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特表2023-542293少なくとも2台の農業用ロボットの作業車団によって農地区画で作業する方法
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  • 特表-少なくとも2台の農業用ロボットの作業車団によって農地区画で作業する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】少なくとも2台の農業用ロボットの作業車団によって農地区画で作業する方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20230929BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230929BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
G05D1/02 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516047
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2021075205
(87)【国際公開番号】W WO2022063637
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】2009696
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591090851
【氏名又は名称】クーン エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】ホリンガー,マリー
(72)【発明者】
【氏名】ポティエ,フィリッブ
(72)【発明者】
【氏名】ラブリー,クエンティン
(72)【発明者】
【氏名】ジャラジエール,ベヌワ
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB20
2B043BA09
2B043DA17
2B043EA18
2B043EA32
2B043EC02
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043ED16
2B043ED27
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD07
(57)【要約】
本発明は、一つの土地の区画(P)を共通の中央管理・制御システム(SC)によって送信される指令および/または命令に従って、自律的かつ独立して動作する少なくとも2台の農業用ロボット(R1、R2、Ri)によって同時に作業する方法に関する。本発明方法は、少なくとも作業段階で作業する土地の区画(P)を少なくとも2つの異なる作業領域(Z1、Z2、Zj)に細分化し、各作業ゾ領域(Z1、Z2、Zj)を農業用ロボット(R1、R2、Ri)の1つに排他的に割り当て、作業領域(Z1、Z2、Zj)の幅(Lz)は排他的に割り当てた農業用ロボット(R1、R2、Ri))の作業幅(Lr)の1以上の倍数、好ましくは整数に等しく、上記区画(P)の作業中に各農業ロボット(R1、R2、Ri)に対するまだ作業していない作業領域(Z1、Z2、Zj)の割り当ては、割り当てた各農業ロボットによって異なる各作業領域で進行中の作業の完了度に応じて徐々に実行することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の中央管理・制御システム(SC)によって送信される指令および/またはコマンドに従って一つの区画(P)を自律的かつ独立した作業で少なくとも2台の農業機械またはロボット(R1、R2、...、Ri)の作業車団(フリート)によって同時に作業する方法であって、作業すべき区画(P)を、その区画(P)の作業の開始前または作業中に徐々に、上記区画の一部から成る帯状形の少なくとも2つの別個の作業領域(Z1、Z2、...、Zj)に細分化し、この作業領域の全体は上記区画の耕作可能な領域を十分に、有利には実質的に全てをカバーし、各作業領域(Z1、Z2、Zj)は農業用ロボット(R1、R2、Ri)の1つのみに排他的に割り当て、作業領域(Z1、Z2、Zj)の大部分の幅(Lz)は排他的に割り当てた農業用ロボット(R1、R2、Ri)の作業幅(Lr)の1以上の倍数、好ましくは整数に等しく、上記区画(P)の作業中に各農業ロボット(R1、R1、Ri)に対するまだ作業していない作業領域(Z1、Z2、Zj)の割り当ては、割り当てた各農業ロボットによって異なる各作業領域で進行中の作業の完了度に応じて徐々に実行することを特徴とする方法。
【請求項2】
各農業ロボットに最初の専用作業領域を初期割り当てした後に、各農業ロボットに作業すべき作業領域のまだ残っている作業領域の次の割り当てを、上記区画(P)の作業中に、それぞれ割り当てされた農業ロボットによる異なる作業領域で進行中の作業の完了度に応じて徐々に行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記区画(P)の作業開始時に、一つの作業領域が一つの農業用ロボットに排他的に割り当てて、全ての作業領域(Z1、Z2、Zj)を各農業用ロボット(R1、R2、Ri)に割り当て、まだ作業していない作業領域を各農業用ロボット間への再割り当てを、各ロボットの挙動、使用可能性および/または状態の変化、または、排他的に割り当てた各農業用ロボットによる作業領域での作業の実際または予測可能な進捗状況に応じて、上記区画(P)での作業の実施中の特定の時間に介在させることができことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
作業領域(Z1、Z2、Zj)の少なくとも最初または第1の排他的割り当てを上記区画(P)の細分化で得られる一連の隣接した作業領域への各農業用ロボットの交互的、周期的、反復的または任意の割り当て規則に従って実行し、作業領域は、区画(P)の周囲にポンド領域を有する多角形の区画(P)の場合の互いに並んで配置された実質的に直線状の帯状であるか、半径に沿って延びたポンド領域(F)を有する円盤状の区画(P)の場合の同心円状に配置された略円形の帯状であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
農業用ロボット(R1、R2、Ri)が同じタイプの作業を実施し、この農業用ロボットが好ましくは同一の作業幅(Lr)を有し且つ有利には同じタイプのものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
隣接する少なくとも2つの作業領域(Z1,Z2,Zj)の間に、農業ロボット(R1、R2、Ri)による作業を受けない帯状の中間ゾーン(Z')を設けることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
新しい農業用ロボットを追加する時、農業用ロボットを撤去する時または作業領域内で活動中の農業用ロボットを停止する時に、存在する作業中の農業用ロボット(R1、R2、Ri)にまだ作業していない作業領域(Z1、Z2、Zj)を新たに割り当て、この再割り当てを共通の中央管理・制御システム(SC)によって行い、各農業用ロボットへ送信する請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
上記区画(P)の細分化および各農業用ロボット(R1、R2、Ri)への作業領域(Z1、Z2、Zj)の排他的割り当てが、作業領域の変更時のポンド領域(F)における農業用ロボットの交差を最小化するように行うことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
排他的に割り当てられた作業領域(Z1,Z2,Zj)における農業用ロボット(R1,R2,Ri)の移動を、2つの作業領域に共通する端縁部において隣接または接続する作業領域の農業用ロボットと交差しないように規定することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
自律的かつ独立して移動可能な適切なツールを備えた少なくとも1つの農業機械またはロボット(R1、R2、...、Ri)の作業車団と、指令および/またはコマンドを送信し、上記ロボットの動作および/またはステータスの情報を返送できる上記ロボットと通信可能な共通の中央管理・制御システム(SC)とを含む、一つの区画(P)の自動化された作業のための農業アセンブリであって、上記中央管理制御システム(SC)が上記区画(P)での作業開始前および/または作業中に徐々に、上記区画(P)を少なくとも2つの別個の作業領域(Z1、Z2、...、Zj)に細分化する手段を有し、各ロボットは測位装置または衛星測位装置を備え、少なくとも作業段階の間に、各作業領域(Z1、Z2、Zj)を農業用ロボットの1つに排他的に割り当て、作業領域全体で上記区画の実質的に全体をカバーし、各作業領域は帯状形の上記区画の一部からなり、大部分の作業領域(Z2、Z1、Zj)の幅(Lz)は排他的に割り当てた各農業用ロボット(R2、R1、Ri)の作業幅(Lr)以上、好ましくは農業用ロボット(R1、R2、Ri)の作業幅(Lr)の倍数、好ましくは整数に等しく、まだ作業されていない作業領域(Z1、Z2、Zj)の割り当ては、上記作業区画の作業を実行する過程で、農業ロボットによって各作業領域で進行中の作業の完了度に応じて、それぞれの農業ロボットに徐々に行われることを特徴とする農業アセンブリ。
【請求項11】
一つの区画(P)で作業するロボット(R1、R2,Ri)の作業車団を管理する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実施するための請求項10に記載の農業アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農業機械の分野、より詳細には農地区画(parcelle agricole)の土壌作業または植物耕作に関するものであり、その対象は少なくとも2台の農業機械またはロボットの作業車団(フリート(flotte)、作業車の集合、隊列)によって自動的かつ同時に作業をする方法と、この方法を実行するための農業アセンブリ(組立体)とにある。
【背景技術】
【0002】
農業分野では、複数の自律型農業機械(ロボット)の一つの作業車団(フリート)によって一つの区画で作業を行う場合、システム効率を確保するためにその区画内での作業を分散することが重要であるということは知られている。同様に、複数の異なる農業機械間での衝突の危険性を可能な限り回避することも重要である。
【0003】
一つの区画(parcelle)Pは典型的には「メインフィールド」CP(最適に利用可能な領域)と、このメインフィールドCPに隣接するその周辺の全部または一部を囲む領域(zone de fourriere、囲む領域、収容場所、以下、「ポンド領域」という)Fとに分けられる([図1]ではメインフィールドの外周全体がポンド領域である)。このポンド領域はメインフィールドの一つの作業列(rang)から別の作業列(rang)に移動する時に(例えば、Uターン時に)農業機械によって使用される領域である。
【0004】
公知の通常の方法では、一つの同じ作業車団内の各自律走行車は他の自律走行車の位置を常に知るために(無線周波数によって直接または中央システムを介して)相互に通信している。別の解決方法としてマスタースレーブ型(スレーブロボットがマスターロボットの経路をたどって再現する)も存在する。
【0005】
しかし、これらの公知の解決方法では常に双方向の通信交換が必要であり、ロボット間で永続的な通信が必要である。その結果、データフローや機械とネットワークとの間の接続が必然的に複雑になる。
【0006】
また、公知のマスタースレーブ解決方法では、マスターロボットに対してスレーブロボットが依存することが要求される。従って、2台のマシンは実際には独立して動くことができず、ペアまたはグループでのみ動作するため効率が低下する。さらに、各ロボットを恒久的な通信リンクを介して管理する必要もある。
【0007】
最後に、他の解決方法では作業区画(parcelle)を作業する農業ロボットの作業幅に対応する固定幅の「作業領域」(zones de travail)に分割し、その作業区画を複数の異なるロボットに割り当て、作業区画を各ロボットの作業の進捗状況に応じてリアルタイムで割り当て/再割り当てすることを推奨している。このような解決方法は、[特許文献1](欧州特許第EP3,508,045号公報)または[特許文献2](米国特許出願公開第US2019/0146513号明細書)に開示されている。
【0008】
後者のタイプの解決方法は常時の通信を必要としないが、集中管理システムとロボットとの間で通信交換が頻繁に行われる。また、この解決方法にはあまり柔軟性がない。さらに、機械のルートは事前には分からず、ロボット間の衝突の管理が極めて複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第EP3,508,045号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第US2019/0146513号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特に後者のタイプの解決方法の欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の対象は、自律的かつ独立して作業する少なくとも2台の農業機械またはロボットによって、共通の中央管理およびステアリングシステムによって送信される指示および/または命令に従って、一つの農地区画を同時に作業する方法であって、その作業区画での作業の開始前または作業中に徐々に、作業すべき作業区画を作業区画の利用可能な表面積を十分に、好ましくはその表面積の実質的に全体を覆うように、少なくとも2つの別々の作業領域(zones de travail)に細分化(subdiviser)し、その各作業領域は上記作業区画の帯状の一部から成り、各作業領域を少なくとも所定の作業期の間、一つ農業用ロボットに排他的に割り当て、作業領域の大部分の幅は排他的に割り当てられた農業用ロボットの作業幅の1以上の倍数、好ましくは整数に等しく、まだ作業されていない作業領域の割り当て(affectation exclusive)は、上記作業区画の作業を実行する過程で、農業ロボットによって各作業領域で進行中の作業の完了度に応じて、それぞれの農業ロボットに徐々に行うことを特徴とする方法にある。
【0012】
本発明は、好ましい実施形態に関する以下の説明からよりよく理解できよう。しかし、本発明が下記実施例に限定されるものではない。添付の概略図は全て農業区画の平面図である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】区画PがメインフィールドCPとそれに隣接してその周辺の全部または一部をポンド領域Fとからなることを示す図。[図1]ではメインフィールドの外周全体がポンド領域である。
図2】四角形の区画の場合に区画フィールドをタイプA-B-C、A-B-Cのパターンまたは反復パターンに従った作業領域に交互に分割した図。
図3】区画フィールド全体を[図2]と同じパターンまたは反復パターン(タイプA-B-C、A-B-C,...)に従って交互に分割した均一な作業領域と、(端部の)異なる寸法(より広い)の帯体(バンド)とに分割した図。
図4】区画フィールド全体を[図3]とは異なるパターンまたは反復パターン(タイプA-B-C、B-A-C、B-A...)に従って交互に分割した均一な作業領域と、(端部の)異なる寸法(より広い)の帯体(バンド)とに分割した図。
図5】区画フィールド全体を[図2]と同じパターンまたは反復パターン(タイプA-B-C、A-B-C,...)に従って交互に分割した均一な作業領域と、(端部の)異なる寸法(より広い)の帯体(バンド)と、農業ロボットが作業をしない「空の」中間帯体(バンド)とに分割した図。
図6】本発明方法を実現するための農業アセンブリの一つの例を構成する主要構成要素(中央管理・制御システム-農作業の自律型ロボット機械)が表された、区画フィールドが交互の作業領域に分割された図。
図7】円形の区画の場合に、区画フィールド全体を([図2]および[図3]のように)タイプA-B-C、A-B-Cのパターンまたは反復パターンに従って分割した作業領域と、(半径に沿って延びる)中央ポンドバンド(bande de fourriere centrale)とに分割した図。
図8A】および
図8B】は、一つの区画での作業を本発明方法で実行する時に、ロボット機械を追加する場合([図8A])およびロボット機械を取除く場合([図8B])をそれぞれ示す[図2][~図5]と同様な図。
図9A】、
図9B】および
図9C】は、本発明に従って比較的大きな寸法の障害物(例えば作業領域の幅よりも大きい障害物)が存在する場合の異なる管理方法を示す[図2]~[図5]と同様な図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2]~[図9]から分かるように、本発明の対象は、共通の中央管理・制御システム(SC)によって送信される指示および/またはコマンドに従って、自律的かつ独立した作業をする少なくとも2台の農業機械またはロボット(R1、R2、...、Ri)の作業車団(フリート)によって一つの区画(P)を同時に作業する方法にある。
【0015】
ロボットによって実行される作業は通常の全ての農業作業(播種前の準備から収穫後の処理までの作業)をカバーでき、作物の種類、季節、土壌の性質、気象条件等に依存する。
【0016】
本発明方法では、区画(P)での作業の開始前またはその作業中に徐々に、作業すべき一つの区画(P)を少なくとも2つの別個の作業領域(Z1、Z2、...、Zj)に細分化し、この作業領域の全体は区画の耕作可能な表面の実質的に全てをカバーし、個々の作業領域は上記作業領域の帯状(band)の一部から成り、各作業領域(Z1、Z2、Zj)には、少なくとも一つの所定の作業期の間、一つに農業用ロボット(R1、R2、Ri)のみに排他的に割り当て、各作業領域(Z1、Z1、Zj)の幅(Lz)はその作業領域に排他的に割り当てられた農業ロボット(R1、R2、Ri)の作業幅(Lr)の1以上の倍数、好ましくは整数に等しい。さらに、まだ作業をしていない作業領域(Z1、Z2、Zj)を、上記区画(P)の作業中に、異なる作業領域での各農業ロボットの作業の完了度に応じて、それぞれの各農業ロボット(R1、R2、Ri)へ徐々に排他的に割当てる。
【0017】
従って、本発明では、所定の区画Pの利用可能な表面CP(すなわちメインフィールド)が、作業車団中に存在する各ロボットにそれぞれ排他的に割り当てられる作業領域に分割され、一つのロボットのために予約された帯域(ゾーン)はそこで実行しなければならない作業の期間中はそのロボットしか走行できない。すなわち、そのロボットはプログラム(区画内よび/または所定帯域内での作業の開始前および/または作業期間中に中央システムによって送信された特定のコマンド)に従ってその領域で独立して作業し、その区画内に存在する他のロボットによって邪魔されることはない。
【0018】
本発明が提供する解決策は上記の決まりによってロボット間の衝突および衝突の管理を著しく単純化でき、各作業領域における作業を独立して管理でき、所定の区画内で同時に働く機械の数に大きな柔軟性を与えることが可能になり、特にロボット間の通信の必要性を無くすことができ、ロボット間の各通信は排他的に割り当てられた領域の範囲内のみでしか行われない。
【0019】
さらに、各ロボットのそれぞれの位置を知る必要はない。実際には、各ロボットの動きは管理・制御システムによって一元的に管理され、この管理・制御システムが作業領域の割り当てや、各ロボットの作業パラメータの定義等を制御する。従って、各ロボットは管理・制御システムとのみ排他的に通信し、他のロボットとは通信しない。
【0020】
さらに、本発明方法によって一つの区画内の作業中にロボットの追加/削除を容易にでき(図8参照)、異なる幅の作業領域に容易に適応でき、順次実行すべき領域間でのロボットの移動を最適化することができる。
【0021】
最後に、作業領域の両端部の各作業領域にそれぞれ関連する排他的なポンド領域で簡単にUターン、操縦ができ、また、材料供給ゾーン(zones de ravitaillement)を設けることができる。
【0022】
すなわち、ポンド領域でのロボット間の交差を制限または完全に回避することもできる。
【0023】
添付の図に例として示すように、所定の区画の一端部から他端部への連続した順序に従って、互いに連続した隣接するバンドの形で領域(ゾーン)を細分化する。異なる各バンドを全て同一の幅にすることができ、また、全て異なる幅にするもでき、さらには、所定数のものは同一幅し、他は異なる幅にすることもできる。細分化後に得られる作業領域の数は区画を作業するために用意したロボットの数以上にするか、または少なくとも等しすることが好ましい。
【0024】
異なる各作業領域への異なる各ロボットへの割り当てスキーム(方式)(schema d'attribution)は所定の区画の作業サイクルの開始時または作業サイクル中に予め決めた規則および論理に従ったスキーム、例えば、必要作業スキーム(schema arbitraire impose)、規則的な繰り返し、各ロボットの作業の進行状況に応じた割り当て、予めカット(パス)する領域の一連の地形的順序を最初に非割り当て領域として割り当てる等のスキームにすることができる。
にすることができる。
【0025】
本発明の第1の実施形態では、例えば[図3]~[図5]および[図7]に示すように、各農業ロボットに第1の専用作業エリアを最初に割り当てる。その後の(各種農業ロボットに対する)まだ作業していない作業領域の割当ては、区画(P)の作業中に、異なる各領域で進行中のそれぞれに割り当てられた農業用ロボットの作業の完了度に応じて徐々に実施される。
【0026】
図2]および[図6]に示す第2の実施形態では、一つの区画(P)の作業開始時に、全ての作業領域(Z1、Z2、Zj)を各農業用ロボット(R1、R2、Ri)に割り当て、一つのロボットを各作業領域に排他的に割り当てる。まだ作業していない作業領域への将来の再割り当ては、その区画(P)の作業中の所定時に介入(intervenir)することができる。この介入は各ロボットの挙動、利用可能性(disponibilite)および/または状態、さらには、各農業用ロボットの排他的に割り当てられた作業領域における所定時における作業の実際のまたは予測可能な進捗状況に応じて行うことができる。
【0027】
ロボットを追加および削除する場合は[図8A]および[図8B]の作業領域のパターンで概略的に示してある。
【0028】
排他的な作業領域(Z1、Z2、Zj)の少なくとも初期または最初の割り当ては、区画(P)の細分化で生じる互いに連続する隣接する作業領域への異なる各ロボットの割り当て規則(交互、周期的、反復的または任意)に従うのが好ましい。これらの作業領域は、[図2]~[図9]に示すように、少なくとも部分的に外周のポンド領域(F)を有する多角形の区画(P)([図2]~[図6]、[図8]および[図9])にするか、ポンド領域(F)が半径に沿って延びた円盤状の区画(P)の場合(図7))のように同心円状に配置された略円形(環状)の帯域(バンド)にすることができる。
【0029】
複数のロボットによって所定区画で同時に実行される作業を合理化および標準化するために、同じタイプの作業を実行する農業用ロボット(R1、R2、Ri)を備えるのが有利であり、各ロボットは同一の作業幅(Lr)を有するのが好ましく、同じタイプのものであるのが有利である。しかし、異なる作業幅(Lr)を有するロボットで同じタイプの作業を実行すること(例えば、同じタイプのロボットの異なるサイズのモデル)も本発明の範囲内に含まれる。後者の場合、作業領域を異なる適合幅(Lz)にすることができる(図示せず)。
【0030】
必要な場合には、一つのロボット群の互いに補完的な作業を実行する2つの異なる作業車団(フリート)で同じ一つの区画内、特に大きな区画内で同時に活動をすることもできる。好ましくはその区画の互いに反対側の2つの端部で、第1の作業車団(フリート)が作業を完了し、他の作業車団(フリート)は作業を開始するようにすることができる。
【0031】
例えば、互いに近隣する領域で作業するロボット間の衝突のリスクを回避するために、作業領域の間に作業しない交通バンド(帯域)を配置したり、および/または、あるバンド(帯域)を休耕地にしたり、別作物にすることができる。例えば、[図5]に示すように、互いに隣接する少なくとも2つの作業領域(Z1、Z2、Zj)の間に、農業用ロボット(R1、R2、Ri)による作業を受けない(例えば数センチメートルから数十センチメートルの)1つの帯び状の中間ゾーン(Z')を設けることができる。
【0032】
本発明の別の可能な機能的特徴によって、本発明方法では、新しいロボットを追加する時、ロボットを取り外しまたは分離する時、または、作業領域で作業するロボットをシャットダウンする時に、実際に存在しかつ作業している農業用ロボット(R1、R2、Ri)に対して、まだ作業していない作業領域(Z1、Z2、Zj)への新しい割り当てを新たに行うこともできる。必要な場合には、この再割り当て(reaffectation)はその時点でまだ作業されていない区画(P)の残りの部分(PRP)の新しい細分化をした後に、共通の中央管理・制御システム(CS)によって実行され、各ロボットへ送信される。
【0033】
本発明の別の可能な特徴によって、区画(P)の細分化と作業領域(Z1、Z2、Zj)への各農業用ロボット(R1、R2、Ri)への排他的割当ては、作業領域を変更する際のポンド領域(F)の所でのロボットの交差(croisements)が最小化するように行うことができる。
【0034】
本発明では、各区画に割り当てられた作業車団の異なる各ロボットによって各ゾーンで農作業作業が独立して実行され、各領域での固有の作業パラメータの調整はもちろん可能であり、特に、以下のような所望の作業状況または異なる作業状況に適応することが可能である:
【0035】
- 傾斜地の場合、作業速度を遅くできる。
【0036】
- 土壌組成(石、粘土、砂など)が異なる領域の場合、作業深さおよび/またはツールおよび/または機械の設定を特定化できる。
【0037】
- 特定の差別化された地域条件の場合:各領域に供給される供給物の量を調整することができる(播種密度、植物検疫製品、灌漑、実施された作業の種類等)。
【0038】
- 区画を柔軟に利用するために各帯域で異なる品種を播種できる。
【0039】
さらに、作業領域の定義および割り当てに関して以下の事項を考慮できる。
【0040】
- 作業領域の寸法は、農業用ロボットの作業幅以外の要因:ツールの設定、地形的によって影響を受ける可能性があり、および/または、地理的制約がより重要になる場合がある。
【0041】
- 所定の作業領域の幅Lzはそれに割り当てられたロボットの作業幅Lrよりも小さすることができ、特に[図3]~[図5]の最後の領域BTまたは終端バンド(区画の終わり等)を参照。
【0042】
- 特定のロボットに割り当てられる次の作業領域はそのロボットが作業を完了したばかりの作業領域に隣接すなわち「接した」ものに必ずしも拘束されない(近いもの順で未作業領域を「スキップ」できる)。
【0043】
? 一つの作業領域で実行されるタスクの終了は、そのロボットによってその領域の表面の100%の作業が遂行されたことと必ずしも対応しない。すなわち、中央システム(SC)によって適用される割り当て論理では、現在の作業領域における作業が完全に完了していなくても当該ロボットを次の領域に移動するような決定にすることができる(ロボットの故障、時間稼ぎ、不要な操作の制限等)。
【0044】
- 特定のロボットの作業領域の変更時には、作業が完了したばかりの領域が「解放」され、別の作業を実行するために別のロボットがその領域に入ることができる。
【0045】
障害物(自然物または非天然物)、特に比較的大きなサイズ(大きな岩、パイロン、マウンド(monticule)、ラック(lac)等)が作業区画内に存在する場合、微妙な問題(probl鐔ochme d饅ochlicat)が生じる可能性がある。
【0046】
そうした障害物を回避するために各農業用ロボットがそれぞれの作業領域を離れるのを防ぐための解決方法はいくつか予定し、実行できる。
【0047】
- 例えば[図9A]に示すように、障害物(OB)全体を含む大きな作業領域を定義する。
【0048】
- 標準幅の作業領域を定義し、例えば[図9B]に示すように、障害物(OB)を含むいくつかの隣接する領域を一つの同じロボットに「予約」する。
【0049】
- 標準幅の作業領域を定義し、[図9C]に示すように、隣接する別の領域が解放されるのを待ってから、そのロボットにその別の隣接する領域を通過することを義務付ける。
【0050】
全ての場合、障害物とそれを回避する方法は、その領域のサイズの定義と、関連するロボットへの(中央管理・制御システムによってサポートされる)割り当て論理とを考慮する必要がある。
【0051】
「ポンド領域」の処理とそこで実行される作業は特定の論理に基いて行うのが有利である(この主題に介しては本出願人の同時特許出願を参照されたい)。
【0052】
利用可能な領域全体(メインフィールドCP)を一周するポンド領域(ゾーンF)を全ての区画が必ずしも持っている必要はなく、両側のみ(例えば添付図面の上部と下部のみ)に存在していてもよいということに注意されたいい。
【0053】
また、「ポンド領域」が全くない場合もあり、本発明の原理を変えずに、操縦をメインフィールド内で行うことができる(区画とメインフィールドとの融合)。
【0054】
最後に、ポンド領域が区画の耕作可能表面の一部であると考えられる場合には、後者は、異なる作業領域に割り当てられた各ロボットによって(それぞれの作業の終わりに)それぞれ部分的に作業するか、または、特定作業領域として少なくとも1つの専用ロボットによって作業し、その次に少なくとも1つ(できれば複数)の他のロボットにメインフィールドの作業を割り当てることができる。最小構成では2台のロボット(メインフィールド用とポンド領域用のみを使用できる。
【0055】
本発明はさらに、[図6]に概略的に示すように、区画(P)で自動的に作業するための農業アセンブリにも関するものである。
【0056】
この農業アセンブリは、本質的に、自律的かつ独立して動作する適切なツールを備えた少なくとも2台の移動式農業機械またはロボット(R1、R2、...、Ri)の作業車団(フリート)と、指令および/またはコマンドを送信し、上記ロボットの動作および/またはステータスの情報を返送するために上記ロボットと通信することができる共通の中央管理・制御システム(SC)とで構成され、各ロボットには測位装置(dispositif de positionnement)または衛星測位装置(localisation par satellites)が装備されている。
【0057】
本発明の農業アセンブリの特徴は、中央管理・制御システム(SC)が、作業の開始前および/または作業中に徐々に、一つの区画(P)を帯状形の少なくとも2つの異なる作業領域(Z1、Z2、...Zj)に分割し、好ましくは作業領域全体で一つの区画の表面の実質的に全体をカバーし、少なくとも作業中に農業用ロボット(Z1、R2、Ri)の一つに各作業領域(Z1、Z2、Zj)を排他的に割り当て、大多数の作業領域(Z1、Z2、Zj)の幅(Lz)は排他的に割り当てた農業用ロボット(R1、R2、Ri)の作業幅(Lr)以上であり、好ましくは排他的に割り当てた農業用ロボット(R1、R2、Ri)の作業幅(Lr)の倍数、好ましくは整数に等しく、まだ作業していない作業領域(Z1、Z2、Zj)を上記農業用ロボット(R1、R2、Ri)への排他的割り当てを、上記区画(P)の作業の進行中に、各農業ロボットによって異なる作業領域で進行中の作業の完了度に応じて徐々に実行する点にある。
【0058】
本発明の農業アセンブリは一つの区画(P)の作業中にロボット(R1、R2、Ri)の作業車団を確実に管理するように上記方法を実行する。
【0059】
本発明は添付図面に記載のものおよび実施形態に限定されるものではなく、本発明の保護範囲を逸脱せずに特に各種要素の構成の観点で変更可能であり、または技術的等価物で置換することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
【国際調査報告】