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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-05
(54)【発明の名称】電子ユニット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20230928BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20230928BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H01R43/00 H
H01R11/01 501A
H01R11/01 501Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518406
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2021076343
(87)【国際公開番号】W WO2022063977
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020124955.1
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438205
【氏名又は名称】スフェラ テクノロジー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポトレック ジャニーヌ-メラニー
【テーマコード(参考)】
5E051
5F044
【Fターム(参考)】
5E051CA03
5F044LL09
5F044LL11
5F044LL17
5F044RR17
5F044RR18
5F044RR19
(57)【要約】
集積回路6を含む、複数の第1の電気接点3を有する第1の部品2と、複数の第2の電気接点5を有する第2の部品4とを備える、電子ユニット1の製造方法及び電子ユニットが提案される。ここで、第1の電気接点3及び第2の電気接点5は、多数の導電性粒子9を含む導電性構造体8を介して互いに電気的に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路(6)を含む、複数の第1の電気接点(3)を有する第1の部品(2)と、複数の第2の電気接点(5)を有する第2の部品(4)とを備える電子ユニット(1)を製造する方法であって、
1つ以上の導電性粒子(9)をそれぞれ含むカプセル(K)を準備することと、
前記部品(2、4)のうちの少なくとも一方に前記カプセル(K)を塗布することと、
前記第1の部品(2)及び前記第2の部品(4)を、対向する第1の接点(3)及び第2の接点(5)とともに、所与の距離を置いて配置することと、
前記導電性粒子(9)が解放され、前記部品(2、4)のうちの少なくとも一方の前記電気接点(3、5)上に配置され、前記導電性粒子(9)のうちの1つ以上を含む導電性構造体(8)が形成されるように、前記カプセル(K)を活性化させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、前記第1の部品(2)及び前記第2の部品(4)を対向する第1の接点(3)及び第2の接点(5)とともに配置した後に、前記カプセル(K)を活性化させる、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、前記導電性粒子(9)は、第1のカプセル(K1)内に含まれ、前記方法は、電気絶縁材料(11)を含む第2のカプセル(K2)を、前記第1の部品(2)及び前記第2の部品(4)のうちの少なくとも一方に塗布することを更に含む、方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、前記導電性粒子(9)は、第1のカプセル(K1)内に含まれ、該第1のカプセル(K1)は、電気絶縁材料(11)を含む少なくとも1つの第2のカプセル(K2)とそれぞれ結合され、前記カプセル(K1、K2)を前記部品(2、4)のうちの少なくとも一方に塗布する、方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、前記第1のカプセル(K1)の大きさが、一次元において、前記電気接点(3、5)の大きさに概ね対応する、方法。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、前記第2のカプセル(K2)の大きさが、同じ部品(2、4)の隣り合う2つの電気接点(3、5)間の距離の大きさに概ね対応する、方法。
【請求項7】
請求項3~6のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、前記第1のカプセル(K1)及び前記第2のカプセル(K2)は、時間的に順番に活性化される、方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、以下に挙げる要素、すなわち、前記カプセル(K1)、第1のカプセル(K1)、前記粒子(9)、前記第1の接点(3)、前記第2の接点(5)、及び、電気絶縁材料(11)を含む第2のカプセル(K2)のうちの少なくとも1つが、官能基(R)によって官能化される、方法。
【請求項9】
前記カプセル(K1)のみを官能基によって官能化することと、
前記カプセル(K1)の少なくとも一部を、弱い相互作用を介して前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つと結合することと、
を更に含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記カプセル(K1)を官能基によって官能化することと、
前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つを官能基によって官能化することと、
前記カプセル(K1)の少なくとも一部を前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つと共有結合することと、
を更に含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
集積回路(6)及び複数の第1の電気接点(3)を含む第1の部品(2)と、複数の第2の電気接点(5)を有する第2の部品(4)とを備える電子ユニット(1)を製造する方法であって、
前記粒子(9)を浮遊物質として含む懸濁液(13)を準備することと、
前記少なくとも一方の部品(2、4)の前記電気接点(3、5)上に前記導電性粒子(9)のうちの1つ以上を含む導電性構造体(8)が形成されるように、前記懸濁液(13)を前記部品(2、4)のうちの少なくとも一方に塗布することと、
前記第1の部品(2)及び前記第2の部品(4)を、対向する第1の接点(3)及び第2の接点(5)とともに、所与の距離を置いて配置することと、
前記少なくとも一方の部品(2、4)の電気接点(3、5)によって覆われていない表面から、前記導電性粒子(9)を洗い流すことと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、以下に挙げる要素、すなわち、前記粒子(9)、前記第1の接点(3)、前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つを官能基(R)によって官能化するステップを更に含む、方法。
【請求項13】
前記粒子(9)のみを官能基によって官能化することと、
前記粒子(9)の少なくとも一部を、弱い相互作用を介して前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つと結合することと、
を更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子(9)を官能基によって官能化することと、
前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つを官能基によって官能化することと、
前記粒子(9)の少なくとも一部を、前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つと共有結合することと、
を更に含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、前記懸濁液は、以下に挙げる物質、すなわち、水、エタノールのうちの少なくとも一方を含む、方法。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、前記懸濁液(13)を前記部品(2、4)のうちの少なくとも一方に塗布した後、前記少なくとも一方の部品(2、4)を乾燥させる乾燥ステップを行う、方法。
【請求項17】
請求項11~16のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)を製造する方法であって、前記導電性構造体(8)を製造した後、前記部品(2、4)のうちの少なくとも一方に電気絶縁物質(11)を塗布する、方法。
【請求項18】
電子ユニット(19)であって、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法又は請求項11~17のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、電子ユニット。
【請求項19】
電子ユニット(1)であって、
集積回路(6)を含む、複数の第1の電気接点(3)を有する第1の部品(2)と、
複数の第2の電気接点(5)を有する第2の部品(4)と、
を備え、
前記第1の電気接点(3)及び前記第2の電気接点(5)は、それぞれ、複数の導電性粒子(9)を含む導電性構造体(8)を介して互いに電気的に接続される、電子ユニット。
【請求項20】
請求項19に記載の電子ユニット(1)であって、前記粒子(9)は、マイクロ粒子又はナノ粒子である、電子ユニット。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の電子ユニット(1)であって、前記粒子(9)は、所与の方向において平行に整列し、互いに直接接触する棒状のナノ粒子である、電子ユニット。
【請求項22】
請求項19~21のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)であって、前記第2の部品(4)は、ハウジング、チップ、回路基板、又は他の基板(7)である、電子ユニット。
【請求項23】
請求項19~22のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)であって、前記第1の部品(2)は、ハウジングに入っていないチップである、電子ユニット。
【請求項24】
請求項19~23のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)であって、以下に挙げる要素、すなわち、前記粒子(9)、前記第1の接点(3)、前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つが、官能基(R)との結合によって官能化される、電子ユニット。
【請求項25】
請求項24に記載の電子ユニット(1)であって、前記官能化される要素は、複数の同一の又は異なる官能基(R1、R2)によってそれぞれ官能化される、電子ユニット。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の電子ユニット(1)であって、前記粒子(9)のみが官能基によって官能化され、及び/又は、
前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)は、それぞれ官能化を含まず、それにより、前記粒子(9)は、弱い相互作用を介して前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つと結合される、電子ユニット。
【請求項27】
請求項24又は25に記載の電子ユニット(1)であって、前記粒子(9)は、官能基によって官能化され、
前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つは、官能基によって官能化され、それにより、前記粒子(9)は、前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)のうちの少なくとも1つと共有結合する、電子ユニット。
【請求項28】
請求項24~27のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)であって、前記官能基は、少なくとも1つのチオール基及び/又はカルボキシル基を含む、電子ユニット。
【請求項29】
請求項19~28のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)であって、少なくとも前記第1の部品(2)又は前記第2の部品(4)は、スペーサー(12)を備え、該スペーサー(12)は、双方の部品(2、4)をともに接合すると、前記第1の接点(3)及び前記第2の接点(5)の対向する接触面が互いに距離を置いて位置するような寸法になっている、電子ユニット。
【請求項30】
請求項19~29のいずれか1項に記載の電子ユニット(1)であって、前記第1の部品(2)及び前記第2の部品(4)の前記接点(3、5)は、それぞれ平面内に位置する、電子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に集積回路を備える電子ユニット、及び電子ユニットの2つの部品を電気的に接続する接続技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器製造において、ウェハーの個別化された断片(チップ、英:die)は、通常、キャリア構造体上に固定され、キャリア構造体と電気的に接続される。これは、チップボンディング又はダイボンディングとも呼ばれる。キャリア構造体は、例えば、チップのハウジングとすることができ、又はチップオンボード技術においては、例えば、回路基板、セラミック基板、又は厚膜回路等の基板とすることができ、これには更なる部材を保持することもできる。チップは、更なるチップの上に配置することもでき(チップオンチップ技法)、ここでは、複数のチップによるスタック構造が製造される。この場合、キャリア構造体は、更なるチップとなる。
【0003】
従来技術から、チップをキャリア構造体上に取り付ける様々な方法が知られている。数例のみ挙げると、導電性又は非導電性の接着剤を用いた接着、熱風はんだ付け、ウェーブはんだ付け、リフローはんだ付け(はんだボールの溶融)、又はワイヤボンディングがある。チップの取付けは、原則として、接続ワイヤ(ボンディングワイヤ)を用いて、又は直接、更なる接続ワイヤを用いずに行うことができる。
【0004】
例えば、いわゆるフリップチップ取付けでは、ハウジングに入っていないチップを、接触隆起部(いわゆる「バンプ」)によって直接、更なる接続ワイヤを用いずに基板上に固定する。この場合、チップには、多数の小さなはんだボール(英:balls)が設けられ、これらは、列及び行による格子(英:grid)状に隣り合って配置される(BGA:Ball Grid Array)。取付けの際、チップは、はんだボールを下向きにして基板上に配置される。その後、はんだボールをフラックスによって濡らし、この構造を加熱することで、はんだが溶融し、チップの接触面と基板(ハウジング、パッケージ)の接点との間の電気的接続が確立される。これは、リフローはんだ付けとも呼ばれる。
【0005】
BGA技法は、チップと基板との間の寸法を特に小さくし、導体の長さを短くすることを可能にする。ここでは、バンプの大きさは、100μm未満となる。しかしながら、特別な用途、特に移動無線技術においては、更に小さな寸法が望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、改善された電子ユニット、特に、例えば、隣り合う電気接点間の距離が低減された及び/又はチップとキャリア構造体との間の距離が低減されたコンパクトな電子ユニットを提供及び/又は製造することを可能にする。
【0007】
これは、特に、独立請求項に記載の特徴によって可能になる。本開示の更なる形態は、従属請求項から得られる。
【0008】
本開示によれば、複数の第1の電気接点を有する、例えば集積回路の形態の第1の部品と、複数の第2の電気接点を有する第2の部品とを含む及び/又は備える、電子ユニットが提案される。本開示によれば、第1の電気接点及び第2の電気接点は、多数又は複数の導電性粒子を含む導電性構造体を介して互いに電気的に接続され、導電性粒子は、その物理的又は化学的特性に基づいて凝集体を形成し、第1の電気接点及び第2の電気接点と結合する。
【0009】
粒子及び/又は電気接点は、例えば、少なくとも1つの官能基を設ける及び/又は少なくとも1つの官能基によって官能化することができ、それにより、粒子は、例えば、弱い相互作用及び/又は共有結合によって電気接点と結合することが好ましい。この場合、例えば、はんだ付け、接着、又は超音波溶接等の従来の接続技術の使用は必要とされない。
【0010】
上述の粒子は、例えば、マイクロ粒子又はナノ粒子であり、例えば、棒状、球状、星形、又は更なる幾何学形状等の様々な形状を有することができる。
【0011】
本開示の好ましい実施形態によれば、粒子は、棒状のナノ粒子である。この場合、導電性構造体は、互いに接触することができる、所与の方向に平行に整列した複数のナノ粒子を含む。
【0012】
例えば、導電性構造体のそれぞれは、互いに平行に整列することができる複数の導電性粒子を含むことができる。ここでは、導電性粒子の少なくとも一部は、第1の部品の第1の電気接点のうちの1つから、対向して配置される第2の部品の第2の電気接点の方向に延在することができる。特に、粒子の少なくとも一部の長手延在方向は、第1の接点及び/又は第2の接点の面法線ベクトルに対して本質的に平行に整列することができる。
【0013】
任意選択で、導電性構造体のそれぞれは、第1の電気接点及び/又は第2の電気接点に対して平行な(又は第1の接点及び/又は第2の接点の面法線ベクトルに対して直交する)方向に隣り合って配置され得る、複数の粒子を含むことができる。直接隣り合って配置される粒子は、粒子間の導電性接続を形成することができるように、互いに少なくとも部分的に接触することができる。
【0014】
代替的又は付加的に、導電性構造体のそれぞれは、第1の接点及び/又は第2の接点の面法線ベクトルに対して平行に前後に並んで配置され得る、複数の粒子を含むことができる。直接前後に並んで配置される粒子は、粒子間の導電性接続を形成することができるように、互いに少なくとも部分的に接触することができる。例えば、各導電性構造体は、レンガパターンに類似して隣り合って及び前後に並んで配置され得る、複数の粒子を含むことができる。
【0015】
粒子は、導電性であり、好ましくは(少なくとも部分的に)半金属及び/又は金属材料、及び/又は、ポリマー、セラミック、及び/又は、例えば、金、銀、銅及び/又は青銅、スズ、亜鉛、鉛、タングステン、水銀、又はそれらの合金等からなり、及び/又は金属表面コーティングを有する。加えて、例えば、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイト、半導体(シリコン、ゲルマニウム)、フラーレン、ポリテトラフルオロエチレン等の更なる材料も考えられる。
【0016】
粒子の表面コーティングは、例えば、(末端)反応性基による、特に、少なくとも1つのチオール基、例えば、11-メルカプトウンデカン酸等、又は複数のチオール基、例えば、ジチオール、特に、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、ベンゼン-1,4-ジチオール、2,2’-エチレンジオキシジエタンチオール、1,6-ヘキサンジチオール、テトラ(エチレングリコール)ジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,9-ノナンジチオール、1,11-ウンデカンジチオール、ヘキサ(エチレングリコール)ジチオール、1,16-ヘキサデカンジチオール等を含むポリマーによる官能化によって達成することができる。官能化された粒子は、金属粒子に選択的に結合し、金属粒子は、官能化された粒子の表面に沿って蓄積してコーティングを形成する。
【0017】
本開示の一実施形態によれば、以下に挙げる要素、すなわち、粒子、第1の接点、第2の接点のうちの少なくとも1つが官能化され、すなわち、少なくとも1つの官能基が設けられる。官能化により、当該要素の他の物質及び/又は要素への選択的な結合が達成される。例えば、チオール基によって要素を官能化すると、当該要素の金属表面への結合が強まる。
【0018】
一実施形態において、例えば、粒子のみを、排他的に及び/又は単独で官能化することができ、それにより、粒子が第1の接点及び第2の接点の金属表面に結合及び/又はより良好に付着する。ここでは、第1の接点及び/又は第2の接点は、それぞれ、官能化を含まない及び/又は官能化しないことができる。換言すれば、第1の接点及び/又は第2の接点は、未処理及び/又は未コーティングとすることができる。粒子の少なくとも一部は、例えば、弱い相互作用を介して第1の接点及び第2の接点のうちの少なくとも1つに結合することができる。これにより、粒子と第1の接点及び/又は第2の接点との電気的接続が向上し得る。また、導電性構造体を狙いどおり及び制御して形成することが可能になり得るため、電子ユニットの概してよりコンパクトな形態が可能になり得る。加えて、第1の部品の直接隣り合う第1の接点及び/又は第2の部品の直接隣り合う第2の接点の間の距離を低減することができるため、電子ユニットの構造サイズを更に低減することができる。
【0019】
更なる実施形態において、粒子と、第1の接点のうちの少なくとも1つ及び/又は第2の接点のうちの少なくとも1つとが官能化される。例えば、粒子及び全ての第1の接点を官能化することができ、第2の接点は官能化しないことができる。代替的に、粒子及び全ての第2の接点を官能化することができ、第1の接点を官能化しないことができる。代替的に、粒子、第1の接点、及び第2の接点を官能化することができる。
【0020】
他の実施形態において、電気接点、又は双方の要素、すなわち、電気接点及び粒子を官能化することができる。
【0021】
金属ナノ粒子の官能化は、例えば、国際公開第2015/103028号、カナダ国特許2712306号、及び米国特許第8,790,552号から既知である。チオール官能化は、例えば、Kellon J.E., Young S.L., & Hutchison J. E. (2019), "Engineering the Nanoparticle-Electrode Interface", Chemistry of Materials, 31(8), 2685-2701から、また、Kubackova J., et al. (2014), "Sensitive surface-enhanced Raman spectroscopy (SERS) detection of organochlorine pesticides by alkyl dithiol-functionalized metal nanoparticles-induced plasmonic hot spots", Analytical chemistry 87.1, 663-669から、さらに、Ahonen P., Laaksonen T., Nykaenen A., Ruokolainen J., & Kontturi K. (2006), "Formation of stable Agnanoparticle aggregates induced by dithiol cross-linking", The Journal of Physical Chemistry B, 110(26), 12954-12958、及びDong T. Y., Huang C., Chen C. P., & Lin M. C. (2007), "Molecular self-assembled monolayers of ruthenium (II)-terpyridine dithiol complex on gold electrode and nanoparticles", Journal of Organometallic Chemistry, 692(23), 5147-5155から既知である。
【0022】
用途に応じて、好適な官能基は様々である。例えば、アルカン、シクロアルカン、アルケン、アルキン、フェニル置換基、ベンジル置換基、ビニル、アリル、カルベン、ハロゲン化アルキル、フェノール、エーテル、エポキシド、エーテル、過酸化物、オゾニド、アルデヒド、水和物、イミン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、ヘミアセタール、ヘミケタール、ラクトール、アセタール/ケタール、アミナール、カルボン酸、カルボン酸エステル、ラクトン、オルトエステル、無水物、イミド、カルボン酸ハロゲン化物、カルボキシル基、カルボン酸誘導体、アミド、ラクタム、ペルオキシ酸、ニトリル、カルバメート、尿素、グアニジン、カルボジイミド、アミン、アニリン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、アゾ化合物、ニトロ化合物、チオール、メルカプタン、スルフィド、ホスフィン、p-イレン、p-イリド、ビオチン、ストレプトアビジン、メタロセン等が挙げられる。これらは、異なる強さで結合し、又は異なるパートナーと結合する。上記に挙げた官能基のうちの1つ以上を、粒子、第1の接点、及び/又は第2の接点を官能化するために使用することができる。
【0023】
本開示の好ましい実施形態によれば、上記に挙げた要素、すなわち、粒子、第1の接点、及び/又は第2の接点のうちの1つ(特に粒子)は、カルボキシル基によって官能化され、粒子、第1の接点、及び第2の接点のうちの別の要素(例えば、第1の電気接点及び/又は第2の電気接点)は、第1級アミンによって官能化される。カルボキシル基は、好ましくはEDC/NHSによって活性化され、それにより、双方の要素(粒子並びに第1の及び/又は第2の電気接点)が共有結合する。続いて、任意選択で、未だ遊離している官能基をエタノールアミンによってブロッキングすることができる。
【0024】
本開示の他の実施形態によれば、上記に挙げた要素、すなわち、粒子、第1の接点、及び/又は第2の接点のうちの1つ(特に粒子)は、チオール基によって官能化される。粒子、第1の接点、及び第2の接点のうちの少なくとも1つの別の要素(例えば、第1の電気接点及び/又は第2の電気接点)は、官能化されない。この場合、上記要素間の選択的な結合は、弱い相互作用を介して生じることができる。
【0025】
また、弱い相互作用を介して粒子が第1の接点に結合し、共有結合を介して粒子が第2の接点に結合することが想定され得る。代替的に、弱い相互作用を介して粒子が第2の接点に結合し、共有結合を介して粒子が第1の接点に結合することが想定され得る。
【0026】
粒子及び電気接点は、1つ以上の同一の又は異なる官能基によってそれぞれ官能化することができる。
【0027】
粒子は、自発的に所定の方向に整列することが可能であることが好ましい。この自己整列性は、例えば、チオール基及び/又はヤヌス(ナノ)粒子及び/又はパッチ粒子によって、及び/又は磁気(粒子及び表面が磁性を有する)によって、及び/又は静電相互作用を介して達成することができる。そのような相互作用は、例えば、正電荷又は負電荷の表面によって、及び/又は弱い相互作用を介して、及び/又は、クリックケミストリー(例えば、チオール-エンクリックケミストリー)、マイケル(Michael)反応等の化学反応(複数の場合もある)を介して達成することができる。
【0028】
最初に述べた第1の部品は、例えば、複数のチップ及び場合によっては更なる部材(ハウジングの有無を問わない)を伴う、パッケージングされた(ハウジング入りの)チップ、ダイ(英:die)、又は電子システムとすることができる。第2の部品は、例えば、ハウジング、チップ、回路基板、又は他の基板とすることができる。
【0029】
本開示の特定の実施形態によれば、第1の部品はダイであり、第2の部品は、回路基板、チップハウジング、又は他の基板である。
【0030】
本開示の一実施形態によれば、第1の部品及び/又は第2の部品は、1つ以上のスペーサーを備え、スペーサーは、第1の接点及び第2の接点の対向する接触面が距離を置いて対向するような寸法になっている。この距離は、例えば、数μm、例えば、20μmとすることができ、又はnm範囲である場合もあり、例えば、100nm以下とすることができる。
【0031】
第1の部品及び/又は第2の部品の接点は、平坦な接触面を有することが好ましいが、接触面は、球状、凹状、又は凸状の面を有してもよい。凹状の接触面は、導電性粒子を含むカプセルが電気接点上に塗布される場合に特に有利である。部品の接点は、同一平面内にあることが好ましい。
【0032】
最初に述べた導電性粒子による導電性構造体は、異なるプロセスにおいて製造することができる。本明細書において提案される第1の変形形態によれば、粒子を浮遊物質として含む懸濁液を、部品のうちの少なくとも一方に直接塗布する。第2の変形形態によれば、導電性粒子を含むカプセルを伴う懸濁液を、部品のうちの少なくとも一方に塗布する。代替的に、カプセルを粉体として塗布することもできる。
【0033】
第1の変形形態に関して、本開示は、例えば集積回路の形態の、複数の第1の電気接点を有する第1の部品と、複数の第2の電気接点を有する第2の部品とを備える電子ユニットを製造する方法であって、少なくとも、
粒子を浮遊物質として含む懸濁液を製造及び/又は準備するステップと、
少なくとも1つの部品の電気接点上に導電性粒子のうちの1つ以上を含む及び/又は備える導電性構造体が形成されるように、懸濁液を部品のうちの少なくとも一方に塗布するステップと、
第1の部品及び第2の部品を、対向する第1の接点及び第2の接点とともに、所与の距離を置いて配置するステップであって、懸濁液の塗布は、例えば、第1の部品及び第2の部品の配置の前又は後に行うことができる、ステップと、
電気接点に結合していない導電性粒子を洗い流す及び/又は除去するステップと、
を実行する、方法に関する。
【0034】
上述したように、以下に挙げる要素、すなわち、粒子、第1の接点、第2の接点のうちの少なくとも1つに、1つ以上の官能基が設けられることが好ましい。粒子、第1の接点、及び/又は第2の接点の官能化に関する本開示の上述及び後述の全ては、本明細書に記載の方法に等しく適用される。
【0035】
一実施形態によれば、本方法は、粒子のみを官能基によって官能化するステップと、粒子の少なくとも一部を、弱い相互作用を介して第1の接点及び第2の接点のうちの少なくとも1つと結合するステップとを更に含む。換言すれば、粒子のみを官能化し、弱い相互作用を介して第1の接点及び/又は第2の接点と結合することができる。
【0036】
一実施形態によれば、本方法は、
粒子を官能基によって官能化することと、
第1の接点及び第2の接点のうちの少なくとも1つを官能基によって官能化することと、
粒子の少なくとも一部を第1の接点及び第2の接点のうちの少なくとも1つと共有結合することと、
を更に含む。
換言すれば、粒子と第1の接点及び/又は第2の接点とを官能化することができる。双方の結合パートナー、すなわち、粒子と第1の接点又は第2の接点とを官能化する場合、粒子は、共有結合を介してそれぞれの結合パートナー(すなわち、第1の接点又は第2の接点)に結合することができる。一方の結合パートナーのみ、すなわち、粒子か第1の接点又は第2の接点かを官能化する場合、粒子は、弱い相互作用を介してそれぞれの結合パートナー(すなわち、第1の接点又は第2の接点)に結合することができる。
【0037】
上記に挙げた懸濁液は、基本物質として、以下に挙げる物質、すなわち、水、エタノールのうちの少なくとも一方を含む溶媒を含む。
【0038】
懸濁液を部品のうちの少なくとも一方に塗布した後、少なくとも一方の部品を乾燥させる乾燥ステップを行うことが好ましい。
【0039】
加えて、電子ユニットは、導電性構造体に含まれる粒子の融点を超えて短時間加熱することができる。ユニットの加熱は、例えば、リフロー炉内で40℃~250℃の温度で行うことができる。これにより、個々の粒子が溶融し、対向する接点を電気的及び機械的に接続するまとまった導電性固体が形成される。代替的又は付加的に、粒子及び/又はアンダーフィルは、リフロープロセスを通して解放及び/又は架橋することができる。
【0040】
最後に、部品のうちの少なくとも一方に電気絶縁物質を更に塗布することができ、電気絶縁物質の塗布は、双方の部品をともに接合する前又は後に行うことができる。電子機器製造、特にフリップチップ取付けにおいて、電気絶縁物質は、アンダーフィルとも呼ばれる。アンダーフィルを使用する主な理由は、シリコンチップと基板とで熱膨張率が異なることによる。アンダーフィルがないと、温度変化によって、チップと基板との接続に非常に高い負荷が生じる場合があり、これにより、疲労及びひび割れがもたらされる。その上、アンダーフィルは、短絡を回避する役目を果たす。
【0041】
アンダーフィル又は電気絶縁物質として、例えば、接着剤、特に、エポキシ樹脂又はPU接着剤又はアクリレート接着剤を使用することができる。
【0042】
第2の変形形態によれば、部品のうちの少なくとも一方に、導電性粒子を含むナノカプセル及び/又はマイクロカプセルを塗布する。カプセル化により、規定質量又は規定体積の粒子又は他の物質を所定の場所に提供し、これらを、活性化メカニズムを介して狙いどおりに解放することが可能になる。
【0043】
第2の変形形態に関して、本開示は、複数の第1の電気接点を有する、例えば集積回路の形態の第1の部品と、複数の第2の電気接点を有する第2の部品とを備える電子ユニットを製造する方法であって、少なくとも、
1つ以上の導電性粒子をそれぞれ含むカプセル(すなわち、第1のカプセル)を製造及び/又は準備するステップと、
カプセルを(例えば、懸濁液又は粉体として)部品のうちの少なくとも一方に塗布するステップと、
第1の部品及び第2の部品を、対向する第1の接点及び第2の接点とともに、所与の距離を置いて配置するステップであって、懸濁液の塗布は、例えば、第1の部品及び第2の部品の配置の前又は後に行うことができる、ステップと、
導電性粒子が解放され、少なくとも一方の部品の電気接点上に配置され、単一又は多数の導電性粒子を含む導電性構造体が形成されるように、カプセルを活性化させるステップと、
を実行する、方法に関する。
【0044】
本開示の好ましい実施形態によれば、カプセルを浮遊物質として含む懸濁液が製造される。懸濁液は、一方又は双方の部品に塗布される。代替的に、カプセルを粉体又はペーストとして、さらに、任意選択でテンプレートを用いて、部品(複数の場合もある)に塗布することもできる。
【0045】
従来技術から、ナノカプセル又はマイクロカプセルを製造する様々な方法が知られている。例えば、溶媒蒸発、熱ゲル化、ゲル形成、界面重縮合、重合、噴霧乾燥、流動層、液滴凍結、押出、超臨界流体、コアセルベーション、エアサスペンション、パンコーティング、共押出、溶媒抽出、分子取込み、噴霧結晶化、相分離、エマルション、in situ重合、界面堆積、ナノ分子篩による乳化、イオンチャネル型ゲル化法、コアセルベーション相分離、マトリックス重合、界面架橋、凝固法、遠心押出、及び/又は1つ以上の更なる方法によって、カプセルを製造することが可能である。
【0046】
導電性粒子を含むカプセルのシェルは、官能化されることが好ましく、それにより、カプセルは、例えば、弱い相互作用によって及び/又は共有結合によって、電気接点の金属表面に特に強く結合する。代替的又は付加的に、電気接点及び場合によっては粒子自体も官能化することができる。粒子、第1の接点、及び/又は第2の接点の官能化に関する本開示の上述及び後述の全ては、本明細書に記載の方法に等しく適用される。
【0047】
本開示の一実施形態によれば、内部に粒子が含まれるカプセルは、1つ以上のチオール基によって官能化される。電気接点は、官能化されないことが好ましいが、任意選択で、第1の接点、第2の接点、又は第1の接点及び第2の接点の双方を官能化してもよい。その他の点では、カプセル及び/又は電気接点の官能化に関して、本開示の上述の全てが等しく適用される。
【0048】
一実施形態によれば、本方法は、カプセル(第1のカプセルとも呼ぶ)のみを官能基によって官能化するステップと、(第1の)カプセルの少なくとも一部を、弱い相互作用を介して第1の接点及び第2の接点のうちの少なくとも1つと結合するステップとを更に含む。換言すれば、(第1の)カプセルのみを官能化することができ、弱い相互作用を介して第1の接点及び/又は第2の接点と結合することができる。任意選択で、粒子、第1の接点、及び/又は第2の接点を官能化することができる。
【0049】
一実施形態によれば、本方法は、
(第1の)カプセルを官能基によって官能化することと、
第1の接点及び第2の接点のうちの少なくとも1つを官能基によって官能化することと、
(第1の)カプセルの少なくとも一部を第1の接点及び第2の接点のうちの少なくとも1つと共有結合することと、
を更に含む。
換言すれば、(第1の)カプセルと、粒子、第1の接点、及び/又は第2の接点とを官能化することができる。
【0050】
マイクロカプセルのシェル又はマイクロカプセルの表面のコーティングは、特に、以下の物質を含むことができる。例えば、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、アガロース、キトサン、デンプン、カラギーナン、ポリスターチ、ポリデキストラン、ラクチド、グリコリド及びコポリマー、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリ無水物、ポリエチルメタクリレート、アクロレイン、グリシジルメタクリレート、エポキシポリマー、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、金属、金属ナノ粒子、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アラビノガラクタン、ポリアクリル酸、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリメタクリレート、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン酢酸ビニル、硝酸セルロース、シリコーン、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、パラフィン、カルナバ、鯨ろう、蜜ろう、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸グリセロール、シェラック、フタル酸酢酸セルロース、ゼイン、ハイドロゲル等を含む。
【0051】
カプセルに含まれる物質を解放するために、カプセルを狙いどおりに開放することができる。これは、「活性化」とも呼ばれ得る。活性化は、例えば、圧力、pH値の変化によって、UV放射、浸透、温度、光強度、湿度、超音波、誘導、加水によって、酵素等によって行うことができる。これにより、カプセルに含まれる物質が解放される時点を正確に制御することができる。
【0052】
カプセルは、第1の部品及び第2の部品をともに接合した後に、本開示に従って活性化させることが好ましい。
【0053】
カプセルとして、例えば、単純なコアシェルカプセル、カチオン性又はアニオン性を有するカプセル、複数のシェル又はシェル材料の複数の層を有するカプセル(いわゆる、多層マイクロカプセル)、顆粒を使用することができる。
【0054】
カプセルは、単一のカプセルであってもよく、又は任意選択で互いに結合することができる複数のカプセルを含むことができるマルチカプセルシステムの一部であってもよい。例えば、2成分カプセルシステム(2Kカプセルシステム)等のマルチカプセルシステムを用いて、異なる物質を規定量又は規定割合で解放することが可能である。ここでは、マルチカプセルシステムの構成要素は、互いに結合されていない複数のカプセル又は互いに結合されている複数のカプセルからなることができることを強調しておく。
【0055】
多重カプセルの個々のカプセルは、同じであっても異なっていてもよい。個々のカプセルは、例えば、シェル材料、シェル厚さ、大きさ、カプセルの内容物、又は活性化メカニズムが異なる場合がある。
【0056】
米国特許出願公開第2012/0107601号から、例えば、圧力に反応し、それに応じて液体を解放するカプセルシステムが既知である。更なるカプセルシステムが、国際公開第2017/192407号、米国特許第8,747,999号、国際公開第2017/042709号、国際公開第2016/049308号、及び国際公開第2018/028058号から既知である。
【0057】
本開示の好ましい実施形態によれば、導電性粒子が第1のカプセルに含まれ、第1のカプセルが、任意選択で、少なくとも1つの第2のカプセルと結合することができる。第2のカプセルは、空であってもよく、又は、例えば、電気絶縁材料(アンダーフィル)若しくは他の所望の材料を含んでもよい。
【0058】
代替的に、他のカプセルと結合されていない単一カプセルを使用することもできる。本開示の一実施形態によれば、導電性粒子を含むカプセルの第1の群が提供され、第2の材料、特にアンダーフィルを含むカプセルの第2の群が提供される。双方の群は、電子ユニットの部品(複数の場合もある)に同時に又は順番に塗布することができる。
【0059】
本方法は、電気絶縁材料を含む第2のカプセルを第1の部品及び第2の部品のうちの少なくとも一方に塗布するステップを更に含むことができる。
【0060】
一実施形態によれば、以下の要素、すなわち、第1の電気接点、第2の電気接点、粒子、導電性粒子を含む第1のカプセル、絶縁材料を含む第2のカプセル、第1の部品の直接隣り合う第1の電気接点間の第1の中間領域、第2の部品の直接隣り合う第2の電気接点間の第2の中間領域のうちの1つ以上が、1つ以上の官能基によって官能化される。
【0061】
特に、任意選択で結合することができる第1のカプセル及び第2のカプセルによるマルチカプセルシステムでは、相補的な結合パートナーの異種官能化を行うことができ、この場合、第1のカプセル及び第2のカプセルの官能化は異なり得る。代替的又は付加的に、第1の接点及び第2の接点の官能化は、第1の中間領域及び第2の中間領域の官能化とは異なってもよい。
【0062】
例えば、第1の部品の直接隣り合う第1の電気接点間には、第1の間隙部又は中間領域を設けることができ、第2の部品の直接隣り合う第2の電気接点間には、第2の間隙部又は中間領域を設けることができ、第2の間隙部は、第1の間隙部に対向することができる。対向する第1の電気接点及び第2の電気接点の間に第1のカプセルに含まれる粒子によって導電性構造体を形成するために、第1のカプセル並びに第1の接点及び第2の接点のうちの少なくとも1つは、第1のカプセルを第1の接点及び/又は第2の接点に結合するように官能化することができる。例えば、第1のカプセルは、チオール基又はアミンによって官能化することができ、第1の電気接点及び/又は第2の電気接点には、チオール基又はカルボキシル基等の対応する相補的な官能化を提供することができる。任意選択で、第1の接点及び/又は第2の接点への粒子の結合を確実にするために、例えば、第1のカプセルと同様に、チオール基又はアミンによって粒子を官能化することもできる。ただし、上記及び下記で説明する他の相補的な官能化も可能である。
【0063】
代替的又は付加的に、第2のカプセルと、第1の部品及び/又は第2の部品の第1の間隙部及び/又は第2の間隙部とを官能化することも想定され得る。この官能化は、任意選択で、第1のカプセル、電気接点、及び/又は粒子の官能化とは異なることができる。これにより、第2のカプセルが間隙部に蓄積し、第1のカプセルが電気接点間に蓄積することを確実にすることができる。
【0064】
例えば、第2のカプセルは、アミン又はチオール基によって官能化することができ、第1の中間領域及び/又は第2の中間領域には、カルボキシル基又はチオール基等の対応する相補的な官能化を提供することができる。ただし、上記及び下記で説明するような他の相補的な官能化も可能である。
【0065】
第1のカプセルの大きさは、一次元において、例えば、電気接点の大きさ(例えば、矩形の接触面の場合、接点の長さ又は幅)に概ね対応することができる。
【0066】
本開示の好ましい実施形態によれば、第2のカプセルの大きさは、同一の部品の隣り合う2つの電気接点間の距離の大きさに概ね対応する。これにより、第1の部品又は第2の部品の直接隣り合う接点間の距離を低減することができる。またこれにより、電子ユニットの構造サイズを低減し、及び/又は、回路密度、若しくは第1の接点及び/又は第2の接点の接点密度を向上することができる。
【0067】
第1のカプセル及び第2のカプセルは、例えば、時間的に順番に活性化させることができる。ただし、第1のカプセル及び第2のカプセルは、同時に活性化させることもできる。
【0068】
第2のカプセルを時間的に遅らせて活性化させることは、例えば、第2のカプセルが、第1のカプセルよりも厚いシェル及び/又は第1のカプセルとは異なるシェル材料を含むことによって達成することができる。代替的に、第1のカプセル及び第2のカプセルを時間的に遅らせて及び/又は連続的に活性化させることは、温度上昇及び/又は圧力上昇及び/又は他の方法によって、例えば、第1のカプセル及び第2のカプセルを活性化させる異なる活性化メカニズムによって行うことができる。第1のカプセルは、例えば、第1の時点で、第1の温度に加熱することによって活性化させることができ、第2のカプセルは、第1の時点よりも後の第2の時点で、第1の温度よりも高い第2の温度に加熱することによって活性化させることができる。
【0069】
第1のカプセルのシェル及び第2のカプセルのシェルは、少なくとも部分的に架橋された(コ)ポリマーを含むことができる。第1のカプセル及び第2のカプセルの連続的な又は時間的に順番の活性化は、第1のカプセル及び第2のカプセルのシェルの(コ)ポリマーの異なる架橋度によって起こり得る。代替的又は付加的に、第1のカプセル及び第2のカプセルの活性化に対して異なる活性化メカニズムを使用してもよい。例えば、第1のカプセルは、温度によって及び/又は温度誘導式に活性化させることができ、第2のカプセルは、圧力によって及び/又は圧力誘導式に又は別様に活性化させることができる。
【0070】
多重カプセルシステムのカプセルのうちの少なくとも1つが官能化されることが好ましい。選択的又は付加的に、第1の接点及び/又は第2の接点を官能化することもできる。本開示の好ましい実施形態によれば、導電性粒子を含む第1のカプセルが、1つ以上の官能基によって官能化される。電気絶縁材料を含む第2のカプセルは、官能化されないことが好ましいが、任意選択で官能化することもできる。
【0071】
官能基は、基本的に、直接又はいわゆるリンカーを介して当該要素と結合することができる。リンカーの選択によって、官能化された要素(粒子及び/又は電気接点及び/又はカプセル)と、官能化された要素が選択的に結合する第2の要素との間の距離を本質的に決定することができる。可能なリンカーとして、例えば、バイオポリマー、タンパク質、シルク、多糖類、セルロース、デンプン、キチン、核酸、合成ポリマー、ホモポリマー、DNA、ハロゲン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリラクタム、天然ゴム、ポリイソプレン、コポリマー、ランダムコポリマー、グラジエントコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ブチルゴム、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ、無機ポリマー、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリシラザン、セラミック、玄武岩、アイソタクチックポリマー、シンジオタクチックポリマー、アタクチックポリマー、線状ポリマー、架橋ポリマー、エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱硬化性プラスチック、半結晶性リンカー、熱可塑性プラスチック、シス-トランスポリマー、導電性ポリマー、超分子ポリマーが挙げられる。
【0072】
一実施形態において、第1のカプセル及び第2のカプセルは、上記に挙げたリンカーのうちの1つ以上を介して互いに結合することができる。特に、第1のカプセル及び第2のカプセルは、互いに共有結合することができる。
【0073】
本開示の更なる態様は、1つ以上の上述及び後述の製造方法に従って製造される1つ以上の電子ユニットに関する。
【0074】
以下、図面を参照して、例示的な実施形態について記載する。図における表現は概略的なものであり、縮尺どおりではない。以下の図面の説明において、同じ又は類似の参照符号が使用される場合、これらは同じ又は類似の要素を指す。
【0075】
以下、本開示を、添付図面に基づいて例としてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】多数の導電性粒子による導電性構造体を介して互いに電気的に接続されている2つの部品を備える電子ユニットの図である。
図2】アンダーフィルが追加された図1の電子ユニットの図である。
図3】2つの部品及び追加のスペーサーを備える電子ユニットの図である。
図4】双方の部品をともに接合する前に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図5】双方の部品をともに接合する前に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図6】双方の部品をともに接合する前に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図7】双方の部品をともに接合する前に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図8】双方の部品をともに接合する前に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図9】双方の部品をともに接合する前に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図10】双方の部品をともに接合する前に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図11】部品をともに接合した後に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を電子ユニットの双方の部品に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図12】部品をともに接合した後に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を電子ユニットの双方の部品に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図13】部品をともに接合した後に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を電子ユニットの双方の部品に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図14】部品をともに接合した後に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を電子ユニットの双方の部品に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図15】部品をともに接合した後に、導電性粒子を浮遊物質として含む懸濁液を電子ユニットの双方の部品に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図16】双方の部品をともに接合する前に、カプセル入りの粒子を含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図17】双方の部品をともに接合する前に、カプセル入りの粒子を含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図18】双方の部品をともに接合する前に、カプセル入りの粒子を含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図19】双方の部品をともに接合する前に、カプセル入りの粒子を含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図20】双方の部品をともに接合する前に、カプセル入りの粒子を含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
図21】双方の部品をともに接合する前に、カプセル入りの粒子を含む懸濁液を部品のうちの一方に塗布する、2つの電子部品を備える電子ユニットを製造する方法の様々な状態のうちの1つを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1は、多数の導電性粒子9による導電性構造体8を介して互いに電気的に接続されている2つの部品2、4を備える電子ユニット1を示している。
【0078】
第1の部品2は、例えば、集積回路6を含み、表面に隣り合って配置された複数の電気接点3を有する、例えばダイ(英:die)又はハウジング入りチップとすることができる。第2の部品4は、同様に互いに距離を置いて配置された複数の電気接点5を有する、例えば、チップハウジング、更なるチップ、回路基板、又は他の任意の基板7とすることができる。
【0079】
導電性粒子9は、例えば、金、銀、若しくは銅、スズ、亜鉛、若しくは様々な合金からなる、又は他の金属による表面に対する接触面を有する卑金属からなることができる、マイクロ粒子又はナノ粒子であることが好ましい。図示の実施形態において、粒子は、所与の方向において平行に並んで整列した棒状のナノ粒子であり、これらの粒子は、互いに接触する。
【0080】
粒子9の大きさが小さいことにより、接点対の対向する接点3、5間の距離は、特に小さくなり、例えば、500nm以下となり得る。
【0081】
導電性粒子9及び/又は接点3若しくは5は、粒子9が好ましくは電気接点3、5に結合されるように官能化されることが好ましい。
【0082】
図2は、隣り合う接点対3、5間の間隙部10に電気絶縁材料11(いわゆるアンダーフィル)が追加で設けられた、図1の構成を示している。アンダーフィルは、例えば、エポキシ樹脂、PU接着剤、又はアクリレート接着剤、プラスチック、ポリマーとすることができる。
【0083】
図3は、電子ユニット1の代替的な実施形態を示しており、ここでは、各部品2、4がスペーサー12を備え、スペーサー12は、双方の部品2、4がともに接合されると、接点3、5の対向する接触面が互いに対して所与の距離をとるような寸法になっている。図示の実施形態において、スペーサーは、部品2、4から外方に突出するとともに、非導電性材料から作製される突出部として実現される。その他の点では、図2に示されている電子ユニット1は、理想的には図1の電子ユニット1と同一の構造であり、したがって、図1の記載を参照されたい。
【0084】
図4図10は、双方の部品2、4をともに接合する前に、導電性粒子9を浮遊物質として含む懸濁液13を部品2、4のうちの一方に塗布する、電子ユニット1を製造する方法の様々な状態を示している。
【0085】
ここでは、粒子9は、チオール基によって官能化されており、したがって、電気接点5の金属表面と選択的に結合する。さらに、電気接点5も官能化され、1つ以上の官能基を有し得る。
【0086】
図4において、導電性粒子9を含む懸濁液13を、容器14から第2の部品4上に注ぐ様子が見られる。
【0087】
図5は、製造プロセス中の、導電性粒子9が官能化によって第2の電気接点5の金属表面に蓄積する状態を示している。これに対して、隣り合う電気接点5間の間隙部10では、結合作用はより弱く、又は存在しないため、ここに存在する導電性粒子9は少なくなる。
【0088】
図6は、導電性粒子9も第2の電気接点5も官能化される更なる実施形態を例示的に示している。ここでは、導電性粒子9は、例えば、カルボキシル基等の第1の官能基R1を含み、電気接点5は、例えば、第1級アミン等の第2の官能基R2を含む。また、双方の官能基R1、R2は、電気接点5上に導電性粒子9の所望の凝集が生じるように、互いに特に強く選択的に結合する。
【0089】
図7は、第2の部品4の表面に付着していない導電性粒子9が洗浄液15によって洗い流される、更なる方法ステップを示している。洗浄液15としては、例えば、水、エタノール、又はそれらの混合物を使用することができる。代替的に、圧縮空気又は他の流体を洗浄プロセスに使用することもできる。結合していない導電性粒子9は、流体の流れにおいて洗い流されることが好ましい。流体の流速に関して、電気接点5上に配置された粒子9が意図せず脱離しないように、流速が高すぎないように注意すべきである。
【0090】
図8において、双方の電子部品2、4は、導電性粒子9の凝集体を介して電気的に接続されるように、互いに対向する接点3、5によってともに接合される。
【0091】
図9は、電子ユニット1の隣り合う接点対3、5間の間隙部10へのアンダーフィル11の塗布を示している。アンダーフィルは、電子機器製造から既知であるように、例えば、電子ユニット1の周辺の計量装置によって塗布することができ、そして、電子ユニット1の間隙部10における毛細管作用に基づいて、間隙部10がアンダーフィル11で満たされるまで流れる。アンダーフィルは、例として、例えば、エポキシ樹脂等の接着剤、又は他の電気絶縁物質とすることができる。結果として、図10に示されているように、非常にコンパクトな構造の電子ユニット1が得られる。
【0092】
図11図15は、双方の部品2、4をともに接合した後に、導電性粒子9を懸濁液13の形態で塗布する、電子ユニット1を製造する方法の様々な状態を示している。
【0093】
図11は、複数の平面状接点3、5をそれぞれ有する2つの電気部品2、4を備える電子ユニット1を示している。部品2、4は、第1の電気接点3及び第2の電気接点5が接触するように、対向する電気接点3、5とともに配置されている。図示の実施形態において、第1の電気接点3及び第2の電気接点5は、残りの接触面よりも突出した部分をそれぞれ有し、この部分は、スペーサー12として機能する。残りの接触面は、互いに距離を置いて位置する。
【0094】
部品2、4をともに接合した後、導電性粒子9を浮遊物質として含む懸濁液13を塗布する。これは、図12に示されている。
【0095】
導電性粒子9は、チオール基によって官能化され、したがって、好ましくは電気接点3、5の金属表面に蓄積する。図13に示されているように、電気接点3、5の対向する接触表面間に残された自由空間が導電性粒子9で満たされる。
【0096】
図14は、金属表面に結合していない導電性粒子9を、洗浄液15を用いて洗い流すプロセスステップを示している。上述したように、洗浄溶液は、水、エタノール、又は他の流体を含むことができる。
【0097】
最後に、図15において、図10に関して上記で既に記載したように、アンダーフィル11を更に追加する。
【0098】
最後に、図16図21は、導電性粒子9をカプセルKの形態で塗布する、電子ユニット1を製造する方法の様々な状態を更に示している。
【0099】
図示の実施形態において、互いに結合している第1のカプセルK1及び第2のカプセルK2を含むダブルカプセルを使用する。第1のカプセルK1には導電性粒子9が入っており、第2のカプセルK2には電気絶縁材料11又はアンダーフィルが入っている。カプセルKは、最初に記載したように、既知のプロセスにおいて製造することができる。2つのカプセルK1、K2を結合してダブルカプセルにすることは、本明細書の全般的な部分にも記載したように、例えば、官能化によって達成することができる。
【0100】
図16は、まず、懸濁液13中に浮遊物質として含まれる多数のダブルカプセル17を伴う懸濁液13を塗布することを示している。この場合、懸濁液13を第2の電子部品4の表面上に単に注ぐことにより、ダブルカプセル17が表面上に均一に分配される。ナノ粒子を含む第1のカプセルK1は、チオール基によって官能化されており、したがって、第2の接点5の金属表面に特に強く結合する。
【0101】
第1のカプセルK1の大きさは、電気接点5の接触面の大きさに概ね対応する。一方、第2のカプセルK2の大きさは、隣り合う2つの電気接点5間の距離10に概ね対応する。第2のカプセルK2は、官能化されていない。したがって、懸濁液13を第2の部品4の表面上に塗布した後、ダブルカプセル17は、図17及び図18に示されているような配置になる。ここでは、電気接点5の各接触表面上に第1のカプセルK1が位置し、第2のカプセルK2は、隣り合う電気接点5間の空間を実質的に満たす。
【0102】
次の方法ステップにおいて、第1の部品2及び第2の部品4の接触面が所与の距離を置いて互いに対向するように、第1の電子部品2を第2の部品4上に配置する(図19の矢印Bを参照)。部品2、4間の所望の距離は、ここでもスペーサー12(図示せず)によって達成される。
【0103】
その後、まず、温度を上昇させることによって第1のカプセルK1を活性化させ、それにより、内部に含まれるナノ粒子9を放出する。ナノ粒子9は、チオール基によって官能化されているため、第1の接点3及び第2の接点5の金属表面と選択的に結合する。選択的又は付加的に、電気接点3、5を官能化することもできる。
【0104】
また、次のステップにおいて、第2のカプセルK2を活性化させ(図20を参照)、それにより、内部に含まれるアンダーフィル11を放出する。第2のカプセルK2を時間的に遅らせて活性化させることは、例えば、第2のカプセルK2がより厚いシェル及び/又は第1のカプセルとは異なるシェル材料を含むことによって達成することができる。代替的に、これは、更なる温度上昇若しくは圧力上昇によって、又は他の方法で行うこともできる。その後、図20に見られるように、アンダーフィル11は、電気接点3、5間の空間に広がり、双方の部品2、4を固く接着する。完成した電子ユニット1が図21に示されている。
【0105】
第1のカプセルのシェル及び第2のカプセルのシェルは、少なくとも部分的に架橋された(コ)ポリマーを含むことができる。第1のカプセル及び第2のカプセルの連続的な又は時間的に順番の活性化は、第1のカプセル及び第2のカプセルのシェルの(コ)ポリマーの異なる架橋度によって起こり得る。代替的又は付加的に、第1のカプセル及び第2のカプセルの活性化に対して異なる活性化メカニズムを使用してもよい。
【0106】
ここで使用される、マイクロ粒子又はナノ粒子9による第1の接点3及び第2の接点5の接触により、充填密度が非常に小さくなり、対応して小型のコンパクトな電子ユニット1を製造することができる。その上、この方法は、特に簡単でコスト効果的である。
【0107】
なお、「含む」及び「備える」は、他の要素又はステップを排除せず、数量を特定しない語は、複数であることを排除しないことに留意されたい。
【0108】
さらに、上記実施形態のうちの1つを参照して記載された特徴又はステップは、他の上述の実施形態の他の特徴又はステップと組み合わせて使用することもできることに留意されたい。特許請求の範囲における参照符号は、限定するものとして解釈されるべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】