(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】熟成肉から分離された新規な乳酸菌及びその用途
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20230929BHJP
A61K 35/744 20150101ALI20230929BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230929BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230929BHJP
C12N 15/57 20060101ALN20230929BHJP
A23L 33/135 20160101ALN20230929BHJP
【FI】
C12N1/20 A
A61K35/744
A61P37/04
A61P43/00 107
C12N15/57
A23L33/135
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518294
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 KR2021012927
(87)【国際公開番号】W WO2022060199
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0121667
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0124768
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520495010
【氏名又は名称】ククミンバイオ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】KOOKMINBIO, CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】サン ムンヒ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD85
4B018ME14
4B065AA01X
4B065CA31
4B065CA41
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC55
4C087CA08
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB22
(57)【要約】
本発明は、タンパク質分解活性、免疫増強活性及びプロバイオティクス特性を有する熟成肉から分離したラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株及びその用途に関するものであって、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株は、タンパク質分解活性及び免疫増強効果を示し、溶血活性を示さないながら、有害物質及び有害酵素関連遺伝子を保有しないと確認されることによって、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株は、多様なプロバイオティクス、機能性食品組成物、及び薬学組成物の素材として活用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株(受託番号:KCTC 14637BP)。
【請求項2】
前記菌株は、タンパク質分解酵素遺伝子を保有することを特徴とする請求項1に記載のラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株(受託番号:KCTC 14637BP)。
【請求項3】
前記菌株は、免疫細胞の活性を増進させることを特徴とする請求項1に記載のラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株(受託番号:KCTC 14637BP)。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む、プロバイオティクス製剤。
【請求項5】
請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む、免疫増強用組成物。
【請求項6】
請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む、免疫増強のための健康機能食品組成物。
【請求項7】
請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む、免疫細胞の免疫活性を増進させる試薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質分解活性、免疫増強活性及びプロバイオティクス特性を有する熟成肉から分離したラクチプランチバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)KM2菌株及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌は、炭水化物を用いて乳酸を生成する微生物であって、長期間産業に用いられ、発酵工程を通じて炭水化物とタンパク質及び脂肪成分などを分解して風味を増進させ、栄養学的価値を高める。ラクトバチルス(Lactobacillus)で発酵した発酵乳の摂取が長寿の要因であることが明かされた以後に、乳酸菌及びプロバイオティクスの機能性についての研究が持続している。プロバイオティクス(Probiotics)乳酸菌は、体内に入って整腸効果を含む有益な機能性を有する生きている菌であって、腸内で乳酸を生成して腸内環境を酸性にして酸性に耐えられない有害菌を抑制させ、酸性で生育のよい有益菌の増殖条件を組成して正常腸内の細菌叢の均衡を保持し、排便活動が円滑に役立つだけではなく、免疫活性増進、抗ガン作用、血清コレステロール低下などの作用が報告されている。
【0003】
また、発酵工程を通じては、追加的に乳糖不耐症を改善し、免疫機能改善など多様な効能を期待することができて、消費者の関心が高く、これについての多様な研究が進められている。このように多様化されている製品類型と消費者性向とを満たすためには、優れたプロバイオティクスの持続的な開発が必要である。
【0004】
大韓民国の国内で使われている乳酸菌種菌の場合、ほとんど輸入に依存している実情であって、デンマーク、米国、フランス及びドイツなど酪農先進国から輸入している実情である。これは、西欧ヨーロッパの乳酸菌株の改良技術が大きくリードしているためであると見られ、また、大韓民国の国内的に産業的利用可能な乳酸菌の開発が不足なことも乳酸菌の競争力低下の要因と見られる。
【0005】
一方、2018年の食品年鑑によれば、生活レベルの向上と医療機術の発達は、高齢化社会を急速に構成させており、大韓民国の場合にも、2026年に65歳以上の老人人口の比率は、全体人口の20.8%であって、5人のうち1人が老人になる超高齢社会に到達すると予測されている。高齢人口は、老化が進められることによって、人体を構成する組織及び器官の生理的機能は、成熟期に比べて非可逆的に低下し、このような身体変化によって慢性退行性疾患の危険率が増加し、咀嚼障害、嚥下障害、消化吸収率低下、味覚減少などの現象が表われる。そのうち、咀嚼能力低下は、摂取する食べ物に制限が生じ、食事の量と質とが落ちることもできるが、発酵乳素材は、摂取容易性と共に栄養を効果的に提供することができ、特に、タンパク質分解特性に優れた乳酸菌を利用した発酵は、タンパク質のような高分子物質の低分子化で消化容易性を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1750948号(2017.06.26.公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明の目的は、タンパク質分解活性及び免疫増強効果を示し、溶血活性を示さないながら、有害物質及び有害酵素関連遺伝子を保有せず、安全であって、プロバイオティクス、機能性食品組成物、及び薬学組成物の素材として活用することができる菌株を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株(受託番号:KCTC 14637BP)を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含むプロバイオティクス製剤を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む免疫増強用組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む免疫増強のための健康機能食品組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む免疫細胞の免疫活性を増進させる試薬組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株は、タンパク質分解活性及び免疫増強効果を示し、溶血活性を示さないながら、有害物質及び有害酵素関連遺伝子を保有しないと確認されることによって、前記ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株は、多様なプロバイオティクス、機能性食品組成物、及び薬学組成物の素材として活用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】熟成肉由来タンパク質分解酵素を生産する低温生育が可能な乳酸菌を分離した結果である。
【
図2】10% スキムミルク(skim milk)液体培地を使用して熟成肉由来タンパク質分解酵素を生産する低温生育が可能な乳酸菌を分離した結果である。
【
図3】熟成肉由来タンパク質分解酵素を生産する低温生育が可能な乳酸菌の種名を同定するために作成された系統樹である。
【
図4】ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の遺伝子地図を示す図面である。
【
図5】ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の溶血性を評価した結果である。
【
図6】ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の抗生剤感受性を評価した結果である。
【
図7】ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の免疫増強効果を評価した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使われる用語は、本発明での機能を考慮しながら可能な限り現在広く使われる一般的な用語を選択したが、これは、当業者の意図または判例、新たな技術の出現などによって変わりうる。また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、該当する発明の説明部分で詳しくその意味を記載する。したがって、本発明で使われる用語は、単純な用語の名称ではない、その用語が有する意味と本発明の全般に亘った内容とに基づいて定義されなければならない。
【0016】
取り立てての定義がない限り、技術的や科学的な用語を含んで、ここで使われるあらゆる用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本明細書で明白に定義しない限り、理想的であるか、過度に形式的な意味として解釈されてはならない。
【0017】
数値範囲は、前記範囲に定義された数値を含む。本明細書にわたって与えられたあらゆる最大の数値制限は、低い数値制限が明確に書き込まれているように、あらゆるさらに低い数値制限を含む。本明細書にわたって与えられたあらゆる最小の数値制限は、さらに高い数値制限が明確に書き込まれているように、あらゆるさらに高い数値制限を含む。本明細書にわたって与えられたあらゆる数値制限は、さらに狭い数値制限が明確に書き込まれているように、さらに広い数値範囲内のさらに良いあらゆる数値範囲を含む。
【0018】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
本発明者らは、このような点を勘案して、本発明者らは、低温熟成した肉類から分離された菌株の中からラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株がタンパク質分解活性及び免疫増強効果を示し、溶血活性を示さないながら、有害物質及び有害酵素関連遺伝子を保有しないことを確認することにより、本発明を完成した。
【0020】
本発明は、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株(受託番号:KCTC 14637BP)を提供する。
【0021】
前記ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株は、2021年7月14日に韓国生命工学研究院生物資源セッター(KCTC)に寄託して寄託番号KCTC 14637BPを与えられた。
【0022】
前記菌株は、タンパク質分解酵素遺伝子を保有していながら有害物質及び有害酵素関連遺伝子を保有しないことを特徴とし、前記タンパク質分解酵素は、プロテアーゼ(Protease)である。前記プロテアーゼは、タンパク質分解酵素でタンパク質を成しているアミノ酸間のペプチド結合を加水分解する酵素であり、あるタンパク質分解酵素の場合、タンパク質のアミノ末端(aminopeptidase)、またはカルボキシル末端(carboxypeptidase)を切るエキソペプチダーゼ(exopeptidase)があり、ある場合は、タンパク質の中間を切るエンドペプチダーゼ(endopeptidase、例、トリプシン、ケモトリプシン、ペプシン、パパイン、エラステアーゼ)がある。
【0023】
前記有害物質及び有害酵素は、獲得型抗生剤耐性遺伝子、毒性遺伝子、及び溶血素遺伝子であり、前記菌株は、このような有害物質及び有害酵素を暗号化する遺伝子を保有しないと確認された。
【0024】
前記菌株は、免疫細胞の活性を増進させる活性を示し、前記免疫細胞は、大食細胞、B細胞、T細胞、樹状細胞などを含み、前記免疫細胞の活性を増進させるものは、各免疫細胞が免疫反応を行うために分泌するサイトカインの量を増大させるものであり、具体的に、前記免疫細胞は、大食細胞であり、サイトカインの種類は、TNF-α及びINF-βである。
【0025】
また、本発明は、前記菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含むプロバイオティクス製剤を提供する。
【0026】
前記プロバイオティクスは、生きている菌、すなわち、ヒトや動物が摂取した時、胃腸管に留まって生存することができる微生物であって、特定の病理状態を予防または治療することができる効果がある微生物製剤を言う。一般的に、プロバイオティクスは、腸内細菌叢の異常発酵によって引き起こされる諸症状を治療または改善する効果があり、ヒト及び動物に投与されれば、腸内の消化管壁に密集、定着して有害微生物が定着することができないようにする作用を行い、乳酸を生成して腸内pHを下げて有害微生物の増殖を抑制する。
【0027】
前記プロバイオティクス製剤は、前記菌株培養液には菌株が生産した多様な抗菌性有機酸及び非タンパク質性抗菌物質が含まれており、生菌剤組成物の有効成分として含まれた時、菌株を含む組成物と同等な効果を示すことができる。
【0028】
前記プロバイオティクス製剤は、当業者に公知の方法によって多様な剤形と方法とで製造及び投与される。例えば、本発明のラクトバチルス・プランタラムJDFM LP11菌株、その培養液、前記培養液の濃縮液またはその乾燥物は、薬剤学的分野で通常の担体と混合して散剤(powder)、液剤(liquids and solutions)、錠剤(tablet)、カプセル(capsule)、シロップ(syrup)、懸濁剤(suspension)または顆粒剤(granule)などの形態に製造されて投与される。前記担体としては、例えば、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素及び香料などであるが、これらに制限されるものではない。また、投与容量は、体内での活性成分の吸収度、不活性率、排泄速度、被投与者の年齢、性別、畜種、状態及び疾病の重症程度などによって適切に選択することができる。
【0029】
前記培養液は、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株を培養した人工培地であり、前記人工培地は、乳酸菌及び細菌を培養することができる商業的に製造される合成培地であり、例えば、TBS(Tryptic Soy Broth)、TSB(Tryptic Soy Broth)NB(Nutrient Broth)、LB(Luria-Bertani broth)であるが、これらに制限されるものではない。
【0030】
前記発酵物は、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株を用いて発酵した天然培地であり、前記天然培地は、乳酸菌及び細菌で発酵する天然物を意味し、例えば、ジャガイモ、トマト、牛乳のような自然産物を利用した培地であるが、これらに制限されるものではない。
【0031】
前記培養液の濃縮液は、前記培養液自体から派生される加工物を含み、培養液中の培養培地を除去し、濃縮された菌体及び機能性成分のみを回収するために、遠心分離または濾過過程を含む当業者が必要に応じて行える過程を行って濃縮された物質を意味する。
【0032】
前記培養液の乾燥物は、前記培養液自体から派生される加工物を含み、培養液中の培養培地を除去し、濃縮された菌体及び機能性成分のみを回収するために、遠心分離、濾過過程、及び凍結乾燥などの当業者が必要に応じて行える過程を行って乾燥された物質を意味する。
【0033】
また、本発明は、前記菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む免疫増強用組成物を提供する。
【0034】
前記免疫増強用組成物は、当業者が必要に応じて薬学的組成物に含み、前記薬学的組成物は、当業者が容易に実施することができる方法によって、薬剤学的に許容される担体を用いて製剤化することにより、単位容量の形態に製造されるか、または多容量容器内に内入させて製造可能である。
【0035】
前記薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通用されるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微小結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬学的組成物は、前記成分の以外に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含みうる。
【0036】
本発明において、前記薬学的組成物に含まれる添加剤の含量は、特に限定されるものではなく、通常の製剤化に使われる含量範囲内で適切に調節される。
【0037】
前記薬学的組成物は、水溶液、懸濁液、乳濁液のような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒、錠剤、クリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、ペースト剤、及びカタプラズマ剤からなる群から選択される1つ以上の外用剤の形態に剤形化される。
【0038】
本発明の薬学的組成物は、剤形化のために追加の薬学的に許容可能な担体及び希釈剤を含みうる。前記薬学的に許容可能な担体及び希釈剤は、澱粉、糖、及びマンニトールのような賦形剤、リン酸カルシウムのような充填剤及び増量剤、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ゼラチン、アルギン酸塩、及びポリビニルピロリドンのような結合剤、滑石、ステアリン酸カルシウム、水素化ヒマシ油及びポリエチレングリコールのような潤滑剤、ポビドン、クロスポビドンのような崩壊剤、ポリソルベート、セチルアルコール、及びグリセロールのような界面活性剤を含むが、これらに限定されるものではない。前記薬学的に許容可能な担体及び希釈剤は、対象体に生物学的及び生理学的に親和的なものである。希釈剤の例としては、塩水、水溶性緩衝液、溶媒及び/または分散剤(dispersion media)が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0039】
本発明の薬学的組成物は、目的の方法によって経口投与または非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または局所に適用)することができる。経口投与である場合、錠剤、トローチ剤(troches)、ロゼンジ(lozenge)、水溶性懸濁液、油性懸濁液、調剤粉末、顆粒、エマルジョン、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤などで剤形化される。非経口投与である場合、注射液、坐剤、呼吸器吸入用粉末、スプレー用エアロゾル剤、軟膏、塗布用パウダー、オイル、クリームなどで剤形化される。
【0040】
本発明の薬学的組成物の投与量は、患者の状態及び体重、年齢、性別、健康状態、食餌体質特異性、製剤の性質、疾病の程度、組成物の投与時間、投与方法、投与期間または間隔、排泄率、及び薬物形態によって、その範囲が多様であり、当業者によって適切に選択されうる。例えば、約0.1~10,000mg/kgの範囲であるが、これに制限されず、1日1回ないし数回に分けて投与される。
【0041】
前記薬学的組成物は、目的の方法によって経口投与または非経口投与(例えば、静脈内、皮下内、腹腔内または局所に適用)される。本発明の薬学的組成物の薬学的有効量、有効投与量は、薬学的組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間及び/または投与経路などによって多様になり、当業者は目的の治療に効果的な投与量を容易に決定または処方することができる。本発明の薬学的組成物の投与は、1日1回投与され、数回に分けて投与されても良い。
【0042】
また、本発明は、前記菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む免疫増強のための健康機能食品組成物を提供する。
【0043】
本発明は、通用される食品として一般的に使われる。
【0044】
本発明の食品組成物は、健康機能食品として使われる。前記「健康機能食品」とは、健康機能食品に関する法律による人体に有用な機能性を有した原料や成分を使用して製造及び加工した食品を意味し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節するか、生理学的作用のような保健用途に有用な効果を得る目的として摂取することを意味する。
【0045】
本発明の食品組成物は、通常の食品添加物を含み、前記「食品添加物」としての適否は、他の規定がない限り、食品医薬品安全処に承認された食品添加物公典の総則及び一般試験法などによって当該品目に関する規格及び基準によって判定する。
【0046】
前記「食品添加物公典」に収載された品目としては、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、ケイ皮酸などの化学的合成物、紺色素、甘草抽出物、結晶セルロース、コウリャン色素、グアーガムなどの天然添加物、L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類が挙げられる。
【0047】
本発明の食品組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状、丸などの形態に製造及び加工することができる。
【0048】
例えば、カプセル形態の健康機能食品のうち、硬質カプセル剤は、通常の硬質カプセルに本発明による組成物を賦形剤などの添加剤と混合及び充填して製造することができ、軟質カプセル剤は、本発明による組成物の賦形剤などの添加剤と混合し、ゼラチンなどカプセル基剤に充填して製造することができる。前記軟質カプセル剤は、必要に応じてグリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤、着色剤、保存剤などを含有することができる。
【0049】
前記賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤、着香剤などに対する用語の定義は、当業者に公知の文献に記載されたものであって、その機能などが同一ないし類似したものを含む。前記食品の種類には、特に制限がなく、通常の意味での健康機能食品をいずれも含む。
【0050】
また、本発明は、前記菌株、その培養液、その発酵物、前記培養液の濃縮液、前記培養液の乾燥物またはこれらの混合物を有効成分として含む免疫細胞の免疫活性を増進させる試薬組成物を提供する。
【0051】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明の内容を例示するものであり、本発明の範囲が、下記の実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0052】
実施例1.熟成した肉類から乳酸菌の分離
【0053】
大韓民国忠清南道公州市の食堂から熟成前の韓牛と4℃で60日間低温熟成した韓牛とを収集した。それぞれの牛肉を滅菌水に混合して磨砕した後、滅菌生理食塩水(0.85% NaCl)を用いて段階的に希釈した後、100μLを取ってMRS(Lactobacilli MRS agar,Difco)平板培地に塗抹して20℃と37℃とで培養した。培養後に形成されたコロニーは、pH indicatorである0.006% BCP(Bromocresol Purple,Sigma,St.Louis,MO,USA)が添加されたMRS平板培地に1次的に塗抹して20℃と37℃とで24時間培養して、BCPの紫色培地が黄色に変わるコロニー23種を乳酸菌として選別した。
【0054】
図1に示されたように、選別された乳酸菌のうち、低温で生育が可能であり、タンパク質分解酵素を生産する乳酸菌を選別するために、分離菌株をBCPとスキムミルクとが混合された平板培地に塗抹して4℃と20℃とで24時間培養後、4℃と20℃とで生育が可能であり、黄色に変わり、透明丸を形成するコロニー8種を選別した。
【0055】
図2に示されたように、選別された8種の乳酸菌の中からタンパク質分解酵素を生産する乳酸菌を選別するために、3次的に10% スキムミルク液体培地に接種して4℃と20℃とで培養し、4℃と20℃とでスキムミルクを凝固または分解するL13菌株を最終的に選別した。
【0056】
実施例2.分離菌株の同定
【0057】
前記実施例1から分離選別された菌株の分子学的同定及び系統樹の作成のために、(株)マクロジェンに依頼して16S rRNA塩基配列を分析した。塩基配列分析結果をNCBI(National Center for Biotechnology Information,Bethesda,MD,USA)のヌクレオチドBLASTを使用してGeneBankに登録された塩基配列と相同性を比較した。塩基配列は、標準菌株の塩基配列を確保してGenetyx programを使用して塩基配列間相互比較後、Kimura 2-parameter methodとNeighbor-joiningアルゴリズムとを使用して系統図を作成した。
【0058】
図3に示されたように、選別されたL13菌株は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)で同定された。前記同定過程は、2020年誘電体基盤でLactobacillus属に属する種に対して再分類した資料を基盤し、2021年3月30日の食品医薬品安全処で食品の基準及び規格の一部改正告示によって行われ、最終的に選別されたL13菌株をラクチプランチバチルス・プランタラムKM2と名付け、2021年7月14日に韓国生命工学研究院生物資源セッター(KCTC)に寄託して寄託番号KCTC 14637BPを与えられた。
【0059】
実施例3.分離菌株の誘電体レベルの安全性の検証
【0060】
前記ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株が誘電体レベルで安全性があるかを確認するために、(株)チョンラップに依頼して全長誘電体を分析した。分離菌株の誘電体をPacBio_20KとMiSeqとを活用して塩基配列を分析し、分析結果をMaSuRCA-3.3.9を用いてアセンブリー遂行した。
図4及び表1に示されたように、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の全長誘電体の分析結果、GC含量44.24%及び3,418,157bpのクロモソームDNA(chromosomal DNA)を有し、5個のプラスミドで構成されていると確認された。また、表2に示されたように、13個のタンパク質分解酵素遺伝子を保有すると確認された。また、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の誘電体レベルで有害因子を確認した結果、獲得型抗生剤耐性遺伝子を保有しておらず、毒性遺伝子及び溶血伝子遺伝子を保有していないと確認された。
【0061】
【0062】
【0063】
実施例4.分離菌株の溶血性の確認
【0064】
前記ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の溶血性を確認するために、TSA(Tryptic soy agar;BD,Difco)に5%ウサギ血液(MB Cell,Korea)または5%羊血液(MB Cell,Korea)を添加して血液寒天培地を製造した。ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株を画線塗抹して37℃で24時間培養後,菌体周囲に生じる透明丸の形成で溶血性を確認した。スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)USA300菌株は、陽性対照群として、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)RN4220菌株は、陰性対照群として使用した。
図5に示されたように、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株は、血液培地で溶血現象を示さないと確認された。
【0065】
実施例5.分離菌株の抗生剤感受性の確認
【0066】
前記ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の抗生剤感受性を臨床及び実験室標準研究所(Clinical and Laboratory Standards Institute、CLSI)の指針によってMuller-Hinton寒天培地(BD,Difco)でディスク拡散法(diffusion method)を使用して評価した。Muller-Hinton寒天培地に8種の抗生剤が含まれたディスクを載せ、30℃で24時間培養した。各抗生剤に対する抑制丸サイズを測定し、CLSI(Clinical Laboratory Standards Institute)によって感受性と耐性とを確認した。使用した抗生剤は、Oxoid社(Basingstoke,Hants,UK)のアンピシリン(ampicillin、10ug)、クロラムフェニコール(chloramphenicol、30ug)、クリンダマイシン(clindamycin、10ug)、エリスロマイシン(erythromycin、15ug)、ゲンタマイシン(gentamicin、30ug)、ペニシリンG(penicillin G、10ug)、ストレプトマイシン(streptomycin、300ug)、及びテトラマイシン(tetramycin、30ug)の総8種を使用した。
図6に示されたように、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株は、アンピシリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、ペニシリンG、ストレプトマイシン、及びテトラマイシンの総8種の抗生剤に対して敏感性を示すと確認された。
【0067】
実施例6.分離菌株の免疫増強活性の評価
【0068】
前記ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の免疫増強効果を確認するために、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株が免疫細胞のサイトカイン分泌に及ぼす影響を評価した。
【0069】
マウス大食細胞(RAW 264.7)を使用して初期免疫反応で重要な役割を行うサイトカインであるTNF-α(tumor necrosis factor-α)とウイルス及び微生物感染に対する防御免疫反応で重要な役割を行うINF-β(Interferon-β)との分泌能を測定した。ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の培養上澄み液は、1% FBS(Fetal Bovine Serum)及び1%抗生剤(Antibiotics)が含有されたDMEM培地を使用して最終濃度が4%になるように希釈して細胞に処理し、37℃ 5% CO2培養器で24時間培養した。培養後に上澄み液で分泌されたTNF-αとINF-βとの量をOptEIATM ELISA kit(BD Biosciences,SanDiego,CA,USA)を用いて測定した。測定試料は、SpectraMax 190 Microplate Reader(Molecular Devices,US)を用いて450nmで吸光度を測定した。450nmで吸光度を測定して得られたO.D値を標準物質を用いて作成した標準曲線と比較して、TNF-α及びINF-βの量を測定した。標準物質としては、recombinant mouse TNF-α及びINF-βを使用し、得た標準曲線と比較して計算した。TNF-α及びINF-β分泌能の陽性対照群物質としては、リポ多糖(lipopolysaccharide、LPS)を使用した。
【0070】
図7に示されたように、ラクチプランチバチルス・プランタラムKM2菌株の培養上澄み液を大食細胞に処理した場合、大食細胞から分泌されるサイトカインであるTNF-α及びINF-βの分比量が処理上澄み液濃度に依存的に増加することを確認した。
【0071】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者において、このような具体的な記述は、単に望ましい実施形態であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。すなわち、本発明の実質的な範囲は、下記の特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義される。
【国際調査報告】