IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特表2023-542004頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム
<>
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図1
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図2
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図3
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図4
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図5
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図6
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図7
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図8
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図9
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図10
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図11
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図12
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図13
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図14
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図15
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図16
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図17
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図18
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図19
  • 特表-頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】頭皮又は毛髪の距離や位置を検出する近接センサを有する毛髪トリートメントシステム
(51)【国際特許分類】
   A45D 19/00 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A45D19/00 Z
A45D19/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517960
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 US2021050966
(87)【国際公開番号】W WO2022061175
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】17/025,598
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/025,608
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/025,619
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2011369
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2012073
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2100128
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】コセコフ, デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルセシーニ,フローレント
(72)【発明者】
【氏名】アケレレ,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア, ニコラス
【テーマコード(参考)】
3B040
【Fターム(参考)】
3B040AA00
(57)【要約】
デバイスは、頭皮又は毛髪をトリートメントするためのトリートメントシステム、頭皮又は毛髪とのデバイス接触、頭皮又は毛髪に対するデバイス距離、及び頭皮又は毛髪に対するデバイス位置から選択される少なくとも1つの空間条件を検出するように構成された1つ又は複数のセンサ、デバイスの検出した空間条件に基づいてトリートメントシステムを調整するための命令を送信するように構成されたコントローラを備える。毛髪又は頭皮をトリートメントするためのデバイスであって、デバイスは、カートリッジに接続されたディスペンサ(カートリッジは製剤を備える)、複数のチップ(チップは製剤を吐出するための少なくとも一つの開口を有する)、及びチップから吐出される製剤の量を制御するコントローラを備える。コントローラは、更に、1つ又は複数のチップを介した製剤の吐出を個別に制御するように構成され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
頭皮又は毛髪をトリートメントするためのトリートメントシステム、
頭皮又は毛髪とのデバイス接触、頭皮又は毛髪に対するデバイス距離、及び頭皮又は毛髪に対するデバイス位置から選択される少なくとも1つの空間条件を検出するように構成された1つ又は複数のセンサ、並びに
前記デバイスの検出された前記空間条件に基づいて、前記トリートメントシステムを調整するための命令を送信するように構成されたコントローラを備える、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記トリートメントシステムは、静電チャージャを含む、デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスであって、
頭皮又は毛髪との前記デバイスの接触を検出するように構成された接触センサを備え、
前記接触センサは、オープン検出器、ショート検出器、及び誘電センサから選択される、デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記頭皮又は毛髪に対するデバイス位置又はデバイス向きを検出するように、又は前記頭皮又は毛髪に対するデバイス距離、デバイス速度、若しくはデバイス方向のうちの1つを検出するように構成された、加速度計、ジャイロスコープ、又はコンパスを備える、デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスであって、
コントローラを備え、
前記コントローラは、ステップを実行するために前記コントローラの中に記憶された命令を有し、前記ステップは、
トリートメントシステムのトリートメントプロトコルにアクセスするステップを含み、
前記トリートメントプロトコルは、前記デバイスの前記空間条件に基づくトリートメントを指定する、デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスであって、
コントローラを備え、
前記コントローラは、ステップを実行するために前記コントローラの中に記憶された命令を有し、前記ステップは、
前記1つ又は複数のセンサからの信号を、頭皮又は毛髪に対する前記デバイスの空間条件に解釈するステップ、
前記デバイスの前記空間条件をトリートメントプロトコルと比較するステップ、及び、
前記トリートメントプロトコルに合わせて前記トリートメントを調整するように前記トリートメントシステムに指令するステップを含み、
前記トリートメントプロトコルは、前記デバイスの前記空間条件に基づくトリートメントを指定する、デバイス。
【請求項7】
デバイスであって、
ディスペンサ、複数のチップ、及び、コントローラを備え、
前記ディスペンサは、カートリッジに接続され、

前記カートリッジは製剤を備え、
前記チップは、前記製剤を吐出するための少なくとも1つの開口部を有し、
前記コントローラは、前記チップから吐出される前記製剤の量を制御する、デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のデバイスであって、
第1及び第2の中空チャンバを含むチップを備え、
前記第1及び第2の中空チャンバが電源の正端子及び負端子に接続され、又は前記第1及び第2の中空チャンバが正の検出端子及び負の検出端子に接続される、デバイス。
【請求項9】
請求項8記載のデバイスであって、
前記コントローラは、第1の中空チャンバを指定し、
前記第1の中空チャンバは前記正端子に指定され、前記第2の中空チャンバは前記負端子に指定され、
前記コントローラは、前記正端子と前記負端子との間のインピーダンスを計算する、デバイス。
【請求項10】
請求項8記載のデバイスであって、
前記第1及び第2の中空チャンバによって電力供給される1つ又は複数のチップの端部に発光ダイオードを更に備える、デバイス。
【請求項11】
毛髪及び頭皮トリートメントデバイスであって、
ディスペンサ、複数のチップ、及び、コントローラを備え、
前記ディスペンサは、カートリッジに接続され、

前記カートリッジは製剤を備え、
前記チップは、前記製剤を吐出するための少なくとも1つの開口部を有し、
前記コントローラは、1つ又は複数のチップを通って前記製剤の吐出を個別に制御するように構成される、デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスであって、
前記コントローラは、前記チップを開いて前記製剤をパターンで吐出するよう制御し、前記パターン内に無いチップを閉じる、デバイス。
【請求項13】
請求項11に記載のデバイスであって、
前記コントローラは、皮膚に接触していると感知されたチップを通してのみ製剤を吐出する、デバイス。
【請求項14】
毛髪及び頭皮トリートメントデバイスであって、
前記デバイス上の複数のチップ、及びコントローラを備え、
前記チップは、前記チップを第1の軸で振動させるアクチュエータを含み、
前記コントローラは、前記チップの前記振動を個別に制御するように構成される、デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のデバイスであって、
前記チップは、前記チップの長手方向に延在する2つの中空チャンバを備える、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2020年9月18日に出願された米国出願第17/025,598号、2020年9月18日に出願された米国出願第17/025,608号、2020年9月18日に出願された米国出願第17/025,619号、2021年1月7日に出願された仏国出願第2100128号、2020年11月24日に出願された仏国出願第2012073号、及び、2020年11月5日に出願された仏国出願第2011369号の利益を主張するものであり、この内容は、該出願を参照することによりこの全体が本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、毛髪トリートメントシステムは、毛髪及び頭皮を領域毎にインテリジェントにトリートメント又は診断する。一実施形態では、接触センサと組み合わせた、カメラ若しくは赤外線(IR)又はカメラと赤外線センサの両方などの近接センサを使用して、距離及び位置を概算し、毛髪の長手に沿って及び頭皮に製品を吐出又は診断するステップを修正するコマンドを生成することができる。
【0004】
一実施形態において、毛髪トリートメントシステムは、パターンアプリケーション及びトリートメントの適用量(例えば、毛髪の根元と毛先)並びに、頭皮と毛髪と空気との識別を容易にする。
【0005】
一実施形態では、毛髪トリートメントシステムは、廃棄物や吸入され得るミストが最小限になるように、頭皮及び毛髪のトリートメントの流出又は方向を制御する。
【0006】
一実施形態では、毛髪トリートメントシステムは、頭皮接触センサ、例えば、ブラシや櫛の毛先にオープン検出器又はショート検出器又は誘電センサを含み、毛髪トリートメントシステムが頭皮又は毛根に接触近接しているか否かを判断する。
【0007】
一実施形態では、加速度計の使用により、頭の位置(頭頂部と側頭部)を更に計算する。カメラ及び/又はIRセンサは、デバイスが頭皮からどのくらい離れているか、毛髪と接触しているか、毛髪の端部に到達しているかを決定する。毛髪や頭皮の異なる領域では、(ノズルやスプレーバルブなどを通じて)異なるタイプの製品を吐出し、異なるタイプの(赤色や紫外など)LEDを照射する。
【0008】
一実施形態において、本開示の利点は、ドライシャンプーをより清潔でより利用しやすい形態で吐出するためのデバイスを提供することである。
【0009】
一実施形態では、ドライシャンプー液を含むカートリッジがアプリケータデバイスに組み込まれている。オンボタンで起動すると、ドライシャンプー液は、ポンプを介して、小さな開口部を有する一連のチップや歯に計測された量で吐出される。ユーザが髪を梳いたり、ブラシをかけたりすると、溶液は髪の上を滑り、髪の中に入っていく。
【0010】
一実施形態では、デバイスは超音波を通して毛髪及び頭皮製品を蒸気雲(ミスト)として放出する。これは、製品を穏やかに分散させて廃棄物の量を減らし、適用範囲の制御を向上させるという利点を有する。このソリューションは、必要以上に噴射し、ユーザの頭部以外の領域までを十分に覆う大きな雲を生成するエアロゾルスプレー缶とは対照的である。
【0011】
一実施形態では、マルチユースデバイスは、吐出用の新しいブラシ又は櫛のチップを組み込んでいる。
【0012】
一実施形態では、各チップは、非導電性のガスケット(絶縁体)で分離されている、半円筒状の正導体と半円筒状の負導体との接合体として構成されている。
【0013】
一実施形態では、各ブラシ(又は櫛)チップは、互いに電気的に絶縁された2つ以上のチャンバに縦方向に分割された円筒形のチャンバ、又は互いに電気的に絶縁された2つ以上の同軸の円筒形のチャンバである。
【0014】
一実施形態では、チップは、頭皮に微小電流を与えるために用いることができる正端子を有し、頭皮は接地(GND)経路として機能する。
【0015】
一実施形態では、ブラシ(又は櫛)チップは頭皮に微小電流を供給することができ、頭皮は異なるチップの正端子と負端子の間の導電経路として機能する。
【0016】
一実施形態では、複数のチップ間に微小電流を与えることができ、一方のチップが正電源端子で機能し、他方のチップがGND端子として機能する。
【0017】
一実施形態では、正負端子間でインピーダンスを測定し、頭皮の水分レベルを決定することができる。
【0018】
一実施形態では、複数のチップ間でインピーダンスを測定し、より広い領域にわたって頭皮の水分レベルを決定することができる。
【0019】
一実施形態では、(ハンドルへの戻り経路を介して)正端子又は負端子と頭皮との間でインピーダンスを測定し、チップが頭皮(皮膚)と接触しているかどうかを決定することができる。これは、アプリケーションが頭皮との接触を必要とする場合に有用である。例えば、製剤トリートメント及びバキュームシステムにおいて、頭皮がトリートメント対象であり、バキュームが頭皮上で直接動作しなければ、髪を吸い込む危険性があるため、有用である。
【0020】
一実施形態では、発光ダイオード(LED)をチップの端部に配置し、2つの端子から電力を供給することができる。
【0021】
一実施形態では、LEDの電力に応じて、熱放散を導電性材料で吸収(ヒートシンク)することができる。
【0022】
一実施形態では、LEDはチップの遠端部に配置される。この構成では、LEDは、チップの基部に配置されたり、長い光ファイバー経路を通って届けられたりするのに比べて、より多くのエネルギーを頭皮に届けることができる。
【0023】
一実施形態では、LEDは、トリートメント、製剤の硬化、又はデバイスの状態(すなわち、動作モード又は充電状態)を示すために使用することができる。
【0024】
一実施形態では、チップの長手に沿ってレーザーカットされた一連の穴(パーフォレーション)を使用して、頭皮と毛髪に製剤を送達することができる。
【0025】
一実施形態では、頭皮のみを対象とする場合、チップの最端部の個々の開口部のみを使用することができる。
【0026】
一実施形態では、ブラシ型デバイス又は櫛型デバイスの主要本体内のマイクロプロセッサ回路によって、チップとこの分割された2つの導電体の機能を制御することができる。
【0027】
一実施形態では、ブラシ又は櫛のチップは導電性ではなく、マルチ円筒構造は、アプリケーションが製剤を混合する工程又は製剤を吐出する工程、及び頭皮の小さな制御された対象領域上にバキュームする工程を含む場合に有用であり得る。
【0028】
一実施形態では、携帯サイズのブラシ型デバイス又は櫛型デバイスは、アクチュエータによってXYZ軸方向の運動で個別に制御されるマッサージ用チップを含む。チップは、頭皮に接触したときのみ(オープン/ショート検出器又は誘電性皮膚接触センサの使用により)、正確に計測された量の頭皮製品を個別に吐出する。個別に作動するチップは、毛髪製品(ドライシャンプーやカラーティント)を厳密に制御された形(すなわち、平面扇状)で噴射する。パーソナライズされた頭皮及び毛髪製品は、交換可能なカートリッジに収納されている。カメラを追加することで、毛髪密度、トーン、乾燥に関連する頭皮と毛髪の状態を診断することができる。LEDを追加することで、更に毛髪をトリートメントしたり、カメラの撮影を容易にしたり、製剤の硬化に使用したりすることができる。
【0029】
本概要は、以下の「発明を実施するための形態」で更に記載される概念の選択を簡略化して紹介するために提供される。本概要は、クレームされた主題の主要な特徴を特定することを意図したものではなく、また、クレームされた主題の範囲を決定する際の補助として使用することを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の上述の態様及び付随する利点の多くは、添付の図面と併せ、以下の発明を実施するための形態を参照することにより、同様のことがよりよく理解できるようになるにつれて、より容易に理解されるであろう。
【0031】
図1図1は、毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの説明図である。
図2図2は、図1の毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの説明図である。
図3図3は、図1の毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの側面の説明図である。
図4図4は、図1の毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの背面の説明図である。
図5図5は、図1の毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの底面の説明図である。
図6図6は、毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの構成要素を示す概略図である。
図7図7は、毛髪及び頭皮トリートメントデバイス用の方法を示すフロー図である。
図8図8は、半円筒構造を利用して円形パターンで配置されたチップを有する毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの底面の説明図である(ブラシ型実施形態)。
図9図9は、円筒内円筒構造を利用して円形パターンで配置されたチップを有する毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの底面の説明図である(ブラシ型実施形態)。
図10図10は、一列に配置されたチップを有する毛髪及び頭皮トリートメントデバイス(櫛型実施形態)の側面の説明図である。
図11図11は、ブラシ型及び櫛型の実施形態用の半円筒構造のチップの説明図である。
図12図12は、ブラシ型及び櫛型の実施形態用の円筒内円筒構造のチップの説明図である。
図13図13は、ブラシ型及び櫛型の実施形態用の半円筒構造のLED付きチップの説明図である。
図14図14は、ブラシ型及び櫛型の実施形態用の円筒内円筒構造のLED付きチップの説明図である。
図15図15は、毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの構成要素を示す概略図である。
図16図16は、毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの説明図である。
図17図17は、図16の毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの説明図である。
図18図18は、毛髪及び頭皮トリートメントデバイスの一実施形態の構成要素を示す概略図である。
図19図19は、円形及び直線パターンで製剤を吐出するように制御される個別チップの端部を示す概略図である。
図20図20は、3軸に振動するための個々のアクチュエータを有する個別チップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
多くの頭皮及び毛髪トリートメントデバイスが知られている。例えば、本出願人の先行刊行物2005/0081871、2014/0088522、2017/0150810、2017/0326020、2019/0098977、2019/0209077を参照することができる。本開示によれば、頭皮及び毛髪に対するデバイスの正確な位置又は近接度を検出するセンサを含むことによって、毛髪、頭皮、又は毛髪及び頭皮の両方をトリートメントするためのデバイスを改善することができる。このようなセンサを有するデバイスでは、この情報を用いて、提供するトリートメントを制御することができる。
【0033】
本開示によれば、センサが提供されることにより、頭皮又は毛髪に対する毛髪トリートメントデバイスの位置若しくは近接度、又はデバイスが毛髪若しくは頭皮と実際に接触しているかどうかに基づいてトリートメントを調整するようにプログラムすることができる、より「インテリジェント」なデバイスを実現する。毛髪及び頭皮トリートメントシステムの例としては、頭皮マッサージ器、ヘアドライヤー、並びにシャンプー用、ブリーチ用、カラーリング用及び他の製剤用のディスペンサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
一実施形態では、本開示に係る毛髪及び頭皮トリートメントシステムは、手持ち式の電動式デバイスで具現化される。図に示されたデバイスは、毛髪又は頭皮トリートメントシステムの例である。しかしながら、従来既知の毛髪及び頭皮トリートメントデバイスも、本明細書に記載されるインテリジェント機能を有するように変更することができる。例えば、図1のデバイス100aは、製剤を吐出し、バキューム又はブロワとして機能し、光及び静電トリートメントを提供するために使用できる比較的大きなタイン(フォーク)を示す。しかしながら、他の実施形態では、毛を有するブラシ型ヘッド又は歯を有する櫛型ヘッドにタインを置き換えることができる。
【0035】
人々は、従来の水で濡らす水性シャンプーを使用して洗髪する頻度が減ってきている。このタイプのシャンプーの使用が減少しているのは、抜け毛や髪のダメージを防ぐ、時間や労力を節約する、など様々な理由が考えられる。一方でドライシャンプーの使用は増加している。人々は、お金を節約するために美容院に行く間隔を延ばそうとしており、これが根元のお手入れに使うティントタイプのドライシャンプーへの関心の高まりにつながっている。ドライシャンプーは、主にスプレーボトルで提供されている。しかし、スプレーボトルでは、製品を吸い込んでしまったり、意図せず顔、特に目に噴射してしまったりする懸念が生じる。スプレーボトルでは、噴射方向や噴射量のいずれも、正確ではない。更に、旅行先や公衆浴場で使用する際には適さない。ドライシャンプーは、頭皮を清潔にせず、それどころか頭皮にダメージを与えるおそれがある。それでも、頭皮をケアすることが健康な髪につながるという考え方がある。「ドライ」シャンプーは、ブラッシングやプレッシングで頭皮を清潔にし、髪にオイルを行き渡らせる方法である。頭皮用トリートメントや頭皮に直接適用する製剤は、ピペット、泡又はパウダーにより適用するため、髪を手作業で分ける必要がある。パウダーや泡は手につく。頭皮に過剰に製品を垂らしてしまうと、製品が流れたり、髪が脂っぽくなったりする。再利用可能でクローズドループな製品設計の需要が高まっている。
【0036】
本開示は、例えばドライシャンプー又は他の製剤と共に使用することができる、髪を清潔にするためのデバイスに関する。頭皮及び毛髪用製剤は、フケ、抜け毛、ストレス軽減、かゆみ、ヘアカラー及びティント、油分、外観、縮れ、ボリューム、光沢、乾燥、密度、及びこの他いろいろなものをトリートメントするために存在する。しかし、頭皮や毛髪に製剤を適用するための、よりスマートな方法が必要とされている。
【0037】
一実施形態では、デバイスは、機械的及び化学的動作の組み合わせに依拠するブラシ状又は櫛状のアーキテクチャを使用して、洗浄用の所望の製剤を堆積させ(つまり毛髪や頭皮に製剤を吐出し)、不要な微粒子と共に製剤を除去し、更に追加の化粧特性又は健康特性を提供する。櫛状の動作により、現在の美容及びヘアケアのルーチンに組み込むのが容易な、馴染みのあるジェスチャーが与えられる。更に、デバイスは、ブラシ型又は櫛型の構成に配置された中空の導電性チップを含むことができる。導電性であるチップにより、例えば、導電性チップを微小電流発生器と共に使用したり、導電性チップを静電チャージャと共に使用したりして、頭皮や髪を正又は負に帯電させ、帯電した領域に毛髪用製剤を引き寄せることができる。
【0038】
一実施形態では、デバイスは、より正確に製剤を提供可能にする中空構造を利用したタイン又はチップを備えている。一実施形態において、タイン及びチップを使用して、頭皮及び毛髪に微小電流又は静電荷を与えることができる。一実施形態において、チップは、接触センサとして使用することができる。一実施形態において、チップを使用して、インピーダンスを測定し、含水量を決定することができる。
【0039】
一実施形態では、デバイスを使用する際の直感的な使用やジェスチャーにつながる、デバイスへの信頼感や安心感を引き起こすために、デバイスはよく認識されている身近なヘア機器のスタイルで形作られている。
【0040】
図1図5を参照すると、デバイス100aの一実施形態は、実質的に円筒形のセクション138に接続されたハンドル104を含む。ハンドル104は、デバイス100aの前端部に対して鈍角にデバイス100aに接続される。ハンドル104は、より快適な使用とより容易な制御のために、デバイスの重さのバランスをとるのに役立つ。また、制御ボタンを、ハンドル上に配置することもできる。
【0041】
図3を参照すると、背面側において、デバイス100aは、毛髪又は頭皮トリートメント製剤を含む取り外し可能なカートリッジ102を受け入れる、より小さな直径の円筒形状のハウジング136を含むことができる。カートリッジ102を、再充填可能なカートリッジ又は使い捨てのカートリッジであるように構成することができる。一実施形態では、デバイス100aを、2つ以上のカートリッジ102を保持するように構成することができ、各カートリッジを、異なるトリートメント用に異なる製剤で充填することができる。あるいは、アプリケーションによっては、2つ以上の異なる製剤を用いて、意図するトリートメントを達成するために両方の製剤を適用する必要がある場合がある。
【0042】
後部ハウジング136より前方では、デバイス100aの外形は、ハウジング136の直径と比較してより大きな外径部分138に階段状に大きくなる。一実施形態では、デバイス100aは、後端部からデバイス長さのほぼ中央まで実質的に円筒形又はわずかにテーパーの付いたの円錐形部分138を有する本体構造を備える。一実施形態では、ハンドル104は、部分138の後側に接続する。次に、デバイス100aは、円筒形又は最小限の円錐形部分138から近接して、デバイス100aの上下方向における平面において(すなわち、デバイス100aを左側又は右側から見て)、デバイス100aのほぼ中央からデバイスの長さの3分の1又は4分の1まで、より顕著な円錐形又は小さくなる楕円形の形状140を取る。しかしながら、デバイス100aの左右方向における平面では(すなわち、デバイス100aを上側又は下側から見て)、デバイス100aは、左右方向の平面において3つのタインを収容することができるように、それほど先細りにならない。本明細書で説明するように、タイン108は、ブラシ又は櫛のいずれかの構成に配置されたチップと交換することができる。
【0043】
次に、デバイス100aは、円錐形状又は楕円形状140の小さい方の端部から遠位に、移行部142を有する。各タイン108が他のタインから分離するように、移行部142の前端部には1つ又は複数の吐出タイン108が形成される。タイン108は、毛髪又は頭皮トリートメントシステムに関連して図示されているが、デバイス100aは、ブラシ又は櫛として構成されてもよい。
【0044】
図2及び図5を参照すると、各タイン108は、左右の平面及び上下の平面の両方において、移行部142における接続開始セクションからタイン108の端部まで、徐々に小さくなる円錐形状を有する。
【0045】
図5では、タイン108は、底面(又は上面)から見たときに丸みを帯びたチップを有するように示されている。しかし、図3では、タイン108は、側平面から見たときに、前端部にあるタイン108の底部に平坦な領域又は面取りを有するように示されており、結果として、チップの一部が切られている(truncated)丸みを帯びた形状になる。タイン108のチップは、頭皮及び毛根へのより良いアクセスのために、丸みを帯びており、髪を分けることができる。丸みを帯びたタイン108は、洗浄及びマッサージ動作用の「アジテーション(振動、揺動)バンプ」及び面取りされた角度を含む。
【0046】
図5において、タイン108の面取りセクションは、1つ又は複数の製剤を吐出するための開口部130を有する。一実施形態では、開口部130は、静的であり得、これは、噴射方向又は吐出方向が設定され、調整できないことを意味する。一実施形態では、開口部130は、指向性であり得、これは、噴射方向又は吐出方向を制御することができることを意味する。例えば、開口部130を、マイクロアクチュエータを介して制御される旋回球上に設けることができる。一実施形態では、複数の開口部を設けてもよく、各開口部は異なる方向に指向され、製剤は、好ましい向きで選択された開口部から吐出される。
【0047】
一実施形態では、製剤を吐出する方向を制御することにより、例えば、前後に動く「ブラシストローク」パターン又は円形パターンなどのパターンで製剤を適用することもできる。一実施形態では、ディスペンサ112は、製剤が吐出される形態を制御することができる。例えば、製剤を、平面扇状と円錐状、ワイドとナロー、中実スプレーと中空スプレー、及びストリームとミストなどの種々の形状パターンで噴射することができる。一実施形態では、製剤は、スプレーのパターンを調整するために中心ステムの周りを前後に動く調整可能な円錐形ノズルを介して吐出される。
【0048】
一実施形態では、製剤を液体として吐出することができる。一実施形態では、製剤を微粒子化して、ミストとして吐出することができる。更に、タイン108の面取りされたセクションは、毛髪から除去された任意の破片(debris)又は油と共に使用済み製剤を収集するためのバキュームシステムにつながる開口部132を有する。一実施形態では、デバイス100aがヘアドライヤーとして機能するように、開口部132を使用して加熱空気を供給することができる。
【0049】
図示された実施形態では、各タイン108は、吐出用の開口部130及びバキューム用の開口部132を有することが示されている。しかしながら、一実施形態では、製剤を吐出するための開口部のみを有する専用タインと、バキュームに使用する開口部のみを有する専用タインとを有してもよい。一実施形態では、各タイン108に複数の開口部を設けて、同じタインから異なる製剤の吐出を提供することができる。これは、意図した効果を達成するために2つの製剤を共に使用する場合に有利であり得る。一実施形態では、各開口部は、種々の製剤に専用化され得る。一実施形態では、デバイス100aは、頭皮及び毛髪が均等に清潔になるような適用範囲のために3つのタイン108を備える。ハンドル104の角度及びタイン108の長さの設計により、ユーザは頭皮及び毛髪の全ての領域に到達させることができる。
【0050】
一実施形態では、デバイス100aは、静電気トリートメントシステムを含む。一実施形態では、静電システムの目的は、誘導又は接触によって頭皮又は毛髪の一部又はこれらの両方を帯電させることである。一実施形態では、電極150がタイン108のチップに配置される。電極150は、開口部130から吐出される毛髪用製剤の液滴を静電的に帯電させることもできる。帯電した毛髪用製剤は、この後、生成された特定の電荷にしたがって、頭皮又は毛髪の対象領域に引き寄せられるか又は反発するようになる。電極150は、静電チャージャに電気的に接続されている。一実施形態では、電極150は、電気絶縁性材料によって囲まれてもよい。一実施形態では、デバイス100aは、複数の毛髪及び頭皮トリートメントシステムを有することができる。デバイス100aはまた、接触センサ、近接センサ、加速度計などを含む1つ又は複数のセンサを備える。センサは、コントローラに入力を与え、次いで、センサによって提供される情報に基づいて、1つ又は複数の毛髪及び頭皮のトリートメントシステムの出力を制御する。
【0051】
図6を参照すると、毛髪及び頭皮トリートメントシステムでのセンサの使用を説明するために、デバイス100aは概略的に表されている。デバイス100aは、製剤ディスペンサ112、静電チャージャ152、バキューム及びコレクタシステム114、ブロワ及びヒータシステム144、光トリートメントシステム146、及び触覚振動マッサージ器158を含むが、これらに限定されない1つ又は複数のトリートメントシステムを有することができる。一実施形態では、デバイス100aは、上述のトリートメントシステム、トリートメントシステムのうちの1つのみ、又は2つ以上のトリートメントシステムの組合せを含むことができる。
【0052】
一実施形態では、デバイス100aは、交流(AC)又は直流(DC)により電力供給され得る。一実施形態では、デバイス100aは、デバイス100aに電力を供給するために電気コード(図示せず)に依拠する一般的な家庭用交流によって電力が供給される。一実施形態では、デバイス100aは、家庭用交流コンセントに差し込むことで充電可能な充電式電池などの直流を通じて電力供給される。直流で電力供給されるデバイス100aにより、コンセントに近接して滞在したり立ったりすることなく、デバイスを使用することができる。
【0053】
一実施形態では、デバイス100aは、製剤ディスペンサ112を含む。一実施形態では、製剤は、交換可能又は再充填可能なカートリッジ102に格納される。カートリッジ102は、再充填するため、又は廃棄して新しい満杯のカートリッジと交換するために、デバイス100aから取り外し可能とできる。一旦空になったカートリッジ102を、同じ又は異なる製剤で満たされた新しいカートリッジと交換することができ、又はカートリッジを同じ又は異なる製剤で再充填することができる。図1に見られるように、カートリッジ102は、デバイス100aの後側から挿入される。カートリッジ102は、頭皮又は毛髪用製剤をディスペンサ112に供給するために接続される。一実施形態では、デバイス100aは複数のカートリッジを保持することができ、各カートリッジは異なる製剤で満たされている。これにより、頭皮や毛髪の異なる領域に異なる製剤を吐出して、異なるトリートメントを効果的に行うことができる。
【0054】
一実施形態では、カートリッジ102は、カートリッジ102に含まれる特定の製剤に基づくデバイス100aの動作の命令を伝えることができる製品識別タグ154(図1)を有する。デバイス100aは、製品識別タグ154を読み取り、符号化された信号を特定の製剤に基づくデバイスの動作及び制御のための命令に処理することができる製品識別タグリーダ156(図1)を含むことができる。製品識別タグは、例えば、バーコード、2次元バーコード、RFIDなどを含む。製品識別タグは、特定の製剤のためのデバイス設定を伝える機械可読信号で符号化される。異なる製剤は、異なるデバイス設定を有することができる。例えば、製品識別タグは、加熱又はバキュームの設定、及び液体から微細な液滴へ、中程度の液滴へ、又は粗い液滴へのディスペンサ設定を含むことができる。また、異なる製剤は、頭皮や毛髪の異なる領域をトリートメントするために使用することができる。また、頭皮や毛髪に異なるトリートメントを施すために、異なる製剤を使用することもできる。
【0055】
一実施形態では、製品識別タグは、カートリッジ102内の製剤を、荷電粒子を含むものとして識別する。これによりデバイス100aが静電チャージャ152をオンにするように制御し、製品識別タグは更に、特定の電圧及び負又は正の極性などの静電設定を決定する。
【0056】
ディスペンサ112は、タイン108(又はブラシ毛又は櫛)を通して、1つ又は複数の製剤を微細なミスト又は液体として吐出することができる。また、一実施形態では、製剤をミスト又は液体として吐出することで、デバイスは、吐出される製剤の粘度を変化させることもできる。一実施形態では、ディスペンサ112は、製剤からミストを生成するために、コンプレッサ、ポンプ、又は超音波発生器を含む。ポンプ又はコンプレッサのディスペンサ112の場合、係るディスペンサ112は、空気又は製剤を高速で流動させ、これにより、開口部130でミスト化するために設計された微細ノズルを介して製剤を推進させる。ポンプ又はコンプレッサのディスペンサの場合、単一のディスペンサ112をデバイス100aに配置することができる。そして、コンプレッサ又はポンプのディスペンサ112の出口は、導管のシステムを通じて各タイン108に導かれ、開口部130でノズルから出る。
【0057】
一実施形態において、ディスペンサ112は、超音波の周波数がミストを生成するのに十分である、製剤と接触する超音波発生器を有する超音波ネブライザである。超音波ネブライザはまた、ミストを作るために製剤の表面にちょうど触れる振動メッシュを有する「メッシュ」ネブライザを含む。いずれの形態の超音波ネブライザでも、圧電素子を使用することができる。
【0058】
一実施形態では、デバイス100aは、静電チャージャ152を含む。静電チャージャは、頭皮又は毛髪又はこの両方の対象領域において、正又は負の電荷を生成することができる。静電チャージャ152は、電気導電体を介して、1つ又は複数のタイン108の端部にある電極150に接続される。好適な電極150は導電性であり、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、又はこれらの任意の合金を含むことができる。電極150は、プラスチック、エラストマーなどの電気絶縁材料によって周囲の領域から絶縁されてもよい。
【0059】
デバイス100aが作動すると、静電チャージャ152は、頭皮、毛髪又はこの両方に正又は負の電荷を生じさせ、帯電した領域に製剤を引き寄せたり反発させたりすることができる。一例では、正に帯電する領域は、この領域から電子を反発させることによって作られ、別の例では、負に帯電する領域は、この領域に電子を引き寄せることによって作られる。静電帯電は、接触帯電、誘導帯電などによって行われ得る。一例では、電極150を高電圧源に接続し、静電正電荷又は静電負電荷(electrostatic positive or negative charges)を誘導する。
【0060】
別の例では、毛髪用製剤は帯電電極150のそばを通過する間に帯電する。負に帯電した毛髪用製剤の液滴は、電位がより低い可能性がある対象に向かって引き寄せられる。
【0061】
一実施形態では、デバイス100aは、バキューム発生モータ及びコレクタを有するバキュームシステム114を含む。一実施形態では、モータは、可変速モータとできる。モータは、気流を誘導して、タイン108の開口部132から進入させる。気流は、製剤によって毛髪から洗い流されたあらゆる破片及び油と共に使用済み製剤を運ぶことができる。次いで、これらはコレクタによって捕捉され、空気はデバイス100aの外に排出される。一実施形態では、コレクタは、デバイス100aの背面に配置され、かつカートリッジ102を包囲する環状の通気孔134を含む(図4)。通気孔134により、デバイス100aから気流が出ることができ、一方、使用済み製剤及び破片はコレクタ内に捕捉されるようになる。一実施形態では、コレクタは、デバイス100aから取り外し可能であり、食器洗い機での洗浄を可能にするように、食器洗い機対応である。一実施形態では、使用済み製剤に接触するコレクタの表面は、コレクタの洗浄を容易にするために疎水性又は親水性材料で被覆されている。
【0062】
一実施形態では、デバイス100aは、ブロワ及びヒータシステム144を含む。一実施形態では、デバイス100aは、ヘアドライヤーとして機能してもよい。ブロワ及びヒータシステム144は、反対方向に回転するように構成されたバキュームモータを利用してもよい。タイン108を通して空気を取り込むためにバキュームが造られる場合、ブロワ及びヒータシステム144は、タイン108を通して空気を吹き出すように構成される。ブロワとして動作する場合、インペラ翼は、タイン108の開口部132を通して出るような気流を引き起こす。(外部に)出る前に、気流は、まず、抵抗加熱コイル上を通過してもよい。加熱コイルに印加する電流を制御することで、空気の温度を上げたり下げたりすることができる。タインで排出される空気は、デバイス100aの背面に配置された環状の通気孔134を介してインペラ翼に入ることができる。
【0063】
一実施形態では、デバイス100aは、光トリートメントシステム146を含む。一実施形態では、光トリートメントシステムは、電磁スペクトルの広い範囲にわたって光を生成することができる1つ又は複数の発光ダイオード146(LED)を含む。一実施形態では、光療法は、皮膚の状態をトリートメントするために頭皮に使用されてきた。一実施形態では、光療法は、毛包の細胞を刺激するために使用されてきた。しかしながら、光療法は、他の利点を有することができる。一実施形態では、光療法は、広い範囲の波長で(レーザーLEDのように個々の波長で、又は広い範囲の複数の波長で)電磁エネルギーを生成することができる発光ダイオード146(LED)によって行われる。LEDによって生成される光の強度は、例えば、電流を制御することによって変化させることができる。
【0064】
一実施形態では、LED146は、緑色可視光から近赤外にまたがる範囲の波長で電磁放射を放出することができる1つ又は複数のIII-V族(GaAs)ベースのLEDを含む。一実施形態では、LED146は、紫外から青色可視光にまたがる範囲の波長で電磁放射を放出することが可能な1つ又は複数のIII族窒化物青色LED固体エミッタを含む。
【0065】
一実施形態では、LED146の波長出力は、約360~370nmの波長出力を有する1つ又は複数のガリウムインジウム窒素(GaInN)LEDを含む。他の実施形態では、LED146は、約200nm~約2000nmの波長範囲の電磁エネルギーを放出し、これは、紫外域(約350nm)及び近赤外(約1200nm)の波長を含む。
【0066】
一実施形態では、異なる波長光を発生する異なるLEDを使用して、頭皮と毛髪に異なるトリートメントを提供することができる。
【0067】
一実施形態では、デバイス100aは、触覚システム158を含む。触覚システムは、振動マッサージ器を含むことができる。一実施形態では、触覚振動マッサージ器は、回転速度に応じた振動を生成する偏心して配置された錘を回転させる電気モータを含むことができる。一実施形態では、振動触覚マッサージ器は、電気源のサイクルに応じた振動を生成する電磁コイル及び永久磁石を含むことができる。更に、セラミック圧電アクチュエータ、形状記憶合金及び形状記憶ポリマーアクチュエータ、静電気力、電気活性ポリマーアクチュエータ、圧電モータアクチュエータ、並びに空気圧アクチュエータを含む一種の触覚アクチュエーション又は感覚生成作用を生じさせるために、触覚システム158において他の技術を使用することができる。
【0068】
一実施形態では、デバイス100aは、1つ又は複数のセンサを含む。一実施形態では、1つ又は複数のセンサは、頭皮又は髪に対するデバイス距離、デバイスの速度、又はデバイスの方向のうちの1つを測定するために使用される。一実施形態では、速度及び方向は、前後に動く「ブラシストローク」技法を検出するために使用される。一実施形態では、デバイス100aは、接触センサ160を含む。接触センサ160は、タイン108、ブラシ、又は櫛が皮膚や毛髪と物理的に接触しているか否かを示すことができる。一実施形態では、デバイス100aは、近接センサ162を含む。近接センサ162は、センサから皮膚及び毛髪の表面までの距離を示すことができる。一実施形態では、接触センサ160及び近接センサ162を、1つ、2つ以上、又は全てのタイン108(又はブラシ毛又は櫛歯)のチップの端部に、又はこの近くに配置することができる。一実施形態では、デバイスは、1つ又は複数の加速度計164を含む。一実施形態では、加速度計164は、頭部及び毛髪に対するデバイス100aの向き又はデバイス100aの位置を決定するように機能する2軸及び3軸の加速度計である。例えば、デバイス100aは、一般に、頭頂部に使用されるときは、後頭部に使用されるときとは対照的に、異なる向きで保持され頭部の右側と左側で使用されるときも同様である。2軸及び3軸加速度計164は、デバイス100aの向きを追跡するために使用され、そこから位置を決定することができる。加速度計164はタイン108に図示されているが、加速度計はデバイス100a上の任意の場所に配置することができる。
【0069】
一実施形態では、接触センサ160は、オープン検出器、ショート検出器又は誘電体センサを含む。オープン検出器は、電気伝送における断線(オープン)導通を検出するための開回路検出器を指すことができる。ショート検出器は、低い電気抵抗の検出を指すことができる。また、誘電体センサは、誘電率の変化を検出することができる静電容量検出器とも称される。一実施形態では、接触センサ160は、個々のタイン108(又はブラシ毛又は櫛歯)の接触又は非接触を検出するセンサであってもよい。一実施形態では、接触センサ160は、接触量を示すことができる。接触量を検出することができる接触センサの一例は、圧電センサである。
【0070】
一実施形態では、近接センサ162は、赤外線センサ、カメラ又はカメラ及び赤外線センサの両方のような光学センサであってよい。一実施形態では、赤外線センサ、カメラセンサ又はこの両方は、デバイス100a全体の様々な場所に配置され得る。一実施形態では、カメラは、電荷結合素子(CCD)又はピクセルセンサなどの、光を画像に変換する半導体集積回路であってよい。赤外線センサは、熱源からのデバイスの距離に反比例する熱を検出する。しかし、近接センサの他の例として、静電容量センサ、超音波センサ、ドップラーセンサを採用することもできる。
【0071】
一実施形態では、加速度計164は、デバイス100aの位置(又は頭部に対する位置)、デバイス100aの向き、及びデバイス100aの動きを決定するように機能する。一実施形態では、加速度計164は、地磁気センサ(すなわち、コンパス)及びジャイロスコープを含む他のセンサと組み合わせて使用され得る。ジャイロスコープは、3軸に関する角速度を検出するセンサであり、物体の回転を検出することができる。更に、地磁気センサは、デバイス100aが面している向きを把握することができる。
【0072】
一実施形態では、デバイス100aは、コントローラ148を含む。一実施形態では、コントローラ148は、デジタルデバイスである。コントローラ148は、プリント回路基板上に接続された1つ又は複数のハードウェア回路を含んでもよいし、回路の全てが単一チップ上に存在してもよい。コントローラ148は、少なくともマイクロプロセッサコアとメモリとを含むことができる。ハードウェアを小型の手動デバイスで使用する用に設計することができる。マイクロプロセッサは、予めプログラムされた論理にしたがって命令を実行するために、並列及び直列で協働的に動作する複数のプロセッサとして実装することができる。
【0073】
コントローラ148は、接触センサ160、近接センサ162、及び1つ又は複数の加速度センサ164などのセンサから信号を受信する。センサ160、162、164は、コントローラ148による記憶及び処理のためにデジタル信号を提供する回路を含むことができる。一実施形態では、1つ又は複数のセンサは、コントローラ148による記憶及び処理の前に、アナログ/デジタル変換回路によってデジタル信号に変換されるアナログ信号を送信することができる。
【0074】
コントローラ148は、センサから提供される信号のうちの1つ又は複数に基づいて、様々な動作を実行することができる。また、時間の経過をカウントするための時計や、センサからの過去のデータなど、コントローラ148は、付加的な情報を入手可能とできる。
【0075】
コントローラ148は、センサからの信号を変換して解釈し、デバイス100aの空間条件を示す。例えば、信号を、頭皮と毛髪との関係におけるデバイス100aの位置、デバイス100aとの接触又は非接触、及びデバイス100aからの距離を示すように解釈することができる。次に、コントローラ148は、信号のうちの1つ又は複数に基づいて、特定の予めプログラムされた命令を実行する。命令は、ハードウェア又はソフトウェアで符号化されることができる。命令は、センサからの信号に基づいてトリートメントシステムの1つ又は複数の動作を変更するかどうか、及び変更する方法に関するものである。
【0076】
一実施形態では、各トリートメントシステム112、152、114、144及び146は、デバイス100aのリアルタイムの空間条件に基づいて、どのようなトリートメントを提供すべきかを指定するトリートメントプロトコルを有する。この方法では、コントローラ148は、ユーザがデバイス100aを頭皮や毛髪の異なる領域に移動させると、トリートメントを調整するために、トリートメントシステム112、152、114、144及び146にコマンド信号を送信する。コントローラ148は、デバイス100aの現在(リアルタイムで)検出された空間条件に基づいてこの命令を行う。空間条件は、毛髪及び頭皮からのデバイス100aの位置及び向き、並びに接触、距離に関連していてもよい。トリートメントプロトコルを、頭皮又は毛髪に対する領域又は距離をトリートメント条件と相関させる任意の表形式データ又は関数として提供することができる。例えば、ヘアドライヤーを、デバイス100aが髪から遠ざかる距離に比例して空気温度を変化させるように制御することができる。このような例では、トリートメントプロトコルは、距離の関数としての空気温度、又は表形式データでは、各温度設定の行と各距離設定の列を有する表であり、行と列の交点により空間条件(この例では距離)におけるトリートメント温度を提供することになる。他のトリートメントデバイス用のトリートメントプロトコルを、同様の方法で、他の空間条件に基づき設定することができる。
【0077】
各トリートメントプロトコルに対応する命令は、任意のタイプのコンピュータ可読媒体又はコンピュータ記憶デバイスに記憶され、1つ又は複数のマイクロプロセッサに記憶されて実行されることができる。命令は、EEPROM、フラッシュメモリ、RAM、又は他のプログラム可能な不揮発性メモリのような高速メモリに記憶されることができる。命令は、C、C++、COBOL、JAVA(登録商標)、PHP、Perl、HTML、CSS、JavaScript(登録商標)、VBScript、ASPX、Microsoft .NET(登録商標)、Goなどのプログラミング言語で記述されることができる。
【0078】
デバイス100aの空間条件に基づくディスペンサ112用のトリートメントプロトコルは、例えば、製剤が頭皮に向けられるか毛髪に向けられるかによって、吐出される製剤の性質を液体からミストに変える工程、又は、毛髪に対するデバイス100aの位置を感知するか又はいかなる毛髪も感知しないことによって噴射される製剤の方向を変えるか完全に止めることができる工程を含むことができる。また、トリートメントプロトコルは、吐出される製剤のタイプ、すなわち、製剤が皮膚又は頭皮のトリートメントであるか、又は毛髪のトリートメントであるかについても考慮する。デバイス100aが2つ以上のカートリッジを保持する場合、デバイス100aは、トリートメントプロトコルが第2の場所で吐出されるべき異なる製剤を要求するとき、ある場所から別の場所へのデバイスの移動の検出に基づいて、異なる製剤を吐出するように構成され得る。
【0079】
デバイス100aの空間条件に基づく静電チャージャ152用のトリートメントプロトコルは、デバイス100aが頭皮(皮膚)又は毛髪に関連して接触しているか又は最大距離内にあるかどうかに基づいて静電パラメータを変更する工程を含むことができる。
【0080】
デバイス100aの空間条件に基づくバキューム114用のトリートメントプロトコルは、皮膚又は頭皮との接触に基づいてバキュームの力を減少させる工程及びデバイス100aが皮膚又は頭皮から遠ざかるほどバキュームを増強させる工程を含むことができる。
【0081】
デバイス100aの空間条件に基づくブロワヒータ144用のトリートメントプロトコルは、皮膚又は頭皮との接触に基づいて送風力(force of the air)及び温度を下げる工程、及びデバイス100aが皮膚又は頭皮から遠ざかるほど送風力及び温度を上げる工程を含むことができる。
【0082】
デバイス100aの空間条件に基づく光システム146用のトリートメントプロトコルは、皮膚との接触又は毛髪との接触に基づいて特定の光療法をオンにする工程、距離に基づいて光療法のパワーを増加又は減少させる工程、又は非接触若しくは光療法が効果的でなくなる距離を超えると光療法をオフにする工程を含むことができる。一実施形態では、デバイスがある場所から別の場所に移動したことを検出する工程に基づいて異なる発光ダイオードを照射することができ、トリートメントプロトコルは、第2の場所に基づいて異なるLEDを要求する。
【0083】
図7は、デバイス100aの空間条件に基づいて毛髪又は頭皮のトリートメントシステムの動作を変更又は調整するデバイス100aの動作の一実施形態を示すフロー図である。
【0084】
一実施形態では、開始ブロック702において、デバイス100aは、加速度計164からの信号によって、デバイス100aがユーザによってピックアップされたことを検出すると、デバイス自体をオンにすることができる。デバイスは、ブロック702からブロック704に進む。
【0085】
一実施形態では、デバイス100aが2つ以上のトリートメントに使用される場合、すなわち、デバイス100aが2つ以上のトリートメントシステム112、152、114、144、146を有する場合、ユーザはブロック702においてトリートメントシステムを選択することができる。デバイス100aが単一のトリートメントシステムを有する場合、ブロック702を省略してもよい。デバイス100aは、ブロック704からブロック706に進む。
【0086】
ブロック706において、デバイス100aは、選択されたトリートメントシステムに基づいて、トリートメントプロトコルを読み取る。ここで、「読み取る」とは、コントローラ148が使用可能な方法でトリートメントプロトコルにアクセスすること、又はトリートメントプロトコルを記憶することを意味することができる。トリートメントプロトコルを、コントローラ148のメモリに記憶することができる。トリートメントプロトコルは、変化するデバイスの空間条件に基づいて、トリートメントシステムが送達するトリートメントを指定する。空間条件は、頭皮及び毛髪に対するデバイス100aの位置、デバイス100aとの接触又は非接触、及びデバイス100aからの距離を示すための1つ又は複数の条件を意味することができる。トリートメントシステム112、152、114、144、146は、頭皮又は毛髪に対するデバイス100aの位置、デバイス100aの接触、デバイス100aの距離に基づいて、トリートメントシステムが送達するトリートメントをリアルタイムで変更することができる。デバイスは、ブロック706からブロック708に進む。
【0087】
ブロック708において、デバイス100aは、リアルタイムでセンサデータを受信し、データを解釈してデバイス100aの空間条件を決定する。例えば、センサから決定できる空間条件は、デバイス100aとの接触又は非接触、デバイス100aの頭皮及び毛髪への距離、並びに頭皮又は毛髪に対するデバイス100aの位置である。デバイス100aは、ブロック708からブロック710に進む。
【0088】
ブロック710において、デバイス100aは、デバイス100aの現在の空間条件を、予めプログラムされたトリートメントプロトコルと比較する。ブロック710から、デバイス100aはブロック712に進む。
【0089】
ブロック712において、デバイス100aは、デバイス100aの現在の空間条件に対するトリートメントプロトコルにしたがって、トリートメントシステムを調整する。例えば、選択されたトリートメントシステムが製剤ディスペンサ112である場合、ディスペンサ112のトリートメントプロトコルは、頭皮(毛根用)に接触するための異なる設定又は製剤を使用し、デバイス100aが頭皮から遠ざかるにつれて異なる吐出設定又は製剤を使用してもよい。例えば、デバイス100aが頭皮に接触しているときには製剤を液体として吐出し、頭皮からの距離が広がるにつれて、ディスペンサ112は量を減らすか、製剤をより微細なミストとして適用することができる。ブロワ及びヒータ144用のトリートメントプロトコルは、頭皮との接触が検出されたときに最小の熱及び気流の設定を要求することができ、トリートメントプロトコルは、頭皮又は毛髪からのデバイス100aの距離が増加するにつれて温度及び気流が徐々に増加するように要求することができる。光トリートメントシステム146用のプロトコルは、デバイス100aが頭皮と接触しているときにのみLEDがオンになり、接触がないとき又は距離が光療法の有効範囲を超えて増加したときにオフになるように要求することができる。LED用のトリートメントプロトコルは、デバイスが検出した頭皮の領域に応じて、異なる波長のLEDを照射することを要求することができる。トリートメントシステムの変更命令は、各トリートメントシステムと通信しているコントローラ148から出される。
【0090】
予め定められた時間の間、加速度計によって決定される、動きが検出されないなど、デバイス100aが放置される(set down)場合、デバイス100aは電力を低減し、又はスタンバイモードとできる。
【0091】
デバイス100aの使用がヘアスタイルに与える影響はわずかであり、デバイス100aの全体的な形状は、ヘアドライヤーなどの他のヘア機器に馴染み、デバイス100aの単純で直感的な使用につながる形状である。更に、デバイス100aは、毛髪用製剤に手で触れる必要がない。デバイス100aは、操作をより簡単にするための機能性を付加し、デバイスの特定の空間的な位置に合わせてトリートメントを行うことで、廃棄物を最小限に抑え、ミストを吸い込む可能性のある空気中に分散させることを回避する。
【0092】
図8及び図9は、図1図5のタインの代わりにチップ602、1702を有するブラシを備えたデバイス100bの実施形態を示し、同じ番号は同じ部材を表す。一実施形態では、デバイス100bの本体様式は、デバイス100aの本体様式と同様であり、相違点をここで説明する。
【0093】
一実施形態では、チップ602、1702は、ブラシ上に同心円状に配置される。一実施形態では、チップ602、1702は、タイン108の機能を果たすことができ、また付加的な機能も有する。
【0094】
図10を参照すると、デバイス100cの別の実施形態が、櫛型構成に配置されたチップを有するように図示されている。ここで、同じ番号は同じ部材を表す。一実施形態では、デバイス100cの本体様式は、デバイス100a、100bの本体様式と同様であり、相違点をここで説明する。一実施形態では、櫛型構成用のチップ802は、図11、12、13、及び14で図示したチップ602、1702と比較して材料及び構造においては同様であるが、櫛型チップ802は1列に配置できることが相違点として挙げられる。
【0095】
図16及び図17を参照すると、デバイス100dの別の実施形態が、図8及び図9とは対照的に、本体とインライン構成で配置されたチップを有するように図示されている。ここで、同じ番号は同じ部材を表す。一実施形態では、デバイス100dの本体様式は、デバイス100aの本体様式と同様であり、相違点をここで説明する。
【0096】
図11、12、13、及び14は、図8、9、10、16、及び17に示されたデバイス100b、100c、及び100dの複数の実施形態で使用することができるチップ602、1702、1100、及び1200の実施形態を示している。
【0097】
一実施形態において、ブラシチップ602、1702、1100、及び1200は、チップから2つの異なる製剤を吐出できるように構成される。一実施形態において、チップ602、1702、1100、及び1200は、チップの全長にわたって延びる中空チャンバを有する。チップ602、1702、1100、及び1200は、少なくともチップの直径と同じ長さを有する。しかし、チップ602、1702、1100、及び1200は、チップの長さが直径の数倍になるように構成することができるので、幅と長さの比は、1対1から1対20又はそれ以上に変化し得る。チップ602、1702、1100、及び1200は、可撓性又は非可撓性とできる。分離されたチャンバによって、1つ又は複数の製剤を、各チャンバを通して、混合することなく送達することが可能になる。製剤がチャンバを出る時まで、それぞれのチャンバ内で製剤を分離させておくことができる。製剤の吐出は、チャンバの長手に沿った開口部、チャンバの端部のみにおける開口部、又はチャンバの長手に沿った開口部と端部の開口部との両方を備えた各チャンバを構築することによって達成されることができる。
【0098】
一実施形態では、チャンバは半円筒及び完全な円筒として描かれているが、チャンバは任意の断面形状を取ることができる。更に、一実施形態では、チップ602、1702、1100、1200、及びこれらを形成する第1及び第2の中空チャンバは、頭皮及び毛髪に微小電流又は静電気帯電トリートメントを更に提供するための正端子及び負端子として構成されるように導電性とできる。更に、導電性チップ602、1702、1100及び1200は、第1及び第2の中空チャンバが電源の正端子及び負端子に接続されるとき、又は第1及び第2の中空チャンバが正の検出端子及び負の検出端子に接続されるときに、他の用途がある。
【0099】
一実施形態では、チップ602、1702、1100、1200は導電性である必要はないが、製剤の混合工程又は製剤の吐出工程、及び頭皮上の小さな制御された対象領域へのバキューム工程を含むアプリケーションの場合、多気筒構造は依然として有用であり得る。
【0100】
図11を参照すると、一実施形態では、チップ602は、長手方向に沿って第1の中空半円筒604が第2の中空半円筒606に接合するように構成されている。第1の半円筒604及び第2の半円筒606は、導電性材料から作ることができる。一実施形態では、第1の半円筒604と第2の半円筒606は、電気絶縁体608によって分離されている。ここで、チップ602の全体形状は「円筒」のものであるが、本開示によれば、チップ602は、長円形(oblong)、長方形、正方形、又は他の任意の多角形を含む、任意の断面形状を有することができる。
【0101】
図11は更に、チップ602が外周に開口部904を有することができることを示している。中空半円筒604は、外側の長手に沿って第1の開口部904を有し、中空半円筒606は、外側の長手に沿って第2の開口部906を有する。一実施形態では、開口部904、906は、チップ602の長手に沿ってレーザーカットで穴を開けることによって(パーフォレーション)作ることができる。
【0102】
一実施形態では、チップ602は、チップの長手に沿った開口部を省略することができ、チップ602を頭皮のトリートメント用に使用するように、最端部にのみ開口部を有するチップ602が提供される。このようにして、2つの異なる製剤をチップ602から半円筒604及び半円筒606を介して送達することができる。
【0103】
一実施形態では、チップ602の端部は、第1の半円筒604の小さな開口部610と第2の半円筒606の開口部612とを有する有孔平板又はドーム型ディスクを含む。一実施形態では、ディスクの代わりに、半円筒604及び606の端部は完全に開放されていてもよい。いずれの構造でも、チップ602の端部から若しくは長手に沿って、又はチップ602の長手及び端部の両方から製剤を吐出することができる。
【0104】
一実施形態では、第1の中空半円筒604及び第2の中空半円筒606は、金属のような導電性材料から作られる。一実施形態では、第1の半円筒604又は第2の半円筒606の一方を正導体端子とし、他方の半円筒を負導体端子と指定することとなる。
【0105】
一実施形態では、第1の中空チャンバ604及び第2の中空チャンバ606は、チップ602の移動方向を制御するために電流によって作動させることができる形状記憶材料又は圧電材料から作られるか、又はこれらの材料を埋め込むことができる。
【0106】
図12を参照すると、一実施形態では、チップ1702は、第1の中空小径円筒1704を第2の中空大径円筒1706に挿入することによって構成されている。一実施形態では、第1の円筒1704は、第2の円筒1706と同軸である。なお、第1の円筒1704を内筒、第2の円筒1706を外筒と呼ぶこともある。ここで、チップ1702は「円筒」の形状であるが、本開示によれば、チップは、長円形、長方形、正方形、又は他の任意の多角形を含む、任意の断面形状を有することができる。
【0107】
一実施形態では、第1の円筒1704及び第2の円筒1706は、金属などの導電性材料から作られる。一実施形態では、第1の小型円筒1704の外側を絶縁体で被覆することができる。絶縁体は、第1の円筒1704と第2の円筒1706とが互いに電気的に絶縁できない場合には、任意である。一実施形態では、第1の円筒1704又は第2の円筒1706の一方を正導体端子とし、他方の円筒を負導体端子と指定することになる。
【0108】
一実施形態では、第1の中空チャンバ1704及び第2の中空チャンバ1706は、チップ1702の移動方向を制御するために電流によって作動させることができる形状記憶材料又は圧電材料から作られるか、又はこれらをチャンバに埋め込むことができる。
【0109】
一実施形態では、チップ602、1702のデュアルチャンバ構造におけるチャンバは、互いに反対方向に作動する形状記憶材料又は圧電材料で作られるか又はこれらをチャンバに埋め込むことができる。これにより、どちらのチャンバが作動するかによって中心位置に関するプラス及び/又はマイナスの作動が可能となる。これらの材料は、例えば、ポリマー、セラミック、及び合金として存在し得る。一実施形態では、形状記憶材料及び圧電材料をコイルとして作製することができ、必ずしも中空チャンバである必要はない。コイルは、チップをZ軸に沿って(すなわち、コイルの軸方向に)垂直に作動させるのに有効であり得る。形状記憶材料及び圧電材料の電気的な作動は、形状記憶材料又は圧電材料に接続された正端子及び負端子を有するAC又はDC電源を介して行われる。
【0110】
図12において、内筒1704は、外筒1706の外側に現れる第1の開口部1004を有する。しかし、開口部1004は、外筒1706を通り抜けることで外筒1706の外部に接続することができるため、例えば、内筒1704につながる管が存在する場合は、開口部は外筒1706によって閉塞される。外筒1706は、外側の長手に沿って第2の開口部1006を有する。開口部1006は外筒1706の内部にのみ接続している。一実施形態では、内筒1704と外筒1706は互いに同軸ではないが、内筒1704は外筒1706の内壁に接触するように配置されてもよい。したがって、内筒1704からの開口部は外筒1706の壁を横断するだけでよく、したがって、管を介して開口部を接続する必要を回避する。電気的絶縁のために、内筒1704と外筒1706の間に絶縁体を介在させる必要がある場合がある。いずれの構造においても、2つの異なる製剤をチップ1702から内筒1704及び外筒1706を介して送達することができる。
【0111】
一実施形態では、開口部1004、1006は、チップ1702の長手に沿ってレーザーカットで穴を開けることによって(パーフォレーション)作ることができる。
【0112】
一実施形態では、チップ1702の端部は、第1の円筒である内筒1704の小さな開口部1710と第2の円筒である外筒1706の開口部1708を有する有孔平板又はドーム型ディスクを含む。一実施形態では、ディスクの代わりに、内筒1704及び外筒1706の端部は完全に開放されていてもよい。いずれの構造でも、チップ1702の端部から若しくはチップの長手に沿って、又はチップの長手及び端部の両方から製剤を吐出することができる。
【0113】
一実施形態では、チップ602及び1702が導電性材料から作られる場合、チップ602及び1702のそれぞれの円筒604又は606及び1704又は1706の一方は、電荷を伝導するための正端子として機能し、他方は負端子として機能し得る。これにより、LEDやセンサなどのデバイスに電力を供給することができる。
【0114】
図13は、構造上、チップ602と同様のチップ1100を示す。チップ1100は、導電性の第1の中空半円筒1104を導電性の第2の中空半円筒1106に並べて、しかし電気的には絶縁して配置されている。第1の半円筒1104は正端子又は負端子として指定され、第2の半円筒1106は第1の半円筒1104と逆極性の端子である。第1の中空半円筒1104と第2の中空半円筒1106の間には、電気的に絶縁するための電気絶縁材料又はコーティングを付加することができる。電源は、第1の半円筒1104及び第2の半円筒1106に接続される。一実施形態では、これにより、2つの半円筒が正端子及び負端子と接触することにより端子として機能することによって、電力が供給される1つ又は複数の発光ダイオード1102をチップの端部又は他の場所に配置できる。
【0115】
図14は、構造上チップ1702と同様のチップ1200を示す。チップ1200は、導電性の第2の円筒である中空外筒1206の内部又は同軸上に配置された導電性の第1の円筒である中空内筒1204から作られている。第1の円筒である内筒1204は正端子又は負端子であり、第2の円筒である外筒1106は第1の円筒1204と逆極性の端子である。電気的に絶縁するために、第1の中空円筒1204と第2の中空円筒1206の間に電気絶縁材料又はコーティングを付加することができる。電源は、第1の円筒である内筒1204と第2の円筒である外筒1206に接続される。一実施形態では、これにより、2つの円筒が正端子及び負端子に接触することにより端子として機能することによって電力が供給される1つ又は複数の発光ダイオード1202をチップの端部又は他の場所に配置できる。
【0116】
一実施形態では、LED1102、1202の電力に応じて、熱放散を円筒1104、1106、1204、及び1206の導電性材料によって吸収(ヒートシンク)させることができる。
【0117】
一実施形態では、LED1102及び1202がチップの端部に配置される場合は、チップの基部に配置される場合又はLED光が長い光ファイバー経路を介して供給される場合と比較して、LEDはより多くのエネルギーを頭皮に届けることができる。
【0118】
一実施形態では、LED1102及び1202を、トリートメント、製剤の硬化(curing formula)、又はデバイスの状態(すなわち、動作モード又は充電状態)を示すために使用することができる。
【0119】
LEDは、任意のタイプの単一波長(レーザーLED)又は波長範囲とできる。一実施形態では、LED1102、1202は、電磁スペクトルの広い範囲にわたって光を生成することが可能である。一実施形態では、光療法は、皮膚状態をトリートメントするために頭皮に使用されてきた。一実施形態では、光療法は、毛包の細胞を刺激するために使用されてきた。LED1102、1202によって生成される光の強度を、例えば、電流を制御することによって変化させることができる。
【0120】
一実施形態では、LED1102、1202は、緑色可視光から近赤外にまたがる範囲の波長で電磁放射を放出することができる1つ又は複数のIII-V族(GaAs)ベースのLEDを含む。一実施形態では、LED1102、1202は、紫外から青色可視光にまたがる範囲の波長で電磁放射を放出することが可能な1つ又は複数のIII族窒化物青色LED固体エミッタを含む。
【0121】
一実施形態では、LED1102、1202の波長出力は、約360~370nmの波長出力を有する1つ又は複数のガリウムインジウム窒素(GaInN)LEDを含む。他の実施形態では、LED1102、1202は、約200nmから約2000nmの波長範囲の電磁エネルギーを放出し、これは、紫外域(約350nm)及び近赤外線(約1200nm)の波長を含む。
【0122】
図15を参照すると、主要な構成要素を説明するために、デバイス100bの一実施形態が概略的に表されている。同じ番号は、本明細書で説明する同じ部材を表す。
【0123】
一実施形態では、デバイス100bは、電源118を含む。デバイス100bは、交流(AC)又は直流(DC)により電力供給され得る。一実施形態では、デバイス100bは、デバイス100bに電力を供給するために、電気コード(図示せず)に依存する一般家庭用交流によって電力供給される。一実施形態では、デバイス100bは、家庭用交流コンセントに差し込むことで充電可能な充電式電池などの直流を通じて電力供給される。直流で電力供給されるデバイス100bにより、コンセントに近接して滞在したり立ったりすることなく、デバイスを使用することができる。
【0124】
一実施形態では、デバイス100bは、上述のような製剤ディスペンサ112を含む。
【0125】
一実施形態では、カートリッジ102は、カートリッジ102に含まれる特定の製剤に基づくデバイス100bの動作の命令を伝えることができる製品識別タグ154(図1)を有する。デバイス100bは、製品識別タグ154を読み取り、符号化された信号を特定の製剤に基づくデバイスの動作及び制御のための命令に処理することができる製品識別タグリーダ156(図1)を含むことができる。上記の説明に加えて、製品識別タグはまた、平面扇状と円錐状、ワイドとナロー、中実と中空、ストリームとミストなどのディスペンサパターン形成を含むこともできる。
【0126】
一実施形態では、カチオン性、アニオン性、又は双性イオン性のポリマー及び界面活性剤を含む毛髪用製剤を使用して、毛髪又は頭皮と相互作用できる製剤に電荷を与えることができる。一実施形態では、毛髪用製剤を、キレート剤などの他の材料で帯電させることができる。キレート剤は、帯電物質間の荷電相互作用及び毛髪繊維との相互作用を阻害する複合分子としても機能し、より効率的な荷電相互作用の発生を可能にする。
【0127】
毛髪が電荷(中性pHでは通常マイナス)を持つことを考慮すると、この電荷は、製剤が毛髪に適用される際に、製剤中の帯電物質(上記のものなど)の存在によって影響を受け、より良く、より効率的に吸着・沈着又は反発し、除去を補助することができる。
【0128】
ディスペンサ112は、タイン108及びチップ602、1702、802、1100、1200を通して、1つ又は複数の製剤を、微細なミスト、液体、又はこれらの中間の任意の形態として吐出することができる。一実施形態では、ディスペンサ112は、製剤からミストを生成するために、コンプレッサ、ポンプ、又は超音波発生器を含む。ポンプ又はコンプレッサのディスペンサ112の場合、係るディスペンサ112は、空気又は製剤を高速で流動させ、これにより、開口部130でミスト化するために設計された微細ノズルを通して製剤を推進させる。ポンプ又はコンプレッサのディスペンサの場合、単一のディスペンサ112をデバイス100bに配置することができる。そして、コンプレッサ又はポンプディスペンサ112の出口は、導管のシステムを通して各タイン108に導かれ、開口部130でノズルから出る。
【0129】
一実施形態では、ディスペンサ112は、製剤を吐出するためにミスト又は蒸気を発生させる超音波ネブライザである。これは、製剤を穏やかに分散させて廃棄物の量を減らし、適用範囲の制御を向上させるという利点を有する。一実施形態では、ネブライザは、超音波の周波数がミストを生成するのに十分である、製剤と接触する超音波発生器を使用する。超音波ネブライザはまた、ミストを作るために製剤の表面にちょうど触れる振動メッシュを有する「メッシュ」ネブライザを含む。いずれの形態の超音波ネブライザでも、圧電素子を使用することができる。
【0130】
一実施形態では、ディスペンサ112は、スイッチ106を押下することによって動作する(図1及び図2)。一実施形態では、スイッチ106は、人差し指で操作できるように、ハンドル104の上部の前側に配置される。一実施形態では、スイッチ106は、デフォルト位置がオフ位置であるモーメンタリスイッチである。モーメンタリスイッチは、アクティベーションの時間の長さに関係なく、1回作動させるだけで、計測された量の製剤を吐出する。モーメンタリスイッチ106を長く押し込んだままにしても、予め計測された量を超えて多くの製剤を吐出することはない。別の実施形態では、スイッチ106は、スイッチの開閉に基づいてディスペンサ112を起動及び停止させるオンオフスイッチである。
【0131】
一実施形態では、デバイス100bは、静電チャージャ152を含む。静電チャージャは、頭皮、毛髪又はこの両方の対象領域で正電荷又は負電荷を生成することができる。静電チャージャ152は、導電体を介して、1つ又は複数のタイン108の端部にある電極150に、又はチップ602、1702、802、1100、及び1200の場合には導電性円筒の1つに接続される。チップ602、1702、802、1100、及び1200に適した導電性材料は、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、又はこれらの任意の合金を含むことができる。
【0132】
一実施形態では、デバイス100bは、微小電流発生器1158を含む。微小電流発生器1158は、正端子と負端子(GND)との間に電圧を供給して、皮膚又は頭皮の領域に所与の周波数範囲内の少量の電流(微小電流)を与える。一実施形態では、電気刺激の量及び周波数は、組織及び細胞において自然に発生する電気プロセスの範囲内にすることができる。微小電流療法は、例えば、発毛促進、傷ついた組織の治癒、及びコラーゲンの刺激や血流の増加による皮膚の若返りに使用されてきた。一実施形態では、微小電流の発生は、波形発生器によって提供される。コントローラ148は、所望の微小電流の振幅、周波数、及び極性を設定する変調波信号を送信する。
【0133】
一実施形態では、チップ602、1702、802、1100、及び1200は、微小電流発生器1158に接続される。チップ602、1702、802、1100、及び1200が導電性材料から作られていることにより、チップの円筒の1つが正端子として機能し、これを使用して微小電流を頭皮に供給することができる。頭皮が接地(GND)経路として機能し、これには頭皮と、デバイス100bのハンドル104上などの手に接触するように配置された負端子と、の間の皮膚及び組織も含まれる。一実施形態では、微小電流を複数のチップ間で与えることができ、ここで、1つのチップは正端子として機能し、他のチップはGND端子として機能する。
【0134】
一実施形態では、チップ602、1702、802、1100、及び1200が導電性材料から作られていることによっても、チップがセンサとして機能することが可能になる。一実施形態では、チップ602、1702、802、1100、及び1200のそれぞれの円筒のうちの1つが正端子として機能し、同じ又は異なるチップの第2の円筒が負端子として機能することができる。一実施形態では、インピーダンスを任意の正端子と任意の負端子との間で測定して、特定の点又はより全体的な領域にわたる頭皮の水分レベルを決定することができる。
【0135】
一実施形態では、異なるチップからインピーダンスを測定して、より広い領域にわたって頭皮の水分レベルを決定することができる。
【0136】
一実施形態では、正端子又は負端子と頭皮との間で(ハンドルへの導電性戻り経路を介して)インピーダンスを測定し、チップが頭皮(皮膚)と接触しているかどうかを決定することができる。これは、アプリケーションが頭皮との接触を必要とする場合に有用である。例えば、製剤トリートメント及びバキュームシステムにおいて、頭皮をトリートメントしている際は、デバイスが頭皮上で直接動作しなければバキュームが毛髪を吸い込む危険性があるため、有用である。
【0137】
一実施形態では、チップ602、1702、802、1100、及び1200は、静電チャージャ152に接続される。一実施形態では、静電チャージャ152は、頭皮、毛髪又はこの両方に正電化又は負電荷を生じさせ、帯電した領域に製剤を引き付けたり反発させたりするために使用される。チップ602、1702、802、1100、及び1200が導電性であることにより、チップは電極として機能することができる。一例では、正に帯電した領域は、この領域から電子を反発させることによって作られ、別の例では、負に帯電した領域は、この領域に電子を引き寄せることによって作られる。静電気帯電を、接触帯電、誘導帯電などによって行うことができる。
【0138】
別の例では、製剤は、チップ602、1702、802、1100、及び1200内を通過している間に、帯電する。負に帯電した毛髪用製剤の液滴は、より電位が低くあり得る対象に向かって引き寄せられる。
【0139】
一実施形態では、デバイス100bは、バキューム発生モータ及びコレクタ116を有するバキュームシステム114を含む。一実施形態では、モータは、可変速モータとできる。バキュームモータ114は、気流がタイン108のバキューム入口開口部132を通って入るようにするインペラ翼に接続されており、あるいはチップ602、1702、802、1100、及び1200の場合、円筒の1つをバキューム用に使用することができる。モータは、気流を誘導して、タイン108の開口部132、又はチップ602、1702、802、1100及び1200の円筒の1つを通って気流が入るようにする。気流は、製剤によって毛髪から洗い流されたあらゆる破片及び油分と共に、使用済み製剤を運ぶことができる。次いで、これらはコレクタ116によって捕えられ、空気は、デバイス100bの外に排出される。一実施形態では、コレクタ116は、デバイス100bの背面に配置された環状の通気孔を含む。通気孔によって、気流がデバイス100bから出ることが可能になり、一方、使用済み製剤及び破片は、コレクタ116に捕捉されるようになる。
【0140】
一実施形態では、バキュームモータ114は、多位置・多機能セレクタスイッチ110によって操作される(図4)。セレクタスイッチ110は、例えば、3つ以上の(調整)位置を有するスライドスイッチ若しくはダイヤルスイッチ、又は3つ以上の位置を有するプッシュボタンスイッチとできる。一実施形態では、バキュームセレクタスイッチ110は、オフの設定と、高・低などの2つ以上のバキューム速度設定とを含む。一実施形態では、バキュームスイッチ110は、例えば親指で操作できるように、ハンドル104の下部の後側に配置される。バキュームスイッチ110は、バキュームが中断しないように絶縁され得る。発光ダイオード118は、選択された位置をライトアップするために使用することができる。セレクタスイッチ110は、別の位置に移動させられるまで、選択された位置のままである。一実施形態では、モーメンタリスイッチをセレクタスイッチに置き換えることができる。モーメンタリスイッチのデフォルト位置はオフ位置であり、バキュームモータを起動するためにはモーメンタリスイッチを押さなければならない。一実施形態では、デバイス100bは、バキュームセレクタスイッチとモーメンタリスイッチとの両方を含む。モーメンタリスイッチは、押し込まれたときにバキュームモータを作動させ、セレクタスイッチは速度設定のために使用される。
【0141】
一実施形態では、デバイス100bは、コントローラ148を含む。一実施形態では、コントローラ148は、デジタルデバイスである。コントローラ148は、プリント回路基板上に接続された1つ又は複数のハードウェア回路を含んでもよいし、回路の全てが単一チップ上に存在してもよい。コントローラ148は、少なくともマイクロプロセッサコアとメモリとを含むことができる。ハードウェアを、小型の手動デバイスで使用する用に設計することができる。マイクロプロセッサは、予めプログラムされた論理にしたがって命令を実行するために、並列及び直列で協働的に動作する複数のプロセッサとして実装することができる。
【0142】
ディスペンサ112、静電チャージャ152、微小電流発生器158、及びバキューム114を制御するための命令は、コントローラメモリに記憶することができる。メモリは、命令を実行するために1つ又は複数のマイクロプロセッサがアクセスし使用することができる、任意のタイプのコンピュータ可読媒体又はコンピュータ記憶デバイスである。命令は、EEPROM、フラッシュメモリ、RAM、又は他のプログラマブル不揮発性メモリなどの高速メモリに記憶することができる。
【0143】
一実施形態では、コントローラ148は、ディスペンサ112、静電チャージャ152、微小電流発生器158、及びバキューム114と通信する。また、コントローラ148は、カートリッジ102に提供された情報を読み取って、ディスペンサ112及び静電チャージャ152に、製剤に特有の命令を与えることもできる。コントローラ148は、チップ602、1702、802、1100、及び1200のうちの1つ又は複数を、微小電流発生器158及び静電チャージャ152に電気的に接続するように構成することができる。コントローラ148は、チップ602、1702、802、1100、及び1200のうちの1つ又は複数を、所望の形態及び量で製剤を送達するためにディスペンサ112に接続するように構成することができる。コントローラは、LED1102及び1202を制御して、指定された電力及び波長で動作させることができる。
【0144】
一実施形態では、コントローラ148は、微小電流発生器158の正端子及び負端子として機能するように、1つ又は複数のチップを接続することができる。
【0145】
一実施形態では、コントローラ148は、静電チャージャ152の電極として機能するように1つ又は複数のチップを接続することができる。
【0146】
一実施形態では、コントローラ148は、1つ又は複数のチップを微小電流発生器158の正端子に接続することができ、頭皮(皮膚)は、デバイス100b上に位置する負端子への接地経路の一部となる。
【0147】
一実施形態では、コントローラ148は、任意の1つ又は複数のチップの正端子と負端子との間のインピーダンスを計算することができる。
【0148】
一実施形態では、コントローラ148は、インピーダンスを使用して、チップが頭皮に接触しているかどうかを決定する。一実施形態では、コントローラ148は、1つ又は複数のチップが頭皮に接触していないと決定されたときに、バキューム114をオフにするか、又はバキュームがオンになることを許可しないようにできる。
【0149】
一実施形態では、コントローラ148は、インピーダンスの測定値を使用して、頭皮上の1つ又は複数の領域の水分量を決定することができる。
【0150】
一実施形態では、コントローラ148は、所定の命令に基づいてLED1102及び1202をオンにすることができる。例えば、いくつかの製剤は、特定の波長の光を適用することを要求してもよい。コントローラ148は、LED1102及び1202を制御して光療法トリートメントを提供するために使用され得る。コントローラ148は、光療法のために適用される波長及び電力を決定するための命令を有する。
【0151】
一実施形態では、コントローラ148は、ディスペンサ112によって吐出される製剤の量を制御することができる。例えば、コントローラ148は、製剤の特定の量に相関する所定の時間の間、ポンプ又はコンプレッサをオンにすることができる。一実施形態では、ディスペンサ112は、容積式ポンプを使用し、したがって、ポンプの各回転に対して変位する体積をエンコーダで測定することができる。ポンプの回転が、吐出されるべき製剤の体積に相当するとき、コントローラ148は、ポンプをオフにすることができる。
【0152】
デバイス100bの使用は直感的であり、デバイス100bの全体的な形状は、ユーザに馴染みのあるヘアドライヤーなどの他のヘア機器の形状であり、デバイス100bの単純で直感的な使用につながる形状である。デバイス100bは、エアロゾルドライシャンプーの現状の使用を改善することができる。デバイス100bは、ユーザが髪を梳いたり髪にブラシをかけたりする際に、製剤が毛髪の上や中に滑り込むように、制御された量の製剤を吐出する。デバイス100bは、必要以上に噴射し、ユーザの頭部以外の領域までを十分に覆う大きな雲(cloud)を生成するエアロゾルスプレー缶と対照的である。
【0153】
図16及び図17は、複数の異なるチップを装着することができるデバイス100dの一実施形態の図解である。デバイス100dは、吐出、感知、マッサージ、及び他の用途のためのチップの個々のアクティベーションを通じた付加的な機能性を有する、ドライシャンプー製剤と共に使用することができる毛髪の洗浄に有用である。一実施形態では、デバイス100dは、機械的作用及び化学的作用の組み合わせに依拠する、ブラシ状又は櫛状のアーキテクチャを使用して、洗浄用の所望の製剤を堆積させ、不要な微粒子を有する製剤を除去し、更に追加の化粧特性又は健康特性を提供する。直感的な動作により、現在の美容及びヘアケアのルーチンに組み込むのが容易な馴染みのあるジェスチャーが与えられる。更に、デバイス100dは、ブラシ型又は櫛型の構成に配置された様々なタイプの中空の導電性チップ又は非導電性チップ(602、1702、1100、又は1200)を含むことができる。ブラシ型の構成が図示されているが、デバイス100dは、櫛構成、すなわち一列のチップで構成することができる。しかしながら、ブラシ型の構成に配置されたチップにより、チップを個別に作動させて、1つ又は複数のトリートメントを適用したり、吐出したり、又は全てのチップではなくいくつかのチップのみを使用してマッサージするなどの様々な利点をもたらされる。
【0154】
一実施形態では、デバイス100dは、アクチュエータによってXYZ軸方向の運動で個別に制御されるマッサージ用チップを含む。チップは、頭皮との接触時にのみ(オープン/ショート検出器又は誘電性皮膚接触センサの使用を通じて)、正確に測定された量の頭皮製品を個別に吐出する。毛髪製品(ドライシャンプーやカラーティント)を、個別に作動するチップで、厳密に制御された形(すなわち、平面扇状)で噴射する。パーソナライズされた頭皮及び毛髪製品は、交換可能なカートリッジに収納されている。カメラを追加することで、毛髪密度、トーン、及び乾燥に対する頭皮及び毛髪の状態を診断することができる。LEDを追加することで、更に毛髪をトリートメントしたり、カメラの撮影を容易にしたり、製剤の硬化に使用したりすることができる。
【0155】
一実施形態では、デバイス100dは、毛髪及び/又は頭皮製品を、蒸気雲(ミスト)、又は(家庭用加湿器と同様の)超音波のいずれかとして放出する。製品のより穏やかな分散は、廃棄物の量を減少させ、適用範囲の制御を改善する。このソリューションは、必要以上に噴射し、ユーザの頭部以外の領域までを十分に覆う大きな雲を生成するエアロゾルスプレー缶とは対照的である。
【0156】
一実施形態では、マルチユースデバイス100dは、製剤の吐出や他の用途のために個別に制御されたチップを有することが記載されている。
【0157】
一実施形態では、各チップは、非導電性のガスケットで分離されている、正導体としての第1の半円筒と負導体としての第2の半円筒との接合体として構成されている。純粋に幾何学的な観点では、各チップは、2つ以上の絶縁されたチャンバに縦方向に分割された円筒形のチャンバ、又は縦方向に互いに貼り合わされた2つ以上の絶縁された円筒形のチャンバである。
【0158】
一実施形態では、正端子として機能するチップを使用して、チップに追加の機能を提供することができる。一実施形態では、微小電流を頭皮に与えることができる。ここで頭皮はGND経路として機能し、これには頭皮と、デバイス100dのハンドル104上などの手に接触するように配置された負端子と、の間の皮膚及び組織も含まれる。チップは、頭皮に微小電流を与えることができる。ここで頭皮は、任意の正端子と任意の負端子との間の導電性経路として機能する。あるいは、微小電流を複数のチップの間で与えることができ、ここで、あるチップは正電源で機能し、他のチップはGNDとして機能する。
【0159】
一実施形態では、頭皮の水分レベルを決定するために、正端子と負端子との間でインピーダンスを測定することができる。あるいは、インピーダンスを複数のチップ間で測定し、より広い領域にわたって頭皮の水分レベルを決定することができる。インピーダンスは、(ハンドルへの戻り経路を介して)正端子又は負端子と頭皮との間で測定され、チップが頭皮(皮膚)と接触しているかどうかを決定することができる。これは、頭皮への接触が必要なアプリケーションの場合に有用である。例えば、バキュームシステムを有する製剤トリートメントでは、頭皮がトリートメント対象であり、バキュームが頭皮上で直接動作しなければ、毛髪を吸い込む危険性があるため、有用である。
【0160】
チップの端部にLEDを配置し、2つの端子から電力を供給することができる。LEDが強力な場合は、熱放散を導電性材料に吸収(ヒートシンク)させることができる。LEDがチップの遠端部にある場合は、基部にある場合及び/又は長い光ファイバー経路を通って届けられる場合よりも、より多くのエネルギーを頭皮に届けることができる。LEDは、トリートメント、製剤の硬化、又はデバイスの状態(すなわち、動作モードや充電状態)を示すために使用することができる。
【0161】
チップの長手に沿ってレーザーカットされた一連の穴(パーフォレーション)を使用して頭皮及び/又は毛髪に製剤を送達することができる。あるいは、頭皮のみを対象とする場合は、チップの最端部に設けられた個々の開口部を使用することができる。
【0162】
チップとこの半分に分割された2つの導電体の機能を、ブラシデバイスの主要本体内の中央集積回路によって動的に制御し、再割り当てすることができる。チップが導電性材料で作られていなくても、「2つ以上の円筒」構造は、製剤を混合する工程や、頭皮上の小さな制御された対象領域にバキュームを用いながら製剤を吐出する工程を含むアプリケーションでは有用であり得る。
【0163】
一実施形態では、チップが導電性であることにより、いくつかのオプションが可能になる。例えば、導電性チップを微小電流発生器と併用したり、導電性チップを、皮膚接触を検知する検知器として使用したり、導電性チップを用いて光療法用の発光ダイオード(LED)に電力供給したり、導電性チップを用いて1~3軸の振動を与えることができる。
【0164】
一実施形態では、デバイス100dは、製剤をより正確に送達することができるようにする中空構造を利用するチップを備える。例えば、製剤は、特定のスプレーパターンを形成するために、中空構造のチップのみから吐出され得る。一実施形態では、導電性チップはチップの長手方向に延在する2つ以上の中空チャンバから作られ、これによりチップを通して1つ又は複数の製剤を吐出することが可能になる。一実施形態では、チップは非導電性であるが、依然として吐出機能を提供するためにチップの長手に延在する中空チャンバを含む。
【0165】
一実施形態では、デバイス100dは、デバイスを使用する際の直感的な使用及びジェスチャーにつながるデバイスへの信頼感や安心感を引き起こすために、デバイスは、よく認識されている身近なヘア機器のスタイルで形作られている。
【0166】
図16及び図17を参照すると、一実施形態では、デバイス100dは、実質的に円筒形のセクション138に接続されたハンドル104を含む。ハンドル104は、デバイス100dの前端部に対して鈍角にデバイス100dに接続される。ハンドル104は、より快適な使用とより容易な制御のために、デバイスの重さのバランスをとるのに役立つ。また、制御ボタンをハンドル上に配置することもできる。
【0167】
図17を参照すると、背面側において、デバイス100dは、毛髪又は頭皮トリートメント製剤を含む取り外し可能なカートリッジ102を受け入れる、より小さな直径の円筒形状のハウジング136を含むことができる。デバイス100dによって、カートリッジ102を容易に交換することが可能となり、異なる製剤を提供することができる。カートリッジ102は、再充填可能なカートリッジ又は使い捨てのカートリッジであるように構成することができる。一実施形態では、デバイス100dを、2つ以上のカートリッジ102を保持するように構成することができ、各カートリッジを、異なるトリートメント用の異なる製剤で充填することができる。あるいは、アプリケーションによっては、2つ以上の異なる製剤を用いて、意図するトリートメントを達成するために両方の製剤を適用する必要がある場合がある。
【0168】
後部ハウジング136より前方では、デバイス100dの外形は、カートリッジハウジング136の直径と比較して、より大きな外径部分138に階段状に大きくなる。一実施形態では、デバイス100dは、後端部からデバイス長さのほぼ中央まで実質的に円筒形又は最小限のテーパー状の円錐形部分138を有する本体構造を含む。一実施形態では、ハンドル104は、部分138の後側に接続する。
【0169】
一実施形態では、デバイス100dは、チップ602、1702、1100、1200が、同心円のようなブラシ構成に配置されている。デバイス100dは、中央部分138に接続されたブラシヘッド140を含む。ブラシヘッド140は、デバイス100dのうち、チップ602、1702、1100、1200を保持する部分である。一実施形態では、ブラシヘッド140は、デバイスに対して静的であり、作動しないが、これは、個別チップが個別に作動して振動するためである。したがって、回転又は振動するブラシヘッドを有する必要性をなくすことができる。更に、チップは、いくつかの個別チップから製剤を吐出させ、他のチップからは吐出させないように制御可能に構成されているものもある。これにより、一部のチップを「オン」にし、他のチップは「オフ」のままにして、ブラシヘッドから異なるスプレーパターンを作り出すことができる。
【0170】
一実施形態では、チップ602、1702、1100、1200は、ブラシヘッド140上に同心円状に配置される。一実施形態では、チップ602、1702、1100、1200は、2つの異なる製剤を吐出できるように構成される。一実施形態では、チップ602、1702、1100、1200は、チップの全長にわたって延びる中空チャンバを有する。チップ602、1702、1100、1200は、少なくとも直径と同じ長さを有する。しかし、チップ602、1702、1100、1200は、チップの長さが直径の数倍になるように構成することができるので、幅と長さの比は、1対1から1対20又はそれ以上に変化し得る。チップ602、1702、1100、1200は、可撓性又は非可撓性とできる。また、チップ602、1702、1100、1200を、適応性のある方法でブラシヘッド140上に接続することもできる。分離されたチャンバによって、1つ又は複数の製剤を、各チャンバを通して混合することなく送達することが可能になる。製剤は、製剤がチャンバを出る時まで、それぞれのチャンバ内で分離させておくことができる。製剤の吐出は、チャンバの長手に沿った開口部、チャンバの端部のみにある開口部、又はチャンバの長手に沿った開口部と端部の開口部との両方を備えた各チャンバを構築することによって達成することができる。更に、チップにおける各チャンバは、一方のチャンバ又は両方のチャンバからの吐出のみを制御するためのバルブ又は他の手段を有することができる。ブラシヘッド上の特定のチップのみから製剤の吐出を制御することで、例えば円錐状スプレー、ファンスプレーなどの複数のパターンで吐出することができる。
【0171】
図18を参照すると、デバイス100dの一実施形態が主要なシステムを説明するために概略的に表されている。
【0172】
一実施形態では、デバイス100dは、電源128を含む。デバイス100dは、交流(AC)又は直流(DC)により電力供給され得る。一実施形態では、デバイス100dは、デバイス100dに電力を供給するために電気コード(図示せず)に依存する一般的な家庭用交流によって電力が供給される。一実施形態では、デバイス100dは、家庭用交流コンセントに差し込むことで充電可能な充電式電池などの直流を通じて電力供給される。直流で電力供給されるデバイス100dにより、コンセントに近接して滞在したり立ったりすることなく、デバイスを使用することができる。電源128は、コントローラ148、ディスペンサ112、マッサージモジュール1152、バキュームモータ114、カメラ2158、LED1102、1202、及びチップ602、1702、1100、1200などの電力を必要とするシステムのいずれかに電力を供給するように構成される。
【0173】
一実施形態では、デバイス100dは、製剤ディスペンサ112を含む。一実施形態では、製剤は、交換可能又は再充填可能なカートリッジ102に格納される。カートリッジ102は、再充填するため、又は廃棄して新しい満杯のカートリッジと交換するために、デバイス100dから取り外し可能とできる。一旦空になったカートリッジ102は、同じ又は異なる製剤で満たされた新しいカートリッジと交換するか、カートリッジは同じ又は異なる製剤で再充填することができる。図1に見られるように、カートリッジ102は、デバイス100dの後側から挿入される。カートリッジ102は、頭皮又は毛髪用製剤をディスペンサ112に供給するために接続される。一実施形態では、デバイス100dは複数のカートリッジを保持することができ、各カートリッジは異なる製剤で満たされている。これにより頭皮や毛髪の異なる領域に異なる製剤を吐出して、異なるトリートメントを効果的に行うことができる。
【0174】
一実施形態では、カートリッジ102は、カートリッジ102に含まれる特定の製剤に基づくデバイス100dの動作の命令を伝えることができる製品識別タグ154を有する(図1)。デバイス100dは、製品識別タグ154を読み取り、符号化された信号を特定の製剤に基づくデバイスの動作及び制御のための命令に処理することができる製品識別タグリーダ156(図1)を含むことができる。製品識別タグは、例えば、バーコード、2次元バーコード、RFIDなどを含む。製品識別タグは、特定の製剤のためのデバイス設定を伝える機械可読信号で符号化される。異なる製剤は、異なるデバイス設定を有することができる。例えば、製品識別タグは、液体から微細な液滴へ、中程度の液滴へ、又は粗い液滴へのディスペンサ設定を含むことができる。製品識別タグには、平面扇状と円錐状、ワイドとナロー、中実と中空、ストリームとミストなど、ディスペンサのパターン形成を含むことができる。また、製品識別タグには、LED1102、1202を操作するための命令も含めることができる。また、頭皮及び毛髪の異なる領域をトリートメントするために、異なる製剤を使用することができる。また、頭皮及び毛髪に異なるトリートメントを施すために、異なる製剤を使用することもできる。
【0175】
ディスペンサ112は、チップ602、1702、1100、1200を通して、1つ又は複数の製剤を、微細なミスト、液体又はこれらの中間の任意の形態として吐出することができる。一実施形態では、ディスペンサ112は、製剤からミストを生成するために、コンプレッサ、ポンプ、又は超音波発生器を含む。ポンプ又はコンプレッサのディスペンサ112の場合、係るディスペンサ112は、空気又は製剤を高速で流動させ、これにより製剤を微細な開口部を通して推進させる。ポンプ又はコンプレッサのディスペンサの場合、単一のディスペンサ112をデバイス100dに配置することができる。そして、コンプレッサ又はポンプディスペンサ112の出口は、導管のシステムを通して、個別チップのそれぞれに導かれる。
【0176】
一実施形態では、ディスペンサ112は、個別チップを通して製剤を吐出するためにミスト又は蒸気を生成する超音波ネブライザである。これは、製剤を穏やかに分散させて廃棄物の量を減らし、適用範囲の制御を向上させるという利点を有する。一実施形態では、ネブライザは、超音波の周波数がミストを生成するのに十分である、製剤と接触する超音波発生器を使用する。超音波ネブライザはまた、ミストを作るために製剤の表面にちょうど触れる振動メッシュを有する「メッシュ」ネブライザを含む。いずれの形態の超音波ネブライザでも、圧電素子を使用することができる。
【0177】
一実施形態では、超音波発生器及び振動メッシュネブライザはいずれも、超音波周波数の振動を生成するために圧電材料を使用することができる。一実施形態では、ネブライザで使用される圧電材料と同じ圧電材料は、触覚システムを駆動するために使用されることもある。触覚システムは、マッサージ療法システムを含むことができるが、加温療法及び関連する超音波療法など、感覚的な体験を提供する任意のシステムを含むこともできる。ネブライザは、1MHzを超える周波数の生成に依存することができる。1MHzを超える周波数を生成することができるネブライザは、触覚システムを駆動して、皮膚や頭皮を単独で、又は製剤の吐出と共にトリートメントするために使用できる熱を生成するために使用することもできる。一部のネブライザは、1MHz未満の超音波周波数に依存していることもある。一実施形態では、ネブライザを使用して、触覚システムを駆動させ、設計された範囲の周波数を生成し、製剤の吐出と合わせて皮膚及び頭皮にセラピューティック化合物を送達することができる。したがって、ネブライザシステムで使用されるのと同じ圧電材料が触覚システムで使用される場合の利点がある。
【0178】
一実施形態では、各チップは、一方又は両方のチャンバの入口にバルブを含むことができる。バルブは、バルブを開閉するアクチュエータを有する。各チップの各バルブは、他のチップの他のバルブとは独立して開閉するように作動させることができる。各個別チップのバルブを開閉することにより、円錐状、平面扇状、ストリーム、マルチストリーム、パルスなど、制御されたパターンで選択されたチップのみから流出するように製剤を制御することができる。更に、チップの両チャンバからの吐出を制御するバルブを設けることで、片方又は両方のチャンバから製剤を流出させるように制御することが可能になる。
【0179】
図19は、チップ602、1702、1100、1200の端部を示す概略図である。一実施形態では、チップは、小径908、中径910、大径912の直径が大きくなる円形パターンで配置される。一実施形態では、円908、910、又は912のうちの1つによって接続されたチップのバルブのみを開くことができることにより、頭皮又は毛髪の小領域、中領域、及び大領域を覆うために小円錐908、中円錐910、及び大円錐912で製剤を吐出することが可能になる。コントローラは、パターンにしたがって製剤を吐出するために、パターン内にあるチップを開き、パターン内に無いチップを閉じるように命令される。個別チップのバルブの作動は、円形パターンのみに限定されるものではない。一実施形態では、チップのバルブは、線状のパターンで作動させることができる。線914は、ファンパターンで製剤を吐出するために開かれるであろうチップのみを接続し、線状パターンに存在しない残りのチップは閉じたままとなる。個別チップの組み合わせは任意で選択でき、特定のチップのみから製剤を吐出させ、他のチップからは吐出させないことで、明確なパターンを達成することができる。
【0180】
一実施形態では、ディスペンサ112は、スイッチ106を押下することによって動作する(図1及び図2)。一実施形態では、スイッチ106は、人差し指で操作できるように、ハンドル104の上部の前側に配置される。一実施形態では、スイッチ106は、デフォルト位置がオフ位置であるモーメンタリスイッチである。モーメンタリスイッチは、アクティベーションの時間の長さに関係なく、1回作動させるだけで、計測された量の製剤を吐出する。モーメンタリスイッチ106を長く押し込んだままにしても、予め計測された量を超えてより多くの製剤を吐出することはない。別の実施形態では、スイッチ106は、スイッチの開閉に基づいてディスペンサ112を起動及び停止させるオンオフスイッチである。
【0181】
一実施形態では、チップ602、1702、1100、及び1200のバルブは、吐出用に選択される個別チップが皮膚に接触している場合にのみ作動する。一実施形態では、チップ602、1702、1100、及び1200が導電性材料から作られていることにより、チップが接触センサとして機能することができる。一実施形態では、チップ602、1702、1100、及び1200のそれぞれの円筒のうちの1つが正端子として機能し、同じ又は異なるチップの第2の円筒が負端子として機能することができる。一実施形態では、インピーダンスは、チップの任意の正端子とチップの任意の負端子との間で測定され、1つ又は複数の個別チップが頭皮(皮膚)と接触しているかどうかを決定することができる。一実施形態では、任意の正端子と頭皮との間で(ハンドルへの導電性戻り経路を介して)インピーダンスを測定することができる。インピーダンス及び接触を決定することは、アプリケーションが頭皮との接触を必要とする場合に有用である。例えば、製剤トリートメント及びバキュームシステムにおいて、頭皮をトリートメントしている際は、デバイスが頭皮上で直接動作しなければバキュームが髪を吸い込む危険性があるため、有用である。
【0182】
一実施形態では、インピーダンスの測定はまた、特定の位置又はより全体的な領域にわたる頭皮の水分レベルを算出するために使用することもできる。一実施形態では、より広い領域にわたって頭皮の水分レベルを決定するために、異なるチップからインピーダンスを測定することができる。
【0183】
一実施形態では、接触センサ1162をチップの端部に配置することができる。一実施形態では、接触センサ1162は、オープン/ショート検出器又は誘電体センサを含む。オープン検出器は、電気伝送における断線(オープン)導通を検出するための開回路検出器を指すことができる。ショート検出器は、低い電気抵抗の検出を指すことができる。誘電体センサは、誘電率の変化を検出することができる静電容量検出器とも称される。一実施形態では、接触センサ1162は、個別チップの接触又は非接触を検出するセンサであってよい。一実施形態では、接触センサ1162は、接触量を示すことができる。接触量を検出することができる接触センサの一例は、圧電センサである。
【0184】
一実施形態では、デバイス100dは、マッサージモジュール1152を含む。マッサージモジュール1152は、任意の数の個別チップ602、1702、1100、及び1200の作動を制御して振動させるように構成された任意の回路である。本実施形態では、ブラシヘッド全体の振動と比較して、チップは個別に振動するように制御される。マッサージモジュール回路は、コントローラ148内に存在していてもよく、別個の構成要素であってもよい。マッサージモジュール1152の回路は、個別チップを1~3軸(XYZ)で作動するように制御する。スイッチ1164によって、チップを振動させるためアクティベーションを開始することができる。一実施形態では、ブラシヘッド140上の各チップ602、1702、1100、1200は、各個別チップを1~3軸で振動させるための独自のアクチュエータを有する。一実施形態では、アクチュエータは、形状記憶材料又は圧電材料を含むことができる。上述したように、振動を作動させるために、導電性円筒は形状記憶材料又は圧電材料から構成されるか、又は導電性円筒に形状記憶材料又は圧電材料を埋め込むができる。
【0185】
図20を参照すると、チップ602、1702、1100、1200の一実施形態は、互いに正反対の位置でチップの円筒上に配置又は埋め込まれた第1の一組のアクチュエータ1008、1010を含む。アクチュエータ1008、1010は、チップの長手に沿って軸方向に延在する。アクチュエータ1008、1010を1つずつ作動させて、X軸方向の横から横への動きを作り出すことができる。チップは、互いに径方向に対応する位置にチップの円筒上に配置又は埋め込まれ、アクチュエータ1008、1010から90度離れた第2の一組のアクチュエータ1012、1014を含む。アクチュエータ1012,1014は、チップの長手に沿って軸方向に延在している。アクチュエータ1012,1014を1つずつ作動させて、Y軸方向の横から横への動きを作り出すことができる。アクチュエータ1008、1010、1012、1014は、チップの導電性基板上に結合され、横方向の圧電効果に依存して、圧電材料と基板との間に電圧が印加されると、一方向の収縮と屈曲運動とを生じさせる。このようにして、X軸とY軸の両方において横方向の作動が可能となる。
【0186】
Z軸の振動又は上下振動のために、チップの上端部を、上下に振動するように作動させることができる形状記憶コイル1016に置くことができる。圧電材料及び形状記憶材料を使用する一実施形態が図示されているが、本開示に基づいて他の構成が可能である。圧電材料は、上下振動を引き起こすためにチューブ又は積層式に製造することもできる。形状記憶合金は、X軸及びY軸の振動のために横から横への動き、屈曲運動、又はせん断運動を引き起こすためにストリップとして提供されることもできる。1つ又は複数の圧電材料や形状記憶合金の任意の組み合わせを用いて、チップに1~3軸の振動を与えることができる。
【0187】
一実施形態では、デバイス100dは、バキューム発生モータ及びコレクタ116を有するバキュームシステム114を含む。一実施形態では、モータは、可変速モータとすることができる。バキュームモータ114は、気流がチップ602、1702、1100、及び1200の円筒のうちの1つを通って入るようにするインペラ翼に接続される。モータは、気流がチップ開口部を通って入るように誘導する。気流は、製剤によって毛髪から洗い流された任意の破片及び油分と共に使用済み製剤を運ぶことができる。次に、これらはコレクタ116によって捕捉され、空気は、デバイス100dの外に排出される。一実施形態では、コレクタ116は、デバイス100dの背面に配置された環状の通気孔を含む。通気孔によって、気流がデバイス100dから出ることができ、一方、使用済み製剤及び破片は、コレクタ116に捕捉されるようになる。
【0188】
一実施形態では、バキュームモータ114は、多位置・多機能セレクタスイッチ110によって操作される(図4)。セレクタスイッチ110は、例えば、3つ以上の(調整)位置を有するスライドスイッチ若しくはダイヤルスイッチ、又は3つ以上の位置を有するプッシュボタンスイッチとできる。一実施形態では、バキュームセレクタスイッチ110は、オフの設定と、高・低などの2つ以上のバキューム速度設定とを含む。一実施形態では、バキュームスイッチ110は、例えば親指で操作できるように、ハンドル104の下部の後側に配置される。バキュームスイッチ110は、バキュームが中断しないように絶縁され得る。発光ダイオード118は、選択された位置をライトアップするために使用することができる。セレクタスイッチ110は、別の位置に移動させられるまで、選択された位置のままである。一実施形態では、モーメンタリスイッチをセレクタスイッチに置き換えることができる。モーメンタリスイッチのデフォルト位置はオフ位置であり、バキュームモータを起動するためにはモーメンタリスイッチを押さなければならない。一実施形態では、デバイス100dは、バキュームセレクタスイッチとモーメンタリスイッチとの両方を含む。モーメンタリスイッチは、押し込まれたときにバキュームモータを作動させ、セレクタスイッチは速度設定のために使用される。
【0189】
一実施形態では、デバイス100dは、診断モジュール1160を含む。診断モジュール回路は、コントローラ148内に存在してもよく、又は別個のモジュールであってもよい。一実施形態では、診断モジュール1160は、特定の波長の光の吸収を皮膚又は毛髪の状態に関連付けるように構成された回路を有する。一実施形態では、光の吸収を測定することによって、毛髪密度、トーン、及び乾燥に関連する皮膚及び毛髪の状態を特定することができる。診断モジュール1160は、カメラ2158からの画像に基づいて皮膚及び髪の診断を行う。カメラ2158は、チップの端部に存在してもよいし、デバイス100d上に位置していてもよい。一実施形態では、カメラ2158は、電荷結合素子(CCD)又はピクセルセンサなどの、光を画像に変換する半導体集積回路とできる。一実施形態では、皮膚及び毛髪の状態の診断は、選択的フィルタリングによって、複数の光検出器層内の波長選択吸収によって、又は任意の他の方法によって決定される。一実施形態では、皮膚における所与の発色団の分光吸収の特徴は、カメラ2158によって記録された画像上のダークスポットとして顕在化する。様々な皮膚状態の吸光特性及び発光特性は、コントローラメモリに記憶され、診断モジュール1160は、様々な皮膚状態を示す特性に対する画像の比較を行う。診断モジュール1160が皮膚又は毛髪の状態と一致すると決定すると、診断モジュール1160は、コントローラ148を介して、特定の製剤を吐出したり、LED1102、1202を介して特定の波長の光を照射したりする命令を送信することができる。
【0190】
一実施形態では、デバイス100dは、コントローラ148を含む。一実施形態では、コントローラ148は、デジタルデバイスである。コントローラ148は、プリント回路基板上に接続された1つ又は複数のハードウェア回路を含んでもよいし、回路の全てが単一チップ上に存在してもよい。コントローラ148は、少なくともマイクロプロセッサコアとメモリとを含むことができる。ハードウェアを小型の手動デバイスで使用する用に設計することができる。マイクロプロセッサは、予めプログラムされた論理にしたがって命令を実行するために、並列及び直列で協働的に動作する複数のプロセッサとして実装することができる。
【0191】
ディスペンサ112、マッサージモジュール1152、バキューム114、診断モジュール160を制御するための命令は、コントローラメモリに格納することができる。メモリは、命令を実行するために1つ又は複数のマイクロプロセッサがアクセスし使用することができる、任意のタイプのコンピュータ可読媒体又はコンピュータ記憶デバイスである。命令は、EEPROM、フラッシュメモリ、RAM、又は他のプログラマブル不揮発性メモリなどの高速メモリに記憶することができる
【0192】
コントローラ148は、ディスペンサ112、マッサージモジュール1152、バキューム114、及び診断モジュール160と通信して、決定を行い、チップ602、1702、1100、1200自体、LED1102、1202、接触センサ1162、及びカメラ2158から受信した入力に基づいてデバイスからの出力を制御する。
【0193】
一実施形態では、コントローラ148はまた、カートリッジ102に与えられた情報を解釈して、ディスペンサ112に製剤特有の命令を与えることもできる。コントローラ148は、チップ602、1702、1100、及び1200の全てを開閉するように制御することができ、これによりパターンで個別に選択されたチップを通して製剤を吐出することが可能になる。
【0194】
一実施形態では、コントローラ148は、任意の1つ又は複数のチップの端子間のインピーダンスを決定するための回路を有し、どのチップが皮膚と接触しているか、どのチップが皮膚と接触していないかを決定する。そして、コントローラ148は、接触しているチップのバルブを開き、接触していないバルブを閉じ、皮膚と接触しているチップを通して製剤の吐出を進める許可をディスペンサに与えることができる。
【0195】
一実施形態では、コントローラ148は、インピーダンスを使用して、チップが頭皮に接触しているかどうかを決定する。一実施形態では、コントローラ148は、1つ又は複数のチップが頭皮に接触していないと決定された場合に、バキューム114をオフにするか、又はバキュームがオンになることを許可しないようにすることができる。
【0196】
一実施形態では、コントローラ148は、インピーダンスの測定値を使用して、頭皮上の1つ又は複数の領域の水分量を決定することができる。
【0197】
一実施形態では、コントローラ148は、接触センサ1162から信号を受信して、チップが皮膚に接触しているか否かを決定する。
【0198】
一実施形態では、コントローラ148は、選択されたスプレーパターンを生成することになるチップのみのバルブの開放を制御する回路を有する。
【0199】
一実施形態では、コントローラ148は、ディスペンサによって吐出される製剤の量を制御するための回路を有する。
【0200】
一実施形態では、コントローラ148は、どのチップがどの軸で振動するように作動させるかを決定する回路を有する。
【0201】
一実施形態では、コントローラ148は、カメラからの信号を変換し、スペクトル解析を行う画像処理回路を有する。
【0202】
一実施形態では、コントローラ148は、チップのいずれか1つ又は複数に電力を供給するように構成される。
【0203】
一実施形態では、コントローラ148は、所定の命令に基づいてLED1102及び1202を点灯させる回路を有する。例えば、いくつかの製剤は、特定の波長の光の適用を要求する場合がある。コントローラ148は、LED1102及び1202を制御して光療法トリートメントを提供するために使用され得る。コントローラ148は、光療法のために適用される波長及び電力を決定するための命令を有する。
【0204】
一実施形態では、コントローラ148は、ディスペンサ112によって吐出される製剤の量を制御するための回路を有する。例えば、コントローラ148は、製剤の特定の量に相関する所定の時間の間、ポンプ又はコンプレッサをオンにすることができる。一実施形態では、ディスペンサ112は、容積式ポンプを使用し、したがって、ポンプの各回転に対して変位する体積をエンコーダで測定することができる。ポンプの回転が、吐出されるべき製剤の体積に相当するとき、コントローラ148は、ポンプをオフにすることができる。
【0205】
一実施形態では、コントローラ148は、チップが頭皮に接触していることをコントローラ148が感知した場合にのみ、1つ又は複数のチップを通して測定された量の製剤を吐出するようにディスペンサ112を制御するように構成された回路を有する。
【0206】
一実施形態では、コントローラ148は、カメラやインピーダンスセンサを通じて、毛髪密度、トーン、及び乾燥に関連する頭皮及び毛髪の状態を診断するように構成された回路を有する。
【0207】
一実施形態では、コントローラ148は、LEDを制御して光トリートメントを施すための特定の波長及び電力を出力するように構成された回路を有し、カメラの撮像を容易にし、又は製剤を硬化するために使用される。
【0208】
一実施形態では、コントローラ148は、選択された個別チップの振動を制御するように構成された回路を有する。
【0209】
一実施形態では、コントローラ148は、チップが頭皮/皮膚に接触していることを検出した際にのみ、選択された個別チップを介して計測された量の製剤の吐出を制御するように構成された回路を有する。
【0210】
デバイス100dの使用は直感的であり、デバイス100dの全体的な形状は、ユーザに馴染みのあるヘアドライヤーのような他のヘア機器の形状であり、デバイス100dの単純で直観的な使用につながる形状である。デバイス100dは、エアロゾルドライシャンプーの現在の使用状況を改善することができる。デバイス100dは、必要以上に噴射し、ユーザの頭部以外の領域までを十分に覆う大きな雲を生成するエアロゾルスプレー缶と対照的である。更に、デバイス100dは、機能を追加することができるチップを有する。
【0211】
例示的実施形態を図示して説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示的実施形態に様々な変更が可能であることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】