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  • 特表-エステルのカルボン酸への直接変換 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】エステルのカルボン酸への直接変換
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/09 20060101AFI20230927BHJP
   C07C 53/10 20060101ALI20230927BHJP
   C07C 53/122 20060101ALI20230927BHJP
   C07C 53/124 20060101ALI20230927BHJP
   C07C 51/087 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C07C51/09
C07C53/10
C07C53/122
C07C53/124
C07C51/087
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517721
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2021075419
(87)【国際公開番号】W WO2022058401
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】63/079,683
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521156963
【氏名又は名称】ニアセット コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000268
【氏名又は名称】オリジネイト弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブラネン,ケリー,エー
(72)【発明者】
【氏名】ハリガン,デイビッド,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】タンクス,ドネル,エス
(72)【発明者】
【氏名】ソイカ,スタンレー,エー
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC46
4H006AD15
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC16
4H006BE11
4H006BS70
(57)【要約】
カルボン酸カルシウムは、水、酸化カルシウム及び式(I)の化合物を反応させることにより調製される。
【化1】
ここで、RはC~Cアルキルであり、RはC又はCアルキルである。反応溶液を加熱して、反応溶液からある量の副生成物を除去する。カルボン酸カルシウムは、反応溶液から固体状態で回収されるとよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と酸化カルシウムを反応させてスラリーを得る工程(a)と、
前記スラリーをプロピオン酸メチルと反応させ、前記酸化カルシウムを前記プロピオン酸メチルと比較してモル過剰量で反応させて、反応溶液を得る工程(b)と、
前記反応溶液を加熱して、前記反応溶液からメタノールを除去する工程(c)と、
プロピオン酸を添加することによって前記反応溶液を7.0~9.5のpHに中和する工程(d)と、
前記反応溶液を濾過する工程(e)と、
を有することを特徴とするプロピオン酸カルシウムの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記反応溶液の加熱中に前記反応溶液に窒素ガスを添加することをさらに含むことを特徴とするプロピオン酸カルシウムの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
濾過された前記反応溶液から前記プロピオン酸カルシウムを固体状態で回収することをさらに含むことを特徴とするプロピオン酸カルシウムの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
上記の固体状のプロピオン酸カルシウムが98.5%以上の純度レベルを有することを特徴とするプロピオン酸カルシウムの製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記工程(d)のpHが7.0~8.0であることを特徴とするプロピオン酸カルシウムの製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記工程(e)の濾過された反応溶液が23%から28%(w/w:重量パーセント濃度)のプロピオン酸カルシウムを含有することを特徴とするプロピオン酸カルシウムの製造方法。
【請求項7】
請求項1又は2において、
前記工程(b)は、50℃から100℃の温度で行われることを特徴とするプロピオン酸カルシウムの製造方法。
【請求項8】
水、酸化カルシウム及び式(I)の化合物を反応させて、反応溶液を得る工程(a)と、
【化1】
前記反応溶液を加熱して、前記反応溶液からある量の副生成物を除去する工程(b)と、
を有し、
前記式(I)のRはC~Cアルキルであり、
前記式(I)のRはC又はCアルキルであることを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記反応溶液を濾過する工程(c)をさらに含むことを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記式(I)の化合物が6個未満の炭素原子を有することを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項11】
請求項8又は9において、
前記酸化カルシウムを前記式(I)の化合物と比較してモル過剰で反応させることを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項12】
請求項8又は9において、
前記式(I)の化合物はプロピオン酸メチルであることを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項13】
請求項8又は9において、
前記式(I)の化合物は、プロピオン酸エチル、酪酸メチル又は酢酸メチルのいずれかであることを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項14】
請求項8又は9において、
前記反応溶液の加熱中に窒素ガスを前記反応溶液に添加することをさらに含むことを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項15】
請求項9において、
濾過された前記反応溶液から固体状のカルボン酸カルシウムを回収することをさらに含むことを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記固体状のカルボン酸カルシウムが98.5%以上の純度レベルを有することを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項17】
請求項8、9、15、及び16のいずれか一項において、
酸を添加することにより、前記反応溶液をpH7.0~9.5に中和することをさらに含むことを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記pHが7.0~8.0であることを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項19】
請求項9、15、及び16のいずれか一項において、
濾過された前記反応溶液は、23%~28%(w/w:重量パーセント濃度)のカルボン酸カルシウムを含有することを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【請求項20】
請求項8、9、15、及び16のいずれか一項において、
前記工程(a)は、50℃から100℃の温度で行われることを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステルまたは無水物から直接カルボン酸カルシウムを製造するためのプロセスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カルボン酸カルシウムは、対応するカルボン酸の製造に有用である。また、カルボン酸カルシウムは他の有益な用途もある。例えば、酢酸カルシウムは、ケーキ生地、プリン、パイフィリングなどの増粘剤として、完成品だけでなく、加工のさまざまな段階で食品のpHを制御する際の緩衝剤として、微生物の増殖を防ぐための防腐剤として、及びペット製品のカルシウムサプリメントとして使用される。さらに、プロピオン酸カルシウムは、食品分野、特に焼き菓子の防腐剤として、また動物飼料の防腐剤及び栄養補助食品として大規模に使用される。
【0003】
短鎖脂肪酸が腸内細菌叢に有益な影響を与えるとして、最近注目されている。 さらに、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、乳酸塩などは、商業的に有用である抗菌性を示している。
【0004】
カルシウムカルボキシレートは、典型的には、カルボン酸塩を合成するための従来の方法によって、例えば、炭酸塩、水酸化物、または酸化物を濃縮または希釈したカルボン酸と反応させることによって調製される。例えば、プロピオン酸カルシウムは、通常、プロピオン酸とカルシウムから製造される。
【0005】
カルボン酸カルシウムには多くの多様な用途があるため、それらの製造のための改善されたプロセスが必要とされる。特に、迅速に実行でき、高収率をもたらし、エネルギー消費を少なくし、及び/又は廃棄物を最小限に抑える改善されたプロセスが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、エステルをカルボン酸カルシウムに変換する方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の一態様は、水と酸化カルシウムと式(I)の化合物を反応させる方法である。
【化1】
ここで、RはC~Cアルキルであり、RはC又はCアルキルであり、反応溶液を得て、前記反応溶液を加熱して前記反応溶液からある量の副生成物を除去する。また、カルボン酸カルシウムは、前記反応溶液から固体状で回収してもよい。
【0008】
本発明の他の態様は、水と酸化カルシウムを反応させてスラリーを得て、前記スラリーをプロピオン酸メチルと反応させて反応溶液を得て、前記反応溶液を加熱して前記反応溶液からある量のメタノールを除去し、十分な量のプロピオン酸を添加することにより、前記反応溶液をpH7.0~9.5に中和し、前記反応溶液を濾過することを含み、前記酸化カルシウムは前記プロピオン酸メチルと比較してモル過剰量で反応されるプロピオン酸カルシウムの製造方法である。また、前記プロピオン酸カルシウムは、濾過した反応溶液から固体状で回収してもよい。
【0009】
さらに、本発明は、無水物をカルボン酸カルシウムに変換する方法を対象とする。
【0010】
本発明の追加の目的及び利点は、一部は以下の説明に記載され、一部は以下の説明から自明であり、又は本発明の実施によって知ることができる。本発明の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素及び組み合わせによって実現及び達成される。
【0011】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示及び説明のためだけのものであり、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解することが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】プロピオン酸メチルをプロピオン酸カルシウムに変換するための装置である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
Ca+2カチオンを含有するカルボン酸塩の不溶性が問題になることが予想されたが、発明者らは、式(I)のエステルを以下の反応に従ってカルボン酸カルシウムに直接変換するプロセスを見出した。
【化2】
ここで、R及びRは、独立して、H、Ph、Ar、置換C~C60アルキル、及び非置換C~C60アルキルから選択される。
【0014】
また、本発明者らは、以下の反応に従って式(II)の無水物をカルボン酸カルシウムに直接変換するプロセスを見出した。
【化3】
ここで、R及びRは、独立して、H、Ph、Ar、置換C~C60アルキル、及び非置換C~C60アルキルから選択される。
【0015】
~C60アルキルは、F、Cl、Br、I、At、O、S、S(O)、SO、N、P、P(O)、Si、Si(O)、B、Al、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい。好適には、ArはC又はC12アリール又は任意に置換されたヘテロアリール基であり、ヘテロ原子はO又はNであり、置換基はH、F、Cl、Br、I、At、SO、NH、NHR、NRおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよく、Rは本明細書で定義される通りである。C~C60アルキル上で置換されるこのような置換基の数は、1、2、3又は4であってもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態において、C~C60アルキルは、少なくとも1つのCl置換基で置換されている。 さらに別の実施形態において、C~C60アルキルは、2つのCl置換基で置換されている。
【0017】
一実施形態において、R及びRは、独立して、H及び非置換C~C10アルキルからなる群から選択されるも。その他の実施形態において、R及びRは、独立して、非置換C~Cアルキルからなる群から選択される。さらに別の実施形態において、R及びRは、独立して、非置換C~Cアルキルからなる群から選択される。さらに別の実施形態において、R及びRは、独立して、非置換C~Cアルキルからなる群から選択される。
【0018】
R及びRは、それぞれ非置換のCアルキルであってもよい。R及びRは、それぞれ非置換のCアルキルであってもよい。 その他の実施形態において、Rは非置換のCアルキルであり、Rは非置換のCアルキルである。 さらに別の実施形態において、Rは非置換のCアルキルであり、Rは非置換のCアルキルである。
【0019】
式(I)の化合物(I)及び式(II)の化合物は、10個、8個、6個、5個、又は4個未満の炭素原子を含んでもよい。 一実施形態において、式(I) の化合物(I)及び式(II)の化合物は、6個未満の炭素原子を含む。
【0020】
「アルキル」という用語は、特に断らない限り、直鎖又は分枝鎖、非環式又は環状炭化水素基、又はそれらの組み合わせを意味し、これらは完全飽和、一価又は多価不飽和であってもよく、2価及び多価のラジカルを含むことができ、指定された炭素原子数(例えば、C1-10は1~10個の炭素を意味する)を有し、置換または非置換であってもよい。飽和炭化水素基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n?プロピル基、イソプロピル基、n?ブチル基、t?ブチル基、イソブチル基、sec?ブチル基、シクロヘキシル基、(シクロヘキシル)メチル基、シクロプロピルメチル基、例えば、n?ペンチル、n?ヘキシル、n?ヘプチル、n?オクチル等の同族体および異性体が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2?プロペニル、クロチル、2?イソペンテニル、2?(ブタジエニル)、2,4?ペンタジエニル、3?(1,4?ペンタジエニル)、エチニル、1?及び3?プロピニル、3?ブチニル、並びに高級同族体及び異性体が挙げられる。
【0021】
式(I)の化合物は、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、又はブタン酸メチルであってもよい。 一実施形態において、式(I)の化合物はプロピオン酸メチルである。
【0022】
式(II)の化合物は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ブタン酸、または無水プロピオン酸酢酸であり得る。一実施形態では、式(II)の化合物は無水酢酸である。
【0023】
式(I)の化合物の変換に使用される酸化カルシウムの量は、式(I)の化合物に対する酸化カルシウムのモル比として表すことができる。一般に、式(I)の化合物と比較してモル過剰の酸化カルシウムを使用することができる。式(I)の化合物に対する酸化カルシウムのモル比は、0.5:1から0.75:1であるとよい。式(I)の化合物と比較して化学量論的に過剰の酸化カルシウム、すなわち0.5:1を超えるモル比は、過剰の酸化カルシウムをもたらす。たとえば、0.75:1のモル比は50%のモル過剰に相当する。式の化合物に対する酸化カルシウムのモル比は、0.5:1から0.6:1(20%モル過剰までの酸化カルシウムの過剰)であってもよい。式の化合物に対する酸化カルシウムのモル比は、約0.505:1~約0.55:1(1%~10%のモル過剰)であってもよい。
【0024】
式(II)の化合物の変換に用いられる酸化カルシウムの量は、式(II)の化合物に対する酸化カルシウムのモル比として表すことができる。広義には、式(II)の化合物と比較してモル過剰の酸化カルシウムが使用されてもよい。式(II)の化合物に対する酸化カルシウムのモル比は、1:1~1.5:1であるとよい。式(II)の化合物と比較して化学量論的に過剰の酸化カルシウム、すなわち1:1を超えるモル比は、過剰の酸化カルシウムをもたらすであろう。例えば、1.5:1のモル比は50%のモル超過に相当する。式(II)の化合物に対する酸化カルシウムのモル比は、1:1~1.2:1(20%モル超過までの過剰の酸化カルシウム)であるとよい。式(II)の化合物に対する酸化カルシウムのモル比は、約1.01:1~約1.1:1(1%~10%のモル超過)であってもよい。
【0025】
この方法で使用される水の量は、スラリーを形成するのに必要な量である。当業者は、水の量が多すぎて反応容器の容積スループットを破壊することにならないように水の量を調整することができ、また、水の量が少なすぎてスラリーが動かなくなる、すなわち、混合することができないほど少なくならないように、及び/又は、ポンプで送ることができないほど少なくならないように、水の量を調整することができる。一実施形態において、水と酸化カルシウムとの反応から形成される水酸化カルシウムの量は、8%から10%(w/w:重量パーセント濃度)である。別の実施形態において、水と酸化カルシウムとの反応から形成される水酸化カルシウムの量は、10%から30%(w/w:重量パーセント濃度)である。さらに別の実施形態では、水と酸化カルシウムとの反応から形成される水酸化カルシウムの量は、30%~60%(w/w:重量パーセント濃度)である。
【0026】
酸化カルシウム、水及び式(I)又は(II)の化合物は、任意の順序で、1つまたは複数の反応容器内で反応させることができる。例えば、酸化カルシウムと水を第1の反応容器で反応させ、続いて第2の反応容器で式(I)又は(II)の化合物と反応させてもよい。別の実施形態では、反応は単一の反応容器内で起こり得る。例えば、水を単一の反応容器に添加し、続いて酸化カルシウムを添加し、その後に式(I)又は(II)の化合物を添加してもよい。あるいは、酸化カルシウム、続いて水、続いて式(I)又は(II)の化合物を単一の反応容器に加えてもよい。
【0027】
酸化カルシウム、水及び式(I)又は(II)の化合物の1つまたは複数を、1回の添加ではなく、一定期間にわたって添加してもよい。例えば、式(I)又は(II)の化合物は、最大3時間にわたって反応容器に添加してもよい。一実施形態において、式(I)又は(II)の化合物は、30から120分間にわたって反応容器に添加される。さらに別の実施形態において、式(I)又は(II)の化合物は、30分、45分、60分、90分又は120分にわたって反応容器に添加される。
【0028】
本発明の方法は、一般に、反応を進行させるのに十分な温度で行われる。例えば、反応温度は50℃~100℃であるとよい。反応温度は、必要に応じて、加熱コイルまたはマントルを使用するなどの従来の技術によって維持されてもよい。反応時間は、式(I)又は(II)の化合物のカルボン酸カルシウムへの所望の変換を得るのに適した時間である。一般に、反応時間は、反応温度および使用される式(I)又は(II)の化合物を含むプロセスパラメータに応じて変化する。例えば、反応物の添加が完了した後、反応を2時間から4時間、又は2時間から8時間、又は2時間から12時間進行させてもよい。プロセスの規模および必要な資本投資に応じて、本発明のプロセスをバッチ、セミバッチ、又は連続プロセスとして実施することができる。
【0029】
カルボン酸カルシウムを含む反応溶液が得られる反応の完了後、プロセスは、1つ又は複数の副生成物の量の除去をさらに含む。副生成物は、例えば、メタノール又はエタノールであってもよい。また、副生成物は、プロパノールまたはブタノールであってもよい。
【0030】
一実施形態では、反応溶液を加熱して間接の副生成物を蒸留することにより、ある量の副生成物を除去することができる。反応溶液を加熱する温度は、所望の量の副生成物を除去するのに有効な適切な温度であり、その温度は当業者なら容易に明らかにできるであろう。その温度は、例えば、70℃から100℃、または70℃から150℃であるとよい。
【0031】
蒸留の時間サイクルは、蒸留条件及びカルボン酸カルシウム生成物中の残留副生成物の所望のレベルに応じて設定することができ、当業者なら容易に明らかにできるであろう。一実施形態では、窒素ガスを反応溶液の液面より下に導入して、蒸留プロセスを助けるとよい。蒸留された副生成物は、回収及び再利用するのに十分に純粋であるとよい。反応溶液からすべての量の共生成物を除去することは不可能であり、微量の副生成物が反応溶液中に不純物として依然として存在する可能性があることを理解すべきである。一実施形態では、実質的にすべての副生成物が反応溶液から除去される。いくつかの実施形態では、メタノールなどの共生成物の量は、蒸留後の反応溶液中のカルボン酸カルシウムに対して、1%未満、又は0.1%未満、又は0.01%未満、又は0.001%未満であるか、もしくは検出不可能でさえある。
【0032】
蒸留終了後、蒸留中に除去された水の量に応じて、反応溶液中のカルボン酸カルシウムの濃度を調整する必要がある場合がある。例えば、すべてのカルボン酸カルシウムが溶液中にあることを確実にするため、及び/又は、最終生成物が溶液である場合にはカルボン酸カルシウムの濃度を調整するために、濃度調整が必要となる場合がある。濃度調整は、例えば、追加の水または他の希釈剤を反応溶液に添加することによって行うとよい。一実施形態において、炭酸カルシウムの濃度は、水を加えることによって23%から28%(w/w:重量パーセント濃度)に調整される。炭酸カルシウムの濃度は、水を加えることにより、例えば25%又は26%(w/w:重量パーセント濃度)に調整することができる。
【0033】
反応溶液は、必要に応じて中和されるとよく、また必要に応じて濾過されるとよい。言い換えると、反応溶液は、中和のみ、濾過のみ、中和及び濾過の両方を行ってもよく、中和又は濾過を行わなくてもよい。中和(pH調整)と濾過を行う場合、どちらの順番で行ってもよい。
【0034】
一例として、反応溶液は、蒸留後に従来の装置および技術を使用して濾過して、過剰の不溶性酸化カルシウム、粒子表面に吸着され得る他の不純物、使用される反応物に存在する他の不溶性物質、反応中に形成された砂、砂利、小石、炭素質材料、ポリマーなどを除去することができる。濾過後、炭酸カルシウムに対応するカルボン酸でpHを調整して、可溶性カルシウム化合物を中和し(追加のカルボン酸カルシウムを形成し)、生成物の所望のpHに到達するとよい。pHは、例えば、7.0から9.5、7.0から8.0、又は、7.5、又は10.0に調整されるとよい。
【0035】
別の実施形態では、存在する過剰のカルシウム化合物を中和するために、カルボン酸カルシウムに対応するカルボン酸による中和が行われる。次いで、中和された反応溶液の濾過を行い、残存する不溶物を除去する。
【0036】
さらに別の実施形態では、濾過は行われない。蒸留及び任意の濃度調整から得られる反応溶液は、存在する過剰の酸化カルシウムを中和するために、カルボン酸カルシウムに対応するカルボン酸で中和される。
【0037】
濾過および中和操作が行われると、反応溶液は、所望の最終生成物の形態、例えば、溶液生成物または固体生成物に依存するさらなる処理が行われるとよい。溶液製品の場合、カルボン酸カルシウム製品は、任意に、例えば水又はカルボン酸カルシウムを添加することによって調整された濃度を有し、例えば、研磨フィルター又は同等の分離装置を使用して、1つまたは複数の追加の濾過を行ってもよい。
【0038】
固体生成物については、カルボン酸カルシウム生成物を回収して乾燥させてもよい。その回収及び乾燥は、当業者に知られている任意の従来のプロセスを利用して行われてもよい。例えば、噴霧乾燥機を使用して、又は流動層乾燥機で乾燥粒子に噴霧することによって、溶液を直接乾燥させて粉末にすることができる。別の実施形態では、カルボン酸カルシウム生成物は、水の蒸発によって、フィルター又は遠心分離機で収集することによって、及び、湿った固体を乾燥させるために使用される任意の従来の固体乾燥機で最終乾燥させることによって、結晶化されるとよい。
【0039】
固体カルボン酸カルシウムの純度は、FCC 11(「プロピオン酸カルシウム」、Food Chemicals Codex 11、221頁、US Pharmacopeia、2018年)に記載されている標準的なCa?EDTA滴定に従って決定することができる。固体カルボン酸カルシウムの純度は、例えば、95.0%超、98.0%超、98.5%超、99.0%超、又は99.5%超、又は99.9%超であるとよい。
【実施例
【0040】
本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の特定の実施形態を表すものである。
実施例1
<酢酸メチルから酢酸カルシウムへの変換>
【0041】
加熱マントル内に配置され、機械式攪拌機、温度測定用熱電対、及び均圧滴下漏斗を備えた三口丸底フラスコに、15.2g(0.26モル)の石灰(95%;スペシャルティミネラルズ社) を添加し、その後、混合可能なスラリーを作るのに十分な水道水 (159.9g) を加えた。スラリーの温度は45℃を超えなかった。この撹拌されたスラリーに、酢酸メチル(96.4%;積水)40.7g(0.55モル)を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、反応溶液を60℃で2時間保持した後、温度を70℃に昇温して揮発成分を受器に蒸留した。2時間にわたって合計26.5gの蒸留物が集められた。この蒸留物の分析は、カールフィッシャー滴定により11.8gの水を与えた。蒸留物の揮発性有機成分をガスクロマトグラフィーで分析すると、メタノールが11.6g(回収率70%)、未反応の酢酸メチルが3.1gとの結果が得られた。丸底フラスコの残りの内容物のpHは6.7であった。冷却すると、固体が沈殿し、濾過により除去し、オーブンで乾燥して、白色固体として酢酸カルシウム37.9g(92%変換に基づく収率98.3%)を得た。標準的な Ca-EDTA 滴定による分析では、99.8% の純度が得られた。
実施例2
<プロピオン酸メチルからプロピオン酸カルシウムへの変換>
【0042】
加熱マントル内に配置され、機械式攪拌機、温度測定用熱電対及び均圧滴下漏斗を備えた三口丸底フラスコに、1600gの水道水を入れ、続いて127.7g(2.28モル)の石灰 (95%;スペシャルティミネラルズ社) を6分で加えた。この撹拌されたスラリーに、399g(4.53モル)のプロピオン酸メチル(99.95%;熱可塑性アクリル樹脂 Lucite)を0.75時間かけて滴下した。この添加が完了した後、得られた反応溶液を60℃で2時間維持し、pHは12.2であった。38.8gのプロピオン酸を添加してpHを7.2に調整した。反応溶液の温度を95℃に昇温し、揮発成分を受器に蒸留した。6時間にわたって合計575.9gの蒸留物が集められた。この蒸留物の分析は、カールフィッシャー滴定により426.4gの水を与えた。蒸留物の揮発性有機成分をガスクロマトグラフィーで分析すると、メタノールが149.5g(回収率103%)との結果が得られた。蒸留による水の除去を計算して、丸底フラスコの残りの内容物がプロピオン酸カルシウムの26%水溶液であることを確認した。この溶液をケイソウ土で濾過した。冷却すると、固体が沈殿し、濾過により除去し、オーブンで乾燥して、404.3gのプロピオン酸カルシウム(収率95.9%)を白色固体として得た。標準的なCa-EDTA滴定による分析では、99.8%の純度が得られた。
実施例3
<プロピオン酸エチルからプロピオン酸カルシウムへの変換>
【0043】
加熱マントル内に配置され、機械式攪拌機、温度測定用熱電対及び均圧滴下漏斗を備えた三口丸底フラスコに、12.8g(0.2モル)の石灰 (95%;;スペシャルティミネラルズ社) を添加し、続いて、混合可能なスラリーを作るのに十分な水道水 (160.1g) を加えた。スラリーの温度は45℃を超えなかった。この撹拌されたスラリーに、39.7g(0.39モル)のプロピオン酸エチル(99%;アルドリッチ)を2時間かけて滴下した。この滴下が終了した後、反応溶液を85℃で2時間保持し、その後、温度を95℃に昇温して揮発成分を受器に蒸留した。合計52.3gの蒸留物が4時間にわたって集められた。この蒸留物の分析は、カールフィッシャー滴定により35.3gの水を与えた。蒸留物の揮発性有機成分をガスクロマトグラフィーで分析すると、エタノールが17g(回収率95%)との結果が得られた。未反応のプロピオン酸エチルは検出されなかった。濾過によって丸底フラスコから固体を除去し、オーブンで乾燥して、30.4gの本質的に純粋なプロピオン酸カルシウム(収率84%)を白色固体として得た。
実施例4
<ブタン酸メチルからブタン酸カルシウムへの変換>
【0044】
加熱マントル内に配置され、機械式攪拌機、温度測定用熱電対及び均圧滴下漏斗を備えた三口丸底フラスコに、12.7g(0.2モル)の石灰(95%;スペシャルティミネラルズ社) を添加し、続いて、混合可能なスラリーを作るのに十分な水道水(160.1g)を加えた。スラリーの温度は45℃を超えなかった。この撹拌されたスラリーに、40g(0.39モル)のブタン酸メチル(99%;アルドリッチ)を2時間かけて滴下した。この滴下が終了した後、反応溶液を85℃で2時間保持し、その後、温度を100℃に昇温して揮発成分を受器に蒸留した。5時間にわたって合計36.8gの蒸留物が集められた。この蒸留物の分析は、カールフィッシャー滴定により23.5gの水が得られた。蒸留物の揮発性有機成分をガスクロマトグラフィーで分析すると、メタノールが13.3g(回収率105%)との結果が得られた。未反応のメチルブタン酸は検出されなかった。濾過によって丸底フラスコから固体を除去し、オーブンで乾燥して、34.3gの本質的に純粋なブタン酸カルシウム(収率94%)を白色固体として得た。
実施例5
<プロピオン酸メチルからプロピオン酸カルシウムへの大規模変換>
【0045】
12.8kgの石灰(95%;スペシャルティミネラルズ社)を131.9kgの水道水に添加することにより、攪拌機を取り付けた55ガロン(1ガロン=3.785リットル)のポリプロピレンタンク内で石灰スラリーを調製した。この混合スラリーは、攪拌機と凝縮器を備えたジャケット付きの50ガロンのガラスライニング鋼製反応器にポンプで送られた。次いで、この反応器に36.9kgのプロピオン酸メチル(99.95%;熱可塑性アクリル樹脂 Lucite)0.75時間にわたって添加した。この添加が完了した後、反応溶液を65℃で1時間保持した。反応液の温度は65℃を超えず、0.9kgのプロピオン酸の添加によって最終pHを11.3から7.8に調整した。温度が100℃に上昇するにつれて窒素ガスを液面下に50SCFH(Standard Cubic Foot per Hour:標準状態で立方フィート毎時)の速度で導入し、凝縮器を通して揮発性成分を蒸留し、受入容器に入れた。6時間蒸留後、合計111.5kgの留出液を回収し、分析したところ、96.4kgの水、13.4kgのメタノール(100%回収)、及び1.7kgの未反応プロピオン酸メチルであった。蒸留による揮発分の除去は、反応器の残りの内容物がプロピオン酸カルシウムの25%水溶液であることを確認するために計算された。この溶液を珪藻土で濾過した。この溶液には、標準的なCa-EDTA滴定によって測定された純度99.8%のプロピオン酸カルシウム(収率99.5%)が38.8kg含まれていることがわかった。
実施例6
<無水酢酸から酢酸カルシウムへの変換>
【0046】
加熱マントル内に配置され、機械式攪拌機、温度測定用熱電対及び均圧滴下漏斗を備えた三口丸底フラスコに、15g(0.25モル)の石灰(95%;スペシャルティミネラルズ社) を添加し、続いて、混合可能なスラリーを作るのに十分な水道水(159.9g)を加えた。スラリーの温度は65℃を超えなかった。この撹拌されたスラリーに、24.9g(0.24モル)の無水酢酸(99%;フィッシャー Fisher)を2時間かけて滴下した。この添加が完了した後、反応溶液を70℃で4時間維持した。この後、最終反応溶液のpHは12であり、十分な酢酸を添加してpHを7.0に低下させた。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による反応溶液の分析は、本質的に純粋な酢酸カルシウムの水溶液であることを示した。水を蒸発により除去して、38.1gの乾燥酢酸カルシウム(収率98.8%)を本質的に純粋な白色固体として得た。
実施例7
<変換システム>
【0047】
この実施例の反応器システムを図1に示す。このシステムは、50ガロンの反応容器20を有する。水と酸化カルシウムを別の容器(図示せず)で反応させ、スラリーを反応容器20に加える。スラリーポンプ22及び三方弁16により、スラリーを反応容器20に再循環させ、反応容器20に戻して、完全なスラリー形成を確実にすることができる。プロピオン酸メチル(MEP)を反応容器20に供給する。反応容器20の内容物を、攪拌機18を用いて混合する。プロピオン酸を反応容器20に添加して、残留水酸化カルシウムを中和する。
【0048】
反応器の内容物は、一体型蒸気コイル12を使用して加熱される。反応容器20の内容物が加熱されるときに生成される水およびメタノール蒸気は、還流塔30の頂部で凝縮され、凝縮器14からメタノールタンク8に戻される。メタノールと水は、次の連続するバッチにリサイクルされるとよい。メタノールが除去されると、プロピオン酸カルシウム溶液はスラリーポンプ22によってドラムフィルターに移される。三方弁16は、反応容器20に再循環される代わりに、反応容器20からプラントに反応容器の内容物を汲み出すように回すことができる。
【0049】
本発明は、以下の番号付きの条項にも記述される。
1.水と酸化カルシウムを反応させてスラリーを得る工程(a)と、
前記スラリーをプロピオン酸メチルと反応させ、前記酸化カルシウムを前記プロピオン酸メチルと比較してモル過剰量で反応させて、反応溶液を得る工程(b)と、
前記反応溶液を加熱して、前記反応溶液からメタノールを除去する工程(c)と、
十分な量のプロピオン酸を添加することによって前記反応溶液を7.0~9.5のpHに中和する工程(d)と、
前記反応溶液を濾過する工程(e)と、
を有するプロピオン酸カルシウムの製造方法。
2.上記の条項1において、
前記反応溶液の加熱中に前記反応溶液に窒素ガスを添加することをさらに含むプロピオン酸カルシウムの製造方法。
3.上記の条項1において、
濾過された前記反応溶液から前記プロピオン酸カルシウムを固体状態で回収することをさらに含むプロピオン酸カルシウムの製造方法。
4.上記の条項3において、
上記の固体状のプロピオン酸カルシウムが、Ca?EDTA滴定により測定して、98.5%以上の純度レベルを有するプロピオン酸カルシウムの製造方法。
5.上記の条項1において、
前記工程(d)のpHが7.0~8.0であるプロピオン酸カルシウムの製造方法。
6.上記の条項1において、
前記工程(e)の濾過された反応溶液が23%から28%(w/w:重量パーセント濃度)のプロピオン酸カルシウムを含有するプロピオン酸カルシウムの製造方法。
7. 水、酸化カルシウム及び式(I)の化合物を反応させて、反応溶液を得る工程(a)と、
【化4】
前記反応溶液を加熱して、前記反応溶液からある量の副生成物を除去する工程(b)と、
前記反応溶液を濾過する工程(c)
を有し、
前記式(I)のRはC~Cアルキルであり、
前記式(I)のRはC又はCアルキルであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
8.上記の条項7において、
前記酸化カルシウムを前記式(I)の化合物と比較してモル過剰で反応させることを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
9.上記の条項7において、
前記式(I)の化合物はプロピオン酸メチルであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
10.上記の条項7において、
前記式(I)の化合物は、プロピオン酸エチル、酪酸メチル又は酢酸メチルのいずれかであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
11.上記の条項7において、
前記反応溶液の加熱中に窒素ガスを前記反応溶液に添加することをさらに含むカルボン酸カルシウムの製造方法。
12.上記の条項7において、
濾過された前記反応溶液から固体状のカルボン酸カルシウムを回収することをさらに含むことを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
13.上記の条項12において、
Ca?EDTA滴定により測定して、前記固体状のカルボン酸カルシウムが98.5%以上の純度レベルを有するカルボン酸カルシウムの製造方法。
14.上記の条項7において、
十分な量の酸を添加することにより、前記反応溶液をpH7.0~9.5に中和することをさらに含むカルボン酸カルシウムの製造方法。
15.上記の条項14において、
前記pHが7.0~8.0であるカルボン酸カルシウムの製造方法。
16.上記の条項7において、
濾過された前記反応溶液は、23%~28%(w/w:重量パーセント濃度)のカルボン酸カルシウムを含有するカルボン酸カルシウムの製造方法。
17.上記の条項7において、
前記式(I)の化合物が6個未満の炭素原子を有するカルボン酸カルシウムの製造方法。
18.水、酸化カルシウム及び式(I)の化合物を反応させて、反応溶液を得る工程(a)と、
【化5】
前記反応溶液を加熱して、前記反応溶液からある量の副生成物を除去する工程(b)と、
を有し、
前記式(I)のRはC~Cアルキルであり、
前記式(I)のRはC又はCアルキルであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
19.上記の条項18において、
前記式(I)の化合物がプロピオン酸メチルであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
20.上記の条項18において、
加熱後に前記反応溶液から固体状のカルボン酸カルシウムを回収することをさらに含むカルボン酸カルシウムの製造方法。
【符号の説明】
【0050】
8 メタノールタンク
12 一体型蒸気コイル
14 凝縮器
16 三方弁
18 攪拌機
20 反応容器
22 スラリーポンプ
30 還流塔
図1
【誤訳訂正書】
【提出日】2023-04-13
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0020
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0020】
「アルキル」という用語は、特に断らない限り、直鎖又は分枝鎖、非環式又は環状炭化水素基、又はそれらの組み合わせを意味し、これらは完全飽和、一価又は多価不飽和であってもよく、2価及び多価のラジカルを含むことができ、指定された炭素原子数(例えば、C1-10は1~10個の炭素を意味する)を有し、置換または非置換であってもよい。飽和炭化水素基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、シクロヘキシル基、(シクロヘキシル)メチル基、シクロプロピルメチル基、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル等の同族体および異性体が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、並びに高級同族体及び異性体が挙げられる。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0039
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0039】
固体カルボン酸カルシウムの純度は、FCC 11(「プロピオン酸カルシウム」、Food Chemicals Codex 11、221頁、US Pharmacopeia、2018年)に記載されている標準的なCa-EDTA滴定に従って決定することができる。固体カルボン酸カルシウムの純度は、例えば、95.0%超、98.0%超、98.5%超、99.0%超、又は99.5%超、又は99.9%超であるとよい。
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0049
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0049】
本発明は、以下の番号付きの条項にも記述される。
1.水と酸化カルシウムを反応させてスラリーを得る工程(a)と、
前記スラリーをプロピオン酸メチルと反応させ、前記酸化カルシウムを前記プロピオン酸メチルと比較してモル過剰量で反応させて、反応溶液を得る工程(b)と、
前記反応溶液を加熱して、前記反応溶液からメタノールを除去する工程(c)と、
十分な量のプロピオン酸を添加することによって前記反応溶液を7.0~9.5のpHに中和する工程(d)と、
前記反応溶液を濾過する工程(e)と、
を有するプロピオン酸カルシウムの製造方法。
2.上記の条項1において、
前記反応溶液の加熱中に前記反応溶液に窒素ガスを添加することをさらに含むプロピオン酸カルシウムの製造方法。
3.上記の条項1において、
濾過された前記反応溶液から前記プロピオン酸カルシウムを固体状態で回収することをさらに含むプロピオン酸カルシウムの製造方法。
4.上記の条項3において、
上記の固体状のプロピオン酸カルシウムが、Ca-EDTA滴定により測定して、98.5%以上の純度レベルを有するプロピオン酸カルシウムの製造方法。
5.上記の条項1において、
前記工程(d)のpHが7.0~8.0であるプロピオン酸カルシウムの製造方法。
6.上記の条項1において、
前記工程(e)の濾過された反応溶液が23%から28%(w/w:重量パーセント濃度)のプロピオン酸カルシウムを含有するプロピオン酸カルシウムの製造方法。
7. 水、酸化カルシウム及び式(I)の化合物を反応させて、反応溶液を得る工程(a)と、
【化4】
前記反応溶液を加熱して、前記反応溶液からある量の副生成物を除去する工程(b)と、
前記反応溶液を濾過する工程(c)
を有し、
前記式(I)のRはC~Cアルキルであり、
前記式(I)のRはC又はCアルキルであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
8.上記の条項7において、
前記酸化カルシウムを前記式(I)の化合物と比較してモル過剰で反応させることを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
9.上記の条項7において、
前記式(I)の化合物はプロピオン酸メチルであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
10.上記の条項7において、
前記式(I)の化合物は、プロピオン酸エチル、酪酸メチル又は酢酸メチルのいずれかであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
11.上記の条項7において、
前記反応溶液の加熱中に窒素ガスを前記反応溶液に添加することをさらに含むカルボン酸カルシウムの製造方法。
12.上記の条項7において、
濾過された前記反応溶液から固体状のカルボン酸カルシウムを回収することをさらに含むことを特徴とするカルボン酸カルシウムの製造方法。
13.上記の条項12において、
Ca-EDTA滴定により測定して、前記固体状のカルボン酸カルシウムが98.5%以上の純度レベルを有するカルボン酸カルシウムの製造方法。
14.上記の条項7において、
十分な量の酸を添加することにより、前記反応溶液をpH7.0~9.5に中和することをさらに含むカルボン酸カルシウムの製造方法。
15.上記の条項14において、
前記pHが7.0~8.0であるカルボン酸カルシウムの製造方法。
16.上記の条項7において、
濾過された前記反応溶液は、23%~28%(w/w:重量パーセント濃度)のカルボン酸カルシウムを含有するカルボン酸カルシウムの製造方法。
17.上記の条項7において、
前記式(I)の化合物が6個未満の炭素原子を有するカルボン酸カルシウムの製造方法。
18.水、酸化カルシウム及び式(I)の化合物を反応させて、反応溶液を得る工程(a)と、
【化5】
前記反応溶液を加熱して、前記反応溶液からある量の副生成物を除去する工程(b)と、
を有し、
前記式(I)のRはC~Cアルキルであり、
前記式(I)のRはC又はCアルキルであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
19.上記の条項18において、
前記式(I)の化合物がプロピオン酸メチルであるカルボン酸カルシウムの製造方法。
20.上記の条項18において、
加熱後に前記反応溶液から固体状のカルボン酸カルシウムを回収することをさらに含むカルボン酸カルシウムの製造方法。
【国際調査報告】