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特表2023-542346透明導電層、および該透明導電層を備える光起電デバイス
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  • 特表-透明導電層、および該透明導電層を備える光起電デバイス 図1
  • 特表-透明導電層、および該透明導電層を備える光起電デバイス 図2
  • 特表-透明導電層、および該透明導電層を備える光起電デバイス 図3
  • 特表-透明導電層、および該透明導電層を備える光起電デバイス 図4
  • 特表-透明導電層、および該透明導電層を備える光起電デバイス 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】透明導電層、および該透明導電層を備える光起電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/078 20120101AFI20230929BHJP
   H01L 31/0749 20120101ALI20230929BHJP
   H01L 31/0687 20120101ALI20230929BHJP
   H01L 31/073 20120101ALI20230929BHJP
【FI】
H01L31/06 600
H01L31/06 460
H01L31/06 310
H01L31/06 420
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518188
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 US2021051329
(87)【国際公開番号】W WO2022061295
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】63/081,131
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510328032
【氏名又は名称】ファースト・ソーラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ケファート,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ロス,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ウエイ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA05
5F251AA09
5F251AA10
5F251AA16
5F251DA10
5F251DA15
5F251DA18
5F251DA19
5F251FA02
5F251FA09
5F251GA02
5F251GA06
(57)【要約】
透明コンタクト層を有する光起電デバイスが、本明細書に記載されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜接合、第2の接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;
前記第2の接合が、前記薄膜接合と電気的に接続され、これにより、前記第2の接合と前記薄膜接合との間を電流が流れる;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合と前記第2の接合との間に配置されて、前記電流が前記透明導電層を通って流れ、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記隣接層が、前記高導電率層と接触しており、そして
前記高導電率層が、それ自体が、または酸化物ドーパントのドーピングにより、「++」型である酸化カドミウムを含む、
上記のタンデム型光起電デバイス。
【請求項2】
前記隣接層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項3】
前記酸化カドミウムが酸化物ドーパントでn++にドーピングされている、請求項2に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項4】
前記酸化物ドーパントがInである、請求項3に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項5】
前記酸化物ドーパントがGaである、請求項3に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項6】
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触したキャッピング層を備え、
前記透明導電層が、前記隣接層と前記キャッピング層との間にある、請求項2に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項7】
前記キャッピング層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項6に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項8】
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触した拡散バリア層を備え、
前記透明導電層が、前記隣接層と前記拡散バリア層との間にある、請求項2に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項9】
前記拡散バリア層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項8に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項10】
前記高導電率層が前記隣接層よりも厚い、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項11】
前記隣接層の厚さが125nm未満である、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項12】
前記高導電率層の厚さが300nm未満である、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項13】
前記透明導電層の厚さが40nmを超え、400nm未満である、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項14】
前記透明導電層が、800nm~1,300nmの波長を有する光に対して85%を超える平均透過率を有する、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項15】
前記薄膜接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が20%未満である、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項16】
前記薄膜接合の前記吸収体層が亜鉛を含む、請求項15に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項17】
前記薄膜接合の前記吸収体層がセレンを含む、請求項15に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項18】
前記薄膜接合が、バックコンタクト層を備え、
前記バックコンタクト層が、前記吸収体層と前記透明導電層との間に配置されており、そして
前記バックコンタクト層が、亜鉛およびテルルを含む、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項19】
前記第2の接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が50%を超える、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項20】
前記第2の接合が、非晶質シリコンまたは結晶シリコンを含む、請求項19に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項21】
前記第2の接合が、セレン化銅インジウムガリウムを含む、請求項19に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項22】
前記薄膜接合が、透明導電性酸化物層を備え、そして
前記薄膜接合の前記吸収体層が、前記透明導電性酸化物層と前記透明導電層との間に配置されている、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項23】
前記透明導電性酸化物層が、インジウムスズ酸化物を含む、請求項22に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項24】
前記透明導電性酸化物層が、スズ酸カドミウムを含む、請求項22に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項25】
前記スズ酸カドミウムが結晶質である、請求項24に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項26】
薄膜接合、第2の接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;
前記第2の接合が、前記薄膜接合と電気的に接続され、これにより、前記第2の接合と前記薄膜接合との間を電流が流れる;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合と前記第2の接合との間に配置されて、前記電流が前記透明導電層を通って流れ、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記高導電率層が、n++にドーピングされており、
前記隣接層が、前記高導電率層と接触しており、そして
前記隣接層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、
上記のタンデム型光起電デバイス。
【請求項27】
薄膜接合、第2の接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;
前記第2の接合が、前記薄膜接合と電気的に接続され、これにより、前記第2の接合と前記薄膜接合との間を電流が流れ;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合と前記第2の接合との間に配置されて、前記電流が前記透明導電層を通って流れ、ここで前記透明導電層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、
上記のタンデム型光起電デバイス。
【請求項28】
薄膜接合および透明導電層を備える光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合との電気的接続の少なくとも一部を形成し、ここで
前記透明導電層が非晶質スズ酸カドミウムを含む、光起電デバイス。
【請求項29】
薄膜接合および透明導電層を備える光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合との直列接続の少なくとも一部を形成しており、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記高導電率層が、「++」型にドーピングされており、そして
前記隣接層が、前記高導電率層と接触している、
上記の光起電デバイス。
【請求項30】
薄膜接合、および透明導電層を備える光起電デバイスであって、
前記薄膜接合は、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;および
前記透明導電層は、前記薄膜接合との直列接続の少なくとも一部を形成し、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記高導電率層が、酸化インジウムでドーピングされた酸化カドミウムを含み、
前記隣接層が、前記高導電率層と接触しており、そして
前記隣接層が、スズ酸カドミウムを含む、
上記の光起電デバイス。
【請求項31】
薄膜接合;および
前記薄膜接合から電荷キャリアを伝導する透明導電層
を備える光起電デバイスであって、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記隣接層が、前記高導電率層と接触しており、そして
前記高導電率層が、酸化インジウムでドーピングされた酸化カドミウムを含む、
上記の光起電デバイス。
【請求項32】
前記隣接層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項1および26から31のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項33】
前記酸化カドミウムが酸化物ドーパントでn++にドーピングされている、請求項32に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項34】
前記酸化物ドーパントがInである、請求項33に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項35】
前記酸化物ドーパントがGaである、請求項33に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項36】
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触したキャッピング層を備え、
前記透明導電層が、前記隣接層と前記キャッピング層との間にある、請求項1および26から35のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項37】
前記キャッピング層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項36に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項38】
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触した拡散バリア層を備え、そして
前記透明導電層が、前記隣接層と前記拡散バリア層との間にある、請求項1および26から37のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項39】
前記拡散バリア層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項38に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項40】
前記高導電率層が前記隣接層よりも厚い、請求項1および26から39のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項41】
前記隣接層の厚さが125nm未満である、請求項1および26から40のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項42】
前記高導電率層の厚さが300nm未満である、請求項1および26から41のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項43】
前記透明導電層の厚さが40nmを超え、400nm未満である、請求項1および26から42のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項44】
前記透明導電層が、800nm~1,300nmの波長を有する光に対して85%を超える平均透過率を有する、請求項1および26から43のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項45】
前記薄膜接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が20%未満である、請求項1および26から44のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項46】
前記薄膜接合の前記吸収体層が亜鉛を含む、請求項1および26から45のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項47】
前記薄膜接合の前記吸収体層がセレンを含む、請求項1および26から46のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項48】
前記薄膜接合が、バックコンタクト層を備え、
前記バックコンタクト層が、前記吸収体層と前記透明導電層との間に配置されており、そして
前記バックコンタクト層が、亜鉛およびテルルを含む、
請求項1および26から47のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項49】
前記第2の接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が50%を超える、請求項1、26から27および32から48のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項50】
前記第2の接合が、非晶質シリコンまたは結晶シリコンを含む、請求項49に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項51】
前記第2の接合が、セレン化銅インジウムガリウムを含む、請求項49に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項52】
前記薄膜接合が、透明導電性酸化物層を備え、そして
前記薄膜接合の前記吸収体層が、前記透明導電性酸化物層と前記透明導電層との間に配置されている、
請求項1および26から51のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項53】
前記透明導電性酸化物層が、インジウムスズ酸化物を含む、請求項52に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項54】
前記透明導電性酸化物層が、スズ酸カドミウムを含む、請求項52に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【請求項55】
前記スズ酸カドミウムが結晶質である、請求項54に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書は、一般に、光起電デバイス用の透明導電層に関し、より具体的には、光起電デバイスの効率を向上させるための、材料および層パラメータにおける特定の組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]光起電デバイスは、光起電力効果を示す半導体材料を使用して、光を電気に変換することで電力を生成する。ある種の半導体材料は、製造が困難な場合がある。たとえば、半導体材料の上に設けられる材料層には、望ましい特性と望ましくない特性の両方を有するものがある。残念ながら、半導体材料を効率的に生産するために必要な製造プロセスが、他の材料層の望ましくない特性を増強してしまう場合がある。したがって、効率を向上させる目的で光起電デバイスに追加された材料層が、最終的に効率を低下させる場合がある。
【発明の概要】
【0003】
[0003]したがって、光起電デバイスで用いる代替層構造が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】[0004]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による光起電デバイスを概略的に示す図である。
図2】[0005]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による図1の光起電デバイスの2-2に沿った断面を概略的に示す図である。
図3】[0006]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による基板を概略的に示す図である。
図4】[0007]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による図1および図2の光起電デバイスの透明導電層を概略的に示す図である。
図5】[0008]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態によるタンデム型光起電デバイスの断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0009]光起電デバイスは、基板上に形成された機能層の積層体から形成されてもよい。1つまたは複数の機能層は、材料の薄膜を含んでもよく、すなわち、光起電デバイスは、薄膜光起電デバイスであってもよい。薄膜光起電デバイスは、光を電荷キャリアに変換するための吸収体層と、電荷キャリアを集めるための導電層とを含んでもよい。場合によっては、導電層は、吸収体層に対してモジュールの裏面方向に形成されてもよい。単接合型デバイスでは、モジュール裏面に導電層が配置されてもよく、構成要素として非透明な金属層を使用することができる。しかしながら、そのような非透明な層は、多接合型光起電デバイスまたはタンデム型光起電デバイスの接合間に配置される導電層としての使用には適さない場合がある。本明細書で提供される実施形態は、透明導電層、および該透明導電層を備える光起電デバイスに関する。開示される透明導電層は、光起電デバイスの集電部の信頼性および耐久性を向上させ、同時に、窓、天窓、およびタンデム型デバイスなどの、透明性を必要とする用途での光起電デバイスの使用を可能にする。
【0006】
[0010]ここで図1を参照すると、光起電デバイス100の一実施形態が概略的に示されている。光起電デバイス100は、光を受け取り、光を電気エネルギーに変換するように構成されてもよく、たとえば、光子が光から吸収され、光起電力効果を介して電流に変換されてもよい。したがって、議論および明確化のために、光起電デバイス100は、たとえば太陽などの一次光源に面するように構成された前面102を画定することができる。さらに、光起電デバイス100は、たとえば、材料の複数の機能層によってなど、前面102から隔離された裏面104も画定することができる。用語「光」は、これらに限定されないが、紫外線(UV)、赤外線(IR)、および電磁スペクトルの可視部分の波長など、電磁スペクトルのさまざまな波長を指すことができることに注意されたい。「太陽光」は、本明細書で使用される場合、太陽によって放射される光を指す。
【0007】
[0011]光起電デバイス100は、前面102と裏面104との間に配置された複数の層を含んでもよい。本明細書で使用される場合、用語「層」は、表面上に設けられる材料の厚みを指す。各層は、隣接する表面の全てまたはいずれかの部分を覆うことができる。いくつかの実施形態において、光起電デバイス100の層は、太陽電池セル200のアレイに分割され得る。たとえば、光起電デバイス100は、複数の直列スクライブ202および複数の並列スクライブ204に従ってスクライビングされてもよい。直列スクライブ202は、光起電デバイス100の長さYに沿って延び、光起電デバイス100の長さYに沿って太陽電池セル200の境界を定めることができる。太陽電池セル200において隣り合う複数のセルは、光起電デバイス100の幅Xに沿って直列に接続されていてもよい。言い換えれば、隣り合う複数のセル200のモノリシックインターコネクトは、すなわち、直列スクライブ202に隣接して形成されてもよい。並列スクライブ204は、光起電デバイス100の幅Xに沿って延び、光起電デバイス100の幅Xに沿って太陽電池セル200の境界を定めることができる。動作中、電流205は、直列スクライブ202によって直列に接続された太陽電池セル200を通って、幅Xに沿って優位に流れることができる。動作中、並列スクライブ204は、長さYに沿って流れる電流205の能力を制限することができる。並列スクライブ204は任意であり、直列接続された太陽電池セル200を、長さYに沿って配列されたグループ206に分離するように構成されてもよい。
【0008】
[0012]図1をなおも参照すると、並列スクライブ204は、直列接続された太陽電池セル200のグループ206を電気的に分離することができる。いくつかの実施形態において、太陽電池セル200のグループ206は、たとえば、電気バッシング(electrical bussing)を介してなど、並列に接続されていてもよい。任意に、並列スクライブ204の数は、太陽電池セル200の各グループ206によって生成される最大電流を制限するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、各グループ206によって生成される最大電流は、たとえば、一実施形態において約100mA以下、別の実施形態において約75mA以下、またはさらなる実施形態において約50mA以下など、約200ミリアンペア(mA)以下であってもよい。
【0009】
[0013]ここで図2を参照すると、光起電デバイス100の層は、基板110上に設けられた薄膜積層体を含んでもよい。基板110は、光起電デバイス100への光の透過を促進するように構成されてもよい。基板110は、光起電デバイス100の前面102に配置されてもよい。図2および図3を併せて参照すると、基板110は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面112と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面114とを有してもよい。材料の1つまたは複数の層が、基板110の第1の表面112と第2の表面114との間に配置されてもよい。
【0010】
[0014]図3を参照すると、基板110は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面122と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面124とを有する透明層120を含んでもよい。いくつかの実施形態において、透明層120の第2の表面124は、基板110の第2の表面114を形成してもよい。透明層120は、たとえば、ガラスなどの実質的に透明な材料から形成されてもよい。好適なガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、または鉄含有量の低いいずれかのガラスを挙げることができる。透明層120は、いくつかの実施形態において約250nm~約1,300nmを含む、いずれの好適な透過範囲を有してもよい。透明層120はまた、たとえば、一実施形態において約50%超、別の実施形態において約60%超、さらに別の実施形態において約70%超、さらなる実施形態において約80%超、またはさらなる実施形態において約85%超を含む、いずれの好適な透過率パーセンテージを有してもよい。一実施形態において、透明層120は、約90%、またはそれ以上の透過率のガラスから形成されてもよい。任意に、基板110は、透明層120の第1の表面122に塗布されたコーティング126を含んでもよい。コーティング126は、これらに限定されないが、反射防止コーティング、汚れ防止コーティング、またはそれらの組み合わせなど、光と相互作用するように、または基板110の耐久性を向上させるように構成されてもよい。
【0011】
[0015]再び図2を参照すると、光起電デバイス100は、光起電力積層体の他の層の劣化または剥離をもたらし得る、基板110からの汚染物質(たとえば、ナトリウム)の拡散を軽減するように構成されたバリア層130を含んでもよい。バリア層130は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面132と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面134とを有してもよい。いくつかの実施形態において、バリア層130は、基板110に隣接して設けられてもよい。たとえば、バリア層130の第1の表面132は、基板100の第2の表面114上に設けられてもよい。本明細書で使用される語句「に隣接する」は、連続的に、かつ層間の少なくとも一部に介在物がない状態で2つの層が配置されることを意味する。
【0012】
[0016]一般に、バリア層130は、実質的に透明であり、熱的に安定であり、ピンホールの数が少なく、かつ高いナトリウム遮断能力および良好な粘着特性を有してもよい。あるいは、またはさらに、バリア層130は、光に色抑制を適用するように構成されてもよい。バリア層130は、酸化スズ、二酸化シリコン、アルミニウムでドーピングされた酸化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、または酸化アルミニウムを含むが、これらに限定されない、好適な材料の1つまたは複数の層を含んでもよい。バリア層130は、たとえば、一実施形態において約100Å超、別の実施形態において約150Å超、またはさらなる実施形態において約200Å未満を含む、第1の表面132および第2の表面134を境界とするいずれかの好適な厚さを有してもよい。
【0013】
[0017]図2をなおも参照すると、光起電デバイス100は、光起電デバイス100によって生成された電荷キャリアを輸送するための電気接点を提供するように構成された透明導電性酸化物(TCO)層140を含んでもよい。TCO層140は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面142と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面144とを有してもよい。いくつかの実施形態において、TCO層140は、バリア層130に隣接して設けられてもよい。たとえば、TCO層140の第1の表面142は、バリア層130の第2の表面134上に設けられてもよい。一般に、TCO層140は、実質的に透明であり、広いバンドギャップを有するn型半導体材料の1つまたは複数の層から形成されてもよい。具体的には、広いバンドギャップは、光の光子のエネルギーと比較してより大きなエネルギー値を有することができ、これは光の望ましくない吸収を軽減することができる。TCO層140は、二酸化スズ、ドーピングされた二酸化スズ(たとえば、F-SnO)、インジウムスズ酸化物、またはスズ酸カドミウム(CdSnO)を含むがこれらに限定されない、好適な材料の1つまたは複数の層を含んでもよい。TCO層140がスズ酸カドミウムを含む実施形態において、スズ酸カドミウムは、結晶の形態で提供されてもよい。たとえば、スズ酸カドミウムは、膜として堆積され、その後、アニーリングプロセスに供され、これにより、薄膜が結晶化膜に変換されてもよい。
【0014】
[0018]光起電デバイス100は、TCO層140と、いずれかの隣接する半導体層との間に絶縁層を設けるように構成されたバッファ層150を含んでもよい。バッファ層150は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面152と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面154とを有してもよい。いくつかの実施形態において、バッファ層150は、TCO層140に隣接して設けられてもよい。たとえば、バッファ層150の第1の表面152は、TCO層140の第2の表面144上に設けられてもよい。バッファ層150は、固有二酸化スズ(intrinsic tin dioxide)、酸化亜鉛マグネシウム(たとえば、Zn1-xMgO)、二酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛スズ、酸化亜鉛、酸化スズシリコン、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限定されない、TCO層140よりも高い抵抗率を有する材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、バッファ層150の材料は、隣接する半導体層(たとえば、吸収体)のバンドギャップに実質的に一致するように構成されてもよい。バッファ層150は、たとえば、一実施形態において約100Å超、別の実施形態において約100Å~約800Å、またはさらなる実施形態において約150Å~約600Åを含む、第1の表面152と第2の表面154との間におけるいずれの好適な厚さを有してもよい。
【0015】
[0019]図2をなおも参照すると、光起電デバイス100は、別の層と組になって光起電デバイス100内にp-n接合を形成するように構成された吸収体層160を含んでもよい。したがって、吸収された光の光子は、電子-正孔対を解離させ、キャリアフローを生成して、電気エネルギーをもたらすことができる。吸収体層160は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面162と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面164とを有してもよい。吸収体層160の厚さは、第1の表面162と第2の表面164との間に画定され得る。吸収体層160の厚さは、たとえば、一実施形態において約1μm~約7μm、別の実施形態において約1.5μm~約4μmなど、約0.5μm~約10μmであってもよい。
【0016】
[0020]本明細書に記載される実施形態によれば、吸収体層160は、過剰な正電荷キャリア、すなわち正孔またはアクセプタを有するp型半導体材料から形成されてもよい。吸収体層160は、たとえば、カドミウムおよびテルルのようなII-VI族半導体などの、いずれかの好適なp型半導体材料を含んでもよい。さらなる例としては、カドミウム、亜鉛、テルル、セレン、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む半導体材料が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、吸収体層160は、カドミウム、セレンおよびテルルの三元(たとえば、CdSeTe1-x)、またはカドミウム、セレン、テルル、および1種または複数の追加元素を含む化合物(たとえば、CdZnSeTe)を含んでもよい。吸収体層160は、1種または複数のドーパントをさらに含んでもよい。本明細書で提供される光起電デバイス100は、複数の吸収体材料を含んでもよい。
【0017】
[0021]吸収体層160がテルルおよびカドミウムを含む実施形態において、吸収体層160中のテルルの平均原子パーセントは、たとえば、一実施形態において約30原子パーセント超約50原子パーセント未満、さらなる実施形態において約40原子パーセント超約50原子パーセント未満、またはさらに別の実施形態において約47原子パーセント超約50原子パーセント未満など、約25原子パーセント以上約50原子パーセント以下であってもよい。あるいは、またはさらに、吸収体層160中のテルルの平均原子パーセントは、たとえば、一実施形態において約49%超など、約45原子パーセント超であってもよい。本明細書に記載される平均原子パーセントは、吸収体層160全体の代表であり、吸収体層160内の特定の位置における材料の原子パーセントは、吸収体層160の全体組成と比較して、厚さによって勾配を付けることができることに留意されたい。たとえば、吸収体層160は、勾配を付けた組成を有してもよい。
【0018】
[0022]吸収体層160がセレンおよびテルルを含む実施形態において、吸収体層160中のセレンの平均原子パーセントは、たとえば、一実施形態において約1原子パーセント超約20原子パーセント未満、別の実施形態において約1原子パーセント超約15原子パーセント未満、またはさらなる実施形態において約1原子パーセント超約8原子パーセント未満など、約0原子パーセント超約25原子パーセント以下であってもよい。テルル、セレン、またはその両方の濃度は、吸収体層160の厚さによって勾配を付けることができることに留意されたい。たとえば、吸収体層160が、xのモル分率でセレンを含み、1-xのモル分率でテルルを含む化合物(SeTe1-x)を含む場合、吸収体層160の第1の表面162からの距離によって、吸収体層160内においてxが変動してもよい。
【0019】
[0023]さらに図2を参照すると、吸収体層160は、電荷キャリア濃度を操作するように構成されたドーパントでドーピングされていてもよい。いくつかの実施形態において、吸収体層160は、たとえば、ヒ素、リン、アンチモン、またはそれらの組み合わせなどのV族ドーパントでドーピングされていてもよい。あるいは、またはさらに、吸収体層160は、たとえば、銅、銀、金、またはそれらの組み合わせなどのIB族ドーパントでドーピングされていてもよい。吸収体層160内のドーパントの総密度は、制御され得る。さらに、ドーパントの量は、吸収体層160の第1の表面162からの距離によって変動してもよい。
【0020】
[0024]本明細書で提供される実施形態によれば、p-n接合は、過剰な負電荷キャリア、すなわち電子またはドナーを有する光起電デバイス100の一部に十分に近接して吸収体層160を設けることによって形成されてもよい。いくつかの実施形態において、吸収体層160は、n型半導体材料に隣接して設けられてもよい。あるいは、吸収体層160とn型半導体材料との間に1つまたは複数の介在層が設けられてもよい。いくつかの実施形態において、吸収体層160は、バッファ層150に隣接して設けられてもよい。たとえば、吸収体層160の第1の表面162は、バッファ層150の第2の表面154上に設けられてもよい。
【0021】
[0025]光起電デバイス100は、ドーパントの望ましくない変質を軽減し、吸収体層160に電気接点を提供するように構成されたバックコンタクト層170を含んでもよい。バックコンタクト層170は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面172と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面174とを有してもよい。バックコンタクト層170の厚さは、第1の表面172と第2の表面174との間に画定され得る。バックコンタクト層170の厚さは、たとえば、一実施形態において約10nm~約50nmなど、約5nm~約200nmであってもよい。
【0022】
[0026]いくつかの実施形態において、バックコンタクト層170は、吸収体層160に隣接して設けられてもよい。たとえば、バックコンタクト層170の第1の表面172は、吸収体層160の第2の表面164上に設けられてもよい。いくつかの実施形態において、バックコンタクト層170は、たとえば、さまざまな組成で亜鉛およびテルルを含有する1つまたは複数の層など、I、II、VI族材料の組み合わせを含んでもよい。さらなる例示的な材料としては、テルル化カドミウム亜鉛およびテルル化亜鉛の二層、またはたとえば窒素などのV族ドーパントでドーピングされたテルル化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。薄膜接合176は、光起電力効果に主に寄与する薄膜積層体として定義されてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、薄膜接合176は、透明導電性酸化物層140、バッファ層150、吸収体層160、バックコンタクト層170、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0023】
[0027]図2、および図4を併せて参照すると、光起電デバイス100は、バックコンタクト層170、吸収体層160、またはその両方に電気接点を提供するように構成された透明導電層180を含んでもよい。透明導電層180は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面182と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面184とを有してもよい。いくつかの実施形態において、透明導電層180は、バックコンタクト層170または吸収体層160に隣接して設けられてもよい。たとえば、透明導電層180の第1の表面182は、バックコンタクト層170の第2の表面174または吸収体層160の第2の表面162上に設けられてもよい。透明導電層180の厚さは、第1の表面182と第2の表面184との間に画定され得る。透明導電層180の厚さは、たとえば、一実施形態において約40nm~約400nm、または約60nm~約350nmなど、約500nm未満であってもよい。
【0024】
[0028]本明細書で提供される実施形態によれば、透明導電層180は、材料の1つまたは複数の機能層を含んでもよい。いくつかの実施形態において、導電層180は、300nm~1300nmの波長を有する光に対して約50%を超える平均透過率を有してもよい。任意に、導電層180は、波長800nm~1300nmを有する光に対して、たとえば、一実施形態において約85%超、または別の実施形態において約90%超、またはさらなる実施形態において約95%超などの、約50%を超える平均透過率を有してもよい。透明導電層180は、たとえば吸収体層160などの、セル200の活性領域に対する金属種の拡散を制限するように動作可能な拡散バリア層210を含んでもよい。吸収体層160への金属種の拡散は、セル200の変換効率を低下させる場合がある。そのような劣化および性能の低下は、特に高温および/または多湿の環境と関連している場合がある。したがって、好適な拡散バリア210の使用により、光起電デバイス100の性能を向上させることができる。
【0025】
[0029]拡散バリア層210は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面212と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面214とを有してもよい。拡散バリア層210の厚さは、第1の表面212と第2の表面214との間に画定され得る。拡散バリア層210の厚さは、たとえば、一実施形態において約2nm~約100nm、または別の実施形態において約5nm~約50nmなど、約125nm未満であってもよい。
【0026】
[0030]いくつかの実施形態において、拡散バリア層210は、バックコンタクト層170に隣接して設けられてもよい。たとえば、拡散バリア層210の第1の表面212は、バックコンタクト層170の第2の表面174上に設けられてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、バックコンタクト層180の第1の表面182は、拡散バリア層210の第1の表面212によって形成されてもよい。一般に、拡散バリア層210は、「+」型にドーピングされ得る好適な透過率を有する材料によって形成されてもよい。たとえば、約1×1016cm-3より大きい電荷密度は、「+」型であると考えられてもよい。いくつかの実施形態において、拡散バリア層210は、n+にドーピングされていてもよい。代替的実施形態において、拡散バリア層210は、p+にドーピングされていてもよい。境界は厳密ではないが、電子ドナーキャリアが約1×1011cm-3~約1×1016cm-3の範囲で存在する場合、材料はn型と考えられてもよく、ドナーキャリア密度が約1×1016cm-3より大きい場合、n+型と考えられてもよい。同様に、材料は、電子アクセプタキャリア(すなわち「正孔」)が約1×1011cm-3~約1×1016cm-3の範囲で存在する場合はp型、アクセプタキャリア密度が約1×1016cm-3より大きい場合はp+型と一般に考えられる。絶対的なキャリア密度に関係なく、キャリア濃度が少なくとも2桁(すなわち100倍)高い場合、層はp型である層に対してp+である(またはn型である層に対してn+である)場合があるため、境界は厳密ではなく、重複する場合がある。さらに、約1×1018cm-3より大きい電荷密度は、「++」型であると考えられてもよい。したがって、n型またはp型のいずれかの層は、++層が+層の100倍を超える同型キャリア密度を有する場合、それ自体がさらに第3の層に対して「+」である同型の層に対して「++」である場合がある。
【0027】
[0031]拡散バリア層210に好適な材料は、たとえば、酸窒化チタン(TiN)または酸窒化モリブデン(MoN)などの耐火性酸窒化物を含んでもよい。理論に拘束されるものではないが、出願人は、合金中の酸素の量が増加すると、酸窒化物は、向上した光学特性、すなわち、透過率の増加を示す場合があることを発見した。しかしながら、さらに、増加した酸素によって電気伝導率は低下する場合があると考えられている。透明拡散バリア310での使用に好適な材料の別の群としては、たとえば、酸化スズ(SnO)酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(In(2-x)Sn)、酸化カドミウム(CdO)、およびスズ酸カドミウム(CdSnO)などの透明導電性酸化物が挙げられる。これらの透明導電性酸化物は、F、Al、In、Ga、Tiなど、およびその他の不純物をドープし、電気的、光学的特性を変えられてもよい。
【0028】
[0032]予想外に、スズ酸カドミウム(CdSnO)は、他の透明導電性酸化物と比較して、拡散遮断性、光学特性、電気特性において優れた組み合わせを示すことが発見された。さらに、非晶質スズ酸カドミウムが拡散バリア層210に利用されてもよいことが発見された。本明細書で使用される場合、用語「非晶質」は、長距離秩序を欠く固体を指す。一般に、非晶質スズ酸カドミウムは、熱処理プロセスを介して層のモルフォロジーを変換することなく、材料の層を堆積させることによって形成されてもよい。たとえば、非晶質スズ酸カドミウムは、比較的低い温度で、かつ堆積後のアニーリングなしで堆積されてもよい。いくつかの実施形態において、非晶質スズ酸カドミウムは、CdSnO材料(0.5≦x≦2)から形成されてもよい。
【0029】
[0033]図2および図4をなおも参照すると、透明導電層180は、低いデバイス直列抵抗をもたらすように構成された高導電率層220を含んでもよい。高導電率層220は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面222と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面224とを有してもよい。高導電率層220の厚さは、第1の表面222と第2の表面224との間に画定され得る。高導電率層220の厚さは、たとえば、一実施形態において約30nm~約300nm、別の実施形態において約50nm~約250nm、またはさらなる実施形態において約100nm~約250nmなど、約300nm未満であってもよい。
【0030】
[0034]いくつかの実施形態において、高導電率層220は、拡散バリア層210と比較して、吸収体層160またはバックコンタクト層170からさらに離れた位置に配置されてもよい。したがって、拡散バリア層210は、吸収体層160と高導電率層220との間、またはバックコンタクト層170と高導電率層220との間に配置されてもよい。具体的には、いくつかの実施形態において、高導電率層220は、高導電率層に隣接して設けられてもよい。たとえば、高導電率層220の第1の表面222は、拡散バリア層210の第2の表面214上に設けられてもよい。一般に、高導電率層220は、「++」型にドーピングされ得る好適な透過率を有する材料によって形成されてもよい。いくつかの実施形態において、拡散バリア層210は、n++にドーピングされていてもよい。したがって、高導電率層220は、縮退するように(degneratively)ドーピングされた透明導電性酸化物を含んでもよい。いくつかの実施形態において、高導電率層220は、それ自体または酸化物ドーパントでn++にドーピングされていてもよい。好適な酸化物ドーパントとしては、In、Ga、TiO、Dy、SnO、Y、Al、またはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。出願人は、たとえば、酸化インジウムドープ酸化カドミウム(CdO:In)または酸化ガリウムドープ酸化カドミウム(CdO:Ga)などの酸化カドミウム(CdO)が、好適な光学特性を有する他の透明導電性酸化物と比較して、比較的高い電気移動度を有することを発見した。したがって、酸化カドミウムを含む高導電率層220の実施形態は、比較的高い充填率、および向上した光起電力性能を示した。
【0031】
[0035]本明細書で提供される実施形態によれば、透明導電層180は、高温多湿環境における高導電率層220の腐食を軽減するように動作可能なキャッピング層230を含んでもよい。キャッピング層230は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面232と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面234とを有してもよい。キャッピング層230の厚さは、第1の表面232と第2の表面234との間に画定され得る。キャッピング層230の厚さは、たとえば、一実施形態において約2nm~約100nm、または別の実施形態において約5nm~約50nmなど、約125nm未満であってもよい。
【0032】
[0036]いくつかの実施形態において、キャッピング層230は、高導電率層220と比較して、吸収体層160またはバックコンタクト層170からさらに離れた位置に配置されてもよい。したがって、高導電率層220は、拡散バリア層210とキャッピング層230との間に配置されてもよい。具体的には、いくつかの実施形態において、キャッピング層230は、高導電率層220に隣接して設けられてもよい。たとえば、キャッピング層230の第1の表面232は、高導電率層220の第2の表面224上に設けられてもよい。キャッピング層230は、たとえば、スズ酸カドミウムなどの透明導電性酸化物を含んでもよい。いくつかの実施形態において、キャッピング層は、非晶質スズ酸カドミウムを含んでもよい。
【0033】
[0037]再び図2を参照すると、光起電デバイス100は、基板110と組になって光起電デバイス100のハウジングを形成するように構成された背面支持体190を含んでもよい。背面支持体190は、光起電デバイス100の裏面104に配置されてもよい。背面支持体190は、たとえば、ホウケイ酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス、炭素繊維、またはポリカーボネートを含む、いずれの好適な材料を含んでもよい。あるいは、背面支持体190は、ポリマーを主成分とする背面シートなどのいずれかの好適な材料であってもよい。背面支持体190および基板110は、光起電デバイス100のさまざまな層を、湿気および他の環境における危険への曝露から保護することができる。
【0034】
[0038]図5を参照すると、タンデム型光起電デバイス300が概略的に示されている。タンデム型光起電デバイス300は、光起電デバイス100の太陽電池セル200に関して上に開示されるようなスクライビングを介して形成され得る、タンデム型セル302を含んでもよい。タンデム型セル300は、薄膜接合176を含んでもよい。薄膜接合176は、透明導電層180、および任意に電気バス236を介して、第2の接合310に電気的に接続されていてもよい。本明細書で使用される場合、語句「電気的に接続されている」は、構成要素が組になって、互いに直接、または1つもしくは複数の追加構成要素を介して間接的に、実質的オーミック接触を形成することを意味し得る。したがって、電気的接続を介して、第2の接合310と薄膜接合176との間を電流が流れることができる。いくつかの実施形態において、第2の接合310および薄膜接合176は、電気的に直列接続されていてもよい。あるいは、第2の接合310および薄膜接合176は、たとえば、1つまたは複数の追加の構成要素または導体を介してなど、電気的に並列接続されていてもよい。いくつかの実施形態において、薄膜接合176は、第2の接合310よりもタンデム型光起電デバイス300の前面102に近い位置に配置されてもよい。透明導電層180は、薄膜接合176と第2の接合310との間に配置されてもよい。
【0035】
[0039]第2の接合310は、光起電力効果を介して光を電気エネルギーに変換するように構成されてもよい。第2の接合310は、たとえば、非晶質シリコン(a-Si)、結晶シリコン(c-Si)、またはセレン化銅インジウムガリウム(CIGS)などの、薄膜接合176の吸収体層160とは異なる半導体を含んでもよい。薄膜接合176および第2の接合310は、異なる範囲の波長を吸収するように構成されてもよい。たとえば、薄膜接合176は、第2の接合310よりも短い波長の光を吸収するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、800nm~1,300nmにおける薄膜接合176の平均量子効率は、たとえば、一実施形態において約10%未満、または別の実施形態において約5%未満など、約20%未満であってもよい。さらに、800nm~1,300nmにおける第2の接合310の平均量子効率は、たとえば、一実施形態において約60%超、または別の実施形態において約65%超など、約50%超であってもよい。
【0036】
[0040]ここで、透明導電層の機能層は、既知の非透明電気接点と比較して同等の電気的機能性および信頼性を提供しながら、光透過率の向上をもたらすことができることを理解されたい。したがって、本明細書で提供される実施形態は、光起電デバイスの実用性を向上させることができる。たとえば、本明細書に記載される拡散バリア、高導電率層、およびキャッピング層の積層体は、タンデム型光起電デバイスのトンネル接合として使用されてもよい。あるいは、本明細書に記載される拡散バリア、高導電率層、およびキャッピング層の積層体は、透明モジュールまたは両面モジュールの透明背面電気接点として使用されてもよい。
【0037】
[0041]本明細書に記載される実施形態によれば、タンデム型光起電デバイスは、薄膜接合と、第2の接合と、透明導電層とを含んでもよい。薄膜接合は、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を含んでもよい。第2の接合は、薄膜接合と電気的に接続されていてもよい。電流は、第2の接合と薄膜接合との間を流れることができる。透明導電層は、薄膜接合と第2の接合との間に配置されてもよい。電流は、透明導電層を通って流れることができる。透明導電層は、高導電率層と隣接層とを含んでもよい。高導電率層は、それ自体、または酸化物ドーパントのドープにより「++」型である酸化カドミウムを含んでもよい。隣接層は、高導電率層と接触している。
【0038】
[0042]別の実施形態において、タンデム型光起電デバイスは、薄膜接合と、第2の接合と、透明導電層とを含んでもよい。薄膜接合は、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を含んでもよい。第2の接合は、薄膜接合と電気的に接続されていてもよい。電流は、第2の接合と薄膜接合との間を流れることができる。透明導電層は、薄膜接合と第2の接合との間に配置されてもよい。電流は、透明導電層を通って流れることができる。透明導電層は、高導電率層と隣接層とを含んでもよい。高導電率層は、n++にドーピングされていてもよい。隣接層は、高導電率層と接触している。隣接層は、非晶質スズ酸カドミウムを含む。
【0039】
[0043]さらに別の実施形態において、タンデム型光起電デバイスは、薄膜接合と、第2の接合と、透明導電層とを含んでもよい。薄膜接合は、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を含んでもよい。第2の接合は、薄膜接合と電気的に接続されていてもよい。電流は、第2の接合と薄膜接合との間を流れることができる。透明導電層は、薄膜接合と第2の接合との間に配置されてもよい。電流は、透明導電層を通って流れることができる。透明導電層は、非晶質スズ酸カドミウムを含んでもよい。
【0040】
[0044]さらなる実施形態において、光起電デバイスは、薄膜接合と透明導電層とを含んでもよい。薄膜接合は、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を含んでもよい。透明導電層は、薄膜接合との直列接続の少なくとも一部を形成してもよい。透明導電層は、高導電率層と隣接層とを含んでもよい。高導電率層は、「++」型にドーピングされていてもよい。隣接層は、高導電率層と接触していてもよい。
【0041】
[0045]別の実施形態において、光起電デバイスは、薄膜接合と透明導電層とを含んでもよい。薄膜接合は、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を含んでもよい。透明導電層は、薄膜接合との直列接続の少なくとも一部を形成してもよい。透明導電層は、高導電率層と隣接層とを含んでもよい。高導電率層は、酸化インジウムドープ酸化カドミウムを含んでもよい。隣接層は、高導電率層と接触していてもよい。隣接層は、非晶質スズ酸カドミウムを含んでもよい。
【0042】
[0046]さらに別の実施形態において、光起電デバイスは、薄膜接合と透明導電層とを含んでもよい。透明導電層は、薄膜接合から電荷キャリアを伝導することができる。透明導電層は、高導電率層と隣接層とを含んでもよい。隣接層は、高導電率層と接触していてもよい。高導電率層は、酸化インジウムドープ酸化カドミウムを含む。
【0043】
[0047]本明細書において、用語「実質的に」および「約」は、いずれかの定量的な比較、値、測定、または他の表現に起因し得る、内在する不確実性の程度を表すために利用されてもよいことに留意されたい。これらの用語はまた、本明細書において、問題となっている主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、記載された参照事項から定量的表現が変動し得る程度を表すために利用される。
【0044】
[0048]特定の実施形態が本明細書で例示され、説明されてきたが、請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな他の変更および修正がなされてもよいことを理解されたい。さらに、請求される主題のさまざまな態様が本明細書で説明されたが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、請求される主題の範囲内にあるそのような変更および修正を全て包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜接合、第2の接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、 前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;
前記第2の接合が、前記薄膜接合と電気的に接続され、これにより、前記第2の接合と前記薄膜接合との間を電流が流れる;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合と前記第2の接合との間に配置されて、前記電流が前記透明導電層を通って流れ、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記隣接層が、前記高導電率層と接触しており、そして
前記高導電率層が、それ自体が、または酸化物ドーパントによるドーピングにより、「++」型である酸化カドミウムを含む、
上記のタンデム型光起電デバイス。
【請求項2】
前記隣接層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項3】
前記酸化カドミウムが前記酸化物ドーパントでn++にドーピングされている、請求項1または請求項2に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項4】
前記酸化物ドーパントがInである、請求項3に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項5】
前記酸化物ドーパントがGaである、請求項3に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項6】
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触したキャッピング層を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項7】
前記キャッピング層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項6に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項8】
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触した拡散バリア層を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項9】
前記拡散バリア層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項8に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項10】
前記高導電率層が前記隣接層よりも厚く、そして前記高導電率層の厚さが300nm未満である、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項11】
前記透明導電層の厚さが40nmを超え、400nm未満である、請求項1から10のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項12】
前記透明導電層が、800nm~1,300nmの波長を有する光に対して85%を超える平均透過率を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項13】
前記薄膜接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が20%未満である、請求項1から12のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項14】
前記薄膜接合の前記吸収体層が、亜鉛および/またはセレンを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項15】
前記薄膜接合が、バックコンタクト層を備え、そして
前記バックコンタクト層が、前記吸収体層と前記透明導電層との間に配置されており、そして
前記バックコンタクト層が、亜鉛およびテルルを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項16】
前記第2の接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が50%超であり、そして
前記第2の接合が、非晶質シリコン、結晶シリコン、セレン化銅インジウムガリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項17】
前記薄膜接合が、透明導電性酸化物層を備え、そして
前記薄膜接合の前記吸収体層が、前記透明導電性酸化物層と前記透明導電層との間に配置されている、請求項1から16のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項18】
前記透明導電性酸化物層が、酸化インジウムスズを含む、請求項17に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項19】
前記透明導電性酸化物層がスズ酸カドミウムを含み、前記スズ酸カドミウムが結晶質である、請求項17に記載のタンデム型光起電デバイス。
【請求項20】
薄膜接合、第2の接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、 前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;
前記第2の接合が、前記薄膜接合と電気的に接続され、これにより、前記第2の接合と前記薄膜接合との間を電流が流れ;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合と前記第2の接合との間に配置されて、前記電流が前記透明導電層を通って流れ、ここで前記透明導電層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、
上記のタンデム型光起電デバイス。
【請求項21】
前記第2の接合および前記薄膜接合が、電気的に直列接続されており、そして
前記透明導電層が、薄膜接合との直列接続の少なくとも一部を形成している、請求項1から20のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
[0048]特定の実施形態が本明細書で例示され、説明されてきたが、請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな他の変更および修正がなされてもよいことを理解されたい。さらに、請求される主題のさまざまな態様が本明細書で説明されたが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、請求される主題の範囲内にあるそのような変更および修正を全て包含することが意図される。
[発明の態様]
[1]
薄膜接合、第2の接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;
前記第2の接合が、前記薄膜接合と電気的に接続され、これにより、前記第2の接合と前記薄膜接合との間を電流が流れる;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合と前記第2の接合との間に配置されて、前記電流が前記透明導電層を通って流れ、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記隣接層が、前記高導電率層と接触しており、そして
前記高導電率層が、それ自体が、または酸化物ドーパントのドーピングにより、「++」型である酸化カドミウムを含む、
上記のタンデム型光起電デバイス。
[2]
前記隣接層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[3]
前記酸化カドミウムが酸化物ドーパントでn++にドーピングされている、請求項2に記載のタンデム型光起電デバイス。
[4]
前記酸化物ドーパントがInである、請求項3に記載のタンデム型光起電デバイス。
[5]
前記酸化物ドーパントがGaである、請求項3に記載のタンデム型光起電デバイス。
[6]
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触したキャッピング層を備え、
前記透明導電層が、前記隣接層と前記キャッピング層との間にある、請求項2に記載のタンデム型光起電デバイス。
[7]
前記キャッピング層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項6に記載のタンデム型光起電デバイス。
[8]
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触した拡散バリア層を備え、
前記透明導電層が、前記隣接層と前記拡散バリア層との間にある、請求項2に記載のタンデム型光起電デバイス。
[9]
前記拡散バリア層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項8に記載のタンデム型光起電デバイス。
[10]
前記高導電率層が前記隣接層よりも厚い、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[11]
前記隣接層の厚さが125nm未満である、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[12]
前記高導電率層の厚さが300nm未満である、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[13]
前記透明導電層の厚さが40nmを超え、400nm未満である、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[14]
前記透明導電層が、800nm~1,300nmの波長を有する光に対して85%を超える平均透過率を有する、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[15]
前記薄膜接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が20%未満である、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[16]
前記薄膜接合の前記吸収体層が亜鉛を含む、請求項15に記載のタンデム型光起電デバイス。
[17]
前記薄膜接合の前記吸収体層がセレンを含む、請求項15に記載のタンデム型光起電デバイス。
[18]
前記薄膜接合が、バックコンタクト層を備え、
前記バックコンタクト層が、前記吸収体層と前記透明導電層との間に配置されており、そして
前記バックコンタクト層が、亜鉛およびテルルを含む、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[19]
前記第2の接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が50%を超える、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[20]
前記第2の接合が、非晶質シリコンまたは結晶シリコンを含む、請求項19に記載のタンデム型光起電デバイス。
[21]
前記第2の接合が、セレン化銅インジウムガリウムを含む、請求項19に記載のタンデム型光起電デバイス。
[22]
前記薄膜接合が、透明導電性酸化物層を備え、そして
前記薄膜接合の前記吸収体層が、前記透明導電性酸化物層と前記透明導電層との間に配置されている、請求項1に記載のタンデム型光起電デバイス。
[23]
前記透明導電性酸化物層が、インジウムスズ酸化物を含む、請求項22に記載のタンデム型光起電デバイス。
[24]
前記透明導電性酸化物層が、スズ酸カドミウムを含む、請求項22に記載のタンデム型光起電デバイス。
[25]
前記スズ酸カドミウムが結晶質である、請求項24に記載のタンデム型光起電デバイス。
[26]
薄膜接合、第2の接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;
前記第2の接合が、前記薄膜接合と電気的に接続され、これにより、前記第2の接合と前記薄膜接合との間を電流が流れる;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合と前記第2の接合との間に配置されて、前記電流が前記透明導電層を通って流れ、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記高導電率層が、n++にドーピングされており、
前記隣接層が、前記高導電率層と接触しており、そして
前記隣接層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、
上記のタンデム型光起電デバイス。
[27]
薄膜接合、第2の接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;
前記第2の接合が、前記薄膜接合と電気的に接続され、これにより、前記第2の接合と前記薄膜接合との間を電流が流れ;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合と前記第2の接合との間に配置されて、前記電流が前記透明導電層を通って流れ、ここで前記透明導電層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、
上記のタンデム型光起電デバイス。
[28]
薄膜接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合との電気的接続の少なくとも一部を形成し、ここで
前記透明導電層が非晶質スズ酸カドミウムを含む、光起電デバイス
[29]
薄膜接合および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、
前記薄膜接合が、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;および
前記透明導電層が、前記薄膜接合との直列接続の少なくとも一部を形成しており、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記高導電率層が、「++」型にドーピングされており、そして
前記隣接層が、前記高導電率層と接触している、
上記のタンデム型光起電デバイス。
[30]
薄膜接合、および透明導電層を備えるタンデム型光起電デバイスであって、
前記薄膜接合は、カドミウムおよびテルルを含む吸収体層を備え;および
前記透明導電層は、前記薄膜接合との直列接続の少なくとも一部を形成し、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記高導電率層が、酸化インジウムでドーピングされた酸化カドミウムを含み、
前記隣接層が、前記高導電率層と接触しており、そして
前記隣接層が、スズ酸カドミウムを含む、
上記の。
[31]
薄膜接合;および
前記薄膜接合から電荷キャリアを伝導する透明導電層
を備えるタンデム型光起電デバイスであって、ここで
前記透明導電層が、高導電率層と隣接層とを備え、
前記隣接層が、前記高導電率層と接触しており、そして
前記高導電率層が、酸化インジウムでドーピングされた酸化カドミウムを含む、
上記の光起電デバイス。
[32]
前記隣接層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項1および26から31のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[33]
前記酸化カドミウムが酸化物ドーパントでn++にドーピングされている、請求項32に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[34]
前記酸化物ドーパントがInである、請求項33に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[35]
前記酸化物ドーパントがGaである、請求項33に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[36]
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触したキャッピング層を備え、
前記透明導電層が、前記隣接層と前記キャッピング層との間にある、請求項1および26から35のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[37]
前記キャッピング層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項36に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[38]
前記透明導電層が、前記高導電率層と接触した拡散バリア層を備え、そして
前記透明導電層が、前記隣接層と前記拡散バリア層との間にある、請求項1および26から37のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[39]
前記拡散バリア層が、非晶質スズ酸カドミウムを含む、請求項38に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[40]
前記高導電率層が前記隣接層よりも厚い、請求項1および26から39のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[41]
前記隣接層の厚さが125nm未満である、請求項1および26から40のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[42]
前記高導電率層の厚さが300nm未満である、請求項1および26から41のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[43]
前記透明導電層の厚さが40nmを超え、400nm未満である、請求項1および26から42のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[44]
前記透明導電層が、800nm~1,300nmの波長を有する光に対して85%を超える平均透過率を有する、請求項1および26から43のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[45]
前記薄膜接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が20%未満である、請求項1および26から44のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[46]
前記薄膜接合の前記吸収体層が亜鉛を含む、請求項1および26から45のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[47]
前記薄膜接合の前記吸収体層がセレンを含む、請求項1および26から46のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[48]
前記薄膜接合が、バックコンタクト層を備え、
前記バックコンタクト層が、前記吸収体層と前記透明導電層との間に配置されており、そして
前記バックコンタクト層が、亜鉛およびテルルを含む、
請求項1および26から47のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[49]
前記第2の接合の、800nm~1,300nmにおける平均量子効率が50%を超える、請求項1、26から27および32から48のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイス。
[50]
前記第2の接合が、非晶質シリコンまたは結晶シリコンを含む、請求項49に記載のタンデム型光起電デバイス。
[51]
前記第2の接合が、セレン化銅インジウムガリウムを含む、請求項49に記載のタンデム型光起電デバイス。
[52]
前記薄膜接合が、透明導電性酸化物層を備え、そして
前記薄膜接合の前記吸収体層が、前記透明導電性酸化物層と前記透明導電層との間に配置されている、
請求項1および26から51のいずれか一項に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[53]
前記透明導電性酸化物層が、インジウムスズ酸化物を含む、請求項52に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[54]
前記透明導電性酸化物層が、スズ酸カドミウムを含む、請求項52に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
[55]
前記スズ酸カドミウムが結晶質である、請求項54に記載のタンデム型光起電デバイスまたは光起電デバイス。
【国際調査報告】