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特表2023-541983シクロプロパン化ビャクダン型化合物
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  • 特表-シクロプロパン化ビャクダン型化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】シクロプロパン化ビャクダン型化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 33/12 20060101AFI20230927BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20230927BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C07C33/12 CSP
C11B9/00 D
C11D3/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517846
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021075833
(87)【国際公開番号】W WO2022058595
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/076140
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカラン,ヴィジャヤナンド
(72)【発明者】
【氏名】ヘルシャー,ベルント
【テーマコード(参考)】
4H003
4H006
4H059
【Fターム(参考)】
4H003FA26
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB14
4H006FC22
4H006FC74
4H006FE11
4H059BA14
4H059BB14
4H059BB19
4H059BB43
4H059BC10
4H059CA36
4H059DA09
4H059EA36
(57)【要約】
本発明は芳香の分野にあり、ビャクダン系の香調を伴い、酸安定性が改善されたカンホレンアルデヒド由来の一般式(I)に係る新規の芳香化合物に関する。さらに、本発明は本発明の化合物の1以上を含む芳香組成物にも関する。さらに、本発明は匂い物質としての、または芳香化合物もしくは芳香組成物の定着性を改善するための、と同様に香料入り製品を調製するためのこれら化合物または芳香組成物の使用に関する。加えて、本発明は香料入り製品を調製するための、と同様に香料入り製品自体としての前記化合物または組成物の使用にも言及する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

の化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物であって、
式中、RはHまたはアルキル基を表し;その際、点線の位置にて独立して単結合、C=C二重結合、またはシクロプロパン環のいずれかがあり;
前記化合物は少なくとも1つのシクロプロパン環を含む、前記化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物。
【請求項2】
式(II):
【化2】

に記載の化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物であり、
式中、RはHまたはアルキル基を表す、請求項1に記載の化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物。
【請求項3】
式(III):
【化3】

に記載の化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物であり、
式中、RはHまたはアルキル基を表す、請求項1に記載の化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物。
【請求項4】
式(IV):
【化4】

に記載の化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物であり、
式中、RはHまたはアルキル基を表す、請求項1に記載の化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物。
【請求項5】
式(V):
【化5】

に記載の化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物であり、
式中、RはHまたはアルキル基を表す、請求項1に記載の化合物、または前記化合物の混合物、または前記化合物の立体異性体、または前記異性体の混合物。
【請求項6】
前記アルキル基がメチル基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Rが水素原子を表す、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、
(a)純粋な光学的に活性があるエナンチオマー;
(b)前記エナンチオマーのラセミ混合物;または
(c)種々のエナンチオマーの光学的に活性がある混合物
の形態で存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物と少なくとも1つのさらなる芳香物質とを含む芳香組成物。
【請求項10】
匂い物質もしくは芳香化合物としての、または芳香化合物の定着性を改善するための、または香料入り製品の調製のための、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物の使用、または請求項9に記載の芳香組成物の使用。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物または請求項9に記載の芳香組成物を含む、香料入り製品。
【請求項12】
有効量の請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物または請求項9に記載の芳香組成物と、担体または支持体とを含む、香料入り製品。
【請求項13】
前記香料入り製品が香油、香料基剤、個人衛生用の製剤、洗浄剤または空気清浄剤である、請求項11に記載の香料入り製品、または請求項12に記載の香料入り製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香の分野にあり、ビャクダン系の香調を持ち、酸性条件に対して安定性が改善されたカンホレンアルデヒドに由来する一般式(I)に係る新規の芳香化合物に関する。さらに、本発明はまた、本発明の化合物の1以上を含む芳香組成物にも関する。さらに、本発明は、匂い物質として、または芳香化合物もしくは芳香組成物の定着性を改善するための、と同様に香料入り製品の調製のためのこれらの化合物または芳香組成物の使用に関する。加えて、本発明はまたそれゆえ、香料入り製品の調製のための前記化合物または組成物の使用、と同様に前記香料入り製品自体にも言及する。
【化1】
【背景技術】
【0002】
ビャクダンは最も古くから知られている芳香材の1つであり、且つ未だに香水産業で使用されている最も人気がある芳香材の1つである。それは元々ビャクダンの樹木から抽出することによってインド、セイロン及びインドネシアで産出されていた。高い需要に見合うために、且つビャクダン油の天然源の世界中の減少を踏まえて、匹敵する匂い特性を持つ多数の合成で作り出した芳香が過去に製造された。
【0003】
α-カンホレンアルデヒド(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテンアセトアルデヒド,C1016O)はこれらのいわゆる「カンホレンビャクダン」アロマケミカル用の出発物質として役立つことが多い。
【0004】
例えば、DE3441902C1は、カンホレンアルデヒドと脂肪族アルデヒドのアルドール縮合生成物の水素化ホウ素ナトリウムを使用する還元によって得られるβ,γ-不飽和2,2,3-トリメチルシクロ-ペント-3-エニル、及び特に対応するα,β-不飽和アルコールと組み合わせたときの匂い物質としてのその使用を開示している。これらの化合物は木のような・動物のような匂い及び軟らかい果実のような匂いを呈することが見いだされた。
【0005】
ビャクダンの匂いはわずかな構造変化に反応しやすく、例えば、芳香材の持続性はシクロプロパン化によって高めることができることがさらに見いだされた。
【0006】
例えば、EP0801049B1は、分子にて少なくとも1つのシクロプロパン環と飽和または不飽和であり、それぞれα,β位またはβ,γ位に二重結合を1つ含有する側鎖とを含むカンホレンアルデヒドに由来する新規の匂い物質を記載している。そこで得られる分子は種々の木の匂い態様を呈し、そのほとんどはビャクダンの匂いをもたらすが、一部はシクロプロパン化に応じて木のようで/薫陸香のようでもある。さらに、[1-メチル-2-[(1,2,2-トリメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル)メチル]シクロ-プロピル]メタノール(Javanol(登録商標)、ジボダン(Givaudan)としても知られる)及び特にその特定のジアステレオマーの1つは天然の、強力な且つ持続性のビャクダンの匂いを有することが見いだされた。
【0007】
WO2017/024126A1は香味成分または芳香成分の調製のためのジハロメタンを使用する置換されたアルケンのシクロプロパン化のプロセスに言及し、前記芳香材[1-メチル-2-[(1,2,2-トリメチル-3-ビ-シクロ[3.1.0]ヘキサニル)メチル]シクロプロピル]メタノール(Javanol(登録商標)、Givaudan)の効率的な調製を議論している。
【0008】
しかしながら、ビャクダンに似た匂いがある合成物質を探し求めることは今でも高度であり、さらに、例えば、高い持続性、低い匂い閾値、高い効果、すなわち、匂い強度及び実質性、と同様に十分な化学安定性のような匹敵する二次的な嗅覚特性を持つ、好ましくは天然のビャクダン油の特性よりも優れている新しい芳香化合物はすべて探し求められている。
【0009】
特に、製品調合の中で芳香材の安定性を保証するので、香料入り製品自体の安定性を保証し、同様にして一貫した匂いを持つ(すなわち、高い匂い安定性)高い製品品質を確保するために十分な化学安定性が必要である。芳香材の分解は望ましくない外れた香調や、色彩などの変化の原因となり得る。特定の芳香材はpH範囲全体にわたって、特に酸性環境では安定ではなく、トイレ洗浄剤の調合のような酸性調合に特定の芳香を組み込むのは難しく、それら芳香材の適用可能性は制限されていることがさらに知られている。ヒトの皮膚表面は平均で5を下回る酸性pH値を示すので、これらの芳香化合物を酸性の製品調合に組み込むだけでなく、匂い物質としてのまたは芳香組成物自体におけるそれらの使用も難題である可能性がある。したがって、芳香材は皮膚と反応すべきではなく、または分解すべきではないので、芳香材等の嗅覚特性及び二次特性に変化をもたらすべきではない。
【0010】
しかしながら、Javanol(登録商標)(Givaudan)は酸性条件下で化学的に安定ではないことが見いだされた。
【0011】
したがって、本発明の主要な目的は、天然のビャクダン油の匂い特性によく似ている高い嗅覚特性を同時に示し、且つ改善された定着性/持続性を同時に示す一方で高い化学安定性、特に酸性環境での高い安定性を示す新しいビャクダン芳香化合物を提供することである。
【0012】
今や驚くべきことに、少なくとも1つのシクロプロパン置換基を含む一般式(I)に係る新しいα-カンホレンアルデヒド系化合物は顕著な天然の、バランスが取れた及び強烈なビャクダン油の匂い、と同様に酸性環境での高い化学安定性及び強化された持続性を有することが見いだされているので、広範囲の適用に好適な優れた芳香材を提供する。
【発明の概要】
【0013】
第1の態様では、本発明は一般式(I):
【化2】

の化合物、または上記化合物の混合物、または上記化合物の立体異性体、またはこれら立体異性体の混合物に関するものであり、
式中、RはHまたはアルキル基を表し、好ましくはHまたはメチル基を表し;その際、点線の位置にて独立して単結合、C=C二重結合、またはシクロプロパン環のいずれかがあり;
該化合物は少なくとも1つのシクロプロパン環を含む。
【0014】
第2の態様では、本発明は本発明に係る少なくとも1つの化合物と少なくとも1つのさらなる芳香物質とを含む芳香組成物に関する。
【0015】
第3の態様では、本発明は、匂い物質もしくは芳香化合物としての、または芳香化合物もしくは芳香化合物を含む組成物の定着性を改善するための、または香料入り製品の調製のための本発明に係る化合物の使用、または本発明に係る化合物を含む組成物の使用に関する。
【0016】
別の態様では、本発明は本発明に係る化合物、または本発明に係る化合物を含む芳香組成物を含む香料入り製品に関する。
【0017】
さらに別の態様では、本発明は本発明に係る化合物を含む、または有効量の本発明に係る化合物と担体もしくは支持体とを含む芳香組成物を含む香料入り製品に関する。
【0018】
最後に、本発明は本発明に係る化合物または本発明に係る化合物を含む芳香組成物を含むと定義されるような香料入り製品に関するものであり、該香料入り製品は香油、香料基剤、個人衛生用の製剤、洗浄剤または空気清浄剤である。
【0019】
本発明者らは今や、少なくとも1つのシクロプロパン官能基化を含む、さらに具体的に好ましくは1または2のシクロプロパン官能基化(複数可)を含む、一般式(I)に係る新しいシクロプロパン化化合物が、顕著に低い匂い閾値及び高い持続性と共に木のような、若葉の、花のような及び果実のような香調を持つ顕著なビャクダン様の匂いを有することを立証した。さらに、本発明に係る化合物は酸性条件下(且つ高温で)改善された化学安定性を示し、種々の適用、とりわけ、酸性調合への芳香成分の組み込みに好適な効率的な芳香材または芳香成分の提供を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】酸性条件下での一般式(I)の本発明の化合物と市販の[1-メチル-2-[(1,2,2-トリメチル-3-ビ-シクロ[3.1.0]ヘキサニル)メチル]シクロプロピル]メタノール(Javanol(登録商標)、Givaudan)の化学安定性の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によれば、上記目的は一般式(I):
【化3】

の化合物、または上記化合物の混合物、または上記化合物の立体異性体、またはこれら立体異性体の混合物によって達成され、
式中、Rは水素原子(H)またはアルキル基を表し、好ましくはRはHまたはメチル(CH)基を表し;その際、点線の位置にて独立して単結合、C=C二重結合、またはシクロプロパン環のいずれかがあり;
該化合物は少なくとも1つのシクロプロパン環を含む。
【0022】
一般式(I)の化合物は、木のような、花のような、若葉の及び果実のような香調と同様に顕著な持続性を伴う天然のビャクダン油の匂い特性によく似た傑出した、バランスの取れた且つ特徴的な匂い特性を有する。果実のような且つ若葉の態様は最新技術のビャクダン芳香では観察されず、さらに複雑で天然の匂い特性をもたらしている。天然のビャクダン油の香調は、サンタロール、シダーウッド油もしくはユソウボク油を、または甘い、バルサムのような、ややコハクの、香ばしいもしくは動物の香調を思い出させる多数の異なる匂い香調、または新しく加熱した牛乳を思い出させる牛乳のような香調の結果である。しかしながら、市販のビャクダンの芳香は一般に、柔らかい、クリーミィで甘い香調を伴うむしろ深く温かい木の香りを有し、天然のビャクダン油ほど複雑ではないと記載されている。ビャクダン科由来の現在利用可能な合成芳香材のうちどれも本発明に係る物質で見いだされるもののような清新な微妙な差異を示すものはない。追加の果実のようで若葉の微妙な差異に基づいて、現在開発されている化合物は、二次特性が強化され、高められ且つ複雑で、バランスが取れた匂い特性を持つので、広範囲の調合に有利に組み込んでさらに新鮮で鮮やかな香りを作り出すことができる若葉の且つ果実のような調和を加えるさらに天然の匂い特性を持つ代替芳香材としての使用に好適である。したがって、本発明は、独特であり、過去または今までに観察されていない、木のようなビャクダンと一緒に若葉の且つ果実のような香調を提供する。
【0023】
さらに、本明細書に記載されている化合物は低濃度で使用するときでさえ高い嗅覚強度を有する。加えて、特に酸性条件下(且つ高温)での傑出した化学安定性と同様にその高い持続性が本発明に係る化合物の利点である。したがって、これらの化合物は芳香としてまたは芳香混合物にて、及びこれらの芳香もしくは芳香混合物を含む調製物での使用に高度に好適である。
【0024】
驚くべきことに、ブチル鎖内の官能基化の位置は生成物の化学安定性に主として影響を及ぼすことが見いだされた。最良の安定性及び同時に最良の嗅覚特性(持続性、強度、閾値)は、シクロプロパン官能基化(複数可)が一般式(I)にて示されるような位置に位置づけられる物質に見いだされた。
【0025】
それによって、一般式(I)におけるブチル鎖C1~C4は4炭素の鎖と定義される。一般式(I)では、ブチル鎖は2つの末端炭素原子のうち一方にてシクロペンタン環に接続し、他方の末端炭素原子(すなわち、C1で示される炭素原子)にてヒドロキシル基(-OH基)に接続するn-ブチル鎖-CH-CH-CH-CH-である。
【0026】
一般式(I)では、RはHまたはアルキル基のいずれかを表す。
【0027】
好ましくは、アルキル基は、メチル、またはさらに高級の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル鎖、例えば、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、もしくはイソブチル基から成る群から選択される。さらに好ましくは、アルキル基は、それらがさらに天然で強烈なビャクダンの芳香と同様に強化された強度及び化学安定性を有する化合物をもたらすので、Hまたはメチル基のいずれかである。これらの化合物は化学安定性の増大、及び若葉で果実のような香調を伴った最もバランスの取れた且つ天然のビャクダン様の匂い特性を示す。
【0028】
したがって、好ましい変異形では、一般式(I)の化合物は、置換基RとしてC2位にてブチル鎖C1~C4に結合されたメチル基を含む。
【0029】
驚くべきことに、これらの化合物は天然のビャクダン様の匂いを示し、酸性環境にて広い温度範囲にわたって、特に室温前後の温度(RTP)で化学的に安定であることがさらに見いだされた。
【0030】
しかしながら、嗅覚特性(匂い特性、実質性及び強度/匂い検出の閾値)と化学安定性の最良の組み合わせは式(I)の実施形態によって達成されたが、その際、Rは水素残基(H)を表す。並外れて低い閾値に起因して、本発明に基づいて並外れて効率的な芳香材を提供することができる。
【0031】
したがって、さらに別のさらに好ましい変異形では、一般式(I)の化合物は置換基RとしてC2位にてブチル鎖C1~C4に結合された水素残基を含む。
【0032】
上記(すなわち、R)にかかわらず、一般式(I)ではブチル鎖C1~C4及び/またはシクロペンタン環における点線の位置にて互いに独立してC-C単結合、C=C二重結合またはシクロプロパン環のいずれかが存在する。点線は構造式にてこれらの選択肢を表現する最も簡潔な方法である。意味も当業者に明らかであり、その実施形態は実施例から特定することができる。
【0033】
しかしながら、一般式(I)の化合物は、果実のようで若葉の香調と酸性条件下での高い化学安定性と共に強化された持続性及びさらに顕著なビャクダン様の匂い特性をもたらす少なくとも1つのシクロプロパン環を含む。
【0034】
しかしながら、好ましくは一般式(I)の化合物は点線で示す双方の位置にて2つのシクロプロパン環を含み、すなわち、点線で示す双方の位置はシクロプロパンの官能基化を表すことができ、清新な香りを伴う高い匂い特性を確保する一方で持続性の増大と高い強度を可能にする。
【0035】
したがって、好ましい変異形では、本発明は第1の態様に係る、さらに具体的には一般式(II):
【化4】

に係る化合物、または上記化合物の混合物、または上記化合物の立体異性体、またはこれら立体異性体の混合物にも言及し、式中、RはHまたはアルキル基を表し、好ましくはRはHまたはメチル基を表す。
【0036】
それによって、置換基Rは上記に示す官能性を有することができる。しかしながら、最良の嗅覚効果及び安定性はRがHまたはメチル基のいずれかを表す化合物について達成された。Rは好ましくは水素原子を表すべきであり、清新な若葉の且つ果実のような香調と共にさらにビャクダン様の匂い特性をもたらすことがさらに見いだされた。したがって、本発明のさらに特に好ましい実施形態はRが水素原子を表す式(I)の化合物に関する。
【0037】
2つのシクロプロパン機能を示す化合物は優れた匂い検出閾値(「ODT」値として以下に略記される)と同様に酸性環境にて並外れて高い化学安定性をもたらすことが見いだされた。さらに、本発明者らはこれらの分子が高い持続性を伴った強烈な匂い特性と同様に主にビャクダンの、木のような、若葉の、花のような、果実のような、及びクリーミィな香調を示すことを実証してもよい。したがって、本発明の特に好ましい実施形態は、分子がジシクロプロパン化されている、すなわち、シクロペンタン環内の点線の位置にて、と同様に一般式(I)のブチル鎖C1~C4にてシクロプロパンの官能基化がある一般式(II)の化合物を説明している。
【0038】
別の好ましい変異形では、一般式(I)に係る化合物はモノシクロプロパン化されている、すなわち、一般式(I)に係る化合物は嵩高いシクロペンタン部分内の分子の遠位端にて、または分子のC1~C4のブチル鎖内の近位位置にてのいずれかで点線の位置の一方でたった1つのシクロプロパン環を含む。この場合、シクロプロパン化を表さないそれぞれ他の点線の位置ではC-C単結合またはC=C二重結合のいずれかがある。
【0039】
しかしながら、好ましい変異形では、本発明に係るモノシクロプロパン化された化合物は分子で示される他の点線の位置にてC=C二重結合を含む。
【0040】
したがって、好ましい変異形では、本発明はC1~C4ブチル鎖内の点線の位置にC=C二重結合がある一方で、シクロペンタン部分内の点線の位置にシクロプロパン環がある、一般式(I)に係る化合物に言及する。
【0041】
したがって、本発明の好ましい変異形では、第1の態様に係る、さらに具体的には一般式(III):
【化5】

に係る化合物、または上記化合物の混合物、または上記化合物の立体異性体、またはこれら立体異性体の混合物が説明され、式中、RはHまたはアルキル基を表し、好ましくはRはHまたはメチル基を表す。
【0042】
それによって、置換基Rは上記で示す官能性を有することができる。しかしながら、最良の嗅覚効果及び安定性はRがHまたはメチル基のいずれかを表す場合に達成されたが、R=Hが好ましい。Rが水素残基を表す一般式(III)に係る化合物では、得られる匂い特性はさらに強烈であり、さらに清新な若葉で果実のような香調を示し、さらに複雑で心地良い香りをもたらす。加えて、これらの化合物についてはさらに低いODT値が観察されたが、それはさらに効率的な芳香材を達成するのを可能にする。
【0043】
さらに、これらの化合物は、高い匂い強度及び持続性と共にビャクダン様の、木のような、若葉で果実のような匂い特性を有する一方で、同時に酸性条件下で高い化学安定性を示すことが見いだされた。
【0044】
本発明の代替の変異形では、一般式(I)の化合物はC1~C4ブチル鎖内の点線の位置にてシクロプロパン環と、シクロペンタン部分内の点線の位置にてC=C二重結合とを含む。
【0045】
したがって、本発明の代替の変異形は、第1の態様に係る、さらに具体的には一般式(IV):
【化6】

に係る化合物または上記化合物の混合物、または上記化合物の立体異性体、またはこれら立体異性体の混合物に言及し、式中、RはHまたはアルキル基を表し、好ましくはRはHまたはメチル基を表す。
【0046】
それによって、置換基Rは上記に示す官能性を有することができる。しかしながら、最良の嗅覚効果及び安定性はRがHまたはメチル基のいずれかを表すときに達成された。一般式(III)の化合物に匹敵して、一般式(IV)の化合物については最良の主要な及び二次的な嗅覚特性はRが水素残基を表せば観察された。
【0047】
また、これらの化合物は嗅覚プロファイル及び酸性環境での化学安定性という点で優れた主要な及び二次的な芳香特性を示すことが見いだされた。
【0048】
その結果、好ましい変異形では、一般式(I)の化合物は
(a)シクロプロパン環、及び
(b)二重結合から成る群から選択される少なくとも2つの官能基を含む一方で、化合物はそれぞれ式(II)、(III)または(IV)に係る少なくとも1つのシクロプロパン官能基を含む。
【0049】
本発明の代替の変異形は、本発明は、例えば、一般式(V):
【化7】

に係る化合物のような一般式(I)に係る一官能基化された化合物または上記化合物の混合物、または上記化合物の立体異性体、またはこれら立体異性体の混合物に関するものであり、式中、RはHまたはアルキル基を表し、好ましくはRはHまたはメチル基を表す。
【0050】
それによって、置換基Rは上記に示す官能性を有することができる。しかしながら、最良の嗅覚効果及び安定性はRがHまたはメチル基のいずれかを表すときに、一層さらに好ましいHを表すときに達成された。一般式(III)及び(IV)の化合物に匹敵して、一般式(V)の化合物については最良の主要な及び二次的な嗅覚特性はRが水素残基を表せば観察された。
【0051】
さらに、少なくとも1つのシクロプロパンの官能性を示す一官能基化された化合物は並外れた嗅覚特性及び二次特性を示すことが見いだされた。上記式(V)に係る化合物はシダーウッド、ビャクダン、クリーミィとして説明され得る強烈な匂いを示す。
【0052】
本発明の別の代替実施形態では、モノシクロプロパン化した化合物は嵩高のシクロペンタン部分内でシクロプロパンの官能性を呈し、同様に優れた香り特性を示す。
【0053】
カンホレンアルデヒド(カンホレンアルデヒド)はキラル中心を含んでもよく、だから異性体の純粋な形態として、または立体異性体の混合物にて、特に、それを調製するための出発物質として使用されるα-ピネンの特定の異性の官能基としてエナンチオマーにて存在してもよい。これは、カンホレンアルデヒド(カンホレンアルデヒド)に由来する化合物がさまざまな立体異性体形態でも生じ得ることを意味している。その結果、本説明にて一般式(I)の化合物を参照するときはいつでも、これは、異性体として純粋な立体異性体またはそれらの立体異性体のいずれかの混合物に対して差別せずに、立体異性体すべて、特にエナンチオマーすべてに言及すると見なされる。経済的な理由で、立体異性体の混合物として、特にエナンチオマーの混合物として化合物を使用することが好ましい。同じことが、一般式(II)、(III)及び(IV)ならびに一般式(V)の一官能基化化合物について真実である。
【0054】
一般式(I)の化合物及び式(II)、(III)及び(IV)と同様に(V)に係る化合物はしたがって、
(a)純粋な光学活性があるエナンチオマー;
(b)エナンチオマーのラセミ混合物;または
(c)種々のエナンチオマーの光学活性がある混合物
の形態で存在する。
【0055】
したがって、本発明または、上記化合物のいずれかの混合物及び/または上記立体異性体のいずれかの混合物、と同様に本出願の意図におけるそのような化合物及び/または混合物の使用も開示する。
【0056】
さらにこの文脈で、本発明はまた、一般式(I)に係る、さらに具体的には一般式(II)、(III)、(IV)及び/または(V)に係る化合物の単一の異性体形態も開示する。一般式(II)に係る化合物の単一の異性体形態を例示的に以下に示す:
【化8】
【0057】
類似して、単一の異性体構造は一般式(I)、(III)及び(IV)の化合物、と同様に化合物(V)について導き出すことができる。
【0058】
一般に、本発明の文脈では、「式(I)の化合物」という用語は式(I)の個々の化合物(と同様にその異性体形態)及び式(I)の化合物(及びその異性体形態)の任意の混合比での混合物の双方を意味する。換言すると、「式(I)の化合物」に関する以下の説明における言及は、式(I)の単一化合物、単一異性体形態ならびに式(I)の化合物及びそれらの異性体形態から成るまたはそれらを含む、任意の混合比での混合物に適用される。同じ定義は式(II)、(III)及び/または(IV)及び/または(V)の化合物に適用される。したがって、本発明は、例えば、本発明に係る個々の化合物と同様に化合物の混合物のような、本発明に係る化合物に関する。
【0059】
加えて、鎖分岐の位置にて、すなわち、一般式(I)~(V)のC2及びC3として示すC原子の位置にて追加のキラル中心が存在し得る。さらに、一般式(I)、及び特に式(III)または(IV)及びそれに含有されるC=C二重結合を参照して、化合物は任意で幾何異性体の形態、すなわち、Z配置及び/またはE配置にて存在する。
【0060】
一般式(I)の化合物は予想外に、清新で若葉の且つ果実のような香調を伴うビャクダンの天然の木のような匂い特性の複雑さによく似た強烈でバランスの取れた匂い特性(主要な特性)、特に強力でバランスの取れたビャクダンの香調を持ち、同時に酸性条件下で高い化学安定性を示す。特に、一般式(I)の新しいアルコール及びさらに具体的には一般式(II)、(III)及び(IV)のアルコールと同様に一般式(V)の一官能基化された化合物は、驚くほど高い持続性と併せた強烈で天然のビャクダン系の、木のような、若葉の且つ果実のような匂い特性を示す。
【0061】
特に、一般式(II)の化合物は清新で若葉の且つ果実のような特徴と共に天然で強烈なビャクダンの香調を示す。さらに、これらの化合物は酸性環境にて極度に高い強度及び高い化学安定性を示す。したがって、一般式(II)の化合物は芳香化合物としての使用及び香料入り製品の調製、特に酸性調合における調製について特に興味深い。
【0062】
一般式(I)の新規化合物の間で、点線で示す双方の位置にてシクロプロパン官能基化を有するそれらの化合物、すなわち、一般式(II)に係る化合物は、例えば、Javanol(登録商標)(Givaudan)のような市販のシクロプロパン化ビャクダン型芳香材と比べて優れている、低いODT値、高い持続性及び酸性条件下での高い化学安定性と共に特に強烈なビャクダン系の香調を有する。その結果、これらの化合物は優れた芳香材を提供するために必要とされる優れた主要特性及び二次特性を示す。この事実は、一般式(I)の新規化合物、特に一般式(II)の化合物及び従来技術の化合物の分子構造の間に存在する類似性を考慮すると驚くと思われてもよいが、化合物の匂いは構造的変異に高度に敏感である。
【0063】
したがって、これらのジシクロプロパン化化合物は上記で示すように本発明の範囲内で特に好ましい。
【0064】
Rが水素原子(化合物3b)またはメチル基(化合物3a)のいずれかを表す一般式(I)に係る、さらに具体的には一般式(II)に係るジシクロプロパン化化合物とJavanol(登録商標)(Givaudan)との対応するODT値の直接的な比較は、本発明の化合物が市販のビャクダン芳香と比べて匹敵するまたはさらに良好な閾値を呈することを示している(表1を参照のこと)。
【0065】
匂い検出閾値は、標準条件下にて知覚できるのでブランク参照から確実に区別することができる特定の匂い化合物(気体状の、知覚的に活性がある物質)の最低濃度として定義される。一般に、強烈な匂い印象を達成するのに少量の対応する芳香化合物で済めば香り付けに全体として少量を使用することができるので、さらに低いODT値が好ましい。しかしながら、閾値は、例えば、濃度、溶解度、空気と嗅覚活性物質との間の分配係数、蒸気圧などのような種々の因子に依存するので、物質、すなわち、芳香材のODTに言及する予測は行うのが難しい。ODTは嗅覚計TO8及びDIN標準EN13725に係る少なくとも4人の専門家のパネルを使用して測定した。
【0066】
驚くべきことに、一般式(I)、さらに具体的には一般式(II)の化合物は高い濃度/強度での天然で複雑なビャクダン様の匂いを発することが見いだされた。傑出した強度を考慮して特に好ましいのは、Rが水素原子を表す一般式(II)に係る化合物(化合物3b)である。
【0067】
市販のジシクロプロパン化ビャクダン芳香物質であるJavanol(登録商標)(Givaudan)と比べて、化合物3bは約6.5の倍数によって実質的に低い閾値を示すのでその高い強度によって区別される。したがって、比較的強烈な、天然の木のような及びビャクダン様の香調を達成するのに必要なのはさらに少量の化合物である。その結果、本発明の化合物は芳香材としてさらに効率的である。
【0068】
【表1】
【0069】
したがって、表1によれば、一般式(II)に係る現下の化合物3bは並外れたODT値及び高い持続性を考慮して最も好ましい化合物である。
【0070】
本発明に係る一般式(I)と同様に一般式(II)~(V)の化合物は、個々の物質として、または多数の芳香混合物にて利用可能な広範囲の天然の及び合成の物質から選択される少なくとも1つの他の既知の芳香物質との混合物にて、及び/または芳香組成物における匂い物質と併せて従来使用される1以上の成分もしくは賦形剤、例えば、当該技術分野で一般に使用される担体物質及び他の補助剤との混ぜものにて使用することができる。
【0071】
一般式(I)、さらに具体的には一般式(II)、(III)及び(IV)に係る新規化合物、と同様に一般式(V)の一官能基化された化合物の嗅覚特性は、多数の天然のまたは合成の芳香物質と調和する。したがって、興味深いが、天然の新規の且つ独創的な芳香の香調を持つ長く続き且つ強烈な芳香組成物を作り出すために、特にその高い持続性と低い閾値を考慮して、本発明に係る少なくとも1つの化合物と少なくとも1つのさらなる芳香物質とを含む芳香組成物の調製にそれらを有利に使用することができる。特に、現在記載されている化合物は、若葉の且つ果実のような特徴を持つさらに清新な香調を種々の調合に加えて、むしろ生々しく濃厚である市販のビャクダン系製品と比べてさらに清新で鮮やかな且つさらにバランスの取れた匂い特性をもたらすのに有利に使用することができる。加えて、本化合物によって、酸性条件下でのその化学安定性の増強に起因してpHが約5~5.8である精油様の柑橘油のような天然の酸性成分を含む調合が可能になる。
【0072】
したがって、第2の態様では、本発明は本発明に係る少なくとも1つの化合物と少なくとも1つのさらなる芳香物質とを含む芳香組成物に言及する。
【0073】
以下の特定された芳香物質は、個々の物質として、または少なくとも1、2、3またはそれ以上の芳香物質との混合物にて、広範囲の天然の及び合成の物質から選択される多数の芳香混合物にて使用することができる。
【0074】
組み合わせるのに有利に好適である芳香物質は、例えば、S.Arctander,Perfume and Flavor Materials,volumes I and II,Montclair,N.J.1969,private publication,及び/またはH.Surburg,J.Panten,Common Fragrance and Flavor Materials,6th edition,Wiley-VCH,Weinheim,2016にてリストにされている。以下のリストは本発明の化合物及びそれらの混合物と組み合わせるのに有利に好適である既知の匂い物質の例を含む:
精油、コンクリート、アブソリュート、樹脂、樹脂状物質、バルサム、チンキ剤のような天然原料の抽出物、例えば;
アンバーグリスチンキ剤;アミリス油;アンゼリカ種子油;アンゼリカ根油;アニス油;バレリアン油;バジル油;フロウソウアブソリュート;ベイ油;オウシュウヨモギ油;ベンゾイン樹脂;ベルガモット油;蜜蝋アブソリュート;バーチタール油;ビターアーモンド油;セイボリー油;ブッコリーフ(bucco leaf)油;カブレウバ油;カデ油;ショイウブ油;ショウノウ油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カッシア油;カッシーアブソリュート;カストリウムアブソリュート;ニオイヒバ油;セダーウッド油;シスタス油;シトロネラ油;レモン油;コパイババルサム;コパイババルサム油;コリアンダー油;コスタス根油;クミン油;イトスギ油;ダバナ油;ディルウッド油;ディル種子油;オーデブルーツ(Eau de brouts)アブソリュート;オークモスアブソリュート;エレミ油;タラゴン油;ユーカリレモン油;ユーカリ油;フェンネル油;パインニードル油;ガルバナム油;ガルバナム樹脂;ゼラニウム油;グレープフルーツ油;グアイアクウッド油;グルユンバルサム;グルユンバルサム油;ヘリクリサムアブソリュート;ヘリクリサム油;ショウガ油;アヤメ根アブソリュート;アヤメ根油;ジャスミンアブソリュート;カラマス油;カモミール油ブルー;ローマンカモミール油;ニンジン種子油;カスカリラ油;松葉油;スペアミント油;キャラウエイ油;ラブダナム油;ラブダナムアブソリュート;ラブダナム樹脂;ラバンジンアブソリュート;ラバンジン油;ラベンダーアブソリュート;ラベンダー油;レモングラス油;ロベージ油;蒸留ライム油;圧搾ライム油;リナロエ油;アオモジ油;ローリエ油;マシス油;マジョラム油;マンダリン油;マッソイア樹皮油;ミモザアブソリュート;アンブレット油;ムスクチンキ;マスカットセージ油;ナツメグ油;ミルラアブソリュート;ミルラ油;マートル油;クローブリーフ油;クローブ芽油;ネロリ油;オリバナムアブソリュート;オリバナム油;オポパナクス油;オレンジフラワーアブソリュート;オレンジ油;オレガノ油;パルマローザ油;パチュリ油;エゴマ油;ペルーバルサム油;パセリ葉油;パセリ種子油;プチグレイン油;ペパーミント油;コショウ油;ピメント油;パイン油;ペニーロイヤル油;ローズアブソリュート;ローズウッド油;ローズ油;ローズマリー油;セージ油ダルマチアン;セージ油スパニッシュ;ビャクダン油;セロリ種子油;スパイクラベンダー油;スターアニス油;エゴノキ油;マンジュウギク油;ファーニードル油;ティーツリー油;テレビン油;タイム油;トルーバルサム;トンカアブソリュート;チュベローズアブソリュート;バニラ抽出物;バイオレットリーフアブソリュート;バーベナ油;ベチベル油;ジュニパーベリー油;コニャック油;ヨモギ油;ウインターグリーン油;イーラン油;ヒソップ油;シベットアブソリュート;シナモン葉油;シナモン樹皮油;及びそれらの画分またはそれらから単離された成分;
例えば、3-カレン;α-ピネン;β-ピネン;α-テルピネン;γ-テルピネン;p-シメン;ビサボレン;カムフェン;カリオフィレン;セドレン;ファルネセン;リモネン;ロンギフォレン;ミルセン;オシメン;バレンス;(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;スチレン;ジフェニルメタンのような炭化水素;
例えば、ヘキサノール;オクタノール;3-オクタノール;2,6-ジメチルヘプタノール;2-メチル-2-ヘプタノール;2-メチル-2-オクタノール;(E)-2-ヘキセノール;(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール;1-オクテン-3-オール;3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールの混合物;(E,Z)-2,6-ノナジエノール;3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール;9-デセノール;10-ウンデセノール;4-メチル-3-デセン-5-オールのような脂肪族アルコール;
例えば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(E)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(E)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;1-(1-メトキシ-プロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセンのような脂肪族アルデヒド及びそのアセタール;
例えば、2-ヘプタノン;2-オクタノン;3-オクタノン;2-ノナノン;5-メチル-3-ヘプタノン;5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;6-メチル-5-ヘプテン-2-オンのような脂肪族ケトン及びそのオキシム;
例えば、3-メチルチオ-ヘキサノール;酢酸3-メチルチオヘキシル;3-メルカプトヘキサノール;酢酸3-メルカプトヘキシル;酪酸3-メルカプトヘキシル;酢酸3-アセチルチオヘキシル;1-メンテン-8-チオールのような脂肪族イオウ含有化合物;
例えば、2-ノネン酸ニトリル;2-ウンデセン酸ニトリル;2-トリデセン酸ニトリル;3,12-トリデカジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリルのような脂肪族ニトリル;
例えば、ギ酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;酢酸3,5,5-トリメチルヘキシル;酢酸3-メチル-2-ブテニル;酢酸(E)-2-ヘキセニル;酢酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;酢酸オクチル;酢酸3-オクチル;酢酸1-オクテン-3-イル;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;イソ酪酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;ペンタン酸エチル-2-メチル;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;(E,Z)-2,4-デカジエン酸エチル;2-オクチン酸メチル;2-ノニン酸メチル;2-イソアミルオキシ酢酸アリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸メチル;クロトン酸4-メチル-2-ペンチルのような脂肪族カルボン酸のエステル;
例えば、シトロネロール;ゲラニオール;ネロール;リナロール;ラバデュロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチルオクタン-2-オール;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール;2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール;3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール;3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール;2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール;及びそれらのギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、酪酸塩、イソバレリアン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、クロトン酸塩、チグリン酸塩及び3-メチル-2-ブタン酸塩のような非環式テルペンアルコール;
例えば、ゲラニアル;ネラル;シトロネラール;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール;7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;ゲラニルアセトン;及びゲラニアル、ネラル、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル及びジエチルアセタールのような非環式テルペンアルデヒド及びケトン;
例えば、メントール;イソプレゴール;α-テルピネオール;テルピネノール-4;メンタン-8-オール;メンタン-1-オール;メンタン-7-オール;ボルネオール;イソボルネオール;酸化リナロール;ノポール;セドロール;アムブリノール;ベチベロール;グアイオール;ならびにそれらのギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、酪酸塩、イソバレリアン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、クロトン酸塩、チグリン酸塩及び3-メチル-2-ブタン酸塩のような環状テルペンアルコール;
例えば、メントン;イソメントン;8-メルカプトメンタン-3-オン;カルボン;ショウノウ;フェンコン;α-イオノン;β-イオノン;α-n-メチルイオノン;β-n-メチルイオノン;α-イソメチルイオノン;β-イソメチル-イオノン;α-鉄;α-ダマスコン;β-ダマスコン;β-ダマセノン;δ-ダマセノン;γ-ダマスコン;1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン;2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;ノートカトン;ジヒドロノートカトン;4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン;α-シネンサール;β-シネンサール;アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)のような環状テルペンアルデヒド及びケトン;
例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール;3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール;3-イソカンフィルシクロヘキサノール;2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール;2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールのような環状アルコール;
例えば、α-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール;1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ブタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-ペンタン-2-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オールのような脂環式アルコール;
例えば、シネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;1,1-ジメトキシシクロドデカン;(エトキシメトキシ)シクロ-ドデカン;α-セドレンエポキシド;3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロ-ナフト[2,1b]フラン;3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1b]フラン;1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン;ローズオキシド;2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサンのような環状及び脂環式エーテル;
例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン;2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン;2-ヘプチルシクロペンタノン;2-ペンチルシクロ-ペンタノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロ-ペンテン-1-オン;3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-4-シクロペンタデセノン;3-メチル-5-シクロペンタデセノン;3-メチルシクロペンタデカノン;4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン;4-tert-ペンチルシクロヘキサノン;5-シクロヘキサデセン-1-オン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン;8-シクロヘキサデセン-1-オン;9-シクロヘプタデセン-1-オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノンのような環状及び大環状のケトン;
例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドのような脂環式アルデヒド;
例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン;2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン;1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン;メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン;tert-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトンのような脂環式ケトン
例えば、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸2-tert-ペンチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ペンチル-シクロヘキシル;酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル;酢酸デカドロ-2-ナフチル;クロトン酸2-シクロペンチルシクロペンチル;酢酸3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル;酢酸デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチル;酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニル;プロピオン酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-、または6-インデニル;イソ酪酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニル;酢酸4,7-メタノオクタヒドロ-5-または6-インデニルのような環状アルコールのエステル;
例えば、クロトン酸1-シクロヘキシルエチルのような脂環式アルコールのエステル;
例えば、プロピオン酸アリル3-シクロヘキシル;オキシ酢酸アリルシクロヘキシル;ジヒドロジャスモン酸cis-及びtrans-メチル;ジャスモン酸cis-及びtrans-メチル;カルボン酸メチル-2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタン;カルボン酸エチル-2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセン;カルボン酸エチル-2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセン;2-酢酸エチル-2-メチル-1,3-ジオキソランのような脂環式カルボン酸のエステル;
例えば、ベンジルアルコール;1-フェニルエチルアルコール;2-フェニルエチルアルコール;3-フェニルプロパノール;2-フェニルプロパノール;2-フェノキシエタノール;2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール;2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール;1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール;1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール;1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール;2-メチル-5-フェニルペンタノール;3-メチル-5-フェニルペンタノール;3-フェニル-2-プロペン-1-オール;4-メトキシベンジルアルコール;1-(4-イソプロピルフェニル)エタノールのような芳香脂肪族アルコール;
例えば、酢酸ベンジル;プロピオン酸ベンジル;イソ酪酸ベンジル;イソ吉草酸ベンジル;酢酸2-フェニルエチル;プロピオン酸2-フェニルエチル;イソ酪酸2-フェニルエチル;イソ吉草酸2-フェニルエチル;酢酸1-フェニルエチル;酢酸α-トリクロロメチルベンジル;酢酸α,α-ジメチルフェニルエチル;酪酸α,α-ジメチルフェニルエチル;酢酸シンナミル;イソ酪酸2-フェノキシエチル;酢酸4-メトキシベンジルのような芳香脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル;
例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル;2-フェニルエチルイソアミルエーテル;2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドラトロプ酸アルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン;4,4a,5,9b-テトラ-ヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシンのような芳香脂肪族エーテル;
例えば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドラトロプアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール;3-(4-tert-ブチル-フェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;α-ブチルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズ-アルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールのような芳香族及び芳香脂肪族のアルデヒド;
例えば、アセトフェノン;4-メチル-アセトフェノン;4-メトキシアセトフェノン;4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン;4-フェニル-2-ブタノン;4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1-(2-ナフタレニル)エタノン;2-ベンゾフラニルエタノン;(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン;6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン;1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトナフトンのような芳香族及び芳香脂肪族のケトン;
例えば、安息香酸;フェニル酢酸;安息香酸メチル;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;安息香酸ベンジル;酢酸メチルフェニル;酢酸エチルフェニル;酢酸ゲラニルフェニル;酢酸フェニルエチルフェニル;桂皮酸メチル;桂皮酸エチル;桂皮酸ベンジル;桂皮酸フェニルエチル;桂皮酸シンナミル;酢酸アリルフェノキシ;サリチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;サリチル酸cis-3-ヘキセニル;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;メチル-2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート;グリシド酸エチル-3-フェニル;グリシド酸エチル-3-メチル-3-フェニルのような芳香族及び芳香脂肪族のカルボン酸及びそのエステル;
例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン;3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン;シンナモニトリル;3-メチル-5-フェニル-2-ペンテン酸ニトリル;3-メチル-5-フェニルペンタン酸ニトリル;アントラニル酸メチル;アントラニル酸メチル-N-メチル;アントラニル酸メチルの7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチル-フェニル)プロパナールまたは2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドとのSchiff塩基;6-イソプロピルキノリン;6-イソブチルキノリン;6-sec-ブチルキノリン;2-(3-フェニルプロピル)ピリジン;インドール;スカトール;2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン;2-イソブチル-3-メトキシピラジンのような窒素含有芳香族化合物;
例えば、エストラゴール;アネトール;ユーゲノール;ユーゲニルメチルエーテル;イソユーゲノール;イソユーゲニルメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;β-ナフチルメチルエーテル;β-ナフチルエチルエーテル;β-ナフチルイソブチルエーテル;1,4-ジメトキシベンゼン;酢酸ユーゲニル;2-メトキシ-4-メチルフェノール;2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール;酢酸p-クレシルフェニルのようなフェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル;
例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン;2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン;3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンのような複素環化合物;
例えば、1,4-オクタノリド;3-メチル-1,4-オクタノリド;1,4-ノナノリド;1,4-デカノリド;8-デセン-1,4-オリド;1,4-ウンデカノリド;1,4-ドデカン-オリド;1,5-デカノリド;1,5-ドデカノリド;4-メチル-1,4-デカノリド;1,15-ペンタ-デカノリド;cis及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド;cis及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド;1,16-ヘキサデカノリド;9-ヘキサデセン-1,16-オリド;10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン1,12-ドデカンジオエート;エチレン1,13-トリデカンジオエート;クマリン;2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリンのようなラクトン;
ならびに上記物質の混合物
を含む群に由来する個々の芳香物質。
【0075】
そのような芳香組成物では、本発明に係る化合物は、清新な香調を持つ最終組成物の木のようなビャクダン様の性質を明瞭に増強し、同時に良好な持続性、定着性及び実質性を提供することによって全体的な芳香の調和に好ましい影響を示す。したがって、現在記載されている本発明に係る化合物は効率的で安定性の高い芳香化合物として使用することができる。
【0076】
絶対的に必須ではないにもかかわらず、本発明に係る芳香組成物が、木のようなビャクダンの匂いの香調を嗅覚的に感知できる本発明に係る、好ましくは一般式(II)に係る化合物をある量で含むことが好ましいことは言うまでもない。しかしながら、低いODT値に基づいて、所望の匂いの特徴を達成するために必要とされるのはほんの少量の本発明の化合物である。
【0077】
さらに、酸性条件に向かう高い化学安定性のために、調合全体のpH値にかかわりなく、本発明の化合物を芳香成分として多様な芳香組成物に組み込むことが可能である。
【0078】
芳香組成物では、使用される本発明に係る化合物の量は好ましくは芳香組成物の総量に対して0.0001~90重量%、好ましくは0.01~70重量%、特に好ましくは0.1~50重量%の範囲である。
【0079】
本発明に係る芳香化合物及び本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むまたは含有する芳香組成物は、溶媒で希釈されていない、または希釈された液体形態にて香り付けの応用に使用されてもよい。この目的に好適な溶媒は、例えば、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリアセチン、植物油などである。
【0080】
さらに、本発明に係る芳香化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する芳香組成物は、最終製品における芳香物質の微細分布及び使用の際の制御放出の双方を確保する担体に吸着されてもよい。そのような担体は、例えば、硫酸ナトリウム、シリカゲル、ゼオライト、石膏、粘土、粘土顆粒、気泡コンクリートなどのような多孔性無機材料、または例えば、木材、セルロース系物質、糖類、デキストリン(例えば、マルトデキストリン)のような有機材料、または例えば、PVC、ポリ酢酸ビニルもしくはポリウレタンのようなプラスチックであってもよい。
【0081】
本発明に係る芳香化合物及びは式(I)~(V)によって示す本発明に係る化合物(複数可)を含むまたは含有する芳香組成物はまた、マイクロカプセル化されてもよく、噴霧乾燥させてもよく、包接錯体としてまたは押し出し製品(すなわち、本発明に係る製品)として提供されてもよい。
【0082】
任意で、そのような方法にて改変される芳香化合物または芳香組成物の特性は、ポリビニルアルコールのような目的のワックスプラスチックが好ましくは使用される好適な材料による「コーティング」によって、標的にされたさらなる芳香放出に関してさらに最適化されてもよい。得られる製品は今度は本発明に係る製品である。
【0083】
本発明に係る芳香化合物または本発明に係る芳香組成物は、例えば、ポリウレタン型物質または軟質ゼラチンから作られたカプセル材を活用するコアセルベーション法によってカプセル化されてもよい。
【0084】
本発明に係る芳香化合物及び本発明に係る芳香化合物(複数可)を含むまたは含有する芳香組成物に基づく噴霧乾燥させた芳香製剤は、例えば、芳香化合物または芳香組成物を含むまたは含有するエマルションまたは分散液を噴霧乾燥させることによって製造されてもよく、その際、修飾デンプン、タンパク質、デキストリン及び植物性ガムが担体として使用されてもよい。包接錯体は、例えば、芳香化合物または芳香組成物及びシクロデキストリンまたは尿素誘導体の分散液を好適な溶媒、例えば、水に導入することによって製造されてもよい。
【0085】
押し出し製品は、芳香化合物または芳香組成物を好適な蝋様物質と共に融解し、任意で好適な溶媒、例えば、イソプロパノールにて押し出し、その後、固化することによって製造されてもよい。
【0086】
従来技術から知られているビャクダン芳香物質より優れている、例えば、低いODT値及び高い化学安定性のような傑出した二次特性と組み合わせた本明細書に記載されている化合物の若葉の且つ果実のような香調を持つ特有のビャクダン芳香に起因して、一般式(I)に係る化合物、好ましくは一般式(II)に係る化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する芳香組成物は、本発明の(芳香)化合物の低比率の添加でさえ結果として生じる香料入り製剤/製品にて得られることになるバランスの取れたビャクダン香調を可能にする一方で同時に酸性の環境/調合にて定着性(持続性)の増強及び化学安定性の改善を保証する。
【0087】
別の態様では、したがって、本発明は効率的な匂い物質または芳香化合物としての一般式(I)に係る化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する芳香組成物の使用に関する。上記のコメントは好ましい化合物及び混合物に対応して適用される。
【0088】
例えば、持続性、低い匂い閾値及び高い化学安定性のようなそれらの顕著な第1の及び第2の嗅覚特性に基づいて、本発明はしたがってまた、本発明に係る化合物または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むもしくは含有する組成物を芳香物質として及び香入り製品を調製するために同時に使用しながら、芳香化合物の定着性を改善するための一般式(I)に係る化合物または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むもしくは含有する芳香組成物の使用にも関する。本発明に係る化合物及び混合物の好ましい選択に関して、上記のコメントは当然対応して適用される。
【0089】
したがって、本発明は芳香化合物の定着性を改善するための、または香料入り製品を調製するための前記化合物及び組成物の使用に関する。
【0090】
本発明に係る化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する組成物は、香り付けされる、または香り付けされることを目的とする製品、特に香油、芳香基剤のような個人の衛生に役立つ製剤、個人衛生用の製剤、洗浄剤または空気清浄剤に組み込まれてもよい。
【0091】
したがって、別の態様では、本発明はまた、本発明及び式(I)に係る化合物を含むもしくは含有する、または本発明に係る少なくとも1つの化合物を含むもしくは含有する芳香組成物を含むまたは含有する香料入り製品にも言及する。
【0092】
好ましい変異形によれば、本発明に係る化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する芳香組成物を含むまたは含有する、本発明に係る香料入り製品は、溶媒を含まない純粋な形態で溶液として、または、例えば、洗浄剤などのような個人の衛生に役立つ基礎調製物を形成するための固体もしくは液体の担体及び任意で他の補助剤及び/または安定剤との混合物の形態で本発明に係る化合物または本発明に係る化合物を含むもしくは含有する組成物を組み込むことによって製造される。
【0093】
したがって、本発明はまた、担体または支持体と組み合わせて有効量にて一般式(I)(または式(II)、(III)及び/または(IV)及び/または(V))の化合物を、または本発明に係る少なくとも化合物を含むもしくは含有する芳香組成物を含むまたは含有する香料入り製品も提供する。
【0094】
感覚有効量は、混合物における式(I)、式(II)、式(III)及び/または式(IV)の物質と同様に一般式(V)の一官能基化された化合物、特に一般式(I)に係る化合物の比率がすでに、心地良く感知できる芳香の印象、特にビャクダン様の木のような匂いの印象を発するのに十分であることを意味する。この感知できる嗅覚印象は一般に、最終的な調製物/製剤に少なくとも0.001重量%の式(I)、式(II)、式(III)及び/または式(IV)及び/または式(V)の化合物が存在するときに達成される。
【0095】
本明細書に記載されている式(I)の化合物はその強烈な感覚特性に加えて、特定の適用条件下での高い安定性のような追加の有益な二次特性を有する。特に酸性媒体におけるこの安定性によって広範囲の適用における使用及び加工について本発明の化合物が適格になる。
【0096】
本発明に係る香料入り製品は、酸性、アルカリ性及び中性の洗浄剤、例えば、床洗浄剤、窓洗浄剤、皿洗い洗剤、風呂及びトイレ洗浄剤、汚れ落としクリーム、固形及び液体のトイレ洗浄剤、粉末及び泡状のカーペット洗浄剤、布地消臭剤、アイロンかけ助剤、液体洗剤、粉末洗剤、洗濯前処理剤、例えば、漂白剤、浸漬剤及び染み抜き剤、洗濯すすぎ調整剤、洗濯石鹸、洗濯錠剤、消毒剤、表面消毒剤、と同様に液体もしくはゲル形態での空気清浄剤もしくは固体担体に適用されるもの、もしくは固体の形態での空気清浄剤、エアゾールスプレー、ワックス及び艶出し剤、例えば、家具艶出し剤、床ワックス、靴磨き剤、と同様にボディケア製品、例えば、固形及び液状の石鹸、シャワージェル、シャンプー、髭剃り石鹸、シェービングフォーム、バスオイル、水中油、油中水及び水中油中水の型の化粧品エマルション、例えば、皮膚のクリーム及びローション、顔面のクリーム及びローション、日焼け止めクリーム及びサンローション、日焼け後クリーム及びローション、手のクリーム及びローション、足のクリーム及びローション、脱毛のクリーム及びローション、髭剃り後のクリーム及びローション、日焼けのクリーム及びローション、毛髪ケア製品、例えば、毛髪スプレー、毛髪ジェル、強化毛髪ローション、毛髪リンス、永続的な及び半永続的な毛髪染料、毛髪成形製品、例えば、コールドパーマ剤及び縮毛矯正剤、ヘアトニック、毛髪のクリーム及びローション、脱臭剤及び制汗剤、例えば、腋下スプレー、ロールオン、脱臭スティック、脱臭クリームまたは装飾的な化粧製品、例えば、アイシャドウ、マニキュア液、メイク製品、口紅、マスカラ、と同様にランプ油、線香、殺虫剤、防虫剤、及び燃料、または口腔及び/または歯のケア製品、例えば、練り歯磨き剤、歯磨きジェル、歯磨き粉、口洗剤、チューインガム及び他の口腔ケア製品に香り付けするためを含めて、例えば、香料抽出物、オードパフューム、オードトワレ、髭剃りローション、オーデコロン、髭剃り前製品、スプラッシュコロン及び香料入り清涼ワイプである。
【0097】
本発明に係る製品はまた、一般式(I)の化合物または本発明に係る少なくとも化合物を含有するもしくは含む芳香組成物を有効量で含む半製品であってもよい。
【0098】
一般式(I)の化合物または本発明に係る少なくとも化合物を含有するもしくは含む芳香組成物が使用される割合は、洗浄剤のような大量市場製品での千分のわずかな部分から香水のようなアルコール性抽出物における数パーセントに及ぶ広い制限内で変化してもよい。しかしながら、少量の新規化合物または本発明に係る少なくとも化合物を含むもしくは含有する芳香組成物でさえ香料入り製剤/製品に対して豊富なビャクダン香調または木のような香調を効率的に提供する。好ましくは、一般式(I)の化合物または本発明に係る少なくとも化合物を含むもしくは含有する芳香組成物は、最終(製品)製剤の総重量を基にして0.0001~90重量%、好ましくは0.01~70重量%、特に好ましくは0.1~50重量%の量で使用される。
【0099】
しかしながら、本発明の化合物の酸性条件に向かって増強された化学安定性に起因して、酸性系の製剤及び製品、例えば、酸性の香油、香料基剤、個人衛生用の製剤、例えば、シャンプー、シャワージェル、顔面クリーム及びローション、日焼け止めクリーム及びローション、液体形態もしくはゲル形態での洗浄剤もしくは空気清浄剤、または固体担体に適用されるもの(すなわち、酸性pH値、したがって7未満のpHを示す製剤及び製品)の調製のための本発明の化合物及び組成物の使用は好ましい。
【0100】
したがって、最後に本発明は香料入り製品に関するものであり、その際、該香料入り製品は好ましくは香油、香料基剤、個人衛生用の製剤、洗浄剤または空気清浄剤である。
【0101】
そのような製品は多数の化学成分を含有することが多いので、成分及び/または芳香材の不要な相互作用または分解に対抗するために芳香化合物または対応する芳香組成物は化学反応性が低いことも重要である。したがって、本発明に係る化合物の使用は、それらが特に酸性媒体にて低い反応性及び高い安定性を有するので特に有利であるため、本発明に係る化合物も香料入り製品の成分も悪影響を受けない。この文脈では、所望の芳香効果を達成するのに必要な低濃度の芳香化合物が特に強調されるべきであり、それによって香料入り製品またはそれらのさらなる成分の特性における有害な変化がさらに回避される。
【0102】
この文脈では、驚くべきことに、ブチル鎖C1~C4内の官能基化の再構成に向けた分子の修飾は酸性条件下且つ高温にて化学安定性の増大をもたらし、同時にさらに清新でさらに鮮やかな、したがってバランスの取れた香りをもたらすさらに若葉の且つ果実のようなビャクダン系の匂いをもたらすことが見いだされた。加えて、優れたODT値を達成することができた。結論として、これらの化合物は嗅覚の性質及び強度を失くすことなく高温で使用することができる種々の酸性製品の調合に非常によく適合する。
【0103】
驚くべきことに、本発明に係る化合物は木のような、花のような香調と同様に若葉の且つ果実のような香調を伴ったバランスの取れた且つ天然のビャクダン様の匂い特性を示す。さらに、好適な匂い物質または芳香化合物である本発明に係る化合物は高い化学的及び物理的な安定性、持続性と同様に顕著に低い匂い閾値を有する。したがって、本発明に係る化合物のさらなる利点は比較的低濃度でのその高い匂い強度である。
【0104】
その高い化学安定性に起因して、本発明の化合物は製品調合または他の芳香材の他の成分と反応する傾向が極度に低いので、個々の成分の嗅覚特性及び/または化学特性は悪影響を受けない。匂い特性におけるそのような変化は、例えば、不十分な安定性による芳香材の分解、または芳香材と調合/製品の他の成分との互いの化学的相互作用による副産物の形成に由来することが多い。
【実施例
【0105】
以下の化合物は以下に示す方法に従って調製したが、以下の一般スキームはカンホレンアルデヒド(化合物1)から出発する:
【化9】
【0106】
市販のカンホレンアルデヒド(化合物1)に基づいて、DE3441902C1に開示されたプロセスに従って対応する2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エニル誘導体(化合物2、R=H、Me)を合成した。C原子のC2とC3の間でC=C二重結合を有する化合物も最初に形成されるので、そこに開示されている合成を適切に適応させ、一般式(I)に示すようなC原子のC3とC4の間で二重結合を有する化合物を単離した。第2の工程では、Simmons・Smithのシクロプロパン化及びWO2017/024126A1やEP0801049B1に記載された方法に基づいて一般式(I)に係る最終生成物(化合物3、R=H、Me)を得た。
【0107】
分光法による構造決定は既知の技法によって実施した。
【0108】
上記に示すように、本明細書で開示されている化合物すべてと同様に式すべては純粋な立体異性体、特にエナンチオマー、及び立体異性体の混合物、特にエナンチオマーの混合物の双方を包含すべきである。また、プロセスから得られる中間体はすべてさまざまな異性体形態にて存在することができるので、純粋な立体異性体及び立体異性体の混合物の双方を包含すべきである。
【0109】
実施例1:化合物3aの調製
【0110】
工程1:2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オール(化合物2a)の調製
【0111】
化合物2aはDE3441902C1に記載されている方法に従って調製した。
【0112】
2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オール(化合物2a)の実験データ
H-NMR(400MHz,CDCl)δ5.61(dd,J=15.4,8.5Hz,2H),5.26-5.22(m,2H),5.16(dtd,J=15.3,8.8,1.0Hz,2H),3.59-3.53(m,2H),3.42-3.34(m,2H),2.45-2.37(m,2H),2.31-2.22(m,2H),2.18-2.05(m,4H),1.63-1.60(m,6H),1.51-1.40(m,2H),1.31-1.18(m,2H),0.97(s,6H),0.96-0.85(m,6H),0.77(s,6H).
13C-NMR(101MHz,CDCl)δ148.02,148.02,135.24,134.75,131.78,131.56,121.46,121.46,65.88,65.80,54.34,54.20,48.09,48.05,47.83,47.81,35.60,35.30,25.46,25.37,24.08,24.05,20.64,20.50,12.72,12.72,11.81,11.66.
GC-MS:208,193,177,161,135,121,107,93,79,55,41,28.
【0113】
工程2:2-[2-(1,2,2-トリメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル)シクロプロプ-イル]ブタン-1-オール(一般式(II)に係る化合物3a)の調製
【0114】
化合物3aはWO2017/024126A1に記載されている方法に従って調製した。
【0115】
2-[2-(1,2,2-トリメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル)シクロプロプ-イル]ブタン-1-オール(化合物3a)の実験データ
H-NMR(400MHz,CDCl)δ3.67-3.56(m,4H),1.78-1.62(m,2H),1.65-1.46(m,4H),1.50-1.39(m,2H),1.03(s,3H),1.03(s,3H),0.98-0.93(m,2H),0.95(s,6H),0.94(t,J=7.8Hz,3H),0.94(s,3H),0.92(t,J=7.8Hz,3H),0.92(s,3H),0.80-0.65(m,2H),0.61(dt,J=10.9,7.9Hz,1H),0.45-0.40(m,1H),0.40-0.30(m,6H),0.30-0.22(m,2H),0.20-0.11(m,2H),0.11(dd,J=7.8,4.9Hz,2H).
13C-NMR(101MHz,CDCl)δ66.09,65.46,49.97,49.11,47.18,47.03,41.95,41.72,32.99,31.68,31.52,31.42,24.34,24.27,23.70,23.25,22.32,22.02,20.72,20.67,19.88,18.90,17.36,17.28,17.11,16.66,13.82,13.78,11.49,11.33,9.87,8.79.
匂いの説明:ビャクダン、シダーウッド、花のような、果実のような、クリーミィな、軟らかな、若葉
【0116】
追加の工程:2-エチル-4-(1,2,2-トリメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル)ブタ-3-エン-1-オール(副産物、一般式(III)に対応する)の単離
【0117】
副産物2-エチル-4-(1,2,2-トリメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル)ブタ-3-エン-1-オール、モノシクロプロパン化アルコールはカラムクロマトグラフィーのような従来の方法を介して単離した。
【0118】
2-エチル-4-(1,2,2-トリメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル)ブタ-3-エン-1-オール(副産物)の実験データ
H-NMR(400MHz,CDCl)δ5.40(dd,J=15.2,7.3Hz,1H),5.09-5.01(m,1H),3.56-3.50(m,1H),3.39-3.31(m,1H),2.08(ddt,J=14.6,5.8,3.6Hz,1H),1.86-1.76(m,1H),1.67(tt,J=12.0,5.7Hz,2H),1.47-1.39(m,1H),1.27-1.16(m,1H),1.04(s,3H),0.88(t,J=3.7Hz,6H),0.77(s,3H),0.45(q,J=3.5,2.7Hz,1H),0.07-0.04(m,1H).
13C-NMR(101MHz,CDCl)δ134.22,131.42,65.80,47.95,47.86,42.47,31.87,30.95,24.05,22.70,22.62,20.55,17.45,13.97,11.67.
匂いの説明:ビャクダン、木のような、若葉、果実のような
【0119】
実施例2:化合物3bの調製
【0120】
工程1:2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オール(化合物2b)の調製
【0121】
化合物2bはDE3441902C1に記載されている方法に従って調製した。
【0122】
2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オール(化合物2b)の実験データ
H-NMR(600MHz,CDCl)δ5.59(dddd,J=15.6,8.5,7.3,1.0Hz,2H),5.28(ddd,J=15.3,7.9,1.0Hz,2H),5.25-5.23(m,2H),3.52-3.46(m,2H),3.41-3.36(m,2H),2.41-2.33(m,4H),2.30-2.22(m,2H),2.14-2.06(m,2H),1.62-1.60(m,6H),1.01(d,J=6.8Hz,3H),1.01(d,J=6.8Hz,3H),0.96(s,3H),0.96(s,3H),0.76(s,3H),0.75(s,3H).
13C-NMR(151MHz,CDCl)δ148.09,148.03,133.19,133.12,132.97,132.92,121.47,121.44,67.36,67.33,54.16,54.05,47.93,47.89,39.94,39.89,35.45,35.42,25.44,25.35,20.56,20.45,16.88,16.70,12.70,12.72.
GC-MS:194,179,163,151,135,121,107,93,79,69,55,41,29.
【0123】
工程2:2-[2-(1,2,2-トリメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル)シクロ-プロピル]プロパン-1-オール(化合物3b、一般式(II)に対応する)の調製
【0124】
化合物3bはWO2017/021126A1またはEP0801049B1に記載されている方法に従って調製した。
【0125】
2-[2-(1,2,2-トリメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル)シクロ-プロピル]プロパン-1-オール(化合物3b)の実験データ
H-NMR(400MHz,CDCl)δ3.65-3.54(m,2H),3.55-3.45(m,2H),1.65-1.49(m,4H),1.07(d,J=6.7Hz,3H),1.03(s,3H),1.03(s,3H),0.97(s,3H),0.96-0.95(m,3H),0.97-0.94(m,7H),0.94(s,3H),0.91(s,3H),0.51-0.43(m,2H),0.42-0.31(m,4H),0.38-0.29(m,2H),0.29-0.04(m,4H),0.02--0.05(m,2H).
13C-NMR(101MHz,CDCl)δ68.72,68.70,49.80,49.71,41.78,41.72,40.97,40.64,32.96,32.06,31.82,31.66,31.61,23.66,23.31,22.28,22.03,21.28,20.69,20.23,17.34,17.30,17.15,16.70,16.45,16.18,13.86,13.74,10.19,8.97.
GC-MS:222,207,181,154,121,107,93,81,67,55,41,29.
匂いの説明:若葉、花のような、果実のような、木のような、クリーミィな、ビャクダン
【0126】
実施例3:2-[2-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)シクロプロピル]プロ-パン-1-オール(一般式(V)に相当する)の調製
【0127】
工程1:2-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)アセトアルデヒド(文献:Helvetica Chimica Acta,2006,89(11),2638-2653に係る)の合成
【0128】
調製の第1の工程は、80℃にて30バールのもとPd/C(5%)触媒(30g)を使用するオートクレーブにおける2-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エン-1-イル)アセトアルデヒド(600.0g,253.3mmol)の水素付加だった。水素の完全な消費に続いて、反応混合物を濾過し、蒸発させて(60℃/500~10ミリバール)555gの粗生成物を得た。その後、Kugelrohrの蒸留(85℃、0.1ミリバール)によって498gの82%の前記中間体生成物を得た。
【0129】
2-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)アセトアルデヒドの実験データ
H-NMR(600MHz,C)δ9.40(dd,J=2.4,1.8Hz,1H),2.02-1.96(m,1H),1.76-1.71(m,2H),1.65-1.61(m,1H),1.61-1.56(m,1H),1.32-1.28(m,1H),1.07-1.01(m,1H),0.97-0.92(m,1H),0.74(d,J=6.8Hz,3H),0.67(s,3H),0.29(s,3H).
13C-NMR(101MHz,C)δ201.03,45.41,44.74,44.71,41.27,30.36,28.27,25.36,14.57,14.01.
GC-MS:139,97,69,41.
匂いの説明:果実のような、甘い、アニス
【0130】
工程2:2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)ブタ-2-エナールの合成
【0131】
2-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)アセトアルデヒド(168.11g,1.09mol)のメタノール(300ml)溶液に市販の32%NaOH(15.12mL,163.47mmol)を15~20℃の範囲の温度にてゆっくり加え(発熱)、続いてプロパナール(156.5mL)を加えた(発熱)。その後、付加反応を室温で(およそ16時間)維持した。続いて、水(400mL)で反応を止め、硫酸でpHを中和し、減圧下での蒸留によってメタノールを取り除いた。MTBE(300mL×3)を使用して、得られたままの粗精製の化合物を抽出し、合わせた有機層を塩化アンモニウム(300mL)と塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄した。水性相が中性pH値を示すまで合わせた有機層を水でさらに洗浄し、その後NaSOのもとで乾燥させ、濾過し、回転エバポレーターを使用してMTBEを取り除き、261.73gの粗精製の生成物を得た。前記粗精製の生成物を蒸留(R=140~210℃、H=90~122℃、真空=5ミリバール)によってさらに精製し、83.8gの表題の化合物を得た。
【0132】
2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)ブタ-2-エナールの実験データ
H-NMR(400MHz,CDCl)δ9.39(s,1H),6.53(tq,J=7.5,1.4Hz,1H),2.49-2.40(m,1H),2.13(ddd,J=14.4,10.5,7.6Hz,1H),1.88-1.72(m,2H),1.76(d,J=1.3Hz,3H),1.62-1.48(m,2H),1.29-1.17(m,2H),0.93(s,3H),0.86(d,J=6.8Hz,3H),0.59(s,3H).
13C-NMR(101MHz,CDCl)δ195.46,155.24,139.17,50.34,44.91,42.59,30.31,29.94,28.20,25.67,14.49,13.91,9.29.
GC-MS:194,179,161,137,123,109,95,84,69,55,41,29.
【0133】
工程3:2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)ブタ-3-エン-1-オール(文献:DE3441902に従って合成)の合成
【0134】
DE3441902にて開示された手順に従って、メタノール中(80mL)の2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)ブタ-2-エナール(42.2g,161.6mmol)を60℃に加熱し、1%NaOH15mLにNaBH(2.0g,51.7mmol)を予め溶解した溶液を60℃にて1時間でゆっくり加え、続いて室温にてさらに1時間置いた。その後、反応混合物を蒸発させ(60℃/350~150ミリバール)、メタノールを取り除き、続いてMTBE(100mL×3)を使用して抽出した。有機層をNaCl飽和溶液(100mL)で洗浄し、NaSOのもとで乾燥させ、濾過し、回転エバポレーターを使用して(40℃/500~30ミリバール)MTBEを取り除き、続いてKugelrohrの蒸留(120℃、0.8ミリバール)を行い、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)ブタ-3-エン-1-オールと2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)ブタ-2-エン-1-オールとの混合物(1:5)として30gの生成物を得た。その後のSpaltrohの蒸留(R=70~85℃、H=75~95℃、真空=1ミリバール)によって8%の表題の化合物を得た。
【0135】
2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)ブタ-3-エン-1-オールの実験データ
CG-MS:196,181,163,111,95,81,69,55,41,29.
【0136】
2-[2-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)シクロプロピル]プロパン-1-オール(文献:WO2017/024126に従って合成)の合成
【0137】
2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)ブタ-3-エン-1-オール(2.85g,14.5mmol)から出発する文献に基づいた合成によって、Kugelrohrの蒸留(122~130℃,22ミリバール)による精製の後、1.62gの表題の化合物を得た。
【0138】
2-[2-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)シクロプロピル]プロパン-1-オールの実験データ
H-NMR(600MHz,C)δ3.45(dd,J=10.3,5.3Hz,1H),3.30(t,J=10.3Hz,1H),1.74-1.63(m,2H),1.48-1.31(m,2H),1.21-1.13(m,1H),1.03(d,J=6.8Hz,3H),0.97(s,3H),0.85(d,J=6.8Hz,3H),0.80-0.73(m,1H),0.69(s,3H),0.61(dt,J=10.9,8.8Hz,1H),0.31(ddt,J=9.4,8.1,4.8Hz,1H),0.25(tt,J=9.4,4.7Hz,1H),0.16(dt,J=8.6,4.9Hz,1H),0.04(dt,J=8.1,4.9Hz,1H).
13C-NMR(151MHz,C)δ68.26,56.21,45.76,43.14,41.56,30.05,28.24,26.45,21.45,17.44,17.21,15.27,14.10,9.16.
GC-MS:210,195,177,149,137,123,109,95,82,69,55,41,29.
匂いの説明:シダーウッド、ビャクダン、クリーミィ。
【0139】
実施例4:化学安定性の比較
【0140】
実施例4は酸性条件下における一般式(I)、さらに具体的には一般式(II)の本発明の化合物の化学安定性を市販の[1-メチル-2-[(1,2,2-トリメチル-3-ビ-シクロ[3.1.0]ヘキサニル)メチル]シクロプロピル]メタノール(Javanol(登録商標)、Givaudan)と比較したことを示す。
【0141】
本発明の化合物の安定性を分析するために、pH2を有するクエン酸系洗浄剤にてそれぞれ化合物3a、化合物3bまたはJavanol(登録商標)(Givaudan)のいずれかを含有する異なる試料を分析した、すなわち、対応する芳香化合物が酸性洗浄剤に対して0.3%の量で組み込まれた代表的な酸性洗浄剤(pH=2)を使用して安定性試験を実施した。
【0142】
安定性は、上記で示すような芳香化合物の1つを含有する各試料について、固相微量抽出(SPME)及びSPME繊維コーティング(PDMS/DVB繊維)としてポリジメチルシロキサンとジビニルベンゼンの組み合わせを使用することによる連結ガスクロマトグラフィー・質量分析(GC-MS)及びガスクロマトグラフィー用のポリジメチルシロキサン系DB1カラム(100%ポリジメチルシロキサン)を介して分析した。参照として新しく調製した使用と比べてさまざまな保存温度(6℃、22℃、40℃及び50℃)にて酸性処理をした14日後の種々の試料について安定性を調べた(図1を参照のこと)。
【0143】
前記比較の結果を図1に示す。図から分かるように、酸性条件下で14日間調べた場合、本発明の化合物3a及び3bは温度範囲全体にわたって良好な酸安定性を示す。最良の安定性は22℃の温度にて14日間、酸性条件下で調べた試料、特に22℃の温度での化合物3aについて観察されてもよい一方で、Javanol(登録商標)(Givaudan)は酸性媒体で処理した際、穏やかな温度でさえ急速に分解すると思われ、50℃で14日間、酸性条件下で処理すると完全に分解する。
【0144】
例えば、また、pHバランスが取れたボディウオッシュ製品をおよそ5.5のpHに合わせた。シャワーを浴びる、または洗浄する際、水温は約40℃に設定することが多く、ボディウオッシュ製剤内で、またはボディウオッシュもしくは他の香料入り製品の使用の際、芳香成分は分解すべきではない。また、ヒトの汗は穏やかな酸性から中性のpHレベルを一般に有することが分かっており、通常、約4.5のpH値を有する。さらに、普通の皮膚表面は平均5未満のpHを示す。加えて、私たちの皮膚は太陽からのような高温にさらされることが多い(特に夏場)。これらは芳香化合物が酸性条件及び/または高温にさらされる多数の状況の一部にすぎない。しかしながら、上記の実験に基づいて、一般式(I)の本発明の化合物については、Javanol(登録商標)(Givaudan)と比べてそのような製品にてまたは皮膚上にてかなり高い安定性が期待されるべきであり、芳香材の分解または調合の他の成分との反応及び副産物の形成に起因する不快な匂いまたは匂い特性の変化をもたらさないので、安定な芳香材(特に酸性条件下で)を提供すると結論付けることができる。
【0145】
安定性の増大はR基(化合物3a及び3bにてそれぞれHまたはメチル基のいずれかである、一般式(II)の化合物を参照のこと)に対する分子の側鎖内でのシクロプロパン化の位置に基づいて説明することができる:Javanol(登録商標)(Givaudan)ではシクロプロパン環はC2及びC3として示されるC原子間に位置する一方で、本発明の化合物の一般式(I)を参照してブチル鎖C1~C4内のシクロプロパン環はC3及びC4として示されるC原子を包含している。しかしながら、Javanol(登録商標)(Givaudan)では、C2原子はすでにいずれかのメチル基に結合されており、それはシクロプロパン環の相対的に高い環ひずみに関連して酸性条件下及び高温にて分子の不安定性を引き起こす可能性があり、芳香材の分解をもたらす可能性がある。高温及び酸性条件にさらされた際の分子の不安定性は嗅覚特性の喪失をもたらし、分解産物及び/または調合の他の成分との相互作用に起因する不快な匂いを引き起こす恐れがある。
図1
【国際調査報告】