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特表2023-541766慢性腎疾患の治療のためのジボテンタン及びダパグリフロジンの組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】慢性腎疾患の治療のためのジボテンタン及びダパグリフロジンの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20230927BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 31/351 20060101ALI20230927BHJP
   C07D 309/10 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61P13/12
A61K31/497
A61K31/351
C07D309/10
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501052
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 IB2021056177
(87)【国際公開番号】W WO2022009163
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/050,147
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/196,793
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】グレアスリー,ペータル
(72)【発明者】
【氏名】アールストレーム,クリスティーネ
(72)【発明者】
【氏名】スクルティック,スタンコ
(72)【発明者】
【氏名】メンシエス,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】サンネイカー・ミーケル
(72)【発明者】
【氏名】メルシエ・アンネ-クリスティーナ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB06
4C063CC58
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA07
4C086BC71
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA81
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、ある特定のエンドセリン関連疾患の治療における使用のためのナトリウム依存性グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害剤ダパグリフロジンと組み合わせたエンドセリン受容体アンタゴニスト(ERA)ジボテンタンに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者における慢性腎疾患の治療における使用のためのジボテンタン、N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミド、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であって、ジボテンタン、又はその薬学的に許容される塩が、ダパグリフロジン、(1S)-1,5-無水-1-{4-クロロ-3-[(4-エトキシフェニル)メチル]フェニル}-D-グルシトール、
【化2】
又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与される、ジボテンタン、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
ジボテンタン、又はその薬学的に許容される塩が、ダパグリフロジン、又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて1日1回投与される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ジボテンタン、又はその薬学的に許容される塩が、ダパグリフロジン、又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて約5mgの用量で1日1回投与され、ダパグリフロジンが、10mgの用量で投与される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
ジボテンタン、又はその薬学的に許容される塩が、ダパグリフロジン、又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて約1.5mgの用量で1日1回投与され、ダパグリフロジンが、10mgの用量で投与される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
ジボテンタン、又はその薬学的に許容される塩が、ダパグリフロジン、又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて約0.25mgの用量で1日1回投与され、ダパグリフロジンが、10mgの用量で投与される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項6】
前記ヒト患者が、eGFR 20~60ml/分/1.73m2を有するステージ1~4患者として分類される慢性腎疾患患者である、請求項1~5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
前記ヒト患者が、ステージ3~4患者として分類される慢性腎疾患患者である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記ヒト患者が、ステージ4患者として分類される慢性腎疾患患者である、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記ヒト患者が、ステージ3a又は3b患者として分類される慢性腎疾患患者である、請求項6に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ある特定のエンドセリン関連疾患の治療における使用のためのナトリウム依存性グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害剤ダパグリフロジンと組み合わせたエンドセリン受容体アンタゴニスト(ERA)ジボテンタンに関する。
【背景技術】
【0002】
エンドセリン-1(ET-1)は、強力な血管収縮性ペプチドである。エンドセリンA及びB受容体(ET及びET)によって調節されるET-1は、非常に強力な全身性血管収縮剤であり且つ腎疾患進行のドライバー因子である。慢性腎疾患(CKD)において、ET-1レベルは、尿中アルブミンクレアチニン比(UACR)及び腎機能障害の重症度とともに増大する(非特許文献1;非特許文献2)。タンパク尿、血管収縮及び炎症を含むET-1の病理学的効果は、エンドセリンA(ET)受容体によって支配的に駆動されると考えられる(非特許文献3)。ETアンタゴニストは、腎臓保護効果を実証した。糖尿病性腎疾患(DKD)において、尿中アルブミンとクレアチニン比(UACR)における30%の低下が実証されている(非特許文献4;非特許文献5)。しかしながら、ET受容体アンタゴニストによる臨床開発は、体液貯留及び心不全に関する入院の問題のために制限されてきた(非特許文献5)。ジボテンタンは、前立腺癌の治療のために開発された強力なET受容体アンタゴニストであるが、第3相における不十分な有効性及びプラセボと比較した末梢性浮腫の発生率の17%の増加のために2011年に中止された。
【0003】
SGLT-2阻害剤は、糖尿の結果としての浸透圧利尿、尿量の増加及び全身性のナトリウム負荷の変化に大部分は依存しない体液過剰の低減をもたらす。SGLT-2阻害剤は、腎臓におけるグルコース再吸収を遮断し、グルコース排出量を増加させ、血中グルコース濃度を低下させる。この十分に特徴付けられた作用機序に加えて、SGLT-2阻害剤は、血圧を低下させ、血管硬化度を低下させ、内皮機能を向上させ、且つERAのものに類似する抗炎症及び抗線維化特性を有する(非特許文献6)。SGLT2阻害剤は、DKDにおける有効性が証明されている(非特許文献7)。ダパグリフロジンは、DAPA-CKD臨床試験においてCKDにおけるその有効性について検討されており、最近、圧倒的な有効性のために早期に中止された。2019年のWashington,DCにおける米国腎臓病週間の会合で示されたSONAR臨床試験の事後分析は、ETアンタゴニストアトラセンタン(atrasenetan)及びSGLT2阻害剤の両方を服用するDKD患者(n=14)のサブセットにおいて、アトラセンタン(atrasenetan)単独と比較したUACRの低下の増加及び体液貯留の代替であるアトラセンタンによって引き起こされる体重増加の減少を示した。
【0004】
ジボテンタン、N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミドは、式Iの化学構造を有する。
【化1】
ZD4054とも称されるジボテンタンは、ジボテンタンの化学合成に対する詳細とともに特許文献1においてエントセリン(entothelin)受容体アンタゴニストとして開示されている。ジボテンタンによるエンドセリンA受容体の特異的阻害は、非特許文献8によって報告されている。
【0005】
ダパグリフロジン、(1S)-1,5-無水-1-{4-クロロ-3-[(4-エトキシフェニル)メチル]フェニル}-D-グルシトールは、式IIの化学構造を有する。
【化2】
ダパグリフロジンは、(食事及び運動の補助として)2型糖尿病を有する成人における血糖制御を改善し、2型糖尿病及び確定した心血管疾患又は複数の心血管リスク因子を有する成人における心不全に関する入院のリスクを低下させるために承認されている、ヒト腎臓ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT2)(SGLT2i)の強力であり、高度に選択的であり、且つ経口的に活性な阻害剤である。ダパグリフロジンは、化学合成に対する詳細とともに特許文献2において開示されている。
【0006】
エンドセリンA受容体の特異的阻害剤、ジボテンタンをSGLT-2阻害剤ダパグリフロジンと組み合わせるとき、ダパグリフロジンの利尿作用は、エントセリン(entothelin)受容体アンタゴニストのジボテンタンと関連する体液貯留副作用によって軽減され、その結果、それぞれの個々の化合物と関連する両方のリスクを軽減し得る。
【0007】
本明細書において、ダパグリフロジンは、ジボテンタンに駆動される血液希釈(血液希釈は、ヘマトクリット濃度の低下として定義される)を軽減し、したがって、ある特定のエンドセリン関連疾患の治療における有効性を実証するためのジボテンタン及びダパグリフロジンの組み合わせに関する潜在力を強調することが示される。
【0008】
エンドセリンA及びB受容体(ET及びET)によって調節されるエンドセリン-1は、非常に強力な全身性血管収縮剤であり且つ腎疾患進行のドライバー因子である。
【0009】
ETアンタゴニスト遮断薬は、腎機能を改善する一方で、ETはまた循環エンドセリン-1を除去するため、ET遮断薬は好ましくない。
【0010】
エンドセリン関連疾患は、多くの心腎代謝疾患において生じるエンドセリンに起因する血管収縮、増殖又は炎症の増大と関連する。そのようなエンドセリン関連疾患の例は、高血圧、冠疾患、心不全、腎臓及び心筋虚血、慢性腎疾患(CKD)である。特に、高血圧又は糖尿病と関連するCKD(糖尿病性腎疾患、DKD)。ERAは、急性(末梢血管拡張)及び慢性(血管拡張、血管構造及び交感神経活動、抗血栓性、抗炎症性の調節における改善)効果を有することによって、糖尿病性動脈症を含む末梢動脈閉塞疾患の治療において有益であり得る。
【0011】
SGLT-2の作用機序は、推定的に糸球体過剰濾過の現象を引き起こす尿細管糸球体フィードバックのリセットをもたらすと考えられる、ネフロンの腎近位尿細管におけるグルコース及びナトリウムの取り込みの同時の阻害を引き起こす。SGLT-2阻害剤の有効性は、低い血漿グルコースレベル又は糸球体濾過率(GFR)の低下により低減すると考えられ、したがって、SGLT-2阻害剤は、低血糖の発症に関して固有の低いリスクを有する。結果として、SGLT-2阻害剤の特性は、非糖尿病患者であってもHFpEFを含むHFを治療する道を開く可能性がある(非特許文献9)。
【0012】
SGLT-2阻害剤の薬理学的作用と関連する副作用は、体液量減少/血管内容量の減少であり、潜在的に脱水症状、血液量減少、起立性低血圧、又は低血圧を引き起こす。したがって、SGLT-2阻害剤は一般に、末梢血管疾患と関係する血管損傷の推定上の原因である血液濃縮のマーカーのヘマトクリット(Hot)の上昇及び血液粘度の上昇を誘導する。
【0013】
血清クレアチニンは増加され、eGFRは、SGLT-2阻害剤の薬理学的(pharmological)作用によって減少される。ET受容体の効果的な遮断を引き起こすERAであるジボテンタンは、ダパグリフロジンと組み合わせて処方されるとき、エンドセリン関連疾患の治療に適する可能性がある。ERAをSGLT-2阻害剤と組み合わせるとき、そのようなSGLT-2阻害剤の利尿作用及び心不全のリスクを低減する際のその潜在的な薬理学的作用は、体液貯留及び潜在的に関連するうっ血性心不全のリスクの上昇などのERAと一般に関連する最も顕著な副作用を軽減するのに好適であり得る。そのような組み合わせ治療は、開示されるエンドセリン関連疾患に対する薬理学的作用をもたらす可能性がある一方で、ジボテンタンの最適な有効投与量でさえ、潜在的にはジボテンタンの増加した投与量でさえ、ジボテンタン単独の最大耐用量と比較したとき、好ましい副作用プロファイルを維持する。ジボテンタンがダパグリフロジンと組み合わせて使用されるとき、例えば、軽減された副作用に起因して到達可能であり得るジボテンタンの増加された用量は、器官において広く分布されるエンドセリンパラクリン系の有害な作用によって引き起こされる疾患に対する影響を増幅することができる可能性がある。そのような組み合わせ治療は、ベネフィット/リスク比を改善し得る。ERAは、血液希釈を介してヘマトクリット(Hot)を低下させると記載されている。したがって、ダパグリフロジンと組み合わせて使用されるとき、ジボテンタンは、体液量減少作用に起因する血液濃縮などのSGLT-2阻害剤と一般に関連する最も顕著な副作用を弱める可能性がある。ERAは、様々な機構(血流の増加、インスリンシグナル伝達の改善)によって血糖レベルを改善すると記載されている。したがって、ダパグリフロジンと組み合わせて使用されるとき、ジボテンタンは、血糖減少に対する相加的、或いは相乗的効果を有し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第1996040681号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2003099836号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Grenda et al.,Nephrol Dial Transplant.2007;22(12):3487-3494
【非特許文献2】Kohan Am J Kidney Dis.1997;29(1):2-26
【非特許文献3】Goddard et al.,Circulation.2004;109(9):1186-1193
【非特許文献4】Heerspink et al.,Diabetes Obes Metab.2018;20(8):1829-1835
【非特許文献5】Heerspink et al.,Lancet 2019;393(10184):1937-1947
【非特許文献6】H.J.Heerspink et al.,Circulation(2016),134(10):752-772
【非特許文献7】Stephens et al.,Diabetes Obes Metab.2020;22 Suppl 1:32-45
【非特許文献8】Morris et al.,British Journal of Cancer(2005),92,2148-2152
【非特許文献9】P.Martens et al.,Curr Treat Options Cardio Med(2017),19:23
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様では、ヒト患者における慢性腎疾患(CKD)の治療における使用のためのジボテンタンが提供され、ジボテンタンは、ダパグリフロジンと組み合わせて投与される。
【0017】
さらなる態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者において慢性腎疾患(CKD)を治療する方法であって、ジボテンタンが、治療有効量のダパグリフロジンと組み合わせて投与される方法が提供される。
【0018】
さらなる態様では、ヒト患者における慢性腎疾患(CKD)の治療のための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、ジボテンタンは、ダパグリフロジンと組み合わせて投与される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1、ジボテンタンの経口投与後の実験1における個々のジボテンタン血中濃度を示す。
図2】実施例1、ジボテンタン単独又はダパグリフロジンと組み合わせた経口投与後の実験2における個々のジボテンタン血中濃度を示す。
図3】実施例1、ダパグリフロジン単独又はジボテンタンと組み合わせた経口投与後の実験2における個々のダパグリフロジン血中濃度を示す。
図4】実施例1、実験1におけるHct濃度に対するジボテンタンの効果を示す。
図5】実施例1、実験1における体重に対するジボテンタンの効果を示す。
図6】実施例1、実験2におけるHctに対するジボテンタン、ダパグリフロジン及び組み合わせの効果を示す。
図7】実施例1、実験2における体重に対するジボテンタン、ダパグリフロジン及び組み合わせの効果を示す。
図8】実施例1、実験2における糖尿、水分及び食物摂取に対するダパグリフロジン及びジボテンタンの効果を示す。
図9】DAPA CKD第3相臨床試験からのCKD及び2型糖尿病を有する患者又は2型糖尿病を有しない患者におけるダパグリフロジンのUACR低下効果を示す。
図10】DAPA CKD第3相臨床試験からの糖尿病状態によって層別化されたCKDを有する患者におけるUACRの後退及び進行を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の態様では、ヒト患者における慢性腎疾患(CKD)の治療における使用のためのジボテンタンが提供され、ジボテンタンは、ダパグリフロジンと組み合わせて投与される。
【0021】
さらなる態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者において慢性腎疾患(CKD)を治療する方法であって、ジボテンタンが、治療有効量のダパグリフロジンと組み合わせて投与される方法が提供される。
【0022】
さらなる態様では、ヒト患者における慢性腎疾患(CKD)の治療のための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、ジボテンタンは、ダパグリフロジンと組み合わせて投与される。
【0023】
ある特定の実施形態では、慢性腎疾患(CKD)は、腎臓病予後対策国際機構(Kidney Disease Improving Global Outcomes)(KDIGO)ガイドラインによって定義されるとおりのステージ1~4のCKDである。
【0024】
ある特定の実施形態では、CKDは、ステージ2~3のCKDである。
【0025】
ある特定の実施形態では、CKDは、ステージ3~4のCKDである。
【0026】
ある特定の実施形態では、CKDは、ステージ4のCKDである。
【0027】
ある特定の実施形態では、CKDは、ステージ3a又は3bのCKDである。
【0028】
ジボテンタン、N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミドは、式Iの化学構造を有する。
【化3】
【0029】
ジボテンタンはまた、ZD4054と称される。
【0030】
実施形態では、ジボテンタン、又はその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。
【0031】
実施形態では、ジボテンタンの1日総用量は、約10mgである。
【0032】
実施形態では、ジボテンタンの1日総用量は、約5mgである。
【0033】
実施形態では、ジボテンタンの1日総用量は、約1.5mgである。
【0034】
実施形態では、ジボテンタンの1日総用量は、約0.5mgである。
【0035】
実施形態では、ジボテンタンの1日総用量は、約0.25mgである。
【0036】
実施形態では、ジボテンタン、又はその薬学的に許容される塩は、錠剤形態である。
【0037】
実施形態では、ジボテンタン、又はその薬学的に許容される塩は、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物の形態で投与される。さらなる実施形態では、組成物は、1種以上の医薬希釈剤、1種以上の医薬崩壊剤又は1種以上の医薬潤滑剤を含む。
【0038】
ダパグリフロジン、(1S)-1,5-無水-1-{4-クロロ-3-[(4-エトキシフェニル)メチル]フェニル}-D-グルシトールは、式IIの化学構造を有する。
【化4】
【0039】
実施形態では、ダパグリフロジン、又はその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。
【0040】
少なくとも1つの実施形態では、ダパグリフロジンは、薬学的に許容される溶媒和物、混合された溶媒和物、又は錯体の形態である。本明細書で提供されるいくつかの態様では、ダパグリフロジンは、非結晶性固体の形態である。本明細書で提供されるいくつかの態様では、ダパグリフロジンは、結晶性固体の形態である。本明細書で提供されるいくつかの態様では、ダパグリフロジンは、(S)-プロピレングリコール((S)-PG)溶媒和物の形態であり、これは、以下の構造を有する。
【化5】
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、ダパグリフロジンは、薬学的に許容される溶媒和物、混合された溶媒和物、又は錯体の形態である。本明細書で提供されるいくつかの態様では、ダパグリフロジンは、非結晶性固体の形態である。本明細書で提供されるいくつかの態様では、ダパグリフロジンは、結晶性固体の形態である。
【0042】
本明細書で提供されるいくつかの態様では、医薬組成物は、患者に経口投与される。本明細書で提供されるいくつかの態様では、医薬組成物は、患者に錠剤形態で投与される。
【0043】
本明細書で提供されるいくつかの態様では、ダパグリフロジンを含む医薬組成物は、約2.5mg/日~約10mg/日のダパグリフロジンが患者に投与されるのに相当する用量を含む。本明細書で提供されるいくつかの態様では、ダパグリフロジンを含む医薬組成物は、約2.5mg/日、約5mg/日、又は約10mg/日のダパグリフロジンが患者に投与されるのに相当する用量を含む。本明細書で提供されるいくつかの態様では、ダパグリフロジンを含む医薬組成物は、約5mg/日のダパグリフロジンが1日1回患者に投与されるのに相当する用量を含む。本明細書で提供されるいくつかの態様では、ダパグリフロジンを含む医薬組成物は、約10mg/日のダパグリフロジンが1日1回患者に投与されるのに相当する用量を含む。
【0044】
ある態様では、ヒト患者におけるCKDの治療における使用のためのジボテンタンが提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。
【0045】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者においてCKDを治療する方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。
【0046】
ある態様では、ヒト患者におけるCKDの治療のための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。
【0047】
ある態様では、ヒト患者においてUACRを低下させる際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0048】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者においてUACRを低下させる方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0049】
ある態様では、ヒト患者におけるUACRの低下のための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0050】
ある態様では、ヒト患者においてUACRを<300mg/gまで低下させる際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0051】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者においてUACRを<300mg/gまで低下させる方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0052】
ある態様では、ヒト患者におけるUACRの<300mg/gへの低下のための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0053】
ある態様では、ヒト患者におけるUACRの≧3000mg/gへの進行のリスクを低減する際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0054】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者におけるUACRの≧3000mg/gへの進行のリスクを低減する方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0055】
ある態様では、ヒト患者におけるUACRの≧3000mg/gへの進行のリスクを低減するための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0056】
ある態様では、ヒト患者におけるeGFR低下のリスクを低減する際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。いくつかの実施形態では、その使用は、eGFRにおける≧30%の低下のリスクを低減する。いくつかの実施形態では、その使用は、eGFRにおける≧40%の低下のリスクを低減する。
【0057】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者においてeGFR低下のリスクを低減する方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。いくつかの実施形態では、その方法は、eGFRにおける≧30%の低下のリスクを低減する。いくつかの実施形態では、その方法は、eGFRにおける≧40%の低下のリスクを低減する。
【0058】
ある態様では、ヒト患者におけるeGFR低下のリスクを低減するための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。いくつかの実施形態では、その使用は、eGFRにおける≧30%の低下のリスクを低減する。いくつかの実施形態では、その使用は、eGFRにおける≧40%の低下のリスクを低減する。
【0059】
ある態様では、ヒト患者における体液貯留(浮腫)のリスクを低減する際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。いくつかの実施形態では、体液貯留(浮腫)のリスクの低減は、例えば、Hctの低下又は体重の増加によって測定され得る。
【0060】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者において体液貯留(浮腫)のリスクを低減する方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。いくつかの実施形態では、体液貯留(浮腫)のリスクの低減は、例えば、Hctの低下又は体重の増加によって測定され得る。
【0061】
ある態様では、ヒト患者における体液貯留(浮腫)のリスクを低減するための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。いくつかの実施形態では、体液貯留(浮腫)のリスクの低減は、例えば、Hctの低下又は体重の増加によって測定され得る。
【0062】
ある態様では、ヒト患者において体内総水分量を減少させる際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0063】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者において体内総水分量を減少させる方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0064】
ある態様では、ヒト患者において体内総水分量を減少させるための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0065】
ある態様では、ヒト患者において血圧を低下させる際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0066】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者において血圧を低下させる方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0067】
ある態様では、ヒト患者において血圧を低下させるための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0068】
ある態様では、ヒト患者における血圧上昇のリスクを低減する際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0069】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者において血圧上昇のリスクを低下させる方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0070】
ある態様では、ヒト患者における血圧上昇のリスクを低減するための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0071】
ある態様では、ヒト患者においてeGFRの≧40%の低下、末期腎疾患(ESKD)への到達、並びに心血管及び腎死の複合評価項目の発生率を低下させる際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0072】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者においてeGFRの≧40%の低下、末期腎疾患(ESKD)への到達、並びに心血管及び腎死の複合評価項目の発生率を低下させる方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0073】
ある態様では、ヒト患者においてeGFRの≧40%の低下、末期腎疾患(ESKD)への到達、並びに心血管及び腎死の複合評価項目の発生率を低下させるための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0074】
ある態様では、ヒト患者における末期腎疾患(ESKD)への到達の発生率を低下させる際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0075】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者において末期腎疾患(ESKD)への到達の発生率を低下させる方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0076】
ある態様では、ヒト患者における末期腎疾患(ESKD)への到達の発生率を低下させるための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0077】
ある態様では、ヒト患者における心血管又は腎死の発生率を低下させる際の使用であって、個別に、連続的に、又は同時に:i)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンをヒト患者に投与することを含む使用のためのジボテンタンが提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0078】
ある態様では、ヒト患者への治療有効量のジボテンタンの投与を含むそのような治療を必要とするヒト患者において心血管又は腎死の発生率を低下させる方法であって、治療が、ヒト患者へのi)治療有効量のジボテンタン及びii)治療有効量のダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む方法が提供される。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0079】
ある態様では、ヒト患者における心血管又は腎死の発生率を低下させるための医薬の製造におけるジボテンタンの使用が提供され、治療は、ヒト患者へのi)ジボテンタン及びii)ダパグリフロジンの個別、連続的、又は同時の投与を含む。さらなる実施形態では、ヒト患者は、CKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ1~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3~4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ4の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ3a又は3bの患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、ステージ2~3の患者として分類されたCKDヒト患者である。さらなる実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有するCKDヒト患者である。他の実施形態では、ヒト患者は、2型糖尿病を有しないCKDヒト患者である。
【0080】
上の態様のいずれかにおいて、方法及びその使用はまた、単独又は少なくとも1種の標準治療のCKD薬剤と組み合わせた少なくとも1種のSGLT2-I(例えば、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、カナグリフロジンなど)を受容するヒト患者に関連するものあり得る。そのような態様では、標準治療のCKD薬剤は、ACE-I(例えば、カプトプリル、エナラプリル、及びリシノプリル)及び/又はARB(バルサルタン、ロサルタン、及びイルベサルタン)であり得る。
【0081】
上の態様のいずれかにおいて、方法及びその使用は、ベースラインの患者に関連するものであり得る。いくつかの実施形態では、方法及びその使用は、単独又は少なくとも1種の標準治療のCKDと組み合わせた少なくとも1種のSGLT2-Iを受容する患者と比較されるベースラインの患者に関連するものであり得る。
【0082】
ある態様では、ジボテンタン及び薬学的に許容される担体を含む第1の医薬組成物;並びに
ダパグリフロジン及び薬学的に許容される担体を含む第2の医薬組成物
を含むキットが提供される。
【0083】
「治療する」若しくは「治療」若しくは「治療すること」又は「軽減する」若しくは「軽減すること」などの用語は、診断された病状又は障害を治癒する、減速させる、その症状を緩和する、及び/又はその進行を停止させる治療的手段を指す。したがって、治療を必要とする者としては、障害を有すると既に診断されたか又は障害を有することが疑われる者が挙げられる。治療を必要とする患者又は対象は、CKDと診断された者を含み得る。
【0084】
「治療有効量」又は「有効量」は、患者に、単一用量として又は一連の用量の一部として投与した場合に、少なくとも1つの治療効果を生じさせるのに有効な、本開示の少なくとも1つの化合物、又は少なくとも1つのそのような化合物を含む医薬組成物の量を指す。最適な用量は一般に、実験モデル及び/又は臨床治験を使用して決定され得る。本明細書に記載される治療薬(予防的利益のために投与される場合を含む)のそれぞれについての前臨床研究及び臨床研究の設計及び実行は、十分に関連技術の当業者の技術の範囲内である。治療薬の最適な用量は、患者の体質量、体重、及び/又は血液量によって決まり得る。患者は一般に、治療有効性について、治療又は予防されている疾患、障害、及び/又は状態に好適なアッセイを使用して監視されてもよく、当該アッセイは、当業者によく知られており、本明細書中に記載されている。患者に投与される化合物のレベルは、患者由来の体液、例えば、血液、血液画分(例えば、血清)、及び/若しくは尿、並びに/又は他の生体試料中の化合物(又は化合物の代謝産物)のレベルを判定することによって監視され得る。治療レジメンの過程で化合物のレベルを測定するために、化合物、又はその代謝産物を検出するために当技術分野で実施されている任意の方法が使用され得る。或いは、薬理学的及び/又は生理学的な効果は、予防的であってもよく、すなわち、その効果は、疾患又はその症状を完全又は部分的に予防する。この点に関して、開示される方法は、「予防有効量」の薬物(例えば、ジボテンタン又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、混合された溶媒和物、錯体、若しくはプロドラッグ並びにダパグリフロジン又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、混合された溶媒和物、錯体、若しくはプロドラッグ)を投与することを含む。「予防有効量」は、所望される予防的結果(例えば、CKD又は疾患発症の予防)を達成するのに必要な投与量及び期間で有効な量を指す。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「対象」及び「患者」は互換的に使用される。いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0086】
本明細書で使用する場合、用語「末期腎疾患(EKSD)」は、(i)持続的なeGFR<15mL/分/1.73m2を有すること、(ii)長期的な透析治療を受けること、又は(iii)腎移植を受けることを指す。いくつかの実施形態では、「持続的な」は、3ヶ月隔てた第2のeGFR試験による同様のeGFR測定値の確認を指す。
【0087】
用語「投与する」、「投与すること」、「投与」などは、本明細書で使用する場合、薬物、例えば、本明細書に記載されるとおりのジボテンタン又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、混合された溶媒和物、錯体、若しくはプロドラッグ並びにダパグリフロジン又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、混合された溶媒和物、錯体、若しくはプロドラッグの送達を可能にするために使用され得る方法を指す。本明細書に記載される薬剤及び方法とともに利用され得る投与技術は、例えば、Goodman and Gilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,current edition,Pergamon;及びRemington’s,Pharmaceutical Sciences,current edition,Mack Publishing Co.,Easton,Paに見出される。いくつかの態様では、ジボテンタン及びダパグリフロジンは、経口投与される。
【0088】
用語「医薬製剤」及び「医薬組成物」は、活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり、且つ製剤が投与されることになる対象に対して容認しがたいほどに有毒である追加的構成成分を含有しない調製物を指す。そのような製剤は、無菌であり得る。
【0089】
「薬学的に許容される担体」は、対象への投与のための「医薬組成物」を合わせて含む治療剤との使用のための当技術分野で慣習的な非毒性の固体、半固体、若しくは液体充填剤、希釈剤、被包材料、製剤助剤、又は担体を指す。薬学的に許容される担体は、利用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合性である。薬学的に許容される担体は、利用される製剤のために適切である。
【0090】
「無菌」製剤は、無菌性であるか又は生きている微生物及びそれらの胞子を本質的に含まない。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「プロドラッグ」は、例えば、生理条件下において又は加溶媒分解により、ジボテンタン又はダパグリフロジンに変換され得る、例えば、エステル及び炭酸塩を指す。したがって、プロドラッグという用語には、薬学的に許容されるジボテンタン又はダパグリフロジンの代謝前駆体が含まれる。プロドラッグという用語はまた、そのようなプロドラッグが患者に投与されたときにインビボでジボテンタン又はダパグリフロジンを放出する、共有結合された担体を含む。プロドラッグの非限定的な例としては、エステル及び炭酸塩が挙げられる。
【0092】
様々な形態のプロドラッグが当技術分野で知られている。そのようなプロドラッグ誘導体の例については、(1)Design of Prodrugs,edited by H.Bundgaard,(Elsevier,1985)及びMethods in Enzymology,Vol.42,p.309-396,edited by K.Widder,et al.(Academic Press,1985);(2)A Textbook of Drug Design and Development,edited by Krogsgaard-Larsen and H.Bundgaard,Chapter 5“Design and Application of Prodrugs”,H.Bundgaard p.113-191(1991);(3)H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,8,1-38(1992);(4)H.Bundgaard,et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences,77,285(1988);並びに(5)N.Kakeya,et al.,Chem Pharm Bull,32,692(1984)を参照されたい。
【0093】
「含む」という語とともに態様が本明細書中に記載されるときは常に、「~からなる」及び/又は「~から本質的になる」という用語で記載される類似の態様も提供されることを理解されたい。本開示において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する」及び「有する」などは、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味することができ;「~から本質的になる」又は「本質的になる」はオープンエンドであり、列挙されているものの基本的又は新規な特性が、列挙されているもの以外の存在により変化しない限りにおいて列挙されるもの以外の存在を可能とするが、先行技術の態様は除外する。
【0094】
特に明記されない限り又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用する場合、用語「又は」は、包括的であると理解される。
【0095】
本明細書で使用する場合、「約」及び「およそ」という用語は、数値又は数範囲を修飾するために用いられる場合、その値又は範囲から最大で10%上及び10%下の偏差が、列挙された値又は範囲の意図された意味の内に留まることを示す。「約」又は「およそ」ある数値又は範囲という語とともに態様が本明細書中に記載されるときは常に、当該特定の数値又は範囲(「約」を含まない)を参照する他の点では類似の態様も提供されることを理解されたい。
【実施例
【0096】
実験手順
実施例1
4%塩分食中の雄ウィスターラットにおけるヘマトクリット(Hct)濃度に対するダパグリフロジン及びジボテンタンの効果が検討された。実験1において、ジボテンタンは、14日間30、100又は300mg/kgで1日1回経口投与された。7日目に、ジボテンタンの3つ全ての用量が、溶媒と比較してHct濃度における有意な低下をもたらした(p<0.05)。14日目に、溶媒と比較したHct濃度における有意な低下(p<0.05)は、高い用量のジボテンタン(100mg/kg及び300mg/kg)について見出されたが、低い用量(30mg/kg)については見出されなかった。
【0097】
実験2において、Hct濃度は、4%塩分食を与えられた雄ウィスターラットにおいて、ジボテンタン(30又は100mg/kg)又はダパグリフロジン(3.0mg/kg)単独又は組み合わせの7日の投与後に測定された。ジボテンタン(30又は100mg/kg)は、Hct濃度を著しく低下させた。ダパグリフロジン(3.0mg/kg)とジボテンタン(30mg/kg)の同時投与は、溶媒治療動物とは著しくは異ならなかったHct濃度をもたらした。ダパグリフロジン(3.0mg/kg)とジボテンタン(100mg/kg)の同時投与は、一方向ANOVA、事後チューキー検定によって明らかにされるとおり、Hct濃度に対するジボテンタンの効果を減弱した(ジボテンタン-4.00±0.87対ジボテンタン+ダパグリフロジン-1.72±0.68、p<0.05)。ジボテンタンは、尿中グルコース排出に対するダパグリフロジンの効果に影響を及ぼさなかった。
【0098】
材料及び方法
ジボテンタン単独のための製剤:30%(w/w)TEG 2%(w/w)EtOH 0.5%(w/w)HPMC 10000cps 0.1%(w/w)Tween 80 67.4%精製水中の懸濁液
ダパグリフロジン単独のための製剤:30%(w/w)TEG 2%(w/w)EtOH 0.5%(w/w)HPMC 10000cps 0.1%(w/w)Tween 80 67.4%精製水中の溶液
ジボテンタン及びダパグリフロジンの組み合わせのための製剤:30%(w/w)TEG 2%(w/w)EtOH 0.5%(w/w)HPMC 10000cps 0.1%(w/w)Tween 80 67.4%精製水中の懸濁液/溶液
【0099】
試験は、2つの実験に分けられた。
【0100】
第1の実験(実験1)において、ヘマトクリット(Hct)濃度に対するジボテンタンの効果は、ジボテンタンが14日間経口的に(p.o)QDで投与されたときに決定された。試験薬物の第1の投与の3日前に、動物が、体重(BW)に基づいて以下の群に無作為化された;1)溶媒 2)ジボテンタン(30mg/kg) 3)ジボテンタン(100mg/kg) 4)ジボテンタン(300mg/kg)。動物は、実験全体にわたって投与前に毎日秤量された。バイオアナリシスのための血液試料(20μL)は、意識のある動物から尾静脈を介して第1の投与の4及び24時間後、並びに麻酔下の動物から後眼窩経路を介して最後の投与の24時間後に採取された。血液試料は、7日目及び14日目の投与の1~2時間後にHct濃度及びヘモグロビン(Hb)測定のために尾静脈を介して回収された(100μL)。9回目と10回目の投与の間に、尿中グルコース、尿量及び電解質の測定のために、24時間尿が回収された。動物は、最後の投与の24時間後に屠殺された。屠殺の日に、動物は、5%イソフルランを使用して麻酔され、血液が、後眼窩経路を介して回収され(ヘパリンコーティングされたmicrovette、Sarsted中)、3,500rpmにて4℃で10分間遠心分離され、血漿が回収され、分析前に-80℃で保管された。次に、動物は、心臓の除去によって安楽死させられた。心臓及び腎臓の両方が取り出され、秤量された。右腎から、4mm厚の組織切片が回収され、その後の組織学的分析のために4%ホルムアルデヒド中で固定され、腎皮質組織及び心臓組織の一部が、遺伝子発現分析のために回収された。
【0101】
第2の実験(実験2)において、Hct濃度及びHbに対するジボテンタン及びダパグリフロジン(単独又は組み合わせ)の効果が決定された。72頭の動物が、試験薬物の投与の2~3日前にBW及びHct濃度に対して以下の群に無作為化された;1)溶媒、2)ジボテンタン(30mg/kg)、3)ジボテンタン(100mg/kg)、4)ダパグリフロジン(3mg/kg)、5)ジボテンタン(30mg/kg)+ダパグリフロジン(3mg/kg)及び6)ジボテンタン(100mg/kg)+ダパグリフロジン(3mg/kg)。実用的な理由から、試験は、各時間枠において36頭の動物(6頭/群)を伴う2つの連続的な時間枠において実行された。化合物は、7日間p.o.QDで投与された。バイオアナリシスのための血液試料は、実験1に関して記載されるとおりの3日目及び7日目のHct濃度及びHb分析のために第1の投与の4及び24時間後並びに最終投与の24時間後に回収された。24時間尿は、第3と第4の投与の間に回収された。24時間の食物及び水分摂取量は、2~3日目の間及び6~7日目の間に測定された。ケージ当たり2頭の動物を用いて、ケージにおける動物当たりの食物摂取量及び水分摂取量は、ケージの食物摂取量及び水分摂取量を2で割ることによって評価された。
【0102】
実験者は、終末、血液採取及び試料分析中に動物の治療割り付けに対して盲検化された。
【0103】
ジボテンタン及びダパグリフロジンの血液及び尿濃度は、質量分析検出を伴う液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)を使用する生化学分析方法によって決定された。
【0104】
ダパグリフロジン及びジボテンタンのバイオアナリシスのための全血試料は、同じ手順に従った。20μLの体積の全血を、内部標準を含有する150μLのアセトニトリルで沈殿させ、迅速にボルテックスした後、3220g及び4℃で20分間遠心分離した。上清を、新しいディープウェルプレートに移し、LC-MS分析の前に水で1:1に希釈した。マトリックスマッチングによる較正試料及びブランクを、試験試料と同じ方法で処理した。ジボテンタン試料をさらに、33%アセトニトリルにより1:10比で2回及び3回希釈して、全ての希釈試料が、較正範囲内で確実に検出可能になるようにした。
【0105】
試料濃度は、Waters TargetLynxソフトウェアバージョンXS V4.2 SCN986を使用する重み付き線形回帰(1/X)を適用してダパグリフロジンに関して0.010μM~10.0μMの範囲及びジボテンタンに関して0.75μM~376μMの範囲にわたってマトリックススパイク較正標準物質に対して決定された。較正試料残渣は、等分散分布を示した。分析の偏りは、両方の分析物に関する濃度範囲にわたって<15%であった。
【0106】
試料は、急速勾配溶出による逆相高圧液体クロマトグラフィーを使用することによって分析された。化合物は、Waters Xevo TQ-S三連四重極質量分析計(Waters Corporation、Milford、MA、USA)で検出された。クロマトグラフィー分離は、40℃の温度でACQUITY BEH C18 1.8μM、2.1x50mmカラムによって実施された。移動相Aは、水中の2%アセトニトリル及び0.2%ギ酸(A)であり、移動相Bは、アセトニトリル中の0.2%ギ酸(B)であった。分離は、以下の溶出勾配を使用して達成された:0分~1.5分、4% Bから95% Bまでの勾配;1.5分~2.3分、95% Bで維持;2.3分~2.4分、95% B~4% B及び2.7分まで4% Bで維持。流速は0.7mL/分であった。ジボテンタンは、0.82分後に溶出され、トランジション(425.3m/z>139.25m/z)の多重反応モニタリングを使用するポジティブエレクトロスプレーモードにおいて検出された。
【0107】
試料は、急速勾配溶出による逆相高圧液体クロマトグラフィーを使用することによって分析された。化合物は、Waters Xevo TQ-S三連四重極質量分析計(Waters Corporation、Milford、MA、USA)で検出された。移動相Aは、1M酢酸アンモニウム/アセトニトリル/水(0.1/2/97.5、v/v/v)であり、移動相Bは、1M酢酸アンモニウム/アセトニトリル(0.1/99.5、v/v)であった。分離は、以下の勾配を使用してWatersからのACQUITY BEH C18 1.8μM、2.1x50mmカラムによって実施された:0分~2.5分、4% Bから60% Bまでの勾配;2.5分~2.9分、60% B~95% B;2.9分~3.4分 95% Bで維持、及び3.4~3.5分 移動相Bは4% Bに戻され、4分まで4% Bで維持された。流速は、0.6mL/分であり、カラム温度は、40℃であった。ダパグリフロジンは2.19分後に溶出され、トランジション(ダパグリフロジンに関して407.1>329.07、及び13-ダパグリフロジン内部標準に関して413.0>335.13)によるネガティブエレクトロスプレーモードにおいて検出された。
【0108】
ラット尿におけるジボテンタンのバイオアナリシス:5% BSAを含有する50μLのPBSを、50μLの尿試料に加えた後、内部標準としてニフェジピンを含有する500μLのアセトニトリルを加えた。試料を1分間ボルテックスし、2400gにて4℃で5分間遠心分離した。400μLの上清を新しいプレートに移し、加熱窒素下で乾燥させた。試料を、100μLの脱イオン水/ギ酸(100/0.2、v/v)中で再構成し、ボルテックスにより混合し、分析の前に遠心分離した。マトリックスマッチングによる較正試料、品質管理試料、及びブランクを、試験試料と同じ方法で処理した。
【0109】
試料を、API 4500(Sciex LLC、Framingham、MA、USA)に連結されたAcquity i-class UPLCシステム(Waters、Milford、MA、USA)上で分析した。移動相Aは、0.2%ギ酸を伴うアセトニトリルであり、移動相Bは、0.2%ギ酸を伴う水であった。分離は、以下の勾配を使用してAcquity UPLC BEH C18カラム(50mmx2.1mm、1.7um粒子サイズ Waters製)上でなされた:0分~1.5分、5% A~100% A;1.5分~2.0分、100% A~100% A;2.0分~2.5分、100% A~5% A。流速は、0.75mL/分であり、カラム温度は、60℃であった。ジボテンタン(425.1m/z>361.2m/z)は、700℃のソース温度、及び5000Vのイオンスプレー電圧によるポジティブイオン化モードにおいて分析された。
【0110】
定量下限(LLOQ)は、0.010μMであり、分析の偏りは、CV%が13.6%であり、偏りが21.0%である最も低いQC-標準物質を除いて、<15%であった。
【0111】
ラット尿におけるダパグリフロジンのバイオアナリシス:5% BSAを含有する50μLのPBSを、50μLの尿試料に加えた後、内部標準としてニフェジピンを含有する500μLのアセトニトリル/ギ酸(100/0.5、v/v)を加えた。試料を1分間ボルテックスし、2400gにて4℃で5分間遠心分離した。450μLの上清を新しいプレートに移し、加熱窒素下で乾燥させた。試料は、400μL 1M酢酸アンモニウム/水/ギ酸(20/75/5、v/v/v)中で再構成され、ボルテックスで混合された。試料はさらに、リキッドハンドリングロボット上でSOLA HRP(10mg)SPEプレート(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA、USA)を使用して固相抽出(SPE)によって精製された。プレートを、450μLのメタノールに続いて450μLの1M酢酸アンモニウム/水/ギ酸(20/75/5、v/v/v)で条件付けした。試料を、SPEプレート上にロードし、450μLの1M酢酸アンモニウム/水/ギ酸(20/75/5、v/v/v)及び450μLのアセトニトリル/水(95/5、v/v)で洗浄した。試料を、250μLのアセトニトリル/脱イオン水/酢酸(80/20/1、v/v/v)で2回溶出し、加熱窒素流下で乾燥させた。試料を、100μLの脱イオン水中で再構成し、ボルテックスにより混合し、分析の前に遠心分離した。マトリックスマッチングによる較正試料、品質管理試料、及びブランクを、試験試料と同じ方法で処理した。
【0112】
試料を、API 4500(Sciex LLC、Framingham、MA、USA)に連結されたAcquity i-class UPLCシステム(Waters、Milford、MA、USA)上で分析した。移動相Aは、1M酢酸アンモニウム/アセトニトリル/水(0.5/95/4.5、v/v/v)であり、移動相Bは、1M酢酸アンモニウム/アセトニトリル/水(0.5/25/74.5、v/v/v)であった。分離は、以下の勾配を使用してAcquity UPLC HAS T3カラム(50mmx2.1mm、1.8μm粒子サイズ Waters製)上でなされた:0分~3.0分、5% A~50% A;3.0分~3.5分、50% A~100% A;3.5分~4分、100% A~5% A。流速は、0.45mL/分であり、カラム温度は、25℃であった。ダパグリフロジンの酢酸塩付加体(467.2m/z>329.0m/z)が、定量化のために使用され、それは、750℃のソース温度、及び-4500Vのイオンスプレー電圧によるネガティブイオン化モードにおいて分析された。LLOQは、0.010μMであり、CV及び偏りは一般に<5%であった(最も低いQC-標準物質では、0.03μM、CVは、10.3%であった)。
【0113】
血漿及び尿中アルブミン、クレアチニン、グルコース、尿素、カリウム及びナトリウムレベルは、製造業者のプロトコルに従ってABX Pentra 400機器(Horiba Medical、Irvine、California、USA)を使用して分析された。
【0114】
Hct及びHb分析に関して、ラット尾静脈から100μlの血液が回収され、iSTAT機器(Abbott Point of Care Inc、Abbot Park、IL、USA)により分析されるCG8カートリッジを使用して測定された。
【0115】
測定された各特徴に関するデータは、正規分布に関して確認され、必要に応じて、対数変換が、Rを使用して非正規分布を有するデータに対して適用された。データは、一因子のジボテンチン(Zibotentin)投与又は組み合わせ療法によって分類されたため、一方向ANOVAを使用して、単一時点で測定された特性を分析し(GraphPadバージョン8又はR統計学パッケージemmeans)、Rにおける線形混合効果モデル(nlmeパッケージ)を使用して、体重に関する複数の指標のデータを分析した。群間の差は、溶媒群に対して治療群を比較するときにダネット検定(Rのemmeansパッケージ又はGraphPad v8)又は治療群の特定のペアワイズ比較に関してはチューキー比較(Rのemmeansパッケージ又はGraphPad v8)のいずれかを使用して試験された。全てのモデル仮説は、R統計学におけるモデル診断プロットを使用して確認された。結果は、薬力学的パラメーターに関して平均±平均値の標準誤差(SEM)及び血液及び尿中の化合物濃度に関して平均±標準偏差(SD)として表される。有意性は、p<0.05に設定した。
【0116】
結果
LLOQを超えるジボテンタンの濃度は、ジボテンタンを受容した動物から第1の投与の4時間若しくは24時間後又は最後の投与の24時間後に回収された全ての血液試料において測定され、ジボテンタンに対する暴露を確認した(表1及び表2、図1及び図2)。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
LLOQを超えるダパグリフロジンの濃度は、ダパグリフロジンを受容した動物から第1の投与の4時間若しくは24時間後又は最後の投与の24時間後に回収された全ての血液試料において測定され、ダパグリフロジンに対する暴露を確認した(図3、表2)。実験2において、LLOQを超えるジボテンタンの濃度は、ジボテンタンを受容した動物から3日目と4日目の間に一晩で回収された全ての尿試料において測定され(表3)、LLOQを超えるダパグリフロジンの濃度は、ダパグリフロジンを受容した動物からの全ての尿試料において測定された(表3)。
【0120】
【表3】
【0121】
実験1において、定量可能な濃度のジボテンタンが、14日目の対照動物からの血液試料のうちの6個において検出された。これらの陽性試料におけるジボテンタンの見かけの濃度は、低用量群(30mg/kg)における平均血中濃度より少なくとも13倍低かった(30mg/kg群における平均(7.39μM)に対して最も高く観察された(0.54μM)溶媒動物を使用する)。実験2において、対照動物からの血液試料においてLLOQを超えるジボテンタン又はダパグリフロジンの濃度はなかったが、LLOQを超えるジボテンタンの濃度は、対照動物からの尿試料のうちの5個において検出された。これらの試料において尿に排出されたジボテンタンの量は、尿中で最小量を示すジボテンタンで治療された群(30mg/kgジボテンタン+3mg/kgダパグリフロジン)において排出された平均量より少なくとも190倍少なかった。
【0122】
実験2において、最後の投与の24時間後のジボテンタン血中濃度は、ジボテンタンを単独で受容する群と比較して、ジボテンタンがダパグリフロジンと組み合わされた群において3~4倍少なかった。
【0123】
ジボテンタンは、7日目の全ての用量(30mg/kg、100mg/kg及び300mg/kg)及び14日目の100mg/kg及び300mg/kgで溶媒と比較してHct濃度の有意な(p<0.05)低下をもたらした(図4)。
【0124】
体重は、ジボテンタンの各用量(30、100及び300mg/kg)について毎日測定され、溶媒と比較された。溶媒と比較してジボテンタンで治療された群のいずれかに関する体重変化の差はなかった(表4、図5)。10日目に、動物の体重は、代謝ケージに置かれたため減少した。
【0125】
【表4】
【0126】
ジボテンタンは、7日目の3つ全ての用量(30、100及び300mg/kg)及び14日目の2つのより高い用量(100及び300mg/kg)で溶媒と比較してHbの著しい低下をもたらした(表5)。
【0127】
【表5】
【0128】
表6に示されるとおり、溶媒と比較してジボテンタンの異なる用量に応じた血漿中のNa、K、グルコース及び尿素のレベルの変化はなかった。
【0129】
【表6】
【0130】
表7に示されるとおり、溶媒と比較してジボテンタンの異なる用量に応じた尿量、Na、K、尿素、クレアチニン及びグルコースのレベルの変化はなかった。
【0131】
【表7】
【0132】
ジボテンタン治療の14日後、溶媒と比較して300mg/kg用量に関する脛骨長による標準化を伴うか又は伴わない腎臓重量の増加、100mg/kgジボテンタンに関しては心臓重量の増加があったが、この増加は、脛骨長による標準化の後に統計的に有意ではなかった(表8)。
【0133】
【表8】
【0134】
Hctデータを、線形混合効果モデルを使用して分析して、3日目、7日目及び事後比較のために試験全体に関しては全体で推定される溶媒及び治療群内の周辺平均及び標準偏差を推定した。治療群を、溶媒と比較して、溶媒治療対照群と比較してHctに対する効果があるかどうかを決定し(ダネット検定)、ジボテンタン治療群を、ジボテンタン+ダパフリグロジン(dapafliglozin)群と比較して(チューキー検定を使用する)、組み合わせ療法が、Hctに対するジボテンタンの効果を軽減したかどうかを決定した。
【0135】
ベースライン時の絶対Hct値のレベルは群間で差がなかった(図6A)。3日目に、ダパグリフロジン(3mg/kg)を伴うか又は伴わずに投与されたジボテンタン(30mg/kg及び100mg/kg)は、溶媒と比較してHctを低下させた(図6B、表9A)。7日目に、ジボテンタン(30mg/kg及び100mg/kg)は、溶媒と比較してHctを低下させ、ダパグリフロジン(3mg/kg)と同時投与されるとき、両方の用量が、溶媒と同様のHctをもたらした(図6C、表9B)。全体的に見て、ジボテンタン100mg/kg+ダパグリフロジンは、ジボテンタン100mg/kg単独より高いHctレベルを有した(表9C)。
【0136】
【表9】
【0137】
7日目に、30mg/kg及び100mg/kgでのジボテンタン単剤治療は、Hctの低下を誘導したが、この効果は、ジボテンタンがダパグリフロジンと組み合わされたときに失われた(図6C、表9B)。
【0138】
【表10】
【0139】
【表11】
【0140】
ダパグリフロジンは、体重減少を増大させることが知られている(Hansen et al.,Endocr Pract.2014;20(11):1187-1197)。体重減少に対する組み合わせ療法の効果を評価するために、体重を毎日測定し、線形混合効果モデルを使用して比較した。溶媒で治療された動物は、予想されるとおり、投与期間中に体重が増加し、ダパグリフロジン単剤治療は、溶媒と比較してこのBW増加を妨げた一方で(p<0.05)、単独又はダパグリフロジンと組み合わせたジボテンタンは、妨げなかった(図7、表10)。
【0141】
【表12】
【0142】
溶媒で治療された動物は、予想されるとおり、投与期間中に体重が増加し、ダパグリフロジン単剤治療は、溶媒と比較してこのBW増加を妨げた一方で(p<0.05)、単独又はダパグリフロジンと組み合わせたジボテンタンは、妨げなかった(図7)。
【0143】
ダパグリフロジンは、尿中グルコース排出を増加させた一方で、ジボテンタンの効果はなかった(図8A)。ジボテンタンの同時投与は、尿中グルコースのダパグリフロジンに媒介される増加を変えなかった(図8A)。水分及び食物摂取量は、ジブテンタン(zibtentan)によって溶媒と比較して変化しなかった。ダパグリフロジン治療は、図8B及び図8Cに示されるとおり、溶媒と比較して水分及び食物摂取量を増加させた。ダパグリフロジン及びジボテンタンが同時投与された動物は、溶媒と比較して、ダパグリフロジン単独で投与された動物において観察されたものと同様のレベルまで水分摂取量及び食物摂取量を著しく増加させた(それぞれ図8B及び図8C)。
【0144】
【表13】
【0145】
血漿Na、K、グルコース、尿素濃度は、表12に示されるとおり、ジボテンタン、ダパグリフロジン又はそれらの組み合わせによる治療によって、溶媒と比較して変化しなかった。Zibo(100mg/kg)単剤治療又はDapa(3mg/kg)と組み合わせたZibo(100mg/kg)は、表12に示されるとおり、溶媒と比較して、血漿クレアチニンを著しく増加させる(p<0.05)。
【0146】
【表14】
【0147】
24時間尿量及び尿素排出は、ジボテンタンの同時投与を伴うか又は伴わない全てのダパグリフロジン治療群において増加された。溶媒と比較して、ジボテンタン単剤治療群において差は観察されなかった。表13に示されるとおり、溶媒と比較して、治療群のいずれにおいてもNa、K及びクレアチニンに関する変化は観察されなかった。
【0148】
【表15】
【0149】
治療の7日後、腎臓重量は、溶媒と比較して、Zibo 100mg/kg+Dapa 3mg/kg群において増加した。心臓重量は、表14に示されるとおり、脛骨長への標準化を伴うか又は伴わずに溶媒単独と比較してZibo 30mg/kg群において増加した。
【0150】
【表16】
【0151】
内皮受容体Aアンタゴニスト、ジボテンタンは、4%塩分食を与えられた雄ウィスターラットにおいてHct濃度を著しく低下させた。7日間のSGLT-2阻害剤ダパグリフロジンの同時投与は、Hct濃度に対するジボテンタンの効果を著しく低減した。ダパグリフロジンは、ラットにおけるジボテンタンに誘導される体液貯留(ヘマトクリット)の減少を減弱する。
【0152】
実施例2
アルブミン尿に対するダパグリフロジンの効果が、2型糖尿病を有するか又は有しないCKDを有する患者において検討された。第3相DAPA CKD臨床試験からのこの分析において、ダパグリフロジンの有効性を評価して、ダパグリフロジンによる治療がCKDを有する患者におけるアルブミン尿のレベルを低減するかどうかを決定した。
【0153】
この臨床試験において、推定糸球体濾過率25~75mL/分/1・73m及び尿中UACR 200~5000mg/gを有する4304名の患者が、ダパグリフロジン(10mg)又はプラセボに無作為化された。アルブミン尿における変化は、ベースラインから試験終了までの対数変換されたUACRにおける平均変化として評価された。顕性アルブミン尿(≧300mg/g)から微量アルブミン尿又は微量アルブミン尿陰性(<300mg/g)への移行として定義されるUACR段階の後退、及び<3000mg/gから≧3000mg/gへの移行として定義されるUACR段階の進行が、追加の評価項目であった。
【0154】
全体的な集団において、中央値(25番目~75番目のパーセンタイル)UACRは、965(472~1903)mg/gであった(934(482~1868)の中央値UACRを有するプラセボと比較して)。プラセボと比較して、ダパグリフロジンは、2型糖尿病を有する及び有しない患者においてUACRを29.3%減少させた(95%信頼区間[CI]、25.2~33.1%;p<0.001)。糖尿病の状態によって層別化すると、プラセボと比較して、ダパグリフロジンは、2型糖尿病を有する患者においてUACRを35.1%(95%信頼区間[CI]、30.6~39.4%;p<0.001)減少させ、2型糖尿病を有しない患者においてUACRを14.8%(95%信頼区間[CI]、5.9~22.9%;p<0.001)減少させた。
【0155】
ベースラインでUACR≧300mg/gを有する3860名の患者の中で、ダパグリフロジンは、UACR段階の後退の可能性を増加させた(ハザード比[HR]1.81;95% CI、1.60~2.05)。ベースラインでUACR<3000mg/gを有する3820名の患者の中で、ダパグリフロジンは、UACR段階の進行のリスクを減少させた([HR]0.41;95% CI、0.32~0.52)。アルブミン尿の後退及び進行はさらに、糖尿病状態によって層別化され、図9及び図10として示される。この分析によって示されるとおり、ダパグリフロジンによる治療は、糖尿病状態にかかわらずCKDを有する患者においてUACRを低下させた。
【0156】
実施例3
ジボテンタンと組み合わせたダパグリフロジンの前臨床試験は、雄Dahl食塩感受性(DSS)ラットにおける腎臓及び心血管機能を示すある特定のバイオマーカーに対する単剤及び組み合わせの効果を示すために進行中である。
【0157】
実施例3は、7週間の試験において4%塩分食中のDSS 7~9週齢ラットにおける体重、血圧(平均動脈圧-MAP、収縮期血圧-SBP、及び拡張期血圧-DBP)及び心拍数、尿タンパク質アルブミン及びクレアチニン、血清クレアチニン、血液学、心臓の心エコー検査並びにLV直径及び壁厚、短縮率及び駆出率並びに腎臓(左及び右)、心臓、及び肺重量及び脛骨長に対するジボテンタン単独並びにジボテンタン及びダパグリフロジンの組み合わせの効果を評価することになる。治療は、4%塩分食の開始の12日後に開始することになる。
【0158】
溶媒のための製剤:30%(w/w)PEG400、2%(w/w)EtOH、0.5%(w/w)HPMC(10000cps)、0.1%(w/w)Tween 80、及び67.4%精製水。
【0159】
ジボテンタン単独のための製剤:30%(w/w)PEG400、2%(w/w)EtOH 0.5%(w/w)HPMC 10000cps 0.1%(w/w)Tween 80及び67.4%精製水中の懸濁液。
【0160】
ジボテンタンと組み合わせたダパグリフロジンのための製剤:30%(w/w)PEG400、2%(w/w)EtOH 0.5%(w/w)HPMC 10000cps 0.1%(w/w)Tween 80及び67.4%精製水中の懸濁液/溶液。
【0161】
体重、血圧(MAP、SBP、及びDBP)及び心拍数、尿タンパク質アルブミン及びクレアチニン、血清クレアチニン、血液学、心臓の心エコー検査並びにLV直径及び壁厚、短縮率及び駆出率並びに腎臓(左及び右)、心臓、及び肺重量及び脛骨長に対するジボテンタン単独及びダパグリフロジン単独の効果は、下の表15に要約される3つの群に従って決定されることになる。
【0162】
【表17】
【0163】
群B及びCからの全血試料(20μL)は、PKを評価するために3週目及び6週目に回収されることになる。200μLの追加の全血試料は、血液学Hct及びMCVを評価するために1週目に回収されることになる(Horiba ABX Micros ESV60を介して)。尿は、血清クレアチニン並びに尿タンパク質アルブミン及びクレアチニンを評価するための臨床化学を評価するために1週目、3週目、及び6週目に回収されることになる(RX Daytona(登録商標)を介して)。心エコー像は、VisualSonics Vevo 3100(登録商標)超音波心エコー検査システム及びMX201 15MHZマイクロスキャントランスデューサーを使用して1~2%イソフルランにより浅麻酔下でラットから得られることになる。左心室のM-モード(短軸)画像は、LVEDD、LVESD、AWT、PWT、FS及びEFについて回収されることになる。左腎、肺、及び心臓が、収集され、皮膜が剥離され、秤量されることになる。脛骨は、長さについて測定され、X線により画像化されることになる。
【0164】
臨床化学及び血液学データ、エコーデータ、並びに体重及び組織重量(脛骨長に標準化される)は、一方向ANOVA(GraphPad Prismバージョン7.0a)を使用して分析されることになる。群間の統計的有意差は、ダネット検定を使用して試験されることになる。血圧分析は、線グラフ形式のMAP、SBP、DBP及び心拍数の平均±SEMとして評価されることなる。
【0165】
実施例4
ダパグリフロジン及びジボテンタンの組み合わせの臨床試験(ZENITH-CKD)は、20~60mL/分/1.73m2のeGFRを有するCKDを有する参加者においてジボテンタン及びダパグリフロジンの有効性、安全性及び忍容性を評価するための第2b相、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群用量設定試験において進行中である。
【0166】
試験デザイン
試験は、2パート、パートA及びパートBにおいて実行されることになる。両方の試験パートにおいて、参加者は、12週間の治療と2週間の経過観察に無作為化されることになる。全ての可変要素は、組み入れ基準並びに人種/民族性、血清クレアチニン、及び身長などの追加の人口統計データを検証するために収集されることになる。全ての分析(パートA中の中間解析を除く)は、試験の両方のパートからのデータを含むことになる。
【0167】
適格性判定基準を満たす参加者は、バックグラウンドの局所SoC療法を受けることに加えて、パートA又はパートBについて記載される治療に無作為化されることになる。盲検を維持するために、参加者は、Zibo/Dapa単剤療法を受けるときに各投与日に有効及びプラセボ試験介入の両方を服用することになる。プラセボのみを受容する参加者は、両方の試験介入のプラセボを服用することになる。
【0168】
パートAにおいて、132名の適格な参加者は、それぞれ33名の参加者の4つの治療アームに採用され、無作為化されるように計画される:
-ジボテンタン5mg+ダパグリフロジン10mg 1日1回。
-ジボテンタン5mg 1日1回。
-ダパグリフロジン10mg 1日1回。
-プラセボ 1日1回。
【0169】
パートAデータの中間解析は、各アーム(120名の参加者)におけるおよそ30名の参加者が、体液関連尺度(体重増加又はBNP)における変化を評価するための6週間の治療を完了したときに実施されることになる。体液関連尺度が、ジボテンタン5mgの単剤療法アームにおける少なくとも5名の参加者において指定の判定基準を満たす場合、このアームは、試験の残りの介入期間から中止されることになる。
【0170】
ジボテンタン5mgの単剤療法アームに関する指定の中止判定基準が、6週目の治療の中間解析で満たされない場合、利用可能なパートAデータは、全ての無作為化されたパートA参加者が、12週間の治療を完了したときに体液関連尺度における変化を評価するための第2の中間解析を受けることになる。体液関連尺度が、第2の中間解析(治療の12週目)のジボテンタン5mgの単剤療法アームにおける少なくとも5名の参加者において指定の判定基準を満たす場合、このアームは、試験の残りの介入期間から中止されることになる。
【0171】
パートBにおいて、追加の528名の適格な参加者が、採用されるように計画される。これらの中の352名の参加者が、それぞれ88名の参加者のパートA由来の同じ4治療アームに無作為化されることになる。残りの適格な参加者は、それぞれ88名の参加者の2つの追加の治療アームに無作為化されることになる:
-ジボテンタン0.25mg+ダパグリフロジン10mg 1日1回。
-ジボテンタン1.5mg+ダパグリフロジン10mg 1日1回。
-ジボテンタン5mg+ダパグリフロジン10mg 1日1回。
-ジボテンタン5mg 1日1回。
-ダパグリフロジン10mg 1日1回。
-プラセボ 1日1回。
【0172】
パートAにおいて無作為化された参加者は、パートBに無作為化することができない。
【0173】
参加者を、無作為化時に糖尿病(DKD対非DM CKD)及びベースラインeGFR(45mL/分/1.73m2未満対超)によって層別化して、各亜集団内の治療群間のおよその均衡を保証することになる。各層の無作為化された参加者の数は、非DM CKD亜集団が、無作為化された参加者の総数の最小でおよそ30%及び最大でおよそ33%であることを確実にするために監視されることになる。
【0174】
各参加者に関して、参加の全体的な期間は、およそ17~19週間になる。各試験パートにおいて、スクリーニング期間は、無作為化前の期間において最大4週間であり得る。第1の投与は、1日目のベースライン来院時の無作為化の後に服用されることになる。ベースライン来院に加えて、参加者は、以下の12週間の治療中にクリニックに5回来院することになる。最後の投与のおよそ2週間後、参加者は、経過観察評価のために再度クリニックに来院することになる。
【0175】
目的及び評価項目
主要評価項目は、UACRへのプラセボに対するジボテンタン及びダパグリフロジンの組み合わせ並びに単独の効果を測定することになる。UACRにおける変化は、ベースラインから12週目までの対数変換されたUACR(UACR(mg/g)=尿中アルブミン(mg/dL)/尿中クレアチニン(g/dL))において測定されることになる。副次評価項目及び目的は、下の表17において要約される。
【0176】
【表18】
【0177】
【表19】
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】