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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】虫歯予防口腔ケア組成物のアレイ
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20230927BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 8/21 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 33/16 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20230927BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230927BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20230927BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230927BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q11/00
A61K8/35
A61K8/27
A61K8/21
A61K8/24
A61K33/16
A61K33/30
A61K33/24
A61K9/06
A61P1/02
A61K31/122
A61K8/9789
A61K36/185
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518049
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 US2021052112
(87)【国際公開番号】W WO2022067140
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/084,016
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】アリフ、アリ、ベーグ
(72)【発明者】
【氏名】タミー、ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】アーロン、リード、ビースブロック
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル、ジェームズ、セント、ジョン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA07
4C076AA12
4C076BB22
4C076CC31
4C076DD05
4C076DD21
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD29
4C076DD30
4C076DD38
4C076DD43
4C076DD61T
4C076EE08
4C076EE30
4C076EE32
4C076FF17
4C076FF52
4C076FF61
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB242
4C083AB282
4C083AB291
4C083AB321
4C083AB322
4C083AB471
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC242
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC442
4C083AC581
4C083AC782
4C083AC842
4C083AC862
4C083AD092
4C083AD212
4C083AD272
4C083AD352
4C083AD532
4C083BB55
4C083CC41
4C083DD22
4C083DD23
4C083EE32
4C086AA01
4C086HA03
4C086HA06
4C086HA09
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA28
4C086NA20
4C086ZA67
4C088AB12
4C088AC03
4C088BA08
4C088MA17
4C088MA28
4C088NA20
4C088ZA67
4C206AA01
4C206CB25
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA48
4C206NA20
4C206ZA67
(57)【要約】
フッ化物を含まない、少なくとも1つの虫歯予防口腔ケア組成物を含む、虫歯予防口腔ケア組成物のアレイ。第1の治療量以下の抗う蝕薬と、第2の治療量以下の薬物とを含む第1の虫歯予防口腔ケア組成物を含む、虫歯予防口腔ケア組成物のアレイであって、第1の虫歯予防口腔ケア組成物が治療レベルの抗う蝕効果を提供し、かつフッ化物を含まないアレイ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(i)第1の治療量以下の抗う蝕剤、
(ii)第2の治療量以下の抗う蝕剤
を含む、第1の虫歯予防口腔ケア組成物と、
(b)治療量の抗う蝕剤を含む第2の虫歯予防口腔ケア組成物と、
を含む、虫歯予防口腔ケア組成物のアレイ。
【請求項2】
前記第1の虫歯予防口腔ケア組成物がフッ化物を含まず、好ましくは、前記第1の治療量以下の抗う蝕剤がホップベータ酸を含み、前記第2の治療量以下の抗う蝕剤が塩化第一スズを含む、請求項1に記載のアレイ。
【請求項3】
前記第1の治療量以下の抗う蝕剤がホップを含み、好ましくは、前記ホップが、ホップアルファ酸、ホップベータ酸、若しくはこれらの組み合わせを含むか、又はより好ましくは、前記ホップが、前記ホップの1重量%未満のホップアルファ酸を含む、請求項1又は2に記載のアレイ。
【請求項4】
前記第2の治療量以下の剤が、カルシウム、スズ、亜鉛、又はこれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記スズが、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のアレイ。
【請求項5】
前記カルシウムが、カルシウム研磨剤、カルシウム塩、又はこれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記カルシウムが、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載のアレイ。
【請求項6】
前記亜鉛が、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、又はこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載のアレイ。
【請求項7】
前記第2の治療量以下の抗う蝕剤がフッ化物を含み、好ましくは、前記フッ化物が、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化アミン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のアレイ。
【請求項8】
(a)
(i)フッ化物を含む第1の治療量の抗う蝕剤、及び
(ii)第1の治療量以下の抗う蝕剤
を含む、第1の虫歯予防口腔ケア組成物であって、前記第1の口腔ケア組成物が、前記第1の治療量の抗う蝕剤よりも大きな治療レベルの虫歯予防効果を有する、第1の虫歯予防口腔ケア組成物と、
(b)第2の治療量の抗う蝕剤を含む第2の口腔ケア組成物と、
を含む、虫歯予防口腔ケア組成物のアレイであって、
前記第1の口腔ケア組成物の治療レベルの虫歯予防効果が、前記第2の口腔ケア組成物の治療レベルの虫歯予防効果よりも大きい、アレイ。
【請求項9】
前記フッ化物が、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化アミン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載のアレイ。
【請求項10】
前記第1の治療量の抗う蝕剤が、カルシウム、スズ、亜鉛、又はこれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記スズが、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、若しくはこれらの組み合わせを含み、及び/又は前記カルシウムが、カルシウム研磨剤、カルシウム塩、又はこれらの組み合わせを含み、より好ましくは、前記カルシウムが、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8又は9に記載のアレイ。
【請求項11】
前記亜鉛が、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、又はこれらの組み合わせを含む、請求項10に記載のアレイ。
【請求項12】
前記第1の治療量以下の抗う蝕剤がホップを含み、好ましくは、前記ホップが、ホップアルファ酸、ホップベータ酸、又はこれらの組み合わせを含み、より好ましくは、ホップ抽出物が、前記ホップ抽出物の約1重量%未満のホップアルファ酸を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のアレイ。
【請求項13】
前記第2の治療量以下の抗う蝕剤がフッ化物を含み、好ましくは、前記フッ化物が、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化アミン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8~12のいずれか一項に記載のアレイ。
【請求項14】
前記アレイが、第3の虫歯予防口腔ケア組成物を含み、前記第3の虫歯予防口腔ケア組成物が、
(i)第2の治療量以下の抗う蝕剤、及び
(ii)第3の治療量以下の抗う蝕剤
を含み、
前記第3の口腔ケア組成物が、前記第1の口腔ケア組成物の治療レベルの虫歯予防効果よりも低い治療レベルの虫歯予防効果を有する、請求項8~13のいずれか一項に記載のアレイ。
【請求項15】
前記第3の虫歯予防口腔ケア組成物が、フッ化物を含まない、請求項14に記載のアレイ。
【請求項16】
前記第2の治療量以下の抗う蝕剤がホップを含み、好ましくは、前記ホップが、ホップアルファ酸、ホップベータ酸、又はこれらの組み合わせを含み、より好ましくは、前記ホップが、ホップベータ酸を含み、前記ホップが、前記ホップの1重量%未満のホップアルファ酸を含む、請求項14又は15に記載のアレイ。
【請求項17】
前記第2の治療量以下の抗う蝕剤がホップベータ酸を含み、前記第3の治療量以下の抗う蝕剤が塩化第一スズを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載のアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な量のフッ化物を含む虫歯予防口腔ケア組成物のアレイを対象とする。本発明はまた、第1の治療量以下の抗う蝕薬及び第2の治療量以下の抗う蝕薬を含む第1の口腔ケア組成物と、フッ化物を含む治療量以下の抗う蝕薬を含む第2の口腔ケア組成物と、を含む虫歯予防口腔ケア組成物のアレイを対象とする。
【背景技術】
【0002】
練り歯磨き及び/又は歯磨剤組成物などの口腔ケア組成物は、歯、歯茎、及び/又は舌を清浄にする、並びに/又はその美観及び/若しくは健康を維持するために、口腔に適用され得る。更に、多くの口腔ケア組成物は、活性成分を口腔ケア表面に直接送達するために使用される。例えば、練り歯磨き組成物は、抗う蝕薬として、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及び/又はフッ化第一スズなどのフッ化物イオン源を有する場合がある。抗う蝕薬としてのフッ化物の有効性及び安全性は十分に確立されているが、多くの消費者は虫歯予防保護のための他の選択肢を望んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念なことに、現行のフッ化物を含まない口腔ケア組成物は、歯の表面上にみられる細菌によって産生される酸に起因して引き起こされるう蝕からの保護からの保護を十分には提供しないか、又は全く提供しない。したがって、フッ化物を含まず、かつ虫歯予防効果を提供する口腔ケア組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(a)(i)第1の治療量以下の抗う蝕剤、(ii)第2の治療量以下の抗う蝕剤を含む第1の虫歯予防口腔ケア組成物と、(b)治療量の抗う蝕剤を含む第2の虫歯予防口腔ケア組成物と、を含む、虫歯予防口腔ケア組成物のアレイが、本明細書に開示される。
【0005】
また、(a)(i)フッ化物を含む第1の治療量の抗う蝕剤、及び(ii)第1の治療量以下の抗う蝕剤を含む、第1の虫歯予防口腔ケア組成物であって、第1の口腔ケア組成物が、第1の治療量の抗う蝕剤よりも大きな治療レベルの虫歯予防効果を有する、第1の虫歯予防口腔ケア組成物と、(b)第2の治療量の抗う蝕剤を含む第2の口腔ケア組成物と、を含む、虫歯予防口腔ケア組成物のアレイであって、第1の口腔ケア組成物の治療レベルの虫歯予防効果が、第2の口腔ケア組成物の治療レベルの虫歯予防効果よりも大きい、アレイも本明細書に開示される。
【0006】
また、(a)(i)ホップ、(ii)スズ、及び(iii)研磨剤を含む第1の虫歯予防練り歯磨き組成物であって、第1の口腔ケア組成物はフッ化物を含まない、第1の虫歯予防練り歯磨き組成物と、(b)(i)フッ化物、及び(ii)研磨剤を含む第2の虫歯予防練り歯磨き組成物と、を含む、虫歯予防練り歯磨き組成物のアレイも本明細書に開示される。
【0007】
また、(a)(i)ホップ、(ii)フッ化物、及び(iii)研磨剤を含む第1の虫歯予防練り歯磨き組成物であって、第1の口腔ケア組成物はフッ化物を含まない、第1の虫歯予防練り歯磨き組成物と、(b)(i)フッ化物、及び(ii)研磨剤を含む第2の虫歯予防練り歯磨き組成物と、を含む、虫歯予防練り歯磨き組成物のアレイも本明細書に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、様々な量のフッ化物を含む虫歯予防口腔ケア組成物のアレイを対象とする。抗う蝕薬としてのフッ化物の有効性及び安全性は十分に確立されているが、多くの消費者は虫歯予防保護のための他の選択肢を望んでいる。しかしながら、虫歯予防活性を提供することができる現在の唯一の活性剤は、治療用量のフッ化物である。したがって、消費者は、治療用量のフッ化物を含む虫歯予防口腔ケア組成物及び規制されている医薬品表示(drug claim)(すなわち、「虫歯予防」又は「抗う蝕」効果)を得るための閾値を満たすのに十分な程度大きな効果を提供しない他の口腔ケア組成物のいずれかを選択しなければならない。
【0009】
したがって、本発明は、様々な量のフッ化物を含む虫歯予防口腔ケア組成物のアレイを提供することによって、この必要性を満たす。フッ化物の様々な量は、フッ化物を含まない程度の少量からフッ化物の治療量程度の多量であり得る。重要なことに、アレイ内の各口腔ケア組成物は、少なくとも治療レベルの虫歯予防効果を有し、これにより、消費者は虫歯予防効果を犠牲にすることなくフッ化物の量を選択することができるようになる。
【0010】
定義
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別途記載のない限り、以下の定義は、本開示に適用可能である。ある用語が本開示で使用されているが本明細書で具体的に定義されていない場合、その定義が、本明細書に適用される任意の他の開示又は定義と矛盾しない限り、又はその定義が適用される任意の請求項を不明確に又は不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd Ed(1997)からの定義を適用することができる。
【0011】
用語「口腔ケア組成物」は、本明細書で使用する場合、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、歯の表面又は口腔組織と接触させるのに十分な時間にわたって口腔内に保持される製品を包含する。口腔ケア組成物の例としては、歯磨剤、練り歯磨き、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭清涼用溶解性ストリップ、又は義歯用ケア若しくは接着剤製品が挙げられる。口腔ケア組成物はまた、口腔表面に直接塗布又は装着するためにストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0012】
本明細書で有用な「有効物質及び他の成分」は、美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらが要求される作用形態若しくは機能により、本明細書において分類又は記載されてよい。しかしながら、本明細書において有用な有効物質及び他の成分は、場合によっては、2つ以上の美容的及び/又は治療的効果をもたらす、あるいは2つ以上の作用形態で機能又は作用してもよいと理解すべきである。したがって、本明細書における分類は便宜上実施されるものであり、成分を、列挙される具体的に規定した機能(複数可)又は作用に制限しようとするものではない。
【0013】
用語「経口的に許容し得る担体」とは、局所口腔投与に好適な1種以上の相溶性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤を含む。用語「相溶性」は、本明細書で使用する場合、組成物の構成成分が、組成物の安定性及び/又は有効性を実質的に低下させるような方式で相互作用することなく、混合され得ることを意味する。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「~を実質的に含まない」は、組成物中に、かかる組成物の総重量の0.05%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.001%以下の指示物質が存在することを指す。
【0015】
本明細書で使用する場合、用語「~を本質的に含まない」は、指示物質が組成物に意図的に添加されたものでないこと、又は好ましくは分析によって検出可能な濃度では存在しないことを意味する。すなわち、指示物質が、意図的に添加されたその他の物質のうちのいずれかの不純物としてのみ存在する組成物を包含することを意味する。
【0016】
組成物及び方法は、本明細書において、様々な構成要素又は工程を「含む」という観点で記載されているが、組成物及び方法はまた、別途記載のない限り、様々な構成要素又は工程「から本質的になる」又は「からなる」こともできる。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「又は」は、2つ以上の要素の接続詞として使用される場合に、要素を個々に、及び組み合わせで含むことを意味し、例えば、X又はYは、X若しくはY又はこれら両方を意味する。
【0018】
本明細書で使用する場合、冠詞「a」及び「an」は、特許請求される又は記載される材料、例えば、「口腔ケア組成物」又は「漂白剤」の1つ以上を意味するものと理解される。
【0019】
特に明記しない限り、本明細書で言及される測定は全て約23℃(すなわち、室温)で行われる。
【0020】
一般に、元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に掲載されている元素周期表のバージョンで示される番号付けスキームを使用して示される。いくつかの例では、族に割り当てられた共通の名称を使用して、元素の族を示すことができ、例えば、第1族元素のアルカリ金属、第2族元素のアルカリ土類金属、といった具合である。
【0021】
いくつかの種類の範囲が本発明に開示される。任意の種類の範囲が開示又は特許請求される場合、範囲の端点並びにその中に包含される任意の部分範囲及び任意の部分範囲の組み合わせを含む、そのような範囲が合理的に包含し得る可能な各数を個々に開示又は特許請求することを意図している。
【0022】
用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータ、並びにその他の数量及び特性が正確ではなく、正確である必要はないが、所望に応じて、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、並びに当業者に既知のその他の要因を反映して、近似的及び/又はより大きいか若しくはより小さい場合があることを意味する。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の数量若しくは特性は、そのようであると明示的に記載されているか否かに関わらず、「約」又は「近似的」である。用語「約」はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡状態に起因して異なる量も包含する。用語「約」によって修飾されているか否かに関わらず、特許請求の範囲は、その量に対する均等物を含む。用語「約」は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味し得る。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「治療レベルの虫歯予防活性」は、治療用量の抗う蝕薬及び/又は1つ以上の抗う蝕剤を含む組成物によって提供される抗う蝕活性である。フッ化物イオンの治療用量は、米国では、食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)モノグラフ(21 CFR part 355)によって定義されている。例えば、ペースト剤形(すなわち、ペースト歯磨剤)中のフッ化ナトリウムの治療量は850~1,150ppmであり、利用可能なフッ化物イオン濃度は少なくとも650ppmである。他の抗う蝕薬は、参照により本明細書に組み込まれる21 CFR part 355に開示されている。他の治療用量は、それぞれの管轄において入手可能である。したがって、本明細書で使用する場合、1つ以上の抗う蝕剤を含む組成物の治療レベルの抗う蝕活性は、少なくとも650ppmのフッ化物イオンが利用可能であるフッ化ナトリウムを含む組成物によって提供される抗う蝕効果と同等以上の抗う蝕効果である。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「治療レベル以下の抗う蝕活性」という用語は、「治療量の抗う蝕薬組成物」で定義されるように、少なくとも650ppmのフッ化物イオンが利用可能であるフッ化ナトリウムを含む組成物によって提供される抗う蝕効果よりも低い抗う蝕効果を有する組成物の抗う蝕活性である。用語「治療レベル以下の抗う蝕活性」はまた、ヒトの口腔内で使用するのに好適な口腔ケア組成物中で利用されたときに、追加の抗う蝕剤と組み合わせて、少なくとも650ppmのフッ化物イオンが利用可能であるフッ化ナトリウムを含む組成物によって提供される抗う蝕効果と比較して治療効果をもたらすことができるが、単独では、口腔ケア組成物中で使用するのに好適な濃度では治療効果を提供することが示されていない抗う蝕剤を説明することもできる。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「抗う蝕薬」は、歯腔(虫歯、う蝕)の予防及び予防的処置を支援する薬物である。これは、例えば21 CFR part 355などにおけるフッ化物イオン源及び本明細書に記載の抗う蝕剤を含み得る。
【0026】
「アレイ」は、様々な量及び同一性の抗う蝕薬を含む口腔ケア組成物を含むパッケージのディスプレイを意味する。パッケージは、同じブランド及び/若しくは下位ブランド及び/若しくは同じ商標登録を有していてよく、並びに/又は共通の製造業者によって若しくは共通の製造業者のために製造されていてよく、パッケージは、共通の販売場所で入手可能であってよい(例えば、小売店の所定の領域に互いに近接して並べられていたり、同じウェブサイトに一緒にまとめられていたりしてよい)。アレイは、顧客に、通常、異なる個々のパッケージがより規模の大きなラインアップの一部分であることを消費者に伝える類似のパッケージ要素(例えば、パッケージの材料の種類、フィルム、紙、主要色、設計主題など)を有する製品ラインアップとして市販される。アレイは、同じブランド、例えば「Crest」及び同じ下位ブランド、例えば「Pro-Health」を有することが多い。アレイにおける異なる製品が、同じブランド「Crest」及び任意選択で異なる下位ブランド「3D White」を有していてもよい。アレイの「Pro-Health」製品とアレイにおける「3D White」製品との間の差異は、製品形態、異なる抗う蝕薬、異なる量の抗う蝕薬、又は他の活性成分若しくは不活性成分における他の差異を含み得る。アレイはまた、ブランド、下位ブランド、及び/又はラインアップにわたる特徴及び/又は有益性の商標など、同じ商標を有することが多い。「オンラインアレイ」とは、共通のオンラインソースによって流通される「アレイ」を意味する。
【0027】
アレイを構成する口腔ケア組成物は、固体、液体、粉末、ペースト、又はこれらの組み合わせなどの任意の好適な形態であり得る。口腔ケア組成物は、歯磨剤、歯磨ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭予防用溶解ストリップ、又は義歯用ケア若しくは付着性製品であり得る。歯磨剤組成物の成分は、フィルム、ストリップ、フォーム、又は繊維ベースの歯磨剤組成物に組み込まれことができる。口腔ケア組成物は、例えば、後述のように、ホップ抽出物、スズイオン源、カルシウムイオン源、水、フッ化物源、亜鉛イオン源、1つ以上のポリホスフェート、保湿剤、界面活性剤、他の成分など、及びこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない、様々な活性成分及び不活性成分を含み得る。
【0028】
セクション見出しは、編成及び便宜上の目的のためだけに以下に提供される。セクション見出しは、化合物が1つより多いセクション内に存在し得ないことを示唆するものではない。実際、化合物は、1つより多いセクションに含まれる場合がある。例えば、いくつかのカテゴリー及び/又はセクションに適合することができる多くの他の化合物の中でも、塩化第一スズは、スズイオン源及びバイオフィルム変性剤の両方であり得、フッ化第一スズは、スズイオン源及びフッ化物イオン源の両方であり得、グリシンは、アミノ酸、緩衝剤、及び/又はバイオフィルム変性剤であり得る。
【0029】
アレイ
アレイは、本明細書に記載の通り、少なくとも2つの口腔ケア組成物を含む。アレイを構成する口腔ケア組成物は、同じラインナップで、同じ主要ブランド又は商標で一般に販売されていてよい、店内の共通の場所における棚で入手可能であってよい、例えば「www.crest.com」などの同じウェブドメインを有する同じウェブサイトから入手可能であってよい、並びに/又はアマゾン、アリババ、JD、及び/若しくは楽天などのサードパーティウェブサイトに同じ販売者によって掲載されていてよい。
【0030】
アレイは、歯磨剤組成物、練り歯磨き組成物、歯用ゲル組成物、歯肉縁下用ゲル組成物、マウスリンス組成物、ムース組成物、フォーム組成物、マウススプレー組成物、トローチ剤組成物、チュアブル錠組成物、チューインガム組成物、歯ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、呼気フレッシュニング溶解性ストリップ、義歯ケア組成物、及び/又はこれらの組み合わせを含んでいてよい。口腔ケア組成物はまた、口腔表面に直接塗布又は貼布するためにストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0031】
アレイは、本明細書に記載の通り、様々なフッ化物量及び/又は様々な抗う蝕活性のいずれかを有する少なくとも2つの口腔ケア組成物を含んでいてよい。抗う蝕活性は、フッ化物以外の抗う蝕剤を添加すること、フッ化物を他の抗う蝕剤で置き換えること、又は既にフッ化物を含む組成物に抗う蝕剤を添加することによって影響を受ける可能性がある。
【0032】
アレイは、以下に記載される口腔ケア組成物のうちの2つ以上、3つ以上、及び/又は4つ以上を含んでいてよい。以下に記載する口腔ケア組成物は、虫歯予防口腔ケア組成物であってよい。アレイは、カテゴリーA組成物、カテゴリーB組成物、カテゴリーC組成物、及び/又はカテゴリーD組成物を含んでいてよい。
【0033】
カテゴリーA組成物
アレイは、本明細書に記載の通り、治療用量のフッ化物を含む口腔ケア組成物(カテゴリーA組成物)を含んでいてよい。カテゴリーA組成物は、本明細書に記載の通り、他の口腔ケア成分を含んでいてもよい。好適な他の口腔ケア成分としては、スズ、亜鉛、カルシウム、研磨剤、ポリホスフェート、緩衝剤、バイオフィルム変性剤、アミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
カテゴリーB組成物
アレイは、治療用量のフッ化物及び追加の抗う蝕剤を含む口腔ケア組成物(カテゴリーB組成物)を含んでいてよい。カテゴリーB組成物の抗う蝕活性は、カテゴリーA組成物の抗う蝕活性よりも大きくてよい。カテゴリーB組成物は、本明細書に記載の通り、他の口腔ケア成分を含んでいてもよい。好適な他の口腔ケア成分としては、スズ、亜鉛、カルシウム、研磨剤、ポリホスフェート、緩衝剤、バイオフィルム変性剤、アミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
カテゴリーC組成物
アレイは、治療用量以下のフッ化物及び追加の治療量以下の抗う蝕剤を含む口腔ケア組成物(カテゴリーC組成物)を含んでいてよい。カテゴリーC組成物の抗う蝕活性は、共同で治療レベルの効果を提供することができ、少なくともカテゴリーA組成物の抗う蝕活性程度であり得る。カテゴリーC組成物はまた、本明細書に記載の通り、他の口腔ケア成分を含んでいてもよい。好適な他の口腔ケア成分としては、スズ、亜鉛、カルシウム、研磨剤、ポリホスフェート、緩衝剤、バイオフィルム変性剤、アミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
カテゴリーD組成物
アレイは、第1の治療量以下の抗う蝕剤及び第2の治療量以下の抗う蝕剤を含むが、フッ化物を含まない口腔ケア組成物(カテゴリーD組成物)を含んでいてよい。カテゴリーD組成物は、共同で治療レベルの抗う蝕効果を提供することができ、少なくともカテゴリーA組成物の抗う蝕活性程度であり得る。カテゴリーD組成物は、本明細書に記載の通り、他の口腔ケア成分を含んでいてもよい。好適な他の口腔ケア成分としては、スズ、亜鉛、カルシウム、研磨剤、ポリホスフェート、緩衝剤、バイオフィルム変性剤、アミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
アレイを構成する好適な口腔ケア組成物を、表1に記載する。アレイは、表1及び/又は表2に記載する口腔ケア組成物のうちの2つ以上、3つ以上、及び/又は4つ以上を含んでいてよい。
【0038】
【表1】
【0039】
表1 本発明のアレイの4つの可能な組成物。組成物1は、フッ化物虫歯予防口腔ケア組成物である。組成物1は、米国におけるU.S.FDAなどの対象となる管轄における関連規制機関によって要求される治療量のフッ化物を含む。前述したように、多くの消費者は、フッ化物を避けるべきであるという認識を有している。これにより、他の抗う蝕剤を含まず、したがって抗う蝕活性を有しない可能性が高い、フッ化物を含まない組成物の使用が増加した。したがって、多くの消費者は、組成物3(低フッ化物)及び組成物4(フッ化物なし)などのフッ化物の代替物を所望しており、これらは両方とも、フッ化物の全部又は一部を1つ以上の代替の抗う蝕剤で置き換えることによって、全体として治療レベルの虫歯予防効果を有する。これにより、消費者は、抗う蝕効果を依然として提供しながら、口腔ケア組成物中のフッ化物の量を選択することができるようになる。
【0040】
更に、表1は、より大きな治療レベルの虫歯予防効果を提供する、治療量のフッ化物及び追加の抗う蝕剤を含む組成物2について説明する。多くの管轄では、治療用量を超えるフッ化物を含む組成物は、店頭で(すなわち、歯科医などの医療専門家による投与又は医療専門家からの処方箋なしで)入手不可能とすることが求められる。したがって、組成物2は、組成物中のフッ化物の量を増加させる必要なく、優れた抗う蝕効果を提供することができる。
【0041】
【表2】
【0042】
例えば、表2に示すように、組成物5は、治療レベルの抗う蝕活性を与えるために、治療用量のフッ化第一スズを含んでいてよい。組成物6は、治療用量のフッ化第一スズをホップなどの治療量以下の抗う蝕剤と組み合わせることによって、より大きな治療レベルの抗う蝕活性を提供することができる。組成物7は、治療用量以下のフッ化第一スズをホップなどの治療量以下の抗う蝕剤と組み合わせることによって、治療レベルの抗う蝕活性治療活性を提供することができる。組成物8は、塩化第一スズなどの第1の治療量以下の抗う蝕剤を、ホップなどの第2の治療量以下の抗う蝕剤と組み合わせることによって、治療レベルの抗う蝕活性治療活性を提供することができる。表2の各組成物では、本明細書に記載の通り、抗う蝕剤(複数可)を他の口腔ケア成分と組み合わせてもよい。好適な他の口腔ケア成分としては、スズ、亜鉛、カルシウム、研磨剤、ポリホスフェート、緩衝剤、バイオフィルム変性剤、アミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。更に、本明細書に記載の通り、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及び/又はフッ化アミンなどの他のフッ化物含有化合物をフッ化第一スズの代わりに使用してもよい。
【0043】
カテゴリーAからの組成物及びカテゴリーBからの組成物を含むアレイにより、処方箋を得る必要なしに、又は歯科医若しくは歯科衛生士などの医療専門家によってそれを適用させる必要なしに、2つの店頭販売の組成物(1つは通常の抗う蝕活性を有し(カテゴリーA)、1つは優れた抗う蝕活性を有する(カテゴリーB))の中から消費者が選ぶことができるようになる。
【0044】
カテゴリーAからの組成物(治療量のフッ化物)、カテゴリーCからの組成物(治療用量以下のフッ化物)、及びカテゴリーDからの組成物(フッ化物なし)のうちの少なくとも2つを含むアレイにより、抗う蝕活性を犠牲にすることなく、消費者がフッ化物の量を選択できるようになる。
【0045】
抗う蝕活性
口腔ケア組成物は、本明細書に記載の通り、1つ以上の抗う蝕剤を含んでいてよく、これらは共同で又は個別に治療レベルの抗う蝕活性を示す。本明細書に記載の通り、治療レベルの抗う蝕活性は、米国におけるU.S.FDAなどの対象となる管轄における関連規制機関によって定義される。FDAでは、ペースト剤形(すなわちペースト歯磨剤)中のフッ化ナトリウムの治療量は、850~1,150ppmであり、利用可能なフッ化物イオン濃度は少なくとも650ppmである。したがって、本発明の口腔ケア組成物は、治療レベルの抗う蝕活性に相当し得る、少なくとも650ppm、800ppm、850ppm、1100ppm、1150ppm、1450ppm、及び/若しくは2800ppm、少なくとも約650ppm、800ppm、850ppm、1100ppm、1150ppm、1450ppm、及び/若しくは2800ppm、並びに/又は650ppm、800ppm、850ppm、1100ppm、1150ppm、1450ppm、及び/若しくは2800ppm超の遊離フッ化物イオンを含む組成物の抗う蝕効果と少なくとも同程度の抗う蝕効果を有することができる。
【0046】
口腔ケア組成物の抗う蝕活性は、本明細書に記載の通り、ラットう蝕スコアによっても説明することができる。口腔ケア組成物は、約35以下、約30以下、約25以下、及び/又は約20以下のラットう蝕スコアを有し得る。口腔ケア組成物の抗う蝕活性は、本明細書に記載の通り、プラセボ練り歯磨きに対するラットう蝕スコアの低下率として説明することもできる。口腔ケア組成物は、プラセボ練り歯磨き(すなわち、陰性対照)に対して少なくとも約25%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、及び/又は少なくとも約40%のう蝕減少率を有し得る。
【0047】
口腔ケア組成物の抗う蝕活性は、本明細書に記載の通り、治療用量の抗う蝕剤(すなわち、USP NaFなどの陽性対照)を含む口腔ケア組成物に対するラットう蝕スコアの低下率によっても説明することができる。口腔ケア組成物は、USP NaFなどの陽性対照に対して約50%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約125%以上、及び/又は約150%以上のう蝕減少率を有し得る。
【0048】
抗う蝕剤
口腔ケア組成物は、本明細書に記載の通り、1つ以上の抗う蝕組成物を含み、1つ以上の抗う蝕組成物は、1つ以上の抗う蝕剤を含み、これらは、個々に、治療用量又は治療用量以下であり得る。
【0049】
口腔ケア組成物は、第1の治療量以下の抗う蝕剤及び第2の治療量以下の抗う蝕剤を含んでいてよく、これらは全体として治療レベルの抗う蝕効果をもたらす。第1及び第2の治療量以下の抗う蝕剤は、本明細書に記載の通り、フッ化物を含んでいなくてもよく、又は治療量以下の剤のうちの1つが、治療量以下の量のフッ化物イオンを含んでいてもよい。
【0050】
口腔ケア組成物は、フッ化物イオン源を含む治療量の抗う蝕剤と、フッ化物イオン源を含まない治療量以下の抗う蝕剤とを含んでいてよく、口腔ケア組成物は、全体で、治療量の抗う蝕組成物単独に関連する抗う蝕効果よりも高い抗う蝕効果を有する。治療量の抗う蝕剤及び治療量以下の抗う蝕剤を含む組成物の抗う蝕活性は、処方強度濃度のフッ化物イオンで通常入手可能な抗う蝕活性を可能にすることができる。
【0051】
抗う蝕剤は、これらの4つの機構のうちの1つを介してう蝕に対して活性になり得る:i)抗菌作用を介した酸形成の抑制;ii)カルシウム共イオン効果を通じたエナメル質の溶解性の低下;iii)フッ化物共イオン効果を通じたエナメル質の溶解度の低下;及びiv)表面吸着安定剤を通じたエナメル質の溶解度の低下。したがって、抗う蝕剤は、抗菌剤、カルシウムイオン源、フッ化物イオン源、表面吸着安定剤であってよい。しかしながら、化合物は、例えば、抗菌剤及び表面吸着安定剤となり得る塩化第一スズ、又は抗菌剤、フッ化物イオン源、及び表面吸着安定剤となり得るフッ化第一スズなど、これらのカテゴリーのうちの2つ以上に入る場合もある。
【0052】
抗菌剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の抗う蝕剤を含んでいてよく、1つ以上の抗う蝕剤は、1つ以上の抗菌剤を含んでいてよい。抗菌剤は、虫歯の細菌による酸形成を抑制する任意の剤であり得る。好適な抗菌剤としては、Crest(登録商標)Cavity Protectionに対してΔpHを少なくとも約80%、又は約30%、60%、65%、75%、85%、90%、若しくは95%低下させることができ、それにより、ラットう蝕実験においてプラセボ又は水対照に対して少なくとも約9%、又は約1%、6%、7%、8%、10%、11%、若しくは12%う蝕を減少させる剤が挙げられる。
【0053】
好適な抗菌剤としては、ホップ、ホップ酸、例えばホップアルファ酸、ホップベータ酸、水素化ホップ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。他の好適な抗菌剤としては、スズイオン源、亜鉛イオン源、銅イオン源、及び/又はこれらの組み合わせなどの金属イオン源が挙げられる。他の好適な抗菌剤としては、トリクロサン、マグノリア(Magnolia)属内の任意の種からの抽出物、フムルス(Humulus)属内の任意の種からの抽出物が挙げられる。他の好適な抗菌剤としては、ホップ酸、スズイオン源、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、酢酸メンチルグリシル、乳酸メンチル、L-メントール、o-ネオメントール、クロロフィリン銅錯体、フェノール、オキシキノリン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。他の好適な抗菌剤としては、塩基性アミノ酸などの1つ以上のアミノ酸が挙げられる。
【0054】
口腔ケア組成物は、約0.01%~約10%、約1%~約5%、又は約0.5%~約15%の抗菌剤を含み得る。全てではないが、いくつかの好適な抗菌剤について別々に論じる。
【0055】
表面吸着安定剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の抗う蝕剤を含んでいてよく、1つ以上の抗う蝕剤は、1つ以上の表面吸着安定剤を含んでいてよい。表面吸着安定剤は、エナメル質表面上に吸着することができる任意の剤であり得る。好適な表面吸着安定剤は、F不含HAP溶解法において水に対して少なくとも17%、少なくとも5%、又は少なくとも20%、少なくとも30%、及び/又は少なくとも15%溶解度を低下させることができ、それにより、ラットう蝕実験においてプラセボ又は水対照に対して少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、及び/又は18%う蝕を減少させる任意の化合物であってよい。
【0056】
好適な表面吸着安定剤としては、スズイオン源、亜鉛イオン源、銅イオン源、アルミニウムイオン源、チタンイオン源、及び/又はこれらの組み合わせなどの金属イオン源が挙げられる。他の好適な表面吸着安定剤としては、生体活性物質、アミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。全てではないが、いくつかの好適な表面吸着安定剤について別々に論じる。
【0057】
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)
本発明の口腔ケア組成物は、式I及び/又は式IVからの少なくとも1つのホップ化合物などのホップを含み得る。式I及び/又は式IVの化合物は、フムルス・ルプルス、すなわちホップからの抽出物、フムルス・ルプルス自体、合成的に誘導される化合物、及び/又はそれらの塩、プロドラッグ、若しくは他の類似体などの任意の好適な源によって提供され得る。ホップ抽出物は、1つ以上のホップアルファ酸、1つ以上のホップイソ-アルファ酸、1つ以上のホップベータ酸、1つ以上のホップ油、1つ以上のフラボノイド、1つ以上の溶媒、及び/又は水を含み得る。好適なホップアルファ酸(一般的に式Iに示される)は、フムロン(式II)、アドフムロン、コフムロン、ポストフムロン、プレフムロン、及び/又はこれらの混合物を含み得る。好適なホップイソ-アルファ酸は、シス-イソフムロン及び/又はトランス-イソフムロンを含み得る。フムロンのシス-イソフムロン及びトランス-イソフムロンへの異性化は、式IIIによって表すことができる。
【0058】
【化1】
式I.ホップアルファ酸。Aは、アルファ位における酸性ヒドロキシル官能基であり、Bは、ベータ位における酸性ヒドロキシル官能基であり、Rは、アルキル官能基である。
【0059】
【化2】
式II.フムロン
【0060】
【化3】
式III.フムロンのイソフムロンへの異性化。
【0061】
好適なホップベータ酸は、ルプロン、アドルプロン、コルプロン、及び/又はこれらの混合物を含み得る。好適なホップベータ酸は、式IV、式V、式VI、及び/又は式VIIに記載の化合物を含み得る。
【0062】
【化4】
式IV.ホップベータ酸。Bは、ベータ位における酸性ヒドロキシル官能基であり、Rは、アルキル官能基である。
【0063】
【化5】
式V.ルプロン
【0064】
【化6】
式VI.アドルプロン
【0065】
【化7】
式VII.コルプロン
【0066】
ホップアルファ酸は、多少の抗菌活性を示すことができるが、ホップアルファ酸は苦い味も有する。ホップアルファ酸によって提供される苦みは、ビールには適している場合があるが、口腔ケア組成物における使用には適していない。対照的に、ホップベータ酸は、より高い抗菌及び/又は抗う蝕活性に関連し得るが、苦い味を有さない。したがって、アルファ酸に対するベータ酸の比率が自然界に通常みられるよりも高いホップ抽出物は、抗菌及び/又は抗う蝕剤として使用するための口腔ケア組成物において使用するのに好適であり得る。
【0067】
天然ホップ源は、ホップの品種に応じてホップ源の約2重量%~約12重量%のホップベータ酸を含み得る。ビールの醸造などの他の状況で使用されるホップ抽出物は、抽出物の約15重量%~約35重量%のホップベータ酸を含み得る。本明細書において望ましいホップ抽出物は、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、約35%~約95%、約40%~約90%、又は約45%~約99%のホップベータ酸を含み得る。ホップベータ酸は、酸性形態であってもよく(すなわち、ヒドロキシ官能基(複数可)に水素原子(複数可)が結合している)、又は塩形態であってもよい。
【0068】
好適なホップ抽出物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,910,140号に詳細に記載されている。所望のホップベータ酸は、水素化されていなくても、天然には存在しない化学反応によって部分的に水素化されていても、又は天然には存在しない化学反応によって水素化されていてもよい。ホップベータ酸は、水素化ホップ酸及び/又はホップ酸を本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。天然には存在しない化学反応は、フムルス・ルプルスではみられない化学化合物を用いて行われた化学反応であり、例えば、野生においては通常フムルス・ルプルスが経験しない高熱及び/又は金属触媒を用いて行われる化学水素化反応である。
【0069】
天然ホップ源は、ホップ源の約2重量%~約12重量%のホップアルファ酸を含み得る。ビールの醸造などの他の状況で使用されるホップ抽出物は、抽出物の約15重量%~約35重量%のホップアルファ酸を含み得る。本明細書において望ましいホップ抽出物は、ホップ抽出物の約10重量%未満、約5重量%未満、約1重量%未満、又は約0.5重量%未満のホップアルファ酸を含み得る。
【0070】
ホップ油は、ミルセン、フムレン、カリオフィレン、及び/又はこれらの混合物などのテルペン炭化水素を含み得る。本明細書において望ましいホップ抽出物は、抽出物の5重量%未満、2.5重量%未満、又は2重量%未満の1つ以上のホップ油を含み得る。
【0071】
ホップ抽出物中に存在するフラボノイドは、キサントフモール、8-プレニルナリンゲニン、イソキサントフモール、及び/又はこれらの混合物を含み得る。ホップ抽出物は、1つ以上のフラボノイドを実質的に含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、含んでいなくてもよく、250ppm未満、150ppm未満、及び/又は100ppm未満有していてもよい。
【0072】
米国特許第5,370,863号に記載されているように、ホップ酸は、既に口腔ケア組成物に添加されている。しかしながら、米国特許第5,370,863号によって教示されている口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の0.01重量%以下しか含まれていなかった。理論に束縛されることを望むものではないが、米国特許第5,370,863号は、ホップアルファ酸の苦みが原因で、少量のホップ酸しか組み込むことができなかった。低濃度のホップアルファ酸を有するホップ抽出物は、この懸念を有さないであろう。
【0073】
ホップ化合物は、モクレン属(Magnolia)の種などの別の植物からの抽出物と組み合わせてもよく、抽出物を含んでいなくてもよい。ホップ化合物は、トリクロサンと組み合わせてもよく、トリクロサンを含んでいなくてもよい。
【0074】
口腔ケア組成物は、本明細書に記載の通り、約0.01%~約10%、0.01%超~約10%、約0.05%~約10%、約0.1%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約5%、約0.25%~約2%、約0.05%~約2%、又は0.25%超~約2%のホップ、例えばホップベータ酸を含み得る。ホップ、例えばホップベータ酸は、好適なホップ抽出物、ホップ植物自体、又は合成的に誘導される化合物によって提供され得る。ホップ、例えばホップベータ酸は、中性、酸性の化合物、及び/又はナトリウム、カリウム、アンモニア、若しくは任意の他の好適な対イオンなどの好適な対イオンとの塩として提供され得る。
【0075】
ホップは、抽出物の少なくとも35重量%のホップベータ酸及びホップ抽出物の1重量%未満のホップアルファ酸を含む、フムルス・ルプルスからの抽出物などのホップ抽出物によって提供され得る。口腔ケア組成物は、本明細書に記載されるように、0.01%~約10%、0.01%超~約10%、約0.05%~約10%、約0.1%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約5%、約0.25%~約2%、約0.05%~約2%、又は0.25%超~約2%のホップ抽出物を含み得る。
【0076】
フッ化物イオン源
口腔ケア組成物は、フッ化物イオン源などからのフッ化物を含み得る。フッ化物イオン源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化チタン、フッ化カルシウム、カルシウムホスフェートシリケートフルオリド、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のフッ化物含有化合物を含み得る。
【0077】
フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えば、フッ化第一スズなどの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン源が塩化第一スズであり、フッ化物イオン源がモノフルオロリン酸ナトリウム又はフッ化ナトリウムである場合など、別個の化合物であり得る。
【0078】
フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えば、フッ化亜鉛などの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン源がリン酸亜鉛であり、フッ化物イオン源がフッ化第一スズである場合など、別個の化合物であり得る。
【0079】
フッ化物イオン源は、フッ化第一スズを本質的に含まなくてもよい、又は含まなくてもよい。したがって、口腔ケア組成物は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物を含み得る。
【0080】
口腔ケア組成物は、約50ppm~約5000ppm、好ましくは約500ppm~約3000ppmの遊離フッ化物イオンを提供することができるフッ化物イオン源を含み得る。所望の量のフッ化物イオンを送達するために、フッ化物イオン源は、口腔ケア組成物中に、口腔ケア組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。あるいは、口腔ケア組成物は、フッ化物イオン源を0.1%未満、0.01%未満含んでいてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。
【0081】
スズイオン源
本発明の口腔ケア組成物は、スズイオン源などからのスズを含み得る。スズイオン源は、口腔ケア組成物中にスズイオンを提供することができ、及び/又は歯磨剤組成物が口腔に適用されるときに、口腔にスズイオンを送達することができる任意の好適な化合物であり得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、酸化第一スズ、シュウ酸第一スズ、硫酸第一スズ、硫化第一スズ、フッ化第二スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ、硫化第二スズ、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のスズ含有化合物を含み得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、及び/又はこれらの混合物を含み得る。スズイオン源はまた、塩化第一スズなどのフッ化物フリーのスズイオン源であってもよい。
【0082】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%のスズイオン源を含み得る。
【0083】
Caイオン源
本発明の口腔ケア組成物は、カルシウムイオン源などからのカルシウムを含み得る。カルシウムイオン源は、口腔ケア組成物中にカルシウムイオンを提供することができる、及び/又は口腔ケア組成物が口腔に適用されたときに、口腔にカルシウムイオンを送達することができる任意の好適な化合物又は分子であり得る。カルシウムイオン源は、カルシウム塩、カルシウム研磨剤、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。場合によっては、カルシウム塩をカルシウム研磨剤とみなすこともあり、又はカルシウム研磨剤をカルシウム塩とみなすこともある。
【0084】
カルシウムイオン源は、カルシウム研磨剤を含み得る。カルシウム研磨剤は、口腔ケア組成物中にカルシウムイオンを提供することができる、及び/又は、口腔ケア組成物が口腔に適用されるときに、口腔にカルシウムイオンを送達することができる、任意の好適な研磨剤化合物であり得る。カルシウム研磨剤は、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム(precipitated calcium carbonate、PCC)、粉砕炭酸カルシウム(ground calcium carbonate、GCC)、チョーク、リン酸二カルシウム、ピロリン酸カルシウム、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のカルシウム研磨剤化合物を含み得る。
【0085】
カルシウムイオン源は、カルシウム塩、又は口腔ケア組成物中にカルシウムイオンを提供することができる、及び/若しくは研磨剤として作用することができない口腔ケア組成物が口腔に適用されたときに、口腔にカルシウムイオンを送達することができる化合物を含み得る。カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、酸化カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、及び/又はこれらの組み合わせなどの1つ以上のカルシウム化合物を含み得る。
【0086】
口腔ケア組成物は、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%のカルシウムイオン源を含み得る。
【0087】
緩衝剤
口腔ケア組成物は、緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、口腔内の選択された部位で特定のpHを維持することができる弱酸又は塩基であり得る。例えば、緩衝剤は、細菌によって生成されるプラーク酸の影響を軽減するために、歯の表面におけるpHを維持することができる。緩衝剤は、口腔ケア組成物中にも存在するイオンの共役酸を含み得る。例えば、カルシウムイオン源が炭酸カルシウムを含む場合、緩衝剤は、重炭酸アニオン(-HCO )を含み得る。緩衝剤は、クエン酸及びクエン酸ナトリウムなどの共役酸/塩基対を含み得る。
【0088】
好適な緩衝系は、リン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩/重炭酸塩、トリス緩衝液、イミダゾール、尿素、ホウ酸塩、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。好適な緩衝剤としては、重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩、グリシン、オルトホスフェート、アルギニン、尿素、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
口腔ケア組成物は、約1%~約30%、約5%~約25%、又は約10%~約20%の1つ以上の緩衝剤を含み得る。
【0090】
バイオフィルム変性剤
口腔ケア組成物は、1つ以上のバイオフィルム変性剤を含み得る。バイオフィルム変性剤は、ポリオール、アンモニア生成化合物、及び/又はグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤を含み得る。
【0091】
ポリオールは、2つ以上のヒドロキシル官能基を有する有機化合物である。ポリオールは、口腔ケア組成物が使用前に保存されている間、スズイオンに弱く会合、相互作用、又は結合することができる任意の好適な化合物であり得る。ポリオールは、式(CHOH)を有する糖化合物の水素化を通して得ることができるポリオールの部類である、糖アルコールであり得る。ポリオールは、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ブチレングリコール、ラクチトール、及び/又はこれらの組み合わせであり得る。口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約70重量%、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約25重量%、又は約20重量%~約80重量%のポリオールを含み得る。
【0092】
アンモニア生成化合物は、口腔への送達時にアンモニアを生成することができる任意の好適な化合物であり得る。好適なアンモニア生成化合物としては、アルギニン、尿素、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。口腔ケア組成物は、約0.01%~約10%、約1%~約5%、又は約1%~約25%の1つ以上のアンモニア生成化合物を含み得る。
【0093】
グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤は、グルコシルトランスフェラーゼを阻害することができる任意の好適な化合物であり得る。グルコシルトランスフェラーゼは、天然のグリコシド結合を確立することができる酵素である。特に、これらの酵素は、虫歯に関連する細菌のために、多糖又はオリゴ糖部分を単糖に分解する。したがって、このプロセスを阻害することができる任意の化合物は、虫歯を予防するのに役立ち得る。好適なグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤としては、オレイン酸、エピカテキン、タンニン、タンニン酸、モエノマイシン、カスポファンギン、エタンブトール、ルフェヌロン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。口腔ケア組成物は、約0.001%~約5%、約0.01%~約2%、又は約1%の1つ以上のグリコシルトランスフェラーゼ阻害剤を含み得る。
【0094】
金属イオン源
口腔ケア組成物は、1つ以上の金属イオンを含む金属イオン源などからの金属を含み得る。金属イオン源は、本明細書に記載されているように、スズイオン源及び/又は亜鉛イオン源を含んでもよい、又はそれに加えてもよい。好適な金属イオン源としては、Sn、Zn、Cu、Mn、Mg、Sr、Ti、Fe、Mo、B、Ba、Ce、Al、In及び/又はこれらの混合物などであるがこれらに限定されない金属イオンを有する化合物が挙げられる。微量金属源は、好適な金属並びに任意の付随するリガンド及び/又はアニオンを含む任意の化合物であり得る。
【0095】
金属イオン源と対をなすことができる好適なリガンド及び/又はアニオンとしては、酢酸、硫酸アンモニウム、安息香酸、臭化物、ホウ酸、炭酸、塩化物、クエン酸、グルコン酸、グリセロリン酸、水酸化物、ヨウ化物、酸化物、プロピオン酸、D-乳酸、DL-乳酸、オルトリン酸、ピロリン酸、硫酸、硝酸、酒石酸、及び/又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
口腔ケア組成物は、約0.01重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.5重量%~約15重量%の金属イオン源を含み得る。
【0097】
抗菌剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の抗菌剤を含み得る。好適な抗菌剤は、口腔内で抗菌活性を提供する任意の分子を含む。好適な抗菌剤としては、ホップ酸、スズイオン源、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、酢酸メンチルグリシル、乳酸メンチル、L-メントール、o-ネオメントール、クロロフィリン銅錯体、フェノール、オキシキノリン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0098】
口腔ケア組成物は、約0.01%~約10%、約1%~約5%、又は約0.5%~約15%の抗菌剤を含み得る。
【0099】
生体活性物質
口腔ケア組成物はまた、歯の再石灰化に好適な生体活性物質も含むことができる。好適な生体活性物質としては、生体活性ガラス、Novamin(商標)、Recaldent(商標)、ヒドロキシアパタイト、1つ以上のアミノ酸、例えば、アルギニン、シトルリン、グリシン、リジン、若しくはヒスチジン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。アルギニンを含む組成物の好適な例は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される米国特許第4,154,813号及び同第5,762,911号にみられる。他の好適な生体活性物質としては、任意のリン酸カルシウム化合物が挙げられる。他の好適な生体活性物質としては、カルシウム源及びホスフェート源を含む化合物が挙げられる。
【0100】
アミノ酸は、アミン官能基、カルボキシル官能基、及び各アミノ酸に特異的な側鎖を含有する有機化合物である。好適なアミノ酸としては、例えば、正又は負の側鎖を有するアミノ酸、酸性又は塩基性の側鎖を有するアミノ酸、極性非荷電側鎖を有するアミノ酸、疎水性側鎖を有するアミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適なアミノ酸としては、例えば、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロピオン酸、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせも挙げられる。
【0101】
生体活性ガラスは、ヒドロキシアパタイトと同様の割合で存在し得るカルシウム及び/又はホスフェートを含んでいる。これらのガラスは、組織に結合でき、生体適合性である。生体活性ガラスとしては、ホスホペプチド、カルシウム源、ホスフェート源、シリカ源、ナトリウム源、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0102】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約10重量%の生体活性物質を含んでもよい。
【0103】
研磨剤
口腔ケア組成物は、本明細書に記載のカルシウム研磨剤、及び/又は非カルシウム研磨剤、例えば、ベントナイト、シリカゲル(それ自体、及び任意の構造のもの)、沈降シリカ、非晶質沈降シリカ(それ自体、及び更に任意の構造のもの)、水和シリカ、パーライト、二酸化チタン、ピロリン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、アルミナ、水和アルミナ、焼成アルミナ、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、粒子状熱硬化性樹脂、及び他の好適な研磨材料を含み得る。このような材料を口腔ケア組成物に導入して、標的歯磨剤製剤の研磨特性を調整することができる。口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約5重量%~約70重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%の非カルシウム研磨剤を含み得る。
【0104】
あるいは、口腔ケア組成物は、シリカ、アルミナ、又は任意の他の非カルシウム研磨剤を実質的に含まない、本質的に含まない、又は含まない場合がある。口腔ケア組成物は、約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、又は0%の非カルシウム研磨剤、例えば、シリカ及び/又はアルミナを含み得る。
【0105】

本発明の口腔ケア組成物は、無水、低含水製剤、又は高含水製剤であり得る。合計で、口腔ケア組成物は、組成物の0重量%~約99重量%、約5重量%~約75重量%、約20重量%以上、約30重量%以上、又は約50重量%以上の水を含み得る。好ましくは、水は、USP水である。
【0106】
高含水口腔ケア組成物及び/又は練り歯磨き製剤では、口腔ケア組成物は、組成物の約45重量%~約75重量%の水を含む。高含水口腔ケア組成物及び/又は練り歯磨き製剤は、組成物の約45重量%~約65重量%、約45重量%~約55重量%、又は約46重量%~約54重量%の水を含み得る。水は、高含水製剤に添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に組み込まれてもよい。
【0107】
低含水口腔ケア組成物及び/又は練り歯磨き製剤では、口腔ケア組成物は、組成物の約5重量%~約45重量%の水を含む。低含水口腔ケア組成物は、組成物の約5重量%~約35重量%、約10重量%~約25重量%、又は約20重量%~約25重量%の水を含み得る。水は、低含水製剤に添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に組み込まれてもよい。
【0108】
無水口腔ケア組成物及び/又は練り歯磨き製剤では、口腔ケア組成物は、組成物の約10重量%未満の水を含む。無水組成物は、組成物の約5重量%未満、約1重量%未満、又は0重量%の水を含む。水は、無水製剤に添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に組み込まれてもよい。
【0109】
マウスリンス製剤は、約75%~約99%、約75%~約95%、又は約80%~約95%の水を含む。
【0110】
組成物はまた、アルコール、保湿剤、ポリマー、界面活性剤、及び許容性改善剤、例えば着香剤、甘味剤、着色剤及び/又は冷感剤などの、他の経口的に許容し得る担体材料を含み得る。
【0111】
pH
開示される組成物のpHは、約4~約10、約7~約10、7超~約10、8超~約10、7超、7.5超、8超、9超、又は約8.5~約10であり得る。
【0112】
亜鉛イオン源
口腔ケア組成物は、亜鉛イオン源などからの亜鉛を含み得る。亜鉛イオン源は、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、亜鉛グリシネート、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、及び/又は炭酸亜鉛などの1つ以上の亜鉛含有化合物を含み得る。亜鉛イオン源は、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、及び/又はクエン酸亜鉛などのフッ化物フリーの亜鉛イオン源であり得る。
【0113】
亜鉛イオン源は、全口腔ケア組成物中に、歯磨剤組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。
【0114】
ポリホスフェート
口腔ケア組成物は、ポリホスフェート源などからのポリホスフェートを含み得る。ポリホスフェート源は、1つ以上のポリホスフェート分子を含み得る。ポリホスフェートは、オルトホスフェートの脱水及び縮合によって様々な鎖長の直鎖及び環状ポリホスフェートをもたらすことにより、得られる物質の部類である。したがって、ポリホスフェート分子は、一般に、以下に記載されるように、ポリホスフェート分子の平均数(n)で同定される。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、いくつかの環状誘導体が存在する場合もある。
【0115】
好ましいポリホスフェートは、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷並びに表面の親水性特徴を強化するように、平均して2つ以上のホスフェート基を有するものである。本発明において好ましいものは、式:XO(XPOX(式中、Xは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、又は任意の他のアルカリ金属カチオンであり、nは、平均約2~約21である)を有する直鎖状ポリホスフェートである。カルシウムなどのアルカリ土類金属カチオンは、フッ化物イオン及びアルカリ土類金属カチオンを含む水溶液から不溶性フッ化物塩を形成する傾向があるため、好ましくない。したがって、本明細書に開示される口腔ケア組成物は、ピロリン酸カルシウムを含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0116】
好適なポリホスフェート分子のいくつかの例としては、例えば、ピロホスフェート(n=2)、トリポリホスフェート(n=3)、テトラポリホスフェート(n=4)、ソーダフォスポリホスフェート(n=6)、ヘキサフォスポリホスフェート(n=13)、ベネフォスポリホスフェート(n=14)、Glass Hとしても知られるヘキサメタホスフェート(n=21)を挙げることができる。ポリホスフェートとしては、FMC Corporation、ICL Performance Products、及び/又はAstarisによって製造されるポリホスフェート化合物を挙げることができる。
【0117】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1~約20重量%、又は約10重量%以下のポリホスフェート源を含み得る。
【0118】
保湿剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の保湿剤を含んでいてもよく、低濃度の保湿剤を有していてもよく、保湿剤を本質的に含んでいなくてもよく、実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。保湿剤は、口腔ケア組成物又は歯磨剤に粘性(body)又は「口当たり」を加えるだけでなく、歯磨剤が乾燥するのを防止する役割を果たす。好適な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(様々な異なる分子量で)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ブチレングリコール、ラクチトール、加水分解水添デンプン、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。口腔ケア組成物は、それぞれ口腔ケア組成物の0~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約80重量%の濃度で1つ以上の保湿剤を含み得る。
【0119】
界面活性剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、組成物をより美容的に許容可能にするために使用することができる。界面活性剤は、好ましくは、組成物に洗浄性及び起泡性を付与する洗浄性材料である。好適な界面活性剤は、安全かつ有効な量のアニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、両性、及びベタイン界面活性剤である。
【0120】
好適なアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル基中に8~20個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩、及び8~20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類のアニオン性界面活性剤の例である。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのサルコシネートが挙げられる。アニオン性界面活性剤の組み合わせも使用することができる。
【0121】
別の好適な部類のアニオン性界面活性剤は、アルキルホスフェートである。界面活性有機リン酸剤は、エナメル質表面に対して強い親和性を有し、かつペリクルタンパク質を脱着して、エナメル表面に付着したまま留まる十分な表面結合性を有し得る。有機リン酸化合物の好適な例としては、以下の一般構造によって表され、式中、Z、Z、又はZは同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1つが有機部分である、モノ-、ジ-又はトリエステルが挙げられる。Z、Z、又はZは、任意選択で1個以上のリン酸基により置換される、直鎖状若しくは分枝状の、1~22個の炭素原子のアルキル又はアルケニル基、アルコキシル化アルキル若しくはアルケニル、(ポリ)サッカライド、ポリオール又はポリエーテル基から選択され得る。
【0122】
【化8】

いくつかの他の剤としては、以下の構造によって表されるアルキル又はアルケニルリン酸エステルが挙げられ、
【0123】
【化9】
式中、Rは、任意選択で1個以上のリン酸基により置換される、直鎖状若しくは分枝状の、6~22個の炭素原子のアルキル又はアルケニル基を表し、n及びmは、独立してかつ別個に、2~4であり、a及びbは、独立してかつ別個に、0~20であり、Z及びZは、同一であっても又は異なってもよく、それぞれ、水素、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミンなどのプロトン化したアルキルアミン若しくはプロトン化した官能性アルキルアミン、又はR-(OCH2)(OCH)-基を表す。好適な剤の例としては、アルキル及びアルキル(ポリ)アルコキシホスフェート、例えば、ラウリルホスフェート;PPGSセテアレス-10ホスフェート;ラウレス-1ホスフェート;ラウレス-3ホスフェート;ラウレス-9ホスフェート;トリラウレス-4ホスフェート;C12~18PEG9リン酸塩:及びジラウレス-10リン酸ナトリウムが挙げられる。アルキルホスフェートは、ポリマーであり得る。ポリマーアルキルホスフェートの例としては、高分子部分としての反復アルコキシ基、具体的には、3つ以上のエトキシ、プロポキシイソプロポキシ、又はブトキシ基を含有するものが挙げられる。
【0124】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、サルコシネート、イセチオネート、及びタウレート、特にそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩である。例としては、ラウロイルサルコシネート、ミリストイルサルコシネート、パルミトイルサルコシネート、ステアロイルサルコシネート、オレオイルサルコシネート、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0125】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸ナトリウム若しくはカリウム、アシルイセチオネート、アシルメチルイセチオネート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルアラニネート、アシルグルタム、アシルグリシネート、アシルサルコシネート、メチルアシルタウリン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホネート、アルキルベンズスルホネート、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウリルグルコシドヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、及び/又は組み合わせが挙げられる。
【0126】
本明細書において有用な双極性又は両性界面活性剤としては、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうちの1つが8~18個の炭素原子を含有し、1つが例えばカルボキシ、スルホン酸、硫酸、リン酸、又はホスホン酸などのアニオン性水可溶化基を含有する、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。好適なベタイン界面活性剤は、米国特許第5,180,577号に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタインとしては、デシルベタイン、すなわち2-(N-デシル-N,N-ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン、すなわち2-(N-ココ-N,N-ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタインなどが挙げられる。アミドベタインは、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン(CADB)、及びラウラミドプロピルベタインによって例示され得る。他の好適な両性界面活性剤としては、ベタイン、スルタイン、ラウリルアンホ酢酸ナトリウム、アルキルアンホジアセテート、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0127】
本発明において有用なカチオン性界面活性剤としては、例えば、8~18個の炭素原子を含有する1本の長いアルキル鎖を有する四級アンモニウム化合物の誘導体、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム;塩化セチルピリジニウム;臭化セチルトリメチルアンモニウム;フッ化セチルピリジニウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0128】
本発明の組成物中で使用できる非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキレンオキシド基(性質上は親水性)と、性質上は脂肪族又はアルキル芳香族であってもよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、ポロキサマーであるPluronics(登録商標)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合から誘導される生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、並びにこのような材料の組み合わせを挙げることができる。他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルカミド、アルキルグルコシド、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0129】
1つ以上の界面活性剤はまた、1つ以上の天然及び/又は天然由来の界面活性剤を含んでいてもよい。天然界面活性剤としては、天然物由来の界面活性剤、及び/又は最低限の加工がされた、若しくは未加工の界面活性剤を挙げることができる。天然界面活性剤としては、水素添加、非水素添加、又は部分水素添加植物油、野菜油、チャボトケイソウ油、キャンデリラろう、ココ-カプリレート、カプレート、ジカプリリルエーテル、ラウリルアルコール、ミリスチルミリステート、ジカプリリルエーテル、カプリル酸、カプリルエステル、オクチルデカノエート、オクチルオクタノエート、ウンデカン、トリデカン、デシルオレエート、オレイン酸デシルエステル、セチルパルミテート、ステアリン酸、パルミチン酸、グリセリルステアレート、水素添加、非水素添加、又は部分水素添加植物グリセリド、ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート、セテアリルアルコール、スクロースポリステアレート、グリセリン、オクタドデカノール、水素添加、部分水素添加、又は非水素添加植物タンパク質、水素添加、部分水素添加、又は非水素添加小麦タンパク質加水分解物、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、グリセリルオレエート、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ナトリウムセテアリルサルフェート、セテアリルアルコール、グリセリルラウレート、カプリントリグリセリド、ココ-グリセリド、レシチン(lectithin)、ジカプリリルエーテル、キサンタンガム、ナトリウムココ-サルフェート、アンモニウムラウリルサルフェート、ナトリウムココイルサルフェート、ナトリウムココイルグルタメート、ポリアルキルグルコシド、例えば、デシルグルコシド、セテアリルグルコシド、セチルステアリルポリグルコシド、ココ-グルコシド、及びラウリルグルコシド、並びに/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。天然界面活性剤としては、例えば、CegeSoft(登録商標)、Cetiol(登録商標)、Cutina(登録商標)、Dehymuls(登録商標)、Emulgade(登録商標)、Emulgin(登録商標)、Eutanol(登録商標)、Gluadin(登録商標)、Lameform(登録商標)、LameSoft(登録商標)、Lanette(登録商標)、Monomuls(登録商標)、Myritol(登録商標)、Plantacare(登録商標)、Plantaquat(登録商標)、Platasil(登録商標)、Rheocare(登録商標)、Sulfopon(登録商標)、Texapon(登録商標)、及び/又はこれらの組み合わせなどのBASFから販売される天然成分のうち任意のものを挙げることができる。
【0130】
界面活性剤の他の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸、ミリストイルサルコシン酸、パルミトイルサルコシン酸、ステアロイルサルコシン酸及びオレオイルサルコシン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、モノステアリン酸、イソステアリン酸及びラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン、N-ラウロイル、N-ミリストイル、又はN-パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム及びエタノールアミン塩、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パルミチルベタイン、ココイルグルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。望ましい追加の界面活性剤としては、グルタミン酸の脂肪酸塩、アルキルグルコシド、タウリン酸の塩、ベタイン、カプリレート、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。口腔ケア組成物はまた、サルフェートフリーであってもよい。
【0131】
口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤をそれぞれ口腔ケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.3重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約2.5重量%の濃度で含み得る。
【0132】
増粘剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の増粘剤を含み得る。増粘剤は、口腔ケア組成物において、歯磨剤及び/又は練り歯磨きを相分離しないように安定化させるゼラチン構造を提供するのに有用であり得る。好適な増粘剤としては、多糖類、ポリマー、及び/又はシリカ増粘剤が挙げられる。
【0133】
増粘剤は、1つ以上の多糖類を含み得る。多糖類のいくつかの非限定例としては、デンプン;デンプンのグリセライト;ガム、例えば、カラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアーガム、及びセルロースガム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum);カラギーナン;アルギン酸ナトリウム;寒天;ペクチン;ゼラチン;セルロース化合物、例えばセルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及び硫酸化セルロース;天然及び合成粘土、例えば、ヘクトライト粘土;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0134】
本明細書において使用するのに好適な他の多糖類としては、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カルボマー、ポロキサマー、変性セルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。カラギーナンは、海藻由来の多糖類である。その海藻源によって区別され得る、及び/又は硫酸化の程度及び位置によって区別され得る複数種類のカラギーナンが存在する。増粘剤としては、κ-カラギーナン、変性κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、修飾ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、及びこれらの混合物を挙げることができる。本明細書での使用に好適なカラギーナンとしては、FMC Companyからシリーズ名「Viscarin」で市販されているものが挙げられ、限定するものではないが、Viscarin TP 329、Viscarin TP 388、及びViscarin TP 389が挙げられる。
【0135】
増粘剤は、1つ以上のポリマーを含み得る。ポリマーは、口腔ケア組成物の様々な重量パーセントの、及び様々な範囲の平均分子範囲の、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸、少なくとも1つのアクリル酸モノマーから誘導されたポリマー、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマーであり得る。あるいは、口腔ケア組成物は、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマーを含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0136】
増粘剤は、1つ以上の無機増粘剤を含み得る。好適な無機増粘剤のいくつかの非限定的な例としては、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ増粘剤が挙げられる。有用なシリカ増粘剤としては、例えば、非限定的な例として、ZEODENT(登録商標)165シリカなどの非晶質沈降シリカが挙げられる。他の非限定的なシリカ増粘剤としては、全てEvonik Corporationから入手可能なZEODENT(登録商標)153、163、及び167、並びにZEOFREE(登録商標)177及び265シリカ製品、並びにAEROSIL(登録商標)ヒュームドシリカが挙げられる。
【0137】
口腔ケア組成物は、0.01%~約15%、0.1%~約10%、約0.2%~約5%、又は約0.5%~約2%の1つ以上の増粘剤を含むことができる。
【0138】
プレニル化フラボノイド
本発明の口腔ケア組成物は、プレニル化フラボノイドを含み得る。フラボノイドは、広範囲の果物、野菜、穀物、樹皮、根、茎、花、茶、及びワインにみられる天然物質の群である。フラボノイドは、抗酸化、抗炎症、抗変異原性、抗癌、及び抗菌の効果などの健康に対する様々な有益な効果を有し得る。プレニル化フラボノイドは、細胞膜への結合を促進するために既に同定されている、少なくとも1つのプレニル官能基(式VIIIに示されるような3-メチルブタ-2-エン-1-イル)を含むフラボノイドである。したがって、理論に束縛されることを望むものではないが、フラボノイドへのプレニル基の付加、すなわちプレニル化は、親分子の親油性を高め、プレニル化分子の細菌細胞膜への浸透を改善することによって、元のフラボノイドの活性を増加させることができると考えられる。親油性を高めて細胞膜への浸透を増加させることは、プレニル化フラボノイドが高LogP値(高親油性)では不溶性に向かう傾向があるため、両刃の剣であり得る。LogPは、抗菌有効性の重要な指標であり得る。
【0139】
したがって、用語「プレニル化フラボノイド」は、1つ以上のプレニル官能基を有する天然にみられるフラボノイド、合成的に付加されたプレニル官能基を有するフラボノイド、及び/又は合成的に付加された追加のプレニル官能基を有するプレニル化フラボノイドを含み得る。
【0140】
【化10】
式VIII.分子の他の部分を表すRを有するプレニル官能基
【0141】
プレニル化分子の構造-活性関係(例えば、構造-MIC関係)を改善する親分子の他の好適な官能基は、親フラボノイドの芳香環のうちの1つ以上の置換された窒素若しくは酸素、アルキルアミノ鎖、又はアルキル鎖を含有する追加の複素環を含む。
【0142】
フラボノイドは、少なくとも2つのフェニル環及び少なくとも1つの複素環式環を有する15炭素骨格を有し得る。いくつかの好適なフラボノイド骨格は、式IX(フラボン骨格)、式X(イソフラバン骨格)、及び/又は式XI(ネオフラボノイド骨格)に示され得る。
【0143】
【化11】
式IX.フラボン骨格
【0144】
【化12】
式X.イソフラバン骨格
【0145】
【化13】
式XI.ネオフラバノイド骨格
【0146】
フラボノイドの他の好適な下位群としては、アントシアニジン、アントキサンチン、フラバノン、フラバノノール、フラバン、イソフラボノイド、カルコン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0147】
プレニル化フラボノイドは、合成有機化学の当業者に知られている様々な合成プロセスを通して、1つ以上のプレニル官能基を付加するために合成的に改変された天然に単離されたプレニル化フラボノイド又は天然に単離されたフラボノイドを含み得る。
【0148】
他の好適なプレニル化フラボノイドとしては、ババカルコン、ババチン、ババチニン、コリリホールA、エピメジンA、エピメジンA1、エピメジンB、エピメジンC、イカリイン、イカリシドI、イカリシドII、イカリチン、イソババカルコン、イソキサントフモール、ネオババイソフラボン、6-プレニルナリンゲニン、8-プレニルナリンゲニン、ソフォラフラバノンG、(-)-ソフォラノン、キサントフモール、ケルセチン、マセリグナン、クラリジン、クラリノン、クワノンG、クワノンC、パンデュラチンA、6-ゲラニルナリンゲニン、アウストラロンA、6,8-ジプレニルエリオジクチオール、ドルスマニンC、ドルスマニンF、8-プレニルケンフェロール、7-O-メチルテオン、ルテオン、6-プレニルゲニステイン、イソウィテオン、ルピウィテオン、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。他の好適なプレニル化フラボノイドとしては、カンフラビンA、カンフラビンB、及び/又はカンフラビンCなどのカンナフラビンが挙げられる。
【0149】
好ましくは、プレニル化フラボノイドは、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌(S. aureus)については、約25ppm未満のMICを有する可能性が高い。好適なプレニル化フラボノイドとしては、ババチン、ババチニン、コリリホールA、イカリチン、イソキサントフモール、ネオババイソフラボン、6-プレニルナリンゲニン、8-プレニルナリンゲニン、ソフォラフラバノンG、(-)-ソフォラノン、クラリノン、クワノンC、パンデュラチンA、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0150】
好ましくは、プレニル化フラボノイドは、グラム陰性菌である大腸菌(E. coli)については、約25ppm未満のMICを有する可能性が高い。好適なプレニル化フラボノイドとしては、ババチニン、イソキサントフモール、8-プレニルナリンゲニン、ソフォラフラバノンG、クラリノン、パンデュラチンA、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0151】
約1000種のプレニル化フラボノイドが植物から同定されている。これまでに報告されているプレニル化フラボノイドの数によれば、プレニル化フラボノンが最も一般的なサブクラスであり、プレニル化フラバノールが最も稀なサブクラスである。天然のプレニル化フラボノイドは、多様な構造的特徴を有することが検出されているにもかかわらず、植物において狭い分布を有し、これらは、ほぼ全ての植物に存在するので親フラボノイドとは異なる。プレニル化フラボノイドのほとんどは、アサ科(Cannabaceae)、オトギリソウ科(Guttiferae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、ミカン科(Rutaceae)、及びセリ科(Umbelliferae)を含む科にみられる。マメ科及びクワ科は、果物及び野菜として消費されるので、最も頻繁に調査されている科であり、多くの新規のプレニル化フラボノイドが探索されている。アサ科のフムルス・ルプルスは、ビールの健康効果において重要な役割を果たすことができる8-プレニルナリンゲニン及びキサントフモールを含む。
【0152】
プレニル化フラボノイドは、ホップ抽出物を通して組み込まれてもよく、別々に添加される抽出物に組み込まれてもよく、又は本明細書に開示される口腔ケア組成物の別個の成分として添加されてもよい。
【0153】
好適なプレニル化フラボノイドは、特定のオクタノール-水分配係数を有し得る。オクタノール-水分配係数は、化合物の親油性を予測するために使用することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載の範囲内の化合物は、微生物の細胞膜を構成する主に疎水性のリン脂質二重層に侵入する及び/又はそれを破壊することができると考えられる。したがって、オクタノール-水分配係数は、プレニル化フラボノイドの抗菌効果と相関し得る。好適なプレニル化フラボノイドは、少なくとも約2、少なくとも約4、約2~約10、約4~約10、約4~約7、又は約4~約7のlog Pを有し得る。
【0154】
口腔ケア組成物は、少なくとも約0.001%、約0.001%~約5%、約0.01%~約2%、約0.0001%~約2%、又は少なくとも約0.05%のプレニル化フラボノイドを含み得る。
【0155】
他の成分
口腔ケア組成物は、以下に記載されるように、着香剤、甘味料、着色剤、防腐剤、緩衝剤、又は口腔ケア組成物での使用に好適な他の成分などの様々な他の成分を含み得る。
【0156】
着香剤を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、カッシア、酢酸1-メンチル、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4-cis-ヘプテナール、ジアセチル、パラ-tert-ブチルフェニル酢酸メチル、及びこれらの混合物が挙げられる。清涼剤も風味剤系の一部であってもよい。本組成物に好ましい清涼剤は、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド(商業的に「WS-3」として知られている)のようなパラメンタンカルボキシアミド剤、又はN-(エトキシカルボニルメチル)-3-p-メンタンカルボキシアミド(商業的に「WS-5」として知られている)、及びこれらの混合物である。風味剤系は、一般に組成物中で、口腔ケア組成物の約0.001重量%~約5重量%の濃度で用いられる。これらの着香剤は、一般に、アルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸、並びに脂肪族アルコール、芳香族アルコール、及び他のアルコールの混合物を含む。
【0157】
製品に快い味を付与するために、甘味料を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な甘味料としては、サッカリン(サッカリンナトリウム、サッカリンカリウム又はサッカリンカルシウムとして)、チクロ(ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩として)、アセスルファムK、タウマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリチルリチン、デキストロース、レブロース、スクロース、マンノース、スクラロース、ステビア、及びグルコースが挙げられる。
【0158】
製品の審美的外観を改善するために、着色剤を添加してもよい。好適な着色剤としては、限定するものではないが、FDAなどの適切な規制機関によって承認された着色剤、及び欧州食品医薬品指令に列挙されている着色剤が挙げられ、TiOなどの顔料、並びにFD&C染料及びD&C染料などの色素を含む。
【0159】
細菌増殖を防止するために、防腐剤もまた、口腔ケア組成物に添加されてもよい。メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及び安息香酸ナトリウムなどの、口腔用組成物中での使用が承認された適切な防腐剤を、安全かつ有効な量で添加することができる。
【0160】
二酸化チタンもまた本発明の組成物に加えられてもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に、口腔ケア組成物の約0.25重量%~約5重量%を構成する。
【0161】
減感剤、治癒剤、他のう蝕予防剤、キレート剤/金属イオン封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、他の抗歯垢/抗歯石剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素類、酵素類、pH調整剤、酸化剤、酸化防止剤などの他の成分を、口腔ケア組成物中で使用することができる。
【0162】
組み合わせ
A.
(a)
(i)第1の治療量以下の抗う蝕剤、
(ii)第2の治療量以下の抗う蝕剤
を含む、第1の虫歯予防口腔ケア組成物と、
(b)治療量の抗う蝕剤を含む第2の虫歯予防口腔ケア組成物と、
を含む、虫歯予防口腔ケア組成物のアレイ。
B.第1の虫歯予防口腔ケア組成物が、フッ化物を含まない、Aに開示されるアレイ。
C.第1の治療量以下の抗う蝕剤が、ホップを含み、好ましくは、ホップが、ホップ抽出物、フムルス・ルプルス抽出物、合成的に誘導されたホップ化合物、それらの塩、それらのプロドラッグ、又はそれらの組み合わせを含む、A又はBに開示されるアレイ。
D.ホップが、ホップアルファ酸、ホップイソアルファ酸、ホップベータ酸、又はそれらの組み合わせを含む、A~Cのいずれかに開示されるアレイ。
E.ホップが、ホップベータ酸を含み、好ましくは、ホップベータ酸が、ルプロン、アドルプロン、コルプロン、又はそれらの組み合わせを含む、Dに開示されるアレイ。
F.ホップが、ホップの1重量%未満のホップアルファ酸を含む、D又はEに開示されるアレイ。
G.口腔ケア組成物が、スズ、亜鉛、カルシウム、又はこれらの組み合わせを含み、好ましくは、口腔用組成物が、スズ、亜鉛、又はこれらの組み合わせを含む、A~Fのいずれかに開示されるアレイ。
H.スズが、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、又はこれらの組み合わせを含む、Gに開示されるアレイ。
I.亜鉛が、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、又はこれらの組み合わせを含む、G又はHに開示されるアレイ。
J.カルシウムが、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、又はこれらの組み合わせを含む、G~Iのいずれかに開示されるアレイ。
K.第1の治療量以下の抗う蝕剤がホップベータ酸を含み、第2の治療量以下の抗う蝕剤が塩化第一スズを含む、D~Jのいずれかに開示されるアレイ。
L.第2の治療量以下の抗う蝕剤が、フッ化物を含み、好ましくは、フッ化物が、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化アミン、又はこれらの組み合わせを含む、A~Jのいずれかに開示されるアレイ。
【実施例
【0163】
本発明は、以下の実施例によって更に例示され、これは、いかなる方法であっても本発明の範囲に制限を課すものとして解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、それらの様々な他の態様、修正、及び均等物が、当業者に想到され得る。
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
表3A及び表3Bは、カテゴリーAに入る例示的な組成物を記載する。好適な例としては、治療用量のフッ化物を含む組成物が挙げられる。表3Aは、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、及び/又はモノフルオロリン酸ナトリウムなどのフッ化物を、研磨剤、増粘剤、金属イオン源、保湿剤などの様々な他の成分と組み合わせた練り歯磨き組成物を提供する。表3Bは、カテゴリーA(治療用量のフッ化物)に入り得るマウスリンスの例を記載する。
【0167】
【表5】
【0168】
表4は、カテゴリーBに入る組成物を示し、これは、治療用量のフッ化物及び治療用量以下の第2の抗う蝕剤(例えば、ホップ)を有する組成物である。
【0169】
【表6】
【0170】
表5は、カテゴリーCに入る組成物を示し、これは、治療用量以下のフッ化物及び治療用量以下の第2の抗う蝕剤(例えば、ホップ)を有するが、共同では治療レベルの抗う蝕及び/又は虫歯予防効果を有する組成物である。
【0171】
【表7】
【0172】
表6は、カテゴリーDに入る組成物を示し、これは、治療用量以下の第1の抗う蝕剤及び治療用量以下の第2の抗う蝕剤を有するが、共同では治療レベルの抗う蝕及び/又は虫歯予防効果を有する組成物である。
【0173】
【表8】
【0174】
表7は、Hopsteiner(登録商標)によって提供されたホップベータ酸抽出物を記載する。ホップベータ酸は抽出物として提供されるので、特定の成分の量に若干のばらつきがある場合がある。しかしながら、抽出物は、抽出物のおよそ45重量%のホップベータ酸及び抽出物のおよそ約0.4重量%のホップアルファ酸を含む。これは、典型的にはホップベータ酸よりも多くのホップアルファ酸を有する以前のホップ抽出物とは劇的に異なる。ホップベータ酸抽出物中に他の微量成分が存在していてもよい。
【0175】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0176】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0177】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】