(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ボリュームを網羅する拡散強調磁気共鳴画像のシーケンスを取得し再構成する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61B5/055 382
A61B5/055 312
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505414
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2020071673
(87)【国際公開番号】W WO2022022836
(87)【国際公開日】2022-02-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500449363
【氏名又は名称】マックス-プランク-ゲゼルシャフト ツール フェルデルンク デル ヴィッセンシャフテン エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】フラーム、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】フォイト、ディルク
(72)【発明者】
【氏名】カレンテフ、オレクサンドル
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA17
4C096AB12
4C096AD06
4C096BA05
4C096BA13
4C096BB02
4C096DA13
4C096FB01
(57)【要約】
被写体の拡散強調磁気共鳴(MR)画像の複数のシーケンスを生成する方法が説明され、MR画像の前記シーケンスはそれぞれ、被写体のボリュームを網羅する、同じ一連の連続する断面スライスを表す。本方法は、(a)磁気共鳴撮像装置における少なくとも1つのラジオ周波数受信用コイルを使用して収集される、画像生データの組の複数のシーケンスを提供するステップであって、画像生データの各組は、拡散符号化勾配による、結合された拡散強調スピンエコーとシングルショット刺激エコーとのシーケンスで生成されるデータサンプルを含む、ステップと、(b)拡散強調のない又は低拡散強調のコイル感度及びMR画像のシーケンスを提供するために、ゼロ強度又は低強度の拡散符号化勾配で生成された画像生データの組のシーケンスを、正則化非線形逆再構成プロセスで処理するステップと、(c)拡散強調のない又は低拡散強調のMR画像のシーケンス、及び高強度のMR画像のシーケンスを提供するために、ゼロ又は低強度及び高強度の拡散符号化勾配を有する画像生データの組の全シーケンスを、正則化線形逆再構成プロセスで処理するステップであって、各MR画像は、断面スライスのうちの1つを表し、ステップ(b)で同じ断面スライスに対して決定された少なくとも1つの受信用コイルの感度を使用して生成され、且つ現時点の画像コンテンツの推定と、隣接する断面スライスの画像コンテンツの推定との相違に依存して生成される、ステップとを含む。さらに、被写体の拡散強調MR画像のシーケンスを生成するMRI装置が説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査中の被写体の拡散強調磁気共鳴(MR)画像の複数のシーケンスを生成する方法であって、前記MR画像のシーケンスのそれぞれは、前記調査中の被写体のボリュームを網羅する、同じ一連の連続する断面スライスを表し、
(a)磁気共鳴撮像(MRI)装置における少なくとも1つのラジオ周波数受信用コイルを使用して収集される、画像生データの組の複数のシーケンスを提供するステップであって、
画像生データの各組は、再構成される前記MR画像のうちの1つの画像コンテンツを含み、
画像生データの各組は、前記断面スライスのうちの1つを示し、
画像生データの各組は、拡散符号化勾配による、結合された拡散強調スピンエコーとシングルショット刺激エコーとのシーケンスで生成される複数のデータサンプルを含み、前記結合されたシーケンスは、非カーテシアンk空間トラジェクトリを使用して、前記少なくとも1つのラジオ周波数受信用コイルで受信したMRI信号を空間符号化し、
前記画像生データの組の複数のシーケンスの前記拡散符号化勾配は、少なくとも2つの異なる強度と、少なくとも3つの異なる方向とを有し、生データの組の前記シーケンスのうちの1つはゼロ強度又は低強度の拡散符号化勾配で生成され、生データの組の別のシーケンスは、高強度の拡散符号化勾配で生成され、
画像生データの各組は、等価の空間周波数コンテンツを有するk空間内に、一組の均一に分散した行を含み、
前記画像生データの各組の行は、前記k空間の中心を横切って空間周波数の連続範囲を網羅し、
前記画像生データの各組の行の数は、画像生データの各組が、ナイキスト-シャノンのサンプリング定理で規定されたサンプリングレート制限未満でアンダーサンプリングされるように選択され、
前記画像生データの各組の前記行の位置は、画像生データの組において、隣接する断面スライスとは異なる、ステップと、
(b)拡散強調のない又は低拡散強調のコイル感度及びMR画像のシーケンスを提供するために、ゼロ強度又は低強度の拡散符号化勾配で生成された画像生データの組のシーケンスを、正則化非線形逆再構成プロセスで処理するステップであって、前記画像はそれぞれ、前記断面スライスのうちの1つを表し、前記少なくとも1つの受信用コイルの感度と前記画像コンテンツとの同時推定によって、且つ前記少なくとも1つの受信用コイルの前記感度及び前記画像コンテンツの現時点の推定と、隣接する断面スライスの前記少なくとも1つの受信用コイルの前記感度及び前記画像コンテンツの推定との相違に依存して生成される、ステップと、
(c)拡散強調のない又は低拡散強調のMR画像のシーケンスと、高強度のMR画像のシーケンスとを提供するために、ゼロ又は低強度の拡散符号化勾配、及び高強度の拡散符号化勾配を有する画像生データの組の全シーケンスを、正則化線形逆再構成プロセスで処理するステップであって、前記MR画像はそれぞれ、前記断面スライスのうちの1つを表し、ステップ(b)で前記同じ断面スライスと決定された前記少なくとも1つの受信用コイルの前記感度を使用して、且つ前記画像コンテンツの現時点の推定と、隣接する断面スライスの前記画像コンテンツの推定との相違に依存して生成される、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
(d)MR画像の前記シーケンスを、前記調査中の被写体の量的マップの計算で処理するステップであって、
勾配方向にわたって平均化された平均拡散強調MRI信号、
拡散特性の表示、特に拡散テンソル、
前記拡散テンソルの追跡、
見かけ拡散係数、
異方性比率、及び
拡散方向の表示、特に主拡散方向
のうちの少なくとも1つのピクセルワイズ計算を含む、ステップ
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b)及び(c)のうちの少なくとも1つの前記再構成プロセスは、画像アーチファクトを抑制するフィルタリングプロセスを含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタリングプロセスは、各MR画像に空間フィルタ、特に、ノンローカルミーンフィルタを適用するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記画像生データの各組の行の数が、結果として生じるアンダーサンプリングの程度が少なくとも5倍になるように、特に、少なくとも10倍になるように選択される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像生データの各組の行の数が、最大でも30、特に最大でも20である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記画像生データの各組の行は、隣接する断面スライスの画像生データの前記組の前記行が、所定の角変位で互いに対して回転されるように選択される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ゼロ又は低強度の前記拡散符号化勾配の強度が、100s mm
-2のb値以下、特にゼロである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記画像生データの各組の収集が、周波数選択的飽和用のラジオ周波数パルス及び磁場勾配モジュールに先行される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記画像生データの組のシーケンスが、
前記少なくとも1つの受信用コイルを備える前記MRI装置内に前記被写体を配置し、前記被写体を前記結合された拡散強調スピンエコーとシングルショット刺激エコーとのシーケンスで処理し、前記少なくとも1つの受信用コイルを使用して前記画像生データの組のシーケンスを収集するステップ、及び
遠隔のMRI装置から収集したデータを送信することによって、前記画像生データの組のシーケンスを受信するステップ、
のうちの少なくとも1つによって提供される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
調査中の被写体の拡散強調MR画像のシーケンスを生成するように構成されるMRI装置であって、
主磁場装置と、少なくとも1つのラジオ周波数励起コイルと、3つの磁場勾配コイルと、少なくとも1つのラジオ周波数受信用コイルとを含むMRIスキャナと、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法で、前記画像生データの組の複数のシーケンスを収集し、且つ前記MR画像のシーケンスを再構成する、前記MRIスキャナを制御するように適合される、制御装置と、
を備えるMRI装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散コントラストを含む磁気共鳴(MR)画像のシーケンスを生成する方法、特に、取得し再構成する方法に関し、MR画像は直接隣接する断面のボリュームを網羅し、磁場不均一性に対する非感受性及び向上した画像品質を提供する。さらに、本発明は、この方法を実施するように構成された、磁気共鳴撮像(MRI)装置に関する。本発明の用途は、MR撮像、特に、医用MR撮像(例えば、脳の撮像又は前立腺の撮像)或いは自然科学における医療用でない調査(例えば、工作物の調査)の分野を網羅する。
【背景技術】
【0002】
本明細書では、本発明の技術背景を説明する以下の先行技術、特に、MR画像の取得及び再構成に関する先行技術が参照される。
[1]V.Baliyan et al.in ’’World J Radiol’’ 8:785-798,2016;
[2]C.S.Schouten et al.in ’’Quant Imaging Med Surg’’ 4:239-250,2014;
[3]K.Hirata et al.in ’’Medicine’’ 97:19(e0447),2018;
[4]米国特許第4748409号明細書(J.Frahm et al.);
[5]J.Frahm et al.in ’’J Magn Reson’’ 65:130-135,1985;
[6]K.D.Merboldt et al.in ’’Magn Reson Med’’ 23:179-192,1992;
[7]U.G.Nolte et al.in ’’Magn Reson Med’’ 44:731-736,2000;
[8]A.A.Khalil et al.in ’’PLoS ONE’’ 11:e0161416,2016;
[9]A.B.Bakushinsky and M.Y.Kokurin ’’Iterative Methods for Approximate Solution of Inverse Problems’’ Springer,Dordrecht,The Netherlands,2005;
[10]A.Merrem et al.in ’’Invest Radiol’’ 52:428-433,2017;
[11]A.Merrem,Dissertation ’’Undersampled Radial STEAM MRI Methodological Developments and Applications’’,Georg-August-University of Goettingen,2018;
[12]A.Merrem et al.in ’’NMR Biomed’’ 32,doi:10.1002/nbm.4074,2019;
[13]米国特許第8384383号明細書(J.Frahm et al.);
[14]M.Uecker et al.in ’’NMR Biomed’’ 23:986-994,2010;及び
[15]J.Frahm et al.in ’’The Open Med Imaging’’ J 8:1-7,2014.
【0003】
拡散強調(DW)磁気共鳴撮像(MRI)は、MR画像の信号強度を変更することによって、水分子の自己拡散及び/又は移送等の動的な分子プロセスに関する情報を提供するMRI法として知られている。正常な組織と病変のある組織とでは拡散特性が異なるため、この技法は臨床治療との関連性が高く、従って正常な脳組織と虚血性脳組織(即ち脳卒中)、又は正常な組織と腫瘍性組織(即ち癌)の診断に関連するコントラストになる。
【0004】
MRI信号の拡散符号化は一般にDWスピンエコーシーケンスによって実現され、該シーケンスは、2つのラジオ周波数パルスと、自己補償型の強い磁場勾配の組とを含む。スピンエコーシーケンスは通常、初期励起ラジオ周波数パルス、スピンエコー時間の半分の持続時間TE/2を伴う第1の間隔、再収束ラジオ周波数パルス、及び(初期励起パルスの中心に対して)時間TEでスピンエコーが形成される前の、別の間隔TE/2を含む。拡散符号化では、スピンエコーシーケンスは、通常は一対の同一の磁場勾配によって、2つのスピンエコー間隔のそれぞれに1つの勾配が印加されて補完される。このような勾配は、単極性の勾配であっても双極性の勾配であってもよいが、より複雑な勾配波形も可能である。動きがない場合、即ち水分子の空間変位がない場合、水プロトンの核スピンモーメントは、スピンエコー信号内に完全に再収束しており、従って、T2緩和によってのみ減衰される、最大のスピンエコー信号強度を与える。しかしながら、分子の拡散又は移送が存在する場合、スピンエコー信号は、より低減されるが、これは、励起した水プロトンが、磁場強度が異なる場所に移動するときに、或いはより正確には、第1のスピンエコー間隔における符号化拡散勾配の印加と、第2のスピンエコー間隔における同一の再収束拡散勾配の印加との間に水プロトンが移動するときに、スピンモーメントの完全な再収束が妨害されるためである。関連する「拡散時間」は、スピンエコーシーケンスの第1の間隔及び第2の間隔における、このような互いに補償する勾配(の中央)間の持続時間である。
【0005】
分子移送プロセスによる位置の変位は、微視的なスケールで非常に小さいため、DW MRIは、DW画像と非DW画像(即ち、拡散符号化勾配以外は同一条件での画像取得)との間で十分なコントラスト(即ち信号強度差)を確実に得るために、通常は非常に強い拡散符号化勾配を使用する。拡散強調が異なるこのような画像は、関連する拡散特性、例えば、見かけ拡散係数(ADC)の量的マップの計算に使用される。
【0006】
しかしながら同時に、強い磁場勾配により、使用可能なDW MRI技法が、(肉眼的な)運動に対して非常に鋭敏になる。例えば、医用撮像ではこの問題は、呼吸、心拍、又は蠕動による動き同様、不随意の身体動作に関わる。したがって、拡散符号化スピンエコーシーケンスを高速の(好ましくはシングルショットの)読出しMRIシーケンスと組み合わせるのが標準的な実施であり、その結果、実際の状態を効果的に「フリーズ」させたDW画像、即ち動きに誘発されたアーチファクトがない画像になる。過去数十年間に、この方策についてはいくつかの技術的提案がなされてきた。
【0007】
DW MRIの、動きに対する鋭敏性を克服する好ましい解決策は、近年の論文[1]で述べられているような、エコープラナー撮像(EPI)読出しを使用することである。今日では、DW EPIは唯一商業的に利用可能なDW MRIの方法である。これは、いくつかの深刻な問題にもかかわらず、一般に(排他的ではないにせよ)医用MR撮像に使用され、臨床用途に広く受け入れられている。DW EPIの主な短所は、勾配エコーMRI技法が、1回のラジオ周波数励起パルスの印加と、エコー時間が必然的に増加する複数の勾配エコーの取得とに依存しているために、EPIが、磁場不均一性に対する顕著な鋭敏性の悪影響を受けることである。例えば、人体では、このような磁場歪みは、異なる組織の避けがたい磁化率の相違によって引き起こされる。これは、しばしばEPI画像における深刻な幾何学的歪み、並びに正又は負の信号変更の誤りにつながり、診断精度を落としている。例えば、不均一性の影響は、脳の下部及び前頭部(即ち空気で満たされた空洞又は歯科用インプラントに近い部分)で生じ、また前立腺(即ち空気で満たされた直腸の近く)のMRIなど全身でより頻繁に生じる。それにもかかわらず、臨床の状況において、DW EPIは、画像が良好な信号対雑音比(SNR)を示すため、現行では唯一選択されている方法である。
【0008】
磁場不均一性に対する鋭敏性を回避し且つ高速取得をなお可能にする、DW MRIの代替的な解決策は、シングルショットのスピンエコーMRIシーケンスを使用することである(例えば、[2]及び[3]を参照)。この技法は、画像再構成用に複数のスピンエコー信号を生成し空間符号化するために、複数のラジオ周波数再収束スピンエコー(EPI用としての勾配エコーではなく)を使用する。しかしながら、この手法の深刻な欠点は、何回もの大出力ラジオ周波数励起(即ちフリップ角が大きい再収束パルス)が必要なことであり、これは、一般的に、人体内のエネルギー堆積に対する特定の比吸収率(SAR)の制限に違反することにつながる。結果として、このようなシングルショットスピンエコー法は、人体用途には一般的に使用されていない。
【0009】
シングルショットDW MRIに対する更なる提案は、DWスピンエコーシーケンスを、一連のラジオ周波数再収束刺激エコーを含む読出しシーケンスと組み合わせることである。シングルショットSTEAM(刺激エコー取得モード)MRIシーケンスについては、早くも1984年に論じられている(例えば、[4]及び[5]を参照)。この事例では、フリップ角が小さいラジオ周波数パルスによって複数の刺激エコーが生成されて、SARの問題を回避する。さらに最近では、DW EPIの磁化率の問題を解決する、DWシングルショットSTEAM MRIのいくつかのバージョンが開発されているが、DW EPIよりSNRが低いという欠点がある([6]、[7]、及び[8]を参照)。結果として、DW STEAM MRIは、まだ臨床的に受け入られていない。
【0010】
脳への特定用途に対するDW STEAM MRIのSNRの不備を克服するために、この技法をアンダーサンプリングされたラジアル取得モードと組み合わせて、まず隣接する断面のコイル感度に対する正則化による非線形逆変換で、画像生データの組の非DWシーケンスのコイル感度を決定する、2ステップの手順で画像再構成を実現することが提案されている。非DW画像とそのコイル感度との結合再構成は、例えば、テキストブック[9]で説明されているように、反復正則化ガウス・ニュートン法によって解決される。第2のステップでは、全ての非DW画像及びDW画像が、更に空間正則化することなく、非DW画像のコイル感度を使用した線形逆変換によって再構成された([10]、[11])。あいにく、コイル感度は、非常に低い空間周波数の情報しか提供しないため、弱い正則化での再構成では、前述の問題を大幅に改善することはできず、数値的な不安定性にさえつながる場合がある。
【0011】
DW STEAM MRIのもう1つの以前のバージョンは、前立腺への特定用途用に開発されたもの([12])であり、マルチショット取得法を採用している。この手法は、これも隣接するコイル感度のみによる弱い正則化を使用する(或いは空間正則化さえ使用しない)だけでなく、巨視的運動の様々な状態を参照して複数回取得することによってDW画像の結合再構成を実現するため、更に複雑な数学的処理を必要とする。
【0012】
[9]に記載された、先行画像及びその全コイル感度による正則化を使用した、動的な非DW MR画像のシーケンスを取得し再構成する非常に加速した方法が、[13]及び[14]で提案されている。顕著なアンダーサンプリングによる勾配エコーMRIシーケンスの使用、空間符号化のための非カーテシアントラジェクトリ、及び正則化非線形逆変換による画像再構成により、取得時間が数十ミリ秒の範囲になる。したがって、調査されるべき動的なプロセスに応じて、調査中の被写体の時間的変化が、高い時間的忠実度でリアルタイムに監視され得る([15])。しかしながら[13]及び[14]の技術は、主に被写体の単一スライスの画像を収集することに関し、そのため調査中の被写体のボリュームの網羅も拡散強調も得られない。[13]及び[14]では、被写体の別のスライスの画像を収集することも考慮されているが、これは5スライス未満など数個のスライスに限られている。さらに、対応用途は、インターリーブ複数スライスデータ取得として実現されており、そのため[13]及び[14]の技術は、時間分解能を犠牲にし、動きに対する感度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4748409号明細書
【特許文献2】米国特許第8384383号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】V.Baliyan et al.“World J Radiol” 8:785-798,2016
【非特許文献2】C.S.Schouten et al.“Quant Imaging Med Surg” 4:239-250,2014
【非特許文献3】K.Hirata et al.“Medicine” 97(19):e0447,2018
【非特許文献4】J.Frahm et al.“J Magn Reson”65:130-135,1985
【非特許文献5】K.D.Merboldt et al.“Magn Reson Med” 23:179-192,1992
【非特許文献6】U.G.Nolte et al.“Magn Reson Med” 44:731-736,2000
【非特許文献7】A.A.Khalil et al.“PLoS ONE” 11:e0161416,2016
【非特許文献8】A.B.Bakushinsky and M.Y.Kokurin “Iterative Methods for Approximate Solution of Inverse Problems” Springer,Dordrecht,The Netherlands,2005
【非特許文献9】A.Merrem et al.“Invest Radiol” 52:428-433,2017
【非特許文献10】A.Merrem,Dissertation “Undersampled Radial STEAM MRI Methodological Developments and Applications”,Georg-August-University of Goettingen,2018
【非特許文献11】A.Merrem et al.“NMR Biomed” 32,doi:10.1002/nbm.4074,2019
【非特許文献12】M.Uecker et al.“NMR Biomed” 23:986-994,2010
【非特許文献13】J.Frahm et al.“The Open Med Imaging” J 8:1-7,2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、改良された生成方法、特に、画像生データを取得し、調査中の被写体のボリュームを網羅するDW MR画像のシーケンスを再構成する方法を提供することであり、前記の方法により、従来技法の欠点を克服でき、且つ/又はMR撮像の新しい用途が可能になる。特に、本発明の目的は、取得速度を上げ、動きに対する鋭敏性を低減し(又はなくし)、SNRを向上させ、且つ/或いは磁場不均一性に対する鋭敏性を低減して(又はなくして)、隙間なくボリュームを網羅する断面DW MR画像のシーケンスを生成する、改良された方法を提供することである。医用撮像目的では、特に、動きに対する鋭敏性を低減して(又はなくして)、且つ磁場不均一性に対する鋭敏性を低減して(又はなくして)、隙間なく人体のボリュームを網羅するDW MR画像のシーケンスを生成する方法を提供することが目的であり、従って医用MR撮像の方法を、人体全体又はその部分に適用可能にする。さらに、本発明の目的は、改良されたMRI装置を提供することであり、特に、ボリュームの拡散強調MR画像の空間的に連続するシーケンスを取得して、再構成する方法を行うように適用される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的は、独立クレームの特徴を備えるMR画像生成方法及び/又はMRI装置によって達成される。本発明の好適な実施形態は従属クレームで規定される。
【0017】
本発明の第1の一般的な態様によれば、前述の目的は、調査中の被写体の拡散強調MR画像のシーケンスを生成する方法、特に、画像生データを取得して、拡散強調MR画像を再構成する方法によって達成され、MR画像の前記シーケンスのそれぞれは、被写体のボリュームを網羅する、同じ一連の連続する断面スライスを表す。
【0018】
本発明の方法は、磁気共鳴撮像(MRI)装置における少なくとも1つのラジオ周波数受信用コイルを使用して収集される、画像生データの組の複数のシーケンスを提供するステップを含む。
【0019】
画像生データの各組は、再構成されるMR画像のうちの1つの画像コンテンツを含み、画像生データの各組は、断面スライスのうちの1つを示し、即ち再構成されるMR画像のそれぞれが、断面スライスのうちの1つを表す。断面スライスは、被写体のボリュームを網羅する、一連の直接隣接する断面を提供する。各断面スライスの位置は、調査中の被写体のボリュームを網羅するために、スライスシフトによって撮像面に垂直な方向へシフトされる。スライスシフトは、断面スライスの所定のスライス厚さと等しい。直接隣接する断面の画像生データを提供するとは、画像生データが、隣接する断面の画像コンテンツの重なりがないか又は無視できるほどの重なりで、且つ隣接する断面の画像コンテンツ間に隙間がないか又は無視できるほどの隙間で提供されることを意味する。撮像面の空間的配向、例えば、MRI装置の主磁場の長手方向zに対する空間的配向は、撮像タスクに依存して、例えば、人体内の撮像される臓器の解剖学的配向に依存して選択され得る。撮像面の空間的配向は、MRI装置の空間符号化磁場勾配の方向によって設定され得る。
【0020】
さらに、画像生データの各組は、拡散符号化勾配による、結合された拡散強調スピンエコーとシングルショット刺激エコーとのシーケンス(以下でDWシングルショットSTEAMシーケンスとして示されている)で生成される、複数のデータサンプルを含む。DWシングルショットSTEAMシーケンスは、少なくとも1つのラジオ周波数受信用コイルで受信したMRI信号(即ち画像生データの組)を、非カーテシアンの、好ましくはラジアルのk空間トラジェクトリを使用して空間符号化する。
【0021】
画像生データの各組における、前述した複数のシーケンスの拡散符号化勾配は、少なくとも2つの異なる強度と、少なくとも3つの異なる方向とを有する。したがって、画像生データの組の各シーケンスは、所定の拡散符号化勾配強度(勾配振幅であって、ゼロでもよい)、及び所定の拡散符号化勾配方向によって区別され、画像生データの組の少なくとも2つのシーケンスは、異なる拡散符号化勾配強度を使用し、且つ画像生データの組の少なくとも3つの異なるシーケンスは、異なる拡散符号化勾配方向を使用する。
【0022】
生データの組のシーケンスの少なくとも1つは、ゼロ強度又は低強度の拡散符号化勾配で生成される。「ゼロ又は低強度のシーケンス」としても示され得るこのシーケンスは、拡散符号化勾配なしで、又は画像生データの組の残りのシーケンスの拡散符号化勾配強度より低い拡散符号化勾配強度で生成される。少なくとも1つのゼロ又は低強度のシーケンスは、印加された全ての拡散符号化勾配強度のうち最低の強度で、或いは拡散符号化勾配なしで収集される。
【0023】
生データの組の別のシーケンスは、高強度の拡散符号化勾配で生成される。「高強度のシーケンス」としても示され得るこのようなシーケンスは、ゼロを上回る拡散符号化勾配強度で、或いはゼロ又は低強度のシーケンスの拡散符号化勾配強度より高い拡散符号化勾配強度で生成される。
【0024】
任意選択で、画像生データのシーケンスは、ノイズ低減が有利に得られるように繰り返し取得されてもよく、即ち画像生データの組のシーケンスは、等しい強度又は方向を有する別の画像生データのシーケンスを含み得る。したがって、この好ましい変形例により、ゼロ又は低強度のシーケンス、及び/又は少なくとも1つの高強度のシーケンスが繰り返し収集され得る。
【0025】
画像生データの各組は、等価の空間周波数コンテンツを有するk空間内に、一組の均一に分散した行を含み、画像生データの各組の行は、k空間の中心を横切って空間周波数の連続範囲を網羅し、且つ画像生データの各組の行の数は、画像生データの各組が、ナイキスト-シャノンのサンプリング定理(ウィテカー-コテルニコフ-シャノンのサンプリング定理としても知られる)で規定されたサンプリングレート制限未満でアンダーサンプリングされるように選択される。アンダーサンプリングされたラジアルトラジェクトリを空間符号化に使用することで、速い取得速度で収集された画像生データを有利に提供する。画像生データの各組の行の位置は、画像生データの組において、隣接する断面スライスとは異なる。
【0026】
さらに、本発明の方法は、(残りのMR画像と比較して)拡散強調のない又は低拡散強調のコイル感度及びMR画像のシーケンスを提供するために、ゼロ強度又は低強度の拡散符号化勾配で生成された画像生データの組のシーケンス、即ちゼロ又は低強度のシーケンスを、正則化非線形逆再構成プロセスで処理するステップ(第1の再構成ステップ)を含む。コイル感度及びMR画像は、それぞれ断面スライスのうちの1つを表し、コイル感度及びMR画像はそれぞれ、少なくとも1つの受信用コイルの感度及び画像コンテンツの同時推定によって、且つ少なくとも1つの受信用コイルの感度及び画像コンテンツの現時点の推定と、隣接する断面スライスの少なくとも1つの受信用コイルの感度及び画像コンテンツの推定との相違に依存して生成される。
【0027】
さらに、本発明の方法は、拡散強調のない又は低拡散強調のMR画像の少なくとも1つのシーケンス、及び高強度のMR画像の少なくとも1つのシーケンスを提供するために、ゼロ又は低強度及び高強度の拡散符号化勾配を有する画像生データの組の全シーケンス、即ち画像生データの組の全ての収集シーケンスを、正則化線形逆再構成プロセスで処理するステップ(第2の再構成ステップ)を含み、各MR画像は、断面スライスのうちの1つを表し、同じ断面スライスに対して第1の再構成ステップで規定された少なくとも1つの受信用コイルの感度を使用して、且つ画像コンテンツの現時点の推定と、隣接する断面スライスの画像コンテンツの推定との相違に依存して生成される。好ましくは、少なくとも空間の3つの直交方向に対してDW画像を取得するために、高強度のMR画像の少なくとも3つのシーケンスが提供される。
【0028】
好適には、[10]及び[11]とは対照的に、完全な空間正則化による線形逆変換の問題の解決策として、全ての非DW画像及びDW画像が取得される。特に、第1の再構成ステップにおいて、本発明は、非線形逆変換の正則化の問題を、直接隣接する画像(空間周波数成分が低い及び高い)、並びに全てのその関連するコイル感度の両方に拡張する。さらに、第2の再構成ステップにおける線形逆変換の問題は、第1の再構成ステップで決定したコイル感度を用いながら、直接隣接する画像に対して正則化を行うことに関与する。結果として再構成は、高度なデータのアンダーサンプリング及び高い取得速度が可能になる。さらに、計算上の堅牢性、並びに各断面画像の高い空間的忠実度及び品質の向上を達成する。
【0029】
実際に、第1及び第2の再構成ステップにおける数値的な解決策は、元来動的リアルタイムMRI([13]及び[14])用に開発されたものと同様の正則化を正式に採用しているが、現時点は、時間ではなく空間におけるものである。言い換えると、本発明は、連続する、即ち直接隣接する画像の類似性を利用し(第1及び第2のステップ)、且つコイル感度を利用して(第1のステップ)、先行画像及びそのコイル感度による時間正則化を使用したときに、時間的忠実度に関して以前に証明されたもの([15])と同程度の空間忠実度を達成している。
【0030】
言い換えると、非線形逆再構成プロセスは、各反復ステップにおいて、測定されるべき未知のスピン密度とそのコイル感度とを、少なくとも1つの受信用コイルから取得したデータにマッピングする非線形MRI信号方程式の正則化線形化を解く、反復プロセスである。同様に、線形逆再構成プロセスは、各反復ステップにおいて、少なくとも1つの受信用コイルから取得したデータに、測定されるべき未知のスピン密度をマッピングする線形MRI信号方程式を解き、一方で、非線形再構成プロセスで規定されたコイル感度を使用する、反復プロセスである。両方の事例において、非線形及び線形逆再構成は、好ましくは反復正則化ガウス・ニュートン法を使用して実現される。発明者らは、[13]及び[14]で説明されているような、所与の画像面の時間的に連続する画像の類似性を利用する逆再構成プロセスが、連続する断面スライスの空間的に連続する画像の、即ち異なる撮像面の画像の再構成に使用され得ることを見出した。本発明以前は、隣接する断面スライスは、内部のスピン密度が段階的に変化する被写体であっても、正則化逆再構成プロセスをうまく適用するのに十分なほどの類似性を有しているとは考えられていなかったため、これは驚くべき成果である。[13]及び[14]に反して、本発明の方法は、本来、時間的に変化する(動的な)MR画像のシーケンスを提供するものではなく、被写体の空間的に分布した(静的な)MR画像のシーケンスを提供するものであり、更なる拡散コントラストを有する。
【0031】
[11]及び[12]とは対照的に、本発明は、直接隣接する画像に対する正則化による全画像の線形逆再構成と共に、DWシングルショットSTEAM MRI取得に依存している。本発明による方法は従って、[11]及び[12]と比較して、より高い空間周波数が、第1及び第2の再構成ステップにおける非線形逆変換及び線形逆変換の両方にそれぞれ導入されるため、空間分解能の改善に適用される。好適には、本発明は、医用撮像に特別な利点を提供し、異なる臓器系、特にヒトの脳及び前立腺の両方に直接適用可能である。
【0032】
要約すると、本発明は、磁化率アーチファクトがなく、且つ先行する方法と比較して画像品質が改善された、ボリュームのDWシングルショットSTEAM MRIの技法を提供する。本発明は、一連の直接隣接する断面の非DW及びDWデータセットを取得し、調査中の被写体のボリュームを隙間なく網羅する。これは、第1の再構成ステップにおける非DWデータセットの非線形逆再構成によって最適なコイル感度を決定し、一方で、隣接画像に対する空間正則化による線形逆変換の問題の解決策として、全ての非DW画像及びDW画像の主要な再構成が実現される。本発明は、(i)ボリュームに磁場不均一性に対する鋭敏性のないDW MRIを提供して、DW EPIとは対照的に、幾何学的歪み、信号無効化、及び正信号と負信号との変更の誤りを回避する。前述のDW STEAM MRI法と比較して、本発明は更に、(ii)より高度なデータのアンダーサンプリングによる測定時間の低減、(iii)向上した計算安定性、速度、及び空間忠実度、(iv)向上した空間分解能及びSNR、(v)様々な臓器系に対する汎用性、並びに(vi)医用撮像の場合での、臨床的に実行可能なスキャン時間を提供する。
【0033】
本発明の第2の一般的な態様によれば、前述の目的は、調査中の被写体の拡散強調MR画像のシーケンスを生成するように構成され、且つMRIスキャナと制御装置とを備える、MRI装置によって達成される。MRIスキャナは、主磁場装置と、少なくとも1つのラジオ周波数励起コイルと、3つの磁場勾配コイルと、少なくとも1つのラジオ周波数受信用コイルとを備える。本発明によれば、コンピュータ機器のような制御装置は、本発明の第1の態様による方法又はその実施形態のうちの1つを用いて、画像生データの組の複数のシーケンスを収集しMR画像のシーケンスを再構成するために、MRIスキャナを制御するように適用される。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、DW MR画像のシーケンスを生成する方法は、MR画像の前記シーケンスを、調査中の被写体の量的マップの計算で処理するステップであって、勾配方向にわたって平均化された平均拡散強調MRI信号、拡散特性の表示、特に拡散テンソル、拡散テンソルの追跡、見かけ拡散係数、異方性比率、及び拡散方向の表示、特に主拡散方向、のうちの少なくとも1つのピクセルワイズ計算を含む、ステップを更に含む。量的マップが個別の連続した診断の基礎を提供するため、量的マップの計算は医用撮像にとって特定の利点を有する。
【0035】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、第1の再構成ステップ及び第2の再構成ステップのうちの少なくとも1つの再構成プロセスは、画像アーチファクトを抑制するフィルタリングプロセスを含む。好適には、フィルタリングによって画像品質が向上する。特に好ましい変形例では、フィルタリングプロセスは、各MR画像に空間フィルタ、特に、ノンローカルミーンフィルタを適用するステップを含む。
【0036】
本発明の更なる利点として、画像生データが高程度なアンダーサンプリングで、即ち完全サンプリング基準に対して選択されてもよく、該基準は、例えば、回転された直線を用い、且つサンプリング定理に従ったラジアル符号化の場合、行毎のデータサンプル数をπ/2倍して求められる。アンダーサンプリングの程度は、少なくとも5倍、特に、少なくとも10倍であってもよく、従って、リアルタイムMRI(例えば、[14]を参照)で説明されているものと同じ方法で、データ取得を加速させる。したがって、画像生データの各組の行の数が削減され得る。特に医用撮像では、高品質のMR画像シーケンスを取得するための画像生データの各組の行の数は、30以下であり、特に、20以下で十分なことが分かっている。
【0037】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、画像生データの各組の行は、画像生データの組の一連の行が、所定の角変位で互いに対して回転されるように選択され得る。利点として、この回転により、画像再構成における正則化の効果が向上する。
【0038】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ゼロ又は低強度の拡散符号化勾配の強度は、100s mm-2のb値以下、特にゼロである。この制限を下回る拡散符号化勾配強度では、第1の再構成ステップで計算されたコイル感度が、信号品質が向上した有利な方法で第2の再構成ステップに使用される。さらなる利点として、結果として得られた拡散強調のない又は低拡散強調の画像(のシーケンス)は、見かけ拡散係数等の様々な拡散特性の量的マップ(のシーケンス)を計算するために、高拡散強調の対応画像(のシーケンス)と組み合わせるための改善された基準を提供し、これは、例えば医用MR撮像では、診断目的にとって重要なものである。
【0039】
低強度の拡散符号化勾配に反して、高強度の拡散符号化勾配の強度は、好ましくは200s mm-2のb値以上、特に、800s mm-2のb値以上、且つ3000s mm-2のb値以下である。例えば、最大1000s mm-2のb値は、通常、標準的な神経撮像用途[1]に使用される。
【0040】
本発明の更に好ましい変形例では、画像生データの各組の収集は、周波数選択的飽和用のラジオ周波数パルス及び磁場勾配モジュールに先行される。好適には、周波数選択的飽和により、撮像タスクに応じた特定のコントラストを達成することが可能になる。
【0041】
好適には、本発明のMR画像のシーケンスを再構成する方法は、MRI装置における少なくとも1つのラジオ周波数受信用コイルでの画像生データの収集中及び/又は収集直後に行われ得る。この場合、一連の画像生データの組を提供するステップは、少なくとも1つの受信用コイルを備えるMRI装置内に被写体を配置するステップと、被写体をDWシングルショットSTEAMシーケンスで処理するステップと、少なくとも1つの受信用コイルを使用して一連の画像生データの組を収集するステップとを含む。MR画像のシーケンスの再構成は、画像生データ収集の終了後に迅速に完了され得る。
【0042】
代替的な実施形態によれば、本発明のMR画像のシーケンスを再構成する方法は、所定の測定条件で画像生データを収集するステップとは独立して行われ得る。この場合、画像生データの組は、例えば、データクラウドストレージ内にあるようなデータストレージから、及び/又は遠隔のMRI装置からのデータ送信から受信され得る。
【0043】
本発明の更なる詳細及び利点が、以下に示される概略的な添付図面を参照しながら記載される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明に係るMR撮像方法の好ましい実施形態での生データ取得に使用される、拡散符号化勾配による、結合された拡散強調スピンエコーとシングルショット刺激エコーとのシーケンスである。
【
図2】本発明に係るMRI装置の、好ましい実施形態である。
【
図3】本発明に係るMR撮像方法の、好ましい実施形態の特徴を示すフローチャートである。
【
図4】本発明に係る、MR撮像方法の第1の再構成ステップを示すフローチャートである。
【
図5】本発明に係る、MR撮像方法の第2の再構成ステップを示すフローチャートである。
【
図6】本発明のDW MRIの、臨床関連用途の例である。
【
図7】本発明のDW MRIの、別の臨床関連用途の例である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の好ましい実施形態は、本発明の生データ取得及び再構成プロセスにおけるデータの流れ、本発明のMRI装置の基本構成部品、及び実際の適用例を特に参照しながら以下で説明される。
【0046】
k空間トラジェクトリ並びに逆再構成の数学的定式化及び実施の設計の詳細は、[13]又は[14]で開示されている通りに提供されることが好ましい。特に、正則化非線形逆再構成プロセスは、調査中の被写体のMR画像の時系列を再構成するために、[13]で開示されている通りに実施されることが好ましい。したがって、[13]は、特に第1の再構成ステップにおける調査中の被写体の断面MR画像のシーケンスの画像再構成の全詳細に関して、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。[13]における、生データの組及びMR画像のシーケンスの時系列に適用される全ての手順ステップは、ゼロ又は低強度のシーケンスで生成された生データの組のスライスシーケンスに、同じ方法で適用され得る。第2の再構成ステップにおける線形逆再構成プロセスの実施は、非線形逆再構成プロセスの実施後に行われるが、第1の再構成ステップで決定されたコイル感度を使用する。両方の事例において、隣接する断面に対する空間正則化を用いて、反復正則化ガウス・ニュートン法による数値最適化が実現される。線形逆再構成プロセスは、正則化ガウス・ニュートン法の適用に限定されない。あるいは、逆再構成の問題を解決するために、他の知られている数値的方法が使用されてもよい。
【0047】
MRI装置、使用可能なソフトウェアツール、及び任意選択の別の画像処理ステップ又は量的マップを提供するための計算ステップを使った数学的定式化の数値的実施の更なる詳細については、従来のMRI技術で知られている限りのことについては説明されない。さらに、以下では、並列MR撮像に対して例示的な参照がなされ、ここでは、画像生データが、複数のラジオ周波数受信用コイルで受信したMRI信号を含む。本発明の適用は、並列MR撮像に限定されるものではなく、単一の受信用コイルの使用も可能であることが強調される。
【0048】
図1は、
図2に示されているMRI装置100の実施形態を適用されて収集された、拡散符号化勾配による、結合された拡散強調スピンエコーとシングルショット刺激エコーとのシーケンスの実施形態を概略的に示す。MRI装置100は、主磁場装置11と、少なくとも1つのラジオ周波数励起コイル12と、3つの磁場勾配コイル13と、ラジオ周波数受信用コイル14とを含む、MRIスキャナ10を備える。主磁場装置11は、MRスキャナ穴の縦軸、例えばz軸と平行な、静的な主磁場を生成する。調査される被写体1は、MRI装置100内に収容されている。さらに、MRI装置100は、
図3から
図5に示されているように、図示されている実施形態のステップS1において、画像生データの組のシーケンスを収集しMR画像のシーケンスを再構成するために、MRIスキャナ10を制御するように適用される制御装置20を備える。制御装置20は、少なくとも1つのGPU21を備え、該GPU21は、好ましくは、
図4及び
図5にそれぞれ図示されている、非線形逆変換及び線形逆変換のアルゴリズムを実施するために使用される。
【0049】
図3によれば、本発明による方法の好ましい実施形態は、DWシングルショットSTEAMシーケンスで収集された、画像生データの組の複数のシーケンスを提供する生データ取得ステップS1と、ゼロ又は低強度のシーケンスの正則化非線形逆再構成を行う第1の再構成ステップS2と、同じ断面スライスのゼロ又は低強度のシーケンスの少なくとも1つのコイル感度を使用して、非DW画像及びDW画像の全シーケンスの正則化線形逆再構成を行う第2の再構成ステップS3と、量的マップを計算する計算ステップS4とを含む。
【0050】
したがって、本発明の方法の1つの部分は、拡散符号化勾配なしの又は低拡散符号化勾配の複数のスライスのための、断面STEAM MR画像のシーケンスの再構成を含み、STEAM MR画像及び関連するコイル感度は、隣接する画像及びそのコイル感度に対する、正則化による非線形逆再構成プロセスによって取得される(第1の再構成ステップS2)。本発明の方法の別の部分は、隣接画像に対する正則化による、同じスライスの全ての非DW及びDW STEAM MR画像の線形逆再構成を含む(第2の再構成ステップS3)。このステップは、特定の用途に対して、ゼロ若しくは低強度、又は高強度の異なる拡散符号化勾配(例えば、強度が異なる又は方向が異なる、或いはSNRを向上させるための類似の強度の勾配)が必要なだけ印加され得る。
【0051】
(生データ取得)
図2の挿入図に概略的に示されているように、生データを提供するため、特に取得するために、スライス厚さが一定の複数の直接隣接するスライス2が、患者の臓器などの調査中の被写体1のボリューム内で画定される。スライス2の数及び厚さは、臓器の大きさ、使用されるスライス厚さ、測定時間及び/又は取得される撮像分解能に依存して選択される。ヒトの脳の撮像の実施例として、スライス厚さ3mmの約50スライスが画定されている。後述するように、各スライスに対して、様々なDWシングルショットSTEAMシーケンスが適用される。
【0052】
本発明による方法の生データ取得ステップS1において、画像生データの組の複数のシーケンスが提供され、これらは
図1に示すようなDWシングルショットSTEAMシーケンスで収集される。画像生データの組の各シーケンスは、スライスの1つを表している。被写体1、例えば患者の組織又は臓器は、ラジオ周波数受信用コイル14で受信したMRI信号を符号化する、
図1のDWシングルショットSTEAMシーケンスで処理される。括弧内の部分は、k空間内で各行毎に繰り返される。DWシングルショットSTEAMシーケンスは、非カーテシアンk空間トラジェクトリに沿ってデータサンプルが収集されるように構成される。ラジオ周波数励起パルスを変更することによって、スライス厚さと等しくなるスライスシフトΔが実現される。
【0053】
図1の各DWシングルショットSTEAM MRIシーケンスは、先行するスピンエコーシーケンス(拡散符号化勾配あり又はなし)と、シングルショットSTEAM MRI読出しシーケンスとを組み合わせている。
図1に図示され、
図6及び
図7に示す臨床関連用途を得るために使用されているバージョンは、2パルスのスピンエコーシーケンス(SE=スピンエコー)における一対の単極拡散符号化勾配(斜線で示す)、及びシングルショットSTEAM MRIシーケンスにおけるラジアル符号化勾配(G
x,G
y)による好ましい例を示す(STE=刺激エコー、G
s=スライス選択勾配、RF=ラジオ周波数パルス、点付き=スポイラー勾配)。一般に、拡散符号化スピンエコーモジュールの様々な変形例が可能であり、例えば、より複雑な勾配波形を含み、或いは2つ以上の再収束パルスを使用する。
【0054】
本発明の実際の実施において、
図1のDWシングルショットSTEAMシーケンスは、n回適用される。例として、生データの組のシーケンスの1つ(ゼロ又は低強度のシーケンス)は、先行するスピンエコーシーケンス内で、拡散符号化勾配なしで生成され、一方で、生データの組の別のシーケンスは、高強度の拡散符号化勾配で生成される。最低回数であるn=4回の繰り返しでの実施は、ゼロ又は低強度の拡散符号化勾配での1回のみの印加、及び高強度且つ方向が異なる拡散符号化勾配での3回の印加を表す。しかしながら、例えば、線維トラクトグラフィ等の先進的な後処理用途を可能にするために、128の勾配方向及び複数の平均値を使用するときは、数nは、数百回の繰り返しにも対応し得る。
【0055】
拡散特性の方向差による曖昧さを回避するために、DW MRI技法の臨床用途では、通常、3方向又は6方向の異なる配向の拡散符号化勾配を用いて、それぞれ少なくとも3方向、好ましくは6方向のDW画像を測定している。このようなプロトコルは、「等方性」を有する(即ち配向に依存しない)拡散強調を含む画像を取得するために、拡散符号化方向にわたって平均化された、平均DW画像の計算に使用される。
【0056】
さらに、DW MRIの臨床用途は、通常は2つ以上の異なる勾配強度(例えば、0及び1000s mm-2のb値で特徴付けられる)に依存する。複数の勾配方向を有するDW画像と共に、このような情報は、配向に依存しない平均DW画像、拡散テンソル、並びに対応するADCのマップ及び他の拡散特性のマップ(例えば、異方性比率マップ)の計算に使用される。DW MRIの特定の用途では、例えば最大10の、2つを超える勾配強度が印加され得る。
【0057】
SNRを向上させるために、生データの組のゼロ又は低強度のシーケンス、及び/或いは生データの組の高強度のシーケンスが、繰り返し収集され得る。繰り返しの回数は、MRI法の適用条件への依存度によって選択され得る。
【0058】
(画像再構成)
まず、正則化非線形逆再構成プロセスによって、ゼロ又は低拡散強調のMR画像のシーケンスが取得され(
図3の第1の再構成ステップS2)、該プロセスは、各画像とその関連するコイル感度とを共に推定し、一方で、(例えば、反復正則化ガウス・ニュートン法を使用して)直接隣接する画像とそのコイル感度に対する空間類似性を使用する。
【0059】
[13]からは逸脱して、画像生データの各組は、
図2に挿入された概略図が示すように、連続する断面スライス2の他方を表している。
【0060】
図4は、[13]で説明されているような、測定された生データを提供する生データ取得ステップS1及び測定データを前処理する任意選択の前処理ステップS1.1の後の、第1の再構成ステップS2を含むデータの流れの概要を表す。
【0061】
前処理ステップS1.1では、画像生データが勾配遅延補正S1.1Aで処理されて、k空間の行におけるk空間の中心からの意図しないシフトが補正され、補間ステップS1.1Bでは、非カーテシアンデータのカーテシアン格子への補間が行われる。ステップS1.1A及びS1.1Bは、[13]で開示されている通りに実施され得る。
【0062】
その後、第1の再構成ステップS2において、[13]に記載の正則化非線形逆再構成プロセスによって、コイル感度及び被写体1のMR画像のシーケンスが再構成される。最初の断面スライスのMR画像及びコイル感度の初期推定S21から始まり、各MR画像は、受信用コイルの感度及び画像コンテンツの反復的な同時推定S22によって生成される。ステップS22は、畳み込みに基づく共役勾配アルゴリズムS23を含む、反復正則化ガウス・ニュートン法を使用した、非線形逆再構成を含む。反復回数(ニュートンステップ)は、特定の撮像タスクの画像品質要件への依存度によって選択される。最後に、コイル感度の再構成されたシーケンスは、第2の再構成ステップ(S25)で更に処理するために出力される。
【0063】
ステップS2の結果として、それぞれがスライス2のうちの1つを表す断面STEAM MR画像及び関連するコイル感度のシーケンスが取得され、STEAM MR画像及び関連するコイル感度は、拡散符号化勾配なしで又は低拡散符号化勾配で生成される。好ましくは、ステップS3での更なる処理には、コイル感度のみが使用され、ステップS2で取得されたMR画像が廃棄される。
【0064】
その後、
図5に示すように、
図3の第2の再構成ステップS3が行われる。ステップS31では、第1の再構成ステップS2の結果として、個別の断面画像の複合のコイル感度が提供される。
図5のステップS32に示すように、コイル感度は、空間正則化を用いた線形逆変換による、任意の拡散強調を有する同じ断面のSTEAM MR画像の全シーケンスの計算に使用される。線形逆再構成もまた、反復正則化ガウス・ニュートン法を使用し、反復回数(ニュートンステップ)は、特定の撮像タスクの画像品質要件への依存度によって選択される。
【0065】
ステップS32において、ゼロ又は低強度の拡散符号化勾配による画像生データの組の各シーケンスと、高強度の拡散符号化勾配による画像生データの組の各シーケンスとが、正則化線形逆再構成プロセスで処理される。ゼロ又は低強度の拡散符号化勾配による画像生データの組の少なくとも1つのシーケンスを処理すると、対応して、拡散強調のない又は低拡散強調の少なくとも1つのMR画像のシーケンスができる。さらに、高強度の拡散符号化勾配による画像生データの組の少なくとも1つのシーケンスを処理すると、対応して、高強度の少なくとも1つのMR画像のシーケンスができる。
【0066】
言い換えると、MR画像の全シーケンスが、その拡散強調にかかわらず、隣接する画像による線形逆変換及び正則化を用いて計算される(
図3のステップS2で既に知られているように、コイル感度のシーケンスは固定されている)。各シーケンス内の各MR画像は、断面スライスのうちの1つを表す。各MR画像は、同じ断面スライスの少なくとも1つの受信用コイルの感度を使用して生成され(線形逆変換)、且つ画像コンテンツ、即ち画像生データの現時点の組の現時点の推定と、隣接する断面スライスの画像コンテンツ、即ち先行する画像生データの組の推定との相違に依存して生成される(正則化)。結果として、取得されるMR画像は、更に処理するためにステップS33に提供される。
【0067】
第1の再構成ステップS2及び第2の再構成ステップS3における、最初の数枚の画像の非線形逆再構成及び線形逆再構成はそれぞれ、空間正則化の利益を十分に得られない。特に、各シーケンスの最初の画像の逆再構成では、事前情報が存在しない、即ち隣接するスライスからの画像がない。この問題は、複数の方法で回避され得る。第1には、最初の数枚(例えば、5枚)の画像の出力及び表示が廃棄されてもよい。第2には、網羅されるべきターゲットボリュームの外部にあるいくつかの追加のスライスを含むように、データ取得が拡張されてもよい。あるいは第3には、再構成時間を犠牲にして、最初の再構成の最後の画像及びそのコイル感度で再構成を初期化して、再構成が逆順に繰り返されてもよい。
【0068】
SNRを向上させるために、ステップS1において、生データの組のゼロ又は低強度のシーケンス及び高強度のシーケンスが繰り返し収集されてもよい。拡散強調が同一の複数のMR画像が、更に処理するために平均化されてもよい。また、従来の処理における画像データの記憶、表示、又は記録といった別のステップを続けて行ってもよい。拡散強調がゼロ若しくは低強度又は高強度の別のMR画像を計算すると、ステップS4におけるマップの計算が有利になる(以下を参照)。
【0069】
医用撮像では、再構成ステップS3で取得したMR画像のシーケンスが、調査中の被写体の量的マップの計算に使用される(
図3のステップS4)。量的マップの計算は、勾配方向にわたって平均化された平均拡散強調MRI信号や見かけ拡散係数などの、様々な拡散特性のピクセルワイズ計算に関する。ステップS4は、従来技術で知られているとおりに実施される。
【0070】
(実験例)
本発明の実験例は、医用撮像における用途を特に参照して、以下で説明される。全ての例が、健康なヒトを対象とした研究を参照している。
【0071】
本発明のDW MRIの脳に対する臨床関連用途を表す例が、
図6に示されている。これは、正常なヒトの脳のDWシングルショットSTEAM MRI調査における、(上から下への)3つの選択された断面の概要を表し、拡散強調のない画像及びある画像(b=0及び1000s mm
-2、6拡散方向)は、測定時間2分30秒で、合計51の直接隣接する断面に対して取得されたものである。結果は、非DW画像(左側)、平均DW画像(中央)、及び計算されたADCマップ(右側)を示している。画像が磁化率差の小さい脳横断面(上段)を表しているか、或いは磁化率差の強い脳横断面(下段)を表しているかにかかわらず、全ての画像に、DW EPI測定に典型的な不均一性アーチファクト(即ち幾何学的歪みや信号の変化)がない。
【0072】
腹部スキャンでも同じ所見が当てはまる。
図7は、臨床上非常に重要な別の分野に対応する、正常なヒトの前立腺のDWシングルショットSTEAM MRI調査の選択された結果を表す。この事例では、測定時間4分30秒で取得した合計31の直接隣接する断面から、(
図6と同じ構成の)非DW画像、平均DW画像(b=0及び600s mm
-2、6勾配方向)、及びADCマップの3つの部分が選択された。
【0073】
本発明の適用は、上述の例におけるような医用撮像には限定されず、対応して、工作物、その他技術的な対象物等の被写体を撮像することが可能である。
【0074】
上述の説明、図面、及び特許請求の範囲で開示されている本発明の特徴は、個別に、且つ組み合わせ又は下位組み合わせにおいて、本発明をその異なる実施形態で実施するための意義を有し得る。
【国際調査報告】