(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】キャップ及び容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/12 20060101AFI20230929BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20230929BHJP
B65D 47/32 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
B65D47/12 100
B65D47/08 120
B65D47/32 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023509607
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2021071599
(87)【国際公開番号】W WO2022033915
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/108728
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】フェン,ケケ
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】スー,サイナン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジウェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リーシャオ
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB09
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB13
3E084FA02
3E084FC07
3E084GA06
3E084GA08
3E084GB06
3E084KA06
3E084LC06
(57)【要約】
容器(1)用キャップ(4)及びその容器(1)が開示されている。容器本体(2)に取り付けられるように構成されたキャップ(4)は、内部に液体経路(24)及びガス経路(25)が形成されたキャップ本体(15)であって、前記液体経路(24)が、前記容器(1)から液体が通過するように構成され、前記ガス経路(25)が、前記容器(1)の内外の圧力を均衡化させるためにガスが通過するように構成された、キャップ本体(15)と、天板(16)とを備えるキャップ(4)において、前記天板(16)が、前記キャップ本体(15)に取り外し可能に接続されて前記液体経路(24)及び前記ガス経路(25)を封止することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(2)に取り付けられる容器(1)用のキャップ(4)であって、
(i)内部に液体経路(24)及びガス経路(25)が形成されたキャップ本体(15)であって、前記液体経路(24)が、前記容器(1)から液体が通過するように構成され、前記ガス経路(25)が、前記容器(1)の内外の圧力を均衡化させるためにガスが通過するように構成された、キャップ本体(15)と、
(ii)天板(16)と、
を具備し、
前記天板(16)が、前記キャップ本体(15)に取り外し可能に接続されて前記液体経路(24)及び前記ガス経路(25)を封止することを特徴とする、キャップ(4)。
【請求項2】
前記天板(16)が、前記液体経路(24)及び前記ガス経路(25)を封止する封止部材として機能し、前記キャップ(4)の外側カバーとしても機能する、請求項1に記載のキャップ(4)。
【請求項3】
前記天板(16)が、容易に引き剥がされる構造体のみによって、前記キャップ本体(15)に接続される、請求項1又は請求項2に記載のキャップ(4)。
【請求項4】
前記構造体には、引き剥がしのためのオプションとしてのノッチ(35)を備えた弱め部(14)が設けられる、請求項3に記載のキャップ(4)。
【請求項5】
前記構造体がヒンジ(29)の形態である、請求項3又は請求項4に記載のキャップ(4)。
【請求項6】
前記構造体が、少なくとも部分的に周方向に延びるループ(12)の形態である、請求項2又は請求項3に記載のキャップ(4)。
【請求項7】
前記キャップ本体(15)が、該キャップ本体の頂壁(17)に凹部(20)が形成されており、該凹部(20)を通って前記液体経路(24)及び前記ガス経路(25)の両方が延びる、請求項1から請求項6のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項8】
前記天板(16)が、前記凹部(20)内に受容されるように寸法決めされる、請求項7に記載のキャップ(4)。
【請求項9】
前記天板(16)が、前記凹部(20)の上方に該凹部を越えて延びるように寸法決めされている、請求項7に記載のキャップ(4)。
【請求項10】
前記天板(16)には、液体出口(6)及びガス孔(18)に圧入される2つの突起(33、34)が設けられ、該2つの突起は、それぞれ前記液体経路(24)及び前記ガス経路(25)の一部として前記キャップ本体(15)に設けられる、請求項1から請求項9のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項11】
チューブ(5)が、前記液体経路(24)に連通するように、前記キャップ本体(15)に配置される、請求項1から請求項10のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項12】
前記キャップ(4)が一体的に単一部品として形成される、請求項1から請求項11のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項13】
容器本体(2)と、前記容器本体(2)に取り付けられるように構成された請求項1から請求項12のいずれかに記載のキャップ(4)と、を具備する容器(1)であって、
好ましくは、前記キャップ本体(15)に、前記容器本体(2)の開口部(3)に圧入される環状突起(26)が設けられる、容器(1)。
【請求項14】
前記容器本体(2)及び前記キャップ(4)が、スナップフィット接続を使用して解放可能に係合する、請求項13に記載の容器(1)。
【請求項15】
前記キャップ(4)が取り外されることを防止するために、前記キャップ(4)と前記容器本体(2)との間に不正開封防止機構が配置され、
好ましくは、該不正開封防止機構がインターロック構造体(8)であり、より好ましくは、該インターロック構造体(8)が、周方向に延びる1対の返し状フランジ(9、10)として構成される、請求項13又は請求項14に記載の容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注装置用の容器用キャップ及びその容器に関する。
【背景技術】
【0002】
分注装置は、手指消毒剤のような洗浄液を提供するために、現在、家庭又はレストラン、空港、公衆トイレなどの公共の場で広く使用されている。自動分注装置も最近開発され、ハンズフリー操作が必要な場所で使用されている。
【0003】
洗浄液は、通常、分注装置に適合するように設計された容器に貯蔵される。容器は、洗浄液が完全に消費されたときに新しいものと交換することができる消耗品として使用される。
【0004】
そのような容器から製品を分注するために、いくつかのタイプのキャップが使用されてきた。いくつかのキャップは、容器の首部にしっかりと接続されておらず、容器からの製品の偶発的な漏れを引き起こす可能性がある。さらに、誰かがキャップを開けて製品を他の組成物と交換することも容易である。いくつかのキャップは、容器を封止するために複雑な構造を必要とする。それらは通常、容器の開口部を封止するために追加の封止パッドを有する内側カバー及び外側カバーの設計を採用する。このような構造では、容器の交換が複雑になる。容器を交換する場合、使用者は、容器を分注装置に取り付けるために、外側カバー及び封止パッドの両方を取り外さなければならない。このような複雑な取り扱い手順によって、ユーザエクスペリエンスが悪化する。
【0005】
韓国公開特許第20030015167号公報は、注入ポートに巻取り端部を有する容器を備える液体容器のストッパと、前記容器に強制的に結合され、出口及び空気吸引口を有する本体、並びに、接続部分によって前記本体に接続されて配置されたカバーで構成されたストッパと、を開示している。
【0006】
特開2018-062372号公報には、インクタンクにインクを注入するためのインク補充容器であって、インク補充容器からインクタンクへのインク注入のしやすさを向上させ、インクの垂れ落ちを防止するインク補充容器が開示されている。インク補充容器は、インクを貯蔵するドラム部と、ドラム部の縁に設けられた肩部と、肩部に連結された口部とを備える。
【0007】
米国特許第3059816号明細書は、流動性材料の輸送、貯蔵及び分注を開示しており、より具体的には、容器の内容物の分注を容易にすると同時に、内容物を分注する合間に内容物を保護するために、その適切な封止を提供する、容器密閉及び注入の組合せ装置を開示している。
【0008】
米国特許第5289950号明細書は、同時に分注することができる少なくとも2つの物質のためのパッケージを開示している。パッケージは、傾斜したクラウン部と、クラウンの上面から上方に延在する少なくとも2つの注ぎ口と、クラウン部に固定するためのカバーとを備えるクロージャシステムを備え、カバーにはクロージャを閉じるための垂下プラグが設けられている。
【0009】
米国特許第9884706号明細書は、一体的に形成されたクロージャ本体と、管状の分注口と、ヒンジ付きキャップと、不正開封防止クロージャシステムと、キャップを開位置に維持するためのラッチとを含む、精油を分注するための一体型分注クロージャを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第20030015167号公報
【特許文献2】特開2018-062372号公報
【特許文献3】米国特許第3059816号明細書
【特許文献4】米国特許第5289950号明細書
【特許文献5】米国特許第9884706号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明者らは、容器からの製品の偶発的な漏れを防止しながら、容器の交換手順を簡素化する容器用キャップを開発する必要性を認識してきた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様では、本発明は、容器本体に取り付けられる容器用キャップに関し、内部に液体経路とガス経路とが形成されたキャップ本体であって、前記液体経路が、前記容器から液体が通過するように構成され、前記ガス経路が、前記容器の内外の圧力を均衡化させるためにガスが通過するように構成された、キャップ本体と、天板と、を備えるキャップにおいて、前記天板は、前記キャップ本体に取り外し可能に接続されて前記液体経路及び前記ガス経路を封止することを特徴とする。
【0013】
取り外し可能な天板に一体化されたキャップ本体を有するキャップは、天板を取り外すことによって、使用者が簡単なワンステップ操作でキャップを開くことを可能にし、これにより、シンプルな構造でユーザエクスペリエンスが大幅に向上する。
【0014】
第2の態様では、本発明は、容器本体と、容器本体に取り付けられるように構成された本発明の第1の態様の任意の実施形態のキャップとを備える容器に関する。
【0015】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明及び実施例を考慮すると、より容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る分注装置用の容器の好ましい実施形態の斜視図である。
【
図5a】
図5aは、本発明に係るキャップの第1の好ましい実施形態の閉状態での斜視図である。
【
図5b】
図5bは、本発明に係るキャップの第1の好ましい実施形態の開状態での斜視図である。
【
図6a】
図6aは、本発明に係るキャップの第2の好ましい実施形態の閉状態での斜視図である。
【
図7a】
図7aは、本発明に係るキャップの第3の好ましい実施形態の閉状態での斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施例を除いて、又は他に明示的に示されている場合を除いて、材料の量若しくは反応の条件、材料の物理的特性及び/又は使用を示す本明細書中のすべての数字は、「約」という語によって修飾されていると理解されてもよい。
【0018】
値の任意の範囲を指定する際に、任意の特定の上限値を任意の特定の下限値に関連付けることができることに留意されたい。
【0019】
誤解を避けるために、「備える(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「~から成る(consisting of)」又は「~から構成される(composed of)」を意味するわけではない。言い換えれば、列挙されたステップ又は選択肢は網羅的である必要はない。
【0020】
説明の便宜上、「上部の(upper)」、「下部の(lower)」、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「上方(above)」、「下方(below)」、「内側の(inner)」、「外側の(outer)」、「内側に(inward)」、「外側に(outward)」、「内部(inside)」、「外部(outside)」などの方向を示す用語は、容器の構成要素間の相対的な位置を説明することのみを意図しており、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0021】
本明細書に見られる本発明の開示は、特許請求の範囲が多重従属性又は冗長性を伴わずに見出すことができるという事実とは無関係に、特許請求の範囲に見られるすべての実施形態を、互いに多重に従属するものとして網羅すると見なされるべきである。
【0022】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の製品)に関して特徴が開示されている場合、そのような開示は、必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明のプロセス)にも適用されると考えられるべきである。
【0023】
本発明は、特に分注装置用の容器用キャップに関する。容器は、容器本体を備え、キャップは、容器本体に取り付けられるように構成される。
【0024】
容器は、好ましくは細長い。容器本体も、好ましくは細長く、これは、容器本体の長手方向寸法が横方向寸法よりも長いことを意味している。容器本体は、任意の適切な形状、例えば、多面体、円柱、円錐台、球形又は動物の形状であってもよい。容器は、多面体、円柱、又は円錐台の形状であることが好ましく、円柱又は円錐台の形状であることがより好ましい。最も好ましくは、容器本体は円柱の形状である。
【0025】
好ましくは、容器本体は、ポリマー材料、より好ましくは剛性プラスチック材料で作られる。適切なプラスチック材料の例には、高密度ポリエチレン(high density polyethylene:「HDPE」)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene:「LDPE」)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate:「PET」)、ポリプロピレン(polypropylene:「PP」)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ナイロン、及びフッ素化エチレンプロピレンが含まれる。HDPE、PP又はPETが特に好ましい。容器本体は、ブロー成形、射出成形などの様々なプロセスによって作成することができる。好ましくは、本発明の容器本体は、押出ブロー成形プロセスによるHDPE若しくはPP、又は射出ブロー成形プロセスによるPETで作成される。
【0026】
容器は、任意の適切な消費者製品、例えばパーソナルケア製品又はホームケア製品を貯蔵するために使用されてもよい。好ましくは、容器はクレンジング製品、より好ましくはクレンジング界面活性剤を含むクレンジング製品を含む。好ましくは、容器は、約20s-1の比較的高い剪断速度で20℃で測定した場合に、少なくとも10mPa・s、より好ましくは30~10000mPa・s、さらにより好ましくは50~5000、最も好ましくは100~2000mPa・sの範囲の粘度を有する消費者製品を含む。好ましくは、容器は、流体の形態のクレンジング製品、より好ましくは液体組成物を含む。
【0027】
容器本体に取り付けられるように構成されたキャップは、内部に液体経路及びガス経路が形成されたキャップ本体であって、液体経路が、容器から液体が通過するように構成され、ガス経路が、容器の内外の圧力を均衡化させるためにガスが通過するように構成された、キャップ本体と、キャップ本体に取り外し可能に接続されて液体経路及びガス経路を封止する天板とを備える。
【0028】
天板は、容器が使用される前に天板を引き剥がすことができるように、容易に引き剥がされる構造体のみによって、キャップ本体に接続される。容易に引き剥がされる構造体は、天板とキャップ本体との間の唯一の接続部として機能する。容易に引き剥がされる構造体が剥がされると、天板はキャップ本体から完全に取り外される。
【0029】
容易に引き剥がされる構造体は、キャップの残りの部分よりも容易に引き剥がされる材料で作られることが好ましい。好ましくは、容易に引き剥がされる構造体は、剥がすためのオプションとしてのノッチを有する弱め部を備える。例えば、弱め部は、弱め線、穿孔、薄肉部、切り欠き、ノッチ、又はそれらの組み合わせである。容易に引き剥がされる構造体は、0.1~3mm、好ましくは0.3~1mmの厚さを有するプラスチックで作られていてもよい。弱め部がノッチを備える場合、ノッチは、弱め部の一方の縁部又は両方の縁部に形成される。このような容易に引き剥がされる構造体により、使用者は簡単なワンステップ操作によって、手で天板を取り外すことができ、それによって使用エクスペリエンスが大幅に向上する。
【0030】
好ましくは、容易に引き剥がされる構造体は、ヒンジ、又は少なくとも部分的に周方向に延びるループの形態である。構造体がヒンジの形態である場合、ヒンジは、好ましくは天板の一端に配置される。構造体がループの形態である場合、ループは、天板の本体の周囲の少なくとも一部、好ましくは全体に沿って延在してもよい。
【0031】
好ましくは、ループは、天板とキャップ本体との間に挟まれ、天板及びキャップ本体と接触するループの上面及び下面の両方に配置された弱め部を備え、その結果、ループは、2つの部材から同時に剥がすことができる。ループはまた、キャップ本体及び天板を外部から取り囲み、天板及びキャップ本体と接触するその内面に弱め部を備える。あるいは、ループは、キャップ本体のみと接触する表面上に弱め部を備え、天板上に留まりながらキャップ本体から引き剥がすことができる。別の好ましい実施形態では、ループ自体が弱め部として形成される。
【0032】
好ましくは、キャップは一体的に単一部品に形成される。すなわち、キャップ本体と、容易に引き剥がされる構造体と、天板とが一体化されている。
【0033】
好ましくは、キャップ本体は、その頂壁に凹部が形成されており、その凹部を通って液体経路及びガス経路の両方が延びている。液体経路は、好ましくは凹部の中心に位置し、ガス経路は凹部に隣接している。
【0034】
好ましくは、天板は、材料を節約し、美的外観を実現するために、凹部に受容されるように寸法決めされる。あるいは、天板は、凹部の上方及び凹部を越えて延在する。例えば、天板は、外周でキャップ本体と同一平面になるように、キャップ本体の周囲まで凹部を越えて延在している。天板を受容するために凹部に延出部が設けられてもよい。延出部は、部分的に又は全体的に周方向に凹部内に延びていてもよい。あるいは、天板は、中間部材なしで凹部内に直接配置される。
【0035】
好ましくは、天板には、液体出口及びガス孔に圧入される2つの突起が備えられ、これらはそれぞれの液体経路及びガス経路の一部としてキャップ本体に設けられている。したがって、追加の封止部材なしで、天板とキャップ本体との間に漏れのない封止が形成される。天板は、液体経路及びガス経路を封止するための封止部材として機能し、キャップの外側カバーとしても機能し、これにより、キャップ構造を簡素化し、漏れのない密閉を実現する。
【0036】
好ましくは、キャップ本体には、液体経路に連通するようにチューブが配置される。チューブは、別個の部材として液体経路に挿入されてもよい。あるいは、チューブは、キャップと一体的に形成されてもよい。
【0037】
好ましくは、キャップが取り外されるのを防止するために、インターロック構造体などの不正開封防止機構がキャップと容器本体との間に配置される。より好ましくは、インターロック構造体は、周方向に延在する一対の返し状フランジとして構成される。
【0038】
容器本体及びキャップは、好ましくは、それぞれに解放可能に係合できるように適合される。そのような解放可能な係合は、好ましくはスナップフィット接続である。キャップと容器本体との間にねじ接続がなくてもよい。あるいは、キャップは、容器本体と締まり嵌めする。
【0039】
[実施例]
本発明の理解を容易にするために、以下の実施例を
図1~
図7cに示す。実施例は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0040】
[実施例1]
図1は、分注装置用の容器1の全体構成を示している。容器1は、使用者に製品を分注するために分注装置(図示せず)と共に使用されるように構成される。
【0041】
容器1は、開口部3を有する中空容器本体2を備える。容器本体2には、開口部3を封止するキャップ4が取り付けられている。キャップ4には、開口部3を通って容器本体2内に挿入され、容器1からキャップ4の液体出口6に液体を導くチューブ5が設けられている。
【0042】
図1に示すように、容器本体2には、開口部3が内部に形成された首部7が形成されている。キャップ4は、容器1の貯蔵中又は輸送中の液漏れを防止するために首部7の上部を覆う。容器1を分注装置上に取り付けようとする際に、キャップ4は、容器本体2に取り付けられたままで開かれ、液体は、使用のためにキャップ4の液体出口6から分注装置によって汲み出される。
【0043】
図2は、キャップ4が所定の位置にある容器1の上面図であり、
図3は、
図2の線A-Aに沿った断面図であり、
図4は、
図3の長方形で囲まれたB部分の拡大図である。
【0044】
図1及び
図4を参照すると、容器1には、キャップ4が意図的に又は偶発的に取り外されることを防止するための不正開封防止機構が設けられている。不正開封防止機構は、首部7とキャップ4との間の接続部においてインターロック構造体8の形態になっている。インターロック構造体8は、容器1の首部7及びキャップ4のそれぞれにおいて周方向に延在する一対の返し状フランジ9、10である。キャップ4が容器本体2に取り付けられると、フランジ9、10が互いに当接して噛み合い、キャップ4がはずれるのを防止する。インターロック構造体8により、容器1内の液体を意図的に排出したり、他の組成物と交換したりすることはできない。
【0045】
図1に示すように、容器1の首部7の外壁面11には、第1のフランジ9が配置されている。第1のフランジ9は、首部7の全周にわたって周方向に延びている。
【0046】
図5a及び
図5bは、閉状態及び開状態のキャップ4をそれぞれ概略的に示す。
【0047】
図5a及び
図5bに示すように、キャップ4は、キャップ本体15と、キャップ本体15に取り外し可能に接続された天板16とを備える。これにより、キャップ4は一体的に形成されている。キャップ本体15は、分注装置によって液体を分注するための以下で詳細に説明する液体経路及びガス経路を備えるように構成される。天板16は、分注前の液体経路及びガス経路を封止して液漏れを防止し、さらに、分注装置上に容器1を取り付けて分注用の液体経路及びガス経路を露出させる際に、キャップ本体15から取り外し可能であるように構成されている。
【0048】
キャップ本体15と天板16とを備えるキャップ4は、追加の封止部材なしで、漏れのない密閉を実現する。また、使用者は、天板16を取り外すことで、簡単なワンステップの操作でキャップ4を開けることができ、それによって、使用者の行為を減らし、ユーザエクスペリエンスを大幅に向上させることができる。
【0049】
図5bを参照すると、キャップ本体15は、液体出口6及びガス孔18が形成された頂壁17と、頂壁17から垂下する周壁19とを含む。液体出口6は、液体の流出を容易にするために頂壁17の中央に配置される。ガス孔18は、分注の間、容器1の内外の圧力を均衡化させるために液体出口6に隣接している。
【0050】
凹部20は、分注の間、容器1の内部と外気とを連通させるために頂壁17に形成され、ガス経路の一部を構成している。凹部20は、天板16を受容するような形状であり、天板と相補的である。凹部20は、中央部分21と、中央部分21から外方に直径方向に延びて天板16と一致する2つのストリップ部分22、23とを有する。液体出口6及びガス孔18は、中央部分21内に配置される。
【0051】
ここで
図4に戻ると、液体経路24がキャップ本体15の内部に形成され、液体出口6で終端する。液体経路24の液体出口6とは反対側の端部内には、チューブ5が挿入されて液体の流れを案内する。同様に、ガス経路25は、キャップ本体15の内部のガス孔18に形成されている。容器1の外部に液体が漏れることを防止するために、頂壁17の下面に環状突起26が配置されている。キャップ4が容器本体2に取り付けられると、環状突起26が容器1の開口部3に液密に差し込まれ、両者の間に締まり嵌めが形成される。
【0052】
図3に示すように、チューブ5は、一端が液体経路24に挿入され、他端が容器1の内部の液体内へと延在している。容器1が使用されているとき、液体はチューブ5を通って分注装置内に導かれ、液体経路24及び液体出口6は液体経路を構成する。分注の間、ガス経路を構成する凹部20、ガス孔18及びガス経路25を通って空気が流れることで、容器1の内外の圧力が均衡化し、容器内から液体がスムーズに流出することができる。
【0053】
ここで
図4を参照すると、容器1のインターロック構造体8の一部として、第2のフランジ10は、第1のフランジ9に対応する位置でキャップ4の周壁19の内面に配置される。第2のフランジ10は、周壁19の下端に配置されて示されている。第2のフランジ10も、第1のフランジ9と同様に、キャップ4の全周にわたって周方向に延びている。
【0054】
キャップ4が容器本体2に取り付けられているとき、第2のフランジ10は第1のフランジ9上を摺動し、キャップ4の周壁19は半径方向外側にわずかに膨張する。第2のフランジ10が第1のフランジ9を越えて摺動すると、キャップ4の周壁19は弾性の作用下でその元の形状に戻り、それによって第2のフランジ10は下面から第1のフランジ9に当接し、その結果、キャップ4を容器本体2から取り外すことがほとんどできない。
【0055】
周壁19の外面には、容器1を分注装置に取り付けるためにそこから突出する2つのリブ28が配置されている。リブ28は、容器1が分注装置上にしっかりと位置決めされ得るように、周方向に均等に配置される。
図5a及び
図5bで分かるように、リブ28は、略L字形である。
【0056】
引き続き
図5a及び
図5bを参照すると、天板16は、天板16の一端において、ヒンジ29を介してキャップ本体15に取り外し可能に接続されている。
図5aの閉状態では、天板16は、キャップ本体15の液体出口6及びガス孔18を覆い、容器1の貯蔵中又は輸送中の液漏れを防止し、一方、
図5bの開状態では、天板16は、キャップ本体15から離れる方向に回動して、液体出口6及びガス孔18を露出させ、その後、容器1を分注装置に取り付けるために引き剥がされる。
【0057】
図5aから分かるように、天板16は、キャップ本体15の凹部20の中央部分21に嵌め込まれる本体30を有する。把持部31は、天板16を取り外すために使用者が把持するために、本体30から半径方向外側に延在する。接続部32は、本体30から把持部31と反対方向にヒンジ29まで延びている。把持部31及び接続部32は、凹部20の2つのストリップ部分22、23(
図5bに示す)にそれぞれ嵌め込まれる。
【0058】
図5bを参照すると、2つの突起33、34は、本体30のキャップ本体15側に配置されており、第1の突起33及び第2の突起34は、液体出口6及びガス孔18にそれぞれ液密に挿入されて両者の間に締まり嵌めを形成するように構成されており、これにより、貯蔵中又は輸送中における液漏れが抑制される。2つの突起33、34は、天板16の封止部として機能する。
【0059】
ヒンジ29は、厚さ0.5mmの薄肉部を備えており、プラスチック製である。ヒンジ29は、キャップ4の一体部分である。すなわち、天板16、ヒンジ29及びキャップ本体15は一体化されている。引き剥がしを容易にするために、ヒンジ29の縁部にノッチ35が形成されている。
【0060】
容器1を分注装置上に取り付けようとする際に、使用者は、把持部31を把持した後、天板16をキャップ本体15から離れる方向に回動させて、液体出口6とガス孔18とを同時に露出させる。そして、使用者が天板16をノッチ35とヒンジ29の弱め部とに沿って引き剥がすことで、天板16のない容器1を分注装置に取り付けることができる。使用者は、容器1を使用する前に、簡単なワンステップ操作によって、手で天板16を容易に引き剥がすことができ、これにより、ユーザエクスペリエンスが大幅に向上する。
【0061】
[実施例2]
以下、
図6a~
図6cを参照して、実施例2を説明する。実施例2は、キャップ4が実施例1と異なるが、容器1の他の構造は同様である。そのため、ここでは、同一又は類似の構造について重複する説明は省略する。
【0062】
図6aは、閉状態でのキャップ4の変形例を示す。
図6b及び
図6cは、
図6aに示すキャップ4を上方及び下方からそれぞれ見た分解斜視図である。
【0063】
図6a~
図6cに示すキャップ4は、天板16の形状、及び、天板16とキャップ本体15との間の接続において、
図5a及び
図5bに示すものとは異なる。
【0064】
図6aに示す閉状態では、天板16及びキャップ本体15は、ループ12を介して一体化されている。ループ12は、天板16とキャップ本体15との間に挟まれており、先の実施例におけるヒンジ29の代わりに周方向に延びている。ループ12には、把持用のタブ13が形成されている。
図6cに示すように、ループ12を容易に引き出すためにタブ13の近くにノッチ38がある。
【0065】
図6b及び
図6cから最もよく分かるように、天板16は、円形ディスクの形態の本体30を有し、ループ12は、その上面及び下面に弱め部14を伴って配置され、天板16及びキャップ本体15に接続される。弱め部14は、材料の薄肉部である。容器1を分注装置に取り付ける際に、使用者は、ループ12上のタブ13を把持して天板16及びキャップ本体15から引き離し、ループ12をそこから取り外す。ループ12が引き剥がされた後、天板16は、その後の分注装置への容器1の取付けのために取り外される。
【0066】
容易に引き剥がされるループ12により、使用者は、容器1を使用する前に、簡単なワンステップ操作によって、手で天板16を容易に引き剥がすことができる。
【0067】
[実施例3]
以下、
図7a~
図7cを参照して、実施例3を説明する。実施例3は、キャップ4が実施例1と異なるが、容器1の他の構造は同様である。そのため、ここでは、同一又は類似の構造について重複する説明は省略する。
【0068】
図7aは、閉状態でのキャップ4の変形例を示す。
図7b及び
図7cは、
図7aに示すキャップを上方及び下方からそれぞれ見た分解斜視図である。
【0069】
図7a~
図7cに示すキャップ4は、天板16の形状、及び、天板16とキャップ本体15との間の接続において、
図5a及び
図5bに示すものとは異なる。
【0070】
図7aに示す閉状態では、天板16及びキャップ本体15は一体化されており、上面で互いに同一平面となっている。実施例1における天板16とキャップ本体15とを連結するヒンジ29の代わりに、本実施例におけるキャップ4は、
図7cに示すように、弱め部14として形成されたループを採用している。弱め部14は、天板16を取り外す前の天板16とキャップ本体15との一体部分である。取り外した後、弱め部14はキャップ本体15から切り離される。厚さ0.5mmの薄肉部としての弱め部14は、天板16の本体30の周方向全体にわたって延びている。
【0071】
図7a及び
図7bを参照すると、天板16は、実施例1と同様に、本体30と、本体30から延出する把持部31とを有するが、接続部32を有していない。本体30及び把持部31は、キャップ本体15の上面において、凹部20内に、より具体的には、
図7bに示すように、凹部20のそれぞれの中央部分21及びストリップ部分22に埋め込まれる。
【0072】
図7bに示すように、凹部20には、環状延出部27が、弱め部14を受容するように周方向に設けられている。延出部27は、弱め部14に対応する周方向において凹部20の全域に沿って延びている。
【0073】
容器1を分注装置に取り付ける際に、使用者は、天板16の把持部31を把持してキャップ本体15から引き離すことにより、弱め部14を破断して、天板16をキャップ4から取り外す。
【0074】
容易に引き剥がされる弱め部14により、使用者は、容器1を使用する前に、簡単なワンステップ操作によって、手で天板16を容易に引き剥がすことができ、これにより、ユーザエクスペリエンスが大幅に向上する。
【符号の説明】
【0075】
1 容器
2 容器本体
3 開口部
4 キャップ
5 チューブ
6 液体出口
7 首部
8 インターロック構造体
9 第1のフランジ
10 第2のフランジ
11 外壁面
12 ループ
13 タブ
14 弱め部
15 キャップ本体
16 天板
17 頂壁
18 ガス孔
19 周壁
20 凹部
21 中央部分
22,23 ストリップ部分
24 液体経路
25 ガス経路
26 環状突起
27 延出部
28 リブ
29 ヒンジ
30 本体
31 把持部
32 接続部
33,34 突起
35,38 ノッチ
【手続補正書】
【提出日】2022-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(2)に取り付けられる容器(1)用のキャップ(4)であって、
(i)内部に液体経路(24)及びガス経路(25)が形成されたキャップ本体(15)であって、前記液体経路(24)が、前記容器(1)から液体が通過するように構成され、前記ガス経路(25)が、前記容器(1)の内外の圧力を均衡化させるためにガスが通過するように構成された、キャップ本体(15)と、
(ii)天板(16)と、
を具備し、
前記天板(16)が、前記キャップ本体(15)に取り外し可能に接続されて前記液体経路(24)及び前記ガス経路(25)を封止
し、
前記天板(16)が、容易に引き剥がされる構造体のみによって、前記キャップ本体(15)に接続される、ことを特徴とするキャップ(4)。
【請求項2】
前記天板(16)が、前記液体経路(24)及び前記ガス経路(25)を封止する封止部材として機能し、前記キャップ(4)の外側カバーとしても機能する、請求項1に記載のキャップ(4)。
【請求項3】
前記構造体には、引き剥がしのためのオプションとしてのノッチ(35)を備えた弱め部(14)が設けられる、請求項
1又は請求項2に記載のキャップ(4)。
【請求項4】
前記構造体がヒンジ(29)の形態である、請求項
1から請求項
3のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項5】
前記構造体が、少なくとも部分的に周方向に延びるループ(12)の形態である、請求項
1から請求項
4のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項6】
前記キャップ本体(15)が、該キャップ本体の頂壁(17)に凹部(20)が形成されており、該凹部(20)を通って前記液体経路(24)及び前記ガス経路(25)の両方が延びる、請求項1から請求項
5のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項7】
前記天板(16)が、前記凹部(20)内に受容されるように寸法決めされる、請求項
6に記載のキャップ(4)。
【請求項8】
前記天板(16)が、前記凹部(20)の上方に該凹部を越えて延びるように寸法決めされている、請求項
6に記載のキャップ(4)。
【請求項9】
前記天板(16)には、液体出口(6)及びガス孔(18)に圧入される2つの突起(33、34)が設けられ、該2つの突起は、それぞれ前記液体経路(24)及び前記ガス経路(25)の一部として前記キャップ本体(15)に設けられる、請求項1から請求項
8のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項10】
チューブ(5)が、前記液体経路(24)に連通するように、前記キャップ本体(15)に配置される、請求項1から請求項
9のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項11】
前記キャップ(4)が一体的に単一部品として形成される、請求項1から請求項
10のいずれかに記載のキャップ(4)。
【請求項12】
容器本体(2)と、前記容器本体(2)に取り付けられるように構成された請求項1から請求項
11のいずれかに記載のキャップ(4)と、を具備する容器(1)であって、
好ましくは、前記キャップ本体(15)に、前記容器本体(2)の開口部(3)に圧入される環状突起(26)が設けられる、容器(1)。
【請求項13】
前記容器本体(2)及び前記キャップ(4)が、スナップフィット接続を使用して解放可能に係合する、請求項
12に記載の容器(1)。
【請求項14】
前記キャップ(4)が取り外されることを防止するために、前記キャップ(4)と前記容器本体(2)との間に不正開封防止機構が配置され、
好ましくは、該不正開封防止機構がインターロック構造体(8)であり、より好ましくは、該インターロック構造体(8)が、周方向に延びる1対の返し状フランジ(9、10)として構成される、請求項
12又は請求項
13に記載の容器(1)。
【国際調査報告】