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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】回折光学素子を含むデバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230929BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230929BHJP
   G02F 1/141 20060101ALI20230929BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20230929BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
G02F1/141
G02B5/18
G02B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511834
(86)(22)【出願日】2021-07-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021044097
(87)【国際公開番号】W WO2022066286
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】17/029,963
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】ヤロシュク、オレグ
(72)【発明者】
【氏名】カラフィオーレ、ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】モヘギ、アリレザ
(72)【発明者】
【氏名】メイモン、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シルバースタイン、バリー デイビッド
【テーマコード(参考)】
2H088
2H149
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088EA47
2H088GA02
2H088JA05
2H088JA17
2H088MA20
2H149AA01
2H149BA04
2H149BA22
2H149FA00W
2H149FC09
2H199CA02
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA42
2H199CA43
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA70
2H199CA86
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA65
(57)【要約】
デバイスは、導波路と、導波路に結合されているインカップリング素子およびアウトカップリング素子と、を含む。導波路、インカップリング素子およびアウトカップリング素子は、デバイスのアイボックスに画像光の複数の部分を伝送するように構成される。インカップリング素子およびアウトカップリング素子のうちの少なくとも1つは、偏光選択回折素子を含む。偏光選択回折素子は、受動光学異方性材料で充填された複数の溝を画定する複数の微細構造を含む格子を含む。受動光学異方性材料は、複数の溝の溝方向に沿った第1有効屈折率と溝方向に垂直な面内方向に沿った第2有効屈折率とを有する。第1有効屈折率または第2有効屈折率のうちの一方は、微細構造の屈折率と実質的に一致する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路と、
前記導波路に結合されているインカップリング素子およびアウトカップリング素子と、を備えるデバイスであって、
前記導波路、前記インカップリング素子、および前記アウトカップリング素子は、前記デバイスのアイボックスに画像光の複数の部分を伝送するように構成され、
前記インカップリング素子および前記アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つは、偏光選択回折素子を含み、前記偏光選択回折素子は、
受動光学異方性材料で充填された複数の溝を画定する複数の微細構造を含む格子を備え、
前記受動光学異方性材料は、前記複数の溝の溝方向に沿った第1有効屈折率および前記溝方向に垂直な面内方向に沿った第2有効屈折率を有しており、
前記第1有効屈折率および前記第2有効屈折率のうちの一方は、前記複数の微細構造の屈折率と実質的に一致する、デバイス。
【請求項2】
前記第1有効屈折率および前記第2有効屈折率のうちの他方は、前記複数の微細構造の屈折率と一致しない、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記画像光の一部分は、
(i)単色画像もしくは複数色画像の視野の所定の部分、または、
(ii)所定の色の単色画像、
に対応する、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記受動光学異方性材料は、光学異方性ポリマーを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記偏光選択回折素子は、前記偏光選択回折素子に結合されている外部偏光スイッチを介して回折状態と非回折状態とを間接的に切り換え可能である、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記格子は、傾斜格子または非傾斜格子である、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記偏光選択回折素子は、複数の格子を含み、
複数の期間中、前記複数の格子は、前記画像光の複数の部分のそれぞれの部分を伝送するために回折状態で動作するように順次構成され、
前記複数の期間のうちの1つの期間中に、前記複数の格子のうちの少なくとも1つは、前記画像光の前記複数の部分のうちの一部分を伝送するために回折状態で動作するように構成され、1以上の残りの格子は非回折状態で動作するように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記複数の格子は、
(i)少なくとも部分的に互いに重なり合うように配列されるか、または、
(ii)積層構成で配設される、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記偏光選択回折素子は、前記画像光の前記複数の部分のそれぞれの部分を同じ期間中に伝送するために回折状態で動作するように構成される複数の格子を含み、
前記複数の格子の角度スペクトルおよび波長スペクトルのうちの少なくとも1つは、実質的に重なり合わない、
請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
(i)積層構成に配設される複数の導波路、および前記複数の導波路に結合されている複数の前記偏光選択回折素子であって、複数の期間中、前記複数の偏光選択回折素子は、前記画像光の前記複数の部分のそれぞれの部分を伝送するために回折状態で動作するように順次構成され、前記複数の期間のうちの1つの期間中に、前記複数の導波路のうちの1つに含まれる前記偏光選択回折素子が前記画像光の前記複数の部分のうちの一部分を伝送するために前記回折状態で動作するように構成され、1以上の残りの導波路に含まれる1以上の偏光選択回折素子は、非回折状態で動作するように構成される、前記積層構成に配設される複数の導波路、および前記複数の導波路に結合されている複数の前記偏光選択回折素子、または、
(ii)積層構成に配設される複数の導波路、および前記複数の導波路に結合されている複数の偏光選択回折素子であって、前記複数の偏光選択回折素子は、前記画像光の前記複数の部分のそれぞれの部分を同じ期間中に伝送するために回折状態で動作するように構成され、前記複数の偏光選択回折素子の角度スペクトルおよび波長スペクトルのうちの少なくとも1つは、実質的に重なり合わない、前記積層構成に配設される複数の導波路、および前記複数の導波路に結合されている複数の偏光選択回折素子、
をさらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
方法であって、
デバイスの第1導波路に結合されている第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを回折状態で動作するように構成することと、
前記第1偏光選択インカップリング素子、前記第1導波路、および前記第1偏光選択アウトカップリング素子によって、画像光の第1部分を前記デバイスのアイボックスに方向付けることと、
第2導波路に結合されている第2偏光選択インカップリング素子および第2偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを前記回折状態で動作するように構成することと、
前記第2偏光選択インカップリング素子、前記第2導波路、および前記第2偏光選択アウトカップリング素子によって、前記画像光の第2部分を前記アイボックスに方向付けることと、
を備える方法。
【請求項12】
前記画像光の前記第1部分および前記画像光の前記第2部分は、同じ期間中または異なる期間中に前記アイボックスに伝送される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1偏光選択インカップリング素子および前記第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを前記回折状態で動作するように構成することは、
前記第1偏光選択インカップリング素子および前記第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの前記少なくとも1つに結合されている偏光スイッチの動作状態を制御すること、を備える、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像光の前記第1部分は、単色画像、複数色画像、または第1色の単色画像の視野の第1部分に対応し、
前記画像光の前記第2部分は、前記単色画像、前記複数色画像、または前記第1色とは異なる第2色の前記単色画像の視野の第2部分に対応する、
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
(i)前記第1導波路および前記第2導波路は、同じ共通の導波路であり、前記第1偏光選択インカップリング素子および前記第2偏光選択インカップリング素子は、少なくとも部分的に重なり合うように構成され、前記第1偏光選択アウトカップリング素子および前記第2偏光選択アウトカップリング素子は、少なくとも部分的に重なり合うように構成されるか、または、
(ii)前記第1導波路および前記第2導波路は、複数の個別導波路であり、前記第1偏光選択インカップリング素子および前記第1偏光選択アウトカップリング素子は、前記第1導波路に結合され、前記第2偏光選択インカップリング素子および前記第2偏光選択アウトカップリング素子は、前記第2導波路に結合されている、
請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
第3導波路に結合されている第3偏光選択インカップリング素子および第3偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを前記回折状態で動作するように構成することと、
前記第3偏光選択インカップリング素子、前記第3導波路、および前記第3偏光選択アウトカップリング素子によって、前記画像光の第3部分を前記アイボックスに方向付けることと、
をさらに備える請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して光学デバイスに関し、より具体的には、回折光学素子を含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ニアアイディスプレイ(「NED : near‐eye display」)は、ビデオ再生、ゲーミング、およびスポーツなどの多様なアプリケーションに広く実装されている。NEDは、仮想現実(「VR : virtual reality」)、拡張現実(「AR : augmented reality」)、または複合現実(「MR : mixed reality」)技術を通じてユーザーに情報を提示するために使用されている。ARまたはMRのヘッドセットは、現実世界の画像またはシースルー画像と重ね合わせて、または現実世界の画像またはシースルー画像に重畳して仮想画像を表示する。回折結合構造を備える瞳拡大導波路ディスプレイシステムは、AR/MRディスプレイにとって有望な設計であり、サングラス/メガネのフォームファクタ、適度な大きさの視野(「FOV : field of view」)、高い透過率、および大きなアイボックスを提供できる可能性がある。導波路ディスプレイシステムは、マイクロディスプレイ、コリメータ、および導波路結合器などの導波路光学系を含む。導波路結合器は、格子であり得るインカップリング素子とアウトカップリング素子とを統合する。ナノ加工によって得られる表面レリーフ型格子または様々な種類のホログラフィック格子などの様々な格子が導波路結合器に統合され得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様によると、導波路と、導波路に結合されているインカップリング素子およびアウトカップリング素子と、を備えるデバイスであって、導波路、インカップリング素子、およびアウトカップリング素子は、デバイスのアイボックスに画像光の複数の部分を伝送するように構成され、インカップリング素子およびアウトカップリング素子のうちの少なくとも1つは、溝の溝方向に沿った第1有効屈折率と溝方向に垂直な面内方向に沿った第2有効屈折率とを有する受動光学異方性材料で充填された複数の溝を画定する複数の微細構造を含む格子を備え、第1有効屈折率または第2有効屈折率のうちの一方は、微細構造の屈折率と実質的に一致する、デバイスが提供される。
【0004】
いくつかの実施形態において、第1有効屈折率または第2有効屈折率のうちの他方のものは、微細構造の屈折率と一致しない。
いくつかの実施形態において、画像光の一部分は、単色画像または複数色画像の視野の所定の部分に対応する。
【0005】
いくつかの実施形態において、画像光の一部分は、所定の色の単色画像に対応する。
いくつかの実施形態において、受動光学異方性材料は、光学異方性ポリマーを含む。
いくつかの実施形態において、偏光選択回折素子は、偏光選択回折素子に結合されている外部偏光スイッチを介して回折状態と非回折状態とを間接的に切り換え可能である。
【0006】
いくつかの実施形態において、格子は、傾斜格子または非傾斜格子である。
いくつかの実施形態において、偏光選択回折素子は、複数の格子を含み、複数の期間中、複数の格子は、画像光の複数の部分のそれぞれの部分を伝送するために回折状態で動作するように順次構成され、複数の期間のうちの1つの期間中に、複数の格子の少なくとも1つは、画像光の複数の部分のうちの一部分を伝送するために回折状態で動作するように構成され、1以上の残りの格子は、非回折状態で動作するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、複数の格子は、少なくとも部分的に互いに重なり合うように配列される。
いくつかの実施形態において、複数の格子は、積層構成で配設される。
【0008】
いくつかの実施形態において、偏光選択回折素子は、画像光の複数の部分のうちのそれぞれの部分を同じ期間中に伝送するために回折状態で動作するように構成される複数の格子を含み、複数の格子の角度スペクトルおよび波長スペクトルのうちの少なくとも1つは、実質的に重なり合わない。
【0009】
いくつかの実施形態において、デバイスは、積層構成に配設される複数の導波路と、複数の導波路に結合されている複数の偏光選択回折素子とをさらに備え、複数の期間中、複数の偏光選択回折素子は、画像光の複数の部分のうちのそれぞれの部分を伝送するために回折状態で動作するように順次構成され、複数の期間のうちの1つの期間中に、複数の導波路のうちの1つに含まれる偏光選択回折素子が画像光の複数の部分のうちの一部分を伝送するために回折状態で動作するように構成され、1以上の残りの導波路に含まれる1以上の偏光選択回折素子は、非回折状態で動作するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態において、デバイスは、積層構成に配設される複数の導波路と、複数の導波路に結合されている複数の偏光選択回折素子とをさらに備え、複数の偏光選択回折素子は、画像光の複数の部分のうちのそれぞれの部分を同じ期間中に伝送するために回折状態で動作するように構成され、複数の偏光選択回折素子の角度スペクトルおよび波長スペクトルのうちの少なくとも1つは、実質的に重なり合わない。
【0011】
本開示のさらなる態様によると、デバイスの第1導波路に結合されている第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを回折状態で動作するように構成することと、第1偏光選択インカップリング素子、第1導波路、および第1偏光選択アウトカップリング素子によって、画像光の第1部分をデバイスのアイボックスに方向付けることと、第2導波路に結合されている第2偏光選択インカップリング素子および第2偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを回折状態で動作するように構成することと、第2偏光選択インカップリング素子、第2導波路、および第2偏光選択アウトカップリング素子によって、画像光の第2部分をアイボックスに方向付けることとを備える方法が提供される。
【0012】
いくつかの実施形態において、画像光の第1部分および画像光の第2部分は、同じ期間中または異なる期間中にアイボックスに伝送される。
いくつかの実施形態において、第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを回折状態で動作するように構成することは、第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つに結合されている偏光スイッチの動作状態を制御することを備える。
【0013】
いくつかの実施形態において、画像光の第1部分は、単色画像、複数色画像、または、第1色の単色画像の視野(「FOV」)の第1部分に対応し、画像光の第2部分は、単色画像、複数色画像、または第1色とは異なる第2色の単色画像の視野(「FOV」)の第2部分に対応する。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1導波路および第2導波路は、同じ共通の導波路であり、第1偏光選択インカップリング素子および第2偏光選択インカップリング素子は、少なくとも部分的に重なり合うように構成され、第1偏光選択アウトカップリング素子および第2偏光選択アウトカップリング素子は、少なくとも部分的に重なり合うように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態において、第1導波路および第2導波路は、複数の個別導波路であり、第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子は、第1導波路に結合され、第2偏光選択インカップリング素子および第2偏光選択アウトカップリング素子は、第2導波路に結合されている。
【0016】
いくつかの実施形態において、方法は、第3導波路に結合されている第3偏光選択インカップリング素子および第3偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを回折状態で動作するように構成することと、第3偏光選択インカップリング素子、第3導波路、および第3偏光選択アウトカップリング素子によって、画像光の第3部分をアイボックスに方向付けることをさらに備える。
【0017】
本明細書において、本開示の1以上の態様または実施形態に組み込むのに適すると説明されるいずれの特徴も、本開示のあらゆる態様および実施形態に一般化されることを意図していることは理解されよう。当業者は、本開示の明細書、特許請求の範囲、および図面に照らして、本開示の他の態様を理解することができる。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は例示的で説明的なものにすぎず、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0018】
本開示の一態様は、デバイスを提供する。デバイスは、導波路と、導波路に結合されているインカップリング素子およびアウトカップリング素子とを含む。導波路、インカップリング素子およびアウトカップリング素子は、画像光の複数の部分をデバイスのアイボックスに伝送するように構成される。インカップリング素子およびアウトカップリング素子のうちの少なくとも1つは、偏光選択回折素子を含む。偏光選択回折素子は、溝の溝方向に沿った第1有効屈折率と溝方向に垂直な面内方向に沿った第2有効屈折率とを有する受動光学異方性材料で充填された複数の溝を画定する複数の微細構造を含む格子を含む。第1有効屈折率または第2有効屈折率のうちの一方は、微細構造の屈折率と実質的に一致する。
【0019】
本開示の別の態様は、方法を提供する。方法は、デバイスの第1導波路に結合されている第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを回折状態で動作するように構成することを含む。方法は、第1偏光選択インカップリング素子、第1導波路、および第1偏光選択アウトカップリング素子によって、画像光の第1部分をデバイスのアイボックスに方向付けることも含む。方法は、第2導波路に結合されている第2偏光選択インカップリング素子および第2偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを回折状態で動作するように構成することも含む。方法は、第2偏光選択インカップリング素子、第2導波路、および第2偏光選択アウトカップリング素子によって、画像光の第2部分をアイボックスに方向付けることをさらに含む。
【0020】
当業者は、本開示の明細書、特許請求の範囲、および図面に照らして、本開示の他の態様を理解することができる。
以下の図面は、開示する様々な実施形態に従って、例示の目的で提供されており、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本開示の実施形態による、ニアアイディスプレイ(「NED」)の模式図を示す。
図1B】本開示の実施形態による、図1Aに図示するNEDの半分の断面図を示す。
図2A】本開示の実施形態による、導波路ディスプレイアセンブリの模式図を示す。
図2B】本開示の別の実施形態による、導波路ディスプレイアセンブリの模式図を示す。
図3A】本開示の実施形態による、非回折状態の受動格子の模式図を示す。
図3B】本開示の実施形態による、図3Aに図示する受動格子の回折状態の模式図を示す。
図4A】本開示の別の実施形態による、回折状態の受動格子の模式図を示す。
図4B】本開示の別の実施形態による、図4Aに図示する受動格子の非回折状態の模式図を示す。
図5A】本開示の別の実施形態による、非回折状態の受動格子の模式図を示す。
図5B】本開示の別の実施形態による、図5Aに図示する受動格子の回折状態の模式図を示す。
図5C】本開示の別の実施形態による、受動格子の回折状態の模式図を示す。
図5D】本開示の別の実施形態による、図5Cに図示する受動格子の非回折状態の模式図を示す。
図6A】本開示の別の実施形態による、受動格子の非回折状態の模式図を示す。
図6B】本開示の別の実施形態による、受動格子の回折状態の模式図を示す。
図6C】本開示の別の実施形態による、受動格子の回折状態の模式図を示す。
図6D】本開示の別の実施形態による、受動格子の非回折状態の模式図を示す。
図7】本開示の別の実施形態による、受動回折光学素子の模式図を示す。
図8A】本開示の実施形態による、受動格子を間接的に切り換えるためのシステムの模式図を示す。
図8B】本開示の実施形態による、受動格子を間接的に切り換えるためのシステムの模式図を示す。
図9A】本開示の実施形態による、受動回折光学素子を製作するプロセスを示す模式図を示す。
図9B】本開示の実施形態による、受動回折光学素子を製作するプロセスを示す模式図を示す。
図9C】本開示の実施形態による、受動回折光学素子を製作するプロセスを示す模式図を示す。
図9D】本開示の実施形態による、受動回折光学素子を製作するプロセスを示す模式図を示す。
図10A】本開示の別の実施形態による、受動回折光学素子を製作するプロセスを示す模式図を示す。
図10B】本開示の別の実施形態による、受動回折光学素子を製作するプロセスを示す模式図を示す。
図10C】本開示の別の実施形態による、受動回折光学素子を製作するプロセスを示す模式図を示す。
図11A】本開示の実施形態による、視野(「FOV」)の異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図11B】本開示の実施形態による、視野(「FOV」)の異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図12A】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図12B】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図12C】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図12D】本開示の実施形態による、図12Aに図示する導波路に結合されているインカップリングサブ格子の重なり合う構成の模式図を示す。
図12E】本開示の別の実施形態による、図12Aに図示する導波路に結合されているインカップリングサブ格子の重なり合う構成の模式図を示す。
図13A】本開示の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路スタックを含む光学システムを示す。
図13B】本開示の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路スタックを含む光学システムを示す。
図14A】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図14B】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図15A】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路スタックを含む光学システムを示す。
図15B】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路スタックを含む光学システムを示す。
図15C】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路スタックを含む光学システムを示す。
図16A】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図16B】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図16C】本開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路を含む光学システムを示す。
図17A】本開示の実施形態による、異なる色の単色画像を伝送するように構成される導波路スタックを含む光学システムの模式図を示す。
図17B】本開示の実施形態による、異なる色の単色画像を時間多重化方式で伝送するように構成される、図17Aに図示する導波路スタックを含む光学システムを示す。
図17C】本開示の実施形態による、異なる色の単色画像を時間多重化方式で伝送するように構成される、図17Aに図示する導波路スタックを含む光学システムを示す。
図17D】本開示の実施形態による、異なる色の単色画像を時間多重化方式で伝送するように構成される、図17Aに図示する導波路スタックを含む光学システムを示す。
図18】本開示の実施形態による、画像光の複数の部分を時間多重化方式で方向付ける方法を示すフローチャートを示す。
図19】本開示の実施形態による、画像光の複数の部分を方向付ける方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示に沿った実施形態を添付の図面を参照して説明していくが、これらは例示目的の例にすぎず、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。可能な限り、同じまたは類似の部品に言及するために図面を通して同じ参照符号を使用し、その詳細な説明を省くことがある。
【0023】
さらに、本開示において、開示される実施形態および開示される実施形態の特徴を組み合わせてもよい。説明される実施形態は、本開示の実施形態のうちのいくつかであって、すべてではない。開示される実施形態に基づいて、当業者は、本開示と整合性のとれる他の実施形態を導き出し得る。例えば、開示される実施形態に基づいて、修正、適応、代用、追加、または他の変形を行ってもよい。開示される実施形態のこのような変形形態は、やはり本開示の範囲内にある。したがって、本開示は、開示される実施形態に制限されるものではない。そうではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0024】
本明細書で使用される場合、「結合する」、「結合される」、「結合」または同様な用語は、光学的結合、機械的結合、電気的結合、電磁的結合、またはその組合せを包含する。2つの光学素子間の「光学的結合」とは、その2つの光学素子が1つの光学シリーズ(optical series)に配列される構造をいい、一方の光学素子から出力される光が直接的または間接的に他方の光学素子によって受光され得る。光学シリーズとは、ある光学素子から出力される光が他の光学素子のうちの1以上によって透過、反射、回折、変換、修正、または別様に処理もしくは操作されるように、光路に複数の光学素子を光学的に位置付けることをいう。いくつかの実施形態において、複数の光学素子を配列する順序が、複数の光学素子の全体的な出力に影響しなくてもよい。結合は、直接的な結合または間接的な結合(例えば、中間素子を通した結合)であってもよい。
【0025】
「AおよびBのうちの少なくとも1つ」というフレーズは、Aのみ、Bのみ、またはAおよびBなどの、AとBのすべての組合せを包含し得る。同様に、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」というフレーズは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB、AおよびC、BおよびC、またはAおよびBおよびCなどの、A、B、およびCのすべての組合せを包含し得る。「Aおよび/またはB」というフレーズは、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」というフレーズと同様に解釈され得る。例えば、「Aおよび/またはB」というフレーズは、Aのみ、Bのみ、またはAおよびBなどの、AとBのすべての組合せを包含し得る。同様に、「A、B、および/またはC」というフレーズは、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」というフレーズと同様な意味を有する。例えば、「A、B、および/またはC」というフレーズは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB、AおよびC、BおよびC、またはAおよびBおよびCなどの、A、B、およびCのすべての組合せを包含し得る。
【0026】
第1要素が、第2要素に対して、第2要素上に、第2要素に、または少なくとも部分的に第2要素内に「装着される」、「提供される」、「形成される」、「付着される」、「搭載される」、「固定される」、「接続される」、「接着される」、「記録される」、または「配設される」と記述されるとき、第1要素は、蒸着、コーティング、エッチング、接着、貼付、ネジ止め、圧入固定、スナップフィット、締め付けなどの任意の適切な機械的または非機械的な方法を使用して、第2要素に対して、第2要素上に、第2要素に、または少なくとも部分的に第2要素内に「装着され」、「提供され」、「形成され」、「付着され」、「搭載され」、「固定され」、「接続され」、「接着され」、「記録され」、または「配設され」てもよい。加えて、第1要素は第2要素に直に接触してもよく、または第1要素と第2要素との間に中間要素があってもよい。第1要素は、左、右、前、後、上、または下などの、第2要素の任意の適切な側に配設してもよい。
【0027】
第1要素が第2要素「上に」配設または配列されると図示または記述されるとき、「上に」という用語は、第1要素と第2要素との間の例示的な相対的向きを示すために使用されるにすぎない。説明は、図面に図示される参照座標系に基づいていることも、または現行の図もしくは図面に図示される例示的な構成に基づいていることもある。例えば、図面に図示される図を説明するとき、第1要素が第2要素「上に」配設されると記述されることがある。「上に」という用語は、必ずしも、第1要素が鉛直な重力方向で第2要素の上方にあることを含意するものではない。例えば、第1要素および第2要素のアセンブリを180度回転させたときに、第1要素は第2要素の「下方に」なり得る(または第2要素が第1要素「上に」なり得る)。したがって、第1要素が第2要素「上に」あるように図面が示しているとき、この構成は単なる例示的な実施例であることは理解される。第1要素は、第2要素に対して任意の適切な向きに配設または配列され得る(例えば、第2要素の上方もしくは第2要素より上、第2要素より下もしくは第2要素の下方、第2要素の左、第2要素の右、第2要素の後ろ、第2要素の前、等)。
【0028】
本開示において、格子構造が構造物、デバイス、または材料(例えば、基本構造物)「上に」または「少なくとも部分的に(構造物、デバイス、または材料)内に」配設(例えば、形成、蒸着、コーティング、エッチング、記録、または別様に提供される)と記述されるとき、「上に」という用語または「少なくとも部分的に~内に」というフレーズは、格子構造が構造物、デバイス、または材料の表面上に形成される構成、格子構造が少なくとも部分的に構造物、デバイス、または材料内にもしくはその内部に形成される構成、格子構造が構造物、デバイス、または材料上もしくはその内側に記録、コーティング、蒸着、エッチング、または印刷される(または任意の他の適切な方法で提供される)構成などの様々な構成を包含するよう広く解釈されるべきである。言い換えると、「上に」という用語または「少なくとも部分的に~内に」というフレーズは、格子構造と構造物、デバイス、または材料との位置関係を厳密に制限し得ない。格子構造が構造物、デバイス、または材料「に」形成または提供されるといわれるとき、「に」という用語は、格子構造が「少なくとも部分的に」構造物、デバイス、または材料「内に」または構造物、デバイス、または材料「上に」形成または提供される様々な構成、および格子構造と基本構造物、デバイス、または材料との他の適切な構成を包含するように広く解釈されるべきである。
【0029】
本開示に述べられる波長の範囲、スペクトル、または帯域は、例示目的である。開示される光学デバイス、システム、素子、アセンブリ、および方法は、可視波長範囲、および紫外線(「UV : ultraviolet」)波長範囲、赤外波長範囲、またはその組合せなどの他の波長範囲に適用してもよい。
【0030】
「通信可能に結合される」または「通信可能に接続される」という用語は、有線または無線の通信チャネルなどの通信チャネルを通じて、関連アイテムが結合または接続されることを示す。
【0031】
直線偏光子は、任意のある方向に振動する第1直線偏光を選択的に透過させ、第1直線偏光の振動方向に垂直な方向に振動する第2直線偏光を選択的にブロックする。直線偏光子は、例えば、反射型偏光子(例えば、デュアル輝度向上フィルム、リオトロピック液晶レイヤー(lyotropic liquid crystal layer)、ワイヤーグリッド偏光子(wire grid polarizer)、プリズム偏光子等)、または吸収型偏光子(例えば、二色性偏光子)であってもよい。直線偏光子は、光透過軸と、面方向に光透過軸に直交する光吸収軸とを有し得る。いくつかの実施形態において、直線偏光子の偏光効率は、50%よりも低くなり得る。いくつかの実施形態において、直線偏光子の偏光効率は、約50%よりも高い、例えば、60%、70%、80%、90%、または95%等よりも高くてもよい。
【0032】
本開示は、光学デバイスなどのデバイスを提供する。光学デバイスは、仮想画像または表示画像を表す画像光(image light)を生成するように構成される光源アセンブリを含み得る。光学デバイスは、画像光を光学デバイスのアイボックス(eye-box)に誘導するように構成される少なくとも1つの導波路も含み得る。導波路は、インカップリング素子(in-coupling element)およびアウトカップリング素子(out-coupling element)に結合され得る。導波路、インカップリング素子およびアウトカップリング素子の組合せは、画像光の複数の部分を、同じ期間中に実質的に同時に(例えば、サブフレームへの分割なく同じ画像フレーム内)または時間多重化方式(例えば、連続した画像フレームもしくはサブフレーム)で、アイボックスに透過させるように構成される。画像光の一部分は、単色画像の視野(「FOV」)の所定の部分、多色画像(例えば、フルカラー画像)のFOVの所定の部分、または所定の色の単色画像に対応する、またはそれを表現し得る。「フルカラー(full color)」または「フル・カラー(full-color)」という用語は、人の眼に見える色の、完全な、所定の範囲を示す。例えば、フルカラーは、複数の原色に基づいて生成され得る色の範囲を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、複数の原色は、赤、緑および青を含んでもよい。いくつかの実施形態において、複数の原色は、赤、緑および青に加えて、1以上の色を含み得る。フル・カラー画像(または画像光)は、原色に基づいて生成され得る実質的に全範囲の色を含む画像(または画像光)をいい得る。
【0033】
インカップリング素子およびアウトカップリング素子のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの受動回折光学素子(passive diffractive optical element)を含み得る。受動回折光学素子は、偏光依存性であっても、または偏光選択性であってもよい。受動回折光学素子は、所定の偏光を有する入射光を選択的に回折し、所定の偏光とは異なる偏光を有する(例えば、所定の偏光に直交する)入射光を、回折が全くないかまたは無視できる状態で選択的に透過させ得る。例えば、受動回折光学素子は、所定の偏光を有する入射光を回折するために回折状態で動作し、所定の偏光とは異なる偏光を有する(例えば、所定の偏光に直交する)入射光を、回折が全くないかまたは無視できる状態で透過させるために非回折状態で動作してもよい。受動回折光学素子は、回折状態と非回折状態とを間接的に切り換え可能であり得る。「間接的に切り換え可能」という用語は、受動回折光学素子が、受動回折光学素子全体に印加される外部電界などの外場(external field)を通して回折状態と非回折状態とを直接的に切り換えられないことを意味する。受動回折光学素子は、受動回折光学素子に結合される外部偏光スイッチまたは偏光回転子(polarization rotator)を通じて回折状態と非回折状態とを間接的に切り換え可能であり得る。入射光の偏光は、入射光が受動回折光学素子に入射する前に、外部偏光回転子または偏光スイッチを介して変更または維持され得る。このように、外部偏光回転子または偏光スイッチは、受動回折光学素子の入射光の偏光を制御し、それによって受動回折光学素子を回折状態と非回折状態とに間接的に切り換える。
【0034】
いくつかの実施形態において、受動回折光学素子は、表面レリーフ型格子(「SRG : surface relief grating」)などの微細構造(例えば、ミクロンまたはナノレベルの寸法を有する構造)格子であり得る。SRGは、複数の溝を画定する複数の微細構造(例えば、突起)を含み得る。溝は、受動(passive)(または再配向不可能な)光学異方性材料で少なくとも部分的に充填され得る。受動(または再配向不可能な)光学異方性材料の分子配向は、電界などの外場を通じて再配向可能にはなり得ない。
【0035】
光学異方性材料は、微細構造格子(例えば、SRG)の溝の溝方向に沿った第1有効屈折率と、溝方向に垂直な面内方向に沿った第2有効屈折率とを有し得る。溝方向は、例えば、溝の長さ方向であってもよい。溝の長さ方向に垂直な「面内」方向とは、溝の底面に沿った、溝の長さ方向に垂直な方向であり得る。いくつかの実施形態において、溝の長さ方向に垂直な面内方向とは、微細構造格子に含まれる微細構造または溝の周期性の面内方向をいうこともある。いくつかの実施形態において、第1有効屈折率は、光学異方性材料の第1主屈折率に等しくてもよい。いくつかの実施形態において、第1有効屈折率は、溝方向の第1主屈折率の成分に等しくてもよい。いくつかの実施形態において、第2有効屈折率は、光学異方性材料の第2主屈折率に等しくてもよい。いくつかの実施形態において、第2有効屈折率は、溝方向に垂直な面内方向の第2主屈折率の成分に等しくてもよい。いくつかの実施形態において、第1有効屈折率および第2有効屈折率は、それぞれ、光学異方性材料の第1主屈折率および第2主屈折率に等しくてもよい。いくつかの実施形態において、第1有効屈折率および第2有効屈折率のうちの一方は、光学異方性材料の第1主屈折率および第2主屈折率のうちの一方に一致し得、他方は、光学異方性材料の第1主屈折率または第2主屈折率と不一致であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1有効屈折率または第2有効屈折率のうちの一方は、微細構造格子(例えば、SRG)の屈折率と実質的に一致し得、第1有効屈折率または第2有効屈折率のうちの他方は、微細構造格子(例えば、SRG)の屈折率と一致し得ない。微細構造格子(例えば、SRG)の屈折率は、微細構造の屈折率に等しくてもよい。光学異方性材料は、受動(passive)液晶(「LC : liquid crystal」)を含み得る。いくつかの実施形態において、光学異方性材料は、重合可能なプレポリマー組成物(polymerizable pre-polymeric compositions)または重合可能な液晶(「LC」)前駆体から重合される光学異方性ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態において、重合可能なLC前駆体は、LC材料のものと同様な光学特性をもつ重合可能な分子である反応性メソゲン(「RM : reactive mesogen」)を含み得る。いくつかの実施形態において、光学デバイスは、ニアアイディスプレイ(「NED」)のコンポーネントであり得る。
【0037】
光学異方性材料は、一軸異方性材料であり得、n ANおよびn ANが一軸異方性材料の主屈折率であるとき、その屈折率楕円体がその光軸に対して軸対称である。例えば、反応性メソゲン(「RM」)は、一軸異方性材料のカテゴリに属する。いくつかの実施形態において、重合させたRM層内を伝播する光が受ける屈折率は、光の偏光方向と光学異方性材料の光軸との間の角度αに応じて、常光屈折率n ANと異常光屈折率n ANとの間の範囲で可変であり得る。例えば、重合させたRM層内を伝播する光が受ける屈折率は、角度αが90°から0°まで変化するとき、n ANからn ANまで変わってもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、受動回折光学素子は、直線偏光選択性であり得る。例えば、受動回折光学素子は、第1偏光を有する直線偏光を選択的に回折し、第2偏光を有する直線偏光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過させてもよい。第1偏光および第2偏光は、直交偏光であり得る。2つの偏光を表す2つのベクトルの内積が実質的にゼロであるときに、2つの偏光は直交する。いくつかの実施形態において、第2偏光を有する偏光の回折効率は、所定の閾値、例えば、約10%、5%、1%、0.5%、0.1%、または0.05%よりも低いか、または所定の閾値、例えば、約10%、5%、1%、0.5%、0.1%、または0.05%と等しくてもよい。いくつかの実施形態において、第1主屈折率または第2主屈折率のうちの一方は、微細構造格子(例えば、SRG)の屈折率と同じであり得る(またはそれと一致し得る)。したがって、受動回折光学素子は、第2偏光を有する偏光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過させてもよい。いくつかの実施形態において、受動回折光学素子は、円偏光または楕円偏光選択性であり得る。例えば、受動回折光学素子は、第1掌性を有する円偏光または楕円偏光を選択的に回折し、第2掌性を有する円偏光または楕円偏光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過させてもよい。第1掌性および第2掌性は、互いに反対であり得る(例えば、左掌性および右掌性)。
【0039】
図1Aは、本開示の実施形態による、ニアアイディスプレイ(「NED」)100の模式図を示す。NED100は、1以上の画像、ビデオ、音声、またはその組合せなどのメディアコンテンツをユーザーに提示し得る。いくつかの実施形態において、音声は、外部デバイス(例えば、スピーカーおよびヘッドフォンのうちの少なくともいずれか)を介してユーザーに提示され得、これが、NED100およびコンソール(図示せず)のうちの少なくともいずれかから音声情報を受信し、その音声情報に基づいて音声データを提示する。NED100は、VRデバイス、ARデバイス、および/またはMRデバイス、またはその組合せとして動作し得る。いくつかの実施形態において、NED100がARおよびMRデバイスまたはARもしくはMRデバイスとして動作するとき、NED100の一部分は少なくとも部分的に透明であり得、NED100の内部コンポーネントは少なくとも部分的に視認可能であり得る。
【0040】
図1Aに図示されるように、NED100は、フレーム110、右ディスプレイシステム120R、および左ディスプレイシステム120Lを含み得る。いくつかの実施形態において、図1Aに図示される一定のデバイスは省いてもよい。いくつかの実施形態において、図1Aに図示されていない追加のデバイスまたはコンポーネントもNED100に含めてもよい。フレーム110は、右ディスプレイシステム120Rおよび左ディスプレイシステム120Lをユーザーの身体部分(例えば、頭)に(例えば、ユーザーの眼に隣接して)装着するように構成される適切な種類の装着構造を含み得る。フレーム110は、ユーザーにメディアを表示するように構成され得る1以上の光学素子に結合され得る。いくつかの実施形態において、フレーム220は、アイウェアのフレームを表し得る。右ディスプレイシステム120Rおよび左ディスプレイシステム120Lは、ユーザーがNED100によって提示されるコンテンツを見ることと、現実世界の物体の画像を見ることと、の両方または一方ができるように構成され得る(例えば、右ディスプレイシステム120Rおよび左ディスプレイシステム120Lの各々がシースルー光学素子(see-through optical element)を含んでもよい)。いくつかの実施形態において、右ディスプレイシステム120Rおよび左ディスプレイシステム120Lは、光(例えば、仮想画像に対応する画像光)を生成して、画像光をユーザーの眼に方向付けるように構成される任意の適切なディスプレイアセンブリ(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態において、NED100は、投影システムを含み得る。例示の目的上、図1Aは、投影システムがフレーム110に結合されるプロジェクタ135を含み得ることを示している。
【0041】
図1Bは、本開示の実施形態による、図1Aに図示されるNED100の断面150である。例示の目的上、図1Bは、左ディスプレイシステム120Lに関連する断面図150を示す。図1Bに図示されるように、左ディスプレイシステム120Lは、ユーザーの眼160用の導波路ディスプレイアセンブリ115を含み得る。導波路ディスプレイアセンブリ115は、導波路または導波路のスタックを含み得る。射出瞳125とは、ユーザーがNED100を着用したときに、眼160がアイボックス領域内に位置付けられる場所であり得る。例示の目的上、図1Bは、片方の眼160と1つの導波路ディスプレイアセンブリ115とに関連する断面150を図示している。いくつかの実施形態において、図1Bに図示される導波路ディスプレイアセンブリ115から離れておりかつ該導波路ディスプレイアセンブリ115と同様な別の導波路ディスプレイアセンブリが、ユーザーのもう片方の眼の射出瞳に配置されるアイボックスに画像光を提供し得る。
【0042】
導波路ディスプレイアセンブリ115は、1以上の屈折率をもつ1以上の材料(例えば、プラスチック、ガラス等)を含み得る。導波路ディスプレイアセンブリ115は、効果的に、NED100の重量を最小化し、かつ視野(「FOV」)を広げ得る。いくつかの実施形態において、導波路ディスプレイアセンブリ115は、NED100のコンポーネントであり得る。いくつかの実施形態において、導波路ディスプレイアセンブリ115は、何らかの他のNEDのコンポーネント、または特定の場所に画像光を方向付ける他のシステムであり得る。図1Bに図示されるように、導波路ディスプレイアセンブリ115は、ユーザーの片方の眼160用に提供され得る。片方の眼用の導波路ディスプレイアセンブリ115は、もう片方の眼用の導波路ディスプレイアセンブリ115から離されるか、または部分的に離され得る。特定の実施形態では、1つの導波路ディスプレイアセンブリ115がユーザーの両眼160用に使用され得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、NED100は、導波路ディスプレイアセンブリ115と眼160との間に配設される1以上の光学素子を含み得る。光学素子は、例えば、導波路ディスプレイアセンブリ115から放出される画像光の収差を補正するか、導波路ディスプレイアセンブリ115から放出される画像光を増大するか、または導波路ディスプレイアセンブリ115から放出される画像光の別の種類の光学的調整を行うように構成されてもよい。1以上の光学素子の例には、絞り、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルター、画像光に影響を及ぼす任意の他の適切な光学素子、またはその組合せが含まれ得る。いくつかの実施形態において、導波路ディスプレイアセンブリ115は、導波路ディスプレイのスタックを含み得る。いくつかの実施形態において、積層導波路ディスプレイは、それぞれのモノクロ光源(monochromatic light sources)が異なる色の光を放出するように構成される複数の導波路ディスプレイを積層することによって形成される多色ディスプレイ(例えば、赤緑青(「RGB : red‐green‐blue」)ディスプレイを含み得る。例えば、積層導波路ディスプレイは、複数の平面に投射されるように構成される多色ディスプレイ(例えば、マルチフォーカスカラーディスプレイ(multi-focus colored display))を含んでもよい。いくつかの実施形態において、積層導波路ディスプレイは、多数の平面に投射されるように構成されるモノクロディスプレイ(例えば、マルチフォーカスモノクロディスプレイ)を含み得る。いくつかの実施形態において、NED100は、適応調光素子(adaptive dimming element)130を含み得、これは、NED100を通して見られる現実世界の物体の透過率を動的に調整し、それによってVRデバイスとARデバイスとの間またはVRデバイスとMRデバイスとの間でNED100を切り換え得る。いくつかの実施形態において、AR/MRデバイスとVRデバイスとの間を切り換えるとともに、適応調光素子130は、ARおよびMRデバイスにおいて、実物体と仮想物体の輝度の差を軽減するために使用され得る。
【0044】
図2Aは、本開示の実施形態による、導波路ディスプレイアセンブリ200の模式図を示す。導波路ディスプレイアセンブリ200は、VR、AR、および/またはMRの用途でNED内に実装され得る。図2Aに図示されるように、導波路ディスプレイアセンブリ200は、光源アセンブリ205、導波路210、およびコントローラ215を含み得る。光源アセンブリ205は、光源220および調光システム225を含み得る。いくつかの実施形態において、光源220は、コヒーレント光または部分コヒーレント光を生成するように構成される光源であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、光源220には、例えば、レーザダイオード、垂直共振器型面発光レーザー、発光ダイオード、またはその組合せが含まれてもよい。いくつかの実施形態において、光源220は、液晶ディスプレイ(「LCD : liquid crystal display」)パネル、液晶オンシリコン(「LCoS : liquid‐crystal‐on‐silicon」)ディスプレイパネル、有機発光ダイオード(「OLED : organic light‐emitting diode」)ディスプレイパネル、マイクロ発光ダイオード(「マイクロLED: micro light‐emitting diode」)ディスプレイパネル、レーザディスプレイパネル、微小電気機械システム(「MEMS : micro‐electro‐mechanical system」)ディスプレイパネル、デジタル光処理(「DLP : digital light processing」)ディスプレイパネル、またはその組合せなどのディスプレイパネルであり得る。いくつかの実施形態において、光源220は、OLEDディスプレイパネルまたはマイクロLEDディスプレイパネルなどの自己発光パネルであり得る。いくつかの実施形態において、光源220は、LCDパネル、LCoSディスプレイパネル、またはDLPディスプレイパネルなどの外部光源によって照射されるディスプレイパネルであり得る。外部光源の例には、レーザー、LED、OLED、またはその組合せが含まれ得る。調光システム225は、光源220からの光を調節するように構成される1以上の光学コンポーネントを含み得る。例えば、コントローラ215は、調光システム225を制御して光源220からの光を調節してもよく、これには、例えば、光を透過させること、減衰させること、拡大すること、コリメートすること、および/または光の向きを調整することが含まれてもよい。
【0046】
光源アセンブリ205は、画像光230を生成して、画像光230を導波路210の第1部分に結合されているインカップリング素子235に出力し得る。導波路210は、画像光230を拡大して、ユーザーの眼265に方向付け得る。導波路210は、導波路210の第1部分に結合されている1以上のインカップリング素子235で画像光230を受光し、受光した画像光230を(例えば、全内部反射(または「TIR : total internal reflection」により)導波路210の第2部分に結合されているアウトカップリング素子245に案内し得る。第1部分および第2部分は、導波路210の異なる部分に結合され得る。アウトカップリング素子245は、画像光230を導波路210から眼265に向けて分離させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、インカップリング素子235は、光源アセンブリ205からの画像光230を導波路210内部のTIR経路に結合させ得る。導波路210は、現実世界の環境に面する第1表面または側210‐1と、眼265に面する第2表面または側210‐2とを含み得る。図2Aに図示されるように、いくつかの実施形態において、インカップリング素子235は、導波路210の第1表面210‐1に配設され得る。いくつかの実施形態において、インカップリング素子235は、第1表面210‐1に導波路210の一部として一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、インカップリング素子235は、個別に形成されて、導波路210の第1表面210‐1に配設され(例えば、付着され)てもよい。いくつかの実施形態において、インカップリング素子235は、導波路210の第2表面210‐2に配設され得る。いくつかの実施形態において、インカップリング素子235は、第2表面210‐2に導波路210の一部として一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、インカップリング素子235は、個別に形成されて、導波路210の第2表面210‐2に配設され(例えば、付着され)てもよい。いくつかの実施形態において、インカップリング素子235は、表面レリーフ型格子、体積ホログラム、偏光格子、偏光体積ホログラム、メタ表面格子(metasurface grating)、別の種類の回折素子、またはその組合せを含み得る。いくつかの実施形態において、インカップリング素子235は、格子を含んでもよい。格子のピッチは、導波路210内の画像光230の全内部反射(「TIR」)を可能にするように構成され得る。その結果、画像光230は、TIRを通して導波路210内に内部伝播し得る。インカップリング素子235は、インカップリング格子235と呼ばれることもある。
【0047】
アウトカップリング素子245は、導波路210の第1表面210‐1または第2表面210‐2に配設され得る。例えば、図2Aに図示されるように、アウトカップリング素子245は、導波路210の第2表面210‐2に配設されてもよい。いくつかの実施形態において、アウトカップリング素子245は、例えば、第2表面210‐2に、導波路210の一部として一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、アウトカップリング素子245は、個別に形成されて、導波路210の第2表面210‐2に配設され(例えば、付着され)てもよい。いくつかの実施形態において、アウトカップリング素子245は、導波路210の第1表面210‐1に配設され得る。例えば、いくつかの実施形態において、アウトカップリング素子245は、第1表面210‐1に導波路210の一部として一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、アウトカップリング素子245は、個別に形成されて、導波路210の第1表面210‐1に配設され(例えば、付着され)得る。いくつかの実施形態において、アウトカップリング素子245は、表面レリーフ型格子、体積ホログラム、偏光格子、偏光体積ホログラム、メタ表面格子、別の種類の回折素子、またはその組合せを含み得る。いくつかの実施形態において、アウトカップリング素子245は、格子を含んでもよい。格子のピッチは、入射画像光230を導波路210から射出させるように構成され得る、すなわちTIRがそれ以上起こらないように、画像光230を方向転換させる。言い換えると、アウトカップリング素子245の格子は、TIRを通して導波路210内部を伝播する画像光230を、回折を介して導波路210から出力光232として分離し得る。いくつかの実施形態において、アウトカップリング素子245は、アウトカップリング格子(out-coupling grating)245と呼ばれることもある。アウトカップリング素子245は、光を伝播するTIRがアウトカップリング素子245の異なる複数の位置に入射するとき、TIRを通して導波路210内部を伝播する画像光230を、アウトカップリング素子245の異なる複数の位置で導波路210から漸進的に取り出すことができる。こうして、アウトカップリング素子245は、仮想画像を複製して、導波路ディスプレイアセンブリ200の有効瞳(effective pupil)を拡大させ得る。いくつかの実施形態において、導波路210は、現実世界の環境から光255を受光し得、光255を出力光232(画像光であり得る)と合波し、合波光を眼265に伝送し得る。
【0048】
導波路210は、画像光230の全内部反射を可能にするように構成される1以上の材料を含み得る。導波路210は、例えば、プラスチック、ガラス、および/またはポリマーを含んでもよい。導波路210は、比較的小さいフォームファクタを有し得る。例えば、導波路210は、x寸法が約50mm幅、y寸法が30mm長さ、z寸法が0.5~1mm厚さとしてもよい。
【0049】
コントローラ215は、光源アセンブリ205に通信可能に結合され得、光源アセンブリ205の動作スキームを制御し得る。いくつかの実施形態において、導波路320は、視野(「FOV」)を増加または拡大した拡大画像光232を眼265に出力し得る。例えば、拡大画像光232は、60度以上かつ150度以下の対角FOV(xとy)で眼265に提供されてもよい。導波路210は、8mm以上かつ50mm以下の幅かつ6mm以上かつ20mm以下の高さ、または8mm以上かつ50mm以下の幅かつ6mm以上もしくは20mm以下の高さのアイボックスを提供するように構成され得る。導波路ディスプレイアセンブリ200を用いて、物理的なディスプレイおよび電子機器をNEDのフロントボディの側面に移動してもよく、ARユーザーエクスペリエンスを向上させる、実質的に完全に遮られることのない現実世界の環境の視界が得られてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、導波路210は、光源アセンブリ205の瞳を方向転換させる、折り返す、および/または拡大するように構成される追加の格子を含み得る。例えば、図2Bに図示されるように、導波路ディスプレイアセンブリ250において、方向付け素子240は、導波路210に結合されてもよい。方向付け素子240は、受光した入力画像光230をアウトカップリング素子245に方向転換し、受光した入力画像光230が導波路210からアウトカップリング素子245を介して出力画像光232として分離されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、方向付け素子240およびアウトカップリング素子245は、導波路210の異なる側に配設され得る。いくつかの実施形態において、方向付け素子240は、導波路210の第1表面210‐1に配設され得る。例えば、いくつかの実施形態において、方向付け素子240は、第1表面210‐1に導波路210の一部として一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、方向付け素子240は、個別に形成されて、導波路210の第1表面210‐1に配設され(例えば、付着され)得る。いくつかの実施形態において、アウトカップリング素子245は、導波路210の第2表面210‐2に配設され得る。例えば、いくつかの実施形態において、方向付け素子240は、第2表面210‐2に導波路210の一部として一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、方向付け素子240は、個別に形成されて、導波路210の第2表面210‐2に配設され(例えば、付着され)得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、方向付け素子240およびアウトカップリング素子245は、同様な構造を有し得る。いくつかの実施形態において、方向付け素子240は、表面レリーフ型格子、体積ホログラム、偏光格子、偏光体積ホログラム、メタ表面格子、別の種類の回折素子、またはその組合せを含み得る。いくつかの実施形態において、方向付け素子240は、格子を含み得る。方向付け素子240は、折り返し格子240または方向付け格子240と呼ばれることもある。いくつかの実施形態において、複数の機能、例えば、光源アセンブリ205によって生成される光の瞳を方向転換させること、折り返すこと、および/または拡大することが、1つの格子、例えば、アウトカップリング格子に統合されてもよい。
【0052】
図2Aおよび図2Bを参照すると、導波路ディスプレイアセンブリ200または250内に、インカップリング格子235、アウトカップリング格子245、および/または方向付け格子240の適切な組合せが、光源アセンブリ205によって提供される画像光の複数の部分を時間多重化方式で順次透過させるように構成され得る。インカップリング格子235、アウトカップリング格子245、および方向付け格子240のうちの少なくとも1つは、本開示の実施形態による、少なくとも1つの受動回折光学素子を含み得る。いくつかの実施形態において、インカップリング格子235、アウトカップリング245、および方向付け格子240のうちの少なくとも1つは、1以上のサブ格子(sub-grating)を含み得る。サブ格子のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、開示される受動回折光学素子の一実施形態であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、受動回折光学素子は、偏光選択性であり得る。例えば、受動回折光学素子は、第1偏光を有する光を選択的に回折し、第2偏光を有する光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過させてもよい。いくつかの実施形態において、第1偏光および第2偏光は、直線直交偏光であり得る。いくつかの実施形態において、第1偏光および第2偏光は、反対の掌性(opposite handedness)をもつ円偏光であり得る。いくつかの実施形態において、第1偏光および第2偏光は、反対の掌性をもつ楕円偏光であり得る。受動回折光学素子は、受動素子(passive element)であり得る。受動回折光学素子は、外部偏光スイッチを通して入射光の偏光を変更することにより、回折状態(またはオン状態)と非回折状態(またはオフ状態)とを間接的に切り換え可能であり得る。言い換えると、受動回折光学素子に入射する光の偏光が外部偏光スイッチによって変更されるときに、受動回折光学素子は、入射光の偏光に応じて、回折状態での動作または非回折状態での動作とに切り換えてもよい。
【0054】
図2Aおよび図2Bを参照すると、いくつかの実施形態において、導波路ディスプレイアセンブリ200または250は、積層構成に配設される複数の導波路210を含み得る(図2Aおよび図2Bには図示せず)。導波路210のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、仮想画像のFOVの一部分およびカラースペクトルの一部分の両方または一方を処理するように構成され得る。図2Aおよび図2Bには図示していないが、いくつかの実施形態において、導波路ディスプレイアセンブリ200または250は、複数の光源アセンブリ205および複数の導波路210のうちの少なくとも一方を含み得る。光源アセンブリ205のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、原色(例えば、赤、緑、または青)に対応する特定の波長帯域のモノクロ画像光を放出し得る。導波路210は、積層構造に配設され得、拡大複数色画像光232(例えば、フルカラー画像光)を出力するように構成され得る。1以上の導波路210のうちの少なくとも1つは、導波路であり得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、導波路ディスプレイアセンブリ200または250によって提供されるFOVの異なる部分に対応する複数色画像光(例えば、フルカラー画像光)を放出し得る。図2Aには、1つの光源220が図示されているが、いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、2以上の光源220を含んでもよい。光源220のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、複数色(例えば、フルカラー)の画像光を放出し得る。異なる光源220によって放出される複数色画像光(例えば、フルカラー画像光)は、導波路ディスプレイアセンブリ200または250によって提供されるFOVの異なる部分に対応し得る。例えば、光源アセンブリ205は、FOVの左部分、中央部分、および右部分にそれぞれ対応する複数色画像光(例えば、フルカラー画像光)を放出するように構成される3つの光源220を含んでもよい。
【0055】
考察の目的上、偏光選択性を説明するために、開示される受動回折光学素子の一実施例として、受動格子を使用する。図3Aおよび図3Bは、本開示の実施形態による、それぞれ非回折状態と回折状態の受動格子300の模式図を示す。図3Aおよび図3Bに図示されるように、受動格子300は、表面レリーフ型格子(「SRG」)305を含み得る。SRG305は、複数の溝306を画定する複数の微細構造305a、305b、および305c(例えば、ミクロンレベルまたはナノレベルの突起)を含み得る。溝306は、少なくとも部分的に光学異方性材料315で充填され得る。いくつかの実施形態において、微細構造305a、305b、および305cは、同じ形状およびサイズを有し得る。したがって、複数の溝306は、同じ形状およびサイズを有し得る。いくつかの実施形態において、微細構造305a、305b、および305cは、異なる形状およびサイズを有し得る。したがって、複数の溝306は、異なる形状およびサイズを有し得る。3つの微細構造305a、305b、および305cは、例示目的で示されている。SRG305は、任意の適切な数の微細構造を含み得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、SRG305は、バイナリ型の非傾斜格子(binary non-slanted grating)であり得る。微細構造305a、305b、および305cの各々は、溝306を画定する垂直壁を含み得る。すなわち、各溝306は、2つの垂直壁と1つの底面とを含み得、壁が底面に対して垂直になっている。光学異方性材料315の分子310は、溝方向(例えば、溝の長手方向)、例えば、図3Aおよび図3Bのy方向に、溝306の中に一様に配向されてもよい。光学異方性材料315は、一軸性であり得、SRG305の溝方向(例えば、y方向)に第1主屈折率(例えば、n AN)、SRG305の溝方向に垂直な面内方向(例えば、x方向、すなわち、溝の底面に沿った方向、または微細構造の周期性の面内方向)に沿って第2主屈折率(例えば、n AN)を有し得る。第2主屈折率(例えば、n AN)は、SRG305の屈折率nと実質的に一致し得、第1主屈折率(例えば、n AN)は、SRG305の屈折率nと一致し得ない。
【0057】
いくつかの実施形態において、SRG305は、非晶性ポリマーなどの光学的に等方性の有機材料に基づいて製作され得る。いくつかの実施形態において、SRG305は、液晶性ポリマーなどの光学的に異方性の有機材料に基づいて製作され得る。いくつかの実施形態において、SRG305は、メタ表面の製造に使用される金属または酸化物などの無機材料に基づいて製作され得る。SRG305の材料は、等方性であっても、または異方性であってもよい。いくつかの実施形態において、SRG305は、電磁周波数の範囲(可視波長帯域など)に対して実質的に透明であり得るレジスト材料からナノ加工され得る。レジスト材料は、熱可塑性物質、ポリマー、光学的に透明なフォトレジスト、またはその組合せの形態であり得る。平行な溝306は、固められるかまたは硬化された後にSRG305の溝306内に配設される光学異方性材料315の配向を可能にし得る。すなわち、SRG305は、光学異方性材料315の配向層として機能し得る。いくつかの実施形態において、SRG305は、様々な配向パターンおよび形状構成(例えば、10nm未満の厚さ)を有するようにナノ加工され得る。このプロセスは、高いカスタマイズ性をもつ光学異方性材料315の配向パターンの作成を可能にし得る。例えば、光学異方性材料315の分子310は、SRG305の溝306の中にホメオトロピックに(homeotropically)または一様に配向されてもよい。いくつかの実施形態において、光学異方性材料315の分子310は、混成で配向され得、例えば、SRG305の溝306の中で、一部の分子310はホメオトロピックに配向されてもよく、一部の分子310は一様に配向されてもよい。いくつかの実施形態において、光学異方性材料315の分子310は、延伸、光(例えば、光配向)、電界、磁界、またはその組合せなど、適切な配向方法によってSRG305の溝306の中に(例えば、ホメオトロピックに、一様に、または混成で)配向され得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、光学異方性材料315は、外場(電界)によって直接切り換えることのできない受動材料を含み得る。受動材料は、重合可能なプレポリマー組成物または重合可能なLC前駆体から重合させる光学的異方性ポリマーなど、受動または再配向不可能なLCを含み得る。いくつかの実施形態において、重合可能なLC前駆体は、LC材料と同様な光学特性をもつ重合可能な分子であるRMを含み得る。いくつかの実施形態において、光学異方性材料315は、細長い分子を含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、受動格子300は、互いに対向して配設され得る2つの基板(図3Aには図示せず)を含んで、SRG305および光学異方性材料315用のコンテナ(container)を形成し得る。いくつかの実施形態において、光学異方性材料315の配向は、SRG305によるほか、1以上の配向構造(例えば、配向層)によって提供され得る。配向構造は、基板に配設され得る(例えば、2つの配向層を2つの基板の対向するそれぞれの表面に配設してもよい)。いくつかの実施形態において、2つの基板の各々に配設される配向構造は、平面配向(例えば、プレチルト角(pretilt angle)がゼロまたは小さい)を提供するように構成され得る。2つの基板に配設される配向構造は、平行な表面配向を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態において、2つの基板に配設される配向構造は、ハイブリッドな表面配向を提供するように構成され得る。例えば、2つの基板のうちの一方に配設される配向構造は、平面配向を提供するように構成してもよく、2つの基板のうちの他方に配設される配向構造は、ホメオトロピック配向を提供するように構成してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、複数の溝306は、同じ深さdをもつ同じ形状を含み得る。いくつかの実施形態において、光学異方性材料315の厚さ(または高さ)は、SRG305の溝306の深さdと同じであり得る(例えば、光学異方性材料315は、溝306の上面と同じレベルまたは高さまで充填されてもよい)。いくつかの実施形態において、光学異方性材料315の厚さは、SRG305の溝306の深さdとは異なり得る。例えば、いくつかの実施形態において、光学異方性材料315は、溝306の上面の上(またはそれより高く)になるように充填されてもよい(例えば、光学異方性材料315の厚さは、溝306の深さdよりも大きくされてもよい)。SRG305の溝306の上面の上に(例えば、深さdよりも高く)配設される光学異方性材料315の部分は、均一であり得、回折に寄与しなくてもよい。いくつかの実施形態において、光学異方性材料315は、溝306の上面の下になるように充填され得る(例えば、光学異方性材料315の厚さは、溝306の深さdよりも小さくされてもよい)。いくつかの実施形態において、基板は、格子300を製作した後に取り除かれ得る。
【0061】
受動格子300は、偏光選択性であり得、そのため回折状態と非回折状態とに間接的に切り換え可能であり得る。例えば、受動格子300は、所定の偏光をもつ光を選択的に回折し、異なる偏光(例えば、所定の偏光に直交する偏光)をもつ光を、回折が無視できるかまたは回折が全くない状態で透過させてもよい。図3Aに図示されるように、SRG305の溝306の溝方向(例えば、y方向)に垂直な面内方向(例えば、x方向)で偏光される入射光320については、n ANとnとの実質的な屈折率の一致により、受動格子300は、回折が無視できるかまたは全くない状態で、入射光320に対して実質的に光学的に均一な板として機能し得る。すなわち、受動格子300は、SRG305の溝306の溝方向(例えば、y方向)に垂直な面内方向(例えば、x方向)で偏光される入射光320については、非回折状態で動作し得る。いくつかの実施形態において、第2主屈折率(例えば、n AN)は、SRG305の屈折率nと一致し得る(または、それと同じであり得る)。したがって、入射光320は、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過させ得る。すなわち、格子300の回折効果を、実質的にゼロにし得る。
【0062】
図3Bに図示されるように、SRG305の溝方向(例えば、y方向)に偏光される入射光330については、n ANとnとの屈折率の差により、光330は、格子300で屈折率の周期的な変調を受け得、回折され得る。すなわち、受動格子300は、SRG305の溝方向(例えば、y方向)に偏光される入射光330については、回折状態で動作し得る。光330の回折効率は、受動格子300によってもたらされる屈折率の変調n(すなわち、n ANとnとの差)に依存し得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、図3Aおよび図3Bに図示されるSRG305は、電界などの外場に曝されるときに再配向可能であり得る能動光学異方性材料(active optically anisotropic material)(例えば、能動LC)で充填され得る。能動光学異方性材料で充填されたSRGは、能動格子(active grating)になり得る。能動格子は、回折状態と非回折状態とを直接的に切り換え可能であるか、または上で説明した受動格子300と同様に、回折状態と非回折状態とを間接的に切り換え可能であり得る。すなわち、能動格子は、間接的に切り換え可能な格子として機能してもよい。
【0064】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、回折状態と非回折状態の受動格子400の模式図を示す。図4Aおよび図4Bに図示される受動格子400は、図3Aおよび図3Bに図示される受動格子300に含まれるものと同じまたは同様な素子または構造を含み得る。同じまたは同様な素子の説明は、図3Aおよび図3Bに関連した上記説明を参照することができる。図4Aおよび図4Bに図示されるように、受動格子400は、SRG405を含み得る。SRG405は、上で説明した微細構造305a、305b、および305cと同様な複数の微細構造405a、405b、および405cを含み得る。微細構造405a、405b、および405cは、上で説明した溝306と同様であり得る複数の溝406を画定し得る。光学異方性材料415の分子410は、溝方向に、例えば、図4Aおよび図4Bに図示されるy方向に、溝406の中に一様に配向されてもよい。光学異方性材料415は、SRG405の溝406の溝方向(例えば、y方向)に第1主屈折率(例えば、n AN)と、SRG405の溝の長さ方向に垂直な面内方向(例えば、x方向、すなわち、溝の底面に沿った方向、または微細構造の周期性の面内方向)に沿った第2主屈折率(例えば、n AN)とを有し得る。第2主屈折率(例えば、n AN)は、SRG405の屈折率nと一致し得ず、第1主屈折率(例えば、n AN)は、SRG405の屈折率nと実質的に一致し得る。
【0065】
受動格子400は、偏光選択性であり得、そのため回折状態と非回折状態とを間接的に切り換え可能であり得る。図4Aに図示されるように、SRG405の溝406の溝方向に垂直な面内方向(例えば、x方向)に偏光される入射光420については、n ANとnの屈折率の差により、光420は、受動格子400の屈折率の周期的な変調を受け得、そのため回折され得る。すなわち、受動格子400は、SRG405の溝方向に垂直な面内方向(例えば、x方向)に偏光される入射光430について、回折状態で動作し得る。受動格子400の回折効率は、受動格子400がもたらす屈折率の変調n(すなわち、n ANとnとの差)に依存し得る。
【0066】
図4Bに図示されるように、SRG405の溝方向(例えば、y方向)に偏光される入射光430については、n ANとnとの実質的な屈折率の一致により、受動格子400は、回折が無視できるかまたは全くない状態で、入射光430に対して実質的に光学的に均一な板として機能し得る。すなわち、受動格子400は、SRG405の溝方向(例えば、y方向)に偏光される入射光430について、非回折状態で動作し得る。いくつかの実施形態において、第1主屈折率(例えば、n AN)は、SRG405の屈折率nと一致し得(またはそれと同じであり得)、そのため入射光430は、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過され得る。すなわち、格子400の回折効果を、実質的にゼロにし得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、図4Aおよび図4Bに図示されるSRG405は、電界などの外場に曝されるときに再配向され得る能動光学異方性材料(例えば、能動LC)で充填され得る。能動光学異方性材料で充填されたSRGは、能動格子になり得る。能動格子は、回折状態と非回折状態とに直接的に切り換え可能であるか、または上で説明した受動格子400と同様に、回折状態と非回折状態とに間接的に切り換え可能であり得る。すなわち、能動格子は、間接的に切り換え可能な格子として機能し得る。
【0068】
図5Aおよび図5Bは、それぞれ、非回折状態および回折状態の受動格子500のx‐z断面図を示す。受動格子500は、受動格子300または400に含まれるものと同じまたは同様な素子を含み得る。同じまたは同様な素子の説明は、図3A図4Bに関連して行われた上記説明を参照することができる。図3Aおよび図3Bに図示される受動格子300と同様に、図5Aおよび図5Bに図示される受動格子500は、複数の微細構造505a、505b、および505cを含むSRG505を含み得る。微細構造505a、505b、および505cは、複数の溝506を画定し得る。溝506は、少なくとも部分的に光学異方性材料515で充填され得る。光学異方性材料515の分子(例えば、LC分子)510は、溝方向、例えば、図5Aおよび図5Bに図示されるy方向に、溝506の中で一様に配向され得る。図3Aおよび図3Bに図示されるバイナリ型の非傾斜SRG305、ならびに図4Aおよび図4Bに図示されるバイナリ型の非傾斜SRG405とは異なり、図5Aおよび図5Bに図示されるSRG505は、バイナリ型の傾斜格子であり得る。すなわち、図5Aに図示されるように、各微細構造505a、505bまたは505cは、SRG505の溝の長さ方向に垂直な面内方向(例えば、x方向、すなわち、溝の底面に沿ってかつ溝の長さ方向に垂直な方向、または微細構造の周期性の面内方向)に対して傾斜角βを形成し得る。いくつかの実施形態において、各溝506の側面は、図3Aに図示されるように、底面に垂直ではなく、溝506の底面に対して角度βで傾斜され得る。傾斜角βは、微細構造の傾斜角または溝の側面の傾斜角ということもある。図5Aおよび図5Bに図示される受動格子500の回折状態および非回折素子の説明は、図3Aおよび図3Bに図示される受動格子300に関連して上で提供されたものを参照してもよい。図5Aに図示されるように、受動格子500は、溝方向(すなわち、y方向)に垂直なx方向に偏光される入射光520を透過させるために、非回折状態で動作し得る。図5Bに図示されるように、受動格子500は、溝方向(すなわち、y方向)に偏光される入射光530を回折するために、回折状態で動作し得る。
【0069】
図5Cおよび図5Dは、それぞれ、回折状態および非回折状態の受動格子550のx‐z断面図を示す。受動格子550は、受動格子300、400、または500に含まれるものと同じまたは同様な素子を含み得る。同じまたは同様な素子の説明は、図3A図5Bに関連して行われた上記説明を参照することができる。図4Aおよび図4Bの受動格子400と同様に、図5Cおよび図5Dに図示される受動格子550は、図5Aおよび図5Bに図示される微細構造505a、505b、および505cと同様であり得る複数の微細構造555a、555b、および555cを含むSRG555を含み得る。複数の微細構造555a、555b、および555cは、溝506と同様であり得る複数の溝556を画定し得る。溝556は、少なくとも部分的に光学異方性材料565で充填され得る。光学異方性材料565の分子(例えば、LC分子)560は、溝方向、例えば、図5Cおよび図5Dに図示されるy方向に、溝556の中で一様に配向され得る。図4Aおよび図4Bのバイナリ型の非傾斜SRG405とは異なり、図5Cおよび図5Dに図示されるSRG555は、(図5Aおよび図5Bに図示される傾斜格子と同様な)バイナリ型の傾斜格子であり得る。図5Cおよび図5Dに図示される受動格子550の回折状態および非回折状態の説明は、図4Aおよび図4Bに図示される受動格子400に関連して上で提供された説明を参照してもよい。図5Cに図示されるように、受動格子550は、溝方向(すなわち、y方向)に垂直なx方向に偏光される入射光520を回折するために、回折状態で動作し得る。図5Dに図示されるように、受動格子550は、溝方向(すなわち、y方向)に偏光される入射光530を透過させるために、非回折状態で動作し得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、図5A図5Dに図示されるSRG505およびSRG555は、電界などの外場に曝されたときに再配向され得る能動光学異方性材料(例えば、能動LC)で充填され得る。能動光学異方性材料で充填されたSRGは、能動格子になり得る。能動格子は、回折状態と非回折状態とに直接的に切り換え可能であるか、または上で説明した受動格子500および受動格子550と同様に、回折状態と非回折状態とに間接的に切り換え可能であり得る。すなわち、能動格子は、間接的に切り換え可能な格子として機能してもよい。
【0071】
図6Aおよび図6Bは、それぞれ、非回折状態および回折状態の受動格子600のx‐z断面図を示す。受動格子600は、受動格子300、400、500、または550に含まれるものと同じまたは同様な素子を含み得る。同じまたは同様な素子の説明は、図3A図5Dに関連して行われた上記説明を参照することができる。図5Aおよび図5Bに図示される受動格子500ならびに図5Cおよび図5Dに図示される受動格子550と同様に、図6Aおよび図6Bに図示される受動格子600は、複数の溝606を画定する複数の微細構造605a、605b、および605cを含むSRG605を含み得る。微細構造605a、605b、および605cは、微細構造505a、505b、505c、または555a、555b、555cと同様であり得る。溝606は、溝506または556と同様であり得る。SRG605は、バイナリ型の傾斜格子であり得、微細構造605a、605b、および605cが、溝の長さ方向に垂直な面内方向(例えば、x方向)に対して斜めに配設される。言い換えると、各溝606の側面は、溝606の底面に対して角度βを形成する。複数の溝606は、少なくとも部分的に光学異方性材料615で充填され得る。光学異方性材料615の分子(例えば、LC分子)610は、溝606の中に斜めに配向され得る。溝606の傾斜側面と分子610との相互作用により、分子610は、溝606の傾斜側面に沿って傾斜し得る。例えば、分子610は、傾斜側面に従って、溝の長さ方向に垂直な面内方向(例えば、x方向、すなわち、溝の底面に沿いかつ溝の長さ方向に垂直な方向、または微細構造の周期性の面内方向)に対してプレチルト角度を形成してもよい。いくつかの実施形態において、分子610のプレチルト角度は、溝606の側面の傾斜角βと実質的に同じであり得る。図6Aに図示されるように、分子(例えば、LC分子)610は、溝606の傾斜方向625(溝傾斜方向625と呼ばれる)に配向され得る。傾斜方向625とは、溝606の傾斜側面の傾斜方向をいう。図6Aでは、SRG605の傾斜角βは、溝606の溝傾斜方向625とSRG605の溝方向(例えば、y方向)に垂直な面内方向(例えば、x方向)との間に形成される角度であり得る。図5A図5Dには図示されていないが、図5A図5Dに図示される実施形態に、同様な溝傾斜方向を定義することができる。
【0072】
光学異方性材料615は、一軸性であり得、SRG605の溝傾斜方向625に第1主屈折率(例えば、n AN)と、SRG605の溝方向(例えば、y方向)など、溝傾斜方向625に垂直な方向に第2主屈折率(例えば、n AN)とを有し得る。第1主屈折率(例えば、n AN)は、溝方向(例えば、y方向)に垂直な面内方向(例えば、x方向)の第1成分(例えば、n AN‐X)と、SRG605の厚さ方向(例えば、z方向)の第2成分(例えば、n AN‐Z)との2つの成分に分解され得る。第1主屈折率(例えば、n AN)の第1成分(例えば、n AN‐X)は、SRG605の屈折率nと実質的に一致し得、第2主屈折率(例えば、n AN)は、SRG605の屈折率nと一致し得ない。
【0073】
図6Aに図示するように、溝606の溝方向(例えば、y方向)に垂直な面内方向(例えば、x方向)に偏光される入射光620については、n AN‐Xとnとの実質的な屈折率の一致により、受動格子600は、回折が無視できるかまたは全くない状態で、入射光620に対して実質的に光学的に均一な板として機能し得る。すなわち、受動格子600は、SRG605の溝606の溝方向(例えば、y方向)に垂直な面内方向(例えば、x方向)で偏光される入射光620については、非回折状態で動作し得る。図6Bに図示されるように、SRG605の溝方向(例えば、y方向)に偏光される入射光630については、n ANとnとの屈折率の差により、光630は、格子600で屈折率の周期的な変調を受け得、回折され得る。すなわち、受動格子600は、SRG605の溝方向(例えば、y方向)に偏光される入射光630については、回折状態で動作し得る。光630の回折効率は、受動格子600によって提供される屈折率の変調n(すなわち、n ANとnとの差)に依存し得る。
【0074】
図6Cおよび図6Dは、それぞれ、回折状態および非回折状態の受動格子650のx‐z断面図を示す。受動格子650は、受動格子300、400、500、550、または600に含まれるものと同じまたは同様な素子を含み得る。同じまたは同様な素子の説明は、図3A図6Bに関連して行われた上記説明を参照することができる。図6Aおよび図6Bに図示される受動格子600と同様に、図6Cおよび図6Dに図示される受動格子650は、複数の溝656を画定する複数の微細構造665a、655b、および655cを含むSRG655を含み得る。微細構造665a、655b、および655cは、微細構造605a、605b、および605cと同様であり得る。溝656は、溝606と同様であり得る。SRG655は、図6Aに図示されるSRG605と同様に、バイナリ型の傾斜格子であり得る。溝656は、少なくとも部分的に光学異方性材料665で充填され得る。分子610と同様に、光学異方性材料665の分子(例えば、LC分子)660は、溝656の中で斜めに配向され得る。溝656の傾斜側面と分子660との相互作用により、分子610は、傾斜側面に従って、溝の長さ方向に垂直な面内方向に対してプレチルト角度を形成し得る。分子610のプレチルト角度は、溝606の側面の傾斜角βと実質的に同じであり得る。すなわち、分子(例えば、LC分子)660は、図6Aに図示される実施形態と同様に、溝656の傾斜方向675(溝傾斜方向675と呼ばれる)に配向され得る。
【0075】
光学異方性材料665は、一軸性であり得、SRG655の溝傾斜方向675に第1主屈折率(例えば、n AN)と、SRG655の溝方向(例えば、y方向)など、溝傾斜方向675に垂直な方向に第2主屈折率(例えば、n AN)とを有し得る。第1主屈折率(例えば、n AN)は、溝方向(例えば、y方向)に垂直な面内方向(例えば、x方向)の第1成分(例えば、n AN‐X)と、SRG655の厚さ方向(例えば、z方向)の第2成分(例えば、n AN‐Z)との2つの成分に分解され得る。第1主屈折率(例えば、n AN)の第1成分(例えば、n AN‐X)は、SRG655の屈折率nと一致し得ず、第2主屈折率(例えば、n AN)は、SRG655の屈折率nと実質的に一致し得る。
【0076】
図6Cに図示されるように、溝656の溝方向(例えば、y方向)に垂直な面内方向(例えば、x方向)に偏光される入射光620については、n AN‐Xとnとの屈折率の差により、光620は、受動格子650で屈折率の周期的な変調を受け得、回折され得る。すなわち、受動格子650は、SRG655の溝の長さ方向に垂直な面内方向に偏光される入射光620については、回折状態で動作し得る。光620の回折効率は、受動格子650がもたらす屈折率の変調n(すなわち、n AN‐Xとnとの差)に依存し得る。図6Dに図示されるように、SRG655の溝方向(例えば、y方向)に偏光される入射光630については、n AN‐Xとnとの実質的な屈折率の一致により、受動格子650は、回折が無視できるかまたは全くない状態で、入射光630に対して実質的に光学的に均一な板として機能し得る。すなわち、受動格子650は、SRG655の溝656の溝方向に偏光される入射光650については、非回折状態で動作し得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、図6A図6Dに図示されるSRG605およびSRG655は、電界などの外場に曝されたときに再配向され得る能動光学異方性材料(例えば、能動LC)で充填され得る。能動光学異方性材料で充填されたSRGは、能動格子になり得る。能動格子は、回折状態と非回折状態とに直接切り換え可能であるか、または上で説明した受動格子600および受動格子650と同様に、回折状態と非回折状態とに間接的に切り換え可能であり得る。すなわち、能動格子は、間接的に切り換え可能な格子として機能し得る。
【0078】
図3A図6Dは、受動回折光学素子が一定の周期性を有するSRGを含む受動格子であり得ることを示す。SRGの周期は、2つの隣接する微細構造(例えば、突起)間の距離として定義され得る。SRGの溝の断面プロファイルは、矩形形状または平行四辺形形状を有し得る。すなわち、SGRの溝の断面プロファイルは、周期的に配分された矩形形状または平行四辺形形状を含み得る。いくつかの実施形態において、受動回折光学素子は、屈折力なしで構成され得る。いくつかの実施形態において、SRGの溝の断面プロファイルは、任意の規則的な形状または非矩形の形状など、任意の適切な形状を含んでもよい。例えば、SRGの溝の断面プロファイルは、用途に応じて、正弦波形状、三角形形状、台形形状、または鋸歯形状を含んでもよい。いくつかの実施形態において、SRG(すなわち、SRGに含まれる微細構造または溝)は、一定の周期性ではなく、可変周期性を有し得る。可変周期性を有するSRGを備える例示的な受動回折光学素子を図7に図示する。いくつかの実施形態において、受動回折光学素子は、屈折力をもって構成され得る。開示される回折光学素子は、レンズ、プリズム、または非球面など、従来の屈折光学系と実質的に同じ光学機能を、はるかに小型かつ軽量の構成で実現し得る。いくつかの実施形態において、受動回折光学素子は、一次元格子であり得る。いくつかの実施形態において、受動回折光学素子は、パターン化および積層化またはパターン化もしくは積層化された少なくとも2つのSRGを含む二次元格子であり得る。
【0079】
図7は、本開示の別の実施形態による、受動回折光学素子700の模式図を示す。図7に図示されるように、受動回折光学素子700は、SRG705を含む受動格子であり得る。SRG705は、複数の微細構造705a~705iを含み得る。微細構造は、複数の溝706a~706hを画定し得る。微細構造および溝の数は、例示目的にすぎない。SRG705は、任意の適切な数の微細構造を含み得る。SRG705(すなわち、SRG705の微細構造または溝)は、可変周期性を有し得る。すなわち、溝706a~706hは、同じでなくてもよい。例えば、少なくとも2つの溝の幅は、異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、第1グループの溝は、(第1周期性に関連した)第1の幅を有し得、第2グループの溝は、(第2周期性に関連した)第2の幅を有し得る。第2の幅(そのため第2周期性)は、第1の幅とは異なり得る。溝706a~706hは、少なくとも部分的に光学異方性材料715で充填され得る。(黒色の棒として図示される)光学異方性材料715の分子710は、図3Bまたは図4Aに図示される実施形態と同様に、溝706a~706hの中で一様に配向され得る。例えば、いくつかの実施形態において、分子710は、SRG705の溝706a~706hの溝方向(例えば、y方向)に一様に配向されてもよい。
【0080】
光学異方性材料715は、SRG705の溝方向(例えば、y方向)に第1主屈折率(例えば、異常光屈折率n AN)と、溝方向に垂直な面内方向(例えば、x方向)に沿って第2主屈折率(例えば、常光屈折率n AN)とを有し得る。第1主屈折率または第2主屈折率のうちの一方は、SRG705の屈折率nと実質的に一致し得、第1主屈折率または第2主屈折率のうちの他方は、SRG705の屈折率nと一致し得ない。考察の目的上、受動回折光学素子700では、光学異方性材料715の第2主屈折率(例えば、n AN)は、SRG705の屈折率nと実質的に一致し得、SRG705の溝方向(例えば、y方向)の第1主屈折率(例えば、n AN)は、SRG705の屈折率nと一致し得ない。
【0081】
SRG705の溝の断面プロファイルは、非周期的な矩形プロファイルまたは形状を有し得る。図7に図示されるように、溝の幅はw1として示してもよく、微細構造の幅はw2として示されてもよい。SRG705の溝方向(例えば、y方向)に垂直な面内方向(例えば、x方向、すなわち、溝の底面に沿った方向、または微細構造の周期性の面内方向)では、SRG705の周期性(w1+w2)は、SRG705の(図7では「c」で示される)中心から周縁(例えば、左端および右端)に向かって単調に減少し得、それによって集光効果が得られる(または正の屈折力がもたらされる)。SRG705の溝方向(例えば、y方向)に偏光される入射光730については、n ANとnとの屈折率の差により、光730は、受動回折光学素子700で屈折率の変調を受け得、回折され得る。SRG705の溝706a~706hの断面プロファイルを構成すること、ならびに光学異方性材料715およびSRG705の屈折率により、回折光ビーム740は、さらに収束され得る。すなわち、受動回折光学素子700は、円筒形の回折レンズとして機能し得る。いくつかの実施形態において、受動回折光学素子700は、簡略化のために図7には図示していない可能性のある他の要素(基板、配向層など)も含み得る。図7に図示される可変周期性構成は、図3A図4Bに図示される溝と同様に、溝が底面に垂直な側面をもつように図示されているが、可変周期性構成は、図5A図6Dに図示される傾斜微細構造に基づいてもよいことは理解される。
【0082】
いくつかの実施形態において、図7に図示されるSRG705は、電界などの外場に曝されるときに再配向され得る能動光学異方性材料(例えば、能動LC)で充填され得る。能動光学異方性材料で充填されたSRGは、能動格子になり得る。能動格子は、回折状態と非回折状態とを直接切り換え可能であるか、または上で説明した受動格子700と同様に、回折状態と非回折状態とを間接的に切り換え可能であり得る。すなわち、能動格子は、間接的に切り換え可能な格子として機能し得る。
【0083】
本開示の実施形態による受動回折光学素子は、外部偏光回転子または偏光スイッチを介して回折状態と非回折状態とに間接的に切り換えられ得る。考察の目的上、間接的な切り換えを説明するために、開示される受動回折光学素子の一実施例として、受動バイナリ型格子を使用する。図8Aおよび図8Bに図示される切り換え構成は、他の図面に図示される、開示される間接的に切り換え可能な回折光学素子のいずれにも適用可能であり得る。図8Aおよび図8Bは、本開示の実施形態による、受動格子800を間接的に切り換えるためのシステムの模式図を示す。考察の目的上、受動格子800は、単一基板格子であり得る。図8Aおよび図8Bに図示されるように、受動格子800は、図3A図3Bに図示される受動格子300のものと同様な構成を有し得る。例えば、受動格子800は、複数の微細構造805a、805b、805c等を含むSRG805を含んでもよい。複数の微細構造805a、805b、805c等は、微細構造305a、305b、および305cと同様であり得る。複数の微細構造805a、805b、805c等は、図3Aに図示される溝306と同様であり得る複数の溝806を画定し得る。SRG805は、基板810上に提供され得、光学異方性材料815で充填され得る。光学異方性材料815は、光学異方性材料315と同様であり得る。図8Aおよび図8Bには、間接的な切り換えを説明するために、例示的な受動格子として、図3Aおよび図3Bに図示されるものと同様な構成を図示しているが、図8Aおよび図8Bに図示される間接的な切り換えは、図4Aおよび図4B図5Aおよび図5B図5Cおよび図5D図6Aおよび図6B図6Cおよび図6D、および図7に図示される格子にも同様に適用可能であることは理解される。
【0084】
図8Aおよび図8Bに図示されるように、偏光スイッチ820は、受動格子800に結合(光学的に結合)され得る。偏光スイッチ820は、受動格子800への入射光の偏光を制御するように構成され得る。偏光スイッチ820は、偏光スイッチ820の動作状態(例えば、切り換え状態または非切り換え状態)に応じて、第1偏光と、第1偏光とは異なる第2偏光との間で、入る光(incoming light)の偏光を切り換えるように構成される能動素子であり得る。切り換え状態では、偏光スイッチ820は、入る光の偏光を第1偏光から第2偏光に、またはその逆に切り換え得る。非切り換え状態では、偏光スイッチ820は、入る光の偏光を維持し得る。いくつかの実施形態において、第1偏光および第2偏光は、直線偏光であり得、第2偏光は、第1偏光に直交し得る。いくつかの実施形態において、第1偏光および第2偏光は、円偏光または楕円偏光であり、第1偏光および第2偏光は、反転または反対の掌性(例えば、左掌性および右掌性)を有し得る。
【0085】
任意の適切な偏光スイッチを偏光スイッチ820として使用してもよい。いくつかの実施形態において、偏光スイッチ820は、入る光を直交する2つの直線偏光間で切り換えるように構成される90°ねじれネマチック液晶(「TNLC : twist‐nematic liquid crystal」)セルなどの、LCベースの偏光スイッチを含み得る。TNLCセルは、TNLCセルのLCに実質的に直交する配向方向を提供する光入射面および光出射面を有し得る。TNLCセルの光入射面の配向方向は、直線偏光される、入る光の偏光方向(例えば、第1偏光)に対して配向され得、それによって、TNLCセルが切り換え状態で動作するときは入る光の偏光を約90°回転させ、またはTNLCセルが非切り換え状態で動作するときは入る光の偏光を維持する。いくつかの実施形態において、外部印加電圧がTNLCセルの閾値電圧よりも低いときには、TNLCセルは、切り換え状態で動作し得、外部印加電圧が電界方向に沿ってLCを再配向させるのに十分高いときには、TNLCセルは、非切り換え状態で動作し得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、偏光スイッチ820は、入る光の偏光方向に対して配向される偏光軸を有する切り換え可能な1/2波長板(「SHWP : switchable half‐wave plate」)を含み得、それによって、SHWPが切り換え状態で動作するときには入る光を第1偏光から第2偏光に回転させ、SHWPが非切り換え状態で動作するときには第1偏光を維持する。SHWPは、直交する2つの偏光の間で光の偏光を切り換えるように構成され得る。例えば、SHWPは、直線偏光された入る光を、直交する2つの偏光方向の間で切り換え、円偏光された入る光を2つの反転または反対の掌性の間で切り換えてもよい。いくつかの実施形態において、SHWPは、LC層を含み得、そこでLC層のLCの向きを変更するために外部電界(例えば、電圧)が印加され得、それによって偏光スイッチ820を切り換え状態と非切り換え状態とに切り換える。例えば、SHWPは、LC層に含まれるLCの閾値電圧よりも外部印加電圧が低いときには、切り換え状態で動作してもよい。SHWPは、外部印加電圧が電界方向に沿ってLCを再配向するのに十分高いときには、非切り換え状態で動作し得る。
【0087】
考察の目的上、図8Aおよび図8Bは、偏光スイッチ820がTNLCセルを含み得ることを示している。TNLCセルの光入射面の配向方向は、入る光825の偏光方向(例えば、y方向)に平行になるように配向され得る。図8Aに図示されるように、電圧オフ状態では、TNLCセルは、切り換え状態で動作し得る。入る光825の偏光方向は、TNLCセルのねじれ構造により約90°回転させられ得る。したがって、TNLCセルは、入る光825の偏光を第1偏光(例えば、図8Aに図示されるy方向に偏光される)から第1方向に垂直な第2偏光(例えば、図8Aに図示されるx方向に偏光される)に回転し得る。すなわち、第1偏光を有する入る光825は、第2偏光を有する出る光(outgoing light)830として受動格子800に向かって透過され得る。n ANとnとの実質的な屈折率の一致により、受動格子800は、光830にとって実質的に光学的に均一な板として機能し得る。すなわち、受動格子800は、第2偏光を有する光830については非回折状態で動作し得る。いくつかの実施形態において、光学異方性材料815の第2主屈折率(例えば、n AN)は、SRG805の屈折率nと同じであり(または一致し)、したがって、光830は、回折が無視できるかまたは全くない状態で、受動格子800を透過され得る。すなわち、受動格子800の回折効果を、実質的にゼロにし得る。
【0088】
TNLCのねじれ構造は、外場などの外力によってねじれが解かれ得る。したがって、入る光825の偏光が維持され得る。図8Bに図示されるように、電圧オン状態では、TNLCセルは、非切り換え状態であり得、TNLCセルの対向する2つの基板の間に電界が生成され得る。TNLCセルのLC分子は、電圧が十分に高いときに、電界によって再配向され、電界に平行な向きとなり得る。したがって、TNLCセルのねじれ構造のねじれが解かれ得、第1偏光を有する(例えば、図8Bに図示されるy方向に偏光される)入る光825は、偏光を変更することなく、出る光840としてTNLCセルを透過され得る。すなわち、受動格子800に入射する光840は、第1偏光も有し得る(例えば、図8Bに図示されるy方向に偏光される)。n ANとnとの屈折率の差により、光840は、格子800の屈折率の周期的変調を受け得、したがって、回折され得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、偏光スイッチ820は、SHWPを含み得る。その場合、非切り換え状態(例えば、電圧オン状態)では、偏光スイッチ820は、偏光に影響することなく、第1偏光を有する(例えば、図8Aおよび図8Bに図示されるy方向に偏光される)直線偏光された入る光825を透過させ得る。したがって、出る光は、受動格子800の屈折率の周期的な変調を受け得、回折され得る。切り換え状態(例えば、電圧オフ状態)では、偏光スイッチ820は、第1偏光を有する(例えば、図8Aおよび図8Bに図示されるy方向に偏光される)を有する直線偏光された入る光825を、第2偏光を有する(例えば、図8Aおよび図8Bに図示されるx方向に偏光される)直線偏光された出る光へと透過させ、これは、回折が無視できるかまたは全くない状態で、受動格子800を透過され得る。
【0090】
図8Aおよび図8Bを参照すると、切り換え状態と非切り換え状態とに偏光スイッチ820を切り換えることによって、受動格子800は、SRG805の溝方向(例えば、y方向)に偏光される入る光825について、非回折状態と回折状態とに切り換えられ得る。いくつかの実施形態において、入る光825は、SRG805の溝方向に垂直な面内方向(例えば、x方向)に偏光され得る。したがって、受動格子800は、偏光スイッチ820が切り換え状態にあるときに、回折状態で動作し得、または偏光スイッチ820が非切り換え状態にあるときに、非回折状態で動作し得る。TNLCセルの切り換え時間は、約3~5ミリ秒(「ms : millisecond」)であり得る。いくつかの実施形態において、受動格子800の切り換え速度をさらに増すために、強誘電性液晶(「FLC : ferroelectric liquid crystal」)に基づくSHWPなどの、FLCに基づく偏光スイッチが採用され得る。切り換え時間は、マイクロ秒(「μs : microsecond」)程度まで、例えば、100μs未満まで短縮してもよい。さらに、望ましくない光吸収および屈折率の変更が大幅に抑制され得るように、能動格子に含まれ得る電極を、受動格子800を外部偏光スイッチ820により回折状態と非回折状態とに切り換えることによって受動格子800から省いてもよい。
【0091】
図9A図9Dは、本開示の実施形態による、受動光学素子であり得る間接的に切り換え可能な回折光学素子を製作するプロセスを示す模式図を示す。図9Aに図示されるように、SRG905は、基板910に配設され(例えば、基板910に対して接着されまたは基板910上に形成され)得る。SRG905は、複数の微細構造905a、905b、905c等を含み得る。複数の微細構造905a、905b、905c等は、図3Aに図示される微細構造305a、305b、305cと同様であり得る。いくつかの実施形態において、図示されていないが、微細構造905a、905b、905c等は、図5A図6Dまたは図7に図示される傾斜微細構造であり得る。微細構造905a、905b、905c等は、図9Aに図示されるように、複数の溝906を画定し得る。基板910は、可視波長帯域(約380nmから約700nm)で透明および反射性または透明もしくは反射性であり得る。いくつかの実施形態において、基板910は、赤外(「IR : infrared」)波長帯域(約700nmから約1mm)の一部または全部においても透明および反射性または透明もしくは反射性であり得る。基板910は、上述の波長範囲の光に対して実質的に透明である有機材料および無機材料の両方または一方を含み得る。いくつかの実施形態において、基板910は、例えば、ガラス、プラスチック、サファイア等を含む材料をベースにした剛性導波路板であってもよい。いくつかの実施形態において、基板910は、例えば、エラストマーを含む材料をベースにした可撓性のあるまたは伸縮可能な基板であってもよく、これは、SRG905のピッチの調整を可能にしてもよく、それによって、異なる入射波長のためのまたは光ビームをステアリングするための、製作された回折光学素子の適用を可能にする。
【0092】
いくつかの実施形態において、SRG905は、ポリマー、光架橋性ポリマー、および/またはプレポリマー組成物、反応性メソゲン(「RM: reactive mesogen」)、またはその組合せなどの有機材料をベースにして製作され得る。いくつかの実施形態において、SRG905は、メタ表面を製造するための無機材料などの無機材料をベースにして製作され得る。いくつかの実施形態において、SRG905の材料は、非晶性ポリマーなど、等方性であり得る。いくつかの実施形態において、SRG905の材料は、異方性、例えば、液晶ポリマー、または反応性メソゲン(「RM」)であってもよい。いくつかの実施形態において、SRG905は、電磁周波数の範囲の光(可視波長帯域の光など)に対して少なくとも部分的に透明(例えば、完全に透明または部分的に透明)であり得るレジスト材料からナノ加工され得る。レジスト材料は、熱可塑性物質、ポリマー、光学的に透明なフォトレジスト、またはその組合せの形態であり得る。いくつかの実施形態において、定着または硬化された後、レジスト材料は、SRG905の溝906に配設される光学異方性材料に配向を提供し得る。すなわち、SRG905は、SRG905の溝906に配設される光学異方性材料の配向層として機能し得る。SRG905の様々な配向パターンおよび形状構成(例えば、サブ10nmの厚さ)は、ナノ加工技術を使用して形成され得、これは、高いカスタマイズ性をもつ光学異方性材料の配向パターンの作成を可能にする。
【0093】
SRG905が基板910に配設された(例えば、基板910に対して接着されたまたは基板910上に形成された)後、図9Bに図示するように、光学異方性材料915の層がSRG905上に配設(例えば、形成またはコーティング)され得る。光学異方性材料915は、少なくとも部分的にSRG905の溝906を充填する。光学異方性材料915は、重合可能なプレポリマー組成物または重合可能な液晶(「LC」)前駆体を含み得る。いくつかの実施形態において、重合可能な液晶前駆体は、LC材料のものと同様な光学的性質をもつ重合可能な分子である反応性メソゲン(「RM」)を含み得る。SRG905によって提供される配向パターンにより、光学異方性材料915は、配向パターンに従って、SRG905の溝906内で配向され得る。例えば、光学異方性材料915の分子は、SRG905の溝906の中で、ホメオトロピックに配向され、一様に配向され、または混成で配向されてもよい(例えば、一部の分子がホメオトロピックに配向され、他の一部分子が一様に配向されてもよい)。いくつかの実施形態において、光学異方性材料915の分子は、延伸、光(例えば、光配向)、電界、またはその組合せなどの適切な配向方法によって、SRG905の溝906の中に配向され得る。光学異方性材料915は、SRG905の溝方向(例えば、y方向)に第1主屈折率を示し、溝方向に垂直な面内方向(例えば、x方向)に第2主屈折率を示すように配向され得る。第1主屈折率または第2主屈折率のうちの一方は、SRG905の屈折率と実質的に一致し得、第1主屈折率または第2主屈折率のうちの他方は、SRG905の屈折率と一致し得ない。さらに、光学異方性材料915の分子の配向または向きを安定化させるために、配向された光学異方性材料915は、重合され、例えば、熱重合または光重合されてもよい。その結果、外部偏光回転子を介して間接的に切り換えられる受動回折光学素子を製作し得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、図9Bに図示されるように、製作された単一基板回折光学素子930では、光学異方性材料915の層の厚さは、SRG905の溝906の深さと同じであり得る。いくつかの実施形態において、図9Cに図示されるように、製作された単一基板回折光学素子950では、光学異方性材料915の層の厚さは、SRG905の溝の深さよりも大きくなり得る。SRG905の溝906の上面の上方に配設される光学異方性材料915は、均一であり得、回折に寄与しなくてもよい。いくつかの実施形態において、受動回折光学素子が製作された後に、基板910を取り除いてもよい。いくつかの実施形態において、図9Dに図示されるように、製作された回折光学素子950は、支持と保護の目的のために、2つの基板910(例えば、上下の基板910)を含み得る。
【0095】
図10A図10Cは、本開示の別の実施形態による、受動回折光学素子を製作する模式的なプロセスを示す。図9A図9Dおよび図10A図10Cに図示されるプロセス間の類似部分は、繰り返さない。図10Aに図示されるように、配向層1025を備える上基板1010とSRG1005を備える下基板1010とが組み立てられて、セルを形成し得る。SRG1005は、複数の微細構造1005a、1005b、1005c等を含み得、これは、図3Aに図示される微細構造、図5Aに図示される傾斜微細構造、または図7に図示される可変周期性をもつ微細構造の形態であり得る。微細構造1005a、1005b、1005c等は、複数の溝1006を画定し得、これは、図3Aに図示される溝306、図5Aに図示される溝506、または図7に図示される溝706a~706hの形態であり得る。例示の目的上、微細構造および溝は、図3Aに図示されるものと同様なものとして示されている。
【0096】
次のステップで、配向層1025は、SRG1005の溝1006に充填する光学異方性材料に均一なホメオトロピック配向または一様な配向を提供し得る。図10Bに図示されるように、セルを組み立てた後、光学異方性材料1015がSRG1005の溝1006に充填され得る。光学異方性材料1015は、他の図面(例えば、図9Bおよび図9C)に図示される光学異方性材料915と同様であり得る。光学異方性材料1015は、配向層1025によって、例えば、SRG1005の溝1006の溝方向(例えば、y方向)に第1主屈折率を、および溝方向に垂直な面内方向(例えば、x方向)に第2主屈折率を示すように配向されてもよい。第1主屈折率または第2主屈折率のうちの一方は、SRG1005の屈折率と実質的に一致し得、第1主屈折率または第2主屈折率のうちの他方は、SRG1005の屈折率と一致し得ない。さらに、配向された光学異方性材料1015を重合させて、光学異方性材料1015の分子の配向または向きを安定化させ得、受動回折光学素子を製作し得る。いくつかの実施形態において、図10Bに図示されるように、製作された回折光学素子1030では、光学異方性材料1015の層の厚さは、SRG1005の溝の深さと同じであり得る。いくつかの実施形態において、図10Cに図示されるように、製作された回折光学素子1050では、光学異方性材料1015の層の厚さは、SRG1005の溝の深さよりも大きくなり得る。いくつかの実施形態において、SRG1005の溝の上面の上方に配設される光学異方性材料1015は、配向層1025によっても配向され得る。
【0097】
本開示の実施形態による間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)は、1以上の導波路によって伝送される画像光の複数の異なる部分の時間多重化および偏光多重化の両方または一方を可能にし得る。画像光の異なる複数の部分には、例えば、異なる色の単色/モノクロ画像、複数色/多色画像(例えば、フル・カラー画像)のFOVの異なる部分、単色/モノクロ画像のFOVの異なる部分等が含まれ得る。導波路でのFOVは、多くの場合、格子の角度帯域幅と、導波路の屈折率によって決定され得る導波路の角度制限とによって制限される。FOVを拡大する1つの方法は、FOVをいくつかの部分に分割し、その部分を異なる格子または格子のセットによって、時間多重化方式および偏光多重化の両方または一方で伝送することである。格子間のクロストークを低減または軽減するために、FOVの異なる複数の部分に対応する画像光の複数の部分を異なる複数の時間フレームで、例えば、時間多重化方式で伝送してもよい。画像光の複数の異なる部分を時間多重化方式および偏光多重化方式の両方または一方でアイボックスに伝送するように構成される例示的なアセンブリまたはシステムをこれから説明する。以下の例示的なアセンブリまたはシステムは「対称」構成と呼ばれることがあり、インカップリング格子およびアウトカップリング格子のペア(またはインカップリングサブ格子およびアウトカップリングサブ格子のペア)が、画像光のそれぞれの部分をアイボックスに伝送するように構成される。インカップリング格子/サブ格子およびアウトカップリング格子/サブ格子の格子ベクトルは、
【0098】
【数1】
がインカップリング格子/サブ格子の格子ベクトルを表し、
【0099】
【数2】
がアウトカップリング格子/サブ格子の格子ベクトルを表すとき、条件
【0100】
【数3】
を満たし得る。すなわち、画像光のそれぞれの部分を導波路に出入りするよう方向付ける複数の格子/サブ格子の複数の格子ベクトルのベクトルの和は、実質的にゼロに等しくなり得る。「対称」構成では、FOVは、導波路を並進した後に回転し得ない。FOVの異なる複数の部分の時間多重化および偏光多重化の両方または一方によってFOVの拡大を可能にするために、本開示の実施形態による間接的に切り換え可能な複数の格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)が、インカップリング格子およびアウトカップリング格子の両方または一方に含まれ得る。FOVは、異なる構成に配列される間接的に切り換え可能な複数の格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)によって時間多重化方式で伝送され得る。例えば、複数の格子が共通の導波路で並べて配置され(tiled)てもよく、または共通の導波路もしくは異なる複数の導波路で積層されてもよい。異なる色の複数の単色画像の伝送にも同様の原理が適用され得る。
【0101】
図11Aおよび図11Bは、本開示の実施形態による、導波路1101と導波路1101に結合されている複数の格子とを含む光学システム1100を示す。導波路1101および格子は、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成され得る。いくつかの実施形態において、光学システム1100は、導波路ディスプレイシステムとも呼ばれることがある。導波路1101は、図2Aおよび図2Bに図示される導波路210などの、開示される任意の他の導波路の実施形態であってもよい。図11Aに図示されるように、導波路1101は、インカップリング格子1105を介して光源アセンブリ205から画像光を受光し、アウトカップリング格子1110を介して眼265に向けて画像光を案内するように構成され得る。インカップリング格子1105およびアウトカップリング格子1110は、導波路1101の異なる部分で導波路1101に結合され得る。インカップリング格子1105およびアウトカップリング格子1110のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)の一実施形態であってもよく、またはそれを含んでもよい。インカップリング格子1105およびアウトカップリング格子1110のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、互いに重なり合って(例えば、少なくとも部分的に重なり合って)連続的なFOVを提供する、1以上のサブ格子を含み得る。例えば、隣り合うサブ格子が互いに部分的に重なり合い得るように、サブ格子を格子の異なる平面に配設してもよい。サブ格子の周りの空間には、少なくとも部分的に屈折率整合材が充填され得、空間内の光の反射を抑制し得る。サブ格子の例示的な重なり合う構成を、図12Dおよび図12Eを参照して以下説明する。
【0102】
図11Aを参照すると、インカップリング格子1105は、複数のサブ格子1105aおよび1105b(または第1インカップリングサブ格子1105aおよび第2インカップリングサブ格子1105bと呼ばれる)を含み得る。アウトカップリング格子1110は、複数のサブ格子1110aおよび1110b(または第1アウトカップリングサブ格子1110aおよび第2アウトカップリングサブ格子1110bと呼ばれる)を含み得る。インカップリング格子1105のサブ格子1105aおよび1105bは、1対1でアウトカップリング格子1110のサブ格子1110aおよび1110bに対応し得る。インカップリング格子1105には、任意の適切な数のサブ格子が含まれ得る。アウトカップリング格子1110には、任意の適切な数のサブ格子が含まれ得る。それぞれのインカップリング格子1105およびアウトカップリング格子1110に含まれるサブ格子の数は、スプリットまたは分割されるFOVの部分の数に対応し得る。インカップリング格子1105およびアウトカップリング格子1110に含まれるサブ格子は、導波路1101の第1表面1101_1および第2表面1101_2の両方または一方に配設され得る。インカップリング格子1105のサブ格子1105aおよび1105bは、導波路1101の同じ表面に配設されても、または異なる表面に配設されてもよい。アウトカップリング格子1110のサブ格子1110aおよび1110bは、導波路1101の同じ表面に配設されても、または異なる表面に配設されてもよい。いくつかの実施形態において、インカップリング格子1105およびアウトカップリング格子1110の各々の複数のサブ格子は、FOVを一次元にタイリングする(tile)ために一次元格子パターンに配列され得る。
【0103】
考察の目的上、インカップリング格子1105およびアウトカップリング格子1110は、導波路1101の第2表面1101_2に配設されてもよく、インカップリング格子1105およびアウトカップリング格子1110は、ともに、開示される間接的な切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)の一実施形態であってもよい。インカップリング格子1105の第1インカップリングサブ格子1105aおよび第2インカップリングサブ格子1105bは、直交する2つの偏光をもつ入る光に反応して、回折状態で動作するように構成され得る。アウトカップリング格子1110の第1アウトカップリングサブ格子1110aおよび第2アウトカップリングサブ格子1110bは、それぞれ第1インカップリングサブ格子1105aおよび第2インカップリングサブ格子1105bに対応し得る。第1アウトカップリングサブ格子1110aおよび第2アウトカップリングサブ格子1110bは、それぞれ第1インカップリングサブ格子1105aおよび第2インカップリングサブ格子1105bと同じ偏光選択性を有し得る。インカップリングサブ格子および対応するアウトカップリングサブ格子は、FOVの所定の部分を伝達するように構成されるサブ格子のペアと考えられ得る。各ペアのインカップリングサブ格子およびアウトカップリングサブ格子は、条件
【0104】
【数4】
を満たすために実質的に同じ格子期間(grating period)を有し得る。
【0105】
光源アセンブリ205は、光源(例えば、ディスプレイ)からインカップリング格子1105に向けて画像光を放出し得る。いくつかの実施形態において、画像光は無偏光画像光であり得、所定の偏光を有する直線偏光画像光に無偏光画像光を変換するために、直線偏光子1140が光源アセンブリ205と導波路1101との間に配設され得る。いくつかの実施形態において、直線偏光子1140と導波路1101との間に偏光回転子または偏光スイッチ1150が配設され得る。偏光スイッチ1150は、直線偏光子1140から受光した直線偏光画像光の偏光を、偏光スイッチ1150の動作状態(例えば、切り換え状態または非切り換え状態)に応じて、直交する2つの偏光の間で切り換えるように構成される能動素子であり得る。偏光スイッチ1150は、図8Aおよび図8Bに図示される偏光スイッチ820と同様であってもよい。
【0106】
光源アセンブリ205から放出される画像光は、ディスプレイのFOVの異なる複数の部分に対応する複数の光線(rays)を含み得る。図11Aおよび図11Bに図示される実施形態において、FOVは、2つの部分(左部分および右部分)を含み得る。図11Aおよび図11Bに図示されるように、光線1120の及ぶ角度範囲および光線1130の及ぶ角度範囲は、それぞれ、画像光が提供するFOVの左部分および右部分に対応し得る。いくつかの実施形態において、ディスプレイフレームは、画像光によって提供されるFOVの異なる部分に対応する光線を順次透過するために、2つの連続するサブフレーム(例えば、第1サブフレームおよび第2サブフレーム)に分割され、それによって、FOVの異なる部分の時間多重化方式での順次透過を実現し得る。
【0107】
考察の目的上、直線偏光子1140は、光源アセンブリ1140から放出される無偏光画像光を、第1偏光(例えば、図11Aに図示されるx方向に偏光される)を有する直線偏光画像光に変換し得る。偏光スイッチ1150が切り換え状態で動作するとき、偏光スイッチ1150は、第1偏光を有する直線偏光画像光を、第2偏光(例えば、図11Aに図示されるy方向で偏光される)を有する直線偏光画像光に変換し得る。偏光スイッチ1150が非切り換え状態で動作するとき、偏光スイッチ1150は、第1偏光を有する直線偏光画像光の偏光を維持し得る。第1インカップリングサブ格子1105aおよび第1アウトカップリングサブ格子1110aは、第1偏光を有する直線偏光光を回折し、第2偏光を有する直線偏光光を透過するように構成され得る。第2インカップリングサブ格子1105bおよび第2アウトカップリングサブ格子1110bは、第2偏光を有する直線偏光光を回折し、第1偏光を有する直線偏光光を透過するように構成され得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、第1偏光(例えば、図11Aに図示されるx方向に偏光される)、または第1偏光に直交する第2偏光(例えば、図11Aに図示されるy方向に偏光される)を有する直線偏光画像光を放出し得、直線偏光子1140は省いてもよい。光学システム1100のパワー効率が改善され得る。
【0108】
図11Aを参照すると、ディスプレイフレームの第1サブフレームの間、偏光スイッチ1150は、直線偏光子1140から受光される第1偏光(例えば、図11Aに図示されるx方向に偏光される)を有する直線偏光画像光を偏光に影響を与えずに透過する、非切り換え状態で動作するように構成され得る。したがって、第1偏光を有する直線偏光画像光は、第1インカップリングサブ格子1105aによって回折され得、回折が無視できるかまたは全くない状態で、第2インカップリングサブ格子1105bを透過され得る。こうして、光線1120の及ぶ角度範囲内の画像光は、第1インカップリングサブ格子1105aを介して導波路1101内部のTIR経路に結合され得、TIRを介して導波路1101内部で伝播し得る。導波路1101の内部で伝播する画像光は、第1アウトカップリングサブ格子1110aを介して、光線1120’の及ぶ角度範囲へと導波路1101から分離され得、これが眼265で受光され得る。光線1130の及ぶ角度範囲内の画像光は、導波路1101内部のTIR経路に結合され得ない。光線1120’の及ぶ角度範囲は、FOVの左部分に対応し得る。
【0109】
図11Bを参照すると、ディスプレイフレームの第2サブフレーム中、偏光スイッチ1150は、第1偏光(例えば、図11Bに図示されるx方向に偏光される)を有する直線偏光画像光を、インカップリング格子1105に向けて、第2偏光(例えば、図11Bに図示されるy方向に偏光される)を有する直線偏光画像光に変換するために、切り換え状態で動作するように構成され得る。したがって、第2偏光を有する直線偏光画像光は、第2インカップリングサブ格子1105bによって回折され得、回折が無視できるかまたは全くない状態で、第1インカップリングサブ格子1105aによって透過され得る。したがって、光線1130の及ぶ角度範囲内の画像光は、第2インカップリングサブ格子1105bを介して導波路1101内部のTIR経路に結合され得、第2アウトカップリングサブ格子1110bを介して、光線1130’の及ぶ角度範囲へと導波路1101から分離され得、これが眼265によって受光され得る。光線1120の及ぶ角度範囲内の画像光は、導波路1101内部のTIR経路に結合され得ない。光線1130’の及ぶ角度範囲は、FOVの右部分に対応し得る。
【0110】
このように、ディスプレイフレーム内の2つの連続するサブフレームで切り換え状態と非切り換え状態とに偏光スイッチ1150を順次切り換えることによって、インカップリングサブ格子およびアウトカップリングサブ格子の2ペアが、それぞれ連続する隣接サブフレームで回折状態に切り換えられ得る。この構成により、共通の導波路を介したFOVの異なる部分の順次透過が、FOVをタイリングすることによって実現し得る。さらに、開示される間接的に切り換え可能な複数の格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)により実現される時間多重化スキームは、FOVをタイリングするために構成されるサブ格子間のクロストークを除去し得る。
【0111】
再び図11Aを参照すると、いくつかの実施形態において、FOVの異なる部分用に構成される複数のサブ格子による光の回折によって生じ得るゴースト像(ghost image)を抑制するために、眼265に面するアウトカップリング格子1110の側に、偏光子1160aおよび1160bのペアが配設され得る。偏光子1160aおよび1160bは、クリーンアップ偏光子(clean-up polarizers)と呼ばれることもある。偏光子1160aおよび1160bは、それぞれ、第1アウトカップリングサブ格子1110aおよび第2アウトカップリングサブ格子1110bの光射出エリアをカバーし得る。偏光子1160aは、第1アウトカップリングサブ格子1110aによって導波路1101から分離される直線偏光画像光を透過し、第2アウトカップリングサブ格子1110bによって導波路1101から分離される直線偏光画像光をブロックするように構成され得る。偏光子1160bは、第2アウトカップリングサブ格子1110bによって導波路1101から分離される直線偏光画像光を透過し、第1アウトカップリングサブ格子1110aによって導波路1101から分離される直線偏光画像光をブロックするように構成され得る。すなわち、偏光子1160aおよび1160bは、直交する透過軸をもつように配向され得る。したがって、第1インカップリングサブ格子1105a、導波路1101、および第1アウトカップリングサブ格子1110aを介してFOVの左部分に対応する画像光を透過するとき、FOVの右部分用に構成される第2インカップリングサブ格子1105bおよび第2アウトカップリングサブ格子1110bの両方または一方によって回折される光によって生じるゴースト像が抑制され得る。いくつかの実施形態において、偏光子1160aおよび1160bは省いてもよい。
【0112】
同様に、第2インカップリングサブ格子1105b、導波路1101、および第2アウトカップリングサブ格子1110bを介してFOVの右部分に対応する画像光を透過するとき、FOVの左部分用に構成される第1インカップリングサブ格子1105aおよび第1アウトカップリングサブ格子1110aの両方または一方によって回折される光によって生じるゴースト像が抑制され得る。すなわち、FOVの異なる部分用に構成されるサブ格子によって回折される光によって生じるゴースト像が抑制され得る。いくつかの実施形態において、FOVの異なる部分用に構成されるサブ格子による光の回折によって生じ得るゴースト像を抑制するために、アウトカップリング格子1110と眼265との間に、2つの偏光子1160aおよび1160bではなく、パターン化された偏光子が配設され得る。パターン化された偏光子は、異なる直交する透過軸をもつ2つの領域を含み得る。2つの領域は、それぞれ偏光子1160aおよび1160bのものと同様に機能し得る。いくつかの実施形態において、パターン化された偏光子は省いてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態において、眼265に面するアウトカップリング格子1110の表面(またはペアの偏光子1160aおよび1160bの表面、またはパターン化された偏光子の表面)に、偏光スイッチまたは偏光回転子1170が配設され得る。例示の目的上、偏光回転子1170は、偏光子1160aおよび1160bとは別個に示している。偏光回転子1170は、アウトカップリング格子1110または偏光子1160aおよび1160bから出力されるFOVの部分(例えば、左または右の部分)に対応する直線偏光画像光の偏光を直交偏光に変換して、フルFOVに対応する画像光が2つの偏光ではなく1つの偏光をもち得るように構成され得る。例えば、切り換え状態で動作する偏光回転子1170は、第1偏光を有する直線偏光画像光を、第2偏光を有する直線偏光画像光に変換するように構成され得る。非切り換え状態で動作する偏光回転子1170は、第2偏光を有する直線偏光画像光の偏光を維持して、眼265が受光することになるフルFOVに対応する画像光が第2偏光を有し得るようにしてもよい。
【0114】
図11Aは、インカップリング格子1105およびアウトカップリング格子1110の両方が、開示される間接的に切り換え可能な複数の格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のうちの1以上を含むことを示しており、これは、外部偏光スイッチを介して間接的に切り換え可能である。この構成は例示目的のものであり、本開示の範囲を制限することは意図していない。いくつかの実施形態において、インカップリング格子1105またはアウトカップリング格子1110のうちの一方は、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のうちの1以上を含み得、インカップリング格子1105またはアウトカップリング格子1110のうちの他方は、1以上の非切り換え可能な受動格子または直接的に切り換え可能な能動格子を含み得る。例えば、FOVの異なる複数の部分が、非切り換え可能な受動インカップリング格子によって導波路に導入され得る。アウトカップリング格子1110は、間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)であり得る2つのアウトカップリングサブ格子を含み得る。2つのアウトカップリングサブ格子は、それぞれ直交する2つの偏光をもつ入る画像光に反応して、回折状態で動作するように構成され得る。ディスプレイフレームは、2つの連続したサブフレームを含み得る。2つの連続したサブフレーム中、インカップリング格子1105は、直交する偏光(例えば、第1偏光および第2偏光)をそれぞれもつ複数の画像光を受光し、その画像光を導波路1101に結合し得る。2つの連続するサブフレームのうちの少なくとも1つ(例えば、各々)で、第1アウトカップリングサブ格子1110aまたは第2アウトカップリングサブ格子1110bのうちの一方が、対応する偏光をもつ画像光を導波路1101から分離するために回折状態で動作し得、第1アウトカップリングサブ格子1110aまたは第2アウトカップリングサブ格子1110bのうちの他方が非回折状態で動作し得る。
【0115】
再び図11Aおよび図11Bを参照すると、いくつかの実施形態において、第1インカップリング格子1105a、第2インカップリング格子1105b、第1アウトカップリングサブ格子1110a、および第2アウトカップリングサブ格子1110bは、光学システム1100が光源アセンブリ205から放出される画像光のFOVの異なる部分を同じ期間(例えば、同じディスプレイフレーム)中に同時に(例えば、偏光多重化方式で)アイボックスに伝送し得るように、実質的に角度選択的でありかつ偏光選択的であるように構成され得る。ディスプレイフレームは、複数のサブフレームに分割しなくてもよい。例えば、第1インカップリング格子1105aおよび第1アウトカップリングサブ格子1110aは、FOVの第1部分(例えば、左部分)に対応する角度範囲を有し、かつ第1偏光(例えば、図11Aに図示されるx方向に偏光される)を有する画像光を回折し、FOVの第2部分(例えば、右部分)に対応する角度範囲を有し、かつ第2偏光(例えば、図11Aに図示されるy方向に偏光される)を有する画像光を、回折が無視できる状態で透過するように構成され得る。第2インカップリング格子1105bおよび第2アウトカップリング格子1110bは、FOVの第2部分(例えば、右部分)に対応する角度範囲を有し、かつ第2偏光(例えば、図11Aに図示されるy方向に偏光される)を有する画像光を回折して、回折を介して導波路1101に入れ、FOVの第1部分(例えば、左部分)に対応する角度範囲を有し、かつ第1偏光(例えば、図11Aに図示されるx方向に偏光される)を有する画像光を、回折が無視できる状態で透過するように構成され得る。
【0116】
いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、導波路1101に向けて無偏光画像光を放出し得る。偏光子1140および偏光スイッチ1150は省いてもよい。無偏光画像光は、無偏光画像光のFOVの第1部分に対応する角度範囲を有する第1部分と、無偏光画像光のFOVの第2部分に対応する角度範囲を有する第2部分とを含み得る。無偏光画像光の第1部分および第2部分の各々は、第1偏光を有する第1成分および第2偏光を有する第2成分の2つの成分を含み得る。光源アセンブリ205によって放出される無偏光画像光が第1インカップリング格子1105aおよび第2インカップリング格子1105bに同時に入射するとき、FOVの左部分に対応する(例えば、光線1120の及ぶ)角度範囲を有し、かつ第1偏光を有する画像光(無偏光画像光の第1部分の第1成分である)は、第1インカップリングサブ格子1105aを介して導波路1101内部のTIR経路に結合され、第1アウトカップリングサブ格子1110aを介して、光線1120’の及ぶ角度範囲へと導波路1101から分離され得、これが眼265によって受光され得る。FOVの右部分に対応する(例えば、光線1130の及ぶ)角度範囲を有し、かつ第2偏光を有する画像光(無偏光画像光の第2部分の第2成分である)は、第2インカップリングサブ格子1105bを介して、導波路1101内部のTIR経路に結合され、第2アウトカップリングサブ格子1110bを介して、光線1130’の及ぶ角度範囲へと導波路1101から分離され得、これが眼265によって受光され得る。導波路1101の出力側では、光線1120’の及ぶ角度範囲は、FOVの左部分に対応し得、光線1130’の及ぶ角度範囲は、FOVの右部分に対応し得る。こうして、光源アセンブリ205によって放出される無偏光画像光のFOVの2つの部分が、アイボックスに同時に伝送され得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、FOVは、3つの部分、例えば、左部分、中央部分、および右部分に分割され得、これらが、タイリングされたインカップリングおよびアウトカップリングの間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)を通して眼に伝達され得る。図12A図12Cは、本開示の別の実施形態による、フルFOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路1201を含む光学システム1200を示す。導波路1201は、図2Aおよび図2Bに図示される導波路210の一実施形態であってもよい。図11Aおよび図11Bに図示される実施形態と図12A図12Cに図示される実施形態との間で同様なまたは同じ構造および構成要素の説明は繰り返さない。図示される実施形態で光学システム1200に含まれる複数の格子は、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のいずれであってもよい。
【0118】
図12Aに図示されるように、導波路1201は、インカップリング格子1205を介して光源アセンブリ205から画像光を受光するように構成され得、アウトカップリング格子1210を介して画像光を眼265に向けて案内し得る。インカップリング格子1205およびアウトカップリング格子1210は、導波路1201に結合され得る。インカップリング格子1205およびアウトカップリング格子1210のうちの少なくとも1つは、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)の一実施形態であってもよい。インカップリング格子1205およびアウトカップリング格子1210のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、それぞれ、FOVの所定の複数の部分を伝達するように構成される複数のサブ格子を含み得る。インカップリングサブ格子および対応するアウトカップリングサブ格子は、FOVの所定の部分を伝達するように構成されるサブ格子のペアと考えられ得る。例えば、FOVは、3つの部分、左部分、中央部分、および右部分を含み得る。導波路1201は、3ペアのサブ格子を含み得る。インカップリング格子1205およびアウトカップリング格子1210のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、それぞれ、FOVの左部分、中央部分、および右部分を伝達するように構成される3つのサブ格子を含み得る。FOVの隣り合う部分が部分的に重なり合って、連続的なFOVを眼265において形成し得る。FOVの隣り合う部分の部分的な重なり合いは、例えば、記録材料内でサブ格子を部分的に重なり合わせることによって達成され得る(例えば、直交偏光の光を回折するように構成されるサブ格子の重なり合うエリアは、多重化され得る)。サブ格子のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、偏光スイッチに結合され得、該偏光スイッチは、サブ格子のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)を回折状態と非回折状態との間で間接的に切り換えるように構成され得る。偏光スイッチ1250a~1250fは、画像光がサブ格子に入射する対応するサブ格子の側に配設され、それによって、対応するサブ格子に画像光が入射する前に画像光の偏光を制御し得る。したがって、偏光スイッチ1250a~1250fは、対応するサブ格子を回折状態または非回折状態で動作するように制御するように構成され得る。いくつかの実施形態において、偏光スイッチ1250a~1250fの各々は、対応するサブ格子のサイズと実質的に同じサイズで構成され得る。偏光スイッチ1250a~1250fの各々は、対応するサブ格子と位置合わせされ得る。隣り合うインカップリングサブ格子は、互いに部分的に重なり合い得、隣り合うインカップリングサブ格子に対応する隣り合う偏光スイッチは、互いに部分的に重なり合い得る。隣り合うアウトカップリングサブ格子は、互いに部分的に重なり合い得、隣り合うアウトカップリングサブ格子に対応する隣り合う偏光スイッチは、互いに部分的に重なり合い得る。いくつかの実施形態において、偏光スイッチ1250a~1250fは、実質的に同じサイズを有するように構成され得る。
【0119】
図12A図12Cに図示されるように、いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、所定のFOVを有する無偏光画像光を放出し得る。いくつかの実施形態において、無偏光画像光を直線偏光画像光に変換するために、光源アセンブリ205と導波路1201との間に直線偏光子1240が配設され得る。いくつかの実施形態において、直線偏光画像光は、直線偏光子1240の透過軸に従って、第1偏光(例えば、図12A図12Cに図示されるx方向で偏光される)または第1偏光に直交する第2偏光(例えば、図12A図12Cに図示されるy方向に偏光される)を有するように構成され得る。ディスプレイフレームは、3つのサブフレームに分割され得る。各それぞれのサブフレーム中、サブ格子のそれぞれのペアは、導波路1201を介してFOVのそれぞれの部分を透過するために、対応する偏光スイッチを介して回折状態で動作するように順次構成され得る。3つのサブフレームのうちの少なくとも1つ(例えば、各々)の間、サブ格子の3ペアのうちの1つがFOVの所定の部分を透過するために回折状態で動作するように構成され得、残りのペアは、非回折状態で動作するように構成され得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、導波路1201に結合されている隣り合うインカップリングサブ格子は、直交偏光、例えば(直交直線偏光)を有する光を選択的に回折するように構成され得る。導波路1201に結合されている隣り合うアウトカップリングサブ格子は、直交偏光(例えば、直交直線偏光)を有する光を選択的に回折するように構成され得る。いくつかの実施形態において、FOVの所定の部分を伝達するように構成されるサブ格子のペアは、同じ第1偏光を有する光を回折し、第1偏光に直交する第2偏光を有する光を、回折が無視できる状態で透過するように構成され得る。いくつかの実施形態において、各サブフレーム中、インカップリングサブ格子およびアウトカップリングサブ格子の1ペアが回折状態で動作するように構成され得るのに対し、残りのペアは、非回折状態で動作するように構成され得る。FOVの3つの部分は、3つの連続的なサブフレームで時系列に透過され得、隣り合うサブ格子間のクロストークが抑制される。眼265に伝送されるFOVの3つの部分は、異なる偏光を有し得る。
【0121】
例えば、図12Aを参照すると、第1サブフレーム中、第1インカップリングサブ格子1205aおよび第1アウトカップリングサブ格子1210aは、それぞれ、対応する偏光スイッチ1250aおよび1250dを介して回折状態(またはオン状態)に間接的に切り換えられ得る。残りのサブ格子は、対応する偏光スイッチを介して非回折状態(またはオフ状態)に切り換えられ得る。したがって、光線1220の及ぶ角度範囲内の画像光は、第1インカップリングサブ格子1205aを介して導波路1201内部のTIR経路に結合され、第1アウトカップリングサブ格子1210aを介して、光線1220’の及ぶ角度範囲へと導波路1201から分離され得、これが眼265によって受光され得る。光線1225の及ぶ角度範囲および光線1230の及ぶ角度範囲内の画像光は、導波路1201内部のTIR経路に結合し得ない。光線1220’の及ぶ角度範囲は、FOVの左部分に対応し得る。
【0122】
図12Bを参照すると、第2サブフレーム中、第2インカップリングサブ格子1205bおよび第2アウトカップリングサブ格子1210bは、それぞれ、偏光スイッチ1250bおよび1250eを介して回折状態(またはオン状態)に間接的に切り換えられ得る。残りのサブ格子は、対応する偏光スイッチを介して非回折状態(またはオフ状態)に切り換えられ得る。したがって、光線1225の及ぶ角度範囲内の画像光は、第2インカップリングサブ格子1205bを介して導波路1201内のTIR経路に結合され、第2アウトカップリングサブ格子1210bを介して、光線1225’の及ぶ角度範囲へと導波路1201から分離され得、これが眼265によって受光され得る。光線1220の及ぶ角度範囲内の画像光および光線1230の及ぶ角度範囲内の画像光は、導波路1201内部のTIR経路に結合され得ない。光線1225’の及ぶ角度範囲は、FOVの中央部分に対応し得る。
【0123】
図12Cを参照すると、第3サブフレーム中、第3インカップリングサブ格子1205cおよび第3アウトカップリングサブ格子1210cは、それぞれ、偏光スイッチ1250cおよび1250fを介して回折状態(またはオン状態)に間接的に切り換えられ得る。残りのサブ格子は、対応する偏光スイッチを介して非回折状態(またはオフ状態)に切り換えられ得る。したがって、光線1230の及ぶ角度範囲内の画像光は、第3インカップリングサブ格子1205cを介して導波路1201内部のTIR経路に結合され、第3アウトカップリング格子1210cを介して、光線1230’の及ぶ角度範囲へと導波路1201から分離され得、これが眼265によって受光され得る。光線1220の及ぶ角度範囲および光線1225の及ぶ角度範囲内の画像光は、導波路1201内部のTIR経路に結合され得ない。光線1230’の及ぶ角度範囲は、FOVの右部分に対応し得る。
【0124】
再び図12A図12Cを参照すると、いくつかの実施形態において、光学システム1200は、ゴースト像を低減または除去するために、眼265に面するアウトカップリング格子1210側に配設される偏光子1260(例えば、クリーンアップ偏光子)を含み得る。いくつかの実施形態において、偏光子1260は、対応するサブ格子のペアによって伝送されるFOVのそれぞれの部分の偏光に対応する局所的な偏光方向をもつ、パターン化された偏光子であり得る。例えば、偏光子1260は、異なるアウトカップリングサブ格子のために、異なる透過軸の配向をもつ3つの部分に分割され得る。いくつかの実施形態において、偏光子1260は、均一な(例えば、パターン化されていない)偏光子であり得、追加の偏光スイッチが偏光子1260とアウトカップリング格子1210との間に配設されて、アウトカップリングサブ格子によって分離された画像光を同じ偏光を有する画像光に変換し得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、導波路1201に結合されている隣り合うインカップリングサブ格子は、直交する複数の偏光(例えば、直交する複数の直線偏光)を有する複数の光を選択的に回折するように構成され得、導波路1201に結合されている隣り合うアウトカップリングサブ格子は、同じ偏光を有する複数の光を選択的に回折するように構成され得る。各アウトカップリング格子1210a、1210b、または1210cは、対応する偏光スイッチ1250d、1250e、または1250fによって、対応するサブフレーム中に回折状態で動作するように制御され得る。眼265に伝送されるFOVの3つの部分は、実質的に同じ偏光を有し得る。偏光子1260は、ゴースト像を低減または除去するために、均一な(パターン化されていない)偏光子であるように構成され得る。いくつかの実施形態において、偏光子1260は省いてもよい。
【0126】
図示していないが、いくつかの実施形態において、FOVは、適切な数の部分、例えば、4つの部分または5つの部分等を含んでもよい。導波路1201は、FOVの適切な数の部分を伝達するために、適切な数のサブ格子のペア(例えば、4ペアまたは5ペア等)を含み得る。FOVの隣り合う部分は、部分的に重なり合って、連続的なFOVを眼265において形成し得る。したがって、ディスプレイフレームは、適切な数のサブフレーム(例えば、4つのサブフレームまたは5つのサブフレーム等)に分割され得る。各それぞれのサブフレーム中、サブ格子のそれぞれのペアは、導波路1201を介してFOVのそれぞれの部分を透過するために、対応する偏光スイッチを介して回折状態で動作するよう順次構成され得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、第1偏光(例えば、図12A図12Cに図示されるx方向に偏光される)または第1偏光に直交する第2偏光(例えば、図12A図12Cに図示されるy方向に偏光される)を有する直線偏光画像光を放出し得、直線偏光子1340は省いてもよい。光学システム1200のパワー効率が改善され得る。
【0128】
図12Dおよび図12Eは、図12Aに図示される導波路1201に結合されているインカップリングサブ格子の重なり合う構成の模式図を示す。サブ格子は、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のいずれを含んでもよい。いくつかの実施形態において、隣り合うインカップリングサブ格子が互いに部分的に重なり合い得るように、1以上のインカップリングサブ格子を異なる平面に配設し得る。インカップリングサブ格子の周りの空間には、少なくとも部分的に屈折率整合材を充填し得る。図12Dに図示されるように、一実施形態において、少なくとも隣り合うインカップリングサブ格子の2ペアが互いに部分的に重なり合い得るように、インカップリングサブ格子1205a、1205b、および1205cのうちの少なくとも2つ(例えば、3つ全部)を異なる平面に配設し得る。インカップリングサブ格子の周りの空間には、空間内の光の反射を抑制し得るように、少なくとも部分的に屈折率整合材1270を充填し得る。図12Eに図示されるように、一実施形態において、隣り合うインカップリングサブ格子が互いに少なくとも部分的に重なり合い得るように、第1インカップリングサブ格子1205aおよび第3インカップリングサブ格子1205cを同じ平面に配設する一方で、第2インカップリングサブ格子1205bを異なる平面に配設し得る。図12Aの導波路1201に結合されるアウトカップリングサブ格子の重なり合う構成は、図12Dおよび図12Eに図示されるインカップリングサブ格子のものと同様であってもよい。
【0129】
図13Aおよび図13Bは、本開示の実施形態による、FOVの異なる部分を光学システム1300のアイボックスに時間多重化方式で伝送するように構成される導波路スタック1301を含む光学システム1300を示す。導波路スタック1301は、導波路のスタックを含み得、各々が図2A図2Bに図示される導波路210、図11Aに図示される導波路1101、または図12Aに図示される導波路1201と同様であってもよい。図2A図11A図12A、および図13Aに図示される実施形態間の同じまたは同様な構造および構成要素または構造もしくは構成要素の説明は繰り返さない。図13Aに図示されるように、導波路スタック1301は、一緒に積層される複数の導波路(例えば、2つの導波路1310および1320)を含み得る。3つ、4つ、5つなどの、他の適切な数の導波路を使用してもよい。導波路1310は、インカップリング格子1312およびアウトカップリング格子1314に結合され得る。導波路1320は、インカップリング格子1322およびアウトカップリング格子1324に結合され得る。いくつかの実施形態において、導波路内で導波を起こすために、導波路1310および1320は、エアギャップ(air gaps)で分離され得る。いくつかの実施形態において、導波路1310と1320との間のエアギャップは、少なくとも部分的に、導波路のものより低い屈折率を有する材料(例えば、液状接着剤)で充填され得る。光学システム1300内に含まれる格子またはサブ格子のいずれも、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のいずれの実施形態であってもよい。
【0130】
光源アセンブリ205から放出される画像光は、FOVの左部分および右部分に対応する光線を含み得る。光線1370の及ぶ角度範囲および光線1380の及ぶ角度範囲は、それぞれ、画像光のFOVの左部分および右部分に対応し得る。いくつかの実施形態において、画像光のディスプレイフレームは、FOVの異なる部分に対応する光線を順次透過するために2つのサブフレームに分割され得、それによって、時間多重化方式でのFOVの2つの部分の順次透過を実現する。いくつかの実施形態において、画像光のディスプレイフレームは、FOVの異なる部分に対応する光線を順次透過するために2つのサブフレームに分割され得、それによって、時間多重化方式でのFOVの2つの部分の順次透過を実現する。
【0131】
インカップリング格子およびアウトカップリング格子のうちの少なくとも1つは、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)の一実施形態であり得る。インカップリング格子またはアウトカップリング格子は、それぞれの導波路の第1表面および第2表面の両方または一方に配設され得る。考察の目的上、図13Aに図示されるように、導波路スタック1301に結合されているインカップリング格子およびアウトカップリング格子は、間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)であり得、それぞれの導波路の第2表面に配設され得る。インカップリング格子1312およびインカップリング格子1322は、それぞれ、直交する2つの所定の偏光、例えば、第2偏光(例えば、図13Aに図示されるy方向に偏光される)および第1偏光(例えば、図13Aに図示されるx方向に偏光される)を有する画像光を回折するように構成され得る。アウトカップリング格子1314およびアウトカップリング格子1324は、それぞれ、インカップリング格子1312およびインカップリング格子1322と同じ偏光選択性を有し得る。
【0132】
いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、無偏光画像光を放出し得る。無偏光画像光を第1偏光(例えば、図13Aに図示されるx方向に偏光される)または第1偏光に直交する第2偏光(例えば、図13Aに図示されるy方向に偏光される)を有する直線偏光画像光に変換するために、直線偏光子1340が光源アセンブリ205と導波路スタック1301との間に配設され得る。直線偏光子1340と導波路スタック1301との間に、偏光回転子または偏光スイッチ1350が配設され得る。偏光スイッチ1350は、直線偏光子1340から受光される直線偏光画像光の偏光を、偏光スイッチ1350の動作状態(例えば、切り換え状態または非切り換え状態)に応じて、第1偏光と第2偏光とに切り換えるように構成される能動素子であり得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、第1偏光(例えば、図13Aに図示されるx方向に偏光される)または第1偏光に直交する第2偏光(例えば、図13Aに図示されるy方向に偏光される)を有する直線偏光画像光を放出し得、直線偏光子1340は省いてもよい。光学システム1200のパワー効率が改善され得る。
【0133】
図13Aを参照すると、第1サブフレーム中、偏光スイッチ1350は、直線偏光子1340から受光される第1偏光(例えば、図13Aに図示されるx方向に偏光される)を有する直線偏光画像光を、偏光に影響を与えることなく透過するために、非切り換え状態で動作するように構成され得る。したがって、第1偏光を有する直線偏光画像光は、インカップリング格子1322によって回折され得、回折が無視できるかまたは全くない状態でインカップリングサブ格子1312によって透過され得る。このように、光線1370の及ぶ角度範囲内の画像光は、インカップリング格子1322を介して導波路1320内部のTIR経路に結合され、アウトカップリング格子1340を介して、光線1370’の及ぶ角度範囲へと導波路1320から分離され得、これが眼265によって受光され得る。光線1380の及ぶ角度範囲内の画像光は、導波路1310内部のTIR経路に結合され得ない。光線1370’の及ぶ角度範囲は、FOVの左部分に対応し得る。すなわち、FOVの左部分は、眼265の射出瞳に配置されるアイボックスで複製され得る。いくつかの実施形態において、FOVの異なる部分用に構成される格子が回折する光によって生じ得るゴースト像を抑制するために、導波路1320に面するアウトカップリング格子1314の表面に偏光子1360が配設され得る。いくつかの実施形態において、偏光子1360は省いてもよい。
【0134】
図13Bを参照すると、第2サブフレーム中、偏光スイッチ1350は、第1偏光(例えば、x方向に偏光される)を有する直線偏光画像光を、第2偏光(例えば、y方向に偏光される)を有する直線偏光画像光に導波路スタック1301に向けて変換するために、切り換え状態で動作するように構成され得る。したがって、第2偏光を有する直線偏光画像光は、インカップリング格子1322によって回折され得ず、回折が無視できるかまたは全くない状態でインカップリング格子1322によって透過され得る。このように、光線1380の及ぶ角度範囲内の画像光は、インカップリング格子1312を介して導波路1310内部のTIR経路に結合され、アウトカップリング格子1314を介して、光線1380’の及ぶ角度範囲へと導波路1310から分離され得、これが眼265によって受光され得る。光線1370の及ぶ角度範囲内の画像光は、導波路1320内部のTIR経路に結合し得ない。光線1380’の及ぶ角度範囲は、FOVの右部分に対応し得る。すなわち、FOVの右部分は、眼265の出射瞳に配置されるアイボックスで複製され得る。
【0135】
再び図13Aおよび図13Bを参照すると、いくつかの実施形態において、インカップリング格子1312、インカップリング格子1322、アウトカップリング格子1314、およびアウトカップリング格子1324は、光学システム1300が同じ期間(例えば、同じディスプレイフレーム)中にFOVの異なる部分を光学システム1300のアイボックスに同時に(例えば、偏光多重化方式で)伝送するように構成し得るように、実質的に角度選択的でかつ偏光選択的であるように構成され得る。ディスプレイフレームは、サブフレームに分割され得ない。例えば、導波路1320に結合されているインカップリング格子1322およびアウトカップリング格子1324は、FOVの第1部分(例えば、左部分)に対応する角度範囲を有し、かつ第1偏光(例えば、図13Aおよび図13Bに図示されるx方向に偏光される)を有する画像光を回折するように構成され得る。インカップリング格子1322、アウトカップリング格子1324および導波路1320は、FOVの第2部分(例えば、右部分)に対応する角度範囲を有し、かつ第2偏光(例えば、図13Aおよび図13Bに図示されるy方向に偏光される)を有する画像光を、回折が無視できる状態で透過するように構成され得る。導波路1310に結合されているインカップリング格子1312、およびアウトカップリング格子1314は、FOVの第2部分(例えば、右部分)に対応する角度範囲を有し、かつ第2偏光(例えば、図13Aおよび図13Bに図示されるy方向に偏光される)を有する画像光を回折するように構成され得る。インカップリング格子1312、アウトカップリング格子1314、および導波路1310は、FOVの第1部分(例えば、左部分)に対応する角度範囲を有し、かつ第1偏光(例えば、図13Aおよび図13Bに図示されるx方向に偏光される)を有する画像光を、回折が無視できる状態で透過するように構成され得る。
【0136】
いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、無偏光画像光を導波路1301に向けて放出し得る。偏光子1340および偏光スイッチ1350は省いてもよい。無偏光画像光は、無偏光画像光のFOVの第1部分に対応する角度範囲を有する第1部分と、無偏光画像光のFOVの第2部分に対応する角度範囲を有する第2部分とを含み得る。無偏光画像光の第1部分および第2部分の各々は、第1偏光を有する第1成分と第2偏光を有する第2成分との2つの成分を含み得る。光源アセンブリ205によって放出される無偏光画像光が導波路スタック1301に入射すると、FOVの左部分に対応する(例えば、光線1370の及ぶ)角度範囲を有し、かつ第1偏光(無偏光画像光の第1部分の第1成分である)を有する画像光は、インカップリングサブ格子1322を介して導波路1320内部のTIR経路に結合され、アウトカップリングサブ格子1324を介して、光線1370’の及ぶ角度範囲へと導波路1320から分離され得、これが眼265によって受光され得る。FOVの右部分に対応する(例えば、光線1380の及ぶ)角度範囲を有し、かつ第2偏光(無偏光画像光の第2部分の第2成分である)を有する画像光は、インカップリングサブ格子1312を介して導波路1310内部のTIR経路に結合され、アウトカップリングサブ格子1314を介して、光線1380’の及ぶ角度範囲へと導波路1310から分離され得、これが眼265によって受光され得る。導波路スタック1301の出力側では、光線1370’の及ぶ角度範囲は、FOVの左部分に対応し得、光線1380’の及ぶ角度範囲は、FOVの右部分に対応し得る。こうして、光源アセンブリ205によって放出される無偏光画像光のFOVの2つの部分は、アイボックスに同時に伝送され得る。
【0137】
いくつかの実施形態において、それぞれ導波路に結合されているインカップリング格子およびアウトカップリング格子を導波路スタックに積層するのではなく、図14Aおよび図14Bに図示されるように、インカップリング格子を共通の(例えば、1つの)導波路に積層して装着し得、アウトカップリング格子を共通の導波路に積層して装着し得る。図14Aおよび図14Bは、開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される導波路1401を含む光学システム1400を示す。図13Aおよび図13Bに図示される実施形態と、図14Aおよび図14Bに図示される実施形態との間で同様なまたは同じ構造および構成要素または構造もしくは構成要素の説明は繰り返さない。図14Aに図示されるように、インカップリング格子1412および1422は、導波路1401の第1表面または第2表面に積層され得る。アウトカップリング格子1414および1424は、導波路1401の第1表面または第2表面に積層され得る。インカップリング格子1412および1422ならびにアウトカップリング格子1414および1424は、導波路1401の同じ表面または異なる表面に配設され得る。いくつかの実施形態において、光学システム1400は、FOVの左部分および右部分を時間多重化方式で伝送するように構成され得る。FOVの左部分および右部分の時系列透過を実現するための、導波路1401を含む光学システム1400の動作原理は、図13Aおよび図13Bに図示される実施形態に関連して上で説明したものと同様であってもよい。光学システム1400に含まれる格子またはサブ格子のいずれも、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のいずれの実施形態であってもよい。
【0138】
いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、無偏光画像光を導波路1401に向けて放出し得る。偏光子1440および偏光スイッチ1450は省いてもよい。インカップリング格子1412および1422ならびにアウトカップリング格子1414および1424は、光学システム1400が光源アセンブリ205によって放出される無偏光画像光のFOVの異なる部分をアイボックスに同時に偏光多重化方式で伝送するように構成し得るように、実質的に角度選択的かつ偏光選択的であるように構成され得る。光源アセンブリ205によって放出される無偏光画像光のFOVの左部分および右部分をアイボックスに同時に伝送するための導波路1401を含む光学システム1400の動作原理は、図13Aおよび図13Bに図示される実施形態に関連して上で説明したものと同様であってもよい。
【0139】
図15A図15Cは、開示の別の実施形態によるFOVの異なる部分(例えば、3つの部分)を時間多重化方式で伝送するために導波路スタック1501を含む光学システム1500を示す。導波路スタック1501は、図2Aおよび図2Bに図示される導波路210の一実施形態であり得る。図15A図15Cに図示される実施形態と、図13Aおよび図13Bに図示される実施形態との間で同様なまたは同じ構造および構成要素または構造もしくは構成要素の説明は繰り返さない。光学システム1500に含まれる格子またはサブ格子のいずれも、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のいずれの実施形態であってもよい。
【0140】
図15Aに図示されるように、導波路スタック1501は、それぞれ、FOVの左部分、中央部分、および右部分を伝達するように構成される3つの導波路1510、1520、および1530を含み得る。導波路1510、1520、および1530のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、導波路スタック1501の同じ表面または異なる表面に配設されるインカップリング格子およびアウトカップリング格子を含み得る。いくつかの実施形態において、インカップリング格子のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、インカップリング格子が偏光スイッチによって回折状態と非回折状態とに間接的に切り換えられるように、偏光スイッチに結合され得る。偏光スイッチは、画像光がそこからインカップリング格子に入射する対応するインカップリング格子の側に配設され、それによって、対応するインカップリング格子に入射する画像光の偏光を制御し得る。例えば、偏光スイッチ1516、1526、および1536は、それぞれ、インカップリング格子1512、1522、および1532に対応し得る。いくつかの実施形態において、アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、偏光スイッチに結合され得、該偏光スイッチは、画像光がそこから出射する、対応するアウトカップリング格子の側に配設され得る。すなわち、偏光スイッチは、眼265に面する対応する格子の側に配設され得る。いくつかの実施形態において、アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、偏光スイッチに結合され得、該偏光スイッチは、画像光がそこからアウトカップリング格子に入射する対応するアウトカップリング格子の側に配設され、それによって、対応するアウトカップリング格子に入射する画像光の偏光を制御し得る。例えば、図15Aに図示される実施形態では、偏光スイッチ1518および1528は、それぞれ、アウトカップリング格子1524および1534に対応し得、アウトカップリング格子1514に対応する偏光スイッチは省いてもよい。
【0141】
導波路スタック1501に結合されているインカップリング格子およびアウトカップリング格子は、同じ偏光(例えば、第1偏光)または異なる偏光を有する画像光を回折するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1偏光の方向は、図15Aに図示されるx方向であり得る。考察の目的上、図15A図15Cでは、導波路スタック1501に結合されているインカップリング格子およびアウトカップリング格子は、同じ偏光、例えば、第1偏光(例えば、図15Aに図示されるx方向に偏光される)を有する画像光を回折するように構成され得る。光源アセンブリ205は、無偏光画像光を放出し得、無偏光画像光を直線偏光画像光または光線に所定の偏光方向、例えば、第1偏光(例えば、図15Aに図示されるx方向に偏光される)で変換するために、直線偏光子1540が光源アセンブリ205と導波路スタック1501との間に配設され得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、図15Aに図示されるように、光源アセンブリ205は、無偏光画像光を放出し得、無偏光画像光を直線偏光画像光または光線に所定の偏光方向、例えば、第1偏光(例えば、図15Aに図示されるx方向で偏光される)または第2偏光(例えば、図15Aに図示されるy方向で偏光される)で変換するために、直線偏光子1540が光源アセンブリ205と導波路スタック1501との間に配設され得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、第1偏光(例えば、図15Aに図示されるx方向に偏光される)または第1偏光に直交する第2偏光(例えば、図15Aに図示されるy方向に偏光される)を有する直線偏光画像光を放出し得、直線偏光子1540は省いてもよい。例えば、光源アセンブリ205は、液晶ディスプレイ、またはレーザー走査ディスプレイ(laser scanning display)で使用されるレーザーであり得る。光学システム1500のパワー効率が改善され得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、ディスプレイフレームは、3つのサブフレームに分割され得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、それぞれ、3つのサブフレーム内にFOVの異なる部分(例えば、左部分、中央部分、および右部分)に対応する光線1570、1575、および1580を放出し得る。図15A図15Cに図示されるように、いくつかの実施形態において、各サブフレーム中、光源アセンブリ205は、FOVの異なる部分(例えば、左部分、中央部分、および右部分)に対応する光線1570、1575、および1580を同時に放出し得る。いくつかの実施形態において、連続的なFOVをアイボックスに伝送するために、インカップリング格子1512、1522、および1532の角度スペクトル(angular spectra)は、互いにわずかに重なり合い得、アウトカップリング格子1514、1524、および1534の角度スペクトルは、互いにわずかに重なり合い得る。
【0144】
図15Aを参照すると、第1サブフレーム中、導波路1530でインカップリング格子1532に結合されている偏光スイッチ1536は、非切り換え状態で動作して、第1偏光を有する光線1570を、偏光に影響することなくまたは偏光を切り換えることなく透過し得る。インカップリング格子1532およびアウトカップリング格子1534はいずれも、第1偏光を有する画像光を回折し、第2偏光を有する画像光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過するように構成され得るので、第1偏光を有する光線1570は、インカップリング格子1532を介して導波路1530内のTIR経路に結合され、アウトカップリング格子1534を介して、光線1570’の及ぶ角度範囲へと導波路1530から分離され得、これが眼265によって受光され得る。光線1570’の及ぶ角度範囲は、FOVの左部分に対応し得る。
【0145】
第1偏光を有する光線1575および光線1580は、インカップリング格子1532を介して導波路1530内部のTIR経路に結合され得ず、導波路1530によって、導波路1520に向けて透過され得る。導波路1520でインカップリング格子1522に結合されている偏光スイッチ1526は、切り換え状態で動作し、それによって、第1偏光を有する光線1575および光線1580を、第2偏光を有する光線に変換し得る。インカップリング格子1522は、第1偏光を有する画像光を回折し、第2偏光を有する画像光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過するように構成されるので、偏光スイッチ1526から出力される第2偏光を有する光線は、導波路1520内部のTIR経路に結合され得ず、導波路1520を通って導波路1510に向けて透過され得る。
【0146】
導波路1510でインカップリング格子1512に結合されている偏光スイッチ1516は、非切り換え状態で動作し得る。したがって、導波路1520から受光される第2偏光を有する光線は、偏光スイッチ1516を通って透過された後、第2偏光を維持し得る。インカップリング格子1512は、第1偏光を有する画像光を回折し、第2偏光を有する画像光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過するように構成され得るので、偏光スイッチ1516から出力される第2偏光を有する光線は、導波路1510内部のTIR経路に結合され得ず、透過され得る。アウトカップリング格子1534、1524、および1514にそれぞれ結合されている偏光スイッチ1538、1528、および1518は、非切り換え状態で動作し得、それに透過される画像光の偏光を切り換え得ない。このように、第1サブフレーム中、第1偏光を有する光線1570は、導波路1530を介して眼265に方向付けられ得、それによりFOVの左部分が、眼265の射出瞳に配置されているアイボックスで複製され得る。
【0147】
図15Bを参照すると、第2サブフレーム中、導波路1530でインカップリング格子1532に結合されている偏光スイッチ1536は、切り換え状態で動作し、第1偏光を有する光線1570、1575、および1580を、第2偏光を有する光線1570、1575、および1580に変換し得る。第2偏光を有する光線1570、1575、および1580は、導波路1530内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、第2偏光を有する光線1570、1575、および1580は、導波路1520に向けて導波路1530を通って透過され得る。導波路1520でインカップリング格子1522に結合されている偏光スイッチ1526は、切り換え状態で動作して、第2偏光を有する光線1570、1575、および1580を、第1偏光を有する光線1570、1575、および1580に変換し得る。第1偏光を有する光線1575は、インカップリング格子1522を介して導波路1520内部のTIR経路に結合され、第1偏光を有する光線としてアウトカップリング格子1524を介して導波路1520から分離される。第1偏光を有する光線1570および1580は、インカップリング格子1522を介して導波路1520内部のTIR経路に結合され得ず、導波路1520を透過され得る。
【0148】
導波路スタック1501のアウトカップリング側で、導波路1520でアウトカップリング格子1524に結合されている偏光スイッチ1528は、切り換え状態で動作して、アウトカップリング格子1524から出力される第1偏光を有する光線1575を、導波路1530に向けて第2偏光を有する光線1575’に変換し得る。偏光スイッチ1528によって透過される第2偏光を有する光線1575’は、導波路1530内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、第2偏光を有する光線1575’は、偏光スイッチ1538に向けて直接、導波路1530を透過され得る。
【0149】
いくつかの実施形態において、導波路1530でアウトカップリング格子1534に結合されている偏光スイッチ1538は、切り換え状態で動作して、第2偏光を有する光線1575’を、光線1575’の及ぶ角度範囲内で、眼265に向けて第1偏光を有する光線に変換し得、これを眼265が受光し得る。光線1575’の及ぶ角度範囲は、FOVの中央部分に対応し得る。
【0150】
再び導波路スタック1501のインカップリング側を参照すると、導波路1510でインカップリング格子1512に結合されている偏光スイッチ1516は、切り換え状態で動作して、第1偏光を有し、導波路1520内部のTIR経路に結合されない光線1570(すなわち、導波路1510に向けて導波路1520を透過される、第1偏光を有する光線1570および1580)を、第2偏光を有する光線に変換し得る。第2偏光を有する光線1570および1580は、導波路1510内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、第2偏光を有する光線1570および1580は、導波路1510を透過され得る。このように、第2サブフレーム中、第1偏光を有する光線1575は、導波路1520を介して眼265に方向付けられ得、それによりFOVの中央部分が、眼265の射出瞳に配置されるアイボックスで複製され得る。
【0151】
図15Cを参照すると、第3サブフレーム中、導波路1530でインカップリング格子1532に結合されている偏光スイッチ1536は、切り換え状態で動作して、第1偏光を有する光線1570、1575、1580を、第2偏光を有する光線1570、1575、1580に変換し得る。第2偏光を有する光線1570、1575、1580は、導波路1530内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、第2偏光を有する光線1570、1575、1580は、導波路1520に向けて導波路1530を透過され得る。
【0152】
図15Cに図示される実施形態において、導波路1520でインカップリング格子1522に結合されている偏光スイッチ1526は、非切り換え状態で動作して、第2偏光を有する1570、1575、1580を、光線の偏光に影響を与えることなく、または光線の偏光を切り換えることなく透過し得る。偏光スイッチ1526から出力される第2偏光を有する光線1570、1575、1580は、導波路1520内部のTIRに結合され得ない。むしろ、偏光スイッチ1526から出力される第2偏光を有する光線1570、1575、1580は、導波路1510に向けて導波路1520によって透過され得る。
【0153】
図15Cに図示される実施形態において、導波路1510でインカップリング格子1512に結合されている偏光スイッチ1516は、切り換え状態で動作して、導波路1520から透過される第2偏光を有する光線1570、1575、1580を、第1偏光を有する光線に変換し得る。偏光スイッチ1516から出力される第1偏光を有する光線1580は、インカップリング格子1512を介して導波路1510内のTIR経路に結合され、第1偏光を有する光線1580’として、アウトカップリング格子1514を介して導波路1510から分離される。偏光スイッチ1516から出力される、第1偏光を有する光線1570および1575は、インカップリング格子1512を介して導波路1510内のTIR経路に結合され得ず、導波路1510を透過され得る。
【0154】
導波路スタック1501のアウトカップリング側では、導波路1510でアウトカップリング格子1514に結合されている偏光スイッチ1518は、切り換え状態で動作して、アウトカップリング格子1514から出力される第1偏光を有する光線1580’を、導波路1520に向けて、第2偏光を有する光線1580’に変換し得る。偏光スイッチ1518から出力される第2偏光を有する光線1580’は、導波路1520内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、第2偏光を有する光線1580’は、導波路1530に向けて、導波路1520およびアウトカップリング格子1524を透過され得る。
【0155】
図15Cに図示される実施形態では、導波路1520でアウトカップリング格子1524に結合されている偏光スイッチ1528は、非切り換え状態で動作して、導波路1520から透過される第2偏光を有する光線1580’を、光線の偏光に影響することなく、または光線の偏光を切り換えることなく、透過され得る。偏光スイッチ1528から出力される第2偏光を有する光線1580’は、導波路1530内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、第2偏光を有する光線1580’は、偏光スイッチ1538に向けて、導波路1530およびアウトカップリング格子1538を透過され得る。
【0156】
いくつかの実施形態において、導波路1530でアウトカップリング格子1534に結合されている偏光スイッチ1538は、切り換え状態で動作して、アウトカップリング格子1538から出力される第2偏光を有する光線1580’を、光線1580’の及ぶ角度範囲内で、眼265に向けて第1偏光を有する光線1580’に変換し得る。光線1580’の及ぶ角度範囲は、眼265で見え得るFOVの右部分に対応し得る。したがって、第3サブフレーム中、第1偏光を有する光線1580は、導波路1510を介して眼265に方向付けられ得、それによりFOVの右部分が、眼265の射出瞳に配置されるアイボックスで複製され得る。このように、(3つのサブフレームを含む)ディスプレイフレーム中、FOVの異なる複数の部分に対応する画像光の、アイボックスへの順次透過を実現し得、眼265は、1つの偏光(例えば、第1偏光)でフルFOVを観察し得る。さらに、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)により実現される時間多重化は、導波路スタック1501のクロストークを除去し得る。したがって、導波路スタック1501を含む導波路ディスプレイアセンブリの光学性能が向上し得る。図15A図15Cに図示される、FOVを3つの部分に分割して、3つの部分をアイボックスに伝送するための原理は、FOVを4つ以上の部分に分割して、4つ以上の部分をアイボックスに順次伝送することにも適用され得る。
【0157】
再び図15A図15Cを参照すると、いくつかの実施形態において、インカップリング格子1512、1522、および1532の角度スペクトルは、インカップリング格子間のクロストークを最小限にし得るかまたは低減し得るように、互いに実質的に重なり合わなくてもよい。したがって、インカップリング格子1512、1522、および1532にそれぞれ結合されている偏光スイッチ1516、1526、および1536は省いてもよい。いくつかの実施形態において、アウトカップリング格子1514、1524、および1534の角度スペクトルは、アウトカップリング格子間のクロストークを最小限にし得るかまたは低減し得るように、互いに実質的に重なり合わなくてもよい。したがって、アウトカップリング格子1514、1524、および1534にそれぞれ結合されている偏光スイッチ1518、1528、および1538は省いてもよい。インカップリング格子1512、1522、および1532の角度スペクトルが互いに実質的に重なり合わず、アウトカップリング格子1514、1524、および1534の角度スペクトルが互いに実質的に重なり合わない場合、インカップリング格子1512、1522、または1532は、FOVのそれぞれの部分に対応する角度範囲を有する画像光をそれぞれの導波路1510、1520、または1530に結合するように構成され得、アウトカップリング格子1514、1524、および1534は、結合された画像光をそれぞれの導波路1510、1520、または1530から分離するように構成され得る。したがって、光学システム1500は、光源アセンブリ205から放出される画像光のFOVの異なる部分(例えば、3つの部分)を同時に伝送するように構成され得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、無偏光画像光を放出し得、直線偏光子1540が光源アセンブリ205と導波路スタック1501との間に配設されて、無偏光画像光を所定の偏光方向で、例えば、第1偏光(例えば、図15A図15Cに図示されるx方向に偏光される)をもつ直線偏光画像光に変換し得る。インカップリング格子1512、1522、および1532と、アウトカップリング格子1514、1524、および1534とは、同じ偏光選択性を有し得、例えば、第1偏光を有する画像光を回折し、第2偏光を有する画像光を、回折が無視できる状態で透過し得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、無偏光画像光を放出するように構成し得、偏光子1540は省いてもよい。無偏光画像光は、直交する2つの偏光成分を含み得る。インカップリング格子1512、1522、および1532は、異なる偏光選択性を有するように構成され得る。インカップリング格子1512、1522、および1532の偏光選択性に応じて、対応する導波路に1つの成分がインカップリング格子によって結合され得るのに対し、他の成分は、回折が無視できる状態で透過され得る。アウトカップリング格子1514、1524、および1534の偏光選択性は、アウトカップリング格子1514、1524、および1534が、対応する結合された画像光を、対応する導波路から分離し得るように構成され得る。
【0158】
図示していないが、いくつかの実施形態において、FOVは、適切な数の部分、例えば、4つの部分または5つの部分等を含み得る。導波路スタック1501は、適切な数のFOVの部分を伝達するために、各インカップリング格子およびアウトカップリング格子に結合されている適切な数の導波路(例えば、4つの導波路または5つの導波路等)を含み得る。FOVの隣り合う部分は、部分的に重なり合って、連続的なFOVを眼265において形成し得る。したがって、ディスプレイフレームは、適切な数のサブフレーム(例えば、4つのサブフレームまたは5つのサブフレーム等)に分割され得る。各サブフレーム中、サブ格子のそれぞれのペアは、対応する偏光スイッチを介して回折状態で動作して、それぞれの導波路を介してFOVのそれぞれの部分を透過するように順次構成され得る。
【0159】
いくつかの実施形態において、導波路スタック内のそれぞれの導波路に配設される代わりに、図16A図16Cに図示されるように、インカップリング格子およびアウトカップリング格子は、それぞれ共通の(例えば、1つの)導波路に積層されて装着されてもよい。図16A図16Cは、開示の別の実施形態による、FOVの異なる部分を時間多重化方式で伝送するように構成される1つの導波路1601を含む光学システム1600を示す。図16A図16Cに図示される実施形態と図15A図15Cに図示される実施形態との間で同様なまたは同じ構造および構成要素または構造もしくは構成要素の説明は繰り返さない。光学システム1600に含まれる格子またはサブ格子のいずれも、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のいずれの実施形態でもよい。
【0160】
図16Aに図示されるように、複数のインカップリング格子1612、1622、および1632が、導波路1601の第1表面または第2表面に配設され得る。インカップリング格子の数は3つに制限されず、2、4、5、6などの、任意の適切な数であってもよい。複数のアウトカップリング格子1614、1624、および1634は、導波路1601の第1表面または第2表面に配設され得る。アウトカップリング格子の数は3つに制限されず、2、4、5、6などの、任意の適切な数であってもよい。複数のインカップリング格子1612、1622、および1632と複数のアウトカップリング格子1614、1624、および1634は、導波路1601の同じ表面または異なる表面に配設され得る。図16Aに図示されるように、インカップリング格子1612、1622、および1632は、それぞれ、偏光スイッチ1616、1626、および1636に結合され得る。インカップリング格子と光学的に結合される偏光スイッチの数は、インカップリング格子の数と同じでもよく、またはインカップリング格子の数よりも少ないもしくは多くてもよい。図16Aに図示されるように、アウトカップリング格子1614、1624、および1634は、それぞれ、偏光スイッチ1618、1628および1638に結合され得る。アウトカップリング格子と光学的に結合される偏光スイッチの数は、アウトカップリング格子の数と同じでもよく、またはアウトカップリング格子の数よりも少ないもしくは多くてもよい。導波路1601を通したFOVの左部分、中央部分、および右部分の時間多重化方式による順次透過の動作原理、ならびに導波路1601に配列されている光源アセンブリ205、格子、および対応する偏光スイッチの動作スキームは、図15A図15Cに図示される実施形態に関連して上で説明したものと同様であってもよい。いくつかの実施形態において、アウトカップリング格子1614、1624、および1634の角度スペクトルは、互いに重なり合って(例えば、わずかに重なり合って)、連続的なFOVをアイボックスに伝送し得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、インカップリング格子1612、1622、および1632の角度スペクトルは、インカップリング格子間のクロストークを最小限にし得るかまたは低減し得るように、互いに実質的に重なり合わなくてもよい。したがって、インカップリング格子1612、1622、および1632にそれぞれ結合されている偏光スイッチ1616、1626、および1636は省いてもよい。いくつかの実施形態において、アウトカップリング格子1614、1624、および1634の角度スペクトルは、アウトカップリング格子間のクロストークを最小限にし得るかまたは低減し得るように、互いに実質的に重なり合わなくてもよい。したがって、アウトカップリング格子1614、1624、および1634にそれぞれ結合されている偏光スイッチ1618、1628、および1638は省いてもよい。インカップリング格子1612、1622、および1632の角度スペクトルが互いに実質的に重なり合わず、アウトカップリング格子1614、1624、および1634の角度スペクトルが互いに実質的に重なり合わない場合、インカップリング格子1612、1622、または1632は、FOVのそれぞれの部分に対応する角度範囲を有する画像光を導波路1601に結合するように構成され得、アウトカップリング格子1614、1624、および1634は、結合された画像光を導波路1601から分離するように構成され得る。したがって、光学システム1600は、光源アセンブリ205から放出される画像光の異なる複数の部分(例えば、3つの部分)を同時に伝送するように構成され得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は無偏光画像光を放出し得、無偏光画像光を所定の偏光方向、例えば、第1偏光(例えば、図16A図16Cに図示されるx方向に偏光される)をもつ直線偏光画像光に変換するために、直線偏光子1640が光源アセンブリ205と導波路1601との間に配設され得る。インカップリング格子1612、1622、および1632と、アウトカップリング格子1614、1624、および1634とは、同じ偏光選択性をもつように構成され得、例えば、第1偏光を有する画像光を回折して、第2偏光を有する画像光を、回折が無視できる状態で透過することができる。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ205は、無偏光画像光を放出するように構成され得、偏光子1640は省いてもよい。無偏光画像光は、直交する2つの偏光成分を含み得る。インカップリング格子1612、1622、および1632は、異なる偏光選択性を有するように構成され得る。インカップリング格子1612、1622、および1632の偏光選択性に応じて、対応する導波路に無偏光画像光の1つの成分がインカップリング格子によって結合され得るのに対し、他の成分は、回折が無視できる状態で透過され得る。アウトカップリング格子1614、1624、および1634の偏光選択性は、アウトカップリング格子1614、1624、および1634が、対応する結合された画像光を導波路1601から分離し得るように構成され得る。
【0162】
図示していないが、いくつかの実施形態において、FOVは、適切な数の部分、例えば、4つの部分または5つの部分等を含み得る。導波路1601は、適切な数のFOVの部分を伝達するために、適切な数の格子のペア(例えば、4ペアまたは5ペア等)を含み得る。FOVの隣り合う部分は、部分的に重なり合って、連続的なFOVを眼265において形成し得る。したがって、ディスプレイフレームは、適切な数のサブフレーム(例えば、4つのサブフレームまたは5つのサブフレーム等)に分割され得る。各サブフレーム中、格子の各ペアは、対応する偏光スイッチを介して回折状態で動作して、導波路1601を介してFOVのそれぞれの部分を透過するように順次構成され得る。
【0163】
図17Aは、開示の実施形態による、導波路スタック1701を含む光学システム1700の模式図を示す。図17B図17Dは、異なる色の単色画像を時間多重化方式で伝送するように構成された、図17Aに図示される導波路スタック1701を含む光学システム1700を示す。導波路スタック1701は、図15Aに図示される導波路スタック1501と同様であってもよい。したがって、導波路スタック1501の説明は、導波路スタック1701にも適用可能であり得る。図17Aに図示されるように、いくつかの実施形態において、導波路スタック1701は、1以上の光源アセンブリ、例えば、3つの光源アセンブリ1750、1760、および1770から画像光を受光し得る。光源アセンブリ1750、1760、および1770のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、原色(例えば、赤、緑、または青)に対応する特定の波長帯域のモノクロ画像光を放出し得る。例えば、光源アセンブリ1750、1760、および1770は、それぞれ第1原色(例えば、赤)、第2原色(例えば、緑)、および第3原色(例えば、青)に対応する特定の波長帯域のモノクロ画像光1755、1765、および1775を放出してもよい。光学システム1770に含まれる格子またはサブ格子のいずれも、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のいずれの実施形態であってもよい。
【0164】
光源アセンブリ1750、1760、および1770は、対応する画像光を順次放出するために、コントローラ(図2Aに図示されるコントローラ215と同様であってもよい)によって制御され得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ1750、1760、および1770から放出される画像光は、無偏光画像光であり得る。無偏光画像光を所定の偏光、例えば、第1偏光(例えば、図17Aに図示されるx方向に偏光される)をもつ直線偏光画像光に変換するために、対応する光源アセンブリと導波路スタック1701との間に直線偏光子1740を配設し得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ1750、1760、および1770が、所定の偏光をもつ直線偏光画像光を放出し得、直線偏光子1740は省いてもよい。いくつかの実施形態において、それぞれ第1原色(例えば、赤)、第2原色(例えば、緑)、および第3原色(例えば、青)に対応する特定の波長帯域のモノクロ画像光1755、1765、および1775が、共通の光源アセンブリから順次放出され得る。
【0165】
導波路1710は、いずれも第1原色(例えば、赤)に対応する波長帯域用に構成される、インカップリング格子1712およびアウトカップリング格子1714に結合され得る。導波路1720は、いずれも第2原色(例えば、緑)に対応する波長帯域用に構成される、インカップリング格子1722およびアウトカップリング格子1724に結合され得る。導波路1730は、いずれも第3原色(例えば、青)に対応する波長帯域用に構成される、インカップリング格子1732およびアウトカップリング格子1734に結合され得る。インカップリング格子1712、1722、および1732、およびアウトカップリング格子1714、1724、および1734のうちの少なくとも1つは、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)のうちの1以上を含み得る。考察の目的上、インカップリング格子1712、1722、または1732およびアウトカップリング格子1714、1724、または1734の各々が、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)を含む。導波路スタック1701に結合されているインカップリング格子およびアウトカップリング格子は、同じ所定の偏光(例えば、図17Aに図示されるx方向に偏光される第1偏光)を有する光を回折するように構成され得る。考察の目的上、図17A図17Dに図示される実施形態では、導波路スタック1701に結合されるインカップリング格子およびアウトカップリング格子は、同じ所定の偏光、例えば、第1偏光(例えば、図17Aに図示されるx方向に偏光される)を有する光を回折するように構成される。
【0166】
いくつかの実施形態において、インカップリング格子1712、1722、または1732は、偏光スイッチに結合され得る。インカップリング格子1712、1722、または1732は、偏光スイッチから出力される入射光の偏光に応じて、回折状態と非回折状態とに間接的に切り換えられ得る。偏光スイッチは、画像光がそこからインカップリング格子に入射する、対応するインカップリング格子の側に配設され、それによって、対応するインカップリング格子に入射する画像光の偏光を制御し得る。アウトカップリング格子1714、1724、および1734のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、画像光がそこから出射する、対応するアウトカップリング格子の側に配設される偏光スイッチに結合され得る。
【0167】
ディスプレイフレームは、画像光1755、1765、および1775の順次透過のために3つのサブフレームに分割され得る。図17Aおよび図17Bを参照すると、第1サブフレーム中、画像光1755(例えば、赤色光)が光源アセンブリ1750から導波路スタック1701に向けて放出され得、画像光1765(例えば、緑色光)および1755(例えば、青色光)は、対応する光源アセンブリ1760および1770から放出され得ない。導波路1730でインカップリング格子1732に結合されている偏光スイッチ1736は、非切り換え状態で動作して、第1偏光を有する画像光1755を、偏光に影響することなくまたは偏光を切り換えることなく透過し得る。インカップリング格子1732およびアウトカップリング格子1734は、第1偏光を有する画像光を回折して、第1偏光に直交する第2偏光を有する画像光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過するように構成され得るので、第1偏光を有する画像光1755は、インカップリング格子1732を介して導波路1730内のTIR経路に結合され得る。画像光1755は、画像光1755’(例えば、赤色光)としてアウトカップリング格子1734を介して導波路1730から分離され得、これが眼265によって受光され得る。すなわち、第1色(例えば、赤色)の単色画像が眼265によって知覚され得る。
【0168】
図17Aに図示される実施形態において、導波路1720でインカップリング格子1722に結合されている偏光スイッチ1726は、切り換え状態で動作して、第1偏光を有する画像光1755を、第2偏光を有する画像光に変換し得る。インカップリング格子1722は、第1偏光を有する画像光を回折して、第2偏光を有する画像光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過するため、第2偏光を有する透過された画像光は、導波路1720内部のTIR経路に結合され得ず、導波路1710に向けて導波路1720を透過され得る。導波路1710でインカップリング格子1712に結合されている偏光スイッチ1716は、非切り換え状態で動作し得る。したがって、導波路1720から受光される第2偏光を有する画像光は、偏光スイッチ1716を透過された後、第2偏光を維持し得る。インカップリング格子1712は、第1偏光を有する画像光を回折して、第2偏光を有する画像光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過するので、第2偏光を有する透過された画像光は、導波路1710内部のTIR経路に結合され得ず、導波路1710を透過され得る。アウトカップリング格子1734、1724、および1714にそれぞれ結合されている偏光スイッチ1738、1728、および1718は、非切り換え状態で動作し得、画像光の偏光に影響することなく、または画像光の偏光を切り換えることなく、画像光を透過し得る。したがって、第1サブフレーム中、画像光は、導波路1730を介して眼265に方向付けられ得、第1色(例えば、赤色)の単色画像が眼265の射出瞳に配置されるアイボックスで複製され得る。
【0169】
図17Aおよび図17Cを参照すると、第2サブフレーム中、画像光1765(例えば、緑色光)が光源アセンブリ1760によって導波路スタック1701に向けて放出され得、画像光1755(例えば、赤色光)および1775(例えば、青色光)は、それぞれ、対応する光源アセンブリ1750および1770から放出され得ない。導波路1730でインカップリング格子1732に結合されている偏光スイッチ1736は、切り換え状態で動作して、第1偏光を有する画像光1765を、第2偏光を有する画像光に変換し得る。第2偏光を有する画像光は、導波路1730内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、第2偏光を有する画像光は、導波路1720に向けて導波路1730を透過され得る。
【0170】
導波路1720でインカップリング格子1722に結合されている偏光スイッチ1726は、切り換え状態で動作して、導波路1730から出力される第2偏光を有する画像光を、第1偏光を有する画像光に変換し得る。第1偏光を有する画像光は、インカップリング格子1722を介して導波路1720内のTIR経路に結合され、第1偏光を有する画像光として、アウトカップリング格子1724を介して導波路1720から分離され得る。
【0171】
導波路スタック1701のアウトカップリング側では、導波路1720でアウトカップリング格子1724に結合されている偏光スイッチ1728が切り換え状態で動作して、アウトカップリング格子1724から出力される第1偏光を有する画像光を、導波路1730に向けて第2偏光を有する画像光に変換し得る。第2偏光を有する画像光は、導波路1730内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、偏光スイッチ1728から出力される第2偏光を有する画像光は、偏光スイッチ1738に向けて直接、導波路1730およびアウトカップリング格子1734を透過され得る。いくつかの実施形態において、導波路1730でアウトカップリング格子1734に結合されている偏光スイッチ1738は、切り換え状態で動作して、アウトカップリング格子1734から出力される第2偏光を有する画像光を、眼265に向けて、第1偏光を有する画像光に変換し得る。したがって、第1色(例えば、赤色)とは異なる第2色(例えば、緑色)の単色画像が眼265によって知覚され得る。
【0172】
再び導波路スタック1701のインカップリング側を参照すると、導波路1710でインカップリング格子1712に結合されている偏光スイッチ1716は、切り換え状態で動作して、第1偏光を有するが導波路1720に結合していない画像光を、第2偏光を有する画像光に変換し得る。偏光スイッチ1716から出力される第2偏光を有する画像光は、導波路1710内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、偏光スイッチ1716から出力される第2偏光を有する画像光は、導波路1710を透過され得る。したがって、第2サブフレーム中、第1偏光を有する画像光1765(例えば、緑色光)は、導波路1720を介して眼265に方向付けられ得、単色画像(例えば、緑色画像)が眼265の射出瞳に配置されるアイボックスで複製され得る。
【0173】
図17Aおよび図17Cを参照すると、第3サブフレーム中、画像光1775(例えば、青色光)が光源アセンブリ1770から導波路スタック1701に向けて放出され得、画像光1755(例えば、赤色光)および1765(例えば、緑色光)は、それぞれ、対応する光源アセンブリから放出され得ない。導波路1730でインカップリング格子1732に結合されている偏光スイッチ1736は、切り換え状態で動作して、第1偏光を有する画像光1775を、第2偏光を有する画像光に変換し、これは、導波路1730内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、偏光スイッチ1736から出力される第2偏光を有する画像光は、導波路1720に向けて導波路1730を透過され得る。
【0174】
導波路1720でインカップリング格子1722に結合されている偏光スイッチ1726は、非切り換え状態で動作して、第2偏光を有する画像光を、画像光の偏光に影響することなく、または画像光の偏光を切り換えることなく透過し得る。偏光スイッチ1726から出力される第2偏光を有する画像光は、導波路1720内部のTIR経路に結合され得ず、導波路1710に向けて導波路1720を透過され得る。
【0175】
導波路1710でインカップリング格子1712に結合されている偏光スイッチ1716は、切り換え状態で動作して、第2偏光を有する画像光を、第1偏光を有する画像光に変換し得る。第1偏光を有する画像光は、インカップリング格子1712を介して導波路1710内部のTIR経路に結合され、第1偏光を有する画像光として、アウトカップリング格子1714を介して導波路1710から分離され得る。
【0176】
導波路スタック1701のアウトカップリング側では、導波路1710でアウトカップリング格子1714に結合されている偏光スイッチ1718は、切り換え状態で動作して、第1偏光を有する画像光を、導波路1720に向けて第2偏光を有する画像光に変換し得る。偏光スイッチ1718から出力される第2偏光を有する画像光は、導波路1720内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、偏光スイッチ1718から出力される第2偏光を有する画像光は、導波路1710に向けて直接、導波路1720を透過され得る。
【0177】
導波路1720でアウトカップリング格子1724に結合されている偏光スイッチ1728は、非切り換え状態で動作して、第2偏光を有する画像光を、導波路1730に向けて、偏光に影響することなく、または偏光を切り換えることなく透過し得る。偏光スイッチ1728から出力される第2偏光を有する画像光は、導波路1730内部のTIR経路に結合され得ない。むしろ、偏光スイッチ1728から出力される第2偏光を有する画像光は、偏光スイッチ1738に向けて直接、導波路1730を透過され得る。
【0178】
いくつかの実施形態において、導波路1730でアウトカップリング格子1734に結合されている偏光スイッチ1738は、切り換え状態で動作して、第3単色画像(例えば、青色画像)が眼265で知覚され得るように、第2偏光を有する画像光を、眼265に向けて、第1偏光を有する画像光に変換する。したがって、第3サブフレーム中、第1偏光を有する画像光1775(例えば、青色光)は、導波路1710を介して眼265に方向付けられ得、第1色(例えば、赤色)または第2色(例えば、緑色)とは異なる第3色(例えば、青色)の単色画像が、眼265の射出瞳に配置されるアイボックスで複製され得る。
【0179】
このように、ディスプレイフレーム中、異なる色(例えば、赤、緑、青)の画像光の順次透過を実現し得る。すなわち、異なる色の単色画像の順次透過を実現し得る。最終画像は、多色画像として眼265によって知覚され得る。いくつかの実施形態において、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)により実現される時間多重化は、導波路スタック1701のクロストークを低減または除去し得る。したがって、導波路スタック1701を含む導波路ディスプレイアセンブリの光学的性能が向上し得る。
【0180】
いくつかの実施形態において、光源アセンブリ1750、1760、および1770のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、無偏光モノクロ画像光を放出し得、少なくとも1つの(例えば、各)偏光子1740は省いてもよい。無偏光画像光は、インカップリング格子1712、1722、または1732に方向付けられ得る。インカップリング格子1712、1722、または1732の偏光選択性に応じて、光源アセンブリ1750、1760、または1770から放出される無偏光画像光の2つの直交偏光成分のうちの一方の成分が導波路1710、1720、または1730に結合され得るのに対し、他方の成分は、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過され得る。
【0181】
いくつかの実施形態において、アウトカップリング格子1714、1724、および1734の波長スペクトルは、アウトカップリング格子間のクロストークを最小限にし得るかまたは低減し得るように、互いに実質的に重なり合わなくてもよい。したがって、アウトカップリング格子1714、1724、および1734にそれぞれ結合されている偏光スイッチ1718、1728、および1738は省いてもよい。いくつかの実施形態において、インカップリング格子1712、1722、または1732の波長スペクトルは、インカップリング格子間のクロストークを最小限にし得るかまたは低減し得るように、互いに実質的に重なり合わなくてもよい。したがって、インカップリング格子1712、1722、および1732にそれぞれ結合されている偏光スイッチ1716、1726、および1736も省いてもよい。すなわち、いくつかの実施形態において、アウトカップリング格子1714、1724、および1734と、インカップリング格子1712、1722、および1732とは、それぞれ所定の波長選択性を有し得、例えば、格子は所定の波長帯域または範囲内の入る光を回折し、所定の波長帯域外の入る光を、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過して、格子に結合されている対応する偏光スイッチを省けるようになっていてもよい。例えば、インカップリング格子1712、1722、または1732とアウトカップリング格子1714、1724、および1734は、所定の波長選択性を有するようにブラッグの法則で動作するように製作され得る。いくつかの実施形態において、アウトカップリング格子1714、1724、および1734とインカップリング格子1712、1722、および1732とが実質的に波長選択性である場合、光学システム1700は、異なる色の複数の単色画像をアイボックスに同時に伝送するように構成され得る。いくつかの実施形態において、光源アセンブリ1750、1760、および1770のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)が無偏光モノクロ画像光を放出し得、少なくとも1つの(例えば、各)偏光子1740を省いてもよい。無偏光画像光は、インカップリング格子1712、1722、または1732に方向付けられ得る。インカップリング格子1712、1722、または1732の偏光選択性に応じて、光源アセンブリ1750、1760、または1770から放出される無偏光画像光の直交する2つの偏光成分のうちの一方の成分は、導波路1710、1720、または1730に結合され得るのに対し、他方の成分は、回折が無視できるかまたは全くない状態で透過され得る。したがって、光学システム1700は、第1色(例えば、赤色)の単色画像、第2色(例えば、緑色)の単色画像、および第3色(例えば、青色)の単色画像をアイボックスに同時に伝送するように構成され得る。
【0182】
いくつかの実施形態において、導波路スタック1701内のそれぞれの導波路に配設される代わりに、インカップリング格子1712、1722、および1732は、共通の(例えば、1つの)導波路に積層されて装着されてもよく、アウトカップリング格子1714、1724、および1734は、共通の導波路に積層されて装着されてもよい。同様の構造を図16Aに示す。インカップリング格子のスタックおよびアウトカップリング格子のスタックは、両方とも共通の導波路の第1表面に配設されてもよく、または両方とも共通の導波路の第2表面に配設されてもよく、またはそれぞれ第1表面と第2表面とに配設されてもよい。異なる色の画像光の時系列透過を実現するために偏光を切り換える動作スキームの説明は、図17B図17Dに関連して上で提供された説明を参照してもよい。
【0183】
図17A図17Dに図示される実施形態は、モノクロ画像光に対して有効であり得る。カラー画像に関しては、異なる複数の色の画像光が、空間的および時間的にまたは空間的もしくは時間的に多重化され得る。いくつかの実施形態において、スタック内の導波路の数は2つに減らし得る。異なる複数の色の画像光を個々に透過するために、一方の導波路を赤および緑用に構成し得、他方の導波路を緑および青用に構成し得る。図17Aは、インカップリング格子およびアウトカップリング格子が、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)の実施形態であってもよいことを示している。この構成は例示目的であり、本開示の範囲を制限することを意図していない。いくつかの実施形態において、インカップリング格子のうちの少なくとも1つは、外部偏光回転子またはスイッチを介して間接的に切り換え可能であり得る、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)の一実施形態であってもよく、アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つは、受動的で非切り換え可能な格子であってもよい。いくつかの実施形態において、アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つは、外部偏光回転子またはスイッチを介して間接的に切り換え可能である、開示される間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)の一実施形態であってもよく、インカップリング格子のうちの少なくとも1つは、受動的で非切り換え可能な格子であってもよい。
【0184】
本開示は、導波路ディスプレイアセンブリを通して、光源アセンブリから放出される画像光の複数の部分を時間多重化方式で方向付けるための方法も提供する。図18は、本開示の実施形態による、導波路ディスプレイアセンブリを通して、画像光の異なる部分を時間多重化方式で方向付けるための方法1800を示すフローチャートを示す。図18に図示されるように、方法1800は、第1期間中に、光学デバイスの第1導波路に配設される第1インカップリング格子および第1アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つを、回折状態で動作するように構成すること(ステップ1810)を含み得る。方法1800は、第1期間中に、第1インカップリング格子によって、回折を介して、第1光を第1導波路に結合すること(ステップ1820)も含み得る。第1光は、画像光の第1部分に対応し得る。方法1800は、第1アウトカップリング格子により、回折を介して、第1光を光学デバイスのアイボックスに向けて第1導波路から分離すること(ステップ1830)も含み得る。いくつかの実施形態において、第1インカップリング格子および第1アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つを、回折状態で動作するように構成することは、第1インカップリング格子および第1アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つを、第1インカップリング格子および第1アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つに結合される偏光スイッチを通して回折状態で動作するように構成することを含み得る。画像光の一部分は、単色画像の視野(「FOV」)の所定の部分、複数色画像(例えば、フル・カラー画像)のFOVの所定の部分、または所定の色の単色画像に対応し得る。いくつかの実施形態において、画像光の第1部分は、単色画像または複数色画像のFOVの第1部分に対応し得る。いくつかの実施形態において、画像光の第1部分は、第1色の単色画像に対応し得る。
【0185】
方法1800は、第2期間中、第2導波路に配設された第2インカップリング格子および第2アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つを、回折状態で動作するように構成すること(ステップ1840)も含み得る。方法1800は、第2期間中、第2インカップリング格子によって、回折を介して、第2光を第2導波路に結合すること(ステップ1850)も含み得る。第2光は、画像光の第2部分に対応し得る。方法1800は、第2期間中、第2アウトカップリング格子によって、第2光を光学デバイスのアイボックスに向けて第2導波路から分離すること(ステップ1860)も含み得る。いくつかの実施形態において、第2インカップリング格子および第2アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つを、回折状態で動作するように構成することは、第2インカップリング格子および第2アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つを、第2インカップリング格子および第2アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つに結合されている偏光スイッチを介して回折状態で動作するように構成することを含み得る。いくつかの実施形態において、画像光の第2部分は、単色画像または複数色画像(例えば、フル・カラー画像)のFOVの第2部分に対応し得る。いくつかの実施形態において、画像光の第2部分は、単色画像または複数色画像のFOVの第2部分に対応し得る。いくつかの実施形態において、画像光の第2部分は、第2色の単色画像に対応し得る。
【0186】
いくつかの実施形態において、方法1800は、図18に図示されない追加ステップを含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、方法1800は、第3期間中、第3導波路に配設される第3インカップリング格子および第3アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つを、第3インカップリング格子および第3アウトカップリング格子のうちの少なくとも1つに結合されている偏光スイッチを介して回折状態で動作するように構成することを含み得る。方法1800は、第3期間中、第3インカップリング格子によって、回折を介して、画像光の第3部分に対応する第3光を第3導波路に結合することを含み得る。方法1800は、第3期間中、第3アウトカップリング格子によって、回折を介して、第3光を光学デバイスのアイボックスに向けて第3導波路から分離することも含み得る。導波路ディスプレイアセンブリは、図2A図2Bに図示される導波路ディスプレイアセンブリ200または250などの、開示される導波路ディスプレイの一実施形態であってもよい。導波路ディスプレイアセンブリは、インカップリング格子またはアウトカップリング格子として機能する、少なくとも1つの開示される受動回折光学素子を含み得る。
【0187】
図19は、導波路ディスプレイアセンブリを通して、光源アセンブリから放出される画像光の複数の部分を方向付けるための方法1900を示すフローチャートである。方法1900は、デバイスの第1導波路に結合されている第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを、回折状態で動作するように構成すること(ステップ1910)を含み得る。第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つは、開示される間接的に切り換え可能な格子のうちの1以上を含み得る。方法1900は、第1偏光選択インカップリング素子、第1導波路、および第1偏光選択アウトカップリング素子によって、画像光の第1部分をデバイスのアイボックスに方向付けること(ステップ1920)も含み得る。方法1900は、第2導波路に結合されている第1偏光選択インカップリング素子および第2偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを、回折状態で動作するように構成すること(ステップ1930)も含み得る。第2偏光選択インカップリング素子および第2偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つは、開示される間接的に切り換え可能な格子のうちの1以上を含み得る。方法は、第2偏光選択インカップリング素子、第2導波路、および第2偏光選択アウトカップリング素子によって、画像光の第2部分をアイボックスに方向付けること(ステップ1940)をさらに含み得る。画像光の第1部分および画像光の第2部分は、同じ期間中または異なる期間中に、アイボックスに伝送され得る。いくつかの実施形態において、第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを、回折状態で動作するように構成することは、第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つに結合されている偏光スイッチの動作状態を制御することを含み得る。いくつかの実施形態において、画像光の第1部分は、単色画像、複数色画像、または第1色の単色画像の視野(「FOV」)の第1部分に対応し得る。画像光の第2部分は、単色画像、複数色画像、または第1色とは異なる第2色の単色画像のFOVの第2部分に対応し得る。いくつかの実施形態において、第1導波路および第2導波路は、同じ共通の導波路であり、第1偏光選択インカップリング素子および第2偏光選択インカップリング素子は、少なくとも部分的に重なり合うように構成され、第1偏光選択アウトカップリング素子および第2偏光選択アウトカップリング素子は、少なくとも部分的に重なり合うように構成される。いくつかの実施形態において、第1導波路および第2導波路は、複数の個別導波路であり、第1偏光選択インカップリング素子および第1偏光選択アウトカップリング素子は、第1導波路に結合され、第2偏光選択インカップリング素子および第2偏光選択アウトカップリング素子は、第2導波路に結合される。いくつかの実施形態において、方法1900は、追加ステップを含み得る。例えば、方法1900は、第3導波路に結合されている第3偏光選択インカップリング素子および第3偏光選択アウトカップリング素子のうちの少なくとも1つを、回折状態で動作するように構成することを含み得る。方法1900は、第3偏光選択インカップリング素子、第3導波路、および第3偏光選択アウトカップリング素子によって、画像光の第3部分をアイボックスに方向付けることも含み得る。
【0188】
開示される間接的に切り換え可能な複数の格子(いくつかの実施形態では、受動格子であり得る)に基づいて異なる色およびFOVの異なる部分または異なる色もしくはFOVの異なる部分の偏光多重化、空間多重化、および/または時間多重化のための開示される方法を組み合わせて、広いFOVをもつ複数色画像光(例えば、フル・カラー画像)を伝送し得、そのすべてが本開示の範囲内にある。例えば、図11Aの導波路1101、図12Aの導波路1201、図13Aの導波路スタック1301、図14Aの導波路1401、図15Aの導波路スタック1501、または図16Aの導波路1601は、大きなFOV(例えば、60°以上のFOV)をもつ複数色画像(例えば、フル・カラー画像)を透過するためにも使用してもよく、ここで、1以上の導波路は、FOVの異なる部分をもつ複数の複数色画像(例えば、フル・カラー画像)を時間多重化方式で伝送するように構成される。大きなFOVをもつ複数の複数色画像(例えば、フル・カラー画像)を、導波路を介して時間多重化方式で透過することを実現するために、少なくとも1つ(例えば、各々)の導波路内のインカップリング格子およびアウトカップリング格子のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、異なる色(例えば、赤色、緑色、および青色)を伝送するために複数のサブ格子を含み得る。
【0189】
例えば、FOVの所定の部分に対応する複数の複数色画像光(例えば、フル・カラー画像光)を、図15Aに図示される導波路スタック1501または図16Aに図示される導波路1601を介して、時間多重化方式で順次伝送するために、図15Aに図示されるインカップリング格子1512、1522、および1532のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)、または図16Aに図示されるインカップリング格子1612、1622、および1632のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、1以上の間接的に切り換え可能なインカップリングサブ格子(いくつかの実施形態では、受動サブ格子であり得る)を含み得る。図15Aに図示されるアウトカップリング格子1514、1524、および1534のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)、または図16Aに図示されるアウトカップリング格子1614、1624、および1634のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、1以上の間接的に切り換え可能なアウトカップリングサブ格子(いくつかの実施形態では、受動サブ格子であり得る)を含み得る。図15Aに図示されるインカップリング格子1512、1522、および1532のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)、または図16Aに図示されるインカップリング格子1612、1622、および1632のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、インカップリング格子スタックであり得る。図15Aに図示されるアウトカップリング格子1514、1524、および1534のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)、または図16Aに図示されるアウトカップリング格子1614、1624、および1634のうちの少なくとも1つは、アウトカップリング格子スタックであり得る。
【0190】
いくつかの実施形態において、X個のサブ格子がFOVを伝送するように構成され、Y個のサブ格子が複数色画像(例えば、RGB色)を形成する単色画像を伝送するように構成されるとき、インカップリング格子スタックおよびアウトカップリング格子スタックのうちの少なくとも1つ(例えば、各々)に含まれるサブ格子の総数は、X×Yとなり得る(ここで、XおよびYは2以上の正の整数である)。例えば、いくつかの実施形態において、FOVの1/3の部分(X=3)を伝送するように構成される、図15Aに図示されるインカップリング格子1512、1522、および1532、または図16Aに図示されるインカップリング格子1612、1622、および1632のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、FOVの対応する部分をそれぞれ赤、緑および青で伝送するために3つのサブ格子(Y=3)を含んでもよい。同様に、FOVの1/3の部分(X=3)を伝送するように構成される、図15Aに図示されるアウトカップリング格子1514、1524、および1534のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)、または図16Aに図示されるアウトカップリング格子1614、1624、および1634のうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、FOVの対応する部分をそれぞれ赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)で伝送するために3つのサブ格子(Y=3)を含んでもよい。インカップリングサブ格子の総数は、アウトカップリングサブ格子の合計と等しくてもよい。いくつかの実施形態において、サブ格子の総数は、X×Y=3×3=9を満たし得る。いくつかの実施形態において、インカップリングおよびアウトカップリング格子スタックからの対応するサブ格子は、クロストークを抑制するために、個別のサブフレーム(例えば、9つのサブフレーム)内で回折状態で動作するように構成され得る。
【0191】
少なくとも1つの(例えば、各)サブフレームにおいて、間接的に切り換え可能な(例えば、受動)インカップリングおよびアウトカップリングサブ格子の1ペアは、FOVの所定の部分に対応する単色画像を眼に透過するために、回折状態で動作するように構成され得る。インカップリングおよびアウトカップリングサブ格子の残りのペアは、非回折状態で動作するように構成され得る。したがって、全体のディスプレイフレーム中、FOVの異なる部分に対応する複数の単色画像が時間多重化方式で眼に順次透過され得る。例えば、FOVの左部分に対応する赤色の単色画像、FOVの左部分に対応する緑色の単色画像、FOVの左部分に対応する青色の単色画像、FOVの中央部分に対応する赤色の単色画像、FOVの中央部分に対応する緑色の単色画像、FOVの中央部分に対応する青色の単色画像、FOVの右部分に対応する赤色の単色画像、FOVの右部分に対応する緑色の単色画像、およびFOVの右部分に対応する青色の単色画像を、時間多重化方式で眼に順次透過してもよい。透過の順序は、任意の適切な順序で動作し得る。いくつかの実施形態において、導波路スタック1501(例えば、異なる色についての)または導波路1601に含まれる1以上のサブ格子が高度に選択性で、その間のクロストークが無視できるようにされている場合には、サブフレームの数を減らしてもよい。
【0192】
同様に、図12Aに図示される導波路1201は、大きなFOVをもつ複数色画像(例えば、フル・カラー画像)を透過するように構成され得る。導波路1201は、FOVの異なる部分をもつ複数の複数色画像(例えば、フル・カラー画像)を時間多重化方式で伝送するように構成され得る。導波路1201を介して大きなFOVをもつ複数の複数色画像(例えば、フル・カラー画像)を時間多重化方式で透過することを実現するために、インカップリングサブ格子1205a、1205b、および1205cのうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、異なる色(例えば、赤色、緑色、および青色)を伝送するために、1以上のインカップリング三次格子(in-coupling tertiary gratings)を含み得る。アウトカップリングサブ格子1210a、1210b、および1210cのうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、異なる色(例えば、赤色、緑色、および青色)を伝送するために、1以上のアウトカップリング三次格子を含み得る。図12Aに図示されるように、それぞれの三次格子は、導波路1201の表面で積層またはタイリングされ得る。インカップリング三次格子およびアウトカップリング三次格子の数は、図15Aの導波路スタック1501に結合されているインカップリングサブ格子およびアウトカップリングサブ格子のものと同様に決定され得る。
【0193】
本開示において、いくつかの実施形態では、FOVの所定の複数の部分に対応する複数の複数色画像光(例えば、フル・カラー画像光)を時間多重化方式で順次伝送するために、少なくとも1つの(例えば、各)インカップリング格子が3つの切り換え可能なインカップリングサブ格子を含み得るとともに少なくとも1つの(例えば、各)アウトカップリング格子が3つの切り換え可能なアウトカップリングサブ格子を含み得るか、または、少なくとも1つの(例えば、各)インカップリング格子が3つの切り換え可能なインカップリングサブ格子を含み得るかもしくは少なくとも1つの(例えば、各)アウトカップリング格子が3つの切り換え可能なアウトカップリングサブ格子を含み得る。切り換え可能なインカップリングサブ格子の数および切り換え可能なアウトカップリングサブ格子の数は例示目的であり、本開示の範囲を制限することを意図していない。任意の他の適切な数の切り換え可能なインカップリングサブ格子および任意の他の適切な数の切り換え可能なアウトカップリングサブ格子を使用してもよい。いくつかの実施形態において、色を多重化してFOVを実質的に同時にタイリングするために、少なくとも1つの(例えば、各)インカップリング格子(もしくはサブ格子)がN個のインカップリングサブ格子(もしくは三次格子)を含み得るとともに少なくとも1つの(例えば、各)アウトカップリング格子(もしくはサブ格子)がN個のアウトカップリングサブ格子(もしくは三次格子)を含み得るか、または、少なくとも1つの(例えば、各)インカップリング格子(もしくはサブ格子)がN個のインカップリングサブ格子(もしくは三次格子)を含み得るかもしくは少なくとも1つの(例えば、各)アウトカップリング格子(もしくはサブ格子)がN個のアウトカップリングサブ格子(もしくは三次格子)を含み得、Nは整数であり、Nは2以上である。いくつかの実施形態において、Nは3以上である。すなわち、インカップリングサブ格子(または三次格子)および対応するアウトカップリングサブ格子(または三次格子)は、ペアを形成し得る。開示される導波路または導波路スタックは、Nペアを含み得る。それぞれの期間中、Nペアのうちの対応するペアが、画像光の複数の部分のうちの対応する部分を透過するために、回折状態で動作するように順次構成され得、Nペアのうちの残りのペアは、非回折状態で動作するように構成され得る。画像光の複数の部分は、異なる色の単色画像、単色画像のFOVの異なる部分、または複数色画像(例えば、フル・カラー画像)のFOVの異なる部分に対応し得る。
【0194】
いくつかの実施形態において、前述の導波路ディスプレイアセンブリを異なる色およびFOVの異なる部分または異なる色もしくはFOVの異なる部分の空間および時間多重化または空間もしくは時間多重化のために使用する場合、画像光が1以上の導波路を通って移動する間、画像光の偏光は変化しなくてもよい。いくつかの実施形態において、画像光が1以上の導波路を通って移動する間、画像光の偏光は変化してもよい。このような状況において、導波路ディスプレイアセンブリは、望ましくない(またはゴースト)画像をブロック、低減、または除去するために、1以上の導波路に隣接して配設される偏光補正異方性板と、クリーンアップ偏光子とを含み得る。
【0195】
さらに、異なる色およびFOVの異なる部分または異なる色もしくはFOVの異なる部分の空間および時間多重化または空間もしくは時間多重化のための開示される方法および開示される導波路ディスプレイアセンブリは、例として、間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)を使用して説明される。いくつかの実施形態において、受動的に且つ間接的に切り換え可能な格子は、所定の直線偏光を有する画像光を回折し、異なる偏光(例えば、所定の直線偏光に直交する偏光)を有する画像光を、回折が無視できるかまたは回折が全くない状態で透過するように構成され得る。偏光スイッチは、受動的に且つ間接的に切り換え可能な格子に光が入射する前に、直線偏光された入る光を2つの直交する直線偏光間で切り換えるように構成され得る。間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)は例示目的であり、本開示の範囲を制限することを意図していない。いくつかの実施形態において、異なる色およびFOVの異なる部分または異なる色もしくはFOVの異なる部分の空間および時間多重化または空間もしくは時間多重化のための開示される方法および導波路ディスプレイアセンブリは、円偏光または楕円偏光などの、直線偏光以外の偏光を有する画像光を選択的に回折するように構成される、間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)によっても実現し得、そのすべてが本開示の範囲内にある。例えば、間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)は、円偏光を有する画像光を回折するように構成され得る偏光体積ホログラム(「PVH : polarization volume hologram」)を含み得る。いくつかの実施形態において、PVHは、PVHの螺旋ねじれと同じ掌性を有する円偏光光を回折し、PVHの螺旋ねじれのものとは反対の掌性を有する円偏光光を透過し得る。偏光スイッチは、PVHに結合されて、円偏光された入る光を2つの直交する掌性間で切り換え、それによって、受動格子に入射する光の偏光を制御するように構成され得る。異なる色およびFOVの異なる部分または異なる色もしくはFOVの異なる部分の空間および時間多重化または空間もしくは時間多重化のための開示される方法および導波路ディスプレイアセンブリは、受動LCに基づく幾何学的位相格子、メタ表面/LC格子などの、他の間接的に切り換え可能な格子(いくつかの実施形態では受動格子であり得る)によっても実現し得、そのすべてが本開示の範囲内にある。いくつかの実施形態では、開示される方法、デバイス、およびシステムにおいて、受動的に且つ間接的に切り換え可能な格子を能動的な偏光選択格子と取り替えてもよく、これも間接的に切り換え可能にできる。
【0196】
開示されるデバイスおよびシステムにおいて、間接的に切り換え可能な格子(例えば、受動格子)を間接的に切り換えるための偏光スイッチは、図8Aに図示される偏光スイッチ820と同様なものであってもよい。実施形態のいくつかには図示していないが、間接的に切り換え可能な格子が含まれる各実施形態において、偏光スイッチを制御し、それによって、間接的に切り換え可能な格子の動作状態(例えば、回折状態または非回折状態)を間接的に切り換えるために、コントローラ215と同様なコントローラが含まれ得る。
【0197】
本開示の実施形態の上記説明は、例示の目的で提示してきた。網羅的なものであること、または開示されるそのままの形態に本開示を制限することは意図していない。当業者は、上記開示に照らして修正形態および変形形態が可能であることを理解することができる。
【0198】
本説明のいくつかの部分は、情報に対する動作のアルゴリズムおよび記号表現の観点から本開示の実施形態を記述していることがある。これらの動作は、機能的に、計算的に、または論理的に記述されているが、コンピュータプログラムまたは等価の電気回路、マイクロコード、または同様なものによって実施され得る。さらに、一般性を失うことなく、これらの動作の構成をモジュールと呼ぶことがときに便利であることも証明されている。説明した動作およびそれらに関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組合せによって具体化され得る。
【0199】
本明細書で説明されるステップ、動作、またはプロセスのいずれも、1以上のハードウェアおよびソフトウェアモジュールまたは1以上のハードウェアもしくはソフトウェアモジュールを単独で、または他のデバイスと組み合わせて用いて実行または実施され得る。一実施形態において、ソフトウェアモジュールは、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品を用いて実施され、これは、説明されるステップ、動作、またはプロセスのいずれかまたはすべてを実行するためのコンピュータプロセッサによって実行することができる。いくつかの実施形態において、ハードウェアモジュールは、デバイス、システム、光学素子、コントローラ、電気回路、論理ゲートなどのハードウェアコンポーネントを含み得る。
【0200】
本開示の実施形態は、本明細書の動作を実行するための装置にも関係し得る。この装置は、特定の目的のために特別に構築され得、および/または、コンピュータ内に格納されているコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される汎用コンピューティングデバイスを含み得る。このようなコンピュータプログラムは、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体、またはコンピュータシステムバスに結合され得る、電子的命令を格納するのに適した任意の種類の媒体に格納され得る。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、プログラムコードを格納することのできる任意の媒体、例えば、磁気ディスク、光学ディスク、読み取り専用メモリ(「ROM : read‐only memory」)、またはランダムアクセスメモリ(「RAM : random access memory」)、電気的にプログラマブルな読み取り専用メモリ(「EPROM : Electrically Programmable read only memory」)、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(「EEPROM : Electrically Erasable Programmable read only memory」)、レジスタ、ハードディスク、ソリッドステートディスクドライブ、スマートメディアカード(「SMC : smart media card」)、セキュアデジタルカード(「SD : secure digital」)、フラッシュカード等とすることができる。さらに、本明細書で説明される任意のコンピューティングシステムは、単一のプロセッサを含んでもよく、またはコンピューティング能力を増大するために多数のプロセッサを採用するアーキテクチャであってもよい。プロセッサは、中央処理装置(「CPU : central processing unit」)、グラフィックス処理装置(「GPU : graphics processing unit」)、またはデータを処理するとともにデータに基づいて計算を行うようにまたはデータを処理するかもしくはデータに基づいて計算を行うように構成される任意のプロセッシングデバイスであり得る。プロセッサは、ソフトウェアコンポーネントおよびハードウェアコンポーネントの両方を含み得る。例えば、プロセッサは、特定用途向け集積回路(「ASIC : application‐specific integrated circuit」)、プログラマブルロジックデバイス(「PLD : programmable logic device」)、またはその組合せなどのハードウェアコンポーネントを含んでもよい。PLDは、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(「CPLD : complex programmable logic device」)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(「FPGA : field‐programmable gate array」)等であり得る。
【0201】
本開示の実施形態は、本明細書で説明されるコンピューティングプロセスによって生成される製品にも関係し得る。このような製品は、コンピューティングプロセスから得られる情報を含み得、その情報は、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体に格納され、本明細書に説明されるコンピュータプログラム製品または他のデータの組合せの任意の実施形態を含み得る。
【0202】
さらに、図面に例示される実施形態が単一の要素を示すとき、その実施形態が複数の当該要素を含み得ることは了解される。同様に、図面に例示される実施形態が複数の当該要素を示すとき、その実施形態が当該要素を1つのみ含み得ることは了解される。図面に例示される要素の数は例示目的にすぎず、実施形態の範囲を制限すると解釈されるべきではない。また、特に言及されない限り、図面に図示される実施形態は相互に排他的ではなく、これらは任意の適切な形態で組み合わせてもよい。例えば、ある実施形態では図示されるが別の実施形態では図示されない要素を、それでもなお、他の実施形態に含んでもよい。
【0203】
例示的な実施態様を例示するために、様々な実施形態を説明してきた。開示される実施形態に基づき、当業者は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な他の変更、修正、再配列および置換を行うことができよう。したがって、本開示は、上記実施形態を参照して詳細に説明されてきたが、本開示は、上で説明された実施形態に制限されるものではない。本開示は、本開示の範囲を逸脱することなく、他の同等な形態で具体化されてもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
【国際調査報告】