(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】バシラスサブティリス菌株及びこれの使用
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20230927BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20230927BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230927BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20230927BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20230927BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C12N1/20 E ZNA
A23L33/135
A61P1/02
A61K35/74
A61K8/99
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515293
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 KR2021012053
(87)【国際公開番号】W WO2022050797
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0114170
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518067342
【氏名又は名称】イルドン ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,ビョンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミングー
(72)【発明者】
【氏名】ウン,スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】イム,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,チヨン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ドンフン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB04
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
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4B018MD85
4B018ME09
4B065AA15X
4B065AC20
4B065BA22
4B065CA41
4B065CA44
4C083AA031
4C083AA032
4C083CC41
4C083EE32
4C083EE33
4C083EE34
4C083FF01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC65
4C087CA10
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA67
(57)【要約】
本発明は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株及びこれを含む組成物に関するものであり、より詳細には、虫歯、歯周疾患治療及び口臭改善にすべて効果がある新規のバシラスサブティリス菌株、前記バシラスサブティリス菌株の培養液、前記バシラスサブティリス菌株の培養上澄液、前記バシラスサブティリス菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯及び歯周疾患治療用薬学的組成物、前記バシラスサブティリス菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患及び口臭の予防または改善用医薬外品組成物、健康機能食品組成物及び食品組成物に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株(受託番号:KCTC14184BP)。
【請求項2】
前記菌株は、i)虫歯、歯周疾患に対する治療または予防効果;及び
ii)口臭改善効果が優秀なことを特徴とする請求項1に記載のバシラスサブティリス菌株。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバシラスサブティリス菌株の培養液。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のバシラスサブティリス菌株の培養上澄液。
【請求項5】
請求項1に記載のバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項6】
前記歯周疾患は歯齦炎(gingivitis)、歯周炎(periodontal inflammation)、歯齦出血(gingival bleeding)、歯齦退縮(gingival retraction)、歯周ポケット(periodontal pocket)、歯冠周囲炎(pericoronitis)及び歯周膿瘍(Parodont alabscess)からなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項5に記載の虫歯及び歯周疾患治療用薬学的組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用医薬外品組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用健康機能食品組成物。
【請求項9】
請求項1に記載のバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用食品組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用歯磨き剤組成物。
【請求項11】
請求項1に記載のバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用口中清涼剤組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用うがい薬組成物。
【請求項13】
虫歯、歯周疾患または口臭治療用製剤を製造するための請求項1に記載のバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液の使用。
【請求項14】
前記歯周疾患は歯齦炎(gingivitis)、歯周炎(periodontal inflammation)、歯齦出血(gingival bleeding)、歯齦退縮(gingival retraction)、歯周ポケット(periodontal pocket)、歯冠周囲炎(pericoronitis)及び歯周膿瘍(Parodontal abscess)からなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1のバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を含む組成物の有効量を、これを要する個体に投与することを含む虫歯、歯周疾患または口臭の治療方法。
【請求項16】
前記歯周疾患は歯齦炎(gingivitis)、歯周炎(periodontal inflammation)、歯齦出血(gingival bleeding)、歯齦退縮(gingival retraction)、歯周ポケット(periodontal pocket)、歯冠周囲炎(pericoronitis)及び歯周膿瘍(Parodontal abscess)からなる群から選択される一つ以上のことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月7日に出願された大韓民国特許出願第10-2020-0114170号を優先権で主張し、前記明細書全体は本出願の参考文献である。
【0002】
本発明は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株及びこれの使用に関するものであり、より詳細には、虫歯、歯周疾患治療及び口臭改善にすべて効果がある新規のバシラスサブティリス菌株、前記バシラスサブティリス菌株の培養液、前記バシラスサブティリス菌株の培養上澄液、前記バシラスサブティリス菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭治療用薬学的組成物、前記バシラスサブティリス菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用医薬外品組成物、健康機能食品組成物及び食品組成物に関するものである。
【背景技術】
【0003】
最近誤った食習慣及び高齢化によって免疫力が減少し、栄養及び代謝障害が増加し、歯周疾患が発生する患者の数が増加している。歯周疾患の直接的な原因は歯牙に持続的に形成されるプラーク(plaque)という細菌膜とこれが除去されないで堅くなって生じた歯石である。プラークと歯石が積もれば歯ぐきが歯牙から離れるようになって、これにより歯牙と歯ぐきの間に炎症が発生するようになる。
【0004】
歯周疾患とは、歯牙周辺を取り囲んでいる歯周靭帯と歯齦などの軟組織と歯槽骨などの硬組織を破壊する炎症性疾患と関連される症状らを含んで称する。
【0005】
年齢が増加することによって先天的、後天的に歯槽骨などが悪くなる場合歯周疾患が発病するようになって、代表的な歯周疾患は歯周炎(periodontal inflammation)、歯齦炎(gingivitis)、及び歯槽骨形成障害(alveolar bone osteodystrophy)などがある。歯齦炎は歯ぐきの軟組織に炎症ができる初期歯周疾患で比較的症状が軽くて回復が可逆的な状態である。歯周炎は歯齦炎が治らないで炎症が歯ぐきと恥骨周辺まで進行した場合、細菌の毒素によって刺激された慢性炎症反応が進行すると、歯ぐきと歯牙の間で分離されて感染された歯周ポケット(periodontal pocket)が形成され、歯周炎がひどいほど歯周ポケットの深さが深くなって、結局、歯周靭帯に炎症が生じるようになって、骨消失が生じる。また、歯槽骨における造骨細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収の代謝がさまざまな要因によって骨吸収が骨形成を超過して骨量が限界以下で減少すれば、歯槽骨粗しょう症のような歯槽骨形成障害が発生する。
【0006】
歯周疾患は患者の改善された口腔衛生確立を通じた予防が一番重要であり、臨床では非外科的、あるいは外科的な歯石除去術、歯根滑沢術、歯肉掻爬、新付着を応用した歯周組織の再生術など外科的な治療が主である。しかし、このような外科的な治療方法らは治療が煩わしくて、効果的な治療が難しくて、また病気の予防よりは病気がある程度進行された場合行う治療に限っていて、治療をしない場合慢性に進行される場合が大部分である。また、付加的な治療で全身的な抗生剤の服用と局所徐放性製剤が使用されているが、不必要な部位にも薬物が過糧伝達されてそれによる副作用が発生しているし、最近には抗生剤耐性を示す歯周疾患菌が深刻な問題を引き起こすことで報告されている。
【0007】
虫歯とは、虫食った歯牙という意味で歯牙の硬組織が浸蝕されて欠損する症勢であり、歯牙う蝕とも言う。虫歯は歯牙の硬い石灰化組織の一部が溶解されて破壊される痛症を誘発して結局には歯牙を失うようになる感染性細菌疾患であり、歯科疾病の最大の部分を占
めているし、発生頻度が高くなっている。大韓歯科医協会の報告によると、児童の90%以上が歯牙う蝕を経験し、大人の80%以上が歯ぐき疾患を持っていると言う。このような疾患を起こす主な原因は口腔内の微生物による感染で細菌、食べ物、唾液の相互作用によって誘発される。
【0008】
一方、口臭は口腔及び隣接器官に由来するにおいを言い、多くの人々が口臭で日常生活に不便を訴えている。口臭の85-90%が口腔に由来し、特に、舌の後側に由来している。口臭の主要成分は揮発性硫黄化合物であるが、揮発性硫黄化合物の全体量のうちで90%がシステインから作られる硫化水素(hydrogen sulfide)とメチオニンから作られるメチルメルカプタン(methyl mercaptan)である。このような成分らは嫌気性細菌によって生成され、舌の後側が一番重要な棲息地になる。この部位は唾液によって洗浄作用がよくならなく、多くの小さな陷沒があって細菌が持続的に生きて行く場所になる。嫌気性細菌による揮発性硫黄化合物生成が口臭の原因で一番重要であるが、その外虫歯と歯周炎などのような口腔疾患によっても発生する。
【0009】
口臭患者の口腔でたくさん発見される細菌は、フソバクテリウムヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)である。以前は、バクテロイデス属とポルフィロモナス属はプレボテラ(Prevotella)属と共に同じ属で知られるほどに似ている細菌らである。口臭を発生させるのに多くの種類の嫌気性細菌が関与するが、口臭発生の代表的な細菌はフソバクテリウムヌクレアタムとポルフィロモナスジンジバリスである。
【0010】
最近では、乳酸菌を利用して試験管で嫌気性細菌の増殖を抑制しようとする試みがあった。乳酸菌は炭水化物を発酵して最終代謝産物で乳酸を生産する細菌を言うが、乳酸菌は人間と動物の口腔及び消化管に存在し、通常キムチまたはヨーグルトなど発酵食品の製造過程に活用されているものである。しかし、乳酸菌は口腔に投与すれば、金属塩や消毒剤のように唾液によって希釈されながら食道にすぐのまれて口腔に残留し難いという問題点がある。また、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスカゼイ(Lactobacillus casei)のような乳酸菌は強酸を作って試験管で嫌気性細菌の増殖を抑制することができるが、正常人の口腔では唾液の緩衝作用で乳酸菌の作った強酸が中和されて他の細菌の増殖を抑制し難い。さらに強酸は歯牙う蝕を起こすためにこのような細菌を口腔に長期間投与すれば口腔衛生に良くないという問題点がある。
【0011】
一方、既存に虫歯改善、歯周疾患改善または口臭改善のうちで一つの機能をする菌株はあったが、虫歯・歯周疾患・口臭にすべて機能する菌株はほとんどなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国登録特許公報10-1956759号
【特許文献2】韓国登録特許公報10-1629551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明者らは、歯周疾患治療に優秀な活性を示す菌株を捜すために努力する中、特定バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株が虫歯及び歯周疾患の治療または予防效果及び口臭を改善する効果が優秀であることを確認することで本出願を完成した。
【0014】
したがって、本発明の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株(KCTC14184BP)を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株の培養液を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株の培養上澄液を提供することである。
【0017】
本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭治療用薬学的組成物を提供することである。
【0018】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭治療用薬学的組成物を提供することである。
【0019】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液から本質的になる虫歯、歯周疾患または口臭治療用薬学的組成物を提供することである。
【0020】
本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用医薬外品組成物を提供することである。
【0021】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用医薬外品組成物を提供することである。
【0022】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液で必須になされた虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用医薬外品組成物を提供することである。
【0023】
本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用健康機能食品組成物を提供することである。
【0024】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用健康機能食品組成物を提供することである。
【0025】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液で必須になされた虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用健康機能食品組成物を提供することである。
【0026】
本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用食品組成物を提供することである。
【0027】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用食品組成物を提供することである。
【0028】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液で必須になされた虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用食品組成物を提供することである。
【0029】
本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用歯磨き剤組成物を提供することである。
【0030】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用歯磨き剤組成物を提供することである。
【0031】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液から本質的になる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用歯磨き剤組成物を提供することである。
【0032】
本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用口中清涼剤組成物を提供することである。
【0033】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用口中清涼剤組成物を提供することである。
【0034】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液から本質的になる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用口中清涼剤組成物を提供することである。
【0035】
本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用うがい薬組成物を提供することである。
【0036】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用うがい薬組成物を提供することである。
【0037】
また、本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液で必須になされた虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用うがい薬組成物を提供することである。
【0038】
本発明のまた他の目的は虫歯、歯周疾患または口臭治療用製剤を製造するためのバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液の使用を提供することである。
【0039】
本発明のまた他の目的は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を含む組成物の有効量を、これを要する個体に投与することを含む虫歯、歯周疾患または口臭の治療方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0040】
前記のような目的を達成するために、本発明は、バシラスサブティリス(Bacillus subt
ilis)ID-A05菌株(KCTC14184BP)を提供する。
【0041】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株の培養液を提供する。
【0042】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株の培養上澄液を提供する。
【0043】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭治療用薬学的組成物を提供する。
【0044】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭治療用薬学的組成物を提供する。
【0045】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液で必須になされた虫歯、歯周疾患または口臭治療用薬学的組成物を提供する。
【0046】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用医薬外品組成物を提供する。
【0047】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用医薬外品組成物を提供する。
【0048】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液で必須になされた虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用医薬外品組成物を提供する。
【0049】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防改善用または健康機能食品組成物を提供する。
【0050】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防改善用または健康機能食品組成物を提供する。
【0051】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液で必須になされた虫歯、歯周疾患または口臭の予防改善用または健康機能食品組成物を提供する。
【0052】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防改善用または食品組成物を提供する。
【0053】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防改善用または食品組成
物を提供する。
【0054】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液で必須になされた虫歯、歯周疾患または口臭の予防改善用または食品組成物を提供する。
【0055】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用歯磨き剤組成物を提供する。
【0056】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用歯磨き剤組成物を提供する。
【0057】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液から本質的になる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用歯磨き剤組成物を提供する。
【0058】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用口中清涼剤組成物を提供する。
【0059】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用口中清涼剤組成物を提供する。
【0060】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液から本質的になる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用口中清涼剤組成物を提供する。
【0061】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用うがい薬組成物を提供する。
【0062】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液からなる虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用うがい薬組成物を提供する。
【0063】
また、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液で必須になされた虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用うがい薬組成物を提供する。
【0064】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は虫歯、歯周疾患または口臭治療用製剤を製造するためのバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液の使用を提供する。
【0065】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を含む組成物の有効量を、これを要する個体に投与することを含む虫歯、歯周疾患または口臭の治療方法を提供する。
【0066】
他の定義がない限り、本明細書に使用されたすべての技術的及び科学的用語は、当業者らによって通常理解されるのと等しい意味を有する。次の参考文献は本発明の明細書で使用される多くの用語の一般的な定義を有する技術の1つを提供する:Singleton et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY(2th ed. 1994); THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY(Walkered., 1988); 及び Hale & Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY.
【0067】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0068】
本発明は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株(KCTC14184BP)を提供する。
【0069】
前記菌株は菌株自体、菌株破砕物、菌株濃縮物、菌株抽出物及び菌株乾燥物で構成される群から選択される1種以上であることができる。
【0070】
本発明で用語“バシラス”は自然界に広く分布する好気性、または通性嫌気性のグラム陽性桿菌属であり、バシラス属に属する微生物にはバシラスベレゼンシス、バシラスサブティリスなどがある。本発明者らは虫歯及び歯周疾患に対する治療または予防効果を有するバシラス菌でバシラスサブティリスに属する新規の菌株を下記のように糾明した。
【0071】
本発明によるバシラスサブティリスID-A05(Bacillus subtilis ID-A05;
受託番号KCTC14184BP)菌株は、醗酵食品由来のバシラスサブティリス新規菌株である。たとえ本発明でバシラスサブティリスID-A05菌株を醗酵食品で分離、同定することはしたが、入手経路がこれに限定されるものではない。
【0072】
下記実施例を通じて醗酵食品から分離した菌株は、微生物の同定及び分類のための16S rDNA塩基配列分析結果、ID-A05バシラスサブティリスと99%等しさを確認することができた。バシラスサブティリスID-A05菌株は韓国生命工学研究院生物資源センターに2020年5月11日付けで寄託した(受託番号:KCTC14184BP)。
【0073】
本発明のバシラスサブティリスID-A05菌株培養上澄液は歯周疾患の原因菌に対する抗菌効果と炎症性サイトカイン分泌抑制効果、バイオフィルム生成抑制効果だけではなく、口臭の主な原因である揮発性硫黄化合物(VSC)抑制効果を有することを特徴とする。
【0074】
これは本発明の実施例によく示されている。
【0075】
本発明の一実施例では醗酵食品から分離した新規のバシラスサブティリスID-A05菌株培養上澄液を歯周疾患の代表原因菌であるポルフィロモナスジンジバリス(PGI)とTYB培地に接種して培養した後、吸光度を測定した結果、バシラスサブティリスID-A05菌株培養上澄液がPGIに対する抗菌効果が優秀なことを確認した(実施例5参照)。
【0076】
また、本発明の他の一実施例では前記バシラスサブティリスID-A05菌株培養上澄液のバイオフィルム抑制効果を確認するために、唾液(saliva)を被覆(coating)(4hr、37℃)した96ウェルプレートに培地を分注した後、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis、PGI)とフソバクテリウムヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum、FNU)をそれぞれ25%、0.5%濃度で接種し、サンプルを同時に処理した後、4日間37℃で嫌気培養してその結果を確認した。その結果
、バシラスサブティリスID-A05菌株培養上澄液がバイオフィルム抑制効果が優秀なことを確認した(実施例6、7参照)。
【0077】
また、本発明の他の一実施例では前記バシラスサブティリスID-A05菌株培養上澄液の炎症性サイトカイン分泌抑制効果を確認するために、HGF-1細胞を96ウェルプレートに1×104細胞/ウェル(cells/well)で播種して24時間培養し、候補群を24時間処理した後、P.gingivalis-LPSを50μg/mlで24時間処理して上澄液を集めて分析した。その結果、バシラスサブティリスID-A05菌株が炎症性サイトカイン分泌を抑制することを確認した(実施例9参照)。
【0078】
本発明は、バシラスサブティリスID-A05菌株の培養液を提供する。
【0079】
本発明の用語“培養液”とは、本発明のバシラスサブティリスID-A05菌株を培養した液体培地を言うことで、菌株が含まれているTSB(トリプティックソイブロス(Tryptic soy broth))を含む。
【0080】
本発明は、新規のバシラスサブティリス菌株の培養上澄液を提供する。
【0081】
本発明の用語“培養上澄液”とは、本発明のバシラスサブティリスID-A05菌株を培養した後、菌体を除去した液体培地を言うことで、菌体が含まれていないTSB(トリプティックソイブロス)を含む。
【0082】
本発明の用語“液体培地”は寒天が入っていない液状の培地であり、微生物の増殖に利用されて細菌の生化学的検査、増殖、代謝産物を検出する目的で使用されることを言う。
【0083】
前記分離したバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株を振とう培養法を利用して培養した。振とう培養法は往復振とう機または回転振とう機に三角フラスコなどを固定させて連続振とうして通気と撹拌を効果的にする方法である。振とう培養の場合トリプトン17g/L、ソイトン3g/L、ブドウ糖2.5g/L、塩化ナトリウム5g/L、リン酸二カリウム2.5g/Lを含むTSB培地(MB cell社)で37℃、200rpm条件で40時間培養を実施した。培養終了後培養液を13,000rpmで20分間遠心分離して菌体を除去して培養上澄液を得た。8.25%HClを利用して培養上澄液のpHを6.5に補正した後、完全な菌体除去のために0.22μmフィルターを利用して除菌した。
【0084】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭治療用薬学的組成物を提供する。
【0085】
本発明の用語“治療”は有益な、または望ましい臨床的結果を得るためのアプローチを意味する。本発明の目的のため、有益な、または望ましい臨床的結果は非制限的で、症状の緩和、疾病範囲の減少、疾病状態の安定化(すなわち、悪くならない)、疾病進行の遅延または速度の減少、疾病状態の改善または一時的緩和及び軽減(部分的であるか、または全体的に)、検出可能であるか、または検出されないかの如何を含む。また、“治療”は治療学的処置及び予防的または予防措置方法すべてを示す。前記治療らは予防される障害だけではなく、既に発生した障害において要求される治療を含む。
【0086】
本発明の用語“虫歯”は歯牙象牙質を保護する歯牙琺瑯質またはエナメル質が口の中に棲息するバクテリアによって砂糖、澱粉などが分解されながら生ずる酸によって損傷されて生ずることを言う。
【0087】
本発明の“歯周疾患”は、歯齦炎(gingivitis)、歯周炎(periodontal inflammation)、歯齦出血(gingival bleeding)、歯齦退縮(gingival retraction)、歯周ポケット(periodontal pocket)、歯冠周囲炎(pericoronitis)及び歯周膿瘍(Parodontal abscess)からなる群から選択される一つ以上であることができ、望ましくは、歯周炎であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0088】
本発明の用語“バイオフィルム”は、プラーク内に細菌を含んだ多様な微生物がお互いに凝り固まっている現象を言うことであり、バイオフィルムが磨かれなくて厚くなってその内に病的細菌の量が増えて我が身の防御力が手におえ難い地境まで行くと、口腔疾患が生じる。
【0089】
本発明による薬学的組成物は、バシラスサブティリス菌株、これの培養液または培養上澄液を単独で含むか、または薬学的に許容される担体と共に好適な形態で剤形化されることができるし、賦形剤または希釈剤を追加で含むことができる。前記で‘薬学的に許容される’とは、生理学的に許容されて人間に投与される時、通常、胃腸障害、めまいなどのようなアレルギー反応またはこれと類似な反応を起こさない非毒性の組成物を言う。
【0090】
薬学的に許容される担体としては、例えば、経口投与用担体または非経口投与用担体を追加で含むことができる。経口投与用担体はラックトス、澱粉、セルロース誘導体、マグネシウムステアレート、ステアリン酸などを含むことができる。併せて、ペプチド製剤に対する経口投与用で使用される多様な薬物伝達物質を含むことができる。また、非経口投与用担体は水、好適なオイル、食塩水、水性グルコース及びグリコールなどを含むことができるし、安定化剤及び保存剤を追加で含むことができる。好適な安定化剤としては亜硫黄酸水素ナトリウム、亜硫黄酸ナトリウムまたは、アスコルビン酸のような抗酸化剤がある。好適な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピル-パラベン及びクロロブタノールがある。本発明の薬学的組成物は前記成分ら以外に滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸沢剤などを追加で含むことができる。その外の薬学的に許容される担体及び製剤は当業界に公知されていることを参照にすることができる。
【0091】
本発明の組成物は人間を含めた哺乳動物にどのような方法でも投与することができる。例えば、経口または非経口的で投与することができる。非経口的な投与方法としてはこれに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸内投与であることができる。
【0092】
本発明の薬学的組成物は上述したところのような投与経路によって経口投与用または非経口投与用製剤で剤形化することができる。
【0093】
経口投与用製剤の場合、本発明の組成物は、口腔崩壊フィルム剤、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、唐依錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液などで当業界に公知された方法を利用して剤形化されることができる。例えば、経口用製剤は活性成分を固体賦形剤と取り合わせた後、これを粉碎して好適な補助剤を添加した後、顆粒混合物で加工することで錠剤または唐依錠剤を修得することができる。好適な賦形剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール及びマルチトールなどを含む糖類、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、米澱粉及びじゃがいも澱粉などを含む澱粉類、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチル-セルロースなどを含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどのような充填剤を含めることができる。また、場合によって架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどを崩壊剤として添加することができる。延いては、本発明の薬学的
組成物は抗凝集剤、滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などを追加で含むことができる。
【0094】
非経口投与用製剤の場合にはパッチ剤、注射剤、クリーム剤、ローション剤、外用軟膏剤、オイル剤、保湿剤、ゲル剤、エアロゾル及び鼻腔吸入剤の形態で当業界に公知された方法で剤形化することができる。これら剤形はすべての製薬化学に一般に公知された処方書に記載されている。
【0095】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または改善用医薬外品組成物を提供する。
【0096】
本発明の一実施例では醗酵食品から分離したバシラスサブティリスID-A05菌株培養上澄液の口臭に対する効果を確認するために口臭の主な原因である揮発性硫黄化合物(VSC)生成阻害能をテストした。その結果、バシラスサブティリスID-A05菌株培養上澄液がVSC生成抑制効果に優れることを確認した(実施例8参照)。
【0097】
本発明の用語“口臭”は口腔及び隣接器官に由来するにおいとして一般的に他人や自分に不快感を与える悪臭を言う。口臭の主要原因は口腔内存在する菌が食べ物残物、唾、血液、口腔粘膜細胞などに含有されたアミノ酸とタンパク質を分解して生成される揮発性硫黄化合物(VSC)である。この揮発性化合物を分析してみると、CH3SH(メチルメカブタン)とH2S(硫化水素)が90%を占め、このような成分のためにたまご腐ったにおいとたまねぎ腐ったにおいがすることである。
【0098】
本発明の用語“改善”とは、状態の緩和または治療と関連されるパラメーター、例えば、症状の程度を少なくとも減少させるすべての行為を意味する。
【0099】
本発明の用語“医薬外品”は人や動物の疾病を治療、軽減、処置または予防する目的で使用される繊維、ゴム製品またはこれと類似なもの、人体に対する作用が弱いか、または人体に直接作用しない、器具または機械ではないものとこれと類似なもの、感染病予防のために殺菌、殺虫及びこれと類似な用途で使用される製剤の一つに該当する物品を含む。
【0100】
本発明で前記医薬外品は、口中清涼剤、うがい薬、液体防止剤、歯磨き剤、生理用ナブキン、使い捨てライナー、マスク、眼帯、包帯、弾力包帯、石膏繃帯、円筒状弾力包帯、ガーゼ、脱脂綿、絆創膏、腋臭防止剤、軟膏剤、及びカタプラズマ剤からなる群から選択される一つ以上であることができるが、これに限定されるものではない。
【0101】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防または健康機能食品組成物を提供する。
【0102】
本発明の用語“健康機能食品”は食品に物理的、生化学的、生物工学的手法などを利用して該当食品の機能を特定目的で作用、発現するように付加価値を付与した食品群や食品組成が有する生体防御リズム調節、疾病防止と回復などに関する体内調節機能を生体に対して充分に発現するように設計して加工した食品を含む。
【0103】
本発明の健康機能食品組成物は虫歯、歯周疾患の治療または予防や口臭を改善する用途で使用されることができる。
【0104】
本発明において、前記健康機能食品組成物は錠剤、カプセル、丸、及び顆粒で構成され
た剤形から選択される一つ以上の剤形であることができるが、これに制限されるものではない。
【0105】
具体的には、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用することができ、化合物を含む組成物に含まれ得る担体、賦形剤及び希釈剤としてはラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、未晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油を有することができる。製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調剤される。経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれて、このような固形製剤は前記抽出物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤以外にクエン酸マグネシウムタルクのような滑剤らも使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤などが該当されるが、よく使用される単純希釈剤である水、流動パラフィン以外にさまざまな賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用され得る。坐剤の基剤としては、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴ-ル、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されることができる。
【0106】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明はバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分として含む虫歯、歯周疾患または口臭の予防改善用または食品組成物を提供する。
【0107】
本発明による食品組成物は、虫歯、歯周疾患または口臭に効果があると知られた公知の活性成分とともに混合して組成物形態で製造することができるし、栄養補助剤、健康食品及び食品添加剤などのすべての形態を含む。前記類型の食品組成物は当技術分野で公知された従来の方法によって多様な形態で製造することができる。例えば、健康食品としては、本発明の食品用組成物が含有されたお茶、ジュース及びドリンク形態で製造することができ、バシラスサブティリス菌株、これの培養液または培養上澄液を有効成分とする食品組成物を顆粒化、カプセル化または粉末化して摂取することができる。
【0108】
また、飲み物(アルコール飲料を含む)、果実及びそれの加工食品(例えば、果物缶詰め、瓶詰め、ジャム、マーマレードなど)、魚類、肉類及びその加工食品(例えば、ハム、ソーセージコンビーフなど)、パン類及び麺類(例えば、うどん、そば、ラーメン、スパゲッティ、マカロニなど)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例えば、バター、チーズなど)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例えば、みそ、醤油、ソースなど)などに本発明の食品用組成物を添加して製造することができる。
【0109】
本発明の食品組成物には前記バシラスサブティリス菌株、これの培養液または培養上澄液とともに補助成分としてビタミンB、C、Eやベータカロチン、Ca、Mg、Znなどのミネラル含有化合物やレシチンなどのリン脂質またはマルトール、オリゴ糖、アミノ酸などの化合物を使用することができ、このうちでもビタミンC、Eやベータカロチン、マ
ルトールなどのうちで2乃至3成分を混合して使えば、生体活性効果を補強することができるためにさらに望ましい。
【0110】
また、前記成分以外にも公知の添加剤として味覚をそそるために梅、レモン香、パイナップル香またはハーブ香のような天然香料や天然果汁、クロロフィリン、フラボノイドなどの天然色素及び甘味成分である果糖、蜂蜜、糖アルコール、砂糖などとクエン酸、クエン酸ナトリウムのような酸味料を混合して使用することができる。
【0111】
本発明の食品組成物のうちでバシラスサブティリス菌株、これの培養液または培養上澄液の望ましい含有量としては、食品の全体重量に対して約0.01乃至10重量%を含むことができる。望ましくは、0.1mg/kg/日乃至200mg/kg/日の量で採取する場合、虫歯、歯周疾患または口臭予防または改善効果が現われることがある。
【0112】
本発明は、虫歯、歯周疾患または口臭治療用製剤を製造するためのバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液の使用を提供する。
【0113】
本発明は、バシラスサブティリス(Bacillus subtilis)菌株、これの培養液またはこれの培養上澄液を含む組成物の有効量を、これを要する個体に投与することを含む虫歯、歯周疾患または口臭の治療方法を提供する。
【0114】
本発明の前記‘有効量’とは、個体に投与したとき、虫歯、歯周疾患または口臭の改善、治療、予防、検出、診断または虫歯、歯周疾患または口臭の抑制または減少効果を示す量を言い、前記‘個体’とは、動物、望ましくは、哺乳動物、特に、ヒトを含む動物であることができ、動物に由来した細胞、組織、器官などであることができる。前記個体は前記効果が必要な患者であることができる。
【0115】
本発明の前記‘治療’は虫歯、歯周疾患または口臭または前記疾患の症状を改善させることを包括的に指称し、これは前記疾患を治癒するか、または、実質的に予防するか、または状態を改善させることを含むことができ、前記疾患から生じる一つの症状または大部分の症状を緩和させるか、または治癒するか、または予防することを含むが、これに制限されるものではない。
【0116】
本明細書で用語“を包含する(comprising)”とは、“含有する(including)”または“特徴とする(characterized by)”と等しい意味で使用され、本発明による組成物または方法において、具体的に言及されない追加的な構成成分または方法の工程などを排除しない。また、用語“からなる(consisting of)”とは、別に記載しない追加的な要素、段階または成分などを除外することを意味する。用語“から本質的になる(essentially consisting
of)”とは、組成物または方法の範囲において、記載された物質または工程と併せて、これの基本的な特性に実質的に影響を及ぼさない物質または工程などを含むことができることを意味する。
【発明の効果】
【0117】
本発明が提供するバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を含む組成物は虫歯及び歯周疾患の原因菌に対して抗菌、抗炎、バイオフィルム抑制効果を現わして虫歯及び歯周疾患を治療または予防するか、または口臭を改善する目的で活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【
図1】
図1は、ポルフィロモナスジンジバリス(PGI)に対する抗菌力テスト結果を示す。
【
図2】
図2は、ポルフィロモナスジンジバリス(PGI)抗菌評価で優秀な効果を見せた菌株らのサンプルを対象にバイオフィルム効能評価をした結果を示す。
【
図3】
図3は、SEM走査顕微鏡(Scanning electronic microscope)を利用したバイオフィルム抑制効果測定結果を示す。
【
図4】
図4は、バイオフィルム除去効能評価結果を示す。
【
図5】
図5は、ポルフィロモナスジンジバリス(PGI)から分泌されたLPSによる三つのサイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-α)の抑制効能結果を示す。
【
図6】
図6は、VSC生成阻害能をテストした結果を示す。
【
図7】
図7は、Streptococcus mutans(SMU)に対する抗菌力テスト結果を示す。
【
図8】
図8は、ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans、SMU)由来のバイオフィルム形成阻害効能評価の結果を示す。
【
図9】
図9は、走査電子顕微鏡(SEM)を利用したストレプトコッカス ミュータンス(SMU)由来のバイオフィルム抑制効能評価の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0119】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0120】
但し、下記実施例は本発明を例示するものであるだけで、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0121】
実施例1:バシラスサブティリス分離
醗酵食品らの液相を滅菌生理食塩水を用いて多段希釈法で希釈した後、固体培地に塗抹して37℃で2~3日間培養した。固体培地に浮かんだそれぞれのコロニーを液体培地で37℃で2~3日間培養した。純粋分離された菌株は、(株)マクロゼン(韓国、ソウル)を通じて16S rDNAの塩基配列及び電場誘電体分析を実施して菌を同定した。
【0122】
実施例2:バシラスサブティリス16s rDNA同定
ゲノミックDNA抽出は、QIAamp Fast DNA Stool Mini Kit(キアゲン社、ドイツ)を利用して行った。16S rDNAの塩基配列増幅は、27F(5’-AGAGTTTGATCMTGGCTCAG-3’)(配列番号1)と1492R(5’-TACGGYTACCTTGTTACGACTT-3’)(配列番号2)プライマーを利用して重合酵素連鎖反応法を実施した。該当部位の塩基配列分析は(株)マクロゼンに分析依頼をし、785F(5‘-GGATTAGATACCCTGGTA-3’)(配列番号3)と907R(5‘-CCGTCAATTCMTTTRAGTTT-3’)(配列番号4)プライマーを利用して実施した。塩基配列分析が完了した各菌株の16S rDNA塩基配列同定分析は、NCBI BlastN(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast)サービスで16Sデータベースを利用して実施した。16S rDNA塩基配列基準の同定結果としては、ID-A05が99%の類似度でバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)で同定分析された。しかし、B.subtilisは類似種であるB.siamensis、B.velezensis、及びB.amyloliquefaciensと16S rDNA塩基配列としては、正確な区分が難しいために電場誘電体分析を通じたさらに細密な同定分析を実施した。
【0123】
実施例3:バシラスサブティリス電場誘電体分析及び電場誘電体を利用した同定
電場誘電体塩基配列分析は、(株)マクロジェンに依頼し、DNeasy Blood
& Tissue Kit(キアゲン社、ドイツ)を使用してゲノミックDNAを抽出した後、PacBio RS II(パシフィック バイオサイエンシーズ社、アメリカ
)及びIllumina MiSeq(イルミナ社、アメリカ)を利用してハイブリッド塩基配列分析法を実施した。
【0124】
電場誘電体情報を利用した同定分析は、既存の電場誘電体分析が完了されてNCBI Genomeデータベースに登録されているB.amyloliquefaciens DSM7(FN597644.1)、B.subtilis NCIB 3610(CP034484.1)、B.siamensis SCSIO 05746(CP025001.1)、及びB.velezensis FZB42(CP000560.2)の電場誘電体塩基配列と前記電場誘電体分析が完了したID-A05の電場誘電体塩基配列を利用してANI(平均ヌクレオチド同一性)分析を実施し、ANI分析はJspeciesWS(http://jspecies.ribohost.com/jspeciesws/)でBlastアルゴリズムを利用して(ANIb)を実施した。電場誘電体塩基配列を利用してANIbを分析した結果、ID-A05菌株は、前記比較菌株らとそれぞれ76.28%、98.79%、76.37%、76.32%の相同性を示した。本分析を通じてID-A05菌株はバシラスサブティリスであることが判明した。
【0125】
本発明によるバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05(受託番号:KCTC14184BP)菌株は、生物資源センターに2020年5月11日付けで寄託した。
【0126】
実施例4:サンプル製造
各菌株らをTSB培地に接種して37℃、200rpmで40時間培養した。培養液を遠心分離(13,000rpm、20分、4℃)した後、菌体を除去して上澄液を取った後0.22μmフィルターを利用して除菌してサンプルを製造した。
【0127】
実施例5:抗菌効能評価(歯周疾患)
歯周疾患の代表原因菌であるポルフィロモナスジンジバリス(PGI)に対する抗菌力をテストした。本実験に使用されたPGI菌株は韓国生命工学研究院微生物資源センター(KCTC)で標準菌株であるP.gingivalis KCTC 5352の分譲を受けて使用した。PGIはTYB培地で37℃、24時間嫌気培養した。PGIとサンプルらをTYB培地に10%ずつ接種して24時間培養した後600nmで吸光度を測定した。
【0128】
その結果、下記
図1で見られるように、ID-A05菌株培養上澄液を処理した培地で吸光度が非常に低く測定され、抗菌効果が優秀であることを確認することができた。
【0129】
実施例6:バイオフィルム効能評価-予防モデル(歯周疾患)
ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis、PGI)抗菌評価で一番優秀な効果を見せた6種菌株のサンプルらを対象にバイオフィルム効能評価を実施した。評価方法は唾液を被覆(4hr、37℃)した96ウェルプレートに培地を分注した後、ポルフィロモナスジンジバリス(PGI)とフソバクテリウムヌクレアタム(FNU)をそれぞれ25%、0.5%濃度で接種し、サンプルを同時に処理した後4日間37℃で嫌気培養してその結果を確認する予防モデル方法を実施した。
【0130】
形成されたバイオフィルムを0.1%クリスタルバイオレット試薬で染色して595nm吸光度を測定した。バイオフィルム形成がたくさんなされた条件であればあるほど高い吸光度を見せるために吸光度比較を通じて試験サンプルらのバイオフィルム抑制効果を確認した。
【0131】
その結果、下記
図2で見られるように、ID-A05菌株培養上澄液を処理した培地で
吸光度が低く測定され、バイオフィルム生成抑制効果が優秀であることを確認することができた。
【0132】
実施例7:SEM走査顕微鏡を利用したバイオフィルム抑制効果測定(歯周疾患)
バイオフィルム誘導のために、カバースリップをあげた24ウェルプレートに唾液を被覆(4hr、37℃)した。各ウェルに培地を分注してポルフィロモナスジンジバリス(PGI)とフソバクテリウムヌクレアタム(FNU)をそれぞれ25%、0.5%濃度で接種した。サンプルを同時に処理した後、4日間37℃で嫌気培養しながらバイオフィルム形成を誘導した。バイオフィルム形成がなされた各テストウェルの培地成分を除去した後、凍結乾燥をし、SEMサンプルを製作して撮影した。
【0133】
実施例8:バイオフィルム効能評価-治療モデル(歯周疾患)
唾液を被覆(4hr、37℃)した96ウェルプレートに培地を分注した後、ポルフィロモナスジンジバリスとフソバクテリウムヌクレアタムをそれぞれ25%、0.5%濃度で接種して4日間37℃で嫌気培養して充分にバイオフィルムを形成するようにした後、培地交替と同時にサンプルを処理してさらに37℃で3日間嫌気培養した後、その結果を確認した。形成されたバイオフィルムを0.1%クリスタルバイオレット試薬で染色して595nm吸光度を測定した。バイオフィルム形成がたくさんなされた条件であればあるほど高い吸光度を示すため、吸光度比較を通じて試験サンプルらのバイオフィルム除去効果を確認した。
【0134】
その結果、下記
図4で見られるように、ID-A05菌株培養上澄液を処理した培地では吸光度が低く測定され、バイオフィルム除去効果が優秀であることを確認することができた。
【0135】
実施例9:抗炎効能評価(歯周疾患)
歯周炎や口腔健康にはポルフィロモナスジンジバリスから分泌されたリポポリサッカライド(LPS)が炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-α)を分泌するものとして知られている。候補群の炎症性サイトカイン分泌抑制能力を測定するためにHGF-1細胞を96ウェルプレートに1×104細胞/ウェルで播種して24時間培養した。候補群を24時間処理した後、LPSを50μg/mlで24時間処理して上澄液を集めて分析に使用した。分泌されたサイトカインの量はELISAアッセイキットを使用してマニュアルによって試験し、プレートリーダー450nmで測定した。
【0136】
実験結果下記
図5a、
図5b、
図5cで見られるように、候補群を処理したとき、LPSによるサイトカインの分泌が抑制されることを確認することができた。また、候補群を処理した場合IL-1β、IL-6、TNF-αの三つのサイトカインをすべて減らすことを確認することができた。
【0137】
実施例10:揮発性硫黄化合物評価(口臭)
揮発性硫黄化合物(VSC)は口臭の主な原因で硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、ジメチルスルフィド(CH3SCH3)などがあり、この中H2SとCH3SHが90%以上を占める。VSCは主に歯周疾患原因菌らが生成し、歯周疾患患者で濃度が高く現われる。口臭に対する効果を確認するためにVSC生成阻害能をテストした。病原菌は歯周疾患原因菌であり、VSC生成能を持っているPGIとフソバクテリウムヌクレアタム(FNU)菌株を使用した。FNU菌株は韓国生命工学研究院微生物資源センター(KCTC)で標準菌株であるF.nucleatum KCTC2640の分譲を受けた。PGIとFNUをそれぞれTYB、RCB培地に接種し、37℃で24時間嫌気チャンバで培養した。TYB、RCB培地を1:1で混合した培地にPGIとFNUをそれぞれ5%、サンプルを10%接種して37℃で24時間培養した。培養後、生
成されたH2Sを測定するためにメチレンブルー法を通じて発色させた後、668nmで吸光度を測定した。
【0138】
その結果、下記
図6で見られるように、ID-A05菌株培養上澄液を処理した培地で吸光度が低く測定され、揮発性硫黄化合物生成阻害効果が優秀であることを確認することができた。
【0139】
実施例11:抗菌効能評価(虫歯)
虫歯の主要原因菌である ストレプトコッカス ミュータンス(SMU)に対する抗菌力をテストした。本実験に使用されたSMU菌株は韓国生命工学研究院微生物資源センター(KCTC)で標準菌株であるストレプトコッカス ミュータンス KCTC 3065の分譲を受けて使用した。SMUはBHI培地で37℃、24時間の間CO2インキュベーターで培養した。SMUとサンプルらをBHI培地に10%ずつ接種して24時間培養した後、生菌数分析をした。
【0140】
その結果、下記
図7で見られるように、ID-A05菌株培養上澄液を処理した培地で吸光度が非常に低く測定され、抗菌効果が優秀であることを確認することができた。
【0141】
実施例12:バイオフィルム効能評価(虫歯)
バイオフィルム誘導のために、BHIに10%で接種したストレプトコッカス ミュータンス(SMU)を培養(5%CO2インキュベーター、18時間)した。培養液を遠心分離(9,000rpm、5分、4℃)して菌体を確保した後、反応媒体(1%スクロースを含むBHI)に約1×106CFU/mLで希釈して10%(v/v)のサンプルを含むように播種した。24時間ごとに10%(v/v)サンプルを含む反応媒体で媒体交換を行ない、該当条件で適正バイオフィルム形成日である3日目(72時間)までフィルム形成を誘導した。
【0142】
バイオフィルム効能評価のためにクリスタルバイオレット染色法を実施した。メチルアルコールで固定化し、0.1%クリスタルバイオレットで染色した後、エチルアルコールで再構成した。洗浄過程は各工程ごとに含まれ、595nmでフィルム形成程度を測定した。
【0143】
その結果、下記
図8で見られるように、ID-A05菌株培養上澄液を処理した培地で吸光度が非常に低く測定され、バイオフィルム阻害効果が優秀であることを確認することができた。
【0144】
実施例13:SEM走査顕微鏡を利用したバイオフィルム抑制効果測定(虫歯)
誘導のためにBHIに10%で接種したSMUを培養(5%CO2インキュベーター、18時間)した。培養液を遠心分離(9,000rpm、5分、4℃)して菌体を確保した後、反応媒体(1%スクロースを含むBHI)に約1×106CFU/mLで希釈して準備した。SEM測定において必要な前処理過程である金属コーティングを容易にするために、試験を実施するプレートウェルにカバースリップを敷いてカバースリップの上にバイオフィルムが誘導されるようにし、各ウェルに希釈したSMUを10%(v/v)のサンプルを含むように播種した。24時間ごとに10%(v/v)サンプルを含む反応媒体で媒体交換を行ない、該当条件で適正バイオフィルム形成日である3日目(72時間)までフィルム形成を誘導した。以後、バイオフィルムが誘導されたカバースリップを洗浄して新プレートに移した後、SEM測定のために凍結乾燥過程を実施した。
【0145】
その結果、下記
図9で見られるように、ID-A05菌株由来培養上澄液を処理したカバースリップで肉眼上バイオフィルムの形成程度が非常に低く確認されて抗菌効果が優秀
であることを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0146】
以上、詳しく見たところのように本発明が提供するバシラスサブティリス(Bacillus subtilis)ID-A05菌株、これの培養液または培養上澄液を含む組成物は虫歯及び歯周疾患の原因菌に対して抗菌、抗炎、バイオフィルム抑制効果を現わして虫歯及び歯周疾患を治療または予防するか、または口臭を改善する目的で活用されることができて産業上利用可能性が非常に優秀である。
【受託番号】
【0147】
寄託機関名:韓国生命工学研究院
受託番号:KCTC14184BP
受託日付け:20200511
寄託機関住所:(56212)大韓民国全羅北道井邑市イブシンギル181韓国生命工学研究院(KRIBB)
【表1】
【配列表】
【国際調査報告】