(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】表示パネル
(51)【国際特許分類】
H10K 50/814 20230101AFI20230927BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20230927BHJP
H10K 50/813 20230101ALI20230927BHJP
H10K 59/123 20230101ALI20230927BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20230927BHJP
H10K 71/13 20230101ALI20230927BHJP
H10K 50/115 20230101ALI20230927BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230927BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230927BHJP
H10K 102/10 20230101ALN20230927BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20230927BHJP
【FI】
H10K50/814
H10K59/12
H10K50/813
H10K59/123
H10K59/124
H10K71/13
H10K50/115
G09F9/30 365
G09F9/30 339Z
G09F9/00 338
G09F9/30 348A
H10K102:10
H10K102:20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553032
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 CN2021115370
(87)【国際公開番号】W WO2023019634
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110947907.9
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 金陽
(72)【発明者】
【氏名】陳 黎▲セン▼
(72)【発明者】
【氏名】石 志清
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA06
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC45
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3K107GG24
3K107HH05
5C094AA10
5C094AA43
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094EA04
5C094EA10
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB12
5C094FB15
5C094GB10
5C094JA08
5G435AA03
5G435AA17
5G435BB05
5G435CC09
5G435KK05
(57)【要約】
本発明の実施例は、表示パネルを提供する。表示パネルは、ピクセル電極に電界を発生させる。本発明に係る表示パネルは、電界を発生させる両電極が、電界を発生させる両電極の間の距離が等しくなるように特別に設計されているため、電界の均一性を向上させる。電界補助による発光機能層材料の堆積及び発光機能層の乾燥により、コーヒーステイン効果を抑制することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板と、
前記アレイ基板に設けられ、複数のピクセル電極を含むピクセル電極層と、
前記ピクセル電極層と絶縁して前記アレイ基板に設けられ、少なくとも前記ピクセル電極の一部を囲んで設けられる少なくとも1つの電界電極を含む電界電極層と、を備える、
表示パネル。
【請求項2】
前記電界電極と前記ピクセル電極との間には、隙間が形成され、
前記ピクセル電極を囲んで設けられた前記電界電極の一部と前記ピクセル電極との間の隙間の距離は、等しい、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記電界電極と前記ピクセル電極とは、それぞれ対応し、
前記電界電極は、前記ピクセル電極を囲んで設けられ、密閉パターンが形成される、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記ピクセル電極は、第1方向に沿って複数列に配列され、第2方向に沿って複数行に配列され、
前記電界電極は、前記第1方向に沿って隣接する2列の前記ピクセル電極の間に設けられる第1部分と、前記第2方向に沿って隣接する2行の前記ピクセル電極の間に設けられる第2部分と、を含み、
前記第1部分と前記第2部分とは、相互接し、
前記第1方向と前記第2方向とは、交差する、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記ピクセル電極は、第1方向に沿って複数列に配列され、第2方向に沿って複数行に配列され、
前記電界電極は、前記第1方向に沿って隣接する2列の前記ピクセル電極の間に設けられ、或いは、前記第2方向に沿って隣接する2行の前記ピクセル電極の間に設けられ、
前記第1方向と前記第2方向とは、交差する、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記隙間の距離は、1μmから10μmの間にある、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記隙間の距離は、2μmから5μmの間にある、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記アレイ基板は、薄膜トランジスタをさらに含み、
前記表示パネルは、平坦化層をさらに含み、
前記ピクセル電極層は、前記薄膜トランジスタに接続されるように前記平坦化層に設けられる、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記薄膜トランジスタは、積層された半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート層と、層間絶縁層と、ドレイン配線と、ソース配線とを備え、
前記電界電極層は、信号配線層であり、
前記電界電極層は、前記ゲート層と同層に設けられ 、或いは、前記ソース配線及び前記ドレイン配線と同層に設けられる、
請求項8に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記電界電極層は、補助電極層であり、
前記電界電極層と前記ピクセル電極層とは、同層に設けられる、
請求項8に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記表示パネルは、ピクセル定義層をさらに含み、
前記ピクセル定義層は、前記ピクセル電極層の前記アレイ基板から離間する側に設けられ、
前記ピクセル定義層には、前記ピクセル電極に対応する開口部が設けられる、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記ピクセル定義層の前記アレイ基板に近接する側は、親液性であり、
前記ピクセル定義層の前記アレイ基板から離間する側は、撥液性である、
請求項11に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記アレイ基板は、基板の片側に順次積層された遮光層と、第1コンデンサ極板と、緩衝層と、半導体層と、第2コンデンサ極板と、ゲート絶縁層と、ゲート層と、層間絶縁層と、ドレイン配線と、ソース配線と、補助陰極配線と、パッシベーション層と、平坦化層とを備え、
ピクセル電極層と電界電極層とは、平坦化層に設けられる、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記電界電極層に用いられた材料は、金、銀、銅、アルミニウムと透明な金属酸化物のうちの一つ又は複数の組み合わせである請求項1に記載の表示パネル。
【請求項15】
表示パネルであって、
アレイ基板と、
前記アレイ基板に設けられ、複数のピクセル電極を含むピクセル電極層と、
を備え、
前記ピクセル電極は、第1電極部と、第2電極部とを備え、
前記第1電極部は、少なくとも前記第2電極部の一部を囲んで設けられる、
表示パネル。
【請求項16】
前記第1電極部と前記第2電極部との間には、隙間が形成され、
前記第2電極部を囲んで設けられた前記第1電極部の一部と前記第2電極部との間の隙間の距離は、等しい、
請求項15に記載の表示パネル。
【請求項17】
前記アレイ基板は、薄膜トランジスタをさらに含み、
前記表示パネルは、平坦化層をさらに含み、
前記ピクセル電極層は、前記薄膜トランジスタに接続されるように前記平坦化層に設けられ、
各前記薄膜トランジスタは、それぞれ1つの前記第1電極部又は前記第2電極部の電圧を制御する、
請求項15に記載の表示パネル。
【請求項18】
前記ピクセル電極は、m行×n列のサブピクセル電極を含み、
隣接する前記サブピクセル電極同士間には、隙間が形成され、
前記サブピクセル電極は、複数の第1サブピクセル電極と、少なくとも1つの第2サブピクセル電極とを含み、
前記第1サブピクセル電極は、少なくとも前記第2サブピクセル電極の一部を囲んで設けられ、
m及びnは、3以上の正の整数である、
請求項15に記載の表示パネル。
【請求項19】
前記表示パネルは、薄膜トランジスタと、平坦化層とをさらに含み、
前記ピクセル電極層は、前記薄膜トランジスタに接続されるように前記平坦化層に設けられ、
各前記薄膜トランジスタは、それぞれ1行の前記サブピクセル電極の電圧を制御し、或いは、それぞれ1列の前記サブピクセル電極の電圧を制御する、
請求項18に記載の表示パネル。
【請求項20】
前記表示パネルは、薄膜トランジスタ及び平坦化層をさらに含み、
前記ピクセル電極層は、前記薄膜トランジスタに接続されるように前記平坦化層に設けられ、
各前記薄膜トランジスタは、それぞれ1つの前記サブピクセル電極の電圧を制御する、
請求項18に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示の技術分野に関し、具体的には表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷技術により製造された有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode,OLED)ディスプレイは、中サイズのOLED分野において小規模の商業化が達成されている。しかし、インクジェット印刷は、以下の問題を有している。即ち、インクの毛細管現象によるエッジ吸収が発生するため、ピクセルエッジ膜厚が厚くなり、これを低減させるために、ピクセル定義層に撥液性を持たせる必要がある。また、印刷の際にピクセル及びノズルにおける溶液の揮発による堆積の不均一化又はノズルの目詰まりを防止するために、インクに高い沸点を持たせる必要がある。
【0003】
本発明者らは、従来技術を鋭意研究や実施したところ、インクジェット印刷及び真空乾燥の際に、発光機能層中の荷電基が、溶媒の揮発時にコーヒーステインが発生しやすく、発光機能層の品質に影響を与えることを見出した。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施例は、構造に電界を発生させ、電界によりインクジェット印刷及び真空乾燥を補助し、コーヒーステインの発生を抑制することができる表示パネルを提供する。
【0005】
本発明の実施例は、
アレイ基板と、
前記アレイ基板に設けられ、複数のピクセル電極を含むピクセル電極層と、
前記ピクセル電極層と絶縁して前記アレイ基板に設けられ、少なくとも前記ピクセル電極の一部を囲んで設けられる少なくとも1つの電界電極を含む電界電極層と、を備える、表示パネルを提供する。
【0006】
本発明のいくつかの実施例において、前記電界電極と前記ピクセル電極との間には、隙間が形成され、前記ピクセル電極を囲んで設けられた前記電界電極の一部と前記ピクセル電極との間の隙間の距離は、等しい。
【0007】
本発明のいくつかの実施例において、前記電界電極と前記ピクセル電極とは、それぞれ対応し、前記電界電極は、前記ピクセル電極を囲んで設けられ、密閉パターンが形成される。
【0008】
本発明のいくつかの実施例において、前記ピクセル電極は、第1方向に沿って複数列に配列され、第2方向に沿って複数行に配列され、前記電界電極は、前記第1方向に沿って隣接する2列の前記ピクセル電極の間に設けられる第1部分と、前記第2方向に沿って隣接する2行の前記ピクセル電極の間に設けられる第2部分と、を含み、前記第1部分と前記第2部分とは、相互接し、前記第1方向と前記第2方向とは、交差する。
【0009】
本発明のいくつかの実施例において、前記ピクセル電極は、第1方向に沿って複数列に配列され、第2方向に沿って複数行に配列され、前記電界電極は、前記第1方向に沿って複数列の前記ピクセル電極の間に設けられ、或いは、前記第2方向に沿って複数行の前記ピクセル電極の間に設けられ、前記第1方向と前記第2方向とは、交差する。
【0010】
本発明のいくつかの実施例において、前記隙間の距離は、1μmから10μmの間にある。
【0011】
本発明のいくつかの実施例において、前記隙間の距離は、2μmから5μmの間にある。
【0012】
本発明のいくつかの実施例において、前記アレイ基板は、薄膜トランジスタをさらに含み、前記表示パネルは、平坦化層をさらに含み、前記ピクセル電極層は、前記薄膜トランジスタに接続されるように前記平坦化層に設けられる。
【0013】
本発明のいくつかの実施例において、前記薄膜トランジスタは、積層された半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート層と、層間絶縁層と、ドレイン配線と、ソース配線とを備え、前記電界電極層は、信号配線層であり、前記電界電極層は、前記ゲート層と同層に設けられ、或いは、前記ソース配線及び前記ドレイン配線と同層に設けられる。
【0014】
本発明のいくつかの実施例において、前記電界電極層は、補助電極層であり、前記電界電極層と前記ピクセル電極層とは、同層に設けられる。
【0015】
本発明のいくつかの実施例において、前記表示パネルは、ピクセル定義層をさらに含み、前記ピクセル定義層は、前記ピクセル電極層の前記アレイ基板から離間する側に設けられ、前記ピクセル定義層には、前記ピクセル電極に対応する開口部が設けられる。
【0016】
本発明のいくつかの実施例において、前記ピクセル定義層の前記アレイ基板に近接する側は、親液性であり、前記ピクセル定義層の前記アレイ基板から離間する側は、撥液性である。
【0017】
本発明のいくつかの実施例において、前記アレイ基板は、基板の片側に順次積層された遮光層と、第1コンデンサ極板と、緩衝層と、半導体層と、第2コンデンサ極板と、ゲート絶縁層と、ゲート層と、層間絶縁層と、ドレイン配線と、ソース配線と、補助陰極配線と、パッシベーション層と、平坦化層とを備え、ピクセル電極層と電界電極層とは、平坦化層に設けられる。
【0018】
本発明のいくつかの実施例において、前記電界電極層に用いられた材料は、金、銀、銅、アルミニウムと透明な金属酸化物のうちの一つ又は複数の組み合わせである。
【0019】
本発明の実施例は、
アレイ基板と、
前記アレイ基板に設けられ、複数のピクセル電極を含むピクセル電極層と、を備え、
前記ピクセル電極は、第1電極部と、第2電極部とを備え、前記第1電極部は、少なくとも前記第2電極部の一部を囲んで設けられる、表示パネルをさらに提供する。
【0020】
本発明のいくつかの実施例において、前記第1電極部と前記第2電極部との間には、隙間が形成され、前記第2電極部を囲んで設けられた前記第1電極部の一部と前記第2電極部との間の隙間の距離は、等しい。
【0021】
本発明のいくつかの実施例において、前記アレイ基板は、薄膜トランジスタをさらに含み、前記表示パネルは、平坦化層をさらに含み、前記ピクセル電極層は、前記薄膜トランジスタに接続されるように前記平坦化層に設けられ、
各前記薄膜トランジスタは、それぞれ1つの前記第1電極部又は前記第2電極部の電圧を制御する。
【0022】
本発明のいくつかの実施例において、前記ピクセル電極は、m行×n列のサブピクセル電極を含み、隣接する前記サブピクセル電極同士間には、隙間が形成され、前記サブピクセル電極は、第1サブピクセル電極と、第2サブピクセル電極とを含み、前記第1サブピクセル電極は、少なくとも前記第2サブピクセル電極の一部を囲んで設けられ、m及びnは、3以上の正の整数である。
【0023】
本発明のいくつかの実施例において、前記表示パネルは、薄膜トランジスタと、平坦化層とをさらに含み、前記ピクセル電極層は、前記薄膜トランジスタに接続されるように前記平坦化層に設けられ、
【0024】
各前記薄膜トランジスタは、それぞれ1行の前記サブピクセル電極の電圧を制御し、或いは、それぞれ1列の前記サブピクセル電極の電圧を制御する。
【0025】
本発明のいくつかの実施例において、前記表示パネルは、薄膜トランジスタ及び平坦化層をさらに含み、前記ピクセル電極層は、前記薄膜トランジスタに接続されるように前記平坦化層に設けられ、
各前記薄膜トランジスタは、それぞれ1つの前記サブピクセル電極の電圧を制御する。
【0026】
本発明は、下記の有益な効果を奏する。
本発明の実施例は、表示パネルを提供する。表示パネルは、ピクセル電極層と電界電極層との間の電圧差を制御するか、又はピクセル電極層の内部に発生する電圧差を制御することにより、ピクセル電極に電界を発生させることができる。本発明に係る表示パネルは、電界を発生させる両電極が、電界を発生させる両電極の間の距離が等しくなるように特別に設計されている。即ち、電界を発生させる両電極の形状を一致させることにより、電界の均一性が向上する。電界の垂直成分は、発光機能層材料中の荷電基にピクセル電極層への付着力を与え、インクジェット印刷時に発光機能層材料のインクのピクセル電極層への付着を促進する。電界補助による発光機能層材料の堆積は、コーヒーステインの発生を抑制し、発光機能層の薄膜の品質を効果的に向上させることで、表示パネルのデバイス性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の実施例の技術的手段をより明確に説明するために、以下の実施例の説明で必要となる添付図面を簡単に紹介し、以下の説明における図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎなく、当業者にとっては創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【0028】
【
図1】本発明の実施例に係る表示パネルの第1の構造概略図である。
【
図2】本発明の実施例に係る表示パネルの第1の平面図である。
【
図3】本発明の実施例に係る表示パネルの第2の平面図である。
【
図4】本発明の実施例に係る表示パネルの第3の平面図である。
【
図5】本発明の実施例に係る表示パネルの第4の平面図である。
【
図6】本発明の実施例に係る表示パネルの第5の平面図である。
【
図7】本発明の実施例に係る表示パネルの第2の構造概略図である。
【
図8】本発明の実施例に係る表示パネルの第3の構造概略図である。
【
図9】本発明の実施例に係る表示パネルの第6の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明確かつ完全に説明するが、説明した実施例は本発明の実施例のすべてではなく、単に実施例の一部であることは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的努力なしに取得したすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属している。また、ここで記載する具体的な実施形態は本発明を説明や解釈するためのものであり、本発明を限定するためのものではないことは理解されたい。本発明において、反対の説明がなされない場合、「上」及び「下」などの使用される方向語は、通常、装置が実際に使用されている状態又は稼働している状態における上及び下を意味し、具体的に添付図面における図面方向であるが、「内」及び「外」は、装置の輪郭について示すものである。
【0030】
本発明の実施例は、表示パネルを提供する。以下、それぞれについて詳細に説明する。なお、以下の実施例の説明順序は、実施例の好ましい順序を限定するものではない。
【0031】
図1~
図2を参照して、
図1は、本発明の実施例に係る表示パネルの第1の構造概略図である。
図2は、本発明の実施例に係る表示パネルの第1の平面図である。本発明に係る表示パネル10は、アレイ基板1と、ピクセル電極層2と、電界電極層3と、を備える。ピクセル電極層2がアレイ基板1に設けられる。電界電極層3がアレイ基板1に設けられる。電界電極層3がピクセル電極層2と絶縁して設けられる。電界電極層3が複数の電界電極3aを含む。電界電極3aが少なくともピクセル電極層2の一部を囲んで設けられる。
【0032】
ピクセル電極層2に発光機能層を作製する場合、発光機能層の膜層の均一性を高めるために、ピクセル電極層2と電界電極層3との間に電界が形成されるように、ピクセル電極層2と電界電極層3とに異なる電圧を印加して電圧差を形成してもよい。ピクセル電極層2と電界電極層3との間に形成される電界は、水平成分と垂直成分とを有する。電界の垂直成分は、発光機能層材料中の荷電基にピクセル電極層2への付着力を与え、インクジェット印刷時に発光機能層材料のインクのピクセル電極層2への付着を促進する。インクジェット印刷及び真空乾燥工程を電界により補助することにより、発光機能層中の荷電基の堆積時及び溶媒揮発時のコーヒーステイン効果を効果的に抑制し、ナノ粒子の成膜品質を向上させることができる。
【0033】
電界電極3aとピクセル電極2aとの間には、隙間Dが形成される。ピクセル電極2aを囲んで設けられた電界電極3aの一部とピクセル電極2aとの間の隙間Dの距離は、等しい。
【0034】
コーヒーステイン効果をより良好に抑制し、ナノ粒子の成膜品質を向上させるためには、電界補助によるインクジェット印刷及び真空乾燥時における電界の均一性が特に重要である。本発明に係る表示パネル10は、ピクセル電極層2を囲んで設けられる電界電極層3とピクセル電極層2との間の隙間Dの距離を等しくすることにより、ピクセル電極層2と電界電極層3との間により均一性の高い電界を形成することができる。また、電界の均一性が向上すると、電界補助により印刷される発光機能層の均一性が効果的に向上し、発光素子の性能が向上する。
【0035】
アレイ基板1は基板1’を含む。基板1’は、このタッチ電極構造を載置するためのベース部材である。例えば、基板1’は、ガラス、有機ガラス、機能性ガラス(sensor glass)、硬質絶縁膜、軟質絶縁膜又はフレキシブル基板であってもよい。
【0036】
機能性ガラスは、極薄ガラスに透明金属酸化物導電膜をスパッタリング法によりめっきし、高温アニール処理して得られるものである。フレキシブル基板に用いられる材料は、ポリマー材料である。具体的には、フレキシブル基板に用いられる材料は、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)であってもよい。ポリマー材料は柔軟性に優れ、軽量で、耐衝撃性に優れ、フレキシブル表示パネルに適用されている。ポリイミドは、良好な耐熱性及び安定性も実現することができる。
【0037】
ピクセル電極層2は、金属と透明金属酸化物との積層又は透明金属酸化物を用いて設けられてもよい。ピクセル電極層2は、グラフェン材料、金属材料、遷移金属カルコゲン化合物等の材料を用いてもよい。
【0038】
具体的には、遷移金属硫化物は、硫化モリブデン(MoS2)、セレン化モリブデン(MoSe2)、硫化タングステン(WS2)又はセレン化タングステン(WSe2)を含む。
【0039】
透明金属酸化物層に用いられる材料は、インジウムガリウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛スズ酸化物、インジウムガリウム亜鉛スズ酸化物、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムアルミニウム亜鉛酸化物、インジウムガリウムスズ酸化物又はアンチモンスズ酸化物のいずれかを含む。これらの材料は、優れた導電性と透明性を有するとともに、表示パネル全体の厚さに影響を与えないように厚さが薄い。また、人体に有害な電子放射や紫外光、赤外光を減らすことができる。金属層に用いられる材料は、銀、アルミニウム、ニッケル、クロム、モリブデン、銅、タングステン又はチタンのいずれかである。金属は導電性に優れ、コストが安く、陽極の導電性を確保するとともに製造コストを削減することができる。
【0040】
一実施例において、ピクセル電極層2は、インジウムスズ酸化物/銀/インジウムスズ酸化物を積層することにより形成される。なお、ピクセル電極層2は、発光素子の陽極又は陰極であってもよい。本発明では、ピクセル電極層2が陽極である場合を例として説明する。
【0041】
電界電極層3に用いられた材料は、金、銀、銅、アルミニウム、及び透明な金属酸化物のうちの一つ又は複数の組み合わせである。絶縁配置とは、ピクセル電極層2と電界電極層3との間に空隙があることをいう。例えば、ピクセル電極層2と電界電極層3との間には、パッシベーション層、層間絶縁層又はバッファ層などの無機膜層が設けられて絶縁している。具体的な配置方式は、具体的な表示パネル10に応じて適宜変更することができ、ここではその説明を省略する。なお、本発明に係るピクセル電極層2と電界電極層3とがアレイ基板1に設けられているとは、ピクセル電極層2と電界電極層3とがアレイ基板の同じ側に設けられていることを意味する。ピクセル電極層2と電界電極層3とがアレイ基板1の表面に近接して設けられることを限定するものではない。なお、図中のピクセル電極層2と電界電極層3との相対的な位置関係は、模式的なものであり、本発明を限定するものではない。
【0042】
アレイ基板1は、薄膜トランジスタ5をさらに含む。表示パネル10は、平坦化層23をさらに含む。ピクセル電極層は、薄膜トランジスタ5に接続されるように平坦化層23に設けられる。さらに、薄膜トランジスタ5は、半導体層14と、ゲート絶縁層16と、ゲート層17と、層間絶縁層18と、ドレイン配線19と、ソース配線20とを備える。
【0043】
アレイ基板1は、基板1’の一側に順次積層された遮光層11と、第1コンデンサ極板12と、緩衝層13と、半導体層14と、第2コンデンサ極板15と、ゲート絶縁層16と、ゲート層17と、層間絶縁層18と、ドレイン配線19と、ソース配線20と、補助陰極配線21と、パッシベーション層22と、平坦化層23とをさらに備える。ピクセル電極層2と電界電極層3とは、平坦化層23に設けられる。
図1に示す実施例において、電界電極層3は補助陰極層である。半導体層14は、ドレイン領域141、活性領域142及びソース領域143を備える。ピクセル定義層4に開口部4aが設けられる。
【0044】
図1は、薄膜トランジスタ5がトップゲート構造である場合を例として模式的に示す。なお、本発明は、表示パネル10に含まれる薄膜トランジスタ5の構成を限定するものではなく、トップゲート型薄膜トランジスタであってもよいし、ボトムゲート型薄膜トランジスタであってもよいし、ダブルゲート型薄膜トランジスタであってもよいし、シングルゲート型薄膜トランジスタであってもよい。薄膜トランジスタの具体的な構成については、本発明ではその説明を省略する。
【0045】
図1に示す表示パネル10において、電界電極層3は、補助電極層であり、電界電極層3とピクセル電極層2とは、同層に設けられる。補助電極層は、補助陰極層として平面陰極に接続され、平面陰極の電圧降下を低減するためのものである。補助陰極配線21により補助陰極層、即ち電界電極層3の電位を制御し、電界電極層3とピクセル電極層2との間に電圧差が形成されることで、ピクセル電極層2と電界電極層3との間に電界が形成される。補助陰極層とピクセル電極2aとは、同一のサブピクセルにあり、補助陰極層とピクセル電極2aとの間隔が小さい。電界電極層3として用いられる補助陰極層とピクセル電極2aとで電界を形成することにより、形成される電界の強度を増大することで、インクジェット印刷時により大きな電界力補助作用を得ることができる。
【0046】
隙間Dの距離は、1μmから10μmの間にある。さらに、隙間Dの距離は、2μmから5μmの間にある。具体的には、隙間Dの距離は、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm又は10μmであってもよい。隙間Dの距離は、加工精度及び形成される電界強度を総合的に配慮して、1μm~10μmの範囲内に設定される。隙間Dが大きすぎると、ピクセル電極層2と電界電極層3との間に十分に強い電界を形成することができない。隙間Dが小さすぎると、製造工程の精度が達成されにくく、短絡が発生しやすくなり、発光素子の動作に影響を与える。本発明に係る隙間Dの距離は、発光機能層の堆積を補助するように、ピクセル電極層2と電界電極層3との間に電界を発生させる最適な隙間Dの距離である。隙間Dの値は、電界の強度に影響を及ぼすため、発光機能層の堆積の均一性に影響を及ぼす。隙間Dの距離の範囲は、均一で強度が適切な電界を得るために、複数の実験を経て得られたものであり、当業者が容易に想到される技術的手段ではない。
【0047】
表示パネル10は、ピクセル定義層4をさらに含む。ピクセル定義層4は、ピクセル電極層2のアレイ基板1から離間する側に設けられる。ピクセル定義層4に開口部4aが設けられる。開口部4aはピクセル電極2aに対応して設けられる。
【0048】
ピクセル定義層4のアレイ基板1に近接する側は、親液性であり、ピクセル定義層4のアレイ基板1から離間する側は、撥液性である。
【0049】
親液性とは、材料表面が液体媒質に容易に濡れたり溶けたりすることをいう。撥液性(疎液性ともいう)とは、親液性とは逆に、材料表面が液体媒質に濡れたり溶けたりすることが困難であることをいう。材料表面の親液性及び撥液性は、主にその表面構造や官能基の性質により決定される。本発明では、製造プロセスパラメータを調整することによってピクセル定義層4の親液性・撥液性を変更調整することができる。例えば、現像処理及び硬化処理のパラメータを調整することにより、ピクセル定義層4の親液性・撥液性を変更調整することができる。このようにピクセル定義層4を配置することにより、異なる印刷プロセス、インクの種類及び膜層の厚さに対応することができ、ピクセル定義層4を異なる表示パネルの要求に容易に合致させることができる。
【0050】
具体的には、ピクセル定義層4の厚さは、材料の親液性・撥液性に影響を与え、例えば、撥液材料が薄い場合に、撥液性を有しない。また、材料を酸素(O2)又は窒素(N2)プラズマ処理することで撥液性から親液性に変更することができ、材料をフッ素(F)プラズマ処理することで親液性から撥液性に変更することができる。
【0051】
本発明の実施例に係る表示パネル10において、電界電極3aは、ピクセル電極2aの一部を囲んで設けられる。例えば、ピクセル電極2aが円形である場合に、ピクセル電極2aの半分を囲むような半円状の電界電極3aが設けられる。また、ピクセル電極2aが楕円形である場合に、ピクセル電極2aを囲むようなU字状の電界電極3aが設けられる。
【0052】
図2に示すように、電界電極3aとピクセル電極2aとは、それぞれ対応する。電界電極3aは、ピクセル電極2aを囲んで設けられ、密閉パターンが形成される。
【0053】
本実施例において、電界電極3aは、ピクセル電極2aを囲んで設けられ、密閉パターンが形成されている。電界電極3aとピクセル電極2aとの間に電界が形成されるときに、電界電極3a及びピクセル電極2aのそれぞれに電圧が印加する。また、電界電極3aがピクセル電極2aを囲んで密閉パターンが形成されるとともに、それぞれの電界電極3aとピクセル電極2aとの隙間Dの距離が一致する場合、即ち、電界を形成する両電極間の距離が一致する場合には、電界の均一性が向上する。
【0054】
また、電界電極3aとピクセル電極2aとは、それぞれ対応し、独立して設けられている。この構成により、電界形成時に各ピクセル電極2aに独立した電界を形成することができる。独立した電界を形成することにより、発光機能層の異なる色のピクセルの独立作製が容易になり、各ピクセル電極の電界を独立して制御することができる。これにより、表示パネル10は、異なるピクセル配列が要求される発光機能層の作製に対応することができる。
【0055】
なお、
図2では、電界電極3aがそれぞれピクセル電極2aに対応する場合を例として説明する。いくつかの実施例において、電界電極層3は、複数の電界電極3aを形成する連続パターンを含む。
図3を参照して、
図3は本発明の実施例に係る表示パネルの第2の平面図である。ピクセル電極2aを囲む電界電極3aを連続パターンとして設けることで、電界電極層3における複数の電界電極3aに同時に電圧を印加することができる。例えば、同一行の電界電極3aに同時に電圧を印加し、さらにその行に電界が形成されるように、その行に対応するピクセル電極2aの電圧を制御する。これにより、同一行のピクセルが同一色の発光機能層である場合に、発光機能層の作製効率を向上させることができる。
【0056】
図4を参照し、
図4は本発明の実施例に係る表示パネルの第3の平面図である。ピクセル電極層2は、第1方向xに沿って複数列に配列され、第2方向yに沿って複数行に配列される。ピクセル電極層2の間に空隙Sをそれぞれ有する。電界電極3aは、第1方向xに沿って隣接する2列のピクセル電極2aの間に設けられる第1部分31aと、第2方向yに沿って複数行のピクセル電極2aの間に設けられる第2部分32aと、を含む。第1部分31aと第2部分32aとは、互いに接続される。第1方向xと第2方向yとは、交差する。本発明において、第1方向xはx軸に沿って延びる方向であり、第2方向yはy軸に沿って延びる方向であるので、第1方向をxとし、第2方向をyとして説明する。
図3では、第1方向xと第2方向yとが直交する場合を例に示しているが、実際には、第1方向xと第2方向yとは、互いに交差する任意の2つの方向であってもよい。なお、
図2、
図3ではピクセル電極層2を楕円形に配置するが、
図4ではピクセル電極層2を矩形に配置するが、ピクセル電極層2は他の形状に配置されてもよい。例えば、ピクセル電極層2を円形、菱形等の、ピクセルを容易に配列するパターンに設けてもよく、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
なお、電界電極3aは、第1方向xに沿って複数列のピクセル電極2aの間に設けられ、第2方向yに沿って複数行のピクセル電極2aの間に設けられる。電界電極3aは、
図4に示すように、第1方向x及び第2方向yの両方向に沿ってメッシュ状に空隙に設けられてもよい。
【0058】
図5を参照し、
図5は本発明の実施例に係る表示パネルの第4の平面図である。ピクセル電極層2は、第1方向xに沿って複数列に配列され、第2方向yに沿って複数行に配列される。ピクセル電極層2の間に空隙Sを有する。電界電極3aは、第1方向xに沿って複数列のピクセル電極2aの間に設けられるか、又は第2方向yに沿って複数行のピクセル電極2aの間に設けられる。即ち、電界電極3aは、第1方向x又は第2方向yのいずれかの方向に沿って長尺状に上記空隙に設けられていてもよい。又は、電界電極3aの一部は、第1方向xに沿って膜層内に設けられ、電界電極3aの他の一部は、第2方向yに沿って他の膜層内に設けられる。同様に、第1方向xと第2方向yとは、互いに交差する任意の2つの方向であってもよい。
【0059】
電界電極層3が信号配線層である。電界電極層3とゲート層17とは、同層に設けられる。又は電界電極層3とソース配線20、ドレイン配線19とは、同層に設けられる。即ち、信号配線層は、走査信号配線31及びデータ信号配線32を含む。電界電極層3は、走査信号配線31又はデータ信号配線32であってもよく、又は、走査信号配線31及びデータ信号配線32によりピクセル電極層2を囲んで形成されていてもよい。
【0060】
例えば、電界電極層3が走査信号配線31である場合に、第1方向xに沿ってピクセル電極2a間の空隙Sに配列されていてもよい。走査信号配線31とピクセル電極2aとのそれぞれに電圧を印加することにより、走査信号配線31とピクセル電極2aとの間に、第2方向yに沿った電界線を有する均一な水平電界が形成される。データ信号配線32とピクセル電極2aとの電界の形成方法は、上記と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0061】
なお、電界電極層3が走査信号配線31及びデータ信号配線32である場合に、電界電極層3が、第1方向x及び第2方向yに沿ってピクセル電極2aの間の空隙Sにメッシュ状に配列されていてもよい。電界電極層3とピクセル電極2aとが形成される電界は、電界線が電界電極層3からピクセル電極2aへ向かって均一な電界である。又は、電界電極層3とピクセル電極2aとが形成される電界は、電界線がピクセル電極2aから電界電極層3へ向かって均一な電界である。
【0062】
本実施例において、電界は、薄膜トランジスタ5における信号配線とピクセル電極とによって形成されるものである。サブピクセルの発光機能層を印刷する際に、その周囲のサブピクセルの発光機能層が既に印刷された場合には、ピクセル電極層2と電界電極層3との間の電界を選択してインクジェット印刷を行うことができる。これにより、周囲の発光機能層によって形成される膜層の厚さがピクセル電極層2を電気的に遮蔽することを防止することができ、また、電界力の作用に影響を与えることにより、サブピクセルの発光機能層の印刷効果を保証することができ、インクをより均一に堆積させることができる。なお、電界電極層3は、リセット信号配線等の表示パネル10における他の配線であってもよく、本発明は、これに限定されるものではない。
【0063】
図6を参照して、
図6は本発明の実施例に係る表示パネルの第5の平面図である。本発明の実施例に係る表示パネル10は、アレイ基板1と、ピクセル電極層2とを備える。ピクセル電極層2がアレイ基板1に設けられる。ピクセル電極層2が複数のピクセル電極2aを含む。
【0064】
ピクセル電極2aは、第1電極部2Aと、第2電極部2Bとを備える。第1電極部2Aは、少なくとも第2電極部2Bの一部を囲んで設けられる。
【0065】
第1電極部2Aと第2電極部2Bとの間には、隙間Gが形成される。各第1電極部2Aの一部と第2電極部2Bとの間の隙間Gの距離は、等しい。
【0066】
図8に示す実施例により、表示パネル10が提供される。当該表示パネル10は、他の電極の電圧値を制御する必要をなくすように、ピクセル電極2aにおける第1電極部2Aと第2電極部2Bとを用いて電界を直接形成する。ピクセル電極2aに電界が形成され、電界補助による発光機能層の堆積時に、発生する電界作用力が大きく、発光機能層の堆積をより均一にすることができる。また、第1電極部2Aが第2電極部2Bを囲むように設けられているので、第1電極部2Aと第2電極部2Bとによって発生する電界の均一性を高めるに有利である。
【0067】
図7を参照し、
図7は本発明の実施例に係る表示パネルの第2の構造概略図である。表示パネル10は、薄膜トランジスタ5と、平坦化層23とをさらに含む。ピクセル電極層2は、薄膜トランジスタ5に接続されるように平坦化層23に設けられる。
【0068】
図8を参照し、
図8は本発明の実施例に係る表示パネルの第3の構造概略図である。各薄膜トランジスタ5は、それぞれ1つの第1電極部2A又は第2電極部2Bの電圧を制御する。各薄膜トランジスタ5は、第1電極部2A又は第2電極部2Bの間に電圧差が形成されるように、それぞれ1つの電極部の電圧を制御する。これにより、サブピクセル内の電位差及び電界を細かく調整することができる。
【0069】
図9を参照し、
図9は本発明の実施例に係る表示パネルの第6の平面図である。ピクセル電極2aは、m行×n列のサブピクセル電極2a’を含む。隣接するサブピクセル電極2a’同士間には、隙間が形成される。サブピクセル電極2a’は、複数の第1サブピクセル電極21a’と、少なくとも1つの第2サブピクセル電極22a’とを含む。第1サブピクセル電極21a’は、少なくとも第2サブピクセル電極22a’の一部を囲んで設けられる。m及びnは、3以上の正の整数である。サブピクセル電極2a’の間は互いに絶縁され、図中では、黒実線のみで区画されている。
【0070】
なお、ピクセル電極2aを適宜分割し、分割領域面積のピクセル電極2a面積全体における占有率が制御可能である。このため、ピクセル電極2aをm行×n列のサブピクセル電極2a’に分けて、発光効果に影響を与えない。
【0071】
ピクセル電極2aには行列方向のサブピクセル電極2a’が形成され、複雑なパターニング方法を必要とせずに、製造工程が簡単である。また、このようなサブピクセル電極2a’の配列は、対応する薄膜トランジスタの作製にも便利となる。また、サブピクセル電極2a’間の間隔が近く、強い電界力が発生可能であり、電析効果をより一層改善し、電界補助による発光機能層の堆積に要する時間を短縮し、成膜品質を向上させることができる。
【0072】
各薄膜トランジスタ5は、それぞれ1行のサブピクセル電極2a’の電圧を制御するか、又は、それぞれ1列のサブピクセル電極2a’の電圧を制御するか、又は、それぞれ1つのサブピクセル電極2a’の電圧を制御する。
図9では、各サブピクセル領域に2つの薄膜トランジスタ5のみを示しているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0073】
各薄膜トランジスタ5は、それぞれ1行のサブピクセル電極2a’の電圧を制御するか、又はそれぞれ1列のサブピクセル電極2a’の電圧を制御することにより、サブピクセルに高電位・低電位を形成することができる。行列間の高電位・低電位によりサブピクセル電極2a’とサブピクセル電極2a’との間に電圧差が形成されることで、電界が形成される。薄膜トランジスタ5が1行又は1列のサブピクセル電極2a’の電圧を制御する場合に、最中心の1行のサブピクセル電極2a’を第2電極部2Bとし、周囲のサブピクセル電極2a’を第1電極部2Aとすることができる。サブピクセル電極2a’の間の電界強度が大きく、発光機能層の印刷プロセスを補助するのに十分な電界力を提供することができる。また、この方式によれば、必要とする薄膜トランジスタ5が少なく、製造の難度及び精度を低減させることができる。
【0074】
各薄膜トランジスタ5は、サブピクセル電極2a’とサブピクセル電極2a’との間に電圧差が形成されるように、それぞれ1つのサブピクセル電極2a’の電圧を制御する。これにより、サブピクセル内の電位差及び電界を細かく調整することができる。
図9では、mを3とし、nを3とすることを例として、ピクセル電極2aを3×3の9つのサブピクセル電極2a’に分割する。また、
図7におけるサブピクセル電極2a’は、aを1とすることを例として、最外の1周のサブピクセル電極2a’が第1電極部2Aを形成し、中心の1つのサブピクセル電極2a’が第2電極部2Bを形成するためのものである。
【0075】
本実施例では、第1サブピクセル電極21a’を第1電極部2Aとして、第2サブピクセル電極22a’を第2電極部2Bとして機能する。ピクセル電極2aを複数のサブピクセル電極2a’に分割し、異なる位置のサブピクセル電極2a’の電圧を制御して電界を形成することにより、第1電極部2Aと第2電極部2Bとの相対位置及び相対面積を容易に制御し、所望の均一な電界の形態をより容易に制御する。
【0076】
本発明の実施例に係る表示パネル10は、ピクセル電極層2と電界電極層3との間の電圧差を制御するか、又はピクセル電極層2の内部に発生する電圧差を制御することにより、ピクセル電極2aに電界を発生させることができる。また、本発明に係る表示パネル10は、電界を発生させる両電極が、電界を発生させる両電極の間の距離が等しくなるように特別に設計されている。即ち、電界を発生させる両電極の形状を一致させることにより、電界の均一性が向上する。電界の垂直成分は、発光機能層材料中の荷電基にピクセル電極層2への付着力を与え、インクジェット印刷時に発光機能層材料のインクのピクセル電極層2への付着を促進する。電界補助による発光機能層材料の堆積により、コーヒーステイン効果を抑制し、発光機能層の薄膜の品質を効果的に向上させることで、表示パネル10のデバイス性能を向上させることができる。
【0077】
また、本発明の表示パネル10に発生する電界は、発光機能層材料の乾燥時にも用いられてもよい。発光機能層材料を乾燥処理するときに、ピクセル電極層2における均一な電界により発光機能層溶液中の荷電基を固定する。これにより、溶媒揮発時に荷電基を移動させることを抑制し、膜厚が均一な発光機能層を得、コーヒーステイン現象の発生を防止し、高品質の薄膜を得ることができる。乾燥段階の電界により荷電基を固定すると、溶媒の揮発の際に、吸気を厳しく制御することなく乾燥処理するので、真空乾燥処理を大幅に簡略化し、加工効率を向上させる。
【0078】
また、本発明に係る表示パネル10は、電界を形成する2つの電極の形状を設計し、電極の隣り合うそれぞれの隙間Dや隙間Gの距離が等しい。これにより、両電極は均一な電界を発生させることができ、電界補助堆積又は電界補助乾燥時に荷電基が移動する分散経路を最適化し、膜層の堆積をより均一にする。さらに、表示パネル10の表示効果及びデバイス性能を向上させることができる。
【0079】
なお、本発明に係る表示パネル10の構造は、他の膜層の堆積及び乾燥にも用いられてもよい。具体的には、膜層中の溶質は、無機ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、コロイドナノシート、及びコロイドナノ棒状ナノ膜層の1種以上の組み合わせであるものに適用される。さらに、ナノ粒子は、硫酸バリウム(BaSO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化カドミウム(CdS)、二酸化チタン(TiO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、酸化スズ(SnO)及び酸化亜鉛(ZnO)の1種以上の組み合わせであってもよい。
【0080】
本発明において、発光機能層溶液中の溶質は、量子ドット材料であってもよい。具体的には、量子ドット材料の発光コア材料は、ZnCdSe2、InP、Cd2SSe、CdSe、Cd2SeTe及びInAsの1種以上の組み合わせである。量子ドット材料の無機保護シェル材料は、CdS、ZnSe、ZnCdS2、ZnS、ZnOの1種以上の組み合わせである。量子ドット材料は、ヒドロゲル充填量子ドット構造、CdSe-SiO2量子ドット及びペロブスカイト量子ドットを更に含んでもよい。量子ドット材料の表面配位子は、アミン、酸、チオール及び有機リンの1種以上の組み合わせを含む。発光機能層溶液中の溶媒は、無色透明で低沸点の有機又は無機溶媒であってもよい。例えば、溶媒は、脱イオン水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、酢酸エチル、石油エーテル又はn-ヘキサンの1種以上の組み合わせであってもよい。
【0081】
量子ドット材料が負に帯電している場合には、量子ドット材料が堆積される目標ピクセル電極2aに正電圧を印加する。量子ドット材料が正に帯電している場合には、量子ドット材料が堆積される目標ピクセル電極2aに負電圧を印加する。これにより、堆積の最適な効果が保証される。電圧を印加するタイミングは、ピクセル電極2aを完全に覆うように発光機能層溶液を選択すればよく、これにより、均一な電界力で、発光機能層中の荷電基の堆積をより均一にし、ピクセル電極2aを完全に覆うことができる。
【0082】
以上、本発明の実施例に係る表示パネルについて詳細に説明したが、本明細書では具体的な実施例を用いて本発明の原理及び実施形態について説明した。以上の実施例の説明は本発明の方法及びその核心的な思想を理解するためのものに過ぎず、一方、当業者であれば、本発明の構想に基づき、具体的な実施形態及び適用範囲に変更を加えることがあり、要約すると、本明細書の内容は本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
【国際調査報告】