IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケンブリッジ・エンタープライズ・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-核酸を標識するための方法 図1
  • 特表-核酸を標識するための方法 図2
  • 特表-核酸を標識するための方法 図3
  • 特表-核酸を標識するための方法 図4
  • 特表-核酸を標識するための方法 図5
  • 特表-核酸を標識するための方法 図6
  • 特表-核酸を標識するための方法 図7
  • 特表-核酸を標識するための方法 図8
  • 特表-核酸を標識するための方法 図9A
  • 特表-核酸を標識するための方法 図9B
  • 特表-核酸を標識するための方法 図10
  • 特表-核酸を標識するための方法 図11
  • 特表-核酸を標識するための方法 図12
  • 特表-核酸を標識するための方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】核酸を標識するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6806 20180101AFI20230929BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230929BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20230929BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALN20230929BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20230929BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6869 Z ZNA
A61K51/04 300
C12Q1/6844 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516511
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2021075252
(87)【国際公開番号】W WO2022053718
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】2014404.4
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508311226
【氏名又は名称】ケンブリッジ・エンタープライズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ナッピ,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ホファー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン,シャンカー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーント,マシュー・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C085
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS14
4B063QS24
4C085HH20
4C085KA26
4C085KB91
4C085KB92
4C085LL18
(57)【要約】
本発明は、N6-メチルアデニンを含む核酸を標識するための方法を提供する。方法は、NmAdeのN6-メチル基にアルファ-アミノラジカルを形成するステップ、およびニトロソピリジル基を含むラジカル受容体で、アルファ-アミノラジカルを捕獲するステップを含む。その後、核酸におけるNmAdeの存在が、標識核酸の検出により確立され得、または標識核酸が、抽出され、もしくは標識を用いてさらに修飾され得る。標的核酸内のNmAdeの位置をマッピングするための方法、ならびに、その方法に用いられるプローブ分子およびキットもまた提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N6-メチルアデニン(NmAde)を含む核酸を標識するための方法であって、
i)N6-メチルアデニン(NmAde)のN6-メチル基にアルファ-アミノラジカルを形成するステップ;および
ii)前記アルファ-アミノラジカルを、ニトロソピリジル基(O=N-Py-)を含むラジカル受容体で捕獲するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
mAdeを含む核酸を、アミン中心ラジカルカチオンと接触させて、水素原子をNmAdeのN6-メチル基から取り出すことにより、前記アルファ-アミノラジカルが形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アミンを酸化して、アミン中心ラジカルカチオンを生成するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミンが、以下の式を有するキヌクリジンなどの第3級アミンである、請求項3に記載の方法:
【化1】
式中、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アシルオキシ基、C1~6逆エステル基、または-C(OH)R基(式中、RおよびRは、C1~6アルキルから選択される)から選択される。
【請求項5】
光触媒が前記アミンを酸化するために用いられ、任意で、励起状態かまたは還元型のいずれかの前記光触媒が、低くとも+1.10V vs SCE~高くとも+1.45V vs SCEの還元電位を有する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記光触媒が、ルテニウムまたはイリジウム光触媒などの遷移金属光触媒であり、任意で、前記光触媒が、[Ru(phen)2+および[Ru(bpz)2+から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ラジカル受容体が、以下の式(I)を有するプローブである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法:
O=N-Py-L-X (I)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【請求項8】
-L-が以下である、請求項7に記載の方法:
-L-L-L
式中、
-L-は共有結合またはC6~10アリレン基から選択され;
-L-は、アミド結合、エステル結合、カルボニル結合、アミン結合、またはエーテル結合から選択され;
-L-は、C1~10アルキレンおよびC1~10ヘテロアルキレンから選択される。
【請求項9】
-Xが、C2~20アルキニル、C2~20アルケニル、イソシアニド、アジド、ニトロン、ニトリルオキシド、およびテトラジンから選択される基などのクリック反応パートナー(-C)であり、好ましくは、-Cが、エチニル基などのC2~20アルキニル基である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記プローブが、以下の式(II)を有する前駆体からインサイチューで形成される、請求項8または9に記載の方法:
N-Py-L-X (II)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【請求項11】
前記前駆体が以下の式P1~P7の化合物から選択される、請求項10に記載の方法:
【化2】
【請求項12】
前記プローブが、式(II)の前記前駆体を還元することにより形成される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
式(II)の前記前駆体を還元するために、およびアミンを酸化して、アミン中心ラジカルカチオンを生成するために同じ光触媒が用いられるなど、光触媒が式(II)の前記前駆体を還元するために用いられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記核酸がDNAまたはRNAであり、任意で、前記核酸がDNAである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
以下のステップを含む、NmAdeを含む核酸を試料から抽出し、および任意で、濃縮するための方法:
i)前記試料中のN6-メチルアデニンを含む核酸を、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を用いて、標識するステップ;および
ii)前記標識核酸を前記試料から抽出するステップ;および任意で
iii)前記抽出された核酸を増幅するステップ。
【請求項16】
以下のステップを含む、標的核酸内のNmAdeの位置をマッピングするための方法:
i)NmAdeを含む標的核酸を供給するステップであって、前記標的核酸が既知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を用いて、前記標的核酸を標識するステップ:
iii)前記標的核酸を増幅して、核酸断片の集団を生じるステップ;
iv)前記核酸断片の集団をシーケンシングして、前記核酸断片の塩基配列を決定するステップ;および
v)前記核酸断片のヌクレオチド配列を、前記標的核酸のヌクレオチド配列と比較するステップであって、前記核酸断片のヌクレオチド配列の終止が、前記標的核酸のヌクレオチド配列におけるNmAde部位の位置を示す、ステップ。
【請求項17】
i)NmAdeを含む標的核酸の集団を供給するステップであって、前記標的核酸が未知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)前記集団の最初の部分をシーケンシングして、前記標的核酸の一次ヌクレオチド配列を決定するステップ
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
iii)前記標識核酸を、以下の式を有する二官能性プローブと接触させるステップであって、その結果、前記二官能性プローブが前記標識核酸と共有結合する、ステップ
をさらに含む、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法:
-L-X
式中、-Cは相補性クリック反応パートナーであり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【請求項19】
-Cがアジド基(-N)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記リンカー -L-が以下である、請求項18または19に記載の方法:
-L4A-(L4B
式中、
-L4A-はC1~4アルキレンであり;
-L4B-はC1~4ヘテロアルキレンであり;
nは0~8である。
【請求項21】
-Xが、結合剤と結合する単離標識(-XIso)であり、例えば、前記単離標識(-XIso)がビオチンである、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
以下のステップを含む、NmAdeを含む核酸を試料から抽出するための方法:
i)試料中のNmAdeを含む核酸を、請求項21に記載の方法を用いて、標識するステップ;
ii)前記核酸が共有結合している前記二官能性プローブを、前記単離標識(-XIso)と結合する結合剤と接触させるステップ;および
iii)前記二官能性プローブおよびそれと結合した標識核酸を有する前記結合剤を、前記試料から抽出するステップ。
【請求項23】
前記結合剤がストレプトアビジンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記結合剤が、固体支持体上に固定化されており、任意で、前記固体支持体が、磁気マイクロビーズなどのマイクロビーズである、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記試料が核酸の集団を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
以下のステップをさらに含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法:
iv)前記結合剤を、アミン求核剤と接触させて、核酸を遊離させるステップであって、任意で、前記アミン求核剤が以下の式を有する、ステップ:
N-R
式中、-RはC1~6アルキル基または-NHである。
【請求項27】
以下のステップを含む、標的核酸内のNmAdeの位置をマッピングするための方法:
i)NmAdeを含む標的核酸を供給するステップであって、前記標的核酸が既知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)請求項21に記載の方法を用いて、前記標的核酸を標識するステップ:
iii)前記標識核酸が共有結合している前記二官能性プローブを、前記単離標識(-XIso)と結合する結合剤と接触させるステップであって、任意で、前記結合剤が固体支持体上に固定化されている、ステップ;
iv)前記固体支持体と結合した前記核酸を増幅して、核酸断片の集団を生じるステップ;
v)前記核酸断片の集団をシーケンシングして、前記核酸断片のヌクレオチド配列を決定するステップ;および
vi)前記核酸断片のヌクレオチド配列を、前記標的核酸のヌクレオチド配列と比較するステップであって、前記核酸断片のヌクレオチド配列の終止が、前記標的核酸のヌクレオチド配列におけるNmAde残基の位置を示す、ステップ。
【請求項28】
前記結合剤がストレプトアビジンを含み、任意で、前記固体支持体が磁気マイクロビーズなどのマイクロビーズである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
i)NmAdeを含む標的核酸の集団を供給するステップであって、前記標的核酸が未知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)前記集団の最初の部分をシーケンシングして、前記標的核酸の一次ヌクレオチド配列を決定するステップ
を含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
以下のステップを含む、NmAdeを含む核酸を標識するための方法:
i)(a)ニトロピリジル基(ON-Py-)を含む化合物;
(b)第3級アミン;および
(c)光触媒
を含む反応混合物と、NmAdeを含む核酸を接触させるステップであって、その結果、前記化合物がNmAdeのN6-メチル位に共有結合性に付着する、ステップ。
【請求項31】
前記ニトロピリジル基を含む化合物が以下の式(II)の前駆体である、請求項30に記載の方法:
N-Py-L-X (II)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【請求項32】
-L-が以下である、請求項31に記載の方法:
-L-L-L
式中、
-L-は共有結合またはC6~10アリレン基から選択され;
-L-は、アミド結合、エステル結合、カルボニル結合、アミン結合、またはエーテル結合から選択され;
-L-は、C1~10アルキレンおよびC1~10ヘテロアルキレンから選択される。
【請求項33】
-Xが、C2~20アルキニル、C2~20アルケニル、イソシアニド、アジド、ニトロン、ニトリルオキシド、およびテトラジンから選択される基などのクリック反応パートナー(-C)であり、好ましくは、-Cが、エチニル基などのC2~20アルキニル基である、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記前駆体が、以下の式P1~P7の化合物から選択される、請求項31に記載の方法:
【化3】
【請求項35】
前記第3級アミンが、以下の式を有するキヌクリジンである、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法:
【化4】
式中、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アシルオキシ基、C1~6逆エステル基、または-C(OH)R基(式中、RおよびRは、C1~6アルキルから選択される)から選択される。
【請求項36】
励起状態かまたは還元型のいずれかでの前記光触媒が、低くとも+1.10V vs SCE~高くとも+1.45V vs SCEの還元電位を有する、請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記光触媒が、ルテニウムまたはイリジウム光触媒、例えば、[Ru(phen)2+または[Ru(bpz)2+などの遷移金属光触媒である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記反応混合物に照射するステップ、例えば、前記反応混合物に可視光を照射するステップを含む、請求項30~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記反応混合物が、N-アセチルデヒドロアラニンメチルエステル(Ac-Dha-Me)などの活性化アルケンを含む、請求項30~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記核酸がDNAまたはRNAであり、任意で、前記核酸がDNAである、請求項30~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
以下のステップを含む、NmAdeを含む核酸を試料から抽出し、および任意で、濃縮するための方法:
i)前記試料中のN6-メチルアデニンを含む核酸を、請求項30~40のいずれか一項に記載の方法を用いて、標識するステップ;および
ii)前記標識核酸を前記試料から抽出するステップ;および任意で
iii)前記抽出された核酸を増幅するステップ。
【請求項42】
以下のステップを含む、標的核酸内のNmAdeの位置をマッピングするための方法:
i)NmAdeを含む標的核酸を供給するステップであって、前記標的核酸が既知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)請求項30~40のいずれか一項に記載の方法を用いて、前記標的核酸を標識するステップ:
iii)前記標的核酸を増幅して、核酸断片の集団を生じるステップ;
iv)前記核酸断片の集団をシーケンシングして、前記核酸断片の塩基配列を決定するステップ;および
v)前記核酸断片のヌクレオチド配列を、前記標的核酸のヌクレオチド配列と比較するステップであって、前記核酸断片のヌクレオチド配列の終止が、前記標的核酸のヌクレオチド配列におけるNmAde部位の位置を示す、ステップ。
【請求項43】
i)NmAdeを含む標的核酸の集団を供給するステップであって、前記標的核酸が未知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)前記集団の最初の部分をシーケンシングして、前記標的核酸の一次ヌクレオチド配列を決定するステップ
を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ii)前記標識核酸を、以下の式を有する二官能性プローブと接触させるステップであって、その結果、前記二官能性プローブが前記標識核酸と共有結合する、ステップ
をさらに含む、請求項30~40のいずれか一項に記載の方法:
-L-X
式中、-Cは相補性クリック反応パートナーであり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【請求項45】
-Cがアジド基(-N)である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記リンカー -L-が以下である、請求項44または45に記載の方法:
-L4A-(L4B
式中、
-L4A-はC1~4アルキレンであり;
-L4B-はC1~4ヘテロアルキレンであり;
nは0~8である。
【請求項47】
-Xが、結合剤と結合する単離標識(-XIso)であり、例えば、前記単離標識(-XIso)がビオチンである、請求項44~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
以下のステップを含む、NmAdeを含む核酸を試料から抽出するための方法:
i)試料中のNmAdeを含む核酸を、請求項47に記載の方法を用いて、標識するステップ;
ii)前記標識核酸が共有結合している前記二官能性プローブを、前記単離標識(-XIso)と結合する結合剤と接触させるステップ;および
iii)前記二官能性プローブおよびそれと結合した標識核酸を有する前記結合剤を、前記試料から抽出するステップ。
【請求項49】
前記結合剤がストレプトアビジンを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記結合剤が、固体支持体上に固定化されており、任意で、前記固体支持体が、磁気マイクロビーズなどのマイクロビーズである、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記試料が核酸の集団を含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
以下のステップをさらに含む、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法:
iv)前記結合剤を、アミン求核剤と接触させて、核酸を遊離させるステップであって、任意で、前記アミン求核剤が以下の式を有する、ステップ:
N-R
式中、-RはC1~6アルキル基または-NHである。
【請求項53】
以下のステップを含む、標的核酸内のNmAdeの位置をマッピングするための方法:
i)NmAdeを含む標的核酸を供給するステップであって、前記標的核酸が既知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)請求項47に記載の方法を用いて、前記標的核酸を標識するステップ:
iii)前記標識核酸が共有結合している前記二官能性プローブを、前記単離標識(-XIso)と結合する結合剤と接触させるステップであって、任意で、前記結合剤が固体支持体上に固定化されている、ステップ;
iv)前記固体支持体と結合した前記核酸を増幅して、核酸断片の集団を生じるステップ;
v)前記核酸断片の集団をシーケンシングして、前記核酸断片のヌクレオチド配列を決定するステップ;および
vi)前記核酸断片のヌクレオチド配列を、前記標的核酸のヌクレオチド配列と比較するステップであって、前記核酸断片のヌクレオチド配列の終止が、前記標的核酸のヌクレオチド配列におけるNmAde残基の位置を示す、ステップ。
【請求項54】
前記結合剤がストレプトアビジンを含み、任意で、前記固体支持体が磁気マイクロビーズなどのマイクロビーズである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
i)NmAdeを含む標的核酸の集団を供給するステップであって、前記標的核酸が未知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)前記集団の最初の部分をシーケンシングして、前記標的核酸の一次ヌクレオチド配列を決定するステップ
を含む、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
以下の式(III)の化合物:
N-Py-L-C (III)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Cは、C2~20アルキニル、例えばエチニル基などのクリック反応パートナーである。
【請求項57】
-L-が以下である、請求項56に記載の化合物:
-L-L-L
式中、
-L-は共有結合またはC6~10アリレン基から選択され;
-L-は、アミド結合、エステル結合、カルボニル結合、アミン結合、またはエーテル結合から選択され;
-L-は、C1~10アルキレンおよびC1~10ヘテロアルキレンから選択される。
【請求項58】
以下の式P1~P7の化合物から選択される、請求項56に記載の化合物:
【化5】
【請求項59】
以下の式(I)の化合物のラジカル受容体としての使用:
O=N-Py-L-X (I)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【請求項60】
(a)ニトロピリジル基(ON-Py-)を含む化合物;および
(b)第3級アミン;および
(c)光触媒
を含む、キット。
【請求項61】
前記ニトロピリジル基を含む化合物が、以下の式(II)の前駆体である、請求項60に記載のキット:
N-Py-L-X (II)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【請求項62】
-L-が以下である、請求項61に記載のキット:
-L-L-L
式中、
-L-は共有結合またはC6~10アリレン基から選択され;
-L-は、アミド結合、エステル結合、カルボニル結合、アミン結合、またはエーテル結合から選択され;
-L-は、C1~10アルキレンおよびC1~10ヘテロアルキレンから選択される。
【請求項63】
-Xが、C2~20アルキニル、C2~20アルケニル、イソシアニド、アジド、ニトロン、ニトリルオキシド、およびテトラジンから選択される基などのクリック反応パートナー(-C)であり、好ましくは、-Cが、エチニル基などのC2~20アルキニル基である、請求項61または62に記載のキット。
【請求項64】
前記前駆体が、以下の式P1~P7の化合物から選択される、請求項61に記載のキット:
【化6】
【請求項65】
前記第3級アミンが、以下の式を有するキヌクリジンである、請求項60~64のいずれか一項に記載のキット:
【化7】
式中、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アシルオキシ基、C1~6逆エステル基、または-C(OH)R基(式中、RおよびRは、C1~6アルキルから選択される)から選択される。
【請求項66】
前記光触媒が、[Ru(phen)2+または[Ru(bpz)2+などのルテニウムまたはイリジウム光触媒である、請求項60~65に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願をもたらしたプロジェクトは、Marie Sklodowska-Curie助成金契約番号702462および789407によりEuropean Union’s Horizon 2020研究および発明プログラムから財政的支援を受けている。
【0002】
関連出願
この本件は、2020年9月14日(14.09.2020)に出願されたGB2014404.4に関連し、その恩恵を主張し、その内容は全体として参照により本明細書に組み入れられている。
【技術分野】
【0003】
本発明は、N6-メチルアデニンを含有する核酸を標識および単離する方法、ならびに標的核酸におけるN6-メチルアデニンの位置をマッピングすることに関する。
【背景技術】
【0004】
DNAアルファベット - アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびチミン(T)の4文字による配列に保存されたコア遺伝子情報の域を超えて、分子プログラミングの第2層が、基準の核酸塩基への可逆性化学修飾 - いわゆる、エピジェネティックコードの形をとって存在する。細菌は、それら自体のゲノムにおけるAおよびCを、それを侵入DNAから識別するために、ならびにミスマッチ修復およびゲノム複製を調節するために、メチル化することができる(Sanchez-Romero 2015)。真核生物において、DNAメチル化は、Cにおいてのみ起こると考えられ(Schubeler 2015)、それが、遺伝子制御に関連づけられており、それの機能のより良い理解をもたらす、それの検出およびマッピングのための化学的方法の開発へのかなりの努力を促してきた(Hofer 2019)。
【0005】
N6-メチルアデニン(NmAde)は、生物体のDNAとRNAの両方に存在し得るメチル化核酸塩基である。DNAヌクレオシドのN6-メチルデオキシアデノシン(NmdAdo;NmdA)は、真核生物のゲノムDNAおよびミトコンドリアDNAに存在し得る。NmdAはまた、植物、真菌、およびヒトを含む哺乳動物に存在し得、遺伝子制御、神経生物学、および疾患状態において生物学的に重要な役割を果たし得る。RNAヌクレオシドのN6-メチルアデノシン(NmAdo;NmA)もまた、mRNA、rRNA、およびtRNAを含む、原核生物および真核生物のRNAに存在し得る。RNAにおけるNmAは、遺伝子発現を調節し、かつ細胞分化を媒介し得、疾患状態においても重要な役割を果たし得る。
【0006】
核酸におけるN6-メチルアデニンの存在を、濃縮シーケンシングにより検出する方法は、特にDNAおよびRNAにおけるこの塩基の相対的存在量が低いため、信頼できない場合が多い。
【0007】
dA-DIP-seq、mA-seq、mdA-CLIP-exo-seq、およびmiCLIP/mA-CLIPなどの抗体免疫沈降方法は、用いられる抗体の結合特異性によって制限される。反復領域およびキャップmA部位とのこれらの抗体の潜在的な非特異的結合が報告されている。抗体はまた、高密度メチル化領域に対するバイアスを示すことが知られている。これらの理由により、このアプローチにより生じた多くのデータセットは疑わしい。
【0008】
エンドヌクレアーゼ酵素もまた、RNAおよびDNAにおけるN6-メチルアデニンを検出するために用いられている(m6A-REF-seqまたはMAZTER-seq)。このアプローチは、エンドヌクレアーゼ酵素の認識によって制限され、特定の配列構成におけるN6-メチルアデニンを検出することができるだけである。
【0009】
N6-メチルアデニン検出の他の酵素方法には、デメチラーゼ(m6A-SEAL)、デアミナーゼ(DART-seq)、およびメチルトランスフェラーゼの使用が挙げられる。これらの方法は、一般的に複雑である。追加として、DART-seqはトランスフェクションを必要とし、メチルトランスフェラーゼは、N6-メチルアデニンへの選択性はなく、二本鎖DNAは、m6A-SEALの弱い基質である。
【0010】
一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシングおよびナノポアシーケンシングを含む第3世代シーケンシング技術は、N6-メチルアデニンを検出するために用いることができる。しかしながら、これらの方法によって達成される低い信号雑音比により、信頼できる検出のために非常に高いシーケンシング深度が必要とされる。加えて、これらの技術は、非常に高価であり、大きな真核生物ゲノムのシーケンシングのために日常的には用いられない。
【0011】
mdAおよびNmAの生物学的役割を理解することは、まだ始まったばかりであり、一般的な検出方法の精度は疑問視されているが(Lentini 2018;O’Brown 2019;Douvlataniotis 2020)、それが、第2級アミンのフィーチャーを含有する哺乳動物DNAにおいて知られた唯一のヌクレオチド修飾であることは、化学的視点から、注目に値する。N-メチルアミン内のメチル基が伝統的な反応性ではないにしても、このモチーフの排他性は、NmAdeを共有結合性に修飾しかつ操作する部位選択的化学的アプローチの基盤であり得る。本発明者らが知る限りでは、現在、核酸配列をN6-メチルアデニンにおいて選択的に共有結合性に修飾するための方法は存在しない。
【発明の概要】
【0012】
一般的な態様において、本発明は、N6-メチルアデニン(NmAde)などの第2級アミン構造を含む核酸を標識するための方法を提供する。方法は、NmAdeなどの第2級アミン構造の部位特異的化学修飾を含む。これは、核酸内などのそのフィーチャーの化学的修飾および操作を可能にする。
【0013】
いくつかの実施形態において、方法は、N6-メチルアデニンラジカルの生成および前記ラジカルのラジカル受容体との反応を含む。その後、核酸におけるNmAdeの存在が、標識核酸の検出により確立され得るか、または標識核酸が抽出され、もしくは標識を用いてさらに修飾され得るかのいずれかであり得る。
【0014】
本発明の第1の態様において、
i)N6-メチルアデニン(NmAde)のN6-メチル基にアルファ-アミノラジカルを形成するステップ;および
ii)前記アルファ-アミノラジカルを、ニトロソピリジル基(O=N-Py-)を含むラジカル受容体で捕獲するステップ
を含む、N6-メチルアデニン(NmAde)を含む核酸を標識するための方法が提供される。
【0015】
好ましくは、NmAdeを含む核酸を、アミン中心ラジカルカチオンと接触させて、水素原子をNmAdeのN6-メチル基から取り出すことにより、アルファ-アミノラジカルが形成される。
【0016】
方法は、アミンを酸化して、アミン中心ラジカルカチオンを生成するステップを含み得る。
好ましくは、アミンは、以下の式:
【0017】
【化1】
【0018】
を有するキヌクリジンなどの第3級アミンであり、
式中、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アシルオキシ基、C1~6逆エステル基、または-C(OH)R基(式中、RおよびRは、C1~6アルキルから選択される)から選択される。より好ましくは、Rは水素である。
【0019】
光触媒が、アミンを酸化するために用いられ得る。
好ましくは、励起状態かまたは還元型のいずれかの光触媒は、低くとも+1.10V vs SCE~高くとも+1.45V vs SCEの還元電位を有する。より好ましくは、光触媒は、ルテニウムまたはイリジウム光触媒などの遷移金属光触媒である。光触媒は、[Ru(phen)2+および[Ru(bpz)2+から選択され得る。
【0020】
ラジカル受容体は、以下の式(I)を有するプローブであり得る:
O=N-Py-L-X (I)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【0021】
好ましくは、-Xは、C2~20アルキニル、C2~20アルケニル、イソシアニド、アジド、ニトロン、ニトリルオキシド、およびテトラジンから選択される基などのクリック反応パートナー(-C)である。より好ましくは、-Cは、エチニル基などのC2~20アルキニル基である。
【0022】
プローブは、以下の式(II)を有する前駆体からインサイチューで形成され得る:
N-Py-L-X (II)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【0023】
プローブは、式(II)の前駆体を還元することにより形成され得る。
好ましくは、式(II)の前駆体を還元するために、およびアミンを酸化して、アミン中心ラジカルカチオンを生成するために同じ光触媒が用いられるなど、光触媒が式(II)の前駆体を還元するために用いられる。
【0024】
核酸はDNAであり得る。
方法は、
iii)前記標識核酸を、以下の式を有する二官能性プローブと接触させるステップであって、その結果、前記二官能性プローブが前記標識核酸と共有結合する、ステップ
をさらに含み得る:
-L-X
式中、-Cは相補性クリック反応パートナーであり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【0025】
好ましくは、-Cはアジド基(-N)である。好ましくは、-Xは、結合剤と結合する単離標識(-XIso)であり、例えば、前記単離標識(-XIso)がビオチンである。
【0026】
本発明の第2の態様において、以下のステップを含む、NmAdeを含む核酸を試料から抽出するための方法が提供される:
i)試料中のNmAdeを含む核酸を、第1の態様の方法を用いて、標識するステップであって、その結果、前記核酸が、単離標識(-XIso)を含む二官能性プローブと共有結合する、ステップ;
ii)前記核酸が共有結合している前記二官能性プローブを、前記単離標識(-XIso)と結合する結合剤と接触させるステップ;および
iii)前記二官能性プローブおよびそれと結合した標識核酸を有する結合剤を、前記試料から抽出するステップ。
【0027】
好ましくは、結合剤はストレプトアビジンを含む。好ましくは、結合剤は、固体支持体上に固定化されており、任意で、前記固体支持体が、磁気マイクロビーズなどのマイクロビーズである。
【0028】
試料は核酸の集団を含み得る。
方法は
iv)前記結合剤をアミン求核剤と接触させて、核酸を遊離させるステップ
をさらに含み得る。
【0029】
好ましくは、アミン求核剤は以下の式を有する:
N-R
式中、-RはC1~6アルキル基または-NHである。
【0030】
本発明の第3の態様において、以下のステップを含む、NmAdeを含む核酸を標識するための方法が提供される:
i)(a)ニトロピリジル基(ON-Py-)を含む化合物;
(b)第3級アミン;および
(c)光触媒
を含む反応混合物と、NmAdeを含む核酸を接触させるステップであって、その結果、前記化合物がNmAdeのN6-メチル位と共有結合性に付着する、ステップ。
【0031】
第1および第2の態様の好ましい特徴は、第3の態様に等しく適用される。
本発明の第4の態様において、NmAdeを含む核酸を、ニトロソピリジル基(O=N-Py-)を含むラジカル受容体と反応させて、以下の式を有するコンジュゲートを生成するステップを含む、NmAdeを含む核酸を標識する方法が提供される:
A-N=C(H)-N(OH)-Py-
式中、-Aは6-プリニル基であり、-Py-はピリジンジイル基であり、は、前記ラジカル受容体の残部との付着位置を表す。
【0032】
第1および第2の態様の好ましい特徴は、第4の態様に等しく適用される。
本発明の第5の態様において、以下の式(III)の化合物が提供される:
N-Py-L-C (III)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Cは、C2~20アルキニル、C2~20アルケニル、またはイソシアニド(-N≡C)から選択される基などのクリック反応パートナーである。
【0033】
本発明の第6の態様において、ラジカル受容体としての以下の式(I)の化合物の使用が提供される:
O=N-Py-L-X (I)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【0034】
本発明の第7の態様において、以下を含むキットが提供される:
(a)ニトロピリジル基(ON-Py-)を含む化合物;および
(b)第3級アミン;および
(c)光触媒。
【0035】
第1および第2の態様の好ましい特徴は、第6および第7の態様に等しく適用される。
本発明の第8の態様において、以下のステップを含む、標的核酸内のNmAdeの位置をマッピングするための方法が提供される:
i)NmAdeを含む標的核酸を供給するステップであって、前記標的核酸が既知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)第1または第3の態様の方法を用いて、前記標的核酸を標識するステップ:
iii)前記標的核酸を増幅して、核酸断片の集団を生じるステップ;
iv)前記核酸断片の集団をシーケンシングして、前記核酸断片の塩基配列を決定するステップ;および
v)前記核酸断片のヌクレオチド配列を、前記標的核酸のヌクレオチド配列と比較するステップであって、前記核酸断片のヌクレオチド配列の終止が、前記標的核酸のヌクレオチド配列におけるNmAde残基の位置を示す、ステップ。
【0036】
第1および第2の態様の好ましい特徴は、第8の態様に等しく適用される。
本発明のこれらを始めとする態様および実施形態は、下記でさらに詳細に記載されている。
【0037】
本発明は、以下に列挙された図を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の方法の概略図である。a)NmdAにおける選択的HAAを示す。b)ニトロソアレーン由来ラジカル受容体および前記ラジカル受容体のインサイチューでの生成に用いられる安定な前駆体ニトロアレーンを示す。c)選択的HAAと、ニトロソアレーンのインサイチューでの生成を介したラジカルトラッピングとの合併に基づいたNmdAの光酸化還元促進性共有結合性修飾の概要を示す。
図2】NmdAの共有結合性官能化のための可視光媒介性光酸化還元ストラテジーの概略図である。a)NmdAのN6-メチル基でのHAAを示す。b)NmdAを含むオリゴヌクレオチドにおける[Ru(II)(bpz)](PF6)での還元的光触媒性消光サイクルを介した、HAAおよびラジカルトラッピングによるコンジュゲーションを示す。c)NmdAを含むオリゴヌクレオチドにおける[Ru(II)(phen)]Clでの酸化的光触媒性消光サイクルを介した、HAAおよびラジカルトラッピングによるコンジュゲーションを示す。
図3】[Ru(bpz)](PFの還元的消光経路(上部のトレース)および[Ru(phen)]Clの酸化的消光(下部トレース)を用いたODN5におけるNmAde官能化の反応スキームおよびLCMSのトレースを示す図である。
図4】DNAにおけるNmdAでの光酸化還元官能化および下流修飾を示す図である。a)オリゴヌクレオチド官能化におけるモジュラーニトロピリジンプローブの使用およびその後の、ヒュスゲン環化付加による同化を示す。b)オリゴヌクレオチド官能化における選択性パラメータが、「HAA選択性」(C-H結合切断の位置を反映する)および「プローブ選択性」(ニトロピリジンに対するニトロソピリジンによる反応の選択性を反映する)として定義されることを示す。
図5】アルキン由来ニトロピリジンでの光酸化還元官能化、ビオチン由来アジドでのヒュスゲン環化付加、ストレプトアビジンコーティング化磁気ビーズ上での固定化、逐次洗浄によるオリゴヌクレオチド分離、およびNmdA由来オリゴヌクレオチドの選択的切断を含むプルダウン手順を示す図である。そのプロセスは、>50:1の濃縮をもたらす。
図6】サケ精子(SS)DNAの存在下および非存在下での99nt ssDNAおよび99bp dsDNAを用いたプルダウン実験の結果を示す図である。これは、DNA配列の複雑な混合物における濃縮を示す。黒色の点はNmdA残基を示す。
図7】光酸化還元反応におけるN-アセチルデヒドロアラニンメチルエステル(Ac-Dha-Me、8mM)の存在が、NmAの脱メチル化([A]を形成する)の減少、およびN-ヒドロキシホルムアミジン誘導体[NHF-A]の選択的形成の増加を生じることを示す図である。
図8】異なる照射時間後、ならびにN-アセチルデヒドロアラニンメチルエステル(Ac-Dha-Me、8mM)の存在下および非存在下での99塩基対二本鎖DNA配列の回収(qPCRによる定量化)を示す図である。その結果は、Ac-Dha-Meの存在が、NmAを官能化するための光酸化還元反応中のオリゴヌクレオチドの分解を減少させることを確認している。
図9A】合成オリゴヌクレオチドのNmA部分における選択的化学的ビオチン化およびストレプトアビジンコーティング化磁気ビーズ上での固定化後のポリメラーゼ停止を試験するためのワークフローの概略を示す図である。
図9B】1つの主なおよび2つの少数のポリメラーゼ停止産物の存在を確認するLC-MS分析を示す図である。
図10】「ビーズ上で」のポリメラーゼ停止実験の産物のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を示す図であり、ポリメラーゼ停止産物のNmA依存性出現を明らかに実証している。
図11】開発された「ビーズ上で」のポリメラーゼストップアプローチを用いた、シーケンシングして、塩基解像度でNmAをマッピングするためのDNAライブラリーの作製についてのストラテジーの概略図である。
図12図12Aは、7.5μgの合成99nt ssDNAからNmAをマッピングするためのDNAライブラリーの作製についてのアプローチを示す図である。図12Bは、得られたライブラリーのTapeStation分析を示す図である、
図13図13Aは、1μgの合成99bp dsDNAからNmAをマッピングするためのDNAライブラリーの作製についてのアプローチを示す図である。図13Bは、得られたライブラリーのTapeStation分析を示す図である、
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、N6-メチルアデニン(N6mAde)を標識するための方法を提供する。アルファ-アミノラジカルは、NmAdeのN6-メチル基に形成される。式(I)のプローブなどのラジカル受容体はアルファ-アミノラジカルを捕獲する。したがって、ラジカル受容体またはプローブは、NmAdeのN6-メチル位と共有結合し、それにより、NmAdeを含む核酸を標識する。この点で、その標識された核酸はまた、N6-標識核酸とも呼ばれ得る。
【0040】
アルファ-アミノラジカル形成
本発明の方法は、NmAdeのN6-メチル基にアルファ-アミノラジカルを形成するステップを含む。すなわち、方法は、NmAdeのN6-メチル基のラジカル化を含む。
【0041】
アルファ-アミノラジカルは、NmAdeのN6-メチル基から水素原子を取り出すことにより形成され得る。
水素原子取出し(HAA)過程は、好ましくは、酵素的HAAではない。すなわち、本発明の方法は、好ましくは、鉄中心ジオキシゲナーゼなどの酵素を用いてアルファ-アミノラジカルを形成するのではない。
【0042】
好ましくは、求電子性ラジカルカチオンが、NmAdeのN6-メチル基から水素を取り出すために用いられる。すなわち、方法は、NmAdeを含む核酸を求電子性ラジカルカチオンと接触させて、NmAdeのN6-メチル基から水素を取り出し、NmAdeのN6-メチル基にアルファ-アミノラジカルを形成するステップを含む。
【0043】
求電子性ラジカルカチオンは、電子(election)リッチなC-H結合と反応して、水素原子を取り出し、求核性(電子リッチな)ラジカルを形成する能力がある。NmAdeのN6-メチル基のC-H結合などの、ヘテロ原子に隣接して(アルファ)位置するC-H結合は、電子リッチなC-H結合である。そのようなものとして、求電子性ラジカルカチオンは、NmAdeのN6-アルファ位にラジカルを選択的に形成する。すなわち、求電子性ラジカルカチオンは、他のアルキルC-H結合より、選択的にNmAdeのN6-メチル基から水素を取り出して、NmAdeのN6-メチル基にアルファ-アミノラジカルを形成する。例えば、求電子性ラジカルカチオンは、チミン(5-メチルウラシル)の5-メチル基の代わりに、選択的にNmAdeのN6-メチル基から水素を取り出し得る。
【0044】
好ましくは、求電子性ラジカルカチオンは、アミン中心ラジカルカチオン(窒素中心ラジカルカチオン)である。さらにより好ましくは、第3級アミン中心ラジカルカチオン(R・+)が用いられる。
【0045】
第3級アミン中心ラジカルカチオンの例には、トリアリールアミンおよび二環性アミンのアミン中心ラジカルカチオンが挙げられる。
好ましい第3級アミン中心ラジカルカチオンは、キヌクリジン環系を含む。キヌクリジン環系に形成された第3級アミン中心ラジカルは、特にNmAdeのN6-メチル基のC-H結合に対してよくマッチした、求電子性ラジカルカチオンである。
【0046】
プロトン化キヌクリジンは、101kcal/molの結合解離エネルギー(BDE)を有し、そのことは、それのラジカルカチオンが、NmAdeのN6-メチル基から水素原子を除去するのに十分、反応性であることを意味する。
【0047】
キヌクリジン環系は、置換型または非置換型であり得る。置換型キヌクリジン環系の例には、以下の3-置換型キヌクリジンが挙げられる:
【0048】
【化2】
【0049】
R位における置換は、特に制限されない。好ましくは、R位における置換基は、交差反応性を低下させるために、電子リッチなC-H結合を欠く。例えば、R基は、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アシルオキシ基、C1~6逆エステル基、または-C(OH)R基(式中、RおよびRはC1~6アルキルから選択される)から選択され得る。
【0050】
適切なエステル(アシルオキシ)基の例には、-C(O)OR4A(式中、-R4AはC1~6アルキルから選択される)が挙げられる。
適切な逆エステル基の例には、-OC(O)R4B(式中、-R4Bは、アセトキシ(-OAc)など、C1~6アルキルから選択される)が挙げられる。
特に好ましい実施形態において、キヌクリジン環系は、非置換型である。
【0051】
アルファ-アミノラジカル捕獲
本発明の方法は、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを、式(I)のプローブなどのラジカル受容体を用いて、捕獲するステップを含む。式(I)のプローブは、アルファ-アミノラジカルと反応し、NmAdeのN6-メチル位と共有結合し、それにより、NmAdeを含む核酸を標識する。その後、標識された核酸は検出され、抽出され、前記プローブを用いてさらに修飾され得る。
【0052】
好ましくは、求電子性ラジカル受容体が、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを捕獲するために用いられる。求電子性ラジカル受容体は、求核性ラジカルと反応して、C-C結合などの新しい共有結合を形成する能力がある。NmAdeのN6-メチル位に形成された炭素中心ラジカルは、求核性ラジカルである。そのようなものとして、求電子性ラジカル受容体は、それ自体が求電子性ラジカルカチオンなどの他のラジカル種より優先して、NmAdeのN6-メチル位で形成されたラジカルと選択的に反応する。
【0053】
ニトロン(例えば、5,5-ジメチル-1-ピロリン(pyyrroline)-N-オキシド;DMPO)などの基を含む求電子性ラジカル受容体が、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを捕獲するために用いられ得る。
【0054】
好ましいラジカル受容体は、ニトロソ基(O=N-)を含む。特に好ましいラジカル受容体は、ニトロソアリール基を含む。ニトロソアリール基のニトロソ基は、NmAdeのN6-メチル位で形成されたアルファ-アミノラジカルなどの求核性炭素中心ラジカルの奪取に特に適している。したがって、いくつかの実施形態において、方法は、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを、ニトロソアリール基(O=N-Ar-)を含むラジカル受容体で捕獲するステップを含み得る。
【0055】
方法は、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを、ニトロソピリジル基(O=N-Py-)を含むラジカル受容体で捕獲するステップを含む。ピリジン環は、それがラジカル受容体の水溶解度を増加させるため、有利である。
【0056】
ラジカル受容体のニトロソピリジル基(O=N-Py-)は、さらなる置換基を含有しない場合がある。すなわち、ニトロピリジル基は、水素(H)と結合して、ニトロソピリジン(O=N-Py)を生じ得る。
【0057】
好ましい実施形態において、方法は、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを、以下の式(I)のプローブで捕獲するステップを含む:
O=N-Py-L-X (I)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【0058】
ピリジンジイル基(-Py-)は、2つの自由原子価がそれぞれ、隣接した原子との一重結合の部分を形成する二価ピリジン(Py)基である。
ピリジンジイル基(-Py-)におけるピリジン環は置換され得る。置換基は、それらがピリジン環のアルファ位のC-H結合などの電子リッチなC-H結合を含有しないならば、特に制限されない。
【0059】
例えば、ピリジンジイル基(-Py-)におけるピリジン環は、以下の群から選択される1つ、2つ、または3つの基で非依存的に置換され得る:
分岐C4~6アルキル基、例えば、tert-ブチル(-tBu)、tert-ペンチル、およびネオ-ヘキシル
5~20アリール基またはC5~20ヘテロアリール基
ハロ基、例えば、ブロモ(-Br)
アシル基-C(=O)R3A、式中、-R3Aは、C1~6アルキルおよびC5~20アリールから選択され、例えば、アセチル(-Ac)、プロピオニル、tert-ブチリル、およびベンゾイル(-Bz)である
エステル(アシルオキシ)基 -C(O)OR3B、式中、-R3Bは、C1~6アルキルおよびC5~20アリールから選択される
逆エステル基 -OC(O)R3C、式中、-R3Cは、C1~6アルキルおよびC5~20アリールから選択され、例えば、アセトキシ(-OAc)である
アミド(カルボキサミド)基 -C(=O)NR3D13D2、式中、-R3D1および-R3D2は、水素、C1~6アルキル、およびC5~20アリールから選択される
逆アミド基 -N(R3E1)C(=O)R3E2、式中、-R3E1および-R3E2は、水素、C1~6アルキル、およびC5~20アリールから選択され、例えば、アセトアミド(-N(H)C(=O)Me)である。
【0060】
ニトロソ基とピリジン環の間の付着位置は、特に制限されない。ニトロソ基は、ピリジン環と、ピリジン窒素原子に対してオルト位、メタ位、またはパラ位で付着し得る。好ましくは、ニトロソ基は、ピリジン環と、ピリジン窒素原子に対してメタ位で付着する。
【0061】
リンカー基とピリジン環の間の付着位置は、特に制限されない。リンカー基は、ピリジン環と、ピリジン窒素原子に対してオルト位、メタ位、またはパラ位で付着し得る。好ましくは、リンカー基は、ピリジン環と、ピリジン窒素原子に対してオルト位またはメタ位で付着する。より好ましくは、ピリジン環は、リンカー基と、ピリジン窒素原子に対してメタ位で付着する。
【0062】
一実施形態において、ニトロソ基とピリジン環の間の付着位置は、ピリジン窒素原子に対してメタ位においてであり、リンカー基とピリジン環の間の付着位置は、ピリジン窒素原子に対してオルト位またはメタ位においてである。すなわち、ニトロソピリジル基 O=N-Py-は、以下の式(IV)または(V)により表され得る:
【0063】
【化3】
【0064】
好ましくは、ニトロソピリジル基 O=N-Py-は、式(IV)によって表される。
標識-Xは、下記で標識-Xについて論じられているように、検出標識(-XDet)、単離標識(-XIso)、または修飾標識(-XMod)を含み得る。
【0065】
好ましい実施形態において、標識 -Xは、修飾標識(-XMod)である。すなわち、方法は、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを、以下の式を有するプローブで捕獲するステップを含む:
O=N-Py-L-XMod
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-XModは修飾標識である。
【0066】
修飾標識(-XMod)は、NmAdeのさらなる修飾に適した任意の官能基である。そのような官能基ハンドルは、当業者に知られている。典型的な例には、クリック反応パートナー、スルフヒドリル基もしくはアミン基などの求核基、マイケル受容体(例えば、マレイミド基)もしくは活性化エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)などの求電子基、またはクロスカップリング反応パートナーが挙げられる。修飾標識は、保護された形をとり得、その保護基は、修飾標識の使用のために必要に応じて、除去され得る。
【0067】
好ましくは、前記標識(-XMod)は、クリック反応パートナー(-C)である。したがって、方法は、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを、以下の式を有するラジカル受容体で捕獲するステップを含む:
O=N-Py-L-C
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、Cはクリック反応パートナーである。
【0068】
クリック反応パートナーは、クリック反応において第2の反応パートナーと反応する能力がある任意の反応基を含み得る。好ましくは、クリック反応は、生体直交型クリック反応である。すなわち、生体系内で(例えば、他の生体高分子の存在下で)、その系内で天然生化学的過程に実質的に干渉することなく、起こり得るクリック反応である。
【0069】
クリック反応パートナーの例には、C2~20アルキニル、C2~20アルケニル、イソシアニド(-N≡C)、アジド(-N)、ニトロン(-RC=NR 、式中、RはHではない)、ニトリルオキシド(-C≡N-O)、およびテトラジンから選択される基が挙げられる。
【0070】
2~20アルキニル(alkenyl)基は、C2~10、C2~6、またはC2~4アルキニル基であり得る。アルキニル基は、直鎖状または分岐状であり得る。アルキニル基における炭素-炭素の三重結合は、内部または末端にあり得る。
【0071】
2~20アルケニル基は、C2~10、C2~6、またはC2~4アルケニル基であり得る。アルケニル基は、環系へ組み込まれ得る。アルケニル基は、直鎖状または分岐状であり得る。アルケニル基における炭素-炭素の二重結合は、内部または末端にあり得る。
【0072】
好ましくは、クリック反応パートナー -Cは、C2~20アルキニル基を含む。より好ましくは、クリック反応パートナー -Cは、直鎖状C2~20アルキニル基を含む。さらにより好ましくは、クリック反応パートナー -Cは、末端C2~20アルキニル基を含む。
【0073】
一実施形態において、クリック反応パートナー -Cは、エチニル基である。すなわち、好ましくは、方法は、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを、以下の式(VI)を有するプローブで捕獲するステップを含む:
O=N-Py-L-C≡CH (VI)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーである。
【0074】
任意で、標識は、検出標識(-XDet)、単離標識(-XIso)、または修飾標識(-XMod)の1つまたは複数を含み得る。例えば、標識は、NmAdeの同定または局在性についてフルオロフォアなどの検出標識、およびNmAdeの単離のためのビオチンなどの単離標識を含み得る。
【0075】
プローブのリンカー -L-は、標識(-X)のピリジン環への接続(すなわち、共有結合性接続)のための基を含む。適切なリンカーは当技術分野においてよく知られている。
【0076】
典型的には、リンカーは、自由原子価のうちの1つがピリジン環との一重結合の部分を形成しかつ残りの自由原子価が標識(-X)との一重結合の部分を形成する、二価基を含む。
【0077】
好ましくは、リンカーは安定なリンカーである。すなわち、リンカーは、インビボで実質的に切断または分解されることがない基を含む。安定なリンカーは、典型的には、生理的pHにおいて非反応性であり、インビボで酵素作用によって実質的に分解されることがない。
【0078】
典型的には、リンカーは可動性リンカーである。すなわち、リンカーは、標識(-X)およびピリジン環が、大きな自由度でお互いに対して運動するのを可能にする。
好ましくは、リンカー -L-は以下の基を含む:
-L-L-L
式中、
-L-は共有結合またはC6~10アリレン基から選択され;
-L-は、アミド結合、エステル結合、カルボニル結合、アミン結合、またはエーテル結合から選択され;
-L-は、C1~10アルキレンおよびC1~10ヘテロアルキレンから選択される。
【0079】
好ましくは、リンカーユニット -L-は、フェニレン基または共有結合である。
好ましくは、リンカーユニット -L-は、アミド結合 -N(R)-C(=O)-であり、式中、Rは、HもしくはC16アルキル、またはエステル結合-O-C(=O)-である。より好ましくは、リンカーユニット -L-は、アミド結合 -N(R)-C(=O)-である。
【0080】
好ましくは、リンカーユニット -L-は、C1~10アルキレン基である。より好ましくは、リンカーユニット -L-は、C1~6アルキレン基である。さらにより好ましくは、リンカーユニット -L-は、C1~4アルキレン基である。最も好ましくは、リンカーユニット -L-は、プロパン-1,3-ジイル基である。
【0081】
特に好ましいリンカーには、以下の式(VII)~(XII)を有するリンカーが挙げられる:
【0082】
【化4】
【0083】
式中、
**は、ピリジンジイル基(-Py-)との付着位置を表し、および
は、標識(-X)との付着位置を表す。
【0084】
ラジカルカチオン形成
好ましい実施形態において、求電子性ラジカルカチオンは、NmAdeのN6-メチル基から水素を取り出して、NmAdeのN6-メチル基にアルファ-アミノラジカルを形成するために用いられる。
【0085】
求電子性ラジカルカチオンは、前駆体から、例えば前駆体の酸化によって、形成され得る。ここで、求電子性ラジカルカチオンの形成のための前駆体は、ラジカル前駆体と名付けられる。すなわち、方法は、ラジカル前駆体を酸化して、求電子性ラジカルカチオンを形成するステップを含む。
【0086】
好ましくは、ラジカル前駆体は、第3級アミンなどのアミンであり、それは、酸化されて、第3級アミン中心ラジカルカチオンなどのアミン中心ラジカルカチオンを形成する。
第3級アミンの例には、トリアリールアミンおよび二環性アミンが挙げられる。
【0087】
好ましい第3級アミンは、キヌクリジン環系を含む。キヌクリジン環系は、置換型または非置換型であり得る。置換型キヌクリジン環系の例には、以下の3-置換型キヌクリジンが挙げられる:
【0088】
【化5】
【0089】
R位における置換は、交差反応性を低下させるためにそれが電子リッチなC-H結合を欠くならば、特に制限されない。例えば、R基は、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アシルオキシ基、C1~6逆エステル基、または-C(OH)R基(式中、RおよびRはC1~6アルキルから選択される)から選択され得る。
【0090】
特に好ましい実施形態において、キヌクリジン環系は非置換型である。
ラジカル前駆体を酸化して、求電子性ラジカルカチオンを形成するのに適した任意の酸化剤が用いられ得る。
【0091】
好ましくは、光触媒が、ラジカル前駆体を酸化するために用いられる。すなわち、方法は、ラジカル前駆体を光触媒的に酸化して、求電子性ラジカルカチオンを形成するステップを含む。
【0092】
光触媒は、光を吸収して、電子正孔対(励起状態)を生じる能力がある種である。ラジカル前駆体と光触媒の間の一電子移動(SET)は、求電子性ラジカルカチオンを生成する。
【0093】
好ましくは、光触媒は、可視光光触媒である。すなわち、可視域の光を吸収して、励起状態を形成する光触媒である。これは、光触媒を励起するために紫外(UV)光を用いる必要性を回避する。UV光は、RNAまたはDNAなどの核酸を損傷または分解し得、それは、標識反応にとって有害である。
【0094】
好ましくは、光触媒についての吸収極大は400~600nm、より好ましくは400~500nm、さらにより好ましくは400~450nmの範囲である。
光触媒の励起状態は、典型的には、アスタリスク()を用いて示される。例えば、一般的な光触媒M(0)、励起過程は以下のように書かれ得る:
M(0)+hv→M(0)
光触媒の励起状態(三重励起状態)は、還元的かまたは酸化的かのいずれかの消光サイクルを通して、基底状態の光触媒を再生し得る。
【0095】
還元的消光サイクルにおいて、励起状態の光触媒は、まず、電子を受容して(還元されて)、より低い酸化状態での種(光触媒の還元型)を生じる。その後、光触媒は、電子を供与して(酸化されて)、基底状態の光触媒を再生する。一般的な光触媒について、還元的消光過程は、以下のように書かれ得る:
M(0)+e→M(-1)
M(-1)-e→M(0)
酸化的消光サイクルについて、励起状態の光触媒は、まず、電子を供与して(酸化されて)、より高い酸化状態での種(光触媒の酸化型)を生じる。その後、光触媒は、電子を受容して(還元されて)、基底状態の光触媒を再生する。一般的な光触媒について、酸化的(reductive)消光過程は以下のように書かれ得る:
M(0)-e→M(+1)
M(+1)+e→M(0)
光触媒は、標準参照電極、例えば、標準甘汞電極(SCE)に対するそれらの還元電位によって特徴づけられ得る。光触媒の種(基底状態、励起状態、還元型、酸化型)のそれぞれの還元電位は知られている場合もあるし、またはそれは、標準電気化学的技術を用いて決定され得る。
【0096】
好ましくは、(励起状態かまたは還元型かのいずれかでの)光触媒は、低くとも+1.10V vs SCE、より好ましくは低くとも+1.15V vs SCE、さらにより好ましくは低くとも+1.20V vs SCE、最も好ましくは、低くとも+1.25V vs SCEの還元電位を有する。
【0097】
好ましくは、(励起状態かまたは還元型かのいずれかでの)光触媒は、高くとも1.60V vs SCE、より好ましくは、高くとも+1.55V vs SCE、さらにより好ましくは、高くとも+1.50V vs SCE、最も好ましくは、高くとも+1.45V vs SCEの還元電位を有する。
【0098】
励起状態かまたは還元型かのいずれかでこの範囲内の還元電位を有する光触媒は、第3級アミンを酸化して、キヌクリジンラジカルカチオン(キヌクリジンは+1.10V vs SCEの還元電位を有する)などのアミン中心ラジカルカチオンを生成するのによくマッチしている。
【0099】
光触媒は、有機光触媒または遷移金属光触媒であり得る。
有機光触媒の例は、アクリジニウム、ピリリウム、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナジン、フタロニトリル、またはフラビン環系に基づいたものである。具体的な例には、トリフェニルピリリウム、9-メシチル-10-メチルアクリジニウム(Mes-Acr)、エオシンY、フルオレセイン、リボフラビン、四酪酸リボフラビン、一リン酸リボフラビン、およびフラビンアデニンジヌクレオチドが挙げられる。
【0100】
好ましくは、光触媒は遷移金属光触媒である。
遷移金属光触媒は、典型的には、1つまたは複数のリガンドを含む。リガンドは、遷移金属光触媒において金属を安定化するのに適している任意のリガンドであり得る。
【0101】
2つ以上のリガンドが存在する場合、リガンドは、同一(ホモレプティック)または異なり(ヘテロレプティック)得る。
遷移金属光触媒についてのリガンドの例には、ビビリジン環系、フェニルピリジン環系、ビピリミジン環系、ビピラジン環系、フェナンスロリン環系、およびトリフェニレン環系に基づいたものが挙げられる。
【0102】
各リガンド環系は、置換型または非置換型であり得る。典型的には、置換には、C1~6アルキル、C1~3ハロアルキル、ハロゲン、およびC1~3アルコキシが挙げられる。
【0103】
フェニルピリジンリガンドの例には、2-フェニルピリジン(ppy)、2-(4-フルオロフェニル)ピリジン(p-Fppy)、2-(4-トリフルオロメチルフェニル)ピリジン(p-CF3ppy)、4-tertブチル-2-(4-フルオロフェニル)ピリジン(p-F(tBu)ppy)、2-(2,4-ジフルオロフェニル)ピリジン(dFppy)、4-tertブチル-2-(2,4-ジフルオロフェニル)ピリジン(dF(t-Bu)ppy)、2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(dF(CF3)ppy)、2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-フルオロ-ピリジン(dF(F)ppy)、2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-メチル-ピリジン(dF(Me)ppy)、2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-メトキシ-ピリジン(dF(OMe)ppy)、2-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(FCF3(CF3)ppy)、4-メチル-2-(p-トリル)ピリジン(Me(Me)ppy)、および2-(4-フルオロフェニル)-5-メチル-ピリジン(p-F(Me)ppy)が挙げられる。
【0104】
ビピリジンリガンドの例には、2,2’-ビピリジン(bpy)、4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジン(dmbpy)、4,4’-ジ-tertブチル-2,2’-ビピリジン(dtbbpy)、4,4’-ビス(トリフルオロメチル)-2,2’-ビピリジン(4,4’-dCF3bpy)、5,5’-ビス(トリフルオロメチル)-2,2’-ビピリジン(5,5’-dCF3bpy)が挙げられる。
【0105】
フェニルピリジンリガンドの例には、2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-フルオロピリジン、2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-メトキシピリジン、2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-メチルピリジン、2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)ピリジン、2-(4-フルオロフェニル)-5-メチルピリジン、および2-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジンが挙げられる。
【0106】
ビピリジンリガンドの例には、2,2’-ビピリジン(bpm)が挙げられる。
ビピラジンリガンドの例には、2,2’-ビピラジン(bpz)が挙げられる。
フェナンスロリンリガンドの例には、1,10-フェナンスロリン(phen)、1,4,5,8-テトラアザフェナンスレン(tap)、およびビピリドフェナジン(dppz)が挙げられる。
【0107】
トリフェニレンリガンドの例には、1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(hat)が挙げられる。
遷移金属光触媒の例は、ルテニウム(Ru)またはイリジウム(Ir)を含むものである。
【0108】
ルテニウム光触媒の具体的な例には、[Ru(bpy)2+、[Ru(phen)2+、[Ru(bpm)2+、[Ru(bpz)2+、[Ru(4,4’-dCFbpy)2+、[Ru(dmbpy)2+、および[Ru(dtbbpy)2+が挙げられる。
【0109】
イリジウム光触媒の例には、[Ir(ppy)]、[Ir(dFppy)]、[Ir(p-Fppy)]、[Ir(p-F(Me)ppy)(dtbbpy)]、[Ir(Me(Me)ppy)(dtbbpy)]、[Ir(FCF(CF)ppy)(dtbbpy)]、[Ir(ppy)(dtbbpy)]、[Ir(dFppy)(dtbbpy)]、[Ir(dF(Me)ppy)(dtbbpy)]、[Ir(dF(Me)ppy)(4,4’-dCFbpy)]、[Ir(dF(F)ppy)(dtbbpy)]が挙げられる。
【0110】
好ましくは、遷移金属光触媒はルテニウム光触媒である。
より好ましくは、遷移金属光触媒は、[Ru(phen)2+および[Ru(bpz)2+から選択される。最も好ましくは、遷移金属光触媒は[Ru(phen)2+である。
【0111】
光触媒(遷移金属光触媒を含む)は、典型的には、1つまたは複数の対イオンを含む。対イオンは、光触媒を安定化するのに適している任意の対イオンであり得る。
典型的には、対イオンは負に帯電している。すなわち、典型的には、対イオンはアニオンである。アニオンの典型的な例には、ハロゲンイオン、ホウ酸イオン、およびリン酸イオンなどの無機アニオンが挙げられる。
【0112】
典型的な無機アニオンには、塩素酸イオン(Cl)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF、およびヘキサフルオロリン酸イオン(PFが挙げられる。
任意で、遷移金属光触媒は水和物であり得る。すなわち、遷移金属光触媒は水(HO)を含有し得る。
【0113】
好ましくは、光触媒は、均一な光触媒である。すなわち、光触媒は、反応物として同じ相で存在する。典型的には、光触媒は、85%または90%水溶液などの80%水溶液において可溶性である。水溶液は、核酸の溶解性のために好まれる。
【0114】
光触媒の水溶解度は、知られている場合もあるし、またはそれは、標準技術を用いて決定され得る。金属系およびリガンド系は、その系の水溶解度を調整するために選択することができる。
【0115】
インサイチューでのプローブ形成
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、前駆体、例えば以下の式(II)の前駆体から、インサイチューでラジカル受容体を形成するステップを含む:
N-Py-L-X (II)
式中、式(I)のプローブについて示されているように、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【0116】
N-基は、ニトロ基と呼ばれ得る。インサイチューでニトロピリジン前駆体からニトロソピリジンを生成することは、大量のニトロソピリジンが反応の開始時点で加えられた場合に起こり得る非ラジカル副反応を低下させる。
【0117】
ニトロピリジンのニトロ基は、還元によって、ニトロソ基(O=N-)、例えば、式(I)のプローブ中に見出されるものへ転化され得る。すなわち、方法は、式(II)の前駆体を還元して、式(I)のプローブを形成するステップを含み得る。
【0118】
ラジカル受容体を形成するために前駆体を還元するのに適した任意の還元剤が、反応に用いられ得る。
好ましくは、ニトロピリジン(ON-Py-)は、光触媒を用いて、ニトロソピリジン(O=N-Py-)へ還元され得る。ニトロピリジンのニトロソピリジンへの還元のための適切な光触媒には、求電子性ラジカルカチオンの形成に用いられる光触媒が挙げられる。好ましくは、求電子性ラジカルカチオンの形成に用いられる同じ光触媒がまた、ニトロピリジンをニトロソピリジンへ還元するためにも用いられる。
【0119】
添加剤
本発明の方法は、N6-メチルアデニンを含む核酸を標識するステップを含む。いくつかの実施形態において、方法は、活性化アルケンなどの添加剤を用いて実行される。添加剤は、方法のステップ(アルファ-アミノラジカル形成およびアルファ-アミノラジカル捕獲、ならびに存在するならば、ラジカルカチオン形成およびインサイチューでのプローブ形成)のそれぞれの間、存在し得る。典型的には、添加剤は、標識反応中、反応混合物に存在する。
【0120】
好ましくは、添加剤は、活性化アルケンである。活性化アルケンには、炭素-炭素の二重結合が、電子求引基(EWG)および/または電子供与基(EDG)とコンジュゲートされているアルケンが挙げられる。
【0121】
適切な電子求引基には、アシル基 -C(=O)R(式中、-Rは、C1~6アルキルおよびC5~20アリールから選択され、例えば、アセチル(-Ac)、プロピオニル、tert-ブチリル、およびベンゾイル(-Bz)である);エステル(アシルオキシ)基 -C(O)OR(式中、-Rは、C1~6アルキルおよびC5~20アリールから選択され;アミド(カルボキサミド)基 -C(=O)NR(式中、-Rおよび-Rは、水素、C1~6アルキル、およびC5~20アリールから選択される)が挙げられる。
【0122】
適切な電子供与基には、逆エステル基 -OC(O)R(式中、-Rは、C1~6アルキルおよびC5~20アリールから選択され、例えば、アセトキシ(-OAc)である);および逆アミド基 -N(R)C(=O)R(式中、-Rおよび-Rは、水素、C1~6アルキルおよびC5~20アリールから選択され、例えば、アセトアミド(-N(H)C(=O)Me)が挙げられる。
好ましくは、添加剤は、N-アセチルデヒドロアラニンメチルエステル(Ac-Dha-Me)である。
【0123】
さらなる態様
本発明のいくつかの態様において、以下のステップを含む、NmAdeを含む核酸を標識するための方法が提供される:
i)(a)ニトロピリジル基(ON-Py-)を含む化合物;
(b)第3級アミン;および
(c)光触媒
を含む反応混合物と、NmAdeを含む核酸を接触させるステップであって、その結果、前記化合物がNmAdeのN6-メチル位に共有結合性に付着する、ステップ。
【0124】
好ましくは、ニトロピリジル基を含む化合物は、以下の式(II)の前駆体である:
N-Py-L-X (II)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【0125】
式(II)の前駆体のコンポーネント(-Py-、-L-、-X)のそれぞれについての選好は、上記で示されているような式(I)のプローブについてのそれらと同じである。
【0126】
第3級アミンについての選好は、上記で第3級アミンについて示されたものと同じである。
光触媒についての選好は、上記で求電子性ラジカルカチオンの形成について示されたものと同じである。
【0127】
典型的には、方法は、反応混合物に照射するステップ、例えば、反応混合物に可視光を照射するステップを含む。好ましくは、方法は、反応混合物に、400~600nmの範囲、より好ましくは400~500nm、およびさらにより好ましくは400~450nmの範囲の可視光を照射するステップを含む。
【0128】
反応混合物は、当技術分野において一般的であるように、溶媒などの追加のコンポーネントを含有し得る。特に好ましい溶媒には、水-アセトニトリルの混合物、例えば、8:1または9:1の水:アセトニトリルが挙げられる。
【0129】
反応混合物は、活性化アルケンなどの添加剤を含有し得る。好ましい添加剤は上記で示されており、それには、N-アセチルデヒドロアラニンメチルエステル(Ac-Dha-Me)が挙げられる。
【0130】
N6-メチルアデニン
本発明の方法は、NmAdeを含む核酸を標識するステップを含む。典型的には、NmAdeは、ヌクレオシド内に含有される。NmAdeを含むヌクレオシドには、N6-メチルアデノシン(NmAdo;NmA)などのリボヌクレオシド、およびN6-メチルデオキシアデノシン(NmdAdo;NmdA)などのデオキシリボヌクレオシドが挙げられる。典型的には、NmAdeは、ヌクレオチド内に含有される。NmAdeを含むヌクレオチドには、N6-メチルアデノシン三リン酸(NmATP)、N6-メチルデオキシアデノシン三リン酸(NmdATP)、ならびにその一リン酸および二リン酸のバージョンが挙げられる。
【0131】
いくつかの実施形態において、NmAdeは、核酸内に含有され得る。核酸は、2つ以上のヌクレオチド単位を含むポリマーである。核酸は、DNAもしくはRNAなどの天然核酸であり得、またはそれは、核酸類似体、例えば、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)、ロックド核酸(LNA)、グリコール核酸(GNA)、もしくはトレオース核酸(TNA)であり得る。NmAdeは、これらの要素のいずれかを含む混合核酸内に含有され得る。
【0132】
mAdeを含有する核酸は、1個または複数のNmAde残基を含有し得、すなわち、少なくとも1個の核酸塩基がNmAdeである。例えば、核酸は、1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のNmAdeを含有し得る。核酸内の1個または複数のNmAde残基は、本明細書に記載された方法を用いて、標識され得る。
【0133】
方法は、試料内のNmAdeを標識するステップを含み得る。試料は、核酸の集団を含み得る。集団は、NmAdeを含む1つまたは複数の核酸を含み得る。集団におけるNmAdeを含む1つまたは複数の核酸は、本明細書に記載された方法を用いて標識され得る。
【0134】
集団における核酸は、一本鎖、二本鎖、一本鎖核酸と二本鎖核酸の混合物であり得る。例えば、細胞ゲノムDNAなどの細胞核酸は、二本鎖であり得、cfDNAなどのセルフリー核酸は、一本鎖核酸と二本鎖核酸の混合物であり得る。
【0135】
好ましくは、集団における核酸は、DNA分子、例えば、プラスミド、合成DNA、ウイルスDNA、ゲノムDNA、好ましくは哺乳動物またはヒトのゲノムDNA、およびセルフリー循環DNA(cfDNA)である。
【0136】
他の実施形態において、核酸は、RNA分子、例えば、ゲノムRNA(例えば、哺乳動物、植物、またはウイルスのゲノムRNA)、mRNA、tRNA、rRNA、および非コードRNAであり得る。ゲノムRNAには、哺乳動物、植物、またはウイルスのゲノムRNAが挙げられ得る。
【0137】
集団における核酸は、10塩基長~50k塩基長、例えば、20塩基長~3000塩基長であり得る。細胞源から単離された核酸は、1000塩基長より長くあり得、本明細書に記載されているような使用のために、例えば超音波処理により、断片化され得る。いくつかの実施形態において、シーケンシング技術の選択は、集団における核酸のサイズを決定し得る。例えば、100~1000塩基の核酸は、Illuminaシーケンシングと適合し得る。
【0138】
いくつかの好ましい実施形態において、集団における核酸は、哺乳動物、好ましくはヒトの核酸であり得る。
本明細書に記載された方法は、試料から核酸の集団を単離するステップを含み得る。例えば、核酸の集団は、無傷のまたは破壊された細胞または細胞材料、例えば、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞の試料から単離され得る。適切な試料には、単離された細胞および組織試料、例えば、固形組織または腫瘍生検を含む生検が挙げられる。いくつかの実施形態において、試料は、細胞材料のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料または他の保存された試料から入手され得る。
【0139】
試料は、個体、好ましくはヒト個体、例えば、癌などの疾患状態を有しもしくは有するのではないかと疑われる患者、または健康モニタリングもしくは評価のための健康なもしくはリスクのある個体、または薬物に対する応答を評価するための、処置を受けることになっている患者から取得され得る。
【0140】
細胞の試料からゲノムDNAを抽出および単離する方法は、当技術分野において周知である。例えば、ゲノムDNAは、フェノール/クロロホルム抽出およびアルコール沈殿、塩化セシウム密度勾配遠心分離、固相陰イオン交換クロマトグラフィー、ならびにシリカゲルに基づいた技術などの任意の適した単離技術を用いて、単離され得る。
【0141】
試料から取得された細胞から単離された全ゲノムDNAは、単離後、本明細書に記載されているような核酸の集団として直接的に用いられ得、または本明細書に記載されているようなプローブで標識する前にさらなる調製ステップに供せられ得る。
【0142】
例えば、ゲノムDNAは、例えば超音波処理、剪断、またはエンドヌクレアーゼ消化により断片化されて、ゲノムDNA断片を生じ得る。ゲノムDNAの全体または画分が、本明細書に記載されているように用いられ得る。ゲノムDNAの適切な画分は、サイズまたは他の基準に基づき得る。
【0143】
適切な核酸集団には、例えば組織試料およびヒト細胞株由来の、ヒトゲノムDNA、ならびに線虫(C.elegans)、酵母、大腸菌(E.coli)などの細菌、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)などの植物、およびマウスなどの哺乳動物モデルなどのモデル生物体由来のゲノムDNAが挙げられ得る。
【0144】
適切な核酸集団にはまた、癌細胞または腫瘍、異種移植片、および他の癌モデル由来のゲノムDNA、セルフリー血漿DNA、ならびにシングルセルDNAが挙げられ得る。
分画、変性、適応、および/または他の調製ステップ後、核酸集団は、任意で、さらに精製され、本明細書に記載されているようなプローブとの反応のための適切な形で供給され得る。例えば、核酸集団は、本明細書に記載されているような処理の前に、バッファーの非存在下での水溶液中にあり得る。
【0145】
コンジュゲート
ラジカル受容体のニトロソ基とアルファ-アミノラジカルの間の反応は、以下のN-ヒドロキシホルムアミジン結合(-N=C(H)-N(OH)-):
【0146】
【化6】
【0147】
{式中、は、プローブの残部との付着位置を表す}
の形成を生じる。
本発明のいくつかの態様において、NmAdeを含む核酸を標識する方法が提供され、該方法は、NmAdeを含む核酸を、ニトロソピリジル基(O=N-Py-)を含むラジカル受容体と反応させて、以下の式:
NA-N=C(H)-N(OH)-Py-
{式中、NAは核酸であり、-Py-はピリジンジイル基であり、は、ラジカル受容体の残部との付着位置を表す}
を有するコンジュゲートを生成するステップを含む。
【0148】
好ましくは、ラジカル受容体は式(I)のプローブである。そのような場合、方法は、以下の式:
NA-N=C(H)-N(OH)-Py-L-X
{式中、NAは核酸であり、-Py-はピリジンジイル基であり、Lはリンカーであり、Xは標識である}
を有するコンジュゲートを生成する。
【0149】
式(I)のプローブのコンポーネント(-Py-、-L-、-X-)のそれぞれについての選好は、上記で示されている。
任意で、コンジュゲートは、アミン中心ラジカルカチオンなどの求電子性ラジカルカチオンの存在下で生成され得る。適切なアミン中心ラジカルカチオンおよびアミン中心ラジカルカチオンを生成するための適切な方法は、上記の通りである。
【0150】
任意で、式(I)のプローブは、インサイチューで式(II)の前駆体から形成され得る。式(I)のプローブの形成のための適切な方法は、上記の通りである。
【0151】
プローブ除去
本発明の方法は、N6-メチルアデニンを含む核酸を標識するステップを含む。いくつかの実施形態において、方法は、標識核酸から標識を除去するステップを含む。
【0152】
プローブのニトロソ基と、NmAdeのN6-メチル位におけるアルファ-アミノラジカルの間の反応は、N-ヒドロキシホルムアミジン結合(-N=C(H)-N(OH)-)の形成を生じる。NmAdeのN6-メチル基とラジカル受容体の間で形成されたN-ヒドロキシホルムアミジン結合の求電子性は、ヒドラジン(N)などの求核剤による切断に対するそれの感受性を高める。そのような求核剤を用いる切断は、N6-ヒドラゾノメチルアデニンを遊離させるための迅速かつ穏やかな方法を提供し、試料の潜在的分解を回避する。
【0153】
したがって、方法は、標識核酸を、アミン求核剤などの求核剤と接触させるステップを含み得る。好ましいアミン求核剤には、第1級求核剤が挙げられる。第1級アミン求核剤の例には、以下の式を有する化合物が挙げられる:
N-R
式中、-RはC1~6アルキル基または-NHである。
好ましくは、求核剤はヒドラジンである。ヒドラジンは含水ヒドラジンであり得る。
【0154】
さらなる修飾
本発明の方法は、N6-メチルアデニンを含む核酸を標識するステップを含む。いくつかの実施形態において、方法は、標識核酸をさらに修飾するステップを含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、ラジカル受容体は修飾標識(-XMod)を含む。これは、標識核酸を、修飾標識と共有結合し得る第2の分子と接触させることにより、標識核酸がさらに修飾されるのを可能にする。
【0156】
修飾標識と共有結合し得る分子は、当業者によって選択することができる。典型的には、それらには、クリック反応パートナー、スルフヒドリル基、マレイミド基、アミン基、またはN-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどの活性化エステルを含有する分子が挙げられる。
【0157】
スルフヒドリル基またはマレイミド基を含む修飾標識は、そのスルフヒドリル基またはマレイミド基の他方を含む分子と反応して、3-チオスクシンイミジルエーテル結合を形成し得る。アミン基またはN-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどの活性化エステルを含む修飾標識は、そのアミン基または活性化エステルの他方を含む分子と反応して、アミド結合を形成し得る。クリック反応パートナーを含む修飾標識は、クリック反応において、第2の(相補的な)クリック反応パートナーを含む分子と反応し得る。
【0158】
好ましい実施形態において、方法は、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを、以下の式を有するプローブで捕獲するステップを含み得る:
O=N-Py-L-XMod
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-XModは修飾標識である。
【0159】
そのような場合、方法は、標識核酸を、以下の式:
Par-L-X
(式中、-XParはパートナー基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である)を有する二官能性プローブと接触させるステップであって、その結果、前記パートナー基が、前記修飾標識と反応して、前記二官能性プローブを前記標識核酸と共有結合させる、ステップをさらに含み得る。
【0160】
特に好ましい実施形態において、方法は、NmAdeのN6-メチル基に形成されたアルファ-アミノラジカルを、以下の式を有するプローブで捕獲するステップを含み得る:
O=N-Py-L-C
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、Cはクリック反応パートナーである。
【0161】
そのような場合、方法は、標識核酸を、以下の式:
-L-X
(式中、-Cは相補性クリック反応パートナーであり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である)を有する二官能性プローブと接触させるステップであって、その結果、前記クリック反応パートナーが、反応して、前記二官能性プローブを前記標識核酸と共有結合させる、ステップをさらに含み得る。
【0162】
クリック反応パートナー -Cは、クリック反応においてクリック反応パートナー -Cと反応する能力がある任意の反応基を含み得る。好ましくは、クリック反応は、生体直交型クリック反応である。すなわち、生体系内で(例えば、他の生体高分子の存在下で)、その系内で天然生化学的過程に実質的に干渉することなく、起こり得るクリック反応である。
【0163】
クリック反応パートナーの例には、C2~20アルキニル、C2~20アルケニル、イソシアニド(-N≡C)、アジド(-N)、ニトロン(-RC=NR 、式中、RはHではない)、ニトリルオキシド(-C≡N-O)、およびテトラジンが挙げられる。
【0164】
好ましくは、クリック反応パートナー -Cは、アジド(-N)、ニトロン(-RC=NR 、式中、RはHではない)、ニトリルオキシド(-C≡N-O)、またはテトラジンから選択される基を含み得る。
【0165】
好ましくは、クリック反応パートナー -Cは、アジド基(-N)を含む。すなわち、好ましくは、方法は、標識核酸を、以下の式(XIII)を有する二官能性プローブと接触させるステップであって、その結果、前記二官能性プローブが前記標識核酸と共有結合する、ステップを含む:
-L-X (XIII)
式中、L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【0166】
クリック反応パートナー -Cがアルキニル基(C≡C)を含む場合、クリック反応パートナー -Cは、アジド基(-N)を含むクリック反応パートナー -Cと、アジド-アルキン環化付加(AAC)、例えば、銅(I)触媒型アジド-アルキン環化付加(CuAAC)または歪み促進型アジド-アルキン環化付加(SPAAC)を通して、反応し得る。そのような場合、2つのクリック反応パートナー -Cと-Cの間の反応の生成物は、1,2,3-トリアゾール部分である。
【0167】
クリック反応パートナーCがアルキン基(C≡C)を含む場合、クリック反応パートナーCは、ニトロン基(-RC=NR 、式中、RはHではない)を含むクリック反応パートナーCと、1,3-双極性環化付加を通して、反応し得る。そのような場合、2つのクリック反応パートナーCとCの間の反応の生成物は、イソキサゾリン部分である。
【0168】
クリック反応パートナー -Cが、ノルボルネンなどのアルケン(C=C)を含む場合、クリック反応パートナーCは、ニトリルオキシド基(-C≡N-O)を含むクリック反応パートナー -Cと、1,3-双極性環化付加を通して、反応し得る。そのような場合、2つのクリック反応パートナー -Cと-Cの間の反応の生成物は、イソキサゾリン部分である。
【0169】
クリック反応パートナー -Cが、トランス-シクロオクテンなどのアルケン(C=C)を含む場合、クリック反応パートナー -Cは、テトラジン基を含むクリック反応パートナー -Cと、逆電子要請型Diels-Alder反応、続いて、逆Diels-Alder反応を通して、反応し得る。そのような場合、2つのクリック反応パートナー -Cと-Cの間の反応の生成物は、ジヒドロピリダジン部分である。
【0170】
あるいは、イソシアニド部分(-N≡C--)を含むクリック反応パートナー -Cは、テトラジンを含むクリック反応パートナー -Cと、[4+1]環化付加、続いて、逆Diels-Alder反応を通して、反応し得る。そのような場合、2つのクリック反応パートナー -Cと-Cの間の反応の生成物は、ピラゾール部分である。
【0171】
任意で、方法は、標識核酸を、二官能性プローブおよび銅、例えば銅(I)塩と反応させるステップを含み得る。適切な銅(I)塩は、直接的に用いられ得る。直接的に用いられ得る銅(I)塩の例には、臭化第一銅(CuBr)およびヨウ化第一銅(CuI)が挙げられる。あるいは、適切な銅(I)塩は、インサイチューで、銅(II)塩の還元により生成され得る。銅(II)塩の例には、硫酸銅(CuSO)または酢酸銅(Cu(OAc))が挙げられる。還元剤の例には、アスコルビン酸ナトリウムが挙げられる。
【0172】
二官能性プローブのリンカー -L-は、クリック反応パートナー -Cの単離標識(-XIso)との接続(すなわち、共有結合性接続)のための基を含む。適切なリンカーは当技術分野においてよく知られている。
【0173】
典型的には、リンカーは、自由原子価の1つがクリック反応パートナー -Cとの一重結合の部分を形成しかつ残りの自由原子価が単離標識(-XIso)との一重結合の部分を形成する、二価基を含む。
【0174】
好ましくは、リンカーは安定なリンカーである。すなわち、リンカーは、インビボで実質的に切断または分解されることがない基を含む。安定なリンカーは、典型的には、生理的pHにおいて非反応性であり、インビボで酵素作用によって実質的に分解されることがない。
【0175】
典型的には、リンカーは可動性リンカーである。すなわち、リンカーは、クリック反応パートナー -Cおよび単離標識(-XIso)が、お互いに対して大きな自由度で運動することを可能にする。
【0176】
典型的なリンカーは、アルキレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリレン、およびヘテロアリレンから選択される基を含む。共有結合性接続において異なる基を含む混合型リンカー、例えば、アルキレン-アリレン(アラルキレン)およびヘテロアルキレン-アリレンが、許容され得る。
【0177】
好ましいリンカーは、アルキレンおよびヘテロアルキレン、例えば、C2~12アルキレン基およびC2~12ヘテロアルキレン基から選択される基を含む。より好ましいリンカーは、ヘテロアルキレン基を含む。さらにより好ましいリンカーは、ポリアルキレングリコール基を含む。最も好ましいリンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)基を含む。
【0178】
リンカーは、長さが様々であり得る。典型的には、リンカーは、2つ以上の反復ユニットを含有する。典型的には、リンカーは、多くとも8つの反復ユニットを含有する。すなわち、リンカーは、以下のように表され得る:
-L4A-(L4B
式中、
-L4A-はC1~4アルキレンであり;
-L4B-はC1~4ヘテロアルキレンであり;
nは0~8である。
【0179】
好ましくは、nは0から6の間である。より好ましくは、nは2から4の間である。さらにより好ましくは、nは3である。
好ましくは、-L4A-はC1~3アルキレンである。より好ましくは、-L4A-はエチレンである。
【0180】
好ましくは、-L4B-は、C1~4アルキレンエーテル基である。C1~4アルキレンエーテル基の例には、メチレングリコール(-CHO-)、エチレングリコール(-CHCHO-)、プロピレングリコール(-CHCHCHO-)、およびテトラメチレングリコール(-CHCHCHCHO-)が挙げられる。より好ましくは、-L4B-は、エチレングリコール(-CHCHO-)である。
【0181】
標識Xは、検出標識(-XDet)、単離標識(-XIso)、または修飾標識(-XMod)を含み得る。
検出標識(-XDet)は、NmAdeの検出に適した基である。典型的な検出標識には、発色団、蛍光標識、もしくはリン光標識などの光感受性基;または放射標識が挙げられる。そのような標識は、分光学的技術などの標準実験技術により検出可能である。
【0182】
単離標識(-XIso)は、NmAdeの単離に適した基である。例えば、標識核酸を、単離標識と結合する結合剤と接触させることによる単離。典型的な単離標識には、プルダウンアッセイについてのアフィニティタグなどの結合性基が挙げられる。そのような結合性基の例には、GSTタグ、mycタグ、FLAGタグ、およびビオチンが挙げられる。
【0183】
修飾標識(-XMod)は、標識核酸のさらなる修飾に適した任意の官能基である。典型的な修飾標識は、上記の式(I)のプローブについて示されている。
好ましくは、標識-Xは、単離標識(-XIso)を含む。すなわち、好ましくは、方法は、標識核酸を、以下の式:
Par-L-Xiso
(式中、-XParはパートナー基であり、-L-はリンカーであり、-Xisoは単離標識である)を有する二官能性プローブと接触させるステップであって、その結果、前記パートナー基が前記修飾標識と反応して、前記二官能性プローブを前記標識核酸と共有結合させる、ステップを含む。
単離標識の標識核酸への組入れは、NmAdeを含む核酸の単離を可能にする。
好ましくは、単離標識はビオチンである。
【0184】
抽出
本発明の方法は、N6-メチルアデニンを含む核酸を標識するステップを含む。いくつかの実施形態において、方法は、標識核酸を単離するステップを含む。
【0185】
いくつかの実施形態において、ラジカル受容体プローブは、単離標識(-XIso)を含む。他の実施形態において、修飾標識(-XMod)で標識された核酸は、単離標識(-XIso)を含有する二官能性プローブとの反応により、さらに修飾される。いずれの場合においても、標識核酸は、標識核酸を、単離標識と結合する結合剤と接触させることにより、単離され得る。
【0186】
典型的には、結合剤は、単離標識と選択的に結合する。例えば、結合剤は、単離標識を欠く核酸より、優先的に、単離標識を含む核酸と結合する。適切な結合剤は当技術分野において知られている。
【0187】
典型的な結合剤には、ストレプトアビジン、アビジン、抗ビオチン抗体、またはニュートラアビジン(ビオチンを結合する)などのビオチン結合性タンパク質;グルタチオン(GSTタグを結合する);および抗体(myc-およびFLAG-などのエピトープタグを結合する)が挙げられる。
【0188】
好ましくは、結合剤はストレプトアビジンである。
結合剤は、固体支持体に固定化され得る。固体支持体は、捕獲分子が標識核酸の捕獲のために固定化され得る表面を提示する不溶性の非ゼラチン状の物体である。適切な支持体の例には、スライドグラス、マイクロウェル、膜、マイクロビーズ、またはナノ粒子が挙げられる。支持体は、微粒子または固体の形をとり得、例として、プレート、試験管、ビーズ、ボール、フィルター、織物、ポリマー、または膜が挙げられる。結合剤は、例えば、不活性ポリマー、96ウェルプレート、またはクロマトグラフィーに用いられる固定相に固定され得る。結合剤の、固体支持体の表面への固定化は当技術分野において周知である。いくつかの実施形態において、固体支持体自体が固定化され得る。例えば、マイクロビーズは、第2の固体表面上に固定化され得る。好ましい実施形態において、固体支持体は、磁気マイクロビーズなどのマイクロビーズである。
【0189】
いくつかの実施形態において、標識核酸は、試料から抽出され得る。そのような場合、方法は、標識核酸が結合している固定化結合剤を、試料から抽出するステップを含む。抽出のための適切な方法は当技術分野において知られており、その方法には、濾過、遠心分離、または磁気マイクロビーズが用いられる場合、磁石を用いることによるなどが挙げられる。
【0190】
抽出後、標識核酸が結合している固定化結合剤は洗浄され得る。洗浄は、結合剤と選択的に結合していない試料コンポーネント、例えば、非標識核酸または他の試料コンポーネントを除去する。
【0191】
単離後、標識核酸は、固定化結合剤から遊離され得る。結合した基質を遊離させるための方法は当技術分野においてよく知られている。
上記で述べられているように、プローブは、アミン求核剤などの求核剤を用いて、除去され得る。好ましい実施形態において、標識核酸は、アミン求核剤を用いて、固定化結合剤から遊離され得る。すなわち、標識核酸が結合している固定化結合剤を、アミン求核剤と接触させ得る。典型的なアミン求核剤には、第1級求核剤が挙げられる。第1級アミン求核剤の例には、以下の式を有する化合物が挙げられる:
N-R
式中、-RはC1~6アルキル基または-NHである。
【0192】
好ましくは、求核剤はヒドラジンである。ヒドラジンは含水ヒドラジンであり得る。
遊離した核酸は、アデニン上にN6-(ヒドラゾノメチル)基(-N=C(H)=N-NH)を含む。すなわち、遊離した核酸は、以下の式によって表され得る:
NA-N=C(H)=N-NH
式中、NAは核酸である。
【0193】
濃縮(Enrichment)
一実施形態において、NmAde含有核酸は、核酸集団から抽出され得る。NmAde含有核酸は、本発明の方法を用いて、単離標識(-XIso)で標識され得る。標識NmAde含有核酸は、標識NmAde含有核酸を、固定化結合剤などの結合剤と接触させることにより単離され得る。標識NmAde含有核酸が結合している固定化結合剤は、核酸集団から抽出され得る。
【0194】
抽出後、固定化結合剤は洗浄され得る。洗浄は、結合剤に結合していない試料コンポーネントを除去する。例えば、標識NmAdeを欠く核酸。典型的には、洗浄手順は、水性バッファーなどの、核酸を除去することができる溶媒で洗浄することを含む。
【0195】
単離後、標識NmAde含有核酸は、固定化結合剤から遊離され得る。結合した基質を遊離させるための方法は当技術分野においてよく知られている。
上記で述べられているように、プローブは、アミン求核剤などの求核剤を用いて、除去され得る。好ましい実施形態において、NmAde含有核酸は、ヒドラジンを用いて、固定化結合剤から遊離され得る。すなわち、標識NmAde含有核酸が結合している固定化結合剤を、ヒドラジンと接触させ得る。
【0196】
本発明者らは、標識方法において形成された微量の副産物が、ラジカル受容体をグアニン(Gua)に付着させることを見出している。本発明者らはまた、標識核酸が結合している固定化結合剤の処理が、優先的に標識NmAde含有核酸を遊離させ、標識Gua含有核酸を結合剤に保持することも見出している。
【0197】
検出
本発明の方法は、N6-メチルアデニンを含む核酸を標識するステップを含む。いくつかの実施形態において、方法は、標識核酸を検出するステップを含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、プローブは、検出標識(-XDet)を含む。これは、標識核酸が、検出標識を検出する実験技術を用いて、検出されるのを可能にする。典型的な実験技術には、蛍光分光法(蛍光標識を利用する)、リン光分析法(リン光標識を利用する)、および質量分析法または核磁気共鳴法(放射標識を利用する)が挙げられる。
【0199】
検出は、細胞内で起こり得る。細胞は、インビトロであり得、単離された細胞、例えば、単離された細胞株または個体から単離された細胞であり得る。あるいは、細胞は、インビトロで、かつ生きている生物体内であり得る。
【0200】
マッピング
本発明の方法は、N6-メチルアデニンを含む核酸を標識するステップを含む。核酸をNmAdeにおいて標識することは、その核酸のヌクレオチド配列におけるNmAdeの位置が決定されることを可能にする。
【0201】
したがって、本発明は、以下のステップを含む、標的核酸内のNmAdeの位置をマッピングするための方法を提供する:
i)NmAdeを含む標的核酸を供給するステップであって、前記標的核酸が既知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)本明細書に記載されたNmAdeを標識するための方法を用いて、標的核酸を標識するステップ;
iii)標的核酸を増幅して、核酸断片の集団を生じるステップ;
iv)前記核酸断片の集団をシーケンシングして、前記核酸断片の塩基配列を決定するステップ;および
v)前記核酸断片のヌクレオチド配列を標的核酸のヌクレオチド配列と比較するステップであって、前記核酸断片のヌクレオチド配列の終止が、前記標的核酸のヌクレオチド配列におけるNmAde残基の位置を示す、ステップ。
【0202】
増幅(複製)ステップは、任意の適切な増幅方法を用いて、実行され得る。適切な増幅方法は知られており、それには、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例として、Greenら、Cold Spring Harb. Protoc.、2019;doi:10.1101/pdb.top095109参照)が挙げられる。
【0203】
増幅ステップは典型的には、標識核酸を適切なポリメラーゼまたはポリメラーゼ断片と接触させることを含む。適切なポリメラーゼには、Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、およびVent DNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼが挙げられる。適切なポリメラーゼ断片には、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIのクレノウ断片が挙げられる。
【0204】
増幅ステップは典型的には、ポリメラーゼ反応の開始のために、標識核酸を適切なプライマーと接触させることを含む。標的核酸の一次ヌクレオチド配列が知られている場合、適切なプライマーは、公知の技術を用いてデザインされ得る。プライマーの核酸へのハイブリダイゼーションについての適切な技術およびプロトコールは、知られている。
【0205】
好ましくは、方法は、アダプターを標的核酸の1つまたは両方の末端にライゲーションするステップを含む。適切なアダプターは、典型的には、プライマー結合部位(ユニバーサルシーケンシングプライマーなどのプライマーに相補的である領域)を含む。これは、増幅またはシーケンシングプロセスが、既知のプライマーを用い得るように、既知の配列を提供する。アダプターは、追加として、固体支持体(例えば、フローセルまたはビーズ)と結合したオリゴヌクレオチドに相補的である領域を含む。これは、核酸が、固体支持体上に固定化されるのを可能にする。アダプターは、追加として、固有のインデックス配列を含み得る。これは、試料の識別子を提供し、シングルシーケンシングランまたはフローセルレーンにおける複数の試料の多重化/プールを可能にする。適切なアダプターは当技術分野において知られており、典型的には、用いられるシーケンシングプラットフォームに依存する。適切なシーケンシングプラットフォームには、Illumina(例えば、MiSeq(商標)およびTruSeq(商標))、LifeTech IonTorrent、Roche 454、およびPacBio RSが挙げられる。
【0206】
アダプターを核酸にライゲーションするための適切な方法は知られている。例えば、二本鎖ゲノム核酸の集団は、DreamTaq(商標)またはクレノウ(exo-)などのdAテーリングポリメラーゼでの増幅または伸長後などに、dAオーバーハング(dAテール)を含有し得るか、または二本鎖核酸分子が、平滑末端化され得、dAオーバーハングが付加されて、最初のシーケンシングアダプターのライゲーションを促進し得る。dAオーバーハングを平滑末端化核酸分子に付加するための適切な方法は知られている。
【0207】
典型的には、標的核酸の1つまたは両方の末端とのアダプターのライゲーションは、標識反応の前に実施される。
増幅反応は、標識NmAde部位に達した時点で、停止(終止)し得る。したがって、増幅ステップは、NmAde部位の直前の部位(-1位)において終止する核酸断片の集団を生じる。増幅ステップは「ポリメラーゼストップ」アッセイとして知られ得る。
【0208】
停止はまた、NmAde部位の反対の位置(0位)およびNmAde部位の後の位置(+1位)においても起こり得る。しかしながら、本発明者らは、これらの停止事象があまり頻繁ではないこと、および停止が主に-1位において起こることを観察している。したがって、増幅ステップの主な産物は、完全長標的核酸に対して-1位において終止する核酸断片である。
【0209】
増幅反応の停止(終止)は、より大きい(より立体的にかさ高い)基が標識反応中に導入された場合、向上し得る。本発明者らは、核酸を単離標識(-XIso)で標識すること、およびその標識核酸を、固体支持体上に固定化された結合剤で結合することが、適切な部位(-1位)における増幅反応の終止を確実にするのに特に効果的であることを見出している。そのような場合、増幅反応は、核酸が固体支持体に結合している間に、実行することができる(例えば、「ビーズ上で(on bead)」の増幅)。
【0210】
核酸は、核酸を、単離標識(-XIso)を含むラジカル受容体プローブと接触させることにより、または修飾標識(-XMod)で標識された核酸を、単離標識(-XIso)を含有する二官能性プローブでさらに修飾することにより、単離標識(-XIso)で標識され得る。
【0211】
したがって、好ましい実施形態において、標的核酸内のNmAdeの位置をマッピングするための方法は、以下のステップを含む:
i)NmAdeを含む標的核酸を供給するステップであって、前記標的核酸が既知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)前記標的核酸を、本明細書に記載されているような単離標識(-XIso)で標識するステップ;
iii)前記単離標識(-XIso)と結合する結合剤と前記核酸を接触させるステップであって、前記結合剤が固体支持体上に固定化されている、ステップ;
iv)前記固体支持体上に結合した標的核酸を増幅して、核酸断片の集合を生じるステップ;
v)前記核酸断片の集合をシーケンシングして、核酸断片のヌクレオチド配列を決定するステップ;および
vi)前記核酸断片のヌクレオチド配列を、前記標的核酸のヌクレオチド配列と比較するステップであって、前記核酸断片のヌクレオチド配列の終止が、前記標的核酸のヌクレオチド配列におけるNmAde残基の位置を示す、ステップ。
【0212】
適切な単離標識(-XIso)は、-X基について上記で示されている。好ましくは、単離標識はビオチンである。
適切な結合剤は、抽出ステップについて上記で示されている。好ましくは、結合剤はストレプトアビジンである。
【0213】
適切な固体支持体は、抽出ステップについて上記で示されている。好ましくは、固体支持体は、磁気マイクロビーズなどのマイクロビーズである。
増幅ステップ後(かつシーケンシングステップ前)、標識は、核酸から除去され得る。上記で述べられているように、本明細書で開示されたプローブ化合物(例えば、式Iのプローブ)は、NmAdeのN6-メチル位と反応して、N-ヒドロキシホルムアミジン結合を形成する。このN-ヒドロキシホルムアミジン結合は、求核剤を用いて、切断され得る。したがって、方法は、増幅ステップ後、標識核酸を求核剤と接触させて、標識を除去するステップを含み得る。適切な求核剤は、上記で、プローブ除去ステップについて示されており、同じ選好が適用される。
【0214】
増幅ステップは、NmAde部位の直前の部位(-1位)で停止する。したがって、増幅ステップは、結果として、完全長標的核酸と結合した(ハイブリダイズした)核酸断片を生じる。したがって、二本鎖核酸部分および一本鎖オーバーハング部分がある。好ましくは、一本鎖オーバーハングは、シーケンシングステップ前に除去される。一本鎖核酸を除去または消化するための方法は、知られている。好ましくは、エキソヌクレアーゼが用いられる。したがって、方法は、シーケンシングステップ前に、核酸をエキソヌクレアーゼと接触させて、オーバーハングを除去するステップを含み得る。
【0215】
シーケンシングステップは、任意の適切なシーケンシング技術またはプラットフォームを用いて実行され得る。適切なシーケンシング技術およびプラットフォームには、サンガーシーケンシング、Solexa-Illuminaシーケンシング(例えば、MiSeq(商標)またはTruSeq(商標))、ライゲーションに基づいたシーケンシング(SOLiD(商標))、ピロシーケンシング、1分子リアルタイムシーケンシング(SMRT(商標))、PacBioscienceシーケンシング、および半導体アレイシーケンシング(Ion Torrent(商標))が挙げられる。好ましくは、シーケンシングは、次世代シーケンシングによって実施される。より好ましくは、Solexa-Illuminaシーケンシング(例えば、MiSeq(商標))が用いられる。
【0216】
核酸シーケンシングについての適切なプロトコール、試薬、および装置は知られており、市販されている。具体的な例には、NEBNext Ultra II FS DNA Library Prep Kit(New England Biolabs)が挙げられる。
【0217】
用いられるシーケンシング技術またはプラットフォームは、標的核酸とライゲーションされたアダプターと適合性がある。すなわち、アダプターは、増幅反応についてのプライマー結合部位、およびシーケンシングプラットフォームについてのプライマー結合部位を含む。これらの2つのプライマー結合部位は、同じまたは異なり得る。
【0218】
方法は、核酸断片のヌクレオチド配列を標的核酸のヌクレオチド配列と比較するステップを含む。増幅ステップは、NmAde位置に達した時点で、停止(終止)する(すなわち、ポリメラーゼ停止は、NmAdeの反対側のヌクレオチドの取込みの直前に、-1位で起こる)。したがって、核酸断片のヌクレオチド配列を標的核酸のヌクレオチド配列とアライメントおよび比較することは、標的核酸のヌクレオチド配列におけるNmAdeの位置を示す。
【0219】
いくつかの実施形態において、シーケンシングは、繰り返されて、核酸断片の配列リードの1セットを提供する。例えば、10個以上、100個以上、または1000個以上の配列リードが決定され得る。
【0220】
配列リードは、日常的なバイオインフォマティクス技術により分析され得る。例えば、低品質の配列リード、およびアダプターをシーケンシングすることからのみ生じるリードは、除去され得、配列リードは、参照配列とアライメントされ得る。
【0221】
核酸断片の同定された配列リードは、分析されて、核酸集団においてNmAde部位の場所を決定し得る。核酸集団がゲノムDNAである場合、核酸断片は、分析されて、ゲノムにおけるNmAde部位の場所を決定し得る。例えば、集団における核酸の配列における位置で終止する核酸断片の配列リードは、その位置におけるNmAde部位の存在を示し得る。いくつかの実施形態において、集団における核酸の配列における位置で終止する配列リードの、他の位置に対する比率の増加は、その位置におけるNmAde部位の存在を示し得る。
【0222】
核酸集団におけるNmAde部位のパターンまたはマップは、配列リードのセットから決定され得る。細胞の試料から取得されたゲノムDNA分子の集団について、細胞のゲノムまたはゲノムの一部におけるNmAde部位のパターンまたはマップは、配列リードのセットから決定され得る。
【0223】
上記で示されたマッピング方法において、標的核酸の一次ヌクレオチド配列は知られている。すなわち、基準塩基(A、T、C、G、U)の配列は知られている。しかしながら、本発明の方法はまた、一次ヌクレオチド配列が知られていない標的核酸のヌクレオチド配列におけるNmAdeの位置を決定するために用いることができる。そのような場合、方法は、標準シーケンシング技術を用いて標的核酸の一次ヌクレオチド配列を決定するステップを含む。サンガーシーケンシングおよびSolexa-Illuminaシーケンシング(例えば、MiSeq(商標)またはTruSeq(商標))などの標準シーケンシング技術は、アデニン(A)とN6-メチルアデニンを区別せず、その位置においてAと読む。
【0224】
したがって、方法は以下のステップを含み得る:
i)NmAdeを含む標的核酸の集団を供給するステップであって、前記標的核酸が未知の一次ヌクレオチド配列を有する、ステップ;
ii)前記集団の最初の部分をシーケンシングして、前記標的核酸の一次ヌクレオチド配列を決定するステップ。
【0225】
未知のヌクレオチド配列を有する標的核酸の一次ヌクレオチド配列を決定するための方法は知られている。適切なシーケンシング技術およびプラットフォームには、サンガーシーケンシング、Solexa-Illuminaシーケンシング(例えば、MiSeq(商標)またはTruSeq(商標))、ライゲーションに基づいたシーケンシング(SOLiD(商標))、ピロシーケンシング、1分子リアルタイムシーケンシング(SMRT(商標))、PacBioscienceシーケンシング、および半導体アレイシーケンシング(Ion Torrent(商標))が挙げられる。好ましくは、シーケンシングは、次世代シーケンシングによって実施される。より好ましくは、Solexa-Illuminaシーケンシング(例えば、MiSeq(商標))が用いられる。
【0226】
核酸シーケンシングについての適切なプロトコール、試薬、および装置は知られており、市販されている。具体的な例には、NEBNext Ultra II FS DNA Library Prep Kit(New England Biolabs)が挙げられる。
【0227】
シーケンシングステップは典型的には、標的核酸の1つまたは両方の末端へアダプターをライゲーションするステップを含む。適切なアダプターは、任意で固体支持体(例えば、フローセルまたはビーズ)との結合のための部位と共に、既知のプライマーを用い得るシーケンシングプロセスについてのプライマー結合部位、および/または固有のインデックス配列を含む。適切なアダプターは当技術分野において知られており、典型的には、用いられるシーケンシングプラットフォームに依存する。適切なシーケンシングプラットフォームには、Illumina(例えば、MiSeq(商標)およびTruSeq(商標))、LifeTech IonTorrent、Roche 454、およびPacBio RSが挙げられる。
アダプターを核酸にライゲーションするための適切な方法は知られている。
【0228】
使用
本発明のいくつかの態様において、ラジカル受容体として以下の式(I)の化合物の使用が提供される:
O=N-Py-L-X (I)
式中、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、Xは標識である。
【0229】
式(I)の化合物の各コンポーネントについての選好は上記に示されている。
好ましくは、式(I)の化合物は、N6-メチルアデニン(NmAde)のN6-メチル位に形成されるアルファ-アミノラジカルに対するラジカル受容体として用いられる。
【0230】
化合物
本発明のいくつかの態様において、以下の式(III)の化合物が提供される:
N-Py-L-C (III)
式中、-Py-ピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Cは、アルキニル、アルケニル、またはイソシアニド(-N≡C)から選択される基などのクリック反応パートナーである。
【0231】
式(III)の化合物のコンポーネント(-Py-、-L-)のそれぞれについての選好は、上記で示されているような式(I)のプローブについての選好と同じである。
特に好ましい実施形態において、以下の式を有する化合物が提供される:
N-Py-L-C≡CH
式中、式(I)のプローブについて示されているように、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、同じ選好が適用される。
【0232】
特に好ましい実施形態において、式P1~P7の化合物から選択される化合物が提供される。好ましくは、化合物はP7である。
【0233】
【表A】
【0234】
キット
本発明の一態様は、以下を含むキットに関する:
(a)ニトロピリジル基(ON-Py-)を含む化合物;および
(b)第3級アミン;および
(c)光触媒。
【0235】
ニトロピリジル基を含む適切な化合物は、上記で示されている。好ましくは、ニトロピリジル基を含む化合物は以下の式(II)の前駆体である:
N-Py-L-X (II)
式中、上記で示されているように、-Py-はピリジンジイル基であり、-L-はリンカーであり、-Xは標識である。
【0236】
適切な第3級アミンは上記で示されている。好ましくは、第3級アミンは以下の式を有するキヌクリジンである:
【0237】
【化7】
【0238】
式中、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アシルオキシ基、C1~6逆エステル基、または-C(OH)R基(式中、RおよびRは、C1~6アルキルから選択される)から選択される。
【0239】
適切な光触媒は、上記で示されている。好ましくは、光触媒は、[Ru(phen)2+または[Ru(bpz)2+などのルテニウムまたはイリジウム光触媒である。
【0240】
キットは、適切な容器において、および/または適切なパッケージングで、提供され得る。
任意で、キットは、使用説明書、例えば、NmAdeを含む核酸を標識する方法におけるキットの使用方法に関する書面での使用説明書を含み得る。
【0241】
キットは、核酸単離試薬をさらに含み得る。適切な試薬は当技術分野において周知であり、それには、スピンクロマトグラフィーカラムが挙げられる。
キットは、NmAdeを含有する核酸への化合物の付着のための標識バッファーをさらに含み得る。
【0242】
キットは、特異的な結合剤をさらに含み得る。結合剤は、キットにおける化合物の単離標識と特異的に結合し得る。例えば、特異的な結合メンバーは、ビオチン単離標識と結合し得る。適切な結合剤には、ストレプトアビジンが挙げられる。結合剤は、固体支持体上に固定化されておりまたは固定可能であり得る。
【0243】
キットは、固体支持体をさらに含み得る。固体支持体は、結合剤でコーティングされており、またはコーティング可能であり得る。適切な固体支持体は、上で記載されており、それには、磁気ビーズが挙げられる。いくつかの好ましい実施形態において、化合物の単離標識はビオチンであり、固体支持体はストレプトアビジンコーティング化磁気ビーズである。磁気ビーズの精製のために、キットに磁石が含まれ得る。
【0244】
任意で、キットは、化合物を核酸から除去するための試薬、または核酸を結合剤から遊離させるための試薬を含み得る。化合物を核酸から除去するための適切な試薬には、上記で示されているように、アミン求核剤およびヒドラジンが挙げられる。
【0245】
キットは、バッファー溶液、シーケンシング試薬、および他の試薬などの、方法に必要とされる1つまたは複数の他の試薬を含み得る。
キットは、シーケンシングアダプター、および単離された核酸の末端へのシーケンシングアダプターの付着のための1つまたは複数の試薬、例えばT4リガーゼ、を含み得る。
【0246】
キットは、増幅プライマーを用いる核酸集団の増幅のための1つまたは複数の試薬を含み得る。適切な試薬には、耐熱性ポリメラーゼ、例えば、高い識別力のポリメラーゼ、dNTPs、および適切なバッファーが挙げられ得る。
【0247】
キットは、対照として用いられる1つまたは複数のオリゴヌクレオチドをさらに含み得る。適切な陽性対照オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個のNmAdeを含む核酸であり得る。
【0248】
適切な陰性対照オリゴヌクレオチドは、NmAdeを欠く核酸であり得る。
mAdeの標識、濃縮、または検出に用いられるキットは、方法の実施のための1つまたは複数の物品および/または試薬、例えば、DNAおよび/またはRNA単離および精製試薬を含む、試験試料自体を供給するための手段、試料取扱い容器(そのようなコンポーネントは一般的には無菌である)、ならびにバッファー溶液、シーケンシング試薬、および他の試薬などの、方法に必要とされる他の試薬を含み得る。
【0249】
塩、溶媒和化合物、および他の形
ラジカル受容体、プローブ、前駆体、および光触媒の塩の例には、全ての塩が挙げられ、例えば、非限定的に、HCl塩およびHBr塩などの強い鉱酸の酸付加塩、ならびにメタンスルホン酸塩などの強い有機酸の付加塩である。塩のさらなる例には、硫酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩またはトリクロロ酢酸塩などの酢酸塩が挙げられる。
【0250】
本明細書に記載された、ラジカル受容体、プローブ、前駆体、光触媒、または任意の他の化合物への言及は、その化合物の溶媒和化合物への言及でもある。溶媒和化合物の例には、水和物が挙げられる。
【0251】
本明細書に記載された、ラジカル受容体、プローブ、前駆体、光触媒、または任意の他の化合物には、原子が、天然に存在する、または天然に存在しない同位元素によって置き換えられている化合物が挙げられる。一実施形態において、その同位元素は、安定同位元素である。したがって、本明細書に記載された化合物には、例えば、重水素含有化合物およびその他同種類のものが挙げられる。例えば、Hは、任意の同位体の形をとり得、例えば、H、H(D)、およびH(T)である;Cは、任意の同位体の形をとり得、例えば、12C、13C、および14Cである;Oは、任意の同位体の形をとり得、例えば、16Oおよび18Oである、などである。
【0252】
本明細書に記載された化合物のいずれも、1つまたは複数の特定の幾何学的、光学的、鏡像異性の、ジアステレオ異性の、エピマーの、アトロプの(atropic)、立体異性の、互変異性の、立体構造的、またはアノマーの形をとって存在し得、それには、シス型およびトランス型;E型およびZ型;c型、t型、およびr型;エンド型およびエキソ型;R型、S型、およびメソ型;D型およびL型;d型およびl型;(+)型および(-)型;ケト型、エノール型、およびエノラート型;シン型およびアンチ型;シンクリナル型およびアンチクリナル型;α型およびβ型;アキシャル型およびエクトリアル型;ボート型、イス型、ツイスト型、エンベロープ型、および半イス型;ならびにそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されず、以下、まとめて、「異性体」(または「異性型」)と呼ばれる。
【0253】
下記で論じられているように互変異性の形を除いて、本明細書で用いられる場合、用語「異性体」から、構造(または構成)異性体(すなわち、単に空間における原子の位置によるだけというよりむしろ、原子間の接続の点で異なる異性体)が明確に排除されることは留意されたい。例えば、メトキシ基、-OCHへの言及は、それの構造異性体、ヒドロキシメチル基、-CHOHへの言及と解釈されるべきではない。同様に、オルト-クロロフェニルへの言及は、それの構造異性体、メタ-クロロフェニルへの言及と解釈されるべきではない。しかしながら、構造のクラスへの言及は、そのクラス内に入る構造異性型を十分、含み得る(例えば、C1~6アルキルは、n-プロピルおよびイソ-プロピルを含む;ブチルは、n-、イソ-、sec-、およびtert-ブチルを含む;メトキシフェニルは、オルト-、メタ-、およびパラ-メトキシフェニルを含む)。
【0254】
他に定めのない限り、特定の化合物への言及は、全てのそのような異性型(その混合物(例えば、ラセミ混合物)も含む)を含む。そのような異性型の調製(例えば、不斉合成)および分離(例えば、分別再結晶およびクロマトグラフィー法)のための方法は、当技術分野において知られているか、または本明細書に教示された方法もしくは公知の方法を公知の様式で適応させることにより容易に得られるかのいずれかである。
【0255】
本発明の一態様は、実質的に精製された形での、および/または夾雑物を実質的に含まない形での化合物に関する。
一実施形態において、実質的に精製された形は、少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも97重量%、例えば少なくとも98重量%、例えば少なくとも99重量%である。
【0256】
定めのない限り、実質的に精製された形は、任意の立体異性型または鏡像異性型の化合物を指す。例えば、一実施形態において、実質的に精製された形は、立体異性体の混合物、すなわち、他の化合物に対して精製されたものを指す。一実施形態において、実質的に精製された形は、1つの立体異性体、例えば、光学的純粋な立体異性体を指す。一実施形態において、実質的に精製された形は、鏡像異性体の混合物を指す。一実施形態において、実質的に精製された形は、鏡像異性体の等モルの混合物(すなわち、ラセミ混合物、ラセミ体)を指す。一実施形態において、実質的に精製された形は、1つの鏡像異性体、例えば、光学的純粋な鏡像異性体を指す。
【0257】
一実施形態において、夾雑物は、50重量%以下、例えば40重量%以下、例えば30重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下、例えば3重量%以下、例えば2重量%以下、例えば1重量%を占める。
【0258】
定めのない限り、夾雑物は、他の化合物、すなわち、立体異性体と鏡像異性体を除く化合物を指す。一実施形態において、夾雑物は、他の化合物および他の立体異性体を指す。一実施形態において、夾雑物は、他の化合物および他の鏡像異性体を指す。
【0259】
一実施形態において、実質的に精製された形は、少なくとも60%光学的純粋(すなわち、モルベースで化合物の60%が、所望の立体異性体または鏡像異性体であり、40%が、望まれていない立体異性体または鏡像異性体である)、例えば少なくとも70%光学的純粋、例えば少なくとも80%光学的純粋、例えば少なくとも90%光学的純粋、例えば少なくとも95%光学的純粋、例えば少なくとも97%光学的純粋、例えば少なくとも98%光学的純粋、例えば少なくとも99%光学的純粋である。
【0260】
定義
アルキル基は、一価飽和炭化水素基である。アルキル基は、C1~6アルキル基、例えば、C1~4、C1~3、またはC1~2アルキル基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C1~6)は、炭化水素主鎖における炭素原子の数を表示する。アルキル基は直鎖状または分岐状であり得る。
【0261】
1~6直鎖状アルキル基の例には、メチル(-Me)、エチル(-Et)、n-プロピル(-nPr)、n-ブチル(-nBu)、n-ペンチル(-Amyl)、およびn-ヘキシルが挙げられる。C1~6分岐状アルキル基の例には、イソ-プロピル(-iPr)、イソ-ブチル(-iBu)、sec-ブチル(-sBu)、tert-ブチル(-tBu)、イソ-ペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、ネオ-ペンチル、イソ-ヘキシル、sec-ヘキシル、tert-ヘキシル、およびネオ-ヘキシルが挙げられる。
【0262】
アルケニル基は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含有する一価不飽和炭化水素である。アルケニル基は、C2~20アルケニル基、例えば、C2~10、C2~6、またはC2~4アルケニル基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C1~6)は、炭化水素主鎖における炭素原子の数を表示する。アルケニル基は、直鎖状または分岐状であり得る。アルケニル基は、環系へ組み入れられ得る。
【0263】
直鎖状アルケニル基の例には、エテニル(ビニル)、1-プロペニル、2-プロペニル(アリル)、1-ブテニル、1-ペンテニル、および1-ヘキセニルが挙げられる。分岐状アルケニル基の例には、イソプロペニル(1-メチルビニル)が挙げられる。環系へ組み入れられたアルケニル基の例には、ノルボルネン、オキサノルボルネン、およびトランス-シクロオクテン(cycloctene)が挙げられる。
【0264】
アルキニル基は、1つまたは複数の炭素-炭素三重結合を含有する一価不飽和炭化水素である。アルキニル基は、C2~20アルキニル基、例えば、C2~10、C2~6、またはC2~4アルキニル基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C1~6)は、炭化水素主鎖における炭素原子の数を表示する。アルキニル基は、直鎖状または分岐状であり得る。アルキニル基は、環系へ組み入れられ得る。
【0265】
直鎖状アルキニル基の例には、エチニルおよび2-プロピニル(プロパルギル)が挙げられる。環系へ組み入れられたアルキニル基の例には、シクロオクチン(OCT)が挙げられる。
【0266】
アリール基は、環原子の全部が炭素原子である芳香環を含む一価炭化水素基である。アリール基は、C5~20アリール基、例えば、C5~14、C5~10、またはC5~6アリール基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C5~10)は、環原子の数または範囲を表示する。アリール基は、単環式であり得、またはそれは、縮合環系における2つ以上の環を含み得る。縮合環系において、アリール基は、2つ以上の環を含み、その環の少なくとも1つが、環原子の全部が炭素原子である芳香環であり、かつ各環が、それぞれの隣接する(縮合している)環と、2個の隣接環原子を共有する。したがって、橋頭原子は、直接的に結合している。
【0267】
単環式アリール基の例には、ベンゼンに由来した基(フェニル)が挙げられる。縮合環を含むアリール基の例には、以下に由来した基が挙げられる:インダン(2,3ジヒドロ-1H-インデン)、インデン、イソインデン;ナフタレン、ジアリン(1,2-ジヒドロナフタレン)、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)、アズレン;アセナフテン;フルオレン、フェナレン;ならびにアントラセンおよびフェナントレン。
【0268】
ヘテロアリール基は、1個または複数の環原子がヘテロ原子、例えば、N、O、およびSである芳香環を含むアリール基である。ヘテロアリール基は、C5~20ヘテロアリール基、例えば、C5~14、C5~10、またはC5~6ヘテロアリール基であり得る。ヘテロアリール基は、単環式であり得、またはそれは、縮合環系における2つ以上の環を含み得る。縮合環系において、ヘテロアリール基は、2つ以上の環を含み、その環の少なくとも1つが、1個または複数の環原子がヘテロ原子である芳香環であり、かつ各環が、それぞれの隣接する(縮合している)環と、2個の隣接環原子を共有する。したがって、橋頭原子は、直接的に結合している。
【0269】
単環式C5~20ヘテロアリール基の例には、以下に由来した基が挙げられる:ピロール(アゾール)、ピラゾール(1,2-ジアゾール)、イミダゾール(1,3-ジアゾール)、トリアゾール、テトラゾール;フラン(オキソール);チオフェン(チオール);オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール(例えば、フラザン)、オキサトリアゾール;チアゾール、イソチアゾール;ピリジン(アジン)、ピリダジン(1,2-ジアジン)、ピリミジン(1,3-ジアジン)、ピラジン(1,4-ジアジン)、トリアジン;およびイソキサジン。
【0270】
縮合環を含むC5~20ヘテロアリール基の例には、以下に由来した基が挙げられる:インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン、ベンズイミダゾール、インダゾール、アザインドール、ベンゾトリアゾール;ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン、ベンズイミダゾール、インダゾール、ベンゾキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾジオキソール、ベンゾフラザン、ベンゾトリアゾール、ベンゾチオフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール;ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン、ベンズイミダゾール、インダゾール、ベンゾキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾジオキソール、ベンゾフラザン、ベンゾトリアゾール、ベンゾチオフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール;ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン、ベンズイミダゾール、インダゾール、ベンゾキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾジオキソール、ベンゾフラザン、ベンゾトリアゾール、ベンゾチオフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール;キノリン、イソキノリン、キノリジン、キノキサリン、フタラジン、キナゾリン、シンノリン、ナフチリジン、ピリドピリミジン、ピリドピラジン、プテリジン;クロメン、イソクロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾジオキサン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾキサジン、ベンゾジアジン、ピリドピリジン、キノキサリン、キナゾリン。シンノリン、フタラジン、ナフチリジン、プテリジン;ベンゾジアゼピン;カルバゾール、カルボリン、ペリミジン、ピリドインドール;カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルボリン、ペリミジン、ピリドインドール;アクリジン、フェナジン、フェナンチリジン、フェナントロリン、フェナジン、アクリジン、キサンテン、チオキサンテン、オキサントレン、フェノキサチイン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、チアントレン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン。
【0271】
ヒドロキシル基は、-OHまたはこの基の水酸化物の形である。
アルコキシ基は、-ORであり、式中、Rはアルキル基である。アルコキシ基の例には、メトキシ(-OMe)、エトキシ(-OEt)、n-プロポキシ(-O(nPr))、イソプロポキシ(-O(iPr))、n-ブトキシ(-O(nBu))、sec-ブトキシ(-O(sBu))、イソ-ブトキシ(-O(iBu))、およびtert-ブトキシ(-O(tBu))が挙げられる。
【0272】
アシル基は、-C(=O)Hまたは-C(=O)Rであり、式中、-Rは、置換型または非置換型のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択される。アシル基の例には、ホルミル、アセチル(-Ac)、プロピオニル、tert-ブチリル、およびベンゾイル(-Bz)が挙げられる。
【0273】
アシルオキシ(エステル)基は、-C(O)ORであり、式中、-Rは、置換型または非置換型のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択される。
【0274】
逆エステル基は、-OC(O)Rであり、式中、Rは、置換型または非置換型のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択される。逆エステル基の例には、アセトキシ(-OAc)が挙げられる。
【0275】
アミド(カルボキサミド)基は、-C(=O)NRであり、式中、-Rおよび-Rは、非依存的に、置換型または非置換型のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択される。アミド基の例には、-C(=O)NH、-C(=O)NHCH、-C(=O)N(CH2、-C(=O)NHEt、および-C(=O)NEt、加えて、例えば、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、およびピペラジノカルボニルにおいてのような、RおよびRが、それらが結合している窒素原子と共に、ヘテロサイクリック構造を形成するアミド基が挙げられるが、それらに限定されない。
【0276】
逆アミド基は、-N(R)C(=O)Rであり、式中、-Rおよび-Rは、非依存的に、置換型または非置換型のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択される。逆アミド基の例には、アセトアミド(-NHC(=O)Me)、-NHC(=O)Et、および-NHC(=O)Phが挙げられる。RおよびRは一緒に、例えば、スクシンイミジル、マレイミジル、およびフタルイミジルにおいてのように、サイクリック構造を形成し得る。
【0277】
アルキレン(アルカンジイル)基は、2つの自由原子価が非依存的に、一重結合の部分を形成して、隣接原子を分離させる、二価飽和炭化水素基である。
アルキレン基は、C1~6アルキレン基、例えば、C1~4またはC1~3アルキレン基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C1~6)は、炭化水素主鎖における原子の数を表示する。アルキレン基は直鎖状または分岐状であり得る。直鎖状アルキレン基の例には、メタンジイル(メチレン架橋)、エタン-1,2-ジイル(エチレン架橋)、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル、およびヘキサン-1,6-ジイルが挙げられる。分岐状アルキレン基の例には、エタン-1,1-ジイルおよびプロパン-1,2-ジイルが挙げられる。
【0278】
ヘテロアルキレン基は、1個または複数の炭素原子がヘテロ原子、例えば、N、O、およびSと置き換えられているアルキレン基である。ヘテロアルキレン基は、C1~6ヘテロアルキレン基、例えば、C1~4またはC1~3ヘテロアルキレン基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C1~6)は、炭素原子かヘテロ原子かに関わらず、ヘテロアルキレン主鎖における原子の数を表示する。ヘテロアルキレン基は直鎖状または分岐状であり得る。直鎖状ヘテロアルキレン基の例には、オキシメチレン(例えば、ポリオキシメチレン、POM)、エチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、PEG)、エチレンイミン(例えば、直鎖状ポリエチレンイミン、PEI;ポリアジリジン)、およびテトラメチレングリコール(例えば、ポリテトラメチレングリコール、PTMEG;ポリテトラヒドロフラン)に由来した基が挙げられる。分岐状ヘテロアルキレン基の例には、プロピレングリコール(例えば、ポリプロピレングリコール PPG)に由来した基が挙げられる。窒素原子がヘテロアルキレン基に存在する場合、その窒素原子は、非置換型(NH)であり得、または任意で、アルキル基で置換され得る。硫黄原子がヘテロアルキレン基に存在する場合、その硫黄原子は、S、S(O)、またはS(O)であり得る。
【0279】
シクロアルキレン基は、環原子の全部が炭素原子である環を含み、かつ2つの自由原子価がそれぞれ、隣接原子と一重結合の部分を形成する、二価飽和炭化水素基である。シクロアルキレン基は、C5~6シクロアルキレン基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C5~6)は、環原子の数または範囲を表示する。シクロアルキレン基は単環式であり得る。単環式シクロアルキレン基の例には、1,3-シクロペンチレンおよび1,4-シクロへキシレンが挙げられる。
【0280】
ヘテロシクロアルキレン(ヘテロシクレン)基は、1個もしくは複数の炭素原子がヘテロ原子、例えば、N、O、およびSと置き換えられている、または1個もしくは複数の炭素原子がオキソ置換基(=O)を有する、シクロアルキレン基である。ヘテロシクロアルキレン基は、C5~6ヘテロシクロアルキレン基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C5~6)は、炭素原子かヘテロ原子かに関わらず、環原子の数または範囲を表示する。ヘテロシクロアルキレン基は単環式であり得る。窒素原子がヘテロアルキレン基に存在する場合、その窒素原子は、非置換型(NH)であり得、または任意で、アルキル基で置換され得る。硫黄原子がヘテロアルキレン基に存在する場合、その硫黄原子は、S、S(O)、またはS(O)であり得る。
【0281】
アリレン(アレンジイル)基は、環原子の全部が炭素原子である芳香環を含み、かつ2つの自由原子価がそれぞれ、隣接原子と一重結合の部分を形成する、二価炭化水素基である。アリレン基は、C6~10アリレン基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C6~10)は、環原子の数または範囲を表示する。アリレン基は、単環式であり得、またはそれは、2つ以上の環を含み得る。単環式アリレン基の例には、1,4-フェニレン(1,4-ベンゼンジイル)が挙げられる。二環式アリレン基の例には、2,6-ナフタレンジイルが挙げられる。
【0282】
ヘテロアリレン基は、1個もしくは複数の環原子がヘテロ原子、例えば、N、O、およびSである、または1個もしくは複数の炭素原子がオキソ置換基(=O)を有する、芳香環を含むアリレン基である。ヘテロアリレン基は、C6~10ヘテロアリレン基であり得る。この関連において、接頭辞(例えば、C6~10)は、炭素原子かヘテロ原子かに関わらず、環原子の数または範囲を表示する。ヘテロアリレン基は、単環式であり得、またはそれは、2つ以上の環を含み得る。単環式ヘテロアリレン基の例には、2,5-ピリジンジイルおよび2,5-ピロールジイルが挙げられる。
【0283】
アミド結合は、-N(R)-C(=O)-であり、式中、-Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびアリールから選択される。アミン結合は、窒素原子かまたは炭素原子のいずれかが隣接基と結合するように、方向づけられ得る。
【0284】
エステル結合は-O-C(=O)-である。エステル結合は、エーテルの酸素原子かまたはカルボニルの炭素原子のいずれかが隣接基と結合するように、方向づけられ得る。
カルボニル結合は-C(=O)-である。
【0285】
アミン結合は、-N(R)-であり、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびアリールから選択される。
エーテル(オキシ)結合は、-O-である。
【0286】
他の選好
上記の実施形態のありとあらゆる適合性組合せが、あたかもありとあらゆる組合せが個々にかつ明確に列挙されているかのように、本明細書で明確に開示される。
【0287】
本発明の様々なさらなる態様および実施形態は、本開示を鑑みれば、当業者に明らかだろう。
本明細書で用いられる場合の「および/または」は、その2つの特定された特徴またはコンポーネントのそれぞれの、その他方と共でまたは無しでの、特定の開示として解釈されるべきである。例えば、「Aおよび/またはB」は、(i)A、(ii)B、および(iii)AおよびBのそれぞれの特定の開示として、あたかもそれぞれが本明細書で個々に示されているかのように、解釈されるべきである。
【0288】
文脈上、他に指示がない限り、上記で示された特徴の説明および定義は、本発明のいかなる特定の態様にも実施形態にも限定されず、記載されている全ての態様および実施形態へ等しく適用される。
【0289】
本発明のある特定の態様および実施形態は、ここで、実施例として、かつ上記の図を参照して、例証される。
配列
本発明は、以下に挙げられた配列識別番号を参照して、本明細書に記載される:
配列番号1:DNA鋳型1
配列番号2:DNA鋳型2
配列番号3:リバースプライマー1
配列番号4:リバースプライマー2
【実施例
【0290】
実験および結果
1.一般的な注釈
プロトン核磁気共鳴(H NMR)スペクトルは、周囲温度で、400MHz Bruker Avance III HD分光計(400MHz)または500MHz Bruker Avance III HD Smart Probe分光計(500MHz)において記録された。化学シフト(δ)は、ppmで報告され、CDCl3(7.26ppm)、DMSO-d6(2.50ppm)、メタノール-d4(3.31ppm)における残留プロトンに対して最も近い0.01ppmへ引用され、結合定数(J)はヘルツ(Hz)で引用された。結合定数は、最も近い0.1Hzへ引用され、多重度は、以下の慣例に従って報告された:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、qnt=五重線、sxt=六重線、spt=七重線、oct=八重線、m=多重線、br=幅広線、および関連した組合せ、例えば、dd=二重の二重線。同時発生した結合定数が観察されている場合、プロトン共鳴の見かけ(app)の多重度が報告されている。データは、以下の通り、報告された:化学シフト(多重度、結合定数、プロトンの数、および分子帰属)。
【0291】
炭素核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルは、周囲温度で、400MHz Bruker Avance III HD分光計(101MHz)または500MHz Bruker Avance III HD Smart Probe分光計(126MHz)において記録された。化学シフト(δ)は、ppmで報告され、CDCl3(77.16ppm)、DMSO-d6(39.52ppm)、およびメタノール-d4(49.00ppm)における残留溶媒ピークに対して最も近い0.1ppmへ引用された。DEPT135、NOE実験、および2次元実験(COSY、HMBC、およびHSQC)が、適切な場合、帰属を裏付けるために用いられたが、本明細書には含まれなかった。
【0292】
LCMSスペクトルは、Ultimate 3000 LC(Dionex)と接続されたAmazon X ESI-MS(Bruker)において記録された。オリゴデオキシリボヌクレオチドは、10mMトリエチルアミンおよび100mMヘキサフルオロ-2-プロパノールの水溶液に対して、5~30%メタノールの勾配を用いて、TMSエンドキャッピングを有するXTerra MS C18カラム(125Å、2.5μm、2.1×50mm)で分析された。小分子は、0.1%ギ酸を含む水に対して、0.1%ギ酸を含む0~100%アセトニトリルの勾配で、Kinetex(登録商標)C18カラム(100Å、2.6μm、50×2.1mm)において分析された。官能基化の研究におけるヌクレオシドおよび官能基化ODNsの消化後のヌクレオシドは、10mM酢酸アンモニウムを含む水に対して、0~100%アセトニトリルの勾配で、Kinetex(登録商標)C18カラム(100Å、2.6μm、50×2.1mm)において分析された。示されたマスクロマトグラムは基準ピーククロマトグラムであり、UV吸収は、260nmにおいて記録された。
【0293】
小分子の高解像度質量スペクトル(HRMS)は、Shimadzu LC-MS 9030 QToFを用いて行われた。オリゴデオキシリボヌクレオチドは、10mMトリエチルアミンおよび100mMヘキサフルオロ-2-プロパノールの水溶液に対して、5~30%メタノールの勾配を用いて、TMSエンドキャッピングを有するXTerra MS C18カラム(125Å、2.5μm、2.1×50mm)で分析された。小分子は、0.1%ギ酸を含む水に対して、0.1%ギ酸を含む0~100%アセトニトリルの勾配で、Kinetex(登録商標)C18カラム(100Å、2.6μm、50×2.1mm)において分析された。
【0294】
分析薄層クロマトグラフィー(TLC)は、あらかじめコーティングされたMerckガラス裏打ちのシリカゲルプレート(Silicagel 60 F254 0.2mm)を用いて実施された。可視化は、紫外線(254nm)および必要に応じて、塩基性過マンガン酸カリウム溶液での化学染色を用いて達成された。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、空気の陽圧下のFlukaもしくはMaterial Harvestのシリカゲル(230~400メッシュ)、または50μm Si-HP PuriFlashカラムを用いるCombiFlash Rf 200(Teledyne Isco)システムにおいて行われた。
【0295】
自動ゲル電気泳動は、Agilent Technologies 2200 TapestationならびにD1000 ScreenTapesおよび試料バッファーを用いて実施された。
【0296】
qPCRは、CFX96 Real-TimeSystem(BioRad)を用いて実施され、データは、CFX software manager 3.1(BioRad)を用いて処理された。qPCR反応(体積:10μL)は、DNA較正または試料混合物(1μL)、対応するフォワードおよびリバースプライマー(それぞれ、1μM)、ならびにBrilliant III ultra-Fast SYBR green qPCR mastermix(Agilent Technologies、5μL)を含有した。反応は、製造会社のプロトコールに従って実行された。較正曲線が、分析された試料中の標的DNAの量を決定するために作成された。
【0297】
反応のための短いONDsを含むオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODNs)、99nt ssDNA鎖、ならびに99nt dsDNA鎖の合成のための鋳型およびプライマーは、カスタム合成され、ATDBioまたはSigma-AldrichによりHPLC精製され、milliQ H2Oへの溶解後、さらなる精製なしに用いられた。
【0298】
試薬は、Sigma-Aldrich、Acros、Alfa Aesar、TCI、またはJena Bioscienceから入手され、さらなる精製なしに用いられた。酵素溶液は、Zymo、New England BioLabs、およびSigmaから入手され、直接、用いられた。プローブ化合物である、5-ニトロ-2-フェニルピリジンおよび3-ニトロ-4-フェニルピリジンは、商業的供給源(Sigma-Aldrich、Toronto Research Chemicals)から入手できた。
【0299】
ジクロロメタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、および石油エーテル(40~60)は、標準方法を用いて、乾燥および蒸留された。水は、milliQシステムにおいて精製された。用いられた他の溶媒は、無水として購入され、他に指定がない限り、さらなる精製なしに用いられた。
反応は、他に指定がない限り、窒素雰囲気下で実行された。反応は、LCMSによりモニターされた。
【0300】
一般的手順
一般的手順A:短いODNにおけるN mdAのキヌクリジンおよび誘導体での官能化:
2mlマイクロ波バイアルに、ODN基質(milliQ HO、12.5μL中200μM)を含有する溶液を加えた。別のEppendorfチューブにおいて、適当量のキヌクリジンまたはそれの誘導体を、[Ru(bpz)](PF(milliQ HO中20%MeCNの1mlにおいて2mg、2.3mM、12.5μL)または[Ru(phen)]Cl(milliQ HO中20%MeCNにおいて2mM、12.5μL)のストック溶液を用いて溶解した。その後、その後者の混合物を、ODN溶液に加え、15~20秒間のフラッシング後、マイクロ波バイアルを窒素雰囲気下で密封した。その後、バイアルを、15W CFLバルブから5cmの所へ置いた。反応物を、5時間、照射し、milliQ HO(25μL)で希釈し、予洗されたMini Quick Spin Oligo Column(Roche)に通して濾過した。得られた混合物を、LCMSにより直接、分析した。
【0301】
一般的手順B:短いODNにおけるN mdAの3-ニトロピリジンおよび誘導体での官能化:
2mlマイクロ波バイアルに、ODN基質(milliQ HO、12.5μL中200μM)を含有する溶液を加えた。別のEppendorfチューブにおいて、キヌクリジン(5.5mg、50μmmol)および適当量の3-ニトロピリジンまたはそれぞれの誘導体を、[Ru(bpz)](PF(milliQ HO中20%MeCNの1mlにおいて2mg、2.31mM、12.5μL)またはRu(phen)Cl(milliQ HO中20%MeCNの1mLにおいて1.5mg、2.1mM、12.5μL)のストック溶液を用いて溶解した。その後、その後者の混合物を、前記オリゴ溶液に加え、マイクロ波バイアルを窒素雰囲気下で密封し、15~20秒間、フラッシングした。その後、バイアルを、15 W CFLもしくは55 W CFLバルブからおよそ1cmの所に、または55W CFLバルブの内側の蒸留水浴中に置いた(その場合、温度管理のために送風機を用いた)。反応物を、10分間(他に指示がないならば)、照射し、水(25μL)で希釈し、予洗されたMini Quick Spin Oligo Column(Roche)に通して濾過した。得られた混合物を、LCMSにより直接、分析した。
【0302】
一般的手順C:短いODNにおける官能化N mdAへのクリック反応
1.5ml Eppendorfチューブにおける一般的手順Bから生じたODN混合物(25μL)へ、キヌクリジン(10μLのmilliQ HO中に溶解された5.5mg、50μmol)、アジド-PEG-ビオチンコンジュゲート(20mM、5μL)、アスコルビン酸ナトリウム(40mM、5μL)、およびCuSO(2mM、5μL)を加えた。最終濃度:キヌクリジン:1M、アジド-PEG-ビオチンコンジュゲート:2mM、アスコルビン酸ナトリウム:4mM、CuSO:0.2mM。室温での30分間の反応後、反応物を、予洗されたMini Quick Spin Oligo Column(Roche)に通して濾過した。得られた混合物を、LCMSにより直接、分析した。
【0303】
一般的手順D:短いN mdA ODNのストレプトアビジン磁気ビーズでの濃縮
1.5ml Eppendorf DNA LoBind微量遠心管における一般的手順Cから生じたODN混合物へ、5×適応した結合バッファー(40μL;25mM Tris、2.5mM EDTA、5M NaCl、pH8.5)およびmilliQ HO(200μLの最終体積として)を加えた。ストレプトアビジンMagneSphere(登録商標)常磁性粒子(300μLの1mg/ml懸濁液)を、1.5ml Eppendorf DNA LoBind微量遠心管において懸濁し、磁気スタンド上で保存バッファーから分離し、0.5×SSCバッファー(200μL;75mM NaCl、7.5mMクエン酸ナトリウム、pH7.2)で2回、および1×適応した結合バッファー(200μL;5mM Tris、0.5mM EDTA、1M NaCl、pH8.5)で1回、洗浄した。そのオリゴ溶液(200μL)を、常磁性粒子に加え、室温での10分間のインキュベーション後、上清を、LCMS分析のために収集した。そのビーズは、1×適応した結合バッファー(3×200μL)で入念に洗浄し、その後、200ul適応した結合バッファーを含む新しい微量遠心管へ移し、適応した結合バッファー(1×200μL)で別の機会に、洗浄した。その後、それらを、100mM NaOH(200μLで、室温、3×10分間)中でインキュベートし、最後に、再び、適応した結合バッファー(3×200μL)で洗浄した。保持されたオリゴヌクレオチドの溶出を、10%含水ヒドラジン(25μL)との室温で5分間のインキュベーションにより実施し、続いて、水(25μL)でさらに洗浄した。25uLの両方の画分を組み合わせ、予洗されたMini Quick Spin Oligo Column(Roche)を通して濾過し、LCMSにより直接、分析した。
【0304】
一般的手順E:濃縮のための99nt ssDNAにおけるN mdAの3-ニトロピリジンプローブでの官能化
2mlマイクロ波バイアルに、2つのODN基質(メチル化および非メチル化、milliQ HO中2μM、各12.5μL)の混合物を加えた。別のEppendorfチューブにおいて、キヌクリジン(8.25mg、75μmol)および3-ニトロピリジンプローブ(0.3mg、1.3μmol)を、[Ru(phen)]Cl(milliQ HO中30%MeCNの1mlにおける3mM、12.5μL)の保存溶液を用いて溶解した。その後、後者の混合物をODN混合物に加えた。サケ精子DNAを加えた反応物について、2ulのサケ精子ssDNA溶液(5mg/ml、abcam ab229278)を、光酸化還元反応の前に、加えた。最終濃度:ODNs:各0.67μM、キヌクリジン:2M、3-ニトロピリジンプローブ:33mM、[Ru(phen)]Cl:1mM、HO中10%MeCN。マイクロ波バイアルを、15~20秒間のフラッシング後、窒素雰囲気下で密封した。その後、そのバイアルを、55W CFLバルブの内側へ置いた。温度を送風機で維持しながら、その混合物に、5分間、照射し、引き続いて、反応後、予洗されたMicro BioSpin 6 column(BioRad)に通して濾過した。
【0305】
一般的手順F:99nt ssDNAにおける官能化N mdAへのクリック反応
1.5ml Eppendorfチューブにおける一般的手順Eから生じたODN混合物へ、キヌクリジン(8.25mg、10μL HO中75μmole)、アジド-PEG-ビオチンコンジュゲート(20mM、7.5μL)、アスコルビン酸ナトリウム(40mM、7.5μL)、およびCuSO(2mM、7.5μL)を加えた。最終濃度:キヌクリジン:1M、アジド-PEG-ビオチンコンジュゲート:2mM、アスコルビン酸ナトリウム:4mM、CuSO:0.2mM。室温での30分間の反応後、その混合物を、予洗されたMicro BioSpin 6 column(BioRad)に通して2回、濾過した。
【0306】
一般的手順G:濃縮のための99nt dsDNAにおけるN mdAの3-ニトロピリジンプローブでの官能化
2mlマイクロ波バイアルに、2つのdsODN基質(メチル化および非メチル化、milliQ HO中0.25~0.35μM、各8.3μL)の混合物を加えた。別のEppendorfチューブにおいて、キヌクリジン(5.5mg、50μmol)および3-ニトロピリジンプローブ(0.2mg)を、[Ru(phen)]Cl(milliQ HO中30%MeCNの1mlにおける3mM、8.3μL)の保存溶液を用いて溶解した。その後、後者の混合物をODN混合物に加えた。サケ精子DNAを加えた反応物について、2ulのサケ精子ssDNA溶液(5mg/ml、abcam ab229278)を、光酸化還元反応の前に、加えた。最終濃度:ODNs:各0.08~0.12μM、キヌクリジン:2M、3-ニトロピリジンプローブ:33mM、[Ru(phen)]Cl:1mM、HO中10%MeCN。マイクロ波バイアルを、15~20秒間のフラッシング後、窒素雰囲気下で密封した。その後、そのバイアルを、55W CFLバルブの内側へ置いた。温度を送風機で維持しながら、その混合物に、5分間、照射し、引き続いて、反応後、予洗されたMicro BioSpin 6 column(BioRad)に通して濾過した。
【0307】
一般的手順H:99nt dsDNAにおける官能化N mdAへのクリック反応
1.5ml Eppendorfチューブにおける一般的手順Eから生じたODN混合物へ、キヌクリジン(5.5mg、5μL HO中50μmole)、アジド-PEG-ビオチンコンジュゲート(20mM、7.5μL)、アスコルビン酸ナトリウム(40mM、7.5μL)、およびCuSO(2mM、μL)を加えた。最終濃度:キヌクリジン:1M、アジド-PEG-ビオチンコンジュゲート:2mM、アスコルビン酸ナトリウム:4mM、CuSO:0.2mM。室温での30分間のインキュベーション後、その反応物を、予洗されたMicro BioSpin 6 column(BioRad)に通して2回、濾過した。
【0308】
一般的手順I:N mdA 99nt ssDNAおよびdsDNA ODNのストレプトアビジン磁気ビーズでの濃縮
1.5ml Eppendorf DNA LoBind微量遠心管における一般的手順Cから生じたODN混合物(75μLまたは50μL)へ、5×適応した結合バッファー(40μL;25mM Tris、2.5mM EDTA、5M NaCl、pH8.5)、ポリ[dI:dC](5μL;5μg/μl)、および水(200μLの総体積へと、80μLまたは105μL)を加えた。ストレプトアビジンMagneSphere(登録商標)常磁性粒子(100μLの1mg/ml懸濁液)を、磁気スタンド上で保存バッファーから分離し、0.5×SSCバッファー(200μL;75mM NaCl、7.5mMクエン酸ナトリウム、pH7.2)で2回、およびポリ[dI:dC](5μL;5μg/μL)を含む、1×適応した結合バッファー(200μL;5mM Tris、0.5mM EDTA、1M NaCl、pH8.5)で1回、洗浄した。そのオリゴ溶液(200μL)を、予洗された常磁性粒子に加え、室温での10分間のインキュベーション後、上清を、qPCRによる両方のODN配列の定量化のために収集した。そのビーズは、1×適応した結合バッファー(3×200μL)で3回、洗浄し、その後、200ul適応した結合バッファーを含む新しい微量遠心管へ移し、適応した結合バッファー(200μL)で別の機会に、洗浄した。その後、それらを、100mM NaOH中、室温、10分間、3回(3×200μL)、インキュベートし、最後に、再び、適応した結合バッファーで3回(3×200μL)、洗浄した。結合したオリゴヌクレオチドの溶出を、10%含水ヒドラジン(25μL)との室温で5分間のインキュベーションにより実施した。水(25μL)での常磁性粒子の追加の洗浄後、両方の画分を組み合わせ、Zymo Oligo Clean & Concentrator(商標)スピンカラムを用いて(製造会社のプロトコールに従って)精製し、そのオリゴヌクレオチドを、15μL milliQ水で溶出した。qPCRによる両方のODN配列を定量化することによる濃縮因子の決定のために、この精製された画分の7.5μLを保持した。他の7.5μLを、5×適応した結合バッファー(10μL)および水(32.5μL)で希釈し、予洗されたストレプトアビジンMagneSphere(登録商標)常磁性粒子で処理して(100μLの1mg/ml懸濁液)、非選択性ビオチン化オリゴヌクレオチドの少しの残留物も除去した。上清を、Zymo Oligo Clean & Concentrator(商標)スピンカラムを用いて、製造会社のプロトコールに従って、精製し、そのオリゴヌクレオチドを、15μL milliQ水で溶出した。濃縮因子を、両方のODN配列をqPCRにより定量化することにより、決定した。
キヌクリジンの誘導体および3-ニトロピリジン化合物の合成および特徴づけ
【0309】
一般的手順J:アリールボロン酸のクロロ-またはブロモ-3-ニトロピリジンへのSuzukiカップリング
適切なクロロ-またはブロモ-3-ニトロピリジンおよびアリールボロン酸を、アルゴンの雰囲気下で、THFおよびHO中20%(wt)NaCOの1:1(v/v)混合物に溶解した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10~20mol%)を加え、その混合物を、2時間、還流した。HOでの希釈後、その混合物を、CHCl(3×)で抽出した。組み合わせた有機層を、乾燥させ(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0310】
一般的手順K:芳香族アミンまたはカルボン酸の5-ヘキシン酸またはプロパルギルアミン/4-ペンチン-1-アミンとのアミドカップリング
適切なカルボン酸(1等量)、アミン(1等量)、およびEtN(1等量)を、アルゴンの雰囲気下で、脱水DMF中に溶解した。その混合物を、0℃に冷却し、pyBOP(1等量)を加えた。その混合物を、一晩、撹拌し、ゆっくり室温に達するようにした。その後、それを、HOで希釈し、EtOAcで抽出した。組み合わせた有機層を、乾燥させ(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0311】
(3-(ヘキサ-5-インアミド)フェニル)ボロン酸
【0312】
【化8】
【0313】
3-アミノフェニルボロン酸一水和物(310mg、2.0mmol)および5-ヘキシン酸(0.22ml、2.0mmol)から一般的手順Kに従って合成して、15mol%トリピロリジノホスフィンオキシド(344mg、1.3mmol、67%)を含有する白色固体としての生成物を得て、それを、次のsuzukiカップリングのためにさらに精製することなしに用いた。
1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ (ppm) 7.84 - 7.72 (m, 1H), 7.61 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.51 - 7.22 (m, 2H), 3.14 (td, J = 6.6, 3.7 Hz, 2H), 2.50 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.32 - 2.23 (m, 1H), 1.88 (p, J = 7.3 Hz, 2H). 13C NMR (101 MHz, メタノール-d4) δ (ppm) 173.8, 139.2, 130.2, 129.1, 126.2, 122.6, 84.1, 70.3, 36.6, 25.7, 18.7 (1つの四級芳香族Cが検出されず).HRMS(HMRS)-ESI(m/z):測定値[M+H] 232.1135、C1215BNO理論値 232.1140.
N-(3-(5-ニトロピリジン-2-イル)フェニル)ヘキサ-5-インアミド
【0314】
【化9】
【0315】
2-ブロモ-5-ニトロピリジン(102mg、0.5mmol)および(3-(ヘキサ-5-インアミド)フェニル)ボロン酸(116mg、0.5mmol)から一般的手順Jに従って合成して、淡黄色固体としての生成物(52mg、0.17mmol、34%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 9.48 (dd, J = 2.7, 0.6 Hz, 1H), 8.53 (dd, J = 8.8, 2.7 Hz, 1H), 8.35 (見かけ上s, 1H), 7.94 (dd, J = 8.8, 0.6 Hz, 1H), 7.83 (見かけ上d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.68 (見かけ上d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.42 - 7.32 (bs, 1H), 2.57 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.36 (td, J = 6.8, 2.6 Hz, 2H), 2.04 (t, J = 2.6 Hz, 1H), 1.99 (qnt, J = 7.1 Hz, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ (ppm) 170.9, 162.0, 145.3, 143.2, 138.9, 138.0, 132.1, 130.0, 123.6, 122.1, 120.4, 119.0, 83.5, 70.0, 36.1, 24.0, 17.9;HRMS(HMRS)-ESI(m/z):測定値[M+H] 310.1188、C1716理論値 310.1186。
【0316】
N-(3-(5-ニトロピリジン-3-イル)フェニル)ヘキサ-5-インアミド
【0317】
【化10】
【0318】
3-ブロモ-5-ニトロピリジン(51mg、0.25mmol)および(3-(ヘキサ-5-インアミド)フェニル)ボロン酸(53mg、0.23mmol)から一般的手順Jに従って合成して、淡いオレンジ色固体としての生成物(46mg、0.15mmol、65%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 9.42 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 9.13 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.66 (見かけ上t, J = 2.3 Hz, 1H), 8.01 (見かけ上s, 1H), 7.52 - 7.42 (m, 3H), 7.37 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 2.58 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.36 (td, J = 6.7, 2.6 Hz, 2H), 2.03 (t, J = 2.6 Hz, 1H), 1.97 (見かけ上q, J = 7.0 Hz, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ (ppm) 171.0, 153.2, 144.6, 143.6, 139.1, 137.4, 136.2, 130.3, 129.3, 123.2, 120.5, 118.7, 83.5, 69.7, 36.1, 23.9, 17.9.HRMS(HMRS)-ESI(m/z):測定値[M+H] 310.1181、C1716理論値 310.1186。
【0319】
N-(3-(3-ニトロピリジン-4-イル)フェニル)ヘキサ-5-インアミド
【0320】
【化11】
【0321】
4-クロロ-3-ニトロピリジン(150mg、0.95mmol)および(3-(ヘキサ-5-インアミド)フェニル)ボロン酸(200mg、0.87mmol)から一般的手順Jに従って合成して、オフホワイト色固体としての生成物(187mg、0.61mmol、70%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 9.08 (s, 1H), 8.81 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 7.70 (見かけ上s, 1H), 7.51 (見かけ上d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.36 - 7.31 (bs, 1H), 7.07 (見かけ上d, J = 7.8 Hz, 1H), 2.54 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.34 (td, J = 6.8, 2.6 Hz, 2H), 2.02 (t, J = 2.6 Hz, 1H), 1.96 (qnt, J = 7.0 Hz, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ (ppm) 170.7, 152.9, 145.5, 145.2, 134.5, 129.7, 125.8, 123.4, 120.6, 118.9, 83.3, 69.6, 35.9, 23.7, 17.8;HRMS(HMRS)-ESI(m/z):測定値[M+H] 310.1189、C1716理論値 310.1186。
【0322】
3-(3-ニトロピリジン-4-イル)安息香酸
【0323】
【化12】
【0324】
4-クロロ-3-ニトロピリジン(200mg、1.26mmol)および3-カルボキシフェニルボロン酸(231mg、1.39mmol)から一般的手順Jに従って、反応時間を延長して(20時間の還流)、合成して、淡いオレンジ色固体としての生成物(162mg、0.60mmol、47%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ (ppm) 9.19 (s, 1H), 8.88 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.61 (見かけ上t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 4.9 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ168.9, 153.1, 145.6, 145.1, 143.1, 135.2, 132.7, 131.2, 130.1, 129.4, 129.3, 125.8.HRMS(HMRS)-ESI(m/z):測定値[M+H] 245.0551、C12理論値 245.0557。
【0325】
3-(3-ニトロピリジン-4-イル)-N-(ペンタ-4-イン-1-イル)ベンズアミド
【0326】
【化13】
【0327】
3-(3-ニトロピリジン-4-イル)安息香酸(18mg、0.074mmol)および4-ペンチン-1-アミン塩酸塩(11mg、0.089mmol)から一般的手順Kに従って合成して、オフホワイト色固体としての生成物(17mg、0.055mmol、74%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ (ppm) 9.15 (s, 1H), 8.85 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 7.83 (ddd, J = 7.7, 1.8, 1.1 Hz, 1H), 7.80 (dt, J = 1.8, 0.9 Hz, 1H), 7.54 (td, J = 7.7, 0.6 Hz, 1H), 7.46 - 7.41 (m, 2H), 6.47 (見かけ上s, 1H), 3.61 (td, J = 6.7, 5.8 Hz, 2H), 2.34 (td, J = 6.8, 2.7 Hz, 2H), 2.03 (t, J = 2.7 Hz, 1H), 1.88 (見かけ上p, J = 6.8 Hz, 2H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ166.8, 153.2, 145.6, 145.3, 143.5, 135.8, 135.4, 130.6, 129.4, 127.7, 126.7, 126.0, 83.76, 69.7, 39.7, 28.0, 16.5;HRMS(HMRS)-ESI(m/z):測定値[M+H] 310.1182、C1716理論値 310.1186。
【0328】
5-ニトロ-N-(ペンタ-4-イン-1-イル)ピコリンアミド
【0329】
【化14】
【0330】
5-ニトロピリジン-2-カルボン酸(141mg、0.84mmol)および4-ペンチン-1-アミン塩酸塩(100mg、0.84mmol)から一般的手順Kに従って合成して、オフホワイト色固体としての生成物(166mg、0.71mmol、85%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 9.37 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.64 (dd, J = 8.5, 2.3 Hz, 1H), 8.42 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.16 (見かけ上s, 1H), 3.64 (見かけ上q, J = 6.6 Hz, 2H), 2.33 (td, J = 6.9, 2.6 Hz, 2H), 2.02 (t, J = 2.6 Hz, 1H), 1.90 (見かけ上p, J = 6.9 Hz, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ (ppm) 162.4, 154.2, 145.7, 143.9, 132.9, 123.0, 83.2, 69.6, 39.0, 28.2, 16.3;HRMS(HMRS)-ESI(m/z):測定値[M+H] 234.0868、C1112理論値 234.0879。
【0331】
N-(5-ニトロピリジン-3-イル)ヘキサ-5-インアミド,2b
【0332】
【化15】
【0333】
3-アミノ-5-ニトロピリジン(139mg、1.00mmol)および5-ヘキシン酸(0.11ml、1.00mmol)から一般的手順Kに従って合成して、淡いオレンジ色固体としての生成物(96mg、0.41mmol、41%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 9.16 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 9.02 (見かけ上t, J = 2.5 Hz, 1H), 8.90 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.68 (s, 1H), 2.63 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.36 (td, J = 6.7, 2.7 Hz, 2H), 2.04 (t, J = 2.7 Hz, 1H), 1.99 (見かけ上p, J = 7.0 Hz, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ(ppm) 171.9, 145.1, 143.2, 137.3, 136.9, 123.2, 83.2, 70.0, 35.9, 23.57, 17.9;HRMS(HMRS)-ESI(m/z):測定値[M+H] 234.0876、C1112理論値 234.0879。
【0334】
5-ニトロ-N-(プロパ-2-イン-1-イル)ピコリンアミド
【0335】
【化16】
【0336】
5-ニトロピリジン-2-カルボン酸(141mg、0.84mmol)およびプロパルギルアミン(54μl、0.84mmol)から一般的手順Kに従って合成して、淡黄色の固体としての生成物(124mg、0.60mmol、72%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 9.39 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.65 (dd, J = 8.6, 2.5 Hz, 1H), 8.42 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.15 (見かけ上s, 1H), 4.30 (dd, J = 5.6, 2.6 Hz, 2H), 2.31 (t, J = 2.6 Hz, 1H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ (ppm) 162.0, 153.6, 145.9, 144.0, 132.9, 123.2, 78.8, 72.3, 29.7;HRMS(HMRS)-ESI(m/z):測定値[M+H] 206.0557、C理論値 206.0566。
【0337】
mdA含有dsDNAの酵素的合成
dsDNAを、非メチル化鋳型(配列、下記参照)、それに応じたリバースプライマー(配列、下記参照)、および基準dNTPsのセット(非メチル化dsDNAを合成するための)かまたはdCTP、dGTP、NmdATP、およびdTTPの混合物(太字で示された位置にNmdAを有するdsDNAを合成するための)かのいずれかを用いた、Vent(登録商標)DNAポリメラーゼ(NEB)でのプライマー伸長により酵素的に合成した。
【0338】
配列番号1:DNA鋳型1
AACGGAAGCAGAACAGAACGAAGCAAGACGAGCAACACGAACAGAACACGAAACGATGCAAGAGAGCAAGCAAGCAACGTTCGTTGCTGTTCGCTGTTG
配列番号2:DNA鋳型2
AACGAAGCAGAACGCAGAAGAAGCAAGACGACCAACACGTACGGAACACGAAACGAAGCATGCGCCGAAGCAAGCCACGTTCGGTTGCTGTTCTGTTCG
配列番号3:リバースプライマー1
CAACAGCGAACAGCAACGAA
配列番号4:リバースプライマー2
CGAACAGAACAGCAACCGAA
配列番号5:オリゴヌクレオチド5
CTTGACAG[NmdA]CTAG
配列番号6:41nt ssDNA
GCGC TTGG CTGG TGGG TGAT TCTG CAAC TC[NmdA]G ATCA TGCT A
一連の5~10個の並行反応は、以下の最適な濃度で実行された:
【0339】
【表B】
【0340】
反応は、以下の最適な温度サイクルを用いて実行された:
【0341】
【表C】
【0342】
反応により、並行PCR反応物を組み合わせて、PCR産物を、GeneJet PCR精製キット(Thermo Scientific)で、製造会社のプロトコールに従って精製した(iPrOHの使用なしで)。その産物を、自動ゲル電気泳動(Tapestation)およびLCMSにより分析して、合成された鎖のアイデンティティを確認した。
【0343】
2.結果
核酸は、いくつかの型のC(sp)-H結合を含有することができ、それぞれが、近位の化学的環境により与えられる立体的、誘導的、および共役的効果により影響され得る微妙に異なる固有反応性を有する。しかしながら、化学試薬を用いてのこれらのC(sp)-H結合の識別は、大きな課題を提示する。NmdAのメチル基におけるC-H結合は、非常に高い結合解離エネルギー(BDE、約92~94kcal/mol)を有し得る(Dombrowski 1999)。さらに、そのような試薬は、多量の類似した強度のまたはより弱いC-H結合(例えば、デオキシリボースユニットは、それぞれが類似したBDEを有する、多くの異なるC-H結合を含有する;チミジンにおけるメチル基(エピジェネティック的に標識された5-メチルシトシン)は、より低いBDE(約89~90kcal/mol)を有する活性化C-H結合を示す)の間で、極めて低い有効濃度(真核生物におけるNmdAレベルは、100万個あたり2、3個のNmdA/Aほど、少なくあり得る)で存在し得る強いC-H結合をターゲットする必要がある(Blanksby 2003)。これらの必須の選択性の必要条件と同時に、NmdA官能化ストラテジーは、「DNA上」のα-アミノラジカルを生産的に奪取して、オリゴヌクレオチドへ安定な共有結合を形成しなければならない。これらの問題に取り組むことに伴う課題は、多面的である:第1に、酵素的脱メチル化を促進すると考えられる近接駆動性リバウンド機構の使用は、合成シナリオにおいて実行可能である可能性が低く、それゆえに、カップリングステップは、DNA由来α-アミノラジカルの予想される短い寿命に適応するために速くなければならない;および第2に、HAAおよび共有結合性官能化ステップは、有害なおよび非選択的反応性を示すことなく、協調して作動しなければならない。これらの困難は、水溶液中でかつDNA構造に損傷し得る酸性または酸化的条件を避けながら、すでに低濃度で機能しなければならない化学的解決の可能性に制約を課す。
【0344】
mdAのメチル基におけるC-H結合は、それらの、N6原子上の孤立電子対との相互作用の結果として、部分的に極性化され、かつ「ヒドリド性」特性を示す可能性が高いと認識された(Roberts 1999;Jeffrey 2015)(図1A)。
【0345】
対照的に、チミンのメチル基におけるC-H結合は、より弱いとは言え、より低い極性化ピリミジンヘテロ環に隣接している結果として、相対的に中性であると認識された。このわずかな電気的効果は、求電子性水素原子取出剤と、NmdAにおけるN6-メチルアミンモチーフのよりヒドリド性が高いC-H結合との間の動力学的に調節された極性マッチを可能にするのに十分異なる反応性プロファイルを提供し得る。生じたC-H結合切断は、修飾ヌクレオチド上にα-アミノラジカルの形成をもたらし得る。奪取試薬は、初発のNmdA由来α-アミノラジカルと迅速に反応し、それの前駆体より安定な開殻種を形成し得る。そこで、スピントラッピング試薬の配備は、この課題へ有望な溶液を提供し得ると考えられた。スピントラッピング試薬(STR)は、持続性ラジカル生成物の形をとるラジカルを捕獲するための、過剰量で用いられる、非常に反応性が高い分子であり、複雑な系において短命な種の同定を可能にすることができる。STRの中で、ニトロソアレーンは、求核性炭素中心ラジカルの奪取に特に適しており、その性質は、NmdA由来α-アミノラジカルに固有でなければならない(図1B)。
【0346】
しかしながら、ニトロソアレーン由来STRは求電子性が高く、求核剤との無差別的非ラジカル反応性を示す場合が多く、容易な二量体化を起こしかつ非生産的生成物へ容易に分解し得る。これらの問題に折り合いをつけるために、ニトロソアレーンはまた、それ自体がラジカル反応であるHAAステップと、有害な反応性を示すことなく、適合しなければならない。STRが、HAAステップを促進するために必要とされる化学作用の結果としてインサイチューで生成され、それにより、この反応種の近接性を初発のNmdA由来ラジカルへ密接に結びつけるプロセスがデザインされ得るならば、これらの問題は、回避することができる。したがって、水溶性ニトロアレーンを還元するための穏やかな方法は、ニトロソアレーンSTRのインサイチューでの生成のためにHAAステップと並行して利用され、選択的官能化プロセスをもたらし得ると仮定された。
【0347】
キヌクリジン1から生成されたキヌクリジンラジカルカチオン(int I)を、NmdAに対する求電子性水素原子取出剤として選択した(図1C)。
プロトン化キヌクリジンは、101kcal/molのBDEを有し(Liu 1996)、それのラジカルカチオンが、NmdA-メチル基から水素原子を除去するのに十分、反応性であることを意味する。キヌクリジンラジカルカチオンは、Ir触媒性光酸化還元媒介性単一電子酸化による穏やかな反応条件下で生成され得、強い電子リッチなC-H結合に対する極性にマッチした反応性を示す。Ru(bpz)(PF6)は、十分な水溶解度を示し、かつそれの三重項励起状態の還元的消光サイクルは、キヌクリジンの酸化電位とよくマッチしている(キヌクリジンEox=1.10V vs SCEと比較して、E[Ru(II)/Ru(I)]=1.45V)ため、適切な光触媒として機能することができると推測された。したがって、還元的消光サイクルは、int Iを生成することができ、int Iは、NmdAを、選択的HAAを通して結合して、所望のα-アミノラジカル(int II)を形成することができた。結果的に、還元的消光サイクルは、[Ru(I)(bpz)(活性触媒へ戻る酸化を必要とする種)を生じることができる。この機構的必要条件は、[Ru(I)(bpz)から電子を受容するために、3-ニトロピリジン 2a(水溶性有機酸化体)を用いて、活用することができ(4-ニトロピリジンについての推定値Ered=-0.44V vs SCE)、それにより、ラジカルアニオンint IIIを生じる(加えて、活性触媒に戻る)。ニトロピリジンラジカルアニオンは、バルク溶媒(またはおそらく、NmdA)と共にint IVへと水素原子転移を起こして、水を脱離して、STR、3-ニトロソピリジン 3aを形成し得る。重要なことには、3-ニトロソピリジン(3a)の濃度は、触媒の光化学的活性によって調節され、STRの潜在的有害な、化学量論比を超えるレベルの存在を回避することができる。その後、3-ニトロソピリジンのNmdA由来α-アミノラジカルint IIとの反応は、ニトロキシド持続性ラジカル(int V)を生成し、int Vは、最終的に、酸化的崩壊を起こして、N-ヒドロキシホルムアミジン結合4の形をとる、核酸塩基のN6位において共有結合性修飾を形成することができる。
【0348】
最初の研究は、代表的なオリゴヌクレオチド5(CTTGACAG[NmdA]CTAG)へのHAAプロトコールを確立することに焦点を合わせた。一連の探索的実験により、5、1、および[Ru(bpz)](PFの溶液の15W CFLバルブでの室温、5時間の照射が、4%の生成物転化を以て、オリゴヌクレオチド6の形成をもたらし、LC-MS分析により決定されたように、単一のキヌクリジン分子が共有結合性に組み入れられていたことが明らかにされた(図2A)。
【0349】
6へのコンジュゲーションはまた、いくつかの脱メチル化オリゴヌクレオチド(CTTGACAGACTAG 7、16%)の形成も伴った。6および7の形成は、NmdAのN6基に形成されたα-アミノラジカルint IIおよびイミニウムイオンint-VIへのその後の反応と一致し、int-VIは、キヌクリジンと反応して、修飾オリゴヌクレオチド(6)を形成し、または加水分解され得る(7への脱メチル化)。HAAステップの確証によって励まされて、3-ニトロピリジン 2aからのニトロソアレーンSTR 3aのインサイチューでの生成、およびそれの、NmdA由来α-アミノラジカルの奪取を、次に調べた。オリゴヌクレオチド5、キヌクリジン、[Ru(bpz)](PF6)、および3-ニトロピリジン 2aの溶液の、室温で10分間の照射が、コンジュゲート8を生じることが見出された;8は、LC-MS分析により同定され、14%の生成物転化であり、3-ニトロピリジンのNmdAとの正式の脱水型カップリングから生じて、N-ヒドロキシホルムアミジン結合を形成する(表1)。8へのコンジュゲーションは、この場合もやはり、脱メチル化オリゴヌクレオチド7の形成を伴った(26%)。オリゴヌクレオチドコンジュゲート8は、室温で、中性または塩基性溶液中(pH=7~11)、およそ12時間の半減期を有する。
【0350】
mdA ODN 5の、異なる3-ニトロピリジン誘導体との選択的官能化反応についての反応条件および収率は、下記のスキーム1および表1に示されている。
【0351】
【化17】
【0352】
【表1】
【0353】
a 他の反応条件は一般的手順Bに従う
b LCMSによるアッセイ収率
c 種がLCMSにおいて共溶出した。おおよその収率はMSシグナル強度による
光触媒プロセスは還元的消光サイクルにより進行し得るが(図1Cおよび2B)、その変換はまた、相補的な酸化的消光サイクルによっても作用され得、Ru(phen)Clなどのより還元性の高い光触媒を用いたならば、反応パートナーの結合の順序を効果的に逆転させることができる(E[Ru(II)*/Ru(III)]=-0.87V)。
【0354】
この場合、3-ニトロピリジン 2aは、光触媒の三重項励起状態型を酸化的にクエンチして、最初に、[Ru(III)(phen)]中間体と一緒に、ラジカルアニオン、ニトロソアレーン前駆体int III(図2B)を生成し、それは、その後、キヌクリジン1を結合して、HAAステップに必要とされるラジカルカチオンint Iを形成する。
【0355】
結果として、触媒としてのRu(phen)Clとの反応物の照射が、16%生成物転化を以て、所望のN-ヒドロキシホルムアミジン-NmdAオリゴヌクレオチドコンジュゲート8を供給することが見出された。脱メチル化オリゴヌクレオチド7への30%転化も観察された。酸化的消光ステップ中に形成された[Ru(III)(phen)]種が、対応する還元的消光サイクルにおけるRu(II)(bpz)光触媒から形成された三重項励起状態中間体(E[Ru(II)/Ru(I)]=+1.45V)(キヌクリジンをそれのラジカルカチオンへ酸化しかつ光触媒を再生するのにまだ十分、反応性である)より、低い酸化力(E[Ru(III)/Ru(II)]=+1.26V)を有することは注目すべきである。3-ニトロピリジンおよび高濃度のキヌクリジンによる[Ru(III)(phen)]の三重項励起状態の一定の酸化的消光と共にRu(III)(phen)中間体のより低い酸化力は、DNAの、特にG核酸塩基における、酸化的損傷を防止し得る。これは、触媒としてRu(phen)Clを用いる変換が、[Ru(II)(bpz)](PF6)の使用と比較してよりクリアな反応プロファイルを生じるという観察において反映されている(図3)。
【0356】
次に、下流同化の能力がある潜在的反応官能性を、目的に合わせた核酸断片へ組み入れた。デザイン拡張プロセスにより、アルキン含有のアミド結合型ニトロピリジン 2bが、Ru(phen)Cl、キヌクリジン、および10分間の照射での処理により、5とカップリングして、所望のアルキン含有オリゴヌクレオチド9を形成し得ることが明らかにされた(図4A)。
【0357】
2bが潜在的競合性ヒドリド性C-H結合を欠き、かつアミド置換基が3-ニトロピリジンコアの酸化的反応性に影響するようには思われないことは、注目に値する。新しく導入されたアルキン官能性を利用して、9とPEG3ビオチン由来アジド10との間の「クリック」ヒュスゲン環化付加が、効果的な反応のために特定の条件を必要とすること;硫酸銅およびアスコルビン酸ナトリウムの溶液が、ビオチンコンジュゲート化オリゴヌクレオチド11への環化付加を促進するためにキヌクリジンの添加(おそらく、銅触媒のリガンドとして作用する)を必要とし、92%の生成物転化であったことが見出された。
【0358】
様々なアルキン官能化NmdA ODNのアジド-PEG-ビオチンのヒュスゲン環化付加についての反応条件および収率は、スキーム2および表2に示されている。THTPA:トリス(ベンジルトリアゾイルメチル)アミン、TCEP:トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、Na-asc.:アスコルビン酸ナトリウム。
【0359】
【化18】
【0360】
【表2】
【0361】
重要なことには、NmdA残基なしのオリゴヌクレオチド(7)上への2bまたは他の3-ニトロピリジンアルキン誘導体での光酸化還元変換は、生成物転化を示さず、その変換がこのフィーチャーに対して選択的であることを示している(スキーム3)。さらに、この反応から獲得された質量スペクトルデータの注意深い分析は、いかなるヌクレオチドにおいても3-ニトロピリジンユニットに由来した修飾の検出可能な痕跡も示さなかった。5における膨大な数の類似したC-H結合にも関わらず、NmdA残基のメチル基が官能化されるHAAステップがそのように極めて選択的である(核酸における他の位置と比較した、「HAA選択性」と名付けられたNmAdeにおける反応、>100:1)ことは、驚くべきである。これらの結果は、NmdAの官能化への優れた選択性を示すだけでなく、Nメチル基上の新しい標識の位置を明白に確認している。実際、HAAがデオキシリボース部分または任意の基準核酸塩基上で非選択的に起こり得るならば、標識オリゴヌクレオチド7が検出されたであろう。
【0362】
【化19】
【0363】
しかしながら、2bとの光酸化還元条件下で、無傷3-ニトロピリジンの包含を反映する質量イオン(N-ヒドロキシホルムアミジン由来オリゴヌクレオチド9より高い16質量単位)を有する痕跡レベルのオリゴヌクレオチドが、検出可能であった。この痕跡レベルのオフターゲット修飾の構造は解明されなかったが、一連の対照実験により、3-ニトロピリジンの痕跡レベルの付加がG残基において起こったことが明らかにされた。Gにおける3-ニトロピリジンの包含と比較した、所望のNmdA由来N-ヒドロキシホルムアミジン結合の形成への選択性は、1個のG核酸塩基あたりのNmdAについて50:1(この場合もやはり、著しく高い比率)と計算された(「プローブ選択性」と名付けられた、ニトロアレーンの包含に対するニトロソピリジンによる反応)。
【0364】
ビオチンモチーフに固有の多用途的な生化学的性質は、修飾NmdA由来オリゴヌクレオチドを他の核酸断片から、ストレプトアビジンに基づいたプルダウン手順(標的オリゴヌクレオチドの固定化、洗浄、切断、および回収)により単離するための手段を提供し、それは、複雑な混合物におけるNmdA含有オリゴヌクレオチドの検出を可能にすることができた。ストレプトアビジンプルダウンプロトコールからの基質回収のための知られた方法は、そのタンパク質足場を変性するようにデザインされている相対的に厳しい条件を含む。しかしながら、本光酸化還元コンジュゲーション手順は、より不安定な官能基である、N-ヒドロキシホルムアミジン結合を導入する。したがって、本発明者らは、有意により穏やかな求核剤媒介性切断条件が、標識オリゴヌクレオチドの回収に用いることができると判断した。これは重要であり、光酸化還元反応混合物の質量分析が、Gにおける非選択的官能化から生じた痕跡量の生成物は、求電子性N-ヒドロキシホルムアミジン結合を含有しないことを示唆したからである。結果的に、これらのGにおける官能化のオフターゲット生成物は、切断中、ストレプトアビジンビーズ上に保持され得、それにより、NmdA由来オリゴヌクレオチドの光酸化還元ステップおよび濃縮に観察される選択性を増強し得ると推測された。この仮説に導かれて、オリゴヌクレオチド5およびニトロピリジン2bでの光コンジュゲーションを、本方法が核酸混合物内でNmdA含有オリゴヌクレオチドを濃縮するために用いることができるかどうかを試験するための手段として、異なるが、重要なことには、非メチル化オリゴヌクレオチドCGTACTAGACG 12の存在下で、行った(図5A)。N-ヒドロキシホルムアミジン生成物9は、10%の転化で形成され、反応していない5、脱メチル化オリゴヌクレオチド7、対照オリゴヌクレオチド12、および痕跡量のG-ニトロピリジン官能化オリゴヌクレオチド(50:1 プローブ選択性、NmdA/G)と一緒に、LC-MSにより観察された。
【0365】
N-ホルムアミジン基は、N-ホルミル誘導体を含有する加水分解された生成物の2セットを提供する別個の加水分解プロセスに従う(Vincent 1999)。この固有のフィーチャーを考慮して、加水分解研究を、標識オリゴヌクレオチド9に関して行って、N-ヒドロキシホルムアミジン構造結合のアイデンティティを確認した(スキーム3)予想通り、光酸化還元コンジュゲーション(生成物9を含有する)から獲得された反応混合物の酢酸バッファー、pH=4.7での60分間の処理は、以下の3つの新しい生成物を提供した:N-ホルミルオリゴヌクレオチド15、3-N-ヒドロキシピリジン誘導体16、および3-N-ホルミル-N-ヒドロキシピリジン誘導体17(全ての生成物は、HRMSにより特徴づけられた)。重要なことには、オリゴヌクレオチド7が同じ手順(光酸化還元および加水分解)に供せられた対照実験は、100ppmまでの誤差範囲での計算された正確な質量のスキャンによる加水分解生成物のいずれの形成も生じなかった。合わせると、これらの結果は、光酸化還元NmdA生成物におけるN-ヒドロキシホルムアミジン結合の存在を疑う余地なく確認している。
【0366】
【化20】
【0367】
N-ヒドロキシホルムアミジン結合についての追加の証拠は、水の代わりに求核剤としてヒドラジンを用いる反応性研究により提供された(スキーム4)。この場合、対応するN-NHホルムアミジン生成物14を、プルダウン手順の終わりに、HRMSにより検出した。固定化DNA断片13の10%ヒドラジン水溶液での5分間の処理は、少量の7(14の加水分解による)と共にN-NHホルムアミジン生成物14を生じた。新しいヒドラジン生成物、加えてそれの酸化状態(それの分子量により確認された)の形成は、N-ヒドロキシホルムアミジン部分のアイデンティティについてのさらなる証明である。
【0368】
【化21】
【0369】
N-ヒドロキシホルムアミジンの存在の別のしるしは、HRMSおよび同位体パターン研究中の生成物9および対応するクリック生成物11のNi(II)およびZn(II)付加物の検出である(スキーム5)。興味深いことに、Ni(II)およびZn(II)付加物は、良い二座リガンドとしてこれらの特定の部分を記載する以前の報告によれば(Krajete 2004;Cibian 2016)、N-ヒドロキシホルムアミジン部分を含有するオリゴヌクレオチド(9および11)についてのみ目に見える。
【0370】
【化22】
【0371】
9のビオチン-アジド10での環化付加は、選択的NmdAビオチンコンジュゲート化オリゴヌクレオチド11を提供した。そのオリゴヌクレオチド混合物のストレプトアビジンコーティング化磁気ビーズでの処理は、ビオチンを含有する全ての種(13、加えて、G残基における非選択的反応から生じた痕跡レベルの生成物)の固定化を可能にし、逐次の洗浄手順により非標識オリゴヌクレオチドの除去を可能にした。上記で述べたように、N-ヒドロキシホルムアミジン結合の求電子性は、含水ヒドラジンとの反応に対するそれの感受性を高くさせ、少量の7(14の加水分解から生じる)およびストレプトアビジンコーティング化ビーズにより無差別に保持されていた痕跡量のその他のオリゴヌクレオチドと共にN6-(ヒドラゾノメチル)dA含有オリゴヌクレオチド14の遊離をもたらすことが見出された。14と7の両方の回収は、出発配列におけるNmdAの存在についての直接的証拠を提供し、全ての他のオリゴヌクレオチドに対するそれらの比率は、50:1より高い濃縮を生じている。観察される光酸化還元プローブ選択性の結果として得ることができる最大理論的濃縮値は、オリゴヌクレオチド14が3個のG残基を含有する(1個のG残基あたりNmdA 50:1のプローブ選択性)ため、約17:1であることに留意することは特に重要である。したがって、>50:1の観察された濃縮は、ヒドラジン切断手順が、Gにおける反応の生成物(おそらく、ビーズ上に保持されている)に対して、NmdA由来オリゴヌクレオチドコンジュゲートにおけるN-ヒドロキシホルムアミジン結合へ選択的であり、観察された高い濃縮をもたらすことを、明らかに実証している。
【0372】
mdA選択的オリゴヌクレオチド官能化および濃縮プロトコールは、より長い一本鎖(ss)DNA断片に関してさらに実証された。今、濃縮された画分を分析し、かつプルダウン後に、最初にメチル化されたDNA配列とメチル化されていないDNA配列の両方の増幅可能な量を決定するために定量的PCR(qPCR)を用いて、光酸化還元に基づいた官能化プロトコールが、2つの99ヌクレオチドssDNA断片の混合物からNmdA含有オリゴヌクレオチドを濃縮し、6.4:1の濃縮であることが見出された(図6、上部鎖がNmdA含有オリゴヌクレオチドである実験i)。重要なことに、同じ核酸配列を用いるが、他方(下方)の配列にNmdA残基を有する、図6における並行実験iiは、類似したレベルの濃縮を示した。これらの結果は、NmdAが濃縮に必要とされ、かつ観察された濃縮が、用いられたDNA配列に依存しないことを強調することを確認している。
【0373】
dAに対してNmdAの濃度が非常に低い、細胞DNA試料の複雑なマトリックスを模倣するために、ssDNA断片を、サケ精子DNAの10倍過剰量と組み合わせて、1:383(0.26%)のNmdA/dA比を有する混合物を作製した。光コンジュゲーションおよびプルダウン手順をこれらの試料に適用して、図6における結果は、サケ精子DNAの非存在下での実験(約6.4:1、図6における実験i&ii)と比較して、NmdA含有ssDNA断片がおよそ10.5:1(図6における実験iii&iv)のレベルへ濃縮されたことを示している。
【0374】
二本鎖DNAにおいて、NmdAのメチル基は、二本鎖らせんの主な溝へ突出していると考えられ、その局所的化学的環境から生じる潜在的な有害な立体的および電気的効果により、複雑な核酸試料の光酸化還元官能化に追加の課題を与える。この過密にも関わらず、サケ精子DNAと組み合わせられている、NmdA含有99塩基対dsDNAおよび非メチル化二本鎖断片の混合物(NmdA/dA比は1:3433、0.03%である)への逐次的な光酸化還元コンジュゲーション、クリック反応、およびプルダウン手順を適用することで、NmdA含有DNA配列が4:1の濃縮で回収されたことが見出された(上部鎖がNmdA含有dsDNAである、図6における実験v)。理論的プローブ選択性が1:1のはずである(50個のG残基を含有するdsDNA断片に基づいて)ことに留意することは重要である。同じ核酸配列を用いるが、第2の鋳型において2個のNmdA残基を有する(下方のdsDNA鎖;NmdA/dA比は1:1717、0.06%である)、図6における並行実験viは、NmdA由来オリゴヌクレオチドについて8:1の濃縮の増加を示し、ポジティブな累積的効果を示唆した(図6)。
【0375】
まとめると、この実験セットは、より長いssDNA、dsDNAに関しての、加えて、過剰なDNAを有する複雑な試料における、開発された化学作用の適用可能性を実証し、NmdA-DNA鎖の濃縮についての概念の証明を提供し、かつこの未開のメチル化ヌクレオチドをマッピングすることにおける将来的適用の可能性を見せている。
【0376】
細胞の生化学的機構は、核酸におけるAのメチル化状態を制御することができるが、本発明者らは、「DNA上」のα-アミノラジカルを発生させかつ奪取して、NmdA残基において安定な共有結合性修飾を形成する選択的化学的変換を開発した。可視光活性化光酸化還元触媒により指揮されて、NmdAのN6-メチル基における極性のマッチした水素原子取出ステップが、α-アミノラジカルを発生させ、異なるインサイチューの反応と合致して、ニトロソピリジンのスピントラッピング試薬を形成し、それらがまとまって、オリゴヌクレオチド配列へモジュラー官能基ハンドルを導入するラジカルクロスカップリングプロセスをもたらす。重要なことには、このストラテジーは、ゲノムDNAにおいてNmdAを位置づけるための化学的方法が構築され得、潜在的に、このエピジェネティックな修飾の役割をさらに解明するだろうシーケンシング方法をもたらす、基礎的なテクノロジーを提供し、また、細胞機能を制御する多くの型のRNAにおいてメチル化核酸塩基をターゲットすることも受け入れられるはずである。
【0377】
同じストラテジーが、RNAにおけるNmA残基を官能化するために用いることができる。NmAを含有するRNAオリゴヌクレオチドは、スキーム6において光酸化還元反応を用いて官能化される。
【0378】
【化23】
【0379】
Ac-Dha-Meでの光酸化還元反応結果の向上
光酸化還元反応における添加剤としての異なる活性化アルケンの使用を調べた。N-アセチルデヒドロアラニンメチルエステル(Ac-Dha-Me)の存在が、結果として、N-ヒドロキシホルムアミジン(NHF)形成についての収率のわずかな上昇を生じることが見い出された(短いモデルオリゴヌクレオチド5に実施されたアルキニル化3-ニトロピリジンプローブとの反応について、6~13%に対して15~20%(LCMS);図7)。
【0380】
より長いオリゴヌクレオチド基質に関するAc-Dha-Meの存在下での光酸化還元反応の分析は、より小さくなりながらのより高い収率に加えて、痕跡量の副反応および基質オリゴヌクレオチドの分解は減少し得ることをさらに示した。この観察は、異なる照射時間での光酸化還元反応による99塩基対(bp)二本鎖(ds)DNA基質の回収を定量化することにより確認された(図8)。
【0381】
短いモデルのオリゴヌクレオチドに関する「ビーズ上で」のプライマー伸長
ヌクレオチド内のNmAde部位の場所をマッピングするための光酸化還元標識反応の使用を調べた。本発明者らは、標識反応が、プライマー伸長反応においてポリメラーゼストップ事象を含み得、その結果として、NmAde部位の直前で終わる切り詰め型ヌクレオチドを生じると推論した。しかしながら、そのような方法は、NHF結合の相対的な不安定性およびNmAde上に付着した化学的部分の不十分なかさ高さが、中断なしのポリメラーゼリードスルーを生じ得るため、難題である。したがって、本発明者らは、以前に記載されているように、NmAdeのビオチン化を進め、ストレプトアビジンコーティング化磁気粒子上に官能化オリゴヌクレオチドを固定化することに決定した。本発明者らは以前、ストレプトアビジンに結合したNmAde-ビオチン-NHFがより安定であることを観察しただけでなく、ストレプトアビジンとの密接な相互作用がまた、目的の部位においてポリメラーゼリードスルーを阻止すると推論された。さらに、濃縮とポリメラーゼストップを組み合わせるという可能性は、構想されたゲノムワイドな塩基解像度NmAマッピング適用における感度を大幅に増加させると推論された。
【0382】
41nt ssDNA配列での最初の実験は、有望な結果をもたらした(図9)。NmAdeにおけるビオチン化およびストレプトアビジンコーティング化磁気ビーズ上での固定化により、37℃で、20分間にわたるプライマー、ヌクレオシド三リン酸、およびクレノウ断片(3’-5’エキソ-)での処理は、完全に伸長したプライマーと共に生じた、明らかに識別可能なポリメラーゼ停止産物を生じた。その産物のLCMS分析は、その主な産物が、官能化N6mAの反対側のヌクレオチドの組込み直前(-1位)でのポリメラーゼ停止によることを示した。2つの少数の産物は、0位(官能化の部位の反対側)および+1位における組込み後の停止から生じた。
【0383】
ポリメラーゼ停止事象は、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、より長い(99nt)ssDNAにおいても観察することができた。図10は、NmAdeを含有するオリゴヌクレオチドについての別個のポリメラーゼストップシグナルを示し、一方、メチル化なしの同じ配列についてはバンドは見ることができなかった。様々な実験からの異なるゲル上での濃度測定分析は、30~50%としてのポリメラーゼ停止効率の推定値を認めた。ポリメラーゼの部分的リードスルーが、固定化鋳型上で起こり得るかどうか、またはそれが、完全プライマー伸長に先行するNHF結合の切断によるのではないのかどうかはまだ知られていない。とは言え、完全長産物と停止産物の両方が、主に、NHF結合の求核性切断により回収され、バッファーでの単純な洗浄によるのではないことが、図10のゲル画像において見ることができ、ポリメラーゼのリードスルーが、NHF結合切断後よりむしろ、固定化鋳型上で起こることを示している。
【0384】
「ビーズ上で」のポリメラーゼストップアプローチでのN mAの塩基解像度マッピングを目指して
「ビーズ上で」のポリメラーゼストップについての証拠を手にして、NmAdeをマッピングするための方法を目指す最終ステップは、次世代シーケンシングによりNmAde出現を読み出すことを可能にするdsDNAライブラリー調製ワークフローを確立することであった。最も単刀直入なアプローチは、RecJfなどのssDNA特異的5’-3’エキソヌクレアーゼを用いて、NHF切断後のssDNAを選択的に消化することにより、切り詰め型dsDNA鎖を生成することであると考えられた。図11に描かれているように、得られた平滑末端dsDNA断片を用いて、その後、標準dsDNAライブラリー調製へ進むことができた。
【0385】
このアプローチを試験する第1の試みにおいて、異なる位置における1個のNmAde塩基および「ビーズ上で」のプライマー伸長反応に用いられ得る3’末端におけるプライマー領域を特徴とする2つの異なる99nt ssDNAオリゴヌクレオチドの7.5μgを用いた(図12A)。RecJ消化後の回収された材料の一部(それぞれ、40ng)を用いて、標準NEBNext(登録商標)Ultra(商標)II DNAライブラリー調製を実施した。アダプターライゲーションおよび最終増幅後の精製ステップを、0.9× NEB精製ビーズを用いて、製造会社のプロトコールに従って、サイズ選択なしに実行した。
【0386】
興奮させることには、増幅および精製されたライブラリーのTapeStationによる分析は、2つの主要なバンド;予想された完全長断片(最初の99nt配列から、加えてライゲーションされたアダプターまでの221bp)に対応する1つ、および最初のNmA部位におけるポリメラーゼ停止の成功として予想される長さを有する、最初の断片に対応する1つ(それぞれ、34nt断片および63nt断片から、加えて、ライゲーションされたアダプターまでの、156bpおよび185bp)に対応する1つを示した(図12B)。これは、これらのライブラリーのシーケンシングおよび出力データにおける配列包括度の急落の同定が、塩基解像度においてNmAde出現を検出することを可能にすることを示した。
【0387】
プロトコールがまた、より少量の試料およびdsDNAにも適用できることを確認するために、3つの異なる合成99bp dsDNA(全て、異なる位置に1個または2個のNmA塩基を含有する)の1μgを同じプロトコールに供した(図13A)。シーケンシングライブラリー調製について、RecJ消化後に回収されたDNAの1ngを用いた。ライブラリー調製中の精製ステップのさらなる最適化が必要とされ、0.9× NEB精製ビーズを用いる場合の少しずつのdsDNA長カットオフが、結果として、より短い断片の部分的損失を生じるためである。25bpの鋭いカットオフを有するスピンカラムを用いる精製(GeneJET PCR精製キット)は、TapeStation分析によるわずかに不純なライブラリー(おそらくプライマー二量体の増幅による、約120bpの追加のバンドを有した)を生じた。興奮させることには、TapeStationによる分析はまた、最初のNmA位置におけるポリメラーゼ停止による予想された断片を示し(図13B)、1μg dsDNA試料から始めた場合、類似した結果を得ることができることを確認した。
【0388】
参考文献
この明細書で言及された全ての文書は、全体として参照により本明細書に組み入れられている。
Blanksby, S. J. et al. Acc. Chem. Res. 36, 255-263 (2003).
Cibian M. et al. Eur. J. Inorg. Chem. 177-185 (2016).
Dombrowski, G. W. et al. J. Org. Chem. 64, 427-431 (1999).
Douvlataniotis, K. et al. Science Advances 6, eaay3335 (2020).
Gomez-Mejiba, S. E. et al. Free Radic. Biol. Med. 46, 853-865 (2009).
Jeffrey, J. L. et al. Science 349, 1532-1536 (2015).
Krajete, A. et al. Eur. J. Inorg. Chem. 1740-1752 (2004).
Lentini, A. et al. Nat. Methods 15, 499-504 (2018).
Liu, W.-Z. et al. J. Org. Chem. 61, 4778-4783 (1996).
O’Brown, Z. K. et al. BMC Genomics 20, 445-459 (2019).
Roberts, B. P. Chem. Soc. Rev. 28, 25-35 (1999).
Sanchez-Romero, M. A. et al. Curr. Opin. Microbiol. 25, 9-16 (2015).
Schubeler, D. Nature 517, 321-326 (2015).
Vincent, S. et al. J. Org. Chem. 64, 991-997 (1999).
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2023542302000001.app
【国際調査報告】