(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】可変色合いグレージングのための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
B60J1/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518042
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2021075688
(87)【国際公開番号】W WO2022058540
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
【住所又は居所原語表記】Abbey Road Whitley Coventry CV3 4LF UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ペントン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ミハイロフ,ゲオルギー
(72)【発明者】
【氏名】ソーンデイル,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューストン,クレイグ
(57)【要約】
本発明の実施態様は、車両の可変色合い(VT)グレージングシステムの動作を制御することを提供する。制御システムは、ユーザ識別データを含み、ユーザが車両にアクセスする可能性を示すアクセス信号を受信し、ユーザ識別データに関連するVTグレージングの色合い構成を示すユーザプロファイルデータを取得し、VTグレージングを制御するために色合い構成を示す色合い制御信号を出力するように構成され得る。制御システムは、車両の無線受信機の無線受信周波数を示す周波数帯信号を受信し、無線受信周波数をVTグレージングシステムの動作周波数と比較し、それに依存して動作周波数の周波数シフトを決定し、VTグレージングシステムの動作周波数を制御するために、決定した周波数シフトを示す周波数シフト信号を出力するように構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の可変色合いグレージングの制御システムであって、
前記制御システムは、1つ以上のコントローラを含み、
前記制御システムは、
ユーザ識別データを含むアクセス信号を受信することであって、前記信号は、ユーザが前記車両にアクセスする可能性を示すものである、ことと;
前記ユーザ識別データに関連するユーザプロファイルデータを取得することであって、前記ユーザプロファイルデータは、前記車両のグレージングの少なくとも一部の色合い構成を示すものである、ことと;
前記可変色合いグレージングの少なくとも一部を制御して、前記色合い構成を採用するための色合い制御信号を出力する、ことと;を行うように構成される、制御システム。
【請求項2】
前記可変色合いグレージングは複数のセクションを含み、
前記ユーザプロファイルデータは、前記可変色合いグレージングの第1のセクションに対する第1の色合い構成及び前記可変色合いグレージングの第2のセクションに対する第2の色合い構成を示す、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記車両の無線受信機の無線受信周波数が記憶され、
色合い構成が、記憶された前記無線受信周波数と異なる可変色合いグレージングの動作周波数を含み、
選択的に、前記制御システムは、
前記無線受信周波数と前記可変色合いグレージングの動作周波数を比較し、
前記比較に依存して前記動作周波数の周波数シフトを決定し、
前記可変色合いグレージングの前記動作周波数を制御するために、決定された前記周波数シフトを示す周波数シフトシグナルを出力する、請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御システムは、
設定される前記車両のパワーレベルであって前記車両が移動準備状態にあることを示すパワーレベルに依存してパワーオン信号を受信し、
前記パワーオン信号の受信に依存して、前記色合い制御信号を出力する、請求項1-3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
ユーザがもはや車両を占有しないことを示す退去信号を受信し、
前記退去信号に依存して、前記可変色合いグレージングを暗状態にするように構成されたパワーオフ信号を生成し、
前記パワーオフ信号を前記可変色合いグレージングに出力する、ように構成された請求項1-4のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
ユーザ識別データを含む前記アクセス信号を受信するように構成された入力手段であって、前記アクセス信号はユーザが前記車両にアクセスする可能性を示す、入力手段と、
前記アクセス信号に依存して、前記ユーザ識別データに関連する前記ユーザプロファイルデータを取得するように構成された処理手段であって、前記ユーザプロファイルデータは前記車両グレージングの少なくとも一部の色合い構成を示す、処理手段と、
前記ユーザプロファイルデータに依存して、前記可変色合いグレージングを制御するための前記色合い構成を示す前記色合い制御信号を出力するように構成された出力手段を含む、請求項1-5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
車両の可変色合いグレージングのためのシステムであって、前記システムは、
請求項1-6のいずれかに記載の制御システムと、
前記車両の前記可変色合いグレージングを含み、
前記車両の前記可変色合いグレージングは、前記制御システムから出力された前記色合い制御信号を受信し、前記色合い制御信号に依存して前記可変色合いグレージングの色合いレベルを調整するように構成された、システム。
【請求項8】
前記可変色合いグレージングは、複数の可変色合いグレージングセクションを有し、
前記色合い制御信号は、前記複数の可変色合いグレージングセクションに対応する複数の色合い制御信号セクションを有し、
前記複数の色合い制御信号セクションの第1のセクションは、第1セクション色合い制御信号を受け取り、前記第1セクション色合い制御信号に依存して第1調整色合いレベル提供するように構成され、
前記複数の色合い制御信号セクションの別のセクションは、別のセクション色合い制御信号を受け取り、前記別のセクション色合い制御信号に依存して別の調整色合いレベル提供するように構成された、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
車両の可変色合いグレージングを制御するための分散システムであって、
前記分散システムは、
請求項7または請求項8に記載のシステムと、
前記アクセス信号を前記制御システムに送信するように構成された少なくとも1つのアクセスデバイスを有する、分散システム。
【請求項10】
前記制御システムは、前記アクセスデバイスが前記車両から所定の距離内に位置していることに依存して、前記アクセス信号を受信するように構成され、
任意に、前記制御システムは、前記アクセスデバイスが前記車両に向かって移動していると判定されることに依存して、前記アクセス信号を受信するように構成される、請求項9に記載の分散システム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記車両をアンロックするためのアンロック信号の受信に依存して、前記アクセス信号を受信するように構成されている、請求項9または請求項10に記載の分散システム。
【請求項12】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の制御システム、または請求項7から請求項11のいずれかに記載のシステムを含む、車両。
【請求項13】
車両の可変色合いグレージングを制御する方法であって、
ユーザ識別データを含むアクセス信号を受信する工程であって、前記アクセス信号は、ユーザが前記車両にアクセスする可能性を示している、工程と、
前記ユーザ識別データに関連するユーザプロファイルデータを取得する工程であって、前記ユーザプロファイルデータは、前記可変色合いグレージングの少なくとも一部の色合い構成を示す、工程と、
前記可変色合いグレージングに依存して前記可変色合いグレージングを制御するための前記色合い構成を示す色合い制御信号を出力する工程を有する、方法。
【請求項14】
アクセス装置が車両から所定の距離内に位置していると判定し、その判定に基づいて前記アクセス装置から前記アクセス信号を受信する工程と、
前記アクセス装置が車両から所定の距離内に位置し且つ車両に向かって移動していると判定し、その判定に基づいて前記アクセス装置から前記アクセス信号を受信する工程と、
車両のアンロックするアンロック信号を受信し、前記アンロック信号の受信に依存して前記アクセス信号を受信する工程と、
ユーザによって意図的に送信されたマニュアル信号を、ユーザが前記可変色合いグレージングの前記色合いレベルを設定したいことを指示として受信する工程、を含む請求項13の方法。
【請求項15】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項13又は請求項14の方法を実行させるように配置されたコンピュータソフトウェアであって、任意に、前記コンピュータソフトウェアはコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されている、可コンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の可変色合いグレージング(variable tint glazing)の制御に関し、特に、限定的ではないが、ユーザの要求に合わせて車両の可変色合いグレージングを制御することに関連する。特定の態様は、可変色合いグレージングのユーザ構成を予めロードすることに関する。いくつかの態様は、可変色合いグレージング操作から生じるノイズを軽減することに関する。本発明の態様は、制御システム、可変色合いグレージングシステム、分散システム、車両、方法、およびコンピュータソフトウェアに関連する。
【背景技術】
【0002】
車両は、可変色合いグレージングを装備することができ、グレージングの色合いのレベル(例えば、暗さ、または不透明度)は、変化し、制御されることができる。場合によっては、可変色合いグレージングの色合いが設定された色合いレベルに調整されるまでに時間(数秒、例えば2~3秒から数十秒、例えば40秒または50秒)がかかることがある。異なる車両乗員又は運転手は、グレージングがどのように着色されるかについて異なる好みを有する可能性がある。所望のグレージングの色合いが達成されるのを待つために車両乗員が費やす時間を短縮する方法で、可変色合いグレージングを制御することが望ましい場合がある。車両が占有されていないときに可変色合いグレージングに電力を供給して不必要に消費しない方法で、可変色合いグレージングを制御することが望ましい場合がある。場合によっては、可変色合いグレージングに電力を供給することは、例えば、グレージングに供給される電力と車両の他の要素に供給される電力または電子操作との間の干渉によって、車両の他の電力供給要素に望ましくない効果をもたらす可能性がある。例えば、可変色合いグレージングに電力を供給すると、他の電力供給要素との干渉により、車両に不要な可聴電子ノイズが発生する可能性がある。可変色合いグレージングの動作から生じる不要なノイズの影響を低減することが望ましい場合がある。先行技術の問題の1つ以上を少なくとも軽減することが、本発明の実施態様の目的である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の本明細書に開示された実施態様および実施例は、添付の請求項に記載の制御システム、可変色合いグレージングシステム、分散システム、車両、方法、およびコンピュータソフトを提供する。
【0004】
本発明の一態様によれば、車両の可変色合いグレージングのための制御システムが提供され、制御システムは、1つ以上のコントローラを含み、制御システムは、ユーザ識別データを含み、ユーザが車両にアクセスする可能性を示すアクセス信号を受信し、アクセス信号に依存してユーザ識別データに関連付けられ、車両グレージングの少なくとも一部の色合い構成を示すユーザプロファイルデータを取得し、ユーザプロファイルデータに依存して可変色合いグレージングを制御するために色合い構成を示す色合い制御信号を出力するように構成される。
【0005】
1つ以上のコントローラは、アクセス信号を受信するための電気入力を有する少なくとも1つの電子プロセッサと、少なくとも1つの電子プロセッサに結合され、そこに記憶された命令を有する少なくとも1つのメモリデバイスと、を集合的に含んでよく、少なくとも1つの電子プロセッサは、ユーザ識別データに関連するユーザプロファイルデータを取得するように、少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスしてそこに記憶された命令を実行し、色合い制御信号を出力するよう構成される。
【0006】
可変色合いグレージングは、複数のセクションから構成されてもよく、ユーザプロファイルデータは、可変色合いグレージングの第1のセクションに対する第1の色合い構成と可変色合いグレージングの第2のセクションに対する第2の色合い構成とを示すことができる。
車両の無線受信機の無線受信周波数が記憶され、色合い構成は、記憶された無線受信周波数と異なる可変色合いグレージングの動作周波数を含んでいてもよい。
【0007】
制御システムは、無線受信周波数と可変色合いグレージングの動作周波数を比較し、比較に依存して動作周波数の周波数シフトを決定し、可変色合いグレージングの動作周波数を制御するために決定された周波数シフトを示す周波数シフト信号を出力するように構成されることがある。
【0008】
制御システムは、車両のパワーレベルが設定されていることに依存してパワーオン信号を受信し、パワーレベルは、車両が移動可能状態にあることを示し、パワーオン信号の受信に依存して色合い制御信号を出力するように構成され得る。
【0009】
制御システムは、ユーザがもはや車両を占有していないことを示す退去信号を受信し、退去信号に依存して可変色合いグレージングを暗状態にするように配置されたパワーオフ信号を生成し、パワーオフ信号を可変色合いグレージングに出力するように構成され得る。
【0010】
いくつかの例では、パワーオフ信号は、可変色彩グレージングに供給される電力がないときに、可変色彩グレージングを暗状態に変化させ、暗状態を維持させることができる。電源オフ信号は、暗黒状態で可変色彩グレージングへの電力供給を停止させることができる。制御システムは、車両のトラクションモータへの電力の供給を停止することに依存して、パワーオフ信号を受信し得る。いくつかの例では、パワーオフ信号は、可変色合いグレージングに供給される電力がないときに、可変色合いグレージングを透明/クリア状態に変化させ、透明/クリア状態を維持させることができる。透明/クリア状態は、例えば、高い透明度(透明度閾値以上)及び/又は低い色合いレベル(色合い閾値未満)であってよい。電源オフ信号は、透明/透過状態において、可変色合いグレージングへの電力の供給を停止することができる。制御システムは、例えば、エラー状態信号を受信すること、又は車両のトラクションモータへの電力の供給を停止することに依存して、パワーオフ信号を受信してもよい。
【0011】
色合い構成は、ユーザが選択した色合い構成であってもよい。ユーザプロファイルデータは、ユーザのユーザ選択色合いレベル、およびユーザに関連する最後に使用された色合いレベルのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0012】
制御システムは、車両に配置されたメモリストレージ、およびリモートサーバまたはクラウドのうちの1つ以上からユーザプロファイルデータを取得するように構成されることがある。
【0013】
制御システムは、ユーザ識別データを含むアクセス信号を受信するように配置された入力手段であって、該信号はユーザが車両にアクセスする可能性を示す、入力手段と、アクセス信号に依存してユーザ識別データに関連付けられたユーザプロファイルデータを取得するように配置された処理手段と、ユーザプロファイルデータは車両グレージングの少なくとも一部の色合い構成を示す、処理手段と、色合い構成を示す色合い制御信号を出力してユーザプロファイルデータに依存して可変色合いグレージングを制御するために、出力手段を備えることができる。
【0014】
別の態様として、車両の可変色合いグレージングシステムが提供され、該システムは、本明細書に開示される制御システム、および車両の可変色合いグレージングを含み、車両の可変色合いグレージングは、制御システムから出力された色合い制御信号を受信し、色合い制御信号に依存して可変色合いグレージングの色合いレベルを調整するように構成されている。
【0015】
可変色合いグレージングは、車両のルーフ、車両のウィンドスクリーン、車両のリアウィンドウ、および車両のサイドウィンドウの少なくとも一部を形成することができる。
【0016】
可変色合いグレージングは、可変色合いグレージングの複数のセクションから構成されてもよく、色合い制御信号は、可変色合いグレージングのセクションに対応する複数のセクション色合い制御信号を含んでいてもよく、複数のセクションの第1のセクションは、第1のセクション色合い制御信号を受け取り、第1のセクション色合い制御信号に依存して第1の調整色合いレベルを与えるように配置してもよく、複数のセクションのさらなるセクションは、さらなるセクション色合い制御信号を受け取り、さらなるセッション色合い制御信号に依存してさらなる調整色合いレベルを与えるように配置してもよい。
【0017】
可変色合いグレージングの複数のセクションは、車両の可変色合いグレージングの複数のセクション、車両の可変色合いグレージングルーフの複数のセクション、車両の可変色合いグレージングィンドスクリーンの複数のセクション、車両の可変色合いグレージングリアウィンドの複数のセクション、及び車両の可変色合いグレージングサイドウィンドの複数のセクションのうちの1以上であっても良い。
【0018】
色合い可変グレージングは、エレクトロクロミックグレージング、浮遊粒子グレージング、マイクロブラインドグレージング、ポリマー分散型液晶グレージング、サーモクロミックグレージング、及びフォトクロミックグレージングのうちの1以上を含むことができる。
【0019】
別の態様として、車両の可変色合いグレージングを制御するための分散システムが提供され、この分散システムは、本明細書に記載のシステム、およびアクセス信号を制御システムに送信するように配置された少なくとも1つのアクセスデバイスを含む。
【0020】
少なくとも1つのアクセス装置は、ユーザが車両にアクセスする可能性の表示を提供するように配置された第1のアクセス装置と、ユーザ識別データを提供するように配置されたさらなるアクセス装置とを有する。
【0021】
アクセス装置は、携帯電話通信装置、車両ロック解除装置、キーフォブ、車両キー、およびリストバンドのうちの1つまたは複数を有する。アクセス装置は、モバイル通信装置と車両用ロック解除装置の両方を含む。
【0022】
ユーザ識別データは、アクセス装置に予め登録されている場合がある。アクセス装置は、ユーザによるアクセス装置の使用に依存してユーザ識別データを捕捉し、捕捉されたユーザ識別データを制御システムに送信するように配置されることができる。
【0023】
アクセス装置は、車両の所定の近接範囲内でユーザの顔の画像をキャプチャし、アクセス信号内のユーザの顔のキャプチャ画像を制御システムへ提供するように構成された画像キャプチャデバイスを備える。
【0024】
制御システムは、ユーザを識別するために、受信したユーザの顔の画像の顔認識を実行し、顔認識に依存してユーザプロファイルデータを取得するように構成され得る。
【0025】
制御システムは、アクセス装置が車両から所定の距離内に位置していることに依存して、アクセス信号を受信するように構成されることがある。制御システムは、アクセス装置が車両に向かって移動していると判断されたことに依存して、アクセス信号を受信するように構成されることがある。
【0026】
制御システムは、車両をロック解除するためのロック解除信号の受信に依存して、アクセス信号を受信するように構成されることがある。
【0027】
制御システムは、アクセス装置から送信される手動信号でアクセス信号を受信するように構成されてもよく、手動信号は、ユーザが可変色合いグレージングの色合いレベルを調整することを望むことを示すものとして、ユーザによって意図的に送信される。
【0028】
別の態様として、車両の可変色合いグレージングを制御する方法が提供され、この方法は、ユーザ識別データを含むアクセス信号を受信すること、この信号は、ユーザが車両にアクセスする可能性を示すこと、アクセス信号に依存して、ユーザ識別データに関連するユーザプロファイルデータを検索すること、ユーザプロファイルデータは、車両グレージングの少なくとも一部の色合い構成を示すこと、およびこれに依存する可変色合いグレージングの制御用に色合い構成を示す着色制御信号を出力することを含む。
【0029】
本方法は、色合い制御信号に依存して、可変色合いグレージングの色合いレベルをユーザが選択した色合いレベルに調整することを含むことができる。
【0030】
本方法は、アクセス装置が車両から所定の距離内に位置していることを判定し、判定に基づいてアクセス装置からアクセス信号を受信し、アクセス装置が車両から所定の距離内に位置し、車両に向かって移動していることを判定し、判定に基づいてアクセス装置からアクセス信号を受信し、車両をロック解除するロック解除信号を受信し、ロック解除信号を受け取ることに依存してアクセス信号を受け取り、ユーザによって意図的に送信されたマニュアル信号を、ユーザが可変色合いグレージングの色合いレベルを設定したいことを示すものとして受け取ることの1つまたは複数を含むことができる。
【0031】
この方法は、車両の電力レベルが設定されることに依存して、電力オン信号を受信することであって、電力レベルは、車両が移動可能な状態にあることを示し、電力オン信号の受信時に色合い制御信号を出力することと、を備えることができる。
【0032】
本発明の一態様によれば、車両の可変色合いグレージングシステムの制御システムが提供され、制御システムは、1つ以上のコントローラを含み、制御システムは、車両の無線受信機の無線受信周波数を示す周波数帯信号を受信し、無線受信周波数を可変色合いグレージングシステムの動作周波数と比較し、比較に依存して動作周波数の周波数シフトを決定し、決定した周波数シフトを示す周波数シフト信号を出力して可変色合いグレージングシステムの動作周波数を制御するように構成されている。
【0033】
1つ以上のコントローラは、周波数帯域信号を受信するための電気入力を有する少なくとも1つの電子プロセッサと、少なくとも1つの電子プロセッサに結合され、そこに記憶された命令を有する少なくとも1つのメモリデバイスと、を集合的に含んでよく、少なくとも1つの電子プロセッサは、無線受信周波数を動作周波数と比較し、その比較に応じて動作周波数の周波数シフトを決定し、周波数シフト信号を出力するように少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスしてそこに記憶された命令を実行するように構成される。
【0034】
無線受信機の無線受信周波数は、少なくとも1つの帯域の周波数を含んでいてもよい。
【0035】
周波数シフトは、動作周波数に適用されるとき、動作周波数を無線受信周波数の外側になるようにシフトすることができる。
【0036】
周波数シフトは、動作周波数に適用されるとき、動作周波数をシフトして、閾値オーディオノイズレベル未満のオーディオ出力のノイズレベルを提供してもよく、オーディオ出力は、車両の無線受信機の無線受信周波数で受信された無線信号に依存して車両のオーディオ出力システムによって提供される。
【0037】
周波数帯域信号は、ラジオ受信のAM周波数帯域を示すことができる。AM周波数帯域は、約525kHzから1705kHzの間とされてもよい。
【0038】
制御システムは、ユーザ識別データの受信に依存して周波数帯域信号を受信するように構成されてもよく、ユーザ識別データは、車両にアクセスする特定のユーザを示す。
【0039】
制御システムは、ユーザ識別データに関連するユーザプロファイルデータを検索するように構成されてもよく、受信した周波数帯域信号は、検索されたユーザプロファイルデータに関連付けられる。
【0040】
制御システムは、車両に配置されたメモリストレージ、およびリモートサーバまたはクラウドのうちの1つ以上からユーザプロファイルデータを取得するよう構成されてもよい。
【0041】
制御システムは、ユーザが車両にアクセスする可能性を示すアクセス信号を受信し、アクセス信号の受信に依存してユーザプロファイルデータを取得するように構成され得る。
【0042】
可変色合いグレージングシステムは、複数のセクションにおける可変色合いグレージングを含んでもよく、制御システムは、可変色合いグレージングの複数のセクションへの電力供給を選択的に制御するように構成されてもよい。
【0043】
制御システムは、可変色合いグレージングの複数のセクションのうちの第1のセクションを第1の動作周波数で電力供給し、可変色合いグレージングの複数のセクションのうちのさらなるセクションをさらなる動作周波数で電力供給することを選択的に制御し、無線受信周波数を第1およびさらなる動作周波数と比較し、比較に依存して第1の動作周波数に対する第1の周波数シフトを決定し、比較に依存してさらなる動作周波数に対するさらなる周波数シフトを決定し、可変色彩グレージングシステムの第1のセクションの動作周波数を制御するために、最初に決定された周波数シフトを示す第1の周波数シフト信号を出力し、可変色彩グレージングシステムのさらなるセクションの動作周波数を制御するために、さらに決定された周波数シフトを示すさらなる周波数シフト信号を出力する、ように構成され得る。
【0044】
無線受信周波数は、ユーザが選択したデフォルトの無線受信周波数、及び最後に使用された無線受信周波数のうちの1つ以上を含むことができる。
【0045】
制御システムは、車両の無線受信機の無線受信周波数を示す周波数帯信号を受信するように配置された入力手段と、無線受信周波数を可変色合いグレージングシステムの動作周波数と比較し、比較に依存して動作周波数の周波数シフトを決定するように配置された処理手段と、可変色合いグレージングシステムの動作周波数を制御するために決定した周波数シフトを示す周波数シフト信号を出力するように配置された出力手段からなり得る。
【0046】
別の態様として、車両の可変色合いグレージングシステムが提供され、該システムは、先行する請求項のいずれかの制御システム、車両の可変色合いグレージング、および可変色合いグレージングに電力を供給するように配置された可変色合いグレージング電力モジュールを含み、可変色合いグレージング電力モジュールは、制御システムから出力された周波数シフト信号を受け取り、周波数シフト信号の依存で可変色合いグレージング電力モジュールの作動周波数を調整するように構成されている。
【0047】
可変色合いグレージングパワーモジュールは、動作周波数で可変色合いグレージングに交流電力を供給するように配置されたDC-ACコンバータを含んでいてもよい。
【0048】
可変色合いグレージングは、車両のルーフ、車両のウィンドスクリーン、車両のリアウィンドウ、及び車両のサイドウィンドウの少なくとも一部を形成することができる。
【0049】
色合い可変グレージングは、エレクトロクロミックグレージング、浮遊粒子グレージング、マイクロブラインドグレージング、ポリマー分散型液晶グレージング、サーモクロミックグレージング、及びフォトクロミックグレージングのうちの1つ以上を含むことができる。
【0050】
可変色合いグレージングシステムは、可変色合いグレージングパワーモジュールと可変色合いグレージングの間に接続された高電圧(HV)ワイヤと、HVワイヤ上に位置するフェライトを含むことができる。
【0051】
可変色合いグレージングシステムは、可変色合いグレージングパワーモジュールと車両の電源との間に接続された低電圧(LV)ワイヤと、LVワイヤ上に配置されたフェライトとから構成されてもよい。LV線は、ワイヤハーネスであってもよい。LV線は、いくつかの例では、複数の三重撚りの電線であってもよい。車両の電源は、例えば、ボディドメインモジュール、ボディコントロールモジュール又はボディパワーモジュール、又はリレーであってもよい。
【0052】
別の態様として、本明細書に記載の任意の制御システム、または本明細書に記載の任意のシステムを含む車両が提供される。
【0053】
別の態様として、車両の可変色合いグレージングを制御する方法が提供され、この方法は、車両の無線受信機の無線受信周波数を示す周波数帯信号を受信することと、無線受信周波数を可変色合いグレージングシステムの動作周波数と比較することと、比較に依存して動作周波数の周波数シフトを決定することと、可変色合いグレージングシステムの動作周波数を制御するために決定した周波数シフトを示す周波数シフト信号を出力することを含む。
【0054】
この方法は、車両のオーディオ出力システムによって提供されるオーディオ出力中に、車両の無線受信機の無線受信周波数で受信された無線信号に依存して提供されるオーディオ出力が、周波数シフトを動作周波数に適用して動作周波数を無線受信周波数外になるようにシフトすることを含んでいてもよい。
【0055】
この方法は、可変色合いグレージングシステムの動作周波数および無線受信周波数に依存して、周波数シフトを計算することによって周波数シフトを決定すること、およびルックアップテーブルから周波数シフトを検索することを含み、周波数シフトは無線受信周波数に対応するように予め設定されている。
【0056】
別の態様として、プロセッサによって実行されると、プロセッサに本明細書に開示される任意の方法を実行させるように配置されたコンピュータソフトウェアが提供される。コンピュータソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてもよい。コンピュータソフトウェアは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されていてもよい。コンピュータソフトウェアは、命令またはコンピュータ読み取り可能な命令と呼ばれるものであってもよい。
【0057】
本明細書に記載される任意のコントローラ又は制御装置は、好適には、1つ又は複数の電子プロセッサを有する制御ユニット又は計算デバイスから構成され得る。したがって、システムは、単一の制御ユニットまたは電子コントローラから構成されてもよく、あるいは代替的に、コントローラの異なる機能が、異なる制御ユニットまたはコントローラにおいて具現化されるか、またはホストされ得る。本明細書で使用する場合、「コントローラ」または「制御装置」という用語は、単一の制御装置またはコントローラ、および任意の指定制御機能を提供するために集合的に動作する複数の制御装置またはコントローラの両方を含むものと理解される。コントローラを構成するために、実行されたときに、前記制御ユニットまたは計算デバイスに本明細書に規定する制御技術を実施させる、適切な命令セットを提供することができる。命令のセットは、好適には、前記1つまたは複数の電子プロセッサに埋め込まれることができる。あるいは、命令セットは、前記コントローラに関連する1つ以上のメモリに保存され、前記計算装置上で実行されるソフトウェアとして提供されることもある。第1のコントローラは、1つまたは複数のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装されてもよい。つまたは複数の他のコントローラは、1つまたは複数のプロセッサ、任意で第1のコントローラと同じ1つまたは複数のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装されることができる。また、他の適切な配置も使用することができる。
【0058】
本発明の別の態様では、可変色合いグレージングを含む車両が提供され、可変色合いグレージングは、複数のセクションを含み、複数のセクションは、異なる色合いレベルに独立して制御可能である。有利なことに、これにより、車両のユーザは、車両のキャビンの異なる領域における光のレベルを、互いに独立して制御することができる。例えば、車室前部の可変色合いグレージングは、車室内に高いレベルの光を入れるように構成され、車室後部の可変色合いグレージングは、車室内に低いレベルの光を入れるように構成されることがある。その後、可変色合いグレージングを再設定して、車室後部に高レベルの光を取り込みつつ、車室前部に低レベルの光を取り込むことができるようにすることができる。
【0059】
本願の範囲内において、前の段落、特許請求の範囲および/または以下の説明および図面に記載された様々な態様、実施態様、例および代替案、特にその個々の特徴は、独立してまたは任意の組み合わせで取ることができることが明示的に意図される。すなわち、すべての実施態様および/または任意の実施態様の特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、任意の方法および/または組み合わせで組み合わせることが可能である。本出願人は、元々そのように請求されていないが、他の請求項の特徴に依存し、及び/又はそれを取り込むために、元々提出された請求項を修正する権利を含め、それに応じて元々提出された請求項を変更する権利又は新しい請求項を提出する権利を有する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
次に、本発明の1つまたは複数の実施態様が、添付の図面を参照しながら、例としてのみ説明される。
【0061】
【
図1】
図1は、本発明の実施態様による車両の可変色合い(VT)グレージングのための制御システムを示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施態様による制御システムを概略的に示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施態様による複数のセクションからなるVTグレージングを模式的に示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施態様による制御システム及びセクション化されたVTグレージングを示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施態様による車両の無線受信機の無線受信周波数を使用する車両のVTグレージングのための制御システムを示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施態様によるユーザプロファイルデータを使用する車両のVTグレージングのための制御システムを示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施態様による、車両の異なる電力状態によるVTグレージングの段階的な制御を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施態様によるアクセスデバイスを含む分散システムを示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施態様による、車両に接近するユーザを示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施態様に従った方法1000を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施態様による車両のVTグレージングのための制御システムを示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施態様によるユーザIDデータを使用する制御システムを示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施態様による車両のVTグレージングシステムを示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施態様によるフェライトを含む車両のVTグレージングシステムを示す図である。そして、
図14は、本発明の実施態様によるフェライトを含む車両のVTグレージングシステムを示す。
【
図15】
図15は、本発明の実施態様による方法1100を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施態様に係る車両1600を示す図である。
【発明を実施するための態様】
【0062】
車両は、可変色合いグレージングを装備することができ、グレージングの着色レベル(例えば、暗さ、または不透明度)を変化させ、制御することができる。車両の乗員や運転手によって、グレージングがどのように着色されるかの好みが異なる場合がある。可変色合いグレージングに電力を供給する不必要な消費から緩和しながら、自動化されたユーザにとって便利な方法で、特定のユーザの好みに合わせて可変色合いグレージングを制御することは、本明細書に開示される例によって達成され得る。
【0063】
本明細書に開示される例は、例えば、車両のルーフシステム(「パノラマサンルーフ」と称されることがある)に適用され得る。可変色合いグレージング技術により、ルーフガラスを通る光の遷移を、例えば暗い状態から明るい状態へと変化させることができる。本明細書に開示された例では、可変色合いグレージングの設定を個人的に変更することができる。グレージング色合いに関するユーザの個々の設定/好みは、例えば、個々のユーザのキーフォブに、又は他の方法で保存された個人設定を検索することによって、ユーザに保存及びリンクされることができる。これにより、ユーザの好みを記憶し、例えば、ユーザが車両に近づいたり使用したりする際に、車両のグレージング色合いをユーザの好みに合わせてパーソナライズするために実行することができる。「色合いレベル」の議論は、「不透明度」にも適用されると考えることができる。したがって、暗い状態のグレージングを論じる例では、そのような例は、不透明なガラス状態、すなわち、ガラスが何らかの点で光の通過をより困難にする(例えば、光が吸収又は散乱される)場合にも適用され得る。グレージング着色/暗色化が存在しないか又は低い、透明又はクリアな状態のグレージングを論じる例では、かかる例は、非不透明ガラス状態、すなわち、ガラスがある点で光が通過しやすい(例えば、光がほとんど吸収又は散乱されない)状態にも適用される場合がある。
【0064】
図1は、本発明の実施態様による車両の可変色合い(VT)グレージングのための制御システム106を含むシステム100を示す。制御システム106は、
図2に関連してより詳細に説明するように、1つまたは複数のコントローラを有する。制御システム106は、ユーザ識別データ102を含むアクセス信号112を受信するように構成される。アクセス信号112は、ユーザが車両にアクセスする可能性を示すものである。制御システム106は、ユーザ識別データ102からなるアクセス信号112を受信するように構成された入力手段を有することができる。アクセス信号は、例えば、個人用カーキー、キーフォブ、または他の携帯型ユーザ電子デバイスのような、そのユーザにリンクされた検出可能なデバイスを持って車両に近づくユーザによって、または、例えば、そのユーザに登録された、または関連するデバイスから車両に「ロック解除」コマンドを送信するユーザによって、送信され得る。これは、
図6~9を参照してより詳細に説明される。
【0065】
制御システム106は、アクセス信号112に依存して、ユーザ識別データ102に関連するユーザプロファイルデータ104を取得するように構成される。ユーザプロファイルデータ104は、車両グレージング110の少なくとも一部の色合い構成を示すものである。制御システム106は、アクセス信号112に依存して、ユーザ識別データ102に関連付けられたユーザプロファイルデータ104を取得するように配置された処理手段を含んでいてもよい。ユーザプロファイルデータは、車両のVTグレージングの色合い構成のそのユーザに対するユーザの好み又は所定の設定を示すことができる。
【0066】
いくつかの例では、色合い構成は、ユーザが選択した色合い構成であってもよい。いくつかの例では、ユーザプロファイルデータ104は、ユーザの選択された色合いレベル(例えば、グレージングの色合いに関する予め設定されたユーザの好み)を含んでいてもよい。いくつかの例では、ユーザプロファイルデータ104は、ユーザに関連する最後に使用された色合いレベルを構成することができる。すなわち、ユーザが車両を占有し、VTグレージングを特定の方法で着色するための色合い構成が実施された場合、その色合い構成は、ユーザが車両を占有する可能性があると識別される次回に取得するために、設定を行ったユーザと関連付けて保存することができる。制御システム106は、例えば、車両に配置されたメモリストレージから、リモートサーバから、または「クラウド」から、ユーザプロファイルデータ104を取得するように構成されてもよい。
【0067】
制御システム106は、ユーザプロファイルデータ104に依存して可変色合いグレージング110を制御するための色合い構成を示す色合い制御信号108を出力するように構成される。制御システム106は、色合い構成を示す色合い制御信号108を出力するように配置された出力手段を含んでよい。色合い制御信号108は、例えば、VTグレージングの電源に提供され、VTグレージングに電力を供給させ、ユーザのプロファイルデータに従ってグレージングを色合いさせることができる。
【0068】
このようにして、ユーザが車両にアクセスする可能性がある(したがって、VTグレージングが自分に合った色合い構成を有することを好むであろう)ことを示すことに応答して、VTグレージングの個人化および自動制御が達成され得る。ユーザが車両に乗る可能性があると認識した後に出力信号を生成し提供することで、ユーザが車両に乗る前にVTグレージングを制御することができ、ユーザが車両に乗った時に間に合うようにVTグレージングはユーザプロファイルのデータに従って着色される。しかし、電力を節約するために、制御システムは、ユーザが近い将来に車両にアクセスする可能性があるという指示が提供されない限り、色合い構成の決定を実行せず、着色制御信号の生成または出力も行わない。
【0069】
図2は、本発明の実施態様による制御システム206を模式的に示している。制御システム206の1つ以上のコントローラ220は、アクセス信号112を受信するための電気入力212を有する少なくとも1つの電子プロセッサ209と、少なくとも1つの電子プロセッサ209に結合され、そこに格納された命令を有する少なくとも1つのメモリデバイス211とを集合的に含んでよい。少なくとも1つの電子プロセッサ209は、少なくとも1つのメモリデバイス211にアクセスし、ユーザ識別データに関連付けられたユーザプロファイルデータ104を取得し、色合い制御信号108を出力するように、そこに格納された命令を実行するように構成される。
【0070】
図3は、複数のセクション110a、b、cを有するVTグレージング110を概略的に示しており、図示されたグレージングは、車両の上部を見下ろす図であってもよく、VTグレージングは、例えば、車両のルーフの少なくとも一部を形成する。この例では、車両ルーフは、複数のVTグレージング部110a、b、cからなるVTグレージングパネル110で構成されてもよく、VTグレージングは、例えば、VTグレージングルーフの一方の側(例えば、運転者が向く左側L)が他方の側(右側R)と比べて暗くなるように制御されることがある。これは、例えば、左側に座っている乗客が休息や睡眠を取りたい場合や、車内温度を下げようとするために車両の左側から太陽が差し込んでいる場合に望ましいと考えられる。別の例として、VTグレージングを、例えば、VTグレージングルーフの前部分F(運転手が位置する上)に比べて後部分B(例えば、車両の後部の乗客の上に位置する)を暗くするように制御することができる。これは、例えば、後席の乗客が休息又は睡眠を望む場合に望ましい場合がある。他の例では、VTグレージングは、例えば、車両のウィンドスクリーン、車両のリアウィンドウ、及び/又は車両のサイドウィンドウの少なくとも一部を形成することができる。
【0071】
VTグレージング110が
図3のように複数のセクション110a、b cを有する例では、取得されるユーザプロファイルデータは、VTグレージング110の第1のセクションに対する第1の色合い構成及びVTグレージング110の第2のセクションに対する第2の色合い構成を示してよい。
図3に示すようにキャビンの左Lのグレージングを暗くする例では、ユーザプロファイルデータは、VTグレージング110の第1の(左L)セクションに対する第1の(より暗い、例えば50%暗い)色合い構成を示し、VTグレージング110の第2の(右R)セクションに対する第2の(より明るい、例えば10%暗い)色合い構成を示すかもしれない。
【0072】
いくつかの例では、アプリケーションは、携帯電話やタブレットなどの個人用電子デバイス上で操作されることがある。アプリケーションは、ユーザがVTグレージングセクションを選択及び選択解除することを可能にし、各セクションがどのようなレベルの着色を有するべきかをアプリケーションで設定することができる。例えば、アプリケーションは、タッチスクリーン装置上で実行され、ユーザは、セクション化されたVTグレージングを表す画像(例えば、
図3のイラストと同様)を提示されるかもしれない。アプリケーションは、VTグレージングの特定のセクションに対応するスクリーンの一部でタッチユーザの入力を受けるように構成されることがある。制御システムは、車両のVTグレージングの対応するセクションの色合いレベルを制御するために、ユーザのタッチ入力によって提供される設定に対応する色合い制御信号を生成させるように構成されてもよい。もちろん、色合い構成を選択するための他のユーザ入力も想定される。ユーザがアプリケーションを開く、アプリケーションを使用する、またはアプリケーションを通じて「色合い構成を今すぐ行う」等の信号を提供するという動作は、ユーザが車両にアクセスする可能性があるという表示であってもよく、そのように制御システムに色合い制御信号を決定させ、アプリケーションでユーザが選択した設定に従ってVTグレージングの制御用にそれを出力させる。
【0073】
図4は、例えば
図3に示すような制御システム106とセクション化されたVTグレージング110を示す。例えば、VTグレージングのセクション1は、VTグレージング屋根の前左部分であってもよく、VTグレージングのセクション2は、VTグレージング屋根の前右部分であってもよく、VTグレージングのセクション3は、VTグレージング屋根の後左部分であってもよく、VTグレージングのセクション4は、VTグレージング屋根の後右部分であってもよい。別の例として、区分されたVTグレージングは、VTグレージングのセクション1がVTグレージングルーフの前部左側乗客側窓であり、VTグレージングのセクション2がVTグレージングルーフの前部右側ドライバー側窓であり、VTグレージングのセクション3がVTグレージングルーフの後部左側乗客側窓、VTグレージングのセクション4がVTグレージングルーフの後部右側助手側窓であるような(おそらく物理的に)個別の窓のように、別々のグレージングセクションだと考えられる場合がある。言い換えれば、可変色合いグレージングの複数のセクションは、例えば、車両の可変色合いグレージングの複数のセクション、車両の可変色合いグレージングルーフの複数のセクション、車両の可変色合いグレージングィンドスクリーンの複数のセクション、車両の可変色合いグレージングリアウィンドの複数のセクション、および車両の可変色合いグレージングサイドウィンドの複数のセクション、の1または複数であり得る。
【0074】
制御システム106及びVTグレージング110(単一のパネル、区分けされたパネル、又は物理的に別々のグレージングパネル/窓のいずれであっても)を合わせて、車両のVTグレージングシステム100と呼ぶことがある。車両のVTグレージング110は、制御システム106から出力された色合い制御信号108を受信し、色合い制御信号108に依存してVTグレージング110の色合いレベルを調整するように配置されてもよい。
図4の例は、VTグレージングの複数のセクション110a~dからなるVTグレージング110を示し、色合い制御信号108は、VTグレージング110のセクション110a~dに対応する複数のセクション色合い制御信号108a~dを含む。この例における複数のセクションの第1のセクション110aは、第1のセクション色合い制御信号108aを受信し、第1のセクション色合い制御信号108aに依存して第1の調整済み色合いレベルを提供するように配置され、複数のセクションのさらなるセクション110b;110c;110dは、さらなるセクション色合い制御信号108b;108c;108dを受信し、さらなるセクション色合い制御信号108b;108c;108dに依存してさらなる調整済み色合いレベルを提供するように構成されている。
【0075】
図5は、車両の無線受信機(すなわち、運転手/乗客が車両内でAMまたはFMラジオ放送を聞くことができるように車載ラジオ)の動作を考慮する、車両のVTグレージングのための制御システムを示す。いくつかの例では、VTグレージング110は、AC電源を使用して動作することができる。場合によっては、VTグレージング110のAC電源の周波数は、受信した無線信号と干渉することがあり、オーディオ出力は、干渉に起因する不要なノイズを含むことがある。ここに開示されるいくつかの例は、VTグレージングを動作させ、音声出力における不要なノイズを低減する方法で、受信した無線信号から音声出力を提供することを提供する。
【0076】
図5は、車両の無線受信機の無線受信周波数、RRF、114が(例えば、車両に配置されたメモリで)記憶され得ることを示す。色合い制御信号108によって示され、制御システム106によって提供される色合い構成は、記憶された無線受信周波数114とは異なるVTグレージング110の動作周波数からなる場合がある。VTグレージングの動作周波数をRRF114と異なるものとすることで、RRFで受信した無線信号から提供される音声出力のノイズを低減することができる。
【0077】
制御システム106は、RRF114をVTグレージング110の動作周波数と比較し、比較に依存して動作周波数の周波数シフトを決定し、VTグレージング110の動作周波数を制御するために決定された周波数シフトを示す周波数シフト信号を出力するように構成され得る。例えば、比較の結果、RRFとVTグレージングの動作周波数が重なることが示された場合、VTグレージングの動作周波数に周波数シフトを適用して、周波数の重なりをなくすことができる。
図5は、この処理を「Set[Tint control signal ≠ RRF]」として示しており、この処理により、決定された周波数シフト信号に従って、色合い制御信号108がRRFから離れる方向にシフトされる。
【0078】
図6は、車両のVTグレージング110のための制御システム106を含むシステム100を示す。
図1と同様に、制御システム106は、ユーザ識別データ102を含むアクセス信号112を受信するように構成される。そして、制御システム106は、ユーザ識別データ102に関連するユーザプロファイルデータ104を取得するように構成されている。ユーザプロファイルデータ104は、車両グレージング110の少なくとも一部の色合い構成を示すものである。制御システム106は、ユーザプロファイルデータ104に依存して可変色合いグレージング110を制御するために、色合い構成を示す色合い制御信号108を出力するように構成される。
【0079】
この例では、制御システム106は、ユーザが車両に接近した際にユーザプロファイルデータ104を取得するように構成されてもよいが、この段階では、色合い制御信号108は、まだ送信されずにVTグレージングへの送信に備えて記憶、すなわちバッファリングされてもよい。この例の制御システム106は、設定される車両の電力レベルに依存して、パワーオン信号116を受信するように構成される。電力レベルは、車両が移動準備状態にあることを示すものである。この「移動準備完了」状態は、例えば、車両のエンジンが始動されること、ユーザが車両のロックを解除して車両への入場を可能にすること、または車両が「準備完了」状態に移動され、それにより、例えばエンジンはまだ動いていないが車両がある程度制御できるように動作可能であることが考えられる。制御システム106は、電源オン信号116の受信に依存して、色合い制御信号108を出力するように構成される。この
図6の例は、VTグレージングの「段階的」制御であると考えられ、それによって、制御システム106は、例えば、ユーザの接近または車両のロック解除時に、VTグレージングシステムの動作状態を「プライム」して色合い構成を変更できるように配置されるが、VTグレージングは、車両が「スイッチオン」されて移動可能状態になるとVTグレージングの色合い構成を制御/変更するための提供により実際に動作する。このような段階的な操作は、ユーザが色合い構成が適用されるのを待つ必要がある時間を短縮し、同時にVTグレージングシステムを操作するのに必要な電力量を削減するために実行され得る。
【0080】
図7は、車両の異なる電力状態に従ってVTグレージングを段階的に制御する例を示している。ユーザ702が自分の車両704に接近する。ユーザの接近は(
図8に関連して後述するように)、VTグレージングシステムの制御システムへのアクセス信号712の送信を引き起こす。アクセス信号712は、ユーザ識別データからなり、ユーザ702が車両にアクセスする可能性を示すものである。アクセス信号712は、VT制御システムに、そのユーザのための色合い構成を示すユーザプロファイルデータを取得させることができる。しかし、ユーザはまだ車両のロックを解除しておらず、また車両に進入していないため、VTグレージングの制御はまだ行われていない。ユーザプロファイルデータ(そして、接近するユーザの色合い構成)を取得することによってVTグレージングシステムをプライミングすることにより、ユーザが車両に乗り込む/使用する場合、VTグレージングは、色合い制御信号を送信するだけで調整することができる。しかしながら、この例では、VTグレージングは、ユーザの接近によってのみ能動的に制御されず、これは、例えば、ユーザが単に車両の前を歩いて通過している場合には望ましくないかもしれない。
【0081】
次に、ユーザ702は、車両706のロックを解除し、車両に入る。この例では、車両706のロックを解除する行為は、ユーザ702が車両を使用/入ろうとすることを示すものとみなされ、そのため、呼び水となる「VTグレージング電源オン信号」714を制御システムに送信させ、VTグレージングを色合い制御信号に従って調節させることができる。このようにして、VTグレージングは、車両706に入るユーザに連動する色合い構成に従って操作される。さらに、VTグレージングは、この例では、ユーザ706が車両を始動する前にそのユーザのための色合い構成になっているので、VTグレージングは、ユーザが車両を始動したときに備えているが、ユーザが車両を使用するつもりであるという何らかの確認を(車両706のロック解除および入場を介して)行った後(例えば、ユーザがそのときに入るつもりもなく単に車両の前を歩いているのではなく)、準備ができている。
【0082】
いくつかの例では、「VTグレージング電源オン信号」714は、制御システムに送信され、車両が始動されること708(例えば、ユーザがエンジンを始動して車両の「電力」または「電力モード」状態を「準備完了」から「操作可能」に上げる)に依存して色合い制御信号に従ってVTグレイズを調整するようにしてもよい。この例では、ユーザ702が車両を始動した後に、VTグレージングがユーザのための色合い構成に移動されるので、VTグレージングは、ユーザが車両を運転する直前にのみ調整される。これは、例えば、ユーザが車両にいるが運転していない間(例えば、車両に買い物を積んでいる、または運転前に電話を取っている)VTグレージングシステムに電力を供給することと比較して、電力を節約することができる。
【0083】
いくつかの例では、車両のユーザ(複数可)は、好みに応じてVTグレージングシステムの動作を設定することができ、車両がユーザに合った特定の状態にあるときに、VTグレージングシステムが色合い構成に従って電力供給され制御されるようにすることができる。例えば、あるユーザは、ユーザが車両に乗り込む前に、VTグレージングが自分の好みの色合い構成を準備しておくことを好み、そのような場合、そのユーザによる車両のロック解除時に色合い制御信号がVTグレージングシステムに供給されることがある。別のユーザは、例えば、ユーザが通常運転前に電話をかけるため、ユーザが車両を発進させるまでVTグレージングシステムを調整しない(すなわち、そのユーザに合うように色合い構成を変更しない)ことを好むかもしれない。色合い制御信号がVTグレージングシステムに送信されるタイミングに関するユーザの好みは、いくつかの例では、ユーザのユーザプロファイルデータに格納され得る。
【0084】
ユーザが車両710を停止する(すなわち、エンジンへの電力を停止する、またはユーザがエンジンを停止して車両の「電力」または「電力モード」状態を「操作可能」から「準備完了」まで下げる、など)とき、「車両電源オフ信号」716が生成されて制御システムへ送信されてもよい。車両パワーオフ信号」716は、車両が停止していること710に依存して、VTグレージングを色合い制御信号に従って調整させることができる。この例のVTグレージングは、ユーザ702が車両を停止した後(しかし、ユーザが車両を明け渡す前)、ユーザのための色合い構成に留まるように制御されるので、ユーザがまだ車両を使用している間、VTグレージングはユーザの好みの設定に留まる。
【0085】
ユーザが車両712を離れてロックする(すなわち、車両を離れるためにドアを開ける、および/または離れた後に車両をロックする)とき、VTグレージングは、VTグレージングへの電力の供給を停止することをトリガーする「無効(vacate)」信号718を受け取ることができる。すなわち、制御システムは、ユーザがもはや車両712を占有していないことを示す無効信号718を受信するように構成され得る。
【0086】
いくつかの例では、制御システムは、空席信号718に依存して可変色合いグレージングを暗黒状態にするように配置された電源オフ信号720を生成し、電源オフ信号720を可変色合いグレージングに出力してもよい。暗黒状態は、所定のレベル(例えば、50%以上の遮光、又は80%以上の遮光)以上であるVTグレージングの着色(すなわち暗黒遮光)レベルとして定義され得る。暗黒状態は、車両セキュリティの向上のために車両が占有されていないときに望ましい場合がある(潜在的な泥棒が盗むべき貴重品を特定するために車両内部を見ることがより困難であるため)。
【0087】
いくつかの例では、VTグレージングは、電力が供給されないときに透明状態にデフォルトすることがある(透明状態は、所定のレベル以下(例えば、50%遮光以下、又は20%遮光以下)であるVTグレージングの着色(すなわち暗い遮光)レベルとして定義することができる)。制御システムは、空け信号718に依存して、可変色合いグレージングを透明状態にするように配置されたパワーオフ信号720を生成し、パワーオフ信号720を可変色合いグレージングに出力してもよい。VTグレージングに電力が供給されないときに透明状態になるように構成されている場合、これは、車両が使用されていないときに電力を節約するためのVTグレージングの望ましい動作モードとなり得る。いくつかの例では、VTグレージングは、他の例では、電力が供給されないとき、暗黒状態にデフォルトすることができる。
【0088】
いくつかの例では、VTグレージングは、例えば故障によるフェイルセーフモードとして、電力が供給されないとき、透明状態にデフォルトすることがある。すなわち、例えば、VTグレージングが、安全のためにはっきりと見通すことができることが重要な車両グレージング(例えば、フロントガラス)の一部を形成する場合、VTグレージングは、運転中に停電した場合に、ドライバーが車両を安全に制御するためにまだはっきりと見通せるように、電力が供給されない場合に透明/クリアの状態にデフォルトするように構成することができる。
【0089】
いくつかの例では、電源オフ信号720は、可変色合いグレージングに供給される電力がないときに、可変色合いグレージングを光または透明状態に変化させ、透明状態を維持させることができる。パワーオフ信号720は、透明状態において、可変色合いグレージングへの電力の供給を停止させてもよい。制御システムは、車両のトラクションモータへの電力の供給を停止することに依存して、パワーオフ信号720を受信してもよい。
【0090】
いくつかの例では、色合い構成は、1つまたは複数の環境要因に従って、送信され得るか、または送信されない。例えば、外が暗いと(例えば光検出センサによって)判断された場合、これによって、色合い構成が着色/暗色化を行うべきであると示していても、VTグレージングシステムが着色を行わずに透明なままであることがある。また、車両の運転中に環境が明るくなった場合(例えば、車両が暗い早朝から明るい朝方まで運転されている場合)、環境の明るさが所定レベルであることが検出されると、運転するユーザのための色合い構成に対応する着色制御信号に従ってVTグレージングシステムを制御することができる。すなわち、環境が明るくなるにつれて、運転者のユーザプロファイルデータの色合い構成が達成されるまで、VTグレージングの色合いレベルは暗くなる可能性がある。別の例として、雨センサまたは他の環境センサが車両上に存在してもよく、このセンサは、外の環境の環境光条件および雰囲気も検出することができ、検出された光条件は、VTグレージングの色合い構成を制御するために使用され、いくつかの例では、内部および/または外部照明機能などの1以上の他の車両機能を制御してもよい。
【0091】
図8は、車両の可変色合いグレージング110を制御するための分散システム800を示す。分散システム800は、制御システム106とVT色合いグレージング110のシステムと、制御システム106にアクセス信号を送信するように配置された少なくとも1つのアクセスデバイス802、804とを有する。この例では、少なくとも1つのアクセスデバイス802があり、いくつかの例では、2つ、またはそれ以上のアクセスデバイス804がある可能性がある。アクセスデバイス802、804は、例えば、スマートフォンやスマートウォッチなどのモバイル通信デバイス、またはキーフォブ、車両キー、リストバンドなどの車両ロック解除デバイスであってもよい。
【0092】
アクセス装置802、804は、本実施例で例示するように、ユーザが車両にアクセスする可能性の表示を提供するように配置された第1のアクセス装置802と、ユーザ識別データを提供するように配置されたさらなるアクセス装置804とから構成され得る。少なくとも1つのアクセスデバイスは、モバイル通信デバイス(例えば、スマートフォン)と車両ロック解除デバイスの両方を含む複数のアクセスデバイス802、804であってよい。例えば、ユーザは、第1のアクセス装置802としてキーフォブを用いて車両を解錠してもよく、第2のアクセス装置804としてスマートフォンを用いて本人確認を行うことができる。
【0093】
ユーザ識別データは、いくつかの例では、アクセス装置802、804に予め登録されることがある。例えば、キーフォブ、リストバンド、またはスマートフォン(すなわち、ユーザのアクセスデバイス)は、特定のユーザに予め登録されていてもよい。アクセスデバイス802、804が検出されると、例えば、車両の所定の距離内で検出されると、そのユーザが車両にアクセスすることを事前に回避するために、結果として対応するユーザプロファイルデータが取得され、そのため、VTグレージングは、そのユーザに対する色合い構成を提供するように制御されてもよい。
【0094】
いくつかの例では、アクセス装置802、804は、ユーザによるアクセス装置802、804の使用に依存してユーザ識別データをキャプチャし、キャプチャしたユーザ識別データを制御システムに送信するように配置されてもよい。例えば、車両のキーまたはキーフォブは、指紋スキャナを構成することができる。ユーザがキー/キーフォブを押して指先または指パッドで車両のロックを解除すると(またはユーザは単に指を使ってキーを保持してもよい)、ユーザの指紋がスキャン/キャプチャされ、ユーザのアイデンティティ、したがってユーザプロファイルデータを検索する指紋ストレージに送信される場合がある。他のバイオメトリック識別方法もまた、同様に採用され得る。
【0095】
いくつかの例では、アクセス装置802、804は、車両の所定の近接範囲内でユーザの顔の画像をキャプチャし、アクセス信号内のユーザの顔のキャプチャ画像を制御システム106に提供するように配置された画像キャプチャ装置から構成されてもよい。例えばアクセス装置802、804は、車両に接近する人の画像をキャプチャするために、車両に配置され、車両から外側に向けられたカメラであってもよい。制御システム106は、その後、ユーザの顔の受信画像の顔認識を実行してユーザを識別し、そして顔認識に依存してユーザプロファイルデータを取得するように構成され得る。顔認識は、いくつかの例では、リモートサーバまたはクラウドで実行されてもよく、ユーザの顔画像がそのリモートサーバまたはクラウドに送信され、それが顔認識を実行してユーザを識別し、次にユーザ識別子がいくつかの例では制御システム106に送信されてユーザプロファイルデータを取得してもよく、またはユーザ識別子がそのまたは別のリモートサーバ、またはクラウドで使用されてそこからユーザプロファイルデータを取得してユーザプロファイルデータを制御システムに送信(または少なくともユーザプロファイルデータから色合い構成を送信)してもよい。
【0096】
図9は、ユーザ702が車両1600に接近する様子である。いくつかの例では、制御システムは、アクセスデバイス(ユーザと共に位置する)が車両1600から所定の距離d以内に位置することに依存して、アクセス信号を受信するように構成され得る。所定の距離d内のユーザ702の位置は、VTグレージングがユーザの好みに応じて操作され得るように、ユーザ702が車両1600を使用することを意図していることを示すものとして受け取られてもよい。いくつかの例では、制御システムは、アクセス装置が車両902に向かって移動していると判断されることに依存して、アクセス信号を受信するように構成され得る。このようにして、ユーザが車両の前を歩いている場合、VTグレージングを制御するための行動は必ずしも取られないが、ユーザが車両に向かって移動している場合、これは、ユーザ702が単に車両1600の前を歩いているのではなく、車両1600を使用しようとする意思表示と見なされ得る。制御システムは、いくつかの例において、車両をロック解除するためのロック解除信号の受信に依存してアクセス信号を受信するように構成され得る。このようにして、ユーザは、車両を使用する意図を示す信号すなわち車両がロック解除されていることを示す信号を提供する。いくつかの実施例における制御システムは、アクセス装置802、804から送信される手動信号でアクセス信号を受信するように構成され得、手動信号は、ユーザが可変色合いグレージングの色合いレベルを調整することを望むことを示すものとして、ユーザによって意図的に送信される。これにより、ユーザは、車両のVTグレージングの手動制御を行うことができる。例えば、非常に暑い日であり、ユーザは、車内温度が暑くなりすぎるのを防ぐために、後の時間(例えば、1~2時間後)に車両を占有する前に、VTグレージングの色合いを暗くすることを望むかもしれない。
【0097】
図10は、車両のVTグレージングを制御する方法1000を示す。方法1000は、ユーザ識別データ1002を含むアクセス信号を受信することを含んでいる。この信号は、ユーザが車両にアクセスする可能性を示すものである。アクセス信号に依存して、本方法は、ユーザ識別データに関連するユーザプロファイルデータ1004を検索することを含んでいる。ユーザプロファイルデータは、車両グレージングの少なくとも一部の色合い構成を示すものである。本方法は、それに依存して可変色合いグレージングを制御するために、色合い構成を示す色合い制御信号1006を出力することから成る。いくつかの例では、方法1000は、色合い制御信号に依存して、可変色合いグレージングの色合いレベルをユーザが選択した色合いレベルに調整することからなる。
【0098】
方法1000は、アクセス装置が車両から所定の距離内に位置していると判定し、判定1010に基づいてアクセス装置からアクセス信号を受信することと、アクセス装置が車両から所定の距離内に位置し、車両に向かって移動していると判定し、判定1012に基づいてアクセス装置からアクセス信号を受信することと、車両をロック解除するロック解除信号を受信し、ロック解除信号1014の受信に依存してアクセス信号を受信することと、ユーザによって意図的に送信されたマニュアル信号を、ユーザが可変色合いグレージングの色合いレベルを設定したいことを示すものとして受け取ること1016の1つまたは複数を備えることができる。これについては、
図8および
図9に関連してより詳しく説明する。
【0099】
方法1000は、いくつかの例において、設定される車両のパワーレベルに依存してパワーオン信号を受信することであって、パワーレベルは、車両が移動可能状態にあることを示す、受信することと、パワーオン信号の受信時に色合い制御信号を出力することとを含み得る。これについては、
図6及び
図7に関連してより詳しく説明する。
【0100】
いくつかの例では、VTグレージング色合いレベルを制御することになる色合い制御信号(又は、例えば、色合い制御信号に関連するスイッチング信号)の提供は、連続的な提供であってよい。すなわち、VTグレージング色合いレベルは、色合い制御信号(又は関連するスイッチング信号)の提供中に設定及び維持され、色合い制御信号(又は関連するスイッチング信号)の提供が停止すると、VTグレージング色合いレベルはデフォルト色合い状態(例えば透明、又は例えば暗い)に復帰することがある。この例は、特定の色合いレベルを維持するための恒久的な信号提供の要件であると考えることができる。いくつかの例では、VTグレージング色合いレベルを制御することになる色合い制御信号(または、例えば、色合い制御信号に関連するスイッチング信号)の提供は、瞬間的な提供であってもよい。すなわち、VTグレージング色合いレベルは、瞬間的(すなわち、時間限定、短命、または瞬間的)な色合い制御信号(または関連する切り替え信号)の提供によって設定され、色合い制御信号(または関連する切り替え信号)の提供後、VTグレージング色合いレベルを異なる色合い構成に変更するための別の制御信号が受信されるまで維持されても良い。これは、別の制御信号が受信されるまで維持される特定の色合いレベルを設定するための瞬間的な信号提供の要件であると考えられ得る。
【0101】
本開示は、VTグレージングのパーソナライズ及び制御に焦点を当てているが、車両の他のパーソナライズ可能な要素、例えば、ステアリングコラム位置、シート位置、ラジオ局、周囲照明、又は車両の他の調整可能な要素を同様に制御し、車両構成要素のパーソナライズの自動化を介して拡張したユーザ経験を提供してもよい。
【0102】
いくつかの例では、VTグレージングは、例えばDC-ACコンバータを介して、AC電流によって電力供給されることがある。VTグレージングに電力を供給する交流電流のために、AM帯の無線干渉が発生する可能性がある。場合によっては、1つまたは複数のAM周波数帯が、チューニングされると、車両のVTグレージングの使用と組み合わされて、望ましくない可聴干渉を引き起こすことがある。本明細書に開示される実施例は、本明細書に開示されるようなVTグレージングの動作によるラジオからのオーディオ出力における可聴干渉の問題に対処し得る。
【0103】
図11は、車両のVTグレージングのための制御システム1100を示す。制御システム1100は、1つ以上のコントローラを備え、制御システム1100は、車両の無線受信機の無線受信周波数(RRF)を示す周波数帯(FB)信号1102を受信するよう構成される。制御システム1100は、無線受信周波数を可変色合いグレージングシステムの動作周波数1104と比較するように構成されている。制御システム1100は、比較に依存して動作周波数1104の周波数シフトを決定し、決定された周波数シフトを示す周波数シフト信号1108を出力して可変色合いグレージングシステム1110の動作周波数を制御するように構成される。
【0104】
VTグレージングは、VTグレージングに電力を供給するためにDC供給電力をAC電流に変換するように構成されたDC-ACコンバータからのAC電流、例えばAC120Vによって電力供給され得る。
図11に示す制御システム1106は、電気干渉から生じる可聴ノイズを緩和するために、例えば、ノイズを無線受信機の同調無線周波数(例えばAM周波数)の外に移動させるために、DC-ACコンバータの基本周波数を迅速かつ適応的/知的にシフトしてもよい。
【0105】
本明細書に記載の制御システムは、ソフトウェアベースの方法で、受信した無線信号から生成されるオーディオにおけるノイズ干渉を低減することを可能にし得る。すなわち、可聴ノイズを低減するための周波数シフトを実行するために、追加または特別なハードウェアは必要なく、それによって、車両電子ハードウェアの再設計は必要ない。さらに、自動車規格に適合しないハードウェア部品は必要なく、その結果、実用的に実装するためには複雑で高価なシステムが必要となるであろう。
【0106】
図11は、VTグレージングシステムの動作周波数の変化を示す周波数シフト信号1108が制御システム1106からVTグレージングシステム1110に提供され、VTグレージングシステム1110も可変色合いグレージングシステム1110の動作周波数1104を受信するので、周波数シフト1108によって可変色合いグレージングシステム1110の動作周波数1104をシフトするステップはVTグレージングシステム1110(例えばVTグレージングシステム1110のパワーサプライ)で行われる。いくつかの例では、制御システムは、周波数シフト1108をVTグレージングシステムの動作周波数1104に適用し、VTグレージングシステムがそのシフトされた動作周波数で動作できるように、シフトされた動作周波数の指示をVTグレージングシステムに提供し得る。いくつかの例では、VTグレージングシステムへのシフトされた動作周波数は、制御モジュール1106およびVTグレージングシステム1110とは別のさらなるモジュールで決定され、VTグレージングシステム1110に供給され得る。
制御システム1100の1つ以上のコントローラは、周波数帯信号1102を受信するための電気入力212を有する少なくとも1つの電子プロセッサ209と、少なくとも1つの電子プロセッサ209に結合され、そこに格納された命令を有する少なくとも1つのメモリデバイス211とを集合的に含んでよく、少なくとも1つの電子プロセッサ209は、無線受信周波数を動作周波数1104と比較し、比較に応じて動作周波数に対する周波数シフトを判定し、周波数シフト信号1108を出力するように少なくとも1つのメモリデバイス211へアクセスしてそこに格納された命令を実行するように配置されている。このようなシステムは、
図2に示されている。
【0107】
周波数帯域信号は、いくつかの例において、無線受信のAM周波数帯域を示すことができる。AM周波数帯域は、約525kHzと1705kHzの間(例えば、この範囲の両端で±20kHz)であると考えることができる。周波数帯域信号は、いくつかの例において、ラジオ受信のFM周波数帯域を示すことができる。FM周波数帯は、例えば、30MHzから300MHzの間、例えば、87.5MHzから108MHz(VHF帯IIとしても知られている)、88MHzから108MHz(ITU領域2としても知られている)、76MHzから95MHz(日本におけるFM放送に使用されている)、又は65.8MHzから74.0MHz(OIRT帯)と考えることができる。無線受信機の無線受信周波数(RRF)は、少なくとも1つの周波数帯域から構成され得る。例えば、周波数帯は、985~995kHzのAMまたは1012~1014kHzのAMであり得る。他の無線受信周波数は、周波数帯信号によって示されてもよい。無線受信周波数1102は、ユーザが選択したデフォルトの無線受信周波数(例えば、そのユーザのユーザプロファイルデータに示され得る、そのユーザのお気に入りの無線放送局に対応する周波数)および/または最後に使用した無線受信周波数(例えば、無線受信機が最後にチューニングされた周波数)からなってもよい。
【0108】
周波数シフト1108は、動作周波数1104に適用される場合、動作周波数1104を無線受信周波数1102の外側になるようにシフトすることができる。例えば、VTグレージング1104の動作周波数が1000kHzであり、無線受信周波数1102が999kHz~1003kHzのAMの帯域である場合、周波数シフト1108は、VTグレージング1104の動作周波数を998kHzにするために-2kHzであってもよく、または、周波数シフト1108は、無線受信周波数1102の外にあるためにVTグレージング1104の動作周波数を1005kHzにするために+5kHzであってもよい。他の例では、干渉をさらに低減するために、例えば、VTグレージングシステムのシフトされた動作周波数とAM RRFとの間に1kHzより大きい(または小さい)差を発生させてもよい。
【0109】
オーディオ出力(例えば、ラジオ局によって放送される音楽又はスピーチ)は、車両のラジオ受信機のラジオ受信周波数で受信されたラジオ信号に依存して、車両のオーディオ出力システム(例えば、スピーカ)によって提供され得る。周波数シフトは、動作周波数1104に適用されるとき、動作周波数をシフトして、閾値音声ノイズレベル未満の音声出力におけるノイズレベルを提供することができる。
【0110】
可変色合いグレージングシステム1100は、
図3及び
図4に示されるように、複数のセクションにおける可変色合いグレージングを含んでいてもよい。制御システム1106は、可変色合いグレージングの複数のセクションに電力を供給することを選択的に制御するように構成されてもよい。例えば、制御システム1106は、可変色合いグレージングの複数のセクションのうちの第1のセクションに第1の動作周波数OF1 1104で電力供給し、可変色合いグレージングの複数のセクションのうちのさらなるセクションにさらなる動作周波数OF2 1104で電力供給するように選択的に制御するように構成され得る。これは、例えば、VTグレージングの異なるセクションが異なる色合いレベル(例えば、1つはより暗く、1つはより明るい)を有するようにするためであり得る。制御システム1106は、無線受信周波数1102を第1およびさらなる動作周波数OF1およびOF2 1104と比較し、比較に依存して第1の動作周波数OF1 1104のための第1の周波数シフトを決定し、比較に依存してさらなる動作周波数OF2 1104のためのさらなる周波数シフトを決定するように構成されていてもよい。制御システム1106は、その後、可変色合いグレージングシステム1110の第1のセクションの動作周波数OF1 1104を制御するための第1の決定された周波数シフトを示す第1の周波数シフト信号FS1 1108を出力し、可変色合いグレージングシステム1110のさらなるセクションの動作周波数OF2 1104を制御するためのさらなる決定された周波数シフトを示すさらなる周波数シフト信号FS2 1108を出力するように構成され得る。例えば、それぞれの動作周波数と無線受信機のRRFとの間の干渉を低減するために、+5MHzの周波数シフトが第1のセクションの動作周波数OF1 1104に適用されてもよく、一方、-5MHzの周波数シフトが第1のセクションの動作周波数OF2 1104に適用されてもよい。
【0111】
制御システム1106は、車両の無線受信機の無線受信周波数を示す周波数帯信号1102を受信するように配置された入力手段と、無線受信周波数を可変色合いグレージングシステムの動作周波数と比較し、比較に依存して動作周波数1104の周波数シフト1108を決定するように配置された処理手段1120と、可変色合いグレージングシステムの動作周波数1110を制御するために決定した周波数シフトを示す周波数シフト信号1108を出力するように配置された出力手段を有することができる。
【0112】
図12は、制御システム1106へのアクセス信号1202の提供を示す。この例では、制御システム1106は、ユーザ識別データ1204の受信に依存して周波数帯信号1102を受信するように構成され、ユーザ識別データ1204は、車両にアクセスする特定のユーザを示す。これについては、
図8との関連で上述した。ユーザは、例えば、車両に接近する際に、制御システム1106にアクセス信号1202の送信を引き起こし、車両を使用する可能性があることを示すことができる。すなわち、制御システム1106は、ユーザが車両にアクセスする可能性を示すアクセス信号1202を受信し、アクセス信号1202の受信に依存してユーザプロファイルデータを取得するように構成され得る。
【0113】
アクセス信号の受信により、周波数帯信号1102を構成するユーザIDデータ1204が制御システム1106に送信される。制御システム1106は、ユーザIDデータに関連付けられたユーザプロファイルデータを検索するように構成されてもよく、受信した周波数帯域信号は、検索されたユーザプロファイルデータに関連付けられ、またはその一部であってもよい。制御システムは、例えば、車両に配置されたメモリストレージから、リモートサーバから、またはクラウドから、ユーザプロファイルデータを取得するように構成されてもよい。次いで、制御システム1106は、周波数帯信号1102によって示される無線受信周波数を可変色合いグレージングシステムの動作周波数1104と比較し、比較に依存して動作周波数1104の周波数シフトを決定し得る。
【0114】
このようにして、VTグレージングシステムは、ユーザプロファイルに従って(例えば、ユーザが車両に乗車する前に、そのユーザの好み又は車両の乗車の準備ができた設定に従って色合いが設定されるように)VTグレージングの色合いを設定することと、同じくユーザ設定に従ってラジオ局(例えば、ユーザの事前選択ラジオ局又はそのユーザが最後に使用したラジオ局)に調整されている車両のラジオからのオーディオ出力における妨害を低減するように選択される動作周波数(おそらく周波数シフト)を使用して、制御されることがある。したがって、制御システムは、車両のVTグレージングと、車両を占有するユーザが準備した特定のユーザのためのラジオ音声出力とを、VTグレージングの動作によるラジオ音声出力の音声干渉を低減する方法で先取りして適合するように構成される。これにより、車両を使用するユーザエクスペリエンスを向上させることができる。
【0115】
図13は、車両のVTグレージングシステム1300を示す。VTグレージングシステム1300は、本明細書に記載の制御システム1106と、車両のVTグレージング1304(例えば、ガラスパネル)と、可変色合いグレージング1304に電力を供給するように配置されたVTグレージング電力モジュール1302とからなる。本実施例のVTグレージングパワーモジュール1302は、制御システム1106から出力された周波数シフト信号1108を受け取り、周波数シフト信号1108に依存して可変色合いグレージングパワーモジュール1302の動作周波数1308を調整するように配置される。VTグレージングパワーモジュール1302は、VTグレージング1304に電力を供給してもよく、(調整された)動作周波数1308でVTグレージング1304にAC電力を供給するように配置されたDC-ACコンバータを含んで構成されてもよい。
【0116】
本明細書に開示される任意の例のVTグレージングは、エレクトロクロミックグレージング、浮遊粒子グレージング、マイクロブラインドグレージング、ポリマー分散液晶グレージング、サーモクロミックグレージング、及びフォトクロミックグレージングのうちの1以上を含んでよい。
【0117】
エレクトロクロミックグレージングは、スマートガラスやダイナミックガラスと呼ばれることもあり、パワードガラスパネルからなり、ガラスの色合いが電気的に制御される。例えば、エレクトロクロミックグレージングに印加される電圧を上げると色合いが濃くなり、エレクトロクロミックグレージングに印加される電圧を下げると色合いが薄くなる/無くなることがある。
【0118】
浮遊粒子グレージングは、ナノロッドなどの浮遊粒子の層を持つグレージングパネルから構成される場合がある。電圧の印加によりグレージングの色合いを制御することができる。電圧を印加しない場合、浮遊粒子はランダムに組織化され、光を遮断し吸収することができる。電圧をかけると、浮遊粒子は整列して光を通すようになり、電圧の違いでグレージングの色合いが変化する(例えば、電圧が高いと色合いが濃くなる)。
【0119】
マイクロブラインドグレージングは、印加された電圧を利用して、グレージングを通過する光の量を制御することができる。マイクロブラインドは、例えば、少なくとも部分的に導電性のガラス上またはガラス内の非常に小さな金属ブラインド/ルーヴルから構成されることがある。電圧が印加されない場合、マイクロブラインドは巻き上げられ、光がグレージングを通過することができるが、電圧を印加すると、電界が形成され、巻き上げられたマイクロブラインドが伸びるため、光が遮られることがある。電圧を変化させることで、マイクロブラインドが伸びる度合い、ひいてはグレージングの色合いをコントロールすることができる。
【0120】
ポリマー分散型液晶グレージングは、ポリマーと液晶の混合物であり、ガラスやプラスチックの間に挟まれていると考えることができる。グレージングに電圧をかけると、液晶の液滴が整列して光を通すようになるが、電圧をかけない場合は液滴がランダムに整列し、半透明の色合いになり、光を分散させることができる。電圧を変化させることで、半透明度(色合い)をコントロールすることが可能である。
【0121】
フォトクロミックグレージングとは、グレージング、またはグレージングに貼られた自己粘着性フィルム(それ自体が電源付きVTグレージングを構成する場合もある)を指し、フォトクロミックグレージング自体は電力を必要としない場合がある。従って、フォトクロミックグレージングは "パッシブ "グレージングであり、電力を供給される "アクティブ "グレージングと組み合わせて使用することができるものと考えられる。フォトクロミックグレージングは、太陽光線を受けると色合いが変化し、照射されると濃くなり、照射されなくなると高い透明度に戻る。
【0122】
サーモクロミックグレージングは、フォトクロミックグレージングと同様に、電力供給される「アクティブ」グレージングと組み合わせて使用される「パッシブ」グレージング要素であると考えることができる。サーモクロミックグレージングは、日射による熱にさらされると色合いが変化し、加熱時には濃くなり、冷却時には高い透明度に戻る。
【0123】
図14は、フェライト1402、1404(フェライトは、ケーブル又はワイヤの周りに適合し、ケーブル/ワイヤがアンテナとして機能するのを防止することによって、ケーブル/ワイヤによって生じる電磁(EM)干渉のレベルを低減する働きをするデバイスであると考えられる)を含む車両のVTグレージングシステム1300を示す。他の例では、図示されたフェライト1402、1404のうちの1つだけが存在してもよいし、図示された位置に2つ以上のフェライトが存在してもよい。
【0124】
可変色合いグレージングシステムは、可変色合いグレージングパワーモジュール1302と可変色合いグレージング1304との間に接続された高電圧、HV、ワイヤ1406と、HVワイヤ上に位置するフェライト1402とを含んでよい。可変色合いグレージングシステムは、可変色合いグレージングパワーモジュール1404と車両の電源(例えば、電源は、ボディドメインモジュール、ボディコントロールモジュール、ボディパワーモジュールであってもよい)との間に接続された低電圧、LV、ワイヤ1408、およびLVワイヤ1408上に位置するフェライト1404からなり得る。LV線1408は、ワイヤハーネスであってもよい。いくつかの例では、ケーブル/システム内のEM干渉のレベルを低減するために、金属シールドが配置されている場合がある。いくつかの例では、LVワイヤ/ハーネスは、ケーブル/システムにおけるEM干渉のレベルを低減するために三重に撚られている場合がある。
【0125】
EM干渉を低減するように作用する開示されたシステムは、変圧器を必要としないので、結果として生じるシステムは、いくつかの例では約100gの重さになるように、比較的小型かつ軽量に製造することができる。このような小型軽量のシステムは、例えば、車両シャーシ上の適切な接地点を用いて白色でボディに直接固定することによって、車両内の多くの異なる場所にパッケージ化することができる。開示されたシステムはまた、電力効率的であると考えることができる。いくつかの実施例は、約100Vの出力電圧を生成するが、比較的低い、例えば、スマートフォンを充電するのに必要なのと同じレベルの要求電力レベルを生成することができる。
【0126】
図15は、車両の可変色合いグレージングを制御する方法1500を示す。方法1500は、車両の無線受信機の無線受信周波数を示す周波数帯信号1502を受信することと、無線受信周波数を可変色合いグレージングシステムの動作周波数1504と比較することと、比較に依存して動作周波数1506の周波数シフトを決定することと、可変色合いグレージングシステムの動作周波数を制御するために決定した周波数シフトを示す周波数シフト信号1508を出力することを含む。
【0127】
方法1500は、いくつかの例において、車両のオーディオ出力システムによって提供されるオーディオ出力(車両の無線受信機の無線受信周波数で受信された無線信号に依存して提供されるオーディオ出力)中に、周波数シフトを動作周波数に適用して動作周波数を無線受信周波数外になるようにシフトすることを含んでいてもよい。
【0128】
方法1500は、いくつかの例において、可変色合いグレージングシステムの動作周波数および無線受信周波数に依存して、周波数シフトを計算することによって、周波数シフトを決定することを含んでいてもよい。方法1500は、いくつかの例において、ルックアップテーブルから周波数シフトを検索することによって周波数シフトを決定することを含んでよく、ここで、周波数シフトは、無線受信周波数に対応するように予め決定されている。
【0129】
図16は、
図1~
図15の実施例に関連して説明した車両のような車両1600を示す。車両1600は、車輪付き車両である。車両1600は、上述した任意の制御システム、VTグレージングシステム又はVTグレージングを構成することができる。いくつかの実施態様では、車両1600は、
図10または
図15に例示されるような、本明細書に記載の実施例による方法を実行するように配置されてもよい。
【0130】
別の態様として、プロセッサによって実行されると、プロセッサに本明細書に開示される任意の方法を実行させるように配置される、コンピュータソフトウェアが提供される。コンピュータソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてもよい。コンピュータソフトウェアは、
図2に示すようなメモリ211などの非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてもよい。コンピュータソフトウェアは、命令またはコンピュータ読み取り可能な命令と呼ばれることがある。
【0131】
また、本発明の実施態様は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせの態様で実現できることが理解されよう。そのようなソフトウェアはいずれも、消去可能または書き換え可能か否かを問わず、例えばROMのような記憶装置などの揮発性または不揮発性の記憶装置の態様で、または例えばRAM、メモリチップ、デバイスまたは集積回路などのメモリの態様で、または例えばCD、DVD、磁気ディスクまたは磁気テープなどの光学的または磁気的に読み取り可能な媒体に格納することができる。記憶装置および記憶媒体は、実行されると本発明の実施態様を実施するプログラムまたはプログラムを記憶するのに適した機械可読ストレージの実施態様であることが理解されるであろう。したがって、実施態様は、請求項記載のシステムまたは方法を実施するためのコードを含むコンピュータプログラム、およびそのようなプログラムを記憶する機械可読ストレージ(例えば、非一過性のコンピュータ可読媒体)を提供する。さらに、本発明の実施態様は、有線または無線接続で運ばれる通信信号などの任意の媒体を介して電子的に伝達され得、実施態様は好適にこれを包含する。
【0132】
本明細書(添付の請求項、要約および図面を含む)に開示されたすべての特徴、および/またはそのように開示された任意の方法またはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0133】
本明細書(添付の請求項、要約および図面を含む)に開示された各特徴は、明示的に別段の記載がない限り、同一、同等または類似の目的を果たす代替的な特徴で置き換えることができる。したがって、明示的に別段の記載がない限り、開示された各特徴は、同等または類似の特徴の一般的なシリーズの一例のみである。
【0134】
本発明は、任意の前述の実施態様の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(添付の請求項、要約および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なもの、または任意の新規な組み合わせ、あるいはそのように開示された任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規なもの、または任意の新規な組み合わせに及ぶ。特許請求の範囲は、単に前述の実施態様をカバーするように解釈されるべきではなく、特許請求の範囲の範囲に入る任意の実施態様もカバーするように解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の可変色合いグレージングの制御システムであって、
前記制御システムは、1つ以上のコントローラを含み、
前記制御システムは、
ユーザ識別データを含むアクセス信号を受信することであって、前記信号は、ユーザが前記車両にアクセスする可能性を示すものである、ことと;
前記ユーザ識別データに関連するユーザプロファイルデータを取得することであって、前記ユーザプロファイルデータは、前記車両のグレージングの少なくとも一部の色合い構成を示すものである、ことと;
前記可変色合いグレージングの少なくとも一部を制御して、前記色合い構成を採用するための色合い制御信号を出力する、ことと;を行うように構成される、制御システム。
【請求項2】
前記可変色合いグレージングは複数のセクションを含み、
前記ユーザプロファイルデータは、前記可変色合いグレージングの第1のセクションに対する第1の色合い構成及び前記可変色合いグレージングの第2のセクションに対する第2の色合い構成を示す、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記車両の無線受信機の無線受信周波数が記憶され、
色合い構成が、記憶された前記無線受信周波数と異なる可変色合いグレージングの動作周波数を含み、
選択的に、前記制御システムは、
前記無線受信周波数と前記可変色合いグレージングの動作周波数を比較し、
前記比較に依存して前記動作周波数の周波数シフトを決定し、
前記可変色合いグレージングの前記動作周波数を制御するために、決定された前記周波数シフトを示す周波数シフトシグナルを出力する、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御システムは、
設定される前記車両のパワーレベルであって前記車両が移動準備状態にあることを示すパワーレベルに依存してパワーオン信号を受信し、
前記パワーオン信号の受信に依存して、前記色合い制御信号を出力する、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項5】
ユーザがもはや車両を占有しないことを示す退去信号を受信し、
前記退去信号に依存して、前記可変色合いグレージングを暗状態にするように構成されたパワーオフ信号を生成し、
前記パワーオフ信号を前記可変色合いグレージングに出力する、ように構成された請求項
1に記載の制御システム。
【請求項6】
ユーザ識別データを含む前記アクセス信号を受信するように構成された入力手段であって、前記アクセス信号はユーザが前記車両にアクセスする可能性を示す、入力手段と、
前記アクセス信号に依存して、前記ユーザ識別データに関連する前記ユーザプロファイルデータを取得するように構成された処理手段であって、前記ユーザプロファイルデータは前記車両グレージングの少なくとも一部の色合い構成を示す、処理手段と、
前記ユーザプロファイルデータに依存して、前記可変色合いグレージングを制御するための前記色合い構成を示す前記色合い制御信号を出力するように構成された出力手段を含む、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項7】
車両の可変色合いグレージングのためのシステムであって、前記システムは、
請求項1-6のいずれかに記載の制御システムと、
前記車両の前記可変色合いグレージングを含み、
前記車両の前記可変色合いグレージングは、前記制御システムから出力された前記色合い制御信号を受信し、前記色合い制御信号に依存して前記可変色合いグレージングの色合いレベルを調整するように構成された、システム。
【請求項8】
前記可変色合いグレージングは、複数の可変色合いグレージングセクションを有し、
前記色合い制御信号は、前記複数の可変色合いグレージングセクションに対応する複数の色合い制御信号セクションを有し、
前記複数の色合い制御信号セクションの第1のセクションは、第1セクション色合い制御信号を受け取り、前記第1セクション色合い制御信号に依存して第1調整色合いレベル提供するように構成され、
前記複数の色合い制御信号セクションの別のセクションは、別のセクション色合い制御信号を受け取り、前記別のセクション色合い制御信号に依存して別の調整色合いレベル提供するように構成された、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
車両の可変色合いグレージングを制御するための分散システムであって、
前記分散システムは、
請求項7または請求項8に記載のシステムと、
前記アクセス信号を前記制御システムに送信するように構成された少なくとも1つのアクセスデバイスを有する、分散システム。
【請求項10】
前記制御システムは、前記アクセスデバイスが前記車両から所定の距離内に位置していることに依存して、前記アクセス信号を受信するように構成され、
任意に、前記制御システムは、前記アクセスデバイスが前記車両に向かって移動していると判定されることに依存して、前記アクセス信号を受信するように構成される、請求項9に記載の分散システム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記車両をアンロックするためのアンロック信号の受信に依存して、前記アクセス信号を受信するように構成されている、請求項
9に記載の分散システム。
【請求項12】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の制御システム、または請求項7から請求項11のいずれかに記載のシステムを含む、車両。
【請求項13】
車両の可変色合いグレージングを制御する方法であって、
ユーザ識別データを含むアクセス信号を受信する工程であって、前記アクセス信号は、ユーザが前記車両にアクセスする可能性を示している、工程と、
前記ユーザ識別データに関連するユーザプロファイルデータを取得する工程であって、前記ユーザプロファイルデータは、前記可変色合いグレージングの少なくとも一部の色合い構成を示す、工程と、
前記可変色合いグレージングに依存して前記可変色合いグレージングを制御するための前記色合い構成を示す色合い制御信号を出力する工程を有する、方法。
【請求項14】
アクセス装置が車両から所定の距離内に位置していると判定し、その判定に基づいて前記アクセス装置から前記アクセス信号を受信する工程と、
前記アクセス装置が車両から所定の距離内に位置し且つ車両に向かって移動していると判定し、その判定に基づいて前記アクセス装置から前記アクセス信号を受信する工程と、
車両のアンロックするアンロック信号を受信し、前記アンロック信号の受信に依存して前記アクセス信号を受信する工程と、
ユーザによって意図的に送信されたマニュアル信号を、ユーザが前記可変色合いグレージングの前記色合いレベルを設定したいことを指示として受信する工程、を含む請求項13の方法。
【請求項15】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項13又は請求項14の方法を実行させるように配置されたコンピュータソフトウェアであって、任意に、前記コンピュータソフトウェアはコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されている、可コンピュータソフトウェア。
【国際調査報告】