(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】反応性ホットメルト接着剤のための低遊離ポリウレタンプレポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/10 20060101AFI20230927BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20230927BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20230927BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20230927BHJP
C08G 18/20 20060101ALI20230927BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20230927BHJP
C08G 18/12 20060101ALI20230927BHJP
C09J 175/06 20060101ALI20230927BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20230927BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
C08G18/10
C08G18/42
C08G18/76 057
C08G18/48
C08G18/20
C08G18/32 006
C08G18/12
C09J175/06
C09J175/08
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517984
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021050835
(87)【国際公開番号】W WO2022061087
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505006666
【氏名又は名称】ランクセス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・エム・エマニュエル・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ティンティン・ユアン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジョセフ・ラスマソン
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034BA03
4J034BA07
4J034BA08
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4J040LA06
(57)【要約】
本発明は、ホットメルト接着剤として使用することができる、以下のもの:第一のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と500g/モル~10,000g/モルの分子量(Mw)を有するポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール(PHAG)との反応の反応生成物であり、その第一のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~7重量%、好ましくは3重量%~7重量%、より好ましくは5重量%~7重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満しか遊離のMDIモノマーを含まない第一のポリウレタンプレポリマー;第二のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネートと250g/モル~4,000g/モルの分子量(Mw)を有するポリプロピレングリコール(PPG)又はコハク酸ベースのポリエステルポリオールとの反応の反応生成物であり、その第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有し、かつ0.1重量%未満しか遊離のMDIモノマーを含まない第二のポリウレタンプレポリマー;及び任意選択により場合によっては1種又は複数種の触媒を含む反応性ポリウレタンプレポリマー組成物に関し、さらには、前記の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を製造するためのプロセス、二つの基材を接着結合させ又はシーリングする方法、並びにホットメルト接着剤としてのその使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と500g/モル~10,000g/モルの分子量(Mw)を有するポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール(PHAG)との反応の反応生成物であり、第一のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~7重量%、好ましくは3重量%~7重量%、より好ましくは5重量%~7重量%のNCO含量を有し、かつ0.1重量%未満の遊離のMDIモノマーしか含まない第一のポリウレタンプレポリマー;
(b)第二のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と250g/モル~4,000g/モルの分子量(Mw)を有するポリプロピレングリコール(PPG)又はコハク酸ベースのポリエステルポリオールとの反応の反応生成物であり、第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有し、かつ0.1重量%未満の遊離のMDIモノマーしか含まず、任意選択により場合によっては、1種又は複数種の短鎖ポリオールをさらに含む、第二のポリウレタンプレポリマー;及び、
(c)任意選択により場合によっては1種又は複数種の触媒;
を含む、反応性ポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項2】
前記メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)が、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、又はそれらの混合物、好ましくは4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネートである、請求項1に記載のポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項3】
前記第一のポリウレタンプレポリマーのポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコールが、1,000g/モル~3,500g/モルの分子量(Mw)を有する、請求項1又は2に記載のポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項4】
前記第二のポリウレタンプレポリマーのポリオールが、500g/モル~2,000g/モルの分子量(Mw)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項5】
前記第二のポリウレタンプレポリマーのポリオールが、ポリプロピレングリコール(PPG)である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項6】
前記反応性ポリウレタンプレポリマー組成物が、プレポリマーの合計重量を基準にして、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらにより好ましくは1重量%以下の全NCO含量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項7】
前記触媒が、4,4‘-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビスモルホリン(DMDEE)である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項8】
前記の1種又は複数種の触媒の量が、0.1pph~1.0pph、好ましくは0.15pph~0.25pphである、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項9】
前記短鎖ポリオールが、2~10個、好ましくは3~9個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状のジオールである、より好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール(TPG)、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択されるジオールである、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項10】
硬化剤、好ましくはポリオール又はポリアミン、より好ましくはジオール又はトリオール、最も好ましくはポリプロピレングリコールトリオール(PPGトリオール)をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物の製造方法であって、以下のステップ:
(i)MDIと500g/モル~10,000g/モルの分子量(Mw)を有するポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコールとの反応の反応生成物である第一のポリウレタンプレポリマーを準備するステップであって、前記第一のポリウレタンプレポリマーが、前記第一のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~7重量%、好ましくは3重量%~7重量%、より好ましくは5重量%~7重量%のNCO含量を有し、かつ、0.1重量%未満しか遊離のMDIを含まない、ステップ;
(ii)メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と250g/モル~4,000g/モルの分子量(Mw)を有するポリプロピレングリコール(PPG)又はコハク酸ベースのポリエステルポリオールとの反応の反応生成物である第二のポリウレタンプレポリマーを準備するステップであって、前記第二のポリウレタンプレポリマーが、前記第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満しか遊離のMDI含まず、かつ、任意選択により場合によっては、短鎖ポリオールをさらに含む、ステップ;及び、
(iii)ステップ(i)及びステップ(ii)で準備した第一及び第二のポリウレタンプレポリマーを、任意選択により場合によっては1種又は複数種の触媒の存在下で、組み合わせるステップ;
を含み、
ここで、ステップ(i)及び(ii)は、互いに独立して、任意の順序で実施できる、製造方法。
【請求項12】
二つの基材を接着結合する又はシーリングするための方法であって、
(1)基材の上に、請求項1~10のいずれか一項に記載の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を適用するステップ、及び
(2)ステップ(1)の、基材の上に適用された反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を、第二の基材と接触させ、それによって結合が形成されるステップ、
を含む方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物の、接着剤として、好ましくはホットメルト接着剤としての使用。
【請求項14】
反応性ポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、250g/モル~4,000g/モルの分子量(Mw)を有するコハク酸ベースのポリエステルポリオール、及び短鎖ポリオールの反応の反応生成物であり、ポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有し、かつ0.1重量%未満しか遊離のMDIを含まない、反応性ポリウレタンプレポリマー。
【請求項15】
前記短鎖ポリオールが、1,3-ブチレングリコールである、請求項14に記載の、反応性ポリウレタンプレポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤として使用することが可能な、以下のもの:第一のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と500g/mol~10,000g/molの分子量(Mw)を有するポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール(PHAG)との反応の反応生成物であり、その第一のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~7重量%、好ましくは3重量%~7重量%、より好ましくは5重量%~7重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIモノマーしか含まない第一のポリウレタンプレポリマー;第二のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネートと250g/mol~4,000g/molの分子量(Mw)を有するポリプロピレングリコール(PPG)又はコハク酸ベースのポリエステルポリオールとの反応の反応生成物であり、その第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIモノマーしか含なない第二のポリウレタンプレポリマー;並びに任意選択により場合によっては1種又は複数種の触媒を含む反応性ポリウレタンプレポリマー組成物に関し、さらには、前記反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を製造するためのプロセス、二つの基材を接着結合させ、あるいはシーリングする方法、並びにホットメルト接着剤としてのその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネート末端のポリウレタンプレポリマーは、反応性ホットメルト接着剤(HMA)などの接着剤を製造するために、一般的に使用されている。それらの接着剤は、主としてイソシアネート末端のポリウレタンプレポリマーからなっていて、それは、従来からポリオールをイソシアネートと反応させることにより得られ、それが、表面又は拡散を介してその接着剤の中に入ってくる周囲の湿分と反応して鎖が伸び、不可逆的な新規なポリウレタン/尿素ポリマーを形成する。
【0003】
法的規制が厳しくなってきたので、ホットメルト接着剤の製造業者らは、ホットメルト接着剤配合物の中の遊離のジイソシアネートモノマーの量を低減させる手段を採用しなければならなくなった。法的な要請に加えて、反応性ホットメルト接着剤は、たとえば、容易な加工性、低い粘度、高い硬化速度、及び高い接着剤強度など、いくつかのその他の要件を満たすべく、懸命に努力している。特に、短い硬化時間で、高いラップ剪断(lap shear)強度を有しているのが望ましい。
【0004】
多くの、ポリウレタンプレポリマーをベースとするホットメルト接着剤配合物が、従来技術において公知である。
【0005】
(特許文献1)には、少なくとも2の官能価を有するポリイソシアネートを少なくとも2の官能価を有するポリオールと反応させることにより調製するポリイソシアネートプレポリマーを含むホットメルト接着剤が開示されているが、その反応生成物には、少なくとも90重量%の「完全(perfect)」プレポリマーと、2重量%未満の未反応のポリイソシアネートモノマーとが含まれ、そしてそのプレポリマーは、0.2~8重量%の範囲のNCO含量を有している。この文献は、90重量%を超える高い量の完全なプレポリマーの有益性を教示している。
【0006】
(特許文献2)には、2ステージのプロセスで調製することが可能な、低レベルのジイソシアネートモノマーを有するポリウレタン組成物が開示されているが、そこでは、第一のステップにおいて、2000g/mol未満の分子量を有するジオール成分を、500g/mol未満の分子量を有するジイソシアネートモノマーと反応させている。(MDI:ポリオール)のモル比が(5:1)~(10:1)であるのが好ましいが、その理由は、純粋なABA構造のために、理論NCO含量の少なくとも約80%のNCO含量を有する、最終のプレポリマー(溶媒及び遊離のMDIモノマーを除去した後)を形成させるのに、好都合であるからである。そのようにして得られた低モノマーの高分子量ジイソシアネートが、第二のステップにおいて、ポリオールと反応し、イソシアネート末端基を有する反応性プレポリマーが形成される。そのようなポリウレタン組成物は、反応性の一成分又は二成分系接着剤/シーラント材料のためのバインダーとして有用であると言われていて、それは、溶媒を含んでいてもよいし、さらには、反応性ホットメルトを調製するために、それらのポリオールを適切に選択する必要がある。
【0007】
(特許文献3)には、非構造用ポリウレタン接着剤組成物で使用するのに適した、実質的に少なくとも80重量%の完全プレポリマー及び2重量%未満の遊離のMDIモノマーからなる、MDI又はTDIをベースとするプレポリマー組成物が開示されている。
【0008】
(特許文献4)には、ポリウレタン接着剤組成物において使用するのに適した、実質的に少なくとも80重量%の完全プレポリマー及び2重量%未満の遊離のMDIモノマーからなる、MDI/ポリプロピレンポリエーテルプレポリマー組成物が開示されている。80重量%未満の完全プレポリマー及び1.0重量%未満の残存ジイソシアネートモノマーを含むポリウレタンプレポリマー組成物は開示されていない。
【0009】
(特許文献5)には、ポリオールと、化学量論的過剰量の、600g/mol未満の分子量及び1.75~2.5のNCO官能価を有する非対称ポリイソシアネート及び高分子量ポリイソシアネートの混合物との少なくとも1種の反応生成物を含む組成物が開示されている。発明ではない比較例には、(5:1)の比率の4,4’-MDIとPPG-750とをベースとし、モノメリックMDIの残存量が0.1重量%未満のプレポリマーが開示されている。
【0010】
典型的には、少ない量の遊離のジイソシアネートモノマーを含む反応性ホットメルト接着剤を製造するのに、高度に複雑な製造プロセスが採用されている。
【0011】
少ない量のジイソシアネートモノマーを含むプレポリマーは、各種のプロセスで製造することができる:
a)薄膜(thin film)蒸留又は短経路(short path)蒸留を介しての、遊離のジイソシアネートモノマーの除去。この技術は、同一又は異なった反応性のNCO基を有するジイソシアネートで使用することができる。さらに、エントレーナー(同伴剤)を使用することもまた可能である。
b)異なった反応性のNCO基又は同じ反応性を有するNCO基を有するジイソシアネートの、特に選択された化学量論比、たとえば、NCO基対NCO-反応性基のモル比が(2:1)、及び/又は場合によっては特定の触媒作用での使用。
c)プロセスa)及びb)の組み合わせ、たとえば、遊離のジイソシアネートモノマーの量を、プロセスb)を用いてある程度まで低減させ、次いでプロセスa)を用いてさらに低減させる方法。
【0012】
低モノマーのホットメルト接着剤製品を生成させるための、確立された多段のアプローチ法においては、第一のステップにおいて、2,4’-及び4,4’-MDI異性体を、ポリエステルポリオール(たとえばPHAG)と共に混合して、約5~15重量%のNCO含量を有する、第一の従来からのMDIプレポリマー(>1重量%)を得る。第二のステップにおいては、前記第一の従来からのMDIプレポリマーを、ポリオールと混合して、低い残存のMDIモノマー含量(0.10重量%未満)及び低いNCO含量(1.0重量%未満)を有する、いわゆる「ホットメルトプレポリマー」を得る。場合によっては、添加剤を同様に添加する。第三のステップにおいては、前記「ホットメルトプレポリマー」を次いで、約6重量%のNCO含量及び0.15重量%未満の遊離のMDIモノマーを有する第二のMDIプレポリマーと混合して、いわゆる「最終ホットメルト」を得る。そのようにして得られた「最終ホットメルト」は、0.1重量%未満の低いMDIモノマー含量及び1.0重量%を超えるNCO含量を有している。このアプローチ法は以下のような理由から不利である:従来からのプレポリマーを使用することによって、可撓性の低いものが得られる、最終のホットメルトの粘度を意のままに決めるのが困難である、配合の際に高いレベルの産業衛生管理が必要とされる、ホットメルト接着剤配合物中で0.1重量%未満の遊離のMDIモノマー含量を確実にするために厳しい分析的品質管理が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第A0827995号明細書
【特許文献2】国際公開第A-01/040340号パンフレット
【特許文献3】米国特許第B-6,866,743号明細書
【特許文献4】米国特許第B-6,884,904号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第A-2004/259968号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術の観点から、反応性ホットメルト接着剤技術における改良の必要性が依然として残っている。高い引張強度を有する良好な接着結合を形成し、低いNCO含量、低い粘度、及び短い初期接着時間(たとえば、高い結晶化度、及び迅速固化)を与える、遊離のジイソシアネートモノマーの低いホットメルト接着剤が必要とされていることが明らかとなった。本発明は、この必要性に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことには、本発明の反応性ホットメルト接着剤が、従来技術の障害を克服するということが今や見出された。
【0016】
本発明は、以下のもの:
(a)第一のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と500g/mol~10,000g/molの分子量(Mw)を有するポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール(PHAG)との反応の反応生成物であり、その第一のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~7重量%、好ましくは3重量%~7重量%、より好ましくは5重量%~7重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIモノマーしか含まない含む第一のポリウレタンプレポリマー;
(b)第二のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と250g/mol~4,000g/molの分子量(Mw)を有するポリプロピレングリコール(PPG)又はコハク酸ベースのポリエステルポリオールとの反応の反応生成物であり、その第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIモノマーしか含まない第二のポリウレタンプレポリマー;並びに
(c)任意選択により場合によっては1種又は複数種の触媒
を含む、反応性ポリウレタンプレポリマー組成物に関する。
【0017】
本発明はさらに、上記の本発明の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を製造するためのプロセスにも関し、そのプロセスは以下のステップを含む:
(i)MDIと500g/mol~10,000g/molの分子量(Mw)を有するポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコールとの反応の反応生成物であり、その第一のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~7重量%、好ましくは3重量%~7重量%、より好ましくは5重量%~7重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIをしか含まない、第一のポリウレタンプレポリマーを準備するステップ;
(ii)メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と250g/mol~4,000g/molの分子量(Mw)を有するポリプロピレングリコール(PPG)又はコハク酸ベースのポリエステルポリオールとの反応の反応生成物であり、そしてその第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIしか含まず、かつ任意選択により場合によっては、1種又は複数種の短鎖ポリオールをさらに含む、第二のポリウレタンプレポリマーを準備するステップ;及び、
(iii)ステップ(i)及びステップ(ii)で準備した第一及び第二のポリウレタンプレポリマーを、任意選択により場合によっては1種又は複数種の触媒の存在下で、組み合わせる(混合する)ステップ;
ここで、ステップ(i)及び(ii)は、互いに独立して、いかなる順序でも実施できる。
【0018】
本発明はさらに、接着剤として、好ましくはホットメルト接着剤としての、本発明の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物の使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明との関連において、以下の用語は、以下の意味合いを有している。
【0020】
単数の名詞(本願の外国語書面に記載している冠詞の「a」、「an」、及び「the」を用いた記載)は、本明細書で使用するとき、文脈上別段の規定がない限り、一つ又は二つ以上(たとえば、複数形を含む)を意味している。
【0021】
「1種又は複数種」(あるいは1以上)は、本明細書で使用するとき、引用された種の、少なくとも1、及び1、2、3、4、5、6、7、8、9、又はそれ以上に関する。同様にして、「少なくとも1種」(あるいは少なくとも1)は、1又はそれ以上、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又はそれ以上を意味している。何かの成分に関しての「少なくとも1種」は、本明細書で使用するとき、化学的に異なる分子の数に関する、すなわち、引用された種の異なっているタイプの数を指しているのであって、分子の合計数を指しているのではない。
【0022】
量、濃度、値、又はパラメーターが、範囲として又は上限値と下限値のリストとして与えられている場合には、これは、範囲が個別に開示されているかどうかに関係なく、任意の範囲上限と任意の範囲下限との任意のペアで形成されるすべての範囲が明確に開示されていると理解されたい。たとえば、「1~5」の範囲が示された場合、その示された範囲には、その範囲内の任意の単一の数値、又はその範囲の間、たとえば、「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2及び4~5」、「1~3及び5」に包含される任意の数値が含まれていると解釈するべきである。本明細書において、ある数値の範囲が引用されている場合、特に断らない限り、その範囲には、その終端、その範囲の内のすべての整数及び端数が含まれているものとする。
【0023】
すべての範囲で、それらの終端値が含まれ(inclusive)、組み合わせ可能(combinable)である。
【0024】
「実施態様(embodiment)」又は「開示(disclosure)」という用語は、本明細書で使用するとき、特に断らない限り、限定的なことを意味していないが、一般的には、請求項で定義されたり、或いは本明細書において記述されたりしている各種の実施態様にあてはまる。それらの用語は、本明細書において、相互に言い換え可能に使用されている。
【0025】
明瞭さを目的として、個別の実施態様の文脈で、これよりも前及び後で記述される開示のある種の特性が、単一の要素の組み合わせで与えられていてもよい。逆に、簡潔さを目的として、単一の実施態様の文脈で記述されている開示の各種の特性が、同様に、個別に、又は二次的組み合わせの形で与えられていてもよい。
【0026】
「NCO」は、本明細書で使用するとき、イソシアネート基の-N=C=Oを指している。NCO含量(%NCO又はNCO価ともいう)は、その化合物のなかに存在しているNCO基の重量パーセントと定義される。
【0027】
本明細書において、分子量について言及される場合、この言及は、特に断らない限り、重量平均分子量Mwを指している。重量平均分子量Mwは、DIN 55672、特にDIN 55672-1に準拠し、溶離液としてTHFを使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定することができる。特に断らない限り、記述されている分子量はすべて、DIN 55672-1に準拠してゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したものである。
【0028】
第一及び第二のポリウレタンプレポリマー
第一及び第二のポリウレタンプレポリマーは、ジイソシアネートのポリオールとの反応の反応生成物である。
【0029】
ジイソシアネート
本発明の第一及び第二のポリウレタンプレポリマーのジイソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)である。好ましい実施態様においては、本発明の第一及び第二のポリウレタンプレポリマーは、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,4’-MDI)、2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2’-MDI)、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)、又はそれらの混合物を使用して調製される。一つの実施態様においては、本発明において使用されるメチレンジフェニルジイソシアネートが、2,4’-MDI及び4,4’-MDIを含む混合物である。
【0030】
任意選択により場合によっては、その第一及び第二のポリウレタンプレポリマーに加えて、別のジイソシアネートを含む、追加のポリウレタンプレポリマーがさらに存在していてもよい。本発明の追加のポリウレタンプレポリマーの好適なジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる:脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、多環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、及び脂肪族-芳香族ジイソシアネート。好ましい実施態様においては、本発明の追加のプレポリマーのジイソシアネートは、以下のものである:メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、パラ-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はトルエンジイソシアネート(TDI)。
【0031】
ポリオール
本発明の第一及び第二のポリウレタンプレポリマーのポリオールには、特別な限定はなく、1種又は複数種を使用することができる。本発明のポリウレタン組成物を反応性ホットメルト接着剤として使用する場合、そのポリオール成分は、その組成物が室温において固体であるように選択する。このことは、固体の非晶質ポリオール及び/又は固体の結晶質ポリオールを使用するか、又は適切な割合で短鎖ポリオールを併用する(その理由は、それらの組成物が、ウレタン基の濃度が高いために室温では同様に固体であるからである)かのいずれかで実施することが可能である。
【0032】
ポリオールとしては、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物が挙げられる。したがって、本発明にとって好適なポリオールとしては、ジオール、トリオール、及び/又はそれよりも平均ヒドロキシル官能価が高いものが挙げられる。平均ヒドロキシル官能価は、2~8、好ましくは2~3、より好ましくは2~2.5の範囲とするのがよい。そのようなポリオールの製造法は、当業者には周知である。
【0033】
本発明のいくつかの実施態様においては、そのポリオールには、少なくとも1種ポリエステルポリオール、少なくとも1種ポリエーテルポリオール、少なくとも1種ポリカプロラクトンポリオール、少なくとも1種ポリカーボネートポリオール、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0034】
第一のポリウレタンプレポリマーのためのポリオールとしては、ポリエステルポリオールであるポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール(PHAG)が適している。好ましい実施態様においては、その第一のポリウレタンプレポリマーのためのポリオールは、500g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~3,500g/molの分子量(Mw)を有している。500g/mol未満の分子量Mwを有するPHAGをベースとするLFポリウレタンプレポリマーは、高融解性となる。また別の好ましい実施態様においては、その第一のポリウレタンプレポリマーのためのポリオールは、異なった分子量を有する2種以上のポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコールを含む。
【0035】
第二のポリウレタンプレポリマーのポリオールとしては、ポリエーテルポリプロピレングリコール(PPG)、コハク酸ベースのポリエステルポリオール、又はそれらの混合物が適している。
【0036】
好ましい実施態様においては、その第二のポリウレタンプレポリマーのポリオールは、ポリ(アルキレングリコールスクシネート)、好ましくはポリ(エチレングリコールスクシネート)又はポリ(プロピレングリコールスクシネート)、より好ましくはポリ(エチレングリコールスクシネート)である。
【0037】
また別の好ましい実施態様においては、その第二のポリウレタンプレポリマーのポリオールは、ポリ(ジアルキレングリコールスクシネート)、好ましくはポリ(ジエチレングリコールスクシネート)又はポリ(ジプロピレングリコールスクシネート)、より好ましくはポリ(ジエチレングリコールスクシネート)である。
【0038】
また別の好ましい実施態様においては、その第二のポリウレタンプレポリマーのポリオールは、モノアルキレングリコール及びジアルキレングリコールのスクシネート、最も好ましくはモノエチレングリコール及びジエチレングリコールのスクシネート(PEDSG)である。
【0039】
好ましい実施態様においては、その第二のポリウレタンプレポリマーのためのポリオールは、250g/mol~4,000g/mol、好ましくは500g/mol~2,000g/molの分子量(Mw)を有している。また別の好ましい実施態様においては、その第二のポリウレタンプレポリマーのポリオールが、異なる分子量を有する、2種以上のポリプロピレングリコール及び/又は2種以上のポリ(ジエチレングリコールスクシネート)を含んでいる。
【0040】
本発明において使用されるポリオールの平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0041】
短鎖ポリオール
本発明の第一又は第二の、好ましくは第二の、ポリウレタンプレポリマーには、任意選択により場合によってはさらに、1種又は複数種の短鎖ポリオールを含んでいてよい。
【0042】
その短鎖ポリオールは、直鎖状又は分岐状である。
【0043】
その短鎖ポリオールは、2~10個、好ましくは3~9個の炭素原子を有するポリオールであるのが好ましい。好ましい実施態様においては、その短鎖ポリオールが、以下のものからなる群より選択される:エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、特に1,3-ブチレングリコール(1,3-BG)、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール(TPG)、2-メチレン-1,3-プロパンジオール、1,4-ペンタンジオール、グリセリド、及びそれらの混合物。
【0044】
特に、その短鎖ポリオールは、以下のものからなる群より選択される:エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール(1,3-BG)、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール(TPG)、及び1,6-ヘキサンジオール。
【0045】
最も好ましい実施態様においては、その短鎖ポリオールはトリプロピレングリコール(TPG)である。
【0046】
NCO含量
本発明の第一のポリウレタンプレポリマーは、0.5重量%~7重量%、好ましくは3重量%~7重量%、より好ましくは5重量%~7重量%のNCO含量を有している。
【0047】
本発明の第二のポリウレタンプレポリマーは、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有している。重量%で表されるプレポリマーのNCO含量は、従来からの、溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF)の中でのNCO滴定法により測定することができるが、そこでは、イソシアネートを過剰量のジ-n-ブチルアミンと反応させて尿素を形成させ、次いで未反応のアミンを、0.1Nの塩酸を用いて、ブロモフェノールブルー指示薬の変色点になるまで滴定する。
【0048】
好ましい実施態様においては、その本発明の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物が、そのプレポリマーの合計重量を基準にして、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらにより好ましくは1重量%以下の全NCO含量を有している。5重量%以下の低い全NCO含量を有する反応性ポリウレタンプレポリマーは、湿分を用いて好適に硬化される。
【0049】
遊離のMDIモノマー
本発明の第一及び第二のポリウレタンプレポリマーは、「低遊離モノマー(low free monomer)」ポリウレタンプレポリマー(「低遊離」、又は「LF」、又は「低イソシアネート」=「LNCO」としても知られる)である。
【0050】
第一及び第二のポリウレタンプレポリマーの反応生成物中の遊離のジイソシアネートモノマーは、それぞれのポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0重量%以上且つ0.1重量%未満の濃度になるまで除去される。本発明のポリウレタンプレポリマー組成物は、その第一及び第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.1重量%未満の遊離のジイソシアネートモノマーしか有していない。残存の遊離のジイソシアネートモノマーが全くないポリウレタンプレポリマーは、望ましくない高い粘度を有するかもしれない。
【0051】
触媒
本発明のポリウレタンプレポリマー組成物は、任意選択により場合によっては、1種又は複数種の触媒を含む。その触媒は、ポリウレタンプレポリマーの合成時にその生成を加速させ、及び/又は接着剤/シーラント物質を適用した後での湿分硬化を加速させる。触媒を存在させることは、湿分硬化の場合においては、硬化プロセスを加速させるのに特に有利であるが、その一方で、非湿分硬化剤による硬化プロセスの場合においては、典型的には、触媒は不要である。
【0052】
好ましい実施態様においては、本発明のポリウレタンプレポリマー組成物には、1種又は複数種の触媒が含まれる。本発明の目的に有用な触媒としては、たとえば、以下のものが挙げられる:スズ、鉄、チタン、ビスマスの有機金属化合物、たとえばカルボン酸のスズ(II)塩、たとえばスズ(II)のアセテート、エチルヘキサノエート、及びジエチルヘキサノエート。さらなるクラスの化合物は、ジアルキルスズ(IV)のカルボキシレートである。そのカルボン酸は、2個、好ましくは少なくとも10個、特には14~32個の炭素原子を有している。ジカルボン酸も同様に使用することができる。酸を明示的に挙げれば、以下のものである:アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、テレフタル酸、フェニル酢酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、さらには2-エチルヘキサン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸。具体的な化合物は、以下のものである:ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズマレエート、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチルスズジラウレート、トリブチルスズアセテート、ビス(ベータ-メトキシカルボニルエチル)スズジラウレート、及びビス(ベータ-アセチルエチル)スズジラウレート。
【0053】
スズのオキシド、スルフィド、さらにはチオレートも同様に使用することができる。具体的な化合物としては、以下のものが挙げられる:ビス(トリブチルスズ)オキシド、ビス(トリオクチルスズ)オキシド、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオレート)、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキシルチオレート)、ジブチルスズジドデシルチオレート、ジオクチルスズジドデシルチオレート、ビス(ベータ-メトキシカルボニルエチル)スズジドデシルチオレート、ビス(ベータ-アセチルエチル)スズビス(2-エチルヘキシルチオレート)、ジブチルスズジドデシルチオレート、ジオクチルスズジドデシルチオレート、ブチルスズトリス(チオグリコール酸2-エチルヘキサノエート)、オクチルスズトリス(チオグリコール酸2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズビス(チオグリコール酸2-エチルヘキサノエート)、ジオクチルスズビス(チオグリコール酸2-エチルヘキサノエート)、トリブチルスズ(チオグリコール酸2-エチルヘキサノエート)、トリオクチルスズ(チオグリコール酸2-エチルヘキサノエート)、及びさらには、一般式Rn+1Sn(SCH2CH2OCOC8H17)3-n(ここで、Rは、4~8個の炭素原子を有するアルキル基である)を有するブチルスズトリス(チオエチレングリコール2-エチルヘキサノエート)、オクチルスズトリス(チオエチレングリコール2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズビス(チオエチレングリコール2-エチルヘキサノエート)、ジオクチルスズビス(チオエチレングリコール2-エチルヘキサノエート)、トリブチルスズ(チオエチレングリコール2-エチルヘキサノエート)、並びにトリオクチルスズ(チオエチレングリコール2-エチルヘキサノエート)、ビス(ベータ-メトキシカルボニルエチル)スズビス(チオエチレングリコール2-エチルヘキサノエート)、ビス(ベータ-メトキシカルボニルエチル)スズビス(チオグリコール酸)、及びビス(ベータ-アセチルエチル)スズビス(チオエチレングリコール2-エチルヘキサノエート)、及びビス(ベータ-アセチルエチル)スズビス(チオグリコール酸2-エチルヘキサノエート)。
【0054】
脂肪族第三級アミン、特に環状構造の場合、もまた好適である。有用な第三級アミンとしては、追加でイソシアネート-反応性基、特にヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有するものも挙げられる。具体例は、以下のものである:ジメチルモノエタノールアミン、ジエチルモノエタノールアミン、メチルエチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリヘキサノールアミン、トリペンタルアミン、トリシクロヘキサノールアミン、ジエタノールメチルアミン、ジエタノールエチルアミン、ジエタノールプロピルアミン、ジエタノールブチルアミン、ジエタノールペンチルアミン、ジエタノールヘキシルアミン、ジエタノールシクロヘキシルアミン、ジエタノールフェニルアミン、及びさらには、それらのエトキシル化及びプロポキシル化反応生成物、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ビスジメチルアミノエチルエーテル、テトラメチルグアニジン、ビスジメチルアミノメチルフェノール、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、2-ジメチルアミノエチル3-ジメチルアミノプロピルエーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルピペラジン、N-(2-ヒドロキシエトキシエチル)-2-アザノルボルナン、又はそうでなければ、不飽和の二環式アミン、たとえば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、N,N,N,N-テトラメチルブタン-1,3-ジアミン、N,N,N,N-テトラメチルプロパン-1,3-ジアミン、及びN,N,N,N-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン。触媒は、オリゴマー化又はポリマー化された形、たとえば、N-メチル化ポリエチレンイミンの形で存在していてもよい。
【0055】
しかしながら、極めて特に好ましい触媒は、モルホリンの誘導体である。好適なモルホリノ化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる:ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)プロピル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)ブチル)アミン、トリス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2-メチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、若しくはトリス(2-(2-エチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、ジメチルアミノプロピルモルホリン、ビス(モルホリノプロピル)メチルアミン、ジエチルアミノプロピルモルホリン、ビス(モルホリノプロピル)エチルアミン、ビス(モルホリノプロピル)プロピルアミン、モルホリノプロピルピロリドン、又はN-モルホリノプロピル-N’-メチルピペラジン、4,4‘-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビスモルホリン(DMDEE)、又はジ-2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル。
【0056】
上述のモルホリン誘導体は、特に水(湿分)とイソシアネートとの反応に関しては、特に高い触媒活性を有している。したがって、接着剤を硬化させるには、極めて低い触媒濃度で十分である。
【0057】
一つの好ましい実施態様においては、触媒は、0.1pph~1.0pphの量、好ましくは0.15pph~0.25pphの量で存在している。
【0058】
より好ましい実施態様においては、触媒は、4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビスモルホリン(DMDEE)である。
【0059】
本発明はさらに、変成された第二のポリウレタンプレポリマーを含む反応性ポリウレタンプレポリマー組成物にも関するが、そのプレポリマーは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と、250g/mol~4,000g/molの分子量(Mw)を有するコハク酸ベースのポリエステルポリオール及び短鎖ポリオールとの反応の反応生成物であって、その変成された第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%、最も好ましくは8重量%~10重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIしか含んでいない。
【0060】
MDI、コハク酸ベースのポリエステルポリオール、及び短鎖ジオールを含み、8重量%~10重量%の高いNCO価を有する、反応性の低遊離ポリウレタンプレポリマーは、また別の、たとえば第一のポリウレタンプレポリマーなどのポリウレタンプレポリマーが存在しなくても、優れた接着性能、すなわち、短い初期接着時間及び高温(すなわち、100℃)での低い粘度を与える。したがって、本発明は、ポリウレタンプレポリマーにも関するが、ポリウレタンプレポリマーは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と、250g/mol~4,000g/molの分子量(Mw)を有するコハク酸ベースのポリエステルポリオール及び短鎖ポリオールとの反応の反応生成物であって、そのポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%、最も好ましくは8重量%~10重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIしか含んでいない。
【0061】
一つの実施態様においては、その短鎖ジオールは、2~10個、好ましくは3~9個の炭素原子を有するポリオールである。好ましい実施態様においては、その短鎖ポリオールが、以下のものからなる群より選択される:エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、特に1,3-ブチレングリコール(1,3-BG)、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール(TPG)、2-メチレン-1,3-プロパンジオール、1,4-ペンタンジオール、グリセリド、及びそれらの混合物。より好ましい実施態様においては、その短鎖ポリオールは、1,3-ブチレングリコール(1,3-BG)である。
【0062】
第一及び第二のポリウレタンプレポリマーを調製するためのプロセス
本発明による第一及び第二のポリウレタンプレポリマーは、ジイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールとの反応によって調製される。
【0063】
好ましい実施態様においては、本発明のポリウレタンプレポリマーは、少なくとも1種のポリオールとMDIとの反応により調製される。
【0064】
好ましい実施態様においては、その第一のポリウレタンプレポリマーが、MDIとPHAGとの反応により調製される。
【0065】
好ましい実施態様においては、その第二のポリウレタンプレポリマーは、MDIとコハク酸ベースのポリエステルポリオール及び/又はPPGとの反応、より好ましくはMDIとPPGとの反応により調製される。
【0066】
本発明の第一及び第二のポリウレタンプレポリマーは、ポリオールとMDIの反応混合物を、50℃~150℃において10分間~24時間、好ましくは60℃~100℃において2時間~6時間加熱する条件下で調製することができる。
【0067】
ポリウレタンプレポリマーを合成するための方法は、一般的には、当業者に公知である。一般的には、本発明のポリウレタンプレポリマーは、当業者には公知のような、ポリウレタンプレポリマーを製造するための標準的な反応プロセス及び条件を使用して作成される。
【0068】
本発明のポリウレタンプレポリマーは、典型的には、過剰のジイソシアネートモノマーを使用して調製され、その結果、未反応のモノマー、たとえば、未反応のすなわち「遊離の」ジイソシアネートを含むポリウレタンプレポリマー反応生成物が得られる。そのポリウレタンプレポリマー組成物を基準にして、20重量%以上のレベルの遊離のジイソシアネートモノマーに直面する可能性がある。
【0069】
ポリウレタンプレポリマー組成物の中の遊離のジイソシアネートモノマーの量を低下させて本発明の低いレベルにするには、好適な任意のプロセスを採用することができる。ジイソシアネートモノマーの残存イソシアネート含量を最低限にまで低下させる各種の方法が公知であり、たとえば薄膜(wiped film)蒸発法、溶媒支援(solvent aided)蒸留/共蒸留法、モレキュラーシーブ法、及び溶剤抽出法などが挙げられる。減圧下での蒸留法、特に、真空下での薄膜蒸発法又は攪拌膜(agitated film)蒸発法が好ましい。
【0070】
反応性ポリウレタンプレポリマー組成物
本発明はさらに、第一のポリウレタンプレポリマー、第二のポリウレタンプレポリマー、及び任意選択により場合によっては1種又は複数種の触媒を含む反応性ポリウレタンプレポリマー組成物にも関する。
【0071】
いかなる理論にも拘束されることなく言えば、本出願人は、本発明の組成物の中の高結晶化度ポリオール(たとえば、PHAG)が、短い硬化時間(たとえば、30分間)の後での高い強度を可能としていると考えている。PHAGなどの追加のポリオールは、ポリウレタンプレポリマーを、約3重量%未満、さらには1重量%未満の、より低いNCO含量にする。
【0072】
高分子量のポリオールを含むLFMDI/PHAGは、低いNCO含量を有している。NCO含量が低いことは、接着剤性能には不利である。低分子量をもつ短鎖ポリオールとして追加のTPGを含むLFM/PPG-TPGプレポリマーは、高いNCO含量を有し、これが性能を向上させる。TPGもまた、短いセグメントを追加し、それが接着剤性能をさらに向上させる。
【0073】
反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を調製するためのプロセス
本発明はさらに、本発明による反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を製造するためのプロセスにも関し、そのプロセスは以下のステップ:
(i)メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と500g/mol~10,000g/molの分子量(Mw)を有するポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコールとの反応の反応生成物であって、その第一のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~7重量%、より好ましくは5重量%~7重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIしか含まない、第一のポリウレタンプレポリマーを準備するステップ;
(ii)メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と250g/mol~4,000g/molの分子量(Mw)を有するポリプロピレングリコール(PPG)又はコハク酸ベースのポリエステルポリオールとの反応の反応生成物であって、その第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIしか含まず、任意選択により場合によっては、1種又は複数種の短鎖ポリオールをさらに含んでもよい、第二のポリウレタンプレポリマーを準備するステップ;及び、
(iii)ステップ(i)及びステップ(ii)で準備した第一及び第二のポリウレタンプレポリマーを組み合わせる(混合する)、任意選択により場合によっては1種又は複数種の触媒の存在下で組み合わせるステップ、
を含み
ここで、ステップ(i)及び(ii)は、互いに独立して、任意の順序で実施できる。
【0074】
任意選択により場合によっては、さらなるステップ(iv)において、その反応性ポリウレタンプレポリマー組成物に添加剤を添加することもできる。
【0075】
硬化剤
本発明のポリウレタンプレポリマーは、湿分又は水を用いて硬化させることができる。
【0076】
本発明のポリウレタンプレポリマー組成物のために好適なさらなる硬化剤としては、ポリアミン、ポリオール、又はそれらのブレンド物が挙げられる。
【0077】
本発明のポリウレタンプレポリマー組成物のための好適なポリアミンとしては、芳香族及び脂肪族両方のジアミン、第一級及び第二級アミン末端のポリエーテルポリオール、並びに二官能、三官能、及びポリマー性アミンが挙げられる。
【0078】
本発明のポリウレタンプレポリマー組成物のための好適なポリオールとしては、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールが挙げられ、それらは第一級、第二級及び/又は第三級アルコール基を有する、ジオール、トリオール、及びテトラオールであってよい。それらのポリオールは、ジアミンと混合されていてもよい。
【0079】
ポリオールの方が、典型的には、ポリアミンよりも好ましい。好ましい実施態様においては、硬化剤は、ポリプロピレングリコールトリオール(PPGトリオール)である。
【0080】
添加剤
本発明のポリウレタンプレポリマー組成物は、任意選択により場合によっては、適切であれば、さらなる添加剤たとえば、安定剤、増粘剤、粘着性付与樹脂、充填剤、可塑剤、チキソ性付与剤、着色剤、顔料、溶媒、及び/又は乾燥剤を含んでもよい。
【0081】
本発明の目的のための安定剤は、一方では、製造、貯蔵、及び使用時にポリウレタンプレポリマーに対して粘度の安定化効果を有する安定剤を指している。それらは、たとえば、単官能の塩化カルボニル、単官能の高反応性イソシアネートであるが、非腐食性の無機酸であってもよく、たとえば、塩化ベンゾイル、トルエンスルホニルイソシアネート、リン酸、又は亜リン酸である。本発明の目的のために有用な安定剤としてはさらに、抗酸化剤、UV安定剤、又は加水分解安定剤が挙げられる。それらの安定剤の選択は、その組成物の主成分だけではなく、適用条件、及び同様に、硬化した生成物に対する不安定化ストレスにも左右される。そのポリウレタンプレポリマーが主に、ポリエーテルビルディングブロックから構成されている場合には、UV保護剤とともに又はそれを伴わずに抗酸化剤が主として必要とされる。その例は、市販されている立体障害フェノール、及び/又はチオエーテル、及び/又は置換されたベンゾトリアゾー、又はHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)タイプの立体障害アミンである。
【0082】
接着結合のための方法
本発明はさらに、二つの基材を接着結合させ、あるいはシーリングするため方法にも関し、その方法は以下のステップ:
(1)一つの基材の上に、本発明の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を適用するステップ、及び
(2)ステップ(1)の基材上に適用された本発明の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を、第二の基材と接触させて、結合が形成されるようにするステップ、
を含む。
【0083】
一つの実施態様においては、本発明の方法において使用される反応性ポリウレタンプレポリマー組成物は反応性ポリウレタンプレポリマー組成物を含み、反応性ポリウレタンプレポリマー組成物は以下のものを含む:
(a)第一のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と500g/mol~10,000g/molの分子量(Mw)を有するポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール(PHAG)との反応の反応生成物であり、かつ、その第一のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~7重量%、好ましくは3重量%~7重量%、より好ましくは5重量%~7重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIモノマーしか含まない第一のポリウレタンプレポリマー;
(b)第二のポリウレタンプレポリマーであって、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と250g/mol~4,000g/molの分子量(Mw)を有するポリプロピレングリコール(PPG)又はコハク酸ベースのポリエステルポリオールとの反応の反応生成物であり、かつ、その第二のポリウレタンプレポリマーの合計重量を基準にして、0.5重量%~12重量%、好ましくは3重量%~11重量%、より好ましくは5重量%~10重量%のNCO含量を有し、0.1重量%未満の遊離のMDIモノマーしか含まず、かつ、任意選択により場合によっては、1種又は複数種の短鎖ポリオールをさらに含む第二のポリウレタンプレポリマー;並びに
(c)任意選択により場合によっては1種又は複数種の触媒。
【0084】
その接着剤を用いて結合させることが可能な基材としては、以下のものが挙げられる:冷間圧延鋼板、アルミニウム、ガラス繊維強化ポリエステル(FRP)、シートモールディングコンパウンド(SMC)、プラスチック、木材、及びガラス。
【0085】
したがって、本発明はさらに、接着剤としての、好ましくはホットメルト接着剤としての、本発明の反応性ポリウレタンプレポリマー組成物の使用にも関する。
【0086】
ホットメルト接着剤としての本発明のポリウレタンプレポリマー組成物を使用は、0.1重量%未満の遊離のジイソシアネートモノマーを有する低遊離ポリウレタンプレポリマーに基づく、短い硬化時間後に改善されたラップ剪断強度を示すホットメルト接着剤をもたらすが、これは容易に製造することが可能である。
【0087】
略称
略称の「Conv.」は、「従来からの」(慣用されている)を意味する。
【0088】
略称の「DMDEE」は、「4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビスモルホリン」を意味する。
【0089】
略称の「MDI」は、「メチレンジフェニルジイソシアネート」を意味する。
【0090】
略称の「PHAG」は、「ポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール」を意味する。
【0091】
略称の「PEDSG」は、「ポリ(エチレン,ジエチレンスクシネート)グリコール」を意味する。
【0092】
略称の「PPG」は、「ポリプロピレングリコール」を意味する。
【0093】
略称の「TPG」は、「トリプロピレングリコール」を意味する。
【0094】
以下の実施例によって、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0095】
以下の物質を実施例において使用した:
ジイソシアネート
Mondur(登録商標)M:4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート;MDI;CAS No.:101-68-8;(Covestroから市販されている)
ポリオール
Formez(登録商標)66-112:ポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール;(PHAG-1000);Mw=1000g/mol;CAS No.:25212-06-0;ヘキサンジオールとアジピン酸とのポリエステル;(LANXESS社から市販されている)
Formez(登録商標)66-56:ポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール;(PHAG-2000);Mw=2000g/mol;CAS No.:25212-06-0;ヘキサンジオールとアジピン酸とのポリエステル;(LANXESS社から市販されている)
Formez(登録商標)66-32:ポリ(1,6-ヘキサメチレンアジペート)グリコール;(PHAG-3500);Mw=3500g/mol;CAS No.:25212-06-0;ヘキサンジオールとアジピン酸とのポリエステル;(LANXESS社から市販されている)
Lupranol(登録商標)1200:ポリプロピレングリコール;PPG-500;Mw=500g/mol;CAS No.:25322-69-4;(BASF社から市販されている)
Lupranol(登録商標)1100/1:ポリプロピレングリコール;PPG-1100;Mw=1100g/mol;CAS No.:25322-69-4;(BASF社から市販されている)
ELAPOL 5705A:飽和ポリエステル=モノエチレングリコール及びジエチレングリコールのコハク酸エステル;PEDSG;Mw=500g/mol;(ELAchem社から市販されている)
Tripropylene Glycol Regular Grade:トリ(プロピレン)グリコール異性体混合物;TPG;CAS No.:24800-44-0;(DOW社から市販されている)
1,3-ブチレングリコール:1,3-ブタンジオール;1,3-BG;CAS No.:107-88-0;
触媒
DMDEE:4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビスモルホリン;DMDEE(ジモルホリノ-ジエチルエーテル);CAS No.6425-39-4;(Sigma Aldrich社から市販されている)
【0096】
<方法>
ラップ剪断強度(lap shear strength)
ラップ剪断強度は、ASTM D1002-10(Apparent Shear Strength of Single-Lap-Joint Adhesively Bonded Metal Specimens by Tension Loading(Metal-to-Metal))に準拠して測定した。優れた反応性接着剤を得るには、高いラップ剪断強度値が望ましい。
【0097】
粘度
粘度は、ASTM D4878に準拠して測定した。
【0098】
NCO含量
すべてのプレポリマーのNCO含量(単位、重量%)は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)中で、慣用されているNCO滴定法によって測定した。簡単に説明すると、イソシアネートを過剰のジ-n-ブチルアミンと反応させて、尿素を形成させる。次いで、未反応のアミンを、0.1Nの塩酸を用い、ブロモフェノールブルー指示薬の変色点まで滴定する。分析サンプルは、二通り試験をした。
【0099】
遊離のMDIモノマー含量
ポリウレタンプレポリマーの遊離のMDIモノマー含量は、HPLCにより測定した。
【0100】
<ポリウレタンプレポリマーの調製>
LFM/PHAG-3500
1756gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、2444gのPHAG-3500を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。0.1重量%未満の残存4,4’-MDIレベル及び1.90重量%の全NCO含量まで、その反応生成物から、過剰の残存4,4’-MDIモノマーを減圧下での薄膜蒸留によって除去した。
【0101】
LFM/PHAG-2000
1878gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、2122gのPHAG-2000を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。0.1重量%未満の残存4,4’-MDIレベル及び2.96重量%の全NCO含量まで、過剰の残存4,4’-MDIモノマーを、その反応生成物から、減圧下での薄膜蒸留によって除去した。
【0102】
LFM/PHAG-1000
6706gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、3794gのPHAG-1000を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。0.1重量%未満の残存4,4’-MDIレベル及び4.99重量%の全NCO含量まで、過剰の残存4,4’-MDIモノマーを、その反応生成物から、減圧下での薄膜蒸留によって除去した。
【0103】
Conv.MDI/PHAG-3500
451gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、3049gのPHAG-3500を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。残存4,4’-MDIモノマーのレベルが約2.5重量%、かつ、全NCO含量が2.37重量%であった。
【0104】
Conv.MDI/PHAG-2000
690gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、2810gのPHAG-2000を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。残存4,4’-MDIモノマーのレベルが約2.2重量%、かつ、全NCO含量が3.23重量%であった。
【0105】
Conv.MDI/PHAG-1000
968gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、2000gのPHAG-1000を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。残存4,4’-MDIモノマーのレベルが約3.2重量%、かつ、全NCO含量が5.23重量%であった。
【0106】
LFM/PPG-500/TPG
6687gの混合したメチレンジフェニルジイソシアネート異性体(2,4’-MDI及び4,4’-MDIの50:50混合物)を、23℃において、反応器に入れた。次いで、451gのPPG-500及び827gのTPGを添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。0.1重量%未満の残存4,4’-MDIモノマーレベル、及び9.92重量%の全NCO含量まで、過剰の残存混合異性体のMDIモノマーを、減圧下での薄膜蒸留によってその反応生成物から除去した。
【0107】
Conv.MDI/PPG-1100
1381gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、1800gのPPG-1100を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。残存4,4’-MDIモノマーのレベルは約11.2重量%、かつ、全NCO含量が9.80重量%であった。
【0108】
LFM/PEDSG-500
8609gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、2422gのPEDGS-500を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。残存4,4’-MDIモノマーのレベルが0.1重量%未満、及び全NCO含量が7.56重量%まで、過剰の残存4,4’-MDIモノマーを、減圧下での薄膜蒸留によってその反応生成物から除去した。
【0109】
Conv.MDI/PEDSG-500
1463gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、1539gのPEDGS-500を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。残存4,4’-MDIモノマーのレベルは約10.2重量%、かつ、全NCO含量が7.76重量%であった。
【0110】
それらのプレポリマーの粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0111】
【0112】
低遊離MDI-PHAGポリウレタンプレポリマーは、同じ重量のPHAGポリオールを用いた従来のMDI-PHAGポリウレタンプレポリマーよりも低い、望ましい粘度を有している。
【0113】
結晶化を測定するために、接着剤が冷却してワックス状の固形物となるまでの初期接着時間を記録した(下記表2及び6を参照されたい)。接着剤を100℃においてアルミニウム板状試験片に(室温にて)塗布した。冷却が進むにつれて、その反応性接着剤配合物が固化し、その接着を損なうことなしにその板状試験片基材を扱うことを可能にした。
【0114】
【0115】
表2中の結果は、低遊離(LF)ポリウレタンプレポリマーを含む接着剤が、同等又はさらに顕著に短い初期接着時間を有しているということを示している。MDI/PHAG-1000は、24時間後でさえ、結晶化しなかった。LFポリウレタンプレポリマーは、より高次の規則的な構造を有しており、それが最終の反応性接着剤配合物の中での、より良好な結晶性をもたらしている。ポリオールの分子量の低下は、初期接着時間が長くなることをもたらす。
【0116】
0.2pphのDMDEE触媒の存在下に、30分間、24時間、及び10日間、ポリウレタンプレポリマーを湿分硬化させた。比較のために、そのプレポリマーはまた、理論値の150%の水を用いて、24時間、促進硬化させた。それぞれの実験を5回繰り返し、ラップ剪断強度試験(表3中では重ね剪断強度と表す)の平均結果(トリム平均)を、表3に示す。
【0117】
【0118】
表3には、PHAGポリオールの分子量(Mw)の効果が示されている。低遊離ポリウレタンプレポリマーと従来のポリウレタンプレポリマーとの比較は、より低い分子量が、より低いラップ剪断強度(重ね剪断強度)をもたらすことを示している。
【0119】
ポリウレタンプレポリマーブレンド物の調製
LFM/PHAG-3500+LFM/PPG-500/TPGのブレンド物@3%NCO
129.75gのLFM/PHAG-3500及び20.25gのLFM/PPG-500/TPGを、70℃において容器に入れた。その内容物を、スピードミキサー中、2,300rpmで2分間混合した。
【0120】
LFM/PHAG-3500+LFM/PPG-500/TPGのブレンド物@5%NCO
92.25gのLFM/PHAG-3500及び57.75gのLFM/PPG-500/TPGを、70℃において容器に入れた。その内容物を、スピードミキサー中、2,300rpmで2分間混合した。
【0121】
Conv.MDI/PHAG-3500+Conv.MDI/PPG-1100のブレンド物@3%NCO
137.70gのConv.MDI/PHAG-3500及び12.30gのConv.MDI/PPG-1100を、70℃において容器に入れた。その内容物を、スピードミキサー中、2,300rpmで2分間混合した。
【0122】
Conv.MDI/PHAG-3500+Conv.MDI/PPG-1100のブレンド物@5%NCO
97.20gのConv.MDI/PHAG-3500及び52.80gのConv.MDI/PPG-1100を、70℃において容器に入れた。その内容物を、スピードミキサー中、2,300rpmで2分間混合した。
【0123】
LFM/PHAG-3500+LFM/PEDSG-500のブレンド物@3%NCO
97.10gのLFM/PHAG-3500及び22.90gのLFM/PEDSG-500を、70℃において容器に入れた。その内容物を、スピードミキサー中、2,300rpmで2分間混合した。
【0124】
LFM/PHAG-3500+LFM/PEDSG-500のブレンド物@5%NCO
54.60gのLFM/PHAG-3500及び65.40gのLFM/PEDSG-500を、70℃において容器に入れた。その内容物を、スピードミキサー中、2,300rpmで2分間混合した。
【0125】
Conv.MDI/PHAG-3500+Conv.MDI/PEDSG-500のブレンド物@3%NCO
106.40gのConv.MDI/PHAG-3500及び13.60gのConv.MDI/PEDSG-500を、70℃において容器に入れた。その内容物を、スピードミキサー中、2,300rpmで2分間混合した。
【0126】
Conv.MDI/PHAG-3500+Conv.MDI/PEDSG-500のブレンド物@5%NCO
61.70gのConv.MDI/PHAG-3500及び58.30gのConv.MDI/PEDSG-500を、70℃において容器に入れた。その内容物を、スピードミキサー中、2,300rpmで2分間混合した。
【0127】
それらのポリウレタンプレポリマーのブレンド物の粘度を測定した。結果を表4及び5に示す。
【0128】
【0129】
低遊離MDI-PHAG/MDI-PPG-TPGプレポリマーのブレンド物は、同じNCO含量を有する従来のMDI-PHAG/MDI-PPG-TPGプレポリマーのブレンド物よりも低い、望ましい粘度を有している。
【0130】
【0131】
低遊離MDI-PHAG/MDI-PEDSGプレポリマーのブレンド物は、同じNCO含量をもつ従来のMDI-PHAG/MDI-PEDSGプレポリマーのブレンド物よりも低い、望ましい粘度を有している。
【0132】
【0133】
LFポリウレタンプレポリマーのブレンド物は、同じNCO含量を有する、従来のポリウレタンプレポリマーのブレンド物と比較して、より短い初期接着時間を示している。より高いNCO含量を有するポリウレタンプレポリマーのブレンド物は、より長い初期接着時間を示す。
【0134】
【0135】
非結晶質の短鎖ジオールであるTPGを含むLFプレポリマーのブレンド物は、20分間よりも短い、依然として許容可能な初期接着時間を示したが、これは、同様の従来のMDIプレポリマーのブレンド物と同等又は、部分的にはより良好である。従来のMDIプレポリマーの中に存在しているような、高いレベルの遊離のMDIモノマーは、結晶化速度に影響を及ぼす。
【0136】
0.2pphのDMDEE触媒の存在下で、30分間、24時間、及び10日間、ポリウレタンプレポリマーのブレンド物を湿分硬化させた。比較のために、そのプレポリマーのブレンド物をまた、水を用いての促進硬化をさせて、短時間で完全に硬化した物質を得た。それぞれの実験を5回繰り返し、ラップ剪断強度試験(表中では重ね剪断強度試験)の平均結果(トリム平均)を、表8及び9に示す。
【0137】
【0138】
LFM/PHAG及びLFM/PEDSGを含む、LF-MDIプレポリマーのブレンド物をベースとするポリウレタンプレポリマー組成物(ホットメルト接着剤)は、同じNCO含量を有する、MDI/PHAG及びMDI/PEDSGを含む従来のポリウレタンプレポリマーのブレンド物をベースとするポリウレタンプレポリマー組成物よりも、同じ硬化時間の後で、同等又はさらに高い望ましいラップ剪断強度を有する、湿分硬化したポリウレタン接着剤をもたらす。これらの実施例は、完全に硬化した(水硬化した)LF-MDIプレポリマーのブレンド物が、同じNCO含量を有する、従来のポリウレタンプレポリマーのブレンド物をベースとするポリウレタンプレポリマー組成物よりも高いラップ剪断強度を有していることを示している。
【0139】
【0140】
LFM/PHAG及びLFM/PPG-TPGを含む、LF-MDIプレポリマーのブレンド物をベースとするポリウレタンプレポリマー組成物(ホットメルト接着剤)は、同じNCO含量を有する、MDI/PHAG及びMDI-PPGを含む従来のポリウレタンプレポリマーのブレンド物をベースとするポリウレタンプレポリマー組成物よりも、同じ硬化時間の後で、より高い望ましいラップ剪断強度(表中では重ね剪断速度)を有する、湿分硬化されたポリウレタン接着剤をもたらす。
【0141】
高NCOポリウレタンプレポリマー(非ブレンド物)の調製
LFM/PEDSG-500@7.5%NCO
3560gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、99gのPEDGS-500を添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。0.1重量%未満の残存4,4’-MDIモノマーのレベル、及び7.60重量%の全NCO含量になるまで、その反応生成物から、過剰の残存4,4’-MDIモノマーを、減圧下での薄膜蒸留によって除去した。
【0142】
LFM/PEDSG-500-1,3BG@8%NCO
3606gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、868gのPEDGS-500及び27gの1,3-ブチレングリコールを添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。0.1重量%未満の残存4,4’-MDIモノマーのレベル、及び7.97重量%の全NCO含量になるまで、その反応生成物から、過剰の残存4,4’-MDIモノマーを、減圧下での薄膜蒸留によって除去した。
【0143】
LFM/PEDSG-500-1,3BG@9%NCO
3786gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、636gのPEDGS-500及び78gの1,3-ブチレングリコールを添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。0.1重量%未満の残存4,4’-MDIモノマーのレベル、及び9.14重量%の全NCO含量まで、その反応生成物から、過剰の残存4,4’-MDIモノマーを、減圧下での薄膜蒸留によって除去した。
【0144】
LFM/PEDSG-500-1,3BG@10%NCO
3943gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)を反応器に入れ、50℃に加熱した。次いで、434gのPEDGS-500及び123gの1,3-ブチレングリコールを添加した。反応温度を、4時間、80℃に保持した。0.1重量%未満の残存4,4’-MDIモノマーのレベル、及び9.14重量%の全NCO含量まで、その反応生成物から、過剰の残存4,4’-MDIモノマーを、減圧下での薄膜蒸留によって除去した。
【0145】
【0146】
表8に見られるように、1,3-BG及び、より高いNCOを含むプレポリマーの粘度は、50℃においては劇的に高くなる。しかしながら、表はさらに、100℃においては粘度がかなり低いままに留まっており、そのことが、1,3-BG及び高いNCO(8~10%)を有するプレポリマーを、ホットメルト接着剤用途に適したものにしていることを示している。
【0147】
初期接着時間
2枚の木製のアイスキャンディーの棒(バルティックバーチ)を、1mLのプレポリマーを用いて接着させ、初期接着の確立をモニターした。冷却していく接着剤を、一定時間おきに、木製のアプリケーターを用いて探査した。探査したときに、その接着剤が、アプリケーターに付着して引き離されなくなったら、初期接着が確立されたと考える。その実験の間、接着面積及び接着ギャップは一定に保った。
【0148】
【0149】
表9に示されているように、1,3-BG含量を増やすことが、初期接着時間を短くすることに対応することが発見された。MDI、コハク酸ベースのポリエステルポリオール、及び短鎖ジオールを含み、8重量%~10重量%の高いNCO価を有する、反応性の低遊離ポリウレタンプレポリマーは、優れた接着性能をもたらす。
【0150】
粘度の上昇
プレポリマー、粘度計の試験セル、及び#27スピンドルを、100℃で予備コンディショニングし、次いで粘度計及び加熱していないサーモセル(thermosel)(22.5±0.5℃)に移した。その加熱されていないサーモセルへの熱伝導によってそれが冷却されていくのに合わせて、そのプレポリマーの粘度を測定した。粘度上昇の相対速度が、ホットメルト用途において初期接着が発現する速度に対応する。
【0151】
【0152】
表10に見られるように、1,3-BG含量を増やすことが、粘度のより迅速な上昇に対応することを発見した。
【国際調査報告】