(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための併用療法におけるCD3及びCD20に対する二重特異性抗体
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230927BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/475 20060101ALI20230927BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20230927BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230927BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230927BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20230927BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230927BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K31/675
A61K31/704
A61K31/475
A61K31/573
A61P35/00
A61P43/00 121
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515674
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021075016
(87)【国際公開番号】W WO2022053654
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ジェンマブ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】アフマディ,タハムタン
(72)【発明者】
【氏名】チウ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ブレイジ,エステル・シー・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヒエムストラ,アイダ
(72)【発明者】
【氏名】ジュレ・クンケル,マリア・エヌ
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085CC23
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB21
4C086DA10
4C086DA35
4C086EA10
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4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)の標準治療レジメンと組み合わせてCD3及びCD20に結合する二重特異性抗体を使用する、ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、以前に未治療の高リスクDLBCL)の臨床治療方法が提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、二重特異性抗体と、有効量の(a)リツキシマブ、(b)シクロホスファミド、(c)ドキソルビシン、(d)ビンクリスチン及び(e)プレドニゾンとを前記対象に投与することを含み、前記二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、前記VH領域は、配列番号6の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域は、配列番号7の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、前記VH領域が、配列番号13の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域が、配列番号14の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
前記二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が21日サイクルで投与される、方法。
【請求項2】
前記二重特異性抗体を24mgの用量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二重特異性抗体を48mgの用量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記二重特異性抗体を週に1回投与する(毎週の投与)、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
24mg又は48mgの前記毎週の投与が、3回及び1/3回の21日サイクルにわたって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記毎週の投与の後、前記二重特異性抗体を3週間に1回投与する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記3週間に1回の投与が、2回又は4回の21日サイクルにわたって行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記3週間に1回の投与の後、前記二重特異性抗体を28日間サイクルで4週間に1回投与する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記4週間に1回の投与が、前記二重特異性抗体による治療の合計1年までの期間にわたって行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
24mg又は48mgの前記毎週の投与の前に、前記二重特異性抗体のプライミング用量を前記21日サイクルのサイクル1で投与する、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記プライミング用量が、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する2週間前に投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プライミング用量が0.16mgである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記プライミング用量を投与した後、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する前に、前記二重特異性抗体の中間用量を投与する、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記プライミング用量を1日目に投与し、前記中間用量を8日目に投与した後、サイクル1の15日目に24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記中間用量が0.8mgである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
リツキシマブが3週間に1回投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記3週間に1回のリツキシマブの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
リツキシマブが375mg/m
2の用量で投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
シクロホスファミドが3週間に1回投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記3週間に1回のシクロホスファミドの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
シクロホスファミドが750mg/m
2の用量で投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ドキソルビシンが3週間に1回投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記3週間に1回のドキソルビシンの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ドキソルビシンが50mg/m
2の用量で投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ビンクリスチンが3週間に1回投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記3週間に1回のビンクリスチンの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ビンクリスチンが1.4mg/m
2の用量で投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
プレドニゾンを21日サイクルの1日目から5日目まで1日1回投与する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
プレドニゾンを6回又は8回の21日サイクルにわたり投与する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
プレドニゾンを100mg/日の用量で投与する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体を、同日(例えば、21日サイクルのサイクル1~6又はサイクル1~8の1日目)に投与する、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び二重特異性抗体の投薬スケジュールが表2に示される通りである、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5及び6では、1日目に24mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~6の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~6の1~5日目に投与される、請求項1、2及び4~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5及び6では、1日目に48mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~6の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~6の1~5日目に投与される、請求項1及び3~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記二重特異性抗体が、サイクル7から1日目に28日サイクルで4週間ごとに1回投与される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に24mgの用量が投与され; (iii)サイクル5~8では、1日目に24mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~8の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~8の1~5日目に投与される、請求項1、2及び4~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
投与が21日間サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5~8では、1日目に48mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~8の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~8の1~5日目に投与される、請求項1及び3~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記二重特異性抗体が、サイクル9から1日目に28日サイクルで4週間ごとに1回投与される、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記二重特異性抗体が皮下投与される、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
リツキシマブが静脈内投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
シクロホスファミドが静脈内投与される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ドキソルビシンが静脈内投与される、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ビンクリスチンが静脈内投与される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
プレドニゾンが静脈内又は経口投与される、請求項1~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が連続的に投与される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が同じ日に投与される場合、プレドニゾンが最初に投与され、リツキシマブが2番目に投与され、シクロホスファミドが3番目に投与され、ドキソルビシンが4番目に投与され、ビンクリスチンが5番目に投与され、前記二重特異性抗体が最後に投与される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記DLBCLがダブルヒット又はトリプルヒットDLBCLである、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記DLBCLが濾胞性リンパ腫グレード3Bである、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象が、国際予後指標(IPI)スコア又は改訂IPIスコア≧3を有する、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象が、DLBCL又は濾胞性リンパ腫グレード3Bの事前治療を受けたことがない、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、それぞれ配列番号1、2及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む、
請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む、
請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームがヒト化抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むλ軽鎖定常領域を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記二重特異性抗体の前記第2の結合アームがヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記第2の結合アームが、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むκ軽鎖定常領域を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記二重特異性抗体が、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記二重特異性抗体が不活性Fc領域を含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖及び前記第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAである、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、
(i)前記第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAであり、
(ii)前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、
請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記二重特異性抗体が、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖とを含む、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖とを含む、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記二重特異性抗体がエプコリタマブ又はそのバイオシミラーである、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD3及びCD20の両方を標的とする二重特異性抗体、並びにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、例えば以前に治療されていない高リスクDLBCLを治療するための標準治療R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)レジメンと組み合わせたそのような抗体の使用に関する。有利な治療レジメンも提供される。
【背景技術】
【0002】
DLBCLは、最も一般的な非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、標準的な第一選択療法はR-CHOPである。新たに診断されたDLBCLの全集団に対するこの組み合わせの治癒率は、60%~70%(Sehn et al.,Blood 2007;109:1867-61)である。用量の増強及びレジメンを増強するための他の薬剤の添加を含む第一選択療法のアウトカムを改善する試みは、標準治療を変更するのに十分な証拠を提供することができなかった。
【0003】
一次治療に対するCRの割合、疾患再発及びOSに影響を及ぼすリスク因子は、国際予後指数(IPI)又は改訂IPI(R-IPI)に含まれる:年齢>60歳、ECOG>1又はKPS<60、LDH>ULN;節外疾患>1(2以上)、及び疾患ステージ3又は4(Project et al.,N Engl J Med 1993;329:987-994;Sehn et al.、前出)。良好なリスク群(1~2つのIPI因子)の患者は、標準的な第一選択R-CHOP後に80%の4年PFSを有するが、低リスク(高リスク)群(3~5つのIPI因子)の患者の45%は、55%の4年PFS及びOSを達成するだけである(Sehn et al.、前出)。
【0004】
現在利用可能な治療に対する低リスク対象の限られた有効性及び長期応答を考えると、新規かつ有効な治療が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sehn et al.,Blood 2007;109:1867-61
【非特許文献2】Project et al.,N Engl J Med 1993;329:987-994
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体を標準治療のR-CHOPレジメン、特に有利な臨床治療レジメンと組み合わせて投与することによって、DLBCL、例えば以前に治療されていないDLBCL(例えば、高リスクの特徴(例えば、IPI又はR-IPI≧3)を有するDLBCL)を有するヒト対象を治療する方法が提供される。
【0007】
一態様では、ヒト対象のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、エプコリタマブとR-CHOPとの組み合わせを対象に投与することを含む方法、例えば、有効量の(a)リツキシマブ、(b)シクロホスファミド、(c)ドキソルビシン、(d)ビンクリスチン、(e)プレドニゾン、及び(f)エプコリタマブを対象に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0008】
一態様では、ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、二重特異性抗体と、有効量の(a)リツキシマブ、(b)シクロホスファミド、(c)ドキソルビシン、(d)ビンクリスチン、(e)プレドニゾンとを前記対象に投与することを含み、前記二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、前記VH領域は、配列番号6の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域は、配列番号7の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、前記VH領域が、配列番号13の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域が、配列番号14の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
前記二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が21日サイクルで投与される、方法が本明細書で提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、24mgの用量(又はおよその用量)で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、48mgの用量(又はおよその用量)で投与される。
【0010】
一実施形態では、二重特異性抗体は、24mg又は48mgの用量(毎週の投与/用量)で、例えば、3回及び1/3回の21日サイクル(すなわち、サイクル1の15日目並びにサイクル2~4の1、8、及び15日目)にわたって、毎週1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2回又は4回の21日サイクルにわたる毎週の投与の後、3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、28日サイクルで3週間に1回の投与の後、例えば、R-CHOPの開始から(すなわち、サイクル1から)二重特異性抗体による治療の総期間の最大1年間にわたって、4週間に1回投与される。更なる実施形態では、二重特異性抗体のプライミング用量(例えば、0.16mg又は約0.16mg)を、24mg又は48mgの第1の毎週用量を投与する2週間前に投与する。いくつかの実施形態では、プライミング用量を投与した後、24mg又は48mgの毎週用量を投与する前に、中間用量(例えば、0.8mg又は約0.8mg)の二重特異性抗体を投与する。いくつかの実施形態では、プライミング用量は、中間用量の1週間前に投与され、中間用量は、24mg又は48mgの第1の毎週用量の1週間前に投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、リツキシマブは、21日サイクルで、3週間に1回、例えば、6回又は8回の21日サイクルにわたって投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、375mg/m2の用量で投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、21日サイクルで、3週間に1回、例えば、6回又は8回の21日サイクルにわたって投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは750mg/m2の用量で投与される。
【0013】
いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、21日サイクルで、3週間に1回、例えば、6回又は8回の21日サイクルにわたって投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは50mg/m2の用量で投与される。
【0014】
いくつかの実施形態では、ビンクリスチンは、21日サイクルで、3週間に1回、例えば、6回又は8回の21日サイクルにわたって投与される。いくつかの実施形態では、ビンクリスチンは1.4mg/m2の用量で投与される。
【0015】
いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、21日サイクルの1日目から5日目まで、例えば6回又は8回の21日サイクルにわたって1日1回投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは100mg/日の用量で投与される。
【0016】
いくつかの実施形態では、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び二重特異性抗体は、例えば、表2に示されるように、同日(例えば、サイクル1~6の1日目又はサイクル1~8の1日目)に投与される。
【0017】
いくつかの実施形態では、投与は21日間サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5及び6では、1日目に24mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~6の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~6の1~5日目に投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、投与は21日間サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5及び6では、1日目に48mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~6の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~6の1~5日目に投与される。
【0019】
一実施形態では、二重特異性抗体は、サイクル7から28日サイクルで4週間ごとに1回投与され、二重特異性抗体は各サイクルの1日目に投与される。
【0020】
いくつかの実施形態では、投与は21日間サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5~8では、1日目に24mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~8の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~8の1~5日目に投与される。
【0021】
いくつかの実施形態では、投与は21日間サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5~8では、1日目に48mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~8の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~8の1~5日目に投与される。
【0022】
一実施形態では、二重特異性抗体は、サイクル9から28日サイクルで4週間ごとに1回投与され、二重特異性抗体は各サイクルの1日目に投与される。
【0023】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は皮下投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは静脈内投与される。更なる実施形態では、ドキソルビシンは静脈内投与される。なお更なる実施形態では、ビンクリスチンは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは静脈内又は経口投与される。
【0024】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンは連続的に投与される。例えば、同日に投与される場合、プレドニゾンが最初に投与され、リツキシマブが2番目に投与され、シクロホスファミドが3番目に投与され、ドキソルビシンが4番目に投与され、ビンクリスチンが5番目に投与され、二重特異性抗体が最後に投与される。
【0025】
いくつかの実施形態では、DLBCLはダブルヒット又はトリプルヒットDLBCLである。いくつかの実施形態では、DLBCLは濾胞性リンパ腫グレード3Bである。いくつかの実施形態では、対象は、国際予後指数(IPI)スコア又は改訂IPIスコア≧3を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、対象は、サイトカイン放出症候群(CRS)の予防法で治療される。いくつかの実施形態では、予防法は、例えば、二重特異性抗体と同日にコルチコステロイド(例えば、経口用量を含む、例えば100mg/日又はそれと等価な用量のプレドニゾン)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、二重特異性抗体を投与した後の2日目、3日目及び4日目に更に投与される。いくつかの実施形態では、R-CHOPのプレドニゾン成分が既にCRS予防法のコルチコステロイド成分としてはたらくため、R-CHOPレジメンの一部としてプレドニゾンを21日の各サイクルの1~5日目に投与することを含む本明細書に記載の方法では、CRSの追加の予防法は必要とされない(すなわち、コルチコステロイドの二重投薬はない)。しかしながら、そのような実施形態では、コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン又はその等価物が、CRS予防法のために、二重特異性抗体が投与されるがR-CHOPが投与されない日(すなわち、プレドニゾン又はその等価物が、第1の21日サイクルの8~11日目及び15~18日目に投与され、例えば、CRS>グレード1が前のサイクルの終わりに残っている場合、第2の21日サイクル(又はその後のサイクル)の8~11日目及び15~18日目に投与される)に投与されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、R-CHOPからのプレドニゾンが二重特異性抗体の投与の120分より前に投与されるならば、対象には、CRS予防法としてのプレドニゾン又は等価物が二重特異性抗体の投与の約30~120分前に投与される。
【0028】
いくつかの実施形態では、対象には、注射に対する反応を低下させるために、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン、静脈内又は経口、例えば、50mgそれと等価な用量)及び/又は解熱薬(例えば、650~1000mgの用量のアセトアミノフェン)等の前投薬が投与される。いくつかの実施形態では、前投薬は、二重特異性抗体と同じ日に投与される。
【0029】
いくつかの実施形態では、予防法及び前投薬は、21日サイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に(すなわち、サイクル2の1日目における二重特異性抗体の第1の用量と一緒に)投与される。いくつかの実施形態では、対象が21日サイクルのサイクル2における二重特異性抗体の第1の投与の後でグレード1超のCRSを経験するとき、21日サイクルのサイクル2の間の二重特異性抗体の2回目及び3回目の投与の間に予防法が投与される。いくつかの実施形態では、予防法は、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において対象がグレード1を超えるCRSを経験するとき、後続のサイクルにおいて継続される。更なる実施形態では、予防法及び前投薬は、21日サイクルのサイクル2の間に投与される。なお更なる実施形態では、予防法及び前投薬は、後続のサイクル中に投与される。
【0030】
いくつかの実施形態では、対象がグレード1のCRSを発症する場合、対象は抗生物質を投与される。いくつかの実施形態では、対象がグレード2又はグレード3のCRSを発症する場合、対象には昇圧剤が投与される。いくつかの実施形態では、対象がグレード4のCRSを発症する場合、対象は少なくとも2つの昇圧剤を投与される。
【0031】
いくつかの実施形態では、対象がグレード2、グレード3又はグレード4のCRSを発症する場合、対象にトシリズマブが投与される。いくつかの実施形態では、対象にはステロイド(例えば、デキサメタゾン又はメチルプレドニゾロン)が更に投与される。いくつかの実施形態では、対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブは抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)又はIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)に切り替えられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、対象には、腫瘍崩壊症候群(TLS)の予防法が投与される。いくつかの実施形態では、TLSの予防法は、二重特異性抗体の投与前に1つ以上の尿酸還元剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、ラスブリカーゼ及び/又はアロプリノールが尿酸還元剤として投与される。いくつかの実施形態では、対象がTLSの徴候を示す場合、ラスブリカーゼ等の支持療法が使用され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で治療される対象は、例えば、Lugano基準又はLYRICによって定義されるような完全奏効、部分奏効、又は安定疾患を達成する。
【0034】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の抗原結合領域は、それぞれ配列番号1、2及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含み、第2の抗原結合領域は、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の抗原結合領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含み、第2の抗原結合領域は、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の結合アームは、ヒト化抗体、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体(例えば、配列番号22)に由来する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第2の結合アームはヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体(例えば、配列番号23)に由来する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である。
【0037】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域、例えば、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAであるFc領域を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、二重特異性抗体の形成を促進する置換を含み、例えば、第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであり、又はその逆である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域(例えば、L234、L235及びD265における置換(例えば、L234F、L235E、及びD265A))及び二重特異性抗体形成を促進する置換(例えば、F405L及びK409R)の両方を有する。更なる実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む(又はそれらからなる)第1の重鎖及び第1の軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む(又はそれらからなる)第2の重鎖及び第2の軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、上記二重特異性抗体は、エプコリタマブ又はそのバイオシミラーである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1A】DuoBody CD3xCD20誘導性T細胞媒介性細胞傷害に対するCHOP成分の最小効果を示すグラフである。DuoBody CD3xCD20+シクロホスファミド。左パネルは、1つの代表的なドナーについてのDuoBody CD3xCD20用量応答曲線を示す。右パネルは、333ng/mLのDuoBody CD3xCD20における4人のドナーについての結果を示す。
【
図1B】DuoBody CD3xCD20誘導性T細胞媒介性細胞傷害に対するCHOP成分の最小効果を示すグラフである。DuoBody CD3xCD20+ドキソルビシン。左パネルは、1つの代表的なドナーについてのDuoBody CD3xCD20用量応答曲線を示す。右パネルは、333ng/mLのDuoBody CD3xCD20における4人のドナーについての結果を示す。
【
図1C】DuoBody CD3xCD20誘導性T細胞媒介性細胞傷害に対するCHOP成分の最小効果を示すグラフである。DuoBody CD3xCD20+ビンクリスチン。左パネルは、1つの代表的なドナーについてのDuoBody CD3xCD20用量応答曲線を示す。右パネルは、333ng/mLのDuoBody CD3xCD20における4人のドナーについての結果を示す。
【
図1D】DuoBody CD3xCD20誘導性T細胞媒介性細胞傷害に対するCHOP成分の最小効果を示すグラフである。DuoBody CD3xCD20+プレドニゾン。左パネルは、1つの代表的なドナーについてのDuoBody CD3xCD20用量応答曲線を示す。右パネルは、333ng/mLのDuoBody CD3xCD20における4人のドナーについての結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン」という用語は、2対のポリペプチド鎖、1対の軽(L)低分子量鎖及び1対の重(H)鎖からなる構造的に関連する糖タンパク質のクラスを指し、4つ全てがジスルフィド結合によって相互接続されている。免疫グロブリンの構造は十分に特徴付けられている(例えば、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989)を参照)。簡潔には、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVH又はVHと略す)及び重鎖定常領域(本明細書ではCH又はCHと略す)からなる。重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメイン、CH1、CH2、及びCH3から構成される。ヒンジ領域は、重鎖のCH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域であり、非常に柔軟である。ヒンジ領域内のジスルフィド結合は、IgG分子内の2つの重鎖間の相互作用の一部である。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書ではVL又はVLと略す)及び軽鎖定常領域(本明細書ではCL又はCLと略す)から構成される。軽鎖定常領域は、典型的には、1つのドメインCLで構成される。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変領域(又は構造的に定義されたループの配列及び/又は形態で超可変であり得る超可変領域)に更に細分することができる。各VH及びVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で配置された3つのCDR及び4つのFRで構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J Mol Biol 1987;196:90117を参照)。特に明記しない限り、又は文脈と矛盾しない限り、本明細書のCDR配列は、IMGT規則(Brochet X.,Nucl Acids Res 2008;36:W503-508;Lefranc MP.,Nucl Acids Res 1999;27:209-12;www.imgt.org/)に従って同定される。特に明記しない限り、又は文脈と矛盾しない限り、定常領域内のアミノ酸位置への言及は、EUナンバリング(Edelman et al.,PNAS.1969;63:78-85;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition.1991 NIH Publication No.91-3242)に従う。例えば、配列番号15は、IgG1重鎖定常領域の、EUナンバリングで118~447位のアミノ酸を示す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「位置...に対応するアミノ酸」という用語は、ヒトIgG1重鎖のアミノ酸位置の番号を指す。他の免疫グロブリン中の対応するアミノ酸位置は、ヒトIgG1とのアラインメントによって見出され得る。したがって、別の配列中のアミノ酸又はセグメント「に対応する」1つの配列中のアミノ酸又はセグメントは、典型的にはデフォルト設定で、ALIGN、ClustalW又は同様の標準的な配列アラインメントプログラムを使用して他のアミノ酸又はセグメントとアライメントするものであり、ヒトIgG1重鎖に対して少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の同一性を有する。配列中の配列又はセグメントを整列させ、それによって本発明によるアミノ酸位置に対する配列中の対応する位置を決定することは、当業者の能力の範囲内である。
【0042】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「抗体」(Ab)という用語は、典型的な生理学的条件下で、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間以上、約48時間以上、約3、4、5、6、7日間以上等、又は任意の他の関連する機能的に定義された期間(例えば、抗原への抗体結合に関連する生理学的応答を誘導、促進、増強及び/又は調節するのに十分な時間、及び/又は抗体がエフェクター活性を動員するのに十分な時間)の半減期で抗原に特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子を指す。免疫グロブリン分子の重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体という用語は、特に明記しない限り、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、抗体様ポリペプチド、キメラ抗体及びヒト化抗体も包含する。生成された抗体は、任意のアイソタイプを有し得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「抗体フラグメント」又は「抗原結合フラグメント」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持し、酵素切断、ペプチド合成、及び組換え技術等の任意の公知の技術によって生成することができる免疫グロブリン分子のフラグメントを指す。抗体フラグメントの例としては、(i)Fab’若しくはFabフラグメント、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価フラグメント、又は国際公開第2007059782号(Genmab)に記載されている一価抗体;(ii)F(ab’)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)VHドメイン及びCH1ドメインから本質的になるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLドメイン及びVHドメインから本質的になるFvフラグメント、(v)VHドメインから本質的になり、ドメイン抗体(Holt et al;Trends Biotechnol 2003;21:484-90)とも呼ばれるdAbフラグメント(Ward et al.,Nature 1989;341:54446);(vi)Camelid又はナノボディ(Revets et al;Expert Opin Biol Ther 2005;5:111-24)及び(vii)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VL及びVHは別個の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え法を使用して、VL及びVH領域が対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖としてそれらを作製することを可能にする合成リンカーによって連結され得る(一本鎖抗体又は一本鎖Fv(scFv)として公知であり、例えばBird et al.,Science 1988;242:42326 and Huston et al.,PNAS 1988;85:587983を参照)。そのような一本鎖抗体は、特に明記されない限り、又は文脈によって明確に示されない限り、抗体フラグメントという用語に包含される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「抗体結合領域」又は「抗原結合領域」という用語は、抗原と相互作用し、VH領域とVL領域の両方を含む領域を指す。抗体という用語は、本明細書で使用される場合、単一特異性抗体だけでなく、複数、例えば2つ以上、例えば3つ以上の異なる抗原結合領域を含む多重特異性抗体も指す。抗原結合領域という用語は、特に明記しない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、抗原結合フラグメントであり、すなわち抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体のフラグメントを含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる免疫グロブリンクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE又はIgM)のことを指す。特定のアイソタイプ、例えばIgG1が言及される場合、この用語は、特定のアイソタイプ配列、例えば特定のIgG1配列に限定されないが、抗体が他のアイソタイプよりもそのアイソタイプ、例えばIgG1に配列が近いことを示すために使用される。したがって、例えば、IgG1抗体は、定常領域の変異を含み得る天然に存在するIgG1抗体の配列変異体であり得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「二重特異性抗体」又は「bs」又は「bsAb」という用語は、異なる抗体配列によって定義される2つの異なる抗原結合領域を有する抗体を指す。二重特異性抗体は、任意の形式のものであり得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「半分子」、「Fabアーム」、及び「アーム」という用語は、1つの重鎖-軽鎖対を指す。
【0048】
二重特異性抗体が、第1の親抗体「に由来する」半分子抗体及び第2の親抗体「に由来する」半分子抗体を含むと記載される場合、「に由来する」という用語は、任意の公知の方法によって、当該第1及び第2の親抗体のそれぞれからの当該半分子を、得られた二重特異性抗体に組換えることによって、二重特異性抗体が生成されたことを示す。これに関連して、「組換え(recombining)」は、どのような特定の組換え方法によっても限定されることが意図されず、したがって、例えば、半分子交換(「制御されたFabアーム交換」としても知られる)による組換え、同様にまた、核酸レベルでの、及び/又は同じ細胞における2つの半分子の共発現による組換えを含めて、本明細書に記載される二重特異性抗体を作製するための方法の全てが含まれる。
【0049】
抗体に関連して本明細書で使用される場合、「完全長」という用語は、抗体がフラグメントではないが、天然のそのアイソタイプに通常見られる特定のアイソタイプのドメイン、例えばIgG1抗体のVH、CH1、CH2、CH3、ヒンジ、VL及びCLドメインの全てを含むことを示す。全長抗体を操作することができる。「完全長」抗体の例は、エプコリタマブである。
【0050】
本明細書で使用される場合、「Fc領域」という用語は、免疫グロブリンの2つの重鎖のFc配列からなる抗体領域を指し、当該Fc配列は、少なくともヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含む。
【0051】
本明細書で使用される場合、「第1のCH3領域と第2のCH3領域との間のヘテロ二量体相互作用」という用語は、第1のCH3/第2のCH3ヘテロ二量体タンパク質における第1のCH3領域と第2のCH3領域との間の相互作用を指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、「第1及び第2のCH3領域のホモ二量体相互作用」という用語は、第1のCH3/第1のCH3ホモ二量体タンパク質中の第1のCH3領域と別の第1のCH3領域との間の相互作用、及び第2のCH3/第2のCH3ホモ二量体タンパク質における第2のCH3領域と別の第2のCH3領域との間の相互作用を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「単離抗体」という用語は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。好ましい実施形態では、CD20及びCD3に特異的に結合する単離された二重特異性抗体は更に、CD20又はCD3に特異的に結合する単一特異性抗体を実質的に含まない。
【0054】
本明細書で使用される場合、「CD3」という用語は、T細胞共受容体タンパク質複合体の一部であり、4つの異なる鎖で構成されるヒト分化抗原群3タンパク質を指す。CD3は他の種にも見られるため、「CD3」という用語は、文脈と矛盾しない限り、ヒトCD3に限定されない。哺乳動物では、複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖(ヒトCD3γ鎖UniProtKB/Swiss-Prot No P09693、又はカニクイザルCD3γ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI7)、CD3δ(デルタ)鎖(ヒトCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No P04234、又はカニクイザルCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI8)、2つのCD3ε(イプシロン)鎖(ヒト CD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No P07766、配列番号28);カニクイザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI5;又はアカゲザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No G7NCB9)、及びCD3ζ鎖(ゼータ)鎖(ヒトCD3ζ UniProtKB/Swiss-Prot No P20963、カニクイザルCD3ζ UniProtKB/Swiss-Prot No Q09TK0)を含む。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)として知られる分子と会合し、Tリンパ球において活性化シグナルを生成する。TCR及びCD3分子は共にTCR複合体を含む。
【0055】
本明細書で使用される場合、「CD3抗体」又は「抗CD3抗体」という用語は、抗原CD3、特にヒトCD3ε(イプシロン)に特異的に結合する抗体を指す。
【0056】
「ヒトCD20」又は「CD20」という用語は、ヒトCD20(UniProtKB/Swiss-Prot No P11836、配列番号29)を指し、腫瘍細胞を含む細胞によって天然に発現される、又はCD20遺伝子若しくはcDNAでトランスフェクトされた細胞上で発現されるCD20の任意の変異体、アイソフォーム、及び種ホモログを含む。種ホモログには、アカゲザルCD20(アカゲザル(macaca mulatta);UniProtKB/Swiss-Prot No H9YXP 1)及びカニクイザルCD20(カニクイザル;UniProtKB No G7PQ03)が含まれる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「CD20抗体」又は「抗CD20抗体」という用語は、抗原CD20、特にヒトCD20に特異的に結合する抗体を指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「CD3xCD20抗体」、「抗CD3xCD20抗体」、「CD20xCD3抗体」又は「抗CD20xCD3抗体」という用語は、2つの異なる抗原結合領域を含む二重特異性抗体を指し、その1つは抗原CD20に特異的に結合し、その1つはCD3に特異的に結合する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「DuoBody-CD3xCD20」という用語は、それぞれ配列番号24及び配列番号25で定義される第1の重鎖及び軽鎖対を含み、配列番号26及び配列番号27で定義される第2の重鎖及び軽鎖対を含むIgG1二重特異性CD3xCD20抗体を指す。第1の重鎖及び軽鎖の対は、ヒトCD3ε(イプシロン)に結合する領域を含み、第2の重鎖及び軽鎖の対は、ヒトCD20に結合する領域を含む。
【0060】
第1の結合領域は、配列番号6及び7によって定義されるVH及びVL配列を含み、第2の結合領域は、配列番号13及び14によって定義されるVH及びVL配列を含む。この二重特異性抗体は、国際公開第2016/110576号に記載されているように調製することができる。
【0061】
本明細書で同様に提供される実施例の抗体の重鎖、軽鎖、VL領域、VH領域、又は1つ以上のCDRの機能的変異体を含む抗体。抗体との関連で使用される重鎖、軽鎖、VL、VH、又はCDRの機能的変異体は、依然として、抗体が、CD20及び/又はCD3の特定のエピトープに対する親和性及び/又は特異性/選択性、Fc不活性、並びに半減期、Tmax、Cmax等のPKパラメータを含む、「参照」及び/又は「親」抗体の機能的特徴の少なくともかなりの割合(少なくとも約90%、95%以上)を保持することを可能にする。そのような機能的変異体は、典型的には、親抗体と有意な配列同一性を保持し、及び/又は実質的に同様の長さの重鎖及び軽鎖を有する。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列によって共有される同一の位置の数(すなわち、相同性%=同一位置の数/位置の総数×100)の関数である。2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の同一性パーセントは、例えば、E.Meyers and W.Miller,Comput.Appl.Biosci 4,11-17(1988)のアルゴリズムを使用して決定され得、PAM120重量残基表、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれた。さらに、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Needleman and Wunsch,J Mol Biol 1970;48:444-453のアルゴリズムを用いて決定され得る。例示的な変異体には、主に保存的置換によって親抗体配列の重鎖及び/又は軽鎖、VH及び/又はVL、及び/又はCDR領域とは異なるものが含まれ、例えば、変異体における置換のうちの10個、例えば9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個又は1個は、保存的アミノ酸残基置換であり得る。
【0062】
保存的置換は、以下の表に反映されるアミノ酸のクラス内の置換によって定義され得る。
【表1】
【0063】
別段の指示がない限り、以下の命名法が突然変異を記載するために使用される:i)所与の位置におけるアミノ酸の置換は、例えば、K409Rと書かれ、これは、アルギニンによる位置409におけるリジンの置換を意味し、ii)具体的な変異体については、任意のアミノ酸残基を示すためのコードXaa及びXを含む、具体的なの3文字又は1文字コードが使用される。したがって、409位のアルギニンによるリジンの置換は:K409Rと命名され、409位の任意のアミノ酸残基によるリジンの置換はK409Xと命名される。位置409におけるリジンの欠失の場合、それはK409*によって示される。
【0064】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体定常ドメインと、ヒト可変ドメインに対して高レベルの配列相同性を含むように修飾された非ヒト可変ドメインとを含む、遺伝子操作された非ヒト抗体を指す。これは、共に抗原結合部位を形成する6つの非ヒト抗体CDRを、相同ヒトアクセプターフレームワーク領域(FR)にグラフトすることによって達成することができる(国際公開第92/22653号及び欧州特許第0629240号を参照)。親抗体の結合親和性及び結合特異性を完全に再構成するために、親抗体(すなわち、非ヒト抗体)からヒトフレームワーク領域へのフレームワーク残基の置換(復帰突然変異)が必要とされ得る。構造相同性モデリングは、抗体の結合特性に重要なフレームワーク領域内のアミノ酸残基を同定するのに役立ち得る。したがって、ヒト化抗体は、非ヒトCDR配列、主に、非ヒトアミノ酸配列に対する1つ以上のアミノ酸復帰変異を含んでもよいヒトフレームワーク領域、及び完全ヒト定常領域を含む。
【0065】
DuoBody-CD3xCD20において本明細書で使用されるCD3アームのVH及びVLは、ヒト化抗原結合領域を表す。必ずしも復帰突然変異ではない更なるアミノ酸修飾を適用して、親和性及び生化学的特性等の好ましい特徴を有するヒト化抗体を得てもよい。
【0066】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を指す。ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダム若しくは部位特異的突然変異誘発又はin vivoでの体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含み得る。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、マウス等の別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含むことを意図しない。DuoBody-CD3xCD20で使用されるCD20アームのVH及びVLは、ヒト抗原結合領域を表す。本発明のヒトモノクローナル抗体は、従来のモノクローナル抗体方法論、例えばKohler and Milstein,Nature 256:495(1975)の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を含む様々な技術によって産生され得る。体細胞ハイブリダイゼーション手順が原則として好ましいが、モノクローナル抗体を産生するための他の技術、例えば、Bリンパ球のウイルス若しくは発癌性形質転換又はヒト抗体遺伝子のライブラリーを使用するファージディスプレイ技術を使用することができる。ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製するための適切な動物系は、マウス系である。マウスにおけるハイブリドーマ産生は、非常によく確立された手順である。融合のために免疫化脾細胞を単離するための免疫化プロトコル及び技術は、当技術分野で公知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)及び融合手順も公知である。したがって、ヒトモノクローナル抗体は、例えば、マウス系又はラット系ではなくヒト免疫系の一部を保有するトランスジェニック又はトランスクロモソーマルマウス又はラットを用いて作製することができる。したがって、一実施形態では、ヒト抗体は、動物免疫グロブリン配列の代わりにヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列を有するトランスジェニック動物(例えば、マウス又はラット)から得られる。そのような実施形態では、抗体は、動物に導入されたヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来するが、最終抗体配列は、内因性動物抗体機構(例えば、Mendez et al.Nat Genet 1997;15:146-56を参照)による体細胞高頻度変異及び親和性成熟によって当該ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列が更に修飾された結果である。DuoBody-CD3xCD20で使用されるCD20アームのVH及びVL領域は、ヒト抗原結合領域を表す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「バイオシミラー」(例えば、承認された参照製品/生物学的薬物)という用語は、(a)臨床的に不活性な成分のわずかな違いにもかかわらず、生物学的製品が参照製品と非常に類似していることを示す分析研究;(b)動物研究(毒性の評定を含む);及び/又は(c)参照製品が承認され、使用が意図され、承認が求められている1つ以上の適切な使用条件における安全性、純度及び効力(例えば、生物学的産物と参照製品との間に、産物の安全性、純度及び効力の点で臨床的に意味のある違いがないこと)を実証するのに十分な1つ以上の臨床試験(免疫原性、及び薬物動態又は薬力学の評定を含む)からのデータに基づいて、参照製品と類似している生物学的産物を指す。いくつかの実施形態では、バイオシミラー生物学的製品及び参照製品は、提案された標識化において処方され、推奨され、又は示唆される(1又は複数の)使用条件について同じ(1又は複数の)作用機序を利用するが、(1又は複数の)作用機序が参照製品について知られている程度にすぎない。いくつかの実施形態では、生物学的製品について提案される標識化において規定され、推奨され、又は示唆された条件又は使用条件は、参照製品について以前に承認されている。いくつかの実施形態では、生物学的製品の投与経路、剤形及び/又は強度は、参照製品のものと同じである。バイオシミラーは、例えば、市販の抗体と同じ一次アミノ酸配列を有する現在知られている抗体であり得るが、異なる細胞型で、又は異なる産生、精製若しくは製剤化方法によって作製され得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「還元条件」又は「還元環境」という用語は、基質、ここでは抗体のヒンジ領域内のシステイン残基が酸化されるよりも還元される可能性が高い状態又は環境を指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「組換え宿主細胞」(又は単に「宿主細胞」)という用語は、発現ベクター、例えば本明細書に記載の抗体をコードする発現ベクターが導入された細胞を指すことを意図している。組換え宿主細胞としては、例えば、トランスフェクトーマ、例えばCHO、CHO-S、HEK、HEK293、HEK-293F、Expi293F、PER.C6又はNS0細胞、及びリンパ球性細胞が挙げられる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」又は「DLBCL」という用語は、びまん性増殖パターン及び高中間増殖指数を有する胚中心Bリンパ球の新生物を指す。DLBCLは、全てのリンパ腫の約30%を占める。DLBCLのサブタイプは、異なる見通し(予後)及び治療に対する応答を有するようである。DLBCLは、任意の年齢層に影響を及ぼし得るが、主に高齢者に発生する(平均年齢は60代半ばである)。「ダブルヒット」及び「トリプルヒット」DLBCLは、WHO 2016分類(Swerdlow SH,Campo E,Harris NL,et al.WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues(Revised ed.4th).Lyon,France:IARC Press(2017)、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)による、MYCと、BCL2及び/又はBCL6の転座を有する高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL)のカテゴリに属する、MYCと、BCL2及び/又はBCL6の転座を有するDLBCLを指す。濾胞性リンパ腫グレード3Bもまた、DLBCLと同等であると見なされることが多く、したがって、そのように治療される。
【0071】
本明細書で使用される場合、「R-CHOP」という用語は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾンを含む薬物の組み合わせを指す。「R-CHOP」という用語はまた、リツキシマブ成分がそのバイオシミラーと置き換えられる、及び/又はシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及び/又はプレドニゾンの先発バージョン若しくは後発バージョン(ジェネリックの等価物)、並びにその薬学的に許容され得る塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、無水物形態、並びにその任意の多形若しくは非晶質形態、又はそれらの組み合わせが本明細書に記載の方法で使用されるレジメンを包含することを意図する。
【0072】
本明細書で使用される場合、(CAS番号:174722-31-7;DrugBank-DB 00073;Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)entry D02994)という用語は、ヒトCD20に対するモノクローナル抗体を含有する遺伝子操作されたキメラヒトガンマ1マウス定常ドメインを指す。キメラ抗体は、ヒトガンマ1定常ドメインを含有し、米国特許第5,736,137号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)において「C2B8」と称される。リツキシマブは、例えば、Rituxan(登録商標)、MabThera(登録商標)、又はZytux(登録商標)として市販されている。本明細書に記載される方法の特定の実施形態では、リツキシマブは、そのバイオシミラーと置き換えられ得る。したがって、「リツキシマブ」という用語は、リツキシマブのバイオシミラーを包含することが意図されていることが理解されよう。CDR、可変領域、又はリツキシマブの重鎖及び軽鎖を有する抗体も「リツキシマブ」という用語に包含される。リツキシマブのバイオシミラーの非限定的な例としては、Truxima(登録商標)(リツキシマブ-abbs)、Ruxience(登録商標)(リツキシマブ-pvvr)及びRixathon(登録商標)が挙げられる。バイオシミラーは、標準的なケア投与量に従って、又はリツキシマブについて指定された標準的なケア投与量と等価な用量で投与され得る。
【0073】
本明細書で使用される場合、「シクロホスファミド」という用語は、化学名2H-1、3,2-オキサザホスホリン-2-アミン、N,N-ビス(2-クロロエチル)テトラヒドロ-、2-オキシド(CAS番号50-18-0)を有し、化学式C7H15Cl2N2O2Pを有するナイトロジェンマスタード系アルキル化剤を指す。これは、Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)及びRevimmune(登録商標)等の商品名で市販されている。「シクロホスファミド」という用語はまた、シクロホスファミドの先発バージョン及び後発バージョン(ジェネリック等価物)、並びに薬学的に許容され得る塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、それらの無水物形態、並びにそれらの任意の多形若しくは非晶質形態、又はそれらの組み合わせを包含することが意図される。
【0074】
本明細書で使用される場合、「ドキソルビシン」という用語は、天然生成物ダウノマイシンに密接に関連し、全てのアントラサイクリンと同様に、DNAをインターカレートすることによって作用するアントラサイクリン抗生物質を指す。ドキソルビシンは、Adriamycin PFS(登録商標)、Adriamycin RDF(登録商標)又はRubex(登録商標)等の商品名で市販されている。典型的には、薬物は、塩酸塩の形態で(例えば、ドキソルビシン塩酸塩として)静脈内投与される。ドキソルビシン塩酸塩は、化学名5,12-ナフタセンジオン、10-[(3-アミノ-2,3,6トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)オキシ]-7,8,9,10テトラヒドロ-6,8,11トリヒドロキシ-8-(ヒドロキシアセチル)-1-メトキシ-、塩酸塩、(8S,10S)-(CAS番号25316-40-9)を有し、化学式C27H29NO11・HClを有する。「ドキソルビシン」という用語はまた、ドキソルビシンの先発バージョン及び後発バージョン(ジェネリック等価物)、並びに薬学的に許容され得る塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、それらの無水物形態、並びにそれらの任意の多形若しくは非晶質形態、又はそれらの組み合わせを包含することが意図される。
【0075】
本明細書で使用される場合、「ビンクリスチン」(ロイロクリスチンとしても知られる)という用語は、様々な種類の癌を治療するために使用されるビンカアルカロイド化学療法剤を指す。Oncovin(登録商標)、Vincasar PFS(登録商標)等の商品名で販売されている。リポソーム化された硫酸ビンクリスチンは、商品名Marquibo(登録商標)で市販されている。「ビンクリスチン」という用語はまた、ビンクリスチンの先発バージョン及び後発バージョン(ジェネリック等価物)、並びに薬学的に許容され得る塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、それらの無水物形態、並びにそれらの任意の多形若しくは非晶質形態、又はそれらの組み合わせを包含することが意図される。
【0076】
「プレドニゾン」は、抗炎症特性及び免疫抑制特性を有する合成糖質コルチコイドである。プレドニゾンは、肝臓で薬物の活性形態であるプレドニゾロンに代謝されるプロドラッグである。プレドニゾンは、とりわけ、Deltasone(登録商標)、Liquid Pred(登録商標)、Rayos(登録商標)及びOrasone(登録商標)等の商品名で市販されている。プレドニゾンは、化学名17,21ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20トリオン(CAS番号53-03-2)を有する。「プレドニゾン」という用語はまた、プレドニゾンの先発バージョン及び後発バージョン(ジェネリック等価物)、並びに薬学的に許容され得る塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、それらの無水物形態、並びにそれらの任意の多形若しくは非晶質形態、又はそれらの組み合わせを包含することが意図される。
【0077】
「治療」という用語は、DLBCL等の症状又は病状を緩和、改善、停止又は根絶(治癒)する目的での有効量の本明細書に記載の治療活性抗体の投与を指す。治療は、例えば、Lugano基準及び/又はLYRICによって定義されるように、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)又は安定疾患(SD)をもたらし得る。治療は、例えば、R-CHOPの開始から二重特異性抗体による治療の最大1年の総期間、又は疾患進行若しくは許容できない毒性まで継続され得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、「投与する」又は「投与」という用語は、当業者に公知の様々な方法及び送達系のいずれかを使用した、治療薬を含む組成物(又は製剤)の対象への物理的導入を指す。本明細書に記載される抗体に対する好ましい投与経路には、例えば注射又は注入による静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路が含まれる。「非経口投与」という語句は、本明細書で使用される場合、通常は注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内の注射及び注入、並びにin vivo電気穿孔を含むが、これらに限定されない。あるいは、本明細書に記載の治療薬は、非経口経路、例えば局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば鼻腔内、経口、膣内、直腸、舌下又は局所的に投与することができる。投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1つ以上の長期間にわたって行うこともできる。本明細書に記載の方法では、二重特異性抗体(例えば、エプコリタマブ)を皮下投与する。R-CHOP、サイトカイン放出症候群予防法、及び/又は腫瘍崩壊症候群(TLS)予防等のために二重特異性抗体と組み合わせて使用される他の薬剤は、静脈内又は経口等の他の経路を介して投与され得る。
【0079】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、所望の治療結果を達成するために、必要な投与量及び期間で有効な量を指す。例えば、皮下投与される二重特異性抗体(例えば、エプコリタマブ)について本明細書で定義される投与量(すなわち、24mg又は48mg)は、そのような「有効量」又は「治療有効量」として定義され得る。抗体の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発する抗体の能力等の因子に応じて変動し得る。治療有効量はまた、抗体又は抗体部分の任意の毒性又は有害作用を治療的に有益な作用が上回る量である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で治療された患者は、ECOGパフォーマンスステータスの改善を示す。薬物の治療有効量又は投与量は、「予防有効量」又は「予防有効投与量」を含み、これは、疾患若しくは障害(例えば、サイトカイン放出症候群)を発症するリスクがあるか、又は疾患の再発に罹患するリスクがある対象に単独で又は別の治療薬と組み合わせて投与された場合に、疾患の発症又は再発を阻害する薬物の任意の量である。
【0080】
本明細書で使用される場合、腫瘍の「成長を阻害する」という用語は、腫瘍の成長の任意の測定可能な減少、例えば少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約99%、又は100%の腫瘍の成長の阻害を含む。
【0081】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト患者、例えばDLBCLを有するヒト患者を指す。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0082】
本明細書で使用される場合、「緩衝液」という用語は、薬学的に許容され得る緩衝液を表す。「緩衝液」という用語は、溶液のpH値を例えば許容範囲内に維持する薬剤を包含し、限定するものではないが、酢酸塩、ヒスチジン、TRIS(登録商標)(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、クエン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩等を含む。
【0083】
一般に、本明細書で使用される場合、「緩衝液」は、約5~約6、好ましくは約5.5のpH範囲に適したpKa及び緩衝能力を有する。
【0084】
本明細書で使用される場合、「疾患進行」又は「PD」は、DLBCLの1つ以上の指数が、治療にもかかわらず疾患が進行していることを示す状況を指す。一実施形態では、疾患進行は、悪性リンパ腫に対するLugano応答基準(「Lugano基準」)及び/又は免疫調節療法に対するリンパ腫応答基準(LYRIC)に基づいて定義される。完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、無奏効/安定(NR/SD)及び進行性疾患(PD)の定義を含むLugano基準/分類系に関する詳細は、Cheson et al.J Clin Oncol 2014;32:3059-68(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)(特に、Cheson et al.,2014の表3を参照)。LYRICに関する詳細を表11に示す。
【0085】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」は、表面への薬物吸着及び/又は凝集を防ぐために医薬製剤に典型的に使用される化合物である。さらに、界面活性剤は、2つの液体間又は液体と固体との間の表面張力(又は界面張力)を低下させる。例えば、例示的な界面活性剤は、非常に低い濃度(例えば、5%w/v以下、例えば3%w/v以下、例えば1%w/v以下、例えば0.4%w/v以下、例えば0.1%w/v未満、例えば0.04%w/v)で存在する場合、表面張力を著しく低下させることができる。界面活性剤は両親媒性であり、これは、界面活性剤が通常、親水性基と疎水性基又は親油性基の両方から構成され、したがって水溶液中でミセル又は同様の自己集合構造を形成することができることを意味する。薬学的に使用するための公知の界面活性剤としては、グリセロールモノオレエート、塩化ベンゼトニウム、ドキュセートナトリウム、リン脂質、ポリエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム及びトリカプリリン(アニオン性界面活性剤);塩化ベンザルコニウム、シトリミド、塩化セチルピリジニウム及びリン脂質(カチオン性界面活性剤);並びにアルファトコフェロール、グリセロールモノオレエート、ミリスチルアルコール、リン脂質、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビンタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート(polyoxyethylene sterarates)、ポリオキシルヒドロキシステアレート、ポリオキシルグリセリド、ポリソルベート、例えばポリソルベート20又はポリソルベート80、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンエステルスクロースパルミテート、スクロースステアレート、トリカプリリン及びTPGS(非イオン性及び両性イオン性界面活性剤)が挙げられる。
【0086】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、薬学的に許容され得る(ヒトへの投与に安全かつ非毒性)、医薬組成物又は医薬製剤の希釈物の調製に有用なものである(「組成物」及び「製剤」という用語は本明細書では互換的に使用される)。好ましくは、組成物のそのような希釈は、抗体濃度のみを希釈し、緩衝液及び安定剤を希釈しない。したがって、一実施形態では、希釈剤は、本発明の医薬組成物中に存在するのと同じ濃度の緩衝液及び安定剤を含有する。更なる例示的な希釈剤には、滅菌水、静菌性注射用水(BWFI)、好ましくは酢酸緩衝液であるpH緩衝液、滅菌生理食塩水、例えば注射用水、リンゲル液又はデキストロース溶液が含まれる。一実施形態では、希釈剤は、酢酸緩衝液及びソルビトールを含むか、又はそれらから本質的になる。
【0087】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の値の10%を超えず10%を下回らない値を指す。
【0088】
DLBCL治療レジメン
本明細書では、CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体(「抗CD3xCD20抗体」)、例えば、ヒトCD3及びヒトCD20に結合するエプコリタマブ等の単離された抗CD3xCD20抗体を、R-CHOP(すなわち、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)の標準的治療のレジメンと組み合わせて使用して、ヒト対象においてDLBCLを治療する方法が提供される。本方法は、例えば、以前に治療されていない高リスク(IPI又はR-IPI≧3)DLBCLを治療するために有用である。本明細書に記載のCD3及びCD20の両方に結合する二重特異性抗体でDLBCL(例えば、新たに診断された、以前に治療されていない、高リスク(IPI又はR-IPI 3~5)DLBCL)を治療する方法はまた、ヒト対象においてDLBCL(例えば、新たに診断された、以前に治療されていない、高リスク(IPI又はR-IPI 3~5)DLBCL)を治療するための二重特異性抗体の対応する使用も包含することが理解される。
【0089】
したがって、一態様では、ヒト対象におけるDLBCLを治療する方法であって、二重特異性抗体と、有効量の(a)リツキシマブ、(b)シクロホスファミド、(c)ドキソルビシン、(d)ビンクリスチン、(e)プレドニゾンとを投与することを含み、二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域は、配列番号6のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号7のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域が、配列番号13のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域が、配列番号14のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び二重特異性抗体が21日サイクルで投与される、方法が本明細書で提供される。
【0090】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域を有する抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域を有する完全長抗体である。
【0091】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、24mgの用量(又はおよその用量)で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、48mgの用量(又はおよその用量)で投与される。
【0092】
投与される二重特異性抗体の24mg又は48mgの用量(又は約24mg若しくは約48mgの用量)又は任意の他の特定の用量に関して、この量は、完全長抗体を表す二重特異性抗体、例えば実施例のセクションで定義されるエプコリタマブの量を指すと理解される。したがって、24mgの用量の二重特異性抗体を、本明細書に記載される二重特異性抗体の用量の投与として投与することを指し得、その用量は、24mgの用量のエプコリタマブに対応する。当業者は、例えば、使用される抗体の分子量がエプコリタマブ等の全長抗体の分子量と実質的に異なる場合、投与される抗体の量を容易に決定することができる。例えば、抗体の量は、抗体の分子量をエプコリタマブ等の全長抗体の重量で除し、その結果に本明細書に記載の特定の用量を乗じることによって計算することができる。二重特異性抗体(例えば、DuoBody-CD3xCD20の機能的変異体)が、血漿半減期、Fc不活性、及び/又はCD3及びCD20に対する結合特性に関して、すなわちCDR及びエピトープ結合の特徴に関して、DuoBody-CD3xCD20と非常に類似した特徴を有する限り、そのような抗体は、エプコリタマブ等の全長抗体について記載される用量で本明細書に提供される方法における使用に適している。
【0093】
いくつかの実施形態では、上記二重特異性抗体の用量は、21日サイクルで週に1回投与される(毎週の投与)。一実施形態では、24mg又は48mgの毎週用量を、3回及び1/3回の21日サイクル(すなわち、10回;サイクル1の15日目、並びにサイクル2~4の1、8、及び15日目)で投与する。一実施形態では、24mgの毎週用量を、3回及び1/3回の21日サイクル(すなわち、10回;サイクル1の15日目、並びにサイクル2~4の1、8、及び15日目)で投与する。一実施形態では、48mgの毎週用量を、3回及び1/3回の21日サイクル(すなわち、10回;サイクル1の15日目、並びにサイクル2~4の1、8、及び15日目)で投与する。いくつかの実施形態では、毎週の投与後、投与間隔を3週間に1回に減少させることができる。一実施形態では、3週間に1回の投与を、2回又は4回の21日サイクル(すなわち、それぞれ2回又は4回)にわたって行う。一実施形態では、3週間に1回の投与を2回の21日サイクルにわたって行う(すなわち、2回)。一実施形態では、3週間に1回の投与を4回の21日サイクルにわたって行う(すなわち、2回)。いくつかの実施形態では、21日サイクルで3週間に1回投与した後、投与間隔を28日サイクルで4週間に1回、すなわち3週間に1回投与した後、二重特異性抗体を28日サイクルで4週間に1回投与する。いくつかの実施形態では、28日サイクルで4週間に1回の投与が、二重特異性抗体による治療の最大1年の合計期間にわたって行われる。一実施形態では、28日サイクルで4週間に1回の投与を、長期間、例えば、少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクル、少なくとも8サイクル、少なくとも9サイクル、少なくとも10サイクル、少なくとも11サイクル、少なくとも12サイクル、少なくとも13サイクル、少なくとも14サイクル、少なくとも15サイクル、又は1~20サイクル、1~19サイクル、1~18サイクル、1~17サイクル、1~16サイクル、1~15サイクル、1~14サイクル、1~13サイクル、1~12サイクル、1~10サイクル、1~5サイクル、5~20サイクル、5~15サイクル、5~10サイクル、10~20サイクル、10~15サイクル、又は15~20サイクル行ってもよい。いくつかの実施形態では、上記二重特異性抗体は、28日サイクルのうちのサイクル7又はサイクル9(すなわち、二重特異性抗体+R-CHOPの組み合わせが終了した後に開始するサイクル)からサイクル17まで、4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、R-CHOPの開始から二重特異性抗体による治療の最大1年の合計期間にわたって、サイクル7又はサイクル9から4週間に1回投与される。更なる実施形態では、二重特異性抗体は、疾患の進行(例えば、Lugano基準又はLYRICによって定義される通り)又は許容できない毒性が生じるまで、28日サイクルのサイクル7又はサイクル9から投与される。
【0094】
一実施形態では、二重特異性抗体の毎週用量は、サイクル1~4で21日サイクルで投与され(これは、以下に記載されるように、プライミング及び中間用量を含み得る)、二重特異性抗体の3週間に1回の用量は、21日サイクルのサイクル5~6又は5~8で投与され、4週間に1回の用量は、28日サイクルのサイクル7又は9以降、例えば、サイクル7~17又は9~17で、又はそれ以上のサイクルで、例えば、R-CHOPの開始から、又は疾患進行若しくは許容できない毒性が対象において観察されるまでの二重特異性抗体による治療の最大1年の総期間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、28日サイクルで4週間に1回の用量は、サイクル7~17又は9~17で投与される。
【0095】
本明細書で言及される用量は、例えば、毎週用量、3週間に1回の用量、及び/又は4週間に1回の用量が同じレベルで投与される上記のシナリオでは、完全用量又は固定用量とも呼ばれ得ることが理解される。したがって、48mgの用量が選択される場合、好ましくは、毎週の投与、3週間に1回の各投与、及び4週間ごとの各投与において、48mgの同じ用量が投与される。用量を投与する前に、プライミング又はプライミング及びその後の中間(第2のプライミング)用量を投与することができる。これは、本明細書に記載の二重特異性抗CD3xCD20抗体による治療中に起こり得る副作用であるサイトカイン放出症候群(CRS)のリスク及び重症度を軽減するのに役立ち得るため有利であり得る。そのようなプライミング用量、又はプライミング用量及び中間用量は、固定用量又は全用量と比較してより低い用量である。
【0096】
したがって、いくつかの実施形態では、24mg又は48mgの毎週用量を投与する前に、二重特異性抗体のプライミング用量を投与してもよい。一実施形態では、24mg又は48mgの第1の毎週用量をサイクル1で投与する2週間前に、プライミング用量を投与する。一実施形態では、プライミング用量は0.16mg(又は約0.16mg)の全長二重特異性抗体である。一実施形態では、24mgの第1の毎週用量をサイクル1で投与する2週間前に、0.16mgのプライミング用量を投与する。一実施形態では、48mgの第1の毎週用量をサイクル1で投与する2週間前に、0.16mgのプライミング用量を投与する。
【0097】
いくつかの実施形態では、プライミング用量を投与した後で、24mg又は48mgの毎週用量を投与する前に、当該二重特異性抗体の中間用量が投与される。一実施形態では、プライミング用量は、中間用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の1日目に)投与され、中間用量は、24mg又は48mgの最初の毎週用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の8日目に)投与される。したがって、プライミング用量は、1日目に投与され、中間用量は、サイクルの15日目に24mg又は48mgの第1の毎週用量の前の8日目に投与される。一実施形態では、中間用量は、800μg(0.8mg)又は約800μg(0.8mg)の完全長二重特異性抗体である。一実施形態では、0.16mgのプライミング用量は、0.8mgの中間用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の1日目に)投与され、中間用量は、24mgの第1の毎週用量の一週間前に(すなわち、サイクル1の8日目に)投与される。一実施形態では、0.16mgのプライミング用量は、0.8mgの中間用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の1日目に)投与され、中間用量は、48mgの第1の毎週用量の一週間前に(すなわち、サイクル1の8日目に)投与される。
【0098】
本明細書に記載の方法は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾンの標準治療レジメンと組み合わせて、CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体でDLBCLを有するヒト対象を治療することを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾンが、例えば、臨床研究によって支持されるように、ローカルガイドラインに従って、及び/又は関連するローカルラベルに従って、R-CHOPのための標準治療用量で投与される。
【0100】
例えば、いくつかの実施形態では、リツキシマブは、関連するローカル製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2013/103705s5414lbl.pdfで入手可能なRITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)処方情報を参照)に従って投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブのバイオシミラーが、本明細書に記載される方法においてリツキシマブの代わりに使用される。
【0101】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、関連するローカル製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2013/012141s090,012142s112lbl.pdfで入手可能なCYCLOPHOSPHAMIDE注射処方情報を参照)に従って投与される。
【0102】
いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、関連するローカル製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、以下を参照されたい。注射用ADRIAMYCIN(DOXOrubicin HCl)(凍結乾燥)及びADRIAMYCIN(DOXOrubicin HCL)注射剤(0.9%塩化ナトリウム及び水)処方情報は、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2012/062921s022lbl.pdfで入手可能である;注射用ドキソルビシン塩酸塩及びドキソルビシン塩酸塩注射剤の処方情報は、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2010/050467s070lbl.pdfで入手可能である)に従って投与される。
【0103】
いくつかの実施形態では、ビンクリスチンは、関連するローカル製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2014/071484s042lbl.pdfで入手可能なビンクリスチンサルフェート注射処方情報を参照)に従って投与される。
【0104】
いくつかの実施形態では、プレドニゾロンは、R-CHOPレジメンにおいてプレドニゾンの代わりに投与される。
【0105】
一実施形態では、リツキシマブは、ローカルガイドライン及びローカルラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、375mg/m2の用量(又は約375mg/m2)で投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは静脈内投与される。
【0106】
一実施形態では、リツキシマブは、3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、21日サイクルで3週間に1回(Q3W)投与される。いくつかの実施形態では、3週間に1回のリツキシマブの投与を、6又は8回の21日サイクルにわたって行う(すなわち、それぞれ6回又は8回)。好ましい実施形態では、リツキシマブは、375mg/m2の用量で6回の21日サイクル(すなわち、6回)で3週間に1回静脈内投与される。好ましい実施形態では、リツキシマブは、375mg/m2の用量で8回の21日サイクル(すなわち、8回)で3週間に1回静脈内投与される。
【0107】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドはローカルガイドライン及びローカルラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、750mg/m2の用量(又は約750mg/m2)で投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドが3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、21日サイクルで3週間に1回(Q3W)投与される。いくつかの実施形態では、3週間に1回のシクロホスファミドの投与を、6又は8回の21日サイクルにわたって行う(すなわち、それぞれ6回又は8回)。好ましい実施形態では、シクロホスファミドは、750mg/m2の用量で6回の21日サイクル(すなわち、6回)で3週間に1回静脈内投与される。別の好ましい実施形態では、シクロホスファミドは、750mg/m2の用量で8回の21日サイクル(すなわち、8回)で3週間に1回静脈内投与される。
【0108】
いくつかの実施形態では、ドキソルビシンはローカルガイドライン及びローカルラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、50mg/m2の用量(又は約50mg/m2)で投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、21日サイクルで3週間に1回(Q3W)投与される。いくつかの実施形態では、3週間に1回のドキソルビシンの投与を、6又は8回の21日サイクルにわたって行う(すなわち、それぞれ6回又は8回)。好ましい実施形態では、ドキソルビシンは、50mg/m2の用量で6回の21日サイクル(すなわち、6回)で3週間に1回静脈内投与される。別の好ましい実施形態では、ドキソルビシンは、50mg/m2の用量で8回の21日サイクル(すなわち、8回)で3週間に1回静脈内投与される。
【0109】
いくつかの実施形態では、ビンクリスチンはローカルガイドライン及びローカルラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、ビンクリスチンは、1.4mg/m2の用量(又は約1.4mg/m2)で投与される。いくつかの実施形態では、対象に投与されるビンクリスチンの最大用量は2mg未満である。更なる実施形態では、ビンクリスチンは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、ビンクリスチンは3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、ビンクリスチンは、21日サイクルで3週間に1回(Q3W)投与される。いくつかの実施形態では、3週間に1回のビンクリスチンの投与を、6又は8回の21日サイクルにわたって行う(すなわち、6回又は8回)。好ましい実施形態では、ビンクリスチンは、2mg/m2未満の用量で6回の21日サイクル(すなわち、6回)で3週間に1回静脈内投与される。別の好ましい実施形態では、ビンクリスチンは、2mg/m2未満の用量で8回の21日サイクル(すなわち、8回)で3週間に1回静脈内投与される。最も好ましい実施形態では、ビンクリスチンは、1.4mg/m2未満の用量で6回の21日サイクル(すなわち、6回)で3週間に1回静脈内投与される。別の最も好ましい実施形態では、ビンクリスチンは、1.4mg/m2の用量で8回の21日サイクル(すなわち、8回)で3週間に1回静脈内投与される。
【0110】
好ましい実施形態では、リツキシマブは好ましくは375mg/m2の用量で投与され、シクロホスファミドは好ましくは750mg/m2の用量で投与され、ドキソルビシンは好ましくは50mg/m2の用量で投与され、ビンクリスチンは好ましくは1.4mg/m2の用量で投与され、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンは好ましくは3週間に1回、6回の21日サイクルにわたって静脈内投与される。
【0111】
いくつかの実施形態では、プレドニゾンはローカルガイドライン及びローカルラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、100mgの用量(又は約100mgの用量)で投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは静脈内及び/又は経口投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは静脈内投与される。
【0112】
いくつかの実施形態では、プレドニゾンは経口投与される。
【0113】
一実施形態では、プレドニゾンを21日サイクルで5日間連続して(すなわち、1~5日目)1日1回投与する。一実施形態では、プレドニゾンを6又は8回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6又はサイクル1~8の1~5日目)に投与する。一実施形態では、プレドニゾンを1日1回、21日サイクルで1~5日目に投与する。いくつかの実施形態では、プレドニゾンを、6回又は8回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6又はサイクル1~8の1~5日目)で、5連続日(すなわち、1~5日目)にわたって1日1回投与する。好ましい実施形態では、プレドニゾンを100mg/日の用量で6回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6の1~5日目)で5日間連続して1日1回(すなわち、1~5日目)静脈内投与する。別の好ましい実施形態では、プレドニゾンを100mg/日の用量で8回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~8の1~5日目)で5日間連続して1日1回静脈内投与する(すなわち、1~5日目)。別の好ましい実施形態では、プレドニゾンを、100mg/日の用量で6回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6の1~5日目)で、5連続日(すなわち、1~5日目)にわたって1日1回経口投与する。別の好ましい実施形態では、プレドニゾンを100mg/日の用量で8回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~8の1~5日目)で5日間連続して1日1回(すなわち、1~5日目)経口投与する。別の好ましい実施形態では、プレドニゾンを、100mg/日の用量で6回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6の1~5日目)で、5連続日(すなわち、1~5日目)にわたって静脈内及び/又は経口で1日1回投与する。別の好ましい実施形態では、プレドニゾンを、100mg/日の用量の8回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~8の1~5日目)で、5連続日(すなわち、1~5日目)にわたって静脈内及び/又は経口で1日1回投与する。一実施形態では、シクロホスファミド又はドキソルビシンの用量は、対象が、例えば、製品ラベルに明記されているように、標準治療ガイドラインに従って治療サイクルの期間中にシクロホスファミド関連又はドキソルビシン関連の血液学的毒性を示すときには減少される。例えば、用量変更基準又はシクロホスファミド及びドキソルビシンについては表8を参照されたい(表9も参照)。
【0114】
一実施形態では、ビンクリスチンの用量を、例えば、血清ビリルビン値をマーカーとして使用して、対象が肝機能障害を呈する場合に減少させる。例えば、対象が2~3mg/dLの血清ビリルビン値を有する場合、ビンクリスチンの用量を通常用量の75%に減少させる。対象が>3.0mg/dLの血清ビリルビン値を有する場合、ビンクリスチンの用量を通常用量の50%に減少させる。高アルブミン血症が改善すると、ビンクリスチンを再度増量する。
【0115】
一実施形態では、プレドニゾン(又は等価物)の用量をローカル処方情報に従って減少させる。例えば、対象コルチコステロイドに関連する有害事象を発症し、100mg/日の用量(又は等価物)に耐えられない場合、用量は80mg/日以上に減少され得る。いくつかの実施形態でヘア、プレドニゾン(又は等価物)の用量減少は、漸減レジメンで行われる。
【0116】
特定の実施形態では、二重特異性抗体、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾンを同時に投与する。
【0117】
他の実施形態では、二重特異性抗体、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾンを連続的に投与する。例えば、いくつかの実施形態では、二重特異性抗体、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾンは、同じ日に投与される。一実施形態では、二重特異性抗体及びR-CHOPが同日に投与される場合、プレドニゾンが最初に投与され、リツキシマブが2番目に投与され、シクロホスファミドが3番目に投与され、ドキソルビシンが4番目に投与され、ビンクリスチンが5番目に投与され、二重特異性抗体が最後に投与される。
【0118】
いくつかの実施形態では、対象には、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び二重特異性抗体の投与の前にCRSのための前投薬及び/又は予防法が投与される。一実施形態では、R-CHOPレジメンのプレドニゾン成分が、CRS予防法におけるコルチコステロイドとして使用される。
【0119】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、ビンクリスチン(例えば、静脈内)、プレドニゾン(例えば、静脈内又は経口)及び二重特異性抗体(例えば、皮下)が21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体は、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、24mgの用量が15日目に投与される;
(ii)サイクル2~4では、24mgの用量が1、8、及び15日目に投与される;
(iii)サイクル5~6では、24mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンを1日目にサイクル1~6が投与され;
(c)プレドニゾンが1~6日のサイクルで1~5日目に投与される。
【0120】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、ビンクリスチン(例えば、静脈内)、プレドニゾン(例えば、静脈内又は経口)及び二重特異性抗体(例えば、皮下)が21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体は、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、48mgの用量が15日目に投与される;
(ii)サイクル2~4では、48mgの用量が1、8、及び15日目に投与される;
(iii)サイクル5~6では、48mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンを1日目にサイクル1~6が投与され;
(c)プレドニゾンが1~6日のサイクルで1~5日目に投与される。
【0121】
上記の2つの実施形態では、二重特異性抗体は、サイクル7から28日サイクルで4週間に1回投与される(例えば、サイクル7からサイクル15、サイクル7からサイクル17、サイクル7からサイクル20、又はサイクル7からR-CHOPの開始から二重特異性抗体による治療の合計1年までの期間)。上記の2つの実施形態では、リツキシマブは好ましくは375mg/m2の用量で投与され、シクロホスファミドは好ましくは750mg/m2の用量で投与され、ドキソルビシンは好ましくは50mg/m2の用量で投与され、ビンクリスチンは好ましくは1.4mg/m2の用量で投与され、プレドニゾンは好ましくは100mg/日の用量で投与される。
【0122】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、ビンクリスチン(例えば、静脈内)、プレドニゾン(例えば、静脈内又は経口)及び二重特異性抗体(例えば、皮下)が21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体は、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、24mgの用量が15日目に投与される;
(ii)サイクル2~4では、24mgの用量が1、8、及び15日目に投与される;
(iii)サイクル5~8では、24mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンを1日目にサイクル1~8が投与され;
(c)プレドニゾンが1~8日のサイクルで1~5日目に投与される。
【0123】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、ビンクリスチン(例えば、静脈内)、プレドニゾン(例えば、静脈内又は経口)及び二重特異性抗体(例えば、皮下)が21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体は、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、48mgの用量が15日目に投与される;
(ii)サイクル2~4では、48mgの用量が1、8、及び15日目に投与される;
(iii)サイクル5~8では、48mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンを1日目にサイクル1~8が投与され;
(c)プレドニゾンが1~8日のサイクルで1~5日目に投与される。
【0124】
上記の2つの実施形態では、二重特異性抗体は、サイクル9から28日サイクルで4週間に1回投与される(例えば、サイクル9からサイクル15、サイクル9からサイクル17、サイクル9からサイクル20、又はR-CHOPの開始から二重特異性抗体による治療の合計1年までの期間)。上記の2つの実施形態では、リツキシマブは好ましくは375mg/m2の用量で投与され、シクロホスファミドは好ましくは750mg/m2の用量で投与され、ドキソルビシンは好ましくは50mg/m2の用量で投与され、ビンクリスチンは好ましくは1.4mg/m2の用量で投与され、プレドニゾンは好ましくは100mg/日の用量で投与される。
【0125】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、ビンクリスチン(例えば、静脈内)、プレドニゾン(例えば、静脈内又は経口)及び二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブは、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、24mgの用量が15日目に投与される;
(ii)サイクル2~4では、24mgの用量が1、8、及び15日目に投与される;
(iii)サイクル5~6では、24mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンを1日目にサイクル1~6が投与され;
(c)プレドニゾンが1~6日のサイクルで1~5日目に投与される。
【0126】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、ビンクリスチン(例えば、静脈内)、プレドニゾン(例えば、静脈内又は経口)及び二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブは、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、48mgの用量が15日目に投与される;
(ii)サイクル2~4では、48mgの用量が1、8、及び15日目に投与される;
(iii)サイクル5~6では、48mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンを1日目にサイクル1~6が投与され;
(c)プレドニゾンが1~6日のサイクルで1~5日目に投与される。
【0127】
上記の2つの実施形態では、二重特異性抗体エプコリタマブは、サイクル7から28日サイクルで4週間に1回更に投与される(例えば、サイクル7からサイクル15、サイクル7からサイクル17、サイクル7からサイクル20、又はサイクル9からR-CHOPの開始から二重特異性抗体による治療の合計1年までの期間)。上記の2つの実施形態では、リツキシマブは好ましくは375mg/m2の用量で投与され、シクロホスファミドは好ましくは750mg/m2の用量で投与され、ドキソルビシンは好ましくは50mg/m2の用量で投与され、ビンクリスチンは好ましくは1.4mg/m2の用量で投与され、プレドニゾンは好ましくは100mg/日の用量で投与される。
【0128】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、ビンクリスチン(例えば、静脈内)、プレドニゾン(例えば、静脈内又は経口)及び二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブは、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、24mgの用量が15日目に投与される;
(ii)サイクル2~4では、24mgの用量が1、8、及び15日目に投与される;
(iii)サイクル5~8では、24mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンを1日目にサイクル1~8が投与され;
(c)プレドニゾンが1~8日のサイクルで1~5日目に投与される。
【0129】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、ビンクリスチン(例えば、静脈内)、プレドニゾン(例えば、静脈内又は経口)及び二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブは、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、48mgの用量が15日目に投与される;
(ii)サイクル2~4では、48mgの用量が1、8、及び15日目に投与される;
(iii)サイクル5~8では、48mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンを1日目にサイクル1~8が投与され;
(c)プレドニゾンが1~8日のサイクルで1~5日目に投与される。
【0130】
上記の2つの実施形態では、二重特異性抗体エプコリタマブは、サイクル9から28日サイクルで4週間に1回更に投与される(例えば、サイクル9からサイクル15、サイクル9からサイクル17、サイクル9からサイクル20、又はサイクル9からR-CHOPの開始から二重特異性抗体による治療の合計1年までの期間)。上記の2つの実施形態では、リツキシマブは好ましくは375mg/m2の用量で投与され、シクロホスファミドは好ましくは750mg/m2の用量で投与され、ドキソルビシンは好ましくは50mg/m2の用量で投与され、ビンクリスチンは好ましくは1.4mg/m2の用量で投与され、プレドニゾンは好ましくは100mg/日の用量で投与される。
【0131】
いくつかの実施形態では、血栓症のリスクがあると考えられる対象に、低用量アスピリン(例えば、毎日70~100mg)等の予防的抗血栓治療を投与する。特定の実施形態では、深部静脈血栓症(DVT)又は肺塞栓症(PE)の以前の病歴を有する対象に抗凝固療法を投与する。
【0132】
一実施形態では、本明細書に記載の方法による治療を受けている対象は、WHO 2016分類によるDLBCL(CLLを除く、低悪性度リンパ腫からデノボ又は組織学的に形質転換されたもの)が文書化されている。したがって、一実施形態では、対象は、DLBCL、NOS(他に特定されない)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、WHO 2016において、MYC並びにBCL2及び/又はBCL6転座を伴うHGBCLとして分類される「ダブルヒット」又は「トリプルヒット」DLBCLを有する。いくつかの実施形態では、対象は、濾胞性リンパ腫グレード3Bを有する。
【0133】
一実施形態では、DLBCLを有する対象は、3以上の改訂国際予後指数(R-IPI)スコア、例えば、3、4又は5のR-IPIスコアを有する。IPIリスク因子としては、(1)Ann ArborステージIII又はIV、(2)年齢>60歳、(3)乳酸デヒドロゲナーゼのレベル上昇、(4)ECOG性能スコア≧2、及び(5)2以上の節外部位が挙げられる。R-IPIスコアリングは、上記の危険因子(1)~(5)の数に基づく。R-IPIリスク群は、非常に良好(0のIPIリスク因子)、良好(1又は2のIPIリスク因子)、及び不良(3~5のIPIリスク因子)として分類される。R-IPIは、第一選択療法としてR-CHOPを受けている、新たに診断されたDLBCLを有する対象に適用される。例えば、R-IPIに関する情報は、例えば、Sehn et al.,Blood 2007;109:1857-71において利用可能であり、参照されたい。
【0134】
一実施形態では、DLBCLを有する対象は、DLBCL又は濾胞性リンパ腫グレード3Bの事前治療を受けたことがない。
【0135】
一実施形態では、対象は、0、1又は2の米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータス(ECOG PS)を有する。ECOG PSスコアに関する情報は、例えば、Oken et al,Am J Clin Oncol 1982 Dec;5(6):649-55)に見出される。
【0136】
一実施形態では、対象が、(a)CT又はMRI上で1つ以上の測定可能なリンパ節病変(長軸>1.5cm及び短軸>1.0cm)又は1つ以上の測定可能なリンパ節外病変(長軸>1cm)として定義される測定可能な疾患を有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、対象は、(a)ANC≧1.0×109/L、(b)血小板数>75×109/L、又は骨髄浸潤若しくは脾腫の場合は≧50×109/L、(c)ALTレベルがULNの2.5以下、(d)総ビリルビンレベル≦2×ULN、(e)eGFR>50mL/分(Cockcroft-Gault式による)、及び(f)PT、INR、及びaPTTがULNの1.5倍以下(抗凝固薬を投与していない場合)として定義される許容可能な臓器機能を有する。
【0138】
一実施形態では、対象は、抗CD20抗体療法、CHOP(すなわち、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)の任意の成分、若しくは二重特異性抗体に対する重度のアレルギー反応若しくはアナフィラキシー反応、又はリツキシマブ、CHOP、及び/又は二重特異性抗体の任意の成分若しくは賦形剤に対する既知のアレルギー若しくは不耐性を有さない。
【0139】
一実施形態では、対象は、(リンパ節生検を除いて)DLBCLのための事前治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、R-CHOPレジメンにおける任意の個々の薬物に対する禁忌を有さない。
【0140】
一実施形態では、対象は、(a)二重特異性抗体の初回投与前1年以内の心筋梗塞、又は心機能(例えば、不安定狭心症、うっ血性心不全、NYHAクラスIII~IV)、心不整脈(CTCAEバージョン4グレード2以上)若しくは臨床的に有意なECG異常に関連する若しくは影響する不安定な若しくは制御されていない疾患/状態、及び/又は(b)ベースラインQTcF>470msecを示す12誘導ECGを含む、臨床的に有意な心疾患を有しない。
【0141】
本明細書に記載される治療を受けるヒト対象は、実施例3に記載される1つ以上の選択基準を有するか、又は実施例3に記載される1つ以上の除外基準を有さない患者であり得る。
【0142】
本明細書に記載の方法は、DLBCL、例えば、以前に未治療の高リスク(IPI又はR-IPI≧3)DLBCLを治療するために有利である。治療は、例えば、本明細書に記載の治療レジメンを使用して継続的に維持される。しかしながら、進行性疾患が発症するか又は許容できない毒性が生じると、治療を終了することができる。
【0143】
本明細書に記載される方法を使用する治療に対するDLBCLを有する対象の応答は、実施例3に記載されるように、悪性リンパ腫に対するLugano応答基準(本明細書では「Lugano基準」とも呼ばれる)及び/又は免疫調節療法に対するリンパ腫応答基準(本明細書では「LYRIC」とも呼ばれる)に従って評定される場合がある。一実施形態では、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)及び安定疾患(SD)が、Lugano基準を使用して評定される。いくつかの実施形態では、Lugano基準に従って、進行性疾患(PD)とも呼ばれる疾患進行を示す患者を、LYRICに従って更に評価する。
【0144】
完全奏効、部分奏効、無奏効/安定疾患及び進行性疾患の定義を含むLugano基準/分類系に関する詳細は、Cheson et al.J Clin Oncol 2014;32:3059-68(特に、Cheson et al.,2014の表3を参照)に提供される。LYRICに関する詳細を表11に示す。
【0145】
いくつかの実施形態では、対象は、例えば、Lugano基準及び/又はLYRICによって定義されるような疾患進行(PD)を示すまで、本明細書に記載される方法で治療される。一実施形態では、対象は、Lugano基準とLYRICの両方によって定義される疾患進行(PD)を示すまで、本明細書に記載の方法で治療される。いくつかの実施形態では、対象は、R-CHOPの開始から二重特異性抗体による治療の合計1年までの期間にわたって、本明細書に記載される方法で治療される。
【0146】
本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、好ましくは、DLBCLの少なくとも1つの徴候の改善を経験する。一実施形態では、改善は、測定可能な腫瘍病変の量及び/又はサイズの減少によって測定される。いくつかの実施形態では、病変は、CT、PET-CT又はMRIフィルムで測定することができる。いくつかの実施形態では、細胞学又は組織学を使用して、治療に対する応答性を評価することができる。いくつかの実施形態では、骨髄穿刺及び骨髄生検が、治療に対する応答を評価するために使用され得る。
【0147】
一実施形態では、治療される対象は、Lugano基準及び/又はLYRIC(例えば、表11を参照)によって定義されるような完全奏効(CR)、部分奏効(PR)又は安定疾患(SD)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、別の療法又はプラセボと比較すると、長期生存(例えば、無増悪生存又は全生存)から選択される少なくとも1つの治療効果をもたらす。
【0148】
サイトカイン放出症候群(CRS)は、CD3を係合すること等による免疫エフェクター細胞の活性化によって機能する免疫細胞及び二重特異性抗体に基づくアプローチを利用する方法がヒト対象において使用される場合に起こり得る(Lee et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2019;25:625-38、これは参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、いくつかの実施形態では、CRS緩和は、本明細書に記載の方法と共に実施される。CRS緩和の一部として、プライミング用量及び/又は中間用量の選択は、本明細書に記載されるように、全用量(例えば、24又は48mg)を投与する前に行われる。CRSは、標準的な慣行に従って分類することができる(例えば、Lee et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2019;25:625-38に概説され、これは参照により本明細書に組み込まれる)。CRSは、発熱、悪心、嘔吐及び悪寒等の有害作用をもたらし得るサイトカイン、例えば炎症促進性サイトカイン、例えばIL-6、TNF-α又はIL-8の過剰放出を含み得る。したがって、エプコリタマブ等の二重特異性抗体の独特の抗腫瘍活性にもかかわらず、それらの免疫学的作用様式は、望ましくない「副」作用、すなわち望ましくない炎症反応の誘導を誘発し得る。したがって、患者は、起こり得るCRS症状を緩和するために、例えば鎮痛薬、解熱薬、及び/又は抗炎症薬による同時治療、予防法、及び/又は前投薬に更に供され得る。
【0149】
したがって、一実施形態では、本明細書に記載される方法におけるヒト対象は、CRSに対する予防法によって治療される。好ましい実施形態では、予防法は、対象へのコルチコステロイドの投与を含む。一実施形態では、予防法(例えば、コルチコステロイド)は、二重特異性抗体と同じ日に投与される。予防法(例えば、コルチコステロイド)もまた、その後の日に投与することができる。いくつかの実施形態では、プロフィラキシクス(例えば、コルチコステロイド)は、その後の2、3、及び4日目に更に投与される。予防法等の更なる薬物療法に関連する場合、2日目、3日目及び4日目は、1日目に投与される二重特異性抗体の投与に関連することが理解される。例えば、あるサイクルにおいて抗体を15日目に投与し、予防法も投与する場合、2、3及び4日目に対応する予防法は、そのサイクルの16、17及び18日目である。いくつかの実施形態では、予防法は、二重特異性抗体が投与される日及びその後の2~4日目に投与される。当該予防法が二重特異性抗体と同じ日に投与される場合、予防法は、好ましくは二重特異性抗体の当該投与の30~120分前に投与される。本明細書に記載の方法のためのCRS予防法に使用するためのコルチコステロイドは、R-CHOPレジメンの成分であることから、好ましくはプレドニゾンである。したがって、好ましい実施形態では、コルチコステロイドはプレドニゾンである。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、経口用量を含めて100mg又はそれと等価な静脈内用量で投与される。CRS予防法に使用することができるプレドニゾロンの例示的なコルチコステロイド等価物を、投与相当量と共に表5に示す。
【0150】
二重特異性抗体(例えば、エプコリタマブ)がR-CHOPも投与される日(例えば、各21日間のサイクルの1日目)に投与される場合のCRS予防法に関して、R-CHOPレジメンは、CRS予防法のためのコルチコステロイド成分(すなわち、プレドニゾン又は等価物)、並びに例えばその後の2、3及び4日目のCRS予防法におけるコルチコステロイドのその後の投与を既に提供していることが理解される。しかしながら、二重特異性抗体がR-CHOPのプレドニゾン成分の投与の約30~120分以内に投与されない場合、いくつかの実施形態では、CRS予防法のための追加用量のコルチコステロイドがその日に投与され得る。しかしながら、その後の日、例えば、R-CHOP及び二重特異性抗体を投与した1日後の2日目、3日目及び4日目には、プレドニゾンを1用量だけ投与する(すなわち、用量は、二重特異性抗体に対するCRS予防法と、R-CHOPレジメンの成分との両方の役割を果たす)。二重特異性抗体がR-CHOPなしで投与される日(例えば、21日サイクルの8及び15日目)に、プレドニゾン又は等価物が、CRS予防法として、例えば、前投薬(例えば、抗ヒスタミン剤/解熱剤)と一緒に、以下に記載されるように投与される。
【0151】
一実施形態では、プレドニゾンがR-CHOPレジメンの一部として21日サイクルの1~5日目に投与され(例えば、サイクル1)、二重特異性抗体がそのサイクルの1日目に投与されるとき、R-CHOPのプレドニゾン成分が二重特異性抗体が投与される約30~120分前に投与されるならば、CRS予防法のために更なるコルチコステロイドは投与されない(すなわち、コルチコステロイドの二重投薬は行われない)。いくつかの実施形態では、プレドニゾンがR-CHOPレジメンの一部として21日サイクル(例えば、サイクル1)の1~5日目に投与され、二重特異性抗体がそのサイクルの1日目に投与されるとき、R-CHOPのプレドニゾン成分がその二重特異性抗体が投与される120分より前に投与されるならば、更なるコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン100mg又はその等価物)がその二重特異性抗体が投与される前にCRS予防法として投与される。いくつかの実施形態では、R-CHOPが21日サイクルの1日目に保留され、したがって、R-CHOPレジメンのプレドニゾン成分が二重特異性抗体と同じ日に対象に投与されない場合、対象には、CRS予防法のためのプレドニゾン又はその等価物等のコルチコステロイドが投与される。
【0152】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法におけるヒト対象は、注射に対する反応を低減させるために前投薬で治療される。一実施形態では、前投薬は抗ヒスタミン薬の投与を含む。いくつかの実施形態では、前投薬は、解熱薬の投与を含む。更なる実施形態では、前投薬は、抗ヒスタミン薬及び解熱薬の全身投与を含む。
【0153】
前投薬における使用に適した例示的な抗ヒスタミン剤は、ジフェンヒドラミンである。
【0154】
したがって、一実施形態では、前投薬に使用するための抗ヒスタミン剤は、ジフェンヒドラミンである。一実施形態では、ジフェンヒドラミンは、50mg又はその等価物の静脈内又は経口用量で投与される。前投薬における使用に適した例示的な解熱薬は、アセトアミノフェンである。したがって、一実施形態では、前投薬において使用するための解熱剤は、アセトアミノフェンである。1つの実施形態では、アセトアミノフェンは、650~1000mg又はその等価物の経口用量で投与される。いくつかの実施形態では、前投薬は、二重特異性抗体による注射の前に、例えば、二重特異性抗体の投与の30~120分前に、例えば二重特異性抗体と同じ日に投与される。いくつかの実施形態では、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)は、二重特異性抗体と同じ日に、例えば二重特異性抗体を注射する前に、例えば二重特異性抗体を50mgの静脈内又は経口用量で投与する30~120分前に投与される。いくつかの実施形態では、解熱薬(例えば、アセトアミノフェン)は、二重特異性抗体と同じ日に、例えば、二重特異性抗体を注射する前に、例えば、二重特異性抗体を650~1000mgの経口用量で投与する30~120分前に投与される。いくつかの実施形態では、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)及び解熱薬(例えば、アセトアミノフェン)は、二重特異性抗体と同じ日に、例えば、二重特異性抗体を注射する前に、例えば、二重特異性抗体を50mg(又は約50mg)の静脈内用量又は経口用量、及び650~1000mg(又は約650~1000mg)の経口用量でそれぞれ投与する30~120分前に投与される。
【0155】
CRSの前投薬及び/又は予防法は、少なくとも治療の初期段階で投与することができる。いくつかの実施形態では、前投薬及び/又は予防法は、二重特異性抗体の最初の4回の投与の間に投与される。例えば、予防法及び/又は前投薬は、最初の21日サイクルにおける二重特異性抗体の3回の投与及び第2の21日サイクルにおける二重特異性抗体の第1の投与の間に、本明細書に記載されるように投与され得る。一実施形態では、第1及び第2の21日サイクルの1日目に、R-CHOPレジメンのプレドニゾン成分は、CRSを予防するためのコルチコステロイドとしてはたらく。
【0156】
通常、初期治療中の反応のリスクは、数回の投与後、例えば最初の4回の投与(第1のサイクルでの3回の投与及び第2サイクルでの第1の投与)後に低下する。したがって、ヒト対象が第4の投与でCRSを経験していない場合、CRSの予防法を中止することができる。したがって、いくつかの実施形態では、前投薬及び/又は予防法は、21日サイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される。いくつかの実施形態では、前投薬は、21日間のサイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される。いくつかの実施形態では、予防法は、21日サイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される。しかしながら、CRS予防法は、特にヒト対象がグレード1を超えるCRSを経験する場合、継続し得る。同様に、前投薬も継続してもよい。CRSのグレード分類は、表6及び表7に記載のように行うことができる。
【0157】
更なる実施形態では、本明細書に記載される方法では、予防法は、21日サイクルのサイクル2での二重特異性抗体の第1の投与の後で対象がグレード1超のCRSを経験するとき、21日サイクルのサイクル2の間の二重特異性抗体の2回目及び3回目の投与の間に投与され、すなわち、CRSのための予防法は、サイクル2における二重特異性抗体の第1の投与(すなわち、21日サイクルのサイクル2の1日目)(すなわち、第4の投与)の後でヒト対象がグレード1超のCRSを経験するとき、2回目の21日サイクルで継続される。さらに、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において、ヒト対象がグレード1を超えるCRSを経験する場合、その後のサイクル中に予防法を継続することができる。したがって、いくつかの実施形態では、予防法は、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において対象がグレード1を超えるCRSを経験するとき、後続のサイクルにおいて継続される。前投薬が、第2のサイクル(すなわち、サイクル2)の間に投与されてもよい。更なる前投薬は、必要に応じて、後続のサイクル中に投与されてもよい。
【0158】
一実施形態では、抗ヒスタミン薬、例えばジフェンヒドラミン(例えば、50mgの静脈内若しくは経口用量、又はその等価物)、解熱剤、例えばアセトアミノフェン(例えば、650~1000mgの経口用量、又はその等価物)及びコルチコステロイド、例えばプレドニゾン(例えば、100mgの静脈内用量、又はその等価物)を含むCRSの前投薬及び予防法が投与される。いくつかの実施形態では、前投薬及び予防法は、二重特異性抗体の投与の30~120分前に投与される。その後の2日目、3日目及び4日目に、プレドニゾン(例えば、100mgの静脈内用量、又はその等価物)等のコルチコステロイドの全身投与を含む更なる予防法が投与される。いくつかの実施形態では、前投薬スケジュール及び予防法スケジュールは、好ましくは、二重特異性抗体の最初の4回の投与の間、例えば、本明細書に記載される二重特異性抗体投与の第1の21日サイクルの間及び第2の21日サイクルの開始時に投与される。さらに、後続のサイクルは、例えば、前のサイクルの最後の投与中に発生するグレード1を超えるCRSの場合、同じ投与スケジュールを含むことができ、投与スケジュールの一部としての前投薬は任意である。しかしながら、上記のように、プレドニゾンがR-CHOPレジメンの一部として投与される場合、CRS予防法のコルチコステロイド成分は、各21日サイクルの1日目及びその後の2~4日目に二重特異性抗体の第1の投与中に対象に投与されないことがある。
【0159】
本明細書に記載の用量及び治療レジメンを使用したDLBCLによるヒト対象の治療中、CRSは十分に管理され、同時にDLBCLを効果的に制御及び/又は治療することができる。実施例に記載されるように、本明細書に記載される方法で治療される対象は、管理可能なCRSを経験し得る。場合によっては、本明細書に記載される治療を受けている対象は、標準的な慣例に従って定義されるグレード1のCRSを発症し得る。他の場合では、対象は、標準的な慣例に従って定義されるグレード2の管理可能なCRSを発症し得る。したがって、本明細書に記載の治療を受けている対象は、標準的な慣例に従って定義されるように、グレード1又はグレード2の管理可能なCRSを有し得る。CRSの標準的な分類によれば、グレード1のCRSには、少なくとも38℃までの発熱、低血圧なし、低酸素症なしが含まれ、グレード2のCRSには、少なくとも38℃までの発熱に加えて、昇圧剤を必要としない低血圧及び/又は低流量鼻カニューレ若しくはブローバイによる酸素を必要とする低酸素症が含まれる。そのような管理可能なCRSは、サイクル1中に起こり得る。本明細書に記載の治療を受けているヒト対象はまた、標準的な慣例に従って定義される治療中にグレード2を超えるCRSを有し得る。したがって、本明細書に記載される治療を受けるヒト対象はまた、標準的な慣例に従って定義されるように、当該治療の期間中にグレード3のCRSを有し得る。そのような管理可能なCRSは、サイクル1及び後続のサイクル中に更に発生し得る。
【0160】
本明細書に記載される方法に従って治療されるヒト対象はまた、発熱、疲労及び注射部位反応を経験し得る。それらはまた、神経毒性、部分発作、CRSに関連する失書症、又はCRSに関連する錯乱状態を経験し得る。
【0161】
上述のように、対象は、CRS予防法を受けたにもかかわらず、本明細書に記載の方法による治療中にCRSを発症し得る。CRSグレード分類基準を表6及び7に記載する。
【0162】
好ましい実施形態では、グレード1のCRSを発症する対象は、感染症を呈する場合、抗生物質で治療され、すなわち対象がグレード1のCRSを発症する場合、対象は抗生物質を投与される。いくつかの実施形態では、抗生物質は、好中球減少症(存在する場合)が解消するまで継続される。いくつかの実施形態では、全身症状を示すグレード1のCRSを有する対象をNSAIDで治療する。
【0163】
一実施形態では、グレード2のCRSを発症する対象を、静脈内輸液ボーラス及び/又は酸素補給で治療する。一実施形態では、グレード2のCRSを発症する対象は、昇圧剤(例えば、ノルエピネフリン)で治療される。一実施形態では、併存疾患を有するグレード2のCRSを有する対象は、トシリズマブ(例えばACTEMRA(登録商標)として市販されているIL-6受容体に対するヒト化抗体)で治療される。一実施形態では、グレード2のCRSを有する対象をトシリズマブ及びステロイドで治療する。一実施形態では、ステロイドはデキサメタゾンである。一実施形態では、ステロイドはメチルプレドニゾロンである。更なる実施形態では、同時ICANSを呈する対象にデキサメタゾンを投与する。なお更なる実施形態では、対象が例えば6時間以内にCRS症状の改善を示さない場合、又は対象が初期改善後に悪化し始めた場合、トシリズマブの第2の用量がコルチコステロイドの用量と一緒に投与される。いくつかの実施形態では、対象が3回の投与後にトシリズマブに対して難治性である場合、追加のサイトカイン療法、例えば抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)又はIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)が対象に投与される。
【0164】
一実施形態では、グレード3のCRSを発症する対象は、昇圧剤(例えば、ノルエピネフリン)支持及び/又は酸素補給で治療される。いくつかの実施形態では、グレード3のCRSを有する対象はトシリズマブで治療される。一実施形態では、グレード3のCRSを有する対象は、ステロイドと組み合わせたトシリズマブ(例えば、デキサメタゾン又はその等価なメチルプレドニゾロン)で治療される。いくつかの実施形態では、同時ICANSを呈する対象にデキサメタゾンを投与する。更なる実施形態では、対象が3回の投与後にトシリズマブに対して難治性である場合、追加のサイトカイン療法、例えば抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)又はIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)が対象に投与される。
【0165】
一実施形態では、グレード4のCRSを発症する対象は、昇圧剤(例えば、ノルエピネフリン)支持及び/又は酸素補給で(例えば、陽圧換気、例えばCPAP、BiPAP、挿管、又は機械的人工呼吸を介して)治療される。一実施形態では、グレード4のCRSを発症する対象は、少なくとも2つの昇圧剤を投与される。一実施形態では、グレード4のCRSを発症する対象には、トシリズマブ及びステロイド(例えば、デキサメタゾン又はメチルプレドニゾロンの等価物)が投与される。更なる実施形態では、同時ICANSを呈する対象にデキサメタゾンを投与する。対象が3回の投与後にトシリズマブに対して難治性である場合、追加のサイトカイン療法、例えば抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)又はIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)が対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブはIL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)に切り替えられる。いくつかの実施形態では、対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブはIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)に切り替えられる。
【0166】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、腫瘍崩壊症候群(TLS)の予防的処置を受け、すなわち対象は、TLSの予防法で治療される。腫瘍崩壊症候群の分類及びグレード分類は、当技術分野で公知の方法、例えば、Howard et al.N Engl J Med 2011;364:1844-54、及びCoiffier et al.,J Clin Oncol 2008;26:2767-78。いくつかの実施形態では、TLSの予防法(予防的処置)は、二重特異性抗体を投与する前に、1つ以上の尿酸還元剤を投与することを含む。例示的な尿酸還元剤としては、ラスブリカーゼ及びアロプリノールが挙げられる。したがって、一実施形態では、TLSの予防的処置は、ラスブリカーゼを投与することを含む。一実施形態では、TLSの予防的処置は、アロプリノールを投与することを含む。一実施形態では、TLSの予防的処置は、二重特異性抗体を投与する前にアロプリノール及びアロプリノールを投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象がTLSの徴候を示す場合、ラスブリカーゼ等の支持療法が使用され得る。
【0167】
本明細書に記載の方法に従ってリツキシマブを投与されている対象は、支持療法で治療することができる。一実施形態では、支持療法としては、限定されないが、(a)アセトアミノフェン(例えば、経口で650mg)、ジフェンヒドラミン(例えば、静脈内又は経口で50~100mg)及びステロイドによる前投薬、例えば、各リツキシマブ注入を開始する30~60分前の投薬、(b)ニューモシスチス・カリニ(pneumocystis carinii)肺炎の予防的処置、(c)標準ローカルプラクティス(例えば、メトトレキサート)によるCNS予防法、(d)治療を開始してから5年以内に深部静脈血栓症(DVT)又は肺塞栓症(PE)の既往歴がなく、血栓症の標準的なリスクがあると考えられる対象のための低用量アスピリン(例えば、毎日70~100mg)又は別の予防的抗血栓療法、及び/又は(e)治療を開始してから5年以内にDVT又はPEの既往歴を有する対象のための抗凝固療法が挙げられるが。
【0168】
一実施形態では、本明細書に記載される方法において使用される二重特異性抗体は皮下投与され、したがって、皮下(s.c.)投与に適合性である、すなわち、本明細書に記載される用量で、薬学的に許容され得るs.c.投与を可能にする可能にする配合及び/又は濃度を有するように医薬組成物に製剤化される。いくつかの実施形態では、皮下投与は、注射によって行われる。例えば、皮下製剤と適合性であり、本明細書に記載される方法において使用され得るDuoBody-CD3xCD20のための製剤は、以前に記載されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019155008号を参照)。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、酢酸ナトリウム三水和物、酢酸、水酸化ナトリウム、ソルビトール、ポリソルベート80及び注射用水を用いて製剤化され得、5.5又は約5.5のpHを有し得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、5mg/mL又は60mg/mLの濃縮物として提供される。他の実施形態では、二重特異性抗体の所望の用量は、皮下注射のために約1mLの量に再構成される。
【0169】
一実施形態では、二重特異性抗体に適した医薬組成物は、二重特異性抗体、20~40mM酢酸塩、140~160mMソルビトール、及び界面活性剤、例えばポリソルベート80を含み得、pHは5.3~5.6である。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、5~100mg/mL、例えば48又は60mg/mLの二重特異性抗体、30mM酢酸塩、150mMソルビトール、0.04%w/vポリソルベート80の範囲の抗体濃度を含み得、5.5のpHを有し得る。そのような製剤は、適切な投薬及び皮下投与を可能にするために、例えば製剤緩衝液で希釈され得る。
【0170】
医薬組成物の量は、抗体の皮下投与を可能にするように適切に選択される。例えば、投与される量は、約0.3mL~約3mL、例えば0.3mL~3mLの範囲である。投与される量は、0.5mL、0.8mL、1mL、1.2mL、1.5mL、1.7mL、2mL若しくは2.5mL、又は約0.5mL、約0.8mL、約1mL、約1.2mL、約1.5mL、約1.7mL、約2mL若しくは約2.5mLであり得る。したがって、一実施形態では、投与される量は、0.5mL又は約0.5mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、0.8mL又は約0.8mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、1mL又は約1mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、1.2mL又は約1.2mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、1.5mL又は約1.5mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、1.7mL又は約1.7mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、2mL又は約2mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、2.5mL又は約2.5mLである。
【0171】
一実施形態では、リツキシマブは、例えば、地域のガイドライン又は地域の製品ラベルによって指定されるように、地域の標準治療の慣例に従って、投与(例えば、静脈内投与)のための薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物に製剤化される。例えば、いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内投与のための滅菌された無色透明の保存剤を含まない液体濃縮物として提供される。一実施形態では、リツキシマブは、100mg/10mL又は500mg/50mLのいずれかの単回使用バイアルにおいて10mg/mLの濃度で供給される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、注射用に、ポリソルベート80(0.7mg/mL)、クエン酸ナトリウム二水和物(7.35mg/mL)、塩化ナトリウム(9mg/mL)及び水に、pH6.5で製剤化される。
【0172】
一実施形態では、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾンは、例えば、地域のガイドライン若しくは地域の製品ラベルによって指定されるように、又は製造業者によって指示されるように、地域の標準医療の慣例に従って投与(例えば、静脈内投与)するための薬学的に許容され得る賦形剤を含む薬学的組成物において製剤化される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾンは、例えば製品ラベルの説明書に従って、ストック溶液から希釈されるか、又は凍結乾燥形態であれば再構成される(例えば、0.9%生理食塩水を用いる)。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、経口投与のための医薬組成物に製剤化される。
【0173】
一実施形態では、本明細書に記載される方法において使用される二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域は、配列番号6のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号7のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域は、配列番号13のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号14のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームとを含む。
【0174】
CDR1、CDR2及びCDR3領域は、当技術分野で公知の方法を使用して可変重鎖及び軽鎖領域から同定することができる。当該可変重鎖領域及び可変軽鎖領域からのCDR領域は、IMGT(Lefranc et al.,Nucleic Acids Research 1999;27:209-12,1999]及びBrochet.Nucl Acids Res 2008;36:W503-8を参照)に従って注釈を付けることができる。
【0175】
一実施形態では、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、それぞれ配列番号1、2、及び3に示されるアミノ酸配列VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列番号GTN、及び5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3とを含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列番号DAS及び12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームとを含む。
【0176】
一実施形態では、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームとを含む。
【0177】
一実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は不活性Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体であり、不活性Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、CD3に対する第1の結合アームは、ヒト化抗体、例えば参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015001085号に記載されているH1L1等の完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来し、及び/又はCD20に対する第2の結合アームは、ヒト抗体、例えば参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004035607号に記載されているクローン7D8等の完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する。二重特異性抗体は、二種類の半分子抗体から産生することができ、二種類の半分子抗体の各々は、例えば、配列番号24及び25、並びに配列番号26及び27に示されるそれぞれの第1及び第2の結合アームを含む。半抗体は、CHO細胞において産生され得、二重特異性抗体は、例えばFabアーム交換によって生成され得る。一実施形態では、二重特異性抗体は、DuoBody-CD3xCD20の機能的変異体である。
【0178】
したがって、いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号6と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVH領域、又は配列番号6のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVH領域と、配列番号7と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVL領域、又は配列番号7のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVL領域とを含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号13と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVH領域、又は配列番号13のアミノ酸配列を含むが1、2、若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVH領域と、配列番号14と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVL領域、又は配列番号14のアミノ酸配列を含むが1、2、若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVL領域とを含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0179】
一実施形態では、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH領域及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号24と少なくとも85%、90%、95%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号24のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する重鎖と、配列番号25と少なくとも85%、90%、95%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する軽鎖領域とを含む、第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号26と少なくとも85%、90%、95%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号26のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する重鎖と、配列番号27と少なくとも85%、90%、95%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号27のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する軽鎖とを含む、第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0181】
二重特異性抗体には、様々な定常領域又はその変異体が使用され得る。一実施形態では、抗体は、IgG定常領域、例えばヒトIgG1定常領域、例えば配列番号15で定義されるヒトIgG1定常領域、又は任意の他の適切なIgG1アロタイプを含む。一実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である。一実施形態では、二重特異性抗体の第1の結合アームは、ヒト化抗体、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する。一実施形態では、二重特異性抗体の第1の結合アームは、ヒト化抗体、例えば完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来し、したがってλ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、第1の結合アームは、配列番号22に定義されるλ軽鎖定常領域を含む。一実施形態では、二重特異性抗体の第2の結合アームはヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する。一実施形態では、二重特異性抗体の第2の結合アームは、ヒト抗体、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来し、したがってκ軽鎖定常領域を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の結合アームは、配列番号23に定義されるκ軽鎖定常領域を含む。好ましい実施形態では、第1の結合アームは、配列番号22に定義されるλ軽鎖定常領域を含み、第2の結合アームは、配列番号23に定義されるκ軽鎖定常領域を含む。
【0182】
二重特異性抗体の定常領域部分は、二重特異性抗体の効率的な形成/産生を可能にする及び/又は不活性Fc領域を提供する修飾を含み得ることが理解される。そのような修飾は当技術分野で周知である。
【0183】
二重特異性抗体の異なるフォーマットが当技術分野で公知である(Kontermann,Drug Discov Today 2015;20:838-47;MAbs,2012;4:182-97による総説)。したがって、本明細書に記載される方法及び使用において使用される二重特異性抗体は、いかなる特定の二重特異性フォーマット又はその作製方法にも限定されない。例えば、二重特異性抗体には、ヘテロ二量体化を強制する相補的CH3ドメインを有する二重特異性抗体、ノブ-イントゥ・ホール分子(Genentech、国際公開第9850431号)、CrossMAb(Roche、国際公開第2011117329号)、又は静電的にマッチさせた分子(Amgen、欧州特許第1870459号及び国際公開第2009089004号;Chugai、米国特許出願公開第201000155133号;Oncomed、国際公開第2010129304号)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0184】
好ましくは、二重特異性抗体は、第1のCH3領域を含む第1のFc配列を有する第1の重鎖と、第2のCH3領域を含む第2のFc配列を有する第2の重鎖とを含むFc領域を含み、第1及び第2のCH3領域の配列は異なり、当該第1及び第2のCH3領域間のヘテロ二量体相互作用が当該第1及び第2のCH3領域のホモ二量体相互作用のそれぞれよりも強いものである。これらの相互作用及びそれらがどのようにして達成され得るかに関する更なる詳細は、例えば、国際公開第2011131746号及び国際公開第2013060867号(Genmab)に提供されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、二重特異性抗体は、第1の重鎖において(i)配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置にアミノ酸Lを含み、第2の重鎖において配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置にアミノ酸Rを含み、又はその逆も含む。
【0185】
二重特異性抗体は、Fc領域を不活性又は非活性化にするためのFc領域中の修飾を含み得る。したがって、本明細書に開示される二重特異性抗体において、一方又は両方の重鎖は、抗体がFc媒介エフェクター機能を、修飾を有さない二重特異性抗体と比較してより少ない程度で誘導するように修飾され得る。Fc媒介エフェクター機能は、T細胞上のFc媒介性CD69発現(すなわち、CD3抗体媒介Fcγ受容体依存性CD3架橋の結果としてのCD69発現)を決定することによって、Fcγ受容体に結合することによって、C1qに結合することによって、又はFcγRのFc媒介性架橋の誘導によって測定することができる。特に、重鎖定常領域配列は、Fc媒介CD69発現が、野生型(非修飾)抗体と比較した場合、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%又は100%低下するように修飾されていてもよく、当該Fc媒介CD69発現は、例えば国際公開第2015001085号の実施例3に記載されているようなPBMCベースの機能アッセイで決定される。重鎖定常領域配列及び軽鎖定常領域配列の改変はまた、当該抗体へのC1qの結合の減少をもたらし得る。未修飾抗体と比較して、減少は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%であり得、C1q結合は、例えばELISAによって決定され得る。さらに、抗体が未修飾抗体と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%又は100%低下したFc媒介性T細胞増殖を媒介するように修飾され得るFc領域であって、当該T細胞増殖はPBMCベースの機能アッセイで測定される、Fc領域。例えばIgG1アイソタイプ抗体において修飾され得るアミノ酸位置の例としては、位置L234及びL235が挙げられる。したがって、一実施形態では、二重特異性抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖を含み得、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、EuナンバリングによるヒトIgG1重鎖の位置L234及びL235に対応する位置のアミノ酸残基は、それぞれF及びEである。さらに、D265Aアミノ酸置換は、全てのFcγ受容体への結合を減少させ、ADCCを防ぐことができる(Shields et al.,JBC 2001;276:6591-604)。したがって、二重特異性抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖を含み得、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、EuナンバリングによるヒトIgG1重鎖の位置D265に対応する位置のアミノ酸残基はAである。
【0186】
一実施形態では、二重特異性抗体の第1の重鎖及び第2の重鎖において、ヒトIgG1重鎖のL234、L235及びD265位に相当する位置のアミノ酸は、それぞれF、E及びAである。これらのアミノ酸をこれらの位置に有する抗体は、不活性なFc領域又は非活性なFc領域を有する抗体の一例である。一実施形態では、二重特異性抗体は第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸はそれぞれF、E及びAである。一実施形態では、二重特異性抗体は第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであるか、又はその逆である。好ましい実施形態では、二重特異性抗体は第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、(i)第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸はそれぞれF、E及びAであり、(ii)第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであるか、又はその逆である。
【0187】
本明細書に記載される二重特異性抗体に関して、3つのアミノ酸置換L234F、L235E及びD265Aの組み合わせを有し、加えて、上記で記載されるようなK409R又はF405L変異を有するものは、それぞれ接尾辞「FEAR」又は「FEAL」で示される場合がある。
【0188】
野生型IgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号15として同定され得る。上に開示される実施形態と一致して、二重特異性抗体は、F405L置換を担持するIgG1重鎖定常領域を含み得、配列番号17に示されるアミノ酸配列及び/又はK409R置換を担持するIgG1重鎖定常領域を有し得、配列番号18に示されるアミノ酸配列を有し得、Fc領域を不活性又は非活性化にする更なる置換を有し得る。したがって、一実施形態では、二重特異性抗体は、IgG1重鎖定常領域と、L234F、L235E、D265A及びF405L置換を有するIgG1重鎖定常領域の一方のアミノ酸配列(例えば、配列番号19に示す)、並びにL234F、L235E、D265A及びK409R置換を有する他方のIgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列(例えば、配列番号20に示す)との組み合わせを含む。したがって、一実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0189】
好ましい実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用において使用される二重特異性抗体は、それぞれ配列番号24及び25で定義される重鎖及び軽鎖を含む第1の結合アームと、それぞれ配列番号26及び27で定義される重鎖及び軽鎖を含む第2の結合アームとを含む。そのような抗体は、本明細書ではDuoBody CD3xCD20と呼ばれる。また、そのような抗体の変異体は、本明細書に記載の方法及び使用における使用が企図される。いくつかの実施形態では、上記二重特異性抗体は、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、上記二重特異性抗体は、エプコリタマブ(CAS2134641-34-0)又はそのバイオシミラーである。
【0190】
キット
DuoBody-CD3xCD20又はエプコリタマブ等の本発明によるCD3及びCD20に結合する二重特異性抗体と、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物を、本明細書に記載の方法での使用に適合した治療有効量で含むキットも本明細書で提供される。キットはまた、リツキシマブ(例えば、静脈内投与の場合)、シクロホスファミド(例えば、静脈内投与の場合)、ドキソルビシン(例えば、静脈内投与の場合)、ビンクリスチン(例えば、静脈内投与の場合)及び/又はプレドニゾン(例えば、静脈内又は経口投与用)を含有する医薬組成物を含み得る。キットはまた、必要に応じて、医師(例えば、医師、看護師、又は患者)がDLBCLを有する患者にその中に含有される1又は複数の組成物を投与することを可能にするための、例えば、投与スケジュールを含む説明書を含んでもよい。キットはまた、シリンジ又はシリンジを含むことができる。
【0191】
キットは、本明細書に記載される方法に従って、それぞれが単回投与のための有効量の二重特異性抗体を含有する単回用量の医薬組成物の複数のパッケージを含んでもよい。それらはまた、標準治療レジメンに従って用量のリツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及び/又はプレドニゾンを含有する単回用量医薬組成物の複数のパッケージを含み得る。(1又は複数の)医薬組成物を投与するために必要な器具又は装置もキットに含まれ得る。
【0192】
更なる実施形態
1.二重特異性抗体であって、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、前記VH領域は、配列番号6の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域は、配列番号7の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、前記VH領域が、配列番号13の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域が、配列番号14の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療に使用するためのものであって、前記治療が、前記二重特異性抗体と、有効量のリツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾンとを前記ヒト対象に投与することを含み、前記二重特異性抗体が24mg又は48mgの用量で投与され、前記二重特異性抗体、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾンが21日サイクルで投与される、二重特異性抗体。
【0193】
2.二重特異性抗体が24mgの用量で投与される、実施形態1に記載の二重特異性抗体。
【0194】
3.二重特異性抗体が48mgの用量で投与される、実施形態1に記載の二重特異性抗体。
【0195】
4.二重特異性抗体を週に1回投与する(毎週の投与)、実施形態1~3のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0196】
5.24mg又は48mgの前記毎週の投与が、3回及び1/3回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態4に記載の二重特異性抗体。
【0197】
6.前記毎週の投与の後、前記二重特異性抗体を3週間に1回投与する、実施形態4又は5に記載の二重特異性抗体。
【0198】
7.前記3週間に1回の投与が、2回又は4回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態6に記載の二重特異性抗体。
【0199】
8.前記3週間に1回の投与の後、前記二重特異性抗体を28日間サイクルで4週間に1回投与する、実施形態7に記載の二重特異性抗体。
【0200】
9.前記4週間に1回の投与が、前記二重特異性抗体による治療の合計1年までの期間にわたって行われる、実施形態8に記載の二重特異性抗体。
【0201】
10.24mg又は48mgの前記毎週の投与の前に、前記二重特異性抗体のプライミング用量を前記21日サイクルのサイクル1で投与する、実施形態4~9のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0202】
11.前記プライミング用量が、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する2週間前に投与される、実施形態10に記載の二重特異性抗体。
【0203】
12.前記プライミング用量が0.16mgである、実施形態10又は11に記載の二重特異性抗体。
【0204】
13.前記プライミング用量を投与した後、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する前に、前記二重特異性抗体の中間用量を投与する、実施形態10~12のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0205】
14.前記プライミング用量を1日目に投与し、前記中間用量を8日目に投与した後、サイクル1の15日目に24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する、実施形態13に記載の二重特異性抗体。
【0206】
15.前記中間用量が0.8mgである、実施形態13又は14に記載の二重特異性抗体。
【0207】
16.リツキシマブが3週間に1回投与される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0208】
17.前記3週間に1回のリツキシマブの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態16に記載の二重特異性抗体。
【0209】
18.リツキシマブが375mg/m2の用量で投与される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0210】
19.シクロホスファミドが3週間に1回投与される、実施形態1~18のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0211】
20.前記3週間に1回のシクロホスファミドの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態19に記載の二重特異性抗体。
【0212】
21.シクロホスファミドが750mg/m2の用量で投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0213】
22.ドキソルビシンが3週間に1回投与される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0214】
23.前記ドキソルビシンの3週間に1回の投与が、6回又は8回の21サイクルにわたって行われる、実施形態22に記載の二重特異性抗体。
【0215】
24.ドキソルビシンが50mg/m2の用量で投与される、実施形態1~23のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0216】
25.ビンクリスチンが3週間に1回投与される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0217】
26.前記3週間に1回のビンクリスチンの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態25に記載の二重特異性抗体。
【0218】
27.ビンクリスチンが1.4mg/m2の用量で投与される、実施形態1~26のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0219】
28.プレドニゾンが21日サイクルの1日目から5日目まで1日1回投与される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0220】
29.プレドニゾンを6回又は8回の21日サイクルにわたり投与する、実施形態28に記載の二重特異性抗体。
【0221】
30.プレドニゾンを100mg/日の用量で投与する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0222】
31.リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体を、同日(例えば、21日サイクルのサイクル1~6又はサイクル1~8の1日目)に投与する、実施形態1~30のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0223】
32.リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び二重特異性抗体の投薬スケジュールが表2に示される通りである、実施形態1~31のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0224】
33.投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5及び6では、1日目に24mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~6の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~6の1~5日目に投与される、実施形態1、2及び4~32のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0225】
34.投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5及び6では、1日目に48mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~6の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~6の1~5日目に投与される、実施形態1及び3~32のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0226】
35.前記二重特異性抗体が、サイクル7から1日目に28日サイクルで4週間ごとに1回投与される、実施形態33又は34に記載の二重特異性抗体。
【0227】
36.投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5~8では、1日目に24mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~8の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~8の1~5日目に投与される、実施形態1、2及び4~32のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0228】
37.投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5~8では、1日目に48mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~8の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~8の1~5日目に投与される、実施形態1及び3~32のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0229】
38.前記二重特異性抗体が、サイクル9から1日目に28日サイクルで4週間ごとに1回投与される、実施形態36又は37に記載の二重特異性抗体。
【0230】
39.前記二重特異性抗体が皮下投与される、実施形態1~38のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0231】
40.リツキシマブが静脈内投与される、実施形態1~39のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0232】
41.シクロホスファミドが静脈内投与される、実施形態1~40のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0233】
42.ドキソルビシンが静脈内投与される、実施形態1~41のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0234】
43.ビンクリスチンが静脈内投与される、実施形態1~42のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0235】
44.プレドニゾンが静脈内又は経口投与される、実施形態1~43のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0236】
45.リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が連続的に投与される、実施形態1~44いずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0237】
46.リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が同じ日に投与される場合、プレドニゾンが最初に投与され、リツキシマブが2番目に投与され、シクロホスファミドが3番目に投与され、ドキソルビシンが4番目に投与され、ビンクリスチンが5番目に投与され、前記二重特異性抗体が最後に投与される、実施形態1~45のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0238】
47.前記DLBCLがダブルヒット又はトリプルヒットDLBCLである、実施形態1~46のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0239】
48.前記DLBCLが濾胞性リンパ腫グレード3Bである、実施形態1~47のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0240】
49.前記対象が、国際予後指標(IPI)スコア又は改訂IPIスコア≧3を有する、実施形態1~48のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0241】
50.前記対象が、DLBCL又は濾胞性リンパ腫グレード3Bの事前治療を受けたことがない、実施形態1~49のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0242】
51.前記対象がサイトカイン放出症候群(CRS)の予防法により治療される、実施形態1~50のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0243】
52.前記予防法がコルチコステロイドを前記対象に投与することを含む、実施形態51に記載の二重特異性抗体。
【0244】
53.前記コルチコステロイドが二重特異性抗体と同日に投与される、実施形態52に記載の二重特異性抗体。
【0245】
54.前記コルチコステロイドが、二重特異性抗体の投与後2日目、3日目及び4日目に更に投与される、実施形態53に記載の二重特異性抗体。
【0246】
55.前記コルチコステロイドがプレドニゾンである、実施形態52~54のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0247】
56.前記プレドニゾンが、経口用量を含む100mg又はその等価物の静脈内用量で投与される、実施形態55に記載の二重特異性抗体。
【0248】
57.R-CHOP由来の前記プレドニゾンがCRSの予防法のためのコルチコステロイドとしてはたらく、実施形態52~54のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0249】
58.前記R-CHOPからのプレドニゾンが二重特異性抗体の投与の120分より前に投与されるならば、対象には、プレドニゾン又は等価物が二重特異性抗体の投与の約30~120分前に投与される、実施形態57に記載の二重特異性抗体。
【0250】
59.前記対象に、注射に対する反応を低下させるための前投薬を投与する、実施形態1~58のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0251】
60.前記前投薬が抗ヒスタミン剤を含む、実施形態59に記載の二重特異性抗体。
【0252】
61.前記抗ヒスタミン剤がジフェンヒドラミンである、実施形態60に記載の二重特異性抗体。
【0253】
62.前記ジフェンヒドラミンが、50mg又はその等価物の静脈内又は経口用量で投与される、実施形態61に記載の二重特異性抗体。
【0254】
63.前記前投薬が解熱剤を含む、実施形態59~62のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0255】
64.前記解熱薬がアセトアミノフェンである、実施形態63のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0256】
65.前記アセトアミノフェンが650mg~1000mg又はその等価物の経口用量で投与される、実施形態64に記載の二重特異性抗体。
【0257】
66.前記前投薬が二重特異性抗体と同日に投与される、実施形態59~65のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0258】
67.前記予防法が、21日サイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される、実施形態51~66のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0259】
68.前記前投薬が、21日サイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される、実施形態59~66のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0260】
69.前記対象が21日サイクルのサイクル2における前記二重特異性抗体の第1の投与の後でグレード1超のCRSを経験するとき、前記21日サイクルのサイクル2の間の前記二重特異性抗体の2回目及び3回目の投与の間に予防法が投与される、実施形態51~68のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0261】
70.前記予防法が、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において前記対象がグレード1を超えるCRSを経験するとき、後続のサイクルにおいて継続される、実施形態69に記載の二重特異性抗体。
【0262】
71.前記前投薬が前記21日サイクルのサイクル2の間に投与される、実施形態59~70のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0263】
72.前記前投薬が、その後のサイクルの間に投与される、実施形態71に記載の二重特異性抗体。
【0264】
73.前記対象がグレード1のCRSを発症する場合、前記対象に抗生物質が投与される、実施形態1~72のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0265】
74.前記対象がグレード2又はグレード3のCRSを発症する場合、前記対象に昇圧剤が投与される、実施形態1~72のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0266】
75.前記対象がグレード4のCRSを発症する場合、前記対象に少なくとも2つの昇圧剤が投与される、実施形態1~72のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0267】
76.前記対象がグレード2、グレード3又はグレード4のCRSを発症する場合、前記対象にトシリズマブが投与される、実施形態1~75のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0268】
77.前記対象にステロイドが更に投与される、実施形態76に記載の二重特異性抗体。
【0269】
78.前記ステロイドがデキサメタゾンである、実施形態77に記載の二重特異性抗体。
【0270】
79.前記ステロイドがメチルプレドニゾロンである、実施形態77に記載の二重特異性抗体。
【0271】
80.前記対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブが抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)に切り替えられる、実施形態76~79のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0272】
81.前記対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブがIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)に切り替えられる、実施形態76~79のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0273】
82.前記対象が腫瘍崩壊症候群(TLS)の予防法によって治療される、実施形態1~81のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0274】
83.前記TLSの予防法が、前記二重特異性抗体の投与前に1つ以上の尿酸還元剤を投与することを含む、実施形態82に記載の二重特異性抗体。
【0275】
84.前記1つ以上の尿酸還元剤が、ラスブリカーゼ及び/又はアロプリノールを含む、実施形態83に記載の二重特異性抗体。
【0276】
85.前記対象が完全奏効、部分奏効、又は安定疾患を達成する、実施形態1~84のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0277】
86.(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、それぞれ配列番号1、2及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む、
実施形態1~85のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0278】
87.(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む、
実施形態1~86のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0279】
88.前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームがヒト化抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する、実施形態1~87のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0280】
89.前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むλ軽鎖定常領域を含む、実施形態88に記載の二重特異性抗体。
【0281】
90.前記二重特異性抗体の前記第2の結合アームがヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(κ)抗体に由来する、実施形態1~89のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0282】
91.前記第2の結合アームが、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むκ軽鎖定常領域を含む、実施形態90に記載の二重特異性抗体。
【0283】
92.前記二重特異性抗体が、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である、実施形態1~91のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0284】
93.前記二重特異性抗体が、不活性Fc領域を含む、実施形態1~92のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0285】
94.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖及び前記第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAである、実施形態1~93のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0286】
95.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、実施形態1~94のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0287】
96.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、
(i)前記第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAであり、
(ii)前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、
実施形態1~95のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0288】
97.前記二重特異性抗体が、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、実施形態96に記載の二重特異性抗体。
【0289】
98.前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖とを含む、実施形態1~97のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0290】
99.前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖とを含む、実施形態1~98のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0291】
100.前記二重特異性抗体がエプコリタマブ又はそのバイオシミラーである、実施形態1~99のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0292】
本開示は、以下の実施例によって更に説明されるが、これは更なる限定として解釈されるべきではない。本出願を通して引用される全ての図及び全ての参考文献、Genbank配列、雑誌刊行物、特許及び公開特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0293】
1a.ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、二重特異性抗体と、有効量の(a)リツキシマブ、(b)シクロホスファミド、(c)ドキソルビシン、(d)ビンクリスチン及び(e)プレドニゾンとを前記対象に投与することを含み、前記二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、前記VH領域は、配列番号6の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域は、配列番号7の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、前記VH領域が、配列番号13の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域が、配列番号14の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
前記二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が21日サイクルで投与される、方法。
【0294】
2a.前記二重特異性抗体を24mgの用量で投与する、実施形態1aに記載の方法。
【0295】
3a.前記二重特異性抗体を48mgの用量で投与する、実施形態1aに記載の方法。
【0296】
4a.前記二重特異性抗体を週に1回投与する(毎週の投与)、実施形態1a~3aのいずれか1つに記載の方法。
【0297】
5a.24mg又は48mgの前記毎週の投与が、3回及び1/3回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態4aに記載の方法。
【0298】
6a.前記毎週の投与の後、前記二重特異性抗体を3週間に1回投与する、実施形態4a又は5aに記載の方法。
【0299】
7a.前記3週間に1回の投与が、2回又は4回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態6aに記載の方法。
【0300】
8a.前記3週間に1回の投与の後、前記二重特異性抗体を28日間サイクルで4週間に1回投与する、実施形態7aに記載の方法。
【0301】
9a.前記4週間に1回の投与が、前記二重特異性抗体による治療の合計1年までの期間にわたって行われる、実施形態8aに記載の方法。
【0302】
10a.24mg又は48mgの前記毎週の投与の前に、前記二重特異性抗体のプライミング用量を前記21日サイクルのサイクル1で投与する、実施形態4a~9aのいずれか1つに記載の方法。
【0303】
11a.前記プライミング用量が、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する2週間前に投与される、実施形態10aに記載の方法。
【0304】
12a.前記プライミング用量が0.16mgである、実施形態10a又は11aに記載の方法。
【0305】
13a.前記プライミング用量を投与した後、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する前に、前記二重特異性抗体の中間用量を投与する、実施形態10a~12aのいずれか1つに記載の方法。
【0306】
14a.前記プライミング用量を1日目に投与し、前記中間用量を8日目に投与した後、サイクル1の15日目に24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する、実施形態13aに記載の方法。
【0307】
15a.前記中間用量が0.8mgである、実施形態13a又は14aに記載の方法。
【0308】
16a.リツキシマブが3週間に1回投与される、実施形態1a~15aのいずれか1つに記載の方法。
【0309】
17a.前記3週間に1回のリツキシマブの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態16aに記載の方法。
【0310】
18a.リツキシマブが375mg/m2の用量で投与される、実施形態1a~17aのいずれか1つに記載の方法。
【0311】
19a.シクロホスファミドが3週間に1回投与される、実施形態1a~18aのいずれか1つに記載の方法。
【0312】
20a.前記3週間に1回のシクロホスファミドの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態19aに記載の方法。
【0313】
21a.シクロホスファミドが750mg/m2の用量で投与される、実施形態1a~20aのいずれか1つに記載の方法。
【0314】
22a.ドキソルビシンが3週間に1回投与される、実施形態1a~21aのいずれか1つに記載の方法。
【0315】
23a.前記3週間に1回のドキソルビシンの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態22aに記載の方法。
【0316】
24a.ドキソルビシンが50mg/m2の用量で投与される、実施形態1a~23aのいずれか1つに記載の方法。
【0317】
25a.ビンクリスチンが3週間に1回投与される、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の方法。
【0318】
26a.前記3週間に1回のビンクリスチンの投与が、6回又は8回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態25aに記載の方法。
【0319】
27a.ビンクリスチンが1.4mg/m2の用量で投与される、実施形態1a~26aのいずれか1つに記載の方法。
【0320】
28a.プレドニゾンが21日サイクルの1日目から5日目まで1日1回投与される、実施形態1a~27aのいずれか1つに記載の方法。
【0321】
29a.プレドニゾンを6回又は8回の21日サイクルにわたり投与する、実施形態28aに記載の方法。
【0322】
30a.プレドニゾンを100mg/日の用量で投与する、実施形態1a~29aのいずれか1つに記載の方法。
【0323】
31a.リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体を、同日(例えば、21日サイクルのサイクル1~6又はサイクル1~8の1日目)に投与する、実施形態1a~30aのいずれか1つに記載の方法。
【0324】
32a.リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び二重特異性抗体の投薬スケジュールが表2に示される通りである、実施形態1a~31aのいずれか1つに記載の方法。
【0325】
33a.投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5及び6では、1日目に24mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~6の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~6の1~5日目に投与される、実施形態1a、2a及び4a~32aのいずれか1つに記載の方法。
【0326】
34a.投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5及び6では、1日目に48mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~6の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~6の1~5日目に投与される、実施形態1a及び3a~32aのいずれか1つに記載の方法。
【0327】
35a.前記二重特異性抗体が、サイクル7から1日目に28日サイクルで4週間ごとに1回投与される、実施形態33a又は34aに記載の方法。
【0328】
36a.投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5~8では、1日目に24mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~8の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~8の1~5日目に投与される、実施形態1a、2a及び4a~32aのいずれか1つに記載の方法。
【0329】
37a.投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2~4では、1、8、及び15日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル5~8では、1日目に48mgの用量が投与される
のように投与され、
(b)リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びビンクリスチンが、サイクル1~8の1日目に投与され、
(c)プレドニゾンがサイクル1~8の1~5日目に投与される、実施形態1及び3a~32aのいずれか1つに記載の方法。
【0330】
38a.前記二重特異性抗体が、サイクル9から1日目に28日サイクルで4週間ごとに1回投与される、実施形態36a又は37aに記載の方法。
【0331】
39a.前記二重特異性抗体が皮下投与される、実施形態1a~38aのいずれか1つに記載の方法。
【0332】
40a.リツキシマブが静脈内投与される、実施形態1a~39aのいずれか1つに記載の方法。
【0333】
41a.シクロホスファミドが静脈内投与される、実施形態1a~40aのいずれか1つに記載の方法。
【0334】
42a.ドキソルビシンが静脈内投与される、実施形態1a~41aのいずれか1つに記載の方法。
【0335】
43a.ビンクリスチンが静脈内投与される、実施形態1a~42aのいずれか1つに記載の方法。
【0336】
44a.プレドニゾンが静脈内又は経口投与される、実施形態1a~43aのいずれか1つに記載の方法。
【0337】
45a.リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が連続的に投与される、実施形態1a~44aのいずれか1つに記載の方法。
【0338】
46a.リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が同じ日に投与される場合、プレドニゾンが最初に投与され、リツキシマブが2番目に投与され、シクロホスファミドが3番目に投与され、ドキソルビシンが4番目に投与され、ビンクリスチンが5番目に投与され、前記二重特異性抗体が最後に投与される、実施形態1a~45aのいずれか1つに記載の方法。
【0339】
47a.前記DLBCLがダブルヒット又はトリプルヒットDLBCLである、実施形態1a~46aのいずれか1つに記載の方法。
【0340】
48a.前記DLBCLが濾胞性リンパ腫グレード3Bである、実施形態1a~47aのいずれか1つに記載の方法。
【0341】
49a.前記対象が、国際予後指標(IPI)スコア又は改訂IPIスコア≧3を有する、実施形態1a~48aのいずれか1つに記載の方法。
【0342】
50a.前記対象が、DLBCL又は濾胞性リンパ腫グレード3Bの事前治療を受けたことがない、実施形態1a~49aのいずれか1つに記載の方法。
【0343】
51a.前記対象がサイトカイン放出症候群(CRS)の予防法により治療される、実施形態1a~50aのいずれか1つに記載の方法。
【0344】
52a.前記予防法がコルチコステロイドを前記対象に投与することを含む、実施形態51aに記載の方法。
【0345】
53a.前記コルチコステロイドが二重特異性抗体と同日に投与される、実施形態52aに記載の方法。
【0346】
54a.前記コルチコステロイドが、二重特異性抗体の投与後2日目、3日目及び4日目に更に投与される、実施形態53aに記載の方法。
【0347】
55a.前記コルチコステロイドがプレドニゾンである、実施形態52a~54aのいずれか1つに記載の方法。
【0348】
56a.前記プレドニゾンが、経口用量を含む100mg又はその等価物の静脈内用量で投与される、実施形態55aに記載の方法。
【0349】
57a.R-CHOP由来の前記プレドニゾンがCRSの予防法のためのコルチコステロイドとしてはたらく、実施形態52a~54aのいずれか1つに記載の方法。
【0350】
58a.前記R-CHOPからのプレドニゾンが二重特異性抗体の投与の120分より前に投与されるならば、対象には、プレドニゾン又は等価物が二重特異性抗体の投与の約30~120分前に投与される、実施形態57aに記載の方法。
【0351】
59a.前記対象に、注射に対する反応を低下させるための前投薬を投与する、実施形態1a~58aのいずれか1つに記載の方法。
【0352】
60a.前記前投薬が抗ヒスタミン剤を含む、実施形態59aに記載の方法。
【0353】
61a.前記抗ヒスタミン剤がジフェンヒドラミンである、実施形態60aに記載の方法。
【0354】
62a.前記ジフェンヒドラミンが、50mg又はその等価物の静脈内又は経口用量で投与される、実施形態61aに記載の方法。
【0355】
63a.前記前投薬が解熱剤を含む、実施形態59a~62aのいずれか1つに記載の方法。
【0356】
64a.前記解熱薬がアセトアミノフェンである、実施形態63aに記載の方法。
【0357】
65a.前記アセトアミノフェンが650mg~1000mg又はその等価物の経口用量で投与される、実施形態64aに記載の方法。
【0358】
66a.前記前投薬が二重特異性抗体と同日に投与される、実施形態59a~65aのいずれか1つに記載の方法。
【0359】
67a.前記予防法が、21日サイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される、実施形態51a~66aのいずれか1つに記載の方法。
【0360】
68a.前記前投薬が、21日サイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される、実施形態59a~66aのいずれか1つに記載の方法。
【0361】
69a.前記対象が21日サイクルのサイクル2における前記二重特異性抗体の第1の投与の後でグレード1超のCRSを経験するとき、前記21日サイクルのサイクル2の間の前記二重特異性抗体の2回目及び3回目の投与の間に予防法が投与される、実施形態51a~68aのいずれか1つに記載の方法。
【0362】
70a.前記予防法が、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において前記対象がグレード1を超えるCRSを経験するとき、後続のサイクルにおいて継続される、実施形態69aに記載の方法。
【0363】
71a.前記前投薬が前記21日サイクルのサイクル2の間に投与される、実施形態59a~70aのいずれか1つに記載の方法。
【0364】
72a.前記前投薬が、その後のサイクルの間に投与される、実施形態71aに記載の方法。
【0365】
73a.前記対象がグレード1のCRSを発症する場合、前記対象に抗生物質が投与される、実施形態1a~72aのいずれか1つに記載の方法。
【0366】
74a.前記対象がグレード2又はグレード3のCRSを発症する場合、前記対象に昇圧剤が投与される、実施形態1a~72aのいずれか1つに記載の方法。
【0367】
75a.前記対象がグレード4のCRSを発症する場合、前記対象に少なくとも2つの昇圧剤が投与される、実施形態1a~72aのいずれか1つに記載の方法。
【0368】
76a.前記対象がグレード2、グレード3又はグレード4のCRSを発症する場合、前記対象にトシリズマブが投与される、実施形態1a~75aのいずれか1つに記載の方法。
【0369】
77a.前記対象にステロイドが更に投与される、実施形態76aに記載の方法。
【0370】
78a.前記ステロイドがデキサメタゾンである、実施形態77aに記載の方法。
【0371】
79a.前記ステロイドがメチルプレドニゾロンである、実施形態77aに記載の方法。
【0372】
80a.前記対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブが抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)に切り替えられる、実施形態76a~79aのいずれか1つに記載の方法。
【0373】
81a.前記対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブがIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)に切り替えられる、実施形態76a~79aのいずれか1つに記載の方法。
【0374】
82a.前記対象が腫瘍崩壊症候群(TLS)の予防法によって治療される、実施形態1a~81aのいずれか1つに記載の方法。
【0375】
83a.前記TLSの予防法が、前記二重特異性抗体の投与前に1つ以上の尿酸還元剤を投与することを含む、実施形態82aに記載の方法。
【0376】
84a.前記1つ以上の尿酸還元剤が、ラスブリカーゼ及び/又はアロプリノールを含む、実施形態83aに記載の方法。
【0377】
85a.前記対象が完全奏効、部分奏効、又は安定疾患を達成する、実施形態1a~84aのいずれか1つに記載の方法。
【0378】
86a.(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、それぞれ配列番号1、2及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む、
実施形態1a~85aのいずれか1つに記載の方法。
【0379】
87a.(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む、
実施形態1a~86aのいずれか1つに記載の方法。
【0380】
88a.前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームがヒト化抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する、実施形態1a~87aのいずれか1つに記載の方法。
【0381】
89a.前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むλ軽鎖定常領域を含む、実施形態88aに記載の方法。
【0382】
90a.前記二重特異性抗体の前記第2の結合アームがヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する、実施形態1a~89aのいずれか1つに記載の方法。
【0383】
91a.前記第2の結合アームが、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むκ軽鎖定常領域を含む、実施形態90aに記載の方法。
【0384】
92a.前記二重特異性抗体が、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である、実施形態1a~91aのいずれか1つに記載の方法。
【0385】
93a.前記二重特異性抗体が不活性Fc領域を含む、実施形態1a~92aのいずれか1つに記載の方法。
【0386】
94a.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖及び前記第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAである、実施形態1a~93aのいずれか1つに記載の方法。
【0387】
95a.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、実施形態1a~94aのいずれか1つに記載の方法。
【0388】
96a.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、
(i)前記第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAであり、
(ii)前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、実施形態1a~95aのいずれか1つに記載の方法。
【0389】
97a.前記二重特異性抗体が、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、実施形態96に記載の方法。
【0390】
98a.前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖とを含む、実施形態1a~97aのいずれか1つに記載の方法。
【0391】
99a.前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖とを含む、実施形態1a~98aのいずれか1つに記載の方法。
【0392】
100a.前記二重特異性抗体がエプコリタマブ又はそのバイオシミラーである、実施形態1a~99aのいずれか1つに記載の方法。
【0393】
[実施例]
DuoBody-CD3xCD20
DuoBody-CD3xCD20は、T細胞抗原CD3及びB細胞抗原CD20を認識するbsAbである。DuoBody-CD3xCD20は、CD20発現細胞の強力なT細胞媒介殺傷を引き起こす。DuoBody-CD3xCD20は、規則的なIgG1構造を有する。
【0394】
2つの親抗体、IgG1-CD3-FEAL、それぞれ配列番号24及び25に記載の重鎖及び軽鎖配列を有するヒト化IgG1λ、CD3ε特異的抗体、並びにそれぞれ配列番号26及び27に記載の重鎖及び軽鎖配列を有するヒトIgG1κCD20特異的抗体7D8に由来するIgG1-CD20-FEARを、別々の生物学的中間体として製造した。各親抗体は、DuoBody分子の生成に必要なCH3ドメイン中の相補的突然変異の1つを含有する(それぞれF405L及びK409R)。親抗体は、Fc領域に3つの更なる変異を含んでいた(L234F、L235E及びD265A;FEA)。標準的な浮遊細胞培養及び精製技術を使用して、哺乳動物チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株において親抗体を産生した。その後、DuoBody-CD3xCD20を、制御されたFabアーム交換(cFAE)プロセスによって製造した(Labrijn et al.2013,Labrijn et al.2014,Gramer et al.2013)。親抗体を混合し、制御された還元条件に供する。これは、再酸化下で再集合する親抗体の分離をもたらす。このようにして、DuoBody-CD3xCD20の高純度調製物(約93~95%)を得た。更にポリッシュ(polishing)/精製した後、純度100%に近い最終生成物を得た。DuoBody-CD3xCD20濃度を、理論吸光係数ε=1.597mL・mg-1cm-1を使用して、280nmでの吸光度によって測定した。最終生成物を4℃で保存した。生成物は、エプコリタマブの国際商標名を有する。
【0395】
エプコリタマブは、皮下(SC)注射用溶液の濃縮物として供給される、無色~わずかに黄色の滅菌透明溶液として調製される(5mg/mL又は60mg/mL)。エプコリタマブは、緩衝液及び等張化剤を含有する。製剤化された製品中の全ての賦形剤及びその量は、皮下注射製品について薬学的に許容され得る。適切な用量は、皮下注射に対して約1mLの体積に再構成される。
【0396】
[実施例1]
in vivoでの抗CD20抗体の存在下及び抗CD20治療後のNHL患者由来試料におけるエプコリタマブの抗腫瘍活性
ヒト化マウス異種移植モデルにおけるエプコリタマブの抗腫瘍活性に対する抗CD20抗体の存在の影響は、以下に要約するように、Engelberts et al.,EBioMedicine 2020;52:10265に記載されている。
【0397】
エプコリタマブは、不活性Fcドメインを有する過剰のリツキシマブ変異体の存在下でさえ、異種移植モデル(CD20発現Raji-luc腫瘍細胞及びPBMCを注射したNOD-SCIDマウス)において腫瘍増殖を効果的に低下させることが見出された(L234F、L235E、D265A及びK409R変異を含むIgG1-RTX-FEAR)。エプコリタマブのCD20アームが由来するリツキシマブ及びIgG1-CD20は、異なるエピトープに結合するにもかかわらず、CD20結合について競合し、これは、エプコリタマブが、標的結合について競合し得る循環抗CD20抗体の存在下で有効な抗腫瘍活性を誘導することができることを示している。
【0398】
さらに、エプコリタマブは、抗CD20抗体の投与後に一定の時間をかけて、原発性DLBCL及び濾胞性リンパ腫患者の生検においてT細胞媒介性細胞傷害を誘導した(Van der Horst et al.,Blood(2019)134(Supplement_1):4066)。抗CD20抗体を投与した2週間後に採取した生検でさえ、エプコリタマブは最大40%の腫瘍細胞死滅を誘導することができた。
【0399】
[実施例2]
エプコリタマブによって誘導されるin vitro T細胞媒介性細胞傷害に対するCHOPの影響
CHOPは、DLBCL及びFLを治療するためにしばしば使用される。この実験を、CHOP成分の影響を別々に試験して、エプコリタマブ誘発性T細胞媒介性細胞傷害に対する各成分の効果を評価するために行った。
【0400】
簡潔には、T細胞をシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン又はプレドニゾンと共に16時間プレインキュベートし、その後、エプコリタマブ及びCD20発現Daudi細胞を標的細胞(E:T比2:1)として細胞傷害性アッセイに使用し、ここでシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン又はプレドニゾンをそれぞれプレインキュベーション中と同じ濃度で添加した。データは、培地対照(Abなし、CHOP成分なし)に対して正規化されたパーセント生存標的細胞(CD4-CD8-CD22+)として提示される。ドキソルビシン前処理はT細胞の生存率に影響を及ぼしたため、全ての濃度のエプコリタマブを試験することはできなかった。
【0401】
図1A~
図1Dは、代表的なドナーについてのDuoBody-CD3xCD20の用量反応曲線を左パネルに示し、右パネルは、様々な濃度のCHOP成分を含む又は含まない、4人の異なるドナーについての333ng/mlのDuoBody-CD3xCD20の用量に対する応答を示す。T細胞のシクロホスファミド、ビンクリスチン又はプレドニゾンによる前処理は、それぞれT細胞生存率に影響を及ぼさなかった(データは示さず)。上記のように、ドキソルビシンによる前処理はT細胞生存率の低下をもたらしたが(図示せず)、in-vitroで観察された程度は、R-CHOPで治療された患者で観察された程度と比較して誇張されているように見えた(Oncology 2016;91:302-10 and Hematol Oncol 2011;29:5-9)。
【0402】
図1A、
図1C及び
図1Dに示されるように、シクロホスファミド(A)、ビンクリスチン(C)又はプレドニゾン(D)で前処理されたT細胞は、用量依存性細胞傷害性(左のパネル)及びインキュベーション後に残った生存B細胞の非常に低いパーセンテージ(右のパネル)によって示されるように、CD20発現標的細胞に対するエプコリタマブ誘発性細胞傷害応答を媒介することができた。
図1Bに示されるように、ドキソルビシンで前処理された残りのT細胞はまた、標的細胞に対するエプコリタマブ誘発性細胞傷害を媒介することができ、残りのT細胞が機能的であることを示した。
【0403】
まとめると、上記のデータ及び観察は、リツキシマブはCD20発現標的細胞に対して非常に有効な抗腫瘍活性を誘導するために、エプコリタマブ活性を妨害しないことから、エプコリタマブをCHOP及びR-CHOPと組み合わせることができることを示している。
【0404】
[実施例3]
以前に治療されていない高リスク(IPI又はR-IPI≧3)DLBCLの治療のための標準治療R-CHOPと組み合わせたエプコリタマブのフェーズ1b非盲検安全性及び有効性試験
以前に未治療のDLBCLを有する対象におけるR-CHOPの標準治療レジメンと組み合わせたエプコリタマブの安全性、忍容性、PK、薬力学/バイオマーカー、免疫原性及び予備的有効性を評価するために、非盲検の2パート(用量漸増及び用量拡大)多施設介入試験を実施する。
【0405】
エプコリタマブを用いた進行中の臨床試験の概要
単剤療法としてのエプコリタマブは、現在、再発性/難治性(R/R)B-NHLの治療について臨床試験中である(ClinicalTrials.gov識別子:NCT03625037)。予備的データは、R/R B-NHL患者において、60mgを含む少なくとも48mgまでの用量で薬物が忍容性であり、用量制限毒性は報告されていないことを示唆している。
【0406】
目的
用量漸増
用量漸増パートの主な目的は、R-CHOP(エンドポイント:用量制限毒性(DLT)の出現、有害事象(AE)の出現及び重症度、実験値の変化の出現及び重症度、並びに用量中断及び遅延の出現)と組み合わせたエプコリタマブの安全性及び忍容性を評価することである。
【0407】
用量漸増パートの副次的な目的には、エプコリタマブのPK特性を特徴付けること(エンドポイント:クリアランス、分布容積、AUC0-last、AUC0-x、Cmax、Tmax、投与前値及び半減期を含むPKパラメータ)、エプコリタマブの有効性及び作用機序に関連する薬力学マーカーを評価すること(エンドポイント:血液試料及び腫瘍内の薬力学マーカー)、免疫原性を評価すること(エンドポイント:エプコリタマブに対する抗薬物抗体(ADA)の出現)、並びにR-CHOPと組み合わせたエプコリタマブの予備的抗腫瘍活性を評定すること(エンドポイント:Lugano基準及びLYRICによる全奏効率(ORR)、Lugano基準及びLYRICによる奏効期間(DOR)、Lugano基準及びLYRICによる奏効に至るまでの期間(TTR)、Lugano基準及びLYRICによる無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、次の抗リンパ腫療法(TTNT)までの期間、並びに微小残存病変(MRD)陰性の割合及び期間)が含まれる。
【0408】
用量漸増パートの探索目的には、エプコリタマブに対する臨床応答を予測する潜在的なバイオマーカーを評定することが含まれる(エンドポイント:治療前及び治療中のCD3、CD20及び他の分子/表現型マーカー、DNA変異状態、及び遺伝子プロファイル)。
【0409】
拡大
拡大パートの主な目的は、R-CHOP(エンドポイント:Lugano基準によるORR)と組み合わせたエプコリタマブの予備的抗腫瘍活性を評定することである。
【0410】
拡大パートの副次的な目的には、R-CHOPと組み合わせたエプコリタマブの予備的抗腫瘍活性を評価すること(エンドポイント:エンドポイント:Lugano基準及びLYRICによるDOR、Lugano基準及びLYRICによるTTR、Lugano基準及びLYRICによるPFS、LYRICによるORR、OS、TTNT、並びに微小残存病変(MRD)陰性の割合及び持続期間)、R-CHOPと組み合わせたエプコリタマブの安全性及び忍容性を更に評価すること(エンドポイント:実験値の変化の出現及び重症度、並びに用量中断及び遅延の出現)、エプコリタマブのPK特性を特徴付けること(クリアランス、分布容積、AUC0-last、AUC0-x、Cmax、Tmax、投与前値及び半減期を含むPKパラメータ)、エプコリタマブの有効性及び作用機序に関連する薬力学マーカーを評価すること(エンドポイント:血液試料及び腫瘍内の薬力学マーカー)、並びに免疫原性を評価すること(エンドポイント:エプコリタマブへのADAの出現)が含まれる。
【0411】
拡大パートの探索目的には、エプコリタマブに対する臨床応答を予測する潜在的なバイオマーカーを評定すること(エンドポイント:腫瘍におけるCD20の発現、分子及び遺伝子腫瘍マーカーの評価、免疫集団、腫瘍及び血液における表現型及び機能、並びにDNA突然変異状態及び遺伝子プロファイル)、及び患者報告の転帰(PRO)を評価すること(エンドポイント:FACT-Lymによって評価されるリンパ腫症状及び全身健康状態の変化)が含まれる。
【0412】
研究計画の概要
試験は、用量漸増(パート1)及び拡大(パート2)の2つのパートで行われる。対象は1つのパートのみに参加する。全体的な試験計画の概略図を
図2に示す。両パートは、スクリーニング期間、治療期間、安全性追跡調査期間及び生存追跡調査期間からなる。
【0413】
用量漸増(パート1)及び拡大(パート2)
パート1の用量漸増は、R-CHOPと組み合わせたエプコリタマブの初期安全性、忍容性、及び臨床活性を評定する。エプコリタマブは、3人の対象のコホートにおいてR-CHOPと組み合わせて最初に投与される。DLTを最初の28日間に評価する。最初の3人の対象において観察されたDLTの数に応じて、R-CHOPと組み合わせたエプコリタマブ(全用量:48mg又は24mg)の投与を、
図3に示されるように更に3人の対象において行う。
【0414】
パート2では、エプコリタマブは、R-CHOPと組み合わせて(用量漸増パートで決定された投薬レジメンで)投与される。増殖には、安全性、忍容性、PK、薬力学及び免疫原性データに加えて、組み合わせの予備的臨床活性を評価するために20人の対象が含まれる。
【0415】
パート1及びパート2の両方において、エプコリタマブは、以下のように、R-CHOPの開始から二重特異性抗体による処置の合計1年まで、R-CHOPと組み合わせてサイクルの6回(表2a)又は8回(表2b)、皮下(SC)注射(24mg又は48mg;ステップアップ投薬)として投与される。
【表2】
【表3】
【0416】
QW:1週間に1回(1、8、15日目)、Q3W:3週間に1回(1日目)、Q4W:4週間に1回(1日目)
CRSの可能性を軽減するために、エプコリタマブに昇圧投薬法を使用する:サイクル1の1日目でのプライミング用量(0.16mg)、その後、サイクル1の8日目での中間用量(0.8mg)、サイクル1の15日目での完全用量(24mg又は48mg)、及びその後のサイクルでの完全用量。リツキシマブ(375mg/m2)を1日目に3週間に1回(Q3W)、1~6又は1~8サイクル静脈内投与する。シクロホスファミド(750mg/m2)を、サイクル1~6又は1~8の3週間(Q3W)に1回、1日目に静脈内投与する。ドキソルビシン(50mg/m2)を、サイクル1~6又は1~8の3週間(Q3W)に1回、1日目に静脈内投与する。ビンクリスチン(1.4mg/m2、推奨量は2mg)を、サイクル1~6又は1~8の3週間に1回(Q3W)、1日目に静脈内投与する。プレドニゾン(100mg/日)を、サイクル1~6又は1~8の3週間(Q3W)ごとに連続5日間(1~5日目)静脈内又は経口投与する。
【0417】
【0418】
選択基準
1.対象は少なくとも18歳でなければならない。
2.0、1、又は2のECOG PSスコア
3.代表的な腫瘍生検でのCD20陽性NHL
4.CT又はMRI上で1つ以上の測定可能なリンパ節病変(長軸>1.5cm及び短軸>1.0cm)又は1つ以上の測定可能なリンパ節外病変(長軸>1.0cm)として定義される測定可能な疾患
5.以下のように定義されるスクリーニングで許容される臓器機能:
a.ANC≧1.0×109/L(増殖因子の使用は許容される)
b.血小板数>75×109/L、又は骨髄浸潤若しくは脾腫の場合は≧50×109/L
c.ALTレベルがULNの2.5倍以下
d.総ビリルビン値≦2×ULN
e.eGFR>50mL/分(Cockcroft-Gault式による)
f.PT、INR及びaPTT≦1.5×ULN(抗凝固薬を投与していない場合) 6.2016 WHO分類による文書化されたDLBCL(CLLを除く、低悪性度リンパ腫からデノボ又は組織学的に形質転換されたもの)であって、以下を含む:
a.DLBCL、NOS
b.「ダブルヒット」又は「トリプルヒット」DLBCL(WHO2016では、MYCと、BCL2及び/又はBCL6転座を伴うHGBCLとして技術的に分類される)-他のダブルヒット/トリプルヒットリンパ腫は適格ではない
c.FLグレード3B
7.国際予後指標スコア≧3
8.除外基準8に列挙された閾値を超えない、コルチコステロイド以外のDLBCL(又はFLグレード3B)の事前治療なし。
9.R-CHOPを受ける資格がある。80歳以上の対象については、事前に計画された用量減少なしに、プロトコルに従ってR-CHOPを受ける資格があることを確認する。
10.スクリーニング時のマルチゲート収集スキャン(MUGA)又は心エコー検査による施設内の正常範囲内のLVEF。
【0419】
除外基準
1.リンパ節生検を除いたDLBCLの事前治療
2.R-CHOPレジメンにおける個々の薬物のいずれかに対する禁忌
3.抗CD20 mAb療法に対する重度のアレルギー反応若しくはアナフィラキシー反応の病歴、又はエプコリタマブの任意の成分若しくは賦形剤に対する既知のアレルギー若しくは不耐性
4.CD3及びCD20を標的とする二重特異性抗体による事前の治療
5.エプコリタマブの初回投与前4週間以内の化学療法、放射線療法、又は大手術
6.エプコリタマブの初回投与前の4週間以内又は5半減期のいずれか長い方の期間内の治験薬による治療
7.エプコリタマブの初回投与前30日以内のCAR-T療法による治療
8.エプコリタマブの初回投与前の2週間以内のコルチコステロイドの累積投与量≧140mgのプレドニゾン又は等価物
9.エプコリタマブの初回投与前28日以内の生ワクチンによるワクチン接種
10.以下を含む臨床的に重要な心臓疾患:
a.エプコリタマブの初回投与前1年以内の心筋梗塞、又は心機能に関連する若しくは影響を及ぼす不安定な若しくは制御されない疾患/状態(例えば、不安定狭心症、うっ血性心不全、ニューヨーク心臓病学会クラスIII~IV)、不整脈(CTCAEバージョン4グレード2以上)、又は臨床的に有意なECG異常
b.ベースラインQTcF>470msecを示す12誘導ECGのスクリーニング 11.プロトコルの遵守又は結果の解釈に影響を及ぼし得る有意で制御されない合併症の証拠
12.試験登録時の既知の活性細菌、ウイルス、真菌、マイコバクテリア、寄生虫又は他の感染症(爪床の真菌感染症を除く)又はエプコリタマブの初回投与前2週間以内の有意な感染症
13.脳のMRI/CTスキャンによって確認され、臨床的に示される場合は腰椎穿刺によって確認される、スクリーニング時のリンパ腫によるCNSリンパ腫又は既知のCNS関与
14.急性又は慢性感染を示すB型肝炎ウイルス又はC型肝炎ウイルスの活性陽性検査 15.HIV抗体陽性の病歴、又はスクリーニングでHIVについて陽性の検査
16.HTLV-1についての陽性検査結果
17.活動性又は潜在性結核の疑い
18.以下を除く、包括診診断以外の過去又は現在の悪性腫瘍:
a.ステージ1B以下の子宮頸癌
b.非浸潤性基底細胞又は扁平上皮皮膚癌
c.非浸潤性表在性膀胱癌
d.現在のPSAレベルが0.1ng/mL未満の前立腺癌
e.CRの持続期間が2年を超える任意の治癒可能な癌
19.神経障害>グレード1
20.妊娠中、授乳中、又はこの試験に登録されている間若しくはエプコリタマブの最後の投与後12ヶ月以内に妊娠する予定の女性
21.この試験に登録している間又はエプコリタマブの最後の投与後12ヶ月以内に子供を出産する予定の男性
22.対象は、参加が対象にとって最良の利益にならない(例えば、健康な状態を損なう)、又はプロトコルで指定された評定を妨げる、制限する、若しくは混乱させる可能性がある任意の状態を有する。
【0420】
CRS予防法
エプコリタマブの各用量について潜在的CRSからの症状の重症度を軽減/予防するために、コルチコステロイドの4日間の投与が行われる。R-CHOPレジメン中のプレドニゾンは、21日間のサイクルのサイクル1の1~4日目にCRS予防レジメンのコルチコステロイド成分としてはたらくが、21日間のサイクルのサイクル1の8~11日目及び15~18日目はそうではなく、CRS予防法のために100mg又は等価なプレドニゾロンを使用する。2サイクル目以降のエプコリタマブの投与の場合、CRS予防法は任意である。プレドニゾン投与は、推奨される用量又は等価物を用いて静脈内経路又は経口経路のいずれかであり得る。
【0421】
リツキシマブを含む治療に推奨される支持療法には、以下が含まれる:
・各リツキシマブ注入を開始する30~60分前に、注入反応を減弱させるためのアセトアミノフェン(650mg経口)、ジフェンヒドラミン(50~100mg IV又は経口)及びステロイドによる前投薬
・ニューモシスチス・カリニ(pneumocystis carinii)肺炎の予防的処置
・中枢神経系(CNS)予防法;1)2つの節外部位の関与及び上昇したLDH、又は2)骨髄、精巣、又は髄膜傍部位のリンパ腫性関与を有する対象は、CNS疾患を発症するリスクが高いと考えられ、CNS予防法を受けるべきである。DLT期間の完了後(試験治療の最初の用量から28日間)、IVメトトレキサートの静脈内投与によるCNS予防法が許可される。
【表5】
【表6】
【0422】
サイトカイン放出症候群の支持療法
CRSは、CRSのASTCT分類に従ってグレード分類され(表6及び7)、CRSの治療については、対象は支持療法を受けるべきである。支持療法としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる。
【0423】
・生理食塩水の注入
・全身性糖質コルチコステロイド、抗ヒスタミン剤、解熱剤
・血圧サポート(バソプレシン、昇圧剤)
・低流量及び高流量の酸素及び陽圧換気のサポート
・IL-6Rに対するモノクローナル抗体、例えばトシリズマブのIV投与
・反復トシリズマブに応答しない場合、IL-6に対するモノクローナル抗体、例えばIVシルツキシマブ。
【表7】
【表8】
【0424】
腫瘍崩壊症候群の予防及び管理
腫瘍崩壊症候群の予防的処置のために、対象は、エプコリタマブの投与前に水和剤及び尿酸還元剤を受ける。腫瘍崩壊症候群(TLS)の徴候が生じる場合、ラスブリカーゼを含む支持療法が使用される。
【0425】
用量変更ガイダンス及び安全管理
エプコリタマブの用量変更はないが(用量漸増コホートの例外については
図3を参照)、使用中に対象が発症する毒性の性質(及び毒性のグレード)に応じて維持又は中止することができる。
【0426】
リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾンの用量変更は、以下に提供される用量変更推奨とは異なる状況において、それぞれの製品ラベルに従って行われるべきである。
【0427】
R-CHOP併用療法の治療時発生有害事象は、主に血液毒性(例えば、好中球減少症、白血球減少症、血小板減少症及び貧血)を含む。非血液学的障害、例えば、無力症、感覚障害、粘膜炎、脱毛症、敗血症、呼吸困難、背部痛、高血糖症、過敏症及び心臓障害もまた、R-CHOPによる治療が施されたときには全て観察されている。これらの事象における任意の1つの薬剤の役割を評定することは必ずしも容易ではないため、1つ以上の薬剤が因果的であるかどうかを決定することは治験責任医師の裁量による。
【0428】
新しいサイクルの開始は、治療の継続を可能にするレベルまで毒性が回復するまで毎週遅延させることができる。サイクルが遅延している対象は、毒性の消散について毎週評定されるべきである。1つの特定の薬物(ビンクリスチン、ドキソルビシン等)に関連する2週間のサイクル遅延後に毒性が持続する場合、違反薬物は保留し続けるべきであり、残りの薬物で新しいサイクルを開始すべきである。R-CHOP化学療法が遅延する場合、エプコリタマブによる治療は、遅延期の間継続すべきである(遅延の理由がエプコリタマブ療法に潜在的に関連する毒性ではない場合)。
【0429】
疾患の進行を伴わずにR-CHOPのいずれかの成分を中断する対象は、エプコリタマブを16サイクルまで、又は以下の中断基準:(a)許容できないAE、(b)対象の服薬不履行、(c)妊娠、(d)治療の中断を求める対象の要求、(e)(f)疾患の進行の放射線学的証拠の臨床的進行のうちの1つ以上が満たされるまで継続する。
【0430】
各サイクルの初日(サイクル1以外)には、以下のパラメータを満たさなければならない:
・血小板数>75×109/L、又は骨髄浸潤若しくは脾腫がある場合は≧50×109/L(事前の血小板輸血が可能である)
・ヘモグロビン≧8g/dL(≧4.96mmol/L)(以前の赤血球輸血又は組換えヒトエリスロポエチンの使用が許容される)
・ANC≧1.0×109/L(増殖因子の使用は許容される)
リツキシマブ
リツキシマブは、任意のグレード4の毒性又は任意のリツキシマブ関連の臨床的に有意な管理不能なグレード3の有害事象について保持されるべきである。リツキシマブは、有害事象がベースラインに戻るまで、又は完全に回復するまで保持されるべきである。
【0431】
シクロホスファミド
シクロホスファミドの用量調整はローカル処方情報に従う。シクロホスファミドで経験される最も一般的な有害事象は血液学的毒性であり、白血球減少症、貧血及び血小板減少症を伴う骨髄抑制が起こり得る。最も低い白血球レベル及び血小板レベルは、治療開始後1~2週間目に発生する。回復は通常、治療開始後3~4週間以内に起こる。シクロホスファミドによる治療の後、出血性膀胱炎及び血尿が起こり得る。これらは、投薬の中断を必要とし得る。
【0432】
シクロホスファミドの用量は、対象がシクロホスファミドと因果関係があると考えられる血液学的毒性を発症した場合、その後の投薬サイクルの1日目に調整されるべきである。
【表9】
【0433】
ドキソルビシン
ドキソルビシンの用量調整は、提供された処方情報に従う。ドキソルビシンの推奨される寿命累積用量限界は、450~550mg/m2である。各対象に与えられる最大用量は、与えられるサイクル数に応じて300~400mg/m2である。ドキソルビシン療法の用量制限毒性は、粘膜炎、骨髄抑制及び心毒性である。骨髄抑制には、白血球減少症、血小板減少症及び貧血が含まれ、治療後10~14日で最下点に達する。ドキソルビシンの用量は、対象がドキソルビシンと因果関係があると考えられる血液毒性を発症した場合、その後の投薬サイクルの1日目に調整すべきである(上記の表8参照)。
【0434】
不整脈としての心毒性は、投与直後に起こり得、ECG変化は、投与後最大2週間持続し得る。しかしながら、心毒性は、投与後数週間又は数ヶ月で起こり得る。ドキソルビシンは肝臓によって代謝され、胆汁中に排泄される。肝機能障害は、薬物のより遅い排出をもたらし、その結果、血漿及び組織における保持及び蓄積の増加をもたらし、その結果、臨床毒性の増大をもたらす。表9に示すように、肝機能が損なわれている場合、ドキソルビシンの投与量は減少する。
【表10】
【0435】
ビンクリスチン
ビンクリスチンの用量調整は、提供された処方情報に従わなければならない。表10に示すように、肝機能が損なわれている場合、ビンクリスチンの投与量は減少される。
【表11】
【0436】
高ビリルビン血症が改善すると、ビンクリスチンの用量を再増量する。これらの用量減少は、ジルベール症候群の対象及びビリルビンの増加が非肝臓の理由による場合には必要ではない。
【0437】
神経毒性は、ビンクリスチンで経験される最も一般的な有害事象であり、用量及び年齢に関連する。重度の神経毒性(グレード≧3)の場合、特に知覚異常又は不全麻痺の徴候がある場合、ビンクリスチンを投与すべきではない。グレード3の神経障害では、症状が鎮静したときに用量の50%で治療を再開し得る。ビンクリスチンは、入院を必要とする回腸/便秘の任意のエピソードについて25%減少する。ビンクリスチンは、任意のタイプのグレード4神経障害のために恒久的に中止される。
【0438】
プレドニゾン(又は等価物)
プレドニゾン(又は等価物)の用量調整は、提供された処方情報に従う。高用量プレドニゾン又は等価物を投与された対象は、いくつかの症状(例えば、細菌感染症、ウイルス感染症、全身性真菌症、高血圧症、真性糖尿病、及び消化性潰瘍、膵炎、及び憩室炎等の胃腸状態)を発症又は悪化させる比較的高いリスクがあるので、注意深くモニターされる。
【0439】
対象がコルチコステロイドに関連する有害事象を発症し、プレドニゾン100mg(又は等価物物)に耐えられない場合、用量はその対象に特異的なレベルに調整されるが、プレドニゾン80mg/日以上であるべきである(その結果、対象は依然として高用量のコルチコステロイドを投与される)。例外的な状況では、対象は、5日間の治療後の突然のステロイド離脱に耐えられない場合がある。そのような場合、漸減計画が示される。
【0440】
研究評定
人口統計及びベースライン評定
対象の人口統計学的詳細を、リンパ腫診断の日付、全身症状(B症状)を含む診断時のAnn Arbor病期分類、及びCD20陽性の以前の証拠等の情報と同様に収集する。病歴、事前の及び併用の薬物療法、併用処置、並びに以前の癌治療及び手術(手術、放射線療法、化学放射線療法及び全身治療レジメン等のNHLに対する事前の抗癌療法を含む)に関する情報も収集する。
【0441】
有効性評定
適格対象は、疾患評価のための(選択基準に示されるような)少なくとも1つの測定可能な疾患部位を有する。リンパ腫の測定可能な部位は、リンパ節、リンパ節塊、又は節外部位として定義される。各対象について最大6つの測定可能な部位を標的病変として追跡して、画像評価によって測定値を決定する。上に定義されるように測定不能な部位は、疾患の客観的証拠によって評定可能であると考えられる(すなわち、X線撮影、身体検査、又は他の処置)。評定可能な疾患の例としては、例えば、骨髄病変、骨病変、滲出、又は腸壁の肥厚が挙げられる。
【0442】
腫瘍及び骨髄生検
アクセス可能な腫瘍を有する全ての対象について、エプコリタマブによる治療前(スクリーニング期間中)に2回の新鮮なコア腫瘍生検を収集し、15日目(±1週間)のサイクルの開始時に2回の新鮮なコア腫瘍生検を収集する。保管腫瘍生検は、登録前3ヶ月以内に収集された場合、スクリーニング時に新鮮な生検を収集することができなければ許容され得る。生検は、全リンパ節又はコア生検であり得る。腫瘍生検はFFPEであるべきである。腫瘍生検をMRD評定及び探索バイオマーカーについて検査する。
【0443】
放射線評定
スクリーニング中に、FDG PET-CTスキャン(又はPET-CTスキャンが利用できない場合はCT/MRI及びFDG PET)を実施する。スクリーニング時にFDGavid腫瘍を有する対象の場合、全てのその後の疾患評定には、Barrington et al.に記載されている5段階尺度を使用したFDGPETが含まれる。(J Clin Oncol 2014;32:3048-58;スコア1:取り込みなし;スコア2:取り込み≦縦隔;スコア3:更新>縦隔、但し≦肝臓;スコア4:肝臓よりも中程度に高い取り込み;スコア5:肝臓及び/又は新たな病変よりも著しく高い取り込み;スコアX:リンパ腫に関連する可能性が低い新たな更新領域)。造影増強PETCTが利用可能でない場合、スタンドアロン診断CT/MRI及び標準FDGPETが実施される。IV型CT造影剤に不耐性である対象は、経口造影剤によるCTスキャンを受ける。
【0444】
MRIは、CTを使用して適切に画像化することができない疾患の部位を評価するために、又はCT造影剤に不耐性の対象について使用することができる。MRIが選択されるイメージングモダリティである場合、MRIは、スクリーニング及び全てのその後の応答評価で得られる。
【0445】
骨髄評定
吸引物の有無にかかわらず、骨髄生検(保管又は新鮮)は、リンパ腫への骨髄病変を文書化するために全ての患者のスクリーニングで得られる。エプコリタマブの初回投与の42日前までに採取された場合、通常のSOCとして得られた骨髄生検を使用してもよい。
【0446】
骨髄穿刺液が得られた場合、骨髄病変の判定をフローサイトメトリーによって確認することができる。骨髄生検を、(1)スクリーニング時に、(2)スクリーニング時に骨髄病変を有し、後にイメージングによってCRを達成する対象について採取し(骨髄評価には、リンパ腫の有無(完全寛解)を確認するための形態学的検査及び必要に応じてフローサイトメトリー又はIHCのいずれかが含まれる)、(3)スクリーニングで記録された骨髄病変を有し、後に撮像によってCRを達成する対象については、CRを確認するために収集された吸引物の一部をMRD評定に使用する。
【0447】
微小残存病変の評定
MRDは、癌細胞によって特異的に発現されるB細胞受容体(BCR)をコードするDNAの存在を追跡することによって評定される。このBCRのDNA配列は、スクリーニング時に提出された腫瘍生検によって同定される。治療開始後、一定の時点及びCRの時点で血液試料を採取して、癌DNAの量が減少しているかどうかを(早期)応答の潜在的尺度として評定し、MRDを評定する。探索的分析として、対象が代謝/放射線学的CRに達し、スクリーニングで記録された骨髄病変を有する場合、CRを確認するために収集された吸引物の一部を使用してMRDを評定する。
【0448】
疾患応答及び進行性疾患の評定
疾患応答は、Lugano基準(Cheson et al.,J Clin Oncol 2014;32:3059-68(特に、Cheson et al.,2014の表3を参照)及びLYRIC(表11)の両方に従って評定され、治療の継続に関する決定を通知する。
【0449】
エンドポイントの定義は以下の通りである:
全奏効率(ORR)は、その後の療法の開始前にPR又はCRの奏効を達成した対象の割合として定義される。
【0450】
奏効に至るまでの期間(TTR)は、エプコリタマブの初回投与(サイクル1の1日目から)とPR又はCRの最初の記録との間の時間として、奏効者の間で定義される。
【0451】
奏効期間(DOR)は、奏効者の間では、PR又はCRの最初の記録から疾患進行又は死亡のいずれか早い方の日付までの時間として定義される。
【0452】
無増悪生存期間(PFS)は、エプコリタマブの第1の投薬日(サイクル1の1日目)及び疾患の進行又は死亡の日のいずれか早い方からの時間と定義される。
【0453】
全生存期間(OS)は、エプコリタマブの第1の投薬日(サイクル1の1日目)及び死亡日からの時間として定義される。
【0454】
次の抗リンパ腫療法までの時間(TTNT)は、サイクル1の1日目から、その後の抗リンパ腫療法の最初の文書化された投与までの日数として定義される。
【0455】
MRD陰性率は、後続の治療の開始前に、特定の閾値に従って少なくとも1つの検出不能なMRD結果を有する対象の割合として定義される。
【0456】
Lugano基準(例えば、Cheson et al.,J Clin Oncol 2014;32:3059-68、完全奏効、部分奏効、無奏効/安定疾患、及び進行性疾患の定義について)
(a)標的病変及び非標的病変
Lugano基準の標的病変には、2つの直径で測定可能であり、好ましくは、該当する場合、縦隔及び後腹膜疾患を含む対象の全体的な疾患負荷を表す異なる身体領域からの最大6個の最大の優性結節、結節性腫瘤、又は他のリンパ腫性病変が含まれる。ベースラインでは、測定可能な節の最長直径(LDi)は15mmを超える。測定可能な節外疾患は、6個の代表的な標的病変に含まれ得る。ベースラインにおいて、測定可能な節外病変は、LDiで>10mmでなくてはならない。
【0457】
他の全ての病変(リンパ節、リンパ節外及び評定可能な疾患を含む)は、非標的病変(例えば、皮膚、GI、骨、脾臓、肝臓、腎臓、胸水又は心膜浸出液、腹水、骨、骨髄)として追跡され得る。
【0458】
(b)分裂病変及びコンフルエント病変
病変は分裂することがあり、又は経時的にコンフルエントになることがある。分裂病変の場合、結節の垂直直径(PPD)の個々の積は、分裂病変のPPDを表すために一緒に合計されるべきである。このPPDを残りの病変のPPDの合計に加えて、応答を測定する。これらの個別の節のいずれか又は全てのその後の成長が起こる場合、各個別のノードの最下点を使用して進行を判定する。コンフルエントな病変の場合、コンフルエントな塊のPPDを個々の節のPPDの合計と比較すべきであり、進行性疾患(PD)を示すために必要な個々の節の合計と比較して、コンフルエントな塊のPPDが50%を超えて増加する。LDi及び最小直径(SDi)は、進行を決定するためにもはや必要ではない。
【0459】
LYRIC
臨床試験は、癌免疫療法が早期の見かけの放射線学的進行(新たな病変の出現を含む)とそれに続く遅延応答をもたらし得ることを示している。腫瘍サイズのこの最初の増加は、T細胞応答の状況における免疫細胞浸潤によって引き起こされ得るので、この進行は真の疾患進行を示さない可能性があり、したがって「偽進行」と呼ばれる(Wolchok et al.,Clin Cancer Res 2009;15:7412-20)。
【0460】
現在のLugano応答評定基準(Cheson et al.,J Clin Oncol 2014;32:3059-68)は偽進行を考慮しておらず、非定型応答の観察後に潜在的に有効な免疫調節薬の早期中止の有意なリスクがある。非典型的応答は、既存の病変の早期進行、その後の応答、又は他の場所での腫瘍縮小の有無にかかわらず、新しい病変の発生のいずれかを特徴とする。
【0461】
LYRICは、Lugano応答評定基準を改変したものであり、これは免疫ベースの治療に適合しており、新しい軽減応答カテゴリ、すなわち「非定型応答」(IR)の指定を実施する(Cheson et al.,Blood 2016;128:2489-96)。このIR指定は、生検又はその後の撮像のいずれかによってフレア/偽進行又は真のPDとして確認されるまで、潜在的に「非定型応答」症例を識別するために導入された。
【0462】
Lugano基準/分類に従ってPDを示す対象は、以下の3つの状況のうちの1つ以上においてIRを有すると考えられる:
IR(1):臨床的悪化を伴わずに、治療の最初の12週間で最大6個の標的病変の50%以上の全腫瘍負荷(直径の積の和[SPD]によって評定される)の増加。
【0463】
IR(2):治療中の任意の時点での新しい病変の出現又は1つ以上の既存の病変の成長≧50%;治療中の任意の時点で最大6個の病変のSPDによって測定した場合に、全体的な腫瘍負荷量の全体的な進行(SPD<50%の増加)がないという状況で生じる。
【0464】
IR(3):病変サイズ又は数の付随する増加を伴わない、1個以上の病変のFDG取り込みの増加。
【0465】
単一の時点で、対象がIR(1)又はIR(2)及びIR(3)の両方の基準を満たすことができる可能性がある:例えば、全体的な進行の非存在下で新たなFDG親和性病変が存在する可能性があり(IR[2])、同時に、別個の病変のFDG取り込みが増加する(IR[3])。そのような場合、IR(1)又はIR(2)の指定が優先されるべきである(例えば、上記の例におけるIR[2])。
【表12】
【0466】
IRタイプのいずれかを有するとカテゴリ分類された対象は、更に12週間後(又は臨床的に示される場合はそれ以前)に反復イメージングを受ける。その時点で、応答を再評価すべきであり、対象は以下の考慮事項を考慮して真のPDを有すると見なされるべきである。
【0467】
追跡調査IR(1):IR(1)の場合、第1のIR(1)と現在のSPDとを比較する必要がある。以下の場合、IR(1)はPDになる:(a)SPDが最初のIR1から10%以上増加し、かつ(b)Lugano基準と一致するように、2cm以下の病変では1つ以上の病変の5mm以上(いずれの寸法でも)、及び2cm超の病変では10mm以上の増加。
【0468】
追跡調査IR(2):IR(2)の場合、新しい又は成長中の(1又は複数の)病変は、合計6個以下の全病変まで、(1又は複数の)標的病変に追加される。IR(2)は、(a)最低値からSPD(新たに定義された標的病変のセット)が50%以上増加した場合にPDになる。
【0469】
追跡調査IR(3):FDG取り込みが増加した病変もサイズ増加を示す場合、IR(3)はPDになる。
【0470】
臨床安全性評定
安全性は、有害事象、臨床検査結果、ECG、バイタルサイン測定値、身体検査所見、及びECOGパフォーマンスステータスを測定することによって評定されている。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(例えば、Lee et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2019;25:625-638)、全身症状(B症状)、腫瘍フレア反応、及び生存も評定する。
【0471】
患者報告のアウトカム
患者報告のアウトカムは、リンパ腫患者のQOLを評定するFACT-Lym健康関連の生活の質(QOL)アンケートを使用して評価する。
【0472】
予備的結果:
2021年7月15日現在、9人の患者がエプコリタマブ+R-CHOP(エプコリタマブ24mgが4人;48mgが5人)の組み合わせで治療されており、4人の患者が6サイクル以上を完了している。年齢中央値は66歳(範囲56~78)であった。全ての患者はステージIII~IVの疾患を有していた。データカットオフ時に、全ての患者は、12.2週間(範囲2.2~28.2)の追跡調査中央値で治療を継続した。最も一般的な治療下で発現する有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS)(56%、全てグレード1/2)、貧血(42%、全てグレード2/3)、好中球減少症(42%、全てグレード3/4)、疲労(33%、全てグレード1/2)及び末梢神経障害(33%、全てグレード1/2)であった。特に、グレード3以上のCRS事象又は発熱性好中球減少症の症例は報告されなかった。用量制限毒性は観察されなかった。4人の患者が1回以上の応答評定を受け、3人が6週目までに確認された完全代謝応答(CMR;全てエプコリタマブ24mg用量漸増コホート)を達成し、1人の患者が確認された部分代謝応答(エプコリタマブ48mgコホート)を達成した;CMRを有する3人の患者のうち2人は6ヶ月で応答評価を受け、両方ともその時点でCMRのままであった。両用量コホートは用量漸増委員会及び安全性委員会によってクリアされており、拡大パートは追加の患者を登録するために開かれていた。
【0473】
2021年9月8日の時点で、24人の患者に投薬されていた。拡大フェーズ48mgが2021年6月30日に開始され、用量漸増において7人の応答者が観察された。最も一般的な関連AEはCRS及び貧血であった。CRSの大部分はグレード1/2であった。グレード3のCRSのエピソードが1回あり、これをトシリズマブで治療、回復させた。これらのデータは予備的であり、検証されておらず、不明確なデータであり、応答データは現場によって完全に入力されたものではなかった。
【0474】
結論:
これらの予備データは、R-CHOPと組み合わせたエプコリタマブが、新たな安全シグナルを伴わずに管理可能な安全性プロファイルを有することを示唆している。有害事象は、エプコリタマブ単独療法及びR-CHOPについて以前に報告されたものと同様であった。評価可能な全ての患者が早期応答を達成し、全ての患者が治療を継続した。拡大フェーズに治療された患者からの更新された追加のデータが提示される。
【表13】
【0475】
太字及び下線はFEであり;A;それぞれ、234及び235位;265位;405及び409位に対応するL及びRであり、当該位置はEUナンバリングに従う。可変領域では、IMGT定義に従って注釈付けされた上記CDR領域に下線が引かれている。
【配列表】
【国際調査報告】