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特表2023-541732接着剤シート、デバイス積層体、及び接着剤シートの剥離方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】接着剤シート、デバイス積層体、及び接着剤シートの剥離方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/00 20180101AFI20230927BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20230927BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C09J7/00
C09J7/30
C09J5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530145
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 IB2020061013
(87)【国際公開番号】W WO2021105842
(87)【国際公開日】2021-06-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】木下 康宏
(72)【発明者】
【氏名】國分 玲子
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004BA02
4J004CE02
4J040PA00
4J040PA42
(57)【要約】
接着剤シートは、微細構造を有する表面を有する接着剤層を備える。微細構造は、複数の凸型構造を含む。凸型構造の各々は、界面を介して互いに接合された2以上の部分を有する。2以上の部分は、凸型構造の頂部に存在すると共に接着性材料からなる第1の部分と、第1の部分よりも下側に存在する第2の部分と、を有する。第2の部分は第1の部分よりも硬い。接着剤シートは、接着剤シートの凸型構造を対象に貼り付けた後、隣り合う凸型構造間に空隙を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細構造を有する表面を有する接着剤層であって、
前記微細構造は、
複数の凸型構造を含み、
前記複数の凸型構造の各々は、界面を介して互いに接合された2以上の部分を有し、
前記2以上の部分は、前記凸型構造の頂部に存在すると共に接着性材料からなる第1の部分と、前記第1の部分よりも下側に存在する第2の部分と、を有し、前記第2の部分は前記第1の部分よりも硬い、接着剤層を備える、接着剤シート。
【請求項2】
前記第2の部分は、前記第1の部分の貯蔵弾性率よりも高い貯蔵弾性率を有する、請求項1に記載の接着剤シート。
【請求項3】
前記第2の部分の貯蔵弾性率は、1×10Pa以上である、請求項1又は2に記載の接着剤シート。
【請求項4】
前記第1の部分の貯蔵弾性率は、1×10Pa未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着剤シート。
【請求項5】
前記凸型構造の側面と底面がなす角度θが30°以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤シート。
【請求項6】
前記凸型構造の高さを100%とした場合、前記第1の部分の高さが、前記凸型構造の高さの10%~90%の範囲内にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤シート。
【請求項7】
前記凸型構造の配列方向において、隣り合う前記凸型構造の底面間の間隔が500μm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤シート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤シートと、
デバイスと、
前記接着剤シートと前記デバイスとの間に配置された基材と、
前記基材と前記デバイスとの間に配置された接続層と、
を備え、
前記接着剤シートの前記接着剤層は、前記基材に近い表面と前記基材から遠い表面とを有し、前記接着剤層は、前記基材から遠い表面に前記微細構造を有する、デバイス積層体。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤シートの前記凸型構造が対象に貼り付けられた状態で、隣り合う前記凸型構造間に形成された空隙に剥離液を流すことによって、前記接着剤シートを前記対象から剥離する工程を含む、接着剤シートの剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着剤シート、デバイス積層体、及び接着剤シートの剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布からなる支持体の片面に形成された粘着剤層を有する通気性粘着テープが知られている(特許文献1:特許第3233732号公報)。この粘着テープは皮膚に貼り付けられる。皮膚から発生した水蒸気は、不織布の隙間を通って外部に放出される。すなわち、水蒸気は、粘着テープに直交する方向に向かって移動する。
【0003】
一方、支持体の表面に波状にパターニングされた粘着剤層を有する粘着シートが知られている(特許文献2:特許第3863634号公報)。この粘着シートは皮膚に貼り付けられる。皮膚から発生した水蒸気は、粘着剤層間に形成された波状の空間を通って外部に放出される。すなわち、水蒸気は、粘着シートに平行な方向に向かって移動する。
【発明の概要】
【0004】
特許文献1のように水蒸気が粘着テープに直交する方向に向かって移動する場合、通気性を有していない物体が粘着テープ上に配置されると、適切な通気性を確保できない。一方、特許文献2のように粘着剤層間に形成された波状の空間を通って水蒸気を外部に放出する場合、粘着シートを皮膚に貼り付ける際に、粘着剤層が潰れて波状の空間が狭くなってしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、接着剤シートの凸型構造を対象に貼り付けた後、隣り合う凸型構造間に形成される空隙を大きくできる接着剤シートを提供する。さらに、本開示はそのような接着剤シートを備える接着剤シート及びそのような接着剤シートの剥離方法を提供する。
【0006】
開示された接着剤シートは、接着剤シートの凸型構造を対象に貼り付けた後、隣り合う凸型構造間に形成される空隙を大きくできる。さらに、そのような接着剤シートを備える接着剤シート及びそのような接着剤シートの剥離方法が提供され得る。
【0007】
一実施形態において、接着剤シートは、微細構造を有する表面を有する。微細構造は、複数の凸型構造を含む。複数の凸型構造の各々は、界面を介して互いに接合された2以上の部分を有する。2以上の部分は、凸型構造の頂部に存在すると共に接着性材料からなる第1の部分と、第1の部分よりも下側に存在する第2の部分と、を有する。第2の部分は第1の部分よりも硬い。
【0008】
第2の部分は、第1の部分の貯蔵弾性率よりも高い貯蔵弾性率を有してもよい。
【0009】
第2の部分の貯蔵弾性率は、1×10Pa以上であってもよい。
【0010】
第1の部分の貯蔵弾性率は、1×10Pa未満であってもよい。
【0011】
凸型構造の側面と底面がなす角度θが30°以上であってもよい。
【0012】
凸型構造の高さを100%とした場合、第1の部分の高さが、凸型構造の高さの10%~90%の範囲内にあってもよい。
【0013】
凸型構造の配列方向において、隣り合う凸型構造の底面間の間隔が500μm以下であってもよい。
【0014】
本開示の一側面に係るデバイス積層体は、本開示の接着剤シートと、デバイスと、接着剤シートとデバイスとの間に配置された基材と、基材とデバイスとの間に配置された接続層と、を備え、接着剤シートの接着剤層は、基材に近い表面と基材から遠い表面とを有し、接着剤層は、基材から遠い表面に微細構造を有する。
【0015】
本開示の一側面に係る接着剤シートの剥離方法は、接着剤シートの凸型構造が対象に貼り付けられた状態で、隣り合う凸型構造間に形成された空隙に剥離液を流すことによって、接着剤シートを対象から剥離する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る接着剤シートの斜視図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3】別の実施形態に係る接着剤シートの断面図である。
図4】別の実施形態に係る接着剤シートの断面図である。
図5】別の実施形態に係る接着剤シートの一部の断面図である。
図6A】錐体構造の他の例を示す断面図である。
図6B】錐体構造の他の例を示す断面図である。
図6C】錐体構造の他の例を示す断面図である。
図6D】錐体構造の他の例を示す断面図である。
図6E】錐体構造の他の例を示す断面図である。
図6F】錐体構造の他の例を示す断面図である。
図7A】錐台構造の他の例を示す断面図である。
図7B】錐台構造の他の例を示す断面図である。
図7C】錐台構造の他の例を示す断面図である。
図7D】錐台構造の他の例を示す断面図である。
図7E】錐台構造の他の例を示す断面図である。
図7F】錐台構造の他の例を示す断面図である。
図8】別の実施形態に係る接着剤シートの斜視図である。
図9A図3の接着剤シートを製造する方法における工程を示す断面図である。
図9B図3の接着剤シートを製造する方法における工程を示す断面図である。
図9C図3の接着剤シートを製造する方法における工程を示す断面図である。
図10A図9の工程に続く工程を示す断面図である。
図10B図9の工程に続く工程を示す断面図である。
図10C図9の工程に続く工程を示す断面図である。
図10D図9の工程に続く工程を示す断面図である。
図10E図9の工程に続く工程を示す断面図である。
図11A図10の工程に続く工程を示す断面図である。
図11B図10の工程に続く工程を示す断面図である。
図11C図10の工程に続く工程を示す断面図である。
図12A図3の接着剤シートを対象に貼り付ける工程を示す断面図である。
図12B図3の接着剤シートを対象に貼り付ける工程を示す断面図である。
図13】別の対象に貼り付けられた接着剤シートを示す断面図である。
図14】一実施形態に係るデバイス積層体の断面図である。
図15】一実施形態に係る接着剤シートの剥離方法における工程を示す断面図である。
図16】実施例及び参考例において接着剤シートの180°剥離接着強度を示すグラフである。
図17A】実施例及び参考例において貼り付け前後の接着剤シートを示す図面である。
図17B】実施例及び参考例において貼り付け前後の接着剤シートを示す図面である。
図17C】実施例及び参考例において貼り付け前後の接着剤シートを示す図面である。
図17D】実施例及び参考例において貼り付け前後の接着剤シートを示す図面である。
図17E】実施例及び参考例において貼り付け前後の接着剤シートを示す図面である。
図17F】実施例及び参考例において貼り付け前後の接着剤シートを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には、必要に応じてXYZ直交座標系が示される。
【0018】
図1は、一実施形態に係る接着剤シートの斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図1及び図2に示される接着剤シート10は、接着剤層12を有する。本実施形態において、接着剤層12は、微細構造13を有する一方の表面12aを有し、他方の表面12bには微細構造を有していない。表面12a及び表面12bは、接着剤層12の厚さ方向(例えばZ軸方向)に直交する面(例えばXY平面)に沿って延在している。微細構造13は、複数の錐体構造31を含む。錐体構造31は、後述する錐台構造131(図5)又はリブ構造231(図8)に置き換えられてもよい。錐体構造31、錐台構造131及びリブ構造231はそれぞれ凸型構造(コンベックス体)の一例である。本明細書において「凸型構造」とは、概して、任意の平面図形を底面とし、底面の辺のすべての点と、その平面上にない別の任意の平面図形又は直線(頂部)の辺の全ての点とを結んで構成される立体図形である。好ましくは、凸型構造の頂部の面積は、底面の面積よりも小さい。より好ましくは、凸型構造は、底面から頂部に向かって先細りとなる形状を有する。複数の錐体構造31は、表面12aにおいてX軸方向及びY軸方向に沿って格子状に配列されている。図2は、X軸方向に沿って配列された複数の錐体構造31の頂点を通る断面図である。複数の錐体構造31は、好ましくは平面上に、規則的に配列されてもよいし、不規則的に配列されてもよい。錐体構造31の高さ方向に直交する面に投影された錐体構造31の面積(錐体構造31の底面1の面積)は、10平方μm以上であってもよく、10000平方μm以下であってもよい。
【0019】
各錐体構造31は、底面1と、頂部2と、底面1の縁と頂部2との間を繋ぐ複数の側面3とを有する。底面1は、円(楕円を含む)又は多角形などの任意の平面図形を有する。錐体構造31の形状としては、例えば円錐、三角錐、四角錐、六角錐などが挙げられる。図1及び図2に示される例において、錐体構造31の形状は四角錐である。錐体構造31の形状は、同一であっても異なっていてもよいが、実質的に同一の高さ(例えば、差が±5%以内、±3%以内、又は±1%以内)を有することが好ましく、全て実質的に同一の形状を有することがより好ましい。形状が異なる錐体構造31が存在する場合、微細構造13は、10種以下、9種以下、8種以下、7種以下、6種以下、5種以下、4種以下、3種以下、又は2種以下の錐体構造31から構成されることが好ましい。錐体構造31と錐台構造131(図5)とリブ構造231(図8)とのうち2以上が共存していてもよい。
【0020】
各錐体構造31は、錐体構造31の頂部2に存在する第1の部分4と、第1の部分4よりも下側(底面1側)に存在する第2の部分5とを備える。
【0021】
頂部2は、錐体構造31の最も高い位置にある領域(本開示の接着剤シートが対象に近づいたときに、錐体構造31の中で最初に対象に接する部分)を実質的に占めている部分である。頂部2は、好ましくは錐体構造31の頂点を含む。実質的に占めるとは、ごく一部に異なる材料が付着又は混入している場合も許容する意味である。例えば、第1の部分4は、錐体構造31の最も高い位置にある領域の大部分(例えば、90%以上、又は95%以上)を占めてもよい。その領域に少量のフィラー等が含まれていたとしても、そのフィラー等は第1の部分4に該当しない。
【0022】
第1の部分4及び第2の部分5は、例えばXY平面に沿った界面を介して互いに接合されてもよい。「界面を介して接合する」とは、互いに組成が異なる二つのマトリックス相が、明確な境界面を介して接している状態を意味する。例えば、第1の部分4(マトリックス相)と第2の部分5(マトリックス相)とが、図1及び図2に示されるように層分離しており、それにより界面を介して接合している。なお、例えば、樹脂中に微粒子が分散された組成物であれば、基質となる樹脂がマトリックス相に相当し、その一方、微粒子は分散相に相当する。マトリックス相が共通し分散相のみが異なる二つの相の接合、あるいは材質が連続的に変化するような接合態様、例えば、微粒子が樹脂中に分散された材料において、微粒子の密度のみがある方向において連続的に変化するようなものは、界面を介した接合に含まれない。界面は、錐体構造31の底面1と平行な平面であっても、非平行な平面であってもよい。界面は、製造誤差又は後述する製造方法における表面張力等に由来する程度の曲面を有していてもよい。錐体構造31は、場合により第3の部分をさらに有していてもよく、あるいはそれ以上の多層構造を有していてもよい。
【0023】
第1の部分4は、接着性材料からなる。接着性材料としては、感圧接着剤の製造に用いられる公知の材料を用いることができる。中でも、対象に対して接着力を発揮しつつ、再剥離可能なものが好ましい。一実施形態において、接着性材料は、例えば、37℃下、1Hzの周波数で測定して得られた貯蔵弾性率(G’)が約1×10Pa未満との条件に合致する材料であると定義することができる。よって、一実施形態において、37℃における第1の部分4の貯蔵弾性率(G’)は、1×10Pa未満である。接着性材料の具体例としては、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、又はシリコーン系接着剤が挙げられる。接着性材料には、粘着付与剤、可塑剤などがブレンドされていてもよい。
【0024】
第2の部分5は、第1の部分4よりも硬い。硬さは、例えば原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定可能である。第2の部分5は、例えば非接着性又は弱接着性材料からなる。弱接着性材料は、第1の部分4の接着性材料よりも低い接着性を有する材料であってもよい。非接着性又は弱接着性材料としては、対象に対して接着性を全く有しないか、接着性を有するものの再剥離が可能なものが好ましい。非接着性又は弱接着性材料は、いわゆるエラストマーとよばれるものであってもよい。一実施形態において、非接着性又は弱接着性材料は、動的粘弾性測定により算出される貯蔵弾性率(G’)が37℃下、1Hzの周波数で測定して1×10Pa以上、3×10Pa以上、4×10Pa以上、5×10Pa以上、6×10Pa以上、7×10Pa以上、8×10Pa以上、9×10Pa以上、又は1×10Pa以上の樹脂である。よって、一実施形態において、37℃における第2の部分5の貯蔵弾性率(G’)は、第1の部分4の貯蔵弾性率(G’)よりも高く、1×10Pa以上である。非接着性又は弱接着性材料の具体例としては、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、セルロース、シリコーン、アミン系樹脂、フッ素系樹脂、合成ゴム、及びポリ塩化ビニルなどが挙げられる。非接着性又は弱接着性材料は、水、アルコールなどの水混和性溶媒、又は炭化水素などの水非混和性溶媒の、いずれかの汎用される溶媒に対する溶解性及び/又は分散性が高いものであることが好ましい。また、非接着性又は弱接着性材料を溶解及び/又は分散させる溶媒は、比較的蒸気圧が低く、乾燥が容易なものが好ましい。さらに、微細構造13を形成するための型に対する濡れ性も考慮することが好ましい。濡れ性が低すぎると型の凹部の内側に溶媒が入らない可能性があり、高すぎると型の凹部間に溶媒が残留してしまう可能性がある。
【0025】
なお、「非接着性」、「弱接着性」及び「接着性」とは、同一の対象に対する相対的な接着性の強度を意味する。接着性は、動的粘弾性測定又は180°剥離強度試験などの公知の手法により評価することができる。
【0026】
第1の部分4の材料と第2の部分5の材料との組み合わせは限定されないが、それら同士の接着力を考慮して材料を選択することがより好ましい。例えばポリマー構造の親和性等の観点から、第1の部分4の材料がシリコーンであれば、第2の部分5の材料もシリコーン系接着剤が好ましい。ただし、第1の部分4の材料と第2の部分5の材料が同じ構造を有するポリマー同士である必要は必ずしもない。
【0027】
接着剤層12は、複数の錐体構造31より下の部分に基部32を有してもよい。基部32は、微細構造13の錐体構造31の底面1と接合又は連続している。基部32の材料は、第2の部分5と同一であってもよいし、あるいは異なっていてもよい。一実施形態において、錐体構造31は第1の部分4と第2の部分5の二つの部分からなり、基部32は第2の部分5と同じ材料からなり、かつ第2の部分5と連続している。基部32の厚さは、所望の接着剤層12の厚さに応じて任意に設定することができる。
【0028】
第1の部分4を構成する接着性材料、及び第2の部分5を構成する非接着性又は弱接着性材料、ならびに存在する場合にはその他の部分を構成する材料がいずれも透明である場合、接着剤層12全体を透明にすることができる。その際、各部分が接合する界面が視認できないようにするためには、各部分を構成する材料の屈折率の差が1%以内であることが好ましい。具体的には、錐体構造31の第1の部分4と第2の部分5が隣接しており、第1の部分4を構成する材料の屈折率と、第2の部分5を構成する材料の屈折率の差が1%以内、0.9%以内、0.8%以内、0.7%以内、又は0.6%以内である場合、一般的に、両部分の界面は視認できない。例えば、第1の部分4をアクリル系透明接着剤から構成し、第2の部分5をアクリル系透明樹脂から構成するようにすると、そのような要件を満たし、完全に透明な接着剤層12を提供することが可能となる。なお、透明とは、例えばJIS K 7136に従って測定したヘーズが40%以下であることにより定義することができる。
【0029】
第1の部分4の形成を容易にする等の観点から、微細構造13に含まれる錐体構造31は、隣接する二つの錐体構造31の中心間の最長距離が、2mm以下、1mm以下、500μm以下、300μm以下、又は100μm以下であってよい。なお、錐体構造31の中心とは、錐体の頂点を意味する。錐台構造131(図5)の中心は、対応する錐体構造の頂点を意味する。
【0030】
第1の部分4の形成を容易にする等の観点から、錐体構造31の配列方向(例えばX軸方向)における錐体構造31の底面1の幅(後述のαに相当)は、2mm以下、1mm以下、500μm以下、300μm以下、100μm以下、又は50μm以下であってよい。
【0031】
接着剤シート10の製造を容易にする、あるいは完成した接着剤シート10からライナー71(図11参照)を剥離しやすくする等の観点から、錐体構造31の高さHは、5μm以上であり、且つ300μm以下、200μm以下、100μm以下、75μm以下、又は50μm以下であってよい。
【0032】
錐体構造31の数は、十分な接着性をもたらす観点から、接着剤層12の表面1cmあたり25個以上、36個以上、49個以上、64個以上、81個以上、又は100個以上存在することが好ましい。錐体構造31の数は、単位面積内に存在する錐体構造31の中心の数に対応する。錐体構造31の密度が高いことも、接着性の向上に寄与する。
【0033】
隣接する二つの錐体構造31の底面1は、近接していてよい。例えば、四角錐又は六角錐の場合、隣接する二つの錐体構造31の底面1は、一辺を共有していてもよく、あるいは隣接する辺同士が、例えば500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、50μm以下、15μm以下、又は10μm以下の間隔(後述のβに相当)で離れていてもよい。
【0034】
錐体構造31の配列方向(例えばX軸方向)において、錐体構造31の底面1の幅をα、隣り合う錐体構造31の底面1間の間隔をβとした場合、β/(α+β)<0.3を満たしてもよいし、β/(α+β)<0.2を満たしてもよいし、β/(α+β)<0.1を満たしてもよい。図1及び図2の例において、βは0であるため、β/(α+β)の値は0である。複数の錐体構造31が、隣り合う錐体構造31の底面1同士の間に0より大きい間隔βをあけて配列されてもよい。
【0035】
(α+β)は、隣り合う錐体構造31のピッチに相当する。(α+β)は、10μm以上、20μm以上、30μm以上、2.5mm以下、1mm以下、500μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下であってもよい。
【0036】
錐体構造31の側面3と底面1がなす角度θは、第1の部分4の形成の容易さ、又は隣り合う錐体構造31間の空隙の形成の容易さなどの観点から、錐体構造31の頂点及び錐体構造31の配列方向を含む断面(XZ平面)において、5°以上、10°以上、15°以上、20°以上、25°以上、30°以上であってよい。また、後述するライナー71からの接着剤シート10の剥離をスムーズにする等の観点から、角度θは、錐体構造31の頂点及び錐体構造31の配列方向を含む断面(XZ平面)において、90°未満、85°以下、80°以下、又は70°以下であってよい。
【0037】
錐体構造31の高さHは5μm以上、10μm以上、30μm以上、300μm以下、200μm以下、又は100μm以下であってよい。錐体構造31の高さHを100%とした場合、第1の部分4の高さH1は、接着性などの観点から錐体構造31の高さHの10%以上、15%以上、20%以上であってよい。また、隣り合う錐体構造31間の空隙の形成の容易さなどの観点から、第1の部分4の高さH1は、錐体構造31の高さHの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、又は50%以下であってよい。なお、高さH,H1は、錐体構造31の底面1の法線方向(Z軸方向)を基準とする。第1の部分4とその下の第2の部分5との界面が底面1と非平行な平面又は曲面である場合は、底面1の法線方向を基準として求めた界面の高さの平均値から高さH1を算出する。第1の部分4が比較的小さい場合、接着剤シート10の接着性が低減する傾向にある。一方、第1の部分4が比較的大きい場合は、その逆となる。
【0038】
接着剤層12の厚さは、用いる接着性材料や、接着剤シート10の使用目的などに応じて任意に設定することができ、例えば15μm~1mm又は50μm~300μmの範囲とすることができる。接着剤層12の厚さは、錐体構造31の底面1の法線方向を基準とし、錐体構造31の最も高い部分と、微細構造13を有する表面12aとは反対側の表面12bとの間の距離を意味する。
【0039】
接着剤層12は、接着剤以外の追加的な材料、例えば接着性を調節する目的の中空又は中実のガラススフェアなどの微粒子を含んでいてもよい。しかし、本開示の接着剤シート10は、そのような追加的な材料を含まなくても所望の性質を達成することができる。一実施形態において、接着剤層12は微粒子を含まない。
【0040】
(接着剤シートの特性)
接着剤シート10は、接着剤層12の表面12bに比較的高い圧力をかけた際に、対象に対して十分な接着力を発揮する。一実施形態において、比較的高い圧力とは、JIS Z 0237:2009の10.2.4に規定される圧着装置を用いて、2kgのローラーを300mm/分の速さで一往復させることによりかかる圧力に相当する圧力と定義することができる。別の実施形態では、比較的高い圧力とは、200g/cm以上、300g/cm以上、400g/cm以上、500g/cm以上、600g/cm以上、又は700g/cm以上の圧力と定義することができる。好ましい実施態様において、接着剤シート10は、SUS板に対して、温度23℃、引張速度300mm/分の条件下で試験した際の90°剥離強度が、接着から24時間経過した後において0.2N/10mm以上、1N/10mm以上、2N/10mm以上、4N/10mm以上、6N/10mm以上、8N/10mm以上、又は10N/10mm以上である。そのような接着力であれば、接着剤シート10を貼り付けた後に剥がれなどが生じにくい。
【0041】
以上説明したように、接着剤シート10では、第2の部分5が第1の部分4よりも硬いので、接着剤シート10の錐体構造31を対象に貼り付ける際に、第1の部分4に比べて第2の部分5が変形し難い。そのため、接着剤シート10の錐体構造31を対象に貼り付けた後、隣り合う錐体構造31間に大きな空隙を形成できる。一例では、接着剤シート10の錐体構造31を皮膚に貼り付ける際に、隣り合う錐体構造31間に空隙が形成される。皮膚から発生した水蒸気は、この空隙を通って外部に放出される。すなわち、空隙は、水蒸気の流路として機能する。また、第1の部分4が比較的軟らかいので、接着剤シート10を皮膚に貼り付ける際に皮膚への衝撃が小さく、接着剤シート10を皮膚から剥離する際に接着剤シート10が皮膚を持ち上げ難い。別の例では、接着剤シート10の錐体構造31を壁に貼り付ける際に、隣り合う錐体構造31間に空隙が形成される。この空隙に剥離液を流すことによって、接着剤シート10を壁から剥離することができる。すなわち、空隙は、剥離液の流路として機能する。
【0042】
第2の部分5が、第1の部分4の貯蔵弾性率よりも高い貯蔵弾性率を有する場合、第2の部分5を第1の部分4よりも硬くできる。第2の部分5の貯蔵弾性率は、例えば1×10Pa以上である。第1の部分4の貯蔵弾性率は、例えば1×10Pa未満である。
【0043】
錐体構造31の側面3と底面1がなす角度θが30°以上である場合、接着剤シート10の錐体構造31を対象に貼り付ける際に、第1の部分4が隣り合う錐体構造31間の空隙を塞ぐことを抑制できる。
【0044】
錐体構造31の高さHを100%とした場合、第1の部分4の高さH1が、錐体構造31の高さHの10%~90%の範囲であってもよい。錐体構造31の高さHを調整することによって、接着剤シート10の錐体構造31を対象に貼り付ける際に、隣り合う錐体構造31間に形成される空隙の体積を調整できる。
【0045】
錐体構造31の配列方向において、隣り合う錐体構造31の底面1間の間隔βが500μm以下である場合、錐体構造31の配列方向において複数の錐体構造31を高密度に配列できる。よって、接着剤シート10の錐体構造31を対象に貼り付ける際に、対象に対する接着剤シート10の接着性を向上できる。
【0046】
このような接着剤シート10は、種々の用途に適用できる。接着剤シート10を貼り付ける対象としては、例えば皮膚等の人体又は動物の表層部であってもよいし、壁材、床材、タイル材、サッシ材、看板、電子デバイス、電子部品等の物体であってもよい。接着剤シート10は、例えばサージカルテープ(医療用テープ)である。
【0047】
図3は、別の実施形態に係る接着剤シートの断面図である。図3に示される接着剤シート110は、図1及び図2に示される接着剤層12と、微細構造13上に配置されるライナー71と、微細構造が設けられていない表面12bに設けられたキャリア102とを備える。ライナー71は、微細構造13を保護することができる。接着剤シート110は、ライナー71及びキャリア102のいずれか一方を備えなくてもよい。例えば、接着剤シート110がキャリア102を備えない場合、芯の周りに接着剤層12が内側となるように接着剤シート110を巻き回すことによってロールを形成できる。
【0048】
キャリア102の例としては、不織布、織布、樹脂フィルム、例えばABS、ASA、アクリル、ポリカーボネート、ポリウレタン、フッ素系樹脂、ポリプロピレン、PET、又はPVCなどからなるフィルムが挙げられる。接着剤シート110は、キャリア102と接着剤層12の間に、プライマーなどを含む任意の層を有していてもよい。
【0049】
ライナー71の例としては、キャリア102と同様の材料からなるフィルムが挙げられる。
【0050】
図4は、別の実施形態に係る接着剤シートの断面図である。図4に示される接着剤シート210は、接着剤層112と、接着剤層112を挟む一対のライナー71と、を備える。接着剤層112は、図1及び図2の接着剤層12の表面12bに微細構造13が設けられた構成を有する。よって、接着剤層112の両方の表面112a,112bには、それぞれ微細構造13が設けられている。表面112a,112bにそれぞれ設けられた微細構造13は、互いに同一の構造を有してもよいし、互いに異なる構造を有してもよい。例えば、第1の部分4の材料又は高さH1は、表面112a,112b間で同一でも異なっていてもよい。
【0051】
図5は、別の実施形態に係る接着剤シートの一部の断面図である。図5に示される接着剤シート310は、複数の錐体構造31に代えて複数の錐台構造131を備え、複数の錐台構造131が、配列方向において間隔をあけて配置されていること以外は接着剤シート10と同じ構成を備える。各錐台構造131は、錐体構造31の頂点を含む最上部を部分的に取り除いた構造を有する。錐台構造131の形状としては、例えば円錐台、三角錐台、四角錐台、六角錐台などが挙げられる。各錐台構造131は、錐台構造131の頂部2に存在する第1の部分4と、第1の部分4よりも下側(底面1側)に存在する第2の部分5とを備える。
【0052】
本実施形態において、錐台構造131の配列方向(例えばX軸方向)において、錐台構造131の底面1の幅をα、隣り合う錐台構造131の底面1間の間隔をβとした場合、β/(α+β)<0.3を満たす。図5の例において、βは0より大きいが、βは0であってもよい。錐台構造131の配列方向において、錐台構造131の頂面の幅はaであり、隣り合う錐台構造131の頂面間の間隔はbである。aが0の場合、錐台構造131は錐体構造31と同じ構造になる。
【0053】
錐台構造131の配列方向における錐台構造131の頂面の幅aは、例えば1.5mm以下、1mm以下、500μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、又は10μm以下である。底面1の幅αに対して頂面の幅aが過度に大きすぎないようにすることで、一定以上の圧力を加えた際に発揮される接着力が低減するのを防ぐことができる。
【0054】
図6は、錐体構造の他の例を示す断面図である。錐体構造31の断面は、図6の(A)に示される三角形を有してもよいし、(B)~(D)に示されるように、歪んだ側面を有してもよいし、(E)に示されるように、頂点の位置が底面の中心から外れた形状を有してもよい。図6の(F)に示されるように、錐体構造31の断面は、歪んだ側面を有し、かつ、頂点の位置が底面の中心から外れた形状を有してもよい。なお、錐体構造31の頂点を通る断面は必ずしも全て同じ形状ではなく、断面ごとに違う形状を有していてもよい。
【0055】
図7は、錐台構造の他の例を示す断面図である。錐台構造131の断面は、図7の(A)に示される台形を有してもよいし、(B)~(C)に示されるように、歪んだ側面を有してもよいし、(D)~(E)に示されるように、歪んだ頂面を有してもよい。図7の(F)に示されるように、錐台構造131の断面は、歪んだ側面及び歪んだ頂面を有してもよい。なお、錐台構造131に対応する錐体の頂点を通る断面は必ずしも全て同じ形状ではなく、断面ごとに違う形状を有していてもよい。また、錐台構造131の頂面は、底面と平行でなくとも、又は平面でなくてもよい。
【0056】
図8は、別の実施形態に係る接着剤シートの斜視図である。図8に示される接着剤シート410は、複数の錐体構造31に代えて複数のリブ構造231を有すること以外は図1の接着剤シート10と同じ構成を備える。接着剤シート410は、複数のリブ構造231を含む微細構造113を有する接着剤層212を備える。複数のリブ構造231は、X軸方向に沿って配列されており、各リブ構造231は、Y軸方向に延在している。各リブ構造231は、リブ構造231の頂部に存在する第1の部分14と、第1の部分14よりも下側(底面側)に存在する第2の部分15とを備える。Y軸方向に直交する接着剤シート410の断面は、図2に示される接着剤シート10の断面と同じになる。第1の部分14及び第2の部分15の材料及びXZ断面形状は、図2に示される接着剤シート10における第1の部分4及び第2の部分5の材料及びXZ断面形状とそれぞれ同じである。
【0057】
リブ構造231は、平面上の任意の軸方向(Y軸方向)における長さが、その軸に直交する軸方向(X軸方向)における長さよりも長い平面図形を底面とし、底面の辺の全ての点と、その平面上にない、Y軸方向と実質的に並行である方向に延びる線又は矩形の辺の全ての点とを結んで構成される立体図形である。リブ構造231の断面は、錐体構造31及び錐台構造131と同様に、図6(A)~(F)及び図7(A)~(F)に例示されるような任意の形状を有することができる。リブ構造231の底面のX軸方向の長さに対するY軸方向の長さの比、すなわちアスペクト比は、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、50以上、100以上、500以上、1000以上、又は10000以上、である。リブ構造231は、接着剤シート410の全面に渡って、任意の軸方向に沿って連続していてもよい。
【0058】
図9は、図3の接着剤シートを製造する方法における工程を示す断面図である。図10は、図9の工程に続く工程を示す断面図である。図11は、図10の工程に続く工程を示す断面図である。図3の接着剤シート110は、例えば以下の工程を経ることによって製造され得る。
【0059】
(型の準備工程)
まず、図9(A)に示されるように、型61を準備する。型61は、微細構造61bを有する表面61aを有する。微細構造61bは、複数の錐体構造61cを含む。型61は、例えば金属又は樹脂などの材料からなる平板を、ダイヤモンドカッター又はレーザーを用いて加工することによって、作製され得る。錐体構造61cは、接着剤シート110の錐体構造31と実質的に同一の形状を有する。錐体構造61cのサイズと錐体構造31のサイズとの差異は±5%以内、±3%以内、又は±1%以内であることが好ましい。ただし、錐体構造31の高さHに関しては、第2の部分5の収縮又は重力の影響により、より大きな差異が生じる場合がある。なお、錐体構造31のサイズは、ライナー71を剥離した直後、例えば5分以内、あるいは3分以内のものを意味する。
【0060】
(ライナーの作製工程)
次に、図9(A)~(C)に示されるように、ライナー71に型61を押し当てて、型61の表面61aの微細構造61bをライナー71に転写する。ライナー71の材質としては、転写により微細構造61bを形成可能であり、かつそれを保持可能であるものが挙げられる。ライナー71の一例は、樹脂又は紙からなるシート本体の表面に樹脂が積層されたシート71aと、シート71aの表面に設けられた剥離コーティング71bとを備える。剥離コーティング71bは、例えばシリコーンからなる。微細構造61bの転写は、例えば、ライナー71の表面(剥離コーティング71b)に型61を当て、ライナー71の表面をヒートプレスすることにより行われ得る。転写により、ライナー71の表面には型61が有する微細構造61bに対して相補的な微細構造72が形成される。微細構造72は、錐体構造を有する複数の凹部72aを含む。
【0061】
(第1の部分の形成工程)
次に、図10(A)~(E)に示されるように、ライナー71の微細構造72に接着性材料を含む溶液を適用し、次いで固化させることによって、第1の部分4を形成する。
【0062】
まず、図10(A)に示されるように、ライナー71の表面に形成された微細構造72に、接着性材料を含む溶液81を塗布又はスプレーなどにより適用する。
【0063】
次に、図10(B)に示されるように、余剰な溶液81を、例えばドクターブレード又はスキージー等の除去装置82により掻き落とす。除去装置82は、ライナー71の表面に沿った方向Aに移動する。これにより、図10(C)に示されるように、溶液81がライナー71の表面に形成された凹部72aのそれぞれに貯留した状態となる。ライナー71の表面に形成された微細構造72において、凹部72aと凹部72aとの間隔が近接していると、溶液81を掻き落とし易くなる。
【0064】
図10(D)に示されるように、除去装置82は、除去装置82とライナー71の表面との間に間隔GPが形成された状態で余剰な溶液81を掻き落としてもよい。この場合、凹部72aと凹部72aとの間にも溶液81が残存する。間隔GPは、例えば200μm以上、400μm以下であってもよい。
【0065】
次に、図10(E)に示されるように、凹部72a内の溶液81を乾燥させて溶媒を除去することによって凹部72a内に第1の部分4を形成する。第1の部分4は、各凹部72aの最下部に配置され、固体の接着性材料からなる。乾燥後、必要に応じて、紫外線又は電子線などを第1の部分4に照射して接着性材料を硬化させても良い。一実施形態において、図10(E)に示されるように、第1の部分4は、凹部72aの最下部から途中までを占め、かつ乾燥させる際のライナー71の置き方により定まる水平面と略平行な面を上部側に有する。なお、ライナー71を作製する際に用いた型61において、錐体構造61cの側面と底面とがなす角度θが大きい場合、あるいは錐体構造61cの底面間の距離が小さい場合、接着性材料を含む溶液81を凹部72aの最下部に落とし込むことが容易になる。その結果、第1の部分4の形成も容易になる。溶液81は、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、又はシリコーン系接着剤を適切な溶媒に溶解及び/又は分散させたものである。溶液81に用いる溶媒は、上述した溶液81の掻き落としにも影響を与える場合がある。例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの溶媒を用いる場合、型61における錐体構造61cの底面間の距離は、より近接していたほうが、溶液81を掻き落とし易くなる(例えば50μm以下)。
【0066】
(第2の部分の形成工程)
次に、図11(A)に示されるように、第1の部分4が形成されたライナー71に、非接着性若しくは弱接着性材料又はその前駆体を適用することにより、第2の部分5を形成する。本実施形態において、第2の部分5及び基部32を含む接着剤層12がライナー71上に形成される。第1の部分4と第2の部分5の間に、それ以外の任意の部分が存在する場合には、第2の部分5の形成は、第1の部分4の形成後、その任意の部分を形成した後に行われる。非接着性又は弱接着性材料の適用は、種々の方法で行うことができる。例えば、既にシート状などに成型した非接着性又は弱接着性材料をライナー71の微細構造72に貼り付け、熱及び/又は圧力をかけて、あるいは常温常圧下で一定時間以上静置することにより、非接着性又は弱接着性材料を流動させてライナー71の表面の凹部72aに入り込ませ、凹部72aの最下部にある第1の部分4と接合させる。他の例では、非接着性又は弱接着性材料となる前駆体を、ライナー71の微細構造72に塗布して凹部72aに入り込ませ、次いでエネルギー線を照射する。他の例では、非接着性又は弱接着性材料の溶液を、ライナー71の微細構造72に塗布して凹部72aに入り込ませ、次いで必要に応じて加熱し、乾燥させて溶媒を除去する。
【0067】
(キャリアの形成工程)
次に、図11(B)~(C)に示されるように、接着剤層12上に例えばPVCフィルム等のキャリア102を形成する。キャリア102は、例えばローラー103を用いて接着剤層12上に積層される。
【0068】
上記各工程を経ることによって、図3の接着剤シート110を製造することができる。図11(A)に示されるように第2の部分5を形成した後、キャリア102を形成せず、ライナー71を接着剤層12から剥離してもよい。この場合、図1及び図2の接着剤シート10を製造することができる。また、第2の部分5を形成する際に、第1の部分4が凹部72a内に残存した一対のライナー71(図10(E)参照)を準備し、一対のライナー71間に非接着性若しくは弱接着性材料又はその前駆体を配置してもよい。この場合、図4の接着剤シート210を製造することができる。さらに、型61の微細構造61bの形状を変更することによって、上記と同様に図5の接着剤シート310を製造することができる。
【0069】
図12は、図3の接着剤シート110を対象に貼り付ける工程を示す断面図である。まず、図12(A)に示されるように、接着剤シート110からライナー71を除去し、接着剤層12の第1の部分4が対象111に対向するように接着剤シート110を対象111上に載置する。対象111は、例えば壁材、床材、タイル材、サッシ材、看板等の物体であってもよい。
【0070】
キャリア102に圧力(矢印B)をかけることによって、図12(B)に示されるように、接着剤層12を対象111に貼り付ける。これにより、第1の部分4が対象111に接着されると共に押しつぶされて変形する。このとき、第2の部分5は殆ど変形しないので、隣り合う錐体構造31間に空隙114が形成される。空隙114は、隣り合う第2の部分5間に形成される。空隙114は、隣り合う第1の部分4間に形成されてもよい。接着剤層12が対象111に貼り付けられた後、隣り合う第1の部分4同士が接触してもよい。この場合でも、空隙114は、隣り合う第2の部分5間に形成される。
【0071】
図13は、別の対象に貼り付けられた接着剤シートを示す断面図である。図13に示されるように、キャリア102に圧力をかけることによって接着剤層12を対象111aに貼り付ける。対象111aは、凹凸表面を有する。対象111aは、例えば皮膚等の人体又は動物の表層部であってもよい。対象111aの表面に凹凸があっても、接着剤層12が対象111aに貼り付けられた後、隣り合う錐体構造31間に空隙114が形成される。
【0072】
同様に、接着剤シート10,210,310を、対象111,111aに貼り付けることができる。いずれの場合においても、隣り合う凸型構造間に空隙が形成される。
【0073】
図14は、一実施形態に係るデバイス積層体の断面図である。図14に示されるデバイス積層体500は、接着剤シート10(図1及び図2参照)と、基材としてのキャリア102と、接続層120と、デバイス122とを備える。キャリア102は、接着剤シート10とデバイス122との間に配置される。接続層120は、キャリア102とデバイス122との間に配置される。接着剤シート10の接着剤層12は、キャリア102に近い表面12bとキャリア102から遠い表面12aとを有する。接着剤層12は、表面12aに微細構造13を有する。
【0074】
デバイス積層体500は、例えば皮膚に貼り付けられるウェアラブルデバイスであってもよい。デバイス122は、例えばリチウムイオン二次電池等の蓄電デバイス、例えばコンピュータ等の電子デバイスであってもよい。接続層120は、例えば接着剤層であってもよいし、フックとループとを含むメカニカルファスナーであってもよい。
【0075】
上記デバイス積層体500では、接着剤シート10の錐体構造31を対象111,111aに貼り付けた後、隣り合う錐体構造31間に空隙を形成することができる。そのため、デバイス122が通気性を有してない場合であっても、接着剤シート10の錐体構造31を皮膚に貼り付けた後、皮膚から発生した水蒸気が空隙を通って外部に放出される。また、空隙に剥離液を流すことによって、接着剤シート10と対象111,111aとの間の接着性を低下させることができる。したがって、デバイス積層体500を対象111,111aから短時間で剥離できると共に、デバイス積層体500及び対象111,111a(例えば皮膚)が損傷し難い。
【0076】
図15は、一実施形態に係る接着剤シートの剥離方法における工程を示す断面図である。本実施形態に係る接着剤シートの剥離方法では、図15に示されるように、接着剤シート10の錐体構造31が対象111に貼り付けられた状態で、隣り合う錐体構造31間に形成された空隙114に剥離液115を流すことによって、接着剤シート10を対象11から剥離する。剥離液115としては、例えば3MTMCavilonTM皮膚用リムーバー、ブラバブランドの粘着剥離剤が用いられる。
【0077】
本実施形態の剥離方法では、空隙114に剥離液115を流すことによって、接着剤シート10と対象111との間の接着性を低下させることができる。したがって、接着剤シート10を対象111から短時間で剥離できると共に、接着剤シート10及び対象111が損傷し難い。
【実施例
【0078】
以下、実施例を用いて本開示をより詳細に説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
【0079】
実施例1
図11の接着剤シート110からライナー71を除去した構造を有する実施例1の接着剤シートを以下のように作製した。
【0080】
まず、表面に複数の正四角錐が格子状に配列されたポリプロピレンシートを厚さ1mmのSUS板に貼り付けることによって、型(ライナー71に相当)を準備した。正四角錐の高さ(図5のHに相当)は65μm、隣り合う正四角錐の頂点間の間隔(図5のBに相当)は100μmであった。
【0081】
次に、正四角錐間に形成された空隙を充填するように、ナイフコーターを用いて第1の部分4の材料を含む溶液を型上に塗布した。型とナイフコーターとの間隔は300μmであった。第1の部分4の材料を含む溶液として、アクリルポリマー溶液(アクリル酸イソオクチル:アクリル酸=90:10、固形分18質量%)100質量部と、可塑剤(パルミチン酸イソオクチル、製品名:NIKKOL SG-IOP、日光ケミカルズ社製)4.5質量部と、色素(製品名:ハイオレンジLH、大和化成社製)0.05質量部と、イソプロピルアルコール50質量部と、トルエン50質量部とからなる溶液を用いた。溶液の固形分は10%であった。塗布後、120℃のオーブン中で溶液を乾燥して第1の部分4を形成した。37℃における第1の部分4の貯蔵弾性率(G’)は1.73×10Paであった。
【0082】
次に、正四角錐間に形成された空隙を充填するように、ナイフコーターを用いて第2の部分5の材料を含む溶液を型上に塗布した。型とナイフコーターとの間隔は1mmであった。第2の部分5の材料を含む溶液として、アクリルポリマー溶液(アクリル酸イソオクチル:アクリル酸=90:10、固形分18質量%)100質量部と、架橋剤(1,1’-イソフタロイルビス(2-メチルアジリジン)、3M社製、固形分3%)3質量部と、イソプロピルアルコール50質量部と、トルエン50質量部とからなる溶液を用いた。溶液の固形分は9%であった。塗布後、120℃のオーブン中で溶液を乾燥して第2の部分5を形成した。37℃における第2の部分5の貯蔵弾性率(G’)は1.07×10Paであった。これにより、接着剤層が型上に形成された(図11(A)参照)。
【0083】
次に、キャリアとしてのPETフィルム(厚さ25μm)を接着剤層に積層した後、型を除去して実施例1の接着剤シートを作製した。
【0084】
(実施例2)
第1の部分4の材料を含む溶液において可塑剤を1.8質量部、色素を0.5質量部とし、第1の部分4の材料を含む溶液を塗布する際の型とナイフコーターとの間隔を200μmとし、第2の部分5の材料を含む溶液において架橋剤を6質量部としたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の接着剤シートを作製した。37℃における第1の部分4の貯蔵弾性率(G’)は4.05×10Paであった。37℃における第2の部分5の貯蔵弾性率(G’)は1.25×10Paであった。
【0085】
(実施例3)
第1の部分4の材料を含む溶液を塗布する際の型とナイフコーターとの間隔を300μmとしたこと以外は実施例2と同様にして実施例3の接着剤シートを作製した。
【0086】
(実施例4)
第2の部分5の材料を含む溶液において架橋剤に代えて窒化ホウ素フィラー(製品名:Platelets012、3M社製)12.6質量部を用い、溶液の固形分を11%とし、キャリアとしてPETフィルムに代えてサージカルテープ(製品名:BlendermTM、3M社製)を用いたこと以外は実施例3と同様にして実施例4の接着剤シートを作製した。37℃における第2の部分5の貯蔵弾性率(G’)は4.13×10Paであった。
【0087】
(参考例1)
第1の部分4の材料を含む溶液を塗布する際の型とナイフコーターとの間隔を1mmとし、第2の部分5を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして参考例1の接着剤シートを作製した。
【0088】
(参考例2)
第1の部分4を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして参考例2の接着剤シートを作製した。
【0089】
(参考例3)
表面に複数の正四角錐が形成された型に代えて平坦な表面を有する型を用いたこと以外は参考例1と同様にして参考例3の接着剤シートを作製した。
【0090】
(参考例4)
第1の部分4の材料を含む溶液を塗布する際の型とナイフコーターとの間隔を1mmとし、第2の部分5を形成しなかったこと以外は実施例3と同様にして参考例4の接着剤シートを作製した。
【0091】
(参考例5)
第1の部分4を形成しなかったこと以外は実施例3と同様にして参考例5の接着剤シートを作製した。
【0092】
(参考例6)
表面に複数の正四角錐が形成された型に代えて平坦な表面を有する型を用いたこと以外は参考例4と同様にして参考例6の接着剤シートを作製した。
【0093】
(参考例7)
表面に複数の正四角錐が形成された型に代えて平坦な表面を有する型を用いたこと以外は参考例5と同様にして参考例7の接着剤シートを作製した。
【0094】
(参考例8)
第1の部分4を形成しなかったこと以外は実施例4と同様にして参考例8の接着剤シートを作製した。
【0095】
(参考例9)
第1の部分4の材料を含む溶液を塗布する際の型とナイフコーターとの間隔を1mmとし、第2の部分5を形成しなかったこと以外は実施例4と同様にして参考例9の接着剤シートを作製した。
【0096】
(評価結果)
実施例1~4及び参考例1~9の接着剤シートについて以下の評価を行った。
【0097】
(180°剥離接着強度)
まず、各接着剤シートを幅10mmにカットしてSUS304BA板に積層し、2kgのローラーを一往復させて圧着した。圧着直後に、剥離試験装置(製品名:RTG-1250、A&D社製)を用いて、速度300mm/分で180°方向に接着剤シートを引っ張ってSUS304BA板から剥離した。このようにして、各接着剤シートの180°剥離強度を測定した。結果を図16に示す。
【0098】
図16は、実施例及び参考例において接着剤シートの180°剥離接着強度を示すグラフである。図16中、Exは実施例を示し、CEは参考例を示す。図16に示されるように、参考例2,5,8において接着剤シートの接着性は非常に低くなった。一方、参考例9において接着剤シートの接着性は非常に高くなった。
【0099】
(外観)
まず、実施例1~3及び参考例1~5の接着剤シートをSUS304BA板に積層し、2kgのローラーを一往復させて圧着した。また、実施例4及び参考例8,9の接着剤シートをガラス板に積層し、2kgのローラーを一往復させて圧着した。顕微鏡(VHX500、キーエンス社製)を用いて、PETフィルム側から各接着剤シートの正四角錐の外観を観察した。実施例1,2及び参考例1の結果を図17に示す。
【0100】
図17は、実施例及び参考例において貼り付け前後の接着剤シートを示す図面である。図17(A)は、SUS304BA板に貼り付ける前の実施例1の接着剤シートを示す。図17(B)は、SUS304BA板に貼り付けた後の実施例1の接着剤シートを示す。図17(C)は、SUS304BA板に貼り付ける前の実施例2の接着剤シートを示す。図17(D)は、SUS304BA板に貼り付けた後の実施例2の接着剤シートを示す。図17(E)は、SUS304BA板に貼り付ける前の参考例1の接着剤シートを示す。図17(F)は、SUS304BA板に貼り付けた後の参考例1の接着剤シートを示す。
【0101】
図17(A)~(D)に示されるように、実施例1,2では、隣り合う正四角錐間に形成される空隙が、接着剤シートを対象に貼り付けた後においても保持されている。実施例3においても同様に、貼り付け後に空隙が維持されていた。一方、図17(E)~(F)に示されるように、参考例1では、隣り合う正四角錐間に形成される空隙が、接着剤シートを対象に貼り付けた後において潰れている。参考例2~5においても同様に、貼り付け後に空隙が維持されていなかった。なお、参考例3,6,7の接着剤シートでは、接着剤層の表面に正四角錐が形成されない。
【0102】
(剥離液を用いた剥離試験)
実施例3及び参考例3の接着剤シートを19mm×50mmのサイズにカットしてSUS304BA板に積層し、2kgのローラーを一往復させて圧着した。圧着直後に、剥離試験装置(製品名:RTG-1250、A&D社製)を用いて、速度300mm/分で180°方向に接着剤シートを引っ張ってSUS304BA板から剥離した。このようにして、各接着剤シートの180°剥離強度を測定した。実施例3の接着剤シートの180°剥離強度は1.33N/19mmであった。参考例3の接着剤シートの180°剥離強度は3.79N/19mmであった。
【0103】
次に、実施例3及び参考例3の接着剤シートを19mm×50mmのサイズにカットしてSUS304BA板に積層し、2kgのローラーを一往復させて圧着した。圧着から20分経過した後、剥離液(皮膚用リムーバー、製品名:CavilonTMリムーバー、3M Company社製)を接着剤シートとSUS304BA板との界面近傍に滴下した。滴下直後に、剥離試験装置(製品名:RTG-1250、A&D社製)を用いて、速度300mm/分で180°方向に接着剤シートを引っ張ってSUS304BA板から剥離した。このようにして、各接着剤シートの180°剥離強度を測定した。実施例3の接着剤シートの180°剥離強度は0.04N/19mmであった。参考例3の接着剤シートの180°剥離強度は3.51N/19mmであった。
【0104】
実施例3の接着剤シートでは、剥離液を用いることによって、接着剤シートとSUS304BA板との間の接着力の大幅な低下が確認された。一方、参考例3の接着剤シートでは、剥離液を用いても、接着剤シートとSUS304BA板との間の接着力はあまり低下しなかった。実施例3の接着剤シートでは、隣り合う正四角錐間に形成された空隙を剥離液が通って接着剤シートの全面に広がったため、接着剤シートの全面において接着力が低下した。一方、参考例3の接着剤シートでは、剥離液が滴下された部分において接着力が低下したものの、その他の部分において接着力が維持されていた。
【0105】
参照符号リスト
1...底面、12a,12b,112a,112b...表面、2...頂部、3...側面、4,14...第1の部分、5,15...第2の部分、11,111,111a...対象、12,112,212...接着剤層、13,113...微細構造、10,110,210,310,410...接着剤シート、114...空隙、115...剥離液、120...接続層、122...デバイス、500...デバイス積層体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図17F
【国際調査報告】