(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブの洗浄装置
(51)【国際特許分類】
F28G 3/16 20060101AFI20230929BHJP
B08B 9/023 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
F28G3/16
B08B9/023
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514829
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 RU2020000636
(87)【国際公開番号】W WO2022066035
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518312460
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“ロスエネルゴアトム”
(71)【出願人】
【識別番号】523073378
【氏名又は名称】アトメネルゴレモン ジョイント ストック カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ATOMENERGOREMONT JOINT-ST
【住所又は居所原語表記】Proektiruemyi 4062 proezd, 6, str. 2, pom. 26 Moscow,115432 (RU)
(71)【出願人】
【識別番号】523073390
【氏名又は名称】エルエルシ“ケイアローキ”
【氏名又は名称原語表記】LLC ‘KROK’
【住所又は居所原語表記】ul. Michurina, 48B, pom.14 Belgorodskaia obl., g. Belgorod, 308007 (RU)
(71)【出願人】
【識別番号】520514768
【氏名又は名称】サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴセンコ, ゲンナディ・ヴァシレヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】シェチニン, ゲンナディ ニコラエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ロマンチュク, ヴィタリー・ボリソビッチ
(72)【発明者】
【氏名】サリシュチェフ, セルゲイ・アレクサンドロヴィッチ
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA12
3B116AB53
3B116AB54
3B116BB22
3B116BB43
3B116BB53
3B116BB62
(57)【要約】
本発明は、原子力発電所における蒸気発生器の管束の洗浄に関する。蒸気発生器の熱交換チューブを洗浄する装置は、熱交換チューブの管束の間を通る垂直通路内で移動および固定されるように設置されるマニピュレータと、マニピュレータ上に設置され、高圧ウォータージェットを供給するためのパイプラインに接続されたインジェクタのヘッドの形態であるノズルと、遠隔制御およびビデオ監視のための手段を備え、マニピュレータが、ガイド取付フレーム上に設置され、ベースに接続される本体と、本体上に配置された主回転運動駆動部と、本体に接続された中空柱状の支柱と、支柱上に固定された補助運動駆動部と、支柱に接続され、ギアラックを有するパイプ状のエルボと、作動ユニットのエルボと、コーディネートヘッドとを備える。技術的成果は、洗浄時間が短く、堆積物の除去がより確実であることである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブを高圧ウォータージェットで洗浄する装置であって
熱交換チューブの管束の間を通る垂直通路内を移動および固定されるように設置されるマニピュレータと、前記マニピュレータに接続されるホイストと、前記マニピュレータに回転可能に取り付けられ、高圧ホースに接続されているノズルと、遠隔制御とビデオ監視の手段とを備え、
さらに、ガイド取付フレームと、コーディネートヘッドと、蒸気発生器の底部からスラッジを除去するためのユニットと、補助装置が装備されており、
前記マニピュレータは、ガイド取付フレーム上に設置されるベースと、前記ベースに接続される本体と、前記本体上に配置された主回転運動駆動部と、前記本体に接続された中空柱状の支柱と、前記支柱上に固定された補助運動駆動部と、前記支柱に接続され、ギアラックを有するパイプ状のエルボと、作動ユニットのエルボと、コーディネートヘッドを備え、
前記ノズルが前記高圧ホースに接続されたインジェクタのヘッドの形態で形成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記インジェクタのヘッドは、高圧ウォータージェットの方向が30°~150°の角度になるように回転可能に構成されていることを特徴する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記本体と前記支柱にリミットスイッチが装備されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記補助装置は、高圧ポンプ、関連する高圧ホース、吸引ポンプ、関連する吸引ノズルと吸引ホース、受入タンク、中間真空ポンプ、フィルターおよび貯蔵タンクを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記マニピュレータは、エアブレーキシステムを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コーディネートヘッドが、ばねサスペンション上に取り付けられた少なくとも一つの渦電流センサを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面洗浄の分野に関し、特に蒸気発生器の管束のチューブ表面の石灰スケールやスラッジの堆積物を除去するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブの表面洗浄の方法として、化学的方法(ロシア特許第2704169号)、流体機械的方法(ロシア特許第2692748号)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ロシア特許第2704169号
【特許文献2】ロシア特許第2692748号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学的な洗浄方法では、詰まった環状空間の局所的な部分の完全な洗浄を達成することができず、さらに、濃度が高くなると、熱交換チューブの局所的な金属損傷が発生する可能性がある。
【0005】
原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブを高圧ウォータージェットで洗浄するためのロシア特許第2692748号に記載の装置は、熱交換チューブの管束の間の垂直通路内で移動および固定されるように構成されたマニピュレータと、マニピュレータに接続されたホイストと、マニピュレータ上に取り付けられた回転可能なノズルとを備え、熱交換チューブの洗浄を提供するが、ノズルが部分的に回転するだけであるため、特にチューブの表面にしっかりと付着した鱗状の堆積物を除去する場合、公知の技術的解決策では洗浄効率が低下する。さらに、公知の装置の制御は、特にチューブ間空間内でのマニピュレータの配置の必要な精度を考慮すると、非常に複雑である。マニピュレータ駆動部の寸法が大きいことも、既知の技術的解決策の別の欠点である。
【0006】
提案された発明によって解決され得る問題は、洗浄効率を改善することである。
【0007】
本発明の技術的成果は、より短い洗浄時間と、より確実な堆積物の除去とを含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この技術的結果は、次の構成によって達成される。すなわち、原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブを高圧ウォータージェットで洗浄する装置であって、熱交換チューブの管束の間を通る垂直通路内を移動および固定されるように設置されるマニピュレータと、前記マニピュレータに接続されるホイストと、前記マニピュレータに回転可能に取り付けられ、高圧ホースに接続されているノズルと、遠隔制御とビデオ監視の手段とを備え、さらに、ガイド取付フレームと、コーディネートヘッドと、蒸気発生器の底部からスラッジを除去するためのユニットと、補助装置が装備されており、前記マニピュレータが、前記ガイド取付フレーム上に設置されるベースと、前記ベースに接続される本体と、前記本体上に配置された主回転運動駆動部と、前記本体に接続された中空柱状の支柱と、前記支柱上に固定された補助運動駆動部と、ギアラックを有するパイプ状のエルボと、作動ユニットのエルボと、コーディネートヘッドとを備え、両エルボが前記支柱に接続され、前記ノズルが高圧ホースに接続されたインジェクタのヘッドの形態で形成されていることを特徴とする。
【0009】
当該装置において、前記インジェクタのヘッドが主に高圧ウォータージェットを30°~150°の角度で方向付けるように回転可能に構成されている。
【0010】
当該装置において、前記マニピュレータの本体と支柱には、リミットスイッチを取り付けることができる。
【0011】
前記補助装置は、高圧ポンプ、関連する高圧ホース、吸引ポンプ、関連する吸引ノズルおよび吸引ホース、受入タンク、中間真空ポンプ、フィルターおよび貯蔵タンクを含む。
【0012】
前記マニピュレータがエアブレーキシステムを備えることができ、前記コーディネートヘッドがばねサスペンションに取り付けられた少なくとも一つの渦電流センサを備えることが好ましい。本発明の本質は、図面によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】清浄作業の場所のレイアウトを示す図である。
【
図2】エルボを有する組み立てられたマニピュレータの全体図である。
【
図3】エルボを有する組み立てられたマニピュレータと作動ユニットのエルボの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブを高圧ウォータージェットで洗浄する装置は、熱交換チューブ3の各管束の間を通る垂直通路2内を移動および固定できるように構成されたマニピュレータ1を備える。
【0015】
マニピュレータ1は、ホイスト(図示せず)に接続され、作業領域となる蒸気発生器内部への搬入と配置が可能である。マニピュレータ1の移動精度を確保するために、本装置には遠隔制御およびビデオ監視機能が装備されている。
【0016】
高圧ウォータージェットは、マニピュレータ1に取り付けられ、高圧ホース4に接続されている旋回可能なノズル(図示せず)を介して供給される。
【0017】
この装置は、マニピュレータを動かし、蒸気発生器における熱交換チューブの金属の状態を評価し、当該熱交換チューブの洗浄場所と洗浄プロセスを決定するために、遠隔制御装置とビデオ監視装置(図示せず)を備えている。
【0018】
また、この装置には、ガイド取付フレーム5、コーディネートヘッド(coordinate head)、蒸気発生器底部からスラッジを除去するためのユニットおよび補助装置(図示せず)も装備されている。
【0019】
ここで、マニピュレータ1は、ガイド取付フレーム5に取り付けられたベース6と、ベース6に接続された本体7とを備える。
【0020】
本体7には、主回転運動駆動部8が配置されている。中空柱状の支柱9は、本体7に接続されている。支柱9には、補助運動駆動部が固定されている。
【0021】
ギアラック11を備えたパイプ状に形成されたエルボ10と、作動ユニットのエルボ12と、コーディネートヘッドとが、支柱9に接続されている。
【0022】
ノズルは、高圧ホース4に接続されたインジェクタのヘッドの形で作られている。
【0023】
当該装置は、主に回転可能に構成されたインジェクタのヘッドを含み、高圧ウォータージェットを30°~150°の角度で方向付ける。
【0024】
当該装置におけるマニピュレータ1の本体7と支柱9には、主としてリミットスイッチが設けられている。
【0025】
補助装置(図示せず)は、高圧ポンプ、関連する高圧ホース、吸引ポンプ、関連する吸引ノズルおよび吸引ホース、受入タンク、中間真空ポンプ、フィルターおよび貯蔵タンクで構成されている。
【0026】
マニピュレータ1は、エアブレーキシステムを備えることができ、コーディネートヘッドは、好ましくは、ばねサスペンション上に取り付けられた少なくとも一つの渦電流センサを備える。
【0027】
原子力発電所における蒸気発生器の熱交換チューブを高圧ウォータージェットで洗浄するための装置は、次のように作動する。
【0028】
当該装置は、蒸気発生器内側において熱交換チューブの管束と管束の間を下降させられ、蒸気発生器の選択されたセルの1つの上に取り付けられ、高圧ポンプに接続される。
【0029】
マニピュレータ1は、ガイド取付フレーム5に沿って移動し、その移動の速度モードの制御及び選択は、エアブレーキシステムによって調節される。
【0030】
高圧のウォータージェットは、チューブとチューブの間の通路に沿って互いに対向する各チューブ3の両方の部分に広がる。ビデオ監視システムは、チューブ3の各列およびチューブ列の正確な配置および位置合わせを保証する。
【0031】
マニピュレータ1は、サーボドライブによって駆動され、サーボドライブは、位置センサと速度センサと、および指定された外部値に応じてセンサ(したがって、マニピュレータ1)に必要なパラメータを自動的に保持する駆動制御ユニットを含む。移動の終点に達すると、マニピュレータ1は、移動の開始点に戻るか、5~10mmだけ下降する(選択されたモードによって異なる)。熱交換チューブ3の管束の最下点に到達するまで、指定された洗浄モードが自動的に実行される。
【0032】
高圧ジェットがチューブ3の管束に衝突する際に発生する落下流の衝撃効果を利用して、洗浄が行われる。圧力が1500バール(bar)、流量が150リットル/分(l/min)という高いポンプパラメータと、その結果生じる強い衝撃により、堆積物の効率的な除去が達成される。
【0033】
マニピュレータ1が蒸気発生器のチューブ3の上段列の位置から段階的に下降し、全てのチューブ3のセグメントが洗浄の向きが異なる方向でカバーされるまで、マニピュレータ1の遠隔操作が行われる。チューブ間の垂直通路に沿ってマニピュレータを移動させながら、30°~150°までの異なる方向のウォータージェットをノズルから供給することで、洗浄プロセスを実行できる。洗浄プロセスは、ビデオ監視によってモニタリングされる。洗浄の品質に応じて、所望の結果が達成されるまで、プロセスを繰り返すことができる。
【0034】
補助プロセス装置は、高圧ポンプ、高圧ホース、吸引接続パイプ、吸引ポンプ、吸引ホース、受入タンクからなるモジュール、中間真空ポンプ、フィルターモジュール、および貯蔵タンクで構成されている。補助プロセス装置は、装置の操作準備中に設置される。
【国際調査報告】