(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】弁輪形成インプラントシステムおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20230926BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516702
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2021118194
(87)【国際公開番号】W WO2022053059
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523089829
【氏名又は名称】ブルーセイル ニューバルブ テクノロジー アジア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】タイ,イエン
(72)【発明者】
【氏名】セリナ,ユージン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シェリー
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ミン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097MM09
4C097SB09
(57)【要約】
カテーテルベースの処置における弁輪形成インプラントシステム(100)および展開の方法が本明細書で提供される。このようなシステム(100)は、径方向に拡張可能で軸方向に折り畳み可能な編組ワイヤ(51)の足場によって、または複数の相互接続された同心ループ(11、41)によって画定された弁輪形成リング(10)によって画定された、弁輪形成リング(10)を利用することができる。リング(10)は、記憶合金で形成され、弁輪に対してアンカー(20)で固定されるためにカテーテル(200、300)から前進するときに移植構成に拡張することができる。展開システムは、リング(10)をアンカー(20)にしっかりと結合して弁輪形成リング(10)を形成し、これによって弁輪を再成形するために、弁輪の周りの複数のアンカー(20)を展開し、複数のトルクワイヤ(220、221)上で弁輪形成リング(10)を前進させる、送達カテーテル(200、300)を含むことができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁輪形成リングであって、
足場の長手方向軸に沿って延在する中央開口部の周りで周方向に編組された1つ以上のワイヤによって形成された前記足場であって、前記足場は送達構成から展開移植構成に拡張可能である、足場
を備え、
前記送達構成では、前記足場は、前記中央開口部の周りの第1の軸方向寸法および第1の直径を有し、前記第1の軸方向寸法は前記第1の直径よりも大きく、
前記展開移植構成では、前記足場は、前記中央開口部の周りの第2の軸方向寸法および第2の直径を有し、前記第2の直径は前記第2の軸方向寸法よりも大きい、弁輪形成リング。
【請求項2】
前記足場の周りで周方向に設けられ、複数のワイヤ上の前記足場の送達を容易にするためにワイヤの通過を可能にするように構成された複数のアイレット
をさらに備える、請求項1に記載の弁輪形成リング。
【請求項3】
前記足場の周りで周方向に分布し、複数のワイヤ上の前記足場の送達を容易にするためにワイヤの通過を可能にするように構成された複数のカラー
をさらに備える、請求項1または2に記載の弁輪形成リング。
【請求項4】
前記複数のカラーの各々は、前記複数のワイヤのそれぞれのワイヤに結合されたアンカーシャフトの係止部上の通過を容易にし、前記アンカーシャフトの前記係止部の遠位対向面に当接することによって前記それぞれのアンカーとの係止を容易にするように近位方向に傾斜した複数の内向き延在タブを含む、請求項3に記載の弁輪形成リング。
【請求項5】
前記足場は、前記複数のワイヤに沿って前進したときに前記足場が前記送達構成から前記移植構成に展開することを可能にするために、径方向に拡張可能であり、軸方向に折り畳み可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項6】
前記送達構成は、前記長手方向軸に沿った長尺の管状形状である、請求項1から5のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項7】
前記展開構成はリングである、請求項1から6のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項8】
前記第1の直径は、血管アクセスシースとぴったり一致するのに十分なほど小さい、請求項1から7のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項9】
前記第1の直径は、7フレンチ以下のアクセスシースとぴったり一致するのに十分なほど小さい、請求項1から8のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項10】
前記第1の軸方向寸法は2cmから10cmの間である、請求項1から9のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項11】
前記第2の直径は2cmから6cmの範囲内である、請求項1から10のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項12】
前記第2の軸方向寸法は、約0.5cmから3cmの範囲内である、請求項1から11のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項13】
前記足場はニチノールワイヤで形成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項14】
前記足場は、前記中央開口部の周りに非侵襲的な近位端および遠位端を有する設計を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項15】
前記近位端および遠位端は、複数の山と谷とを有するジグザグ設計を備える、請求項14に記載の弁輪形成リング。
【請求項16】
移植されたときに前記弁輪に最も近い前記下端部に、またはその付近に分布する複数のアイレットをさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項17】
前記複数のワイヤに沿った前記リングの摺動を容易にするために、前記複数のアイレットに複数のカラーをさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項18】
前記複数のカラーは、心臓弁の周りに設けられた複数のアンカーへの前記足場の結合を容易にするリング係止機能部を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項19】
前記リング係止機能部は、近位方向に傾斜した1つ以上の内向き延在タブを含む、請求項18に記載の弁輪形成リング。
【請求項20】
前記リング係止機能部は、前記アンカーの開口部または窪み内に受容される前記カラーの突出部材を含む、請求項18に記載の弁輪形成リング。
【請求項21】
前記リング係止機能部は、リッジがショルダに当接し、これによって前記リングを前記アンカーに係止するように、前記弾性リッジが前記アンカーシャフト内の前記近位ショルダ上を前進することを可能にするために近位方向で内向きに付勢された前記カラーの内側対向面に沿って前記弾性リッジを備える、請求項18に記載の弁輪形成リング。
【請求項22】
前記リング係止機能部は、前記アンカー上を前進するときに、湾曲フックが前記アンカーシャフトの孔または窪み内で突出し、これによって前記リングを前記アンカーに係止するように、前記アンカーシャフトに向かって偏向する湾曲フックを備える、請求項18に記載の弁輪形成リング。
【請求項23】
前記リング係止機能部は、前記アンカー上を前進するときに、ばね付勢ボールまたはペグが前記アンカーシャフトの孔または窪み内に突出し、これによって前記リングを前記アンカーに係止するように、前記アンカーシャフトに向かって付勢されるばね付勢ボールまたはペグを備える、請求項21に記載の弁輪形成リング。
【請求項24】
前記インプラントをさらに固定するために移植後の組織成長を促進するように、前記1つ以上のワイヤの選択部分の周りに巻かれたポリマー縫合糸をさらに含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項25】
前記ポリマー縫合糸は、前記同心ループのうちの少なくともいくつかの周りに巻かれ、前記足場の拡張を可能にするために隣接するループの交差領域を回避する、請求項24に記載の弁輪形成リング。
【請求項26】
前記1つ以上のワイヤは、前記同心ワイヤループがD字形を画定する前記展開構成に熱硬化されるニチノールワイヤである、請求項1から25のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項27】
前記1つ以上のワイヤは、三次元サドル形状を取るようにさらに熱硬化される、請求項26に記載の弁輪形成リング。
【請求項28】
弁輪形成リングであって、
複数のリングが軸方向に分離可能なように複数の支柱によって柔軟に相互接続された複数の同心リングであって、
前記複数の同心リングは、自然な心臓弁の所望の特性に対応する移植構成に熱硬化された形状記憶合金で形成され、
前記複数のリングは、カテーテルを通る送達のために収縮構成に変形可能であり、移植中に前記カテーテルから解放されると前記移植構成に戻る
複数の同心リングと、
複数のアンカーまたはアンカーワイヤとインターフェースするために前記複数の同心リングの周りで周方向に分布する複数のアイレットまたはカラーと
を備える弁輪形成リング。
【請求項29】
前記形状記憶合金はニチノールである、請求項28に記載の弁輪形成リング。
【請求項30】
前記複数の同心リングは、前記リングが画定される平面内に実質的に同様の2次元形状を有する、請求項28または29に記載の弁輪形成リング。
【請求項31】
前記2次元形状は、前記弁輪の所望の形状に対応する、請求項30に記載の弁輪形成リング。
【請求項32】
前記2次元形状はD字形である、請求項31に記載の弁輪形成リング。
【請求項33】
前記複数の同心リングは異なる3次元形状を有する、請求項30に記載の弁輪形成リング。
【請求項34】
前記リングは一緒にサドル形状の3次元形状を画定する、請求項33に記載の弁輪形成リング。
【請求項35】
前記異なる3次元形状は、組み合わせられると、前記弁輪形成リングが前記自然の弁輪の前記所望の特性に対応する径方向の強度および可撓性を有するように設計されている、請求項33に記載の弁輪形成リング。
【請求項36】
前記複数のリングは、特定の患者の前記弁輪のための形状、強度、および可撓性を提供するようにカスタマイズされる、請求項35に記載の弁輪形成リング。
【請求項37】
前記アイレットまたはカラーは、複数のアンカーシャフトおよびこれに取り付けられたアンカーワイヤを受容するように寸法決めされる、請求項28から36のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項38】
前記複数のリングおよび支柱は、前記複数のリングが前記収縮構成では軸方向に分離され、前記移植構成では前記弁輪形成リングを形成するために前記リングが軸方向に一緒に折り畳まれるように相互接続されている、請求項28から37のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項39】
前記複数のリングおよび支柱はメッシュ状のパターンを形成する、請求項28から38のいずれか一項に記載の弁輪形成リング。
【請求項40】
弁輪形成インプラントシステムであって、
複数のアンカーであって、各アンカーが、
近位端と遠位端との間に延在するシャフトと、
前記遠位端に設けられた遠位貫通アンカーと、
前記シャフトに沿って設けられ、リング係止機構によって弁輪形成リングと結合するように構成されたリング係止機能部と、
前記シャフトに沿って設けられ、結合-解放機構によってトルクワイヤに対して結合および解放するように構成されたトルクワイヤ結合解放機能部と
を備える複数のアンカーと、
弁輪の所望の特性に対応する硬化形状の移植構成を有する弁輪形成リングであって、前記弁輪形成リングは、各々がそれぞれのアンカーシャフトを受容し、前記リング係止機構を介してこれにしっかりと結合するようにサイズ決めおよび構成されている、複数のアイレットおよび/またはカラーを有する、弁輪形成リングと
を備える弁輪形成インプラントシステム。
【請求項41】
前記リング係止機構および前記トルクワイヤ結合-解放機構は、前記弁輪形成リングで前記シャフトを固定するための前記リング係止機構の作動が、前記取り付けられたトルクワイヤからシャフトを分離するための前記トルクワイヤ結合-解放機構の作動をもたらすように構成されている、請求項40に記載のインプラントシステム。
【請求項42】
前記アンカーシャフトの前記リング係止機能部は、カラーの対応するリング係止機能部とインターフェースする、請求項40または41に記載のインプラントシステム。
【請求項43】
前記カラーの前記リング係止機能部は、近位方向に傾斜した1つ以上の内向き延在タブを備え、前記アンカーシャフトの前記リング係止機能部は、先細の近位端および平坦な遠位対向端を有する1つ以上のハイポチューブを備える、請求項42に記載のインプラントシステム。
【請求項44】
前記アンカーシャフトの前記係止機能部は、調整可能なように、前記アンカーシャフト上の前記カラーのさらなる前進によって前記カラーと各々係合可能な一連のハイポチューブを備える、請求項43に記載のインプラントシステム。
【請求項45】
前記リング結合機能部は、リッジがショルダに当接し、これによって前記リングを前記アンカーに係止するように、前記リッジが前記アンカーシャフト内の前記ショルダ上を前進して内向きに弾性的に偏向することを可能にするために、近位方向で内向きに付勢された前記カラーの内側対向面に沿って前記リッジを備える、請求項42に記載のインプラントシステム。
【請求項46】
前記リング結合機能部は、前記アンカー上を前進するときに、湾曲フックが前記アンカーシャフトの孔または窪み内で突出し、これによって前記リングを前記アンカーに係止するように、前記アンカーシャフトに向かって偏向する湾曲フックを備える、請求項42に記載のインプラントシステム。
【請求項47】
前記リング結合機能部は、前記アンカー上を前進するときに、ばね付勢ボールまたはペグが前記アンカーシャフトの孔または窪み内に突出し、これによって前記リングを前記アンカーに係止するように、前記アンカーシャフトに向かって付勢されるばね付勢ボールまたはペグを備える、請求項42に記載のインプラントシステム。
【請求項48】
前記トルクワイヤ結合-解放機構は、後退可能なカプラによって一緒に解放可能に保持される、それぞれのトルクワイヤの遠位端にある第1の連結部品と、対応するアンカーのアンカーシャフトの近位端にある第2の連結部品とを備える、請求項40から47のいずれか一項に記載のインプラントシステム。
【請求項49】
前記トルクワイヤ結合-解放機構は、前記トルクワイヤの遠位端またはその付近で対応する突出機能部と係合する前記アンカーの近位端にあるスロットを備え、これにより、前記対応する機能部が係合したときに前記トルクワイヤを結合する、請求項40から47のいずれか一項に記載のインプラントシステム。
【請求項50】
前記トルクワイヤ結合-解放機構は、リッジが前記アンカーのスロット内で突出し、これによって前記トルクワイヤを前記アンカーに結合するように、前記トルクワイヤを通って延在する内側コアワイヤによって外向きに押される、内向きに付勢された1つ以上の部材上に設けられた前記リッジを備える、請求項49に記載のインプラントシステム。
【請求項51】
前記トルクワイヤ結合-解放機構は、カムロックの回転が係止構成と係止解除構成との間で前記カムを移動させるように、前記アンカー本体に取り付けられた係止スリーブ内でインターフェースする遠位カムを有するカムロックを備える、請求項49に記載のインプラントシステム。
【請求項52】
前記トルクワイヤ結合-解放機構は、前記アンカーシャフト上の前記係止機構の近位に配置されている、請求項40から51のいずれか一項に記載のインプラントシステム。
【請求項53】
前記複数のアンカーはねじ式アンカーである、請求項40から52のいずれか一項に記載のインプラントシステム。
【請求項54】
前記弁輪形成リングは請求項1のリングによる、請求項40から53のいずれか一項に記載のインプラントシステム。
【請求項55】
前記シャフトは、前記弁輪形成リングの前記複数の同心リングの複数のアイレットを通って延在するのに十分な距離だけ延在する、請求項40から54のいずれか一項に記載のインプラントシステム。
【請求項56】
前記複数のアンカーは、前記弁輪を囲む組織内に前記複数のアンカーを螺合させるためにトルクを付与するのに十分な剛性を有する前記それぞれのトルクワイヤ結合-解放機構において複数のトルクワイヤに解放可能に取り付けられ、
前記弁輪形成リングおよびその上のアイレットまたはカラーは、前記複数のトルクワイヤに沿って前記複数のアンカーの前記それぞれのシャフト上に摺動し、前記係止機構を介してしっかりと係止するように構成されている、
請求項40から55のいずれか一項に記載のインプラントシステム。
【請求項57】
患者の心臓の弁輪を再成形するためのインプラントシステムを移植する方法であって、前記方法は、
前記弁輪を囲む組織内に複数のアンカーを埋め込むステップであって、各アンカーは、遠位組織貫通アンカーと、リング係止機構の係止機能部およびトルクワイヤ結合-解放機構の結合解放機能部を有する近位シャフトとを含み、前記アンカーを埋め込むステップは、前記結合-解放機構を介して前記複数のアンカーと結合された複数のトルクワイヤを作動させることを含む、ステップと、
実質的に前記弁輪に対向して配置されるまで、前記複数のアンカーの前記近位シャフト上で弁輪形成リングを前進させるステップと、
前記リング係止機構の遠位の前記弁輪形成リングをさらに前進させることによって、前記リング係止機構を介して前記弁輪形成リングを係止するステップと、
前記トルクワイヤ結合-解放機構を解放し、これにより、前記弁輪形成リングが前記係止機構によって前記弁輪に対向して固定されたままで、前記複数のアンカーから前記トルクワイヤを解放するステップと
を含む方法。
【請求項58】
前記複数のアンカーを埋め込むステップは、アンカー送達カテーテルを用いて前記弁輪の周りの前記アンカーを同時に送達して埋め込むことを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記複数のアンカーを埋め込むステップは、埋め込む前に前記弁輪の周りに前記複数のアンカーを位置決めするために前記弁輪内でセンタリングバスケットを拡張させることをさらに含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記複数のアンカーを埋め込むステップは、横方向外向きに広がる複数のアームによって前記複数のアンカーを支持することを含み、前記複数のアームは、前記弁輪の周りの組織に前記アンカーの改良された適応性を提供するためのばね部分を各々有する、請求項57から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記複数のアンカーおよび前記弁輪形成リングは、1つ以上のカテーテルから血管内に送達される、請求項57から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記複数のアンカーは、アクセスシースを通って第1のカテーテルから送達され、前記弁輪形成リングは、前記アクセスシースを通って第2のカテーテルから送達される、請求項57から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記アンカーの埋め込みの後、前記第1のカテーテルが抜去され、前記トルクワイヤを適所に残し、前記トルクワイヤは、前記弁輪形成リングのアイレットを通って供給され、前記第2のカテーテル内に装填される、請求項57から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記弁輪形成リングは請求項1による、請求項57から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記弁輪形成リングを前進させるステップは、前記第2のカテーテルのプッシャ部材を前進させることを含み、前記プッシャ部材は、前記弁輪形成リングと解放可能に係合するアームを有する、請求項57から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記プッシャ部材は、各々が遠位リング保持/解放機構を有する、複数のプッシャ部材を備え、前記方法は、
前記リングを前進させて前記複数のアンカーに係止した後、前記プッシャ部材から前記リングを解放するステップ
をさらに含む、請求項57から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
各リング保持/解放機構は、内側および外側ハイポチューブスリーブを有するばね付勢スリーブを備え、前記内側ハイポチューブスリーブは、ばねによって係止位置に向かって付勢され、前記方法は、
前記内側ハイポチューブスリーブを係止解除位置に後退させるためにプルワイヤを引っ張ることによって前記プッシャ部材から前記リングを解放するステップ
をさらに備える、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記弁輪形成リングは、弁輪の所望の特性に対応する硬化形状の移植構成を有し、前記弁輪形成リングは、前記リングの周りに分布する複数のアイレットを有し、各アイレットは、それぞれのアンカーシャフトを受容し、前記係止機構によってこれにしっかりと結合されるようにサイズ決めおよび構成されている、請求項57から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記複数のアンカーは、前記アンカーを埋め込むステップが、前記複数のアンカーを前記組織内に押し込むために各個々のトルクワイヤにトルクをかけることを含むように、ねじ式アンカーを各々備える、請求項57から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
実質的に前記弁輪に対して前記弁輪形成リングを最初に前進させた後、前記弁輪形成リングを係止する前に、可視化技術によって弁機能を評価するステップ
をさらに含む、請求項57から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
弁機能の評価に基づいて前記弁輪形成リングを引き出し、その後、前記弁輪形成リングを調整および/または交換するステップ
をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記リング係止機構および前記結合-解放機構は、前記弁輪形成リングの前進による前記係止機構の作動が前記結合-解放機構の解放をもたらし、これによって前記トルクワイヤを解放するように構成されている、請求項57から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
インプラントを送達するためのインプラント送達システムであって、前記システムは、
患者の外側から前記患者の心臓内まで延在するように構成された送達カテーテルと、
前記送達カテーテルの遠位部分内に設けられたインプラントであって、前記インプラントは少なくとも1つ以上のワイヤループを備える、インプラントと、
前記カテーテルの長さに沿って延在可能な1つ以上のプッシャ部材であって、前記1つ以上のプッシャ部材の各々は、係止位置と解放位置との間で作動可能なインプラント保持-解放機構を含み、
前記インプラント保持-解放機構は、プルワイヤによって互いに対して軸方向に移動可能であってばねによって係止位置に付勢される、内側ハイポチューブスリーブおよび外側ハイポチューブスリーブを有するばね付勢スリーブを備え、
前記係止位置では、前記ばねは、前記ワイヤが前記内側ハイポチューブスリーブと外側ハイポチューブスリーブとの間で拘束されるように、前記内側ハイポチューブスリーブを軸方向に延在した状態で維持し、
前記解放位置では、前記内側ハイポチューブスリーブは後退し、これによって前記ワイヤループを解放する
1つ以上のプッシャ部材と、
インプラント送達中に、前記1つ以上のプッシャ部材の前進および前記1つ以上のプッシャ部材の前記プルワイヤの後退を制御する、前記カテーテルの近位ハンドルと
を備えるインプラント送達システム。
【請求項74】
前記内側および外側ハイポチューブスリーブは、前記内側ハイポチューブスリーブと外側ハイポチューブスリーブとの間から前記インプラントの前記ワイヤを外向きに押すように、前記解放位置でインターフェースするくさび面を有する、請求項73に記載のインプラント送達システム。
【請求項75】
前記カテーテルは、前記1つ以上のワイヤループの異なる部分と係合し、同時および/または個別に前進することができる、複数のプッシャ部材を含む、請求項73または74に記載のインプラント送達システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年9月14日に出願された米国特許仮出願第63/077,843号明細書の優先権の利益を主張し、その内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本出願は、概して、本出願と同時に出願された同時係属中の共同所有の出願番号___[代理人整理番号107360-1263241-000210US]に関し、その内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]心臓弁不全症、特に僧帽弁逆流症の治療は、幅広く様々である。僧帽弁逆流症は、僧帽弁後尖(PML)と僧帽弁前尖(AML)との間の癒合が不十分であるように僧帽弁輪が膨張しているかまたは奇形であるときに発生し、これにより、血液を心臓の左心室(LV)から左心房に逆流させる状態である(
図1の心臓の解剖学的構造を参照)。時間が経つにつれて、この不全症は悪化し、うっ血性心不全、房細動、肺高血圧症、そして最終的には死をもたらす可能性がある。僧帽弁修復への初期のアプローチには、1968年に開発された人工弁輪形成リングがある。人工装具は、正常な弁機能が回復するように適切な弁尖癒合を提供するために、弁輪の適切な形状を再形成することを目的とする。以前のアプローチと比較して、弁輪の形状を改造するための人工弁輪形成リングは、一貫して信頼できる肯定的な患者の転帰および長期的な結果を提供してきた。しかしながら、この初期アプローチの1つの主な欠点は、弁輪形成リングが弁輪の周りの定位置に手動で縫合されるため、移植には開胸手術処置を必要とし、これは特に既に健康状態が悪化している患者にとってはかなりのリスクおよび課題を呈することである。ここ数十年、開胸手術処置に関連するリスクを回避しながら弁輪の形状を同様に改造しようと試みる、いくつかのカテーテルベースのアプローチが開発されてきた。これらのカテーテルベースのアプローチは、焼結インプラント、弁尖クリップ、ならびに心腔を横切る縫合糸およびスプリントを含む、様々なアプローチを含む。しかしながら、これまでのところ、上述の元の人工弁輪形成リングアプローチとして移植および患者の転帰における一貫性および信頼性を提供しているアプローチはほとんどない。加えて、多くのカテーテルベースの処置と同様に、閉鎖された環境および限られた可視化のため、正確な配置および移植はより困難である。したがって、これらのカテーテルベースの処置は面倒で時間がかかり、処置の転帰は医師の技量に大きく依存することが多い。より最近の開発は、カテーテルベースのアプローチ内で人工弁輪形成リングの利点を再現使用としてきたが、これまでのところ、これらのアプローチは、弁輪形成リングをアンカリングおよび固定する複雑さに大きく起因して、従来の外科的に移植される弁輪形成リングの成功を再現することができていない。このため、移植における改善された容易さおよび一貫性を可能にするカテーテルベースのアプローチが必要とされている。人工弁輪形成リング技術の改善が、さらに必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示は、弁輪形成インプラントシステム、関連する送達カテーテルおよび部品、ならびに展開の方法に関する。システムおよび方法は、僧帽弁の治療に関連して説明されるが、これらの概念は、体腔内にアンカリングされたいずれの心臓弁およびいずれのインプラントにも適用可能であり得ることが理解される。
【0005】
[0005]一態様では、本発明は、改良された弁輪形成リングに関する。いくつかの実施形態では、弁輪形成リングは、足場の長手方向軸に沿って延在する中央開口部の周りで周方向に編組された1つ以上のワイヤによって形成された足場であってもよく、足場は送達構成から展開構成に拡張可能である。送達構成では、足場は、中央開口部の周りの第1の軸方向寸法および第1の直径を有し、第1の軸方向寸法は第1の直径よりも大きく、展開構成では、足場は、中央開口部の周りの第2の軸方向寸法および第2の直径を有し、第2の直径は第2の軸方向寸法よりも大きい。他の実施形態では、弁輪形成リングは、複数のリングが少なくとも部分的に軸方向に分離可能または移動可能であるように、複数の支柱によって相互接続された複数の同心リングによって画定され得る。リングは、自然な心臓弁の所望の特性に対応する移植構成に熱硬化される、ニチノールなどの形状記憶合金で形成されることが可能であり、複数のリングは、カテーテルを通る送達のための収縮構成に変形可能であり、移植中にカテーテルから解放されると移植構成に戻る。リングは、複数のアンカーまたはアンカーワイヤとインターフェースするために、リングの周りで周方向に分布するアイレットを含むことができる。典型的に、同心リングは、弁輪の所望の形状に対応する実質的に同様の2次元形状を有する。いくつかの実施形態では、複数の同心リングは、組み合わせられると、弁輪形成リングが自然の弁輪の所望の特性に対応する径方向の強度および可撓性を有するように、異なる3次元形状を有する。一態様では、リングは、特定の患者の弁輪のための形状、強度、および可撓性を提供するようにカスタマイズされる。いくつかの実施形態では、リングは、各アイレットに、トルクチューブまたはワイヤ上での摺動を容易にするカラーを含む。カラーは、リングをアンカーに固定するために、以下でさらに説明されるもののいずれかなどの結合機能部または機構をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、各カラーは、対応するアンカーの係止機構と係合するように構成された、1つ以上の内向きに偏向可能なタブを含む。いくつかの実施形態では、アンカー上の係止機構は、その上のタブ付きカラーの通過を容易にするための近位先細部分と、インプラントを取り付けるためにカラーのタブに当接する平坦な遠位対向面とを各々有する、1つ以上のハイポチューブを含む。係止機構は、調整可能であるように、シャフトに沿って一連のこのようなハイポチューブを含むことができる。これらのリング設計のいずれも、本明細書に記載される様々な特徴および実施形態に従って利用され得ることが理解される。
【0006】
[0006]別の態様では、本発明は、弁輪形成インプラントシステムに関する。システムは、複数のアンカーであって、各々のアンカーが近位端と遠位端との間に延在するシャフトを含む、複数のアンカーと、遠位端に設けられた遠位貫通アンカーと、シャフトに沿って設けられ、弁輪形成リングと結合するように構成されたリング係止機能部と、シャフトに沿って設けられ、トルクワイヤを結合および解放するように構成された結合-解放機構とを含むことができる。システムは、弁輪の所望の特性に対応する硬化形状の移植構成を有する弁輪形成リングをさらに含む。弁輪形成リングは複数のアイレットを含むことができ、各アイレットは、それぞれのアンカーシャフトを受容し、係止機能部を介してこれにしっかりと結合するようにサイズ決めおよび構成されている。いくつかの実施形態では、リング係止機能部およびトルクワイヤ結合-解放機構は、弁輪形成リングでシャフトを固定するためのリング係止機構の作動が、トルクワイヤからシャフトを分離するための結合-解放機構の作動をもたらすように構成される。いくつかの実施形態では、リング係止機構は、アンカーのシャフト上のショルダまたはフランジと係合するリングに取り付けられたカラーの内側の内向き付勢リッジを含む。トルクワイヤ結合-解放機構は、シャフト上の連結突出機能部およびトルクワイヤの遠位端を含むことができ、これらは、係合されるとアンカーおよびトルクワイヤを結合し、係合解除されるとトルクワイヤを分離する。いくつかの実施形態では、アンカー解放機構は、もしあれば、アンカーの外側チューブのスロットに係合させるために係止部品を外側に押す、トルクワイヤを通って延在する長手方向に並進可能なコアワイヤを含む。コアワイヤの後退は、係止部品が内向きに弾性的に偏向することを可能にし、これにより、アンカーからトルクチューブを取り外すための外側チューブのスロットから係合解除する。他の実施形態では、解放機構は、外側スリーブ内の係止位置とカムロックがスリーブから引き出され得る係止解除位置との間で回転可能な回転カムロックを含むことができる。いくつかの実施形態では、係止機構は、アイレットまたはカラーでリングに解放可能に取り付けられ、リングが前進するときにアンカーの孔を通って延在し、これによってリングをアンカーに係止する、フックカップリングを含むことができる。他の実施形態では、リング係止機構は、ばね付勢ボールがリングのカラーからアンカーの孔または戻り止めを通って延在し、これによってリングをアンカーに係止するボール戻り止めカップリングを含むことができる。
【0007】
[0007]さらに別の態様では、本発明は、患者の心臓の弁輪を再成形するためのインプラントシステムを移植する方法に関する。方法は、弁輪を囲む組織内に複数のアンカーを埋め込むステップであって、各アンカーは、遠位組織貫通アンカーと、係止機構および結合-解放機構を有する近位シャフトとを含む、ステップと、実質的に弁輪に対向して配置されるまで、複数のアンカーの近位シャフト上で弁輪形成リングを前進させるステップと、係止機構の遠位に弁輪形成リングをさらに前進させることによって、係止機構を介して弁輪形成リングを係止するステップと、結合-解放機構を解放し、これにより、弁輪形成リングが係止機構によって弁輪に対向して固定されたままで、複数のアンカーからトルクワイヤを解放するステップとを含むことができる。アンカーを埋め込むステップは、結合-解放機構を介して複数のアンカーと結合された複数のトルクワイヤを作動させることを含むことができる。アンカーおよび弁輪形成リングは、1つ以上のカテーテルから血管内に送達される。いくつかの実施形態では、アンカーは、アクセスシースを通って第1のカテーテルから送達され、弁輪形成リングは、アクセスシースを通って第2のカテーテルから送達される。いくつかの実施形態では、係止機構および結合-解放機構は、弁輪形成リングの前進による係止機構の作動が結合-解放機構の解放をもたらし、これによってトルクワイヤを解放するように構成される。いくつかの実施形態では、方法は、実質的に弁輪に対して弁輪形成リングを最初に前進させた後、弁輪形成リングを係止する前に、可視化技術によって弁機能を評価するステップをさらに含む。
【0008】
[0008]別の態様では、本発明は、インプラントを送達するためのインプラント送達システムに関する。システムは、患者の外側から患者の内部まで延在するように構成された送達カテーテルと、送達カテーテルの遠位部分内に設けられたインプラントであって、インプラントは少なくとも1つ以上のワイヤループを有する、インプラントと、カテーテルの長さに沿って延在可能な1つ以上のプッシャ部材とを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のプッシャ部材の各々は、係止位置と解放位置との間で作動可能なインプラント保持-解放機構を含む。いくつかの実施形態では、インプラント保持-解放機構は、プルワイヤによって互いに対して軸方向に移動可能であり、ばねによって係止位置に付勢される、内側ハイポチューブスリーブおよび外側ハイポチューブスリーブを有するばね付勢スリーブを備える。係止位置では、ばねは、ワイヤが内側ハイポチューブスリーブと外側ハイポチューブスリーブとの間で拘束されるように、内側ハイポチューブスリーブを軸方向に延在した状態で維持する。解放位置では、内側ハイポチューブスリーブは後退し、これによってワイヤループを解放する。カテーテルは、インプラント送達中に1つ以上のプッシャ部材の前進および1つ以上のプッシャ部材のプルワイヤの後退を制御する、カテーテルの近位ハンドルをさらに含む。いくつかの実施形態では、内側および外側ハイポチューブスリーブは、インプラントのワイヤループを内側および外側ハイポチューブから外向きに押すように、解放位置でインターフェースするくさび面を有する。いくつかの実施形態では、カテーテルは、1つ以上のワイヤループの異なる部分と係合し、同時および/または個別に前進することができる、複数のプッシャ部材を含む。本明細書に記載される例では、インプラントは、心臓弁の弁輪の回りに展開された複数のアンカー上に複数のプッシャ部材によって押し付けられるアイレットまたはカラーを有する複数の同心リングまたは編組構造で構成された弁輪形成リングを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
[0009]
【
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、移植された弁輪形成インプラントシステムの断面側面図である。
【
図2A】開胸手術処置で移植された従来の人工弁輪形成リングを示す図である。
【
図2B】開胸手術処置で移植された従来の人工弁輪形成リングを示す図である。
【
図2C】開胸手術処置で移植された従来の人工弁輪形成リングを示す図である。
【
図2D】開胸手術処置で移植された従来の人工弁輪形成リングを示す図である。
【
図3】いくつかの実施形態によるアンカー送達カテーテルを示す図である。
【
図4A】いくつかの実施形態によるアンカー送達カテーテルの遠位アンカー送達部分を示す図である。
【
図4B】いくつかの実施形態によるアンカー送達カテーテルの近位制御ハンドルを示す図である。
【
図5A】いくつかの実施形態によるねじアンカーの図である。
【
図5B】いくつかの実施形態によるねじアンカーの図である。
【
図5C】いくつかの実施形態によるねじアンカーの図である。
【
図6A】いくつかの実施形態による、トルクワイヤ結合-解放機構によって結合されたトルクワイヤおよびアンカーを示す図である。
【
図6B】いくつかの実施形態による、トルクワイヤ結合-解放機構によって分離されたトルクワイヤおよびアンカーを示す図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、回転可能なカムロックを有する代替の結合-解放機構を示す図である。
【
図9A】いくつかの実施形態による、回転可能なカムロックを有する代替の結合-解放機構を示す図である。
【
図9B】いくつかの実施形態による、回転可能なカムロックを有する代替の結合-解放機構を示す図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、リングをアンカーに固定するための調整可能なリング係止機能部を示す図である。
【
図11A】いくつかの実施形態による、リングをアンカーに固定するためのフックカップリングを有する代替のリング係止機能部を示す図である。
【
図11B】いくつかの実施形態による、リングをアンカーに固定するためのボール戻り止めカップリングを有する代替のリング係止機能部を示す図である。
【
図12A】いくつかの実施形態による弁輪形成リング設計の図である。
【
図12B】いくつかの実施形態による弁輪形成リング設計の図である。
【
図12C】いくつかの実施形態による弁輪形成リング設計の図である。
【
図12D】いくつかの実施形態による弁輪形成リング設計の図である。
【
図13A】いくつかの実施形態による調整可能な弁輪形成リング設計を示す図である。
【
図13B】いくつかの実施形態による調整可能な弁輪形成リング設計を示す図である。
【
図14A】いくつかの実施形態による調整可能な弁輪形成リング設計を示す図である。
【
図14B】いくつかの実施形態による調整可能な弁輪形成リング設計を示す図である。
【
図15A】いくつかの実施形態による、複数のケーブル上で摺動するように構成された例示的な弁輪形成リング設計を示す図である。
【
図15B】いくつかの実施形態による、送達構成にある
図15Aの弁輪形成リングを示す図である。
【
図15C】いくつかの実施形態による、展開移植構成にある
図15Aの弁輪形成リングを示す図である。
【
図15D】いくつかの実施形態による、僧帽弁輪のモデル上に移植された例示的な弁輪形成インプラントシステムを示す図である。
【
図16A】いくつかの実施形態による、組織成長を促進するために選択ワイヤ上に巻かれたポリマー縫合糸を有する例示的な弁輪形成リングを示す図である。
【
図16B】いくつかの実施形態による、組織成長を促進するために選択ワイヤ上に巻かれたポリマー縫合糸を有する例示的な弁輪形成リングを示す図である。
【
図17A】いくつかの実施形態による、弁輪の自然な形状により良好に適合するためにD字形および湾曲したサドル形状を有する例示的な弁輪形成リングを示す図である。
【
図17B】いくつかの実施形態による、弁輪の自然な形状により良好に適合するためにD字形および湾曲したサドル形状を有する例示的な弁輪形成リングを示す図である。
【
図17C】いくつかの実施形態による、弁輪の自然な形状により良好に適合するためにD字形および湾曲したサドル形状を有する例示的な弁輪形成リングを示す図である。
【
図17D】いくつかの実施形態による、弁輪の自然な形状により良好に適合するためにD字形および湾曲したサドル形状を有する例示的な弁輪形成リングを示す図である。
【
図18A】いくつかの実施形態による、弁輪形成リング送達カテーテルから展開されている弁輪形成リングの図である。
【
図18B】いくつかの実施形態による、弁輪形成リング送達カテーテルから展開されている弁輪形成リングの図である。
【
図19A】いくつかの実施形態による弁輪形成リング送達カテーテルの図である。
【
図19B】いくつかの実施形態による弁輪形成リング送達カテーテルの図である。
【
図19C】いくつかの実施形態による弁輪形成リング送達カテーテルの図である。
【
図20】いくつかの実施形態による、アンカーおよび弁輪形成リングのそれぞれの送達カテーテルのアクセスを提供するための、径大腿動脈アプローチなどで心臓の心房に血管内を前進することができる関節アクセスシースを示す図である。
【
図21】左心房の僧帽弁へのアクセスを提供するための、中隔を通って左心房内に前進および貫通するアクセスシースを示す図である。
【
図22A】いくつかの実施形態による弁輪形成インプラントシステムの送達および移植の連続図である。
【
図22B】いくつかの実施形態による弁輪形成インプラントシステムの送達および移植の連続図である。
【
図22C】いくつかの実施形態による弁輪形成インプラントシステムの送達および移植の連続図である。
【
図22D】いくつかの実施形態による弁輪形成インプラントシステムの送達および移植の連続図である。
【
図22E】いくつかの実施形態による弁輪形成インプラントシステムの送達および移植の連続図である。
【
図22F】いくつかの実施形態による弁輪形成インプラントシステムの送達および移植の連続図である。
【
図22G】いくつかの実施形態による弁輪形成インプラントシステムの送達および移植の連続図である。
【
図22H】いくつかの実施形態による弁輪形成インプラントシステムの送達および移植の連続図である。
【
図23】いくつかの実施形態による例示的なリング結合/解放機構を示す図である。
【
図24】いくつかの実施形態による例示的なリング結合/解放機構の係止位置を示す図である。
【
図25】いくつかの実施形態による例示的なリング結合/解放機構の係止解除位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0033]本発明は、開胸手術処置で移植される従来の人工弁輪形成リングと同様の患者の転帰における信頼性および一貫性を提供しようとする、インプラントシステム、関連する送達カテーテル、および送達の方法に関する。有利には、本発明は、低侵襲性のカテーテルベースのアプローチの範囲内で同様のアプローチを可能にする。一態様では、システムは、弁輪形成リングの展開からアンカーの展開を分離し、これにより、弁輪形成リングの移植の前に、医師が適切なアンカーの配置および移植にさらに集中することを可能にする。本発明は、すべてのアンカーの最適な配置を補償する必要に応じて独立したアンカー展開を依然として可能にしながら、医師が複数のアンカーを同時に移植することを可能にすることによって、改善された使いやすさおよび時間効率をさらに可能にする。別の態様では、本発明は、従来の弁輪形成リングと比較して弁輪の改良された再形成を可能にする、改良された三次元(3D)弁輪形成リングを提供する。本明細書に記載されるシステムおよび方法はこの改良された3D弁輪形成リングを利用するが、アンカー展開カテーテルおよび方法は、二次元(2D)弁輪形成リングを含む様々なタイプの弁輪形成リングと共に使用され得ることが理解される。さらに、改良された3D弁輪形成リングは、様々な他のアンカー展開技術と共に使用することができ、改良された設計の利益を依然として提供することができることが理解される。
【0011】
[0034]
図1Aは、いくつかの実施形態による例示的な弁輪形成インプラントシステム100の断面側面図を示す。インプラントシステムは、僧帽弁輪を囲む組織内に移植された複数のねじアンカー20を含む。アンカーは、弁輪の周りに均一に分布する位置に移植される。いくつかの実施形態では、アンカーは、例えば、弁の形態のためにより多くのアンカー力が必要とされる位置に、不均一に分布する。典型的には、5~20個のアンカーが使用され、典型的には6から12個の範囲内、好ましくは約8個のアンカーが使用されるが、任意の適切な数のアンカーが使用され得る。3D弁輪形成リング10は、弁輪に隣接して設けられ、リング係止機構によってアンカーにしっかりと係止され、これによって弁輪の形状を再形成する。弁輪形成リング10は、AMLおよびPML弁尖の癒合を改善して正常な弁機能を回復するために、弁輪の3D形状を再形成するように特に構成され得る。インプラントシステムが送達および移植される手段は、以下で詳細に説明される。
図1Bおよび
図1Cは、僧帽弁の解剖学的構造、および特に弁輪の上の心房および弁輪の下の心室に対する弁輪Aの位置を示す。
図1Cに見られるように、健康な僧帽弁輪の自然な形状は、一般に、D字形の二次元形状およびサドル形の三次元形状を有する。
【0012】
[0035]
図2A~
図2Dは、開胸手術処置における従来の弁輪形成リング移植を示す。この従来の処置は、しばしば僧帽弁逆流修復の手術におけるゴールドスタンダードと考えられ、弁輪の周りの半剛性弁輪形成リング1の移植を伴う。
図2Aに示されるように、縫合糸2は、弁輪の周りに正確に離間して、弁輪に沿って移植される。縫合糸2はその後、
図2Bに示されるように、より小さいサイズの弁輪形成リング1を通して縫われる。図示されるように、縫合糸の間隔は、リング上よりも小さい。リングはその後、
図2Cに示されるように、弁輪上に押し下げられ、膨張した弁輪を弁輪形成リングのより小さい直径まで引っ張る。縫合糸はその後、
図2Dに示されるように、結索されて修復を完了する。上述のように、このアプローチは確実に一貫した結果を提供してきたが、開胸手術処置で組織を手動で縫合することに関するかなりの欠点を抱えている。
【0013】
[0036]一態様では、
図1Aの弁輪形成インプラントシステムは、患者の転帰における同様の一貫性および信頼性を提供するために、
図2A~
図2Dに示される、従来の弁輪形成リング外科的処置を再現するように設計されている。有利には、本明細書に記載される概念は、開胸手術処置に関連する欠点およびリスクを回避するカテーテルベースのアプローチ(例えば、径大腿動脈カテーテルアプローチ)でこの処置が実行されることを可能にする。一態様では、本明細書に記載される弁輪形成インプラントシステムの移植方法は、2つの主要なステップ、すなわち(i)ケーブルを用いて複数のアンカーを送達および展開するステップと、(ii)アンカーで固定するためにケーブル上で弁輪形成リングを送達するステップとを伴う。アンカー展開をリング展開から分離することで、弁輪の周りにアンカーを位置決めおよび移植する際の容易さおよび一貫性を改善することに、設計に関してさらに集中することを可能にする。別の態様では、このアプローチは、弁輪をより解剖学的に正確な形状に改造してより良い臨床業績をもたらす3D形状を有する、改良された弁輪形成リング設計の使用を可能にする。従来の弁輪形成リングは典型的に2D形状(例えば、平坦)を有し、これは患者の自然な弁輪の輪郭および形態を無視している。3D形状を利用することで、患者の形態に適応するだけではなく、直径を2D形状に縮小するのではなく、弁輪の全体的な形状および輪郭を所望の3D形状に再形成することもできる弁輪形成リングを可能にする。いくつかの実施形態では、この改良された弁輪形成設計は、弁輪を所望の形態に再形成するために、特に患者の解剖学的構造に合わせてカスタマイズされ得る。
【0014】
[0037]
図3は、いくつかの実施形態によるアンカー送達カテーテル200を示す。アンカー送達カテーテル200は、近位ハンドル210と、長尺の可撓性シャフト220と、遠位端から前進可能な拡張可能アンカー支持体230および拡張可能センタリング部材240とを含む。いくつかの実施形態では、アンカー支持体230およびセンタリング部材240は各々拡張可能なフレーム、足場、またはバスケットであり、内側バスケットの拡張が外側バスケットを拡張するように、アンカー支持体230は外側バスケットであり、センタリング部材240は内側バスケットである。いくつかの実施形態では、センタリング部材はバルーンであるが、この実施形態では、センタリング部材は足場またはバスケットであり、これは、センタリング部材が拡張されている間に血液を循環させるので有利である。加えて、センタリング部材は、アンカー支持体が拡張されたままでいる間にセンタリング部が収縮するように、アンカー支持体から分離可能であり、これは、アンカーが組織内に調整され、および/または押し込まれている間に弁が機能することを可能にする。これはまた、センタリング構造がアンカー展開機構と一体であるシステムと比較して、医師がアンカーを正確に位置決めして確実に展開するためにより多くの時間を費やすことを可能にする。
【0015】
[0038]
図4Aは、アンカー送達カテーテル200の遠位部分の詳細図を示す。アンカー支持体230は、内部にトルクワイヤ(図では見えない)を有する支持体ガイド231を含む。複数のねじアンカー20は、トルクワイヤの遠位端に解放可能に結合され、支持体ガイド231の遠位に延在する。いくつかの実施形態では、カテーテルは、アンカー支持体の周りに周方向に設けられた、5つから10個のアンカー、好ましくは約8つのアンカーを含む。ハンドル内に設けられたトルク機構によって個々のトルクワイヤにトルクをかけることで、弁輪の周りのアンカーの位置決めの後に、各アンカー20を組織内に押し込む。支持体ガイド231は、均等に離間しており、支持体ガイド間に延在する拡張可能な支柱、メッシュ、またはフレーム234によって相互接続されてもよい。支持体ガイド231の遠位部分は、遠位アンカーがセンタリング部材から離間するように外向きに広がり、これにより、アンカー送達中のアンカーとセンタリングバスケットとの間の干渉を回避する。支持体ガイド230の遠位部分はばね部分232も含み、これは、アンカー支持体フレームおよびアンカーを送達中により適応可能にさせ、展開前のより均一なアンカーおよび組織の相互作用を可能にする。センタリング部材240は、短縮されると横方向外向きに拡張する拡張可能メッシュまたはバスケット242が取り付けられる中心シャフト241を含む。例えば、近位ハンドルからの中心シャフトの軸方向移動は、アンカー送達中のセンタリングを容易にするために、センタリング部材240を拡張および収縮させる。
図22A~
図22Dでより詳細に論じられるように、アンカー支持体230およびセンタリング部材240は、カテーテル200の遠位端から前進し、センタリング部材が拡張され、これによって弁輪内のアセンブリをセンタリングし、アンカーを弁輪の周りに位置決めするために、その上のアンカー支持体も拡張させる。さらなる前進は、弁輪を囲む組織とアンカーを係合させ、その後、センタリング部材は、アンカーが組織内に移植されている間に血流を可能にするために、収縮して引き出されることが可能である。
【0016】
[0039]
図4Bは、アンカー送達カテーテルの近位制御ハンドル210を示し、アンカーの送達および展開を制御するための制御機能部を含む。センタリングスイッチ201は、センタリングバスケット240を開閉するための軸方向直線運動をもたらす。トルクアクチュエータ202は、アンカーの回転的な展開または抜去のために個々のトルクワイヤにトルクをかけるトルク機構と係合する。一方向(例えば、時計回り)のトルクアクチュエータ202の回転は、アンカーを組織にねじ込むために、係合したトルクワイヤの時計回りの回転をもたらし、その一方で、反対方向のトルクアクチュエータ202の回転は、アンカーの抜去をもたらすために係合したトルクワイヤの反時計回りの回転をもたらす。この特徴は、ねじアンカー20の同時展開を可能にする。セレクタスイッチ203は、1つ以上のアンカーを抜去するためのトルクを印加するために1つ以上の個々のアンカーを医師が選択することを可能にし、その後、医師は個別に展開を調整または再試行することができる。図示されるように、一方向にスイッチ203を移動させることで、アクチュエータ202の回転がそれぞれのトルクワイヤのトルク印加をもたらすように、トルクチューブをトルク機構と係合させ、反対方向にスイッチを移動させることで、アクチュエータ202が回転されたときにそれぞれのトルクチューブにトルクがかからないように、トルク機構からトルクワイヤを係合解除する。この特徴は、医師が展開のための任意の、すべての、または任意の組合せのアンカーを選択することを可能にする。しかしながら、単一のアンカーの位置がその後可視化技術によって準最適であると判定された場合、個々のアンカーは、選択および抜去され、必要に応じて再配置され、その後、組織内に再展開されることが可能である。
【0017】
[0040]
図5A~
図5Cは、いくつかの実施形態によるねじアンカー20のいくつかの図を示す。上述のように、アンカーは、従来の弁輪形成処置における縫合糸と機能的に類似している。各アンカー20は、遠位貫通先端部21および近位シャフト22を含む。この実施形態では、遠位先端部は、回転によって組織と係合して移植する螺旋ねじである。係止機構23および結合-解放機構24の部品は、シャフト22の近位領域に配置される。リング係止機構23は、弁輪形成リング(図示せず)に取り付けられた係止カラー25をアンカーシャフトに固定する。トルクワイヤ結合-解放機構24は、トルクワイヤのトルクによって組織内へのねじアンカーの駆動を容易にするために、トルクワイヤ220をシャフト22の近位端に結合し、リングが位置決めされて弁輪の再形成が十分であると判定されると、アンカーをトルクワイヤから分離する。
【0018】
[0041]図示される実施形態では、リング係止機構23は、アンカーシャフト22の近位領域上のショルダ23bを超えてリングおよび係止カラー25を前進させることで、リッジ23aをアンカーシャフト22に向かって内向きに偏向させてショルダ23bに当接させ、これによってカラー25および取り付けられたリングをアンカーに係止するように、近位方向で内向きに付勢された係止カラー25内にリッジ23aを含む。結合-解放機構24は、トルクワイヤをアンカーシャフトと連結および結合させるように、トルクワイヤの遠位端の内向きに付勢された部材上の対応する遠位リッジ24aを受容するアンカーシャフト22の近位端にスロット24bを含むことができる。トルクワイヤ結合-解放機構24の動作は、
図6A~
図6Bおよび
図7A~
図7Dにさらに示されている。
【0019】
[0042]
図6Aは、アンカーシャフトに係止された係止カラー25(リングは図示せず)でトルクワイヤ222に取り付けられたアンカーシャフト22を示す。
図6Bは、結合-解放機構24によって係合解除された、アンカーシャフト22から取り外されたトルクワイヤ222を示す。図示されるように、リッジ24aは、リッジ24aがアンカーシャフト22の近位端に沿ってスロット24bから係合解除されるように、内側コアワイヤ223の抜去時に内向きに偏向する内向きに付勢された部材上に設けられている。
図7A~
図7Bは、リング(図示せず)を有する係止カラー25がアンカーに固定された後のトルクワイヤ222の解放前後のアセンブリの断面図を示す。
図7A~
図7Bに示されるように、中心コアワイヤ223は、遠位リッジ24aがアンカーシャフト22のスロット24b内に横方向外向きに延在するように、トルクチューブ222を通って延在して内向きに付勢された部材を強制的に分離させ、これによってトルクワイヤ222をアンカーに係止する。
図7Cに示されるように、コアワイヤ223が抜去されると、
図7Dに示されるように、係止部品24aの内向きに付勢された部材は、部材が内向きに引き込まれてリッジ24aがスロット24bから抜去されるように、それらの無応力状態に復帰し、これにより、トルクワイヤ222の引き出しを可能にするためにアンカーシャフト22から係合解除される。
【0020】
[0043]別の実施形態では、結合-解放機構は回転カムロックを含むことができる。
図8~
図11の実施形態に示されるように、回転カムロック30は、アンカーシャフト22に取り付けられた係止スリーブ33とインターフェースするカムロック31を含むことができる。
図9A~
図9Bの詳細図に示されるように、カムロック31は、シャフトと、アンカー送達および展開中に係止位置(
図9A参照)に位置決めされ得る遠位カム32とを含む。図示されるように、カム32は、係止スリーブ33の遠位部分内の対応する形状の空洞33a内で回転係止位置にあり、これにより、カムロックおよび取り付けられたトルクチューブが係止スリーブから滑り落ちるのを防止する。弁輪形成リングが配置されてアンカーに固定された後、トルクワイヤは、カムロック31をひねることによって解放される。カムロック31シャフトは、患者の外側のそれらの近位端から回転することができ、これは、カム32が係止スリーブ33から近位に後退することを可能にするために長手方向に延在するスロット33bと位置合わせするようにカム32を回転させ、これによってトルクワイヤをアンカーから解放する。
【0021】
[0044]別の態様では、リング係止機構は、アンカー本体内の孔または窪みとインターフェースするリングに取り付けられた係止カラーの突出要素を含むことができる。このような機構の例は、
図10~
図11の実施形態に示されている。一実施形態では、リング結合機構は、弁輪形成リングまたは取り付けられた係止カラーのフックまたは弾性付勢部材がアンカーの孔または窪みとインターフェースする、フックカップリングを含む。
【0022】
[0045]
図10A~
図10Cに示されるように、アンカーシャフト22は、近位方向に傾斜したカラー25の1つ以上の内向き延在タブ25aに対して係止する1つ以上のハイポチューブ機能部29を含むことができる。この実施形態では、アンカーは、可調性を可能にする、一連の3つのハイポチューブ機能部29を含み、カラーは、少なくとも2つの内向き延在タブを含む。
図10Aに見られるように、係止ハイポチューブ機能部の各々は先細の近位端29aを有し、これはスリーブがハイポチューブ上で摺動することを可能にし、これにより、
図10Bに示されるように、スリーブの内向き延在弾性タブを外向きに押す。スリーブのさらなる前進は、
図10Cに示されるように、内向き延在タブがその設定位置まで内向きに弾性的に偏向し、ハイポチューブの遠位平坦端29bに対して係止することを可能にする。内向き延在タブ25aは、カラーと同じ材料または異なる材料を含む、任意の適切な材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のタブは、カラーと一体に形成される。他の実施形態では、1つ以上のタブは、別々に形成されてカラーと結合される。いくつかの実施形態では、1つ以上のタブは、ニチノールで形成され、内向きに延在する位置に設定される。図示されるように、リングは、3つの係止ハイポチューブ機能部のいずれかに係合することができる。この構成は、リングがリング/弁輪に対するアンカーの位置決めおよび深さの変動に対応することを可能にする。
【0023】
[0046]
図11Aに示されるように、アンカーシャフト22は、リング10および取り付けられたカラー25がトルクワイヤ222上を前進するときにアンカーシャフト22の孔27を通って延在する遠位に延在するフック26を含む係止カラー25に取り付けられ、これによってリングをアンカーに係止する。別の実施形態では、リング結合機構は、アンカー本体の窪みとインターフェースするばね付勢部材を有する係止カラーを含む。
【0024】
[0047]
図11Bに示されるように、リング10に取り付けられた係止カラー25は、孔または戻り止め23とインターフェースする、横方向に延在して内向きに付勢されたボール28を含む。詳細図に示されるように、部材28は、カラーがアンカー上を前進するときに、ボール28bがばね28aによって戻り止め23に押し込まれるように遠位ボール28bを内向きに付勢するばね28aを含み、これによってリングをアンカーに係止し、その後、トルクワイヤは上述のように取り外され得る。これらの例は、カムロック結合-解放機構を用いて示されているが、これらのリング結合機構は、様々な他の実施形態とも使用され得ることが理解される。
【0025】
[0048]いくつかの実施形態では、結合-解放機構は、リング係止機構の係合がトルクワイヤを分離するためにトルクワイヤ結合-解放機構を作動させるように、構成され得る。例えば、アンカーシャフト22との内向き付勢リッジ23aの係合は、トルクワイヤの解放を可能にするために、結合機能部24a、24bを分離させる部材を作動させることができる。この設計は、係止機構とのリングの係止がトルクワイヤの解放をもたらすので、有利である。係止機構および結合-解放機構の特定の設計が上記で図示および説明されているが、これらの機構は、上述の機能性を提供するように構成された任意のインターフェース部品または任意の適切なコネクタを含み得ることが理解される。
【0026】
[0049]この実施形態では、アンカー先端部およびシャフトはステンレス鋼で製造されるが、任意の材料が使用され得る。アンカーは、一体部品で形成されることが可能であり、一緒に取り付けられた複数の部品を含むこともできる。典型的には、アンカーは、係止機構および結合-解放機構が取り付けられた状態で、上述のように提供される。ねじアンカーが本明細書に記載されているが、アンカーシャフトに接続された駆動部材からの軸力を印加することによって組織内に押し込まれる有刺アンカーを含む、任意の適切なタイプのアンカーが使用され得ることが理解される。このアプローチでは、アンカーは同様の方法で展開および抜去されることが可能であり、任意の、すべての、または任意の組合せのアンカーを選択する。
【0027】
[0050]
図12A~
図12Cは、いくつかの実施形態による弁輪形成リング10のいくつかの図を示す。リング10は、複数の同心ループまたはリング11と、弁輪に対してリング11を移植および固定するためにアンカーを受容する一連の開口部またはアイレット12とを含む。この実施形態では、弁輪形成リングは、ニチノールなどの形状記憶合金で形成され、弁輪の健康な解剖学的形状を模倣する三次元形状に熱硬化される。これは、リングが比較的小さいサイズの送達カテーテルに折り畳まれ、カテーテルから展開されて弁輪を囲むアンカーに固定されるときに所望の形状を取ることを可能にする。典型的には、弁輪形成リングは半剛性である。有利には、三次元設計は、様々な形状およびサイズを患者の解剖学的構造および患者の僧帽弁逆流症の特定の特性に適合させ、これによってカスタマイズされた治療アプローチを提供する。標準的な撮像技術を用いた患者の前処置の評価は、所与の患者の解剖学的構造の形状およびサイズリングを決定するために使用され得る。
図12Dに示されるように、リング10は、各々がワイヤまたはケーブル上でのリングの前進を容易にするためのカラー25を有するアイレットを含むことができる。この実施形態では、リング10は、アイレット位置に8つのカラーを含み、これらは、弁に沿ってリングをアンカリングするのに望ましい位置で不均一に離間している。リングは、様々な他の位置により多くのまたは少ないカラーを含むことができることが理解される。カラー25は、本明細書に記載されるもののいずれかなどのリング係止機能部をさらに含むことができる。別の態様では、弁輪形成リングは、例えば、以下でより詳細に記載される
図13A~
図13Bに示されるように、調整可能であり得る。
【0028】
[0051]図示されるように、弁輪形成リング10は、一緒にリング構造を形成する複数の同心ループまたはリングを含む。いくつかの実施形態では、リングは、例えば2から50、5から30、または10から20の間の、任意の適切な数のループを含む。ループは一般に、
図6Aに見られるように、弁輪の所望の2D形状に対応する、互いに同様の2D形状である。これに関して、リングは、二次元(x-y方向)に沿った従来の弁輪形成リングの形状と同様である。しかしながら、複数のループは、
図6Cの側面図からわかるように、三次元(z方向)に沿って異なる形状を有することができる。この3D形状は、弁輪形成リングが追加の寸法に沿って弁輪を再形成することを可能にし、これにより、弁の弁尖の癒合をさらに改善するために、膨張した弁輪を所望の3D形状により良好に再形成する。一態様では、弁輪形成リング設計は、径方向強度、展開能力、および低プロファイルについて最適化および評価され得る。
【0029】
[0052]別の態様では、弁輪形成リングは、展開中に患者の外側からリングの全体的な形状および/またはサイズを調整するために締め付けまたは緩めることが可能な調整可能セクションまたは部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、展開中に心臓の機能を監視し、所望の心臓弁機能が達成されるまでリングを相応に調整することができる。いくつかの実施形態では、リングは、リングのサイズを縮小するために、必要に応じてよりきつく締められることが可能な特定の位置にv字形要素を含む。
図13A~
図13Bに示されるように、調整可能な弁輪形成リング40は、2つのv字形要素42を有する複数の同心ワイヤループ41を含む。図示される実施形態では、v字形要素42は、楕円の長軸に沿って両側に配置されている。これは、典型的に僧帽弁縮小に最も効果的な方向である、弁の中隔-側壁方向に対応する短軸の短縮をもたらす。しかしながら、調整部分は、様々な他の位置に配置され、様々な他の構造を利用することができることが理解される。
【0030】
[0053]
図13Bに示されるように、v字形要素の各ワイヤは、両側にカラー43を含む。カラー43は、v字形要素の幅広な部分に固定されており、ケーブルをカラーに通すことができるように設計されている。
図14A~
図14Bに示されるように、ケーブル43は、1つのカラーに固定されてv字形要素の各々にかかるようにルーティングされるように複数のカラーを通って位置決めされ、インプラントシステムの展開中にv字形部分が臨床医によって張力がかけられる/締め付けられることが可能なように、患者の外側に延在する。ケーブル43に張力がかけられると、カラーは一緒に接近し、v字形要素に沿って寸法を減少させる。
【0031】
[0054]別の態様では、弁輪形成リングは、長尺であり得、送達中は小さい直径を有し、その後アンカーに取り付けられる弁輪形成リングを形成するために径方向に拡張される、編組ワイヤを含むことができる。
図15Aに示されるように、弁輪形成リング50は、中央開口部の周りに織り込まれた編組ワイヤ51で形成された拡張可能な足場として設計されている。この実施形態では、ワイヤ51は、ニチノールなどの形状記憶合金である。足場は、足場の遠位部分の付近に設けられたアイレット52を含み、アイレットは、前述のように、係止カラー25を有する。好ましくは、足場は、各々が非侵襲的な、例えばワイヤ端部が露出されていない、上端部54および下端部53を有する。図示されるように、ワイヤ端部は、連続したワイヤ編組を形成するために、編組内で互いに接続されている。この実施形態では、上端部および下端部は、山と谷とを有するジグザグ設計を有する。
図15Aでは、足場は、
図15Bに示される送達構成と、
図15Cに示される展開構成との中間で、ケーブルワイヤに沿って前進しているように示されている。
【0032】
[0055]
図15Bに示される送達構成では、足場は、軸方向寸法a1が直径d1よりも大きくなるように、軸方向に長尺である。図示されるように、軸方向寸法は、足場が長手方向軸に沿った長尺管状形状に似るように、直径の約10倍の長さである。第1の直径は、大腿動脈を通って心臓弁までのインプラントシステムの送達を可能にするために、血管アクセスシース、好ましくは18フレンチ以下のアクセスシースとぴったり一致するのに十分なほど小さい。第1の軸方向寸法は、典型的には2cmから10cmの間である。
【0033】
[0056]
図15Cに示される展開構成では、足場は、直径d2が軸方向寸法a2よりも大きくなるように、軸方向に拡張され、軸方向に折り畳まれる。図示されるように、平均直径は、軸方向寸法の約5倍の大きさである。ニチノールなどの形状記憶合金で形成されるとき、足場は、心臓に送達されたら足場がこの構成を取るように、この展開移植構成に熱硬化される。図示されるように、足場は、中央開口部55の周りで周方向に延在する楕円形のリングに似ている。典型的には、直径d2は、2cmから4cmの範囲内であり、僧帽弁などの心臓弁の周りに固定されるのに適している。軸方向寸法a2は比較的小さく、典型的には0.5cmから3cmの範囲内である。
【0034】
[0057]
図15Dは、いくつかの実施形態による、僧帽弁輪(MV)のモデル上に移植された例示的な弁輪形成インプラントシステム100を示す。上述の実施形態によれば、インプラントシステムは、弁輪形成リング50と、MVを囲む組織内に移植される複数のねじアンカー20とを含む。見てわかるように、トルクワイヤ220は依然としてアンカー20の近位端に取り付けられており、インプラント50は、アイレット12およびカラー25を通って延在するトルクワイヤ上を前進しており、弁輪に隣接する展開構成を取っている。リングはその後、トルクワイヤ222がアンカーから分離され、インプラントを適所に残したまま抜去されている間、アンカーシャフトに係止されることが可能である。いくつかの実施形態では、トルクワイヤを分離する前にアンカーまたはリングを調整できるように、リングが適所に係止される前に、弁の機能が評価され得る。
【0035】
[0058]いくつかの実施形態では、弁輪形成リングは、移植後にリングインプラントを僧帽弁輪に固定するためにインプラントの周りの組織成長を促進する1つ以上の組織成長機能部を含むことができる。これらの機能部は、弁輪形成リング構造の選択部分に設けられたコーティング、縫合糸、フィラメント、生分解性ポリマー、メッシュ、または布を含むことができるが、これらに限定されない。
図16A~
図16Bは、構造の1本おきのワイヤの周りに巻かれた編組ポリエステル糸または縫合糸60の組織成長機能部を含む編組ワイヤ51で構成された例示的な弁輪形成リング50を示す。図示される実施形態では、リングは、ニチノールワイヤのループによって画定される。縫合糸60は、ワイヤの周りに一連の結び目で巻かれて固定され、縫合糸のほつれまたは損傷を低減するためにワイヤ交差点を回避する。1本おきのワイヤを覆ってワイヤ交差点を回避することにより、縫合糸はインプラントの拡張を制限しない。いくつかの実施形態では、インプラントとの組織または血液の相互作用を改善するために、他の生分解性の布、コーティング、または表面改質をワイヤに追加することができる。
【0036】
[0059]
図17Aは、弁輪を健康な僧帽弁の自然な形状により良好に適合させるためにD字形リングで二次元形状に形成された例示的な弁輪形成リング50を示す。具体的には、D字形は、リングが、健康な環状形状に類似した、解剖学的に有利な形状で心臓を再成形するように設計されるように、
図1Cに示されるように、僧帽弁輪内の解剖学的機能部に対して対応する特定の寸法を有する。リングはまた、患者に応じて弁輪の特定のセクションを優先的に整形するように成形されることも可能である。いくつかの実施形態では、弁輪形成リングは、
図1Cに見られるように、サドル形状に似た健康な僧帽弁輪の自然な形状に対応する3次元形状を取るように、さらに設計される。
図17B~
図17Dに示されるように、典型的にはニチノールワイヤである弁輪形成リングの複数のワイヤループは、この所望の形状(破線で示される)に沿って形成/硬化され、これにより、心臓のより解剖学的に正確な改造を提供することができる。
【0037】
[0060]
図18A~
図18Bは、リング展開カテーテルから展開されている弁輪形成リング50を示す。見てわかるように、弁輪形成リングは、送達カテーテルのカテーテルシャフト320の比較的小さい管腔内に拘束され得る。可撓性編組足場設計は、リング全体が軸方向に長尺になり、径方向に折り畳まれてカテーテル内に引き込まれることを可能にする。編組設計は、
図18A~
図18Bに示されるように、遠位に前進して弁輪形成リングを形成するために展開される前のメッシュ状の外観を有している。
【0038】
[0061]
図19A~
図19Cは、いくつかの実施形態による弁輪形成リング送達カテーテル300のいくつかの図を示す。送達カテーテル300は、近位ハンドル310と、長尺の可撓性シャフト320と、シャフトの遠位部分内に拘束された弁輪形成リング50とを含む。
図19Aに示されるように、アンカー送達カテーテルの抜去後に、トルクワイヤは適所に残され、トルクワイヤの近位端は弁輪形成リングのアイレットを通って供給され、次いでリングが圧縮され、シャフトから近位に延在するトルクワイヤ220によってシャフト320内に装填される。アセンブリ全体は、僧帽弁輪までトルクワイヤ上を前進する。リングは、シャフトの近位後退によって、および/またはリングと係合するプッシャ部材312の前進によって展開され得る。プッシャ部材312は、ハンドル上の制御スイッチ311まで延在する。この実施形態では、プッシャ要素は、ハンドルに取り付けられた、より小さいカテーテルシャフトに取り付けられる。ハンドル本体の前進は、リングを展開させる。ハンドル本体の後退は、リングをより大きいシャフト内に引き戻す。ハンドル上の制御スイッチは、プッシャ部材をリングから係合解除し、カテーテルからリングを解放する。解放されると、リングはその展開構成を取り、上述のように、弁輪の周りのアンカーに取り付けられることが可能である。
【0039】
[0062]
図19Cに示されるように、プッシャ部材312は、弁輪に隣接するリングの前進および展開を容易にするために、リングと係合する複数のアームを含むことができる。この時点で、再形成された弁の形状および/または機能は、可視化技術によって評価され得る。弁の形状または弁性能が不十分であると医師が判断した場合、近位端からピンと張ったトルクワイヤを引っ張り、リングをシース内に引き込むことによって、リングを抜去することができる。リングはその後、必要に応じて引き出されて調整されるかまたは交換され、処置が繰り返されて再評価されることが可能である。弁の形状および/または弁機能が十分になると、リング係止機構によってアンカーシャフトの係止機構にリングを固定し、結合-解放機構によってアンカーからトルクワイヤを分離するために、リングをさらに前進させることができる。
【0040】
[0063]図示されるように、プッシャ要素は、横方向外向きに広がり、プッシャ部材の軸方向移動でリングを前進または後退させるために人工装具の最近位のループと係合する、複数のアームを備える。アームは、フック、結合機構、または任意の適切な解放可能コネクタによってループと係合され得る。いくつかの実施形態では、プッシャ部材は、トルクワイヤのうちの1つ以上の上方に設けられた1つ以上のチューブを含むことができる。リング送達カテーテルは、アンカー送達カテーテルの抜去後に使用される別個のカテーテルとして説明されているが、いくつかの実施形態では、カテーテルは単一のカテーテル内で組み合わせられ得ることが理解される。
【0041】
[0064]
図20は、いくつかの実施形態による、アンカーおよび弁輪形成リングのそれぞれの送達カテーテルのアクセスを提供するための、心臓の心房に血管内を前進することができる関節アクセスシース400を示す。アクセスシースは、近位アクセス開口部を有する近位ハンドル410、長尺の可撓性シース本体420、および可撓性関節遠位領域430を含むことができる。いくつかの実施形態では、アクセスシースは、インプラントシステムの送達および位置決めに役立つための偏向可能20Fシースである。このアクセスシースは、静脈アクセス部位からの径大腿動脈-経中隔アプローチにおいて上述の移植処置が実行されることを可能にする。僧帽弁は、右から左への心房穿刺によって心房側からアクセスされ得る。
図21は、左心房の僧帽弁へのアクセスを提供するための、中隔を通って左心房内に前進するアクセスシースを示す。
【0042】
[0065]
図22A~
図22Hは、いくつかの実施形態による、弁輪形成インプラントシステムの送達および移植の例示的な方法の連続図を示す。
【0043】
[0066]
図22Aでは、送達カテーテルは心房側から僧帽弁に前進させられる。アンカー支持体230およびセンタリング部材240のアセンブリはその後、
図22Bに示されるように、センタリングバスケットの中心シャフト241が僧帽弁に入るように前進する。図示されるように、アセンブリは、センタリングアセンブリの中心シャフトが弁輪を通って心房内に延在し、その一方でアンカー支持体フレームが心房内の弁輪の上方に残るように、位置決めされる。弁輪内のアセンブリの位置は、可視化技術によって確認され得る。
【0044】
[0067]
図22Cに示されるように、センタリング部材240は、(例えば近位ハンドル上の制御スイッチの軸方向移動によって)弁輪内で拡張され、これによって弁輪内でアセンブリをセンタリングする。見てわかるように、アンカー20はセンタリング部材のさらに外側で支持されるので、これによって弁輪を囲むアンカーを位置決めする。必要であれば、アンカー支持体230は、周囲組織との十分な接触を保証するために、さらに前進させることができる。先に論じられたように、アンカー支持体は、組織の不均一な輪郭にかかわらずすべてのアンカーが周囲組織と適切に係合できるように、アンカーにより多くの余裕および適応性を許容するばね部分を含むことができる。有利には、センタリング部材は、センタリング処置中であっても心房と心室との間の血流を可能にするためのバスケットまたは足場であり得る。
【0045】
[0068]
図22Dに見られるように、センタリング部材は収縮し、送達カテーテル内で軸方向に後退している。有利には、これは、医師がアンカーを周囲組織内に固定するプロセスを継続している間、弁が機能することを可能にする。アンカー支持体230がトルクワイヤ(図示せず)およびアンカーを適切な位置に支持している間、医師はねじアンカーを周囲組織内に押し込むようにトルクワイヤを作動させる。上述のように、医師は、任意の、すべての、または任意の組合せのねじアンカーを選択することができ、必要に応じて個々のアンカーを外植することができる。好ましくは、複数のアンカーが同時に展開され、これにより、移植の用意さを改善し、全体的な処置の長さを短縮する。
【0046】
[0069]
図22Eに示されるように、ねじアンカー20が周囲組織内に十分に移植された後、アンカー支持体は、送達カテーテルと共に引き出され、トルクワイヤを、アクセスシース400を通って延在する適所に残すことができる。次いで、弁輪形成リングは、前述のように、アイレットを介してトルクワイヤの近位端に供給され、リング送達カテーテル内に装填される。
【0047】
[0070]
図12Fに示されるように、弁輪形成リングはその後、トルクワイヤ221上をリング送達カテーテル300から前進する。
図12Gに示されるように、リングは、足場が送達シースから出現し、展開構成を取り、次いで弁輪に隣接するアンカーに固定されるように、(1つまたは複数の)プッシャ部材312によってカテーテルからさらに前進することができる。この時点で、再形成された弁の形状および/または弁機能が評価され、必要であれば、評価に基づいてリングを後退させ、調整または交換することができる。再形成された弁の形状および/または弁機能が適切であると医師が判断すると、弁輪形成リング10は、(例えば、リングのさらなる前進によって)係止機構を介してアンカーシャフトに係止され、トルクワイヤはアンカーシャフトから分離される。次いで、
図22Hに示されるように、リング送達カテーテルおよびアクセスシースは抜去され、弁輪形成インプラントシステムを適所に残すことができる。
【0048】
[0071]
図23の実施形態では、インプラント送達カテーテル300は、その遠位部分にインプラント保持-解放機構350を各々含むプッシャ部材312を含み、これは、ケーブル上を前進している間はリング50に解放可能に係合し、カラー25をアンカーに係止した後にリングを解放する。リング保持-解放機構350は、それぞれ係止位置および解放位置にある機構を示す
図24および
図25を参照することによって、さらに理解することができる。
【0049】
[0072]
図24および
図25に示されるように、各リング保持-解放機構350はばね付勢ハイポチューブスリーブ351であり、これは、内側スリーブがばね354によって完全拡張位置に押されたときに内側スリーブ352と外側ハイポチューブスリーブ353との間に拘束される係止位置にリング50を保持する、内側の後退可能なハイポチューブスリーブ352を含む。図示されるように、各ハイポチューブスリーブは、リングのワイヤを係止位置に係合する歯352a、353aを有する。ばね付勢解放機構は、内側スリーブに取り付けられてこれを後退させ、ばねを含む、プルワイヤ355によってカテーテルの近位端から解放されることが可能である。追加のばね長さは、たるみを作り出し、送達中のいかなる個々のプロングアームの不注意な早期解放を防止する。リングが機構350に係止されている間、リング50は、トルクワイヤ上をアンカーに対向して前進し、これにより、前述のようリングのカラーをアンカーに係止する。リングが適所に係止されると、(1つまたは複数の)プルワイヤは、ばね機構を解放して(1つまたは複数の)内側スリーブ352を近位に後退させるために引っ張られ、これによってすべてのプッシャ部材からリング50を解放することができる。この実施形態では、内側および外側ハイポチューブスリーブの両方のくさび面352b、353bは、解放位置にあるときにインターフェースし、これにより、内側スリーブが後退するときにリングを外側に押す。いくつかの実施形態では、押圧部材は、ケーブルに沿ったリングの平面性および均一な前進を維持するように、近位端で一緒に係止され、一緒に押されることが可能である。いくつかの実施形態では、押圧部材は、リングを弁輪に対向する非平面形状に適応させるように、他の押圧部材に対して個別に制御されるかまたはさらに前進することができる。解放後に、プッシャ部材はその後、インプラント送達カテーテルの外側シース内に後退し、身体から引き出されることが可能である。
【0050】
[0073]前述の明細書において、本発明は、その特定の実施形態を参照して説明されたが、当業者は、本発明がこれらに限定されないことを認識するだろう。上記の発明の様々な特徴、実施形態、および態様は、個別にまたは一緒に使用され得る。さらに、本発明は、本明細書のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されたものを超えて任意の数の環境および用途で利用され得る。したがって、本明細書および図面は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。本明細書で使用される「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、非限定的な技術用語として読まれるように特に意図されることが認識されるだろう。本明細書に引用される参考文献の各々は、あらゆる目的のため、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】