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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】食品加工器具及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/07 20060101AFI20230929BHJP
【FI】
A47J43/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576060
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2021068420
(87)【国際公開番号】W WO2022008390
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】2010622.5
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522408474
【氏名又は名称】デロンギ ブラウン ハウスホールド ゲゼルシャフトミットベシュレンクテルハフツング
【氏名又は名称原語表記】DE’LONGHI BRAUN HOUSEHOLD GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルファート、 パスカル
(72)【発明者】
【氏名】アイセンガルテン、 クリストフ
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA01
4B053BA02
4B053BA12
4B053BA14
4B053BB01
4B053BC14
4B053BD02
4B053BD13
4B053BE12
4B053BF03
4B053BL03
4B053BL20
(57)【要約】
食品加工器具100は、内部に容積を画定するハウジング110を有する。器具100は、シャフトに取り付けられたブレード付き器具130を回転軸の周りに駆動する駆動シャフト102を含む。インサート120は、ハウジング110内に配置され、その開口部を通してハウジングの外側に開口する加工容積を画定するように配置される。インサート120は、ハウジング110と一体である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に容積を画定するハウジングを有する食品加工器具であって、
駆動シャフトであって、該駆動シャフトに取り付けられたブレード付き器具を回転軸の周りで駆動するように構成された駆動シャフトと、
前記ハウジングの開口部を通して前記ハウジングの外側に開口する加工容積を画定するように、前記ハウジング内に位置し配置されたインサートと、を有し、
前記インサートは前記ハウジングと一体である食品加工器具。
【請求項2】
前記インサートは、前記インサートの表面から前記加工容積の中に延びる複数のリブを備える、請求項1に記載の食品加工器具。
【請求項3】
前記複数のリブは、隙間によって前記ハウジングから分離され、前記インサートは、前記ハウジングに溶接され、好ましくは前記隙間が少なくとも1mmであり、より好ましくは少なくとも2.5mmであり、さらにより好ましくは2.5~3mmの範囲である、請求項2に記載の食品加工器具。
【請求項4】
前記複数のリブは、該リブの長さの大部分にわたって前記回転軸に対して実質的に直角に半径方向に延在し、前記インサートの中央突起部から、または前記回転軸と同心の仮想円筒から、好ましくは、接線方向ではなく正確に半径方向に延在する、請求項2または3に記載の食品加工器具。
【請求項5】
前記複数のリブはそれぞれ、前方傾斜部および後方傾斜部を含み、前記ブレード付き器具の回転方向に対して前記前方傾斜部によって形成される最小角度が、前記後方傾斜部の最小角度よりも急であり、より好ましくは、前記前方傾斜部が約45度の角度を形成する、請求項2から4のいずれか一項に記載の食品加工器具。
【請求項6】
前記複数のリブは、前記ブレード付き器具の回転方向から離れて湾曲し、好ましくは、前記リブは、前記ハウジングの螺旋/ねじれ形状及び/又は前記ブレード付き器具のブレードの湾曲に沿うように湾曲する、請求項2から5のいずれか一項に記載の食品加工器具。
【請求項7】
前記ハウジングは、該ハウジングの内側の周りを流れる食品を前記ハウジングから離れるように案内するように構成された半径方向の最大点および最小点を含み、好ましくは、前記インサートは、前記半径方向の最大点および最小点に沿うように形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の食品加工器具。
【請求項8】
前記ハウジングの前記開口部は、軸方向の最大点と最小点を含み、好ましくは前記半径方向の最大点と最小点がそれぞれ前記軸方向の最大点と最小点に対応する、請求項7に記載の食品加工器具。
【請求項9】
前記ハウジングと前記インサートとの間の液体の侵入に対して密封するように、前記インサートが前記ハウジングに密封的に溶接されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の食品加工器具。
【請求項10】
前記ハウジングの内面の70%未満が前記インサートによって覆われている、請求項1から9のいずれか一項に記載の食品加工器具。
【請求項11】
前記ハウジングおよび前記インサートは、食器洗浄機及び/又は食品に安全な材料、好ましくはステンレス鋼で作製される、請求項1から10のいずれか一項に記載の食品加工器具。
【請求項12】
前記ハウジングの外面が、前記回転軸に対して90度以上、好ましくは135度以上の最大角度を形成し、さらに好ましくはベル形状である、請求項1から11のいずれか一項に記載の食品加工器具。
【請求項13】
回転ナイフと、一方の側で前記回転ナイフを軸方向に取り囲むルーフを含むハウジングと、前記ナイフの回転容積の周縁の周りで半径方向に前記ナイフを取り囲むスカートと、を含む食品加工器具であって、前記スカートは、前記ナイフの回転容積に向かって半径方向内側に延在する複数の突出部を備え、前記ルーフは、前記ナイフに向かって軸方向に延在し、かつ前記突出部の間で半径方向に延在する複数のリブを備える、食品加工器具。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の食品加工器具を備える食品加工装置。
【請求項15】
食品加工器具を製造する方法であって、
a)中間物を製造するために板金を型抜き、打ち抜き、または切断加工する工程と、
b)前記中間物を型抜き及び/又は深絞り加工して複数のリブを有するインサートを作製する工程であって、好ましくは前記複数のリブが前記インサートの縁部まで延在していない工程と、
c)前記インサートをハウジングに溶接、好ましくはレーザー溶接する工程と、を含み、
好ましくは、工程a)および工程b)が同時に行われ、及び/又は工程a)および工程b)が同じ金型を用いた型抜き/打ち抜き加工によって行われる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加工器具及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレンダーは、典型的には、食品材料のブレンド、細断、破砕などのために使用される、回転ブレードに取り付けられたモータユニットを有する台所器具である。「ハンドブレンダー」として知られるこの変形例は、手持ち式のようなサイズ及び重さのモータユニットを含み、モータユニットから離れる方向に延びるシャフト上にブレードが設けられている。
【0003】
ブレンディング器具の安全な動作を可能にするために、回転ブレードを保護ハウジングで部分的に囲むことが必要である。このハウジングは、典型的にはブレードの上方およびその周りに延在する。「ベル」として知られるこの特定の変形例は、ベル形状であり、すなわち、シャフトから離れてシャフトの延長方向に向かって、90度を超える角度で、好ましくは、135度を超える角度で延在し、その角度は、一方の端、すなわちモータに向かってその延長に沿ってシャフトから、モータから離れるシャフトの延長方向に向いている他方の端まで延びる円弧(すなわち、最大角度)で測定される。この傾斜した形状は、ハウジングに向かってシャフトを下って流れる食品が、突出した表面に引っかかるのではなく、傾斜した表面に沿ってハウジングの開放端に向かって流れ続けることを保証するのに役立つ。
【0004】
しかしながら、これらのハウジングは、食品材料が処理対象のブレードに流れ、単にブレードと一緒に回転しないこと、および食品が処理されないブレンダーハウジング内のデッドゾーンが回避されることを保証するという問題を招く。ベル形状では、適切に傾斜した表面を形成しながらブレードを収容するためにハウジングが回転ブレードの上方にある程度の距離だけ延びる必要があるため、この問題は、傾斜したハウジングによってブレードの上方に形成される空間がデッドゾーンになる可能性が非常に高いので、ベル形状のハウジングでは特に深刻である。
【0005】
ブレードに向かって食品を案内する問題の1つの解決策は、ハウジングの側面からブレードに向かって延びるハウジング内に複数のリブを設けて、ハウジングの内側の周りをブレードに向かって流れる食品を案内することである。例えば、英国特許出願公開2469639号明細書は、ブレードに向かって内側に延在するハウジングの側面に複数のリブを設けることを教示している。しかしながら、この解決策は、ブレードの上方の食品の流れ及びデッドスペースの問題を解決していない。
【0006】
独国特許第102015207196号明細書は、ベル内のブレードの上方の空間を隔壁によって分割して、ブレードの上方の空間を減少させ、そこでデッドゾーンの形成を回避するという、デッドゾーンの問題に対する1つの提案された解決策を開示している。しかしながら、これには、仕切板が、ベル内を流れる食品が仕切りの上方の複数のリブに接触するのを妨げ、上方からブレードに向かって食品を案内するのを妨げるという欠点がある。仕切板とベルとの間の密閉性も悪く、仕切板の上方の空間に食品が侵入する可能性がある。
【0007】
独国特許出願公開第102013219835明細書は、ベル形状のハウジングを分割するために複数のリブが設けられたプラスチックカバーを提供することを開示している。このカバーの凹形状は、食品が間に捕捉され得る過度に深い複数のリブを必要とする。さらに、これらのリブは、カバーの外面までずっと延びており、そのため、その設計および外面への取り付けが複雑になっている。最後に、この設計は、カバーとベルとの間のシールが不十分であり、カバーとベルとの間に食品が侵入し、食器洗浄機で効果的に洗浄できないという問題がある。
【0008】
本発明は、従来技術の上述の問題を少なくとも部分的に改善することを目的とする。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一態様では、内部に容積を画定するハウジングを有する食品加工器具が開示され、この器具は、シャフトに取り付けられたブレード付き器具を回転軸の周りで駆動するように構成された駆動シャフトと、ハウジングの開口部を通してハウジングの外側に開口する加工容積を画定するようにハウジング内に位置し配置されたインサートとを備え、インサートはハウジングと一体である。これは、ハウジングと一体のインサートを提供することで、インサートとハウジングとの間のシールを改善しながら、ブレード付き器具の上方の「デッドゾーン」を低減するのに役立ち得るので、有利である。
【0010】
本明細書で使用される場合、互いに「一体」である部品は、好ましくはそれらが互いに非破壊的に分離可能ではないことを意味し得る。互いに「一体」の部品は、例えば、溶接、ろう付け、又は接着によって互いに一体化された部品を含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「インサート」は、好ましくは別のアイテムに/上に挿入されるアイテムを意味し、別のアイテムとは異なるアイテムを意味し得る。本明細書で使用される場合、用語「インサート」及び「一体化」は一緒に使用されるとき、好ましくは、別のアイテムの中/上に(適切には製造中に)挿入され、次いで(一旦挿入されると)その別のアイテムと一体化されるアイテムを指す。すなわち、インサートは、好ましくは、最初(組み立ての前)は別個の構成要素であるが、組み立ての後は器具から非破壊的に分離可能ではない。
【0011】
好ましくは、インサートは、インサートの表面から加工容積の中に延びる複数のリブを備える。これは、複数のリブが改善された切断のために、食品をブレードに向けて案内するのに役立ち得るので、有利である。表面は、好ましくはほぼ平坦な表面である。
【0012】
本発明の別の態様では、回転ナイフ(及び/又はそのためのマウント)と、回転ナイフを一方の側で軸方向に取り囲む(すなわち、回転器具の軸を取り囲む)ルーフを備えるハウジングとを備える食品加工器具が開示される。好ましくは、回転ナイフがルーフに取り付けられるか、またはルーフから離れて延在する。スカートはナイフを取り囲み、好ましくは(少なくとも部分的に)ナイフの回転容積の周囲を半径方向に取り囲む。スカートは、ナイフの回転容積に向かって半径方向内側に延びる突出部を含み、ルーフは、ナイフに向かって軸方向に延在し、かつ突出部の間で半径方向に延在する複数のリブを含む。この構造は、ナイフに向かう流れを増強する。ルーフは、本明細書に記載のインサートの表面であってもよい。
【0013】
本発明の別の態様では、表面と表面のスカートとを含む食品加工器具用ベルが開示され、スカートは内側に延びる突出部を有し、表面は内側/下方に延びる複数のリブを有し、複数のリブは好ましくは突出部間の隙間に対応するように配置される。
【0014】
好ましくは、複数のリブが間隙によってハウジング/スカートから分離され、任意選択的に、インサートがハウジングに溶接される。好ましくは、間隙は少なくとも1mmである。より好ましくは、隙間は少なくとも2.5mmである。さらにより好ましくは、隙間は2.5~3mmの範囲である。これは、隙間がハウジングへのインサートの溶接をより良好に可能にするので、器具をより安価に構成できるので有利である。
【0015】
好ましくは、複数のリブは、その長さの大部分にわたって回転軸に対して実質的に直角に(一般に)半径方向に延びる。好ましくは、複数のリブは、インサートの中央突起部から、または回転軸と同心の仮想円筒から、接線方向ではなく正確に半径方向に延びる。これは、ブレード付き器具の長さに沿って均一な効果を保証することができる。
【0016】
複数のリブは、任意選択に、それぞれ、前方傾斜部と、後方傾斜部とを備え、ブレード付き器具の回転方向に対して前方傾斜部によって形成される最小角度は、後方傾斜部の最小角度よりも急であり、より好ましくは、前方傾斜部が約45度の角度を形成する。これにより、乱流が少なくなり、食品の加工が良好になる。
【0017】
複数のリブは、好ましくは、ブレード付き器具の回転方向から離れるように(器具の回転軸から離れるように)湾曲し、より好ましくは、複数のリブは、ハウジングの螺旋/ねじれ形状及び/又はブレード付き器具のブレードの湾曲に沿うように湾曲する。ハウジングの螺旋/ねじれ形状に適合することにより、ハウジングから食品が加工される領域への食品の流れを向上させることができる。ブレードの形状に適合することにより、ブレードの下の圧力を高めることができる。
【0018】
任意選択的に、ハウジングは、ハウジングの内側の周りを流れる食品をハウジングから離れるように案内するように構成された半径方向の最大点および最小点(すなわち、外側に突出する部分および内側に突出する部分)を備える。これにより、食品材料がハウジングの近くに留まり、加工されないことを防止する。
【0019】
好ましくは、インサートが半径方向の最大点および最小点に沿うように成形される。これにより、密閉および単純な構造を保証することができ、露出したハウジングの表面全体で半径方向の最大点が利用可能になり、ハウジングが最大点/最小点とインサートとの間に移行領域を持つ必要がなくなる。
【0020】
任意選択的に、複数のリブは、半径方向の最大点まで(すなわち、半径方向の最大点までおよび半径方向の最小点の間に延びるインサートの部分まで)延びる。これにより、複数のリブのためのより多くの空間を提供する。
【0021】
ハウジングの開口部は、任意選択的に、軸方向の最大点および最小点(すなわち、上向きおよび下向きに突出する部分)を備え、好ましくは、半径方向の最大点および最小点は、それぞれ軸方向の最大点および最小点に対応する。これらの軸方向の最大点と最小点により、ハウジングの開口部が表面に押し付けられた場合でも、食品がハウジングに流れ込み続けることを保証できる。軸方向の最大点および最小点を半径方向の最大点および最小点に対応させることにより、食品材料がブレード付き器具により近いハウジングに確実に入るようにすることもできる。
【0022】
インサートは、好ましくは、ハウジングとインサートとの間の液体の侵入に対して密封するように、ハウジングに密封的に溶接される。これは、使用時又は器具の洗浄中にインサートの上方の空間への液体の侵入を防止することができるので有利である。
【0023】
ハウジングおよびインサートは、食器洗浄機及び/又は食品に安全材な材料、好ましくはステンレス鋼で作製される。
【0024】
ハウジングの外面は、任意選択的に、回転軸に対して90度以上の最大角度を形成してもよい。好ましくは、135度以上である。ハウジングは、任意選択的に、ベル形状であってもよい。したがって、食品材料は、ハウジングをより容易に流下することができる。
【0025】
本発明の一態様では、内部に容積を画定するハウジングを有する食品加工器具が開示され、この器具は、駆動シャフトであって、駆動シャフトに取り付けられたブレード付き器具を回転軸の周りで駆動するように構成された駆動シャフトを備える。インサートは、ハウジングの開口部を通してハウジングの外側に開口した加工容積と、その表面から加工容積の中に延びる複数のリブを有する第2の容積とに容積を分割するように、ハウジング内に位置し配置される。複数のリブは間隙によってハウジングから分離され、インサートはハウジングに溶接され、好ましくは間隙が少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも2.5mm、さらにより好ましくは2.5~3mmの範囲である。
【0026】
これは、間隙がハウジングへのインサートの溶接をより良好に可能にするので、より安価に構成することができるので有利である。
【0027】
インサートは、第2の容積をそれらの間の液体の侵入に対して密封するように、ハウジングに密封的に溶接することができる。これは、使用中に第2の容積への液体の侵入を防ぐことができるので有利である。
【0028】
任意選択的に、ハウジングは、ハウジングの内側の周りを流れる食品をハウジングから離れるように案内するように構成された半径方向の最大点および最小点(すなわち、外側に突出する部分および内側に突出する部分)を備える。これにより、食品材料がハウジングの近くに留まり、加工されないことを防止する。
【0029】
好ましくは、インサートは、半径方向の最大点および最小点に沿うように成形される。これにより、密封および単純な構造を保証することができ、露出したハウジングの表面全体で半径方向の最大点が利用可能になり、ハウジングが最大点/最小点とインサートとの間に移行領域を持つ必要がなくなる。
【0030】
より好ましくは、複数のリブは、半径方向の最大点まで(すなわち、半径方向の最大点までおよび半径方向の最小点の間まで延びるインサートの部分まで)延びる。これは、複数のリブのためのより多くの空間を提供する。
【0031】
ハウジングの開口部は任意選択的に、軸方向の最大点および最小点(すなわち、上向きおよび下向きに突出する部分)を備え、好ましくは、半径方向の最大点および最小点は、それぞれ軸方向の最大点および最小点に対応する。これらの軸方向の最大点と最小点により、ハウジングの開口部が表面に押し付けられた場合でも、食品がハウジングに流れ込み続けることを保証することができる。軸方向の最大点および最小点を半径方向の最大点および最小点に対応させることにより、食品材料がブレード付き器具により近いハウジングに確実に入るようにすることもできる。
【0032】
複数のリブは、好ましくは、それらの長さの大部分にわたって、回転軸に対して実質的に直角に半径方向に延びることができる。これにより、ブレード付き器具に対する均一な効果を保証することができる。
【0033】
好ましくは、ハウジングの内面の70%未満が第2の容積によって囲まれる。これにより、ハウジングの内面の30%以上を食品がアクセスできる状態のままにすることで、ハウジングの内側の表面をより有効に利用することができる。
【0034】
複数のリブは、任意選択的に、それぞれ前方傾斜部と後方傾斜部とを備え、ブレード付き器具の回転方向に対して前方傾斜部によって形成される最小角度は、後方傾斜部の最小角度よりも急であり、より好ましくは、前方傾斜部が約45度の角度を形成する。これにより、乱流が少なくなり、食品の加工が良好になる。
【0035】
複数のリブは、好ましくは、ブレード付き器具の回転方向から離れるように湾曲し、より好ましくは、複数のリブは、ハウジングの螺旋/ねじれ形状及び/又はブレード付き器具のブレードの湾曲に沿うように湾曲する。ハウジングの螺旋/ねじれ形状に適合することにより、ハウジングから食品が加工される領域への食品の流れを向上させることができる。ブレードの形状に適合することにより、ブレードの下の圧力を高めることができる。
【0036】
ハウジングおよびインサートは、食器洗浄機及び/又は食品に安全な材料、好ましくはステンレス鋼で作製される。
【0037】
ハウジングは、任意選択的にベル形状であってもよい。したがって、食品材料は、ハウジングをより容易に流下することができる。
【0038】
上述の器具のいずれかを含む食品加工装置が開示される。
【0039】
本発明の別の態様では、食品加工器具を製造する方法が開示され、この方法は、
a)中間物を製造するために板金を型抜き、打ち抜き、または切断加工する工程と、
b)前記中間物を型抜き及び/又は深絞り加工して複数のリブを有するインサートを作製する工程であって、好ましくは前記複数のリブが前記インサートの縁部まで延在していない工程と、
c)前記インサートをハウジングに溶接、好ましくはレーザー溶接する工程と、を含む。
【0040】
この方法は、複数のリブを有する一体型器具を安価に製造できるので有利である。
【0041】
任意選択的に、工程a)および工程b)が同時に行われ、及び/又は工程a)および工程b)が同じ金型を用いた型抜き/打ち抜き加工によって行われる。これにより、製造をより安価かつ迅速にする。
【0042】
本発明の別の態様では、ハウジングの内面領域の30%超が外部から食品にアクセスできるように、平面インサートによって分割されたベル形状のハウジングを有するハンドブレンダーアタッチメントが開示される。
【0043】
本発明の別の態様では、ハウジングと、モータと、モータによって駆動される食品加工ナイフと、ハウジングの容積を分割するための取り外し可能なインサートと、インサートの存在及び/又は不在を検出するためのセンサと、センサからのフィードバックに基づいてモータへの通電を防止及び/又は許可及び/又は制限するように構成されたプロセッサとを有する食品加工器具が開示される。
【0044】
本発明の別の態様では、シャフト通路と、フードプロセッサナイフが内部に設けられたベルハウジングとを有するハンドブレンダーアタッチメントが提供され、フードプロセッサナイフは、シャフト通路を通って延びる駆動シャフトに取り付けられ、アタッチメントは、ベルハウジングに設けられた溶接バリアによってベルハウジングの開口部を通って液体が侵入するのを防ぐように密封される。
【0045】
本発明の別の態様では、ハウジングの側面からアタッチメントの食品加工ナイフに向かって半径方向内側に突出する第1の組のリブと、ハウジングの内側の天井からナイフに向かって軸方向に突出する第2の別個の組のリブとを有する食品加工ハウジングを有するハンドブレンダーアタッチメントが提供される。このように、軸方向リブと半径方向リブを個別に(すなわち、一方が他方の続きにならないように別々に)提供することで、2つの間の移行の必要がなくなり、ナイフの回転のさまざまな点で半径方向リブと軸方向リブがナイフと相互作用できるようになり、力のバランスがとれ、操作がより滑らかになる。
【0046】
本発明はまた、本明細書に記載の装置または装置要素のいずれかを構築するための部品のキットを包含する。
【0047】
本明細書で説明する装置の特徴は、方法の特徴として提供することもでき、その逆も可能である。本明細書で使用されるように、手段と機能の特徴は、適切にプログラムされたプロセッサおよび関連するメモリーなどの対応する構造に関して代替的に表現することができる。
【0048】
本発明の一態様の任意の特徴は、任意の適切な組み合わせで、本発明の他の態様に適用することができる。特に、方法の態様は、装置の態様に適用することができ、逆もまた同様である。さらに、一態様の任意の、一部の、及び/又はすべての特徴は、任意の適切な組み合わせで、任意の他の態様の任意の、一部の、及び/又はすべての特徴に適用することができる。
【0049】
また、本発明の任意の態様で説明および定義された様々な特徴の特定の組み合わせが、独立して実装及び/又は供給及び/又は使用できることも理解されたい。
【0050】
本明細書において、「または」という用語は、別段の記載がない限り、排他的または包括的な意味で解釈することができる。
【0051】
さらに、ハードウェアで実装された特徴は、一般にソフトウェアで実装される場合があり、その逆も同様である。本明細書におけるソフトウェアおよびハードウェア機能へのいかなる言及も、それに応じて解釈されるべきである。
【0052】
本発明は、家庭用食品加工及び調理機械の分野において記載されているが、材料の効率的、効果的及び便利な調製及び/又は加工が望まれるあらゆる使用分野において、産業規模及び/又は少量で実施することもできる。使用分野は、化学物質、薬品、塗料、建築材料、衣料材料、農業用及び/又は動物用の飼料及び/又は処理(肥料、穀物及び/又は他の農産物及び/又は動物用製品を含む)、油、燃料、染料、化粧品、プラスチック、タール、仕上げ剤、ワックス、ワニス、飲料、医療及び/又は生物学的研究材料、はんだ、合金、排出物、及び/又は他の物質の調製及び/又は加工を含み、本明細書中の「食品」への言及は、かかる作業媒体に置き換えることができる。
【0053】
本明細書に記載される本発明は、任意の台所器具で、及び/又は独立型装置として使用され得る。これは、頂部駆動機械(例えばスタンドミキサー)及び底部駆動機械(例えばブレンダー)の両方を含む、任意の家庭用の食品加工及び/又は調製機械を含む。これは、加熱及び/又は冷却された機械で実施されてもよい。これは、ワークトップ又は作業面に組み込まれた機械、又は独立型装置で使用することができる。本発明は、独立型装置として提供することもできる。
【0054】
ここで、1つまたは複数の態様を、単なる例として、同様の参照番号を有する添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明による器具の側面切欠図を示す。
図2図1の器具の開放端の部分の拡大図を示す。
図3図1の器具をその開放端から見た斜視図を示す。
図4図1の器具の開放端の平面図を示す。
図5図1の器具のベルインサートの斜視図を示す。
図6図3のインサートのリブの、リブの半径方向延在方向と交差する方向に沿った断面を示す。
図7図3のインサートのリブの、リブの半径方向延在方向に沿った断面を示す。
図8図1のブレード及びインサートの側面図を示す。
図9図1の器具を組み込んだ装置の非常に概略的で簡略化された断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1及び図2は、アタッチメント100をモータユニット200(図9にレベル付けて示す)に取り付けるために使用することができる、アタッチメント構造103から離れて延在するシャフト通路101を有する器具100(この場合、ハンドブレンダーアタッチメント)を示す。駆動シャフト102は、シャフト通路101内でベル110に向かって、かつその中に延在する。シャフト通路101は、ベル110に開口している。ベル110は、シャフト通路101に接続された狭い端部から、シャフト通路101から離れて、周辺スカートを形成するより広い開口部に向かって延びる。
【0057】
ベル110は、滑らかで傾斜した線を有し、これは、使用中及びその後の洗浄中に材料が流れ落ちることを容易にする。好ましくは、これは、ベル110が図7に示されるように、一方の端部がモータユニットの方向に面し、他方の端部がモータユニットから離れる方向に面し、シャフト通路101の面から離れるように揺動する円弧内で測定されるように、シャフト通路101の長軸(使用中、典型的には垂直に向けられる)に対して90度を超え、より好ましくは135度を超えて延びる(これは使用時には典型的には垂直に配向される)。したがって、ベルから滴り落ちる食品材料は、平坦な表面を呈さないか、又はより良好には浅い傾斜(例えば、水平に対して45度未満)を呈さないので、保持されにくく、より容易に洗い流される。
【0058】
ベル110は、(例えば、ねじ及び対応するねじ山、スナップ嵌合、または他の取り外し可能な取り付け手段を使用して)シャフト通路101に取り外し可能に取り付けられてもよく、または、それと一体的に形成されてもよい。同様に、シャフト通路101は、モータユニット200と一体に形成されてもよく、またはネジ嵌合、ボタン作動式弾性ロック手段、スナップ嵌合、または他の好適な解除可能ロック手段のいずれかであってもよい取り外し可能な取り付け手段103を使用して、モータユニット200に取り外し可能に取り付けられてもよい。一体形成は製造を簡素化する一方、取り外し可能な取り付けは、モータユニット200からの清掃のための取り外しを容易にする。
【0059】
図3及び図4に示されるように、回転ナイフ130がシャフト102の端部に設けられ、ベル110内の食品を加工する。ナイフ130は、中央突起部133から半径方向に延びる2つのブレード131および132を有する。一方の上側ブレード131は、シャフト102から半径方向に離れるように延在するとともに、シャフト102から離れてベル110の開口部に向かって軸方向に延在する。他方の下側ブレード132もまた、ベル110のより狭い端部に向かって開口部から離れるように軸方向に延在し、かつ半径方向に延在する。このようにして、各回転でナイフ130によって掃引される領域が増加する。
【0060】
図3および図7の両方に示されるように、上側ブレード131および下側ブレード132の刃先は、水平(すなわち、ナイフ130の回転軸に対して直角)面が水平に対して傾斜した面と交わる頂点に形成されている。上側ブレード131の傾斜面は、下側ブレード132の傾斜面に面しており、したがって、食品を他のブレードの経路に押し込む働きをする。ブレード131および132はまた、ブレード130とベル110との間に閉じ込められた食品をより良好に切断するように、外端に向かって回転方向に沿って後方に角度が付けられている。
【0061】
中央突起部133は、シャフト102に取り付けるための取り外し可能な取り付け手段(例えば、シャフト上に設けられた適合するねじ山と嵌合するねじ山)を備えるか、または例えば溶接によって一体的に形成される。
【0062】
ベル110は、その外側(すなわち、「スカート」)に沿って半径方向波形パターンを形成し、最大点111、すなわち、ナイフ130から離れたベル110の最大半径方向延長点を生成する。最大点111の間で、最小点112はベル110によって形成され、ベル110はナイフ130に最も接近し、ナイフ130に向かって突出する。これらの最大点111および最小点112は、ナイフ130によって加工されるように、食品をナイフ130に向かって案内するのに役立つ。波形パターンは、正弦波、鋸歯、ジグザグ、または任意の適切な形状であってもよいが、隣接する表面の間の最小角度が90度以下ではない比較的滑らかなパターンが、食品トラップを作り出すことを回避するために好ましい。
【0063】
最大点111はまた、シャフト通路101から離れたベル110のスカートの最大軸方向延長点を形成し得、最小点112は、最小軸方向延長点を形成する。これは、ベル110のスカートに沿ってギザギザを生成し、ベル110の開放端がボウルの底部などの平坦な表面に押し付けられるとき、食材がギザギザの間の間隙を介してベル110に出入りできることを意味する。これは、上述の半径方向波形パターンと同様の軸方向波形パターンで提供されてもよい。半径方向最小点112が軸方向最小点112に対応することが望ましいのは、食品がナイフ130により近いベル110に入ることを意味するからである。
【0064】
図3および図4に示されるように、ベル110は、ナイフ130の回転軸に対する半径方向の最大点111および最小点112の回転位置がナイフ130に沿って変化するように、ねじれ形状又は螺旋状の形状を形成することが好ましい。これは、ベル110が使用中に食品材料に浸漬されるときに、ベル110を覆う食品材料の流れにベル110を適応させるのに役立つ。ベル110は、ナイフ130を3つの側面で部分的に取り囲み、波の効果を高めるために、その最大直径から開口部に向かって内側に湾曲することができる。
【0065】
インサート120は、ベル110内に配置され、ベル110の内部を分割し、ベル110内のブレード130の上方に過剰なヘッドスペース(その中では、食品が収集され、ナイフ130によって加工できない)が生じるのを防止する。したがって、インサート120は、使用中にナイフ130の上に「ルーフ」を形成する。インサート120は、ベル110と一体である。特に、インサート120は、例えば、溶接によって、好ましくは金属部品を溶接する効率的な方法であるレーザー溶接によって、ベル110に一体的に取り付けることができる。
【0066】
好ましくは、インサート120は、ベル110に密封接合されて、使用および洗浄中にインサート120の上方の空間に食材および水が侵入するのを防止する。好ましくは、この密封接合が上述のように溶接によって形成される。このような密封は、ベル110とシャフト通路101との間に密封を設ける必要性をなくす。
【0067】
インサート120は、ベル110を最大限に使用できるように、ベル110の内面の70%未満を覆うことが好ましい。例えば、30~90%が覆われていなくてもよく、より好ましくは、40~80%がアクセス可能で、食品と接触していてもよい。図2に示される実施例では、ベル110がシャフト通路101の半径と交わる点からベル110の開口部に向かって測定すると、ベル110の内側のおよそ59%の表面積がインサート120によって覆われ、残りおよそ41%がブレード130によって処理される食品にアクセス可能である。インサート120のみに軸方向および半径方向の両方に作用する複数のリブを設けようとするのではなく、インサート120の平面形状をベル110の波形と組み合わせることによって、従来技術と比較して空間および材料をより多く利用できる。
【0068】
インサート120は、平らなボードまたはシートとして成形される。例えば、成形金型を用いて板金を打ち抜くことによって形成されてもよい。これは、複数のリブ121を形成するのと同時に行うことができ、潜在的に同じ金型を用いて行うことができる。インサート120の周囲は、好ましくはベル110の半径方向の波形パターンに適合するように成形される。
【0069】
複数のリブ121は、ブレード130に向かって軸方向に延在し、中央突起部122から半径方向に離れるように延在するインサート120の表面上に設けられる。複数のリブ121は、好ましくは複数のリブ121とナイフ130との間に均一な距離を提供するために、それらの長さの大部分にわたってナイフ130の回転軸に対して実質的に直角で半径方向に延在する。複数のリブ121はまた、ベル110に向かってインサート121の表面に沿って延びる。好ましくは、複数のリブ121の回転位置は、ベル110の最大点111の回転位置に対応し、好ましくは最小点112の回転位置に対応せず、追加のリブ長を収容し、最小点112を越える食品材料の流入を容易にする。
【0070】
図1では、複数のリブ121と最大点111との間に一対一の対応関係が示されているが、最大点111よりも少ないリブ121があってもよく、または1つ以上の最大点11がそれに対応する2つ以上のリブを有していてもよい。複数のリブ121および最大点11は、好ましくは、力のバランスをとり、振動を低減し、ベルの全周で均一な材料の流れを生成するように、対称的に配置される。
【0071】
図2に示されるように、複数のリブ121は、ブレード131および132に向かって回転するとき、ブレード131および132に面する凹面側で、それらの半径方向範囲に沿って半径方向に湾曲している。例えば、それらは、ナイフ130のブレード131、132の内側の平坦な部分に対して15度の角度を形成するように湾曲してもよい。湾曲の半径(すなわち、複数のリブ121の湾曲が円弧である円の半径)は、好ましくは25~50mmの範囲であり、より好ましくは約32.5mmである。この湾曲は、複数のリブ121がブレードに向かう食品の螺旋形状の流れに適合するのを助ける。この適合性をさらに改善するために、複数のリブ121の湾曲は、本質的に、ベル110の螺旋/ねじれ形状の連続であるべきである。好ましくは、複数のリブ121の湾曲は、ブレード131および132が複数のリブ121の上を通過するとき、ブレード130の下の瞬間圧力を最大にするために、ナイフ130のブレード131および132の湾曲と同じ方向にある。中央突起部122からのブレード131および132の真っ直ぐな半径方向の延長に適合するために、中央突起部122に最も近い複数のリブ121の点(突起部122に接触するか、または突起部122と同心の仮想円筒から延びる)において、複数のリブ121は、好ましくは、回転軸に対して接線方向ではなく、回転軸から半径方向に真っ直ぐに正確に延びる。
【0072】
図3および図4に示されるように、各リブ121は、前方傾斜部121aおよび後方傾斜部121bを有する。前方傾斜部121aは、ナイフ130がリブ121に向かって回転するとき、ブレード131および132の方を向き、すなわち、前方傾斜部121aは、ブレード130が回転する方向とは反対の方向に向く。後方傾斜部121bは、ナイフ130の対向するブレード131および132から離れて、ナイフ130の回転方向に向く。
【0073】
前方傾斜部121aは、それに直接隣接するインサート120の表面に対して約135度の角度で傾斜する。これは、インサート120の表面に沿って流れる粘性のある食品材料およびより小さい固形片がその流れの方向に対して45度の最小角度で前方傾斜部121aに衝突し、インサート120から直角に、かつナイフ130に向かって方向付けられる傾向があることを意味する。より大きな固形食品片は、複数のリブ121に対して同様に偏向するか、または止められ、次いでナイフ130によって打たれる傾向があり、したがって、ナイフ130との共回転を防止する。135度よりも実質的に小さい傾斜角を有する前方傾斜部121aは、より硬い食品を止めるために有益であり得るが、より液体の食品では、より多くの食品が食品の対向する流れに対してナイフ130の回転方向に向かって後方に偏向されるので、乱流が生じる可能性がある。したがって、135度は満足のいく妥協点である。
【0074】
後方傾斜部121bは、それに隣接するインサート120の表面に対して約145度の角度で傾斜している。後方傾斜部121bを前方傾斜部121aよりも緩くすることは、粘性食品および液体食品における乱流を低減するのに役立つ。
【0075】
図1および図3に示されるように、中央突起部122は、インサート120から軸方向に延在し、シャフト102がベル110の作業空間内に延在する上部開口を有する。突起部122は、ナイフが複数のリブ121の上方の適切な軸方向高さで回転することができる軸受として機能し、食品が加工されるベル110の作業空間内へのシャフト102の延長部を保護する。シールリング123または同様のシール装置が、突起部122の開口内に設けられ、ベル110とインサート120との間に囲まれた領域にシャフト102の周りを流れる液体を防止する。
【0076】
図5に示すように、複数のリブ121の最外端部とインサート120の最外径端部との間に、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2.5mm、約2.5~3mmの間隙を形成することができる。これは、インサート120とベル110との接合を容易にするのに役立つ。例えば、リブ121の端部とインサート120の周囲との間に充分な幅の隙間を残すことは、インサート120とベル110との間の接合部にレーザーを照射して、それらをより容易に互いに溶接することができ、かつインサート120の高さの変化に適合させる必要がないことを意味する。追加的または代替的に、突起部122の機械加工を容易にするために、リブ121と突起部122との間に同様の隙間を残すことができる。
【0077】
図5にも示されるように、複数のリブ121は、好ましくはインサート120の平坦な表面から少なくとも約2mm突出する。これにより、インサート120の平坦な表面に沿って流れる食品に影響を及ぼすのに十分なリブ高さが得られる一方で、例えば、過剰なリブ高さに関連する機械などの問題を回避する。
【0078】
図6は、複数のリブの上方のナイフ130のブレード131および132の高さを示す。下側ブレード132から複数のリブ121の高さまでの最小軸方向距離は約3~4mmであり、一方、複数のリブ121の高さより上に延在する上側ブレードの最大軸方向距離は約10~12mmである。インサート120の上方の複数のリブ121の高さからのブレード131および132の平均軸方向距離は、約5~8mmである。複数のリブ121の頂部とナイフ130との間の平均軸方向距離は、ブレード131および132の最大半径方向範囲の約1/2未満である。例えば、ブレード131および132の半径方向範囲は21.5mmであってもよく、複数のリブ121の上方のナイフ130の最小軸方向距離は3.8mmであってもよく、複数のリブ121の上方のナイフの最大軸方向距離は11mmであってもよく、ナイフ130は複数のリブ121から軸方向に7.4mmの平均距離を有していてもよい。したがって、インサート120の平坦面の上方の複数のリブ121の軸方向高さと、複数のリブ121の上方のナイフ130の軸方向高さとの比は、およそ1:2~1:5の範囲内であり得る。この高さは、ナイフ130とインサート120との間に十分なヘッドスペースを確保して食品を加工できるようにすることと、ナイフ130と複数のリブ121との間の衝突の可能性を防止すること、複数のリブ121の間に達するナイフの効果を妨げる可能性がある過剰なリブ深さ、および、ナイフ130とインサート120との間のヘッドスペースが大き過ぎて食品が加工されていない状態で集まる可能性があることとの間の良好な妥協を与える。
【0079】
図9に示されるように、器具100は、例えば係合解除可能なクラッチを介して駆動シャフト102に接続するモータ201を含むモータユニット200を有する。例えば、制御ノブ、スライドスイッチ、またはタッチスクリーンインターフェースなどのユーザインターフェース202が、モータユニット200の外部に設けられ、ユーザが命令を入力し、フィードバックを受信することを可能にする。例えば、ユーザは、ユーザインターフェースを使用して、モータ201の速度を制御し、および/または、例えば、ユーザインターフェース202のスピーカから器具100の状態に関する聴覚フィードバックを受信することができる。
【0080】
モータ201及びユーザインターフェース202の両方が、中央処理装置203との電子通信、例えば有線通信で提供される。この中央処理装置203は、ユーザインターフェース202への入力に基づいてモータ201を制御し、加工されている食品の状態について、ベル110及び/又はモータ201に関連するセンサ、例えば温度及び/又はトルクセンサからのフィードバックを変換することができる。
【0081】
中央処理装置203はまた、ベル110に関連するセンサからのフィードバックに基づいて、モータ201の通電を選択的に防止、許可、または制限することができる。例えば、インサート120がベル110に取り外し可能に取り付けられるように設けられている場合、ベル110は、インサート120が存在するかどうかを検出するための存在センサ(例えば、インサート120上の突起によって作動されるマイクロスイッチ)を含むことができる。次いで、中央処理装置203は、インサート120がベル110に取り付けられるまで、モータ201の通電を防止または制限して、不満足な食品加工を防止することができる。これに代えて、又はこれに加えて、中央処理装置203は、ユーザインターフェース202を介して、存在センサからのフィードバックに応答してインサート120を取り付ける必要があることをユーザに示してもよい。
【0082】
シャフト通路101、シャフト102、ベル110、インサート120、及び/又はナイフ130は、好ましくは食器洗浄機で安全な材料で作られる。「食器洗浄機で安全」とは、食器洗浄機内で広く行われている状態に長時間さらされても、物理的および化学的に安定していることを意味する。例えば、水と典型的な食器洗浄機洗浄剤との混合物に82℃の温度で8時間も繰り返しさらされても、目に見える劣化(例えば、ひび割れ)なしに耐えることができなければならい。それらはステンレス鋼から作製されてもよく、これは、有利には食品にも安全である。別の例として、それらは、食器洗浄機での洗浄中に乾燥する可能性がある潤滑油がなく、代わりに、例えば、PTFEベースの乾燥潤滑剤などの乾燥潤滑剤を使用するか、まったく潤滑剤を使用しない場合がある。インサート120およびベル110を同じ金属から作製することはまた、それらを一緒に溶接することを容易にする。
【0083】
シャフト通路101、シャフト102、ベル110、インサート120、及び/又はナイフ130は、好ましくは食品に安全な材料で作られる。この文脈における「食品に安全」とは、通常の台所条件下で、人間の健康に有害な物質を大量に放出しない物質を意味する。例えば、それらはBpAフリーである必要がある。
【0084】
上述のように、インサート120は、中間物を形成するために、板金から型抜き、打ち抜き、または切り出されてもよい。次いで、インサートの複数のリブ121および突起部122は、板金中間物の型抜き及び/又は深絞り加工によって形成されてもよい。代替的に又は追加的に、複数のリブ121及び/又は突起部122は、インサート120の周辺形状の打ち抜き加工と同時に形成されてもよい。これらは、板金加工の比較的安価で、シンプルで、簡単に反復可能な方法である。
【0085】
以上、本発明を純粋に例として説明してきたが、本発明の範囲内で細部の変更が可能であることは理解されよう。
【0086】
明細書、ならびに(適切な場合)特許請求の範囲および図面に開示された各特徴は、独立して、または任意の適切な組み合わせで提供され得る。
【0087】
特許請求の範囲に記載されている参照番号は、例示のみを目的としており、特許請求の範囲を限定するものではない。
図1
図2
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【国際調査報告】