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特表2023-541635DNA修復阻害剤との組み合わせによる放射性核種療法での使用のためのラジウム224とプロジェニーとの調製
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  • 特表-DNA修復阻害剤との組み合わせによる放射性核種療法での使用のためのラジウム224とプロジェニーとの調製 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】DNA修復阻害剤との組み合わせによる放射性核種療法での使用のためのラジウム224とプロジェニーとの調製
(51)【国際特許分類】
   A61K 51/00 20060101AFI20230926BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20230926BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 31/502 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 31/166 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230926BHJP
   A61K 51/08 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 51/02 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20230926BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
A61K51/00
A61K45/00
A61K41/00
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P35/04
A61P1/00
A61P1/16
A61P1/18
A61P9/00
A61P11/00
A61P13/00
A61P13/10
A61P15/00
A61P17/00
A61P21/00
A61K31/502
A61K31/454
A61K31/5025
A61K31/4184
A61K31/166
A61K9/14
A61K9/10
A61K9/50
A61K9/51
A61K47/02
A61K47/42
A61K51/08
A61K51/02
A61K31/551
A61K31/496
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516773
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2021075301
(87)【国際公開番号】W WO2022058338
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】20196215.6
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517455465
【氏名又は名称】オンコインベント アクスィエ セルスカプ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ヤン アー.アルフヘイム
(72)【発明者】
【氏名】サラ ベストレーム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA29
4C076AA61
4C076AA65
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB21
4C076CC11
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC27
4C076DD01
4C076DD23
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD80
4C076EE41
4C076FF02
4C076FF04
4C076FF68
4C084AA11
4C084AA19
4C084AA22
4C084MA02
4C084MA23
4C084MA43
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA591
4C084ZA592
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4C084ZA662
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA941
4C084ZA942
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4C084ZB262
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC751
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4C086CB09
4C086CB11
4C086CB22
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
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4C086MA03
4C086MA05
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4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZB26
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4C206GA07
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4C206ZC20
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、がん治療における使用に対する、ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニー、及びDNA修復阻害剤の組み合わせに関する。DNA修復阻害剤は、例えば、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤(PARPi)、MGMT阻害剤、DNA依存性プロテインキナーゼ阻害剤(DNA-PK阻害剤)、毛細血管拡張性運動失調症及びRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、Wee1キナーゼ阻害剤、または、チェックポイントキナーゼ1および2(CHK1/2)阻害剤であり得る。ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニーは、ナノサイズおよび/またはマイクロサイズの粒子中に含まれ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの治療における使用のための、以下の組み合わせ;
a)ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニー、および
b)DNA修復阻害剤。
【請求項2】
前記DNA修復阻害剤が、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤(PARPi)、MGMT阻害剤、DNA依存性プロテインキナーゼ阻害剤(DNA-PK阻害剤)、毛細血管拡張性運動失調症及びRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、Wee1キナーゼ阻害剤、または、チェックポイントキナーゼ1および2(CHK1/2)阻害剤からなる群から選択される、請求項1に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項3】
前記224Raのプロジェニーが、220Rn、216Po、212Pb、および/または 212Biである、請求項1または請求項2に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項4】
前記PARPiが、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、パミパリブ、CEP9722、E7016、および3-アミノベンズアミドからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項5】
前記PARPiが、オラパリブまたはニラパリブである、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項6】
前記PARPiが、ルカパリブである、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項7】
前記PARPiが、タラゾパリブである、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項8】
ナノサイズ粒子および/またはマイクロサイズ粒子をさらに含んでいる、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項9】
前記ナノサイズ粒子および/またはマイクロサイズ粒子が、CaCO、若しくはCa-ハイドロキシアパタイトまたはフルオロアパタイトを含んでいるリン酸カルシウムからできている、請求項8に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項10】
前記CaCOが、PEG修飾CaCO、タンパク質修飾CaCO、炭水化物修飾CaCO、脂質修飾CaCO、ビタミン修飾CaCO、有機化合物修飾CaCO、ポリマー修飾CaCO、および/または無機結晶修飾CaCOからなる群から選択される、請求項9に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項11】
前記粒子のサイズが、1nmから500μmである、請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項12】
前記組成物が、単分散のまたは多分散の粒子を含んでいる粒子懸濁液である、請求項8~11のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項13】
前記がんが、卵巣がん、大腸がん、胃がん、肝臓がん、腹膜がん、胸膜がん、胸水、悪性中皮腫、心臓がん、および膀胱がんからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項14】
前記がんが、肉腫、骨肉腫、肺がん、非小細胞肺がん、すい臓がん、乳がん、腫瘍性髄膜炎、膠芽腫、および星細胞腫、メラノーマ、および前立腺がんからなる群から選択される転移性がんである、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項15】
前記放射性核種の量が、服用量当たり、1kBqから10GBq、または放射性核種の量が、多回投与型商業規模生産に適した、50MBqから100GBqである、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項16】
前記組み合わせが、希釈剤、媒体、担体、担体溶液、界面活性剤、および/または賦形剤からなる群から選択される1または複数のものをさらに含んでいる、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項17】
前記1または複数の担体が、粒子、抗体、フラグメント抗体およびペプチドを含んでいるタンパク質からなる群から選択される、請求項16に関する使用のための組み合わせ。
【請求項18】
a)およびb)が、同時にまたは別々に投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項19】
i)a)およびb)が、同日に投与される、
ii)a)の開始前に、b)が1日または数日間開始される、または、
iii)a)の開始後に、1日または数日間開始される、
請求項1~18のいずれか一項に記載の使用に対する組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん治療における使用のための、ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニーと、DNA修復阻害剤との組み合わせに関する。DNA修復阻害剤は、例えば、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤(PARPi)、MGMT阻害剤、DNA依存性プロテインキナーゼ阻害剤(DNA-PK阻害剤)、毛細血管拡張性運動失調症及びRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、Wee1キナーゼ阻害剤、または、チェックポイントキナーゼ1および2(CHK1/2)阻害剤であり得る。ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニーは、ナノサイズおよび/またはマイクロサイズの粒子および/またはタンパク質または低分子担体に含まれ得る。
【背景技術】
【0002】
DNA修復阻害剤は、in vitro及びin vivoの両方で、腫瘍細胞を放射線増感させると知られている。そして、放射性核種療法と組み合わされたDNA修復阻害剤は、がん治療に対して有望でありうる。化学療法と放射線療法は、がん細胞を高いレベルのDNA損傷を引き起こすことにより殺すよう試みる。DNA修復を阻害することにより、これらの療法の有効性は増加されうる。DNA阻害剤は、低線エネルギー付与放射線(LET)、たとえば、β線放出核種で放射線増感作用を持っていることが主に知られている。高LETおよびα線放出核種、例えば、ラジウム224およびプロジェニーにより引き起こされる損傷の複合的な性質のせいで、α線放出核種とDNA修復阻害剤の組み合わせの潜在性は少ないと考えられている。しかしながら、研究は、DNA修復阻害剤と組み合わせたα放射性核種療法の高まった有効性の潜在性を支持している。臨床用途で承認済みのDNA修復阻害剤のいくつか、特に、PARP阻害剤は、DNA修復阻害剤が現在使用されている病気の効能範囲内外で、治療成績を潜在的に改善しうる。
【0003】
PARP阻害剤で知られている1つの不利点は、非BRCA変異患者における有効性が減少するか、またはないことである。放射性核種療法と組み合わされた治療は、現在および将来のDNA修復阻害剤の治療潜在性を改善することができうる。
【0004】
ラジウム同位体224Ra(t1/2=3.6日)は、治療上の放射性核種としての使用に適合性のある半減期を有する。ラジウム同位体224Raは、224Raより短い半減期の複数のα線およびβ線放出プロジェニーを経由して崩壊し、完全な崩壊につき、平均4つの放出されたα粒子を伴う。その完全な崩壊は、28MeVの高い合計エネルギーを放出する。そして、そのエネルギーの90%超は、α放射と関連する。ラジウム224および224Raの崩壊から生じるそのプロジェニーは、がん治療に対する治療上の放射性核種としての有望性を持っている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、病気、例えば、がんまたは炎症の治療において使用するための、a)ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニーと、b)DNA修復阻害剤との組み合わせに関する。
【0006】
DNA修復阻害剤は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤(PARPi)、MGMT阻害剤、DNA依存性プロテインキナーゼ阻害剤(DNA-PK阻害剤)、毛細血管拡張性運動失調症及びRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、Wee1キナーゼ阻害剤、およびチェックポイントキナーゼ1および2(CHK1/2)阻害剤からなる群から選択されうる。
【0007】
224Raのプロジェニーは、220Rn、216Po、212Pb、および212Biからなる群から選択されうる。
【0008】
224Raのプロジェニーは、220Rnでありうる。224Raのプロジェニーは、216Poでありうる。224Raのプロジェニーは、212Pbでありうる。224Raのプロジェニーは、212Biでありうる。
【0009】
本発明の1または複数の実施形態では、PARPiは、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、パミパリブ、CEP9722、E7016、および
3-アミノベンズアミドからなる群から選択される。
【0010】
PARPiは、オラパリブでありうる。PARPiは、ルカパリブでありうる。PARPiは、ニラパリブでありうる。PARPiは、タラゾパリブでありうる。PARPiは、ベリパリブでありうる。PARPiは、パミパリブでありうる。PARPiは、CEP9722でありうる。PARPiは、E7016でありうる。PARPiは、3-アミノベンズアミドでありうる。
【0011】
本発明の1または複数の実施形態では、使用のための組み合わせは、ナノサイズおよび/またはマイクロサイズの粒子をさらに含む。
【0012】
本発明の1または複数の実施形態では、ナノ粒子またはマイクロ粒子は、CaCO、Ca―ハイドロキシアパタイト、またはフルオロアパタイトからできている。
【0013】
本発明の1または複数の実施形態では、CaCOは、PEG修飾CaCO、タンパク質修飾CaCO、炭水化物修飾CaCO、脂質修飾CaCO、ビタミン修飾CaCO、有機化合物修飾CaCO、ポリマー修飾CaCO、および/または無機結晶修飾CaCOからなる群から選択される。
【0014】
本発明の1または複数の実施形態では、粒子のサイズは1nm~500μmである。
【0015】
本発明の1または複数の実施形態では、組成物は、単分散のまたは多分散の粒子を含んでいる粒子懸濁液である。
【0016】
本発明の1または複数の実施形態では、がんは、腹腔内がん、頭蓋内がん、胸膜がん、膀胱がん、噴門癌、くも膜下腔がん、非空洞標的、例えば、メラノーマ、非小細胞肺がんからなる群から選択される。
【0017】
本発明の1または複数の実施形態では、治療は、腹腔内治療または放射線塞栓術からなる群から選択される。
【0018】
本発明の1または複数の実施形態では、放射性核種の量は、1投与当たり、1kBqから 10GBqであるか、又は多回投与型商業規模生産に適した、50MBqから100GBqの放射性核種の量を伴ってもよい。
【0019】
本発明の1または複数の実施形態では、組み合わせまたは組成物は、希釈剤、担体、界面活性剤、および/または賦形剤からなる群から選択された1または複数のものを含んでいる。
【0020】
本発明の1または複数の実施形態では、a)およびb)は一緒にまたは別々に投与される。
【0021】
本発明の1または複数の実施形態では、a)およびb)は同じ日に投与される。
【0022】
本発明の1または複数の実施形態では、b)は、a)の開始前1日または数日開始される。
【0023】
本発明の1または複数の実施形態では、b)は、a)の開始後、1日または数日始められる。
【発明の詳細な説明】
【0024】
本発明者らは、ラジウム224(224Ra)およびDNA修復阻害剤の組み合わせの適用は、がん治療において、当該組み合わせの相加的効果または相乗的効果のため有益であることを、驚くべきことに発見した。組み合わせは、さらなる利点、例えば、少ない毒性をも有する。有効な1回の治療で必要とされる量よりも少量のそれぞれの2つの成分が、投与されうるため、組み合わせの減少された毒性は、達成されうる。非BRCA変異がん患者における、DNA修復阻害剤、例えば、PARP阻害剤の改善された効果は、本明細書で述べられるように、224Ra放射線療法と組み合わせ的な使用を通じて観察されうる。
【0025】
したがって、本発明の態様は、がんの治療などにおける薬としての使用のためのラジウム224(224Ra)および/または1または複数のプロジェニー、または224Raのプロジェニーと、DNA修復阻害剤との組み合わせに関する。
【0026】
本発明の1または複数の実施形態は、a)ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニーと、b)DNA修復阻害剤、例えば、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤(PARPi)を含んでいる医薬組成物に関する。この組成物は、病気、例えば、がんの治療に使用されうる。本明細書で述べられるように、2つの成分、a)ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニーと、b)DNA修復阻害剤は別々に投与されうる。
【0027】
DNA修復阻害剤
DNA修復阻害剤は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤(PARPi)、MGMT阻害剤、DNA依存性プロテインキナーゼ阻害剤(DNA-PK阻害剤)、毛細血管拡張性運動失調症及びRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、Wee1キナーゼ阻害剤、およびチェックポイントキナーゼ1および2(CHK1/2)阻害剤からなる群から選択されうる。
【0028】
本発明の1または複数の実施形態は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤(PARPi)であるDNA修復阻害剤に関する。本発明の1または複数の実施形態において、PARPiは、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、パミパリブ、CEP9722、E7016、および3-アミノベンズアミドからなる群から選択される。PARPiは、オラパリブでありうる。PARPiは、ルカパリブでありうる。PARPiは、ニラパリブでありうる。PARPiは、タラゾパリブでありうる。PARPiは、ベリパリブでありうる。PARPiは、パミパリブでありうる。PARPiは、CEP9722でありうる。PARPiは、E7016でありうる。PARPiは、3-アミノベンズアミドでありうる。
【0029】
本発明の1または複数の実施形態は、DNA修復阻害剤、MGMT阻害剤に関する。本発明の1または複数の実施形態において、MGMT阻害剤は、O6-ベンジルグアニン(O6-BG)およびO6-(4ブロモテニル)グアニン(PaTrin-2またはPAT)からなる群から選択される。MGMT阻害剤は、O6-ベンジルグアニン(O6-BG)でありうる。MGMT阻害剤は、O6-(4ブロモテニル)グアニン(PaTrin-2またはPAT)でありうる。
【0030】
本発明の1または複数の実施形態は、DNA修復阻害剤、DNA依存性プロテインキナーゼ阻害剤(DNA-PK阻害剤)に関する。本発明の1または複数の実施形態において、DNA―PK阻害剤は、LY294002、NU7441、NU7427、NU7026、NU7163、NU5455、KU-0060648、IC60211誘導体、CC-115、CC-122、ZSTK474、VX984、VeM3814、およびAZD7648からなる群から選択される。DNA-PK阻害剤は、LY294002でありうる。DNA-PK阻害剤は、NU7441でありうる。DNA-PK阻害剤は、NU7427でありうる。DNA-PK阻害剤は、NU7026でありうる。DNA-PK阻害剤は、NU7163でありうる。DNA-PK阻害剤は、NU5455でありうる。DNA-PK阻害剤は、KU-0060648でありうる。DNA-PK阻害剤は、IC60211誘導体でありうる。DNA-PK阻害剤は、CC-115でありうる。DNA-PK阻害剤は、CC-122でありうる。DNA-PK阻害剤は、ZSTK474でありうる。DNA-PK阻害剤は、VX984でありうる。DNA-PK阻害剤は、VeM3814でありうる。DNA-PK阻害剤は、AZD7648でありうる。
【0031】
本発明の1または複数の実施形態は、DNA修復阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症及びRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤に関する。
【0032】
本発明の1または複数の実施形態は、DNA修復阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤に関する。
【0033】
本発明の1または複数の実施形態は、DNA修復阻害剤、Wee1キナーゼ阻害剤に関する。
【0034】
本発明の1または複数の実施形態は、DNA修復阻害剤、チェックポイントキナーゼ1および2(CHK1/2)阻害剤に関する。
【0035】
放射性核種
局所療法、例えば、腹腔内空洞におけるα粒子放出化合物の主な医療の利点は、より短い範囲であることである。一般に、医療用のβ放射体からのβ粒子のmmからcmの範囲と比較して、αは0.1mmの範囲未満である。それゆえに、本発明の放射性核種は、本用途の目的に合わせられうる。
【0036】
α放射体の使用によって、腹腔内(i.p.)使用の場合に放射線感受性の腸クリプト細胞のような内臓のより深い範囲への照射によって生じる毒性のリスクが、腔内設定において減少する。放出されたα粒子の高い線エネルギー付与は、また有利である。なぜならば、極めて少ないα粒子の接触が細胞を殺すのに必要とされ、そして、修復できない2本鎖切断を生じさせる高い確率のため、DNA鎖切断の高い修復能力のような細胞耐性機構の問題がほとんどないからである。
【0037】
大半のα放射体およびβ放射体は、遮蔽される必要があるX線およびγ線も放出し、病院のスタッフおよび関係者を遮蔽するために必要なものを減らすため、より低い放射能を意味する崩壊あたりの高効果が必要とされている。崩壊あたりの高い効果は、より低い放射能しか必要とされないことを意味し、大半のα放射体およびβ放射体が遮蔽される必要があるX線およびγ線も放出するため、病院のスタッフおよび関係者を遮蔽する必要性を低減する。崩壊あたりの高い効果は、より低い放射能しか必要とされないことを意味し、病院のスタッフおよび関係者を遮蔽する必要性を低減する。この必要性は、大半のα放射体およびβ放射体が遮蔽される必要があるX線およびγ線も放出するため生じる、
【0038】
本文脈において、プロジェニーは、放射性親核種の崩壊の結果である放射性核種と理解される。従って、例えば、224Raが放射性親核種であるとき、220Rn(放射性娘核種)、216Po(放射性孫娘核種)、および212Pb(放射性ひ孫娘核種)である。それゆえに、220Rn、216Poおよび212Pbは、224Raのプロジェニー放射性核種であると考えられる。
【0039】
それゆえ、1の実施形態では、α放出放射性核種である224Raは、その放射性娘核種220Rn、その放射性孫娘核種216Po、およびその放射性ひ孫娘核種212Pbを伴っている。本発明の粒子では、これらのものすべては、224Raが放射性核種である場合に粒子によりふくまれる。
【0040】
それゆえ、224Raのプロジェニーは、220Rn、216Po、212Pbおよび212Biからなる群から選択されうる。224Raのプロジェニーは、220Rnでありうる。224Raのプロジェニーは、216Poでありうる。224Raのプロジェニーは、212Pbでありうる。224Raのプロジェニーは、212Biでありうる。
【0041】
これらの放射性核種は、本発明に関する使用において、組み合わされうる。それゆえ、1、2またはそれより多くの上述した放射性核種が、組み合わせで使われる。このことは、放射性核種が崩壊し、そうして自然的なプロジェニーになるという自然的な原因によって起こりうる。そのような状況は、例えば、224Raが放射性親核種であるとき起こりうるものであり、20Rn(放射性娘核種)、216Po(放射性孫娘核種)、および212Pb(放射性ひ孫娘核種)である。それゆえ、220Rn、216Poおよび212Pbはすべて、224Raのプロジェニー放射性核種であると考えられ、そして、224Raの自然崩壊により、一定量において、自動的に存在する。
【0042】
2またはそれより多くの放射性核種は、組み合わせで使用されることができ、そして、意図された用途に従って自然崩壊から生じる量よりも高い量を有する点で有益となりうる。例えば、もし、224Raと212Pbが混合された場合、このことが起こりうる。この状況において、もし精製した224Raが使用された場合よりも、高い212Pbのレベルとなる。
【0043】
患者の投薬量当たりに使用される放射線核種の量は、1kBqから10GBqの範囲、より好ましくは、100kBqから100MBqの範囲でもよく、よりいっそう好ましくは、0.5MBqから25MBqの範囲である。投薬量範囲は、患者投与量あたり、10MBq から10GBqでありうる。投薬量範囲は、患者投与量あたり、10MBqから5GBqでありうる。当該範囲は、β放射体、α放射体、もしくはその組み合わせについての範囲でありうる。当該範囲は治療のために使用されうる。投薬量は、がんのタイプに依存し、例えば、そのがんがどれぐらい侵攻性かなどである。1つの実施形態では、投薬量は10-100kBq/kg、例えば、20-50kBq/kgはである。ほかの実施形態では、投薬量は、10-1000kBq/kg、例えば、25-300 kBq/kgである。さらなる実施形態では、投薬量は、100-500kBq/kg、例えば、150-300kBq/kgである。投薬量範囲は、患者投与量あたり、10MBqから10GBqでありうる。投薬量範囲は、患者投与量あたり、10MBqから5GBqでありうる。当該範囲は、β放射体、α放射体、もしくはその組み合わせに適しうる。当該範囲は治療に適しうる。
【0044】
本発明の一の実施形態では、医薬組成物は、投与量当たり1kBqから10GBqである放射性核種の量で調整される。例えば、もし、100の患者投与量を、1日あたり、1バッチで生産する場合、医薬組成物は100の単一用量バイアルまたは即時使用のシリンジに分割される合計1-10GBqから成り立ちうる。
【0045】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、多回投与型商業規模生産に適した放射性核種の量、例えば、50MBqから100GBqで調整される。
【0046】
したがって、本発明の組成物は、投与量当たり1kBqから10GBqの放射性核種の量、または多回投与型商業規模生産に適した50MBqから100GBqの放射性核種の量で調整されうる。
【0047】
担体
ラジウム224またはいずれかのラジウム224の放射性核種のプロジェニーは、放射性核種のデリバリーのための担体化合物を伴うか又は伴わない溶液として使用されうる。
【0048】
担体化合物は、タンパク質ベースの担体、例えば、抗体、フラグメント抗体、もしくはペプチドがあり得る。担体は、葉酸または葉酸誘導体を含んでいるビタミンでありうる。担体は、下記で述べるようにCaCOのナノ粒子またはマイクロ粒子を含んでいる、無機粒子でもありうる。
【0049】
したがって、ラジウム224(224Ra)および/またはラジウム224のプロジェニーは、溶液として調製されうるし、あるいは、担体化合物、例えば、ナノ粒子またはマイクロ粒子、タンパク質もしくはペプチド、又は、低分子と組み合わせることができ、そして、本明細書で述べられる効能のために、DNA修復阻害剤との組み合わせで使用されうる。
【0050】
本発明の1または複数の実施形態において、使用のための組み合わせは、本開示中の粒子として単に言及されているナノサイズの粒子および/またはマイクロサイズの粒子をさらに含む。
【0051】
粒子は、種々の特徴を有することがあり、そして、粒子のサイズは、意図された用途および適用に応じて様々でありうる。崩壊性の化合物および任意の追加成分、例えば、リン含有添加剤、または、抗体のようなターゲティング化合物、と組み合わせて、粒子は、ラジウム224(224Ra)および/またはラジウム224のプロジェニーを含みうる。
【0052】
崩壊性の化合物は、1nmから500μmのサイズにおいて異なりうる。サイズは、100nmから50μmの範囲であり得、そして、さらに好ましくは、1から10μmの範囲におけるサイズである。1つの好ましい実施形態では、そのサイズは1から10μmである。他の好ましい実施形態では、そのサイズは100nmから5μm、および他の実施形態では10nmから100nmである。
【0053】
ある態様は、本発明に関する1または複数の粒子に関しており、ここで、それは、本明細書で述べられる病気の治療としてのDNA修復阻害剤と組み合わせて使用するための組成物中に包含されている。組成物は、崩壊性化合物および放射性核種を含んでいる、単分散の粒子または多分散の粒子を含んでいる粒子懸濁液であってもよい。粒子は、リン含有添加剤を含んでいてもよい。
【0054】
本発明の1または複数の実施形態は、本発明の粒子の使用に関しており、ここで、放射性核種は、放射性核種によってラベルされた表面、粒子体積の一部としてラベルされた封入体、または放射ラベルの後、放射ラベル表面を保護し、そして放射性核種の放出を妨げる材料の層で覆われた表面ラベル粒子のどれかである。これにより、本発明の粒子は放射性核種で標識された粒子になることができ、それにより材料の層が添加されて、元々の表面を被覆して、放射性核種を包み込む。本発明の粒子は、放射性核種を被包し、元々の表面をカバーするため加えられた材料膜によって、放射性核種ラベル粒子になり得る。
【0055】
表面ラベルは、要素の親和性により奏される、放射性核種の結晶粒子への吸着として行われうるか、または、ラベルは、追加の無機化合物が沈殿過程を促進する共沈殿として行われうる。キレート剤は、この過程において使用することができ、そして、キレート剤は、粒子中に取り込まれうる。キレート剤は、粒子なしで、すなわち、単にそれ自体の担体として使用されるか、またはターゲティング分子又は部分を、放射性核種と結合する手段として、使用されうる。
【0056】
したがって、本発明におけるラジウム224(224Ra)および/またはラジウム224のプロジェニーは、2官能性のキレート剤を用いて、ターゲティング分子と結合されうる。
【0057】
これらは、環状の、直線上の、または分岐のキレート剤であってもよい。骨格窒素に酸性基(例えば、カルボキシアルキル)を持った、直線状、環状、または分岐状ポリアザアルカン骨格を含んでいるポリアミノポリ酸キレート剤が特に言及されてもよい。
【0058】
適したキレート剤の例としては、DOTA誘導体、例えば、p-イソチオシアナートベンジル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(p-SCN-Bz-DOTA)およびこのDOTA化合物のテトラ一級アミドバリアント(TCMCと呼ぶ)、およびDTPA誘導体、例えば、p-イソチオシアナートベンジル-ジエチレントリアミン五酢酸(p-SCN-Bz-DTPA)が挙げられる。そして、前者は、環状キレート剤で、後者は直線状のキレート剤である。
【0059】
錯化剤部分とターゲティング部分の結合の前または後に、錯化剤部分のメタル化反応は、行ってもよい。ターゲティング部分は、抗体およびビタミンを含んでいる、本明細書で述べられるいずれかの要素であってもよい。
【0060】
もし、放射ラベルを行う前に、キレート剤が抗体と結合されていたならば、放射ラベル手順は、一般に、使用した時間の観点からより便利になる。
【0061】
本発明の1つの態様は、崩壊性化合物および放射性核種を含んでいる粒子を含む組成物であって、リン含有添加剤は、その組成物中に含まれている組成物に関する。組成物は粒子の懸濁液でありうる。リン含有添加剤は、粒子の中に取り込まれうる。リン含有添加剤は、粒子表面と結びついていてもよいし、または、粒子周辺に存在してもよく、すなわち、組成物中、またはその粒子の一部の懸濁液である。したがって、本発明の1つの態様は、組成物または粒子を含んでいる懸濁液であって、粒子が、崩壊性の化合物、放射性核種、およびリン含有添加剤を含んでおり、ここでリン含有添加剤が、組成物中または懸濁液中に存在することで、粒子と結びついている、前記懸濁液に関する。リン含有添加剤は、粒子の一部としてなり得る。その存在は、粒子の表面にありうる。その存在は、組成物の一部として、または粒子の懸濁液として、ありうる。その存在は、粒子の一部としても、組成物の一部としても、または粒子の懸濁液とも、ありうる。
【0062】
本発明の1または複数の実施形態は、固相と液相の混合物である粒子懸濁液に関する。もし使用されたなら、リン含有添加剤は、液相にあってもよい。含有リン添加物は、固相中にありうる。リン含有添加剤は、固相および液相にあってもよい。固相において、リン含有添加剤は、表面にあってもよいし、または粒子中に埋め込まれていてもよく、あるいは表面または固相に埋め込まれているの両方であってもよい。固相は、ナノ粒子、マイクロ粒子、またはこれら2つの組み合わせの外で作られていてもよい。放射性核種は、粒子表面と結びついていてもよく、または、粒子の体積中、または容積中に埋め込まれていてもよく、或いはその両方であってもよい。それゆえに、固相は、崩壊性化合物および放射性核種、任意でリン含有添加剤を含んでいる粒子を含んでいてもよい。しかしながら、リン含有添加剤が固相の一部でない場合は、リン含有添加剤は、常に液相にある。崩壊性の化合物、放射性核種およびリン含有添加剤は、本明細書で開示されているもののいずれかでありうる。
【0063】
化合物を含んでいるリンは、放射性核種の複合体であっても、なくてもよい。
【0064】
本発明の崩壊性の化合物は、崩壊されうる任意の化合物であり得る。崩壊は、高pH、低pH、温度、プロテアーゼ、酵素、ヌクレアーゼ、および/またはファゴサイトーシスをも含んでいる、エンドサイトーシスのような細胞プロセスからなる群から選択されるいずれかのルートによって、されうる。それゆえに、崩壊性化合物は、非毒性塩、または、非毒性塩の結晶でありうる。
【0065】
本発明の1または複数の実施形態では、崩壊性の化合物は、CaCO、MgCO、SrCO、BaCO、ハイドロキシアパタイトCa(PO(OH)およびフルオロアパタイトを含んでいるリン酸カルシウム、および主要な成分としてこれらのいずれかとの複合物からなる群から選択されうる。主要な成分は、粒子の総分子量の少なくとも20%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも30%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも40%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも50%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも60%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも70%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも80%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも90%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも95%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも98%、例えば、粒子の総分子量の少なくとも99%と定義される。
【0066】
本発明の1または複数の実施形態では、CaCOは、PEG修飾CaCO、タンパク質修飾CaCO、炭水化物修飾CaCO、脂質修飾CaCO、ビタミン修飾CaCO、有機化合物修飾CaCO、ポリマー修飾CaCO、および/または無機結晶修飾CaCOからなる群から選択される。
【0067】
崩壊性化合物は、PEG修飾MgCO、mAbsおよびFabsを含んでいるタンパク質修飾MgCO、炭水化物修飾MgCO、脂質修飾MgCO、ビタミン修飾MgCO、有機化合物修飾MgCO、ポリマー修飾MgCO、および/または無機結晶修飾MgCOからなる群から選択されるMgCOでありうる。
【0068】
崩壊性化合物は、PEG修飾SrCO、mAbsおよびFabsを含んでいるタンパク質修飾SrCO、炭水化物修飾SrCO、脂質修飾SrCO、ビタミン修飾SrCO、有機化合物修飾SrCO、ポリマー修飾SrCO、および/または無機結晶修飾SrCOからなる群から選択されるSrCOでありうる。
【0069】
崩壊性化合物は、PEG修飾BaCO、mAbsおよびFabsを含んでいるタンパク質修飾BaCO、炭水化物修飾BaCO、脂質修飾BaCO、ビタミン修飾BaCO、有機化合物修飾BaCO、ポリマー修飾BaCO、および/または無機結晶修飾BaCOからなる群から選択されるBaCOでありうる。
【0070】
崩壊性化合物は、PEG修飾Ca(PO(OH)、mAbsおよびFabsを含んでいるタンパク質修飾Ca(PO(OH)、炭水化物修飾Ca(PO(OH)、脂質修飾Ca(PO(OH)、ビタミン修飾Ca(PO(OH)、有機化合物修飾Ca(PO(OH)、ポリマー修飾Ca(PO(OH)、および/または無機結晶修飾Ca(PO(OH)からなる群から選択されるCa(PO(OH)でありうる。
【0071】
崩壊性化合物は、PEG修飾フルオロアパタイト、mAbsおよびFabsを含んでいるタンパク質修飾フルオロアパタイト、炭水化物修飾フルオロアパタイト、脂質修飾フルオロアパタイト、ビタミン修飾フルオロアパタイト、有機化合物修飾フルオロアパタイト、ポリマー修飾フルオロアパタイト、および/または無機結晶修飾フルオロアパタイトからなる群から選択されるフルオロアパタイトでありうる。
【0072】
複合物粒子は、上記で定義した通り、結合している主要な成分であるこれらの崩壊性化合物を、2または複数を含みうる。
【0073】
崩壊剤は、他の塩、またはタンパク質、またはペプチドと共に複合物として使用してもよく、オレイン酸および類似物のような界面活性剤によって表面修飾を受けていてもよい。
【0074】
特別な実施形態では、崩壊性化合物は、崩壊性化合物または無機結晶修飾崩壊性化合物のポリエチレングリコール(PEG)修飾粒子からなる群から選択される化合物と共に使用されうる。
【0075】
特別な実施形態では、崩壊性化合物は、受容体または粒子の抗原結合部位が個別の標的細胞および患部組織への結合を可能とするモノクローナル抗体および誘導体およびビタミンおよび誘導体を含んでいる機能受容体および/または抗原結合群と修飾される。このことは、粒子の修飾は、他の化合物の崩壊性化合物への付加に関することを意味する。
これは、様々な形で、そして、双極子ー双極子相互作用、イオン双極子およびイオン誘導双極子力(ion-dipole and ion-induced dipole forces)、水素結合、ファンデルワールス力、および相対的な力の強さ(relative strength of forces)などの相互作用により、行われうる。
【0076】
キレート剤は、標的親和分子、例えば、モノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体、もしくは抗体誘導体、ビタミン、またはビタミン誘導体と優先的に結合されるように使用されうる。担体として使用される場合、これらの要素は、ラジウム224(224Ra)および/またはラジウム224のプロジェニーを所望の標的に向けることができよう。したがって、ラジウム224(224Ra)および/またはラジウム224のプロジェニーはキレート剤および/またはこれらの要素のいずれかと結合されうる。
【0077】
モノクローナル抗体(mAbs)、ポリクローナル抗体(pAbs)、抗原結合フラグメント(Fabs)、およびポリペプチドおよびタンパク質の他のタイプは、特定の標的を含めるため使用されうる。したがって、粒子内において、すなわち、特定のターゲティング分子を添加することにより、粒子は、体内のある標的細胞に対する親和性を高めることができよう。例えば、mAbは、また、ラジウム224(224Ra)および/またはラジウム224のプロジェニーに対する親和性を持っているキレート剤と結合されうる。粒子の使用の有無を問わず、これは起こり得る。
【0078】
粒子は、リン含有添加剤を含みうる。リン含有添加剤は、ホスフェートでありうり、したがって、ホスフェート含有添加物になりうる。リン含有添加剤は、ホスホネートでありうり、したがって、ホスホネート含有添加物になりうる。
【0079】
ホスホネートおよびホスホン酸は、C―PO(OH)またはC―PO(OR) 基(R = アルキル、アリール)を含んでいる有機リン化合物である。一般に塩として取り扱われるホスホン酸は、有機溶媒に難溶であるが、水および一般のアルコールには可溶である、不揮発性の固体である。したがって、ホスホネートの種々の塩および酸は、ホスホネートの定義の一部とみなされる。
【0080】
リン酸は、一般的に、それぞれのリン原子が酸化数+5で、そして、4つの酸素原子と結合しており、それらの1つは4面体の角に配置されている二重結合であるリンのオキソ酸である。プロトンHとして、水素原子を取り除くと、リン酸はホスフェートアニオンに変化する。一部の除去は、様々な水素ホスフェートアニオンをもたらす。
【0081】
リン含有添加剤はホスホネートでありうる。ホスホネートは、ビスホスホネートでありうる。ビスホスホネートは、エチドロネート、クロドロネート、チルドロネート、パミドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、およびゾレドロネートからなる群から選択されうる。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、エチドロネートである。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、クロドロネートである。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、チルドロネートである。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、パミドロネートである。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、ネリドロネートである。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、オルパドロネートである。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、アレンドロネートである。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、イバンドロネートである。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、リセドロネートである。本発明の1または複数の実施形態では、ビスホスホネートは、ゾレドロネートである。
【0082】
ホスホネートは、ポリホスホネートでありうる。ポリホスホネートは、EDTMPーエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、DOTMP-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラリル-テトラキス(メチルホスホン酸)、およびDTPMP-ジエチレントリアミンペンタ(メチレンーホスホン酸)からなる群から選択されうる。本発明の1または複数の実施形態では、ホスホネートは、EDTMPーエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)である。本発明の1または複数の実施形態では、ホスホネートは、DOTMP-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラリル-テトラキス(メチルホスホン酸)である。本発明の1または複数の実施形態では、ホスホネートは、DTPMP-ジエチレントリアミンペンタ(メチレンーホスホン酸)である。
【0083】
ホスフェート含有添加物は、オルトホスフェート、直線状のオリゴホスフェートおよびポリホスフェート、および環状ポリホスフェートからなる群から選択されうる。ポリホスフェートは、ピロホスフェート、トリポリホスフェートおよびトリホスホノホスフェートからなる群から選択されうる。リン含有添加剤は、環状のポリホスフェート、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)でありうる。
【0084】
ホスホネート化合物および/またはホスフェート化合物の濃度は、ml当たり、1マイクログラムから1000ミリグラムであり、例えば、最終溶液ml当たり、0.1mgから10mg、または、最終溶液における粒子グラム当たり、1マイクログラムから1000ミリグラムである。
【0085】
本発明の組成物は、好ましくは、水性組成物である。従って、この実施形態では、液相は、水相である。組成物は、塩類組成物でありうる。組成物は、アルコール組成物でもありうる。組成物は、ゲルマトリックス組成物でありうる。本発明の組成物は、本発明の粒子の懸濁液でありうる。
【0086】
従って、本発明の組成物および本発明の医薬品組成物は、希釈剤、媒体、担体溶液、界面活性剤、分散剤および/または賦形剤を含みうる。
【0087】
許容できる媒体および薬学的担体は、非毒性緩衝液、フィラー、等張液、溶剤および共溶剤、抗菌保存剤、抗酸化剤、湿潤剤、消泡剤および増ちょう剤などが挙げられるが、これには限定されない。より具体的には、薬学的担体は、生理食塩水(0.9%)、半生理食塩水、乳酸リンゲル液、溶解スクロース、ブドウ糖、例えば、3.3%ブドウ糖/0.3%食塩水でありうるが、これには限定されない。生理学的に許容される媒体は、放射線分解の安定剤、例えば、アスコルビン酸、ヒト血清アルブミンを含むことができ、それは、保管および発送の間、放射性医薬品の完全性を保護する。
【0088】
粒子は、医療用注射液と相性のよい種々の緩衝液、例えば、溶解した塩および/またはタンパク質および/または脂質および/または糖類、中で分散されてもよい。
【0089】
医薬品組成物は、多数の粒子を含むことができる。これらは同じでも異なっていてもよい。
【0090】
医療用途
粒子および/または組成物のような、本発明の組み合わせは、放射線治療の化合物および/または放射線治療の混合物(組成物および溶液)として使用されうる。
【0091】
本発明の1つの態様は、医薬品としての使用のための、本発明の組み合わせ、例えば粒子、組成物および/または本発明の医薬品組成物に関する。
本発明の1つの態様は、がんの治療における使用のための、組み合わせ、例えば、粒子、組成物および/または本発明の医薬品組成物に関する。
【0092】
がんは、腹腔内がん、頭蓋内がん、胸膜がん、膀胱がん、噴門癌、くも膜下腔がん、心臓がんを含んでいる微小転移性病でありうる。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが、腹腔内がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが、心臓がんである、本発明の使用に関する。
【0093】
がんは、微小転移性であり、非空洞性を示す病気標的、例えば、メラノーマ、非小細胞肺がん、および前立腺がんでありうる。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが、前立腺がんである、本発明の使用法に関する。
【0094】
本発明の医学的利用は、(1)腔内治療(2)放射線塞栓(3)放射線滑膜切除術(4)医療機器における、ヒトまたは獣医学の使用を含んでいる。
【0095】
非経口注射は、少なくとも、静脈内の(IV)、筋肉内の(IM)、皮下の(SC)、および皮内の(ID)投与を包含している用語である。従って、本発明の1または複数の実施形態は、注射を含んでいる投与における、本発明の粒子、組成物、または医薬品組成物の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、静脈内の(IV)投与を含んでいる投与における、本発明の粒子、組成物、または医薬品組成物の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、筋肉内の(IM)投与を含んでいる投与における、本発明の粒子、組成物、またはの医薬品組成物の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、皮下の(SC)投与を含んでいる投与における、本発明の粒子、組成物、または医薬品組成物の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、皮内の(ID)投与を含んでいる投与における、本発明の粒子、組成物、または医薬品組成物の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、腫瘍内の投与を含んでいる投与における、本発明の粒子、組成物、または医薬品組成物の使用に関する。
【0096】
腔内治療は、例えば、腹腔内がん、頭蓋内がん、胸膜がん、膀胱がん、噴門癌、くも膜下腔がんの治療を含んでいてもよい。粒子が使用されうる腔内の例は、頭蓋の腔内、胸部の腔内、肺腔内、脊柱の腔内、骨盤の腔内、心膜、肋膜の腔内、膀胱の腔内、腹膜またはいずれかのこれらの腔内の髄膜および器官上に広がっているがんを含んでいるこれらの組み合わせである。本発明の1つの実施形態において、がんは、腹腔内がん、頭蓋内がん、胸膜がん、膀胱がん、噴門がん、およびくも膜下腔がんからなる群から選択される。本発明の1つの実施形態において、がんは、転移性がん、肺がん、卵巣がん、大腸がん、胃がん、すい臓がん、乳がん、腫瘍性髄膜炎、腹膜がん、胸水、悪性中皮腫、乳がん、肉腫、膠芽腫や星細胞腫などの脳腫瘍、膀胱がん、および肝臓がんからなる群から選択されうる。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが転移性のがんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが肺がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが卵巣がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが大腸がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが胃がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんがすい臓がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが乳がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが腫瘍性髄膜炎である、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが腹膜がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが胸水である、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが胸水である、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが悪性中皮腫である、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが乳がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが肉腫である、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが膠芽腫や星細胞腫などの脳腫瘍である、本発明の使用に関する。本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが膀胱がんである、本発明の使用に関する。本発明の1または複数の実施形態は、前記がんが肝臓がんである、本発明の使用に関する。
【0097】
本発明の1つの態様は、がんが、腹腔内がん、頭蓋内がん、肋膜がん、膀胱がん、噴門がん、くも膜下腔がん、肉腫のような非腔内標的、非小細胞肺がんからなる群から選択されるがん治療における使用のための、当該組み合わせ、例えば、本発明の粒子、組成物、および/または医薬品組成物に関する。
【0098】
がんとの組み合わせというよりもむしろ感染または炎症である病気の治療または改善は、本発明の組み合わせの使用に対する特別の実施形態内である。炎症は、例えば、関節炎でありうる。
【0099】
細菌性の感染およびウィルス性の感染からなる群から選択される感染は、本発明の1つの実施形態内である。
【0100】
放射線塞栓術は、本発明の粒子を血管に投与し、肝臓の腫瘍または腫瘍組織によって浸潤されているほかの実質臓器に到達することで、臓器、例えば、肝臓における原発がんまたは転移性がんにおける治療を含んでいてもよい。
【0101】
慢性炎症を含んでいる関節障害に対する放射線滑膜切除術は、放射性物質を使用した、有痛関節病の標的放射線療法である。その使用は、血友病関節炎の治療を含んでいる。
【0102】
今日、放射線滑膜切除術は、炎症性疾患もしくはリウマチ様疾患、又は種々の関節、特にひざ、手、および足首における滑膜の関節症に使用されるβ粒子放出化合物に基づいている。本明細書で述べられる崩壊性の粒子は、放射線滑膜切除術において、極めて有用となりうる。
【0103】
投与は、局所注射、例えば、腔内により、好ましくは行われる。特別の実施形態においては、注射は、直接腫瘍内にする。
【0104】
本発明の別の態様は、それを必要とする個体に本発明の組み合わせの投与を含んでいる、治療法または改善法に関する。
【0105】
本発明の組み合わせと組成物は、非経口の使用、例えば、静脈内の腔内および/または腫瘍内の注射に適しうる。ラジウム224(224Ra)および/またはラジウム224のプロジェニーは一般に非経口の使用およびこれらの投与パターンで投与され、そして、DNA修復阻害剤は、一般に経口投与される。したがって、本発明の1または複数の実施形態において、DNA修復阻害剤は経口投与され、一方で、ラジウム224(224Ra)および/またはラジウム224のプロジェニーは異なる経路で投与される。
【0106】
本発明の1つの態様では、本発明に関する粒子は、医療機器であり、または、医療機器内に含まれている。
【0107】
医療機器は、任意の器具、装置、機器、ソフトウェア、道具、または他の物であり、単体または、組み合わせで使用される。そして、そのメーカーによって、特有の診断目的および/または治療目的で使用されることおよびその適切な適用が必要不可欠であると意図されている、そのメーカーによって、ヒトのために、下記の目的:診断、予防、モニタリング、病気の治療、病気の緩和;診断、モニタリング、治療、緩和、損傷またはハンディキャップに対する補償;検査、解剖または生理学的プロセスの置き換えまたは修正;受胎のコントロール;で使用されると意図されているソフトウェアを含んでいる。そして、それは、薬理学的な手段、免疫学的な手段、代謝的な手段によって、人体内また人体上で、その主要な意図した作用を達成しない。しかし、それは、そのような手段によって、その機能内で、促進されてもよい。
【0108】
医療機器は、意図された使用および適用に関して、様々である。例は、シンプルデバイス、例えば、舌圧子、体温計、およびディスポーサブル手袋からアドバンスドデバイス、例えば、医療検査、移植、および装具の管理において、補助するコンピューターに及ぶ。
【0109】
FDAによれば、医療機器は、器具、器械、道具、機械、移植片、in vitro試薬、もしくは、他の類似の物または関連した物である。そして、構成部品または付属品は:公式の国民医薬品集、または米国薬局方、またはそれらの任意の付録に承認されている、ヒトまたは他の動物において、病気または他の状態の診断、もしくは病気の治療(cure)、軽減、治療(treatment)、予防における使用に意図されている、または人または他の動物の体の構造または任意の機能に影響することを意図されている。そして、それは、ヒトまたは他の動物の体の中または表面で、化学作用を通じて、いずれかのそれの主要な意図した目的を達成しない。そして、それは、いずれかのその主要な意図した目的の達成のために代謝されることに左右されない。
【0110】
本粒子は、代謝されず、そしてまた体内で重要な化学作用を示すことはない。粒子は、代謝されないように設計され、または体内でいかなる化学作用を示さない放射能の担体である。そして、これは、毒性などの極めて限定的な望まない副作用しか伴わない放射線療法を可能にする。
【0111】
従って、1つの実施形態では、用語“医療機器”は、上記FDAの定義として理解される。
【0112】
本発明の1または複数の実施形態において、a)およびb)は、ともにまたは別々に投与される。
【0113】
a)ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニー、およびb)DNA修復阻害剤の組み合わせは、同じ日に投与されうる。
【0114】
本発明の1または複数の実施形態では、a)の開始前に、b)が1日または数日開始されている。
【0115】
本発明の1または複数の実施形態では、a)の開始後に、b)が1日または数日開始される。
【0116】
一般
本発明に関する化合物に関連して、上記で議論された、任意の特徴および/または態様は、類推により、本明細書で述べられている方法に適用されるように理解されるべきである。
【0117】
下記の実施例は、本発明の説明をするために与えられる。それらは説明することを意図しており、そして、決して限定として解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】1種類の薬剤の1点濃度と併用薬の濃度を上げて処理したSKOV-3細胞は、CIグレースケールおよび数列で示されるように時点および用量依存性のある、224Raと(A)ニラパリブおよび(B)オラパリブの相乗的相互作用を示した。
【0119】
実施例
【0120】
実施例1.224Raの生産
【0121】
224Raジェネレーターは、228Th源とアクチニド樹脂を混合し、そして、それをカラムに充填することで、準備した。1M HNO中の228Th源は、Eckert & Ziegler(Braunschweig, Germany)またはOak Ridge National Laboratory(TN, USA)から購入した。そして、DIPEX(登録商標)抽出溶媒に基づくアクチニド樹脂は、2mLのプレパックカートリッジのフォーム中のEichrom Technologies LLC(Lisle, IL)から得た。アクチニド樹脂カートリッジ中の材料を取り出し、そして、樹脂は1M HCl(Sigma-Aldrich)で調製した。おおよそ0.25mLアクチニド樹脂、 0.25mLの1M HCl、および1M HNO中の0.1mL228Thのスラリーは、ガラス瓶中(4mL vial,E-C sample, Wheaton, Millville, NJ)で調製し、そして、室温で4時間、228Thの固定化のため優しく攪拌しながらインキュベートし、そして、数日間静置した。228Thを含有している部分をトップにローディングする前に、0.2mLの不活性アクチニド樹脂をアプライすることで、ジェネレーターカラムを1mLのフィルトレーションカラム(Isolute SPE, Biotage AB, Uppsala, Sweden)に調製した。228Thが、ジェネレーター操作の間、放出されるのであれば、不活性レジンを、カラムの底に導入し、キャッチャー層とした。その後、ジェネレーターの容量を増やした。ジェネレーターカラムにローディングする前に、0.4mLのアクチニド樹脂、1M HNO中の0.5mL228Thおよび0.5 mLの1M HClを含有しているスラリーを、上述した通り、調製した。
【0122】
ラジウム224は、1~2mLの1M HCl中のジェネレーターカラムから定期的に溶出しうる。さらなる精製のために、ジェネレーターカラムからの未精製の溶出液を、2番目のアクチニド樹脂カラムに直接ローディングした。2番目のカラムを1M HClで洗浄した。この抽出液を蒸発し、閉鎖系中に乾燥物を得た。ガラス瓶をヒータブロックに置き、そして、テフロン(登録商標)チューブ注入口およびガラス瓶のラバー/テフロン(登録商標)隔膜中の出口を通じて、Nガスを流した。酸の蒸気を、Nガスの流れによって、飽和NaOHのビーカーに通した。蒸留後に残っている放射性残留物を、0.2 mLまたはそれ以上の0.1M HClで溶出した。放射性同位体キャリブレーター(CRC-25R, Capintec Inc., Ramsey, NJ)を使用して、前記方法中の合計抽出活性を測定した。
【0123】
実施例2.ラジウム224を用いた放射線療法とDNA修復阻害剤との組み合わせ
【0124】
卵巣がん細胞株:ES-2(明細胞がん)およびSKOV-3(腺がん)を使用して、ラジウム224(224Ra)と、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤(PARPi);ニラパリブおよびオラパリブに例示されるDNA修復阻害剤との1組の組み合わせに起因する薬力学相互作用を研究した。
【0125】
方法論:補完したマッコイ5A―改変増殖培地中の前記細胞を、細胞培養のために処理した96ウェルプレートのブロック(Thermo Fisher, MA USA)中に、200μlの量で、かつ5,000細胞/mlの細胞濃度で、蒔いた。前記細胞を、22-24時間向け細胞培養器中に、5%CO、37°C、および95%湿度で制御された培養条件下で、24時間培養した。
【0126】
その後、濃度を段階的にあげた224Ra(0.2-150kBq/ml)、ニラパリブ(0.05-13.2μM)、およびオラパリブ(0.15-92.2μM)を、(繰り返し)単剤の細胞毒性およびそれぞれの剤のIC50を決定するために、細胞に添加した。単剤のIC50は、1組の組み合わせに対する使用にあたり、濃度を適切に選択するためのガイドである。加えて、前記細胞を、濃度を段階的にあげて(繰り返し)、224RaといずれかのPARPiとの1組の組み合わせに、同時にさらした。これを実行し、処理剤の組み合わせに起因する薬力学相互作用を評価した。細胞を、処理剤と共に、5日間以上、さらに培養した。
【0127】
処理剤の添加、例えば、3、4、および5日目の後の異なる時点において、細胞増殖を、ウェル当たりの合計細胞数と比例したそれぞれのウェル中のDNA量を決定することで、評価した。
【0128】
増殖培地を吸引し、そして、細胞を、メーカーのプロトコルに従って、the CyQuant NF cell proliferation assay kit(Thermo Fisher)を使用し、細胞の核酸と結合する染色液と培養した。Fluoroskan Ascent Fluorometer(Thermo Fisher)を使用して、蛍光を測定した。
【0129】
薬力学相互作用の結果を、表1で述べているように、併用係数(CI)、CI < 0.90であれば、相乗的、0.90―1.1のCIであれば、相加的、そして、CI > 1.1であれば、拮抗的である、CIを計算して、決定した。
【表1】
【0130】
結果:表2のデータは、ES-2およびSKOV-3細胞における、224Ra、ニラパリブ、およびオラパリブのIC50濃度を示している。これらの濃度は、異なる処置を施したそれぞれの細胞株の感度を詳述し、SKOV-3は、ES-2細胞に比べて、PARPiに対して、感受性がよくないことを明確に認める。
【表2】
【0131】
1組の組み合わせを評価したとき、組み合わせ中のそれぞれの個別の剤のIC50は、表3に示すように、結果的に減少した。
【表3】
【0132】
単剤IC50と類似の濃度および単剤IC50より低い濃度における1組の組み合わせ併用係数の評価は、前記組み合わせの薬力学相互作用が、主に相乗的であることを、明らかにした。このことは、ES-2細胞に対しては表4において、および、SKOV-3細胞に対しては表5において示されている。
【表4】
【表5】
【0133】
実施例3:SKOV-3細胞における、段階的に濃度を高くした併用薬を伴う、1つの薬の1点濃度の評価
【0134】
224Raとオラパリブおよびニラパリブの組み合わせ効果を、SKOV-3細胞において、併用薬の濃度を段階的にあげながら、1つの薬の1点濃度において、評価した。Skov-3は、先例において、試験したすべての薬に対して、もっとも感受性の低い細胞株であることを示している。使用したアッセイおよび行った計算は、実施例2において記述した通り行った。組み合わせの相互作用効果を確保するために、選ばれた1点濃度は、72時間時点のそれぞれの薬のIC50のフラクションとし、それぞれの個別の薬の細胞毒性レベルを抑制閾値以下であることを確保した。使用した前記薬IC50のフラクションは、ニラパリブに対しては、25%で、オラパリブに対しては、46%で、224Raに対しては、46%であった。評価の時点に基づいて、224RaとPARPiとの組み合わせは、相乗的相互作用であった。224Raとオラパリブとの組み合わせは、低い薬感受性の腫瘍において、薬の組み合わせの利益を強調する、相乗的作用であった。
【0135】
結果は図1に示す。
【0136】
発明事項
【0137】
事項1
がん治療における使用のための組み合わせ:
a) ラジウム224(224Ra)および/または224Raのプロジェニー、および
b) DNA修復阻害剤。
【0138】
事項2
前記DNA修復阻害剤は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤(PARPi)、MGMT阻害剤、DNA依存性プロテインキナーゼ阻害剤(DNA-PK阻害剤)、毛細血管拡張性運動失調症及びRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、Wee1キナーゼ阻害剤、または、チェックポイントキナーゼ1および2(CHK1/2)阻害剤からなる群から選択される、事項1に記載の使用のための組み合わせ。
【0139】
事項3
224Raのプロジェニーは、220Rn、216Po、212Pb、および 212Biからなる群から選択される、事項1又は2に記載の使用のための組み合わせ。
【0140】
事項4
224Raのプロジェニーが、220Rnである、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0141】
事項5
224Raのプロジェニーが、216Poである、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0142】
事項6
224Raのプロジェニーが、212Pbである、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0143】
事項7
224Raのプロジェニーが、212Biである、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0144】
事項8
PARPiが、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、パミパリブ、CEP9722、E7016、および3-アミノベンズアミドからなる群から選択される、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0145】
事項9
PARPiが、オラパリブである、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0146】
事項10
PARPiが、ルカパリブである、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0147】
事項11
PARPiが、ニラパリブである、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0148】
事項12
PARPiが、タラゾパリブである、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0149】
事項13
さらにナノサイズ粒子および/またはマイクロサイズ粒子を含んでいる、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0150】
事項14
担体が、粒子と、抗体、フラグメント抗体、もしくはペプチドを含んでいるタンパク質とからなる群から選択される、前記事項のいずれかに関する使用に対する組み合わせ。
【0151】
事項15
前記ナノ粒子またはマイクロ粒子が、CaCO、若しくはCa-ハイドロキシアパタイトまたはフルオロアパタイトを含んでいるリン酸カルシウムからできている、事項13に関する使用に対する組み合わせ。
【0152】
事項16
前記ナノ粒子またはマイクロ粒子が、MgCO、SrCOまたはBaCOからできている、事項13に関する使用に対する組み合わせ。
【0153】
事項17
CaCOが、PEG修飾CaCO、タンパク質修飾CaCO、炭水化物修飾CaCO、脂質修飾CaCO、ビタミン修飾CaCO、有機化合物修飾CaCO、ポリマー修飾CaCO、および/または無機結晶修飾CaCOからなる群から選択される、事項15に関する使用に対する組み合わせ。
【0154】
事項18
粒子のサイズが、1nmから500μmである、事項14~17に関する使用に対する組み合わせ。
【0155】
事項19
組成物が、単分散の粒子または多分散の粒子を含んでいる粒子懸濁液である、事項14~17に関する使用に対する組み合わせ。
【0156】
事項20
卵巣がん、大腸がん、胃がん、肝臓がん、腹膜がん、胸膜がん、胸水、悪性中皮腫、心臓がん、および膀胱がんからなる群から選択される、がんの治療に使用される事項1~19に関する使用に対する組み合わせ。
【0157】
事項21
転移性がんの治療において使用され、そして、その治療は、肉腫、骨肉腫、肺がん、非小細胞肺がん、すい臓がん、乳がん、腫瘍性髄膜炎、膠芽腫、および星細胞腫、メラノーマ、および前立腺がんからなる群から選択される、事項1~19に関する使用に対する組み合わせ。
【0158】
事項22
放射性核種の量が、服用量当たり、1kBqから10GBq、または放射性核種の量が、多回投与型商業規模生産に適した、50MBqから100GBqである、事項1~21に関する使用に対する組み合わせ。
【0159】
事項23
希釈剤、担体、担体溶液、界面活性剤、および/または賦形剤からなる群から選択される1または複数を含んでいる組み合わせまたは組成物である、事項1~22に関する使用に対する組み合わせ。
【0160】
事項24
a)およびb)が一緒に、または別々に投与される、事項1~23に関する使用に対する組み合わせ。
【0161】
事項25
a)およびb)が同じ日に投与される、事項1~24に関する使用に対する組み合わせ。
【0162】
事項26
a)の開始前に、b)が1日または数日開始されている、事項1~24に関する使用に対する組み合わせ。
【0163】
事項27
a)の開始後に、b)が1日または数日開始される、事項1~24に関する使用に対する組み合わせ。
図1
【国際調査報告】