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特表2023-542237マイクロレンズアレイを含む光学システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-05
(54)【発明の名称】マイクロレンズアレイを含む光学システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230928BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G02B7/02 F
H01L27/146 D
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023519725
(86)(22)【出願日】2021-01-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021050880
(87)【国際公開番号】W WO2022128163
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P202031247
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519141357
【氏名又は名称】フォトニック センサーズ アンド アルゴリズムス,エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブラスコ,ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジーリオ ペリノ,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】カリオン,レティシア
(72)【発明者】
【氏名】グランディア,ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】アルベントサ,フランシスコ
【テーマコード(参考)】
2H044
4M118
【Fターム(参考)】
2H044AH01
2H044AH14
2H044AH18
4M118AB01
4M118BA09
4M118CA01
4M118GC11
4M118GD04
4M118HA02
4M118HA09
(57)【要約】
光学システム(400)は、マイクロレンズアレイ(104)と、イメージセンサ(108)と、PCB(206)とを含む。マイクロレンズアレイ(104)は、マイクロレンズアレイ(104)の非活性領域(404)の周りに分配される接着剤線(804)もしくは接着剤滴(802)を用いてイメージセンサ(108)に接合される。イメージセンサ(108)は、イメージセンサ(108)の中央領域のみに塗布された粘着剤材料(502)の層を用いてPCB(206)に接合されてもよい。あるいは、イメージセンサは、補強材(207)の上に配置された熱伝導性の樹脂層(109)上に載置することができ、イメージセンサは、イメージセンサ(108)の少なくとも1つの辺に配置された1つ以上の接着剤滴(111)もしくは接着剤線(113)によって、または、イメージセンサ(108)を横方向に取り囲む粘着剤層(115)によって、PCB(206)に取り付けることができる。光学システム(400)は、温度変化に起因するイメージセンサとマイクロレンズアレイとの位置ずれの問題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズアレイ(104)と、イメージセンサ(108)と、プリント回路基板(206)とを含む光学システムであって、前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記イメージセンサ(108)に直接接着されることを特徴とする、光学システム。
【請求項2】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の基部の中央領域上のみに塗布された粘着剤材料(502)の層を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記イメージセンサ(108)は、補強材(207)を介して前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記システム(1700、1800、1900)は、前記イメージセンサ(108)の基部と、以下:
前記プリント回路基板(206)、
前記プリント回路基板(206)に取り付けられた補強材(207)、または、
その底部に取り付けられた補強材を有する前記プリント回路基板、
のうちの1つとの間に配置された樹脂層(109)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の側面のうちの少なくとも1つに塗布された少なくとも1つの接着剤滴(111)もしくは接着剤線(113)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接着剤滴(111)もしくは接着剤線(113)は、弾性粘着剤材料からなることを特徴とする、請求項5に記載の光学システム。
【請求項7】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の単一の側面に塗布された接着剤滴(111)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項5または6に記載の光学システム。
【請求項8】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の複数の側面に塗布された複数の接着剤滴(111)もしくは接着剤線(113)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項5または6に記載の光学システム。
【請求項9】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の対向する側面に塗布された接着剤線(113)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
前記イメージセンサ(108)が、前記イメージセンサ(108)の側面のうちの少なくとも1つに塗布された弾性粘着剤材料を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項11】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の全ての側面に塗布された弾性粘着剤層(115)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項10に記載の光学システム。
【請求項12】
前記樹脂層(109)は、熱伝導性であることを特徴とする、請求項4~11のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項13】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、1つまたは複数の接着剤滴(802)もしくは接着剤線(804)を用いて前記イメージセンサ(108)に直接接合されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項14】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の周囲の少なくとも一対の対向する辺に塗布された1つ以上の接着剤滴(802)を用いて前記イメージセンサ(108)に直接接合されることを特徴とする、請求項13に記載の光学システム。
【請求項15】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の角部に塗布された1つ以上の接着剤滴(802)を用いて前記イメージセンサ(108)に直接接合されることを特徴とする、請求項13に記載の光学システム。
【請求項16】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の周囲の少なくとも一部に塗布された複数の接着剤線(804)を用いて前記イメージセンサ(108)に直接接合されることを特徴とする、請求項13に記載の光学システム。
【請求項17】
前記接着剤線(804)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の前記周囲の少なくとも一対の対向する辺に塗布されることを特徴とする、請求項16に記載の光学システム。
【請求項18】
前記システム(400;1700;1800;1900)において使用される前記粘着剤材料(502;802;804;111;113;115)は、熱伝導性であることを特徴とする、請求項2~17のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項19】
さらに、前記マイクロレンズアレイ(104)を支持するための複数のブロック(1002)を備えることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項20】
前記ブロック(1002)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の角部に配置されることを特徴とする、請求項19に記載の光学システム。
【請求項21】
前記ブロック(1002)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の周囲の各辺の中央部分に配置されることを特徴とする、請求項19に記載の光学システム。
【請求項22】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記イメージセンサ(108)の熱膨張係数と3・10-6-1未満だけ異なる熱膨張係数を有する材料からなるガラス基板(302)を含むことを特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項23】
前記ガラス基板(302)の材料がAF32であることを特徴とする、請求項22に記載の光学システム。
【請求項24】
プレノプティックカメラが、請求項1~23のいずれか一項に記載の光学システム(400;1700;1800;1900)を備えることを特徴とする、ポータブルデバイス用のプレノプティックカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズアレイ、マイクロレンズアレイを組み込んだ光学システム、光照射野画像、および光照射野カメラの分野に含まれる。
【背景技術】
【0002】
マイクロレンズアレイは、特に結像および照明の分野において、多数の適用を有するマイクロ光学構造における一般的な要素である。プレノプティックカメラなどの光照射野(ライトフィールド)デバイスの分野では、マイクロレンズアレイが重要な役割を果たす。
【0003】
プレノプティックカメラは、空間情報だけでなく、シーンの角度情報も取り込むことができる結像装置である。この捕捉された情報は光照射野(LF)として知られ、4次元タプルLF(px,py,lx,ly)として表すことができ、ここで、pxおよびpyはイメージセンサへの光線の到来方向を選択し、lx,lyは、これらの光線の空間位置である。プレノプティックカメラは、典型的にはイメージセンサの前に配置されたマイクロレンズアレイによって形成される。
【0004】
プレノプティックカメラでは、マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の完全な平行位置合わせが極めて重要である。厳しい公差に達する必要があり、そうしないと、光学システムは正しく動作しない。あるいは、光学システムを適切に動作させるために、膨大な量の較正データがカメラに記憶される必要がある。
【0005】
イメージセンサとマイクロレンズアレイとの間の位置ずれ(位置合わせ不良)の問題は、多種多様な原因を有し得る。最も明白なものは、2つの構成要素間の不良な機械的位置合わせである。マイクロレンズアレイがイメージセンサに取り付けられる方法(直接接着される、ホルダを使用するなど)は、特に機械的応力がシステムに導入される場合、位置ずれの原因となり得る。
【0006】
加えて、イメージセンサはプリント回路基板(PCB)に、または基板もしくはPCBに取り付けられる補強材に取り付けられる。イメージセンサがPCBまたは補強材に取り付けられる方法はまた、特に機械的応力下で、イメージセンサの反りに影響を及ぼし得る。
【0007】
位置ずれに起因し得る問題の別の原因は補強材(および/またはPCB)、イメージセンサ、およびマイクロレンズアレイの間の異なる熱膨張係数であり、それは、異なる熱膨張係数がこれらの構成要素の異なる材料に直接依存するからである。
【0008】
これらの問題はすべて、マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の完全な平行位置合わせに、個別にまたは併せて悪影響を及ぼす可能性があり、特にカメラの性能を損なう可能性がある。実際、機械的位置ずれ、イメージセンサ、PCB、補強材、の反りおよびカメラを構成するいくつかの材料の異なる熱膨張の問題は、マイクロレンズアレイおよびイメージセンサが一緒に位置合わせされる方法に依存し、また、これは、材料が温度に伴ってどのように膨張および収縮するかに依存するので、すべて同時に考慮される必要がある。
【0009】
マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の最終的な位置ずれの問題は、より厳しい公差を尊重する必要があるので、システムが小型化されるにつれて、より繊細になる。可能な限り温度変化に敏感でない、可能な限り最良の機械的位置合わせに到達する必要がある。
【0010】
この問題は、先行技術において既に指摘されている。例えば、特許文献US8290358-B1は種々の熱シフトによって引き起こされる位置ずれを取り扱っているが、実際には解決策が文献に提示されていない。特許文献US20150288861-A1はイメージセンサの反りが光学システムに不正確さを生じさせる場合に、レンズスタックアレイに反りを導入することによってそれを保証する試みを開示しているが、この解決策は平行位置合わせに関して最適ではなく、温度振動に非常に依存する。
【0011】
このため、上述した熱シフトによるイメージセンサとマイクロレンズアレイとの位置ずれの問題を解決する光学システムが必要である。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、イメージセンサとマイクロレンズアレイとの間の位置ずれ、とりわけ、温度変化によって引き起こされるものを解決するか、または少なくとも低減する方法を含む、マイクロレンズアレイおよび小型プレノプティックカメラを有する光学システムを指す。
【0013】
光学システムはイメージセンサに取り付けられたマイクロレンズアレイの構造を含み、このマイクロレンズアレイは直接、または基板もしくは補強材を介してPCBに取り付けられ、マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の位置ずれはが低減され、両方の構成要素の相対位置および温度によるそれらの可能な変動についての複雑な較正情報を記憶することを回避する。
【0014】
光学システムにおいて、マイクロレンズアレイは、粘着剤、接着剤、または発泡体を用いて、イメージセンサに直接接合される。この物質は、イメージセンサとマイクロレンズアレイとの間に1組の/1パターンのドットもしくは線を形成するマイクロレンズアレイの非活性領域の周りに分配することができる。接着剤はまた、マイクロレンズアレイの4つの角部(かど)(corners)または側面に液滴として分配することができる。接着剤は、マイクロレンズアレイ上に、イメージセンサ上に、または両方の構成要素間のエアギャップに分配することができる。接着剤滴もしくは接着剤線の粘着剤材料は、好ましくは熱伝導性である。
【0015】
一実施形態では、イメージセンサは、イメージセンサの基部の中央領域上のみに塗布される、好ましくは熱伝導性である、粘着剤材料の層を用いてPCBに接合され、粘着剤材料によって占められる領域は、好ましくはイメージセンサの全面積の10%未満の表面まで延在し、その原点はイメージセンサの中心にある。別の実施形態では、イメージセンサは、イメージセンサ(108)の側面のうちの少なくとも1つに塗布された弾性粘着剤材料を用いてPCBに接合される。
【0016】
別の実施形態では、システムは、イメージセンサの基部とプリント回路基板との間に配置された樹脂層(これはその底部に取り付けられた補強材を有することができる)、またはイメージセンサの基部と補強材との間に配置された樹脂層(これは次にプリント回路基板に取り付けられる)を備え、イメージセンサは、イメージセンサの少なくとも1つの側面上に塗布された少なくとも1つの接着剤滴もしくは接着剤線(好ましくは弾性粘着剤材料からなる)で、または、イメージセンサの1つ以上の側面上に塗布された粘着剤層(好ましくはすべての側面上に塗布される)で、プリント回路基板に接合される。接着剤滴、接着剤線、または粘着剤層の粘着剤材料は、好ましくは熱伝導性である。
【0017】
一実施形態では、イメージセンサは、イメージセンサの単一の側面に塗布された接着剤滴と、イメージセンサの基部とPCBまたはPCBに取り付けられた補強材との間に配置された(ただし接着されていない)樹脂層と、を用いて、プリント回路基板に接合される。この構造は、熱膨張および収縮によって生じるPCB対補強材およびイメージセンサのより自由な変位を保証する一方で、イメージセンサまたは他の構成要素に対する不必要な機械的応力を回避し、なぜなら、それは、単一の接着剤滴である1つの点のみでシステムに機械的に固定されるからである。
【0018】
別の実施形態では、イメージセンサは、イメージセンサの複数の側面上に塗布された複数の接着剤滴もしくは接着剤線を用いて、好ましくは、イメージセンサの対向する側面上に塗布された2つ以上の接着剤線を用いて、プリント回路基板に接合される。
【0019】
さらに別の実施形態では、イメージセンサは、イメージセンサの側面上に塗布された高弾性粘着剤層を用いてプリント回路基板に接合され、樹脂層は、イメージセンサの基部と、PCBまたはPCBに取り付けられた基板もしくは補強材との間に敷設される(接着されない)。粘着剤層の弾性は、PCBおよびカメラの他のすべての構成要素に対する温度変化によって引き起こされる膨張および収縮に対する弾性反応を保証するのに十分に高い。この弾性反応は、任意の異なるX-Y平面方向からの機械的力を中和することによって、その初期位置に対するセンサの任意の変位を防止する。
【0020】
一実施形態では、マイクロレンズが構築されるガラス基板は、熱膨張係数(CTE)がΔ=3×10-6-1の最大差を有するイメージセンサのCTEに一致する材料からなる。
【0021】
一実施形態では、光学システムは、好ましくは同じガラスまたはポリマー材料を有する、マイクロレンズアレイの非活性領域に組み込まれる支持ブロックを含む。ブロックはマイクロレンズアレイを支持するように配置され、X軸およびY軸(ピッチおよびロール)の周りの傾斜を制限しながら、Z方向(イメージセンサに垂直な方向)におけるより容易な位置合わせを保証し、マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の平行性を維持することにも寄与する。
【0022】
本発明の光学システムは、電子モバイルデバイスで使用されるプレノプティックカメラまたはプレノプティックミニカメラに統合することができる。電子モバイルデバイスはたとえば、とりわけ、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、またはコンパクトカメラであり得る。また、IoTアプリケーション、AR/VRアプリケーション、または任意の他のカメラアプリケーションで使用される装置であってもよい。本発明の別の態様は携帯機器用のプレノプティックカメラに関し、プレノプティックカメラは、前述の光学システムを備える。
【0023】
本発明の記述のために、以下の定義および頭字語が考慮される:
マイクロレンズアレイまたはMLA: アレイ状に配列された複数の小型レンズ(マイクロレンズ)。
レンズレットまたはマイクロレンズ: マイクロレンズアレイを形成する各小型レンズ。
プレノプティックカメラ: 空間位置だけでなく入射光線の到来方向も捕捉する装置。
LF: 光照射野、プレノプティックカメラ内のマイクロレンズ(lx,ly)の下のピクセル(px,py)によって捕捉された光の情報を含む4次元構造LF(px,py,lx,ly)。
CTE(α): αとも呼ばれる、材料の線形熱膨張係数。
充填材: 粘着剤/接着剤の一部であり、粘着剤のいくつかの物理的および機械的特性を変化させるかまたは決定する目的を有する化合物。それらは、接着剤の収縮速度を低下させるのに寄与する。
Sx、Sy: X方向とY方向のイメージセンサの寸法。
Sz: イメージセンサの厚さ。
Mx、My: XおよびY方向におけるマイクロレンズの活性領域の寸法。
GSx、GSy: X方向およびY方向におけるマイクロレンズの基板領域の寸法。
GSz: ガラス基板の厚さ。
IRフィルタ: IR光を遮断し、IR光がセンサ上に衝突するのを防止する光学素子。
PCB: プリント回路基板。
補強材: 機械的安定性および剛性を与える硬直性プレート。
【0024】
本発明をより良く理解するのに役立ち、本発明の実施形態と明確に関連する一連の図面を、その非限定的な実施例として提示し、以下に簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】メインレンズ、マイクロレンズアレイ、およびイメージセンサを含む、従来技術による基本的なプレノプティックカメラの概略図を示す。
図2】メインレンズがホルダ内のレンズの胴体によって構成される、従来技術のより現実的なプレノプティックカメラの断面模式図を示す。
図3A図3A図3Bおよび図3Cはマイクロレンズアレイの3つの可能な実施形態を示し、図3Aでは、マイクロレンズ106は、アレイの底部に構築される。
図3B図3A図3Bおよび図3Cはマイクロレンズアレイの3つの可能な実施形態を示し、図3Bでは、マイクロレンズ106は、アレイの上辺に構築される。
図3C図3A図3Bおよび図3Cはマイクロレンズアレイの3つの可能な実施形態を示し、図3Cでは、マイクロレンズ106は、アレイの両辺に構築される。
図4A】プレノプティックカメラに設置された光学システムの、補強材のないマイクロレンズアレイ、イメージセンサ、およびPCBの上面図、側面図、および正面図を示す。
図4B】プレノプティックカメラに設置された光学システムの、補強材のあるマイクロレンズアレイ、イメージセンサ、およびPCBの上面図、側面図、および正面図を示す。
図5】従来技術による、イメージセンサの全領域を覆う接着剤の層によってPCBに取り付けられたイメージセンサを示す。
図6】本発明の一実施形態による、中央領域上のみにおいてPCBに接着されたイメージセンサを示す。
図7】従来技術による、マイクロレンズアレイをイメージセンサに取り付けるために使用されるホルダ構造を示す。
図8A】本発明の様々な実施形態による、接着によってイメージセンサに取り付けられたマイクロレンズアレイの上面図を示す。
図8B】本発明の様々な実施形態による、接着によってイメージセンサに取り付けられたマイクロレンズアレイの上面図を示す。
図8C】本発明の様々な実施形態による、接着によってイメージセンサに取り付けられたマイクロレンズアレイの上面図を示す。
図8D】本発明の様々な実施形態による、接着によってイメージセンサに取り付けられたマイクロレンズアレイの上面図を示す。
図8E】本発明の様々な実施形態による、接着によってイメージセンサに取り付けられたマイクロレンズアレイの上面図を示す。
図8F】本発明の様々な実施形態による、接着によってイメージセンサに取り付けられたマイクロレンズアレイの上面図を示す。
図9A】マイクロレンズアレイとイメージセンサとを互いに接着するための、図9Aおよび図9Bとで2つの異なる技術を示す。
図9B】マイクロレンズアレイとイメージセンサとを互いに接着するための、図9Aおよび図9Bとで2つの異なる技術を示す。
図10A図10A図10Cは、マイクロレンズアレイの非活性領域における、マイクロレンズアレイとイメージセンサのいくつかの例示的な配置を示しており、両構成要素の間にはブロックが配置されている。
図10B図10A図10Cは、マイクロレンズアレイの非活性領域における、マイクロレンズアレイとイメージセンサのいくつかの例示的な配置を示しており、両構成要素の間にはブロックが配置されている。
図10C図10A図10Cは、マイクロレンズアレイの非活性領域における、マイクロレンズアレイとイメージセンサのいくつかの例示的な配置を示しており、両構成要素の間にはブロックが配置されている。
図11A】マイクロレンズアレイおよびイメージセンサの配置の上面図、正面図、および側面図を示し、4つの柱がマイクロレンズアレイの非活性領域に内蔵され、接着剤滴もしくは接着剤線が、マイクロレンズアレイおよびイメージセンサの非活性領域上の各長辺の両方の部分を取り付けるように分配される。
図11B】マイクロレンズアレイおよびイメージセンサの配置の上面図、正面図、および側面図を示し、4つの列がマイクロレンズアレイの非活性領域に内蔵され、マイクロレンズアレイの全周を覆うように分配される。
図12A】イメージセンサとマイクロレンズアレイとの間に、どのようにして熱が位置ずれを生じ得るかの例を示す。
図12B】支持ブロックを含めることが、マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の平行性を維持するのにどのように役立つかを示す。
図13A】両方の部品が非常に異なる熱膨張係数を有するときの、マイクロレンズアレイおよびイメージセンサの熱膨張の効果を示す。
図13B】両方の部品が同様もしくは等しい熱膨張係数を有し、自由かつ調和的に膨張するときの、マイクロレンズアレイおよびイメージセンサの熱膨張の効果を示す。
図14】イメージセンサがその中心によって接着剤を用いてPCBに取り付けられ、マイクロレンズアレイがその中心によって接着剤を用いてイメージセンサに取り付けられ、したがって、温度が上昇したときにすべての構成要素が中心点の周りで自由に膨張することができるような配置の上面図、正面図、および側面図を示す。
図15A】マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の異なる接着選択肢が考慮される光学システム上で実行されるシミュレーションの正面図を示し、これらの4つのケースではイメージセンサおよびPCBは図5のパターンに従って取り付けられる。
図15B】マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の異なる接着選択肢が考慮される光学システム上で実行されるシミュレーションの正面図を示し、これらの4つのケースではイメージセンサおよびPCBは図5のパターンに従って取り付けられる。
図15C】マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の異なる接着選択肢が考慮される光学システム上で実行されるシミュレーションの正面図を示し、これらの4つのケースではイメージセンサおよびPCBは図5のパターンに従って取り付けられる。
図15D】マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の異なる接着選択肢が考慮される光学システム上で実行されるシミュレーションの正面図を示し、これらの4つのケースではイメージセンサおよびPCBは図5のパターンに従って取り付けられる。
図16A】マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の異なる接着選択肢が考慮される光学システム上で実行されるシミュレーションの正面図を示し、これらの4つのケースではイメージセンサおよびPCBは図6のパターンに従って取り付けられる。
図16B】マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の異なる接着選択肢が考慮される光学システム上で実行されるシミュレーションの正面図を示し、これらの4つのケースではイメージセンサおよびPCBは図6のパターンに従って取り付けられる。
図16C】マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の異なる接着選択肢が考慮される光学システム上で実行されるシミュレーションの正面図を示し、これらの4つのケースではイメージセンサおよびPCBは図6のパターンに従って取り付けられる。
図16D】マイクロレンズアレイとイメージセンサとの間の異なる接着選択肢が考慮される光学システム上で実行されるシミュレーションの正面図を示し、これらの4つのケースではイメージセンサおよびPCBは図6のパターンに従って取り付けられる。
図17A】熱伝導性樹脂の薄層がセンサの基部とPCBに取り付けられた補強材との間に塗布され、接着剤滴がセンサの片側、より正確にはイメージセンサとPCBとの間の側部間隙に配置される、別の実施形態を示す。
図17B】補強材を有する異なる実施形態を示す。
図17C】補強材を有さない異なる実施形態を示す。
図18図17Aに示されるものと同様の実施形態を示し、センサの片側に配置された接着剤滴は、イメージセンサの対向する辺に配置された接着剤線と置き換えられる。
図19A】イメージセンサを補強材およびPCBに取り付けたままにするための異なる解決策を示し、ここでは熱伝導性樹脂の薄い層がセンサの基部とPCBに取り付けられた補強材との間に配置され、弾性粘着剤層がPCBとイメージセンサとの間の周囲間隙の周りに塗布される。
図19B】補強材を有する異なる実施形態を示す。
図19C】補強材を有さない異なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔詳細な説明〕
従来技術によるプレノプティックカメラ100は、図1の模式図に示されるように、一般に、メインレンズ102(通常、光学部品の上部胴体または前記メインレンズ102と同等のレンズのセット)、マイクロレンズアレイ104内に配置された複数のマイクロレンズ106、イメージセンサ108を統合する。このシステムは瞳結像システムであり、マイクロレンズアレイ104の各マイクロレンズ106は、プレノプティックカメラのメインレンズ102の主アパーチャの像をイメージセンサ108の小領域(マイクロイメージ110aおよび110b)上に形成する。
【0027】
図1は、プレノプティックカメラ100の主アパーチャ102を横断し、マイクロレンズアレイ104内の中央のマイクロレンズ106aおよび隣接するマイクロレンズ106bにそれぞれ達する2つの光線束(112a、112b)を示す。各光線束(112a、112b)は、イメージセンサ108上に異なるマイクロイメージ(110a、110b)を生成する。マイクロレンズアレイ104は、数十ミクロンのエアギャップ114によって分離されて、イメージセンサ108に対して平行に位置合わせされる。
【0028】
図2は、図1のプレノプティックカメラ100のより現実的な実施形態を示す。この図では、メインレンズ102は、ホルダ202に順に挿入されるいくつかのレンズ(図示せず)の胴体である。メインレンズ102およびホルダ202は、単一の部品であってもよく、または2つの分離された部品であってもよい。フィルタ204は一般にIRフィルタであり、スペクトルの赤外光を遮断する。イメージセンサ108は、プリント回路基板、PCB206に電子的に接続される。
【0029】
マイクロレンズアレイ104は、ガラス基板302(一貫性を提供する)およびマイクロレンズ106自体によって形成される(図3A図3C参照)。マイクロレンズ106はガラス基板302上に堆積されたポリマーで作製することができるが、ガラスのみで構築することもできる。特に、マイクロレンズ106は、ガラス(基板302と同じガラス)のマイクロ光学エッチング、ガラス基板上のマイクロ内蔵ポリマー、またはインクジェットポリマーもしくは他のマイクロ光学技術でマイクロプリントすることによって製造することができる。マイクロレンズアレイ104はイメージセンサ108に取り付けられ、センサ108は直接または補強材(図3A図3Cには図示せず)を介してPCB206に取り付けられる。
【0030】
図3A図3Cに示すように、マイクロレンズ106は、ガラスの底面(図3A)、ガラスの上面(図3B)、またはガラス基板302の両面(図3C)のいずれかに構築することができる。以下の実施例に記載される実施形態は、限定的な実施ではなく、実施例であることが意図される。図3A図3Cは縮尺通りに描かれておらず、マイクロレンズアレイ104の基板302の厚さは通常、200~500μmであり、一方、マイクロレンズ106のサジタはわずか数ミクロンであることに留意されたい(縮尺通りに描かれるべきであるが、それは図2に示される平坦な表面として見える)。マイクロレンズ106がガラス上のポリマーで作られる場合、ポリマーの厚さは約50μm以下である。
【0031】
図4Aは、マイクロレンズアレイ104と、センサ108と、PCB206とを含む光学システム400の概略図を、上方、右側方、および前側から見た図である。デカルト軸(X、Y、Z)を図に示す。
【0032】
理想的な構成では、マイクロレンズアレイ104は、イメージセンサ108の前面に対して完全に平行に位置合わせされ、数十ミクロンのエアギャップ114によって分離され、両方の要素が互いに平行に位置合わせされる。マイクロレンズアレイ104はマイクロレンズ106が構築される寸法Mx×Myの光学的活性領域402を有するが、マイクロレンズアレイ104は、寸法GSx×GSyのサイズを有する非活性領域404(光学的非活性領域)まで延在する。Mx、My、GSxおよびGSyは、約数mmのオーダーである。マイクロレンズアレイ104の各側、(GSx-Mx)/2および(Gsy-My)/2に、約200μmの非活性領域404が存在する(これは、マイクロレンズ106が装着されていない基板302の外側部分である)。マイクロレンズアレイ104の非活性領域404は、接着剤および/または機械的構造を用いてマイクロレンズアレイ104をイメージセンサ108に取り付けるために使用される。
【0033】
イメージセンサ108は、数mm程度のSx×Syのダイサイズを有する。典型的にはシリコン(ケイ素)で構築されるイメージセンサ108の厚さSzは、約100~300μmである。イメージセンサ108の基部(すなわち、下面)は、直接(図4A)または補強材207(図4B)を介して、好ましくは100~200μmの厚さで、PCB206に接着され、これは構造に機械的安定性を与える。
【0034】
接着剤および、イメージセンサ108がPCB206または補強材に接着される方法は、イメージセンサ108の最終的な反りに影響を及ぼし、これは、マイクロレンズアレイ104を位置合わせして取り付けるときに考慮される必要がある。
【0035】
図5は、従来技術において一般的に行われているように、イメージセンサ108の背面の全領域を覆う粘着剤材料の層502(灰色で表される)を使用した、PCB206(または補強材)へのイメージセンサ108の接着を示す。
【0036】
図6は、本発明の一実施形態による、イメージセンサ108の基部の中央領域のみに塗布された粘着剤材料の層502を用いてプリント回路基板206に接合されたイメージセンサ108を示している。イメージセンサ108は直接または補強材を介してPCB206に接合されてもよく、すなわち、粘着剤材料の層502は、PCB206およびイメージセンサ108を一緒に接着するために、または補強材207およびイメージセンサ108を一緒に接着するために塗布されてもよい(その場合、補強材207は、熱接合または感圧粘着剤などの任意の手段によってPCB206に取り付けられる)。接着面積の形状は、この図に示されるように、任意の既知の形状を包含することができ、円形に限定される必要はないことを考慮しなければならない。
【0037】
一実施形態では、粘着剤層502が塗布される中央領域は、実質的にイメージセンサ108の中心に位置する表面であってイメージセンサ108の総面積の10%以下の面積を占める表面まで、延在する。
【0038】
イメージセンサ108は主にシリコン(熱係数α)からなり、PCB206または補強材は熱係数αの金属合金または他の合金からなること、および、α≠αであることを考慮すると、両材料が温度に応じて異なって線形的に膨張するので、両材料の密着性が反りを導入する。図6の実施形態では、イメージセンサ108は、従来技術で使用されている図5の既知の接着技術に比べて、温度でより自由に膨張し、反りの量をより少なくする。この反りの低減は、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間の全体的な位置合わせを改善する。
【0039】
先に説明したように、光照射野の取得および処理において最良の性能を達成するために、マイクロレンズアレイ104は、センサから数ミクロンの距離でセンサに対して完全に平行に固定され、6つの軸(X、Y、Z、ロール、ピッチおよびヨー)に位置合わせされるべきである。従来技術によれば、マイクロレンズアレイ104を保持するために機械的構造を使用することができ、いくつかの軸において機械的安定性を提供することによって位置合わせに寄与することができる。図7において、マイクロレンズアレイ104は、高精度公差で設計されたホルダ502に挿入される。この場合、ホルダ502がこの位置合わせを確実にするので、Z軸およびロールおよびピッチ角(それぞれX軸およびY軸の周りの回転角)が正確に位置合わせされる。他の3つの軸が位置合わせされると、ホルダ502(マイクロレンズアレイ104を支持する)は、接着剤または粘着剤504によってイメージセンサ108の非活性領域に接合される。
【0040】
本発明によれば、マイクロレンズアレイ104は、ホルダ502の代わりに接着剤を用いてイメージセンサ108に直接的に接合される。マイクロレンズアレイ104は、例えばChateauneuf et. al, ”Six-degrees-of-freedom alignment technique that provides diagnostic misalignment information” (2004)およびBrecher et al., “Flexure-Based 6-Axis Alignment Module for Automated Laser Assembly” (2010)に記載されているように、通常はサブマイクロニック精度(極微小物体の、超顕微鏡的)で、6軸位置合わせ技術を使用して、イメージセンサ108と位置合わせされる。図8A図8Fは、接着を実施する異なる方法による、イメージセンサ108に取り付けられたマイクロレンズアレイ104の上面図を示す。灰色で強調された領域は、1つまたは複数の接着剤滴および/もしくは接着剤線を使用してイメージセンサ108に接着されたマイクロレンズアレイ104の領域を表し、接着剤滴は、接着剤塗布処理中にインジェクタの変位なしに離散的に配置され、接着剤線は、表面上のディスペンサの相対移動によって実行されるパターンに従う動的接着剤塗布処理であり、この特定の場合には、この表面は、イメージセンサの画定された領域である。
【0041】
一実施形態では、マイクロレンズアレイ104は、マイクロレンズアレイ104の周囲の少なくとも1ペアの対向する辺に1つまたは複数の接着剤滴802が塗布された状態で、イメージセンサ108に直接接合され、周囲は、非活性領域404に部分的にまたは完全に含まれる。図8Aおよび図8Bに示される場合、4つの接着剤滴802が、マイクロレンズアレイ104の対向する辺に分配され、2つの液滴が各側に分配される。図8Bの場合、周囲が非活性領域404に部分的に含まれ、接着剤滴802は、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108とがすでに適切な距離で位置合わせされた後に、イメージセンサ108の上に堆積されるか、マイクロレンズアレイ104の上に堆積されるか、または、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間のエアギャップ114に分配され得る。
【0042】
別の実施形態では、マイクロレンズアレイ104は、マイクロレンズアレイ104の各角部に塗布された1つ以上の接着剤滴802を用いて、イメージセンサ108に直接接合される。図8Cに示される実施例では、1つの接着剤滴802がマイクロレンズアレイ104のそれぞれの角部に塗布される。
【0043】
マイクロレンズアレイ104は、マイクロレンズアレイ104の周囲の少なくとも一部に塗布された複数の接着剤線804を用いて、イメージセンサ108に直接接合されてもよい。接着剤線804は、好ましくはマイクロレンズアレイ104の周囲の少なくとも1ペアの対向する辺に塗布される。図8Dおよび図8Eに示される実施例では、2つの接着剤線804がマイクロレンズアレイ104のマイクロレンズアレイ104の対向する辺の非活性領域404に分配され、これらの辺の各々の1つに1つの接着剤線があり、接着剤の無い、マイクロレンズアレイ104の他の2つの辺を残している。図8Fに示される場合では、4つの接着剤線804が、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間のエアギャップ114内のマイクロレンズアレイ104の全周囲に沿って分配される。マイクロレンズアレイ104が適所に配置されてイメージセンサ108と正確に位置合わせされると、マイクロレンズアレイ104とセンサ108との間のエアギャップ114の辺から接着剤が分配される。
【0044】
接着剤を分配する様々な方法がある:
マイクロレンズアレイ104の非活性領域404上に直接分配された後、それをイメージセンサ108に近づける。
イメージセンサ108上に分配される。
両構成要素が適切に位置合わせされたとき、両構成要素間のエアギャップ114に分配される。
【0045】
図9Aおよび図9Bは、マイクロレンズアレイ104をイメージセンサ108に接着する2つの方法を示す。図9Aの場合、接着剤(接着剤滴802もしくは接着剤線804)は、マイクロレンズアレイ104を配置して位置合わせする前に、マイクロレンズアレイ104の非活性領域404の上に直接塗布されるか、または、マイクロレンズアレイ104を配置する前に、イメージセンサ108の非活性領域の上に直接塗布される。図9Bでは、接着剤は、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間のエアギャップ114において、それらが適切に位置合わせされた後に分配される。
【0046】
本発明の光学システムはまた、マイクロレンズアレイ104を支持するための複数のブロック(例えば、突起、柱、または壁面として実施されてもよい)を含んでもよく、したがって、接着および/または位置合わせ処理を助ける。支持ブロックはマイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間のエアギャップ114内に配置され、マイクロレンズアレイ104の周囲の少なくとも一部を覆い、非活性領域404においてマイクロレンズアレイ104を支持する。
【0047】
図10Aの実施形態では、マイクロレンズアレイ104およびイメージセンサ108を含む構成の上面図および正面図を示しており、ブロック1002はマイクロレンズアレイ104の角部に配置されている。代替的に、またはそれに加えて、ブロック1002は、マイクロレンズアレイの非活性領域404の上の壁(図10B)または柱(図10C)として構築される、マイクロレンズアレイ104の周囲の各辺の中央部分に配置されてもよい。ブロック1002は、イメージセンサ108上でのマイクロレンズアレイ104の位置合わせを実行するのを助け、また、マイクロレンズ106が構築されるマイクロレンズアレイ104の光学的活性領域402における接着剤の分配を回避する。また、ブロック1002は、温度変化によって生じるマイクロレンズアレイ104の反りの影響を低減するのにも役立つ。
【0048】
ブロック1002は、マイクロレンズに使用されるのと同じ材料で構築することができる。そのようなブロック1002の存在は、構造に機械的安定性を与え、位置ずれを回避するのに役立つ。このようにして、ブロックが正確かつ適切な高さで構築されてそれらがイメージセンサ108上に直接載置されるので、X-Y軸の周りの傾斜およびイメージセンサ108に対するマイクロレンズアレイ104の高さのより良好な集合体が保証される。また、マイクロレンズアレイ104は、X、Y、ヨー(Z軸回りの回転)に位置合わせされてイメージセンサ108に接着されている必要がある。接着は、前述のように、接着剤滴802もしくは接着剤線804を使用して行われる。
【0049】
図11Aはイメージセンサ108に取り付けられたマイクロレンズアレイ104の実施例を示し、マイクロレンズアレイ104の角部に配置されたブロック1002と、マイクロレンズアレイ104の対向する辺に分配された接着剤滴802とを有する。図11Bは、イメージセンサ108に取り付けられたマイクロレンズアレイ104と、マイクロレンズアレイ104の角部におけるブロック1002と、ブロック1002によって占有される角部における領域を除いて、マイクロレンズアレイ104の全周囲に沿って塗布された接着剤線804(または接着剤の等価分布)との場合を示す。これらの実施形態は例示的であることを試みるが、限定的ではない。支持ブロック1002と、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間の直接接着との組み合わせによって、より良好な機械的位置合わせが達成される。
【0050】
支持ブロック1002は、位置合わせ技術を容易にすること以外に、別の重要な目的を有する。ブロック1002は、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108とを可能な限り平行に保つのに寄与する。図12Aは、上側の画像において、室温でイメージセンサ108とマイクロレンズアレイ104の反りが無視できると仮定する光学システム400を描写し、マイクロレンズアレイは図8Aの概要に沿ってイメージセンサ108に接合され、イメージセンサ108は図6のようにPCB206に接合される。温度が(例えば熱を加えることによって)上昇すると、イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104は膨張し、d≠dなので、図12Aの下側の画像に描写されるように、両構成要素間の平行度が部分的に失われる可能性がある。図12Bに描写されるように、ブロック1002を含めることは、ブロック1002が、物理的ブロックとして作用してdをdに実質的に等しくする(または少なくとも非常に近くする)ことに寄与するので、平行度の不足を回避(または少なくとも最小化)し、それによって、多量の較正を必要とすることなく、プレノプティックカメラの光学システム400を適切に動作させる。
【0051】
位置ずれを考慮する場合、温度変化によって生じる部品の線膨張によって生じる位置ずれを考慮することが重要である。図13Aは、マイクロレンズアレイ104およびイメージセンサ108において自由熱膨張が異なるように生じる実施例を示しており、これは、両方の材料が非常に異なる熱膨張係数(CTE)を有するためである。
【0052】
一実施形態によれば、これらの位置ずれを最小限に抑えるために、マイクロレンズアレイ104は、イメージセンサ108のCTEとは3・10-6-1より小さい値分だけ異なるCTEを有する材料で作製されたガラス基板302を含む。図13Bは、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108の線熱膨張の実施例であり、両者が類似または等しいCTE(少なくとも3・10-6-1より小さい差)を有し、それらが自由にかつ調和的に膨張する場合を示している。
【0053】
イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104(ガラス製)の両方が室温(20℃)で反りを受けず、自由に膨張することができる理論上の場合を考慮すると、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間の位置ずれを回避するために、マイクロレンズ106が構築されるガラス基板302は、理想的には、そのCTEがイメージセンサ108のCTEに一致するガラスであるべきである。この場合、両方の構成要素は、構成要素間の相対位置を一定に保ちながら、正確に同じように膨張する。イメージセンサ108と全く同じCTEを有するガラス基板302を見つけることは、まだ不可能である。実施形態によれば、Δα=|α-α|の最大差を有するガラス基板302であって、ここで、αはイメージセンサ108のCTEであり、αはガラス基板302のCTEであり、できるだけΔαを小さくしようとするガラス基板302が用いられる。一実施形態では、AF32は、ガラス基板302のために選択される材料である。両部品(イメージセンサ108およびガラス基板302)は、好ましくは、同じ厚さを有する。
【0054】
すでに述べたように、マイクロレンズアレイ104はガラス基板302およびマイクロレンズ106自体によって形成され、マイクロレンズ106は、ガラス基板302と同じガラスで製造することができ、または例えば、ガラス上にポリマーを組み込むことができる。ポリマーはガラスよりもはるかに高いCTEを有し、これは、反りを引き起こすマイクロレンズアレイ自体の膨張に影響を及ぼし得る。しかしながら、ポリマーはガラスに取り付けられ、ポリマーの厚さはガラスの厚さよりも少なくとも5倍小さい。したがって、ガラスの膨張は、マイクロレンズアレイ104全体の膨張を支配する。いずれにせよ、ポリマーは、図15および図16に説明される熱シミュレーションにおいても考慮され、その結果、ガラスおよびポリマーのCTEの不整合によって誘発される反りが考慮される。
【0055】
イメージセンサ108とマイクロレンズアレイ104が、両方とも単一の素材(シリコンおよびガラス)で構成されており、反りを示さず、他の要素に取り付けられていない部分であることを(理論的に)考慮すると、図13A図13Bは、昇温時のイメージセンサ108とマイクロレンズ104の膨張の実施例を示している。シリコン製センサ108およびガラス製マイクロレンズアレイ104の両方はそれらのそれぞれのCTE(α)に従って膨張し、それらのサイズを3つの空間方向(x、y、およびz)に増加させる。両方の部分が(同じまたは非常に類似したCTEを用いて)調和的に膨張するとき、光学システムは、イメージセンサのピクセルがマイクロレンズと同じように膨張するので、依然として適切に機能する。図13Bに示す場合には、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108とは、同一のCTEを有するため、均整が保たれる。図13Bの下部には、マイクロレンズアレイ104およびイメージセンサ108の中央領域の拡大表示が示されている。デバイスはコリメート光1302で照明され、したがって、マイクロレンズアレイ104内の各マイクロレンズ106は、イメージセンサ108の上にスポット1304を形成する。スポット1304は、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間の相対位置と、マイクロレンズの焦点距離とに応じて合焦(集中)する。これらの図では、簡単にするために、スポット1304はイメージセンサ108上に合焦させて描かれているが、この実施例は限定することを意図していない。図13Bの拡大表示に示されるように、3つのマイクロレンズ(106a、106b、106c)が、(熱膨張前の)連続黒線で描かれ、同じマイクロレンズが(熱膨張後の)破線で描かれる。イメージセンサ108の15個のピクセル1306も(熱膨張前は黒で、熱膨張後は明るい灰色で)描かれている。ピクセル1306の膨張がマイクロレンズ106の膨張に比例するので、各マイクロレンズ106は、システムが加熱され熱的に膨張した後にそのスポット1304を同じ正確なピクセル位置に依然として合焦させる。したがって、マイクロレンズアレイ104のマイクロレンズ106bは、加熱または冷却された後に、図13Bのピクセル番号8に光を集中させる場合、光学システムは調和的に膨張または収縮し、マイクロレンズ106bは、熱膨張後に、依然としてその光をピクセル番号8に合焦させる。隣接するマイクロレンズ(106a、106c)については、それらはそれらのスポットをそれぞれピクセル番号3および番号13に合焦させるが、熱効果による熱膨張または収縮後、光は依然として同じピクセル番号3および番号13に合焦される。そして、イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104の膨張が比例するので、これは、それらが位置する照射野の位置にかかわらず、全てのマイクロレンズ106について起こる。
【0056】
プレノプティックカメラなどの光照射野デバイスでは、マイクロレンズアレイ104に沿ったマイクロレンズの位置は、各マイクロレンズ106が、イメージセンサ108の特定のピクセル1306の中心に位置するその焦点1304を有するように、注意深く設計され、位置合わせされる。すべてガラスで出来ているマイクロレンズアレイ104のCTE(α)と、イメージセンサ108のCTE(α)とが非常に異なっている場合、それらは調和的に膨張せず、マイクロレンズアレイ104およびイメージセンサ108の好ましい設計/位置合わせ位置を失う。これを図13Aに示す。通常の場合では、α>>αであり、マイクロレンズ106がシリコンよりも膨張する。したがって、各マイクロレンズ106の焦点1304は、温度が変化するにつれてピクセル1306に衝突せず、温度に依存するので較正するのが非常に困難な凹凸を生成する。最終的に、CTEにおけるこれらの不整合は、光学システムの性能を劣化させる。室温では、マイクロレンズ106bはそのスポット1304をピクセル番号8に合焦させ、その隣接するマイクロレンズ(106a、106c)はそれぞれピクセル番号3および番号13に光を合焦させる。光学システムが加熱されると、マイクロレンズアレイ104の膨張がイメージセンサ108の膨張と異なるので、好ましい合焦位置は失われる。マイクロレンズ106aはそのスポット1304をピクセル番号2と番号3との間(図13Bのようにピクセル番号3の中心に位置するのではなく)に合焦させ、マイクロレンズ106cはそのスポット1304をピクセル番号13と番号14との間(図13Bのようにピクセル番号13の中心に位置するのではなく)に合焦させる。
【0057】
マイクロレンズアレイ104およびイメージセンサ108の異なるCTEおよび膨張に関して上述した現象は、両方の部品を2つのバルク材料および自由な非取り付け部品とみなす。しかしながら、イメージセンサ108とマイクロレンズアレイ104とは、互いに取り付けられ/接合されている必要がある。加えて、イメージセンサ108はPCB206または補強材に接着され、これはマイクロレンズアレイ104をイメージセンサ108に接着する瞬間に非平坦センサをもたらし得る。前に説明したように、マイクロレンズアレイ104およびイメージセンサ108の取り付けは、マイクロレンズアレイ104をイメージセンサ108に直接接着すること、マイクロレンズアレイ104の非活性領域404に接着剤を分配すること、イメージセンサ108に接着剤を分配すること、または、2つの構成要素が所定の位置に来ると、それらの間のエアギャップ114に接着剤を分配すること、によって行うことができる。
【0058】
好ましい実施形態では、マイクロレンズアレイ104は、接着剤または粘着剤を用いてイメージセンサ108に直接接合される。この場合、6つの軸における良好な位置合わせを保証することが困難であるため、US9766380-B2に開示されているような、カメラの性能を損なう可能性がある機械的な位置ずれを導入することを回避するために、活性位置合わせを行う必要がある。
【0059】
本発明はまた、関与する3つの構成要素(すなわち、マイクロレンズアレイ104、イメージセンサ108、およびPCB206)を接着する方法を考慮し、したがって、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間の位置ずれは劇的に低減される。理想的な状況では、図14に示されるように、3つの構成要素は、各構成要素のまさに中心で、少量の接着剤で互いに取り付けられ、この場合、イメージセンサ108の幾何学的中心に配置される少量の接着剤(粘着剤材料の層502)を用いてイメージセンサ108がPCB206に接着/取り付けられる。この場合、イメージセンサ108とPCB206は、それらの熱膨張係数は異なるが、自由に膨張することができる。イメージセンサ108とマイクロレンズアレイ104との間でも同様である。マイクロレンズアレイ104のまさに中心に少量の接着剤1402を付着させると、両方の構成要素が自由に膨張することができる。実際の状況ではこれは起こり得ない:すなわち、マイクロレンズアレイ104の中心は光学活性領域であり接着剤1402は光の経路を中断することができないので、マイクロレンズアレイ104をそのまさに中心に接着することはできず、したがってこれは起こり得ない。
【0060】
本発明は、マイクロレンズアレイ104をイメージセンサ108に接着する様々な方法、イメージセンサ108をそのまさに中心でPCB206に接着する方法、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間に支持ブロック1002を含む方法、および、イメージセンサ108のCTEに近い特定のCTEを有するマイクロレンズアレイ104のガラス基板302のための材料の選択を含む、熱的影響による位置ずれを回避または最小限にするための様々な技術を提供する。
【0061】
マイクロレンズアレイ104をイメージセンサ108に取り付けるために使用される接着剤または粘着剤、ならびにイメージセンサ108とPCB/補強材とを一緒に接合するために使用される粘着剤は、紫外線硬化性粘着剤であってもよい。マイクロレンズアレイ104をイメージセンサ108に取り付け、イメージセンサ108をPCB/補強材に取り付けるために、最終製品の所望の特性に応じて、同様のまたは異なるタイプの粘着剤/接着剤を使用することができる。好ましくは、粘着剤は、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間の位置ずれを誘発し得る高い機械的応力を導入しないように、硬化プロセス中に非常に低い収縮を示す。また、接着剤は好ましくは揺変性であり、その結果、接着剤滴802もしくは接着剤線804としてマイクロレンズアレイ104の非活性領域404上に、または直接イメージセンサ108上に分配されるとき、マイクロレンズアレイ104に沿って全て散乱しない。粘着剤に充填材を導入することはまた、機械的安定性を与え、接着剤の低収縮に寄与する。
【0062】
マイクロレンズアレイ104をイメージセンサ108に接着する好ましい方法は各特定の光学システムに依存し、これは、反りおよび温度に対する感度ができるだけ低減されるように、最も適切な方法を選択するために注意深く分析されなければならない。そのために、光学システム性能のシミュレーションが考慮され得る。
【0063】
マイクロレンズアレイ104をイメージセンサ108(図8A図8Fに示す)に接着する異なる可能性のシミュレーションのために、図5および図6の両方の場合を考慮する。図15および図16は、すべてのシミュレーションされた概要の概要を示す。これらの図では全ての要素が室温(T=20℃)で平坦で反りのない要素として定義され、次いで、光学システムはT=45℃まで加熱される。シミュレーションにおける変形スケールは実際の変形に比べて50倍強くなり、物体の変形が一目で分かるようになった。グレースケールは、最初の点(T=20℃で定義)に対するY軸方向の各点の絶対変位(UY(mm))を示す。
【0064】
図15A図15Dは、正面図において、図5に示されるように、イメージセンサ108がイメージセンサ108の全領域を覆う粘着剤材料502の層を用いてPCB206に接着される、光学システム400上で実行されたシミュレーションの結果を示す。これらの全ての場合において、イメージセンサ108がPCB206に完全に接着され、PCBと共に膨張するという事実に起因して変形が明らかであり、また、両方の材料が異なるCTEを有するので、それらは、それらの膨張中に互いに対して変形を受ける。これらの図において、マイクロレンズアレイ104は図8A図8Fに示される様々な実施形態に従ってイメージセンサ108に接着され、特に、図15Aは、図8Aに示される接着技術を使用し、図15Bは、図8Dの実施形態を使用し、図15Cは、図8Cの実施形態を使用し、図15Dは、図8Fの実施形態を使用する。このとき、図15Dの実施形態では、反っているにもかかわらず、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ118との距離ができるだけ平行に保たれているため、最良の効果が得られる。
【0065】
図16A~16Dは、光学システム400の正面図を示し、図6に示すように、イメージセンサ108の全表面の約10%を占める領域上に、イメージセンサ108の中央領域のみに塗布された粘着剤材料502の層を用いて、イメージセンサ108がPCB206に取り付けられている。これらの実施形態では、イメージセンサ108は、イメージセンサ108とPCB206との間の機械的応力なしに、より自由に膨張する。これらの図では、マイクロレンズアレイ104は、図8A図8Fの様々な実施形態に従ってイメージセンサ108に接着され、特に、図16A図8Aの接着実施形態を使用し、図16B図8Dの実施形態を使用し、図16C図8Cの実施形態を使用し、図16D図8Fの実施形態を使用する。
【0066】
イメージセンサ108をその中心だけで接着することは、光学システム400が加熱されたときに、イメージセンサ108とマイクロレンズアレイ104との間の位置ずれを劇的に低減する。図16A図16Dの実施形態のいずれも、この理由により、図15A図15Dの実施形態よりも良い選択肢である。したがって、UY変形スケールに見られるように、反りがより少なく、イメージセンサ108とマイクロレンズアレイ104との間の平行性がより高くなるので、図16A図16Dの実施形態は好ましい実施形態である。
【0067】
図17Aは、イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104がY-X軸上の不変の位置に保持される光学システム1700の別の実施形態の上面図および正面図を示す。イメージセンサ108の基部とPCB206との間、または、(図17Aに示される実施形態のように)PCB用の補強材が使用されるときは、イメージセンサ108の基部と、PCB206に取り付けられた補強材207との間に、樹脂層109が配置される。樹脂層109は好ましくは熱伝導性であり、これは、システムによって生成された熱を排気することをより容易にし、熱膨張および熱収縮の最小化に寄与し、システムの耐用年数中の欠陥をより少なくする。イメージセンサ108は樹脂層109の上に配置され、マイクロレンズアレイ104はイメージセンサ108の上に配置される。マイクロレンズアレイ104は、先の実施形態で説明したように、1つ以上の接着剤滴802もしくは接着剤線804を用いてイメージセンサ108に直接接合される。
【0068】
イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104を、PCB206または補強材207のような他のカメラ要素によって引き起こされる最小限の機械的応力でX-Y軸上に位置合わせしたままにするために、接着剤滴111が、イメージセンサ108の片側に配置され、PCB206に貼り付けられる。接着剤滴111は、好ましくは弾性接着剤で作られる。接着剤滴111はアンカーとして働き、このテザリング点と、PCB/補強材上の樹脂層109によって可能にされる機械的応力の欠如とに起因して、イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104を同じ相対X-Y位置に保つ。PCB206の横方向突出部はPCB206上に施されたエッチングプロセスの結果であり、その厚さの一部は、局所領域において除去され、イメージセンサ108を取り囲むPCB206のエッジを残す。イメージセンサ108は、光学システムとそれに対応するカメラアセンブリとが高さにおいてよりコンパクトになるように、PCB206の横方向突出部の間に配置される。
【0069】
図17Aの実施例では、エッチングプロセスの後、PCBの中央領域は完全に消失し、PCB206の横方向突出部のみが残る。別の実施形態では、図17Bに示されるように、中央領域の厚さはエッチングプロセス中に低減されるが、完全には除去されない。この場合、樹脂層109はイメージセンサ108の基部とPCB206との間にあり、補強材207は、PCB206の基部に取り付けられて、セットに剛性または機械的硬直性を提供する。さらに別の実施形態では、図17Cに示すように、樹脂層109はイメージセンサ108の基部とPCB206との間に位置するが、この場合、補強材207は使用されない。
【0070】
図18は、図17Aに示される光学システムに対応する光学システム1800の別の実施形態の上面図および側面図を示し、唯一の違いは、イメージセンサ108の単一の側面に配置された接着剤滴111の代わりに、この特定の場合には、イメージセンサ108の対向する側面に2つ以上の接着剤線113が配置されることである。イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104をX-Y軸上に位置合わせしたままにするために、および、PCB206または補強材207からの機械的応力によって反らないように保つために、2つの接着剤線113がイメージセンサ108の対向する辺に配置され、PCB206に貼り付けられる。接着剤線113は、弾性接着剤で作られることが好ましい。接着剤線113は、これらのテザリングラインの機械的固定と、PCB206および/または補強材207の温度変化および異なるCTEによって引き起こされる寸法変化を物理的に吸収するそれらの能力とに起因して、イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104を同じ相対X-Y位置に保つのに役立つ。樹脂層109は、センサに反りを生じさせずに、イメージセンサ108の下のPCB206および/または補強材207の、応力のない膨張および収縮を可能にする。単一の接着剤滴111の代わりに2つの接着剤線113を使用することも、図17Bおよび図17Cに示される実施形態に適用することができる。
【0071】
図19Aに示される実施形態は、イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104をY-X軸上の不変の位置に保ち、PCB206または補強材207によって引き起こされるゆがみを最小限に抑えるように設計された光学システム1900の上面図および正面図を示す。マイクロレンズアレイ104は、前述の実施形態のいずれかによるイメージセンサ108に接合される。(図19Aに示す実施形態のように)補強材が使用される場合、イメージセンサ108の基部とPCB206との間、または、イメージセンサ108の基部とPCB206に取り付けられた補強材207との間に、樹脂層109が配置される。イメージセンサ108とPCB206との間の周囲間隙には、弾性粘着剤層115が配置されており、イメージセンサ108の側壁が弾性粘着剤層115によって覆われている。
【0072】
樹脂層109および粘着剤層115は好ましくは熱伝導性であり、システムに対してより大きな安定性を提供し、システムの異なる要素に対する温度の上昇によって引き起こされる影響を最小限に抑える。したがって、イメージセンサ108の、上端面および基部を除くすべての面は、粘着剤層115によって囲まれ、これらの側面のいずれも、非常に異なるCTEを示すPCB206および/または補強材207と直接接触しない。この実施形態では、イメージセンサ108上のPCB206および/または補強材207の収縮および膨張によって生じる機械的応力の結果が、好ましくは高い弾性率を有する粘着剤層115の弾性によって相殺されることを可能にすることによって、イメージセンサ108およびマイクロレンズアレイ104がX-Y座標上のそれらの相対位置を維持するように管理する。
【0073】
図19Bに示される実施形態では、PCB206の中央領域の厚さはエッチングプロセス中に低減されるが、完全には除去されず、その結果、樹脂層109はイメージセンサ108の基部とPCB206との間に位置し、補強材207はPCB206の下に配置される。図19Cの実施形態では、補強材207は使用されていない。
【0074】
エッチングプロセスにおけるPCBおよび/または補強材の同様の配置を、図4Bの実施形態に適用することができる(例えば、イメージセンサ108は、PCB206のエッチングされた中央領域に直接的に接着されることができ、補強材207は、PCB206の基部に取り付けられる)。
【0075】
要約すると、プレノプティックカメラ100では、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間の相対位置は基本的である。これらの2つの要素が、温度変動とは無関係に、平行かつ一定の距離に保たれる場合、カメラは、大量の較正情報を必要とすることなく、適切に動作する。本発明は、いくつかの接着技術、特定のCTEを有するマイクロレンズアレイのガラス基板の材料の選択、および、マイクロレンズアレイに物理的なブロックを含めることに言及し、これらは、組み合わされると(例えば、図11および図12の実施形態のように)、マイクロレンズアレイ104とイメージセンサ108との間の正確な位置合わせに相乗的に寄与し、温度に対してできるだけ非感受性の堅牢なシステムを達成する。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図18
図19A
図19B
図19C
【手続補正書】
【提出日】2022-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズアレイ(104)と、イメージセンサ(108)と、プリント回路基板(206)とを含む光学システムであって、前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記イメージセンサ(108)に直接接着され、前記システム(1700、1800、1900)は、前記イメージセンサ(108)の基部と、以下:
前記プリント回路基板(206)、
前記プリント回路基板(206)に取り付けられた補強材(207)、または、
その底部に取り付けられた補強材を有する前記プリント回路基板、
のうちの1つとの間に配置されるが接着されない樹脂層(109)を備え、
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の側面のうちの少なくとも1つに塗布された、少なくとも1つの接着剤滴(111)もしくは線(113)または弾性粘着剤材料(115)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、光学システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの接着剤滴(111)もしくは線(113)は、弾性粘着剤材料からなることを特徴とする、請求項に記載の光学システム。
【請求項3】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の単一の側面に塗布された接着剤滴(111)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の複数の側面に塗布された複数の接着剤滴(111)もしくは接着剤線(113)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学システム。
【請求項5】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の対向する側面に塗布された接着剤線(113)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項に記載の光学システム。
【請求項6】
前記イメージセンサ(108)は、前記イメージセンサ(108)の全ての側面に塗布された弾性粘着剤層(115)を用いて前記プリント回路基板(206)に接合されることを特徴とする、請求項に記載の光学システム。
【請求項7】
前記樹脂層(109)は、熱伝導性であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項8】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、1つまたは複数の接着剤滴(802)もしくは接着剤線(804)を用いて前記イメージセンサ(108)に直接接合されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項9】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の周囲の少なくとも一対の対向する辺に塗布された1つ以上の接着剤滴(802)を用いて前記イメージセンサ(108)に直接接合されることを特徴とする、請求項に記載の光学システム。
【請求項10】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の角部に塗布された1つ以上の接着剤滴(802)を用いて前記イメージセンサ(108)に直接接合されることを特徴とする、請求項に記載の光学システム。
【請求項11】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の周囲の少なくとも一部に塗布された複数の接着剤線(804)を用いて前記イメージセンサ(108)に直接接合されることを特徴とする、請求項に記載の光学システム。
【請求項12】
前記接着剤線(804)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の前記周囲の少なくとも一対の対向する辺に塗布されることを特徴とする、請求項11に記載の光学システム。
【請求項13】
前記システム(400;1700;1800;1900)において使用される前記粘着剤材料(502;802;804;111;113;115)は、熱伝導性であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項14】
さらに、前記マイクロレンズアレイ(104)を支持するための複数のブロック(1002)を備えることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項15】
前記ブロック(1002)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の角部に配置されることを特徴とする、請求項14に記載の光学システム。
【請求項16】
前記ブロック(1002)は、前記マイクロレンズアレイ(104)の周囲の各辺の中央部分に配置されることを特徴とする、請求項14に記載の光学システム。
【請求項17】
前記マイクロレンズアレイ(104)は、前記イメージセンサ(108)の熱膨張係数と3・10-6-1未満だけ異なる熱膨張係数を有する材料からなるガラス基板(302)を含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項18】
前記ガラス基板(302)の材料がAF32であることを特徴とする、請求項17に記載の光学システム。
【請求項19】
プレノプティックカメラが、請求項1~18のいずれか一項に記載の光学システム(400;1700;1800;1900)を備えることを特徴とする、ポータブルデバイス用のプレノプティックカメラ。
【国際調査報告】