(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(54)【発明の名称】本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素、及びそのようなフィルタ要素の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20230926BHJP
B01D 46/30 20060101ALI20230926BHJP
B01D 46/24 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B01D39/16 Z
B01D39/16 E
B01D46/30 Z
B01D46/24 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518447
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2021071814
(87)【国際公開番号】W WO2022063470
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020124689.7
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506195893
【氏名又は名称】ヘルディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング フィルターテヒニーク
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘルディング ウルス
(72)【発明者】
【氏名】ハーイェク シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ラーベ ユリアン
【テーマコード(参考)】
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BA01
4D019BA03
4D019BA04
4D019BA05
4D019BA06
4D019BA13
4D019BB07
4D019BB10
4D019BB12
4D019BD01
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4D019CB06
4D058JA02
4D058JA51
4D058JB03
4D058JB04
4D058JB05
4D058JB06
4D058JB14
4D058JB28
4D058JB29
4D058JB39
(57)【要約】
ガス流から異物をろ過するための本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素であって、プラスチック製のフィルタ本体を備え、流入側及び反対側の流出側を有し、流入側に表面ろ過層が形成され、フィルタ本体は、付加製造プロセスで製造された三次元支持構造を有し、支持構造は、ガスが流入側から流出側に流れることができる複数のキャビティを有し、表面ろ過層は、三次元支持構造のキャビティを少なくとも部分的に充填している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流から異物をろ過するための本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素(1)であって、
プラスチック製で、流入側(8)及び反対側の流出側(9)を有し、前記流入側(8)に表面ろ過層(14)が形成されたフィルタ本体(2)を備え、
前記フィルタ本体(2)は、付加製造プロセスで製造され、ガスが前記流入側(8)から前記流出側(9)に流れることができる複数のキャビティ(26)を有する三次元支持構造(23)を備え、
前記表面ろ過層(14)は、前記三次元支持構造(23)の前記キャビティ(26)を少なくとも部分的に充填していることを特徴とする、フィルタ要素(1)。
【請求項2】
前記三次元支持構造(23)は、前記流入側(8)に向かって開いたケージ構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項3】
前記三次元支持構造(23)は、バスケット状、カップ状又は漏斗状のキャビティ(26)を形成し、各々は底部側及び反対側の開放側を有し、前記開放側は前記流入側(8)に面することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項4】
前記バスケット状、カップ状又は漏斗状のキャビティ(26)は、それぞれ、前記底部側を前記開放側に接続する側面境界を有し、隣接するバスケット状、カップ状又は漏斗状のキャビティ(26)が互いに連通する開口部を有することを特徴とする、請求項3に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項5】
それぞれのキャビティ(26)の前記開放側は、前方開口部(26.1)を有し、及び前記底部側及び/又は側面境界は後方開口部を有し、
前記開放側から前記底部側への直交投影において、前記底部側及び/又は前記側面境界の複数の後方開口部が、前記開放側の前方開口部(26.1)によって規定される領域内に配置されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項6】
それぞれのキャビティ(26)の前記開放側は、1つのみの開口部(26.1)を有することを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項7】
前記フィルタ本体(2)は、その流入側(8)と流出側(9)の間に延びる厚さ方向を規定し、前記表面ろ過層(14)は、前記表面ろ過層(14)の厚さの少なくとも10%にわたって、特に厚さの少なくとも25%にわたって、特に厚さの少なくとも50%にわたって、特に厚さの25%から100%の間で、特に厚さの50%から75%の間で、前記三次元支持構造(23)のキャビティ(26)を充填していることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項8】
前記フィルタ本体(2)は、その流入側(8)と流出側(9)の間に延びる厚さ方向を規定し、前記表面ろ過層(14)は、前記三次元支持構造(23)の厚さの少なくとも10%にわたって、特に厚さの少なくとも25%にわたって、特に厚さの少なくとも50%にわたって、特に厚さの25%から100%の間で、特に厚さの50%から75%の間で、前記三次元支持構造(23)のキャビティ(26)を充填していることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項9】
前記表面ろ過層(14)は、前記三次元支持構造(23)のキャビティ(26)を少なくとも部分的に、特にその大部分、特に実質的に完全に充填する第1層(27)を含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項10】
前記表面ろ過層(14)は、前記流入側(8)から前記第1層(27)に適用される少なくとも1つの第2層(28)を含み、
特に前記第2層(28)は、前記フィルタ本体(2)の前記流入側(8)に表面を形成することを特徴とする、請求項9に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項11】
前記第2層(28)は、前記第1層(27)の間隙を少なくとも部分的に占有することを特徴とする、請求項10に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項12】
前記第1層(27)及び前記第2層(28)は、異なる孔径を有し、
特に、前記第1層(27)の孔径は、前記第2層(28)の孔径よりも大きいことを特徴とする、請求項10又は11に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項13】
いずれの場合も、前記第2層(28)は、PE、PTFE、SiO
2、特に中空ガラス、固体ガラス、発泡ガラス又は砂、PPS、酸化アルミニウム、又はそれら材料の少なくとも2つの混合物の粒子を含むことを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項14】
前記表面ろ過層(14)は、少なくとも部分的にコーティングとして形成され、しかしいずれの場合も、前記第1層及び第2層(27、28)は、特に液体堆積、スプレー、刷毛塗り、浸漬コーティング、ベーキング、及び/又は熱溶射プロセス、特に火炎溶射によってコーティングとして形成されることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項15】
前記三次元支持構造(23)は、ノード(25)で互いに接続されたロッド(24.1、24.2)を具備するトラス状の構成を有することを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項16】
前記三次元支持構造(23)は、少なくとも2つの格子層(23.1、23.2、23.3)を形成する格子状構造を備え、その内の一方の格子層(23.1)は前記流入側(8)に面し、特に前記流入側(8)を規定し、他方の格子層(23.2)は前記流出側(9)に面し、前記格子層(23.1、23.2、23.3)はロッド(24.3)又はウェブによって互いに接続されていることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項17】
前記一方の及び/又は前記他方の格子層(23.1、23.2、23.3)は、ノード(25)で相互接続され、開口部(26.1)を規定するロッド(24.1、24.2)を具備する構成を有することを特徴とする、請求項16に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項18】
前記一方の及び/又は前記他方の格子層(23.1、23.2、23.3)は、規則的な格子構造を含むことを特徴とする、請求項16又は17に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項19】
前記少なくとも2つの格子層(23.1、23.2、23.3)は、前記2つの格子層(23.1、23.2、23.3)の一方の開口部(26.1)が、前記2つの格子層(23.1、23.2、23.3)の他方の開口部(26.1)からオフセットするように配置されていることを特徴とする、請求項16乃至18のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項20】
前記三次元支持構造(23)は、前記フィルタ本体(2)の前記流入側(8)と前記流出側(9)の間の流れ方向において前後に並ぶ3つの格子層(23.1、23.2、23.3)を含み、中央格子層(23.3)の開口部(26.1)が、他の2つの格子層(23.1、23.2)の開口部(26.1)からオフセットして配置されていることを特徴とする、請求項16乃至19のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項21】
前記三次元支持構造(23)は、前記フィルタ本体(2)の前記流入側(8)と前記流出側(9)の間の流れ方向において前後に並ぶ3つの格子層(23.1、23.2、23.3)を含み、他の2つの格子層(23.1、23.2)の開口部(26.1)が、一致して配置されていることを特徴とする、請求項16乃至20のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項22】
前記一方の、前記他方の、及び/又は前記中央格子層(23.1、23.2、23.3)の開口部(26.1)は、三角形、四角形、特に正方形、長方形、菱形又は平行四辺形、多角形、円形及び/又は楕円形であることを特徴とする、請求項16乃至21のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項23】
2つの隣接する格子層をそれぞれ接続する前記ウェブ又は前記ロッドは、前記2つの格子層のノードからオフセットして配置されることを特徴とする、請求項16乃至22のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項24】
前記フィルタ本体(2)は、三次元母孔構造(40)を更に含み、前記三次元支持構造(23)は、前記三次元母孔構造(40)の流入側(41)に配置されることを特徴とする、請求項1乃至23のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項25】
前記三次元母孔構造(40)は、前記三次元支持構造(23)よりも大きな孔径を有することを特徴とする、請求項24に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項26】
前記フィルタ要素(1)は中空体として形成され、
前記フィルタ本体(2)の前記流入側(8)は前記中空体の外側に配置され、前記フィルタ本体(2)の前記流出側(9)は前記中空体の内側に配置されることを特徴とする、請求項1乃至25のいずれか一項に記載のフィルタ要素(1)。
【請求項27】
ガス流から異物をろ過するための本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素(1)の製造方法であって、
フィルタ本体(2)が、プラスチックで形成され、流入側(8)及び反対側の流出側(9)を有する製造方法において、
三次元支持構造(23)に複数のキャビティ(26)が形成され、当該キャビティ(26)を通ってガスが前記流入側(8)から前記流出側(9)に流れることができるように、付加製造プロセスによって前記三次元支持構造(23)を製造するステップと、
前記三次元支持構造(23)の前記キャビティ(26)を部分的に充填することにより、表面ろ過層(14)を形成するステップと、を備え、
前記三次元支持構造(23)は、プラスチック材料を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項28】
前記三次元支持構造(23)が前記付加製造プロセスによって製造される際、前記流入側(8)に向かって開いたケージ構造が形成されることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記付加製造プロセスによる前記三次元支持構造(23)の製造中に、バスケット状、カップ状又は漏斗状のキャビティ(26)が形成され、各々は底部側及び反対の開放側を有し、前記開放側は前記流入側(8)に面することを特徴とする、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記バスケット状、カップ状又は漏斗状のキャビティ(26)の各々に対して、側面境界が形成され、当該側面境界は、前記底部側を前記開放側に接続し、前記バスケット状、カップ状又は漏斗状のキャビティ(26)の隣接するものが互いに連通する開口部を有することを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
それぞれのキャビティ(26)の前記開放側に、前方開口部(26.1)が形成され、前記底部側及び/又は側面境界に、後方開口部が形成され、
前記開放側から前記底部側への直交投影において、前記底部側及び/又は前記側面境界の複数の後方開口部が、前記開放側の前方開口部(26.1)によって規定される領域内に位置することを特徴とする、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
それぞれのキャビティ(26)の前記開放側に、1つのみの開口部(26.1)が形成されることを特徴とする、請求項29乃至31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記支持構造(23)の複数のキャビティ(26)に材料を埋め込み、前記表面ろ過層(14)の第1層(27)を形成するステップを備え、前記第1層のための前記材料の大半は、前記三次元支持構造(23)の複数のキャビティ(26)を充填することを特徴とする、請求項27乃至32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1層(27)に、少なくとも1つの第2層(28)を適用するステップを備え、特に、前記第2層(28)は、前記フィルタ本体(2)の前記流入側(8)に表面ろ過層(14)を形成することを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記表面ろ過層(14)は、コーティングとして、特に液体堆積、スプレー、刷毛塗り、浸漬コーティング、ベーキング、及び/又は熱溶射プロセス、特に火炎溶射によって形成されることを特徴とする、請求項27乃至34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
付加製造プロセス、特にレーザ焼結又はステレオリソグラフィによる前記三次元支持構造(23)の製造中に、トラス状の構成が、ノード(25)で互いに接続されたロッド(24.1、24.2、24.3)又はウェブで形成されることを特徴とする、請求項27乃至35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記三次元支持構造(23)の製造中に、少なくとも2つの格子層(23.1、23.2、23.3)を形成する格子状構造が形成され、一方の格子層(23.1)は前記流入側(8)を規定し、他方の格子層(23.2)は前記流出側(9)に面し、
前記格子層(23.1、23.2、23.3)は、ロッド(24.3)又はウェブによって相互接続されることを特徴とする、請求項27乃至36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流から異物をろ過するための本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素に関する。さらに、本発明は、ガス流から異物をろ過するための本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフィルタ要素は、自動車産業、化学産業、食品産業、建築材料の製造など、さまざまな産業分野の工場及びプラントで使用されている。
【0003】
これまで、そのようなフィルタ要素のフィルタ本体は、焼結され、その後、例えばスプレーコーティングの形で表面ろ過層が設けられていた。そのプロセスの性質上、フィルタ本体は通常、複数の部品で製造され、それらを結合して1つのフィルタ本体を形成する。焼結プロセスは、本質的に安定したフィルタ要素を大量に生産できるが、例えば、使用できるプラスチックやフィルタ本体及び/又は表面ろ過層の構造に関して、特定の制約がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、これらの制約を受けない、多孔質フィルタ本体と、フィルタ本体の流入側に形成された表面ろ過層とを備える、ガス流から異物をろ過するための本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、固有の安定性を有し、そこを通過する流れを許容する多孔性であるフィルタ要素、すなわち、ガス流から異物をろ過するための本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素が提案され、プラスチック製で、流入側及び反対側の流出側を有し、流入側に表面ろ過層が形成されたフィルタ本体を備える。フィルタ本体は、付加製造プロセスで製造され、ガスが流入側から流出側へ流れることができる複数のキャビティを有する三次元支持構造を備える。表面ろ過層は、三次元支持構造のキャビティを少なくとも部分的に充填している。
【0006】
さらに、本発明によれば、ガス流から異物をろ過するための本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素の製造方法であって、フィルタ本体がプラスチックで形成され、流入側及び反対側の流出側を有する製造方法が提案される。この方法は、少なくとも以下のステップ:三次元支持構造に複数のキャビティが形成され、そのキャビティを通ってガスが流入側から流出側に流れることができるように、付加製造プロセスによって三次元支持構造を製造するステップと、三次元支持構造のキャビティをコーティング材料で部分的に充填することにより、表面ろ過層を形成する。
【0007】
三次元支持構造は、付加製造プロセスによって、特にレーザ焼結、ステレオリソグラフィ(光造形法)、特にUVベースのステレオリソグラフィ又は低力ステレオリソグラフィ、DLP、バインダ噴射、粒子噴射、又はFDMによって製造される。これらのプロセスのそれぞれは、結果として得られる三次元支持構造の特徴的な構造をもたらし、該当する場合は、同じ方法、特に三次元支持構造と同じ製造プロセスで製造されるフィルタ本体の他の部分の特徴的な構造をもたらす。
【0008】
付加製造プロセスにより、フィルタ本体は、従来のプロセスによって課せられる制限を受けることなく、それぞれの所望の形状及び強度や剛性などの機械的特性を有して製造することができる。付加製造は、三次元支持構造をフィルタ本体と一緒に製造する可能性も提供する。付加製造プロセスでは、製造する部品の形状を指定する金型又は型枠が不要であり、代わりにデジタル3D設計データに基づいてコンピュータ制御で部品を生成する。このようにして、任意のサイズと形状のフィルタ要素を単一のプロセスで、特に一体型のフィルタ本体を用いて製造することができ、該当する場合、フィルタ本体、接続要素、及び表面ろ過層の少なくとも一部、又は別個の製造プロセスで適用された表面ろ過層を接着するための部品が一体となった、すなわち一体で製造される態様であっても製造することができる。フィルタ本体及びそのような部品は、それらが異なる形状を有していたり、又はフィルタ本体又は個々の部品が作られる材料に関して違いがあったりしても、1回の印刷プロセスで製造することができる。付加製造プロセスを用いて製造されたフィルタ要素は、特に、付加製造プロセスを用いて製造されたフィルタ本体、及び該当する場合に追加部品が、通常、鋳造プロセスを用いて実現できない形状を有するという事実によって認識することができる。付加的に製造された部品には、例えば、キャビティ又はアンダーカット及び突起があるからである。
【0009】
三次元支持構造は、運転中に典型的に予想されるような(例えば、部分的に研磨性の異物粒子を含む生ガスの強い流入の結果として、及び/又は繰り返し洗浄サイクル中の圧力パルスの適用による)大きな負荷にあっても、表面ろ過層とフィルタ本体との間の恒久的に耐久性のある結合を可能にする。三次元支持構造は、表面ろ過層の粒子(これは、特に、以下でより詳細に説明する表面ろ過層の第1層の粒子に当てはまる)が、表面ろ過層が適用されたときに支持構造内にくさび状に食い込むことができるように形成されている。キャビティは、ガスが流れることができる支持構造体内の自由空間である。この場合、キャビティは支持構造体自体によって形成される。三次元支持構造は、付加製造プロセスで製造されるため、特に、いわゆるパラメトリックに制御された細孔の構成を有するキャビティを有することができる。この用語は、付加製造プロセスによって三次元支持構造に形成されるキャビティ又は孔が、キャビティを有する対応する三次元支持構造を製造するために、サイズ及び形状を具体的に調整できることを表すことを意図している。
【0010】
また、支持構造体は、フィルタ要素の製造工程における安定性も確保する。特に、付加製造によって製造された支持構造は、硬化及び後処理前のフィルタ要素のグリーンコンパクトの安定性を向上させる。
【0011】
フィルタ本体の流入側は、異物を含んだガス流がフィルタ動作中にフィルタ要素に到達し、表面ろ過層を貫通する側を示す。また、フィルタ本体の下流側は、異物を除去したガス流がフィルタ要素から排出される側を示す。したがって、フィルタ要素の設置状態において、流入側はフィルタシステムの生ガス空間に向けられ、フィルタ本体の流出側はフィルタシステムの清浄ガス空間に向けられる。
【0012】
プラスチック製のフィルタ本体は、フィルタ本体が主成分としてプラスチックを有する場合に得られる。プラスチックの主成分に加えて、他の成分が、例えば添加剤又は充填剤の形態で、フィルタ本体に存在してもよい。そのようなさらなる構成要素がプラスチックであるか、非プラスチック材料を有するかは重要ではない。フィルタ本体の製造のためのプラスチックは、1つのポリマー材料から、又はいくつかのポリマー材料から(例えば、ポリマーブレンド又は混合ポリマーの形態で)形成することができる。以下において、例えばフィルタ本体及び/又はフィルタ要素に関連してプラスチックの組成が言及される場合、これは常に、プラスチックが1つのポリマー材料のみから形成され得る、又はいくつかのポリマー材料から形成され得るという意味で理解されるべきである。ポリマー材料という用語は一般的な用語として理解されるべきであり、同じ種類のモノマーから構成されるホモポリマーと、ブロックコポリマーなどのコポリマー及び異なる種類のモノマーから構成される他のポリマーの両方を含むことを意図している。
【0013】
付加製造されたフィルタ要素は、非常に高い精度で製造することができるため、後工程がほとんど、又は全く必要ない。幅広い形状とサイズのフィルタ要素もこの方法で製造することができる。
【0014】
可能な実施形態及びさらなる発展は、従属請求項に記載されており、以下において説明される。これらの実施形態及びさらなる展開は、本発明によるフィルタ要素及び本発明による製造方法の両方を指すことが明示的に意図されている。これらが互いの代替物であることが個々の態様について明示的に示されていない限り、それぞれ説明された実施形態及びさらなる実施形態は、所望により互いに組み合わせできることが理解される。
【0015】
特に、三次元支持構造は、流入側に向かって開口しているケージ構造を備えてもよい。特に、このようなケージ構造は、表面ろ過層を形成するための材料が個々のキャビティに収容されるように設計されてもよい。キャビティはそれぞれ一種のケージを形成し、それぞれのキャビティに収容された材料は、ケージを取り囲む三次元支持構造によって保持される。特にケージ構造は、表面ろ過層を形成するための材料が、三次元支持構造の製造後にそれぞれのケージに導入されるように設計されている。表面ろ過層を形成するための材料は、少なくとも三次元支持構造のキャビティに導入されるときに、粒子状であることができる。そして、ケージ構造は、それぞれの場合にキャビティに導入された粒子がケージ構造によって保持されるように設計され、それによって、いずれの場合にも、キャビティに導入された材料の大部分がそこに残り、キャビティの底部側又は側面境界を通ってさらに輸送されない。ケージ構造内の粒子の保持を補助するために、接着剤などの接着システムを使用することができる。キャビティ内の材料の保持は、表面ろ過層を形成するための材料が、キャビティ内の材料の粒子が互いに結合して凝集体を形成するような構成を有し、及び/又はキャビティ内に導入されるという事実によってさらに強化され得る。このような凝集体は、いくつかの隣接するキャビティにまたがって延びることがよくあり、したがって、ケージ構造のキャビティにおける表面ろ過層用の材料の特に良好な固定につながるブリッジ構造を形成することができる。
【0016】
ケージ状構造を形成するために、三次元支持構造は、特に、バスケット状、カップ状又は漏斗状のキャビティを形成することができ、各々は、底部側及び反対側の開放側を有する。この場合、開放側は流入側に面することができるので、表面ろ過層を形成するための材料は、開放側を通してケージ構造内に容易に導入することができる。
【0017】
バスケット状、カップ状又は漏斗状のキャビティは、それぞれ、例えば側壁の態様で、底部側を開放側に接続し、バスケット状、カップ状又は漏斗状のキャビティの隣接するものが互いに連絡する開口部を有する側面境界を有することができる。このような側面境界によって、表面ろ過層を形成する材料の粒子の横方向への動きは、これら粒子のキャビティからの「脱落」及び流出側及び/又は流入側の方向へのさらなる輸送が効果的に抑制される程度まで、遮断され、又は少なくとも妨げられ及び/又は誘導され得る。しかし、側面境界に形成された開口部を通じて、表面ろ過層用の材料の粒子は、それでもなお、隣接するキャビティにわたって互いに結合し、したがって、複数の隣接するキャビティにわたって延びる凝集体又はブリッジ(橋梁)構造を形成し得る。このようにして、三次元支持構造における表面ろ過層の材料の確実な固定が形成される。
【0018】
特に、それぞれのキャビティの開放側は前方開口部を有し、それぞれのキャビティの底部側及び/又は側面境界は後方開口部を有することができる。この点で、開放側から底部側への直交投影において、底部側及び/又は側面境界の複数の後方開口部が、開放側の前方開口部によって規定される領域内に配置されていると有利である。特に、三次元支持構造の表面と直交する方向に視線を向けて流入側から三次元支持構造を見たときに、直交投影が得られる。このとき、流入側に形成された前方開口部と、その後方のそれぞれの前方開口部内に位置し、流出側寄りに配置された開口部が見える。これらの後方開口部は、キャビティの底部側を規定する構造物やキャビティの側面境界を形成する構造物など、対応する流出側に位置する三次元支持構造物の構造物によって規定される。しかし、前述の直交投影では、それぞれの後方開口部のうち、流入側の前方開口部の領域内にある部分のみが見えることになる。ここで、流入側の前方開口部の面積に対して、さらに流出側の後方開口部のこの部分の投影面積を考えることにする。前方開口部を直交方向に覗くと、通常、一見小さく見える複数の後方開口部が見えることになる。例えば、後方開口部は、実際には、開放側のそれぞれの前方開口部よりも小さくなっている場合がある。この場合、後方開口部は、前方開口部に対して任意の方法で配置することができる。後方開口部、特に、流出側にさらに向かうケージ構造のキャビティの底部側の後部開口部も、開放側のそれぞれの前方開口部と同じかそれ以上に大きくすることができる。しかし、この場合、後方開口部は、開放側の前方開口部に対して横方向にオフセットして配置されるべきであり、これにより、前述の投影において、すなわち、開放側の前方開口部を通して流入側から見たときに、少なくとも部分的にいくつかの後方開口部を常に見ることができる。
【0019】
特に、三次元支持構造のそれぞれのキャビティの開放側は、1つの前方開口部のみを有することができる。したがって、この構成では、各ケージ構造は、流入側に面する正確に1つの前方開口部と関連付けられ、それを通して表面ろ過層を形成するための材料をケージ構造内に受け入れることができる。
【0020】
フィルタ本体は、その流入側と流出側の間に延びる厚さ方向を規定し得る。そして、表面ろ過層は、例えば、表面ろ過層の厚さの少なくとも10%にわたって、特に表面ろ過層の厚さの少なくとも25%にわたって、特に表面ろ過層の厚さの少なくとも50%にわたって、特に表面ろ過層の厚さの25%から100%の間で、特に表面ろ過層の厚さの50%から75%の間で、三次元支持構造のキャビティを充填することができる。これにより、表面ろ過層とフィルタ本体、特に三次元支持構造との有利な接続又は結合が可能になる。三次元支持構造のキャビティに埋め込まれた表面ろ過層の割合が大きいほど、表面ろ過層と支持構造との間の結合はより耐久性がある。
【0021】
例えば、表面ろ過層は、三次元支持構造の厚さの少なくとも10%にわたって、特に三次元支持構造の厚さの少なくとも25%にわたって、特に三次元支持構造の厚さの少なくとも50%にわたって、特に三次元支持構造の厚さの25%から100%の間で、特に三次元支持構造の厚さの50%から75%の間で、三次元支持構造のキャビティを充填することができる。これにより、表面ろ過層とフィルタ本体、特に三次元支持構造との有利な接着が可能になる。表面ろ過層が支持構造体の中に入っているほど、表面ろ過層と支持構造体との間の結合はより耐久性がある。極端な場合、三次元支持構造のキャビティは、三次元支持構造の全厚さにわたって表面ろ過層からの材料で充填することができる。そうすると、三次元支持構造によって形成されるキャビティの実質的にすべてが、表面ろ過層の材料で満たされることになる。したがって、特に、三次元支持構造のうち表面ろ過層の材料で充填された部分が、三次元支持構造及び/又は表面ろ過層の大部分を占めるような場合では、三次元支持構造は、表面ろ過層の一部とみなすこともできる。
【0022】
表面ろ過層の材料の構成によって、表面ろ過層の材料による三次元支持構造のキャビティの平均的な充填の程度が異なることがある。また、表面ろ過層用材料が塗布される塗布方法影響する可能性がある。例えば、三次元支持構造のキャビティに導入されたコーティング材料の個々の粒子間に凝集物を形成する強い傾向があるコーティング材料又はコーティングプロセスでは、粒子の凝集によって複数の隣接するキャビティにわたって存在するブリッジ構造が形成されるため、中程度の充填レベル、特に50%以下又は約30から50%でコーティング材料の強い固定を検知することが既に可能である。液体ベースのものなど、他のコーティング材料又はプロセスでは、三次元支持構造におけるコーティング材料の所望の固定を達成するために、少なくとも50%、少なくとも75%、最大100%などの、より高い充填レベルが必要とされるであろう。
【0023】
先の実施形態によれば、表面ろ過層は、フィルタ本体と一体的又は一体に形成され得る。これは、特に三次元支持構造に関するものであり、この三次元支持構造は、フィルタ本体と同じ付加プロセス及び同じ印刷プロセスで製造することができる。この意味で、フィルタ本体及び表面ろ過層は一体で製造されることになる。これにより、必要な工程数を減らし、製造コストを下げることができる。フィルタ本体と表面ろ過層の間の凝集力も、特に、フィルタ本体と表面ろ過層の構成、特にフィルタ本体の支持構造又は「母孔構造」と三次元支持構造が、わずかに又は全く異なるだけである場合に、特に良好である。特に、フィルタ本体の支持構造と三次元支持構造とは、同じ材料で作ることができる。
【0024】
さらに、表面ろ過層が、少なくとも部分的に、特にその大部分において、三次元支持構造のキャビティを充填する第1層を含むとすることが提案される。第1層は、実質的に三次元支持構造の充填層を形成する。「大部分において」という表示は、第1層の質量を指すことを意図しており、すなわち、フィルタ要素の表面積あたり、支持構造のキャビティを充填する第1層の部分(その質量に対して)は、キャビティの外で三次元支持構造に適用される第1層の部分よりも大きい。特に、第1層は、その質量の少なくとも30%、特に少なくとも65%、特に少なくとも75%、特に少なくとも85%、特に少なくとも95%が、三次元支持構造のキャビティを満たしている。このように、第1層は、三次元支持構造における表面ろ過層の良好な固定、ひいてはフィルタ本体への固定を提供する。良好な固定にもかかわらず、この三次元支持構造の第1層の材料による充填は、非常に多孔質であることができるので、フィルタ要素を流れるときの流れ抵抗は、許容範囲内にとどまる。
【0025】
表面ろ過層は、流入側から第1層に適用される少なくとも第2層を有することができる。これは、例えば、第2層がフィルタ本体の流入側の表面を形成するように行うことができる。しかし、第2層に加えて、第1層、場合によっては三次元支持構造自体も、フィルタ本体の流入側の表面の形成に寄与していることも考えられる。第1層は、少なくとも第2層のための基礎と考えることができる。少なくとも第2層により、フィルタ本体に入る前にガス流からどの異物をろ過するか、特に対応する大きさの異物をろ過するかを容易に調整又は設定することができる。適用可能であれば、少なくとも第2層は、互いに重なった複数の層を含むこともでき、それぞれの層は、フィルタ本体の流入側で、フィルタ動作中のガス流の流れ方向においてガス流が最初に流れる面を形成する。第2層は、該当する場合は第1層と一緒に、ほとんどの部分で適切な表面ろ過層を形成する。さらなる実施形態では、第2層は、第1層の一部、さらには三次元支持構造の一部とともに、フィルタ本体の流入側における表面を形成することができる。
【0026】
第1層と第2層は、異なる孔径を有することができる。この場合、第1層の孔径は、第2層の孔径よりも大きくすることができる。これにより、フィルタ要素を通るガス流の圧力損失が減少するが、これは、流入側の表面ろ過層の比較的小さな厚さのみが、非常に低い気孔率(多孔性)を有する必要があるためである。この低い気孔率の厚さは主に第2層によって決まり、該当する場合、第1層及び/又は三次元支持構造と協働して決まる。三次元支持構造の気孔率は、その安定性に影響を与えることなく非常に大きくすることができる。ここで、付加製造プロセスの利点が最適に利用され得る。第1層は、比較的粗粒の材料から形成することができ、三次元支持構造が第1層の材料で充填されても、流れ抵抗は低いままであり、ガス流がフィルタ要素を通過する際に生じる大きな圧力損失は生じない。流れ抵抗は、第2材料が位置する表面ろ過層の部分によって本質的に決定される。この部分の厚さは非常に小さくすることができ、その結果、全体として低い流路抵抗となる。
【0027】
このような構成では、異物の大部分が表面ろ過層の表面に蓄積され、ガス流の流れ方向に対してフィルタ要素の深層部に浸透することがないため、フィルタ要素の洗浄を容易に行うこともできる。フィルタ要素を洗浄した後、フィルタ要素のフィルタ品質は、このように短時間で改善することができる。
【0028】
表面ろ過層は、第1層と第2層とがそれらの間に移行領域を形成し、第2層の材料が第1層の粒子間の間隙に浸透し、それを少なくとも部分的に充填するように形成することができる。これにより、特に表面ろ過層の第1層と第2層との間に強固な凝集がもたらされる。
【0029】
表面ろ過層は、フィルタ本体の表面を形成してもよく、その表面は、いくつかの実施形態では、三次元支持構造の協力によっても、第1層と第2層とによって形成される。これにより、フィルタ本体の表面に異物が残るため、フィルタ本体の洗浄を効果的に行うことができる。
【0030】
少なくとも第2層は、支持構造の厚さの最大50%、特に厚さの最大25%、特に厚さの最大5%、特に厚さの最大1%にわたって、第1層に付着するか、第1層及び三次元支持構造のキャビティを充填する流入側の表面を形成し得る。
【0031】
特に、三次元支持構造の孔径は、100μmから2000μmの間とすることができる。表面ろ過層の第2層の孔径は、特に0.1μmから20μmの間とすることができ、表面ろ過層の第1層の孔径は、特に1μmから200μmの間とすることができる。孔径は、第1層又は第2層が粒状材料からなり、粒状材料の間に孔が形成される場合に、対応する層又は構造体の表面上に生じる平均孔径を表す。孔径は、特に細孔測定装置で確認及び測定することができる。ここ又は以下で「孔(細孔)」又は「孔径」が言及される場合、この用語は一般的に理解されるべきであり、あらゆる種類の孔、開口部、キャビティ、開放微細構造、又は他の固体の構造が、流体に対する透過性が生じるように構造化されているその他構造を含むことを意図している。例えば、一部の付加製造プロセスでは、「ボクセル」(ボクセルとは、3次元空間をアドレス指定するために、3次元空間を基本体積要素に離散的に分割する場合の基本体積要素を意味し、2次元物体における「ピクセル」に類似する)の標的選択及び定義により、このようにして作成された物体(フィルタ要素、フィルタ本体、表面ろ過層、特に三次元支持構造)に従来の方法で製造された焼結多孔体の従来の意味での孔と同じ機能を提供する開放微細構造を意図的に作成できる。
【0032】
孔径は、例えばTOPAS社のキャピラリーフローポロメータPSM165を用いて測定することができる。測定の動作原理を以下に説明する。媒体に流体が流れると、圧力損失が生じるが、これは孔径分布に大きく影響される。流れに対する抵抗は、流れ試験によってのみ決定できる。有効圧力差と結果として生じる体積流量の関係が測定される。顕微鏡画像とそれに対応する評価といった他の方法に加えて、圧力をかけて体積流を測定することによっても、孔径を決定することができる。この測定の動作原理は、液体が孔から追い出されるため、液体で満たされた孔は特定の圧力でのみ気体を透過可能とするという点にある。孔の開口圧力(バブルポイント)は、液体の表面張力と孔の直径に依存する。孔が小さいほど高い圧力が必要である。実際の材料には必ず孔径の分布があるので、それまで液体で満たされていた孔が気体を透過するようになる圧力は、最も大きな孔の開口圧力に相当する。さらに圧力を上げると、圧力差と体積流の経過から孔径の分布が推測できる。
【0033】
いずれにしても、第2層は、PE、PTFE、SiO2、例えばマイクロガラス、中空ガラス、発泡ガラス、固体ガラス又は砂、PPS、酸化アルミニウム、又は上記材料の少なくとも2つの混合物を含むことができる。特に、第2層は、上記材料を粒子状で含むことができる。これにより、表面ろ過層の良好な洗浄が可能となる。さらに、表面ろ過層は、殺菌効果を有することもできる。
【0034】
表面ろ過層は、少なくとも部分的にコーティングとして形成することができるが、いずれの場合も、第1及び第2層は、特に、液体堆積、スプレー、刷毛塗り、浸漬コーティング、ベーキング(焼成)及び/又は火炎溶射などの熱溶射プロセスによって、コーティングとして形成することができる。これにより、良好なろ過性能を可能にするのに適した均一な表面ろ過層が得られる。また、コーティングは迅速かつ容易に行うことができる。さらに、表面ろ過層をフィルタ本体に塗布する方法として、すでに実績のある方法を使用することができる。一般に、表面ろ過層の材料(特に第1層の材料)による三次元支持構造のキャビティの充填度合いは、液体又は懸濁液に基づくコーティングプロセスから得られるコーティングの方が、火炎溶射などの溶射プロセスから得られるコーティング、又は他の溶射プロセスから得られるコーティングよりも高くなる。その理由は、後者のプロセスでは、表面ろ過層の形成に考慮されている材料が、三次元支持構造の異なるキャビティに収容された粒子間に架橋を形成できるからである。この結果、三次元支持構造のキャビティの体積の約30%という比較的低い充填レベルであっても、第1層の材料が良好に固定されることになる。
【0035】
三次元支持構造は、ノードで互いに接続されたロッドを有する骨組み(フレームワーク)状又はトラス状の構成を有することができる。トラス状の構成とは、複数のロッドがノードで互いに接続され、それ故、三次元支持構造は固有の安定性を有し、追加の構造物なしで存続できることを意味すると理解される。高い空隙率を有する良好な固有の安定性に加えて、トラス状設計の利点は、形成されたキャビティが三次元支持構造においてほぼ均一な分布を有し得ることである。これにより、耐久性のある表面ろ過層を効率的に製造することができる。トラス構造は、その耐荷重に比べて、自重や固有重量が小さい。三次元支持構造は、例えば、周期的な最小表面、特に三周期的な最小表面によって製造することも可能である。より一般的には、三次元支持構造は、骨形成性又は多孔性構造から形成することもできる。流体が流れるための利用可能な空間は、特に大きくすることができる。
【0036】
三次元支持構造は、少なくとも2つの格子層を形成する格子状構造を有することができ、そのうちの一方の格子層は流入側に面し、特に流入側を規定し、他方の格子層は流出側に面する。格子層は、ロッド又はウェブによって互いに接続することができる。2つの格子層は、フィルタ要素を通過する際のガス流の流れ方向において、前後に配置される。流入側に面する格子層は、表面ろ過層の第1層及び場合によっては第2層を除いて、さらなる構造が形成されず、したがって、フィルタ表面の位置が三次元支持構造の流入側によって規定されるという意味において、流入側を規定することができる。2つの格子層は、又は、設けられている場合、さらなる格子層が、互いに実質的に平行に配向されてもよく、ここで、互いに実質的に平行とは、プラス/マイナス10°の互いに対する傾きも含むものとする。格子状構造により、特にキャビティの形状及びサイズに関して、均一なキャビティを実現することができ、このキャビティは、表面ろ過層、特にその粒子で容易かつ迅速に充填することができる。少なくとも2つの格子層を互いに接続するロッド又はウェブは、流入側及び/又は流出側に対して横方向に、フィルタ要素を通過する際のガス流の方向に実質的に延びる。2つの格子層の間には、追加の格子層が設けられていてもよい。合計3つの格子層を有する三次元支持構造の構成が特に好ましい。この場合、流入側を規定する1つの格子層と流出側に面する他の格子層との間に、さらなる格子層が存在する。表面ろ過層は、少なくとも部分的に、2つの格子層の間の中間空間を満たす。これにより、表面ろ過層は、支持構造体に強固かつ耐久性をもって接着することができる。
【0037】
一方及び/又は他方の格子層は、ノードで互いに接続され、開口部を規定するロッドを具備する構成を有することができる。この構成は、それぞれの格子層の複数の少なくとも3つの隣接するロッド、特に4つの隣接するロッドがそれぞれ格子層の開口部を囲む格子構造を定義する。より高次の多角形によって開口部が規定された配置も考えられる。次に、それぞれの格子層の複数のn個の隣接するロッドは、それぞれ格子層の1つの開口部を囲む。
【0038】
一方及び/又は他方の格子層は、規則的な格子構造を有することができる。「規則的な格子構造」という表現は、それぞれの格子層の開口部及びロッドの配置が、互い及び/又は開口部に対するロッドの反復的な構成を有する規則的なパターンを有するという意味で理解されたい。特に、それぞれの格子層のロッドの構成は、次に、規則的な開口部を定義する。例えば、格子層のすべての開口部は、同じサイズ及び/又は同じ形状を有することができる。また、より大きな第1開口部及びより小さな第2、第3などの開口部が設けられ、第1、第2、第3などの開口部の配置が規則的なパターンを定義してもよい。規則的な格子構造の利点は、一方では安定性であり、規則的な格子構造において開口部がほぼ均一な分布を有することである。これにより、耐久性のある表面ろ過層を効率的に製造することができる。
【0039】
少なくとも2つの格子層は、2つの格子層のうちの一方の開口部が、2つの格子層のうちの他方の開口部からオフセットされるように配置され得る。これにより、表面ろ過層、特に表面ろ過層の粒子をキャビティに効率よく充填することができる。
【0040】
三次元支持構造は、フィルタ本体の流入側と流出側の間の流れ方向において、前後に並ぶ3つの格子層を含み得る。中央格子層の開口部は、他の2つの格子層の開口部からオフセットすることができる。特に、格子層はそれぞれ、ロッド及び開口部の構成が同じである。これにより、表面ろ過層、特に表面ろ過層の粒子でキャビティを効率的に充填することができる。
【0041】
三次元支持構造は、フィルタ本体の流入側と流出側の間の流れ方向において、前後に配置された3つの格子層を含み得る。2つの外側の格子層の開口部は、互いに一致するように配置され得る。特に、格子層は、それぞれ、ロッド及び開口部の同一の構成を有することができる。一致とは、フィルタ動作におけるガス流の流れ方向に対して一致する(合同である)と理解されるべきである。
【0042】
一方の、他方の、及び/又は中央格子層の開口部は、三角形、四角形、特に正方形、長方形、斜方形又は菱形又は平行四辺形、多角形、円形及び/又は楕円形であってよい。
【0043】
隣接する2つの格子層をそれぞれ接続するウェブ又はロッドそれぞれ、2つの格子層のノードからオフセットして配置することができる。特に、2つの隣接するノード間の中央に配置することができる。これは、2つの隣接する格子層を接続するウェブ又はロッドが、2つのノード間のセクション、特に中央で、両方の格子層上で開始することを意味する。このようにして、2つの隣接する格子層の間にケージ構造が形成され、これらは、表面ろ過層の粒子、特に第1層の粒子を特に格子層の平面を横切る方向の動きに対して保持するのに好適である。ケージ構造自体は、ガス流を妨げないように、できるだけ小さな表面積を有する。このような配置は、例えば、2つの格子層が、一方の格子層のノードが他方の格子層の開口部の中心に位置するようにオフセットされている場合に有利である。直交投影では、一方の格子層のノードは、他方の格子層の開口部の中心に位置する。この場合、2つの格子層を互いに接続するロッド又はウェブは、2つの格子平面に対して直交してもよく、それぞれの格子層の平面に位置し、それぞれの格子層の隣接するノードを接続するロッド又はウェブの中心から開始してもよい。
【0044】
また、隣接する2つの格子層をそれぞれ接続するロッド又はウェブが、一方の格子層のノードに配置され、それぞれの他方の格子層のノードからオフセットされていることも考えられる。これは、ウェブ又はロッドは、一方の格子層のノードから始まり、それぞれの他方の格子層の2つのノードの間のセクションで終端することを意味する。例えば、ウェブ又はロッドは、流入側に位置する格子層のノードから始まるが、中央格子層の2つのノードの間のセクションで終端することができる。同様に、ウェブ又はロッドは、流出側に位置する格子層のノードから始まり、中央格子層の2つのノードの間のセクションで終端することができる。このように、隣接する2つの格子層の間にも、それぞれのケージ構造が形成され、表面ろ過層の粒子、特に第1層の粒子を保持するのによく適している。
【0045】
格子層という用語は、特に、第1方向に延びるいくつかの互いに平行に配向したウェブ又はロッドと、第2方向に延びるいくつかの他の互いに平行に配向したウェブ又はロッドを有する層を表している。第1方向と第2方向は、互いに対して角度があり、特に90°の角度である。このようにして、ウェブ又はロッドは、一緒になって格子又はネットを形成する。第1方向に延びるウェブ又はロッドが、第2方向に延びるウェブ又はロッドと交差する部分は、ノードを形成する。2つのノードの間には、対応するウェブ又はロッドが途切れることなく伸びている部分がある。
【0046】
少なくとも2つの格子層は、細孔構造を定義する。細孔構造は、特に1μmから10000μmの間、特に100μmから2000μmの間の細孔径を有する。細孔径は、細孔に収容できる粒子(特に円形粒子)の最大径を示す。2つの格子層は、パラメトリック細孔、すなわち、少なくとも2つの格子層の互いに対する配置によって形成される細孔を生成する。したがって、格子層の細孔は、ランダムに配置されるのではなく、パラメトリックに制御される。例えばランダマイザーを用いて細孔の意図的なランダム性を生じさせ、このようにして形成された一見ランダムに見える細孔でさえもパラメトリックに作成することも可能である。これは、不規則な分布にうまく対処できる印刷プロセスが使用される場合に有利である。例えば、ステレオリソグラフィ、粒子噴射、溶融堆積造形では、CADで定義された細孔構造がそのまま材料に実装される。粉体ベッドで粉体を溶かしたり結合させたりするプロセス(選択的レーザ焼結、選択的レーザービーム溶融、バインダ噴射)では、細孔構造を固形物として描くのではなく、CAD上でレーザーパスや結合点を作成することが望ましいとされる。そして、材料の粒径の不規則な構造とともに、あるパラメータ範囲に制御された不規則性が、付加製造基体の実際の細孔を形成する。細孔を規定するウェブは、それ自体が多孔質であることもある。
【0047】
フィルタ本体は、以下において「母孔構造」とも称される三次元ベース構造をさらに含んでいてもよい。三次元支持構造は、母孔構造体の流入側に配置される。母孔構造は、三次元支持構造とは異なる構造を有し、母孔構造は、特に、三次元支持構造よりも大きな開口部又は孔を有する。表面ろ過層は、母孔構造とは反対側を向いている三次元支持構造の側に配置される。母孔構造は、フィルタ要素にさらなる安定性を与える。また、母孔構造は、支持構造によって旋回させられたガス流がフィルタ要素を離れる前に落ち着くことを可能にする。
【0048】
三次元母孔構造は、三次元支持構造よりも大きな孔径を有してもよい。フィルタ本体は、特に三次元支持構造及び場合により母孔構造のための主成分として紫外線架橋性熱硬化性ポリマー材料を含んでもよい。主成分は、ポリエチレン、ポリスルホン又はポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、例えばレーザ焼結におけるナイロン、又はポリアクチド、又はこれらの材料の混合物を含み得る。
【0049】
母孔構造及び三次元支持構造は、付加製造プロセス、特に3D印刷プロセスで製造することができる。特に、両方の構造は、同じ付加製造プロセスで製造することができる。これにより、フィルタ本体、ひいてはフィルタ要素を迅速に製造することができる。
【0050】
母孔構造及び三次元支持構造は両方とも、固体材料から、又は多孔質材料から形成することも可能である。
【0051】
母孔構造は、例えば、母孔構造がフィルタ本体の輪郭を確立及び/又は規定するのに対し、三次元支持構造はフィルタ本体のこの輪郭に従って、表面ろ過層との接続を確立するという点で三次元支持構造とは区別することができる。
【0052】
また、必要に応じて、母孔構造は、付加製造プロセスを用いずに製造することも可能であることに留意されたい。しかし、その場合、付加製造プロセスによって達成可能な利点は活用されないであろう。
【0053】
フィルタ本体は、フィルタ要素ヘッド又はフィルタ要素フットのような追加部品をフィルタ本体に形成するように、又はそのような追加部品をフィルタ本体に取り付けるように構成された三次元支持構造をさらに含むことができる。このような三次元支持構造は、母孔構造を形成することもでき、又は母孔構造がこのような三次元支持構造を形成することができる。
【0054】
フィルタ本体は、主成分とは異なる少なくとも1つの追加成分を含んでもよく、追加成分は、特に繊維、特にステープル繊維、又は充填プラスチックを含む。追加成分は、帯電防止特性、導電特性、抗菌特性、防カビ特性、難燃特性のうちの少なくとも1つの特性を有することができる。
【0055】
フィルタ要素は、中空体として設計することができ、フィルタ本体の流入側が中空体の外側に位置し、フィルタ本体の流出側が中空体の内側に位置している。フィルタ本体の断面において、フィルタ要素は、円筒形、もみの木形、ラメラ形、又は多角形とすることができる。このような断面は、フィルタ要素に十分な固有の安定性を提供しながら、フィルタ本体の流入側に可能な限り大きな表面積を形成するのによく適している。
【0056】
フィルタ要素は、さらに、箱状の形状、特に細長い箱状の形状を有していてもよい。その箱は、箱の長辺と幅辺とによってそれぞれ形成された2つの対向する幅の広い側壁を有してもよい。箱の端面では、奥行き方向に延びる2つの幅狭の壁が、2つの幅の広い側壁を接続している。細長いとは、フィルタ要素の長手方向の延長が幅方向の延長より著しく大きいことを意味する。いずれにせよ、箱の奥行き方向の延長は、長手方向及び幅方向の延長よりも著しく小さい。
【0057】
フィルタ要素は、中空フィルタ本体を開放端で閉じるためのフィルタヘッド及び/又はフィルタフットをさらに含んでいてもよい。特に、フィルタフット及び/又はフィルタヘッドは、フィルタ要素の本質的な安定性を向上させるように形成されてもよい。例えば、フィルタ要素は、フィルタヘッド及び/又はフィルタフット上に保持又は支持され得る。
【0058】
特に、これに関して、フィルタヘッドがフィルタ要素の第1端に配置され、フィルタフットが第1端とは反対側のフィルタ要素の第2端に配置される配置が、考えられる。
【0059】
特にフィルタヘッド及び/又はフィルタフットは、基体と一体的に又は一体的に形成することができる。これは特に、フィルタヘッド及び/又はフィルタフットが基体と同じ付加プロセスで形成されることを表現することを意図している。このような一体型設計は、通常弱点となる接合部を回避することにより、フィルタ要素全体の安定性を向上させることができる。さらに、製造中のプロセス段階、可能なリツールなどを回避することができる。フィルタヘッド及び/又はフィルタフットは、フィルタ本体と同じポリマー材料から形成することができる。しかし、フィルタヘッド及び/又はフィルタフットは、一般に、非多孔質である。もちろん、フィルタヘッド及び/又はフィルタフットは、それぞれの特別に適合したポリマー材料から形成することもできる。
【0060】
フィルタ本体及び場合により表面ろ過層は、主成分として熱可塑性ポリマー材料、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクチド(PLA)又はこれらに基づく熱可塑性混合ポリマーを含んでもよい。主成分は通常、追加成分よりも全組成に占める割合が大きく、フィルタ本体及び場合により表面ろ過層は、複数の主成分を有していてもよく、主成分は混合ポリマーであってもよい。ポリビニルアルコールの添加は、多くのポリビニルアルコールが水に容易に溶けるため、孔構造を作るために特に使用することができ、したがって、フィルタ本体又は表面ろ過層の材料にポリビニルアルコールを組み込み、その後、それを水で処理することによってキャビティを形成することができる。また、水を加えることで、狙いを定めて孔構造を形成することができる。このアプローチにより、細孔構造、特に細孔径を適切に調整することができる。
【0061】
フィルタ本体及び場合により表面ろ過層は、主成分として熱硬化性ポリマー材料、特にエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂又はこれらに基づく混合ポリマーを含んでもよい。特に、ステレオリソグラフィやレーザ焼結に適したポリマー材料を使用することができる。
【0062】
熱硬化性ポリマー材料を主成分とする場合、特に、フィルタ本体又は表面ろ過層が紫外線(UV)架橋性熱硬化性ポリマー材料、例えばエポキシアクリレートを主成分として含むことが考えられる。あるいは、熱によって架橋するポリマー材料、及び/又は湿潤環境下で架橋するポリマー材料が考えられる。
【0063】
フィルタ本体及び場合により表面ろ過層は、1つ又は複数の主成分に加えて、主成分とは異なる少なくとも1つの追加成分をさらに含んでもよい。
【0064】
好適な追加成分には、繊維、特にステープル繊維又は短繊維が含まれる。繊維は、強度を高める役割を果たし、例えば、特にガラス繊維、セラミック繊維、又はアラミドのようなプラスチック繊維として提供され得る。繊維は、例えば、炭素繊維であってもよい。また、天然繊維も可能である。このような繊維の混合物や、いわゆる充填プラスチック(プラスチックコンパウンド)の使用も可能である。
【0065】
充填プラスチック又はコンパウンドは、特定のプロセスでいわゆる添加物(フィラー、添加剤、繊維など)を加え、それらの特性を特別に適応できるようにした加工プラスチックである。
【0066】
フィルタ要素(フィルタ本体及び場合によっては表面ろ過層)は、帯電防止特性を有する追加成分を有することもできる。このような追加成分の例として、煤粒子が挙げられる。
【0067】
さらに別の実施形態では、追加成分として、例えば、銀、又は電子を導入した、いわゆるドープされたプラスチック粒子からなる導電性粒子を含んでもよい。
【0068】
他の可能な追加成分は、抗菌特性を有してもよい。この目的のために、銀、銅、又は酸化チタン(TiO2)が考えられる。
【0069】
さらに他の考えられる追加成分は、殺菌性を有することができる。これにより、フィルタ本体及び/又は表面ろ過層における真菌の発生を抑制することができる。このような追加成分は、例えば、銅であってもよい。
【0070】
また、追加成分が難燃性を有すると有利であることが判明している。これにより、フィルタ本体及び場合によっては表面ろ過層の可燃性を低下させることができる。これは、可燃性粉塵のろ過に関連して特に有利である。このような成分は、例えば、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスルホン(PSU)又はポリフェニレンサルファイド(PPS)をベースとするプラスチックであってよい。アルミニウム三水和物(ATH)、水酸化マグネシウム、有機臭素化合物又は層状珪酸塩をベースとする成分も可能である。
【0071】
付加製造プロセスでは、フラクタルな表面構造を製造することができる。これにより、フィルタ要素の所定の寸法に対して、ろ過に利用できる表面積を非常に効率的に増やすことができる。表面ろ過層の洗浄を容易にするロータス効果が生じるように、表面ろ過層の表面を形成することも可能である。
【0072】
特に、フィルタ要素は、光重合に基づく付加製造プロセスで製造されるフィルタ本体を含んでいてもよい。この目的には、連続的な液体界面製造方法が特に適している。連続液体界面製造法は、他の三次元製造法の顕著な層ごとの構造とは対照的に、所定の位置で硬化するポリマー溶液から部品を連続的に引き出すため、他の三次元製造法と比較して部品の製造速度が速いという利点を有している。
【0073】
他の付加製造プロセスも、ここで提案するフィルタ要素の製造に適している。選択的レーザ焼結(SLS)又は選択的レーザ溶融(SLM)では、レーザを選択的に照射することにより、粉末状出発材料から空間構造を製造し、それぞれの照射体積で粉末状出発材料の実質的に点状の焼結が行われるようにする。レーザは、粉末状出発材料の層全体に照射され、粉末状出発材料の焼結が層内で行われる位置でのみ意図的に活性化される。こうして、フィルタ本体と、場合によっては表面ろ過層が、層ごとに構築される。レーザービームの効果により、従来の焼結では製造できなかったアンダーカットなど、あらゆる三次元形状を製造することができる。また、レーザービームを適切に調整することで、孔構造を容易に制御することができる。別の適切な付加製造プロセスは、いわゆるバインダ噴射であり、粉末状出発材料を、層内の選択された位置でバインダに結合させ、フィルタ本体と、場合によっては表面ろ過層を製造する。バインダ噴射プロセスでは、通常、粉末又は粒状の層を高さ調節可能なテーブル上に適用し、フィルタ本体又は表面ろ過層の孔壁を形成する層の位置にバインダによって結合させる。このため、通常のインクジェットプリンタと同様に、インクの代わりにバインダを塗布するプリントヘッドが使用される。
【0074】
本発明を以下に図面を参照しながらより詳細に説明するが、それらは単に例示的なものとして理解されるべきである。図面は模式的なものであり、縮尺はなく、本発明の理解に不可欠な特徴のみを示している。当業者には周知のように、さらなる特徴が存在し得ることが理解される。図面において、同様の参照数字は、それぞれ同一又は対応する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】フィルタヘッド及びフィルタフットを備える、本発明によるフィルタ要素の一実施形態を示す図である。
【
図2】
図1においてII-IIで示される位置における、フィルタ要素を通る断面の中央部分を示す図である。
【
図4】
図2の実施形態の三次元支持構造の拡大斜視図である。
【
図5】本発明によるフィルタ要素を製造するための例示的な方法を示す図である。
【
図6】本発明によるフィルタ要素の例示的な製造方法を示す概略図である。
【
図7】本発明によるフィルタ要素の他の可能な製造方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
個々の例示的な実施形態の特徴は、技術的に実現可能である限り、他の例示的な実施形態でも実現可能である。したがって、以下においてその都度個別に指摘されないとしても、これらは交換可能である。
【0077】
図1は、プラスチック製のフィルタ本体2を有するフィルタ要素1を示す。フィルタ本体は、付加製造プロセスによってポリマー材料から作られる。フィルタ要素1は、箱状の形状、特に狭い箱の形状を有し、その長手方向(
図1では、x方向)及び幅方向(
図1では、y方向)の伸長は、深さ方向(
図1では、z方向)よりも著しく大きい。特に、フィルタ要素の長手方向及び/又は幅方向の伸長は、深さ方向の伸長の少なくとも2倍、さらには少なくとも5倍、さらには少なくとも10倍の大きさである。フィルタ要素は、長手方向xと幅方向yとでほぼ同じ寸法を有してもよい。所望により、フィルタ要素は、長手方向xよりも幅方向yでいくらか小さくてもよいが、いずれにしても、幅方向yの伸長は、深さ方向zの伸長よりも著しく大きい。
【0078】
さらに、フィルタ要素1は、フィルタヘッド3とフィルタフット4とを有し、フィルタヘッド3は、フィルタ要素1の第1側面5上の端部に配置され、フィルタフット4は、第1側面5とは反対のフィルタ要素1の第2側面6上の端部に配置される。
図1に示すフィルタ要素1の実施形態は、フィルタ装置(詳細には図示されていない)の一部分である縁に配置された隔壁7に保持され、フィルタ装置の流入側8を流出側9から分離している。生ガス側とも称される流入側8は、異物を含んだガス流、いわゆる生ガスがフィルタ要素1に衝突する側に相当し、清浄ガス側とも称される流出側9は、異物を除去したガス、いわゆる清浄ガスが流出する側に相当する。したがって、フィルタ要素1は、流入側と流出側とを有する。
【0079】
フィルタ要素1は、縁に配置された隔壁7に「横方向に」固定されたフィルタヘッド3を有し、すなわちそれは、隔壁7からx方向に延びている。
図1は、フィルタ要素1のいわゆる清浄流体側の設置を示しており、y方向に両側でフィルタ本体2を越えて突出し、フィルタフット4に向けられたフィルタヘッド3の側面が、流出側9で隔壁7に取り付けられ、フィルタ要素1のフィルタ本体2が、隔壁7の開口を通って突き出ている。フィルタヘッド3と隔壁7との間にはシール10が見え、流入側8と流出側9との間をシールする役割を果たす。これにより、フィルタ要素1を「清浄な」流出側9から交換することができる。ここに例示した例示的な実施形態では、フィルタフット4は、フィルタ本体2の一端を閉鎖して、清浄流体がフィルタヘッド3を通ってフィルタ本体2から出るようにする。
【0080】
あるいは、フィルタ要素1のいわゆる原料ガス側の設置も考えられ、その場合、フィルタヘッド3は、その側面がフィルタフット4から離れるように向けられた状態で、流入側8から隔壁7に固定される。したがって、フィルタ要素1は、流入側8を介して取り付け、及び取り外しされる。
【0081】
もちろん、フィルタ要素1を横方向ではなく、吊り下げ式に固定することも考えられる。そして、隔壁7は、例えば、下部流入側8と上部流出側9との間の中間床の態様で、フィルタ装置内に横方向に、好ましくは水平方向に設けられる。また、このフィルタ要素1の吊り下げ設置位置において、フィルタ要素1の清浄ガス側設置又は生ガス側設置のいずれかを備えることができる。
【0082】
フィルタ本体2は、多孔質、特に貫流多孔質構造からなり、これは異なる方法で形成することができる。例示的な実施形態が
図3に示されている。貫流多孔質構造は、凝集体(coherent body)を形成する構造と理解されるが、しかしフィルタ本体2の流入側8からフィルタ本体2の流出側9まで貫流多孔質であり、すなわちガスの通過に対して透過性である本体(この場合、フィルタ本体2)である。
【0083】
さらに、本発明によるフィルタ要素1のフィルタ本体2も本質的に安定しており、これは、例えば
図1に示すように、フィルタ本体2がその長手方向の一端(フィルタヘッド)のみで保持されるか、さもなければ、フィルタフットにおいて追加の支持構造によって長手方向に間隔を空けたその両端部で保持される場合に、それ自体で自重を支えることができるほど強固な本体構造を形成することを意味している。しかし、フィルタ本体2を越えて、フィルタ要素1は、フィルタ本体2と同じ材料で作られた、さらなる骨格又は支持構造を有さない。さらなる実施形態では、フィルタ要素は、フィルタ本体2に挿入可能なバネなどの追加の構造体を有することができる。
【0084】
そのようなフィルタ要素1は、例えば、排気ガスを浄化するための大規模な工業プラントで使用され、1cmから5m、特に5cmから3mの長さと、0.55cmから200cm、特に1cmから100cmの幅と、0.5cmから50cm、特に1cmから25cmの深さとを有する。フィルタ要素は、0.0015m2から25m2までの流体の流れに関してろ過に使用可能な断面積を有することができる。表面ろ過層が、突起/窪み、表面粗さ、フラクタル幾何学、又は他の方法で構造化された表面によって適切に構造化されている場合、表面ろ過に実際に利用できる表面積は、この断面積よりもはるかに大きくすることができる。
【0085】
図2は、
図1の線II-IIの長さに沿った、縁から離れた中央部におけるフィルタ本体2の断面輪郭を示す。フィルタ本体2は中空体として形成され、ここに示す例では、もみの木状の断面11を有していることがわかる。しかし、円形、円筒形、又は多角形の断面領域も考えられる。
【0086】
もみの木状のデザインは、例えば、フィルタ要素1のほぼ同等の容積を有する滑らかな立方体の断面積と比較して、流入側8(外側)に位置するより大きな表面積を形成し、それ故そこに到達する生ガスのろ過に効果的であるため、特に適している。流出側9は、中空体の内部に位置する。フィルタ要素のフィルタ本体を通過した後、浄化されたガスは、断面に対してほぼ直交してフィルタヘッドに流れる。
【0087】
もみの木状の断面11は、ある間隔で連続した中間壁12を有し、この中間壁12は、内部の中空空間又はキャビティを複数の小さな中空室13に分割していることがわかる。中間壁12は、フィルタ本体2の安定性を確保する役割を果たし、その数は、所望の安定性に応じて選択することができる。フィルタ本体2が十分な固有の安定性を有する場合には、中間壁12を設けることを省略することも可能である。
【0088】
生ガスから異物をろ過するために、フィルタ本体2は、
図3に模式的かつ例示的に示すように、その流入側8に表面ろ過層14を備えている。
【0089】
表面ろ過層14は、主要なフィルタ部材を形成している。ろ過される異物(粒子)は、表面ろ過層の表面の小さな孔径により捕捉される。そのような物質は、フィルタ本体2の内部に全く浸透しないか、又はごくわずかしか浸透せず、フィルタ本体2は、主に清浄流体が通過可能な、生ガス側(流入側8)と清浄ガス側(流出側9)との間の分離部材として機能する。
【0090】
表面ろ過層14は、フィルタ本体2と同様に多孔質構造を有し、フィルタ本体2の流入側8に配置されるか、又は流入側のフィルタ本体2に部分的に配置される。表面ろ過層14における平均孔径は、フィルタ本体2の平均孔径よりも著しく小さい。表面ろ過層14における平均孔径は、生ガスからろ過される異物が表面ろ過層14を通過できず、流入側の同表面に堆積するように選択される。
【0091】
フィルタ本体2は、表面ろ過層14の外側の領域では、約100μmから2000μmの平均孔径を有することができるが、表面ろ過層14が形成されている領域のフィルタ本体は、より小さい平均孔径、多くの場合、0.1μmから200μmの範囲内の孔径を有する。
【0092】
少なくとも三次元支持構造23は、以下でより詳細に説明するが、表面ろ過層14のフィルタ本体2への堅固な接続を保証し、また、付加的に製造される。しかし、フィルタ要素1のさらなる構成要素、例えば、多孔質ベース構造を形成する母孔構造40、フィルタヘッド3及び/又はフィルタフット4などのさらなる構成要素のための支持構造、ならびにフィルタヘッド3及び/又はフィルタフット4も添加的に製造することができる。
【0093】
付加製造プロセスとは、デジタル3D設計データに基づいて、材料を堆積させることにより、部品を層ごとに構築するプロセスであると理解される。一般的な用語では、付加製造プロセスは3Dプリントプロセスとも呼ばれる。既知の付加製造プロセスは、例えば、ステレオリソグラフィ、選択的レーザ焼結(SLS)、バインダジェット又は溶融層モデリング/製造(FLM)である。
【0094】
付加製造プロセスは、従来の製造方法では製造できないアンダーカット、キャビティ、オーバーラップなどの複雑な形状の製造に特に適している。
【0095】
図3は、多層構造又は多相構造を具備するフィルタ本体2を有するフィルタ要素1の例示的な実施形態を示す。フィルタ本体2の構造は、支持構造を有する。支持構造は、フィルタ要素1又はフィルタ本体2に固有の安定性を与え、ガス流が比較的低い圧力損失でフィルタ本体2を通って流れることができるように十分に多孔質であるように設計される。支持構造の流入側において、フィルタ本体2の構造は、「母孔構造(mother pore structure)」と呼ばれる基本構造40を有する。母孔構造40は、粗孔の、ガス透過性構成で形成されているが、それにもかかわらず本質的に安定しており、すなわち追加の支持要素の助けなしにそれ自体又は固有の重量を支えることができる。この粗孔構成は、フィルタ本体2の他の層又は相と比較して、特に表面ろ過層14と比較して、より大きな孔径を有する。母孔構造40は、トラス構造又は骨組み(フレームワーク)構造として形成され、これはフィルタ本体2に、低い固有重量を有する基本的な安定性を与える。
【0096】
骨組み構造は一例とみなされるべきであり、可能な限り低い固有重量及び/又は可能な限り低い流動抵抗を備える良好な固有安定性を有する他の構造、例えばバイオニック(生体工学の)構造も考えられる。支持構造はさらに、フィルタヘッドやフィルタフットのようなフィルタ本体2の対応する部分に追加の構成要素を形成するか、又はそのような構成要素をフィルタ本体2に取り付けるように設計される。
【0097】
図3において母孔構造40の右側に配置される母孔構造40の流入側41には、トラス構造又は骨組み構造として設計された三次元支持構造23が配置されている。母孔構造40とともにフィルタ本体2と同様に、支持構造23は、付加製造によって製造された構成要素である。付加製造により、支持構造23は、個々の支持構造構成要素間に比較的大きなキャビティ26を有し、なおかつ、安定したフィルタ層を形成するために、特に表面ろ過層14との安定かつ永久的な接続を提供するために十分な安定性を提供することができる。本実施形態では、これは、ガス流の流れ方向に前後に配置された3つの格子層23.1、23.3、23.2を含む格子状構造を有する支持構造23により達成される。
【0098】
図4は、三次元支持構造23の基本構造を示す斜視図である。
図3の断面図のための断面平面の位置は、
図4にも示されているが、表面ろ過層14の第1層27及び第2層28も母孔構造40も、分かり易くするために
図4には図示されていないことが理解される。三次元支持構造23は、支持構造23の流入側を形成し、フィルタ本体2の流入側を規定する第1格子層23.1と、支持構造23の流出側を形成し、フィルタ本体2の流出側に面する第2格子層23.2と、流れ方向において第1格子層23.1と第2格子層23.の間に中間層をなす第3格子層23.3を備える。キャビティ26は、格子層23.1から23.3の間及び内部に形成されている。第1格子層23.1は前方格子層、第2格子層23.2は後方格子層、第3格子層23.3は中央格子層とも呼ばれる。
【0099】
格子層23.1から23.3は、互いに実質的に平行に整列される。互いに対して10°までのずれは、同様に実質的に平行とみなされるべきである。格子層23.1から23.3は、ガス流Gが実質的に法線方向から前方格子層23.1に衝突し、その後方格子層23.1、23.2、23.3をこの順序で通過するように配置される。格子層23.1から23.3はそれぞれ、ノード25で互いに接続されたロッド24.1及び24.2で形成される。
【0100】
ロッド24.1及び24.2は、それぞれの格子層23.1、23.2、23.3の平面内に延び、すなわち、ガス流が格子層23.1から23.3を通過するときのその流れ方向に対して横方向に(特に直交して)延びる。格子層23.1から23.3の各々は、第1方向に延びる互いに平行な第1ロッド24.1の組と、第2方向に伸び、第1ロッドの組と交差する互いに平行な第2ロッド24.2のさらなる組とによって形成されている。本実施形態では、第2方向は、第1方向とほぼ直交している。第1及び第2ロッド24.1及び24.2は、共に開口部26.1を規定する(分かり易くするため、
図4ではこれらの開口部26.1のうちの1つだけに参照符号が付与されている)。開口部26.1の各々は、2つの隣接する第1ロッド24.1及び2つの隣接する第2ロッド24.2によって、これらの第1及び第2ロッド24.1、24.2の結果として生じる4つの交差点の間に形成されている。この交差点は、ノード25とも呼ばれる。3つの格子層23.1、23.2、23.3のそれぞれについて、開口部26.1は、ガス流が対応する格子層23.1から23.3を通過できる、いわゆるパラメトリックに制御された細孔を形成する。特に、互いに平行に整列された2つの隣接するロッド24.1及び互いに平行に整列された2つの隣接するロッド24.2は、それらの間に開口部26.1のそれぞれの1つを形成する。このようにして形成された開口部26.1は、
図4において四角形、特に正方形の形状を有する。あるいは、開口部26.1は、三角形、正方形、長方形、菱形又は斜方形、平行四辺形、多角形、円形又は楕円形であってもよい。開口部26.1の代替の実施形態では、対応する格子層は、複数のロッド又はロッドの複数の組の対応する異なる配置を有してもよい。これらは一緒に接合されて、例えばハニカム(六角形)開口部26.1のような複数の角を有するそれぞれの開口部26.1を画定する。開口部26.1はまた、対応する格子層内で異なる形状、例えば交互の五角形と六角形を有してもよい。
【0101】
格子層23.1から23.3は、格子層接続ロッドとも呼ばれる第3ロッド24.3によって相互に連結される。これらの格子層接続ロッド24.3は、それぞれの格子層23.1、23.3又は23.2、23.3の平面を横切る方向に延び、これらを連結する。特に、格子層接続ロッド24.3は、それぞれの格子層23.1、23.3又は23.2、23.3の平面と直交する方向に延び、これらを連結する。図示の実施形態では、前方格子層23.1及び中央格子層23.3は、後方格子層23.2及びセンター格子層23.3の互いに対する距離と同じ距離を有する。また、格子層23.1から23.3の間の距離が相互に異なること、すなわち、格子層23.1及び23.3の間の距離が、格子層23.2及び23.3の間の距離と異なることも可能である。図示の実施形態では、格子層接続ロッド24.3は、ガス流Gの流れ方向に実質的に沿って整列している。
【0102】
流入側の前方格子層23.1に関して、格子層接続ロッド24.3は、ノード25からオフセットして配置される。また、隣接する中央格子層23.3に関しても、格子層接続ロッド24.3は、それぞれのノード25からオフセットして配置される。これは、例えば、格子層接続ロッド24.3のそれぞれの1つの一端(前端)が、2つのノード25の間(より正確には、2つのノード25の中間)の区間で、前方格子層23.1の第1ロッド24.1の1つから開始する一方、格子層接続ロッド24.3の他端(後端)は、中央格子層23.3の第2ロッド24.2のうちの1つの、2つのノード25の間(より正確には、2つのノード25の中間)の区間で終端するということ意味する。同じことが格子層接続ロッド24.3にも当てはまり、その一端は、前方格子層23.1の2つのノード25の間(より正確には、2つのノード25の中間)の区間で、第2ロッド24.2の1つから開始し、その他端(後端)は、中央格子層23.3の第1ロッド24.1のうちの1つの2つのノード25の間(より正確には、2つのノード25の中間)の区間で終端する。このように、格子層接続ロッド24.3はそれぞれ、ノード25に位置しない領域(より正確には、2つのノード25の間の中間に位置する)で、1つの格子層21.1の第1ロッド24.1を隣接する格子層24.3の第2ロッド24.2に接続する。
【0103】
この配置により、キャビティ26は、互いの間にかご状の構造、いわゆるパラメトリックに制御された細孔を形成する。同じことが、後方格子層23.2を中央格子層23.3に接続する格子層接続ロッド24.3にも当てはまる。
【0104】
連結棒24.3の異なる向きも可能であり、例えばガス流Gの流れ方向に対して傾斜している。前方格子層23.1に対する中央格子層23.3の相応に異なるオフセットを伴って、図に示されていない配置も考えられるが、この場合、前方格子層23.に対して、連結棒24.3は、ノード25に配置される。流入側の1では、格子層接続ロッド24.3がノード25に配置され、隣接する中央格子層23.3との関係では、格子層接続ロッド24.3がそれぞれのノード25に対してオフセットして配置される。そして、格子層接続ロッド24.3の一端(前端)は、ロッド24.1が前方格子層23.1のロッド24.2と交差するそれぞれのノード25の一つで終端し、格子層接続ロッド24.3の他端(後端)は、第3(中央又は中間)格子層23.3のロッド24.1又はロッド24.2の一つでノード25の隣接する2つのものの間で終端するであろう。したがって、格子層接続ロッド24.3は、次に、ノード25に位置しない領域において、前方格子層21.1のノード25を中央格子層24.3のロッド24.1又は24.2に接続するであろう。また、このような配置により、キャビティ26は、互いの間に籠状の構造、いわゆるパラメトリック制御孔を形成する。同じことが、後方格子層23.2を中央格子層23.3に接続する格子層接続ロッド24.3にも当てはまる。流出側の後方格子層23.2に関しては、格子層接続ロッド24.3はノード25に配置される。しかし、隣接する第2(中央)格子層23.3に関しては、格子層接続ロッド24.3は、それぞれのノード25からオフセットして配置されている。
【0105】
例示的な実施形態では、格子層23.1から23.3はそれぞれ、同一の規則的な格子構造を有し、これは、それぞれの格子層23.1から23.3の開口部26.1及びロッド24.1、24.2の配置が、互いに及び/又は開口部26.1に対するロッド24.1、24.の繰り返しの構成による規則的パターンを有することを意味する。
【0106】
例示的な実施形態では、前方格子層23.1及び後方格子層23.2は、互いに対して一致して配置され、中央格子層23.3は、格子層23.1及び23.2からオフセットして配置される。特に、前方格子層23.1及び後方格子層23.2の開口部26.1がガス流の流れ方向に対して互いに整列され、中央格子層23.3の開口部26.1が、ガス流の流れ方向に対して横方向に、特に流れ方向に対して直交する方向にオフセットされ、中央格子層23.3のロッド24.1及び24.2が、それぞれ格子層23.1及び23.2の開口部26.1の後ろ及び前で流れの方向に見ることができる。図示の実施形態では、中央格子層22.3の前方及び後方の格子層23.1、23.2からのオフセットは、中央格子層23.3のノード25が前方及び後方の格子層23.1、23.2の開口部26.1の中心と正確に整列するように選択される。このようにして、格子層23.1、23.2、23.3を相互に接続する第3ロッド24.3は、格子層23.1、23.2、23.3の平面に対して直交させることができる。3つの格子層23.1、23.2、23.3はそれぞれ同じ規則的な格子構造を有するが、他の2つの格子層23.1、23.2に対する中央格子層23.3のオフセットは、格子層23.1、23.2、23.3によって規定される多孔質構造(三次元支持構造23)を通る際、ガス流に対して一種の障害をもたらす。
【0107】
このようにして、3つの格子層23.1、23.2、23.3の非常に単純な幾何学的形状で、それ故わずかな費用で、三次元支持構造23のキャビティ26.1に、特に前方格子層23.1と中央格子層23.3との間のキャビティ26.1に表面ろ過層14を形成するための材料を埋め込み、ガス流Gの流れの方向へのさらなる輸送に対してそこに保持するのに極めて適したケージ構造を形成することが可能である。
【0108】
3つの格子層23.1から23.3は、単なる例示的な実施形態として説明される。また、支持構造に2つの格子層のみを使用することも、3つ以上の格子層を使用することも可能である。
【0109】
格子層23.1、23.2、23.3のそれぞれの1つ内のロッド24.1、24.2の間、及び格子層23.1から23.3と格子層接続ロッド24.3の間にキャビティ26が形成されており、これらのキャビティ26は、立体的に見ると、ガス流Gがキャビティ26を通って流入側8から流出側9まで流れ得るように互いに連結されている。前方格子層23.1と中央格子層23.3との間のキャビティ26には、表面ろ過層14が配置されている。表面ろ過層14は、第1種27.1の粒子がそこに埋め込まれるように、第1種27.1の粒子をキャビティ26に導入及び受容することによって形成される。第1種27.1の粒子によるキャビティ26の充填は、1μmから200μmの間の孔径を有する第1層27が形成されるように達成される。例えば、第1種27.1の粒子は、25μmから200μmの粒径を有し得る。例示的な実施形態では、第1種27.1の粒子は、主に、前方格子層23.1と中央格子層23.3の間のキャビティ26に収容される。この点で、第1種27.1のいくつかの粒子は、それぞれキャビティ26の1つを占め、部分的に凝集体を形成し、場合によっては隣接するキャビティ26に収容される第1種27.1の粒子での凝集体さえ形成する。こうして三次元支持構造23と第1種27.1の粒子との相互作用によって形成される第1表面ろ過層27は、三次元支持構造23自体よりも小さな孔径を有する。第1表面ろ過層27は、さらなる層、特に第2表面ろ過層28又はさらに別の表面ろ過層を適用できる基礎(基盤)を形成する。
【0110】
第2表面ろ過層28は、第1表面ろ過層27に流入側から適用される。第2表面ろ過層28は、流入側8においてフィルタ要素1の表面を形成する。図示の実施形態では、表面は、第2表面ろ過層28によって排他的に、少なくとも大部分が排他的に形成されている。第2表面ろ過層28は、実質的に三次元支持構造23及び第1表面ろ過層27上に配置され、外側に向かって後者を覆っている。本実施形態では、第2表面ろ過層28は、第2種28.1の複数の粒子(0.1μm以上20μm以下の粒径を有する)で構成され、第2表面ろ過層28は0.1μm以上20μm以下の孔径を有する。第2表面ろ過層28の孔径は、したがって、第1表面ろ過層27の孔径よりも小さく、また、ガス流の流れ方向に続く層又は構造よりも小さい。粒子28.1のサイズにより、粒子28.1は、第1表面ろ過層27に形成された細孔に沈降し、また表面ろ過層27の表面を少なくとも部分的に覆うことができる。表面ろ過層27及び28の細孔は、ガス流がその中を流れることができるように、互いに対して配置される。第2表面ろ過層28の小さな孔径のために、この表面ろ過層28を含むフィルタ要素1は、良好かつ効果的に洗浄することができる。
【0111】
さらなる実施形態では、第2表面ろ過層28が、第1表面ろ過層27及び場合によっては三次元支持構造23も外側に向けて完全には覆わない構成も考えられる。そのような実施形態では、第1種の粒子27.1及び場合によっては三次元支持構造23の一部も外部に露出する。このように、フィルタ要素1の表面は、第1表面ろ過層27及び場合によっては三次元支持構造23とも協働する第2表面ろ過層28によって形成されている。
【0112】
運転中、表面ろ過層14上に増え続ける異物が蓄積し、フィルタケーキを形成し、その厚さは時間とともに増加し、表面ろ過層14の細孔を徐々に塞ぐ。これにより、フィルタ要素1を通過するガスの流れが損なわれるため、表面ろ過層14を時々洗浄する必要がある。従来、これは通常、清浄流体側からフィルタ要素1に印加される圧縮空気パルスによって行われる。フィルタ要素1の運転中にこれを行えるようにするには、例えば、フィルタ要素に圧縮空気パルスを与えて、圧力サージを発生させ、フィルタ要素1を通してフィルタ要素1にフィルタケーキとして付着した異物に伝達させ、堆積した異物が表面ろ過層14から落ちるようにして、細孔をクリーニングして再び「空」の状態にすれば良い。
【0113】
図5は、本質的に安定した貫流多孔質フィルタ要素1を製造する方法のフロー図を示す。まず、第1ステップ70において、付加製造プロセスを用いて支持構造体が製造される。次いで、第2ステップ72において、母孔構造40をこの支持構造体に適用することができる。続いて、第3ステップ74において、同じ付加製造プロセスを用いて、三次元支持構造23を母孔構造40上に配置することができる。この工程では、キャビティ26が三次元支持構造23に形成される。
【0114】
本明細書で別々に説明した、支持構造を形成するステップ(ステップ70)、母孔構造40を形成するステップ(ステップ72)、及び三次元支持構造23を形成するステップ(ステップ74)は、例えば3Dプリンタを使用して3つの構造すべてを同時に印刷することによって、単一の付加製造プロセスで実施することも可能である。
【0115】
これに続いてステップ76では、三次元支持構造23のキャビティ26を第1種の粒子27.1で部分的に充填して第1表面ろ過層27を形成することにより、表面ろ過層を形成する。例示的な実施形態では、粒子27.1は主に、格子層23.1と格子層23.3との間に形成されたキャビティ26を充填する。ステップ78では、第2表面ろ過層28が第1表面ろ過層27上に堆積され、粒子28.1が粒子27.1間に形成された中間空間を部分的に充填する。第2表面ろ過層28は、第1表面ろ過層上に多孔質表面を形成し、これは、フィルタ本体2全体で最も小さい孔径を有する。
【0116】
付加製造プロセスを用いて、例示的な方法全体を実施することが可能である。表面ろ過層は、例えば、材料勾配(SLS、SLM、バインダ噴射)、結合剤(バインダ)又はポリマー中の添加剤(FDM、SLA、バインダ噴射)、CADからのボクセル(粒子噴射、バインダ噴射、マルチジェット融合)、マシンパス及びレーザ走査速度(SLS、SLM)を介して実現することができる。さらなる例示的な実施形態では、ステップ70から74は、付加製造プロセスを用いて実施することができ、ステップ76及び78は、冒頭で説明したタイプの1つ又は複数のコーティングプロセスを用いて実施することができる。
【0117】
図6及び
図7は、フィルタ要素1を製造するため、又は少なくともフィルタ本体2を製造するための、2つの可能な付加製造プロセスを概略的に示す。
【0118】
図6は、「ボトムアップ」原理による例示的なプロセスを示しており、これは、製造される部品が「ボトム」から「トップ」へと構築されることを意味している。模式的に示された製造方法は、以下のように進行する。キャリアプレート101とも呼ぶことができる下降可能な床101が、容器100内に配置される。このキャリアプレート101に、例えば顆粒又は粉末としてのプラスチック粒子103が、例えば投与補助具102によって所定の投与量で適用される。
【0119】
次に、接着剤、溶媒(複数可)、及び/又は水の混合物104を、例えば投与補助装置105によって所定の場所に選択的に適用し、そこでプラスチック粒子103を互いに結合し、こうして製造される部品の第1層を形成する。投与補助装置105は、例えば、印刷ヘッド(インクジェット)として設計することができる。
【0120】
次のステップでは、キャリアプレート101が下降され、この手順が繰り返される。これは、製造される部品が完全に製造されるまで行われる。その後、付着していないプラスチック粒子103を取り除き、混合物104に含まれる水及び/又は溶媒を蒸発させ、多孔質体を形成できる。
【0121】
また、水及び/又は溶媒を使用する代わりに、多孔性を作るために、最終的に部品から洗い流すことができる易溶性樹脂を使用することも考えられる。
【0122】
このようなプロセスは、バインダジェットプロセスとも呼ばれる。
【0123】
また、接着剤混合物の代わりに、純粋な接着剤(すなわち、溶剤及び/又は水を添加せず、易溶性樹脂を添加しない接着剤)を使用することも考えられる。この接着剤は、投与補助装置105により、個々の場所に選択的に塗布され、それらを互いに接着させる。
【0124】
「ボトムアップ」原理に従って動作する別のプロセスは、前述の選択的レーザ焼結(SLS)である。この方法では、レーザが粉末状の出発材料の層を横切って通過し、その層の所定の位置で選択的に粉末出発材料の焼結を達成する。
【0125】
図7は、「トップダウン」原理による例示的なプロセスを模式的に示しており、これは、製造される部品が「上(トップ)」から「下(ボトム)」へと構築されることを意味する。
図7は、いわゆる「連続液体界面製造」プロセスを例として示している。連続液体界面製造プロセスは、ステレオリソグラフィ(光造形法)プロセスであり、製造される部品が連続的に構築される点で、他の多くの既知の付加製造プロセスとは異なる。
【0126】
従来の付加製造プロセスは、通常、いわゆる二次元印刷プロセスで行われる。二次元印刷プロセスとは、製造される部品の(薄い)層が作成されることを意味し、このプロセスを頻繁に繰り返すことにより、製造される三次元部品が層ごとに作成される。
【0127】
原則的に、連続液体界面製造プロセスは以下のように進行する。液体ポリマー107、例えば感光性合成樹脂が、トラフ状のプラットフォーム106上に適用される。プラットフォーム106の床108は、紫外線(UV光)に対して少なくとも部分的に透明である。プラットフォーム106の下に、UV光用の光源109、例えばプロジェクタが配置されており、この光源は1つ又は複数のUV光ビーム110を放出する。これらは、直接に、又は、例えばミラー111による偏向によって床108を通して、液体ポリマーに向けられ、液体ポリマーが硬化する領域に正確に集束される。
【0128】
さらに、連続液体界面製造プロセスのセットアップは、プラットフォーム106に垂直な方向に移動可能な可動キャリアプレート112を有する。したがって、キャリアプレート112を連続的に移動させることにより、プラットフォーム106から出発して製造される部品は、液体ポリマー107が流入できるように、液体ポリマー107からゆっくりと引き出される。こうして、製造されたばかりの部品113の最後の層とプラットフォーム106は、常に液体ポリマー107で覆われたままであり、UV光110によってさらに硬化することができる。
【0129】
液体ポリマー107の下には、酸素透過膜が取り付けられており、これにより、液体のままである遷移相、いわゆる「デッドゾーン」114が形成され、液体ポリマー107がプラットフォーム106の床108に堆積してそこで硬化、例えば重合することを防ぐ。酸素透過膜の代わりに、酸素以外の硬化抑制剤、又は重合抑制剤を透過する他の半透過性膜も考えられ得る。
【0130】
したがって、「連続液体界面製造」プロセスは、連続印刷プロセスを表しており、これにより、製造方法は、部品を層ごとに製造する他のプロセスよりも大幅に短縮される。
【0131】
プラスチックの製造に使用されるポリマー材料の選択と組成は、製造方法に直接関係し、その逆もまた然りである。
【0132】
したがって、フィルタ本体2は、熱可塑性ポリマー材料を主成分として含んでいてもよい。この材料には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などがあり、これらもこれまでフィルタ本体の材料として使用されてきた。しかし、他の熱可塑性ポリマー、例えばポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクチド(PLA)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は熱可塑性混合ポリマーも考えられる。特に、「エンジニアリング熱可塑性プラスチック」又は「高性能熱可塑性プラスチック」として分類される熱可塑性プラスチックポリマーが考えられる。
【0133】
フィルタ要素1が有するべき動作条件及びその結果として要求される特性に応じて、熱可塑性ポリマー材料の代わりに熱硬化性ポリマー材料を使用することも可能である。熱硬化性ポリマー材料としては、特に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。ここでも、熱硬化性ポリマー材料をベースとした混合ポリマーが考えられる。熱硬化性ポリマー材料と熱可塑性ポリマー材料の主な違いは、熱硬化性の場合、ポリマー材料が硬化し、その結果、これらははるかに強く架橋され、したがってもはや溶融できないことである。このため、原則としてクラックが発生する確率が高くなる。
【0134】
UV架橋ポリマー材料は、連続液体界面製造プロセスのような連続付加製造プロセスに特に適している。また、UV光放射を、光スペクトルの他の特定の放射、例えば赤外光放射(IR光放射)で置き換えることも考えられる。この場合、IR光放射によって硬化、すなわち架橋するポリマー材料が選択されることになる。
【符号の説明】
【0135】
1 フィルタ要素
2 フィルタ本体
3 フィルタヘッド
4 フィルタフット
5 第1側面
6 第2側面
7 隔壁
8 流入側
9 流出側
10 シール
11 断面
12 中間壁
13 中空室
14 表面ろ過層
23 三次元支持構造
25 ノード
26 キャビティ
27 第1層
28 第2層
40 母孔構造(基本構造)
41 流入側
100 容器
101 キャリアプレート(床)
102 投与補助具
103 プラスチック粒子
104 混合物
105 投与補助装置
106 プラットフォーム
107 液体ポリマー
108 床
109 光源
110 UV光
111 ミラー
112 キャリアプレート
113 部品
G ガス流
x 長手方向
y 幅方向
z 深さ方向
【国際調査報告】