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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】医療装置のための圧力解放
(51)【国際特許分類】
   A61M 13/00 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61M13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509416
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2021071523
(87)【国際公開番号】W WO2022067304
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/081,659
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ピック、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】エバーズ、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】マレー、コリン
(72)【発明者】
【氏名】コンドン、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤゲルスキ、マシュー アール.
(57)【要約】
加圧流体を送達するように構成される装置は、前記加圧流体を受け入れるための入力開口部および加圧流体を送達するための出力開口部を有する本体と、内腔を画定するハンドルであって、前記内腔は、前記加圧流体を含む容器を受容するように構成されるハンドルと、前記内腔を装置の外気に連通する少なくとも1つの開口と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧流体を送達するように構成された装置であって、
前記加圧流体を受け入れるための入力開口部と、前記加圧流体を送達するための出力開口部とを有する本体と、
内腔を画定するハンドルであって、前記内腔が、前記加圧流体を含有する容器を受け入れるように構成される、ハンドルと、
前記内腔を前記装置の外気に連通する少なくとも1つの開口と
を含む、前記装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの開口は、前記ハンドルの壁によって画定される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの開口は、複数の開口を含み得、前記複数の開口は、前記ハンドル上に非対称パターンで配置される、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハンドルの遠位端は、ねじを介して前記本体に連結されるように構成され、前記少なくとも1つの開口は、前記ねじの一部を通って延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ハンドルは、1つ以上のねじを含み、前記本体は、1つ以上のねじを含み、前記1つ以上の開口は、前記ハンドルおよび前記本体の各々のうちの1つ以上のねじを通って形成されるように構成され、前記ハンドル上の前記1つ以上の開口および前記本体上の前記1つ以上の開口は、前記ハンドルが前記本体に取り付けられる時に整列するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の開口は、前記ハンドルの最近位端に配置される単一の開口であり、前記単一の開口は、近位方向に面している、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、複数の凹凸状部と、隣接する凹凸状部の間に画定された複数の開口部とを含み、前記開口部は、前記単一の開口に連通される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の凹凸状部は、前記容器が前記装置に取り付けられる時、前記容器の最近位端に接触するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の開口部の各々の断面積の合計は、前記単一の開口の断面積に等しい、請求項7または請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記容器が前記装置に連結される時、前記容器の最外表面の近位に面する表面のみが、前記ハンドルの最内表面に接触する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの開口は、0.5秒以下の時間で前記加圧ガスを解放するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記本体は、前記容器内に穴を形成するように構成され、前記加圧流体は、前記穴を介して前記容器から通過するように構成され、前記穴の直径は、0.060インチ(0.152センチ)以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの開口の各々の合計の断面積は、約0.25平方インチ(約0.61平方センチ)以上である、請求項1~8および請求項10~12に記載の装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置であって、
前記容器と、
前記少なくとも1つの開口の各開口を覆う膜であって、前記内腔内の前記加圧流体の圧力が閾値を超えた時に破裂するように構成される前記膜と、
をさらに含む、
前記装置。
【請求項15】
前記加圧流体が、1平方インチあたり約14ポンド(約97kPa)の圧力を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、加圧流体を送達するための医療システムおよび装置に関し、実施例では、加圧流体源を含む、またはそれに連結される医療装置から流体を解放するための方法および器具に関する。
【背景技術】
【0002】
流体送達システムおよび装置は、医療処置中にガス等の種々の流体を供給するために使用される。これらの処置は、適切な圧力および/または流量の範囲内で流体を供給することを含み得る。これらの流体は、特定の適用のために、適切な圧力および/または流速で組織に最適に送達される薬剤、例えば、止血剤を含み得る。
【0003】
手持ち式医療用流体送達システムは、多くの場合、カートリッジまたは同様の筐体等の高圧貯蔵タンクから流体を送達することを必要とする。そのようなカートリッジは、送達システムのハンドル内に装填される場合があり、カートリッジ上のシールが、送達システム上の穿孔ピンまたは同様の装置によって穿孔されるときに、送達システムを活性化または装填し得る。これらの流体は、高圧下に存在する可能性があり、医療システムが適切に使用されない場合、損傷を引き起こす可能性がある。場合によっては、加圧流体は、カートリッジまたは格納装置から、医療用流体送達システムのハンドルの密閉された内腔中に漏出し得る。内腔およびハンドルの過加圧は、医療流体送達システムの故障をもたらし得、ユーザまたは患者に障害を及ぼし得る。本開示は、当技術分野におけるこれらの問題または他の問題のうちの1つ以上を解決し得る。しかしながら、本開示の範囲は、特定の問題を解決する性能ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【発明の概要】
【0004】
一態様によれば、加圧流体を送達するために構成された装置は、加圧流体を受け入れるための入力開口部および加圧流体を送達するための出力開口部を有する本体と、内腔が加圧流体を収容する容器を受け入れるように構成された内腔を画定するハンドルと、内腔を装置の外気に連通する少なくとも1つの開口とを含む。
【0005】
少なくとも1つの開口は、ハンドルの壁によって画定され得る。
少なくとも1つの開口は、複数の開口を含み得、複数の開口は、ハンドル上に非対称パターンで配置され得る。
【0006】
ハンドルの遠位端は、ねじを介して本体に連結されるように構成されて得、少なくとも1つの開口は、前記ねじの一部を通って延在し得る。
ハンドルは、1つ以上のねじを含み得、本体は、1つ以上のねじを含み得、1つ以上の開口は、ハンドルおよび本体のそれぞれのうちの1つ以上のねじを通って形成されるように構成されてもよく、ハンドル上の1つ以上の開口および本体上の1つ以上の開口は、ハンドルが本体に取り付けられる時に整列するように構成され得る。
【0007】
1つ以上の開口は、ハンドルの最近位端に配置される単一の開口であり得、単一の開口は、近位方向に面し得る。
装置は、複数の凹凸状部と、隣接する凹凸状部の間に画定された複数の開口部とを含み得、開口部は、単一の開口に連通され得る。
【0008】
複数の凹凸状部は、容器が装置に取り付けられる時、容器の最近位端に接触するように構成され得る。
複数の開口部の各々の断面積の合計は、単一の開口の断面積に等しくてもよい。
【0009】
容器が装置に連結される時に、容器の最外表面の近位に面する表面のみが、ハンドルの最内表面に接触し得る。
少なくとも1つの開口は、0.5秒以下の時間で加圧ガスを解放するように構成され得る。
【0010】
本体は、容器内に穴を形成するように構成され得、加圧流体は、穴を介して容器から通過するように構成され得、穴の直径は、0.060インチ(0.152センチ)以下であり得る。
【0011】
少なくとも1つの開口の各々の合計の断面積は、約0.25平方インチ(約0.61平方センチ)以上であり得る。
装置は、容器と、少なくとも1つの開口の各開口を覆う膜とをさらに含み得、膜は、内腔内の加圧流体の圧力が閾値を超える時に破裂するように構成され得る。
【0012】
加圧流体は、1平方インチあたり約14ポンド(約97kPa)の圧力を有し得る。
別の態様によれば、加圧流体を送達するために構成された装置は、加圧流体を受け入れるための入力開口部および加圧流体を送達するための出力開口部を有する本体と、内腔が加圧流体を収容する容器を受け入れるように構成されている前記内腔を画定するハンドルと、前記装置の内腔および外表面とを連通する複数の開口であって、前記複数の開口の各々の合計の断面積が約0.25平方インチ(約0.61平方センチ)以上であり、前記加圧流体が約0.5秒以下で前記内腔から解放されるように構成される複数の開口と、を含む。
【0013】
複数の開口は、ハンドル上に非対称形状で配置され得る。
ハンドルは、ねじ連結部を介して本体に連結され得、複数の開口は、ねじ連結部を通過し得る。
【0014】
装置は、少なくとも1つの開口の各開口を覆う膜をさらに含み得、前記膜は、内腔内の加圧流体の圧力が閾値以上である時に破裂するように構成され得る。
別の態様によれば、患者の身体への流体送達を制御するための方法は、加圧流体を収容する容器を流体送達装置のハンドルの内腔に挿入するステップと、前記流体送達装置が内腔を流体送達装置の外気に連通する1つ以上の開口を画定するステップと、前記容器に開口部を生じるステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明と共に、開示される実施形態の原理を説明することを提供する。図1は、例示的な実施形態による送達システムの概略図である。
図2図2は、一実施形態による図1の送達システムのハンドルの側面図である。
図3図3は、一実施形態による図2のハンドルの断面図である。
図4図4は、別の実施形態による、図1の送達システムのハンドルの破断図である。
図5A図5Aは、別の実施形態による、図1の送達システムのハンドルの断面図である。そして、
図5B図5Bは、一実施形態による図5Aのハンドルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、加圧流体を使用して薬剤(止血剤等)を調剤するための例示的な医療システムを参照して説明される。前記医療システムと関連付けられた装置は、加圧流体容器からの流体が医療システム内の望ましくない場所に漏出する場合、加圧流体を大気(例えば、ハンドルおよび/または医療システムの外側の空気)に放出することによって、医療システムの機能性および/または安全性を向上し得る。実施例では、医療システム上または医療システム内に設けられる通気開口部は、ハンドルの内腔から加圧流体を放出し得、ハンドルおよび/または医療流体送達システムの過加圧を防止し得る。
【0017】
任意の特定の処置の参照は、便宜のためにのみ本開示において提供され、本開示を限定することを意図しない。当業者は、開示される装置および適用方法の基礎をなす概念が、任意の好適な処置、医療またはその他において利用され得ることを認識するであろう。本開示は、以下の説明および添付の図面を参照して理解することができ、同様の要件は同じ参照番号で参照される。
【0018】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的および説明的なもののみであり、特許請求される特徴を限定するものではない。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「有している(having)」、「含んでいる(including)」という用語や他のそれらの変形は、要件のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要件のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要件を含み得るように、非排他的な包含を含むことを意図する。
【0019】
説明を容易にするために、装置および/またはその構成要件の部分は、近位部分および遠位部分と称される。「近位」という用語は、装置のユーザにより近い部分、または推進剤流体経路の上流(図1の矢印Aの方向)を指すことを意図しており、「遠位」という用語は、本明細書では、ユーザからより遠い部分または推進剤流体経路の下流(図1の矢印Bの方向)を指すために使用されることに留意されたい。同様に、「遠位に」延びるとは、構成要件が遠位方向に延びることを示し、「近位に」延びるとは、構成要件が近位方向に延びることを示す。さらに、本明細書で使用される場合、「約(about)」、「およそ(approximately)」および「実質的に(substantially)」という用語は、明言または暗示された値の+/-10%以内の値の範囲を示す。加えて、構成要件/表面の幾何学的形状を示す用語は、近似形状のみを指す。
【0020】
図1を参照すると、一実施形態による送達システム10が示されている。送達システム10は、近位端にハンドル30を有する適用装置20、例えば、手持ち式装置と、送達システム10を作動して推進剤流体を解放するように構成された1つ以上のトリガまたはアクチュエータ22、24とを含む。推進剤流体および/または推進剤流体および止血剤(または他の薬剤)との混合物を所望の位置に供給するのを促進するために、チューブ100(例えば、カテーテル)または適用先端が送達システム10の遠位出口に取り付けられ得る。本明細書に記載されるように、格納装置50(例えば、カートリッジまたは容器)は、ハンドル30(図2)内に収容され得る。キャップ32は、ハンドル30に解放可能に取り付けられ得、ハンドル30内の適用装置20への格納装置50の取り付けを制御および/または補助し得る。ハンドル30が、ハンドル30の遠位端に配置されたねじ(例えば、図3に示されるハンドル30上のねじ30bおよび適用装置20上のねじ26b)を介して送達システム10上にねじり合わせられる場合、キャップ32は、ハンドル30の最近位端であり得る。送達システム10の実施例は、2019年10月1日出願の米国特許出願第16/589633号に示されており、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
図2および図3を参照すると、格納装置50は、ガス、例えば二酸化炭素、または当技術分野で既知の任意の他の推進剤ガスまたは流体等の推進剤流体を収容するように構成されている。円筒として示されているが、格納装置50は、魚雷の形状、球、またはガスを収容するための当技術分野で既知の任意の他の形状等、任意の形状であり得る。例えば、格納装置50は、ハンドル30(図3)の内腔34に挿入するための二酸化炭素シリンダであり得る。格納装置50は、1つ以上の内部チャンバ50bを画定する1つ以上の外壁50aを含み、内部チャンバ50bは、推進剤流体を収容するように構成される。格納装置50の壁50aは、限定はしないが、金属合金、セラミック、または当技術分野でこうち既知の他の材料等、流体を収容するのに適した任意の材料で形成され得る。格納装置50の内部チャンバ50bに収容された流体は、圧力下にあり得る。したがって、壁50aは、例えば、少なくとも1平方インチあたり約1000ポンド(PSI)(6895kPa)、または約850 PSI(5861kPa)の圧力で流体を収容するのに適した材料および/または厚さで形成される。例えば、格納装置50に含まれ得るガスは、典型的な装置温度で約2,000~8,000kPaの蒸気圧を有する二酸化炭素(CO2)、または典型的な装置温度で40MPa未満の蒸気圧を有する窒素(N2)を含む。これらのガスは例であり、格納装置50に含まれるガスの種類を限定するものではないことが理解されるであろう。
【0022】
図3を続いて参照すると、適用装置20は、収容装置50をハンドル30の内腔34へ挿入することによって、収容装置50に取り付けられる。例えば、適用装置20の入口(例えば、図3および図5Aの入口76)は、ねじ連結部、高圧洗浄機アダプタ等を使用して、格納装置50の突起30c(図3図4、および図5A)等の出力に直接連結され得る。格納装置50の突起30cは、適用装置20の入口76内に延在し、レギュレータ(図示せず)に直接的または間接的に連結し得る。適用装置20を格納装置50に直接連結することは、送達システム10のより優れた携帯性を可能にするために、例えば、約5g~75gの圧縮ガス、または、好ましくは約12g~40gの圧縮ガスを含有する小容積の格納装置20に好適であり得る。
【0023】
図1を参照すると、適用装置20の作動装置22、24の一方または両方の作動により、流体が送達システム10からチューブ100を介して標的部位に排出される。いくつかの実施形態では、1つの作動装置22、24のみが作動される必要があり得ることが理解されるであろう。作動装置22、24の一方または両方の作動により、送達システム10内の圧力の蓄積を解放し、調整器に、所定の圧力で格納装置50から調整器の下流の送達システム10に流体を解放させる。適用装置20は、例えば、ガーデンホースハンドルまたはその他のピストル様構成であり得る。作動装置22,24は、本明細書でより詳細に説明されるように、作動されると、弁を開放し流体を解放する、任意の押しボタン、トリガ機構、またはその他の装置であり得る。
【0024】
キャップ32は、ハンドル30の近位端に取り付けられ得、またはハンドル30は、ハンドル30の内腔34が流体的に密閉される(本明細書に説明される開口がない)ように、適用装置20の近位端に取り付けられ得る(図3を参照)。ハンドル30は、ねじ連結部(例えば、図3のねじ30bおよび26b)を使用して、適用装置20の近位端に取り付けられ得る。例えば、格納装置50が内腔34に挿入された後、ハンドル30は、適用装置20の近位端に配置され得る。ハンドル30の近位端における壁30aの内側表面は、格納装置50に接触し得る。ハンドル30は、ねじ連結部(例えば、ハンドル30のねじ30bおよび適用装置20のねじ26b)を介して、適用装置20上にねじ付けられ得る。いくつかの例では、ハンドル30が適用装置20上でねじられると、壁30aの近位端は、格納装置50の遠位端30cを適用装置20の流体経路と連通させるように、適用装置20の入口76に位置する穿孔ピンに向かって格納装置50を付勢することができる。あるいは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる内容である、2019年10月1日に出願された米国特許出願第16/589,633号のように、キャップ32がハンドル30の近位端に取り付けられる場合、格納装置50は、キャップ32によって穿孔ピンに向かって付勢され得る。このようにして、格納装置50は、適用装置20の流体経路と連通させることができ、流体推進剤を使用し、チューブ100を介して適用装置20から標的部位に薬剤を供給し得る。さらに別の例として、レバー(図示せず)を使用して格納装置50を遠位方向に付勢し、格納装置50を適用装置20の流体経路と連通させられ得る。
【0025】
しかしながら、ハンドル30の内腔34内に格納装置50を密封することは、格納装置50が適用装置20に適切に連結されていない場合(例えば、シールの漏れ、ねじの腐食等)、および/または格納装置50が損傷して加圧流体を内腔34内に漏らす場合、流体圧力を増加させ得る。したがって、内腔34から大気(例えば、ハンドル30の外側)に流体を排出する必要があり得る。
【0026】
図2および図3を参照すると、複数の開口40がハンドル30の側壁30aに形成される。開口40は、ハンドル30の外側表面、例えば、大気または中性雰囲気をハンドル30の内腔34に連通する。開口40は、図2では長方形であるが、この形状に限定されない。例えば、開口40は、円形、楕円形、三角形、湾曲形、螺旋形、正弦波形、または不規則形であり得る。開口40は、近位端から遠位端までハンドル30の全長に沿って延在し得、または開口40は、ハンドル30の一部分のみに配置され得る。あるいは、開口40は、人間工学に基づいてハンドル30の周りに非対称に配置され得る。例えば、開口40は、ユーザが使用中にハンドル30を把持する可能性が低いハンドル30の領域に配置され得る。このようにして、開口40は、使用中にユーザの手によって覆われなくしてもよい。
【0027】
開口40は、流体が格納装置50から漏出して、送達システム10の流体経路内を通過しない場合に、流体が内腔34から中性雰囲気に流れることを可能にするのに十分な断面積を有し得る。一例によれば、開口40は、流体が約0.5秒以内に漏れ出ることを可能にするのに十分な大きさの断面積を有し得る。例えば、流体が格納装置50から内腔34内に解放されると、流体は0.5秒以内に内腔34から分散され得る。例えば、格納装置50が送達システム10の流体経路に適切に取り付けられていない場合、または格納装置50の壁50aが機能しなくなって、加圧流体がハンドル30の内腔34内に解放される場合、加圧流体は、ハンドル30内の圧力上昇を防止するために大気に放出され得る。開口40が存在しない場合、ハンドル30の内腔34内の圧力上昇は、ハンドル30の壁30aを破裂させ得、これは、ユーザおよび/または患者に障害を及ぼし得る。
【0028】
例えば、内腔34内の流体の圧力が室温(25℃)で、850ポンド/平方インチ(PSI)(5861kPa)の平均圧力であり、格納装置50の開口部が約0.060インチ(約0.152cm)の直径である場合、ハンドル30の側壁30aは、流体が約0.5秒以内に排出されない場合に破裂する可能性がある。一例によれば、全ての換気開口部の総断面積は、約0.25平方インチ(約0.61平方センチ)より大きくてもよい。換言すれば、ハンドル30の各開口40の断面積の合計は、約0.25平方インチ(約0.61平方センチ)より大きくてもよい。開口40のこの断面積は、約0.5秒以下の加圧流体の解放を提供し得る。
【0029】
一例として、開口40が、円形断面を有する(側壁30aを通って内腔34から大気に延びる)単一の円筒である場合、開口40の円形断面の最小半径は、式1に基づいて特定し得る。式1において、Rは開口40の円形断面の半径であり、Qは1分あたりの標準リットルの開口40を通る流体の流量であり(Qは内腔34が放出される時間、例えば0.5秒、に少なくとも部分的に基づく所定の値である)、ηは開口40を通って流れる流体の粘度であり、Lはハンドル30の厚さ(例えば内腔34から大気までの開口40の長さ)であり、ΔPは内腔34の内圧と気圧との差圧(PSI単位)である。
【0030】
【数1】
【0031】
いくつかの実施例では、膜(図示せず)が各開口40を覆ってもよく、または、バーストディスクもしくは圧力逃し弁が1つ以上の開口40の代わりに使用され得る。膜は、ハンドル30の外側表面および/または内側表面上に提供され得、任意の色であり得、半透明または透明であり得る。膜の生地は、閾値での破裂を補助するために、予め形成された分離ゾーンおよび/または穿孔を含み得る。この膜は、可撓性材料および/または内腔34内の圧力が閾値、例えば、約14 PSI(約97kPa)以上を超えた時に、破裂するのに適した材料から作製され得る。いくつかの実施例では、圧力は、ハンドル30の外側の大気圧に基づいて変化し得る(例えば、大気圧は、装置の使用場所に基づいて変化し得る)。同様に、バーストディスクまたは圧力逃し弁は、内腔34内の圧力が閾値を超える時点で開き得る。
【0032】
別の実施例による開口40’が図4に示されている。本明細書で議論されるように、格納装置50は、ハンドル30上のねじ30bおよび適用装置20上のねじ26bを介して、適用装置20に取り付けられ得る。1つ以上の開口40’は、26bを通って形成され得る。例えば、開口40’は、ねじ26bの最近位端の開口部42’から、ねじ26bの最遠位端の開口部44’まで延在し得る。開口部44’は、外部雰囲気に対して開放され、および/または外部雰囲気と連通している。いくつかの例では、開口40’は、適用装置20のねじ付き部分の周囲の位置でねじ26bの一部を除去することによって形成され得る。その部分は、レギュレータまたは穿孔システムの一部であり得る。例えば、ねじ26bは、図4に示されるように、開口40を形成するために、ねじ26bの全長に沿って同じ円周位置で切断され得る。代替的に、または追加的に、開口40’はハンドル30のねじ30bに形成され得る。場合によっては、ハンドル30上に形成された開口40’は、ハンドル30が適用装置20に完全に取り付けられた時に、適用装置20上の開口40’と一致し得る。これは、開口40’の断面積を増加させ得、内腔34からの加圧流体の放出を増加させ得る。場合によっては、膜は、開口40’の開口部42’、44’の一方または両方を覆ってもよい。この膜は、可撓性材料、および/または内腔34内の圧力が閾値、例えば、上述の圧力等を超えた時に破裂するのに適した材料、から作製され得る。
【0033】
流体解放機構の別の実施例が、図5Aおよび図5Bを参照して示される。ハンドル30は、ハンドル30の最近位端に部材36を含む。部材36は、凹凸状部40’’(支持体)と、隣接する凹凸状部40’’の間に画定された複数の開口42’’とを含む。いくつかの例において、部材36の一部または全体は、部材36と格納装置50との間の摩擦係数を増加させることで格納装置50を遠位方向に付勢するのを補助する材料を含み得る。本明細書で説明されるように、ハンドル30が適用装置20上にねじ付けられる時、またはキャップ32が適用装置20上にねじ付けられる時、格納装置50は、ハンドル30の内側表面(例えば、キャップ32またはハンドル30の近位端)によって穿孔ピンに向かって付勢され得る。この状況で、凹凸状部40''は、格納装置50の最近位外表面および開口42''の上方の支持装置50に接触し得る。ハンドル30および/またはキャップ32が、ねじり動作を介して適用装置20に向かって移動させられるにつれて、凹凸状部40''は、遠位方向(例えば、図1の矢印Bによって示される方向)への格納装置50の移動を補助するように、格納装置50の最近位外表面に接触し得る。凹凸状部40''は、格納装置を遠位方向に移動させるのを補助し得、および/または格納装置50の最外表面と側壁30aの最内面との間に空間を形成するのを補助し得る。この空間(例えば、内腔34の一部)は、本明細書で説明されるように、格納装置50から漏出する任意の流体が、妨げられることなく開口42''および外部大気に通過することを可能にし得る。任意の数の凹凸状部42’’、例えば、2つ、3つ、またはそれ以上の凹凸状部42’’が形成され得ることが理解されるであろう。
【0034】
近位方向に向いた開口部44’’が部材36に形成され得る。開口部44''は、開口42''の各々に連通され、開口42''は、同様にハンドル30の内腔34に連通される。ハンドル30が適用装置20に連結される時、開口42''および開口部44''は、内腔34内に蓄積された加圧流体を大気に排出することを可能にする。一実施例では、放出は約0.5秒で起こり得る。例えば、本明細書で説明するように、開口部または開口は、約0.25平方インチ(約0.61平方センチ)以上のサイズを有し、蓄積された任意の流体が外部雰囲気に流されることを可能にし得る。この場合、全ての開口42''の断面積の合計は、0.25平方インチ以上(約0.61平方センチ)であり得、開口部44''の断面積は、約0.25平方インチ(約0.61平方センチ)以上であり得る。開口42''および開口部44''との間に形成される任意の経路(例えば、部材36の側壁)は、約0.25平方インチ(約0.61平方センチ)以上の断面積を有し得ることも理解されるであろう。部材36はハンドル30と一体であり得、別個の部品または構成要件でなくてもよいことが理解されるであろう。例えば、凹凸状部40''は、ハンドル30と一体的に形成され得、例えば、一体的に成形され、成形プロセスにおいて開口42''および開口部44''を残す。
【0035】
本明細書で説明される開口は、約0.25平方インチ(約0.61平方センチ)以上の総断面積を有するものとして説明されてきたが、これは一例であり、設計要因に基づいて変化し得ることが理解されるであろう。例えば、加圧流体は、約0.5秒以下で内腔34から分散され得る。設計要因(側壁30aの強度を含む)に応じて、この時間枠または他の適切な時間枠において流体が内腔34から分散されない場合、側壁30aの構造的一体性が損なわれ、損傷を生じ得る。場合によっては、格納装置50は、850 PSIを上回る加圧流体を含み得、および/または送達システム10は、室温(例えば、約25℃)とは異なる温度で使用するように設計され得る。これらの例では、本明細書に記載される開口および開口部は、式1および上記の対応する議論に基づいて、約0.5秒以下、または他の適切な時間枠で加圧流体を分散させるのに十分な大きさの断面積を有するように設計され得る。開口40、40’、および/または42''のうちの1つ以上は、流体分散を提供するために同じ送達システム10内で組み合わされ得ることも理解されるであろう。
【0036】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示された装置に対して様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本開示の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書に開示される本発明の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示すことを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】