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特表2023-542136経口投与用のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-05
(54)【発明の名称】経口投与用のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/61 20170101AFI20230928BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230928BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230928BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230928BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230928BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20230928BHJP
【FI】
A61K47/61
A61P3/06
A61P9/00
A61P1/16
A61P35/00
A61K31/7088
A61K47/12
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/113 130Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517311
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2021075548
(87)【国際公開番号】W WO2022058465
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】63/079,941
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/114,232
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(71)【出願人】
【識別番号】593073230
【氏名又は名称】アイオニス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IONIS PHARMACEUTICALS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100218268
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ティヴェステーン,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィース,ニゲル
(72)【発明者】
【氏名】エレブリン,マリー
(72)【発明者】
【氏名】ゲンネマルク,ペータル
(72)【発明者】
【氏名】マルシー,マリアグラシア
(72)【発明者】
【氏名】クレーメンセン,ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】マティク,ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】プトラ,オーキ
(72)【発明者】
【氏名】ウパディヤイ,プラティク パンカジ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルテル,カトリン
(72)【発明者】
【氏名】ラデヴィク,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ティルマン,ロイド
(72)【発明者】
【氏名】デラメアリー,ルイス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB01
4C076CC11
4C076CC16
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD41
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA75
4C086ZB26
4C086ZC33
(57)【要約】
A)1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩;B)1つ以上の浸透促進剤;C)1つ以上の任意選択の薬学的に許容される賦形剤;及びD)1つ以上の任意選択のコーティングを含む医薬組成物。対象におけるPCSK9又はPNPLA3に関連する疾患の治療、予防、又は改善に使用するための前記組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩;
B)1つ以上の浸透促進剤;
C)1つ以上の任意選択の薬学的に許容される賦形剤;及び
D)1つ以上の任意選択のコーティング
を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩が、少なくとも1つのGalNAcコンジュゲートを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩が、PCSK9核酸を標的とし、配列番号1を含む核酸塩基配列を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ASOが、ION 863633及びION 848833から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記1つ以上の浸透促進剤が、中鎖脂肪酸及びそれらの塩から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記1つ以上の浸透促進剤が、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウムから選択される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記1つ以上の浸透促進剤が、カプリン酸ナトリウムである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記1つ以上の浸透促進剤が、形態Aカプリン酸ナトリウムである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記組成物が、
A)約1~約100mgの範囲内の量で存在する、ION 863633及びION 848833から選択されるASO又はその薬学的に許容される塩;
B)約10~約1000mgの範囲内の量で存在する形態Aカプリン酸ナトリウム;
C)約0~約600mgの範囲の量で存在する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
D)約0mg~約100mgの範囲内の量で存在する1つ以上の任意選択のコーティング
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
対象におけるPCSK9に関連する疾患を治療、予防、又は改善する方法であって、請求項1に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項11】
前記疾患が、脂質異常症、混合型脂質異常症、及び高コレステロール血症から選択される心血管疾患である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
PCSK9に関連する疾患を治療、予防、又は改善するための、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項13】
前記疾患が、脂質異常症、混合型脂質異常症、及び高コレステロール血症から選択される心血管疾患である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩が、PNPLA3核酸を標的とし、配列番号2を含む核酸塩基配列を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ASOが、ION 975616及びION 916333から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物が、
A)約1~約100mgの範囲内の量で存在する、ION 975616及びION 916333から選択されるASO又はその薬学的に許容される塩;
B)約10~約1000mgの範囲内の量で存在する形態Aカプリン酸ナトリウム;
C)約0~約600mgの範囲の量で存在する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
D)約0mg~約100mgの範囲内の量で存在する1つ以上の任意選択のコーティング
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
対象におけるPNPLA3に関連する疾患を治療、予防、又は改善する方法であって、請求項1に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項18】
前記疾患が、肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、肝硬変、肝細胞癌、アルコール性肝疾患、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、HCV肝炎、慢性肝炎、遺伝性ヘモクロマトーシス、及び/又は原発性硬化性胆管炎から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
PNPLA3に関連する疾患を治療、予防、又は改善するための、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項20】
前記疾患が、肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、肝硬変、肝細胞癌、アルコール性肝疾患、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、HCV肝炎、慢性肝炎、遺伝性ヘモクロマトーシス、及び/又は原発性硬化性胆管炎から選択される、請求項19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩及び浸透促進剤の経口投与に好適な剤形における医薬組成物(このような製剤を使用した治療の方法を含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
アンチセンスオリゴヌクレオチド(以後、ASO)は、標的mRNAに相補的である、約12~80塩基を含む核酸塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドである。ほとんどの従来の(小分子及び大型分子)治療法と異なり、ASOは、「創薬不可能な(undruggable)」標的に到達し、細胞の細胞質に入って、標的mRNAを下方制御し、それによって、様々な疾患過程に関与するタンパク質の産生を防止することができる。したがって、ASOは、有効な治療薬の合理的設計への興味深いアプローチを提供する。
【0003】
5つのみのASOが、様々な障害のための治療薬として現在承認されており、これらはいずれも、消化管の外部の標的組織への経口送達について承認されていない。ASOの経口送達は、それらが、本質的に低い腸内安定性及び透過性を有する高電荷の親水性高分子であり、したがって経口投与後にごく低い全身バイオアベイラビリティを有することが予想されるため、難題である(非特許文献1)。
【0004】
例えば、拘束メトキシエチル化学などの新しい化学が開発され、ASOに改善された消化管内安定性及び効力を与えた。さらに、組織標的が肝臓中である場合、三分岐N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)化学が、主に肝細胞において発現されて、単離された肝細胞内、並びにインビボの肝臓内で10~30倍増加した効力をもたらすアシアロ糖タンパク質(ASGP)受容体を介して肝臓取り込みを促進する(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。
【0005】
ASOの標的組織が肝臓である場合、強力なコンジュゲートASOの送達は、初回通過肝抽出が利用され得るように、肝門脈への送達から利益を得られるであろう。肝門脈への直接の送達は、経口投与後に達成される。
【0006】
経口送達後のASOの全身バイオアベイラビリティが、ASOを一時的な浸透促進剤と共投与することによって達成され得ることが既に示されている(非特許文献6)。しかしながら、旧来のASO化学では、体循環中のASOの治療レベルは、非常に高い用量のASO及び浸透促進剤を含有する医薬組成物を用いてのみ達成され得、患者にとって不都合であり、望ましくない副作用のリスクを増加させる実行不可能な医薬組成物につながる。例えば、約10%の全身バイオアベイラビリティが、5つの大型カプセルサイズ000で投与される2’-O-(2-メトキシエチル)化学及び3.5gのカプリン酸ナトリウムを一緒に含む500mgのASOで実証された(非特許文献6)。したがって、治療効果、安全性及び利便性を損なわずに許容される全身バイオアベイラビリティを送達する経口剤形を患者に提供する必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Maher,et al.Adv Drug Deli Rev,106(Pt B):277-319(2016)
【非特許文献2】Biessen et al.,Biochem J.,340(PT 3):783-792(1999)
【非特許文献3】Prakash et al.,Nucleic Acids Res.,42:8796-8807(2014)
【非特許文献4】Nair et al.,J Am Chem Soc,136:16958-16961(2014)
【非特許文献5】Crooke et al.,Nucleic Acid Ther.,(2018)
【非特許文献6】Tillman,et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences,97(1):225-236(2008)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
治療的に有効な用量での、肝臓、又は肝細胞へのASOの標的化送達を達成するために、本開示は、拘束メトキシエチル化学などの化学修飾オリゴヌクレオチド及びGalNAcコンジュゲーションなどの肝臓標的化コンジュゲートを、経口投与後の体内吸収を促進する浸透促進剤と組み合わせて含むASOを提供する。
【0009】
本開示によれば、経口投与用の医薬組成物及びそれを投与することを含む治療方法が提供され、ここで、経口投与用の医薬組成物は、固体剤形であってもよく、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩、及び1つ以上の浸透促進剤を含み得る。
【0010】
特定の実施形態において、本開示は、コンジュゲートASOを含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本開示は、ASOのGalNAcコンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、コンジュゲートASOを含む医薬組成物は、肝臓及び肝細胞における増加した送達、取り込み及び活性をもたらす。特定の実施形態において、本開示は、核酸転写産物に相補的なコンジュゲートASOを含む医薬組成物を提供する。
【0011】
特定の実施形態において、本開示は、少なくとも1つの修飾糖部分を含むASOを含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本開示は、2’-OCH3を有する少なくとも1つの糖部分及び/又は2’-O(CH2)2OCH3を有する少なくとも1つの糖部分を含むASOを含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本開示は、拘束エチル(cEt)を有する少なくとも1つの糖部分を含むASOを含む医薬組成物を提供する。
【0012】
特定の実施形態において、本開示は、中鎖脂肪酸及びそれらの塩から選択される浸透促進剤を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本開示は、カプリン酸ナトリウムである浸透促進剤を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本開示は、形態Aカプリン酸ナトリウムを含む医薬組成物を提供する。本明細書において理解される際、「形態Aカプリン酸ナトリウム」は、以下のうちの少なくとも1つによって特徴付けられるカプリン酸ナトリウムを意味することが理解される:
i)0.1~0.15Å-1の領域にピークを含む広角X線散乱(WAXS)スペクトル;
ii)0.12及び0.23Å-1にピークを含む広角X線散乱(WAXS)スペクトル;
iii)0.12及び0.23Å-1にピークを含む小角X線散乱(SAXS)スペクトル;
iv)4°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)スペクトル;又は
v)カール・フィッシャー滴定によって測定した際に約3.5%未満の含水量。
【0013】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される医薬組成物を対象に投与することを含む治療方法を提供し、ここで、医薬組成物は、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩、及び疾患の治療のためのASOの経口投与用の1つ以上の浸透促進剤を含む。ある実施形態において、ASOの経口送達は、核酸転写産物の、様々な疾患過程に関与するタンパク質への翻訳を低減する。ある実施形態において、医薬組成物は、疾患の症状を予防、軽減若しくは改善するか又は治療される対象の生存期間を延長するために治療有効量の1つ以上のASOを含む。他の実施形態において、本開示は、2018年3月23日に出願された国際特許出願番号PCT/US18/23936号明細書(その開示内容が、参照により本明細書に援用される)に記載されるASOなどの、PCSK9核酸を標的とするASOを含む医薬組成物を提供する。他の実施形態において、本開示は、2019年9月18日に出願された国際特許出願番号PCT/US19/051743号明細書(その開示内容が、参照により本明細書に援用される)に記載されるASOなどの、PNPLA3核酸を標的とするASOを含む医薬組成物を提供する。
【0014】
ある実施形態において、対象におけるPCSK9に関連する疾患を治療、予防、又は改善するための方法であって、PCSK9 ASOを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法が開示される。特定の実施形態において、対象は、心血管疾患を有する。特定の実施形態において、疾患は、脂質異常症である。特定の実施形態において、疾患は、混合型脂質異常症である。特定の実施形態において、疾患は、高コレステロール血症である。PCSK9に関連する疾患に罹患しているか、又は罹患するリスクがある対象におけるLDL-コレステロールレベル及び総コレステロールレベルを低下させるか又は阻害する方法であって、PCSK9 ASOを含む医薬組成物を投与し、それによって、対象におけるLDL-コレステロールレベル及び総コレステロールレベルを低下させるか又は阻害することを含む方法も開示される。
【0015】
ある実施形態において、対象におけるPNPLA3に関連する疾患を治療、予防、又は改善するための方法であって、PNPLA3 ASOを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法が開示される。特定の実施形態において、対象は、肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、肝硬変、肝細胞癌、アルコール性肝疾患、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、HCV肝炎、慢性肝炎、遺伝性ヘモクロマトーシス、又は原発性硬化性胆管炎に罹患している。PNPLA3に関連する疾に罹患しているか、又は罹患するリスクがある対象における、肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を軽減又は阻害する方法であって、PNPLA3 ASOを含む医薬組成物を投与し、それによって、対象における肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を軽減又は阻害することを含む方法も本明細書に開示される。
【0016】
特定の実施形態において、本明細書における医薬組成物は、
a)1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩;
b)1つ以上の浸透促進剤;
c)1つ以上の任意選択の薬学的に許容される賦形剤;及び
d)1つ以上の任意選択のコーティング
を含む。
【0017】
少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、
a)約1~約100mgの範囲内の量で存在する1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩;
b)約200~約1000mgの範囲内の量で存在する1つ以上の浸透促進剤;
c)約0mg~約600mgの範囲の量で存在する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
d)約0mg~約200mgの範囲内の量で存在する1つ以上の任意選択のコーティング
を含む。
【0018】
少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、
a)約1~約100mgの範囲内の量で存在する、PCSK9核酸を標的とする1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩;
b)約200~約1000mgの範囲内の量で存在するカプリン酸ナトリウム;
c)約0mg~約600mgの範囲の量で存在する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
d)約0mg~約200mgの範囲内の量で存在する1つ以上の任意選択のコーティング
を含む。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、
a)約1~約100mgの範囲内の量で存在する、ION-863633又はその薬学的に許容される塩;
b)約200~約1000mgの範囲内の量で存在する形態Aカプリン酸ナトリウム;
c)約0mg~約600mgの範囲の量で存在する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
d)約0mg~約200mgの範囲内の量で存在する1つ以上の任意選択のコーティング
を含む。
【0020】
少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、
a)約1~約100mgの範囲内の量で存在する、ION-863633のナトリウム塩;
b)約200~約1000mgの範囲内の量で存在する形態Aカプリン酸ナトリウム;
c)約0mg~約600mgの範囲の量で存在する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
d)約0mg~約200mgの範囲内の量で存在する1つ以上の任意選択のコーティング
を含む。
【0021】
少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、
a)約1~約100mgの範囲内の量で存在する、PCSK9核酸を標的とする1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩;
b)約200~約1000mgの範囲内の量で存在するカプリン酸ナトリウム;
c)約0mg~約600mgの範囲の量で存在する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
d)約0mg~約200mgの範囲内の量で存在する1つ以上の任意選択のコーティング
を含む。
【0022】
少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、
a)約1~約100mgの範囲内の量で存在する、ION-975616又はその薬学的に許容される塩;
b)約200~約1000mgの範囲内の量で存在する形態Aカプリン酸ナトリウム;
c)約0mg~約600mgの範囲の量で存在する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
d)約0mg~約200mgの範囲内の量で存在する1つ以上の任意選択のコーティング
を含む。
【0023】
少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、
a)約1~約100mgの範囲内の量で存在する、ION-975616のナトリウム塩;
b)約200~約1000mgの範囲内の量で存在する形態Aカプリン酸ナトリウム;
c)約0mg~約600mgの範囲の量で存在する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
d)約0mg~約200mgの範囲内の量で存在する1つ以上の任意選択のコーティング
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】形態Aカプリン酸ナトリウム及びPCSK9 ASO(ION 863633)を含む錠剤のための錠剤製造のフローチャートを示す。
図2】形態Aカプリン酸ナトリウム及びPCSK9 ASO(ION 863633)を含む錠剤の溶解プロファイルを示す。
図3】皮下注射と比較して、4週間後に1日1回イヌに経口投与された形態Aカプリン酸ナトリウム及びPCSK9 ASO(ION 863633)を含む錠剤のバイオアベイラビリティを示す。
図4】SC又はIJ投与のいずれかとしてラットに投与された、PCSK9 ASO(ION 863633)又はMalat-1を標的とするラット特異的ツールASOの用量を示す。(A)は、PCSK9 ASO(ION 863633)の用量レベルと比べた、投与の48時間後の非コンジュゲートPCSK9 ASO(ION 863633)の肝臓濃度を示し;(B)は、ION-704361の用量レベルと比べた、投与の48時間後の非コンジュゲートPCSK9 ASO(ION 863633)の肝臓濃度を示し;(C)は、SC及びIJ投与のためのION-704361用量と比べた、肝臓における相対Malat-1 mRNA発現を示し;(D)は、用量に対してプロットされた(C)からの個々のデータを示す。
図5】形態Aカプリン酸ナトリウムについての広角X線散乱(WAXS)データを示す。
図6】形態Aカプリン酸ナトリウムについての小角X線散乱(SAXS)データを示す。
図7】形態Aカプリン酸ナトリウムについてのXRPDパターンを示す。
図8】PCSK9 ASO(ION 863633)錠剤の反復経口投与後の健康なサルにおけるLDL-コレステロール低下を示す(14日間にわたって浸透促進剤と共にAZD8823を1日1回反復経口投与の後の投与前補正されたLDL-コレステロール時間プロファイル(群当たりN=2)。データは、治療の開始の2及び1週間前にサンプリングされた2つの投与前値の平均に対するものである。エラーバーは、標本平均の標準誤差を示す)。
図9】製剤1(図9A)及び製剤2(図9B)の形態Aカプリン酸ナトリウム及びPNPLA3 ASO(ION 975616)を含む錠剤の溶解プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、経口投与後に、コンジュゲートASOなどの1つ以上のASOを対象に投与することを含む、医薬組成物及び使用方法を提供する。特定の実施形態において、全身バイオアベイラビリティは、1つ以上のASOを含む本明細書に開示される医薬組成物の経口投与によって達成され得る。本明細書において使用される際、「全身バイオアベイラビリティ」は、体循環に到達する化合物の経口投与される用量の割合を意味することが理解される。さらなる実施形態において、全身曝露と比べた、ASOの強化された標的組織バイオアベイラビリティ(肝臓又は肝臓の肝細胞などにおける)は、本明細書において提供される医薬組成物及びASOの経口投与によって達成され得る。本明細書において使用される際、「組織バイオアベイラビリティ」は、標的器官/細胞に到達するASOの経口投与される用量の割合を意味することが理解される。特定の実施形態において、対象への開示される医薬組成物の投与は、最大で8%、例えば最大で5%の肝臓バイオアベイラビリティ、及び少なくとも30%の肝細胞における生産的バイオアベイラビリティをもたらす。本明細書において使用される際、「生産的バイオアベイラビリティ」は、標的器官/細胞における標的エンゲージメントを誘導するASOの経口投与される用量の割合を意味することが理解される。本明細書において使用される際、「標的エンゲージメント」は、標的タンパク質の低下などの薬力学的効果を意味することが理解される。
【0026】
本開示の医薬組成物は、カプセル剤又は錠剤、ミニ錠剤、ペレット又は顆粒剤の形態であってもよく;上記の全ては、まとめて固体剤形と呼ばれ、1つ以上のASO及び1つ以上の浸透促進剤を含むであろう。ミニ錠剤、ペレット又は顆粒剤は、錠剤若しくはカプセル剤中に充填されるか、又はサシェ若しくは他の好適な手段中に分配され得る。ある実施形態において、固体剤形は、カプセル剤であり、カプセル剤は、固体若しくは半固体外層を有する液体組成物を含み得るか、又は固体若しくは半固体外層を有する完全に固体の組成物を含み得ることが、本明細書において理解される。特定の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、即放性、放出調節型、又は遅延放出性固体剤形の形態であり得る。
【0027】
ある実施形態において、医薬組成物は、疾患の症状を予防、軽減若しくは改善する又は治療される対象の生存期間を延長するために治療有効量の1つ以上のASOを含む。本明細書において使用される際、「有効量」は、単回用量で又は一連の用量の一部としての対象へのその投与が、治療のために、すなわち、疾患若しくは障害(又はその1つ以上の症状)の重症度を低下させ、このような疾患若しくは障害の1つ以上の症状を改善し、このような疾患若しくは障害の進行を防ぎ、このような疾患若しくは障害の退縮を生じさせ、又は別の治療法の治療効果を強化若しくは改善するために有効である、ASOの量を意味することが理解される。特定の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物中の1つ以上のASOの量は、約1mg~約100mg、例えば、約1mg~約40mg、例えば、約5mg~約40mg、少なくとも1つの実施形態において、約50mg~約20mg、例えば、20mgの範囲であり得る。開示される医薬製剤中のASOの量は、単一の投与単位で投与される量に関するが、ミニ錠剤、ペレット又は顆粒剤を形成するために分割されてもよい。例えば、特定の実施形態において、本開示は、ミニ錠剤、ペレット又は顆粒剤に関し、ここで、錠剤又はカプセル剤中の各ペレット又は顆粒剤は、各ペレット又は顆粒剤中の各ASOの重量が一緒に加えられる場合、約1mg~約100mg、例えば、約1mg~約20mg、例えば、約1mg~約10mg、少なくとも1つの実施形態において、約1mg~約5mg、例えば、3mgの範囲の量に等しい、ASOのパーセンテージを有する。
【0028】
ある実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、全身曝露を達成する量の1つ以上の浸透促進剤を含む。特定の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤の量は、約200mg~約1500mg、例えば約500mg~約1000mg、例えば約650mg~約850mg、例えば、約700mg~約800mg、少なくとも1つの実施形態において、約700mgの範囲であり得る。開示される医薬製剤中の浸透促進剤の量は、単一の投与単位で投与される量に関するが、ミニ錠剤、ペレット又は顆粒剤を形成するために分割されてもよい。例えば、特定の実施形態において、本開示は、ミニ錠剤に関し、ここで、錠剤又はカプセル剤中の各ペレット又は顆粒剤は、各ペレット又は顆粒剤中の各浸透促進剤の重量が一緒に加えられる場合、約200mg~約1500mg、例えば約500mg~約1000mg、例えば約650mg~約850mg、例えば、約700mg~約800mg、少なくとも1つの実施形態において、約700mgの範囲の量に等しい、浸透促進剤のパーセンテージを有する。
【0029】
本開示の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、ミニ錠剤、ペレット、又は顆粒剤などの固体剤形の製造を可能にし、その性能/機能に影響を与えるために、1つ以上の許容される医薬品賦形剤を任意にさらに含むであろう。したがって、1つ以上の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のASO、1つ以上の浸透促進剤、及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤は、希釈剤/充填剤、粘着防止剤、乳化剤、滑沢剤、流動剤(flow agent)/滑剤、崩壊剤、可塑剤、可溶化剤、溶媒及びバインダーから選択される。ある実施形態において、医薬組成物の固体投与量は、機能的コーティング、例えば、外側保護胃耐性コーティングなどの1つ以上の任意選択のコーティングをさらに含み得る。
【0030】
本開示の医薬組成物は、様々なプロセス及び賦形剤の添加の順序によって調製され得る。固体剤形は、湿式造粒法、乾式造粒法、直接混合、錠剤化、カプセル剤充填、コーティング手順又は任意の他の薬学的に許容されるプロセス並びに必要に応じて混合及び乾燥工程によって製造され得る。これらの医薬組成物の有用性は、特定の剤形又は製造プロセスに限定されない。
【0031】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
経口投与され得るASOが、本明細書において提供される。本開示の医薬組成物において使用される例示的なASOは、1つ以上の修飾を含んでいてもよく、例えば、ASOは、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合、修飾糖、及び/又は修飾核酸塩基を含み得る。他の実施形態において、ASOは、コンジュゲート基を組み込み得る。特定の実施形態において、ASOは、複数の修飾を含む。本明細書に含まれる例において任意の配列番号で記載される配列が、糖部分、ヌクレオシド間結合、又は核酸塩基に対するいずれの修飾とも無関係であることが理解される。したがって、配列番号によって規定される化合物は、独立して、糖部分、ヌクレオシド間結合、又は核酸塩基に対する1つ以上の修飾を含み得る。ION番号によって表される化合物は、核酸塩基配列、化学修飾、モチーフ、及び/又はコンジュゲートの組合せを示す。
【0032】
特定の実施形態において、修飾オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合などの少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む。
【0033】
1つ以上の実施形態において、ASOは、少なくとも1つの修飾糖を含む。特定の実施形態において、少なくとも1つの修飾糖は、2’-OCH3(「OMe」又は「O-メチル」)、及び/又は2’-O(CHOCH(「MOE」)を含む。他の実施形態において、少なくとも1つの修飾糖は、cEt修飾糖部分であり、ここで、「cEt」又は「拘束エチル」は、4’-炭素及び2’-炭素を連結する架橋を含む二環式フラノシル糖部分を意味し、ここで、架橋は、式:4’-CH(CH)-O-2’で表される。特定の実施形態において、ASOは、修飾糖の混合物を含み、例えば、ASOは、少なくとも1つの2’-O-メトキシエチル基(MOE)及び少なくとも1つのcEt修飾糖部分を含む。
【0034】
特定の実施形態において、ASOは、5-メチルシトシンなどの少なくとも1つの修飾核酸塩基を含む。
【0035】
本開示の医薬組成物において使用されるASOは、コンジュゲート基をさらに組み込み得る。特定の実施形態において、コンジュゲート基は、限定はされないが、薬力学、薬物動態、安定性、結合、吸収、組織分布、細胞分布、細胞取り込み及びクリアランスを含む、結合されたASOの1つ以上の特性を調節する。
【0036】
特定の実施形態において、ASOは、細胞の表面において発現される受容体を標的とするために、リガンドにコンジュゲートされ得る。特定の実施形態において、リガンドは、肝臓へのASOの分配を促進する。他の実施形態において、リガンドは、肝細胞又は肝臓の他の細胞内の取り込みを促進する。特定の実施形態において、コンジュゲートは、多糖、ビタミン、抗体、ペプチド若しくはアプタマー、又は限定はされないが、トランスフェリン及び低比重リポタンパク受容体を含む、肝細胞において発現される受容体のための他のリガンドである。1つ以上の実施形態において、リガンドは、肝細胞において発現されるアシアロ糖タンパク質受容体のためのものである。特定の実施形態において、リガンドは、肝細胞において発現されるアシアロ糖タンパク質受容体と相互作用することが可能なN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。
【0037】
コンジュゲート基は、1つ以上のコンジュゲート部分及びコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合するコンジュゲートリンカーからなり得る。コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端若しくは両端に及び/又は任意の内部部分において結合され得る。特定の実施形態において、コンジュゲート基は、修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドの2’位に結合される。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端又は両端に結合されるコンジュゲート基は、末端基である。特定のこのような実施形態において、コンジュゲート基又は末端基は、オリゴヌクレオチドの3’及び/又は5’末端において結合される。特定のこのような実施形態において、コンジュゲート基(又は末端基)は、オリゴヌクレオチドの3’末端において結合される。特定の実施形態において、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの3’末端の近くに結合される。特定の実施形態において、コンジュゲート基(又は末端基)は、オリゴヌクレオチドの5’末端において結合される。特定の実施形態において、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの5’末端の近くに結合される。
【0038】
1つ以上の実施形態において、コンジュゲート基は、ASOの5’末端においてASOに結合される。他の実施形態において、コンジュゲート基は、ASOの3’末端においてASOに結合される。特定の実施形態において、コンジュゲート基は、1つ以上のGalNAc糖単位、少なくとも2つのGalNAc糖単位、又は少なくとも3つのGalNAc糖単位を含む。
【0039】
本開示のASOは、12~80、14~80、16~80、16~50、16~30、17~80、17~50、17~30、18~80、18~50、18~30、19~80、19~50、19~30、20~80、20~50、又は20~30個の結合したヌクレオシド長であり得る。1つ以上の実施形態において、ASOは、12~30個の結合したヌクレオシドであり得、例えば、修飾ASOは、16~25個の結合したヌクレオシド、1つ以上の実施形態において、16個の結合したヌクレオシドであり得る。
【0040】
1つ以上の実施形態において、ASOは、AATAATCTCATGTCAG(配列番号1)の核酸塩基配列を含む。1つ以上の実施形態において、ASOは、CTTTATTCAATGTGGC(配列番号2)の核酸塩基配列を含む。
【0041】
特定の実施形態において、ASOは、配列番号1の配列を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチド12~80個の結合した核酸塩基長を含むか又はそれからなり、ここで、修飾オリゴヌクレオチドは、
少なくとも10個の結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
3つの結合したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;及び
3つの結合したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含み;
ここで、ギャップセグメントは、5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントとの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが、cEt糖を含み;各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合であり、各シトシンが、5-メチルシトシンである。
【0042】
特定の実施形態において、ASOは、配列番号2の配列を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチド12~80個の結合した核酸塩基長を含むか又はそれからなり、ここで、修飾オリゴヌクレオチドは、
少なくとも10個の結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
3つの結合したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;及び
3つの結合したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含み;
ここで、ギャップセグメントは、5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントとの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが、cEt糖を含み;各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合であり、各シトシンが、5-メチルシトシンである。
【0043】
特定の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、ASOの薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態において、塩は、ナトリウム塩である。特定の実施形態において、塩は、カリウム塩である。
【0044】
特定の実施形態において、1つ以上のASOは、PCSK9核酸を標的とする。本明細書において使用される際、「PCSK9核酸」という用語は、PCSK9をコードする任意の核酸を意味する。例えば、特定の実施形態において、PCSK9核酸は、PCSK9をコードするDNA配列、PCSK9をコードするDNA(イントロン及びエクソンを含むゲノムDNAを含む)から転写されるRNA配列及びPCSK9をコードするmRNA配列を含む。「PCSK9 mRNA」は、PCSK9タンパク質をコードするmRNAを意味する。標的は、大文字又は小文字のいずれかで示され得る。特定の実施形態において、1つ以上のASOは、PNPLA3核酸を標的とする。本明細書において使用される際、「PNPLA3核酸」という用語は、PNPLA3をコードする任意の核酸を意味する。例えば、特定の実施形態において、PNPLA3核酸は、PNPLA3をコードするDNA配列、PNPLA3をコードするDNA(イントロン及びエクソンを含むゲノムDNAを含む)から転写されるRNA配列及びPNPLA3をコードするmRNA配列を含む。「PNPLA3 mRNA」は、PNPLA3タンパク質をコードするmRNAを意味する。標的は、大文字又は小文字のいずれかで示され得る。
【0045】
本開示の特定の実施形態において、1つ以上のASOは、国際特許出願番号PCT/US18/23936号明細書に記載されるASOを含む。例えば、ASOは、ION 863633及びION 848833、又はION 863633及びION 848833のいずれかの塩、並びにION 863633及びION 848833の組合せ及びその塩から選択される。少なくとも1つの実施形態において、ASOは、ION 848833を含む。別の実施形態において、ASOは、ION 848833の塩を含む。さらに別の実施形態において、ASOは、ION 848833のナトリウム塩を含む。本開示の特定の実施形態において、1つ以上のASOは、国際特許出願番号PCT/US19/051743号明細書に記載されるASOを含む。例えば、ASOは、ION 975616及びION 916333、又はION 975616及びION 916333のいずれかの塩、並びにION 975616及びION 916333の組合せ及びその塩から選択される。少なくとも1つの実施形態において、ASOは、ION 975616を含む。さらに別の実施形態において、ASOは、ION 975616の塩を含む。別の実施形態において、ASOは、ION 975616のナトリウム塩を含む。
【0046】
特定の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のASOは、修飾され、コンジュゲート基をさらに含む。特定の実施形態において、修飾ASOは、ギャップマー又は完全修飾モチーフ及び1つ以上、2つ、又は3つのGalNAcリガンドを含むコンジュゲート基を含む。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されるASOは、1つ以上のGalNAcにさらにコンジュゲートされたPCSK9核酸を標的とするASOを含むか又はそれからなり、10個の結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
3つの結合したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;及び
3つの結合したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含み;
ここで、ギャップセグメントは、5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントとの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが、cEt糖を含み;各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合であり、各シトシンが、5-メチルシトシンである。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されるASOは、1つ以上のGalNAcにさらにコンジュゲートされたPNPLA3核酸を標的とするASOを含むか又はそれからなり、10個の結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
3つの結合したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;及び
3つの結合したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含み;
ここで、ギャップセグメントは、5’ウイングセグメントと3’ウイングセグメントとの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが、cEt糖を含み;各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合であり、各シトシンが、5-メチルシトシンである。
【0047】
1つ以上の実施形態において、1つ以上のASOは、以下の化学構造(配列番号1):
【化1】
を有する、ION 863633又はその塩を含むか又はそれからなる。
【0048】
他の実施形態において、ASOは、以下の化学構造(配列番号1):
【化2】
を有する、ION 863633、又はその塩を含むか又はそれからなる。
【0049】
特定の実施形態において、ASOは、以下の化学構造(配列番号1):
【化3】
を有する、ION 863633のナトリウム塩を含むか又はそれからなる。
【0050】
1つ以上の実施形態において、1つ以上のASOは、以下の化学構造(配列番号2):
【化4】
を有する、ION 975616又はその塩を含むか又はそれからなる。
【0051】
特定の実施形態において、1つ以上のASOは、以下の化学構造(配列番号2):
【化5】
を有する、ION 975616のナトリウム塩を含むか又はそれからなる。
【0052】
1つ以上の実施形態において、1つ以上のASOは、以下の化学構造(配列番号2):
【化6】
を有する、ION 975616又はその塩を含むか又はそれからなる。
【0053】
上記の実施形態のいずれかにおいて、ASOは、PCSK9をコードする核酸に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%相補的であり得る。
【0054】
本明細書に記載される医薬組成物は、特定の固体剤形用に製剤化され得る。投与計画は、最適応答を提供するために調整され得る。投与の容易さ及び投与の均一性のために投与単位形態で組成物を製剤化することが有用であり得る。本明細書において使用される際の投与単位形態は、治療される対象のための単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要とされる医薬担体と共に治療効果を生じるように計算された所定の量の1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩を含有する。例えば、本明細書に開示される医薬組成物は、約0.1mg~約100mg、ある実施形態において、約0.5mg~約40mg、例えば、約1mg~約40mg、例えば、約5mg~約40mgの範囲の量の1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩の用量を含み得る。ある実施形態において、1つ以上のASOは、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、及び約100mgの範囲の量で存在する。ある実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、固体剤形の約0.1重量%~約12重量%の範囲の量である。
【0055】
浸透促進剤
本明細書において使用するのに好適な浸透促進剤の例としては、限定はされないが、中鎖脂肪酸(Co)及びそれらの塩、エステル又はエーテル;中鎖脂肪酸の誘導体;中鎖モノ-、ジ-及びトリグリセリド並びにその誘導体;ポリオキシルグリセリド;アシル化アミノ酸;有機酸;アシルカルニチン;アルキルサッカリド;胆汁塩;芳香族アルコール、キレート剤、ポリマー、混合ミセル、逆ミセル、及び自己乳化系(例えば、SEDDS、SMEDDS、又はSNEDDS)が;それらの混合物及び組合せと一緒に挙げられる。
【0056】
様々なタイプの浸透促進剤の非限定的な例が、以下の表1に列挙される。これらの浸透促進剤の多くは、いくつかの異なる商標及び品質並びにそれらの混合物で入手可能であり得る。
【0057】
【表1】
【0058】
特定の実施形態において、本開示は、形態Aカプリン酸ナトリウムを含む医薬組成物を提供する。形態Aカプリン酸ナトリウムは、以下のうちの少なくとも1つによって特徴付けられ得る:
i)0.1~0.15Å-1の領域にピークを含む広角X線散乱(WAXS)スペクトル;
ii)0.12及び0.23Å-1にピークを含む広角X線散乱(WAXS)スペクトル;
iii)0.12及び0.23Å-1にピークを含む小角X線散乱(SAXS)スペクトル;
iv)4°2θにピークを含むX線粉末回折(XRPD)スペクトル;又は
v)カール・フィッシャー滴定によって測定した際に約3.5%未満の含水量。
【0059】
ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、小角X線散乱(SAXS)によって同定される。ある実施形態において、カプリン酸ナトリウム形態は、広角X線散乱(WAXS)によって同定される。SAXS及びWAXSは、試料中の電子密度中の振動によってX線が散乱される散乱技術である。したがって、ある実施形態において、SAXS及びWAXSは、結晶構造を決定するのに使用される。SAXSは、典型的に、WAXSより小さい角度で回折する(すなわち、試料と検出器との間の距離が、WAXSよりSAXSについてより長い)。SAXS又はWAXS実験設備を準備する方法は、当業者に公知である。図5は、形態Aカプリン酸ナトリウムについての広角X線散乱(WAXS)スペクトルを示す。
【0060】
ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約0.1~約0.15Å-1の領域におけるWAXSピークを含む。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約0.12~約0.23Å-1の領域における2つ以上のWAXSピークを含む。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約0.12Å-1におけるWAXSピークを含む。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約0.23Å-1におけるWAXSピークを含む。
【0061】
ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約0.1~約0.15Å-1の領域におけるSAXSピークを含む。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約0.12~約0.23Å-1の領域における2つ以上のSAXSピークを含む。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約0.12Å-1におけるSAXSピークを含む。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約0.23Å-1におけるSAXSピークを含む。図6は、形態Aカプリン酸ナトリウムについての小角X線散乱(SAXS)スペクトルを示す。
【0062】
ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウム形態は、X線粉末回折(XRPD)によって同定される。XRPDは、回折方法、すなわち、規則的な結晶格子における面内の原子からの散乱である。一般に、XRPDは、結晶構造内に存在する結晶学的単位格子の固有のフィンガープリントを検出するのに使用され得、単位格子の各タイプが、XRPDパターンにおける特定の位置でピークとして現れる。したがって、結晶質は、回折パターンにおいて現れるピークの同定によってそれらの単位格子によって区別され得る。XRPD実験設備を準備する方法は、当業者に公知である。
【0063】
ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、図7に実質的に示されるXRPDパターンを有する。例えば、XRPDパターンに言及する際の「に実質的に示される」という用語は、本明細書に示されるものと必ずしも同一であるわけではないが、当業者によって考慮される際に実験誤差又は偏差の限度内に含まれるパターンを指す。XRPDについての様々な値が、本明細書に記載される。本開示全体を通して使用される際(明記されない限り)、全てのXRPDピーク位置の値は、±0.5°2θであるものと解釈されるべきである。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約4°2θにおけるXRPDピークを含む。
【0064】
ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムの含水量は、カール・フィッシャー滴定によって決定される。カール・フィッシャー滴定は、電量又は定量滴定を用いて、試料中の微量の水を測定する。カール・フィッシャー滴定を行う方法は、当業者に公知である。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、2%未満、1.9%未満、1.8%未満、1.7%未満、1.6%未満、1.5%未満、又は1.4%未満の、カール・フィッシャー滴定による含水量によって特徴付けられ得る。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約0.4%~約2.0%の含水量を有する。ある実施形態において、形態Aカプリン酸ナトリウムは、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、又は約2.0%の含水量を有する。
【0065】
本明細書に開示される医薬組成物は、約200mg~約1500mgの範囲の量の1つ以上の浸透促進剤を含み得る。ある実施形態において、浸透促進剤は、約500mg~約1000mg、例えば、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700、mg、約725mg、約750mg、約775mg、約800mg、約825mg、約850mg、約875mg、約900mg、約925mg、約950mg、約975mg、及び約1000mgの範囲の量で存在する。
【0066】
薬学的に許容される賦形剤
本開示の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。特定の実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、経口送達に好適な医薬組成物に加えられる任意の化合物又は化合物の混合物であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、当該技術分野において周知であり、任意の選択は、目的の用途及び医薬組成物の投与方法に依存する。当業者は、固体経口剤形の特定の所望の特性に関して、薬学的に許容される賦形剤の1つ以上を選択し得る。薬学的に許容される賦形剤としては、例えば希釈剤/充填剤、粘着防止剤、乳化剤、滑沢剤、流動剤/滑剤、崩壊剤、圧縮助剤(compression aid)、バインダー、可塑剤、可溶化剤、溶媒、及び本明細書に開示される医薬組成物中で既に必要とされる浸透促進剤以外の浸透促進剤が挙げられる。本明細書における使用に好適な薬学的に許容される賦形剤としては、限定はされないが、以下に列挙される例が挙げられる。各賦形剤は、いくつかの異なる商標及び品質並びにそれらの混合物で入手可能であり得る。
【0067】
薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、ラクトース、マンニトール、フマル酸ステアリルナトリウム(PRUV)、ステアリン酸マグネシウム、シリカコロイド水和物、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、炭酸水素ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、デンプングリコール酸ナトリウム、水、エタノール、イソプロピルアルコール又は他の溶媒、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(トロメタミン)(TRIS)、カーボネート、ボレート、ホスフェート、酒石酸の任意の塩、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸、ソルトール(solutol)、ポリソルベート80、及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられる。
【0068】
本明細書に開示される医薬組成物中の賦形剤の量は、当該技術分野における従来の範囲内で変化し得る。薬学的に許容される賦形剤は、約0.1mg~約600mgの範囲の量で本明細書に開示される医薬組成物中に存在し得る。特定の実施形態において、賦形剤の量は、固体剤形の重量基準のパーセントとして表され得る。例えば、ある実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、固体剤形の約0.001重量%~約50重量%の範囲の賦形剤を含み得る。
【0069】
コーティング
本明細書において提供される際、医薬組成物は、即放性、放出調節型又は遅延放出性製剤であり得る。本開示の例示的な放出調節型又は遅延放出性製剤は、1つ以上の胃耐性コーティング、例えば、水性/有機溶媒ベースのコーティングポリマー、例えば、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)、又はメタクリル酸コポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標))、特に、商標EUDRAGIT(登録商標)L、EUDRAGIT(登録商標)S、EUDRAGIT(登録商標)RL、EUDRAGIT(登録商標)RSコーティング材料で販売されるもの及びそれらの混合物を含み得る、外側胃耐性又は半透過性コーティングを含み得る。胃耐性コートは、例えば、医薬組成物が胃の厳しい低pH環境中で無傷なままであり、錠剤が腸の望ましい部分に達したときに溶解するのを可能にし得る。
【0070】
さらに、例えばHPMC又はタルクからなる1つ以上の保護コーティングは、錠剤コアと胃耐性コートとの間に適用され得る。本明細書において使用される際、「錠剤コア」は、いずれの外部コーティングも有さない本開示に係る医薬組成物を意味することが理解される。
【0071】
胃耐性コーティングは、約0mg~約200mg、例えば約1mg~約150mg、例えば、約20mg~約100mg、例えば、約5mg~約80mgの範囲の量で本明細書に開示される医薬組成物中に存在し得る。特定の実施形態において、胃耐性コーティングは、固体剤形の重量基準のパーセント、例えば固体剤形の重量基準で約0.0%~約10%、例えば、固体剤形の重量基準で約0.01%~約10%、例えば、固体剤形の重量基準で約0.03%~約10%、例えば、固体剤形の重量基準で約0.1%~約8%として表される。特定の実施形態において、胃耐性コーティングは、固体剤形の重量基準で約0.3%~約0.7%、例えば、約0.6%、ある実施形態において、約0.64%である。他の実施形態において、胃耐性コーティングは、固体剤形の重量基準で約5.0%、又は約6.0%、又は約7.0%、ある実施形態において、約0.64%である。保護コーティングを含む医薬組成物は、約0mg~約200mgの保護コーティングを含み得る。
【0072】
組成物の例
本開示の1つ以上の実施形態において、医薬組成物は、以下の表2及び表3に示される例を含むが、これらに限定されない。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
1つ以上のASOを経口投与することによる治療方法
1つ以上のASOを経口投与する方法が、本明細書において提供される。少なくとも1つの実施形態において、対象を治療する方法であって、固体剤形における1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を、それを必要としている対象に経口投与することを含む方法が本明細書に開示される。
【0076】
特定の実施形態において、対象における様々な疾患過程に関与するタンパク質への核酸転写産物の翻訳を低減するための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、を含む。
【0077】
特定の実施形態において、対象におけるPCSK9に関連する疾患を治療、予防、又は改善するための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PCSK9核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号1を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0078】
本明細書において提供される方法を用いて治療可能、予防可能、及び/又は改善可能な、PCSK9に関連する疾患の例としては、心血管疾患、脂質異常症、混合型脂質異常症、高コレステロール血症、LDLコレステロールの低下、及びアテローム性アポリポタンパク質(a)[Lp(a)]の低下が挙げられる。
【0079】
特定の実施形態において、対象におけるLDL-コレステロールレベルを低下させるための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PCSK9核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号1を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0080】
本開示に従って、対象におけるLDL-コレステロールレベルを低下させる治療に使用するための、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物も開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PCSK9核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号1を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0081】
特定の実施形態において、対象におけるLp(a)レベルを低下させるための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PCSK9核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号1を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0082】
本開示に従って、対象におけるLp(a)レベルを低下させるのに使用するための、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物も開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PCSK9核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号1を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0083】
特定の実施形態において、対象におけるLDL受容体(LDL-R)活性を誘導するための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PCSK9核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号1を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0084】
対象におけるLDL受容体(LDL-R)活性を誘導するのに使用するための、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物も開示され、本開示に係る医薬組成物を対象に経口投与することを含む。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PCSK9核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号1を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0085】
特定の実施形態において、対象におけるLDL受容体-LDL-コレステロール恒常性を調節するための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PCSK9核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号1を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0086】
対象におけるLDL受容体-LDL-コレステロール恒常性を調節するのに使用するための、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物も開示され、本開示に係る医薬組成物を対象に経口投与することを含む。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PCSK9核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号1を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-863633のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0087】
特定の実施形態において、対象におけるPNPLA3に関連する疾患を治療、予防、又は改善するための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PNPLA3核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号2を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0088】
本明細書において提供される方法を用いて、治療可能、予防可能、及び/又は改善可能な、PNPLA3に関連する疾患の例としては、肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、肝硬変、肝細胞癌、アルコール性肝疾患、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、HCV肝炎、慢性肝炎、遺伝性ヘモクロマトーシス、及び/又は原発性硬化性胆管炎が挙げられる。
【0089】
特定の実施形態において、本明細書において提供される方法を用いて、治療可能、予防可能、及び/又は改善可能な、PNPLA3に関連する疾患としては、NAFLD、脂肪症、NASH、及び肝硬変が挙げられる。
【0090】
特定の実施形態において、対象における肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を軽減及び/又は阻害するための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PNPLA3核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号2を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0091】
本開示に従って、対象における肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を軽減及び/又は阻害する治療に使用するための、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物も開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PNPLA3核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号2を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0092】
特定の実施形態において、対象における肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を軽減及び/又は阻害するための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PNPLA3核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号2を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0093】
本開示に従って、対象における肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を軽減及び/又は阻害するのに使用するための、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物も開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PNPLA3核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号2を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0094】
特定の実施形態において、対象における肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を軽減及び/又は阻害するための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PNPLA3核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号2を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0095】
対象における肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を軽減及び/又は阻害するのに使用するための、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物も開示され、本開示に係る医薬組成物を対象に経口投与することを含む。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PNPLA3核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号2を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0096】
特定の実施形態において、対象における肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を制御するための方法であって、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が開示される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PNPLA3核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号2を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0097】
対象における肝臓障害、脂肪症、肝線維症、肝臓炎症、肝臓の瘢痕又は肝硬変、肝不全、肝肥大、トランスアミナーゼ上昇、又は肝脂肪蓄積を制御するのに使用するための、1つ以上のASO、又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を含む医薬組成物も開示され、本開示に係る医薬組成物を対象に経口投与することを含む。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩は、PNPLA3核酸を標的とし、核酸塩基配列の配列番号2を含む。別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、カプリン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616である。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のASOは、ION-975616のナトリウム塩である。さらに別の実施形態において、1つ以上の浸透促進剤は、形態Aカプリン酸ナトリウムである。
【0098】
本明細書に記載される様々な方法に従って、1つ以上のASO又はその薬学的に許容される塩及び1つ以上の浸透促進剤を経口投与され得る対象としては、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、霊長類などが挙げられる。少なくとも1つの実施形態において、対象は、ヒトである。
【0099】
特定の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、1日1回、経口投与され得る。特定の実施形態において、医薬製剤は、1日2回、経口投与される。
【実施例
【0100】
本明細書に記載される特定の医薬組成物及び方法は、特定の実施形態に従って特異的に記載されているが、以下の実施例は、本明細書に記載される医薬組成物を例示する役割を果たすに過ぎず、それを限定することは意図されていない。本出願に列挙される参考文献のそれぞれは、全体が参照により本明細書に援用される。典型的又は例示されるプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、溶媒、圧力など)が示される場合、特に記載されない限り、他のプロセス条件も使用され得ることが理解されるであろう。最適な反応条件は、使用される特定の反応剤又は溶媒により変化し得るが、このような条件は、当業者によって決定され得る。
【0101】
実施例1:形態Aカプリン酸ナトリウム及びPCSK9 ASO(ION 863633)を含む錠剤の調製
形態Aカプリン酸ナトリウムの調製
デカン酸を、メタノールに溶解させた後、固体炭酸水素ナトリウム(IPC pHコントロール)を添加した。懸濁液を加熱還流させた。次に、得られた溶液を、周囲温度に冷まして、結晶化させた。固体を、遠心分離によって収集し、乾燥させ、最後に粉砕した。
【0102】
形態Aカプリン酸ナトリウム及びPCSK9 ASO(ION 863633)を含む錠剤の調製
所要量のカプリン酸ナトリウム形態A及びマンニトールを、60Lの高せん断ミキサー中に量り入れた。2つの成分を、160rpmのインペラ速度で、高せん断ミキサー中で1分間にわたって乾式混合した。高せん断ミキサー中での連続混合中、エタノールを、適切な造粒度に達するまで加えた。造粒の後、湿潤した顆粒剤を、流動層乾燥機中に移し、顆粒剤の所定の乾燥減量に達するまで(<1.8%)、70℃の入口温度で乾燥させた。乾燥された顆粒剤を、1mmのふるいサイズを有するコーンミルに通して粉砕した。次に、粉砕された顆粒剤を、30rpmの回転速度で11分間にわたって、PCSK9 ASO(ION 863633)、シリカコロイド水和物(0.5mmのふるいサイズに通して)及びフマル酸ステアリルナトリウム(0.5mmのふるいサイズに通して)と、160Lの拡散ミキサー中で混合した。最終的な混合された顆粒剤を、8ステーション回転錠剤プレスを用いて、非コートコア錠剤へと圧密化した。次に、非コート錠剤を、50℃~65℃の入口温度で、パンコーター(ドラムサイズ5kg)中で、胃耐性コーティング(ふるいサイズ0.25mmに通してふるいにかけられた)で被覆した。プロセスのフローチャートが、図1に概略的に示される。形態Aカプリン酸ナトリウム及びPCSK9 ASO(ION 863633)を含む錠剤の溶解プロファイルが、図2に示される。グラフは、最大吸収促進を可能にするpH6.8(小腸条件を模倣する)で同時に錠剤からのASO(AZD6615は、この実施例においてPCSK9 ASO(ION 863633)である)及び形態Aカプリン酸ナトリウムの同時の放出(溶解)があることを示す。
【0103】
実施例2:イヌへの経口投与におけるGalNAc ASOの血漿対肝臓曝露
血漿及び肝臓曝露を、ビーグル犬において7又は28日間にわたって3又は20mgのPCSK9 ASO(ION 863633)のいずれかと共に製剤化された700mgのカプリン酸ナトリウムを含有する錠剤の毎日の経口投与時に測定した。1mg/kgの1日1回のSC投与を対照として使用した。血漿バイオアベイラビリティが、24時間にわたる血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)に基づく一方、組織バイオアベイラビリティは、最後の投与の24時間後に採取された試料に基づく。血漿対肝臓曝露についての以下の表4を参照されたい。
【0104】
【表4】
【0105】
結果:血漿/肝臓比が、経口投与後のより高い相対肝臓曝露の方へ、皮下投与と経口投与との間で推移される。データは、経口送達による門脈へのASOの直接送達が、初回通過抽出からさらなる利益を得ること、すなわち、化合物が、血漿と比べて標的組織/肝臓により効率的に分配されることを裏付ける(上記の表4に見られるように)。肝臓による選択的取り込みは、図3に示されるように、血漿バイオアベイラビリティと同じ範囲で、1~2%の限られた腎臓バイオアベイラビリティによってさらに裏付けられる。
【0106】
実験:PCSK9 ASO(ION-863633)を、7又は28日間にわたって経口錠剤として又はSC溶液として、19匹の雄ビーグル犬に毎日投与した。経口用量は、3(n=5)又は20(n=10)mg/日であり、ここで、高用量動物の半分は、7日間の投与後に中止された。SC用量は、1mg/日(n=4)であり、これらの動物の半分はまた、7日間の投与後に中止された。錠剤投与の30分以下前に、0.1MのHCl/KClの溶液を、30mLの体積でプラスチックシリンジに取り付けられた使い捨てカテーテルを用いて、強制経口投与によって投与した。投与時に、錠剤を、(指を用いて)できるだけ喉の奥に入れた後、錠剤の飲み込みを促すために、シリンジを用いて口に投与される水道水で流した(10mL)。SC用量を、肩甲骨及び背中中央部位に注射した。投与の24時間後までに頸静脈から血液試料を採取することによって、血漿曝露を、1、7及び28日目に評価した。SC投与用の溶液は、PBS pH7.4(10mMのホスフェート+150mMのNaCl)中のPCSK9 ASO(ION 863633)1mg/mLを含有していた。
【0107】
実施例3:初回通過抽出からの有益な効果を裏付けるラットデータ
PCSK9 ASO(ION 863633)は、げっ歯類において活性でないため、本発明者らはまた、PCSK9 ASO(ION 863633)と同じ化学的性質のものであるラット特異的GalNAcコンジュゲートMalat-1 ASO(Malat-1を標的とする16量体cEt GalNAc3-コンジュゲート;ION-704361)を使用して、ASO及び浸透促進剤を含有する溶液の空腸内(IJ)投与後のmRNAノックダウンの形態で標的エンゲージメントを確認した。以下の表5を参照されたい。
【0108】
【表5】
【0109】
結果:データは、標的組織細胞生産的取り込みが、総肝臓組織曝露に基づいた肝臓バイオアベイラビリティからの判断と比較して、溶液のIJ投与後にさらに一層顕著であることを示す。これは、経口投与及び初回通過抽出が、GalNAc ASOについての肝臓への取り込みに有益であるという仮説を裏付ける。
【0110】
実験:本発明者らは、ラットMalat-1(ION-704361)又はヒトPCSK9を標的とする同様の化学(16量体cEt GalNAc3コンジュゲートされた)と共にASOを使用した。ラット特異的ASOは、肝臓曝露及び標的エンゲージメント測定の両方を可能にした一方、肝臓曝露のみが、ヒト特異的PCSK9 ASO(ION 863633)について観察された。外科的に埋め込まれたIJカテーテルを有する、6~8週齢及び体重200~250gの雄スプラーグドーリーラットを、単回IJ又はSC用量(群当たりn=4)を用いて、ION-704361又はPCSK9 ASO(ION 863633)に曝露させた。全ての動物を、48時間の時点で殺処分した。300mg/kgの用量のカプリン酸ナトリウムを、IJ投与用の浸透促進剤として使用した。ASO及びカプリン酸ナトリウムを、溶液として投与した。血漿及び肝臓組織試料を、48時間の時点で収集した。ハイブリダイゼーションELISAを、血漿について行い、LC-MS/MS分析を、組織について行った。それぞれ、ION-863633及びION-704361血漿LLOQ:0.15nM。非コンジュゲートPCSK9 ASO(ION 848833)及びION-704361組織LLOQ:0.054及び0.0269μg/g。免疫組織化学、ヘマトキシリン及びエオシン染色、及びインサイチュハイブリダイゼーションを、全ての組織について行った。肝臓におけるMalat-1 mRNA発現及びノックダウンを、リアルタイムPCRによって評価し、SC対照群と比べた相対レベルを報告した。
【0111】
生成されたデータを、以下の方法で分析した:IJ対SCのバイオアベイラビリティは、各投与経路について別々にデータの線形回帰に基づいており、肝臓曝露又は標的エンゲージメントの治療的に関連するレベルで計算された。図4A、B及びDにおいて、線形回帰が、点線によって示され、バイオアベイラビリティ計算についてのレベルが、実線によって示される。図4Cにおいて、エラーバーは、標準偏差を示し、水平バーは、テューキーの有意差検定(Tukey’s honestly significant difference test)について治療間の有意差(***p ≦ 0.005)を示す。SCと比較したIJの生産的バイオアベイラビリティは、29%(10%、100%;5番目及び95番目パーセンタイル)であった。図4Cにおいて、x軸は、用量レベル0の対照群を含むことができるように破断されている。図4Dは、用量に対してプロットされた図4Cからの個々のデータを示す。パラメータ推定値の不確実性を、各実験内で置き換えにより単一の測定値をランダムにサンプリングするブートストラッピングによって決定した。
【0112】
実施例4:予測ヒト試験
固体剤形としてのPCSK9 ASO(ION 863633)の臨床試験を、固体剤形の安全な及び許容される用量を確立するために患者において計画した。血漿曝露及びPCSK9レベル(肝臓曝露と相関する)は、単回投与後並びにヒト対象における28日間にわたる1日1回の反復投与後、5、10、20又は40mgのPCSK9 ASO(ION-863633)のいずれかと共に製剤化された700mgのカプリン酸ナトリウムをそれぞれ含有する1~3個の錠剤の毎日の経口投与時に測定される。PCSK9 ASOの組織半減期は、約2週間である。したがって、単回投与は、PCSK9血漿中濃度を有意に低下させることは予想されないが、28日間の投与は、肝臓中の薬物の蓄積並びに顕著なPCKS9及びLDL低下をもたらすであろう。
【0113】
実施例5:形態Aカプリン酸ナトリウム及びPNPLA3 ASO(ION 975616)を含む錠剤の調製
形態Aカプリン酸ナトリウムの調製
メタノール(234L)及び水(12.3L)を、予め融解されたデカン酸(24.6kg、143mol)及び炭酸水素ナトリウム(11.0kg、131mol)に加えた。反応混合物を、65±5℃で加熱し、少なくとも16時間撹拌した。反応が完了したとき(デカン酸≦3mg/mL)、反応溶液を、仕上げフィルタ(polish filter)に通してろ過した。温度を、50±5℃に調整し、混合物を、(5℃/hで)27±3℃に冷却し、tert-ブチルメチルエーテル(TBME、492リットル)を加えた。温度を、25±5℃に調整し、少なくとも12時間撹拌した。固体を、遠心分離によって収集し、TMBE(123リットル)で洗浄した。固体を、少なくとも12時間にわたって50±5℃で、減圧下で乾燥させて(乾燥減量、LoD≦2.0%)、20.99kgの目的生成物、収率81.3%、LoD 0.6%を得た。
【0114】
実施例5A(製剤1):形態Aカプリン酸ナトリウム、微結晶性セルロース、及びPNPLA3 ASO(ION 975616)を含む錠剤
1200gのカプリン酸ナトリウム形態Aを、集中的な混合機器に加え、インペラ速度250rpm及びチョッパー速度1500rpmで1分間乾式混合してから、600gの無水エタノール(30mL/分)を加えた。完全な添加の後、得られた材料を、さらに1分間混合した。材料を、<LoD1.5%になるまで、周囲温度で、ヒュームカップボード中で一晩乾燥させた。乾燥された材料を、2000rpmで、0.061インチのグレータースクリード(grater screed)及び角度付きインペラを備えたクワドロコーミル(Quadro comil)を用いて粉砕した。
【0115】
カプリン酸ナトリウム形態A(45.7g)、微結晶性セルロース(Avicel PH-102、2.5g)及びPNPLA3 ASO(ION 975616)(1.8g@77.9%)(250umのふるいに通過させた)を、1分間にわたって1Lの金属容器中で、スプーンによる手作業で予め混合した。さらなる混合を、10分間にわたって撹拌ミキサー中で行った。材料を、1.4MPaの引張り強さで錠剤プレス(766mg、8.5mm×17mm)において「そのまま」圧密化した。
【0116】
実施例5B(製剤2):形態Aカプリン酸ナトリウム、マンニトール、微結晶性セルロース、フマル酸ステアリルナトリウム及びPNPLA3 ASO(ION 975616)を含む錠剤
カプリン酸ナトリウム形態A(7700g)及びマンニトール((Pearlitol 100SD、3300g)を、60Lの高せん断ミキサー中に量り入れた。2つの成分を、140rpmのインペラ速度で3分間にわたって乾式混合した。連続混合中、エタノール(4050g)を、適切な造粒度に達するまで加えた。造粒の後、湿潤した顆粒剤を、流動層乾燥機中に移し、顆粒剤の所定の乾燥減量に達するまで(<1.8%)、70℃の入口温度で乾燥させた。乾燥された顆粒剤を、1.27mmのふるいサイズを有するコーンミルに通して粉砕した。粉砕後のLoDは、0.5%-w/wであった。
【0117】
250umのふるいに通過させた、上記からの乾燥された顆粒剤(47.8g)、微結晶性セルロース(Avicel PH-102、2.5g)、二酸化ケイ素(Syloid 244FP、0.5g)及びPNPLA3 ASO(ION 975616)(1.25g@77.9%)を、スプーンによる手作業で1分間にわたって1Lの金属容器中で予め混合し、さらなる混合を、10分間にわたって撹拌ミキサー中で行った。フマル酸ステアリルナトリウム(1.0g)を、上記の約10gの得られた混合物に加え、スプーンによる手作業で1分間にわたって予め混合し、上記の混合物の残りの量を加え、さらなる混合を、2分間にわたって、スプーンによる手作業で行った。材料を、2.0MPaの引張り強さで錠剤プレス(1117mg、9.5mm×20mm)中で「そのまま」圧密化した。
【0118】
実施例6:PCSK9 ASO(ION 863633)の反復経口投与後のインビボサルデータ
毎日の経口投与後の健康なカニクイザルにおける高用量のPCSK9 ASO(ION 863633)錠剤の忍容性を、14日間の試験において調べた。PCSK9 ASO(ION 863633)は、1日に2、3又は4個の錠剤の用量レベルで、カプリン酸ナトリウム(14mgのPCSK9 ASO(ION 863633)+500mgのカプリン酸ナトリウム)と共に腸溶コーティングされた錠剤中で製剤化された。図8は、血漿LDL-コレステロールが、14日目の時点で45~50%低下されたことを示す(平均投与前レベルは、55±2.7mg/dL(平均±SEM)であった)。低下は、用量レベルと無関係であり、これは、試験において使用される高用量を反映している。臨床観察、体重、摂餌量、血液学、凝固、臨床化学、臓器重量並びに総病理及び顕微鏡的病理における悪影響はなかった。嘔吐の稀な例が、全ての動物における投与が≧42mg/日で投与された直後に観察された。嘔吐物中に存在する錠剤の証拠がなかったため、嘔吐の原因は、手続きに起因するものと考えられた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
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【国際調査報告】