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特表2023-541827GLP-1受容体アゴニストの改善された医薬製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】GLP-1受容体アゴニストの改善された医薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/32 20060101AFI20230927BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 9/58 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20230927BHJP
   C07K 14/575 20060101ALI20230927BHJP
   C07K 14/46 20060101ALI20230927BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230927BHJP
   C12N 15/16 20060101ALN20230927BHJP
【FI】
A61K47/32
A61P3/10 ZNA
A61P1/16
A61P3/04
A61P9/10
A61K45/00
A61K38/26
A61P43/00 111
A61K9/58
A61K9/32
C07K14/575
C07K14/46
C12N15/12
C12N15/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515289
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021074625
(87)【国際公開番号】W WO2022049310
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】20194828.8
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20208628.6
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523080963
【氏名又は名称】サイプルメド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フェーガー, フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルレ, マルティン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA45
4C076AA58
4C076AA60
4C076BB01
4C076CC21
4C076EE10J
4C076EE10K
4C076EE11J
4C076EE11K
4C076EE12J
4C076EE12K
4C076EE13J
4C076EE13K
4C076EE48J
4C076EE48K
4C076FF25
4C076FF27
4C076FF28
4C076FF31
4C076FF34
4C076GG16
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA17
4C084BA44
4C084DB35
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA11
4C084NA12
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC412
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045BA19
4H045CA40
4H045CA53
4H045DA30
4H045DA83
4H045EA27
4H045FA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、(i)GLP-1受容体アゴニストを含むコア、ならびに(ii)コポリマー(A)と、コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)および/またはコポリマー(D)との組合せを含む第1のコーティングとを含む、固形経口医薬組成物に関する。本発明は、当技術分野におけるこれらの欠点に対処し、それらの有利な放出プロファイル、改善されたバイオアベイラビリティおよび食品効果の低下に起因して経口投与に特に十分に適している、GLP-1受容体アゴニストの固形経口医薬組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)GLP-1受容体アゴニストを含むコア、ならびに
(ii)(ii-1)コポリマー(A)と、
(ii-2)コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)および/またはコポリマー(D)と
の組合せを含む第1のコーティング
を含む、固形経口医薬組成物であって、
前記コポリマー(A)が、
(a)20~90mol%のエチルアクリレート繰り返し単位、および
(b)10~80mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位
を含み、
前記コポリマー(B)が、存在する場合には、
(a)25~75mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)25~75mol%のエチルアクリレート繰り返し単位
を含み、
前記コポリマー(C)が、存在する場合には、
(a)25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位
を含み、
前記コポリマー(D)が、存在する場合には、
(a)5~20mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)20~40mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、および
(c)60~75mol%のメチルアクリレート繰り返し単位
を含む、固形経口医薬組成物。
【請求項2】
前記第1のコーティングが、
(ii-1)コポリマー(A)と、
(ii-2)コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)と
の組合せを含む、請求項1に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項3】
前記第1のコーティングにおける前記コポリマー(A)が、60~75mol%のエチルアクリレート繰り返し単位、および25~40mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、請求項1または2に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項4】
前記第1のコーティングにおける前記コポリマー(A)が、2:1のモル比のエチルアクリレート繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項5】
前記第1のコーティングにおける前記コポリマー(A)が、0.5~20mol%、好ましくは1~15mol%の2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位をさらに含む、請求項1または2に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項6】
前記第1のコーティングにおける前記コポリマー(B)が、45~55mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および45~55mol%のエチルアクリレート繰り返し単位を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項7】
前記第1のコーティングにおける前記コポリマー(B)が、1:1のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびエチルアクリレート繰り返し単位を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項8】
前記第1のコーティングにおける前記コポリマー(B)が、メタクリル酸繰り返し単位およびエチルアクリレート繰り返し単位からなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項9】
前記第1のコーティングが、前記コポリマー(A)および前記コポリマー(B)を含み、前記第1のコーティングにおける前記コポリマー(A)の含量が、前記第1のコーティングにおける前記コポリマー(A)および前記コポリマー(B)の全重量に関して、少なくとも25%(w/w)、好ましくは少なくとも50%(w/w)、より好ましくは少なくとも75%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも80%(w/w)、またさらにより好ましくは少なくとも90%(w/w)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項10】
(iii)前記第1のコーティングの外側にある第2のコーティングであって、コポリマー(C)を含む、第2のコーティング
をさらに含み、前記コポリマー(C)が、
(a)25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項11】
前記GLP-1受容体アゴニストが、セマグルチド、リラグルチド、エキセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、タスポグルチド、ラングレナチド、ベイナグルチド、エフペグレナチド、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-36)NH、およびオキシントモジュリンから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項12】
前記固形経口医薬組成物が、経口剤形であり、好ましくはカプセル剤もしくは錠剤の形態であり、または前記コアが、多粒子、顆粒もしくはペレットの形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項13】
USPに準拠した溶解法により決定されるとき、模擬胃液において2時間以内に5%未満の前記GLP-1受容体アゴニストが放出され、続いて、少なくとも1時間の遅延時間で6~6.5の間のpHの模擬腸液に溶解し、それによって、10%以下の前記GLP-1受容体アゴニストが前記遅延時間内で放出され、それによって、前記遅延時間後、1時間以内に、75%超の前記GLP-1受容体アゴニストが6~6.5の間のpHの模擬腸液において放出される溶解プロファイルを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項14】
糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または心血管疾患の処置または予防において使用するための、好ましくは2型糖尿病の処置または予防において使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の固形経口医薬組成物。
【請求項15】
経口投与される、請求項14に記載の使用するための固形経口医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニストを含むコア、ならびに(ii)コポリマー(A)と、コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)および/またはコポリマー(D)との組合せを含む第1のコーティングを含む、固形経口医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、30アミノ酸のインクレチンペプチドホルモンであり、胃腸管(GIT)の腸内分泌L細胞、および菱脳の孤束核に位置するプレプログルカゴンニューロンによって分泌される。薬理学的に長時間作用性のGLP-1受容体アゴニスト(GLP-1RA)は、三つ組の機序、すなわちグルコース依存的なインスリン放出の刺激、高血糖症中のグルカゴン活性の抑制、およびより緩慢なグルコース吸収をもたらす胃排出のわずかな遅延により、糖調節機能を示す。加えて、GLP-1は、満腹のシグナルを伝達する脳幹-視床下部経路におけるその神経伝達物質の役割のおかげで、満腹を促進し、エネルギー摂取を低減し、セマグルチドを含めたいくつかの長時間作用性のGLP-1RAは、心血管リスクを低下することが示された。
【0003】
脂肪酸アシル化に基づく作用延長(protraction)技術における近年の進歩により、分子サイズを増大することなく血漿半減期の延長を達成する可能性が提供され、ヒトで約1週間のt1/2を有するGLP-1アナログであるセマグルチドの発見に至った(Lau, J. et al., J Med Chem 2015, 58, 7370-7380)。
皮下投与されたセマグルチドでは、グルコース、体重、および血圧を同時に低下する著しい薬理学的効果、ならびに心血管リスクの低下が既に達成されているにもかかわらず、その投与形式は、一部の潜在的な使用者にとってほぼ確実に障壁となっている。この障壁は、セマグルチドまたは他のGLP-1アゴニストの経口製剤の利用可能性により克服される可能性がある。考えられる限りでは、経口投与されたGLP-1RAは、注射可能なGLP-1RA製剤と比較して、GLP-1RA処置をより早期に開始し、患者の許容性および遵守を改善し得る。ペプチドの固有の物理化学的特性、例えば高分子量、酵素的不安定性、親水性、および低浸透性は、経口経路を介してGLP-1などのペプチドを送達する試みの妨げとなってきた(Aguirre, T. A. et al., Adv Drug Deliv Rev 2016, 106, 223-241)。食品で摂取されたタンパク質およびペプチドを、小腸で吸収される前にジペプチドおよびトリペプチドに分解するように設計されているGITの厳しい環境によって提示される課題を克服するには、大きな困難が横たわっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Lau,J.ら、J Med Chem(2015)58、7370~7380
【非特許文献2】Aguirre,T.A.ら、Adv Drug Deliv Rev(2016)106、223~241
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、これらの課題を克服するGLP-1受容体アゴニストの経口投与を促進する固形剤形が、非常に望ましい。他の剤形を上回る固形経口剤形の利点には、一般に、製造、保存および投与が容易であることが含まれる。また、患者の服薬遵守を高める投与の利便性に関する利点がある。しかし、GLP-1受容体アゴニストの経口投与は、それらのバイオアベイラビリティの低さおよび上述に記載される問題に起因して、非常に困難である。実際、GLP-1受容体アゴニストの経口製剤で、約1%の経口バイオアベイラビリティしか有していないにもかかわらず規制当局の承認を受けたのは、現在までにわずか1種であり(すなわち、GLP-1アゴニストであるセマグルチドを含有するRybelsus(登録商標))、そのことは、経口投与に適したGLP-1受容体アゴニスト製剤を提供することの難しさを証明している。さらに、Rybelsus(登録商標)に関しては、空腹時(一晩絶食した後)に摂取しなければならず、続いて、さらに30分間は食物を摂取しても水を摂取し過ぎてもならないことに留意されたい。
【0006】
本発明は、当技術分野におけるこれらの欠点に対処し、それらの有利な放出プロファイル、改善されたバイオアベイラビリティおよび食品効果の低下に起因して経口投与に特に十分に適している、GLP-1受容体アゴニストの固形経口医薬組成物を提供する。
【0007】
したがって、本発明は、
(i)GLP-1受容体アゴニストを含むコア、ならびに
(ii)(ii-1)コポリマー(A)と、
(ii-2)コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)および/またはコポリマー(D)と
の組合せを含む第1のコーティング
を含む、固形経口医薬組成物であって、
コポリマー(A)が、
(a)20~90mol%のエチルアクリレート繰り返し単位、および
(b)10~80mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位
を含み、
コポリマー(B)が、存在する場合には、
(a)25~75mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)25~75mol%のエチルアクリレート繰り返し単位
を含み、
コポリマー(C)が、存在する場合には、
(a)25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位
を含み、
コポリマー(D)が、存在する場合には、
(a)5~20mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)20~40mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、および
(c)60~75mol%のメチルアクリレート繰り返し単位
を含む、固形経口医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明の文脈において、驚くべきことには、本明細書で提供される固形経口医薬組成物のコーティングは、経口投与時にpH7よりも著しく下回る有利な放出プロファイルをもたらし、遠位小腸におけるGLP-1受容体アゴニストの放出を可能にし、pH依存性の腸溶コーティングを有する製剤を含めた従来のGLP-1受容体アゴニスト製剤と比較して改善されたバイオアベイラビリティを可能にすることが見出された。また、実験的実施例に示される通り、本発明に従う医薬組成物は、5.5~6.5の間の比較的低いpHで溶解を可能にすることが見出された。遠位小腸(遠位空腸または回腸)におけるGLP-1受容体アゴニストの放出は、近位小腸(十二指腸および空腸)と比較してタンパク質分解酵素の活性が低いこと、このセグメントにおける腸管運動性が低いこと(医薬組成物を溶解する希釈効果を低下し、高濃度のGLP-1受容体アゴニストの最適な吸収を達成することを可能にする)、および胃、十二指腸または近位空腸に存在するものと比較して、遠位空腸または回腸に存在するpHレベルでのペプチドGLP-1受容体アゴニストの溶解度がより高いことを考慮すると、有利である。加えて、本発明の固形経口医薬組成物は、有利なことには、負の食品効果の低下を示すことが見出された。このことは、近位胃腸管を標的にする公知のGLP-1受容体アゴニスト製剤、特に、コーティングを有していないか、または有害な食品相互作用が観察されているアニオン性ポリマーだけからなるコーティングを有する、近位GI管、例えば胃または十二指腸を標的にし、そこで溶解する製剤とは対照的である。(Maarbjerg SJ et al., Diabetes, 2017, 66: A321(コーティングなし)、およびWO2016/120378A1の実施例33(Eudragit FS 30 Dに基づくコーティング))。したがって、本発明の固形経口医薬組成物は、処置される対象による食物摂取からの独立性を改善させてGLP-1受容体アゴニストを送達することができる。
【0009】
本発明はさらに、治療において使用するための、特に糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、心血管疾患またはGLP-1に関連する他の任意の疾患/障害の処置または予防において使用するための固形経口医薬組成物(前述の通り)を提供する。
【0010】
本発明は同様に、糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、心血管疾患またはGLP-1に関連する他の任意の疾患/障害の処置または予防のための医薬の製造のための、固形経口医薬組成物(前述の通り)の使用に関する。
【0011】
さらに、本発明は、対象の疾患/障害を処置または予防する方法であって、疾患/障害が、糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、心血管疾患またはGLP-1に関連する他の任意の疾患/障害であり、該方法が、固形経口医薬組成物(前述の通り)を、それを必要とする対象に経口投与するステップを含む、方法に言及する。この方法に従って、治療有効量が投与されるべきであることを理解されよう。
【0012】
本発明はまた、GLP-1受容体アゴニストを経口送達する方法であって、固形経口医薬組成物(前述の通り)を経口投与するステップを含む、方法を提供する。
【0013】
先に説明した通り、本発明は、本明細書で提供される固形経口医薬組成物を使用する、糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、心血管疾患またはGLP-1に関連する他の任意の疾患/障害(GLP-1欠損またはGLP-1シグナル伝達欠損に関連するまたはそれらによって媒介される任意の疾患/障害を含む)の処置または予防に関する。心血管疾患は、例えば、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心疾患、脳卒中、心機能不全、心不全(例えば、急性心不全または慢性心不全)、冠動脈疾患、高血圧、心筋症、再かん流傷害、脳虚血、左心室肥大、不整脈、心律動異常、失神、狭心症、狭窄、または再狭窄であってよい。したがって、固形経口医薬組成物はまた、心血管リスクの低下のために使用することができる。前述の治療適応症の中でも、糖尿病の処置または予防が、特に好ましい(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病もしくは妊娠糖尿病、または重症自己免疫性糖尿病、重症インスリン欠乏性糖尿病、重症インスリン抵抗性糖尿病、軽度肥満関連性糖尿病もしくは軽度年齢関連性糖尿病など)。さらにより好ましいのは、2型糖尿病の処置または予防である。
【0014】
第1のコーティングは、5~7の範囲のpH、好ましくは5.5~6.5の範囲のpH、さらにより好ましくは5.5~6.0の範囲のpHで溶解することが好ましい。第1のコーティングの構成成分および必要に応じた構成成分、例えばコポリマー(A)、(B)、(C)および(D)が、以下に記載される。
【0015】
コポリマー(A)
第1のコーティングに存在するコポリマー(A)は、(a)20~90mol%のエチルアクリレート繰り返し単位、および(b)10~80mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む。コポリマー(A)は、好ましくは、中性コポリマーまたはカチオン性コポリマーである。
【0016】
第1のコーティングにおけるコポリマー(A)は、中性の非イオン性コポリマーであることが特に好ましい。コポリマー(A)における、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、エチルアクリレート繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位から選択される。特に、コポリマー(A)は、エチルアクリレート繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなり得る。第1のコーティングにおけるコポリマー(A)は、好ましくは、50~80mol%のエチルアクリレート繰り返し単位および20~50mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、より好ましくは60~75mol%のエチルアクリレート繰り返し単位および25~40mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、さらにより好ましくは64~68mol%のエチルアクリレート繰り返し単位および32~36mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む。コポリマー(A)におけるエチルアクリレート繰り返し単位とメチルメタクリレート繰り返し単位とのモル比は、好ましくは1.5:1~2.5:1、より好ましくは1.8:1~2.2:1、さらにより好ましくは2:1である。コポリマー(A)の対応する好ましい例は、ポリ(エチルアクリレート-co-メチルメタクリレート)2:1、特にEudragit NM 30 D、Eudragit NE 30 D、またはEudragit NE 40 Dである。
【0017】
先に説明した通り、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)はまた、カチオン性コポリマーであってよい。したがって、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)は、0.5~20mol%、好ましくは1~15mol%の2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位をさらに含んでもよい(エチルアクリレート繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位に加えて)。例えば、好ましい組成物において、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)は、25~39mol%のエチルアクリレート繰り返し単位、60~74mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、および1~15mol%の2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位を含む。コポリマー(A)がカチオン性コポリマーである場合、コポリマー(A)における、少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、エチルアクリレート繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、および2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位から選択されることが好ましい。特に、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)は、エチルアクリレート繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、および2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位からなり得る。第1のコーティングにおけるコポリマー(A)は、例えば、1:2:0.1または1:2:0.2のモル比のエチルアクリレート繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、および2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位を含んでもよい。コポリマー(A)の対応する好ましい例は、ポリ(エチルアクリレート-co-メチルメタクリレート-co-2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド)1:2:0.2、特にEudragit RL 30 D、またはポリ(エチルアクリレート-co-メチルメタクリレート-co-2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド)1:2:0.1、特にEudragit RS 30 Dである。
【0018】
一般に、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)は、メチルアクリレート繰り返し単位を含まないことが好ましい。したがって、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)は、好ましくは、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位、より好ましくは1mol%以下、さらにより好ましくは0.5mol%以下、さらにより好ましくは0.1mol%以下、さらにより好ましくは0.01mol%以下、最も好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む。
【0019】
第1のコーティングにおけるコポリマー(A)は、コポリマー(A)の水性分散物から得られることが好ましい。
【0020】
第1のコーティングは、コポリマー(A)に加えて、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびポリビニルアセテートから選択される1種または複数のポリマーをさらに含んでもよい。さらに、本発明はまた、さらなる一実施形態では、本明細書に記載され定義される固形経口医薬組成物に関し、ここで、第1のコーティングは、コポリマー(A)の代わりに、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびポリビニルアセテートから選択される1種または複数のポリマーを含む。
【0021】
コポリマー(B)
コポリマー(B)は、第1のコーティングに存在する場合、(a)25~75mol%のメタクリル酸繰り返し単位および(b)25~75mol%のエチルアクリレート繰り返し単位、好ましくは45~55mol%のメタクリル酸繰り返し単位および45~55mol%のエチルアクリレート繰り返し単位を含む。コポリマー(B)は、好ましくはアニオン性コポリマーである。例えば、第1のコーティングにおけるコポリマー(B)は、0.5:1~1:0.5のモル比、好ましくは0.8:1~1:08のモル比、より好ましくは1:1のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびエチルアクリレート繰り返し単位を含んでもよい。コポリマー(B)における、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、メタクリル酸繰り返し単位およびエチルアクリレート繰り返し単位から選択される。さらに、第1のコーティングにおけるコポリマー(B)は、メタクリル酸繰り返し単位およびエチルアクリレート繰り返し単位からなることが好ましい。コポリマー(B)の対応する好ましい例は、ポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)1:1、特にEudragit L 30 D-55またはEudragit L 100 D-55である。
【0022】
一般に、コポリマー(B)は、第1のコーティングに存在する場合、メチルアクリレート繰り返し単位を含まないことが好ましい。したがって、第1のコーティングにおけるコポリマー(B)は、好ましくは、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位、より好ましくは1mol%以下、さらにより好ましくは0.5mol%以下、またさらにより好ましくは0.1mol%以下、さらにより好ましくは0.01mol%以下、最も好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む。
【0023】
第1のコーティングにおけるコポリマー(B)は、コポリマー(B)の水性分散物から得られることが好ましい。
【0024】
コポリマー(C)
コポリマー(C)は、第1のコーティングに存在する場合、(a)25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位および(b)40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む。コポリマー(C)は、好ましくはアニオン性コポリマーである。コポリマー(C)における、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位から選択される。特に、第1のコーティングにおけるコポリマー(C)は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなり得る。第1のコーティングにおけるコポリマー(C)は、好ましくは、以下に記載されるコポリマー(C-1)またはコポリマー(C-2)である。したがって、第1のコーティングは、コポリマー(C-1)、コポリマー(C-2)、またはコポリマー(C-1)とコポリマー(C-2)の両方の組合せを含んでもよい。
【0025】
第1のコーティングにおけるコポリマー(C-1)は、25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位および40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、好ましくは45~55mol%のメタクリル酸繰り返し単位および45~55mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む。コポリマー(C-1)における、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位から選択される。例えば、第1のコーティングにおけるコポリマー(C-1)は、0.5:1~1.5:1のモル比、好ましくは0.8:1~1:08のモル比、より好ましくは1:1のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含んでもよい。特に、第1のコーティングにおけるコポリマー(C-1)は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなり得る。コポリマー(C-1)の対応する好ましい例は、ポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)1:1、特にEudragit L 100またはEudragit L 12.5である。
【0026】
第1のコーティングにおけるコポリマー(C-2)は、25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位および40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、好ましくは25~40mol%のメタクリル酸繰り返し単位および60~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む。したがって、第1のコーティングにおけるコポリマー(C-2)は、1:1.5~1:2.5のモル比、より好ましくは1:2のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含むことが好ましい。コポリマー(C-2)における、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位から選択される。特に、第1のコーティングにおけるコポリマー(C-2)は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなり得る。コポリマー(C-2)の対応する好ましい例は、ポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)1:2、特にEudragit S 100である。
【0027】
一般に、コポリマー(C-1)および/またはコポリマー(C-2)を含めたコポリマー(C)は、第1のコーティングに存在する場合、メチルアクリレート繰り返し単位を含まないことが好ましい。したがって、第1のコーティングにおけるコポリマー(C)(またはコポリマー(C-1)および/またはコポリマー(C-2))は、好ましくは、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位、より好ましくは1mol%以下、さらにより好ましくは0.5mol%以下、またさらにより好ましくは0.1mol%以下、さらにより好ましくは0.01mol%以下、最も好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む。
【0028】
第1のコーティングにおけるコポリマー(C-1)および/またはコポリマー(C-2)を含めたコポリマー(C)は、それぞれのコポリマー(すなわち、コポリマー(C)、コポリマー(C-1)またはコポリマー(C-2))の水性分散物から得られることが好ましい。
【0029】
コポリマー(D)
コポリマー(D)は、第1のコーティングに存在する場合、(a)5~20mol%のメタクリル酸繰り返し単位、(b)20~40mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、および(c)60~75mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む。コポリマー(D)における、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、メタクリル酸繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、およびメチルアクリレート繰り返し単位から選択される。
【0030】
コポリマー(D)は、第1のコーティングに存在する場合、7~13mol%のメタクリル酸繰り返し単位、25~31mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、および62~68mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含むことが好ましい。第1のコーティングにおけるコポリマー(D)は、好ましくは、1:3:7のモル比のメタクリル酸繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、およびメチルアクリレート繰り返し単位を含む。さらに、コポリマー(D)は、第1のコーティングに存在する場合、メタクリル酸繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、およびメチルアクリレート繰り返し単位からなることが好ましい。
【0031】
第1のコーティングは、必要に応じてコポリマー(D)を含んでもよいが、第1のコーティングは、任意のコポリマー(D)を含有しないことが好ましい。
【0032】
第1のコーティングにおけるそれぞれのコポリマーの含量
第1のコーティングにおけるコポリマー(A)の含量は、第1のコーティングの全重量に関して、好ましくは少なくとも25%(w/w)、より好ましくは少なくとも50%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも75%(w/w)、またさらにより好ましくは少なくとも80%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも90%(w/w)である。
【0033】
先に説明した通り、第1のコーティングは、コポリマー(A)と、コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)および/またはコポリマー(D)との組合せを含む。第1のコーティングは、コポリマー(A)と、コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)との組合せを含むことが好ましい。第1のコーティングは、コポリマー(A)およびコポリマー(B)を含むことがより好ましい。この場合、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)の含量は、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)およびコポリマー(B)の全重量に関して、好ましくは少なくとも25%(w/w)、より好ましくは少なくとも50%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも75%(w/w)、またさらにより好ましくは少なくとも80%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも90%(w/w)である。
【0034】
あるいは、第1のコーティングはまた、コポリマー(A)およびコポリマー(C)を含んでもよい。先に説明した通り、コポリマー(C)は、好ましくはコポリマー(C-1)またはコポリマー(C-2)である。したがって、第1のコーティングは、コポリマー(A)およびコポリマー(C-1)を含んでもよく、または第1のコーティングは、コポリマー(A)およびコポリマー(C-2)を含んでもよく、または第1のコーティングは、コポリマー(A)、コポリマー(C-1)およびコポリマー(C-2)を含んでもよい。
【0035】
第1のコーティングは、1種または複数の他のポリマー、特にエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびポリビニルアセテートから選択される1種または複数のポリマーをさらに含んでもよいことが理解されるべきである。
【0036】
第1のコーティングは、例えば、固形経口医薬組成物の全重量に関して、少なくとも2w/w%、好ましくは2~25w/w%、より好ましくは3~20w/w%、さらにより好ましくは3~15w/w%を占めていてよい。
【0037】
第1のコーティングは、1種または複数の可塑剤をさらに含んでもよい。1種または複数の可塑剤は、好ましくは、クエン酸モノ-、ジ-およびトリ-アルキル、例えばクエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリブチル、またはクエン酸アセチルトリエチルなど;セバシン酸ジアルキル、例えばセバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、またはセバシン酸ジブチルなど;フタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、またはフタル酸ジオクチルなど;グリセロールならびにモノ-、ジ-およびトリ-グリセリド、例えばトリ酢酸グリセリル、トリ酪酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、またはアセチル化モノグリセリドなど;プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、例えばPEG300、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1450、またはPEG3350など;脂肪酸、例えばステアリン酸、オレイン酸、または脂肪酸のエステルなどから選択される。より好ましくは、1種または複数の可塑剤は、クエン酸モノ-、ジ-およびトリ-アルキル、例えばクエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリブチルまたはクエン酸アセチルトリエチルなどから選択される。さらにより好ましくは、第1のコーティングは、第1のコーティングの全重量に基づいて、10~80重量%、好ましくは40~80重量%の、クエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピルおよびクエン酸トリブチルから選択される1種または複数をさらに含む。好ましい可塑剤の例は、PlasACRYL、例えばPlasACRYL(商標)HTP20およびPlasACRYL(商標)T20である。
【0038】
第1のコーティングは、必要に応じて第1のコーティングの必要に応じた構成成分のいずれかをさらに含有する、コポリマー(A)およびコポリマー(B)および/またはコポリマー(C)および/またはコポリマー(D)の水性分散物から得られることが好ましい。
【0039】
第1のコーティングは、固形経口医薬組成物に含まれるコアの外側にあることを理解されよう。第1のコーティングは、好ましくは、コアを取り囲み(または完全に覆い)、含有している。医薬組成物はまた、本明細書に以下に記載される通り、コアと第1のコーティングとの間に1つまたは複数の中間コーティングを含有していてよいが、そのような中間層が存在しないことが好ましく、すなわち第1のコーティングは、好ましくは直接的にコアの外側にある(またはコアに直接接触している)ことが好ましい。
【0040】
必要に応じた第2のコーティング
本発明に従う固形経口医薬組成物は、さらなるコーティングを含んでもよい(前述の第1のコーティングに加えて)。特に、固形経口医薬組成物は、好ましくは、第1のコーティングの外側にある第2のコーティングを含み、ここで、第2のコーティングは、コポリマー(C)を含む。第2のコーティングは、好ましくは、第1のコーティングを取り囲み(または完全に覆い)、含有している。さらに、第2のコーティングは、好ましくは、5~7の範囲のpH、好ましくは5.5~6.5の範囲のpH、より好ましくは5.5~6.0の範囲のpHで溶解する。
【0041】
第2のコーティングにおけるコポリマー(C)は、25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位および40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む。コポリマー(C)は、好ましくはアニオン性コポリマーである。コポリマー(C)における、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位から選択される。特に、第2のコーティングにおけるコポリマー(C)は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなり得る。第2のコーティングにおけるコポリマー(C)は、好ましくは、以下に記載されるコポリマー(C-1)またはコポリマー(C-2)である。したがって、第2のコーティングは、コポリマー(C-1)、コポリマー(C-2)、またはコポリマー(C-1)とコポリマー(C-2)の両方の組合せを含んでもよい。
【0042】
第2のコーティングにおけるコポリマー(C-1)は、25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位および40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、好ましくは45~55mol%のメタクリル酸繰り返し単位および45~55mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む。コポリマー(C-1)における、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位から選択される。例えば、第2のコーティングにおけるコポリマー(C-1)は、0.5:1~1.5:1のモル比、好ましくは0.8:1~1:08のモル比、より好ましくは1:1のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含んでもよい。特に、第2のコーティングにおけるコポリマー(C-1)は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなり得る。コポリマー(C-1)の対応する好ましい例は、ポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)1:1、特にEudragit L 100またはEudragit L 12.5である。
【0043】
第2のコーティングにおけるコポリマー(C-2)は、25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位および40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、好ましくは25~40mol%のメタクリル酸繰り返し単位および60~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む。したがって、第2のコーティングにおけるコポリマー(C-2)は、1:1.5~1:2.5のモル比、より好ましくは1:2のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含むことが好ましい。コポリマー(C-2)における、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも95mol%、さらにより好ましくは少なくとも98mol%の繰り返し単位は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位から選択される。特に、第2のコーティングにおけるコポリマー(C-2)は、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなり得る。コポリマー(C-2)の対応する好ましい例は、ポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)1:2、特にEudragit S 100である。
【0044】
一般に、第2のコーティングにおけるコポリマー(C-1)および/またはコポリマー(C-2)を含めたコポリマー(C)は、メチルアクリレート繰り返し単位を含まないことが好ましい。したがって、第2のコーティングにおけるコポリマー(C)(またはコポリマー(C-1)および/またはコポリマー(C-2))は、好ましくは、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位、より好ましくは1mol%以下、さらにより好ましくは0.5mol%以下、またさらにより好ましくは0.1mol%以下、さらにより好ましくは0.01mol%以下、最も好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む。
【0045】
第2のコーティングにおけるコポリマー(C-1)および/またはコポリマー(C-2)を含めたコポリマー(C)は、それぞれのコポリマー(すなわち、コポリマー(C)、コポリマー(C-1)またはコポリマー(C-2))の水性分散物から得られることが好ましい。
【0046】
第2のコーティングは、1種または複数の可塑剤をさらに含んでもよい。1種または複数の可塑剤は、好ましくは、クエン酸モノ-、ジ-およびトリ-アルキル、例えばクエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリブチル、またはクエン酸アセチルトリエチルなど;セバシン酸ジアルキル、例えばセバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、またはセバシン酸ジブチルなど;フタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、またはフタル酸ジオクチルなど;グリセロールならびにモノ-、ジ-およびトリ-グリセリド、例えばトリ酢酸グリセリル、トリ酪酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、またはアセチル化モノグリセリドなど;プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、例えばPEG300、PEG400、PEG600、PEG800、PEG1450、またはPEG3350など;脂肪酸、例えばステアリン酸、オレイン酸、または脂肪酸のエステルなどから選択される。より好ましくは、1種または複数の可塑剤は、クエン酸モノ-、ジ-およびトリ-アルキル、例えばクエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリブチルまたはクエン酸アセチルトリエチルなどから選択される。さらにより好ましくは、第2のコーティングは、第2のコーティングの全重量に基づいて、10~80重量%、好ましくは40~80重量%の、クエン酸トリエチル、クエン酸トリプロピルおよびクエン酸トリブチルから選択される1種または複数をさらに含む。好ましい可塑剤の例は、PlasACRYL、例えばPlasACRYL(商標)HTP20およびPlasACRYL(商標)T20である。
【0047】
第2のコーティングは、例えば、固形経口医薬組成物の全重量に関して、少なくとも0.1w/w%、好ましくは0.5~8w/w%、より好ましくは1~5w/w%を占めていてよい。
【0048】
必要に応じた中間コーティング
固形経口医薬組成物は、コアと第1のコーティングとの間に位置する1つまたは複数の中間コーティングをさらに含んでもよい。中間コーティング、または最も内側の中間コーティング(2つ以上の中間コーティングの場合)は、固形経口医薬組成物のコアを取り囲み含有している、実質的に連続的な層であってよい。各中間コーティング(存在する場合)は、好ましくは、固形経口医薬組成物の5w/w%またはそれ未満、より好ましくは2w/w%またはそれ未満、さらにより好ましくは1w/w%またはそれ未満を構成する。さらに、各中間コーティング(存在する場合)は、好ましくは、固形経口医薬組成物の0.1w/w%またはそれよりも多く、より好ましくは0.5w/w%またはそれよりも多くを構成する。本発明は、中間コーティング(複数可)の重量により、前述の最小含量と最大含量のすべての組合せに関する。
【0049】
各中間コーティングは、好ましくは、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびポリビニルアセテートから選択される1種または複数のポリマーを含む。より好ましくは、中間コーティングが1つだけ存在し、前記中間コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。さらにより好ましくは、中間コーティングが1つだけ存在し、前記中間コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)からなる。
【0050】
必要に応じた第3のコーティング
固形経口医薬組成物は、第2のコーティング(存在する場合)または第1のコーティング(第2のコーティングが存在しない場合)を取り囲み含有している、第3のコーティングをさらに含んでもよい。
【0051】
第3のコーティングは、存在する場合には、好ましくは、固形経口医薬組成物の全重量の少なくとも0.1w/w%、より好ましくは0.5~8w/w%、さらにより好ましくは1~5w/w%を占める。
【0052】
第3のコーティングの組成には、特に制限はない。好ましくは、第3のコーティングは、本明細書で定義されるコポリマー(A)、(B)、(C)および(D)から選択される1種または複数のコポリマーを含有する。より好ましくは、第3のコーティングは、好ましくは2:1:1のモル比のジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびメチルメタクリレートに基づくカチオン性コポリマー(例えばEudragit E 100または他のEudragit Eポリマー)を含む。
【0053】
あるいは、第3のコーティングは、トップコートであってよい。トップコートは、フィルムコーティングまたは即時放出コーティングであってよい。適切なトップコートの例には、Opadry(登録商標)White(Colorcon、Pa.、USAから得ることができる)、Opadry(登録商標)II Yellow(Colorcon、Pa.、USAから得ることができる)、またはメタクリル酸およびエチルアクリレートに基づくコポリマー、例えば、少なくとも40%のメタクリル酸繰り返し単位および少なくとも40%のエチルアクリレート繰り返し単位を含むコポリマーなどが含まれる。例えば、第3のコーティングは、ポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)1:1を含んでもよい。
【0054】
GLP-1受容体アゴニスト
本発明の固形経口医薬組成物は、GLP-1受容体アゴニストを含有するコアを含む。GLP-1受容体アゴニストは、コアだけに存在することが好ましく、すなわち、固形経口医薬組成物に含まれるいかなるコーティングにも存在しないことが好ましい。
【0055】
本発明の固形経口医薬組成物に含まれるGLP-1受容体アゴニストは、好ましくはペプチドである。したがって、GLP-1受容体アゴニストは、ペプチドGLP-1受容体アゴニストであることが好ましい。
【0056】
より好ましくは、GLP-1受容体アゴニストは、配列:
Xaa-Xaa-Glu-Gly-Thr-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Lys-Phe-Ile-Xaa30-Xaa31-Leu-Val-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39(配列番号1)
[式中、
Xaaは、L-ヒスチジン、イミダゾプロピオニル、α-ヒドロキシ-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、Nα-ホルミル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニン、または4-ピリジルアラニンであり、
Xaaは、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Thr、Ser、Lys、α-アミノイソ酪酸、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸であり、
Xaa12は、LysまたはPheであり、
Xaa16は、ValまたはLeuであり、
Xaa18は、Ser、Arg、Asn、Gln、またはGluであり、
Xaa19は、TyrまたはGlnであり、
Xaa20は、Leu、Lys、またはMetであり、
Xaa22は、Gly、Glu、Lys、またはα-アミノイソ酪酸であり、
Xaa23は、Gln、Glu、またはArgであり、
Xaa24は、AlaまたはLysであり、
Xaa25は、AlaまたはValであり、
Xaa26は、Val、His、LysまたはArgであり、
Xaa30は、Ala、Glu、またはArgであり、
Xaa31は、TrpまたはHisであり、
Xaa34は、Glu、Asn、Gly、Gln、またはArgであり、
Xaa35は、Gly、α-アミノイソ酪酸であるか、または存在せず、
Xaa36は、Arg、Gly、Lysであるか、または存在せず、
Xaa37は、Gly、Ala、Glu、Pro、Lys、Argであるか、または存在せず、
Xaa38は、Ser、Gly、Ala、Glu、Gln、Pro、Argであるか、または存在せず、
Xaa39は、Glyであるか、または存在しない]
を含むか、またはそれからなるペプチドである。
【0057】
さらにより好ましくは、GLP-1受容体アゴニストは、セマグルチド、リラグルチド、エキセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、タスポグルチド、ラングレナチド(langlenatide)、ベイナグルチド(beinaglutide)、エフペグレナチド(efpeglenatide)、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-36)NH、およびオキシントモジュリンから選択される。さらにより好ましくは、GLP-1受容体アゴニストは、セマグルチド、リラグルチド、エキセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびリキシセナチドから選択される。
【0058】
GLP-1受容体アゴニストはまた、デュアルGLP-1受容体/グルカゴン受容体アゴニスト、デュアルGLP-1受容体/胃抑制ペプチド(GIP)受容体アゴニスト、またはトリプルGLP-1受容体/GIP受容体/グルカゴン受容体アゴニストであってよい。デュアルGLP-1受容体/グルカゴン受容体アゴニストは、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2015/185640、WO2015/086733またはWO2015/155139に言及されている化合物のいずれか1つであってよい。デュアルGLP-1受容体/GIP受容体アゴニストは、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2013/164483またはWO2015/086728に言及されている化合物のいずれか1つであってよい。加えて、デュアルGLP-1受容体/グルカゴン受容体アゴニスト、デュアルGLP-1受容体/GIP受容体アゴニストまたはトリプルGLP-1受容体/GIP受容体/グルカゴン受容体アゴニストは、それぞれ、必要に応じてリンカーを介してグルカゴン受容体アゴニストおよび/またはGIP受容体アゴニストに共有結合により結合している、本明細書に記載されるGLP-1受容体アゴニストのいずれかを含むコンジュゲート(特に、タンパク質またはペプチド)であってよい。
【0059】
さらに、GLP-1受容体アゴニストはまた、それぞれが参照により本明細書に組み込まれるWO93/19175、WO96/29342、WO98/08871、WO99/43707、WO99/43706、WO99/43341、WO99/43708、WO2005/027978、WO2005/058954、WO2005/058958、WO2006/005667、WO2006/037810、WO2006/037811、WO2006/097537、WO2006/097538、WO2008/023050、WO2009/030738、WO2009/030771、またはWO2009/030774に開示されているGLP-1アゴニストのいずれか1つであってよい。GLP-1受容体アゴニストは、さらに、オキシントモジュリンまたはその誘導体もしくはアナログであってよい。
【0060】
GLP-1受容体アゴニストのさらに好ましい例には、特に、チルゼパチド、チルゼパチド様ペプチド(例えば、LY3537031またはLY3493269など)、コタデュチド(cotadutide)、またはBI456906(GLP-1/グルカゴンデュアルアゴニストである)が含まれる。さらなる例示的なGLP-1受容体アゴニストは、LY3502970(GLP-1R NPA)である。
【0061】
本発明の固形経口医薬組成物に含まれるGLP-1受容体アゴニストは、さらに、1種または複数の他の治療剤、例えばインスリン(好ましくは、ヒトインスリン)またはインスリンアナログ(例えば、長時間作用性基礎インスリンアナログまたはプロテアーゼに対して安定化させた長時間作用性基礎インスリンアナログと組み合わせて使用され得る。例示的なインスリンアナログには、インスリンリスプロ、インスリンPEGリスプロ、インスリン誘導体「A14E,B25H,B29K(N(eps)オクタデカンジオイル-gGlu-OEG-OEG),desB30ヒトインスリン」(例えば、US2014/0056953A1を参照されたい)、インスリンアスパルト、インスリングルリジン、インスリングラルギン、インスリンデテミル、NPHインスリン、インスリンデグルデク、または参照により本明細書に組み込まれるUS2014/0056953A1に記載されているインスリンアナログ/誘導体、特にUS2014/0056953A1の段落[0225]~[0332]に記載されているインスリンアナログ/誘導体のそれぞれ)が含まれるが、それらに限定されない。インスリンまたはインスリンアナログは、本発明に従う固形経口医薬組成物、好ましくは固形経口医薬組成物のコアに存在していてよく、または別個の医薬組成物で提供され得る。後者の場合、インスリンまたはインスリンアナログを含む別個の医薬組成物は、固形経口医薬組成物(GLP-1受容体アゴニストを含む)と同時に/それを伴って投与され得るか、または順次投与され得る。インスリンまたはインスリンアナログは、本発明に従う固形経口医薬組成物のコアにおいて(GLP-1受容体アゴニストと一緒に)提供されることが好ましい。
【0062】
GLP-1受容体アゴニストは、非塩形態または薬学的に許容される塩形態で存在し得ることを理解されよう。対応する薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知の通り、例えば、プロトン化に対して感受性のある孤立電子対を担持している原子、例えばアミノ基を、無機もしくは有機酸でプロトン化することによって、または生理的に許容されるカチオンとのカルボン酸基の塩として形成され得る。例示的な塩基付加塩は、例えば、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩;亜鉛塩;アンモニウム塩;脂肪族アミン塩、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロカイン塩、メグルミン塩、エチレンジアミン塩、またはコリン塩;アラルキルアミン塩、例えばN,N-ジベンジルエチレンジアミン塩、ベンザチン塩、ベネタミン(benethamine)塩;複素環式芳香族アミン塩、例えばピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩またはイソキノリン塩;第四級アンモニウム塩、例えばテトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩またはテトラブチルアンモニウム塩;および塩基性アミノ酸塩、例えばアルギニン塩、リシン塩、またはヒスチジン塩を含む。例示的な酸付加塩は、例えば、鉱酸塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩(例えば、リン酸塩、リン酸水素塩、またはリン酸二水素塩など)、炭酸塩、炭酸水素塩または過塩素酸塩;有機酸塩、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、デカン酸塩、ウンデカン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、ニコチン酸塩、安息香酸、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩、またはパモ酸塩(エンボン酸塩);スルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、2-ナフタレンスルホン酸塩(ナプシル酸塩)、3-フェニルスルホン酸塩、またはカンファースルホン酸塩;および酸性アミノ酸塩、例えばアスパラギン酸塩またはグルタミン酸塩を含む。
【0063】
固形経口医薬組成物は、必要に応じて、1種または複数のさらなる薬学的に許容される添加物(excipient)、例えば担体、希釈剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、着色剤、顔料、安定剤、防腐剤、酸化防止剤、アミノ酸、還元剤、生体接着剤および/または溶解度促進剤を含んでもよい。特に、固形経口医薬組成物は、ビタミンE、ヒスチジン、微結晶性セルロース(MCC)、マンニトール、デンプン、ソルビトールおよび/またはラクトースから選択される1種または複数の添加剤を含んでもよい。固形経口医薬組成物は、当業者に公知の技術、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 20th Editionに記載されている技術によって製剤化することができる。
【0064】
前述の通り、固形経口医薬組成物は、1種または複数の溶解度促進剤、例えば、約200~約5,000Daの範囲の分子量を有するポリ(エチレングリコール)を含めたポリ(エチレングリコール)、エチレングリコール、プロピレングリコール、非イオン性界面活性剤、チロキサポール、ポリソルベート20、ポリソルベート80、マクロゴール-15-ヒドロキシステアレート、リン脂質、レシチン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-γ-シクロデキストリン、グルコシル-α-シクロデキストリン、グルコシル-β-シクロデキストリン、ジグルコシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-α-シクロデキストリン、マルトシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-γ-シクロデキストリン、マルトトリオシル-β-シクロデキストリン、マルトトリオシル-γ-シクロデキストリン、ジマルトシル-β-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、カルボキシアルキルチオエーテル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、またはそれらの任意の組合せなどを含んでもよい。
【0065】
さらに、前述の通り、固形経口医薬組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体を含んでもよい。薬学的に許容される担体は、水性または非水性作用物質、例えばアルコール性もしくは油性、またはそれらの混合物であってよく、界面活性剤、皮膚軟化薬、滑沢剤、安定剤、色素、香料、防腐剤、pHの調整のための酸もしくは塩基、溶媒、乳化剤、ゲル化剤、モイスチャライザー(moisturizer)、安定剤、湿潤剤、時限放出剤(time release agent)、保湿剤、または固形経口医薬組成物の特定の形態に一般に含まれる任意の他の構成成分を含有していてよい。薬学的に許容される担体は、当技術分野で周知であり、それには、例えば水溶液、例えば水もしくは生理緩衝食塩水、または他の溶媒もしくはビヒクル、例えばグリコール、グリセロール、および油、例えばオリーブ油もしくは注射可能な有機エステルが含まれる。薬学的に許容される担体は、例えばGLP-1受容体アゴニストの吸収を安定化または増大するように作用する、生理的に許容される化合物、例えば、炭水化物、例えばグルコース、スクロースもしくはデキストラン、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸もしくはグルタチオン、キレート剤、低分子量タンパク質、または他の安定剤もしくは添加物を含有することができる。薬学的に許容される担体はまた、蒸留水、ベンジルアルコール、ラクトース、デンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、コロイド状シリカ、二酸化チタン、および矯味矯臭剤などの物質から選択することができる。特に本発明の固形経口医薬組成物のコアにおいて使用するための、好ましい薬学的に許容される担体は、微結晶性セルロース、マンニトール、デンプン、ソルビトールおよびラクトースから選択される。
【0066】
固形経口医薬組成物のコア
本発明の固形経口医薬組成物のコアは、GLP-1受容体アゴニスト(前述の通りの)を含む。
【0067】
固形経口医薬組成物のコアは、浸透促進剤(「粘膜浸透促進剤」とも呼ばれる)をさらに含むことが好ましい。浸透促進剤の使用は、GLP-1受容体アゴニストの、特に腸管粘膜を介する粘膜吸収/浸透を改善または促進する。
【0068】
浸透促進剤は、例えば、双性イオン性浸透促進剤、カチオン性浸透促進剤、アニオン性浸透促進剤(例えば、1つまたは複数のスルホン酸基(-SOH)を含むアニオン性浸透促進剤)、または非イオン性浸透促進剤であってよい。
【0069】
浸透促進剤は、C8~20アルカノイルカルニチン(好ましくは、ラウロイルカルニチン、ミリストイルカルニチンまたはパルミトイルカルニチン、例えば、ラウロイルカルニチンクロリド、ミリストイルカルニチンクロリドまたはパルミトイルカルニチンクロリド)、サリチル酸(好ましくは、サリチル酸塩、例えば、サリチル酸ナトリウム)、サリチル酸誘導体(例えば、3-メトキシサリチル酸、5-メトキシサリチル酸、またはホモバニリン酸など、C8~20アルカン酸(好ましくは、C8~20アルカン酸塩、より好ましくはカプリン酸塩、カプリル酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、またはステアリン酸塩、例えば、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、またはステアリン酸ナトリウムなど)、クエン酸(好ましくは、クエン酸塩、例えば、クエン酸ナトリウム)、酒石酸(好ましくは、酒石酸塩)、脂肪酸でアシル化されたアミノ酸(例えば、ナトリウムラウロイルアラニネート、N-ドデカノイル-L-アラニン、ナトリウムラウロイルアスパラギネート、N-ドデカノイル-L-アスパラギン、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、N-ドデカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムラウロイルシステイネート、N-ドデカノイル-L-システイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ドデカノイル-L-グルタミン酸、ナトリウムラウロイルグルタミネート、N-ドデカノイル-L-グルタミン、ナトリウムラウロイルグリシネート、N-ドデカノイル-L-グリシン、ナトリウムラウロイルヒスチジネート、N-ドデカノイル-L-ヒスチジン、ナトリウムラウロイルイソロイシネート、N-ドデカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムラウロイルロイシネート、N-ドデカノイル-L-ロイシン、ナトリウムラウロイルメチオニネート、N-ドデカノイル-L-メチオニン、ナトリウムラウロイルフェニルアラニネート、N-ドデカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムラウロイルプロリネート、N-ドデカノイル-L-プロリン、ナトリウムラウロイルセリネート、N-ドデカノイル-L-セリン、ナトリウムラウロイルトレオニネート、N-ドデカノイル-L-スレオニン、ナトリウムラウロイルトリプトファネート、N-ドデカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムラウロイルチロシネート、N-ドデカノイル-L-チロシン、ナトリウムラウロイルバリネート、N-ドデカノイル-L-バリン、ナトリウムラウロイルサルコシネート、N-ドデカノイル-L-サルコシン、ナトリウムカプリンアラニネート、N-デカノイル-L-アラニン、ナトリウムカプリンアスパラギネート、N-デカノイル-L-アスパラギン、カプリンアスパラギン酸ナトリウム、N-デカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムカプリンシステイネート、N-デカノイル-L-システイン、カプリングルタミン酸ナトリウム、N-デカノイル-L-グルタミン酸、ナトリウムカプリングルタミネート、N-デカノイル-L-グルタミン、ナトリウムカプリングリシネート、N-デカノイル-L-グリシン、ナトリウムカプリンヒスチジネート、N-デカノイル-L-ヒスチジン、ナトリウムカプリンイソロイシネート、N-デカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムカプリンロイシネート、N-デカノイル-L-ロイシン、ナトリウムカプリンメチオニネート、N-デカノイル-L-メチオニン、ナトリウムカプリンフェニルアラニネート、N-デカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムカプリンプロリネート、N-デカノイル-L-プロリン、ナトリウムカプリンセリネート、N-デカノイル-L-セリン、ナトリウムカプリントレオニネート、N-デカノイル-L-スレオニン、ナトリウムカプリントリプトファネート、N-デカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムカプリンチロシネート、N-デカノイル-L-チロシン、ナトリウムカプリンバリネート、N-デカノイル-L-バリン、ナトリウムカプリンサルコシネート、N-デカノイル-L-サルコシン、ナトリウムオレオイルサルコシネート、ナトリウムN-デシルロイシン、ナトリウムステアロイルグルタメート(例えば、Amisoft HS-11 P)、ナトリウムミリストイルグルタメート(例えば、Amisoft MS-11)、ナトリウムラウロイルグルタメート(例えば、Amisoft LS-11)、ナトリウムココイルグルタメート(例えば、Amisoft CS-11)、ナトリウムココイルグリシネート(例えば、Amilite GCS-11)、ナトリウムN-デシルロイシン、ナトリウムココイルグリシン、ナトリウムココイルグルタメート、ナトリウムラウロイルアラニネート、N-ドデカノイル-L-アラニン、ナトリウムラウロイルアスパラギネート、N-ドデカノイル-L-アスパラギン、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、N-ドデカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムラウロイルシステイネート、N-ドデカノイル-L-システイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ドデカノイル-L-グルタミン酸、ナトリウムラウロイルグルタミネート、N-ドデカノイル-L-グルタミン、ナトリウムラウロイルグリシネート、N-ドデカノイル-L-グリシン、ナトリウムラウロイルヒスチジネート、N-ドデカノイル-L-ヒスチジン、ナトリウムラウロイルイソロイシネート、N-ドデカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムラウロイルロイシネート、N-ドデカノイル-L-ロイシン、ナトリウムラウロイルメチオニネート、N-ドデカノイル-L-メチオニン、ナトリウムラウロイルフェニルアラニネート、N-ドデカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムラウロイルプロリネート、N-ドデカノイル-L-プロリン、ナトリウムラウロイルセリネート、N-ドデカノイル-L-セリン、ナトリウムラウロイルトレオニネート、N-ドデカノイル-L-スレオニン、ナトリウムラウロイルトリプトファネート、N-ドデカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムラウロイルチロシネート、N-ドデカノイル-L-チロシン、ナトリウムラウロイルバリネート、N-ドデカノイル-L-バリン、N-ドデカノイル-L-サルコシン、ナトリウムカプリンアラニネート、N-デカノイル-L-アラニン、ナトリウムカプリンアスパラギネート、N-デカノイル-L-アスパラギン、カプリンアスパラギン酸ナトリウム、N-デカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムカプリンシステイネート、N-デカノイル-L-システイン、カプリングルタミン酸ナトリウム、N-デカノイル-L-グルタミン酸、ナトリウムカプリングルタミネート、N-デカノイル-L-グルタミン、ナトリウムカプリングリシネート、N-デカノイル-L-グリシン、ナトリウムカプリンヒスチジネート、N-デカノイル-L-ヒスチジン、ナトリウムカプリンイソロイシネート、N-デカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムカプリンロイシネート、N-デカノイル-L-ロイシン、ロイシン、ナトリウムカプリンメチオニネート、N-デカノイル-L-メチオニン、ナトリウムカプリンフェニルアラニネート、N-デカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムカプリンプロリネート、N-デカノイル-L-プロリン、ナトリウムカプリンセリネート、N-デカノイル-L-セリン、ナトリウムカプリントレオニネート、N-デカノイル-L-スレオニン、ナトリウムカプリントリプトファネート、N-デカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムカプリンチロシネート、N-デカノイル-L-チロシン、ナトリウムカプリンバリネート、N-デカノイル-L-バリン、ナトリウムカプリンサルコシネート、ナトリウムオレオイルサルコシネート、および前述の化合物のいずれかの薬学的に許容される塩、または例えばC8~20アルカノイルサルコシネート(例えば、ラウロイルサルコシネート、例えばナトリウムラウロイルサルコシネート)、またはC8~20アルカン酸でアシル化されている、20種の標準タンパク質原性α-アミノ酸の1種を含むがそれらに限定されない、参照により本明細書に組み込まれるUS2014/0056953A1に記載されている脂肪酸でアシル化されたアミノ酸のいずれか)、アルキルサッカライド(例えば、C1~20アルキルサッカライド、例えば、Multitrope(商標)1620-LQ-(MV)のようなC8~10アルキルポリサッカライドなど、あるいは例えばn-オクチル-ベータ-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-ベータ-D-マルトシド、n-テトラデシル-ベータ-D-マルトシド、トリデシル-ベータ-D-マルトシド、ラウリン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ヤシ脂肪酸スクロース(sucrose cocoate)、モノ-ドデカン酸スクロース、モノ-トリデカン酸スクロース、モノ-テトラデカン酸スクロース、ココグルコシド(coco-glucoside)、または参照により本明細書に組み込まれるUS5,661,130もしくはWO2012/112319に記載されているアルキルサッカライドのいずれか)、シクロデキストリン(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、またはスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン)、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(好ましくは、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート、より好ましくは「SNAC」とも呼ばれるナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート)、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート誘導体(好ましくは、ナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート誘導体)、チオマー(チオール化ポリマーとも呼ばれ、例えば、スルフヒドリル担持リガンドを、十分に確立されたポリマー、例えば、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースまたはキトサンなどのポリマー骨格上に固定することによって合成され得る。例示的なチオマーには、参照により本明細書に組み込まれるLaffleur F et al., Future Med Chem. 2012, 4(17):2205-16 (doi: 10.4155/fmc.12.165)に記載されているチオマーが含まれる)、ビタミンB部分構造を有する粘膜付着性ポリマー(例えば、参照により本明細書に組み込まれるUS8,980,238B2に記載されている粘膜付着性ポリマーのいずれか、特にUS8,980,238B2の請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー化合物のいずれかを含む)、カルシウムをキレート化する化合物(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、クエン酸ナトリウム、ポリアクリル酸)、クレモフォールEL(「Kolliphor EL」とも呼ばれる。CAS番号61791-12-6)、キトサン、N,N,N-トリメチルキトサン、塩化ベンザルコニウム、ベスタチン、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、C2~20アルカノール(例えば、エタノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、またはパルミチルアルコール)、C8~20アルケノール(例えば、オレイルアルコール)、C8~20アルケン酸(例えば、オレイン酸)、デキストラン硫酸、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール)、1-ドデシルアザシクロ-ヘプタン-2-オン(Azone(登録商標))、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド(例えば、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリドなど、例えば、Labrasol(登録商標)またはACCONON(登録商標)MC8-2として入手可能)、カプリル酸エチル、モノラウリン酸グリセリル、リゾホスファチジルコリン、メントール、C8~20アルキルアミン、C8~20アルケニルアミン(例えば、オレイルアミン)、ホスファチジ
ルコリン、ポロキサマー、ポリエチレングリコールモノラウリレート、ポリオキシエチレン、ポリプロピレングリコールモノラウレート、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20またはポリソルベート80)、コール酸(好ましくは、コール酸塩、例えば、コール酸ナトリウム)、デオキシコール酸塩(例えば、デオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸塩(例えば、ケノデオキシコール酸ナトリウム)、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、デシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、N-ラウリルサルコシネート、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルピリジニウムクロリド、デシルジメチルアンモニオプロパンスルホネート、ミリスチルジメチルアンモニオプロパンスルホネート、パルミチルジメチルアンモニオプロパンスルホネート、ChemBetaine CAS、ChemBetaineオレイル、ノニルフェノキシポリオキシエチレン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、Triton(登録商標)X-100、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸メチル、セバシン酸ジエチル、オレイン酸ナトリウム、尿素、ラウリルアミン、カプロラクタム、メチルピロリドン、オクチルピロリドン、メチルピペラジン、フェニルピペラジン、Carbopol 934P、グリチルレチン酸、ブロメライン、ピネン酸化物、リモネン、シネオール、オクチルドデカノール、フェンコン、メントン、トリメトキシプロピレンメチルベンゼン、細胞浸透性ペプチド(例えば、Klaklak、ポリアルギニンまたはオリゴアルギニン(特に、オクタアルギニン)、ペネトラチン(特に、L-ペネトラチン)、ペネトラチンアナログ(特に、PenetraMax、例えば、El-Sayed Khafagy et al., Eur J Pharm Biopharm. 2013; 85(3 Pt A):736-43を参照されたい)、HIV-1 Tat、トランスポータン、またはUS2012/0065124に言及されている細胞浸透性ペプチドのいずれか)、マクロゴール-15-ヒドロキシステアレート(例えば、Solutol HS 15)、CriticalSorb(例えば、Illum L et al. J Control Release. 2012;162(1):194-200を参照されたい)、タウロコール酸塩(例えば、タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸塩(例えば、タウロデオキシコール酸ナトリウム)、スルホキシド(例えば、(C1~10アルキル)-(C1~10アルキル)-スルホキシド、例えば、デシルメチルスルホキシド、またはジメチルスルホキシドなど)、シクロペンタデカラクトン、8-(N-2-ヒドロキシ-5-クロロ-ベンゾイル)-アミノ-カプリル酸(「5-CNAC」とも呼ばれる)、N-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)デカン酸(「SNAD」とも呼ばれる)、ドデシル-2-N,N-ジメチルアミノプロピオネート(「DDAIP」とも呼ばれる)、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシネート(「TPGS」とも呼ばれる)、アルギニン、および前述の化合物の薬学的に許容される塩から選択されることが好ましい。前述の浸透促進剤のいずれかを含めた2種またはそれよりも多い浸透促進剤の混合物を使用することもできる。さらに、Whitehead K et al. Pharm Res. 2008 Jun;25(6):1412-9に記載されている化学浸透促進剤のいずれか(特に、この参考文献の表Iに記載されているもののいずれか1種)、US5,866,536に開示されている修飾アミノ酸のいずれか1種(特に、参照により本明細書に組み込まれるUS5,866,536に開示されている化合物I~CXXIIIのいずれか1種、またはこれらの化合物のいずれか1種の薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、例えば、二ナトリウム塩、エタノール溶媒和物もしくは水和物)、US5,773,647に開示されている修飾アミノ酸のいずれか1種(特に、参照により本明細書に組み込まれるUS5,773,647に開示されている化合物1~193のいずれか1種、またはこれらの化合物のいずれか1種の薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、例えば、二ナトリウム塩、エタノール溶媒和物もしくは水和物)、WO2011/133198に記載されているナノ粒子のいずれか、US2015/174076に記載されているポリマー調製物のいずれか、および/またはヒドロゲル(例えば、Torres-Lugo M et al. Biotechnol Prog. 2002;18(3):612-6に記載されている通りの)も同様に、浸透促進剤としてすることができる。さらに、複合類脂質性分散物(例えば、不溶性界面活性剤または油と、可溶性界面活性剤、および必要に応じて水または共溶媒との組合せ)を、浸透促進剤として使用することもでき、対応する例示的な浸透促進剤には、特に、混合ミセル、逆ミセル、自己乳化系(例えば、SEDDS、SMEDDS、またはSNEDDS)、脂質分散物、粗エマルション、または固形脂質ナノ粒子(SLN)が含まれる。好ましくは、浸透促進剤は、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、ステアリン酸ナトリウム、EDTA、ポリアクリル酸、およびN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートまたは薬学的に許容されるその塩(特に、ナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート)から選択される。特に好ましい浸透促進剤は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートまたは薬学的に許容されるその塩、特にナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートである。
【0070】
さらに好ましい浸透促進剤は、アルキルポリサッカライド、アルギニンまたはCriticalSorb(登録商標)(Solutol(登録商標)HS15)である。特に、浸透促進剤は、以下に記載されるアルキルグリコシドのいずれかから選択され得るアルキルグリコシド(または2種もしくはそれよりも多いアルキルグリコシドの組合せ)であってよい。
【0071】
本発明に従う浸透促進剤として使用されるアルキルグリコシドは、公知の手順によって、すなわち、例えばRosevear et al., Biochemistry 19:4108-4115 (1980)もしくはKoeltzow and Urfer, J. Am. Oil Chem. Soc., 61:1651-1655 (1984)、米国特許第3,219,656号もしくは米国特許第3,839,318号に記載されている通り化学的に、または例えばLi et al., J. Biol. Chem., 266:10723-10726 (1991)もしくはGopalan et al., J. Biol. Chem. 267:9629-9638 (1992)に記載されている通り酵素的に、合成することができる。
【0072】
本発明において浸透促進剤として使用されるアルキルグリコシドには、アルキルグリコシド、例えばオクチル-、ノニル-、デシル-、ウンデシル-、ドデシル-、トリデシル-、テトラデシル-、ペンタデシル-、ヘキサデシル-、ヘプタデシル-、およびオクタデシル-α-またはβ-D-マルトシド、-グルコシドまたは-スクロシド(KoeltzowおよびUrferに従って合成され得る。Anatrace Inc.、Maumee、Ohio;Calbiochem、San Diego、Calif.;Fluka Chemie、Switzerland);アルキルチオマルトシド、例えばヘプチル-、オクチル-、ドデシル-、トリデシル-、およびテトラデシル-β-D-チオマルトシド(Defaye, J. and Pederson, C., "Hydrogen Fluoride, Solvent and Reagent for Carbohydrate Conversion Technology" in Carbohydrates as Organic Raw Materials, 247-265 (F. W. Lichtenthaler, ed.) VCH Publishers, New York (1991)、Ferenci, T., J. Bacteriol, 144:7-11 (1980)に従って合成され得る);アルキルチオグルコシド、例えばヘプチル-またはオクチル1-チオα-またはβ-D-グルコピラノシド(Anatrace,Inc.、Maumee、Ohio;Saito, S. and Tsuchiya, T. Chem. Pharm. Bull. 33:503-508 (1985)を参照されたい);アルキルチオスクロース(例えば、Binder, T. P. and Robyt, J. F., Carbohydr. Res. 140:9-20 (1985)に従って合成され得る);アルキルマルトトリオシド(KoeltzowおよびUrferに従って合成され得る);スクロースβ-アミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族カルボン酸アミド(オーストラリア特許第382,381号(1987)、Chem. Abstr., 108:114719 (1988)およびGruber and Greber pp. 95-116に従って合成され得る);アミド連結によってアルキル鎖に連結されたパラチノースおよびイソマルトアミン(isomaltamine)の誘導体(Kunz, M., "Sucrose-based Hydrophilic Building Blocks as Intermediates for the Synthesis of Surfactants and Polymers" in Carbohydrates as Organic Raw Materials, 127-153に従って合成され得る);尿素によってアルキル鎖に連結したイソマルトアミンの誘導体(Kunzに従って合成され得る);スクロースβ-アミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族カルボン酸ウレイド(Gruber and Greber, pp. 95-116に従って合成され得る);ならびにスクロースβ-アミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族カルボン酸アミド(オーストラリア特許第382,381号(1987)、Chem. Abstr., 108:114719 (1988)およびGruber and Greber, pp. 95-116に従って合成され得る)が含まれていてよいが、それらに限定されない。
【0073】
浸透促進剤はまた、特にUS8,927,497に記載されているアルキルグリコシドのいずれか、サッカライドアルキルエステルのいずれか、および/または粘膜送達促進剤のいずれかを含めた、この文書に言及されている促進剤のいずれかから選択され得る。
【0074】
さらに、浸透促進剤はまた、次式(I)の化合物
【化1】
[式中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、-OH、-NR、ハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Brまたは-I)、C1~4アルキルまたはC1~4アルコキシから選択され、
は、置換もしくは非置換C2~16アルキレン、置換もしくは非置換C2~16アルケニレン、置換もしくは非置換C1~12アルキル(アリーレン)[例えば、置換もしくは非置換C1~12アルキル(フェニレン)]、または置換もしくは非置換アリール(C1~12アルキレン)[例えば、置換もしくは非置換フェニル(C1~12アルキレン)]であり、
およびRは、それぞれ独立に、水素、酸素、-OHまたはC1~4アルキルである]、
または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、特に二ナトリウム塩、アルコール溶媒和物(例えば、メタノール溶媒和物、エタノール溶媒和物、プロパノール溶媒和物もしくはプロピレングリコール溶媒和物、または二ナトリウム塩のそのようないずれかの溶媒和物、特にエタノール溶媒和物または二ナトリウム塩のエタノール溶媒和物)、またはそれらの水和物(例えば、二ナトリウム塩の一水和物)であってよい。式(I)に含まれる、前述の「置換されている」基は、好ましくは、ハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Brまたは-I)、-OH、C1~4アルキルまたはC1~4アルコキシから独立に選択される1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、または3つ)の置換基で置換されている。そのような化合物およびそれらの調製のための方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO00/59863に記載されている。したがって、浸透促進剤はまた、WO00/59863に記載されている「送達剤」であってよい。式(I)の化合物の好ましい例には、N-(5-クロロサリチロイル)-8-アミノカプリル酸、N-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)デカン酸、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸、前述の化合物のいずれか1種の一ナトリウム塩または二ナトリウム塩、前述の化合物のいずれか1種のナトリウム塩(例えば、一ナトリウム塩または二ナトリウム塩)のエタノール溶媒和物、前述の化合物のいずれか1種のナトリウム塩(例えば、一ナトリウム塩または二ナトリウム塩)の一水和物、およびそれらの任意の組合せが含まれる。特に好ましい式(I)の化合物は、N-(5-クロロサリチロイル)-8-アミノカプリル酸の二ナトリウム塩またはその一水和物である。
【0075】
浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウムとカプリル酸ナトリウムの混合物、SNAC、ラウリン酸スクロース、labrasolおよびポリソルベートから選択されることが特に好ましい。
【0076】
さらに、浸透促進剤はまた、中鎖脂肪酸の塩であってよい。中鎖脂肪酸の塩は、好ましくはC4~18飽和脂肪酸、好ましくは必要に応じて1個、2個または3個のC=C二重結合を有するC4~18直鎖または分岐アルカン酸、より好ましくは必要に応じて1個、2個または3個のC=C二重結合を有するC6~16直鎖または分岐アルカン酸、さらにより好ましくは必要に応じて1個、2個または3個のC=C二重結合を有するC6~14直鎖または分岐アルカン酸の塩である。中鎖脂肪酸の塩は、好ましくは、C4~18直鎖または分岐アルカン酸、より好ましくはC6~16直鎖または分岐アルカン酸、さらにより好ましくはC6~14直鎖または分岐アルカン酸の塩である。中鎖脂肪酸の塩は、好ましくは、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸および/またはステアリン酸の塩から選択される。より好ましくは、中鎖脂肪酸の塩は、カプリン酸の塩である。
【0077】
中鎖脂肪酸の塩は、より好ましくは、ナトリウム塩またはカリウム塩である。さらに、中鎖脂肪酸の塩は、カプリン酸の塩であることが好ましい。カプリン酸はまた、デカン酸(CH(CHCOOH)と呼ばれ得る。好ましいカプリン酸の塩は、カプリン酸ナトリウム(すなわち、CH(CHCOONa)である。
【0078】
本発明の固形経口医薬組成物は、好ましくは、1種または複数の酵素阻害剤をさらに含む。好ましい酵素阻害剤には、リン酸三ナトリウム(NaPO)、アルギニンおよびリシンが含まれる。
【0079】
より好ましくは、本発明の固形経口医薬組成物は、カプリン酸ナトリウムとリン酸三ナトリウムの組合せを含む。さらにより好ましくは、本発明の固形経口医薬組成物のコアは、カプリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムおよびGLP-1受容体アゴニストを含む。
【0080】
固形経口医薬組成物を調製する方法
本発明はさらに、本発明の固形経口医薬組成物を調製するための方法に関する。該方法は、好ましくは、
- コアを調製するステップと、
- コアを完全に取り囲む第1のコーティングを適用するステップと
を含む。
【0081】
好ましくは、第1のコーティングは、コポリマー(A)と、コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)および/またはコポリマー(D)との組合せを含む第1の水性組成物を使用して適用される。より好ましくは、第1のコーティングは、コポリマー(A)と、コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)との組合せを含む第1の水性組成物を使用して適用される。
【0082】
第1の水性組成物は、好ましくは、粘着防止剤をさらに含む。粘着防止剤は、好ましくは、モノステアリン酸グリセロール、タルクまたはPlasAcrylから選択される。
【0083】
加えて、第1の水性組成物は、好ましくはクエン酸をさらに含み、および/または2~5、好ましくは3~4の範囲のpHを有する。
【0084】
好ましくは、該方法はさらに、第1のコーティングを完全に取り囲む第2のコーティングを適用するステップを含み、ここで、第2のコーティングは、上述の定義されたコポリマー(C)を含む第2の水性組成物を使用して適用される。第2の水性組成物は、必要に応じて、粘着防止剤をさらに含み、粘着防止剤は、好ましくは、モノステアリン酸グリセロールおよびタルクから選択される。
【0085】
該方法はさらに、好ましくはポリマーおよび/コポリマーならびにそれぞれのコーティングの他の意図された構成成分を含む水性分散物を使用することによって、上述の本明細書に記載されるその他のコーティングの任意の1つまたは複数を適用するステップを含んでもよい。コポリマー、例えばポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)1:2(例えばEudragit S 100)は、水性分散物から適用される場合には、7未満のpH、特に約6.5のpHで予め溶解していてもよいことが見出された。
【0086】
剤形
本発明の固形経口医薬組成物は、好ましくは経口剤形(oral dosage form)、より好ましくは経口的剤形(peroral dosage form)である。
【0087】
したがって、固形経口医薬組成物は、好ましくは経口投与され、特に経口的に投与される(または経口投与、特に経口的投与のために製剤化される)。さらにより好ましくは、固形経口医薬組成物は、経口摂取によって、特に嚥下によって投与される。したがって、固形経口医薬組成物は、口を介して胃腸管に通過するように投与することができ、それは、「経口-胃腸管(oral-gastrointestinal)」投与と呼ぶこともできる。
【0088】
好ましい実施形態では、固形経口医薬組成物は、摂食状態の対象/患者に経口的に(特に、経口-胃腸管投与によって)投与される。したがって、固形経口医薬組成物は、食後に、すなわち食品を摂取した後に(例えば、食後約1~2時間以内に)経口的に投与されることが好ましい。さらに好ましい実施形態では、固形経口医薬組成物は、一晩絶食した後に、食事と共に対象/患者に経口的に(特に、経口-胃腸管投与によって)投与される。したがって、固形経口医薬組成物は、特に一晩絶食した翌朝、食品(例えば、朝食)と共に経口的に投与されることが好ましい。
【0089】
特に、固形経口医薬組成物は、カプセル剤または錠剤の形態であることが好ましい。固形経口医薬組成物、例えばカプセル剤または錠剤の全重量は、100mg~1500mgの範囲であってよい。固形経口医薬組成物の全重量は、より好ましくは、100mg~1200mg、200mg~1000mg、400mg~800mg、または600mg~900mgの範囲である。錠剤またはカプセル剤は、好ましくは、少なくとも100mg、例えば100mg~1200mg、400mg~800mgまたは600mg~900mgの全重量を有する。
【0090】
さらに、コアは、多粒子(multiparticulate)の形態であってよい。「多粒子」という用語は、好ましくは、レーザー回折によって決定して、0.05~2mmの体積平均粒径を有する粒子を指す。例えば、GLP-1受容体アゴニストは、浸透促進剤のマトリックス内に、多数の粒子の形態で存在してもよい。より好ましくは、コアは、ミニ錠剤(mini-tablet)、顆粒(granulate)またはペレットの形態である。コアはまた、GLP-1受容体アゴニストを含む、カプセル剤内側のマイクロニードルおよび注射デバイスの形態の、いわゆるロボットカプセル剤(robotic capsule)(例えば、RaniPill(商標))であってよい。
【0091】
さらにより好ましくは、固形経口医薬組成物は、GLP-1受容体アゴニストを小腸および/または結腸において放出するための経口的剤形として製剤化される。回腸における放出が、より好ましい。本発明に記載されるコーティングは、主に小腸のより下部におけるGLP-1受容体アゴニストの遅延放出を可能にする。7超のpHで溶解するアニオン性ポリマーに(主に)基づく従来の固形経口医薬組成物とは対照的に、本発明の固形経口医薬組成物による遅延放出は、非イオン性のpH非依存性ポリマーによって調節される。結果として、小腸の通過時間は、pH依存性ポリマーを主に含有するコーティングと比較してより一定になり、薬物放出のより少ない変動が観察される。加えて、対象が7超のpHに達しないか、またはごく短時間に達する場合に生じることがある過量放出(dose dumping)を、本発明の固形経口医薬組成物によって回避することができる。
【0092】
本発明に従う固形経口医薬組成物は、5%未満のGLP-1受容体アゴニストが酸性段階(USPに準拠する模擬胃液または0.1M HCl)で2時間以内に放出され、続いて、少なくとも1時間(より好ましくは少なくとも1.5時間、さらにより好ましくは少なくとも2時間、またさらにより好ましくは少なくとも2.5時間)の遅延時間で6~6.5の間のpHの模擬腸液に溶解する、溶解プロファイル(米国薬局方、USPに準拠する溶解方法)を有することが好ましい。該遅延時間内に、10%以下のGLP-1受容体アゴニストが放出される。該遅延時間後、1時間以内に、75%超のGLP-1受容体アゴニストが6~6.5の間のpHの模擬腸液において放出される。したがって、固形経口医薬組成物は、USPに準拠する溶解方法によって決定して、5%未満のGLP-1受容体アゴニストが模擬胃液において2時間以内に放出され、続いて、少なくとも1時間の遅延時間で6~6.5の間のpHの模擬腸液に溶解し、それによって、10%以下のGLP-1受容体アゴニストが該遅延時間内で放出され、それによって、該遅延時間後、1時間以内に、75%超のGLP-1受容体アゴニストが6~6.5の間のpHの模擬腸液において放出される、溶解プロファイルを有することが好ましい。先に説明した通り、溶解プロファイルは、米国薬局方(好ましくは2020年9月1日版のUSP)に従って決定されるべきである。しかし代替として、溶解プロファイルは、本明細書の以下の実施例7に記載されるUSP溶解方法の修正版を使用して決定してもよい。そのような溶解プロファイルを有する本発明に従う例示的な固形経口医薬組成物は、以下の実施例の節に記載される。
【0093】
前述の好ましい溶解プロファイルを有する本発明に従う固形経口医薬組成物のさらなる例には、以下の特色のいずれかを有する組成物が含まれる。
- HPMCを含む第1のコーティング(例えば、Methocel LVなど)、続いて、pH依存性の腸溶コーティングである第2のコーティング(第1のコーティングの外側にある)(例えば、Eudragit L30 D-55、Eudragit L100、またはEudragit S100など)、ここで、第1のコーティングは、好ましくは200μm~700μmの間(より好ましくは300~600μmの間)のコーティング厚さを有する、または
- エチルセルロースおよびアルギン酸ナトリウムの組合せを含む第1のコーティング(例えば、Colorcon製のNutrateric(登録商標)など)、続いて、pH依存性の腸溶コーティングである第2のコーティング(第1のコーティングの外側にある)(例えば、Eudragit L30 D-55、Eudragit L100、またはEudragit S100など)、または
- ポリビニルアルコール(PVA)またはPVAベースのフィルムコーティングを含む第1のコーティング、続いて、pH依存性の腸溶コーティングである第2のコーティング(第1のコーティングの外側にある)(例えば、Eudragit L30 D-55、Eudragit L100、またはEudragit S100など)、または
- ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコール(PVA-PEG)グラフトコポリマーまたはPVA-PEGグラフトコポリマーベースのフィルムコーティングを含む第1のコーティング(例えば、Colorcon製のOpadry QXなど)、続いて、pH依存性の腸溶コーティングである第2のコーティング(第1のコーティングの外側にある)(例えば、Eudragit L30 D-55、Eudragit L100、またはEudragit S100など)。
【0094】
さらに、本発明に従う固形経口医薬組成物は、5%未満のGLP-1受容体アゴニストが酸性段階(USPに準拠する模擬胃液または0.1M HCl)で1時間以内に放出され、続いて、少なくとも1時間(より好ましくは少なくとも1.5時間、さらにより好ましくは少なくとも2時間、またさらにより好ましくは少なくとも2.5時間)の遅延時間で6~6.5の間のpHの模擬腸液に溶解する、溶解プロファイル(米国薬局方、USPに従う溶解方法)を有することが好ましい。該遅延時間内に、10%以下のGLP-1受容体アゴニストが放出される。該遅延時間後、1時間以内に、75%超のGLP-1受容体アゴニストが6~6.5の間のpHの模擬腸液において放出される。したがって、固形経口医薬組成物は、USPに従う溶解方法によって決定して、5%未満のGLP-1受容体アゴニストが模擬胃液において1時間以内に放出され、続いて、少なくとも1時間の遅延時間で6~6.5の間のpHの模擬腸液に溶解し、それによって、10%以下のGLP-1受容体アゴニストが該遅延時間内で放出され、それによって、該遅延時間後、1時間以内に、75%超のGLP-1受容体アゴニストが6~6.5の間のpHの模擬腸液において放出される、溶解プロファイルを有することが好ましい。先に説明した通り、溶解プロファイルは、米国薬局方(好ましくは2020年9月1日版のUSP)に従って決定されるべきである。しかし代替として、溶解プロファイルは、本明細書の以下の実施例7または26に記載されるUSP溶解方法の修正版を使用して決定してもよい。そのような溶解プロファイルを有する本発明に従う例示的な固形経口医薬組成物は、以下の実施例の節に記載される。
【0095】
さらに、本発明に従う固形経口医薬組成物は、摂食状態の模擬胃媒体、例えばFEDGAS pH6など(実施例29を参照されたい)において、少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも3時間、最も好ましくは少なくとも4時間にわたって5%未満(好ましくは、3%未満、より好ましくは1%未満、さらにより好ましくは放出なし)のGLP-1受容体アゴニストの放出を示すことが好ましい。
【0096】
本発明に従う固形経口医薬組成物のさらに好ましい例には、HPMCを含む(またはそれからなる)第1のコーティング、およびEudragit FL 30 D-55を含む(またはそれからなる)第2のコーティング(第1のコーティングの外側にある)を有する組成物が含まれる。特に、Eudragit FL 30 D-55を含むコーティングは、HPMCを含む第1のコーティング(例えば、空のHPMCカプセル)の重量に関して、少なくとも45%(w/w)の重量増加をもたらす厚さを有することが好ましい。あるいは、Eudragit FL 30 D-55を含むコーティングは、剤形(例えば、カプセル剤または錠剤)1個当たり、少なくとも30mg、より好ましくは少なくとも40mg、さらにより好ましくは少なくとも50mg、さらにより好ましくは少なくとも100mgの重量増加をもたらす厚さを有することが好ましい。また、少なくとも10%(w/w)(Eudragit FL 30 D-55を含むコーティングを有する前の錠剤の重量に関する)の重量増加をもたらす厚さを有するEudragit FL 30 D-55を含む(またはそれからなる)コーティングを有する、錠剤の形態の固形経口医薬組成物が好ましい。
【0097】
またさらに、コーティングされていない錠剤(すなわち、Eudragit NM30Dを含むコーティングを適用する前)の重量に関して、少なくとも10%(w/w)(例えば、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、または少なくとも25%(w/w))のコーティング重量増加を有する、Eudragit NM30Dを含むコーティングを有する、錠剤の形態の本発明に従う固形経口医薬組成物が好ましい。技術水準では、錠剤上のコーティングの重量増加の増大により、GLP-1ペプチドの経口バイオアベイラビリティが低下するおそれがあると想定された(WO2016/120378、61頁)。しかし驚くべきことには、本発明者らは、本発明に従うコーティングを用いるコーティング重量増加の増大が、特に摂食状態でのGLP-1受容体アゴニストの経口バイオアベイラビリティをさらに上昇させることを見出した。
【0098】
典型的に、個々の対象に最も適するGLP-1受容体アゴニストの実際の投与量は、医師が決定することになる。個々のいずれかの特定の対象についての特定の用量レベルおよび投与頻度は、変わってもよく、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与の形式および回数、排出速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、ならびに治療を受けている個々の対象を含めた様々な因子に応じて決まる。正確な用量は、最終的には担当医または獣医の裁量に任される。
【0099】
本発明に従って処置される対象または患者は、動物(例えば、非ヒト動物)であってよい。好ましくは、対象/患者は、哺乳動物である。より好ましくは、対象/患者は、ヒト(例えば、男性ヒトまたは女性ヒト)または非ヒト哺乳動物(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、類人猿、マーモセット、ヒヒ、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル、ヒツジ、ウシ、またはブタなど)である。最も好ましくは、本発明に従って処置される対象/患者は、ヒトである。
【0100】
本明細書で使用される障害または疾患の「処置」という用語は、当技術分野で周知である。障害または疾患の「処置」は、患者/対象において障害または疾患の疑いがあるか、またはその診断がなされていることを意味する。障害または疾患に罹患している疑いのある患者/対象は、典型的に、当業者が特定の病理学的状態に起因し得ると容易に判断する(すなわち、障害または疾患を診断する)ことができる、特定の臨床的および/または病理学的症状を示している。
【0101】
障害または疾患の「処置」は、例えば、障害もしくは疾患の進行を止め得る(例えば、症状を悪化させない)か、または障害もしくは疾患の進行を遅延させ得る(進行の停止が、単に一過的な性質である場合)。障害または疾患の「処置」はまた、障害または疾患に罹患している対象/患者の部分奏効(例えば、症状の好転(amelioration))または完全奏効(例えば、症状の消失)をもたらし得る。したがって、障害または疾患の「処置」は、例えば、障害もしくは疾患の進行を止め得るか、または障害もしくは疾患の進行を遅延させ得る、障害または疾患の好転を指すこともできる。そのような部分奏効または完全奏効に続いて、再発が起こることもある。対象/患者は、処置に対して幅広い奏効(例えば、上述の本明細書に記載される通りの例示的な奏効)を経験し得ることが理解されるべきである。障害または疾患の処置は、とりわけ、根治的処置(好ましくは、完全奏効をもたらし、最終的には障害または疾患を治癒させる)および対症的処置(症候的軽減を含む)を含み得る。
【0102】
本明細書で使用される障害または疾患の「予防」という用語はまた、当技術分野で周知である。例えば、障害または疾患に罹患しやすいと疑われる患者/対象は、特に、障害または疾患の予防から利益を受け得る。対象/患者は、障害または疾患に対する、遺伝的素因を含むがそれに限定されない感受性または素因を有していることがある。そのような素因は、標準の方法またはアッセイによって、例えば、遺伝子マーカーまたは表現型指標を使用して決定することができる。本発明に従って予防される障害または疾患は、患者/対象において診断されていないか、または診断することができない(例えば、患者/対象は、いかなる臨床的症状も病理学的症状も示していない)と理解されるべきである。したがって、「予防」という用語は、任意の臨床的および/または病理学的症状が、担当医によって診断もしくは決定される前、または診断もしくは決定できる前の、本発明に従うペプチドまたはタンパク質薬物の使用を含む。
【0103】
「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、あるアミノ酸のアミノ基と、別のアミノ酸のカルボキシル基との間に形成されるアミド結合を介して連結された、2つまたはそれよりも多いアミノ酸のポリマーを指す。アミノ酸残基とも呼ばれる、ペプチドまたはタンパク質に含まれるアミノ酸は、20種の標準タンパク質原性α-アミノ酸(すなわち、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびVal)から選択され得るが、非タンパク質原性および/または非標準α-アミノ酸(例えば、オルニチン、シトルリン、ホモリシン、ピロリシン、4-ヒドロキシプロリン、α-メチルアラニン(すなわち、2-アミノイソ酪酸)、ノルバリン、ノルロイシン、テルロイシン(tert-ロイシン)、ラビオニン、または側鎖において環式基で置換されているアラニンもしくはグリシン、例えば、シクロペンチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、シクロヘキシルグリシン、またはフェニルグリシンなど)、ならびにβ-アミノ酸(例えば、β-アラニン)、γ-アミノ酸(例えば、γ-アミノ酪酸、イソグルタミン、またはスタチン)およびδ-アミノ酸などから選択してもよい。好ましくは、ペプチドまたはタンパク質に含まれるアミノ酸残基は、α-アミノ酸から、より好ましくは20種の標準タンパク質原性α-アミノ酸(L-異性体またはD-異性体として存在することができ、好ましくは、すべてがL-異性体として存在する)から選択される。ペプチドまたはタンパク質は、修飾されていなくてもよく、または例えば、そのN-末端、そのC末端および/またはそのアミノ酸残基のいずれかの側鎖における官能基(特に、1つまたは複数のLys、His、Ser、Thr、Tyr、Cys、Asp、Glu、および/またはArg残基の側鎖官能基)において修飾されていてもよい。そのような修飾には、例えば、対応する官能基について、Wuts PG & Greene TW, Greene's protective groups in organic synthesis, John Wiley & Sons, 2006に記載されている保護基のいずれの結合が含まれていてもよい。そのような修飾には、1つまたは複数のポリエチレングリコール(PEG)鎖の共有結合(ペグ化ペプチドまたはタンパク質を形成する)、グリコシル化、および/または1種もしくは複数の脂肪酸(例えば、1種または複数のC8~30アルカン酸またはアルケン酸;脂肪酸でアシル化されたペプチドまたはタンパク質を形成する)によるアシル化が含まれていてもよい。さらに、そのような修飾ペプチドまたはタンパク質には、それらがアミド結合(あるアミノ酸のアミノ基と、別のアミノ酸のカルボキシル基との間で形成される)を介して連結している少なくとも2つのアミノ酸を含有するという条件で、ペプチド模倣物が含まれていてもよい。ペプチドまたはタンパク質に含まれるアミノ酸残基は、例えば、直鎖状分子鎖(直鎖状ペプチドまたはタンパク質を形成する)として存在してもよく、または1つもしくは複数の環(環状ペプチドまたはタンパク質に相当する)を形成してもよい。ペプチドまたはタンパク質はまた、2つまたはそれよりも多い同一のまたは異なる分子からなるオリゴマーを形成するものであってよい。
【0104】
「アミノ酸」という用語は、特に、20種の標準タンパク質原性α-アミノ酸(すなわち、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびVal)のいずれか1種を指すが、非タンパク質原性および/または非標準α-アミノ酸(例えば、オルニチン、シトルリン、ホモリシン、ピロリシン、4-ヒドロキシプロリン、α-メチルアラニン(すなわち、2-アミノイソ酪酸)、ノルバリン、ノルロイシン、テルロイシン(tert-ロイシン)、ラビオニン、または側鎖において環式基で置換されているアラニンもしくはグリシン、例えば、シクロペンチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、シクロヘキシルグリシン、またはフェニルグリシンなど)、ならびにβ-アミノ酸(例えば、β-アラニン)、γ-アミノ酸(例えば、γ-アミノ酪酸、イソグルタミン、またはスタチン)および/またはδ-アミノ酸、ならびに少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのアミノ基を含む任意の他の化合物なども指す。別段定義されない限り、「アミノ酸」は、好ましくはα-アミノ酸、より好ましくは、20種の標準タンパク質原性α-アミノ酸(L-異性体またはD-異性体として存在することができ、好ましくはL-異性体として存在する)のいずれか1種を指す。
【0105】
「溶解する」という用語は、本明細書で使用される場合、好ましくは、溶解について決定されるべき層が浸透性になるような(特に、GLP-1受容体アゴニスト、例えばエキセナチドについて)、特定のpH値を有する溶液によって十分に溶解された状態を指す。所与の層が溶解するかどうかは、米国薬局方(USP)総則<711>溶解に記載されている通り、溶解装置1を使用することによって決定することができる。
【0106】
「取り囲む」という用語は、本明細書では、「覆う」または「完全に覆う」と同義に使用される。
【0107】
本明細書で使用される場合、「必要に応じた(optional)」、「必要に応じて(optionally)」および「であってよい(may)」という用語は、示された特色が存在し得るが、存在しないこともあることを示す。「必要に応じた」、「必要に応じて」または「であってよい」という用語が使用されるときはいつでも、本発明は、具体的に両方の可能性、すなわち、対応する特色が存在する可能性、または代替として対応する特色が存在しない可能性に関する。例えば、組成物の構成成分が、「必要に応じた」ものとして示される場合、本発明は、具体的に両方の可能性、すなわち、対応する構成成分が存在する(組成物に含有されている)可能性、または対応する構成成分が組成物には存在しない可能性に関する。
【0108】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」(または「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、または「含有する(containing)」)という用語は、別段明確に示されないか、または文脈と矛盾しない限り、「とりわけ、~を含有する(containing, inter alia)」、すなわち、「さらなる必要に応じた要素の中でも、...を含有する(containing, among further optional elements, ...)」という意味を有する。加えて、この用語はまた、「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という、より狭い意味を含む。例えば、「BおよびCを含むA(A comprising B and C)」という用語は、「とりわけBおよびCを含有するA(A containing, inter alia, B and C)」という意味を有し、ここで、Aは、必要に応じたさらなる要素を含有していてよいが(例えば、「B、CおよびDを含有するA(A containing B, C and D)」も包含され得る)、この用語は、「BおよびCから本質的になるA(A consisting essentially of B and C)」という意味および「BおよびCからなるA(A consisting of B and C)」(すなわち、Aには、BおよびC以外の他の構成成分は含まれない)という意味も含む。
【0109】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、示された数値の±10%、好ましくは示された数値の±5%、特に、示されたまさにその数値を指す。
【0110】
別段具体的に示されない限り、本明細書で言及されるすべての特性およびパラメーター(例えば「mg/ml」または「%(v/v)」で示される任意の量/濃度、および任意のpH値を含む)は、好ましくは、標準周囲温度および周囲圧力条件で、特に25℃(298.15K)の温度および101.325kPa(1気圧)の絶対圧力で決定されるべきである。
【0111】
さらに本発明は、特に、一般的なかつ/または好ましい特色/実施形態の任意の組合せを含めた、本明細書に記載される特色および実施形態のありとあらゆる組合せに関すると理解されるべきである。特に本発明は、具体的に、本明細書に記載される好ましい特色のあらゆる組合せに関する。
【0112】
本明細書では、特許、特許出願および科学文献を含めたいくつかの文書が引用されている。これらの文書の開示は、本発明の特許性について関連があるとはみなされないが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。より具体的には、参照したすべての文書は、個々の各文書が参照により組み込まれることが具体的にかつ個々に示されているかのように、参照により組み込まれる。
【0113】
本発明はまた、以下の例示的な図によって記載される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1】GLP-1アゴニストペプチドであるエキセナチドおよびカプリン酸ナトリウムを含む、コーティングされたカプセル剤の溶解(実施例7を参照されたい)。
【0115】
図2】異なる比のEudragit L30D-55およびEudragit NM30Dでコーティングされたカプセル剤からのエキセナチドの溶解(実施例26を参照されたい)。
【0116】
図3】コーティング重量増加を増大した、Eudragit FL 30 D-55でコーティングされたカプセル剤からのセマグルチドの溶解(実施例27を参照されたい)。
【0117】
図4】Eudragit NM30D(80%)およびEudragit L30 D-55(20%)でコーティングされたカプセル剤からのGLP-1アゴニスト(チルゼパチド、セマグルチドまたはエキセナチド)の溶解(実施例28を参照されたい)。
【0118】
図5】摂食状態の模擬胃液(FEDGAS)における、GLP-1アゴニストを含む腸溶錠剤の安定性(実施例29を参照されたい)。
【0119】
図6】FEDGASにおける、GLP-1アゴニストを含む腸溶カプセル剤の安定性(実施例29を参照されたい)。
【0120】
図7】FEDGASにおける、腸溶錠剤と比較した腸溶カプセル剤の安定性(実施例29を参照されたい)。
【0121】
図8】FEDGASにおける、GLP-1アゴニストを含む腸溶カプセル剤の安定性(実施例30を参照されたい)。
【0122】
図9】絶食段階のビーグル犬への腸溶錠剤の経口投与後の、セマグルチドの薬物動態プロファイル(実施例31を参照されたい)。
【発明を実施するための形態】
【0123】
上述の詳細な説明に従って、本発明は、特に以下の項目に関する。
1.(i)GLP-1受容体アゴニストを含むコア、ならびに
(ii)(ii-1)コポリマー(A)と、
(ii-2)コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)および/またはコポリマー(D)と
の組合せを含む第1のコーティング
を含む、固形経口医薬組成物であって、
コポリマー(A)が、
(a)20~90mol%のエチルアクリレート繰り返し単位、および
(b)10~80mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位
を含み、
コポリマー(B)が、存在する場合には、
(a)25~75mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)25~75mol%のエチルアクリレート繰り返し単位
を含み、
コポリマー(C)が、存在する場合には、
(a)25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位
を含み、
コポリマー(D)が、存在する場合には、
(a)5~20mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)20~40mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、および
(c)60~75mol%のメチルアクリレート繰り返し単位
を含む、固形経口医薬組成物。
【0124】
2.第1のコーティングが、
(ii-1)コポリマー(A)と、
(ii-2)コポリマー(B)および/またはコポリマー(C)と
の組合せを含む、項目1に従う固形経口医薬組成物。
【0125】
3.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、60~75mol%のエチルアクリレート繰り返し単位、および25~40mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目1または2に従う固形経口医薬組成物。
【0126】
4.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、2:1のモル比のエチルアクリレート繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目1~3のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0127】
5.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位を含み、好ましくはコポリマー(A)が、1mol%以下、より好ましくは0.5mol%以下、さらにより好ましくは0.1mol%以下、またさらにより好ましくは0.01mol%以下、さらにより好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目1~4のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0128】
6.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、エチルアクリレート繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなる、項目1~5のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0129】
7.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、中性の非イオン性コポリマーである、項目1~6のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0130】
8.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、0.5~20mol%、好ましくは1~15mol%の2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位をさらに含む、項目1または2に従う固形経口医薬組成物。
【0131】
9.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、25~39mol%のエチルアクリレート繰り返し単位、60~74mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、および1~15mol%の2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位を含む、項目1、2および8のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0132】
10.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、1:2:0.1または1:2:0.2のモル比のエチルアクリレート繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、および2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位を含む、項目1、2、8および9のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0133】
11.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位を含み、好ましくはコポリマー(A)が、1mol%以下、より好ましくは0.5mol%以下、さらにより好ましくは0.1mol%以下、またさらにより好ましくは0.01mol%以下、さらにより好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目1、2および8~10のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0134】
12.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、エチルアクリレート繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、および2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド繰り返し単位からなる、項目1、2および8~11のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0135】
13.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)が、カチオン性コポリマーである、項目1、2および8~12のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0136】
14.第1のコーティングにおけるコポリマー(B)が、45~55mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および45~55mol%のエチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目1~13のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0137】
15.第1のコーティングにおけるコポリマー(B)が、1:1のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびエチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目1~14のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0138】
16.第1のコーティングにおけるコポリマー(B)が、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位を含み、好ましくはコポリマー(B)が、1mol%以下、より好ましくは0.5mol%以下、さらにより好ましくは0.1mol%以下、またさらにより好ましくは0.01mol%以下、さらにより好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目1~15のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0139】
17.第1のコーティングにおけるコポリマー(B)が、メタクリル酸繰り返し単位およびエチルアクリレート繰り返し単位からなる、項目1~16のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0140】
18.第1のコーティングにおけるコポリマー(C)が、45~55mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および45~55mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目1~17のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0141】
19.第1のコーティングにおけるコポリマー(C)が、1:1のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目1~18のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0142】
20.第1のコーティングにおけるコポリマー(C)が、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位を含み、好ましくはコポリマー(C)が、1mol%以下、より好ましくは0.5mol%以下、さらにより好ましくは0.1mol%以下、またさらにより好ましくは0.01mol%以下、さらにより好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目1~19のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0143】
21.第1のコーティングにおけるコポリマー(C)が、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなる、項目1~20のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0144】
22.第1のコーティングにおけるコポリマー(C)が、25~40mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および60~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目1~17のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0145】
23.第1のコーティングにおけるコポリマー(C)が、1:2のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目1~17および22のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0146】
24.第1のコーティングにおけるコポリマー(C)が、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位を含み、好ましくはコポリマー(C)が、1mol%以下、より好ましくは0.5mol%以下、さらにより好ましくは0.1mol%以下、またさらにより好ましくは0.01mol%以下、さらにより好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目1~17、22および23のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0147】
25.第1のコーティングにおけるコポリマー(C)が、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなる、項目1~17および22~24のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0148】
26.第1のコーティングにおけるコポリマー(C)が、コポリマー(C)の水性分散物から得られる、項目1~25のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0149】
27.第1のコーティングにおけるコポリマー(D)が、7~13mol%のメタクリル酸繰り返し単位、25~31mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位、および62~68mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目1~26のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0150】
28.第1のコーティングにおけるコポリマー(D)が、1:3:7のモル比のメタクリル酸繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、およびメチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目1~27のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0151】
29.第1のコーティングにおけるコポリマー(D)が、メタクリル酸繰り返し単位、メチルメタクリレート繰り返し単位、およびメチルアクリレート繰り返し単位からなる、項目1~28のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0152】
30.第1のコーティングにおけるコポリマー(A)の含量が、第1のコーティングの全重量に関して、少なくとも25%(w/w)、好ましくは少なくとも50%(w/w)、より好ましくは少なくとも75%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも80%(w/w)、またさらにより好ましくは少なくとも90%(w/w)である、項目1~29のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0153】
31.第1のコーティングが、コポリマー(A)およびコポリマー(B)を含み、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)の含量が、第1のコーティングにおけるコポリマー(A)およびコポリマー(B)の全重量に関して、少なくとも25%(w/w)、好ましくは少なくとも50%(w/w)、より好ましくは少なくとも75%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも80%(w/w)、またさらにより好ましくは少なくとも90%(w/w)である、項目1~30のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0154】
32.第1のコーティングが、コポリマー(A)およびコポリマー(C)を含み、コポリマー(C)が、項目18~21のいずれか1つに定義される通りである、項目1~30のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0155】
33.第1のコーティングが、コポリマー(A)およびコポリマー(C)を含み、コポリマー(C)が、項目22~26のいずれか1つに定義される通りである、項目1~30のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0156】
34.第1のコーティングが、コポリマー(A)に加えてまたはその代わりに、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびポリビニルアセテートから選択される1種または複数のポリマーをさらに含む、項目1~33のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0157】
35.第1のコーティングが、項目1または27~29のいずれか1つに定義される任意のコポリマー(D)を含有しない、項目1、3~26および30~34のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0158】
36.第1のコーティングが、5~7の範囲のpH、好ましくは5.5~6.5の範囲のpH、より好ましくは5.5~6.0の範囲のpHで溶解する、項目1~35のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0159】
37.(iii)第1のコーティングの外側にある第2のコーティングであって、コポリマー(C)を含む第2のコーティング
をさらに含み、コポリマー(C)が、
(a)25~60mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および
(b)40~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位
を含む、項目1~36のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0160】
38.第2のコーティングにおけるコポリマー(C)が、45~55mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および45~55mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目37に従う固形経口医薬組成物。
【0161】
39.第2のコーティングにおけるコポリマー(C)が、1:1のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目37または38に従う固形経口医薬組成物。
【0162】
40.第2のコーティングにおけるコポリマー(C)が、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位を含み、好ましくはコポリマー(C)が、1mol%以下、より好ましくは0.5mol%以下、さらにより好ましくは0.1mol%以下、またさらにより好ましくは0.01mol%以下、さらにより好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目37~39のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0163】
41.第2のコーティングにおけるコポリマー(C)が、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなる、項目37に従う固形経口医薬組成物。
【0164】
42.第2のコーティングにおけるコポリマー(C)が、25~40mol%のメタクリル酸繰り返し単位、および60~75mol%のメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目37または41に従う固形経口医薬組成物。
【0165】
43.第2のコーティングにおけるコポリマー(C)が、1:2のモル比のメタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位を含む、項目37、41および42のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0166】
44.第2のコーティングにおけるコポリマー(C)が、3mol%以下のメチルアクリレート繰り返し単位を含み、好ましくはコポリマー(C)が、1mol%以下、より好ましくは0.5mol%以下、さらにより好ましくは0.1mol%以下、またさらにより好ましくは0.01mol%以下、さらにより好ましくは0mol%のメチルアクリレート繰り返し単位を含む、項目37および41~43のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0167】
45.第2のコーティングにおけるコポリマー(C)が、メタクリル酸繰り返し単位およびメチルメタクリレート繰り返し単位からなる、項目37および41~44のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0168】
46.第2のコーティングが、5~7の範囲のpH、好ましくは5.5~6.5の範囲のpH、より好ましくは5.5~6.0の範囲のpHで溶解する、項目1~45のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0169】
47.GLP-1受容体アゴニストが、ペプチドである、項目1~46のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0170】
48.GLP-1受容体アゴニストが、配列:
Xaa-Xaa-Glu-Gly-Thr-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Lys-Phe-Ile-Xaa30-Xaa31-Leu-Val-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39(配列番号1)
[式中、
Xaaは、L-ヒスチジン、イミダゾプロピオニル、α-ヒドロキシ-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、Nα-ホルミル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニン、または4-ピリジルアラニンであり、
Xaaは、Ala、Gly、Val、Leu、Ile、Thr、Ser、Lys、α-アミノイソ酪酸、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸であり、
Xaa12は、LysまたはPheであり、
Xaa16は、ValまたはLeuであり、
Xaa18は、Ser、Arg、Asn、Gln、またはGluであり、
Xaa19は、TyrまたはGlnであり、
Xaa20は、Leu、Lys、またはMetであり、
Xaa22は、Gly、Glu、Lys、またはα-アミノイソ酪酸であり、
Xaa23は、Gln、Glu、またはArgであり、
Xaa24は、AlaまたはLysであり、
Xaa25は、AlaまたはValであり、
Xaa26は、Val、His、LysまたはArgであり、
Xaa30は、Ala、Glu、またはArgであり、
Xaa31は、TrpまたはHisであり、
Xaa34は、Glu、Asn、Gly、Gln、またはArgであり、
Xaa35は、Gly、α-アミノイソ酪酸であるか、または存在せず、
Xaa36は、Arg、Gly、Lysであるか、または存在せず、
Xaa37は、Gly、Ala、Glu、Pro、Lys、Argであるか、または存在せず、
Xaa38は、Ser、Gly、Ala、Glu、Gln、Pro、Argであるか、または存在せず、
Xaa39は、Glyであるか、または存在しない]
からなるペプチドである、項目1~47のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0171】
49.GLP-1受容体アゴニストが、セマグルチド、リラグルチド、エキセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、タスポグルチド、ラングレナチド、ベイナグルチド、エフペグレナチド、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-36)NH、およびオキシントモジュリンから選択され、好ましくはGLP-1受容体アゴニストが、セマグルチド、リラグルチド、エキセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、およびリキシセナチドから選択される、項目1~48のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0172】
50.GLP-1受容体アゴニストが、デュアルGLP-1受容体/グルカゴン受容体アゴニスト、デュアルGLP-1受容体/GIP受容体アゴニスト、またはトリプルGLP-1受容体/GIP受容体/グルカゴン受容体アゴニストである、項目1~49のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0173】
51.コアが、1種または複数の浸透促進剤をさらに含む、項目1~50のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0174】
52.経口剤形である、項目1~51のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0175】
53.カプセル剤の形態である、項目1~52のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0176】
54.錠剤の形態である、項目1~52のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0177】
55.コアが、多粒子の形態であり、好ましくは、コアが顆粒またはペレットの形態である、項目1~54のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0178】
56.USPに準拠した溶解法により決定されるとき、模擬胃液において2時間以内に5%未満のGLP-1受容体アゴニストが放出され、続いて、少なくとも1時間の遅延時間で6~6.5の間のpHの模擬腸液に溶解し、それによって、10%以下のGLP-1受容体アゴニストが該遅延時間内で放出され、それによって、該遅延時間後、1時間以内に、75%超のGLP-1受容体アゴニストが6~6.5の間のpHの模擬腸液において放出される溶解プロファイルを有する、項目1~55のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0179】
57.治療において使用するための、項目1~56のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0180】
58.糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または心血管疾患の処置または予防において使用するための、項目1~56のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0181】
59.2型糖尿病の処置または予防において使用するための、項目1~56のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物。
【0182】
60.経口投与される、項目57~59のいずれか1つに従う使用するための固形経口医薬組成物。
【0183】
61.糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または心血管疾患の処置または予防のための医薬の製造のための、項目1~56のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物の使用。
【0184】
62.2型糖尿病の処置または予防のための医薬の製造のための、項目1~56のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物の使用。
【0185】
63.それを必要とする対象の糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または心血管疾患を処置または予防する方法であって、治療有効量の項目1~56のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物を、対象に経口投与するステップを含む、方法。
【0186】
64.それを必要とする対象の2型糖尿病を処置または予防する方法であって、治療有効量の項目1~56のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物を、対象に経口投与するステップを含む、方法。
【0187】
65.それを必要とする対象にGLP-1受容体アゴニストを送達する方法であって、項目1~56のいずれか1つに従う固形経口医薬組成物を、対象に経口投与するステップを含む、方法。
【0188】
ここで、本発明を、以下の実施例を参照することによって記載するが、それらの実施例は、単に例示的なものであり、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0189】
材料
以下の材料を、実験的実施例において使用した。
すべてのEudragitポリマーおよびPlasAcrylを、Evonik(ドイツ)から得た。すべての他の化学物質を、Sigma Aldrich(オーストリア)またはVWR(オーストリア)から得た。
【0190】
EUDRAGIT NM 30 D
エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートに基づく中性コポリマーの水性分散物。化学名/IUPAC名:ポリ(エチルアクリレート-co-メチルメタクリレート)2:1。
【0191】
EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55
メタクリル酸およびエチルアクリレートに基づくアニオン性コポリマーの水性分散物。遊離カルボキシル基とエステル基の比は、およそ1:1である。
【0192】
EUDRAGIT S 100
メタクリル酸およびメチルメタクリレートに基づくアニオン性コポリマー、化学名:ポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)1:2。
【0193】
EUDRAGIT L 100
メタクリル酸およびメチルメタクリレートに基づくアニオン性コポリマー、化学名:ポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)1:1。
【0194】
EUDRAGIT FL 30 D-55
2種のEudragitポリマー(Eudragit L30 D-55(25%)およびEudragit NM 30 D(75%))を組み合わせた、すぐに使用できるポリマー製品。
【0195】
EUDRAGIT FS 30 D
メチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびメタクリル酸に基づくアニオン性コポリマーの水性分散物。ポリ(メチルアクリレート(methylacrylat)-co-メチル-メタクリレート(methacrylat)-co-メタクリル酸)7:3:1。
【0196】
Opadry EC(Colorcon製)
Opadry ECは、溶液にエチルセルロースを含む、Colorcon製のすぐに使用できる有機コーティング製品である。
【0197】
Acryl EZE(Colorcon製)
Acryl-Ezeは、Eudragit(登録商標)L100-55(メタクリル酸およびエチルアクリレート(1:1比)のコポリマー)の、完全に製剤化されたコーティング系。
【0198】
(実施例1)
80%Eudragit NM 30 Dおよび20%Eudragit L 30 D-55の組合せを用いるHPMCカプセルのコーティング
Eudragit分散物の調製:109gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.3mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。28gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0199】
HPMCカプセルのコーティング:それぞれ約70mgの重量を有するサイズ1の空のHPMCカプセルを、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit分散物で95mg、119mgおよび125mgの最終重量までコーティングした。
【0200】
(実施例2)
75%Eudragit NM 30 Dおよび25%Eudragit L 30 D-55の組合せを用いるHPMCカプセルのコーティング
Eudragit分散物の調製:100gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.3mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。次に、33.3gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0201】
HPMCカプセルのコーティング:それぞれ約70mgの重量を有するサイズ1の空のHPMCカプセルを、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit分散物で115mgの最終重量までコーティングした。
【0202】
(実施例3)
実施例2からのコーティングされたカプセル上のEudragit L 100トップコーティング
分散物の調製:20gのEudragit L 100を、蒸留水100mlに分散させた。1N NH11.2mlを、連続撹拌下でゆっくり添加した。撹拌を60分間継続した。次に、10gのクエン酸トリエチル(TEC)を添加し、撹拌をさらに60分間継続した。別個に、10gのタルクを、高せん断ミキサー(Ultra Turrax)を用いて50gの水中でホモジナイズした。両方の分散物を、従来の撹拌装置を用いて連続撹拌下で合わせた。
【0203】
カプセルのトップコーティング:実施例2からのカプセル(115mgの重量を有する)を、Glatt GC1ラボコーターを使用して、得られた上述のEudragit L 100分散物で130mgの最終重量までトップコーティングした。
【0204】
(実施例4)
実施例2からのコーティングされたカプセル上のEudragit S 100トップコーティング
分散物の調製:19.9gのEudragit S 100を、蒸留水100mlに分散させた。13.5mlの1N NHを、連続撹拌下でゆっくり添加した。撹拌を60分間継続した。次に、10gのクエン酸トリエチル(TEC)を添加し、撹拌をさらに60分間継続した。別個に、10gのタルクを、高せん断ミキサー(Ultra Turrax)を用いて50gの水中でホモジナイズした。両方の分散物を、従来の撹拌装置を用いて連続撹拌下で合わせた。
【0205】
カプセルのトップコーティング:実施例2からのカプセル(115mgの重量を有する)を、Glatt GC1ラボコーターを使用して、得られた上述のEudragit S 100分散物で132mgの最終重量までトップコーティングした。
【0206】
(実施例5)
50%TECを含むEudragit S100再分散物を用いるHPMCカプセルの腸溶コーティング
Eudragit水性分散物の調製:99.4gのEUDRAGIT(登録商標)S 100を、500mlの水にゆっくり添加し、従来の撹拌装置を用いて約5分間撹拌した。次に、67.5gの1N NHを、EUDRAGIT(登録商標)懸濁物にゆっくり添加し、約60分間撹拌した。次に、49.7gのクエン酸トリエチル(TEC)を、EUDRAGIT(登録商標)懸濁物に添加し、再び60分間撹拌した。49.7gのタルクを、高せん断ミキサー(例えば、Ultra Turrax)を用いて233.7gの水中で10分間ホモジナイズした。次に、タルク懸濁物を、従来の撹拌装置を用いて撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)分散物に注いだ。最後に、噴霧懸濁物を0.5mmのふるいに通し、連続的に撹拌した。
【0207】
HPMCカプセルのコーティング:HPMCカプセルを、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit水性分散物で18%、60%および64%の重量増加までコーティングした(空のカプセルの重量に基づいて計算した)。
【0208】
(実施例6)
70%TECを含むEudragit S100再分散物を用いるHPMCカプセルの腸溶コーティング
Eudragit水性分散物の調製:99.4gのEUDRAGIT(登録商標)S 100を、500mlの水にゆっくり添加し、従来の撹拌装置を用いて約5分間撹拌した。次に、67.5gの1N NHを、EUDRAGIT(登録商標)懸濁物にゆっくり添加し、約60分間撹拌した。次に、70gのクエン酸トリエチル(TEC)を、EUDRAGIT(登録商標)懸濁物に添加し、再び60分間撹拌した。49.7gのタルクを、高せん断ミキサー(例えば、Ultra Turrax)を用いて233.7gの水中で10分間ホモジナイズした。次に、タルク懸濁物を、従来の撹拌装置を用いて撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)分散物に注いだ。最後に、噴霧懸濁物を0.5mmのふるいに通し、連続的に撹拌した。
【0209】
HPMCカプセルの腸溶コーティング:HPMCカプセルを、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit水性分散物で30%、50%および63%の重量増加までコーティングした(空のカプセルの重量に基づいて計算した)。
【0210】
(実施例7)
コーティングされたカプセル剤の溶解試験
予めコーティングされたカプセルに、エキセナチド10mgおよびカプリン酸ナトリウム200mgを充填した。溶解研究を、Erweka DT light 126を用いて、バスケット法を37℃および75rpmの回転速度で使用して実施した。米国薬局方(USP)方法の修正版を使用した。カプセル剤をバスケットに入れ、そのバスケットを、開いた状態の青色キャップのボトルに入れ、そのボトルは、それに従う溶解媒体100mlを含有していた。青色キャップのボトルを、水と直接接触させ、青色キャップのボトル内側の中心温度が37℃になることを確実にした(温度は、試験開始前に外部温度計を用いて確認した)。まず、バスケットを、USPに従う模擬胃液に1時間入れ、次に、USPに従うpH6.0を有する模擬腸液(SIF)に1時間入れ、次に、pH6.5を有するUSPに従うSIFに1時間入れ、最後に、pH6.8を有するUSPに従うSIFに入れた。1mlの試料を、60分後およびさらに所定の時点に取り出した。40μlの試料を、逆相勾配法(水/アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸(trifluoracetic acid)、カラム:Waters Xselect CSH C18)を使用するHPLC系に注入した。サンプリングを、放出理論値の>75%のエキセナチド放出によって定義された、カプセル剤の完全な溶解まで実施した。
【0211】
そうして得られた結果は、図1に示されている。これらの結果は、本発明に従ってコーティングされたカプセル剤が、酸性段階では薬物を放出せず、続いて、腸管pHレベルでの遅延時間が続き、次にかなり急速に放出するプロファイルを実証することを示している。
【0212】
(実施例8)
Eudragit L 100再分散物を用いるHPMCカプセル(参照)のコーティング
分散物の調製:20gのEudragit L 100を、蒸留水100mlに分散させた。11.2mlの1N NHを、連続撹拌下でゆっくり添加した。撹拌を60分間継続した。次に、10gのクエン酸トリエチル(TEC)を添加し、撹拌をさらに60分間継続した。別個に、10gのタルクを、高せん断ミキサー(Ultra Turrax)を用いて50gの水中でホモジナイズした。両方の分散物を、従来の撹拌装置を用いて連続撹拌下で合わせた。
【0213】
(参照)カプセルのコーティング:カプセル(95.3mgの出発重量を有するサイズ0のHPMCカプセル)を、Glatt GC1ラボコーターを使用して、得られた上述のEudragit L 100分散物で137mgの最終重量(44%の重量増加)までコーティングした。
【0214】
(実施例9)
80%Eudragit NM 30 Dおよび20%Eudragit L 30 D-55の組合せを用いるサイズ4のHPMCカプセルのコーティング
Eudragit分散物の調製:109gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.3mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。28gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0215】
HPMCカプセルのコーティング:それぞれ約39.5mgの重量を有するサイズ4の空のHPMCカプセルを、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit分散物で54%の最終的な重量増加までコーティングした。
【0216】
(実施例10)
エキセナチドおよびカプリン酸ナトリウムを含む錠剤の腸溶コーティング
錠剤の調製:100mgのエキセナチド、5.000gのカプリン酸ナトリウム、1.300gのソルビトール、1.300gのAvicel PH-101および100mgのステアリン酸マグネシウムを含む均質な粉末ブレンドを調製した。まず、乳鉢内で混合を行い、続いて、Topitec粉末ブレンダーを用いて混合した。780mgのアリコートを、Korsch EK0単一パンチ錠剤圧縮機を用いて錠剤に圧縮した。
【0217】
Eudragit分散物の調製:109gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.3mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。28gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0218】
錠剤のコーティング:錠剤を、同等の重量および寸法のプラセボ錠剤とブレンドし、Glatt GC1ラボコーターを使用して、得られた上述のEudragit分散物で809~816mgの間の最終的な重量増加までコーティングした。
【0219】
(実施例11)
コーティングされたカプセル剤の、ブタへの経口的投与
2種の異なる腸溶カプセル剤製剤と共に製剤化された単一経口セマグルチド(10mg/ブタ)の、ブタにおける薬物動態の評価。
種:Sus scrofa domestica
性別:雄/雌
研究開始時の体重:17.8±3.0kg
【0220】
馴化、飼育および食餌
ブタを、施設に2日間馴化させた。動物を麦わらで飼育し、到着から研究が完了するまで水および標準食を自由に摂取させた。ブタを、カプセル剤の投与前6時間および投与後6時間、絶食させた。合計10匹の健康なブタを研究で使用した。動物を、2つの実験群の一方に無作為化した(n=3~4)。
【0221】
実験
動物を、0日目の用量投与前6時間およびカプセル剤投与後6時間、絶食させた。実験当日、頭側大静脈(Vena cava cranialis)/頸静脈の静脈内穿刺を実施した(21G針)。ベースラインの血液試料を収集し、続いて、以下に詳説される群および製剤に従って、動物ごとに単一セマグルチドカプセル剤を経口投与した(丸剤適用デバイスを使用することによって)。
【0222】
群1(75%Eudragit NM30D、25%Eudragit L30 D-55と、Eudragit L100トップコート)
実施例3に従う腸溶コーティングカプセルに、セマグルチド10mgおよびカプリン酸ナトリウム250mgを含有する均質な粉末ブレンドを充填した。
【0223】
群2(Eudragit L100でコーティングされた参照カプセル剤)
実施例8からの腸溶コーティング(参照)カプセルに、セマグルチド10mgおよびカプリン酸ナトリウム250mgを含有する均質な粉末ブレンドを充填した。
【0224】
経口投与後、血液試料を、2時間、4時間、6時間、8時間、および24時間の時点に、各時点2mlで収集した。血清試料を調製し、ELISA(セマグルチド、Peninsula Laboratories International,Inc.カタログ番号S-1530)により分析した。
【0225】
結果
群1において、セマグルチド血漿濃度上昇の遅延した開始が見られた。この群の平均Tmaxは、群2の4時間の平均Tmaxと比較して8時間であった。群1(n=3)の平均AUC0-24は、群2(n=4)よりも14倍高かった。
【表1】
【0226】
結論
Eudragit NM30D/Eudragit L30 D-55およびEudragit L100トップコーティングの組合せでコーティングされた固形経口剤形は、GLP-1アゴニストの経口バイオアベイラビリティを、Eudragit L100でコーティングされた腸溶カプセル剤と比較して14倍改善した。
【0227】
(実施例12)
Eudragit NM30D(80%)およびEudragit L30 D-55(20%)を用いる、セマグルチドおよびカプリン酸ナトリウムを含む錠剤の腸溶コーティング
錠剤の調製:208mgのセマグルチド、5.500gのカプリン酸ナトリウム、2.420gのソルビトール、1.430gのAvicel PH-101および121mgのステアリン酸マグネシウムを含む均質な粉末ブレンドを調製した。まず、乳鉢内で混合を行い、続いて、Topitec粉末ブレンダーを用いて混合した。880mgのアリコートを、Korsch EK0単一パンチ錠剤圧縮機を用いて、およそ15kNの平均圧縮力で錠剤に圧縮した。
【0228】
Eudragit分散物の調製:107gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.3mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。28gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0229】
錠剤のコーティング:錠剤を、同等の重量およびわずかに異なる寸法(コーティングプロセス後の分離を可能にするため)のプラセボ錠剤とブレンドし、Glatt GC1ラボコーターを使用して、得られた上述のEudragit分散物で899~909mgの間の最終重量までコーティングしたが、これは、錠剤1個当たり19~29mgの間の、または2.8%(w/w)のコーティング重量増加に関する。これは、錠剤1個当たり15mg~23mgの間のEudragit NM30D(乾燥物質)に関する。
【0230】
(実施例13)
50%Eudragit NM 30 Dおよび50%Eudragit L 30 D-55の組合せを用いるHPMCカプセルのコーティング
Eudragit分散物の調製:67.5gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.0mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。次に、67.5gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0231】
HPMCカプセルのコーティング:それぞれ約70mgの重量を有するサイズ1の空のHPMCカプセルを、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit分散物で102mgの最終重量(カプセル1個当たり32mgの重量増加)までコーティングした。これは、サイズ1のカプセル1個当たり約16mgのEudragit NM30D(乾燥物質)またはカプセルの表面1cm当たり3.9mg(サイズ1の硬カプセルについては平均表面積4.1cmを用いて計算した)のEudragit NM30D(乾燥物質)に関する。
【0232】
(実施例14)
カプリン酸ナトリウムを含むエキセナチド錠剤の調製
錠剤の調製:60mgのエキセナチド、3.000gのカプリン酸ナトリウム、1.320gのソルビトール、780mgのAvicel PH-101および60mgのステアリン酸マグネシウムを含む均質な粉末ブレンドを調製した。まず、乳鉢内で混合を行い、続いて、Topitec粉末ブレンダーを用いて混合した。870mgのアリコートを、Korsch EK0単一パンチ錠剤圧縮機を用いて、およそ14kNの平均圧縮力で錠剤に圧縮した。
【0233】
(実施例15)
65%Eudragit NM 30 Dおよび35%Eudragit L 30 D-55の組合せを用いる、HPMCカプセルおよびエキセナチド錠剤のコーティング
Eudragit分散物の調製:87.75gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.2mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。次に、47.25gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0234】
HPMCカプセルのコーティング:それぞれ約70mgの重量を有するサイズ1の空のHPMCカプセル、および実施例14からのエキセナチド錠剤1個を、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit分散物で105mgの最終カプセル重量(カプセル1個当たり35mgの重量増加)までコーティングした。これは、サイズ1のカプセル1個当たり約23mgのEudragit NM30Dまたはカプセルの表面1cm当たり5.6mg(サイズ1の硬カプセルについては平均表面積4.1cmを用いて計算した)のEudragit NM30Dに関する。エキセナチド錠剤の最終重量は941mgであったが、これは、錠剤1個当たり71mgの重量増加に関し、これはさらに、錠剤1個当たり約46mgのEudragit NM30D(乾燥物質)に関する。
【0235】
(実施例16)
Eudragit L 30 D-55を用いるHPMCカプセル(参照カプセル)およびエキセナチド錠剤のコーティング
Eudragit分散物の調製:56.9gの蒸留水を、従来の撹拌下で114gのEudragit L 30 D-55に添加し、続いて、29.1gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0236】
HPMCカプセルのコーティング:それぞれ約70mgの重量を有するサイズ1の空のHPMCカプセル、および実施例14からのエキセナチド錠剤1個を、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit分散物で104mgの最終カプセル重量(カプセル1個当たり34mgの重量増加)までコーティングした。エキセナチド錠剤の最終重量は916mgであったが、これは、錠剤1個当たり46mgの重量増加に関する。
【0237】
(実施例17)
100%Eudragit NM30Dを用いるHPMCカプセル(参照カプセル)のコーティング
Eudragit分散物の調製:114gのEudragit NM30Dおよび2gのPlasacryl(商標) T20を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0238】
HPMCカプセルのコーティング:それぞれ約70mgの重量を有するサイズ1の空のHPMCカプセルを、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit分散物で106mgの最終カプセル重量(カプセル1個当たり36mgの重量増加)までコーティングしたが、これは、カプセル1個当たり約36mgのEudragit NM30D(乾燥物質)またはカプセルの表面1cm当たり8.8mgのEudragit NM30D(乾燥物質)に関する。
【0239】
(実施例18)
70%Eudragit NM 30 Dおよび30%Eudragit L 30 D-55の組合せを用いる、HPMCカプセルおよびエキセナチド錠剤のコーティング
Eudragit分散物の調製:94.5gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.2mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。次に、40.5gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0240】
HPMCカプセルのコーティング:それぞれ約70mgの重量を有するサイズ1の空のHPMCカプセル、および実施例14からのエキセナチド錠剤1個を、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit分散物で104mgの最終カプセル重量(カプセル1個当たり34mgの重量増加)までコーティングした。これは、サイズ1のカプセル1個当たり約24mgのEudragit NM30Dまたはカプセルの表面1cm当たり5.9mgのEudragit NM30Dに関する。エキセナチド錠剤の最終重量は907mgであったが、これは、錠剤1個当たり37mgの重量増加に関し、これはさらに、錠剤1個当たり約26mgのEudragit NM30D(乾燥物質)に関する。
【0241】
(実施例19)
Eudragit FL 30 D-55を用いるHPMCカプセルおよびエキセナチド錠剤のコーティング
Eudragit分散物の調製:30gのタルクを、370gのHOに懸濁させ、Ultra Turraxを用いて10分間ホモジナイズした。次に、200gのEudragit FL 30 D-55を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0242】
HPMCカプセルのコーティング:それぞれ約70mgの重量を有するサイズ1の空のHPMCカプセル、および実施例14からのエキセナチド錠剤1個を、Glatt GC1ラボコーターを使用して、Eudragit分散物で24%、31%および46%の最終カプセル重量増加までコーティングしたが、これは、空のカプセルの重量に対して計算して、カプセル1個当たり16.8mg、21.7mgおよび32.2mgのコーティング重量増加に関し、これはさらに、サイズ1のカプセル1個当たり10.2mg、13.2mgおよび19.6mgのEudragit NM30Dまたはカプセルの表面1cm当たり2.5mg、3.2mgおよび4.8mgのEudragit NM30D(乾燥物質)に関する。コーティングされたエキセナチド錠剤の最終重量は905mgであったが、これは、錠剤1個当たり35mgの重量増加に関する。
【0243】
(実施例20)
セマグルチドおよびカプリン酸ナトリウムを含む錠剤の調製
錠剤の調製:146.4mgのセマグルチド、4.125gのカプリン酸ナトリウム、1.815gのソルビトール、1.072gのAvicel PH-101および99mgのステアリン酸マグネシウムを含む均質な粉末ブレンドを調製した。まず、乳鉢内で混合を行い、続いて、Topitec粉末ブレンダーを用いて混合した。880mgのアリコートを、Korsch EK0単一パンチ錠剤圧縮機を用いて、およそ15kNの平均圧縮力で錠剤に圧縮した。
【0244】
(実施例21)
Eudragit NM30D(80%)およびEudragit L30 D-55(20%)を用いる、セマグルチドおよびカプリン酸ナトリウムを含む錠剤の腸溶コーティング
Eudragit分散物の調製:107gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.3mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。28gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0245】
錠剤のコーティング:4個の錠剤(実施例20から)を、同等の重量およびわずかに異なる寸法(コーティングプロセス後の分離を可能にするため)のプラセボ錠剤とブレンドし、Glatt GC1ラボコーターを使用して、得られた上述のEudragit分散物で約965mgの最終重量までコーティングしたが、これは、錠剤1個当たり約85mgまたは9.7%(w/w)のコーティング重量増加に関する。これは、錠剤1個当たり約68mgのEudragit NM30D(乾燥物質)に関する。
【0246】
(実施例22)
Eudragit NM30D(50%)およびEudragit L30 D-55(50%)を用いる、セマグルチドおよびカプリン酸ナトリウムを含む錠剤の腸溶コーティング
Eudragit分散物の調製:67gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液1.0mlで約3に調整した。67gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。67gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、2gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0247】
錠剤のコーティング:4個の錠剤(実施例20から)を、同等の重量およびわずかに異なる寸法(コーティングプロセス後の分離を可能にするため)のプラセボ錠剤とブレンドし、Glatt GC1ラボコーターを使用して、得られた上述のEudragit分散物で約910mgの最終重量までコーティングしたが、これは、錠剤1個当たり約25mgのコーティング重量増加に関する。これは、錠剤1個当たり約12.5mgのEudragit NM30D(乾燥物質)に関する。
【0248】
(実施例23)
セマグルチドおよびカプリン酸ナトリウムを含む錠剤の調製
錠剤の調製:220mgのセマグルチド、5.500gのカプリン酸ナトリウム、2.420gのソルビトール、1.430gのAvicel PH-101および110mgのステアリン酸マグネシウムを含む均質な粉末ブレンドを調製した。まず、乳鉢内で混合を行い、続いて、Topitec粉末ブレンダーを用いて混合した。880mgのアリコートを、Korsch EK0単一パンチ錠剤圧縮機を用いて、およそ15kNの平均圧縮力で錠剤に圧縮した。
【0249】
(実施例24)
Eudragit NM30D(80%)およびEudragit L30 D-55(20%)を用いる、セマグルチドおよびカプリン酸ナトリウムを含む錠剤の腸溶コーティング
Eudragit分散物の調製:160.5gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液2.0mlで約3に調整した。100.5gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。42gのEudragit L 30 D-55を添加し、続いて、3gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0250】
錠剤のコーティング:10個の錠剤(実施例23から)を、同等の重量およびわずかに異なる寸法(コーティングプロセス後の分離を可能にするため)のプラセボ錠剤とブレンドし、Glatt GC1ラボコーターを使用して、得られた上述のEudragit分散物で約1008mgの最終重量までコーティングしたが、これは、錠剤1個当たり約128mgのコーティング重量増加(約14.6%の重量増加)に関する。これは、錠剤1個当たり約102.4mgのEudragit NM30D(乾燥物質)に関する。
【0251】
(実施例25)
Eudragit NM30D(80%)およびEudragit FS30D(20%)を用いる、セマグルチドおよびカプリン酸ナトリウムを含むカプセル剤および錠剤の腸溶コーティング
Eudragit分散物の調製:160.5gのEudragit NM 30 DのpHを、20%(w/w)クエン酸溶液2.0mlで約3に調整した。100.5gの蒸留水を、従来の撹拌下で添加した。42gのEudragit FS30Dを添加し、続いて、3gのPlasacryl(商標) T20を添加した。最終組成物を、従来の撹拌装置を用いて15分間撹拌した。
【0252】
カプセルおよび1個の錠剤のコーティング:1個の錠剤(実施例14から)を、空のサイズ1のHPMCカプセルとブレンドし、Glatt GC1ラボコーターを使用して、得られた上述のEudragit分散物で約102mgの最終カプセル重量までコーティングしたが、これは、サイズ1のカプセル1個当たり約32mgのコーティング重量増加に関する。錠剤を、909mgの最終重量までコーティングしたが、これは、4.5%(w/w)の重量増加に関する。
【0253】
(実施例26)
コーティングされたカプセル剤の溶解試験
実施例16、実施例13、実施例15、実施例2、実施例1および実施例17からの予めコーティングされたカプセルに、セマグルチド10mgおよびカプリン酸ナトリウム100mgをそれぞれ充填した。溶解研究を、Erweka DT light 126を用いて、バスケット法を37℃および75rpmの回転速度で使用して実施した。米国薬局方(USP)方法の修正版を使用した。カプセル剤をバスケットに入れ、そのバスケットを、開いた状態の青色キャップのボトルに入れ、そのボトルは、それに従う溶解媒体100mlを含有していた。青色キャップのボトルを、水と直接接触させ、青色キャップのボトル内側の中心温度が37℃になることを確実にした(温度は、試験開始前に外部温度計を用いて確認した)。まず、バスケットを、USPに従う模擬胃液に1時間入れ、次に、USPに従うpH6.0を有する模擬腸液(SIF)に3時間入れた。1mlの試料を、60分後およびさらに所定の時点に取り出した。40μlの試料を、逆相勾配法(水/アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸、カラム:Waters Xselect CSH C18)を使用するHPLC系に注入した。サンプリングを、放出理論値の>75%のセマグルチド放出によって定義された、カプセル剤の完全な溶解まで実施した。
【0254】
そうして得られた結果は、図2に示されている。これらの結果は、すべてのカプセル剤が、酸性段階で安定であったが、増量したEudragit NM30Dでコーティングされたカプセル剤のみは、その後、腸管のpH6レベルでの遅延時間、続いて、かなり急速な放出プロファイルを実証することを示している。100%Eudragit NM30Dでコーティングされたカプセル剤だけは、pH6では3時間以内に溶解しなかった。
【0255】
(実施例27)
Eudragit FL 30 D-55でコーティングされたカプセル剤の溶解試験
実施例19からの予めコーティングされたカプセルに、セマグルチド10mgおよびカプリン酸ナトリウム100mgをそれぞれ充填した。溶解研究を、実施例26に記載される通りに実施した。
【0256】
そうして得られた結果は、図3に示されている。これらの結果は、Eudragit FL 30 D-55の重量増加の増大が、セマグルチドの放出プロファイルを変化させることを示している。典型的な重量増加は、GLP-1アゴニストの有意に異なる放出プロファイルをもたらさなかったが、空のカプセルに対して計算した46%の重量増加(これは、サイズ1のカプセル1個当たり32.2mgのコーティング重量増加に関する)は、pH6で少なくとも40分の溶解遅延時間をもたらした。
【0257】
(実施例28)
Eudragit L30 D-55(20%)およびEudragit NM30D(80%)でコーティングされたカプセル剤からのGLP-1アゴニストペプチドの溶解
実施例1からの予めコーティングされたカプセルに、a)エキセナチド5mgおよびカプリン酸ナトリウム120mg、b)セマグルチド5mgおよびカプリン酸ナトリウム120mg、c)チルゼパチド5mgおよびカプリン酸ナトリウム120mgを充填した。溶解研究を、実施例26に記載される通り実施した。
【0258】
そうして得られた結果は、図4に示されている。これらの結果は、異なるGLP-1アゴニストを含む腸溶剤形が、pH6で少なくとも90分の溶解遅延時間を有し、続いて、相対的に急速に溶解する、同等の溶解プロファイルを実証することを示している。
【0259】
(実施例29)
FEDGASにおけるGLP-1アゴニストを含む腸溶固形剤形の安定性
この実験の目的は、本発明に従うコーティングされた固形剤形の、摂食状態の模擬胃媒体における頑強性を実証することである。実施例1、4、13、15、16、19および25からの、予めコーティングされたカプセルおよびエキセナチド錠剤を使用し、カプセル剤の場合にはエキセナチド10mgおよびカプリン酸ナトリウム200mgを充填した。溶解試験を、pH6のFEDGAS(摂食状態の模擬胃液)において行った。FEDGAS(商標)pH6を、Biorelevant(www.biorelevant.com)のプロトコールに従って調製した。100mlの最終媒体ごとに、4.1mlのBiorelevant緩衝剤pH6、81.4gの水および17gのFEDGASゲルを、一緒に混合した。溶解研究を、Erweka DT light 126を用いて、バスケット法を37℃および75rpmの回転速度で使用して実施した。米国薬局方(USP)方法の修正版を使用した。カプセル剤をバスケットに入れ、そのバスケットを、100mlのFEDGAS pH6媒体を含有する開いた状態の青色キャップのボトルに入れた。青色キャップのボトルを、水と直接接触させ、青色キャップのボトル内側の中心温度が37℃になることを確実にした(温度は、試験開始前に外部温度計を用いて確認した)。バスケットを、FEDGAS pH6媒体に4時間入れた。1mlの試料を、60分後およびさらに所定の時点に取り出した。40μlの試料を、逆相勾配法(水/アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸、カラム:Waters Xselect CSH C18)を使用するHPLC系に注入した。
【0260】
そうして得られた結果は、図5、6および7に示されている。これらの結果は、以下を示している。
・Eudragit NM30Dの量の増大は、模擬摂食状態でのGLP-1ペプチドを含む固形剤形の安定性を増大させる。
・本発明に従うコーティングされた錠剤は、模擬摂食状態で、コーティングされたカプセル剤よりも頑強である。
・実施例25に記載されるコーティングされたカプセル剤および錠剤は、模擬摂食状態で最も頑強である。
【0261】
(実施例30)
Acryl EZEおよびOpadry EC/Acryl EZEを用いるカプセル剤のコーティング
サイズ4のHPMCカプセルを、Acryl-EZEだけで、または第1の層としての16%(w/w)の重量増加までのOpadry EC、続いて、第2のコーティング層としての32%(w/w)の重量増加までのさらなるAcryl-EZEの2つのコーティング層で、腸溶コーティングした。次に、これらのカプセルに、5mgのセマグルチドおよび80mgのカプリン酸ナトリウムを充填し、実施例29に記載される方法に従って、FEDGAS pH6媒体におけるそれらの安定性について試験した。結果は、図8に示されている。結果は、Opadry ECとAcryl EZEの組合せが、模擬摂食状態で、Acryl EZEだけでコーティングされたカプセル剤よりもかなり頑強であることを示している。
【0262】
(実施例31)
セマグルチドを含むコーティングされた固形経口剤形の、ビーグル犬への経口投与
実施例1および16からのコーティングされたカプセルに、セマグルチド10mgおよびカプリン酸ナトリウム250mgを充填した。実施例22および24からのさらなる錠剤を、イヌへの経口投与のために使用した。イヌに、一晩、少なくとも12時間絶食させた。翌朝、それぞれのカプセル剤または錠剤を、10mlの水と共に投与した(イヌごとに1個の錠剤またはカプセル剤)。投与後、血液試料を、0時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間および48時間の時点に収集し、分析まで凍結保存した。血液試料を、市販のセマグルチドELISAキットで分析した。
【0263】
そうして得られた結果は、図9および表2に示されている。これらの結果は、以下を示している。
・Eudragit NM30Dの添加は、Eudragit NM30Dを含まない古典的な腸溶コーティングと比較して、経口バイオアベイラビリティをかなり上昇させる。
・Eudragit NM30Dの量の増大は、GLP-1ペプチドを含む固形剤形の経口バイオアベイラビリティをさらに上昇させる。
・本発明に従うコーティングされた錠剤は、コーティングされたカプセル剤と比較して、GLP-1ペプチドの経口バイオアベイラビリティをさらに上昇させる。
【表2】
【0264】
結論:Eudragit NM30Dを含む腸溶固形経口剤形は、経口投与後に、GLP-1アゴニストの経口バイオアベイラビリティを著しく促進する。Eudragit NM30Dの量の増大は、経口投与後に、GLP-1アゴニストの経口バイオアベイラビリティをさらに改善させる。Eudragit NM30Dを含むカプセル剤の腸溶コーティングは、Eudragit NM30Dを含まない標準腸溶コーティングカプセル剤と比較して、AUCを16倍上昇させた。
【0265】
(実施例32)
イヌへのセマグルチド錠剤の経口投与後の食品相互作用
摂食後に実施例12、21および24からの錠剤を経口投与した場合の食品相互作用を評価した。胃内の食品の存在は、経口投与されたペプチド薬物の性能を妨害することがある。イヌを、一晩、少なくとも12時間絶食させた。翌朝、摂食群のイヌに、軽食(Hills I/D)を与えた。食餌の30分後に、錠剤を10mlの水と共に投与した(イヌごとに1個の錠剤)。投与後、血液試料を、0時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間および48時間の時点に収集し、分析まで凍結保存した。血液試料を、市販のセマグルチドELISAキットで分析した。
【0266】
そうして得られた結果は、表3および4に示されている。これらの結果は、Eudragit NM30Dを増量すると、摂食状態でのGLP-1ペプチドを含む固形剤形の経口バイオアベイラビリティが上昇することを示している。
【表3】
【0267】
結論:本発明に従うコーティングされた錠剤の重量増加の増大は、摂食状態でのGLP-1アゴニストのバイオアベイラビリティを改善する。
【表4】
【0268】
結論:最も可能性が高いものとして胃排出遅延に起因して、摂食状態ではより低い開始、したがってより遅いTmaxが観察された。絶食状態と比較して、少なくとも75%のAUCが達成された。これらのPK特徴に起因して、かつセマグルチドの長い血漿内半減期を考慮すると、絶食状態と比較して、摂食状態では>75%のAUCを達成することができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
2023541827000001.app
【国際調査報告】