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特表2023-541902ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用する同期整流器、およびワイヤレス電力伝送における同期整流のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用する同期整流器、およびワイヤレス電力伝送における同期整流のための方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20230927BHJP
   H02J 50/05 20160101ALI20230927BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20230927BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230927BHJP
【FI】
H02M7/12 K
H02J50/05
H02J50/12
H02J50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516225
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 CA2021051255
(87)【国際公開番号】W WO2022051860
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/076,982
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516389019
【氏名又は名称】ソレース・パワー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリス・ラウズ
(72)【発明者】
【氏名】アミール・タハヴォルガル
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA02
5H006CA07
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC05
(57)【要約】
ワイヤレス電力伝送システムのレシーバにおいて使用する、ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタから伝送されたワイヤレス電力を受信するための整流器が提供される。整流器は、電界効果トランジスタ(FET)を備え、電界効果トランジスタ(FET)は、グランドに電気的に接続されたソース端子と、レシーバの受信要素に電気的に接続されたドレイン端子とを備える。受信要素は、ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタからの電力を抽出するためのものである。FETは、受信要素に電気的に接続されたゲート端子をさらに備える。ゲート端子は、受信要素において受信された入力信号と同位相のゲート信号によって駆動される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力伝送システムのレシーバにおいて使用する、前記ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタから伝送されたワイヤレス電力を受信するための整流器であって、電界効果トランジスタ(FET)を備え、前記電界効果トランジスタ(FET)が、
グランドに電気的に接続されたソース端子と、
前記レシーバの受信要素に電気的に接続されたドレイン端子であって、前記受信要素が前記ワイヤレス電力伝送システムの前記トランスミッタからの電力を抽出するためのものである、ドレイン端子と、
前記受信要素に電気的に接続されたゲート端子であって、前記受信要素において受信された入力信号と同位相のゲート信号によって駆動されるゲート端子と
を備える、整流器。
【請求項2】
前記受信要素およびゲートドライバに電気的に接続されたトリガ回路であって、前記ゲートドライバを動作させるためのトリガ信号を出力するトリガ回路
をさらに備える、請求項1に記載の整流器。
【請求項3】
前記トリガ信号がパルス信号を含む、請求項2に記載の整流器。
【請求項4】
前記トリガ回路が、
前記入力信号をサンプリングするためのサンプリング回路
を備える、請求項2または3に記載の整流器。
【請求項5】
前記サンプリング回路が分圧器である、請求項4に記載の整流器。
【請求項6】
前記トリガ回路が、
前記ドレイン端子において受信された前記入力信号と前記ゲート信号が同期するように前記サンプリング回路の出力を遅延させるための遅延線
を備える、請求項5に記載の整流器。
【請求項7】
前記トリガ回路が、
前記遅延線によって出力された遅延信号を直流(DC)電圧レベルと比較することによってクロック信号を生成するための比較器
を備える、請求項6に記載の整流器。
【請求項8】
前記トリガ回路が、
前記受信要素において受信された前記入力信号と前記ゲート信号が同期するように前記サンプリング回路の出力を遅延させるための抵抗器-コンデンサ(RC)遅延回路
を備える、請求項5に記載の整流器。
【請求項9】
前記RC遅延回路が、少なくとも1つのコンデンサに電気的に接続された少なくとも1つの抵抗器を備える、請求項8に記載の整流器。
【請求項10】
前記トリガ回路が、
前記RC遅延回路によって出力された遅延信号を直流(DC)電圧レベルと比較することによってクロック信号を生成するための比較器
を備える、請求項8または9に記載の整流器。
【請求項11】
前記トリガ信号を受け取り、前記ゲート信号を生成するための前記ゲートドライバであって、前記ゲート信号が前記ゲート端子に入力されて前記整流器の動作を制御するためのものである、前記ゲートドライバ
をさらに備える、請求項2から10のいずれか一項に記載の整流器。
【請求項12】
負荷インピーダンスを最適化すること、前記ドレイン端子への電流入力が略正弦波であるようにすること、および高調波を低減させること、のうちの少なくとも1つのための入力段
をさらに備える、請求項2から11のいずれか一項に記載の整流器。
【請求項13】
前記入力段がダブルインピーダンスインバータ回路を備える、請求項12に記載の整流器。
【請求項14】
前記トリガ回路に給電するための信号を変換するためのコンバータ
をさらに備える、請求項2から13のいずれか一項に記載の整流器。
【請求項15】
負荷非依存E級同期整流器である、請求項1から14のいずれか一項に記載の整流器。
【請求項16】
ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタからの電力を抽出するためのレシーバであって、
前記トランスミッタから伝送されたワイヤレス電力を受信するための受信要素と、
請求項1から15のいずれか一項に記載の整流器であって、前記受信要素に電気的に接続された整流器と
を備える、レシーバ。
【請求項17】
前記受信要素が、電界結合または磁界結合を介して電力を抽出するためのものである、請求項16に記載のレシーバ。
【請求項18】
前記受信要素が、共振および/または非共振の電界結合または磁界結合を介して電力を抽出するためのものである、請求項16または17に記載のレシーバ。
【請求項19】
前記受信要素において受信される入力信号が、交流(AC)信号である、請求項16から18のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項20】
磁界結合または電界結合を介して電力を送信するためのワイヤレス電力伝送システムであって、
磁界または電界を発生させるための送信要素を備えたトランスミッタと、
レシーバであって、
前記磁界から磁界結合を介して、または前記電界から電界結合を介して、電力を抽出するための受信要素、および
請求項1から15のいずれか一項に記載の整流器であって、前記受信要素に電気的に接続された整流器
を備えたレシーバと
を備える、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項21】
前記トランスミッタに電気的に接続された電源
をさらに備える、請求項20に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【請求項22】
ワイヤレス電力伝送システムのレシーバの受信要素において受信された入力信号を整流する方法であって、前記レシーバが整流器を備え、前記整流器が電界効果トランジスタ(FET)を備え、前記電界効果トランジスタ(FET)が、
グランドに電気的に接続されたソース端子と、
前記受信要素に電気的に接続されたドレイン端子と、
前記受信要素に電気的に接続されたゲート端子と
を備え、前記方法が、
前記ゲート端子を、前記受信要素において受信された前記入力信号と同位相のゲート信号によって駆動するステップ
を含む、方法。
【請求項23】
前記ゲート信号を生成するためのゲートドライバを駆動するステップ
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記入力信号をトリガ回路において受け取るステップと、
前記ゲートドライバを、前記トリガ回路によって出力されたトリガ信号を介して動作させるステップと
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記トリガ信号がパルス信号を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記入力信号を、サンプリング回路を介してサンプリングするステップ
をさらに含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記受信要素において受信された前記入力信号と前記ゲート信号が同期するように前記サンプリング回路の出力を遅延させるステップ
をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
出力を遅延させる前記ステップが、遅延線またはRC遅延回路を介して出力を遅延させるステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
負荷インピーダンスを最適化するステップ、
前記ドレイン端子への電流入力が略正弦波であるようにするステップ、および
高調波を低減させるステップ
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項22から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ワイヤレス電力を受信する方法であって、
ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタの送信要素によって発生した磁界または電界から、前記ワイヤレス電力伝送システムのレシーバの受信要素によって電力を抽出するステップと、
抽出された前記電力を、電界効果トランジスタ(FET)を用いて整流するステップであって、前記FETが、抽出された前記電力の信号と同位相のゲート信号を介して制御される、ステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にワイヤレス電力伝送に関し、詳細には、ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用する同期整流器、およびワイヤレス電力伝送における同期整流のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス充電システムおよびワイヤレス電力伝送システムは、次世代のデバイスを可能にするためのますます重要な技術になりつつある。この技術によってもたらされる潜在的な利益および利点は、ますます多くの製造業者および企業がこの技術に投資していることによって明らかである。
【0003】
多様なワイヤレス電力伝送システムが知られている。典型的なワイヤレス電力伝送システムは、送信要素に電気的に接続された電源を備えるワイヤレス電力トランスミッタ、および負荷に電気的に接続された受信要素を備えるワイヤレス電力レシーバを含む。
【0004】
例えば、磁気誘導システムでは、送信要素が誘導コイルを備え、その誘導コイルが、電源からの電気エネルギーを受信要素の誘導コイルに伝送する。次いで、伝送された電気エネルギーが負荷に印加される。電力伝送は、送信要素の誘導コイルと受信要素の誘導コイルとの間の磁界の結合により生じる。しかし、これらの磁気誘導システムの範囲は限定的であり、送信要素の誘導コイルと受信要素の誘導コイルは、電力伝送にとって最適な位置整合状態になければならない。送信要素の誘導コイルと受信要素の誘導コイルとの間の磁界の結合により電力を伝送する共振磁気システム(resonant magnetic system)も存在する。これらの共振磁気システムでは、送信要素の誘導コイルと受信要素の誘導コイルが、高Q値(高Q)コンデンサを使用して共振する。共振磁気システムにおける電力伝送の範囲は、磁気誘導システムの電力伝送の範囲に比べて増大し、位置整合問題は是正される。磁気誘導システムおよび共振磁気システムでは電磁エネルギーが生成されるが、電力伝送の大部分は磁界を介して生じる。電気誘導または共振電気誘導(resonant electric induction)を介して伝送される電力は、あったとしてもごくわずかである。
【0005】
ワイヤレス電力システムの別の例が、電界結合システムであり、このシステムでは、送信要素および受信要素が容量性電極を有し、電力伝送が、送信要素の容量性電極と受信要素の容量性電極との間の電界の結合により生じる。共振電界システム(resonant electric field system)も存在し、このシステムでは、送信要素の容量性電極と受信要素の容量性電極が、高Q値(高Q)インダクタを使用して共振する。共振磁気システムと同様に、共振電界システムも、非共振電界システムの電力伝送の範囲に比べて増大した電力伝送の範囲を有し、位置整合問題は是正される。電気誘導システムおよび共振電気システム(resonant electric system)では電磁エネルギーが生成されるが、電力伝送の大部分は電界を介して生じる。磁気誘導または共振磁気誘導(resonant magnetic induction)を介して伝送される電力は、あったとしてもごくわずかである。
【0006】
他の例示的なワイヤレス電力システムは、無線周波数(RF)波を使用して、電力を送信することができる。RF波の制御された強め合う干渉が、レシーバにおいてエネルギーを形成し、その結果、電力がワイヤレスに伝送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ワイヤレス電力伝送のシステム、トランスミッタ、レシーバ、および方法は知られているが、改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この背景は、当業者が以下の説明をよりよく理解できるようにするために状況を説明する働きをしているにすぎない。したがって、上の議論のいずれも、必ずしもその議論が現況技術の一部であることまたは通常の一般的知識であることを認めるものとみなすべきではない。本開示の1つまたは複数の態様/実施形態は、背景の課題のうちの1つまたは複数に対処することもあり、しないこともある。
【0009】
本開示の一態様によれば、ワイヤレス電力伝送システムのレシーバにおいて使用する、ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタから伝送されたワイヤレス電力を受信するための整流器が提供され、整流器は電界効果トランジスタ(FET)を備え、この電界効果トランジスタ(FET)は、グランドに電気的に接続されたソース端子と、レシーバの受信要素に電気的に接続されたドレイン端子であって、受信要素がワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタからの電力を抽出するためのものである、ドレイン端子と、受信要素に電気的に接続されたゲート端子であって、受信要素において受信された入力信号と同位相のゲート信号によって駆動されるゲート端子とを備える。
【0010】
整流器は、受信要素およびゲートドライバに電気的に接続されたトリガ回路であって、ゲートドライバを動作させるためのトリガ信号を出力するトリガ回路をさらに備えることができる。
【0011】
トリガ信号はパルス信号を含むことができる。
【0012】
トリガ回路は、入力信号をサンプリングするためのサンプリング回路を備えることができる。
【0013】
サンプリング回路は分圧器とすることができる。
【0014】
トリガ回路は、ドレイン要素において受信された入力信号とゲート信号が同期するようにサンプリング回路の出力を遅延させるための遅延線をさらに備えることができる。
【0015】
トリガ回路は、遅延線によって出力された遅延信号を直流(DC)電圧レベルと比較することによってクロック信号を生成するための比較器をさらに備えることができる。
【0016】
トリガ回路は、受信要素において受信された入力信号とゲート信号が同期するようにサンプリング回路の出力を遅延させるための抵抗器-コンデンサ(RC)遅延回路を備えることができる。
【0017】
RC遅延回路は、少なくとも1つのコンデンサに電気的に接続された少なくとも1つの抵抗器を備えることができる。
【0018】
トリガ回路は、RC遅延回路によって出力された遅延信号をDC電圧レベルと比較することによってクロック信号を生成するための比較器を備えることができる。
【0019】
整流器は、トリガ信号を受け取り、ゲート信号を生成するためのゲートドライバであって、ゲート信号がゲート端子に入力されて整流器の動作を制御するためのものである、ゲートドライバをさらに備えることができる。
【0020】
整流器は、負荷インピーダンスを最適化すること、ドレイン端子への電流入力が略正弦波であるようにすること、および高調波を低減させること、のうちの少なくとも1つのための入力段をさらに備えることができる。
【0021】
入力段は、ダブルインピーダンスインバータ回路を備えることができる。
【0022】
整流器は、トリガ回路に給電するための信号を変換するためのコンバータをさらに備えることができる。
【0023】
整流器は、負荷非依存E級同期整流器とすることができる。
【0024】
本開示の別の態様によれば、ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタからの電力を抽出するためのレシーバが提供され、レシーバは、トランスミッタから伝送されたワイヤレス電力を受信するための受信要素と、記載した整流器のいずれかであって、受信要素に電気的に接続された整流器とを備える。
【0025】
受信要素は、電界結合または磁界結合を介して電力を抽出するためのものとすることができる。
【0026】
受信要素は、共振および/または非共振の電界結合または磁界結合を介して電力を抽出するためのものとすることができる。
【0027】
受信要素において受信される入力信号は、交流(AC)信号とすることができる。
【0028】
レシーバは、整流器に電気的に接続された負荷をさらに備えることができる。
【0029】
本開示の別の態様によれば、磁界結合または電界結合を介して電力を送信するためのワイヤレス電力伝送システムが提供され、ワイヤレス電力伝送システムは、磁界または電界を発生させるための送信要素を備えたトランスミッタと、レシーバであって、磁界から磁界結合を介して、または電界から電界結合を介して、電力を抽出するための受信要素、および記載した整流器のいずれかであって、受信要素に電気的に接続された整流器を備えたレシーバとを備える。
【0030】
ワイヤレス電力伝送システムは、トランスミッタに電気的に接続された電源をさらに備えることができる。
【0031】
ワイヤレス電力伝送システムは、整流器に電気的に接続された負荷をさらに備えることができる。
【0032】
本開示の別の態様によれば、ワイヤレス電力伝送システムのレシーバの受信要素において受信された入力信号を整流する方法が提供され、レシーバは整流器を備え、この整流器は電界効果トランジスタ(FET)を備え、この電界効果トランジスタ(FET)は、グランドに電気的に接続されたソース端子と、受信要素に電気的に接続されたドレイン端子と、受信要素に電気的に接続されたゲート端子とを備え、方法は、ゲート端子を、受信要素において受信された入力信号と同位相のゲート信号によって駆動することを含む。
【0033】
方法は、ゲート信号を生成するためのゲートドライバを駆動することをさらに含むことができる。
【0034】
方法は、入力信号をトリガ回路において受け取ることと、ゲートドライバを、トリガ回路によって出力されたトリガ信号を介して動作させることとをさらに含むことができる。
【0035】
トリガ信号はパルス信号を含むことができる。
【0036】
方法は、入力信号を、サンプリング回路を介してサンプリングすることをさらに含むことができる。
【0037】
方法は、受信要素において受信された入力信号とゲート信号が同期するようにサンプリング回路の出力を遅延させることをさらに含むことができる。
【0038】
出力を遅延させることは、遅延線またはRC遅延回路を介して出力を遅延させることを含むことができる。
【0039】
方法は、負荷インピーダンスを最適化すること、ドレイン端子への電流入力が略正弦波であるようにすること、および高調波を低減させること、のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0040】
本開示の別の態様によれば、ワイヤレス電力を受信する方法が提供され、方法は、ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタの送信要素によって発生した磁界または電界から、ワイヤレス電力伝送システムのレシーバの受信要素によって電力を抽出することと、抽出された電力を、電界効果トランジスタ(FET)を用いて整流することであって、このFETが、抽出された電力の信号と同位相のゲート信号を介して制御される、整流することとを含む。
【0041】
本開示の1つの態様、例、または実施形態に関して説明する任意の特徴は、本開示の他の任意の態様または実施形態に関しても使用できることを理解されたい。
【0042】
当業者には、添付の図面と併せて詳細な説明から、本開示の他の利点が明らかとなろう。
【0043】
次に、ほんの一例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】ワイヤレス電力伝送システムのブロック図である。
図2】ワイヤレス電力伝送システムのレシーバのブロック図である。
図3】ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用する、本開示の一態様による整流器のブロック図である。
図4】本開示の一態様による整流器を含む、レシーバのブロック図である。
図5】ワイヤレス電力伝送システムのレシーバの受信要素のモデルの概略図である。
図6】本開示の一態様による整流器の一部分の概略図である。
図7】本開示の一態様による整流器の一部分のブロック図である。
図8】本開示の一態様による整流器の一部分の概略図である。
図9】本開示の一態様による整流器の一部分の概略図である。
図10】本開示の一態様による整流器を備えるワイヤレス電力伝送システムの実験的設計物の、入力電力および出力電力と負荷電流との関係のグラフである。
図11】この実験的設計物の電力伝送効率と負荷電流との関係のグラフである。
図12】この実験的設計物の入力電圧、出力電圧、および整流後の電圧と、負荷電流との関係のグラフである。
図13】この実験的設計物における負荷ステップに対する整流後の電圧の応答のグラフである。
図14】この実験的設計物の、負荷を与える前および与えた後の整流器スイッチノード電圧のグラフである。
図15】本開示の一態様による整流器を備えるワイヤレス電力伝送システムの別の実験的設計物の、入力電力および出力電力と負荷電流との関係のグラフである。
図16】この別の実験的設計物の電力伝送効率と負荷電流との関係のグラフである。
図17】この別の実験的設計物の入力電圧、出力電圧、および整流後の電圧と、負荷電流との関係のグラフである。
図18】この実験的設計物における負荷ステップに対する整流後の電圧の応答のグラフである。
図19】この実験的設計物の、負荷を与える前および与えた後の整流器スイッチノード電圧のグラフである。
図20】本開示の一態様による別の整流器の一部分を含むレシーバの概略図である。
図21】受け取った電圧および電流、ならびにこの整流器によって生成されたトリガ信号のグラフである。
図22】本開示の一態様による整流器の一部分のブロック図である。
図23】この整流器の一部分の概略図である。
図24】この整流器の一部分の概略図である。
図25】この整流器の一部分の概略図である。
図26】この整流器における、受け取った電圧および電流、トリガ信号、ならびに抵抗のさまざまな値の場合の遅延信号のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
前述の概要、ならびにいくつかの実施形態についての以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばよりよく理解されよう。理解されるように、説明および図面全体を通して同様の要素を指すために同様の参照文字が使用される。本明細書では、単数形で記載され、「1つの(a)」または「1つの(an)」という語によって先行される要素または特徴は、複数のその要素または特徴を必ずしも除外するものではないと理解されたい。さらに、「一例」または「一実施形態」という言及は、その一例または一実施形態の記載された要素または特徴も組み込む追加の例または実施形態の存在を除外するものと解釈されることを意図するものではない。さらに、そうでないと明記されていない限り、特定の性質を有する1つの要素もしくは特徴または複数の要素もしくは特徴を「備える(comprising)」、「有する(having)」、または「含む(including)」例または実施形態は、その特定の性質を有していない追加の要素または特徴をさらに含むことができる。また、「備える(comprises)」、「有する(has)」、および「含む(includes)」という用語が「~を含むがそれらに限定されない」を意味すること、ならびに「備える(comprising)」、「有する(having)」、および「含む(including)」という用語が等価な意味を有することが理解されよう。
【0046】
本明細書では、「および/または」という用語は、関連する列挙された要素または特徴のうちの1つまたは複数の、ありとあらゆる組合せを含むことができる。
【0047】
ある要素または特徴が、別の要素または特徴「の上にある」、別の要素または特徴に「取り付けられる」、別の要素または特徴に「接続される」、別の要素または特徴と「結合される」、別の要素または特徴「と接触する」などと言及されるとき、その要素または特徴は直接、他の要素もしくは特徴の上にある、他の要素もしくは特徴に取り付けられる、他の要素もしくは特徴に接続される、他の要素もしくは特徴と結合される、または他の要素もしくは特徴と接触することも可能であり、あるいは介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素または特徴が、例えば、別の要素もしくは特徴「の直接上にある」、別の要素もしくは特徴に「直接取り付けられる」、別の要素もしくは特徴に「直接接続される」、別の要素もしくは特徴と「直接結合される」、または別の要素もしくは特徴「と直接接触する」と言及されるとき、介在する要素も特徴も存在しない。
【0048】
図中に描かれる、ある要素または特徴と別の要素または特徴との関係の説明を容易にするために、「の下の(under)」、「下方の(below)」、「より下の(lower)」、「の上の(over)」、「上方の(above)」、「より上の(upper)」、「前方の(front)」、「後方の(back)」などの空間的相対語が本明細書において使用されることがあることが理解されよう。しかし、空間的相対語は、図中に描かれた配向に加えて、使用または動作の際のさまざまな配向を包含することができる。
【0049】
本明細書における「例」という言及は、その例に関して説明される1つまたは複数の特徴、構造、要素、コンポーネント、特性、および/または動作ステップが、本開示による主題の少なくとも1つの実施形態および/または実装形態に含まれることを意味する。したがって、本開示全体を通して、「一例」、「別の例」という句、および類似の文言は、必ずしもそうとは限らないが、同じ例を指すことがある。さらに、いずれか1つの例を特徴付ける主題は、必ずしもそうとは限らないが、他の任意の例を特徴付ける主題を含むことがある。
【0050】
本明細書における「構成された」という言及は、要素または特徴を、「~するように構成された」という句に先行する要素または特徴の物理的な特性に本質的に結び付ける、構成の実際の状態を表す。
【0051】
別段の指示がない限り、「第1の」、「第2の」などという用語は、本明細書ではラベルとして使用されるにすぎず、これらの用語が参照する項目に、順序的な、位置的な、または階層的な要件を課すことを意図するものではない。さらに、「第2の」項目という言及は、より小さな番号が付された項目(例えば「第1の」項目)および/またはより大きな番号が付された項目(例えば「第3の」項目)の存在を必要とするのでもなければ排除するのでもない。
【0052】
本明細書では、「およそ」および「約」という用語は、述べられた量に近い量であって、引き続き所望の機能を果たし、または所望の結果を達成する量を表す。例えば、「およそ」および「約」という用語は、述べられた量の10%未満の、5%未満の、1%未満の、0.1%未満の、または0.01%未満の量を指すことができる。
【0053】
「例示的な」という語の使用は、別段の明記がない限り、「例として」または「~の一例」を意味し、好ましいまたは最適な設計、構成、または実装形態を意味しない。
【0054】
ここで図1に移ると、ワイヤレス電力伝送システム2が示されている。ワイヤレス電力伝送システム2は、送信要素14に電気的に接続された電源12を備えたトランスミッタ10、および負荷20に電気的に接続された受信要素18を備えたレシーバ16を備える。電力は、電源12から送信要素14に伝送される。次いで、電力は、送信要素14から受信要素18に、共振または非共振の電界結合または磁界結合を介して伝送される。次いで、電力は、受信要素18から負荷20に伝送される。
【0055】
次に図2に移ると、例示的なレシーバ22がより詳細に示されている。レシーバ22は、受信要素24、整流器26、コンバータ28、および負荷30を備える。受信要素24は、整流器26に電気的に接続されている。受信要素24は、トランスミッタ、例えばトランスミッタ10からの電力を、共振または非共振の電界結合または磁界結合を使用して受信するように構成されている。受信要素24は、トランスミッタからの電力を、非共振または共振の磁界結合または電界結合を介して抽出することができる。したがって、受信要素24は、1つもしくは複数の受信コイル(すなわちインダクタ)または1つもしくは複数の容量性電極を備える。対応するトランスミッタは、それぞれ、対応する送信コイル(すなわちインダクタ)または容量性電極を備える。
【0056】
整流器26は、受信要素24に電気的に接続されている。整流器26は、コンバータ28に電気的に接続されている。整流器26は、交流(AC)/直流(DC)整流器である。一般に、整流器26は、受信要素24において受信されたACをDCに整流するためのものである。具体的には、整流器26は、受信要素24からの正弦波無線周波数(RF)電力信号をDC電力信号に変換するためのものである。整流器26は、DC電力信号をコンバータ28に出力するように構成されている。
【0057】
コンバータ28は、整流器26に電気的に接続されている。コンバータ28は、負荷30に電気的に接続されている。コンバータ28は、DC/DCコンバータである。DC電力信号が整流器26から出力されて、コンバータ28に至る。コンバータ28は、整流器26を負荷30にインターフェースする。コンバータ28は、受け取ったDC電圧信号を所望の電圧レベルに変換するためのものである。変換後のDC電力信号がコンバータ28から出力されて、負荷30に至る。
【0058】
負荷30は、コンバータ28に電気的に接続されている。負荷30は、固定負荷でもよく、可変負荷でもよい。
【0059】
レシーバ22については、コンバータ28を備えるものとして説明してきたが、他の構成が可能であることを当業者なら理解するであろう。別の実施形態では、レシーバ22はコンバータ28を備えていない。この実施形態では、整流器26は負荷30に電気的に接続されている。整流器26は、負荷30にとって受け入れ可能であるDC電力信号を生成するように構成されている。
【0060】
先に述べたように、整流器26は、受信要素24からの正弦波RF電力信号をDC電力信号に変換するためのものである。整流器26の動作は、正弦波RF電力信号と同期していないことがある。したがって、整流器26内のスイッチング点を、受信された正弦波RF電力信号の波形と同期させる必要がある場合がある。スイッチング点が非同期だと、受信電力の損失を招くことがあり、この損失により、電力伝送効率が低減し、不十分な電力が負荷30に供給されることがある。
【0061】
整流器26は、ACをDCに整流するための少なくとも1つのダイオードを備えることができる。一般に、ダイオードは、AC源と、DCを使用して動作するように構成された負荷との間に配置される。ダイオードは、一方の方向への電流の流れを可能にし、他方の方向への電流の流れを妨げることによって、電流の弁のように動作する。したがって、ACが第1の方向に流れている間、ダイオードは、閉じたスイッチのように動作して(すなわち順方向バイアス状態)、電流が負荷30に至るのを可能にする。ACが、第1の方向とは逆の第2の方向に流れている間、ダイオードは開いたスイッチのように動作して(すなわち逆方向バイアス状態)、電流が負荷30に至るのを阻止する。したがって、極性の変化なしに単向電流が流れて負荷30に至る。
【0062】
ダイオードは一般に、それ自体が整流するかなりの量の電力をそれ自体で消費するという点で、有損失の電気コンポーネントである。例えば、ダイオードは、0.7Vの順方向しきい値を有する場合、順方向バイアスされる約0.7Vを消費する。したがって、ダイオードを通って電流が流れるとき、ダイオードにわたる0.7Vの電圧降下がある。
【0063】
整流器26におけるダイオードの有損失の影響を少なくとも一部低減させるために、整流器26はその代わりにトランジスタ、例えば電界効果トランジスタ(FET)を備えることができる。FETのゲートが、別個の電源によってバイアスされる。FETのソースとドレインとの間の電流は、ゲートの電圧によって制御される。
【0064】
先に述べたように、整流器26内のスイッチング点を、受信された正弦波RF電力信号の波形と同期させる必要がある場合がある。例えば、スイッチング点が同期していると、電力伝送効率を上げることが可能になり、確実に十分な電力が負荷30および/またはコンバータ28に供給されるようにすることが可能になる。
【0065】
大まかに言って、本開示の整流器は、グランドに電気的に接続されたソース端子と、ワイヤレス電力伝送システムのレシーバの受信要素に電気的に接続されたドレイン端子とを備える。受信要素は、ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタからの電力を抽出するためのものである。整流器は、受信要素に電気的に接続されたゲート端子をさらに備える。ゲート端子は、受信要素において受信された入力信号と同位相のゲート信号によって駆動される。
【0066】
ゲート信号は、ソースとドレインとの間の電流の動作を制御し、したがって、受信要素において受信された入力信号の整流を制御する。ゲート信号が入力信号と同位相であるので、FETはE級インバータとして動作する。E級インバータは一般に高効率で動作し、その結果、高効率の整流器をもたらす。本開示の整流器の詳細について、次に説明する。
【0067】
次に図3に移ると、本開示の一態様による整流器100のブロック図が示されている。整流器100は、ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するものである。具体的には、整流器100は、ワイヤレス電力伝送システムのレシーバにおいて使用するのに適している。後に説明するように、整流器100は同期整流器である。
【0068】
整流器100は、整流器要素114、補助DC/DCコンバータ118、トリガ回路122、およびゲートドライバ120を備える。整流器要素114は、入力RF電力をDCに整流するためのものである。整流器要素114は、トリガ回路122および補助DC/DCコンバータ118に電気的に接続されている。整流器要素114は、少なくとも1つのFETを備える。整流器要素114のFETは、ゲート端子においてゲートドライバ120に電気的に接続されており、それによって、後に説明するように、整流器要素114はゲートドライバ120によって制御される。
【0069】
この実施形態では、整流器要素114は、負荷非依存E級整流器を備える。一般に、E級整流器では、整流器の性能が、指定の出力負荷、すなわち所望の負荷に合わせて最適化される。動作中、出力負荷が所望の負荷から変動するとき、整流器のDC電圧が大幅に変動する。さらに、出力負荷が所望の負荷から変動するとき、整流器のスイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作が損なわれ、その結果、整流器の効率が下がることがある。対照的に、負荷非依存E級整流器は、無負荷状態、すなわちゼロ負荷から完全負荷状態まで、整流器のスイッチのZVS動作を維持する。加えて、整流後の電圧は、無負荷状態と完全負荷状態との間で比較的一定である。無負荷状態から完全負荷状態までのスイッチング損失は略一定であり、効率は一般に影響を受けない。
【0070】
このE級整流器の設計は、入力RF電力をDCに変換するように適合されている。整流器要素114の動作周波数またはスイッチング周波数は、例えば、13.56MHzおよび27.12MHzとすることができる。整流器要素114によって出力される整流後の電圧または信号は、Vrectである。整流器要素114へのRF電力入力は、Vinである。この実施形態では、整流後のDC電圧、すなわちVrectは、レギュレーションされない。整流器要素114が負荷非依存整流器を備えるので、スイッチノードの波形は、先に説明したように負荷に伴って大幅に変動することはない。したがって、整流後の電圧は比較的安定している。
【0071】
補助DC/DCコンバータ118は、ゲートドライバ120、トリガ回路122、および整流器要素114に電気的に接続されている。コンバータ118は、整流器要素114によって出力されたVrectを、トリガ回路122およびゲートドライバ120に給電するための、例えば5Vの範囲内の補助電圧範囲、すなわちVauxに変換するためのものである。補助電源電圧または信号Vauxは、トリガ回路122およびゲートドライバ120に給電する。補助DC/DCコンバータ118がレギュレーションすることができるまで、整流器要素114のFETはオフであり、整流器要素114は、パッシブ(ダイオード)整流器として働く。この実施形態では、補助DC/DCコンバータ118は、低電力バックコンバータを備える。
【0072】
トリガ回路122は、ゲートドライバ120、補助DC/DCコンバータ118、および整流器要素114に電気的に接続されている。トリガ回路122は、補助DC/DCコンバータ118からの信号、例えばVauxによって給電される。トリガ回路122は、整流器要素114によって受け取られたRF電力入力Vinをサンプリングして、適切にタイミング合わせされたトリガ電圧Vtrigを生成する。トリガ電圧または信号Vtrigは、ゲートドライバによって出力されたゲート駆動電圧またはゲート信号Vgateが入力Vinと同位相であるようにタイミング合わせされる。トリガ回路122は、ゲートドライバ120によって出力されるゲート駆動電圧またはゲート信号Vgateの適切なタイミングを確実なものにするためのものである。後に説明するように、トリガ回路122は、入力信号Vinを使用して、タイミングを回復させるトリガ信号Vtrigを提供するように構成されている。図示の構成では、トリガ信号Vtrigはパルス信号を含む。
【0073】
理想的には、整流器要素114は、入力電流が正であるときに開いており、入力電流が負であるときに閉じており、その結果、適切な整流をもたらす。完璧なチューニングを仮定すると、VgateはVinと同位相であるべきである。
【0074】
ゲートドライバ120は、整流器要素114、補助DC/DCコンバータ118、およびトリガ回路122に電気的に接続されている。ゲートドライバ120は、補助DC/DCコンバータ118からの信号(例えばVaux)によって給電される。ゲートドライバ120は、整流器要素114のFETをスイッチさせるための信号を出力する。具体的には、ゲートドライバ120は、整流器要素114の動作を制御する、例えば整流器要素114のFETのスイッチングを制御するための、ゲート駆動電圧またはゲート信号、すなわちVgateを出力する。
【0075】
この実施形態では、ゲート駆動電圧Vgateは、ゲートドライバ120に入力されたトリガ電圧Vtrigの、遅延した、より強力な(powerful)複製物である。
【0076】
ゲートドライバ120およびトリガ回路122は、無視できない伝搬遅延を呈する。ゲートドライバ120およびトリガ回路122からの無視できない伝搬遅延という課題に対処すべく、トリガ回路122は、VgateがVinと同期することを確実にするためにトリガ回路122が出力信号Vtrigをさらに遅延させるように設計されている。
【0077】
整流器100について単独で説明してきた。しかし、整流器100は、ワイヤレス電力伝送システムのレシーバにおいて使用するものである。整流器100を含む例示的なレシーバ102が、図4に示されている。
【0078】
レシーバ102は、受信要素110、整流器100、主DC/DCコンバータ116、および負荷124を備える。整流器100は、整流器要素114、補助DC/DCコンバータ118、トリガ回路122、およびゲートドライバ120を備える。図示の構成では、整流器はそれに加えて、入力段112を備える。
【0079】
受信要素110は、入力段112およびトリガ回路122に電気的に接続されている。受信要素110は、受信要素24に類似していてよい。受信要素110は、トランスミッタ、例えばトランスミッタ10からの電力を、共振または非共振の電界結合または磁界結合を使用して受信するように構成されている。受信要素110は、トランスミッタからの電力を、非共振または共振の磁界結合または電界結合を介して抽出することができる。したがって、受信要素110は、1つもしくは複数の受信コイル(すなわちインダクタ)または1つもしくは複数の容量性電極を備える。対応するトランスミッタは、それぞれ、対応する送信コイル(すなわちインダクタ)または容量性電極を備える。
【0080】
受信要素110は、トランスミッタからの電力を抽出し、したがって、抽出した電力または信号に対応する入力電圧または信号Vinを出力する。
【0081】
入力段112は、整流器要素114、受信要素110、およびトリガ回路122に電気的に接続されている。入力段112は、3つの機能の任意の組合せを実施するように適合されている。具体的には、入力段112は、整流器要素114が公称負荷の下で呈するインピーダンスを、受信要素110にとって最適な負荷インピーダンスに変換するためのものである。入力段112は、レシーバ102、ひいてはレシーバ102がその一部分をなすワイヤレス電力システムが、電磁両立性(EMC)に関係する国際的製品要件を満たすことができるように、整流器要素114の非線形作用によって発生する高調波成分を低減させるためのものである。入力段112は、確実に整流器要素114への電流入力が略正弦波であるようにするためのものである。
【0082】
この実施形態では、入力段112は、ダブルインピーダンスインバータ回路の低域通過実装形態を備える。入力段112は、整流器要素114と直列に追加された追加のフィルタリングをさらに備える。ダブルインピーダンスインバータトポロジーを使用すると、有益には、確実に整流器要素114が準定電圧源(quasi-constant voltage source)によって駆動されるようにすることが可能になる。入力段112のさらなる詳細については、下で説明する。
【0083】
整流器要素114は、入力段112、ゲートドライバ120、主DC/DCコンバータ116、および補助DC/DCコンバータ118に電気的に接続されている。整流器要素114については先に説明してある。
【0084】
主DC/DCコンバータ116は、整流器要素、補助DC/DCコンバータ118、および負荷124に電気的に接続されている。主DC/DCコンバータ116は、整流器要素114から出力されたDC電力信号、すなわちVrectを受け取るためのものである。主DC/DCコンバータ116は、整流器要素114を負荷124にインターフェースする。主DC/DCコンバータ116は、受け取ったDC電力信号を変換するためのものである。変換後のDC電力信号が主DC/DCコンバータ116から出力されて、負荷124に至る。
【0085】
補助DC/DCコンバータ118はさらに、主DC/DCコンバータ116に電気的に接続されている。補助DC/DCコンバータ118については先に説明してある。
【0086】
ゲートドライバ120については先に説明してある。
【0087】
負荷124は、主DC/DCコンバータ116に電気的に接続されている。負荷124は、主DC/DCコンバータ116によって出力された信号、すなわちVoutを受け取る。負荷124は、可変とすることができる。当業者なら理解するように、DC変換が不要である場合、負荷124は、整流器要素114に直接接続され、Vrectを受け取ってよい。
【0088】
レシーバ102については、入力段112および主DC/DCコンバータ116を備えるものとして説明してきたが、他の構成が可能であることを当業者なら理解するであろう。具体的には、レシーバ102は、入力段112および主DC/DCコンバータ116の一方または両方を備えないことがある。
【0089】
トリガ回路122は、受信要素110および入力段112に電気的に接続されている。先に説明したように、ゲートドライバ120およびトリガ回路122からの無視できない伝搬遅延という課題に対処すべく、トリガ回路122は、VgateがVinと同期することを確実にするためにトリガ回路122が出力信号Vtrigをさらに遅延させるように設計されている。
【0090】
これらの無視できない伝搬遅延に少なくとも一部対処するための、トリガ回路122の要件を決定すべく、ここで説明したコンポーネントのうちの少なくともいくつかを概略的にモデリングした。
【0091】
具体的には、受信要素110を、テブナンの等価回路200を使用してモデリングした。図5に示すように、回路200は、電圧源202、動作周波数において小さく抵抗性のインピーダンスZrefを有する直列インピーダンス204、容量Crを有するコンデンサ206、およびインダクタンスLrを有するインダクタ208を備える。このモデルは、送信要素と受信要素110がどちらも、十分に同調されており、高い無負荷Q値を呈し、十分に結合されていることに基づく。換言すれば、ワイヤレスギャップ(wireless gap)(送信要素と受信要素110との間の空間であって、電力がそれにわたって送信要素から受信要素110に伝送される空間)にわたる電力伝送効率が高い(>90%)。結果として、入力電圧Vinは、負荷124が変化するときに比較的一定であるきれいな正弦波である。したがって、入力電圧は比較的、負荷非依存である。
【0092】
直列インピーダンス204、コンデンサ206、およびインダクタ208は、受信要素110とワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタの対応する送信要素のスイッチング周波数における共振を確実なものにする、同調要素をなすことができる。当業者なら理解するように、インピーダンス204、コンデンサ206、およびインダクタ208のみが存在してよい。
【0093】
便宜上、シングルエンド半回路のみが示されている。他方の半回路は、同一であるが、開回路電圧上で180°の位相シフトがあり、完璧なバランスを示すものと仮定される。
【0094】
誘導されたシングルエンド開回路電圧、すなわちVocは、この信号リターンを基準とする。反射インピーダンス、すなわちZrefは、送信要素による負荷を表す。送信側の完璧な同調を仮定すると、これは、式(1)で以下のように表すことができる。
【0095】
【数1】
【0096】
ここで、X21は、送信要素と受信要素との間の相互結合を具現化したものであり、Rsは、送信要素が呈するノートン等価ソース抵抗を表し、Rtは、送信要素の損失抵抗を表す。回路200の等価容量は、Crと表され、受信要素110によって主として電界誘導または共振電界誘導(resonant electric field induction)を介して電力が抽出されるとき、取り付けられたインダクタンスLrとともにスイッチング周波数において共振する。結果として、受信要素110の回路200は、スイッチング周波数において、正弦波電圧源と直列抵抗に縮小する。受信要素110によって主として磁界誘導または共振磁界誘導(resonant magnetic field induction)を介して電力が抽出されるとき、インダクタが、取り付けられたコンデンサとともにスイッチング周波数において共振する。
【0097】
27.12MHzのときの例示的な回路パラメータは、Voc=36Vrms、Zref=2.5Ω、Cr=16.4pF、およびLr=2.1μH、また等価直列抵抗がおよそ1.2Ωとすることができる。
【0098】
次に図6に移ると、整流器100の一部分の概略図が示されている。この概略図は、整流器100の電力経路の例示的な設計を示す。回路200の場合と同じく、シングルエンド半回路210のみが示されている。
【0099】
入力段112は、受信要素110および整流器要素114に電気的に接続されている。入力段112は、受信要素110から入力電圧(Vin)を受け取る。先に述べたように、入力段112は、ダブルインピーダンスインバータ回路を備える。ダブルインピーダンスインバータ回路は、インピーダンスを適合させること、高調波を低減させること、および確実に電流が正弦波であるようにすることを行うように構成されている。入力電圧(Vin)の位相は固定であり、その位相を整流器要素114が利用することができる。入力段112のダブルインピーダンスインバータ回路がないと、負荷の変動に伴って位相が変動する。したがって、整流器100の効率が下がることがある。図示の構成では、入力電圧(Vin)の位相は固定であり、その位相を整流器要素114が利用することができる。入力段112のダブルインピーダンスインバータ回路がないと、負荷の変動に伴って位相が変動することになり、整流器100の効率が下がることがある。図示の構成では、ダブルインピーダンスインバータ回路は、インダクタ212、214、216、およびコンデンサ218、220、222を備える。インダクタ212のインダクタンスは、L2によって与えられ、インダクタ214のインダクタンスは、インダクタンスL1+L2によって与えられ、インダクタ216のインダクタンスは、L1+Lf+Laによって与えられる。コンデンサ218の容量は、容量C2によって与えられ、コンデンサ220の容量は、容量C1によって与えられ、コンデンサ222の容量は、容量Cfによって与えられる。
【0100】
回路210は、いずれも入力段112に並列に接続された、整流器要素114のFET(Q1)230、ダイオード(D1)232、コンデンサ234、および分路コンデンサ238をさらに備える。インダクタ236が、コンデンサ234と分路コンデンサ238との間で直列に接続されている。コンデンサ234の容量は、容量CZVSによって与えられ、分路コンデンサ238の容量は、容量Crectによって与えられる。インダクタ236のインダクタンスは、インダクタンスLZVSによって与えられる。
【0101】
回路パラメータL1、C1、L2、およびC2が、ダブルインピーダンス反転に関連する。インダクタ/コンデンサ(L1,C1)および(L2,C2)対が、スイッチング周波数において共振する。整流器要素114の入力インピーダンスは、Zrectによって与えられる。したがって、スイッチング周波数において、Zrectは式(2)によって与えられる。
【0102】
【数2】
【0103】
ここで、Zinは受信要素110の入力インピーダンスである。整流器要素114が完璧に同調されると仮定すると、公称負荷においてZrectおよびZinは抵抗性となる。その場合、受信要素110の最適な負荷は、容量比の調整を通じて得ることができる。
【0104】
整流器要素114への電流入力の追加のフィルタリングが、(Lf,Cf)を介して達成され、これらもやはり、スイッチング周波数において共振する。電流が略正弦波であると仮定すると、負荷非依存性およびZVSを達成するために式(3)および(4)を適用することができる。
【0105】
【数3】
【0106】
ここで、ω0は、ラジアンで表したスイッチング周波数であり、Cjは、ダイオード232(D1)の接合容量であり、Cossは、整流器要素114のFET230(Q1)の出力容量であり、Laは、適切なZVSに必要となる追加の直列インダクタンスである。
【0107】
25V程度の出力電圧を仮定すると、(Coss+Cj)≒250pFであり、これはZVSチューニングオプションを制限する傾向があり、したがって、13.56MHzの動作周波数において、上式に基づいて次のパラメータ、Lzvs=140nHと、その結果としてCzvs≒340pFおよびLa=37.3nH、を決定した。動作周波数27.12MHzにおいては、上式に基づいて次のパラメータ、Lzvs=66nHと、その結果としてCzvs≒63pFおよびLa=17.6nH、を決定した。整流器200の回路をより十分に安定させるために、Czvsは(Coss+Cj)よりも常に大きいことが理想的であるが、スイッチング周波数が上がるにつれて、これを達成するのはより困難になることがある。
【0108】
整流後の出力電圧のフィルタリングは、容量Crectを有する分路コンデンサ238を使用して達成される。EMC要件を満たすために、追加のフィルタリングが必要となることがある。
【0109】
別の実施形態では、整流器要素114と主DC/DCコンバータ116が、同一のプリント回路板(PCB)を占有することができる。これにより、整流器要素114の出力フィルタリングと、主DC/DCコンバータ116の入力フィルタリングとを組み合わせることが可能になり得る。
【0110】
次に図7に移ると、整流器100の一部分のブロック図。具体的には、トリガ回路122およびゲートドライバ120のブロック図が示されている。図7に示すように、入力電圧または信号Vinが、サンプリング回路250を介してサンプリングされ、遅延線252に供給される。この実施形態では、サンプリング回路250は分圧器であり、遅延線252は、集中素子遅延線回路である。遅延線252の出力が、比較器回路254に供給される。比較器回路254は、遅延線252によって出力された遅延信号(Vd)をDCレベルと比較することによってクロック信号を生成するためのものである。
【0111】
結果として得られるトリガ電圧(Vtrig)が、ゲートドライバ120に供給される。ゲートドライバ120は、トリガ電圧を、整流器要素114のFETを駆動するのに適した波形(Vgate)に変換する。比較器回路254とゲートドライバ120はどちらも、数ナノ秒程度の伝搬遅延を有し、およそ73.7ns(13.56MHzの動作周波数の場合)または36.9ns(動作周波数27.12MHzの場合)のスイッチング周期に対処するときに、この伝搬遅延は顕著なものとなることがある。サンプリング回路250、遅延線252、および比較器254が、トリガ回路122をなす。これらの要素は、VgateがVinと同期することを確実にするように設計されている。
【0112】
次に図8に移ると、整流器100の一部分の概略図が示されている。この概略図は、サンプリング回路250および遅延線252の例示的な構成を示す。先に述べたように、この実施形態では、サンプリング回路250は分圧器であり、遅延線252は集中素子遅延線回路である。
【0113】
具体的には、サンプリング回路250は、容量Cs1を有するコンデンサ260および容量Cs2を有するコンデンサ262を備えた容量性分圧器、ならびに関連する容量性リアクタンスを相殺するためのインダクタンス(Ls)を有するインダクタ264を備える。コンデンサ260は、インダクタ264と直列に接続されており、一方コンデンサ262は、コンデンサ260とインダクタ264との間で並列に接続されている。
【0114】
図示の構成では、遅延線252は、遅延を実施する4段集中素子伝送線回路を備える。この伝送線に関連する、それぞれLdおよびCdによって表される、合計のインダクタンスおよび容量は、インダクタ(266,268,270,272)およびコンデンサ(274,276,278,280)の間で均等に分割されて、遅延線252の4つの区間を構成する。コンデンサ274、276、278、280は、隣接するコンデンサ274、276、278、280間のインダクタ266、268、270、272と並列に接続されている。サンプリング回路250のインダクタ264は、遅延線252のインダクタ266に電気的に接続されている。遅延線252が整合終端されていると仮定すると、関連する時間遅延は、式(5)によって与えられる。
【0115】
【数4】
【0116】
伝送線が無損失であるとさらに仮定する場合、特性インピーダンス(Zo)は、式(6)によって与えられる。
【0117】
【数5】
【0118】
その結果、特性インピーダンス(Zo)および合計遅延(τd)を選択すれば、4段遅延線252についてのLdnおよびCdnの値を、式(7)によって決定することができる。
【0119】
【数6】
【0120】
特定の遅延線252について説明してきたが、他の構成が可能であることを当業者なら理解するであろう。別の実施形態では、遅延線は、遅延を実施するために、4段集中素子伝送線回路よりも多くの段を備える。具体的には、スイッチング周波数がより低い場合、4よりも多くの段を使用することができる。別の実施形態では、遅延線は、より少ない段、例えば3段集中素子伝送線を備える。スイッチング周波数がより高い場合、より少ない段を使用することができる。それに応じて、4よりも多くの段を有する遅延の各区間が波長の10分の1未満を占め、または4よりも少ない段を有する遅延の各区間が波長の10分の1よりも多くを占めてよい。
【0121】
それぞれサンプリング回路250および遅延線252の中で説明してきたセパレータインダクタ264および266について例示してきたが、他の構成が可能であることを当業者なら理解するであろう。別の実施形態では、インダクタ264、266は、共有するか、またはひとまとめにしてLs+Ldnのインダクタンスを有する単一のインダクタにすることができる。この実施形態では、単一のインダクタの一部分がサンプリング回路250によって使用され、一部分が遅延線252によって使用される。
【0122】
次に図9に移ると、整流器100の別の部分の概略図が示されている。この概略図は、比較器回路254およびゲートドライバ120の例示的な構成を示す。先に述べたように、比較器回路254は、遅延線252によって出力された遅延信号(Vd)をDCレベルと比較することによってクロック信号を生成するためのものである。
【0123】
図9に示すように、比較器回路254は、補助供給電圧(Vaux)を有する補助電源から給電される比較器280(A1)を備える。比較器280の入力は、Vauxのおよそ半分にバイアスされている。正の比較器入力(V+)では、これは、抵抗R2をそれぞれが有する等しい値の2つの抵抗器282、284を使用して達成される。負の比較器入力(V-)では、これは、抵抗R1をそれぞれが有する等しい値の2つの抵抗器286、288を使用して達成される。
【0124】
遅延線252によって出力された遅延電圧信号(Vd)は、負の比較器入力部(V-)に、容量(Cb)を有するDC阻止コンデンサ290を介して結合され、したがって、トリガ電圧(Vtrig)は、遅延電圧信号(Vd)に対して反転する(180°位相がずれる)ことになる。VgateがVinと同位相であることを確実にするために必要となる合計遅延の点で、これは、スイッチング周期の半分を効果的に占め、したがって、遅延線252にかかる負担が低減する。結果として、合計遅延(τd)は、式(8)によって以下のように与えられる。
【0125】
【数7】
【0126】
ここで、Tsはスイッチング周期であり、τcは比較器254の伝搬遅延であり、τgはゲートドライバ120の伝搬遅延である。
【0127】
ゲート信号Vgateを整流器要素114に供給するために、ゲートドライバ120の出力部は、抵抗Rgを有する抵抗器294に接続されている。
【0128】
始動時、整流器要素114のFET230がオフであるとともにダイオード232が整流を実施しているとき、出力電圧Voutは補助DC/DCコンバータ118のターンオン電圧未満である。出力電圧Voutがこのターンオン電圧を超えるとき、Vauxがその公称値に立ち上がり始める。コンデンサ290の存在が、比較器280への負の入力V-の立ち上がり時間を遅くさせるという効果を有する。同様の容量性負荷が比較器280の正の入力部V+に与えられない限り、正の入力V+がその間に負の入力V-を超え、したがってトリガ電圧Vtrigが高レベルになる、大きな時間間隔が生じることがある。これにより、整流器200が不安定になり、FET230に損傷が及ぶことがある。したがって、確実に始動時に負の入力電圧V-が正の入力電圧V+よりも大きくなるようにするために、容量Cstを有する分路コンデンサ292が正の入力部V+に追加されている。分路コンデンサ292のこの容量Cstは、阻止コンデンサ290の容量Cbの少なくとも2倍になるように選択される。例示的な一構成では、Cbが200nFである場合、Cstは470nFとすることができる。
【0129】
整流器100を備えるレシーバ102の実験的設計物を構築し、レシーバ102を備える完全なワイヤレス電力伝送システムの一部として、これらの実験的設計物に対してテストを行った。
【0130】
整流器100には、13.56MHzおよび27.12MHzの動作周波数またはスイッチング周波数を考慮した。ここで論じた、トリガ回路122の回路図を使用して、各周波数について1組のプリント回路板(PCB)を開発した。整流器要素110を同調させた後で、整流器要素114を、完全なワイヤレス電力伝送システムの一部としてテストした。カスタム電極PCBおよびソレノイド空心インダクタを用いた1組の100Ω共振回路対を使用して、本ワイヤレス電力伝送システムの送信要素と受信要素110との間のワイヤレスリンクを実装した。
【0131】
さらに、13.56MHzの動作周波数用の実験的設計物では、各インダクタ212、214、216、236のQが300程度であった。これにより、高いRF効率をもたらすことができる。
【0132】
27.12MHzの動作周波数用の実験的設計物では、使用したインダクタ214、216、236は空心インダクタであった。これらは一般に、カスタム巻回インダクタよりも低コストであり、より良好な公差を呈することができる。しかし、関連するQ値(Q)は、一般に150程度であり、したがってカスタム巻回インダクタよりも低い。
【0133】
したがって、これらの実験的設計物では、27.12MHzで動作する設計物は、13.56MHzで動作する設計物と比べてRF損失およびスイッチング損失が増大するためそれほど効率的ではないことがあるが、27.12MHzで動作する設計物は、より低コストになるとともに製造時間が短縮することが可能である。
【0134】
実験的ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタ側では、トランスミッタPCBを各周波数について同調させた。受信要素110の場合と同じく、RF損失およびスイッチング損失は、13.56MHzでのほうが低くなると予測されるが、27.12MHzでは、送信要素は、より低コストになるとともに製造がより簡単になることが可能である。
【0135】
テストに用いるトランスミッタPCBは、主オンボードDC/DCがより高い出力電圧に対応できるように前もって修正した。所望の電力レベルを達成するために、トランスミッタPCBには28Vから給電し、公称のDC/DC出力電圧、またはインバータ入力電圧は25Vであった。トランスミッタPCBには28Vから給電し、トランスミッタPCBの公称インバータ入力電圧は25Vであった。
【0136】
これらの実験的設計物では、レシーバ102の主DC/DCコンバータ116は、およそ12.6Vの出力に合わせて構成した。本ワイヤレス電力伝送システムの負荷は、電子負荷を定電流モードで使用して得た。これらの実験的設計物では、整流器要素114は、70Wまでの負荷電力に容易に対応できるように、80Wの出力信号に合わせて設計した。
【0137】
これらの実験的設計物では、比較器280は、およそ4.5nsの伝搬遅延を呈していた。ゲートドライバ120は、およそ2.5nsの伝搬遅延を呈していた。13.56MHzの動作周波数では、これは、上で与えた式によれば、およそ29.87nsの公称時間遅延(τd)に言い換えられ、一方、27.12MHzの動作周波数では、公称時間遅延(τd)は11.44nsである。両周波数において、遅延線252の各区間は、所望の通りに波長の10分の1以下を占めている。
【0138】
次に、整流器100を備えたレシーバ102を備える、ここで説明したワイヤレス電力伝送システムについての実験的結果を提示する。この実験的ワイヤレス電力伝送システム設計物では、動作周波数は13.56MHzであった。
【0139】
テストの間、トランスミッタのインバータ入力電圧を最初に25Vまで上げ、次いで、負荷電流を0A~6Aまで0.2Aステップで上げた。次に図10に移ると、上述した値を有する整流器100を備えるワイヤレス電力伝送システムの実験的設計物の、入力電力および出力電力と負荷電流との関係のグラフ。
【0140】
図10に示すように、無負荷時、本ワイヤレス電力伝送システムを励振させるためにおよそ19Wが必要となる。負荷電流が5.6Aであるときに70Wの公称出力電力が達成されるが、本ワイヤレス電力伝送システムは、6Aの電流時に何ら問題なく動作する。
【0141】
次に図11に移ると、この実験的ワイヤレス電力伝送システムについての電力伝送効率と負荷電流との関係が描かれている。この実験的設計物では、動作周波数は13.56MHzであった。電力伝送効率は、トランスミッタからレシーバの間で、すなわちエンドツーエンドで計算される。電力伝送効率は、出力DC電力結果および入力DC電力結果を除算することによって与えられる。図11に示すように、効率は、(期待通りに)0A時にゼロから上昇して、1.6A時に50%より上に達し、2.4A時におよそ60%に達し、5Aの負荷電流から6Aの負荷電流の間でおよそ70%に整定する。送信要素および受信要素110の効率は、以前におよそ92%と測定された。したがって、整流器100を含むエンドツーエンド電子回路のピーク効率は、およそ76%である。
【0142】
次に図12に移ると、この実験的ワイヤレス電力伝送システムについての入力電圧、出力電圧、および整流後の電圧と、負荷電流との関係が描かれている。図12に示すように、入力電圧(Vin)および出力電圧(Vout)はそれぞれ、負荷に伴っておよそ28Vおよび12.6Vにおいて概して安定している。
【0143】
負荷に伴う整流後の電圧(Vrect)は、概して安定しており、これはシステムの安定性にとって有益である。さらに、整流後の電圧はレギュレーションされないので、本ワイヤレス伝送システムは、特に安定かつロバストであることが示されている。整流後の電圧は、無負荷(0Aの負荷電流)時におよそ32.8Vであり、直線的に減少して、6Aの負荷電流時におよそ27.2Vに達する。わずか5.6V(約18%)の降下は、従来技術のパッシブ整流の場合に予想され得る降下(約30%)よりも大幅に安定している。
【0144】
整流器100を、パッシブ整流器と比べてずっと低い整流後の出力電圧で動作させることも可能であり、ダイオードにかかる電流ストレスを低減させるためにより高い電圧がしばしば必要となり、それが、主DC/DCコンバータ116にさらなる負担をかけることがある。
【0145】
次に図13に移ると、この実験的ワイヤレス電力伝送システムにおける整流後の電圧(Vrect)の負荷ステップに対する応答のグラフが描かれている。図13は、負荷ステップの変化の下での整流器100の性能を示す。これは、動的な状態の下でのタイミング回復の安定性を評価するというコンテキストに特に関連し得る。負荷ステップの変化を模擬するために、電子負荷をおよそ20μs間に0Aから6Aまでステッピングする(0.3A/μs)ように構成した。この負荷ステップに対する動的な応答が、図13に示されている。
【0146】
負荷電流は最初に0Aの状態である。時間0msにおいて、負荷電流はおよそ6Aまで比較的瞬時に増加する。これは負荷ステップに相当する。次いで、負荷電流は、時間0msから時間1msまで6Aに一定している。負荷電流が6Aまでステッピングまたは増加する前、整流後の電圧(Vrect)は、時間-0.2msにおいておよそ32.8Vである。時間0msにおいて負荷電流が増加または上方にステッピングすると、整流後の電圧(Vrect)は800μsにわたって27.2Vまで次第に減少または減衰し始める。整流後の電圧(Vrect)は、時間1msにおいて27.2Vに整定しその値に留まる。
【0147】
図13に示すように、負荷電流は非常に急速に上昇するが、整流後の電圧(Vrect)は、およそ800μsにわたって32.8Vから27.2Vまで次第に減衰する。図13に示すように、整流後の電圧の応答は、比較的平滑でありかつ制御されている。
【0148】
次に図14に移ると、この実験的ワイヤレス電力伝送システムの、負荷を与える前および与えた後の整流器スイッチノード電圧のグラフが描かれている。図14に示すように、スイッチノード電圧の波形はより広範であり、負荷を与えた後にピークはおよそ10%低減する。しかし、スイッチノード電圧の形状は負荷を与える前と与えた後でわずかに変化するものの、整流器100は安定していることが示されており、大幅なステップ変化にわたって負荷非依存性が観察される。この実験的ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタにおいても、同様のスイッチノード電圧挙動があった。
【0149】
対照的に、パッシブ整流では、インバータスイッチノードはしばしば、負荷に伴って顕著に変化し、その作用は、ダイオードの無視できない非線形の接合容量に帰せられる。これは本質的には、負荷に伴うレシーバ入力インピーダンスの大幅な位相シフトに言い換えられる。これが整流器100では生じないということは、整流器100が無負荷から完全負荷まで大いに実際的なインピーダンスを呈することを意味する。結果として、インバータのZVSチューニングは、効率の点でより十分に最適化することが可能である。
【0150】
次に、整流器100を備えたレシーバ102を備える、ここで説明したワイヤレス電力伝送システムについての実験的結果を提示する。この実験的ワイヤレス電力伝送システム設計物では、動作周波数は27.12MHzであった。
【0151】
スイッチング損失の増大、および結果として生じる、FET230およびゲートドライバ120に加わる熱的ストレスのため、この整流器100は、13.56MHzシステムで動作するワイヤレス電力伝送システムの整流器100と比べて半分の電力に合わせて設計した。したがって、27.12MHzで動作するワイヤレス電力伝送システムは、35Wの公称負荷電力に容易に対応できるように、40Wの出力電力に合わせて最適化されている。27.12MHzのスイッチング周波数または動作周波数に合わせて最適化した別のトランスミッタを使用した。トランスミッタには24Vから給電し、トランスミッタの公称インバータ入力電圧は18Vであった。
【0152】
テストの間、トランスミッタのインバータ入力電圧を最初に18Vまで上げ、次いで、負荷電流を0A~3.2Aまで0.2Aステップで上げた。次に図15に移ると、上述した値を有する整流器100を備えるワイヤレス電力伝送システムの実験的設計物の、入力電力および出力電力と負荷電流との関係のグラフ。
【0153】
図15に示すように、無負荷時、本ワイヤレス電力伝送システムを励振させるためにおよそ16Wが必要となる。負荷電流が2.8Aであるときに35Wの公称出力電力が達成されるが、本ワイヤレス電力伝送システムは、3.2Aの電流時に何ら問題なく動作する。
【0154】
次に図16に移ると、この実験的ワイヤレス電力伝送システムについての電力伝送効率と負荷電流との関係が描かれている。先に述べたように、この実験的設計物では、動作周波数は27.12MHzであった。電力伝送効率は、トランスミッタからレシーバの間で、すなわちエンドツーエンドで計算される。電力伝送効率は、出力DC電力結果および入力DC電力結果を除算することによって与えられる。図16に示すように、効率は、(期待通りに)0A時にゼロから上昇して、1.2A時におよそ50%に達し、2A時におよそ60%に達し、3.2Aの負荷電流時にピークを迎えておよそ64%に達する。送信要素および受信要素110の効率は、以前におよそ95%と測定された。したがって、整流器100を含むエンドツーエンド電子回路のピーク効率は、およそ68%である。
【0155】
いくつかの要因、すなわち全てのスイッチング損失が略2倍になること、電力レベルの低減が静止引き込み(quiescent draw)の影響を増大させること、またおそらく最も重要なことには、カスタム巻回トロイドではなく市販の空心コイルを使用しているためRFインダクタ損失が2~3倍高くなること、により、このシステムと13.56MHzシステムとの8%の相違の説明がつく。
【0156】
次に図17に移ると、この実験的ワイヤレス電力伝送システムについての入力電圧、出力電圧、および整流後の電圧と、負荷電流との関係が描かれている。図17に示すように、入力電圧(Vin)および出力電圧(Vout)はそれぞれ、負荷に伴っておよそ24Vおよび12.6Vにおいて概して安定している。
【0157】
負荷に伴う整流後の電圧(Vrect)は、概して安定しており、これはシステムの安定性にとって有益である。さらに、整流後の電圧はレギュレーションされないので、本ワイヤレス電力伝送システムは、特に安定かつロバストであることが示されている。整流後の電圧は、無負荷(0Aの負荷電流)時におよそ23Vであり、直線的に減少して、3.2Aの負荷電流時におよそ19Vに達する。わずか4V(約17%)の降下は、従来技術のパッシブ整流の場合に予想され得る降下(約30%)よりも大幅に安定している。
【0158】
次に図18に移ると、この実験的ワイヤレス電力伝送システムにおける整流後の電圧(Vrect)の負荷ステップに対する応答のグラフが描かれている。図18は、負荷ステップの変化の下での整流器100の性能を示す。これは、動的な状態の下でのタイミング回復の安定性を評価するというコンテキストに特に関連し得る。負荷ステップの変化を模擬するために、電子負荷をおよそ10μs間に0Aから2.8Aまでステッピングする(0.3A/μs)ように構成した。この負荷ステップに対する動的な応答が、図18に示されている。
【0159】
負荷電流は最初に0Aの状態である。時間0msにおいて、負荷電流はおよそ2.8Aまで比較的瞬時に増加する。これは負荷ステップに相当する。次いで、負荷電流は、時間0msから時間1.5msまで2.8Aに一定している。負荷電流が2.8Aまでステッピングまたは増加する前、整流後の電圧(Vrect)は、時間-0.5msにおいておよそ23Vである。時間0msにおいて負荷電流が増加または上方にステッピングすると、整流後の電圧(Vrect)は1000μsにわたって20Vまで次第に減少または減衰し始める。整流後の電圧(Vrect)は、時間1.5msにおいて20Vに整定しその値に留まる。
【0160】
図18に示すように、負荷電流は非常に急速に上昇するが、整流後の電圧(Vrect)は、およそ1msにわたって23Vから20Vまで次第に減衰する。図18に示すように、整流後の電圧の応答は、比較的平滑でありかつ制御されている。
【0161】
次に図19に移ると、この実験的ワイヤレス電力伝送システムの、負荷を与える前および与えた後の整流器スイッチノード電圧のグラフが描かれている。図19に示すように、これらのスイッチノード電圧の波形は概して変化せず、負荷を与えた後にピークがわずかに低減しても安全である。したがって、整流器100は安定していることが示されており、大幅なステップ変化にわたって負荷非依存性が観察される。この実験的ワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタにおいても、同様のスイッチノード電圧挙動があった。
【0162】
対照的に、パッシブ整流では、インバータスイッチノードはしばしば、負荷に伴って顕著に変化し、その作用は、ダイオードの無視できない非線形の接合容量に帰せられる。これは本質的には、負荷に伴うレシーバ入力インピーダンスの大幅な位相シフトに言い換えられる。これが整流器100では生じないということは、整流器100が無負荷から完全負荷まで大いに実際的なインピーダンスを呈することを意味する。結果として、インバータのZVSチューニングは、効率の点でより十分に最適化することが可能である。
【0163】
これらの実験的結果に示すように、ここで説明した整流器は、13.56MHzおよび27.12MHzの動作周波数において、無負荷から完全負荷まで安定していることが示されている。
【0164】
さらに、13.56MHzの動作周波数において、エンドツーエンド効率は、70Wを超える出力電力時に76%であると判明した。これは、60Vをはるかに下回る整流器電圧について達成されており、主DC/DCコンバータ116の設計に大きな柔軟性をもたらす。
【0165】
27.12MHzの動作周波数において、エンドツーエンド効率は、35Wを超える出力電力時に68%であると判明した。27.12MHzで動作するワイヤレス電力伝送システムは、より低コストのオプション、および/またはより速くより簡単な製造オプションを提供することができる。
【0166】
特定の整流器100について説明してきたが、他の構成が可能であることを当業者なら理解するであろう。次に図20に移ると、整流器を備えるレシーバ300が示されている。加えて、図4に示すレシーバ102と同様に、レシーバ300も受信要素310、整流器要素314、および負荷(RL)324を備える。
【0167】
受信要素310は、トランスミッタ、例えばトランスミッタ10からの電力を、共振または非共振の電界結合または磁界結合を使用して受信するように構成されている。受信要素310は、トランスミッタからの電力を、非共振または共振の磁界結合または電界結合を介して抽出することができる。したがって、受信要素310は、1つもしくは複数の受信コイル(すなわちインダクタ)または1つもしくは複数の容量性電極を備える。対応するトランスミッタは、それぞれ、対応する送信コイル(すなわちインダクタ)または容量性電極を備える。図20では、受信要素310は、電圧源(Vs)330、インダクタンスL11を有するインダクタ332、および容量C11を有するコンデンサ334としてモデリングされている。電圧Vsは、受信要素310によって受信された信号を表す。負荷324は、可変でもよく、固定でもよい。
【0168】
インダクタ332およびコンデンサ334は、受信要素310とワイヤレス電力伝送システムのトランスミッタの対応する送信要素のスイッチング周波数における共振を確実なものにする、同調要素をなすことができる。当業者なら理解するように、インダクタ332およびコンデンサ334のみが存在してよい。
【0169】
図3に示す整流器100と同様に、整流器300は、整流器要素314、ゲートドライバ320、トリガ回路360、およびゲートドライバ320に接続された補助DC/DCコンバータ318を備える。整流器要素314は、図示の構成ではFET340であるスイッチ(Q11)、およびダイオード(D11)342を備える。ゲートドライバ320からの信号がFET340の動作を制御するように、FET340のゲート端子がゲートドライバ320に電気的に接続されている。受信電力がFET340によって整流されるように、FET340のドレイン端子が受信要素310に電気的に接続されている。整流器要素314は、コンデンサ350および分路コンデンサ354をさらに備える。インダクタ352が、コンデンサ350と分路コンデンサ354との間で直列に接続されている。コンデンサ350の容量は、容量C22によって与えられ、分路コンデンサ354の容量は、容量C33によって与えられる。インダクタ352のインダクタンスは、インダクタンスL22によって与えられる。
【0170】
整流器100とは対照的に、整流器300内に入力段112のダブルインピーダンスインバータ回路は存在しない。トリガ回路360のためのフィードバックがVs、すなわち受信要素310において受信された電圧からとられるとき、ダブルインピーダンスインバータ回路は不要である。
【0171】
大まかに言って、整流器300は、受信要素310によって受信された入力信号と同位相の信号を、整流器要素314のFET340のゲート端子に供給するように構成されている。具体的には、トリガ回路360は、整流器要素314によって受け取られた電流(Is)と同位相の信号を供給する。
【0172】
受信要素310によって受け取られた電圧および電流は、式(9)および(10)によって以下のように与えることができる。
【0173】
【数8】
【0174】
ここで、Vsは、受信要素310において受信された電圧であり、ωは動作周波数であり、Isは、受信要素310において誘導された電流であり、φは、電圧と受信要素310において誘導された電流との位相差である。
【0175】
図21は、受け取った電圧Vsおよび電流Is、ならびにトリガ信号Vtrigのプロットである。具体的には、図21は、受信要素310において受信された電圧波形Vs、受信要素310における電流波形Is、および比較器回路366によって出力されたトリガ信号Vtrigのプロットである。図21は、トリガ用回路360およびゲートドライバ320によって生成されるべき理想的なパルスを示す。図21に示すように、電流ISはトリガ信号Vtrigと同期している。
【0176】
受信要素310は、整流器要素314に電気的に接続されている。整流器要素314は、負荷324に電気的に接続されている。具体的には、受信要素310は、整流器要素314に、また後に説明するようにトリガ回路360に、電気的に接続されている。整流器要素314は、受信要素310およびゲートドライバ320に電気的に接続されている。ゲートドライバ320は、整流器要素314、トリガ回路360、および補助DC/DCコンバータ318に電気的に接続されている。トリガ回路360は、受信用要素310、ゲートドライバ320、および補助DC/DCコンバータ318に電気的に接続されている。負荷324は、整流器要素314に電気的に接続されている。
【0177】
次に図22に移ると、トリガ回路360およびゲートドライバ320のブロック図が示されている。図22に示すように、入力電圧または信号Vsが、サンプリング回路362を介してサンプリングされ、RC遅延回路364に供給される。図示の構成では、サンプリング回路362は、図22に示すように、それぞれ容量C1およびC2を有するコンデンサ370および372からなる分圧器である。RC遅延回路364は、図23に示すように、抵抗Rsを有する抵抗器378、それぞれ容量C3およびC4を有するコンデンサ374および376を備える。RC遅延回路364の出力(VC4)が、比較器回路366に供給される。比較器回路366は、RC遅延回路364によって生成された遅延信号VC4をDCレベルと比較することによってクロック信号を生成するためのものである。
【0178】
次に図23に移ると、トリガ回路360の一部分、すなわちサンプリング回路362およびRC遅延回路364の概略図が、より詳細に示されている。先に述べたように、サンプリング回路362は、受信要素310によって受信された電圧波形をサンプリングするためのものである。先に述べたように、サンプリング回路362は、受信要素310に電気的に接続されている。したがって、サンプリング回路362は、受信要素310の電圧源330から電圧波形Vsを受け取る。サンプリング回路362は、コンデンサ370およびコンデンサ372を備えた第1の容量性駆動回路を備える。第1の容量性駆動回路は、電圧Vsをスケールダウンする。コンデンサ370の容量値C1およびコンデンサ372の容量値C2を、十分に低い値を用いて選択することによって、サンプリング回路362の負荷の影響を最小限に抑え、無視することができる。
【0179】
RC遅延回路364は、直列抵抗器378、ならびにコンデンサ374およびコンデンサ376を備えた第2の容量性駆動回路をさらに備える。第2の容量性駆動回路は、すでにスケーリングされた電圧Vsをさらにスケールダウンする。
【0180】
Rsの適切な値を選択することによって、式(10)中の位相差φを補償することができる。
【0181】
次に図24に移ると、整流器の別の部分の概略図が、より詳細に示されている。この概略図は、比較器回路366およびゲートドライバ320の例示的な構成を示す。図24に示すように、比較器回路366は、1つまたは複数の比較器(A1,A2,…,An)を備え、補助電源Vauxから給電される。比較器(A1,A2,…,An)の入力は、Vauxのおよそ半分にバイアスされている。第1の比較器A1の入力の正の入力、すなわちV+では、これは、抵抗Rdをそれぞれが有する等しい値の2つの抵抗器702および704を使用して達成される。正の入力における電圧を維持するために、容量Cstを有するコンデンサ706が追加されている。
【0182】
第1の比較器A1の負の入力は、容量C4を有するコンデンサ708にわたる電圧、すなわち電圧Vc4と、Vauxの半分に等しいDCバイアス電圧との積算である。DCバイアス電圧は、抵抗Rdをそれぞれが有する等しい値の2つの抵抗器710および712を使用して達成される。積算は、コンデンサ708を使用することによって達成することができる。第1の比較器A1の正の入力は、負の入力におけるDCバイアス電圧に等しい、DCバイアス電圧である。正の入力と負の入力の両方におけるDCバイアス電圧が等しくなければならないので、各ピン上の分圧回路は互いに同一のものとすることができる。第1の比較器A1に給電するために使用される補助電圧Vauxを使用して、第1の比較器A1の負の入力および正の入力におけるDCバイアス電圧も生成することができる。第1の比較器A1の固有伝搬遅延によるより多くの遅延を追加するために、複数の比較器(A2,…,An)を追加することができる。任意の追加の比較器Ai上の正の入力部が、直前の比較器Ai-1の出力部に接続される(A2の正の入力部がA1の出力部に接続されるなど)。任意の追加の比較器(A2,…,An)の負の入力は、Vauxのおよそ半分にバイアスされている。これは、等しい値の2つの抵抗器(例えば抵抗Rdをそれぞれが有する抵抗器720、722/724、726)を使用して達成される。最終比較器Anの出力部が、トリガ信号Vtrigを、抵抗Rgを有する抵抗器730を含むゲートドライバ320に供給する。
【0183】
次に図25に移ると、サンプリング回路362、RC遅延回路364、および比較器366の概略図が、より詳細に示されている。この概略図は、サンプリング回路362、RC遅延回路364、比較器回路366、およびゲートドライバ320の例示的な構成を示す。先に述べたように、比較器回路366は、RC遅延回路364によって生成された信号をDCレベルと比較することによってクロック信号を生成するためのものである。先に述べたように、ゲートドライバ320は、トリガ回路360によって出力されたトリガ信号を適合させて、整流器要素314のFET340を動作させるためのゲート信号を生成するためのものである。ゲートドライバ320は、コンデンサ376にわたる電圧、例えば電圧VC4に基づいてゲート信号を生成するように構成されている。ゲートドライバ320は、補助電源Vauxから給電される。
【0184】
先に述べたように、RC遅延回路364は、直列抵抗器378、ならびにコンデンサ374およびコンデンサ376を備えた第2の容量性駆動回路を備える。第2の容量性駆動回路は、すでにスケーリングされた電圧Vsをさらにスケールダウンする。スケーリングされた電圧は、式(11)に従って表すことができる。
【0185】
【数9】
【0186】
ここで、各Xiは、それぞれに対応するコンデンサCiのリアクタンスであり、VC4は、コンデンサ376における電圧である。
【0187】
各要素Xiは、式(12)で以下のように表すことができる。
【0188】
【数10】
【0189】
したがって、コンデンサ376の位相は、式(13)で以下のように表すことができる。
【0190】
【数11】
【0191】
ここで、Rsは抵抗器378の抵抗である。
【0192】
Rsの適切な値を選択することによって、式(10)中の位相差φを補償することができる。
【0193】
図26は、受け取った電圧Vsおよび電流Is、トリガ信号Vtrig、ならびに抵抗器378のさまざまな値の場合の電圧VC4のプロットである。具体的には、抵抗器378の抵抗Rsは、Rs1、Rs2、Rs3、およびRs4に等しく、ここで、Rs1>Rs2>Rs3>Rs4である。図26は、電圧VC4の位相のRsの影響を示す。抵抗Rsの特定の値(この場合はRs3)について、電圧VC4の位相が電流Isと同一であり、この信号を使用してFET340のゲートをトリガできる、ということが分かる。
【0194】
特定のトリガ回路122および360、ならびにゲートドライバ120および320について説明してきたが、他の構成が可能であることを当業者なら理解するであろう。
【0195】
以上、特定の整流器要素について説明してきたが、他の構成が可能であることを当業者なら理解するであろう。別の実施形態では、スイッチのソースとドレインとの間の電流が、ゲートの電圧ではなくスイッチのゲートに至る電流によって制御される。
【0196】
本明細書において説明した各個別の特徴が単独で開示され、また2つ以上の特徴の任意の組合せが開示される。その程度は、本明細書において開示した任意の課題をそのような特徴または特徴の組合せが解決するかどうかにかかわらず、また特許請求の範囲に記載の範囲を限定することなく、そのような特徴または組合せが、明細書全体に基づいて、当業者の通常の一般的知識に照らして実施されることが可能であるものである。本開示の態様は、かかる任意の個別の特徴または特徴の組合せから構成されてよい。前述の説明に鑑みて、本開示の範囲内でさまざまな修正を加えることができることが、当業者には明らかとなろう。
【符号の説明】
【0197】
2 ワイヤレス電力伝送システム
10 トランスミッタ
12 電源
14 送信要素
16 レシーバ
18 受信要素
20 負荷
22 レシーバ
24 受信要素
26 整流器
28 コンバータ
30 負荷
100 整流器
102 レシーバ
110 受信要素
112 入力段
114 整流器要素
116 主DC/DCコンバータ
118 補助DC/DCコンバータ
120 ゲートドライバ
122 トリガ回路
124 負荷
250 サンプリング回路
252 遅延線
254 比較器回路
320 ゲートドライバ
360 トリガ回路
362 サンプリング回路
364 RC遅延回路
366 比較器回路
図1
図2
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図5
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図22
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図24
図25
図26
【国際調査報告】