IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジダン メディカル インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-542052肺腫瘍を治療するためのシステム及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】肺腫瘍を治療するためのシステム及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538656
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 US2021046068
(87)【国際公開番号】W WO2022046443
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/071,805
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523072588
【氏名又は名称】ジダン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】ライナ シャシャンク
(72)【発明者】
【氏名】サベサン シヴクマール
(72)【発明者】
【氏名】ゲルファント マーク
(72)【発明者】
【氏名】タイミスト ミリアム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK20
4C160KK24
4C160KK58
4C160KK63
4C160KK64
4C160MM32
(57)【要約】
肺組織の標的部位の治療のためのシステムは、導電性流体源と、標的部位に配置されるカテーテルの遠位部にある導電性流体排出口との間に介在するように構成され、導電性流体排出口が、肺組織の標的部位に、またはその近傍に配置可能である、流量調整器であって、流体源から来て導電性流体排出口を通って標的部位に送達される導電性流体の流量またはボーラス投与量を制御するようにさらに構成される流量調整器と、カテーテルの遠位部に取り付けられるアブレーション電極と、流量調整器を制御するように構成され、アブレーションエネルギ源からアブレーション電極に伝達される電力を制御するように構成される、コントローラであって、制御パラメータの1つ以上の値を受信し、電力がアブレーション電極に伝達される間、アブレーションエネルギ源からアブレーション電極への電力の伝達を制御し、流量調整器を制御して、導電性流体排出口に送達される導電性流体の流れを調整することによって、標的部位の温度を第1温度範囲内に維持し、導電性流体排出口に送達される導電性流体の量を決定し、閾値量に到達する導電性流体の量に応答して、導電性流体排出口への導電性流体の流れを停止し、導電性流体排出口への導電性流体の流れの停止の間、アブレーション電極に伝達される電力を調整することによって、標的部位の温度を第2温度範囲に維持するように構成される、コントローラと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺組織の標的部位の治療のためのシステムであって、
前記肺組織の標的部位に、またはその近傍に、カテーテルの遠位部を配置するために、肺の気道内へ気管支内を前進するように構成されるカテーテルと、
導電性流体源と、前記カテーテルの遠位部にある導電性流体排出口との間に介在するように構成される流量調整器であって、前記流体源から前記導電性流体排出口を通って前記標的部位に送達される導電性流体の流量またはボーラス投与量を制御するように構成される、流量調整器と、
前記カテーテルの遠位部に取り付けられるアブレーション電極と、
コントローラであって、
アブレーションエネルギ源から前記アブレーション電極への電力の伝達を制御し、
前記流量調整器を制御して、前記導電性流体排出口に送達される前記導電性流体の流れまたはボーラス投与を調整することによって、前記標的部位または前記カテーテルの遠位部における温度を第1温度範囲内に維持し、
前記導電性流体排出口を通って送達される前記導電性流体の量を決定し、
閾値量に到達する前記導電性流体の量に応答して、前記導電性流体排出口への前記導電性流体の流れまたはボーラス投与を停止し、または最小限にし、
前記導電性流体排出口への前記導電性流体の流れまたはボーラス投与を停止または最小限にする間、前記アブレーション電極への電力の伝達を調整することによって、前記標的部位または前記カテーテルの遠位部における温度を第2温度範囲内に維持する、
ように構成されるコントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1及び/または第2温度範囲は、86℃~94℃、または80℃~100℃、または85℃~95℃、または90℃、または目標温度の5%以内であり、必要に応じて、前記第1及び第2温度範囲は、実質的に同一である、システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムであって、前記流量調整器を制御するステップは、前記標的部位の温度が、実質的に、前記第1温度範囲内の予め定められた温度である間に、前記導電性流体排出口への前記導電性流体の流れを停止する、または最小限にすることを含む、システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のシステムであって、前記閾値量は、10mL~20mLの範囲であり、必要に応じて、前記閾値量は、20ml、15ml及び10mlのうちの1つである、システム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、電力が前記アブレーション電極に印可される間、前記導電性流体の量が前記閾値量に到達するまで、前記アブレーション電極へ実質的に一定の電力レベルで伝達されるように、伝達される電力を設定する、システム。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のシステムであって、前記アブレーション電極に伝達される電力は、50W~80W、55W~75W、55W~65W、または60Wの5%以内のうちの1つの範囲内に維持される、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記アブレーション電極に伝達される電力は、前記導電性流体の流れの停止後に、5W~20Wだけ減少される、システム。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のシステムであって、前記導電性流体の量が前記閾値量に到達した後、前記コントローラは、前記アブレーション電極に伝達される電力を、前記導電性流体が前記導電性流体排出口へ送達される間に前記アブレーション電極に伝達される電力レベル未満に減少させる、システム。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記導電性流体排出口に送達される導電性流体の塩分濃度を調整するために、前記流量調整器を制御するようにさらに構成される、システム。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、比例-積分-微分(PID)コントローラである、システム。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、
前記肺組織の標的部位に、またはその近傍に存在する物質の温度(T)、圧力(P)、電気インピーダンス(Z)及び導電率(C)のうちの少なくとも1つの物理的特性を示す制御パラメータの値を検出するセンサによって検出される値を受信するようにさらに構成され、
前記コントローラは、
前記制御パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて前記アブレーション電極に伝達される電力を制御し、かつ/または、
前記流量調整器を制御して、前記制御パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて前記導電性流体排出口に送達される前記導電性流体の流れを調整する、
ようにさらに構成される、システム。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載のシステムであって、
前記アブレーション電極の近位、且つ、前記液体排出口の近位でフレキシブルシャフトに取り付けられる第1閉鎖栓をさらに備え、前記第1閉鎖栓は、前記気道を閉塞するために拡張するように構成される、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記フレキシブルシャフトと、前記アブレーション電極とのアセンブリの外径は、2.0mm以下である、システム。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、
前記肺組織内の標的部位の外側に配置されるセンサによって検出される値を受信し、前記センサは、前記肺組織の標的部位の外側の肺組織の温度(T)、圧力(P)、電気インピーダンス(Z)、及び導電率(C)のうちの少なくとも1つである物理的特性を示す制御パラメータの値を検出し、
前記センサによって検出され、受信した値に応じて、前記導電性流体排出口への前記導電性流体の流れの送達を減少させるか、または停止する、
ようにさらに構成される、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、前記導電性流体排出口への前記導電性流体の流れの送達は、前記受信した値が、前記標的部位の外側の肺組織への前記導電性流体の導入を示すとの前記コントローラによる判断に応答して減少されるか、または停止される、システム。
【請求項16】
肺組織の標的部位の治療のためのシステムであって、
前記肺組織の標的部位に、またはその近傍に、カテーテルの遠位部を配置するために、肺の気道内へ気管支内を前進するように構成されるカテーテルと、
導電性流体源と前記カテーテルの遠位部にある導電性流体排出口との間に介在するように構成される流量調整器であって、前記流体源から前記導電性流体排出口を通って前記標的部位に至る導電性流体の送達を制御するように構成される、流量調整器と、
前記カテーテルの遠位部に取り付けられるアブレーション電極と、
コントローラであって、
アブレーションエネルギ源から前記アブレーション電極への電力の伝達を制御し、
前記流量調整器を制御して、前記流体源から、前記導電性流体排出口を通って前記標的部位に送達される導電性流体の流量またはボーラス投与量を制御する、
ように構成されるコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記コントローラが、導電性流体を送達するように前記流量調整器に指令し、同時に、前記アブレーションエネルギ源から前記アブレーション電極へのRFアブレーションエネルギの伝達を指令する、灌流アブレーション段階と、
前記コントローラが、導電性流体の送達を実質的に停止するように前記流量調整器に指令し、同時に、前記アブレーションエネルギ源から前記アブレーション電極への前記RFアブレーションエネルギの伝達を指令する、非灌流アブレーション段階と、
を含む手順を実行するようにさらに構成される、システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記灌流アブレーション段階の実行後に、前記非灌流アブレーション段階の実行を指令するように構成される、システム。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載のシステムであって、前記手順は、前記灌流アブレーション段階前に実行される準備段階をさらに含み、前記準備段階において、前記コントローラは、前記アブレーションエネルギ源から前記アブレーション電極への前記RFアブレーションエネルギの伝達を指令する前に、前記導電性流体を送達するように前記流量調整器に指令する、システム。
【請求項19】
請求項16~18の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、
前記流量調整器を制御して、前記導電性流体排出口に送達される前記導電性流体の流れ、またはボーラス投与を調整することによって、前記標的部位内、または前記カテーテルの遠位部における温度を、第1温度範囲内に維持する、
ようにさらに構成される、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記灌流アブレーション段階の間、前記流量調整器を制御して、前記導電性流体排出口に送達される前記導電性流体の流れ、またはボーラス投与を調整することによって、前記標的部位内、または前記カテーテルの遠位部における温度を、前記第1温度範囲内に維持する、ように構成される、システム。
【請求項21】
請求項16~20の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、少なくとも前記灌流アブレーション段階の間に、
前記導電性流体排出口を通って送達される導電性流体の量を決定し、
前記導電性流体の量が閾値量に到達することに応答して、前記導電性流体排出口への前記導電性流体の流れまたはボーラス投与を停止する、または最小限にする、
ようさらに構成される、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記導電性流体排出口への前記導電性流体の流れまたはボーラス投与を、停止または最小限にする間、前記アブレーション電極へ伝達される電力を調整することによって、前記標的部位内、または前記カテーテルの遠位部における温度を、第2温度範囲内に維持するさらなるステップを実行するようにさらに構成される、システム。
【請求項23】
請求項16~21の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記非灌流アブレーション段階の間、前記アブレーション電極へ伝達される電力を調整することによって、前記標的部位内、または前記カテーテルの遠位部における温度を、第2温度範囲に維持するようにさらに構成される、システム。
【請求項24】
先行する請求項の何れか1項に記載のシステムであって、前記アブレーション要素に関連する、または前記カテーテルの遠位部に配置可能な1つ以上の温度センサを備え、制御ユニットは、前記1つ以上の温度センサからの温度フィードバックを受信するように構成される、システム。
【請求項25】
先行する請求項16~18及び20~23の何れか1項に記載のシステムであって、請求項19及び24と組み合わされるとき、前記標的部位内、または前記カテーテルの遠位部における温度を、前記第1温度範囲内に維持するために、前記コントローラは、前記1つ以上の温度センサからの温度フィードバックを考慮する、システム。
【請求項26】
先行する請求項16~21、及び25の何れか1項に記載のシステムであって、請求項22及び24と組み合わされるとき、前記標的部位内、または前記カテーテルの遠位部における温度を、前記第2温度範囲内に維持するために、前記コントローラは、前記1つ以上の温度センサからの温度フィードバックを考慮する、システム。
【請求項27】
先行する請求項16~21、及び25の何れか1項に記載のシステムであって、請求項23及び24と組み合わされるとき、前記標的部位内、または前記カテーテルの遠位部における温度を、前記第2温度範囲内に維持するために、前記コントローラは、前記1つ以上の温度センサからの温度フィードバックを考慮する、システム。
【請求項28】
請求項19~27の何れか1項に記載のシステムであって、前記第1温度範囲は、86℃~94℃、または80℃~100℃、または85℃~95℃、または90℃、または目標温度の5%以内である、システム。
【請求項29】
請求項22~28の何れか1項に記載のシステムであって、前記第2温度範囲は、86℃~94℃、または80℃~100℃、または85℃~95℃、または90℃、または目標温度の5%以内である、システム。
【請求項30】
請求項28及び29に記載のシステムであって、前記第1及び第2温度範囲は、実質的に同一である、システム。
【請求項31】
請求項19~30の何れか1項に記載のシステムであって、前記流量調整器を制御するステップは、前記標的部位内の温度が、実質的に前記第1温度範囲内の予め定められた温度である間、前記導電性流体排出口への前記導電性流体の流れを停止する、または最小限にすることを含む、システム。
【請求項32】
請求項21~31の何れか1項に記載のシステムであって、前記閾値量は、10mL~20mLの範囲内であり、必要に応じて、前記閾値量は、20ml、15ml及び10mlのうちの1つである、システム。
【請求項33】
請求項21~32の何れかに記載のシステムであって、前記コントローラは、電力が前記アブレーション電極に印可される間、前記導電性流体の量が前記閾値量に到達するまで、前記アブレーション電極へ実質的に一定の電力レベルで伝達されるように、伝達される電力を設定する、システム。
【請求項34】
請求項21~33の何れかに記載のシステムであって、前記アブレーション電極に伝達される電力は、50W~80W、55W~75W、55W~65Wまたは60Wの5%以内のうちの1つの範囲に維持される、システム。
【請求項35】
請求項21~34の何れか1項に記載のシステムであって、前記アブレーション電極に伝達される電力は、前記導電性流体の流れの停止後に、5W~20Wだけ減少される、システム。
【請求項36】
請求項21~35の何れか1項に記載のシステムであって、前記導電性流体の量が前記閾値量に到達した後、前記コントローラは、前記アブレーション電極に伝達される電力を、前記導電性流体が前記導電性流体排出口へ送達される間に前記アブレーション電極に伝達される電力レベル未満に減少させる、システム。
【請求項37】
請求項16~36の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記導電性流体排出口に送達される導電性流体の塩分濃度を調整するために、前記流量調整器を制御するようにさらに構成される、システム。
【請求項38】
請求項16~37の何れかに記載のシステムであって、前記コントローラは、比例-積分-微分(PID)コントローラである、システム。
【請求項39】
請求項16~38の何れかに記載のシステムであって、前記コントローラは、前記肺組織の標的部位に、またはその近傍に存在する物質の温度(T)、圧力(P)、電気インピーダンス(Z)及び導電率(C)のうちの少なくとも1つの物理的特性を示す制御パラメータの値を検出するセンサによって検出される値を受信するようにさらに構成される、システム。
【請求項40】
請求項39に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記制御パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて前記アブレーション電極に伝達される電力を制御するようにさらに構成される、システム。
【請求項41】
請求項39または40に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記制御パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、前記導電性流体排出口に送達される前記導電性流体の流れを調整するために、前記流量調整器を制御するようさらに構成される、システム。
【請求項42】
請求項16~41の何れか1項に記載のシステムであって、
前記アブレーション電極の近位、且つ前記液体排出口の近位で前記フレキシブルシャフトに取り付けられる第1閉鎖栓を備え、前記第1閉鎖栓は、前記気道を閉塞するために拡張するように構成される、システム。
【請求項43】
請求項42に記載のシステムであって、前記フレキシブルシャフトと前記アブレーション電極とのアセンブリの外径は、2.0mm以下である、システム。
【請求項44】
請求項16~43の何れか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、
前記肺組織内の標的部位の外側に配置されるセンサによって検出される値を受信し、前記センサは、前記肺組織の標的部位の外側の肺組織の温度(T)、圧力(P)、電気インピーダンス(Z)、及び導電率(C)のうちの少なくとも1つである物理的特性を示す制御パラメータの値を検出し、
前記センサによって検出され、受信した値に応じて、前記導電性流体排出口への導電性流体の流れの送達を減少させるか、または停止する、
ようにさらに構成される、システム。
【請求項45】
請求項44に記載のシステムであって、前記導電性流体排出口への前記導電性流体の流れの送達は、前記受信した値が、前記標的部位の外側の肺組織への前記導電性流体の導入を示すとの前記コントローラによる判断に応答して減少されるか、または停止される、システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2020年8月28日に出願された米国仮出願63/071,805号に基づく優先権を主張し、その出願の全体が参照することにより援用される。
【0002】
[技術分野]
本開示は、概して、悪性肺腫瘍をアブレートするための装置及び方法を対象とし、より詳細には、患者の気道を通るアプローチで肺腫瘍をアブレートすることを対象とする。
【0003】
[背景]
肺癌は、依然として世界における癌関連死の主要な原因のままである。実際に、肺癌は、この国において、毎年、乳癌、結腸癌、及び前立腺癌を合わせたよりも多くの死亡原因である。非小細胞肺癌(NSCLC)は、最も一般的な種類の肺癌であり、それは、癌が生じる肺の内部の細胞の種類に因んで名付けられている。およそ75~80%の肺癌患者が、NSCLCである。早期NSCLCは、原発巣の外側に広範囲に広がっていない癌を指す。肺癌がより早期に発見され、治療されるほど、結果はより良好となる。早期の肺癌に対する現在の標準的治療は、化学療法及び/または放射線療法に続く、可能な限り多くの癌の外科的切除からなる。
【0004】
肺または葉の外科的切除は、非小細胞肺癌(NSCLC)のステージ1または2を治療するためのゴールドスタンダードな治療である。残念ながら、毎年、肺癌と診断される患者の約15%~30%のみが、外科手術適応である。特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を併発する多くの患者は、外科手術に適するとは考えられない。
【0005】
CTガイダンスの下で胸壁を通して挿入される針電極を用いる経皮的肺ラジオ波焼灼療法(RFA)が、原発性及び転移性の肺腫瘍のための治療法の選択肢として次第に採用されるようになってきた。即時の手技成功率は95%を超え、周術期の死亡率は低く、主要合併症の発生率は8~12%であるる。気胸は最も頻度の高い合併症の典型であるけれども、胸腔ドレーンを必要とする症例は10%未満である。持続的な腫瘍の完全寛解が標的病変の85%~90%で報告されている。
【0006】
肺腫瘍の気管支鏡アブレーションは、多くの人々によって、非外科的熱腫瘍アブレーションにおける次のフロンティアとして認識されてきたが、標的部位に、十分な体積の損傷組織を生成するための特殊装置の欠如によって押し留められてきた。この制限は、気管支鏡のワーキングチャネルを通して手術する必要性、アブレーション電極の標的腫瘍への内視鏡的なナビゲートの難しさ、さらに血流によって十分に灌流され、灌流、蒸発及び対流によって冷却され、RF伝送路電気インピーダンスを増加し、また呼吸と同調して標的組織の体積を変形し得る大量の空気を取り入れるといった肺組織特有の性質によってさらに難しくなる。マイクロ波エネルギは空気を通って良好に伝播するので、後者を考慮すると、研究の優先傾向はマイクロ波エネルギに与えられるように誘導される。ただし、本分野において評価される組織のRF加熱には、単純性及び効率性という利点がある。
【0007】
以上の観点から、気管支鏡によりもたらされる肺腫瘍のアブレーションに対する適合性を証明するRFエネルギの伝達方法及び装置の改善の必要性が依然として残されている。肺末梢に近接する腫瘍に到達するために、装置は、可撓性を有し、比較的柔軟で、直径の小さい、好ましくは2mm未満のワーキングチャネルに適合することがさらに望まれる。
【0008】
[概要]
本開示は、肺腫瘍の経気管支アブレーションのための方法、装置、及びシステムに関する。本開示の態様は、
【0009】
組織インピーダンスを減少させ、有効RFエネルギ伝達電極サイズを増大させるために、導電性流体(例えば、HTS)を、気管支内アブレーションカテーテルを通して気道に送達するのに適した装置及びシステムと、
【0010】
標的腫瘍に繋がる気道を閉塞することと、
【0011】
アブレーション電極で、腫瘍、末梢または中央を包囲するかまたは貫通させることと、
【0012】
モノポーラ、複数のモノポーラ、バイポーラ、マルチポーラ、及び多相RF構成を用いてRFアブレーションエネルギで腫瘍をアブレートすることと、
【0013】
RFアブレーションエネルギで腫瘍をアブレートし、生理食塩水または高張食塩水、または他の生体適合性の導電性溶液(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、または硝酸ナトリウム)を用いてRF電極を灌流し、温度センサからのフィードバック、灌流の塩分濃度、温度または流量またはインピーダンスを用いてRFアブレーションエネルギを制御することと、
【0014】
腫瘍をアブレートするために、腫瘍を含む肺の一部を、虚脱させる、圧縮する、空気量を減少させる、または部分的に虚脱させることと、
【0015】
ガイドワイヤを介してアブレーションカテーテルを配置し、気管支鏡を交換することと、
【0016】
気管支鏡及び電極カテーテルのオーバーザワイヤ交換を用いる、電極の気道内への配置と、
【0017】
ばね搭載またはプッシュプルカテーテルハンドルの設計を用いる針電極の腫瘍内への配置と、
【0018】
現場の陽性の生検結果に基づいて、誘導生検ツールを、非誘導または誘導アブレーションツールと交換すること、且つ蛍光透視法または超音波誘導の下で、同一の生検位置へ移動させることと、
【0019】
アブレーションエネルギの伝達前、または伝達の間に、上記部位の酸素を減少させ、局所的な低酸素性血管収縮を引き起こすことにより、肺の標的部位への血液の流れを減少させること、を含む。
【0020】
気管支内のナビゲーションは、アブレーションカテーテルが、気管支鏡及び患者の気管支の分岐を通って、結節に向かって前進することを容易にするためのナビゲーション計画を作成するためにCT画像データを用いる。電磁トラッキングもまた、アブレーションカテーテルを気管支の分岐を通して結節まで誘導することを容易にするために、CTデータと併せて利用されてもよい。アブレーションカテーテルは、結節または注目点の近傍に、またはその内部にある、分岐した内腔ネットワークの気道のうちの1つの内部に配置されてもよい。一旦配置されると、それが結節または注目点に向かってさらに移動されるように、アブレーションカテーテルを視覚化するために、蛍光透視法が用いられてもよい。MRI、超音波などの他の画像化技術が、ナビゲーション気管支鏡検査と組み合わせて、蛍光透視法またはCTと共に、または代わりに用いられてもよい。必要に応じて、気管支内アブレーションカテーテルには、現場で利用可能なナビゲーション気管支鏡検査システムに適合するセンサ(例えば、3D電磁石コイル、ファイバ・ブラッグ・グレーティング型センサなど)が取り付けられてもよい。
【0021】
本発明の1つ以上の態様が以下に開示される。
【0022】
第1の態様は、肺組織の標的部位の治療のためのシステムに関し、システムは、導電性流体源と、肺組織の標的部位に、またはその近傍に配置可能な導電性流体排出口との間に介在するように構成される少なくとも1つの流量調整器であって、流体源から出て導電性流体排出口に送達される導電性流体の流量またはボーラス投与量を制御するようにさらに構成される流量調整器と、上記流量調整器及び少なくとも1つのセンサと通信可能に接続可能であり、少なくとも1つのセンサは、物理的特性を表す少なくとも1つの制御パラメータの取る値を検出するように構成され、物理的特性は、肺組織の標的部位に、またはその近傍に存在する物質の温度(T)、圧力(p)、電気インピーダンス(Z)、または導電率(C)のうちの1つである、コントローラと、を備え、コントローラは、
-検出された制御パラメータの値を表す信号を上記センサから受信し、
-1つ以上の検出された制御パラメータの値に基づいて流量調整器を制御する、
ように構成され、
流量調整器を制御することは、
〇流量調整器を高送達モードで制御することであって、高送達モードにおいて、
■導電性流体排出口に送達される導電性流体の流量は、設定高流量以上である、または
■導電性流体排出口に送達される導電性流体のボーラス投与量は、設定高ボーラス投与量以上である、
高送達モードで制御することと、
〇流量調整器を低送達モードで制御することであって、低送達モードにおいて、
■導電性流体排出口に送達される導電性流体の流量は、設定高流量よりも少ない設定低流量以下である、または、
■導電性流体排出口に送達される導電性流体のボーラス投与量は、設定高ボーラス投与量よりも少ない設定低ボーラス投与量以下である、
低送達モードで制御することと、
を含む制御サイクルを実行することを含む。
【0023】
第1の態様による第2の態様であって、低送達モードにおいて、導電性流体排出口に送達される導電性流体の流量は、設定高流量の50%よりも少ない設定低流量以下であるか、または導電性流体排出口に送達される導電性流体のボーラス投与量は、設定高ボーラス投与量の50%より少ない設定低ボーラス量以下である。
【0024】
第1の態様または第2の態様による第3の態様であって、低送達モードにおいて、設定低流量は0~5ml/minであるか、または設定低ボーラス投与量は0~10mlである。
【0025】
第1または第2または第3による第4の態様であって、高送達モードにおいて、設定高流量は2~16ml/minであるか、または設定高ボーラス投与量は、0.3~60mlである。
【0026】
第1~第4の態様の何れか1つによる第5の態様であって、流量調整器を制御することは、上記制御サイクルを繰り返し実行することを含む。
【0027】
第1~第5の態様の何れか1つによる第6の態様は、肺組織の標的部位に配置可能であり、アブレーション源に接続可能な、少なくとも1つのアブレーション要素を備える。
【0028】
第6の態様による第7の態様は、肺の気道流路を通って前進するように構成され、肺組織の標的部位に配置可能なアクティブ部を有し、少なくとも1つのアブレーション要素を備える、少なくとも1つのフレキシブルシャフトを備える。
【0029】
先行する第1~第7の態様の何れか1つによる第8の態様は、少なくとも1つのセンサを備え、センサは、肺組織の標的部位に配置可能に構成される。
【0030】
態様1~6及び8の何れか1つと組み合わされる第7の態様による第9の態様であって、少なくとも1つのセンサは、上記フレキシブルシャフトのアクティブ部によって運ばれる。
【0031】
態様1~6及び8の何れか1つと組み合わされる第7の態様による第10の態様であって、少なくとも1つのセンサは、上記フレキシブルシャフトのアクティブ部を包囲する容積に対応して配置されるように構成される。
【0032】
態様9または10による第11の態様であって、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの制御パラメータの取る値を検知するように構成され、物理的特性は、アクティブ部を包囲する容積内に存在する物質の温度、圧力、電気インピーダンス、または導電率のうちの1つである。
【0033】
先行する態様の何れか1つによる第12の態様は、導電性流体源と流体連通して設置されるように構成される導電性流体排出口を備える。
【0034】
態様7及び12による第13の態様であって、導電性流体排出口は、フレキシブルシャフトのアクティブ部によって運ばれる。
【0035】
態様7及び12による第14の態様であって、導電性流体排出口は、アクティブ部を包囲する上記容積に対応して配置されるように構成される。
【0036】
先行する態様6~14の何れか1つによる第15の態様であって、コントローラは上記アブレーション源と接続可能であり、アブレーションエネルギを、少なくとも1つのアブレーション要素に伝達するためにアブレーションエネルギ源を制御するように構成される。
【0037】
第15の態様による第16の態様であって、さらに、コントローラは、検知された制御パラメータの値を表す信号を上記センサから受信するステップと、1つ以上の検知された制御パラメータの値に基づいて流量調整器を制御するステップと、コントローラが、少なくとも1つのアブレーション要素にアブレーションエネルギを伝達するためにアブレーションエネルギ源に指令する一方で、上記の制御サイクルを実行する、必要に応じて繰り返し実行するステップと、を実行するように構成される。
【0038】
先行する態様7~16の何れか1つによる第17の態様は、フレキシブルシャフトによって運ばれ、少なくとも1つのアブレーション要素をアブレーション源に電気的に接続するように構成される電気コネクタを備える。
【0039】
先行する態様の何れか1つによる第18の態様であって、制御サイクルは、1つ以上の検知された制御パラメータの値が、設定低閾値(T_Low)を下回るかどうかを確認することを含み、上記流量調整器を低送達モードに制御することは、1つ以上の検知された制御パラメータの値が、設定低閾値(T_Low)を下回る場合に実行される。
【0040】
先行する態様の何れか1つによる第19の態様であって、制御サイクルは、1つ以上の検知された制御パラメータの値が、設定高閾値(T_High,Z_High)を上回るかどうかを確認することを含み、上記流量調整器を高送達モードに制御することは、検知された制御パラメータの値が、設定高閾値(T_High,Z_High)を上回る場合に実行される。
【0041】
先行する態様の何れか1つによる第20の態様であって、制御サイクルは、1つ以上の検知された制御パラメータの値が、設定低閾値(T_Low)を下回るかどうかを周期的に確認することと、1つ以上の検知された制御パラメータの値が、設定低閾値(T_Low)を下回るときに、流量調整器を高送達モードから低送達モードに切り替えることと、を含み、必要に応じて、上記周期的に確認するステップは、少なくとも毎秒10回実行される。
【0042】
先行する態様の何れか1つによる第21の態様であって、制御サイクルは、1つ以上の検知された制御パラメータの値が、設定高閾値(T_High,Z_High)を上回るかどうかを周期的に確認することと、1つ以上の検知された制御パラメータの値が、設定高閾値(T_High,Z_High)を上回るときに、流量調整器を低送達モードから高送達モードに切り替えることと、を含み、必要に応じて、上記周期的に確認するステップは、少なくとも毎秒10回実行される。
【0043】
先行する態様の何れか1つによる第22の態様であって、コントローラは、同一の治療セッションの間に制御サイクルを複数回繰り返すように構成される。
【0044】
態様22による第23の態様であって、コントローラは、流量調整器を、高送達モードまたは低送達モードで、それぞれの時間インターバルの間、制御するように構成され、上記それぞれの時間インターバルの継続時間は、予め定められるか、またはトリガイベントの検出によって決定されるかの何れかである。
【0045】
態様23による第24の態様であって、コントローラは、トリガイベントの検出によって上記時間インターバルの継続時間を決定するように構成され、トリガイベントの検出は、
-1つ以上の検知されたパラメータの値が、設定超高閾値(T_Overheat)を上回ることの検出、
-1つ以上の検知されたパラメータの値が、上記設定高閾値(T_High,Z_High)を上回ることの検出、
-1つ以上の検知されたパラメータの値が、設定低閾値(T_Low)を下回ることの検出、
のうちの1つ以上を含む。
【0046】
態様22または23または24による第25の態様であって、コントローラは、流量調整器が高送達モードに調整される時間インターバルが間に入る、流量調整器が低送達モードに調整される複数の時間インターバルを含む同一の治療セッションを実行するように構成され、それにより、検出されたパラメータの値の制御を維持する間の上記治療セッションにわたって送達される導電性流体の総量を減少させる。
【0047】
先行する態様の何れか1つによる第26の態様であって、流量調整器を低送達モードに制御するステップは、特に1~10秒に含まれる低送達時間インターバル(Flow Low Time)の間に、導電性流体排出口への導電性流体の流量を、上記設定低流量以下に維持するために流量調整器を調整すること、または、特に1~10秒に含まれる低送達時間インターバル(Flow Low Time)の間に、上記の設定低ボーラス投与量以下で、導電性流体のボーラス投与量を導電性排出口に送達するように流量調整器を調整すること、を含む。
【0048】
態様26による第27の態様であって、サイクルは、上記低送達時間インターバルの終了後に必要に応じて実行されるサブルーチンを含み、上記サブルーチンは、
-1つ以上の検知されたパラメータの値が、設定低閾値(T_Low)を下回るか、または上回るかを確認するさらなるステップと、
-確認するさらなるステップにおいて、1つ以上の検知されたパラメータの値が、設定低閾値(T_Low)を下回る場合に、減少された値を設定低流量または設定低ボーラス投与量に指定することと、
-設定低流量の減少された値、または設定低ボーラス投与量の減少された値を用いて、流量調整器を低送達モードに制御することを繰り返すことと、
を含む。
【0049】
先行する態様の何れか1つによる第28の態様であって、流量調整器を高送達モードに制御するステップは、
-特に1~30秒に含まれる高送達時間インターバル(Flow High Time)の間に、導電性流体排出口への導電性流体の流量を、上記設定高流量以上に維持するために、流量調整器を調整すること、または、
-特に1~30秒に含まれる高送達時間インターバル(Flow High Time)の間に、設定高ボーラス投与量以上で、導電性流体のボーラス投与量を導電性流体排出口へ送達するように流量調整器を調整すること、
を含む。
【0050】
態様28による第29の態様であって、サイクルは、上記高送達時間インターバルの終了後に必要に応じて実行されるサブルーチンを含み、上記サブルーチンは、
-1つ以上の検知されたパラメータの値が、設定低閾値(T_Low)を下回るか、または上回るかを確認するさらなるステップと、
-確認するさらなるステップにおいて、1つ以上の検知されたパラメータの値が、設定低閾値(T_Low)を上回ったままである場合に、増加された値を設定高流量または設定高ボーラス投与量に指定することと、
-設定高流量の増加された値、または設定高ボーラス投与量の増加された値を用いて、流量調整器を高送達モードに制御することを繰り返すことと、
を含む。
【0051】
態様29による第30の態様であって、サイクルは、1つ以上の検知された値が、設定低閾値(T_Low)を下回るかどうかを確認するさらなるステップを肯定的に通過するときまで、態様29のサブルーチンを繰り返すことをもたらす。
【0052】
態様16及び30による第31の態様であって、コントローラは、態様29のサブルーチンの予め定められた回数の繰り返しの後で、1つ以上の検知された値が、設定低閾値(T_Low)を下回るかどうかを確認するステップを、肯定的に通過しないと判定された場合に、少なくとも1つのアブレーション要素へのアブレーションエネルギの伝達を停止または減少させるように構成される。
【0053】
先行する態様の何れか1つによる第32の態様であって、サイクルは、
-1つ以上のパラメータの値が、上記高閾値(T_High,Z_High)よりも大きい設定超高閾値(T_Over High,Z_Over High)を上回る場合に、安全関連イベントの発生を判定し、
-安全関連状態が判定される場合に、
〇アブレーションエネルギ源に供給される電力を一時的に下方調整し、且つ/または、
〇流量調整器を超高送達モードに制御し、超高送達モードにおいて、導電性流体排出口に送達される導電性流体の流量は、設定高流量よりも多い設定超高流量以上、または導電性流体排出口に送達される導電性流体のボーラス投与量は、高ボーラス投与量よりも多い設定超高ボーラス投与量以上である。
【0054】
先行する態様6~32の何れか1つによる第33の態様であって、コントローラは、治療セッションの主要部にわたり、必要に応じて治療セッション全体にわたり、アブレーションエネルギ源によって供給される電力を、20~200Wに含まれる範囲に維持するように構成される。
【0055】
先行する態様6~33の何れか1つによる第34の態様であって、コントローラは、治療セッションの初期部の間、必要に応じて治療セッション全体の10%~30%が継続する間、アブレーションエネルギ源によって供給される電力を、初期値からレジメン値に増加させるように構成される。
【0056】
態様34による第35の態様であって、コントローラは、治療セッションの上記初期部に続く治療セッションの主要部の間、アブレーションエネルギ源によって供給される電力を、レジメン値に維持するように構成される。
【0057】
態様35による第36の態様であって、初期値は20W~80Wに含まれ、レジメン値は40W~200Wに含まれ、さらに、初期値は、レジメン値の80%よりも小さく、必要に応じてレジメン値の50%よりも小さい。
【0058】
先行する態様22~36の何れか1つによる第37の態様であって、治療セッションは、30秒~30分に含まれる総治療継続時間を有する。
【0059】
先行する態様6~37の何れか1つによる第38の態様であって、コントローラは、アブレーションエネルギ源からの電力の伝達を自動的に停止し、治療継続時間が終了したとき、導電性流体の送達を停止するように、流量調整器に自動的に指令するように構成される。
【0060】
先行する態様22~38の何れか1つによる第39の態様であって、コントローラは、治療セッションの間に送達される導電性流体の最大量が0.3ml~60mlに含まれ、且つ/または治療セッションの間に維持される導電性流体の平均流量が、0.1~15ml/minであることを課すように、流量調整器を制御するように構成され、特に、コントローラは、アブレーションエネルギ源からの電力の伝達を自動的に停止し、且つ/または上記送達される導電性流体の最大量に到達したときに、導電性流体の送達を停止するように流量調整器に自動的に指令するように構成される。
【0061】
態様18~21のうちの1つと組み合わされる先行する態様1~39の何れか1つによる第40の態様であって、設定高閾値(T_High)は設定低閾値(T_Low)よりも大きい。
【0062】
態様24と組み合わされる態様40による第41の態様であって、設定超高閾値(T_Overheat)は、設定高閾値(T_High)よりも大きい。
【0063】
先行する態様の何れか1つによる第42の態様であって、物理的特性は、標的部位に存在する物質の温度であり、特にこの態様が態様11にもよるとき、物理的特性は、アクティブ部を包囲する容積に存在する物質の温度である。
【0064】
態様40及び42による第43の態様であって、上記設定低閾値(T_Low)は、60~95℃である。
【0065】
態様42または43のうちの1つと組み合わされる態様40による第44の態様であって、上記設定高閾値(T_High)は、75℃超から105℃までである。
【0066】
態様42または43または44のうちの1つと組み合わされる態様41による第45の態様であって、上記設定超高閾値(T_Overheat)は85~115℃である。
【0067】
先行する態様1~45の何れか1つによる第46の態様であって、アブレーションエネルギ源は高周波発生器であり、コントローラは、1~200Wの範囲、特に20~200Wに含まれる電力を有するRFを、30秒~30分の継続時間伝達するように、高周波発生器を制御するように構成される。
【0068】
先行する態様1~46の何れか1つによる第47の態様であって、流量調整器は、ポンプ、必要に応じて注射器ポンプまたは蠕動ポンプ、または注入ポンプまたは弁を備える。
【0069】
先行する態様7~47の何れか1つによる第48の態様は、高張食塩水を送達するように構成される導電性流体源と、導電性流体源と接続可能であり、導電性流体排出口と流体連通する流体ポートと、を備え、必要に応じて、高張食塩水は、逆相転移ポリマー及び水を含み、体温を下回る温度から体温に移行したときより高い粘度に変化し得る。
【0070】
態様48による第49の態様であって、高張食塩水は、1つ以上の生理学的に許容可能な溶質を含み、次式により算出される0.8~15Osm/Lの理論上のオスモル濃度を有し、
【数1】
ここで、nは、各溶質分子から分離される粒子の数であり、必要に応じて、高張食塩水は123~146の態様の何れか1つによる溶液である。
【0071】
態様48または49による第50の態様であって、高張食塩水は、3%~30%(w/v)の濃度で塩化ナトリウム(NaCl)を含む。
【0072】
先行する態様7~50の何れか1つによる第51の態様であって、フレキシブルシャフトは、アブレーションカテーテルのフレキシブルシャフトである。
【0073】
態様51による第52の態様であって、アブレーションカテーテルは、フレキシブルシャフトの近位端にあり、フレキシブルシャフトのアクティブ部に配置される導電性流体排出口と流体連通する、流体ポートを有する。
【0074】
先行する態様7~52の何れか1つによる第53の態様であって、アクティブ部は、フレキシブルシャフトの遠位端部である。
【0075】
先行する態様7~53の何れか1つによる第54の態様は、フレキシブルシャフトのアクティブ部で、またはその近傍で、特にフレキシブルシャフトの遠位端部で、またはその近傍で動作可能な少なくとも1つの空間閉鎖栓を備える。
【0076】
態様54による第55の態様であって、空間閉鎖栓は、先細のシャフト部、展開可能なバルーン、展開可能な弁、展開可能なステントのうちの1つである。
【0077】
態様54または55による第56の態様であって、閉鎖栓は、1~30mmの幅、5~30mmの範囲の長さの第1断面を有する展開可能な閉塞バルーンを含み、閉塞バルーンは、気道の一部を閉塞するために拡張するように構成される。
【0078】
態様56による第57の態様であって、第1断面幅は、展開可能な閉塞バルーンの近位部にあり、1~30mmの範囲の第2断面幅は、バルーンの遠位部にあり、第1及び第2断面幅の間の断面幅は、第1及び第2断面幅の両方よりも小さい。
【0079】
態様56による第58の態様であって、第1断面幅は、展開可能な閉塞バルーンの近位部にあり、1~20mmの範囲で第1断面幅より小さい第2断面幅は、バルーンの遠位部にある。
【0080】
先行する態様7~58の何れか1つによる第59の態様は、上記フレキシブルシャフトを受容する管状シースまたは気管支鏡を備え、フレキシブルシャフトの少なくともアクティブ部、特に遠位端部は、管状シースまたは気管支鏡から出現するように構成される。
【0081】
態様54~58の何れか1つと組み合わされる、態様59による第60の態様であって、空間閉鎖栓は、管状シースまたは気管支鏡によって運ばれる。
【0082】
態様54~58の何れか1つによる第61の態様であって、少なくとも1つの空間閉鎖栓は、フレキシブルシャフトによって、または別のシャフトによって直接運ばれる。
【0083】
態様54~61の何れか1つによる第62の態様は、フレキシブルシャフトを通って延出し、流体源、必要に応じて液体源または気体源に接続可能な近位端と、バルーンの内側と流体連通する遠位端と、を有する膨張ルーメンをさらに備える。
【0084】
先行する態様7~62の何れか1つによる第63の態様であって、フレキシブルシャフトは、少なくとも近位部の5cm及び遠位部の5cmに深さマーカを有する。
【0085】
先行する態様7~62の何れか1つによる第64の態様は、フレキシブルシャフトの遠位端部に、シャフトの遠位端部を包囲する肺容積から空気を吸引するために、真空源と流体連通して設置されるように構成される少なくとも1つの吸込口を有する。
【0086】
態様54~63の何れか1つと組み合わされる、態様64による第65の態様であって、少なくとも1つの吸込口は、空間閉鎖栓に対して遠位に配置される。
【0087】
態様54~63の何れか1つと組み合わされる、態様64による第66の態様は、シャフトの遠位端部で、またはその近傍で動作可能な追加の空間閉鎖栓を備え、特に、追加の空間閉鎖栓は、展開可能バルーン、展開可能弁、展開可能ステントのうちの1つであり、少なくとも1つの吸込口は、空間閉鎖栓と、追加の空間閉鎖栓との間に配置される。
【0088】
態様65または66による第67の態様であって、少なくとも1つの導電性流体排出口は、空間閉鎖栓に対して遠位に、または空間閉鎖栓と追加の空間閉鎖栓との間に配置される。
【0089】
態様54~67の何れか1つによる第68の態様であって、少なくとも1つのセンサは、空間閉鎖栓の遠位に、または空間閉鎖栓と、追加の空間閉鎖栓との間に配置される。
【0090】
態様67による第69の態様であって、少なくとも1つのセンサは、フレキシブルシャフト遠位端部によって運ばれ、物理的特性は、フレキシブルシャフトの遠位端部を包囲する物質の温度、圧力、電気インピーダンス、または導電率のうちの1つである。
【0091】
態様68または69による第70の態様であって、少なくとも1つのセンサは、アブレーション要素の近位に配置される第1センサと、アブレーション要素の遠位に配置される第2センサとを含む。
【0092】
先行する態様7~70の何れか1つによる第71の態様であって、少なくとも1つのアブレーション要素は、フレキシブルシャフトの遠位端に配置される丸みを帯びた遠位端を有するアブレーション要素を含む。
【0093】
態様54~63及び65~71の何れかと組み合わされる、態様64による第72の態様は、フレキシブルシャフトを通って延出する共通ルーメンであって、導電性液体源及び真空源の少なくとも1つに選択的に接続可能な近位端と、上記少なくとも1つの排出口及び上記少なくとも1つの吸込口を規定する共通の開口を形成する遠位端とを有する共通ルーメン、または専用の灌流ルーメン及び専用の空気吸引ルーメンであって、灌流ルーメンは、少なくとも1つの排出口に接続されてカテーテルフレキシブルシャフトを通って延出し、灌流ルーメンは、導電性流体源に接続されるように構成される注入ポートを有し、空気吸引ルーメンは、少なくとも1つの空気吸込口に接続されてカテーテルフレキシブルシャフトを通って延出し、空気吸引ルーメンは、真空源に接続されるように構成される吸引ポートを有する、専用の灌流ルーメン及び専用の空気吸引ルーメンを備える。
【0094】
先行する態様7~72の何れか1つによる第73の態様であって、フレキシブルシャフトは、2mm以下の外径を有する。
【0095】
先行する態様7~73の何れか1つによる第74の態様であって、フレキシブルシャフトの少なくとも一部は、シャフトの湾曲部が、少なくとも7mmの曲率半径を有するように曲がることができる。
【0096】
先行する態様7~74の何れか1つによる第75の態様であって、フレキシブルシャフトは少なくとも50cmの長さを有する。
【0097】
先行する態様7~75の何れか1つによる第76の態様であって、細長いシャフトは、遠位端部に、ガイドワイヤを受容するように構成されるガイドワイヤルーメンを備える。
【0098】
態様72及び76による第77の態様であって、吸引ルーメン及びガイドワイヤルーメンは、共通のルーメンによって形成される。
【0099】
先行する態様6~77の何れか1つによる第78の態様であって、アブレーション要素は、1つ以上の次の特徴、120mm以下の全表面積、0.5~2mmの範囲の直径、3~20mmの範囲の長さ、によって特徴付けられる少なくとも1つの電極を含む。
【0100】
先行する態様6~78の何れか1つによる第79の態様であって、少なくとも1つのアブレーション要素は少なくとも2つの電極を含み、電極間の間隔は、5~15mmである。
【0101】
先行する態様の何れか1つによる第80の態様は、上記少なくとも1つのセンサと接続可能であり、センサによって検出された上記少なくとも1つの制御パラメータの検出された値をコントローラに伝送するために、コントローラと少なくとも通信可能に接続可能なインタフェース部品を備える。
【0102】
先行する態様の何れか1つによる第81の態様であって、コントローラは、
-上記検知された値を処理し、
-1つ以上の上記検知された値に基づいて、
〇ユーザが認識可能な出力であって、必要に応じて、シャフトの遠位端部で、またはその近傍で動作可能な少なくとも1つの空間閉鎖栓を展開するために、ユーザに報知する可聴信号、視覚信号、または振動信号を含む、ユーザが認識可能な出力、
〇カテーテルの遠位端部に存在する肺部位の空気量の減少の程度を表す状態出力、
〇シャフトの遠位端部で、またはその近傍で動作可能な少なくとも1つの空間閉鎖栓を自動的に展開する出力コマンド、
〇フレキシブルシャフトの遠位端部を包囲する物質の温度の指標をもたらす温度出力、
〇シャフトの遠位端部を包囲する物質のインピーダンスまたは導電率の指標をもたらす電気特性出力、
〇フレキシブルシャフトの遠位端部を包囲する物質の圧力の指標をもたらす圧力出力、
のうちの1つ以上を含む少なくとも1つの出力信号を生成するように構成される。
【0103】
先行する態様の何れか1つによる第82の態様であって、コントローラは、
少なくとも1つのセンサであって、上記標的部位で温度をモニタするように構成される温度センサである上記センサから信号を受信し、
温度センサによって検出された温度値を、定められた温度範囲内に、またはある特定の温度閾値を上回るように維持するために、モニタされた温度に基づいて、上記少なくとも1つの排出口を通って送達される導電性流体の導電率または組成を制御する、
ように構成される。
【0104】
先行する態様の何れか1つの第83のシステムであって、コントローラは、
少なくとも1つのセンサであって、温度センサであり、特にこの態様が態様7によるとき、フレキシブルシャフトの遠位端部を包囲する物質の温度の値を検出するように構成される上記センサ、から信号を受信し、
標的部位の温度をモニタし、
温度センサによって検出された温度値を、定められた温度範囲内に、またはある特定の温度閾値を上回るように維持するために、エネルギ源によるアブレーションエネルギ電力出力を調整する、
ように構成される。
【0105】
態様82または83による第84の態様であって、定められた温度範囲は、60~115℃であり、ある特定の温度閾値は、少なくとも80℃である。
【0106】
先行する態様1~84の何れか1つによる第85の態様は、3次元ナビゲーションセンサなどのナビゲーションセンサ、またはファイバ・ブラッグ・グレーティングセンサなどの形状センサを、少なくとも遠位端領域にさらに備え、特にナビゲーションセンサは、電磁センサ、3D電磁センサ、形状センサ、FBGセンサ、3D超音波センサ、及び3Dナビゲーションのためのインピーダンストラッキングの1つ以上である。
【0107】
先行する態様7~85の何れか1つによる第86の態様であって、腫瘍を通って前進するように構成されるフレキシブルシャフトの遠位端に穿孔要素をさらに備え、穿孔要素は、針、展開可能な針、及びRF穿孔電極を含むリストから選択される。
【0108】
態様54と組み合わされる先行する態様6~87の何れか1つによる第87の態様であって、空間閉鎖栓とアブレーション要素との間の距離は、1mm~40mmの範囲である。
【0109】
アブレーションカテーテルに関する第88の態様は、
肺の気道流路通って前進するように構成されるフレキシブルシャフトと、
フレキシブルシャフトの遠位端部に配置され、アブレーションエネルギ源に電気的に接続可能な少なくとも1つのアブレーション要素と、
導電性流体源に接続可能な流体ポートと、
導電性流体のための少なくとも1つの排出口であって、上記遠位端部に位置し、流体ポートと流体連通する排出口と、
を備える。
【0110】
態様88による第89の態様は、シャフトの遠位端部で、またはその近傍で動作可能な少なくとも1つの空間閉鎖栓をさらに備え、特に空間閉鎖栓は、先細のシャフト部、展開可能なバルーン、展開可能な弁、または展開可能なステントのうちの1つである。
【0111】
態様89による第90の態様であって、閉鎖栓が、1~30mmの幅、5~30mmの範囲の長さの第1断面を有する展開可能な閉塞バルーンを含み、閉塞バルーンは、気道の一部を閉塞するために拡張するように構成される。
【0112】
態様90による第91の態様であって、第1断面幅は展開可能な閉塞バルーンの近位部にあり、1~30mmの範囲の第2断面幅はバルーンの遠位部にあり、第1及び第2断面幅の間の幅は、第1及び第2断面の幅の両方より小さい。
【0113】
態様90による第92の態様であって、第1断面幅は、展開可能な閉塞バルーンの近位部にあり、1~20mmの範囲であり第1断面幅よりも小さい第2断面幅は、バルーンの遠位部にある。
【0114】
態様88~92による第93の態様は、上記シャフトを受容する管状シースまたは気管支鏡を備え、フレキシブルシャフトの少なくとも遠位端部は、管状シースまたは気管支鏡から出現するように構成される。
【0115】
態様90と組み合わされる態様93による第94の態様であって、空間閉鎖栓は、管状シースまたは気管支鏡によって運ばれるか、または少なくとも1つの空間閉鎖栓は、シャフトによって、または異なるシャフトによって直接運ばれる。
【0116】
態様90と組み合わされる態様88~94の何れかによる第95の態様は、フレキシブルシャフトを通って延出し、流体源、必要に応じて液体源または気体源に接続可能な近位端と、バルーンの内側と流体連通する遠位端と、を有する膨張ルーメンをさらに備える。
【0117】
態様88~95の何れかによる第96の態様であって、フレキシブルシャフトは、少なくとも近位部の5cm及び遠位部の5cmに深さマーカを有する。
【0118】
態様88~96の何れかによる第97の態様は、シャフトの遠位端部に、シャフトの遠位端部を包囲する肺容積から空気を吸引するために、真空源と流体連通して設置されるように構成される少なくとも1つの吸込口を有する。
【0119】
態様90と組み合わされる態様97による第98の態様であって、少なくとも1つの吸込口は、空間閉鎖栓に対して遠位に配置される。
【0120】
態様98による第99の態様は、シャフトの遠位端部で、またはその近傍で動作可能な追加の空間閉鎖栓を備え、特に、追加の空間閉鎖栓は、展開可能バルーン、展開可能弁、展開可能ステント、先細のシャフト部のうちの1つであり、少なくとも1つの吸込口は、空間閉鎖栓と、追加の空間閉鎖栓との間に配置される。
【0121】
態様88~99の何れかによる第100の態様であって、少なくとも1つの導電性流体排出口は、空間閉鎖栓に対して遠位に、または空間閉鎖栓と追加の空間閉鎖栓との間に配置される。
【0122】
態様88~100の何れかによる第101の態様は、空間閉鎖栓の遠位に、または空間閉鎖栓と、追加の空間閉鎖栓との間に配置される少なくとも1つのセンサをさらに備える。
【0123】
態様101による第102の態様であって、少なくとも1つのセンサは、フレキシブルシャフトの遠位端部によって運ばれ、物理的特性は、フレキシブルシャフトの遠位端部を包囲する物質の温度、圧力、電気インピーダンス、または導電率のうちの1つである。
【0124】
態様101または102の何れかによる第103の態様であって、少なくとも1つのセンサは、アブレーション要素の近位に配置される第1センサと、アブレーション要素の遠位に配置される第2センサとを含む。
【0125】
態様88~102の何れかによる第104の態様であって、少なくとも1つのアブレーション要素は、フレキシブルシャフトの遠位端に配置される丸みを帯びた遠位端を有するアブレーション要素を含む。
【0126】
態様88~103の何れかと組み合わされる、態様97による第105の態様は、
フレキシブルシャフトを通って延出し、導電性液体源及び真空源の少なくとも1つと選択的に接続可能な近位端と、上記少なくとも1つの排出口及び上記少なくとも1つの吸込口を規定する共通開口を形成する遠位端とを有する共通ルーメン、または、
専用の灌流ルーメン及び専用の空気吸引ルーメンであって、灌流ルーメンは、少なくとも1つの排出口に接続されてカテーテルシャフトを通って延出し、灌流ルーメンは、導電性流体源に接続されるように構成される注入ポートを有し、空気吸引ルーメンは、少なくとも1つの空気吸込口に接続されてカテーテルシャフトを通って延出し、空気吸引ルーメンは、真空源に接続されるように構成される吸引ポートを有する、専用の灌流ルーメン及び専用の空気吸引ルーメン、
を備える。
【0127】
態様88~105の何れかによる第106の態様であって、フレキシブルシャフトは、2mm未満の外径を有する。
【0128】
態様88~106の何れかによる第107の態様であって、フレキシブルシャフトの少なくとも一部は、シャフトの湾曲部が、少なくとも7mmの曲率半径を有するように曲がることができる。
【0129】
態様88~107の何れかによる第108の態様であって、フレキシブルシャフトは少なくとも50cmの長さを有する。
【0130】
態様88~108の何れかによる第109の態様であって、細長いシャフトは、遠位端部に、ガイドワイヤを受容するように構成されるガイドワイヤルーメンを備える。
【0131】
態様105及び109の何れかによる第110の態様であって、吸引ルーメン及びガイドワイヤルーメンは、共通のルーメンによって形成される。
【0132】
態様88~110の何れかによる第111の態様であって、アブレーション要素は、1つ以上の次の特徴、
120mm以下の全表面積、
0.5~2mmの範囲の直径、
3~20mmの範囲の長さ、
によって特徴付けられる少なくとも1つの電極を含む。
【0133】
態様88~111の何れかによる第112の態様であって、少なくとも1つのアブレーション要素は、少なくとも2つの電極を含み、電極間の間隔は、5~15mmである。
【0134】
態様101と組み合わされる、態様88~112の何れかによる第113の態様は、上記少なくとも1つのセンサと接続可能であり、センサによって検出された上記少なくとも1つの制御パラメータの値をコントローラに伝送するために、コントローラと少なくとも通信可能に接続可能なインタフェース部品を備える。
【0135】
態様101と組み合わされる態様88~113の何れかによる第114の態様は、
-上記検知された値を処理し、
-1つ以上の上記検知された値に基づいて、
〇ユーザが認識可能な出力であって、必要に応じて、シャフトの遠位端部で、またはその近傍で動作可能な少なくとも1つの空間閉鎖栓を展開するために、ユーザに報知する可聴信号、視覚信号、または振動信号を含む、ユーザが認識可能な出力、
〇フレキシブルシャフトの遠位端部に存在する肺部位の空気量の減少の程度を表す状態出力、
〇フレキシブルシャフトの遠位端部で、またはその近傍で動作可能な少なくとも1つの空間閉鎖栓を自動的に展開する出力コマンド、
〇フレキシブルシャフトの遠位端部を包囲する物質の温度の指標をもたらす温度出力、
〇フレキシブルシャフトの遠位端部を包囲する物質のインピーダンスまたは導電率の指標をもたらす電気特性出力、
〇フレキシブルシャフトの遠位端部を包囲する物質の圧力の指標をもたらす圧力出力、
のうちの1つ以上を含む少なくとも1つの出力信号を生成するように構成される、コントローラを備える。
【0136】
態様101と組み合わされる、態様88~114の何れか1つによる第115の態様は、少なくとも1つのセンサであって、上記標的部位で温度をモニタするように構成される温度センサである上記センサから信号を受信し、温度センサによって検出された温度値を、定められた温度範囲内に、またはある特定の温度閾値を上回るように維持するために、モニタされた温度に基づいて、上記少なくとも1つの排出口を通って送達される導電性流体の導電率または組成を制御するように構成される、コントローラを備える。
【0137】
先行する態様88~115の何れか1つによる第116の態様であって、コントローラは、少なくとも1つのセンサであって、温度センサであり、特にこの態様が態様7によるとき、フレキシブルシャフトの遠位端部を包囲する物質の温度の値を検出するように構成される上記センサから信号を受信し、標的部位の温度をモニタし、温度センサによって検出された温度値を、定められた温度範囲内に、またはある特定の温度閾値を上回るように維持するために、エネルギ源によるアブレーションエネルギ電力出力を調整するように構成される。
【0138】
態様115または116の何れかによる第117の態様であって、定められた温度範囲は、60~115℃であり、ある特定の温度閾値は、少なくとも80℃である。
【0139】
先行する態様88~117の何れか1つによる第118の態様であって、3次元ナビゲーションセンサなどのナビゲーションセンサ、またはファイバ・ブラッグ・グレーティングセンサなどの形状センサを、少なくとも遠位端領域にさらに備え、特にナビゲーションセンサは、電磁センサ、3D電磁センサ、形状センサ、FBGセンサ、3D超音波センサ、及び3Dナビゲーションのためのインピーダンストラッキングの1つ以上である。
【0140】
態様88~118の何れかによる第119の態様は、腫瘍を通って前進するように構成されるフレキシブルシャフトの遠位端に穿孔要素をさらに備え、穿孔要素は、針、展開可能な針、及びRF穿孔電極を含むリストから選択される。
【0141】
態様89~119の何れかによる第120の態様であって、空間閉鎖栓とアブレーション要素との間の距離は、1mm~40mmの範囲である。
【0142】
態様88~120の何れかによる第121の態様は、先細の遠位端、近位部から遠位部へシャフトを通り抜けるルーメンを有し、ルーメンは先細の遠位端の最細部で遠位部から出る。
【0143】
システムに関する第122の態様は、態様121のカテーテルと、近位部から遠位部へシャフトを通り抜けるルーメンを通って遠位部を越えて前進するように構成される腫瘍穿孔ワイヤと、を備え、腫瘍穿孔ワイヤは、鋭利な遠位端と、必要に応じて近位部上の深さマーカと、必要に応じて遠位部上のX線不透過マーカと、を有する。
【0144】
肺気道標的部位における肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)の治療のための溶液に関する第123の態様は、
-溶液は、
次式により算出される0.8~15Osm/Lの理論上のオスモル濃度を有し、
【数2】
ここで、nは、各溶質分子から分離される粒子の数である、1つ以上の生理学的に許容可能な溶質、
及び/または
3%~30%(w/v)の濃度の塩化ナトリウム
を含み、
-上記溶液は、肺気道の標的部位内で60~115℃の範囲の温度に到達し、
-上記溶液は、気道を介して標的部位へ局所的に送達され、
-上記溶液は、標的部位へ一定でない流量で送達され、
-上記溶液は、30秒~30分に含まれる総治療時間の間、標的部位へ送達される。
【0145】
態様123による第124の態様であって、上記溶液は高張食塩水である。
【0146】
態様123または124からの何れか1つによる第125の態様であって、上記溶液は、海水面及び20度で、少なくとも30mS/cm、好ましくは70mS/cm~225mS/cmに含まれる導電率を有する。
【0147】
態様123~125の何れか1つによる第126の態様であって、上記総治療時間の間に送達される溶液の総量は、0.3ml~60mlに含まれる。
【0148】
態様123~126の何れか1つによる第127の態様であって、上記溶液を一定でない流量で標的部位へ送達することは、低送達モードのインターバルと、高送達モードのインターバルとを交互に行うことを含み、低送達モードインターバルの間、流量は0~10ml/minに維持され、またはボーラス投与量は0~10mlで送達され、高送達モードインターバルの間、流量は、2~16ml/minに維持され、またはボーラス投与量は0.3~60mlで送達される。
【0149】
態様123~127の何れか1つによる第128の態様であって、上記溶液を一定でない流量で標的部位へ送達することは、上記治療時間の間、0.1~15ml/minに含まれる導電性流体の平均流量を維持することを含む。
【0150】
態様123~128の何れか1つによる第129の態様であって、高張食塩水は、1~200Wの範囲、特に20~200Wに含まれる電力を有するRFアブレーションエネルギが送達される間、気道を介して標的部位へ局所的に送達される。
【0151】
態様123~129の何れか1つによる第130の態様であって、高張食塩水は、逆相転移ポリマー及び水を含み、体温を下回る温度から体温に移行したとき、より低粘度からより高粘度に変化する。
【0152】
態様123~130の何れか1つによる第131の態様であって、標的部位につながる自然気道内で第1閉塞バルーンを膨張させることによって肺の標的部位が隔離され、バルーンが肺の標的部位の近位にある状態で、上記溶液組成は標的部位に送達される。
【0153】
態様123~131の何れか1つによる第132の態様であって、第1閉塞バルーンの遠位の、且つ標的部位の遠位の上記自然気道内で第2閉塞バルーンを膨張させることによって肺の標的部位が隔離された状態で、上記溶液は標的部位に送達される。
【0154】
態様131または132の何れか1つによる第133の態様であって、1つまたは両方のバルーンが自然気道を閉塞し、上記溶液が注入される気道の部分を形成し、気道の部分の外側への液体の流れを抑制する間、上記溶液は標的部位に送達される。
【0155】
態様123~133の何れか1つによる第134の態様であって、上記溶液は、0.8~15Osm/L、好ましくは5~9Osm/Lの理論上のオスモル濃度を有する。
【0156】
態様123、または125~134の何れか1つによる第135の態様であって、上記1つ以上の溶質は、生理学的に許容可能な塩及び無機水酸化物の中から選択され、好ましくは、以下、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、または硝酸ナトリウムの水溶液またはそれらの組み合わせの何れかのグループから選択される。
【0157】
態様123~134の何れか1つによる第136の態様であって、溶液は、3%~30%(w/v)の濃度で塩化ナトリウム(NaCl)及び水を含む高張食塩水である。
【0158】
態様136による第137の態様であって、溶液は、5%~25%(w/v)の濃度で塩化ナトリウム(NaCl)を含む高張食塩水である。
【0159】
態様136または137の何れかによる第138の態様であって、溶液は、1%未満の質量/体積濃度で、水及び塩化ナトリウムとは異なる成分を含む。
【0160】
態様123~138の何れか1つによる第139の態様であって、標的部位は、癌組織によって形成され、0.1~30cm、特に0.5~15cmの体積を有する。
【0161】
態様123~139の何れか1つによる第140の態様であって、上記溶液は、標的部位の体積の関数である総治療時間を用いる手術の間に用いられる。
【0162】
態様123~141の何れか1つによる第141の態様であって、上記溶液は、総治療時間が7分未満の手術の間に用いられ、上記溶液は、直径およそ2cm未満の標的部位の治療のために用いられる。
【0163】
態様123~140の何れか1つによる第142の態様であって、上記溶液は、総治療時間が10分未満の手術の間に用いられ、上記溶液は、直径およそ2cmの標的部位の治療のために用いられる。
【0164】
態様123~140の何れか1つによる第143の態様であって、上記溶液は、総治療時間が15分未満の手術の間に用いられ、上記溶液は、直径2cm以上の標的部位の治療のために用いられる。
【0165】
態様123~140の何れか1つによる第144の態様であって、上記溶液は、総治療時間が30分未満の手術の間に用いられ、上記溶液は、直径3cmより大きい標的部位の治療のために用いられる。
【0166】
態様123~144の何れか1つによる第145の態様であって、上記溶液は、標的部位に直接接触する。
【0167】
態様123~145の何れか1つによる第146の態様であって、溶液は、先行する態様1~87の何れか1つのシステムを用いて、または先行する態様88~122の何れか1つのカテーテルを用いて気道標的部位に送達される。
【0168】
第147の態様は、肺組織の標的部位の治療のためのシステムに関し、システムは、導電性流体源と、肺組織の標的部位に、またはその近傍に配置可能な導電性流体排出口との間に介在するように構成される流量調整器であって、流体源から出て導電性流体排出口に送達される導電性流体の流量またはボーラス投与量を制御するようにさらに構成される流量調整器と、流量調整器を制御するように構成され、センサによって検出される値を受信するように構成されるコントローラと、を備え、センサは、肺組織の標的部位に、またはその近傍に存在する物質の温度(T)、圧力(p)、電気インピーダンス(Z)、または導電率(C)のうちの少なくとも1つである物理的特性を表す制御パラメータの値を検出し、コントローラは、1つ以上の制御パラメータの値を受信し、1つ以上の制御パラメータの値に基づいて流量調整器を制御するように構成され、流量調整器を制御することは、導電性流体排出口に送達される導電性流体の流量が、設定高流量以上である、または導電性流体排出口に送達される導電性流体のボーラス投与量が、設定高ボーラス投与量以上である、高送達モードで流量調整器を制御することと、導電性流体排出口に送達される導電性流体の流量が、設定高流量よりも少ない設定低流量以下である、または導電性流体排出口に送達される導電性流体のボーラス投与量が、設定高ボーラス投与量よりも少ない設定低ボーラス投与量以下である、低送達モードで流量調整器を制御することと、を含む制御サイクルを実行することを含む。
【0169】
第168の態様は、肺組織の標的部位を治療する方法に関し、標的部位へアブレーションエネルギを伝達することと、アブレーションエネルギの伝達の間に、標的部位へ導電性流体を送達することと、標的部位の近傍の温度(T)、圧力(P)、電気インピーダンス(Z)、及び導電率(C)のうちの少なくとも1つである制御パラメータの値を検知することと、導電性流体の送達を、(i)検知された制御パラメータの値に基づいて導電性流体の流量またはボーラス投与を制御すること、(ii)高送達モードで動作する間に、設定高流量を上回るように流量を制御するか、または設定高ボーラス投与量を上回るようにボーラス投与を制御すること、(iii)低送達モードで動作する間に、設定低流量を下回るように流量を制御するか、または設定低ボーラス投与量を下回るようにボーラス投与を制御することであり、設定低流量は、設定高流量よりも少ない、または設定低ボーラス投与量は、設定高ボーラス投与量よりも少ない、制御することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0170】
図1】ヒト呼吸器系の一部の概略図である。
図2図1の一部の拡大図である。
図3】電極の近位の1つの閉塞バルーンにて構成されるアブレーション装置の遠位部の概略図である。
図4A図3の装置の生体内の位置における概略図である。
図4B】腫瘍穿孔ワイヤ及び孔拡張器を有する代替の実施形態の概略図である。
図4C】先細のシャフト部を有する代替の実施形態の概略図である。
図5A】一方が電極の近位にあり、他方が電極の遠位にある、同一シャフト上の2つの閉塞用バルーンにて構成されるアブレーション装置の遠位部の概略図である。
図5B】一方が、電極の近位にあり、第1シャフト上に位置し、他方が、電極の遠位にあり、第1シャフトから延出する第2シャフト上に位置する、2つの閉塞バルーンにて構成されるアブレーション装置の遠位部の概略図である。
図6A図5Aの装置の生体内の位置における概略図である。
図6B図5Bの装置の生体内の位置における概略図である。
図7】針電極を有するアブレーション装置の遠位部の概略図である。
図8図7の装置の生体内の位置における概略図である。
図9】エネルギ伝達電極を標的腫瘍と関連する様々な位置に設置するために患者の気道内に配置される複数のカテーテルの概略図である。
図10A図9の断面の概略図である。
図10B】多相波形のプロットである。
図10C】多相RFシステムの概略図である。
図10D】多相RF構成を生成するために分割されたデジタルクロックのプロットである。
図11】気管支内肺腫瘍アブレーション装置を動作させるためのシステムの概略図である。
図12】実験中の肺部位の虚脱前、肺部位の虚脱後、及び高張食塩水の注入後の期間のインピーダンス及び位相のグラフである。
図13】高張食塩水の灌流を伴うRF伝達の間の電極温度、電力、位相、及びインピーダンスのグラフである。
図14A】アブレーションカテーテルの閉塞具の様々な実施形態の概略図である。
図14B】アブレーションカテーテルの閉塞具の様々な実施形態の概略図である。
図14C】アブレーションカテーテルの閉塞具の様々な実施形態の概略図である。
図14D】アブレーションカテーテルの閉塞具の様々な実施形態の概略図である。
図15】生体内の位置において2つのインピーダンスモニタリング電極の間にアブレーション電極を有するアブレーションカテーテルの概略図である。
図16A】ポンプ制御アルゴリズムの実施形態を表すフローチャートである。
図16B】ポンプ制御アルゴリズムの実施形態を表すフローチャートである。
図16C】ポンプ制御アルゴリズムの実施形態を表すフローチャートである。
図16D】ポンプ制御アルゴリズムの実施形態を表すフローチャートである。
図16E】ポンプ制御アルゴリズムの実施形態を表すフローチャートである。
図17A図16A~16Eによって説明されるポンプ制御アルゴリズムの結果としての挙動を示す、60WのRF伝達の間の時間に対する温度及び流量のプロットである。
図17B】勾配のある電力の伝達の間の時間に対する温度、電力、及び流量のプロットである。
図18A】標的気道において、白色不透明の小さな領域によって証明されるような、低レベルの空気量減少でのカテーテル配置のCT画像の図である。
図18B】標的気道において、より大きい白色不透明の領域によって証明されるような、より高レベルの空気量減少でのカテーテル配置のCT画像の図である。
図19A】高張食塩水の注入後1か月の非常に小さい壊死組織の範囲を示す、左下葉を通る断面の肉眼病理図である。RFエネルギは適用されていない。
図19B】高張食塩水の注入と90秒のRF伝達が組み合わされて構成される治療後1か月のより大きい壊死組織の範囲を示す右下葉を通る断面の肉眼病理図である。
図20】制御アルゴリズムのための時間に対する温度、RF電力、灌流流量、及び灌流流体の総累積量のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0171】
[詳細な説明]
本開示は、概して、悪性肺腫瘍をアブレートするための装置及び方法を対象とし、より詳細には、患者の気道を通るアプローチで肺腫瘍をアブレートすることを対象とする。患者の気道を通るアプローチは、経気管支の、または気管支内のアプローチと称されることもあり、空気が鼻または口を通って肺胞へ向かう通路を通る送達医療装置を含む。気道という語句は、気管、気管支、及び細気管支を含む、空気が通る呼吸器系の何れかの解剖学的なルーメンを指す。
【0172】
図1は、気管50、気管竜骨51、左主気管支52、右主気管支53、細気管支54、胞(図示なし、細気管支の末端で房の中に存在する)、左肺55、右肺56を含む患者の呼吸器系の一部の概略図である。右主気管支は、3つの第2気管支62(葉気管支としても知られる)にさらに分割され、それらは右肺の3つの葉、上葉57、中葉58、下葉59へ酸素を運搬する。左主気管支は、左肺の2つの葉、上葉60及び下葉61へ空気を運搬するために、2つの第2気管支66または葉気管支に分割される。第2気管支は、さらに第3気管支69(区域気管支としても知られる)に分割され、第3気管支のそれぞれは、気管支肺区域をもたらす。気管支肺区域は、結合組織(図示なし)の隔壁によって肺の残りの部分から分離される肺の部位である。図2に示されるように、第3気管支69は、多数の細気管支70に分かれ、細気管支70は終末細気管支71に分かれ、終末気管支71のそれぞれは、その後いくつかの呼吸細気管支72を生じさせ、呼吸細気管支72は続いて2~11の肺胞管73に分かれる。それぞれの肺胞管と関連する5または6の肺胞75がある。肺胞は、いくつかの胞74にて構成される。胞74は、肺におけるガス交換の基本解剖学的単位である。図2はまた、細気管支の外側、及び間の空間に配置される末梢に位置する腫瘍80を示す。標的腫瘍80は、肺または縦隔のリンパ節または気道壁の末梢に、中央に、または内部に存在し得る。
【0173】
主に2つの種類の肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び小細胞肺癌(SCLC)がある。非小細胞肺癌は、肺癌の約85%の割合を占め、米国において男性及び女性両方の間で最も一般的な型の肺癌であり、上皮組織内の腺状構造から形成され、通常肺の末梢の領域に生じる腺癌と、全ての肺癌の25%の割合を占め、より一般的に中央に位置する扁平上皮癌と、NSCLC腫瘍の約10%の割合を占める大細胞癌とを含む。本開示の焦点は、細気管支の間で末梢に、気管支の間で中央に、またはリンパ節内に生じる得るNSCLCの治療である。しかしながら、本明細書にて開示される装置、システム及び方法はまた、肺の他の病気のアブレーションまたは治療のために用いられてもよい。
【0174】
本開示の態様は、患者の肺腫瘍を治療するための方法を提供する。患者の肺内の注目点への経路が生成される。孤立結節のある大多数の患者において、気道は、標的の例えば1cm以内に近接してアブレーションエネルギ伝達要素を配置するのに適した、標的に通じるCTで特定され得ると予想される。事前に取得されたCTをマップとして用いると、可撓性のある器具は、気管支鏡検査者によって周知の既存のツールを用いて気道に通され得る。1つの実施形態において、拡張ワーキングチャネルは、気道を通って肺の中へ、注目点への経路に沿って前進する。拡張ワーキングチャネルは、注目点で、実質的に固定された方向で配置される。チャネルの安定を確保するために固定機構が用いられてもよい。カテーテルは、肺の標的部位へ、拡張ワーキングチャネルを通って前進してもよい。ワーキングチャネルは、例えば、送達シースを通る、または気管支鏡を通るルーメンであってもよく、これらのルーメンは何れも操作可能であるか、またはガイドワイヤルーメンが組み込まれてもよい。必要に応じて、送達シースは、シースの遠位端の周囲の組織の超音波画像を生成する気管支内超音波送達シースであってもよい。標的部位を含む肺の部分は、(例えば、カテーテルまたは送達シース上のバルーンなどの少なくとも1つの閉塞要素を用いて)例えばその部分に供給する気道を閉塞することによって、また、その肺の部分に負圧をかけるか、または本明細書にて開示される肺の一部を虚脱させるための他の手段を適用することによって、閉塞されてもよく、少なくともその対応する空気量が減少されてもよい。肺の一部における空気量の減少を確実にするために、カテーテル上の電極が、組織インピーダンスまたは位相を測定するために用いられてもよい。標的肺部位の完全な虚脱は、必要でない。実験的観察は、標的肺部位における、それぞれのバイポーラインピーダンスの5~20%の減少をもたらす空気量の減少が、効果的なアブレーションエネルギの伝達を促進する目的のために十分であることを示す。肺組織は、カテーテルを通して肺の標的部位に、高張食塩水、または他の種類の生体用の導電性塩または溶液(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、または硝酸ナトリウムなど)を注入し、カテーテル上の1つ以上の電極からRFエネルギを適用することによって、肺の標的部位でアブレーションカテーテルを用いて治療される。必要に応じて、1つより多いのアブレーションカテーテルが肺の標的部位に送達されてもよく、RF回路が第1カテーテル上の電極と、第2カテーテル上の電極との間に形成されてもよい。本開示の実施形態において、RF電極は、アブレーションエネルギを伝達するために用いられる。
【0175】
拡張ワーキングチャネルは、必要に応じて気管支鏡または気管支鏡の一部を通して患者内に配置されてもよい。拡張ワーキングチャネルを注目点に配置するために、位置特定可能ガイドが、拡張ワーキングチャネル内に配置されてもよい。生検ツールが注目点へ前進してもよい。拡張ワーキングチャネルを通して生検ツールが前進するのに先立って、位置特定可能ガイドが拡張ワーキングチャネルから取り外されてもよい。代替的に、ナビゲーションガイド拡張ワーキングチャネルが、Veran MedicalまたはsuperDimensionTM(メドトロニック)によって提供されるような3Dナビゲーションシステムと共に用いられてもよく、またはIntuitive SurgicalまたはAuris Healthによって提供されるようなロボット制御で送達される気管支鏡のワーキングチャネルが用いられてもよい。例えば、ナビゲーション機器(例えば、本開示のカテーテル)は、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)センサなどの形状センサが取り付けられてもよい。アブレーションカテーテルの内側のこのような形状センサの使用は、参照することにより本明細書に援用されるセンサ2012年12月1002~1013のHoらによる「心臓アブレーションにおける接触レベルのモニタリング及び穿孔予測のためのFBGセンサ」に説明されている。肺組織は生検されてもよい。生検が陽性であることが確認された場合、その後、肺組織はアブレートされてもよい。生検ツールは引き戻され、少なくとも1つのエネルギ伝達要素を備えるアブレーションカテーテルまたはツールと交換される。この方法は、生検が行われるのと同一の場所でのアブレーションカテーテルまたはツールのエネルギ伝達要素の配置を容易にし得る。肺組織の治療に先立って、アブレーションカテーテルの注目点への配置が、例えば、気管支鏡を視覚的に用いて、気道の要素に対して注目点を特定することで確認されてもよい。肺組織または腫瘍は、注目点で浸潤していることもある。肺組織の効果的な治療は、例えば、アブレーション後の生検を得ること、またはアブレーションカテーテル上の電極またはセンサを用いて治療される組織のインピーダンスまたは位相を評価することにより確認されてもよい。
【0176】
CTスキャナの現在の解像度で少なくとも7つまたは8つ、おそらくそれより多くの気道の世代が撮像され、評価され得る。撮像解像度がさらに急速に向上するであろうと確信する理由がある。気管が始点である場合、そして肺実質性結節が標的終点である場合、その後、適切なソフトウェアは3次元画像データセットに問い合わせをし、隣接する気道を通る標的への1つの経路またはいくつかの経路を提供し得る。気管支鏡検査者は、実際のまたはナビゲーションの気管支鏡検査の手順の間にこの経路に追従することができ、結節への正確な気道経路には、ワイヤ、気管支鏡、及び薄壁ポリマーチューブまたはチャネルまたは検知された/ナビゲーションの気管支鏡器具を用いて迅速にカニューレが挿入され得る。
【0177】
一旦、アクセスチャネルが適切な位置に配置されると、その後、複数のプローブが特定された腫瘍を生検またはアブレートするために配置され得る。超薄型気管支鏡が、類似の方法で用いられ得る。ナビゲーション気管支鏡ツールと共にこれらの種類のアプローチを用いると、大多数の末梢肺病変が破壊され得る。
【0178】
現在入手可能な光ファイバ気管支鏡(FOB)は、照明用光ファイバ束及び撮像用光ファイバまたはカメラを備える。非常に少数の「超薄型の」気管支鏡を除いて、分泌物及び血液の吸引のため、局所用薬剤及び洗浄用流体の通過のため、及び回収組織の診断のため、または治療手順のための様々な器具の通過のためのチャネルも存在する。一般的な診断用気管支鏡は、5.0~5.5mmの外径と、2.0~2.2mmの操作チャネルとを備える。この内径チャネルは、1.8~2.0mmの間のシース外径を有するほとんどの細胞診ブラシ、気管支の生検鉗子、及び経気管支の吸引針を収容できる。外径が3.0~4.0mmの範囲の小さい気管支鏡と、それに対応するより小さなチャネルは、通常(小児科用の)「P」の名称が与えられているが、それらは大人の気道にも使用され得る。細いビデオ及び光ファイバ気管支鏡のより新しい世代は、4.0mmの外径を有する2.0mmの操作チャネルを有する。これらの気管支鏡の1つの欠点は、光学束がより少ないことにより、より小さい画像領域の犠牲があることである。超薄型気管支鏡は、一般的に3mmより小さい外径を有する。例えば、オリンパスモデルBF-XP40及びBF-XP160F(オリンパスアメリカ、Center Valley、PA)は、2.8mmの外径及び1.2mmの操作チャネルを有する。適切な内径の特別な器具(例えば、再利用可能な細胞診ブラシ及び鉗子)は、組織サンプリングに利用可能である。現在の世代のビデオ気管支鏡は全て、60cmの作業長さで構築される。これらの気管支鏡は、送達チャネルまたはエネルギ伝達カテーテルが交換され得るガイドワイヤを配置するために、遠位の気道にアクセスするのに適している。
【0179】
ナビゲーション気管支鏡検査(NB)は、2つの初期段階、つまり計画とナビゲーションとで構成される。計画段階において、事前に取得されたCTスキャンは、肺の内部の標的への経路をマークし、計画するために利用される。ナビゲーション段階において、これらの事前に計画された標的及び経路が表示されて、肺の内部深くへのナビゲーションとアクセスに利用することができる。標的に到達すると、NBは、同一の手順の中で、複数の用途を全て可能にする。患者の胸部のCTスキャンは、複数の3D画像において患者の気道を再構築する専用のソフトウェアにロードされる。医師は、標的位置をマークし、肺の内部のこれらの標的位置への経路を計画するために、これらの画像を利用する。計画段階で生成された計画経路及びリアルタイムの案内を用いて、医師は検出プローブ及び拡張ワーキングチャネルを、所望の標的位置にナビゲートする。所望の位置に到達すると、医師は拡張ワーキングチャネルを適切な位置に固定し、検出プローブは取り外される。拡張ワーキングチャネルは、気管支鏡器具またはカテーテルのための標的結節へのアクセスをもたらす。
【0180】
[標的肺組織の一部における空気量の減少]
【0181】
図1に示されるように、肺は、右上葉57、右中葉58、右下葉59、左上葉60及び左下葉61を含む5つの葉に分割される。葉は、次に区域に分割される。それぞれの葉または区域は概して自律的であり、それ自体の気管支及び肺動脈分岐を受容する。葉または区域をもたらす気道が一方向弁で閉塞されるか、または閉塞具で閉塞され、空気が吸い出される場合、それは、肺の残りの部分によってもたらされる圧力下で、局所的な組織圧縮につながる虚脱または体積の減少が生じるであろう。腫瘍の影響を受けやすい体内のほとんどの組織とは異なり、肺組織は、本質的に非常に柔軟であり、圧縮可能であり、究極的には虚脱させることができる。無気肺とは、肺、肺の葉または部位の完全な、または部分的な虚脱を指す。気道が遮断されるとき、肺の標的部位にもたらされる負圧は、存在しないかまたは減少する。それゆえに、隣接する部位または区域はそれを圧縮し、閉じ込められた空気を除去する。代替的に、または追加的に、真空吸引が、遮断装置(例えば、バルーン)内のルーメンを通して適用されてもよい。真空は、標的肺部位から空気をさらに除去するために用いられ得る。結果として、さらなる、またはより効果的な虚脱が実現され得る。本開示の目的のために、「肺の一部を虚脱させる」とは、対応する空気量を圧縮するかまたは減少させること、または肺の一部を収縮させることを指し、完全な虚脱を必ずしも意図していない。より多くの空気が無くても、胞は収縮する。場合によっては、側副換気が虚脱した区域を再膨張させ得るけれども、増大する熱及び連続する吸引によって収縮する組織は、少なくとも部分的に、標的領域の再膨張を克服し得る見込みであると理解される。バルーンは、膨張したときに、標的気道への進入を封鎖するために用いられてもよい。バルーンを通るルーメンは、さらなる真空吸引をもたらすために用いられてもよい。
【0182】
肺コンプライアンスは、肺の重要な特徴である。様々な病変はコンプライアンスに影響を及ぼす。特に、癌のアブレーションに関連するのは、線維症が肺のコンプライアンスの低下に関係があり、肺気腫/COPDが、肺胞及び弾性組織の減少によって肺のコンプライアンスの上昇に関係することがあり、肺サーファクタントが水の表面張力を低下させることによりコンプライアンスを上昇させるといった見解である。肺胞の内表面は、流体の薄い被膜で覆われている。この流体内の水は、高い表面張力を有し、肺胞を潰し得る力をもたらす。この流体内のサーファクタントの存在が、水の表面張力を破壊し、このことは肺胞が内側に潰れ得る可能性を低くする。もし肺胞が潰れたら、相当な力がそれを広げるために必要とされ、つまりコンプライアンスが大幅に低下するであろう。X線で視認可能な肺の領域の虚脱として臨床的に定義される無気肺は、一般的には望まれていない。しかしながら、局所的な肺の虚脱は、肺気腫の治療、及び著者の提案のような標的肺癌アブレーションにおいて有利となり得る。腫瘍アブレーション中に標的腫瘍を含む標的肺部位を虚脱させるか、または空気量を減少させる利点は、腫瘍を包囲する気道内に配置される電極を腫瘍に接近させることができ、それによりアブレーションエネルギの集中を改善するか、または腫瘍のアブレーションの有効性を向上させること、気道によって供給される、虚脱した、または収縮した肺組織からの空気の除去により、アブレーションエネルギの伝達及び熱伝播がより効率的になること、区域の虚脱が、代謝冷却を減少させ、熱エネルギの効率的な利用を改善する肺区域の局所的低酸素性肺欠陥収縮反応及び局所貧血を引き起こす低酸素症を引き起こし得ること、高張食塩水などの灌流流体の広がりは、標的領域を限定することができ、それにより仮想電極アブレーションの効果のほとんどが標的部位にもたらされ得ること、を含み得る。しかしながら、肺、肺葉、または肺区域の完全な虚脱は、本発明の意図するものではない。カテーテルへの真空適用を介した気管支空気量の減少は、一般的にRF電極と気管支壁との間の電気的な接触を十分に改善する。これは、次に、安全性を向上し、(過加熱によって引き起こされる)灌流流体の蒸発によって、または隣接する組織へのその不用意な広がりによって引き起こされ得るエネルギ伝達の無効を減少させ、組織への電極の接触はより恒常的となり、より大きい接触面積を有し得る。さらに、高周波電気エネルギなどのアブレーションエネルギは、コンピュータ制御アブレーションコンソールによって伝達されることができ、肺部位が虚脱することは、接触安定性を向上させ、組織と電極との間の圧力を上昇させることによって、温度制御アブレーション性能を改善し得る。例えば、虚脱するか、または収縮した気道において、電極内、または電極上に配置される温度センサは、RF電力、RF電力増加勾配または継続時間などのエネルギ伝達パラメータを制御するために用いられるコンピュータ制御アブレーションコンソールに、より正確な温度フィードバックを提供することができ、一方、接触安定性の向上及び圧力上昇は、温度センサが、電極の周囲の組織の温度のより正確な表現を可能にする熱及び電気伝導の安定性を向上することを可能にし得る。結果として、標的肺組織及び腫瘍に伝達されるアブレーションエネルギは最適化されることができ、標的組織の温度は、効率的且つ安全な方法で意図された温度設定点まで加熱され得る。
【0183】
気道の形態、及び気道による空気の供給によって規定される肺の1つの葉または区域または他のセクションの空気量の減少は、不完全な葉間裂、部分的に損傷した、及び破壊された肺を有する患者に共通である小葉間側副換気よって妨げられ得る。区域または肺葉の虚脱の代替の方法として、肺組織を加熱すること、または、標的区域または標的葉に化学物質、泡状物質または高温蒸気を注入することが採用され得る。例えば、葉または区域のような被包空間への高温蒸気の注入は、空間の虚脱をもたらす。肺の性質は、区域が虚脱したとき、加圧された隣接する区域は、それを圧縮し、虚脱した空間によって空けられた体積を満たす。気管支鏡及び気管支鏡送達器具を用いる側副空気経路を有する肺の部位を虚脱させる、または部分的に虚脱させる技術は、例えば、米国特許US7412977B2に説明されている。肺、特に上葉の部分的な虚脱は、進行した肺気腫における肺減少手術の結果を模倣するために以前から提案されているけれども、腫瘍の熱アブレーション(例えばRF)を強化するためには提案されていなかった。提案される技術には、閉鎖栓及び弁、気道への蒸気(例えば、熱)、泡及びグルーの注入が含まれた。ばねまたはワイヤコイルを用いる肺部位の機械的な圧縮もまた提案された。これらの全ての方法は、腫瘍がCT上で特定され、悪性であると識別された全ての任意の葉または区域にて、癌治療のために変更及び採用されるものとして想定され得る。上述したように、部分的な肺または肺部位の虚脱は、本発明を成功裏に実施するために必要でない。目的は、電極と組織との接触を向上させるために気管支空気量を減少させることである。
【0184】
究極的には、独立した肺換気の技術を用いて、肺全体が一時的に虚脱され得る。肺は、2つの主気管の閉塞具を有する個別の気管内チューブによって挿管され、換気される。これに耐えるのに十分に健康な患者は、対側の肺が虚脱され、手術されている間に、1つの肺のみの機械的な換気を用いて呼吸し得る。肺の空気を抜いて虚脱させるのに先立って、電極が配置され得る。このような場合において、側副換気は、肺を虚脱させるためのオペレータの能力に大した影響を及ぼさないであろう。
【0185】
標的肺の一部の空気量を減少させることは、RFアブレーション病変寸法を増加することによって腫瘍アブレーションを容易にするといった他の利点をもたらし得る。肺気道内の空気は、非常に不十分な熱伝導体であり、導体である。(例えば、空気流を閉塞することによって、または本明細書に記載の他の方法によって)気道を虚脱させることは、その空気を抜くことであり、このことは、既に通気された組織を通るRFの透過性を向上させる。発明者らはそれゆえに、気管支カテーテルなどの装置と組み合わされる電極を通るエネルギ伝達を容易に改善する手段として、標的肺部位における空気量を減少させることを提案している。バルーン(例えば、液体または気体で満たされる)、別の空間閉鎖栓、展開可能な弁、注入される蒸気、ファン、グルー注入、またはステントは、標的腫瘍を包囲する、または隣接する特定の肺部位の空気量を減少させるために気道を閉塞するために用いられ得る。バルーンは、例えば、気道の一部を閉塞するために用いられることができ、気道が遮断されるとき、血液は肺胞の内部のガスを吸収し、それゆえに空気量が減少する。代替的に、閉じ込められた空気は、カテーテル内のルーメンを通して真空圧を用いて吸引されてもよい。吸引は、所望の収縮または虚脱のレベルに応じて、30秒から10分の間、適用されてもよい。気道が空気を奪われる場合、肺胞は収縮する。いくつかの場合において、血液、流体、及び粘液は、少なくとも部分的に、既に通気された空間を満たしてもよく、このことは、その空間がRFエネルギ及び熱をより効率的に伝導できるようにする。
【0186】
加えて、区域の虚脱は、肺の局所的な低酸素性血管収縮につながる低酸素症を引き起こす。肺の標的部位への血液の流量が減少することは、血液速度及び代謝冷却をより遅くすることをもたらし、熱エネルギのより効率的な利用をもたらす。
【0187】
気道を閉塞し、組織をアブレートするように構成されるカテーテルを用いて肺の標的部位を虚脱させることを含む肺腫瘍のアブレーションの手順方法は、次のステップ、すなわち、(例えば、CTなどの医用画像技術を用いて)肺の標的腫瘍の位置を特定することと、医用画像をナビゲーション技術に登録することによって3Dナビゲーションマップを生成することと、必要に応じて3Dナビゲーションまたは電磁式ナビゲーション支援を用いて、気管支鏡を患者の気道を通して送達し、その遠位端を標的肺部位の近傍に設置することと、腫瘍の位置を確認するために生検をすることと、気管支鏡、閉塞・アブレーションカテーテル、及び気管内チューブルーメンに潤滑剤を塗布することと、閉塞・アブレーションカテーテルを、気管支鏡ワーキングチャネルを通して設置することと、必要に応じてカテーテルを、ガイドワイヤを介して送達することを含み、カテーテルの遠位部を標的部位に誘導し、(例えば、標準の、仮想の、またはナビゲーション気管支鏡検査によって)アブレーション電極を可能な限り腫瘍に接近させるようにナビゲートすることと、必要に応じて電極の位置または接触を、電極から測定されるインピーダンス、画像またはEMナビゲーションを用いて確認することと、必要に応じて、閉塞バルーンを、アブレーション部位の近位にある気道内に配置することと、気管支鏡のレンズで視覚化する間に閉塞バルーンを膨張させることと、必要に応じて、空気が吸収されるか、または本明細書にて開示されるような他の気管支空気量減少ステップ(例えば、標的肺部位から空気を除去するために吸引を適用する)を適用して、肺の標的部位における空気量の減少を可能にすることと、必要に応じて、組織の電気インピーダンス(例えば、RF電極と接地パッドとの間、またはバイポーラRF電極の間)をモニタリングし、ここで、安定し恒常的なインピーダンスは気管支の空気量が減少したことを示し、それゆえに、組織の電極との接触をより大きくすることと(例えば、発明者らにより実施された研究において、気管支の空気量が減少したときに、インピーダンスが約24%~38%低下する)、電極に灌流するかまたは導電性流体を標的肺部位に注入することと、コンピュータ制御されたアブレーションエネルギを、電極を通して標的組織に伝達することと、必要に応じて、肺部位に残された流体を、カテーテルを通して、または気管支鏡を通して除去することと、閉塞バルーンを収縮させ、カテーテルを患者から取り外すことと、出血または水疱の兆候のある処置された気道を視覚化し、必要があれば処置され得ることと、を含んでもよい。必要に応じて、次のアブレーションが、アブレーション電極を次の位置に移動することによって、別の位置で行われてもよい。予め虚脱された場合において、肺部位が虚脱している間に電極を再配置することが困難である場合には、アブレーション電極を移動させる前に肺部位を膨張させることが必要であろう。いくつかの状況において、電極を再配置する間に、肺部位を収縮させたままにし、必要に応じて導電性流体を満たしたままにすることが可能であろう。必要に応じて、腫瘍が正常にアブレートされたかを特定するため、または次のアブレーションを適用するために、後にCTを用いて腫瘍の位置を特定するため、位置合わせマーカが腫瘍に、または腫瘍の周囲に設置されてもよい。
【0188】
図18A及び18Bは、動物実験の間の肺のCT画像の図であり、気管支の空気量の減少が様々な程度である状態の例を示す。図18Aにおいて、真空吸引は、気管支の空気量を相対的に減少させるには効率的ではなかった。結果として、白色不透明の領域800(気管支空気の除去によって影響を受ける肺組織の体積を示す)は、大きさが限られ、RF電極234を包囲する空間にのみ集中している。この観測結果は、カテーテルバイポーラインピーダンス(近位電極237とRF電極234との間で測定される、図4A参照)の相対的な低下と非常に良好に相関している。基準値において、カテーテル真空吸引の適用前にバイポーラインピーダンスは590Ωであった。真空吸引の適用後、バイポーラインピーダンスは変化せず、590Ωのままであった。逆に、図18Bは、カテーテルの真空吸引が、気管支の空気量を減少させるのにより成功した状態を示す。結果として、白色不透明の領域800が広がり、カテーテルRF電極234の周囲のより大きい領域を含んだ。この観測結果もまたカテーテルバイポーラインピーダンスで測定された変化と良好に相関している。基準値において、吸引前にバイポーラインピーダンスは、670Ωを示した。真空の適用後、バイポーラインピーダンスは400Ωに低下し、これは基準値から40%の低下を示した。バイポーラインピーダンスの基準値からの5~50%の範囲の低下は、通常、気管支壁とRF電極234との間の改善された電気的接触を裏付けるのに十分である。RF電極と標的気管支壁との間の電気的接触の質のさらなる改善のために、少量の高張食塩水がRF伝達の前に放出された。例えば、図18A及び18Bに示されるケースにおいては、23.4%の高張食塩水の5ml/minの割合で5秒の継続時間での放出は、カテーテルバイポーラインピーダンスをそれぞれ140Ω及び130Ωにまで低下させた。好ましくは、本発明の範囲を限定することなく、RFエネルギの伝達前に、バイポーラインピーダンスは、300Ω未満に低下させるべきである。表1に示されるように、より多い気管支空気量の減少は(図18B)、改善されたRF電極の接触をもたらし、より大きいアブレーション体積(表1に記載された幅1、幅2及び長さ)を生じさせた。増加したアブレーション体積は、より多い気管支空気量の減少のみの結果ではなかった。増加された高張食塩水の流量が、おそらく局所的な血液及び空気の流れの条件の結果、より大きい仮想RF電極を作り出した。より大きい仮想RF電極は、予想されるように、より大きいアブレーション領域を形成することに寄与した。
【表1】
【0189】
[標的肺部位への導電性流体の送達]
【0190】
導電性流体は、RFアブレーションを強化するために肺の標的部位の気道に(例えば、アブレーションカテーテルのルーメンを介して)送達されてもよい。導電性流体の送達は、より大きい体積の組織をアブレートすること(例えば、直径1.5cm以上のアブレーション)によって気管支内の肺腫瘍アブレーションを強化するために、高張食塩水(例えば、5%~30%の範囲の濃度を有する高張食塩水)の大量注入であってもよい。他の導電性流体が用いられてもよい。例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、または水酸化ナトリウムなどのいくつかの生体適合性のある導電性の水溶液(例えば、生体に対して本質的に致死的でない、または毒性のない導電性溶液)が用いられてもよい。このような溶液は、10%以上の体積濃度で、2~35Ω・cmの範囲、好ましくは4~14Ω・cmの範囲の電気抵抗率(伝導率として示される場合には70~225mS/cm)を有し、高周波電流の効率的な伝導をサポートするためには十分に低い。オスモル濃度は、このような水溶液の重要な特性であり、これは、次のように算出できる。
【数3】
ここでnは、各溶質分子から分離される粒子の数である。例えば、様々な溶液のオスモル濃度は、次のように特定され得る。
1)NaCl(分子量58.44g/mol)の23.4体積%の溶液について、モル濃度は、23.4g/100ml/58.44g/mol=0.4mol/100ml=4mol/Lである。
NaClがNa及びClに解離すると、n=2となり、それゆえにオスモル濃度は、Osm=4mol/l*2=8Osm/Lとなる。
2)CaCl(分子量110.98g/mol)の10体積%の溶液について、モル濃度は、10g/100ml/110.98g/mol=0.09mol/100ml=0.9mol/Lである。
CaClがCa 及び2Clに解離すると、n=3となり、それゆえにオスモル濃度は、Osm=0.9mol/l*3=2.7Osm/Lとなる。
【0191】
より高いオスモル濃度の溶液が好まれ得る。食塩水の理論的なオスモル濃度の計算において、浸透係数φ=1である。
【0192】
必要に応じて、導電性流体は高粘度を有してもよく、または標的部位に低粘度の状態で注入されて、体内の標的部位において高粘度の状態に変化してもよい。例えば、上記のような、NaClまたは他のものなどのイオン性塩は、逆相転移ポリマー及び水と混合されてもよく、これは体温を下回る温度から体温に移行したときにより高粘度に変化し得る。適切な特性を有するポリマーは、ポリエチレングリコールからなるブロック共重合体PLGA-PEG-PLGAなどであってもよく、これは両端で、FDA承認の乳酸グリコール酸共重合体によって共有結合でエステル化される。ポリマーの他の例は、ポリエチレングリコール、アルブミン、絹、ウール、キトサン、アルギン酸、ペクチン、DNA、セルロース、ポリシアル酸、樹木状ポリリジン、乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)、ジェラン、多糖及びポリアスパラギン酸、及びそれらの組み合わせに基づいてもよい。混合物は、ポリマーにより高い粘度特性を加える一方で、高張食塩水ベースの高い導電率を維持するように設計されてもよい。このようにして、導電性流体の広がりを通じて良好な制御が有効にされ得る。ポリマーは、生分解性、生体適合性または生体吸収性であってもよい。イオン成分は、例えば、MまたはM2+2-を含んでもよく、ここで、Mは、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリまたはアルカリ土類金属に属し、Xはハロゲン、酢酸塩、及びMと釣り合う他の等価のカウンタを示し、Yは、Xまたは混合ハロゲン、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、及びM2+と釣り合う他の等価のカウンタであってもよく、蟻酸、グリコール酸、乳酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、尿酸及びそれらの対応する共役塩基であってもよい。導電性流体は、組織の治癒または癌細胞のさらなる治療を助けるための(例えば、抗癌の、または抗生の)医薬品、またはX線造影剤などの成分をさらに含んでもよい。注入される量は、標的気道を越えて、肺胞及び肺実質に注入するのに十分であればよい。これは、伝達されたアブレーションエネルギ(例えばRFまたはマイクロ波)を電極接点の表面よりも多くの組織に伝導し、それにより実質的に有効電極サイズを増大し(つまり、仮想電極を生成し)、組織とのより安定し恒常的な電気接点を生成することによって実現される。高張食塩水または上記の他のものなどの導電性流体は、また、食塩水内でより少ない電力が失われ、より多くが組織に伝達されるので、アブレーションエネルギの伝達をより効率的にし得る。高張食塩水は、大幅に増加した導電率を有し、それゆえに、より低い接触インピーダンスを有するので、生理食塩水と比較してより少ない電力が高張食塩水へ失われる。より少ない電力が高張食塩水へ失われるので、沸点に到達しにくくなる。それゆえに、気管支空気量が減少した肺部位で、高張食塩水と共に生成されるアブレーションは、チャー形成を示さないけれども、より大きい損傷を生成する傾向がある。導電性流体の注入は、流体の注入及び任意の同時に起こる引き込みのための本明細書に記載される方法及び装置を用いて、必要に応じて電極周りの標的肺部位を虚脱させることと共に行われてもよい。肺部位を虚脱させ、灌流電極を用いてアブレートするために肺の標的部位を閉塞するように構成される装置220の例が、図4Aに示され、これは、少なくとも1つの灌流ポート235を有する少なくとも1つの電極234を備える。表1に示されるように、図18Bに描写される、6分のRF伝達の間のより多い高張食塩水の流量は、より大きいアブレーション体積をもたらした。図17及び関連する文章に示されるように、RF伝達の間の高張食塩水の流れは、本開示のアルゴリズムの態様によって制御される。アルゴリズムが高張食塩水の総量を最適化することを意図する一方で、肺癌を治療するために適切なサイズのアブレーション体積を生成するために、最少量が必要とされる。例えば、本開示の範囲を限定することなく、図18Aに描写されるケースからの0.5ml/minの低流量は、より小さいアブレーション体積をもたらした。RF伝達の間に、0.2~0.5ml/minを上回る流量を達成することが好ましい。食塩水は、それが非効率にRFエネルギを浪費する点に到達するので、最大値(例えば、最大約15ml/min)を上回る高張食塩水の流量は、より大きいアブレーション体積をもたらさないであろう。それゆえに、図17Aのアルゴリズムは、その総量を、最大値を下回るけれども、上述の最小値よりも大きく維持するために、高張食塩水の流量を最適化するであろう。0.2~5ml/minの範囲、好ましくは1.5~2.5ml/minの範囲の高張食塩水の流量は、十分に大きいアブレーション体積を生成するのに効果的であると予想される。治療セッションの間に維持される導電性流体の平均流量は、0.1~15ml/minの範囲であってもよい。
【0193】
動物実験は、高張食塩水を気道に注入することと、高周波によって熱エネルギを気道に伝達することとの組み合わせが、手術後の2週間に撮られたCTスキャンに見られるような、組織を殺す著しい効果を有することを示してきた。いくつかの以前の研究では、高張食塩水が、接着分子及びラミニンの発生を阻害することによって、内皮に対する腫瘍細胞の接着を大幅に弱め得ることが示された。(Shields CJ1,Winter DC,Wang JH,Andrews E,Lang WE,Redmond HP、学術外科部、コーク大学病院及びアイルランド国立大学、ウィルトン。高張食塩水は、接着分子及びラミニンの発生を減少させることにより腫瘍細胞-内皮細胞の相互作用を妨げる。Surgery。2004年7月136(1):76~83。)これは、外科手術で抜け落ちる腫瘍細胞の転移挙動を停止し得る。他の研究は、細胞アポトーシスを引き起こすために食塩水を用いる類似の研究を報告した。研究者は、癌細胞を殺すために塩を用いる研究を行った。彼らは、癌細胞に塩を注入することにより、その自己破壊を引き起こし得る技術を作成した。(Busschaert,N.、Park,S.、Baek,K.、Choi,Y.、Park,J.、Howe,E.、Hiscock,J.、Karagiannidis,L.、Marques,I.、Felix,V.等(2017)。細胞の塩化物濃度を混乱させることにより、オートファジーを中断させアポトーシスを誘導する、合成イオン輸送体。Nature Chemistry、9(7)、667~675。)(Ko,S.、Kim,S.、Share,A.、Lynch,V.、Park,J.、Namkung,W.、Van Rossom,W.、Busschaert,N.、Gale,P.等(2014)。合成イオン輸送体は、塩素アニオンの細胞内への搬送を促進することによってアポトーシスを誘導できる。Nature Chemistry、6(10)、885~892。)不幸なことに、細胞が癌化するとき、それは、アポトーシスを遮断する方法で、それが細胞膜を横断してイオンを輸送する方法を変える。しかしながら、温度を上昇させることが高張食塩水(HTS)の拡散性、それゆえに、HTSの細胞内への輸送能力を向上することができ、加熱されたHTSまたは他の食塩水の注入が、腫瘍細胞を殺す有益な効果を有し得る非常に可能性のある方向となり得ると、期待されるべきである。上述したように、他の生体適合性、導電性、水溶液が採用され得る。より高いオスモル濃度は、細胞膜を横断するイオンのより良好な拡散性をサポートするであろう。
【0194】
高温高張食塩水(HTS)または上述のものからの全ての他の高温溶液は、細胞に対してHTSを輸送するための浸透または拡散において良好な性能を有し、細胞の脱水の促進を向上し得る。増加した細胞外の塩分は、隣接するセル内からの水分量の損失をもたらす。結果として、高温HTSは、RFエネルギの伝達によって生成される細胞の乾燥効果を強化する。それに比べて、50Wで電力供給される標準的な既存のアブレーションカテーテル(サーモクール)を用いて、室温の食塩水を高灌流率(30ml/min)で灌流させることでなされた研究は、より少ない細胞死をもたらした。5%を上回る、例えば10%の濃度のHTSは、標的空間に注入されることができ、その後、RF電流がそれを通って組織内に伝達されるので、カテーテルの遠位部に位置する電極によって、例えば60℃~115℃の範囲の特定の温度に到達する。代替的に、肺の隔離された部位は、カテーテル上の灌流ポートから加熱されたHTSで直接灌流され得る。肺の隔離された部位は、少なくとも2分の継続時間、または適切に30秒~30分の継続時間で熱及びHTSに晒されてもよく、その後、HTS及び局所領域は、電極を停止させ、室温の食塩水で灌流または置換し、または灌流ポートから直接排出することによって冷却され得る。この手順は、所望のアブレーション結果が達成されるまで繰り返され得る。温度の上昇は、HTSの拡散性を向上させ、それゆえにHTSを細胞へ搬送する能力を向上させることができ、加熱されたHTSまたは他の食塩水を注入することが、腫瘍細胞を殺す有益な効果を有し得る非常に可能性のある方向となり得ると、期待されるべきである。
【0195】
図19A及び図19Bは、動物実験からの解剖された肺組織の画像であり、高張食塩水の注入及びRFエネルギの印可の結果としての肺組織における壊死の進行の例を示す。図19Aは、3ml/minの割合で10分、23.4%の高張食塩水を注入したケースを示す。RFエネルギは印可されなかった。高張食塩水は、動物の左下肺に送達された。動物は、1か月生存した。組織病理が次に実施された。図19Aに示される肉眼病理図は、サイズが約0.5mmの壊死点805を示す。壊死点805は、注入後の急性期はやや大きくなる傾向があったが、その後1か月の間に、動物の体に次第に再吸収された。この動物に注目される安全性の問題については存在しなかった。Naレベルのような血液電解質は、手術前の基準値に対して変化しなかった。血圧及び他のバイタルは全て正常であった。高倍率の組織病理で、いかなる細菌コロニーも観察されなかった。さらに小さな壊死点の存在は、高張食塩水の潜在的な治療効果の兆候である。RFエネルギの伝達と組み合わされる場合、高張食塩水の治療効果は増加する。例えば、図19Bに示されるように、RFエネルギと高張食塩水とが組み合わされた効果は、図19Aにおけるそのサイズの約10倍である約5mmの壊死領域806をもたらした。図19Aのケースと同様に図19Bのケースにおいても、同量の23.4%の高張食塩水が、右下肺に送達された。3ml/minの同一の流量で10分が用いられた。加えて、10WのRF電力が食塩水の送達の期間中に90秒印可された。同一の動物が図19Aのケースと同様に治療された。それゆえに、RFエネルギと高張食塩水の注入とを組み合わせた効果は、腫瘍などの肺内の組織をアブレートするときに、増加した壊死領域をもたらし、それゆえに向上した治療結果をもたらし得る。
【0196】
導電性流体、例えばHTSの組成は、HTSの電気または熱伝導率、または粘度が調整され得るように、調整可能とされてもよい。例えば、導電性流体源は、肺の標的部位に注入される導電性流体の特性を調整するために組み合わされ得る複数の源を備えてもよい。ソフトウェア駆動のコントローラは、アブレートされる標的部位で肺の自然気道中に混合液を注入する前、または間に、複数の源を予め決定された、または自動的に決定される割合で混合するようにプログラムされてもよい。例えば、複数の源のそれぞれの所望の量を選択的に取得するために、個別のポンプが、制御された割合及び継続時間で駆動されてもよい。複数の流体は、混合流体を、装置を通して標的部位に送達するのに先立って、混合チャンバに送出されてもよく、または標的部位に同時にまたは順次、直接送達されてもよい。複数の源の比率の自動決定は、例えば装置の遠位領域に位置するセンサからの入力を用いてコントローラによって算出されてもよい。
【0197】
代替的に、様々な塩分濃度を有する食塩水などの様々な特性を有する複数の流体源が提供されてもよく、コントローラは、溶液を混合することなく灌流するために、何れの源から汲み出すかを選択してもよい。コントローラは、アブレーション手順内の時間、または、患者に送達される流体の総累積量、またはインピーダンスまたは温度などのセンサからのフィードバックに基づいて流体源を選択してもよい。1つの例において、第1源は、高張食塩水(例えば、10%を超える、15%を超える、20%を超える、約23.4%の塩分濃度の食塩水)を含んでもよく、第2源はより低い塩分濃度(例えば、0.9%)の食塩水を含んでもよい。アブレーション手順の初期の間、標的肺空間に灌流するために第1源から汲み出されてもよく、アブレーション手順の第2期の間、灌流するために第2源から汲み出されてもよい。論理的根拠は、アブレーションを開始させるため、そして導電率について標的肺空間内の環境を準備するために高張食塩水が灌流されてもよいことであるけれども、その高い塩分濃度によって、それは肺に浮腫を引き起こし得る。過剰な量の浮腫は、好ましくない。灌流アブレーションの第1期(例えば、2分以下、2.5分以下、総アブレーション継続時間の25%以下)の後、組織環境は、低い塩分濃度の食塩水が、多数の浮腫を引き起こす欠点を有することなく、温度調整の仕事を可能にし得るように十分に準備されるべきである。必要に応じて、コントローラは、より低い塩分濃度の食塩水によって伝導率が予め定められたレベルに低下するかどうかを、例えばインピーダンスの測定を介して検出してもよく、より高い塩分濃度の食塩水に再度切り替えてもよい。
【0198】
必要に応じて、コントローラは、伝導率、粘度、温度または圧力などの導電性流体の様々な特性に基づいてアブレーションエネルギの伝達パラメータ(例えば、導電性流体の流量、アブレーションエネルギ電力、設定温度、ランプ率、継続時間)を調整してもよい。例えば、導電性流体の流量または伝導率の少なくとも1つを調整することは、温度センサによって検出される値を定められた温度範囲内に維持するために、流量または伝導率の少なくとも1つを調整することを含んでもよく、ここで、定められた温度範囲は、必要に応じて60~115℃、またはある特定の温度閾値を超え、ここで好ましい温度閾値は、必要に応じて、75~105℃、例えば85~99℃である。別の例において、システムは、基準流体温度25℃で、10mS/cm~450mS/cmの範囲で導電性流体の伝導率を調整するように構成される。
【0199】
例えば、表1に示されるように、RF電力の平均67Wでの6分の伝達は、平均組織温度90℃と、4.4cm×3.1cm×3.9cmのおよそ27cmのアブレーション体積とをもたらす。さらに、高張食塩水または上述したものからの他の何れの水溶液(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化ナトリウムなど)も、癌細胞に対して毒性があると知られており、代替的にまたは追加的に、腫瘍細胞を化学的にアブレートし得る。肺実質に浸透した食塩水は、肺胞気を置換するか、コーンの孔及びランバート管を通して肺胞の周囲に広がり得る。灌流された高張食塩水は、それをコンピュータ断層撮影法(CT)で視覚化するために非イオン性のヨード造影剤でドープされるであろう。他の導電性の灌流流体としては、硫酸アルミニウムなどが想像されるであろう。アブレーション領域に置かれる灌流を継続的に補うために、アブレーションの間に吸引を用いて導電性流体の流れを生成することは、流体内で生じる熱を除去することによって、腫瘍アブレーションをさらに促進するであろう。
【0200】
制御可能な、プログラマブルな、且つ予測可能な導電性イオンの集中を生じさせるために、様々な液体がコンピュータの制御下で混合され得る。代替的に、標的肺組織に貯留される非流動導電性流体は、標的肺腫瘍をアブレートするために十分な損傷の生成を促進するであろう。例えば腫瘍サイズ、標的腫瘍とRF電極との間の距離、または脆弱な標的でない構造に近いこと、の関数としてもよい所望のアブレーション体積は、導電性流体の注入を流動させるか、または停滞させるかどうか決定してもよく、ここで、停滞する注入は、より小さいアブレーションのために用いられてもよく、流動する注入は、より大きいアブレーションのために用いられてもよく、必要に応じて、より多い流量または注入された液体の冷却が、さらに大きいアブレーションに用いられてもよい。
【0201】
アブレーションのために肺を準備し、流体が組織に流入することを可能とするために、導電性流体がアブレーションの開始前に注入され得る。高張食塩水などの導電性流体を送達することは、アブレーションエネルギコンソールが、治療の目的を達成するために必要に応じてより広い範囲の電力レベルで動作することを可能にし得る。
【0202】
図13は、1ml/minの割合で高張食塩水を注入することによって実現される近位電極温度303、灌流遠位電極温度304、電力305、インピーダンス306、位相307の範囲の例を示す。温度は、60℃を超え115℃を下回る(例えば、105℃未満、100℃未満)範囲内で管理されてもよく、限定された期間(例えば、1秒未満、2秒未満、3秒未満)、そのような範囲の外側で変動してもよい。
【0203】
必要に応じて、導電性流体は、気道内に配置される針カテーテルを通して、実質または腫瘍内へ注入されてもよく、このことは導電性流体を標的部位へより効果的またはより選択的に送達し得る。針はさらに、関連する温度及びインピーダンスセンサを備え、RFエネルギを腫瘍近辺の実質または腫瘍の内部に直接伝達するために用いられ得るRF電極をさらに備えてもよい。
【0204】
必要に応じて、高張食塩水などの導電性流体の溶液注入は、アブレーションサイズを調整するために徐々に増量されてもよい。上述したように、0.2~5ml/minの高張食塩水の流量は、正常且つ安全な範囲内で、患者の電解質、血圧及び流体負荷を維持する一方で、十分に大きいアブレーション体積の形成に寄与することが期待される。徐々に増量することは、食塩水の濃度、注入された高張食塩水の量を調整することによって、または様々なサイズの肺部位を遮断するために閉塞構造の位置を調整することによって行われてもよい。食塩水の濃度がより高いほど、より導電性があり、より大きい損傷を生成し得る。注入される食塩水がより大量であるほど、組織のより大きい体積へ広がることができ、より大きい損傷を生成する。閉塞される肺のより大きい部位は、より大量の注入された高張食塩水を受け入れることができ、このことは、より大きい損傷をもたらし得る。RF伝達パラメータは、高張食塩水の漸増に従って調整されてもよい。例えば、灌流流体の塩分濃度は、インピーダンス値の望ましくない変動に応答して増加し得る。
【0205】
[実施形態#1(気道内への配置のための単一シャフト上のアブレーション電極)]
【0206】
ワーキングチャネルを通して送達され、肺の標的部位を閉塞し、肺の標的部位内の空気量を減少させ、導電性溶液を肺の標的部位内に送達し、組織特性をモニタし、腫瘍をアブレートするように構成される装置220の例が図3に示される。図3の装置は、図4Aで生体内の位置に示される。
【0207】
装置220は、患者の体の外側に残るよう意図される近位部と、ワーキングチャネルを通して標的肺腫瘍の近位にある肺の標的部位へ送達されることが意図される遠位部215とを有する細長いシャフト229を備える。遠位部215は、ワーキングチャネル(例えば、気管支鏡221のワーキングチャネル225、または気管支鏡のワーキングチャネルを通って送達され得るシース213のルーメン)を通って送達されるように構成される。例えば、一般的な気管支鏡ワーキングチャネルは、2.8mmの内径及び60cmの長さを有し得る。2.8mmの気管支鏡ワーキングチャネルを通して送達するのに適した送達シース213は、2.8mm未満、好ましくは約1.95mm±0.05mmの外径、外径よりおよそ0.45mm小さい、好ましくは約1.5mm±0.05mmの内径、及び気管支鏡の長さよりも長い長さ(例えば、60cmより長く、好ましくは約105cm)を有してもよい。様々なサイズの気管支鏡ワーキングチャネルを通り抜けるのに適した類似のカテーテルのために、他の寸法を適用可能としてもよい。その送達状態において、装置220は、装置がそれを通って送達されるシース213の内径よりも小さい最大径、例えば2mm以下(例えば、1.5mm以下、好ましくは1.4mm±0.05mm)を有してもよい。装置220は、送達シースの長さより長い長さ、例えば50cm以上(例えば、60cm以上、105cm以上、好ましくは約127cm)を有してもよい。装置220のシャフト229は、例えば、約1.35mmの外径を有するPebax720の細長いチューブにて形成されてもよい。シャフトは、シャフトの湾曲部がわずか7mmの曲率半径を有するように、湾曲部を横断することが可能な可撓性シャフトであってもよい。シャフトは、可撓性、押し込み可能性、耐ねじれ性及びトルク可能性の機能をもたらすワイヤブレードを含んでもよい。
【0208】
必要に応じて、装置220は、ガイドワイヤルーメン236(例えば、シャフト229内のルーメンを通り抜ける0.015インチの内径のポリイミドチューブ)を備えてもよく、そこで、装置はガイドワイヤ227を介して送達されてもよく、または補強ワイヤ、または腫瘍穿孔ワイヤ、または光ファイバワイヤまたは他の装置などの部品がルーメンを通して送達され得る。
【0209】
代替的に、図4Bに示されるように、鋭利な遠位端249を有する腫瘍-穿孔-ワイヤ248は、気道を遮断または気道内に侵入する腫瘍80などの組織を貫通することを容易にするためにカテーテル220の遠位端から突出するようガイドワイヤルーメン236を通って前進してもよい。図4Bに示される装置220は、先細の遠位端247の先端から出るルーメン236を有する先細の遠位端247を有することを除いて、図4Aの装置と同一である。先細の遠位端247は、腫瘍-穿孔-ワイヤ248によって生成される組織内の孔に入り、アブレーション電極234が孔の中へ、または孔を通って前進し得るように孔を拡張し得る拡張器として用いられてもよい。必要に応じて、腫瘍-穿孔-ワイヤ248は、鋭利な遠位端249がカテーテル247の遠位端に近接していることを示すために、その近位部に深さマーカを有してもよい。必要に応じて、腫瘍-穿孔-ワイヤ248は、X線不透過の材料で作成されるか、またはその鋭利な遠位端249の近傍にX線不透過マーカを有する。使用方法において、カテーテル220は、腫瘍-穿孔-ワイヤ248無しで患者の気道を通って前進してもよく、このことはカテーテル220が、狭い湾曲部の通過をより柔軟に容易にすることを可能にする。必要に応じて、ガイドワイヤは、カテーテルの送達を容易にするために用いられてもよい。標的腫瘍が少なくとも部分的に気道内にあり、カテーテルがさらに前進することを阻止する場合、腫瘍-穿孔-ワイヤ248は、必要に応じて深さマーカによって示されるように、鋭利な遠位端247が開口に近接するまで、ルーメン236を通って前進してもよい。鋭利な遠位端247は、その後、前進をモニタし、胸膜または他の標的でない組織を穿刺するリスクを回避するために、必要に応じて気管支鏡ガイダンスまたは、他の医用画像またはロボットガイダンスの下で、腫瘍内へ、または腫瘍を通って前進する。必要に応じて、腫瘍-穿孔-ワイヤ248は、カテーテル220の遠位端から予め定められた距離(例えば、約3cm以下、約2cm以下、約1cm以下、約5mm以下)だけ前進するように構成されてもよい。カテーテル220は、先細の端247が腫瘍-穿孔-ワイヤ248によって形成された腫瘍内の孔を拡張し、アブレーション電極234が腫瘍80に入るように、前進してもよい。腫瘍-穿孔-ワイヤ248は、アブレーションエネルギの伝達前に取り外されてもよい。
【0210】
代替的に、シャフト補強ワイヤは、配置する間のカテーテルの剛性を向上させるために、シャフト内のルーメン、例えばガイドワイヤルーメン236を通って前進してもよい。カテーテルシャフトは、非常に柔軟であるので、わずか7mmの曲率半径の気道の湾曲部を通過し得るけれども、ねじれを回避するように前進するときにはより剛性を必要とし得る。
【0211】
必要に応じて、シース213は、その長さまたはその長さの部分(例えば、シース長さの少なくとも近位の5cm及び遠位の5cm)に沿って配置され、一定の間隔が空けられる(例えば、幅約1mmを有して中心から中心へ約1cm空けられる)深さマーカ415を有してもよい。必要に応じて、図4Aに示される実施形態のシャフト229または図5Aまたは5Bに示される他の実施形態のシャフト429、529は、その長さまたはその長さの部分(例えば、シャフト長さの少なくとも近位の5cm及び遠位の5cm)に沿って配置され、一定の間隔が空けられる(例えば、約1mmの幅を有して中心から中心へ約1cm空けられる)深さマーカ416を有してもよい。深さマーカは、パッド印刷またはレーザエッチングなどの当技術分野において周知の方法を用いてシースまたはシャフトに付加されてもよい。使用中、医師はワーキングチャネル(例えば、気管支鏡ワーキングチャネル)を、患者の肺内に配置してもよく、アブレーション電極または閉塞具のワーキングチャネルに対する位置を特定するために、シースまたはシャフト上の深さマーカをワーキングチャネルに対して用いてもよい。
【0212】
装置220は、標的肺部位に空気を送る気道を、一時的に、少なくとも部分的に閉塞するように構成される。図3及び4Aに見られるように、装置220は、インフレータブルバルーンまたは閉塞具231などの閉塞要素を備える。細長いシャフト229は、閉塞具を膨張及び収縮させるために閉塞具231内に配置されるポート232を有するルーメン222(例えば、シャフト229内のルーメンを通り抜ける0.015インチの内径のポリイミドチューブ)を備える。閉塞具231は、気道、またはある範囲の直径(例えば、3mmから10mmの範囲の直径)の気道を閉塞する大きさのバルーン(例えば、コンプライアントバルーン)であってもよい。閉塞具231は、ルーメン222を通って閉塞具231に入る注入流体(例えば、空気などの気体、水または食塩水、または対照液などの液体)によって、膨張されてもよい。必要に応じて、流体は、装置220の近位部に接続される注射器を用いて手動で注入されてもよく、流体の圧力は、ロックストップ弁を閉鎖することによって維持されてもよい。閉塞具は、ロックストップ弁を開放し、注射器を用いてバルーンから膨張流体を吸引することにより、除去収縮してもよい。代替的に、装置を動作させるシステムは、バルーンを膨張または収縮させるための流体を注入または除去するためのポンプを備えてもよい。必要に応じて、第2ルーメンと流体連通する第2ポートが閉塞具内に配置されて、膨張流体が閉塞具へ注入されながら閉塞具から除去されることを可能にして、膨張圧力を維持するものの流体が閉塞具内で循環することを可能にするようにしてもよく、このことは、閉塞具の温度をアブレーション温度よりも低く維持することを助け、閉塞具を熱的に損傷するリスクを回避し得る。
【0213】
図3及び4に示される閉塞具231または、図5Aに示される類似の閉塞具431,481、図5Bに示される531,581、図7に示される231は、コンプライアント、セミコンプライアント、またはノンコンプライアントインフレータブルバルーンであってもよく、コンプライアントバルーンは、少なくとも120℃までの温度で少なくとも30分間損傷を回避可能な材料製であり、少なくとも30分間、1ccの空気の膨張に耐えることが好ましい。コンプライアントバルーンの材料の適切な例は、約140℃までの本体の動作範囲における温度に安全に耐え得るシリコーンである。例えば、バルーン材料は、幅12mmまでの信頼性のある低圧膨張のために、0.1インチの直径で形成される0.0015インチ±0.001インチの壁厚を有する40Aシリコーンであってもよい。バルーン閉塞具は、伸長された(例えば、弛緩した長さの2倍に伸長された)状態でシャフト229に取り付けられ、シアノアクリレートなどの接着剤で両端が接着されてもよい。任意の熱収縮カラー(例えば、PET)が、強度を増すためにバルーンの接着された端の周囲に付加されてもよい。本明細書に開示される何れの実施形態のインフレータブルバルーン閉塞具も、例えば、体外で膨張された状態で、5mm~30mm(例えば12mm)の範囲の長さ400及び1mm~30mm(例えば、12mm)の範囲の同様の寸法の直径401を有する、図14Aに示されるバルーン402のようなやや球状であってもよい。代替的に、インフレータブルバルーンは、例えば、体外で膨張された状態で、5mm~30mmの範囲(例えば、10~20mmの範囲)の長さ404及び1mm~30mmの範囲(例えば、4mm~20mmの範囲、約12mm)のより小さい寸法の直径405を有する、図14Bに示されるバルーン403のような細長い、またはソーセージのような形状であってもよい。球状バルーン402と比較して、細長いバルーン403は、気道のより良好な流体シールをもたらすことができ、使用中により良好に位置を維持し得る。しかしながら、バルーンの長さが増加するので、バルーンとシースとの間の摩擦も増加し、シースを通る送達がより困難となるか、または送達中にバルーンを損傷するリスクが増加する。それゆえに、バルーンが30mm以下(例えば、25mm以下、20mm以下)であることが好ましいであろう。
【0214】
代替的に、本明細書に開示される何れの実施形態のインフレータブルバルーン閉鎖具も、例えば、体外で膨張した状態で、5mm~30mmの範囲の長さ409及び0mm~20mmの範囲(例えば、約2mm)の第2直径411に先細になる1mm~30mmの範囲(例えば、12mm)の第1直径410を有する、図14Cに示されるバルーン408のような幾分先細のバルーン408であってもよく、ここで第1直径(つまり、先細バルーン408のより大きい端部)は、第2直径よりも、アブレーション電極からよりさらに離れている。この先細のバルーン形状は、気道の機能的なシールを可能とする一方で、使用中に、真空が気道に適用される場合に、気道及び肺組織がアブレーション電極に向かって潰れる能力を改善し得る。
【0215】
図14Dに示されるような閉塞バルーン423の別の代替の実施形態は、近位部412、遠位部413、及びそれらの間の腰部414を有する細長い形状を有してもよい。例えば、体外で膨張した状態で、バルーン423の近位部412は、1mm~30mmの範囲(例えば、約12mm)の幅418を有してもよく、遠位部413は、1mm~20mmの範囲(例えば、約10mm)の幅419を有してもよく、腰部414は、例えば、1mm~19mmの範囲(例えば、約8mm)の幅418及び419未満の幅421を有してもよい。必要に応じて、遠位部の幅419は、近位部の幅418よりも小さくてもよい。バルーンのこの形状を生成する1つの方法は、腰部414においてバルーン材料をわずかに厚くすることである。このバルーン構造は、気道を閉鎖することができ、標的気管支の開口の近傍に配置される場合に特に有益となり得、ここで、近位部412が標的気管支の開口を封鎖するように設置される一方で、遠位部413は標的気管支内に設置されてもよい。
【0216】
代替的に、閉塞バルーン231は、PTFEなどの閉塞材料を有する展開可能な弁、または展開可能なステントなど閉塞構造の異なる形状であってもよい。
【0217】
図4Aは、細長いシャフト229と、気道を閉塞するためにシャフトの遠位部に配置される空間閉鎖栓(例えば、閉塞具)231と、閉塞具231の遠位の気道151から空気を除去し、標的肺部位、肺区域、または肺葉を虚脱させるために、カテーテルの近位部で吸引装置(例えば、真空ポンプ)と接続可能なルーメン(図示なし)と流体連通する少なくとも1つの空気除去ポート235と、を有する、選択された気道151に導入される図3に示されるアブレーション装置220を示す。例示的な実施形態において、装置220は、それぞれが直径0.017インチを有する4つの空気除去ポート235を有する。空気は、空気除去ポート235と連通するルーメンに、(例えば、吸引装置を用いて)負圧をかけることによって標的肺部位から除去されてもよく、これは肺部位からルーメンを通して患者の外部の装置の近位部へ空気を引き出す。示されるように、空気除去ポート235は、導電性流体(例えば、高張食塩水)がそれを通って送達され得るポートと同一である。代替的に、シャフト229上で、閉塞具231の遠位の出口ポートを有するガイドワイヤルーメン236または追加のルーメン(図示無し)などの様々なルーメンへ吸引力を作用させることにより、肺の標的部位から空気が除去されてもよい。肺の標的部位を少なくとも部分的に虚脱させる代替の方法が、本明細書に説明される。
【0218】
図3及び4Aに示される装置220は、装置220の遠位部215に配置され、RFアブレーションエネルギの伝達のためのエネルギ伝達コンソールに接続可能な近位部へ、装置のシャフト229を通り抜ける導体238(例えば、銅線32AWG)に接続される、遠位電極234をさらに備える。十分な電気絶縁体が、導体と電極との間を絶縁し、電気応力を回避するためにもたらされるべきである。アブレーションエネルギの伝達の間、300kHz~1MHzの範囲の周波数で300VのRF電圧が印可されてもよい。最小絶縁耐力は、約2000V/mmであってもよい。例えば、電気絶縁体は、導体及びシャフト材料上の絶縁体によってもたらされてもよい。追加的に、UV硬化接着剤などの誘電材料は、遠位電極234と近位電極237との間の絶縁耐力を向上するために、遠位電極234に近接する装置の少なくとも遠位部において導体を支持するシャフト229内のルーメンに注入されてもよい。遠位電極234は、円筒形の形状で、0.5mm~2mmの範囲(例えば、約1.35mm)の直径、及び3~20mmの範囲(例えば、3mm~10mmの範囲、約5mm)の長さを有してもよい。任意の近位電極237は、閉塞具231の遠位(例えば、1mm~8mmの範囲、約5mmの距離239)で、遠位電極234の近位(例えば、5~15mmの範囲、約10mmの距離240)で、シャフト229上に配置される。任意の近位電極237は、0.5mm~5mmの範囲、好ましくは1mm±0.25mmの長さ、0.5mm~2mmの範囲(例えば、約1.35mm)の外径を有してもよい。遠位電極234と、閉塞具231との間の総距離245は、1mm~40mmの範囲(例えば、5mm~30mmの範囲、10mm~20mmの範囲、約16mm±2mm)であってもよく、これは、遠位電極234が、閉塞具231への熱的損傷のリスクを冒すことなく、隣接する組織及び導電性流体を加熱することを可能にし得るか、または、閉塞具が、アブレーション電極234の周囲のかなり大きいアブレーション領域244を生成する能力に、悪影響を及ぼすリスクを回避し得る。近位電極237は、エネルギ伝達コンソールに接続可能なカテーテルの近位部へシャフト229を通り抜ける導体241(例えば、銅線32AWG)に接続される。必要に応じて、遠位電極234及び近位電極237は、2つの電極に近接する組織の電気インピーダンスまたは位相を測定またはモニタするために用いられる電気回路を完成させるために一緒に用いられてもよい。インピーダンスまたは位相は、肺部位の空気量を減少させるステップの間またはアブレーションエネルギの伝達の間の気管支空気量の減少の状態を評価するため、または標的肺部位への導電性流体の注入の程度を評価するため、または電極に近接する組織のアブレーションの程度を評価するために用いられてもよい。例えば、遠位電極234と近位電極237との間で測定されるバイポーラインピーダンスにより実施されたベンチテストにおいては、約5~20%(例えば、約400Ωから約350Ωに)低下する。それに応じて、位相は、およそ虚脱前の範囲-20°~-60°から、虚脱後の範囲-10°~-30°に至るまで増加するであろう。図12は、標的肺部位が虚脱され、高張食塩水の後で「食塩水」が標的気道に注入されることに続く「標準組織接触」、「強力組織接触」を含む様々な組織接触状況下における、480kHzでのインピーダンス300及び位相301の代表的な値を示す。追加的に、虚脱された気道内の空間を高張食塩水で満たすとき、電気インピーダンスは、RF適用の第1部の間、一定で恒常的な減少を示す。電気インピーダンスの恒常的な安定した挙動は、標的気道が虚脱されてより強力な組織接触をもたらしたことをユーザに示すために用いられてもよい。
【0219】
図3及び4Aに示されるように、アブレーションカテーテルはアブレーション電極234を備え、アブレーション電極の遠位は、ガイドワイヤポート236を有するシャフトの短い部分である。代替的に、アブレーションカテーテルは、ガイドワイヤルーメンが無くてもよい。さらに、アブレーションカテーテルは、アブレーション電極234の遠位のシャフトの短い部分が無くてもよく、カテーテルは、アブレーション電極で終端してもよく、半球状の遠位端を有してもよい。
【0220】
高張食塩水(HTS)は、塩化ナトリウム(NaCl)の濃度が生理学上(0.9%)よりも高い全ての食塩水を指す。一般に使用される調合液は、2%、3%、5%、7%及び23%のNaClを含み、病院の薬局を通して、滅菌袋または瓶入りで一般的に入手可能でその導電性よりもむしろ浸透性のために(例えば、浮腫を軽減させるために)、医療行為において用いられる。上述のように、他の水溶液(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化ナトリウムなど)が用いられ得る。
【0221】
導電性流体(例えば、3%~30%の高張食塩水)は、電極234内の灌流ポート235を通って、または追加的または代替的に、閉塞バルーン231よりも遠位で装置220から出る注入ルーメン(図示なし)を通って、標的肺部位に送達されてもよい。注入ルーメンは、電極内のポートを通って出てもよく、または出なくてもよい。注入ルーメンは、灌流ポート(例えば、235)から、導電性流体供給部及び必要に応じてポンプに接続可能な装置の近位部へ、シャフト229を通り抜ける。代替的に、ガイドワイヤルーメン236が導電性流体を注入するために用いられてもよい。
【0222】
代替的または追加的に、肺の標的部位を虚脱させることと組み合わせて、既に通気された空間に、高張食塩水などの導電性流体が注入されてもよい。高張食塩水の使用は、仮想電極効果に基づいてRF伝達を強化し得る。
【0223】
標的肺部位が閉塞具231で閉塞され、必要に応じて虚脱され、導電性液体が注入される一方で、RFアブレーションエネルギは、エネルギ伝達コンソールから遠位電極234へ伝達されてもよい。温度センサ242(例えば、T型熱電対)は、遠位電極234上または内に配置されてもよく、エネルギ伝達コンソールに接続可能な装置220の近位部へシャフト229を通り抜ける熱電対ワイヤ243に接続されてもよい。温度センサ242は、エネルギ伝達の間に電極234の温度をモニタするために用いられてもよく、それは、そこでエネルギ伝達を制御するためのパラメータとして用いられる(例えば、温度が、45℃~115℃の範囲、好ましくは50℃~95℃の設定点温度に合うように温度制御された電力供給、または過加熱を回避するための特定の局所的な条件に応じて、45℃~115℃の範囲、好ましくは50~95℃の最大温度で定電力制御された電力供給)。
【0224】
図4Aに示されるように、アブレーション244の広がりは、標的肺部位への導電性流体の注入によって大きく影響を受ける。
【0225】
電気回路を完成させるためのリターン電極は、患者の皮膚上に配置される分散電極であってもよく、ここでRFエネルギは、遠位電極234と分散電極との間の組織を通って伝導する。必要に応じて、または代替的に、近位電極237もまた、アブレーションエネルギを伝達するため、または電気回路(例えば、バイポーラモード)を完成させるために用いられてもよい。
【0226】
図4Aに示されるように、レンズ224及び光源223を有する気管支鏡221が、患者の気道内に配置され、気道閉塞及び腫瘍アブレーションのために構成されるカテーテル220が、気管支鏡のワーキングチャネル225を通して標的肺部位226(例えば、肺部位、肺葉、または肺区域)へ送達される。ガイドワイヤ227は、ナビゲーションセンサ228を備えてもよく、またはアブレーションカテーテルの遠位端が、3Dナビゲーションシステムを用いて標的位置に配置され得るナビレーションセンサ246(図3参照)(例えば、仮想気管支鏡検査、電磁気式、3D電磁気式、超音波式)を備えてもよく、カテーテル220は、ガイドワイヤルーメン236を通るガイドワイヤを介して前進してもよい。必要に応じて、カテーテル220は、閉塞具231から遠位電極までの距離が調整可能である伸縮式であってもよく、バルーンの内側に位置するバルーン膨張ポート232と流体連通する第1シャフト内のルーメンを通る注入流体(例えば、空気、滅菌水、食塩水)によって膨張されるシャフト229の遠位部に取り付けられる閉塞バルーン231を有する第1の細長いシャフト229を備えてもよい。第1シャフト229は、少なくとも1つのアブレーション電極234を備える第2シャフト230がそれを通って伸縮自在に前進し得るルーメン233を備える。代替的に、アブレーション電極は、図3に示されるように、固定的な、または調整可能なバルーンと電極との間の距離で、閉塞バルーンの遠位の第1シャフト上に配置されてもよい。バルーンと電極との間の伸縮可能、または調整可能な距離は、腫瘍の近傍への電極の設置、所望の位置への閉塞バルーンの設置を有利に可能とすることができ、これは気道の形状、標的肺部位のサイズ、または腫瘍のサイズによって決まり得る。必要に応じて、第2シャフト230は、第1シャフト229に対して方向変更可能または回転可能としてもよい。アブレーション電極234は、必要に応じて、電極を灌流するための少なくとも1つの灌流ポート235を有してもよい。
【0227】
代替的または追加的に、光ファイバレンズが、細長いシャフト229上で閉塞構造の遠位に配置されてもよく、これは、閉塞構造の遠位の気道を可視化するために用いられもよい。これは、閉塞構造が展開される間の、例えば、気道の収縮、電極の位置、または気道への損傷の確認を容易にし得る。
【0228】
必要に応じて、ポート235を通して流体を注入することによって電極が灌流される場合、流体の流れを作り出すために、ガイドワイヤルーメン236へ吸引力を作用させることによって流体が引き込まれてもよい。
【0229】
図4Aに示されるような閉塞バルーン231などの拡張可能な閉塞要素は、閉塞要素を、それが気道を閉塞するまで拡張することによって、カテーテルがある範囲の気道のサイズで用いられることを可能にしても良い。代替的に、標的腫瘍が狭い気道に位置する場合に、拡張可能な閉塞要素は、それを閉塞するのに十分にその狭い気道にはまり込み得る場合には、拡張されないままにされてもよい。図4Cに示されるような、アブレーションカテーテルの代替の実施形態において、カテーテル600は、拡張可能な閉塞具を省略してもよく、シャフト601が、気道内にはまり込んで閉塞するように用いられてもよい。必要に応じて、アブレーションカテーテル600は、カテーテルの遠位部の一部であり、電極237及び234の近位にある先細のシャフト部254を有しても良い。先細のシャフト部254は、シャフトの直径602以下の内腔直径603を有する気道内を前進するときに気道を封鎖することを助け得る。
【0230】
代替的に、図5A及び6Aに示されるように、装置420は、インフレータブルバルーンまたは閉塞具431,481などの2つの閉塞要素を有し得る。一方の閉塞要素は、アブレーション電極の近位に位置し、他方は電極の遠位にある。細長いシャフト429は、閉塞具を膨張及び収縮させるために、閉塞具431,481内に配置される対応するポート432,482を有する2つのルーメン422,483(例えば、シャフト429内のルーメンを通り抜ける内径0.015インチのポリイミドチューブ)を備える。閉塞具431または481は、気道を閉塞するような、またはある範囲の気道直径(例えば、3mm~10mmの範囲の直径)を閉塞するようなサイズのバルーン(例えば、コンプライアントバルーン)であってもよい。遠位閉塞具と近位閉塞具との間の距離は、本実施形態において予め固定されている。例えば、バルーン間の距離は、20mm~40mmの範囲としてもよい。閉塞具431,481は、ルーメン422,483を通り、対応する閉塞具431,481に入る注入流体(例えば、空気などの気体、水または食塩水、または対照液などの液体)によって膨張されてもよい。必要に応じて、流体は、装置420の近位部に接続される注射器を用いて手動で注入されてもよく、流体圧力は、ロックストップ弁を閉鎖することにより封じ込んでもよい。閉塞具は、ロックストップ弁を開放し、注射器を用いてバルーンから膨張流体を引き出すことによって、取り外すために収縮されてもよい。代替的に、装置を動作させるためのシステムは、バルーンを同時にまたは個別に膨張または収縮させるために流体を注入または除去するためのポンプを備えてもよい。
【0231】
代替的に、閉塞バルーン431または481は、PTFEなどの閉塞材料を有する展開可能な弁、または展開可能なステントなどの様々な形態の閉塞構造であってもよい。
【0232】
図6Aは、細長いシャフト429と、それぞれ、電極の近位または遠位の近位閉塞具431及び遠位閉塞具481(両方とも、気道を閉塞するためにシャフトの遠位部に配置される)と、閉塞具431,481の間の気道区域から空気を除去し、標的肺部位、肺区域、または肺葉を虚脱させるために、吸引装置(例えば、真空ポンプ)に、装置の近位部で接続可能なルーメン(図示無し)と流体連通する空気除去ポート435と、を備える、選択された気道151に導入される図5Aに示されるアブレーション装置420を示す。空気は、空気除去ポート435と連通するルーメンに(例えば、吸引装置を用いて)負圧をかけることによって標的肺部位から除去されてもよく、これは肺部位からルーメンを通して患者の外部の装置の近位部へ空気を引き出す。示されるように、空気除去ポート435は、導電性流体(例えば、高張食塩水)がそれを通って送達され得るポートと同一である。代替的に、シャフト429上で、閉塞具431,481の間に出口ポートを有するガイドワイヤルーメン436または追加のルーメン(図示無し)などの異なるルーメンへ吸引力を作用させることにより、肺の標的部位から空気が除去されてもよい。肺の標的部位を少なくとも部分的に虚脱させる代替の方法が、本明細書に説明される。
【0233】
導電性流体(例えば、5~30%の高張食塩水)は、電極434内の灌流ポート435を通って、または追加的または代替的に、閉塞バルーン431よりも遠位で装置420から出る注入ルーメン(図示無し)を通って、標的肺部位に送達されてもよい。注入ルーメンは、電極内のポートを通って出てもよく、または出なくてもよい。注入ルーメンは、灌流ポート(例えば、435)から、導電性流体供給部及び必要に応じてポンプに接続可能な装置の近位部へ、シャフト429を通り抜ける。
【0234】
図6Aに示されるように、レンズ224及び光源223を有する気管支鏡221が、患者の気道内に配置され、気道閉塞及び腫瘍アブレーションのために構成されるカテーテル420が、気管支鏡のワーキングチャネル225を通して標的肺部位226(例えば、肺部位、肺葉または肺区域)へ送達される。ガイドワイヤ227は、ナビゲーションセンサ228を備えてもよく、またはアブレーションカテーテルの遠位端が、3Dナビゲーションシステムを用いて標的位置に配置され得る(図5Aの)ナビレーションセンサ446(例えば、仮想気管支鏡検査、電磁気式、3D電磁気式、超音波式)を備えてもよく、カテーテル420は、ガイドワイヤルーメン436を通るガイドワイヤを介して前進してもよい。
【0235】
必要に応じて、図5Bに示されるように、カテーテル520は、近位閉塞具531から遠位電極までの距離が(例えば、20~40mmの範囲の第1距離から30mm~70mmの範囲の第2距離まで)調整可能である伸縮式であってもよく、近位バルーンの内側に位置するバルーン膨張ポート532と流体連通する第1シャフト内のルーメン522を通る注入流体(例えば、空気、滅菌水、食塩水)によって膨張されるシャフト529の遠位部に取り付けられる近位閉塞バルーン531を有する第1の細長いシャフト529を備えてもよい。第1シャフト529はルーメン533を備え、少なくとも1つのアブレーション電極534を有する第2シャフト230と、遠位バルーン581とが、ルーメン533を通って伸縮自在に共に前進し得る。
【0236】
第2シャフト230は、閉塞具を膨張及び収縮させるために、閉塞具581内に配置される対応するポート582を有するルーメン583(例えば、第2シャフト230内のルーメンを通り抜ける内径0.015インチのポリイミドチューブ)を備える。閉塞具581は、気道を閉塞するような、またはある範囲の気道直径(例えば、3mm~10mmの範囲の直径)を閉塞するようなサイズのバルーン(例えば、コンプライアントバルーン)であってもよい。
【0237】
図6Bは、細長い第1シャフト529及び第2シャフト230と、それぞれ、電極の近位または遠位の近位閉塞具531及び遠位閉塞具581と、閉塞具531,581の間の気道区域から空気を除去し、標的肺部位、肺区域、または肺葉を虚脱させるために、吸引装置(例えば、真空ポンプ)に、装置の近位部で接続可能なルーメン(図示無し)と流体連通する空気除去ポート535と、を備える、選択された気道151に導入される図5Bに示されるアブレーション装置520を示す。空気は、空気除去ポート535と連通するルーメンに(例えば、吸引装置を用いて)負圧をかけることによって、標的肺部位から除去されてもよく、それにより肺部位からルーメンを通して患者の外部の装置の近位部へ空気を引き出す。示されるように、空気除去ポート535は、導電性流体(例えば、高張食塩水)がそれを通って送達され得るポートと同一である。代替的に、第2シャフト230上で、閉塞具531,581の間に出口ポートを有するガイドワイヤルーメン536または追加のルーメン(図示無し)などの別のルーメンへ吸引力を作用させることにより、肺の標的部位から空気が除去されてもよい。肺の標的部位を少なくとも部分的に虚脱させる代替の方法が、本明細書に説明される。
【0238】
導電性流体(例えば、5~30%の高張食塩水)は、電極534内の灌流ポート535を通って、または追加的または代替的に、閉塞バルーン531の遠位で装置520から出る注入ルーメン(図示無し)を通って、標的肺部位に送達されてもよい。注入ルーメンは、電極内のポートを通って出てもよく、または出なくてもよい。注入ルーメンは、灌流ポート(例えば、535)から、導電性流体供給部及び必要に応じてポンプに接続可能な装置の近位部へ、第2シャフト230を通り抜ける。
【0239】
近位バルーンと電極との間、または近位バルーンと遠位バルーンとの間の伸縮可能な、または調整可能な距離は、腫瘍の近傍への電極の設置、所望の位置への閉塞バルーンの設置を有利に可能とすることができ、これは気道の形状、標的肺部位のサイズ、または腫瘍のサイズによって決まり得る。特に、近位閉塞具と遠位閉塞具との間の調整可能な距離は、気道のより特定の区域を隔離することが可能であり、排気、流体注入、またはアブレーションなどの手術に関連するリスクまたは望ましくない影響は、大幅に低減されるかまたは最小限に抑えられるであろう。必要に応じて、第2シャフト230は、第1シャフト529に対して方向変更可能または回転可能としてもよい。アブレーション電極534は、必要に応じて、電極を灌流するための少なくとも1つの灌流ポート535を有してもよい。
【0240】
二重閉塞具構造は、次のようないくつかのさらなる有利な点をもたらし得る。
・側副換気の影響の軽減。側副換気は、一般的な肺の生理的機能である。側副換気の間、空気は、肺内の細気管支間経路を通って、葉、細気管支、または肺胞の間を移動可能である。側副換気の空気の流れは、通常の呼吸と比べると少量であるけれども、それでも局所空気の排出または流体注入に十分に影響を与え得る。二重閉塞具構造は、標的気道内に、より隔離された空間をもたらすことが可能である。このような隔離された気道区域において、側副換気の影響は最小限にされ得る。
・局所領域に対するより集中した治療。隔離された気道区域において、空気の排出及び導電性流体の注入は、この特定の位置に適用することができ、アブレーションエネルギは、この位置により集中され得る。閉塞具は、物体ブロッカまたはエネルギシーラントとして作用することができ、空気、流体、またはエネルギの何れの拡散の影響も軽減することができ、エネルギを節約することもできる。
・胸膜組織に望ましくない損傷を生成するリスクの軽減。二重閉塞具構造は、アブレーションカテーテルをさらに安定させるための追加の固定点を提供し得る。特に、アブレーションカテーテルの遠位部は、アブレーション電極、アブレーション針、またはガイドワイヤの先端を有し、カテーテルの当初の強度限界内で自由に変形または傾斜することができる。カテーテルの遠位部の偶発的な動作、例えば、空気の排出または流体の注入の間の均一でない受動的な力によるシャフト429,529の伸長、及び遠位端の移動は何れも、胸膜組織に望ましくない損傷(例えば、穿孔、摩擦または肉芽形成、組織変形)を生じさせる可能性があり、アブレーション結果に影響を与え、さらなる処置または治療を引き起こす。さらに、胸膜または胸膜のすぐ近傍の肺実質に高張食塩水または熱を送達することを回避することが望まれ得る。遠位閉塞バルーンは、注入される高張食塩水を胸膜から安全な距離だけ離して保持することによって、熱エネルギまたは高張食塩水による脱水を通じた胸膜の損傷のリスクを軽減し得る。例えば、遠位閉塞バルーンは、少なくとも10mmの長さを有してもよく、これは、胸膜からの安全な距離であると期待される。装置の遠位端が、胸膜の10mm以内であり得る気道の遠位端まで挿入され、遠位閉塞バルーンが膨張される場合、高張食塩水の注入及び熱の伝達は、胸膜からの安全な距離を維持すると期待され得る。
【0241】
上述のアブレーションカテーテルを用いて、腫瘍細胞の近傍の肺の標的部位を隔離すること、高張食塩水(HTS)を肺の隔離部位に送達すること、及び肺の隔離部位に熱を加えることによって、肺腫瘍細胞をアブレートする方法が実施されてもよい。HTSは、少なくとも3%w/v(例えば、3%~30%w/vの範囲、5%~25%w/vの範囲)のナトリウム(NaCl)濃度を有してもよい。
【0242】
HTSは、肺の標的部位内で、60~115℃の範囲に加熱されてもよい。熱は、カテーテル上のRF電極から、肺腫瘍の近傍にある肺の自然気道に注入されたHTS液へ、高周波(RF)電流を伝達することによって加えられてもよい。肺の標的部位は、30秒~30分の範囲(例えば、1~30分の範囲、1~15分の範囲、2~10分の範囲)の継続時間、熱及びHTSに晒されてもよい。
【0243】
RFエネルギの液体への適用は、液体を、腫瘍細胞をアブレートするためにエネルギを伝達する仮想電極として効率的に用いる。HTS溶液は、RFエネルギを肺組織に伝導し、組織の加熱を引き起こす。また、RFエネルギのいくらかは、加熱された液体が腫瘍細胞をアブレートできるように、液体を加熱する。
【0244】
肺の標的部位は、自然気道内で第1閉塞バルーンを膨張させることにより隔離され、ここでバルーンは、肺の標的部位の近位にある。さらに、アブレーション電極の遠位の気道内の第2(遠位)閉塞バルーンもまた気道の閉塞に用いられてもよい。一方、または両方のバルーンは、自然気道を閉塞し、HTS溶液が注入される気道の部分を形成し、気道のその部分の外側の液体の流れを抑制する。
【0245】
代替的または追加的に、光ファイバレンズが、第1の細長いシャフト529上で近位閉塞構造の遠位に配置されてもよく、別のレンズが、第2シャフト230上で遠位閉塞構造の遠位に配置されもよく、これらは選択された閉塞構造の遠位の気道を可視化するために用いられもよい。これはまた、例えば、閉塞構造が展開される間に、気道の収縮、電極の位置、または気道への損傷の確認も容易にし得る。
【0246】
代替的または追加的に、針を胸膜腔に(例えば、胸膜洞に)設置することにより、制限され、制御された気胸を生じさせることにより、肺部位が虚脱されてもよく、これは、標的肺部位を虚脱させることを容易にし得る。胸腔穿刺(Thoracentesis)(別名、胸腔穿刺(pleural tap))は、針が胸壁を通って胸膜腔に挿入される肺の周囲から流体または空気を除去するための周知の手順である。これは、胸膜腔と肺部位との間の圧力差を変更することによってなされてもよく、より容易に標的肺部位を虚脱させることが可能となる。必要に応じて、RF電流を優先的にリターン電極に向けるために、分散リターン電極が胸腔穿刺を通して挿入され、肺に配置されてもよい。必要に応じて、胸腔穿刺は、特に、腫瘍が肺末梢にあり、臓側胸膜、または心臓、食道、神経、横隔膜、または他の重要な標的でない組織などの内臓器官をアブレートするリスクがあるときに、生理食塩水または滅菌水などの低温流体を、アブレーションから熱的保護された領域に送達するために用いられてもよい。
【0247】
必要に応じて、何れの閉塞バルーンも、バルーンが気道壁に接触することが意図される外表面上にマイクロパターン化表面を有してもよい。マイクロパターン化表面は、バルーン材料に成形されてもよく、その意図した位置への固定を維持する閉塞バルーンの能力を向上するより高い保持力を生じさせる表面水分張力を上昇させる親水性表面を有してもよい。この改善された保持力は、バルーンを通り過ぎる流体の漏出のリスクもまた軽減し得る。マイクロパターンは、1000ナノメータ未満の高さ及び幅寸法を有する複数の柱を有してもよい。例えば、マイクロパターンは、当技術分野において周知の技術(例えば、Hoowaki,LLCに譲渡されたUS8720047)を用いて薄膜に成形されてもよい。
【0248】
[実施形態#2(組織を穿刺し、腫瘍または肺実質内へ配置するための針電極)]
【0249】
代替的に、図7及び8に示されるように、図3または4Aに示される実施形態の少なくとも1つのRF電極234は、標的腫瘍80内、または腫瘍近傍の肺実質内にRF電極250を配置するために、気道壁を通して、または腫瘍を通して穿刺するために用いられる少なくとも1つの針電極250であってもよい。針電極250は、カテーテルの近位部へシャフト229を通り抜ける灌流ルーメンと流体連通する灌流ポート251を有してもよい。針電極250は、3~20mmの範囲(例えば、5~15mm、約7mm)の長さ、0.5mm~2mmの範囲(例えば、約1.35mm)の直径を有してもよい。必要に応じて、針電極は、装置がガイドワイヤ228上で送達されることを可能にするガイドワイヤルーメン252(例えば、0.015インチ~0.030インチの内径を有する)を備えてもよい。針電極250の先端253は、気道壁または腫瘍を通って穿刺できるように鋭くされてもよく、例えば、先端253は、示されるようにベベル切断されてもよく、または鉛筆の先端のような他の鋭い輪郭であってもよい。使用中に、図8に示されるように、針電極250が実質または腫瘍に配置されるとき、導電性流体(例えば、5~30%の高張食塩水)が灌流ポート251から肺実質または腫瘍内へ注入されてもよい。
【0250】
必要に応じて、装置225は、生検の後で、肺実質または腫瘍内の場所に置かれたガイドワイヤ上で搬送されてもよく、それにより針電極250が、検体が採取されたのと同一の場所に容易に設置され得る。
【0251】
必要に応じて、針電極250を有する装置255の遠位部256は、ばね257と、第1ばね負荷位置において針電極250を保持する係合ロック258と、を備えるばね負荷機構を有してもよく、ロック258が装置255の近位部上のアクチュエータによって解除されるとき、ばね257は、針電極250が取り付けられるシャフト259を押圧し、ばね負荷状態(例えば、5~10mm)から展開状態(例えば、5~15mm増加)に距離260を延長する。ばね負荷機構を開放することによってもたらされる推進力は、針電極250による気道壁の穿刺を容易にし得る。係合ロック258は、遠位シャフト259に強固に接続される要素と嵌合する回動レバーなどの機械的機構であってもよい。回動レバーはプルワイヤ261に接続されてもよく、プルワイヤ261は、ロック機構258を解除するようにプルワイヤに張力を付加するために用いられ得るアクチュエータに接続され得る装置の近位部へ装置シャフト229を通り抜ける。
【0252】
肺癌アブレーションの代替の実施形態において、気道壁を通して穿刺可能なカテーテルは、RF穿孔電極をその先端(例えば、直径0.5mm、長さ1mm)に有してもよく、シャフトの外径は、RF穿孔電極直径から遠位アブレーション電極の直径(例えば、約1.5mm)に先細になってもよい。RF穿孔電極は、RF穿孔モードを有するエネルギ伝達コンソールに接続可能としてもよい。RF穿孔電極及びエネルギ伝達プロファイルは、例えば、中隔穿孔などの心臓手術の分野で周知である。
【0253】
必要に応じて、針電極を有する装置の遠位部は、方向変更可能であってもよく、これは、壁を通して、または腫瘍内に穿刺し、針電極250を、肺腫瘍の近傍または肺腫瘍内の肺実質、または腫瘍自体の内部に針電極250を設置するために、尖鋭な先端を気道壁に向けることを容易にし得る。
【0254】
必要に応じて、近位電極237は、遠位電極250に加えて、遠位電極250の代わりに、または、遠位電極250と連携して、アブレーションRFエネルギを伝達するために用いられてもよい。近位電極237は、必要に応じて、装置255の近位部へシャフト229を通り抜ける灌流ルーメン(図示無し)と流体連通する灌流ポート263を有してもよく、灌流ルーメンは、装置の近位部で導電性流体源またはポンプに接続可能である。近位電極237及び遠位電極250上の灌流ポート263及び251は、導電性流体を送達するための同一の灌流ルーメン、または個別のルーメンに接続されてもよい。図8に示されるように、遠位針電極250上の灌流ポート251と共に、近位電極237上の灌流ポート263も有する実施形態において、導電性流体は、ポート251または263の何れかから、好ましくは両方から、肺実質内または腫瘍内へ、且つ/または閉塞具231の遠位の気道内へ送達されてもよい。好ましくは、RFエネルギは、デュアルチャネルモノポーラRFモードで、2つの電極237及び250に伝達されてもよい。例えば、それぞれのチャネルは、患者の皮膚上、または体内の分散電極を用いて完成した回路を有してもよく、チャネルは互いに対して浮遊してもよい。代替的に、アブレーションエネルギコンソールは、バイポーラモードで、RFエネルギを2つの電極250及び237に伝達してもよい。
【0255】
[実施形態#3(複数のシャフト上のアブレーション電極)]
【0256】
図9は、エネルギ伝達電極102及び103を有する2つのカテーテル100及び101を示す。2つのカテーテル100及び101は、フレキシブル気管支鏡221を用いて個別に導入され、電極が、標的腫瘍80の2つの側面上の2つの個別の気道内で終端するように配置される例として示される。装置は、気管支鏡221のワーキングチャネル225を通って、または必要に応じて送達シース213を通って送達され得る閉塞カテーテル270を備えてもよい。閉塞カテーテル270は、閉塞カテーテル270のシャフトに取り付けられるコンプライアントバルーンなどの閉塞具271を備えてもよい。膨張ルーメンは、閉塞カテーテルシャフトを通り抜け、閉塞具271を展開または膨張させるための閉塞具内のポート272から出る。閉塞カテーテル270のシャフトは、閉塞具271の遠位でシャフトから出る、2つ以上のアブレーションカテーテルルーメン273及び274を備えてもよい。閉塞要素の代替の形態は、本明細書に開示されるように想定され得る。カテーテル100及び101は、ルーメン273及び274を通って、閉塞具の遠位の気道に送達されてもよい。ルーメン273及び274は、それぞれ、肺部位の標的領域内に低圧または導電性流体を封じ込めるために、送達されるカテーテル100及び101の周囲を封鎖する弁を備えてもよい。カテーテルは、ガイドワイヤルーメン106及び107を介して、ガイドワイヤ104上で送達されてもよい。電極は、カテーテルの近位部へカテーテルシャフトを通り抜け、例えば電気コネクタ内で終端する導体に接続されてもよく、電気コネクタは、例えばコネクタケーブルを用いてRF発生器に電気的に接続されてもよい。それぞれのカテーテルは、一緒に、または個別に通電され得る1つ以上の電極が組み込まれ得る。必要に応じて、それぞれのカテーテルは、気道の虚脱、導電性流体の注入、組織特性、または組織のアブレーションの程度を評価するために、組織インピーダンスと、遠位電極103とインピーダンス電極276との間、または遠位電極102とインピーダンス電極275との間の位相とをモニタリングするためのインピーダンス及び位相モニタリング電極275及び276を備えてもよい。導電性流体216は、閉塞具271にて閉塞される標的肺部位に、電極102及び103の灌流孔277または278を通して注入されてもよい。
【0257】
カテーテルの電極は、例えば超薄型気管支鏡を用いて設置されたガイドワイヤ104を介してカテーテル100及び101を送達することによって、気道内の所望の位置に配置されてもよい。カテーテル100及び101は、ガイドワイヤルーメン106及び107を備えてもよく、オーバーザワイヤ(OTW)交換が採用されてもよい。現在利用可能な装置は、患者の気道内の所望の位置までナビゲートするために用いられてもよい。例えば、電磁式ナビゲーション気管支鏡検査は、肺の気管支経路を通る内視鏡ツールまたはカテーテルの位置を特定し、ガイドするように設計された電磁技術を利用する医療手順である。仮想気管支鏡(VB)は、スパイラルCTデータから気管支内の画像を生成する3次元コンピュータ生成技術である。最近のコンピュータ断層撮影(CT)胸部スキャンからの仮想的な3次元気管支マップ及び使い捨てのカテーテルセットを用いて、医師は、肺の内部の所望の位置、生検病変へナビゲートし、リンパ節からサンプルを採取し、放射線治療用カテーテルをガイドするか、または小線源治療用カテーテルをガイドするためのマーカを挿入し得る。このような既存の技術が、手順の計画、生検による腫瘍の診断、1つ以上の治療用カテーテルを配置するためのガイドワイヤの設置のために用いられてもよい。ガイドワイヤ104が、標的アブレーション区域に近接する(例えば、標的アブレーション区域から0~10mm内、または標的アブレーション区域内の)気道に設置された後、超薄型気管支鏡は、適切な位置にワイヤを残して引き出されることができ、電極カテーテルがワイヤを介して交換されてもよい。代替的に、電磁式ナビゲーション気管支鏡検査が、類似の結果を有して用いられてもよい。必要に応じて、複数のカテーテルが二重バルーン構造を代替的に有してもよく、これは図5Aまたは5Bに示される装置に類似する。
【0258】
電極、またはバルーン要素を備える複数のカテーテルは、ワイヤを介して気管支鏡をカテーテルに交換することによって、記載された方法で設置され得る。腫瘍が、それゆえに、エネルギ伝達要素によって包囲され、気管支鏡及びガイドワイヤが取り外された後、カテーテルの近位端は体外のRF発生器に接続され得る。もし生検結果がリンパ節転移を示したら、本開示の技術的な主題はリンパ節をアブレートするためにも用いられ得る。
【0259】
ガイドワイヤまたはカテーテル上のX線不透過マーカは、電極を正確に所望の位置に配置するために用いられ得る。例えば、RF電極は、X線不透過であってもよい。本明細書にて開示される何れのアブレーションカテーテルも、そのエネルギ伝達要素を所望の位置に留置することを確実にし、特に患者が呼吸または咳をする場合に偶発的に外れることを防止するために、カテーテルの遠位部に保持または固定機構を備えてもよい。例えば、保持または固定機構は、カテーテルの遠位部上に配置される、予め定められた非直線状の形状(図示無し)、インフレータブルバルーン、ばね負荷またはワイヤ作動スプライン、ステント、または展開可能なバーブ(すなわち、返し)を採用するカテーテルの部分を含んでもよい。電極カテーテルのサイズ及びデザインは、標準または超薄型気管支鏡のワーキングチャネルに適合するものとされ得る。エネルギ伝達及び信号伝送(温度及びインピーダンス)のための複数の電気的接続が想定される。アブレーションカテーテルは、物質送達ルーメンを備えてもよく、これは、薬剤、蛍光透視法を用いて生体構造を可視化するための造影剤、及び肺の虚脱を誘発する物質などの物質を気道内に送達するために用いられてもよい。必要に応じて、ガイドワイヤルーメンは、ガイドワイヤが取り外されるとき、物質送達ルーメンとして機能してもよく、これは、カテーテルの直径を最小限にすることを可能にし得る。アブレーションカテーテルは、チャーリング及びインピーダンスの上昇を防止し、より大きい損傷の生成を可能にするために、電極を包囲する気道に灌流流体を注入するために用いられる灌流送達ルーメンを備えてもよい。灌流送達ルーメンは、物質送達ルーメンまたはガイドワイヤルーメンと同一のルーメンであってもよい。
【0260】
図10Aに示されるように、E1,E2及びE3と名付けられた3つのRF電極は、B1,B2及びB3と名付けられた3つの個別の気道に配置される。例えば、3つの電極は、図9に示されるカテーテルの実施形態のように、個別のカテーテル上で送達されてもよい。回転アブレート電場を設定するために多相RFアブレーション波形が用いられてもよく、これは、より局所的なモダリティにおいて腫瘍にアブレーションエネルギを伝達する。図10Bは、複数のRF電極によって包囲された標的腫瘍をアブレートするために用いられ得る多相RF波形を示し、ここでRF1は電極E1に伝達されるRF信号であり、RF2は電極E2に伝達され、RF3は電極E3に伝達される。この例において、波形RF1,RF2及びRF3は、120°ずつ位相がずれている。このような位相のずれた波形を適用することは、回転マルチポーラアブレーション場を生成し、これは、腫瘍空間のカバレッジを向上し、より均一な損傷をもたらす可能性を有する。原則として、位相差RFアブレーションは、一連の多数の電極から、またはこれらの電極への電流が、位相差によって影響を受けることを除き、バイポーラアブレーションと同様に機能する。それぞれの電極は、異なる位相を有するRF源によって駆動される。それぞれの一対の電極(例えば、E1とE2、E2とE3、及びE3とE1)の間に生じるRF電圧は、RF電流を、より均一な加熱パターンで腫瘍空間に流す。電力レベルは、30秒~30分の継続時間で、1~200Wの範囲である。温度センサは、ユーザが定めた標的の周囲の局所温度値を制御する目的で採用されてもよい。このような標的の温度は60~115℃の範囲、好ましくは50~80℃の範囲で変化し得る。位相差アブレーションエネルギを伝達可能なRF発生器は、追加的なRF出力段を有してもよい。図10Cは、それぞれの出力177が独立して制御される位相を有する多相RFエネルギ供給部175の例を示す。それぞれの出力でのRF信号の位相は、図10Dに示されるように、例えばより高周波のデジタルクロックを分割することによって、個別のRF電力供給部176、または代替的に中央マイクロコントローラによって、ソフトウェアを介して、またはハードウェアによって制御されてもよい。図10Dに示されるように、デジタルクロックは、周波数181,182及び183の周期の6分の1である周期(例えばt~t)を有する基本周波数180を含んでもよく、これはアブレーション電極に伝達され、1基本周波数だけずれる。必要に応じて、それぞれの電極E1,E2及びE3(及びそれぞれのRF出力電圧VRF1,VRF2及びVRF3)は、RFエネルギ供給部175の端子178で、接地電圧VGNDに接続される分散接地パッドを用いて電気回路を完成させてもよい。代替の実施形態は、3つより多くの電極及び波形を有してもよく、3つ未満(例えば、2つの電極及び波形)を有してもよい。
【0261】
RFコンソールが複数の電極、または複数のバルーン、またはバルーン及び電極エネルギ要素の組み合わせに送達するバイポーラまたはマルチポーラRFアブレーションパラメータの例は、30秒~30分の継続時間、1~200Wの範囲の電力を含んでもよい。高インピーダンス(例えば、1000オームを上回る)が検出される場合、過加熱、電極の気道壁との接触不良による組織の焦げ、または制御不能なアブレーションを回避するために、組織インピーダンスは、30~1000オームの範囲となることが期待され、システムは電力供給を終了させるか、または減少させてもよい。乾燥後、組織は自然に、または灌流によって水分が補われ、エネルギ伝達は、自動的に再開し得る。インピーダンスのモニタリングは、効果的な腫瘍アブレーションのために十分に組織温度が上昇したかを判定するために、エネルギ伝達の間に用いられてもよく、エネルギ伝達の終了を引き起こしてもよい。パラメータは、多相RFアブレーション波形または単相波形において用いられてもよい。
【0262】
必要に応じて、アブレーションエネルギコンソールは、アブレーションエネルギを、(例えば、単一のアブレーション装置上の、または個別のアブレーション装置上の)複数のRF電極にマルチチャネルモノポーラモードで伝達してもよく、独立した波形(例えば、図10Cに示されるVRF1,VRF2など)は、同相としてもよい。
【0263】
[システム]
【0264】
本明細書にて開示されるような気管支内の肺腫瘍アブレーションのための装置(例えば、装置220,255または270)は、図11に示されるようなシステム290の一部であってもよく、システム290は、ソフトウェアを292有するプログラマブルコントローラを備えるコンピュータ制御されたアブレーションエネルギ(例えば、RF)コンソール291と、導電性流体供給部293及びポンプ294と、真空ポンプ295と、閉塞具インフレ―タ296(例えば、吸入器、弁付きの注射器297、電動ポンプ、加圧流体に対する電動弁)と、装置の近位部をコンソール、ポンプまたは真空ポンプと接続するための関連するコネクタケーブル及び管と、をさらに備える。
【0265】
必要に応じて、システム290は、例えば、図9に示されるような閉塞カテーテル270を通して送達可能な多数のアブレーション装置100及び101、または220または255などの多数のアブレーション装置のような1つより多いアブレーション装置を備えてもよい。システム290はまた、ガイドワイヤ227、送達シース213、分散接地パッド、または気管支鏡221を備えてもよい。アブレーションコンソール291は、アブレーション装置(220,255,270)上の電極に接続可能であり、インピーダンス及び位相を測定し、それらの値をユーザ対して表示する、インピーダンス及び位相モニタリング回路と、ソフトウェア298とをさらに備えてもよい。必要に応じて、インピーダンス及び位相モニタリング回路、及びソフトウェア298は、別個の部品内にあってもよく、この部品は、測定されたインピーダンス及び位相を入力し、アブレーションコンソールソフトウェア292のアルゴリズムを制御するために、アブレーションコンソールに接続されてもよい。
【0266】
システムは、アブレーションコンソール291と、ポンプ294と、コントローラソフトウェア292と、必要に応じて、インピーダンス及び位相モニタリング回路、及びソフトウェア298と、またはそれらの任意の組み合わせと、を備えてもよい。さらに、アブレーションコンソール291と、ポンプ294と、コントローラソフトウェア292と、必要に応じてインピーダンス及び位相モニタリング回路、及びソフトウェア298とは、個別に設けられてもよい。
【0267】
ソフトウェア292は、標的肺部位から空気を除去するために、真空ポンプ295を制御するアルゴリズムを含んでもよい。真空ポンプは、大気と標的肺部位との間の圧力差を示す圧力センサを備えてもよい。真空ポンプは、1~5atmの範囲の最大負圧差を加えてもよく、アルゴリズムは、負圧差を入力し、圧力差が最大負圧差に到達するときに真空ポンプを停止してもよく、その時点で真空ポンプは、肺部位からの空気流を封鎖するよう信号を送られ、例えば弁を閉鎖することによって、肺内の圧力を維持してもよい。実施形態において、導電性流体は、空気がそれを通って肺から除去されるのと同一のルーメンを通って注入され、システムは、例えば、アルゴリズムが、一旦、装置(例えば、220,255または270)上の遠位及び近位電極と関連する圧力センサ信号または組織インピーダンス及び位相の何れかを介して十分な肺部位の虚脱を検出すると、真空ポンプから注入ポンプへ流体連通を切り替える自動制御切替弁を備えてもよい。例えば、ソフトウェア292は、真空ポンプ295が動作中の組織インピーダンスまたは位相をモニタし、インピーダンスの低下が、肺の虚脱を示すときに真空ポンプを停止するように制御するために、遠位及び近位電極に電気波形(例えば、周波数帯域にわたる低電力高周波電流)を伝達するようにアブレーションコンソール291を制御してもよい。ソフトウェア292は、導電性流体を、流体供給部293から装置へ、また標的肺部位に送り込むためにポンプ294を制御してもよく、必要に応じて、注入を評価するためにインピーダンスまたは位相を同時にモニタするために電気波形を伝達してもよい。必要に応じて、注入は、コンソール291からアブレーションエネルギが伝達される間、(例えば、約5mL/minの割合で)継続してもよい。ソフトウェア292は、温度及びインピーダンスの安全なモニタリングを含むアブレーションエネルギ送達プロファイルをさらに制御してもよい。
【0268】
代替的に、手動の吸引具を用いて、カテーテルを通して(例えば、灌流ポート235及び灌流ルーメンを通して)空気を引き出すことにより、標的肺部位から空気を除去するために、負圧が手動で加えられてもよい。手動の吸引具は、注射器であってもよく、注射器が引かれたときに空気がカテーテルから抜かれ、注射器が押されたときに、空気が大気中に放出されることを可能にする2つの逆止弁をさらに有してもよい。圧力センサが灌流ルーメン内に配置されてもよい。使用中に、医師は、アブレーションカテーテルを患者の肺内に位置付け、閉塞具を展開し、その後、低電流を伝達し、近位及び遠位電極の間の組織インピーダンスを測定することによって測定されるバイポーラインピーダンスと、必要に応じて圧力センサによって測定される圧力とをモニタする間に、手動の吸引具に手動で吸引力を作用させてもよい。インピーダンスの5%~20%の低下は、進めるために気道が十分に虚脱されたことを示し得る。吸引力を作用させること、及びインピーダンスまたは圧力低下を介した十分な虚脱の確認に続いて、ユーザは、インピーダンスまたは圧力をモニタリングする間に、吸引具を静止状態で保持してもよい。安定したインピーダンスまたは圧力は、標的肺部位が十分に虚脱されたままであることを示し得る。この段階の間のインピーダンスまたは圧力の上昇は、閉塞具が気道を十分に閉塞していないことを示してもよく、ユーザは、閉塞具の再配置、検査または再膨張によって修正してもよい。
【0269】
吸引力が手動で作用される場合、ユーザは、彼らが、標的肺部位が十分に虚脱されたことに満足している場合には、(例えば、アブレーションコンソール上のアクチュエータを押下することにより)アルゴリズムを開始してもよい。ソフトウェア292のアルゴリズムによって、吸引力が自動的に作用される場合、アルゴリズムは、吸引段階の間のインピーダンスまたは圧力の低下は、アブレーションに進むのに十分であることを示すメッセージをユーザに送信してもよく、ユーザは、アルゴリズムが継続することを可能にするアブレーション段階を、(例えば、アブレーションコンソール上のアクチュエータを押下することにより)起動しても良い。
【0270】
ソフトウェア292のアルゴリズムは、ポンプの速度を制御することによって、注入される導電性流体の流量を管理してもよい。アブレーション段階の間に、ソフトウェア292のアルゴリズムは、注入ルーメンに導電性流体を準備するため、そして、アブレーション可能なRFエネルギが送達され始める前に、少なくとも少量の導電性流体が標的肺部位の気道内にあることを確実にするために、アブレーションRFエネルギを送達することなく、導電性流体源293から導電性流体を送達するようにポンプ294に指令する準備段階に入ってもよい。例えば、準備段階は、5mL/minの割合で5秒間、または最大継続時間(例えば、15秒)を上限として、測定されたインピーダンスがさらに10%~20%低下するまでの導電性流体の注入を含んでもよい。少なくとも10%のインピーダンスの低下は、灌流が適切に機能していることを示し得る。この準備段階の間にインピーダンスが低下しない場合は、アルゴリズムは、灌流、流体ポンプ、または導電性流体供給部に関連して生じ得る問題を示すエラーメッセージをユーザに送信してもよい。準備段階の間にインピーダンスの低下(例えば、10%~20%の範囲の値)が測定される場合には、アルゴリズムは、アブレーションRF伝達段階に継続してもよい。
【0271】
1つの実施形態において、アブレーションRF伝達段階の間に、アブレーションRFが伝達され始めるとき、導電性流体の灌流の割合は0mL/minで開始してもよい。このことは、送達される導電性流体の量を最小限にするのに役立ち得る。アブレーションRFの伝達の間に、アブレーション電極234,434,534,250と関連する温度センサ242,442,542,262によってモニタされた温度が制御アルゴリズムに入力されてもよく、温度が予め定められた上側閾値温度(例えば、95℃)に上昇するとき、一定の電力でRFエネルギの伝達を継続する間に、灌流の流れが(例えば、5mL/minの割合で)開始されてもよい。灌流は、アブレーション電極が上側温度閾値を下回ることを維持するように、アブレーション電極を冷却することが期待される。測定された温度が予め定められた下側閾値(例えば、85℃)に低下する場合には、灌流の流れは、一定のRF電極を維持する一方で、停止または減少させるように指令されてもよく、温度を上昇させることを可能にしてもよい。アルゴリズムは、事前に設定されるアブレーション継続時間に到達するか、または他の終了トリガが発生するまで、上側及び下側の閾値内に温度を維持するように流量を調整することを継続してもよい。他の終了トリガは、アブレーションRF電力アクチュエータを押下することによる、ユーザによる手動のアブレーションの終了、またはアルゴリズムによって引き起こされる自動停止エラーを含んでもよい。自動停止エラーは、温度を上限及び下限の閾値内に維持できないこと、システムの部品不良(例えば、不十分な導電性流体の供給、ポンプの故障、弁の故障)によって引き起こされてもよい。
【0272】
アブレーション継続時間は、30秒から30分の範囲としてもよく、必要に応じて、所望のアブレーションサイズに基づいて医師によって選択されてもよい。例えば、動物及びベンチモデルを用いて、著者らは、長さ5mm及び直径1.5mmのアブレーション電極234と共に5%のHTSを用いた5分のアブレーションが、直径およそ1.5~2cmの球状のアブレーションを生じさせ、少なくとも7分が、直径2~2.5cmのアブレーションをもたらし、少なくとも10分が、2.5~3cmのアブレーションをもたらし、少なくとも15分が、3cmまたはそれより大きい直径のアブレーションをもたらすことを実験的に実証してきた。腫瘍のサイズ及び標的気道に対する位置に応じて、医師は、腫瘍を包囲するために適切なアブレーション継続時間を選択してもよく、コンソール291上のユーザインタフェースを用いてアルゴリズムに継続時間を入力してもよい。アルゴリズムは、選択された継続時間、及び入力継続時間に従って推定されるアブレーション直径をユーザインタフェース上に表示してもよい。代替的に、医師は、所望のアブレーション寸法(例えば、直径)をアルゴリズムに入力してもよく、継続時間が算出されて表示されてもよい。医師は、標的腫瘍のサイズ及び腫瘍の位置に応じて治療計画を作成してもよい。治療計画は、所望のアブレーションサイズ及び腫瘍に対する気道内の位置を含んでもよく、必要に応じて、1回のアブレーションが完全に腫瘍を包囲しないと推定される場合、多方向から腫瘍をアブレートするために、肺内の様々な標的位置からの多数回のアブレーションを含んでもよい。
【0273】
必要に応じて、アブレーションRF伝達の終了(例えば、アブレーション継続時間が完了した、または早期アブレーション終了が引き起こされた)に続いて、注入された導電性流体を除去するためにアルゴリズムによって吸引が起動されてもよい。
【0274】
代替的に、ソフトウェア292は、温度設定点を得るために、温度センサ(例えば、242,262)からの電極温度フィードバックに基づいて、アブレーションエネルギの伝達の間の導電性流体の送達量を(例えば、ポンプ速度を介して)制御してもよい。例えば、一定の電力が伝達されてもよく、一定の注入流量が送達されてもよく、温度設定点に接近するにつれて、電力、流量または両方の組み合わせが、温度設定点を達成するために徐々に増加されてもよい。実際の電極温度が設定点を下回る場合、注入速度は減少されてもよく、且つ/または電力は増加されてもよい。実際の電極温度が設定点を上回る場合、注入速度が増加されてもよく、且つ/または電力が減少されてもよい。
【0275】
必要に応じて、閉塞具膨張圧力は、閉塞具インフレータ296または弁297と、閉塞具231,431,481,531,581との間の閉塞具膨張ルーメンに配置される圧力センサ425によってモニタされてもよい。閉塞具膨張圧力は入力されて、ソフトウェアアルゴリズム292によってモニタされてもよく、必要に応じて、例えば、真空吸引を開始するための必要条件(例えば、バルーン膨張圧力は、2アトムなどの予め定められた閾値を上回ることが必要とされ得る)として、または故障モードの検出(例えば、バルーン膨張圧力の突然の低下は、RF伝達の終了を引き起こし得る閉塞具の破裂を示し得る)として、ユーザインタフェースに圧力を表示するためにアルゴリズムによって用いられてもよい。
【0276】
高張食塩水などの導電性流体は、100℃より高い沸点を有することがあり、これは、より高い流体温度が、標的組織のアブレーションを容易にするだけでなく、より大きいアブレーションエネルギが導電性流体に蓄積されることを可能にし得る。気道壁は比較的低い熱伝導率及び導電率を有し、腫瘍アブレーションは、大きいアブレーションを必要とするので、腫瘍をアブレートするために軟骨性の気道壁を通って熱及び電気エネルギが伝達されるとき、このことは特に有益である。例えば、20%の高張食塩水などの導電性流体は、約105℃~110℃の範囲の沸点を有し得る。
【0277】
その沸点近傍で標的部位に注入される導電性流体の温度を上昇させることによって、閉塞された肺の標的部位内で蒸気を発生させることは有利となり得る。閉塞装置(例えば、バルーン)を用いて肺の標的部位内で蒸気を発生させ、それを閉じ込めておくことは、導電性流体の蒸気圧を上昇させることができ、それによりその沸点をさらに上昇させ、これはより大きいアブレーションエネルギが伝達されることを可能にし得る。軟骨性の気道壁を、例えば2~10分の延長された時間、約100℃の温度に晒すことは、その硬度を軟化させ、導電性流体がより良好に浸透し、標的肺組織に向かって前進することを可能にするといった有利な点をもたらす。さらに、肺実質が加熱されるとき、それは収縮し、実質に繋がる気道は、一緒に近くに引っ張られる。標的肺部位にて発生する蒸気は、関連する実質へ移動し、アブレーションエネルギの伝達前に、または伝達の間にそれを収縮させることができ、これは、腫瘍アブレーションの有効性を改善し得る。エネルギ伝達コンソールは、標的部位内の流体の圧力での導電性流体のほぼ沸点に近い範囲の温度設定点を可能にするエネルギ伝達制御アルゴリズムを有してもよい。必要に応じて、アルゴリズムは、蒸気が発生するのに適切な温度設定点でエネルギを伝達する蒸気発生段階を有してもよい(例えば、20%高張食塩水が導電性流体の場合には、蒸気発生段階の温度設定点は、100℃~110℃の範囲、好ましくはおよそ105℃としてもよい)。標的肺組織のアブレーションは、そのような上昇した温度設定点で実施され、1~10分の継続時間続いてもよい。代替的に、蒸気発生段階は、(例えば、最長2分の)予め定められた継続時間を有してもよく、または高インピーダンスの急上昇が蒸気の発生を示し得る、電極間のインピーダンスのモニタリングによって制御されてもよい。さらに代替的に、蒸気発生段階は、低下した温度設定点のアブレーション段階と交互にされてもよい。例えば、アブレーション継続時間(例えば、8~15分の範囲、または約10分の総継続期間)が終了する、または治療目的が達成される(例えば、移動平均インピーダンスが標的閾値を超える)まで、最初の2分は105℃設定点で、続く2分は85℃設定点で、続く2分は105℃設定点、などでエネルギ伝達が実施されてもよい。必要に応じて、装置の遠位部上の圧力センサが、コントローラへの圧力信号を入力するために用いられてもよく、圧力の上昇が、十分な蒸気の発生を示し得る。必要に応じて、蒸気発生段階は、アブレーション要素からアブレーションエネルギを伝達することによって、または代替的に閉塞装置の遠位で装置上に配置される直接加熱抵抗コイルからの熱エネルギを伝達することによって、導電性流体を加熱することを引き起こしてもよい。直接加熱抵抗コイルは、装置のシャフト周囲に螺旋状に巻かれる電気絶縁体(例えば、ポリイミド、パリレン)を有する電気抵抗性金属であってもよく、これは、熱伝導のみによって導電性流体を加熱する。上述のように、蒸気発生段階の後に、蒸気発生段階の温度設定点よりも低い温度設定点を有し得る腫瘍アブレーション段階が続いてもよい。
【0278】
導電性流体が標的部位に注入されるとき、制御アルゴリズムは、導電性流体の沸点を下回るままにするために、85℃~115℃、好ましくは90℃~105℃の範囲の目標設定温度を用いてもよい。代替的に、急激に上昇するインピーダンス、温度、または電気的位相(つまり、アブレーション電流とアブレーション電圧との間の位相)の突然の変化によって引き起こされるRFエネルギの即時停止のような、十分な安全機構がシステムに設計されるのであれば、設定温度が105℃~115℃の範囲であり得る場合に、閉塞された標的部位で蒸気を発生させることが望ましいであろう。
【0279】
本明細書にて述べたように、電気インピーダンス及び位相は、近位及び遠位電極の間、またはこれらの電極の何れかと、分散電極(例えば、皮膚上に配置される接地パッド)との間で測定されてもよい。インピーダンス分光法は、電流がそれを通して伝達されるインピーダンスモニタリング電極の近傍の組織を特徴付けるために、アブレーションコンソール291内のソフトウェアアルゴリズムによって計算されてもよい。組織は、正常な組織と比較されるアブレートされた癌組織と比較して、癌組織を特定するように特徴付けられてもよい。必要に応じて、または代替的に、図15に示されるように、アブレーションカテーテルは、近位電極237に加えて、アブレーション電極234の遠位に配置される第3電極537を備えてもよい。装置の他の部品は、図3に示される実施形態と類似してもよく、第3電極537を除く呼出番号は、図3と同一のままである。図15において、近位電極237が腫瘍80の第2側(例えば、近位側)に配置される一方で、第3電極537は、標的腫瘍80の第1側(例えば、遠位側)に配置されてもよく、このことは、アブレーション電極234を2つのインピーダンスモニタリング電極237及び537の間、例えば、腫瘍80内に配置し得る。この構造において、インピーダンス及び位相をモニタリングするために電極237及び537の間を通過する電流は、破線540によって示されるように、腫瘍80を通って直接通り抜けてもよい。
【0280】
[システム制御アルゴリズムの実施形態]
【0281】
システムは、アブレーション要素を灌流する様々な手段を用いてもよい。蠕動ポンプ、注入ポンプ、インフレータ/デフレータが用いられてもよい。本発明の範囲を限定することなく、蠕動ポンプの場合には、灌流流量は、ポンプヘッドの回転速度を制御することによって間接的に制御されてもよい。ポンプは、その回転速度を灌流量に変換するための係数を生じさせるように調整される。例えば、20~100rpmの範囲の回転速度は、2~10ml/minの範囲の流量を生じさせるために用いられてもよい。この実施例において、回転速度から灌流量に変換するための変換係数は、0.1mL/min/rpmであろう。
【0282】
流量の代わりに、コントローラは、高張液(または上述の他の水溶液の何れか)のボーラス投与量を制御してもよい。例えば、10mlのボーラス投与量は、灌流割合2ml/minで5分間起動されることに相当する。60mlまでのボーラス投与量が用いられてもよい。
【0283】
次は、導電性流体を、導電性流体供給部293からカテーテル220,255,270(図11)に送達するためにポンプ294を制御するためのアブレーションコンソール291に保存されるソフトウェア292の一部であり得るポンプ制御アルゴリズムの実施形態の説明である。このアルゴリズムは、温度を目標範囲内に維持するために、準備段階及びアブレーション段階の間にポンプを動作させるように機能してもよい。上記温度は、アブレーション電極234内の温度センサによって測定されてもよく、組織温度の代表であってもよい。上記温度はまた、電極温度、またはアブレーション電極と接触する導電性流体の温度を表してもよい。当技術分野において周知の、比例-積分-微分(PID)型の制御とは異なり、この発明は、上記温度を治療効果があると周知の範囲内に維持すること、インピーダンス及び温度の突然の上昇を回避すること、及び患者の肺に注入される高張液の量を最適化すること、の3つの目的をもってポンプの流量を制御する。例えば、PIDコントローラは、温度が治療範囲内のレベルに到達した場合には、通常、実質的に一定、または狭い範囲内で流量を制御するように決定するであろう。代わりに、本発明によるコントローラは、上記温度がすでに目標範囲に到達していたとしても、低流量値と高流量値との間で流量を制御する。それゆえに、本開示によるコントローラは、効果的な動作範囲内で注入される高張食塩水の総量を最小限にする目的をもって、流量の変動性を意図的にシステムに導入する。当業者は、固定された低-高流量よりもむしろ勾配のある流量を用いると決めてもよい。流量を、例えば、低い値から高い値に増加させるよりもむしろ、徐々に増加させることが採用されてもよい。同様にして、様々な予測アルゴリズムが流量を制御するために採用されてもよい。システムが温度の急速な上昇を検知する場合、温度上昇を予測して、流量はより大きく調整され、過加熱状態が回避されるであろう。同様にして、システムが急速な温度低下を検知する場合、流量はより小さく減少され、大きい温度の変動は回避されるであろう。修正PIDアルゴリズムもまた、エラー値(つまり、実際の流量と設定流量との間の差)に応答する非線形流量調整を用いて使用され得る。制御パラメータが高張食塩水のボーラス投与量である場合、同様の制御コンセプトが用いられてもよい。
【0284】
ポンプ制御アルゴリズムは、アブレーションコンソールから新たなインピーダンスまたは温度データ入力を受信する度に実行される。インピーダンス入力は、40ミリ秒の間隔で、到着してもよい。温度データ入力は、10ミリ秒の間隔で到着してもよい。アルゴリズムは、図16Aに示されるフローチャートに図示され、さらなる詳細が図16B,16C及び16Dに図示される。ポンプ制御アルゴリズムの出力は、指令流量である。追加的に、アルゴリズムは、過加熱または高インピーダンス状態を管理することに関連する決定をしてもよい。そのような状況において、温度及びインピーダンスをそれらの正常な範囲に戻すために、電力は一時的に下方に調整されてもよい。代替的に、過加熱または高インピーダンス状態が予め定められた継続時間続く場合には、アルゴリズムは、エネルギの伝達を終了させることを決定してもよい。以前の指令流量と異なる場合、新たな流量要求がポンプに送信される。本開示の態様のアルゴリズムは、過温度または過インピーダンス状態が発生してもすぐに、RF伝達を停止しないことに留意すべきである。むしろアルゴリズムは、高張食塩水の流量を最適に調整することによって、このような状態を修正することを試みる。
【0285】
ボックス610において、アルゴリズムは、高流量(High Flow Rate)及び過加熱流量(Overheat Flow Rate)設定値が調整される必要があるか計算する。
【0286】
設定値調整の算出後、アルゴリズムは、主ポンプ制御状態機械を実行する(ボックス611)。状態機械は、ポンプに送られる3つの流量、低流量(Low Flow Rate)、高流量、及び過加熱/過インピーダンス流量(Overheat/Over-impedance Flow Rate)のうちの1つを選択する。追加的に、前及び後冷却流量は、気道-電極間の電気的接触を向上させ、アブレーション後に気道を冷却するそれぞれの目的のために用いられてもよい。しかしながら、状態機械の出力は、mL/minの数値であり、列挙ではない。状態機械が流量を選択するとき、それは、流量に対応する現在の設定値を出力する。例えば、状態機械が過加熱/過インピーダンス流量を選択し、過加熱/過インピーダンス流量の現在の設定値が6mL/minである場合、状態機械は6mL/minを出力する。単純化するために、本明細書の記述は、過加熱及び過インピーダンス状態に同一の流量を用いる。本開示の趣旨から逸脱することなく、異なる過加熱及び過インピーダンス流量の値が用いられてもよい。これは、状態機械(SM)指令流量と呼ばれるであろう。
【0287】
温度またはインピーダンスが、過加熱または過インピーダンスのそれぞれの閾値を超過する場合、コントローラは、ポンプに、流量を過加熱または過インピーダンス流量値に増加するように指令してもよい。そうすることによって、システムは、組織の過加熱または高張食塩水の沸騰を回避するように試みる。一旦、流量がこれらの高いレベルに増加すると、コントローラは、過加熱または過インピーダンス状態が解除されたとしても、一定の期間、流量をそのようなレベルに維持することを決定してもよい。そうすることによって、コントローラは、過加熱または過インピーダンス状態の再発の可能性を低下させるように試みる。
【0288】
実施例の目的のために、設定値調整算出部が、流量設定値が変更される必要があると決定した場合に、指令流量は、新たな設定値に一致するように調整される(ボックス613)。例えば、アルゴリズムの開始時に、高流量=2mL/min及び過加熱流量=6mL/minであると仮定する。それから、設定値調整算出部が保留中の設定値、つまり高流量=4mL/min及び過加熱流量=8mL/minを算出したと仮定する。状態機械(SM)指令流量が2mL/min(高流量の現在の値)の場合、指令流量は、ここで4mL/min(高流量の新たな値)に調整される。一方、SM指令流量が低流量と等しい場合には、低流量設定値は動的に変更されないので、ここでは修正されないであろう。このセクションの出力は、指令流量と呼ばれるであろう。これが、ポンプを制御するために送信されるものである。概して、温度がT_High閾値を超過するとき、流量は、状態機械の要素611,612,613及び614によって高流量に制御される。逆に、温度がT_Low閾値未満に低下するとき、流量は、図16Aの同一の要素によって低流量に制御される。高流量及び低流量レベルは、コントローラ/状態機械によって自動的に、またはユーザによって手動で調整され得る。例えば、一定の期間(手動で、または自動的にプログラムされ得る)の後に、高流量レベルが、上記の温度を、T_Lowを下回るレベルに低下させるのに効果的でないとコントローラが判定した場合には、コントローラは、自動的に高流量をより高い割合に増加させることができ、それにより冷却がより効果的となる。逆に、冷却が非常に効果的であるとき、コントローラは、高流量をより低いレベルに減少させることを決定し、注入される高張食塩水の量を最小限にしてもよい。これらの詳細は、図16Bに図示される。同一のコンセプトが、低流量及び過加熱/過インピーダンス流量を制御するためにも適用される。過加熱及び過インピーダンス状態機械は、図16D及び16Eにそれぞれ記載される。
【0289】
それから、保留中の設定値の変更が(もしあれば)、システムの残りの部分にブロードキャストされる(つまり、広く送信される)(ボックス614)。新たな設定値が、UIの高流量及び過加熱流量スピンボックスで即座に反映されるであろう。
【0290】
保留中の流量設定値調整610及び611(図16A)を算出するステップのより詳細な図が、図16Bに示される。設定値調整アルゴリズムは、測定温度がT_Low未満620、T_LowとT_Highとの間621、またはT_High以上622の何れであるかに従って3つの部分に分かれる。例として、システムが過加熱状態に既に達したけれども、過加熱流量が温度をT_Low未満に戻すのに効果的であったことから、温度がT_Low未満である場合に(623)、状態機械は流量設定値を増加させることを決定する(624)。その論理的根拠は、もし高流量がより大きかったら、過加熱温度範囲に進むことを回避することが可能であっただろうということである。温度がT_High以上であるけれども、高流量時間(Flow high time)が、高流量最大継続時間以上である場合(625)、状態機械は、現在の高流量が温度をT_Lowに戻すのに効果的でないと判定する(625)。結果として、流量設定値が増加される(626)。温度がT_High未満であるけれども、十分に長い時間内にT_Low未満に低下しない(つまり、非常に長くT_LowとT_Highとの間のままである)場合、状態機械は、現在の高流量は効果的ではなかったと判定する(627)。結果として、流量設定値は増加される(628)。そうでなければ、流量設定値は増加されない(629)。一例として、次の設定値、T_Low=85℃、T_High=95℃、低流量(Flow_Low)=0mL/min、高流量(Flow_High)=4mL/min、高流量時間(Flow_high_time)=5秒が用いられ得る。他の値、例えば、T_Lowが60℃~95℃の範囲であってもよく、T_Highが75℃~105℃の範囲であってもよく、低流量が0~5mL/minの範囲であってもよく、高流量が2~16mL/minの範囲であってもよく、高流量時間が1~30秒の範囲であってもよい、が同等の有効性を有して用いられ得る。同様の概念ではあるけれども、逆に、現在の流量が非常に効果的であるとき、流量を減少させることが適用され得る。そうすることにより、注入される高張食塩水の総量が最適化される。他の閾値が、本発明の趣旨から逸脱することなく、当業者によって採用され得る。
【0291】
システムの全体の状態機械が、図16Cにさらに詳細に図示される。状態機械の4つの状態は、アイドル630、予冷却631、通常冷却632、及び後冷却633を含む。実線の矢印は、状態間の遷移を表す。遷移を引き起こす条件は、矢印に直接書かれた文として示される。例えば、遷移「通常冷却時間超過」634は、通常冷却状態の継続時間が通常冷却時間設定値を超過したとき、状態機械が後冷却状態633に遷移することを示す。遷移に付加される小さい円を伴うボックスは、状態機械が遷移を経るときに実施されるアクションを表す。例えば、「RF電力をオフにする」というテキストを含む遷移アクションボックス635は、状態機械が通常冷却632から後冷却633に遷移するとき、RF電力がオフにされることを示す。
【0292】
通常冷却状態632は、この状態機械の中で最も複雑な状態であり、その詳細は、図16A及び16Bに示される。この状態において、システムは、RFエネルギをカテーテルに伝達する。通常冷却状態が実行される度に、過加熱637(図16D)及び過インピーダンス638(図16E)状態もチェックする。簡易温度制御サブ動作636の間に温度が高すぎる場合には、流量が増加され、温度が低すぎる場合には、流量が減少される。しかしながら、サブ状態機械636が、温度またはインピーダンスが過加熱または過インピーダンス状態に達したと判定した場合、サブ状態機械637または638をそれぞれ要求する。温度状態機械サブ動作637が要求されると、状態機械は、より複雑な計算を実行し、温度がT_Overheatを超過する場合に、過加熱流量を要求する責任を負う。例えば、T_Overheatは105℃に設定されてもよく、過加熱流量(Overheat_Flow)は12mL/minと等しくてもよく、しかしながら他の値もまた考えられ得る。例えば、T_Overheatは、85~115℃の範囲であってもよく、過加熱流量は、4~14mL/minであってもよい。この状態機械は、簡易温度制御636の後に実行されるので、その結果に優先する。また、温度が長時間T_overheatを超過する場合に治療を中断し得る。この温度状態機械のさらなる詳細が図16Dに示される。同様にして、636が過インピーダンス状態を検出し、インピーダンス状態機械サブ動作638を要求した場合、状態機械は、測定されたモノポーラインピーダンスに基づいてポンプ流量を変更する。その目的は、流量を増加させ、インピーダンスをZ_high未満に維持することである。例えば、Z_highは600Ωに設定され、過インピーダンス流量(Over_impedance_Flow)は12mL/minとされ得るが、他の値も等しく用いられ得る。例えば、Z_highは、実質的に300~1500Ωの範囲であってもよい。過インピーダンス流量パラメータは、実質的に6~20ml/minの範囲であってもよい。この命令は、温度状態機械637の後に実行されるので、流量を増加させるために温度状態機械の結果に優先してもよい。しかしながら、より少ない流量では優先されないだろう。このインピーダンス状態機械のさらなる詳細は、図16Eに示される。
【0293】
図17Aは、図16A~16Eに提示される状態ダイアグラムの実施結果を示し、ここで、温度505及び流量506が時間に対してプロットされる。RFアブレーションエネルギは、60Wの定電力で2分間、5秒に開始される。これに先立って、予冷却段階の間の0秒~5秒、ポンプは5ml/minの流量で作動され、これはシステムを準備し、少量の高張食塩水を、アブレーション電極を通して気道内へ送達する。5秒で通常冷却状態に入り、RFが伝達され始め(つまり、電力が0~60Wまで増加させられた)、流量は0であり、通常冷却タイマが開始された。温度は、急速に上昇し、95℃の上側閾値(T_High)に達した。コントローラは、流量を4ml/minに設定した。温度は85℃のT_Low未満に低下したので、当初4ml/minは効果的であった。結果として、この特定の例において、流量は、0ml/minの低流量に戻された。温度は、その後再び上昇を開始し、T_Highを超過した。結果として流量は、4ml/minの高流量に再度設定された。しかしながら、今回の約4ml/minは、一定の期間、すなわち、最大継続時間以上であった高流量時間(本実施例において5秒に設定)の後に温度を85℃のT_Low未満に低下させるには効果的でなかったことを考慮して、コントローラは、高流量を6ml/minに増加させ、高流量時間をリセットした。しかしながら再び、5秒の高流量時間の後、(6ml/minに設定された)高流量は、温度をT_Low未満に低下させるには効果的でなく、コントローラは、高流量を8ml/minに増加させた。8ml/minという値のこの新たな高流量は、温度を低下させるのに効果的であった。このようにして、温度が85℃のT_Low未満に低下した後に、コントローラは、流量を低流量(本実施例においては0mL/min)に設定した。上記をより詳細に再検討すると、導電性流体の流量は、およそ8秒に見られる、85℃の下側閾値(T_Low)未満への温度の低下を引き起こす。図16Bを参照すると、この状態において、温度はT_Low以下であり(620)、流量は0となる。温度は上昇するけれどもT_High未満であるとき、流量は0mL/minのままである。およそ10秒で温度は上側閾値(T_High)に達し、これは、流量が、5秒の継続時間(高流量の最小継続時間)、4mL/minの過加熱流量となることを引き起こす。5秒後、温度はT_Low以下でなく、且つT_High以上でなく(621)、且つ4mL/minの現在の高流量は、温度をT_Low未満にするには効果的でなく(627)、それゆえに、流量は、6mL/minに増加され(628)、高流量時間が0秒にリセットされる。この6mL/minの新たな流量は、5秒間適用され、温度が再度T_Low未満でなく、且つT_High以上でなくなり(627)、流量は今回も8mL/minに増加される。5秒の高流量時間に達する前に、温度は下側閾値(T_Low)に達し、そして流量は、0mL/minに低下し、温度が上昇しておよそ28秒に見られる上側閾値に達するまで、この流量のままである。8mL/minの現在の流量が引き起こされ、5秒間実行される。今回も、8mL/minで温度はT_Low未満に低下しないので、流量は10mL/minに増加される。5秒が終了する前に、温度はT_Lowに到達し、流量は0mL/minに減少する。およそ43秒で、温度はT_Highに達し、10mL/minの現在の流量がさらに5秒引き起こされ、10mL/minは温度をT_Lowにするには効果的でなかったことから、この時点で流量が12mL/minに増加される。およそ51秒で、温度は温度T_Lowに達し、流量は0となる。0mL/minの流量で、温度は再び上昇し、約57秒でT_Highに達し、12mL/minの現在の流量を引き起こし、5秒後、流量は効果的であると判定され、温度が約70秒でT_Lowに達するまで12mL/minのままである。流量が0mL/minに低下し、温度が約76秒でT_Highに達するとき、12mL/minの現在の流量が引き起こされる。この流量は、温度を何とか効果的に低下させ、温度がT_Lowに達し、流量が0に設定される約115秒まで、温度をT_HighとT_Lowとの間に維持する。本実施例において、12ml/minが許容される高流量レベルの最大値であるとプログラムされたことから、5秒の高流量時間は超過したけれども、流量はそれ以上には増加されなかった。他の最大レベルも当業者によって用いられるであろう。約122秒で温度は再びT_Highに達し、流量は12mL/minに設定される。125秒で通常冷却タイマが終了し、RF電力がオフにされ、後冷却段階に入るとき、流量が0に設定される。図17Bは、電力が徐々に増加されるときのシステム挙動を示す。電力ステップ(例えば、0~60W)を適用するよりもむしろ、図17Bにおいて、電力は、40Wからおよそ75Wの一定の値に徐々に増加された。このような制御計画において、電力は、最初の30秒間40Wに維持され、その後、次の30秒間は50Wなど、目標最大電力レベルに到達するまで増加された。このような電力制御アルゴリズムの有利な点は、組織の破裂または組織の腔の可能性を低減することに由来する。組織の破裂及び腔は両方とも、それらが気胸を引き起こし得るような潜在的な安全性の懸念を示す。
【0294】
[システムコントロールアルゴリズムの第2実施形態]
【0295】
第2システム制御アルゴリズムに関する説明は以下に続くが、コントローラは、導電性流体の流量を調整するために用いられ、RF電力制御アルゴリズムがRF電極を調整し、送達される導電性流体の総量または送達される導電性流体の総量を表す条件がモニタされ、それにより、例えば、過剰の導電性流体を送達することを回避する。この制御アルゴリズムを用いるアブレーション手順をプロットした例が図20に示される。第2システム制御アルゴリズムは、導電性流体を、導電性流体供給部293からカテーテル220,255,270に送達するためにポンプ294を制御するために、またアブレーションエネルギを、アブレーションコンソール291から、アブレーションカテーテル220,255,270(図11)、特にアブレーションカテーテル上のアブレーション電極234,250,434,534に伝達するために、アブレーションコンソール291内に保存されるソフトウェア292の一部であってもよい。このアルゴリズムは、温度を目標範囲内に維持するために、導電性流体を所望の総量内、例えば、所望の最大量未満で、または一連の条件をもたらす総量内で送達するために、準備段階及びアブレーション段階の間に、ポンプを動作させる働きをしてもよい。上記温度はアブレーション電極234,250,434,534内の温度センサによって測定されてもよく、組織温度の代表であってもよい。上記温度は、電極温度またはアブレーション電極に接触する導電性流体の温度を表してもよい。
【0296】
RFエネルギの伝達の間の導電性流体(例えば、高張食塩水)の送達は、肺腫瘍のアブレーションを実現するために有利であるけれども、標的肺部位に送達される過剰な導電性流体は、悪影響を及ぼすかも知れず、例えば、過剰な導電性流体は、意図したよりも大きいアブレーションを生成するかも知れず、または標的肺部位を満たし、その部位から漏れるかも知れず、これは標的でない組織に炎症または損傷をもたらし得る。それゆえに、第2システム制御アルゴリズムの目的は、安全性のリスクを高め得る過剰な導電性流体の送達を回避する一方で、標的肺腫瘍をアブレートするのに十分な導電性流体(例えば、高張食塩水)を送達することである。
【0297】
手順は、肺容量減少段階と、流体送達管を満たし、アブレーション電極を湿らすために、RFアブレーションエネルギの伝達前に導電性流体が送達される準備段階と、導電性流体が送達され、それに伴いアブレーションRFエネルギが伝達される灌流アブレーション段階と、導電性流体が肺の標的部位に存在するけれども、もはや追加されてはおらず、アブレーションRFエネルギが伝達される非灌流アブレーション段階と、を含んでもよい。標的腫瘍を含む肺の閉塞された標的部位に吸引力が作用される肺減少段階は、本明細書でより詳細に述べられるようであってもよく、様々な閉塞要素、インピーダンスセンサ、真空ポンプ、または制御アルゴリズムを含んでもよい。全ての段階を含む手順全体を通して、導電性流体の総累積量が(例えば、流量またはポンプ速度及び時間に基づいて)算出されてもよく、必要に応じて、コンソールのユーザインタフェースに表示されてもよい。患者が手順を開始するとき、ユーザは総算出量をリセットしてもよい。導電性流体の最大総量は、例えば10mL~20mLの範囲で予め定められてもよい。代替的に、導電性流体の最大総量は、手順の開始前に設定されるユーザが規定したパラメータであってもよく、例えば医師の判断によって、必要に応じて手順中に調整されてもよく、ここで医師の判断は、標的部位の体積、気管支鏡を通して見られるような視覚的指標、または患者の反応に基づいてもよい。代替的に、導電性流体の最大総量は、所望のアブレーション体積、標的肺部位の体積、胸膜または他の組織との近さ、腫瘍の中心との近さ、患者の体格などのパラメータの関数として算出されてもよく、必要に応じて手順の間にユーザが調整可能であってもよい。
【0298】
肺容積減少段階及び準備段階に続いて、ユーザは、灌流アブレーション段階を開始するために開始ボタンを作動させてもよい。この段階において、アブレーションRF電力が伝達され、導電性流体が、アブレーション電極を通して灌流される。この段階の間の制御アルゴリズムへの入力は、標的アブレーション電極温度、測定されたアブレーション電極温度、モノポーラインピーダンス、モノポーラ位相、バイポーラ位相、及びバイポーラインピーダンスを含んでもよい。アルゴリズムは、タイミング回路から時間または継続時間データを受信してもよい。アルゴリズムは、設定されるRFアブレーション電力振幅プロファイル、灌流ポンプ速度またはオン/オフ設定値、及び導電性流体(例えば、HTS)の総累積量を出力してもよい。RF電力は、例えば50W~80Wの範囲(例えば、55W~75W、55W~65Wの範囲、60W)の一定の振幅が設定されてもよく、残りの灌流アブレーション段階の間、この振幅が維持されてもよい。必要に応じて、RF電力は、特定のイベント、例えば患者の移動または電極に隣接する組織の乾燥によって引き起こされるインピーダンスの急上昇に反応して徐々に増加されてもよく、インピーダンスが安定性を取り戻すまでRF電力の低下または中断をもたらしてもよい。必要に応じて、RF電力は、最初は、例えば30秒まで(例えば、25秒まで、20秒まで、10秒まで)の期間にわたり0Wから一定の振幅まで増加されてもよい。この段階の間、導電性流体は、測定された電極温度を、目標設定温度に一致するように調整するために、制御アルゴリズムによって決定されるボーラスまたは流量で送達されてもよい。例えば、制御アルゴリズムは、PIDコントローラ、または変形PIDコントローラを用いて、導電性流体の流量を制御して、標的部位に灌流して、測定された温度を、目標温度に、または目標温度付近に維持するようにしてもよい。目標温度は、80℃~100℃の範囲(例えば、85℃~95℃の範囲、約90℃)であってもよい。必要に応じて、測定された温度が、設定温度に近い範囲内(例えば、設定温度の4℃以内、設定温度の5%以内)にある場合は、灌流は、0mL/min、または非常に低流量(例えば、1mL/min未満、0.5mL/min未満)に設定されてもよく、このことは、送達される流体の総量を最小限にするためにさらに寄与し得る。例えば、測定された温度が、95℃を上回り、設定温度が90℃である場合に、測定された温度を低下させるために灌流がオンにされてもよく、測定された温度が94℃に達するときに、灌流がオフにされてもよい。制御アルゴリズムは、流体の総累積送達量が予め定められた最大量に達する、または必要に応じて接近するまで、灌流アブレーション段階を継続してもよく、ここで非灌流アブレーション段階に移行する。必要に応じて、総累積量が最大量に接近する、例えば最大量の2mL以内である場合に、RF電力振幅は減少され、例えば、5W~20Wの範囲の量だけ低下されてもよい。
【0299】
非灌流アブレーション段階の間、導電性流体は、事前の灌流アブレーション段階から標的肺部位内に存在し、灌流は過剰な流体を送達することを回避するために停止され、制御アルゴリズムは、測定された温度を設定温度に到達させるために、例えば、PIDコントローラまたは変形PIDコントローラを用いてRF電力を徐々に増加させる。設定温度は、事前の灌流アブレーション段階と同一のままでもよく(例えば、90℃)、または変更されてもよい。必要に応じて、RF電力は、わずかな増分で(例えば、5Wの増分)で変更されてもよい。
【0300】
アルゴリズムが灌流アブレーション段階にあるか、または非灌流アブレーション段階にあるかを特定するために、測定された累積流体量と予め定められた最大量とを比較することの代替として、またはこれに加えて、アルゴリズムは他の入力または条件を用いてもよい。例えば、灌流流体が閉塞された肺空間から漏れている、または漏れる危険があるかも知れないことを示す条件は、アルゴリズムを非灌流段階に移行させてもよい。これらの誘因はまた、破裂した閉塞バルーンなどの装置の故障も特定してもよい。流体の漏出条件が、アブレーションカテーテル上のセンサを用いて決定されてもよい。例えば、閉塞要素の近位の温度センサは、高温流体が漏出してセンサに接触する場合、上昇を示し得る。必要に応じて、閉塞要素の近位の温度の許容可能な上昇、例えばカテーテルシャフトに沿った熱伝導による上昇は、変更を引き起こさなくてもよいけれども、突然の温度変化(例えば、1秒に少なくとも5℃の上昇)は、非灌流アブレーションへ変更を引き起こしてもよく、またはユーザがアルゴリズムに継続するように指示するまで、全ての灌流及びRF伝達を中断させてもよい。閉塞要素より近位のセンサから測定されるインピーダンスは、減少する場合に、漏出を示してもよい。バルーンの遠位のバイポーラインピーダンスは、流体量を評価してもよい。周辺圧力または閉塞要素の近位の圧力と比較される閉塞空間内で測定される圧力は、流体が送達されるときに上昇することがあり、最大設定圧力差は、アルゴリズムが、灌流を停止または中断し、非灌流アブレーション段階に移行することを引き起こしてもよい。例えば、ユーザが患者の咳に気が付くか、または気管支鏡を介して、流体の漏出を目にする場合に、ユーザは、灌流アブレーション段階を手動で中断し、非灌流アブレーション段階に移行する信号を、ユーザインタフェースを介して入力してもよい。
【0301】
必要に応じて、検知された状態によって非灌流アブレーション段階に移行したけれども、予め定められた最大総量に達していない場合に、検知された状態が緩和される場合、アルゴリズムは、灌流アブレーション段階に再び移行してもよい。
【0302】
必要に応じて、流体の総量が、最大総量に到達するかまたは接近する場合に、例えば、手動または自動的に弁を開放することによって、アブレーションカテーテル内のルーメンを通して、必要に応じてガイドワイヤルーメンを通して、流体が閉塞された肺空間の外部へ漏出することを許容してもよい。漏出した食塩水の量は、(例えば、その重量を量る、または流量計で測定することによって)測定され、累積総量から差し引かれてもよく、灌流アブレーション段階は、最大流体量に到達しない限り継続してもよい。
【0303】
システムは、アブレーション要素を灌流する様々な手段を用いてもよい。蠕動ポンプ、注入ポンプ、インフレータ/デフレータが用いられてもよい。本発明の範囲を限定することなく、蠕動ポンプの場合には、灌流流量は、ポンプヘッドの回転速度を制御することによって間接的に制御されてもよい。ポンプは、その回転速度を灌流量に変換するための係数を生じさせるように調整される。例えば、20~100rpmの範囲の回転速度は、2~10ml/minの範囲の流量を生じさせるために用いられてもよい。この実施例において、回転速度から灌流量へ変換するための変換係数は、0.1mL/min/rpmであろう。
【0304】
流量の代わりに、コントローラは、高張液(または上述の他の水溶液の何れか)のボーラス投与量を制御してもよい。例えば、10mlのボーラス投与量は、灌流割合2ml/minで5分間起動されることに相当する。60mlまでのボーラス投与量が用いられてもよい。
【0305】
必要に応じて、灌流アブレーション段階の間に、導電性流体は、様々な特性を有する複数の源、例えば、高張食塩水及び本明細書に記載された浮腫を緩和するための生理食塩水から制御アルゴリズムによって選択されてもよい。
【0306】
当業者は、固定された低-高流量よりもむしろ勾配のある流量を用いると決めてもよい。流量を、例えば、低い値から高い値に増加させるよりもむしろ、徐々に増加させることが採用されてもよい。同様にして、様々な予測アルゴリズムが流量を制御するために採用されてもよい。システムが温度の急速な上昇を検知する場合、温度上昇を予測して、流量はより大きく調整され、過加熱状態が回避されるであろう。同様にして、システムが急速な温度低下を検知する場合、流量はより少なく減少され、大きい温度の変動は回避されるであろう。修正PIDアルゴリズムもまた、エラー値(つまり、実際の流量と設定流量との間の差)に応答する非線形流量調整を用いて使用され得る。制御パラメータが高張食塩水のボーラス投与量である場合、同様の制御コンセプトが用いられてもよい。
【0307】
ポンプ制御アルゴリズムは、アブレーションコンソールから新たなインピーダンスまたは温度データ入力を受信する度に実行される。インピーダンス入力は、40ミリ秒の間隔で、到着してもよい。温度データ入力は、10ミリ秒の間隔で到着してもよい。ポンプ制御アルゴリズムの出力は、指令流量である。追加的に、アルゴリズムは、過加熱または高インピーダンス状態を管理することに関連する決定をしてもよい。そのような状況において、温度及びインピーダンスをそれらの正常な範囲に戻すために、電力は一時的に下方に調整されてもよい。代替的に、過加熱または高インピーダンス状態が予め定められた継続時間続く場合には、アルゴリズムは、エネルギの伝達を終了させることを決定してもよい。以前の指令流量と異なる場合、新たな流量要求がポンプに送信される。
【0308】
上述の、及び/または特許請求されるシステム、カテーテル及び装置は、少なくとも1つのコントローラを用いてもよい。このコントローラは、メモリ(または複数のメモリ)を有するデジタル処理装置(CPU)、アナログ型の回路、または1つ以上のアナログ処理回路を有する1つ以上のデジタル処理ユニットの組み合わせを備えてもよい。本明細書及び特許請求の範囲において、コントローラが特定のステップを実行するために「構成される」または「プログラムされる」ことが示される。これは、コントローラを構成する、またはプログラムすることを可能にする任意の手段によって実際に実現されてもよい。例えば、コントローラが1つ以上のCPUを備える場合には、1つ以上のプログラムが、適切なメモリに保存される。コントローラによって実行されるとき、コントローラにステップを実行させる指令を含むプログラムまたは複数のプログラムは、コントローラに関連して記載され、且つ/または特許請求される。代替的に、コントローラがアナログ型である場合、コントローラの回路は、使用中に、本明細書に開示され、且つ/または特許請求されるコントローラステップをその後実行するなど、電気信号を処理するように構成される電気回路を含むように設計される。
【0309】
本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態が本明細書に開示される一方で、変形、置換及び代替は当業者にとって明らかであり、本開示の範囲を逸脱することなくなされ得ると理解されるべきである。本開示は、例示的な実施形態の全ての適合または変形を網羅することが意図される。加えて、本開示において、「備える(comprise)」または「備える(comprising)」という用語は、他の要素またはステップを排除せず、「1つの(a)」または「1つの(one)」という用語は、複数を排除せず、「または」という用語は、何れか、または両方を意味する。さらに、説明されてきた特徴またはステップは、開示または文脈がそうでないことを示唆しない限り、他の特徴またはステップと組み合わせて、且つ任意の順序で用いられてもよい。本開示は、利益または優先権を主張する任意の特許または出願の完全な開示を参照することにより本明細書に援用する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
【国際調査報告】