(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ロック位置用磁気センサ
(51)【国際特許分類】
E05B 13/08 20060101AFI20230929BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
E05B13/08 A
E05B47/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518292
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 US2021050211
(87)【国際公開番号】W WO2022060704
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523097204
【氏名又は名称】アッサ・アブロイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シャノン・ペティ
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・トレガー
(57)【要約】
本明細書で説明するいくつかの例示的な実施形態によれば、ドアロックは、関連するドアを選択的に固定するために、伸長位置と後退位置との間で移動するように構成されたボルトに動作可能に連結可能な駆動軸を備えている。ドアロックはまた、駆動軸に連結されたトランスミッションを含むことができ、駆動軸は、駆動軸と共に回転するように構成された少なくとも1つのギアを含む。ドアロックはまた、トランスミッションに結合され、少なくとも1つのギアの位置を測定するように構成された磁気エンコーダを備えていて良い。磁気エンコーダは、少なくとも1つのギアに結合された直径方向に分極された磁石を備えていて良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトに動作可能に連結可能な駆動軸と、
該駆動軸に連結され、前記駆動軸と共に回転するように構成された少なくとも1つのギアを含むトランスミッションと、
該トランスミッションに連結され、前記少なくとも1つのギアの位置を示す少なくとも1つの値を出力するように構成された磁気エンコーダと、
を備えたドアロック。
【請求項2】
前記トランスミッションは、前記駆動軸の回転を前記磁気エンコーダの回転に対してN:1の比率で減少させ、前記Nは1より大きく10以下である、請求項1に記載のドアロック。
【請求項3】
前記駆動軸は、ロック位置とロック解除位置との間でN回回転するように構成され、前記ロック位置において、前記ボルトは伸長位置にあるように構成され、前記ロック解除位置において、前記ボルトは後退位置にあるように構成された、請求項2に記載のドアロック。
【請求項4】
Nが4以上6以下である、請求項2または3に記載のドアロック。
【請求項5】
Nが5である、請求項4に記載のドアロック。
【請求項6】
前記磁気エンコーダは非増分エンコーダである、請求項1~5のいずれか一項に記載のドアロック。
【請求項7】
前記磁気エンコーダは、前記少なくとも1つのギアに連結された直径方向に分極された磁石を含み、前記磁気エンコーダは、前記分極された磁石の回転方向を測定して前記少なくとも1つのギアの位置を示す信号を生成するように構成された、請求項6に記載のドアロック。
【請求項8】
前記磁気エンコーダは、前記駆動軸の7°回転以内の精度である、請求項6または7に記載のドアロック。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサを更に備え、
前記磁気エンコーダが、前記少なくとも1つのギアの位置を示す信号を生成するように構成されており、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記信号を受信して前記駆動軸の位置を決定するように構成された、請求項1~8のいずれか一項に記載のドアロック。
【請求項10】
前記信号は非増分信号であり、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記非増分信号に基づいて前記少なくとも1つのプロセッサに関連付けられたメモリの消去に続いて、前記駆動軸の位置を決定するように構成された、請求項9に記載のドアロック。
【請求項11】
前記少なくとも1つのギアに連結され、該少なくとも1つのギアを回転させて前記駆動軸を対応して回転させるように構成されたアクチュエータを更に備えた、請求項1~10のいずれか一項に記載のドアロック。
【請求項12】
前記アクチュエータはモータである、請求項11に記載のドアロック。
【請求項13】
ドアロックを操作する方法であって、
駆動軸を回転させてドアロックのボルトを伸長位置と後退位置との間で移動させるステップであって、前記駆動軸を回転させるステップは、
前記駆動軸に連結されたトランスミッションを回転させるステップであって、前記トランスミッションが、前記駆動軸に連結された少なくとも1つのギアを含むステップと、
前記少なくとも1つのギアに連結された磁気エンコーダを回転させるステップと、
を含み、
前記方法は、
前記駆動軸の位置を決定するステップであって、前記磁気エンコーダを用いて前記少なくとも1つのギアの位置を決定するステップを更に含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのギアの位置を示す信号を生成するステップと、
プロセッサに前記信号を送信するステップと、
を更に備えている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記駆動軸の位置は前記プロセッサによって決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記磁気エンコーダは、前記駆動軸の7°回転以内の精度であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記信号は非増分信号であり、
前記信号は、前記プロセッサに関連するメモリの消去に続いて、前記少なくとも1つのギアの位置を示す、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記駆動軸の位置は、前記プロセッサによる前記駆動軸の以前の位置を参照せずに決定される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記トランスミッションは、前記駆動軸の回転を前記磁気エンコーダの回転に対してN:1の比率で減少させ、前記Nは1より大きく10以下である、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
Nが4以上6以下である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
Nが5である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記ボルトを前記伸長位置と前記後退位置との間で移動させるために前記駆動軸を回転させるステップは、前記駆動軸を5回転させるステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記磁気エンコーダを回転させるステップは、前記磁気エンコーダを0回転と1回転との間で回転させるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記磁気エンコーダは、前記少なくとも1つのギアに連結された直径方向に分極された磁石を含み、前記駆動軸の位置を決定するステップは、前記磁気エンコーダから前記分極された磁石の回転方向を示す信号を受信するステップを含む、請求項13~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記駆動軸を回転させるステップは、アクチュエータを用いて前記少なくとも1つのギアを回転させるステップを含む、請求項13~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記アクチュエータがモータである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記駆動軸を回転させるステップは、前記少なくとも1つのギアに連結されたハンドルを回転させるステップを含む、請求項13~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
磁石の回転を示す値を受け取ったことに応答して、ドアロックの駆動軸の位置を決定する方法を実行させるためのコンピュータへのプログラム命令を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記駆動軸の位置を決定することは、前記駆動軸に連結されたトランスミッションの少なくとも1つのギアの位置を決定することを含む、請求項28に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年9月17日に出願された米国仮出願第63/079,864号の35U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、ドアは、しばしば、引き込まれた(例えば、ロック解除された)位置で少なくとも部分的にドア内に配置され、伸長された(例えば、ロックされた)位置でドアから、例えば、ドアフレームのドア枠内に延在しているボルトを含むデッドボルトロック(deadbolt lock、単にデッドボルトとも呼ばれる)を使用している。ドアの内側からドア枠内に延在しているボルトが物理的に存在することにより、ドアがドアフレームの外にスイングされるのを阻止することによって、ドアが開くのを阻止している。
【0003】
本発明者らは、関連するデッドボルトのための電気機械的な駆動能力を含み且つ付加するドアロックを有することが望ましいと考えており、これはまた、既存のロックセットに後付け可能(retrofittable)であり、従って、遠隔作動機能または自動作動機能を望む消費者は、既存のドアを大幅に変更すること無く、そのような機能を付加することができる。このようなドアロックの一例が、特許文献1に記載されている。このようなドアロックは、多くの場合、ボルトを直接駆動するために手動で作動させることができるが、ボルトの非手動作動のためのアクチュエータ及びクラッチ機構も含む。このようなロックアクチュエータは、ロックのボルトを伸長位置と後退位置との間で移動させるように構成されている。
【0004】
このようなドアロックは、手動で操作されたとき、またはアクチュエータによって操作されたときに、ドアロックのボルトの伸長または後退の駆動の一部として回転する1つまたは複数の回転軸を使用することができる。回転軸が回転するにつれて、ボルトは、後退位置(retracted position)及び/または伸長位置(extended position)の間の直線移動経路に沿って駆動されている。従って、回転駆動軸の回転位置は、駆動軸によって駆動されるドアロックのボルトの、移動経路に沿った直線位置に対応し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9528296号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0326775号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102017126490号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2019/0003207号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2018/0163431号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
場合によっては、ボルトの直線位置がドアのセキュリティに影響を与えることがある。例えば、完全に伸長された(すなわち、伸長位置で移動経路に沿って完全に移動された)ボルトは、部分的に伸長された(すなわち、後退位置ではないが、移動経路に沿って完全に移動されていない)ボルトよりも安定している。更に、ある場合には、ボルトの直線位置は、ボルトを制御する軸を回転させるアクチュエータの動作を制御するのに有用である。例えば、ボルトが伸長位置または後退位置の移動端にあるときにボルトに力を加えると、アクチュエータに応力がかかったり、アクチュエータを損傷したりする可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの開示された実施形態は、ドアロックのボルトの位置を示す値を提供するために使用することができ、ロックの現在の状態を判断する際、及び/またはロックの状態を変更するために構成要素(例えば、モータ)を動作させる際に役立つことができる磁気センサに関する。いくつかの実施形態において、磁石は、ロックのボルトが移動するにつれて位置及び/または向き(orientation)を変化させることができ、磁石の位置及び/または向きは、ボルトの位置及びロックの状態を決定するために磁気センサによって感知することができる。いくつかの実施形態では、ボルトがロック位置に移動されるにつれて、回転駆動軸が複数回回転しても良く、駆動軸が複数回回転するにつれて磁石が1回だけ回転するように、トランスミッションが配置されても良い。
【0008】
無許可の立ち入りを防止するために、ドアを固定するためのデッドボルトロックを使用しても良い。いくつかのデッドボルトロックは、ドアの固定された側に取り付けられたノブ、サムターン、または他のハンドル、及びドアの固定されていない側のキーによって、手動で操作することができる。このようなデッドボルトロックでは、ハンドルを回転させることにより、デッドボルトをドアの中または外に伸長または後退させる。いくつかのデッドボルトは、手動で作動可能であることに加えて、電気機械的に作動可能であっても良い。このような電気機械的なデッドボルトは、ボルトを伸長または後退させることができるモータを含んでいて良い。一般に、軸の回転は、伸長位置と後退位置との間のボルトの直線運動に変換されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、ボルトに動作可能に連結可能な駆動軸と、駆動軸に連結されたトランスミッションであって、駆動軸と共に回転するように構成された少なくとも1つのギアと、トランスミッションに連結され、少なくとも1つのギアの位置を示す少なくとも1つの値を出力するように構成された磁気エンコーダとを含むトランスミッションと、を備えたドアロックが提供されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、駆動軸を回転させてドアロックのボルトを伸長位置と後退位置との間で移動させることを含む、ドアロックを操作する方法が提供されている。駆動軸を回転させることは、駆動軸に連結されたトランスミッションを回転させることを含み、トランスミッションは、駆動軸に連結された少なくとも1つのギアを含み、少なくとも1つのギアに連結された磁気エンコーダを回転させることを含む。この方法はまた、駆動軸の位置を決定するステップを含み、駆動軸の位置を決定するステップは、磁気エンコーダを用いて少なくとも1つのギアの位置を決定するステップを含む。
【0011】
上記に鑑みて、本発明者らは、駆動軸が手動及び自動の両方で移動されるときに、ドアに関連する駆動軸の位置を決定することを可能にするドアロックの利点を認識した。ボルトは、アクチュエータから分離されたときにハンドルを介して手動で駆動されるので、ボルトは、常にアクチュエータによって設定された位置にあるとは限らない。更に、ボルトは、アクチュエータがボルトを駆動するように構成された位置で停止することのみに制約されず、従って、完全に伸びた位置または完全に引っ込んだ位置にあるだけでなく、手動操作の結果として移動経路に沿った任意の場所で停止する場合がある。駆動軸の位置を知ることにより、ドアロックのコントローラは、自動ドアロックまたはロック解除プロファイルに関連付けられた1つまたは複数のパラメータを変更するように構成することができる。例えば、ドアロックは、駆動軸の既存の回転位置に基づいて、ボルトが伸長位置または後退位置に達するために、特定の出力速度でアクチュエータを作動させるのに必要な時間量を計算することができる。更に、ドアロックは、ロック機構の損傷をもたらす可能性がある位置フィードバック制御を備えたアクチュエータによるボルトのオーバードライブまたはアンダードライブを防止することができる。
【0012】
しかしながら、本発明者らは、回転駆動軸の回転位置を監視することは、必ずしも簡単ではないことを認識した。位置を監視するためのいくつかのアプローチは、不利な点を有し得る。例えば、いくつかのアプローチでは、ボルトが伸長方向の移動経路に沿ってある増分を移動するたびに1つの信号を生成することができ、ボルトが後退方向の移動経路に沿ってある増分を移動するたびに別の信号を生成する場合がある。これらの増分信号を経時的に追跡して一度に位置を決定することができ、その位置をロック位置情報としてメモリに記憶することができる。新しい増分信号が受信されると、新しい増分信号は、記憶されたロック位置情報と共に評価されて、記憶される新しいロック位置情報を生成することができる。いつでも、メモリは、移動経路に沿ったボルトの位置を記憶している。しかし、この増分信号アプローチの欠点は、ロック位置情報の永続的な記憶に依存することである。メモリが揮発性メモリであり、停電(例えば、電池の消耗)がある場合のように、ロック位置情報がメモリから消去されると、較正または初期化手順無しでボルトの位置を知ることが困難になる。メモリまたは電力に依存すること無く、いつでもボルトの位置を知ることは有利であり、従って、いくつかのシナリオでは、非増分アプローチ(non-incremental approach)の方が良い場合がある。
【0013】
この文脈で成功する非増分アプローチのためには、センサシステムが変化しない(または経時的に大きく変化しない)物理的特性を含み、従って、移動経路に沿ったボルトの検出プロセスにおいて一定の形態として使用され得る場合に有利であろう。電気抵抗は、使用され得るそのような検出可能な特性の1つであり得る。磁場は変化しない(または大きく変化する)別のそのような物理特性であるので、本発明者らは、別の非増分アプローチが、磁石の磁場を検出するために磁石及び関連するセンサを利用することを認識した。
【0014】
ボルトの位置を監視するには、少なくとも2つのオプションを使用できる。第1に、移動経路に沿ってボルト自体を検出することができる。第2に、追加的または代替的に、移動経路に沿ってボルトを駆動する回転駆動軸の回転位置を検出することができる。しかしながら、後者のアプローチに関して、発明者らは、駆動軸の回転位置からボルトの位置を決定することは、いくつかのロックでは不利であることを認識した。
【0015】
いくつかのデッドボルトロックは多回転ロック機構を含み、手動操作中にハンドルが1回転よりも大きく回転されて、ボルトを伸長位置と後退位置との間で移動させる。例えば、ハンドルを2~10回転、4~6回転、及び/または5回転の間で回転させて、ボルトを後退位置と伸長位置との間で移動させることができる。このようなロックでは、回転駆動軸を同じ回数だけ回転させて、ボルトを後退位置から伸長位置まで駆動している。駆動軸は、ボルトが移動経路に沿って移動するにつれて複数回の完全な回転を受けるので、駆動軸の回転位置からだけでは、ボルトの位置が何であるかは不明であろう。これは、回転位置を検出しても、駆動軸が複数回回転している中で、現在どの回転をしているのかが不明であるためである。このアプローチを使用するには、特定の時間にどの回転が進行中であるかを示すことができるいくつかの追加情報が有用である。これまでに経験した回転の数を示す増分信号は有用であるが、これは、ボルト位置を検出するための非増分アプローチを達成するという目標を損なうであろう。
【0016】
従って、本発明者らは、駆動軸の回転位置を用いて移動経路に沿ったボルトの位置を決定するための非増分アプローチを実施することには複雑さがあることを認識した。
【0017】
本明細書では、ロック状態(例えば、ボルトが伸長位置にある場合)とロック解除状態(例えば、ボルトが後退位置にある場合)との間で複数回の完全な回転を行う駆動軸を含み、駆動軸の回転位置を決定するために磁気センサを使用して移動経路に沿ったボルトの位置を決定するように構成されたドアロックのいくつかの実施形態を説明する。いくつかのそのような実施形態では、ドアロックは、磁石及び関連する磁気センサを含む磁気エンコーダを含むことができる。磁石は、駆動軸が回転するときに磁石も回転するように、ドアロック内に配置することができる。磁気センサは、磁石の磁界を検出し、磁界から磁石の向き(例えば、回転位置)が決定される。磁石の回転位置から、ボルトの位置が決定される。
【0018】
いくつかのそのような実施形態では、ドアロックは、磁気エンコーダを駆動軸に連結するトランスミッションを含み、トランスミッションは、少なくとも1つのギアを含む。トランスミッションは、駆動軸の回転を磁気エンコーダの磁石の回転に対してN:1の比率で減少させても良く、Nは1より大きく、駆動軸がN回回転するとき、磁石は1回しか回転しない。Nは10未満であっても良い。(いくつかの実施形態では、Nは4以上6以下であっても良い。いくつかの実施形態では、Nは概ね5に等しくても良い。)このように、ボルトが全移動経路を移動するにつれて回転駆動軸は複数回回転するが、磁気エンコーダの磁石は1回しか回転しない。エンコーダの回転に対する駆動軸の回転のこのギアダウンにより、エンコーダは、増分位置とは対照的に、駆動軸の絶対位置を報告することができる。従って、磁気エンコーダは、非増分エンコーダであっても良い。
【0019】
いくつかの実施形態では、磁気エンコーダは、少なくとも1つのギアに連結された直径方向に分極された(diametrically polarized)磁石を含むことができ、磁気エンコーダは、分極された磁石の回転方向を測定して、少なくとも1つのギアの絶対位置を決定している。少なくとも1つのギアの絶対位置は、駆動軸の絶対位置に対応し得る。いくつかの実施形態において、磁気エンコーダは、ギアダウンされている間であっても、駆動軸の25°回転以内の精度を保持することができる。(いくつかの実施形態では、磁気エンコーダは、駆動軸の10°以内の回転精度を保持することができる。幾つかの実施形態では、磁気エンコーダは、駆動軸の7°回転以内の精度を保持することができる。)
【0020】
場合によっては、ドアロックは、一体化された又は外部の電源によって電力供給されている。例えば、いくつかの場合において、ドアロックは、バッテリによって電力供給され得る。従って、いくつかの例では、ドアロックは、ドアロック上の揮発性メモリが消去される(例えば、もはやデータを記憶しない、またはもはや確実に知覚可能な方法でデータを記憶しない)場合に、電力損失を経験する可能性がある。駆動軸に関する位置情報がメモリに記憶されているいくつかの実施形態では、そのような消去は、ドアロックの駆動軸の位置またはドアロックのトランスミッションの少なくとも1つのギアに関する以前に記憶された位置情報の喪失を含む場合がある。本明細書に記載される例示的な実施形態によれば、発明者らは、ドアロックの駆動軸の位置を決定するための磁気エンコーダの独自の利点を理解した。磁気エンコーダは、磁石の磁場を測定することによって、直径方向に分極された磁石として形成された磁石の回転位置を測定することができる。従って、磁気エンコーダは、電力サイクリング事象(power cycling event)の後であっても、事前の位置情報が無くても、磁石の絶対位置を決定することができる。
【0021】
磁気エンコーダはまた、他のエンコーダ構成に対して全体の高さが低減されるように、磁気エンコーダの磁石及びセンサが並んで配置され得る低プロファイルの形態で、いくつかの実施形態においてパッケージングの利点を有し得る。もちろん、センサと磁石が互いに同軸である他の配置も考えられる。本明細書に記載される例示的な実施形態による磁気エンコーダはまた、特に従来の回転ポテンショメータと比較して、線形感知パターンを提供することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、ドアロックは、ボルトに連結可能な駆動軸を含む。いくつかの実施形態では、ドアロックは、ボルト用のアクチュエータを含むロックシステムの導入前にドアに配置されていた既存のデッドボルトロックに後付けするように構成することができる。駆動軸は、既存のデッドボルトロックの一部であっても良く、既存のデッドボルトロックのボルトを駆動している。このような場合、既存のデッドボルトロックの特定の外部要素を取り外して駆動軸を露出させることができ、アクチュエータが駆動軸を駆動できるようにドアロックの構成要素を配置することができる。しかしながら、実施形態は、後付けの文脈に限定されず、駆動軸及びボルトは、既存のデッドボルトロックの構成要素でなくても良いことを理解されたい。
【0023】
いくつかの実施形態のドアロックはまた、駆動軸に連結されたトランスミッションを含んでも良い。トランスミッションは、駆動軸と共に回転するように構成された少なくとも1つのギアを含むことができる。トランスミッションは、駆動軸の回転をドアロック内の他の構成部品の回転に合わせて低減することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ドアロックはまた、モータ等のアクチュエータを含んでも良く、モータは、トランスミッションを介して駆動軸に選択的に接続されても良い。ドアロックはまた、トランスミッションに連結され、少なくとも1つのギアの位置を測定するように構成された磁気エンコーダを含んでも良い。少なくとも1つのギアは、駆動軸が回転するときはいつでも磁気エンコーダの磁石が回転するように、駆動軸に常時接続されても良い。このようにして、駆動軸が手動で移動されるとき、またはアクチュエータによって自動的に移動されるときに駆動軸の位置を決定するために、ドアロックによって磁気エンコーダを使用することができる。トランスミッションは、駆動軸の回転に対する磁気エンコーダの回転の数を減少させることができる。例えば、駆動軸の5回転毎に、磁気エンコーダは1回転しても良い。もちろん、2:1と10:1との間の比、並びに4:1と6:1との間の比を含む他の比も考えられる。ここでは例として整数が提供されているが、実施形態は整数のギア比に限定されない。一実施形態では、トランスミッションのギア比は5.8:1である。
【0024】
本明細書に記載されるいくつかの例示的な実施形態によれば、磁気エンコーダは、ドアロックのトランスミッションの少なくとも1つのギアに連結された1つまたは複数の直径方向に分極された磁石と、磁石に隣接して配置されたセンサとを含んでも良い。センサは、磁石の回転方向を決定することができるように、分極された磁石の磁界を測定するように構成することができる。センサは、磁石の位置、従って少なくとも1つのギアの位置を示す信号を生成することができ、その信号をドアロックの1つまたは複数のプロセッサに送信することができる。プロセッサは、駆動軸の位置を決定するために信号を使用することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、磁石及び少なくとも1つのギアの位置を、少なくとも1つのギアと駆動軸との間の所定のギア比だけ駆動軸の位置に変換することができる。この変換に続いて、磁気エンコーダからの信号に基づいて決定された駆動軸の位置は、駆動軸の25°以内の回転まで正確であり得る。(いくつかの実施形態では、磁気エンコーダは、駆動軸の10°以内の回転まで正確であっても良い。いくつかの実施形態において、磁気エンコーダは、駆動軸の7°以内の回転で正確であっても良い。)前述したように、磁気エンコーダの信号は、プロセッサが駆動軸の既知の位置を記憶する必要がないように、非増分的であっても良い。すなわち、駆動軸の位置は、駆動軸の以前の位置を参照すること無く、磁気エンコーダからの信号に基づいてプロセッサによって決定されても良い。従って、プロセッサに関連付けられた揮発性メモリは、電力サイクリング事象の後に消去されても良く、駆動軸の位置は、駆動軸を移動させる必要無しに電力が回復されると決定されても良い。従って、駆動軸の位置は、較正または初期化プロセスの前に、またはそれ無しに知ることができる。
【0025】
本明細書に記載する例示的な実施形態によれば、ドアロックは、ドアロックの1つまたは複数の機能を調整するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含んでも良い。プロセッサは、ドアロック上のコンピュータ読み取り可能な記憶装置に格納されたコンピュータ実行可能命令の1つまたは複数のセットを実行するように構成することができる。記憶装置は、不揮発性メモリ等の1つまたは複数の揮発性及び/または不揮発性記憶装置として実装されても良い。プロセッサは、ドアロックの磁気エンコーダからの信号を含む、ドアロックの1つまたは複数のセンサから情報を受信するように構成されても良い。プロセッサはまた、ドアロックの1つまたは複数のアクチュエータに命令するように構成されても良い。例えば、プロセッサは、アクチュエータ(例えばモータ)に対して、ドアロックの駆動軸を自動的に移動させるように命令することができる。プロセッサはまた、1つまたは複数の他のデバイスと通信するように構成されても良い。例えば、プロセッサは、ドアロックの1つまたは複数の無線送信機を制御して、情報/コマンドを遠隔装置に送信し、または遠隔装置から受信することができる。ドアロックは、プロセッサ及び関連する構成要素に電力を供給するように構成された電源を含むことができる。いくつかの実施形態において、電源は、1つまたは複数の電池であっても良い。
【0026】
本明細書に記載されるいくつかの例示的な実施形態によれば、ドアロックの駆動軸の回転位置は、少なくとも1つのギアの回転位置を示す磁気エンコーダからの信号に少なくとも部分的に基づいて決定されても良い。回転位置は、ボルトの伸長位置に関連するロック位置とボルトの後退位置に関連するロック解除位置との間のドアロックの回転構成要素(例えば、駆動軸、少なくとも1つのギア)の進行の指標(index of the progress)と同様に、回転方向を含むことができる。例えば、駆動軸の位置は、駆動軸の回転方向(例えば、0°と360°との間)と、ロック位置とロック解除位置との間の現在の回転の指標との両方を含むことができる。従って、駆動軸がロック位置とロック解除位置との間で5回回転する場合、「位置」は、現在の回転方向、並びに駆動軸が現在どの回転(1、2、3、4または5)であるかを指すことができる。
【0027】
本開示はこの点に限定されないので、前述の概念、及び以下に議論される追加の概念は、任意の適切な組み合わせで構成され得ることが理解されるべきである。更に、本開示の他の利点及び新規な特徴は、添付の図面と共に考慮される場合、種々の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0028】
添付の図面は,一定の縮尺で描かれることを意図していない。図面において、様々な図に示された同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の数字によって表され得る。明確にするために、全ての構成部品が全ての図面においてラベル付けされているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】ドアロックの一実施形態の前方斜視図である。
【
図2】ドアロックのハウジングを取り外した状態での
図1のドアロックの正面斜視図である。
【
図3】ドアロックのハウジング及び回路基板を取り外した状態での
図1のドアロックの正面斜視図である。
【
図5】本明細書に記載されるいくつかの例示的な実施形態による、ドアロックを操作する方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図6】本明細書に記載されるいくつかの例示的な実施形態による、ドアロックを製造する方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図7】本明細書に記載されるいくつかの例示的な実施形態による、ドアロックを操作する方法の別の実施形態のフローチャートである。
【
図8】本明細書に記載されるいくつかの例示的な実施形態による、ドアロックを操作する方法の更に別の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を参照すると、特定の非限定的な実施形態が更に詳細に記載されている。これらの実施形態に関連して記載された様々なシステム、構成要素、特徴、及び方法は、開示が本明細書に記載された特定の実施形態のみに限定されないため、個別に、及び/または任意の所望の組み合わせで使用され得ることが理解されるべきである。
【0031】
図1は、ドアロック100の一実施形態の正面斜視図である。
図1の実施形態によると、ドアロック100がドア内の既存のデッドボルトロックに連結されている場合、ドアロックは後付け用途のために構成することができる。特に、ドアロック100は、既存のボルト101とインターフェースし、ボルトを伸長位置と後退位置との間で移動させるように構成されている。
図1に示すように、ドアロック100は、
図2~
図5を参照して詳述されるいくつかの内部構成要素を収容しているハウジング102を含む。ハウジングは、1つまたは複数のプロセッサ、電源、トランスミッション、駆動軸、及び磁気エンコーダを収容している。磁気エンコーダは、プロセッサが駆動軸の絶対位置を決定することができるように、トランスミッションの構成要素の位置を測定するように構成されている。駆動軸の位置を決定するプロセス及び関連するプロセスは、
図6並びに
図7及び
図8を参照して更に説明されている。
図1の実施形態によれば、ドアロックはまた、ハウジング102を関連するドアに取り付けることができるように構成された取付プレート104を含む。取付プレートは、ハウジングを1つまたは複数の締結具(例えば、ねじ)で、または工具無しで(例えば、1つまたは複数のラッチで)取り付けることを可能にできる。いくつかの実施形態では、取付プレートは、既存のドア内の既存のデッドボルトのロックのハードウェアに取り付けることができる。もちろん、本開示はそれに限定されないので、ハウジング102をドアに取り付けるために、任意の適切な構成を採用することができる。
【0032】
図1の実施形態によれば、ドアロック100は、使用者によって回転され、それに対応してドアロックの駆動軸を回転させることができるハンドル106を含む。次いで駆動軸は、ボルト101に接続可能であり、駆動軸の回転運動をボルトの直線運動に変換するように構成されている。ハンドル106は、ボルト101が動くたびにハンドル106が対応して動くように、駆動軸に連続的に連結されても良い。従って、ドアロックの駆動軸の位置を測定することにより、ドアロックがハンドル106だけでなくボルト101の位置を決定することも可能になる。もちろん、いくつかの実施形態では、ハンドル106は、本開示がそのように限定されないように、ドアロックの駆動軸に選択的に連結可能であっても良い。
【0033】
図2は、ドアロックの内部構成部品が見えるように、ドアロックのハウジングを取り外した状態での
図1のドアロック100の正面斜視図である。
図2に示すように、ドアロックはアクチュエータアセンブリ110を含む。アクチュエータアセンブリは、モータ112と、モータカプラ113と、クラッチ114とを含む。モータ112は、ドアロックの自動ロックまたはロック解除に力を与えるように構成されたDCモータである。モータカプラ113は、モータ112の出力軸からの力をクラッチ114に伝達している。クラッチは、モータ112からの力を出力ギア116に選択的に伝達するように構成されている。
図2の実施形態によれば、ハンドル106は、ドアロックの駆動軸107に直接連結されている。出力ギア116は、駆動軸107上に形成された駆動ギア108に連続的に連結され、駆動軸107が回転するときはいつでも出力ギア116が回転するようになっている。従ってモータ112は、駆動軸107に選択的に連結可能であっても良く、その結果、モータは、駆動軸を回転させ、それに対応して、関連するボルトを伸長位置または後退位置に移動させることができる。
図3及び
図4を参照して更に議論されるように、このような構成により、出力ギア116に連結された磁気エンコーダは、駆動軸107の絶対位置を測定することができる。
【0034】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、ドアロック100は、ドアロックの様々な機能を制御するように構成された電気部品を含む回路基板150を含む。
図2に示す実施形態によれば、回路基板は、プロセッサ152と無線トランシーバ154とを含む。
【0035】
プロセッサ152は、回路基板150上の1つまたは複数の記憶装置に格納されたコンピュータ実行可能命令を実行して、様々なタスクの実行を調整するように構成されている。例えば、
図5~
図8を参照して更に説明されるように、様々な方法がプロセッサ152によって調整され得る。
【0036】
無線トランシーバ154は、無線周波数(RF)送信を介して1つまたは複数の遠隔装置と通信するように構成されている。無線トランシーバは、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、802.15.4、及びWi-Fi(登録商標)を含むがこれらに限定されない、任意の適切なRF規格を使用することができる。プロセッサ152は、無線トランシーバ154を介して、ドアロックに関するコマンドまたは情報(例えば、ロック状態)を送信することができる。更に、プロセッサ152は、無線トランシーバを介してコマンド(例えば、リモートロックコマンドまたはリモートロック解除コマンド)を受信し、受信したコマンドに基づいてコンピュータ実行可能命令(computer-executable instruction)を実行することができる。簡単にするために、1つの無線トランシーバ154が説明されるが、実施形態はそれに限定されず、いくつかの実施形態では、前述の無線プロトコルまたは他の適切な無線プロトコルのいずれかを実装する2つ以上の無線トランシーバが含まれても良い。
【0037】
ドアロック100はまた、プロセッサ152、無線トランシーバ154、及び磁気エンコーダ155のような回路基板150上の様々な構成要素に電力を供給するように構成されたバッテリのような電源を含んでも良い。
【0038】
図2の実施形態によれば、ドアロック100は、磁気エンコーダ155を備えている。磁気エンコーダは、
図3及び
図4を参照して詳細に説明するように、トランスミッションの少なくとも1つのギアの回転位置を測定するように構成されている。
図2に示すように、磁気エンコーダは、センサ156と磁石158とを備えている。磁石158は、いくつかの実施形態において、直径方向に分極された磁石であっても良い。センサは、磁石158の磁界を測定するように構成され、磁石158の向き又は回転位置を決定するために使用することができる。すなわち、センサ156は、センサ156において、磁石の極の配置によって影響を受けるであろう、直径方向に分極された磁石の磁界を測定し、磁界を示す1つまたは複数の値を出力することができる。センサ156によって測定されるように、磁場を示す値は、磁石158の回転位置または向きを示している。磁石158の向きはギア116の位置を示し、ギア116の位置は駆動軸107の回転を示し、駆動軸107の回転はボルト101の位置を示すので、磁石158の向きを使用してボルト101の位置を決定することができる。センサ156は、磁場を示す値、磁石158の決定された向き、及び/または磁石158の位置/向き及び/またはボルト101の位置を決定するために使用され得る磁石158に関する他の情報を出力し得る。センサ156は、いくつかの実施形態では、磁石158からの印加された磁場の強度に比例するDC出力電圧を生成するように構成された1つまたは複数のホール効果素子を含むホール効果センサであっても良い。このような実施形態では、センサ156は、1つまたは複数のホール効果素子の出力電圧を組み合わせることによって、磁石158の向きまたは回転位置を決定することができる。
【0039】
より詳細には、磁石158は、磁石158の位置に関する事前の情報無しに、位置の非増分測定として使用することができるので、ボルト101の位置は、いつでも決定することができる。ドアロックの揮発性メモリが消去された場合(例えば、電力損失またはサイクリング事象(cycling event)の後)、センサ156は、磁石158の絶対回転位置を決定することができる。センサ156は、プロセッサ152に接続され、トランスミッションの少なくとも1つのギアを示す信号をプロセッサに提供するように構成されている。プロセッサ152は、センサからの信号を受信し、センサからの信号に基づいて駆動軸107の位置を決定するように構成されている。例えば、プロセッサは、駆動軸とトランスミッションの少なくとも1つのギアとの間のギア比を表す所定の変速比スケーリング係数(scaling factor)を適用することができる。
【0040】
図3及び
図4は、それぞれ
図1のドアロック100の正面斜視図及び正面図であり、ドアロックのトランスミッション115を示すために、ドアロックのハウジング及び回路基板150は取り外されている。
図3に示すように、ドアロックは、第1伝達ギア118と、第2伝達ギア120と、センサギア122とを備えている。第1伝達ギア118は、出力ギア116及び第2伝達ギア120に連結されている。第2伝達ギア120は、第1伝達ギア118及びセンサギア122に連結されている。従って、センサギア122は、出力ギア116に連結されており、これに対応して駆動ギア108に連結されている。従って、駆動軸107が回転すると(例えば、ボルトを伸長位置と後退位置との間で移動させるために)、センサギア122はそれに応じて回転する。
図3の実施形態では、トランスミッション115は、駆動軸107からの回転をギアダウンしている。すなわち、駆動軸107は、関連するボルトを伸長位置と後退位置との間で移動させるために、複数回回転するように構成することができる。従って、駆動軸の位置の追跡を簡単にするために、トランスミッションは、駆動軸の各回転に対するセンサギア122の回転数を減少させる。
図3の特定の実施形態では、トランスミッション115は、駆動軸の回転数をセンサギア122の回転数に対して5:1の比率で減少させることができる。このような構成は、磁気エンコーダの磁石158の各回転位置(すなわち、0°と360°との間)に対して、ドアロックのプロセッサが、駆動軸107の回転方向と駆動軸がオンである特定の回転との両方を決定することができることを意味している。例えば、センサギア122の特定の回転位置は、駆動軸が、関連するボルトの伸長位置と後退位置との間の合計5回の回転のうちの3回目の特定の回転位置にあることを示している。もちろん、他の実施形態では、本開示はそのように限定されないので、他の適切なギア比が使用されても良い。例えば、いくつかの実施形態において、駆動軸とセンサギアとの間のギア比は、2:1と10:1との間、または代替的には4:1と6:1との間であっても良い。幾つかの実施形態では、ギア比は、ボルトを後退位置から完全に伸張した位置まで移動経路に沿って完全に駆動するのに必要な回転駆動軸の回転数に基づいて選択することができる。ギア比は、全ての構成部品が一緒に設計または製造されるときに、トランスミッション、駆動軸、及びボルトの設計中に設定することができる。後付け設計の場合、ギア比は、既存のロックのボルトを駆動するための駆動軸の既知の回転数を有する既知の既存のロックのモデルの設計中に設定することができる。
【0041】
一方、
図3及び
図4の実施形態では、トランスミッションは、4つのギア(出力ギア116、第1伝達ギア118、第2伝達ギア120、及びセンサギア122)を含み、他の実施形態では、任意の適切な数のギアを使用することができる。
図3及び
図4において、トランスミッション115の特定の構成は、駆動ギア108が最大の直径を有し、トランスミッションの他のギアの各々が駆動ギア108によって画定される幅内に嵌合するので、ドアロックの全幅を減少させるのに適している。しかし、他の実施形態では、本開示はそれに限定されないので、任意の適切な数のギアを用いて、駆動ギア108とセンサギア122との間に所望のギアを提供しても良い。例えば、いくつかの実施形態において、駆動ギア108は、センサギア122に直接連結されても良い。このような実施形態では、センサギア122は、アクチュエータアセンブリ110の出力ギア116としても機能することができる。
【0042】
図3に最も明確に示されるように、センサギア122は、ギアに埋め込まれた回転コーダの磁石158を含む。特に、センサギアは、磁石を支持する磁石ホルダ123を含む。前述したように、磁石は、直径方向に分極された磁石である。磁石158の磁場は、磁石158と同軸に整列されたセンサ156によって測定されている。センサ156と磁石158は物理的に接触せず、代わりに、センサは、磁石によって生成された磁界を検出することによって磁石158の回転位置を決定している。このようにして、磁気エンコーダは、エンコーダが、磁石の回転位置に関する事前の情報無しに、磁石158の絶対回転位置を決定することができる(または下流の構成要素、例えば、プロセッサが、エンコーダによって出力される信号から決定することができる)ので、非増分エンコーダである。従って、電力損失または電力サイクリング後に揮発性メモリが消去された場合、エンコーダは、グローバル基準フレーム(例えば、ドアロックのハウジングに基づく基準フレーム)内の磁石158及び対応する駆動軸107の回転位置を決定することができる。センサ156は、トランスミッション115のギアによる駆動軸107のより大きな角度位置変化に対応する磁石158の小さな角度位置変化を検出することができるように十分な感度を有している。いくつかの実施形態において、センサ156は、駆動軸107の7°の角度位置変化に対応する磁場の変化を検出するように構成されても良い。これは、磁石158の0.5°から3.5°の間の角度位置変化に対応し得る。前述したように、センサ156は、磁石158の絶対回転位置を示す信号をドアロックのプロセッサに送信することができ、その結果、駆動軸107の対応する回転位置をプロセッサによって決定することができる。
【0043】
一方、
図3及び
図4の実施形態では、センサ156は、磁石158と同軸であり、他の実施形態では、センサ156は、磁石と同軸でなくても良く、代わりに、センサと磁石が同じ平面を共有するように、磁石158の側面に配置されても良い。このような構成は、磁気エンコーダの組み合わせの全体的なスタック高さを低減することができる。
【0044】
図5は、本明細書に記載される例示的な実施形態によるドアロックを操作する方法の一実施形態のフローチャートである。プロセスの開始前に、ロックは、ボルトの位置が以前に決定されていないか、またはボルトの位置に関する情報が利用可能でないように、取り付けられたばかりか、または電源サイクルまたは電源リセットを受けたばかりであっても良い。または、いくつかの実施形態では、
図5のプロセスは、ドアロックがアクチュエータを使用して、及び/または手動でボルトを駆動するために長期間使用されている場合に使用することができる。なぜなら
図5のプロセスは、磁石位置を決定するために非増分アプローチを使用しており、このプロセスは、これらのシナリオまたは他のシナリオのいずれかで使用され得る。
【0045】
図5のプロセスはブロック200で開始し、ここではドアロックの駆動軸を回転させて、ドアロックのボルトを伸長位置と後退位置との間で移動させる。いくつかの実施形態では、ボルトは既存のものであっても良く、駆動軸は後付けでボルトに連結されている。いくつかの実施形態において、駆動軸を回転させることは、ドアロックのハンドルを回転させることを含んでいて良い。いくつかの実施形態では、駆動軸を回転させるステップは、モータ等のアクチュエータを用いて駆動軸を回転させるステップを含むことができる。
【0046】
ブロック202において、駆動軸が回転すると、駆動軸に連結されたトランスミッションが回転され、ここでトランスミッションは、駆動軸に連結された少なくとも1つのギアを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのギアは、4つのギアを含むことができる。いくつかの実施形態では、トランスミッションは、駆動軸からの回転数を少なくとも1つのギアの回転数まで減少させることができる。トランスミッションは、駆動軸が回転するときはいつでも少なくとも1つのギアが回転し、その逆もまた同様であるように、駆動軸に連続的に連結されても良い。
【0047】
ブロック204において、駆動軸が回転すると、少なくとも1つのギアに連結された磁気エンコーダの磁石が回転する。いくつかの実施形態では、磁気エンコーダは、少なくとも1つのギアに少なくとも部分的に埋め込まれても良い。いくつかの実施形態では、磁気エンコーダは、トランスミッションの少なくとも1つのギアに固定された直径方向に分極された磁石を含む。
【0048】
ブロック206において、駆動軸の位置が決定され、駆動軸の位置を決定するステップは、磁気エンコーダを用いて少なくとも1つのギアの位置を測定するステップを含む。駆動軸の位置は、磁気エンコーダからの信号に基づいてプロセッサによって決定することができる。磁気エンコーダの信号は、少なくとも1つのギアの絶対回転位置を示すことができる。従って、いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つのギアの位置を示す信号を生成し、その信号をプロセッサに送信することを含むこともできる。いくつかの実施形態では、駆動軸の位置を決定するステップは、プロセッサでスケーリング係数を適用することによって、少なくとも1つのギアの絶対位置を駆動軸の位置に変換するステップを含んでいて良い。例えば、幾つかの実施形態では、プロセッサは、トランスミッションのギア比に基づくスケーリング係数を適用することによって、少なくとも1つのギアの位置を駆動軸の位置に対してスケーリングすることができる。
【0049】
前述したように、トランスミッションは、駆動軸の回転数を少なくとも1つのギアの回転数に対してN:1の比率で減少させることができ、ここで、Nは1より大きく10未満、4以上6以下、及び/または5である。いくつかの実施形態では、ボルトを伸長位置と後退位置との間で移動させるために駆動軸を回転させることは、駆動軸を完全に5回転させることを含む。いくつかの実施形態では、磁気エンコーダを回転させるステップは、磁気エンコーダを0回転と1回転との間で回転させるステップを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、ブロック206において駆動軸の位置を決定する代わりに、伸長位置と後退位置との間のボルトの位置を決定することができる。例えば、プロセッサは、少なくとも1つのギアの絶対回転位置を示す磁気エンコーダからの信号に基づいて、ボルトの直線位置を決定することができる。いくつかの実施形態において、ボルトの位置は、決定された駆動軸の位置から推定される。例えば、ロック位置とロック解除位置との間の駆動軸の進行は、通常動作中の伸長位置と後退位置との間のボルトの進行に対応し得る。このような実施形態では、
図5のプロセスは、駆動軸の決定された回転位置及び/または磁気エンコーダからの信号からボルトの位置が推定されるブロック206に続く追加のブロック(または代替の決定を行うためにブロック206の代わりに代替のブロック)を含んでも良い。
【0051】
ブロック206において、駆動軸の位置が決定されると、
図5のプロセスは終了する場合がある。駆動軸の位置は、実施形態がこの点に限定されないので、様々な目的のために使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、駆動軸の位置は、ドアが固定されているか否かを決定するために使用されても良く、これは、駆動軸に関連するボルトが伸長位置にあるか、または別の位置にあるかに依存しても良い。別の例として、駆動軸の位置は、アクチュエータが駆動軸を駆動する方法を調整するために使用されても良い。例えば、駆動軸が終了位置(例えば、関連するボルトが伸長位置または後退位置にある場合)に近づくにつれて、アクチュエータは、加えられる力が低減されるように駆動軸が駆動される方法を調整することができる。
【0052】
図6は、本明細書に記載される例示的な実施形態によるドアロックを製造する方法の一実施形態のフローチャートである(例えば、
図1~
図4を参照されたい。)。
図6に示すプロセスの開始前に、ドアロックの様々な構成要素は、機械加工されるか、または他の方法で組立業者に提供されても良い。
【0053】
図6のプロセスはブロック250で開始し、ドアロックの駆動軸はトランスミッションに連結され、トランスミッションは少なくとも1つのギアを含む。いくつかの実施形態では、駆動軸をトランスミッションに連結するステップは、駆動軸の駆動ギアをトランスミッションの少なくとも1つのギアと噛み合わせるステップを含む。いくつかの実施形態では、駆動ギア及びトランスミッションの少なくとも1つのギアは、ドアロックのハウジングに回転可能に連結されても良い。
【0054】
ブロック252において、磁気エンコーダが、少なくとも1つのギアに連結され、磁気エンコーダは、直径方向に分極された磁石を含む。いくつかの実施形態では、磁気エンコーダを連結するステップは、直径方向に分極された磁石を少なくとも1つのギアに埋め込むステップを含んでいて良い。磁石を少なくとも1つのギアに埋め込むことにより、磁石と少なくとも1つのギアとの間に圧入状態を形成することができる。いくつかの実施形態において、磁石は、締結具または接着剤を用いて少なくとも1つのギアに連結されても良い。例えば、いくつかの実施形態において、磁石は、少なくとも1つのギアに接着されても良い。
【0055】
ブロック254において、磁気エンコーダは、プロセッサに電気的に接続されている。いくつかの実施形態において、磁気エンコーダ及びプロセッサは、回路基板を介して互いに接続されても良い。例えば、回路基板上の1つまたは複数のトレースは、磁気エンコーダ及びプロセッサを電気的に接続しても良い。磁気エンコーダは、プロセッサと磁気エンコーダとの間の電気接続を介して、1つまたは複数の信号をプロセッサに送信するように構成することができる。
【0056】
ブロック256において、駆動軸はアクチュエータに連結されている。いくつかの実施形態では、アクチュエータはモータであっても良い。いくつかの実施形態では、駆動軸をアクチュエータに連結するステップは、アクチュエータの出力軸をトランスミッションに連結するステップを含んでいて良い。
【0057】
ブロック258において、駆動軸、トランスミッション、アクチュエータ、及び磁気エンコーダは、少なくとも部分的にハウジング内に収容され得る。いくつかの実施形態では、駆動軸、トランスミッション、アクチュエータ、及び磁気エンコーダを少なくとも部分的に収容するステップは、駆動軸、トランスミッション、アクチュエータ、及び磁気エンコーダをハウジング内に取り付けるステップを含んでいて良い。いくつかの実施形態において、ドアロックの構成要素は、1つまたは複数の締結具(例えば、ねじ)または接着剤を用いてハウジング内に取り付けられても良い。いくつかの実施形態では、駆動軸及びトランスミッションがハウジングに対して回転できるように、駆動軸及びトランスミッションをハウジング内に回転可能に取り付けることができる。
【0058】
ブロック258において、駆動軸、トランスミッション、アクチュエータ、及び磁気エンコーダが少なくとも部分的にハウジング内に収容されると、
図6のプロセスは終了する。実施形態はこの点に関して限定されないので、ドアロックは、新規または既存のハードウェアを含む新規または既存のドアにおいて使用されても良い。例えば、いくつかの実施形態において、ドアロックは、既存のドアに取り付けられ、駆動軸は、ドア内に配置された既存のボルトに連結されても良い。
【0059】
図7は、本明細書に記載される例示的な実施形態による、ドアロックを操作する方法の別の実施形態のフローチャートである。特に、
図7の実施形態は、ドアロックの始動または電力サイクリング事象の回復のための方法を含む。
図7に示すプロセスの開始前、ドアロックは、ドアロックの1つまたは複数の構成部品に対する電力が不足している可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ及び/または磁気エンコーダの電力が不足する場合がある。いくつかの実施形態では、ドアロックは、電源を含まない場合があり(例えば、バッテリが切断されている)、または電源が電力不足している場合がある(例えば、バッテリが完全に放電している)。
【0060】
ブロック300において、ドアロックのトランスミッションの少なくとも1つのギアに連結された磁気エンコーダに電力が供給される。いくつかの実施形態において、電力は、バッテリパックから供給されても良い。他の実施形態において、電力は、ハードワイヤード電源(hardwired source)から供給されても良い。電力は、磁気エンコーダに選択的に供給されても良い。例えば、バッテリパックの交換中、または電力供給の別の中断中に、電力が供給されない場合がある。
【0061】
ブロック302において、少なくとも1つのギアの位置が決定され、この位置は、メモリに記憶されたいかなる先行位置情報も伴わずに決定される。例えば、いくつかの実施形態では、磁気エンコーダは、少なくとも1つのギアの絶対位置を示す非増分信号を提供することができる。少なくとも1つのギアの位置は、電力の損失に関連する揮発性メモリの消去後であっても決定することができる。
【0062】
ブロック304において、ドアロックの駆動軸の位置は、少なくとも1つのギアの決定された位置に基づいて決定される。例えば、プロセッサは、磁気エンコーダから信号を受信し、その信号を使用して駆動軸の位置を決定することができる。いくつかの実施形態では、信号は、少なくとも1つのギアに連結された磁石の回転方向に基づいて、少なくとも1つのギアの回転位置を示すことができる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、駆動軸と少なくとも1つのギアとの間のギア比に一致するスケーリング係数を適用しても良い。
【0063】
ブロック306において、駆動軸は、所定の位置に移動され、それに対応して、ドアロックに関連付けられたボルトを伸長位置または後退位置に移動させる。いくつかの実施形態において、ブロック306は、駆動軸の位置の決定に続いて自動的に実行されても良い。例えば、いくつかの実施形態において、ドアロックは、ボルトを伸長位置に移動させることに対応して、ボルトをロック状態に自動的に移動させることができる。従って、ドアロックは、駆動軸が伸張位置に関連する位置以外の位置にあると判断された場合、ボルトを伸張位置に移動させるために駆動軸を移動させることができる。同様に、いくつかの実施形態において、ドアロックは、駆動軸を移動させて、ボルトを後退位置に移動させることができる。これらの実施形態によれば、駆動軸の移動中に電力サイクリング事象がある場合、駆動軸の位置を決定することができ、ドアロックによって以前に実行されていた動作を継続及び/または完了することができる。
【0064】
ブロック306において、駆動軸が移動されると、
図7のプロセスは終了する。前述したように、
図7のプロセスは、実施形態がこの点に限定されないので、様々な目的のために使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、
図7のプロセスは、新しい設置のためにドアロックを初期化するために使用することができる。他の実施形態では、
図7のプロセスは、停電後にドアロックを復元するために使用しても良い。
【0065】
図8は、本明細書に記載される例示的な実施形態による、ドアロックを操作する方法の更に別の実施形態のためのフローチャートである。
図8の実施形態によれば、この方法は、ドアロックの作動を較正またはその他の方法で変更する方法であっても良い。
図8に示すプロセスの開始前に、ドアロックをドアに設けても良い。いくつかの実施形態において、ドアロックは、ボルトのような、ドア内に配置された既存のロックのハードウェアに取り付けられ、連結されても良い。
【0066】
ブロック350において、ドアロックの駆動軸が第1の所定の位置に移動され、それに対応して、ドアロックに関連するボルトが伸長位置に移動されている。例えば、駆動軸を1回以上回転させ、それに対応してボルトを伸長位置に移動させる。いくつかの実施形態では、駆動軸を5回回転させ、それに対応してボルトを伸長位置に移動させる。
【0067】
ブロック352において、駆動軸に連結された少なくとも1つのギアの第1の位置が決定される。少なくとも1つのギアの第1の位置は、メモリに記憶された事前の位置情報無しに決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサは、磁気エンコーダからの1つまたは複数の非増分信号に基づいて第1の位置を決定することができる。また、少なくとも1つのギアの第1の位置は、駆動軸の第1の所定の位置に関連付けられる。例えば、少なくとも1つのギアは、少なくとも1つのギアの回転位置が駆動軸の回転位置に対応するようなギア比で駆動軸に連結されても良い。
【0068】
ブロック354において、駆動軸は、第2の所定の位置に移動され、それに対応してボルトを後退位置に移動させる。例えば、駆動軸を1回以上回転させて、それに応じてボルトを後退位置に移動させる。いくつかの実施形態では、駆動軸を5回回転させ、それに対応してボルトを後退位置に移動させる。
【0069】
ブロック356において、駆動軸に連結された少なくとも1つのギアの第2の位置が決定され、この第2の位置は、メモリに記憶された事前の位置情報無しに決定される。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサは、磁気エンコーダからの1つまたは複数の非増分信号に基づいて第2の位置を決定することができる。少なくとも1つのギアの第2の位置は、駆動軸の第2の所定の位置に関連付けられる。例えば、少なくとも1つのギアは、少なくとも1つのギアの回転位置が駆動軸の回転位置に対応するようなギア比で駆動軸に連結されても良い。
【0070】
ブロック358において、ドアロックのロックまたはロック解除プロファイルの1つまたは複数のパラメータが変更される。1つまたは複数のパラメータは、ドアロックのアクチュエータの様々な動作要因とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ボルトが伸長位置または後退位置に近づくにつれて、ドアロックがアクチュエータ速度を低下させても良い。別の例として、いくつかの実施形態において、ドアロックのアクチュエータに供給される電流は、ボルトが伸長位置または後退位置に近づくにつれて低減され得る。もちろん、本開示はそのように限定されないので、決定された駆動軸の位置に基づいて、ドアロックのロック解除またはロックプロファイルの任意の適切なパラメータを変更することができる。ドアロックのロックまたはロック解除プロファイルの1つまたは複数のパラメータが変更されると、
図8のプロセスは終了する。
【0071】
本明細書に記載される技術の上述の実施形態は、多数の方法のいずれかで実施することができる。例えば、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装されても良い。ソフトウェアで実装される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータで提供されるか、または複数のコンピュータに分散されるかに拘わらず、任意の適切なプロセッサまたはプロセッサの集合で実行する場合がある。このようなプロセッサは、CPUチップ、GPUチップ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはコプロセッサ等の名称で、当技術分野で知られている市販の集積回路コンポーネントを含む、集積回路コンポーネント内の1つまたは複数のプロセッサを有する集積回路として実装する場合がある。あるいは、プロセッサは、ASIC等のカスタム回路、またはプログラマブルロジックデバイスを構成することから得られるセミカスタム回路に実装されても良い。更に別の代替として、プロセッサは、市販されているか、半カスタムであるか、カスタムであるかに拘わらず、より大きな回路または半導体デバイスの一部であっても良い。特定の例として、いくつかの市販のマイクロプロセッサは、それらのコアの1つまたはサブセットがプロセッサを構成し得るように、複数のコアを有している。しかし、プロセッサは、任意の適切なフォーマットの回路を使用して実装されても良い。
【0072】
このようなプロセッサは、ローカルエリアネットワークまたは企業ネットワークやインターネット等のワイドエリアネットワークを含む、任意の適切な形態の1つまたは複数のネットワークによって相互接続することができる。このようなネットワークは、任意の適切な技術に基づくことができ、任意の適切なプロトコルに従って動作することができ、無線ネットワーク、有線ネットワーク、または光ファイバネットワークを含む場合がある。
【0073】
また、本明細書で概説される様々な方法またはプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームのいずれか1つを採用する1つまたは複数のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとしてコード化されても良い。更に、このようなソフトウェアは、多数の適切なプログラミング言語及び/またはプログラミングツール若しくはスクリプティングツールのいずれかを使用して書かれても良く、実行可能なマシン言語コードまたはフレームワーク若しくは仮想マシン上で実行される中間コードとしてコンパイルされても良い。
【0074】
この点に関して、本明細書に記載される実施形態は、1つまたは複数のコンピュータまたは他のプロセッサ上で実行されると、上述の様々な実施形態を実装する方法を実行する1つまたは複数のプログラムで符号化されたコンピュータ読取り可能記憶媒体(または複数のコンピュータ読取り可能媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つまたは複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは他の半導体デバイス内の回路構成、または他の有形のコンピュータ記憶媒体)として具現化され得る。前述の例から明らかなように、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ実行可能命令を非一時的な形式で提供するのに十分な時間、情報を保持することができる。そのようなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、その上に格納されたプログラムが、1つまたは複数の異なるコンピュータまたは他のプロセッサ上にロードされて、上述のように本開示の様々な態様を実施することができるように、移動可能であり得る。本明細書で使用される場合、用語「コンピュータ読取り可能記憶媒体」は、製造業者(すなわち、製品)または機械であるとみなすことができる非一時的なコンピュータ読取り可能媒体のみを包含している。代替的または追加的に、本開示は、伝搬信号等、コンピュータ読取り可能記憶媒体以外のコンピュータ読取り可能媒体として実施する場合がある。
【0075】
「プログラム」または「ソフトウェア」という用語は、本明細書では、一般的な意味で使用され、上述したように、本開示の様々な態様を実施するためにコンピュータまたは他のプロセッサをプログラムするために使用することができる任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指している。更に、この実施形態の1つの態様によれば、実行されたときに本開示の方法を実行する1つまたは複数のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたはプロセッサ上に存在する必要は無く、本開示の様々な態様を実装するために、多数の異なるコンピュータまたはプロセッサの間で、モジュール方式で分散されても良いことが理解されるべきである。
【0076】
コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のコンピュータまたは他のデバイスによって実行される、プログラムモジュール等の多くの形式であり得る。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。典型的には、プログラムモジュールの機能性は、様々な実施形態において所望されるように、組み合わされ得るか、または分散され得る。
【0077】
また、データ構造は、任意の適切な形態でコンピュータ読取り可能媒体に格納することができる。説明を簡単にするために、データ構造は、データ構造内の位置によって関連付けられるフィールドを有するように示され得る。このような関係は、同様に、フィールド間の関係を伝達するコンピュータ読取り可能媒体内の位置を有するフィールドのための記憶装置を割り当てることによって達成することができる。しかし、ポインタ、タグ、またはデータ要素間の関係を確立する他の機構の使用を含む、任意の適切な機構を使用して、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立することができる。
【0078】
本開示の様々な態様は、単独で、組み合わせて、または前述の実施形態で具体的に説明されていない様々な配置で使用することができ、従って、その適用は、前述の説明または図面に示された構成要素の詳細及び配置に限定されない。例えば、一実施形態に記載された態様は、他の実施形態に記載された態様と任意の方法で組み合わせることができる。
【0079】
また、ここに記載される実施形態は、例が提供された方法として具体化されても良い。方法の一部として実行される行為は、任意の適切な方法で命令することができる。従って、例示的な実施形態では連続的な動作として示されているが、いくつかの動作を同時に実行することを含む場合がある、図示された順序とは異なる順序で動作が実行される実施形態を構築することができる。
【0080】
更に、いくつかのアクションは、「ユーザ」によって行われるものとして記述されている。「ユーザ」は、単一の個人である必要は無く、いくつかの実施形態では、「ユーザ」に起因するアクションは、個人のチーム及び/またはコンピュータ支援ツールまたは他の機構と組み合わせた個人によって実行され得ることを理解されたい。
【0081】
本教示は、様々な実施形態及び実施例に関連して説明されてきたが、本教示がそのような実施形態または実施例に限定されることは意図されない。反対に、本教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替物、改変物、及び等価物を包含している。従って、前述の説明及び図面は、例としてのみである。
【国際調査報告】