(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】インプラント可能な下顎関節プロテーゼおよび対応する製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/30 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61F2/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517272
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2021075368
(87)【国際公開番号】W WO2022058374
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】102020211582.6
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514094346
【氏名又は名称】カール ライビンガー メディツィンテクニーク ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Karl Leibinger Medizintechnik GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Kolbinger Strasse 10 78570 Muehlheim Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アクス、アデム
(72)【発明者】
【氏名】ライビンガー、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ライナウアー、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフラム、トビアス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA03
4C097BB01
4C097CC04
4C097CC08
4C097CC14
4C097DD07
4C097DD10
4C097EE11
4C097MM02
(57)【要約】
本発明は、インプラント可能な顎関節部プロテーゼ(100)であって、人工顆(12)を有し下顎(30)に取付可能な第1のインプラント部品(10)と、関節面(22,22’)を有し頭蓋骨(40)に取付可能な第2のインプラント部品(20,20’)と、を備え、前記関節面(22,22’)は前記人工顆(12)用の支台を形成し、前記第2のインプラント部品(20,20’)は、金属材料から形成され前記頭蓋骨(40)に取付可能な第1のコンポーネント(24,24’)と、プラスチック材料から形成され前記関節面(22,22’)を形成する第2のコンポーネント(27,27’)と、を備え、 前記第1のコンポーネント(24,24’)は第1の接続面(25,25’)を有し、前記第2のコンポーネント(27,27’)は第2の接続面(28,28’)を有し、前記第1の接続面(25,25’)および前記第2の接続面(28,28’)は互いに対し相互に係合してともに一部品に結合される、顎関節部プロテーゼに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント可能な顎関節部プロテーゼ(100)であって、
下顎(30)に取付可能な人工顆(12)を有する第1のインプラント部品(10)と、
頭蓋骨(40)に取付可能な関節面(22,22’)を有する第2のインプラント部品(20,20’)と、を備え、
前記関節面(22,22’)は前記人工顆(12)用の支台を形成し、
前記第2のインプラント部品(20,20’)は、金属材料から形成され前記頭蓋骨(40)に取付可能な第1のコンポーネント(24,24’)と、プラスチックから形成され前記関節面(22,22’)を形成する第2のコンポーネント(27,27’)と、を有し、
前記第1のコンポーネント(24,24’)は第1の接続面(25,25’)を有し、前記第2のコンポーネント(27,27’)は第2の接続面(28,28’)を有し、前記第1の接続面(25,25’)および前記第2の接続面(28,28’)は互いに対し相互に係合して一体に接続される、顎関節部プロテーゼ。
【請求項2】
前記第1の接続面(25,25’)には凹部(26,26’)が提供され、前記第2の接続面(28,28’)に配置されている突出部(29,29’)が前記凹部(26,26’)へと係合する、請求項1に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項3】
前記第1のコンポーネント(24,24’)の前記第1の接続面(25,25’)における前記凹部(26,26’)および前記第2のコンポーネント(27,27’)の対応する前記突出部(29,29’)は、同質または異質である、請求項2に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項4】
前記第1のコンポーネント(24,24’)の前記第1の接続面(25,25’)における前記凹部(26,26’)の大きさは、1μmと2000μmとの間である、請求項2または3に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項5】
前記第1の接続面(25,25’)および前記第2の接続面(28,28’)は、相互に合致する面の形態にある、請求項1~4のいずれか一項に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項6】
前記第1の接続面(25,25’)および前記第2の接続面(28,28’)は凹状である、請求項1~5のいずれか一項に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項7】
前記第1のコンポーネント(24,24’)および前記第2のコンポーネント(27,27’)は、溶融複合材(50,50’)を形成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項8】
前記第1のコンポーネント(24,24’)は、チタン製またはチタン合金製であり、前記第2のコンポーネント(27,27’)の前記プラスチックは、熱可塑性物質製、特に、熱可塑性物質としてのPE-UHMW製である、請求項1~7のいずれか一項に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項9】
前記第1のインプラント部品(10)はセラミック製、PEEK材料製、金属材料製、またはそれらの組合せの材料製である、請求項1~8のいずれか一項に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項10】
前記第1のコンポーネント(24,24’)は、前記第2のコンポーネント(27,27’)の周りを少なくとも局所的に把持する縁部領域(21,21’)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項11】
前記第1のインプラント部品(10)および前記第2のインプラント部品(20,20’)は、それぞれ第1の取付部品(32)および第2の取付部品(42,42’)によって、それぞれ前記下顎(30)および前記頭蓋骨(40)に取外可能に取付可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項12】
前記第1の取付部品(32)は第1の穴配列(34)を有し、前記第2の取付部品(42,42’)は第2の穴配列(44,44’)を有する、請求項11に記載の顎関節部プロテーゼ。
【請求項13】
インプラント可能な顎関節部プロテーゼ(10)を製造するための方法であって、
下顎(30)に取付可能な人工顆(12)を有する第1のインプラント部品(10)を提供する工程と、
頭蓋骨(40)に取付可能な関節面(22,22’)を有する第2のインプラント部品(20,20’)を提供する工程であって、
前記関節面(22,22’)は前記人工顆(12)用の支台を形成し、
前記第2のインプラント部品(20,20’)は、金属材料から形成され前記頭蓋骨(40)に取付可能な第1のコンポーネント(24,24’)と、プラスチックから形成され前記関節面(22,22’)を形成する第2のコンポーネント(27,27’)と、を有する、工程と、
前記第1のコンポーネント(24,24’)の第1の接続面(25,25’)を前記第2のコンポーネント(27,27’)の第2の接続面(28,28’)に対し相互に係合して一体に接続する工程と、を少なくとも備える方法。
【請求項14】
前記第1および接続面(25,25’,28,28’)の接続中に、熱と、圧力、真空のうちの1つ以上とが前記第1のコンポーネント(24,24’)および前記第2のコンポーネント(27,27’)に適用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のコンポーネント(24,24’)および前記第2のコンポーネント(27,27’)は、接続中に、溶融複合材(50,50’)を形成するようにともに溶融する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶融複合材(50,50’)は、前記第1のコンポーネント(24,24’)を溶融モールド(52)へと挿入し、熱、圧力および真空の適用前に、前記関節面(22,22’)の領域において前記第1のコンポーネント(24,24’)によって取り囲まれた体積部分(54)を、粉末形態の前記第2のコンポーネント(27,27’)の前記プラスチックにより少なくとも部分的に充填することによって、前記第1および前記第2の接続面(25,25’,28,28’)にて形成される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶融モールド(52)は、複数部品からなり、前記第1のコンポーネント(24,24’)と前記第2のコンポーネント(27,27’)との互いに対する接続中に、前記第1のコンポーネント(24,24’)および前記第2のコンポーネント(27,27’)を完全に包囲し、溶融複合材(50,50’)を形成する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下顎に取り付け可能な人工顆を有する第1のインプラント部品と、頭蓋骨に取り付け可能な関節面を有する第2のインプラント部品とを備え、関節面が人工顆のためのアバットメントを形成する、インプラント可能な顎関節部プロテーゼに関する。本発明はさらに、インプラント可能な顎関節部プロテーゼを製造するための対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顎関節部(以下、TMJとも呼ばれる)は、人体において最も用いられ、最も重要な関節の1つである。咀嚼、会話、飲み込みおよびストレスマネジメントの間、下顎骨(下顎)の運動をガイドするのに重要な役目を果たす。睡眠中であっても、嚥下運動のために常に動いている。顎関節部が自身の一連の運動を行うことができるようにするためには、関節面の形状、歯の状態、歯の位置、歯の形状および咀嚼筋が機能系を形成することが必要であり、この機能系は、多数のコンポーネントのためにある程度機能不全を起こしやすい。左右の顎関節は常に一緒に働き、この点において機能ユニットを形成する。
【0003】
しかしながら、機能制限または疾患などの機能障害が顎関節部の領域において生じる場合、患者の毎日の生活の質はかなり損なわれ得る。この場合、正しい関節構造の修復は、通常、外科的解決法によって、すなわち、欠陥関節の切除およびその顎関節部プロテーゼとの置換によってのみ可能である。
【0004】
顎関節部プロテーゼは、例えば、特許文献1から知られており、これは、頭蓋骨と下顎との間の並進運動および回転運動の組合せを可能にする機構を提供し、その運動は、表面間の摺動運動を含む。しかしながら、摩耗が生じ得る。
【0005】
本発明の目的は、改良されたインプラント可能な顎関節部プロテーゼを提供することであり、それによって、表面の摺動運動が、可能な限り確実かつ安全に、同時に、ほとんど摩耗なく行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本目的は、請求項1の特徴を有するインプラント可能な顎関節部プロテーゼによって達成される。したがって、本発明に係る解決策は、特に、最初に述べた種類の顎関節部プロテーゼの場合、第2のインプラント部品が、金属材料から形成され頭蓋骨に取付可能な第1のコンポーネントと、プラスチックから形成され関節面を形成する第2のコンポーネントとを有し、第1のコンポーネントが第1の接続面を有し、第2のコンポーネントが第2の接続面を有し、第1の接続面と第2の接続面とが互いに対し相互に係合して一体に接続されるという事実にある。
【0008】
したがって、本発明に係るインプラント可能な顎関節部プロテーゼは、第2のインプラント部品上に、相互に係合し、それらの接続面を介して一体に接続される複数のコンポーネントを提供することによって、顆のための支台を形成する関節面において信頼性の高いトライボロジー対合を提供し、その結果、金属コンポーネントとプラスチックコンポーネントとの接続が、トライボロジー対合のための安定した低摩耗関節面をもたらす。特に、「スナップイン」機構またはフォームフィット機構は提供されず、代わりに、支台は、人間の顎関節部の実際の表面に基づくオープンシェル摺動面の形態である。本来の筋鎖は、2つのインプラント部品を定位置に保持し、現実的な関節機能の回復を可能にする。
【0009】
顆および側頭骨は、それらの3D輪郭に残り、したがって、本発明に係るインプラント可能な顎関節部プロテーゼは、患者特有に拡張可能であり、病理学的に使用可能である。
本発明に係るインプラント可能な顎関節部プロテーゼの好ましい発展は、関連する従属請求項において見られる。
【0010】
顎関節部プロテーゼの好ましい発展では、第1のコンポーネントの2つの接続面間に、耐久性があり、横方向摺動に対して応力を加えることができる形状嵌合部を達成するように、第1の接続面は、第2の接続面上に配置された突出部が係合する凹部が提供されることが可能である。備えることができる。
【0011】
さらなる好ましい発展では、第1のコンポーネントの第1の接続面の凹部および第2のコンポーネントの対応する突出部は、接続面の形状嵌合を確実にするように同質または異質であり得る。ここで、凹部は、自身の形状および接続面上の自身の分布の両方に関して、または異質であり得る。例えば、同質な変形例は、接続面の広がりの両方向における断面が正方形の凹部の同質な配置からなることが可能であり、一方、異質な変形例は、例えば、異なる数で異なる方向に接続面上に延在するか、または何らかの他の手法により同質性を壊す複数の凹部種類により設計することが可能である。これは、逆に、凹部に対して相補的な第2の接続面の要素としての上述の突出部にも当てはまる。
【0012】
本発明に係る顎関節部プロテーゼのさらなる好ましい発展では、第1のコンポーネントの第1の接続面における凹部の大きさは、例えば、1μmと2000μmとの間であることが可能である。したがって、特定の凹部の個々の範囲に関して広い大きさ範囲がカバーされる。しかしながら、個々の範囲の他の大きさも考えられる。
【0013】
関節のトライボロジーペアリングが最小空間要件を有する、本発明に係る顎関節部プロテーゼのさらなる好ましい展開では、第1および第2の接続面は、実質的に互いに重なり合う相互に合致する面の形態であることが可能である。結果として、当該関節面は、正確に必要な範囲において提供されることが可能である。
【0014】
別の好ましい発展では、本発明に係る顎関節部プロテーゼによる自然な一連の運動を保証するように、第1の接続面および第2の接続面は凹状であることが可能である。しかしながら、異なる曲率半径および異なる方向、特に互いに直交する方向を有する複数の異なる曲率も考えられる。
【0015】
さらなる好ましい発展では、第2のインプラント部品の2つのコンポーネントは、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントが自身の相互に係合する接続面を介して溶融複合材を形成する点において、特に安定して接続されることが可能である。接続面の形状によって達成される形状嵌合に加えて、安定性は、特に、例えば、接続面に熱を加えることによって(場合によっては追加的に圧力および/または真空下において)実現されることが可能である一体接合に基づく。
【0016】
非常に良好な摺動特性を有する関節面は、第1のコンポーネントがチタン製またはチタン合金製であり、第2のコンポーネントのプラスチックが熱可塑性物質製、特に熱可塑性物質としてのPE-UHMW製である、さらなる好ましい発展により達成される。しかしながら、金属材料とプラスチック状材料との他の組合せも考えられる。
【0017】
関節面が顆とともに特に扱いやすいトライボロジーペアリングを形成する別の好ましい発展では、第1のインプラント部品は、セラミック製、PEEK材料製、金属材料製、またはこれらの組合せの材料製であることが可能である。
【0018】
さらなる好ましい発展では、通常の一連の動きにおいて横方向の滑りを防止することができるように、第1のコンポーネントは、第2のコンポーネントの周りを少なくとも部分的に把持する縁部領域を有することが可能である。縁部領域は、互いに対する接続面のさらなる安定を提供する。これに関連して、縁部領域は関節面の側端部に配置されることが可能であり、一方、関節面の前端面および後端面は縁部領域がないことが可能である。しかしながら、縁部領域の他の構成も考えられる。
【0019】
さらなる好ましい発展では、本発明に係る顎関節部プロテーゼの2つのインプラント部品を互いに対して適切に位置合わせし、同時に、それらを相互に対向する本体領域に安定して取り付けることができるように、第1および第2のインプラント部品は、それぞれ第1および第2の取付け部品によって下顎および頭蓋骨にそれぞれ取外可能に取付可能であることが可能であり、それによって、後で簡単に取外しまたは交換することも可能になる。
【0020】
さらなる好ましい発展では、第1および第2の取付部品は、各々穴配列を有することが可能であり、その穴を通して、その穴に割り当てられた固定手段が、下顎および頭蓋骨の構造にそれぞれ係合することが可能である。それぞれの穴配列は、穴の位置決めおよび数の両方に関してそれぞれの局所的状況に合わせることが可能である。例えば、第1のインプラント部品の第1の取付部品には、取付部品上に等間隔に離間された6つの穴が提供されることが可能である。一方、第2のインプラント部品の第2の取付部品の穴配列には、4つの穴しか提供されない。しかしながら、他の穴配列も各々考えられる。例えば、固定手段としてのねじは、穴配列の穴を通って到達することが可能である。固定手段は、ねじに限定されない。
【0021】
上記の目的は、インプラント可能な顎関節部プロテーゼを製造するための方法であって、下顎に取付可能な人工顆を有する第1のインプラント部品を提供する工程と、頭蓋骨に取付可能な関節面を有する第2のインプラント部品を提供する工程であって、前記関節面は前記人工顆用の支台を形成し、前記第2のインプラント部品は、金属材料から形成され前記頭蓋骨に取付可能な第1のコンポーネントと、プラスチックから形成され前記関節面を形成する第2のコンポーネントと、を有する、工程と、前記第1のコンポーネントの第1の接続面を前記第2のコンポーネントの第2の接続面に対し相互に係合して一体に接続する工程と、を少なくとも備える方法によっても達成される。
【0022】
金属コンポーネントとプラスチックコンポーネントとの相互に係合する一体接続は、トライボロジーペアリングのための安定した関節面を形成する。
関節面の安定性および耐久性を向上させる、本発明に係る製造方法の好ましい発展では、第1および第2の接続面の接続中に、熱と圧力および/または真空とが第1および第2のコンポーネントに加えられる。
【0023】
さらなる好ましい発展では、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントは、接続中にともに溶融して溶融複合材を形成し、したがって、コンポーネントは、一体接合によりともに結合される。
【0024】
本発明に係る製造方法のさらなる好ましい発展では、溶融複合材は、第1のコンポーネントを溶融モールド(成形型)へと挿入し、熱、圧力および/または真空の適用前に、関節面の領域において第1のコンポーネントによって取り囲まれた体積部分を粉末形態の第2のコンポーネントのプラスチックにより少なくとも部分的に充填することによって、第1および第2の接続面にて形成される。
【0025】
本発明に係る製造方法のさらなる好ましい発展では、溶融モールドは複数部品からなり、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントを互いに接続する間、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントを完全に取り囲み、溶融複合材を形成し、したがって、コンポーネント同士は適切に一体に接続され、その後、困難なく溶融モールドから離型することが可能である。
【0026】
上記の構成および発展は、必要に応じて適宜互いに組み合わせることが可能である。本発明のさらなる可能な構成、発展、および実装は、明示的に言及されていない本発明の特徴の組合せも包含し、これらの特徴は、例示的な実施形態に関して上に記載されているか、または以下に記載される。
【0027】
本発明は、図面の図における例示的な実施形態に基づいて以下により詳細に説明される。ここでは、部分的な概略図により示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る顎関節部プロテーゼの第1の実施形態の斜視側面図。この実施形態は、インプラントされた状態における第1および第2のインプラント部品を含む。
【
図2a】第1の実施形態の第2のインプラント部品の第1のコンポーネントの斜視側面図。
【
図2b】第1の実施形態の第2のインプラント部品の第2のコンポーネントの斜視側面図。
【
図3a】第2の実施形態の第2のインプラント部品の第1のコンポーネントの斜視側面図。
【
図3b】第2の実施形態の第2のインプラント部品の第2のコンポーネントの斜視側面図。
【
図4】第3の実施形態の分解斜視側面図。第2のインプラント部品の第1のコンポーネントが、第2のコンポーネントに対する接続のために溶融モールドへと挿入されている。
【
図5a】は、第3の実施形態の斜視側面図。溶融モールドにおける第2のインプラント部品の第1のコンポーネントの第2のコンポーネントに対する接続を時系列により示す。
【
図5b】は、第3の実施形態の斜視側面図。溶融モールドにおける第2のインプラント部品の第1のコンポーネントの第2のコンポーネントに対する接続を時系列により示す。
【
図5c】は、第3の実施形態の斜視側面図。溶融モールドにおける第2のインプラント部品の第1のコンポーネントの第2のコンポーネントに対する接続を時系列により示す。
【
図5d】は、第3の実施形態の斜視側面図。溶融モールドにおける第2のインプラント部品の第1のコンポーネントの第2のコンポーネントに対する接続を時系列により示す。
【
図6】は、第4の実施形態の接続されたコンポーネントを有する第2のインプラント部品の裏側の斜視側面図。
【
図7】は、第4の実施形態の接続されたコンポーネントを有する第2のインプラント部品の裏側の斜視側面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
すべての図において、同一または機能的に同一の要素およびデバイスには、特に明記しない限り、同じ参照符号が付されている。
図1は、本発明に係る顎関節部プロテーゼの第1の実施形態の斜視側面図を示し、第1および第2のインプラント部をインプラントされた状態で備える。
【0030】
図1は、インプラント可能な顎関節部プロテーゼを示し、100により全体が示される。インプラント可能な顎関節部プロテーゼは、第1のインプラント部品10と第2のインプラント部品20とを備え、第1のインプラント部品10および第2のインプラント部品20はともにトライボロジーペアリングを形成する。第1のインプラント部品10は、示された下顎30(下顎骨)に取り付けられ、第2のインプラント部品20に面する自身の端部に顆12を備える。第2のインプラント部品20は、頭蓋骨40の頬骨(Os zygomaticum)に取り付けられ、関節面22を備える。関節面22は、顆12に面し、第1のインプラント部品10の顆12のための支台を形成する。
【0031】
第2のインプラント部品20は、金属材料から形成され頭蓋骨40に取り付けられる第1のコンポーネント24を有し、一方、関節面22は、プラスチックから形成される第2のコンポーネント27から形成される。第1のコンポーネント24は第1の接続面25を有し、第2のコンポーネント27は第2の接続面28を有する(
図2および
図3参照)。これらの接続面は、接続面25,28が互いに向き合い、第1の接続面25および第2の接続面28が互いに相互に係合して一体に接続されているので、
図1においては見られない。したがって、接続面25,28とは反対に面する側に形成され観察者に面する関節面のみが
図1において見られる。
【0032】
第2のインプラント部品20において、第1のコンポーネント24はチタン製であり、第2のコンポーネント27のプラスチックは熱可塑性物質製、例えばPE-UHMW(超高分子量ポリエチレン)製であり、一方、第1のインプラント部品10は、例えばチタン製である。第2のインプラント部品20の第1のコンポーネント24および第2のコンポーネント27は、自身の相互に係合する接続面25,28を介して溶融複合材50を形成する。
【0033】
第2のインプラント部品20の第1のコンポーネント24において、関節面22に縁部領域21が形成され、縁部領域21は、第2のインプラント部品20の観察者に面する側および第2のインプラント部品20の観察者とは反対に面する側において関節面22の周りを局所的に把持する。
【0034】
図1は、2つのインプラント部品10,20が、それぞれの取付部品32,42によって、すなわち、第1の取付部品32と第2の取付部品42とによって、下顎30および頭蓋骨40にそれぞれ取外可能に取り付けられることをさらに示す。第1の取付部品32は第1の穴配列34を有し、第2の取付部品42は第2の穴配列44を有し、固定手段38,48としてのねじがその穴36,46を通して下顎30および頭蓋骨40のそれぞれの構造を把持する。
【0035】
第1のインプラント部品10は、平坦フレームのように設計され、その湾曲は、下顎骨30の上行枝の湾曲に従い、6本のねじ38により下顎骨30の上行枝に固定される。そのねじ38は、第1の穴配列34の等間隔に離間した穴36を通って到達する。顆12とは反対に面し顆12のほぼ中央にある端部では、第1の取付部品32にそれぞれウェブ39が配置されており、ウェブ32は、取付部から横方向に突出し、下顎骨30の骨の周りを把持する。
【0036】
第2のインプラント部品20は、関節面22とは反対に面する第2のインプラント部品20の領域に、第2の取付部品42を有する。第2の取付部品42は、第1のコンポーネントの第1の接続面25から第2の接続面28とは反対に面する方向に中心に延在し、均等に離間された穴46の第2の配列44を有する。固定手段としてのねじ48は、第2のインプラント部品20を頭蓋骨40の頬骨に保持する。さらに、頭蓋骨40の頬骨の周りを把持するウェブ49が、第2取付部42の前端に配置されている。
【0037】
図2a)および
図2b)は、
図1に関連してすでに部分的に説明したように、第1の実施形態の第2のインプラント部品20の第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントの斜視側面図を示す。
【0038】
図2a)によれば、第1の接続面25の凹部26は均等に分配されており、
図2b)によれば、これらは、接続状態において、第2の接続面28の立方形突出部29によって収容されている。
【0039】
図2a)および
図2b)は、
図1に関連してすでに部分的に説明したように、第1の実施形態の第2のインプラント部品20の第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントの斜視側面図を示す。
【0040】
第2の実施形態は、第1のコンポーネント24’上の凹部26’および第2のコンポーネント27’上の関連する突出部29’の設計に関してのみ異なる。
図3a)は、第1の接続面25’と縁部領域21’とを有する第1のコンポーネント24’を示しており、この第1のコンポーネント24’は観察者に面している。したがって、第2の接続面28’に対して接続されているときに第2の接続面28’上に配置された
図3b)に係る突出部29’が係合する凹部26’を明確に見ることが可能である。
【0041】
図3b)に係る第2の接続面28’の突出部29’は、隆起したポリラインの形態であり、これらは形状が互いに異なり、この点において異質である。
第1のコンポーネント24,24’および第2のコンポーネント27,27’の接続面25,25’,28,28’は、互いに重なり合う相互に合致する面の形態である。これに加えて、第1のコンポーネント24,24’および第2のコンポーネント27,27’の接続面25,25’,28,28’は各々、断面において凹状を形成し、曲率半径が変化する曲率を各々有する。これに加えて、第2のインプラント部品20,20’は、関節面22,22’において、関節面22,22’の周りを局所的に把持する縁部領域21,21’を有する。
【0042】
図4は、第3の実施形態の分解斜視側面図である。第2のインプラント部品の第1のコンポーネントは、第2のコンポーネントに対する接続用に溶融モールドへと挿入される。
図5a-
図5dは、第3の実施形態の斜視側面図である。溶融モールドにおける第2のインプラント部品の第2のコンポーネントに対する第1のコンポーネントの接続を時系列により示す。
【0043】
図4および
図5は、顎関節部プロテーゼ100の第2のインプラント部品20,20’の製造方法の1つの実施形態を概略的に示しており、この実施形態は、第2のインプラント部品20を参照して説明される。
図4によれば、第2のインプラント部品20の第1のコンポーネント24は、第2のコンポーネント27に対し接続することが可能であるように、溶融モールド52へと挿入される。溶融モールド52は、下部品53と、中間部品55と、蓋部品56とを備えた円筒状のモールドである。下部品には、挿入時に第2のインプラント部品20の第1のコンポーネント24を支持する支持要素54が形成され、中間部品55は第1のコンポーネントの周りを把持する。コンポーネント24,27の接続用に、自身の第1の接続面25において第1のコンポーネント24によって取り囲まれた体積部分59は、示される第2のコンポーネント27を形成するように、粉末状の第2のコンポーネント27のプラスチック(
図4には図示されない)により充填される。熱、圧力および真空の適用下における接続のために、溶融モールド52はスタンプ状の蓋部分56により閉じられ、第1のコンポーネントに面するそのモールド面は、溶融モールド52に位置する第1のコンポーネント24の方向に湾曲領域57を伴って湾曲する。
【0044】
図5a)-
図5d)は、上ですでに概説したコンポーネントの溶融の時系列を示す。
図5a)は、ほぼ円筒形の溶融モールド52の下部品53を示し、その内部には、その溶融モールド52へと挿入される第2のインプラント部品20の第1のコンポーネント24を支持するための支持部品54が提供されている。
図5a)は、中間部品55(図示せず)に面する端面縁部に互いに対して配置された2つの保持突出部58をさらに示す。
図5b)において、上述の中間部品55は、溶融モールド52へと挿入された第1のコンポーネントの周りを把持し、下部53の方向における第1のコンポーネントの曲率は、体積部分59を形成する。その体積部分59は、
図5c)において、粉末形態の第2のコンポーネント27によって部分的に充填され、続いて、
図5d)において、熱、圧力、および真空を適用し、その結果、溶融モールド52が、下部品53の方向に膨らんだ蓋領域57を有する蓋56によって閉じられた後、溶融複合材50を第2のインプラント部品20に形成することが可能である。
【0045】
図6は、第4の実施形態の接続されたコンポーネントを有する第2のインプラント部品の裏側の斜視側面図を示す。
図7は、第5の実施形態の接続されたコンポーネントを有する第2のインプラント部の裏側の斜視側面図を示す。
【0046】
2つの第2のインプラント部品20,20’上の第1および第2の接続面25,25’,28,28’が異なるように設計されているにもかかわらず、それらは外向きには同一であり、特に、同一効果の機能を有する関節面22,22’を提供することが理解される。
【0047】
本発明は、好ましい例示的な実施形態に基づいて上記されたが、本発明は、それに制限されるものではなく、多様に修正可能である。特に、本発明は、本発明の要旨を逸脱せずに多様に代替または修正されることが可能である。
【国際調査報告】