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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20230927BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20230927BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20230927BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20230927BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20230927BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/55 301
H01M50/105
H01M50/342 101
H01M50/184 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517381
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2022005499
(87)【国際公開番号】W WO2022220653
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0049398
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0007212
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】デ-ウォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・リム
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・ファン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011KK04
5H012AA03
5H012BB04
5H012EE01
5H012GG01
5H028AA07
5H028CC08
5H028HH08
5H028HH09
5H043AA04
5H043BA11
5H043CA08
5H043DA02
5H043DA17
5H043KA08D
5H043KA09D
(57)【要約】
本発明は、ベント部材を有する二次電池を開示する。前記二次電池は、電極リードが取り付けられた電極組立体と、前記電極リードの一部が外側に露出するように前記電極組立体を収納する収納部、及び前記電極組立体を密封するために形成されたシーリング部を含むケースと、前記電極リードの外面の一部を覆い包み、前記電極リードと前記ケースのシーリング部との間に介在されたリードフィルムと、を含み、前記シーリング部は、炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンを含むベント部材を含むベント誘導領域を含み、前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅よりも狭い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
内部に前記電極組立体を収納する収納部、及びシーラント樹脂を含んで前記電極組立体を密封するために形成されたシーリング部を含むケースと、
前記電極リードの外面の一部を覆い包むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在されるリードフィルムと、
炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、を含み、
前記シーリング部は、前記ベント部材を含むベント誘導領域を含み、
前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅よりも狭い、二次電池。
【請求項2】
前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅に対して40%~80%である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅よりも狭くなるように、テープが挿入されている、請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記テープが、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、またはこれらの混合物を含む、請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅よりも狭くなるように、樹脂が挿入されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記樹脂が、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらの混合物を含む、請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記ベント誘導領域が、前記電極リード同士の間の領域を除き、電極リードに近いシーリング部に形成されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンが、炭素数6~8のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンが、前記シーラント樹脂よりも低い融点を有する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項10】
前記ベント部材がガスを排出するために100℃~120℃で溶融する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項11】
前記ベント部材が1.5atm以上の圧力でベンティングする、請求項10に記載の二次電池。
【請求項12】
前記ベント部材の100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項13】
前記ベント部材の100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項14】
前記ベント部材の常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項15】
前記ベント部材の常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項16】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンがメタロセン触媒の存在下で重合されたものである、請求項1に記載の二次電池。
【請求項17】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンにおける前記炭素数6以上のコモノマーの含量が、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレン100重量%に対して15重量%以下である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項18】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの多分散性指数が4以下である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項19】
前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が10℃以下である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項20】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度が90℃~115℃である、請求項19に記載の二次電池。
【請求項21】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンが100℃~130℃の融点を有する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項22】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が100,000g/mol~400,000g/molである、請求項1に記載の二次電池。
【請求項23】
前記二次電池がパウチ型二次電池である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項24】
前記ベント部材の100℃~120℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項25】
前記ベント部材の100℃~120℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項26】
前記直鎖状低密度ポリエチレン100重量%を基準にして炭素数6以上のコモノマーの含量が5重量%~15重量%である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項27】
前記直鎖状低密度ポリエチレンが1~4の多分散性指数を有する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項28】
前記ベント部材の120℃以上における最大シーリング強度が3kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項29】
前記ベント部材の120℃以上における平均シーリング強度が2kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月15日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0049398号及び2022年01月18日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0007212号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、二次電池に関し、より詳しくは、ベント部材を備えた二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
多様な製品に適用可能であって、高いエネルギー密度などの電気的特性に優れた二次電池は、携帯用機器だけでなく、電力で駆動する電気自動車(EV:electric vehicle)またはハイブリッド電気自動車(HEV:hybrid EV)にも広く適用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させるだけでなく、エネルギー消費過程で副産物が発生しないという点で環境にやさしく、エネルギー効率向上のための新たなエネルギー源として注目されている。
【0004】
現在広く使用されている二次電池としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などが挙げられる。
【0005】
二次電池は、一般に、正極/分離膜/負極の構造を有する少なくとも一つの単位セルを含む電極組立体を、外層、金属バリアー層、シーラント層が順次に積層されたラミネートシートからなるケースに収納し、前記シーラント層のシーラント樹脂を融着して電極組立体を封止した構造を有する。
【0006】
従来、二次電池においては、二次電池内部の短絡、過充電または過放電、温度調節などの多様な原因により発火することがある。このとき、二次電池の内部温度が急激に上昇すると同時に隣接セルへと熱が伝達される熱暴走現象(thermal propagation)が発生し、火災がさらに広がるおそれがある。
【0007】
熱暴走現象が発生したとき、すなわち二次電池の内部温度が上昇するとき、ガスによる電極の損傷を最小化するため、ガスを一方向に排出するディレクショナル・ベンティング(directional venting)特性が要求される。しかし、従来の二次電池は、特定方向にガス排出を誘導し難いという問題がある。
【0008】
したがって、本発明は、特定方向にガス排出を誘導して安全性が向上した二次電池を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、ベント誘導領域へのガス排出をより容易に誘導して安全性を向上させた二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様によれば、下記の具現例の二次電池が提供される。
【0011】
第1具現例は、
電極組立体と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
内部に前記電極組立体を収納する収納部、及びシーラント樹脂を含んで前記電極組立体を密封するために形成されたシーリング部を含むケースと、
前記電極リードの外面の一部を覆い包むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在されるリードフィルムと、
炭素数6以上のコモノマー(comonomer)を有する直鎖状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、を含み、
前記シーリング部は、前記ベント部材を含むベント誘導領域を含み、
前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅よりも狭いことを特徴とする二次電池に関する。
【0012】
第2具現例によれば、第1具現例において、
前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅に対して40%~80%であり得る。
【0013】
第3具現例によれば、第1具現例または第2具現例において、
前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅よりも狭くなるように、テープが挿入され得る。
【0014】
第4具現例によれば、第3具現例において、
前記テープが、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはこれらの混合物を含み得る。
【0015】
第5具現例によれば、第1具現例または第2具現例において、
前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅よりも狭くなるように、樹脂が挿入され得る。
【0016】
第6具現例によれば、第5具現例において、
前記樹脂が、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらの混合物を含み得る。
【0017】
第7具現例によれば、第1具現例~第6具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント誘導領域が、前記電極リード同士の間の領域を除き、電極リードに近いシーリング部に形成され得る。
【0018】
第8具現例によれば、第1具現例~第7具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンが、炭素数6~8のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンであり得る。
【0019】
第9具現例によれば、第1具現例~第8具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンが、前記シーラント樹脂よりも融点の低いものであり得る。
【0020】
第10具現例によれば、第1具現例~第9具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント部材がガスを排出するために100℃~120℃で溶融し得る。
【0021】
第11具現例によれば、第10具現例において、
前記ベント部材が1.5atm以上の圧力でベンティングし得る。
【0022】
第12具現例によれば、第1具現例~第11具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント部材の100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり得る。
【0023】
第13具現例によれば、第1具現例~第12具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント部材の100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であり得る。
【0024】
第14具現例によれば、第1具現例~第13具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント部材の常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上であり得る。
【0025】
第15具現例によれば、第1具現例~第14具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント部材の常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であり得る。
【0026】
第16具現例によれば、第1具現例~第15具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンがメタロセン(metallocene)触媒の存在下で重合されたものであり得る。
【0027】
第17具現例によれば、第1具現例~第16具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンにおける前記炭素数6以上のコモノマーの含量が、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレン100重量%に対して15重量%以下であり得る。
【0028】
第18具現例によれば、第1具現例~第17具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの多分散性指数(PDI:polydispersity index)が4以下であり得る。
【0029】
第19具現例によれば、第1具現例~第18具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が10℃以下であり得る。
【0030】
第20具現例によれば、第19具現例において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度が90℃~115℃であり得る。
【0031】
第21具現例によれば、第1具現例~第20具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンが100℃~130℃の融点を有し得る。
【0032】
第22具現例によれば、第1具現例~第21具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が100,000g/mol~400,000g/molであり得る。
【0033】
第23具現例によれば、第1具現例~第22具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記二次電池がパウチ型二次電池であり得る。
【0034】
第24具現例によれば、第1具現例~第23具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント部材の100℃~120℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり得る。
【0035】
第25具現例によれば、第1具現例~第24具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント部材の100℃~120℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であり得る。
【0036】
第26具現例によれば、第1具現例~第25具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記直鎖状低密度ポリエチレン100重量%を基準にして炭素数6以上のコモノマーの含量が5重量%~15重量%であり得る。
【0037】
第27具現例によれば、第1具現例~第26具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記直鎖状低密度ポリエチレンが1~4の多分散性指数(PDI)を有し得る。
【0038】
第28具現例によれば、第1具現例~第27具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント部材の120℃以上における最大シーリング強度が3kgf/15mm未満であり得る。
【0039】
第29具現例によれば、第1具現例~第28具現例のうちのいずれか一具現例において、
前記ベント部材の120℃以上における平均シーリング強度が2kgf/15mm未満であり得る。
【発明の効果】
【0040】
本発明の一実施形態による二次電池は、ベント誘導領域においてシーリング部の幅を狭く形成することで、前記ベント誘導領域へのガス排出をより容易に誘導することができる。これにより、電池の安全性が向上することができる。
【0041】
本発明の一実施形態による二次電池は、炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンを含むベント部材をベント誘導領域に備え、前記ベント誘導領域へとガス排出を誘導することができる。これにより、電池の安全性が向上する。
【0042】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施形態による二次電池を示した平面図である。
図2図1のA部分を拡大して示した図である。
図3】本発明の他の実施形態による二次電池の平面図である。
図4】本発明のさらに他の実施形態による二次電池において、ベント誘導領域部分を拡大して示した図である。
図5図4のB-B’に沿った断面図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態による二次電池において、ベント誘導領域部分を拡大して示した図である。
図7】本発明の一実施形態による二次電池において、ベンティングが発生する状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使われた用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0045】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0046】
本発明の一実施形態による二次電池は、電極リードが取り付けられた電極組立体と、内部に前記電極組立体を収納する収納部、及びシーラント樹脂を含んで前記電極組立体を密封するために形成されたシーリング部を含むケースと、前記電極リードの外面の一部を覆い包むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在されたリードフィルムと、炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、を含み、前記シーリング部は、前記ベント部材を含むベント誘導領域を含み、前記ベント誘導領域の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0047】
図1は、本発明の一実施形態による二次電池を示した平面図である。
【0048】
図1を参照すると、二次電池10は、電極リード11が取り付けられた電極組立体12、及びケース13を備える。
【0049】
前記電極組立体12は、正極板、負極板、及び分離膜を含む。電極組立体12は、分離膜を介在して正極板と負極板とが順次に積層され得る。
【0050】
正極板は、導電性に優れた金属薄板、例えばアルミニウム(Al)ホイルからなる正極集電体、及びその少なくとも一面にコーティングされた正極活物質層を含み得る。また、前記正極板は、一側端部に金属材質、例えばアルミニウム(Al)材質からなる正極タブを含み得る。前記正極タブは正極板の一側端部から突出し得る。前記正極タブは、正極板の一側端部に溶接されるかまたは導電性接着剤を用いて接合され得る。
【0051】
負極板は、導電性金属薄板、例えば銅(Cu)ホイルからなる負極集電体、及びその少なくとも一面にコーティングされた負極活物質層を含み得る。また、前記負極板は、一側端部に金属材質、例えばニッケル(Ni)材質で形成された負極タブを含み得る。前記負極タブは負極板の一側端部から突出し得る。前記負極タブは、負極板の一側端部に溶接されるかまたは導電性接着剤を用いて接合され得る。
【0052】
分離膜は、正極板と負極板との間に位置し、正極板と負極板とを電気的に絶縁させる。前記分離膜は、正極板と負極板との間でリチウムイオンを通過させる多孔性膜であり得る。前記分離膜は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはこれらの複合フィルムを使用した多孔性膜を含み得る。
【0053】
分離膜の表面には無機物コーティング層が備えられ得る。無機物コーティング層は、無機物粒子がバインダーによって互いに結合されて粒子同士の間に気孔構造(インタースティシャル・ボリューム)を形成した構造を有し得る。
【0054】
電極組立体12は、長いシート状の正極と負極とを分離膜が介在された状態で巻き取った構造のゼリーロール型(巻取型)電極組立体、所定大きさの単位で切り取った複数の正極と負極とを分離膜を介在させた状態で順次に積層した積層型(スタック型)電極組立体、所定単位の正極と負極とを分離膜を介在させた状態で積層したバイセル(bi-cell)またはフルセル(full-cell)を巻き取った構造の積層/折り畳み型電極組立体などであり得る。
【0055】
前記ケース13は、図1に示されたように、電極組立体12を収納する収納部13a、及び電極組立体12を密封するために形成されたシーリング部13bを備える。
【0056】
前記シーリング部13bは、シーラント樹脂を含み得、前記シーラント樹脂が前記収納部13aの外周面に沿って融着して電極組立体12を密封することができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、前記ケース13は、外部衝撃からの保護のための外層、水分を遮断する金属バリアー層、及びケースを密封するシーラント層からなる多層構造のフィルム形態で備えられ得る。
【0058】
前記外層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロンなどを使用したポリエステル系フィルムを含み得、単一層または多層で構成され得る。
【0059】
前記金属バリアー層は、アルミニウム、銅などを含み得る。
【0060】
前記シーラント層は、シーラント樹脂を含み得、単一層または多層で構成され得る。
【0061】
前記シーラント樹脂は、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン(PPa、acid modified polypropylene)、ランダムポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、またはこれらのうちの二つ以上を含み得る。前記エチレンプロピレン共重合体は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-プロピレンブロック共重合体などを含み得るが、これによって限定されない。
【0062】
本発明の一実施形態において、前記ケース13はパウチ型であり得る。
【0063】
パウチ型の電池ケース13は、上部パウチ及び下部パウチを含み得る。ケース13が上部パウチ及び下部パウチを含む場合、シーラント樹脂同士が対向するように上部パウチと下部パウチとを配置した後、対向するシーラント樹脂を熱と圧力によって相互に融着させることで電池を密封する構造を有し得る。
【0064】
シーリング部13bの融着は熱融着、超音波による融着などであり得るが、シーリング部13bを融着可能であれば、特に制限されない。
【0065】
シーリング部13bは、一部実施形態において、ケース13の周縁で4面シーリングまたは3面シーリングされ得る。3面シーリング構造においては、上部パウチと下部パウチとを一つのパウチシートから形成した後、上部パウチと下部パウチとの境界面を折り曲げて上部パウチ及び下部パウチに形成された収納部13a同士を重ねた状態で、折曲部を除いた残り3面の周縁がシーリングされる。
【0066】
前記電極リード11は、図1に示されたように、電極リード11の一部が前記ケース13の外側に露出するようにケース13に収納され得る。
【0067】
本発明の一実施形態による二次電池10は、リードフィルム14を備える。
【0068】
前記リードフィルム14は、前記電極リード11の外面の一部を覆い包み、電極リード11とケース13との間に介在される。例えば、リードフィルム14が、電極リード11と電極リード11がケース13から突出または延長する部分のケース13のシーリング部13bとの間に介在され、電極リード11と前記ケース13との結着を補助することができる。
【0069】
図1を参照すると、前記シーリング部13bは、ベント誘導領域15を含み、前記ベント誘導領域15の幅が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bの幅よりも狭い。
【0070】
図2は、図1のA部分を拡大して示した図である。
【0071】
図2を参照すると、前記ベント誘導領域15の幅W1は、前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bの幅W2よりも狭い。前記ベント誘導領域15は、前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bに比べて密封された面積が狭く、それにより前記ベント誘導領域15の密封性が相対的に弱い。したがって、ガスが発生すれば、シーリング部13bに圧力が加えられ、シーリング部13bに圧力が加えられれば、シーリング部13bのうち、密封性が相対的に弱い前記ベント誘導領域15で密封が解除されながらガスが排出される。
【0072】
本発明の一実施形態において、前記ベント誘導領域15は、ケース13の外側から内側に陥没した形態で形成され得る。
【0073】
本発明の他の実施形態において、前記ベント誘導領域15は、ケース13の内側から外側に陥没した形態で形成され得る。前記ベント誘導領域15がケース13の内側から外側に陥没した形態で形成される場合、ガスが発生してシーリング部13bに圧力が加えられるとき、収納部13aに近いベント誘導領域15の内側に圧力が集中されることで、密封性が相対的に弱い前記ベント誘導領域15で密封が解除され易い。
【0074】
前記ベント誘導領域15は、多様な位置に形成され得る。
【0075】
図1を参照すると、前記ベント誘導領域15は、電極リード11同士の間を除き、電極リード11に近いシーリング部に形成され得る。前記ベント誘導領域15は、ケースの角側のシーリング部に位置し得る。例えば、ベント誘導領域15は、電極リード11が外側に露出するシーリング部の角側に位置し得る。前記ベント誘導領域15が上述した位置に位置する場合、電極リード11に向かって排出されるガスの量を最小化できて電池の安全性をさらに向上させることができる。
【0076】
図3は、本発明の他の実施形態による二次電池の平面図である。
【0077】
図3を参照すると、前記ベント誘導領域15は、電極リード11が外側に露出するシーリング部を除いたシーリング部に位置し得る。
【0078】
本発明の一実施形態において、前記ベント誘導領域15は、一定の幅を有するようにシーリング部13bを形成した後、ベント誘導領域15でシーリング部をカッティングして、ベント誘導領域15の幅を相対的に狭く形成し得る。この場合、ベント誘導領域15は、ケース13の外側から内側に陥没した形態で形成される。
【0079】
本発明のさらに他の実施形態において、前記ベント誘導領域15は、加熱手段(ヒーティングブロックまたはヒーティング治具)の形状をベント誘導領域15に対応するように形成してシーリング部を密封し、ベント誘導領域15の幅がベント誘導領域15を除いた他のシーリング部13bの幅よりも狭くなるように形成し得る。この場合、ベント誘導領域15は、ケース13の内側から外側に陥没した形態で形成され得る。
【0080】
図4は、本発明のさらに他の実施形態による二次電池において、ベント誘導領域15部分を拡大して示した図である。
【0081】
図4を参照すると、テープ17が挿入され、前記ベント誘導領域15の幅W1が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bの幅W2よりも狭くなるように形成され得る。
【0082】
前記テープ17は、シーリング部13bよりも耐熱性が優れた物質を含み得る。したがって、テープ17が挿入された部分は密封されず、テープ17が挿入された部分を除いた部分のみが密封されてシーリング部13bを形成する。例えば、前記テープ17は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはこれらの混合物を含み得る。
【0083】
図5は、図4のB-B’に沿った断面図である。
【0084】
図5を参照すると、前記ベント誘導領域15においてケースをシーリングするシーラント層同士の間に前記テープ17を挿入することで、前記ベント誘導領域15の幅W1を前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bの幅W2よりも狭くし得る。
【0085】
図6は、本発明のさらに他の実施形態による二次電池において、ベント誘導領域15部分を拡大して示した図である。
【0086】
図6を参照すると、樹脂18が挿入され、前記ベント誘導領域15の幅W1が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bの幅W2よりも狭くなるように形成され得る。樹脂18が挿入される様子は、図5の構成を参照する。
【0087】
前記樹脂18は、シーラント層と接着しない材料である。前記樹脂18がシーラント層と接着しないため、樹脂18が挿入された部分は密封されず、樹脂18が挿入された部分を除いたシーラント層のみが密封されてシーリング部13bを形成し得る。
【0088】
本発明の一実施形態において、前記樹脂18は、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらの混合物を含み得る。
【0089】
前記フッ素系樹脂は、CHCF(x+y=4、x=0.1.2.3.4)の化学式で表される樹脂であり得る。例えば、前記フッ素系樹脂はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み得る。
【0090】
前記シリコーン樹脂は、例えばポリジメチルシロキサンを含み得る。
【0091】
本発明の一実施形態において、前記ベント誘導領域15の幅W1は、前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部の幅W2に対して40%~80%、または40%~60%であり得る。前記ベント誘導領域15の幅W1が上述した範囲を満たす場合、ガスが発生したとき、密封性が相対的に弱い前記ベント誘導領域15で密封が解除され易い。
【0092】
図1を参照すると、前記ベント誘導領域15は、ベント部材16を含む。熱暴走現象が発生したとき、前記ベント部材16は、特定の方向へのガス排出を誘導して電池の安全性を向上させることができる。特に、ベント部材16が相対的に密封性の弱いベント誘導領域15に含まれることで、ベント誘導領域15へとガスの排出を誘導することがより容易になる。
【0093】
前記ベント部材16とケース13とは熱融着を通じて重なり得る。他の例として、前記ベント部材16とケース13とはグルー(glue)などの接着剤を通じて重なり得る。さらに他の例として、前記ベント部材16とケース13とはクリップなどを通じて物理的に結合され得る。さらに他の例として、ケース13を構成するフィルム、例えば、シーラント樹脂内にベント部材16の少なくとも一部が埋め込まれ得る。
【0094】
前記ベント部材16は、炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンを含む。前記ベント部材16が炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンを含むことで、正常温度の範囲、例えば常温~60℃では優れたケース13の密封性を有し、高温、例えば100℃以上ではベント部材16が挿入されたケースのシーリング強度が低下してベンティングを実現または誘発することができる。
【0095】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、炭素数6~8のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンを含み得る。
【0096】
図7は、本発明の一実施形態による二次電池において、ベンティングが発生する状態を示した図である。具体的には、図7は、本発明の一実施形態による二次電池に含まれたベント部材を示した断面図である。
【0097】
図7を参照すると、電池が正常に作動する温度において、ベント部材はケースを外部から密封する役割をする。電池の異常作動によって電池の温度が過度に上昇すると、ベント部材が溶融しながら、ベント部材が挿入された部分のシーリング強度が低下する。したがって、この部分からガスが排出される。例えば、電池の内部ガスの圧力がベント部材とベント誘導領域との界面に加えられることで、ベント部材とベント誘導領域との間にギャップが形成されてそこからガスが排出され得る。
【0098】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンは、前記シーラント樹脂よりも融点が低いものであり得る。前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの融点がシーラント樹脂よりも低い場合、高温において直鎖状低密度ポリエチレンがシーラント樹脂よりも速く溶融し得る。これにより、ベント部材16が挿入された部分のシーリング強度が、シーラント樹脂を含むケース部分のシーリング強度よりもさらに低下することで、より容易にベント特性を実現することができる。
【0099】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンは、100℃~130℃、105℃~125℃、または110℃~120℃の融点を有するものであり得る。前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンが上述した範囲を満たす場合、高温、例えば100℃以上においてベント部材16が挿入されたベント誘導領域15のシーリング強度が低下し、より容易にベント特性を実現することができる。
【0100】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの融点は、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter)を用いて測定し得る。例えば、試料の温度を10℃/分で30℃から280℃まで上げた後、280℃で10分間維持し、10℃/分で30℃まで冷却し、30℃で10分間維持する。その後、試料の温度を10℃/分で30℃から280℃まで上げた後、280℃で10分間温度を維持して融点を測定し得る。
【0101】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、100℃~120℃でベンティングし、収納部から電池の外部へとガスを排出または排気可能である。特に、前記ベント部材16は、100℃~120℃、1.5atm以上の圧力でベンティングし得る。前記ベント部材16が上述した温度範囲及び/または上述した圧力条件でベンティングすることで、電池が正常作動するときは電池の密封が可能であり、電池の異常作動時のみにガス排出を誘導することができる。
【0102】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満、5kgf/15mm未満、または4.5kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、100℃~120℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満、5kgf/15mm未満、または4.5kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、120℃以上における最大シーリング強度が3kgf/15mm未満、2kgf/15mm未満、1kgf/15mm未満、0.5kgf/15mm未満であり得る。前記ベント部材16が上述した温度範囲で上述したシーリング強度を満たす場合、高温、例えば100℃以上においてベント部材16が挿入されたベント誘導領域15のシーリング強度が低下し、より容易にベント特性を実現することができる。
【0103】
また、本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上、8kgf/15mm以上、または10kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材16が上述した温度範囲で上述したシーリング強度を満たす場合、ベント部材16が挿入されていても、電池の正常作動時にベント部材16が挿入されたベント誘導領域15が優れたシーリング強度を有して、電池の密封性を容易に確保することができる。
【0104】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材16が上述したシーリング強度を満たす場合、高温、例えば100℃以上においてベント部材16が挿入されたベント誘導領域15のシーリング強度が低下し、ベント特性を容易に実現することができる。また、電池の正常作動時にはベント誘導領域15が優れたシーリング強度を有して、電池の密封性を容易に確保することができる。
【0105】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満、または3kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、100℃~120℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満、または3kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、120℃以上における平均シーリング強度が2kgf/15mm未満、1kgf/15mm未満、または0.5kgf/15mm未満であり得る。前記ベント部材16が上述した温度範囲で上述したシーリング強度を満たす場合、高温、例えば100℃以上においてベント部材16が挿入されたベント誘導領域15のシーリング強度が低下し、より容易にベント特性を実現することができる。
【0106】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上、5kgf/15mm以上、6kgf/15mm以上、または7kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材16が上述した温度範囲で上述したシーリング強度を満たす場合、ベント部材16が挿入されていても、電池の正常作動時にベント部材16が挿入されたベント誘導領域15が優れたシーリング強度を有して、電池の密封性を容易に確保することができる。
【0107】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であり、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材16が上述した温度範囲を有する場合、高温、例えば100℃以上においてベント部材16が挿入されたベント誘導領域15のシーリング強度が低下し、ベント特性を容易に実現することができる。また、電池の正常作動時にベント誘導領域15が優れたシーリング強度を有して、電池の密封性を容易に確保することができる。
【0108】
温度に応じたベント部材16のシーリング強度は、ベント部材16が挿入されたベント誘導領域15のケース13を幅15mm、長さ5cmで裁断した後、両端を180゜開いてUTM治具に固定し、5mm/分の速度で引張テストを行って測定し得る。
【0109】
このとき、最大シーリング強度は、ケース13が破断するときの最大値を意味する。また、平均シーリング強度は、最大シーリング強度が4.5kgf/15mm以上である場合は、4.5kgf/15mmでケース13が8mmだけ延伸したときの平均値を意味し、最大シーリング強度が4.5kgf/15mm未満である場合は、最大シーリング強度でケース13が8mmだけ延伸したときの平均値を意味する。
【0110】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン触媒の存在下で重合されたものであり得る。前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンがメタロセン触媒の存在下で重合されたものである場合、チーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒の存在下で重合された場合よりもシーリング強度及び物性の面でより有利である。
【0111】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンにおける前記炭素数6以上のコモノマーの含量は、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレン100重量%に対して15重量%以下、12重量%以下、11.8重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7.6重量%以下であり得る。同時に、前記炭素数6以上のコモノマーの含量は、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレン100重量%に対して5重量%以上、7.6重量%以上、8重量%以上、9.0重量%以上、10重量%以上、11.8重量%以上、または12重量%以上であり得る。炭素数6以上のコモノマーの含量が上述した範囲を満たす場合、分子間のパッキング密度が減少して電池の正常作動時にシーリング強度が低下する問題を容易に防止することができる。
【0112】
前記炭素数6以上のコモノマーの含量は、H-NMRで測定し得る。例えば、約10mgの試料を約0.6mLのトリクロロエチレン溶媒にヒートガン(heat gun)を使用して完全に溶かした後、NMRチューブにサンプリングし、H-NMRを用いて測定し得る。
【0113】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの重量平均分子量は、100,000g/mol~400,000g/mol、200,000g/mol~350,000g/mol、または230,000g/mol~300,000g/molであり得る。前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が上述した範囲を満たす場合、電池の正常作動時にシーリング強度がより優れるものになる。
【0114】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの多分散性指数(PDI)は、4以下、3.8以下、3.796以下、3.5以下、3.023以下、3以下、2.7以下、または2.674以下であり得る。また、多分散性指数(PDI)は1.0以上であり得る。前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの多分散性指数が上述した範囲を満たす場合、分子量分布が狭いため、電池の正常作動時にさらに優れたシーリング強度及び物性を示す。
【0115】
炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの重量平均分子量及び多分散性指数は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いて下記の条件で測定したものであり得る。
【0116】
-カラム:東ソー社製、HLC-8321 GPC/HT
-溶媒:TCB(トリクロロベンゼン)+0.04%BHT(0.1%CaClで乾燥したもの)
-流速:1.0ml/分
-試料濃度:1.5mg/ml
-注入量:300μl
-カラム温度:160℃
-検出器:RI検出器
-スタンダード:ポリスチレン(3次関数で補正)
【0117】
本発明の一実施形態において、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度とは類似し得る。例えば、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が10℃以下、または5℃以下であり得る。また、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が0.1℃以上であり得る。前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が上述した範囲を満たす場合、電池の正常作動時に前記シーラント樹脂と炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンとの融着特性がより優れるものになる。
【0118】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度は、90℃~115℃、95℃~110℃、100℃~110℃、または105℃~110℃であり得る。前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度が上述した範囲を満たす場合、前記シーラント樹脂と前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンとの融着特性がより優れるものになる。
【0119】
本発明の一実施形態において、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が10℃以下であり、前記炭素数6以上のコモノマーを有する直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化温度が90℃~115℃であり得る。
【0120】
前記結晶化温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し得る。例えば、試料の温度を10℃/分で30℃から280℃まで上げた後、280℃で10分間維持し、10℃/分で30℃まで冷却し、30℃で10分間維持する。その後、10℃/分で30℃から280℃まで上げた後、280℃で10分間維持して結晶化温度を測定し得る。
【0121】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材16は、ガスがベント領域へと円滑に向かうように、多様な形状を有し得る。例えば、ベント部材16はフィルム形状を有し得る。
【0122】
前記ベント部材16は、既に設定された所定の厚さを有するように形成され得る。また、前記ベント部材16は、設計によって、挿入長さを異ならせるかまたはベンティング圧力及び位置を制御できるように、前記ベント誘導領域15に挿入され得る。ここで、ベント部材の挿入長さは、電極リードの突出方向を基準にしてベント部材の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0123】
例えば、ベント部材16の挿入長さは、ベント誘導領域15の幅よりも小さくなり得る。例えば、ベント部材16の挿入長さは、ベント誘導領域15の幅の約50%未満であり得る。ここで、ベント誘導領域の幅は、電極リード11の突出方向を基準にしてベント誘導領域15の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0124】
または、ベント部材16の挿入長さは、ベント誘導領域15の幅よりも大きくなり得る。例えば、ベント部材16は、収納部13aを通ってケース13の外側に露出するように挿入され得る。
【0125】
本発明の一実施形態において、ベント部材16は、より円滑な配置のため、接着層をさらに含み得る。
【0126】
本発明の一実施形態において、前記二次電池は、円筒形、角形、またはパウチ型の二次電池であり得る。中でも、前記二次電池は、パウチ型二次電池であり得る。
【0127】
以上、本発明の望ましい実施形態を図示し説明したが、本発明が上述した特定の実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であり、このような変形実施は本発明の技術的思想や見込みから個別的に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0128】
10 二次電池
11 電極リード
12 電極組立体
13 ケース
13a 収納部
13b シーリング部
14 リードフィルム
15 ベント誘導領域
16 ベント部材
17 テープ
18 樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
図2を参照すると、前記ベント誘導領域15の幅W1は、前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bの幅W2-W1よりも狭い。前記ベント誘導領域15は、前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bに比べて密封された面積が狭く、それにより前記ベント誘導領域15の密封性が相対的に弱い。したがって、ガスが発生すれば、シーリング部13bに圧力が加えられ、シーリング部13bに圧力が加えられれば、シーリング部13bのうち、密封性が相対的に弱い前記ベント誘導領域15で密封が解除されながらガスが排出される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
図4を参照すると、テープ17が挿入され、前記ベント誘導領域15の幅W1が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bの幅W2-W1よりも狭くなるように形成され得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
図5を参照すると、前記ベント誘導領域15においてケースをシーリングするシーラント層同士の間に前記テープ17を挿入することで、前記ベント誘導領域15の幅W1を前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bの幅W2-W1よりも狭くし得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
図6を参照すると、樹脂18が挿入され、前記ベント誘導領域15の幅W1が前記ベント誘導領域を除いた他のシーリング部13bの幅W2-W1よりも狭くなるように形成され得る。樹脂18が挿入される様子は、図5の構成を参照する。
【国際調査報告】