(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】車両用の伸縮自在な表示装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20230927BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230927BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230927BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20230927BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20230927BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20230927BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20230927BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G09F9/30 365
G09F9/00 362
G09F9/30 308Z
G09F9/00 350Z
G09F9/00 312
G09F9/00 348A
H10K77/10
H10K59/95
H10K59/80
H10K59/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023517881
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2021076135
(87)【国際公開番号】W WO2022063866
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020124829.6
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020124958.6
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア-ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】ベシュニット,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラントグラーベル,ビョルン
【テーマコード(参考)】
3D020
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BC02
3D020BD08
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC41
3K107DD17
3K107EE61
3K107EE63
3K107FF15
5C094AA36
5C094BA27
5C094DA06
5C094DB02
5C094FA01
5C094HA05
5C094JA09
5G435AA07
5G435BB05
5G435EE02
5G435EE13
5G435EE19
5G435EE20
5G435EE32
5G435HH18
5G435LL17
(57)【要約】
伸縮自在な表示装置は、フレキシブルな箔状ディスプレイキャリア(24)によって補強されたフレキシブルな箔状ディスプレイ(18)を備える。箔状ディスプレイ(18)及び箔状ディスプレイキャリア(24)は、湾曲しながらハウジング(12)の中に入り、再びこのハウジング(12)から出る。少なくとも1つの作動装置(36)がこのために機能している。少なくとも1つの作動装置(36)は、その下端部(48)がハウジング(12)内で支持され、その上端部が、箔状ディスプレイキャリア(24)の上端部に接続されている。ハウジング(12)は、ディスプレイ(16)が伸張及び収縮退避する際に、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)を方向転換させるためのガイド装置(52)を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の伸縮自在な表示装置であって、
表示面(20)を備える前面と、背面と、上端区域(32)とを備えるOLED技術によるフレキシブルな箔状ディスプレイ(18)であって、前記上端区域(32)には、前記箔状ディスプレイ(18)の下端部まで延びる前記箔状ディスプレイ(18)の主要区域(34)が隣接している、箔状ディスプレイ(18)と、
前記箔状ディスプレイ(18)の前記背面において、前記箔状ディスプレイ(18)に固定されているか、又は、前記箔状ディスプレイ(18)に具体的には弾性材料から成る中間層を介して連結されている、フレキシブルな箔状ディスプレイキャリア(24)であって、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の下端部まで延びる箔状ディスプレイキャリア(24)の主要区域(30)が隣接した上端区域(26)を備え、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記上端区域(26)は、前記箔状ディスプレイ(18)の前記上端区域(32)に当接すると共に、前記上端区域(32)において補強されている又は補強可能である、フレキシブルな箔状ディスプレイキャリア(24)と、
ハウジング(12)であって、前記ハウジング(12)の中に、前記箔状ディスプレイ(18)が、前記箔状ディスプレイキャリア(24)と共に収縮退避可能であり、前記ハウジング(12)から、前記箔状ディスプレイ(18)が前記箔状ディスプレイキャリア(24)と共に伸張可能である、ハウジング(12)と、
モータで駆動可能かつ長さ変更可能な少なくとも1つの作動装置(36)であって、前記ハウジング(12)の中及び/又は前記ハウジング(12)に接して支持される第1の端部(48)と、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記上端区域(26)が固定される第2の端部(44)とを備える、少なくとも1つの作動装置(36)と、
前記ハウジング(12)内のガイド装置(52)であって、前記少なくとも1つの作動装置(36)の長さを変更することによって実行される、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記主要区域(34,30)の少なくとも部分領域の前記ハウジング(12)からの伸張及び前記ハウジング(12)の中への収縮退避の際に、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)を、それらの前記主要区域(34,30)の少なくとも部分領域において、曲率線(56)に沿って180度未満又は135度未満又は90度未満にわたって案内するためのガイド装置(52)と、を備える、車両用の伸縮自在な表示装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの作動装置(36)は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された少なくとも2つの作動装置要素(62,64,66)を備え、それぞれに隣接する作動装置要素(62,64,66)は、互いに接して、及び/又は、互いの中に、スライド可能に案内されることを特徴とする、請求項1に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項3】
前記作動装置(36)は、
閉鎖面及び開放面を備えるほぼC字型の第1の作動装置プロファイル要素と、
前記第1の作動装置プロファイル要素内でスライド可能に案内され、閉鎖面及び開放面を備える同じくほぼC字型の第2の作動装置プロファイル要素であって、前記閉鎖面は前記第1の作動装置プロファイル要素の前記閉鎖面に対向している第2の作動装置プロファイル要素と、
前記第2の作動装置プロファイル要素の中でスライド可能に案内され、閉鎖面及び開放面を備えるほぼC字型の第3の作動装置プロファイル要素であって、前記閉鎖面は前記第2の作動装置プロファイル要素の前記開放面を覆っている第3の作動装置プロファイル要素と、を備えることを特徴とする、請求項2に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項4】
前記ハウジング(12)において支持される第1の端部(50)と、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記上端区域(26)が固定される第2の端部(46)と、を備える少なくとも1つの長さ変更可能な支持部(38)を特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの支持部(38)は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された少なくとも2つの支持要素を備え、それぞれに隣接する支持要素は、互いに接して、及び/又は、互いの中に、スライド可能に構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項6】
前記支持部(38)は、
閉鎖面及び開放面を備えるほぼC字型の第1の支持部プロファイル要素と、
前記第1の支持部プロファイル要素内でスライド可能に案内され、閉鎖面及び開放面を備える同じくほぼC字型の第2の支持部プロファイル要素であって、前記閉鎖面は前記第1の支持部プロファイル要素の前記閉鎖面に対向している第2の支持部プロファイル要素と、
前記第2の支持部プロファイル要素の中でスライド可能に案内され、閉鎖面及び開放面を備えるほぼC字型の第3の支持部プロファイル要素であって、前記閉鎖面は前記第2の支持部プロファイル要素の開放面を覆っている第3の支持部プロファイル要素と、を備えることを特徴とする、請求項5に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの作動装置(36)、若しくは、その支持要素のうちの少なくとも1つ、及び/又は、備えられている場合には、前記少なくとも1つの支持部(38)、若しくは、その支持要素のうちの少なくとも1つは、前記箔状ディスプレイキャリア(24)に対向する内面を備え、前記内面には収容溝が形成又は配置されていること、
前記箔状ディスプレイ(18)に離反した前記箔状ディスプレイキャリア(24)の背面から、その主要区域(30)において、少なくとも1つの保持要素(69)が、突出して配置されている、すなわち、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の伸張及び収縮退避時に前記収容溝に対向する仮想線上に配置されていること、及び、
前記少なくとも1つの保持要素(69)は、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の伸張時に、前記収容溝の中に入り込み、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の収縮退避時に、前記収容溝から出るように移動することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの保持要素(69)は、前記箔状ディスプレイキャリア(24)に離反する方に拡大又は屈折して構成された端部であって、前記収容溝の収容スリット(68)に嵌合するための端部を備えることを特徴とする、請求項7に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項9】
前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)は、前記ハウジング(12)の中に収縮退避した状態において、前記上端区域(32,26)が、少なくとも部分的に、前記ハウジング(12)から突出していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項10】
前記収縮退避した状態の前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記上端区域(32,26)を前記ハウジング(12)の中に枢動させるために、前記少なくとも1つの作動装置(36)、及び、備えられている場合には、前記少なくとも1つの支持部(38)は、それぞれの前記第1の端部が、前記ハウジング(12)において枢動可能なように搭載されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項11】
前記作動装置(36)の前記第2の端部(44)、及び、備えられている場合には、前記少なくとも1つの支持部(38)の前記第2の端部(46)は、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記上端区域(26)に連結式に又は屈曲可能に配置されていることを特徴とする、請求項10に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項12】
前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)が収縮退避した状態において、前記少なくとも1つの作動装置(36)の前記第1の端部(48)、及び、備えられている場合には、前記少なくとも1つの支持部(38)の前記第1の端部(50)を、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記背面からずらすことが可能であり、ずらされた位置において、前記ハウジング(12)の中に枢動可能であり、具体的には、枢動した状態において、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記上端区域に隣接した前記主要区域の部分領域の曲率が、前記ハウジング(12)内に配置された当接要素(60)によって規定されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項13】
2つの作動装置(36)が、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の両側に配置されており、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記上端区域(26)に連結されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項14】
前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の両側に配置され、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記上端区域(26)に連結された、1つの作動装置(36)及び1つの支持部(38)を特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項15】
前記ガイド装置(52)が、互いに対向する2つのガイドスリット(77)を備えること、及び、
前記箔状ディスプレイキャリア(24)が、その主要区域(30)に沿って延びる側縁部(54)を備え、前記側縁部(54)から、前記箔状ディスプレイキャリア(24)を案内するためにガイドスリット(77)と相互作用するガイドピン(76)が、横方向に突出している又は張り出していることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項16】
前記箔状ディスプレイキャリア(24)は、前記上端区域(26)に離反した前記主要区域(30)の端部において、補強ゾーン(70)を備えていることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項17】
前記ガイドピン(76)は、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の前記主要区域(30)の前記補強ゾーン(70)の領域に配置されていることを特徴とする、請求項16に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項18】
前記補強ゾーン(70)から、リジッド又はフレキシブルプリント回路基板(74)を備えるキャリア要素(72)が斜めに突出していることを特徴とする、請求項16又は17に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項19】
前記ガイド装置(52)は、互いに対向する2つのガイド体(78)を備え、前記2つのガイド体(78)は、回転可能に搭載され、それぞれ湾曲した外縁部(84)を有し、前記ガイド体(78)は、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の伸張及び収縮退避時に回転し、この際に、前記箔状ディスプレイキャリア(24)を横方向両側から支持することを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項20】
前記ガイド体(78)は、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の収縮退避時に行われる、前記箔状ディスプレイキャリア(24)への動力伝達のために、前記箔状ディスプレイキャリア(24)に機械的に連結されていることを特徴とする、請求項19に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項21】
前記ガイド体(78)は、180度未満又は135度未満又は90度未満の角度にわたって延びる部分ディスク体(80)として構成されていることを特徴とする、請求項19又は20に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項22】
前記ガイド体(78)は、180度未満又は135度未満又は90度未満の角度にわたって延びる部分リング体(82)として構成されていることを特徴とする、請求項19又は20に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項23】
各ガイド体(78)は、箔状ディスプレイキャリア(24)に動力を伝達するための伝動端部(88)を有することを特徴とする、請求項19~22のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項24】
各ガイド体(78)の前記伝動端部(88)には、前記箔状ディスプレイキャリア(24)の側縁側に張り出した伝動ピンが配置されており、前記伝動ピンは、前記箔状ディスプレイキャリア(24)のピン収容部に入り込むことを特徴とする、請求項23に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項25】
前記ガイド体(78)の前記伝動ピンは、ガイドピン(76)として、前記ガイド装置(52)の前記ガイドスリット(77)の中に入り込むことを特徴とする、請求項19及び24に記載、又は、請求項19及び24を引用する場合、先行する請求項のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項26】
各ガイド体(78)は、その前記伝動端部(88)において前記ハウジング(12)の中に枢動するために、回転可能に搭載されており、回転軸は、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の伸縮方向に垂直であることを特徴とする、請求項23~25のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項27】
前記ガイド装置(52)は、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)を自動的に収縮退避させるため、又は、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の自動的な収縮退避を少なくとも支援するための圧縮応力ユニット(102)を備え、前記圧縮応力ユニット(102)は、前記少なくとも1つの作動装置(36)の伸張時に、張力を印加可能であり、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)を収縮退避させるために行われる少なくとも1つ作動装置(36)の収縮退避のために、張力を除去可能であることを特徴とする、請求項1~26のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項28】
前記圧縮応力ユニット(102)は、例えばねじりバネ、螺旋バネ、又は、コイルバネがそのピボット軸受に設けられているような、ピボット軸受及びバネ機構(104)を備える少なくとも1つの駆動レバー(106)を含み、前記少なくとも1つの駆動レバー(106)は、前記ガイド体(78)のうちの1つに機械的に連結されていることを特徴とする、請求項27に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項29】
前記圧縮応力ユニット(102)は、2つの駆動レバー(106)を備え、それぞれが別々の前記ガイド体(78)に機械的に連結されていることを特徴とする、請求項27に記載の伸縮自在な表示装置。
【請求項30】
前記箔状ディスプレイ(18)に離反した前記箔状ディスプレイキャリア(24)の背面には、補強用薄板(94)を備える補強キャリアが配置されており、前記箔状ディスプレイ(18)及び前記箔状ディスプレイキャリア(24)の伸縮方向に垂直に延びる前記補強キャリアの前記補強薄板(94)は、ストリップ形状の領域に沿って、前記箔状ディスプレイキャリア(24)に固定されており、前記少なくとも1つの保持要素(69)が備えられている場合には、前記少なくとも1つの保持要素(69)は、前記補強用薄板(94)のうちの1つに配置されているか、又は、複数の保持要素(69)が備えられている場合には、前記複数の保持要素(69)は、異なる前記補強用薄板(94)に配置されていることを特徴とする、請求項1~29のいずれか1項に記載の伸縮自在な表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の伸縮自在な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者分野用の巻き上げ可能な表示装置を備えるテレビが提供されている。ここでは、OLED技術のフレキシブルな箔状ディスプレイが使用される。このフレキシブルな箔状ディスプレイは、部分的にセグメント化されて個別に薄板を備える箔状ディスプレイキャリアで補強されている。
【0003】
自動車分野において、現在一般的に使用されているディスプレイを非使用時に格納可能であることが望ましい場合がある。この点において、自動車分野でも、フレキシブルな箔状ディスプレイが考えられる。本願よりも先に出願され本願よりも後に公開されたドイツ特許出願に関連する独国特許出願第10 2019 127 570号、並びに、欧州特許出願第1 637 387号及び米国特許出願第2017/0217290号からは、伸縮自在な車両用ディスプレイが知られている。
【0004】
フレキシブルな箔状ディスプレイを車両において使用する際には、車両において表示装置に衝撃が作用するという問題が存在する。このような衝撃は、伸張された状態のフレキシブルな箔状ディスプレイの安定性を保持することにとっては都合が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019127570号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1637387号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0217290号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、フレキシブルディスプレイを備える車両用の伸縮自在な表示装置であって、走行時に生じるような振動の場合でも、伸張された状態のフレキシブルディスプレイの安定性を提供する、車両用の伸縮自在な表示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明によれば、車両用の伸縮自在な表示装置が提案される。当該表示装置は、
表示面を備える前面と、背面と、上端区域とを備えるOLED技術によるフレキシブルな箔状ディスプレイであって、上端区域には、箔状ディスプレイの下端部まで延びる箔状ディスプレイの主要区域が隣接している、箔状ディスプレイと、
箔状ディスプレイの背面において、箔状ディスプレイに固定されているか、又は、箔状ディスプレイに具体的には弾性材料から成る中間層を介して連結されている、フレキシブルな箔状ディスプレイキャリアであって、箔状ディスプレイキャリアの下端部まで延びる箔状ディスプレイキャリアの主要区域が隣接した上端区域を備え、箔状ディスプレイキャリアの上端区域は、箔状ディスプレイの上端区域に当接すると共に、上端区域において補強されている又は補強可能である、フレキシブルな箔状ディスプレイキャリアと、
ハウジングであって、ハウジングの中に、箔状ディスプレイが、箔状ディスプレイキャリアと共に収縮退避可能であり、ハウジングから、箔状ディスプレイが箔状ディスプレイキャリアと共に伸張可能である、ハウジングと、
モータで駆動可能かつ長さ変更可能な少なくとも1つの作動装置であって、ハウジングの中及び/又はハウジングに接して支持される第1の端部と、箔状ディスプレイキャリアの上端区域が固定される第2の端部とを備える、少なくとも1つの作動装置と、
ハウジング内のガイド装置であって、少なくとも1つの作動装置の長さを変更することによって実行される、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの主要区域の少なくとも部分領域のハウジングからの伸張及びハウジングの中への収縮退避の際に、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアを、それらの主要区域の少なくとも部分領域において、曲率半径に沿って180度未満又は135度未満又は90度未満にわたって案内するためのガイド装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の有利な点は、箔状ディスプレイの伸張及び収縮退避のために、モータ駆動される、少なくとも1つの長さ変更可能な作動装置が使用される点である。フレキシブルな箔状ディスプレイは、同じくフレキシブルな、例えば金属箔を有することが可能な箔状ディスプレイキャリアによって補強されている。OLED技術で実施されるフレキシブルな箔状ディスプレイは、その前面と背面とに表示面を備える。箔状ディスプレイは、その上縁に、これに隣接する上端区域をさらに備える。上端区域には、箔状ディスプレイの下縁まで延びる主要区域が隣接している。同様に、箔状ディスプレイキャリアも、(想定上の)上端区域と主要区域とに分割される。上端区域において、箔状ディスプレイキャリアは補強されている。少なくとも1つのモータ駆動可能かつ長さ変更可能な作動装置は、箔状ディスプレイキャリアの上端区域でその背面に固定され、この領域において動作する。
【0009】
本発明に係る表示装置は、ハウジングをさらに有している。ハウジングの中に、箔状ディスプレイが箔状ディスプレイキャリアと共に収縮退避可能であり、ハウジングから、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアが伸張可能である。箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアが完全に収縮退避した状態において、それらの上端区域の少なくとも一部が、依然としてハウジングから突出し得る。
【0010】
ハウジングの内部には、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアをその主要区域の少なくとも一部において案内するためのガイド装置が、180度未満又は135度未満又は90度未満にわたって延びる曲率半径又はより一般的には曲率線に沿って設けられている。このガイド装置は、ハウジング内の箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの主要区域の方向転換のみに影響し、巻き上げ工程には影響しない。これによって、表示装置が収縮退避した状態において、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアを大きく湾曲させることができるという利点が生じる。つまり具体的には、例えば約90度方向転換させる場合、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアは、方向転換後、直線状にさらに延びる。この場合、ハウジングにある程度の奥行が必要となるが、これは、車両のインストルメントパネルの領域における構造空間の条件の観点から、通常は許容可能である。
【0011】
フレキシブルな箔状ディスプレイキャリアを、例えば金属から成る箔の形で提供することによって、フレキシブルな箔状ディスプレイを全面的に安定させることが可能である。複数の長さ変更可能な作動装置が隣り合って、かつ、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの幅にわたって分散されて配置されることにより、フレキシブルな箔状ディスプレイの追加的な支持、つまり安定化が実現される。したがって、走行時に生じる衝撃が、箔状ディスプレイの振動の形で作用することはあり得ない。
【0012】
本発明の有効な発展形態では、少なくとも1つの作動装置が、第1の端部と第2の端部との間に配置された少なくとも2つの作動装置要素を備え、それぞれに隣接する作動装置要素は、互いに接して、及び/又は、互いの中に、スライド可能に案内される。ここで、例えばスピンドル駆動装置を備える、入れ子式に伸縮自在な作動装置を使用できる。しかし、伸張用駆動装置を備える他の長さ変更可能な作動装置の構造も使用可能である。
【0013】
可能な限り平面的な構造を有する長さ変更可能な作動装置を実現するためには、作動装置が、閉鎖面及び開放面を備えるほぼC字型の第1の作動装置プロファイル要素と、第1の作動装置プロファイル要素内でスライド可能に案内され、閉鎖面及び開放面を備える同じくほぼC字型の第2の作動装置プロファイル要素であって、閉鎖面は第1の作動装置プロファイル要素の閉鎖面に対向している第2の作動装置プロファイル要素と、第2の作動装置プロファイル要素の中でスライド可能に案内され、閉鎖面及び開放面を備えるほぼC字型の第3の作動装置プロファイル要素であって、閉鎖面は第2の作動装置プロファイル要素の開放面を覆っている第3の作動装置プロファイル要素と、を備えることが有利である。個々の作動装置要素のC字型のプロファイルは、ほぼ直線状のストリップ形状の後ろ壁を有している。この後ろ壁の互いに離反した上下縁部は折れ曲がっており、断面が「平坦なC字」になっている。上述の、このような3つの要素の入れ子は、自動車分野でみられるような表示装置に通常必要とされる、伸張時のストロークを可能にする。これも、自動車分野において有利に使用可能なサイズのディスプレイに関連している。
【0014】
複数のモータ駆動可能な作動装置を使用する代わりに、ハウジングにおいて支持される第1の端部と、箔状ディスプレイキャリアの上端区域が固定される第2の端部と、を備える少なくとも1つの長さ変更可能な支持部によって、伸張した状態の表示装置の追加の補強及び安定性を実現することも可能である。このような支持部は、駆動装置を有さず、すなわち、例えば入れ子式に伸縮自在であるか、又は、別の方法で互いにスライド可能に案内される支持要素を有している。
【0015】
長さ変更可能な支持部の構成に関しても、支持部は、閉鎖面及び開放面を備えるほぼC字型の第1の支持部プロファイル要素と、第1の支持部プロファイル要素内でスライド可能に案内され、閉鎖面及び開放面を備える同じくほぼC字型の第2の支持部プロファイル要素であって、閉鎖面は第1の支持部プロファイル要素の閉鎖面に対向している第2の支持部プロファイル要素と、第2の支持部プロファイル要素の中でスライド可能に案内され、閉鎖面及び開放面を備えるほぼC字型の第3の支持部プロファイル要素であって、閉鎖面は第2の支持部プロファイル要素の開放面を覆っている第3の支持部プロファイル要素と、を備えることが有利である。
【0016】
少なくとも1つのモータ駆動可能な作動装置によって、かつ、場合によっては備えられる支持部によって、箔状ディスプレイを広げて張った状態で維持することができる。この場合、1つ又は複数の作動装置又は1つ又は複数の支持部は、有利にも、ディスプレイキャリア及び支持部の背面に当接しており、この点において、箔状ディスプレイを、表示面に作用する力に対して支持する。箔状ディスプレイも「引っ張り力」に対して保護するために、本発明の有利な一発展形態によれば、少なくとも1つの作動装置、若しくは、その支持要素のうちの少なくとも1つ、及び/又は、備えられている場合には、少なくとも1つの支持部、若しくは、その支持要素のうちの少なくとも1つが、箔状ディスプレイキャリアに対向する内面を備え、内面には収容溝が形成又は配置されており、少なくとも1つの保持要素が、箔状ディスプレイに離反した箔状ディスプレイキャリアの背面から突出して、前記箔状ディスプレイキャリアの主要区域に、すなわち、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの伸張及び収縮退避時に収容溝に対向する仮想線上に配置されており、少なくとも1つの保持要素は、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの伸張時に、収容溝の中に入り込み、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの収縮退避時に、収容溝から出るように移動する。この場合、少なくとも1つの保持要素が、箔状ディスプレイキャリアに離反する方に拡大又は屈折して構成された端部であって、収容溝の収容スリットに嵌合するための端部を備える場合が好適である。少なくとも1つの作動装置又は少なくとも1つの支持部における収容溝は、下方のハウジングの方の端部において、開口しており、この開口部に保持要素が入り込み可能であることが好ましい。保持要素は、その収容溝の中に入り込んだ端部の拡大部により、収容溝の収容スリットから出て行く運動が妨げられるようになっている。このようにして、箔状ディスプレイは、箔状ディスプレイにモーメントが作用する場合にも、作動装置又は支持部において保持される。そうでなければ、モーメントは、箔状ディスプレイキャリアが作動装置又は支持部から分離されることを導くことになる。
【0017】
上述のように、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアは、収縮退避した状態において、依然としてハウジングからわずかに突出している。これが望ましくない場合、つまり、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの全体をハウジング内に収容する必要がある場合、収縮退避した状態の箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの上端区域をハウジングの中に枢動させるために、少なくとも1つの作動装置、及び、備えられている場合には、少なくとも1つの支持部は、それぞれの第1の端部が、ハウジングにおいて枢動可能なように搭載されている場合が、有利である。
【0018】
作動装置又は支持部が枢動可能に搭載されていることにより、作動装置の第2の端部、及び、備えられている場合には、少なくとも1つの支持部の第2の端部が、箔状ディスプレイキャリアの上端区域に関節式に配置されることが、好適であり得る。
【0019】
次に、作動装置及び/又は支持部の枢動によって、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの上端区域は、ハウジングの中に湾曲する。しかしながら、箔状ディスプレイキャリアが箔状ディスプレイと共に伸張される場合には、支持部及び作動装置は、できる限り箔状ディスプレイキャリアに近接して配置されている必要がある。しかし、このような配置は、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアのそれらの上端区域における湾曲にとっては都合が悪い。したがって、本発明の好ましいさらなる構成では、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアが収縮退避した状態において、少なくとも1つの作動装置の第1の端部、及び、備えられている場合には、少なくとも1つの支持部の第1の端部を、箔状ディスプレイキャリアの背面からずらすことが可能であり、ずらされた位置において、ハウジングの中に枢動可能であり、具体的には、枢動した状態において、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの上端区域に隣接した主要区域の部分領域の曲率が、ハウジング内に配置された当接要素によって規定される。
【0020】
簡単に上述したように、複数の作動装置を使用してもよい。その場合、例えば、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの両側に配置され、箔状ディスプレイキャリアの上端区域に接続された2つの作動装置を使用することが想定可能である。これらの作動装置、又は、1つの作動装置と1つの支持部のこのような構成では、場合によっては、収縮退避した状態においてもまだ突出する箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアのハウジングからの突出部をハウジングの中に移動させるために、収縮退避した状態の両方の作動装置又は1つの支持部と1つの作動装置は、回転可能である。作動装置及び支持部の下端部は、上述のように、回転可能でなければならないが、平行移動を可能にする部品をさらに設ける必要はない。
【0021】
箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの上端区域がハウジングの中に枢動した状態において、上述の端部は、湾曲に沿って収容される。曲率を定義し決定するために、箔状ディスプレイ又は箔状ディスプレイキャリアに側方に配置され、これを側方から支持する当接要素を、ハウジング内に設けることが考えられる。当接要素によって、典型的には補強された箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの端部に、所定の最小限許容される湾曲が生じる。したがって、表示装置の収容時の箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの案内に関してだけでなく、材料疲労やこれに関連する箔状ディスプレイの損傷を回避することに関しても、曲率半径が所定の最小値を下回らないことが、有利である。
【0022】
本発明の好ましいさらなる構成では、ガイド装置が、互いに対向する2つのガイドスリットを備え、箔状ディスプレイキャリアが、その主要区域に沿って延びる側縁部を備え、側縁部から、箔状ディスプレイキャリアを案内するためにガイドスリットと相互作用するガイドピンが、横方向に突出している又は張り出している。ガイドスリットは、ガイドピンが案内されるリンクのように機能する。ガイドピンは、その側縁部側が箔状ディスプレイキャリアから突出している。
【0023】
箔状ディスプレイキャリアの上端区域が補強されているのと同様に、箔状ディスプレイキャリアの主要区域も、上端区域に離反した下端部において、補強ゾーンを有していることが可能である。この補強ゾーンは、これにキャリア要素を支えるため、又は、別の方法で固定するために、使用され得る。キャリア要素は、リジッド又はフレキシブルプリント回路基板を支えている。なぜならば、柔軟なケーブル接続を回避可能とするために、箔状ディスプレイのOLED素子の駆動は、表示装置を伸張及び収縮退避させる時に、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアと一緒に移動する必要があるからである。
【0024】
ガイド装置は、さらに、互いに対向する2つのガイド体をさらに備え、2つのガイド体は、回転可能に搭載され、それぞれ湾曲した外縁部を有し、ガイド体は、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの伸張及び収縮退避時に回転し、この際に、箔状ディスプレイキャリアを側端部から支持することが可能である。これらのガイド体は、箔状ディスプレイキャリアを側端部から支持し、ガイド装置のガイドピン及びガイドスリットに対して追加的に使用可能である。ガイド体は、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの収縮退避時に行われる、箔状ディスプレイキャリアへの動力伝達のために、箔状ディスプレイキャリアに機械的に連結されている。
【0025】
ガイド体が、180度未満又は135度未満又は90度未満の角度にわたって延びる部分ディスク体として構成されている場合が、好適であり得る。すなわち、ガイド体は、いわば半円又は四分の一円のディスクとして構成されていてもよい。
【0026】
部分ディスク体の代替案として、ガイド体は、180度未満又は135度未満又は90度未満の角度にわたって延びる部分リング体として構成されていてもよい。
【0027】
収縮退避時及び場合によっては伸張時にも、ガイド体が箔状ディスプレイキャリアと機械的に相互作用可能とするために、ガイド体は、箔状ディスプレイキャリアと相互作用する伝動端部を有していることが好ましい。各ガイド体の伝動端部には、箔状ディスプレイキャリアの側縁側に張り出した伝動ピンが配置されていてもよく、伝動ピンは、箔状ディスプレイキャリアのピン収容部に入り込む。この場合、ガイド体の伝動ピンが、ガイドピンとして、ガイド装置のガイドスリットの中に入り込む場合が、さらに有利である。つまり伝動ピンは、ガイドピンの機能を有する。ここで、箔状ディスプレイキャリアは、主要区域の側縁部に沿って配置され得るさらなるガイドピンを有し得る。
【0028】
上述のように、少なくとも1つの作動装置が収縮退避される場合に、箔状ディスプレイキャリアは箔状ディスプレイを収縮退避することに寄与し得る。箔状ディスプレイキャリアの剛性は、ハウジング内での方向転換に必要とされる柔軟性もなお存在しているにもかかわらず、有効に利用可能である。しかしながら、本質的により安全であるのは、ガイド装置が、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアを自動的に収縮退避させるための圧縮応力ユニットを備えている場合である。ここで、圧縮応力ユニットが、少なくとも1つの作動装置の伸張時に、張力を印加可能であり、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアを収縮退避させるために行われる少なくとも1つ作動装置の収縮退避のために、張力を除去可能であることが、有利である。
【0029】
圧縮応力ユニットが、例えばねじりバネ、螺旋バネ、又は、コイルバネがそのピボット軸受に設けられているような、ピボット軸受及びバネ機構を備える少なくとも1つの駆動レバーを含んでいることが好適であり得る。少なくとも1つの駆動レバーは、ガイド体のうちの1つに機械的に連結されている。さらに、圧縮応力ユニットが、2つの駆動レバーを備え、それぞれが別々のガイド体に機械的に連結されていることが好適である。
【0030】
伸張された状態の箔状ディスプレイをさらに補強するために、箔状ディスプレイに離反した箔状ディスプレイキャリアの背面には、補強用薄板を備える補強キャリアが配置されており、箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアの伸縮方向に垂直に延びる補強キャリアの補強薄板は、ストリップ形状の領域に沿って、箔状ディスプレイキャリアに固定されており、少なくとも1つの保持要素が備えられている場合には、少なくとも1つの保持要素は、補強用薄板のうちの1つに配置されているか、又は、複数の保持要素が備えられている場合には、複数の保持要素は、異なる補強用薄板に配置されていることがさらに可能である。個々の補強用薄板は、その全体の高さ及び/又は幅にわたって箔状ディスプレイキャリアの背面に接続されていてもよい。これは、好適には、柔軟な中間層を介して、かつ、接着して行われる。補強用薄板は、例えば金属といった耐屈曲性の材料から成るコアがプラスチックでコーティングされたものを有していてもよい。これらは、例えばフィルムヒンジ又は他の構造の連結部によって、柔軟に接続されていることが可能である。箔状ディスプレイ及び箔状ディスプレイキャリアを保持するための保持要素が、伸張された状態の作動装置及び支持部に接して設けられる場合は、これらの保持要素は、薄板に接して配置可能である。同じことが、ガイド装置のガイドピンにも当てはまる。そして、上述のガイド体も、上述のように箔状ディスプレイキャリアに当接させる代わりに、補強用薄板を側縁部から支持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下に本発明を、様々な実施形態に基づき、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【
図1-6】伸縮自在な車両用ディスプレイの第1の実施形態を示す図である。
【
図7】伸縮自在な車両用ディスプレイの第2の実施形態を示す図である。
【
図8-11】伸縮自在な車両用ディスプレイの第3の実施形態用の伸張及び収縮退避機構を概略的に示す図である。
【
図12-13】長さ変更可能な作動装置又は長さ変更可能な支持部を示す斜視断面図である。
【
図14-25】収縮退避及び伸張時にフレキシブルディスプレイを案内するための様々な構造を有する、伸縮自在なディスプレイのさらなる実施形態の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1~
図6には、車両用の伸縮自在な表示装置10の第1の実施形態が示されている。表示装置10は、ハウジング12を備え、ハウジング12は、スリット孔を有する(図示されていない)閉鎖された上面14を備えている。スリット孔から、ディスプレイ16がほぼ直線状に伸張可能であり、このディスプレイ16は、スリット孔の中に収縮退避可能である。ディスプレイ16は、保護フィルムで覆われた表示面20を規定するOLED箔状ディスプレイ18を備える。箔状ディスプレイ18及びカバーフィルム22は、柔軟であり、ハウジング12内で曲率線に沿って方向転換可能である。箔状ディスプレイ18の背面には、薄い箔状ディスプレイキャリア24が設けられている。箔状ディスプレイキャリア24は、具体的には全面的に箔状ディスプレイ18の背面に、例えば接着により接続され、その上端区域26において、追加的に、例えばプレート28によって補強されている。上端区域26には、箔状ディスプレイキャリア24の主要区域30が隣接している。箔状ディスプレイ18も、上端区域32及びこれに隣接した主要区域34を有している。
【0033】
箔状ディスプレイキャリア24の背面には、本実施形態では中央に、長さ変更可能な作動装置36が配置されており、その両側に、2つの同じく長さ変更可能な支持部38が配置されている。長さ変更可能な作動装置36は、モータで駆動される。したがって、
図5にはモータ40及び変速機42が示されている。支持部38は、長さ変更可能であり、作動装置36が伸張する時は、分離するように延び、作動装置36が収縮退避する時は、集結するように縮む。作動装置36及び支持部38は、本実施形態では入れ子式に伸縮自在であるが、他の方法でこれらの要素の長さ可変性を実現することも、本発明の範囲において可能である。
【0034】
作動装置36及び支持部38の上端部44、46は、補強プレート28に固定されている。これらは、その下端部48、50において、ハウジング12内で支持されている。これについては、図面では簡単に示されているだけである。例えば、上述の要素が、ハウジング内でディスプレイ16に平行に延びる横部材に支持されていることも可能であろう。
【0035】
ハウジング12の内部には、ガイド装置52が備えられている。ガイド装置52は、ディスプレイ16の両側の側縁部54に配置され、フレキシブルディスプレイ16が、伸張及び収縮退避時に、曲率線56に沿って約90度向きを変えることを確保する。
【0036】
図1~
図3は、表示装置10を示す図であり、表示装置10のディスプレイ16が完全に伸張された状態にある表示装置10を、より正確に言えば、異なる図に示すものであり、他方で
図4及び
図5は、ディスプレイ16が完全に引っ込められた状態にある表示装置10を示している。引っ込められた状態のディスプレイ16は、ハウジング12の中に完全には入り込んでおらず、ディスプレイ16の上面14に形成された図示されていない開口部から突出していることが、視認できる。
【0037】
図7~
図11には、2つのさらなる実施形態である伸縮自在な表示装置10a、10bが、部分的に概略図で示されている。これらの実施形態の構造により、ディスプレイ16をハウジング12内で完全に収容することが可能になる。
【0038】
このために、
図7によれば、ディスプレイ16は、ディスプレイ16の側縁部54に沿って配置された、モータ駆動で伸張可能な2つの作動装置36の間に配置されている。直線状の二重矢印は、作動装置36の伸張及び収縮退避を示している。作動装置36は、その下端部においてハウジング12内の枢動軸58を中心に枢動可能に搭載されている。ディスプレイ16を最大限引っ込めた状態では、
図4及び
図5に示される状況と類似の状況が生じる。そしてまだ上方に飛び出ているディスプレイ16の上端部は、引き込まれた作動装置36が回転することによって、ハウジング12の中に倒れ込むことが可能である。
【0039】
図8~
図11には、表示装置10の実施形態においても示されるような、作動装置36及び備えられている場合には、支持部38がディスプレイ16の背後にある場合に、この折り畳みをどのように実現可能であるかが概略的に示されている。
図8は、完全に伸張された状態にあるディスプレイを示している。作動装置36は、象徴的に示されている。
図9は、作動装置36が最大限収縮退避した状況を示している。ここで、ディスプレイ16の飛び出た領域をハウジング12の中に折り畳むことを可能にするためには、まず、作動装置36の下端部48をディスプレイ16からずらさなければならない(矢印59aを参照)。なぜなら、こうしないと、作動装置36を回転させる際に、ディスプレイ16の屈折が生じる危険があるからである。下端部48をずらした後、
図10の状況が生じる。ここで、作動装置36を、上からハウジング12の中に枢動させることが可能である(矢印59bを参照)。このために、上面14は、ブラインド構造等によって開放されることが可能であり、その結果、
図11の状況となる。
図11に示されるようにディスプレイ16が完全にハウジング12の中に折り畳まれる際に、ディスプレイ16がその上部領域において規定通りに湾曲することが、当接要素60によって確保される。
【0040】
図12及び
図13は、作動装置36だけでなく支持部38にも適用される、入れ子式の又は長さ変更可能な構造を示す2つの図である(
図13は、この構造を概略的にのみ示すものである)。両方の要素は、ここに記載する実施形態では3つの支持部又は支持要素62、64、66を備えている。これらの支持部又は支持要素62、64、66は、
図12に示されるように、それぞれ、ほぼC字型のプロファイル要素として形成されており、互いに案内し合い、玉軸受けによる直線状の案内が実現される。
図12に係る構造の利点は、この構造が平坦である点である。
図13では、各プロファイル要素62、64、66に、スリット68が示されている。伸張時には、これらのスリット68に、きのこの頭に似た保持要素69が挿入される。保持要素69は、箔状ディスプレイキャリア24の背面において、箔状ディスプレイキャリア24から突出している。これによって、伸張された状態にあるディスプレイ16は、作動装置36又は支持部38に固定され、意図せずにこれらの要素から離れてしまうことが回避される。
【0041】
図14には、箔状ディスプレイキャリア24の代替的な構成が示されている。この構成の箔状ディスプレイキャリア24は、その下部領域に補強ゾーン70を備えており、補強ゾーン70からは、プレート状のキャリア要素72が突出している。キャリア要素72には、箔状ディスプレイ18の画素を駆動するための電子機器を備える回路基板74が保持されている。補強ゾーン70から横方向にガイドピン76が突出しており、ガイドピン76は、ガイド装置52のガイドスリット77の中に入り込み、箔状ディスプレイキャリア24の下部領域を曲率線56に沿ってハウジング12内部で方向転換させる(
図15を参照)。
【0042】
箔状ディスプレイキャリア24の曲率線56に沿った湾曲を維持することは、2つのガイド体78によって支援される。これらのガイド体78は、部分ディスク体80(
図16及び
図17を参照)として、又は、部分リング体82(
図18及び
図19を参照)として構成されており、いずれも、湾曲した外縁部84を有している。作動装置36が収縮退避する時に、ガイド体78は、
図16又は
図18の矢印86の方向に圧縮応力がかけられ、箔状ディスプレイキャリア24及び箔状ディスプレイ18の湾曲を保持することを支援すると共に、それらがハウジング12の中に引っ込められることを支援する。
【0043】
図16及び
図18には、いずれも、圧縮応力がかけられた位置にあるガイド体78が示されている。この位置では、ディスプレイ16は完全に伸張している。ここで、作動装置36が収縮退避すると、対応するガイド体78は矢印86の方向に回転して、その湾曲した外縁部84で、箔状ディスプレイキャリア24の側縁部に当接し、その湾曲を規定及び支持する。ディスプレイ16が最大限収縮退避した位置(
図17及び
図19を参照)では、対応するガイド体78は、対応する図に示される位置につく。
【0044】
ガイド体78は、例えば伝動ピンの形の伝動要素により、具体的には、箔状ディスプレイキャリア24の側縁部と相互作用して、これらの間の機械的結合を実現する。そしてこの機械的結合は、箔状ディスプレイキャリア24及び箔状ディスプレイ18のハウジング12の中への引き込みを支援可能である。
【0045】
図20~
図22には、本実施形態では部分リング体82として構成されたガイド体78が、どのように、箔状ディスプレイキャリア24と相互作用する伝動端部88を枢動可能であるかが示されている。
図20には、最大限に伸張された位置にあるディスプレイ16が示されている。部分リング体82は、上方に枢動した状態で示されている。ディスプレイ16の第1段階の引き込みでは、ディスプレイ16は、直線矢印90によって示されるように下方に移動し、これによって、部分リング体82も直線状に下方に移動する。この際、部分リング体82は、その伝動端部88を中心に矢印の方向にさらに回転し、つまり、直線運動と、横方向下方に移動した回転中心93を中心とした回転運動との重複運動を完全に案内する。その後、
図21の状況が生じる。そして、この状況から、
図18及び
図19に記載されるように、ディスプレイ16のさらなる引き込み、又は、その引き込み支援が行われ、最終的に、ディスプレイ16が最大限引き込まれた状態において、
図22の状況が生じる。
【0046】
図23には、ディスプレイ16を、補強用薄板94によってさらに補強可能であることが示されている。個々の薄板94は、プラスチックでコーティングされたコア96を備えていることが可能であり、この場合、樹脂材料は、隣接する薄板94の間のフィルムヒンジ98として形成されている。個々の薄板94は、細長い接着ストリップ100によって、箔状ディスプレイキャリア24と接着した状態で連結されている。薄板94を互いにヒンジ接続することは、例えば樹脂から成るフィルムヒンジ98による方法以外の方法でも、実現可能である。この場合、継手軸を有し、純粋に機械的に動作する接合部も、好適である。
【0047】
最後に、
図24及び
図25は、圧縮応力機構をさらに示している。圧縮応力機構とは、ガイド体78に、
図18及び
図20に示される位置においてバネによる圧縮応力を印加するための機構であり、より正確に言うと、矢印86の方向に作用する圧縮応力ユニット102によって、圧縮応力を印加するための機構である。圧縮応力ユニット102は、駆動レバー106を含むバネ機構104を有しており、より正確に言うと、これらは、ガイド体78毎に設けられている。駆動レバー106は、引張バネ110が配置された回転軸108を中心に回転可能に搭載されている。駆動レバー106は、ガイド体78に連結されており、ディスプレイ16の伸張時に、駆動レバー106は、引張バネ110に圧縮応力を印加するためにガイド体78と連動する。これも、作動装置36の駆動により実現される。ガイド体78が
図16又は
図18に示される位置にある伸張された状態では、引張バネ110に張力が印加され、その結果、作動装置36が収縮退避する時に、引張バネ110は、ガイド体78と共に回転することによって、ディスプレイ16の引き込みを支援する。
【符号の説明】
【0048】
10 表示装置
10a 表示装置
10b 表示装置
12 ハウジング
14 ハウジングの上面
16 ディスプレイ
18 OLED-箔状ディスプレイ
20 表示面
22 カバーフィルム
24 箔状ディスプレイキャリア
26 箔状ディスプレイキャリアの上端区域
28 補強プレート
30 箔状ディスプレイキャリアの主要区域
32 箔状ディスプレイの上端区域
34 箔状ディスプレイの主要区域
36 作動装置
38 支持部
40 モータ
42 変速機
44 作動装置の上端部
46 支持部の上端部
48 作動装置の下端部
50 支持部の下端部
52 ガイド装置
54 箔状ディスプレイキャリアの側縁部
56 曲率線
58 作動装置又は支持部の枢動軸
59a 直線矢印
59b 回転矢印
60 当接要素
62 作動装置又は支持部のプロファイル要素
64 作動装置又は支持部のプロファイル要素
66 作動装置又は支持部のプロファイル要素
68 作動装置又は支持部の収容スリット
69 保持要素
70 補強ゾーン
72 キャリア要素
74 回路基板
76 ガイド装置のガイドピン
77 ガイド装置のガイドスリット
78 ガイド装置のガイド体
80 部分ディスク体
82 部分リング体
84 ガイド体の外縁部
86 矢印
88 ガイド体の伝動端部
90 ディスプレイの直線運動方向のための矢印
92 部分リング体の枢動/回転方向のための矢印
93 部分リング体の回転中心
94 補強用薄板
96 補強用薄板のコア
98 補強用薄板間のフィルムヒンジ
100 接着ストリップ
102 圧縮応力ユニット
104 圧縮応力ユニットのバネ機構
106 圧縮応力ユニットの駆動レバー
108 回転軸
110 引張バネ
【国際調査報告】