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特表2023-541680放熱性を有するアンテナサブアレイブロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】放熱性を有するアンテナサブアレイブロック
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20230926BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20230926BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q3/26 Z
F28F3/00 301
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517926
(86)(22)【出願日】2021-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 US2021019153
(87)【国際公開番号】W WO2022060405
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】17/025,333
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ミコヴィック,ミロスラフ
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA06
5J021DB02
5J021DB03
5J021FA07
5J021HA04
5J021HA05
(57)【要約】
【要約】
長方形のN x Mアンテナ素子サブアレイのブロックであり、当該ブロックの対向する第1主要表面及び第2主要表面と、対向する第1端部及び第2端部とを有し、当該ブロックの前記第1端部にアンテナ素子を位置させたブロックと、液体冷却剤の流れのための前記第1主要表面内の第1入口コネクタと、前記液体冷却剤の流れのための前記第1主要表面の第1出口コネクタとを提供する装置。 前記第1入口コネクタと前記第1出口コネクタとの間のコールドプレートが、前記第1入口コネクタから前記第1出口コネクタへの前記液体冷却剤の流れを可能にする。前記第1入口コネクタは、前記第1主要表面に垂直な方向で前記ブロックへの前記液体冷却剤の流れを可能にするように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形のN x Mアンテナ素子サブアレイのブロックであり、当該ブロックの対向する第1主要表面及び第2主要表面と、対向する第1端部及び第2端部とを有し、当該ブロックの前記第1端部にアンテナ素子を位置させたブロック;
液体冷却剤の流れのための前記第1主要表面内の第1入口コネクタ;
前記液体冷却剤の流れのための前記第1主要表面の第1出口コネクタ;及び
前記第1入口コネクタから前記第1出口コネクタへの前記液体冷却剤の流れを可能にするための、前記第1入口コネクタと前記第1出口コネクタとの間のコールドプレート;
を含む装置であって、
前記第1入口コネクタは、前記第1主要表面に垂直な方向で前記ブロックへの前記液体冷却剤の流れを可能にするように構成されている、装置。
【請求項2】
前記第1入口コネクタ用の第1シール及び前記第1出口コネクタ用の第2シールをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1シール及び前記第2シールが、エンクロージャー内の隣接するブロック上のシールへのそれぞれの接続を提供するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2主要表面上に第2入口コネクタ及び第2出口コネクタをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ブロックがサブアレイブロックのスタックを形成し、それぞれの入口及び出口コネクタを介してサブアレイブロックからサブアレイブロックへの前記液体冷却剤の流れを伴うように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記M=1である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ブロックの第2端部に電気コネクタをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
複数のN x Mアンテナ素子サブアレイのブロックを含むアレイであり、
前記ブロックは、
当該ブロックの対向する第1主要表面及び第2主要表面と、当該ブロックの対向する第1端部及び第2端部と、当該ブロックの前記第1端部に位置したアンテナと、液体冷却剤の流れのための前記第1主要表面の入口コネクタ及び出口コネクタと、前記液体冷却剤の流れのための前記第2主要表面の入口コネクタ及び出口コネクタと、
を含み、前記入口コネクタ及び前記出口コネクタは、前記ブロックから前記ブロックへの前記液体冷却剤の流れを提供するように構成され、
前記ブロックはさらに、
前記入口コネクタと前記出口コネクタとの間のコールドプレートであり、当該コールドプレートを介して前記液体冷却剤の流れを可能にするためのコールドプレート、
を含み、前記第1主要表面の前記入口コネクタは、前記第1主要表面に垂直な方向で前記複数のブロックへの前記液体冷却剤の流れを可能にするように構成されている、
アレイ。
【請求項9】
前記入口コネクタ及び前記出口コネクタのそれぞれのシールをさらに含む、請求項8に記載のアレイ。
【請求項10】
前記シールは、エンクロージャー内の隣接するブロック上の前記シールへのそれぞれの接続を提供するように構成される、請求項9に記載のアレイ。
【請求項11】
前記M=1である、請求項9に記載のアレイ。
【請求項12】
前記ブロックの少なくとも一部が、当該ブロックの前記第2端部上に電気コネクタをさらに含む、請求項9に記載のアレイ。
【請求項13】
前記コールドプレート上にビームフォーマ集積回路をさらに含む、請求項9に記載のアレイ。
【請求項14】
前記コールドプレートがマイクロチャネルを含む、請求項9に記載のアレイ。
【請求項15】
前記液体冷却剤の流れを受け取り、前記液体冷却剤を前記ブロックのスタックに提供するように構成されている複数のユーティリティブロックをさらにアレイ内に含み、
ユーティリティブロックのないアレイと比較してアレイのサイズを大きくすることができるように構成され、前記ユーティリティブロックが、放射するアンテナ素子を含まない、
請求項9に記載のアレイ。
【請求項16】
当該アレイのアンテナ素子は、100 GHzまでの周波数に対して波長λ/2の間隔で配置される、請求項9に記載のアレイ。
【請求項17】
当該アレイのアンテナ素子は、オンチップアンテナを備えたMMICを含む、請求項9に記載のアレイ。
【請求項18】
当該アレイは、1万を超えるアンテナ素子を含む、請求項9に記載のアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長方形のN x Mアンテナ素子サブアレイのブロックを有する装置及びアレイに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
当技術分野で知られているように、電子工学を含むシステムは、放散されなければならない大量の熱を発生させる可能性がある。例えば、フェーズドアレイレーダーシステムは、信号を送信及び/又は受信するためのアンテナアレイを有する。例えば、アクティブ電子操作可能アレイ(Active Electronically Steerable Array, AESA)は、60度を超えるスキャン角度に対してグレーティングローブフリービームステアリング(grating lobe free beam steering)を実現するために、アンテナ素子間に半波長間隔を必要とする場合がある。高周波(例:50 GHzより大きい)では、例えば、高電力GaN MMIC電力増幅器によって発生する熱を同時に放散しながら、高電力AESAに必要な電子部品を二次元半波長格子に統合(integrate)することが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の実施形態は、従来の構成と比較して熱放散を増加させるために、ブロックに出入りする液体冷却剤を有するアンテナ素子サブアレイブロックのための方法及び装置を提供する。実施形態では、サブアレイブロックを積み重ねて、隣接するブロックが互いに冷却剤入口と出口を接続するようにできる。入口と出口の接続によって、ブロックの主要な表面に垂直な方向にブロックへの冷却剤流とブロックからの冷却剤流を確立できる。
【0004】
いくつかの実施形態では、サブアレイブロックはN x Mのアンテナ素子を有し、Mは1に等しい場合がある。コンパクトなコールドプレートは、サブアレイから効果的に熱を除去するための強制液体冷却用のマイクロチャネルを有する場合がある。サブアレイブロックの例には、8 x 1の素子がある。サブアレイブロックは、サブアレイブロック間で電力、RF、及び制御信号を提供するように構成されたコネクタを持つ場合がある。いくつかの実施形態では、ビームフォーマーサブアレイ回路をサブアレイブロック上に提供することができる。ある実施形態では、アンテナアレイは、アレイの全体的なサイズの増加を可能にするユーティリティブロックを含むことができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、サブアレイブロックを積み重ねて、100 GHz以上の周波数の半波長素子間隔に対応し、各素子で発生する熱の放散にも有効なAESAシステム用のアンテナアレイを提供することができる。例えば、100 GHzの周波数でCWモードで1 WのRF電力を生成するGaN MMIC増幅器に対して冷却を達成することができる。既知のサブアレイ素子は、100 GHzの半波長素子間隔でこのレベルの電力を持つシステムに対して適切な冷却を提供できない。
【0006】
一特徴によれば、装置は、長方形のN x Mアンテナ素子サブアレイのブロックであり、当該ブロックの対向する第1主要表面及び第2主要表面と、対向する第1端部及び第2端部とを有し、当該ブロックの前記第1端部にアンテナ素子を位置させたブロック; 液体冷却剤の流れのための前記第1主要表面内の第1入口コネクタ; 前記液体冷却剤の流れのための前記第1主要表面の第1出口コネクタ;及び 前記第1入口コネクタから前記第1出口コネクタへの前記液体冷却剤の流れを可能にするための、前記第1入口コネクタと前記第1出口コネクタとの間のコールドプレート;を含む。 前記第1入口コネクタは、前記第1主要表面に垂直な方向で前記ブロックへの前記液体冷却剤の流れを可能にするように構成されている。
【0007】
他の特徴によれば、アレイは、複数のN x Mアンテナ素子サブアレイのブロックを含む。 前記ブロックは、 当該ブロックの対向する第1主要表面及び第2主要表面と、当該ブロックの対向する第1端部及び第2端部と、当該ブロックの前記第1端部に位置したアンテナと、液体冷却剤の流れのための前記第1主要表面の入口コネクタ及び出口コネクタと、前記液体冷却剤の流れのための前記第2主要表面の入口コネクタ及び出口コネクタとを含む。 前記入口コネクタ及び前記出口コネクタは、前記ブロックから前記ブロックへの前記液体冷却剤の流れを提供するように構成される。 前記ブロックはさらに、 前記入口コネクタと前記出口コネクタとの間のコールドプレートであり、当該コールドプレートを介して前記液体冷却剤の流れを可能にするためのコールドプレートを含む。 前記第1主要表面の前記入口コネクタは、前記第1主要表面に垂直な方向で前記複数のブロックへの前記液体冷却剤の流れを可能にするように構成されている。
【0008】
本開示の前述の特徴は、本明細書自体と同様に、以下に示す図面の説明からもより十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の例示的な実施形態に従ったサブアレイブロックを有するシステム例のブロック図である。
図2】本開示の例示的な実施形態に従ったN x M素子サブアレイブロック例の部分的に透明な斜視図である。
図2A】本開示の例示的な実施形態に従った図2のサブアレイブロックの一部を形成できるコールドプレートを示している。
図3】本開示の例示的な実施形態に従ったN x M素子サブアレイブロックの例示的なスタックの部分的に透明な斜視図である。
図4A】本開示の例示的な実施形態に従った、エンクロージャー内のNx M素子サブアレイブロックのスタック例の部分的に透明な斜視図である。
図4B】本開示の例示的な実施形態に従った、エンクロージャー内のNx M素子サブアレイブロックのスタック例の部分的に透明な斜視図である。
図5】本開示の例示的な実施形態に従ってアレイの一部を形成できる例示的なユーティリティブロックの部分的に透明な斜視図である。
図5A】本開示の例示的な実施形態に従ってN x M素子のサブアレイブロックのスタックに接続された例示的なユーティリティブロックの部分的に透明な斜視図である。
図6】本開示の例示的な実施形態に従ってアレイの一部を形成できる例示的なユーティリティブロックを有するアレイの概略図である。
図7】本開示の例示的な実施形態に従ってN x M素子サブアレイブロックの例を用いて実装された第1及び第2の偏波用の送信及び受信アレイを有するアレイの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、アクティブ電子走査可能アレイ(AESA)システムなどのレーダーシステム100の例を示す。システム100は、本開示の例示的な実施形態に従って、積み重ねられたサブアレイブロックから形成されたサブアレイを有するアンテナアレイ102を含む。アンテナアレイ102は、送信機システム104及び受信機システム106に結合されている。レーダーシステム100は、ターゲット108によって反射され、アンテナアレイ102によって受信されることができる信号を送信することができる。いくつかの実施形態では、送信機と受信機のシステムは互いに物理的に分離されている。いくつかの実施形態では、システムは受動的であり、信号は送信されない。
【0011】
波形発生器110が、送信機システム104のための信号を生成することができる。信号リターンが、受信機システム106で受信され、信号プロセッサ112で処理されることができる。検出及び追跡モジュール114が、処理された信号リターンからターゲット108などのターゲットを検出し、ターゲットを追跡するように構成される。ターゲット追跡を含むことができるレーダー情報は、ディスプレイ116上に表示することができる。
【0012】
図2は、N x M素子のサブアレイブロック(subarray block)200の例を示しており、これは「ブリック」とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、アンテナサブアレイブロックがN x 1素子202を含むように、M=1である。いくつかの実施形態では、サブアレイブロック200の素子202は、高い放射効率のために構成された集積回路を含む。一実施形態では、集積回路は、例えば、λ/2の素子間隔(例えば、1 mm のMMIC幅で1.5 mm)を持つオンチップアンテナを持つWバンドGaN MMICを含む。
【0013】
多層基板などの基板204をサブアレイ素子202に接続する。ビームフォーマ回路などの集積回路206をコールドプレート208に取り付けることができる。ビームフォーマ回路206は、アップコンバートされたLO及びIF信号から、当該技術分野でよく知られた方法でビームを生成することができる。最初のコネクタ210が、スタック内の隣接するサブアレイブロックのために、電力、IF、ボード間通信、及び/又はクロック信号を提供することができる。第2のコネクタ212が、サブアレイの反対側の隣接するブロックに同様の信号を提供することができる。ブロック200の一端に配置できる第3のコネクタ214が、例えば、局部発振器 (LO) 信号を提供することができる。
【0014】
コールドプレート208は、流体の流れのためのマイクロチャネルを含むことができる。入力フロー接続部218をコールドプレート208の一方の片側に配置し、出力フロー接続部220をコールドプレートの反対側に配置することができる。実施形態では、水などの液体が、比較的低温で、入力フロー接続部218に流入し、マイクロチャネルを通って移動し、熱を吸収した後に出力フロー接続部220から出て、液体の温度を上昇させる。入力フロー接続部と出力フロー接続部218、220のそれぞれのシール222,224が、隣接するブロックがない場合に閉じたコネクタを提供する。隣接する接続されたブロックがある場合、シール222、224は隣接するブロック間の流体経路を提供する。入力及び出力フロー接続部218、220は、ブロックの主要な表面に垂直な方向にブロック内及びブロック外へと液体が流れるように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、サブアレイ素子又はブロックは、一般的に、エンクロージャーのスロットに挿入するように構成されたプリント基板の形態をした長方形をしている。本明細書で使用されるように、サブアレイ素子の「主要表面」は、最大の表面積を持つ表面を指す。例えば、一般的なPCBは、上下の主要表面と4つの側面又はエッジを持つ。長方形のPCBは、第1端及び第2端を有する。ブロックの例の寸法は、W=12 mm、H=1.5 mm、L=45 mmである。
【0016】
熱管理を促進する素子202のコールドプレート208表面積とRF放射表面積の間には比較的大きなアスペクト比がある。コールドプレート208内の強制マイクロチャネル液体冷却は、例えばデジタルビームフォーマーで発生する熱流束をサポートするだけでなく、高出力GaN MMICや発熱するDSP部品の効果的な熱管理を可能にするための効率的な熱除去を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、冷却剤接続部218,220のシール222,224は、組み立て時にブリックツーブリックシール(brick-to-brick seals)とフレックス(flex)を提供するOリングとして提供することができる。シール222,224は、特定の用途のニーズを満たすために、任意の実用的なサイズ、形状、及び材料を構成できることが理解される。いくつかの実施形態では、ブリックツーブリックシールは、フレームプレートを使用して積み重ねられたブリックを一緒に圧縮することによって閉じられる。フレームプレートは、ブリックと、ブリック内及びフレームプレート内のファスナー開口部を通るファスナーとに機械的なサポートを提供する。圧縮力は、Oリングを浅い凹みの開口部に押し込む。浅い凹みの開口部は、Oリングの配置を容易にするためにコールドプレートに機械加工されている。Oリングを囲むコールドプレートの部分はコールドプレートの表面のわずかに上に突き出ており、ブリックがファスナーによって一緒に圧縮されるときにストッパーとして機能する。組み立てられたアレイの剛性を高めるために、小さなガイドピンと対応するガイド穴がコールドプレートに加工されている。これらのピンと穴は、ブリックが圧縮されるときに嵌合し、横方向の動きに対抗してブリックをロックする。シールは、ファスナーとブリック間の圧縮力を取り除くことによって開くことができる。
【0018】
図2Aに示される図2のサブアレイブロック200の一部は、入力と出力のフロー接続218、220の間のパスを提供するマイクロチャネル209を持つ拡散接合(diffusion bonded)コールドプレート208を含む。マイクロチャネルコールドプレートとは、入口と出口のマニホールド、例えば1 mm未満の水力直径を持つマルチポート管、及びフィンを持つマルチパス並列流熱交換器を指す。マイクロチャネルは、フィン付き管熱交換器と比較して、高い熱伝達比、低い冷却剤チャージ、コンパクトなサイズ、及び低いエアサイド圧力降下を提供することができる。マイクロチャネルを持つコールドプレートの一例は、米国特許第7,443,354号に示され、その記載は参照によりここに組み込まれている。
【0019】
図3は、8つの接続された8 x 1サブアレイブロックのスタック300を示しており、図2のサブアレイブロック200を含み得る。図のスタック300は、8 x 8サブアレイを提供する。一実施例では、冷却された液体は、最も上のサブアレイ素子の主要な上面に垂直な方向で入口218に流入し、加熱された液体は出口220から流出する。スタック300の最も下のブロック200の主要な下面のシール(明確には示されていない)は閉じられている。前述のように、冷却された液体は、入口コネクタ218でスタック内の各ブロックに流入し、コールドプレート208のマイクロチャネルを通過して、加熱された液体は出口コネクタ220で各ブロックから出る。
【0020】
いくつかの実施形態では、ブロック冷却液体供給口218、220は、より高い流量のためにより大きなチャネル直径を可能にし、素子のスタッキングに最適な形状を提供するために、コールドプレート208の主要表面に垂直である。基板間コネクタ210,212は、サブアレイ間の電力、クロック、制御信号及びデータの分配のための高密度相互接続を提供する。例えば、プッシュオンSMPMコネクタは、LO分配に適したインターフェイスを提供することができる。
【0021】
図4A及び4Bは、スタック400を有するエンクロージャー400の一例の部分的に透明な斜視図を示す。エンクロージャー400は、エンクロージャーの冷却剤入口402とエンクロージャーの冷却剤出口404を備えた、図3のサブアレイ・スタック300を含むことができる。アンテナ素子202は、y軸及びz軸内に波長λ/2の間隔を持つことができる。エンクロージャーの下部にある接続部406が、電力、IF、通信などを提供することができる。
【0022】
一例の実施形態では、エンクロージャー400内の積み重ねられたサブアレイブロックは、サブアレイ平面に垂直な開口部を通る小径のネジ又はテンションワイヤーを使用して、物理的接触にしっかりと引き合わされる。ガイド溝と整列ピンを使用して、剛性を高めることができる。ラック内のスタックされたサブアレイを固定するために、多種多様な機械的デバイスと構造を使用できることが理解される。
【0023】
図5は、アレイのサイズの増加を可能にするユーティリティブロック500の例を示している。たとえば、32 x 32素子より大きいスタックの場合、ユーティリティブロック500を使用すると、1万素子より大きいアレイサイズを可能にすることができる。アレイサイズとユーティリティブロックによるビームのスポイルの間にはいくつかのトレードオフがあるかもしれないが、より大きなアレイサイズの利点は、当業者には容易に明らかであろう。図5Aは、ユーティリティブロックの上のサブアレイ素子のスタック501と、ブロックの下のサブアレイ素子のスタック503に接続されたユーティリティブロック500を示している。
【0024】
ユーティリティブロック500は、主要冷却剤入口502と主要冷却剤出口504を含むことができる。主要冷却剤入口502は、前述のように、サブアレイ素子のスタックに冷却剤を流すことを可能にするために、第1スタック冷却剤コネクタ506を介してユーティリティブロックから出る冷却剤を受け取ることができる。主要冷却剤出口504は、加熱された冷却剤をユーティリティブロック500から流出させることができる。第2冷却剤コネクタ508は、前述のように、サブアレイ素子のスタックから加熱された冷却剤を受け取ることができる。ユーティリティブロック500は、ユーティリティブロックの下にあるスタックへの接続のために、ブロックの下部に第3及び第4の冷却材コネクタ510、512をさらに含むことができる。主要コネクタ514は、電力、IF、通信などのためにユーティリティブロック500のメインシステムへの接続を提供することができる。
【0025】
図6は、アレイ内のさまざまな場所に暗く表示されているユーティリティブロック602を持つアレイ600の例を示している。図のアレイ600は128 x 128素子であり、アレイの86%にアクティブアンテナ素子が実装されている。実施例では、ユーティリティブロック602は信号を送受信しない。ユーティリティブロック602は、アレイへの冷却剤流とアレイからの冷却剤流を増加させることによって冷却能力を向上させる。冷却能力の向上により、より大きなアレイを使用できるようになる。
【0026】
図7は、連続波(CW)同時送受信能力を持つ二重偏波WバンドAESA 700の例を示している。アレイ700は、H偏波送信サブアレイ702、V偏波送信サブアレイ704、V偏波706受信サブアレイ、及びH偏波受信サブアレイ708を含む。いくつかの実施形態では、32 x 32素子サブアレイが使用される。
【0027】
広範な種類のN x M素子サブアレイ、偏光タイプ及び構成が特定のアプリケーションのニーズを満たすように選択されると理解される。
【0028】
本開示の実施形態は、100 GHz以上の高い周波数での半波長素子間隔と互換性があるサブアレイ素子アーキテクチャを提供する。強制液体冷却用のマイクロチャネルを備えたコンパクトなコールドプレートは、効果的な熱除去を提供する。コールドプレートは、例えば拡散接合又は超音波接合によって製造することができる。冷却液は、例えば8 x 1又は12 x 1素子サブアレイに分配される。
【0029】
本開示の例の実施形態は、かなりの放熱能力を必要とする比較的高出力のコンポーネントが使用される送受信システムに適用できる。例示的システムには、レーダーシステム、5G無線ネットワークなどの通信ネットワークが含まれる。
【0030】
本開示の例示的な実施形態を説明してきたので、これらの概念を組み込んだ他の実施形態も使用できることが、当業者には明らかであろう。本明細書に含まれる実施形態は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、むしろ添付された特許請求の範囲の精神と範囲によってのみ限定されるべきである。ここに引用されているすべての出版物及び参考文献は、その全体が参照により明示的にここに組み込まれている。
【0031】
本明細書に記載されている異なる実施形態の要素を組み合わせて、特に上記に記載されていない他の実施形態を形成することができる。単一の実施形態の文脈で記述されている様々な要素は、別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで提供することもできる。ここで特に記述されていない他の実施形態も、以下のクレームの範囲内である。
図1
図2
図2A
図3
図4A
図4B
図5
図5A
図6
図7
【国際調査報告】