ
【国際調査報告】