IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アキュームド・エルエルシーの特許一覧

特表2023-541865枢動可能なバットレス部材を有する骨安定化装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】枢動可能なバットレス部材を有する骨安定化装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/68 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61B17/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515694
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 US2021050441
(87)【国際公開番号】W WO2022060826
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】17/022,716
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505026479
【氏名又は名称】アキュームド・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5885 NE Cornelius Pass Road,Hillsboro,Oregon 97124 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】セイコラ,アンドリュー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ソマーズ,マーク ビー.
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,カレブ アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】コンリー,ブライアン アール.
(72)【発明者】
【氏名】アームキー,ラリー ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL21
4C160LL70
(57)【要約】
骨を安定させる装置および方法。典型的な装置はプレート、アームおよびバットレス部材を備えてもよい。プレートを第1の骨部位上に固定する1つ以上の締結具を入れるように構成される1つ以上の開口部をプレートによって画定してもよい。アームはプレートの縁部から突出してもよい。アームの端部にバットレス部材を枢動可能に接続してもよい。バットレス部材の向きを第2の骨部位に追従させるように、第2の骨部位との接触によって枢動するようにバットレス部材を構成してもよく、バットレス部材によって第2の骨部位に圧迫を加えかつ/または支持してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートであって、前記プレートを第1の骨部位上に固定する1つ以上の締結具を入れるように構成される1つ以上の開口部を画定する、プレートと、
前記プレートの縁部から突出するアームと、
前記アームの端部に枢動可能に接続されるバットレス部材と
を備え、
前記バットレス部材は、前記バットレス部材の向きを第2の骨部位に追従させるように、前記第2の骨部位との接触によって枢動し、前記アームを介して前記バットレス部材に伝達される力を用いて前記第2の骨部位に圧迫を加えるかつ/または支持するように構成される、
骨を安定させる装置。
【請求項2】
前記バットレス部材は、前記バットレス部材によって画定される1つ以上の開口部内に延びる1つ以上の締結具を用いて前記第2の骨部位に固定されずに前記第2の骨部位に圧迫を加えるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バットレス部材は、前記バットレス部材を前記第2の骨部位に固定する締結具を入れるように構成されるいかなる開口部を画定しない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記アームは前記プレートと一体的に形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記バットレス部材は1つの枢動軸まわりに前記アームに対して枢動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記1つの枢動軸は平面と直交し、前記バットレス部材は前記第2の骨部位に接触する内面を有し、前記平面は前記バットレス部材の前記内面と交差する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記平面は前記バットレス部材の前記内面と実質的に直交する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記バットレス部材は平行でない2つ以上の軸の各々まわりに前記アームに対して枢動可能であり、前記バットレス部材の重心領域またはその近傍が前記アームに枢動可能に接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は複数のアームと複数のバットレス部材とを備え、前記複数のバットレス部材の各々は前記複数のアームの対応するアームに枢動可能に接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記バットレス部材は骨の関節窩の関節窩縁またはその近傍に接触し、肩甲上腕関節からの上腕骨頭の脱臼または亜脱臼を阻止するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
プレートであって、前記プレートを第1の骨部位上に固定する1つ以上の締結具を入れるように構成される1つ以上の開口部を画定する、プレートと、
前記プレートの縁部から突出するアームと、
前記アームの端部に枢動可能に接続されるバットレス部材と
を備え、
前記バットレス部材は、前記バットレス部材の向きを第2の骨部位に追従させるように、前記第2の骨部位との接触によって枢動するように構成され、
前記アームは、前記プレートと、前記バットレス部材が枢動可能に接続される前記アームの前記端部との距離を変更するように前記プレートから調節可能に伸展可能であり、前記アームは、前記プレートと前記アームの前記端部との前記距離を固定するように前記プレートに係止可能に構成される、
骨を安定させる装置。
【請求項12】
前記アームは前記プレートの離散している一連の位置だけに配置換え可能に係止可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記バットレス部材は、前記バットレス部材によって画定される1つ以上の開口部内に延びる1つ以上の締結具を用いて前記第2の骨部位に固定されずに前記第2の骨部位に圧迫を加えるように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記バットレス部材は1つの枢動軸まわりに前記アームに対して枢動可能であり、前記1つの枢動軸は平面と直交し、前記バットレス部材は前記第2の骨部位に接触する内面を有し、前記平面は前記バットレス部材の前記内面と交差する、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
プレートであって、前記プレートを第1の骨部位上に固定する1つ以上の締結具を入れるように構成される1つ以上の開口部を画定する、プレートと、
複数のアウトリガであって、各アウトリガは前記プレートの縁部から突出するアームと、前記アームに枢動可能に接続されるバットレス部材とを含む、複数のアウトリガと
を備え、
各バットレス部材は、前記バットレス部材の向きを第2の骨部位に追従させるように、前記第2の骨部位との接触によって枢動するように構成される、
骨を安定させる装置。
【請求項16】
各アームは前記プレートと一体的に形成される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記プレートは一対の側縁を有し、各アームは前記一対の側縁の同じ側縁から突出する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
プレートであって、前記プレートを第1の骨部位上に固定する1つ以上の締結具を入れるように構成される1つ以上の開口部を画定する、プレートと、
前記プレートの縁部から突出するアームと、
前記アームの端部に枢動可能に接続されるバットレス部材と
を備え、
前記バットレス部材は、前記バットレス部材の向きを第2の骨部位に追従させるように、前記第2の骨部位との接触によって枢動するように構成され、前記アームは第2の端部の反対側にある第1の端部を有し、前記アームの前記第1の端部は前記プレートに枢動可能に接続され、前記アームの前記第2の端部は前記バットレス部材に枢動可能に接続される、
骨を安定させる装置。
【請求項19】
前記アームは、前記アームと前記プレートとの相互の向きを固定するように前記プレートに係止可能である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
プレートであって、前記プレートを第1の骨部位上に固定する1つ以上の締結具を入れるように構成される1つ以上の開口部を画定する、プレートと、
前記プレートの縁部から突出するアームと、
前記アームの端部に枢動可能に接続されるバットレス部材と
を備え、
前記バットレス部材は、前記バットレス部材の向きを解剖学的関節に関連する第2の骨部位に追従させるように、前記第2の骨部位との接触によって枢動するように構成され、前記バットレス部材は、前記解剖学的関節の関節部位を拡張しかつ/または前記解剖学的関節の脱臼または亜脱臼を阻止するように構成される、
骨を安定させる装置。
【請求項21】
前記バットレス部材は骨の関節窩の関節窩縁またはその近傍に接触し、肩甲上腕関節からの上腕骨頭の脱臼または亜脱臼を阻止するように構成される、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は2020年9月16日に出願された米国出願第17/022,716号の優先権とその利益とを主張する。本米国出願の全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本出願は概して骨を安定させる装置および方法に関する。特に、本出願では、設置し易くすることができ、自動的に向きが定められるものになり得、骨の破損をほとんど引き起こさずに済み、かつ/または骨安定化装置を骨部位に締結具を用いて固定することを必要とすることなく圧迫および/または支持を骨部位に与えることができる様々な骨安定化装置を提供する。
【背景技術】
【0003】
骨を安定させる様々なタイプのプレートを用いた装置が知られている。いくつかの事例では、プレートを用いた装置では、安定するように各骨または骨片にプレートを用いた装置を直接固定するのに、骨ねじ(bone screw)などの締結具に依存する。この設計を用いる場合、締結具の設置は著しく労力を集中するものであり、時間がかかり、必要以上に侵襲的である場合がある。他の事例では、プレートを用いた装置は安定化中の骨または骨片の1つに接触するが、これに固定されない。この設計では、プレートを用いた装置の設置が単純化されるが、とりわけ、骨の適合不良(poor fit)および/またはびらんなどの問題を引き起こすおそれがある。骨を安定させるために、改善されたプレートを用いた装置が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示では骨を安定させる装置および方法が提供される。典型的な装置はプレート、アームおよびバットレス部材を備えてもよい。プレートを第1の骨部位上に固定する1つ以上の締結具を入れるように構成される1つ以上の開口部をプレートによって画定してもよい。アームはプレートの縁部から突出してもよい。アームの端部にバットレス部材を枢動可能に接続してもよい。バットレス部材の向きを第2の骨部位に追従させるように、第2の骨部位との接触によって枢動するようにバットレス部材を構成してもよく、バットレス部材によって第2の骨部位に圧迫を加えかつ/または支持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】骨を安定させる埋め込み可能な装置の平面図であり、埋め込み可能な装置はプレートとアウトリガとを含み、アウトリガはプレートの縁部から突出するアームと、アームの端部に枢動可能に接続されているバットレス部材とを含み、バットレス部材は、骨との接触によってプレートの上面に少なくともほぼ平行である向きに向くことが可能である骨係合面を有する。
図2図1の埋め込み可能な装置の、起立状態で示されている側面図であり、バットレス部材の枢動の向きの変更が破線を用いて示されている。
図3】ほぼ図2のように示されている図1の埋め込み可能な装置の別の側面図であり、プレートが複数の締結具を用いて第1の骨部位に固定され、バットレス部材の向きが第2の骨部位の局所的な表面形状に追従している状態でバットレス部材が第2の骨部位に押しつけられている。
図4】骨を安定させる別の埋め込み可能な装置の平面図であり、埋め込み可能な装置は、骨の部位を互いに離しておくように構成され、埋め込み可能な装置はプレート、アームおよび枢動可能なバットレス部材を含み、バットレス部材はプレートと交差する軸まわりに枢動可能であり、かつ/またはプレートの上面と少なくともほぼ直交する骨係合面を有し、プレートは複数の締結具を用いて第1の骨部位に固定され、バットレス部材の向きが第2の骨部位の局所的な表面形状に追従している状態でバットレス部材が第2の骨部位に押しつけられている。
図4A】骨がない状態で示されている図4の埋め込み可能な装置の等角図である。
図5】骨を安定させるさらに別の埋め込み可能な装置の、起立状態で示されている側面図であり、埋め込み可能な装置は骨部位の間に最大間隔を実現するように構成され、埋め込み可能な装置はプレート、アームおよびバットレス部材を含み、バットレス部材はプレートの上面に少なくともほぼ平行である軸まわりに枢動可能であり、かつ/または少なくともほぼプレートの方に向くように向きを変更可能である骨係合面を有し、プレートは複数の締結具を用いて第1の骨部位に固定され、バットレス部材の向きが第2の骨部位の局所的な表面形状に追従している状態でバットレス部材が第2の骨部位に押しつけられている。
図6】骨を安定させるさらに別の埋め込み可能な装置の側面図であり、埋め込み可能な装置は一対の骨折部がある骨に固定され、埋め込み可能な装置はプレートと、プレートから両方向に延びる一対のアームと、各アームの端部に接続されている対応するバットレス部材とを含み、バットレス部材は少なくともほぼ向かい合う骨係合面をそれぞれ有する。
図6A】締結具および骨がない状態で示されている図6の埋め込み可能な装置の等角図である。
図7】骨を安定させるまたさらに別の埋め込み可能な装置の等角図であり、埋め込み可能な装置はプレートと、プレートの同じ端部から延びる一対のアームと、各アームの端部に接続されている対応するバットレス部材とを含む。
図8】プレート、アームおよびバットレス部材を含む別の埋め込み可能な装置の等角図であり、バットレス部材はアームの端部にボールジョイントを用いて接続されている。
図9図9の装置が側方方向に延びる一対のアームと、各アームの端部にボールジョイントを用いて接続されている対応するバットレス部材とを有することを除いて図8の装置と同様の埋め込み可能な装置の等角図である。
図10】プレート、アームおよびバットレス部材を含むさらに別の埋め込み可能な装置の等角図であり、アームはプレートとバットレス部材との間の距離を変更するようにプレートに調節可能に係止可能である。
図11】骨盤に固定されるように構成され、プレート、アームおよびバットレス部材を含む埋め込み可能な装置の等角図である。
図12】骨盤の寛骨臼の近傍に固定されるように構成され、プレートと、一連のアームと、アームの各々に接続されている対応するバットレス部材とを含む別の埋め込み可能な装置の等角図である。
図13】骨折した肘頭に固定されている埋め込み可能な装置の側面図であり、本装置はプレート、アームおよびバットレス部材を含む。
図14】骨がない状態で示されている図13の埋め込み可能な装置の等角図である。
図15】骨盤に固定されるように構成されているさらに別の埋め込み可能な装置の等角図であり、本装置はプレート、アームおよびバットレス部材を含む。
図16】プレート、アームおよびバットレス部材を含む埋め込み可能な装置の側面図であり、漏斗胸の手術後に胸骨を安定させるために、本装置は肋骨に締結具を用いて固定され、胸骨の後方表面と係合する。
図17】肩甲骨に締結具を用いて固定され、関節窩のバンカート骨折を安定させる埋め込み可能な装置の図であり、本装置はプレート、アームおよびバットレス部材を含み、プレートは肩甲骨の異なる2つの選択可能な位置に固定され、位置の一方が破線の輪郭で示されている。
図18】骨折した脛骨近位部に固定されている埋め込み可能な装置の上面図であり、装置はプレート、アームおよびバットレス部材を含み、プレートとアームとは相互に別々に形成され、アームはプレートに対して調節可能で係止可能な向きを持つ。
図18A】バットレス部材の周囲を示す図18の装置の部分図であり、バットレス部材の骨係合面が上方に向いており、複数のスパイクを含む。
図18B】バットレス部材の周囲を示し、装置が反転されていることを除いて図18Aとほぼ同じ装置の切出し部分を表わす図18の装置の別の部分図である。
図19】骨折した大腿骨近位部に固定されている埋め込み可能な装置の側面図であり、本装置はプレート、アームおよびバットレス部材を含み、本装置はプレートの内面から突出するバレルと、バレルから延び、バレル内で摺動可能なヒップスクリュも含む。
図20】前腕近位部に取り付けられている埋め込み可能な装置の平面図であり、本装置は尺骨近位部に固定されているプレートと、橈骨近位部と係合するバットレス部材とを含む。
図21図20の線21-21に沿ってほぼ切断された図20の装置および骨の断面図である。
図22】プレート、アームおよびバットレス部材を含み、プレートに対するアームの軸方向位置が調節可能かつ係止可能である埋め込み可能な装置の等角図である。
図23】プレート、アームおよびバットレス部材を含み、プレートに対するアームの軸方向位置が調節可能かつ係止可能である別の埋め込み可能な装置の等角図である。
図24】プレート、アームおよびバットレス部材を含み、プレートに対するアームの軸方向位置が調節可能かつ係止可能であるさらに別の埋め込み可能な装置の等角図である。
図25】肩鎖(AC)関節で相互に関節接合する左上肢帯、特に鎖骨および肩峰の部分図であり、鎖骨上に固定され、AC関節を安定させる先行技術の装置(鎖骨フックプレート)と共に示されている。
図26】AC関節を安定させる図25の装置の部分側面図であり、より概略的に表わされている鎖骨および肩峰と共に示されており、本装置のフックがいかにして集中荷重を及ぼして肩峰のびらんを引き起こし得るのかが示されている。
図27】鎖骨および/またはAC関節を安定させる典型的な装置の図であり、本装置はプレートと、フックを設けるアウトリガとを含み、アウトリガはプレートと一体的に形成されているアームと、枢動可能に接続され、自動的に向きが定められるものであり、フックの先端を形成し、肩峰と係合するように構成されている別体のバットレス部材とを有する。
図28図27の装置の下面図である。
図29図27の装置の側面図である。
図30図27の装置の部分側面図であり、本装置が概略的に示されているAC関節にわたっている状態で示されている。
図31図27の装置の部分側面図であり、骨がない状態にあることを除いてほぼ図30のように示されており、本装置の適合を改善するために肩峰との接触に応じて自動的に調節される向きをバットレス部材が持つことを可能にするバットレス部材の枢動が示されている。
図32図27の装置の別の部分側面図であり、バットレス部材がアームから外されていることを除いてほぼ図31のように示されている。
図33図30の線33-33にしたがってアウトリガのほぼ周囲を見た図27の装置の部分下面図である。
図34図32の線34-34にしたがって外された状態で見た図27の装置のバットレス部材の端面図である。
図35】ほぼ図30の線35-35に沿って切断された図27の装置の断面図である。
図36図27の装置と同様の、戻り止めを含む装置の部分側面図であり、一対の戻り止めによってバットレス部材がアームの末端部分に平行に保持されていることを除いてほぼ図30および図31のように示されている。
図37】ほぼ図36の線37-37に沿って切断された図36の装置の部分断面図である。
図38図37の構成からバットレス部材を枢動させることによって戻り止めを外した後のほぼ図37のように示されている図36の装置の別の部分断面図である。
図39】鎖骨および/またはAC関節を安定させる別の典型的な装置の部分図であり、肩峰と係合して滑りを阻害する突出部をバットレス部材が有することを除いて本装置は図27の装置と同様である。
図40図39の装置のバットレス部材の図であり、バットレス部材が本装置の主要部から外された状態で示されている。
図41】鎖骨および/またはAC関節を安定させるさらに別の典型的な装置の部分図であり、バットレス部材が平行でない複数の平面の各平面内でアームに対して枢動可能であることを除いて本装置は図27の装置と同様である。
図42図41の装置の端面図であり、バットレス部材がアームによって画定される平面と交差する平面内で中立的向きから回されている状態で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示では骨を安定させる装置および方法が提供される。典型的な装置はプレート、アームおよびバットレス部材を備えてもよい。プレートを第1の骨部位上に固定する1つ以上の締結具を入れるように構成される1つ以上の開口部をプレートによって画定してもよい。アームはプレートの縁部から突出してもよい。アームの端部にバットレス部材を枢動可能に接続してもよい。バットレス部材の向きを第2の骨部位に追従させるように、第2の骨部位との接触によって枢動するようにバットレス部材を構成してもよく、バットレス部材によって第2の骨部位に圧迫を加えかつ/または支持してもよい。
【0007】
骨安定化装置は以下のいずれかを含む様々な効果を奏することができる。少数の締結具を用いることによって装置を設置し易くすることができる。装置は骨に対して自動的に向きが定められるものになり得、これにより、骨に対する動的な適合を実現することができる。骨がほとんど破損しないで済む(例えば、骨びらんを最小にすることができる)。骨安定化装置を骨部位に締結具を用いて固定することを必要とすることなく圧迫(圧力)および/または支持を骨部位に与えることができる。
【0008】
本開示のさらなる態様を以下の(I)骨安定化装置の概要および(II)例のセクションで説明する。
【0009】
I.骨安定化装置の概要
本セクションでは、プレート102(取付けプレートとも言い換えることができる)とプレート102から突出するアウトリガ103とを含む装置100によって例示されているような、本開示の骨を安定させる埋め込み可能な装置の概要を記載する。例えば、アウトリガ103によってフックを実現することができ、アウトリガ103はアーム104とバットレス部材106とを含む(図1から図3を参照)。本セクションで説明されている要素と特徴との任意の適切な組み合わせを本開示の装置のいずれに組み込んでもよい。
【0010】
装置100は図1および図2では未装着の状態で示されており、図3では第1および第2の骨部位108,110と係合する埋め込み構成で示されている。骨部位108,110を対応する骨112,114または同じ骨によって与えることができる。本開示の各装置により、第1および第2の骨部位の互いに対する動きを制限することによって骨を安定させることができる。例えば、本装置により、骨部位が互いにさらに接近するのを防止することができ(すなわち、骨部位を通って延びる軸に沿って骨部位の間に最小間隔を設定する)(例えば、例1および例4を参照)、骨部位が互いに離れるのを防止することができ(すなわち、上記軸に沿って骨部位の間に最大間隔を設定する)(例2および例3を参照)、かつ/または骨部位が上記軸に直交する特定の方向に互いに対して上記軸と交差するようにずれるのを防止することができる(例えば、図3を参照)。したがって、本開示の装置は、骨および/または軟組織の治癒を促進し、適切な機能を有効化しかつ/または損傷を避けるために、骨折した骨や切断された骨および/または関節や、骨の間のその他接続部を安定させるなどの多くの用途を持つ。
【0011】
プレート102は内面118の反対側にある外面116を有する。埋め込み後の装置100の向きに関係なく、外面116を上面と呼ぶ場合があり、内面118を下面と呼ぶ場合がある。プレート102が第1の骨部位108の上に留置されているとき、外面116は第1の骨部位108から離れる方を向き、内面118は第1の骨部位108の方に向き、適宜接触する(図3を参照)。
【0012】
プレート102によって1つ以上の開口部120を画定してもよい。各開口部120は外面116と内面118との間でプレート102を貫通して延びてもよい。開口部の形状は、円形や、面116,118に平行な細長い形状(スロットを形成するように細長い)などの任意の適切な形状であってもよい。プレート102は、とりわけ、円形である少なくとも1つの開口部120、スロットである少なくとも1つの開口部120またはこれらの両方を有してもよい。各開口部120はその意図された用途に基づいて任意の適切な寸法を持ってもよい。例えば、プレート102を第1の骨部位108に取り付ける骨ねじ124などの締結具122を入れるように各開口部120を構成してもよい(図3を参照)。他の実施形態では、プレートの、1つ以上の開口部の寸法および/または形状を、ピン、ワイヤ、縫合糸などの別のタイプの締結具を入れるように設定してもよい。
【0013】
アウトリガ103のアーム104はプレート102の縁部126から突出し、バットレス部材106まで延びる。例として、とりわけ、アーム104は図1に示されているようにプレート102の端部から長手方向などに(例えば、プレートから軸方向に)突出してもよいし、他の例では、プレートの側縁から側方方向に突出してもよい(例えば、例3、例6、例9、例11および例16を参照)。アームをプレート102と一体的に形成してもよいし、プレート102とは別々に形成してもよい。プレートとは別々に形成する場合、アームをプレートに対して調節可能に配置可能であってもよくかつ/またはアームの向きをプレートに対して変更可能であってもよい。例えば、プレートの縁部から突出するアームの長さを調節するようにアームが摺動可能であってもよく(例えば、例7および例17から例19を参照)、かつ/またはプレートに対してアームの向きを調節するようにアームがプレートに対して枢動可能であってもよい(例えば例14を参照)。これらの動かすことが可能な構成のいずれによっても、アームの位置/向きを調節した後に、選択された位置および/または向きでアームをプレートに固定取付け可能(すなわち係止可能)にすることができる。他の例では、被施術者に使用する際、埋め込みの後にアームを動的に摺動可能かつ/または枢動可能にすることができる。
【0014】
アーム104は近位端128と遠位端130との間で延びてもよい。近位端128はプレート102に隣接して位置してもよく、かつ/またはプレート102と連続してもよい。遠位端130はバットレス部材106に隣接して位置してもよく、バットレス部材106に接続されてもよい。アーム104は直線状ではない経路に沿って延びてもよく、直線状ではない経路は滑らかに湾曲してもよいし、1つ以上の別個の曲がり部(すなわち、曲がった区間)132a,132bを有してもよい(図2を参照)。他の実施形態では、アームはアームの近位端と遠位端との間で直線状の経路を辿ってもよい(例えば、例1および例5から例7を参照)。より一般的にいえば、バットレス部材がプレートに対して配置される位置をアームの形状によって決定することができ、バットレス部材が大まかにどのように向けられるかを少なくともある程度、アームの形状によって決定することができる(例えば、図3と例1、例2および例8とを比較)。プレートおよびバットレス部材の相互の垂直オフセットが存在する場合には、アームの形状によって第一にこれを決定することができる。例えば、図3では、バットレス部材106がプレート102の内面118の下に位置する。プレートおよびバットレス部材の相互の軸方向のオフセット(例えば図3を参照)および/または側方方向のオフセット(例えば、例6および例11を参照)もアームの形状によって決定することができる。
【0015】
装置100はアウトリガ103を1つだけ有する。ただし、他の実施形態では、装置は、各々がアームとバットレス部材とを含む2つ以上のアウトリガを有してもよい(例えば、例3、例4、例6および例9を参照)。アウトリガの2つ以上のアームがとりわけ、プレートの同じ側縁または同じ端部から突出してもよいし、プレートの両側の側縁から突出してもよいし、プレートの両端部から突出してもよいし、プレートの側縁と端部とから突出してもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0016】
本開示で用いられているバットレス部材は、骨の表面にある骨部位に圧迫を加えるかつ/または支持することができる任意の構造物である。バットレス部材が枢動可能であるので、より分散してバランスがとれるように圧迫を加えて骨の集中荷重(point loading)とびらんとを避けることができる。圧迫は骨部位に対する圧力として説明されている場合がある。
【0017】
アウトリガ103のバットレス部材106はアーム104の遠位端130に対する枢動可能接続部134を有する(図1を参照)。枢動可能接続部により、バットレス部材106が唯一の枢動軸136まわりにアーム104に対して枢動することが可能になり、枢動軸136を例えばピン138によって画定してもよい。いくつかの実施形態では、1つの枢動軸136がプレート102に対して実質的に平行(10度以内)であっても、ほぼ平行(20度以内)であってもよく、かつ/またはプレート102の長手方向軸に平行な線と実質的に直交(10度以内)しても、ほぼ直交(20度以内)してもよい。他の実施形態では、1つの枢動軸がプレートと実質的に直交したりほぼ直交したりする(上記で定められているように直交)など、プレートと交差してもよい(例えば例1を参照)。他の例では、アームとバットレス部材との間の枢動可能接続部により、バットレス部材が平行でない2つ以上の軸まわりに(かつ、平行でない2つ以上の平面の各々内で)アームに対して枢動可能であるように1つ以上の回転自由度が与えられる(例えば、例5、例11、例14および例20を参照)。
【0018】
枢動可能接続部134および/または枢動軸136はバットレス部材106の対向する縁領域140の中間において中央に位置してもよい(図3を参照)。この中央配置により、バットレス部材106によって第2の骨部位110に加えられる力を分散してバランスをとり易くなる。同様に、アームとバットレス部材との間の枢動可能接続部によって平行でない2つ以上の平面の各々内の枢動を可能にする場合、枢動可能接続部によってバットレス部材106の重心に位置する枢動点(pivot point)を画定してもよい。この重心はバットレス部材の質量中心である。
【0019】
バットレス部材106は、バットレス部材が第2の骨部位110に圧迫を加える内面142(骨係合面とも呼ばれる)を有する(図3を参照)。内面142と第2の骨部位110とが接触することによってバットレス部材106の枢動を引き起こすことができ、これにより、内面142の向きが第2の骨部位110の局所的な表面形状の向きにより近づけられて追従する。したがって、バットレス部材を配置調節部材(leveling member)として説明することができ、配置調節部材は、配置調節部材が第2の骨部位に寄せつけられて留置されるときにその向きを調節して第2の骨部位110の向きに合致させる。
【0020】
アーム104はバットレス部材106の外面144から枢動可能接続部134に進入してもよい(図3を参照)。アームはバットレス部材106によって画定されるスロット146内まで延びてもよい(図1を参照)。アーム104によるバットレス部材106の枢動の阻害を抑え、とりわけ、少なくとも10,20または30度の角度範囲など、バットレス部材106の広い角度範囲の枢動を可能にするようにスロット146を構成してもよい。
【0021】
内面142の向きはプレート102とその長手方向軸とに対して任意の適切な中立的向き(neutral orientation)であってもよい。中立的向きはバットレス部材の枢動の範囲の中間に定められる。図2に示されているように、内面142の中立的向きは、内面142がプレート102の内面118の実質的に反対方向またはほぼ反対方向に向くようにプレート102に実質的に平行またはほぼ平行である。他の実施形態では、バットレス部材の内面142がプレート102の内面118と実質的に同じ方向またはほぼ同じ方向に向いてもよい。さらに他の実施形態では、バットレス部材の内面の中立的向きがプレートと交差(例えば、実質的に直交またはほぼ直交)してもよい(例えば、例1、例2、例16、例17および例19を参照)。これらの実施形態では、バットレス部材の内面がほぼプレートの方に向いてもよいし(例2、例16および例17を参照)、ほぼプレートから離れる方に向いてもよく(例1および例19を参照)、かつ/またはほぼ装置の別のバットレス部材の内面の方に向いてもよい(例3を参照)。
【0022】
1つ以上の別体の締結具を用いて第2の骨部位に固定することを必要とすることなく、第2の骨部位110に係合し、第2の骨部位110に圧迫を加えかつ/または第2の骨部位110を支持するようにバットレス部材106を構成することができる。したがって、図示されているように、バットレス部材106は、バットレス部材を第2の骨部位110に固定するための1つ以上の別体の締結具を入れるように構成されるいかなる開口部を画定しなくてもよい。いくつかの実施形態では、内面142と外面144との間でバットレス部材を貫通して延びる、外周を囲む境界を持つなんらかの開口部をバットレス部材106によって画定することができなくてもよい。他の実施形態では、バットレス部材の内面と外面との間でバットレス部材を貫通して延びる1つ以上の開口部をバットレス部材によって画定してもよい(例えば、例11、例15および例18を参照)。ただし、このような開口部が存在する場合であっても、これらに締結具が必ずしも収められず、1つ以上の別体の締結具(例えば骨ねじ、ピン、ワイヤまたは縫合糸)が収められる場合であっても、バットレス部材が第2の骨部位に圧迫を加えるのに締結具は必須ではない。さらにいえば、この圧迫を加える力は、アームを介してプレートからバットレス部材に伝達されてもよく、かつ/または第2の骨部位によってバットレス部材に加えられた圧迫に応じた反対の圧迫として加えられてもよい。
【0023】
バットレス部材106は実質的に特徴のない内面142を有するように示されている。これに対して、他の実施形態では、バットレス部材の内面によって1つ以上のスパイクや他の突出部(例えば、例14、例16および例20を参照)を形成してもよい。スパイクまたは他の突出部は第2の骨部位と係合されているときにバットレス部材の滑りを阻害するように機能することができる。
【0024】
本開示の骨安定化装置のバットレス部材を埋め込み前に自由に枢動可能に構成してもよい。特に、バットレス部材はアームに接続された状態を維持しつつ向きの連続する範囲にわたってアームに対して自由に枢動可能であってもよい。これの代わりに、バットレス部材は埋め込み中または埋め込み後に抑制構成と解放構成との間で調節可能であってもよい。例えば、骨安定化装置は、少なくとも閾値トルクがバットレス部材に加えられるまで、抑制構成にあるバットレス部材がアームに対して枢動するのを妨げる少なくとも1つの摩擦機能部または戻り止めを有してもよい。バットレス部材は、解放後バットレス部材を枢動させるのに閾値トルク未満のトルクが加えられることが必要であるように、少なくとも閾値トルクが加えられるのに応じて解放構成になるように構成される。閾値トルクは骨安定化装置に埋め込み前、埋め込み中または埋め込み後に加えられてもよい。
【0025】
本開示の骨安定化装置は1つ以上の任意の適切な骨および/またはその部位を安定させると考えることができる。適し得る典型的な骨および骨部位はとりわけ、大腿骨近位部(例15を参照)、骨盤(例8、例9および例11を参照)、脛骨近位部(例14を参照)、肩鎖関節の周囲の鎖骨および肩峰(例20を参照)、関節窩やその他関節部位(例13を参照)、胸郭(例12を参照)、肘頭(例10を参照)や、尺骨近位部および橈骨近位部(例16を参照)含む。
【0026】
本開示の骨安定化装置をいかなる適切な生体適合性材料および/または生体吸収性材料からでも形成してもよい。骨安定化装置に用いられる典型的な材料は装置のプレート、アームやバットレス部材などの装置の構成要素の各々に用いられる金属(例えば、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロムなど)やポリマーを含む。いくつかの実施形態では、バットレス部材は、付け合わされている放射線透過体(例えば、ポリマーで形成されるもの)と少なくとも1つの放射線不透過マーカ(例えば、金属で形成されるもの)とを有してもよい(例えば、例20を参照)。放射線透過体によって骨に接触する内面が設けられてもよく、少なくとも1つの放射線不透過マーカの少なくとも大半をとりわけ、放射線透過体内または放射線透過体上に配置してもよい。
【0027】
II.例
以下の例により本開示の骨安定化装置および方法のさらなる態様を説明する。これらの例は例示を意図しているのにすぎず、本開示の範囲全体を限定することを意図していない。
【0028】
例1.別体の骨部位に対する装置
本例では、一対の骨212,214(または1つの骨)によって与えられる一対の骨部位208,210の間の間隔、例えば最小間隔を維持する典型的な骨安定化装置200を説明する(図4および図4Aを参照)。
【0029】
装置200はプレート202と、プレート202から突出するアウトリガ203とを含む。第1の骨部位208にプレートを固定する締結具222を入れる開口部220がプレート202によって画定されている。
【0030】
アウトリガ203はプレート202と一体的に形成されるアーム204と、アーム204の遠位端230に枢動可能に接続されているバットレス部材206とを有する。アーム204はプレート202から軸方向に突出している。すなわち、プレート202の一端の縁部226から突出している。図示されている実施形態ではアーム204は直線状であるが、他の実施形態ではアームは本開示の別の記載で説明されているように直線状でなくてもよい。
【0031】
バットレス部材206は図示されているようにプレート202と実質的に直交したりほぼ直交したり(また、上記で定められているように直交)するなど、プレート202と交差する1つの枢動軸236まわりに枢動可能である。本開示で用いられている用語「交差」は45度以内の直交を意味する。枢動軸236はプレート202の内面218よりも下で突出するピン238によって画定される。
【0032】
バットレス部材206は互いにほぼ平行または実質的に平行に配置された一対の面242,244と、枢動軸236とを有する。図示されている構成では面242が第2の骨部位210に接触しているが、装置200の埋め込みの際に第2の骨部位210に接触するのに面244を選択することができるように、バットレス部材206が枢動軸236まわりに約180度枢動してもよい。
【0033】
例2.骨部位の間の間隔を制限する装置
本例では、一対の骨312,314(または1つの骨)によって与えられる一対の骨部位308,310の間の距離を制限する典型的な骨安定化装置300を説明する(図5を参照)。
【0034】
装置300はプレート302と、プレート302から突出するアウトリガ303とを含む。プレートを第1の骨部位308に固定する締結具322を入れる開口部320がプレート302によって画定されている。
【0035】
アウトリガ303はプレート302と一体的に形成されるアーム304と、アーム304の遠位端330に枢動可能に接続されているバットレス部材306とを有する。アーム304はプレート302と一体的に形成され、プレート302から軸方向に突出している。すなわち、プレート302の一端にある縁部326から突出している。
【0036】
バットレス部材306はプレート302にほぼ平行かつ/または実質的に平行である1つの枢動軸336まわりに枢動可能である。枢動軸336はプレート302および/またはアーム304によって画定された長軸347と交差する(例えば、ほぼ直交または実質的に直交する)。
【0037】
バットレス部材306は第2の骨部位310と係合する骨係合面342を有する。本記載では、骨係合面342は凹面であるが、他の実施形態では、とりわけ、平面または凸面であってもよい。バットレス部材306が中立的向きにある状態で骨係合面342がプレート302の方にほぼ戻って向くように、アーム304によって少なくとも約90,120,150または180度の末端曲がり部を形成してもよい。
【0038】
例3.一対の抱込みアウトリガを有する装置
本例では、プレート402と、骨412(または一対の骨)を抱き込む一対のアウトリガ403a,403bとを有する典型的な骨安定化装置400を説明する(図6および図6Aを参照)。
【0039】
第1の骨部位408にプレートを固定する締結具422を入れる開口部420がプレート402によって画定されている。プレート402とアーム404a,404bとがまとまって形成する構造物がT字形状になるように、プレート402から両側方方向に延びる一対のアーム404a,404bがアウトリガ403a,403bによって設けられている。バットレス部材406aまたは406bは枢動軸436aまたは436bまわりに回転するために各アーム404a,404bの遠位端に枢動可能に接続されている。各バットレス部材406a,406bは骨412の第2の骨部位410または第3の骨部位448に接触している。骨部位408,410および448は骨折部449によって生じた骨412のそれぞれの破片によって与えられるといえる。
【0040】
各バットレス部材406a,406bは第2の骨部位410または第3の骨部位448に係合する骨係合面442を有する。バットレス部材406a,406bが中立的向きにある状態でバットレス部材406a,406bの骨係合面442がほぼ向かい合うように、各アーム404a,404bによって末端曲がり部(例えば、少なくとも約90度の末端曲がり部)を形成してもよい。
【0041】
例4.隣接する一対のアウトリガを有する装置
本例では、プレート502と、プレート502の端部から延びる一対のアウトリガ503a,503bとを有する典型的な骨安定化装置500を説明する。(図7を参照)。
【0042】
プレート502とアーム504a,504bとがまとまって形成する構造物がY字形状になるように、プレート502の同じ端部から延びる一対のアーム504a,504bがアウトリガ503a,503bによって設けられる。バットレス部材506aまたは506bは枢動軸536aまたは536bまわりに回転するために各アーム504a,504bの遠位端に枢動可能に接続されている。
【0043】
各バットレス部材506a,506bはそれぞれの骨部位と係合する骨係合面542を有する。バットレス部材506a,506bの骨係合面542は、各バットレス部材506a,506bの枢動範囲全体にわたって、プレート502とほぼ直交または実質的に直交するなど、プレート502と交差する。
【0044】
例5.複数の平面で枢動可能なバットレス部材を有する装置
本例では、プレート602と、プレート602の端部から軸方向に延びるアウトリガ603とを有し、アウトリガ603に、軸方向アーム604と、平行でない複数の平面の各々内で枢動可能であるバットレス部材606とが設けられる典型的な骨安定化装置600を説明する(図8を参照)。
【0045】
2つ以上の回転自由度を付与する枢動可能接続部634でアーム604とバットレス部材606とが接続され合っている。言い換えると、バットレス部材606が平行でない2つ以上の枢動軸の各々まわりに(かつ、平行でない2つ以上の平面の各々内で)アーム604に対して枢動可能である。図示されている実施形態では、枢動可能接続部634はソケット652内に位置するボール651によって形成されるボールジョイント650である。ソケット652はバットレス部材606の外面644において、バットレス部材606の骨係合面642の反対側に形成されている。1つの回転自由度(すなわち、1つの枢動軸)しか有さない枢動可能接続部の代わりに、装置600の枢動可能接続部を本開示の骨安定化装置のいずれに組み込んでもよい。一方で、1つの枢動軸を画定する枢動可能接続部により、係合された骨表面に十分に追従することを実現することができ、この枢動可能接続部は製造するのにより安価であることが可能である。
【0046】
バットレス部材606はプレート602から軸方向にオフセットされており、プレートよりも下に位置する。骨係合面642はバットレス部材606が中立的向きにある状態でプレート602にほぼ平行または実質的に平行である。ただし、他の実施形態では、バットレス部材をプレートから側方方向にオフセットしてもよく(例えば例6を参照)、かつ/またはバットレス部材がプレートと同じ高さにあったりプレートよりも上にあったりしてもよい。他の実施形態では、バットレス部材606が中立的向きにある状態で骨係合面642をプレート602とほぼ直交または実質的に直交させるなど、プレート602と交差させるように向けてもよい。
【0047】
例6.一対の側方方向のアウトリガを有する装置
本例では、プレート702と、各々がプレート702から側方方向に延びる一対のアウトリガ703a,703bとを有する典型的な骨安定化装置700を説明する(図9を参照)。
【0048】
各アウトリガ703a,703bには側方アーム704aまたは704bと、バットレス部材706aまたは706bとが設けられている。平行でない複数の平面内でバットレス部材を枢動可能にするために、アウトリガのボールジョイント750aまたは750bによって側方アームがバットレス部材に接続されている。
【0049】
例7.摺動可能で係止可能なアウトリガを有する装置
本例では、プレート802とアウトリガ803とを有し、アウトリガが摺動可能構成と係止構成を有する典型的な骨安定化装置800を説明する(図10を参照)。
【0050】
アウトリガ803は、バットレス部材806に枢動可能に接続され、1つの枢動軸836まわりに回転するアーム804を有する。アーム804はプレート802とは別々に形成され、アーム804によって画定された軸方向スロット854を通って延びる止めねじ853などの締結具を用いてプレート802に取り付けられる。
【0051】
プレート802によって細長い凹所855が画定されており、凹所855内でアーム804が摺動することができる。凹所855をプレート802の上面に形成しても下面に形成してもよい。凹所855は、側方方向のがたつきを最小にしつつアーム804の移動を案内するようにアーム804の幅に合致する幅を持ってもよい。
【0052】
凹所855の底に内ねじが切られた孔856もプレート802によって画定され、噛み合わされる形状を持つ外ねじが切られた止めねじ853のシャフト部分が入れられる。止めねじ853がアーム804に締められるまで、アームは軸方向スロット854の長軸に平行に摺動可能であり、プレート802から突出するアーム804の長さ部分が連続的に調節されるので、プレート802とバットレス部材806との間の距離(枢動軸836に対して測定した距離)が調節される。止めねじ853が締められると、止めねじ853によってプレート802にアーム804が係止され、プレート802から突出するアーム804の長さ部分が固定されることによって、プレート802とバットレス部材806との間の距離が固定される。
【0053】
例8.骨盤壁の安定化のための装置
本例では、骨盤を安定させるように構成され、プレート902とアウトリガ903とを有する典型的な装置900を説明する(図11を参照)。
【0054】
装置900は、寛骨臼の底部のほぼ反対側にある、寛骨臼の内側壁の四辺形表面(quadrilateral surface)に配置されるように構成されている。したがって、本装置は寛骨臼に関連する骨折がある骨折した骨盤を安定させるのに適するといえる。
【0055】
骨盤上にプレートを固定する締結具を入れる複数の開口部920がプレート902によって画定されている。各開口部920はその外面916と内面918との間でプレート902を貫通して延びている。
【0056】
アウトリガ903はアーム904とバットレス部材906とを有する。アーム904はプレート902と一体的に形成され、プレート902の端部から僅かな距離だけ軸方向に突出している。アームはプレート902の近傍で鋭く曲がり(例えば約90度)、アーム904の長手方向軸947に沿ってアーム904の遠位端930までプレート902にほぼ直交または実質的に直交する経路を辿る。
【0057】
枢動可能接続部934によってアーム904にバットレス部材906が結合されている。図示されているように枢動可能接続部によってとりわけ1つの枢動軸936すなわち転心を画定してもよい。枢動軸はプレート902にほぼ平行または実質的に平行など、プレート902に平行である。バットレス部材906の骨係合面942を介して骨に加えられる圧力のバランスをとるように、バットレス部材906の両側の縁領域940a,940bの間の中央に枢動可能接続部934が配置される。バットレス部材906が中立的向きにある状態で骨係合面942および/またはバットレス部材906がプレートとほぼ直交または実質的に直交するなど、プレート902と交差する。
【0058】
例9.寛骨臼断片の安定化のための装置
本例では、骨盤の後方壁上の寛骨臼カップの周囲で少なくとも部分的に適合し、寛骨臼の壁の粉砕骨折などの骨折によって生じる寛骨臼断片を安定させるように構成されている典型的な骨安定化装置1000を説明する(図12を参照)。
【0059】
装置はプレート1002と、プレート1002から側方方向に突出する一連のアウトリガ1003とを含む。プレート1002は、プレートの長手方向軸が湾曲するように(本開示では図示されていない)、寛骨臼カップの周囲の形状に応じた形状になる。図示されている実施形態は5つのアウトリガ1003を有するが、任意の適切な個数のアウトリガを含んでもよい。各アウトリガ1003はアーム1004とバットレス部材1006とを有する。各アーム1004はプレート1002と一体的に形成され、プレート1002の側縁から側方方向に突出している。アームは図示されているように直線状であってもよい。
【0060】
それぞれの枢動可能接続部1034によって各バットレス部材1006が、対応するアーム1004に結合される。図示されているように枢動可能接続部によってとりわけ1つの枢動軸1036すなわち転心を画定してもよい。枢動軸はプレートにほぼ平行または実質的に平行など、プレート1002に少なくとも略平行である。バットレス部材1006の骨係合面1042を介して骨に加えられる圧力のバランスをとるように、各バットレス部材1006の両側の縁領域1040a,1040bの間の中央に枢動可能接続部1034が配置される。バットレス部材1006は、枢動可能接続部1034よりも基端側の部分と、枢動可能接続部1034よりも末端側の別の部分を用いて骨に接触するように構成されている。例えば、各バットレス部材1006に一対の基端側枝条部1057と末端尖頭部1058とを形成してもよい。設置時、基端側枝条部1057と末端尖頭部1058との一方または両方が骨に接触して圧力を加えるようにバットレス部材が枢動軸1036まわりに枢動することができる。
【0061】
例10.肘頭骨折部の安定化のための装置
本例では、腕尺関節で上腕骨1160と関節接合されている尺骨1112の肘頭骨折部1159を安定させるように構成されている典型的な装置1100を説明する(図13および図14を参照)。
【0062】
装置1100はプレート1102とアウトリガ1103とを含み、アウトリガ1103はプレート1102から突出しているアーム1104と、アーム1104の遠位端に枢動可能に接続されているバットレス部材1106とを有する。
【0063】
図13は尺骨1112の肘頭1162の基部(base)1161に締結具1122を用いて固定されているプレート1102を示す。バットレス部材1106によって加えられる圧力によって肘頭1162の唇状部分(lip portion)1163の位置が安定するようにアウトリガ1103が肘頭骨折部1159にわたる。
【0064】
例11.寛骨臼部位の安定化のための装置
本例では、骨盤の寛骨臼部位を安定させるように構成されている典型的な装置1200を説明する(図15を参照)。
【0065】
装置1200はプレート1202とアウトリガ1203とを含む。アウトリガはアーム1204と、アーム1204に枢動可能に接続されているバットレス部材1206とを有する。アーム1204とバットレス部材1206とが枢動可能接続部1234を介して結合され合っており、本事例では枢動可能接続部1234はボールジョイント1250である。アーム1204はプレート1202からアームの遠位端1230まで側方方向に延びる。
【0066】
プレート1202とバットレス部材1206との各々が骨盤に締結具で固定されるように構成されている。特に、プレート1202によって複数の開口部1220が画定されており、各開口部1220は外面1216と内面1218との間で延びている。バットレス部材1206によって複数の開口部1264が画定されており、各開口部1264は骨係合面1242と外面1244との間で延びている。バットレス部材が骨盤の周囲で少なくとも部分的に延びて、骨折により生じた寛骨臼断片を適宜安定させるように、バットレス部材を骨盤の寛骨臼部位に固定することができる。バットレス部材1206が中立的向きにあるとき、プレート1202の内面1218とバットレス部材1206の骨係合面1242が図示されているように同じ主方向(general direction)に向く。これに加えて、プレート1202およびバットレス部材1206によって画定される長手方向軸が互いにほぼ平行である。
【0067】
例12.胸郭の安定化のための装置
本例では、漏斗胸(すなわち、胸部陥没(sunken chest))を修復するために外科的に治療される胸郭などの胸郭1365を安定させるように構成されている典型的な装置1300を説明する(図16を参照)。
【0068】
装置1300はプレート1302とアウトリガ1303とを含む。アウトリガは枢動可能に接続され合っているアーム1304とバットレス部材1306とを有する。アーム1304とバットレス部材1306とが枢動可能接続部1334を介して結合されており、本事例では枢動可能接続部1334によって1つの枢動軸1336が画定され、他の事例では枢動可能接続部1334によって平行でない2つ以上の軸まわりに枢動することが可能になる。
【0069】
プレート1302は締結具1322を用いて胸郭1365の肋骨1312の前方端部部位1308に固定され、本事例では締結具1322はねじ1324である。他の実施形態では、プレート1302を1つ以上の縫合糸などの別の締結具を用いて固定してもよい。
【0070】
バットレス部材1306は胸郭1365の胸骨1314の後方表面部位1310と係合する。肋骨1312と胸骨1314とを接続し合わせる軟骨が外科的に切除されており、軟骨膜1366のみが残っている。軟骨が再度成長する間、胸骨1314がバットレス部材1306によって整復位置で支持される。
【0071】
他の事例では、処置時に軟骨を外科的に切除しなくてもよい。さらにいえば、接続する軟骨に処置が施されない状態にしておいて、アーム1304およびバットレス部材1306を介して胸骨1314に加えられる力によって、胸骨1314を当初の陥没位置から隆起した、より解剖学に即した位置に付勢する。
【0072】
例13.関節部位の安定化/拡張のための装置
本例では、肩甲上腕関節1468で上腕骨1467と関節接合される肩甲骨1412の関節窩1410などの骨の関節部位を安定させかつ/または拡張するように構成されている典型的な装置1400を説明する(図17を参照)。
【0073】
装置1400はプレート1402とアウトリガ1403とを含む。アウトリガは枢動可能に接続され合っているアーム1404とバットレス部材1406とを有する。アーム1404とバットレス部材1406とは枢動可能接続部1434(例えばボールジョイント)を介して結合されており、枢動可能接続部1434によって平行でない2つ以上の軸まわりに枢動することが可能になる。他の事例では、枢動可能接続部1434によって本開示の別の記載で説明されているような1つの枢動軸を画定してもよい。
【0074】
上記の例とは異なり、プレート1402を肩甲骨1412の別の位置に固定してもよい(肩峰1469、烏口骨1470および鎖骨1471が参考のために示されている)。例えば、プレート1402をねじなどの締結具1422を用いて関節窩1410よりも下の位置で肩甲骨1412の外側面部位1408に固定してもよいし、肩甲骨1412のより上部の内側面部位1408’に固定してもよい。プレート1402およびアーム1404の上記の2つの選択可能な位置は実線および破線でそれぞれ示されている。
【0075】
プレート1402の図示されている各位置に対して、バットレス部材1406が関節窩1410に寄せつけられて同じ位置に配置される。バットレス部材はバンカート骨折(すなわち、関節窩縁の骨折)を安定させることができ、肩甲上腕関節1468からの上腕骨1467の骨頭の前方脱臼を阻害するものとして機能することができ、かつ/またはバットレス部材は上腕骨1467の骨頭と関節接合され、関節窩縁を広げることができる。したがって、バットレス部材1406は関節接合に適する骨係合面1442を有することができる。例えば、骨係合面1442(および/またはバットレス部材1406)をとりわけポリマーやコバルトクロムから形成してもよい。
【0076】
例14.脛骨近位部の安定化のための装置
本例では、骨折した脛骨近位部1512を安定させるように構成されている典型的な装置1500を説明する(図18、18Aおよび18Bを参照)。(大腿骨1572と腓骨1572aとが参考のために示されている。)
【0077】
装置1500はプレート1502とアウトリガ1503とを含む。アウトリガは枢動可能に接続され合っているアーム1504とバットレス部材1506とを有する。アーム1504とバットレス部材1506とが枢動可能接続部1534(例えばボールジョイント)を介して結合されており、枢動可能接続部1534によって平行でない2つ以上の軸まわりに枢動することが可能になる。他の事例では、枢動可能接続部1534によって、本開示の別の記載で説明されているような1つの枢動軸を画定してもよい。
【0078】
プレート1502は脛骨近位部1512の内側部位1508にねじなどの締結具1522を用いて固定される。プレートによって脛骨近位部1512の骨折部に架橋してもよい(架橋しなくてもよい)。
【0079】
アーム1504はプレート1502とは別々に形成されている。アームとプレートとは止めねじ1574を含む調節可能なジョイント1573で接続され合っている。ジョイント1573は止めねじ1574を締めたり緩めたりすることによって移動可能構成と係止構成との間で調節可能である。移動可能構成では、アームの向きを変更するために、アーム1504がプレート1502と直交する枢動軸1575まわりに枢動可能である。係止構成では、アーム1504の向きが固定される。止めねじ1574はアーム1504によって画定される円形の開口部(すなわち、動くことが可能な構成は枢動可能構成に限られる)を通って延びてもよいし、アーム1504によって画定される細長い開口部(すなわちスロット)を通って延びてもよい。スロットを利用することで、プレート1502の縁部から突出するアームの長さ部分を調節しかつ/またはプレート1502とバットレス部材1506との間の距離を調節するためにアーム1504が動くことが可能な構成になって枢動および摺動することが可能になる。
【0080】
アーム1504によって、脛骨片1510を形成する脛骨近位部1512の骨折部1576に架橋される。骨折部1576は例えば、図示されているように脛骨プラトーまで延びる外側顆骨折部であってもよい。他の事例では、骨折部1576は内側顆骨折部であってもよく、骨折した脛骨近位部1512のより外側側にプレート1502を固定してもよい。
【0081】
骨折部1576によって生じた脛骨片1510にバットレス部材1506によって圧力を加える。バットレス部材は外面1544の反対側の骨係合面1542を有する。骨係合面の1542によって複数のスパイク1577が画定されている。スパイクはバットレス部材1506の本体1578から突出し、脛骨片1510上でのバットレス部材の滑りを阻害する。
【0082】
例15.大腿骨近位部の安定化のための装置
本例では、骨折した大腿骨近位部1612を安定させるように構成されている典型的な装置1600を説明する(図19を参照)。
【0083】
装置1600はプレート1602と、アーム1604とバットレス部材1606とを有するアウトリガ1603とを含む。プレート1602は大腿骨近位部1612の外側骨幹部位1608に配置され、締結具1622で固定される。
【0084】
アーム1604はプレート1602からバットレス部材1606との枢動可能接続部1634まで軸方向に突出する。枢動可能接続部によって枢動軸が画定され、バットレス部材1606が枢動軸まわりの回転によって大腿骨近位部1612の骨端部位1610の局所的な向きに追従することが枢動可能接続部によって可能になる。大腿骨近位部1612の骨端部位1610は外側側に位置する一方で、外側骨幹部位1608よりも近位側に位置する。骨にバットレス部材1606を固定するねじなどの締結具を入れる開口部1664がバットレス部材によって画定されている。これの代わりに、プレート1602とは無関係に、バットレス部材1606は締結具で大腿骨近位部1612に固定されなくてもよく、開口部1664を省略してもよいし、開口部1664が存在はするが、使用されなくてもよい。
【0085】
装置1600はバレル1679とスライディングスクリュ1680も含んでもよい。バレル1679はプレート1602の内面1618から突出し、図示されているように、埋め込まれたときに大腿骨近位部1612内に位置する。バレル1679とスライディングスクリュ1680とが互いに対してスライディングスクリュ1680の長軸に平行な方向に移動することを可能にするために、スライディングスクリュ1680は、摺動可能であるようにバレル1679内に位置する後端を有する。スライディングスクリュは大腿骨頸部を貫通して大腿骨頭1681内まで延び、スライディングスクリュはスライディングスクリュ1680の外ねじによって大腿骨頭1681内に固定される。
【0086】
例16.尺骨近位部および橈骨近位部の安定化のための装置
本例では、尺骨近位部1712と橈骨近位部1714とを相互に安定させるように構成されている典型的な装置1700を説明する(図20および図21を参照)。(尺骨近位部1712および橈骨近位部1714と関節接合される上腕骨遠位部1772が参考のために示されている。)
【0087】
装置1700はプレート1702とアウトリガ1703とを含む。アウトリガは枢動可能接続部1734を介して枢動可能に接続され合っているアーム1704とバットレス部材1706とを有する(図21を参照)。
【0088】
プレート1702は尺骨近位部1712の後方部位1708に締結具1722を用いて固定されている。プレートは尺骨近位部1712の骨幹部位と肘頭1762との両方に重なることができ、尺骨近位部1712の骨折部を固定することができる。
【0089】
アーム1704はプレート1702および尺骨近位部1712から橈骨近位部1714の外側部位1710の近傍の位置まで外側側に突出する。
【0090】
バットレス部材1706は橈骨近位部1714の外側部位1710に圧力を加える骨係合面1742を有する。骨係合面1742は外側部位1710に係合して滑りを阻害するスパイク1777を有する。
【0091】
バットレス部材1706がアーム1704に対して枢動および摺動することが枢動可能接続部1734によって可能になる。アーム1704に取り付けられたピン1738によって枢動軸1736が画定されている。ピン1738が配置されるスロット1782がバットレス部材1706によって画定されている。ピン1738はバットレス部材1706に対して枢動軸1736を移動させるようにスロット1782に沿って摺動可能である。スロット1782は湾曲経路に沿ってピン1738を案内するように弧状であってもよく、これにより、橈骨近位部1714がその長軸まわりに回転することが可能になるので、装置1700が埋め込まれた後に被施術者が対応する前腕を回転させて、回内および回外が起こることが可能になる。
【0092】
例17.個別に調節可能なアウトリガを有する装置
本例では、骨を安定させるように構成され、プレート1802と、プレート1802に対して一連の離散位置の各々に係止可能であるアーム1804を有するアウトリガ1803とを含む典型的な装置1800を説明する(図22を参照)。
【0093】
装置1800には例2の装置300との類似点があり、特に、アウトリガ1803の末端部分の形状との類似点(図5と比較)があり、また、例7の装置800との類似点があり、特に、アウトリガ1803のアーム1804の摺動可能で係止可能な機能との類似点(図10と比較)がある。
【0094】
アーム1804はバットレス部材1806に枢動可能に接続されている。アーム1804の近位端は鋸歯状壁1884を有する凹所1855と噛み合う形状を持つ鋸歯状部分1883を有する。凹所1855に沿って等間隔に配置された凹所1855内の一連の位置にアーム1804の鋸歯状部分1883が嵌入し、その位置で、鋸歯状部分1883の歯が鋸歯状壁1884によって画定されたくぼみに合わせられる。アーム1804は止めねじ1853を締めることによって、等間隔に配置された位置の各々に係止可能であり、止めねじ1853は例7の装置800と同様に凹所1855の底に画定された、内ねじが切られた孔にねじ込まれる。
【0095】
バットレス部材1806は枢動軸1836を画定する枢動可能接続部1834でアーム1804に結合されている。枢動軸1836はプレート1802にほぼ平行または実質的に平行であってもよい。バットレス部材1806の骨係合面1842が例2の装置300のようにほぼプレート1802の方に向いている。
【0096】
例18.固定可能なバットレス部材を有する調節可能なアウトリガを有する装置
本例では、骨を安定させるように構成されている典型的な装置1900を説明する。装置1900はプレート1902と、プレート1902に対する平行移動により調節可能であるアウトリガ1903とを含む。アウトリガ1903には締結具によって固定可能なバットレス部材1906が設けられている(図23を参照)。
【0097】
アウトリガ1903はバットレス部材1906に枢動可能に接続されているアーム1904を有する。アーム1904の近位端がプレート1902の外面に形成された凹所1955内で摺動可能であり、止めねじを用いるなどしてプレート1902に係止可能である(例7および例17も参照)。
【0098】
バットレス部材1906は1つの枢動軸1936まわりの枢動のための枢動可能接続部1934でアーム1904に結合されている。締結具を入れる複数の開口部1964が骨係合面1942と外面1944との間にバットレス部材1906によって画定されている。
【0099】
例19.調節可能なアウトリガを有する装置
本例では、骨を安定させるように構成され、プレート2002と、プレート2002に対する平行移動により調節可能であるアウトリガ2003とを含む典型的な装置2000を説明する(図24を参照)。
【0100】
アウトリガ2003は枢動軸2036まわりの枢動のためにバットレス部材2006に枢動可能に接続されるアーム2004を有する。プレート2002の末端部分の幅に合致するように寸法が決められている開口部2085がアーム2004の近位端によって画定されている。開口部2085を一対の枝条部2086の間に画定してもよい。プレート2002はテーパが施された止めねじ2089を入れる孔2088を含む開裂端部2087を有する。止めねじ2089が孔2088に進入すると、開裂端部2087が止めねじによって広がってアーム2004がプレート2002に係止される。
【0101】
例20.鎖骨フック装置
本例では、鎖骨および/または肩鎖関節を安定させる装置および方法を説明する(図25から図42を参照)。ただし、当該装置および方法を任意の適切な1つ以上の骨および/または関節に適用することができる。
【0102】
i.概要
典型的な装置は、鎖骨の上面部位に固定されるように構成されるプレートを備えてもよい。本装置は、フックを形成し、プレートから延びるアームと、枢動可能に接続され、フックの先端を形成する別体のバットレス部材とを含むアウトリガも備えてもよい。肩鎖関節の肩峰の下面部位に寄せつけられて留置されるようにバットレス部材を構成してもよく、バットレス部材は、肩峰表面とのバットレス部材の位置合わせが改善されるように肩峰との接触に応じて自動的に向きが定められるものであってもよい。アームの交差方向部分から離間したアームの位置に枢動可能にバットレス部材を接続してもよい。
【0103】
ii.背景
各上肢は上肢帯によって軸骨格に取り付けられる。上肢帯は、鎖骨(clavicle)c(collarboneとも記載する)および肩甲骨(scapula)s(shoulder bladeとも記載する)というヒトの2つの骨で構成される(図25を参照)。
【0104】
鎖骨cは上肢帯の前方側に位置する。この骨は肩甲骨sを胸骨(sternum)(breastboneとも記載する)に連結する。特に、鎖骨cが内側側で胸骨と胸鎖関節で関節接合され、外側側で肩甲骨sと肩鎖関節acで関節接合される。関節acは鎖骨の外側側端部と肩甲骨sの肩峰との間に形成される。肩峰aは肩甲骨sの上側部位によって形成された前方突起である。
【0105】
上肢帯に対する外傷によって鎖骨cがその外側側端部近傍で骨折する場合があり、かつ/または鎖骨cの外側側端部を肩甲骨sの肩峰aに取り付ける肩峰鎖骨軟組織stが断裂する場合がある。このような損傷は、装置dのような鎖骨フックプレートを埋め込んで鎖骨cを固定しかつ/または関節acでの脱臼を修復することによって治療されることが多い。
【0106】
装置dは取付けプレートpとフックhとを有する(図25および図26を参照)。取付けプレートpには細長いシャフトと幅広のヘッドとが形成されている。鎖骨cの上面部位srに取付けプレートpを固定する骨ねじなどの締結具を入れる開口部がシャフトおよびヘッドの各々によって画定されている。各開口部は取付けプレートpを貫通してその上面と下面との間で延びている。
【0107】
フックhは取付けプレートpと一体的に形成されている。フックは取付けプレートpのヘッドから遠位端まで延びている(図26を参照)。装置dが埋め込まれると、装置dは関節acの後方位置で鎖骨cと肩峰aとの間の隙間にわたり、肩峰の下面部位に接触する(図25および図26を参照)。本構成では、装置dを用いることで、鎖骨cおよび/または関連する肩峰鎖骨軟組織stが治癒する間、関節acまわりの必要な動きを可能にしつつ、鎖骨cおよび肩峰aの関節端部を相互に近づけておくことができる。
【0108】
装置dによって安定化が実現され、可動状態に早期に復帰することが促進される。しかし、装置dの使用に関係する深刻な合併症が報告されており、この合併症には痛みや刺激が含まれ、より深刻なものとしては肩峰aのびらんが含まれる。このような合併症については、第一に、フックhの遠位端を用いた肩峰aの集中荷重に問題があると説明されている(図26を参照)。
【0109】
この集中荷重を回避するのが困難である場合がある。装置dが埋め込まれるときに外科医によって用いられる外科的手法では、視認しつつ肩峰aの下側にアクセスすることができない。したがって、肩峰aの下面部位に平行に配置されて集中荷重が最小化されるのか、フックhの細長い末端部分と肩峰表面とによって大きい角度が形成されて集中荷重が生じる(図26の場合のようになる)のかを外科医が容易に判断することができない。
【0110】
装置dを改良することで肩峰aの下での優れた適合を実現することが試みられている。このような改良には、取付けプレートpとフックhとを相互に別々に形成して、フックの向きおよび/または形状の調節を可能にすることが含まれる。しかし、改良されたこのような装置でも、肩峰の集中荷重の問題を矛盾なく解決することができない。その理由は、フックの位置が肩峰に適切に合わせられているか否かを外科医が視覚的に確認することができないからであると考えられる。改善された鎖骨フックプレートが必要である。
【0111】
iii.肩峰鎖骨の安定化のための装置
本例では、鎖骨、肩峰および/または肩鎖関節を安定させる典型的な装置を説明する(図27から図42を参照)。
【0112】
図27から図35は取付けプレート2102(プレートとも言い換えることができる)とアウトリガ2103とを含む装置2100を示し、本アウトリガによってフックが形成されている。アウトリガはアーム2104と、アーム2104の遠位端に枢動可能に接続されているバットレス部材2106とを有する。
【0113】
プレート2102は上記の下位セクションの装置dについて上述されている特徴の任意の組み合わせを有してもよい。例えば、プレート2102は細長いシャフト2107と、シャフト2107と連続するヘッド2109とを含んでもよい(図27および図28を参照)。ヘッド2109はシャフト2107の隣接する側の端部よりも幅広であっても幅広でなくてもよい(図25図28とを比較)。
【0114】
プレート2102は上面2116(外面)と下面2118(内面)とを有する。締結具を入れる複数の開口部2120がプレートによって画定されている(図27を参照)。開口部2120は上面2116と下面2118との間でプレート2102を貫通して延びる。開口部は円形の開口部2111aと、スロット2111bと、ピン/ワイヤ/縫合糸を入れる孔2111cとの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0115】
プレート2102によって直線状ではない長手方向軸2113を図28および図29に示されているように画定することができる。特に、プレート2102の表面形状を鎖骨の上面部位に適合するように予め決めてもよい。したがって、プレート2102は、プレート2102がアウトリガ2103から離れる方に、直線状ではない長手方向軸2113に沿って延びるような曲率を持ってもよい。上記とは別に、プレート2102が鎖骨の全長部分の1/2を超える長さ部分に沿って延びるように構成されている場合、プレート2102は折り返し湾曲(ほぼS字形状)構成を実現するように、図28に示されているような両方向(後方と前方)の曲率を持ってもよい。プレート2102は、プレートがアウトリガ2103から離れる方にプレート2102のシャフト端部2117に向かって延びるような下向きの曲がり部(図29では2115で示されている)も有してもよい。プレート2102のヘッド端部2121の近傍に平面2119をヘッド2109によって画定することができる(図28および図29を参照)。
【0116】
装置dのフックhとは対照的に、アウトリガ2103は一体部品ではない(図27図32および図33を参照 図25および図26と比較する)。さらにいえば、アウトリガ2103は相互に別々に形成されたアーム2104とバットレス部材2106とを有する。(バットレス部材2106をフックの先端または終端とも言い換えることができる場合がある。)
【0117】
アーム2104とプレート2102とを装置2100の同じ単一的部品(unitary component)2127によって形成してもよい(図28から図30を参照)。形容詞的な用語「単一的(unitary)」は、単一的部品が相互に可動な別々の部品を有していないことを意味する。したがって、アーム2104とプレート2102とを相互に一体化させて(すなわち一体部品として)形成することができるし、アーム2104とプレート2102とを取り外し不能に付け合わされている(例えば、溶接されたり接着されたりする)別体の部分として形成することができる。
【0118】
アーム2104はプレート2102の近位端2128から、プレート2102および平面2119から離間した遠位端2130まで延びる(図29図31および図32を参照)。遠位端2130をプレート2102の下で長手方向と短手方向とにオフセットしてもよい。アーム2104は基端部分2131a(近位端2128を含む)、交差方向部分2131bおよび末端部分2131c(遠位端2130を含む)を含んでもよい。
【0119】
基端部分2131aはプレート2102のヘッド2109のヘッド端部2121の近傍から突出してもよいし、ヘッド端部2121から突出してもよい(図31を参照)。例えば、図示されている例では、近位端2128はヘッド2109の後方側のヘッド端部2121から延びる(図27を参照)。基端部分2131aはヘッド2109から任意の適切な距離だけ長手方向軸2113の接線方向の延長線2113eにほぼ沿って延びてもよく、例えば、接線方向の延長線の、約20度以内の平行線に沿って延びてもよい(図28を参照)。したがって、基端部分2131aが延びていても延びていなくてもよい。いくつかの例では、交差方向部分2131bが直接プレート2102から突出してアーム2104の近位端2128を設けるように、基端部分2131aを省略してもよい。
【0120】
交差方向部分2131bはプレート2102と交差する方向とアーム2104の細長い末端部分2131cと交差する方向とに延びてもよい(図29および図32を参照)。本記載で用いられている用語「交差」は、所与の構造物に対して60~120度、80~125度、85~120度、85~95度や90度など、当該構造物に対して45~135度の角度に向けられることを意味する。例えば、交差方向部分2131bは平面2119、および末端部分2131cによって画定される長手方向軸と実質的に交差するので、交差方向部分2131bは装置2100のプレート2102、およびアーム2104の末端部分2131cと交差する。他の例では、交差方向部分2131bとプレート2102とによって85~95度の角度が形成され、交差方向部分2131bと末端部分2131cとによって85~125度の角度が形成されてもよい。
【0121】
末端部分2131cは任意の適切な機能部を有してもよい。例えば、末端部分2131cの幅は、全体的に交差方向部分2131bと末端部分2131cとがまとまって画定する平面2131dに垂直に幅が測定される場合、交差方向部分2131bよりも細くてもよい(図33および図35を参照)。末端部分2131cによって適宜に遠位端2130に孔2131eを画定してもよい(図32を参照)。遠位端2130にアールを付してもよい。
【0122】
基端曲がり部2132aおよび/または末端曲がり部2132bをアーム2104によって形成してもよい(図32を参照)。各曲がり部2132a,2132bはアールが付された曲がり部(図示されているような曲がり部)であってもよいし、曲がり部の少なくとも1つが鋭角の曲がり部であってもよい。基端曲がり部2132aを基端部分2131aと交差方向部分2131bとの間(または交差方向部分2131bとプレート2102との間)に形成してもよい。末端曲がり部2132bを交差方向部分2131bと末端部分2131cとの間に形成してもよく、末端曲がり部2132bを接続曲がり部とも言い換えることができる場合がある。交差方向部分2131bおよび/または曲がり部2132a,2132bの一方もしくは両方が、アーム2104の平面2131dに垂直に測定される所定の幅と、平面2131dに平行に測定される所定の厚さとを持ってもよい。いくつかの実施形態では、幅が厚さの少なくとも2倍など、厚さを超えてもよい。他の実施形態では、幅と厚さとが同じであってもよいし、幅が厚さ未満であってもよい。
【0123】
バットレス部材2106は任意の適切な構造を持ち、アーム2104に適切に接続されてもよい。バットレス部材がその遠位端の方に延びるのにつれて、バットレス部材の幅が細くなったり、厚さが薄くなったりしてもよく、これにより、手術の際にバットレス部材の挿入が容易になる。バットレス部材は肩峰に接触する上面2142(すなわち骨係合面)を有してもよい(図32図34および図35を参照)。上面2142には、アーム2104によって画定される平面2131dに沿ってアールを付す(図32および図33を参照)かつ/または平面2131dと直交する平面に沿ってアールを付す(図33および図34を参照)など、1つ以上の平面に沿ってアールを付してもよい。アールが付された場合の上面2142により、肩峰の下面に沿ってバットレス部材2106を摺動させて進ませ易くすることができる。このように摺動させて進ませることで、バットレス部材2106を肩峰に寄せつけて適切に留置することが可能になり、埋め込み後に肩峰上のバットレス部材2106の位置を動的に調節することが適宜可能になる。バットレス部材2106の下面(すなわち外面)にバットレス部材2106の長手方向軸に沿ってスロット2146を形成してもよい(図33を参照)。スロット2146が図示されているようにその近位端で開放していてもよく、その遠位端で閉鎖していてもよい(開放していてもよい)。スロット2146の側部を囲んでいる一対の壁2135によって一対の同軸孔2133を画定してもよい(図32図34および図35を参照)。孔2133はバットレス部材2106の近位端と遠位端との中間にあるバットレス部材2106の長手方向中央領域に位置してもよい。バットレス部材2106をアーム2104に枢動可能に接続するように、バットレス部材2106の離間した孔2133の間で末端部分2131cの孔2131eを介してピン2138が延びてもよい(図30図32および図33を参照)。交差方向部分2131bおよび末端曲がり部2132bから離間した末端部分2131cの位置にバットレス部材2106を枢動可能に接続してもよい。接続箇所を交差方向部分2131bから離間させることによって、アウトリガ2103を肩峰に、より安定させて係合させておきつつ、アウトリガ2103の形状を良好に保つことができる。
【0124】
本開示で用いられている、「枢動可能に接続され」合う構造物は、構造物を接続し合わせておきつつ、少なくとも1つの軸および/または少なくとも1つの点(point)まわりに相互に枢動するなどによって、これらの構造物の向きを相互に変更することができる。構造物が接続し合わせておかれた状態で、向きが向きの連続する範囲にわたって調節可能であってもよい。アーム2104の平面2131d内における、ピン2138によって画定される軸まわりのバットレス部材2106の典型的な枢動が図31の2137で示されている(図33も参照)。
【0125】
1つ以上の放射線撮像マーカ2139がバットレス部材2106内および/またはバットレス部材2106上に存在してもよい(図32および図33を参照)。各放射線撮像マーカ2139は、放射線を透過することができる(例えば、ポリマーで形成される)バットレス部材2106の本体2141とのコントラストが得られるように放射線を透過しなくてもよい(例えば、金属で形成される)。図示されている実施形態では、バットレス部材2106は、互いに平行に配置され、平面2131dに垂直に延びる一対の放射線撮像マーカ2139を有する。放射線撮像マーカは本体2141に取り付けられ、本体2141に埋め込まれる。本構成では、各放射線撮像マーカ2139が放射線撮像で放射線撮像マーカに平行に視覚化される場合(すなわち、装置2100が埋め込まれた被施術者の前後方向に視覚化される場合)には点として現れる。アーム2104(およびプレート2102)も放射線を透過しなくてもよく(例えば、金属で形成される)、これにより、放射線撮像でバットレス部材2106とアーム2104との相対向きを見ることが可能になる。したがって、外科医はバットレス部材2106の角度が装置2100の埋め込み中および/または埋め込み後に変化したか否かを判断することができ、かつ/またはバットレス部材2106の角度が肩峰の局所的な表面の角度に追従(図30のように追従)したか否かを判断することができる。他の実施形態では、バットレス部材2106を金属で形成してもよく、したがって、バットレス部材2106は放射線を透過しなくてもよい。
【0126】
装置2100は、アーム2104とバットレス部材2106との間の摩擦を増加させる少なくとも1つの摩擦機能部2143を有してもよい(図35を参照)。各摩擦機能部をアーム2104またはバットレス部材2106によって別個に形成してもよい。1つ以上の摩擦機能部2143がまとまって発生するバットレス部材2106の旋回に対する抵抗が一定であってもよいし、バットレス部材2106の向きの許容範囲にわたって変化してもよい。装置2100が埋め込まれている間にバットレス部材2106が自由に枢動するのを摩擦によって妨げることができ、これにより、挿入の際にアウトリガ2103の形状が維持され、肩峰の下にバットレス部材2106を適切に留置し易くなる。各摩擦機能部2143は突出部2145を含んでもよい。図示されている実施形態では、各突出部2145は壁2135のうちの1つからスロット2146内に突出する。突出部2145はバットレス部材2106が枢動するときに末端部分2131cの両側に接触して擦れることができる。他の例では、各突出部が壁2135のうちの1つに接触して擦れるように、1つ以上の突出部2145を末端部分2131cの、一方側または両側に形成してもよい。
【0127】
図36から図38はアウトリガ2103’を有する装置2100’の一部を示す。装置2100’は、装置2100の摩擦機能部2143が図示されている実施形態の一対の戻り止め2147などの少なくとも1つの戻り止めに置換されていることを除いて装置2100と同一である(図35図37とを比較)。各戻り止め2147は突出部2145’を利用し、突出部2145’をバットレス部材2106’によって設けてもよい。アーム2104’の末端部分2131c’の側壁領域によって、スロット2151に隣接する対応する窪み2149を画定してもよい。各突出部2145’が、対応する窪み2149内に位置するときにバットレス部材2106’が仮固定構成になる(図37を参照)。バットレス部材2106’の枢動軸2136まわりに付勢して枢動させる(図36では時計回り)ように、バットレス部材2106’に少なくとも閾値トルクを加えると、バットレス部材2106’は解放構成になる。特に、トルクによって突出部2145’が窪み2149からスロット2151に移動するようになる(図37図38とを比較)。解放構成では、閾値トルク未満のトルクを加えることで、バットレス部材2106’は枢動可能(2153の両矢印によって示されている)になることができる(図38を参照)。他の実施形態では、少なくとも1つの戻り止め2147の突出部2145’をアーム2104’の末端部分2131c’によって設けてもよく、対応する窪み2149とスロット2151とをスロット2146’内のバットレス部材2106’によって画定してもよい。
【0128】
図39および図40はプレート2202と、フックを設けるアウトリガ2203とを含む装置2200の一部を示す。装置2200は、アウトリガ2103のバットレス部材2106が、枢動可能に接続される異なるバットレス部材2206に置換されることを除いて装置2100と同一である。バットレス部材2206はバットレス部材2106について上述されているように枢動可能であってもよい。
【0129】
バットレス部材2206の上面2242(骨係合面)のアールがバットレス部材2106の骨係合面2142のアールよりも緩やかであってもよい。肩峰と係合し、適宜、肩峰にめり込む本開示で図示されている歯の列などの1つ以上の突出部2277を上面2242によって画定してもよい。突出部2277は、装置2200が埋め込まれた後に肩峰上でのバットレス部材2206の滑りを阻害するように構成されるスパイクであってもよい。アウトリガ2203は、バットレス部材2206に付属する1つ以上の放射線撮像マーカ、唯一の枢動軸まわりの枢動機能、1つ以上の摩擦機能部、1つ以上の戻り止めなど、装置2100のアウトリガ2103(および/または装置2100’のアウトリガ2103’)について上述されている特徴(例えばアーム2204)の任意の適切な組み合わせを有してもよい。
【0130】
図41および図42は骨を安定させ、プレート2302とアウトリガ2303とを含む装置2300の一部を示す。アウトリガはアーム2304とバットレス部材2306とを有する。装置2300は、アーム2304とバットレス部材2306とが互いに対する異なる枢動可能接続部(すなわちボールジョイント2350)を有することで、より多くの回転自由度が実現されることを除いて装置2100と同一である。アーム2304の末端部分2331cはアーム2304の遠位端にあるボール2352(すなわち球状突出部)を有する。形状が合致するソケット2354(すなわち球状凹所)がバットレス部材2306の下側に形成されている。スナップフィットを適宜用いて嵌り合うと、バットレス部材2306はボール2352上で保持され、平行でない2つ以上の平面に沿ってアーム2304に対して枢動可能であり、例えば、少なくとも、一対の直交する平面や互いに直交する3つの平面の各平面に沿って枢動可能である。例えば、バットレス部材2306は長手方向にバットレス部材2306を傾斜させるように、バットレス部材2306によって画定される平面2331d(装置2100の平面2131dと同様の平面)に平行な平面内で枢動可能であってもよく、図42に示されているように短手方向にバットレス部材2306を傾斜させるように、平面2331dと直交する垂直平面に沿って枢動可能でもあってもよい。
【0131】
iv.さらなる態様
本下位セクションでは本例の選ばれた態様を番号を付した一連の条項として説明する。
【0132】
第A1項.(i)プレートであって、プレートを鎖骨の上面部位上に固定する締結具を入れるように構成される複数の開口部を画定する、プレートと、(ii)フックを設け、枢動可能に接続され合うアームとバットレス部材とを含むアウトリガであって、アームはプレートから延び、プレートと交差する方向に延びる交差方向部分を有するアウトリガとを備え、バットレス部材は、バットレス部材と肩鎖関節の肩峰の下面部位との間の接触によってアームに対して調節可能に向きを変更するように構成される、鎖骨および/または肩鎖関節を安定させる装置。
【0133】
第A2項.バットレス部材はアームに接続された状態を維持しつつアームに対して枢動可能である、第A1項に記載の装置。
【0134】
第A3項.バットレス部材は少なくとも1つの軸まわりにかつ/または1つの点まわりにアームに対して枢動可能である、第A2項に記載の装置。
【0135】
第A4項.アームは末端部分を有し、アームの交差方向部分および末端部分の各々は平面に沿って延び、バットレス部材は上記平面と交差する軸まわりにアームに対して枢動可能である、第A3項に記載の装置。
【0136】
第A5項.バットレス部材はアームに接続された状態を維持しつつ向きの連続する範囲にわたってアームに対して調節可能に向きを変更可能である、第A1項から第A4項のいずれか1項に記載の装置。
【0137】
第A6項.プレートは一対の端部領域の間で延び、アームは端部領域の一方から延びる、第A1項から第A5項のいずれか1項に記載の装置。
【0138】
第A7項.プレートとアームとが相互に一体化されて形成される、第A1項から第A6項のいずれか1項に記載の装置。
【0139】
第A8項.アームはプレートから離間した遠位端を有し、バットレス部材は遠位端を越えた先で末端方向に延びる、第A1項から第A7項のいずれか1項に記載の装置。
【0140】
第A9項.アームは遠位端を含む末端部分を備え、交差方向部分と末端部分との間に曲がり部がアームによって形成され、バットレス部材は、曲がり部よりも遠位端に近い末端部分の位置に枢動可能に接続される、第A8項に記載の装置。
【0141】
第A10項.バットレス部材はバットレス部材の両側の端部の間で延び、両側の端部の中間にあるバットレス部材の中央領域がアームに枢動可能に接続される、第A1項から第A9項のいずれか1項に記載の装置。
【0142】
第A11項.アウトリガは、少なくとも閾値トルクがバットレス部材に加えられるまで、バットレス部材がアームに対して回るのを妨げる少なくとも1つの摩擦機能部または戻り止めを含む、第A1項から第A10項のいずれか1項に記載の装置。
【0143】
第A12項.バットレス部材は、解放されたバットレス部材を回すのに閾値トルク未満のトルクを加えることが必要であるように、少なくとも閾値トルクを加えるのに応じて解放されるように構成される、第A11項に記載の装置。
【0144】
第A13項.バットレス部材は放射線透過体に取り付けられる少なくとも1つの放射線不透過マーカを含む、第A1項から第A12項のいずれか1項に記載の装置。
【0145】
第A14.項本セクションの第B1項、第B2項および第C1項から第C21項のいずれかの限定または限定の組み合わせをさらに備える第A1項から第A13項のいずれか1項に記載の装置。
【0146】
第B1項.(i)プレートであって、プレートを鎖骨の上面部位上に固定する締結具を入れるように構成される複数の開口部を画定する、プレートと、(ii)フックを設け、アームとバットレス部材とを含むアウトリガであって、アームはプレートから延び、プレートと交差する方向に延び、プレートとバットレス部材との中間でアームに沿って位置する交差方向部分を有する、アウトリガとを備え、バットレス部材はアームに枢動可能に接続され、肩鎖関節の肩峰の下面部位に寄せつけられて留置されるように構成され、適宜、アームはプレートと一体的に形成される、鎖骨および/または肩鎖関節を安定させる装置。
【0147】
第B2項.バットレス部材はアームに接続された状態を維持しつつ向きの連続する範囲にわたってアームに対して調節可能である、第B1項に記載の装置。
【0148】
第B3項.本セクションの第A1項から第A13項および第C1項から第C21項のいずれかの限定または限定の組み合わせをさらに備える第B1項または第B2項に記載の装置。
【0149】
第C1項.(i)プレートであって、プレートを鎖骨の上面部位上に固定する締結具を入れるように構成される複数の開口部を画定する、プレートと、(ii)フックを設け、アームとバットレス部材とを含むアウトリガであって、アームは第1の端部と第2の端部とを有し、アームは第1の端部を介してプレートから延び、アームは交差方向部分と末端部分とを含み、末端部分は第2の端部を含み、交差方向部分はプレートおよび末端部分と交差する、アウトリガとを備え、バットレス部材は肩鎖関節の肩峰の下面部位に寄せつけられて留置されるように構成され、バットレス部材はアームの末端部分の、アームの交差方向部分から離間した位置に枢動可能に接続される、鎖骨および/または肩鎖関節を安定させる装置。
【0150】
第C2項.交差方向部分と末端部分との間に曲がり部がアームによって形成され、バットレス部材は、曲がり部よりも第2の端部に近い末端部分の位置に枢動可能に接続される、第C1項に記載の装置。
【0151】
第C3項.バットレス部材はアームの第2の端部で末端部分に枢動可能に接続される、第C2項に記載の装置。
【0152】
第C4項.バットレス部材はアームの第2の端部を越えた先で末端方向に延びる、第C1項から第C3項のいずれか1項に記載の装置。
【0153】
第C5項.バットレス部材はバットレス部材の両側の端部の間で延び、両側の端部の中間にあるバットレス部材の中央領域が末端部分に枢動可能に接続される、第C4項に記載の装置。
【0154】
第C6項.アームとプレートとが相互に一体化されて形成される、第C1項から第C5項のいずれか1項に記載の装置。
【0155】
第C7項.バットレス部材は軸まわりにアームに対して枢動可能である、第C1項から第C6項のいずれか1項に記載の装置。
【0156】
第C8項.アームにバットレス部材を軸まわりの回転のために枢動可能に接続するピンであって、この軸はピンによって画定される、ピンをさらに備える第C7項に記載の装置。
【0157】
第C9項.バットレス部材は少なくとも1つの平面内でアームに対して枢動可能である、第C1項から第C8項のいずれか1項に記載の装置。
【0158】
第C10項.バットレス部材は平行でない2つ以上の平面の各平面内でアームに対して枢動可能である、第C1項から第C9項のいずれか1項に記載の装置。
【0159】
第C11項.バットレス部材は互いに直交する3つの平面の各平面内でアームに対して枢動可能である、第C10項に記載の装置。
【0160】
第C12項.アウトリガは、少なくとも閾値トルクがバットレス部材に加えられるまで、バットレス部材がアームに対して回るのを妨げる少なくとも1つの摩擦機能部または戻り止めを含む、第C1項から第C11項のいずれか1項に記載の装置。
【0161】
第C13項.アウトリガは少なくとも1つの戻り止めを含み、バットレス部材は、解放されたバットレス部材を回すのに閾値トルク未満のトルクが必要であるように、少なくとも閾値トルクを加えるのに応じて解放されるように構成される、第C12項に記載の装置。
【0162】
第C14項.バットレス部材は放射線透過体に取り付けられる少なくとも1つの放射線不透過マーカを含む、第C1項から第C13項のいずれか1項に記載の装置。
【0163】
第C15項.少なくとも1つの放射線不透過マーカは、被施術者に埋め込まれた上記装置を前後方向にX線透視で視覚化する際に視覚化可能であるように構成される、第C14項に記載の装置。
【0164】
第C16項.アームに対する少なくとも1つの放射線不透過マーカの位置が、バットレス部材が被施術者中でアームに対して回っていたか否かを示すように設定される、第C14項または第C15項に記載の装置。
【0165】
第C17項.肩峰に係合して肩峰の下面部位でのバットレス部材の滑りを阻害するように構成される1つ以上の突出部がバットレス部材によって形成される、第C1項から第C16項のいずれか1項に記載の装置。
【0166】
第C18項.バットレス部材は、バットレス部材が肩峰の下面部位で摺動することを可能にするように構成されるアールが付された肩峰接触面領域を有する、第C1項から第C17項のいずれか1項に記載の装置。
【0167】
第C19項.アームはプレートとアームの交差方向部分との間にアームに沿って位置する基端部分を含む、第C1項から第C18項のいずれか1項に記載の装置。
【0168】
第C20項.アームの基端部分と交差方向部分との間の会合部で60~120度の角度が形成される、第C19項に記載の装置。
【0169】
第C21項.アームの交差方向部分と末端部分との間に60~120度の角度が形成される、第C1項から第C20項のいずれか1項に記載の装置。
【0170】
第C22項.本セクションの第A1項から第A13項、第B1項および第B2項のいずれかの限定または限定の組み合わせをさらに備える第C1項から第C21項のいずれか1項に記載の装置。
【0171】
第D1項.(i)セクションIIのA項からC項のいずれか1項に記載の装置を選択するステップと、(ii)鎖骨の上面部位上に上記装置のプレートを留置し、肩峰の下面部位に接触する状態で上記装置のバットレス部材を留置するステップと、(iii)鎖骨の上面部位上にプレートを締結具で固定するステップとを備える鎖骨および/または肩鎖関節を安定させる方法。
【0172】
第E1項.プレートとフックを含む装置を用いて鎖骨および/または肩鎖関節を安定させる方法であって、フックは枢動可能に接続され合うアームとバットレス部材とを含み、上記方法は、(i)バットレス部材を肩鎖関節の肩峰の下面部位に寄せつけて留置することによってアームに対するバットレス部材の向きを調節するステップと、(ii)鎖骨の上面部位上にプレートを固定するステップとを備える方法。
【0173】
第E2項.本セクションの第A1項から第A13項、第B1項、第B2項および第C1項から第C21項のいずれかの限定または限定の組み合わせをさらに備える第E1項に記載の方法。
【0174】
例21.選択された態様
本例では本開示の選ばれた態様を番号を付した一連の条項として説明する。
【0175】
第F1項.(i)プレートであって、プレートを第1の骨部位上に固定する1つ以上の締結具を入れるように構成される1つ以上の開口部を画定する、プレートと、(ii)プレートの縁部から突出するアームと、(iii)アームの端部に枢動可能に接続されるバットレス部材とを備え、バットレス部材は、バットレス部材の向きを第2の骨部位に追従させるように、第2の骨部位との接触によって枢動するように構成され、適宜、バットレス部材は、アームを介してバットレス部材に伝達される力を用いて第2の骨部位に圧迫を加えるかつ/または支持するように構成される、骨を安定させる装置。
【0176】
第F2項.バットレス部材は、バットレス部材によって画定される1つ以上の開口部内に延びる1つ以上の締結具を用いて第2の骨部位に固定されずに第2の骨部位に圧迫を加えるように構成される、第F1項に記載の装置。
【0177】
第F3項.バットレス部材は、バットレス部材を第2の骨部位に固定する締結具を入れるように構成されるいかなる開口部を画定しない、第F1項または第F2項に記載の装置。
【0178】
第F4項.アームはプレートと一体的に形成される、第F1項から第F3項のいずれか1項に記載の装置。
【0179】
第F5項.アームはプレートから長手方向または短手方向に延びる、第F1項から第F4項のいずれか1項に記載の装置。
【0180】
第F6項.アームとプレートとは相互に別々に形成される、第F1項から第F3項および第F5項のいずれか1項に記載の装置。
【0181】
第F7項.アームとプレートとは可動状態で接続され合う、第F6項に記載の装置。
【0182】
第F8項.プレートと、バットレス部材が枢動可能に接続されるアームの端部との間の距離を変更するように、アームはプレートから調節可能に伸張可能であり、アームは、プレートとアームの端部との間の距離を固定するようにプレートに係止可能に構成される、第F7項に記載の装置。
【0183】
第F9項.バットレス部材は1つの枢動軸まわりにアームに対して枢動可能である、第F1項から第F8項のいずれか1項に記載の装置。
【0184】
第F10項.1つの枢動軸は平面と直交し、バットレス部材は第2の骨部位に接触する内面を有し、上記平面はバットレス部材の内面と交差する、第F9項に記載の装置。
【0185】
第F11項.上記平面はバットレス部材の内面と実質的に直交する、第F10項に記載の装置。
【0186】
第F12項.バットレス部材はプレートと交差する1つの軸まわりに枢動可能である、第F9項から第F11項のいずれか1項に記載の装置。
【0187】
第F13項.バットレス部材は平行でない2つ以上の平面の各平面内でアームに対して枢動可能であり、バットレス部材の重心領域がアームに枢動可能に接続される、第F1項から第F8項のいずれか1項に記載の装置。
【0188】
第F14項.上記装置は複数のアウトリガを含み、各アウトリガはプレートの縁部から突出するアームと、アームに枢動可能に接続されるバットレス部材とを含む、第F1項から第F13項のいずれか1項に記載の装置。
【0189】
第F15項.アームは第2の端部の反対側にある第1の端部を有し、アームの第1の端部はプレートに枢動可能に接続され、アームの第2の端部はバットレス部材に枢動可能に接続される、第F1項から第F14項のいずれか1項に記載の装置。
【0190】
第F16項.アームは平面に沿って延び、バットレス部材は上記平面と交差する軸まわりにアームに対して枢動可能である、第F1項から第F15項のいずれか1項に記載の装置。
【0191】
第F17項.プレートは一対の端部領域の間で延び、アームは端部領域の一方から突出する、または2つの端部領域の中間に位置するプレートの側縁領域からを突出する、第F1項から第F16項のいずれか1項に記載の装置。
【0192】
第F18項.アームはプレートから離間した遠位端を有し、バットレス部材は遠位端を越えた先で末端方向に延びる、第F1項から第F17項のいずれか1項に記載の装置。
【0193】
第F19項.アームは交差方向部分と末端部分とを含み、末端部分は遠位端を含み、交差方向部分と末端部分との間に曲がり部がアームによって形成され、バットレス部材は、曲がり部よりも遠位端に近い末端部分の位置に接続される、第F18項に記載の装置。
【0194】
第F20項.バットレス部材は両側の端部の間にある両側の側縁に沿って延び、これらの側縁および/または両側の端部の中間にあるバットレス部材の中央領域がアームに接続される、第F1項から第F19項のいずれか1項に記載の装置。
【0195】
第F21項.上記装置は、少なくとも閾値トルクがバットレス部材に加えられるまで、バットレス部材がアームに対して枢動するのを妨げる少なくとも1つの摩擦機能部または戻り止めを含み、バットレス部材は、バットレス部材が解放された後にバットレス部材を枢動させるのに閾値トルク未満のトルクを加えることが必要であるように、少なくとも閾値トルクを加えるのに応じて解放されるように構成される、第F1項から第F20項のいずれか1項に記載の装置。
【0196】
第F22項.バットレス部材は放射線透過体に取り付けられる少なくとも1つの放射線不透過マーカを含む、第F1項から第F21項のいずれか1項に記載の装置。
【0197】
第F23項.バットレス部材は、アームに接続された状態を維持しつつ向きの連続する範囲にわたってアームに対して自由に枢動可能に構成される、第F1項から第F22項のいずれか1項に記載の装置。
【0198】
第F24項.バットレス部材は第2の骨部位に接触する内面を含み、内面によって1つ以上のスパイクが形成される、第F1項から第F23項のいずれか1項に記載の装置。
【0199】
第F25項.第1の骨部位と第2の骨部位とは被施術者の異なる骨によって与えられる、第F1項から第F24項のいずれか1項に記載の装置。
【0200】
第F26項.第1の骨部位は鎖骨の上面部位であり、第2の骨部位は肩峰の下面部位である、第F25項に記載の装置。
【0201】
第F27項.第1の骨部位と第2の骨部位とは被施術者の同じ骨によって与えられる、第F1項から第F24項のいずれか1項に記載の装置。
【0202】
第F28項.第1の骨部位と第2の骨部位とは大腿骨近位部に沿って配置される、第F27項に記載の装置。
【0203】
第F29項.第1の骨部位と第2の骨部位とは骨盤によって与えられる、第F1項から第F28項のいずれか1項に記載の装置。
【0204】
第F30項.第2の骨部位は解剖学的関節に関連する、第F1項から第F29項のいずれか1項に記載の装置。
【0205】
第F31項.バットレス部材は、解剖学的関節の関節部位を拡張しかつ/または解剖学的関節の脱臼を阻止するように構成される、第F30項に記載の装置。
【0206】
第F32項.バットレス部材は骨の関節窩縁またはその近傍に接触し、関節窩からの上腕骨頭の脱臼または亜脱臼を阻止するように構成される、第F31項に記載の装置。
【0207】
第F33項.第F1項から第F32項のいずれか1項に記載の装置を選択するステップと、第1の骨部位上にプレートを留置し、第2の骨部位に接触する状態でバットレス部材を留置するステップと、第1の骨部位上にプレートを1つ以上の締結具で固定するステップとを備える骨を安定させる方法。
【0208】
第G1項.(i)(1)第1の骨部位上に留置されるように構成されるプレートと、(2)プレートの縁部から突出するアームと、(3)アームの端部に枢動可能に接続されるバットレス部材とを含む装置を選択するステップと、(ii)プレートを第1の骨部位に寄せつけて留置し、バットレス部材を第2の骨部位に寄せつけて留置して、プレートからアームを介してバットレス部材に伝達される力を用いて第2の骨部位に圧迫が加えられるようにバットレス部材の向きを第2の骨部位に追従させるステップと、(iii)プレートを第1の骨部位に固定するステップとを備える骨を安定させる方法。
【0209】
第G2項.第1の骨部位と第2の骨部位とは同じ骨折した骨によって与えられ、留置するステップは、上記装置を用いて骨折した骨を整復するステップを含む、第G1項に記載の方法。
【0210】
第G3項.バットレス部材は、バットレス部材とは別々に形成される締結具を用いて第2の骨部位に固定されない状態で第2の骨部位に圧迫を加える、第G1項または第G2項に記載の方法。
【0211】
第G4項.プレートによって1つ以上の開口部が画定され、固定するステップは、1つ以上の開口部で1つ以上の締結具を用いてプレートを第1の骨部位に固定するステップを含む、第G1項から第G3項のいずれか1項に記載の方法。
【0212】
第G5項.アームはプレートと一体的に形成される、第G1項から第G4項のいずれか1項に記載の方法。
【0213】
第G6項.アームはプレートから長手方向または短手方向に延びる、第G1項から第G5項のいずれか1項に記載の方法。
【0214】
第G7項.アームとプレートとは相互に別々に形成され、可動状態で係止可能に接続され合う、第G1項から第G6項のいずれか1項に記載の方法。
【0215】
第G8項.プレートの縁部から突出するアームの長さを調節するステップと、アームをプレートに係止して上記長さを固定するステップとをさらに備える第G7項に記載の方法。
【0216】
第G9項.バットレス部材は1つの枢動軸まわりにアームに対して枢動可能である、第G1項から第G8項のいずれか1項に記載の方法。
【0217】
第G10項.バットレス部材は骨係合面を有し、1つの枢動軸は骨係合面にほぼ平行かつ/または実質的に平行である、第G9項に記載の方法。
【0218】
第G11項.バットレス部材は平行でない2つ以上の軸の各軸まわりにアームに対して枢動可能であり、バットレス部材の重心領域またはその近傍がアームに枢動可能に接続される、第G1項から第G8項のいずれか1項に記載の方法。
【0219】
第G12項.バットレス部材はバットレス部材によって画定される開口部内に延びる締結具を用いて第2の骨部位に固定されない、第G1項から第G11項のいずれか1項に記載の方法。
【0220】
第G13項.上記装置は複数のアウトリガを含み、各アウトリガはプレートの縁部から突出するアームと、アームに枢動可能に接続されるバットレス部材とを含み、留置するステップは、第2の骨部位に寄せつけて複数のバットレス部材の2つ以上を留置するステップを含む、第G1項から第G12項のいずれか1項に記載の方法。
【0221】
第G14項.第1の骨部位と第2の骨部位とは同じ骨によって与えられる、第G1項から第G13項のいずれか1項に記載の方法。
【0222】
第G15項.第1の骨部位と第2の骨部位とは大腿骨近位部に沿って配置される、第G14項に記載の方法。
【0223】
第G16項.第2の骨部位は解剖学的関節に関連する、第G1項から第G15項のいずれか1項に記載の方法。
【0224】
第G17項.バットレス部材は、解剖学的関節の関節部位を拡張しかつ/または解剖学的関節の脱臼または亜脱臼を阻止するように構成される、第G1項から第G16項のいずれか1項に記載の方法。
【0225】
第G18項.バットレス部材は骨の関節窩縁またはその近傍に接触し、関節窩からの上腕骨頭の脱臼または亜脱臼を阻止する、第G17項に記載の方法。
【0226】
第G19項.第1の骨部位と第2の骨部位とは異なる骨によって与えられる、第G1項から第G13項および第G16項から第G18項のいずれか1項に記載の方法。
【0227】
第G20項.第1の骨部位は鎖骨の上面部位であり、第2の骨部位は肩峰の下面部位である、第G19項に記載の方法。
【0228】
第G21項.第1の骨部位は肋骨によって与えられ、第2の骨部位は胸骨によって与えられる、第G1項から第G12項および第G14項から第G17項のいずれか1項に記載の方法。
【0229】
第G22項.上記装置は漏斗胸の手術を受ける被施術者に埋め込まれる、第G21項に記載の方法。
【0230】
第G23項.第1の骨部位と第2の骨部位とは骨盤によって与えられる、第G1項から第G22項のいずれか1項に記載の方法。
【0231】
第G24項.第F1項から第F32項のいずれか1項に記載の装置を用いて実行される第G1項から第G23項のいずれか1項に記載の方法。
【0232】
本開示で用いられている用語「典型的(exemplary)」は「例示的(illustrative)」または「例として用いられる(serving as an example)」を意味する。同様に、用語「例示する(exemplify)」は「例を挙げて示す(to illustrate by giving an example)」を意味する。いずれの用語も望ましいことや優れていることを意味しない。
【0233】
上述されている開示は独立した実用性を持つ複数の別個の発明を含むといえる。このような発明の各々がその好ましい1つ以上の形態で開示されているが、本開示で開示され図示されているその特定の実施形態は、多数の変形例が可能であるので、限定的な意味で考えられるべきではない。本発明の保護対象は、本開示で開示されている様々な要素、特徴、機能および/または特性の、すべての新規かつ非自明な組み合わせおよびサブコンビネーションを含む。以下の請求項は新規かつ非自明であると考えられる特定の組み合わせおよびサブコンビネーションを特に示す。特徴、機能、要素および/または特性の他の組み合わせおよびサブコンビネーションで実施される発明は本出願または関連出願の優先権を主張する出願で主張される場合がある。このような請求項は、異なる発明を対象とするか同じ発明を対象とするかにかかわらず、また、元の請求項に対して範囲が広いか、狭いか、等しいか、異なるかにかかわらず、やはり本開示の発明の保護対象に含まれるとみなされる。さらに、同一と考えられる要素に用いられる第1、第2や第3などの序数を示す語は要素を区別するのに用いられており、別段特に説明されていない限りこのような要素の特定の位置や順序を示さない。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図6A
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
【国際調査報告】