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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】光学システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230929BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230929BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230929BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20230929BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02 F
G02B7/02 Z
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/57
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516579
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2021075154
(87)【国際公開番号】W WO2022069207
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】17/035,911
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク・トム
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AC01
2H044AH01
2H044AH13
2H044AH14
2H044AJ04
2H044AJ06
5C122DA14
5C122EA02
5C122FB08
5C122FB17
5C122GE05
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】カメラシステムにより捕捉された画質の焦点ぼけ及び劣化を抑制する光学システムを提供する。
【解決手段】基板と、画像平面を有する、基板におけるイメージセンサと、イメージセンサ及び画像平面と交差する機械軸線を規定するとともに、第1の熱膨張係数(CTE)を有するレンズバレルと、レンズバレルと統合されて形成され、基板に結合され、第2のCTEを有するレンズ取付具と、イメージセンサ及び画像平面と交差する光軸を規定するレンズ要素であって、該レンズ要素の最後の倍率調整された光学面が背面焦点距離だけ画像平面から光軸に沿って離間している、レンズ要素とを含む光学システムにおいて、第1及び第2のCTEのうち少なくとも1つが、イメージセンサによって受け取られる画像の焦点ぼけ及び劣化を防止するために、光学システムの温度変化の結果としての背面焦点距離の変化を制限する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
画像平面を有する、基板におけるイメージセンサと、
イメージセンサ及び画像平面と交差する機械軸線を規定するとともに、第1の熱膨張係数(CTE)を有するレンズバレルと、
レンズバレルと統合されて形成され、基板に結合され、第2のCTEを有するレンズ取付具と、
機械軸線におけるレンズバレルにあり、イメージセンサ及び画像平面と交差する光軸を規定する少なくとも1つのレンズ要素であって、該少なくとも1つのレンズ要素の最後の倍率調整された光学面が背面焦点距離だけ画像平面から光軸に沿って離間している、前記少なくとも1つのレンズ要素と
を含んでおり、
第1及び第2のCTEのうち少なくとも1つが、イメージセンサによって受け取られる画像の焦点ぼけ及び劣化を防止するために、光学システムの温度変化の結果としての背面焦点距離の変化を制限することを特徴とする光学システム。
【請求項2】
レンズバレルが、統合して形成された第1及び第2のバレル部分を有し、第1のバレル部分が、レンズ取付具と係合するフランジを含み、第2のバレル部分が、フランジから基板へ向けてレンズ取付具の取付開口部へ延びていることを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
レンズ取付具及びフランジが、機械軸線に対して横方向に延びる結合平面において互いに係合し、光学システムの温度変化により、機械軸線に沿って測定した第2のバレル部分の長さが変化し、これに対応して、第2のバレル部分の長さの変化が、光軸に沿って結合平面へ向けて、又は結合平面から離れるように最後の倍率調整された光学面を促すことを特徴とする請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
第2のバレル部分がその中に少なくとも1つのレンズ要素を有しており、第2のバレル部分における少なくとも1つのレンズ要素が最後の倍率調整された光学面を有しており、光学システムの温度上昇の結果としての第2のバレル部分の長さの増大が、光軸に沿って結合平面から離れるように最後の倍率調整された光学面を促し、光学システムの温度上昇の結果としての第2のバレル部分の長さの減少が、光軸に沿って結合平面へ向けて最後の倍率調整された光学面を促すことを特徴とする請求項3に記載の光学システム。
【請求項5】
第1及び第2のバレル部分のそれぞれが、その中に、機械軸線に位置決めされた少なくとも1つのレンズ要素を有していることを特徴とする請求項2に記載の光学システム。
【請求項6】
第2のバレル部分が第1のCTEを有し、第1のバレル部分が、第1のCTEとは異なるCTEを有していることを特徴とする請求項2に記載の光学システム。
【請求項7】
第1及び第2のCTEが同一であることを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
第1及び第2のCTEが互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項9】
光学システムの温度変化により、機械軸線に沿って測定したレンズ取付具の長さが増大又は減少され、レンズ取付具の長さの増大が、画像平面から離れるように最後の倍率調整された光学面を促し、レンズ取付具の長さの減少が、画像平面へ向けて最後の倍率調整された光学面を促すことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項10】
レンズ取付具を基板に結合する、レンズ取付具と基板の間の接着剤の層を更に含み、接着剤の層が接着剤CTEを有し、光学システムの温度変化により、機械軸線に沿って測定した接着剤の層の長さが増大又は減少され、接着剤の層の長さの増大が、画像平面から離れるように最後の倍率調整された光学面を促し、接着剤の層の長さの減少が、画像平面へ向けて最後の倍率調整された光学面を促すことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項11】
イメージセンサが第3のCTEを有し、光学システムの温度変化により、機械軸線に沿って測定したイメージセンサの長さが増大又は減少され、イメージセンサの長さの増大が、最後の倍率調整された光学面へ向けて画像平面を促し、イメージセンサの長さの減少が、最後の倍率調整された光学面から離れるように画像平面を促すことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項12】
機械軸線に沿って測定したレンズ取付具の長さが、光学システムの温度変化の結果としての背面焦点距離の変化を更に制限するように選択されていることを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項13】
レンズ取付具及びレンズバレルが、機械軸線に対して横方向に延びる結合平面において互いに係合し、光軸が、交点において最後の倍率調整された光学面と交差し、機械軸線又は光軸に沿って測定した、結合平面と交点の間の距離が、光学システムの温度変化の結果としての背面焦点距離の変化を更に制限するように選択されていることを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項14】
光学システムの温度変化により、光軸に沿って測定した少なくとも1つのレンズ要素の長さ、少なくとも1つのレンズ要素の円弧及び少なくとも1つのレンズ要素の屈折率が変化し、少なくとも1つのレンズ要素の長さ、円弧及び屈折率の変化が、画像平面へ向けて、又は画像平面から離れるように最後の倍率調整された光学面を促すことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項15】
少なくとも1つのレンズ要素をレンズバレルにおいて保持するために、レンズバレルにおける少なくとも1つのスペーサ要素を更に含み、光学システムの温度変化により、光軸に沿って測定した少なくとも1つのスペーサ要素の長さが変化し、少なくとも1つのスペーサ要素の長さの変化が、光軸に沿って画像平面へ向けて、又は画像平面から離れるように最後の倍率調整された光学面を促すことを特徴とする請求項14に記載の光学システム。
【請求項16】
請求項1に記載の光学システムを含む運転者支援システム。
【請求項17】
基板と、
基板におけるイメージセンサと、
イメージセンサと交差する機械軸線を規定するレンズバレルと、
レンズバレル及び取付具が一体部材として構成されるようにレンズバレルと統合して形成されているとともに、基板に結合され、レンズバレルを基板に結合させるレンズ取付具と、
機械軸線においてレンズバレルにある少なくとも1つのレンズ要素と
を含むことを特徴とする光学システム。
【請求項18】
レンズバレルが、統合して形成された第1及び第2のバレル部分を有し、第1のバレル部分が、レンズ取付具と係合するフランジを含み、第2のバレル部分が、フランジから基板へ向けてレンズ取付具の取付開口部へ延びていることを特徴とする請求項17に記載の光学システム。
【請求項19】
レンズ取付具及びフランジが、機械軸線に対して横方向に延びる結合平面において互いに係合し、少なくとも1つのレンズ要素によって規定される光軸が、交点において少なくとも1つのレンズ要素の最後の倍率調整された光学面と交差し、機械軸線又は光軸に沿って測定した、結合平面と交点の間の距離が、光学システムの温度変化の結果としての背面焦点距離の変化を更に制限するように選択されていることを特徴とする請求項17に記載の光学システム。
【請求項20】
イメージセンサが画像平面を有しており、少なくとも1つのレンズ要素の最後の光学面が、少なくとも1つのレンズ要素によって規定された光軸に沿って背面焦点距離だけ画像平面から離間しており、レンズバレルが第1の熱膨張係数(CTE)を有しており、レンズ取付具が第2のCTEを有しており、第1及び第2のCTEのうち少なくとも1つが、イメージセンサによって受け取られる画像の焦点ぼけ及び劣化を防止するために、光学システムの温度変化の結果としての背面焦点距離の変化を制限することを特徴とする請求項17に記載の光学システム。
【請求項21】
機械軸線に沿って測定したレンズ取付具の長さが、光学システムの温度変化の結果としての背面焦点距離の変化を更に制限するように選択されていることを特徴とする請求項17に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学システム、特にレンズ取付具と統合して形成されたレンズバレルを有する光学システムに向けられたものである。
【背景技術】
【0002】
車両用の先進運転者支援システム(「ADAS」)が知られている。車両用ADASの1つのタイプは、前方カメラシステムを用いる。カメラシステムは、車両前方における前方視界を提供するために車両のフロントガラスに固定される。このような前方へ向いた車両用ADAS装置は、車両の前方の動作環境を監視するとともに、車両の動作を支援するために、監視された環境情報を他の車両システムに提供する。例えば、車両用ADASは、車線逸脱を監視し、車線における車両の維持をアシストし、車線中央維持/車線誘導を提供し、ハイビーム及び/若しくはロービームヘッドライトの動作を制御し、車両の存在を検知し、前方衝突警告を提供し、標識認識を実行し、並びに/又は歩行者の検知に応答して自動緊急ブレーキを作動させることが可能である。車両用ADAS制御装置は、カメラシステムの出力部に接続されるとともに、カメラからの画像出力データを解析する。
【0003】
カメラシステムは、イメージセンサへ光を導く複数のレンズ要素を含むことができる。レンズ要素の背面焦点距離は、光学システムが焦点合わせされ、イメージセンサによって鮮明な画像が捕捉されるように選択される。カメラシステムの温度変化により引き起こされるカメラシステムの膨張又は収縮により、選択された背面焦点距離が変化することがあり、これにより、カメラシステムにより捕捉された画質の焦点ぼけ及び劣化が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、カメラシステムにより捕捉された画質の焦点ぼけ及び劣化を抑制する光学システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様によれば、光学システムは基盤を含んでいる。イメージセンサは基板にある。イメージセンサは画像平面を有している。レンズバレルは、イメージセンサ及び画像平面と交差する機械軸線を規定する。レンズバレルは、第1の熱膨張係数(CTE)を有している。レンズ取付具は、レンズバレルと統合して形成されている。レンズ取付具は基板に結合されている。レンズ取付具は第2のCTEを有している。少なくとも1つのレンズ要素は、機械軸線においてレンズバレルにあるとともに、イメージセンサ及び画像平面と交差する光軸を規定している。少なくとも1つのレンズ要素の最後の倍率調整された光学面は、光軸に沿って、背面焦点距離だけ画像平面から離間している。第1及び第2のCTEのうち少なくとも1つは、イメージセンサによって受け取られる画像の焦点ぼけ及び劣化を防止するために、光学システムの温度変化の結果としての背面焦点距離の変化を制限する。
【0006】
他の1つの態様によれば、単独で、又は任意の他の抽象的なものと組み合わせて、光学系は、基板を含むことができる。イメージセンサは基板にあってよい。レンズバレルは、イメージセンサ及び画像平面と交差する機械軸線を規定することができる。レンズバレル及び取付具が一体部材として構成されるように、レンズ取付具はレンズバレルと統合して形成されることが可能である。レンズ取付具は、基板に結合されることができるとともに、レンズバレルを基板に結合させることが可能である。少なくとも1つのレンズ要素は、機械軸線におけるレンズバレルにあってよい。
【0007】
本発明の上記の、及び他の特徴は、以下の添付の図面を参照した本発明の説明を考慮すれば、本発明に関連する当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例に従い作成された光学システムの断面図である。
図2】本発明の他の一実施例に従い作成された光学システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1には、車両用の先進運転者支援システム(「ADAS」)12において用いられることが可能な光学システム10が図示されている。ADAS12において用いられる場合には、光学システム10は、車両のフロンドウィンドウ、サイドウィンドウ又はリヤウィンドウのようなウィンドウに固定されることが可能である。ADAS12は、車両の動作環境を監視することができるとともに、車両の動作を支援するために、監視された環境情報を他の車両システムに提供することが可能である。例えば、ADAS12は、車線逸脱を監視し、車線における車両の維持をアシストし、車線中央維持/車線誘導を提供し、ハイビーム及び/若しくはロービームヘッドライトの動作を制御し、車両の存在を検知し、前方衝突警告を提供し、標識認識を実行し、並びに/又は歩行者の検知に応答して自動緊急ブレーキを作動させることが可能である。ADAS制御装置は、光学システム10の出力部に接続されることができるとともに、光学システムからの画像出力データを解析することが可能である。
【0010】
図1に示されているように、光学システム10は、基板14を含んでいる。基板14は、プリント回路基板(「PCB」)であってよく、それゆえ、ここではPCBという。イメージセンサ16がPCB14上にある。イメージセンサ16は、はんだ付けのような任意の所望の態様でPCB14に結合されることが可能である。イメージセンサ16は、画像平面距離20だけPCB14から離間した画像平面18を規定している。機械軸線24に沿って測定したイメージセンサの長さ22がどのように変化するか、すなわち光学システム10の温度変化に伴い機械軸線に沿って膨張又は収縮するかを規定するセンサ熱膨張係数(「CTE」)をイメージセンサが有するように、イメージセンサ16を形成する1つ又は複数の材料が選択される。イメージセンサ16の長さ22の変化により、画像平面距離20が対応して増減する。
【0011】
レンズバレル及び取付具が一体部材として構成されるように、レンズバレル26はレンズ取付具28と統合して形成されている。レンズ取付具28及びレンズバレル26は、二段階射出成形プロセス又はインサート成形プロセスによって統合して形成されている。したがって、統合して形成されたレンズバレル26及びレンズ取付具28は、留め具、接着結合又ははんだ付けによって互いに結合されているわけではない。レンズ取付具28は、レンズバレル26をPCB14に結合する。レンズバレル26は、機械軸線24を規定する。機械軸線24は、イメージセンサ16及び画像平面18と交差する。
【0012】
レンズバレル26は、統合して形成された第1及び第2のバレル部分30,32を有している。第1及び第2のバレル部分30,32は、射出成形プロセス、オーバーモールドプロセス、二段階射出成形プロセス又はインサート成形プロセスによって統合して形成されることが可能である。第1及び第2のバレル部分30,32は、例えば、アルミニウム、真ちゅう及びポリマのうち1つ又は複数によって形成されることが可能である。機械軸線24に沿って測定した第1のバレル部分の長さ34がどのように変化するか、すなわち光学システム10の温度変化に伴い機械軸線に沿って膨張又は収縮するかを規定する第1のバレルCTEを第1のバレル部分が有するように、第1のバレル部分30を形成する1つ又は複数の材料が選択される。機械軸線24に沿って測定した第2のバレル部分の長さ36がどのように変化するか、すなわち光学システム10の温度変化に伴い機械軸線に沿って膨張又は収縮するかを規定する第2のバレルCTEを第2のバレル部分が有するように、第2のバレル部分32を形成する1つ又は複数の材料が選択される。
【0013】
図1の例示的な構成において示されているように、第1及び第2のバレル部分30,32は、第1及び第2のバレルCTEが同一であるように同一の1つ又は複数の材料で形成されることが可能である。これに代えて、図2の例示的な構成において示されているように、第1及び第2のバレル部分30,32は、第1のバレルCTEが第2のバレルCTEとは異なるように異なっていてもよい。
【0014】
図1に示されているように、第1のバレル部分30は、実質的に円筒状のフランジ38と、フランジから機械軸線24に沿ってPCB14から離れる第1の方向FDへ延びる実質的に円筒状の部分40とを含んでいる。第1のバレル部分30は、機械軸線24に沿って第1のバレル部分を通って延びる第1のバレル開口部42を規定する。第2のバレル部分32は、実質的に円筒状であるとともに、第1の方向FDとは逆のフランジ38からPCB14への第2の方向SDへ延びている。第2のバレル部分32は、機械軸線24に沿って第2のバレル部分を通って延びる第2のバレル開口部44を規定する。第1及び第2のバレル開口部42,44は、機械軸線24に沿ってレンズバレル26全体を通って延びるレンズバレル開口部46を共に形成する。
【0015】
レンズ取付具28は、実質的に円筒状であるとともに、機械軸線24に沿ってフランジ38から第2の方向SDへ延びている。レンズ取付具28は、レンズ取付具とPCBの間の接着剤の層54によってPCB14に直接結合されている。レンズ取付具28は取付開口部48を規定しており、当該取付開口部には、第2のバレル部分32が延びている。レンズ取付具28及びフランジ38は、機械軸線24に対して横方向に延びる結合平面50において互いに係合している。
【0016】
レンズ取付具28は、実質的に円筒状であってよい。これに代えて、レンズ取付具28は、当該レンズ取付具とレンズバレル26の間の境界部が実質的に円筒状である一方、レンズ取付具とPCB14の間の境界部が正方形又は長方形であるように構成されることが可能である。したがって、レンズ取付具28は、レンズバレル26と接続するための実質的に円筒状の部分と、PCB14と接続するための実質的に正方形又は長方形の部分とを有している。
【0017】
レンズ取付具28は、例えば、アルミニウム、真ちゅう及びポリマのうち1つ又は複数によって形成されることが可能である。機械軸線24に沿って測定したレンズ取付具の長さ52がどのように変化するか、すなわち光学システム10の温度変化に伴い機械軸線に沿って膨張又は収縮するかを規定する取付具CTEをレンズ取付具が有するように、レンズ取付具28を形成する1つ又は複数の材料が選択される。
【0018】
機械軸線24に沿って測定した接着剤の層の長さ56がどのように変化するか、すなわち光学システム10の温度変化に伴い機械軸線に沿って膨張又は収縮するかを規定する接着剤CTEを接着剤の層が有するように、接着剤の層54を形成する1つ又は複数の材料が選択される。レンズ取付具28が接着剤の層54によってPCB14に結合されるように示され、記述されているが、レンズ取付具は、はんだ付け又は1つ若しくは複数の留め具のような他の任意の所望の態様でPCBに結合されることが可能である。
【0019】
少なくとも1つのレンズ要素58,60,62,64,66は、レンズバレル26において機械軸線24にあるとともに、イメージセンサ16に光を導くために用いられる。図1の例示的な構成において示されているように、第1のバレル部分30は、機械軸線24において第1のバレル開口部42に複数のレンズ要素58,60,62,64を有している。第2のバレル部分32は、機械軸線24において第2のバレル開口部44に1つのレンズ要素66を有している。各レンズ要素58,60,62,64,66は、ガラス、ポリマ、ポリカーボネート、アクリルガラス及び環状オレフィン系共重合体のうち1つ又は複数で形成されることが可能である。機械軸線24に沿って測定した各レンズ要素の長さがどのように変化するか、すなわち光学システム10の温度変化に伴い機械軸線に沿って膨張又は収縮するかを規定するレンズCTEを各レンズ要素が有するように、各レンズ要素58,60,62,64,66を形成する1つ又は複数の材料が選択される。
【0020】
レンズ要素58,60,62,64,66は、イメージセンサ16及び画像平面18と交差する光軸25を規定する。図1に示されているように、軸線24,25は、同軸となっている。これに代えて、軸線24,25は、実質的に同軸となっていてもよい。実質的に同軸な軸線24,25は、わずかな度合いだけ互いにオフセットされていることが可能である。
【0021】
レンズ要素66は、レンズ要素58,60,62,64,66の最後の倍率調整された(powered)光学面68を規定する。最後の倍率調整された光学面68は、画像平面18に最も近いレンズ要素58,60,62,64,66の非平面的な光学面である。画像平面18と、光軸25が倍率調整された光学面と交差する、倍率調整された光学面68における交点70との間の距離は、背面焦点距離72と呼ばれる。背面焦点距離72は、光学システム10が焦点合わせされ、イメージセンサ16によって鮮明な画像が捕捉されるように選択される。その選択された背面焦点距離72は、25℃である光学システム10の温度を基礎として決定されることが可能である。
【0022】
光学システム10は、1つ若しくは複数のスペーサ要素74,76,78及び/又は1つ若しくは複数のリテーナ80,82を更に含むことができる。スペーサ要素74,76,78及びリテーナ80,82は、レンズバレル26においてレンズ要素58,60,62,64,66を保持する。図1に示されているように、複数のスペーサ要素74,76,78がレンズバレル26にある。各スペーサ要素74,76,78は、隣接した2つのレンズ要素58,60,62,64,66に係合するか、又はレンズ要素と、レンズバレル26の隣接するショルダ部84とに係合する。ショルダ部84は、機械軸線24に向けて第1のバレル開口部42へ径方向に延びている。スペーサ要素74,76,78は、アルミニウム、真ちゅう及びポリマのうち1つ又は複数によって形成されることが可能である。機械軸線24に沿って測定した各スペーサ要素の長さがどのように変化するか、すなわち光学システム10の温度変化に伴い機械軸線に沿って膨張又は収縮するかを規定するスペーサCTEを各スペーサ要素が有するように、スペーサ要素74,76,78を形成する1つ又は複数の材料が選択される。
【0023】
図1に示されているように、第1のリテーナ80は、第1のバレル部分30に結合、例えば螺着されることが可能である。第1のリテーナ80は、ショルダ部84と第1のリテーナの間にあるレンズ要素58,60,62及びスペーサ要素74,76がレンズバレル26における所定の位置から移動することを防止するのを補助する。第2のリテーナ82は、第2のバレル部分32に結合、例えば螺着されることが可能である。第2のリテーナ82は、ショルダ部84と第2のリテーナの間にあるレンズ要素64,66及びスペーサ要素78がレンズバレル26における所定の位置から移動することを防止するのを補助する。第1及び第2のリテーナ80,82は、金属、アルミニウム、真ちゅう及びポリマのうち1つ又は複数によって形成されることが可能である。
【0024】
フィルタレンズ86は、第2のリテーナ82に結合されることが可能である。フィルタレンズ86は、機械軸線24に沿って延在している。フィルタレンズ86は、イメージセンサ16及びレンズ要素58,60,62,64,66の保護を補助することができる。フィルタレンズ86は、レンズ要素58,60,62,64,66を通してイメージセンサ16へ通過する光の特性を変化させることも可能である。フィルタレンズ86は、ポリマ、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、アクリルガラス及び環状オレフィン系共重合体のうち1つ又は複数で形成されることが可能である。
【0025】
25℃からの光学システム10の温度の変化により、光学システムの選択された背面焦点距離72が変化し得る。25℃からの光学システム10の温度の変化の結果としての第2のバレル部分32の長さ36の変化により、交点70と結合平面50の間の距離88(ここでは、結合平面距離88という)が増減し得る。第2のバレルCTEにより、光学システム10の温度が上昇する場合に、第2のバレル部分32の長さ36がPCB14に向けて第2の方向SDへ膨張することとなる。第1のバレル部分30のフランジ38が第1の方向FDへの第2のバレル部分32の膨張を防止するため、第2のバレル部分32は、第2の方向SDにおいて膨張する。膨張する第2のバレル部分32は、結合平面距離88を増大させるために、結合平面50から離れるように第2の方向SDへ最後の光学面68の交点70を促す。結合平面距離88の増大により、背面焦点距離72が減少し得る。逆に、第2のバレルCTEにより、光学システム10の温度が低下する場合に、第2のバレル部分32の長さ36がPCB14から離れるように第1の方向FDへ収縮することとなる。収縮する第2のバレル部分32は、結合平面距離88を減少させるために、結合平面50に向けて第2の方向FDへ交点70を促す。結合平面距離88の減少により、背面焦点距離72が増大し得る。
【0026】
取付具CTEにより、光学システム10の温度が上昇する場合に、レンズ取付部28の長さ52がPCB14から離れるように第1の方向FDへ膨張することとなる。膨張するレンズ取付具28は、PCB14から離れるように第1の方向FDにおいてレンズバレル26及び結合平面50を促す。膨張するレンズ取付具28も、画像平面18から離れるように第1の方向FDにおいてレンズ要素58,60,62,64,66及び交点70を促す。逆に、取付具CTEにより、光学システム10の温度が低下する場合に、レンズ取付部28の長さ52がPCB14に向けて第2の方向SDへ収縮することとなる。収縮するレンズ取付具28は、PCB14に向けて第2の方向SDにおいてレンズバレル26及び結合平面50を促す。収縮するレンズ取付具28も、画像平面18へ向けて第2の方向SDにおいてレンズ要素58,60,62,64,66及び交点70を促す。
【0027】
接着剤CTEにより、光学システム10の温度が上昇する場合に、接着剤の層54の長さ56がPCB14から離れるように第1の方向FDへ膨張することとなる。膨張する接着剤の層54は、PCB14から離れるように第1の方向FDにおいてレンズ取付具28及びレンズバレル26を促す。膨張する接着剤の層54も、画像平面18から離れるように第1の方向FDにおいてレンズ要素58,60,62,64,66及び交点70を促す。逆に、接着剤CTEにより、光学システム10の温度が低下する場合に、接着剤の層54の長さ56がPCB14に向けて第2の方向SDへ収縮することとなる。収縮する接着剤の層54は、PCB14に向けて第2の方向SDにおいてレンズ取付具28及びレンズバレル26を促す。収縮する接着剤の層54も、画像平面18へ向けて第2の方向SDにおいてレンズ要素58,60,62,64,66及び交点70を促す。
【0028】
センサCTEにより、光学システム10の温度が上昇する場合に、イメージセンサ16の長さ22がPCB14から離れるように第1の方向FDへ膨張することとなる。膨張するイメージセンサ16は、PCB14から離れるように、交点70に向けて第1の方向FDへ画像平面18を促す。したがって、膨張するイメージセンサ16は、画像平面距離20を増大させることとなり得る。逆に、センサCTEにより、光学システム10の温度が低下する場合に、イメージセンサ16の長さ22がPCB14に向けて第2の方向SDへ収縮することとなる。収縮するイメージセンサ16は、交点70に向けてPCB14から離れるように、第2の方向SDへ画像平面18を促す。したがって、収縮するイメージセンサ16は、画像平面距離20を減少させることとなり得る。
【0029】
選択された背面焦点距離72に影響を与える他のファクタは、レンズ要素における温度の総和効果(「総和効果」)である。総和効果は、様々なファクタが画像平面18に向かって、又は画像平面18から離れるようにどのように交点70を促すかを反映した所定の値である。総和効果は、光学システム10の温度の変化の結果としてのレンズ要素58,60,62,64,66の屈折率の変化を含むことができる。レンズ要素58,60,62,64,66の屈折率の変化は、光学システム10における温度が25℃から変化するときに、選択された背面焦点距離72が変化するように促す主要なファクタであり得る。総和効果には、光学システム10の温度の変化の結果としてのレンズ要素58,60,62,64,66の長さの変化が含まれ得る。総和効果は、レンズ要素58,60,62,64,66の円弧が温度変化に応答してどのように変化するかも含むことができる。スペーサ要素74,76,78の長さの変化は、画像平面18に向けて、又は画像平面18から離れるようにレンズ要素58,60,62,64,66を促すことも可能である。したがって、総和効果には、スペーサ要素74,76,78の長さの変化が含まれ得る。
【0030】
それゆえ、選択された背面焦点距離72は、光学システム10の25℃からの温度の変化が第2のバレル部分32、レンズ取付具28、接着剤の層54、イメージセンサ16及びレンズ要素58,60,62,64,66にどのように影響を与えるかに基づいて、変化を促されることが可能である。以下の方程式は、選択された背面焦点距離72が、イメージセンサ16によって受け取られる画像の焦点ぼけ及び劣化を防止するために制限又は防止されることを保証するために用いられることが可能である。
ΔBFL=SE+ΔCPD-ΔLLM-ΔLLOA+ΔIPD
ここで、ΔBFLは選択された背面焦点距離72の変化であり、SEは総和効果であり、ΔCPDは結合平面距離88の変化であり、ΔLLMはレンズ取付具28の長さ52の変化であり、ΔLLOAは接着剤の層54の長さ56の変化であり、ΔIPDは画像平面距離20の変化である。
【0031】
第2のバレル部分32、レンズ取付具28、接着剤の層54、イメージセンサ16、レンズ要素58,60,62,64,66及びスペーサ要素74,76,78のうち1つ又は複数の材料及びCTEは、光学システム10の温度の変化の結果としての選択された背面焦点距離の変化ΔBFLがゼロ又はほぼゼロであるように選択されることが可能である。光学システムの設計制約条件により第2のバレル部分32及びレンズ取付具28は、選択された材料及びCTEにおいて最大のフレキシビリティを提供することができる。1つの構成においては、第2のバレル部分32及びレンズ取付具28を形成する材料は、選択された背面焦点距離の変化ΔBFLを防止するか、又は最小化するために、第2のバレルCTE及び取付具CTEが同一であるように選択されることが可能である。これに代えて、第2のバレル部分32及びレンズ取付具28を形成する材料は、選択された背面焦点距離の変化ΔBFLを防止するか、又は最小化するために、第2のバレルCTE及び取付具CTEが異なるように選択されることが可能である。
【0032】
第2のバレル部分32及びレンズ取付具28が共に統合して形成されるとしても、第2のバレルCTE及び取付具CTEは、第2のバレル部分及びレンズ取付具を形成するために2つの異なる基材を用いることで、互いに異なるように作られることが可能である。1つの例示的な構成では、第2のバレル部分32の基材はポリフェニレンサルファイド(「PPS」)のようなポリマであってよく、一方、レンズ取付具28の基材はアルミニウムである。第2のバレル部分32を形成するPPSは、「未充填」であってよい。未充填のPPSは、多量の充填剤を含んでいない。未充填のPPSのCTEは、典型的にはアルミニウムのCTEよりも大きい。それゆえ、この例示的な構成では、第2のバレル部分32はレンズ取付具28よりも大きな異なるCTEを有している。
【0033】
これに代えて、第2のバレル部分32及びレンズ取付具28が同一の基材を含むとしても、第2のバレルのCTE及び取付具CTEは、異なるように作られることが可能である。1つの例示的な構成では、第2のバレル部分32及びレンズ取付具28の両方の基材はPPSであってよい。しかし、第2のバレル部分32は、約45~70%のPPSと、約30~55%の、ガラスファイバ、ガラスビーズ及び/又は雲母のような充填剤とを含むことができる。レンズ取付具28は、約35~44%のPPSと、約56~65%の充填剤とを含むことができる。第2のバレル部分32及びレンズ取付具28において用いられる充填剤により、典型的には、第2のバレルCTE及び取付具CTEは、第2のバレル部分及びレンズ取付具が充填材を含まない場合よりも低くなる。第2のバレル部分32がレンズ取付具28よりも低いパーセンテージの充填剤を含むため、第2のバレルCTEは取付具CTEよりも大きい。したがって、第2のバレル部分32及びレンズ取付具28の両方が同一の基材を含むとしても、第2のバレルCTE及び取付具CTEは、第2のバレル部分及びレンズ取付具のそれぞれに含まれる充填剤の量を変えることで、互いに異なるように作られることが可能である。第2のバレルCTE及び取付具CTEは、第2のバレル部分32及びレンズ取付具28が同一の基材を有する場合に、第2のバレル部分32及びレンズ取付具28のそれぞれに含まれる充填剤のタイプを代えることで異なるように作られることも可能である。
【0034】
第2のバレル部分32及び/又はレンズ取付具28のような光学システム10の1つ又は複数の特徴の材料及びCTEは、25℃から所定の度数への光学システム10の温度の低下の結果としての選択された背面焦点距離の変化ΔBFLが25℃から所定の度数への光学システムの温度の上昇の結果としての選択された背面焦点距離の変化とほぼ同じであるように選択されることも可能である。例えば、光学システム10が25℃から-40℃へ冷却される場合の選択された背面焦点距離の変化ΔBFLは、光学システムが25℃から105℃へ加熱される場合の選択された背面焦点距離の変化とほぼ同一であり得る。
【0035】
レンズ取付具28、第2のバレル部分32及び接着剤の層54のうち1つ又は複数の長さは、25℃からの光学システム10の温度の変化の結果としての選択された背面焦点距離の変化ΔBFLがゼロ又はほぼゼロであるように選択されることも可能である。レンズ取付具の長さの変化ΔLLMは、選択された背面焦点距離の変化ΔBFLが制限又は防止されることを保証するのを補助するための方程式における一成分である。光学システム10の温度が25℃から変化すると、レンズ取付具28の長さ52が、25℃におけるレンズ取付具の長さ及び温度変化に比例する量だけ変化する。したがって、25℃におけるレンズ取付具28の長さ52を選択する際に、25℃からの光学システム10の温度の変化の結果としての選択された背面焦点距離の変化ΔBFLがゼロ又はほぼゼロであるように、ΔLLM成分を調整することが可能である。
【0036】
結合平面距離の変化ΔCPDは、選択された背面焦点距離の変化ΔBFLが制限又は防止されることを保証するのを補助するための方程式における他の一成分である。光学システム10の温度が25℃から変化すると、結合平面距離88が、25℃における結合平面距離の長さ及び温度変化に比例する量だけ変化する。したがって、25℃における結合平面距離の長さを選択する際に、25℃からの光学システム10の温度の変化の結果としての選択された背面焦点距離の変化ΔBFLがゼロ又はほぼゼロであるように、ΔCPD成分を調整することが可能である。
【0037】
所望される場合には、結合平面50に対してレンズ要素66及び/又は交点70を第2の方向SDへ移動させることで、25℃における結合平面距離88を図1に示されたものから増大させることが可能である。結合平面距離88の当該増大に適応するために、光学システム10の温度が25℃であるときに第2のバレル部分32がフランジ38から第2の方向SDに延びる長さ36を図1に示すものよりも長くすることが可能である。逆に、結合平面50に対してレンズ要素66及び/又は交点70を第1の方向FDへ移動させることで、25℃における結合平面距離88を図1に示されたものから減少させることが可能である。結合平面距離88の当該減少に適応するために、光学システム10の温度が25℃であるときに第2のバレル部分32がフランジ38から第2の方向SDに延びる長さ36を図1に示すものよりも短くすることが可能である。
【0038】
結合平面距離88は、光学システム10の温度が25℃の場合に、機械軸線24に沿ったフランジ38の位置を選択することによって選択されることが可能である。例えば、図1における結合平面距離88は、図1に示すレンズバレル18における光軸25に沿った位置に交点70を維持しつつ図1に示すフランジの位置から機械軸線24に沿ってフランジ38を第1の方向FDに移動させることによって、増大されることが可能である。第1のバレル部分が、フランジと、フランジから第1の方向に延びる部分40とを含むため、フランジ38を第1の方向FDに移動させることにより、第1のバレル部分30の長さ34を短くすることが可能である。第2のバレル部分が、フランジ38から第2の方向SDに延びるレンズバレル26を含むため、フランジを第1の方向FDに移動させることにより、第2のバレル部分32の長さ36を長くすることが可能である。他の一例として、図1における結合平面距離88は、図1に示すレンズバレル18における光軸25に沿った位置に交点70を維持しつつ図1に示すフランジの位置から機械軸線24に沿ってフランジ38を第2の方向SDに移動させることによって、減少されることが可能である。フランジ38を第2の方向SDに移動させることにより、第1のバレル部分30の長さ34を長くすることができるとともに、第2のバレル部分32の長さ36を短くすることができる。
【0039】
レンズ取付具の長さの変化ΔLLOAも、選択された背面焦点距離の変化ΔBFLが制限又は防止されることを保証するのを補助するための方程式における一成分である。光学システム10の温度が25℃から変化すると、接着剤の層54の長さ56が、25℃における接着剤の層の長さ及び温度変化に比例する量だけ変化する。したがって、25℃における接着剤の層54の長さ56を選択する際に、25℃からの光学システム10の温度の変化の結果としての選択された背面焦点距離の変化ΔBFLがゼロ又はほぼゼロであるように、ΔLLOA成分を調整することが可能である。
【0040】
本発明の上述の説明から、当業者は、改良、変更及び修正を理解する。当業者の技能内でのこのような改良、変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によってカバーされることを意図している。
図1
図2
【国際調査報告】