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特表2023-541805多孔性炭素構造体、この製造方法及びこれを含むリチウム二次電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】多孔性炭素構造体、この製造方法及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/00 20170101AFI20230927BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230927BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20230927BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230927BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230927BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20230927BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230927BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20230927BHJP
【FI】
C01B32/00
H01M4/62 Z
H01M10/0566
H01M10/052
H01M4/38 Z
H01M4/136
H01M4/36 A
C01B32/05
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513505
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 KR2022001440
(87)【国際公開番号】W WO2022164213
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0011621
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0011827
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】507175175
【氏名又は名称】インダストリー-アカデミック コーポレーション ファウンデーション,ヨンセイ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】イルト・キム
(72)【発明者】
【氏名】クォンナム・ソン
(72)【発明者】
【氏名】チャンフン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジウォン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ゴンホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドンジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジヒョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ソヤ・オ
(72)【発明者】
【氏名】ソヨン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ス・ビン・チェ
【テーマコード(参考)】
4G146
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA16
4G146AC04B
4G146AC09B
4G146AC10B
4G146AC16B
4G146AC17B
4G146AD11
4G146AD23
4G146AD25
4G146BA11
4G146BA42
4G146BC03
4G146BC23
4G146BC33A
4G146BC34A
4G146BC34B
4G146BC37B
5H029AJ02
5H029AJ04
5H029AJ05
5H029AK01
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5H029AK05
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5H029AL12
5H029AM02
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5H029AM07
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5H050BA16
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5H050CA01
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5H050CA11
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5H050CB08
5H050CB09
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5H050GA02
5H050GA27
5H050HA07
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
本発明は多孔性炭素構造体及びこの製造方法に係り、より詳細には、前記多孔性炭素構造体はコア‐シェル構造のMOFを含み、コアに含まれた第1MOFとシェルに含まれた第2MOFの気孔構造と成分元素が相違であるため、硫黄を正極活物質で含むリチウム二次電池に硫黄担持体として適用する時、正極で生成されるポリスルフィドが電解液に湧出される現象を防いで電池の性能及び寿命特性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体であって、
前記コアは第1MOF(metal organic frameworks)を含み、
前記シェルは第2MOFを含み、前記第2MOFはN及びSの中で1種以上を含む異種元素でドーピングされたものである、多孔性炭素構造体。
【請求項2】
前記多孔性炭素構造体は気孔の体積が1.5cc/gないし4.5cc/gである、請求項1に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項3】
前記多孔性炭素構造体は比表面積が1500m/gないし3000m/gである、請求項1又は2に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項4】
前記第1MOF及び第2MOFはそれぞれ金属イオンと有機リガンドを含むものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項5】
前記金属イオンは、Li、Na、K、Rb、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+及びBiからなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項6】
前記有機リガンドは、ハライド、カルボン酸塩、シアノ、イソシアネート、イソチオシアネート、ニトリル、ピリジル、ニトロソ、ニトロ及びホスフェートからなる群から選択される1種以上を含むものである、請求項4又は5に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項7】
(S1)金属前駆体と第1有機リガンド前駆体を有機溶媒に溶解させた混合溶液を加熱してMOFを形成する段階;
(S2)N及びSの中で1種以上を含む第2有機リガンドを前記混合溶液に添加して加熱することでコア‐シェル構造のMOFを形成する段階;及び
(S3)前記(S2)段階で形成されたコア‐シェル構造のMOFを炭化させる段階;を含む、多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項8】
前記金属前駆体は、亜鉛ニトラート・6水和物(Zn(NO・6HO)、亜鉛アセテート・2水和物(Zn(CHCO・2HO)及び亜鉛サルフェート・6水和物(ZnSO・6HO)からなる群から選択される1種以上を含むものである、請求項7に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項9】
前記第1有機リガンド前駆体は、1,4‐ベンゼンジカルボン酸(benzene‐1,4‐dicarboxylic acid)、ベンゼン‐1,3,5‐トリカルボン酸(benzene‐1,3,5‐tricarboxylic acid)、2‐メチルイミダゾール(2‐methylimidazole)、シュウ酸(ethanedioic acid)、マロン酸(propanedioic acid)、コハク酸(butanedioic acid)、グルタル酸(pentanedioic acid)、o‐フタル酸(o‐phthalic acid)、m‐フタル酸(m‐phthalic acid)、p‐フタル酸(p‐phthalic acid)、2‐ヒドロキシ‐1,2,3‐プロパントリカルボン酸(2‐hydroxy‐1,2,3‐propanetricarboxylic acid)、1H‐1,2,3‐トリアゾール(1H‐1,2,3‐triazole)、1H‐1,2,4‐トリアゾール(1H‐1,2,4‐triazole)及び3,4‐ジヒドロキシ‐3‐シクロブテン‐1,2‐ジオン(3,4‐dihydroxy‐3‐cyclobutene‐1,2‐dione)からなる群から選択された1種以上を含むものである、請求項7又は8に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項10】
前記(S2)段階の第2有機リガンド前駆体は、Nを含む第2有機リガンド前駆体及びSを含む第2有機リガンド前駆体の中で選択されるものであって、
前記Nを含む第2有機リガンド前駆体は、2‐アミノテレフタル酸(2‐aminoterephthalic acid)、4‐アミノフタル酸、4‐アミノイソフタル酸、5‐アミノイソフタル酸、2,5‐ジアミノテレフタル酸、2,2’‐ジアミノ‐4,4’‐スチルベンジカルボン酸、5‐シアノ‐1,3‐ベンゼンジカルボン酸、2‐メチルイミダゾール及び4,4’,4”‐s‐トリアジン‐2,4,6‐トリイル‐トリ安息香酸からなる群から選択された1種以上を含み、
前記Sを含む第2有機リガンド前駆体は、2,5‐ジスルファニルテレフタル酸(2,5‐disulfanylterephthalic acid、H(C))、2‐スルファニルテレフタル酸(2‐sulfanylterephthalic acid)及び2,5‐チオフェンジカルボン酸(2,5‐thiophenedicarboxylic acid)からなる群から選択された1種以上を含むものである、請求項7~9のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項11】
前記(S2)段階では80℃ないし200℃で、15分ないし25時間加熱することである、請求項7~10のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項12】
前記(S3)段階では80℃ないし200℃で、不活性雰囲気下で500℃ないし1500℃の温度下で炭化させることである、請求項7~11のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体を含むリチウム二次電池用正極。
【請求項14】
前記正極は正極活物質を含み、
前記正極活物質は、硫黄含有物質;及び硫黄担持体として前記多孔性炭素構造体を含むものである、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の正極、負極、前記正極と負極との間に介在された分離膜及び電解液を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年1月27日付韓国特許出願第2021‐0011621号及び2022年1月26日付韓国特許出願第2022‐0011827号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として組み込む。
【0002】
本発明はリチウム二次電池の正極材で適用可能な多孔性炭素構造体、この製造方法及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギー貯蔵体であるリチウム‐硫黄(Li‐S)二次電池は、理論エネルギー密度が2600Wh/kgで、理論容量は1672mAh/gで、既存リチウムバッテリーの3~5倍高いエネルギー密度を示し、次世代エネルギー貯蔵体として注目を引いている。しかし、常用化して使用するにはサイクル特性がよくないため、多様な方法を利用してサイクル特性を高めるための研究が行われてきた。
【0004】
特に、炭素に基づく物質であるグラフェン(Graphene)と活性炭素(Activated carbon)をテンプレートで利用して硫黄の体積膨脹を防ぐと同時に、伝導性を高める方法が主に用いられた。しかし、このような方法も商用化を実現するためには足りない点が多くあって、商用化のために他の方法が提示されなければならない状況である。
【0005】
金属有機骨格体(Metal Organic Frameworks、MOF)は金属前駆体(Metal precursor)と有機リガンド(Organic linker)を特定溶媒に入れて数列合成方法で合成し、製造される金属ブロックと有機リガンドが繰り返された配列を持つ3次元の多孔性物質である。
【0006】
MOFは多様な大きさのマイクロポア(Micropore)とメソポア(Mesopore)を持っていて、比表面積がとても広くて気体貯蔵体として活用されてきた。また、MOFは伝導性が落ちる問題点のため電気化学的に利用されることはできなかったが、最近ナノサイズのMOFを合成して電気化学的用途に利用され、金属有機骨格体の活用度が高くなっている。
【0007】
また、MOFは金属前駆体と有機リガンドの組み合わせがとても多様で数千種の結晶構造で具現されることができ、多様な作用基(Functional group)も含まれることができるので、活用度の面でとても有用である。
【0008】
このようなMOFは熱処理による炭化工程を通じて高い比表面積と大きい気孔率を持つ多孔性炭素構造体で製造されることができる。
【0009】
しかし、高い比表面積と大きい気孔率を持つ多孔性炭素構造体もエネルギー素子に適用の時、エネルギー効率向上に限界があり、ここでエネルギー素子の反応性を改善させてエネルギー効率を向上させることができる多孔性炭素構造体の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第2020‐0021214号
【特許文献2】韓国公開特許第2012‐0063925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明はリチウム‐硫黄二次電池の正極活物質に含まれる硫黄の担持体であって、硫黄の絶縁性を補完して電気伝導度を改善し、正極からポリスルフィドの湧出を抑制することができる多孔性炭素構造体を提供しようとする。
【0012】
ここで、本発明の目的はコア‐シェル構造のMOFを含む多孔性炭素構造体及びこの製造方法を提供することである。
【0013】
また、本発明の他の目的は前記多孔性炭素構造体を含むリチウム二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体として、前記コアは第1MOF(metal organic frameworks)を含み、前記シェルは第2MOFを含み、前記第2MOFはN及びSの中で1種以上を含む異種元素でドーピングされたものである、多孔性炭素構造体を提供する。
【0015】
本発明は、また、(S1)金属前駆体と第1有機リガンド前駆体を有機溶媒に溶解させた混合溶液を加熱してMOFを形成する段階;(S2)N及びSの中で1種以上を含む第2有機リガンドを前記混合溶液に添加して加熱することでコア‐シェル構造のMOFを形成する段階;及び(S3)前記(S2)段階で形成されたコア‐シェル構造のMOFを炭化させる段階;を含む多孔性炭素構造体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による多孔性炭素構造体は、コア‐シェル構造としてコアとシェルはそれぞれ気孔構造が相違するMOFを含み、リチウム‐硫黄二次電池の正極の硫黄担持体として適用する場合、正極で生成されるポリスルフィドが電解液に湧出することを物理的に防ぐことができる。
【0017】
また、前記コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体において、前記シェルはN、Sなどの異種元素を含むので、リチウム‐硫黄二次電池の正極の硫黄担持体で適用する場合、正極で生成されるポリスルフィドが前記異種元素によって物理的または化学的によく吸着されてポリスルフィドが電解液に湧出することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明によるMOFの製造方法において、コア‐シェル構造のMOFが形成される過程を示す模式図である。
図2】実施例1、実施例2及び比較例1でそれぞれ製造されたMOFのSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
図3】実施例1及び比較例1、2、3でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体に対するXRD(X‐ray Diffraction)分析結果に対するグラフ(2‐theta‐scale)である。
図4】実施例1、2及び比較例1、2、3でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体に対する光学顕微鏡写真である。
図5】実施例1及び比較例1でそれぞれ製造されたMOFとこれらの原料物質に対するFT‐IR(Fourier‐transform infrared spectroscopy)分析結果を示すグラフである。
図6】実施例1で製造されたMOFに対するFIB‐EDS(Focused Ion Beam‐Energy Dispersive X‐ray Spectrometer)測定結果を示すものである。
図7】実施例2で製造された多孔性炭素構造体に対するSEM‐EDS(Scanning Electron Microscope‐Energy Dispersive X‐ray Spectrometer)測定結果を示すものである。
図8a】実施例1で製造された多孔性炭素構造体に対するXPS(X‐ray photoelectron spectroscopy)測定結果を示すものである。
図8b】実施例2で製造された多孔性炭素構造体に対するXPS(X‐ray photoelectron spectroscopy)測定結果を示すものである。
図9a】実施例及び比較例でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体に対するBET分析結果を示すグラフである。
図9b】実施例及び比較例でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体に対するBET分析結果を示すグラフである。
図9c】実施例及び比較例でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体に対するBET分析結果を示すグラフである。
図10】正極に含まれた多孔性炭素構造体物質によって変わるリチウム‐硫黄二次電池の電気化学性能を示すグラフである。
図11a】実施例1と比較例1を含む電池の1cycle及び30cycle 後の容量を示すグラフである。
図11b】実施例1と比較例1を含む電池の1cycle及び30cycle 後の容量を示すグラフである。
図12a】実施例1の多孔性炭素構造体合成時間によるNMRピーク変化を示すグラフである。
図12b】実施例1及び比較例1、2、3のNMRピーク変化を示すグラフである。
図13】実施例1及び比較例1の多孔性炭素構造体を含む電極の接触角測定結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に対して理解しやすくするために本発明をより詳細に説明する。
【0020】
本明細書及び請求範囲で使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈しなければならない。
【0021】
本明細書で使われた用語「階層的構造」は、コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体でコア上にシェルが別途の層(layer)形態からなる構造を意味する。この時、前記シェルはコア上に全体または部分的に形成されるものである。
【0022】
多孔性炭素構造体
本発明は、コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体に係り、前記コアは第1MOF(metal organic frameworks)を含み、前記シェルは第2MOFを含み、前記第2MOFはN及びSの中で1種以上を含む異種元素でドーピングされたものである。
【0023】
前記第1MOFと第2MOFは、気孔構造と元素構成が相違し、前記第2MOFは前記第1MOF表面の全体または一部に層(layer)を成していて、コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体が形成されることができる。この時、前記気孔構造とは、気孔の体積と気孔の大きさを意味する。
【0024】
具体的に、シェルはコアと比べて、異原子でドーピングされたという点、及び微細気孔が発達したという点(micro‐pore dominant)で差がある。このような構造を通じてリチウム‐硫黄二次電池のようなリチウム二次電池駆動の時、LiPS湧出を化学的(異原子ドーピング)及び物理的(微細気孔)に抑制することができる。
【0025】
例えば、前記第1MOFの比表面積1700ないし2000m/gで、気孔の体積は1.9ないし2.5cc/gであって、前記第2MOFの比表面積は900ないし1300m/gで、気孔の体積は0.8ないし1.0cc/gである。
【0026】
本発明において、前記多孔性炭素構造体はシェルの第2MOFにドーピングされた異種元素の種類によって気孔の体積と比表面積が変わることもできる。例えば、前記異種元素がNであれば、前記多孔性炭素構造体には微細気孔(micropore)が発達して比表面積が増加し、気孔の体積は多少減少することがある。一方、前記異種元素がSであれば、前記多孔性炭素構造体には微細気孔とともにメソ気孔(mesopore)が発達して比表面積と気孔の体積がいずれも増加することができる。前記微細気孔とメソポアの直径は特に制限されないが、前記微細気孔の直径は1nm以上、5nm未満であり、前記メソ気孔の直径は5nmないし10nmである。
【0027】
本発明において、前記多孔性炭素構造体の気孔の体積は特に制限されないが、気孔の体積が大きいほどリチウム二次電池用正極材として適する。例えば、前記多孔性炭素構造体をリチウム二次電池用正極材で適用する場合、前記多孔性炭素構造体の気孔の体積が大きいほど正極活物質に含まれた硫黄(S8)をもっと多く含浸させることができ、硫黄(S8)とリチウムポリスルフィド(LiPS)の相互変換時に表れる体積膨脹による正極槽構造の損傷を防ぐことができる。
【0028】
ここで、前記多孔性炭素構造体がリチウム二次電池の正極材に適用されて硫黄担持体の機能をする場合、前記多孔性炭素構造体の気孔の体積は1.5cc/gないし4.5cc/gであって、具体的には1.5cc/g以上、2.0cc/g以上または2.5cc/g以上であって、3.5cc/g以下、4.0cc/g以下または4.5cc/g以下である。
【0029】
前記多孔性炭素構造体の気孔の体積は異種元素の種類によって変わることもある。例えば、前記多孔性炭素構造体に含まれた異種元素がNであれば、前記多孔性炭素構造体は微細気孔(micropore)を含むものである。
【0030】
本発明において、前記多孔性炭素構造体の比表面積は特に制限されないが、比表面積が大きいほどLiイオンと硫黄との間の酸化‐還元反応が起きる位置を充分提供することができるので、リチウム二次電池の充放電の時、電気化学反応が円滑に行われることができる。
【0031】
ここで、前記多孔性炭素構造体の比表面積は1500ないし3000m/gであって、具体的に、1500m/g以上または1800m/g以上であって、または2500m/g以下または3000m/g以下である。前記多孔性炭素構造体の比表面積が1500m/g未満であれば活物質を充分担持することができず、3000m/g超過であれば比表面積を達成するために必要以上の工程時間及び費用が発生することがある。
【0032】
本発明において、前記多孔性炭素構造体は第1MOFと第2MOFの骨格を成す成分として金属イオン及び有機リガンドを含むことができる。
【0033】
前記金属イオンは元素周期表の1族ないし16族の金属からなる群から選択される1種以上のイオンである。具体的に、前記金属イオンは、Li、Na、K、Rb、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+及びBiからなる群から選択される1種以上である。
【0034】
前記有機リガンドは、ハライド(フロリン、塩素、臭素、ヨウ素)、カルボン酸塩、シアノ、イソシアネート、イソチオシアネート、ニトリル、ピリジル、ニトロソ、ニトロ及びホスフェートからなる群から選択される1種以上である。具体的な例として、前記有機リガンドは4,4‐ビピリジン(bipyridin)、ベンゼン‐1,4‐ジカルボン酸塩(benzene‐1,4‐dicarboxylate)またはこれらの誘導体である。
【0035】
また、前記MOFに含まれた金属イオンと有機リガンドのモル比は1:0.2ないし5、好ましくは1:0.3ないし4.5、より好ましくは1:0.5ないし4である。前記金属イオンに対する有機リガンドのモル比が前記範囲未満であれば気孔率が低下されることがあって、前記範囲を超えると気孔の大きさが低下されることがある。
【0036】
多孔性炭素構造体の製造方法
本発明は、また、多孔性炭素構造体の製造方法に係り、(S1)金属前駆体と第1有機リガンド前駆体を有機溶媒に溶解させた混合溶液を加熱してMOFを形成する段階;(S2)N及びSの中で1種以上を含む第2有機リガンドを前記混合溶液に添加して加熱することでコア‐シェル構造のMOFを形成する段階;及び(S3)前記(S2)段階で形成されたコア‐シェル構造のMOFを炭化させる段階;を含む多孔性炭素構造体の製造方法を提供する。
【0037】
以下、各段階別に本発明による多孔性炭素構造体の製造方法についてより詳しく説明する。
【0038】
本発明において、前記(S1)段階では金属前駆体と第1有機リガンド前駆体を有機溶媒に溶解させた混合溶液を加熱してMOFを形成することができる。
【0039】
前記MOFを形成させる反応条件は100ないし150℃の温度で6ないし40時間加熱させることである。
【0040】
前記反応温度が100℃未満であれば結晶生成反応が開始されにくいため、MOFが形成されないこともあって、150℃超であればMOFになることができる。
【0041】
また、前記反応時間が6時間未満であれば中間生成物のまま反応が終わるか、MOFと中間生成物の混合形態で反応が終わって、40時間超であれば工程に要される時間が長くかかり過ぎて工程効率が低下されることがある。
【0042】
前記金属前駆体は上述したような金属イオンを含む化合物である。例えば、前記金属前駆体は亜鉛前駆体を含むことができ、前記亜鉛前駆体は亜鉛ニトラート・6水和物(Zn(NO・6HO)、亜鉛アセテート・2水和物(Zn(CHCO・2HO)及び亜鉛サルフェート・6水和物(ZnSO・6HO)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0043】
また、前記第1有機リガンド前駆体は、1,4‐ベンゼンジカルボン酸(benzene‐1,4‐dicarboxylic acid)、ベンゼン‐1,3,5‐トリカルボン酸(benzene‐1,3,5‐tricarboxylic acid)、2‐メチルイミダゾール(2‐methylimidazole)、シュウ酸(ethanedioic acid)、マロン酸(propanedioic acid)、コハク酸(butanedioic acid)、グルタル酸(pentanedioic acid)、o‐フタル酸(o‐phthalic acid)、m‐フタル酸(m‐phthalic acid)、p‐フタル酸(p‐phthalic acid)、2‐ヒドロキシ‐1,2,3‐プロパントリカルボン酸(2‐hydroxy‐1,2,3‐propanetricarboxylic acid)、1H‐1,2,3‐トリアゾール(1H‐1,2,3‐triazole)、1H‐1,2,4‐トリアゾール(1H‐1,2,4‐triazole)及び3,4‐ジヒドロキシ‐3‐シクロブテン‐1,2‐ジオン(3,4‐dihydroxy‐3‐cyclobutene‐1,2‐dione)からなる群から選択された1種以上を含むことができるし、好ましくは1,4‐ベンゼンジカルボン酸である。
【0044】
また、前記有機溶媒はジメチルカーボネート、ジメチルホルムアミド(DMF)、N‐メチルホルムアミド、スルホラン(テトラハイドロチオフェン‐1,1‐ジオキサイド)、3‐メチルスルホラン、N‐ブチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ピロリジノン(HEP)、ジメチルピペリドン(DMPD)、N‐メチルピロリジノン(NMP)、N‐メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルアセトアミド(DEAc)ジプロピルアセトアミド(DPAc)、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、テトラクロロエチレン、プロピレングリコール、トルエン、テルペンチン、メチルアセテート、エチルアセテート、ペトロールエーテル、アセトン、クレゾール及びグリセロールからなる群から選択された1種以上であって、好ましくはジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0045】
本発明において、前記(S2)段階ではN及びSの中で1種以上を含む第2有機リガンド前駆体をMOFが形成された混合溶液に添加して加熱することでコア‐シェル構造のMOFを形成することができる。この時、前記第2有機リガンドは有機溶媒に溶解させた溶液の状態で使用することができる。前記有機溶媒は前記(S1)段階で使われた有機溶媒の種類の範囲内で同一または異なるものを使用することができる。
【0046】
前記コア‐シェル構造のMOFが合成されるようにする反応条件は35℃ないし100℃で15ないし25時間加熱させることである。このような反応温度または時間未満の場合、リガンド交換反応速度(reaction rate)が遅すぎて、超過の場合、熱によって結晶性が破壊されることがある。
【0047】
前記合成されたMOFは第2有機リガンド前駆体溶液に担持して反応を進めることができる。この時、前記合成されたMOFは洗浄、活性化及び乾燥後、結晶状態で前記第2有機リガンド溶液に担持されることができる。前記MOFが担持された第2有機リガンド前駆体溶液では溶媒補助リガンド交換(Solvent‐assisted Ligand Exchange)反応が起きるようになって、前記MOFの表面に前記第2有機リガンド前駆体に含まれた異種元素であるN及びSの中で1種以上がドーピングされる。
【0048】
この時、前記MOFで前記異種元素でドーピングされていないMOFの内部は第1MOFといい、異種元素でドーピングされた表面部は第2MOFに区分することができる。また、前記第1MOFをコアといい、前記第2MOFをシェルといって、コア‐シェル構造のMOFが形成されることができる。
【0049】
一般に、溶媒補助リガンド交換(Solvent‐assisted Ligand Exchange)反応とは、リガンド溶液と親MOFの親リガンドと娘リガンドの交換が起きて、親MOFのトポロジー(topology)を維持する娘MOFが獲得される。この時、反応条件(例、温度、濃度、結晶の大きさなど)の調節及び娘リガンドの特性などによって親MOFが全て娘MOFに切り換わるか、親MOFの表面から順次娘MOFに切り換わってコア‐シェル構造を形成する。リガンドの交換はリンカー交換過程と係わった△Gが0に収斂し、これを平衡と見做すことができる。
【0050】
本発明の一具現例によると、親リガンドはテレフタル酸で、娘リガンドは2‐アミノテレフタル酸であって、交換過程で2‐アミノテレフタル酸に存在するアミン基の立体障害(steric hinderance)によって親MOFが娘MOFに完全に切り換わることなくコア‐シェル構造を形成する。
【0051】
リガンド交換は結晶色の変化、OM上の黄色い枠、FT‐IR、FIB‐EDS、NMRなどで確認可能であり、NMR分析を通じて転換率を把握することができる。
【0052】
図1は本発明による多孔性炭素構造体の製造方法でコア‐シェル構造のMOFが形成される過程を示す模式図である。
【0053】
図1を参照すれば、丸1は前記(S1)段階で形成されたMOFの模式図を示すものである。丸2は前記(S2)段階で前記MOFと第2有機リガンド前駆体の溶媒補助リガンド交換反応が始まりながら前記MOFの表面がNにドーピングされ始める初期MOFの模式図を示すものである。丸3は前記溶媒補助リガンド交換反応が完了され、前記MOFの表面が異種元素でドーピングされて、第1MOF及び第2MOFを分けられたコア‐シェル構造のMOFの模式図である。この時、シェルを形成する第2MOFに異種元素がドーピングされたものである。
【0054】
前記第2有機リガンド前駆体は、N及びSの中で1種以上を含むものである。
【0055】
前記Nを含む第2有機リガンド前駆体は、2‐アミノテレフタル酸(2‐aminoterephthalic acid)、4‐アミノフタル酸、4‐アミノイソフタル酸、5‐アミノイソフタル酸、2,5‐ジアミノテレフタル酸、2,2’‐ジアミノ‐4,4’‐スチルベンジカルボン酸、5‐シアノ‐1,3‐ベンゼンジカルボン酸、2‐メチルイミダゾール及び4,4’,4”‐s‐トリアジン‐2,4,6‐トリイル‐トリ安息香酸からなる群から選択された1種以上を含むものである。以下、本発明に対して理解しやすくするために、本発明をより詳細に説明する。
【0056】
本明細書及び請求範囲で使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈しなければならない。
【0057】
本明細書で使われた用語「階層的構造」は、コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体でコア上にシェルが別途の層(layer)の形態からなる構造を意味する。この時、前記シェルはコア上に全体または部分的に形成されるものである。
【0058】
多孔性炭素構造体
本発明は、コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体に係り、前記コアは第1MOF(metal organic frameworks)を含み、前記シェルは第2MOFを含み、前記第2MOFはN及びSの中で1種以上を含む異種元素でドーピングされたものである。
【0059】
前記第1MOFと第2MOFは、気孔構造と元素構成が相違し、前記第2MOFは前記第1MOF表面の全体または一部に層(layer)を成して、コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体が形成されることができる。この時、前記気孔構造とは、気孔の体積と気孔の大きさを意味する。
【0060】
具体的に、シェルはコアと比べて、異原子でドーピングされたという点、及び微細気孔が発達した点(micro‐pore dominant)で差がある。このような構造を通じてリチウム‐硫黄二次電池のようなリチウム二次電池の駆動時にLiPS湧出を化学的(異原子ドーピング)及び物理的(微細気孔)で抑制することができる。
【0061】
例えば、前記第1MOFの比表面積が1700ないし2000m/gで、気孔の体積は1.9ないし2.5cc/gであって、前記第2MOFの比表面積は900ないし1300m/gで、気孔の体積は0.8ないし1.0cc/gである。
【0062】
本発明において、前記多孔性炭素構造体はシェルの第2MOFにドーピングされた異種元素の種類によって気孔の体積と比表面積が変わることもある。例えば、前記異種元素がNであれば前記多孔性炭素構造体には微細気孔(micropore)が発達して比表面積が増加し、気孔の体積は多少減少することがある。一方、前記異種元素がSであれば前記多孔性炭素構造体には微細気孔とともにメソ気孔(mesopore)が発達して比表面積と気孔の体積がいずれも増加することができる。前記微細気孔とメソポアの直径は特に制限されないが、前記微細気孔の直径は1nm以上、5nm未満であって、前記メソ気孔の直径は5nmないし10nmである。
【0063】
本発明において、前記多孔性炭素構造体の気孔の体積は特に制限されないが、気孔の体積が大きいほどリチウム二次電池用正極材として適する。例えば、前記多孔性炭素構造体をリチウム二次電池用正極材で適用する場合、前記多孔性炭素構造体の気孔の体積が大きいほど正極活物質に含まれた硫黄(S8)をもっと多く含浸させることができ、硫黄(S8)とリチウムポリスルフィド(LiPS)の相互変換時に現われる体積膨脹による正極槽の構造損傷を防ぐことができる。
【0064】
ここで、前記多孔性炭素構造体がリチウム二次電池の正極材に適用されて硫黄担持体の機能をする場合、前記多孔性炭素構造体の気孔の体積は1.5cc/gないし4.5cc/gであって、具体的には1.5cc/g以上、2.0cc/g以上または2.5cc/g以上であって、3.5cc/g以下、4.0cc/g以下または4.5cc/g以下である。
【0065】
前記多孔性炭素構造体の気孔の体積は異種元素の種類によって変わることもできる。例えば、前記多孔性炭素構造体に含まれた異種元素がNであれば、前記多孔性炭素構造体は微細気孔(micropore)を含むものである。
【0066】
本発明において、前記多孔性炭素構造体の比表面積は特に制限されないが、比表面積が大きいほどLiイオンと硫黄との間の酸化‐還元反応が起きる位置を充分提供することができるので、リチウム二次電池の充放電時に電気化学反応が円滑に行われる。
【0067】
ここで、前記多孔性炭素構造体の比表面積は1500ないし3000m/gであって、具体的に、1500m/g以上または1800m/g以上であって、または2500m/g以下または3000m/g以下である。前記多孔性炭素構造体の比表面積が1500m/g未満であれば活物質を充分に担持することができず、3000m/g超であれば比表面積を達成するために必要以上の工程時間及び費用が発生することがある。
【0068】
本発明において、前記多孔性炭素構造体は第1MOFと第2MOFの骨格を成す成分として金属イオン及び有機リガンドを含むことができる。
【0069】
前記金属イオンは元素周期表の1族ないし16族の金属からなる群から選択される1種以上のイオンである。具体的に、前記金属イオンは、Li、Na、K、Rb、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+及びBiからなる群から選択される1種以上である。
【0070】
前記有機リガンドはハライド(フロリン、塩素、臭素、ヨウ素)、カルボン酸塩、シアノ、イソシアネート、イソチオシアネート、ニトリル、ピリジル、ニトロソ、ニトロ及びホスフェートからなる群から選択される1種以上である。具体的な例として、前記有機リガンドは4,4‐ビピリジン(bipyridin)、ベンゼン‐1,4‐ジカルボン酸塩(benzene‐1,4‐dicarboxylate)またはこれらの誘導体である。
【0071】
また、前記MOFに含まれた金属イオンと有機リガンドとのモル比は1:0.2ないし5、好ましくは1:0.3ないし4.5、より好ましくは1:0.5ないし4である。前記金属イオンに対する有機リガンドのモル比が前記範囲未満であれば気孔率が低下されることがあって、前記範囲超であれば気孔の大きさが低下されることがある。
【0072】
多孔性炭素構造体の製造方法
本発明は、また、多孔性炭素構造体の製造方法に係り、(S1)金属前駆体と第1有機リガンド前駆体を有機溶媒に溶解させた混合溶液を加熱してMOFを形成する段階;(S2)N及びSの中で1種以上を含む第2有機リガンドを前記混合溶液に添加して加熱することでコア‐シェル構造のMOFを形成する段階;及び(S3)前記(S2)段階で形成されたコア‐シェル構造のMOFを炭化させる段階;を含む多孔性炭素構造体の製造方法を提供する。
【0073】
以下、各段階別に本発明による多孔性炭素構造体の製造方法についてより詳しく説明する。
【0074】
本発明において、前記(S1)段階では金属前駆体と第1有機リガンド前駆体を有機溶媒に溶解させた混合溶液を加熱してMOFを形成することができる。
【0075】
前記MOFが形成されるようにする反応条件は100ないし150℃の温度で6ないし40時間加熱させることである。
【0076】
前記反応温度が100℃未満であれば、結晶生成反応が開始されにくく、MOFが形成されないこともあって、150℃超であればMOFになることができる。
【0077】
また、前記反応時間が6時間未満であれば、中間生成物のまま反応が終わるか、MOFと中間生成物の混合形態で反応が終わって、40時間超であれば、工程に要される時間が長くかかり過ぎて工程効率が低下されることがある。
【0078】
前記金属前駆体は上述したような金属イオンを含む化合物である。例えば、前記金属前駆体は亜鉛前駆体を含むことができ、前記亜鉛前駆体は亜鉛ニトラート・6水和物(Zn(NO・6HO)、亜鉛アセテート・2水和物(Zn(CHCO・2HO)及び亜鉛サルフェート・6水和物(ZnSO・6HO)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0079】
また、前記第1有機リガンド前駆体は、1,4‐ベンゼンジカルボン酸(benzene‐1,4‐dicarboxylic acid)、ベンゼン‐1,3,5‐トリカルボン酸(benzene‐1,3,5‐tricarboxylic acid)、2‐メチルイミダゾール(2‐methylimidazole)、シュウ酸(ethanedioic acid)、マロン酸(propanedioic acid)、コハク酸(butanedioic acid)、グルタル酸(pentanedioic acid)、o‐フタル酸(o‐phthalic acid)、m‐フタル酸(m‐phthalic acid)、p‐フタル酸(p‐phthalic acid)、2‐ヒドロキシ‐1,2,3‐プロパントリカルボン酸(2‐hydroxy‐1,2,3‐propanetricarboxylic acid)、1H‐1,2,3‐トリアゾール(1H‐1,2,3‐triazole)、1H‐1,2,4‐トリアゾール(1H‐1,2,4‐triazole)及び3,4‐ジヒドロキシ‐3‐シクロブテン‐1,2‐ジオン(3,4‐dihydroxy‐3‐cyclobutene‐1,2‐dione)からなる群から選択された1種以上を含むことができ、好ましくは1,4‐ベンゼンジカルボン酸である。
【0080】
また、前記有機溶媒は、ジメチルカーボネート、ジメチルホルムアミド(DMF)、N‐メチルホルムアミド、スルホラン(テトラハイドロチオフェン‐1,1‐ジオキサイド)、3‐メチルスルホラン、N‐ブチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ピロリジノン(HEP)、ジメチルピペリドン(DMPD)、N‐メチルピロリジノン(NMP)、N‐メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルアセトアミド(DEAc)ジプロピルアセトアミド(DPAc)、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、テトラクロロエチレン、プロピレングリコール、トルエン、テルペンチン、メチルアセテート、エチルアセテート、ペトロールエーテル、アセトン、クレゾール及びグリセロールからなる群から選択された1種以上であって、好ましくはジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0081】
本発明において、前記(S2)段階では、N及びSの中で1種以上を含む第2有機リガンド前駆体をMOFが形成された混合溶液に添加して加熱することでコア‐シェル構造のMOFを形成することができる。この時、前記第2有機リガンドは有機溶媒に溶解させた溶液の状態で使用することができる。前記有機溶媒は前記(S1)段階で使用された有機溶媒の種類の範囲内で同一または異なるものを使用することができる。
【0082】
前記コア‐シェル構造のMOFが合成されるようにする反応条件は、35℃ないし100℃で15ないし25時間加熱させることである。このような反応温度または時間未満の場合、リガンド交換反応速度(reaction rate)が遅すぎて、超過の場合は熱によって結晶性が破壊されることがある。
【0083】
前記合成されたMOFは第2有機リガンド前駆体溶液に担持して反応を進めることができる。この時、前記合成されたMOFは、洗浄、活性化及び乾燥後、結晶状態で前記第2有機リガンド溶液に担持されることがある。前記MOFが担持された第2有機リガンド前駆体溶液では、溶媒補助リガンド交換(Solvent‐assisted Ligand Exchange)反応が起きるようになって、前記MOFの表面に前記第2有機リガンド前駆体に含まれた異種元素であるN及びSの中で1種以上がドーピングされる。
【0084】
この時、前記MOFで前記異種元素でドーピングされていないMOFの内部は第1MOFといい、異種元素でドーピングされた表面部は第2MOFに区分することができる。また、前記第1MOFをコアといい、前記第2MOFをシェルといって、コア‐シェル構造のMOFが形成されることができる。
【0085】
一般に、溶媒補助リガンド交換(Solvent‐assisted Ligand Exchange)反応とは、リガンド溶液と親MOFの親リガンドと娘リガンドの交換が起きて、親MOFのトポロジーを維持する娘MOFが獲得される。この時、反応条件(例、温度、濃度、結晶の大きさなど)の調節及び娘リガンドの特性などによって親MOFが全て娘MOFに切り換わるか、親MOFの表面から順次娘MOFに切り換わってコア‐シェル構造を形成する。リガンドの交換はリンカー交換過程と係わった△Gが0に収斂し、これを平衡と見做すことができる。
【0086】
本発明の一具現例によると、親リガンドはテレフタル酸で、娘リガンドは2‐アミノテレフタル酸であって、交換過程2‐アミノテレフタル酸に存在するアミン基の立体障害(steric hinderance)によって親MOFが娘MOFに完全に切り換わることなくコア‐シェル構造を形成する。
【0087】
リガンド交換は結晶色の変化、OM上の黄色い枠、FT‐IR、FIB‐EDS、NMRなどで確認可能であり、NMR分析を通じて転換率を把握することができる。
【0088】
図1は本発明による多孔性炭素構造体の製造方法でコア‐シェル構造のMOFが形成される過程を示す模式図である。
【0089】
図1を参照すれば、丸1は前記(S1)段階で形成されたMOFの模式図を示すものである。丸2は前記(S2)段階で前記MOFと第2有機リガンド前駆体の溶媒補助リガンド交換反応が始まりながら前記MOFの表面がNでドーピングされ始める初期MOFの模式図を示すものである。丸3は前記溶媒補助リガンド交換反応が完了され、前記MOFの表面が異種元素でドーピングされて、第1MOF及び第2MOFを分けたコア‐シェル構造のMOFの模式図である。この時、シェルを形成する第2MOFに異種元素がドーピングされたものである。
【0090】
前記第2有機リガンド前駆体は、N及びSの中で1種以上を含むことである。
【0091】
前記Nを含む第2有機リガンド前駆体は、2‐アミノテレフタル酸(2‐aminoterephthalic acid)、4‐アミノフタル酸、4‐アミノイソフタル酸、5‐アミノイソフタル酸、2,5‐ジアミノテレフタル酸、2,2’‐ジアミノ‐4,4’‐スチルベンジカルボン酸、5‐シアノ‐1,3‐ベンゼンジカルボン酸、2‐メチルイミダゾール及び4,4’,4”‐s‐トリアジン‐2,4,6‐トリイル‐トリ安息香酸からなる群から選択された1種以上を含むものである。
【0092】
前記Sを含む第2有機リガンド前駆体は、2,5‐ジスルファニルテレフタル酸(2,5‐disulfanylterephthalic acid、H(C))、2‐スルファニルテレフタル酸(2‐sulfanylterephthalic acid)及び2,5‐チオフェンジカルボン酸(2,5‐thiophenedicarboxylic acid)からなる群から選択された1種以上を含むものである。
【0093】
本発明において、前記(S3)段階では前記(S2)段階で形成されたコア‐シェル構造のMOFを熱処理して炭化させることで、多孔性炭素構造体を製造することができる。
【0094】
前記熱処理は不活性雰囲気下で実施することである。前記不活性雰囲気は窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、クリプトンガスまたはキセノンガスによって形成されるものであり、好ましくはアルゴンガスによって形成されることができる。
【0095】
前記熱処理温度は900℃ないし1500℃であって、具体的に、900℃以上、950℃以上または1000℃以上であって、1100℃以下、1300℃以下または1500℃以下である。前記熱処理温度が900℃未満であればMOF内のZn金属が充分除去されないこともあり、1500℃超であれば工程に必要な時間とエネルギーが多く必要なので工程効率が低下されることがある。
【0096】
前記熱処理時間は6時間ないし24時間であって、具体的に6時間以上、7時間以上または8時間以上であって、22時間以下、23時間以下または24時間以下である。前記熱処理時間が6時間未満であれば炭化が充分になれず、電気化学反応に必要な十分な比表面積と気孔の体積を確保しにくいことがあって、24時間超であれば工程に必要な時間とエネルギーが多く必要なので工程効率が低下されることがある。
【0097】
リチウム二次電池
本発明は、また、正極、負極、これらの間に介在された分離膜及び電解液を含むリチウム二次電池に係り、前記多孔性炭素構造体を正極材で含むことができる。
【0098】
具体的に、正極活物質で硫黄含有物質を使用する時、前記多孔性炭素構造体を硫黄担持体として適用することができる。このように正極活物質で硫黄含有物質を含む電池をリチウム‐硫黄二次電池と言える。
【0099】
本発明において、前記リチウム二次電池の正極は正極集電体及び前記正極集電体上に形成され、正極活物質を持つ正極合剤層を含むことができる。
【0100】
前記正極活物質としては、硫黄元素(elemental sulfur、S8)、硫黄系列化合物またはこれらの混合物を含むことができる。前記硫黄系列化合物は、具体的に、Li2Sn(n≧1)、有機硫黄化合物または炭素‐硫黄ポリマー((C2Sx)n:x=2.5~50、n≧2)を含むことができる。これらの硫黄物質の場合、単独では電気伝導性がないため、炭素材と複合化して硫黄‐炭素複合体の形態でリチウム二次電池の正極で使われることもできる。
【0101】
また、前記正極活物質はリチウム含有遷移金属酸化物をさらに含むことができ、前記リチウム含有遷移金属酸化物、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1‐yCo、LiCo1‐yMn、LiNi1‐yMn(O≦y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2‐zNi、LiMn2‐zCo(0<z<2)、LiCoPO及びLiFePOからなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらの中で2種以上の混合物を使用することができる。また、このような酸化物(oxide)の他に硫化物(sulfide)、セレン化物(selenide)及びハロゲン化物(halide)なども使われることができる。
【0102】
また、前記正極集電体は当該電池に化学的変化を引き起こさずに高い導電性を持つものであれば、特に制限されず、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使われることができる。この時、前記正極集電体は正極活物質との接着力を高めることもできるよう、表面に微細な凹凸が形成されたフィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態を使用することができる。
【0103】
本発明において、前記リチウム二次電池の負極は負極集電体及び前記負極集電体上に形成された負極活物質を持つ負極合剤層を含むことができる。
【0104】
前記負極活物質では通常リチウムイオンが吸蔵及び放出されることができる炭素材、リチウム金属、ケイ素またはスズなどを使用することができる。好ましくは、炭素材を使用することができ、炭素材としては低結晶炭素及び高結晶性炭素などがいずれも使われることができる。低結晶性炭素としては、軟化炭素(soft carbon)及び硬化炭素(hard carbon)が代表的で、高結晶性炭素としては天然黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(meso‐carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)及び石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。この時、負極は結着剤を含むことができ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF‐co‐HFP)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレイト(polymethylmethacrylate)など、多様な種類のバインダー高分子が使われることができる。
【0105】
また、前記負極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさずに導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム‐カドミウム合金などが使われることができる。また、前記負極集電体は正極集電体と同様、表面に微細な凹凸が形成されたフィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が使われることができる。
【0106】
この時、前記正極合剤層または負極合剤層は、バインダー樹脂、導電材、充填剤及びその他添加剤などをさらに含むことができる。
【0107】
前記バインダー樹脂は、電極活物質と導電材の結合と集電体に対する結合のために使用する。このようなバインダー樹脂の例では、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン‐ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化‐EPDM、スチレン‐ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体などを挙げることができる。
【0108】
前記導電材は電極活物質の導電性をさらに向上させるために使用する。このような導電材は当該電池に化学的変化を引き起こさずに導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などが使われることができる。
【0109】
前記充填剤は電極の膨脹を抑制する成分として選択的に使われ、当該電池に化学的変化を引き起こさずに繊維状材料であれば特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオリフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使われる。
【0110】
本発明において、前記分離膜は電極を物理的に分離する機能を持つ物理的な分離膜であって、通常リチウム二次電池で分離膜として使われるものであれば特に制限されずに使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解質の含湿能力に優れるものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを単独で、またはこれらを積層して使用することができ、または通常的な多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0111】
本発明において、前記電解液は非水電解液であってもよく、前記非水電解液に含まれる電解質塩はリチウム塩である。前記リチウム塩は、リチウム二次電池用電解液に通常使われるものなどを制限せずに使われることができる。例えば、前記リチウム塩は、LiFSI、LiPF、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiPF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム及び4‐フェニルホウ酸リチウムからなる群から選択される1種以上である。
【0112】
前述した非水電解液に含まれる有機溶媒としては、リチウム二次電池用電解液に通常使われるものなどを制限せずに使用することができ、例えば、エーテル、エステル、アミド、線形カーボネート、環形カーボネートなどをそれぞれ単独で、または2種以上混合して使用することができる。その中で代表的には、環形カーボネート、線形カーボネート、またはこれらのスラリーであるカーボネート化合物を含むことができる。
【0113】
前記環形カーボネート化合物の具体的な例では、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、1,2‐ブチレンカーボネート、2,3‐ブチレンカーボネート、1,2‐ペンチレンカーボネート、2,3‐ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート及びこれらのハロゲン化物からなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらの中で2種以上のスラリーがある。これらのハロゲン化物では、例えば、フルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate、FEC)などがあり、これに限定されるものではない。
【0114】
また、前記線形カーボネート化合物の具体的な例では、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート及びエチルプロピルカーボネートからなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらの中で2種以上のスラリーなどが代表的に使われることができるが、これに限定されるものではない。特に、前記カーボネート系有機溶媒の中で環形カーボネートであるエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートは高粘度の有機溶媒として誘電率が高く、電解質内のリチウム塩をもっとよく解離させることができ、このような環形カーボネートにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率線形カーボネートを適当な割合で混合して使えば、より高い電気伝導率を持つ電解液を作ることができる。
【0115】
また、前記有機溶媒の中でエーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル及びエチルプロピルエーテルからなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらの中で2種以上のスラリーを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0116】
また、前記有機溶媒の中でエステルとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネイト、エチルプロピオネイト、プロピルプロピオネイト、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、γ‐カプロラクトン、σ‐バレロラクトン及びε‐カプロラクトンからなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらの中で2種以上のスラリーを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0117】
前記非水電解液の注入は最終製品の製造工程及び要求物性に応じて、電気化学素子の製造工程中に適切な段階で行われることができる。すなわち、電気化学素子の組み立て前または電気化学素子の組み立て最終段階などで適用されることができる。
【0118】
本発明によるリチウム二次電池は、一般的な工程である巻取(winding)以外にもセパレーターと電極の積層(lamination、stack)及びフォールディング(folding)工程が可能である。
【0119】
そして、前記電池ケースの形状は特に制限されず、円筒状、積層型、角形、ポーチ(pouch)型またはコイン(coin)型など多様な形状にすることができる。これらの電池の構造と製造方法は、この分野に広く知られているので詳細な説明は省略する。
【0120】
また、前記リチウム二次電池は使用する正極/負極材質によってリチウム‐硫黄二次電池、リチウム‐空気電池、リチウム‐酸化物電池、リチウム全固体電池など多様な電池で分類可能である。
【0121】
本発明はまた、前記リチウム二次電池を単位電池で含む電池モジュールを提供する。
【0122】
前記電池モジュールは高温安定性、長いサイクル特性及び高い容量特性などが要求される中大型デバイスの電源として使われることができる。
【0123】
前記中大型デバイスの例では、電池的モーターによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(electric vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)、プラグ‐インハイブリッド電気自動車(plug‐in hybrid electric vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E‐bike)、電気スクーター(E‐scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0124】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明であり、このような変更及び修正が添付の特許請求範囲に属することも当然である。
【0125】
実施例1
(1)MOF製造
Zn(NO・6HO 0.8g(4.2mmol)及び1,4‐ベンゼンジカルボン酸(HBDC)0.149g(0.89mmol)を無数DMF(N,N’‐dimethylformamide)30mLとともに50mL容器に入れた。反応溶液を120℃ボックス型電気炉で1日間加熱した。結晶形の生成物を減圧装置と濾紙を通じて収得し、無数DMF(N,N’‐dimethylformamide)及び無数クロロホルム(Chloroform)で数回洗浄した。生成物を常温の真空デシケーター(desiccator)で乾燥した。
【0126】
製造されたMOFは、MOF‐5(ZnO(BDC)、BDC:1,4‐benzenedicarboxylate)である。
【0127】
(2)コア‐シェル構造形成(MOF‐5@N‐MOF‐5)
有機溶媒であるDMF(N,N’‐dimethylformamide)にN元素を含む有機リガンド前駆体である2‐アミノテレフタル酸(2‐aminoterephthalic acid)を溶解させて、濃図0.01Mの有機リガンド前駆体溶液を製造した。
【0128】
前記有機リガンド前駆体溶液を100℃で30分間加熱した後、得たコア‐シェル構造のMOFを回収して乾燥させた(MOF‐5@N‐MOF‐5)。
【0129】
(3)炭化
前記コア‐シェル構造のMOFをAr雰囲気及び1000℃で6時間熱処理して、多孔性炭素構造体を製造した(MOF‐5@N‐MOF‐5)。
【0130】
実施例2
N元素を含む有機リガンド前駆体である2‐アミノテレフタル酸(2‐aminoterephthalic acid)の代わりにS元素を含む有機リガンド前駆体である2,5‐ジメルカプトテレフタル酸(2,5‐mercaptoterephthalic acid)を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で多孔性炭素構造体を製造した(MOF‐5@S‐MOF‐5)。
【0131】
比較例1
コア‐シェル構造を形成しないことを除いて、実施例1と同様の方法でMOF‐5を炭化させて多孔性炭素を製造した(MOF‐5)。
【0132】
比較例2
コア‐シェル構造を形成しないことを除いて、実施例1と同様の方法でN‐MOF‐5を炭化させて多孔性炭素を製造した(N‐MOF‐5)。
【0133】
比較例3
コアとシェルの物質を逆にしたことを除いて、実施例1と同様の方法で多孔性炭素を製造した(N‐MOF‐5@MOF‐5)。
【0134】
実験例1
実施例1、実施例2及び比較例1でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体の形状を確認した。
【0135】
図2は実施例1、実施例2及び比較例1でそれぞれ製造されたMOFのSEM(Scanning Electron Microscope、FE‐SEM;JEOL、JSM‐7100F)写真である。
【0136】
図2を参照すれば、実施例1、実施例2及び比較例1の多孔性炭素構造体はいずれも正六面体であることが分かる。また、実施例1及び実施例2はキュービック(cubic)形状の表面に一つの層がさらに形成されていることを確認することができ、これはコア‐シェル形態が形成されたことが分かる。
【0137】
図3は実施例1及び比較例1、2、3でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体に対するXRD(X‐ray Diffraction)分析結果に対するグラフ(2‐theta‐scale)である。
【0138】
図3を参照すれば、比較例1(MOF‐5)と比較例2(N‐MOF‐5)の主ピーク(6.8゜、9.7゜、13.7゜、15.4゜)は同一で、実施例1(MOF‐5@N‐MOF‐5)と比較例2(N‐MOF‐5@MOF‐5)の主ピークも同一なので、リガンド交換反応後も既存MOFの結晶構造が保存されることが分かる。
【0139】
図4は実施例1、2及び比較例1、2、3でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体に対する光学顕微鏡写真である。
【0140】
図4を参照すれば、リガンド交換反応後のコア‐シェル構造のMOF形態である実施例1(MOF‐5@N‐MOF‐5)、実施例2(MOF‐5@S‐MOF‐5)及び比較例3(N‐MOF‐5@MOF‐5)は既存MOF形態である比較例1(MOF‐5)及び比較例2(N‐MOF‐5)の六面体模様を維持することが分かる。
【0141】
図5は実施例1及び比較例1でそれぞれ製造されたMOFとこれらの原料物質に対するFT‐IR(Fourier‐transform infrared spectroscopy)分析結果を示すグラフである。
【0142】
図5を参照すれば、実施例1(MOF‐5@N‐MOF‐5)に存在するN‐MOF‐5(IRMOF‐3)の有機リガンド前駆体である2‐アミノテレフタル酸のアミド基(amide group)を通じてコア‐シェル構造が形成されたことが分かる。
【0143】
実験例2
図6は実施例1で製造されたMOFに対するFIB‐EDS(Focused Ion Beam‐Energy Dispersive X‐ray Spectrometer、ZEISS、crossbeam 540)測定結果を示すものである。
【0144】
図6を参照すれば、実施例1のMOFで、内部(Inside)と表面(Suface)が分けられていて、これよりコア‐シェル構造が形成されたことが分かる。
【0145】
また、下記表1は実施例1のMOFのコア表面(Surface)とシェルの内部(Inside)の元素分析結果を示すものである。
【0146】
【表1】
【0147】
前記表1に示すように、MOFの表面、すなわちシェルのみからN元素が検出されたことを確認した。これより前記多孔性炭素構造体はコアとシェルの構成成分も異なるコア‐シェル構造であることが分かる。
【0148】
図7は実施例2で製造されたMOFに対するSEM‐EDS(Scanning Electron Microscope‐Energy Dispersive X‐ray Spectrometer、FE‐SEM;JEOL、JSM‐7100F)測定結果を示すものである。
【0149】
図7を参照すれば、実施例2の多孔性炭素構造体はキュービック形状のコアの表面にシェルが形成されたコア‐シェル構造であることを確認することができる。また、Sはシェルのみで観察されてコアとシェルの成分が相違するものとして表れ、これよりコア‐シェル構造のMOFが形成されたことが分かる。シェルは砕かれた形状で観察され、砕かれた部分に沿ってS元素が分布されることによって、コアと違う成分からなるシェルが形成されたことが分かる。
【0150】
図8a及び図8bはそれぞれ実施例1及び実施例2で製造された多孔性炭素構造体に対するXPS(X‐ray photoelectron spectroscopy、Thermo U.K.、K‐alpha)測定結果を示すものである。
【0151】
図8a及び図8bを参照すれば、異種元素であるNとSの結合エネルギー(biding energy)を確認することができ、これらがよくドーピングされたことが分かる。
【0152】
また、下記表2は実施例1、実施例2及び比較例1でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体の成分分析結果を示すものである。
【0153】
【表2】
【0154】
前記表2に示すように、実施例1と実施例2では有機リガンド前駆体としてそれぞれNを含む2‐アミノテレフタル酸とSを含む2,5‐ジメルカプトテレフタル酸とを使用することによって、成分分析結果でもそれぞれNとSの含量が高いことを確認することができる。
【0155】
実験例3
図9aないし9cは実施例及び比較例でそれぞれ製造された多孔性炭素構造体に対するBET分析結果を示すグラフである。
【0156】
図9aないし9cを参照すれば、実施例1及び実施例2では階層的多孔性炭素構造体の外部であるシェルに異原子がドーピングされることによって微細気孔(micropore)が発達し、前記微細気孔が発達することによって多孔性炭素構造体の比表面積及び気孔の体積が比較例1に比べて増加したことが分かる。
【0157】
一方、階層的多孔性炭素構造体ではなく比較例2と実施例1と比べてコアとシェルの物質が反対に形成された比較例3は、比較例1に比べて気孔の体積及び比表面積な著しく減少されたことが分かる。
【0158】
実施例1ないし実施例2及び比較例1ないし比較例3の多孔性炭素構造体の気孔の体積及び比表面積は、下記表3に記載されたとおりである。
【0159】
【表3】
【0160】
実験例4
正極材で使われる多孔性炭素構造体の形態によるリチウム‐硫黄二次電池の電気化学性能を評価した。
【0161】
電気化学性能評価対象としてリチウム‐硫黄二次電池は下記のように製造した。
【0162】
正極と負極の間に分離膜を入れてケースの内部に位置させた後、ケース内部に電解液を注入してCR‐2032コインセル形態のリチウム‐硫黄二次電池を製造した。この時、前記正極はAlホイル上に正極活物質、導電材(Super P)及びバインダー(スチレン‐ブタジエンゴム、SBR)を80:10:10の重量比で混合した正極スラリーを塗布、乾燥及び圧延して製造したものであり、前記正極活物質は硫黄(Sigma‐Aldrich製品)を多孔性炭素構造体とともにボールミルを使用して混合した後、155℃で熱処理して得た硫黄‐炭素複合体である(Sローディング:70%)。
【0163】
負極はリチウムホイルを使用した。
【0164】
電解液ではDOLとDMEの混合溶媒(DOL:DME=1:1(v/v))に0.3M LiNOと1M LiTFSiを溶解させて得たものである(DOL:Dioxolane、DME:Dimethoxyethane)。
【0165】
この時、前記多孔性炭素構造体は、実施例1、比較例1、比較例2及び比較例3の多孔性炭素構造体をそれぞれ使用した。
【0166】
実験例4‐1
製造されたリチウム‐硫黄二次電池は0.1C条件で充放電を実施した後、初期容量(initial capacity)及び14cycleでの放電容量を測定し、性能維持率を計算し、その結果を下記表4及び図10に示す。
【0167】
【表4】
【0168】
その結果、実施例1の多孔性炭素構造体を含むリチウム‐硫黄二次電池電気化学性能が最も優れるものとして表れ、これは実施例1の多孔性炭素構造体が階層的構造であるコア‐シェル構造を持ち、特にシェルで微細気孔が発達し、シェルに異種元素がドーピングされたことに起因したことが分かる。
【0169】
実験例4‐2
製造されたリチウム‐硫黄二次電池は0.1C条件で充放電を実施した後、1cycleと30cycle後の容量を比べた。
【0170】
図11a及び図11bは、実施例1と比較例1を含む電池の1cycle及び30cycle後の容量を示すグラフである。
【0171】
図11a及び図11bを参照すれば、実施例1(MOF‐5@N‐MOF‐5)は比較例1(MOF‐5)より向上された初期放電容量を示す(初期容量、実施例1:939.96mAh・g‐1、比較例1:810.66mAh・g‐1)。
【0172】
また、放電容量は30cycle後も実施例1がもっと高く、向上された性能維持率を示す(30cycle後の放電容量、実施例1:705.62mAh・g‐1(75%の性能維持)、比較例1:810.66mAh・g‐1(73%の性能維持))。
【0173】
電極分極の度合いは実施例1でより低く示されたことを確認した。
【0174】
実験例5
実施例及び比較例で合成された多孔性炭素構造体のNMRピークを確認した。
【0175】
合成された多孔性炭素構造体結晶を1M NaOD(Sodium deuteroxide)溶液に溶かして有機リガンドのNMRを測定した。
【0176】
図12aは実施例1の多孔性炭素構造体合成時間によるNMRピーク変化を示すグラフで、図12bは実施例1及び比較例1、2、3のNMRピーク変化を示すグラフである。
【0177】
図12aを参照すれば、MOF‐5のBDCベンゼン環内のH1ピーク(*)は実施例1の多孔性炭素構造体(MOF‐5@N‐MOF‐5)で維持されつつあって、BDC‐NHを有機リガンドにするN‐MOF‐5では発見されなかった。
【0178】
また、MOF‐5@N‐MOF‐5はリガンド交換反応時間が増加するにつれ、MOF‐5@N‐MOF‐5のBDC‐NH有機リガンドのH1主ピーク(A、B、C)が表れ、その大きさが増加することを確認した。
【0179】
図12bを参照すれば、実施例1(MOF‐5@N‐MOF‐5)及び比較例3(N‐MOF‐5@MOF‐5)は、比較例1(MOF‐5)及び比較例2(N‐MOF‐5)の主ピーク(*、A、B、C)が全て表れ、これは前駆体MOFでリガンド交換が起きたことを意味するものである。
【0180】
実験例6
実施例1と比較例1の多孔性炭素構造体を含む電極の接触角を測定し、電極の電解質に対する濡れ性(wetting)を判断した。
【0181】
図13は実施例1及び比較例1の多孔性炭素構造体を含む負極(cathode)の接触角測定結果を示す写真である。
【0182】
図13を参照すれば、比較例1の多孔性炭素構造体であるMOF‐5を含む負極は異原子がない純粋炭素で疎水性を帯び、水の接触角が57.9゜と示された。
【0183】
また、実施例1の多孔性炭素構造体であるMOF‐5@N‐MOF‐5を含む負極はNがドーピングされた炭素であって、向上された電気陰性度を持ち、親水性を帯び、水の接触角が33.3゜と示された。
【0184】
水の接触角測定結果より実施例1のMOF‐5@N‐MOF‐5を含む負極の接触角が低い極性が向上され、これによって電解質の濡れ性が向上され、リチウムイオンとの結合力を向上させて電池の性能を向上させることができる。
【0185】
以上、本発明はたとえ限定された実施例と図面に基づいて説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と下記特許請求範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは勿論である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア‐シェル構造の多孔性炭素構造体であって、
前記コアは第1MOF(metal organic frameworks)を含み、
前記シェルは第2MOFを含み、前記第2MOFはN及びSの中で1種以上を含む異種元素でドーピングされたものである、多孔性炭素構造体。
【請求項2】
前記多孔性炭素構造体は気孔の体積が1.5cc/gないし4.5cc/gである、請求項1に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項3】
前記多孔性炭素構造体は比表面積が1500m/gないし3000m/gである、請求項1又は2に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項4】
前記第1MOF及び第2MOFはそれぞれ金属イオンと有機リガンドを含むものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項5】
前記金属イオンは、Li、Na、K、Rb、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+及びBiからなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項6】
前記有機リガンドは、ハライド、カルボン酸塩、シアノ、イソシアネート、イソチオシアネート、ニトリル、ピリジル、ニトロソ、ニトロ及びホスフェートからなる群から選択される1種以上を含むものである、請求項4又は5に記載の多孔性炭素構造体。
【請求項7】
(S1)金属前駆体と第1有機リガンド前駆体を有機溶媒に溶解させた混合溶液を加熱してMOFを形成する段階;
(S2)N及びSの中で1種以上を含む第2有機リガンドを前記混合溶液に添加して加熱することでコア‐シェル構造のMOFを形成する段階;及び
(S3)前記(S2)段階で形成されたコア‐シェル構造のMOFを炭化させる段階;を含む、多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項8】
前記金属前駆体は、亜鉛ニトラート・6水和物(Zn(NO・6HO)、亜鉛アセテート・2水和物(Zn(CHCO・2HO)及び亜鉛サルフェート・6水和物(ZnSO・6HO)からなる群から選択される1種以上を含むものである、請求項7に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項9】
前記第1有機リガンド前駆体は、1,4‐ベンゼンジカルボン酸(benzene‐1,4‐dicarboxylic acid)、ベンゼン‐1,3,5‐トリカルボン酸(benzene‐1,3,5‐tricarboxylic acid)、2‐メチルイミダゾール(2‐methylimidazole)、シュウ酸(ethanedioic acid)、マロン酸(propanedioic acid)、コハク酸(butanedioic acid)、グルタル酸(pentanedioic acid)、o‐フタル酸(o‐phthalic acid)、m‐フタル酸(m‐phthalic acid)、p‐フタル酸(p‐phthalic acid)、2‐ヒドロキシ‐1,2,3‐プロパントリカルボン酸(2‐hydroxy‐1,2,3‐propanetricarboxylic acid)、1H‐1,2,3‐トリアゾール(1H‐1,2,3‐triazole)、1H‐1,2,4‐トリアゾール(1H‐1,2,4‐triazole)及び3,4‐ジヒドロキシ‐3‐シクロブテン‐1,2‐ジオン(3,4‐dihydroxy‐3‐cyclobutene‐1,2‐dione)からなる群から選択された1種以上を含むものである、請求項7又は8に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項10】
前記(S2)段階の第2有機リガンド前駆体は、Nを含む第2有機リガンド前駆体及びSを含む第2有機リガンド前駆体の中で選択されるものであって、
前記Nを含む第2有機リガンド前駆体は、2‐アミノテレフタル酸(2‐aminoterephthalic acid)、4‐アミノフタル酸、4‐アミノイソフタル酸、5‐アミノイソフタル酸、2,5‐ジアミノテレフタル酸、2,2’‐ジアミノ‐4,4’‐スチルベンジカルボン酸、5‐シアノ‐1,3‐ベンゼンジカルボン酸、2‐メチルイミダゾール及び4,4’,4”‐s‐トリアジン‐2,4,6‐トリイル‐トリ安息香酸からなる群から選択された1種以上を含み、
前記Sを含む第2有機リガンド前駆体は、2,5‐ジスルファニルテレフタル酸(2,5‐disulfanylterephthalic acid、H(C))、2‐スルファニルテレフタル酸(2‐sulfanylterephthalic acid)及び2,5‐チオフェンジカルボン酸(2,5‐thiophenedicarboxylic acid)からなる群から選択された1種以上を含むものである、請求項7~9のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項11】
前記(S2)段階では35℃ないし100℃で、15分ないし25時間加熱することである、請求項7~10のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項12】
前記(S3)段階では80℃ないし200℃で、不活性雰囲気下で900℃ないし1500℃の温度下で炭化させることである、請求項7~11のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体の製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の多孔性炭素構造体を含むリチウム二次電池用正極。
【請求項14】
前記正極は正極活物質を含み、
前記正極活物質は、硫黄含有物質;及び硫黄担持体として前記多孔性炭素構造体を含むものである、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の正極、負極、前記正極と負極との間に介在された分離膜及び電解液を含むリチウム二次電池。
【国際調査報告】