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特表2023-542111建物用のファサード要素、ファサード要素用の留め具、及びファサード要素の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-05
(54)【発明の名称】建物用のファサード要素、ファサード要素用の留め具、及びファサード要素の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20230928BHJP
   H10K 30/50 20230101ALI20230928BHJP
   H02S 20/26 20140101ALI20230928BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230928BHJP
   H10K 59/90 20230101ALI20230928BHJP
【FI】
E04F13/08 Z ETD
H10K30/50
H02S20/26
H10K50/10
H10K59/90
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516754
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2021074577
(87)【国際公開番号】W WO2022053458
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】102020211456.0
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523090467
【氏名又は名称】アスカ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティルデ ベルガー
(72)【発明者】
【氏名】セルヒオ ロペラ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ペーツォルト
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム ピク
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル シリンスキー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ウルリヒ ザウアーマン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ バンニーウェンハイス
【テーマコード(参考)】
2E110
3K107
5F251
【Fターム(参考)】
2E110AA04
2E110DA06
2E110DC04
2E110GB01W
2E110GB23W
3K107AA01
3K107BB02
3K107CC41
3K107EE63
5F251AA11
5F251JA02
5F251JA12
5F251XA01
(57)【要約】
本発明は、建物用のファサード要素(2)であって、成形部材(4)と、留め具(6)と、を有し、留め具は、半導体モジュール(10)を取り付けるために、成形部材(4)に組み入れられ、且つ成形部材から部分的に突出している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物用のファサード要素(2)であって、
成形部材(4)と、
留め具(6)と、を有し、
前記留め具は、半導体モジュール(10)を取り付けるために、前記成形部材(4)に組み入れられ、且つ前記成形部材から部分的に突出している、ファサード要素(2)。
【請求項2】
前記成形部材(4)は、その製造の際に前記留め具(6)が一体化された鋳造部材である、請求項1に記載のファサード要素(2)。
【請求項3】
前記成形部材(4)はコンクリート製である、請求項1又は2に記載のファサード要素(2)。
【請求項4】
前記半導体モジュール(10)は、有機太陽光発電モジュールである、請求項1~3のいずれか一項に記載のファサード要素(2)。
【請求項5】
前記留め具(6)は、前記半導体モジュール(10)を挟み込むためのクランプ(8)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のファサード要素(2)。
【請求項6】
前記留め具(6)は、アンカー(18)を有し、
前記アンカー(18)は、前記成形部材(4)に組み入れられる足部(20)と、長手方向(L)に延びて前記成形部材(4)から突出し、前記クランプ(8)が取り付けられる突出部(22)と、を有する、請求項5に記載のファサード要素(2)。
【請求項7】
前記クランプ(8)は、クランプラグ(28)を有し、そのクランプラグは、前記突出部(22)に装着され、前記半導体モジュール(10)を前記突出部(22)の方向に押圧している、請求項6に記載のファサード要素(2)。
【請求項8】
前記突出部(22)は、前記クランプラグ(28)を固定するためのアンダーカットを有し、
前記クランプラグ(28)は、前記突出部(22)に前記クランプラグ(28)を長手方向(L)に装着するための開口部(36)を有し、
前記開口部(36)は、前記クランプラグ(28)が長手方向(L)に対して垂直に変位した際に前記アンダーカットに押し入るために、その端部側に幅狭くなっている、請求項7に記載のファサード要素(2)。
【請求項9】
前記クランプ(8)は、前記突出部(22)に装着されるクランプジョー(46)を有しており、それによって、組み立てられた状態において、前記半導体モジュール(10)は、前記クランプジョー(46)と前記クランプラグ(28)との間に挟み込まれている、請求項7又は8に記載のファサード要素(2)。
【請求項10】
前記クランプジョー(46)は、弾性材料、特にゴムから成る、請求項9に記載のファサード要素(2)。
【請求項11】
前記クランプジョー(46)は前記突出部(22)に嵌め込まれており、且つその突出部の背後に係合しており、それによって、前記突出部(22)からの長手方向(L)への前記クランプジョー(46)の引き離しが防止されている、請求項9又は10に記載のファサード要素(2)。
【請求項12】
給電線(54)が、一方においては別のファサード要素(2)の給電線(54)に接続するため、他方においては前記半導体モジュール(10)の接続のために、前記成形部材(4)に一体化されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のファサード要素(2)。
【請求項13】
前記給電線(54)が、前記留め具(6)を通って配線されている、請求項12に記載のファサード要素(2)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のファサード要素(2)のための留め具(6)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のファサード要素(2)の製造方法であって、
前記成形部材(4)の製造の際に、前記留め具(6)を、前記成形部材(4)から部分的に突出するように、前記成形部材(4)の中に組み入れる、ファサード要素(2)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ファサード要素とは、建物の一部、より正確には建物のファサードのことである。ファサードは、通常、外部を向いており、そのため、風雨にさらされる。代替的には、ファサードが内部を向いている場合もある。いずれにせよ、ファサード要素は、取り付けられた状態において、外部からアクセスでき、且つ見える表面を有し、そのため、通常、内部又は外部の環境条件にもさらされる。したがって、ファサード要素は、建物の視覚的形状にも寄与し、そのため、しばしばデザイン考慮の対象にもなる。しかしながら、そのアクセス性と環境との接触によって、ファサード要素は、追加の機能性の一体化にも適している。
【0002】
基本的に、太陽光発電モジュールをファサード要素に一体化すること、又は取り付けることは可能である。特に外部を向いたファサード要素の場合、このような方法によって、周囲からの太陽光放射から電気エネルギーを生成することができる。それによって、ファサード要素において、エネルギー生成が追加の機能として実現される。太陽光発電モジュールは、例えば、ファサード要素及び建物全般のデザインに付加的に使用され、また、その視覚的印象に寄与する。
【0003】
独国特許出願公開第102017214347号明細書には、複数のPVモジュールが2つの表面要素の間にラミネートされたファサード要素が記載されている。PVモジュールは、それぞれの接続要素によって互いに電気的に接続されている。PVモジュールは、並列又は直列又はそれらの組み合わせによって接続可能である。
【0004】
国際公開第2013/179223号パンフレットには、例えばコンクリート上に配置するための太陽電池モジュールの使用が記載されている。太陽電池モジュールは、コンクリート製の成形部材の表面に配置するために、結合手段を片面に有する。その結合手段は、接着層を有する多層の被膜システムを含み、2つの部分に作られている。その際、結合手段の第1の部分は、太陽電池モジュールの上記片面に配置され、結合手段の第2の部分は、成形体に配置されている。
【0005】
更に、中国実用新案第20547626号明細書には、一体化された太陽電池を有する上張りパネルが記載され、米国特許出願公開第2017/0179878号明細書には、太陽電池が上張りされた壁ユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017214347号明細書
【特許文献2】国際公開第2013/179223号パンフレット
【特許文献3】中国実用新案第20547626号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0179878号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような背景から、本発明の課題は、半導体モジュールの建物への一体化、特に、建物用ファサード要素への一体化を改善することである。このために、対応するファサード要素、そのようなファサード要素用の留め具、及び対応するファサード要素の製造方法が提示される。その際、特に、ファサード要素の成形部材への半導体モジュールの取り付けは、可能な限り簡易である必要がある。取り付けには、可能な限り耐久性と信頼性が必要である。特に、半導体モジュールの交換又は保守も可能な限り簡易である必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、請求項1による特徴を有するファサード要素、請求項14による特徴を有する留め具、及び請求項15による特徴を有する方法によって解決される。有利な、形態、さらなる展開、及び変形は、従属請求項の主題である。ファサード要素に関連する説明は、留め具及び方法にも適用され、その逆もまた同様である。
【0009】
ファサード要素は、例えば住宅などの建物の一部として使用されるように形成されている。ファサード要素は、成形部材と、留め具とを備える。留め具は、成形部材に組み入れられ、好ましくはそこに固定される。留め具は、部分的に成形部材から突出し、すなわち、留め具の内側部分が成形部材に組み入れられ、外側部分が成形部材から外に突出し、好ましくは成形部材から張り出している。留め具は、半導体モジュールを成形部材に取り付ける、特に固定するために使用される。特に、留め具は、半導体モジュールを成形部材に取り付けるため、すなわち成形部材に結合するために、成形部材と半導体モジュールとの間の機械的な仲介物として使用される。
【0010】
好ましくは、留め具はクランプを有し、そのクランプは、半導体モジュールを留め具に固定し、且つ半導体モジュールを成形部材に強固に結合するために、半導体モジュールを挟み込むためのものである。そのため、留め具は、クランプ留め具とも言う。特に、クランプは、成形部材の外側に配置され、留め具の外側部分の一部である。取り付けていない状態においては、半導体モジュールは必ずしもファサード要素の一部である必要はない。取り付けられた状態においては、半導体モジュールは、留め具によって成形部材に固定され、その場合、ファサード要素の一部となる。
【0011】
以下おいて、留め具を、それに制限されることなく、クランプとみなす。しかしながら、クランプの代替として、他の留め具も考えられ、且つ適切である。例えば、留め具は、必要に応じて追加の結合要素と組み合わせて、ラグ、アングル等である。その際、ラグ、アングル等は少なくとも部分的に成形部材に組み入れられる。好適な一形態においては、留め具はボルト結合であり、そのボルト結合は、2つの結合部品、すなわち、ネジと、ネジが内ネジか外ネジかによって、ボルト又はナットを有する。一方の結合部品が成形部材に組み入れられ、それによって、他方の接続部品が成形部材から張り出し、半導体モジュールを取り付けるために使用される。例えば、内部ネジが成形部材に組み入れられ、好ましくは埋め込まれ、半導体モジュールは、例えば、取り付けのためにボルトを通す貫通孔を有し、そのボルトは、ネジにねじ込まれ、この方法によって、半導体モジュールが成形部材に固定される。ボルト結合に関する説明は、結合部品として2つのプラグコネクタを有するプラグ接続にも対応して適用される。更なる好適な一形態においては、留め具はアンカーを有しており、そのアンカーは、成形部材に組み入れられ、成形部材から張り出すする留め具の取り付け面に結合する。その取り付け面は、例えば、数平方センチメートルの大きさである。取り付け面には、好適には接着剤が塗布され、この接着剤によって半導体モジュールを固定することができ、その結果、留め具は接着留め具となる。
【0012】
クランプ付き留め具のため、半導体モジュール自体に結合要素は必要なく、そのため、半導体モジュールもまた、好ましくは対応して結合要素を有さない。そのため、クランプによって様々な半導体モジュールを成形部材に固定することができ、それによってファサード要素は、特に高いデザイン自由度を提供することができる。その際、半導体モジュール自体には特別な要件はなく、特に、半導体モジュールは、場合によっては独自の結合システムの、相互補完の結合部品を有する必要はない。留め具は、そのすべての部分が成形部材に取り付けられているということによって、有利にも一体化されている。半導体モジュールと留め具との間のさらなる結合手段、例えばボルトは、ファサード要素が有利にも結合手段を有さない場合には、必要ない。また、留め具の全ての部分は、好適には、紛失を防止するように取り付けられている。留め具のクランプは、有利には特に自在であり、そのため、様々な半導体モジュールを同じクランプによって、又は同じ半導体モジュールを異なる向きに固定することができる。全体として、ここに記載されたファサード要素は、また、特に低コストである。
【0013】
ファサード要素は、建物用ファサード要素とも言う。ファサード要素は、特に壁要素であり、すなわち建物の、側壁、天井又は床の部品である。建物において、ファサード要素は、特に外側又は内側の一部を形成し、それによって、外部空間又は内部空間の環境条件にさらされる。外部の環境条件とは、特に天候のことである。完成した建物において、ファサード要素は、特に目に見え、且つアクセス可能であり、そのため、壁の内部又は隠れた部分を表すのではなく、むしろ、上張り、例えば外側ファサード又は外装材である。
【0014】
ファサード要素の本質的な部分は、特に成形部材であり、これは、通常、ファサード要素の寸法及び形状を決定する。特に簡易な一形態においては、成形部材は直方体形状であるが、他の任意の形状も同様に考えられ、且つ適切である。特に好ましい一形態においては、成形部材が枠状に形成され、半導体モジュールが取り付けられる開口部を有している。それによって、この場合、半導体モジュールは、成形部材によって枠状に囲まれている。開口部は、例えば、完全な貫通開口であり、そのため、成形部材は、留め具によって半導体モジュールを取り付けることができる貫通孔を有する。それによって、ファサード要素は、成形部材を枠として、且つ半導体モジュールを窓ガラスとして、全体として、一種の窓として形成されている。代替的には、開口部は、窪みともいえる単純な凹部であり、そのため、半導体モジュールは、いわば、成形部材の中に嵌め込まれている、又はその中に埋め込まれており、例えば、成形部材の取り囲み枠と面一である。
【0015】
留め具は、製造の際に、様々な方法において成形部材に対して位置調整することができ、そのため、半導体モジュールの柔軟な位置決めも可能である。上記のような、例えば窓態様の、開口部を有する成形部材の場合には、留め具は、例えば、開口部の内側に向けられる。代替的には、留め具は成形部材の表側に取り付けられ、且つ前方に向いている。そのため、成形部材に取り付けられた半導体モジュールは、この場合、成形部材をいわば覆う。また、成形部材の側面に位置決めすること、例えば、半導体モジュールを側方に張り出させることも可能である。
【0016】
有利にも、成形部材は、その製造の際に留め具が一体化された鋳造部材である。この製造は、特に鋳造プロセスを含み、その鋳造プロセスにおいては、成形部材が一次成形され、また、同時に留め具が組み入れられ、それによって、留め具は、いわば、成形部材が製造される材料によって鋳包みされる。言い換えれば、留め具は成形部材に埋め込まれる。鋳造部材としての形態によって、この場合、留め具と成形部材との間の形状結合は、好適に形成される。留め具の埋め込みの代わりに、留め具は、後から追加して成形部材に組み入れられる、例えば、ネジ込まれる、接着される、又は成形部材の開口部に固定される。しかしながら、埋め込みが好ましい、なぜなら、その場合、留め具は成形部材の一次成形の際に既に直接組み入れられ、また、留め具の組み入れのための別の製造プロセスは必要ないためである。
【0017】
特に好ましい一形態においては、成形部材はコンクリート製である。コンクリートは、建物用ファサード要素の一般的な材料であり、特に頑丈で加工が容易であるとともに、長期安定性を有する。また、コンクリートは、特に外側ファサードに適している。この場合、留め具は、コンクリート内に直接組み入れられ、コンクリートによって強固に保持され、そのため、コンクリート内に直接固定される。
【0018】
留め具は、成形部材と半導体モジュールとの間の結合要素として使用される。組み立てられた状態においては、半導体モジュールと成形部材とは、必ずしも直接、互いに接触しているわけではなく、クランプの形態に依存して、単に留め具によって間接的に互いに結合されている。しかしながら、クランプが半導体モジュールを成形部材に対して直接押圧し、それによって半導体モジュールを挟み込む形態も考えられ、且つ適切である。そのため、留め具は、半導体モジュールと成形部材との間の機械的結合を確立する。組み立てられた状態において、すなわち半導体モジュールがクランプに挟み込まれている場合には、半導体モジュールと成形部材は好ましくは互いに対して不動であり、そのため、半導体モジュールは成形部材に固定されている。しかしながら、好ましくは、半導体モジュールを、成形部材に可逆的に固定可能である、すなわち、例えば、メンテナンスのため又は別の半導体モジュールと交換するために、クランプから取り外すことも可能である。
【0019】
留め具は成形部材から突出しており、そのため、部分的にしか成形部材に組み入れられておらず、特に一体化されていない。これは、ファサード要素が、この場合、半導体モジュールの受け入れのために工場出荷時に、いわば準備されるため、有利である。その半導体モジュールは、オプションとしては、ファサード要素の製造の際に既にファサード要素に取り付けられる。したがって、留め具は、成形部材から部分的に突出するように、成形部材の製造の際に既にその中に組み入れられる。留め具の成形部材から突出している部分は、外側部分とも言う。この外側部分は、特にクランプも有する。クランプは、例えば、ファサード要素の製造の際に、例えば、成形部材の成形後に既に工場において、又はその後に、例えば、建物の建設現場において、半導体モジュールが成形部材に取り付けられる直前に、取り付けられる。外側部分とは対照的に、内側部分とも言う残りの部品は成形部材内に収っており、それによって、留め具が成形部材に固定される。内側部分と外側部分との間のサイズ又は割合比は、それ自体必ずしも固定されてはいないが、典型的には、内側部分と外側部分とは同様の寸法を有する。
【0020】
特に、留め具は、半導体モジュールと成形部材との間隔を空けるために、及び、両者の間の空気循環を可能にするために、例えば、コンクリート製の成形部材の場合、発生ガスの蓄積を防止するために、スペーサとしても使用される。好ましくは、留め具によって半導体モジュールと成形部材との間に、5mm~5cmの範囲の距離が形成される。しかしながら、基本的には、他の値も適切である。好適な一形態においては、距離を形成するために、半導体モジュールの周囲を走り、半導体モジュールを成形部材から離すギャップが形成される。このギャップは、それ自体、上記したような、成形部材内に必要に応じて存在する開口部の形態には依存しない。
【0021】
好ましくは、ファサード要素は、半導体モジュールを特に確実に固定するために、1つの半導体モジュールに対して複数の留め具を備える。留め具の正確な数は、特に、半導体モジュール及び成形部材の寸法及び形状によって異なる。各留め具は、特に、正確に1つのクランプを有する。例えば、長方形の半導体モジュールをクランプによって固定するために、4つの留め具が存在し、この半導体モジュールは、対向する2つの側部において、それぞれ角の付近において、クランプによって固定される。2つのそれぞれの留め具は、典型的には数10cmの間隔を空けて配置される。しかしながら、形態に応じて他の距離も考えられ、且つ適切である。しかしながら、一般に、留め具間の距離は、好ましくは、それぞれの留め具の寸法よりもかなり大きい。そのため、全体として留め具は半導体モジュールを、単に点的に固定する。成形部材及び半導体モジュールの寸法はそれ自体任意であり、好ましくは、半導体モジュールの寸法は、成形部材の寸法と同じ規模であるか、又はそれより小さい規模である。成形部材の典型的な寸法は数10cmから10mまでであり、半導体モジュールの典型的な寸法は数cmから2mまでである。その他の寸法も基本的には可能である。
【0022】
半導体モジュールを成形部材に取り付ける際に、半導体モジュールはクランプによって挟み込まれ、それによって、成形部材に固定される。このために、クランプは、半導体モジュールが挟み込まれる2つのクランプ要素を有する、又は1つのクランプ要素のみを有し、半導体モジュールはクランプ要素と成形部材自体との間に挟み込まれる。いずれの場合にも、クランプは、半導体モジュールを強固に、特に力結合的に保持する挟持力を発生させる。挟持力を発生させるには、様々な機構が適している。特に好適なのは、挟持力を発生させる復元力を有するバネ機構の使用である。しかしながら、クランプを作動させ、挟持力を発生させるためのレバー機構又はネジ機構も考えられ、且つ適切である。
【0023】
クランプによって、簡単な組み立て、及び特に分解も可能にする、特に簡易な保持機構が実現される。更に、ここで説明する留め具は、長期的な安定性を有し、且つ、例えば環境影響に対して特に頑丈である。成形部材の形態によっては、成形部材は、例えば、接着剤が耐性を有さない物質を、経時的に排出する。例えば、コンクリート製の成形部材は、経時的にアルカリ性の物質を排出し、その物質は、特に成形部材と半導体モジュールとの間に蓄積され、半導体モジュールを成形部材に接着している接着剤を破壊する。これとは別に、接着剤は一般的な天候、特に屋外において侵される危険性もある。これは、ファサード要素にとって特に重要であり、ファサード要素はしばしばメンテナンスを必要とせずに10年以上できるだけ持続しなければならないため、長期的に安定した解決策が必要である。その解決策は、ここで説明する留め具によって実現される。
【0024】
半導体モジュールは、好ましくは、有機太陽光発電モジュールであり、略してOPVモジュールとも言う。太陽光発電モジュール、略してPVモジュールは、太陽電池とも言い、光を電気エネルギーに変換するために使用される。太陽光発電モジュールは、一般に、2つの電極の間に配置された活性層を有する。活性層及び電極は、通常、支持体、例えば支持フィルム上に一緒に配置される。電極、活性層、及び、必要に応じて追加の支持フィルムは、好ましくは、例えば、ガラス、PMMA、PCなどから成る2枚のシート又はフィルムの間において、外カバーによって囲まれ、及びその中に封じ込まれ、好ましくは、ラミネート加工されている。光は活性層に吸収され、それによって電流が発生し、その電流は、2つの接続部を有する配線を介して導出可能である。
【0025】
OPVモジュールにおいては、活性層は発電のための必須要素として有機半導体を有している。OPVモジュールは、一方においてデザインに関する柔軟性が高く、他方において機械的な柔軟性も高いのが特徴である。典型的なOPVモジュールは、0.1mm~3mmの範囲の厚さを有する。しかしながら、この範囲外の寸法も可能であり、且つ適切である。更に、OPVモジュールは、単位面積当たりの重量が特に小さいという特徴もある。OPVモジュールの形状、及び外観は、特に自由に形成可能であり、それによって、特定の用途、又はユーザーの要望に合わせることができる。また、デザインの自由性は、太陽光発電モジュールの電流及び電圧に関する特定の電気的要件に適合させることができる。
【0026】
太陽光発電モジュールとしての形態の代替として、半導体モジュールは、発光モジュール、好ましくは有機発光モジュールとして形成され、そのため、電気を生成するために光を吸収するのではなく、光を生成するために電気を消費する。このような半導体モジュールは、特に室内のファサード要素に適しているが、外側ファサードにも有利である。
【0027】
半導体モジュールが太陽光発電モジュール、又は発光モジュールであるかに依存せず、半導体モジュールは、特に、全体的に平面的に形成され、そのため、厚さよりも少なくとも1桁、通常、数桁大きい、長さ及び幅を有している。半導体モジュールは、一般に、前面側及びそれに対向する裏面側、並びに前面側及び裏面側を境とする周縁部を有する。
【0028】
OPVモジュールとしての好ましい形態は別として、半導体モジュールの更なる具体的な形態は、ここにおいては、さしあたり重要ではない。単なる例として、半導体モジュールは、直列又は並列に、又はそれらの組み合わせに互いに接続されている、1つ以上のセルを有する。特に、セルは、平面的に互いに隣接して配置されている。例えば、半導体モジュールは、120VDCまでのシステム電圧、あるいは、単に60VDCまでのシステム電圧を有する。また、複数の半導体モジュールが成形部材に挟み込まれ、互いに電気的に接続されていることも考えられる。
【0029】
有利な一実施形態においては、留め具はアンカーを有している。そのアンカーは、成形部材に組み入れられる足部と、長手方向に延びて成形部材から突出し、クランプが取り付けられる突出部(Zapfen)とを有している。足部は、特に、完全に内側部分の部分であり、そのため、完全に成形部材に組み入れられている。アンカーの形態に応じて、突出部は、完全に成形部材の外側に、又は部分的には成形部材の内側に延びている。いずれの場合においても、突出部は成形部材の内側から成形部材の外側への結合部を形成する。そのため、突出部は、成形部材への固定を確実にする足部を、半導体モジュールの固定を確実にするクランプに結合する。足部について本質的なことは、留め具を成形部材に、又は成形部材内に固定し、それによって可逆的又は不可逆的に固定することである。更に、足部の形状はそれほど重要ではない。好適な一形態においては、足部及び突出部は、全体的に見るとT字形である。その際、足部はT字の横棒を形成し、突出部は長手棒を形成し、その長手棒は、例えば、横棒の中心から、長手方向に成形部材の外に延びる。可能な一形態においては、足部は、直方体、棒状、ピン状、又は板状である。アンカーは、好ましくは、一部品に、すなわち、一体的に製造されており、そのため、いくつかの別個の部品から組み立てられていない。それによって、その場合、足部と突出部とは、材料結合的に互いに結合されている。アンカーは、例えばプラスチックから成る、射出成形部材である。
【0030】
突出部は、長手方向に測定したときに、好ましくは0.5cmから5cmの間の長さである。突出部は、長手方向に対して横方向に測定したときに、好ましくは1mmから20mmの間の幅である。好適な一形態においては、突出部は、長手方向に垂直な正方形の断面を有するが、他の断面、例えば長方形又は円形も、基本的に適切である。
【0031】
好適な一形態においては、アンカーは更に、襟部を有し、その襟部は、突出部を取り囲み、留め具の内側部分から外側部分への移行を示す。対応して、襟部は成形部材の表面に、又は表面の中に位置する。襟部は、特に、成形部材にアンカーを固定するために、また、成形部材の製造中に成形部材に対してアンカーを位置決めするために使用される。
【0032】
アンカーは、好適には、成形部材の材料と適合性があり、且つ、そのために、特に、同様の化学的、物理的及び/又は機械的特性を有する材料から作られる。アンカーは成形部材と接触しているため、その適合性によって、留め具と成形部材との間の結合が経時的に劣化しないことが保証される。好適には、アンカーの材料は例えば、アルカリ性の蒸気、又は、一般に、例えばコンクリートのようなアルカリ性の環境に対して化学的に耐性がある。代替的又は追加的に、好適には、アンカーの材料は、成形部材の材料と同様の熱膨張を有しており、それによって、温度変化の際に両方の部品が同様に膨張及び収縮する。
【0033】
成形部材への特に確実な保持のために、好適な一形態においては、足部は、成形部材に留め具を固定するために、成形部材を形成する材料が貫いて延びる少なくとも1つの穴を有する。この穴は、留め具が埋め込まれる鋳造部材としての成形部材の場合に特に有利である。成形部材が一次形成の際に、材料は、その穴を通って浸透して固化し、その際に、この方法によって、留め具を所定の位置に強固に保持する。その場合、留め具は、もはや、成形部材から、破壊なく分離することもできない。代替的又は追加的に、足部は、給電線を所定の位置において成形部材に一体化するために、その給電線を取り付けるための穴を有する。
【0034】
好ましくは、クランプはクランプラグ(Klemmlasche)を有しており、そのクランプラグは、突出部に装着され、半導体モジュールを、挟み込みのために突出部の方向に押圧する。突出部に装着するために、クランプラグは、好適には、突出部が通される開口部を有する。この方法によって、クランプラグは、成形部材に確実に結合される。クランプラグは、好ましくは、バネ弾性の材料、好適には金属から作られている。クランプラグは、特に、半導体モジュールの挟み込みの際に弾性的に曲げられるように形成されている。そのため、クランプラグは、組み立てられた状態において、半導体モジュールに対して継続的に押圧し、それによって、半導体モジュールを強固に挟み込む復元力が生じる。好適な一形態においては、クランプラグは、そのために、J字形又はL字形又は同様の形状に形成され、その場合、2つの辺部を有する。その辺部のうちの1つ、すなわち第1の辺部は突出部に取り付けられ、他の1つ、すなわち第2の辺部は半導体モジュールに対して押しつける。この方法によって、既に上記したようなバネ機構が実現され、そのバネ機構においては、半導体モジュールが復元力によって対向外形部に対して押し付けられ、それによって固定される。その対向外形部は、クランプ自体によって、又は成形部材によって形成される。全体として、半導体モジュールは、その場合、挟み込む又は摘まむように把持されている。そのため、クランプは、組み立て用クランプとも言う。一形態においては、クランプラグは、その際、第2の辺部によって半導体モジュールの前側をとらえ、その後側を対向外形部に押圧する、又はその逆を行う。クランプラグは、好ましくは、一部品に、すなわち、一体的に製造される。好適な一形態においては、クランプラグは、例えば折り曲げ手段によって曲げられた金属薄板から製造される。それによって、2つの辺部が上記のように形成される。
【0035】
好適な一形態においては、突出部は、クランプラグを固定するためのアンダーカットを有し、クランプラグは、突出部にクランプラグを長手方向に装着するための開口部を有する。アンダーカットは、突出部がネック部を有するということによって、好適に形成されている。そのネック部には、ヘッド部が、長手方向において、且つ成形部材から離れた位置において連結している。そのヘッド部は、長手方向に対する横方向において、ネック部よりも広い。開口部は、クランプラグが、長手方向に対して垂直に変位した際にアンダーカットに押し入るために、その端部側に幅狭くなっている。そのため、開口部は、2つの部分、すなわち、端部側における幅狭カット部と、それに隣接する、幅のより広い幅広カット部とを有する。好適な一形態においては、2つの部分はそれぞれ長方形であって同様の長さであり、すなわち長さは最大で2倍しか相違しない、しかしながら、幅は異なっており、そのため、概してキノコ形状又はT字形状である。また、V字形状等も考えられ、且つ適切である。幅広カット部は、突出部、特にそのヘッド部よりも広く、そのため、ファサード要素の組み立ての際に、突出部を、幅広カット部を介して通すことができる。これは特に長手方向に行われる。その場合、クランプラグは、特に停止位置まで、例えば成形部材自体まで、又は上記の襟部まで、突出部に装着され、次いて、長手方向に対して垂直に変位される。それによって、突出部は、幅広カット部から幅狭カット部にガイドされ、クランプラグがヘッド部の後ろのネック部に保持される。その際、クランプラグは、長手方向の引き抜きに対して固定されている。クランプラグは、好適には、アンダーカットにおいて、力結合によって突出部に保持される。
【0036】
有利には、クランプは、突出部に装着されるクランプジョーを有しており、それによって、組み立てられた状態において、半導体モジュールは、クランプジョーとクランプラグとの間に挟み込まれている。このため、クランプジョーは、上記に概略に示したように、有利にも対向外形部として使用される。半導体モジュールは、この場合、組み立てられた状態において、例えば、裏面においてクランプジョー上に載り、反対側の前面においてクランプラグによって固定される。組み立てのためには、クランプラグは、例えば、弾性的に開いて曲げられ、半導体モジュールをクランプジョーに載せ、次いで、クランプラグを放してスプリングバックさせ、それによって半導体モジュールに押し当てる。
【0037】
好適には、クランプジョーは、弾性材料、特にゴムから成る。それによって、最適な固定、及び、同時に半導体モジュールの最小限の損傷が保証される。
【0038】
クランプジョーは、半導体モジュールを載せるために、好適にも平坦な支持面を有し、その際、半導体モジュールは、その支持面に対してクランプラグによって押圧される。しかしながら、一般に、支持面は、半導体モジュールの形状に好適に適合され、例えば、半導体モジュール自体が湾曲している場合には、湾曲される。特に簡易な一形態においては、クランプジョーは全体的に直方体形状であるが、基本的には、他の様々な形状も適している。
【0039】
特に有利な一形態においては、クランプジョーが、特に長手方向において突出部に嵌め込まれており、突出部の背後に係合する。それによって、突出部からの長手方向へのクランプジョーの引き離しが防止される。更に、クランプジョーは、有利には、クランプラグを固定する。クランプジョーは、この場合、突出部の端側閉鎖部となり、キャップ状に突出部に装着される。ファサード要素を製造する際に、そのため、最初にクランプラグを突出部に装着し、次いでクランプジョーを装着する。その後、半導体モジュールが挟み込まれる。クランプジョーは、好適にも、狭まった入口を有する開口部を有し、突出部のヘッド部がその開口部に完全に収容される。そのため、狭まった入口が突出部のアンダーカットに係合し、それによって、クランプジョーが突出部に固定される。そのため、クランプジョーは、エンドキャップとも言う。
【0040】
半導体モジュールは、一般に、電力網に半導体モジュールを接続するための電気接続部を有する電気部品である。その電力網には、例えば、他の半導体モジュール、負荷、エネルギー貯蔵装置、エネルギー源、又はそれらの組み合わせが接続されている。電気接続部は、典型的には2極の導線を有し、その導線は、好適には、対応するプラグコネクタによって端部側に終端されている。好ましい一形態においては、複数の半導体モジュールが、1つ又は複数の給電線を介して互いに接続可能である。このような給電線は、共通線、又はバスラインとも言う。好ましくは、その場合、給電線は、一方においては別のファサード要素の給電線に接続するために、他方においては半導体モジュールの接続のために、成形部材に一体化されている。更に、給電線は、特に、負荷、エネルギー貯蔵装置、又はエネルギー源への接続のためにも使用される。給電線の一体化は、特に留め具の一体化に対応して、例えば、成形部材の製造の際の埋め込みによって、又は、その後の組み入れによって行われる。給電線の一端は、特に成形部材から導出され、必要に応じて、プラグコネクタによって終端する。そのプラグコネクタは、半導体モジュールのプラグコネクタと相互補完である、又は別のファサード要素の給電線のプラグコネクタと相互補完である。
【0041】
特に好適な一形態においては、給電線が、留め具を通って、特に成形部材の内側から成形部材の外側へと配線されている。好ましくは、給電線は長手方向に突出部を通って配線されている。この方法において、給電線は、特に成形部材の製造の際に所定の位置に保持され、給電線の位置ずれが、例えば埋め込みの際に防止される。更に、給電線は、成形部材から出る際に、周囲の留め具によって保護される。好適には、留め具は、給電線を密閉して囲み、それによって、給電線に沿った、且つ、成形部材の内部への水分等の侵入が防止される。好適には、必要に応じて存在するクランプラグ又はクランプジョーは、開口部、例えばスリット又は孔を有し、その中に、給電線が、クランプラグ又はジョーが組立中において突出部に装着される際に、受け入れられる。
【0042】
上記の説明から明らかなように、有利にも、複数のファサード要素を任意に互いに組み合わせ、それらに強固に挟み込まれた半導体モジュールを、簡易且つ柔軟な方法によって相互接続することができる。これによって、特に複数の半導体モジュールの電気的相互接続が有利にも隠された、高いデザイン自由度を有するファサードを実現することができる。全体として、ファサード要素によって、建物のためのモジュール構造も、以下のような方法によって可能となる、すなわち、同一又は異なる複数のファサード要素が、所望のように組み合わせることができ、その際、半導体モジュールの柔軟で、また、その後の変更可能な取り付けのために、既に準備されていることによって、可能となる。
【0043】
以下において、図面に基づいて実施例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】ファサード要素を示す概略的な図である。
図2図1のファサード要素の概略的な断面図である。
図3】ファサード要素の変形例を示す概略的な断面図である。
図4】アンカーを示す概略的な図である。
図5図4のアンカーの別の図である。
図6】クランプラグを示す概略的な図である。
図7図6のクランプラグの別の図である。
図8】クランプジョーを示す概略的な図である。
図9図8のクランプジョーの別の図である。
図10図6のクランプラグの2つの位置を示す概略的な図である。
図11】半導体モジュールが相互に接続された複数のファサード要素を示す概略的な図である。
図12図11のファサード要素の1つの概略的な部分斜視図である。
図13図4のアンカーに給電線を取り付けたものを示す概略的な図である。
図14】相互に接続された半導体モジュールを有する複数のファサード要素の変形例を示す概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図中において、同一の作用を有する部品には同一の参照符号を付す。
【0046】
図1には、ファサード要素2の実施例が、組み立てられた状態において示されている。ファサード要素2は、より詳細に図示されていない建物の一部として使用されるように形成されている。本実施例に示すファサード要素2は、壁要素であり、建物において外側の一部を形成する。ファサード要素2は、成形部材4と、留め具6(本実施例には4つの留め具6)とを備える。それぞれの留め具6は、成形部材4に組み入れてそこに固定され、成形部材4から部分的に突出している。留め具6は、図1のより詳細な断面図である図2に示されている。図2から分かるように、留め具6は、例えば図1に見られるように、半導体モジュール10を成形部材4に固定するために、その半導体モジュールを挟み込むためのクランプ8を有する。クランプ8を有する留め具6によって、半導体モジュール10自体に結合要素は必要ない。そのため、半導体モジュール10は、本実施例においては、自体には結合要素を有しておらず、また、結合システムの相互補完の結合部分を有していない。留め具6は、留め具6の全ての部品が成形部材4に取り付けられていることによって、一体化している。
【0047】
ファサード要素2の本質的な部分は、ファサード要素2の寸法及び形状を決定する成形部材4である。本実施例に示すファサード要素2の場合、成形部材4は直方体形状であるが、他の任意の形状も同様に考えられ、且つ適切である。本実施例においては、成形部材4は特別な枠状に形成され、半導体モジュール10が取り付けられる開口部12を有している。それによって、この場合、例えば図1から分かるように、半導体モジュールは成形部材4によって枠状に囲まれている。図1においては、開口部12は完全な貫通開口であり、それによって、ファサード要素2は、成形部材4を枠として、半導体モジュール10を窓ガラスとして、全体的に一種の窓として形成されている。図示しない代替例においては、開口部12は、窪みともいえる単純な凹部であり、それによって、半導体モジュール10は、いわば、成形部材4に嵌め込まれており、又は埋め込まれており、例えば、成形部材4の取り囲み枠と面一である。
【0048】
留め具6は、製造の際に、様々な方法において成形部材4に対して位置調整することができる。図1及び図2に示す、開口部12を有する成形部材4の場合には、留め具6は開口部12の内側に向けられる。図3には、代替例が示されており、この場合、留め具6は、成形部材4の表側に取り付けられ、前方を向いている。そのため、成形部材4に取り付けられた半導体モジュール10は、この場合、成形部材4をいわば覆う。また、成形部材4の側面への位置決めも可能である。
【0049】
図示の成形部材4は、その製造の際に留め具6が一体化された鋳造部材である。ここで、製造は鋳造プロセスを含み、その鋳造プロセスにおいては、成形部材4が一次成形され、また、同時に留め具6が組み入れられ、それによって、留め具6は、いわば、成形部材4が製造される材料によって鋳包みされる。留め具6の埋め込みの代わりに、留め具6は、後から追加して成形部材4に組み入れられる、例えば、ねじ込まれる、接着される、又は成形部材4の開口部に固定される。
【0050】
本実施例においては、成形部材4はコンクリート製であり、コンクリートは建物用ファサード要素2として一般的な材料である。留め具6は、コンクリート内に直接組み入れられ、コンクリートによって強固に保持され、そのため、コンクリート内に直接固定される。
【0051】
留め具6は、成形部材4と半導体モジュール10との間の結合要素として使用される。組み立てられた状態において、半導体モジュール10と成形部材4とは、必ずしも直接、互いに接触しているわけではなく、例えば図1の実施例のように、クランプ8の形態に依存して、単に留め具6によって間接的に互いに結合されている。しかしながら、クランプ8が半導体モジュール10を成形部材4に対して直接押圧し、それによって半導体モジュール10を挟み込む形態も考えられ、且つ適切である。組み立てられた状態において、すなわち半導体モジュール10がクランプ8に挟み込まれている場合には、半導体モジュール10と成形部材4とは互いに不動であり、そのため、半導体モジュール10は成形部材4に固定されている。しかしながら、本実施例において、半導体モジュール10を、成形部材4に可逆的に固定可能である、すなわち、クランプ8から取り外すことも可能である。
【0052】
本実施例においては、留め具6は、部分的に成形部材4から突出するように、成形部材4の製造の際に、既に成形部材4に組み入れられる。留め具6のうち成形部材4から突出している部分は、外側部分14とも言い、また、クランプ8を有する。クランプ8は、例えば、ファサード要素2の製造の際に既に、又はその製造の後に、取り付けられる。外側部分14とは対照的に、内側部分16とも言う残りの部分は成形部材4内に収まっており、それによって、留め具6が成形部材4に固定されている。内側部分と外側部分14,16との間のサイズ比又は割合比はそれ自体、固定されていない。しかしながら、図2の実施例においては、内側部分及び外側部分14,16は同様の寸法を有することが分かる。
【0053】
図1図2において、留め具6は、半導体モジュール10と成形部材4との間隔を空け、両者の間の空気循環を可能にするためのスペーサとしても使用されている。例えば、半導体モジュール10と成形部材4との間には、留め具によって、明確には示されていないギャップによって、5mm~5cmの範囲の距離が形成される。
【0054】
留め具6の正確な数は、半導体モジュール10及び成形部材4の寸法及び形状によって異なる。しかしながら、本実施例においては、各留め具6が正確に1つのクランプ8を有する。図1の実施例においては、長方形の半導体モジュール10を固定するための、4つの留め具6が存在することが分かる。その半導体モジュールは、対向する2つの側部の、それぞれ角の付近においてクランプ8によって固定される。その際、2つのそれぞれの留め具6は、典型的には数10cmの間隔をあけて配置される。しかしながら、形態に応じて他の距離も考えられ、且つ適切である。一般に、留め具6間の距離は、それぞれの留め具6の寸法よりもかなり大きい。そのため、留め具6は、図1に示されるように、半導体モジュール10を、単に点的に固定する。
【0055】
半導体モジュール10を成形部材4に取り付ける際に、半導体モジュール10はクランプ8によって挟み込まれ、それによって成形部材4に固定される。そのために、クランプ8は、半導体モジュール10が挟み込まれる2つのクランプ要素を有する、又は、1つのクランプ要素のみを有し、半導体モジュール10はクランプ要素と成形部材4自体との間に挟み込まれる。いずれの場合にも、クランプ8は、半導体モジュール10を強固に保持する挟持力を発生させる。図2及び図3に示される実施例においては、挟持力を発生させるために、復元力によって挟持力を発生させるバネ機構が使用される。
【0056】
本実施例において、半導体モジュール10は、有機太陽光発電モジュールであり、略してOPVモジュールとも言う。典型的なOPVモジュールは、0.1mm~3mmの範囲の厚さを有するが、この範囲外の寸法も考えられる。OPVモジュールの形状、及び外観は自由に形成可能であり、それによって、特定のアプリケーション、又はユーザーの要望に合わせることができる。また、デザインの自由性は、太陽光発電モジュールの電流及び電圧に関する特定の電気的要件に適合させることができる。太陽光発電モジュールとしての形態の代替として、半導体モジュール10は、発光モジュールとして形成される。半導体モジュール10が太陽光発電モジュール、又は発光モジュールであるかに依存せず、半導体モジュール10は、全体的に平面的に形成され、そのため、厚さよりも少なくとも1桁、通常、数桁大きい、長さ及び幅を有する。半導体モジュール10は、一般に、前面側とそれに対向する裏面側、並びに前面側及び裏面側を境とする周縁部を有する。しかしながら、半導体モジュール10の具体的な形態は、本実施例においては、さしあたり重要ではない。単なる例として、半導体モジュールは、直列又は並列に、又はそれらの組み合わせに互いに接続されている、1つ以上のセル18を有する。図1において、セル18は単に概略的に示されている。
【0057】
図示の形態においては、留め具6はアンカー18を有している。そのアンカーは、成形部材4に組み入れられる足部20と、長手方向Lに延びて成形部材4から突出し、クランプ8が取り付けられる突出部22とを有している。図2及び図3のアンカー18は、そこにおいて既に側面図に認識でき、図4には、このアンカー18は、長手方向軸Lについて90°回転させた図において示されている。図5には、このアンカー18は長手方向Lから見た正面図において示されている。アンカー18の足部20は、完全に内側部分16の部分であり、そのため、成形部材4に完全に組み入れられている。アンカー18の形態に応じて、突出部22は、全体的に成形部材4の外側に、又は部分的に成形部材の内側に延びている。いずれの場合においても、突出部22は、成形部材4の内側から成形部材4の外側への結合を形成し、それによって、成形部材4への固定を確実にする足部20を、半導体モジュール10の固定を確実にするクランプ8に結合する。
【0058】
足部20について本質的なことは、留め具6を成形部材4に、又は成形部材4内に固定し、その結果、可逆的又は不可逆的に固定することである。更に、足部20の形状はそれほど重要ではない。図示の形態においては、足部20及び突出部22は、全体的に見るとT字状である。その際、足部20はTの横棒を形成し、突出部22は長手棒を形成し、その長手棒は、本実施例においては、横棒の中心から、長手方向Lに成形部材4の外に延びる。図示の足部20は棒状である。アンカー18は、本実施例においては、全体として一部品として、すなわち一体的に製造されており、それによって、足部20と突出部22とは、材料結合的に互いに結合されている。アンカー18は、例えば、射出成形部材である。
【0059】
本実施例に示される形態においては、アンカー18は、更に、襟部24を有し、その襟部は、突出部22を取り囲み、留め具6の内側部分16から外側部分14への移行を示す。対応して、襟部24は、成形部材4の表面に、又は表面の中に位置する。
【0060】
成形部材4への確実な保持のために、図示の足部20は、成形部材4を製造する材料が貫いて延びる少なくとも1つの穴26を有する。成形部材4が一次形成される際に、材料は、穴26を通って浸透して固化し、この方法によって留め具6を所定の位置に強固に保持する。その場合、留め具6は、もはや成形部材4から、破壊なく分離することもできない。
【0061】
図2及び図3に一例として示したクランプ8はクランプラグ28を有しており、そのクランプラグは、突出部22に装着され、半導体モジュール10を、挟み込むために突出部22の方向に押圧している。図2のクランプラグ28は、図6に再び同じ側面図において示され、また、図7には、ここでは90°回転した正面図において示されており、そのため、見る方向は長手方向Lに沿っている。突出部22に装着するために、クランプラグ28は、突出部22が通される開口部30を有する。この方法によって、クランプラグ28は、成形部材4に確実に結合される。クランプラグ28は、本実施例においては一部品に、すなわち一体的に製造される。クランプラグ28は、本実施例においては、更にバネ弾性の材料によって製造されており、また、半導体モジュール10の挟み込みの際にクランプラグ28が弾性的に曲げられるように形成されている。そのため、組み立てられた状態において、半導体モジュール10に対して継続的に押し付け、それによって、半導体モジュールを強固に挟み込む復元力が生じる。図示の形態においては、特に図6にはっきりと分かるように、クランプラグ28は、そのためにJ字形又はL字形又は同様の形状に形成され、更に2つの辺部32,34を有し、そのうちの一方、すなわち第1の辺部32は突出部22に取り付けられ、他の一方、すなわち第2の辺部34は半導体モジュール10に対して押しつける。この方法によってバネ機構が実現され、そのバネ機構においては、半導体モジュール10が復元力によって対向外形部に対して押し付けられ、それによって固定される。図示の実施例においては、対向外形部は、クランプ8自体によって、又は代替的には成形部材4によって形成される。全体として、半導体モジュール10は、挟み込む又は摘まむように把持されている。図2及び図4の形態においては、クランプラグ28は、その際、第2の辺部34によって半導体モジュール10の前側をとらえ、その後側を対向外形部に、この場合、突出部22の方向に押圧する。
【0062】
本実施例に示す突出部22は、クランプラグ28を固定するためのアンダーカットを有しており、クランプラグ28は、突出部22にクランプラグ28を長手方向Lに装着するための開口部36を有する。アンダーカットは、突出部22がネック部38を有することによって形成されている。そのネック部には、ヘッド部40が、長手方向Lにおいて、且つ成形部材4から離れた位置において連結している。そのヘッド部は、長手方向Lに対する横方向において、ネック部38よりも広い。クランプラグ28の開口部36は、クランプラグ28が長手方向Lに対して垂直に変位した際にアンダーカットに押し入るために、その端部側に幅狭くなっており、図2においては、このためにクランプラグが上方に変位されている。そのため、開口部36は、2つのカット部、すなわち、端部側における幅狭カット部42と、それに隣接する、幅のより広い幅広カット部44とを有する。図7の実施例においては、2つのカット部42,44は、それぞれ長方形状であって同様の長さであり、しかしながら幅が異なっており、そのため、概してキノコ形状又はT字形状である。また、V字形状なども考えられ、且つ適切である。幅広カット部44は、突出部22、特にそのヘッド部40よりも広く、そのため、ファサード要素2の組み立ての際に、突出部22を、長手方向Lに、幅広カット部44を介して通すことができる。その際、クランプラグ28は、停止位置まで、この場合、襟部24まで、突出部22に装着され、次いで、長手方向Lに対して垂直に変位される。それによって、突出部22は、幅広カット部44から幅狭カット部42にガイドされ、クランプラグ28がヘッド部40の後ろのネック部38に保持される。長手方向Lに垂直な変位は、図10に示されており、クランプラグは、突出部22に装着後の第1の位置において図10の左側に、変位された後の第2の位置において図10の右側に示されている。クランプジョー46のその後の装着は、図10には明確には示されていない。その際、クランプラグ28は、長手方向Lの引き抜きに対して固定され、力結合によってアンダーカットに保持される。
【0063】
図2及び図3のそれぞれに示されたクランプ8は、また、突出部22に装着されるクランプジョー46を有しており、それによって、組み立てられた状態において、半導体モジュール10は、クランプジョー46とクランプラグ28との間に挟み込まれている。そのため、クランプ8のクランプジョー46は、上記に概略に示したように、対向外形部として使用される。半導体モジュール10は、本実施例において、組み立てられた状態においては、裏面においてクランプジョー46上に載り、反対側の前面において、クランプラグ28によって固定される。組み立てのために、クランプラグ28は、例えば、弾性的に開いて曲げられ、半導体モジュール10をクランプジョー46に載せ、次いで、クランプラグ28を放してスプリングバックさせ、それによって半導体モジュール10に押し当てる。本実施例においては、クランプジョー46は、弾力材料、例えばゴムから成る。更に、本実施例においては、クランプジョー46は、半導体モジュール10を載せるために平坦な支持面を有し、半導体モジュール10は、その際、その支持面に対してクランプラグ28によって押圧されている。図示の形態においては、クランプジョー46は全体的に直方体形状であるが、基本的には他の様々な形状も適している。
【0064】
図2及び図3のクランプジョー46は、図6及び図7のクランプラグ28の図に対応して、図8及び図9に別個に示されている。この場合、クランプジョー46は、長手方向Lにおいて突出部22に嵌め込まれており、突出部の背後に係合している。それによって、突出部22からの長手方向Lへのクランプジョー64の引き離しが防止される。更に、その際、クランプジョー46は、有利には、クランプラグ28を固定する。その場合、クランプジョー46は、突出部22の端側閉鎖部となり、キャップ状に突出部に装着される。ファサード要素2の製造の際に、例えば、最初にクランプラグ28を突出部22に装着し、次いでクランプジョー46を装着する。その後、半導体モジュール10が挟み込まれる。そのために、図示の実施例においては、クランプジョー46は、狭まった入口50を有する開口部48を有し、突出部22のヘッド部40がその開口部48に完全に収容される。そのため、狭まった入口50が突出部22のアンダーカットに係合し、それによってクランプジョー46が突出部22に固定される。
【0065】
半導体モジュール10は、一般に、電力網に半導体モジュール10を接続するための電気接続部52を有する電気部品である。その電力網には、例えば、他の半導体モジュール10、負荷、エネルギー蓄積装置、エネルギー源、又はそれらの組み合わせが接続されている。その一例が図11に示されている。電気接続部52は、ここでは、単に例示的に、半導体モジュール10の示されていない中央接続部にのみ接続され、好適には、対応するプラグコネクタによって端部側に終端されている典型的な2極の導線を有する。図11の実施例においては、給電線54は、一方においては別のファサード要素2の給電線54に接続するため、他方においてはそれぞれの半導体モジュール10の接続のために、それぞれのファサード要素2のそれぞれの成形部材4に一体化されている。更に、給電線54は、ここでは、負荷、エネルギー貯蔵装置又はエネルギー源に接続するためにも使用される。給電線54の成形部材への一体化は、特に、留め具6の一体化に対応して、例えば、成形部材4の製造の際の埋め込みによって、又はその後の組み入れによって行われる。給電線54の一端は、成形部材4から導出され、必要に応じて、プラグコネクタ56によって終端する。そのプラグコネクタは、半導体モジュール10のプラグコネクタと相互補完である、又は、別のファサード要素2の給電線54のプラグコネクタ56と相互補完である。図11においては、それぞれ1つの半導体モジュール10を有する2つのファサード要素2のみが例として示されている。しかしながら、この概念は、それぞれ1つ又は複数の半導体モジュール10を有する任意の数のファサード要素2に適用することができる。その際、ファサード要素2及び半導体モジュール10の形状は重要ではない。
【0066】
半導体モジュール10を除いた、図11のファサード要素2を、図12の部分斜視図に示す。この実施例においては、給電線54は、留め具6を通って、成形部材4の内側から成形部材4の外側まで、配線されている。この場合、給電線54は、特に長手方向Lに突出部22を介して配線されている。図13は、アンカー18が成形部材4の内部において給電線54をどのように固定するかの、可能な実施形態を詳細に示している。この場合、給電線54は、本実施例においては、このために穴26を通してガイドされる結束バンド58によって、成形部材4内のアンカー18に取り付けられている。この方法によって、給電線54は、特に成形部材4の製造の際に所定の位置に保持され、給電線の位置ずれが、例えば埋め込みの際に防止される。更に、給電線54は、成形部材4から出る際に、周囲の留め具6によって保護される。一形態においては、本実施例においては明確には示されていないクランプラグ28及びクランプジョー46は、開口部、例えばスリット又は孔を有し、その中に、給電線54が、クランプラグ28又はクランプジョー46が組立中において突出部22に装着される際に、受け入れられる。
【0067】
図14には、複数のファサード要素2を有する変形例が示されており、そのファサード要素の各々は、図3と同様に(場合によっては窪みを有して)形成されている。また、そのファサード要素の各々には、この場合、それぞれ六角形の複数の半導体モジュール10が固定されている。個々のファサード要素2の半導体モジュール10は、接続部52を介して互いに接続されており、また、半導体モジュール10のうちの1つの接続部52を介して、共通にそれぞれのファサード要素2の給電線54に接続されている。その際、給電線54は成形部材4内に隠されている。その場合、様々なファサード要素2の給電線54は、接続部58を介して、例えばプラグコネクタ56によって互いに接続されており、それによって、すべての半導体モジュール10が共通の電力網に接続される。図14に示す配置は、任意の方向に続けることができる。
【0068】
これまでの実施形態、特に図11及び図14から明らかなように、複数のファサード要素2を任意に組み合わせることができ、それらに強固に挟み込まれた半導体モジュール10を、簡易、且つ柔軟に相互接続することができる。これによって、複数の半導体モジュール10の電気的相互接続が隠された、高いデザイン自由度を有するファサードを実現することができる。全体として、ファサード要素2によって、建物のためのモジュール構造が、以下のように可能となる、すなわち、同一又は異なる複数のファサード要素2が、所望のように組み合わせることができ、その際、半導体モジュール10の柔軟で、また、その後の変更可能な取り付けのために、既に準備されていることによって、可能となる。
【符号の説明】
【0069】
2 ファサード要素
4 成形部材
6 留め具
8 クランプ
10 半導体モジュール
12 (成形部材の)開口部
14 外側部分
16 内側部分
18 アンカー
20 足部
22 突出部
24 襟部
26 穴
28 クランプラグ
30 開口部
32 第1の辺部
34 第2の辺部
36 (クランプラグの)開口部
38 ネック部
40 ヘッド部
42 幅狭カット部
44 幅広カット部
46 クランプジョー
48 (クランプジョーの)開口部
50 入口
52 接続部
54 給電線
56 プラグコネクタ
58 結束バンド
60 接続部
L 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】