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特表2023-542305標的分子の検出のための蛍光レポーター及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】標的分子の検出のための蛍光レポーター及びその使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20230929BHJP
   G01N 33/542 20060101ALI20230929BHJP
   A61B 1/00 20060101ALN20230929BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N33/542 A
A61B1/00 511
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516528
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 FR2021051554
(87)【国際公開番号】W WO2022053769
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】2009245
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523089210
【氏名又は名称】ディアメオ
(71)【出願人】
【識別番号】523089221
【氏名又は名称】カマックス イノベイティブ システム
(71)【出願人】
【識別番号】523089081
【氏名又は名称】ユニベルシテ デ リモージュ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】サンタマンド,アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】バレット-ヴィヴァン,バージル
(72)【発明者】
【氏名】エンゲハルト,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】デロッシュ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】フセイン,アキル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェドレンヌ,ニコラ
【テーマコード(参考)】
2G043
4C161
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA02
2G043DA06
2G043EA01
2G043FA02
2G043HA05
2G043KA02
2G043KA09
2G043LA02
4C161FF46
4C161QQ04
4C161WW17
(57)【要約】
本発明は、標的分子(2)を検出するため及び/又は標的分子(2)の濃度を測定するための装置であって、その表面にグラフト分子が共有結合している基板と、共有結合によりポリペプチド(12)に結合した少なくとも1つの受容体(11)と2種類の蛍光色素FaとFを含む少なくとも1つの蛍光プローブ(1)とを備え、蛍光色素Faは受容体(11)に結合し、蛍光色素Fはポリペプチド(12)に結合しており;かつ蛍光色素Fa及びFがFRETドナー/アクセプター対を形成し;ポリペプチド(12)が共有結合によりグラフト分子に結合している装置に関する。本発明はまた、蛍光プローブ並びに標的分子を検出するため及び/又は標的分子の濃度を測定するための方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的分子(2)を検出するため及び/又は標的分子(2)の濃度を測定するための装置(5)であって、
-その表面にグラフト分子(3)が共有結合で接着している基板;
-少なくとも1つの蛍光プローブ(1)であって
■共有結合によりポリペプチド(12)に結合した少なくとも1つの受容体(11);
■2種類の蛍光色素FaとF
を含む少なくとも1つの蛍光プローブ(1)
を含み、
前記蛍光色素Faが前記受容体(11)に結合し、前記蛍光色素Fが前記ポリペプチド(12)に結合し;かつ
前記蛍光色素Fa及びFがFRETドナー/アクセプター対を形成し;
前記ポリペプチド(12)が、共有結合により前記グラフト分子(3)に結合している装置(5)。
【請求項2】
前記受容体(11)が、抗体、抗体断片、アプタマー、ペプチド、又はその誘導体から選択される、請求項1に記載の装置(5)。
【請求項3】
前記ポリペプチド(12)が、プロテインG、プロテインL、プロテインA、プロテインZ、プロテインM、免疫グロブリン、完全若しくは部分免疫グロブリン、又はその誘導体から選択される結合タンパク質である、請求項1又は請求項2に記載の装置(5)。
【請求項4】
前記ポリペプチド(12)が、2~100個のアミノ酸、好ましくは4~50個のアミノ酸を含む、請求項1又は請求項2に記載の装置(5)。
【請求項5】
前記蛍光色素Fa及び/又はFが、蛍光分子又は蛍光タンパク質から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(5)。
【請求項6】
前記基板が、細胞培養プレート、ウェルプレート、フィルム、ストリップ、アガロースゲル、セルロースゲル、ナノ粒子又は微粒子、好ましくは球状、好ましくはシリカ又はポリマー、顕微鏡スライド、スライドガラス、光ファイバーの周囲又は光ファイバーのヘッドに取り付けられるように構成された基板から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(5)。
【請求項7】
前記基板がポリマーフィルムである、請求項6に記載の装置(5)。
【請求項8】
前記ポリマーフィルムが、ポリエチレンテレフタレート、フッ素化ポリエチレン-コ-プロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、スチレンメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体又はそれらの混合物から選択される、請求項7に記載の装置(5)。
【請求項9】
前記グラフト分子(3)が、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、スルホN-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホ-NHS、アジド、アルキン、エポキシド、カルボン酸、アルデヒド、アジリジン、アルケン、又はその誘導体から選択される少なくとも2つの反応基を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(5)。
【請求項10】
光ファイバー(4)と探査ヘッドとをさらに備え、前記探査ヘッドが本体と発光面とを備え、その少なくとも一部は透明で、ポート(41)を形成し、前記基板が前記ポート(41)である、請求項7~9のいずれか一項に記載の装置(5)。
【請求項11】
蛍光プローブ(1)であって、
-共有結合によってポリペプチド(12)に結合した少なくとも1つの受容体(11);
-2種類の蛍光色素FaとF
を含み、
前記蛍光色素Faが前記受容体(11)に結合し、前記蛍光色素Fが前記ポリペプチド(12)に結合し;かつ
前記蛍光色素Fa及びFがFRETドナー/アクセプター対を形成する蛍光プローブ(1)。
【請求項12】
前記受容体(11)が、抗体、抗体断片、アプタマー、ペプチド、又はその誘導体から選択される、請求項11に記載の蛍光プローブ(1)。
【請求項13】
前記ポリペプチド(12)が、プロテインG、プロテインL、プロテインA、プロテインZ、プロテインM、免疫グロブリン、完全若しくは部分免疫グロブリン、又はその誘導体から選択される結合タンパク質である、請求項11又は請求項12に記載の蛍光プローブ。
【請求項14】
前記ポリペプチド(12)が、2~100個のアミノ酸、好ましくは4~50個のアミノ酸を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の蛍光プローブ。
【請求項15】
標的分子(2)を検出するため及び/又は標的分子(2)の濃度を測定するための方法であって、
以下の工程:
-少なくとも1つの蛍光プローブ(1)であって、
■共有結合によりポリペプチド(12)に結合した少なくとも1つの受容体(11);
■2種類の蛍光色素FaとF
を含み、
前記蛍光色素Faが前記受容体(11)に結合し、前記蛍光色素Fが前記ポリペプチド(12)に結合し;かつ
前記蛍光色素Fa及びFがFRETドナー/アクセプター対を形成し;かつ
前記受容体(11)が、前記標的分子(12)に対する親和性を有する少なくとも1つの蛍光プローブ(1)と試料とを接触させる工程;
-前記ドナー蛍光色素を励起するような所定の波長で前記蛍光プローブ(1)を励起する工程;
-前記ドナー蛍光色素によって放出される蛍光の強度と前記アクセプター蛍光色素によって放出される蛍光の強度との間の比を測定する工程;並びに
-前記試料中の前記標的分子(2)の有無を決定し、かつ/又は前記試料中の前記標的分子(2)の濃度を計算する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、試料中の標的分子を検出するため及び/又は標的分子の濃度を測定するための蛍光レポーター、又は蛍光プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
試料中の標的分子の検出は、農産物、廃水中の汚染物質の探索、又は例えば、癌、感染症、自己免疫疾患及びアレルギーを含む多くの疾患状態の診断などのための医学研究に不可欠となっている。2種類の蛍光色素間の非放射性エネルギー移動に基づくFRET技術を使用する標的分子の検出には、従来、各個々の要素が抗体などの認識分子を保有するFRETドナー/アクセプター対が必要である。この蛍光レポーター、すなわち蛍光プローブは、2つの部分に特定の欠点を有する:2つの部分は、標的分子を認識し、FRET効果を生じさせ、したがって標的分子を検出しなければならず、その検出は長く、その感度は標的分子の濃度及び抗体の親和性によって基本的に制限される。分子内FRETに基づく蛍光プローブの開発は、これらの制約のいくつかを回避することを可能にする。
【0003】
そのような蛍光プローブは、先行技術から知られている。特に、Grantらの文献(Grantら、「心筋梗塞の検出のためのFRET免疫センサーに対する固定化の効果(Effects of immobilization on a FRET immunosensor for the detection of myocardial infarction)」,Anal Bioanal Chem(2005),381:1012-1018)及びKoら(Koら、「サルモネラ・チフィリウムの迅速な検出のための新規FRETベースの光ファイバーバイオセンサー(A novel FRET-based optical fiber biosensor for rapid detection of Salmonella typhimurium)」、Biosensors and Bioelectronics(2006),21:1283-1290)は、FRETドナー/アクセプター対を形成する2種類の蛍光色素に結合した抗体とプロテインAを含む蛍光プローブについて記載している。抗体とプロテインAは、共有結合によって結合していないため、標的分子の検出中に蛍光プローブが分離する危険性があり、したがって、インビボ検出に使用できない。弱い抗体-プロテインA結合の第二の結果は、高い検出閾値である。
【0004】
文書FR3040789は、FRETドナー/アクセプター対の蛍光色素メンバーで各々標識された2つの抗体を含む蛍光プローブについてさらに説明している。これら2つの抗体は、互いに結合せず、分子内FRET効果の達成を可能にしない。
【0005】
並行して、蛍光プローブのインビボ適用は非常に限られたままである。これに関連して、使用される方法は、一般に、蛍光色素とカップリングした非特異的トレーサー又は抗体の注入に基づいている。次いで、組織の表面に存在するシグナルの強度を測定することによって検出が行われる。これらの手法は、使用されることもあるが、多くの欠点がある。特に、得られるシグナルは、インビボでのプローブの安定性、その生体分布又はその特異性によって強く影響される。さらに、この注射剤の安全性を体系的に実証する必要がある。光学特性の変化により標的分子の存在に反応する単一分子で構成された蛍光プローブの開発により、注入に関連づけられる制約なしに、単なる接触で目的のマーカーの検出が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インビボでの使用中に、例えば、内視鏡検査による人体の一部の手術又は探査中に、外科医が、組織中に存在する腫瘍細胞を確実かつ迅速に同定できることが重要である。そのため、蛍光支援手術は、現在活況を呈している分野であるが、マーカー注入の固有の欠陥によって制限される。
【0007】
したがって、手術中又は内視鏡検査中に、例えば光ファイバーの端部で、生物学的汚染の危険性なしに、診断を確定することを可能にするために使用できる蛍光プローブが真に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
インビトロでの使用中に、例えば医療診断目的のための迅速な溶液の分析中に、又は環境試料中の標的分子の目的のために、これまでに開発された蛍光プローブを使用する場合と同様に、蛍光プローブによる研究中の試料の生物学的汚染を回避することが必要である。本発明は、標的分子の検出を支援するために、蛍光プローブを形成する他の要素から分離せず、試料の生物学的汚染を誘導しないように、互いに、特に受容体部分に異なる要素が強く結合している蛍光プローブを提供することによりこの問題の解決策を提案する。さらに、本発明による蛍光プローブは、取扱い、洗浄、二次標識又は他のものの種類の追加の工程を必要としないという利点を有する。分析する試料に接触させるだけで十分であり、試料の取扱い回数と結果を得るまでの時間を大幅に短縮する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、標的分子を検出するため及び/又は標的分子の濃度を測定するための装置であって、
-その表面にグラフト分子が共有結合で接着している基板;
-少なくとも1つの蛍光プローブであって
■共有結合によりポリペプチドに結合した少なくとも1つの受容体;
■2種類の蛍光色素FaとF
を含む少なくとも1つの蛍光プローブ
を含み、
蛍光色素Faは受容体に結合し、蛍光色素Fはポリペプチドに結合し;かつ
蛍光色素Fa及びFはFRETドナー/アクセプター対を形成し;
該ポリペプチドが共有結合によりグラフト分子に結合している装置に関する。
【0010】
実施形態によれば、該受容体は、抗体、抗体断片、アプタマー、タンパク質、ペプチド、又はその誘導体から選択される。実施形態によれば、該ポリペプチドは、プロテインG、プロテインL、プロテインA、プロテインZ、プロテインM、免疫グロブリン、完全若しくは部分免疫グロブリン、又はそれらの誘導体から選択される結合タンパク質である。実施形態によれば、該ポリペプチドは、2~100個のアミノ酸、好ましくは4~50個のアミノ酸を含む。実施形態によれば、蛍光色素Fa及び/又はFは、蛍光分子又は蛍光タンパク質から選択される。実施形態によれば、該基板は、細胞培養プレート、ウェルプレート、フィルム、ストリップ、アガロースゲル、セルロースゲル、ナノ粒子又は微粒子、好ましくは球状、好ましくはシリカ又はポリマー、顕微鏡スライド、スライドガラス、光ファイバーの周囲又は光ファイバーのヘッドに取り付けられるように構成された基板から選択される。実施形態によれば、該基板はポリマーフィルムである。実施形態によれば、ポリマーフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、フッ素化ポリエチレン-コ-プロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、スチレンメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体又はそれらの混合物から選択される。実施形態によれば、グラフト分子は、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、スルホN-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホ-NHS、アジド、アルキン、エポキシド、カルボン酸、アルデヒド、アジリジン、アルケン、又はその誘導体から選択される少なくとも2つの反応基を含む。実施形態によれば、該装置は、光ファイバーと探査ヘッドとをさらに備え、前記探査ヘッドは本体と発光面とを備え、その少なくとも一部は透明で、ポートを形成し、該基板が前記ポートである。
【0011】
本発明はまた、
-共有結合によってポリペプチドに結合した少なくとも1つの受容体;
-2種類の蛍光色素FaとF
を含み、
蛍光色素Faは受容体に結合し、蛍光色素Fはポリペプチドに結合し;かつ
蛍光色素Fa及びFはFRETドナー/アクセプター対を形成する蛍光プローブに関する。
【0012】
実施形態によれば、該受容体は、抗体、抗体断片、アプタマー、タンパク質、ペプチド、又はその誘導体から選択される。実施形態によれば、該ポリペプチドは、プロテインG、プロテインL、プロテインA、プロテインZ、プロテインM、免疫グロブリン、完全若しくは部分免疫グロブリン、又はその誘導体から選択される結合タンパク質である。実施形態によれば、該ポリペプチドは、2~100個のアミノ酸、好ましくは4~50個のアミノ酸を含む。
【0013】
本発明はまた、標的分子を検出するため及び/又は標的分子の濃度を測定するための方法であって、以下の工程:
-少なくとも1つの蛍光プローブであって、
■共有結合によりポリペプチドに結合した少なくとも1つの受容体;
■2種類の蛍光色素FaとF
を含み、
蛍光色素Faが受容体に結合し、蛍光色素Fがポリペプチドに結合し;かつ
蛍光色素Fa及びFがFRETドナー/アクセプター対を形成し;
該受容体が前記標的分子に対する親和性を有する少なくとも1つの蛍光プローブと試料とを接触させる工程;
-ドナー蛍光色素を励起するような所定の波長で蛍光プローブを励起する工程;
-ドナー蛍光色素によって放出される蛍光の強度とアクセプター蛍光色素によって放出される蛍光の強度との間の比を測定する工程;並びに
-試料中の前記標的分子の有無を決定し、かつ/又は試料中の前記標的分子の濃度を計算する工程
を含む方法に関する。
【0014】
定義
本発明において、以下の用語は、次のように定義される:
【0015】
「抗体」(免疫グロブリンとしても知られ、Igと略される)は、脊椎動物の血液又は他の体液中に見出され、細菌及びウイルスなどの異物を識別及び中和するために免疫系によって使用されるガンマグロブリンタンパク質を指す。抗体は、Y字型に配置される重鎖と軽鎖と呼ばれる2対のポリペプチド鎖からなる。Yの両端は、抗原に結合して、それらを不活性化する領域である。本明細書で使用される用語「抗体」(Ab)は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を含む。用語「免疫グロブリン」(Ig)は、「抗体」と互換的に使用される。
【0016】
「抗原」は、免疫応答を誘導する分子を指す。この免疫応答は、抗体生成又は特異的な免疫学的能力を有する細胞の活性化のいずれか、あるいはその両方を含み得る。当業者なら、実際、任意のタンパク質又は任意のペプチドを含む任意の巨大分子が抗原として働き得ることを理解する。
【0017】
「アプタマー」は、合成オリゴヌクレオチド、一般的に、特異的リガンドに結合することができるRNAに関する。
【0018】
「活性構成」(「オン」と表記される)は、蛍光色素FaとFとの間のエネルギー移動(FRET効果)の存在下での蛍光プローブの構成を指す。
【0019】
「不活性構成」(「オフ」と表記される)は、蛍光色素FaとFとの間のエネルギー移動(FRET効果)の非存在下での蛍光プローブの構成を指す。
【0020】
「蛍光色素」(又はフルオロフォア)は、励起後に蛍光性の光を発することができる化学物質を指す。
【0021】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部を含み、特に特異的抗原認識を担う可変部分を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab'、(Fab')及びFv、scFv、scFv-Fc断片;二量体抗体断片;線形抗体(米国特許5,641,870;Zapataら,Protein Eng.8(10):1057-1062[1995]参照);一本鎖抗体分子;並びに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。表現「抗体断片」(又は機能性断片)は、完全長抗体と共通する定性的生物活性を有する化合物である。抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映する用語である残りの「Fc」断片が生成する。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)と重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)と共に、L鎖全体で構成される。各Fab断片は、抗原結合に関して一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体をペプシンにより処理すると、2価の抗原結合活性を有するジスルフィド架橋によって結合され、常に抗原を架橋することができる2つのFab断片にほぼ対応する単一の大きな断片(Fab')断片が得られる。Fab'断片は、抗体のヒンジ領域の1以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にいくつかの追加の残基を有することによってFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を保有するFab'に対する本明細書での用語である。F(ab’)抗体断片は、当初、その間にヒンジシステインを有するFab'断片対の形態で生成された。さらなる抗体断片の化学的カップリングも知られている。
【0022】
「リガンド」は、受容体と可逆的に結合できる特異的標的分子を指す。リガンドは、前記受容体と非共有結合で、特異的に相互作用する。結合は、イオン結合、水素結合及びファンデルワールス力などの分子間力によって形成される。抗体/抗原対は、受容体/リガンド対の一例である。本明細書では、用語「リガンド」、「抗原」及び「標的分子」は交換可能である。
【0023】
「光学的に透明」は、350nm~1100nmの波長で光の50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満を吸収する材料に関する。
【0024】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合により連結されたアミノ酸の鎖を指す。この定義には、1~100個のアミノ酸を含むアミノ酸鎖及び100超のアミノ酸を含むアミノ酸鎖を含み、より一般的にはタンパク質と称される。
【0025】
「タンパク質」は、1以上のペプチドで形成された機能的実体を指す。それは、100超のアミノ酸を含むポリペプチドからなる。
【0026】
「プロテインG」は、特定の連鎖球菌株が発現する表面タンパク質を指す。それは、多数の種の異なるクラスの免疫グロブリンのFc断片と高い親和性で結合する。それは、特に、ヒト、マウス、ラットの全てのIgGサブタイプ、及び他の多くの哺乳動物種のIgGサブタイプに結合する。それは、好ましくはFc断片に結合するが、Fab断片にも結合することができる。多くの哺乳動物種の免疫グロブリンのFc領域に対する親和性により、プロテインGは現在、生化学及び免疫学において誰もが使う試薬と考えられている。
【0027】
「蛍光レポーター」は、特異的標的分子(又はリガンド)の検出のための蛍光特性を有する実体を指し、すなわち蛍光プローブを指す。そのような実体は、例えば、本明細書以下に記載の受容体-ポリペプチド対を含むことができる。用語「蛍光レポーター」、「蛍光バイオセンサー」及び「蛍光プローブ」は、本明細書以下で互換的に使用される。
【0028】
「受容体」は、特異的標的分子(又はリガンド)を認識し、かつ/又はそれと可逆的に結合できる生体分子を指す。受容体は、前記標的分子と非共有結合で、特異的に相互作用する。結合は、イオン結合、水素結合及びファンデルワールス力などの分子間力によって形成される。抗体/抗原対は、受容体/リガンド対の一例である。
【0029】
詳細な説明
蛍光プローブ
本発明は、
-共有結合によってポリペプチドに結合した少なくとも1つの受容体;
-2種類の蛍光色素FaとF
を含む蛍光プローブ(蛍光レポーターとも呼ばれる)に関する。
【0030】
蛍光色素Faは受容体に結合し、蛍光色素Fはポリペプチドに結合する。蛍光色素Fa及びFは、FRETドナー/アクセプター対を形成する。
【0031】
そのため、蛍光プローブは、検出される標的分子(受容体)の特異的結合を担う部分と、標的分子の認識を測定可能な蛍光シグナルに変換できる2種類の蛍光色素(FaとF)と、基板(ポリペプチド)上で制御された結合を可能にする留め具としても機能できる、2種類の蛍光色素のうちの1つに対する支持システムと、を備える。
【0032】
蛍光プローブによる標的分子の認識中に、受容体の立体構造に変化が起こる。この立体構造の変化は、VH(可変重鎖)及びVL(可変軽鎖)の可変断片の相対位置、並びに2種類の蛍光色素間の距離を変更する定常断片に影響を与える。これは、非放射性エネルギー移動、すなわちFRET(フェルスター共鳴エネルギー移動(Forster resonance energy transfer))効果によるドナー蛍光色素及びアクセプター蛍光色素の放出レベルを変動させる。この非放射性エネルギー移動は、2種類の蛍光色素間の距離が変化した場合に、蛍光プローブの光学シグネチャの変更を可能にする。これにより、2種類の蛍光色素のそれぞれが発する蛍光強度に変化が生じ、そのため、標的分子の認識によって誘導される受容体立体構造の変化が測定可能な蛍光シグナルに変換される。そのため、プローブによって放出される蛍光シグナルのおかげで、インビトロ又はインビボで標的分子を検出することが可能である。
【0033】
FRETドナー/アクセプター対を形成するために、2種類の蛍光色素FaとFは、適合性のあるスペクトル特性、特に、いわゆる「ドナー」蛍光色素の発光スペクトルと、いわゆる「アクセプター」蛍光色素の励起スペクトルとの重なりを有する必要がある。ドナー蛍光色素が励起されると、その蛍光は、アクセプター蛍光色素を励起する。このエネルギー移動の効率は、本質的に2種類の蛍光色素間の距離、その吸光係数及びその量子収率、並びにその発光スペクトルと励起スペクトルの間の重なりの程度に依存する。
【0034】
受容体及びポリペプチド上の蛍光色素の特異的位置は、標的分子の認識及び/又は結合の場合に蛍光におけるそれらの光学シグネチャの変化を促進するように最適化される。好ましくは、蛍光色素Fは、ポリペプチドの遊離アミン上にグラフトされる。
【0035】
ポリペプチドは、受容体に対して特定の親和性を有し、例えば、受容体は抗体であり、結合タンパク質はプロテインGである。
【0036】
受容体とポリペプチドとの間の共有結合は、受容体による前記標的分子の認識の際に形成される受容体-標的分子結合よりも強い。これにより、標的分子が認識されると、受容体がポリペプチドから離れないことが保証される。そのため、蛍光プローブの2つの部分への分離が回避される。受容体とポリペプチドの分離を防ぐことは、蛍光プローブを標的分子のインビボ検出に使用する場合、特に体内探索用の光ファイバーの遠位端にグラフトされる場合に、ファイバー除去時に蛍光プローブ(受容体を有するもの)の一部を患者の体内に残す危険性を制限するので、特に重要である。さらに、いかなる理論にも束縛されることなく、本出願人は、受容体とポリペプチドとの間の共有結合がFRET効果の有効性を向上させ、特に、共有結合により結合される受容体とポリペプチドを含む蛍光プローブの場合に、標的分子の検出閾値がより低いことを観察し、蛍光プローブの感度が有意に改善されたことが示された。
【0037】
実施形態によれば、受容体は、ヘテロ又はモノ二官能性結合分子(「クロスリンカー」)を介してポリペプチドに結合する。好ましくは、結合分子は、例えばカルボジイミドなどのカルボキシルからアミンへの反応基;例えば、NHSエステル、イミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ヒドロキシメチルホスフィンなどのアミン反応基;例えば、マレイミド、ハロアセチル(ブロモ又はヨード)、ピリジルジスルフィド、チオスルホネート、ビニルスルホンなどのスルフヒドリル反応基);例えば、ヒドラジド、アルコキシアミンなどのアルデヒド反応基;例えば、ジアジリン、アリールアジドなどの光反応基、例えばイソシアネートなどのヒドロキシル(非水性)反応基から選択される2以上の反応基を有する。
【0038】
この実施形態の好ましい構成において、結合分子は、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、酒石酸ジスクシンイミジル、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート、1,3-ブタジエンジエポキシド、スクシンイミジルヨードアセテート、スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート、それらの混合物又はその誘導体から選択される。好ましくは、結合分子は、グルタルアルデヒド、スクシンイミジルヨードアセテート、スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート又はスルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエートから選択される。
【0039】
実施形態によれば、抗体と結合タンパク質との間の共有結合は、光誘導性反応基を含有する修飾アミノ酸の光活性化によって得ることができる。この実施形態の好ましい構成において、修飾アミノ酸は、フォトロイシン又はフォトメチオニンであり得、反応基はジアジリン又はアリールアジドである。
【0040】
実施形態によれば、受容体は、抗体、抗体断片、アプタマー、、ペプチド、又はその誘導体から選択される。
【0041】
実施形態によれば、受容体は、リガンド、すなわち標的分子を認識し、かつ/又はそれと可逆的に結合することができる。リガンドは、受容体が親和性及び高い特異性を有し、所与の受容体と可逆的に結合することができる任意の分子に対応する。
【0042】
この実施形態の特定の構成において、標的分子(又はリガンド)は抗原である。
【0043】
この実施形態の特定の構成において、抗体又は抗体断片は、Fab、Fab'、(Fab')、scFv、又はscFv-Fcから選択される。
【0044】
実施形態によれば、該ポリペプチドは、チオール、アミン、アジド、アルキン、エポキシド、カルボン酸、アルデヒド、アジリジン、アルケン、又はその誘導体から選択される末端基を含む。
【0045】
実施形態によれば、該ポリペプチドは結合タンパク質である。これは、ペプチド鎖中の蛍光色素のグラフト位置を細かく制御できる。ポリペプチドと蛍光色素との間の距離は、リンカーの挿入を介して調節することができる。
【0046】
この実施形態の第1の特定の構成によれば、結合タンパク質は、好ましくは、免疫グロブリン結合タンパク質である。
【0047】
この実施形態の第2の特定の構成によれば、結合タンパク質は、プロテインA、プロテインG、プロテインL、プロテインM、プロテインZ、免疫グロブリン、完全若しくは部分免疫グロブリン、又はその誘導体から選択される。
【0048】
実施形態によれば、該ポリペプチドは、2~100個のアミノ酸、好ましくは4~50個のアミノ酸、好ましくは5~20個のアミノ酸、好ましくは5~10個のアミノ酸、さらにより好ましくは8個のアミノ酸を含む。そのようなポリペプチドの使用は多くの利点を有する:
-蛍光標識はより良好に制御されている;
実際に、このようなポリペプチドを使用して、ポリペプチドに結合した抗体の数を制御すること、すなわち、受容体を収容することができる結合部位の数を調節することによって、ポリペプチドに単一抗体又は少数の抗体を結合することが可能である。これにより、ドナー蛍光色素/アクセプター蛍光色素の比率を細かく制御することができる。
-蛍光プローブの感度が向上する;
実際、ペプチド鎖を構成するアミノ酸の数を調節することによって、又はペプチド鎖上の受容体結合部位の位置を変えることによって、蛍光色素FとF間の距離を調節することが可能である。
-蛍光プローブは柔軟性が優れている;
実際、この場合に立体サイズは制限される。
【0049】
この実施形態の第1の特定の構成によれば、該ポリペプチドは、直鎖状又は環状のポリペプチドである。好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(RRGW)を含む。これらのアミノ酸はIgと結合する単位を形成する。
【0050】
この実施形態の第2の特定の構成によれば、該ポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(RRGW)を含む8個のアミノ酸を含む。より好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(CCGGRRGW)を含む。さらにより好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号2に記載の8個のアミノ酸の配列(CCGGRRGW)を含む。
【0051】
実施形態によれば、該ポリペプチドは、アプタマーと置換することができる。この場合、アプタマーは、抗体に対する親和性を有し、すなわち、アプタマーは、後者を固定化するために、前記抗体の定常部分に特異的に結合することができる。
【0052】
好ましい実施形態によれば、蛍光色素Faはドナーであり、蛍光色素FはFRETドナー/アクセプター対のアクセプターである。
【0053】
さらなる実施形態によれば、蛍光色素Faはアクセプターであり、蛍光色素FはFRETドナー/アクセプター対のドナーである。
【0054】
実施形態によれば、蛍光色素Fa及び/又はFは、350nm~399nm(UV範囲)、400nm~499nm(可視スペクトルの青色範囲)、500nm~599nm(可視スペクトルの緑色範囲)又は600nm~719nm(可視スペクトルの赤色範囲)、720nm~850nm(近赤外範囲内)の蛍光発光ピークを有する。
【0055】
実施形態によれば、蛍光色素Fa及びFの蛍光発光ピークは重複領域を有する。都合がよいことに、この重なりは、2種類の蛍光色素間の非放射性エネルギー移動を可能にする。
【0056】
実施形態によれば、蛍光色素Fa及び/又はFは、蛍光分子又は蛍光タンパク質から選択される。
【0057】
この実施形態の特定の構成において、蛍光分子は、ローダミン、クマリン、エボブルー(evoblue)、オキサジン、カルボピロニン、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、フェナントレン、ピレン、カルバゾール、キサンテン、シアニン、フルオレセイン、スクアライン、スクアラインロタキサン、オキサジアゾール、アクリジン、アリールメチン、テトラピロール、ジピロメテン、又はそれらの任意の他の蛍光誘導体から選択される。
【0058】
この実施形態の特定の構成において、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、22G、aceGFP、amFP486(「GFP様蛍光色素タンパク質amFP486」、「Anemonia manjano FP486」)、amm2CP、avGFP、AvicFP1、cFP484(「GFP様蛍光色素タンパク質cFP484」、「Clavularia cFP484」)、dendFP、dfGFP(「緑色蛍光タンパク質」)、DrCBD、DsRed、EosFP(「緑色から赤色の光変換可能なGFP様タンパク質EosFP」)、eqFP578(「赤色蛍光タンパク質eqFP578」、「Entacmaea quadricolor FP578」)、eqFP611(「赤色蛍光タンパク質eqFP611」、「Entacmaea quadricolor FP611」)、HcRed(「GFP様非蛍光色素タンパク質」、「Heteractis crispa Red」)、KikG、KO、LanYFPn、Montipora sp20(「シトクロムcオキシダーゼサブユニット1」)、mRed7(「ロッド形状決定タンパク質MreD」、「mine drainage metagenome 7」)、NpR3784g、RpBphP1(「ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris) BphP1」)、RpBphP2(「ロドシュードモナス・パルストリス BphP2」)、RpBphP6(「ロドシュードモナス・パルストリスBphP6」)、TeAPCalpha、zFP538(「GFP様蛍光色素タンパク質FP538」、「Zoanthus FP538」)AausFP1、vsfGFP-0、LanYFP、bfloGFPa1、RRvT、dLanYFP、dVFP、ccalYFP1、efasGFP、pcDronpa(緑)、aeurGFP、Skylan-S(On)、mVenus-Q69M、tdTomato、PlamGFP、eechGFP1、mNeonGreen、Kaede(緑)、mClover3、Clover、VFP、pcDronpa2(緑)、moxNeonGreen、tdimer2(12)、Dronpa(On)、YPet、Skylan-NS(On)、ffDronpa(On)、eechGFP2、gfasGFP、Gamillus(On)、sarcGFP、vsfGFP-9、mEos3.1(緑)、pmeaGFP1、mVFP、pmimGFP1、pmimGFP2、mEos4a(緑)、pcDronpa2(赤)、pdae1GFP、pmeaGFP2、mScarlet、mシトリン、ccalGFP3、phiYFP、SYFP2、シトリン2、mVFP1、Gamillus0.4、SHardonnay、aacuGFP2、mVenus、mEos4b(緑)、mKOI、fabdGFP、mGeos-C(On)、rsKame(On)、TurboRFP、afraGFP、stylGFP、phiYFPv、フォールディングレポーターGFP、シトリン、dendFP(緑)、PSmOrange(Orange)、anobGFP、mRuby3、RFP611、Topaz、SEYFP、mScarlet-I、mWasabi、iq-mVenus、meffRFP、d2EosFP(緑)、eqFP578、EYFP-Q69K、mTFP1、ccalRFP1、eechGFP3、cgreGFP、スーパーフォルダーGFP、meffGFP、mEos3.2(緑)、pporGFP、muGFP、Venus、mGeos-E(On)、Gamillus0.2、mEosFP-M159A(緑)、pporRFP、pcDronpa(赤)、D1EosFP(緑)、moxGFP、oxGFP、EosFP(緑)、amilFP513、KO、mGeos-S(On)、tdKatushka2、mOrange、mEYFP、anm1GFP1、meffCFP、AzamiGreen、obeGFP、TagRFP、dimer2、dTomato、mEos2(緑)、usGFP、M355NA、cgfTagRFP、mGeos-F(On)、EYFP、Gamillus0.3、Kohinoor(On)、amilFP593、ccalOFP1、obeYFP、mGeos-M(On)、moxVenus、oxVenus、WasCFP、mEos4a(赤)、mUkG、NowGFP、mEosFP(緑)、mRuby2、ppluGFP2、mAvicFP1、dTFP0.2、AvicFP1、scubRFP、mKO2、UnaG、mEos4b(赤)、GFPmut2、mRuby、Emerald、mEmerald、ppluGFP1、meleRFP、mGeos-L(On)、OFP、mmilCFP、KikGR1(緑)、TurboGFP、mApple、CyRFP1(CyRFP1)、E2-Red/Green、ccalGFP1、mPapaya、moxCerulean3、GFP(S65T)、eqFP611、meleCFP、GFPmut3、SGFP2(E222Q)、mCerulean3、mOrange2、G3、Dreiklang(On)、TagGFP2、mAzamiGreen、mKikGR(緑)、iq-mEmerald、cfSGFP2、Dendra2-M159A(オレンジ)、mEGFP、EGFP、TagRFP-T、TagGFP、anobCFP2、KCY、td-RFP611、TagBFP、smURFP、mTagBFP2、mLumin、SGFP2、SGFP2(T65G)、PSmOrange2(オレンジ)、eqFP611V124T、efasCFP、TagYFP、mKO、TDsmURFP、CyOFP1、MEos2(赤)、SGFP2(206A)、LanFP1、rsFastLime(On)、mTFP0.7(On)、cerFP505、psamCFP、Katushka2S、DsRed.T3、E2-Crimson、FR-1、DsRed2、mCerulean2、Dendra2-M159A(緑)、PATagRFP1314(On)、mTurquoise2、Padron(On)、aceGFP、AcGFP1、NijiFP(オレンジ)、SPOON(on)、Cerulean、amilFP490、dTFP0.1、PATagRFP1297(On)、mT-Sapphire、T-Sapphire、NijiFP(緑)、mAmetrine、mNectarine、mStrawberry、SGFP1、cgfmKate2、BrUSLEE、rsGreen1(ブライト)、mIrisFP(緑)、G2、mTurquoise、moxDendra2(緑)、iq-mCerulean3、PATagRFP(On)、mKate2、d1EosFP(赤)、Turquoise-GL、MiCy、mBlueberry2、FusionRed-M、dendFP(赤)、Dendra2-T69A(緑)、anobCFP1、I±GFP、mCerulean2.N、LSSmOrange、mCerulean2.D3、cpT-Sapphire174-173、Aquamarine、oxCerulean、mEosFP(赤)、mEosFP-F173S(緑)、KikGR1(赤)、mNeptune2.5、EBFP1.5、Dendra2-T69A(オレンジ)、EosFP(赤)、aacuGFP1、bsDronpa(On)、Dendra2(緑)、mKateS158A、IrisFP(緑)、ZsGreen、mCerulean.B24、obeCFP、Katushka、Padron0.9(On)、mNeptune2、AausGFP、TagCFP、mCerulean.B、LanFP2、mKateS158C、mEos3.1(赤)、Dronpa-2(On)、D10、shBFP-N158S/L173I、Kaede(赤)、sg25、d2EosFP(赤)、mCerulean2.N(T65S)、avGFP、E2-Orange、BDFP1.6、DsRed-Max、mCerulean.B2、mIrisFP (赤)、CGFP、Dendra2(赤)、Dronpa-3(On)、Sapphire、EBFP1.2、rsEGFP2(On)、FusionRed、EBFP2、CyPet、eforCP、mEos3.2(赤)、mKikGR(赤)、mBeRFP、mCyRFP1、mKillerOrange、RFP630、mCherry2、moxBFP、oxBFP、KillerOrange、moxDendra2(赤)、mClavGR2(赤)、cFP484、rsEGFP(On)、KCY-G4219、Gamillus0.1、mMaple(赤)、SCFP3A、IrisFP(オレンジ)、RFP637、mCardinal、mRFP1-Q66T、mKalama1、mCerulean、mKateM41GS158C、SBFP2、KCY-R1、mPapaya0.7、mCherry、iq-EBFP2、eqFP650、G1、sg12、mMiCy、mEos2-A69T(緑)、SCFP3b、DsRed-Express2、mKate、mScarlet-H、Dendra(緑)、mClavGR2(緑)、td-RFP639、Azurite、Dendra(赤)、miRFP670-2、PA-GFP(On)、iRFP713/V256C、miRFP680、mECFP、SuperNovaRed、mNeptune、DsRed.T4、BFP.A5、mCRISPRed、ECFP、ZsYellow1、Neptune、mRaspberry、rsFolder(緑)、PAmCherry2(On)、DsRed-Express、moxMaple3(赤)、iRFP670、mRFP1、mMaple3(赤)、RFP639、iq-mApple、emiRFP670、miRFP670、shBFP、SiriusGFP、AvicFP4、W7、H9、SCFP2、mRFP1-Q66S、mTangerine、IrisFP-M159A(緑)、KillerRed、mMaple(緑)、dsFP483、GZnP3、PS-CFP2(緑)、sg11、mRFP1-Q66C、miRFP670nano、mEosFP-F173S(赤)、miRFP682、LSSmCherry1、rsFolder2(緑)、iRFP682、R3-2+PCB、amFP486、PSmOrange(遠赤色)、mGarnet2、miRFP、Jred、mMaroon1、PS-CFP2(Cyan)、mGarnet、zFP538、PAmCherry1(On)、miRFP670v1、W1C、dTG、rsFusionRed1(On)、P4-1、emiRFP703、miRFP703、mKelly2、mStable、dKeima、mEos2-A69T(オレンジ)、iRFP702、deGFP2、PSmOrange2(遠赤色)、miRFP702、lanRFP-I“S83l、laRFP、W2、mKelly1、SCFP1、miRFP713、iFP2.0、pHuji、mIFP、iFP1.4、SuperNovaGreen、HcRed-Tandem、EBFP、iRFP713、SOPP3、SOPP2、miniSOG、HcRed7、miRFP720、RDSmCherry0.1、P4-3E、mTFP0.3、mMaple3(緑)、mCarmine、iRFP720、SOPP、Maroon0.1、moxMaple3(緑)、PS-CFP(Cyan)、BFP、mBlueberry1、eechRFP、PS-CFP(緑)、deGFP3、PAmCherry3(On)、RDSmCherry1、deGFP1、PAmKate(On)、LSS-mKate2、Wi-Phy、rsFusionRed2(On)、miRFP709、eqFP670、mBanana、KFP1(On)、sg50、mPlum、rsTagRFP(ON)、deGFP4、iq-mKate2、sg42、Pp2FbFPL30M、TagRFP675、mRojoB、AQ143、Siriu
s、mKeima、TagRFP657、ECGFP、SNIFP、tKeima、Pp2FbFP、rsFusionRed3(On)、AsRed2、LSS-mKate1、AvicFP2(変換前)、ECFPH148D、dKeima570、mHoneydew、cpシトリン、RsCherry(On)、mNeptune681、mGrape1、mGinger2、mGrape3、mNeptune684、mGinger1、RDSmCherry0.2、mGrape2、mRojoA、SBFP1、mRouge、P4、RDSmCherry0.5、GZnP3(GZnP3(アポ状態))、rsCherryRev(On)、Sandercyanin、HcRed、mRtms5、anm2CP、mTFP1-Y67W、Ultramarine、10B、11、22G、(3-F)Tyr-EGFP、5B、6C、A1a、A44-KR、aacuCP、AausFP2、AausFP3、AausFP4(On)、acanFP、aceGFP-G222E-Y220L、aceGFP-h、Achilles、AdRed、AdRed-C148S、ahyaCP、alajGFP1、alajGFP2、alajGFP3、amCyan1、amFP495、amFP506、amFP515、amilCP、amilCP580、amilCP586、amilCP604、amilFP484、amilFP497、amilFP504、amilFP512、amilFP597、anm1GFP2、apulCP584、apulFP483、AQ14、asCP562、asFP499、asulCP、atenFP、avGFP454、avGFP480、avGFP509、avGFP510、avGFP514、avGFP523、AvicFP3(変換前)、bfloGFPc1、BFP5、BFPsol、Blue102、BR1、cEGFP、CFP、CFP4、cgigCP、cgigGFP、CheGFP1、CheGFP2、CheGFP3、CheGFP4、Clomeleon、Clover1.5、cpasCP、cp-mKate、Cy11.5、dClavGR1.6、dClover2、dClover2A206K、dfGFP、dhorGFP、dhorRFP、dimer1、dis2RFP、dis3GFP、dPapaya0.1、DrCBD、d-RFP618、Dronpa-C62S、DspR1、DsRed.M1、DsRed-Timer、DstC1、EaGFP、echFP、echiFP、eGFP203C、eGFP205C、EnhancedCyan-EmittingGFP、EYFP-F46L、fcFP、fcomFP、Flamindo2、FP586、Fpaagar、Fpag_frag、Fpcondchrom、FPmann、FPmcavgr7.7、FPrfl2.3、Gamillus0.5、GCaMP2、GCaMP6f(Ca2+の存在下)、gdjiCP、gfasCP、GFP-151pyTyrCu、GFPhal、GFP-Tyr151pyz、GFPxm16、GFPxm161、GFPxm162、GFPxm163、GFPxm18、GFPxm181UV、GFPxm18UV、GFPxm19、GFPxm191uv、GFPxm19uv、gtenCP、HcRed1-Blue、hcriCP、hcriGFP、hfriFP、hmGFP、HriCFP、HriGFP、iLov、jRGECO1a(CA2+の非存在下)、jRGECO1a(Ca2+の存在下)、Katushka-9-5、KCY-G4219-38L、KCY-R1-158A、KCY-R1-38H、KCY-R1-38L、KikG、KOFP-7(KOFP-7)、laesGFP、laGFP、LEA、mc1、mc2、mc3、mc4、mc5、mc6、McaG1、McaG1ea、McaG2、mcavFP、mcavGFP、mcavRFP、mcCFP、mcFP497、mcFP503、mcFP506、mCherry1.5、mClavGR1、mClavGR1.1、mClavGR1.8、mClover1.5、mcRFP、meffCP、mEos2-NA、meruFP、MfaG1、miniSOG2、miniSOGQ103V、mKate2.5、mKG、mK-GO(後期)、mK-GO(初期)、mMaple2(緑)、mMaple2(赤)、mmGFP、mOFP.T.12、mOFP.T.8、montFP、Montiporasp.#20-9115、moxEos3.2、mPA-GFP、mPapaya0.3、mPapaya0.6、mPlum-E16P、mRed7、mRed7Q1、mRed7Q1S1、mRed7Q1S1BM、mRFP1.1、mRFP1.2、mRFP1.3、mRFP1.4、mRFP1.5、mTFP、mTFP0.4、mTFP0.5、mTFP0.6、mTFP0.8、mTFP0.9、mTFP1-Y67H、mTurquoise-146G、mTurquoise-146S、mTurquoise2-G、mTurquoise-DR、mTurquoise-GL、mTurquoise-GV、mTurquoise-RA、NpR3784g、OFPxm、P11、P9、Padron(STAR)(On)、PdaC1、PDM1-4、pHluorin2(酸性)、pHluorin2(アルカリ性)、pHluorin、psupFP、ptilGFP、Q80R、RCaMP、R-FlincA、rfloGFP、rfloGFP2、rfloRFP、RFP618、roGFP1、roGFP1-R1、roGFP1-R8、roGFP2、RpBphP1、RpBphP2、RpBphP6、rrenGFP、rrGFP、rsCherryRev1.4(On)、RSGFP1、RSGFP2、RSGFP3、RSGFP4、RSGFP6、RSGFP7、Rtms5、SAASoti(赤)、SAASoti(緑)、scleFP1、scleFP2、scubGFP1、scubGFP2、secBFP2、sfCherry、sfCherry2、sfCherry3C、SH3、ShG24、spisCP、stylCP、SuperfoldermTurquoise2、SuperfoldermTurquoise2ox、sympFP、TeAPCI±、tPapaya0.01、Trp-lessGFP、TurboGFP-V197L、V127TSAASoti(赤)、V127TSAASoti(緑)、vsGFP、Xpa、yEGFP、YFP3、zGFP、zoan2RFP、zRFP、又はそれらの任意の他の蛍光誘導体から選択される。蛍光タンパク質は遺伝的にコードされている。
【0059】
実施形態によれば、蛍光色素Faと受容体との間の結合は共有結合である。この実施形態の特定の構成において、この結合は、NHS-NH、マレイミド-SH又はそれらの誘導体のタイプの結合であり、NHS基又はマレイミド基は蛍光色素Fa上に担持されており、アミン又はチオールは受容体上にある。
【0060】
実施形態によれば、蛍光色素Faは蛍光タンパク質であり、受容体及びFaは融合タンパク質形態で結合している。この実施形態では、受容体とFaは同じ遺伝子によってコードされている。
【0061】
実施形態によれば、蛍光色素Fとポリペプチドとの間の結合は共有結合である。この実施形態の特定の構成において、この結合は、NHS-NH、マレイミド-SH又はそれらの誘導体のタイプの結合であり、NHS基又はマレイミド基は蛍光色素F上に担持されており、アミン又はチオールはポリペプチド上にある。
【0062】
実施形態によれば、蛍光プローブの不活性構成(オフ構成)では、蛍光色素FaとFとの間の距離はFRET効果を有効にしない、すなわち蛍光色素FaとFとの間の距離は、FRET効果を許容する距離よりも大きいか又は小さい;一方で、活性構成(オン構成)では、蛍光色素FaとFとの間の距離はFRET効果を有効にする。換言すれば、不活性構成(すなわち、静止中の蛍光プローブ、オフ構成)での蛍光色素FaとFとの間の距離は、活性構成(オン構成)での蛍光色素FaとFとの間の距離よりも大きいか又は小さい。蛍光プローブは、受容体が標的分子に結合していないときには静止している。受容体が抗体の場合では、抗体認識部位が空いているときには蛍光プローブは静止している。蛍光プローブは、受容体が標的分子に結合しているときに活性構成にある;受容体が抗体の場合では、抗体認識部位が空いていないとき、すなわち抗原が認識されて抗体と結合しているときには、蛍光プローブは活性構成にある。また、抗体がその標的分子を検出しないときにオン構成が生じ、受容体が標的分子に結合するとオフ構成に切り替わるシナリオもある(標的分子がない場合のFRETと標的分子によるFRETの停止)。これにより、両方の場合において、標的分子を認識する際に蛍光シグナルが変わる。
【0063】
標的分子の検出及び/又は標的分子の濃度測定のための装置
本発明はまた、標的分子を検出するための及び/又は標的分子の濃度を測定するための装置に関する。
【0064】
該装置は、
-その表面にグラフト分子が共有結合で接着している基板;
-少なくとも1つの蛍光プローブであって、
■共有結合によりポリペプチドに結合した少なくとも1つの受容体;
■2種類の蛍光色素FaとF
を含み、
蛍光色素Faは受容体に結合し、蛍光色素Fはポリペプチドに結合し;かつ
蛍光色素FaとFはFRETドナー/アクセプター対を形成する少なくとも1つの蛍光プローブを備える。
【0065】
ポリペプチドは、共有結合によりグラフト分子に結合している。
【0066】
蛍光プローブは上記の通りであり、蛍光プローブ又は前記プローブの異なる要素(受容体、ポリペプチド、蛍光色素)に関する実施形態が本発明の装置に適用される。
【0067】
受容体-標的分子結合よりも強い受容体とポリペプチドとの間の共有結合、及びポリペプチドとグラフト分子との間の共有結合は、標的分子が認識されると、受容体がポリペプチドから離れないこと、又は蛍光プローブが基板から離れないことを確実にすることができる。そのため、蛍光プローブの2つの部分への分離又はプローブ-基板の分離が回避される。
【0068】
インビトロでの標的分子検出の間、受容体とポリペプチドとの間の分離を回避することは、試料の汚染を誘発しないようにするのに特に重要である。
【0069】
インビボでの標的分子検出の間、受容体とポリペプチドとの間の分離又は蛍光プローブと基板との間の分離を回避することは、ファイバー除去時に蛍光プローブの一部(受容体を有するもの)又は全部を患者の体内に残す危険性を制限するので、特に蛍光プローブが体内探索を目的として光ファイバーの遠位端で使用される場合に特に重要である。そのような生物学的汚染は、頭痛、吐き気又は無力症などの不快感の徴候、発熱又は悪寒などの反応、アレルギー様の皮膚向性(そう痒、発疹、蕁麻疹)、呼吸器(気管支痙攣、咳、呼吸困難)若しくは心血管(低血圧)の症状、又は腫瘍崩壊症候群(腫瘍量が多い場合)などの、抗体の直接注入中に観察されるものと同様に、様々な悪影響を及ぼし得る。これらの悪影響は、リガンドの性質と受容体の性質の両方によるものである。
【0070】
グラフト分子の役割は、その認識部位が標的分子にアクセス可能であるように、受容体の正しい配向を確実にすることである。
【0071】
基板の表面上でのグラフト分子の使用はまた、前記表面の官能化を細かく制御すること、特に、基板の表面にグラフトされる蛍光プローブの数を調節すること、すなわち、グラフト分子によって前記基板の被覆率を変えることによって、基板の表面の単位面積当たりの蛍光プローブの密度(又は被覆率)を細かく制御することを可能にする。この制御は、都合がよいことに、ユーザの具体的なニーズに意図された装置を提供することを可能にする。
【0072】
本発明の代替の態様において、該ポリペプチドは、非共有結合によってグラフト分子に結合することができた。
【0073】
実施形態によれば、標的分子(又はリガンド)は、受容体が親和性及び高い特異性を有する分子である。好ましくは、標的分子(又はリガンド)は抗原である。
【0074】
実施形態によれば、基板は、細胞培養プレート、ウェルプレート、フィルム、ストリップ、アガロースゲル、セルロースゲル、ナノ粒子又は微粒子、好ましくは球状、好ましくはシリカ又はポリマー、顕微鏡スライド、又はスライドガラスから選択される。この実施形態による装置の目的は、インビトロ、すなわち溶液中又は基板上での標的分子の検出及び/又はその濃度の測定である。
【0075】
好ましくは、基板はポリマーフィルムである。前記ポリマーフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、フッ素化ポリエチレン-コ-プロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、スチレンメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体又はそれらの混合物から選択される。都合がよいことに、このようなポリマーフィルムは、化学的に不活性で、透明で、かつ/又は高温に強く、すなわち、少なくとも90℃、好ましくは少なくとも110℃、好ましくは少なくとも130℃の温度に強い。
【0076】
実施形態によれば、該装置は、光ファイバーをさらに備える。好ましくは、該装置は、光ファイバーと探査ヘッドとを備える。ヘッドは着脱可能に取り付けられているか、又は光ファイバーに(フェルールを介して)しっかり接続されている。周知の方法で、光ファイバーは1以上のファイバーコアを包むクラッディングを備え、探査のためのその遠位端は、ファイバークラッディングの端部にしっかり接続された、ファイバー軸に対して横方向の外面が透明である剛性フェルールの形態で提示される。この実施形態による装置の目的は、インビボでの、すなわち、例えば内視鏡検査によって又は手術中に患者の体内での標的分子の検出及び/又はその濃度の測定である。
【0077】
「探査ヘッド」は、ファイバーの端部が導入される媒体と協働又は相互作用するために、プローブとして作用するか、又は一般的に、光ファイバーの端部で放出される光を使用する任意の技術的機能を有するファイバーの一部である。光ファイバーのフェルールは、探査ヘッドの機械的取り付け機能のみを有する。
【0078】
着脱可能な探査ヘッドの場合、フェルール及び探査ヘッドは、機械的アセンブル(圧着、フィッティング、ねじ止め、クリッピング、クォーターターンロック)によってしっかり接続されるか、又はそれぞれ相互協力による取り付け手段(オスメス共同手段)を含む。ヘッドのフェルールへの取り付けは、特にファイバーが患者の体内に導入されたときに、使用中にヘッドとフェルールが離れることができないように設計されている。
【0079】
この実施形態の特定の構成において、基板は、光ファイバーの周囲、又は光ファイバーのヘッドに取り付けられるように構成された基板、好ましくは、光ファイバーの遠位端(すなわち探査端)、より具体的には、探査ヘッドの遠位端に取り付けられるように構成される光透過性基板から選択される。
【0080】
好ましくは、基板は、探査ヘッドの遠位端に位置するかつ/又は取り付けられたポリマーフィルムである。この実施形態では、ポリマーフィルムは、例えばエポキシ樹脂を使用して探査ヘッドの遠位端に接着させるか、又は探査ヘッドの遠位端に機械的に取り付けることができる。
【0081】
この実施形態の特定の構成において、探査ヘッドは、その少なくとも一部が透明で、ポートを形成し、かつ光の通過のために光ファイバーのコア(複数可)に面するように意図された放出面と呼ばれるその先端部に本体及び外面を有する。好ましくは、ポリマーフィルムは、蛍光プローブで官能化されるように透明部分として使用される、すなわち、該装置の基板は探査ヘッドのポートである。これは、都合がよいことに、探索ヘッドの遠位端を部材に接触させることによって、体内探索及びインビボ標的分子検出を実施することを可能にする。好ましくは、探査ヘッドは、光ファイバーに着脱可能に取り付けられ、都合がよいことに、同じ光ファイバーを維持しながら、標的分子検出に応じて探査ヘッド及びしたがって蛍光プローブを変えることを可能にする。好ましくは、本体は、ポリマー材料、ガラス、セラミック、ステンレス鋼、複合材料、又はこれらの材料の組み合わせで作られ、外部放出面は、ポリマー、ガラス、セラミック、シリカ、複合材料又はハイブリッド材料で作られる。
【0082】
都合がよいことに、光ファイバーは、テーパリングなどの任意の処理を受けない。好ましくは、蛍光プローブは探査ヘッドのポートにグラフトされ、したがって、ファイバーは無傷のままである。これにより、装置の感度及びグラフト表面の再現性の向上が可能になる。すると、光ファイバーの役割は、光シグナルを標的に輸送する役割である。
【0083】
実施形態によれば、光ファイバーは、金属クラッディングによって部分的に覆われたコアを備え、前記コアの一部はクラッディングによって被覆されておらず、蛍光プローブは、被覆されていないコアの部分の表面にグラフトされる。この実施形態は、光ファイバーの縦方向部分で表面波を取得することを可能にする。
【0084】
実施形態によれば、グラフト分子は、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、スルホN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、スルホ-NHS、アジド、アルキン、エポキシド、カルボン酸、アルデヒド、アジリジン、アルケン、又はその誘導体から選択される少なくとも2つの反応基を含む。グラフト分子は、グラフト分子-ポリペプチド結合を介して基板と蛍光プローブとの間の共有結合を可能にする。好ましくは、2つの反応基は、その末端の各々に位置する。ポリペプチドとグラフト分子との間の結合は、ポリペプチドの末端基、好ましくはチオール又はアミンと、本明細書に記載のグラフト分子の2つの反応基のうちの1つとの間で起こる。
【0085】
この実施形態の好ましい構成において、グラフト分子は、ポリペプチドのチオール末端基と反応して、共有結合を形成することができるマレイミド基を含む。チオール基は末端にあり、単独であり、この構成は、基板上のポリペプチドの配向を制御できるという利点を有し、その結果、蛍光プローブの配向は、標的分子に対する受容体の最良の到達性を確実にすることができる。
【0086】
この実施形態の別の構成において、グラフト分子は、ポリペプチドのアミン基と反応して、共有結合を形成することができるN-ヒドロキシスクシンイミド基を含む。
【0087】
実施形態によれば、基板は、ジルコニア、二酸化チタン、エポキシ、例えば、アミンオルガノシラン、チオールオルガノシラン、アジドオルガノシラン、アルキンオルガノシラン、カルボニルオルガノシラン、又は炭素炭素二重結合を有するオルガノシランなどのオルガノシランから選択される有機材料又は無機材料の層で被覆されている。好ましくは、基板は、アミンオルガノシラン又はチオールオルガノシランの層で被覆されている。典型的には、基板、例えばポリマーフィルムをアミンオルガノシランで被覆し、次いで、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)溶液に浸すと、マレイミド基を保有するグラフト分子の層で被覆された基板になる。あるいは、基板、例えばポリマーフィルムをチオールオルガノシランで被覆し、次いでアミン溶液に浸すと、マレイミド基を保有するグラフト分子の層で被覆された基板になる。
【0088】
標的分子を検出するための方法及び/又は標的分子の濃度を測定するための方法
本発明はまた、標的分子を検出するため及び/又は標的分子の濃度を測定するための方法に関する。
【0089】
本方法は、以下の工程:
-少なくとも1つの蛍光プローブであって、
■共有結合によりポリペプチドに結合した少なくとも1つの受容体;
■2種類の蛍光色素FaとF
を含み、蛍光色素Faが受容体に結合し、蛍光色素Fがポリペプチドに結合し;かつ
蛍光色素Fa及びFがFRETドナー/アクセプター対を形成し、かつ
該受容体が前記標的分子に対する親和性を有する少なくとも1つの蛍光プローブと試料とを接触させる工程;
-ドナー蛍光色素が励起されるように所定の波長で蛍光プローブを励起する工程;
-ドナー蛍光色素によって放出される蛍光の強度とアクセプター蛍光色素によって放出される蛍光の強度との間の比率を測定する工程;
-試料中の前記標的分子の有無を決定し、かつ/又は試料中の前記標的分子の濃度を計算する工程
を含む。
【0090】
受容体による標的分子の認識の際に、前記受容体の立体構造変化が起こり、蛍光色素FaとFとの間の距離が変わると、ドナー蛍光色素からアクセプター蛍光色素への非放射性移動(FRET効果)が生じる。そのため、ドナー蛍光色素及びアクセプター蛍光色素の蛍光ピークの強度の変動は、試料中の標的分子濃度の直接的な結果である。したがって、標的分子が試料中に存在する場合、ドナー蛍光色素によって放出される蛍光強度の増減が予想され、これにより、ドナー蛍光色素によって放出される蛍光の強度とアクセプター蛍光色素によって放出される蛍光の強度との間の比率(本明細書以下では、FRET指数と呼ばれる)が増加又は減少する。蛍光ピークの強度が変化しない場合(ゼロFRET指数)、これは試料中に標的分子が存在しないことを示す。そのため、試料中の前記標的分子の有無の決定及び/又は試料中の前記標的分子の濃度の計算は、FRET指数の変動の解釈の結果である。その逆も可能である。
【0091】
都合がよいことに、標的分子の検出は速い。上記の蛍光プローブの使用、特に受容体-ポリペプチド共有結合の存在により、標的分子検出の感度が有意に増加する。例えば、検出閾値は25nM未満であることが観察された。好ましくは、本発明による方法は、10nM未満、好ましくは5nM未満、より好ましくは1nM未満、さらにより好ましくは0.1nM未満の検出閾値を有する。
【0092】
蛍光プローブに関する実施形態、前記プローブの異なる要素(受容体、ポリペプチド、蛍光色素)、装置又は前記装置の異なる要素が、本発明による方法の実施に適用される。特に、本発明による方法は、本発明による装置によって実施される。
【0093】
実施形態によれば、蛍光レポーターを、任意の接触手段によって試料と接触させる。好ましくは、接触は溶液中で又は直接触れることによって起こる。
【0094】
この実施形態の特定の構成において、直接触れることによる接触は数秒続く。この実施形態の別の特定の構成において、例えば溶液中において、溶液中での接触は1時間未満、好ましくは30分未満、より好ましくは5分未満続く。接触時間が長いほど、光シグナルはシャープになる。
【0095】
実施形態によれば、ドナー蛍光色素によって放出される蛍光の強度とアクセプター蛍光色素によって放出される蛍光の強度との間の比率は、分光法によって測定される。
【0096】
実施形態によれば、本方法はまた、装置を健常試料と接触させる予備較正工程を含む。都合がよいことに、この工程により、選択されたF/F対についてのFRET指数基準測定値を決定できる。続いて、この基準測定値と、標的分子を保有していると思われる試料と接触して測定されるFRET指数との比較により、標的分子の有無及び試験試料中のその濃度を結論付けることが可能となる。
【0097】
標的分子の存在、不在、又はある閾値を上回る若しくは下回る量の検出により、試料を特徴づけ、それが健康的であるか否かを判断することが可能になる。
【0098】
実施形態によれば、試料は、検出又は測定対象として標的分子を含有する可能性を有する任意の試料であり得、液体試料又は固体試料であり得る。
【0099】
実施形態によれば、試料は、溶液、細胞培養物(例えば真核生物又は原核生物)、全血、血漿、血清、汗、又は任意の生物学的液体又は流体、有機組織、又は器官から選択される。
【0100】
この実施形態の特定の構成において、液体試料は、検出対象又は測定対象として直接使用するか、又は例えば、緩衝液、生理食塩水で希釈することができ、次いで、検出対象又は測定対象として使用することができる。液体試料の例としては、細胞培養物(例えば真核生物又は原核生物)、培養上清、細胞抽出液、細菌抽出物、例えば血清、血漿、唾液、汗、脳脊髄液若しくは尿などの体液、産業排水、又は例えば、ミルクなどの農業食品液などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
この実施形態の特定の構成において、固体試料は、有機組織、器官から選択される。固体試料は、遊離蛍光プローブと接触できる状態で、緩衝液又は生理食塩水などの液体に溶解、懸濁、又は浸漬することができ、その後、試料として使用される。好ましくは、固体試料は、蛍光プローブと接触する前に、いかなる処理も受けない。
【0102】
実施形態によれば、標的分子の検出閾値は、受容体と標的分子の親和性に依存し、検出閾値は数pmol/L(ピコモル濃度)のオーダー、好ましくは数fmol/L(フェムトモル濃度)のオーダーである。
【0103】
実施形態によれば、本方法は、
-インビトロで、例えば、懸濁液中、溶液中、又は基板(例えば、マルチウェルプレート、顕微鏡スライド若しくはストリップ)上で;又は
-インビボで、例えば内視鏡検査によって、若しくは手術中に
実施することができる。
【0104】
実施形態によれば、該装置は、試料及び/又は蛍光プローブを励起するように構成された励起手段、及び/又は蛍光色素Fa及びFの蛍光からデータを収集するように構成された光学収集手段も備える。
【0105】
この実施形態の特定の構成において、励起手段は、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、LED、UVランプ又はレーザー光源などの所与の波長で照射を行うことができる光源である。
【0106】
この実施形態の特定の構成において、光学データ収集手段は、顕微鏡、蛍光光度計、サイトメーター、又は分光光度計である。
【0107】
用途
本発明はまた、試料中の標的分子の検出及び/若しくは標的分子の濃度の測定のための本発明による蛍光プローブ並びに/又は本発明による装置の使用に関する。
【0108】
実施形態によれば、本発明による蛍光プローブ及び/又は本発明による装置は、インビトロで試料中、例えば溶液中の標的分子の検出及び/又は標的分子の濃度の測定に使用される。
【0109】
実施形態によれば、本発明による蛍光プローブ及び/又は本発明による装置は、インビボで試料中の標的分子の検出及び/又は標的分子の濃度の測定に使用される。
【0110】
インビボでの実施形態の特定の構成において、本発明による蛍光プローブ及び/又は本発明による装置は、腫瘍細胞の検出、感染のスクリーニング、又は病態の進行の診断又はモニタリングを支援できるマーカーの検出に使用される。インビボでの実施形態の特定の構成において、該装置は、蛍光プローブがグラフトされた探査ヘッド(この場合、蛍光プローブは、探査ヘッドのポート、すなわち前記ヘッドの発光面の透明部分にグラフトされる)、又は蛍光プローブがグラフトされた遠位端にカテーテルを備える光ファイバーである。好ましくは、本発明による蛍光プローブ及び/又は本発明による装置は、内視鏡検査に使用される。内視鏡検査は、光ファイバーによる後方散乱光検出技術によって、空洞の内部を調べるために使用される。内視鏡は、1以上の光ファイバーを収容する柔軟なケーシングを備え、その遠位端は、検査されるべき空洞に導入されることが意図され、反対側の近位端は、光を遠位端及び空洞内に伝達するために光ファイバー(複数可)と整列した光源に接続されることが意図され、光ファイバーと整列され、近位端に配置された光検出器はまた、蛍光プローブによって放出され、ファイバーを介して戻される光を受信することが意図される。
【0111】
実施形態によれば、本発明による蛍光プローブ及び/又は本発明による装置は、工業用水、廃水又は例えばミルクなどの農業食品液中の標的分子の検出及び/又は標的分子の濃度の測定に使用される。この実施形態の特定の構成において、本発明による蛍光プローブ及び/又は本発明による装置は、薬物若しくは残留農薬の検出、又は病原体の検出に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1図1は、標的分子の認識の際の、不活性構成(オフ)から活性構成(オン)への蛍光プローブの切り替えを表す図である。
図2図2は、特定の実施形態による検出装置を表す。
図3A図3Aは、異なる抗原濃度に対する蛍光プローブ応答の蛍光定量分析によって得られる光学スペクトルの図である。
図3B図3Bは、図3Aに示される曲線を使用してFRET指数を測定することによって、蛍光プローブを使用して得られた用量反応曲線の図である。
図4図4は、蛍光プローブ(本明細書ではTrkB)及び立体構造変化が生じない無関係な分子のBSAに抗原を添加した際に得られるFRET応答の図である。
図5A図5Aは、標的抗原を発現する又は発現しない細胞株の存在下で、488nmレーザーによる蛍光プローブの曝露後に測定した光学スペクトルの図である。
図5B図5Bは、図5Aに示したスペクトルから得られたFRET指数の図である。
図6図6は、プロテインGに結合した抗体を含む蛍光プローブ(灰色の曲線)及び配列番号1に記載のアミノ酸配列のうちの8個のアミノ酸からなるポリペプチドに結合した抗体を含む蛍光プローブ(黒曲線)の、488nmレーザーによる励起後に測定した光学スペクトルの図である。
図7図7は、酸性pHによる抗体の溶出前後の、結合タンパク質に非共有結合で結合した抗体を含む蛍光プローブ(Snc)及び結合タンパク質に共有結合で結合した抗体を含む蛍光プローブ(S)の、488nmレーザーによる励起後の蛍光強度の図である(白色カラム:溶出前の蛍光プローブを含む溶液、灰色カラム:溶出後の蛍光プローブを含む溶液、黒色カラム:溶離液)。
図8図8は、結合タンパク質に非共有結合で結合した抗体を含む蛍光プローブ(Snc)及び結合タンパク質に共有結合で結合した抗体を含む蛍光プローブ(S)の場合の標的抗原EGFRへの曝露に応答する蛍光プローブのFRET指数の変化の大きさの図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
本発明の例示的な実施形態
蛍光プローブ1による標的分子2の認識は図1で説明されており、蛍光プローブ1は、
-ポリペプチド12に結合した受容体11;及び
-2種類の蛍光色素FaとF
を含む。
【0114】
蛍光色素Faは受容体11に結合し、蛍光色素Fはポリペプチド12に結合する。蛍光色素FaとFはFRETドナー/アクセプター対を形成する。受容体11は、共有結合で、すなわち受容体11を認識分子2に結合できる結合よりも強くポリペプチド12に結合している。
【0115】
蛍光プローブ1による標的分子2の認識の前に、後者はいわゆる不活性構成(「オフ」)にある、すなわち、2種類の蛍光色素FaとFとの間にFRET効果はない。この構成では、ドナー蛍光色素は、励起されるので蛍光により光を放つが、アクセプター蛍光色素は発光しない。蛍光プローブ1により標的分子2が認識されると、後者は、次に活性構成(「オン」)をとり、受容体11の立体構造変化が起こり、2種類の蛍光色素FaとFを分ける距離を変更するため、2種類の蛍光色素間に非放射性エネルギー移動(FRET効果)が誘導される。このエネルギー移動は、ドナー蛍光色素からアクセプター蛍光色素に生じる:ドナー蛍光色素の蛍光強度が減少し、アクセプター蛍光色素の蛍光強度が増加する;この構成では、蛍光色素はF’a及びF’と表記される。FRET効果によるその発光スペクトルの変動を測定して、標的分子2を検出及び/又はその濃度を測定することができる。
【0116】
この実施形態は、受容体11-ポリペプチド12結合が受容体11-標的分子2結合よりも優勢であるため、蛍光プローブ1の分解を回避しながら標的分子2の迅速な検出が可能になるので、特に都合が良い。
【0117】
図2に示す実施形態において、標的分子を検出する装置は、
-光ファイバー4であって、
■クラッディング46;
■縦軸XX’の少なくとも1つのコア45;
■フェルール44
■本体43と、放出面と呼ばれ、その少なくとも一部が透明で、ポート41を形成し、光の通過のために光ファイバー4のコア(複数可)45に面することが意図された外面42とを備える探査ヘッド
を備える光ファイバー4;並びに
-蛍光プローブ1であって
■ポリペプチドに結合した受容体;及び
■2種類の蛍光色素FaとF;蛍光色素Faは受容体11に結合し、蛍光色素Fはポリペプチド12に結合し、FRETドナー/アクセプター対を形成する蛍光色素Fa及びF
を含む蛍光プローブ1
を備える。
【0118】
光ファイバー4は、光源に公知の方法で接続されることが意図されるが、本明細書では図示しない近位端と、蛍光プローブの照明に必要な光を放つ光ファイバー4の探索端部を形成する反対側の遠位端を有する。同じ光ファイバーは、プローブの光応答の収集にも使用され、ファイバーの近位端にあるボックスに戻る光ビームを導く。
【0119】
光ファイバー4の探査端部には、その中央で穿孔される堅い末端部を形成するフェルール44が公知の方法で設けられており、その中に光ファイバー4のクラッディング46が取り付けられている。
【0120】
探査ヘッドの外面42上のポート41は、グラフト分子3を介して蛍光プローブ1によって官能化される。そのため、蛍光プローブ1は、蛍光色素Fa及びFの発光スペクトルの変動を観察及び/又は測定することによって癌細胞を検出するために、光ファイバー4によって探査される空洞内に存在する標的分子、特に、人体の空洞内に収容されている、すなわちヒト組織上の、探査ヘッドがその使用中に遭遇する標的分子を認識することができる。
【0121】
図2に示す好ましい方法では、探査ヘッドは、光ファイバー4の本体上のヘッドのアセンブル位置に同じ縦方向の内側軸XX’の中空円筒体43と、円筒体の軸に対して横方向であり、光ファイバー4のコア45からの光が放出されることが意図される外側遠位端面42とを備える。
【0122】
この実施形態は、標的分子の認識の際に蛍光プローブ1の分解を回避しながら、(例えば内視鏡検査によって又は手術中に)人体の空洞で標的分子の迅速な検出を可能にするので特に都合が良い。これは、特に、探索される人体の汚染につながる、前記蛍光プローブ1の部分が探索される空洞内に残されることを回避する。
【0123】
実施例
本発明は、本発明を制限せずに説明する以下の実施例を読むことによって、よりよく理解されるであろう。
【0124】
実施例1a:インビトロ標的分子の検出-溶液中の検出
蛍光プローブの調製
等モル濃度の抗EGFR抗体(アレクサ488で標識)及びプロテインG(アレクサ546で標識)の溶液を、2時間インキュベートする。インキュベーションは、最適な結合タンパク質-抗体結合を確実にするのに十分な長さでなければならない。
【0125】
標的分子の検出
並行して、既知の濃度の抗原溶液を同じプローブ溶液で希釈すると、100nMから80pMの標準シリーズを生成することができる。標準シリーズと同一の濃度を達成するために、PBSで希釈した抗原含有溶液(組換えEGFR)を、予め調製した蛍光プローブを含有する溶液と混合する。1時間インキュベートした後、スペクトル特性を蛍光定量によって測定する。FRET指数を標準シリーズと試料について計算すると、その濃度を計算することができる。検量線について得られた結果を図5A及び図5Bに示す。
【0126】
図4、5A及び5Bに示す結果は、抗体の標的EGFRを発現する又はしない系統の細胞(HEK細胞、A549細胞、A431細胞)を、蛍光プローブが予め接着している顕微鏡スライド上に沈着させることによって得られた。このために、基板上に堆積させる24時間前に、オルガノシリカ(チオールシリカ)/ジルコニアゾルを調製する:20mLのメルカプトトリエトキシシラン/塩化ジルコニウム/エタノール/水の混合物(0.95/0.05/40/5)を周囲温度で撹拌する。ゾルを浸漬コーティング(引き上げ速度5.5mm/秒)で顕微鏡スライド上に堆積させ、80℃で12時間熱処理する。マレイミド基及びアミン基を含有する第1の結合分子である1-(2-アミノエチル)-ピロール-2,5-ジオン塩酸塩を、0.1モル/LでDMSOに溶解し、次いで、この溶液を周囲温度で攪拌しながら1時間スライドに加える。DMSOと蒸留水でリンス及び洗浄した後、DMSO中にNHSエステル基及びマレイミド基を含有する別の結合分子であるN-スクシンイミジル4-マレイミドブチレートを含有する第2の溶液(0.1モル/Lで)をスライド上に加える。DMSOと蒸留水でリンス及び洗浄した後、PBS中10μg/mlでプロテインG(アレクサ546)の溶液をスライド上で1時間インキュベートする。過剰分をPBSで洗浄し、次いで、PBS中の抗EGFR抗体(アレクサ488)の溶液を1時間インキュベートする。過剰分をPBSで洗浄し、次いでA431、HEK及びA549細胞懸濁液を表面に沈着させ、官能化する。
【0127】
光ファイバー及び分光光度計を使用して、レーザーによる励起及びシグナルの収集を行う。その結果、細胞表面上に存在する標的分子の量を決定することができる(HEK細胞では低からゼロ、A549細胞では中等度、A431細胞では多い)。
【0128】
実施例1b:インビトロでの標的分子の検出
実施例1aを再現するが、蛍光プローブは表Iに従って変更した。
【0129】
【表1】
【0130】
実施例2:インビトロでの標的分子の検出
基板上でのグラフト化
基板上に堆積させる24時間前に、オルガノシリカ(チオールシリカ)/ジルコニアゾルを調製する:メルカプトトリエトキシシラン/塩化ジルコニウム/エタノール/水の混合物(0.95/0.05/40/5)を周囲温度で撹拌する。ゾルを、基板、典型的にはマルチウェルプレートのウェル上に堆積させ、80℃で12時間熱処理する。マレイミド基及びアミン基を含有する第1の結合分子1-(2-アミノエチル)-ピロール-2,5-ジオン塩酸塩を、0.1モル/LでDMSOに溶解し、次いで、この溶液を周囲温度で攪拌しながら1時間ウェルに加える。水とDMSOでリンス及び洗浄した後、DMSO中NHSエステル基及びマレイミド基を含有する別の結合分子N-スクシンイミジル4-マレイミドブチレートを含有する第2の溶液(0.1モル/Lで)を、1時間攪拌しながら1ウェルあたり100μLをウェルに加える。DMSOと蒸留水でリンス及び洗浄した後、第1の蛍光結合タンパク質(通常、システインで終わるプロテインG)を結合させるように基板を調製する。
【0131】
蛍光プローブの調製
PBS中10μg/mlのプロテインGの溶液(アレクサ546で標識)を、官能化した表面上で1時間インキュベートする。過剰分をPBSで洗浄する。2mMのグルタルアルデヒド溶液を、基板上に固定したプロテインGと15分間インキュベートする。過剰のグルタルアルデヒドをPBSで洗浄し、次いで抗EGFR抗体(アレクサ488で標識)の溶液を2時間インキュベートする。この時間は、最適なプロテインG-抗体結合を確実にするのに十分な長さである。次いで、過剰の抗体をPBSで洗浄する。
【0132】
標的分子の検出
EGFR標的抗原を含有する溶液をウェルに添加し、実施例1の溶液での試験と同様に検出する。
【0133】
実施例3a:インビボ標的分子の検出
探査ヘッド又は光ファイバー上でのグラフト化
上記で定義した方法に従って調製した蛍光プローブを、光ファイバーにアセンブルされるように構成された探査ヘッド(又はカプセル)の透明なポート上に直接グラフトする。ポートは、典型的には、PET(ポリエチレンテレフタレート又はFEP(フッ素化ポリエチレン-コ-プロピレン)からなる。グラフト化を、実施例2と同様に行う。すなわち、最初に、オルガノシラン/ジルコニアゾルを5.5mm/秒の速度で浸漬コーティングすることにより、ポート上に薄いシリカ/ジルコニア層を堆積させる工程を経て、次いで、マレイミド/NHS基を含有する分子(1-(2-アミノエチル)-ピロール-2,5-ジオン塩酸塩、続いてN-スクシンイミジル4-マレイミドブチレートを0.1モル/Lでグラフトすることによって表面の官能化の工程を経る。マレイミド基は、タンパク質のチオール基と反応することができ、NHS基はタンパク質のアミン基と反応して、蛍光プローブと基板の間に共有結合をもたらすことができる。
【0134】
蛍光プローブをファイバーの端部又はポート上にグラフトする方法は、実施例2の基板にグラフトする方法に相当する。
【0135】
固体表面でのEGFR検出
ポート又は光ファイバーを、標的分子が存在する可能性が高い表面上の組織又は任意の他の界面と接触させ、同時に488nmのレーザービームによる照明を光ファイバーによって蛍光プローブに運ぶ。反射したビームを、分析のために、同じ光ファイバーによって分光光度計に収集する。
【0136】
ファイバー(又はポート)と組織との間の相互作用が正(標的分子の存在)又は負(標的分子の不在)であるかを決定するために、FRET指数を計算する。この検出は数秒で行われる。
【0137】
実施例3b:標的分子の検出
実施例3aを再現したが、蛍光プローブは表IIに従って変更した。
【0138】
表II:蛍光プローブ組成物
【表2】
【0139】
実施例4:蛍光抗体-ポリペプチドプローブ
蛍光プローブの調製
基板上に堆積させる24時間前に、オルガノシリカ(チオールシリカ)/ジルコニアゾルを調製する:20mLのメルカプトトリエトキシシラン/塩化ジルコニウム/エタノール/水の混合物(0.95/0.05/40/5)を周囲温度で撹拌する。ゾルを(引き上げ速度5.5mm/秒での)浸漬コーティングにより、基板、典型的には50ミクロンの厚さのPETフィルム上に堆積させ、80℃で12時間熱処理する。マレイミド基及びアミン基を含有する第1の結合分子1-(2-アミノエチル)-ピロール-2,5-ジオン塩酸塩を、0.1モル/LでDMSOに溶解し、次いで、この溶液を周囲温度で攪拌しながら1時間ポリマーフィルム上に加える。DMSOと蒸留水でリンス及び洗浄した後、DMSO中NHSエステル基及びマレイミド基を含有する別の結合分子N-スクシンイミジル4-マレイミドブチレートを含有する第2の溶液(0.1モル/Lで)を、1時間攪拌しながらポリマーフィルム上に加える。DMSOと蒸留水でリンス及び洗浄した後、基板はすぐにポリペプチドと結合できる。
【0140】
抗EGFR抗体溶液(アレクサ488で標識)を、配列番号2に記載のアミノ酸配列(CCGGRRGW)のポリペプチド(アレクサ546で標識)とインキュベートし、周囲温度で60分間基板に固定する。
【0141】
プロテインGと結合した同じ抗体を含む蛍光プローブを同様のプロセスに従って生成する。この場合、プロテインGと抗体は前の場合と同じ蛍光色素を保有する。
【0142】
標的分子の検出
インキュベーション後、488nmで励起し、蛍光光度計を使用してスペクトル特性を測定する。
【0143】
2つのプローブは、異なる光学特性を有する。実際、図6に示すように、FRET効果は、抗体とプロテインGとの間よりも抗体とペプチドとの間の方が大きい。この蛍光強度の違いは、2種類のプローブ内の蛍光色素FとFとの間の距離の違いによって説明できる。ペプチドのペプチド鎖はプロテインGのそれよりも短いので、蛍光色素間の距離も短い。
【0144】
実施例C1:比較例1-抗体-プロテインGの共有結合
非共有結合によりプロテインGに結合した抗体を含む蛍光プローブの調製-Snc
プロテインG(アレクサ546で標識)を、上記のように、前に官能化したウェルプレートの底部に共有結合でグラフトする。非共有結合で抗体をプロテインGに接着させるために、抗EGFR抗体(アレクサ488で標識)の溶液を10μg/mlでインキュベートする。過剰の抗体をPBSで洗浄する。
【0145】
共有結合によりプロテインGに結合した抗体を含む蛍光プローブの調製-S
プロテインG(アレクサ546で標識)を、上記のように、前に官能化したウェルプレートの底部に共有結合でグラフトする。2mMのグルタルアルデヒド溶液を15分間添加する。過剰のグルタルアルデヒドをPBSで洗浄する。共有結合で抗体をプロテインGに接着させるために、抗EGFR抗体溶液(アレクサ488で標識)を10μg/mlでインキュベートする。過剰の抗体をPBSで洗浄する。
【0146】
488nmで励起した後に、2種類の蛍光プローブSncとSの抗体が発する蛍光強度を測定した。
【0147】
抗体-プロテインG結合の安定性の評価
次いで、各蛍光プローブSncとSを、抗体に対するプロテインGの親和性を低下させる0.1Mのグリシン水溶液(pH2.5)100μL中で、37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、グリシン溶液を隣接ウェルに沈着させた。
【0148】
残留アセンブル抗体の蛍光強度及び溶出抗体の蛍光強度を測定した。これにより、結合タンパク質から離れた抗体の量を決定すること、すなわち抗体-タンパク質結合の強度、したがって蛍光プローブの分離の可能性を評価することが可能になる。
【0149】
グルタルアルデヒドによる結合の工程を加えると、プロテインGと結合する抗体の量が増加し、両者の間に共有結合が誘導される。図7は、共有結合がある場合と無い場合で、プロテインGに正常に結合した抗体の量(白い列)、グリシンとのインキュベーション後にプロテインGに接着したままの抗体の量(灰色の列)、及びグリシンとのインキュベーション後に溶出した抗体の量(黒い列)の関係を示す。次のことが明らかである:
-プロテインGに正常に結合した抗体の量は、共有結合が形成されると増加する、すなわち使用できる蛍光プローブの生成収率が増加する;
-プロテインGに結合したままの抗体の量は、共有結合の場合に多くなり、この結合の強さを証明し、これは、非共有結合の場合に蛍光プローブが分離する可能性が高く、このタイプのプローブはインビボで使用できないことを意味する;
-溶出後、抗体は溶液中に存在する。溶離液中に検出された蛍光強度は、2つの理由で初期量よりも大きいように思われる:プロテインGに結合しなくなると、FRET効果によって蛍光強度が低下し、レーザーによる励起はグラフト化タンパク質の単層ではなく、溶液のカラム上で行われる。
【0150】
したがって、蛍光プローブは、抗体とタンパク質との間の共有結合の存在によって安定化する。より小さなポリペプチドの場合にも同じ現象が観察できる。
【0151】
プローブSの場合、「残留」抗体の量は「初期」抗体の量よりも高く、これは測定装置の誤差範囲によるものであり、上記の結論を変えない。
【0152】
標的分子の検出
FRET指数(アクセプター蛍光強度/ドナー蛍光強度)を、各蛍光プローブSncとSについて、488nmでの励起後に蛍光光度計を使用して測定した。
【0153】
PBSで希釈したEGFR抗原を、蛍光プローブ溶液Snc及びSを含有する各ウェルに終濃度50nMで添加した。
【0154】
FRET指数(アクセプター蛍光強度/ドナー蛍光強度)を、抗原を添加した後及び周囲温度で1時間インキュベーションした後に、各蛍光プローブSncとSについて、488nmでの励起後に測定した。この添加に応じた変化の大きさ(「倍数変化」)を、EGFRを含むFRET指数/EGFRを含まないFRET指数の式を用いて測定した。
【0155】
図8は、蛍光プローブSnc(抗体とタンパク質の間で非共有結合)及び蛍光プローブS(抗体とタンパク質の間で共有結合)の場合のこの変化の大きさを示す。抗体-タンパク質共有結合の存在は、抗原の添加に応答したFRET指数の変動の大きさを増大させ、蛍光プローブの感度を増加させることは明らかである。
【0156】
参照番号
1-蛍光プローブ
11-受容体
12-ポリペプチド
2-標的分子
3-グラフト分子
4-光ファイバー
41-ポート
42-外側放出面
43-本体
44-フェルール
45-コア
46-クラッディング
5-装置
-受容体に結合した蛍光色素(不活性構成)
F’-受容体に結合した蛍光色素(活性構成)
-ポリペプチドに結合した蛍光色素(不活性構成)
F’-ポリペプチドに結合した蛍光色素(活性構成)
XX’-光ファイバーの縦軸
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的分子(2)を検出するため及び/又は標的分子(2)の濃度を測定するための装置(5)であって、
-その表面にグラフト分子(3)が共有結合で接着している基板;
-少なくとも1つの蛍光プローブ(1)であって
共有結合によりポリペプチド(12)に結合した少なくとも1つの受容体(11);
2種類の蛍光色素Fa 及び
を含む少なくとも1つの蛍光プローブ(1)
を含み、
前記蛍光色素Faが前記受容体(11)に結合し、前記蛍光色素Fが前記ポリペプチド(12)に結合し;かつ
前記蛍光色素Fa及びFがFRETドナー/アクセプター対を形成し;
前記ポリペプチド(12)が、共有結合により前記グラフト分子(3)に結合している装置(5)。
【請求項2】
前記受容体(11)が、抗体、抗体断片、アプタマー、ペプチド、又はその誘導体から選択される、請求項1に記載の装置(5)。
【請求項3】
前記ポリペプチド(12)が、プロテインG、プロテインL、プロテインA、プロテインZ、プロテインM、免疫グロブリン、完全若しくは部分免疫グロブリン、又はその誘導体から選択される結合タンパク質である、請求項1に記載の装置(5)。
【請求項4】
前記ポリペプチド(12)が、2~100個のアミノ酸を含む、請求項1に記載の装置(5)。
【請求項5】
前記蛍光色素Fa及び/又はFが、蛍光分子又は蛍光タンパク質から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(5)。
【請求項6】
前記基板が、細胞培養プレート、ウェルプレート、フィルム、ストリップ、アガロースゲル、セルロースゲル、ナノ粒子又は微粒子、顕微鏡スライド、スライドガラス、光ファイバーの周囲又は光ファイバーのヘッドに取り付けられるように構成された基板から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置(5)。
【請求項7】
前記基板がポリマーフィルムである、請求項6に記載の装置(5)。
【請求項8】
前記ポリマーフィルムが、ポリエチレンテレフタレート、フッ素化ポリエチレン-コ-プロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、スチレンメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体又はそれらの混合物から選択される、請求項7に記載の装置(5)。
【請求項9】
前記グラフト分子(3)が、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、スルホN-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホ-NHS、アジド、アルキン、エポキシド、カルボン酸、アルデヒド、アジリジン、アルケン、又はその誘導体から選択される少なくとも2つの反応基を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の装置(5)。
【請求項10】
光ファイバー(4)と探査ヘッドとをさらに備え、前記探査ヘッドが本体と発光面とを備え、その少なくとも一部は透明で、ポート(41)を形成し、前記基板が前記ポート(41)である、請求項のいずれか一項に記載の装置(5)。
【請求項11】
蛍光プローブ(1)であって、
-共有結合によってポリペプチド(12)に結合した少なくとも1つの受容体(11);
-2種類の蛍光色素Fa 及び
を含み、
前記蛍光色素Faが前記受容体(11)に結合し、前記蛍光色素Fが前記ポリペプチド(12)に結合し;かつ
前記蛍光色素Fa及びFがFRETドナー/アクセプター対を形成する蛍光プローブ(1)。
【請求項12】
前記受容体(11)が、抗体、抗体断片、アプタマー、ペプチド、又はその誘導体から選択される、請求項11に記載の蛍光プローブ(1)。
【請求項13】
前記ポリペプチド(12)が、プロテインG、プロテインL、プロテインA、プロテインZ、プロテインM、免疫グロブリン、完全若しくは部分免疫グロブリン、又はその誘導体から選択される結合タンパク質である、請求項11又は請求項12に記載の蛍光プローブ。
【請求項14】
前記ポリペプチド(12)が、2~100個のアミノ酸を含む、請求項11又は請求項12に記載の蛍光プローブ。
【請求項15】
標的分子(2)を検出するため及び/又は標的分子(2)の濃度を測定するための方法であって、
以下の工程:
試料と少なくとも1つの蛍光プローブ(1)とを接触させる工程であって、前記蛍光プローブ(1)が、
共有結合によりポリペプチド(12)に結合した少なくとも1つの受容体(11);
2種類の蛍光色素Fa 及び
を含み、
前記蛍光色素Faが前記受容体(11)に結合し、前記蛍光色素Fが前記ポリペプチド(12)に結合し;かつ
前記蛍光色素Fa及びFがFRETドナー/アクセプター対を形成し;かつ
前記受容体(11)が、前記標的分子(12)に対する親和性を有する、試料と少なくとも1つの蛍光プローブ(1)とを接触させる工程;
-ドナー蛍光色素を励起するような所定の波長で前記蛍光プローブ(1)を励起する工程;
-ドナー蛍光色素によって放出される蛍光の強度とアクセプター蛍光色素によって放出される蛍光の強度との間の比を測定する工程;並びに
-前記試料中の前記標的分子(2)の有無を決定し、かつ/又は前記試料中の前記標的分子(2)の濃度を計算する工程
を含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023542305000001.app
【国際調査報告】