(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】抗腫瘍アスコルビン酸エステル
(51)【国際特許分類】
C07D 307/62 20060101AFI20230927BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20230927BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C07D307/62 CSP
A61K31/375
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515364
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2021075104
(87)【国際公開番号】W WO2022053679
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520113642
【氏名又は名称】スイヘネリス ファルマコスメティクス,エセ.エレ.
【氏名又は名称原語表記】SUIGENERIS FARMACOSMETICS,S.L.
【住所又は居所原語表記】C.Tuset,34,08006 BARCELONA(ES)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロヨ バルゲス,テレサ
(72)【発明者】
【氏名】フォール ディオップ,ヤガマレ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス パシオス,マリア ゲネロサ デ ロス アンヘレス
(72)【発明者】
【氏名】サンターリャ ガルシア,ヒューゴ
(72)【発明者】
【氏名】ガリド フェルナンデス,ファティマ
(72)【発明者】
【氏名】クルツ,グイド
(72)【発明者】
【氏名】ルビエス ロヨ,マリア
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BA18
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA34
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA11
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、nが0から10の整数であり;R
1がCH2、O、NH及びSからなる群から選択されるビラジカルであり;R
2が(C
3-C
15)アルキルラジカルである式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、又はその立体異性体、又は立体異性体の混合物を提供する。本発明は、式(I)の化合物を含む医薬組成物、並びに医薬品として使用するための、より詳細には、膵臓癌などの新生物性疾患の処置又は予防に使用するための化合物及び医薬組成物も提供する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、又はその立体異性体、又は立体異性体の混合物:
【化1】
式中、
nは0~10の整数であり、
R
1はCH
2、O、NH及びSからなる群から選択されるビラジカルであり、
R
2は(C
3-C
15)アルキルラジカルである。
【請求項2】
nが1~5である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが2である、請求項1から2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
R
1がCH
2又はOである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
2が(C
4-C
9)アルキルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
2が(C
5)アルキルである、請求項1から5のいずれかに一項に記載の化合物。
【請求項7】
nが2であり;
R
1がCH
2であり;及び
R
2が(C
5)アルキルである、
請求項1から6のいずれかに一項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の化合物の治療有効量と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体とを含む、医薬組成物。
【請求項9】
医薬品として使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物又は請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
新生物性疾患の処置又は予防に使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物又は請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記新生物性疾患が、膵臓癌、黒色腫、結腸癌、胃癌及び肺癌からなる群から選択される、請求項10に記載の使用のための化合物又は医薬組成物。
【請求項12】
前記新生物性疾患が膵臓癌である、請求項11に記載の使用のための化合物又は医薬組成物。
【請求項13】
a)式(II)の化合物を式(III)の化合物とのエステル化反応に供することと、
b)前記(a)から得られた化合物を脱保護することと、
を含む、請求項1に記載の式(I)の化合物の調製方法:
【化2】
式中、
nが0~10の整数である;
R
1がCH
2、O、NH及びSからなる群から選択されるビラジカルである;
R
2が(C
3-C
15)アルキルラジカルである;
PGがヒドロキシル保護基である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年9月14日に提出された欧州特許出願第20382804号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、抗新生物化合物の分野、特に抗腫瘍アスコルビン酸エステル及び当該エステルを含む抗腫瘍組成物に関する。本発明は、癌の予防処置又は治療処置のための当該エステルおよび当該組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
癌は、異常な細胞増殖を伴う疾患の群であり、身体の他の部分に浸潤又は拡散する可能性がある。現在、よく見られる多くの癌タイプの治療には有効な選択肢がほとんどない。所与の個体に対する処置の経過は、診断、疾患の発症段階、並びに患者の年齢、性別及び全般的な健康状態などの要因に左右される。癌治療の最も従来的な選択肢は、外科手術、放射線療法及び化学療法である。これらの療法はそれぞれ有効性の程度が異なり、多様な副作用を伴う。これらの副作用は、従来の化学療法ですでに開示されている多剤耐性と共に、新規な抗癌薬又は治療手法に対する緊急の必要性を促されている。
【0004】
特に致命的な種類の癌の1つは膵臓癌である。この種の癌は、主に膵管の細胞で発生する膵臓の悪性増殖である。この疾患は、癌の9番目に最もよくある形態であるが、男性及び女性における癌死のそれぞれ4番目及び5番目の主因である。膵臓の癌はほぼ常に致命的であり、5年生存率は3%未満である。
【0005】
膵臓癌に利用可能な現在の処置手順は、治癒も、生存時間の実質的な改善ももたらしていない。外科的切除は、生存の可能性を提供する唯一のモダリティであった。しかし、腫瘍負荷が大きいために、患者の10%~25%のみが「治癒的切除」の候補である。外科的処置を受けている患者では、5年生存率は依然として悪く、平均で約10%に過ぎない。したがって、膵臓癌は、効率的な療法の開発の必要性が高い癌の種類の1つである。
【0006】
潜在的な抗癌剤として長い間認識されてきた1つの分子は、ビタミンCとしても既知のアスコルビン酸である。しかし、アスコルビン酸は非常に限定されたバイオアベイラビリティを示し、いくつかの状態で急性シュウ酸腎症を誘発することが示されている。
【0007】
抗癌分子としてのアスコルビン酸の使用に対する制限を克服するために、そのヒドロキシル基を修飾することによって、多くの新規なアスコルビン酸誘導体がこの数年間に開発されてきた。中でも、アスコルビン酸の脂肪酸エステルである、パルミチン酸アスコルビル及びステアリン酸アスコルビルは、その親油性の性質と、細胞膜及び血液脳関門を容易に通過することで、抗癌化合物としてかなりの関心を集めている。
【0008】
しかし、アスコルビル脂肪酸エステルは、それらの高い疎水性の結果としていくつかの欠点を呈する。特に、患者に容易に投与することができる均質液体組成物を得るための、アスコルビル脂肪酸エステルの取り扱い及び溶解は、非常に困難である。
【0009】
したがって、これまでになされた努力にもかかわらず、取り扱い及び患者への投与が容易な、高い抗腫瘍活性を有する化合物がなお必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、癌細胞の増殖を阻害することができる種々のアスコルビン酸エステルを開発した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、本発明者らは、アルキル炭素鎖に結合したシクロアルキルを含む基を有するアスコルビン酸のエステル化によって、強力な癌阻害活性を示す中程度の疎水性を有する化合物が生じることを見出した。
【0012】
以下の実施例に示すように、本明細書で提供する化合物は、膵臓癌細胞、黒色腫細胞、結腸癌細胞、又は胃癌細胞などの、様々な起源の癌細胞の増殖を阻害するのに有効である。特に、本発明の化合物は、転移性細胞株に使用した場合にも有効であり、このことは進行期の癌を処置するその能力を示している。
【0013】
本発明の化合物は非常に特異的であり、癌細胞を特異的に標的化することができる。すなわち、化合物は、正常細胞と癌細胞とを区別することができる。現在の抗癌療法の大半の副作用が抗腫瘍性化合物の特異性がないことに起因しているために、このことは癌治療の分野において大きな進歩を意味する。癌細胞に対するこの特異性によって、ヒト初代細胞に投与された場合の当該化合物の非毒性を裏付ける、以下に与える実験データも説明される(
図13参照)。
【0014】
これらの特性により、本発明の式(I)の化合物は癌の処置に好適なものとなる。
【0015】
重要なことに、本明細書で提供される化合物は、アルキル炭素鎖を含むにもかかわらず、溶液中でのそれらの溶解性及び安定性を促進する中程度の疎水性を示し、このことは臨床においてそれらの製剤及び使用を大幅に促進する。
【0016】
本発明の化合物の物理化学的特性及び生物学的活性の組み合わせにより、本発明の化合物は、膵臓腫瘍のような、いまだに事実上不治の腫瘍の処置における重要な薬理学的代替手段となっている。
【0017】
したがって、第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、又はその立体異性体、又は立体異性体の混合物を提供する:
【化1】
【0018】
式中、nは0~10の整数であり、R1はCH2、O、NH 及びSからなる群から選択されるビラジカルであり、R2は(C3-C15)アルキルラジカルである。
【0019】
第2の態様では、本発明は、第1の態様で定義される化合物の治療有効量と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0020】
第3の態様では、本発明は、医薬品として使用するための、第1の態様で定義される化合物又は第2の態様で定義される医薬組成物を提供する。
【0021】
第4の態様では、本発明は、新生物性疾患の処置又は予防に使用するための、第1の態様で定義される化合物又は第2の態様で定義される医薬組成物を提供する。
【0022】
第5の態様では、本発明は、第1の態様で定義される式(I)の化合物の調製方法であって、a)式(II)の化合物を式(III)の化合物とのエステル化反応に供することと、b)(a)から得られた化合物を脱保護することを含み、式中、nが0から10の整数であり、R
1がCH
2、O、NH及びSからなる群から選択されるビラジカルであり、R
2が(C
3-C
15)アルキルラジカルであり、PGがヒドロキシル保護基である、調製方法を提供する。
【化2】
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】偽処置細胞と比較した、IGR39ヒト原発性黒色腫細胞の増殖に対する、4つの異なる濃度(1番左の棒:0.1mM;左から2番目の棒:0.2mM;左から3番目の棒:0.25mM;左から4番目の棒:0.3mM)における本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。y軸は、偽処置細胞の数を100%の値として、処置72時間後の細胞の数を百分率として表す。化合物I
a、I
b及びI
cの構造を以下に示す。
【
図2】偽処置細胞と比較した、IGR37ヒト転移性黒色腫細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図3】偽処置細胞と比較した、MW115ヒト原発性黒色腫細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図4】偽処置細胞と比較した、MW266.4ヒト転移性黒色腫細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。
図1棒、化合物及びy軸の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図5】偽処置細胞と比較した、DLD1ヒト結腸癌細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図6】偽処置細胞と比較した、SW480ヒト結腸癌細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図7】偽処置細胞と比較した、HCT116ヒト結腸癌細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図8】偽処置細胞と比較した、NUG-C4ヒト胃癌細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図9】偽処置細胞と比較した、COLO668ヒト肺癌細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図10】偽処置細胞と比較した、BXPC3ヒト膵臓癌細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図11】偽処置細胞と比較した、CAPAN2ヒト膵臓癌細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図12】偽処置細胞と比較した、RWP1ヒト膵臓癌細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【
図13】偽処置細胞と比較した、ヒト初代血管内皮細胞の増殖に対する本発明の様々な化合物の阻害効果を示す棒グラフである。棒、化合物及びy軸に関する
図1の上記の説明は、この図にも等しく当てはまる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
本出願において本明細書で使用される全ての用語は、別途記載しない限り、当分野で既知であるような通常の意味で理解されるものとする。本出願で使用するある用語の他のより具体的な定義は、後述の通りであり、明示的に定義された定義がより広い定義を提供しない限り、明細書及び請求項全体に均一に適用されるものである。
【0025】
本明細書で使用する場合、不定冠詞「a」及び「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」と同義である。別途明記しない限り、本明細書で使用される「the」などの定冠詞は、名詞の複数形も含む。
【0026】
上記のように、本発明は、強力な癌阻害活性を有する式(I)のアスコルビン酸エステル又はその医薬的に許容される塩、又はその立体異性体、又は立体異性体の混合物を提供する。
【0027】
本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物について言う場合、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒト及び非ヒト動物の組織と接触して使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比に見合った塩を指す。医薬的に許容される塩は、当分野で周知である。医薬的に許容される非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸によって、又は酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸などの有機酸によって、又はイオン交換などの当分野で使用される他の方法を使用することによって形成される、アミノ基又はチオール基の塩である。他の医薬的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0028】
記載した化合物は、不斉中心を有し、したがって異なる異性体形態で存在する。本明細書に記載する化合物の全ての単一の光学異性体及び立体異性体、並びにそれらの混合物は、本発明の範囲内であると見なされる。したがって、本明細書に記載するいずれの化合物も、ラセミ体、1つ以上の立体異性体、1つ以上のアトロプ異性体及びそれらの混合物のいずれか1つを表すことを意図する。
【0029】
本発明において、「アルキル」という用語は、直鎖(lineal)及び分岐炭化水素鎖の両方を包含する。特定の実施形態では、任意に上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、「アルキル」は直鎖炭化水素鎖を指す。
【0030】
「アルキル」の例示的非限定的な例は、とりわけメチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、イソプロピル(C3)、イソブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)、ヘプチル(C7)、オクチル(C9)、ノニル(C9)及びデシル(C10)である。
【0031】
第1の態様の特定の実施形態では、任意に上記又は下記に提供される任意の実施形態と組み合わせて、nは0~10、1~5又は2~3である。さらに特定の実施形態では、nは1であるか、又はnは2である。
【0032】
第1の態様の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記に提供される任意の実施形態と組み合わせて、R1はCH2又はOである。以下の実施例に示すように、R1がCH2である化合物は、癌の治療において特に有利である。
【0033】
第1の態様の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記に提供される任意の実施形態と組み合わせて、R2は(C4-C12)アルキル、(C4-C9)アルキル、(C5-C8)アルキル又は(C5-C7)アルキルからなる群から選択される。さらにより特定の実施形態では、R2は(C5)アルキルである。
【0034】
第1の態様の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記に提供される任意の実施形態と組み合わせて、nは2であり、R1はCH2、O、NH及びSからなる群から選択され、R2は(C3-C15)アルキルである。
【0035】
第1の態様の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記に提供される任意の実施形態と組み合わせて、nは2であり、R1はCH2であり、R2は(C5)アルキルである。別の特定の実施形態では、nは2であり、R1はOであり、R2は(C5)アルキルである。また別の特定の実施形態では、nは2であり、R1はOであり、R2は(C8)アルキルである。また別の特定の実施形態では、nは0であり、R1はOであり、R2は(C5)アルキルである。
【0036】
最も好ましい化合物は、表1から選択されるものである:
【表1】
【0037】
本発明の化合物は、多種多様の方法によって市販の試薬から柔軟な方法で容易に調製され得る。
【0038】
スキームIは、式(I)の対称化合物の調製方法の特定の実施形態を示す:
【化3】
【0039】
先のスキームでは、Rは(C3-C15)アルキルラジカルである。
【0040】
式(I)の化合物の医薬的に許容される塩の調製は、当分野で既知の方法によって実施することができる。例えば、その塩は、従来の化学的方法により、塩基性部分(NH、SH、OH)を含有する親化合物から調製することができる。一般に、そのような塩は、例えば、これらの化合物の遊離塩基形を、化学量論量の適切な医薬的に許容される酸と、水又は有機溶媒又はその混合物中で反応させることにより調製される。
【0041】
先に開示されたように、本発明は、第2の態様において、本発明の化合物の治療有効量と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体とを含む医薬組成物も提供する。
【0042】
「医薬組成物」という表現は、ヒト向け組成物と他の非ヒト哺乳動物用組成物(すなわち獣医学組成物)の両方を包含する。
【0043】
本明細書で使用する「治療有効量」という表現は、投与の際に、対処される疾患(すなわち癌)の症状の1つ以上の発症を予防する、又はある程度緩和するために十分な化合物の量を指す。本発明に従って投与される化合物の特定の用量は、当然、投与される化合物、投与経路、処置されている特定の状態及び同様の考慮事項を含む、症例を取り巻く特定の状況によって決定される。
【0044】
「医薬的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体」という表現は、医薬的に許容される材料、組成物又はビヒクルを指す。各成分は、医薬組成物の他の成分と適合性であるという意味で、医薬的に許容されなければならない。各成分は、合理的な利益/リスク比に見合い、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性又は他の問題若しくは合併症を伴わずに、ヒト及び動物の組織又は臓器と接触して使用することにも好適でなければならない。
【0045】
好適な医薬的に許容される賦形剤の例は、溶媒、分散媒、希釈剤又は他の液体ビヒクル、分散助剤又は懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤又は乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑剤などである。任意の従来の賦形剤媒体が、任意の望ましくない生物学的効果を生じること、又はさもなければ医薬組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することなどによって、物質又はその誘導体と適合しない場合を除いて、その使用は本発明の範囲内であると考えられる。
【0046】
本発明の医薬組成物中の有効成分、医薬的に許容される賦形剤及び/又は任意の追加の成分の相対量は、処置される対象の独自性、サイズ及び/又は状態に応じて、さらに組成物が投与される経路に応じて変わる。
【0047】
医薬組成物の製造に使用される医薬的に許容される賦形剤としては、不活性希釈剤、分散剤及び/又は造粒剤、界面活性剤及び/又は乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存剤、緩衝剤、滑剤及び/又は油が挙げられるが、これに限定されない。着色剤、コーティング剤、甘味料及び香味剤などの賦形剤は、処方者の判断に従って、組成物中に存在することができる。
【0048】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、任意の剤形、例えば固体又は液体で提供することができ、任意の好適な経路、例えば経口、非経口、直腸、局所、鼻腔内又は舌下経路によって投与することができ、そのために医薬組成物は、所望の剤形の製剤、例えば局所製剤(軟膏、クリーム、リポゲル、ヒドロゲルなど)、点眼剤、エアロゾルスプレー、注射液、浸透圧ポンプなどに必要な医薬的に許容される賦形剤を含む。
【0049】
例示的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉糖及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
例示的な造粒剤及び/又は分散剤としては、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木材製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微結晶性デンプン、非水溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0051】
例示的な結合剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ及びデンプンペースト);ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール);天然及び合成ゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワールガム、ガティガム、イサポールハスクの粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、カラマツアラボガラクタン);アルギネート;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリレート;ワックス;水;アルコール;及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0052】
例示的な保存剤としては、酸化防止剤、キレート剤、抗菌保存剤、抗真菌保存剤、アルコール保存剤、酸性保存剤、及び他の保存剤が挙げられ得る。例示的な酸化防止剤としては、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、オレイン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これに限定されない。例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸及びエデト酸三ナトリウムが挙げられる。
【0053】
例示的な緩衝剤としては、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0054】
例示的な滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、水素添加植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0055】
上記のように、本発明の第3の態様は、医薬品として使用するための本発明の化合物又は医薬組成物を提供する。
【0056】
上記のように、第4の態様では、本発明は、新生物性疾患の処置又は予防に使用するための本発明の化合物又は医薬組成物を提供する。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の化合物は、癌細胞において生じる代謝変化のために、これらの細胞を特異的に標的とする。したがって、本発明の化合物は、白血病などの非固形腫瘍を含む、いずれの種類の癌の処置にも有用であり得る。
【0057】
「処置する」、「処置すること」又は「処置」という用語は、制限なく、既存の症状、臨床徴候、障害、状態又は疾患の進行又は重症度の抑制、減速、停止、軽減、改善又は復帰を含む。処置は、治療的に適用又は施与され得る
【0058】
「予防する」、「予防すること」又は「予防」という用語は、制限なく、症状、臨床徴候、障害、状態又は疾患のリスクの減少、軽減又は改善、及び症状、臨床徴候、障害、状態又は疾患からの対象の保護を含むが、これに限定されない。予防は予防的に適用又は施与され得る。
【0059】
この態様は、新生物性疾患の処置又は予防のための医薬品を製造するための本発明の化合物又は医薬組成物の使用として構築することもできる。この態様は、新生物性疾患を処置又は予防する方法であって、本発明の化合物の治療有効量を医薬的に許容される賦形剤又は担体と共に、それを必要とする対象に投与することを含む方法として構築することもできる。
【0060】
本明細書で使用する場合、「新生物性疾患」という用語は、任意の種類並びに起源及びその前駆体段階の癌を指す。本発明の化合物、コンジュゲート及び医薬組成物によって処置することができる新生物性疾患の例示的非限定的な例としては、乳頭腫、腺腫、脂肪腫、骨腫、筋腫、血管腫、母斑、成熟奇形腫、癌腫、肉腫、未熟奇形腫、黒色腫、骨髄腫、白血病、ホジキンリンパ腫、基底細胞腫、有棘細胞癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、肺癌、気管支癌、前立腺癌、結腸癌、胃癌、膵臓癌、腎臓癌、食道癌、肝癌、頭頸部癌などが挙げられるが、これに限定されない。新生物性疾患という用語は、原発性腫瘍と転移性腫瘍の両方を包含することを意味する。
【0061】
第4の態様の特定の実施形態では、任意に上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、新生物性疾患は、膵臓癌、黒色腫、結腸癌、胃癌及び肺癌からなる群から選択される。より詳細には、新生物性疾患は膵臓癌である。
【0062】
本発明の化合物は、他の既知の化学療法剤と同様に使用することができる。さらに、本発明の化合物は単独で又は他の好適な抗癌剤と組み合わせて使用され得る。抗癌剤の例としては、化学療法剤、成長阻害剤、細胞傷害剤、放射線療法に使用される薬剤、抗血管新生剤、抗リンパ脈管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及び癌を処置するための他の薬剤、例えば抗HER-2抗体、抗CD20抗体、上皮増殖因子受容体(EGFR)アンタゴニスト(例えばチロシンキナーゼ阻害剤)、HER1/EGFR阻害剤(例えばエルロチニブ(Tarceva(商標))、血小板由来増殖因子阻害剤(例えばGleevec(商標)(メシル酸イマチニブ))、COX-2阻害剤(例えばセレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、以下の標的:ErbB 2、ErbB 3、ErbB 4、PDGFR-ベータ、BlyS、APRIL、BCMA VEGF又はVEGF受容体、TRAIL/Apo 2の1つ以上に結合するアンタゴニスト(例えば中和抗体)、並びに他の生物活性及び有機化学剤などが挙げられるが、これに限定されない。それらの組み合わせも本発明に含まれる。
【0063】
上記のように、第5の態様では、本発明は、第1の態様で定義される式(I)の化合物の調製方法を提供する。
【0064】
ヒドロキシル保護基の例は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,´´Protective Groups in Organic Synthesis´´,Chapter 2,Protection for the Hydroxyl Group,Including 1,2-and 1,3-Diols,John Wiley&Sons,Inc.,1999,pp.17-245に見出すことができる。代表的なヒドロキシル保護基としては、ヒドロキシル基がアシル化又はアルキル化されているもの、例えばフェニルメチル及びトリエチルエーテル、並びにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルエーテル、例えばtert-ブチルジメチルシリル(TBS)、tert-ブチルジフェニル(TBDPS)、アリルエーテル及びベンジルエステルが挙げられる。
【0065】
第5の態様の特定の実施形態では、任意に上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、保護基(PG)はベンジルエステルである。
【0066】
保護基の導入及び除去は、当技術において既知の方法(T.W.Greeneらを参照のこと)により行うことができる。具体的な条件は、使用される保護基によって変わる。特定の用途では、Bn基が使用される場合、好適な溶媒の存在下で臭化ベンシルとの反応によって導入することができる。脱保護は、メタノール中のPd/Cとの反応によって行われ得る。
【0067】
明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という用語及びその用語の変形は、他の技術的特徴、添加物、成分又はステップを除外することを意図していない。さらに、「含む(comprise)」という用語は、「からなる(consisting of)」の場合を含む。本発明の追加の目的、利点及び特徴は、明細書を検討することにより当業者に明らかになるか、又は本発明の実施により習得され得る。以下の実施例及び図面は例示のために提供されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。図面に関連し、特許請求の範囲の括弧内に配置された参照符号は、特許請求の範囲の理解しやすさを向上させるようとしているに過ぎず、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。さらに、本発明は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態のすべての考えられる組合わせを網羅している。
【実施例】
【0068】
実施例1:(R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-((S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)フラン-2(5H)-オン(化合物2)の調製
【化4】
【0069】
化合物1(5.55g、25.6mmol)及びK2CO3粉末(10.6g、77mmol)をアセトン(80ml)に懸濁させた。還流(60℃)後、臭化ベンシル(mg、mmol)を添加し、混合物をさらに16時間還流させた。溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(20%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2(8.14g、80%)を得た。化合物2:無色油、Rf:0.67(70%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):1763,1677,1316,1213,1148,1068。EM(ESI)[m/z,(%)]:419.14(M++Na,13),397.16(M++1,100)。EMAR(ESI):C23H25O6 の計算値397.1646及び実測値397.1651。
【0070】
実施例2:(R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-((S)-1,2-ジヒドロキシエチル)フラン-2(5 H)-オン(化合物3)の調製
【化5】
【0071】
化合物2(5.9g、14.9mmol)をCH3CN(240ml)に溶解させて、次いで3M HCl水溶液(20ml)を添加し、反応混合物を30℃にて2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をEtOAcで希釈した。有機層を食塩水で連続的に洗浄し、次いで、無水Na2SO4で脱水して、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(60%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物3(5.2g、98%)を得た。化合物3:無色油、Rf:0.17(70%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3391,2925,1748,1666,1317,1152,1067,697。EM(ESI)[m/z,(%)]:379.11(M++Na,5),357.13(M++1,100)。EMAR(ESI):C20H21O6の計算値357.1333及び実測値357.1333。
【0072】
実施例3:4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)シクロヘキサン-1-オール(化合物5)の調製
【化6】
【0073】
ジオール4(910mg、6.99mmol)のDMF(15mL)溶液に、イミダゾール(1.9g、28mmol)、触媒量のDMAP及びTBDPSCl(2ml、7.69mmol)を添加し、混合物を室温にて2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、H2O(10mL)を添加し、生成物をCH2Cl2(3×10mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(30%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物5(2.4g、93%)を得た。化合物5:無色油、Rf:0.85(50%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3350,2927,2859,1427,1110,701。EM(ESI)[m/z,(%)]:369.22(M++1,100),351.21(M+-OH,21)。EMAR(ESI):C23H33O2Si の計算値369.2244及び実測値369.2241。
【0074】
実施例4:tert-ブチル((4-(ペンチルオキシ)シクロヘキシル)メトキシ)ジフェニルシラン(化合物6)の調製
【化7】
【0075】
化合物5(9.3g、25.2mmol)のTHF(90ml)及びDMSO(12ml)溶液に、NaH(60%)(3.02g、75.6mmol)を0℃にて添加し、混合物を50℃まで冷却した。30分後、ヨードペンタン(11.5ml、88.2mmol)を添加し、混合物をさらに21時間還流させた。反応物をH2O(20mL)でクエンチして、これをAcOEt(3×20mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(3%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物6(3.81g、35%)及び酢酸エチル-ヘキサン(30%)を得て、化合物5(出発物質)(5.45g、50%)を得た。化合物6:無色油、Rf:0.95(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2929,2856,1427,1109,701。EM(ESI)[m/z,(%)]:439.30(M++1,7),361.25(100),183.17(M+-OTBDPS,68)。EMAR(ESI):C28H43O2Siの計算値439.3026及び実測値439.2694。
【0076】
実施例5:(4-(ペンチルオキシ)シクロヘキシル)メタノール(化合物7)の調製
【化8】
【0077】
6(3.79g、8.63mmol)のTHF(20mL)溶液に、TBAF(17mL、17mmol)の1.0M溶液を室温にて添加し、混合物を同じ条件で16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル-ヘキサン(30%)を溶離液として使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに供し、化合物7(1.28g、75%)を得た。
【0078】
化合物7:無色油、Rf:0.42(30%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3371,2928,2857,1451,1090,1036。EM(ESI)[m/z,(%)]:201.18(M++1,45),183.17(M+-OH,100)。EMAR(ESI):C12H25O2の計算値201.1849及び実測値201.1847。
【0079】
実施例6:エチル(E)-3-(4-(ペンチルオキシ)シクロヘキシル)アクリレート(化合物8)の調製
【化9】
【0080】
化合物7(1.13g、5.64mmol)のCH2Cl2(20ml)溶液に、モレキュラーシーブ(850mg)、NMO(1.98g、16.9mmol)及び触媒量のTPAPを添加し、撹拌を室温にて1時間続けた。反応物をセライトで濾過した。溶媒を蒸発させ、残渣をTHF(10ml)に溶解させて、Ph3P=CHCO2Et(3.94g、11.3mmol)を添加して、混合物を2日間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル-ヘキサン(5%)を溶離液として使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに供して、化合物8(787mg、52%)を得た。化合物8:無色油、Rf:0.68(10%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2931,2858,1720,1652,1267,1173,1096。EM(ESI)[m/z,(%)]:269.21(M++1,52),223.16(33),181.12(100)。EMAR(ESI):C16H29O3の計算値269.2111及び実測値269.2107。
【0081】
実施例7:3-(4-(ペンチルオキシ)シクロヘキシル)プロパン酸(化合物9)の調製
【化10】
【0082】
酢酸エチル(15mL)中の化合物8(450mg、1.67mmol)の混合物に、触媒量のPd/C(10%)を添加し、懸濁液をH2下、室温にて14時間撹拌した。次いで、混合物をセライトで濾過して、濾液を回転蒸発させた。残渣をTHF/H2O(1:1、7ml)に溶解させ、LiOH・H2Oを添加して、混合物を18時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル-ヘキサン(30%)を溶離液として使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに供して、化合物9(360mg、89%)を得た。化合物9:無色油、Rf:0.45(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3031,2927,2856,2782,1707,1453,1089。EM(ESI)[m/z,(%)]:397.33(100),243.19(M++1,67)。EMAR(ESI):C14H27O3の計算値243.1954及び実測値243.1951。
【0083】
実施例8:(S)-2-((R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-2-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(4-(ペンチルオキシ)シクロヘキシル)プロパノエート(化合物10)の調製
【化11】
【0084】
化合物9(172mg、0.70mmol)のCH2Cl2(5ml)撹拌溶液に、DIC(120μl、0.77mmol)及びDMAP(72mg、0.70mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌した。保護されたビタミンC3(379mg、1.06mmol)をCH2Cl2(4ml)中に滴加し、反応混合物を室温にて一晩撹拌して、次いで濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(12%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物10(193mg、48%)を得た。
【0085】
化合物10:無色油、Rf:0.43(30%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3415,2926,2856,1765,1742,1674,1454,1320,1153。EM(ESI)[m/z,(%)]:581.30(M++1,100)。EMAR(ESI):C34H45O8の計算値581.3108及び実測値581.3083.
【0086】
実施例9:2-(3,4-ジヒドロキシ-5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-2-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(4-(ペンチルオキシ)シクロヘキシル)プロパノエート(化合物Ia)の調製
【化12】
【0087】
メタノール(10ml)中の化合物10(193mg、0.33mmol)の混合物に、触媒量のPd/C(10%)を添加し、懸濁液をH2下、室温にて14時間撹拌した。次いで、混合物をセライトで濾過し、濾液を回転蒸発させて、化合物Ia(131mg、98%)を得た。化合物Ia:無色油、Rf:0.10(酢酸エチル)。IR(ATR,cm-1):3367,2925,2854,1740,1668,1346,1116。1H-RMN(MeOD-d4,δ):4.75(d,J=2.1Hz,1H,H-4),4.25(m,2H,H-6),4.11(m,2H,H-5),3.49(m,1H,H-7’),3.41(t,J=6.5Hz,2H,H-8’),2.41(t,J=7.7Hz,2H,H-2’),1.92(m,3H),1.52(m,4H),1.36(m,9H),0.93(m,3H)ppm。13C-RMN(MeOD-d4,δ):174.0(C-1’),173.9(C-1’),171.7(C-1),152.6(C-3),118.7(C-2),78.3(CH-7’),75.8(CH),73.9(CH-7’),67.9(CH2-8),67.5(CH2-8),66.7(CH),64.5(CH2-6),36.5(CH-4),35.9(CH-4),31.8(CH2),31.4(CH2),31.3(CH2),31.2(CH2),31.1(CH2),30.6(CH2),29.5(CH2),29.0(CH2),28.3(CH2),28.1(CH2),26.8(CH2),22.2(CH2),22.2(CH2),13.2(CH3-12’),13.1(CH3-12’)ppm。EM(ESI)[m/z,(%)]:401.21(M++1,100),369.31(35)。
【0088】
EMAR(ESI):C20H33O8の計算値401.2169及び実測値401.2155。
【0089】
実施例10:4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)シクロヘキサン-1-オール(化合物2)の調製
【化13】
【0090】
化合物1(5.0g、0.03モル)のDMF(100mL)溶液に、イミダゾール(10.5g、0.15モル)、触媒量のDMAP及びTBDPSCl(10.5ml、0.04mol)を添加し、混合物を室温にて4時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、酢酸エチル(20mL)を添加し、生成物をH2O(3×20mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(15%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2(13.9g、99%)を得た。化合物2:無色油、Rf:0.60(30%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3350,2927,2859,1427,1110,701。MS(ESI)[m/z,(%)]:369([M++1],100),351([M+-OH],21)。HR-MS(ESI):C23H33O2Siの計算値369.2244及び実測値369.2241。
【0091】
実施例11:エチル(E)-3-((4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)シクロヘキシル)オキシ)アクリレート(化合物3)の調製
【化14】
【0092】
2(372mg、1.01mmol)及びDABCO(23mg、0.20mmol)のCH2Cl2(8mL)溶液に、HCCCO2Et(154μL、1.50mmol)を室温にて添加し、混合物を10時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル-ヘキサン(5%)を溶離液として使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに供して、化合物3(420mg、90%)を得た。化合物3:無色油、Rf:0.67(30%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2931,2899,2857,1706,1640。MS(ESI)[m/z,(%)]:467([M++1],100),425(26),352(23),351(76)。HR-MS(ESI):C28H39O4Siの計算値467.2612及び実測値467.2614。
【0093】
実施例12:化合物エチル3-((4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)シクロヘキシル)オキシ)プロパノエート(化合物4)の調製
【化15】
【0094】
MeOH(5mL)中の化合物3(295mg、0.63mmol)の混合物に、触媒量のPd/C(10%)を添加し、懸濁液をH2下、室温にて24時間撹拌した。次いで、混合物をセライトで濾過して、濾液を回転蒸発させた。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、化合物4(292mg、99%)を得た。化合物4:無色油、Rf:0.63(30%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2929,2894,2856,1735。MS(ESI)[m/z,(%)]:469([M++1],36),467(13),391(46),351(56),349(45),144(100)。HR-MS(ESI):C28H41O4Siの計算値469.2769及び実測値469.2775。
【0095】
実施例13:化合物3-((4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)シクロヘキシル)オキシ)プロパナール(化合物5)及び3-((4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)シクロヘキシル)オキシ)プロパン-1-オール(化合物6)
【化16】
【0096】
-78℃の化合物4(352mg、0.75mmol)のCH2Cl2(7mL)溶液にDIBAL-Hの1.0Mヘキサン溶液(1.1mL、1.13mmol)を添加し、反応混合物を30分間撹拌した。tBuOMe(10mL)及びH2O(300μL)を添加し、オフホワイト色ゲルが形成されるまで、激しい撹拌を維持した。次に、NaOH(300μL)、H2O(300μL)の4N溶液を添加し、白色固体が形成されるまで撹拌を延長した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(5%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物5(285mg、90%)及び6(28mg、9%)を得た。化合物5:無色油、Rf:0.50(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2929,2896,2856,1725。MS(ESI)[m/z,(%)]:447([M++Na],31),426([M++2],31),425([M++1],88),351(100),347(80)。HR-MS(ESI):C26H36NaO3Siの計算値447.2326及び実測値447.2324。化合物6:無色油、Rf:0.17(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3411,2927,2889,2855。MS(ESI)[m/z,(%)]:449([M++Na],4),391(12),349([M+-Ph],100),237(29)。HR-MS(ESI):C26H38NaO3Siの計算値449.2482及び実測値449.2494。
【0097】
実施例14:化合物(E)-tert-ブチル((4-(オクタ-3-エン-1-イルオキシ)シクロヘキシル)メトキシ)ジフェニルシラン(化合物7)の調製
【化17】
【0098】
0℃まで冷却したIPh3PC5H11(842mg,1.83mmol)のTHF(10ml)懸濁液に、n-BuLiの2.5M溶液(731μL、1.83mmol)を添加し、混合物を1時間撹拌した。THF(3mL)中の化合物5(195mg、0.46mmol)を添加し、撹拌を室温にて7.5時間続けた。反応物をNaHCO3飽和溶液(20mL)でクエンチして、これを酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(2%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物7(170mg、78%)を得た。化合物7:無色油、Rf:0.94(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2948,2933,2889,2854。MS(ESI)[m/z,(%)]:479([M++1],42),351(46),280(21),279(100)。HR-MS(ESI):C31H47O2Siの計算値479.3340及び実測値479.3328。
【0099】
実施例15:tert-ブチル((4-(オクチルオキシ)シクロヘキシル)メトキシ)ジフェニルシラン(化合物8)の調製
【化18】
【0100】
MeOH(5mL)中の化合物7(90mg、0.19mmol)の混合物に、触媒量のPd/C(10%)を添加し、懸濁液をH2下、室温にて24時間撹拌した。次いで、混合物をセライトで濾過して、濾液を回転蒸発させた。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、化合物8(88mg、98%)を得た。化合物8:無色油、Rf:0.93(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2952,2928,2897,2856。MS(ESI)[m/z,(%)]:479([M++1],42),351(46),280(21),279(100)。HR-MS(ESI):C31H47O2Siの計算値479.3340及び実測値479.3328。
【0101】
実施例16:(4-(オクチルオキシ)シクロヘキシル)メタノール(化合物9)の調製
【化19】
【0102】
化合物8(420mg、0.87mmol)のTHF(5mL)溶液に、TBAF(1.3mL、1.31mmol)の1.0M溶液を室温にて添加し、混合物を同じ条件で24時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル-ヘキサン(10%)を溶離液として使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに供して、化合物9(194mg、93%)が得た。化合物9:無色油、Rf:0.28(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3314,2925,2855,1443。MS(ESI)[m/z,(%)]:279(23),265([M++Na],100),227(26),225(49)。HR-MS(ESI):C15H30NaO2の計算値265.2138及び実測値265.2133。
【0103】
実施例17:4-(オクチルオキシ)シクロヘキサン-1-カルバルデヒド(化合物10)の調製
【化20】
【0104】
化合物9(194mg、0.80mmol)のCH2Cl2(5ml)溶液に、触媒量のTEMPO、BAIB(387mg、1.20mmol)を添加し、混合物を室温にて2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、tBuOMe(5mL)を添加し、生成物を15%Na2S2O3(3×10mL)及びNaHCO3飽和溶液(3×10mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を酢酸エチル-ヘキサン(1%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物10(173g、90%)を得た。化合物10:無色油、Rf:0.67(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2925,2854,1702,1455,1066。MS(ESI)[m/z,(%)]:257(100),241([M++1],4),146(22),144(46)。HR-MS(ESI):C15H29O2の計算値241.2162及び実測値241.2142。
【0105】
実施例18:エチル(E)-3-(4-(オクチルオキシ)シクロヘキシル)アクリレート(化合物11)の調製
【化21】
【0106】
化合物10(165mg、0.68mmol)のTHF(5ml)溶液に、Ph3P=CHCO2Et(479mg、1.37mmol)を添加し、混合物を室温にて24時間撹拌した。反応物をH2O(10mL)でクエンチし、これを酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(1%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物11(153mg、72%)を得た。化合物11:無色油、Rf:0.72(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2927,2855,1721,1652,1465。MS(ESI)[m/z,(%)]:312(26),311([M++1],100),181(55),146(32),144(60),131(32)。HR-MS(ESI):C19H35O3の計算値311.2581及び実測値311.2573。
【0107】
実施例19:3-(4-(オクチルオキシ)シクロヘキシル)プロパン酸(化合物12)の調製
【化22】
【0108】
MeOH(5mL)中の化合物11(160mg、0.51mmol)の混合物に、触媒量のPd/C(10%)を添加し、懸濁液をH2下、室温にて24時間撹拌した。次いで、混合物をセライトで濾過して、濾液を回転蒸発させた。残渣をTHF/H2O(1:1、8ml)に溶解させ、LiOH・H2O(32mg、0.80mmol)を添加し、混合物を室温にて23時間撹拌した。10%HCl(4mL)を添加し、生成物をCH2Cl2(3×5mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(30%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物12(137mg、95%)を得た。化合物12:無色油、Rf:0.80(50%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3461,3001,2925,2854,1709,1455,1275。MS(ESI)[m/z,(%)]:302(11),285([M++1],100),155(31),144(34)。HR-MS(ESI):C17H33O3の計算値285.2424及び実測値285.2419。
【0109】
実施例20:(S)-2-((R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-2-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(4-(オクチルオキシ)シクロヘキシル)プロパノエート(化合物13)の調製
【化23】
【0110】
化合物12(90mg、0.32mmol)のCH2Cl2(5ml)撹拌溶液に、DIC(44.0μl、0.35mmol)及びDMAP(33mg、0.32mmol)を添加し、混合物を10分間撹拌した。保護されたビタミンC3(171mg、0.48mmol)をCH2Cl2(5ml)中に滴加し、反応混合物を室温にて6時間撹拌して、次いで濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(10%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物13(108mg、54%)を得た。
【0111】
化合物13:無色油、Rf:0.53(30%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3404,2925,2853,1767,1743,1673,1454,1320。MS(ESI)[m/z,(%)]:640(19),623([M++1],100),411(15),146(38),144(93),131(35)。HR-MS(ESI):C37H51O8の計算値623.3578及び実測値623.3584。
【0112】
実施例21:2-(3,4-ジヒドロキシ-5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-2-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(4-(オクチルオキシ)シクロヘキシル)プロパノエート(化合物I
c)の調製
【化24】
【0113】
メタノール(4ml)中の化合物13(104mg、0.17mmol)の混合物に、触媒量のPd/C(10%)を添加し、懸濁液をH2下、室温にて5時間撹拌した。次いで、混合物をセライトで濾過し、濾液を回転蒸発させて、化合物14(63mg、84%)を得た。化合物14:無色油、Rf:0.10(酢酸エチル)。IR(ATR,cm-1):3337,2967,2929,2874,1721,1613,1562,1522。
【0114】
1H-NMR(MeOD-d4,δ):4.75(m,1H,CH-2’’/3’’),4.16(m,3H,CH-2’’/3’’,CH2-1’’),3.49(m,1H,CH2-1’/CH-7),3.41(t,J=6.5Hz,2H,CH2-1’/CH-7),2.40(m,2H,CH2-2),1.86(m,2H),1.45(m,21H),0.92(t,J=6.6Hz,3H,CH3-8’)ppm。13C NMR(MeOD-d4,δ)::174.4(CO),170.2(CO),162.7(C-7’’),137.0(C-6’’),75.8(CH-7/3’’),73.8(CH-7/3’’),72.9(CH2-1’),67.5(CH2-1’’),66.6(CH-2’’),64.2(CH2),35.9(CH-4),31.8(CH2),31.6(CH2),31.2(CH2),31.1(CH2),29.8(CH2),29.2(CH2),29.1(CH2),28.9(CH2),26.7(CH2),26.1(CH2),22.3(CH2),13.6(CH3-8’)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:533(100),443([M++1],40),411(23),144(31)。HR-MS(ESI):C23H38O8の計算値443.2635及び実測値443.2626。
【0115】
実施例22:4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)シクロヘキサン-1-オール(化合物2)の調製
【化25】
【0116】
ジオール1(5.0g、0.03モル)のDMF(100mL)溶液に、イミダゾール(10.5g、0.15モル)、触媒量のDMAP及びTBDPSCl(10.5mL、0.04mol)を添加し、混合物を室温にて4時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、酢酸エチル(20mL)を添加し、生成物をH2O(3×20mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(15%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2(13.9g、99%)を得た。化合物2:無色油、Rf:0.60(30%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3350,2927,2859,1427,1110,701。MS(ESI)[m/z,(%)]:369([M++1],100),351([M+-OH],21)。HRMS(ESI):C23H33O2Siの計算値369.2244及び実測値369.2241。
【0117】
実施例23:4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)シクロヘキサン-1-オン(化合物3)の調製
【化26】
【0118】
化合物2(1.4g、3.77mmol)のCH2Cl2(20mL)溶液に、モレキュラーシーブ(1.4g)、NMO(1.3g、11.30mmol)及び触媒量のTPAPを添加し、撹拌を室温にて45分間続けた。反応物をセライトで濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(10%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物3(1.0g、74%)を得た。化合物3:無色油、Rf:0.70(30%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2953,2928,2856,1713。MS(ESI)[m/z,(%)]:389([M++Na],3),289([M+-Ph],100)。HRMS(ESI):C23H30NaO2Siの計算値389.1907及び実測値389.1906。
【0119】
実施例24:tert-ブチル((4-ヘキシリデンシクロヘキシル)メトキシ)ジフェニルシラン(化合物4)の調製
【化27】
【0120】
0℃に冷却した[Ph3PC6H13]Br(6.0g,13.95mmol)のTHF(10mL)懸濁液に、n-BuLiの2.5M溶液(5.1mL、12.70mmol)を添加し、混合物を1時間撹拌した。THF(5mL)中の化合物3(852mg、2.30mmol)を添加し、撹拌を室温にて48時間続けた。反応物をNaHCO3飽和溶液(20mL)でクエンチして、これをtBuOMe(3×20mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(1%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物4(845mg、84%)を得た。化合物4:無色油、Rf:0.82(10%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2954,2926,2855。MS(ESI)[m/z,(%)]:435([M++1],40),265(100)。HRMS(ESI):C29H43OSiの計算値435.3077及び実測値435.3073。
【0121】
実施例25:(4-ヘキシリデンシクロヘキシル)メタノール(化合物5)の調製
【化28】
【0122】
化合物4(2.4g、5.50mmol)のTHF(20mL)溶液に、TBAF(6.6mL、6.60mmol)の1.0M溶液を室温にて添加し、混合物を同じ条件で19時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル-ヘキサン(5%)を溶離液として使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに供し、化合物5(1.0g、99%)を得た。化合物5:無色油、Rf:0.30(10%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3338,2953,2917,2852。MS(ESI)[m/z,(%)]:198(15),197([M++1],100),179(19)。HRMS(ESI):C13H25Oの計算値197.1899及び実測値197.1898。
【0123】
実施例26:エチル(E)-3-(4-ヘキシリデンシクロヘキシル)アクリレート(化合物6)の調製
【化29】
【0124】
化合物5(213mg、1.17mmol)のCH2Cl2(4mL)溶液に、モレキュラーシーブ(200mg)、NMO(411mg、3.51mmol)及び触媒量のTPAPを添加し、撹拌を室温にて1時間続けた。反応物をセライトで濾過した。溶媒を蒸発させ、残渣をTHF(5mL)に溶解させて、Ph3P=CHCO2Et(850mg、2.34mmol)を添加して、混合物を23時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル-ヘキサン(1%)を溶離液として使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに供して、化合物6(204mg、66%)を得た。化合物6:無色油、Rf:0.42(5%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3404,2955,2923,2870,2854,1718,1650。
【0125】
MS(ESI)[m/z,(%)]:266(18),265([M++1],100)。HRMS(ESI):C17H29O2の計算値265.2162及び実測値265.2159。
【0126】
実施例27:エチル3-(4-ヘキシルシクロヘキシル)プロパノエート(化合物7)の調製
【化30】
【0127】
MeOH(5mL)中の化合物6(555mg、2.10mmol)の混合物に、触媒量のPd/C(10%)を添加し、懸濁液をH2下、室温にて24時間撹拌した。次いで、混合物をセライトで濾過して、濾液を回転蒸発させた。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、化合物7を得た(550mg、99%)。化合物7:無色油、Rf:0.70(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):2954,2918,2870,2850,1736。MS(ESI)[m/z,(%)]:270(19%),269([M++1],100)。HRMS(ESI):C17H33O2の計算値269.2475及び実測値269.2473。
【0128】
実施例28:3-(4-ヘキシルシクロヘキシル)プロパン酸(化合物8)の調製
【化31】
【0129】
化合物7(169mg、0.63mmol)のTHF/H2O(1:1、4mL)溶液にLiOH・H2O(79mg,1.89mmol)を添加して、混合物を室温にて7日間撹拌した。HCl10%(2mL)を添加し、生成物をCH2Cl2(3×5mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で脱水して、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(10%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物8(142mg、94%)を得た。化合物8:無色油、Rf:0.40(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3039,2955,2918,2870,2850,1705。MS(ESI)[m/z,(%)]:241([M++1],100),223(44),219(63),205(65)。HRMS(ESI):C15H29O2の計算値241.2162及び実測値241.2161。
【0130】
実施例29:(S)-2-((R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-2-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(4-ヘキシルシクロヘキシル)プロパノエート(化合物9)の調製
【化32】
【0131】
化合物8(187mg、0.78mmol)のCH2Cl2(5mL)撹拌溶液に、DIC(132.0μl、0.86mmol)及びDMAP(79mg、0.78mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌した。保護されたビタミンC3(418mg、1.17mmol)をCH2Cl2(5mL)中に滴加し、反応混合物を室温にて一晩撹拌し、次いで濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル-ヘキサン(15%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物9(290mg、64%)を得た。化合物9:無色油、Rf:0.70(20%酢酸エチル/ヘキサン)。IR(ATR,cm-1):3404,2953,2919,2850,1761,1742,1671。MS(ESI)[m/z,(%)]:579([M++1],100),367(34),269(84)。HRMS(ESI):C35H47O7の計算値579.3316及び実測値579.3303。
【0132】
実施例30:(S)-2-((R)-3,4-ジヒドロキシ-5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-2-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(4-ヘキシルシクロヘキシル)プロパノエート(化合物I
b)の調製
【化33】
【0133】
メタノール(4mL)中の化合物9(44mg、0.07mmol)の混合物に、触媒量のPd/C(10%)を添加し、懸濁液をH2下、室温にて4時間撹拌した。次いで、混合物をセライトで濾過し、濾液を回転蒸発させて、Ib(23mg、74%)を得た。化合物Ib:無色油、Rf:0.09(酢酸エチル)。IR(ATR,cm-1):3378,2889,2837,1757。1H-NMR(MeOD-d4,δ):4.78(m,8H),4.22(m,3H,CH2-1’’,CH-2’’),2.41(m,2H,CH2-2),1.78(m,4H),1.55(m,4H),1.19(m,14H),0.92(m,3H,CH3-6’)ppm。13C-NMR(MeOD-d4,δ):174.1(CO),171.8(CO),152.6(C-7’’),118.7(C-6’’),75.8(CH-3’’),66.7(CH-2’’),64.4(CH2-1’’),37.7(CH-4/7),37.3(CH-4/7),37.3(CH2-2),32.9(CH2),32.7(CH2),32.0(CH2),31.7(CH2),31.2(CH2),29.4(CH2),28.5(CH2),28.3(CH2),26.7(CH2),22.4(CH2),13.1(CH3-6’)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:416(100),399([M++1],49),367(72),282(29)。HRMS(ESI):C21H35O7の計算値399.2377及び実測値399.2372。
【0134】
実施例31:細胞培養及び本発明の化合物による細胞の処置
【0135】
細胞培養
ヒト膵臓癌由来のBXPC3、CAPAN2、RWP1細胞株は、バルセロナのBiomedical Research lnstitute(IRB)によって提供された。ヒト原発性黒色腫由来のMW115及びIGR39細胞株並びにヒト転移性黒色腫由来のMW266.4及びIGR37は、バルセロナのCatalan Institute of Oncology(ICO)のManel Esteller博士によって提供された(Vizoso M.ら、´´Epigenetic activation of a cryptic TBC1D16 transcript enhances melanoma progression by targeting EGFR´´Nat Med.,2015,vol 21(7),pp.741-50)。ヒト結腸癌由来のDLDL 1、SW 480及びHCT116細胞株は、University of Barcelona(UB)、Research Institute August Pi Sunyer(IDIBAPS)のDra.Neus Agellによって提供された。ヒト胃癌及び肺癌にそれぞれ由来するNUG-C4及びCOLO 668細胞株は、バルセロナのCenter for Genomic Regulation(CRG)によって提供された。臍帯(HUVEC)及び大動脈(HAEC)由来のヒト初代内皮細胞は、研究者Dra.Teresa Royoから直接入手して、実験室で液体窒素中に保存した。BXPC 3、CAPAN2及びDLD1細胞株をRPMl-1640培地で維持し、SW 480及びHCT116をDMEM/HAMで、RWP1及び全ての黒色腫細胞株をDMEMで維持して、細胞培地(Gibco)には全て10%ウシ胎児血清及び抗生物質を添加した。HUVEC及びHAEC初代細胞は、20%ウシ胎児血清、内皮細胞増殖サプリメント(ECGS)、ヘパリン(Hep)及び抗生物質を添加したM199培養培地(Gibco)で維持した。5%CO2を含有する37℃の湿潤雰囲気中の細胞インキュベータ内で培養物を維持した。
【0136】
試験を行う各種化合物は0.5Mの濃度で100%メタノールに容易に溶解し、続いて0.1M中間希釈液を100%エタノールで調製した。この後者の希釈液から、規定の濃度の各種処置剤を、対応する添加培地で調製した。各種の処置剤を2倍濃度で調製し、それら100μlをウェル内の同じ体積の細胞増殖培地に添加して、最終濃度(0.1~0.3mM~0.1、0.2、0.25及び0.3mM)とした。
【0137】
細胞処置
以下に説明するプロトコルに従って、各種の化合物を用いたアッセイを96ウェルプレートで行った。
【0138】
各種ヒト癌細胞株の場合は0.5%トリプシン-EDTA、ヒト初代内皮細胞の場合は0.25%トリプシン-EDTAによるトリプシン/EDTA消化によって細胞を再懸濁させた。培地に再懸濁させたら、トリパンブルーで1:1希釈した後、Newbauerチャンバで計数した。この染色により、懸濁液中の生細胞の数が判明する。計数から、細胞の好適な希釈液(各種の細胞種の増殖速度に応じて96ウェルプレート中5000又は10000細胞/100μl/ウェル)を調製した。細胞を細胞インキュベータ内で48時間培養した。48時間のインキュベーション後、100μl/ウェルの上記で説明したように調製した化合物の2倍濃縮溶液を添加した。次いで、細胞を細胞インキュベータ内で保つことによって、処置剤を72時間維持した。
【0139】
72時間後、培地をデカンテーションによって除去し、細胞をDPBSで2回洗浄し、次いで細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液100μlで30分間固定した。次いで、mQ H2O 100μlで2回洗浄し、直ちに蒸留水中で調製した0.25%Violet Crystal溶液50μlを添加し、室温にて30分間維持した。染色時間の終わりに、蒸留水で数回洗浄して過剰のViolet Crystalを完全に除去し、次いで、プレートを37℃のオーブンで完全に乾燥させた。
【0140】
ウェルあたりの光学密度値は、Biotek Synergy(商標)2多重検出マイクロプレートリーダーによって、590nmフィルターを使用し、走査読み取りによって得られ、ウェルあたりの平均値を得た。
【0141】
結果
様々な起源の原発性又は転移性ヒト癌細胞を本発明の化合物で濃度を上昇させて処置した場合、
図1~12で認められ得るように、癌細胞の増殖は有意に低減された。
【0142】
さらに、化合物Ibは、0.2mMという低濃度でも顕著な阻害能を示した。
【0143】
特に、本発明の化合物の投与は、正常な非形質転換細胞の増殖に有意に影響を及ぼさなかった。この有意な毒性の欠如は、適用されたペプチドの用量(0.1mM~0.3mMに及ぶ、
図13)とは無関係に維持された。
【0144】
これらの結果は、非形質転換細胞におけるそれらの低い毒性及び原発性及び転移性の両方の癌細胞におけるそれらの高い増殖阻害活性を考慮すると、抗癌剤としての本発明の化合物の高い治療可能性を明確に実証している。
【国際調査報告】