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特表2023-541696ライダーセンサの誤検知を判定するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ライダーセンサの誤検知を判定するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20230926BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20230926BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20230926BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/89
G01S17/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518140
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2021070888
(87)【国際公開番号】W WO2022058076
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】102020005755.1
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ダーヴィト
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA10
5J084AB01
5J084AC02
5J084BA03
5J084BA48
5J084CA03
5J084DA01
5J084EA20
5J084FA01
(57)【要約】
本発明は、車両周辺のスキャンプロセス時にライダーセンサ(1)の誤検知(E)を判定するための方法に関する。本発明によれば、ライダーセンサ(1)のスキャン範囲内でライダーセンサ(1)に向けて再帰反射される各レーザパルス(R1~R4)について、レーザパルス(R1~R4)が異なる距離で複数回再帰反射されたか否かをチェックし、複数回再帰反射されたレーザパルス(R1~R4)のうちの第1の反射をクラスタ化し、生成されたクラスタ(C1、C2)からの反射の距離を評価することによって、レーザパルス(R1~R4)が少なくともほぼ均一な反射面で反射されていることが判明したとき、それぞれの第1の反射に続く更なる反射を誤検知(E)として標示する。本発明は、更に、車両周辺のスキャンプロセス時にライダーセンサ(1)の誤検知(E)を判定するための装置に関する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺のスキャンプロセス時にライダーセンサ(1)の誤検知(E)を判定するための方法であって、
―前記ライダーセンサ(1)のスキャン範囲内で前記ライダーセンサ(1)に向けて再帰反射される各レーザパルス(R1~R4)について、前記レーザパルス(R1~R4)が異なる距離で複数回再帰反射されたか否かをチェックし、
―複数回再帰反射されたレーザパルス(R1~R4)のうちの第1の反射をクラスタ化し、
―生成されたクラスタ(C1、C2)からの反射の距離を評価することによって、前記レーザパルス(R1~R4)が少なくともほぼ均一な反射面で反射されていることが判明したとき、それぞれの前記第1の反射に続く更なる反射を誤検知(E)として標示する
ことを特徴とする、ライダーセンサの誤検知を判定するための方法。
【請求項2】
追加的に、前記クラスタ(C1、C2)の前記更なる反射が前記第1の反射よりも大きい距離で起きた場合にのみ、前記更なる反射を誤検知(E)として標示する
ことを特徴とする、請求項1に記載のライダーセンサの誤検知を判定するための方法。
【請求項3】
前記クラスタ(C1、C2)の前記表面の決定時、
―平面状の表面を有するクラスタ(C1、C2)と、
―湾曲した表面を有するクラスタ(C1、C2)と、
―正確に1つの空間方向に延在するクラスタ(C1、C2)と、
―3つの空間方向に延在するクラスタ(C1、C2)と、
を区別する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のライダーセンサの誤検知を判定するための方法。
【請求項4】
平面状の表面を有するクラスタ(C1、B2)及び少し湾曲した表面を有するクラスタ(C1、C2)のみを、ほぼ均一な反射面と見做す
ことを特徴とする、請求項3に記載のライダーセンサの誤検知を判定するための方法。
【請求項5】
正確に1つの空間方向に延在するクラスタ(C1、C2)を、対象物(2、3、9、10)の縁部を表すクラスタ(C1、C2)と見做す
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載のライダーセンサの誤検知を判定するための方法。
【請求項6】
3つの空間方向に延在するクラスタ(C1、C2)を、粉塵及び/又は霧及び/又は微粒子構造物を表すクラスタ(C1、C2)と見做す
ことを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載のライダーセンサの誤検知を判定するための方法。
【請求項7】
車両周辺のスキャンプロセス時にライダーセンサ(1)の誤検知(E)を判定するための装置であって、
―前記ライダーセンサ(1)のスキャン範囲内で前記ライダーセンサ(1)に向けて再帰反射される各レーザパルス(R1~R4)について、前記レーザパルス(R1~R4)が異なる距離で複数回再帰反射されたか否かをチェックし、
―複数回再帰反射されたレーザパルス(R1~R4)のうちの第1の反射をクラスタ化し、
―生成されたクラスタ(C1、C2)からの反射の距離を評価することによって、前記レーザパルス(R1~R4)が少なくともほぼ均一な反射面で反射されていることが判明したとき、それぞれの前記第1の反射に続く更なる反射を誤検知(E)として標示する
ように形成された評価ユニット
を特徴とする、ライダーセンサの誤検知を判定するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺のスキャンプロセス時にライダーセンサの誤検知を判定するための方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、車両周辺のスキャンプロセス時にライダーセンサの誤検知を判定するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
独国特許公開第199 47 593(A1)号によれば、車両に搭載される車両用レーダ装置が公知である。レーダ装置は、車両が走行する路面と平行なレーダビームで走査範囲を走査するためのレーダビーム走査装置を有する。更に、レーダ装置は、反射された波に基づいて被検知対象物画像を作成するために、反射されたレーダビームの波を受信するための対象物検知装置を有し、対象物検知装置は、作成された被検知対象物画像がゴーストエコーであるか否かを判定するためのゴーストエコー判定装置を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ライダーセンサの誤検知を判定するための新規方法及び新規装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、本発明により、請求項1に記載の特徴を有する方法及び請求項7に記載の特徴を有する装置によって解決される。
【0006】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
車両周辺のスキャンプロセス時にライダーセンサの誤検知を判定するための方法において、本発明によれば、前記ライダーセンサのスキャン範囲内で前記ライダーセンサに向けて再帰反射される各レーザパルスについて、前記レーザパルスが異なる距離で複数回再帰反射されたか否かをチェックする。更に、複数回再帰反射されたレーザパルスのうちの第1の反射をクラスタ化する。生成されたクラスタからの反射の距離を評価することによって、前記レーザパルスが少なくともほぼ均一な反射面で反射されていることが判明したとき、それぞれの前記第1の反射に続く更なる反射を誤検知として標示する。
【0008】
本方法により、車両周辺のスキャンプロセス時に、ライダーのゴーストターゲット又はゴーストエコーとも称される誤検知の判定が、信頼性のある方法で実現可能である。これにより、実際の交通状況で、例えば別の車両のウインドウガラスといった反射材料から生じるライダーの重大な制約を回避することができる。したがって、運転者支援システム、また特に自動化された、とりわけ高度に自動化された又は自律走行する車両の運転者支援システムにおける運転の信頼性を高めることができる。
【0009】
本方法の考えられる実施形態では、追加的に、前記クラスタの前記更なる反射が前記第1の反射よりも大きい距離で起きた場合にのみ、前記更なる反射を誤検知として標示する。これによって、誤検知の判定の信頼性が更に高まる。
【0010】
本方法の更に考えられる実施形態では、前記クラスタの前記表面の決定時、平面状の表面、すなわち平坦な表面を有するクラスタと、湾曲した表面を有するクラスタと、正確に1つの空間方向に延在するクラスタと、3つの空間方向に延在するクラスタと、を区別する。この区別に基づいてクラスタを分類することができ、このクラスタに誤検知が存在し得るか否かを分類に基づいて簡単な方法で決定可能になる。
【0011】
本方法の更に考えられる実施形態では、平面状の表面を有するクラスタ及び少し湾曲した表面を有するクラスタのみを、ほぼ均一な反射面と見做す。
【0012】
本方法の更に考えられる実施形態では、正確に1つの空間方向に延在するクラスタを、対象物の縁部を表すクラスタと見做す。
【0013】
本方法の更に考えられる実施形態では、3つの空間方向に延在するクラスタを、粉塵及び/又は霧及び/又は微粒子構造物を表すクラスタと見做す。
【0014】
車両周辺のスキャンプロセス時にライダーの誤検知を判定するための装置は、本発明によれば、
―前記ライダーのスキャン範囲内で前記ライダーに向けて再帰反射される各レーザパルスについて、前記レーザパルスが異なる距離で複数回再帰反射されたか否かをチェックし、
―複数回再帰反射されたレーザパルスのうちの第1の反射をクラスタ化し、
―生成されたクラスタからの反射の距離を評価することによって、前記レーザパルスが少なくともほぼ均一な反射面で反射されたことが判明したとき、それぞれの前記第1の反射に続く更なる反射を誤検知として標示するように形成された評価ユニットを備えている。
【0015】
本装置によって、車両周辺のスキャンプロセス時に、ライダーセンサの誤検知の判定が、信頼性のある方法で可能となる。これにより、実際の交通状況で、例えば別の車両のウインドウガラスといった反射材料から生じるライダーの重大な制約を回避することができる。したがって、運転者支援システム、また特に自動化された、とりわけ高度に自動化された又は自律走行する車両の運転者支援システムにおける運転の信頼性を高めることができる。
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ライダーセンサ、対象物、及び対象物からの拡散反射時におけるレーザビームの光路の概略図である。
図2】ライダーセンサ、2つの対象物、及び一方の対象物からの鏡のような反射時及び他方の対象物からの拡散反射時におけるレーザビームの光路の概略図である。
図3】ライダーセンサ、2つの対象物、及びゴースト対象物、並びにレーザビームの光路の概略図である。
図4】交通シナリオの概略図である。
図5】ライダーセンサ、2つの対象物、及び反射されたレーザパルスの光路の概略図である。
図6】ライダーセンサと対象物との間に粉塵又は霧がある場合のライダーセンサ、対象物、及び反射されたレーザパルスの光路の概略図である。
図7】ライダーセンサ、部分透過性対象物、2つの非透過性対象物、及び反射されたレーザパルスの光路の概略図である。
図8】ライダーセンサ、部分透過性対象物、3つの非透過性対象物、及び反射されたレーザパルスの光路の概略図である。
図9】ライダーセンサ、2つの対象物、及び反射されたレーザパルスの光路の概略図である。
図10】ライダーセンサ、2つの対象物、粉塵及び/又は霧によって形成された更なる対象物、並びに反射されたレーザパルスの光路の概略図である。
図11】ライダーセンサ、部分透過性対象物、2つの非透過性対象物、及び反射されたレーザパルスの光路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
互いに対応する部分は、全ての図面において同一の符号が付けられている。
【0019】
図1には、ライダーセンサ1、対象物2、及び対象物2からの拡散反射時におけるレーザビームL、Lの光路が示されている。
【0020】
ライダーセンサ1により、車両5を取り囲む交通状況を精確に三次元で理解することが可能であるため、ライダーセンサ1は、図4に詳しく示されているように、車両周辺の検出において車両5及びその運転者支援システム、例えば、自動化された、特に高度に自動化された又は自律走行する車両5にとって極めて重要である。ただし、このような安全上重要なシナリオにおける適用のために、図11に示されたライダーセンサの誤検知又は距離の誤測定を判定することが決定的に重要である。このような誤検知の検知に失敗することは、車両5の縦方向及び/又は横方向の誘導において危険な自動介入につながるおそれがあり、その結果、危険な状況、例えば不適切な緊急制動が引き起こされるおそれがある。
【0021】
ライダーセンサ1は、一般に極めて低い誤検知率、すなわち低いノイズレベルを特徴とする。ほとんどの対象材料では、入射レーザビームL、Lが拡散して、すなわち考えられる全ての方向に反射される。これは、光の一部が直接ライダーセンサ1に再帰反射されることを意味し、これによって精確な距離測定が可能となる。
【0022】
ただし、高反射性の表面では鏡面反射が優勢である。これは、図2に詳しく示されており、図2には、ライダーセンサ1、2つの対象物2、3、及び一方の対象物からの鏡のような反射時及び他方の対象物からの拡散反射時におけるレーザビームL、Lの光路が示されている。
【0023】
ここで、レーザビームLは、ライダーセンサ1から離れるように偏向され、レーザビームLとして、例えば対象物2といった、鏡に非類似である別の反射性の表面に当たる場合がある。その場合、ライダーセンサ1は、対象物3の表面までのレーザビームLの距離ではなく、両方のレーザビームL、Lのジグザグ経路の合計長さを測定する。
【0024】
ライダーセンサ1は、その場合、レーザビームLが偏向したことを示す情報を有しないので、直線に沿った距離測定が推定される。これにより、レーザビームLに沿った初期送出方向に沿って誤検知が生じ、その結果、図3に示されたゴースト対象物4の検知をもたらす。
【0025】
これは根本的な問題であって、無視された場合には重大なエラーを引き起こすおそれがある。実際の交通状況では、鏡のような高反射性の表面が、別の車両6(図4に示されている)のウインドウガラス7の形態で出現することがよくある。鏡のような高反射性の表面は、完全に鏡面反射しない場合であっても、入射レーザビームL1の少なくとも一部を偏向させる。その後、偏向したレーザビームL2が高反射性の二次対象物2、例えば交通標識8に当たると、その結果生じる間接経路は、例えば車両のウインドウガラスでの拡散反射によって形成された直接経路よりも優勢になり得る。
【0026】
このような状況は、図4に例示されている。図4には、ライダーセンサ1を有する車両5と、車両5の前方に存在する更なる車両6として形成された対象物3と、交通標識8として形成された更なる対象物2と、ゴースト対象物4と、からなる交通シナリオが示されている。
【0027】
ここで、このようなゴースト対象物4は、車両5の前方の路面FB上に現れる。正確な位置は両方の車両5、6間の相対的距離と一次ターゲット及び二次ターゲット、例えばウインドウガラス7及び交通標識8の間の距離とに依存するので、このような誤検知は、長時間にわたって一定になり得るが、異常なダイナミクスを有することもある。この種の反射作用が認識されない場合、車両5の運転者支援システム又は自動走行用のシステムがゴースト対象物4に反応し、車両5の縦方向及び/又は横方向の制御において誤った介入、例えば、緊急制動又は回避操作を引き起こす危険性がある。
【0028】
このような反射作用の検知及びそれに続くゴースト対象物の高い信頼性での検知を可能にするため、車両周辺のスキャンプロセス時におけるライダーセンサ1の誤検知の判定が企図されており、以下の図5図11に基づいてこれを説明する。
【0029】
ここで、図5には、対象物2とライダーセンサ1との間に存在する対象物3に、ライダーセンサ1を使用して射出されたレーザビームLが部分的にのみ当たったときの、ライダーセンサ1及び2つの対象物2、3が示されている。この場合、2つの反射されたレーザパルスR、Rが発生する。
【0030】
図6には、ライダーセンサ1、対象物2、及び粉塵及び/又は霧によってライダーセンサ1と対象物2との間に形成された更なる対象物3が示されている。粉塵及び/又は霧により、2つの反射されたレーザパルスR、Rが同様に発生する。
【0031】
図7には、ライダーセンサ1、部分透過性対象物3、例えば車両6のウインドウガラス7、2つの非透過性対象物2、9が示されている。
【0032】
このような部分透過性対象物3、例えばガラスウインドウは、3つの異なる距離測定を引き起こす場合がある。ここで、反射されたレーザパルスRによって示されているように、不具合のある、場合によっては汚れたウインドウガラス7の直接的な拡散反射が例えば生じ得る。
【0033】
また、反射されたレーザパルスR、R’によって示されたゴースト反射を引き起こす可能性のある、ガラス表面上の鏡面反射も生じ得る。特に、反射されたレーザパルスRは、元のビーム方向に沿う誤検知のレーザパルスR’として伝達される。
【0034】
更に、ガラスを通る透過と背景対象物として形成された対象物2での拡散反射とにより、反射されたレーザパルスRが生じ得る。
【0035】
詳しくは図示されていない実施形態では、反射されたレーザパルスRの長さが、反射されたレーザパルスRの長さを超える場合もある。ただし、反射されたレーザパルスRによって示された直接的な拡散反射は、常に、最短距離で受光された第1の反射である。
【0036】
詳しくは図示されていない例示的な実施形態では、他のビーム経路も考えられ、例えば背景対象物として形成された対象物2に当たった後のウインドウガラス7の背面からの反射が挙げられるが、これはより高次かつ著しくより弱い。
【0037】
例えば反射されたレーザパルスR’などの誤検知を認識するためには、最初に、図5及び図6に示されたシナリオを互いに区別する必要がある。このような区別は、図7に示されたシナリオにおいて全てのレーザビームがウインドウガラス7で反射されたレーザパルスRのように弱い直接反射を引き起こすわけではないという事実から、困難である。
【0038】
図8は、より複雑な状況に基づいてこの困難性を詳しく示している。この場合、図8には、ライダーセンサ1、部分透過性対象物3、3つの非透過性対象物2、9、10、及び反射されたレーザパルスR~Rの光路が示されている。
【0039】
透過性対象物3、例えば車両6のウインドウガラス7での直接的な拡散反射は、対象物3の表面上で少数の第1の反射を招き、ここで第1の反射は正方形で図示されている。
【0040】
一部のレーザビームでは対象物3での鏡面反射が優勢であり、それ以外のレーザビームでは対象物3での透過性経路が優勢であるので、対象物2及び9での反射が生成される。これにより、第1の反射が対象物2及び9で最初に発生するように、対象物3を通過するレーザビームの経路が生じる場合がある。
【0041】
更に、レーザビームの第2の反射は三角形で、第3の反射は円で図示されている。
【0042】
測定における誤検知を判定するために、ライダーセンサ1を使用して実行される完全なスキャンプロセスを、第2の反射、場合によってはより高次の反射を伴う測定について走査することが企図されている。
【0043】
続いて、隣接する点をまとめるために、ユークリッド距離による単純なクラスタリングアルゴリズムが、図9図11に正方形で示されている全ての第1の反射に対して適用される。
【0044】
こうして形成された拡張型クラスタC1、C2ごとに主成分分析が実行されることで、分類された3つの固有値λ1≧λ2≧λ3が得られる。クラスタC1、C2は、図9図11に詳しく示されている。
【0045】
λ1、λ2≫λ λ3となる平面状のクラスタC1、C2、及び少し湾曲した表面を有するクラスタC1、C2は、反射性の表面の候補として標示される。それに対して、一方向にのみ延在する(λ1≫λ2、λ3)クラスタC1、C2は、高確率で対象物縁部から生じるものであるため、標示されない。全ての方向に延在する(λ1≒λ2≒λ3)クラスタC1、C2は、高確率で霧及び/又は粉塵及び/又は超微粒子構造物、例えば、木々又は植物から生じるものであり、同様に標示されない。
【0046】
以下の2つの条件を満足する測定は、誤検知の反射又は誤検知Eとして標示される。
【0047】
1.標示されたクラスタC1、C2によって広がる空間(第1の反射の破線の囲みによって図9図11に示されている)を通過するレーザビームに沿った測定から反射が生じている。
【0048】
2.反射までの距離は、標示されたクラスタC1までの距離よりも大きい、すなわち、反射はライダーセンサから見てクラスタC1、C2の後方にある。
【0049】
図9は、ライダーセンサ1、2つの対象物2、3、及び反射されたレーザパルスR、Rの光路を示している。ここで、レーザビームは、対象物2の縁部で一部が反射され、残りの部分が更なる対象物で反射される。その場合、対象物2の縁部での反射が第1の反射となり、更なる対象物3での反射が第2の反射となる。第2の反射に伴って拡張された部位はないので、第1の反射の領域における一つのクラスタC1のみが標示される。更なる反射が続かない残りの反射(×印で図示されている)は、標示されない。
【0050】
図10には、ライダーセンサ1、2つの対象物2、9、並びに粉塵及び/又は霧によってライダーセンサ1と対象物2、9との間に形成された更なる対象物3が示されている。更なる反射(三角形で図示されている)が続く全ての反射(正方形で図示されている)は、一つのクラスタC1にまとめられる。
【0051】
図11には、ライダーセンサ1並びに3つの対象物2、3及び9が示されており、対象物3は、透過性をもつ、例えば車両6のウインドウガラス7として形成されている。更なる反射(三角形で図示されている)が続く全ての反射(正方形で図示されている)は、クラスタC1、C2にまとめられる。この場合、クラスタC2は、平面状の表面を有することから標示される。クラスタC2によって広がる空間を通過する全てのレーザビームについて、該当する反射が誤検知Eとして標示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】