(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】濾胞性リンパ腫を治療するための併用療法におけるCD3及びCD20に対する二重特異性抗体
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230929BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230929BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230929BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20230929BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230929BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20230929BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230929BHJP
C07K 16/30 20060101ALN20230929BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/454
C12N15/13 ZNA
C07K16/46
C07K16/28
C07K16/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515676
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021075017
(87)【国際公開番号】W WO2022053655
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ジェンマブ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】アフマディ,タハムタン
(72)【発明者】
【氏名】チウ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ブレイジ,エステル・シー・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヒエムストラ,アイダ
(72)【発明者】
【氏名】ジュレ・クンケル,マリア・エヌ
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB36
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC22
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4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA40
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
リツキシマブ及びレナリドミドの標準治療レジメンと組み合わせて、CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体を使用する、ヒト対象における濾胞性リンパ腫(例えば、再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫)の臨床治療方法が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象における濾胞性リンパ腫を治療する方法であって、二重特異性抗体と、有効量のリツキシマブ及びレナリドミとを前記対象に投与することを含み、前記二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、前記VH領域が、配列番号6の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域が、配列番号7の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、前記VH領域が、配列番号13の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域が、配列番号14の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
前記二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、リツキシマブ、レナリドミド及び前記二重特異性抗体が28日サイクルで投与される、方法。
【請求項2】
前記二重特異性抗体を24mgの用量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二重特異性抗体を48mgの用量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記二重特異性抗体を週に1回投与する(毎週の投与)、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
24mg又は48mgの前記毎週の投与が、2.5回の28日サイクルにわたって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記毎週の投与の後、前記二重特異性抗体を2週間に1回投与する(隔週の投与)、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記隔週の投与が6回の28日サイクルで行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記隔週の投与の後、前記二重特異性抗体を4週間に1回投与する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記4週間に1回の投与が、少なくとも3回の28日サイクルにわたって行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
24mg又は48mgの前記毎週の投与の前に、前記二重特異性抗体のプライミング用量を前記28日サイクルのサイクル1で投与する、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記プライミング用量が、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する2週間前に投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プライミング用量が0.16mgである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記プライミング用量を投与した後、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する前に、前記二重特異性抗体の中間用量を投与する、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記プライミング用量を1日目に投与し、前記中間用量を8日目に投与した後、サイクル1の15及び22日目に24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記中間用量が0.8mgである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
リツキシマブを週に1回投与する(毎週の投与)、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記リツキシマブの毎週の投与が、1回の28日サイクルで行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記毎週の投与の後、リツキシマブが、4週間に1回投与される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記4週間に1回のリツキシマブの投与が、4回の28日サイクルにわたって行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
リツキシマブが375mg/m
2又はその等価な用量で投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
レナリドミドが、28日サイクルの1日目から21日目まで1日1回投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
レナリドミドが、28日サイクルのサイクル1からサイクル12まで投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
レナリドミドが、28日サイクルのサイクル1で15mgの用量で投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
レナリドミドが、28日サイクルのサイクル2からサイクル12まで20mgの用量で投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
リツキシマブ、レナリドミド、及び前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記二重特異性抗体、リツキシマブ及びレナリドミドの前記投薬スケジュールが表2に示す通りである、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
投与が28日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に24mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、24mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される、請求項1、2及び4~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
投与が28日サイクルで行われ、
(a)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に48mgの用量が投与される; (ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に48mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、1日目に48mgの用量が投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される、請求項1及び3~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記二重特異性抗体が皮下投与される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
リツキシマブが静脈内投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
レナリドミドが経口投与される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記二重特異性抗体、リツキシマブ及びレナリドミドが連続的に投与される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
(a)リツキシマブと前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1の1、8、15、及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される場合、リツキシマブが前記二重特異性抗体の前に投与される;
(b)レナリドミドと前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1~3の1、8、15、及び22日目、サイクル4~9の1及び15日目、並びにサイクル10~12の1日目)に投与される場合、レナリドミドが前記二重特異性抗体の前に投与される;
(c)リツキシマブとレナリドミドが同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される場合、リツキシマブがレナリドミドの前に投与される;又は
(d)リツキシマブ、レナリドミド及び前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1~5日目)に投与される場合、リツキシマブが最初に投与され、レナリドミドが2番目に投与され、前記二重特異性抗体が最後に投与される、
請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記濾胞性リンパ腫が、再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫、例えばグレード1、2若しくは3aの再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫、又は例えばステージII、III若しくはIVの再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、それぞれ配列番号1、2及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む、
請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む、
請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームがヒト化抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むλ軽鎖定常領域を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記二重特異性抗体の前記第2の結合アームがヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の結合アームが、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むκ軽鎖定常領域を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記二重特異性抗体が、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記二重特異性抗体が不活性Fc領域を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖及び前記第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAである、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、
(i)前記第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAであり、
(ii)前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、
請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記二重特異性抗体が、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖とを含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖とを含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記二重特異性抗体がエプコリタマブ又はそのバイオシミラーである、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD3及びCD20の両方を標的とする二重特異性抗体、並びに濾胞性リンパ腫、例えば再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫の治療のためのリツキシマブ及びレナリドミドの標準治療レジメンと組み合わせたそのような抗体の使用に関する。有利な治療レジメンも提供される。
【背景技術】
【0002】
濾胞性リンパ腫は、いくつかの治療ラインが頻繁に必要とされる緩徐進行型の臨床経過を特徴とする不治の疾患である。毎年約2~3%の患者が、侵攻性リンパ腫、しばしばびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)への組織学的形質転換(5年で約20%の形質転換及び10年で約30%の形質転換)を有するであろう。組織学的形質転換後の予後は極めて不良である(OS中央値1~2年)(Relander et al.,J Clin Oncol 2010;28:2902-13;Wagner-Johnston et al.,Blood 2015;126:851-7)。
【0003】
進行性濾胞性リンパ腫に対する最も一般的な第1選択療法は、R-CHOP、又はリツキシマブ及びベンダムスチン(BR)である(Hiddemann et al.,Blood 2005;106:3725-32;Rummel et al.,Lancet 2013;381:1203-10)。再燃性又は難治性(R/R)濾胞性リンパ腫の治療は、以前の治療レジメン、寛解期間及びPSによって影響を受ける。第1選択の治療法の選択(R-CHOP/オビヌツズマブ-CHOP、BRを含む)にかかわらず、24ヶ月での疾患の進行は患者の20%で起こり、これはOS不良の堅固な予測因子であり、5年で生存している患者はわずか35%~50%である。非交差耐性サルベージレジメンは通常、24ヶ月で疾患の進行に適用され、HDT-ASCTが適格患者について検討される(Casulo et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2018;24:1163-71;Jurinovic et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2018;24:1172-9)。
【0004】
2回目以降の濾胞性リンパ腫の再燃に対して、いくつかの治療選択肢が承認されている。リツキシマブ+レナリドミド(R2)の組み合わせは、印象的な奏効率を示したが、2年PFSはわずか50~60%であった(Leonard et al.,J Clin Oncol 2019;37:1188-99)。モノクローナル抗CD20抗体及びアルキル化剤を含むいくつかの治療に失敗した患者の治療選択肢は限られている。イデラリシブは二重難治性症例について承認されているが、これはわずか43%の1年PFS及び治療中止につながるいくつかの毒性を示した(Salles et al.,Haematologica 2017;e156)。
【0005】
濾胞性リンパ腫について現在利用可能な治療選択肢に対する対象の有効性及び応答が限られていることを考えると、この患者集団に対する新しい治療は、例えば、現在利用可能な治療後に再燃した及び/又は現在利用可能な治療に対して難治性である患者にとって非常に望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Relander et al.,J Clin Oncol 2010;28:2902-13
【非特許文献2】Wagner-Johnston et al.,Blood 2015;126:851-7
【非特許文献3】Hiddemann et al.,Blood 2005;106:3725-32
【非特許文献4】Rummel et al.,Lancet 2013;381:1203-10
【非特許文献5】Casulo et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2018;24:1163-71
【非特許文献6】Jurinovic et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2018;24:1172-9
【非特許文献7】Leonard et al.,J Clin Oncol 2019;37:1188-99
【非特許文献8】Salles et al.,Haematologica 2017;e156
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体をリツキシマブ及びレナリドミドの標準治療レジメン、特に有利な臨床治療レジメンと組み合わせて投与することによって、濾胞性リンパ腫、例えば再燃性及び/又は難治性(R/R)濾胞性リンパ腫を有するヒト対象を治療する方法が本明細書で提供される。
【0008】
一態様では、ヒト対象における濾胞性リンパ腫、例えばR/R濾胞性リンパ腫を治療する方法であって、エプコリタマブと、リツキシマブ及びレナリドミドとの組み合わせを対象に投与することを含む方法、例えば、有効量のリツキシマブ、レナリドミド、及びエプコリタマブを対象に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0009】
一態様では、ヒト対象における濾胞性リンパ腫、例えば、R/R濾胞性リンパ腫を治療する方法であって、二重特異性抗体(例えば、皮下)と、有効量のリツキシマブ(例えば、静脈内)及びレナリドミ(例えば経口)とを対象に投与することを含み、二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域が、配列番号6のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域が、配列番号7のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域が、配列番号13のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域が、配列番号14のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、リツキシマブ、レナリドミド及び二重特異性抗体が28日サイクルで投与される、方法が本明細書で提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、24mgの用量(又はおよその用量)で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、48mgの用量(又はおよその用量)で投与される。
【0011】
一実施形態では、二重特異性抗体は、24mg又は48mg(毎週の投与)の用量で、例えば2.5回の28日サイクルの間、週に1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、毎週の投与の後、2週間に1回(隔週の投与)、例えば、6回の28日サイクルにわたり投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、隔週の投与の後、4週間に1回、例えば、少なくとも3回の28日サイクルにわたって、例えば、疾患の進行又は許容できない毒性が生じるまで投与される。更なる実施形態では、二重特異性抗体のプライミング用量(例えば、0.16mg又は約0.16mg)を、24mg又は48mgの第1の毎週用量を投与する2週間前に投与する。いくつかの実施形態では、プライミング用量を投与した後、24mg又は48mgの毎週用量を投与する前に、中間用量(例えば、0.8mg又は約0.8mg)の二重特異性抗体を投与する。いくつかの実施形態では、プライミング用量は、中間用量の1週間前に投与され、中間用量は、24mg又は48mgの第1の毎週用量の1週間前に投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、リツキシマブは、28日サイクルで、週に1回(毎週の投与)、例えば、1回の28日サイクルにわたって投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブの毎週の投与後、リツキシマブは、4週間に1回、例えば、4回の28日サイクルにわたって投与される。一実施形態では、リツキシマブは、375mg/m2の用量で投与される。
【0013】
いくつかの実施形態では、レナリドミドは、28日サイクルの1日目から21日目まで、例えば28日サイクルのサイクル1からサイクル12まで1日1回投与される。いくつかの実施形態では、レナリドミドは、28日サイクルのサイクル1において15mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、レナリドミドは、28日サイクルのサイクル2からサイクル12において20mgの用量で投与される。
【0014】
いくつかの実施形態では、例えば、表2に示されるように、リツキシマブ、レナリドミド、及び二重特異性抗体は同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される。
【0015】
いくつかの実施形態では、投与が28日サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に24mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、1日目に24mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される。
【0016】
いくつかの実施形態では、投与が28日サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に48mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、1日目に48mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される。
【0017】
いくつかの実施形態では、投与が28日サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブが、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に24mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、1日目に24mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、投与が28日サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブが、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に48mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、1日目に48mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は皮下投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、レナリドミドは経口投与される。
【0020】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体、リツキシマブ及びレナリドミドは連続的に投与される。例えば、同じ日に投与される場合、(a)リツキシマブが二重特異性抗体の前に投与される(例えば、サイクル1の1、8、15、及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目);(b)レナリドミドが二重特異性抗体の前に投与される(例えば、サイクル1~3の1、8、15、及び22日目、サイクル4~9の1及び15日目、並びにサイクル10~12の1日目);(c)リツキシマブがレナリドミドの前に投与される(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目);又は(d)リツキシマブが最初に投与され、レナリドミドが2番目に投与され、二重特異性抗体が最後に投与される(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)。いくつかの実施形態では、同じ日に投与される場合、(a)リツキシマブが二重特異性抗体の前に投与される(例えば、サイクル1の1、8、15、及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目);(b)レナリドミドが二重特異性抗体の前に投与される(例えば、サイクル1~3の1、8、15、及び22日目、サイクル4~9の1及び15日目、並びにサイクル10~12の1日目);(c)レナリドミドがリツキシマブの前に投与される(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目);又は(d)レナリドミドが最初に投与され、リツキシマブが2番目に投与され、二重特異性抗体が最後に投与される(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)。
【0021】
いくつかの実施形態では、対象はR/R濾胞性リンパ腫を有する。いくつかの実施形態では、対象は、グレード1、2又は3aのR/R濾胞性リンパ腫を有する。いくつかの実施形態では、対象はステージII、III又はIVのR/R濾胞性リンパ腫を有する。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1つの以前の抗新生物剤(例えば、抗CD20抗体)により事前に治療されたことがある。
【0022】
いくつかの実施形態では、対象は、サイトカイン放出症候群(CRS)の予防法で治療される。いくつかの実施形態では、予防法は、例えば、二重特異性抗体と同日にコルチコステロイド(例えば、経口用量を含む、例えば100mg又はそれと等価な用量のプレドニゾロン)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、二重特異性抗体を投与した後の2日目、3日目及び4日目に更に投与される。
【0023】
いくつかの実施形態では、対象には、注射に対する反応を低下させるために、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン、静脈内又は経口、例えば、50mgそれと等価な用量)及び/又は解熱薬(例えば、560~1000mgの用量のアセトアミノフェン)等の前投薬が投与される。いくつかの実施形態では、前投薬は、二重特異性抗体と同じ日に投与される。
【0024】
いくつかの実施形態では、予防法及び前投薬はサイクル1の間に投与される。いくつかの実施形態では、予防法は、対象がサイクル1での二重特異性抗体の最後の投与後にグレード1を超えるCRSを経験するとき、サイクル2の間に投与される。いくつかの実施形態では、予防法は、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において対象がグレード1を超えるCRSを経験するとき、後続のサイクルにおいて継続される。更なる実施形態では、前投薬はサイクル2の間に投与される。なお更なる実施形態では、前投薬は後続のサイクル中に投与される。
【0025】
いくつかの実施形態では、対象がグレード1のCRSを発症する場合、対象は抗生物質を投与される。いくつかの実施形態では、対象がグレード2又はグレード3のCRSを発症する場合、対象には昇圧剤が投与される。いくつかの実施形態では、対象がグレード4のCRSを発症する場合、対象は少なくとも2つの昇圧剤を投与される。
【0026】
いくつかの実施形態では、対象がグレード2、グレード3又はグレード4のCRSを発症する場合、対象にトシリズマブが投与される。いくつかの実施形態では、対象にはステロイド(例えば、デキサメタゾン又はメチルプレドニゾロン)が更に投与される。いくつかの実施形態では、対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブは抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)又はIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)に切り替えられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、対象には、腫瘍崩壊症候群(TLS)の予防法が投与される。いくつかの実施形態では、TLSの予防法は、二重特異性抗体の投与前に1つ以上の尿酸還元剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、ラスブリカーゼ及び/又はアロプリノールが尿酸還元剤として投与される。いくつかの実施形態では、対象がTLSの徴候を示す場合、ラスブリカーゼ等の支持療法が使用され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で治療される対象は、例えば、Lugano基準又はLYRICによって定義されるような完全奏効、部分奏効、又は安定疾患を達成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の抗原結合領域は、それぞれ配列番号1、2及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含み、第2の抗原結合領域は、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の抗原結合領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含み、第2の抗原結合領域は、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の結合アームは、ヒト化抗体、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体(例えば、配列番号22)に由来する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第2の結合アームはヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体(例えば、配列番号23)に由来する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である。
【0031】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域、例えば、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAであるFc領域を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、二重特異性抗体の形成を促進する置換を含み、例えば、第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであり、又はその逆である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域(例えば、L234、L235及びD265における置換(例えば、L234F、L235E、及びD265A))及び二重特異性抗体形成を促進する置換(例えば、F405L及びK409R)の両方を有する。更なる実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む(又はそれらからなる)第1の重鎖及び第1の軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む(又はそれらからなる)第2の重鎖及び第2の軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、上記二重特異性抗体は、エプコリタマブ又はそのバイオシミラーである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】レナリドミドの存在下でのT細胞活性化を示す。T細胞を、固定化抗CD3によるCD3架橋の非存在下又は存在下(x軸上に示す)でアッセイ培地又はレナリドミドと共に3日間プレインキュベートし、その後、CD4
+及びCD8
+T細胞上のCD69、CD25、PD-1及びLAMP-1のアップレギュレーションをフローサイトメトリーによって決定した。示されるデータは、4人のドナーについての幾何平均蛍光強度(FI)である(各円は1人のドナーについての1つの条件を表す)。プレインキュベーション条件をx軸に示す。
【
図2】CD20発現Daudi細胞に対するDuobody-CD3xCD20誘導性T細胞媒介性細胞傷害に対するレナリドミドの効果を示すグラフである。T細胞を、固定化抗CD3の非存在下又は存在下で、レナリドミド(5又は50μM)と共に、又はレナリドミドなしで3日間インキュベートした。次いで、T細胞を、DuoBody-CD3xCD20又はDuoBody-CD3xctrl(CD3アーム及び非結合対照アームを含む)、及びCD20発現Daudi細胞を標的細胞として用いた細胞傷害性アッセイにおいて使用した(E:T比2:1)。示されるデータは、培地対照(抗体なし、レナリドミドなし)に対して正規化された、複製物の細胞傷害性の平均パーセンテージ±SDである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン」という用語は、2対のポリペプチド鎖、1対の軽(L)低分子量鎖及び1対の重(H)鎖からなる構造的に関連する糖タンパク質のクラスを指し、4つ全てがジスルフィド結合によって相互接続されている。免疫グロブリンの構造は十分に特徴付けられている(例えば、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989)を参照)。簡潔には、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVH又はVHと略す)及び重鎖定常領域(本明細書ではCH又はCHと略す)からなる。重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメイン、CH1、CH2、及びCH3から構成される。ヒンジ領域は、重鎖のCH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域であり、非常に柔軟である。ヒンジ領域内のジスルフィド結合は、IgG分子内の2つの重鎖間の相互作用の一部である。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書ではVL又はVLと略す)及び軽鎖定常領域(本明細書ではCL又はCLと略す)から構成される。軽鎖定常領域は、典型的には、1つのドメインCLで構成される。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変領域(又は構造的に定義されたループの配列及び/又は形態で超可変であり得る超可変領域)に更に細分することができる。各VH及びVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で配置された3つのCDR及び4つのFRで構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J Mol Biol 1987;196:901-17を参照)。特に明記しない限り、又は文脈と矛盾しない限り、本明細書のCDR配列は、IMGT規則(Brochet X.,Nucl Acids Res 2008;36:W503-508;Lefranc MP.,Nucl Acids Res 1999;27:209-12;www.imgt.org/)に従って同定される。特に明記しない限り、又は文脈と矛盾しない限り、定常領域内のアミノ酸位置への言及は、EUナンバリング(Edelman et al.,PNAS.1969;63:78-85;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition.1991 NIH Publication No.91-3242)に従う。例えば、配列番号15は、IgG1重鎖定常領域の、EUナンバリングで118~447位のアミノ酸を示す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「位置...に対応するアミノ酸」という用語は、ヒトIgG1重鎖のアミノ酸位置の番号を指す。他の免疫グロブリン中の対応するアミノ酸位置は、ヒトIgG1とのアラインメントによって見出され得る。したがって、別の配列中のアミノ酸又はセグメント「に対応する」1つの配列中のアミノ酸又はセグメントは、典型的にはデフォルト設定で、ALIGN、ClustalW又は同様の標準的な配列アラインメントプログラムを使用して他のアミノ酸又はセグメントとアライメントするものであり、ヒトIgG1重鎖に対して少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の同一性を有する。配列中の配列又はセグメントを整列させ、それによって本発明によるアミノ酸位置に対する配列中の対応する位置を決定することは、当業者の能力の範囲内である。
【0036】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「抗体」(Ab)という用語は、典型的な生理学的条件下で、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間以上、約48時間以上、約3、4、5、6、7日間以上等、又は任意の他の関連する機能的に定義された期間(例えば、抗原への抗体結合に関連する生理学的応答を誘導、促進、増強及び/又は調節するのに十分な時間、及び/又は抗体がエフェクター活性を動員するのに十分な時間)の半減期で抗原に特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子を指す。免疫グロブリン分子の重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体という用語は、特に明記しない限り、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、抗体様ポリペプチド、キメラ抗体及びヒト化抗体も包含する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「抗体フラグメント」又は「抗原結合フラグメント」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持し、酵素切断、ペプチド合成、及び組換え技術等の任意の公知の技術によって生成することができる免疫グロブリン分子のフラグメントを指す。抗体フラグメントの例としては、(i)Fab’若しくはFabフラグメント、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価フラグメント、又は国際公開第2007059782号(Genmab)に記載されている一価抗体;(ii)F(ab’)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)VHドメイン及びCH1ドメインから本質的になるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLドメイン及びVHドメインから本質的になるFvフラグメント、(v)VHドメインから本質的になり、ドメイン抗体(Holt et al;Trends Biotechnol 2003;21:484-90)とも呼ばれるdAbフラグメント(Ward et al.,Nature 1989;341:544-46);(vi)Camelid又はナノボディ(Revets et al;Expert Opin Biol Ther 2005;5:111-24)及び(vii)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VL及びVHは別個の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え法を使用して、VL及びVH領域が対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖としてそれらを作製することを可能にする合成リンカーによって連結され得る(一本鎖抗体又は一本鎖Fv(scFv)として公知であり、例えばBird et al.,Science 1988;242:423-26 and Huston et al.,PNAS 1988;85:5879-83を参照)。そのような一本鎖抗体は、特に明記されない限り、又は文脈によって明確に示されない限り、抗体フラグメントという用語に包含される。
【0038】
本明細書で使用される場合、「抗体結合領域」又は「抗原結合領域」という用語は、抗原と相互作用し、VH領域とVL領域の両方を含む領域を指す。抗体という用語は、本明細書で使用される場合、単一特異性抗体だけでなく、複数、例えば2つ以上、例えば3つ以上の異なる抗原結合領域を含む多重特異性抗体も指す。抗原結合領域という用語は、特に明記しない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、抗原結合フラグメントであり、すなわち抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体のフラグメントを含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる免疫グロブリンクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE又はIgM)のことを指す。特定のアイソタイプ、例えばIgG1が言及される場合、この用語は、特定のアイソタイプ配列、例えば特定のIgG1配列に限定されないが、抗体が他のアイソタイプよりもそのアイソタイプ、例えばIgG1に配列が近いことを示すために使用される。したがって、例えば、IgG1抗体は、定常領域の変異を含み得る天然に存在するIgG1抗体の配列変異体であり得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「二重特異性抗体」又は「bs」又は「bsAb」という用語は、異なる抗体配列によって定義される2つの異なる抗原結合領域を有する抗体を指す。二重特異性抗体は、任意の形式のものであり得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「半分子」、「Fabアーム」、及び「アーム」という用語は、1つの重鎖-軽鎖対を指す。
【0042】
二重特異性抗体が、第1の親抗体「に由来する」半分子抗体及び第2の親抗体「に由来する」半分子抗体を含むと記載される場合、「に由来する」という用語は、任意の公知の方法によって、当該第1及び第2の親抗体のそれぞれからの当該半分子を、得られた二重特異性抗体に組換えることによって、二重特異性抗体が生成されたことを示す。これに関連して、「組換え(recombining)」は、どのような特定の組換え方法によっても限定されることが意図されず、したがって、例えば、半分子交換(「制御されたFabアーム交換」としても知られる)による組換え、同様にまた、核酸レベルでの、及び/又は同じ細胞における2つの半分子の共発現による組換えを含めて、本明細書に記載される二重特異性抗体を作製するための方法の全てが含まれる。
【0043】
抗体に関連して本明細書で使用される場合、「完全長」という用語は、抗体がフラグメントではないが、天然のそのアイソタイプに通常見られる特定のアイソタイプのドメイン、例えばIgG1抗体のVH、CH1、CH2、CH3、ヒンジ、VL及びCLドメインの全てを含むことを示す。全長抗体を操作することができる。「完全長」抗体の例は、エプコリタマブである。
【0044】
本明細書で使用される場合、「Fc領域」という用語は、免疫グロブリンの2つの重鎖のFc配列からなる抗体領域を指し、当該Fc配列は、少なくともヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「第1のCH3領域と第2のCH3領域との間のヘテロ二量体相互作用」という用語は、第1のCH3/第2のCH3ヘテロ二量体タンパク質における第1のCH3領域と第2のCH3領域との間の相互作用を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「第1及び第2のCH3領域のホモ二量体相互作用」という用語は、第1のCH3/第1のCH3ホモ二量体タンパク質中の第1のCH3領域と別の第1のCH3領域との間の相互作用、及び第2のCH3/第2のCH3ホモ二量体タンパク質における第2のCH3領域と別の第2のCH3領域との間の相互作用を指す。
【0047】
所定の抗原への抗体の結合に関連して本明細書で使用される場合、「結合」という用語は、典型的には、リガンドとして抗体及び被検物質として抗原を使用するOctet HTX機器における例えばバイオレイヤー干渉法(BLI)技術によって決定される場合、約10-6M以下、例えば10-7M以下、例えば約10-8M以下、例えば約10-9M以下、約10-10M以下、又は約10-11M以下のKDに対応する親和性で結合することを指し、抗体は、所定の抗原又は所定の抗原と密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合のKDよりも少なくとも10倍低い、例えば少なくとも100倍低い、例えば少なくとも1,000倍低い、例えば少なくとも10,000倍低い、例えば少なくとも100,000万倍低いKDに対応する親和性で所定の抗原に結合する。結合のKDがより低い量は抗体のKDに依存するため、抗体のKDが非常に低い場合、抗原への結合のKDが非特異的抗原への結合のKDよりも低い量は、少なくとも10,000倍であり得る(すなわち、抗体は高度に特異的である)。
【0048】
本明細書で使用される場合、「単離抗体」という用語は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。好ましい実施形態では、CD20及びCD3に特異的に結合する単離された二重特異性抗体は更に、CD20又はCD3に特異的に結合する単一特異性抗体を実質的に含まない。
【0049】
本明細書で使用される場合、「CD3」という用語は、T細胞共受容体タンパク質複合体の一部であり、4つの異なる鎖で構成されるヒト分化抗原群3タンパク質を指す。CD3は他の種にも見られるため、「CD3」という用語は、文脈と矛盾しない限り、ヒトCD3に限定されない。哺乳動物では、複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖(ヒトCD3γ鎖UniProtKB/Swiss-Prot No P09693、又はカニクイザルCD3γ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI7)、CD3δ(デルタ)鎖(ヒトCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No P04234、又はカニクイザルCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI8)、2つのCD3ε(イプシロン)鎖(ヒト CD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No P07766、配列番号28);カニクイザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI5;又はアカゲザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No G7NCB9)、及びCD3ζ鎖(ゼータ)鎖(ヒトCD3ζ UniProtKB/Swiss-Prot No P20963、カニクイザルCD3ζ UniProtKB/Swiss-Prot No Q09TK0)を含む。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)として知られる分子と会合し、Tリンパ球において活性化シグナルを生成する。TCR及びCD3分子は共にTCR複合体を含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、「CD3抗体」又は「抗CD3抗体」という用語は、抗原CD3、特にヒトCD3ε(イプシロン)に特異的に結合する抗体を指す。
【0051】
「ヒトCD20」又は「CD20」という用語は、ヒトCD20(UniProtKB/Swiss-Prot No P11836、配列番号29)を指し、腫瘍細胞を含む細胞によって天然に発現される、又はCD20遺伝子若しくはcDNAでトランスフェクトされた細胞上で発現されるCD20の任意の変異体、アイソフォーム、及び種ホモログを含む。種ホモログには、アカゲザルCD20(アカゲザル(macaca mulatta);UniProtKB/Swiss-Prot No H9YXP 1)及びカニクイザルCD20(カニクイザル;UniProtKB No G7PQ03)が含まれる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「CD20抗体」又は「抗CD20抗体」という用語は、抗原CD20、特にヒトCD20に特異的に結合する抗体を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「CD3xCD20抗体」、「抗CD3xCD20抗体」、「CD20xCD3抗体」又は「抗CD20xCD3抗体」という用語は、2つの異なる抗原結合領域を含む二重特異性抗体を指し、その1つは抗原CD20に特異的に結合し、その1つはCD3に特異的に結合する。
【0054】
本明細書で使用される場合、「DuoBody-CD3xCD20」という用語は、それぞれ配列番号24及び配列番号25で定義される第1の重鎖及び軽鎖対を含み、配列番号26及び配列番号27で定義される第2の重鎖及び軽鎖対を含むIgG1二重特異性CD3xCD20抗体を指す。第1の重鎖及び軽鎖の対は、ヒトCD3ε(イプシロン)に結合する領域を含み、第2の重鎖及び軽鎖の対は、ヒトCD20に結合する領域を含む。
【0055】
第1の結合領域は、配列番号6及び7によって定義されるVH及びVL配列を含み、第2の結合領域は、配列番号13及び14によって定義されるVH及びVL配列を含む。この二重特異性抗体は、国際公開第2016/110576号に記載されているように調製することができる。
【0056】
本明細書で同様に提供される実施例の抗体の重鎖、軽鎖、VL領域、VH領域、又は1つ以上のCDRの機能的変異体を含む抗体。抗体との関連で使用される重鎖、軽鎖、VL、VH、又はCDRの機能的変異体は、依然として、抗体が、CD20及び/又はCD3の特定のエピトープに対する親和性及び/又は特異性/選択性、Fc不活性、並びに半減期、Tmax、Cmax等のPKパラメータを含む、「参照」及び/又は「親」抗体の機能的特徴の少なくともかなりの割合(少なくとも約90%、95%以上)を保持することを可能にする。そのような機能的変異体は、典型的には、親抗体と有意な配列同一性を保持し、及び/又は実質的に同様の長さの重鎖及び軽鎖を有する。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列によって共有される同一の位置の数(すなわち、相同性%=同一位置の数/位置の総数×100)の関数である。2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の同一性パーセントは、例えば、E.Meyers and W.Miller,Comput.Appl.Biosci 4,11-17(1988)のアルゴリズムを使用して決定され得、PAM120重量残基表、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれた。さらに、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Needleman and Wunsch,J Mol Biol 1970;48:444-453のアルゴリズムを用いて決定され得る。例示的な変異体には、主に保存的置換によって親抗体配列の重鎖及び/又は軽鎖、VH及び/又はVL、及び/又はCDR領域とは異なるものが含まれ、例えば、変異体における置換のうちの10個、例えば9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個又は1個は、保存的アミノ酸残基置換であり得る。
【0057】
保存的置換は、以下の表に反映されるアミノ酸のクラス内の置換によって定義され得る。
【表1】
【0058】
別段の指示がない限り、以下の命名法が突然変異を記載するために使用される:i)所与の位置におけるアミノ酸の置換は、例えば、K409Rと書かれ、これは、アルギニンによる位置409におけるリジンの置換を意味し、ii)具体的な変異体については、任意のアミノ酸残基を示すためのコードXaa及びXを含む、具体的なの3文字又は1文字コードが使用される。したがって、409位のアルギニンによるリジンの置換は:K409Rと命名され、409位の任意のアミノ酸残基によるリジンの置換はK409Xと命名される。位置409におけるリジンの欠失の場合、それはK409*によって示される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体定常ドメインと、ヒト可変ドメインに対して高レベルの配列相同性を含むように修飾された非ヒト可変ドメインとを含む、遺伝子操作された非ヒト抗体を指す。これは、共に抗原結合部位を形成する6つの非ヒト抗体CDRを、相同ヒトアクセプターフレームワーク領域(FR)にグラフトすることによって達成することができる(国際公開第92/22653号及び欧州特許第0629240号を参照)。親抗体の結合親和性及び結合特異性を完全に再構成するために、親抗体(すなわち、非ヒト抗体)からヒトフレームワーク領域へのフレームワーク残基の置換(復帰突然変異)が必要とされ得る。構造相同性モデリングは、抗体の結合特性に重要なフレームワーク領域内のアミノ酸残基を同定するのに役立ち得る。したがって、ヒト化抗体は、非ヒトCDR配列、主に、非ヒトアミノ酸配列に対する1つ以上のアミノ酸復帰変異を含んでもよいヒトフレームワーク領域、及び完全ヒト定常領域を含む。
【0060】
DuoBody-CD3xCD20において本明細書で使用されるCD3アームのVH及びVLは、ヒト化抗原結合領域を表す。必ずしも復帰突然変異ではない更なるアミノ酸修飾を適用して、親和性及び生化学的特性等の好ましい特徴を有するヒト化抗体を得てもよい。
【0061】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を指す。ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダム若しくは部位特異的突然変異誘発又はin vivoでの体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含み得る。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、マウス等の別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含むことを意図しない。DuoBody-CD3xCD20で使用されるCD20アームのVH及びVLは、ヒト抗原結合領域を表す。本発明のヒトモノクローナル抗体は、従来のモノクローナル抗体方法論、例えばKohler and Milstein,Nature 256:495(1975)の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を含む様々な技術によって産生され得る。体細胞ハイブリダイゼーション手順が原則として好ましいが、モノクローナル抗体を産生するための他の技術、例えば、Bリンパ球のウイルス若しくは発癌性形質転換又はヒト抗体遺伝子のライブラリーを使用するファージディスプレイ技術を使用することができる。ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製するための適切な動物系は、マウス系である。マウスにおけるハイブリドーマ産生は、非常によく確立された手順である。融合のために免疫化脾細胞を単離するための免疫化プロトコル及び技術は、当技術分野で公知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)及び融合手順も公知である。したがって、ヒトモノクローナル抗体は、例えば、マウス系又はラット系ではなくヒト免疫系の一部を保有するトランスジェニック又はトランスクロモソーマルマウス又はラットを用いて作製することができる。したがって、一実施形態では、ヒト抗体は、動物免疫グロブリン配列の代わりにヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列を有するトランスジェニック動物(例えば、マウス又はラット)から得られる。そのような実施形態では、抗体は、動物に導入されたヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来するが、最終抗体配列は、内因性動物抗体機構(例えば、Mendez et al.Nat Genet 1997;15:146-56を参照)による体細胞高頻度変異及び親和性成熟によって当該ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列が更に修飾された結果である。DuoBody-CD3xCD20で使用されるCD20アームのVH及びVL領域は、ヒト抗原結合領域を表す。
【0062】
本明細書で使用される場合、「バイオシミラー」(例えば、承認された参照製品/生物学的薬物)という用語は、(a)臨床的に不活性な成分のわずかな違いにもかかわらず、生物学的製品が参照製品と非常に類似していることを示す分析研究;(b)動物研究(毒性の評定を含む);及び/又は(c)参照製品が承認され、使用が意図され、承認が求められている1つ以上の適切な使用条件における安全性、純度及び効力(例えば、生物学的産物と参照製品との間に、産物の安全性、純度及び効力の点で臨床的に意味のある違いがないこと)を実証するのに十分な1つ以上の臨床試験(免疫原性、及び薬物動態又は薬力学の評定を含む)からのデータに基づいて、参照製品と類似している生物学的産物を指す。いくつかの実施形態では、バイオシミラー生物学的製品及び参照製品は、提案された標識化において処方され、推奨され、又は示唆される(1又は複数の)使用条件について同じ(1又は複数の)作用機序を利用するが、(1又は複数の)作用機序が参照製品について知られている程度にすぎない。いくつかの実施形態では、生物学的製品について提案される標識化において規定され、推奨され、又は示唆された条件又は使用条件は、参照製品について以前に承認されている。いくつかの実施形態では、生物学的製品の投与経路、剤形及び/又は強度は、参照製品のものと同じである。バイオシミラーは、例えば、市販の抗体と同じ一次アミノ酸配列を有する現在知られている抗体であり得るが、異なる細胞型で、又は異なる産生、精製若しくは製剤化方法によって作製され得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「還元条件」又は「還元環境」という用語は、基質、ここでは抗体のヒンジ領域内のシステイン残基が酸化されるよりも還元される可能性が高い状態又は環境を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「組換え宿主細胞」(又は単に「宿主細胞」)という用語は、発現ベクター、例えば本明細書に記載の抗体をコードする発現ベクターが導入された細胞を指すことを意図している。組換え宿主細胞としては、例えば、トランスフェクトーマ、例えばCHO、CHO-S、HEK、HEK293、HEK-293F、Expi293F、PER.C6又はNS0細胞、及びリンパ球性細胞が挙げられる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「濾胞性リンパ腫」又は「FL」という用語は、リンパ腫細胞が結節又は濾胞に密集しているいくつかの種類の非ホジキンリンパ腫のいずれかを指す。「濾胞性」という用語は、細胞がリンパ節において円形又は結節性のパターンで成長する傾向があるために使用される。悪性細胞は、典型的には、14番染色体上のIg重鎖遺伝子及び18番染色体上のBcl-2を含む転座t(14;18)によるBcl2癌遺伝子の活性化、並びにCD10、CD20、BCL2及びBCL6を発現するが、CD5陰性であることを特徴とし得る。FLは、典型的には、本質的に何年も変わらず持続する緩慢な疾患経過を有する。FLは、参照により本明細書に組み込まれる、Swerdlow SH,Campo E,Harris NL,et al.WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues(ed.4th).Lyon,France:IARC Press(2008)and Swerdlow SH,Campo E,Harris NL,et al.WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues(Revised ed.4th).Lyon,France:IARC Press(2017)に定義されるWHO分類に従って分類され得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、「再燃性濾胞性リンパ腫」又は「再燃性FL」という用語は、抗CD20抗体を含有する免疫化学療法等の抗新生物療法による以前の治療に対して部分奏効(PR)又は完全奏効(CR)を達成した後に進行した濾胞性リンパ腫を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「難治性濾胞性リンパ腫」又は「難治性FL」という用語は、抗新生物療法で治療されたが、治療に対する少なくとも部分奏効を達成することができなかった濾胞性リンパ腫を指す。
【0068】
本明細書で使用される場合、「R/R濾胞性リンパ腫」又は「R/R FL」という用語は、特に明記しない限り、再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫を指すことを意図する。
【0069】
本明細書で使用される場合、(CAS番号:174722-31-7;DrugBank-DB 00073;Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)entry D02994)という用語は、ヒトCD20に対するモノクローナル抗体を含有する遺伝子操作されたキメラヒトガンマ1マウス定常ドメインを指す。キメラ抗体は、ヒトガンマ1定常ドメインを含有し、米国特許第5,736,137号において「C2B8」と称される。リツキシマブは、例えば、Rituxan(登録商標)、MabThera(登録商標)、又はZytux(登録商標)として市販されている。本明細書に記載される方法の特定の実施形態では、リツキシマブは、そのバイオシミラーと置き換えられ得る。したがって、「リツキシマブ」という用語は、リツキシマブのバイオシミラーを包含することが意図されていることが理解されよう。
【0070】
CDR、可変領域、又はリツキシマブの重鎖及び軽鎖を有する抗体も「リツキシマブ」という用語に包含される。リツキシマブのバイオシミラーの非限定的な例としては、Truxima(登録商標)(リツキシマブ-abbs)、Ruxience(登録商標)(リツキシマブ-pvvr)及びRixathon(登録商標)が挙げられる。バイオシミラーは、標準的なケア投与量に従って、又はリツキシマブについて指定された標準的なケア投与量と等価な用量で投与され得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「レナリドミド」という用語は、化学式C13H13N3O3及び化学名:3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(Chemical Abstracts Service No.191732-72-6)を有するサリドマイド誘導体を指す。レナリドミドは、例えば、商品名Revlimid(登録商標)で入手可能である。「レナリドミド」という用語はまた、レナリドミドの先発バージョン及び後発バージョン(ジェネリック等価物)、並びに薬学的に許容され得る塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、それらの無水物形態、並びにそれらの任意の多形若しくは非晶質形態、又はそれらの組み合わせを包含することが意図される。
【0072】
「治療」という用語は、濾胞性リンパ腫等の症状又は病状を緩和、改善、停止又は根絶(治癒)する目的での有効量の本明細書に記載の治療活性抗体の投与を指す。治療は、例えば、Lugano基準及び/又はLYRICによって定義されるように、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)又は安定疾患(SD)をもたらし得る。治療は、例えば、疾患進行又は許容できない毒性まで継続され得る。
【0073】
本明細書で使用される場合、「投与する」又は「投与」という用語は、当業者に公知の様々な方法及び送達系のいずれかを使用した、治療薬を含む組成物(又は製剤)の対象への物理的導入を指す。本明細書に記載される抗体に対する好ましい投与経路には、例えば注射又は注入による静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路が含まれる。「非経口投与」という語句は、本明細書で使用される場合、通常は注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内の注射及び注入、並びにin vivo電気穿孔を含むが、これらに限定されない。あるいは、本明細書に記載の治療薬は、非経口経路、例えば局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば鼻腔内、経口、膣内、直腸、舌下又は局所的に投与することができる。投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1つ以上の長期間にわたって行うこともできる。本明細書に記載の方法では、二重特異性抗体(例えば、エプコリタマブ)を皮下投与する。サイトカイン放出症候群予防法及び/又は腫瘍崩壊症候群(TLS)予防等のために二重特異性抗体と組み合わせて使用される他の薬剤は、静脈内又は経口等の他の経路を介して投与され得る。
【0074】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、所望の治療結果を達成するために、必要な投与量及び期間で有効な量を指す。例えば、皮下投与される二重特異性抗体(例えば、エプコリタマブ)について本明細書で定義される投与量(すなわち、24mg又は48mg)は、そのような「有効量」又は「治療有効量」として定義され得る。抗体の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発する抗体の能力等の因子に応じて変動し得る。治療有効量はまた、抗体又は抗体部分の任意の毒性又は有害作用を治療的に有益な作用が上回る量である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で治療された患者は、ECOGパフォーマンスステータスの改善を示す。薬物の治療有効量又は投与量は、「予防有効量」又は「予防有効投与量」を含み、これは、疾患若しくは障害(例えば、サイトカイン放出症候群)を発症するリスクがあるか、又は疾患の再発に罹患するリスクがある対象に単独で又は別の治療薬と組み合わせて投与された場合に、疾患の発症又は再発を阻害する薬物の任意の量である。
【0075】
本明細書で使用される場合、腫瘍の「成長を阻害する」という用語は、腫瘍の成長の任意の測定可能な減少、例えば少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約99%、又は100%の腫瘍の成長の阻害を含む。
【0076】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト患者、例えば濾胞性リンパ腫を有するヒト患者を指す。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0077】
本明細書で使用される場合、「緩衝液」という用語は、薬学的に許容され得る緩衝液を表す。「緩衝液」という用語は、溶液のpH値を例えば許容範囲内に維持する薬剤を包含し、限定するものではないが、酢酸塩、ヒスチジン、TRIS(登録商標)(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、クエン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩等を含む。
【0078】
一般に、本明細書で使用される場合、「緩衝液」は、約5~約6、好ましくは約5.5のpH範囲に適したpKa及び緩衝能力を有する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「疾患進行」又は「PD」は、濾胞性リンパ腫の1つ以上の指数が、治療にもかかわらず疾患が進行していることを示す状況を指す。一実施形態では、疾患進行は、悪性リンパ腫に対するLugano応答基準(「Lugano基準」)及び/又は免疫調節療法に対するリンパ腫応答基準(LYRIC)に基づいて定義される。完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、無奏効/安定(NR.SD)及び進行性疾患(PD)の定義を含むLugano基準/分類系に関する詳細は、Cheson et al.J Clin Oncol 2014;32:3059-68(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)(特に、Cheson et al.,2014の表3を参照)。LYRICに関する詳細を表8に示す。
【0080】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」は、表面への薬物吸着及び/又は凝集を防ぐために医薬製剤に典型的に使用される化合物である。さらに、界面活性剤は、2つの液体間又は液体と固体との間の表面張力(又は界面張力)を低下させる。例えば、例示的な界面活性剤は、非常に低い濃度(例えば、5%w/v以下、例えば3%w/v以下、例えば1%w/v以下、例えば0.4%w/v以下、例えば0.1%w/v未満、例えば0.04%w/v)で存在する場合、表面張力を著しく低下させることができる。界面活性剤は両親媒性であり、これは、界面活性剤が通常、親水性基と疎水性基又は親油性基の両方から構成され、したがって水溶液中でミセル又は同様の自己集合構造を形成することができることを意味する。薬学的に使用するための公知の界面活性剤としては、グリセロールモノオレエート、塩化ベンゼトニウム、ドキュセートナトリウム、リン脂質、ポリエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム及びトリカプリリン(アニオン性界面活性剤);塩化ベンザルコニウム、シトリミド、塩化セチルピリジニウム及びリン脂質(カチオン性界面活性剤);並びにアルファトコフェロール、グリセロールモノオレエート、ミリスチルアルコール、リン脂質、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビンタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート(polyoxyethylene sterarates)、ポリオキシルヒドロキシステアレート、ポリオキシルグリセリド、ポリソルベート、例えばポリソルベート20又はポリソルベート80、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンエステルスクロースパルミテート、スクロースステアレート、トリカプリリン及びTPGS(非イオン性及び両性イオン性界面活性剤)が挙げられる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、薬学的に許容され得る(ヒトへの投与に安全かつ非毒性)、医薬組成物又は医薬製剤の希釈物の調製に有用なものである(「組成物」及び「製剤」という用語は本明細書では互換的に使用される)。好ましくは、組成物のそのような希釈は、抗体濃度のみを希釈し、緩衝液及び安定剤を希釈しない。したがって、一実施形態では、希釈剤は、本発明の医薬組成物中に存在するのと同じ濃度の緩衝液及び安定剤を含有する。更なる例示的な希釈剤には、滅菌水、静菌性注射用水(BWFI)、好ましくは酢酸緩衝液であるpH緩衝液、滅菌生理食塩水、例えば注射用水、リンゲル液又はデキストロース溶液が含まれる。一実施形態では、希釈剤は、酢酸緩衝液及びソルビトールを含むか、又はそれらから本質的になる。
【0082】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の値の10%を超えず10%を下回らない値を指す。
【0083】
濾胞性リンパ腫治療レジメン
本明細書では、CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体(「抗CD3xCD20抗体」)、例えば、ヒトCD3及びヒトCD20に結合する単離された抗CD3xCD20抗体をリツキシマブ及びレナリドミドの標準治療レジメンと組み合わせて使用して、ヒト対象において濾胞性リンパ腫を治療する方法が提供される。本方法はまた、例えば、再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫(R/R濾胞性リンパ腫)を治療するために有用である。本明細書に記載のCD3及びCD20の両方に結合する二重特異性抗体で濾胞性リンパ腫(例えば、R/R濾胞性リンパ腫)を治療する方法は、ヒト対象において濾胞性リンパ腫(例えば、R/R濾胞性リンパ腫)を治療するための二重特異性抗体の対応する使用も包含することが理解される。
【0084】
したがって、一態様では、ヒト対象における濾胞性リンパ腫を治療する方法であって、二重特異性抗体と、有効量のリツキシマブ(例えば、静脈内)及びレナリドミ(例えば経口)とを投与することを含み、二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域が、配列番号6のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域が、配列番号7のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域が、配列番号13のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域が、配列番号14のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量(又は約24mg若しくは約48mgの用量)で投与され、リツキシマブ、レナリドミド及び二重特異性抗体が28日サイクルで投与される、方法が本明細書で提供される。
【0085】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域を有する抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域を有する完全長抗体である。
【0086】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、24mgの用量(又はおよその用量)で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、48mgの用量(又はおよその用量)で投与される。
【0087】
投与される二重特異性抗体の24mg又は48mgの用量(又は約24mg若しくは約48mgの用量)又は任意の他の特定の用量に関して、この量は、完全長抗体を表す二重特異性抗体、例えば実施例のセクションで定義されるエプコリタマブの量を指すと理解される。したがって、24mgの用量の二重特異性抗体を、本明細書に記載される二重特異性抗体の用量の投与として投与することを指し得、その用量は、24mgの用量のエプコリタマブに対応する。当業者は、例えば、使用される抗体の分子量がエプコリタマブ等の全長抗体の分子量と実質的に異なる場合、投与される抗体の量を容易に決定することができる。例えば、抗体の量は、抗体の分子量をエプコリタマブ等の全長抗体の重量で除し、その結果に本明細書に記載の特定の用量を乗じることによって計算することができる。二重特異性抗体(例えば、DuoBody-CD3xCD20の機能的変異体)が、血漿半減期、Fc不活性、及び/又はCD3及びCD20に対する結合特性に関して、すなわちCDR及びエピトープ結合の特徴に関して、DuoBody-CD3xCD20と非常に類似した特徴を有する限り、そのような抗体は、エプコリタマブ等の全長抗体について記載される用量で本明細書に提供される方法における使用に適している。
【0088】
いくつかの実施形態では、上記二重特異性抗体の用量は、28日サイクルで週に1回投与される(毎週の投与)。一実施形態では、24又は48mgの毎週の投与が2.5回の28日サイクル(すなわち、10回)にわたって行われる。一実施形態では、24mg又は48mgの毎週用量が、2.5回の28日サイクルにわたって、サイクル1の15及び22日目、並びにサイクル2及び3の1、8、15及び22日目に投与される。一実施形態では、毎週の投与の後、二重特異性抗体を2週間に1回投与する(隔週の投与)間隔を短縮することができる。一実施形態では、隔週の投与が6回の28日サイクルにわたって行われる。いくつかの実施形態では、隔週の投与後、投与間隔を4週間に1回に減少させることができる。一実施形態では、4週間に1回の投与を、長期間、例えば、28日サイクルの少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクル、少なくとも8サイクル、少なくとも9サイクル、少なくとも10サイクル、少なくとも15サイクル、少なくとも20サイクル、又は1~20サイクルの間、1~15サイクル、1~10サイクル、1~5サイクル、5~20サイクル、5~15サイクル若しくは5~10サイクルにわたって実施することができる。好ましい実施形態では、4週間に1回の投与を少なくとも3回の28日サイクルにわたって行う。一実施形態では、二重特異性抗体は、28日サイクルのうちのサイクル13からの単剤療法(すなわち、リツキシマブ及びレナリドミドなし)として投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、サイクル13から疾患進行(例えば、Lugano基準又はLYRICによって定義される通り)まで単剤療法として投与される。
【0089】
一実施形態では、二重特異性抗体の毎週用量は、サイクル1~3(これは、以下に記載されるように、プライミング及び中間用量を含み得る)で28日サイクルで投与され、二重特異性抗体の隔週用量は、サイクル4~9で投与され、4週間に1回の用量は、サイクル10以降、例えば、サイクル10~15、サイクル10~20、サイクル10~25、サイクル10~30又はそれを超えるサイクルで、例えば、疾患の進行又は許容できない毒性が対象において観察されるまで投与される。
【0090】
本明細書で言及される用量は、例えば、毎週用量、隔週用量、及び/又は4週間ごとの用量が同じレベルで投与される上記のシナリオでは、全用量又は固定用量とも呼ばれ得ることが理解される。したがって、48mgの用量が選択される場合、好ましくは、各毎週の投与、各隔週の投与、及び4週間ごとの各投与において、48mgの同じ用量が投与される。用量を投与する前に、プライミング又はプライミング及びその後の中間(第2のプライミング)用量を投与することができる。これは、本明細書に記載の二重特異性抗CD3xCD20抗体による治療中に起こり得る副作用であるサイトカイン放出症候群(CRS)のリスク及び重症度を軽減するのに役立ち得るため有利であり得る。そのようなプライミング用量、又はプライミング用量及び中間用量は、固定用量又は全用量と比較してより低い用量である。
【0091】
したがって、いくつかの実施形態では、24mg又は48mgの毎週用量を投与する前に、二重特異性抗体のプライミング用量を28日サイクルのサイクル1において投与してもよい。一実施形態では、24mg又は48mgの第1の毎週用量をサイクル1で投与する2週間前に、プライミング用量を投与する。一実施形態では、プライミング用量は0.16mg(又は約0.16mg)の全長二重特異性抗体である。
【0092】
いくつかの実施形態では、プライミング用量を投与した後で、24mg又は48mgの毎週用量を投与する前に、当該二重特異性抗体の中間用量が投与される。一実施形態では、プライミング用量は、中間用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の1日目に)投与され、中間用量は、24mg又は48mgの毎週用量の初回用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の8日目に)投与される。一実施形態では、中間用量は、800μg(0.8mg)又は約800μg(0.8mg)の完全長二重特異性抗体である。
【0093】
本明細書に記載の方法は、濾胞性リンパ腫(例えば、R/R濾胞性リンパ腫)を有するヒト対象を、リツキシマブ及びレナリドミドの標準治療レジメンと組み合わせて、CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体で治療することを伴う。
【0094】
いくつかの実施形態では、リツキシマブ及びレナリドミドは、例えば臨床試験によって支持されているように、ローカルガイドラインに従って、及び/又は関連するローカルラベルに従って、標準治療用量で投与される。
【0095】
いくつかの実施形態では、リツキシマブは、製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2013/103705s5414lbl.pdfで入手可能なRITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)処方情報を参照)に従って投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブのバイオシミラーが、本明細書に記載される方法においてリツキシマブの代わりに使用される。
【0096】
いくつかの実施形態では、レナリドミドは、製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2013/021880s034lbl.pdfで入手可能なREVLIMID(登録商標)の処方情報を参照)に従って投与される。
【0097】
一実施形態では、リツキシマブは、ローカルガイドライン及びローカルラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、375mg/m2の用量(又は約375mg/m2)で投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内投与される。
【0098】
一実施形態では、リツキシマブは、28日サイクルで週に1回投与される(毎週の投与;QW)。一実施形態では、リツキシマブの毎週の投与は、1回の28日サイクルで(すなわち、4回)行われる。一実施形態では、リツキシマブの毎週の投与後、リツキシマブは、28日サイクルで4週間に1回(Q4W)投与される。更なる実施形態では、4週間に1回のリツキシマブの投与は、4回の28日サイクルにわたって行われる(すなわち、4回)。一実施形態では、レナリドミドは、ローカルガイドライン及びローカルラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、レナリドミドは、15mg又は20mgの用量(又は約15mg若しくは約20mgの用量)で投与される。一実施形態では、レナリドミドは、15mgの用量(又は約15mgの用量)で投与される。一実施形態では、レナリドミドは、20mgの用量(又は約20mgの用量)で投与される。一実施形態では、レナリドミドは経口用量として投与される。一実施形態では、レナリドミドは、経口投与用のカプセルとして投与される。
【0099】
一実施形態では、レナリドミドは、28日サイクルで21日間連続して(すなわち、1~21日目)、すなわち28日サイクルの1日目から21日目まで1日1回投与される。
【0100】
一実施形態では、レナリドミドは、12回の28日サイクルで(すなわち、28日サイクルのサイクル1~12の1~21日目に)投与される。一実施形態では、レナリドミドは、28日サイクルのサイクル1の1~21日目に15mgの用量(又は約15mgの用量)で投与される。一実施形態では、レナリドミドは、28日サイクルのサイクル2~12の1~21日目に20mgの用量(又は約20mgの用量)で投与される。好ましい実施形態では、レナリドミドは、28日サイクルのサイクル1の1~21日目に、15mgの用量(又は約15mgの用量)で、及び28日サイクルの2~12日目の1~21日目に20mgの用量(又は約20mgの用量)で投与される。
【0101】
一実施形態では、レナリドミドの用量は、例えば、製品ラベルに明記されているように、標準治療ガイドラインに従って、治療サイクル中に対象がレナリドミド関連毒性(血液学的又は非血液学的)を呈する場合に減少される。いくつかの実施形態では、継続したリツキシマブ+レナリドミド療法が骨髄機能の改善をもたらす場合(すなわち、対象は、少なくとも2回の連続サイクルの間、血液学的毒性及び/又は非血液学的毒性をもはや示さず、対象は、現在の用量レベルでの新たなサイクルの開始時に血小板数≧100×109/LでANC≧1.5×109/Lを有する)、レナリドミドの用量を次に高い用量レベル(開始用量まで、例えば20mg/日)まで再漸増する。
【0102】
特定の実施形態では、二重特異性抗体、リツキシマブ及び/又はレナリドミドは同時に投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブ、レナリドミド、及び二重特異性抗体は同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される。
【0103】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体、リツキシマブ及び/又はレナリドミドは連続的に投与される。例えば、一実施形態では、リツキシマブ又はそのバイオシミラーと二重特異性抗体とが同じ日(例えば、28日サイクルのサイクル1の1、8、15、及び22日目、並びに28日サイクルのサイクル2~5の1日目)に投与される場合、リツキシマブは二重特異性抗体の前に投与される。いくつかの実施形態では、レナリドミド及び二重特異性抗体が同じ日(例えば、28日サイクルのサイクル1~3の1、8、15、及び22日目、28日サイクルのサイクル4~9の1及び15日目、並びに28日サイクルのサイクル10~12の1日目)に投与される場合、レナリドミドは二重特異性抗体の前に投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブ及びレナリドミドが同日に投与される場合(例えば、28日サイクルのサイクル1の1、8、及び15日目、並びに28日サイクルのサイクル2~5の1日目)、リツキシマブはレナリドミドの前に投与される。更なる実施形態では、リツキシマブ、レナリドミド、及び二重特異性抗体を同日に投与する場合(例えば、28日サイクルのサイクル1の1、8、及び15日目、並びに28日サイクルのサイクル2~5の1~5日目)、リツキシマブが最初に投与され、レナリドミドが2番目に投与され、二重特異性抗体が最後に投与される。いくつかの実施形態では、同じ日に投与される場合、(a)リツキシマブが二重特異性抗体の前に投与される(例えば、サイクル1の1、8、15、及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目);(b)レナリドミドが二重特異性抗体の前に投与される(例えば、サイクル1~3の1、8、15、及び22日目、サイクル4~9の1及び15日目、並びにサイクル10~12の1日目);(c)レナリドミドがリツキシマブの前に投与される(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目);又は(d)レナリドミドが最初に投与され、リツキシマブが2番目に投与され、二重特異性抗体が最後に投与される(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)。
【0104】
いくつかの実施形態では、対象には、リツキシマブ、レナリドミド及び二重特異性抗体の投与の前にCRSのための前投薬及び/又は予防法が投与される。
【0105】
いくつかの実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、レナリドミド(例えば、経口)、及び二重特異性抗体(例えば、皮下)が28日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に24mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは(例えば、サイクル10~15、サイクル10~20、サイクル10~25、サイクル10~30、又はそれ以上のサイクルでは)、1日目に24mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される。
【0106】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、レナリドミド(例えば、経口)、及び二重特異性抗体(例えば、皮下)が28日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に48mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは(例えば、サイクル10~15、サイクル10~20、サイクル10~25、サイクル10~30、又はそれ以上のサイクルでは)、1日目に48mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される。
【0107】
いくつかの実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、レナリドミド(例えば、経口)、及び二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が28日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブが、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に24mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは(例えば、サイクル10~15、サイクル10~20、サイクル10~25、サイクル10~30、又はそれ以上のサイクルでは)、1日目に24mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される。
【0108】
いくつかの実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、レナリドミド(例えば、経口)、及び二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が28日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブが、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に48mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは(例えば、サイクル10~15、サイクル10~20、サイクル10~25、サイクル10~30、又はそれ以上のサイクルでは)、1日目に48mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される。
【0109】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、レナリドミド(例えば、経口)、及び二重特異性抗体(例えば、皮下)が28日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に24mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは(例えば、サイクル10~15、サイクル10~20、サイクル10~25、サイクル10~30、又はそれ以上のサイクルでは)、1日目に24mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に375mg/m2又はその等価な用量で投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目にサイクル1では15mgの用量及びサイクル2~12では20mgの用量で投与される。
【0110】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、レナリドミド(例えば、経口)、及び二重特異性抗体(例えば、皮下)が28日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に48mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは(例えば、サイクル10~15、サイクル10~20、サイクル10~25、サイクル10~30、又はそれ以上のサイクルでは)、1日目に48mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に375mg/m2又はその等価な用量で投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目にサイクル1では15mgの用量及びサイクル2~12では20mgの用量で投与される。
【0111】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、レナリドミド(例えば、経口)、及び二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が28日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブが、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に24mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは(例えば、サイクル10~15、サイクル10~20、サイクル10~25、サイクル10~30、又はそれ以上のサイクルでは)、1日目に24mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に375mg/m2又はその等価な用量で投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目にサイクル1では15mgの用量及びサイクル2~12では20mgの用量で投与される。
【0112】
一実施形態では、リツキシマブ(例えば、静脈内)、レナリドミド(例えば、経口)、及び二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が28日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブが、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に48mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは(例えば、サイクル10~15、サイクル10~20、サイクル10~25、サイクル10~30、又はそれ以上のサイクルでは)、1日目に48mgの用量が投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に375mg/m2又はその等価な用量で投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目にサイクル1では15mgの用量及びサイクル2~12では20mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、血栓症のリスクがあると考えられる対象に、低用量アスピリン(例えば、毎日70~100mg)などの予防的抗血栓治療が投与される。特定の実施形態では、深部静脈血栓症(DVT)又は肺塞栓症(PE)の以前の病歴を有する対象に抗凝固療法を投与する。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法による治療を受けている対象は、組織学的に確認されたCD20+濾胞性リンパ腫を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、対象は再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫を有する。いくつかの実施形態では、対象はグレード1、2又は3aの再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫を有する。いくつかの実施形態では、対象はステージII、III、又はIVの再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫を有する。
【0115】
別の治療では、対象は、本明細書に記載される方法で治療される前に、少なくとも1つの治療ラインを受けたことがある。例えば、一実施形態では、対象は、本明細書に記載される方法により治療される前に、少なくとも1つの以前の抗新生物剤により事前に治療されたことがある。いくつかの実施形態では、抗新生物剤は抗CD20抗体を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、対象は、0、1又は2の米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータス(ECOG PS)を有する。ECOG PSスコアに関する情報は、例えば、Oken et al,Am J Clin Oncol 1982 Dec;5(6):649-55)に見出される。
【0117】
いくつかの実施形態では、対象が、(a)CT又はMRI上で1つ以上の測定可能なリンパ節病変(長軸>1.5cm及び短軸>1.0cm)又は1つ以上の測定可能なリンパ節外病変(長軸>1cm)として定義される測定可能な疾患を有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、対象は、(a)ANC≧1.0×109/L、(b)血小板数>75×109/L、又は骨髄浸潤若しくは脾腫の場合は≧50×109/L、(c)ALTレベルがULNの2.5以下、(d)総ビリルビンレベル≦2×ULN、(e)eGFR>50mL/分(Cockcroft-Gault式による)、及び(f)PT、INR、及びaPTTがULNの1.5倍以下(抗凝固薬を投与していない場合)として定義される許容可能な臓器機能を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、対象は、抗CD20抗体療法に対する重度のアレルギー反応若しくはアナフィラキシー反応、又は二重特異性抗体の任意の成分若しくは賦形剤に対する既知のアレルギー若しくは不耐性を有しない。
【0120】
いくつかの実施形態では、対象は、(a)二重特異性抗体の初回投与前1年以内の心筋梗塞、又は心機能(例えば、不安定狭心症、うっ血性心不全、NYHAクラスIII~IV)、心不整脈(CTCAEバージョン4グレード2以上)若しくは臨床的に有意なECG異常に関連する若しくは影響する不安定な若しくは制御されていない疾患/状態、及び/又は(b)ベースラインQTcF>470msecを示す12誘導ECGを含む、臨床的に有意な心疾患を有しない。
【0121】
本明細書に記載される治療を受けるヒト対象は、実施例3に記載される1つ以上の選択基準を有するか、又は実施例3に記載される1つ以上の除外基準を有さない患者であり得る。
【0122】
本明細書に記載の方法は、再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫等の濾胞性リンパ腫を治療するのに有利である。治療は、例えば、本明細書に記載の治療レジメンを使用して継続的に維持される。しかしながら、進行性疾患が発症するか又は許容できない毒性が生じると、治療を終了することができる。
【0123】
本明細書に記載される方法を使用する治療に対する濾胞性リンパ腫を有する対象の応答は、実施例3に記載されるように、悪性リンパ腫に対するLugano応答基準(本明細書では「Lugano基準」とも呼ばれる)及び/又は免疫調節療法に対するリンパ腫応答基準(本明細書では「LYRIC」とも呼ばれる)に従って評定される場合がある。一実施形態では、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)及び安定疾患(SD)が、Lugano基準を使用して評定される。いくつかの実施形態では、Lugano基準に従って、進行性疾患(PD)とも呼ばれる疾患進行を示す患者を、LYRICに従って更に評価する。完全奏効、部分奏効、無奏効/安定疾患及び進行性疾患の定義を含むLugano基準/分類系に関する詳細は、Cheson et al.J Clin Oncol 2014;32:3059-68(特に、Cheson et al.,2014の表3を参照)に提供される。LYRICに関する詳細を表8に示す。
【0124】
いくつかの実施形態では、対象は、例えば、Lugano基準及び/又はLYRICによって定義されるような疾患進行(PD)を示すまで、本明細書に記載される方法で治療される。一実施形態では、対象は、Lugano基準とLYRICの両方によって定義される疾患進行(PD)を示すまで、本明細書に記載の方法で治療される。
【0125】
本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、好ましくは、濾胞性リンパ腫の少なくとも1つの徴候の改善を経験する。一実施形態では、改善は、測定可能な腫瘍病変の量及び/又はサイズの減少によって測定される。いくつかの実施形態では、病変は、CT、PET-CT又はMRIフィルムで測定することができる。いくつかの実施形態では、細胞学又は組織学を使用して、治療に対する応答性を評価することができる。いくつかの実施形態では、骨髄穿刺及び骨髄生検が、治療に対する応答を評価するために使用され得る。
【0126】
一実施形態では、治療される対象は、Lugano基準又はLYRIC(例えば、表8を参照)によって定義されるような完全奏効(CR)、部分奏効(PR)又は安定疾患(SD)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、別の療法又はプラセボと比較すると、長期生存(例えば、無増悪生存又は全生存)から選択される少なくとも1つの治療効果をもたらす。
【0127】
サイトカイン放出症候群(CRS)は、CD3を係合すること等による免疫エフェクター細胞の活性化によって機能する免疫細胞及び二重特異性抗体に基づくアプローチを利用する方法がヒト対象において使用される場合に起こり得る(Lee et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2019;25:625-38、これは参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、いくつかの実施形態では、CRS緩和は、本明細書に記載の方法と共に実施される。CRS緩和の一部として、プライミング用量及び/又は中間用量の選択は、本明細書に記載されるように、全用量(例えば、24又は48mg)を投与する前に行われる。CRSは、標準的な慣行に従って分類することができる(例えば、Lee et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2019;25:625-38に概説され、これは参照により本明細書に組み込まれる)。CRSは、発熱、悪心、嘔吐及び悪寒等の有害作用をもたらし得るサイトカイン、例えば炎症促進性サイトカイン、例えばIL-6、TNF-α又はIL-8の過剰放出を含み得る。したがって、エプコリタマブ等の二重特異性抗体の独特の抗腫瘍活性にもかかわらず、それらの免疫学的作用様式は、望ましくない「副」作用、すなわち望ましくない炎症反応の誘導を誘発し得る。したがって、患者は、起こり得るCRS症状を緩和するために、例えば鎮痛薬、解熱薬、及び/又は抗炎症薬による同時治療、予防法、及び/又は前投薬に更に供され得る。
【0128】
したがって、一実施形態では、本明細書に記載される方法におけるヒト対象は、CRSに対する予防法によって治療される。好ましい実施形態では、予防法は、対象へのコルチコステロイドの投与を含む。一実施形態では、予防法(例えば、コルチコステロイド)は、二重特異性抗体と同じ日に投与される。予防法(例えば、コルチコステロイド)もまた、その後の日に投与することができる。いくつかの実施形態では、プロフィラキシクス(例えば、コルチコステロイド)は、その後の2、3、及び4日目に更に投与される。予防法等の更なる薬物療法に関連する場合、2日目、3日目及び4日目は、1日目に投与される二重特異性抗体の投与に関連することが理解される。例えば、あるサイクルにおいて抗体を15日目に投与し、予防法も投与する場合、2、3及び4日目に対応する予防法は、そのサイクルの16、17及び18日目である。いくつかの実施形態では、予防法は、二重特異性抗体が投与される日及びその後の2~4日目に投与される。当該予防法が二重特異性抗体と同じ日に投与される場合、予防法は、好ましくは二重特異性抗体の当該投与の30~120分前に投与される。本明細書に記載される方法及び使用における使用に適した例示的なコルチコステロイドは、プレドニゾロンである。したがって、好ましい実施形態では、コルチコステロイドはプレドニゾンである。いくつかの実施形態では、プレドニゾロンは、経口用量を含めて100mg又はそれと等価な静脈内用量で投与される。CRS予防法に使用することができるプレドニゾロンの例示的なコルチコステロイド等価物を、投与相当量と共に表5に示す。
【0129】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法におけるヒト対象は、注射に対する反応を低減させるために前投薬で治療される。一実施形態では、前投薬は抗ヒスタミン薬の投与を含む。いくつかの実施形態では、前投薬は、解熱薬の投与を含む。更なる実施形態では、前投薬は、抗ヒスタミン薬及び解熱薬の全身投与を含む。
【0130】
前投薬における使用に適した例示的な抗ヒスタミン剤は、ジフェンヒドラミンである。
【0131】
したがって、一実施形態では、前投薬に使用するための抗ヒスタミン剤は、ジフェンヒドラミンである。一実施形態では、ジフェンヒドラミンは、50mg又はその等価物の静脈内又は経口用量で投与される。前投薬における使用に適した例示的な解熱薬は、アセトアミノフェンである。したがって、一実施形態では、前投薬において使用するための解熱剤は、アセトアミノフェンである。1つの実施形態では、アセトアミノフェンは、650~1000mg又はその等価物の経口用量で投与される。いくつかの実施形態では、前投薬は、二重特異性抗体による注射の前に、例えば、二重特異性抗体の投与の30~120分前に、例えば二重特異性抗体と同じ日に投与される。いくつかの実施形態では、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)は、二重特異性抗体と同じ日に、例えば二重特異性抗体を注射する前に、例えば二重特異性抗体を50mgの静脈内又は経口用量で投与する30~120分前に投与される。いくつかの実施形態では、解熱薬(例えば、アセトアミノフェン)は、二重特異性抗体と同じ日に、例えば、二重特異性抗体を注射する前に、例えば、二重特異性抗体を650~1000mgの経口用量で投与する30~120分前に投与される。いくつかの実施形態では、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)及び解熱薬(例えば、アセトアミノフェン)は、二重特異性抗体と同じ日に、例えば、二重特異性抗体を注射する前に、例えば、二重特異性抗体を50mg(又は約50mg)の静脈内用量又は経口用量、及び650~1000mg(又は約650~1000mg)の経口用量でそれぞれ投与する30~120分前に投与される。
【0132】
CRSの前投薬及び/又は予防法は、少なくとも治療の初期段階で投与することができる。いくつかの実施形態では、前投薬及び/又は予防法は、二重特異性抗体の最初の4回の投与の間に投与される。例えば、予防法は、二重特異性抗体投与の第1の28日サイクルの間に、本明細書に記載されるように投与され得る。いくつかの実施形態では、前投薬は当該第1のサイクルの間に投与される。
【0133】
通常、初期治療中の反応のリスクは、数回の投与後、例えば最初の4回の投与後(第1のサイクル)に低下する。したがって、ヒト対象が第4の投与でCRSを経験していない場合、CRSの予防法を中止することができる。したがって、いくつかの実施形態では、前投薬及び/又は予防法は、21日サイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される。いくつかの実施形態では、前投薬は、21日間のサイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される。いくつかの実施形態では、予防法は、21日サイクルのサイクル1及びサイクル2の開始時に投与される。しかしながら、CRS予防法は、特にヒト対象がグレード1を超えるCRSを経験する場合、継続し得る。同様に、前投薬も継続してもよい。CRSのグレード分類は、表6及び表7に記載のように行うことができる。
【0134】
更なる実施形態では、本明細書に記載される方法では、予防法は、21日サイクルのサイクル2での二重特異性抗体の第1の投与の後で対象がグレード1超のCRSを経験するとき、21日サイクルのサイクル2の間の二重特異性抗体の2回目及び3回目の投与の間に投与され、すなわち、CRSのための予防法は、サイクル1における二重特異性抗体の第1の投与(すなわち、第4の投与)の後でヒト対象がグレード1超のCRSを経験するとき、2回目の28日サイクルの間に投与される。さらに、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において、ヒト対象がグレード1を超えるCRSを経験する場合、その後のサイクル中に予防法を継続することができる。したがって、いくつかの実施形態では、予防法は、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において対象がグレード1を超えるCRSを経験するとき、後続のサイクルにおいて継続される。前投薬が、第2のサイクル(すなわち、サイクル2)の間に投与されてもよい。更なる前投薬は、必要に応じて、後続のサイクル中に投与されてもよい。
【0135】
一実施形態では、抗ヒスタミン薬、例えばジフェンヒドラミン(例えば、50mgの静脈内若しくは経口用量、又はその等価物)、解熱剤、例えばアセトアミノフェン(例えば、650~1000mgの経口用量、又はその等価物)及びコルチコステロイド、例えばプレドニゾロン(例えば、100mgの静脈内用量、又はその等価物)を含むCRSの前投薬及び予防法が投与される。いくつかの実施形態では、前投薬及び予防法は、二重特異性抗体の投与の30~120分前に投与される。その後の2日目、3日目及び4日目に、プレドニゾロン(例えば、100mg又はその等価物の静脈内用量で)等のコルチコステロイドの全身投与を含む更なる予防法が投与されてもよい。いくつかの実施形態では、前投薬スケジュール及び予防法スケジュールは、好ましくは、二重特異性抗体の最初の4回の投与の間、例えば、本明細書に記載される二重特異性抗体投与の第1の28日間のサイクルの間に投与される。さらに、後続のサイクルは、例えば、前のサイクルの最後の投与中に発生するグレード1を超えるCRSの場合、同じ投与スケジュールを含むことができ、投与スケジュールの一部としての前投薬は任意である。
【0136】
本明細書に記載の用量及び治療レジメンを使用した濾胞性リンパ腫を有するヒト対象の治療中、CRSは十分に管理され、同時に濾胞性リンパ腫を効果的に制御及び/又は治療することができる。実施例に記載されるように、本明細書に記載される方法で治療される対象は、管理可能なCRSを経験し得る。場合によっては、本明細書に記載される治療を受けている対象は、標準的な慣例に従って定義されるグレード1のCRSを発症し得る。
【0137】
他の場合では、対象は、標準的な慣例に従って定義されるグレード2の管理可能なCRSを発症し得る。したがって、本明細書に記載の治療を受けている対象は、標準的な慣例に従って定義されるように、グレード1又はグレード2の管理可能なCRSを有し得る。CRSの標準的な分類によれば、グレード1のCRSには、少なくとも38℃までの発熱、低血圧なし、低酸素症なしが含まれ、グレード2のCRSには、少なくとも38℃までの発熱に加えて、昇圧剤を必要としない低血圧及び/又は低流量鼻カニューレ若しくはブローバイによる酸素を必要とする低酸素症が含まれる。そのような管理可能なCRSは、サイクル1中に起こり得る。本明細書に記載の治療を受けているヒト対象はまた、標準的な慣例に従って定義される治療中にグレード2を超えるCRSを有し得る。したがって、本明細書に記載される治療を受けるヒト対象はまた、標準的な慣例に従って定義されるように、当該治療の期間中にグレード3のCRSを有し得る。そのような管理可能なCRSは、サイクル1及び後続のサイクル中に更に発生し得る。
【0138】
本明細書に記載される方法に従って治療されるヒト対象はまた、発熱、疲労及び注射部位反応を経験し得る。それらはまた、神経毒性、部分発作、CRSに関連する失書症、又はCRSに関連する錯乱状態を経験し得る。
【0139】
上述のように、対象は、CRS予防法を受けたにもかかわらず、本明細書に記載の方法による治療中にCRSを発症し得る。CRSグレード分類基準を表6及び7に記載する。
【0140】
好ましい実施形態では、グレード1のCRSを発症する対象は、感染症を呈する場合、抗生物質で治療され、すなわち対象がグレード1のCRSを発症する場合、対象は抗生物質を投与される。いくつかの実施形態では、抗生物質は、好中球減少症(存在する場合)が解消するまで継続される。いくつかの実施形態では、全身症状を示すグレード1のCRSを有する対象をNSAIDで治療する。
【0141】
いくつかの実施形態では、グレード2のCRSを発症する対象を、静脈内輸液ボーラス及び/又は酸素補給で治療する。いくつかの実施形態では、グレード2のCRSを発症する対象は、昇圧剤(例えば、ノルエピネフリン)で治療される。いくつかの実施形態では、併存疾患を有するグレード2のCRSを有する対象は、トシリズマブ(例えばACTEMRA(登録商標)として市販されているIL-6受容体に対するヒト化抗体)で治療される。いくつかの実施形態では、グレード2のCRSを有する対象は、トシリズマブ及び/又はステロイドで治療される。いくつかの実施形態では、ステロイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態では、ステロイドはメチルプレドニゾロンである。
【0142】
更なる実施形態では、同時ICANSを呈する対象にデキサメタゾンを投与する。なお更なる実施形態では、対象が例えば6時間以内にCRS症状の改善を示さない場合、又は対象が初期改善後に悪化し始めた場合、トシリズマブの第2の用量がコルチコステロイドの用量と一緒に投与される。いくつかの実施形態では、対象が3回の投与後にトシリズマブに対して難治性である場合、追加のサイトカイン療法、例えば抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)又はIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)が対象に投与される。
【0143】
一実施形態では、グレード3のCRSを発症する対象は、昇圧剤(例えば、ノルエピネフリン)支持及び/又は酸素補給で治療される。いくつかの実施形態では、グレード3のCRSを有する対象はトシリズマブで治療される。いくつかの実施形態では、グレード3のCRSを有する対象は、ステロイドと組み合わせたトシリズマブ(例えば、デキサメタゾン又はメチルプレドニゾロンのその等価物)で治療される。いくつかの実施形態では、同時ICANSを呈する対象にデキサメタゾンを投与する。更なる実施形態では、対象が3回の投与後にトシリズマブに対して難治性である場合、追加のサイトカイン療法、例えば抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)又はIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)が対象に投与される。
【0144】
一実施形態では、グレード4のCRSを発症する対象は、昇圧剤(例えば、ノルエピネフリン)支持及び/又は酸素補給で(例えば、陽圧換気、例えばCPAP、BiPAP、挿管、又は機械的人工呼吸を介して)治療される。いくつかの実施形態では、グレード4のCRSを発症する対象は、少なくとも2つの昇圧剤を投与される。いくつかの実施形態では、グレード4のCRSを発症する対象には、トシリズマブ及びステロイド(例えば、デキサメタゾン又はメチルプレドニゾロンの等価物)が投与される。更なる実施形態では、同時ICANSを呈する対象にデキサメタゾンを投与する。対象が3回の投与後にトシリズマブに対して難治性である場合、追加のサイトカイン療法、例えば抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)又はIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)が対象に投与される。
【0145】
いくつかの実施形態では、対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブはIL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)に切り替えられる。いくつかの実施形態では、対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブはIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)に切り替えられる。
【0146】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、腫瘍崩壊症候群(TLS)の予防的処置を受け、すなわち対象は、TLSの予防法で治療される。腫瘍崩壊症候群の分類及びグレード分類は、当技術分野で公知の方法、例えば、Howard et al.N Engl J Med 2011;364:1844-54、及びCoiffier et al.,J Clin Oncol 2008;26:2767-78。いくつかの実施形態では、TLSの予防法(予防的処置)は、二重特異性抗体を投与する前に、1つ以上の尿酸還元剤を投与することを含む。例示的な尿酸還元剤としては、ラスブリカーゼ及びアロプリノールが挙げられる。したがって、一実施形態では、TLSの予防的処置は、ラスブリカーゼを投与することを含む。いくつかの実施形態では、TLSの予防的処置は、アロプリノールを投与することを含む。いくつかの実施形態では、TLSの予防的処置は、二重特異性抗体を投与する前にアロプリノール及びアロプリノールを投与することを含む。別の実施形態では、対象がTLSの徴候を示す場合、ラスブリカーゼ等の支持療法が使用され得る。
【0147】
本明細書に記載の方法に従ってリツキシマブを投与されている対象は、支持療法で治療することができる。一実施形態では、支持療法としては、限定されないが、(a)アセトアミノフェン(例えば、経口で650mg)、ジフェンヒドラミン(例えば、静脈内又は経口で50~100mg)及びステロイドによる前投薬、例えば、各リツキシマブ注入を開始する30~60分前の投薬、(b)ニューモシスチス・カリニ(pneumocystis carinii)肺炎の予防的処置、(c)標準ローカルプラクティス(例えば、メトトレキサート)によるCNS予防法、(d)治療を開始してから5年以内に深部静脈血栓症(DVT)又は肺塞栓症(PE)の既往歴がなく、血栓症の標準的なリスクがあると考えられる対象のための低用量アスピリン(例えば、毎日70~100mg)又は別の予防的抗血栓療法、及び/又は(e)治療を開始してから5年以内にDVT又はPEの既往歴を有する対象のための抗凝固療法が挙げられるが。
【0148】
一実施形態では、本明細書に記載される方法において使用される二重特異性抗体は皮下投与され、したがって、皮下(s.c.)投与に適合性である、すなわち、本明細書に記載される用量で、薬学的に許容され得るs.c.投与を可能にする可能にする配合及び/又は濃度を有するように医薬組成物に製剤化される。いくつかの実施形態では、皮下投与は、注射によって行われる。例えば、皮下製剤と適合性であり、本明細書に記載される方法において使用され得るDuobody-CD3xCD20のための製剤は、以前に記載されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019155008号を参照)。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、酢酸ナトリウム三水和物、酢酸、水酸化ナトリウム、ソルビトール、ポリソルベート80及び注射用水を用いて製剤化され得、5.5又は約5.5のpHを有し得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、5mg/mL又は60mg/mLの濃縮物として提供される。他の実施形態では、二重特異性抗体の所望の用量は、皮下注射のために約1mLの量に再構成される。
【0149】
一実施形態では、二重特異性抗体に適した医薬組成物は、二重特異性抗体、20~40mM酢酸塩、140~160mMソルビトール、及び界面活性剤、例えばポリソルベート80を含み得、pHは5.3~5.6である。別の実施形態では、医薬製剤は、5~100mg/mL、例えば48又は60mg/mLの二重特異性抗体、30mM酢酸塩、150mMソルビトール、0.04%w/vポリソルベート80の範囲の抗体濃度を含み得、5.5のpHを有し得る。そのような製剤は、適切な投薬及び皮下投与を可能にするために、例えば製剤緩衝液で希釈され得る。
【0150】
医薬組成物の量は、抗体の皮下投与を可能にするように適切に選択される。例えば、投与される量は、約0.3mL~約3mL、例えば0.3mL~3mLの範囲である。投与される量は、0.5mL、0.8mL、1mL、1.2mL、1.5mL、1.7mL、2mL若しくは2.5mL、又は約0.5mL、約0.8mL、約1mL、約1.2mL、約1.5mL、約1.7mL、約2mL若しくは約2.5mLであり得る。したがって、一実施形態では、投与される量は、0.5mL又は約0.5mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、0.8mL又は約0.8mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、1mL又は約1mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、1.2mL又は約1.2mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、1.5mL又は約1.5mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、1.7mL又は約1.7mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、2mL又は約2mLである。いくつかの実施形態では、投与される量は、2.5mL又は約2.5mLである。
【0151】
一実施形態では、リツキシマブは、例えば、地域のガイドライン又は地域の製品ラベルによって指定されるように、地域の標準治療の慣例に従って、投与(例えば、静脈内投与)のための薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物に製剤化される。例えば、いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内投与のための滅菌された無色透明の保存剤を含まない液体濃縮物として提供される。一実施形態では、リツキシマブは、100mg/10mL又は500mg/50mLのいずれかの単回使用バイアルにおいて10mg/mLの濃度で供給される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、注射用に、ポリソルベート80(0.7mg/mL)、クエン酸ナトリウム二水和物(7.35mg/mL)、塩化ナトリウム(9mg/mL)及び水に、pH6.5で製剤化される。
【0152】
一実施形態では、レナリドミドは、例えば、地域のガイドライン又は地域の製品ラベルによって指定されるように、例えば地域の標準治療の慣例に従って、投与(例えば、経口投与)に適した薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物に製剤化される。いくつかの実施形態では、レナリドミドは、経口剤形、例えばカプセルで製剤化される。いくつかの実施形態では、レナリドミドは、レナリドミド、無水ラクトース、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを含むカプセルとして製剤化される。
【0153】
一実施形態では、本明細書に記載される方法において使用される二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域は、配列番号6のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号7のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域は、配列番号13のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号14のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームとを含む。
【0154】
CDR1、CDR2及びCDR3領域は、当技術分野で公知の方法を使用して可変重鎖及び軽鎖領域から同定することができる。当該可変重鎖領域及び可変軽鎖領域からのCDR領域は、IMGT(Lefranc et al.,Nucleic Acids Research 1999;27:209-12,1999]及びBrochet.Nucl Acids Res 2008;36:W503-8を参照)に従って注釈を付けることができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、それぞれ配列番号1、2、及び3に示されるアミノ酸配列VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列番号GTN、及び5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3とを含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列番号DAS及び12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームとを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームとを含む。
【0157】
一実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は不活性Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体であり、不活性Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、CD3に対する第1の結合アームは、ヒト化抗体、例えば参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015001085号に記載されているH1L1等の完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来し、及び/又はCD20に対する第2の結合アームは、ヒト抗体、例えば参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004035607号に記載されているクローン7D8等の完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する。二重特異性抗体は、二種類の半分子抗体から産生することができ、二種類の半分子抗体の各々は、例えば、配列番号24及び25、並びに配列番号26及び27に示されるそれぞれの第1及び第2の結合アームを含む。半抗体は、CHO細胞において産生され得、二重特異性抗体は、例えばFabアーム交換によって生成され得る。一実施形態では、二重特異性抗体は、DuoBody-CD3xCD20の機能的変異体である。
【0158】
したがって、いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号6と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVH領域、又は配列番号6のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVH領域と、配列番号7と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVL領域、又は配列番号7のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVL領域とを含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号13と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVH領域、又は配列番号13のアミノ酸配列を含むが1、2、若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVH領域と、配列番号14と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVL領域、又は配列番号14のアミノ酸配列を含むが1、2、若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVL領域とを含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0159】
一実施形態では、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH領域及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号24と少なくとも85%、90%、95%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号24のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する重鎖と、配列番号25と少なくとも85%、90%、95%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する軽鎖領域とを含む、第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号26と少なくとも85%、90%、95%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号26のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する重鎖と、配列番号27と少なくとも85%、90%、95%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号27のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する軽鎖とを含む、第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0161】
二重特異性抗体には、様々な定常領域又はその変異体が使用され得る。一実施形態では、抗体は、IgG定常領域、例えばヒトIgG1定常領域、例えば配列番号15で定義されるヒトIgG1定常領域、又は任意の他の適切なIgG1アロタイプを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である。
【0162】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の結合アームは、ヒト化抗体、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する。一実施形態では、二重特異性抗体の第1の結合アームは、ヒト化抗体、例えば完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来し、したがってλ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、第1の結合アームは、配列番号22に定義されるλ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第2の結合アームはヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第2の結合アームは、ヒト抗体、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来し、したがってκ軽鎖定常領域を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の結合アームは、配列番号23に定義されるκ軽鎖定常領域を含む。好ましい実施形態では、第1の結合アームは、配列番号22に定義されるλ軽鎖定常領域を含み、第2の結合アームは、配列番号23に定義されるκ軽鎖定常領域を含む。
【0163】
二重特異性抗体の定常領域部分は、二重特異性抗体の効率的な形成/産生を可能にする及び/又は不活性Fc領域を提供する修飾を含み得ることが理解される。そのような修飾は当技術分野で周知である。
【0164】
二重特異性抗体の異なるフォーマットが当技術分野で公知である(Kontermann,Drug Discov Today 2015;20:838-47;MAbs,2012;4:182-97による総説)。したがって、本明細書に記載される方法及び使用において使用される二重特異性抗体は、いかなる特定の二重特異性フォーマット又はその作製方法にも限定されない。例えば、二重特異性抗体には、ヘテロ二量体化を強制する相補的CH3ドメインを有する二重特異性抗体、ノブ-イントゥ・ホール分子(Genentech、国際公開第9850431号)、CrossMAb(Roche、国際公開第2011117329号)、又は静電的にマッチさせた分子(Amgen、欧州特許第1870459号及び国際公開第2009089004号;Chugai、米国特許出願公開第201000155133号;Oncomed、国際公開第2010129304号)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0165】
好ましくは、二重特異性抗体は、第1のCH3領域を含む第1のFc配列を有する第1の重鎖と、第2のCH3領域を含む第2のFc配列を有する第2の重鎖とを含むFc領域を含み、第1及び第2のCH3領域の配列は異なり、当該第1及び第2のCH3領域間のヘテロ二量体相互作用が当該第1及び第2のCH3領域のホモ二量体相互作用のそれぞれよりも強いものである。これらの相互作用及びそれらがどのようにして達成され得るかに関する更なる詳細は、例えば、国際公開第2011131746号及び国際公開第2013060867号(Genmab)に提供されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、二重特異性抗体は、第1の重鎖において(i)配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置にアミノ酸Lを含み、第2の重鎖において配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置にアミノ酸Rを含み、又はその逆も含む。
【0166】
二重特異性抗体は、Fc領域を不活性又は非活性化にするためのFc領域中の修飾を含み得る。したがって、本明細書に開示される二重特異性抗体において、一方又は両方の重鎖は、抗体がFc媒介エフェクター機能を、修飾を有さない二重特異性抗体と比較してより少ない程度で誘導するように修飾され得る。Fc媒介エフェクター機能は、T細胞上のFc媒介性CD69発現(すなわち、CD3抗体媒介Fcγ受容体依存性CD3架橋の結果としてのCD69発現)を決定することによって、Fcγ受容体に結合することによって、C1qに結合することによって、又はFcγRのFc媒介性架橋の誘導によって測定することができる。特に、重鎖定常領域配列は、Fc媒介CD69発現が、野生型(非修飾)抗体と比較した場合、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%又は100%低下するように修飾されていてもよく、当該Fc媒介CD69発現は、例えば国際公開第2015001085号の実施例3に記載されているようなPBMCベースの機能アッセイで決定される。重鎖定常領域配列及び軽鎖定常領域配列の改変はまた、当該抗体へのC1qの結合の減少をもたらし得る。未修飾抗体と比較して、減少は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%であり得、C1q結合は、例えばELISAによって決定され得る。さらに、抗体が未修飾抗体と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%又は100%低下したFc媒介性T細胞増殖を媒介するように修飾され得るFc領域であって、当該T細胞増殖はPBMCベースの機能アッセイで測定される、Fc領域。例えばIgG1アイソタイプ抗体において修飾され得るアミノ酸位置の例としては、位置L234及びL235が挙げられる。したがって、一実施形態では、二重特異性抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖を含み得、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、EuナンバリングによるヒトIgG1重鎖の位置L234及びL235に対応する位置のアミノ酸残基は、それぞれF及びEである。さらに、D265Aアミノ酸置換は、全てのFcγ受容体への結合を減少させ、ADCCを防ぐことができる(Shields et al.,JBC 2001;276:6591-604)。したがって、二重特異性抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖を含み得、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、EuナンバリングによるヒトIgG1重鎖の位置D265に対応する位置のアミノ酸残基はAである。
【0167】
一実施形態では、二重特異性抗体の第1の重鎖及び第2の重鎖において、ヒトIgG1重鎖のL234、L235及びD265位に相当する位置のアミノ酸は、それぞれF、E及びAである。これらのアミノ酸をこれらの位置に有する抗体は、不活性なFc領域又は非活性なFc領域を有する抗体の一例である。
【0168】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸はそれぞれF、E及びAである。
【0169】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであるか、又はその逆である。好ましい実施形態では、二重特異性抗体は第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、(i)第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸はそれぞれF、E及びAであり、(ii)第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであるか、又はその逆である。
【0170】
本明細書に記載される二重特異性抗体に関して、3つのアミノ酸置換L234F、L235E及びD265Aの組み合わせを有し、加えて、上記で記載されるようなK409R又はF405L変異を有するものは、それぞれ接尾辞「FEAR」又は「FEAL」で示される場合がある。
【0171】
野生型IgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号15として同定され得る。上に開示される実施形態と一致して、二重特異性抗体は、F405L置換を担持するIgG1重鎖定常領域を含み得、配列番号17に示されるアミノ酸配列及び/又はK409R置換を担持するIgG1重鎖定常領域を有し得、配列番号18に示されるアミノ酸配列を有し得、Fc領域を不活性又は非活性化にする更なる置換を有し得る。したがって、一実施形態では、二重特異性抗体は、IgG1重鎖定常領域と、L234F、L235E、D265A及びF405L置換を有するIgG1重鎖定常領域の一方のアミノ酸配列(例えば、配列番号19に示す)、並びにL234F、L235E、D265A及びK409R置換を有する他方のIgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列(例えば、配列番号20に示す)との組み合わせを含む。したがって、いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0172】
好ましい実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用において使用される二重特異性抗体は、それぞれ配列番号24及び25で定義される重鎖及び軽鎖を含む第1の結合アームと、それぞれ配列番号26及び27で定義される重鎖及び軽鎖を含む第2の結合アームとを含む。そのような抗体は、本明細書ではDuoBody CD3xCD20と呼ばれる。また、そのような抗体の変異体は、本明細書に記載の方法及び使用における使用が企図される。いくつかの実施形態では、上記二重特異性抗体は、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、上記二重特異性抗体は、エプコリタマブ(CAS2134641-34-0)又はそのバイオシミラーである。
【0173】
キット
DuoBody-CD3xCD20又はエプコリタマブ等の本発明によるCD3及びCD20に結合する二重特異性抗体と、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物を、本明細書に記載の方法での使用に適合した治療有効量で含むキットも本明細書で提供される。キットはまた、リツキシマブ(例えば、静脈内投与の場合)及び/又はレナリドミド(例えば、経口投与用)を含有する医薬組成物を含み得る。キットはまた、医師(例えば、医師、看護師、又は患者)が濾胞性リンパ腫を有する患者にその中に含有される1又は複数の組成物を投与することを可能にするための、例えば、投与スケジュールを含む説明書を含んでもよい。キットはまた、シリンジ又はシリンジを含むことができる。
【0174】
キットは、本明細書に記載される方法に従って、それぞれが単回投与のための有効量の二重特異性抗体を含有する単回用量の医薬組成物の複数のパッケージを含んでもよい。それらはまた、標準的な実施レジメンに従ってリツキシマブ及び/又はレナリドミドの用量を含有する単回用量医薬組成物の複数のパッケージを含み得る。(1又は複数の)医薬組成物を投与するために必要な器具又は装置もキットに含まれ得る。
【0175】
更なる実施形態
1.二重特異性抗体であって、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、前記VH領域は、配列番号6の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域は、配列番号7の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、前記VH領域が、配列番号13の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域が、配列番号14の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
ヒト対象における濾胞性リンパ腫の治療に使用するためのものであって、前記治療が、前記二重特異性抗体と、有効量のリツキシマブ及びレナリドミドとを前記ヒト対象に投与することを含み、前記二重特異性抗体が24mg又は48mgの用量で投与され、前記二重特異性抗体、リツキシマブ及びレナリドミドが28日サイクルで投与される、二重特異性抗体。
【0176】
2.二重特異性抗体が24mgの用量で投与される、実施形態1に記載の二重特異性抗体。
【0177】
3.二重特異性抗体が48mgの用量で投与される、実施形態1に記載の二重特異性抗体。
【0178】
4.二重特異性抗体を週に1回投与する(毎週の投与)、実施形態1~3のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0179】
5.24mg又は48mgの前記毎週の投与が2.5回の28日サイクルにわたって行われる、実施形態4に記載の二重特異性抗体。
【0180】
6.前記毎週の投与の後、前記二重特異性抗体を2週間に1回投与する(隔週の投与)、実施形態4又は5に記載の二重特異性抗体。
【0181】
7.前記隔週の投与が6回の28日サイクルで行われる、実施形態6に記載の二重特異性抗体。
【0182】
8.前記隔週の投与の後、前記二重特性抗体を4週間に1回投与する、実施形態6又は7記載の二重特異性抗体。
【0183】
9.前記4週間に1回の投与が少なくとも3回の28日サイクルにわたって行われる、実施形態8に記載の二重特異性抗体。
【0184】
10.24mg又は48mgの前記毎週の投与の前に、前記二重特異性抗体のプライミング用量を前記28日サイクルのサイクル1で投与する、実施形態4~9のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0185】
11.前記プライミング用量が、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する2週間前に投与される、実施形態10に記載の二重特異性抗体。
【0186】
12.プライミング用量が0.16mgである、実施形態10又は11に記載の二重特異性抗体。
【0187】
13.前記プライミング用量を投与した後、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する前に、前記二重特異性抗体の中間用量を投与する、実施形態10~12のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0188】
14.前記プライミング用量を1日目に投与し、前記中間用量を8日目に投与した後、サイクル1の15及び22日目に24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する、実施形態13に記載の二重特異性抗体。
【0189】
15.前記中間用量が0.8mgである、実施形態13又は14に記載の二重特異性抗体。
【0190】
16.リツキシマブが週に1回投与される(毎週の投与)、実施形態1~15のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0191】
17.前記リツキシマブの毎週の投与が1回の28日サイクルにわたって行われる、実施形態16記載の二重特異性抗体。
【0192】
18.前記毎週の投与の後、リツキシマブが、4週間に1回投与される、実施形態16又は17に記載の二重特異性抗体。
【0193】
19.前記リツキシマブの4週間に1回の投与が4回の28日サイクルにわたって行われる、実施形態18に記載の二重特異性抗体。
【0194】
20.リツキシマブが375mg/m2又はその等価な用量で投与される、実施形態1~19のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0195】
21.レナリドミドが、28日サイクルの1日目から21日目まで1日1回投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0196】
22.レナリドミドが、28日サイクルのサイクル1からサイクル12まで投与される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0197】
23.レナリドミドが28日サイクルのサイクル1において15mgの用量で投与される、実施形態1~22のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0198】
24.レナリドミドが、28日サイクルのサイクル2からサイクル12において20mgの用量で投与される、実施形態1~23のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0199】
25.リツキシマブ、レナリドミド、及び前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0200】
26.前記二重特異性抗体、リツキシマブ及びレナリドミドの前記投薬スケジュールが表2に示す通りである、実施形態1~25のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0201】
27.投与が28日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に24mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、24mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される、実施形態1、2及び4~26に記載の二重特異性抗体。
【0202】
28.投与が28日サイクルで行われ、
(a)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に48mgの用量が投与される; (ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に48mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、1日目に48mgの用量が投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される、実施形態1及び3~27のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0203】
29.前記二重特異性抗体が皮下投与される、実施形態1~28のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0204】
30.リツキシマブが静脈内投与される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0205】
31.レナリドミドが経口投与される、実施形態1~30に記載の二重特異性抗体。
【0206】
32.前記二重特異性抗体、リツキシマブ及びレナリドミドが連続的に投与される、実施形態1~31のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0207】
33.(a)リツキシマブと前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1の1、8、15、及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される場合、リツキシマブが前記二重特異性抗体の前に投与される;
(b)レナリドミドと前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1~3の1、8、15、及び22日目、サイクル4~9の1及び15日目、並びにサイクル10~12の1日目)に投与される場合、レナリドミドが前記二重特異性抗体の前に投与される;
(c)リツキシマブとレナリドミドが同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される場合、リツキシマブがレナリドミドの前に投与される;又は
(d)リツキシマブ、レナリドミド及び前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1~5日目)に投与される場合、リツキシマブが最初に投与され、レナリドミドが2番目に投与され、前記二重特異性抗体が最後に投与される、
実施形態1~32のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0208】
34.前記濾胞性リンパ腫が再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0209】
35.前記対象が、グレード1、2又は3aの再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫を有する、実施形態34に記載の二重特異性抗体。
【0210】
36.前記対象がステージII、III又はIVの再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫を有する、実施形態34又は35記載の二重特異性抗体。
【0211】
37.前記対象が、少なくとも1つの以前の抗新生物剤で事前に治療されたことがある、実施形態1~36のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0212】
38.前記少なくとも1つの以前の抗新生物剤が抗CD20抗体を含む、実施形態37に記載の二重特異性抗体。
【0213】
39.前記対象がサイトカイン放出症候群の予防法により治療される、実施形態1~38のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0214】
40.前記予防法がコルチコステロイドを前記対象に投与することを含む、実施形態39に記載の二重特異性抗体。
【0215】
41.前記コルチコステロイドが二重特異性抗体と同日に投与される、実施形態40に記載の二重特異性抗体。
【0216】
42.前記コルチコステロイドが、二重特異性抗体の投与後2日目、3日目及び4日目に更に投与される、実施形態41に記載の二重特異性抗体。
【0217】
43.前記コルチコステロイドがプレドニゾロンである、実施形態40~42のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0218】
44.前記プレドニゾロンが、経口用量を含む100mg又はその等価物の静脈内用量で投与される、実施形態43に記載の二重特異性抗体。
【0219】
45.前記対象に、注射に対する反応を低下させるための前投薬を投与する、実施形態1~44のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0220】
46.前記前投薬が抗ヒスタミン薬を含む、実施形態45に記載の二重特異性抗体。
【0221】
47.前抗ヒスタミン薬がジフェンヒドラミンである、実施形態46に記載の二重特異性抗体。
【0222】
48.前記ジフェンヒドラミンが、50mg又はその等価物の静脈内又は経口用量で投与される、実施形態47に記載の二重特異性抗体。
【0223】
49.前記前投薬が解熱剤を含む、実施形態45~48のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0224】
50.前記解熱剤がアセトアミノフェンである、実施形態49に記載の二重特異性抗体。
【0225】
51.前記アセトアミノフェンが650mg~1000mg又はその等価物の経口用量で投与される、実施形態50に記載の二重特異性抗体。
【0226】
52.前記前投薬が二重特異性抗体と同日に投与される、実施形態45~51のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0227】
53.前記予防法が28日サイクルのサイクル1で投与される、実施形態39~52のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0228】
54.前記前投薬が28日サイクルのサイクル1で投与される、実施形態45~53のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0229】
55.前記対象が28日サイクルのサイクル1における前記二重特異性抗体の最後の投与後にグレード1を超えるCRSを経験するとき、前記28日サイクルのサイクル2の間に前記予防法が投与される、実施形態39~54のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0230】
56.前記予防法が、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において前記対象がグレード1を超えるCRSを経験するとき、後続のサイクルにおいて継続される、実施形態55に記載の二重特異性抗体。
【0231】
57.前記前投薬が前記28日サイクルのサイクル2の間に投与される、実施形態45~56のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0232】
58.前記前投薬が、その後のサイクルの間に投与される、実施形態57に記載の二重特異性抗体。
【0233】
59.前記対象がグレード1のCRSを発症する場合、前記対象に抗生物質が投与される、実施形態1~58のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0234】
60.前記対象がグレード2又はグレード3のCRSを発症する場合、前記対象に昇圧剤が投与される、実施形態1~58のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0235】
61.前記対象がグレード4のCRSを発症する場合、前記対象に少なくとも2つの昇圧剤が投与される、実施形態1~58のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0236】
62.前記対象がグレード2、グレード3又はグレード4のCRSを発症する場合、前記対象にトシリズマブが投与される、実施形態1~61のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0237】
63.前記対象にステロイドが更に投与される、実施形態62に記載の二重特異性抗体。
【0238】
64.前記ステロイドがデキサメタゾンである、実施形態63に記載の二重特異性抗体。
【0239】
65.前記ステロイドがメチルプレドニゾロンである、実施形態63に記載の二重特異性抗体。
【0240】
66.前記対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブが抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)に切り替えられる、実施形態62~65のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0241】
67.前記対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブがIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)に切り替えられる、実施形態62~65のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0242】
68.前記対象が腫瘍崩壊症候群(TLS)の予防法によって治療される、実施形態1~67のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0243】
69.前記TLSの予防法が、前記二重特異性抗体の投与前に1つ以上の尿酸還元剤を投与することを含む、実施形態68に記載の二重特異性抗体。
【0244】
70.前記1つ以上の尿酸還元剤が、ラスブリカーゼ及び/又はアロプリノールを含む、実施形態69に記載の二重特異性抗体。
【0245】
71.前記対象が完全奏効、部分奏効、又は安定疾患を達成する、実施形態1~70のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0246】
72.(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、それぞれ配列番号1、2及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む、
実施形態1~71のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0247】
73.(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む、
実施形態1~72のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0248】
74.前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームがヒト化抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する、実施形態1~73のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0249】
75.前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むλ軽鎖定常領域を含む、実施形態74に記載の二重特異性抗体。
【0250】
76.前記二重特異性抗体の前記第2の結合アームがヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(κ)抗体に由来する、実施形態1~75のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0251】
77.前記第2の結合アームが、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むκ軽鎖定常領域を含む、実施形態76に記載の二重特異性抗体。
【0252】
78.前記二重特異性抗体が、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である、実施形態1~77のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0253】
79.前記二重特異性抗体が、不活性Fc領域を含む、実施形態1~78に記載の二重特異性抗体。
【0254】
80.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖及び前記第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAである、実施形態1~79のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0255】
81.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、実施形態1~80のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0256】
82.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、
(i)前記第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAであり、
(ii)前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、実施形態1~81のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0257】
83.前記二重特異性抗体が、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、実施形態82に記載の二重特異性抗体。
【0258】
84.前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖とを含む、実施形態1~83のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0259】
85.前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖とを含む、実施形態1~84のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0260】
86.前記二重特異性抗体がエプコリタマブ又はそのバイオシミラーである、実施形態1~85のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
【0261】
1a.ヒト対象における濾胞性リンパ腫を治療する方法であって、二重特異性抗体と、有効量のリツキシマブ及びレナリドミとを前記対象に投与することを含み、前記二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、前記VH領域が、配列番号6の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域が、配列番号7の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、前記VH領域が、配列番号13の前記VH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域が、配列番号14の前記VL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
前記二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、リツキシマブ、レナリドミド及び前記二重特異性抗体が28日サイクルで投与される、方法。
【0262】
2a.前記二重特異性抗体を24mgの用量で投与する、実施形態1aに記載の方法。
【0263】
3a.前記二重特異性抗体を48mgの用量で投与する、実施形態1aに記載の方法。
【0264】
4a.前記二重特異性抗体を週に1回投与する(毎週の投与)、実施形態1a~3aのいずれか1つに記載の方法。
【0265】
5a.24mg又は48mgの前記毎週の投与が、2.5回の28日サイクルにわたって行われる、実施形態4aに記載の方法。
【0266】
6a.前記毎週の投与の後、前記二重特異性抗体を2週間に1回投与する(隔週の投与)、実施形態4a又は5aに記載の方法。
【0267】
7a.前記隔週の投与が6回の28日サイクルで行われる、実施形態6aに記載の方法。
【0268】
8a.前記隔週の投与の後、前記二重特異性抗体を4週間に1回投与する、実施形態6a又は7aに記載の方法。
【0269】
9a.前記4週間に1回の投与が、少なくとも3回の28日サイクルにわたって行われる、実施形態8に記載の方法。
【0270】
10a.24mg又は48mgの前記毎週の投与の前に、前記二重特異性抗体のプライミング用量を前記28日サイクルのサイクル1で投与する、実施形態4a~9aのいずれか1つに記載の方法。
【0271】
11a.前記プライミング用量が、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する2週間前に投与される、実施形態10aに記載の方法。
【0272】
12a.前記プライミング用量が0.16mgである、実施形態10a又は11aに記載の方法。
【0273】
13a.前記プライミング用量を投与した後、24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する前に、前記二重特異性抗体の中間用量を投与する、実施形態10a~12aのいずれか1つに記載の方法。
【0274】
14a.前記プライミング用量を1日目に投与し、前記中間用量を8日目に投与した後、サイクル1の15及び22日目に24mg又は48mgの前記第1の毎週用量を投与する、実施形態13aに記載の方法。
【0275】
15a.前記中間用量が0.8mgである、実施形態13a又は14aに記載の方法。
【0276】
16a.リツキシマブが週に1回投与される(毎週の投与)、実施形態1a~15aのいずれか1つに記載の方法。
【0277】
17a.前記リツキシマブの毎週の投与が、1回の28日サイクルで行われる、実施形態16aに記載の方法。
【0278】
18a.前記毎週の投与の後、リツキシマブが、4週間に1回投与される、実施形態16a又は17aに記載の方法。
【0279】
19a.前記4週間に1回のリツキシマブの投与が、4回の28日サイクルにわたって行われる、実施形態18aに記載の方法。
【0280】
20a.リツキシマブが375mg/m2又はその等価な用量で投与される、実施形態1a~19aのいずれか1つに記載の方法。
【0281】
21a.レナリドミドが28日サイクルの1日目から21日目まで1日1回投与される、実施形態1a~20aのいずれか1つに記載の方法。
【0282】
22a.レナリドミドが、28日サイクルのサイクル1からサイクル12まで投与される、実施形態1a~21aのいずれか1つに記載の方法。
【0283】
23a.レナリドミドが、28日サイクルのサイクル1で15mgの用量で投与される、実施形態1a~22aのいずれか1つに記載の方法。
【0284】
24a.レナリドミドが、28日サイクルのサイクル2からサイクル12まで20mgの用量で投与される、実施形態1a~23aのいずれか1つに記載の方法。
【0285】
25a.リツキシマブ、レナリドミド、及び前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の方法。
【0286】
26a.前記二重特異性抗体、リツキシマブ及びレナリドミドの前記投薬スケジュールが表2に示す通りである、実施形態1a~25aのいずれか1つに記載の方法。
【0287】
27a.投与が28日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に24mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に24mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、24mgの用量が1日目に投与される、
のように投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される、実施形態1a、2a及び4a~26aのいずれか1つに記載の方法。
【0288】
28a.投与が28日サイクルで行われ、
(a)サイクル1では、1日目に0.16mgのプライミング用量が投与され、8日目に0.8mgの中間用量が投与され、15及び22日目に48mgの用量が投与される; (ii)サイクル2及び3では、1、8、15及び22日目に48mgの用量が投与される;
(iii)サイクル4~9では、1及び15日目に48mgの用量が投与される;並びに
(iv)サイクル10及びその後のサイクルでは、1日目に48mgの用量が投与され、
(b)リツキシマブが、サイクル1の1、8、15及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目に投与され、
(c)レナリドミドが、サイクル1~12の1~21日目に投与される、実施形態1a及び3a~27aのいずれか1つに記載の方法。
【0289】
29a.前記二重特異性抗体が皮下投与される、実施形態1a~28aのいずれか1つに記載の方法。
【0290】
30a.リツキシマブが静脈内投与される、実施形態1a~29aのいずれか1つに記載の方法。
【0291】
31a.レナリドミドが経口投与される、実施形態1a~30aのいずれか1つに記載の方法。
【0292】
32a.前記二重特異性抗体、リツキシマブ及びレナリドミドが連続的に投与される、実施形態1a~31aのいずれか1つに記載の方法。
【0293】
33a.(a)リツキシマブと前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1の1、8、15、及び22日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される場合、リツキシマブが前記二重特異性抗体の前に投与される;
(b)レナリドミドと前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1~3の1、8、15、及び22日目、サイクル4~9の1及び15日目、並びにサイクル10~12の1日目)に投与される場合、レナリドミドが前記二重特異性抗体の前に投与される;
(c)リツキシマブとレナリドミドが同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1日目)に投与される場合、リツキシマブがレナリドミドの前に投与される;又は
(d)リツキシマブ、レナリドミド及び前記二重特異性抗体が同日(例えば、サイクル1の1、8、及び15日目、並びにサイクル2~5の1~5日目)に投与される場合、リツキシマブが最初に投与され、レナリドミドが2番目に投与され、前記二重特異性抗体が最後に投与される、
実施形態1a~32aのいずれか1つに記載の方法。
【0294】
34a.前記濾胞性リンパ腫が再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫である、実施形態1a~33aのいずれか1つに記載の方法。
【0295】
35a.前記対象が、グレード1a、2a又は3aの再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫を有する、実施形態34に記載の方法。
【0296】
36a.前記対象が、ステージII、III、又はIVの再燃性及び/又は難治性濾胞性リンパ腫を有する、実施形態34a又は35aに記載の方法。
【0297】
37a.前記対象が、少なくとも1つの以前の抗新生物剤で事前に治療されたことがある、実施形態1a~36aのいずれか1つに記載の方法。
【0298】
38a.前記少なくとも1つの以前の抗新生物剤が抗CD20抗体を含む、実施形態37aに記載の方法。
【0299】
39a.前記対象がサイトカイン放出症候群の予防法により治療される、実施形態1a~38aのいずれか1つに記載の方法。
【0300】
40a.前記予防法がコルチコステロイドを前記対象に投与することを含む、実施形態39aに記載の方法。
【0301】
41a.前記コルチコステロイドが二重特異性抗体と同日に投与される、実施形態40aに記載の方法。
【0302】
42a.前記コルチコステロイドが、二重特異性抗体の投与後2日目、3日目及び4日目に更に投与される、実施形態41aに記載の方法。
【0303】
43a.前記コルチコステロイドがプレドニゾロンである、実施形態40a~42aのいずれか1つに記載の方法。
【0304】
44a.前記プレドニゾロンが、経口用量を含む100mg又はその等価物の静脈内用量で投与される、実施形態43aに記載の方法。
【0305】
45a.前記対象に、注射に対する反応を低下させるための前投薬を投与する、実施形態1a~44aのいずれか1つに記載の方法。
【0306】
46a.前記前投薬が抗ヒスタミン剤を含む、実施形態45aに記載の方法。
【0307】
47a.前記抗ヒスタミン剤がジフェンヒドラミンである、実施形態46aに記載の方法。
【0308】
48a.前記ジフェンヒドラミンが、50mg又はその等価物の静脈内又は経口用量で投与される、実施形態47aに記載の方法。
【0309】
49a.前記前投薬が解熱剤を含む、実施形態45a~48aのいずれか1つに記載の方法。
【0310】
50a.前記解熱薬がアセトアミノフェンである、実施形態49aに記載の方法。
【0311】
51a.前記アセトアミノフェンが650mg~1000mg又はその等価物の経口用量で投与される、実施形態50aに記載の方法。
【0312】
52a.前記前投薬が二重特異性抗体と同日に投与される、実施形態45a~51aのいずれか1つに記載の方法。
【0313】
53a.前記予防法が28日サイクルのサイクル1で投与される、実施形態39a~52aのいずれか1つに記載の方法。
【0314】
54a.前記前投薬が28日サイクルのサイクル1で投与される、実施形態45a~53aのいずれか1つに記載の方法。
【0315】
55a.前記対象が28日サイクルのサイクル1における前記二重特異性抗体の最後の投与後にグレード1を超えるCRSを経験するとき、前記28日サイクルのサイクル2の間に前記予防法が投与される、実施形態39a~54aのいずれか1つに記載の方法。
【0316】
56a.前記予防法が、前のサイクルの二重特異性抗体の最後の投与において前記対象がグレード1を超えるCRSを経験するとき、後続のサイクルにおいて継続される、実施形態55aに記載の方法。
【0317】
57a.前記前投薬が前記28日サイクルのサイクル2の間に投与される、実施形態45a~56aのいずれか1つに記載の方法。
【0318】
58a.前記前投薬が、その後のサイクルの間に投与される、実施形態57aに記載の方法。
【0319】
59a.前記対象がグレード1のCRSを発症する場合、前記対象に抗生物質が投与される、実施形態1a~58aのいずれか1つに記載の方法。
【0320】
60a.前記対象がグレード2又はグレード3のCRSを発症する場合、前記対象に昇圧剤が投与される、実施形態1a~58aのいずれか1つに記載の方法。
【0321】
61a.前記対象がグレード4のCRSを発症する場合、前記対象に少なくとも2つの昇圧剤が投与される、実施形態1a~58aのいずれか1つに記載の方法。
【0322】
62a.前記対象がグレード2、グレード3又はグレード4のCRSを発症する場合、前記対象にトシリズマブが投与される、実施形態1a~61aのいずれか1つに記載の方法。
【0323】
63a.前記対象にステロイドが更に投与される、実施形態62aに記載の方法。
【0324】
64a.前記ステロイドがデキサメタゾンである、実施形態63aに記載の方法。
【0325】
65a.前記ステロイドがメチルプレドニゾロンである、実施形態63aに記載の方法。
【0326】
66a.前記対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブが抗IL-6抗体(例えば、シルツキシマブ)に切り替えられる、実施形態62a~65aのいずれか1つに記載の方法。
【0327】
67a.前記対象がトシリズマブに対して難治性である場合、トシリズマブがIL-1Rアンタゴニスト(例えば、アナキンラ)に切り替えられる、実施形態62a~65aのいずれか1つに記載の方法。
【0328】
68a.前記対象が腫瘍崩壊症候群(TLS)の予防法によって治療される、実施形態1a~67aのいずれか1つに記載の方法。
【0329】
69a.前記TLSの予防法が、前記二重特異性抗体の投与前に1つ以上の尿酸還元剤を投与することを含む、実施形態68aに記載の方法。
【0330】
70a.前記1つ以上の尿酸還元剤が、ラスブリカーゼ及び/又はアロプリノールを含む、実施形態69aに記載の方法。
【0331】
71a.前記対象が完全奏効、部分奏効、又は安定疾患を達成する、実施形態1a~70aのいずれか1つに記載の方法。
【0332】
72a.(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、それぞれ配列番号1、2及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、それぞれ配列番号8、9及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む、
実施形態1a~71aのいずれか1つに記載の方法。
【0333】
73a.(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域とを含み、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域とを含む、
実施形態1a~72aのいずれか1つに記載の方法。
【0334】
74a.前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームがヒト化抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する、実施形態1a~73aのいずれか1つに記載の方法。
【0335】
75a.前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むλ軽鎖定常領域を含む、実施形態74aに記載の方法。
【0336】
76a.前記二重特異性抗体の前記第2の結合アームがヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する、実施形態1a~75aのいずれか1つに記載の方法。
【0337】
77a.前記第2の結合アームが、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むκ軽鎖定常領域を含む、実施形態76aに記載の方法。
【0338】
78a.前記二重特異性抗体が、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である、実施形態1a~77aのいずれか1つに記載の方法。
【0339】
79a.前記二重特異性抗体が不活性Fc領域を含む、実施形態1a~78aのいずれか1つに記載の方法。
【0340】
80a.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖及び前記第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAである、実施形態1a~79aのいずれか1つに記載の方法。
【0341】
81a.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、実施形態1a~80aのいずれか1つに記載の方法。
【0342】
82a.前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、
(i)前記第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAであり、
(ii)前記第1の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、前記第2の重鎖において、配列番号15の前記ヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであるか、又はその逆である、実施形態1a~81aのいずれか1つに記載の方法。
【0343】
83a.前記二重特異性抗体が、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、実施形態82aに記載の方法。
【0344】
84a.前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖とを含む、実施形態1a~83aのいずれか1つに記載の方法。
【0345】
85a.前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖とを含む、実施形態1a~84aのいずれか1つに記載の方法。
【0346】
86a.前記二重特異性抗体がエプコリタマブ又はそのバイオシミラーである、実施形態1a~85aのいずれか1つに記載の方法。
【0347】
本開示は、以下の実施例によって更に説明されるが、これは更なる限定として解釈されるべきではない。本出願を通して引用される全ての図及び全ての参考文献、Genbank配列、雑誌刊行物、特許及び公開特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0348】
[実施例]
DuoBody-CD3xCD20
DuoBody-CD3xCD20は、T細胞抗原CD3及びB細胞抗原CD20を認識するbsAbである。DuoBody-CD3xCD20は、CD20発現細胞の強力なT細胞媒介殺傷を引き起こす。DuoBody-CD3xCD20は、規則的なIgG1構造を有する。
【0349】
2つの親抗体、IgG1-CD3-FEAL、それぞれ配列番号24及び25に記載の重鎖及び軽鎖配列を有するヒト化IgG1λ、CD3ε特異的抗体、並びにそれぞれ配列番号26及び27に記載の重鎖及び軽鎖配列を有するヒトIgG1κCD20特異的抗体7D8に由来するIgG1-CD20-FEARを、別々の生物学的中間体として製造した。各親抗体は、DuoBody分子の生成に必要なCH3ドメイン中の相補的突然変異の1つを含有する(それぞれF405L及びK409R)。親抗体は、Fc領域に3つの更なる変異を含んでいた(L234F、L235E及びD265A;FEA)。標準的な浮遊細胞培養及び精製技術を使用して、哺乳動物チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株において親抗体を産生した。その後、DuoBody-CD3xCD20を、制御されたFabアーム交換(cFAE)プロセスによって製造した(Labrijn et al.2013,Labrijn et al.2014,Gramer et al.2013)。親抗体を混合し、制御された還元条件に供する。これは、再酸化下で再集合する親抗体の分離をもたらす。このようにして、DuoBody-CD3xCD20の高純度調製物(約93~95%)を得た。更にポリッシュ(polishing)/精製した後、純度100%に近い最終生成物を得た。DuoBody-CD3xCD20濃度を、理論吸光係数ε=1.597mL・mg-1cm-1を使用して、280nmでの吸光度によって測定した。最終生成物を4℃で保存した。本製品は、エプコリタマブの国際商標名を有する。
【0350】
エプコリタマブは、皮下(SC)注射用溶液の濃縮物として供給される、無色~わずかに黄色の滅菌透明溶液として調製される(5mg/mL又は60mg/mL)。エプコリタマブは、緩衝液及び等張化剤を含有する。製剤化された製品中の全ての賦形剤及びその量は、皮下注射製品について薬学的に許容され得る。適切な用量は、皮下注射に対して約1mLの体積に再構成される。
【0351】
[実施例1]
in vivoでの抗CD20抗体の存在下及び抗CD20治療後のNHL患者由来試料におけるエプコリタマブの抗腫瘍活性
ヒト化マウス異種移植モデルにおけるエプコリタマブの抗腫瘍活性に対する抗CD20抗体の存在の影響は、以下に要約するように、Engelberts et al.,EBioMedicine 2020;52:10265に記載されている。
【0352】
エプコリタマブは、不活性Fcドメインを有する過剰のリツキシマブ変異体の存在下でさえ、異種移植モデル(CD20発現Raji-luc腫瘍細胞及びPBMCを注射したNOD-SCIDマウス)において腫瘍増殖を効果的に低下させることが見出された(L234F、L235E、D265A及びK409R変異を含むIgG1-RTX-FEAR)。エプコリタマブのCD20アームが由来するリツキシマブ及びIgG1-CD20は、異なるエピトープに結合するにもかかわらず、CD20結合について競合し、これは、エプコリタマブが、標的結合について競合し得る循環抗CD20抗体の存在下で有効な抗腫瘍活性を誘導することができることを示している。
【0353】
さらに、エプコリタマブは、抗CD20抗体の投与後に一定の時間をかけて、原発性DLBCL及び濾胞性リンパ腫患者の生検においてT細胞媒介性細胞傷害を誘導した(Van der Horst et al.,Blood(2019)134(Supplement_1):4066)。抗CD20抗体を投与した2週間後に採取した生検でさえ、エプコリタマブは最大40%の腫瘍細胞死滅を誘導することができた。
【0354】
[実施例2]
in vitroでのエプコリタマブによって誘導されるT細胞媒介性細胞傷害に対するレナリドミドの影響
この実験は、Duobody-CD3xCD20誘導性T細胞活性化及びT細胞媒介性細胞傷害に対するレナリドミドの影響を決定するために行った。
【0355】
簡潔には、T細胞を、レナリドミドの存在下(5又は50μM)又は非存在下で3日間、固定化抗CD3で活性化した。レナリドミドの存在下でのT細胞上のCD3の架橋は、レナリドミドが存在しない条件と比較して、T細胞表面上の活性化マーカーCD69、CD25のアップレギュレーション、並びにグランザイムB及びIFNγの放出によって測定されるT細胞活性化の増加をもたらした(
図1を参照)。その後、レナリドミドの存在下又は非存在下で活性化されたT細胞を、エプコリタマブに応答したそれらの細胞傷害能力について試験した。レナリドミド及び抗CD3で前処理したT細胞では、典型的な用量反応曲線において、より低いエプコリタマブ濃度でより高い最大細胞傷害パーセント及びより高い活性が観察されたが、対照のいずれも更なる標的細胞溶解を引き起こさなかった(
図2を参照)。
【0356】
これは、レナリドミドが、患者において観察されたエプコリタマブによるT細胞活性化を増強することができ、これにより、標的細胞に対するより効率的なT細胞媒介性細胞傷害性がもたらされ得ることを示している。
【0357】
[実施例3]
再燃性/難治性濾胞性リンパ腫の治療のための標準治療リツキシマブ及びレナリドミドと組み合わせたエプコリタマブのフェーズ1b非盲検安全性及び有効性試験
R/R濾胞性リンパ腫を有する対象におけるリツキシマブ及びレナリドミド(R2)の標準治療レジメンと組み合わせたエプコリタマブの安全性、忍容性、PK、薬力学/バイオマーカー、免疫原性及び予備的有効性を評価するために、非盲検、2パート(用量漸増及び拡大)の多施設介入試験を実施する。
【0358】
エプコリタマブを用いた進行中の臨床試験の概要
単剤療法としてのエプコリタマブは、現在、R/R B-NHLの治療に関して臨床試験中である(ClinicalTrials.gov識別子:NCT03625037)。予備的データは、R/R B-NHL患者において、60mgを含む少なくとも48mgまでの用量で薬物が忍容性であり、用量制限毒性は報告されていないことを示唆している。
【0359】
目的
用量漸増
用量漸増パートの主な目的は、R2(エンドポイント:用量制限毒性(DLT)の出現、有害事象(AE)の出現及び重症度、実験値の変化の出現及び重症度、並びに用量中断及び遅延の出現)と組み合わせたエプコリタマブの安全性及び忍容性を評価することである。
【0360】
用量漸増パートの副次的な目的には、エプコリタマブのPK特性を特徴付けること(エンドポイント:クリアランス、分布容積、AUC0-last、AUC0-x、Cmax、Tmax、投与前値及び半減期を含むPKパラメータ)、エプコリタマブの有効性及び作用機序に関連する薬力学マーカーを評価すること(エンドポイント:血液試料及び腫瘍内の薬力学マーカー)、免疫原性を評価すること(エンドポイント:エプコリタマブに対する抗薬物抗体(ADA)の出現)、並びにR2と組み合わせたエプコリタマブの予備的抗腫瘍活性を評定すること(エンドポイント:Lugano基準及びLYRICによる全奏効率(ORR)、Lugano基準及びLYRICによる奏効期間(DOR)、Lugano基準及びLYRICによる奏効に至るまでの期間(TTR)、Lugano基準及びLYRICによる無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、次の抗リンパ腫療法(TTNT)までの期間、並びに微小残存病変(MRD)陰性の割合及び期間)が含まれる。
【0361】
用量漸増パートの探索目的には、エプコリタマブに対する臨床応答を予測する潜在的なバイオマーカーを評定することが含まれる(エンドポイント:治療前及び治療中のCD3、CD20及び他の分子/表現型マーカー、DNA変異状態、及び遺伝子プロファイル) 拡大
拡大パートの主な目的は、R2(エンドポイント:Lugano基準によるORR)と組み合わせたエプコリタマブの予備的抗腫瘍活性を評定することである。
【0362】
拡大パートの副次的な目的には、R2と組み合わせたエプコリタマブの予備的抗腫瘍活性を評価すること(エンドポイント:エンドポイント:Lugano基準及びLYRICによるDOR、Lugano基準及びLYRICによるTTR、Lugano基準及びLYRICによるPFS、LYRICによるORR、OS、TTNT、並びに微小残存病変(MRD)陰性の割合及び持続期間)、R2と組み合わせたエプコリタマブの安全性及び忍容性を更に評価すること(エンドポイント:実験値の変化の出現及び重症度、並びに用量中断及び遅延の出現)、エプコリタマブのPK特性を特徴付けること(クリアランス、分布容積、AUC0-last、AUC0-x、Cmax、Tmax、投与前値及び半減期を含むPKパラメータ)、エプコリタマブの有効性及び作用機序に関連する薬力学マーカーを評価すること(エンドポイント:血液試料及び腫瘍内の薬力学マーカー)、並びに免疫原性を評価すること(エンドポイント:エプコリタマブへのADAの出現)が含まれる。
【0363】
拡大パートの探索目的には、エプコリタマブに対する臨床応答を予測する潜在的なバイオマーカーを評定すること(エンドポイント:腫瘍におけるCD20の発現、分子及び遺伝子腫瘍マーカーの評価、免疫集団、腫瘍及び血液における表現型及び機能、並びにDNA突然変異状態及び遺伝子プロファイル)、及び患者報告の転帰(PRO)を評価すること(エンドポイント:FACT-Lymによって評価されるリンパ腫症状及び全身健康状態の変化)が含まれる。
【0364】
研究計画の概要
試験は、用量漸増(パート1)及び拡大(パート2)の2つのパートで行われる。対象は1つのパートのみに参加する。全体的な試験計画の概略図を
図3に示す。両パートは、スクリーニング期間、治療期間、安全性追跡調査期間及び生存追跡調査期間からなる。
【0365】
用量漸増(パート1)及び拡大(パート2)
パート1の用量漸増は、R
2と組み合わせたエプコリタマブの初期安全性、忍容性、及び臨床活性を評定する。エプコリタマブは、3人の対象のコホートにおいてR
2と組み合わせて最初に投与される。DLTを最初の28日間に評価する。最初の3人の対象において観察されたDLTの数に応じて、R
2と組み合わせたエプコリタマブ(全用量:48mg又は24mg)の投与を、
図4に示されるように更に3人の患者において行う。
【0366】
パート2では、エプコリタマブは、R2と組み合わせて(用量漸増パートで決定された投薬レジメンで)投与される。増殖には、安全性、忍容性、PK、薬力学及び免疫原性データに加えて、組み合わせの予備的臨床活性を評価するために20人の対象が含まれる。
【0367】
パート1及びパート2の両方において、以下のように、リツキシマブ(静脈内)及びレナリドミド(経口)と組み合わせて、疾患が進行するまで、エプコリタマブを4週間のサイクル(すなわち、28日サイクル)で皮下(SC)注射(24mg又は48mg;ステップアップ投薬)として投与する。
【表2】
【0368】
CRSの可能性を軽減するために、エプコリタマブにステップアップ投薬法を使用する:サイクル1の1日目でのプライミング用量(0.16mg)、その後、サイクル1の8日目での中間用量(0.8mg)、サイクル1の15及び22日目での全用量(24mg又は48mg)、及びその後のサイクルでの全用量。リツキシマブ(375mg/m2)を、サイクル1の間は毎週静脈内投与し、サイクル2~6の間は4週間に1回(Q4W)静脈内投与する。レナリドミドを、サイクル1の1~21日目に毎日15mgを経口投与し、サイクル1~13の1~21日目に毎日20mgを経口投与する。
【0369】
【0370】
選択基準
1.対象は少なくとも18歳でなければならない。
【0371】
2.0、1、又は2のECOG PSスコア
3.代表的な腫瘍生検でのCD20陽性NHL
4.CT又はMRI上で1つ以上の測定可能なリンパ節病変(長軸>1.5cm及び短軸>1.0cm)又は1つ以上の測定可能なリンパ節外病変(長軸>1.0cm)として定義される測定可能な疾患
5.以下のように定義されるスクリーニングで許容される臓器機能:
a.ANC≧1.0×109/L(増殖因子の使用は許容される)
b.血小板数>75×109/L、又は骨髄浸潤若しくは脾腫の場合は≧50×109/L
c.ALTレベルがULNの2.5倍以下
d.総ビリルビン値≦2×ULN
e.eGFR>50mL/分(Cockcroft-Gault式による)
f.PT、INR及びaPTT≦1.5×ULN(抗凝固薬を投与していない場合)
6.WHO 2016分類による組織学的に確認されたCD20+FL
7.R/R FL、グレード1、2又は3a、ステージII、III又はIV
8.抗CD20抗体を含む少なくとも1つの以前の抗新生物剤で事前に治療した
9.症状及び/又は疾患負荷に基づいて治療開始を必要としなければならない
10.R2を受けるのに適格
【0372】
除外基準
1.FLグレード3b
2.侵攻性リンパ腫への形質転換の組織学的証拠
3.リツキシマブ又はレナリドミドの禁忌
4.事前の同種HSCT
5.エプコリタマブの初回投与から3ヶ月以内の自家HSCT
6.アスピリン予防法(血栓塞栓症のリスクが低い又は中程度の対象)又は予防的抗凝固薬(血栓塞栓性事象のリスクが高い場合)を服用することを望まないか又は不可能である
7.抗CD20 mAb療法に対する重度のアレルギー反応若しくはアナフィラキシー反応の病歴、又はエプコリタマブの任意の成分若しくは賦形剤に対する既知のアレルギー若しくは不耐性
8.CD3及びCD20を標的とする二重特異性抗体による事前の治療
9.エプコリタマブの初回投与前4週間以内の化学療法、放射線療法、又は大手術
10.エプコリタマブの初回投与前の4週間以内又は5半減期のいずれか長い方の期間内の治験薬による治療
11.エプコリタマブの初回投与前30日以内のCAR-T療法による治療
12.エプコリタマブの初回投与前の2週間以内のコルチコステロイドの累積投与量≧140mgのプレドニゾン又は等価物
13.エプコリタマブの初回投与前28日以内の生ワクチンによるワクチン接種
14.以下を含む臨床的に重要な心臓疾患:
a.エプコリタマブの初回投与前1年以内の心筋梗塞、又は心機能に関連する若しくは影響を及ぼす不安定な若しくは制御されない疾患/状態(例えば、不安定狭心症、うっ血性心不全、ニューヨーク心臓病学会クラスIII~IV)、不整脈(CTCAEバージョン4グレード2以上)、又は臨床的に有意なECG異常
b.ベースラインQTcF>470msecを示す12誘導ECGのスクリーニング
15.プロトコルの遵守又は結果の解釈に影響を及ぼし得る有意で制御されない合併症の証拠
16.試験登録時の既知の活性細菌、ウイルス、真菌、マイコバクテリア、寄生虫又は他の感染症(爪床の真菌感染症を除く)又はエプコリタマブの初回投与前2週間以内の有意な感染症
17.脳のMRI/CTスキャンによって確認され、臨床的に示される場合は腰椎穿刺によって確認される、スクリーニング時のリンパ腫によるCNSリンパ腫又は既知のCNS関与
18.急性又は慢性感染を示すB型肝炎ウイルス又はC型肝炎ウイルスの活性陽性検査 19.HIV抗体陽性の病歴、又はスクリーニングでHIVについて陽性の検査
20.HTLV-1についての陽性検査結果
21.活動性又は潜在性結核の疑い
22.以下を除く、包括診診断以外の過去又は現在の悪性腫瘍:
a.ステージ1B以下の子宮頸癌
b.非浸潤性基底細胞又は扁平上皮皮膚癌
c.非浸潤性表在性膀胱癌
d.現在のPSAレベルが0.1ng/mL未満の前立腺癌
e.CRの持続期間が2年を超える任意の治癒可能な癌
23.神経障害>グレード1
24.妊娠中、授乳中、又はこの試験に登録されている間若しくはエプコリタマブの最後の投与後12ヶ月以内に妊娠する予定の女性
25.この試験に登録している間又はエプコリタマブの最後の投与後12ヶ月以内に子供を出産する予定の男性
26.対象は、参加が対象にとって最良の利益にならない(例えば、健康な状態を損なう)、又はプロトコルで指定された評定を妨げる、制限する、若しくは混乱させる可能性がある任意の状態を有する。
【0373】
CRS予防法
エプコリタマブの各用量について潜在的CRSからの症状の重症度を軽減/予防するために、コルチコステロイドの4日間の投与が行われる。2サイクル目以降のエプコリタマブの投与の場合、コルチコステロイドによるCRS予防法は任意である。コルチコステロイドの投与は、推奨される用量又は等価物を用いて静脈内経路又は経口経路のいずれかであり得る。
【0374】
リツキシマブを含む治療に推奨される支持療法には、以下が含まれる:
・各リツキシマブ注入を開始する30~60分前に、注入反応を減弱させるためのアセトアミノフェン(650mg経口)、ジフェンヒドラミン(50~100mg IV又は経口)及びステロイドによる前投薬
・ニューモシスチス・カリニ(pneumocystis carinii)肺炎の予防的処置
・中枢神経系(CNS)予防法;1)2つの節外部位の関与及び上昇したLDH、又は2)骨髄、精巣、又は髄膜傍部位のリンパ腫性関与を有する対象は、CNS疾患を発症するリスクが高いと考えられ、CNS予防法を受けるべきである。DLT期間の完了後(試験治療の最初の用量から28日間)、IVメトトレキサートの静脈内投与によるCNS予防法が許可される。
【表4】
【表5】
【0375】
サイトカイン放出症候群の支持療法
CRSは、CRSのASTCT分類に従ってグレード分類され(表6及び7)、CRSの治療については、対象は支持療法を受けるべきである。支持療法としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる。
【0376】
・生理食塩水の注入
・全身性糖質コルチコステロイド、抗ヒスタミン剤、解熱剤
・血圧サポート(バソプレシン、昇圧剤)
・低流量及び高流量の酸素及び陽圧換気のサポート
・IL-6Rに対するモノクローナル抗体、例えばトシリズマブのIV投与
・反復トシリズマブに応答しない場合、IL-6に対するモノクローナル抗体、例えばIVシルツキシマブ。
【表6】
【表7】
【0377】
腫瘍崩壊症候群の予防及び管理
腫瘍崩壊症候群の予防的処置のために、対象は、エプコリタマブの投与前に水和剤及び尿酸還元剤を受ける。TLSの徴候が生じる場合、ラスブリカーゼを含む支持療法が使用される。
【0378】
用量変更ガイダンス及び安全管理
エプコリタマブ(用量漸増コホートにおける例外については
図4を参照)又はリツキシマブについては用量変更はないが、それらは、使用中に対象が発症する任意の毒性に応じて維持することができる。
【0379】
R-レナリドミドについて、血液学的DLTのために用量を減少させる場合、R2療法の継続が骨髄機能の改善をもたらすのであれば(すなわち、グレード4の好中球減少症若しくは発熱性好中球減少症、又はグレード4の血小板減少症の血液学的毒性がなく、グレード3の発疹、グレード4の発疹若しくは水疱形成、血栓症/塞栓症≧グレード3、便秘≧3、甲状腺機能低下症≧グレード2、グレード3若しくは4の末梢神経障害、及び他のグレード3以上のレナリドミド関連AEの非血液学的毒性が少なくとも2回の連続サイクルにわたってなく、現在の用量レベルでの新たなサイクルの開始時に血小板数≧1.5×109/LであるANC≧100×109/L)、用量は、治療する医師の裁量で、次に高い用量レベルまで(開始用量まで)再漸増することができる。
【0380】
研究評定
人口統計及びベースライン評定
対象の人口統計学的詳細を、リンパ腫診断の日付、全身症状(B症状)を含む診断時のAnn Arbor病期分類、及びCD20陽性の以前の証拠等の情報と同様に収集する。病歴、事前の及び併用の薬物療法、併用処置、並びに以前の癌治療及び手術(手術、放射線療法、化学放射線療法及び全身治療レジメン等のNHLに対する事前の抗癌療法を含む)に関する情報も収集する。
【0381】
有効性評定
適格対象は、疾患評価のための(選択基準に示されるような)少なくとも1つの測定可能な疾患部位を有する。リンパ腫の測定可能な部位は、リンパ節、リンパ節塊、又は節外部位として定義される。各対象について最大6つの測定可能な部位を標的病変として追跡して、画像評価によって測定値を決定する。上に定義されるように測定不能な部位は、疾患の客観的証拠によって評定可能であると考えられる(すなわち、X線撮影、身体検査、又は他の処置)。評定可能な疾患の例としては、例えば、骨髄病変、骨病変、滲出、又は腸壁の肥厚が挙げられる。
【0382】
腫瘍及び骨髄生検
アクセス可能な腫瘍を有する全ての対象について、エプコリタマブによる治療前(スクリーニング期間中)に2回の新鮮なコア腫瘍生検を収集し、15日目(±1週間)のサイクルの開始時に2回の新鮮なコア腫瘍生検を収集する。保管腫瘍生検は、登録前3ヶ月以内に収集された場合、スクリーニング時に新鮮な生検を収集することができなければ許容され得る。生検は、全リンパ節又はコア生検であり得る。腫瘍生検はFFPEであるべきである。腫瘍生検をMRD評定及び探索バイオマーカーについて検査する。
【0383】
放射線評定
スクリーニング中に、FDG PET-CTスキャン(又はPET-CTスキャンが利用できない場合はCT/MRI及びFDG PET)を実施する。スクリーニング時にFDG-avid腫瘍を有する対象については、全てのその後の疾患評定は、Barrington et al.(J Clin Oncol 2014;32:3048-58;スコア1:取り込みなし;スコア2:取り込み≦縦隔;スコア3:更新>縦隔、但し≦肝臓;スコア4:肝臓よりも中程度に高い取り込み;スコア5:肝臓及び/又は新たな病変よりも著しく高い取り込み;スコアX:リンパ腫に関連する可能性が低い新たな更新の領域)に記載される5段階スケールを使用したFDG-PETを含む。非親和性又は可変FDG親和性腫瘍を有する対象については、頸部/胸部/腹部/骨盤/追加の既知の病変のIVコントラストを用いたCTスキャンを実施することができる。PETなしで行われる造影CTと同様の診断品質のCT成分である場合、PET-CTのCT成分は、スタンドアロンCT/MRIの代わりに使用することができる。造影増強PET-CTが利用可能でない場合、スタンドアロン診断CT/MRI及び標準FDG-PETが実施される。
【0384】
IV型CT造影剤に不耐性である対象は、経口造影剤によるCTスキャンを受ける。
【0385】
MRIは、CTを使用して適切に画像化することができない疾患の部位を評価するために、又はCT造影剤に不耐性の対象について使用することができる。MRIが選択されるイメージングモダリティである場合、MRIは、スクリーニング及び全てのその後の応答評価で得られる。
【0386】
骨髄評定
吸引物の有無にかかわらず、骨髄生検(保管又は新鮮)は、リンパ腫への骨髄病変を文書化するために全ての患者のスクリーニングで得られる。エプコリタマブの初回投与の42日前までに採取された場合、通常のSOCとして得られた骨髄生検を使用してもよい。
【0387】
骨髄穿刺液が得られた場合、骨髄病変の判定をフローサイトメトリーによって確認することができる。骨髄生検を、(1)スクリーニング時に、(2)スクリーニング時に骨髄病変を有し、後にイメージングによってCRを達成する対象について採取し(骨髄評価には、リンパ腫の有無(完全寛解)を確認するための形態学的検査及び必要に応じてフローサイトメトリー又はIHCのいずれかが含まれる)、(3)スクリーニングで記録された骨髄病変を有し、後に撮像によってCRを達成する対象については、CRを確認するために収集された吸引物の一部をMRD評定に使用する。
【0388】
微小残存病変の評定
MRDは、癌細胞によって特異的に発現されるB細胞受容体(BCR)をコードするDNAの存在を追跡することによって評定される。このBCRのDNA配列は、スクリーニング時に提出された腫瘍生検によって同定される。治療開始後、一定の時点及びCRの時点で血液試料を採取して、癌DNAの量が減少しているかどうかを(早期)応答の潜在的尺度として評定し、MRDを評定する。探索的分析として、対象が代謝/放射線学的CRに達し、スクリーニングで記録された骨髄病変を有する場合、CRを確認するために収集された吸引物の一部を使用してMRDを評定する。
【0389】
疾患応答及び進行性疾患の評定
疾患応答は、Lugano基準(Cheson et al.,J Clin Oncol 2014;32:3059-68(特に、Cheson et al.,2014の表3を参照)及びLYRIC(表8)の両方に従って評定され、治療の継続に関する決定を通知する。
【0390】
エンドポイントの定義は以下の通りである:
全奏効率(ORR)は、その後の療法の開始前にPR又はCRの奏効を達成した対象の割合として定義される。
【0391】
奏効に至るまでの期間(TTR)は、エプコリタマブの初回投与(サイクル1の1日目から)とPR又はCRの最初の記録との間の時間として、奏効者の間で定義される。
【0392】
奏効期間(DOR)は、奏効者の間では、PR又はCRの最初の記録から疾患進行又は死亡のいずれか早い方の日付までの時間として定義される。
【0393】
無増悪生存期間(PFS)は、エプコリタマブの第1の投薬日(サイクル1の1日目)及び疾患の進行又は死亡の日のいずれか早い方からの時間と定義される。
【0394】
全生存期間(OS)は、エプコリタマブの第1の投薬日(サイクル1の1日目)及び死亡日からの時間として定義される。
【0395】
次の抗リンパ腫療法までの時間(TTNT)は、サイクル1の1日目から、その後の抗リンパ腫療法の最初の文書化された投与までの日数として定義される。
【0396】
MRD陰性率は、後続の治療の開始前に、特定の閾値に従って少なくとも1つの検出不能なMRD結果を有する対象の割合として定義される。
【0397】
Lugano基準(例えば、Cheson et al.,J Clin Oncol 2014;32:3059-68、完全奏効、部分奏効、無奏効/安定疾患、及び進行性疾患の定義について)
(a)標的病変及び非標的病変
Lugano基準の標的病変には、2つの直径で測定可能であり、好ましくは、該当する場合、縦隔及び後腹膜疾患を含む対象の全体的な疾患負荷を表す異なる身体領域からの最大6個の最大の優性結節、結節性腫瘤、又は他のリンパ腫性病変が含まれる。ベースラインでは、測定可能な節の最長直径(LDi)は15mmを超える。測定可能な節外疾患は、6個の代表的な標的病変に含まれ得る。ベースラインにおいて、測定可能な節外病変は、LDiで>10mmでなくてはならない。
【0398】
他の全ての病変(リンパ節、リンパ節外及び評定可能な疾患を含む)は、非標的病変(例えば、皮膚、GI、骨、脾臓、肝臓、腎臓、胸水又は心膜浸出液、腹水、骨、骨髄)として追跡され得る。
【0399】
(b)分裂病変及びコンフルエント病変
病変は分裂することがあり、又は経時的にコンフルエントになることがある。分裂病変の場合、結節の垂直直径(PPD)の個々の積は、分裂病変のPPDを表すために一緒に合計されるべきである。このPPDを残りの病変のPPDの合計に加えて、応答を測定する。これらの個別の節のいずれか又は全てのその後の成長が起こる場合、各個別のノードの最下点を使用して進行を判定する。コンフルエントな病変の場合、コンフルエントな塊のPPDを個々の節のPPDの合計と比較すべきであり、進行性疾患(PD)を示すために必要な個々の節の合計と比較して、コンフルエントな塊のPPDが50%を超えて増加する。LDi及び最小直径(SDi)は、進行を決定するためにもはや必要ではない。
【0400】
LYRIC
臨床試験は、癌免疫療法が早期の見かけの放射線学的進行(新たな病変の出現を含む)とそれに続く遅延応答をもたらし得ることを示している。腫瘍サイズのこの最初の増加は、T細胞応答の状況における免疫細胞浸潤によって引き起こされ得るので、この進行は真の疾患進行を示さない可能性があり、したがって「偽進行」と呼ばれる(Wolchok et al.,Clin Cancer Res 2009;15:7412-20)。
【0401】
現在のLugano応答評定基準(Cheson et al.,J Clin Oncol 2014;32:3059-68)は偽進行を考慮しておらず、非定型応答の観察後に潜在的に有効な免疫調節薬の早期中止の有意なリスクがある。非典型的応答は、既存の病変の早期進行、その後の応答、又は他の場所での腫瘍縮小の有無にかかわらず、新しい病変の発生のいずれかを特徴とする。
【0402】
LYRICは、Lugano応答評定基準を改変したものであり、これは免疫ベースの治療に適合しており、新しい軽減応答カテゴリ、すなわち「非定型応答」(IR)の指定を実施する(Cheson et al.,Blood 2016;128:2489-96)。このIR指定は、生検又はその後の撮像のいずれかによってフレア/偽進行又は真のPDとして確認されるまで、潜在的に「非定型応答」症例を識別するために導入された。
【0403】
Lugano基準/分類に従ってPDを示す対象は、以下の3つの状況のうちの1つ以上においてIRを有すると考えられる:
IR(1):臨床的悪化を伴わずに、治療の最初の12週間で最大6個の標的病変の50%以上の全腫瘍負荷(直径の積の和[SPD]によって評定される)の増加。
【0404】
IR(2):治療中の任意の時点での新しい病変の出現又は1つ以上の既存の病変の成長≧50%;治療中の任意の時点で最大6個の病変のSPDによって測定した場合に、全体的な腫瘍負荷量の全体的な進行(SPD<50%の増加)がないという状況で生じる。
【0405】
IR(3):病変サイズ又は数の付随する増加を伴わない、1個以上の病変のFDG取り込みの増加。
【0406】
単一の時点で、対象がIR(1)又はIR(2)及びIR(3)の両方の基準を満たすことができる可能性がある:例えば、全体的な進行の非存在下で新たなFDG親和性病変が存在する可能性があり(IR[2])、同時に、別個の病変のFDG取り込みが増加する(IR[3])。そのような場合、IR(1)又はIR(2)の指定が優先されるべきである(例えば、上記の例におけるIR[2])。
【0407】
IRタイプのいずれかを有するとカテゴリ分類された対象は、更に12週間後(又は臨床的に示される場合はそれ以前)に反復イメージングを受ける。その時点で、応答を再評価すべきであり、対象は以下の考慮事項を考慮して真のPDを有すると見なされるべきである。
【0408】
追跡調査IR(1):IR(1)の場合、第1のIR(1)と現在のSPDとを比較する必要がある。以下の場合、IR(1)はPDになる:(a)SPDが最初のIR1から10%以上増加し、かつ(b)Lugano基準と一致するように、2cm以下の病変では1つ以上の病変の5mm以上(いずれの寸法でも)、及び2cm超の病変では10mm以上の増加。
【0409】
追跡調査IR(2):IR(2)の場合、新しい又は成長中の(1又は複数の)病変は、合計6個以下の全病変まで、(1又は複数の)標的病変に追加される。IR(2)は、(a)最低値からSPD(新たに定義された標的病変のセット)が50%以上増加した場合にPDになる。
【0410】
追跡調査IR(3):FDG取り込みが増加した病変もサイズ増加を示す場合、IR(3)はPDになる。
【表8】
【0411】
臨床安全性評定
安全性は、有害事象、臨床検査結果、ECG、バイタルサイン測定値、身体検査所見、及びECOGパフォーマンスステータスを測定することによって評定されている。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(例えば、Lee et al.,Biol Blood Marrow Transplant 2019;25:625-638)、全身症状(B症状)、腫瘍フレア反応、及び生存も評定する。
【0412】
患者報告のアウトカム
患者報告のアウトカムは、リンパ腫患者のQOLを評定するFACT-Lym健康関連の生活の質(QOL)アンケートを使用して評価する。
【0413】
研究評定
結果:
2021年6月28日現在、16人の患者がエプコリタマブ+R2の組み合わせで治療され(3人の患者がエプコリタマブ24mg及び13人が48mgで治療され)、安全性について評価可能であった。5人の患者が少なくとも7週間の治療を完了し、有効性について評価可能であった。患者あたり3サイクルの中央値が投与されている。14人(88%)の患者が治療を継続している。年齢の中央値は68歳(範囲、52~81)であり、10人(63%)の患者が女性であり、11人(69%)が1つの先行治療ライン(全て16ポイントの範囲、1~3の先行ライン)を有していた。全ての患者が事前の免疫化学療法を受け、6人(38%)がベースラインの2年以内に疾患進行を有し、6人(38%)が初期治療(POD24)の2年以内に疾患進行を有していた。サイトカイン放出症候群(CRS)は患者の31%(5/16)で発生し、全ての症例においてグレード1/2であった。CRSの発症までの時間の中央値は15日(研究16日目;範囲、5~16)であり、解消までの時間の中央値は2日であった。患者はトシリズマブを必要としなかった。患者の15%超で報告された他の有害事象(AE)は、注射部位反応(25%;4/16)、便秘(19%;3/16)、咳(19%;3/16)、下痢(19%;3/16)及び口内炎(19%;3/16;全てグレード1/2)であった。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群事象又は致死的有害作用(AE)は観察されなかった。5人(31%)の患者が重篤なAEのために入院を必要とした(3名の患者におけるエプコリタマブに関連するグレード1 CRS;1人の患者における無関係なグレード2の躁病;1人の患者における無関係なグレード3の肺炎;CRS患者の1人における無関係なグレード3の心房粗動)。5人の応答評価可能な患者全員が7週目までに客観的応答を達成し、4人が完全な代謝応答を達成した。5人の応答者はいずれもベースライン時にステージIV疾患を有しており、3人は4/5のFL国際予後指数を有しており、3人は2超の事前治療ラインを受けており、2人は一次治療によるPOD24を有していた。
【0414】
2021年9月8日現在、合計29名の患者に投薬が行われている。拡大フェーズ48mgは2021年6月17日に開始される。6人の応答者が漸増フェーズで観察され、13人の応答者が拡大フェーズで観察された。最も一般的な関連AEはCRS及び注射部位反応であった。CRSの大部分はグレード1/2である。グレード3のCRSの2つのエピソードが報告され、両方とも回復し、トシリズマブ治療では1つのみが報告された。これらのデータは予備的であり、検証されておらず、不明確なデータであり、応答データは現場によって完全に入力されたものではなかった。
【0415】
結論:
これらの予備データは、エプコリタマブが、新たな安全性シグナル又は予想外のAEを伴わずに、管理可能な毒性プロファイルでR
2と安全に組み合わせることができることを示唆している。単剤エプコリタマブと比較して、併用によるCRSの出現が比較的低いことは注目に値し、更なる分析を保証する。新規な化学療法を含まない組み合わせは、高リスクの特徴を有する患者の大部分を含む、7週目までに評価可能な全ての患者において早期応答を伴う有望な予備活性を実証した。
【表9】
【0416】
太字及び下線はFEであり;A;それぞれ、234及び235位;265位;405及び409位に対応するL及びRであり、当該位置はEUナンバリングに従う。可変領域では、IMGT定義に従って注釈付けされた上記CDR領域に下線が引かれている。
【配列表】
【国際調査報告】