(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(54)【発明の名称】皮膚またはその下の組織の深層にある手術面に構成された空洞部の内側幅を測定するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20230927BHJP
A61F 2/12 20060101ALN20230927BHJP
【FI】
A61B17/00
A61F2/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541245
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 SE2021050876
(87)【国際公開番号】W WO2022060278
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523095428
【氏名又は名称】フェリダ ソリューションズ アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】FERIDA SOLUTIONS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トルフィン、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ヘデーン、ペール
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA19
4C160MM32
(57)【要約】
皮膚またはその下の組織の深層にある手術面に構成された空洞部(11)の内側幅(D)を測定するためのデバイス(1)。デバイスは、2本の脚(2、3)を備え、それぞれは、継手接続部(2c、3c)において互いに固定される第1の脚部分(2a、3a)、および第2の脚部分(2b、3b)を有する。脚(2、3)は、継手接続部(2c、3c)において互いに接続され、したがって、脚(2、3)は、平面(XY)内で互いに対して枢動可能であり、したがって、2つの第1の脚部分(2a、3a)の先端部(2a2、3a2)が、平面(XY)において、互いに向かって移動されたとき、第2の脚部分(2b、3b)の先端部(2b2、3b2)が、平面(XY)内で互いから離されるようになる。距離読取り器(6)は、平面(XY)内における第2の脚部分(2b、3b)の先端部(2b2、3b2)の当接面の間の距離(B)を示す。継手接続部(2c、3c)における各脚(2、3)の第1の脚部分(2a、3a)と第2の脚部分(2b、3b)との間の角度(D2、D3)は、90度から150度である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の皮膚またはその下の組織の深層にある手術面に構成された空洞部(11)の内側幅(D)を測定するためのデバイス(1)であって、前記デバイスは、
-2本の脚(2、3)であって、各脚は、第1の脚部分(2a、3a)および第2の脚部分(2b、3b)を有し、脚(2、3)の前記第1および第2の脚部分(2a、3a;2b、3b)は、継手接続部(2c、3c)において互いに固定され、
-前記第2の脚部分(2b、3b)は、前記空洞部(11)の内壁に対して当接するための各当接面を、その各先端部(2b2、3b2)に備え、
-前記2本の脚(2、3)は、接続された前記2本の脚(2、3)の主伸長方向が実質的に1つの平面(XY)内であるように前記継手接続部(2c、3c)において互いに接続されまたは接続可能であり、前記接続された脚(2、3)は、2つの前記第1の脚部分(2a、3a)の先端部(2a2、3a2)が前記平面(XY)内で互いに向かって移動するとき、2つの前記第2の脚部分(2b、3b)の前記先端部(2b2、3b2)が前記平面(XY)内で互いから離れるとともに、2つの前記第1の脚部分(2a、3a)の前記先端部(2a2、3a2)が前記平面(XY)内で互いに離れるように移動するとき、2つの前記第2の脚部分(2b、3b)の前記先端部(2b2、3b2)が前記平面(XY)内で互いに向かって移動するように、前記平面(XY)に対して垂直な軸(Z)の回りで前記平面(XY)内において互いに枢動可能である、2本の脚(2、3)と、
-前記脚(2、3)の前記第2の脚部分(2b、3b)の2つの第2の先端部(2b2、3b2)の当接面の間の前記平面(XY)内における現在の距離(B)を示すように構成された距離読取り器(6)と
を備え、
前記継手接続部(2c、3c)における各それぞれの脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)と前記第2の脚部分(2b、3b)との間の角度(D2、D3)は、90~150度である、デバイス(1)。
【請求項2】
前記脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)の前記先端部(2a2、3a2)が前記平面(XY)内で互いに対して最大距離にあるとき、前記脚(2、3)の前記第2の脚部分(2b、3b)の前記先端部(2b2、3b2)が互いに最も近い距離にあり、前記第2の脚部分(2b、2b)が前記平面(XY)内で前記継手接続部を通って延びる中心線(L)に沿って前記平面(XY)内で実質的に同じ方向に延び、したがって前記中心線(L)に垂直に得られた前記第2の脚部分(2b、3b)の間の任意の空間を含む前記2つの第2の脚部分(2b、3b)の断面積が最大で4cm
2である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
第2の脚部分(2b、3b)は、4~12cmの長さを有する、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記平面(XY)において、前記脚(2、3)の前記第2の脚部分(2b、3b)の前記先端部(2b2、3b2)における前記当接面間の最大の近接距離は、20cmである、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第2の脚部分の少なくとも一方の少なくとも一部は、弓形に曲げられ、したがって、前記脚(2、3)の前記2つの第1の脚部分(2a、3a)の前記先端部(2a2、3a2)が前記平面(XY)内で互いに対して最大距離にあり、前記脚(2、3)の前記第2の脚部分(2b、3b)の前記先端部(2b2、3b2)が互いに対して最も近い距離にあり、かつ前記第2の脚部分(2b、2b)が前記平面(XY)内で前記継手接続部を通って延びる中心線(L)に沿って実質的に同じ方向に延びるとき、脚(2、3)の第2の脚部分の前記弓形部分の曲率半径が、その脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)と前記第2の脚部分(2b、3b)との間で、前記平面(XY)内で画定される領域に位置する、またはそれを通って延びる、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の脚部分(2b、3b)の少なくとも一方の少なくとも一部は、前記脚(2、3)の前記2つの第2の脚部分(2b、3b)の前記先端部(2b2、3b2)が前記平面(XY)内で互いに最も近い距離にあるとき、第2の脚部分(2b、3b)の少なくとも一部が、少なくとも他方の第2の脚部分(2b、3b)の一部および前記平面(XY)内における前記中心線(L)を横断するように、弓形に曲げられる、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記弓形の部分は、曲率半径が8~15cmであるように弓形に曲げられる、請求項5または6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の脚部分の一方の少なくとも一部は、前記平面(XY)に対して垂直な方向(Z)に湾曲があるように、弓形に曲げられる、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)の前記先端部(2a2、3a2)が前記平面(XY)内で互いに対して最大距離にあるとき、前記継手接続部(2c、3c)における前記2本の脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)の間の角度(D4)は130~180度であるとともに、前記継手接続部における前記2本の脚(2、3)の前記第2の脚部分(2b、3b)の間の角度(D5)は、0~10度である、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記距離読取り器(6、6’)は、前記脚(2、3)の前記第2の脚部分(2b、3b)の前記先端部(2b2、3b2)の当接面の間の現在の距離(B)が、前記継手接続部(2c、3c)と、前記脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)の前記先端部(2a2、3a2)との間の位置における、前記脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)の間の現在の距離(C)または角度から導出可能であるように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記距離読取り器(6)は、前記継手接続部(2c、3c)と、前記脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)の前記先端部(2a2、3a2)との間の位置に配置された分度器により構成され、前記分度器における/その上の前記第1の脚部分(2a、3a)の一方の位置が、前記分度器の位置における前記脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)の間の距離(C)または角度を示しており、この距離(C)または角度は、前記平面(XY)における前記脚(2、3)の前記第2の脚部分(2b、3b)の前記先端部(2b2、3b2)の当接面の間の前記現在の距離(B)に対応する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記距離読取り器(6’)は、長尺部材(61)であって、前記長尺部材の第1の端部において、前記2つの第1の脚部分(2a、3a)の一方に回転可能に接続される、長尺部材(61)と、
前記2つの第1の脚部分(2a、3a)の他方に固定的に接続されるインジケータ(62)とを備え、
前記長尺部材(61)および前記インジケータ(62)は、前記第1および第2の脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)の前記先端部が互いに向かって、かつ互いから離れて移動すると、前記インジケータ(62)が、前記長尺部材(61)に沿って摺動可能であるように構成され、
前記長尺部材(61)は、尺度を有する測定面を備え、したがって、前記尺度に沿った前記インジケータ(62)の位置が前記脚(2、3)の前記第2の脚部分(2b、3b)の前記先端部(2b2、3b2)の2つの当接面の間の現在の距離(B)との相関を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記長尺部材(61)は、前記長尺部材の長さの少なくとも一部分に沿って延びる長尺スロット(63)を備え、前記第1および第2の脚(2、3)の前記第1の脚部分(2a、3a)の前記先端部が互いに向かって、かつ互いから離れて移動すると、そのスロット(63)に沿って、前記インジケータ(61)が移動し得る、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記長尺部材(61)は、前記接続継手(2c、3c)からのある距離において、前記2つの第1の脚部分(2a、3a)の一方に接続され、また前記インジケータ(62)は、前記接続継手(2c、3c)から同じ距離に、前記2つの第1の脚部分(2a、3a)の他方に固定されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記2本の脚(2,3)は、機械的な接続、形状嵌め接続、または磁気的な接続により、前記継手接続部(2c、3c)において接続されている、請求項1~14のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項16】
前記空洞部を形成するときに使用される切開手段をさらに備える、請求項1~15のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項17】
光を前記空洞部(11)の中に送るように構成された光源(50)をさらに備える、請求項1~16のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、皮膚またはその下の組織の深層にある手術面に構成された空洞部の内側幅を測定するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
市場の乳房インプラントは、様々な寸法で供給され、概して、約10~15cmの直径を有する。2つの連続する乳房インプラント寸法間の直径差は、通常、わずか1~5mmである。乳房インプラントを挿入するとき、インプラント用に作成された空洞部が正確な寸法を有すること、すなわち、空洞部とインプラントとが緊密にフィットすることが重要である。空洞部が大き過ぎる場合、特にインプラントが滑らかな外側面を有するタイプである場合には、インプラントが挿入後に空洞部内で動き回り、治癒後に最適ではない位置に終わる虞がある。
【0003】
インプラント用の空洞部は、患者が手術台上にあおむけの姿勢で横たわっているとき、乳房の下側境界(乳腺下溝)に、もしくはその付近の皮膚に切開を形成することにより、胸の筋肉(大胸筋)の後ろまたは前に作成される。このような切開部は、例えば、約2~5cmの長さであり得る。外科医がインプラント用の空洞部を作るとき、小さな切開部を通じて空洞部の全体像を得ることは困難であり、したがって、空洞部の正確な幅(直径)は、推定され得るだけである。
【0004】
例えば、切開部から5~8cmなどの距離に位置し、切開部と平行な、その最大部分における空洞部の幅を正確に測定できることは、最適なインプラントと緊密にフィットする空洞部を提供するために望ましいはずである。現在、このような空洞部幅を測定するための知られた方法または器具はなく、体内移植の成果は、単に外科医の幅推定に依存するだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
皮膚またはその下の組織の深層にある手術面に構成され空洞部の内側幅を測定するためのデバイスを提供することが本開示の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、添付の独立した特許請求項により定義される。従属する特許請求項、添付図面、および以下の記述から、非限定的な実施形態が明らかになる。
第1の態様によれば、対象の皮膚またはその下の組織の深層にある手術面に構成された空洞部の内側幅を測定するためのデバイスが提供される。デバイスは2本の脚を備え、ここで、各脚は、第1の脚部分および第2の脚部分を有し、脚の第1および第2の脚部分は、継手接続部において互いに固定され、第2の脚部分は、空洞部の内壁に当接するために、その各先端部に各当接面を備える。2本の脚は、2本の接続される脚の主伸長方向が、実質的に1つの平面内であるように、継手接続部において互いに接続されまたは接続可能であり、ここで、接続された脚は、2つの第1の脚部分の先端部が平面内で互いに向かって移動するとき、2つの第2の脚部分の先端部が平面内で互いに離れるように移動するとともに、2つの第1の脚部分の先端部が平面内で互いに離れるように移動するとき、2つの第2の脚部分の先端部が平面内で互いに向かって移動するように、平面に対して垂直な軸の回りで、平面内で互いに枢動可能である。距離読取り器は、脚の第2の脚部分の2つの第2の先端部の当接面の間の平面内における現在の距離を示すように構成される。継手接続部における各それぞれの脚の第1の脚部分と第2の脚部分との間の角度は、90~150度である。
【0007】
本デバイスを用いると、例えば、乳房インプラントを受け入れるための胸の筋肉(大胸筋)の後ろまたは前に作成された空洞部の内側幅が測定され得る。当接面の間の現在の(最も近い)距離は、測定点における空洞部の内側幅に対応する。デバイスは、胸筋の前または後ろの空洞部の内側幅を測定することに限定されるのではなく、皮下面、乳腺下面、筋膜面、筋下面など、皮膚もしくはその下の組織の深層にある任意の手術面において、または二重平面法において構成された任意の空洞部の内側幅を測定するために使用され得る。
【0008】
2本の接続された脚の主伸長方向が実質的に1つの平面内にあることは、本明細書において、0~5mm、または0~10mm、または5~10mmなど、一方または両方の脚の一部を備える平面から、わずかな偏差になり得ることを意味する。
【0009】
継手接続部における第1および第2の脚部分の間の角度は、90~150、または90~140、または90~130、または90~120、または90~110、または90~100、または100~130、または110~150、または110~130、または120~130、または100~120度とすることができる。一実施形態では、両方の脚は、ほぼ同じ角度を有する。別の実施形態では、第1および第2の脚の間の角度の差は、10~30度とすることができる。継手接続部における角度は、ここでは、接続点の近くで、接続点から1~2cmを超えない第1および第2の脚部分の間で測定された角度である。2本の脚が互いに接続されたとき、2つの第2の脚部分は、主伸長方向を同じXY平面内に有することができるが、その平面に垂直な方向(Z)において、(少なくとも継手接続部において)より小さい差が第2の脚部分の間にあり得る。
【0010】
第2の脚部分の先端部が互いに向かって移動した結果として第2の脚部分が互いに向かって移動すると、第2の脚部分は、皮膚の切開部を通って空洞部の中へと挿入され得る。第2の脚部分の端部は、2つの第2の脚部分の主伸長方向が、切開部の伸長方向に対して実質的に垂直になるように、切開部を通って挿入され得る。代替的に、いくつかの例では、2つの第2の脚部分の端部は挿入を容易にするために、切開部を通じて、当該切開部に対してある角度で挿入され得る。空洞部の内側に入った後、継手接続部がほぼ皮膚切開部と同じ高さになった状態で、第1の脚部分の先端部を互いに向かって移動させることにより、第2の脚部分の先端部が互いに離れるように移動することができ、その結果、当接面が空洞部の壁に向かって移動して、内壁に当接したときに停止する。次いで、デバイスのこの位置において、空洞部の内側幅が、2つの当接面の間の最も近い距離として、測定され得る。
【0011】
第1の脚部分と第2の脚部分との間の90~150度の角度により、測定される空洞部の幅よりもはるかに小さい皮膚切開部を通じて、第2の脚部分を挿入することが可能である。
【0012】
デバイスの脚は、接続された状態で、切開部を通じて挿入され得る。脚は、互いに固定して接続され得る。代替的に、2本の脚は、互いに取外し可能に/分離可能に接続可能であり得る。
【0013】
脚の第1の脚部分の先端部が平面内で互いから最大の距離にあるとき、脚の第2の脚部分の先端部は互いに最も近い距離にあるとともに、第2の脚部分は平面内の継手部分を通って延びる中心線に沿って平面内で実質的に同じ方向に延び、したがって、中心線に対して垂直に得られた第2の脚部分の間の任意の空間を含む2つの第2の脚部分の断面積は最大で4cm2であり得る。
【0014】
断面積は、最大で4cm2、3cm2、または2cm2とすることができる。
互いに最も近い距離にあるとき、第2の脚部分は、1~5cm、1~4、1~3、1~2、2~5、3~5、または2~4cmの皮膚切開部を通して挿入され得る。
【0015】
第2の脚部分が、平面内の継手接続部を通って延びる中心線に沿って平面内で実質的に同じ方向に延びることは、本明細書では、0~5mm、または0~10mm、または5から10mm、または5~15mm、または10~15mmなど、一方または両方の脚の一部との中心線から、わずかな偏差になり得ることが意味される。
【0016】
第2の脚部分は、4~12cmの長さを有することができる。
通常、空洞部の最も広い部分は、切開部位から約5~8cmに位置する。デバイスおよび第2の脚部分の長さは、行われる手術/測定のタイプに応じて、かつ切開部/空洞部の寸法に合わせて選択され得る。
【0017】
第2の脚部分は、4~12、4~6、4~8、4~10、6~8、8~10、または6~10cmの長さを有する。
第1の脚部分の長さは、特定の用途に適した任意のものとすることができる。第1の脚部分の長さは、測定され得る空洞部の最大幅に影響しない。
【0018】
平面における脚の第2の脚部分の先端部における当接面間の最大の近接距離は、20cmとすることができる。
最大の近接距離は、20cm、または18cm、または16cm、または14cm、または12cm、または10cmとすることができる。最大の距離は、第2の脚部分の長さ、および第1および第2の脚部分の間の角度に依存する。2つの当接面の間から得ることのできる最大の距離は、デバイスがどれだけ広く空洞部を測定できるかを決定する。
【0019】
第2の脚部分の少なくとも一方の少なくとも一部は、弓形に曲げられることができ、したがって、脚の2つの第1の脚部分の先端部が平面内で互いから最大の距離にあり、脚の第2の脚部分の先端部が互いに最も近い距離にあり、かつ第2の脚部分が平面内で継手接続部を通って延びる中心線に沿って実質的に同じ方向に延びるとき、脚の第2の脚部分の弓形部分の曲率半径は、その脚の第1の脚部分と第2の脚部分の間の平面で画定される領域に位置し、またはそれを通って延びる。
【0020】
曲率中心は、第2の脚部分の曲率の程度に応じて、平面内の第1および第2の脚部分の間で画定される領域に、またはこの領域の外側に位置することができる。第2の脚部分の少なくとも一部は、弓形に曲がり得る。代替的に、第2の脚部分の長さ全体が、弓形に曲げられ得る。第2の脚部分は、1つの弓形部分、または2つ以上の弓形部分を備えることができる。脚の一方は、少なくとも1つの弓形部分を有する第2の脚を備えることができる。代替的に、両方の脚が、1つまたは複数の弓形部分を有する第2の脚部分を備えることができる。
【0021】
弓形のこのような第2の脚部分は、直線状の第2の脚部分を有するデバイスと比較して、空洞部内で互いに離れる第2の脚部分の先端部の動きを、空洞部の内壁に対してより穏やかな動きにすることができる。さらに、先端部は、より正確に胸の解剖学的構造に従うことができる。
【0022】
第2の脚部分の少なくとも一方の少なくとも一部を弓形にする/湾曲させることにより、または第2の脚部分全体を弓形にすることにより、デバイスで測定され得る空洞部の最も広い幅を増加できるようになる。
【0023】
第2の脚部分の少なくとも一方の少なくとも一部は、脚の2つの第2の脚部分の先端部が平面内で互いに最も近い距離にあるとき、第2の脚部分の少なくとも一部が、少なくとも他方の第2の脚部分の一部および平面内における中心線を横断するように弓形に曲げられ得る。
【0024】
弓形部分は、湾曲部分の曲率半径が8~15cmであるように弓形に曲げられ得る。
曲率半径は、8~15cm、または10~15、または12~15、または8~12、または10~12cmとすることができる。
【0025】
第2の脚部分の一方の少なくとも一部は、平面に対して垂直な方向に湾曲があるように、弓形に曲げられ得る。
このような湾曲は、使用するとき、第2の脚部分を、胸骨から胸部の外側面へと、ほぼ鎖骨中線の高さまで胸部の形状に良好に追従できるようにする。
【0026】
脚の第1の脚の第1の脚部分の先端部が平面内で互いから最大の距離にあるとき、継手接続部における2本の脚の第1の脚部分の間の角度は130~180度とすることができるとともに、継手接続部における2本の脚の第2の脚部分の間の角度は0~10度とすることができる。
【0027】
一実施形態では、継手接続部における2つの第2の脚部分の間の角度は、0~5度とすることができる。
距離読取り器は、脚の第2の脚部分の先端部の当接面の間の現在の距離(最も近い距離)が、継手接続部と脚の第1の脚部分の先端部との間の位置における脚の第1の脚部分の間の現在の距離または角度から導出可能であり得るように構成され得る。
【0028】
距離読取り器は、継手接続部と脚の第1の脚部分の先端部との間の位置に配置された分度器により構成されることができ、分度器における/その上の第1の脚部分の一方の位置は、分度器の位置における脚の第1の脚部分の間の距離または角度を示すことができ、かつ、この距離または角度は、平面内の脚の第2の脚部分の先端部の当接面の間の現在の(最も近い)距離に対応する。
【0029】
距離読取り器は、長尺部材であって、その長尺部材の第1の端部において、2つの第1の脚部分の一方に回転可能に接続される、長尺部材と、2つの第1の脚部分の他方に固定して接続されるインジケータとを備えることができ、ここで、長尺部材およびインジケータは、第1および第2の脚の第1の脚部分の先端部が互いに向かって、かつ離れるように移動するとき、インジケータが、長尺部材に沿って摺動可能であるように構成されることができる。ここで、長尺部材は、尺度を備える測定面を備えることができ、したがって、尺度に沿ったインジケータの位置は、脚の第2の脚部分の先端部の2つの当接面の間の現在の距離との相関を有する。
【0030】
長尺部材は、長尺部材の長さの少なくとも一部に沿って延びる長尺スロットを備えることができ、第1および第2の脚の第1の脚部分の先端部が、互いに向かって、かつ離れるように移動するとき、インジケータは、そのスロットに沿って移動することが可能になる。
【0031】
長尺部材は、接続継手からのある距離において、2つの第1の脚部分の一方に接続されることができるとともに、インジケータは、接続継手から実質的に同じ距離で、2つの第1の脚部分の他方に固定され得る。
【0032】
長尺部材は、本質的に直線状であり得る。
長尺部材が、接続継手から実質的に同じ距離において、2つの脚部分に接続されることは、本明細書では、脚における接続継手からの長尺部材の接続点の距離が、他方の脚における接続継手からの長尺部材の接続点の距離から、0~5mm、0~10mm、または5~10mm異なる可能性がある。
【0033】
長尺部材は、例えば、ねじ、リベット、磁石、またはスナップ接続などにより、第1の脚部分に回転可能に接続されることができ、それは、第1の脚部分の先端部が、互いに向かって、かつ互いから離れて移動されるときに回転する。さらに距離読取り器の設計は、長尺部材を、デバイスの使用中に、皮膚切開部に対して一定に平行に保つ。
【0034】
2本の脚は、継手接続部において、機械的な接続、形状嵌め接続、または磁気的な接続により接続され得る。
例示的な接続は、リベット、ねじ、磁石、またはスナップ接続である。
【0035】
デバイスは、空洞部を形成するとき使用される切開手段をさらに備えることができる。
空洞部の形成は、空洞部の内側幅の測定前に、かつ/またはその間に行うことができる。したがって、このようなデバイスは、空洞部の幅を測定するだけではなく、正確な寸法で空洞部を作成することで外科医を支援し、それにより、体内移植の結果を向上させる。
【0036】
デバイスは、空洞部の中に光を送るように構成された光源をさらに備えることができる。
光は、外科医に、空洞部の良好な視野を与えるために、空洞部の内側の手術野に提供され得る。
【0037】
第2の態様によれば、上記で述べられたデバイスを用いて、皮膚またはその下の組織の深層にある手術面に構成された空洞部の内側幅を測定する方法が提供される。方法は、皮膚切開部を通じて脚の第2の脚部分を空洞部の中に挿入する工程と、第2の脚部分の先端部の各当接面が、空洞部の内壁に対して当接するように、デバイスの2つの第2の脚部分の先端部を平面内で互いに離れるように移動させる工程と、距離読取り器により、脚の第2の脚部分の先端部における当接面間の現在の最も近い距離を測定する工程であって、測定された距離は、空洞部内において、デバイスの脚の第2の脚部分の先端部の位置における空洞部の内側幅に対応する、工程とを備える。
【0038】
デバイスが、空洞部を形成するときに使用される切開部手段を備えるとき、方法は、その幅を測定する前/その間に、空洞部を形成する工程をさらに備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】乳房インプラントのために、皮膚またはその下の組織の深層にある手術面に構成された空洞部の内側幅を測定するためのデバイスを示す図。デバイスは、空洞部内の測定点からのある距離に位置する切開部を通じて挿入される。
【
図2】空洞部の内側幅を測定するためのデバイスを示す図。ここで、2本の脚は、脚の2つの第1の端部が平面内で互いに離されるとき、脚の2つの第2の端部が平面内で互いに離されるように、互いに枢動可能に接続されている。
【
図3】空洞部の内側幅を測定するためのデバイスを示す図。ここで、2つの脚は、脚の2つの第1の端部が平面内で互いに離されるとき、脚の2つの第2の端部は平面内で互いに向かって移動するように、互いに枢動可能に接続されている。デバイスは、空洞部の中に光を送るように構成された光源を備えてさらに示されている。
【
図4】拡大された当接面を備える、
図2または
図3で示されたデバイスの第1および/または第2の脚の第2の端部の実施形態を示す図。
【
図5】空洞部の内側幅を測定するためのデバイスを示す図。ここで、デバイスは2本の脚を有し、各脚は、継手接続部において互いに固定された第1の脚部分および第2の脚部分を有する。継手接続部における脚の第1の脚部分と第2の脚部分の間との角度は、90~150度である。第1および第2の脚の継手接続部は、2つの接続された脚の主伸長方向が実質的に1つの平面内にあるように、互いに接続されまたは接続可能である。また、接続された脚は、平面に対して垂直な軸の回りで、平面内で互いに対して枢動可能である。
図5において、デバイスは、第1の脚部分の先端部の間の最大の距離と第2の脚部分の先端部の間の最小の距離とを伴って示されている。
【
図6】
図5で示されたものと同じデバイスを示す図。
図6では、第1の脚部分の先端部が、互いから最大の距離で離れ、かつ第2の脚部分の先端部が互いに最小の距離で離れたときのデバイスが示されている。
【
図7a】空洞部の内側幅を測定するためのデバイスの実施形態を示す図。ここで、デバイスは、その幅を測定する前に/その間に空洞部を形成するための切開手段を備える。
【
図7b】
図7aのデバイスを備えるシステムを示す図。
【
図8】空洞部の深さを測定するための構成をさらに備える、空洞部の内側幅を測定するためのデバイスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
乳房インプラントは、市場において様々な寸法で供給され、概して、約10~15cmの直径を有する。2つの連続する乳房インプラントの間の直径差は、通常、わずかに1~5mm異なるだけである。乳房インプラントを挿入するとき、インプラントのために作られた空洞部11(
図1参照)が正確な寸法を有すること、すなわち、空洞部11とインプラントとの間が緊密にフィットすることが重要である。空洞部11が大きすぎる場合、特に、インプラントが滑らかな外側面を有するタイプである場合には、インプラントが、空洞部内を動き回るとともに治癒後に最適ではない位置に終わる虞がある。インプラント用の空洞部11は、患者が手術台上にあおむけの姿勢で横たわっているとき、乳房の下側境界(乳腺下溝)に、もしくはその付近の皮膚に切開部10を形成することにより、胸の筋肉(大胸筋)の後ろまたは前に作成される。このような切開部は、例えば、約2~5cmの長さであり得る。外科医は皮膚の切開部から空洞部の全体像を得ることができないので、空洞部11の作成は困難である。
【0041】
図2、
図3、
図5、および
図6で示されるデバイス1を用いると、例えば、切開部10から約5~8cmにあり、切開部と平行であり得る空洞部11の内側幅Dを、その最も広い部分において、正確に測定することが可能になる(
図1を参照のこと)。それにより、選択したインプラントに緊密にフィットする空洞部11が形成され得る。
【0042】
デバイス1(
図2、
図3、
図5、および
図6を参照)は、2本の脚2、3を備えているとともに、各脚は、第1の脚部分2a、3aと、第2の脚部分2b、3bとを有する。脚の第2の脚部分2b、3bは、その各先端部2b2、3b2において、空洞部11の内壁に対して当接するための各当接面を備える。脚2、3の第1および第2の脚部分2a、3cと2b、3bは、継手接続部2c、3cにおいて互いに固定される。脚は、2つの相互接続された部分、すなわち、第1の脚部分および第2の脚部分を備えることができる、または一体に作られた脚とすることができる。脚部分は延ばすことができる。脚部分は、測定部位に適合するように交換可能である。
【0043】
当接面は、任意の形状および寸法のものとすることができ、例えば、
図2、
図3、
図4、または
図5のように形成され得る。当接面は、一実施形態では、脚2、3の第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2における拡大部分とすることができる。当接面は、内壁に当接したとき、空洞部の内壁に損傷を生じさせないように形成され得る。第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2は、例えば、当接面の位置する部分において、ボールまたはビーズ(例えば、
図5または
図6を参照のこと)を備えることができる。
【0044】
脚2、3の第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2は、例えば、
図2で示されるようにループを備えることができる。
図2、
図3、
図5、および
図6には、2本の接続された脚の主伸長方向が1つの平面XY内にあるように、2本の脚2、3が、継手接続部2c、3cにおいて互いに接続され、または接続可能な、デバイスが示されている。接続は枢動可能な接続であるとともに、脚2、3は、平面XY内で互いに対して、平面XYに対して垂直な軸Z周りで枢動可能である。
【0045】
2本の脚2、3は、互いに非解放可能に枢動可能に接続され得、または、互いに解放可能に接続可能であって、例えば、機械的な、磁気的な、もしくは形状嵌め接続により接続され得る。接続の例は、リベット、ねじ、磁石、またはスナップ接続である。
【0046】
図2で示される実施形態では、2本の脚2、3は、脚2、3の2つの第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2が、XY平面内で互いに離されるとき、脚2、3の2つの第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2が、XY平面内で離されるように、互いに枢動可能に接続される。
【0047】
代替的には、
図3、
図5、および
図6で示されるように、2本の脚2、3は、互いに枢動可能に接続され、したがって、脚2、3の2つの第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2が、XY平面内で互いに離されるとき、脚2、3の2つの第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2が、XY平面内で互いに向かって移動し、また2つの第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2が、XY平面内で互いに向かって移動するとき、第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2が、XY平面内で互いに離されるようになる。
【0048】
図5および
図6で示されるように、継手接続部2c、3cにおいて、各脚2、3の第1の脚部分2a、3aと第2の脚部分2b、3bとの間の角度D2、D3は、90~150度とすることができる。
【0049】
2本の脚2、3の第2の脚部分2b、3bは、実質的に直線状にすることができる。代替的に、
図1~
図3で示されるように、脚部分2b、3bは、脚2、3の2つの第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2が互いに向かって移動するとき、脚2、3の第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2がXY平面内において互いにある距離にあるように、弓形に曲げられ得る。
【0050】
第2の脚部分の少なくとも一方の少なくとも一部は、弓形に曲げられることができ、したがって、脚2、3の2つの第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2が平面XY内で互いから最大の距離にあり、脚2、3の第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2が互いに最も近い距離にあり、かつ第2の脚部分2b、2bがXY平面内で継手接続部を通って延びる中心線Lに沿って実質的に同じ方向に延びるとき、第2の脚部分の弓形部分の曲率半径は、脚2、3の第1の脚部分2a、3aと第2の脚部分2b、3bとの間の平面XYにおいて画定される領域に位置する、またはその領域を通じて延び得る。
図5を参照のこと。
【0051】
図5で示されるように、第2の脚部分の少なくとも一方の少なくとも一部は、脚2、3の2つの第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2が平面XY内で互いに最も近い距離にあるとき、第2の脚部分2b、3bの少なくとも一部が、他方の第2の脚部分2b、3b、および平面XYにおける中心線Lを横断するように、弓形に曲げられ得る。
【0052】
弓形の部分は、曲率半径が8~15cmであるように、弓形に曲げられ得る。
第2の脚部分の一方の少なくとも一部は、平面XYに垂直な方向Zに湾曲があるように弓形に曲げられ得る。
【0053】
一実施形態では、脚2、3の2つの第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2が、XY平面において互いから最大の距離にあるとき、継手接続部2c、3cにおける2本の脚2、3の第1の脚部分2a、3aの間の角度D4は130~180度であるとともに、継手接続部における2本の脚2、3の第2の脚部分2b、3bの間の角度D5は0~10度である(
図6を参照のこと)。
【0054】
デバイス1の脚2、3は、長さ4~12cmを有することができ、例えば少なくとも5cmである。脚の平均的な厚さは、例えば、5~10mmとすることができる。脚2、3の少なくとも一方は、例えば、互いに対する2本の脚2、3の枢動可能な動きを容易にするために、2本の脚2、3の接続領域において薄くした材料を備える。
【0055】
脚2、3の第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2が、XY平面内で互いから最大の距離にあり、脚2、3の第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2が互いに最も近い距離にあり、かつ第2の脚部分2b、2bがXY平面内で、継手接続部を通って延びる中心線Lに沿ってXY平面内で実質的に同方向に延びるとき、第2の脚部分2b、3bの間の任意の空間を含む2つの第2の脚部分2b、3bにおける中心線Lに対して垂直な断面積は、最大で4cm
2である。(
図5を参照のこと)。
【0056】
一例では、第2の脚部分は、10cmの長さを有し、2本の第2の脚の断面積(上記で論じたように)は約3cm2であり、第1の脚部分と第2の脚部分との間の角度は、120度であり、平面内で、脚の2つの第2の端部の当接面の間の最大距離は18cmであり、かつ、第2の脚部分の伸長部の少なくとも一部の曲率半径は10cmである。このような器具は、3cmの長さなど、小さな皮膚切開部を通じて挿入され、18cmまでの空洞部幅を測定することができる、すなわち、切開部の幅の約6倍の空洞部幅が測定され得る。
【0057】
脚2、3の第2の脚部分2b、3bは、枢動可能に接続された脚2、3を用いて、皮膚切開部10を通じて空洞部11の中に挿入可能である。代替的に、脚2、3は、切開部を通じて非接続状態で挿入され、皮膚切開部10を通じて挿入された後に接続される。デバイスの第1の脚部分2a、3aは、第2の脚部分2b、3bが空洞部内に位置するとき、切開部の外側に配置される、
図1を参照のこと。空洞部の内側に入った後、継手接続部2c、3cが、ほぼ皮膚切開部の高さにある状態で、各当接面が、空洞部11の内壁に当接するように第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2を移動させることにより、第2の脚部分2b、3bが移動する。
【0058】
空洞部の内側幅を測定するために、デバイスは距離読取り器6、6’を備える、
図2、
図3、
図5、
図6を参照のこと。距離読取り器6、6’は、2つの脚2、3が枢動可能に接続されたとき、XY平面内で、脚の第2の脚部分2b、3bの2つの先端部2b2、3b2の当接面の間の現在の最も近い距離Bを示すように構成される。
【0059】
当接面が、空洞部11の内壁に対して当接するとき、2つの第2の先端部2b2、3b2の当接面の間の測定される最も近い距離Bは、当接面の位置の点における、空洞部11の内側幅Dに対応する。空洞部11の最も広い幅Dを見出すために、空洞部11における複数の位置においてデバイス1の幅を測定する必要があり得る。
【0060】
距離読取り器6、6’は、デバイスの第2の脚部分2b、3bが空洞部の中に挿入されたとき、デバイス1のユーザに見えるようにデバイス1に配置されたデジタル・ディスプレイ(示されていない)を備えることができ、または距離読取り器6、6’は、デバイス1から遠隔の位置に配置されてもよい。当接面間の距離の測定は、光学的または電子的な距離測定デバイスの使用を含むことができる。
【0061】
距離読取り器6、6’は、脚2、3の2つの第2の部分2b、3bの2つの第2の先端部2b2、3b2の当接面の間の現在の最小の距離が、継手接続部2c、3cと、脚2、3の第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2との間の位置における脚2、3の間の現在の距離または角度から導出可能であるように構成され得る。これは、
図2、
図3、
図6に示されている。
【0062】
距離読取り器6は、継手接続部2c、3cと、脚2、3の第1の脚部分2a、3aの先端部2a2、3a2との間の位置に配置された分度器(
図2および
図3を参照のこと)により構成され得る。ここで、分度器における/その上の第1の脚部分2a、3aの一方の位置は、分度器の位置における脚2、3の第1の脚部分2a、3aの間の距離C、または角度を示す。この距離Cまたは角度は、XY平面における、脚2、3の第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2の当接面の間の現在の距離Bに対応する。空洞部11の内側幅が測定されたとき、デバイスは、空洞部11および皮膚切開部10から後退される。デバイス1の脚2、3は、デバイスが空洞部11から後退される前に、結合が解除され得る。代替的に、デバイス1の脚2、3は、接続された状態で空洞部11から後退され得る。
【0063】
図5および
図6では、代替的な距離読取り器6’が示されている。それは、長尺部材61を備えており、この長尺部材61は、その第1の端部において、2つの第1の脚部分2a、3aの一方に回転可能に接続されている。インジケータ62が、2つの第1の脚部分2a、3aの他方に固定して接続され、ここで、長尺部材61およびインジケータ62は、第1および第2の脚2、3の第1の脚部分2a、3aが互いに向かって、かつ互いから離れて移動すると、インジケータ62が長尺部材61に沿って摺動可能であるように構成されている。長尺部材61は、尺度を有する測定面を備え、尺度に沿ったインジケータ62の位置が、脚2、3の第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2の2つの当接面の間の現在の距離Bとの相関を有するようにする。
【0064】
長尺部材61は、この長尺部材の長さに沿って延びる長尺スロット63を備えることができる。インジケータ61は、スロット63に沿って、第1および第2の脚2、3の第1の脚部分2a、3aが互いに向かって、かつ互いから離れて移動されると、移動することが可能になる。
【0065】
長尺部材61は、接続継手2c、3cからのある距離において、2つの第1の脚部分2a、3aの一方に接続されることができる。インジケータ62は、接続継手2c、3cから実質的に同じ距離において、2つの第1の脚部分2a、3aの他方に固定され得る。
【0066】
図7aで示されるように、上述したデバイス1は、空洞部11を形成するとき使用される切開手段も備えることができる。空洞部11の形成は、空洞部11の内側幅Dの測定前に、かつ/またはその間に行うことができる。
図7aおよび
図7bでは、デバイス1の第1の脚部分2a、3aの先端部2a、3aが、電気外科ユニット21への接続部20を備えて示されている。脚2、3の第2の先端部2b、3bは、高密度電流に対する交番点(alternating point)として構成される。脚2、3の第2の先端部2b、3bを除き、電気的な絶縁材料22が脚を覆っている。スイッチ制御装置23が、2つの第2の先端部2b、3bの間で高密度電流を交番するために、デバイス1上に配置され得る。
図7bで示されるように、低密度電流点24が、切開する場所からのある距離において、対象30に配置される。切開手段の原理は、ジアテルミー・ナイフと類似している。
【0067】
デバイス1は、
図6で示されるように、空洞部11の深さを測定するための機構40をさらに備えることができる。この機構40は、第1の端部40aおよび第2の端部40bを有する定規を備えることができる。定規は、継手接続部2c、3cに対して摺動可能に接続することができ、したがって、2つの第2の脚部分2b、3bの先端部2b2、3b2の当接面が、空洞部11の内側側面に当接したとき、定規は、定規の第2の端部40bが空洞部11の壁に当接するまで、当接面の法線に対して実質的に垂直な方向Fへと、空洞部11の中に押し込まれ得る。定規の第2の端部40bは、湾曲した先端(図示せず)を備えることができる。定規は、測定点における空洞部11の深さに応じた距離インジケータを備える。
【0068】
図3で示されるように、デバイス1は、空洞部11の内側の手術野の中に光を送るように構成された光源50を備えることができる。光源50は、デバイス1のいずれかに配置されることができ、例えば、継手接続部2c、3cに、またはその近くに配置され得る。光源50は、コード(図示せず)に接続された遠隔の電力源から、または光源50の内側、もしくはその近くに配置された電池から電力を得ることができる。
【0069】
デバイス1は、滅菌可能な材料から、また熱、化学物質、放射線照射、または高圧のうちの1つまたは複数のものなど、滅菌に耐えることのできる材料から作られることが好ましい。このような滅菌法の例は、圧力下の蒸気、乾式加熱、紫外線放射、ガス蒸気滅菌剤、二酸化塩素ガスである。
【0070】
デバイス1の材料は、ステンレス鋼、チタン合金、バナジウム合金、もしくはそれらの組合せなどの金属合金、または軽量のプラスチック・ポリマー、あるいは金属合金とプラスチック・ポリマーの組合せとすることができる。デバイスは、滅菌および使用の反復されるサイクル用に意図された再使用可能なデバイスとすることができる。代替的に、デバイス1は、使い捨てのデバイスとすることもできる。
【国際調査報告】