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特表2023-542282負荷調整された埋め込み型光マイクロデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】負荷調整された埋め込み型光マイクロデバイス
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20230929BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20230929BHJP
   H02J 50/15 20160101ALI20230929BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/20
H02J50/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514150
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2021074096
(87)【国際公開番号】W WO2022049106
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】20193848.7
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509168656
【氏名又は名称】オーフス ウニベルシテット
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ラシディ,アミン
(72)【発明者】
【氏名】モラディ,ファルシャド
(72)【発明者】
【氏名】ザマニ,ミラド
(57)【要約】
本発明は、生物組織へ埋め込むために構成された、ブレインダストなどのマイクロデバイスを提供する。電力管理部は、超音波信号などの無線信号を外部源から受信し、それに応じて電力出力を生成する。マイクロデバイスは、電力出力によって給電された複数の電力消費部品を有し、特に、オプトジェネティクスまたは薬物の光学的放出などのために、時変的に光を生成するように制御できるマイクロLED(複数可)などの1つ以上の制御可能な光源を含む。電力効率を高めるために、電気調整回路は、制御可能な光源に印加される電流を調整して、電力管理部の所定の総電力負荷を提供する。これにより、最適な効率のためのインピーダンス整合を提供する回路の体積の最小要件で、複数の電力消費部品に電力を伝送する最適な効率が得られる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物組織へ埋め込むために構成されたマイクロデバイス(MD)であって、
超音波信号などの無線信号(WPS)を外部源から受信し、それに応じて電力出力を生成するように構成された電力管理部(PMU)と、
前記電力出力によって給電された複数の電力消費部品(LED1、LED2、SNS)であって、制御可能な時変方式で光を生成するように構成された少なくとも1つの制御可能な光源(LED1、LED2)を含む、前記複数の電力消費部品(LED1、LED2、SNSと、
前記複数の電力消費部品(LED1、LED2、SNS)への電力伝送の最適な効率のために前記電力管理部(PMU)の所定の総電力負荷を提供するように、前記少なくとも1つの制御可能な光源(LED1、LED2)に印加された電流を調整するように構成された電気調整回路(LRC)と、
を含む、前記マイクロデバイス(MD)。
【請求項2】
前記電気調整回路が、前記少なくとも1つの制御可能な光源に印加された電流を閉ループ方式で調整して、前記電力消費部品のすべてに印加された総電流を調整するように構成される、請求項1に記載のマイクロデバイス。
【請求項3】
最適な電力効率を提供するために前記電力管理部に接続され、固定部品を有するインピーダンス整合回路を含む、請求項1または2に記載のマイクロデバイス。
【請求項4】
前記電気調整回路は、前記マイクロデバイスにおけるエネルギー寿命管理のための電力が不足している場合、少なくとも1つの電力消費部品を無効にするように構成される、先行請求項のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項5】
前記電力管理部とは別個の無線受信機を含み、前記複数の電力消費部品のうちの少なくとも1つを制御するためのデータを受信するように構成される、先行請求項のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの制御可能な光源が、オプトジェネティクス的刺激のために構成される、先行請求項のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項7】
前記複数の電力消費部品が第2の制御可能な光源を含み、
第1及び前記第2の制御可能な光源が異なる波長の光を生成するように構成される、先行請求項のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項8】
前記第1の制御可能な光源が、青色光を生成するように構成された発光ダイオードを含み、
前記第2の制御可能な光源が、赤色光を生成するように構成された発光ダイオードを含む、請求項7に記載のマイクロデバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2の制御可能な光源が、デュアルカラーオプトジェネティクスのために構成される、請求項8に記載のマイクロデバイス。
【請求項10】
前記第1の制御可能な光源が、オプトジェネティクス、光線力学的療法、または薬物送達の光学トリガーのうちの1つのために構成され、
前記第2の制御可能な光源が、オプトジェネティクス、光線力学的療法、または薬物送達の光学トリガーのうちの1つのために構成される、請求項7~9のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項11】
前記電気調整回路が、最適な電力効率のために前記電力管理部の前記所定の総電力負荷を提供するように、前記第1及び第2の制御可能な電気光源の両方に印加された電流を調整するように構成される、請求項7~10のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項12】
前記電気調整回路(LRC)が、前記第1の制御可能な光源を駆動するように構成された負荷調整器と、前記第2の制御可能な光源を駆動するように構成された電流デジタル-アナログ変換器と、を含む、請求項7~11のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項13】
前記負荷調整器が、前記電力管理部の前記所定の総電力負荷を提供するために、前記第1の制御可能な光源に電流を適応させるように構成される、請求項12に記載のマイクロデバイス。
【請求項14】
前記負荷調整回路(LRC)が、電力が前記電力管理部から利用可能である場合、前記第1の制御可能な光源を駆動するように構成される、請求項12または13に記載のマイクロデバイス。
【請求項15】
前記負荷調整回路(LRC)が、受信したコマンドに基づいて前記第2の制御可能な光源を駆動するように構成される、請求項14に記載のマイクロデバイス。
【請求項16】
オプトジェネティクス、光線力学的療法、または薬物送達の光学トリガーのために構成された第3の制御可能な光源を含む、請求項7~15のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項17】
前記第1及び第2の制御可能な光源が、異なる波長の光でオプトジェネティクスまたは光線力学的療法のために構成され、
前記第3の制御可能な光源は、薬物送達の光学トリガーのために構成される、請求項16に記載のマイクロデバイス。
【請求項18】
生物組織の制御可能な電気刺激のために構成された電極を含み、
前記少なくとも1つの制御可能な光源がオプトジェネティクスまたは光線力学的療法のために構成される、先行請求項のいずれか一項に記載のマイクロデバイス。
【請求項19】
前記複数の電力消費部品が、神経活動を測定するように、及び/または温度、圧力などの前記生物組織の物理的パラメータを測定するように構成されたセンサを含む、先行請求項のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項20】
前記電力管理部と前記電気調整回路が、集積回路ダイに実装される、先行請求項のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項21】
前記電力管理部(PMU)が、超音波信号(WPS)を受信し、それに応じて前記電力出力を生成するように構成された圧電トランスデューサを含む、先行請求項のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項22】
0.5mm未満、0.2mm未満などの1mm未満の総体積を有する、先行請求項のいずれかに記載のマイクロデバイス。
【請求項23】
生物組織へ埋め込むために構成されたマイクロデバイスにおける電力消費を管理するための方法であって、
外部源から前記マイクロデバイスの電力管理部に無線信号を提供する(P_WS)ことと、
前記電力管理部からの電力に基づいて、前記マイクロデバイスの電力消費部品に給電する(P_CMP)ことと、
最適な電力効率のために前記電力管理部の所定の総電力負荷を提供するように、電気調整回路によって少なくとも1つの制御可能な光源に印加された電流を調整する(R_EC)ことと、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み型マイクロデバイスの分野に関する。より具体的には、本発明は、脳などの生物組織への埋め込みのための、いわゆるブレインダストなどのマイクロデバイスを提供する。具体的には、本発明は、オプトジェネティクス、光駆動型薬物送達、または光線力学的療法のための少なくとも1つの光源を制御するための電力効率の高い電気回路を備えたマイクロデバイスを提供する。
【背景技術】
【0002】
生物組織への埋め込みに適したマイクロデバイスは、通常、1つ以上のセンサ及び/または1つ以上のアクチュエータで給電され、そのようなマイクロデバイスは、通常、外部デバイスとのデータ通信を提供する。しかし、これらの機能は、すべて電力を必要とし、これは、脳組織への埋め込みのためのいわゆる深く据え付けられたダストなどのマイクロデバイスの非常にコンパクトな寸法にとって課題である。このようなマイクロデバイスのバッテリーは、存在するとしても容量が非常に限られており、安全上の懸念により、無線電力伝送の電力容量は、依然として制限されている。このため、マイクロデバイスのすべての機能に対して、非常に電力効率の高い解決法が必要である。このようなデバイスの電力負荷は、その機能に応じて、数μWから数mWまで変化し得る。
【0003】
特に、オプトジェネティクス、薬物送達トリガー、または光線力学的療法などのための光源を含むマイクロデバイスは、電力に関して脆弱であり、所望の機能のために光を提供するため、光源が作動しているときにかなりの量の電力が必要とされる。外部デバイスからの超音波信号による無線電力伝送の場合、電力需要回路のインピーダンスが既知であれば、インピーダンス整合回路を使用して最適な電力伝送を提供することができる。しかしながら、時間の経過とともに負荷が大きく変動する場合、固定インピーダンス整合回路を使用すると、全体的な電力伝送効率が低下する。
【0004】
US2017/0117753A1は、この問題に対する1つの可能な解決策、すなわち、再構成可能な整合回路を提供することを記載している。しかしながら、このような再構成可能な整合回路は、様々な整合インピーダンス間の切り替えを可能にするために複数のかなり大きなコンデンサを使用する必要があるため、マイクロデバイスのサイズが大幅に増大するという欠点をもたらす。さらに、整合インピーダンス間の切り替えには、外部デバイスとの双方向通信が必要な場合があり、したがって、それ自体がマイクロデバイスの双方向通信機能を必要とし、この通信自体により多くの電力が必要になり、システムが複雑になる。
【0005】
したがって、ブレインダストなどの非常にコンパクトなマイクロデバイスの場合、マイクロデバイスで超音波から可能な限り高い電力を提供するために、コンパクトで同時に電力効率の高い解決策が必要である。
【発明の概要】
【0006】
これにより、本発明の目的は、コンパクトで電力効率の高いマイクロデバイスを提供することであると考えられる。
【0007】
第1の態様では、本発明は、生物組織へ埋め込むために構成された、いわゆるブレインダストなどのマイクロデバイスを提供し、マイクロデバイスは、
超音波信号などの無線信号を外部源から受信し、それに応じて電力出力を生成するように構成された電力管理部と、
電力出力によって給電された複数の電力消費部品であって、例えばオプトジェネティクス、光駆動型薬物送達、または光線力学的療法などのために制御可能な時変方式で光を生成するように構成されたマイクロLEDなどの少なくとも1つの制御可能な光源を含む、複数の電力消費部品と、
複数の電力消費部品への電力伝送の最適な効率のために電力管理部の所定の総電力負荷を提供するように、1つの制御可能な光源に印加された電流を調整するように構成された電気調整回路と、を含む。
【0008】
このようなマイクロデバイスは、限られた数の小型部品しか使用できないにも関わらず、受信した無線電力の高い電力伝送効率を提供するので有利である。これは、電力負荷を整合するための調整可能なインピーダンスを実装するために複数の大きなコンデンサになやまされ、かさばり複雑な調整可能なインピーダンス整合回路の必要性を排除する負荷調整アプローチによって得られる。これは、光源、薬物送達、電気刺激電極、様々な感知特性、データ処理、データ伝送などの複数の機上機能を備えた埋め込み型マイクロデバイスで重要であり、これにより、一般に、電力消費が時間の経過とともに大幅に変化する。しかしながら、これは、一定の総電力負荷を確保することを考慮に入れているため、単一のインピーダンス整合回路を使用して最適な効率を実現することができる。したがって、同時に、マイクロデバイスは、コンパクトな寸法でかつ高い電力効率で設計することができる。このように、マイクロデバイスは、例えば、光刺激、神経活動感知、及び外部デバイスから無線で制御される他の機能を可能にするように、脳組織への埋め込みのためのいわゆるブレインダストとして非常に適する。本質的に、負荷調整回路は、電力管理部から引き出される一定の総電流を保証するように、少なくとも1つの光源、例えばLEDを通る電流を調整して動作する。
【0009】
さらに、本発明は、マイクロデバイスに蓄積されたエネルギーの寿命管理、例えば、時間符号化されたダウンリンクデータの復調、データの1つのセットを使用した負荷の二重制御、及び過電圧保護を含む、追加コストなしまたは低コストでさらなる利点を提供する。
【0010】
以下に、第1の態様の好ましい特徴及び実施形態を説明する。
【0011】
好ましい実施形態では、電気調整回路は、少なくとも1つの制御可能な光源に印加された電流を閉ループ方式で調整して、電力消費部品のすべてに印加された総電流を調整するように構成される。このように、負荷調整回路は、単一の電力消費部品による電力消費の変化に適応し、電力管理部による一定の総電流供給を提供するように機能する。好ましくは、マイクロデバイスは、最適な電力効率を提供するために電力管理部に接続された、固定部品を有するインピーダンス整合回路を有する。これにより、従来の調整可能な整合回路と比較して単一の整合回路しか必要とされないため、必要な最小限のスペースで最大の効率が得られる。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの制御可能な光源は、駆動回路に接続されたマイクロ発光ダイオード(LED)を含む。特に、駆動回路は、入力に応じて制御可能な方式でLEDをオンまたはオフに切り替えてもよく、または駆動回路は、入力に応じてLEDを流れる電流を制御することによって、制御可能な方式でLEDの強度を変化させるように構成され得る。
【0013】
好ましくは、複数の電力消費部品は、特に少なくとも1つの制御可能な光源の光強度を制御するなど、少なくとも1つの制御可能な光源を制御するように構成された無線受信機を含む。無線受信機は、RF受信機または超音波受信機であってもよい。
【0014】
好ましくは、マイクロデバイスは、電力管理部とは別個の超音波受信機などの無線受信機を含み、少なくとも1つの制御可能な光源など、複数の電力消費部品のうちの少なくとも1つを制御するためのデータを受信するように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、電気調整回路は、外部源から受信した無線信号に埋め込まれた時間符号化されたダウンリンクデータを復調するように構成され、復調されたダウンリンクデータは、電力消費部品の電力消費を制御するために使用される。
【0016】
電気調整回路は、好ましくは、マイクロデバイスにおけるエネルギー寿命管理のための電力が不足している場合、少なくとも1つの電力消費部品を無効にするように構成される。
【0017】
電気調整回路は、外部源から受信した無線信号に埋め込まれた時間符号化されたダウンリンクデータを復調するように構成され、復調されたダウンリンクデータは、電力消費部品の電力消費を制御するために使用される。
【0018】
特に、少なくとも1つの制御可能な光源は、オプトジェネティクス的刺激及び/または光線力学的療法、及び/または薬物容器からの薬物の放出の光学トリガーのために構成され得る。
【0019】
複数の電力消費部品は、第2の制御可能な光源を含み、第1及び第2の制御可能な光源は、異なる波長の光を生成するように構成され、例えば、第1及び第2の制御可能な光源は、異なる波長の光でオプトジェネティクスまたは光線力学的療法を行うために構成される。特に、第1の制御可能な光源は、オプトジェネティクス、光線力学的療法、または薬物送達の光学トリガーのうちの1つのために構成され、第2の制御可能な光源は、オプトジェネティクス、光線力学的療法、または薬物送達の光学トリガーのうちの1つのために構成される。好ましくは、電気調整回路は、最適な電力効率のために電力管理部の所定の総電力負荷を提供するように、第1及び第2の制御可能な電気光源の両方に印加された電流を調整するように構成される。電気調整回路は、第1の制御可能な光源を駆動するように構成された負荷調整器と、第2の制御可能な光源を駆動するように構成された電流デジタル-アナログ変換器とを含み得る。特に、負荷調整器は、電力管理部の所定の総電力負荷を提供するために、第1の制御可能な光源に電流を適応させるように構成され得る。特に、負荷調整回路は、電力が電力管理部から利用可能である場合、第1の制御可能な光源を駆動するように構成され得る。特に、負荷調整回路は、受信したコマンドに基づいて第2の制御可能な光源を駆動するように構成され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、マイクロデバイスは、オプトジェネティクス、光線力学的療法、または薬物送達の光学トリガーのために構成された第3の制御可能な光源を含む。特に、第1及び第2の制御可能な光源は、異なる波長の光でオプトジェネティクスまたは光線力学的療法のために構成され、第3の制御可能な光源は、薬物送達の光学トリガーのために構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、マイクロデバイスは、生物組織の制御可能な電気刺激のために構成された電極を含み、少なくとも1つの制御可能な光源は、オプトジェネティクス及び電気刺激と光学的に強化された電気刺激の両方を使用して生物組織のハイブリッド刺激を提供するなど、オプトジェネティクスのために構成される。この場合、生物組織は、脳組織、中枢神経系の任意の部分、末梢神経または筋肉組織のいずれであってもよい。例えば、そのようなハイブリッド刺激は、慢性疼痛の治療に適用され得る。
【0022】
好ましい実施形態では、電力管理部は、例えば、生物組織を介して送信された超音波信号を受信するように構成された圧電受信機により、外部源から超音波データを受信し、それに応じて電力出力とダウンリンクデータの両方を生成するように構成される。しかしながら、代替的または追加的に、電力管理部は、生物組織を介して送信されたRF電磁信号を受信するように構成された無線周波数(RF)アンテナを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数の電力消費部品は、神経活動を測定するように、または温度、圧力などの生物組織の物理的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを含む。特に、センサは、局所電場電位センサまたは単一神経細胞センサを含み得る。特に、マイクロデバイスは、センサによって測定された神経活動または物理的パラメータを示すデータなど、超音波後方散乱などによりデータを無線フォーマットで外部受信機に送信するように構成された無線送信機を含み得る。さらに、マイクロデバイスは、神経活動を感知するように構成された第1のセンサと、温度、圧力などの生物組織の物理的パラメータを感知するように構成された第2のセンサとを含み得る。
【0024】
好ましい実施形態では、電力管理部と電気調整回路は、集積回路ダイに実装される。特に、圧電受信機と第1及び第2の光源と組み合わせて構成される。
【0025】
特に、脳組織、筋肉組織などの生物組織への埋め込みのためのマイクロデバイスは、5mm未満、例えば2mm未満、またはさらに1mm未満の総体積を占める外形寸法を有する。
【0026】
特に、超音波送信機は、少なくとも100kHzから数MHz以上の範囲の周波数を有する超音波信号を生成するように構成され得る。
【0027】
光源は、当業者に知られているような、適切な波長の光を有するマイクロLEDであってもよい。
【0028】
マイクロデバイスは、好ましくは、少なくとも最小限のデータ処理を提供できるプロセッサを含む。特に、プロセッサは、光刺激及び/または電気刺激をいつ、どのように適用するかを決定するためのニューラルネットワークアルゴリズムを実行することができる。さらに、または代わりに、プロセッサは、感知されたデータを処理して、マイクロデバイスから送信されるデータの量を削減し、例えば、マイクロデバイスからの送信のためのイベントベースのデータ、例えばイベントベースの神経データを導出することができる。
【0029】
好ましい実施形態では、電力管理部は、超音波信号で電力を受信するように構成された超音波送受信機システムを含み、埋め込まれた超音波トランスデューサ、例えば圧電トランスデューサは、表されたマイクロデバイスからのデータを有する超音波信号を送信するように構成される。例えば、外部超音波検出器システムへの後方散乱超音波信号とする。そのような実施形態は、埋め込まれた電子機器への超音波電力伝送の組み合わせを利用し、同時に、外部信号受信機システムへの通信として後方散乱超音波信号の使用を可能にする。
【0030】
いくつかの実施形態では、例えば、外部の光送信機または超音波送信機から受信した信号に応答して薬物を制御可能に送達するために、薬物送達システムがダストに埋め込まれる。
【0031】
いくつかの実施形態では、電気調整回路は、電力管理部の出力における制御可能な電圧を生成するように構成される。特に、電力管理部の出力における制御可能な電圧は、光及び電気の同時刺激による刺激効率の向上など、制御された電気刺激のために使用され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、マイクロデバイスは、マイクロデバイス内の電圧調整器または他の回路と統合された過電圧保護回路などの過電圧保護回路を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、マイクロデバイスは、複数の光源を含み、電力負荷調整器は、個々の光源に印加される電流重みを決定するためのそれぞれの電流重みを含む。
【0034】
電力管理部は、好ましくは、超音波信号を受信し、それに応じて電力出力を生成するように構成された圧電トランスデューサを含む。
【0035】
マイクロデバイスは、0.5mm未満、0.2mm未満などの1mm未満の総体積を有する。マイクロデバイスは、圧電超音波電力受信機と青と赤のLEDを備え、寸法が500×500×500μm、つまり体積が0.125mmのマイクロデバイスでテストされている。
【0036】
本発明の有利な実施形態では、マイクロデバイスのサイズは小さく、埋め込みの目的のために、マイクロデバイスはできるだけ小さいことが好ましい場合がある。好ましい実施形態では、マイクロデバイスの寸法は、1×1×1mm(高さ×長さ×幅)以内、例えば500×500×500μm以内、400×400×400μm以内、300×300×300μm以内、または200×200×200μm以内であり、いくつかの実施形態では、100×100×100μm以内であることが最も好ましいと見なされる。マイクロデバイスは、選択された実際の製造技術が可能にする場合には、好ましくは100×100×100μmよりもさらに小さくなり得ることが理解されるべきである。
【0037】
好ましい実施形態では、マイクロデバイスは、2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.7mm未満、例えば0.5mm未満の総体積を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、マイクロデバイスは、不均一な高さ、長さ、及び幅を有する。特に、高さ、長さ、及び幅の寸法は、例えば200×150×100μm、または150×150×100μmであり、または高さ0.5~1.5mm、長さ0.5~1.0mm、及び幅0.3~0.7mmを有するマイクロデバイスである。
【0039】
第2の態様では、本発明は、生物組織へ埋め込むために構成されたマイクロデバイスにおける電力消費を管理するための方法を提供し、この方法は、
外部源からマイクロデバイスの電力管理部に無線信号を提供することと、
電力管理部からの電力に基づいて、マイクロデバイスの電力消費部品に給電することと、
最適な電力効率のために電力管理部の所定の総電力負荷を提供するように、電気調整回路によって少なくとも1つの制御可能な光源に印加された電流を調整することと、を含む。
【0040】
本発明は、以下の設計方法論ステップによって利用され得る。
1) オプトジェネティクス、光線力学的療法または光駆動型薬物送達のための少なくとも1つの光源の負荷を含む、マイクロデバイスで必要とされる総電力を定義する。
2) 目標とする最適負荷、つまり最適負荷の電圧及び電流のための整合回路、例えば、超音波トランスデューサ受電トランスデューサの整合のための整合回路をを設計して、目標とする最適負荷に最適な電力効率を提供する。
3) 最も電力を必要とする光源(複数の光源がある場合)を駆動することにより、最適負荷のための電力負荷調整回路を設計する。
【0041】
これらの設計ステップにより、かさばる可変整合回路を必要とすることなく、電力効率が向上することが分かっている。
【0042】
第3の態様では、本発明は、医学療法または治療システムなどのコンピュータから脳へのインタフェースなどのシステムを提供し、このシステムは、
いわゆる神経ダストの形態などの、第1の態様による複数のマイクロデバイスと、
インタフェースシステムであって、
マイクロデバイスに給電し、マイクロデバイスの電力消費部品を制御するためにマイクロデバイスに無線信号を送信するための、超音波信号送信機などの無線信号送信機と、
個々のマイクロデバイスのそれぞれの少なくとも1つの制御可能な光源(複数可)を個別に制御するための無線制御信号を送信するための、超音波制御信号送信機または電磁無線周波数(RF)送信機などの無線制御信号送信機と、
を含む、該インタフェースシステムと、
を含む。
【0043】
特に、インタフェースシステムの全体または一部は、生物組織、例えば脳組織へ埋め込むために構成され得る。具体的には、インタフェースシステムは、複数のマイクロデバイスの近くで、生物組織の外部に位置するように構成された第1の部分と、生物組織内に位置するように構成された第2の部分とを含み、第1の部分は、インタフェースシステムの第1及び第2の部分を介してマイクロデバイスの機能を制御するようにプログラムされた外部コンピュータへのインタフェースのためのコンピュータを含む。
【0044】
具体的には、インタフェースは、1つ以上のマイクロデバイスから電磁RF信号または超音波信号、例えば超音波後方散乱信号などの無線データ信号を受信するように構成された無線受信機をさらに含み、1つ以上のマイクロデバイスは、物理的パラメータを感知し、それに応じて無線データ信号を送信するように構成されたセンサを含む。このセンサは、温度センサ、局所電場電位センサなどの神経活動センサ、単一神経細胞センサ、または圧力センサのうちの1つ以上であり得る。
【0045】
第4の態様では、本発明は、第1または第3の態様によるマイクロデバイスまたはシステムの使用に関する。特に、生きている人または動物の治療または療法のためのマイクロデバイスまたはシステムの使用に関する。特に、マイクロデバイスは、脳組織への埋め込みのために構成され、1つ以上の疾患及び/または痛みの治療または療法のために構成されたいわゆる神経ダストである。マイクロデバイスは、神経調節のための単一または二重波長の光学療法またはオプトジェネティクスが可能であり、これを脳組織の電気刺激と組み合わせて電気的神経調節を提供することができる。マイクロデバイスが電気神経センサを含む実施形態では、適用された治療または療法の閉ループ制御が提供され得る。
【0046】
一実施形態では、第1または第3の態様によるマイクロデバイスまたはシステムは、1つ以上のマイクロデバイスを末梢神経または入力筋肉組織内またはその近くに埋め込むことによって、慢性疼痛などの痛みの治療に使用される。この使用のためのマイクロデバイスは、神経調節のための単一または二重波長の光学療法またはオプトジェネティクスが可能であり、これを神経または筋肉組織の電気刺激と組み合わせて電気的神経調節を提供することができる。マイクロデバイスが電気神経センサを含む実施形態では、適用された治療または療法の閉ループ制御が提供され得る。
【0047】
本発明のこの態様は、慢性疼痛、うつ病、運動障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、失明などであるがこれらに限定されない病気または病状の治療に特に有利であり得る。本発明は、脳への及び脳からの信号及び刺激の測定及び提供を中心に展開するため、化学的、ホルモン的、または電気的不均衡に関連する複数の病気を治療するのに適している可能性があり、さらに、外傷、出生前疾患または神経系に関連する他の疾患のいずれかにより中枢神経系に十分に伝達されない、末梢神経系(体性及び自律系)からの感覚信号または運動信号を伝達するために使用され得る。
【0048】
第1の態様について述べた利点は、第2、第3、及び第4の態様にも同様である。本発明の個々の態様は、それぞれ他の態様のいずれかと組み合わせることができる。本発明のこれら及び他の態様は、記載された実施形態を参照して以下の説明から明らかになるであろう。
【0049】
ここで、本発明を添付の図面に関してより詳細に説明する。図面は、本発明を実装する1つの方法を示し、添付の特許請求の範囲内に入る他の可能な実施形態を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】a及びbは、マイクロデバイスの実施形態及びシステムの実施形態を示す。
図2】aは、超音波信号から電力を受け取るための電力管理部を示し、bは、対応するテブナン等価図を示す。
図3図2a及び2bに関連するグラフを示す。
図4】1つのLEDを有する実施形態のブロック図を示す。
図5】2つのLEDを有する実施形態のブロック図を示す。
図6図4の実施形態の回路の一例を示す図である。
図7】センサ及び刺激電極を有する実施形態のブロック図を示す。
図8図7の実施形態の回路の一例を示す図である。
図9】方法の実施形態のステップを示す図である。
図10】複数のLED(複数可)の電流重みを有する負荷調整器のブロック図を示す。
図11】本発明の実施形態による脳-コンピュータインタフェースシステムの実験セットアップの概略図を示す。
図12図11に示されるような実験セットアップからの過渡測定結果を表す3つのグラフを示す。
図13図11に示されるような実験セットアップからの、圧電受信機で測定された音響強度を表す3つのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1aは、好ましくは超音波信号である無線電力信号WPSと、超音波及び/または電磁RF信号であり得る無線制御信号WCSとを受信するマイクロデバイスMD、例えばいわゆるダストの実施形態を示す。電力管理部PMUは、ここでは3つの光源LED1、LED2、LED3、及びセンサSNSを含むダストのすべての電力消費部品に給電するために、無線電力信号WPSを受信し、それに応じて電力出力を生成する。無線受信機WR_Cは、光源LED1、LED2、LED3の制御のために、無線制御信号WCSを受信し、それに応じて制御信号または制御信号CSを提供する。好ましくは、2つの光源LED1、LED2は、異なる光波長でオプトジェネティクス及び/または光学療法を生成することができ、一方、1つの光源LED3は、ダスト内の(またはダストの外側に位置する)薬物容器DRGに光を提供することによって、周囲の生物組織への薬物送達を光学的にトリガーするための光を生成することができる。
【0052】
電力負荷調整回路LRCは、電力管理部PMUの電力出力から所定の総電流が引き出されるように、光源LED1、LED2、LED3の少なくとも1つ、好ましくはすべてへの電流を調整する。このように、電力管理部PMUは、電気部品が固定された整合回路を有するにも関わらず、高い電力効率を得ることができる。整合回路は、所定の総電流で最適な整合を行うように設計されるため、実際の負荷に合わせて整合回路を変更する代わりに、このアプローチでは、負荷は、整合回路が最適な整合を提供するように設計された負荷に整合するように調整され、それにより高効率が達成される。したがって、提案されたアプローチにより、必要な部品に必要な小さなスペースと高い電気効率を組み合わせることができる。
【0053】
図1bは、2つの埋め込み型ブレインダストMD1、MD2の通信及び給電のためにアプローチされる3つの層を有するシステムの実施形態を示す。人間の体外のコンピュータCMPは、それぞれのブレインダストMD1、MD2の機能を制御するための制御信号CS1、CS2を通信する。コンピュータは、人の頭部、すなわち頭蓋骨の外側に配置される第1のインタフェース部分IF1に接続される。この第1のインタフェース部分IF1は、人の頭蓋骨内への埋め込みのために構成された第2のインタフェース部分IF2と無線で通信する。この第2のインタフェース部分IF2は、超音波電力信号WPSを埋め込まれたダストMD1、MD2に脳組織を介して送信することによって、ブレインダストMD1、MD2に給電する役割を果たす。さらに、それぞれのダストMD1、MD2への無線制御信号WCS1、WCS2も、例えば超音波信号または電磁RF信号を介して送信される。このように、コンピュータCMPから脳へのインタフェースを実装することができ、ダストMD1、MD2の様々な機能は、図1aに示される例示的なデバイスとして、例えば、電気的、薬物及び/または光学的治療、療法を提供するため、及び/または神経活動を監視するために、個別に制御され得る。
【0054】
図2aは、生物組織BTに埋め込まれたマイクロデバイスに給電するために生物組織BTを通して超音波信号を送信する超音波送信機の形態の無線送信機WTを示す。マイクロデバイスは、着信する超音波信号を受信する圧電受信機を有し、ブリッジ整流器などの整流回路RTFを含む電力管理部を介して、電力管理部は、可変負荷RLoadに給電するための電力負荷を伝達することができる。この原理は、超音波電力収穫として知られている。
【0055】
図2bは、図2aの回路のモデル、すなわち定常状態における周波数依存及び負荷依存のテブナン等価図を示す。典型的には、埋め込み型ダストの場合、電力キャリア周波数は通常、誘導帯域として知られている周波数帯域で選択されるため、オンチップコンデンサを使用して虚数部をキャンセルすることができる。
【0056】
図3は、電流負荷の掃引により500μm×500μm×500μm圧電結晶の測定された整流電圧VRecと受信電力のグラフを示す。この測定では、結晶は、結晶の共振周波数、すなわち圧電結晶の等価インピーダンスの虚数部がゼロになる周波数で、7.2mW/mmの電力強度の超音波に曝され、全波ダイオードブリッジ整流器は、圧電結晶の端子で信号を整流するために使用される。ケースレーシリーズソースメータは、電流負荷の掃引と電圧の測定を同時に行うように、負荷として接続される。圧電結晶の電圧VPiezoの振幅は、整流電圧より2×VDFだけ高く、ここで、VDFは、ブリッジ整流器のダイオードの順方向電圧である。図3は、電力負荷がVPiezoの振幅と受信電力に与える影響の大きさを示す。
【0057】
誘導帯域内の電力キャリアの周波数を変更し、選択した周波数で圧電インピーダンスの虚数部をキャンセルするためのコンデンサを追加することによって、別の電力負荷に対して最大の受信電力を設計することができる。しかしながら、可変負荷を持つシステムの前述のパラメータの適応的な構成には、周波数を適応させるために、かさばるコンデンサバンクと、ダストと送信機の間のデータ通信リンクを必要とし、これにより、余分な複雑さ及びシリコン面積が代償として必要になる。
【0058】
図4は、前述の問題を解決する提案された負荷調整器LRCによって特徴付けられる例示的なシステムアーキテクチャのブロック図を示す。このアーキテクチャでは、圧電受信機トランスデューサPZCの後に、μLED及びその他の可変負荷を駆動するためのVRECの電圧レベルで、RLoadの等価抵抗とILoadの電流でDC電力を供給するAC-DC変換器ACDCが続いている。蓄積コンデンサCは、整流器の出力に接続される。提案された負荷調整器LRCは、μLEDの派生電流を調整して、Itotal=ILED+ILoadの最適な総電流負荷を得る。提案された負荷調整器LRCは、ダストで超音波電力バーストが利用可能になるとすぐにLEDを駆動する。これは、神経記録などの低消費電力の連続用途のために、コンデンサCに蓄えられたエネルギーの寿命を延ばすのに役立つため、有利である。さらに、負荷調整器LRCは、超音波電力バーストがない場合に、他の電力を必要とするクリティカルでない回路を無効にするために使用できるバーストアベイラビリティ(BA)信号を生成することができる。超音波電力バーストのいくつかのノッチの持続時間でダウンリンクデータを符号化することにより、ノッチを検出するためにBA信号を使用することができる。したがって、BA信号を時間対データ変換器に供給することにより、ダウンリンクデータを復調することができる。
【0059】
図3に示すように、各電流負荷が特定の整流電圧をもたらすことに注目すべきである。したがって、総電流Itotalを特定の値に調整することにより、ダストでの整流電圧も調整され、逆もまた同様である。
【0060】
図5は、好ましくは異なる光波長で光を生成する2つの光源、すなわち2つのLED、LED1、LED2を有する別の回路実施形態を示す。このようなシステムの用途の1つは、2つの異なる波長を持つ2つのLEDを使用して2つの異なるオプシンを刺激するデュアルオプトジェネティクスである。別の用途は、オプトジェネティクス、光駆動型薬物送達、及び光線力学的療法のうちの2つを持つダストである。このアプローチは、2つのLED(複数可)のLED1、LED2の二重制御であり、このスキームでは、LED2を駆動するための電流は、ダウンリンクデータILED2によって定義される電流によって導出され、LED1の電流もダウンリンクデータに依存し、つまり、ILED1=Itotal-ILED2-ILoad)。ILoadがオプトジェネティクス的負荷と比較して無視できること、及びItotalが超音波リンクによって定義される最大電力伝送に最適な総電流であることを考慮すると、1セットのデータで、ILED1とILED2の両方を電力効率の良い方法で設定できることが分かる。したがって、ダウンリンクデータに基づいて、受信したエネルギー全体を、LEDのLED1、LED2のうちの1つを駆動するために使用され、または2つのLED間で分割され得る。
【0061】
図6は、負荷調整器LRCの1つの可能な回路実装を示す。Vref、IRef1、IRef2は、基準電圧及び電流である。パワーオンリセットPORの後、整流電圧のレベル、トランジスタM2を流れる電流ID2、トランジスタM1のゲートに接続されたノードXでの電圧に基づいて、その結果、トランジスタM1を流れる電流ILEDが設定される。他方、ILEDのレベルは、図3に示すように、ダストで一定の超音波強度の下で整流電圧を定義する。したがって、負帰還ループは、主にVref、IRef1の値、及びトランジスタM2のサイジングに基づいて設計され得る特定の値にILED及びVRECを調整するように、ここで形成される。基準電流(すなわち、IRef1及びIRef2)によってシンクされた総電流よりも小さいID2電流レベルに対して、ノードXでの電圧が引き下げられ、M1がオフになることに注目すべきである。したがって、ダストに超音波電力バーストがない場合、VRECとその結果、ID2とXでの電圧が低下し、ILEDがゼロになる。そこで、Xでの電圧をシュミットトリガーに供給することにより、ダストでの超音波の利用可能性を監視することができる。ここで、IRef2は、ダストに超音波がない状態でM1がオフになると、ノードXでの電圧を引き下げようとする回路に追加のヒステリシス機能を追加する。これにより、ノードXでの電圧及びILEDのリンギングが回避される。シュミットトリガーの出力は、他の回路でBA信号として使用するためにバッファリングされる。
【0062】
図7は、1つの光源LEDと、電気刺激電極ST_Eのセットと、生物組織の刺激、例えば神経刺激のための関連する充電回路とを有する実施形態のブロック図を示す。さらに、この実施形態は、例えば神経活動感知のためのセンサ電極SN_Eのセットと、圧電結晶PZCの電力負荷を変調してセンサ電極SN_Eによって感知された神経活動を表すデータの送信のための超音波後方散乱を提供することができるアップリンクデータ変調器に接続された関連するアナログフロントエンド回路とを有する。図7のアーキテクチャでは、刺激コントローラは、オプトジェネティクス的調整回路LRCから(BA信号を介して)ダウンリンクデータを取得し、そのデータに基づいて刺激振幅及び刺激の持続時間を制御する。刺激振幅は、オプトジェネティクス的調整器の基準電流を変更することによって設定される。刺激の持続時間は、電源スイッチSWstimを使用して制御される。さらに、刺激コントローラは、各刺激の後にチャージバランサ回路をアクティブにする必要がある。チャージバランサ回路は、パッシブチャージバランス用の電源スイッチ(最も単純な形式)、またはアクティブチャージバランサ(より高い安全性)のいずれかである。
【0063】
図8は、電圧制御された電気刺激のための整流電圧VRecを構成するためのいくつかの追加の回路を有する、図7のアプローチの回路実装の別の例を示す。オプトジェネティクス用のLEDとドライバトランジスタM1には最小のオーバーヘッド電圧が必要であり、例えば、赤色LEDの場合は、約2.5Vである。そこで、IRef1は、2.5Vの最小整流電圧を保証する値に設定される。基準電流IRD0~IRDNは、より高い整流電圧、すなわち刺激電圧のダウンリンクデータに基づいて制御する必要がある。
【0064】
図9は、例えば、マイクロデバイスが生物組織、例えば人の脳組織に埋め込まれた後、実行される方法、すなわち生物組織への埋め込みのために構成されたブレインダストなどのマイクロデバイスの電力消費を管理するための方法の実施形態のステップを示す。第1のステップは、外部源からマイクロデバイスの電力管理回路に無線信号、例えば超音波信号を提供する(P_WS)ことである。次に、電力管理回路からの電力に基づいて、例えば1つ以上のLED(複数可)などのマイクロデバイスの電力消費部品に給電する。最後に、最適な電力効率のために電力管理回路の所定の総電力負荷を提供するように、電気調整回路によって少なくとも1つの制御可能な光源に印加された電流を調整する。
【0065】
図10は、マルチLEDデバイス用の負荷調整器LRCの1つの可能な回路実装を示す。図6に示すように、Vref、IRef1、IRef2は、基準電圧及び電流である。パワーオンリセットPORの後、整流電圧のレベル、トランジスタM2を流れる電流ID2、LED、すなわちLED1~LEDnのすべてのそれぞれの電流重みブロックCW1、CWnに接続されたノードXでの電圧に基づいて、その結果、電流重み設定によって、各LED1~LEDnを流れる電流が設定される。無線受信機は、光源LED1~LEDnの重みを制御するために、それに応じて無線制御信号CSを受信する。ダストに超音波電力バーストがない場合、VRECとその結果、ID2とXでの電圧が低下し、ILEDがゼロになる。
【0066】
図11は、本発明の実施形態による脳-コンピュータインタフェースシステムの実験セットアップの概略図を示す。本発明者らは、本発明の実施形態に従って、マイクロデバイスM_Dが超音波によって給電される場合に二重波長光、すなわちオプトジェネティクス的信号を測定する目的で、ライブ実験プロトタイプをセットアップした。この概略図は、セットアップがどのように構築され、実験がどのように行われたかを示す。持続時間が長くなる一連のノッチを含む2.55msの超音波バーストは、任意の信号発生器であるAgilent 33500bに供給され、増幅器であるRF 50 dB電力増幅器、トランスデューサであるV3030-SUを介してマイクロデバイスM_D上の圧電受信機P_Rに超音波電力バーストとして送信される。トランスデューサは、2つのLED、LED1、LED2に正常に給電し、LED、LED1、LED2から放射された光は、測定され、接続された2つのオシロスコープ、R&S RTH 1044によって表され、これは、それぞれ図8図9のグラフに示されている測定値によって証明される。ハイドロフォンは、トランスデューサからの信号を確認するためにシステムに接続される。
【0067】
図12は、図7に示されるような実験セットアップからの過渡測定結果を表す3つのグラフを示す。
【0068】
上のグラフ(a)は、マイクロデバイスM_D出力でのVrecを示し、ここで、y軸は、電圧を表し、x軸は、時間をミリ秒で表す。
【0069】
中央のグラフ(b)は、マイクロデバイスM_D出力でのILED1(点線)とILED2(実線)の電流を示し、ここで、y軸は、電流をミリアンペアで表し、x軸は、時間をミリ秒で表す。
【0070】
下のグラフ(c)は、マイクロデバイスM_D出力でのILED1とILED2の総負荷電流を示し、ここで、y軸は、電流をミリアンペアで表し、x軸は、時間をミリ秒で表す。
【0071】
(b)に示すように、ILED2は、ノッチの持続時間にわたって符号化されたコマンドに従って、74μA+/-5%のステップで0から514μAまで段階的に増加するが、ILED1は電流バジェットの残りを取る。したがって、VRecは2.79V、ITotal=ILED1+ILED2は600μAにそれぞれ調整される。
【0072】
図13は、図7に示されるような実験セットアップからの、圧電受信機で測定された音響強度(mW/mm)P_Rを表す3つのグラフ(a)、(b)、(c)を示す。これらの測定では、2.5msの超音波出力バーストの時間平均強度は、0.18mW/mmのステップで0.72から3.6mW/mmまで掃引される。電圧VrecとLED1を通るDC電流、及び起動時間が測定されている。上のグラフ(a)は、Vrec電圧(左にV単位で示され、丸で示される)と対応するDC電流(右にmA単位で示され、三角形で示される)を示す。音響強度が増加すると、Vrecが2.79V±0.5%に調整されたまま、LED1を流れる電流が増加する。したがって、DC抵抗が低下する。中央のグラフ(b)は、左に%単位で、円で示された効率(圧電面の音響電力で割ったLED1の電力)と、右に(kΩ単位で)三角形で示されたDC電力負荷を示す。下のグラフ(c)は、チップの起動時間(ms単位)が、音響電力を増加させることによって非線形的に減少することを示す。
【0073】
要約すると、本発明は、生物組織への埋め込みのために構成された、ブレインダストなどのマイクロデバイスを提供する。電力管理部は、超音波信号などの無線信号を外部源から受信し、それに応じて電力出力を生成する。マイクロデバイスは、電力出力によって給電された複数の電力消費部品を有し、特に、オプトジェネティクスまたは薬物の光学的放出などのために、時変的に光を生成するように制御できるマイクロLEDなどの1つ以上の制御可能な光源を含む。電力効率を高めるために、電気調整回路は、制御可能な光源に印加される電流を調整して、電力管理部の所定の総電力負荷を提供する。これにより、最適な効率のためのインピーダンス整合を提供する回路の体積の最小要件で、複数の電力消費部品に電力を伝送する最適な効率が得られる。
【0074】
本発明は、特定の実施形態に関連して説明されるが、提示された例に限定されるものとして解釈すべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に照らして解釈されるべきである。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、他の可能な要素またはステップを除外するものではない。また、「a」または「an」などの参照の言及は、複数を排除するものと解釈されるべきではない。図面に示された要素に関する特許請求の範囲における参照記号の使用も、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、異なる請求項に記載された個々の特徴は、有利に組み合わせることができ、異なる請求項に記載されたこれらの特徴は、特徴の組み合わせが可能ではなく有利であることを排除するものではない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
図13(a)】
図13(b)】
図13(c)】
【国際調査報告】