(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-05
(54)【発明の名称】高炉設備の運転方法
(51)【国際特許分類】
C21B 5/00 20060101AFI20230928BHJP
C21B 7/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
C21B5/00 321
C21B7/00 307
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515679
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021074749
(87)【国際公開番号】W WO2022053537
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500173376
【氏名又は名称】ポール ヴルス エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】PAUL WURTH S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【氏名又は名称】杉山 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】カスタニョーラ、クリスティアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ミケレッティ、ロレンソ
(72)【発明者】
【氏名】キンゼル、クラウス ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ウァレリウス、ミリアム
【テーマコード(参考)】
4K012
4K015
【Fターム(参考)】
4K012BF03
4K012BF04
4K012BF05
4K012BF06
4K012BF07
4K015AC03
4K015AC08
(57)【要約】
(a)酸素富化蒸気の第1の加熱流を提供するために、第1の蒸気流を、酸素及び酸素富化空気から選択される酸素供給源と混合する前又は後に、第1のヒーター内で加熱し、(b)加熱炭素供給流を提供するために、高炉からの第1の高炉ガス流と第1の天然ガス流を、互いに混合する前又は後に、第2のヒーター内で加熱し、(c)シンガス流を生成するために、酸素富化蒸気の第1の加熱流と加熱炭素供給流とを、混合流として又は別々に触媒部分酸化反応装置に供給し、かつ(d)前記シンガス流を高炉のシャフトに供給する、各工程を含む、製錬により銑鉄を製造するための高炉の運転方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸素富化蒸気の第1の加熱流を提供するために、第1の蒸気流を、酸素及び酸素富化空気から選択される酸素供給源と混合する前又は後に、第1のヒーター内で加熱し、
(b)加熱炭素供給流を提供するために、高炉からの第1の高炉ガス流と第1の天然ガス流を、互いに混合する前又は後に、第2のヒーター内で加熱し、
(c)シンガス流を生成するために、酸素富化蒸気の第1の加熱流と加熱炭素供給流とを、混合流として又は別々に触媒部分酸化反応装置に供給し、かつ
(d)前記シンガス流を高炉のシャフトに供給する、
各工程を含む、製錬により銑鉄を製造するための高炉の運転方法。
【請求項2】
酸素供給源が酸素であり、触媒部分酸化反応装置が短時間接触触媒部分酸化反応装置である請求項1に記載された方法。
【請求項3】
第1の高炉ガス流は、第1の天然ガス流と混合される前に、さらに、ガス洗浄工程、好ましくはダスト除去工程、金属除去工程及び/又はHCl除去工程が施される、請求項1または2に記載された方法。
【請求項4】
工程(b)の加熱炭素供給流は、工程(c)の前に第3のヒーター内でさらに加熱される、請求項1から3のいずれか1項に記載された方法。
【請求項5】
第2の高炉ガス流は、第1及び/又は第2のヒーター内及び/又は、適用可能であれば、第3のヒーター内のバーナーで燃焼されて、前記ヒーター内に熱を提供する、請求項1から4のいずれか1項に記載された方法。
【請求項6】
第1、第2及び第3のヒーターは同じバーナーにより加熱される、請求項5に記載された方法。
【請求項7】
バーナーによって生成されたオフガスは、高炉から来る第1の高炉ガス流に供給され、第1の天然ガス流または加熱炭素供給流に供給される、請求項5または6に記載された方法。
【請求項8】
第1の高炉ガス流及び/又は第1の天然ガス流及び/又は加熱炭素供給流に脱硫工程が施され、好ましくは、加熱炭素供給流に脱硫工程が施される、請求項1から7のいずれか1項に記載された方法。
【請求項9】
工程(c)における混合流の温度は、200から500°C、好ましくは300から400°Cである、請求項1から8のいずれか1項に記載された方法。
【請求項10】
蒸気の第1の加熱流を富化するための酸素供給源は、酸素富化前の前記蒸気の第1の加熱流の温度から100°C以下、好ましくは50°C以下分だけ異なる温度に加熱される、請求項1から9のいずれか1項に記載された方法。
【請求項11】
酸素富化蒸気の第1の加熱流、天然ガス流及び高炉ガス流は、工程(d)のシンガス流が、次の制約、CH
4<5%vol,H
2O<8%vol及び(CO+H
2)/(H
2O+CO
2)>7を満たす化学組成物を有するような量で供給される、請求項1から10のいずれか1項に記載された方法。
【請求項12】
H
2流、好ましくは再生可能なH
2流は、工程(d)の前にシンガス流に添加され、前記H
2流は好ましくは加熱済みである、請求項1から11のいずれか1項に記載された方法。
【請求項13】
高炉にシンガス流を供給するために設けられたガス入口をシャフト内に備えた高炉を含む銑鉄を製造する高炉設備であって、
蒸気流と下流側で流体接続しかつ酸素又は酸素富化空気を供給する酸素供給源と下流又は上流側で流体接続した第1のヒーターであって、酸素富化蒸気の第1の加熱流を提供するため、前記蒸気流を加熱するために設けられた前記第1のヒーターと、第1の高炉ガス流を搬送するために設けられた高炉の頂部及び第1の天然ガス流の供給源に流体接続した第2のヒーターであって、加熱炭素供給流を提供するために、前記第1の高炉ガス流と前記第1の天然ガス流を別々に又は混合して加熱するために設けられた前記第2のヒーターと、をさらに含み、
酸素富化蒸気の第1の加熱流と加熱炭素供給流を前記1以上の反応装置入口に別々に直接供給するか、又は酸素富化蒸気の第1の加熱流と加熱炭素供給流とを最初に混合して混合流を提供する混合ユニットを介して前記混合流を前記1以上の反応装置入口に供給するかのいずれかのために、前記第1及び第2のヒーターは、シンガス流を生成するために設けた触媒部分酸化反応装置の1以上の反応装置入口と下流側で流体接続しており、前記触媒部分酸化反応装置は、高炉のシャフト内のガス入口と下流側で流体接続している、高炉設備。
【請求項14】
請求項1から12のいずれかに記載された銑鉄製造用の高炉の運転方法を実施するために構成された、請求項13に記載された高炉設備。
【請求項15】
酸素供給源は酸素ガスであり、かつ触媒部分酸化反応装置は短時間接触触媒部分酸化反応装置である、請求項13又は14に記載された高炉設備。
【請求項16】
第1の高炉ガス流を高炉から移送する流体接続は、ガス洗浄プラント、好ましくは、ダスト除去ユニット、金属除去ユニット及び/又はHCl除去ユニットを含む、請求項13から15のいずれか1項に記載された高炉設備。
【請求項17】
前記第2のヒーターは、混合ユニットの上流側の炭素供給流をさらに加熱するよう設けられた第3のヒーターと下流側で流体接続している、請求項13から16のいずれか1項に記載された高炉設備。
【請求項18】
第1及び/又は第2のヒーター及び/又は、適用可能であれば第3のヒーター内のバーナーは、前記ヒーター内に熱を提供するために、第2の高炉ガス流を移送及び燃焼するため高炉の頂部と流体接続されている、請求項13から17のいずれか1項に記載された高炉設備。
【請求項19】
第1、第2及び第3のヒーターは同じバーナーにより加熱される、請求項18に記載された高炉設備。
【請求項20】
バーナー又は各バーナーは、高炉からの第1の高炉ガス流、第1の天然ガス流又は加熱炭素供給流に前記オフガスを供給するよう設けられたオフガス回収装置を含む、請求項18又は19に記載された高炉設備。
【請求項21】
第1の高炉ガス流及び/又は第1の天然ガス流及び/又は加熱炭素供給流の流体接続、好ましくは加熱炭素供給流の流体接続に配置された脱硫ユニット、をさらに含む、請求項13から20のいずれか1項に記載された高炉設備。
【請求項22】
第1のヒーター、第2のヒーター及び、適用可能であれば、第3のヒーターは、混合流の温度が200から500°C、好ましくは300から400°Cになるように制御される、請求項13から21のいずれか1項に記載された高炉設備。
【請求項23】
更に、酸素富化の前に、第1のヒーターの下流側の蒸気の第1の加熱流を富化するために、酸素を前記蒸気の第1の加熱流の温度から100°C以下、好ましくは50°C以下分だけ異なる温度に加熱するよう構成された第4のヒーターを含み、第1のヒーターは酸素供給源と上流側で流体接続している、請求項13から22のいずれか1項に記載された高炉設備。
【請求項24】
触媒部分酸化反応装置と高炉のシャフトのガス入口との間の流体接続は、H
2流供給源への、好ましくは再生可能なH
2流供給源への流体接続を備え、より好ましくは、H
2流供給源への前記流体接続は、前記H
2流を加熱するためのさらなるヒーターを備えている、請求項13から23のいずれか1項に記載された高炉設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して高炉設備並びにそのような高炉設備の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクラップの溶解や電気アーク炉内での直接還元などの代替方法があるにもかかわらず、高炉(BF)は今日でも鉄鋼生産に最も広く使用されているプロセスを代表している。高炉設備の懸念事項の1つは、高炉から出る高炉ガス(BFG)である。このガスは高炉頂部から出るため、概して「トップガス」とも呼ばれる。この高炉ガス(blast furnace gas)は、当初、単に大気中に逃がすことが許されていたかも知れないが、ガスに含まれるエネルギーを無駄にせず、かつ環境に過度の負荷を掛けないために、このことは、その後はBFG供与発電所で使用することで回避されてきた。高炉ガス中の1つの成分はCO2であり、これは環境に有害であり、産業への応用には殆ど役立たない。事実、高炉ガスを供与した発電所から出る廃ガス(waste gas)は、典型的には、20Vol%から40Vol%程の高い濃度のCO2を含む。燃焼される高炉ガスは、通常、前述のCO2の他にかなりの量のN2、CO、H2O及びH2を含む。しかしながら、N2含有量は高炉での熱風又は(純粋な)酸素の使用如何に依るところが大きい。
【0003】
主にコークスや他の炭素供給源の使用量を削減するために、高炉から高炉ガスを回収し、処理して還元潜在能力を高め、高炉に注入して還元プロセスを支援する提案がなされた。これを行う1つの方法は、特許出願EP2886666A1に開示されているような圧力スイング吸着(Pressure Swing Adsorption(PSA))又は真空圧力スイング吸着(Vacuum Pressure Swing Adsorption(VPSA))によって高炉ガス中のCO2含有量を削減することである。PSA/VPSA設備は、CO及びH2に富む第1のガス流とCO2及びH2Oに富む第2のガス流を生成する。第1のガス流は還元ガスとして使用され、高炉にフィードバックされる。この手法の一例は、ULCOS(超低CO2製鋼)プロセスであり、リサイクルされた第1のガス流とは別に、微粉炭と冷酸素(cold oxygen)が高炉に供給される。このタイプの炉は、「トップガスリサイクルOBF」(酸素高炉)とも呼ばれる。
【0004】
第2のガス流は設備から除去し、かつ残留発熱量を抽出した後、廃棄し得る。この処理は、議論があるところであるが貯蔵のために地下のポケットにCO2富化ガスを送り込むことから成っている。さらに、PSA/VPSA設備は、高炉ガス中のCO2含有量を約35%から約5%に大幅に削減することができるが、それらは取得、維持及び運転に非常に費用が掛かり、さらに大きなスペースを必要とする。
【0005】
幾つかの工業目的に使用できる合成ガス(シンガス(syngas)とも呼ばれる)を得るために、炭化水素の改質剤として高炉ガスを使用することも提案されている。普通の改質プロセスによれば、高炉ガスは、少なくとも1つの炭化水素(例えば低級アルカン)を含む燃料ガスと混合される。いわゆる乾式改質反応では、燃料ガス中の炭化水素が高炉ガス中のCO2と反応してH2とCOを生成する。同時に、炭化水素は高炉ガス中のH2Oと反応し、いわゆる蒸気改質反応によってH2及びCOを生成する。いずれにせよ、H2及びCOの濃度が著しく増加した合成ガスが得られる。
【0006】
上述の解決策の問題は、高価で技術的に複雑な設備を必要とすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、前記問題を少なくとも部分的に克服することができる高炉設備、即ち高炉及びその補助設備、並びに対応する高炉設備を運転するための新しい方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、第1の態様において、
(a)酸素富化蒸気の第1の加熱流(a first heated stream of oxygen enriched steam)を提供するために、第1の蒸気流を、酸素(O2)及び酸素富化空気から選択される酸素供給源と混合する前又は後に、第1のヒーター内で加熱し、
(b)加熱炭素供給流(heated carbon feed stream)を提供するために、高炉からの第1の高炉ガス流と第1の天然ガス流を、互いに混合する前又は後に、第2のヒーター内で加熱し、
(c)高温シンガス流を生成するために、酸素富化蒸気の第1の加熱流と加熱炭素供給流とを、混合流として又は別々に触媒部分酸化反応装置(catalytic partial oxidation reactor)に供給し、かつ
(d)前記シンガス流を高炉のシャフトに供給する、
各工程を含む、製錬により銑鉄を製造するための高炉の運転方法を提案する。
【0009】
本発明は、第2の態様において、高炉にシンガス流を供給するために設けられたガス入口をシャフト内に備えた高炉を含む、銑鉄を製造するための高炉設備を提案する。
高炉設備は、蒸気流と下流側で流体接続しかつ酸素又は酸素富化空気を供給する酸素供給源と下流又は上流側で流体接続した第1のヒーターであって、酸素富化蒸気の第1の加熱流を提供するため、前記蒸気流を加熱するために設けられた前記第1のヒーターと、第1の高炉ガス流を搬送するために設けられた高炉の頂部(top)及び第1の天然ガス流の供給源に流体接続した第2のヒーターであって、加熱炭素供給流を提供するために、前記第1の高炉ガス流と前記第1の天然ガス流を別々に又は混合して加熱するために設けられた前記第2のヒーターと、をさらに含み、酸素富化蒸気の第1の加熱流と加熱炭素供給流を前記1以上の反応装置入口に別々に直接供給するか、又は酸素富化蒸気の第1の加熱流と加熱炭素供給流とを最初に混合して混合流(combined stream)を提供する混合ユニットを介して前記混合流を前記1以上の反応装置入口に供給するかのいずれかのために、前記第1及び第2のヒーターは、シン(合成)ガス流を生成するために設けた触媒部分酸化反応装置(catalytic partial oxidation reactor)の1以上の反応装置入口と下流側で流体接続(fluidic downstream connection)している。加えて、前記触媒部分酸化反応装置は、さらに、高炉のシャフト内のガス入口と下流側で流体接続している。有利にも、前記高炉設備は、以下でより詳細に説明する第1の態様による方法を実施することで運転できる。
【0010】
触媒部分酸化反応装置は、合成ガス(シンガス)製造の技術分野で知られている。有利にも、触媒部分酸化反応装置は、短時間接触触媒部分酸化反応装置(Short Contact Time Catalytic Partial Oxidation reactor)である。触媒部分酸化(CPO)のプロセスは次の反応に基づき、酸素は空気又は酸素富化空気、又は酸素と窒素の組み合わせからのものでもよい。
CH4 + 1/2O2 ⇔ CO + H2
この反応は、数ミリ秒間の衝突により行われ、ガス状の予混合反応物が非常に高温の触媒表面を流れる。由来する速くかつ選択的な化学反応は、触媒粒子を囲む薄い固・気相間区域(thin solid-gas inter-phase zone)内に封じ込められる。ここで、分子が、典型的に600と1200°Cの間で変化する温度で過ごす時間は非常に短い。技術的実施(technological exploitation)における大きな課題は、「比較的低い」温度状態に保持しなければならない気相への反応の伝播を回避する可能性(possibility)にある。この状態は、連鎖反応を抑制して一次反応生成物(即ちCO及びH2)の形成に有利に働く。
【0011】
実験的研究によれば、当該部分酸化生成物(partial oxidation products)が平行かつ競合的表面反応(parallel and competing surface reactions)によって直接生成され、かつ非常に高い表面温度により、部分酸化生成物の形成がCPO条件下で有利であることが指摘されている。ある場合には、これらの局所環境で反応が生じることにより、反応装置出口温度での熱力学的平衡によって予測される値よりも高い変換(conversion)及び選択値(selectivity values)が決定される。
【0012】
触媒部分酸化及び特に短時間接触触媒部分酸化(SCT-CPO)は、多孔質媒体中での不均一触媒特性と無炎燃焼(flameless combustion)を組み合わせ、かつ、例えばWO2011072877、WO2011151082、及びL.E.バシーニ及びA.グアリノーニ、「合成ガスプロセス及びオレフィン製造のための短時間接触触媒部分酸化(SCT-CPO)」Ind.、Eng. Chem. Res. 2013, 52, 17023-17037.によって知られている。SCT-CPOは知られているが、高炉に注入される合成ガスの製造に適用される触媒部分酸化の主な利点は次のように要約できる。
- 小寸法(反応装置の寸法は、典型的な(classic)蒸気改質反応装置よりも2桁以上縮小されている)。
- 技術的及び運転の簡易さ(例えば典型的な蒸気改質と比較して複雑さが大幅に軽減された)。
- すべてのNG改質技術の中で、生産されるシンガスkg/時について最低のCAPEX(設備投資)。
- プレハブ及びスキッド装着ユニット(skid mounted units)のモジュラ構造の可能性。
- 原料組成(feedstock composition)と生産能力に対する融通性;及び
- 投資コストとエネルギー消費の減少。
【0013】
実際に、本発明者は、このシンガス製造技術が天然ガスと高炉ガスとの混合物に有利に適用可能であり、それによって高炉のシャフト内での供給(feeding)に特に適した組成物(compositions)を備えた合成ガスを提供できることを見出した。実際、CPO反応装置に供給される天然ガスは、CO及びH2を生成し、熱を分配する部分酸化反応の対象になる。後者は、CO及びH2の生成をもたらす吸熱改質反応(水蒸気又はCO2による炭化水素の変換)を持続するためにシステム内で使用される。しかしながら、高炉ガスは天然ガスに比べて炭素の含有量が少ない。したがって、反応装置(reactor)内の挙動は全く異なる。供給ガス流中の高炉ガスの割合を増やすことはできるが、例えば蒸気対炭素比又は酸素対炭素比及び合成ガス中の最大許容成分濃度のような臨界比の値は維持すべきである。この理由から、天然ガス流と混合される高炉ガスの割合を制限することが有利であろう。NGと混合した供給ガス中の高炉ガスの最大割合範囲は、概して反応装置に供給される高炉ガスの実際の組成及び温度に応じて15から30%である。
【0014】
水蒸気/炭素比は好ましくは0.10から0.40モル/モル、好ましくは0.15から0.35モル/モル、より好ましくは0.20から0.30モル/モル、最も好ましくは約0.25モル/モルの値で制御されるが、実際、本発明者は、酸素/炭素比を0.58から0.68モル/モル、好ましくは0.60から0.66モル/モル、より好ましくは0.62から0.64モル/モル、最も好ましくは約0.63モル/モルの値で制御することによって、特に有利な合成ガス品質が得られると決定した。
【0015】
触媒部分酸化反応装置内の高炉ガスの挙動は、触媒部分酸化反応装置内での反応に厳密に連鎖している。水性ガスシフト反応(Water Gas Shift Reaction)により、部分酸化に関与した成分を超えて、さらに合成ガスの最終組成が決定される。高炉ガス流全体のCO2の存在により、平衡した組成(equilibrium composition)の再調整が行われ、それにより過剰のCO2と水素を反応させ、それによってCO及びH2O含有量が増加することが分かっている。
【0016】
上述の利点に加えて、本方法及び設備の主要な利点の1つは、高炉への炭素注入を削減するために再利用する高炉ガスの一部を再調整することで、高炉運転に伴うCO2生成を大幅に削減することである。
【0017】
さらに、得られたシンガスのシャフト注入は、コークス率とも呼ばれる生産される銑鉄1トン当たりのコークス量の大幅な削減を可能にする。加えて、一部天然ガスから成るシンガスの注入は、微粉炭又は天然ガスの羽口注入と互換性があるだけではなく、有利にも、それにより、さらなる量のコークスについて、天然ガス、即ち高炉ガスの存在下でシンガスに変換される天然ガスへの置き換えを可能にする。高炉を運転するための本方法並びにここで開示する高炉設備の、これら及びさらなる利点について、以下でさらに詳述する。
【0018】
高炉ガスは、トップガス又はBFGとも呼ばれ、高炉の頂部から回収され、主にCO2及びCO、H2O、H2などの他の成分を含むガスである。それはまた、熱風供給(hot blast feeding)如何によってはN2をいくらか含み得る。従来どおりに運転される高炉では、高炉ガス中のN2濃度は、概して35から50Vol%(体積による%)であり、一方、本発明に従って運転される場合の高炉ガス、即ちここに記載されているように製造されたシンガスを使用する場合は、概してN2濃度は低く、例えば20Vol%未満、10Vol%未満、又はさらに5Vol%未満である。通常、高炉ガスは、例えばダスト含有量を削減するために洗浄する必要がある。したがって、第1の高炉ガス流は、通常、第1の天然ガス流と混合される前に、更にまた、ガス洗浄工程、好ましくはダスト除去工程、金属除去工程及び/又はHCl除去工程を経る。したがって、好ましい高炉設備において、高炉からの第1の高炉ガス流を移送する流体接続は、ガス洗浄プラントを含んでいる。このガス洗浄部(gas cleaning part)は、好ましくは、1以上のサイクロン、スクラバ(scrubbers)及び/又はバグフィルタ(bag filters)などのダスト除去ユニット、活性炭固定床反応装置などの金属除去ユニット、及び/又は反応物注入を伴うスクラバなどのHCl除去ユニットを含んでいる。高炉ガスを、高炉のシャフト内の注入に適したシンガスを発生させるのに必要な圧力にする必要があるときは、高炉ガス網の下流に設けた専用システムにより例えば0.3から0.5MPaで圧縮してもよい。
【0019】
触媒部分酸化反応装置への供給流、例えば炭素供給流及び酸素富化蒸気流は、前記反応装置の適切な運転のために、混合した後、概して、300から450°Cの温度にする必要がある。したがって、本方法の好ましい実施形態では、工程(b)の加熱炭素供給流は、工程(c)の前に、第3のヒーター内でさらに加熱される。高炉設備の好ましい実施形態において、第2のヒーターは、したがって混合ユニットの上流側の炭素供給流をさらに加熱するために設けられ第3のヒーターと下流側で流体接続されている。
【0020】
ヒーター用の熱は、任意の適切な手段及びエネルギー源によって生成され得る。有利にも、本方法においては、第2の高炉ガス流は、第1及び/又は第2のヒーター及び/又は第3のヒーター内に燃焼用空気又は酸素富化空気がある状態で、前記ヒーター内に熱を供給するためにバーナー内で燃焼される。特に好ましい実施形態においては、第1、第2及び/又は第3のヒーターは、対応する熱交換器として構成され、かつ1つのバーナーが第1、第2及び第3の熱交換器を加熱するために使用される。
【0021】
有利な実施形態では、バーナーからのオフガスは、高炉からの第1の高炉ガス流、第1の天然ガス流、又は既加熱(部分的)炭素供給流に供給することができる。これにより、バーナーオフガスの余熱(residual heat)だけでなく、バーナーで生成されたCO2も、高炉ガスに既に含まれているものに加えて利用することができる。
【0022】
他の好ましい実施形態において、第1、第2及び/又は第3のヒーターは、高炉設備又はプラント内の他のプロセスからのプロセス熱を使用する熱交換器として構成される。
【0023】
それらの由来(origin)(又は組成)に応じて、第1の高炉ガス流及び/又は第1の天然ガス流及び/又は加熱炭素供給流に、脱硫工程などのさらなる処理を施すことが有利又は必要な場合があり得る。好ましい実施形態において、加熱炭素供給流に脱硫工程が施される。したがって、高炉設備は、第1の高炉ガス流及び/又は第1の天然ガス流及び/又は加熱炭素供給流の流体接続、好ましくは加熱炭素供給流の流体接続に配置された脱硫ユニットをさらに含み得る。
【0024】
本発明によれば、酸素富化蒸気の第1の加熱流を提供するために、第1の蒸気流は酸素富化される前又は後に第1のヒーター内で加熱される。好ましくは、蒸気の第1の加熱流を富化するための酸素/酸素富化空気は、100から350°Cの温度、好ましくは120から280°Cに加熱される。有利にも、蒸気の第1の加熱流を富化するための酸素/酸素富化空気は、富化前の前記蒸気の第1の加熱流の温度の、(即ち)100°C以内好ましくは50°C以内分(だけ異なる)温度に加熱される。
【0025】
本発明の特に有利な実施形態において、酸素富化蒸気の第1の加熱流、天然ガス流及び高炉ガス流は、工程(d)の合成ガス流が以下の制約(constraints)を満たす化学組成を有するような量で供給される:
-CH4 < 5vol%,
-H2O < 8vol%,かつ
-モル比 (CO+H2)/(H2O+CO2) > 7。
【0026】
好ましくは、工程(d)の合成ガス流は、800と1100°Cの間、より好ましくは900°Cと1000°Cの間の温度を有する。
【0027】
高炉の運転にとって、水素、特にいわゆる再生可能又は「グリーン」水素をプロセス流の適切な場所に添加することが望ましいか又は有益であり得ることが分かった。これに関連して、再生可能な又は「グリーン」水素は、風力、太陽光又は水力発電などの再生可能資源からの電力を使用して水を電気分解することによって生成される水素(H2)である。特に、その温度をシャフト注入に必要なシンガスの温度レベルに適合させるために、又は水素が同じ温度レベルに予熱されている場合に、工程(d)の前で触媒部分酸化反応装置の後で、シンガス流に水素を添加することが有利であり得る。水素の予熱は、概して、例えば、好ましくは第1、第2及び第3のヒーターと同じ囲い(enclosure)内の、より好ましくは一つの共通のバーナーによって加熱される適切な別のヒーター又は熱交換器で実現される。
【0028】
本発明の文脈における「天然ガス」という表現は、天然ガスそのもの、即ち、主にメタンからなり、概して様々な量の他の高級アルカンを含む化石由来の天然炭化水素ガス混合物だけではなく、含有不純物(精製後に必要なら)がCPO反応装置内の触媒の接触に両立し得る場合には、バイオガス又はコークス炉ガスなどの類似の炭化水素成分を有するガスをも表す。
【0029】
本文脈における「約」は、所与の数値が前記数値の-10%から+10%の値の範囲、好ましくは前記数値の-5%から+5%の値の範囲をカバーすることを意味する。
【0030】
「シャフト供給(Shaft feeding)」、「高炉のシャフト・・・に供給」又は「シャフト内のガス入口」は、熱風(羽口)レベルより上、即ち朝顔部の上、好ましくは凝集ゾーン(領域)の上の酸化第一鉄のガス固体還元ゾーン内に材料を注入することを意味する。
【0031】
「酸素富化空気」とは、前記ガス内の酸素の割合が23から85Vol%以上、好ましくは60から75Vol%となるように、酸素ガス(O2)が添加された空気を意味する。「酸素富化蒸気」という表現は、概して10から85Vol%以上、好ましくは25から75Vol%の酸素ガス(O2)を含む、酸素を含む水蒸気(気体の水)を意味する。
【0032】
「流体接続」という表現は、流体、例えば気体が1つの装置から別の装置に流動できるように、2つの装置が導管(conducts)又は管(pipes)によって接続されることを意味する。この表現には、この流れを変えるための手段、例えば質量流量を調整するための弁又はファン、圧力を調整するためのコンプレッサーなど、並びに高炉全体の運転又は高炉設備内の各要素の運転を適切に制御するために必要又は望ましい、センサ、アクチュエータなどの制御要素が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の好ましい実施形態を例に採って、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】本発明の方法を実施可能にする、本発明による高炉設備の1実施形態の概略フロー図である。
【0034】
本発明のさらなる細部構成及び利点は、添付の図面を参照することで非限定的な幾つかの実施形態についての以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0035】
シンガスの要件と高炉での使用は、現在すでに使用されている用途(applications)とは異なっている。
【0036】
シンガスの還元度と温度レベル:
【0037】
他の産業では、通常、シンガスが生成されかつその後冷却されてシンガスから過剰な蒸気が分離される。これにより、冷却されたガスのみが下流プロセスで使用される。鉄鋼業以外の既存の産業用途では、高い還元度は重要ではない。しかしながら鉄鋼業界では高い還元度、好ましくは7より高いものが好ましく、還元度は次のモル比:(cCO+cH2)/(cH2O+cCO2)で定義される。
【0038】
さらに、最大の熱効率を可能にするために、シャフト注入に必要な温度レベルに適合する高温のシンガスが好ましい。したがって、高炉のシャフトに注入できるように、温度は900から1100°Cのオーダーである必要がある。
【0039】
H2/CO比
【0040】
鉄鋼業のほかの他の産業では、シンガスは純粋な水素製造、アンモニア又は他の化学成分の生産などの特定の用途に使用される。そのため、一般に、COに対する水素の比率は特定のものであることが必要である。
【0041】
比較すると、高炉でシンガスを使用することの目的は鉱石の還元であり、これは還元成分であるCOと水素の両者によって達成される。CO又は水素による鉱石の還元には違いがあるが、シンガスは高炉内で使用される還元ガスの一部にすぎないことを考慮すると、この違いは僅差である。
【0042】
CO2 排出
【0043】
コークスは、高炉製鉄における主要なエネルギー入力(energy input)である。経済的及びCO2の観点から、これはあまり好ましくないエネルギー源である。他のエネルギー源によるコークスの代替手段が広く採用されており、主に羽口レベルのところで注入される。コスト上の理由から、主に微粉炭が注入される。しかしながら天然ガス価格が低い国ではこのエネルギーが使用される。多くの場合、廃プラスチックなどの残留物も高炉に注入される。
【0044】
これらの補助燃料は、高炉製鋼からのCO2排出量にプラスの影響を与える可能性があり、同時にその利用はプロセスのため(process reasons)に限定されており、これらの限定は今日すでに頻繁に達成されている。高炉は、高炉へのエネルギー入力の最大約40%を含む高炉ガス(BFG)を生成する。このガスは、概して製鉄所の内部の熱需要(internal heat requirements)に使用されるが、電気エネルギーの生産にも使用される。したがって、高炉ベースの鉄鋼生産のCO2が環境に与える影響を削減する目的で1つの重要な戦略は、このBFGを冶金学的理由で使用し、グリーン電気エネルギーなどの他のCO2を無駄にしない(CO2 lean)エネルギーを製鉄所の残りのエネルギー需要に適用することである。
【0045】
このことから、合成ガス生産は、CO2を無駄にしない炭化水素の利用と共に、高炉製鉄からのCO2排出削減潜在能力(emission reduction potential)を向上させるために、高炉ガスを可能な限り統合する必要もある。
【0046】
不純物
【0047】
高炉では石炭やコークス、並びに廃プラスチックやタールなどの安価な二次燃料が使用されることが多いため、塩素や硫黄含有分子などの典型的かつ有害な化学成分がシンガスの一部になっている。このガスをシンガスの製造に使用する場合、これらの成分は、適切に前処理しないと、改質触媒の迅速な毒性(quick poisoning)の原因になる可能性がある。
【0048】
圧力
【0049】
改質反応は、ルシャトリエの原理により低圧が好ましい。しかし、改質器の下流でのシンガスの圧縮はコストが掛かり(流量の増加の理由から)、装置や触媒床(catalyst bed)の寸法が小さいため、普通のシンガスプロセスは高圧で操作される。高炉用途の場合には、低圧レベルのみが必要とされる。したがって、シンガスは高炉のシャフトに、典型的には1から4bargの圧力で注入される。
【0050】
シンガス製造のための改質及び補助技術(auxiliary technologies):
【0051】
改質反応
【0052】
天然ガス改質は、主に以下の反応によって行うことができる:
【0053】
酸素の存在下での部分酸化:CH4+1/2O2=CO+H2
【0054】
この反応はCPOの主反応(dominant reaction)であり、強い発熱性であり、それによって大量のエネルギーが放出される。
【0055】
蒸気の存在下での蒸気改質:CH4+H2O=CO+3H2
【0056】
CO2の存在下での乾式改質:CH4+CO2=2CO+2H2
【0057】
これらの最後の2つの反応は強い吸熱性であり、多くの熱を必要とする。
【0058】
改質技術及び高炉シャフト注入への適応
【0059】
ガスの所望の最良の還元潜在能力(reduction potential)における熱力学的平衡によりシンガスに温度が付与されるが、それはそのシャフトでの注入にはまだ低過ぎる。実際には、温度をさらに上昇させると、より高い酸素濃度(higher oxygen)の必要性が一層増大し、かつシンガスの還元潜在能力の低下が起こり、これらは意図する用途には好ましくはない。
【0060】
供給ガスの予熱
【0061】
本発明者らは、この状況を改善するために、CPOに、供給ガスの予熱が適用可能であることを見出した。実際、このような予熱により、シンガスの還元潜在能力を高めることができるだけでなく、約1000°Cの所望のシンガス温度を得ることもできる。
【0062】
図1は、約1000°Cの温度及び1から4bargの圧力でシンガス流をシャフト注入することを含む高炉設備を運転するための好ましい方法の実施形態を示す。
【0063】
図1は、以下でさらに説明する次のメインストリームを同定する。
[1]-第1のBFG流と混合した後に第2のヒーターに供給される第1のNG流。
[2]-第1のNG流と混合され、次いで第2のヒーター及びCPO反応装置に供給される第1のBFG流。この第1のBFG流は事前に適切に処理(金属及びHClの除去)する必要がある。
[2*]-第1、第2、及び第3のヒーターを加熱するためにバーナーに供給される第2のBFG流。
[3]-CPO反応装置に供給される、加熱BFG-NGからなる加熱炭素供給流。
[4]-CPO反応装置に供給される、(酸素富化される)蒸気の加熱流。
[5]-CPO反応装置(6.)に供給される、加熱酸素流(蒸気と混合される)。
[6]-CPO反応装置に供給される酸素富化蒸気の第1の加熱流。
[7]-CPO反応装置内の混合流としての、酸素富化蒸気の第1の加熱流及び加熱炭素供給流(静止(static)ミキサーから反応装置に向かって流れる)。
[8]-任意に水素、好ましくは再生可能な水素を添加した、シンガス流(高炉のシャフトに注入される)。
【0064】
図1において、第1の高炉ガス流[2]は高炉の頂部から回収され、必要に応じて、例えばダスト(埃)、金属、HCl等を除去することで、洗浄される。この浄化された高炉ガス流と第1の天然ガス流[1]は、下流の触媒部分酸化反応装置用の加熱炭素供給流[3]を得るために、一緒に混合される前又は後に第2及び第3のヒーターで加熱される。必要又は有用と思われるときは、第1の天然ガス流[1]、第1の高炉ガス流[2]、又は炭素供給流[3]を脱硫工程(脱硫フィルタ)に供するなどしてさらに洗浄してもよい。
【0065】
同時に、第1の蒸気流[4]は、酸素富化蒸気の第1の加熱流[6]を得るために、酸素(酸素ガスO2)及び酸素富化空気から選択される酸素供給源と混合する前又は後に、第1のヒーターで加熱される。酸素供給源は、加熱酸素流[5]を得るために、好ましくは、酸素ヒーター、例えば第2の蒸気流によって加熱される熱交換器で最初に加熱され、この第2の蒸気流の熱交換から生じる凝縮水は、その後熱交換器から排出される(凝縮排出)。加熱酸素流[5]は、第4のヒーター(酸素ヒーター)において、好ましくは加熱炭素供給流[4]の温度に近い/殆ど一致する(即ち、加熱炭素供給流の温度と、例えば100°C以下、好ましくは50°C以下分だけ相違する)温度に加熱される。
【0066】
第1、第2及び第3のヒーターは、有利にも、好ましくは同じ囲い内(焼成ヒーター)で、より好ましくは1つの共通バーナーによって加熱される熱交換器である。前記バーナーは、好ましくは、空気、酸素富化空気又はさらには酸素の存在下で第2の高炉ガス流を燃焼させることによって作動する。実施形態によっては、空気、酸素富化空気又は酸素の存在下での第2の高炉ガス流の燃焼から生じる排気ガスを、第1の高炉ガス流[2]又は第1の天然ガス流[1]又は炭素供給流[3]に、好ましくは上述の洗浄工程の上流で第1の高炉ガス流[2]に加えることができる。
【0067】
有用又は必要であれば、窒素供給源(nitrogen source)からの窒素流を、好ましくは、別の(窒素)ヒーターで、それが添加される流れの温度に近い/ほぼ一致する温度(即ち、それが加えられる流れの温度と、例えば100°C以下、好ましくは、50°C以下分だけ異なる温度)に加熱した後、加熱炭素供給流[4]、加熱酸素流[5]、又は混合流[6]に加えることができる。
【0068】
次に、蒸気の第1の加熱流[4]が加熱された酸素供給源流[5]に混合され、それにより1以上のCPO反応装置入口を通してCPO反応装置に供給される酸素富化蒸気の第1の加熱流[6]が得られる。
【0069】
加熱炭素供給流はまた1以上の反応装置入口を通ってCPO反応装置に供給される。酸素富化蒸気の第1の加熱流と炭素供給流の混合流[7]は、任意にミキサー、例えばCPO静止ミキサー(static mixer)で混合された後、次いで900から1100°Cの範囲の温度を有するシンガス流[8]を形成するためCPO反応装置内の触媒表面上での反応が可能になる。
【0070】
所望又は有益であれば、水素、好ましくは再生可能な又はいわゆる「グリーン」水素流を、必要に応じて適切なヒーター(水素ヒーター)で予熱した後、シンガス流[8]に加えることができる。
【0071】
任意に、添加した水素、好ましくは再生可能水素を備えたシンガス流[8](任意にさらに圧縮される)は、その後、高炉のシャフト内、即ち朝顔部の上、好ましくは凝集ゾーンより上の酸化第一鉄のガス固体還元ゾーン(領域)のガス入口に供給される。
【国際調査報告】